JP2007021529A - 多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法 - Google Patents

多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】連続鋳造において鋳型内に添加されたモールドパウダーの溶融厚みを多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法で計測するに当たり、モールドパウダーの種類の違いと溶鋼面温度の違いを補正して、モールドパウダー種類、溶鋼面温度によらず高精度に計測を行う多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法を提供することを目的とする。
【解決手段】計測の前に0点校正のための校正データの収集を行う校正データ収集工程と、位相情報と絶対値情報とを得るための計測データ収集工程と、計測データ収集工程にて収集した計測データを補正する補正工程と、該補正工程にて補正したデータに基づいて、モールドパウダーの溶融層の厚みを演算する演算工程と、を有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、連続鋳造において潤滑剤などとして用いられているモールドパウダーの溶融層厚みを計測するための多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法に関するものである。
鋼の連続鋳造では、溶鋼を水冷構造の鋳型に注入して冷却し、鋳型との接触面に凝固シェルを生成させながら、この凝固シェルを鋳型下方に連続的に引き抜き、鋳片を製造している。この連続鋳造においては、銅を母材とし、その表面にクロムまたはニッケル若しくはこれら金属の合金が必要に応じてメッキされた鋳型銅板表面と、生成される凝固シェルとの摩擦抵抗を減じるために、潤滑剤としてモールドパウダーが使用されている。
モールドパウダーは、CaO、SiO2 、Al23 、MgO、MnOなどの酸化物を基材とし、これら基材に、基材の物性を調整するためのNa2O、K2 O、CaF2 、MgF2 、Li2 CO3、氷晶石などのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物や弗化物または炭酸化物と、基材の主成分であるCaO、SiO2 の成分調整材である炭酸カルシウムや珪藻土と、溶融速度調整材であるカーボンブラック、人造黒鉛などの炭素物質と、が添加されて構成されており、鋳型内の溶鋼上に添加されたモールドパウダーは溶融して鋳型と凝固シェルとの間隙に流入し、潤滑剤としての機能を発揮する。尚、モールドパウダーは、その他に酸化防止剤、保温剤、溶鋼から浮上してくるアルミナなどの酸化物の吸収剤としての機能も有している。
鋳型内に添加されたモールドパウダーは、溶鋼の熱によって加熱され、溶鋼と接触する側が溶融する。モールドパウダーの潤滑剤としての機能或いは酸化物吸収剤としての機能などは、モールドパウダーの溶融層の厚みに依存することから、鋳造中にモールドパウダーの溶融層厚みを計測し、その厚みを調整することは連続鋳造操業の安定化につながる。そのため、正確に且つ迅速にモールドパウダーの溶融層厚みを計測する手段が切望されていた。
従来、モールドパウダーの溶融層厚みを計測する手段としては、金属製の検知棒を鋳型内の溶鋼湯面に浸漬させた後に引き上げ、検知棒に固化付着したモールドパウダー層の厚みから溶融厚みを推定する方法が主として行われていたが、測定者による測定誤差が生じたり、溶鋼中に浸漬させることから品質上の問題が発生したりする場合もあった。
これらの問題を解決するために、本発明者等は、これまでに特許文献1に示す、複数の周波数を用い、各周波数における位相と絶対値の双方を用いてモールドパウダーの溶融厚みを計測する多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測器を提案した。この計測器を用いることで、極めて容易に且つ連続してモールドパウダーの溶融厚みを計測することが可能となった。また、高精度に計測を行うため、特許文献2に示す、校正方法も提案している。
特願2004−27531 特願2005−021543
しかしながら、上述の特許文献1および特許文献2の技術を利用する際に、条件によっては精度が悪くなる場合があった。例えば、パウダーの種類、溶鋼面温度によって溶融厚計測誤差が大きくなったり、製造する鋳造片の厚み(すなわち長辺銅板間隔)が狭くなると溶鋼レベル計測精度が悪くなる、オシレーション(鋳型の上下振動)の振動パターンによってはデータがばらつくなどである。
上記のうち、銅板間隔の影響は、その影響が溶鋼レベルの反応ベクトルと同方向であるため、溶融モールドパウダーが無い状況で、溶鋼面模擬材を使用し、銅板の影響を調査することが出来、補正式も構築が可能である。また、オシレーションの影響も信号の加算平均時間を振動パターン1周期と同期させることで除去可能である。
しかしモールドパウダーの種類、溶鋼面温度が変わった場合の問題は、その誤差の大きさが種類、温度ごとに変わり、単純ではない。その原因は溶融モールドパウダー層内の導電率の分布であるが、溶融モールドパウダーの導電率はその温度に応じて変化し、かつ溶融層内の温度分布は溶鋼面温度によって変わるためである。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造において鋳型内に添加されたモールドパウダーの溶融厚みを多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法で計測するに当たり、モールドパウダーの種類と溶鋼面温度の影響による誤差を補正して、モールドパウダー種類、溶鋼面温度によらず高精度に計測を行う多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る発明は、少なくとも2種以上の周波数における位相情報と絶対値情報とを用いて、連続鋳造鋳型内の溶融金属上に添加されたモールドパウダーの溶融層の厚みを計測する多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法であって、前記位相情報と絶対値情報とを得るための計測データ収集工程と、該計測データ収集工程にて収集した計測データを補正する補正工程と、該補正工程にて補正したデータに基づいて、モールドパウダーの溶融層の厚みを演算する演算工程と、を有することを特徴とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法である。
また本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載の多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法において、前記補正工程は、モールドパウダーの溶融層内の渦電流密度分布に基づいて、前記計測データを補正することを特徴とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法である。
また本発明の請求項3に係る発明は、請求項2に記載の多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法において、前記渦電流密度分布を、モールドパウダーの導電率温度依存データと溶融層層内の厚み方向温度分布から求めることを特徴とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法である。
さらに本発明の請求項4に係る発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法において、前記補正工程は、モールドパウダー種類に対応して行われることを特徴とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法である。
本発明では、多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測においてモールドパウダーの種類と溶鋼面温度の影響による誤差の補正を、パウダーの導電率と溶鋼面温度の関係から得られる溶融層内の渦電流密度分布に基づいて行うようにしたので、モールドパウダー種類、溶鋼面温度によらず高精度にモールドパウダー溶融厚み計測を行うことができる。
本発明を、スラブ連続鋳造機で溶鋼を鋳造する場合に適用した例を用いて、以下具体的に説明する。
鋼の連続鋳造では、溶鋼を水冷構造の鋳型に注入して冷却し、鋳型との接触面に凝固シェルを生成させながら、この凝固シェルを鋳型下方に連続的に引き抜き、連続鋳造鋳片を製造している。鋳型内には、凝固シェルと鋳型との潤滑剤、溶鋼の酸化防止剤、溶鋼の保温剤、及び溶鋼から浮上してくるアルミナなどの酸化物の吸収剤として、モールドパウダーが添加される。添加されたモールドパウダーは、溶鋼を覆い、溶鋼から熱を受け、溶鋼と接触する側は溶融して溶融層を形成する。溶融したモールドパウダーは凝固シェルと鋳型との間隙を流下して消費されるので、この消費量に応じて新たにモールドパウダーが鋳型内に添加される。
モールドパウダーの溶融層の厚みは、流下して消費される量と新たに溶融される量とで決定されるが、鋳造条件が変化するとモールドパウダーの消費量が変化し、それに応じてモールドパウダーの溶融層厚みも変動する。この溶融層厚みが薄くなると、未溶融のモールドパウダーが溶鋼に巻き込まれるなどして鋳片の品質欠陥の原因になるのみならず、鋳型と凝固シェルとの潤滑が不足し、ブレークアウトを発生する恐れもある。そのため、モールドパウダーの溶融層の厚みを計測し、管理することが極めて重要となる。モールドパウダーは、その鋳造条件によりパウダーの種類を変えることがあり、そのパウダーの種類は化学組成も異なり、溶融物性(粘性、導電率、融点等)もそれぞれ異なる。
鋳型内の溶鋼及びモールドパウダーの状態を示す概略図を、図1に示す。図1に示すように、溶鋼2の上に添加されたモールドパウダー4は、溶鋼2の熱によって溶融し、溶鋼2と接触する側の溶融層5と、その上の未溶融の粉末層6との2層になっている。図中、符号1は鋳型銅板、符号3は溶鋼2が冷却されて生成した凝固シェルである。尚、凝固シェル3と鋳型銅板1との間隙をモールドパウダー4が流下しているが、図1では込み入って区別がつきにくいので、流下するモールドパウダー4は省略している。
ここで、本発明において補正の対象とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測装置(以下、「多周波渦流式厚み計測器」とも記す)について説明する。
溶鋼2、溶融層5、粉末層6の導電率を表1に示す。溶融層5の導電率は溶融させたモールドパウダーで計測し、粉末層6の導電率は、粉末状態のモールドパウダーで計測した値である。表1に示すように、溶鋼2の導電率は非常に大きく、それに対して溶融層5の導電率は小さい。一方、粉末層6の導電率は極めて小さくほぼ絶縁体に近い。本発明で補正の対象とする多周波渦流式厚み計測器は、計測器から溶鋼2の表面即ち溶鋼湯面位置2aまでの距離と、モールドパウダー4の溶融層5の厚みと、を計測するための装置である。
渦流法は、図2にその計測方法の原理を示すように、励磁コイルの信号と検出コイルの信号とを検波して、検出コイルのインピーダンス変化を計測する方法であるが、検出コイルのインピーダンスは、設計仕様の他に、検出コイルの周辺状況、例えば検出コイルに対する導電体の距離、導電体の導電率の変化などによっても変化する。ここで、インピーダンスは複素数であり、絶対値(電圧)と位相情報の2つの情報がある。即ち、1つの周波数について2つのデータが得られることになる。これらの絶対値及び位相情報の概念を図3に示す。図3において、実線の波は励磁コイルへの入力、破線の波は検出コイルの出力であり、絶対値とは、検出コイルの出力の最大値と最小値との差であり、位相情報とは、励磁コイルに入力した信号に対する位相差である。
鋳型内の溶鋼湯面位置2aを計測するための渦流式湯面計測器などのように測定対象が1つならば、1つの周波数で絶対値のみを測定することで計測が可能であるが、モールドパウダー4の溶融層5の厚みを精度良く計測するためには、溶鋼湯面位置2a及びモールドパウダー4の粉末層6の影響を加味する必要があり、計測の対象として3種類の対象を計測する必要がある。そのためには、少なくとも3種類の周波数を用いるか、2種類の周波数でそれぞれの絶対値と位相情報とを利用するなどして、とにかく3種類以上のデータが必要である。本発明の補正対象である多周波渦流式厚み計測器では、この点を解決しており、複数の周波数における絶対値と位相情報とを利用して計測・解析し、モールドパウダー4の溶融層5の厚みを計測するようにしている。
では、本発明について以下に詳細説明を行う。図4は、本発明の実施の形態の1例を示す図であって、モールドパウダーの溶融層厚み計測方法とその補正方法のフローの概略図である。図5は、多周波渦流式厚み計測器の全体概略図である。
先ず図5を用いて、多周波渦流式厚み計測器の全体概要を説明する。計測に入る前に0(ゼロ)点校正として、所定(例えば100mm)の距離に溶鋼模擬材(例えばSUS304、300mm角厚み1mm)を設置し、その信号データを100mmのデータとして記録する。その後鋳型上へ移動し、鋳型内の溶鋼2に対向して多周波渦流式厚み計測器の多周波渦流センサー11を設置する。上下移動可能な保持台8を介して架台7に設置されている。溶鋼2は、モールドパウダー4の溶融層5で覆われ、溶融層5は、未溶融の粉末層6で覆われている。
多周波渦流センサー11は、空芯或いは絶縁体または非磁性のボビンに巻かれたコイルからなり、励磁コイル13と検出コイル14とから構成される。多周波渦流センサー11は、計測中に冷却できるようにケース12を外殻とし、外部からケース12の内部に導入される空気によってエアーパージされる構造である。励磁コイル13には、発振器15から出力された基本波形が電源アンプ16で増幅されて入力される。検出コイル14にて検出された信号は、差動アンプ17で増幅された後、ロックインアンプ18へ入力される。発振器15から別途基本波形をロックインアンプ18へ参照波形として入力し、検波出力として絶対値と位相とが得られる。発振器15からの信号の周波数を変えることにより、多周波での計測が可能な計測器である。
次に、図4に基づいてモールドパウダーの溶融層厚み計測方法とその補正方法の処理フローを説明していく。Step100では、計測の前に0点校正のための校正データ収集を行う。このステップは、図5での説明のように実際のモールド上に溶鋼模擬材の良導体を所定のリフトオフをおいて行ってもよいし、多周波渦流センサー11をオフラインに移動して溶鋼模擬材の良導体を用いて行ってもよい。
そして、Step101では、図5を用いて説明した多周波渦流式厚み計測器を用いて、計測データ(絶対値(電圧)と位相差)の収集を行う。
Step102では、計測されたデータに対して、銅板間隔の補正を行う。銅板間隔が変化した影響を、鋳造条件設定時に入力された長辺銅板間隔(例えば220mm)に対して補正式にて補正するものであり、この影響は主に溶鋼レベル変化と同じベクトル方向に出てくる。ここで用いる補正式(間隔の関数など)は、溶融モールドパウダーが無い状況で、溶鋼面模擬材を使用し、溶鋼模擬材の表面までの距離変化を検出するためのベクトル1式分の銅板に対する影響を調査し補正式を求めておき、事前に用意しておく。
Step103では、さらに使用するモールドパウダーの種類に応じて、補正を加えるステップであり、後に詳述する。なおここでの説明では、Step102を先に行うようになっているが、パウダー溶融層厚などの演算を行うStep104の開始までに、両ステップが終了していればよく、どちらが先であるかは問題ではない。
そしてStep104では、補正されたデータは、溶鋼レベル・パウダー溶融厚・粉末層厚の計測及び実測を所定の回数以上行って、多周波渦流センサー11と実測値との対応付けにより予め導出されている溶鋼レベルおよび層厚のための算出式に代入される。これにより、溶鋼レベル、モールドパウダー粉末層厚、そしてモールドパウダー溶融層厚が算出される。そして、算出された溶鋼レベル、モールドパウダー粉末層厚、およびモールドパウダー溶融層厚は、表示または記憶(Step105)されて一連の計測処理が終了する。なおオシレーションの影響が大きい場合には、ここの演算過程またはそれ以前のステップにて、信号の加算平均時間を振動パターン1周期と同期させることで、オシレーションの影響除去を適宜行うようにするとよい。
では、モールドパウダーの種類による補正の具体例を以下に示す。図4のStep103では、事前に溶融モールドパウダーの導電率データなどを用意し、これに基づき補正を行う。図6は、溶融パウダーの導電率温度依存性の例を示す図である。図に示すように、モールドパウダーの導電率は、温度上昇に伴なって値が大きくなる。一方、鋳型内のモールドパウダー溶融層内には、溶鋼との境界面から粉末層に至る間で、図7で示される層内温度分布がある。図7は層内温度を実測した実測値であるが、溶鋼面の温度が与えられれば、パウダーの熱伝導率等から温度分布を推定することができる。
以上のように溶融層内に温度分布(図7)があり、溶融パウダーの導電率温度依存性(図6)があるため、図6・図7に基づけば鋳型内のモールドパウダー溶融層内には導電率の分布が得られ、図8に示すような分布が存在することとなる。深さ方向に導電率が一定ならば、渦電流の原理から、センサに近い場所ほど渦電流密度が大きくなる。また、渦電流密度が大きいほどセンサの出力も大きくなるため、実質的にセンサに最も近い場所を計測することになる。逆に、導電率が深さ方向に分布をもつ場合は、導電率が大きい場所ほど渦電流密度も大きくなるので、実質的にセンサに最も近い場所でなく、導電率の大きい場所の影響を受けたセンサ出力となり、同じ厚さでも結果が異なる。
しかし図8の如く分布が存在する場合には、必ずしもセンサに最も近い場所が渦電流密度が最大になるとは限らない。そこで、図8に示す導電率分布を有する場合のモールドパウダー溶融層内の渦電流密度の分布を電磁気シミュレーションにて計算した。図9は、渦電流密度を計算するための計算モデル例を示す図である。層0は空気、層1はモールドパウダー溶融層、層2は溶鋼(良導体)をそれぞれ示している。厚さ17mmの層1の上方100mmに、φ70mmの励磁コイルを設置し、図10のグラフで示す導電率分布を層1に与えた場合の渦電流密度を有限要素法にて計算した。
図11は、渦電流密度の計算結果の例を示す図であり、コイル中心直下(中心軸)から30mm外側での渦電流密度分布を表している。図11では、17mmの全厚に対し、渦電流密度は約10.5mmの位置で最大となり、最大値付近の位置で渦電流分布が平たい分布形状であることが分る。
上述の導電率温度分布を有するパウダー(導電率B)と異なる導電率温度分布を有するパウダー(導電率A)について、同様の計算を行い、両者を比較したのが、図12および13である。なお、ここで比較した2種類のパウダー(導電率Aと導電率B)は、両者とも一般的な使用されているパウダーであり、連続鋳造の操業において特別に差の大きなものではない。図12に示す他の導電率分布(導電率Bは図8と同じ)で調べてみると、全厚に対する差がさらに大きくなる。例えば図12導電率Aの場合には、図13の如きグラフになり、導電率Bと同じ厚さであっても渦電流密度の絶対値が小さい上に、最大値前後の渦電流分布が尖がっているため、全体の渦電流密度が小さく、センサ出力も小さくなる。もし導電率Bに対応する式で解析を行うと、検出信号が小さくなるので層厚が薄いと判断し、17mmの全厚に対し、例えば約8mmと小さく算出されてしまうといった具合に、誤差がでてしまう。
パウダーの種類が変わり、計測誤差がでるといった場合には、予め渦電流分布をシミュレーションにて推測し、その誤差を補正する必要が出てくる。補正方法は、単純に係数をかける方法(上記の例のように、導電率Bのパウダーに変えて、導電率Aのパウダーを使用する際は、係数として2.1を乗ずる等)もあれば、多次元関数を当てはめる等の補正式を準備する方法もある。

パウダー種毎に導電率と溶融層内温度分布を準備し、それらから渦電流密度を計算すれば、補正係数は得られる。導電率は、るつぼと白金電極にて測定可能であるし、他の物性(熱伝導率、粘性等)から類推することもできる(例えば、溶鉄・溶滓の物性値便覧、鉄鋼基礎共同研究会、溶鋼・溶滓部会編集、日本鉄鋼協会発行、1972年)。温度分布については、熱電対を埋め込んだセラミック棒をゆっくりと浸漬させて厚み方向分布を測定する方法がある。 逆に、いくつかのパウダー種の補正データが有れば、未知のパウダーに対する計測値とモールドパウダー溶融厚実測値から、未知のパウダーの導電率分布を予測することもできる。
以上説明したように、本発明によれば、多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測器の補正を、使用している溶融モールドパウダーの導電率と溶鋼面温度の関係を用いて行うので、モールドパウダーの種類に係らず計測精度が安定、向上する。
尚、多周波渦流センサー11としては差分方式のセンサーもあるが、多周波渦流式である限り本発明を適用することができる。
鋳型内の溶鋼及びモールドパウダーの状態を示す概略図である。 渦流法の計測方法の原理を示す図である。 励磁コイルに対する検出コイルのインピーダンス変化を示す図である。 本発明の実施の形態の1例を示す図であって、計測の手順を示す図である。 鋳型上に設置された多周波渦流式厚み計測器の構成を示す概略図である。 溶融パウダーの導電率温度依存性の例を示す図である。 溶融パウダー層内の厚み方向温度分布の例を示す図である。 溶融パウダー層内の厚み方向導電率分布の例を示す図である。 渦電流密度を計算するためのモデルの例を示す図である。 渦電流密度を計算するために与える導電率分布の例を示す図である。 渦電流密度の計算結果の例を示す図である。 溶融パウダーの導電率温度依存性の別の例を加えた図である。 渦電流密度の計算結果の別の例を加えた図である。
符号の説明
1 鋳型銅板
2 溶鋼
2a 溶鋼湯面位置
3 凝固シェル
4 モールドパウダー
5 溶融層
6 粉末層
7 架台
8 保持台
9 支持台
10 保持具
11 多周波渦流センサー
12 ケース
13 励磁コイル
14 検出コイル
15 発振器
16 電源アンプ
17 差動アンプ
18 ロックインアンプ

Claims (4)

  1. 少なくとも2種以上の周波数における位相情報と絶対値情報とを用いて、連続鋳造鋳型内の溶融金属上に添加されたモールドパウダーの溶融層の厚みを計測する多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法であって、
    前記位相情報と絶対値情報とを得るための計測データ収集工程と、
    該計測データ収集工程にて収集した計測データを補正する補正工程と、
    該補正工程にて補正したデータに基づいて、モールドパウダーの溶融層の厚みを演算する演算工程と、
    を有することを特徴とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法。
  2. 請求項1に記載の多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法において、
    前記補正工程は、
    モールドパウダーの溶融層内の渦電流密度分布に基づいて、前記計測データを補正することを特徴とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法。
  3. 請求項2に記載の多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法において、
    前記渦電流密度分布を、
    モールドパウダーの導電率温度依存データと溶融層層内の厚み方向温度分布から求めることを特徴とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法において、
    前記補正工程は、モールドパウダー種類に対応して行われることを特徴とする多周波渦流式モールドパウダー溶融厚み計測方法。
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