JP2007022211A - 車両用電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両の主電源消費電力を経済化するために、車体屋上その他に太陽電池を搭載する場合の問題点を解決する。とくに車両に冷房装置または冷凍装置などを搭載する場合の合理的な回路接続を提供する。
【解決手段】車体に装備する太陽電池の出力にDC−DCコンバータを利用して、太陽電池の出力電圧を車両の主電源の電圧よりΔV(約1V)だけ高く設定して、太陽電池の電気出力を車両の主電源に常時接続しておく構成とする。
【選択図】図1

Description

本発明は車両に太陽電池を搭載して、その出力をその車両に搭載された各種の電気装置で利用するための車両用電源装置に関する。とくに車両に搭載された保冷装置または冷凍装置などで必要な電源電力を得るための装置として開発されたものであるが、これらの装置に限らず各種の車載装置の電源として利用することができる。
貨物車両の貨物室に保冷装置または冷凍装置を設置して、貨物を一定の低温状態で輸送することができる車両の需要が大きくなっている。従来からこのような保冷装置または冷凍装置を装備した車両では、真夏の炎天下を走行する場合にも、貨物室内が所望の低温状態に維持されるように、保冷装置または冷凍装置を駆動する動力を搭載している。これらには、走行用のエンジンの回転力により駆動される発電機から電力を供給する、あるいは車両の走行系とは別に特別な発電機を設け、これを車両走行用のエンジンとは別の小型エンジンにより駆動する、などの設計が行われている。
一方、近年太陽電池の性能が向上し、小型または中型の貨物車両の屋上面積程度のもので、日中の日射により数キロワットの電気出力の得られるものが調達できるようになった。太陽電池は日射エネルギを受けて、これを光電気変換素子により直接電気エネルギに変換する装置であり、太陽光の強いときにその発電能力は大きくなる。これは太陽光の強いときに大きいエネルギを必要とする保冷装置または冷凍装置に適合するものである。
従来から車両が走行するために必要な動力の一部として、太陽電池が発生するエネルギを利用する試みがいくつか知られている。試作された車両についてコンテストなども行われている。しかし太陽電池の出力により保冷装置または冷凍装置など、車載の補助装置を駆動するための補助的なエネルギを得る、との考え方はいまだ実用化されていない。
特開平7−123512号公報
太陽電池が発生する電気エネルギを利用して、車載の保冷装置または冷凍装置を駆動することは良い考えであるが、太陽電池が発生するエネルギは日射量が大きいとき、あるいは周囲の気温が高いときに有効であって、夜間や日射量が小さいときにはその電気出力が小さくて役に立たない。したがって、車載の保冷装置や冷凍装置の駆動電源を太陽電池から得るとしても、これを太陽電池のみから供給するような設計は適当ではない。すなわち保冷装置や冷凍装置を駆動するための電源は、太陽電池から供給する場合にも、その電源を車載の一般電力系と共通にしておく、あるいは太陽電池の出力が大きいときにこれを切換えて利用することができるように設計すべきである。また、積載物が冷却を必要としない種類の物品であるときには、保冷装置や冷凍装置の運転を停止して走行することになるから、そのような場合に太陽電池の出力をまったく利用しないという設計も適当ではない。
ある程度の規模で保冷装置または冷凍装置を設けた従来の貨物車両は、保冷装置または冷凍装置を駆動するために、車両走行用の内燃機関とは別の小型の内燃機関を装備するようになっている。したがって、その内燃機関を搭載するために貨物の積載量が小さくなる欠点がある。またこのための小型の内燃機関はしばしば特別設計品であり、車両走行用の内燃機関に比べて高価であるから、保冷装置または冷凍装置を装備する車両はかなり高価になる。走行用動力系とは別に小型の内燃機関を設ける場合には、車両走行用の内燃機関にくらべると特殊設計品になることが避けられず、保守点検に必要な工数が大きくなる。別の小型の内燃機関を搭載する場合には、その小型の内燃機関に不具合が発生することが考えられ、車両の稼働率は一般の貨物車両にくらべてどうしても低くなる。また別の小型の内燃機関は、運用中に騒音を発生するから、一般車両に比べて発生する騒音が大きくなる。その小型の内燃機関に走行用の内燃機関とは異なる種類の燃料を供給する場合には、燃料の管理がかなり複雑になる。かりに燃料の種類が同一であるように設計されても、運行のための燃料消費量が大きくなる欠点がある。したがって燃料タンクの大きさや種類も特別に設計することが必要になる。
本発明はこのような背景に行われたものであって、保冷装置または冷凍装置を駆動するために、車両走行用の内燃機関とは別に搭載する内燃機関を不要にする、もしくは別に搭載する内燃機関の出力を小さく設計することを目的とする。本発明は、保冷装置または冷凍装置を駆動する動力源を車両の一般電源を共通に利用することとして、燃料消費量の経済化および保守ならびに操作の簡易化をはかることを目的とするものである。さらに本発明は、保冷装置または冷凍装置を搭載した車両の保守点検および運転操作を簡素化することを目的とする。本発明は車両を運行することにより発生する騒音を低減することを目的とする。本発明は、運行のための燃料消費量を経済化することを目的とする。本発明は、保冷装置または冷凍装置が作動していない場合にも、太陽電池のエネルギを有効に利用することができる車両用電源系を提供することを目的とする。本発明は太陽電池を利用するためにその切替または接続のための操作を不要にする装置を提供することを目的とする。さらに進めて本発明は、保冷装置または冷凍装置が装備されていない一般車両についても、太陽エネルギを有効に利用することができる車両電源装置を提供することを目的とする。本発明は、保冷装置または冷凍装置に供給する電力を太陽エネルギから直接に得る場合にも、電力をいったん電池に充電して利用するのではなく、そのまま各種装置に供給して、充放電によるエネルギ損失を小さくすることができる装置を提供することを目的とする。
本発明の最大の特徴は、車両に太陽電池を搭載し、その太陽電池に電気出力があるときに、その太陽電池の出力電圧をその車両に搭載されたオルタネータおよび畜電池の端子電圧より僅かに高く制御設定するところにある。
すなわち本発明は、車両に搭載された電気装置に直流電流を供給する蓄電池(1)と、その車両の走行用内燃機関の回転軸に連結されて駆動されるオルタネータ(交流発電機、2)と、このオルタネータの出力電流を変換して前記蓄電池に充電電流として供給する第一のレギュレータ(3)とを備えた車両用電源装置において、太陽電池(4)と、この太陽電池に出力があるときその出力電圧を前記第一のレギュレータの出力電圧より僅かに高く(+ΔV、例、約1V程度)制御して前記蓄電池(1)に供給する第二のレギュレータ(5)とを備えたことを最大の特徴とする。そして前記第二のレギュレータの出力通路に逆流防止回路(6)を備えることがのぞましい。
すなわち本発明の装置は、太陽電池(4)の出力回路に(DC−DCコンバータ(9)その他により直流出力電圧を変換する回路および第二のレギュレータ(5)を設けて、この第二のレギュレータ(5)の出力電圧を車両の主電源となる蓄電池(1)の端子電圧よりわずかに高く設定し、この第二のレギュレータ(5)の出力端子を逆流防止回路(6)を介して車両の蓄電池(1)の端子に定常的に連結する構成とする。これにより、車両が日照りの強いところを通行中には、太陽電池により発生する電気エネルギを有効に利用するとともに、蓄電池(1)に余剰電力を充電し、車両が日照りの弱いところまたは日照りのないところを走行中には、その車両の通常の直流電源を利用して保冷装置または冷凍装置を駆動するように構成する。
さらに、運転者がエンジンを停止するためにキー・スイッチ(7)をオフに操作しても、太陽電池(4)の出力を蓄電池(1)に供給する通路はこれに連動して遮断されない構成とする。したがって日射がある限り、車両が停止状態にあるときにも太陽電池(4)による蓄電池(1)の充電が継続される。
さらに、前記第二のレギュレータ(5)の出力を前記蓄電池(1)に供給する通路に過充電防止回路(8)を設けることが望ましい。この構成により、日射のある状態下に車両が長く停車していることがあると、内燃機関の運転が停止されているときにも車載の蓄電池が太陽電池の出力により充電されるとともに、蓄電池(1)の充電が完了したときに自動的に充電電流が停止されて、蓄電池(1)が過充電になることを回避することができる。
本発明により、車載の蓄電池は日射があるかぎり車載の太陽電池が発生する電気エネルギにより常に充電されるから、車両に保冷装置や冷凍装置が搭載されている場合や、その他車両の電力消費が大きい場合にも、走行用エンジンとは別系統のエンジンおよびその附属装置を搭載することのない設計が可能になる。あるいは、必要な負荷の大きさにより、別系統のエンジンをまったく無くすることができなくとも、本発明を実施することにより別系統のエンジンの出力を小さく設計することができる。本発明はとくに日射の強い条件下で強力な動作を行うことが必要になる、保冷装置または冷凍装置を搭載する車両に実施して有用である。すなわち保冷装置または冷凍装置を搭載する車両を安価に製造することができるとともに、保冷装置または冷凍装置を搭載する車両を経済的に運用することができる。
図1は本発明実施例装置の電気系統図である。この実施例装置は中型貨物車両に実施されたものである。この貨物車両は、貨物室の一部が断熱壁面により仕切られて冷凍室が設けられた構造であり、この冷凍室に気流を送風するために車両に冷凍装置が配備されている。そしてこの冷凍装置に対して車両に設けられた通常の直流電源から、冷凍装置を駆動する電力を供給するとともに、この冷凍装置には、この車両に搭載された太陽電池から供給される電気エネルギが補助的に供給されるように構成されている。
すなわち車載の蓄電池1は端子電圧24Vの標準的な貨物自動車用鉛蓄電池である。オルタネータ2は、この車両の走行用内燃機関であるディーゼル・エンジンの回転軸にベルトにより連結されて駆動されている。オルタネータ2にはその発生電流を制御する第一のレギュレータ3が設けられている。オルタネータ2により発電される電気エネルギは、この第一のレギュレータ3により直流に変換されるとともに、その直流出力は蓄電池1に供給される。
この車両の貨物室の屋根には太陽電池4が装着されている。この太陽電池4は、薄い板状の形態であり、太陽光の照射を受けてその光エネルギを電気エネルギに変換する装置である。この太陽電池4は、それぞれ4個のセルが一枚のパネル構造をなし、この車両の貨物室の屋根にはその全面積を埋め尽くすように、4枚のパネルが取付けられている。各セルはその裏面のカソード電極を車体電位(アース電位)に接続する。その表面のコレクタ電極に現れる直流出力電流は、各セル毎に逆流防止ダイオードを介して取り出される。この4枚のパネルの直流出力電流は絶縁ケーブルによりそれぞれ遮断器10の入力側端子に接続される。遮断器10の出力側端子はDC−DCコンバータ9の入力端子に接続される。この遮断器10は各太陽電池4の素子に不具合が発生したときに、太陽電池4を全体に切り離すのではなく、不具合が発生している素子を個別に切り離すことができるように構成するものである。
遮断器10を通過した電流はDC−DCコンバータ9の入力側に接続される。このDC−DCコンバータ9は、太陽電池4で発生する直流エネルギを利用しやすい電圧の直流に変換するためのものである。すなわち一般に太陽電池は日射の状況によりその出力電圧および電流が大きく変動する。これをDC−DCコンバータ9により電圧変動の小さい出力に変換する。このDC−DCコンバータの出力回路には、第二のレギュレータ5を設けてさらに電圧変動を抑圧する。
ここで本発明の装置では、オルタネータ2の回転中には、すなわち車両のエンジンが回転している状態では、第二のレギュレータ5の出力端子電圧を蓄電池1の端子電圧よりわずかに(ΔVだけ)高く設定するところに特徴がある。この実施例装置について、さらに詳しくは、このΔVは約1ボルトに、すなわち第二のレギュレータ5の出力電圧を蓄電池1の定格電圧28.5Vより約1V高く29.5Vに設定した。
図2はオルタネータ2およびその制御系の回路図である。オルタネータはその回転子には永久磁石が装着されていて、これが三相の界磁巻線の間を回転駆動されることにより界磁巻線に三相交流を出力する。この三相交流は6個のダイオードにより構成された整流回路を通過して直流電流に変換され、蓄電池1に充電電流として供給される。この蓄電池1の充電状態、すなわち蓄電池1の端子電圧に対応して第一のレギュレータ3が出力直流電流の大きさを自動的に負荷に対応して制御する。
第二のレギュレータ5の出力電流は、逆流防止ダイオード6を介して、さらに過充電防止回路8を経由して、この車両の蓄電池1に接続される。過充電防止回路8は、制御回路12がその出力電流を監視し、蓄電池1の端子電圧が定格値を越えてなお充電電流が供給される状態にあるときに、遮断スイッチ13を励磁して、太陽電池4の出力電流が蓄電池1に流入することを阻止するように構成されている。
このような構成により、この装置を装備した車両は日中の炎天下を走行するときには、太陽電池4の出力をこの車両の補助電源として有効に利用することができる。すなわち、この車両に搭載されている冷凍装置は、車両が日中の炎天下を走行するときにもっとも電力を必要とするものであり、太陽電池4が発生する電気エネルギにより、オルタネータ2を駆動するために必要な内燃機関に供給する燃料を経済化することができる。
上記実施例に開示した過充電防止回路8については、第二のレギュレータ5に蓄電池1の端子電圧をリファレンス電圧(ref)として供給しておき、第二のレギュレータ5の出力電圧が所定値を越えるときに、その出力電流を抑圧する電流制限回路を設けることによって置き換えることができる。すなわち、過充電防止回路8を省くことができる。
上記実施例に説明したように、車両に冷凍装置を搭載する場合に限らず、車両に保冷装置を搭載する場合にも本発明は有効に実施することができる。さらに乗用車またはバスの室内冷房用の補助電源として本発明を実施することができる。また冷却または冷房用に限らず、本発明を実施することにより車両に搭載する太陽電池から補助電気エネルギを得て利用する形態はさまざまに考えられ、そのような各種の形態で本発明を実施することができる。
本発明実施例装置要部の電気回路構成図(太陽電池の接続形態)。 本発明実施例装置要部の電気回路構成図(オルタネータの接続形態)。
符号の説明
1 蓄電池
2 オルタネータ
3 第一のレギュレータ
4 太陽電池
5 第二のレギュレータ
6 逆流防止ダイオード
7 キー・スイッチ
8 過充電防止回路
9 DC−DCコンバータ
10 遮断器
11 冷凍機電源端子
12 制御回路
13 遮断スイッチ

Claims (4)

  1. 車両に搭載された電気装置に直流電流を供給する蓄電池と、その車両の走行用内燃機関の回転軸に連結されて駆動されるオルタネータと、このオルタネータの出力電流を変換して前記蓄電池に充電電流として供給する第一のレギュレータとを備えた車両用電源装置において、
    太陽電池と、この太陽電池に出力があるときその出力電圧を前記第一のレギュレータの出力電圧より僅かに高く(+ΔV)制御して前記蓄電池に供給する第二のレギュレータとを備えたことを特徴とする車両用電源装置。
  2. 前記第二のレギュレータの出力通路に逆流防止回路を備えた請求項1記載の車両用電源装置。
  3. 前記第二のレギュレータの出力を前記畜電池に供給する通路は車両のキー・スイッチがオフ状態になっても連動して遮断されることがない構成であり、前記第二のレギュレータの出力を前記蓄電池に供給する通路に過充電防止回路を設けた請求項2記載の車両用電源装置。
  4. 前記車両に保冷装置または冷凍装置が搭載され、この保冷装置または冷凍装置にその駆動電流を供給する請求項2記載の車両用電源装置。
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