JP2007012576A - 電気泳動堆積されたカーボンナノチューブを用いた電子放射源のバッチ式製造方法 - Google Patents

電気泳動堆積されたカーボンナノチューブを用いた電子放射源のバッチ式製造方法 Download PDF

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奎 文 鄭
Jin-Lung Tsai
金 龍 蔡
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協 恆 李
Yu-An Li
裕 安 李
Chun-Yen Hsiao
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Abstract

【課題】電子放射源を製造するために電気泳動堆積技術を用いる方法を提供する。
【解決手段】気泡除去装置71の使用によって、カソード構造体上に形成される気泡が除去される。また、カソード電極層上に複数のカーボンナノチューブが均一に堆積されて電子放射源が形成されるまで電気泳動堆積とベーキングとを繰り返すことによって、分極現象の発生を抑制する。
【選択図】図4a

Description

本発明は、電気泳動堆積されたカーボンナノチューブを用いた電子放射源についてのバッチ式製造方法に関し、特に、カソード構造体上にカーボンナノチューブ粉体を均一に形成して電子放射源を形成するために、当該カーボンナノチューブの電気泳動堆積の前に、カソード構造体において生じた気泡を取り除く方法に関する
一般的な三極の電界放射型ディスプレイ装置(FED)は、アノード(陽極)構造体およびカソード(陰極)構造体を含む。アノード構造体とカソード構造体との間には、スペーサが設けられており、当該スペーサは、アノード構造体とカソード構造体との間に空間を提供し、アノード構造体とカソード構造体との間の真空領域を保持する。アノード構造体は、アノード基板、アノード導電層、および蛍光体層を含む。一方、カソード構造体は、カソード基板、カソード電極層(カソード導電層)、電子放射源層、誘電体層、およびゲート層を含む。このゲート層は、たとえばカソード電極層と間に閾電圧以上の電圧を印加することによって、電子放射源層からの電子を放射させる。カソード構造体の電極層は、アノード構造体の蛍光体層に影響を与え励起させて発光を生じさせるために充分な運動エネルギーを電子ビームが持つように電子ビームを加速すべく、高い電圧を提供する。したがって、電界放射型ディスプレイ装置における電子の動きを維持するためには、10−5torr(換算すれば、約10−3Pa)より低くなるようにディスプレイ装置の真空レベルを保持するための真空装置が要求される。この結果、電子は、適切な平均自由行程を有することが可能となる。一方、電子放射源および蛍光層における汚染および変性も避けなければならない。さらに、蛍光体粉体に作用するのに充分なエネルギーを持つに至るまで電子を加速するためには、アノード基板とカソード基板との間に充分な空間が要求される。このような構成によって、電子が加速されて蛍光体層に作用し、蛍光体層が励起されて光が放出されることが可能となる。
電子放射源層は、風数のカーボンナノチューブから構成される。カーボンナノチューブは、1991年に飯島によって発見され(ネイチャー紙、354,56(1991)、非常に好ましい電気的性質を有しており、様々なデバイスを作るために使用することができるものである。また、カーボンナノチューブは、500以上にもなる非常に大きなアスペクト比を有しており、1000GPn以上のヤング率を示すように非常に剛性が高い。さらに、カーボンナノチューブの先端部や欠陥部は、原子スケールである。上記のような性質によれば、カーボンナノチューブは、電界放射型ディスプレイ装置のカソード構造体における電子放射源層のような電子放射源を構成する上で理想的な材料であるということができる。カーボンナノチューブは、上述したような物理的性質を有しているので、電子デバイス上に複数のカーボンナノチューブをパターン形成するために、スクリーン印刷や薄膜処理などの多くの製造工程が開発されている。
一方、カソード構造体を製造する技術は、カソード電極層上に形成される電子放射物質としてカーボンナノチューブを用いている。その製造工程は、化学気相成長法による処理、またはカソード電極層のピクセル上に感光性を持ったカーボンナノチューブ溶液をパターン形成することができる種々の処理を採用している。さらに、カソード構造体は、マスクと組み合わせつつカーボンナノチューブ溶液を塗布することによって作製することもでき、電気泳動法によってカソード電極層上に複数のカーボンナノチューブを形成することによって作製することもできる。しかしながら、以上のようにカーボンナノチューブの製造技術が進められているにもかかわらず、上述した三極の電界放射型ディスプレイ装置の電子放射源への適用を考えると、製造工程における費用削減が難しく、さらに、カソード電極構造の各ピクセル上に立体構造を作製することも難しい。特に、大きなサイズの電子放射源において高い均一性を達成することが困難である。
近年、「電気泳動堆積(electrophoresis deposition:EPD)」と呼ばれる技術が開発されて、「Deposition Method for Nanostructure Materials(ナノ構造材料の堆積方法)」という題名の特許文献1に開示されている。この特許文献1では、カーボンナノチューブをアルコール懸濁溶液中に存在させている。一方、マグネシウム、ランタン、イットリウム、およびアルミニウムなどにおけるイオン性塩が上記溶液内に存在しており、電気泳動溶液をなすためにチャージャ(charger)として機能する。カーボンナノチューブを堆積させたいカソード構造体が、電気泳動溶液の一つの電極に電気的に接続される。そして、直流または交流電圧を印加することによって、上記の溶液中に電界を発生させる。溶液中におけるチャージャは、溶解してイオンとなり、カーボンナノチューブの粉体へと付着する。このような理由によって、電界は、電気泳動力を発生させ、カーボンナノチューブが特定の電極上に堆積することを支援する。この方式では、カーボンナノチューブは、パターニングされた電極上に堆積される。以上のような電気泳動堆積と呼ばれる技術を用いることによって、複数のカーボンナノチューブを、電極上に簡単に堆積させることができ、電界放射型ディスプレイ装置のカソード構造体における制限を容易に回避することができる。したがって、この方法は、カソードのパターン形成に広く適用されている。
このように電気泳動堆積法は、広く適用されているが、部分的にみればその機構の改良が望まれている。たとえば、チャージャとしての複数のイオンが、カーボンナノチューブとともに電極上に堆積される。一般に、陽イオンは陰イオン(溶液中で酸化された水、すなわち過酸化水素水分子由来のOH陰イオン)と電極表面上で反応する。その結果、水酸化物塩が形成され、この水酸化物塩がカーボンナノチューブと一緒に堆積されてしまう。また、電気泳動処理では、たとえば金属塩酸化物に変化する金属塩水酸化物のような不要な溶液及び有機材料を除去するためにベーキング処理を繰り返し施す必要がある。たとえば、一般的な塩化マグネシウムを例にとれば、酸化マグネシウムの塩がカーボンナノチューブと一緒に電極上に堆積されてしまうか、カーボンナノチューブの表面に堆積されてしまう。酸化マグネシウムは、高い導電性を有するものではないので、電気泳動処理中におけるその重量濃度が一般的には0.1%以下になるように制御されるが、この濃度は、カーボンナノチューブ電子放射層からの電子ビームの形成効率に影響せず、あるいは、その形成効率を高めるものでもない。
他の一般的な技術は、「Method for fabricating low energy electron excitation screen(低エネルギー励起スクリーンの製造方法)」という題名の特許文献2に開示されている。当該特許では、蛍光体粉体の光放射性能を高めるように、電気泳動処理の後に蛍光体層上に導電性金属酸化物を形成するために金属塩が用いられる。したがって、水またはアルコール溶液中で溶解される他の金属塩も、電気泳動堆積処理の後のベーキング処理において導電性の金属塩酸化物を形成するために用いられて、その結果、カーボンナノチューブ電子放射源からの電子形成の効率を高める。
しかしながら、上述した電気泳動堆積処理は、大量生産、および大きなサイズの電界放射型ディスプレイ装置の製造に対する問題をいまだに含んでいる。その問題の一つは、誘電体層間に内蔵された立体の複数構造物の多くで生じる。立体構造物が電気泳動溶液に浸された場合、各画素に対応する電子放射源の部分と誘電体層のキャビティとの間に気泡が生じやすい。この気泡の存在は、カーボンナノチューブが電極層に堆積して電子放射源を形成することを妨げる。この基本的な理由は、30分間の電気泳動堆積処理がただ一回だけなされることである。したがって、これら気泡の存在のために、均一な電子放射源を形成することできず、この結果、製造された電界放射型ディスプレイの表示品質が良くならない。一方、電気泳動堆積処理は、30分間にわたって連続してなされるので、カソードおよびアノード電極(plate)、ならびに電気泳動溶液容器中の溶液において分極が生じやすい。これは、電気泳動堆積の効率を低下させる。さらに、複数の領域における電気泳動堆積速度が不均一となる。このことは、カーボンナノチューブの不均一な堆積につながる。さらに、電極の分極は、電気泳動溶液の安定性を低め、チャージャを変質させ、さらにカーボンナノチューブの付着および導電性に影響を与える。
米国特許出願公開第2003/0102222号明細書 台湾特許353188号明細書
本発明は、上記の問題を解決することを目的としてなされたものであり、電子放射源を製造するために電気泳動堆積技術を用いる方法を提供するものである。電気泳動溶液は、アーク放電によって作られたカーボンナノチューブ粉体を用いて調合される。好ましいチャージャも、水またはアルコール性電気泳動溶液中において、複数のカーボンナノチューブが均一に分散するように、より良いイオン分布効果を生じさせるために用いられる。このことは、カソード構造体上に形成される電気泳動堆積の一様性を高める。さらに、適切に選択されたチャージャは、導電性金属塩は、電気泳動堆積物がベークされた後に、導電性金属酸化塩を形成することができ、この結果、カーボンナノチューブ電子放射源層における電子生成率を高める。一方、バッチ式の電気泳動堆積処理が成された後に、カソード構造体に形成された気泡が除去される。このことは、一様な電子放射源がカソード構造体の全ての画素領域において形成されることを可能として表示品質を高めるともに、分極現象が生じることを防止することもできる。
上記目的およびその他の目的を達成するために、本発明は、電気泳動堆積されたカーボンナノチューブを用いた電子放射源についてのバッチ式(一括式)製造方法において、以下の段階を備える。まず、半製品であるカソード構造体を準備する。そして、その半製品状態のカソード構造体および金属板がそれぞれの電気泳動電極に接続される。カソード構造および電気板は、一定の距離だけ離間されて互いに対向して配置され、電気泳動溶液中に浸されて、第1電気泳動堆積処理が実行される。カソード構造体に形成された気泡を取り除くように第1電気泳動容器(タンク)中の気泡除去装置が作動される。そして、気泡除去装置が停止される。カソード構造体は、第1電気泳動堆積処理が実行される間には前記容器中に浸されたままに維持される。第1電気泳動堆積処理が完了した後、カソード構造体は、第1電気泳動溶液から取り出されて、カソード構造体上に残存している残留溶液を除去するために低温でベーキング処理される。第1電気泳動堆積処理が完了した後、カソード構造体は、第2電気泳動堆積処理を実行するために、第2電気泳動容器に再び浸される。カソード構造体に形成された気泡を取り除くように気泡除去装置が再び作動される。そして、気泡除去装置が停止される。カソード構造体は、第2電気泳動堆積処理が実行される間には前記容器中に浸されたままに維持される。第2電気泳動堆積処理が完了した後、カソード構造体は第2電気泳動溶液から取り出されて、カソード構造体上に残存している残留溶液を除去するために低温でベーキング処理される。上記の電気泳動堆積処理は、電子放射源を形成するために一様なカーボンナノチューブ層がカソード電気層上に堆積されまで繰り返される。残存している残留溶液を除去するために、カソード構造体に対して、電気泳動溶液処理と低温下でのベーキング処理とが繰り返し実行される。さらに、カソード電極層上のインジウム水酸化物を再酸化してインジウム酸化物とするためにシンタリング処理が実行される。このことは、カーボンナノチューブおよびカソード電極層の電子移動度、すなわち導電率を高める。
撹拌ロータまたは超音波装置などの気泡除去装置の使用によって、各ピクセル穴部に形成される気泡は完全に除去されることができる。連続的な電気泳動処理を順次的な複数のステップに分割することによって、分極現象の発生が抑制される。また、大量生産処理が、バッチ処理で実行されることができる。各バッチにおけるベーキング処理は、カーボンナノチューブの間にチャージャを晶出させて堆積する。その結果、カーボンナノチューブの接着性および導電性が高められる。カソード構造体を溶液に浸す時間および電気泳動ステップの数は調節され、連続的な大量生産処理に適合されることができる。
本発明の特徴および技術内容をより理解するために、以下、添付の図面を参照しつつ、本発明について詳細に説明する。しかしながら、添付の図面は、説明および記述の便宜上のものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
図1(a)〜図1(g)は、本発明における電子放射源形成前のカソード構造体を製造する方法を説明するための図である。図示されるとおり、本発明は、カーボンナノチューブを電気泳動堆積して電子放射源をバッチ形成する方法に関する。上記の方法は、チャージャを適切に選択してカーボンナノチューブを堆積させる電気泳動堆積技術を用い、それによって電子放射源を形成する。電気泳動堆積処理の際に、カソード構造上に形成される気泡は除去され、その結果、カソード構造体10表面上へのカーボンナノチューブの堆積均質性は向上する。
第一に、カソード電極層2がガラス基板1の表面上に形成される。次に、誘電体層3が、カソード電極層2の表面上に形成される。そして、ゲート層4が、誘電体層3の表面上に形成される。次に、リソグラフィー技術を使用することによって、ゲート層4に第1の開口領域41が形成され。それによって、誘電体層3が露出される。次に、第1の保護層5がゲート層4上に形成される。エッチング技術を使用することによって、カソード電極層2を露出させる第2の開口領域31が、誘電体層3に形成される。その後、第1の保護層5は剥がされる。次に、第2の保護層6が誘電体層3およびゲート層4上を覆う。その結果、電子放射源形成前のカソード構造体が製造される。
図2〜図4(c)は、本発明の電子放射源の製造処理、および、カソード構造体と金属板の連結後の電気泳動堆積処理を説明するための図である。図示されるとおり、カーボンナノチューブの電気泳動堆積処理は、上述した電子放射源形成前のカソード構造体(半製品状態のカソード構造体)が製造された後に実行される。
まず、アルコールを溶媒として用いた電気泳動溶液が準備される。次に、1%〜10%(好ましくは、5%)の純水が、電気泳動溶液に加えられる。電気泳動溶液に使用されるカーボンナノチューブ粉体は、アーク放電処理によって形成される。カーボンナノチューブは、平均長さ5μm未満および平均直径100nm未満の多壁ナノチューブ構造である。電気泳動溶液に含まれるカーボンナノチューブの重量濃度は、約0.005%〜0.1%(好ましくは、約0.02%)である。さらに、重量濃度約0.005%〜0.1%(好ましくは、約0.01%)のチャージャが、電気泳動溶液に加えられる。これらのチャージャは、塩化インジウムの金属酸化物塩、窒化インジウムの金属酸化物塩などの多くの導電性の金属酸化物塩から選択されることができ、あるいは、スズ(電気泳動処理後のスズ塩)といった他のチャージャであることができる。準備された電気泳動溶液は、電気泳動容器7中に注ぎ込まれる。
第二に、電気泳動溶液が準備された後、電気泳動堆積処理が実行される。電界放出カソード構造体10のカソード電極層2は、カソード導線101を介して、電気泳動用電極8の陰極81に電気的に接続される。電気泳動用電極8の陽極82は、金属板9に電気的に接続される。上記の金属板9は、好ましくは、白金板、チタン板、およびこれら又は他の材料の網目板(スクリーンプレート)のいずれか1つである。
第2ステップが完了した後、複数の独立した電気泳動容器7を必要とする第3ステップが実行される。各電気泳動容器7は、気泡除去装置71を含む。気泡除去装置71は、たとえば、撹拌ロータまたは超音波装置である。準備された電気泳動溶液は、各電気泳動容器7に注ぎ込まれる。一方、カソード構造体10の電気泳動堆積される面は、金属板に対して所定の距離だけ離隔されて互いに対向するように配置される。カソード構造体10および金属板9は、第1の電気泳動容器7a内にともに配置され、その結果、第1の電気泳動堆積処理が実行される(図4(a)参照)。
次に、第1の電気泳動容器7aの気泡除去装置71が作動されて電気泳動溶液を5〜10分間撹拌する。その結果、カソード構造体10の第2の開口領域31内の気泡が除去される。そして、気泡除去装置71は、停止される。それから、カソード構造体10は、電気泳動処理を実行するために、電気泳動溶液内に5〜10分間維持される。電源を用いて、陽極および陰極にDCまたはパルス電圧を印加し、それによって、0.5〜10V/cm(好ましくは、2V/cm)の電界を形成する。それから、カーボンナノチューブは、カソード電極層2上に電気泳動堆積され、それによって、電子放射源21が形成される(図5参照)。それから、カソード構造体10は第1の電気泳動容器7aから取り除かれ、80℃の低温下でベーキング処理される。その結果、カソード構造体10上に残存する残留アルコール溶液が除去される。塩化インジウムチャージャと電解液の水酸基とは、水酸化インジウムを形成する。
第1の電気泳動堆積処理が完了した後、ベーキング処理されたカソード構造体10は移送され、第2の電気泳動容器7b内に浸される。その結果、第2の電気泳動堆積処理が実行される(図4(b)参照)。第2の電気泳動容器7bの気泡除去装置71が作動されて、電気泳動溶液を5〜10分間撹拌する。その結果、カソード構造体10の第2の開口領域31内の気泡が除去される。そして、気泡除去装置71は、停止される。それから、カソード構造体10は、電気泳動処理を実行するために、電気泳動溶液内に5〜10分間維持される。電源を用いて、陽極および陰極にDCまたはパルス電圧を印加し、それによって電界を形成する。それから、カーボンナノチューブは、カソード電極層2上に電気泳動堆積され、それによって、電子放射源21が形成される(図5参照)。それから、カソード構造体10は第2の電気泳動容器7bから取り除かれ、80℃の低温下でベーキング処理される。その結果、カソード構造体10上に残存する残留アルコール溶液が除去される。塩化インジウムチャージャと電解液の水酸基とは、水酸化インジウムを形成する。
上述した2つの電気泳動堆積処理が完了した後、ベーキング処理されたカソード構造体10は移送され、第3の電気泳動容器7c内に浸される。その結果、第3の電気泳動堆積処理が実行される(図4(c)参照)。第3の電気泳動容器7cの気泡除去装置71が作動されて、電気泳動溶液を5〜10分間撹拌する。その結果、カソード構造体10の第2の開口領域31内の気泡が除去される。そして、気泡除去装置71は、停止される。それから、カソード構造体10は、電気泳動処理を実行するために、電気泳動溶液内に5〜10分間維持される。電源を用いて、陽極および陰極にDCまたはパルス電圧を印加し、それによって電界を形成する。それから、カソード構造体10は第3の電気泳動容器7cから取り除かれ、80℃の低温下でベーキング処理される。その結果、カソード構造体10上に残存する残留アルコール溶液が除去される。塩化インジウムチャージャと電解液の水酸基とは、水酸化インジウムを形成する。
電気泳動堆積処理が複数回実行された後、カーボンナノチューブは、カソード電極層2に対して均質的に堆積され、電子放射源21が形成される(図5参照)。一方、分極現象の発生は防止される。
電気泳動堆積処理下でカソード構造体10がバッチ形成された後、カソード構造体10は電気泳動容器から取り出され、80℃の低温下でベーキング処理される。その結果、カソード構造体10上に残存する残留アルコール溶液が除去される。その後、カソード構造体10は、400℃以下で焼結処理され、その結果、第2の保護増6が除去される。カソード電極層2上の水酸化インジウムは、酸化されて酸化インジウムを形成する。酸化インジウムは導電性を有するので、電子放射源21は、カーボンナノチューブに加えて導電性の酸化インジウム粒子を含む。このように、酸化インジウムチャージャは、電気泳動作用のみを提供する従来のマグネシウム塩チャージャに置き換えられることができる。さらに、酸化インジウムチャージャは、カーボンナノチューブおよびカソード電極層の電子伝導性を高めることができる。
さらに、電子放射源層に電気泳動堆積されたカーボンナノチューブは、カソード電極の表面に容易に付着することができる。したがって、均質なカーボンナノチューブ層が容易に形成される。カーボンナノチューブ層の平均厚さは、2μm以下に制御される。その上、焼結処理されたカーボンナノチューブが酸化インジウム塩とともに堆積され、カソード構造体10から分離されることがなく固着される。
さらに、電気泳動堆積ステップの数は、電子放射源を有する形成されたカソード構造体10の品質にしたがって決定される。それに応じて、電気泳動堆積ステップの数は増減されることができる。
さらに、撹拌ロータまたは超音波装置の使用によって、各ピクセル穴部に形成される気泡は完全に除去されることができる。連続的な電気泳動処理を順次的な複数のステップに分割することによって、分極現象の発生が抑制される。また、大量生産処理が、バッチ処理で実行されることができる。各バッチにおけるベーキング処理は、カーボンナノチューブの間にチャージャを晶出させて堆積する。その結果、カーボンナノチューブの接着性および導電性が高められることができる。カソード構造体を溶液に浸す時間および電気泳動ステップの数は調節され、連続的な大量生産処理に適合されることができる。
本技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記の開示内容を考慮して、種々の均等な変更または修正を容易に見つけることができるかもしれないため、本発明の範囲が、添付の特許請求の範囲によって明確になることは理解できることである。したがって、すべてのそのような均等な変更および修正は、添付の特許請求の範囲に記載される主題から逸脱することなく、本発明の精神および範囲内にあると考えられる。
本発明の半製品状態のカソード構造体を製造するための方法を示す図である。 図1aに後続する図である。 図1bに後続する図である。 図1cに後続する図である。 図1dに後続する図である。 図1eに後続する図である。 図1fに後続する図である。 本発明のカソード構造の電子放射源を製造する方法を説明するフローチャートである。 カソード構造体と電気板との連結状態を示す図である。 カソード構造体と電気板との連結された後の電気泳動堆積処理について示す図である。 カソード構造体と電気板との連結された後の電気泳動堆積処理について示す図である。 カソード構造体と電気板との連結された後の電気泳動堆積処理について示す図である。 カーボンナノチューブを製造するためのアーク放電法を示す図である。
符号の説明
1 ガラス基板、
2 カソード電極層、
3 誘電体層、
4 ゲート層、
5 第1の保護層(保護層)、
6 第2の保護層(他の保護層)、
7 第1の電気泳動容器、
7b 第2の電気泳動容器、
7c 第3の電気泳動容器、
9 金属板、
10 カソード構造体、
21 電子放射源、
31,41 開口領域、
71 気泡除去装置、
80 電気泳動用電極、
81 陰極、
82 陽極。

Claims (20)

  1. 電気泳動堆積されたカーボンナノチューブを用いた電子放射源についてのバッチ式製造方法であって、
    半製品状態のカソード構造体を準備し、前記半製品状態のカソード構造体に対して電気泳動堆積を実行するために当該カソード構造体および金属板をそれぞれ電気泳動用電極に接続する段階と、
    カーボンナノチューブを含む電気泳動溶液を準備し、準備された前記電気泳動溶液を少なくとも第1および第2電気泳動容器を含む複数の電気泳動容器内に流し込み、当該第1電気泳動容器の前記電気泳動溶液中で前記カソード構造体と金属板とを距離を置いて互いに対向させて配置し、前記第1電気泳動容器の気泡除去装置を作動させて前記カソード構造体に形成された気泡を取り除いて、その後、前記第1電気泳動容器の気泡除去装置を停止させ、前記電気泳動堆積の実行中には前記電気泳動溶液中に前記カソード構造体を浸けたままに維持し、その後、前記カソード構造体を前記電気泳動溶液から取り出して、カソード構造体上に残存している残留溶液を除去するために前記カソード構造体を低温でベーキング処理する段階と、
    前記ベーキング処理されたカソード構造体について第2電気泳動堆積を実行するために前記第2電気泳動容器に浸し、前記第2電気泳動容器の気泡除去装置を作動させて前記カソード構造体に形成された気泡を取り除いて、その後、前記第2電気泳動容器の気泡除去装置を停止させ、前記電気泳動堆積の実行中には前記電気泳動溶液中に前記カソード構造体を浸けたままに維持し、その後、前記カソード構造体を前記電気泳動溶液から取り出して、カソード構造体上に残存している残留溶液を除去するために前記カソード構造体を低温でベーキング処理し、さらにカソード電極層上に複数のカーボンナノチューブが均一に堆積されて電子放射源が形成されるまで同様の処理を繰り返す段階と、
    カソード構造体の堆積処理が完成した後、カソード構造体上に残存しているアルコール性溶液を除去するように低温でカソード構造体をベーキング処理し、ついでカソード電極層上のインジウム水酸化物を再酸化してインジウム酸化物に戻すためのシンタリング処理を実行して、カーボンナノチューブおよびカソード電極層での電子伝導度を高める段階と、を有することを特徴とする電子放射源のバッチ式製造方法。
  2. 前記半製品状態のカソード構造体を準備する段階は、
    ガラス基板上にカソード電極層を形成し、当該カソード電極層上に誘電体層を形成し、当該誘電体層上にゲート層を形成し、当該ゲート層においてリソグラフィー技術を用いてカソード電極層を露出するように開口領域を形成する段階と、
    前記ゲート層の表面に保護層を形成し、前記カソード電極層を露出させる前記開口領域を形成するために前記誘電体層をエッチングする段階と、
    前記誘電体層およびゲート層を覆う他の保護層を形成し、前記半製品状態のカソード構造体の製造工程を完了する段階と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  3. 前記カソード構造体のカソード電極層が電気泳動用陰極に接続される一方、前記金属板が電気泳動用陽極に接続され、当該金属板は、白金板、チタン板、およびこれら又は他の材料の網目板のいずれか1つであることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  4. 前記電気泳動堆積の実行中に電源によって供給される電界は、0.5〜10V/cmの強度を有することを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  5. 前記カーボンナノチューブは、アーク放電によって形成された多壁カーボンナノチューブであって、平均長さが5μm以下であり、平均直径が100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  6. 前記電気泳動容器内の前記電気泳動溶液は、溶媒としてのアルコール、純水、カーボンナノチューブ粉体、およびチャージャを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  7. 前記電気泳動溶液に加えられる純水は、1%〜10%であることを特徴とする請求項6に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  8. 前記電気泳動溶液に加えられるカーボンナノチューブ粉体の重量濃度は、0.1%〜0.005%であることを特徴とする請求項6に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  9. 前記電気泳動溶液に加えられるチャージャの重量濃度は、0.1%〜0.005%であることを特徴とする請求項6に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  10. 前記チャージャは、塩化インジウムの導電性金属塩酸化物、窒化インジウムの導電性金属塩酸化物、および電気泳動処理後のスズ塩の中から選択されることを特徴とする請求項6に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  11. 前記気泡除去装置は、攪拌ロータ、または超音波装置であることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  12. 前記気泡除去装置は、前記カソード構造体における気泡を除去するために、前記電気泳動溶液を5分乃至10分間にわたって掻き混ぜることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  13. 前記気泡除去装置を停止した後、5分乃至10分間にわたる電気泳動堆積中において前記電気泳動溶液に浸したままで維持されることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  14. 前記バッチ式電気泳動堆積法において電気泳動堆積を繰り返す数は、製造される電界放射型ディスプレイ装置の表示品質によって増減可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  15. 前記ベーキング温度は、80℃であることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  16. 前記ベーキング処理は、前記カソード構造体上に残存している残留溶液を除去し、前記残留溶液はアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  17. 残留したアルコール溶液を除去するための低温での前記ベーキング処理の間、塩化インジウムチャージャおよび電解質の水酸基は、インジウム水酸化物を形成することを特徴とする請求項16に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  18. シンタリング処理の温度は、400℃であることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  19. 導電性のインジウム酸化物が、カーボンナノチューブとカソード電極層との間の電子伝導度を高めるために、カソード電極層上に堆積されることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
  20. 前記電気泳動堆積された前記電子放射源層のカーボンナノチューブは、カソード電極層に容易に付着し、一様なカーボンナノチューブが容易に形成され、その平均厚さは、2μm以下であって、シンタリングされたカーボンナノチューブは、インジウム酸化物塩とともに堆積されたものであり、シンタリング後は、カソード構造物に固着されることを特徴とする請求項1に記載の電子放射源のバッチ式製造方法。
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