JP2007014098A - 碍子の塩害状況監視装置及び塩害状況監視方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 碍子の塩害状況をリアルタイムで目視にて把握できる碍子の塩害状況監視装置及び塩害状況監視方法を提供する。
【解決手段】 碍子の塩害状況監視装置１は、碍子を模した形状を有する透明容器３と、透明容器３の内側に設置され、透明容器３の表面３ａを撮像する撮像装置５と、撮像装置５による撮影映像を表示する表示装置６とを備える。透明容器３は、中空で、かつ外形は碍子と同じ形状を有し、表面３ａは碍子と同程度の滑らかさを有するように形成される。撮像装置５は、透明容器３の内部に設置され、撮像方向を変化させる撮像方向変更部７を備える高性能カメラである。撮像装置５により撮影される映像は、透明容器３及び撮像装置５が設置される場所と離れた場所に位置する集中管理室８内に設置されるモニター等の表示装置６に表示され、監視者により透明容器３の表面３ａへの塩分の付着状況が監視される。
【選択図】 図１

Description

本発明は、碍子の表面に付着する塩分等の汚損物質の付着程度を目視にて監視する碍子の塩害状況監視装置及び塩害状況監視方法に関するものである。

臨海地域のプラント設備、発電所等に配設されている碍子の表面には多量の塩分が付着する。塩分が多量に付着すると、降雨等による湿潤時、碍子表面に電路が形成され、せん絡が発生するという問題が有る。このような問題を未然に防止するために、碍子表面に付着する塩分を定期的に定量分析して碍子の塩分による塩害程度を測定し、所定の塩分量を超えると碍子を洗浄する作業が従来より行われている。

塩害程度を測定する装置として、例えば、特許文献１には、碍子の内部に光源、受光素子、受光素子によって検出された透過光強度を塩分付着量に換算する信号処理回路と、この信号処理回路の出力デ−タを遠方へ送信するための発信回路と、碍子の外表面に碍子内部の各部品へ電力を供給するための太陽電池とを備えた碍子の塩害センサが開示されている。これは、碍子の表面に塩分が付着すると光損失が生ずる光導波路を碍子表面に露出させて装着し、その光導波路の一端から入射して他端から出射する透過光を受光し、その透過光強度の変化から碍子に付着する塩分量を計測するという光学式測定方法を用いた塩害程度測定装置である。

また、特許文献２には、充電部とアースとの間が絶縁体で絶縁され、充電部からアースへ絶縁体の表面を介して流れる漏れ電流を検出する電流検出部と、この電流検出部の出力の大きさから絶縁体の塩害程度を判定する判定部とを備えた塩害監視装置が開示されている。これは、絶縁体に塩分が付着すると絶縁体表面の絶縁が低下し、その表面を流れる漏れ電流が増加するために、この漏れ電流の大きさを電流検出部で検出し、電流値の大きさから絶縁体の塩害程度を計測する塩害程度測定装置である。

また、特許文献３には、碍子の放電電流及び漏れ電流を検出するための電流センサと、碍子近傍で発生する電磁波のみを検出する電磁波センサと、電流センサの検出信号と電磁波センサの検出信号を解析することにより碍子の塩害程度を判定する判定部とを備えた碍子の塩害検出装置が開示されている。これは、電磁波センサを用いて碍子における部分放電から発生する電磁波を検出し、かつ、微小電流用の電流センサを用いて碍子に流れる微小な放電電流及び漏れ電流を検出し、これらの検出結果を判定部にて解析して碍子の塩害程度を計測する塩害程度測定装置である。

さらに、特許文献４には、絶縁体の片端が充電部に接続され、絶縁体の他端は絶縁体取付部を介してアースに接続され、充電部から絶縁体および絶縁体取付部を介してアースへ流れる電流を検出する電流検出部と、電流検出部の出力の大きさから絶縁体の塩害程度を判定する判定部とを備えた塩害監視装置が開示されている。これは、絶縁体に塩分が付着すると絶縁体表面の絶縁が低下し、その表面を流れる漏れ電流が増加し、絶縁体取付部を介してアースに流れるために、この漏れ電流の大きさを電流検出部で検出し、電流値の大きさから絶縁体の塩害程度を計測する塩害程度測定装置である。
実開平６−１２９５１号公報 特開平６−１５３３７４号公報 特開平１０−１６０７８２号公報 特開平６−３０３７０７号公報

しかし、上記の特許文献に記載されている従来の方法は、何れも光損失量、漏れ電流値等の測定結果に基づいて塩害程度を推定するものであり、測定時間及び測定結果の解析時間が必要となるために、塩害の程度をリアルタイムで監視することができないという問題点があった。さらに、塩害程度を直接測定するものではなく、塩害によって生じる光損失量、漏れ電流値等の二次的な現象の測定結果に基づいて塩害程度を推定するために、測定装置を取り付けた箇所は塩害による汚損が認められるが、碍子全体としてはまだ洗浄の必要が無い等の実際の塩害状況を反映していない場合が有るという問題点があった。

そこで、本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、碍子の塩害状況をリアルタイムで目視にて把握できる碍子の塩害状況監視装置及び塩害状況監視方法を提供することを目的とするものである。

上記問題を解決する本発明の碍子の塩害状況監視装置は、碍子を模した形状を有する透明容器と、前記透明容器の内側に設置され、前記透明容器の表面を撮像する撮像装置と、前記撮像装置による撮影映像を表示する表示装置とを備えることを特徴とする（第１の発明）。

第２の発明は、第１の発明において、前記撮像装置による撮像方向を変化させる撮像方向変更部を備えることを特徴とする。

第３の発明は、第１又は第２の発明において、前記透明容器は、電力開閉所の遮風壁に対して塩害監視対象となる碍子と同じ側に配置されることを特徴とする。

第４の発明の碍子の塩害状況監視方法は、碍子を模した形状を有するとともに、内部に撮像装置を収容した透明容器を電力開閉所の遮風壁に対して塩害監視対象となる碍子と同じ側に配置し、前記撮像装置により撮像された前記透明容器表面の状態を表示装置に表示させることを特徴とする。

本発明による碍子の塩害状況監視装置によれば、碍子を模した形状の透明容器には碍子と同様に塩分が付着し、この付着程度を目視にて監視することができるために、碍子の塩害状況をリアルタイムで確認することが可能となる。また、撮像装置を透明容器内に設置することにより、撮像装置を塩害から保護する保護装置の設置が必要無くなる。

そして、透明容器内に撮像方向が変更可能な撮像方向変更部を備えることにより、透明容器のすべての表面を目視にて確認することができるために、塩分が部分的に付着している場合は洗浄不要、塩分が全体的に付着している場合は洗浄等の判断を容易に決断することが可能となる。

さらに、碍子の塩害状況監視装置を電力開閉所の遮風壁に対して塩害監視対象となる碍子と同じ側の近傍に設置することにより、碍子と同じ気象条件となり、碍子と同様の塩害状況を得ることが可能となる。

したがって、本発明による碍子の塩害状況監視装置及び塩害状況監視方法により、碍子の塩害状況をリアルタイムで目視にて把握することが可能となる。

以下、本発明に係る好ましい実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図１は、本発明の第一実施形態に係る碍子の塩害状況監視装置を示す図である。図１に示すように、碍子の塩害状況監視装置１は、碍子を模した形状を有する透明容器３と、透明容器３の内側に設置され、透明容器３の表面３ａを撮像する撮像装置５と、撮像装置５による撮影映像を表示する表示装置６とを備える。

透明容器３は、中空で、かつ外形は碍子とほぼ同じ形状を有し、表面３ａは碍子と同程度の滑らかさを有するように形成される。透明容器３の材質は、本実施形態においては、例えば、ガラスを用いるが、これに限定されるものではなく、例えば、プラスチック等の透明樹脂でもよく、要するに、透明で塩分の付着し易さが碍子と同程度の材質であればよい。

撮像装置５は、透明容器３の内部に設置され、撮像方向を変化させる撮像方向変更部７を備える高性能カメラであり、このカメラの向きを変更することにより透明容器３の全体を撮像することができる。

撮像装置５により撮影される映像は、透明容器３及び撮像装置５が設置される場所と離れた場所に位置する集中管理室８内に設置されるモニター等の表示装置６に表示され、監視者により透明容器３の表面３ａへの塩分の付着状況が監視される。高性能カメラにて撮像されるために、塩分が透明容器３の表面３ａに付着した状態が鮮明にモニター等の表示装置６に表示される。監視者は、集中管理室８内に備えられる操作盤にて監視したい方向を指示することにより、撮像方向変更部７にて高性能カメラの向きが変更され、監視したい方向を目視することができる。

図２は、本実施形態に係る塩害状況監視装置を設置した状態を示す図である。
図２に示すように、海９沿いに位置する発電所１１内の電力開閉所の遮風壁１３に対して海９と反対側となる陸側に、碍子であるブッシング１５が配設されている。このブッシング１５の表面は、海風に含まれる塩分が付着するために適宜洗浄する必要がある。しかし、ブッシング１５は地上から高い場所に位置しており、塩分の付着状況を目視にて把握することが困難であるために、ブッシング１５のコーン部１５ａと形状及び表面の滑らかさ等が同程度の透明容器３及び撮像装置５をブッシング１５よりも数ｍ程度陸側に配置し、この透明容器３の表面３ａへの塩分の付着状況を監視して、ブッシング１５の洗浄の必要性の有無を判定する。

ここで、透明容器３をブッシング１５よりも、さらに陸側に配置し、海風による塩害の影響をブッシング１５よりも透明容器３が受けやすくしてブッシング１５よりも塩分が付着しやすい条件とすることにより、透明容器３はブッシング１５よりもやや早い時期に洗浄が必要となるために、ブッシング１５を洗浄する時期を安全側に判断することが可能となる。なお、本実施形態においては、透明容器３及び撮像装置５をブッシング１５よりも数ｍ程度陸側に配置したが、これに限定されるものではなく、透明容器３及び撮像装置５はブッシング１５の近傍に設置すればよい。

監視者は、集中管理室８にて透明容器３の表面３ａへの塩分の付着状況を目視にて常時監視し、表面３ａへの塩分の付着量が所定の塩分量を超えた場合は、ブッシング１５にも同程度の塩分量が付着していると判断してブッシング１５を洗浄する。

上述した碍子の塩害状況監視装置１を用いることにより、透明容器３の表面３ａへの塩分の付着状況を目視することができるために、ブッシング１５の塩害状況をリアルタイムで確認することが可能となる。そして、透明容器３内に撮像方向が変更可能な撮像方向変更部７を備えることにより、透明容器３のすべての表面３ａの状況を目視にて確認することができるために、洗浄の必要性の有無の判断を容易に決断することが可能となる。さらに、碍子の塩害状況監視装置１を電力開閉所の遮風壁１３に対して塩害監視対象となるブッシング１５と同じ側の近傍に設置することにより、碍子の塩害状況監視装置１の透明容器３がブッシング１５よりもやや早い時期に洗浄が必要となるために、ブッシング１５を洗浄する時期を安全側に判断することが可能となる。

本発明の第一実施形態に係る碍子の塩害状況監視装置を示す図である。 本実施形態に係る塩害状況監視装置を設置した状態を示す図である。

符号の説明

１ 塩害状況監視装置 ３ 透明容器
５ 撮像装置 ６ 表示装置
７ 撮像方向変更部 ８ 集中管理室
９ 海 １１ 発電所
１３ 遮風壁 １５ ブッシング
１５ａ コーン部 １７ 電線

Claims (4)

1. 碍子を模した形状を有する透明容器と、
   前記透明容器の内側に設置され、前記透明容器の表面を撮像する撮像装置と、
   前記撮像装置による撮影映像を表示する表示装置とを備えることを特徴とする碍子の塩害状況監視装置。
2. 前記撮像装置による撮像方向を変化させる撮像方向変更部を備えることを特徴とする請求項１に記載の碍子の塩害状況監視装置。
3. 前記透明容器は、電力開閉所の遮風壁に対して塩害監視対象となる碍子と同じ側に配置されることを特徴とする請求項１又は２に記載の碍子の塩害状況監視装置。
4. 碍子を模した形状を有するとともに、内部に撮像装置を収容した透明容器を電力開閉所の遮風壁に対して塩害監視対象となる碍子と同じ側に配置し、
   前記撮像装置により撮像された前記透明容器表面の状態を表示装置に表示させることを特徴とする碍子の塩害状況監視方法。
   
   
   

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