本発明の第1の光記憶媒体には、コントロールデータ領域に、光が入射する側に対して凹または凸の溝をウォブルすることにより、当該光記憶媒体に関する光記憶媒体情報が記録されている。光記憶媒体情報とは、物理フォーマット情報や光記憶媒体製造情報の他、主情報領域に暗号化されて記録されたデータ情報を復号するための鍵情報等を含む。このように、コントロールデータ領域に溝をウォブルさせて光記憶媒体情報を記録することにより、記録容量を低下させることなく、個々の媒体を正確に識別することが可能な光記憶媒体を提供できる。また、鍵情報を含む光記憶媒体情報が、溝をウォブルさせることにより記録されているので、この光記憶媒体情報を他の光記憶媒体に不正に複製することは困難である。これにより、データ情報の著作権の侵害を伴う光記憶媒体の違法使用を有効に防止することができる。
本発明の第2の光記憶媒体には、コントロールデータ領域に、マーク列をウォブルさせることにより、当該光記憶媒体に関する光記憶媒体情報が記録されている。光記憶媒体情報とは、物理フォーマット情報や光記憶媒体製造情報等を含む。このように、コントロールデータ領域にマーク列をウォブルさせて光記憶媒体情報を記録することにより、記録容量を低下させることなく、個々の媒体を正確に識別することが可能な光記憶媒体を提供できる。また、マーク列がウォブルさせて記録されているので、この光記憶媒体情報を他の光記憶媒体へ不正に複製することは困難である。
また、第3の光記憶媒体は、主情報領域のマーク列がウォブルされていることにより、不正な複製を防止できる。さらに、トラックピッチをTp2としたとき、ウォブルの変位量の最大振幅がTp2/30以下であることにより、クロストークの影響を全く無視することができる。
第4の光記憶媒体は、複数の情報記録層のいずれか1つの情報記録層のコントロールデータ領域に、全ての情報記録層に関する光記憶媒体情報が記録されていることにより、いずれかの情報記録層のコントロールデータ領域へアクセスすれば、全ての情報記録層に関する光記憶媒体情報を得ることができる。これにより、学習時間の短縮を図れる。
本発明の情報再生装置によれば、コントロールデータ領域から、光が入射する側に対して凹または凸の溝もしくはマーク列をウォブルさせて記録された光記憶媒体情報を読み出すことにより、個々の媒体を正確に識別することができる。また、光記憶媒体情報から検出した鍵情報を用いて情報再生を行うことにより、著作権の侵害を伴う光記憶媒体の違法使用を有効に防止することができる。なお、本発明の情報再生装置は、再生専用機に限らず、記録機能等を有するものを含むことは言うまでもない。
第1または第2の光記憶媒体において、前記主情報領域に記録される情報が、光が入射する側に対して凹もしくは凸のマーク列として記録されていることが好ましい。主情報領域とコントロールデータ領域に情報をいずれもマーク列として記録することにより、光記憶媒体を製造する際の成形圧力が小さくて済み、成型機のコストを低くできるからである。さらに、マーク列がウォブルされていることが好ましい。これにより、不正な複製をより確実に防止することができる。
第2の光記憶媒体において、前記主情報領域に記録されるマーク列が、光が入射する側に対して凹もしくは凸のマーク列であることが好ましい。
第2または第3の光記憶媒体において、コントロールデータ領域におけるトラックピッチをTp1とし、マークの幅をMw1としたとき、
0.3×Tp1≦Mw1≦0.7×Tp1
の関係が成り立つことが好ましい。マーク幅の作製誤差が生じた場合でも、記録される光記憶媒体情報への影響が小さくて済むからである。
第2または第3の光記憶媒体において、コントロールデータ領域に記録されるマークの幅をMw1とし、主情報領域に記録されるマークの幅をMw2としたとき、
Mw1>Mw2
の関係が成り立つことが好ましい。主情報領域に記録された情報と、コントロールデータ領域に記録された情報の両方について、良好な信号が得られるからである。なお、この構成において、主情報領域におけるトラックピッチをTp2、マークの幅をMw2としたとき、
Mw2<0.5×Tp2
の関係がさらに成り立つことが好ましい。マーク幅の作製誤差が生じた場合でも再生信号への影響が小さくて済むからである。
第2または第3の光記憶媒体において、ウォブルの変位が、マーク列におけるスペースのタイミングで行われることが好ましい。スペース部分でウォブルを変位させることにより、カッティングマシンの影響を受けにくく、良好な信号検出が可能となる。さらに、ウォブルの変位をマーク列におけるスペースのタイミングとするように、前記マーク列を記録する装置による記録動作を微調整するための変換表を複数有することが好ましい。これにより、ウォブルの変位のタイミングを適切に調整することができ、ジッタ劣化を防止できる。
第2または第3の光記憶媒体において、コントロールデータ領域に記録される情報が、マークのエッジ部により表されていることが好ましい。連続溝をウォブルさせた場合と同様のS/Nを確保できるので、コントロールデータ領域に記録された情報を信頼性高く検出できるからである。なお、第2の光記憶媒体において、コントロールデータ領域に記録される情報が、マークの中心部により表されていることも好ましい。ジッタの影響が小さく、コントロールデータ領域に記録された情報を信頼性高く検出できるからである。
第2または第3の光記憶媒体において、マーク列は、情報を再生する際に用いられる同期パターンを特定の周期で有しており、前記同期パターンと同期してウォブルが行われていることが好ましい。マーク列からクロック信号を生成することが可能となり、ウォブル量が微小な場合でも安定的に信号を検出することが可能だからである。
上記の構成において、さらに、1つの同期パターンの周期をCy1とし、ウォブルの周期をCy2としたとき、
Cy2=Cy1×M/2 (Mは自然数)
の関係、あるいは、
Cy1=Cy2×M/2 (Mは自然数)
の関係が成り立つことが好ましい。 この好ましい構成によれば、ビットスリップの影響を回避することが可能である。また、後者の関係が成り立つ場合は、同期パターンのタイミングで信号を検出することが可能である。
第2または第3の光記憶媒体において、コントロールデータ領域に記録されるマークの長さをML1とし、前記マークを記録する際に照射される光の波長をλとし、光を照射する光学系の開口数をNAとしたとき、
ML1≧2×λ/NA
の関係が成り立つことが好ましい。クロック信号を生成する際に、イコライザを用いなくても、振幅が十分大きい信号を得ることができるからである。
第2または第3の光記憶媒体において、コントロールデータ領域に記録されるマークの長さをML1とし、前記マークを記録する際に照射される光の波長をλとし、光を照射する光学系の開口数をNAとしたとき、
ML1≧λ/(2×NA)
の関係が成り立つことも好ましい。マークおよびスペースの繰り返しから得られる信号を用いてクロック信号を生成できるからである。
第2または第3の光記憶媒体において、コントロールデータ領域に記録されるマーク及びスペースのそれぞれの長さが、所定の周期Tを基本として、当該周期Tの整数倍であることが好ましい。さらに、マーク及びスペースのそれぞれが、単一の長さ、あるいは、複数種類の長さを有することが好ましい。
第1〜3の光記憶媒体において、主情報領域に記録される情報が暗号化されたデータ情報であり、前記光記憶媒体情報が、前記データ情報の暗号を解くための鍵情報を含む構成としてもよい。この構成によれば、著作権の侵害を伴う光記憶媒体の違法使用を有効に防止することができる。また、鍵情報が、凹または凸の溝もしくはマーク列をウォブルすることで記録されていることが好ましい。また、鍵情報が、ウォブルの中心部により表されていれば、さらに好ましい。また、第1〜第3の光記憶媒体において、上記の鍵情報の代わりに、正規の製造がなされた光記憶媒体であることもしくは情報を再生しても良いということを示す識別情報を含む構成としても良い。
第1〜3の光記憶媒体において、ウォブルの周期が、マークとスペースの一対の長さよりも長いことが好ましい。隣接トラックの影響を軽減することができるからである。なお、ウォブルの周期が、マークとスペースの一対の長さの4倍以上であることがさらに好ましい。
第1〜3の光記憶媒体において、ウォブルの周期が、所定の周期Tを基本として、当該周期Tの整数倍であることが好ましい。マークおよびスペースの繰り返しから生成可能なクロック信号を用いて、ウォブル変調された光記憶媒体情報を検出できるからである。
第1〜第3の光記憶媒体において、コントロールデータ領域に記録されるマークもしくは溝の光学的な深さをMd1とし、前記マークもしくは溝を記録する際に照射される光の波長をλとしたとき、
λ/8≦Md1≦λ/4
の関係が成り立つことが好ましい。高品位な信号を得られるからである。
第1〜第3の光記憶媒体において、前記コントロールデータ領域におけるウォブル周波数が、トラッキングサーボ帯域よりも高い周波数であることが好ましい。
第1〜第3の光記憶媒体において、ウォブルが、トラッキングサーボの帯域内で直流成分を持たないことが好ましい。安定したトラッキングが可能となるからである。
第1〜第3の光記憶媒体において、ウォブルの変位するタイミングが、疑似ランダムであることが好ましい。解読がより困難になるからである。
第1〜第3の光記憶媒体において、鍵情報の1ビットに対し、複数のウォブルが割り当てられたことが好ましい。信号検出時に直流成分ないし低周波成分をキャンセルすることが可能となり、S/Nが向上するからである。
第1〜第3の光記憶媒体において、鍵情報が、離散的または連続的に記録されたことが好ましい。離散的に記録すれば、解読の難易度が向上する点で有利であり、連続的に記録すれば、読み出しに要する時間が短くなるので再生時のユーザの待ち時間が少なくなる点で有利である。
第1〜第3の光記憶媒体において、コントロールデータ領域と主情報領域の境界に、読み出しができなくても支障のない溝またはマークを有するバッファ領域が設けられていることが好ましい。この溝またはマーク列は、光が入射する側に対して凹または凸のいずれであっても良い。これにより、コントロールデータ領域と主情報領域の境界においても良好な品質のトラッキング誤差信号を得ることができるからである。
第1または第2の光記憶媒体において、コントロールデータ領域のトラックピッチTp1が、主情報領域のトラックピッチTp2と異なることが好ましい。また、コントロールデータ領域のトラックピッチTp1が、主情報領域のトラックピッチTp2よりも大きいことが好ましい。コントロールデータ領域および主情報領域の両方について、良好な品質の再生信号およびトラッキング誤差信号を得ることができるからである。
第1〜第3の光記憶媒体は、前記情報記録層を複数備え、前記複数の情報記録層の少なくとも1つの情報記録層の主情報領域に凹または凸のマーク列として情報が記録され、前記複数の情報記録層の少なくとも1つの情報記録層のコントロールデータ領域に、全ての情報記録層に関する光記憶媒体情報が記録されている構成としても良い。これにより、前記1つの情報記録層にアクセスすれば、全ての情報記録層に関する光記憶媒体情報を得ることができるので、学習時間の短縮がはかれる。
前記複数の情報記録層を備えた第1〜第3の光記憶媒体、または第4の光記憶媒体において、前記複数の情報記録層の各コントロールデータ領域に、全ての情報記録層に関する光記憶媒体情報が記録されていることが好ましい。どの情報記録層にフォーカス引き込みがかかったとしても、全情報記録層に関する光記憶媒体情報を読み出すことができ、光記憶媒体を正しく識別できるからである。
前記複数の情報記録層を備えた第1〜第3の光記憶媒体、または第4の光記憶媒体において、当該光記憶媒体の基準層におけるコントロールデータ領域に、全ての情報記録層に関する光記憶媒体情報が記録されていることが好ましい。
前記複数の情報記録層を備えた第1〜第3の光記憶媒体、または第4の光記憶媒体において、前記複数の情報記録層の少なくとも一層におけるコントロールデータ領域に、前記複数の情報記録層のトラッキング誤差信号の極性に関する情報が記録されていることが好ましい。前記トラッキング誤差信号の極性に関する情報は、当該光記憶媒体の基準層におけるコントロールデータ領域、あるいは、当該光記憶媒体の全ての情報記録層におけるコントロールデータ領域に記録されていることがさらに好ましい。光記憶媒体の再生時に、トラッキング誤差信号の極性を学習する時間を短縮できるからである。
前記複数の情報記録層を備えた第1〜第3の光記憶媒体、または第4の光記憶媒体において、前記複数の情報記録層の少なくとも一層におけるコントロールデータ領域に、前記複数の情報記録層に情報を記録するために形成された表面形状に関する記録層情報が記録されていることが好ましい。前記記録層情報とは、コントロールデータ領域への情報の記録形態が、光が入射する側に対して凹の溝、凸の溝、凹マーク、または凸マークのいずれであるかを表す情報等である。また、前記記録層情報が、前記表面形状の深さに関する情報を含むことがさらに好ましい。
第1〜第4の光記憶媒体は、前記情報記録層として、再生専用型、追記型、および書き換え可能型のうち少なくとも2種類の情報記録層を有する光記憶媒体であって、前記光記憶媒体情報がコントロールデータ領域の大略同じ半径位置に記録されている構成としても良い。この構成は、光記憶媒体の再生時に、トラッキング誤差信号の極性を学習する時間を短縮できる点で好ましい。
前記情報再生装置は、前記鍵情報検出手段の検出結果に応じて、前記光記憶媒体が不正に複製されたものかどうかを判定する判定手段と、再生しようとする光記憶媒体が不正に複製されていると前記判定手段が判断したときには、前記光記憶媒体からの情報の再生を禁止する再生禁止手段とがさらに設けられていることが好ましい。これにより、不正な複製を効果的に排除することができるからである。
また、本発明の情報再生装置においては、前記再生禁止手段が、前記復調手段からの信号の出力を停止することがさらに好ましい。あるいは、前記再生禁止手段が、前記再生しようとする光記憶媒体を当該情報再生装置から排出することも好ましい。さらに、再生しようとする光記憶媒体が不正に複製されていると前記判定手段が判断したときに、当該光記憶媒体が不正に複製されているものである旨を警告する警告手段をさらに備えたことが好ましい。これらの構成により、光記憶媒体の不正な複製をより確実に排除できるからである。
本発明の情報再生装置は、前記光記憶媒体として、再生専用型、追記型、および書き換え可能型のうち少なくとも2種類の情報記録層を有し、前記光記憶媒体情報がコントロールデータ領域の共通の位置に共通の変調方式で記録された光記憶媒体を用いることが好ましい。これにより、多様なタイプの情報記録層を有する光記憶媒体に対して不正な複製を防止できる情報再生装置を実現できるからである。
本発明の情報再生装置は、前記鍵情報検出手段が前記鍵情報を検出しなかった場合、前記判定手段が、前記光ピックアップによって光記憶媒体から読み出された信号から複製可能識別子を検出できれば、光記憶媒体が不正に複製されたものではないと判定することが好ましい。複製を禁止する必要がない情報までを過剰に保護することを防止し、ユーザの利便性を確保できるからである。
本発明の情報再生装置は、ウォブルされた信号を検出するために用いるウォブル検出手段が、差動演算手段または位相比較手段であることが好ましい。差動演算手段を用いれば検出系の構成を簡略化できる。位相比較手段を用いれば直流成分の影響を受けないので、信頼性を向上できる。
本発明の情報再生装置は、複数のウォブルから得られた信号を用いて鍵情報を復調することが好ましい。信頼性が向上するからである。また、鍵情報を得るために用いるウォブルの数を多くするほど、ウォブル振幅を小さくすることができ、クロストークの影響が小さくなる。
本発明の情報再生装置は、ウォブル検出手段から出力される信号を積算平均して、鍵情報を復調することが好ましい。なお、積算回数が多いほどS/Nが改善され、読み出した鍵情報の信頼性を向上させることができる。
本発明の情報再生装置は、マーク列から得られる信号を用いてクロック信号を生成し、前記クロック信号を用いて鍵情報を検出することが好ましい。安定して信号を検出することが可能となるからである。
本発明の情報再生装置は、マーク列から得られる信号を復調するためにマーク列から得られる信号を用いてクロック信号を生成し、前記クロック信号を用いて鍵情報を検出することが好ましい。回路構成を簡略化できるからである。
第5の記憶媒体において、前記記録マーク内では、外周側から内周側への変位あるいは内周側から外周側への変位が存在しないことが好ましい。
第5の記憶媒体において、前記記録マークのラジアル方向への変位量は、前記副情報を記録しない光記憶媒体において許容されるラジアル方向の変位量以内であることが好ましい。
第5の記憶媒体において、少なくとも前記副情報の1ビットは、複数の前記フレームの記録マークをラジアル方向へ微少量変位させることによって記録されていることが好ましい。前記複数フレームは、光記憶媒体のトラック上に連続配置されたフレーム群、あるいはトラック上に所定間隔で離散的に配置されたフレーム群であることが好ましい。
第5の記憶媒体において、特定フレームおよび/またはフレーム内の特定領域には、前記ラジアル方向の微少量変位がなされないことが好ましい。
第5の記憶媒体において、前記記録マークのラジアル方向への微少量変位によって副情報を記録する領域は、光記憶媒体内のリードイン領域であることが好ましい。
第5の記憶媒体は、前記フレームにおいて前記同期符号が記録されていない部分が不均一な長さの複数ブロックに分割され、前記ブロック毎に、記録マークを外周側および内周側へ微少量変位させる周期が異なり、かつ、各ブロック内で内周側へ変位された記録マークの長さと外周側へ変位された記録マークの長さとが略等しいことが好ましい。さらに、全フレームにおいて、内周側へ変位された記録マークの長さの総和と外周側へ変位された記録マークの長さの総和とが略等しいことが好ましい。
第5の記憶媒体は、前記フレームにおいて前記同期符号が記録されていない部分が所定長さの複数ブロックに分割され、前記ブロック毎に、記録マークを外周側および内周側へ微少量変位させる周期が異なり、各ブロック内で内周側へ変位された記録マークの長さの総和と外周側へ変位された記録マークの長さの総和とが略等しいことが好ましい。
第5の記憶媒体において、前記フレームにおいて前記同期符号が記録されていない部分が所定長さのn個(nは4以上の自然数)のブロックに分割され、前記ブロックm個(mはnの1以外の約数)毎に、記録マークを外周側および内周側へ微少量変位させる周期が異なり、かつ、各ブロック内で内周側へ変位された記録マークの長さの総和と外周側へ変位された記録マークの長さの総和とが略等しいことが好ましい。
第5の記憶媒体において、前記副情報が記録されていないフレームに、前記副情報の再生に必要な情報が記録マークを外周側および内周側へ微少量変位させることにより記録されたことが好ましい。前記副情報の再生に必要な情報とは、例えば副情報の誤り訂正符号等である。
第5の記憶媒体は、前記副情報にダミー情報を重畳させた信号に基づいて、外周側および内周側への記録マーク変位量が決定されたことが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、少なくとも前記フレーム単位に挿入する同期符号へは、ラジアル方向への微少量変位を行わないことが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、前記変位制御信号は、前記同期符号を挿入するタイミングで初期化された擬似乱数系列により副情報をスペクトル拡散させた信号であることが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、前記変位制御信号は、前記記録マークの外周側への変位確率と内周側への変位確率を略等しくするためのPE変調がなされていることが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、前記変位制御信号は、前記記録マークの外周側への変位確率と内周側への変位確率を略等しくするとともに、記録マークを形成する区間では前記変位制御信号の変化点が存在しないことが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、少なくとも前記副情報の1ビットを、複数フレーム単位に記録することが好ましい。さらに、前記複数フレームは、光記憶媒体のトラック上に連続的に配置されたフレーム群、あるいは所定間隔で離散的に配置されたフレーム群であることが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、前記フレームにおいて前記同期符号が記録されない部分を不均一な長さの複数ブロックに分割し、前記ブロック毎に、記録マークを外周側および内周側へ微少量変位させる周期を異ならせ、かつ、各ブロック内で内周側へ変位された記録マークの長さと外周側へ変位された記録マークの長さとを略等しくすることが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、全フレームにおいて、内周側へ変位された記録マークの長さの総和と外周側へ変位された記録マークの長さの総和とを略等しくすることが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、前記フレームにおいて前記同期符号が記録されない部分を所定長さの複数ブロックに分割し、前記ブロック毎に、記録マークを外周側および内周側へ微少量変位させる周期を異ならせ、各ブロック内で内周側へ変位された記録マークの長さの総和と外周側へ変位された記録マークの長さの総和とを略等しくすることが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、前記フレームにおいて前記同期符号が記録されない部分を所定長さのn個(nは4以上の自然数)のブロックに分割し、前記ブロックm個(mはnの1以外の約数)毎に、記録マークを外周側および内周側へ微少量変位させる周期を異ならせ、かつ、各ブロック内で内周側へ変位された記録マークの長さの総和と外周側へ変位された記録マークの長さの総和とを略等しくすることが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、前記副情報が記録されていないフレームに、前記副情報の再生に必要な情報を、記録マークを外周側および内周側へ微少量変位させることにより記録することが好ましい。
本発明に係る情報記録装置において、前記副情報にダミー情報を重畳させた信号に基づいて、外周側および内周側への記録マーク変位量を決定することが好ましい。
本発明に係る第2の情報再生装置において、前記相関系列を、前記同期符号を検出したタイミングで初期化された擬似乱数系列をPE変調することにより生成することが好ましい。
本発明に係る第2の情報再生装置において、前記相関系列は、前記記録マークを再生する区間で変化点を持たないことが好ましい。
本発明に係る第2の情報再生装置において、前記フレームを複数再生することによって、少なくとも前記副情報1ビットを抽出することが好ましい。
本発明に係る第2の情報再生装置において、少なくとも前記フレーム内の同期符号からは、副情報を検出しないことが好ましい。
以下、本発明の光記憶媒体及び情報記録/再生装置の実施形態について添付の図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の符号は同一の構成要素または同様の作用、動作をなすものを表す。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る光記憶媒体の構成の一例を示した図である。光記憶媒体41は、コントロールデータ領域41aと主情報領域41bを有している。主情報領域41bには、暗号化されたデータ情報を光を介して読み出すことが可能なマーク列が、ピットとして記録されている。一方、コントロールデータ領域41aには、主情報領域41bに記録されたデータ情報の暗号を解くための鍵情報を含む光記憶媒体情報が、溝をウォブルすることで記録されている。なお、光記憶媒体情報には、前記鍵情報の他に、物理フォーマット情報及び光記憶媒体製造情報等が含まれる。
光記憶媒体41に記録された情報を再生する際の線速度が約5m/sのとき、ウォブル周波数は約1MHzであり、トラッキングサーボ帯域よりも十分に高い周波数で変調を行っている。光記憶媒体41に記録された情報は、波長λが400〜420nm、対物レンズの開口数NAが0.8〜0.9の光ピックアップを用いて読み出す。
図2は、光記憶媒体41の主情報領域41bとコントロールデータ領域41aの境界近傍の様子を拡大して示す平面図である。ここでは、コントロールデータ領域41aのトラックピッチTp1を0.35μm、主情報領域41bのトラックピッチTp2を0.32μmとしている。すなわち、コントロールデータ領域41aのトラックピッチTp1を、主情報領域41bのトラックピッチTp2よりも広くしている。これは、(1)主情報領域41bに記録された情報を読み出す際の再生信号、(2)主情報領域41bに記録された情報を読み出す際に用いるトラッキング誤差信号、(3)コントロールデータ領域41aに記録された情報を読み出す際の再生信号、(4)コントロールデータ領域41aに記録された情報を読み出す際に用いるトラッキング誤差信号、のいずれについても良好な品質を得るためである。
信号の品質の観点では、主情報領域41bに記録された情報を読み出す際の再生信号の品質は、ピットの断面が理想的な矩形に形成できたときにはピットの深さがλ/4のときに最良となる。また、トラッキング誤差信号を位相差法で検出すれば、主情報領域41bに記録された情報を読み出す際に用いるトラッキング誤差信号の品質も、ピットの深さがλ/4のときに最良となる。一方、コントロールデータ領域41aに記録された情報を読み出す際の再生信号と、コントロールデータ領域41aに記録された情報を読み出す際に用いるトラッキング誤差信号とは、共に、差動演算を行うプッシュプル法により検出するため、溝の断面が理想的な矩形に形成できたときには、溝の深さがλ/8のときに品質が最良となる。しかし、主情報領域41bに記録された情報を読み出すのに最適な深さであるλ/4に溝深さを設定したときは、最悪で良好な信号は得られない。また、ピットの深さがλ/8よりも浅くなると、媒体自身の有する雑音及び、光源が有する雑音の影響が顕著に現れるようになるので、好ましくない。したがって、溝及びピットの深さは、λ/4よりも浅く、λ/8よりも深いことが必要であり、λ/8〜λ/5が好ましい。現実に形成されるピット及び溝は、どちらも断面が理想的な矩形ではなく、斜面を有しているので、等価的な深さは実際の深さよりも浅くなる。また、斜面の影響は、主情報領域41bに記録された情報を読み出す情報信号よりも、プッシュプル法で検出されるトラッキング誤差信号の方が顕著である。ピットもしくは溝に所定の斜面を持たせることにより、溝及びピットの深さをλ/4にしても、主情報領域41bに記録された情報を読み出す情報信号と、プッシュプル法で検出されるトラッキング誤差信号の両方の信号の品質を高く保つことができる。すなわち実質的には、等価的な溝及びピットの深さMd1が、
λ/8≦Md1≦λ/4
の関係を有していれば、高品位の信号を得ることができる。
図9は、ピットの断面を模式的に示したものであり、図9(a)は、ピットの断面が理想的な矩形状に形成された場合、図9(b)は、ピットの断面が台形状に形成された場合をそれぞれ示す。ピットの幅をPt1、ピットの深さをd1としたとき、図9(a)に示すようにピットの断面が矩形状の場合は、ピットの等価的な深さMd1は、d1そのままである。一方、図9(b)に示すようにピットの断面が台形状の場合、台形の斜面の幅をPe1、台形の底面の幅をPd1としたとき、等価的な深さMd1は、概ね、
Md1=d1×Pe1/Pt1
となる。なお、Pt1=Pd1+2×Pe1である。したがって、例えばピットの底面の幅Pd1が0のときには、等価的な深さMd1は、d1/2となり、ピットの深さd1をλ/4としても、等価的な深さMd1は、λ/8となり、プッシュプル法で検出するトラッキング誤差信号は大きな振幅を得ることができる。勿論、実際の深さを求めるときには、光記憶媒体を構成する材料の屈折率も考慮する必要があることは言うまでもない。
また、光記憶媒体41には、コントロールデータ領域41aと主情報領域41bの境界に、読み出しができなくても支障のない溝からなるバッファ領域41cと、ピットからなるバッファ領域41dとが設けられている。バッファ領域41c、バッファ領域41dは、それぞれ、コントロールデータ領域41aと主情報領域41bの境界に記録された情報が支障なく読み出せるように、すなわちコントロールデータ領域41aと主情報領域41bとの境界においても良好なトラッキング誤差信号が得られるように、設けられている。
本実施形態の光記憶媒体41では、複製防止情報(鍵情報)を含む光記憶媒体情報が、トラッキングサーボ帯域よりも十分に高い周波数で変調されたウォブル信号として記録されている。このため、通常の情報記録再生装置を用いて光記憶媒体41の複製を試みようとしても、ウォブル変調した溝を複製することはできないので、複製防止情報を有する光記憶媒体41を複製することはできない。このようにして、不正な複製は効果的に排除される。
なお、光記憶媒体41には、複製してもよい情報を記録することもできる。その場合は、主情報領域41bに記録されるデータは暗号化される必要は無く、当然、暗号を解読するための鍵情報も必要無いので、コントロールデータ領域41aに鍵情報は記録されない。
また、コントロールデータ領域41aもしくは主情報領域41bに、主情報領域41bに記録された情報を複製してもよいか否かを識別可能な識別子を記録することにより、複製してもよい情報かどうかを効率的に識別することができる。 また、本実施形態の光記憶媒体41は、コントロールデータ領域41aのトラックピッチTp1を、主情報領域41bのトラックピッチTp2よりも広くすることにより、溝深さがλ/5の場合でも、プッシュプル法によるトラッキング誤差信号の信号品質が良好になるようにしている。光記憶媒体41全体におけるコントロールデータ領域41aの占める割合は、5%以下であり、トラックピッチを少し広げても、記録容量の低下は1%以下であり、殆ど無視できる程小さい。
また、主情報領域41bに記録されるデータは、ウォブルしていないので、クロストークの増大は全くなく、すなわち信号品質が低下することはなく、信頼性の高い光記憶媒体を提供することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明にかかる情報再生装置の構成例を示すブロック図である。光記憶媒体には、実施の形態1で示した光記憶媒体41を用いている。光ピックアップ4は、波長λが400nmのレーザ光を光記憶媒体41に照射し、光記憶媒体41に記録された信号の再生を行う。移送制御器5は、光記憶媒体41の任意の位置で信号の再生を行うために、光ピックアップ4を光記憶媒体41の半径方向に移動させる。光記憶媒体モータ6は、光記憶媒体41を回転させる。第1の制御手段7は、光ピックアップ4と移送制御器5と光記憶媒体モータ6とを制御する。増幅器8は、光ピックアップ4によって読み取られた信号を増幅する。
9は第2の制御手段を示している。この第2の制御手段9には、増幅器8の出力信号が入力される。第2の制御手段9は、この信号から、光ピックアップ4が光記憶媒体41の信号を読み取る際に必要とされるフォーカス誤差信号やトラッキング誤差信号などのサーボ信号を生成し、これを第1の制御手段7に出力する。
図10は、光ピックアップ4の構成要素の1つである光検出器51と、制御手段9の構成要素の1つである差動演算部52、53を示す。光ピックアップ4は、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号検出方式によって、構成が異なるが、ここでは、光記憶媒体41で反射されたビームに非点収差を付与し、4つの受光部51a〜51dを有する光検出器51で受光する、一般的な構成の場合を示している。フォーカス誤差信号は、受光部51aと51cから出力される信号と受光部51bと51dから出力される信号とを差動演算部52で差動演算を行うことにより得られる。一方、トラッキング誤差信号は、受光部51aと51dから出力される信号と受光部51bと51cから出力される信号とを差動演算部52で差動演算を行うことにより得られる。フォーカス誤差信号の検出方式は非点収差法、トラッキング誤差信号の検出方式はプッシュプル法と呼ばれる、よく知られた方式である。溝もしくはピットをウォブルするということは、光ピックアップ4から集光されたビームが所望の位置からウォブルに応じてオフトラックしているのと同様である。したがって、トラッキング誤差信号を検出する手段を用いることにより、溝もしくはピットをウォブルすることにより記録された信号を、検出できる。すなわち、トラッキング誤差信号が検出できる方式であれば、プッシュプル法に限定されることはなく、位相差法や3スポット法、等、様々な方式をウォブル信号の検出に用いることができる。プッシュプル法を用いた場合には、光ピックアップ4の光学系及び第2の制御手段9を構成するトラッキング誤差信号検出手段が最も簡素に構成できるので、その分、安価な情報再生装置を提供することができる。勿論、フォーカス誤差信号の検出方式は、本発明に全く制約を与えることはないので、如何なる方式も用いることができる。
また、第2の制御手段9に入力される信号はアナログ信号であるが、第2の制御手段9はこのアナログ信号をデジタル化(2値化)する。また、第2の制御手段9は光記憶媒体41が不正に複製されたものかどうかを判断し、不正に複製されたものと判断した場合には、出力禁止手段13から信号の出力をやめるように制御信号を送る。
復調手段10は、光記憶媒体41から読み取られてデジタル化された信号を解析するとともに、光記憶媒体41のコントロールデータ領域41aから読み取られた鍵情報に基づき、暗号化されていた映像や音楽などのデータを復号する。復号された信号は出力手段14から出力される。検出手段11は、第2の制御手9から出力される信号からアドレス信号等を検出し、これをシステム制御手段12に出力する。
システム制御手段12は、コントロールデータ領域41aから読み取られた光記憶媒体情報(物理フォーマット情報及び光記憶媒体製造情報)に基づいて光記憶媒体を識別し、再生条件等を解読し、この情報再生装置全体を制御する。
光記憶媒体41に記録された情報を再生する場合、システム制御手段12の指示に従って、第1の制御手段7は移送制御器5を駆動制御する。その結果、移送制御器5は、光ピックアップ4をコントロールデータ領域41aに対応する部位に移動させる。そして、光ピックアップ4は、コントロールデータ領域41aに記録されている光記憶媒体情報を読み取る。これらの情報に基づいて、システム制御手段12は第1の制御手段7に指示を送る。システム制御手段12の指示に従って、第1の制御手段7は移送制御器5を駆動制御する。その結果、移送制御器5は主情報領域41bの所望の位置に光ピックアップ4を移動させ、光ピックアップ4は光記憶媒体41の記録信号(データ情報)を読み取る。
光記憶媒体41が本来複製禁止の光記憶媒体にも拘わらず、光ピックアップ4がコントロールデータ領域41aから読み取った光記憶媒体情報の中に鍵情報が無い場合には、出力禁止手段13が、信号の出力を停止する。また、光記憶媒体41を情報再生装置から排出しても良い。また、これと共に、不正に複製された光記憶媒体を示す警告を発する警告手段(図示せず)を設けてもよい。出力禁止手段13や警告手段を付加することにより、著作権保護機能を強化することができる。
実施の形態1で説明したように、光記憶媒体41には、複製可能な情報が記憶される場合もある。この場合、コントロールデータ領域41aもしくは主情報領域41bに、主情報領域41bに記録された情報を複製してもよいことを表す識別子(複製可能識別子)を記録することが好ましい。このような光記憶媒体41を用いる場合、情報再生装置は、光ピックアップ4がコントロールデータ領域41aから読み取ったデータの中に鍵情報がなくても、当該光記憶媒体41から読み出された信号から複製可能識別子を検出できれば、当該光記憶媒体41が不正に複製されたものではないと判定して、当該光記憶媒体41の再生を行う。この構成によれば、複製を禁止する必要がない情報までを過剰に保護することがないので、ユーザの利便性を損なうことがない。
なお、ここでは、情報再生装置について説明したが、光記憶媒体が複数の情報記録層を有し、1つの情報記録層が追記型もしくは書き換え可能型の場合には、記録可能な情報再生装置であっても構わない。
(実施の形態3)
図4は、本発明の光記憶媒体にかかる更に別の実施形態として、光記憶媒体42の構成を示している。光記憶媒体42は、2つの情報記録層42aと42bを有しており、情報記録層42aは再生専用の情報記録層、情報記録層42bは、書き換え可能の情報記録層である。情報記録層42a、42b共、コントロールデータ領域42a1,42b1と、主情報領域42a2,42b2を有している。情報記録層42a、42bのコントロールデータ領域42a1,42b1は、どちらも溝を同じ変調方式でウォブルすることにより、主情報領域に記録された情報を解読するための鍵情報を含む光記憶媒体情報が記録されている。また、情報記録層42a、42bのコントロールデータ領域42a1,42b1のどちらにも、情報記録層42aの光記憶媒体情報と、情報記録層42bの光記憶媒体情報との両方が記録されている。このことにより、光記憶媒体42に記録された情報を再生もしくは情報を記録しようとする際、どの情報記録層にフォーカス引き込みがかかったとしても、光記憶媒体42がどのような構成であるかを容易に識別することが可能になる。
一方、情報記録層42aの主情報領域42a2には、ピット列で情報が記録され、情報記録層42bの主情報領域42b2には、トラッキング誤差信号を得ることが可能な溝が形成されている。主情報領域42b2に溝を形成することは、情報記録層42bが追記型である場合も同様である。コントロールデータ領域42a1,42b1に記録する情報をウォブルで記録する際の位置及び変調方式を、再生専用型の光記憶媒体と書き換え可能型の光記憶媒体と1回だけ記録可能な光記憶媒体との全てで共通とすることにより、情報記録再生装置に光記憶媒体を挿入してから、光記憶媒体が何であるかを判断するのに要する時間が短くなるので、情報記録再生装置が記録再生が可能となるまでの時間が短くて済む。また、光記憶媒体を判別する処理が、どのタイプの光記憶媒体を用いても同様であることから、再生専用の情報装置でも、記録再生可能な情報装置でも、ハードウェアとソフトウェアを共通にすることができ、その分、装置の開発及び量産のコストが低減できるので、安価な情報装置を提供することができる。勿論、光記憶媒体は、3以上の情報記録層を有していてもよく、また情報記録層が、再生専用型、追記型、書き換え可能型のいずれであってもよい。主情報領域に溝が形成され、情報がマーク列で記録される記録可能な光記憶媒体の場合、溝及びピットの深さは、λ/16〜λ/8の範囲であることが好ましい。その理由は、次のとおりである。すなわち、マーク列で情報が記録される場合、溝深さが浅いほど、溝による回折損失が小さくなるために、マーク列から得られる情報信号の信号振幅は増大する。一方、プッシュプル法によるトラッキング誤差信号は、溝深さがλ/8のときに最大となり、溝深さがλ/8よりも浅いときには、溝深さが浅くなるほど、トラッキング誤差信号の振幅は低下する。溝深さがλ/16のときのトラッキング誤差信号は、溝深さがλ/8のときのトラッキング誤差信号の1/2の強度である。トラッキング誤差信号の信号振幅の低下は、1/2程度までであれば、十分許容することができる。従って、トラッキング誤差信号と情報信号の両方を考慮すると、溝深さは、λ/16〜λ/8の範囲が最適な範囲となる。
なお、光記憶媒体の保護層を剥がしてピット形成部分を露出させ、それにメッキをして原盤を作り、そのままスタンピングをすることにより、光記憶媒体の複製を不正に行う行為が問題となっている。これに対しては、上述の実施形態で説明した光記憶媒体に、特開平2000−76659号公報に開示されているようなバーコードを併用することにより、複製を防ぐことができる。また、光記憶媒体が、本実施形態のように複数の情報記憶層を有する場合には、保護層を剥がしてピット形成部分を露出させ、複製することは極めて困難である。
なお、上述の説明では、情報記録層42a,42bのコントロールデータ領域42a1,42b1のどちらにも、情報記録層42aの光記憶媒体情報と情報記録層42bの光記憶媒体情報との両方が記録されている構成を例示したが、これらの光記憶媒体情報を、情報記録層42a,42bの少なくとも一方のコントロールデータ領域42a1,42b1に記録した構成としてもよい。その場合、光記憶媒体42の基準層を、光記憶媒体情報を記録する情報記録層とすることが好ましい。
さらに、上述の説明では、情報記録層42a、42bのコントロールデータ領域42a1,42b1が、どちらも溝を同じ変調方式でウォブルすることにより、主情報領域に記録された情報を解読するための鍵情報を含む光記憶媒体情報が記録されているものとしたが、溝がウォブルされていなくても良い。
(実施の形態4)
図5に、本発明に係る別の光記憶媒体の構成の一例を示す。図5は、本実施形態にかかる光記憶媒体の主情報領域43bとコントロールデータ領域43aの境界近傍の様子を拡大したものである。この光記憶媒体は、実施の形態1または2にかかる光記憶媒体41と同様に、コントロールデータ領域43aと主情報領域43bとバッファ領域43cを有している。主情報領域43bには、蓄積される情報が、光を介して読み出すことが可能なピット列として記録されている。コントロールデータ領域43aには、光記憶媒体情報(物理フォーマット情報及び光憶媒体製造情報等)が、光を介して読み出すことが可能なピット列として記録されている。また、バッファ領域43cにもピット列が形成されている。実施の形態1の光記憶媒体41では、コントロールデータ領域41aに記録される情報(光記憶媒体情報)が連続した溝をウォブルして記録されていたが、本実施の形態の光記憶媒体では、コントロールデータ領域43aに記録される情報は、ウォブルしたピット列として記録されている。コントロールデータ領域43aにもピット列を形成しているので、位相差法によりトラッキング誤差信号を生成し、その信号を用いてトラッキング制御を行うことができる。
主情報領域43bに記録された情報の再生信号は、主情報領域43bに照射されたビームを光検出器で受光して、その総光量(以下、和信号とする)から得られる。一方、コントロールデータ領域43aに記録された情報の再生信号は、照射されたビームを2つの受光部を有する光検出器で受光して、その2つの受光部から出力される信号を差動演算することにより(以下、差動信号とする)得られる。コントロールデータ領域43aと主情報領域43bに情報をいずれもピット列として記録することにより、光記憶媒体を作製する際の成形圧力が小さくて済むので、その分成形機のコストは低くできる。また、成形に要する時間も短くて済むので、安価な光記憶媒体を提供することができるようになる。
ここで、主情報領域43bのトラックピッチTp2は0.32μm、コントロールデータ領域43aのトラックピッチTp1は0.35μmである。また、コントロールデータ領域43aに形成したピットの幅をMw1とすると、
Mw1=0.5×Tp1
である。また、主情報領域43bに形成したピットの幅をMw2とすると、
Mw2=0.3×Tp2
である。すなわち、コントロールデータ領域43aに形成したピットの幅Mw1は、主情報領域43bに形成したピットの幅Mw2よりも太い。このことにより、コントロールデータ領域43aに記録された情報、主情報領域43bに記録された情報共、信頼性高く再生することができるようになる。コントロールデータ領域43aに形成するピット幅Mw1と、主情報領域43bに形成するピット幅Mw2を異ならせているのは、コントロールデータ領域43aに記録された情報の再生信号は和信号を用いて得られ、主情報領域43bに記録された情報の再生信号は差動信号を用いて得られるので、ピット幅の最適な条件が異なるためである。なお、コントロールデータ領域43aに形成したピットの幅Mw1は、
0.3×Tp1≦Mw1≦0.7×Tp1
であることが好ましい。差動演算を行うことで信号を得る場合、信号の品質は、
Mw1=0.5×Tp1
のとき最良となり、また、光記憶媒体の作製時に生じるピットの幅Mw1のばらつきに起因する信号振幅の変動も、最小であるためである。先の範囲であれば、実質的に良好な信号品質を確保することができる。
一方、主情報領域43bに形成したピットの幅Mw2は、0.5×Tp2以下であれば、良好な信号を得ることができる。
コントロールデータ領域43a、主情報領域43b、バッファ領域43cに形成するピット及びスペースの実効的な長さは、いずれも所定の周期Tを基本として、当該周期Tの整数倍であることが好ましい。周期Tは、例えば、0.08μmである。主情報領域43bに形成されるピット及びスペースは1−7変調を用いて符号化されており、それぞれ2T〜8Tの長さを有している。一方、コントロールデータ領域43aに形成されるピット及びスペースはそれぞれ単一の8Tの長さとしている。
ピット及びスペースをそれぞれ単一の長さとすることで、フェーズロックドループを構成する位相比較器における位相比較動作において、誤って無効な位相比較結果を出力することがなくなる。その結果極めて安定なクロック信号を生成できる。また、ピット及びスペースをそれぞれ単一の長さとすることで、差動信号を狭帯域のバンドパスフィルタに入力してノイズの著しい低減を行うことができるので、差動信号のS/Nを増大することができる。したがって、コントロールデータ領域43aに記録された情報を信頼性高く再生することができる。
また、コントロールデータ領域43aに形成されるピット及びスペースの長さML1は、光ピックアップの光源の波長をλ(例えば405nm)、対物レンズの開口数をNA(例えば0.85)としたとき、
ML1≧2×λ/NA
の関係が成り立つことが好ましい。この関係が成り立つ場合、クロック信号を生成する際、イコライザを用いなくても、ピットとスペースから得られる信号は十分大きな振幅となり、良好なクロック信号を得ることができ、回路規模は小さくなる。その分、安価な情報再生装置を提供することができる。
また、等価的なピットの深さMd1について、
λ/8≦Md1≦λ/4
の関係が成り立つようにすれば、高品位の信号を得ることができるので好ましい。
また、コントロールデータ領域43aに形成されるピット及びスペースの長さ、及びウォブルの周期を、それぞれ周期Tの整数倍とすることで、ピット及びスペースの繰り返しから生成可能なクロック信号を用いて、ウォブル変調されたコントロールデータ領域43aに記録された情報を検出することができるようになる。ピット及びスペースは、常に交互に形成することが可能なので、ウォブルよりも存在頻度が高く、その分、安定したクロック信号を生成でき、コントロールデータ領域43aに記録された情報を信頼性高く検出することができるようになる。
図6は、コントロールデータ領域43aに記録されたウォブルピットと、差動信号を用いて検出されたデジタル信号の一例を示している。
この例では、1つのウォブルの長さWob1は16Tとしており、1もしくは0に相当する情報の中心に、例えば8Tの長さのピットが存在するようにしている。すなわち、パルス位置変調となっている。パルス位置変調とすることにより、ジッタに強くなるので、コントロールデータ領域43aに記録された情報を信頼性高く再生することができる。また、ピットをウォブルさせるのに必要な遷移時間がスペースのタイミングで存在するので、高速な応答は必要とせず、音響光学素子等、安価な変調素子を用いることができるので、その分、安価な光記憶媒体を提供することができる。
本実施形態の光記憶媒体においても、コントロールデータ領域に記録される情報がトラッキングサーボ帯域よりも十分に高い周波数で変調したウォブル信号として記録されている。このため、通常の情報記録再生装置を用いて、光記憶媒体の複製を試みようとしても、ウォブル変調したピットを複製することはできないので、光記憶媒体を複製することはできなくなる。このようにして、不正な複製は効果的に排除される。
なお、ここでは、コントロールデータ領域43aに形成されるピット及びスペースはそれぞれ単一の8Tの長さとしたが、主情報領域に記録されるピットと同様に、特定の変調則に従って、複数種類の長さのピット及びスペースを形成してもよい。その場合、情報をピット及びスペース自身に持たせることができるので、その分、高容量の光記憶媒体を実現することができる。正規に製造がなされた光記憶媒体であること、もしくは情報を再生しても良いということを示す識別情報をウォブルで記録し、暗号化されたデータ情報を復号するための鍵情報をピット及びスペース列自身に持たせるときに特に有効である。このとき、鍵情報に高容量の情報を持たせることができるので、その分、暗号化されたデータ情報を不正に解析して復号することが難しくなる。従って、主情報領域に記録されたデータ情報の機密性を高めることができる。コントロールデータ領域43aに記録されるピット及びスペースの変調則を、主情報領域43bに記録されるピット及びスペースの変調則と同一とすることにより、復調するための回路を共通に使用することができ、その分安価な情報再生装置を提供することができる。
なお、本実施形態では、主情報領域43bに記録された情報が暗号化されていない例を示したが、暗号化されたデータ情報を主情報領域43bに記録することも可能である。その場合、実施の形態1にかかる光記憶媒体と同様に、物理フォーマット情報および光記憶媒体製造情報の他に、暗号化されたデータ情報を復号するための鍵情報を、光記憶媒体情報としてコントロールデータ領域43aに記録すればよい。また、この光記憶媒体を再生するための情報再生装置は、実施の形態2にかかる情報再生装置と同様に構成することができる。
(実施の形態5)
図7に、実施の形態4にかかる光記憶媒体の変形例として、コントロールデータ領域に記録されたウォブルピットと、差動信号を用いて検出されたデジタル信号の様子を示している。実施の形態4に示す光記憶媒体との違いは、実施の形態4に示す光記憶媒体は、1もしくは0に相当する情報の中心にピットが存在するようにしていたのに対して、本実施の形態に示す光記憶媒体は、1もしくは0に相当する情報の端にピットが存在するようにしていることである。本実施の形態の光記憶媒体を用いた場合には、1もしくは0に相当する情報の端のタイミングで差動信号をサンプリングして、1か0の判定を行うことにより、連続溝をウォブルさせたときと同様のS/Nを確保することができる。これにより、コントロールデータ領域43aに記録された情報を信頼性高く検出することができるようになる。
(実施の形態6)
図8に、実施の形態4にかかる光記憶媒体のさらなる変形例として、コントロールデータ領域に記録されたウォブルピットと、差動信号を用いて検出されたデジタル信号の様子を示している。実施の形態4に示す光記憶媒体との違いは、実施の形態4に示す光記憶媒体は、ピット及びスペースをそれぞれ実質的に8Tの長さとしていたが、本実施の形態の光記憶媒体は、ピット及びスペースをそれぞれ実質的に2Tの長さとしていることである。
ピット及びスペースの長さML1は、ML1≧λ/(2×NA)の関係を有している。このとき、ピット及びスペースの繰り返しから得られる信号を用いてクロック信号を生成することができる。
また、1つのウォブルの長さWob1は16Tとしており、ウォブルが常に存在している場合のウォブルの周期は32Tとなる。一方、ピット及びスペースの繰り返し周期は4Tであることから、ウォブルの周期はピット及びスペースを繰り返した周期の8倍となっている。ウォブルの周期をピット及びスペースを繰り返した周期の4倍以上とすることにより、隣接したトラックにピットが形成されたかスペースが形成されたかの影響を受けにくくなり、信頼性高くコントロールデータ領域43aに記録された情報を検出することができるようになる。
また、ピット及びスペースの繰り返し周期をウォブルの周期よりも短くすることで、ピット及びスペースの繰り返し周期に相当する周波数の信号を通過させる狭帯域のバンドパスフィルタに差動信号を入力して、ノイズの著しい低減を行うことができるので、差動信号のS/Nを増大することができる。また、このとき、隣接したトラックにピットが形成されたかスペースが形成されたかの影響を受けにくくなる。したがって、コントロールデータ領域43aに記録された情報を信頼性高く再生することができる。
(実施の形態7)
図11は、本発明にかかる情報再生装置のさらなる変形例として光ピックアップ4の構成要素の1つである光検出器51と、トラッキング誤差信号及びウォブリング信号を検出するための構成の概略を示す。トラッキング誤差信号及びウォブリング信号を検出するための構成は、制御手段の構成要素の一部であり、制御手段9のトラッキング誤差信号検出部を本構成と置き換えることにより、情報再生装置を構成できる。ここでは、位相差法により、トラッキング誤差信号及びウォブリング信号を検出している。受光部51aと51cから出力される信号は、加算部54で、受光部51bと51dから出力される信号は、加算部55で、それぞれ加算される。加算部54と55から出力される信号は、タイミング比較部56に入力される。タイミング比較部56は、光ピックアップ4から光記憶媒体41の情報記録層に形成されたマークの始端及び終端に照射されたビームの回折光が変化するタイミングに応じた信号を出力する。タイミング比較部56から出力される信号は、低域濾波器57でトラッキングサーボに不要な高周波成分が低減された後、トラッキング誤差信号となる。さらに、タイミング比較部56から出力される信号は、積算平均器58で、積算平均が行われた後、ウォブリング信号となる。
加算部59は、受光部51a〜51dから出力された信号を加算した後、クロック信号生成部60へ出力する。クロック信号生成部60は、光記憶媒体41の情報記録層に形成されたマーク列から、クロック信号、フレーム同期信号、ウォブル極性信号を生成して、積算平均器58へ出力する。積算平均器58で行われる積算平均は、クロック信号生成部60から出力される信号で制御される。
図12は、光記憶媒体41の情報記録層に記録される情報のフォーマットを示している。情報記録層には、フレーム同期パターンSyncとデータ列Data1、Data2、・・・が交互に記録されている。通常、データ列10バイトから1キロバイト程度に対して、同期パターンを1バイトから10バイト程度設けることにより、情報を読み出したときにビットスリップ等で大量にエラーが生じることを回避している。データ列には、符号変換された後に1もしくは0に相当するデータがそれぞれマークもしくはスペースとして記録される。EFMでは3T〜8Tの長さのマークもしくはスペースが、EFMplusでは3T〜14Tの長さのマークもしくはスペースが、1−7pp変調では、2T〜8Tの長さのマークもしくはスペースが、それぞれ記録される。EFMはコンパクトディスクで、EFMplusはDVDで、1−7ppはブルーレイディスクでそれぞれ用いられている符号変換方式である。ここで、Tは基本周期であり、3Tのマークとは、Tの3倍の長さのマークということである。
本光記憶媒体においては、1つのデータ列に1ビットの鍵情報を割り当てている。6P1〜6P10は、それぞれウォブルパターンの組であり、図13のパターン表に示すように、1つのウォブルパターンが6ビットからなる。ウォブルパターン6P1の場合、鍵情報のビットが1であれば、000111を、鍵情報のビットが0であれば、111000の状態をとる。すなわち、補数を割り当てている。補数を割り当てていることで、鍵情報のビットが1か0かを識別するために用いるハードウェアもしくはソフトウェアの構成が非常に簡単になり、安価な情報再生装置を提供することができる。ウォブルパターン6P2〜6P10についても、図13に示す通りで、同様である。
また、ウォブルパターンの1もしくは0に応じて、ウォブルをトラックの中心に対して対称に振幅させることにより、それぞれのウォブルパターンの範囲においてDCフリーの特性が実現されるので、トラッキングサーボには全く悪影響を与えない。また、図13のパターン表に示すウォブルパターンに基づいてマーク列をウォブルすることにより、ウォブルは一種の疑似ランダムパターンが記録されるので、解読の難易度は高くなるので、不当な複製がされにくくなる。また、ここでは、1つのデータ列に対して割り当てている10個のウォブルパターン6P1〜6P10は、同期パターンSyncとデータ列に記録されているデータのそれぞれに同期したパターンとなっている。
図12におけるデータ列Data1の場合は、鍵情報のビットが1の場合を示している。ウォブルパターン6P1〜6P10の状態に応じて、情報記録層に記録されるマークは、ウォブルされる。ウォブルされるタイミングを模式的に表した信号波形が波形WBである。ウォブルパターン6P1〜6P10の1ビットの長さは、ウォブルクロック信号WCLKの1周期に相当する。ウォブル波形は、ウォブルクロック信号WCLKの立ち上がりのタイミングでウォブルの変化が与えられる。ウォブルクロック信号WCLKの1周期は、基本周期Tの数倍〜10000倍程度が好ましい。最短の長さは、符号変換方式によって、最長の長さはトラッキングサーボのサーボ特性に悪影響を与えない範囲という条件でそれぞれ制約される。ここでは、ウォブルクロック信号WCLKの1周期は、基本周期Tの100倍としている。したがって、ウォブルパターンの1ビットに相当する長さには、複数のマークとスペースが存在することになる。したがって、マークの個数に応じた複数の信号がタイミング比較部56から出力される。積算平均器58では、図13に示すウォブルパターンの規則とクロック信号生成部60から出力されるウォブル極性信号に基づいて、積算の極性が切り替えられながら、タイミング比較部56から出力される複数の信号が、積算平均される。積算平均器58で行う積算回数をNとしたとき、信号対雑音比がNの平方根だけ改善される。したがって、積算回数Nが多い程、読み出した鍵情報の信頼性は高くなる。1ビットの鍵情報に対して、いくつのウォブルを割り当てるかについては、記録する鍵情報のビット数、読み出しに許される時間、必要な信号対雑音比、等に応じて自由に設計することができる。必要な信号対雑音比を一定とすると、1ビットの鍵情報に対して、割り当てるウォブルを多くする程、ウォブルの振幅は小さくてよく、その分クロストークの影響は小さくなる。したがって、鍵情報をコントロール情報領域だけではなく、主情報領域に記録しても、主情報領域の信号品質を損なうことなく、鍵情報を記録することができる。ウォブルをトラックピッチの1/30以下とするときには、クロストークの影響は全く無視できる。
なお、図12のフォーマットでは、鍵情報を連続的に入れる場合を示しているが、情報記録層内において、離散的に入れても構わない。その場合には、より解読の難易度は高くなるので、違法複製がされにくくなる。鍵情報を連続的に入れる場合には、読み出しに要する時間が短くなるので、情報再生装置のユーザの待ち時間を短くすることができる。
また、ここではDCフリーを1つのウォブルパターンを6ビットとした範囲で実現する場合について述べたが、特に大きな制約はなく、図14のパターン表に示すように、4ビットで実現してもよいし、更に多くのビットを用いて実現してもよい。
また、ここでは、データ列Data2以降に用いるウォブルパターンについて説明しなかったが、データ列Data1に記録したパターンと同じ規則のパターンを記録してもよいし、異ならせてもよい。また、各データ列にウォブルパターン6P1だけを記録する等、特定のウォブルパターンだけを用いても構わない。用いるウォブルパターンが少ない程、情報再生装置の構成は簡単となり、その分、安価となる。一方、用いるウォブルパターンが多い程、解読は困難となるので、不当な複製がされにくくなる。
また、ウォブルの極性が変化するタイミングがマークではなくスペースのときとなるように、パターン表を複数有していてもよい。ウォブルの極性が変化するタイミングがスペースのときとすることで、光記憶媒体の原盤をカッティングする際のビームを偏向させる変調器の性能に起因する悪影響が出にくくなるので、その分、信頼性高く鍵情報を読み出すことができる光記憶媒体を提供することができる。
図11に示す、クロック信号生成部60は、マーク及びスペース列に応じて変化する信号に基づいて、データを読み出すために用いられるデータクロック信号DCLK、フレーム同期信号とウォブルを読み出すために用いられるウォブルクロック信号WCLK、ウォブル極性信号を生成する。ウォブルクロック信号WCLK、ウォブル極性信号が生成できるのは、ウォブルパターンが、フレーム同期パターン及びデータ列と同期させているためである。マーク及びスペース列に応じて変化する信号に基づいてウォブルクロック信号WCLKを生成することにより、ウォブルの振幅が小さい場合や、離散的に記録されたときでも、ウォブルクロック信号WCLKを生成することができる。また、ウォブルクロック信号WCLKの1周期をデータクロック信号DCLKの整数倍とすることで、新たにフェイズロックループを持たなくても、ウォブルクロック信号WCLKをカウンター回路を用いて生成することができ、その分、簡単な回路構成で実現でき、安価な情報再生装置を提供することができる。フレーム同期パターンとウォブルを同期させるためには、1つのフレーム同期パターンに対し、ウォブルがM/2個あればよい。また、1つのウォブルに対し、フレーム同期パターンがM/2個あってもよい。ここで、Mは自然数である。したがって、フレーム同期パターンとウォブルの関係は、望みの設計により、自由に設定することが可能である。
また、ここで示した位相差法でトラッキング誤差信号を検出する検出部の構成は一例であり、遅延手段を付加した構成や、4つの受光部のうちの2つの受光部から出力される信号が変化するタイミングを比較する構成等、位相差法でトラッキング誤差信号を検出する構成はいずれも適用可能であることは言うまでもない。
また、本検出方式は、マーク列がウォブルされているときに特に有効である。位相差法は、マークで回折される光の変化するタイミングを検出する方式であり、位相比較器にAC結合した信号を入力すればよいので、電気的もしくは光学的に生じることのあるオフセットの影響を受けることはなく、その分信頼性高く信号を検出することができる。
また、上述した各実施形態に示すウォブルの周期、トラックピッチ、光源の波長、対物レンズの開口数、等の光学条件は、一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、様々な値にしてよい。
また、光記憶媒体の形状にも何ら制約はなく、円盤状やカード状等、必要に応じて様々な形にしても構わない。
なお、上述の各実施形態では、コントロールデータ領域において、鍵情報を含む光記憶媒体情報が、溝もしくはピットをウォブルすることで記録されている光記憶媒体を例示したが、溝もしくはピットは、凹凸いずれでも構わない。また、ウォブル変調は2値であっても3値であっても構わないし、符号化の変調則にも何ら制約はないので、様々な変調則を適用することができる。
また、複数の情報記録層を有する光記憶媒体においては、各情報記録層において情報を記録するための表面形状がどのように形成されているかに関する記録層情報、もしくは、トラッキング誤差信号の極性に関する情報(以下極性情報とする)を、光記憶媒体情報としてコントロールデータ領域に記録しておくことが好ましい。前記の記録層情報とは、情報記録層において情報を記録するために形成されているのが、光が入射する側に対して凹または凸の溝もしくは凹または凸のピットのいずれであるかを表す情報である。このように、極性情報を記録しておくことにより、プッシュプル法によってトラッキング誤差信号を検出する場合でも、所望のトラック上にトラッキング動作を行うことができるようになる。極性情報が記録されていない場合、光記憶媒体に対して最初に情報を記録もしくは再生を行う場合、トラッキング誤差信号の極性が分からないので、トラッキング動作を行ったとき、トラック上とトラック間のどちらにトラッキングされるか分からず、極性を学習するための時間が必要となる。極性情報が光記憶媒体情報としてコントロールデータ領域に記録されている場合には、各層のトラッキング誤差信号の極性が予め判るので、極性を学習する時間は不要であり、その分、情報を記録もしくは再生するのに必要な時間は短くできる。極性情報は、少なくとも、複数の情報記録層のうちの基準となる層に記録することが望ましい。複数の情報記録層を有する光記憶媒体における基準となる層は、単一の情報記録層を有する光記憶媒体における当該情報記録層と、同じ位置にある層である。すなわち、単一の情報記録層を有する光記憶媒体において、光が入射する面から情報記録層までの距離をxとすると、複数の情報記録層を有する光記憶媒体において、光が入射する面から距離xに位置する情報記録層が、前記の基準層となる。なお、複数の情報記録層を有する光記憶媒体において、各情報記録層に極性情報を記録すれば、更に良い。
また、本発明は、マークが凹凸のいずれで形成される場合にも適用されるので、光記憶媒体を作製する際、様々な工法を自由に選択することが可能である。これにより、安価な光記憶媒体を提供することができる。
さらに、本発明は、マーク列が凹凸のピットとして形成された媒体に限定されず、色素の濃淡によりマーク列が形成された光記憶媒体にも適用できる。
また、主情報領域に凹もしくは凸のピット列でデータが記録される場合、コントロールデータ領域にも凹もしくは凸のピット列で情報が記録されることも好ましい。主情報領域、コントロールデータ領域のいずれもピット列で記録することにより、光記憶媒体を作製する際の成形作業は、ピットと溝が混在する場合と比較して、極めて容易であり、その分、光記憶媒体を作製する際の歩留まりは向上し、安価な光記憶媒体を提供することができる。また、その際、コントロールデータ領域に記録される光記憶媒体に関する情報は、主情報領域に記録される情報と同じ変調方式のピット列として記録することにより、主情報領域に記録された情報を再生する際に用いられるハードウェアがそのまま、コントロールデータ領域に記録された情報を再生する際に共用可能であり、安価な情報再生装置を提供することができる。更に、光記憶媒体に関する情報は、ピット列として記録し、鍵情報をコントロールデータ領域に記録するピットをウォブルすることで記録することも好ましい。コントロールデータ領域に記録された情報を読み出す際に、同時に、鍵情報を読み出すことができ、すなわち、実質的に鍵情報を読み出すのに必要な時間をなくすことができるので、光記憶媒体を情報再生装置に挿入してから光記憶媒体に記録された情報を再生するまでに要する時間に制約を与えなくなり、更なる待ち時間の負担を与えなくて済む情報再生装置を提供することができる。なお、鍵情報の代わりに、正規の製造がなされた光記憶媒体であることもしくは情報を再生しても良いということを示す識別情報等、正規の光記憶媒体か不正に複製された光記憶媒体かを識別できる情報を用いても良く、同様に本発明の目的は達成される。また、位相差法を適用して、情報の再生に全く支障のないフォーマットを有する光記憶媒体の場合には、実質的なピットの深さを約λ/4とすることが好ましい。このとき、ピット列から得られる信号のジッタは最良となり、更に、位相差法で得られるトラッキング誤差信号も最もS/Nが良くなり、その結果、信頼性の高い光記憶媒体となる。
また、積算平均器を適用することで信号対雑音比を改善できるということは、位相差法による検出方式に限ったことではなく、プッシュプル法等、他の信号検出方式でも同様に、積算平均器を適用することで信号対雑音比を改善できる。
(実施の形態8)
以下、本発明の実施の形態8について図面を用いて詳細に説明する。以下、光記憶媒体としてDVDを例示するが、本発明の光記憶媒体はDVDに限定されない。
図15は、本実施形態のDVDにおける記録マークの変位について示した概念図である。本実施形態のDVDは、フレーム単位に主情報が記録されたDVDであって、同期符号部101およびデータ部102を持つ。本DVDでは、少なくとも一部のフレームにおいて、同期符号部101を除いたデータ部102の記録マークを、変位制御信号に基づいてラジアル方向(半径方向)に微少量変位させる(ウォブルさせる)ことによって、副情報が記録されている。
本実施形態に係るDVDの変位制御信号とは、同期符号の挿入位置で初期化された擬似乱数系列によって副情報をスペクトラム拡散した信号である。変位制御信号が”1”の区間では、記録マークは、ディスク外周側に微小変位量D1だけ変位される。一方、変位制御信号が”0”の区間では、記録マークは、ディスク内周側へ微小変位量D0だけ変位される。
なお、記録マークの変位量は、5nmp-p(nanometer peak to peak)〜20nmp-pの範囲であることが好ましい。記録マークのラジアル方向への変位量をこの範囲とすることにより、SEM(走査電子顕微鏡)での観測が困難であり、かつ、安定にウォブルの読み出しが可能となるからである。
また、記録マークを変位させる周期(ウォブル周期)は、トラッキングサーボが追従する帯域以上の帯域であることが好ましい。トラッキングサーボが追従すると、ウォブルの検出ができないからである。例えば、16Tウォブルであれば、3.75MHz以上であることが好ましい。
さらに、各フレームに整数個のウォブルが存在することが好ましい。ウォブル検出のピットずれを補正することができ、主情報と同期したウォブルを形成することができるからである。
一方、同期符号部101などの主情報の再生に重要な領域には、前述のような記録マークのラジアル方向への変位が施されない為に、副情報を記録した場合に於いても主情報の読み取り精度への影響を最小限にすることが可能である。
また、DVDでは、セクタ内の第1フレームに於いて、主情報の再生に重要となるIDが記録される。
本実施形態に係るDVDは、IDの付与されているような重要なフレーム(例えば図15に示すフレーム105)においてはラジアル方向への変位を行わない。すなわち、ラジアル方向への変位を行うか否かを、フレーム単位で制御する。
また、本実施形態に係るDVDでは、記録マークをラジアル方向へ微少量変位させることによって副情報が記録されるので、ラジアル方向へ変位させた記録マークと隣のトラックの記録マークとが再生時に相互に影響を受け(クロストーク)、再生品質が劣化する可能性がある。従って、本実施形態に係るDVDは、副情報を記録する領域、すなわち記録マークをラジアル方向へ微少量変位させる領域のトラックピッチTpAを、副情報を記録しない領域、すなわち記録マークをラジアル方向へ微少量変位させない領域のトラックピッチTpB以上にすることにより、クロストーク問題を解決している。しかしながら、記録マークのラジアル方向変位量が、クロストーク問題が発生しない程度に微小な場合には、副情報を記録する領域のトラックピッチと副情報を記録しない領域のトラックピッチとは等しくてよい。
また、本実施形態にかかるDVDにおいて、記録マークのラジアル方向への変位量を、ラジアル方向への変位を行わない通常の光ディスクで許容されるラジアル変位量以下としても良い。これにより、記録マーク形状からは副情報の有無を確認することが困難となり、より機密性の高い情報を副情報として記録することが可能となる。
次に、本実施形態に係るDVDに対し、ラジアル方向への記録マークの微少量変位によって副情報を記録するフォーマットを、図16を用いて説明する。
DVDは、論理的な読み出し単位であるECCブロック201内に16個のセクタ202を有する。セクタ202内には、同期符号部203とデータ部204を有する26個のフレーム207が存在する。セクタ202内の第1フレーム(♯0)には、データ部204にID205が付与されている。
この実施の形態8では、一例として、3個のフレームの記録マークをラジアル方向へ微少量変位させることにより、副情報を1ビット記録する形態について説明する。
すなわち、図16に示した例では、第2〜第4フレーム(♯1〜♯3)の3フレームに1ビットのセキュリティ情報(secure info[0])が副情報として記録され、以下、第23〜第25フレーム(♯22〜♯24)のsecure info[7]まで同様に、3フレーム毎に1ビットの副情報が記録されている。なお、ここでは、副情報の例としてセキュリティ情報を示したが、副情報の種類や用途はセキュリティ情報そのものに限定されない。
同期符号部203に記録される同期符号は、前後の同期符号との比較によってセクタ内の何番目のフレームであるかの判断を行うことにより再生時のフレームずれを検出するとともに、再生情報のビットずれ、バイトずれ等も同時に検出し補正する目的で付与されている。そのため、同期符号の検出精度が悪化すれば、上記のような再生ずれを検出することができなくなる為、異常な再生を正常状態へ修正することが困難となってしまう。本実施形態に係る光ディスクは、上記のように再生品質を低下させることなく副情報を記録するために、同期符号部203では記録マークのラジアル方向微少量変位を行わない。つまり、記録マークのラジアル方向への微少量変位を、主情報の再生に重要な同期符号部203では行うことなく、フレーム内のデータ部204の記録マークのみにラジアル方向の微少量変位がなされる。
また、DVDではセクタ内の第1フレームにセクタ識別子であるID205が付与されている。ID205は、本光ディスクを再生する再生装置のための光ディスク内の位置情報として用いられる。このため、ID205の読み取り精度が悪化すれば、同期符号の読み取り悪化と同様に再生精度に重大な影響を及ぼす。従って、本実施形態に係る光ディスクは、ID205を含むセクタ内の第1フレームおよびID205の付与されたフレームの前のフレーム(前セクタの第26フレーム(フレーム♯25))の記録マークについてはラジアル方向への変位を行わない。
以上のように、本実施形態に係るDVDでは、IDが付与される単位であるセクタ内の全26フレーム中、第1フレーム及び第26フレームを除く24個のフレームにおいて、複数フレーム単位(本実施形態8では3フレーム毎)で副情報1ビットが記録される。すなわち、本実施形態8では、1セクタ内に8ビット、1ECCブロックに128ビットの副情報が記録される。
次に、図17を用いて本実施形態に係るDVDにおいて、記録マークをラジアル方向へ微少量変位させることにより副情報を記録する方法について説明する。
DVDは、記録する主情報を8ビットごとに16ビット情報へ変調(8−16変調)するとともに一定の間隔ごとに同期符号を挿入することによって、チャネルコード(図17のA)を生成する。通常のDVDでは、チャネルコードをNRZI変換することによって、チャネル信号(図17のB)を生成し、このチャネル信号に従って記録レーザパワーを変動させることによって、光ディスク上に記録マーク(図17のC)を生成する。
本実施形態に係るDVDでは、変位許可信号(図17のD)が”H”である期間、擬似乱数系列(図17のE)を発生させ、この擬似乱数系列によって記録マークを内周側あるいは外周側へ微少量変位させることにより副情報が記録される。なお、変位許可信号は、各フレームで同期符号が挿入される期間、および、各セクタ内の第1、第26フレームの期間、”L”となる。また、変位許可信号が”L”の期間は、記録マークはラジアル方向へ微少量変位されない。
副情報ビット値として「0」が記録される場合は、上記の擬似乱数系列(図17のE)と副情報「0」との排他論理和演算を行うことにより、変位制御信号(図17のF)を生成する。そして、この変位制御信号にPE変調を施したPE変調変位制御信号(図17のG)に従って、記録マークをラジアル方向へ微少量変位させる。本実施形態8では、PE変調変位制御信号が”H”の区間の記録マークは光ディスク外周側へ、PE変調変位制御信号が”L”の区間の記録マークは光ディスク内周側へ、微少量変位させる。このように、副情報「0」を重畳した変位記録マーク(図17のH)が光ディスク上に形成される。
一方、副情報ビット値として「1」が記録される場合も同様に、上記の擬似乱数系列(図17のE)と副情報「1」とを排他的論理和演算を行うことにより、変位制御信号(図17のI)を生成する。そして、この変位制御信号にPE変調を施したPE変調変位制御信号(図17のJ)に従って、記録マークをラジアル方向へ微少量変位させる。本実施形態8では、PE変調変位制御信号が”H”の区間の記録マークは光ディスク外周側へ、PE変調変位制御信号が”L”の区間の記録マークは光ディスク内周側へ、微少量変位させる。このようにして、副情報「1」を重畳した変位記録マーク(図17のK)が光ディスク上に形成される。
以上のように、本実施形態に係るDVDの記録マークは、同期符号を生成する記録マークおよび第1、第26フレームを構成する記録マークを除いて、副情報としてビット値「0」が記録される区間では、同期符号の挿入位置を基準とした擬似乱数系列にPE変調を施したPE変調変位制御信号に従って、ラジアル方向への微少量変位が行われる。逆に、副情報としてビット値「1」が記録される区間では、同期符号の挿入位置を基準とした擬似乱数系列を反転後にPE変調を施したPE変調変位制御信号に従って、ラジアル方向への微少量変位が行われる。
次に、本実施形態に係る情報記録装置について説明する。なお、ここでも、光ディスクとしてDVDを用いる例を示すが、本発明はこれに限定されない。
本実施形態に係るDVD記録装置の主なブロック構成を図18に示す。本実施形態8におけるDVD記録装置は、光学的に読み取り可能な記録マークを光ディスク(DVD)上に螺旋状に形成することにより主情報を記録するとともに、主情報のフレーム単位に同期符号を挿入するタイミングを基準に生成した変位制御信号に従って、上記記録マークをラジアル方向に微少量変位させることによって副情報を記録する装置である。本DVD記録装置は、タイミング生成器401、変調器402、乱数発生器403、XOR404、PE変調器405、記録チャネル406、ラジアル変調器408および記録ヘッド407を備えている。
タイミング生成器401は、同期信号、バイトクロック、変位許可信号、およびPE信号を生成する。同期信号は、主情報記録のための基準クロック信号である記録クロックから、同期符号を付与するタイミングを示す。バイトクロックは、バイト単位に同期する信号であり、DVDでは、クロックの16分周である。変位許可信号は、前述のように、第1および第26フレーム及び同期符号を付与するタイミングのみ“L”となる信号である。PE信号は、8クロック“H”後、8クロック“L”を繰り返す信号である。タイミング生成器401は、生成した同期信号を変調器402、乱数発生器403およびXOR404へ、バイトクロックを乱数発生器403へ、変位許可信号をラジアル変調器408へ、またPE信号をPE変調器405へ、それぞれ出力する。
同期信号は、変調器402が主情報を変調した結果に対して一定の間隔ごとに同期符号を挿入するタイミングを示す信号であり、DVDでは記録するフレーム先頭から32クロック区間を示す信号である。
バイトクロックは、記録する主情報のバイト単位(16記録クロック分)に同期するクロック信号であり、DVDでは記録クロックを16分周することにより生成される。
変位許可信号は、DVDでは変調器402によって同期符号を挿入するタイミングおよび記録するセクタ内の第1および第26フレームの区間”Low”となり、上記以外の区間で”High”となる信号である。
PE信号は、記録する主情報のバイト単位(16記録クロック分)の前8ビットが”High”、後8ビットが”Low”となる信号である。
変調器402は、記録する主情報のバイト(8ビット)単位に、16ビット情報へ変換(8−16変調)するとともに、タイミング生成器401からの同期信号が”High”の区間に同期符号を挿入することによりチャネルコードを生成する。そして、そのチャネルコードをNRZI変換することによってチャネル信号を生成して記録チャネル406に出力する。
乱数発生器403は、タイミング生成器401からの同期信号とバイトクロックから、擬似乱数系列を生成する。その詳細なブロックを図19に示す。
本実施形態の乱数発生器403は、シフトレジスタ501とXOR502から構成される。乱数発生器403は、同期信号が”High”の区間では、本情報記録装置内部に秘密に記憶している初期値をプリセットする。一方、同期信号が”Low”の区間では、タイミング生成器401からの主情報のバイト単位に同期したバイトクロックのタイミングで、シフトレジスタのLSBを擬似乱数系列1ビットとして出力する。また、これとともに、シフトレジスタ501をLSBからMSBへ1ビットシフトし、シフトレジスタ[10]とシフトレジスタ[14]の排他的論理和をシフトレジスタ[0]にフィードバックさせる。このように、乱数発生器403は、主情報のバイト単位に1ビットずつ更新される乱数系列を発生させ、XOR404へ出力する。
XOR404は、乱数系列と記録する副情報との排他的論理和を算出する部分であり、図20に示すように、主に、副情報記憶部601、副情報更新部602および排他的論理和算出部603で構成される。
副情報記憶部601は、主情報の論理的な情報単位であるECCブロックごとに、記録する副情報(本発明の実施の形態8では128ビット)を記憶する部分である。
副情報更新部602は、タイミング生成器401からの同期信号から、記録するセクタ位置およびフレーム位置を算出する。そして、副情報を1ビット記録する領域(本実施形態では、図16に示すような3フレームに1ビットを記録する形態)ごとに、現在のセクタ位置およびフレーム位置に対応する副情報1ビットを副情報記憶部601から抽出して、排他的論理和算出部603に出力する。
以上のように、副情報更新部602では、セクタ内の第1および第26フレームを除いた全24フレームで、3フレーム毎に1ビットずつの副情報を副情報記憶部601から取り出す。従って、1セクタでは8ビット、1ECCブロックでは128ビットの副情報が、順に取り出されることになる。
PE変調器405は、XOR404から出力された変位制御信号とタイミング生成器401から出力されたPE信号からPE変調変位制御信号を生成し、ラジアル変調器408へ出力する。本実施形態のPE変調器405は、排他的論理和ゲートにより構成される。
記録チャネル406は、変調器402からのチャネル信号の「1」「0」に従って、光ディスク(DVD)410に露光する記録ビームを「ON」「OFF」させる制御信号を生成し、記録ヘッド407へ出力する。
記録ヘッド407は、記録チャネルからの「ON」「OFF」信号に基づいて光ディスク410上に記録ビームを照射して記録マークを形成することによって、主情報を記録する。
ラジアル変調器408は、記録ヘッド407の近傍に設けられた電極409へかかる電圧を制御することによって、記録ヘッド407から光ディスク410へ照射される記録ビームを屈折させる。これにより、記録マークをラジアル方向に微少量ずらせて記録することができる。ラジアル変調器408は、図21に示すように、デジタルウォブル信号発生器701、DA変換器702、およびLPF703により構成される。
デジタルウォブル信号発生器701は、タイミング生成器401からの変位許可信号とPE変調器405からのPE変調変位制御信号を受信する。そして、変位許可信号が”Low”の時は、”0”レベル、変位許可信号が”High”かつPE変調変位制御信号が”High”の時は、”+”レベル、変位許可信号が”High”かつPE変調変位制御信号が”Low”の時は、”−”レベルの、3段階のレベルを示すデジタルウォブル信号を生成し、DA変換器702へ出力する。例えば、デジタルウォブル信号が10ビットである場合には、”+”レベルとして16進数の”3FF”、”0”レベルとして16進数の”200”、”−”レベルとして16進数の”001”を生成する。
DA変換器702は、デジタルウォブル信号発生器701から出力される3段階のデジタルウォブル信号をデジタル・アナログ変換(DA変換)する。DA変換器702は、入力される”+”レベル、”−”レベルおよび”0”レベルのデジタルウォブル信号を、+V、−Vおよびグランドレベルへそれぞれ変換したアナログウォブル信号を生成し、LPF703へ出力する。LPF703は、アナログウォブル信号から雑音成分である高周波成分をカットしてアナログ変位制御信号を生成し、電極409へ出力する。
先にも述べたように、電極409へかかる電圧レベルに応じて記録ビームがラジアル方向へ屈折する。このため、例えばGNDレベルを基準とした場合、+Vの電圧が電極にかかると外周方向へ記録マークが微少量変位し、−Vの電圧が電極にかかると内周側へ記録マークが微少量変位して、光ディスク410上に形成される。
次に、図22および図23を用いて、本情報記録装置により主情報及び副情報が記録される動作について説明する。なお、図22は副情報ビット値「0」を記録する場合の動作を示したタイミング図であり、図23は副情報ビット値「1」を記録する場合の動作を示したタイミング図である。
本情報記録装置では、変調器402によって、記録する主情報をバイト単位に16ビット情報へ変換(8−16変換)し、チャネルコード(図22のA、図23のA)を生成する。また、タイミング生成器401からの同期符号を挿入するタイミングを示す同期信号(図22のC、図23のC)が”High”の区間で、同期符号をチャネルコードに挿入した後、NRZI変換することにより、チャネル信号(図22のB、図23のB)を生成して記録チャネル406へ出力する。
また、タイミング生成器401は、各フレーム内の同期符号部801の区間と、第1フレームおよび第26フレームを除く区間で”High”となるような変位許可信号(図22のD、図23のD)を生成し、ラジアル変調器408へ出力する。
図24は、上記の変位許可信号のセクタ内での変化を示すタイミング図である。変位許可信号は、セクタ内の全26フレームのそれぞれに対して同期符号部801を記録する区間である同期符号区間1001と、第1フレームを記録する区間1002および第26フレームを記録する区間1003が”Low”、データ領域802を記録する区間1004は”High”となる信号である。
乱数発生器403では、タイミング生成器401からの同期信号(図22のC、図23のC)の立ち下がるタイミングを初期化タイミング803として、内部に秘密に記憶している初期値をプリセットし、タイミング生成器401からのバイトクロックに従って、1ビットずつ乱数系列(図22E、図23E)を発生し、XOR404へ出力する。本実施形態8では、DVDへの適用例を示している為、主情報の1バイトに対応する16ビットのチャネル信号単位に1ビットの乱数系列を発生させている。
XOR404では、予め記録するECC単位に128ビットの副情報を記憶し、タイミング生成器401からの同期信号をカウントすることによって、現在記録しているセクタ番号およびフレーム番号を判定して、対応している副情報1ビットを予め記憶しておいた副情報から取り出す。取り出された副情報1ビット(図22のF、図23のF)と、乱数発生器403からの乱数系列との排他的論理和を算出することによって、変位制御信号(図22のG、図23のG)が生成される。
従って、XOR404にて生成される変位制御信号は、記録する副情報ビットが”0”の場合には、乱数発生器403で発生させた乱数系列と同一の信号(図22のG)となる。逆に、記録する副情報ビットが”1”の場合には乱数発生器403で発生させた乱数系列を反転させた信号(図23のG)と同等の信号となる。
次に、XOR404で生成された変位制御信号(図22のG、図23のG)は、タイミング生成器401で生成された、チャネル信号8ビットごとに”1””0”が反転するPE信号(図22のH、図23のH)によってPE変調が施される。この結果としてPE変調変位制御信号(図22のI、図23のI)が得られ、ラジアル変調器408に出力される。
ラジアル変調器408は、タイミング生成器401からの変位許可信号(図22のD、図23のD)とPE変調器405からのPE変調変位制御信号(図22のI、図23のI)から、3種類のレベル(GNDレベル、+Vレベル、−Vレベル)を持つアナログ変位制御信号(図22のJ、図23のJ)を生成する。アナログ変位制御信号は、PE変調変位制御信号が“1”の間は+Vレベル、“0”の間は−Vレベルとなる。上記のアナログ変位制御信号を電極409へ出力することによって、電極にGNDレベルの電圧がかかる場合に記録ヘッド407から照射される記録ビームが形成する光スポット位置を基準として、アナログ変位制御信号が+Vレベルの場合はΔdだけ光ディスク外周側、−Vレベルの場合はΔdだけ光ディスク内周側へ光スポットが形成されるように、光ビームを屈折させる。これにより、同期符号、第1フレームおよび第26フレームを除いた記録マークに対して、外周側へΔd、内周側へΔdのラジアル方向への微少量変位を施した記録マーク(図22のK、図23のK)を光ディスク上に形成することができる。
従って、本実施形態に係る情報記録装置は、副情報「0」および副情報「1」を記録するチャネル信号が同一であれば、副情報「0」を記録する記録マークと副情報「1」を記録する記録マークは、記録マークの中心線を基準として反転させた形状に光ディスク上に形成されることになる。
次に、本発明に係る光記憶媒体から主情報と副情報を同時に再生する情報再生装置の具体例として、記録マークがディスク上に螺旋状に形成されたDVDを再生する装置について説明する。ただし、本発明にかかる再生装置は、この例に限定されるものではない。
図25は、本実施形態の情報再生装置の主なブロックを示したブロック図である。本実施形態の情報再生装置は、再生ヘッド1101、再生チャネル1102、クロック抽出器1103、再生信号処理回路1104、乱数発生器1105、PE変調器1106、TE信号AD変換器1107および副情報検出器1108を備えている。
再生ヘッド1101は、光ディスク1109上の記録マークに光ビームを集光して照射し、その反射光をフォトディテクタにより電気信号に変換することによって、記録マークにより記録された情報の再生信号であるRF信号を生成し、再生チャネル1102に出力する。これとともに、再生ヘッド1101は、光ディスク1109上に螺旋状に記録された記録マークの中心位置に光ビームの中心位置を追従させた結果得られる、記録マークのラジアル方向への位相誤差を示すアナログTE信号を生成し、TE信号AD変換器1107へ出力する。
図26は、記録マークのラジアル方向の変位を示すTE信号を生成するための主な構成を示す概念図である。
再生ヘッド1101は、半導体レーザ1201からの出射光を、光学系1202により、光ディスク1109上の記録マークへ焦点があうように集光させる。また、光学系1202では、光ディスク1109へ照射するレーザビームと光ディスク1109からの反射光とを分離し、上記の反射光をフォトディテクタ1203,1204によって電気信号へ変換する。フォトディテクタ1203,1204は、記録マークの中心線に対し、外周側、内周側に対称に設けられている。フォトディテクタ1203,1204は、外周側あるいは内周側のそれぞれで反射光の明度を電気的に判別するので、フォトディテクタ1203とフォトディテクタ1204の信号レベルの差分を取ることによって、記録マークのラジアル方向への変位を抽出することができる。
通常、トラッキングサーボにより、記録マークの中心位置にレーザビームの中心がトラッキングしているが、例えば、記録マークが外周方向へ変位している場合には、フォトディテクタ1203で感知する反射光の方が、フォトディテクタ1204よりも高いため、TE信号として”+”電位が出力される。一方、記録マークの中心位置が内周側へ変位している時、フォトディテクタ1203で感知する反射光の方が、フォトディテクタ1204よりも低いため、”−”電位がTE信号として出力される。また、このようなTE信号は、記録マークのアナログの読み取り信号であるRF信号と同帯域で出力される。
再生チャネル1102は、再生ヘッドからのRF信号に対して波形等化や整形を行うことによりデジタル読み出し信号に変換し、クロック抽出器1103および再生信号処理回路1104へ出力する。
クロック抽出器1103は、再生チャネル1102によってデジタル化されたデジタル読み出し信号から上記のデジタル読み出し信号に同期したクロック信号を抽出する為のPLL(Phase Locked Loop)回路を内蔵している。また、後に述べる再生信号処理回路1104からの同期信号のタイミングで、PLL回路から抽出したクロック信号を16分周することによってデジタル読み出し信号の16ビット単位に同期したバイトクロックと、デジタル読み出し信号の16ビット単位に前8ビット”High”、後8ビット”Low”となるPE信号を生成する。クロック抽出機1103は、バイトクロックを再生信号処理回路1104、乱数発生器1105および副情報検出器1108へ出力し、PE信号をPE変調器1106へ出力する。
再生信号処理回路1104は、再生チャネルからのデジタル読み出し信号とクロック抽出器1103からのクロックから、同期符号が検出されたことを示す同期信号を生成し、上記の同期符号の検出位置を基準として、デジタル読み出し信号16ビット単位に1バイト(8ビット)の主情報へ復調することで、主情報を再生する。また、デジタル読み出し信号から同期符号を検出した結果生成する同期信号を、クロック抽出器1103、乱数発生器1105および副情報検出器1108へ出力する。
乱数発生器1105は、本実施形態8の情報記録装置の乱数発生器403と同一の機能を有し、再生信号処理回路1104からの同期信号の”High”のタイミングで、内部に秘密に記憶している初期値をプリセットし、クロック抽出器1103からのバイトクロックのタイミングで乱数系列(相関系列)を1ビットずつ発生させ、PE変調器1106へ出力する。また、再生信号処理回路1104は、同期符号から、現在再生しているセクタ内のフレーム番号を判断し、セクタ内の第1フレーム、第26フレームおよび同期符号が検出される区間で”Low”、上記以外のデータ部では”High”となる相関検出許可信号を生成し、副情報検出器1108へ出力する。
PE変調器1106は、本実施形態8の情報記録装置におけるPE変調器405と同一の機能を有し、排他的論理和ゲートにより構成され、乱数発生器1105からの乱数系列(相関系列)とクロック抽出器1103からのPE信号との排他的論理和を算出することにより、PE変調相関系列を生成し、副情報検出器1108に出力する。
TE信号AD変換器1107は、再生ヘッド1101からのTE信号をクロック抽出器1103からのクロックのタイミングでサンプリングしデジタル信号へ変換する。AD変換されたデジタルTE信号は、副情報検出器1108へ出力される。
副情報検出器1108は、クロック抽出器1103からのバイトクロックと再生信号処理回路1104からの同期信号、相関検出許可信号とPE変調器1106からのPE変調相関系列とTE信号AD変換器1107からのデジタルTE信号を元に副情報を検出する。副情報検出器1108は、図27に示すように、セレクタ1301、副情報更新タイミング生成器1302、レベル積分器1303、およびしきい値判定器1304を備えている。
セレクタ1301は、TE信号AD変換器1107によって出力されたデジタルTE信号を、PE変調器1106からのPE変調相関系列に応じてレベル変換し、レベル積分器1303へ出力する。なお、本実施形態8では、デジタルTE信号は、記録マークが中心位置にある場合を0レベルとし、かつ、外周側へ記録マークが変位している時には”+”レベル、内周側へ記録マークが変位している時には”−”レベルとし、かつ、2の補数表現をとる。セレクタ1301は、このデジタルTE信号に対して、例えば、PE変調器1106からのPE変調相関系列が”1”の場合には、”+”レベルは”+”レベル、”−”レベルは”−”レベルとそのままの状態で、レベル積分器1303へ出力する。逆に、PE変調相関系列が”0”の場合には、”+”レベルは”−”レベルへ、”−”レベルは”+”レベルへと反転させた状態で、レベル積分器1303へ出力する。
副情報更新タイミング生成器1302は、クロック抽出器1103からのクロックと、再生信号処理回路1104からの同期信号をカウントすることにより、再生しているセクタ内のフレーム番号を算出し、セクタ内の第1および第26フレームを除いた全24フレーム内で、3フレーム単位に副情報を更新するタイミング信号を生成し、レベル積分器1303およびしきい値判定器1304に出力する。
レベル積分器1303は、再生信号処理回路1104からの相関検出許可信号が”High”の区間でセレクタ1301から出力される、一部反転された2の補数表現のデジタルTE信号の積分値を算出する部分である。
また、レベル積分器1303は、副情報更新タイミング生成器1302から3フレームに一度出力される副情報更新タイミング信号のタイミングで、積分結果をしきい値判定器1304に出力するとともに、レベル積分器1303内部の積分値をクリアする(0にする)。
従って、本レベル積分器1303は、PE変調相関系列が”1”でデジタルTE信号が”+”レベル、あるいはPE変調相関系列が”0”でデジタルTE信号が”−”レベルのみ検出される場合には、積分値として正の値へ増加し続ける。対称に、PE変調相関系列が”1”でデジタルTE信号が”−”レベル、あるいはPE変調相関系列が”0”でデジタルTE信号が”+”レベルのみ検出される場合には、積分値として負の値へ減少し続ける。
しきい値判定器1304は、内部に正のしきい値および負のしきい値を記憶しており、レベル積分器1303から3フレーム毎に出力される積分値を上記の正負のしきい値によるしきい値判定を行うことにより、副情報の有無を示す検出フラグと副情報が存在する場合には、その副情報を出力する。
本しきい値判定器1304のしきい値判定処理は、レベル積分器1303から出力された積分値が、正のしきい値以上である場合には、副情報としてビット値「0」を出力するとともに検出フラグとして”High”を出力する。また、積分値が、負のしきい値以下である場合には、副情報としてビット値「1」を出力するとともに、検出フラグに”High”を出力する。一方、積分値が正のしきい値に満たず、かつ、負のしきい値よりも大きい場合(すなわち、正負のしきい値に比べ、0付近の積分値)である場合には、副情報が検出されなかったとして検出フラグに”Low”を出力する。
次に、本情報再生装置により主情報及び副情報を再生する時の動作について説明する。
図28および図29は、本情報再生装置により主情報及び副情報を再生する時のタイミング図であり、図28は副情報のビット値「0」を検出する場合、図29は副情報のビット値「1」を検出する場合である。
本情報再生装置は、光ディスク上に形成されている記録マーク(図28のA、図29のA)に光ビームを照射し、その反射光をフォトディテクタにて電気信号に変換した後、再生チャネル1102によりデジタル化し、デジタル読み出し信号(図28のB、図29のB)を生成する。
また、上記のデジタル読み出し信号を元に、クロック抽出器1103にて、上記のデジタル読み出し信号に同期したクロック(図28のC、図29のC)を生成する。
また、再生信号処理回路1104は、上記のデジタル読み出し信号から同期符号を検出することにより同期符号部1401を検出し、同期信号(図28のD、図29のD)を生成する。
また、再生信号処理回路1104は、セクタ内の同期信号をカウントすることによって現在再生しているフレーム位置を判定し、各フレームで同期符号の記録されている領域である同期符号部1401および第1フレーム、第26フレームを除いた区間で”High”となる相関検出許可信号(図28のE、図29のE)を生成する。
従って、セクタ内での相関検出許可信号として、図24のように、各フレームの同期符号部1401を再生する区間(図24の区間1001参照)および第1フレーム、第26フレームを再生する区間(図24の区間1002,1003参照)を除いた区間で”High”となる信号を生成することが可能である。
乱数発生器1105は、同期信号が検出されたタイミング(初期化タイミング1403)で予め内部に秘密に記憶している初期値をプリセットし、クロック抽出器1103からのバイトクロック(同期信号を基準として、クロックを16分周したクロック)に従って1ビットずつ相関系列(図28のF、図29のF)を生成する。
PE変調器1106は、クロック抽出器1103から出力される上記の同期信号を基準に8ビットずつ”High””Low”を繰り返すPE信号(図28のG、図29のG)を用いて、乱数発生器1105からの相関系列にPE変調を施す。これにより得られたPE変調相関信号(図28のH、図29のH)を、副情報検出器1108へ出力する。
副情報検出器1108は、再生ヘッド1101で生成したTE信号(図28のI、図29のI)をデジタル化したデジタルTE信号を元に、PE変調器1106からのPE変調相関系列(図28のH、図29のH)が”High”の場合には、デジタルTE信号のレベルをそのまま積算する。また、PE変調相関系列(図28のH、図29のH)が”Low”の場合には、デジタルTE信号のレベルを反転して積算する。
副情報検出器1108は、内部のレベル積分器1303の積算値(図28のJ、図29のJ)を正負のしきい値と比較することによって副情報の有無を判定する。さらに、副情報が存在する場合は、その副情報を検出する。
図28は、副情報ビット値「0」が検出される過程を示す。積算値(図28のJ)は正の方向へ増加しつづけている。一方、図29は、副情報ビット値「1」が検出される過程を示す。積算値(図29のJ)は負の方向へ減少しつづける。
本実施形態8では、セクタ内の第1フレーム、第26フレームを除く全24フレーム内で、3フレーム毎に1ビットの副情報を検出する。本実施形態8での生成フレームと積算値との関係を図30に示す。
セクタ内では、第1フレームから第26フレームと連続的に記録マークを読み取ることによって主情報を再生するとともに、第1フレーム、第26フレームを除いた全24フレーム内で、3フレーム毎に副情報更新タイミング信号(図30のB)を副情報更新タイミング生成器1302により生成する。
レベル積分器1303では、副情報更新タイミングが出力されるまでの区間でデジタルTE信号のレベルの積算を行うことにより積算値(図30のC)を算出し、副情報更新タイミングの出力されるタイミングで、3フレームトータルの積算値をしきい値判定器1304に出力するとともに、レベル積分器1303の積算値をクリアする。また、相関検出許可信号(図30のA)が”Low”の場合には、レベル積分器1303の積算値をホールド(保持)する。
以上のように、本実施形態8によれば、光学的に読み取り可能な記録マークにより主情報を記録した光ディスクに、記録マークのラジアル方向への変位によって副情報を記録することが可能である。このようなラジアル方向への変位によって記録される情報は、他の媒体への複製が困難である為、光ディスクに記録されるデジタル著作物の暗号化鍵等の記録に用いることができる。
また、本発明の実施の形態8によれば、記録マークの中でも再生時のビットずれ、バイトずれ、フレームずれを補正するために必要な同期符号部や、DVDではセクタのIDが記録されるセクタ内の第1フレーム等を構成する記録マークへはラジアル方向への変位を行わない。これにより、主情報の信頼性の低下を最低限に抑え副情報を記録することができる。
また、主情報の同期符号に同期させた記録マークのラジアル方向への微少量変位によって、主情報の記録フォーマットに準じた副情報の記録が可能となる為、主情報を再生すれば同時に副情報を再生することが可能となる。
また、本発明の実施の形態8のように、ラジアル方向への変位量を、副情報を記録しない場合に許容される量以下にすることにより、副情報を記録していることの容易な判別が困難となり、より機密性の高い情報の記録を行うことが可能となる。
また、先に述べたように副情報を著作権保護等に用いる場合には、ラジアル方向への変位量は、TE信号の雑音の範囲で検出される程度が望ましい。これは、変位量が大きく、TE信号に明らかに出力される場合には、記録マークがラジアル方向へ変位されていることが容易に見破られてしまうからである。従って、記録マークのラジアル方向への変位量は、ラジアル方向への変位を行わない通常の記録方式による記録マークでも起こりえる程度の変位量にすることが望ましい。
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9について図面を用いて詳細に説明する。
図31は、記録マークにより主情報が記録され、記録マークをラジアル方向へ微少量変位させることにより副情報が記録された本実施形態のDVDのセクタフォーマットである。
本発明の実施の形態9に係る光ディスクも実施の形態8に示した光ディスクと同様に、セクタ内の第1フレーム、第26フレームを除いた全24フレームに8ビットの副情報を記録する形態である。ただし、連続する3フレームに1ビットの副情報を持たせるのではなく、規則性を持った不連続な3フレームに副情報を分割記録する点において、実施の形態8と異なる。
本実施形態では、図31に示すように、
(第2フレーム、第10フレーム、第18フレーム) 副情報1ビット
(第3フレーム、第11フレーム、第19フレーム) 副情報1ビット
(第4フレーム、第12フレーム、第20フレーム) 副情報1ビット
(第5フレーム、第13フレーム、第21フレーム) 副情報1ビット
(第6フレーム、第14フレーム、第22フレーム) 副情報1ビット
(第7フレーム、第15フレーム、第23フレーム) 副情報1ビット
(第8フレーム、第16フレーム、第24フレーム) 副情報1ビット
(第9フレーム、第17フレーム、第25フレーム) 副情報1ビット
というフォーマットで、セクタ内に8ビットの副情報が記録される。
図32は、本発明の実施の形態9の光ディスクの記録マークの形成を示した概念図である。
本発明の実施の形態9に係る光ディスクは、記録する主情報を変調し、かつフレーム単位に同期符号を挿入することにより生成したチャネル信号(図32A)をNRZI変換した信号に基づいて記録ビームを照射して光ディスク上に螺旋状の記録マーク(図32B)を形成することにより、主情報が記録されている。
図32のBは、ラジアル方向への記録マーク変位がなされていない(副情報が記録されていない)標準的な記録マークを示している。
一方、ラジアル方向への記録マークの微少量変位によって副情報が記録される場合には、セクタ内の第1フレーム及び第26フレームと各フレームの同期符号が挿入される領域以外を示す変位許可信号(図32のC)に従って、同期符号を挿入するタイミングで初期化された擬似乱数系列(図32のD)が生成される。
副情報の付与される記録マークは、特殊PE変調変位制御信号(図32のG、K)に従って、記録マークを微少量内周側、あるいは外周側に変位した状態で記録される。特殊PE変調変位制御信号は、記録する副情報ビットと同期符号を挿入するタイミングで初期化された擬似乱数系列(図32のD)との排他的論理和から算出される変位制御信号(図32のE、I)に特殊PE変調を施して得られる。
図32のF、Jは、実施の形態8にかかる通常のPE変調を施したPE変調変位制御信号を、本実施の形態の特殊PE変調変位制御信号との比較のために示している。
図32のF、Jおよび変位記録マーク(図32のH,L)と比較することから分かるように、本実施の形態の特殊PE変調変位制御信号(図32のG、K)は、記録マークを形成する途中でラジアル方向への微少量変位の変化点を持たせないように制御される。
次に、本実施の形態に係る情報記録装置として、DVD記録装置を例にとって説明する。ただし、本発明の情報記録装置はDVD記録装置に限定されない。
図33は、本実施の形態に係る情報記録装置の主なブロック構成を示したブロック図である。本情報記録装置は、記録マークにより主情報を記録するとともに、記録マーク内ではラジアル方向の微少量変位の変化点をもたないように変位させることによって副情報を記録する。本情報記録装置は、タイミング生成器1901、変調器1902、乱数発生器1903、副情報更新器1904、XOR1905、特殊PE変調器1906、記録チャネル1907、記録ヘッド1908、および、ラジアル変調器1909を備えている。
タイミング生成器1901は、フレームを記録するタイミングごとに同期符号を挿入するタイミングを示す同期信号を変調器1902、乱数発生器1903および副情報更新器1904に出力するとともに、主情報の1バイトに同期したバイトクロックを生成し乱数発生器1903へ出力し、主情報の1バイト(16チャネルビット)の前8ビットを”High”、後8ビットを”Low”とするPE信号を生成し、特殊PE変調器1906へ出力する。
変調器1902は、主情報のバイトごとに、16チャネルビットの情報へ変調(8−16変調)するとともに、タイミング生成器1901からの同期信号のタイミングで同期符号を挿入することによって、チャネル信号を生成して記録チャネル1907へ出力する。
乱数発生器1903は、実施の形態8の情報記録装置の乱数発生器403と同一の機能を有するブロックである。乱数発生器1903は、タイミング生成器1901からの同期信号の立下りのタイミングで初期化し、タイミング生成器からのバイトクロックに同期して1ビットずつの乱数系列を生成してXOR1905へ出力する。
副情報更新器1904は、セクタ単位に、主情報に重畳し記録する全副情報ビット(8ビット)を予め記憶し、タイミング生成器1901からの同期信号をカウントすることにより、現在記録しているセクタ内のフレーム番号を生成し、下記のように副情報を1ビットずつXOR1905に出力する。
(第2フレーム、第10フレーム、第18フレーム) 第1副情報1ビット
(第3フレーム、第11フレーム、第19フレーム) 第2副情報1ビット
(第4フレーム、第12フレーム、第20フレーム) 第3副情報1ビット
(第5フレーム、第13フレーム、第21フレーム) 第4副情報1ビット
(第6フレーム、第14フレーム、第22フレーム) 第5副情報1ビット
(第7フレーム、第15フレーム、第23フレーム) 第6副情報1ビット
(第8フレーム、第16フレーム、第24フレーム) 第7副情報1ビット
(第9フレーム、第17フレーム、第25フレーム) 第8副情報1ビット
XOR1905は、排他的論理和ゲートにより構成され、乱数系列発生器1903からの乱数系列と副情報更新器1904からの副情報1ビットとの排他的論理和を算出することにより変位制御信号を生成し、特殊PE変調器1906へ出力する。
特殊PE変調器1906は、タイミング生成器1901からのPE信号と変調器1902からのチャネル信号に基づいてXOR1905からの変位制御信号に対して特殊PE変調を施すブロックである。その詳細なブロック構成を図34に示す。
本特殊PE変調器1906は、PE変調器2001、エッジ判定器2002、距離判定器2003、距離判定器2004、セレクタ2005、UP/DOWNカウンタ2006、および、特殊PE変調変位制御信号生成器2007を備えている。
PE変調器2001は、実施の形態8の情報記録装置のPE変調器405と同等の機能を有するブロックである。PE変調器2001は、排他的論理和ゲートで構成され、タイミング生成器1901からのPE信号とXOR1905からの変位制御信号との排他的論理和を算出することによりPE変調変位制御信号を生成し、エッジ判定器2002へ出力する。
エッジ判定器2002は、変調器1902からの記録チャネル信号とPE変調器2001からのPE変調変位制御信号から、記録マーク内PE変調変位制御信号エッジA、記録マーク内PE変調変位制御信号エッジBを生成し、距離判定機2003,2004へそれぞれ出力する。なお、記録マーク内PE変調変位制御信号エッジAは、光ディスク上に記録マークを生成する部分を示す記録チャネル信号”High”の区間で、PE変調変位制御信号の立ち上がりエッジ位置を示す。記録マーク内PE変調変位制御信号エッジBは、記録チャネル信号”High”の区間で、PE変調変位制御信号の立ち下がりエッジ位置を示す。
距離判定器2003は、変調器1902からの記録チャネル信号とエッジ判定器2002からの記録マーク内PE変調変位制御信号エッジAから、記録マーク内PE変調変位制御信号エッジAから記録チャネル信号立ち上がりまでの距離A(プラス)と、記録マーク内PE変調変位制御信号エッジAから記録チャネル信号立ち下がりまでの距離A(マイナス)とを算出し、セレクタ2005に出力する。
距離判定器2004は、変調器1902からの記録チャネル信号とエッジ判定器2002からの記録マーク内PE変調変位制御信号エッジBから、記録マーク内PE変調変位制御信号エッジBから記録チャネル信号立ち上がりまでの距離B(マイナス)と、記録マーク内PE変調変位制御信号エッジBから記録チャネル信号立ち下りまでの距離B(プラス)とを算出し、セレクタ2005に出力する。
セレクタ2005は、後述するUP/DOWNカウンタ2006の値に基づいて、UP/DOWNカウンタ値が”正”の場合は、距離A(マイナス)あるいは距離B(マイナス)をUP/DOWNカウンタ2006および特殊PE変調変位制御信号生成器2007へ、UP/DOWNカウンタ値が”負”の場合には、距離A(プラス)および距離B(プラス)をUP/DOWNカウンタ2006および特殊PE変調変位制御信号生成器2007へ出力する。
UP/DOWNカウンタ2005は、初期カウンタ値を”0”として、距離A(プラス)および距離B(プラス)をカウントアップし、距離A(マイナス)および距離B(マイナス)をカウントダウンするカウンタで構成される。
特殊PE変調変位制御信号生成器2007は、セレクタ2005で選択された距離に従って、距離A(プラス)が選択された場合には、距離A(プラス)だけPE変調変位制御信号の上がりエッジ位置を進ませる、一方、距離A(マイナス)が選択された場合には、距離A(マイナス)だけPE変調変位制御信号の上がりエッジ位置を遅らせる。また、距離B(プラス)が選択された場合には、距離B(プラス)だけ、PE変調変位制御信号の下がりエッジ位置を遅らせる、一方、距離B(マイナス)が選択された場合には、距離B(マイナス)だけ、PE変調変位制御信号の下がりエッジ位置を進ませる。
従って、本特殊PE変調器1906は、XOR1905からの変位制御信号をPE変調するとともに、記録マーク内で変化点を持つことのない、かつ、”High””Low”の区間がおおよそ等しくなる特殊PE変調変位制御信号を生成し、ラジアル変調器1907へ出力する。
図35は、特殊PE変調器1906の動作を示したタイミング図である。
なお、図35に示す記録チャネル信号(図35のA)およびPE変調制御信号(図35のB)は、予め十分な時間、シフトレジスタ等により記憶しながら遅延されることで、図示するタイミングチャートでの制御が可能となる。
本特殊PE変調器1906は、変位制御信号をPE変調したPE変調変位制御信号(図35のB)を生成するとともに、エッジ判定器2002によって、光ディスク上に記録マークを生成する区間を示す記録チャネル信号(図35のA)が”High”の区間で、PE変調変位制御信号(図35のB)の上がりエッジを示す記録マーク内エッジA(図35のC)を生成する。また、記録チャネル信号(図35のA)が”High”の区間で、PE変調変位制御信号(図35のB)の下がりエッジを示す記録マーク内エッジB(図35のF)を生成する。
距離判定器2003は、記録マーク内エッジA(図35のC)の示す位置から記録チャネル信号の立ち上がりまでの距離(時間)を距離A(プラス)(図35のD)として抽出する。また、記録マーク内エッジA(図35のC)の示す位置から記録チャネル信号の立ち下がりまでの距離(時間)を、距離A(マイナス)(図35のE)として抽出する。
同様に距離判定器2004は、記録マーク内エッジB(図35のF)の示す位置から記録チャネル信号の立ち上がりまでの距離(時間)を距離B(マイナス)(図35のG)として抽出する。また、記録マーク内エッジB(図35のF)の示す位置から記録チャネル信号の立ち下がりまでの距離(時間)を距離B(プラス)(図35のH)として抽出する。
図35のIは、特殊PE変調器1906のUP/DOWNカウンタ2006のカウンタ値を示し、図35のJは、特殊PE変調器1906の出力である特殊PE変調変位制御信号を示している。
本特殊PE変調器1906は、PE変調変位制御信号の変化点が、記録チャネルの”High”区間に存在する(記録マーク内に存在する)場合、その変化点を記録マーク外に進めたり、遅らせたりすることによって、記録マーク内では変化点を持つことのない特殊PE変調変位制御信号を生成する。
例として、図35において、PE変調変位制御信号(B)のエッジeg1が、特殊PE変調変位制御信号(J)のeg6へ変位される場合について詳細に説明する。
ここで、記録チャネル信号(図35のA)において、記録基準クロックの8クロック分に相当する記録マークの区間内に、PE変調変位制御信号の下がりエッジeg1が存在するものとする。このため、記録マーク内エッジBがeg1の場所を示している。
記録マーク内エッジBによって、記録マーク内に下がりエッジeg1を検出した場合には、eg1から記録チャネル信号の上がりエッジeg11までの時間の5クロック分を示す”5”が距離B(マイナス)として、また、eg1から記録チャネル信号の下がりエッジeg12までの3クロック分を示す”3”が距離B(プラス)として生成される。
UP/DOWNカウンタ値(判定カウンタ値)(図35のI)は、eg1の検出された時点で”0”を示している。すなわち、判定カウンタ値は、”0”として判定される為、距離B(マイナス)と距離B(プラス)の小さい方、すなわち距離B(プラス)を採択し、eg1を3クロック分遅らせた位置eg6へ変位させるとともに、UP/DOWNカウンタ値に距離B(プラス)分を加算する。
次に、eg2からeg7への変位について説明する。
ここで、PE変調変位制御信号(図35のB)の上がりエッジeg2は、6クロック分の記録マーク内に存在するものとする。記録マーク内エッジAにその位置が示される。
記録マーク内エッジAによって、記録マーク内にPE変調制御信号のエッジが存在することが示されれば、eg2から記録チャネル信号の上がりエッジeg13までの距離の2クロック分を示す”2”が距離A(プラス)として、また、eg2から記録チャネル信号の下がりエッジeg14までの距離の4クロック分を示す”4”が距離A(マイナス)として抽出される。
eg2が検出されたタイミングでのUP/DOWNカウンタ値は、eg1を3クロック分遅延させたことを示す”3”であり、すなわち、”正”の値であることから、距離A(マイナス)を採択し、eg2を距離A(マイナス)分遅らせた位置eg7に変位させるとともに、UP/DOWNカウンタ値を距離A(マイナス)分を減算することによって更新する。
同様に、eg3は、記録マーク内の変化点として検出され、eg3から記録チャネル信号の上がりエッジまでの距離A(プラス)=”6”、eg3から記録チャネル信号の下がりエッジまでの距離A(マイナス)=”6”が検出される。
eg3の検出されたタイミングでの判定カウンタ値は、”−1”であるため、距離A(プラス)が採択され、eg3は、6クロック進められた位置eg8に変位し、カウンタ値は、”6”加算されて、”5”に更新される。
以上のように、特殊PE変調器1906のUP/DOWNカウンタ2006の値は、11Tを最大記録マーク幅とするDVDの場合、±11の間に制御されるとともに、記録マーク内では変化点を持たない特殊PE変調変位制御信号を生成することができる。
本情報記録装置の記録チャネル1907は、変調器1902からのチャネル信号をもとに、記録ビームの強さ、あるいは記録ビーム間隔を調整し、光ディスクへ記録マークを形成するための記録ビームの制御信号を生成し、記録ヘッド1908に出力する。
記録ヘッド1908は、記録チャネル1907からの記録ビーム制御信号に基づいて記録ビームを光ディスク1911に照射して記録マークを形成することによって、主情報を記録する。
ラジアル変調器1909は、電極1910を持っており、タイミング生成器1901からの変位許可信号が”High”の区間で、特殊PE変調器1906からのPE変位制御信号に従って、電極1910に”+”電荷あるいは”−”電荷をもたせることにより、記録ヘッド1908から照射される記録ビームを光ディスクの内周側あるいは外周側に変位させる。この結果、光ディスク上の記録マークが内周側あるいは外周側に変位した状態で記録されることにより、副情報が記録される。なお、この部分の基本構成は、実施の形態8の情報記録装置におけるラジアル変調器408と同じである。
次に、本実施形態9にかかる情報再生装置について説明する。図36は、本実施の形態に係る情報再生装置の主なブロック図である。本実施形態に係る情報再生装置は、再生ヘッド2201、再生チャネル2202、クロック抽出器2203、再生信号処理回路2204、乱数発生器2205、特殊PE変調器2206、TE信号AD変換器2207、および副情報検出器2208を備えている。
再生ヘッド2201は、光ディスク2209に光ビームを照射し、その反射光からアナログ読み出し信号を生成し、再生チャネル2202に出力する。また、本再生ヘッド2201は、トラック中心位置に対する内周方向あるいは外周方向への記録マークの位相誤差を示すアナログTE信号を生成し、TE信号AD変換器2207へ出力する。
再生チャネル2202は、再生ヘッド2201から読み出されたアナログ読み出し信号を増幅したり、波形等化したりしてデジタル読み出し信号を生成し、クロック抽出器2203および再生信号処理回路2204に出力する。
クロック抽出器2203は、再生チャネル2202からのデジタル読み出し信号から、そのデジタル読み出し信号に同期したクロックを生成し、再生信号処理回路2204に出力するとともに、上記のデジタル読み出し信号のバイト単位に同期したバイトクロックを生成し、再生信号処理回路2204、乱数発生器2205および副情報検出器2208に出力する。
再生信号処理回路2204は、再生ヘッド2202からのデジタル読み出し信号から同期符号部を検出し、クロック抽出器2203からのクロック、バイトクロックに従って、16ビットの情報を8ビットの情報に変換(本実施形態のようなDVDの場合は8−16変調)することにより、主情報を抽出する。
乱数発生器2205は、本実施の形態に係る情報記録装置における乱数発生器1905と同等の機能を有する部分であり、再生信号処理回路2204からの同期信号のタイミングで内部に秘密に記憶している初期値をプリセットし、クロック抽出器2203からのバイトクロックのタイミングで乱数系列を1ビットずつ生成して、特殊PE変調器2206に出力する。
特殊PE変調器2206は、本実施の形態に係る情報記録装置における特殊PE変調器1906と同等の機能を有する部分である。特殊PE変調器2206は、乱数発生器2205からの相関系列をクロック抽出器2203からのPE信号と再生チャネル2202からのデジタル読み出し信号によって、記録マークを再生している区間では、“High“から”Low“へ、あるいは”Low“から”High“への変化点を持つことのない特殊PE変調相関系列を生成して副情報検出器2208へ出力する。
TE信号AD変換器2207は、再生ヘッド2201からのアナログTE信号をクロック抽出器2203からのクロックに従ってAD変換を行い、デジタル化されたデジタルTE信号を副情報検出器2208へ出力する。
副情報検出器2208は、再生信号処理回路2204からの同期信号と、特殊PE変調器2206からの特殊PE変調相関系列と、TE信号AD変換器2207からのデジタルTE信号から、クロック抽出器2203からのバイトクロックに従って、副情報を検出する。副情報検出器2208は、図37に示すように、主に、セレクタ2301、副情報更新タイミング生成器2302、レベル積分器2303、および閾値判定器2304から構成される。
セレクタ2301は、特殊PE変調器2206からの特殊PE変調相関系列が“High”の場合には、デジタルTE信号をそのままレベル積分器2303に出力し、また、特殊PE変調相関系列が“Low”の場合には、デジタル積分値の正負を反転して、レベル積分器2303に出力する。
副情報更新タイミング生成器2302は、再生信号処理回路2204からの同期信号と、クロック抽出器2203からのバイトクロックから、再生しているフレーム位置情報を抽出して、フレーム識別信号としてレベル積分器2303に出力する。
レベル積分器2303は、内部に8つの記憶部2303[0]〜2303[7]を有し、副情報更新タイミング生成器2302からのフレーム識別信号を元に、セレクタ2301から出力された反転あるいは非反転されたデジタルTE信号レベルを下記の対応関係で積算する。記憶部2303[0]〜2303[7]で積算されたデジタルTE信号レベルは、相関値[0]〜相関値[7]として、閾値判定器2304へ出力される。
(第2フレーム、第10フレーム、第18フレーム) 記憶部2303[0]
(第3フレーム、第11フレーム、第19フレーム) 記憶部2303[1]
(第4フレーム、第12フレーム、第20フレーム) 記憶部2303[2]
(第5フレーム、第13フレーム、第21フレーム) 記憶部2303[3]
(第6フレーム、第14フレーム、第22フレーム) 記憶部2303[4]
(第7フレーム、第15フレーム、第23フレーム) 記憶部2303[5]
(第8フレーム、第16フレーム、第24フレーム) 記憶部2303[6]
(第9フレーム、第17フレーム、第25フレーム) 記憶部2303[7]
また、本積分器2303は、1セクタごとに副情報更新タイミング生成器2302から出力される副情報更新タイミング信号によって、記憶部2303[0]〜2303[7]に記憶している各TE信号のレベル積分値(相関値[0]〜相関値[7])を閾値判定器2304に出力したのち値をクリア(0にする)する。
閾値判定器2304は、副情報更新タイミングでレベル積分器2303から出力される8つの積分値(相関値)を内部にあらかじめ記憶している正のしきい値および負のしきい値と比較することによって、1セクタに8ビットの副情報を抽出する。
本発明の実施の形態9の光ディスクは、図31に示すフォーマットで、
(第2フレーム、第10フレーム、第18フレーム) 副情報[0]
(第3フレーム、第11フレーム、第19フレーム) 副情報[1]
(第4フレーム、第12フレーム、第20フレーム) 副情報[2]
(第5フレーム、第13フレーム、第21フレーム) 副情報[3]
(第6フレーム、第14フレーム、第22フレーム) 副情報[4]
(第7フレーム、第15フレーム、第23フレーム) 副情報[5]
(第8フレーム、第16フレーム、第24フレーム) 副情報[6]
(第9フレーム、第17フレーム、第25フレーム) 副情報[7]
のように、1セクタに8ビットの副情報が、記録マークのラジアル方向の変位によって記憶されている。
図38は、本副情報検出器2208内で算出される相関値を示した概念図である。
通常、光ディスクの再生装置は、螺旋状に記録されている複数フレームを持つセクタを内周側から外周側へと連続的に再生する。
本情報再生装置は、1セクタ内の全26フレームのフレーム番号を、フレームに付与された同期符号によって識別し、レベル積分器2303において、各フレーム番号に対応した記憶部を用いて相関値を抽出する。
図38のAは、上記のフレーム識別信号であり、セクタ内の第1フレームおよび最終フレームを除いた24フレームに対し、
(第2フレーム、第10フレーム、第18フレーム) 識別子[0]
(第3フレーム、第11フレーム、第19フレーム) 識別子[1]
(第4フレーム、第12フレーム、第20フレーム) 識別子[2]
(第5フレーム、第13フレーム、第21フレーム) 識別子[3]
(第6フレーム、第14フレーム、第22フレーム) 識別子[4]
(第7フレーム、第15フレーム、第23フレーム) 識別子[5]
(第8フレーム、第16フレーム、第24フレーム) 識別子[6]
(第9フレーム、第17フレーム、第25フレーム) 識別子[7]
の識別信号をレベル積分器2303に出力する。
レベル積分器2303は、内部に8つの記憶部2303[0]〜2303[7]を有し、識別子に対応した記憶部により、セレクタ2301から出力された反転あるいは非反転されたデジタルTE信号レベルの積分を行う。
図38のBは、第2フレーム、第10フレームおよび第18フレームの記録マークをラジアル方向に微少量変位させることによって副情報ビット「0」を記録した場合であり、特殊PE変調相関系列が“High”かつデジタルTE信号が“正”、特殊PE変調相関系列が“Low”かつデジタルTE信号が“負”のみが発生した場合である。この場合、第2、10、18フレームの区間で記憶部2303[0]の相関値[0]が正の方向へ単純増加する。
また、図38のCは、第3フレーム、第11フレーム、第19フレームの記録マークをラジアル方向に微少量変位させることにより副情報ビット「1」を記録した場合であり、特殊PE変調相関系列が”High”かつデジタルTE信号が”負”あるいは、特殊PE変調相関系列が”Low”かつデジタルTE信号が”正”のみが発生した場合である。この場合、第3、11、19フレームの区間で記憶部2303[1]の相関値[1]が負の方向へ単純減少する。
以上のように、本発明の実施の形態9に係る光ディスクは、同期符号を伴うフレーム単位に主情報が記録され、複数フレームからなるセクタ単位で、ディスク上の連続しない3フレームの記録マークにラジアル方向の意図的な変位によって副情報1ビットが記録される。これによって、複数フレームにまたがるバーストエラーが存在した場合であっても、副情報を記録した3フレームが全滅するリスクを低減することができる。
また、本発明の実施の形態9に係る情報記録装置は、内部で発生させた乱数系列に、記録マーク中には変化点を持つことのない特殊なPE変調を施す。これにより、ラジアル方向に微少量変位させることによって副情報記録した光ディスクにおいても、記録マーク中にラジアル方向への変位がなされない為、ラジアル方向への変位の発見を困難にすることができる。
また、本発明の実施形態9の情報再生装置は、不連続な3フレームに副情報1ビットが記録されるとともに記録マーク中ではラジアル方向の変位がなされていない光ディスクから、安定に主情報および副情報を再生することができる。
以上のように、本実施形態に係る光ディスクの副情報は、記録マークのラジアル方向への微少量変位によって記録されるため、通常の書き換え型光ディスクへ複製することが困難である。このため、例えば、光ディスクに記録するコンテンツを復号化する復号鍵等を副情報として記録することも可能である。あるいは、従来、DVD等において、高価かつ高出力のイニシャライザを用いた特別な記録方式によって記録しているディスク識別子を、この副情報として記録することも可能となり、製造コストを削減できる。
また、DVD−ROMに代表される再生専用の光ディスクの場合は、ディスクを生成するスタンパの識別子を副情報として記録することも考えられる。
また、上記の実施形態8,9では、情報記録装置および再生装置の乱数系列発生器の乱数系列の初期値を内部に秘密に記憶しているものとしたが、この代わりに、高価かつ高出力のイニシャライザを用いた特別な記録方式で記録されるディスク識別子を、乱数系列発生器の初期値とすることで、このイニシャライザを持たない海賊版メーカ等を排除することも可能である。
また、実施形態8,9の情報記録装置および再生装置の乱数系列発生器の初期値をセクタ単位に付与されるセクタアドレスを用いて初期化することも可能である。この場合、セクタ単位で異なる初期値を設定することができ、副情報の秘匿性を向上することができる。
また、上記の実施形態8,9では、連続する3フレームあるいは連続しない3フレームによって副情報を記録する形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数フレームにまたがって副情報1ビットを記録する光ディスクおよびその記録装置または再生装置は、全て本発明の技術的範囲に属する。例えば、1フレームを複数の区間(0〜N)に分割し、複数フレームにまたがってこの0〜Nの区間でそれぞれ相関を算出することによって副情報を再生する場合などである。
さらに、上記の実施形態8,9では、乱数系列発生器の初期値をブロック内部に秘密に記憶している形態を説明したが本発明はそれに限られない。例えば、乱数系列の初期値として、各光ディスク個別の識別子を用いる形態にすれば、各光ディスク媒体固有のラジアル方向への変位により記録マークを記録することが可能となる。
また、例えば、乱数系列の初期値として、機器無効化処理の結果出力される鍵情報を用いることも可能である。この場合、副情報の記録あるいは再生を行う機器を無効化することも可能となる。
その他にも、乱数系列の初期値として、光ディスクに記録されているアドレス情報、暗号化されたコンテンツ鍵を用いる形態にすることもできる。
また、乱数初期値は副情報を不正行為から守る為に最も重要な情報であることから、機器内部に秘密に初期値を生成することも考えられる。
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10について図面を用いて詳細に説明する。
実施の形態10にかかる光ディスクは、記録マークにより主情報が記録され、記録マークをラジアル方向へ微少量変位させる(ウォブルさせる)ことにより副情報が記録された点では、前述の実施形態8,9と同様である。ただし、記録マークをウォブルさせる各フレームのデータ部が、トラック方向にランダムな長さの複数ブロックに分割され、それらのブロック毎にウォブル周期が異なっている点で、実施形態8,9と異なる。
記録マークのウォブル周期が一定であると、トラッキングエラー信号をスペクトルアナライザ等で観測することにより、ウォブル周期が比較的容易に検出される可能性がある。ウォブル周期が検出されると、トラッキングエラー信号からバンドパスフィルタを用いて副情報が解読されてしまう危険がある。
これに対して、本実施形態の光ディスクでは、上述のようにフレーム内でブロック毎にウォブル周期が異なるので、スペクトルアナライザで観測してもウォブル周期を検出することが困難となる。これにより、例えば不正に複製を行おうとする者による副情報の解読を防止できる。
なお、全ブロックのウォブル周期が互いに異なっている必要はなく、ウォブル周期の不正検出が困難な程度の不規則性が保たれていれば、一部のブロックにおいてウォブル周期が同一であっても良い。
ここで、図39〜図41を参照しながら、本実施形態に係る情報記録装置の構成および動作について説明する。図39に示すように、本実施形態に係る情報記録装置は、バイトクロックを生成するタイミング生成器401の代わりに乱数生成クロックを出力するタイミング生成器411を備えたことを除いて、実施形態8に係る情報記録装置と同様の構成である。なお、本実施形態では、実施形態8で説明したブロックと同様の機能を有するブロックには実施形態8と同じ参照符号を付し、その構成および機能や動作の詳細な説明は省略する。後述する実施形態11,12においても同様とする。
タイミング生成器411は、図40に示すように、乱数生成器411a、加算器411b、ダウンカウンタ411cを備えている。乱数生成器411aには、乱数系列の初期値としてフレーム番号を設定する。加算器411bは、乱数生成器411aから出力される乱数(図40のB)と所定の周期下限値とを加算し、その結果をプリセット値(図41のC)としてダウンカウンタ411cへ出力する。なお、図41の例では、周期下限値を“7”とした。ダウンカウンタ411cは、カウンタ値が“0”となった時点で乱数生成クロック(図41のD)を乱数発生器403へ出力すると共に、加算器411bから出力されるプリセット値を新たにセットし、ダウンカウント(図41のE)を開始する。
なお、本実施形態にかかるタイミング生成器411から出力されるPE信号(図41のF)は、ダウンカウンタ411cがプリセットされてからカウンタ値が“0”となるまでの区間の前半で“Low”となり、同区間の後半で“High”となる信号である。ダウンカウンタ411cがプリセットされてからカウンタ値が“0”となるまでの区間のクロック数が奇数である場合は、“Low”と“High”交互に一方を1クロック分長くする。例えば図41に示した例では、最初の15クロック分の区間では、“Low”が7クロック、“High”が8クロックであり、次の11クロック分の区間では、“Low”が6クロック、“High”が5クロックとなっている。また、例えば、直前の奇数フレームで“Low”が1クロック多い場合は、現在の奇数フレームで“High”が1クロック多くなるようにする。
このように、本実施形態では、記録マークをウォブルさせるフレームをランダムな長さの複数のブロックに分割し、これらの長さの不均一なブロック毎に“Low”と“High”の区間がほぼ等しくなるようなPE信号を生成し、生成されたPE信号に基づいてPE変調変位制御信号を生成する。これにより、フレーム内でのウォブルの周期がランダムとなり、スペクトルアナライザで観測されたとしても、ウォブル周期の検出は困難である。従って、副情報の解読や不正コピーが困難な光ディスクを実現できる。
続いて、本実施形態10にかかる情報再生装置について説明する。図51は、本実施形態にかかる情報再生装置の主な構成を示すブロック図である。図51において、実施形態8にかかる情報再生装置(図25参照)と同様の機能を有するブロックについては実施形態8と同じ参照番号を付与し、その詳細な説明を省略する。
図51に示すように、本実施形態にかかる情報再生装置は、乱数発生器1105およびPE変調器1106の代わりに(図25参照)、タイミング生成器1411を備えている点において、実施形態8にかかる情報再生装置と異なる。
タイミング生成器1411の内部構成は、図39,40に示したタイミング生成器411とほぼ同じであるが、(1)入力されるクロックが、図51に示すように、クロック抽出器1103で再生されたクロックであり、(2)再生信号処理回路1104で検出される同期信号も入力される点において、タイミング生成器411と異なる。タイミング生成器1411は、これらの入力に従って乱数系列の初期化を行い、実施形態8で説明したように、乱数生成クロックを生成して出力する。
実施形態8にかかる情報再生装置では、副情報検出器1108へ入力されるのはPE変調相関系列であったが、本実施形態にかかる情報再生装置では、副情報検出器1108へ入力されるのはPE信号(図41のF)である。その他の点については、本実施形態にかかる情報再生装置の動作は、実施形態8の情報再生装置と同様である。
(実施の形態11)
本発明の実施の形態11について図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る光ディスクは、記録マークにより主情報が記録され、記録マークをラジアル方向へ微少量変位させる(ウォブルさせる)ことにより副情報が記録された点では、前述の実施形態8,9と同様である。ただし、記録マークをウォブルさせるフレームが所定長さの複数のブロックに分割され、各ブロック毎に記録マークをウォブルさせる周期が異なっている点において、実施形態8,9に係る光ディスクとは異なっている。
ここで、図42〜図44を参照しながら、本実施形態に係る情報記録装置について説明する。図42に示すように、本実施形態に係る情報記録装置は、タイミング生成器401およびPE変調器405の代わりに、タイミング生成器421およびXOR425を備えたことを除いて、実施形態8に係る情報記録装置と同様の構成である。
タイミング生成器421は、実施形態8に係るタイミング生成器401のようにPE信号を生成するのではなく、基準変位信号を生成する。XOR425は、XOR404からの変位制御信号と、タイミング生成器421からの基準変位信号とに排他的論理和演算を施し、その結果を変位制御信号としてラジアル変調器408へ出力する。
本実施形態のタイミング生成器421は、図43に示すように、分周器421a、カウンタ421b、変換テーブル421cを備えている。分周器421aは、記録クロック(図44のA)を16分周することにより、バイトクロック(図44のB)を生成し、乱数発生器403およびカウンタ421bへ出力する。カウンタ421bは、初期値“0”から、バイトクロックが入力される毎に値を1ずつインクリメントし、変換テーブル421cへ出力する。このカウンタ値がブロック番号(図44のD)を表す。変換テーブル421cは、ブロック番号と乱数(図44のC)を用いて基準変位制御信号(図44のE)の周期を決定する。図44のCの乱数は、乱数発生器403からの乱数系列と同じものである。
例えば、図44の例では、第1ブロック(ブロック番号“0”)の基準変位制御信号の周期は16Tであり、第2ブロック(ブロック番号“1”)の基準変位制御信号の周期は8T、第3ブロック(ブロック番号“2”)の基準変位制御信号の周期は4Tである。なお、各ブロックにおいて、基準変位制御信号が“Low”の区間の長さの総和と、“High”の区間の長さの総和は等しくなるようにされている。
このように、本実施形態では、記録マークをウォブルさせるフレームを所定長さの複数のブロックに分割し、各ブロック毎に記録マークをウォブルさせる周期を異ならせることにより、スペクトルアナライザで観測されたとしても、ウォブル周期の検出は困難である。従って、副情報の解読や不正コピーが困難な光ディスクを実現できる。
続いて、本実施形態11にかかる情報再生装置について説明する。図52は、本実施形態にかかる情報再生装置の主な構成を示すブロック図である。図52において、実施形態10にかかる情報再生装置(図51参照)と同様の機能を有するブロックについては実施形態10と同じ参照番号を付与し、その詳細な説明を省略する。
図52において、1421はタイミング生成器であり、図42,図43に示したタイミング生成器421とほぼ同じ構成であるが、(1)入力されるクロックが、図52に示すように、クロック抽出器1103で再生されたクロックであり、(2)再生信号処理回路1104で検出される同期信号も入力される点において、タイミング生成器421と異なる。また、本実施形態にかかる情報再生装置は、乱数発生器1422とXOR1423をさらに備えている。
実施形態10にかかる情報再生装置では、副情報検出器1108に入力されるのはPE信号であるが、本実施形態にかかる情報再生装置では、同期信号により初期化され、バイトクロックで更新される乱数系列(乱数発生器1422からの出力)と、タイミング生成器1421から出力される基準変位信号とをXOR1423で演算した結果の変位制御信号が、副情報検出器1108に入力される。その他の点については、本実施形態にかかる情報再生装置の動作は、実施形態10と同様である。
(実施の形態12)
本発明の実施の形態12について図面を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る光ディスクは、記録マークにより主情報が記録され、記録マークをラジアル方向へ微少量変位させる(ウォブルさせる)ことにより副情報が記録された点では、前述の実施形態8,9と同様である。ただし、記録マークをウォブルさせるフレームが所定長さのn個(nは4以上の自然数)のブロックに分割され、記録マークをウォブルさせる周期がm個(mはnの1以外の約数)のブロック毎に異なっている点において、実施形態8,9に係る光ディスクとは異なっている。
ここで、図45〜図47を参照しながら、本実施形態に係る情報記録装置について説明する。図45に示すように、本実施形態に係る情報記録装置は、タイミング生成器401およびPE変調器405の代わりに、タイミング生成器451および変調信号生成器455を備えたことを除いて、実施形態8に係る情報記録装置と同様の構成である。
本実施形態の情報記録装置において、タイミング生成器451は、記録クロック(図46のA)を16分周することにより、バイトクロック(図46のB)を生成し、乱数発生器403へ出力する。乱数発生器403は、“0”または“1”の1ビットの乱数系列(図46のC)を、XOR404へ出力する。XOR404は、当該フレームに記録すべき副情報1ビット(図46のD)と、乱数発生器403からの乱数系列との排他的論理和を算出することによって、変位制御信号(図46のE)を生成し、変調信号生成器455へ出力する。
変調信号生成器455は、変位制御信号に基づいて、m個のブロックからなる期間(図46のF)毎にウォブル周期が異なり、かつ、各期間内における変調信号“Low”の区間の長さの総和と“High”の区間の長さの総和とが等しくなるように、変調信号(図46のG)を生成する。なお、図46に示した例ではm=3であり、nは3の倍数である。
図47に、変調信号生成器455の内部構成の一例を示す。図47において、455aはシリアル−パラレル変換器、455bは変換テーブル、455cはパラレル−シリアル変換器である。
このように、本実施形態では、記録マークをウォブルさせるフレームが所定長さのn個(nは4以上の自然数)のブロックに分割され、記録マークをウォブルさせる周期をm個(mはnの1以外の約数)のブロック毎に異ならせていることにより、スペクトルアナライザで観測されたとしても、ウォブル周期の検出は困難である。従って、副情報の解読や不正コピーが困難な光ディスクを実現できる。
(実施の形態13)
本実施形態に係る光ディスクは、図48に示すように、第2〜第25フレーム(♯1〜♯24)の3フレーム毎に、記録マークをラジアル方向に微小量変位させる(ウォブルさせる)ことにより1ビットの副情報が記録されている点で、実施の形態8に係る光ディスクと同様である。ただし、本実施形態に係る光ディスクは、第1フレーム(♯0)および第26フレーム(♯25)に、第2〜第25フレームの記録マークのウォブル周期とは異なる周期により、副情報を再生するために必要な情報が記録されている点において、実施の形態8とは異なる。なお、副情報を再生するために必要な情報としては、例えば副情報のCRC等が考えられるが、これには限定されない。
一例として、第2〜第25フレームの記録マークのウォブル周期を16Tとした場合、第1フレーム(♯0)および第26フレーム(♯25)の記録マークを8Tの周期でウォブルさせることにより、副情報のCRCを記録することが考えられる。
このように、副情報を再生するために必要な情報を、副情報を記録しないフレームにおいて、副情報のウォブル周期とは異なる周期で記録マークをウォブルさせることにより記録することにより、周波数の異なる16Tウォブル、8Tウォブルの両方を複製しなければ、本実施形態に係る光ディスクを複製することはできない。これにより、光ディスクの不正コピーをより確実に防止することが可能となる。
(実施の形態14)
本実施形態に係る光ディスクは、記録マークをラジアル方向に微小量変位させる(ウォブルさせる)ことにより副情報が記録されている点で、実施の形態8に係る光ディスクと同様である。ただし、本実施形態の光ディスクにおける記録ウォブルは、図49に示すように、副情報のウォブルに、副情報のウォブルとは位相が異なるダミーウォブルを重畳することにより生成されたウォブルである点において、実施の形態8と異なる。
このようにダミーウォブルが重畳されていることにより、トラッキングエラー信号をスペクトルアナライザで観測したとしても、副情報のウォブル信号を抽出することは極めて困難である。従って、副情報の解読や不正コピーが困難な光ディスクを実現できる。
このような記録ウォブルを生成するために、本実施形態に係る情報記録装置は、図50に示すように、実施形態8に係る情報記録装置(図18参照)におけるPE変調器405とラジアル変調器408との間に加算器491が設けられている。この加算器491においてPE変調器405の出力とダミーウォブル発生器492からのダミーウォブル信号とを加算することにより、図49に示すような記録ウォブルを生成することができる。
このダミーウォブル発生器492におけるダミーウォブルの発生方法を、正規ドライブの製造者にのみ開示することにより、副情報の不正な複製をより確実に防止することができる。
なお、上述の実施形態8〜14では、主情報を記録マークで記録した光ディスクを例示したが、この「記録マーク」とは、凹または凸のマークの両方を含む。
また、実施形態8〜14に係る光記憶媒体を再生する情報再生装置において、実施の形態2で説明したように、副情報の再生結果に基づいて、光記憶媒体が正規の媒体ではないと判断された場合に、出力禁止や警告などの措置を講ずるようにすることも好ましい。
以上のように本発明によれば、記録容量を低下させることなく、正確に光記憶媒体を識別することができ、かつ、著作権の侵害を伴う光記憶媒体の違法使用を有効に防止することができる光記憶媒体及び情報記録/再生装置を提供することができる。