JP2007039753A - 犠牲陽極材面の面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材 - Google Patents

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Abstract

【目的】アルミニウム合金製熱交換器、とくに自動車用熱交換器のチューブ材,ヘッダープレート材などとして好適に使用することができ、犠牲陽極材は十分な防食効果を発揮して優れた耐食性を与えるとともに、犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材を提供する。
【構成】犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、該犠牲陽極材が、Zn:0.5〜5%、Fe:0.1以上0.4%未満を含有してなり、アルミニウム合金クラッド材を、400℃までの昇温速度を50℃/分とし595℃までの到達時間を30分以内とする条件で加熱した場合において、犠牲陽極材の表面の結晶粒度が0.04〜0.20mmであることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は,犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材,とくに,不活性ガス雰囲気中でのフッ化物フラックスを用いたろう付けや真空ろう付けにより接合されるラジエータやヒータなどのアルミニウム合金製熱交換器のチューブ,ヘッダーなど,流体通路構成部材の素材として好適に使用される熱交換器用アルミニウム合金クラッド材に関する。
熱交換器,たとえばラジエータなど、自動車用アルミニウム合金製熱交換器は,作動流体(冷媒)の通路となるチューブ、チューブ間に配設されるフィンおよびヘッダーから構成されている。このような自動車用熱交換器のチューブ材,ヘッダープレート材としては,JIS A3003などのAl−Mn系合金を心材とし,心材の片面にAl−Si系合金ろう材をクラッドした二層構造のアルミニウム合金クラッド材,心材の両面にろう材をクラッドした三層構造のアルミニウム合金クラッド材,あるいは心材の一方の面にろう材をクラッドし他方の面にAl−Zn系合金またはAl−Zn−Mg系合金の犠牲陽極材をクラッドした三層構造のアルミニウム合金クラッド材が用いられている。
クラッド材のAl−Si系ろう材は,アルミニウム合金製熱交換器を製作するとき,チューブ外面とフィンとの接合,チューブとヘッダープレートとの接合,またはクラッド板からろう付けによりチューブを製造する場合のろう付け接合のためにクラッドされている。これらのろう付には,フッ化物フラックスを用いる不活性ガス雰囲気ろう付け,真空ろう付けが適用される。
三層構造のアルミニウム合金クラッド材の犠牲陽極材は,たとえばチューブの内面側に使用され,作動流体と接して犠牲陽極作用を発揮し,心材の孔食や隙間腐食の発生を防止し、チューブ外面に接合されたフィン材は,使用中に犠牲陽極作用を発揮して心材の孔食の発生を防止する。
従来,ラジエータやヒータは,図1に示すように、心材5の一方の面にろう材6をクラッドし、他方の面に犠牲陽極材7をクラッドしてなるクラッド板材4を曲成し溶接(溶接部W)して偏平チューブ1とし,ヘッダプレートに組み付けた後一体ろう付けして製造されていた(以下,溶接型)が、近年,図2、図3に示すように、クラッド板材4を曲げ加工するだけで溶接することなくチューブ形状2,3とし,ヘッダプレートに組み付けた後一体ろう付けして製造されることが多くなっている(以下,ろう付け型)。
図2、図3に示すろう付け型においては,不活性ガス雰囲気ろう付けの場合,ろう付け中にチューブ内面の空気が不活性ガスに完全に置換されず残存するため,図2においてはA部、すなわち犠牲陽極材7とろう材6との接合面、図3においてはB部、すなわちチューブ3のT形状の曲げ加工端部と犠牲陽極材7の接合面のろう付け接合が、ろう材が犠牲陽極材面に十分濡れ広がらないために不十分となる場合がある。
熱交換器用アルミニウム合金クラッド材については、これまで、犠牲陽極材の粒界腐食など結晶粒界近傍での腐食を防止する目的に対しては、いくつかの検討が行われており、たとえば犠牲陽極材の厚さ方向の再結晶粒をクラッド材における犠牲陽極材の厚さ未満とすること(特許文献1)、犠牲陽極材をZn:6.0%を越え15.0%以下を含有する成分構成とし、ろう付後の表面の結晶粒径を100〜700μmとすること(特許文献2)が提案されているが、犠牲陽極材面のろう付け性向上については検討されていない。
特開平11−100628号公報 特開平11−209837号公報
発明者らは,上記の問題点を解決するために,犠牲陽極材面のろうの濡れ性におよぼす要因について検討を行った結果、とくに犠牲陽極材の結晶粒度がろうの濡れ性に影響を与え、犠牲陽極材表面のろう付け加熱後の結晶粒度を制御することにより犠牲陽極材のぬれ性が向上し,犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性が向上することを見出した。
本発明は,上記の知見に基づいてさらに試験、検討を加えた結果としてなされたものであり,その目的は,熱交換器、とくに自動車搭載用ラジエータやヒータなど、自動車用アルミニウム合金製熱交換器のチューブ材,ヘッダープレート材などとして好適に使用することができ、犠牲陽極材は十分な防食効果を発揮して優れた耐食性を与えるとともに、犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1による犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材は、犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、該犠牲陽極材が、Zn:0.5〜5%、Fe:0.1以上0.4%未満を含有してなり、アルミニウム合金クラッド材を、400℃までの昇温速度を50℃/分とし595℃までの到達時間を30分以内とする条件で加熱した場合において、犠牲陽極材の表面の結晶粒度が0.04〜0.20mmであることを特徴とする。
請求項2による犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材は、請求項1において、 前記犠牲陽極材がさらにSi:0.01〜0.5%を含有することを特徴とする。
請求項3による犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材は、請求項1または2において、前記犠牲陽極材がさらにIn:0.001〜0.05%,Sn:0.001〜0.05%の1種または2種を含有することを特徴とする。
請求項4による犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材は、請求項1〜3のいずれかにおいて、心材の一方の面にろう材をクラッドし、他方の面に犠牲陽極材をクラッドした三層構造であることを特徴とする。
請求項5による犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材は、請求項1〜4のいずれかにおいて、犠牲陽極材面をろう付けして面接合することにより製造される熱交換器用チューブ材として用いられることを特徴とする。
本発明によれば,熱交換器、とくに不活性ガス雰囲気中でのフッ化物フラックスを用いるろう付けや真空ろう付けにより接合される自動車搭載用ラジエータやヒータなど、自動車用アルミニウム合金製熱交換器のチューブ材,ヘッダープレート材などとして好適に使用することができ、犠牲陽極材は十分な防食効果を発揮して優れた耐食性を与えるとともに、犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材が提供される。
本発明のアルミニウム合金クラッド材は犠牲陽極材の組成およびろう付け加熱後の結晶粒度を特徴とするものであり、その組成およびその限定理由について説明する。
(犠牲陽極材)
Zn:0.5〜5.0%
Znは,犠牲陽極材の電位を卑にし,心材に対する犠牲陽極効果を発揮させ,心材の孔食または隙間腐食の発生を防止する。Znの好ましい含有量は0.5〜5.0%の範囲であり,Znの含有量が0.5%未満ではその効果が小さく,5.0%を越えて含有すると犠牲陽極材の自己耐食性が低下する。Znのより好ましい含有範囲は1.5〜5.0%であり、Znの含有量の下限を1.5%とすることによりさらに優れた犠牲陽極効果を発揮させることができる。
Fe:0.1〜0.4%未満
Feは,犠牲陽極材のろう付け加熱後の結晶粒を微細化し,ろう付け加熱後の結晶粒度を低下させる。Fe含有量が0.4%を越えるとろう付け加熱後の結晶粒度が微細になりすぎるとともに,ろう付け時に部分的に溶融が生じ、また犠牲陽極材の自己耐蝕性が低下する。Feの好ましい含有量は0.4%未満であり,0.1%未満では効果が十分でない。Feのさらに好ましい含有範囲は0.1〜0.3%である。
Si:0.01〜0.5%
Siは,犠牲陽極材の強度を向上させるとともに,犠牲陽極材のろう付け加熱後の結晶粒を微細化し,結晶粒度を低下させる。Si含有量が0.5%を越えるとろう付け加熱後の結晶粒度が微細になりすぎるとともに,ろう付け時に部分的に溶融が生じ、また犠牲陽極材の自己耐蝕性が低下する。0.01%未満では地金コストが高くなり実用上好ましくない。
In:0.001〜0.05%,Sn:0.001〜0.05%
InとSnは,微量の添加によって犠牲陽極材の電位を卑とし,犠牲陽極効果によって心材の孔食や隙間腐食の発生を防止する。InとSnの好ましい含有量は0.001〜0.05%の範囲であり,0.001%未満ではその効果が十分でなく,0.05%を越えると自己耐食性および圧延加工性が低下する。InとSnのさらに好ましい含有範囲は0.01〜0.02%である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材の皮材として上記の組成を有する犠牲陽極材を用いる場合,心材、ろう材としては、たとえば以下に示すように、通常実用化されているアルミニウム合金を使用することができる。
(心材)
心材としては,A3003に代表されるAl−Mn系合金,より高強度なAl−Si−Mn系合金,Al−Cu−Mn系合金,Al−Si−Cu−Mn系合金などを使用することができる。また,それぞれの合金にMgを添加した合金も使用することができる。各合金に、さらにTi,Zn,Cr,Zr,V,Bなどを含んでいても同様の効果が得られる。
(ろう材)
ろう材としては,通常用いられているAl−Si系合金,例えばSi:6〜13%を含むAl−Si合金が使用される。ラジエータなどを構成するために行われるろう付けが真空ろう付けの場合には,Al−Si−Mg系合金などが用いられる。これらのAl−Si系合金,Al−Si−Mg系合金には,必要に応じて,Bi:0.2%以下,Be:0.1%以下,Ca:1.0%以下,Li:1.0%以下,Sr:0.005〜0.1%が添加されてもよい。
(400℃までの昇温速度を50℃/分とし595℃までの到達時間を30分以内とする条件で加熱した場合の犠牲陽極材の表面の結晶粒度:0.04〜0.20mm)
本発明においては、犠牲陽極材の表面の結晶粒度を、上記の加熱条件で加熱した場合に0.04〜0.20mmとすることが重要である。上記の加熱条件はろう付け加熱の条件に相当し、犠牲陽極材の表面の結晶粒度が上記の加熱条件で0.04〜0.20mmとなれば、通常のろう付け加熱後における犠牲陽極材の表面の結晶粒度を略0.04〜0.20mmとすることができる。
犠牲陽極材表面へろうが濡れ拡がる場合,結晶粒界が優先的にろうの濡れ拡がる経路になり,その後,ろうは結晶粒界から粒内方向へ濡れ拡がる。従って,結晶粒度が小さい場合,濡れ拡がる経路が多くなり,ろうは均一に濡れ拡がる。一方,結晶粒度が大きい場合,濡れ拡がる経路が少なく,ろうの濡れ拡がりは不均一になり,濡れ性が低下する。ろうの犠牲陽極材表面の濡れ性が良好である犠牲陽極材の結晶粒度は,犠牲陽極材の表面からみて0.04〜0.20mmの範囲であり、0.20mmを超えると濡れ拡がり性は低下し,結晶粒度が0.04mm以下ではこの効果が飽和する。結晶粒度のさらに好ましい範囲は0.04〜0.15mmである
本発明のアルミニウム合金クラッド材の製造は、例えばアルミニウム合金クラッド材の構成材となる心材,犠牲陽極材およびろう材を構成するアルミニウム合金を,連続鋳造により造塊し,得られた鋳塊を、心材については均質化処理し、ろう材については必要に応じて均質化処理した後,所定厚さまで熱間圧延し、犠牲陽極材については固相線温度(℃)×0.5以下の温度で均質化処理した後,所定厚さまで熱間圧延し,ついで,心材用アルミニウム合金鋳塊と,熱間圧延された犠牲陽極用アルミニウム合金およびろう材用アルミニウム合金を組み合わせて,常法に従って熱間圧延によりクラッド材とし,その後冷間圧延,350℃以下の中間焼鈍,加工度20〜35%の冷間圧延により所定の厚さとすることにより行われる。
本発明において,400℃までの昇温速度を50℃/分とし595℃までの到達時間を30分以内とする条件で加熱した場合の犠牲陽極材の表面の結晶粒度を0.04〜0.20mmの範囲に制御するためには,犠牲陽極材の鋳塊を,犠牲陽極材の固相線温度(℃)×0.5以下の温度で均質化処理するとともに,中間焼鈍温度を350℃以下にし,中間焼鈍後の冷間圧延の加工度を20〜35%にするのが有効である。
本発明のアルミニウム合金クラッド材を成形して、図2〜3に示すチューブ形状とし、該チューブとともに、アルミニウム合金フィンおよびアルミニウム合金からなるヘッダーを組み付け、一体にろう付け接合することにより、ラジエータ、ヒータなどの自動車用熱交換器が製造される。
以下,本発明の実施例を比較例と対比して説明する。これらの実施例は,本発明の一実施態様を示すものであり,本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
連続鋳造によって表1に示す組成を有する犠牲陽極材用合金を造塊し,心材用合金として3003合金,およびろう材用合金として4045合金を造塊し,得られた鋳塊のうち,心材用合金および犠牲陽極材用合金の鋳塊については常法に従って均質化処理を行った。犠牲陽極材の均質化処理は,犠牲陽極材の固相線温度(℃)×0.5以下の温度で行った。
犠牲陽極材の均質化処理温度を表1に示す。
ついで,犠牲陽極材用合金およびろう材用合金の鋳塊を所定の厚さまで熱間圧延し,これらの熱間圧延板と心材用合金の鋳塊(厚さ30mm)とを合わせ材として熱間圧延し,三層構造のクラッド材(厚さ3mm)を得た。その後,冷間圧延,350℃以下の中間焼鈍,加工度20〜35%の冷間圧延を行って、厚さ0.20mmの板材(クラッド材)を得た。クラッド材の構成は,犠牲陽極材は0.040mm,ろう材は0.035mmである。中間焼鈍温度、中間焼鈍後の冷間圧延加工度を表1に示す。
得られたクラッド材を試験材として,以下の方法により犠牲陽極材の表面(L−LT面)の結晶粒度を測定し,犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性、犠牲陽極材面のろうの濡れ広がり性を評価した。結果を表1に示す。
(結晶粒度の測定)
クラッド材(試験材)にフッ化物フラックスを塗布し、窒素ガス中、595℃(材料温度)に加熱した。但し、400℃までは50℃/分の昇温速度で加熱した。595℃の温度への到達時間は20分であった。加熱後の試験材を、リン酸400mL,硫酸100mLと無水クロム酸25gを混合した溶液中で,電圧30Vで1〜3分電解研磨し、さらに,純水500mL,フッ酸27mL(46%),ホウ酸11gを混合した溶液中で,電圧25〜30Vで45〜60秒電解研磨した。その後,光学顕微鏡を用いて犠牲陽極材表面の偏光ミクロ組織を撮影し,比較法により結晶粒度を測定した。比較にはASTM(E112−61)の標準結晶粒度組織図を用いた。
(犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性の評価)
得られたクラッド板材を用いて、垂直板の端部を直角に折り曲げ、垂直板にだけフッ化物フラックスを5g/m塗布した後、図4の通り組み合わせて隙間充填試験片を作成し、窒素ガス中で595℃(材料温度)に加熱した。但し、400℃までは50℃/分の昇温速度で加熱した。図4において、数値は長さ(単位mm)を示す。加熱後の隙間充填試験片の隙間充填長さF(図5)をノギスを用いて測定した。ろう付けによる面接合性の評価は隙間充填長さが8.0mm以上を良好(○)とし、8.0mm未満を不良(×)とした。
(犠牲陽極材面のろうの濡れ広がり性の評価)
得られたクラッド板材を用いて、20mm×60mmの板を切り出し、シェーパ加工により端面(4面全て)を切削し15mm×55mmに仕上げた。この板をフラックスを塗布することなく、犠牲陽極材面を上にして炉内に水平に設置し、窒素ガス中でろう付け温度(材料温度)595℃で加熱した。但し、400℃までは50℃/分の昇温速度で加熱した。加熱後の犠牲陽極材面を光学顕微鏡を用いて16倍で撮影した写真(ネガポジ反転撮影)(図6)上からろう周り長さの平均値L(例えば、図6においては、L=(L1+L2)/2)を測定した。ろうの濡れ広がり性の評価は、ろう周り長さの平均値Lが1.5mm以上を良好(○)、1.5mm未満を不良(×)とした。
表1にみられるように,本発明に従う試験材No.1〜9はいずれも,犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性、ろうの濡れ広がり性が優れていた。
Figure 2007039753
比較例1
連続鋳造によって表2に示す組成を有する犠牲陽極材用合金を造塊し、心材用合金として3003合金,およびろう材用合金として4045合金を造塊し,得られた鋳塊のうち,心材用合金および犠牲陽極材用合金の鋳塊については常法に従って均質化処理を行った。
ついで,犠牲陽極材用合金およびろう材用合金の鋳塊を所定の厚さまで熱間圧延し,これらの熱間圧延板と心材用合金の鋳塊(厚さ30mm)とを合わせ材として熱間圧延し,三層構造のクラッド材(厚さ3mm)とした。その後,冷間圧延,中間焼鈍,冷間圧延によって厚さ0.20mmの板材(クラッド材)を得た。クラッド材の構成は,犠牲陽極材は0.040mm,ろう材は0.035mmである。
得られたクラッド材を試験材として,実施例1と同じ方法で犠牲陽極材表面の結晶粒度(L−LT面)を測定し,犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性、ろうの濡れ広がり性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2007039753
表2に示すように、試験材10はFeの含有量が少ないため犠牲陽極材の結晶粒度が大きく、ろう付けによる面接合性、ろうの濡れ広がり性が劣る。試験材11および12は、それぞれ均質化処理温度および中間焼鈍温度が高いことに起因して犠牲陽極材の結晶粒度が小さくなり、ろう付けによる面接合性評価およびろうの濡れ広がり性評価の加熱において犠牲陽極材に局部溶融が生じた。
熱交換器用チューブの実施例を示す断面図である。 熱交換器用チューブの他の実施例を示す断面図である。 熱交換器用チューブのさらに他の実施例を示す断面図である。 犠牲陽極材面のろう付け性評価試験の試験片を示す図である。 図4の試験後のろうの間隙充填状況を示す図である。 犠牲陽極材面のろうの濡れ広がり性の評価試験片(加熱前)と、評価試験後のろうの濡れ広がり状態(加熱後)を示す図である。
符号の説明
1 クラッド板材を曲成、溶接して形成した扁平チューブ
2 クラッド板材を曲げ加工するだけで形成したチューブの実施例
3 クラッド板材を曲げ加工するだけで形成したチューブの他の実施例
4 クラッド板材
5 心材
6 ろう材
7 犠牲陽極材

Claims (5)

  1. 犠牲陽極材をクラッドしたアルミニウム合金クラッド材であって、該犠牲陽極材が、Zn:0.5〜5%(質量%、以下同じ)、Fe:0.1以上0.4%未満を含有してなり、アルミニウム合金クラッド材を、400℃までの昇温速度を50℃/分とし595℃までの到達時間を30分以内とする条件で加熱した場合において、犠牲陽極材の表面の結晶粒度が0.04〜0.20mmであることを特徴とする犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材。
  2. 前記犠牲陽極材がさらにSi:0.01〜0.5%を含有することを特徴とする請求項1記載の犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材。
  3. 前記犠牲陽極材がさらにIn:0.001〜0.05%,Sn:0.001〜0.05%の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2記載の犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材。
  4. 心材の一方の面にろう材をクラッドし、他方の面に犠牲陽極材をクラッドした三層構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材。
  5. 犠牲陽極材面をろう付けして面接合することにより製造される熱交換器用チューブ材として用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の犠牲陽極材面のろう付けによる面接合性に優れたアルミニウム合金クラッド材。
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