JP2007032893A - 浴湯保温器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 浴湯保温器において、機構を複雑化・大型化させることなく浴湯の上層と下層との温度差を小さくする。
【解決手段】 電源スイッチ21とエアポンプ11をスイッチボックス2に収納し、ケース4の底面に装着した浄化部5にエアストーン12を取り付け、エアポンプ11を駆動させてエアストーン12から気泡を吹き出させる。これによって浴槽内での浴湯の対流速度を大きくする。
【選択図】 図2

Description

本発明は浴槽内の浴湯を加熱し保温する浴湯保温器に関するものである。
近年、生活習慣の多様化に伴い入浴時間も多様化している。例えば一つの家庭の中でも親は夜に入浴し、子どもは朝に入浴するということが少なからず行われている。このような場合、浴槽内の夜に張った湯は朝には室温程度にまで冷めているので、朝に入浴する場合には浴槽水を適温まで上昇させる必要がある。浴槽水の温度を上げる一つの手段として高温湯を足し湯することが行われている。しかし、この手段では浴湯を適温に調節することが困難である上に不経済であり、また入浴が可能となるまでに時間がかかるという問題点がある。またもう一つの手段として浴湯を追い焚きすることも行われているが、前記と同様に不経済であり入浴できるまでに時間がかかる問題がある。
そこで浴湯を常に一定温度に保ち、いつでも入浴可能とする技術がこれまでから種々提案され、一部実用化もされている。例えば棒状の電気ヒータを内蔵した浴湯保温器を、浴湯に浸漬し、浴湯を所定温度に常に保持するものがある(例えば特許文献1)。この浴湯保温器では、棒状電気ヒータが浴湯に完全に浸かるため高い熱効率が得られ経済的であると共に、従来のような入浴待機時間がないとう利点があった。
特開2000−310444号公報
ところで従来の足し湯や追い焚きによる浴湯の昇温では、浴湯の上層と下層とで温度差が10℃以上もあり、浴湯の上層の温度が適温だと思って入浴すると下層はまだ水だったということも経験するところであるが、前記提案の浴湯保温器によれば、加熱された浴湯が対流しこれによって浴槽内の浴湯が撹拌されるので、浴湯の上層と下層との温度差が1.0〜2.0℃程度にまで小さくなる。
この上層と下層との温度差をさらに小さくして欲しいという市場の要望が少なからずある。かかる温度差をさらに小さくするには、回転翼によって浴湯を強制的に撹拌することが考えられる。しかし、浴槽内で使用する機器に撹拌機構を設けるにはモータなどの電気部品が水と接触しないように防水化する必要があり、機構が複雑となると同時に機器が大型化する。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、浴湯保温器において、機構を複雑化・大型化させることなく浴湯の上層と下層との温度差を小さくすることにある。
本発明に係る浴湯保温器では、流入開口と流出開口を有するケースと、該ケース内に配設されたヒータと、ヒータへの通電を入切する電源スイッチと、エアポンプとエア吹き出し部材を有する気泡発生手段とを備えた構成とした。
ここで、装置をより簡便化する観点からは、電源スイッチとエアポンプとを収納するスイッチボックスをさらに設け、このスイッチボックスからケースまで、通電コードとエアーチューブとが軸方向に平行に一体として成形されたものを使用するのが好ましい。
浴湯の温度を効率的に均一化する観点からは、前記エア吹き出し部材を、前記ヒータよりも下方に配置するのが好ましい。また合わせて、浴湯を浄化する観点からは、浴湯が流通するための複数の孔が形成された容器内に、浄化作用を有する、前記孔よりも大きな粒状体を充填した浄化部を、流入開口の外側に着脱可能に取り付け、この浄化部に前記エア吹き出し部材を取り付けるのが好ましい。
本発明に係る浴湯保温器では、エア吹き出し部材にエアポンプからエアを送り、エア吹き出し部材から気泡を発生させて浴湯中を気泡が上昇するようにしたので、浴湯の対流が速くなり浴湯の上層と下層との温度差を格段に小さくできる。またこれまで、浴湯に入れられる入浴剤が機器に付着し、例えばヒータに付着物が累積して過熱の原因となることがあったが、本発明の浴湯保温器では、ケース内における浴湯の対流が従来よりも速いので、入浴剤などの機器への付着が従来に比べて格段に抑えられ、ヒータの過熱などが効果的に防止できる。加えて、気泡が水面で弾けるときに生じる超音波によって水のクラスタが小さくなり、入浴者の疲れや汚れを取れやすくなると共に、浴湯中における細菌の発生が抑えられる。
電源スイッチとエアポンプとを収納するスイッチボックスをさらに設け、このスイッチボックスからケースまで、通電コードとエアーチューブとが軸方向に平行に一体として成形されたものを使用すると、装置をより簡便化できる。
エア吹き出し部材をヒータよりも下方に配置すると、気泡の上昇による浴湯対流速度の一層のアップが図れ、浴湯の温度を効率的に均一化できるようになる。また、流入開口の外側に着脱可能に取り付けた前記浄化部にエア吹き出し部材を取り付けると、浴湯対流速度のアップと同時に浴湯の浄化が図れる。
以下、本発明に係る浴湯保温器について図に基づいて説明する。なお本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
図1は、本発明に係る浴湯保温器の一実施形態を示す概略構成図である。図1の浴湯保温器は本体部1とスイッチボックス2とを有し、本体部1とスイッチボックス2とはエアチューブ付通電コード3で接続されている。本体部1は、底面が楕円の略円錐形状で、上部にアーチ状の取っ手41が形成され、下部側面に4つの短い脚片42が周方向に等間隔で下向きに突設されたケース4と、ケース4の底面外側に着脱可能に取り付けられた浄化部5とを有する。ケース4の上面には横長の大きな流出開口43が形成され、底面には複数の流入開口(不図示)が形成されている。
図2に、図1の本体部1の垂直断面図を示す。ケース4の内部空間に、中空ボックス7がケース内周面と余裕のある状態で収容されている。中空ボックス7の両側面には、下辺から上方に向かって切り欠き部72が形成された突片71a,71bが設けられている。この2つの突片71a,71bの切り欠き部72を、ケース4の対向する内壁から突出した円筒状の突部44a,44bに掛止させる。そしてこの突部44a,44bの軸中心を貫くようにケース4の外側からネジ止めすることによって、中空ボックス7をケース1内に固定する。
この中空ボックス7内には、低温用サーモスタット73aと高温用サーモスタット73b(図2には不図示、図7に図示)、過昇防止用のサーモスタット73c(図2には不図示、図7に図示)、フロートスイッチのスイッチング部75、棒状の電気ヒータ8の上面端子(不図示)とがリード線Lで接続された状態で収納されている。高・低温用サーモスタット73a,73bは、浴湯が一定温度以上に上昇した場合に電気ヒータ8への通電を遮断するよう作動し、スイッチング部75は、後述するフロート9と協動して浴湯が少ない場合に電気ヒータ8への通電を遮断するよう作動する。なお、この実施形態においてはフロートスイッチはフロート9とスイッチング部75とからなる。もちろん、フロートスイッチとして従来公知のものを用いても構わない。
また、中空ボックス7の底面には棒状の電気ヒータ8が垂直に突設されている。この電気ヒータ8は、150Wの保温用ヒータ81(図7に図示)と850Wの加熱用ヒータ82(図7に図示)とからなる。なお、棒状の電気ヒータ8は真っ直ぐな棒状のシーズヒータであるが、棒状体を細長U字状に屈曲したヒータであってもよい。もちろん本発明で使用できるヒータに特に限定はなく従来公知のものが使用できる。また、使用するヒータの本数に限定はなく、1つであってもよいし2つ以上であってもよい。またその電気容量についても限定はない。
隔離板10を挟んで電気ヒータ8と平行に縦長のフロート9が配設されている。フロート9の上端には軸部91が突設され、その先端にはマグネットM1が固定されている。そして、軸部91は、中空ボックス7の下面に形成された筒状突部74の中央穴にスライド可能に嵌まっている。フロート9の下端がケース4の内底面に接触した状態において、マグネットM1と中央穴との間には軸部91が少し上昇できる程度の空間しかないので、筒状突部74の中央穴から軸部91が外れることはない。
中空ボックス4内には、前述のようにスイッチング部75が設けられている。このスイッチング部75は、フロート9のマグネットM1と同極性のマグネットM2を先端に固定した作動片751と、この作動片751をフロート9の軸心を含む垂直面内で揺動可能に取り付けた支持部材752とからなり、支持部材752には、マグネットM1,M2の反発によってフロート9と反対方向に作動片751が移動したとき、通電状態となる接点753が設けられている。
一方、図1に示すように、電源から電気ヒータ8への電気供給は、商用コンセントから電気コードを介して行われる。具体的には、漏電遮断機能付きプラグ6からスイッチボックス2を介して電気ヒータ8へ電気が供給される。図3に、スイッチボックスの構成図を示す。スイッチボックス2には、通電を入切する電源スイッチ21と、浴湯の設定温度を高め又は低めに切り換えるスライド式の温調スイッチ22と、後述するエアストーン(エア吹き出し部材)12にエアを供給するエアポンプ11とが備えられている。
スイッチボックス2から中空ボックス4の手前までは、通電コード31とエアチューブ32とが軸方向に平行に一体成形されたチューブ付通電コード3が使用される。図4に、このチューブ付通電コード3の断面図を示す。チューブ付通電コード3は、可撓性を有する2つの管が一体成形されてなり、一方の管内に複数本のコード線311が収納され、もう一方の管は空洞でエアが流通する。図2に示すように、チューブ付通電コード3は、中空ボックス7の上面中央に形成された筒状突部76の手前で通電コード31とエアチューブ32に分断され、通電コード31は、筒状突部76から中空ボックス7内に水密に進入し、所定の端子に接続される。他方、エアチューブ32は、ケース4の底面に取り付けられた浄化部5に装着されたエアストーン12に接続される。
図5に浄化部の垂直断面図、図6に浄化部の本体部の平面図を示す。浄化部5は、楕円形状の底面外周から外方にやや拡がるように周壁が形成された本体部51と、本体部51の上面開口に嵌合する蓋部52とを有する。本体部51の底面および蓋部52には、浴湯が流通するための細長い孔511,521が複数形成されていている。また本体部51の底面の中央部には、円柱形状のエアストーン12を装着するための長方形の孔512が形成されている。そして本体部51の孔512にエアストーン12が装着されるとともに、孔511よりも大きな、浄化作用を有する粒状体53が本体部51に充填される。浄化部5のケース4の底面への取り付けは、本体部51の底面に形成された筒部513a,513bが、蓋部52の孔(不図示)を介して、ケース4の底面の、雌ネジが形成された孔(不図示)と中心軸が一致するように、浄化部5をケース4の底面下に位置させ、本体部51の底面外側から筒部513a,513bにネジを挿通させてケース4の雌ネジと螺合させて、浄化部5をケース4の底面に着脱可能に取り付ける。
本体部51に充填する粒状体53としては、本体部51及び蓋部52に形成された孔511,521よりも大きく浄化作用を有するものであれば特に限定はない。このような粒状体53を用いることにより、浴湯中の塩素や重金属成分、大腸菌などの雑菌が吸着除去され、浴湯を浄化することができる。粒状体としては例えば、麦飯石、トルマリン、炭、珊瑚、ゼオライト、酸化チタン、酸化ジルコニウム、イオン交換樹脂などが挙げられる。麦飯石やトルマリンを用いると吸着作用の他、カルシウムやマグネシウム、カリウム、マンガンなどのミネラル成分が浴湯に溶出し、保温効果の向上や美肌効果などが得られる。さらにトルマリンを用いると、弱アルカリ性のマイナスイオン水が生成されリフレッシュ効果や脱臭効果などが得られる。ゼオライトを用いると、吸着作用の他脱臭効果が得られ、またアルカリイオン水が生成される。酸化チタンを用いると、紫外線照射を受けて強い酸化力が生じ、臭いの元となる有機物やアンモニアなどが分解され脱臭効果が得られる。またイオン交換樹脂を用いると、前記吸着作用の他、浴湯の軟化・脱塩作用などが得られる。
また本発明で使用する粒状体53は、原材料をそのままあるいは破砕・粉砕して所定の大きさとしたものであってもよいし、原材料を一旦粉状としこれをセラミックと混合し焼結させてセラミックボールとしたものでもよい。浴湯の浄化をより効果的に行う観点からは、前記粒状体は比表面積の大きいものが望ましい。このため、原材料が多孔質体でない場合には、前記のように多孔質なセラミックボールに原材料を担持させるのが好ましい。
本発明の浴湯保温器の回路図の一例を図7に示す。電源スイッチ21を「入」にすると、エアポンプ11が駆動してエアストーン12にエアが供給され、エアストーン12から気泡が吹き出す。同時に150Wの保温用ヒータ81に電気が供給され浴湯の保温がなされる。このときランプLが点灯し、通電状態であることが示される。また温調スイッチ22によって浴湯の設定温度を、高温(44±2℃)又は低温(40±2℃)に切り換え可能となっており、低温サーモスタット73a又は高温サーモスタット73b及び、850Wの加熱用ヒータ82によって浴湯が所定温度に調整される。そしてヒータの過昇を防止するためのサーモスタット73c及び浴湯量の過少を防止するためのフロートスイッチ9がさらに設けられている。
このような構造の浴湯保温器を、湯又は水を張った浴槽内に配置し電源スイッチ21を入れると、エアポンプ11が駆動して、浄化部5に取り付けたエアストーン12から気泡が吹き出す。また同時に、ケース4内に浴湯が流入し、フロート9が上昇してスイッチング部75がONとなり、電気ヒータ8に通電がなされる。これにより、ケース4内の浴湯は暖められて上昇し、中空ボックス7とケース4の内面との間隙を通過して流出開口43から流出する。一方、ケース4の流入開口からは浴湯が新たに流入し、電気ヒータ8で暖められて上昇する。ケース4内でこのような浴湯の流れが連続して生じ、浴槽内では浴湯保温器を中心として大きな対流が生じる。また同時に、本発明の浴湯保温器では、エアストーン12から吹き出される気泡が上昇することによって、前記浴湯の対流の速度が従来よりも速くなり、浴湯の上層と下層の温度差はほとんどなくなる。加えて、浴湯の対流速度が速くなることで、入浴剤などが電気ヒータ等の部材に累積的に付着することが格段に少なくなる。
また、流入開口の外側には、粒状体を容器に充填した浄化部5が取り付けられており、ケース4に流入する浴湯はこの浄化部5を通過する。このとき浴湯中の塩素や重金属成分、大腸菌などの雑菌が吸着除去され、浴湯は浄化される。また、粒状体53の種類を選べば、前記吸着作用の他、ミネラル成分を浴湯に溶出させたり、保温効果の向上や美肌効果、リフレッシュ効果、脱臭効果など種々の効果を得ることもできる。また、浄化部5は流入開口の外側に着脱可能に取り付けられているので、使用により浄化部5の浄化能力が落ちてきた場合には、ケース4から浄化部5を取り外して水洗いや乾燥などを行って浄化能力を回復させればよい。このような回復作業を繰り返すことにより浄化部5の浄化作用は半永久的に保持される。
(実施例1)
浴槽に240Lの水を張り、浴湯の設定温度を低温側にして前記構成の浴湯保温器を浴槽内に浸漬させた。なお、使用したエアポンプの供給エア量600cc/min、供給圧0.08kg/cm2である。そして8時間後、浴湯の上層と下層の温度を測定したところ、その温度差は0.1℃であった。浴湯の設定温度を高温側にして、同様の実験を行っても浴湯の上層と下層の温度差は0.1℃であった。
(比較例1)
エアポンプを駆動させない以外は実施例1と同様にして実験を行った。その結果浴湯の上層と下層の温度差は1.5℃であった。
本発明に係る浴湯保温器の一例を示す概略構成図である。 図1の本体部の垂直断面図である。 スイッチボックスの内部構成図である。 チューブ付き通電コードの断面図である。 浄化部の概略構成図である。 浄化部の本体部の平面図である。 本発明に係る浴湯保温器の回路図例である。
符号の説明
2 スイッチボックス
3 チューブ付通電コード
4 ケース
5 浄化部
8 電気ヒータ
11 エアポンプ
12 エアストーン(エア吹き出し部材)
21 電源スイッチ
31 通電コード
32 エアチューブ
51 本体部(容器)
52 蓋部(容器)
53 粒状体
81 保温用ヒータ
82 加熱用ヒータ
511,521 孔

Claims (4)

  1. 流入開口と流出開口を有するケースと、該ケース内に配設されたヒータと、ヒータへの通電を入切する電源スイッチと、エアポンプとエア吹き出し部材を有する気泡発生手段とを備えたことを特徴とする浴湯保温器。
  2. 前記電源スイッチと前記エアポンプとを収納したスイッチボックスをさらに備え、このスイッチボックスから前記ケースまで、通電コードとエアーチューブとが軸方向に平行に一体として成形されてなる請求項1記載の浴湯保温器。
  3. 前記エア吹き出し部材が、前記ヒータよりも下方に配置されている請求項1又は2記載の浴湯保温器。
  4. 前記流入開口の外側に着脱可能に取り付けられた浄化部をさらに備え、この浄化部は、浴湯が流通するための複数の孔が形成された容器内に、浄化作用を有する、前記孔よりも大きな粒状体が充填されてなり、この浄化部に前記エア吹き出し部材が取り付けられている請求項3記載の浴湯保温器。
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