JP2007032580A - ギヤポンプ - Google Patents

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Yuzo Kadomukai
裕三 門向
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健二 奥名
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Abstract

【課題】
シールブロック形ギヤポンプを車両用エンジンの燃料系に使用し得るものとする。
【解決手段】
密封されたギヤケース内で互いにかみ合うドライブギヤ及びドリブンギヤと、両ギヤの側面シールを行う側板と、歯先シールを行うシール部材とを備えたギヤポンプにおいて、シール部材を、ギヤケースと別個で、かつ低圧側かみ合い部近傍で複数の歯先との間で設けると共に、このシール部材と側板とによって吸込ポートを形成し、両ギヤのかみ合い部および当該シール部以外のギヤケース内部を吸込ポートに対して圧力を高くした高圧域とし、かつ側板に圧力区画シールを設け、これを階段状の断面とする、あるいは、ドリブンギヤのシャフトをケースに無拘束とし、両ギヤおよびシール部材からなる内部部品の回転反力をシール部材背面の中央部で支えるようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の筒内噴射エンジンの燃料系およびその系に使用されて特に効果を発揮するギヤポンプに関する。
特開平3−271577号公報には、内燃機関および自動伝動装置用の歯車ポンプが、そして特開平2−294578号公報には歯車を使用した歯車ポンプからなる燃料搬送装置が記載されている。
特開平4−231688号公報には、相互にかみ合う歯の間に、広がったり狭まったりして容積が変化するポンプ室を円周方向に形成する内外側歯車回転子と、内外側歯車回転子相互間で軸方向に開口し、相互に隔設され、前記容積が変化するポンプ室内に至る流体入口および出口手段と、入口および出口相互間にて流体の移送のために歯車回転子を駆動させるように内側歯車回転子と連結する装置と、前記外側歯車回転子を包囲するハウジングを含み、該外側歯車回転子の回転を案内する装置と、ハウジングの出口に隣接して設けられ、前記外側歯車回転子を軸支する軸受装置とを包含し、外側歯車回転子が該軸受装置以外では該ハウジング内を自由遊動でき、狭められたポンプ室内の流体圧力により、外側歯車回転子が前記軸受装置に押しつけられ、拡がったポンプ室における漏出隙間を減少させることを特徴とするジロータポンプが記載されている。
また、特公昭45−16300号公報には、密封された歯車ケース内において互いにかみ合う両歯車の歯先シールを行うシール部材を、歯車ケースと別個で、かつ低圧側かみ合い部近傍に設けるとともに、このシール部材に油流通孔を形成した油圧歯車ポンプまたはモータが記載されている。
特開平3−271577号公報 特開平2−294578号公報 特開平4−231688号公報 特公昭45−16300号公報
燃料ポンプをエンジンと直結せず切り離すことによって、ポンプの取り付け上の制約がなくなり、始動時における燃料の増量性がよくなり、汎用性が向上する。このため、エンジンから切り離された電動ギヤポンプが提案されて来た。従来のギヤポンプにあっては効率あるいは燃費の面で更なる向上が要望される。
前述した特公昭45−16300号公報に記載されるギヤポンプは構造が簡単で、粘性の高い流体に対しては効率がよく、信頼性が高いという特徴をもつ。ただ、このギヤポンプは、公報にも記載されているように、油圧歯車ポンプとして使用されるものであって、粘性の低い燃料を扱う車両の燃料ポンプとして使用するには適さない。車両の燃料ポンプは、その搬送の対象が主にガソリンであるためキャビテーションの発生を防止するものでなければならない。また、車両の燃料系に使用されるものであるから昇圧性がよく、かつ燃費を向上させるものでなければならない。
本発明は、シール形ギヤポンプの特徴を生かしつつ、車両の燃料ポンプとして使用し得るギヤポンプおよびこれを使用した車両用エンジンの燃料系、特に筒内噴射エンジンの燃料系を提供することを目的とする。更に、具体的には、(1)ガソリン車における燃料ポンプにおけるキャビテーション発生を防止する、あるいは(2)昇圧性がよく、かつ燃費を向上することができるギヤポンプおよびこれを使用した車両用エンジンの燃料系を提供することを目的とする。
油圧用としては公知のシールブロック形ギヤポンプ(各種ギヤポンプの中で最も効率が高い)を低粘性流体(すなわちガソリン)で使用する場合は種々の課題を解決しなければならない。
(1)吸込時のキャビテーション
シールブロック形ギヤポンプは吸込ポートが小さく、キャビテーションを起こし やすい。特にガソリンにおいて顕著である。
(2)容積効率の向上(漏れの低減)
ガソリンは低粘度(油の1/100)のため漏れが多くなる。
(3)機械効率の向上(摩擦の低減)
潤滑材の使用は許されない状態での摩擦を低減する必要がある。
(4)長寿命化(摩耗の低減,キャビテーション壊食の回避)
ガソリンは潤滑性に乏しく、キャビテーションを起こしやすい。
本発明は、密封されたギヤケース内で互いにかみ合うドライブギヤ及びドリブンギヤと、一方の側面が前記両ギヤの側面と摺接するように前記両ギヤに対して回転軸方向の両側にそれぞれ配置され前記両ギヤの側面シールを行う側板と、前記両ギヤの歯先シールを行うシール部材とを備えたギヤポンプにおいて、前記シール部材を、ギヤケースと別個で、かつ低圧側かみ合い部近傍で複数の歯先との間で設けると共に、このシール部材と前記側板とによって吸込ポートを形成し、両ギヤのかみ合い部および当該シール部以外のギヤケース内部を前記吸込ポートに対して圧力を高くした高圧域とし、かつ前記側板に圧力区画シールを設け、これを階段状の断面としたことを特徴とする。
このとき、前記圧力区画シールを1つの閉曲線にするとよい。
また本発明は、密封されたギヤケース内で互いにかみ合うドライブギヤ及びドリブンギヤと、一方の側面が前記両ギヤの側面と摺接するように前記両ギヤに対して回転軸方向の両側にそれぞれ配置され前記両ギヤの側面シールを行う側板と、前記両ギヤの歯先シールを行うシール部材とを備えたギヤポンプにおいて、前記シール部材を、ギヤケースと別個で、かつ低圧側かみ合い部近傍で複数の歯先との間で設けると共に、このシール部材と前記側板とによって吸込ポートを形成し、両ギヤのかみ合い部および当該シール部以外のギヤケース内部を前記吸込ポートに対して圧力を高くした高圧域とし、かつ前記ドリブンギヤのシャフトをケースに無物束とし、両ギヤおよびシール部材からなる内部部品の回転反力をシール部材背面の中央部で支えるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、油圧用としては公知のシールブロック形ギヤポンプを低粘性流体(ガソリン)を輸送する燃料ポンプを使用することができるものとなった。
この発明によれば、
(1)吸込時のキャビテーションの発生が防止された。
(2)漏れが低減し、容積効率が向上した。
(3)摩擦が低減し、機械効率が向上した。
(4)長寿命化を達成する見通しを得た。
すなわち、本発明によれば、シールブロック形ギヤポンプを車両用エンジンの燃料系に使用できる見通しを得たので、各種ポンプの中で最も効率の高い特徴を生かしつつ、昇圧性がよく、かつ燃費を向上する燃料系ならびにそれに使用し得るギヤポンプを提供することができる。
筒内噴射エンジン用には、従来、ピストンポンプが用いられていた。ピストンポンプは性能的には優れているが、部品点数が多く高い加工精度を必要とするなど、コスト面において問題がある。これに対してギヤポンプを用いれば、部品点数を低減できるなど、コスト的には大幅な低減が可能であるが、性能面においては解決すべき大きな問題を抱えており、実用化は困難であった。ギヤポンプを車両用エンジンの燃料系、特に粘性の低いガソリンを高圧で使用する筒内噴射エンジンの燃料系に適用した実施例を以下で説明する。
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用エンジンの燃料系の構成図であり、この図に示す燃料系は、燃料をタンク6より移送するフィードポンプ2と、フィードポンプより吐出された燃料をさらに加圧する高圧用のシールブロック形ギヤポンプ3と(以下、ギヤポンプと称す)、ギヤポンプを駆動するモータ8と、フィードポンプの吐出圧力を調節する低圧プレッシャレギュレータ4と、ギヤポンプの吐出圧力を調節する高圧プレッシャレギュレータ5と、ギヤポンプより吐出された燃料を噴射する燃料噴射弁7と、燃料噴射弁に入力電流を与える駆動回路11と、燃料噴射弁に与える燃料圧力を計測する圧力センサ12と、各種センサからの情報を元に駆動回路およびモータに入力信号を与えるコントロールユニット10とを含んで構成されている。
本実施例ではギヤポンプの吐出圧力の調整を高圧レギュレータ5により行っているが、これを単なる固定絞りとし、ギヤポンプの回転数制御により吐出圧力を調整する方法も可能である。すなわち圧力センサ12の情報を基に、コントロールユニット10によりモータ8の回転数を制御してギヤポンプの吐出流量を制御すれば吐出圧力の制御が可能となる。この方式によれば高圧レギュレータを省略できるだけでなく、任意の圧力に制御する可変圧力制御も可能となる。
また、本実施例は本発明の車両用エンジンの燃料系を筒内噴射式ガソリンエンジンの燃料系に適用した例であり、筒内噴射式ガソリンエンジンにおいては圧縮行程の高圧雰囲気中への燃料噴射や、限られた短い噴射期間で所定の燃料をシリンダ内に噴射することが求められるため、燃料噴射圧力すなわちギヤポンプの吐出圧力は従来のポート噴射式エンジンに比べはるかに高圧の3〜10Mpa 程度とする必要がある。将来的にはさらに高圧化する可能性もある。
ここで、本発明の燃料系に用いるシールブロック形ギヤポンプ3は各種ギヤポンプの中で最も効率が高い特長があるが、その構造上吸込ポートが小さく、結果吸込流速が上がりキャビテーションが比較的発生し易くなる短所がある。すなわち流速が上がるとポンプ内部の最低圧力が下がり、これが空気分離圧以下になるとキャビテーションが発生する。キャビテーションが発生すると、それ以上回転速度が大きくなっても吐出量が増加しなくなり、また吸込ポートで発生した気泡が吐出側で破壊する際の衝撃圧力によって金属表面が浸食される、いわゆるキャビテーションエロージョンが起きるなどの大きな問題を引き起こす。
またガソリン自体キャビテーションが起こりやすい液体であり、大気圧下においては
40℃くらいから気泡が発生し、50℃くらいではこれがかなりさかんになる。特に車両のガソリン用ポンプとして用いる場合には、エンジン等の熱によりガソリンが高温となるため、よりキャビテーションが発生し易い状況となりこの点においてシールブロック形ギヤポンプをそのまま用いるのは困難である。
そこで本発明の一実施例である車両用エンジンの燃料系では、シールブロック形ギヤポンプ3の前段にブースト用のフィードポンプ2を配置し、そのブースト圧力を概ね0.2〜0.5MPaとすることでキャビテーションの発生を抑制し、シールブロック形ギヤポンプの使用を可能としたものである。すなわちガソリン中に溶解できる飽和空気量は高圧になるに従い増えるので、フィードポンプにより吸込圧力を上げればキャビテーションの発生を抑制することができる。
ただし、その圧力はエンジンの省燃費の観点からキャビテーションを防止し得る範囲でできるだけ低圧であることが望ましい。ガソリン自体混合物でありその物性にばらつきはあるものの、概ね0.2〜0.5Mpa の圧力がキャビテーションの発生を防ぎつつ、小動力でのフィードポンプの駆動を行うに適正な値である。
以上のようにしてシールブロック式ギヤポンプを車両用エンジンの燃料系に適用することが可能となったが、エンジンの低燃費化を図るためにはポンプの更なる効率向上が望まれる。特にガソリンでは一般の油圧作動油に比して粘性が約1/100程度と非常に小さいためポンプの内部漏れが増大し、容積効率が著しく低下する。またガソリン自身の潤滑性が期待できないので摩擦抵抗の増大による機械効率の低下も予想され、磨耗,焼き付き等に対する信頼性の確保も困難となる。
このため本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプは以下のような特徴を備えたものである。本ポンプの詳細な構造を図2〜図6を用いて説明する。
図2は本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプの縦断面図であり、図2におけるI−I断面,II−II断面,III−III断面をそれぞれ図3,図4,図5に示す。
図2において、41はフロントカバー、37はリアケースで、軸受39a,39a’を介してドライブシャフト201と一体になったドライブギヤ31が両者41,37に軸支されている。ドリブンギヤ32はシャフト202と一体で回転可能に支持されており、ドライブギヤ31と互いにかみ合って回転しポンプ作用を行うものである。
34,34’はその一方の側面が両ギヤ31,32の側面にそれぞれ摺接し、ギヤの側面シールを行う一対のシール側板で、図3,図4に示すように両ギヤのシャフト201,202が貫通される孔を有し、このそれぞれの孔に両軸に保持された軸受39a,39a’および39b,39b’がはめこまれており、このシール側板によってドライブギヤ,ドリブンギヤの両軸が平行かつ所定の間隔を有して支持されている。
リアケースは図3,図4に示すように内部が円筒形をなすもので、両ギヤ31,32とは離れてこれを包囲し、フロントカバー41とで側板34,34’および両ギヤ31,
32を挟み込んで支持している。側板34,34’は同一形状のもので両ギヤのシールを行う側は図3に示す形状に、フロントカバー内面,リアケース内面に面する側は図4に示す形状に形成されている。
両側板は図3,図4に示すように吸込用流通孔となる吸込ポート35を有しており、吸込ポート近傍における外縁Rは両ギヤの歯先円の径にほぼ等しく形成されている。33は吸込ポート近傍において両ギヤ31,32の歯先シールを行うシール部材(以下、シールブロックと称する。)でフロントカバー41およびリアケース37とは別個に構成される。
シールブロック33のそれぞれのシール面は、ギヤ外径を直径とする円弧すなわち側板34’のその部における外縁Rと等しく形成され、図4に示すようにシールブロック33はそのシール面が側板34’の外縁Rに接合した状態で両側板34,34’に両持ち保持されている。なお、吸込ポート35は側板34,34’およびシールブロック33とフロントカバー41において形成され、吐出ポート36はフロントカバー41内に形成されリヤケース37内と連通している(図5参照)。
シールブロック形ギヤポンプの特長として、歯先すきまはギヤと側板のただ2つの寸法関係で決まり、多くの部品の集積加工公差の影響を受けない結果、性能のばらつきが少ないことが挙げられる。また慣らし運転時にシールブロックの内面をギヤで削り取ることで加工公差を吸収し、極めて微少な歯先すきまとすることで性能向上を果たしている。
ここで本発明のシールブロック形ギヤポンプではギヤと側板を熱膨張率の等しい材料とすることで、車両用ポンプとして求められる広い温度範囲での安定した性能の確保を実現している。仮に両者の熱膨張率が異なる場合、温度変化によりギヤの歯先円径と側板の外縁Rとに寸法差ができるるため、歯先すきまが増大して著しく容積効率が低下する可能性がある。
両ギヤのポンプ作用によって吸込ポート35より吸い込まれたガソリンはリアケース内Aに放出され、このケース内に充満すると、ガソリンは吐出ポート36より外部に吐出される。
図4において38は、側板34およびシールブロック33の端面に形成された溝34aおよび33dにはめ込んだ圧力区画シールで吸込ポート35の接合面のシールを行うものである。これはリアケース内の圧力すなわち吐出圧力と、吸込ポート部の圧力すなわち吸込圧力との圧力差によって、リアケース内のガソリンがこの接合面を通って吸込ポートと連通しないようにするためのものである。それと同時に側板背面(側板のフロントカバーまたはリアケースとの接合面)の圧力分布を決定し、側板内面(側板のギヤとの接合面)の圧力との軸方向推力をバランスさせ、ギヤに対してスラストな推力が生じないようにする役割を担うものである。
すなわち、圧力区画シールの内側を吸込圧力、外側を吐出圧力に区画することで、側板34,34’の両面にはケース内の圧力が大きさ等しく作用するようになっており、軸方向の完全な圧力バランスが得られている。それと同時に側板34,34’のギヤ側面シールが良好に行われる。
40は両側板34,34’とリアケース37の内面との間に介在された板ばねで、その押圧荷重はシールブロック33の背面に設けられた突起33cにより受けられ、結果、両側板34,34’とこれに両持ち支持されたシールブロック33とを矢印401の向きに(リアケース37の内面に向かって)押圧する働きをする。
また、両側板34,34’と両ギヤ31,32は側板にはめ込まれたドライブ側の軸受39a,39a’によりフロントカバー41,リアケース37に位置決めされ、ドリブン側の軸受39b,39b’はフロントカバー41,リアケース37に対して無拘束として、ドリブン側のシャフト202がドライブ軸201を中心として回動可能にしている。このためリアケース内部品全体はドライブ軸を中心として回転しようとする反作用モーメントが生じるため、ケース内にシールブロック33の突起部33cを押し当てて回転止めとしている。
ただし実際両ギヤ31,32がポンプ作用を行っている間は、リアケース37内の圧力は吸込ポートの圧力より大きく、この圧力差によって、シールブロック33は側板34,34’に圧接保持されるから、板ばね40による押圧力は相対的に小さくなる。したがって板ばね40の役割はポンプ休止時および運転開始時の低圧力時における内部部品のふらつき防止具である。
ドリブン側の軸受39b,39b’を無拘束とした結果、ポンプ内部の主要部品である両ギヤ,両側板,シールブロックの位置はドライブ軸を基準に全てが決まり、ポンプ性能に重大な影響を与える両ギヤの平行度やギヤと側板との直角度は、多くの部品の加工公差の集積の影響を受けなくなる。したがってこれらを精度よく管理することが容易となる。仮にドリブン軸側の軸受けもドライブ側と同様にフロントカバー41およびリアケース
37に拘束してしまうと、過剰拘束となる結果、フロントカバー41,リアケース37の加工公差の影響を受け、両軸のねじれ等を生じる要因となる。
以上述べたように本ポンプはいわゆる可動側板タイプのシールブロック形ギヤポンプであり、両ギヤの側面を側板でシールし、歯先をシールブロックでシールしてポンプの内部漏れを極小化させるものである。側板の役割は吐出圧力の大小に依らずギヤ側面とのすきまを常に一定に保つためのものであり、基本的にはギヤと接触しているため巨視的なすきまはない。もし側板内面が高圧になれば側板背面のすきまに導かれたガソリンも高圧になるので軸方向の圧力平衡が保たれる結果、側板は常にギヤ側面との接触を保つようになっている。
もしバランスが崩れてギヤと側板内面との間に隙間が生じた場合には、高圧部から側板の内面を通って低圧部であるシャフトの外周面にガソリンが漏れてしまい、昇圧性,燃費を悪くしてしまう。
その際側板34,34’は摩擦増加による負荷トルクの増大や、磨耗,焼き付き等の観点からギヤ側面に押し付けすぎるのは避けるべきであり、ゴムなどの弾性体で作られた圧力区画シール38,38’による初期荷重のみでかるくギヤ側面との接触を保っているのが理想である。またこの場合に、非常に高い燃費性能を得ることができる。
このため本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプ3は以下のような構造上の特徴を備えたものである。
(1)歯先シール角度を1.5×360゜÷歯数とする。
(2)圧力区画シールを1つの閉曲線とする。
(3)圧力区画シールを階段状の断面とする。
まず(1)について説明する。図3においてシールブロック形ギヤポンプではギヤ外周の圧力分布はほとんどが高圧(吐出圧力)域であり、ギヤかみ合い位置から吸込ポート
35にかけてが低圧(吸込圧力)域である。そして側板34’とシールブロック33が接触する歯先シール区間33a,33bが低圧から高圧に変化する遷移領域となる。この遷移領域においてはギヤの回転により歯の接触位置および歯の接触枚数が変化するため側板内面の圧力分布が変動を繰り返す。一方側板背面の圧力分布は圧力区画シールの溝位置により定まり、こちらは常に一定であるため、側板両面の軸方向力を全ての瞬間において平衡させることは不可能である。
ここで、シールブロック形ギヤポンプの歯先シールはシールブロック33により低圧側の1〜2枚の歯先のみで確実に行い、他の部分はわざと高圧にさらすという考え方に立脚しており、側板内面全面積についての圧力積分値に対し、力の変動分は事実上ごくわずかである。しかしより正確な圧力バランスを実現するためにはこの変動分を極小化する必要があり、このため本実施例のシールブロック形ギヤポンプでは、図6に示す歯先シール角度αを1.5×360゜÷歯数としたものである。
低圧側の1〜2枚の歯先をシールするためにはαは(1〜2)×360゜÷歯数の範囲をとり、例えば歯数14枚の場合α=25.7゜〜51.4゜の範囲となる。ここで、図7は側板内面の円周方向圧力分布を直線に展開してモデル的に表したものであり、図中の斜線で示した領域が圧力分布の最大変動分である。この図に示すように歯先シール角度αを歯先1.5枚分としたα=38.6゜の場合が、最も変動分が小さくなることがわかる。
このとき、歯数が14から18枚のギヤを用いる場合に、歯先1.5 枚分をシールするためのαは、約38.6から30゜であり、概ね35゜±5゜にすればよい。
このようにして側板内面の圧力分布の変動を最小にすることができたが、圧力バランスを正確に行うには側板背面の圧力分布も精密に位置決めし、正確に内面の圧力分布と一致させる必要がある。このため本発明のシールブロック形ギヤポンプでは、(2)圧力区画シールを1つの閉曲線としたものであり、1本のシールで行うことにより自由に溝位置を配置できるため精密な圧力分布の位置決めが容易となる。
これに対し従来のシールブロック形ギヤポンプでは、例えば特公昭45−16300号公報に記載のように、圧力区画シールを複数のOリングの組み合わせで行っており、各Oリングの干渉を避けるために側板背面の圧力分布を精密に行うのは困難であった。また組立性にも問題があり、側板、シールブロックが軸方向に自由に動けるため、この両者にまたがるOリングが組み付け時に脱落しやすいという問題も考えられる。
本発明のシールブロック形ギヤポンプでは、圧力区画シールを1つの閉曲線とすることの副次効果として、シールが脱落し難くなり組立性も向上も実現できた。
以上のようにして軸方向のスラスト力をほぼ平衡させることができ、弾性体による初期荷重のみでかるく側板とギヤが接触している状態を得ることができる。ここでいう弾性体とは圧力区画シールのことであり、材質としては例えばゴム等が適当である。これは高温から低温まで車両用に要求される広い温度範囲において安定したシール特性が得られる点で優れており、耐ガソリン性の点からフッ素ゴムなどが適当である。しかし、ゴムを使用する問題としてガソリンによる膨潤があり、このため運転中にギヤを挟み込む荷重が増大する可能性がある。
そこで本発明に係るシールブロック形ギヤポンプでは図2に示すように、角断面の溝に対し(3)圧力区画シール38,38’を階段状断面とすることで、膨潤してもゴムが逃げられる空間を設け、スラスト力増大の回避を図ったものである。また通常の丸断面や角断面のゴムシールに比べ、ゴムのスラスト方向のばね定数を下げることができるので、膨潤の影響を受け難くなるだけでなく、多くの部品の加工公差の集積により圧力区画シールの初期つぶし量が変化しても影響を受け難くくなる結果、常にかるい初期荷重のみでギヤ側面との接触を保つ理想的な状態を維持することができる。
また本発明に係るシールブロック形ギヤポンプでは図6に示すように歯先シール部におけるシールブロック33の部分円弧を側板34’の部分円弧よりも大きく角度をとっている。
この理由は2つあり、1つは歯先シール角度αをばらつきなく精度出すための工夫で、この構成によれば歯先シール角αは側板の部分円弧の角度のみで決まるためシールブロック33の部分円弧角度が多少ばらついても歯先シール角度αは変化しない。もう1つの理由はキャビテーションエロージョンの対策であり、ポンプの耐久性向上のための1手段である。
本発明に係る燃料系ではフィードポンプの使用によりキャビテーションの発生を抑制してシールブロック形ギヤポンプの適用を可能にしたが、高温時や機関停止時には少なからず気泡が発生する可能性がある。発生した気泡が吸込ポート35から回転するギヤの歯溝内に入った場合、ギヤが回転して歯先シール区間を越えて高圧域に入った瞬間に高圧のガソリンが歯溝内に流れ込むため気泡が押しつぶされて超高圧を発生させる。
このときシールブロック側の部分円弧を側板側よりも角度を大きくしておくことで歯溝内と高圧域とは図6に示すB部より先に連通し、その後全体が高圧域に開放される。このため高圧のガソリンはギヤ両側面から歯溝内に同時に流れ込み、歯溝内の気泡はギヤの歯幅方向の中央部でつぶされる。したがってギヤには超高圧が作用するが、比較的軟らかい材料を用いる側板に比べ、ギヤは焼き入れ等の表面硬化処理を施してあるので、キャビテーションエロージョンは起き難く、結果ポンプの耐久性,寿命を向上させることが出来る。
本発明の一実施例である車両用エンジンの燃料系の構成図。 本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプの縦断面図。 本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプの横断面図。 本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプの横断面図。 本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプの縦断面図。 本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプのギヤかみ合い部の詳細図。 本発明の一実施例であるシールブロック形ギヤポンプのギヤ外周の圧力分布を表す図。
符号の説明
1…エンジン、2…フィードポンプ、3…シールブロック形ギヤポンプ、4…低圧プレッシャレギュレータ、5…高圧プレッシャレギュレータ、6…燃料タンク、7…燃料噴射弁、8…モータ、10…コントロールユニット、11…燃料噴射弁駆動回路、12…圧力センサ、31…ドライブギヤ、32…ドリブンギヤ、33…シールブロック、34…側板、35…吸込ポート、36…吐出ポート、37…リヤケース、38…圧力区画シール、
39…軸受、40…押圧ばね、41…フロントカバー、42…Oリング、43…オイルシール、44…止め輪。

Claims (3)

  1. 密封されたギヤケース内で互いにかみ合うドライブギヤ及びドリブンギヤと、一方の側面が前記両ギヤの側面と摺接するように前記両ギヤに対して回転軸方向の両側にそれぞれ配置され前記両ギヤの側面シールを行う側板と、前記両ギヤの歯先シールを行うシール部材とを備えたギヤポンプにおいて、前記シール部材を、ギヤケースと別個で、かつ低圧側かみ合い部近傍で複数の歯先との間で設けると共に、このシール部材と前記側板とによって吸込ポートを形成し、両ギヤのかみ合い部および当該シール部以外のギヤケース内部を前記吸込ポートに対して圧力を高くした高圧域とし、かつ前記側板に圧力区画シールを設け、これを階段状の断面としたことを特徴とするギヤポンプ。
  2. 請求項1に記載のギヤポンプにおいて、
    前記圧力区画シールを1つの閉曲線としたことを特徴とするギヤポンプ。
  3. 密封されたギヤケース内で互いにかみ合うドライブギヤ及びドリブンギヤと、一方の側面が前記両ギヤの側面と摺接するように前記両ギヤに対して回転軸方向の両側にそれぞれ配置され前記両ギヤの側面シールを行う側板と、前記両ギヤの歯先シールを行うシール部材とを備えたギヤポンプにおいて、前記シール部材を、ギヤケースと別個で、かつ低圧側かみ合い部近傍で複数の歯先との間で設けると共に、このシール部材と前記側板とによって吸込ポートを形成し、両ギヤのかみ合い部および当該シール部以外のギヤケース内部を前記吸込ポートに対して圧力を高くした高圧域とし、かつ前記ドリブンギヤのシャフトをケースに無拘束とし、両ギヤおよびシール部材からなる内部部品の回転反力をシール部材背面の中央部で支えるようにしたことを特徴とするギヤポンプ。
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