JP2007012154A - 情報記録媒体の記録・再生・消去方法、及び情報記録媒体の消去方法、並びに情報記録媒体の記録・再生・消去装置 - Google Patents

情報記録媒体の記録・再生・消去方法、及び情報記録媒体の消去方法、並びに情報記録媒体の記録・再生・消去装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 光誘起相転移を起こす材料を記録層に用いた情報記媒体に対して記録・再生・消去方法、消去方法、及び記録・再生・消去装置を提供する。
【解決手段】 基板上に光誘起相転移を起こす材料を含有する記録層を備えた情報記録媒体に対し、第1の波長のエネルギー線を用いて記録を行い、記録時とは異なる第2の波長のエネルギー線を用いて再生を行い、情報記録媒体を加熱して消去を行う。これにより、情報記録媒体に記録された情報の一括で又は大面積での消去が可能となる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光誘起相転移を起こす材料を含有する記録層を備えた情報記録媒体に対する記録・再生・消去方法、及び、記録・再生・消去装置に関するものである。
現在実用化されている光ディスク(CD、DVD)や近い将来実用化されるであろう青色レーザを用いた光ディスクでは、「ヒートモード記録」を行っている。ヒートモード記録とは、光ディスクの記録原理が、(a)記録層への光(光エネルギー)の照射、(b)光エネルギーを熱エネルギーに変換、(c)熱エネルギーで記録層中の有機色素を熱分解又は合金材料を構造変化、という3つの段階で構成される記録原理をいう。
しかし、上記ヒートモード記録を行なう光ディスクを凌ぐ記録速度で記録可能な情報記録媒体の登場が望まれる。
このような記録方式として、フォトンモード記録を用いる情報記録媒体が有望視されている。「フォトンモード記録」とは、照射された光のエネルギーを一旦熱エネルギーに変換することなく、光のエネルギーを分子等の物質が直接吸収する原理を用いる記録方法をいう。上記「ヒートモード記録」と比較して、光エネルギーを熱エネルギーに変換する過程(上記(b)の過程)がない分、「フォトンモード記録」の方が高速記録に向いているといえる。フォトンモード記録を用いる情報記録媒体としては、光誘起相転移を起こす材料を含有する記録層を用いる情報記録媒体を挙げることができる。
実際に、フォトンモードによる線形な記録を可能にする方法として、偏光を照射することにより分子配向が変化する有機材料を記録材料として含む記録層を有する光記録媒体がある(特許文献1)。この文献においては、消去状態をランダム状態・記録を配向状態としている。そして、記録に際しては、直線偏光を照射し記録材料層の分子を配向させる。一方、消去する際には、円偏光を入射することにより配向をランダム化している。
特開2001−6208号公報(0055、0059、図4)
上記集光したレーザ光を用いた消去においては、光エネルギーを分子等の物質が直接吸収する原理を利用している。このため、高速での消去が可能な一方で、一度に消去を行える領域が、レーザ光のスポット内に限られる。これは、情報記録媒体の全面の消去に長時間が必要となることを意見する。従って、通常は、情報記録媒体の特定の領域(例えばディスク状の情報記録媒体では、内周付近の領域)に記録されたディレクトリー情報のみを消去することによって、見かけ上情報記録媒体に記録された情報の消去を行っている。
しかし、上記ディレクトリー情報のみの消去においては、実際のデータは情報記録媒体上に残った状態となっている。従って、特殊なソフトウェア等を用いることにより、データを再生することは可能である。これは、消去したはずの情報を再度読み出せることを意味する。そして、この情報が個人情報や営業秘密であるような場合には、セキュリティー上の問題が生じる。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものである。つまり、本発明者は、フォトンモード記録を用いる情報記録媒体において、情報記録媒体に記録された個人情報や営業秘密等のデータを一括又は効率的に(大面積で)消去できる記録・再生・消去方法について鋭意検討した。
その結果、光誘起相転移を起こす材料は、比較的低温(基板等の情報記録媒体の他の要素を大きく劣化させることのない温度)で熱相転移を起こすことを見出した。そして、情報記録媒体を上記比較的低温で加熱することによって、情報記録媒体のデータを一括又は効率的に大面積で消去できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の要旨は、基板上に光誘起相転移を起こす材料を含有する記録層を備えた情報記録媒体に対し、第1の波長のエネルギー線を用いて記録を行い、記録時とは異なる第2の波長のエネルギー線を用いて再生を行い、上記情報記録媒体を加熱して消去を行うことを特徴とする情報記録媒体の記録・再生・消去方法に存する。
本発明の第2の要旨は、基板上に光誘起相転移を起こす材料を含有する記録層を備え、情報が記録された情報記録媒体に対し、光又は熱を用いて情報記録媒体を加熱することにより、情報の消去を行うことを特徴とする情報記録媒体の消去方法に存する。
本発明の第3の要旨は、光源と、光源からのエネルギー線を情報記録媒体に照射するための第1の光学手段と、情報記録媒体からの情報を受信する第2の光学手段と、第1の光学手段又は第2の光学手段を利用して情報記録媒体を加熱するための加熱手段と、を有することを特徴とする情報記録媒体の記録・再生・消去装置に存する。
本発明によれば、光誘起相転移を起こす材料を記録層に用いた情報記録媒体に大きな劣化を与えることなく、上記情報記録媒体に記録された情報を一括で又は大面積での消去が可能となる。このため、情報管理の面から優れた情報記録媒体を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
1.情報記録媒体
本発明においては、基板上に光誘起相転移を起こす材料を含有する記録層を備えた情報記録媒体を用いる。
(記録層)
本発明においては、記録層が光誘起相転移を起こす材料を含有する。
光誘起相転移を起こす材料(以下、「光誘起相転移材料」又は「PIM:Photo Induced Material」という場合がある。)とは、ある波長の光を加えることにより、その光のフォトンエネルギーを吸収し、光エネルギーをそのまま相転移に利用できる材料のことをいう。相変化材料等の光熱変換材料は、光エネルギーを熱に変えた後に、この熱を利用して相変化を起こすという2段階の過程を経る必要がある。一方で、PIMは、光で直接相転移できるため、光熱変換材料と比較して高速記録が可能であり、かつ消費エネルギーも小さいという利点がある。
例えば、PIMとして以下の材料がある。
光励起により金属イオンのd電子軌道の光学遷移を伴う材料、光励起により自発磁化を生成する材料、光励起によりトランス/シス型の構造変化を示す材料を挙げることができる。より具体的には、光励起により金属イオンのd電子軌道間の光学遷移を起こす材料(スピンクロスオーバー材料)、光励起により金属イオン間の電荷移動により自発磁化が生じる材料、光励起によりトランス/シス型のように構造変化を示す材料(構造変化型材料)、などが挙げられる。
金属イオンのd電子軌道の光学遷移が起きる材料(スピンクロスオーバー材料)としては、遷移金属錯体の中でd電子として4個から7個持っている金属イオン錯体が挙げられる。例えば、中心金属にFe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Mn(III)などを
持つ遷移金属錯体である。更に詳細に例を挙げれば、[Fe(ptz)6](BF42
[Fe(pap)2]ClO4・H2O、[Fe(III)(qsal)2]NCSe・CH2Cl2、Fe(II)(DpyDTs)2(NCS)2・0.5CH3OH、[Fe(II)(R−trz)3]−Nafionなどがある。
ここで、「ptz」は「1−propyl−tetrazole」を、「pap」は「N−2−pyridiyl−methylidene−2−hydroxy−phenylaminato」を、「qsal」は「N−(8−quinolyl)salicyl−aldimine」を、「trz」は「1,2,4−triazole」を、それぞれを表す。
「Nafion」は、パーフルオロテトラエチレン(PTFE)を骨格として、末端にスルフォン基を持つ側鎖をこの骨格にグラフトした構造である。
「DpyDT」は、下記骨格で表される構造をいう。
Figure 2007012154
スピンクロスオーバー材料は、光照射により電子が同一軌道で反平行にペアリングする低スピン状態(LS)とフント則に従って電子スピンを平行にする高スピン状態(HS)に変化する。LS状態とHS状態では、色が異なるため光の反射量が異なる。このため、この光の反射量の差を用いて記録再生を行う。例えば、[Fe(ptz)6](BF42
は、波長515nmの光照射でLSからHSに遷移し、波長753nmの光照射でHSからLSへ遷移する。
光励起により自発磁化を生成する材料としては、例えば、光励起により金属イオン間の電荷移動により自発磁化が生じる材料を挙げることができる。このような材料としては、プリシアンブルー類似体等が挙げられる。更に具体的に述べれば、K0.4[Co1.3Fe(CN)6]5H2O、Na0.5[Co1.25Fe(CN)6]5H2O、Cu(II) 2[Mo(IV)(CN)6]などが挙げられる。
光励起により金属イオン間の電荷移動により自発磁化が生じる材料は、光が未照射のときは、非磁性であるが、光を照射することにより光照射部が磁性を持つ材料である。これは、材料を形成する2つの金属イオン間で光励起により電荷移動が起きたことにより生じる。この遷移を利用した記録では、記録が磁化パターンとして現れるためハードディスクなどで用いられているGMR素子などの磁気ヘッドやカー回転角を読み取る素子により再生することが可能である。例えば、K0.4Co1.3Fe(CN)6・5H2Oは、波長500〜750nmの光照射で強磁性を発芽し、波長1319nmの光照射で元の非磁性状態に戻る。
光励起によりトランス/シス型のように構造変化を示す材料としては、例えばアゾベンゼン誘導体を含む材料が挙げられる。アゾベンゼン誘導体を含む材料は、波長488nmの光照射によりトランス型からシス型へ、波長650nmの光照射でシス型からトランス型へそれぞれ遷移する。そして、上記シス型とトランス型で屈折率が異なる。このため、この屈折率の差を用いて記録・再生を行えばよい。
なお、上記紹介した、光励起により金属イオンのd電子軌道間の光学遷移を起こす材料(スピンクロスオーバー材料)、光励起により金属イオン間の電荷移動により自発磁化が生じる材料、及び光励起によりトランス/シス型のように構造変化を示す材料(構造変化型材料)は、本発明の要旨の範囲内で、任意の割合で適宜併用してもよいことはいうまでもない。
上記光誘起相転移材料のうちで、光学系が簡単に構成できる点では、構造変化型、スピンクロスオーバー材料が好ましい。特に好ましいのは、光誘起相転移材料をスピンクロスオーバー材料とすることである。スピンクロスオーバー材料は構造変化が小さいためにディスク等のそりが低減され、記録層に隣接する他の層への機械的ストレスを低減できる利点がある。
一方、S/Nを確保することを考えた場合は、光励起により自発磁化を生成する材料を用いることが好ましい。これは、このような材料は自発磁化を生じるために、カー回転角を再生に使えることで再生方法のバリエーションが増え、S/Nが確保しやすくなるからである。
光誘起相転移材料では、記録前の第1の相と記録後の第2の相とが存在し、それぞれ異なる吸光スペクトルを持つが、それぞれの吸光スペクトル同士がなるべく重ならないように材料を設計、選択することが好ましい。このように設計することにより記録/再生/消去の際に信号劣化を防止しやすくなる。つまり、記録前の第1の相の吸収スペクトルと記録後の第2の相の吸光スペクトルとが重なると、記録時に隣接する記録マークが消去される場合があるからである。
再生の際の照射波長についても既記の2つの吸光スペクトルに重なりの無い波長を選択することが好ましい。これにより再生の際の記録マーク破壊を防止できるからである。記録前の第1の相の吸収スペクトルと記録後の第2の相の吸光スペクトルとが重なると、再生時に再生する記録マークそのものの消去する場合が考えられる。
記録層中の光誘起相転移を起こす材料の含有量は、通常70重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上とする。一方、光誘起相転移を起こす材料の含有量の上限は、100重量%であることが好ましいが、現実的には95重量%程度となる。上記範囲にすることにより、高密度な記録が行いやすくなる。
また、記録層材料である光誘起相転移材料は、有機溶剤等に溶かし、塗布乾燥させることで形成できるが、下層である保護層等の接着性を考慮して、任意の樹脂を加えた溶液を塗布、乾燥して形成することもできる。
そのほか、必要に応じて、本発明の要旨の範囲内で、任意の添加剤を含有させてもよい。
記録層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは2nm以上、より好ましくは5nm以上、とする。上記範囲内とすれば、連続膜を形成することができ安定した記録・再生特性が得られやすい。一方、記録層の膜厚は、通常150nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下とする。上記範囲内とすれば、高いS/Nにより記録・再生しやすくなる。ただし、該膜厚は、記録層をスピンコート等によるウエットプロセスにて作成した場合は、乾燥後の厚みを示している。
光誘起相転移材料を含有する記録層を作製する方法は、特に限定しないが、スパッター法、蒸着法、スピンコート法、ディッピング法などの通常の成膜方法を用いることができる。中でもスピンコート法が簡単かつ安価で適する。
(基板)
基板の材質としては、特に制限はないが、例えば、ポリカーボネイト、ガラス、アモルファスポリオレフィン等を挙げることができる。本発明に用いる情報記録媒体が後述する基板面入射型のものである場合には、基板は透明であることが好ましい。
基板の厚みは、情報記録媒体の機械的な強度を保てる範囲であればよく、特に制限されないが、通常300μm以上、2.5mm以下とする。例えば、CD系の光ディスクに用いられる1.2mmの基板を用いてもよいし、DVD系の光ディスクに用いられる0.6mmの基板を用いてもよい。
基板の大きさも、使用される用途に従って適宜決めればよい。現在実用化されているCDドライブやDVDドライブとの互換性を考えるならば、直径120mm程度の円盤形状とすればよい。
基板の製造方法は、特に制限されない。このような製造方法としては、例えば、射出成型により基板を製造する方法を挙げることができる。
(マスク層)
本発明においては、情報記録媒体が光或いは熱によって透過率が変化するマスク層をさらに備えることが好ましい。これは、より高密度記録を行なうために、記録再生方法として、Super−RENS(Super−REsolution Near−field
Structure)方式を用いることを可能とするためである。この方法は、近接場光を使用した高密度記録方式の一手段であり、光照射のための近接場発生用の光学系を、情報記録媒体に近接場の到達距離以下(例えば数10nmに以下)に接近させる必要が無いという利点を有する。つまり、従来の情報記録媒体に使われている光学系及び伝播光を使い、情報記録媒体内で近接場光を作り出し数10nmの記録マークを作り出せるため、近接場光を比較的容易に扱える技術として注目されている。
上記Super−RENS方式において、マスク層は以下の機能を発揮する。つまり、マスク層上に形成されるレーザスポットのガウス分布に従った中心部分の温度高い部分では、閾値以上にマスク層が加熱される。そして、(i)上記温度の高い部分の透過率が上がり、波長以下の径を持ったアパーチャーがマスク層に形成されるか、又は(ii)上記温度高い部分透過率が下がり、波長以下の径を持った散乱体がマスク層に形成される。そして、上記アパーチャー又は散乱体から近接場光が染み出す。そして、この近接場光を用いて記録を行なう。
マスク層は、光又は熱によって透過率が変化する層であればよく、用途に従って材料を選択すればよい。
具体的には、光又は熱によって透過率が増加するマスク層を用いるアパーチャー型Super−RENS方式においては、マスク層は、レーザ照射により透過率が上がるものとすればよい。このようなマスク層を実現する材料としては、例えば、Sbを挙げることができる。Sb膜のレーザ照射による透過率特性については、例えば「非線形光学特性と表面増強ラマン散乱への応用 深谷俊夫等(機能材料 2001年11月号 vol.21
No.11 pp.34−40)」に記載されており、波長450nmから800nmの広い範囲において、レーザ照射の有無で約60%以上の差を有していて、マスク層7の材料として好適である。
マスク層にSbを用いる場合、マスク層中でのSbの含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上とする。一方、マスク層中でのSbの含有量の上限は、100重量%であることが好ましいが、現実的には99.9999重量%程度となる。
そのほか、必要に応じて、本発明の要旨の範囲内で、任意の添加剤を含有させてもよい。
一方、光又は熱によって透過率が低下するマスク層を用いる散乱型Super−RENS方式においては、マスク層は、レーザ照射により透過率が減少するものとすればよい。このようなマスク層を実現する材料としては、金属酸化物などを挙げることができる。金属酸化物の金属は、複数の金属からなっていてもよい。これら材料のうち好ましいのは、酸化銀、酸化テルルである。例えば、酸化銀は、閾値以上に加熱されると銀と酸素に分解され、不透明な銀の散乱体を形成し、透過率が減少する。温度が閾値以下に下がると再び酸化銀に戻るため、透過率も元に戻る。酸化銀膜のレーザ照射による透過率特性については、例えば「非線形光学特性と表面増強ラマン散乱への応用 深谷俊夫等(機能材料 2001年11月号 vol.21 No.11 pp.34−40)」に記載されている通りである。
マスク層に酸化銀、酸化テルルを用いる場合、成膜の際に、金属単独のターゲットを使い、酸素ガスを入れながら成膜することにより形成できるが、その際の不活性ガスに対する酸素の分圧比で酸化物とその金属単体とがその比率によって異なった割合で混じり合った膜が形成される。その際には、エネルギー的にもっとも安定な酸化物ができる酸素分圧にすることが望ましく、例えば、酸化銀の場合、Agターゲットを用いると酸素分圧:0%でAgが主要要素である膜が形成、17.5%でAgとAg2Oが約半分の割合で存在する膜が形成、25%でAg2Oが主要な要素である膜が形成、50%でAg2OとAgOがほぼ半分の割合で存在する膜が形成、75%でAgOが主要な構成要素である膜が形成される。この中で、もっとも安定なものがAg2Oなので、酸素分圧25%近傍で成膜するとよい。
マスク層中での最適なエネルギー状態の酸化銀又は酸化テルルの含有量は、通常90重量%以上、好ましくは95重量%以上、より好ましくは99重量%以上とする。一方、マスク層中での酸化銀又は酸化テルルの含有量の上限は、100重量%であることが好ましいが、現実的には99.999重量%程度となる。
当然ながら、本発明の要旨の範囲内において、酸化銀及び酸化テルルを任意の割合で併用してよいことはいうまでもない。また、必要に応じて、本発明の要旨の範囲内で、任意の添加剤を含有させてもよい。
マスク層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、とする。上記範囲内とすれば、光照射、未照射部での透過率のコントラスト差を十分つけることができ、S/Nの良い記録・再生を行いやすい。一方、マスク層の膜厚は、通常70nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは20nm以下とする。上記範囲内とすれば、十分高速に透過率を変化させることができ、高速記録・再生が行いやすくなる。
マスク層を作製する方法は、特に限定しないが、マスク層は通常無機材料で形成されるため、スパッター法、蒸着法などの通常の成膜方法を用いることができる。中でもスパッター法が簡単かつ安価で適する。
(その他の層)
本発明においては、必要に応じて保護層を設けることができる。保護層は、通常、情報記録媒体を埃やキズから保護する目的で設けられる。この場合、保護層は、一般的に、情報記録媒体の基板側とは反対側に設けられる。また、保護層は、一般に、1つの層(例えば記録層)と他の層とのバッファー層としての役割も有する。この場合、保護層は、1つの層(例えば記録層)と他の層(例えばマスク層)との間に設けられる。
保護層は、例えば、紫外線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の有機材料、又は、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、半導体窒化物、半導体炭化物、半導体硫化物等の無機材料から形成される。一般的には、SiNやZnS−SiO2などの誘電体が用いられる。
保護層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、一方、通常200nm以下である。
マスク層と記録層間の保護層の膜厚は、近接場光のカップリング距離以下に設定する必要があり、特に該保護層の膜厚は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下とする。また、単一の情報記録媒体中の全ての保護層を同じ膜厚にする必要はなく、それぞれ異なった膜厚としてよい。
保護層を作製する方法は、特に限定しないが、保護層が誘電体等の無機材料で形成される場合は、スパッター法、蒸着法などの通常の成膜方法を用いることができる。中でもスパッター法が簡単かつ安価で適する。また、保護層が有機材料で形成される場合は、スピンコート法、ディッピング法などの通常の成膜方法を用いることができる。中でもスピンコート法が簡単かつ安価で適する。保護層に有機材料を用いる場合には、保護層の成膜後、必要に応じて紫外線照射又は乾燥工程を行えばよい。
また、記録された情報のSN比を上げる目的や放熱性確保の目的等から、記録層に対する記録再生光の入射側とは反対側に反射層を設けてもよい。反射層の材料も反射光を増加できる等の所望のものであればよく、特に制限はない。一般的には、Al、Au、Cu、Ag等の金属が用いられる。好ましくは、Agである。
反射層の膜厚は、通常10nm以上、150nm以下である。
保護層を作製する方法は、特に限定しないが、反射層が金属で形成される場合は、スパッター法、蒸着法などの通常の成膜方法を用いることができる。中でもスパッター法が簡単かつ安価で適する。
基板において記録層やマスク層を設けない側(通常は、外の雰囲気と接する側)の基板面上には、必要に応じて、防汚層を付与することもできる。
2.記録・再生・消去方法
本発明においては、上記情報記録媒体に対し、第1の波長のエネルギー線を用いて記録を行い、記録時とは異なる第2の波長のエネルギー線を用いて再生を行う。そして、上記情報記録媒体を加熱して消去を行う。
ここで、記録とは、通常、記録層を基底状態から相転移後の状態に遷移させることをいう。また、再生とは、通常、基底状態と相転移状態で構成された記録層のパターンから情報を読み出すことをいう。そして、消去とは、通常、相転移後の状態から基底状態へ遷移させることをいう。
第1のエネルギー線は、通常、基底状態の記録層の持つ吸光ピーク近傍の波長を有している。第2のエネルギー線は、通常、基底状態の記録層及び相転移後の記録層の吸光ピーク近傍以外の波長を有している。
第1のエネルギー線の波長は、通常、記録層の材料で決まる。このため、記録層に使用される光誘起相転移材料としては、基底状態と転移後の状態での吸光度の波長分布になるべく重なりの無いもの選択することが、記録パターン破壊防止の観点から望ましい。第2のエネルギー線の波長は、通常、記録層の材料に大きく左右されない。このため、いずれの波長のエネルギー線でも自由に設定できるが、通常、光誘起相転移材料の基底状態と転移後の状態での吸光度の波長分布と重ならない波長を選択する。このように波長域を選択した2つのエネルギー線を用いることで、繰り返し記録再生しても劣化のない光誘起相転移材料を記録層に使った情報記録媒体の記録・再生方式が実現されやすくなる。
一方、情報記録媒体に記録された情報の消去は、情報記録媒体を加熱することによって行う。具体的には、記録層に含有される光誘起相転移材料のサーモクロミズム現象を利用する。すなわち、情報記録媒体を光誘起相転移材料の熱緩和温度以上に加熱することで、相転移状態から基底状態に記録層の状態を移すことができる。好ましくは、光誘起相転移材料の熱緩和温度以上かつ熱転移温度以下に加熱することで相転移状態から基底状態に記録層の状態を移す。この範囲の加熱では熱伝導などによる影響が極力抑えられるだけでなく、記録装置の省電力化にもなる。ここで、光誘起相転移材料の熱緩和温度や熱転移温度は、比較的低温(例えば、[Fe(pap)2]ClO4では、熱緩和温度は100K程度
、熱転位温度は150K程度)となる。このため、上記温度で情報記録媒体を加熱しても
情報記録媒体を痛めにくくなる。従って、情報記録媒体の特性に影響を与えることなく、情報記録媒体に記録された情報(例えば、個人情報や営業秘密)の一括又は大面積での消去が可能となる。
加熱手段としては、ヒーター等の装置を用いて情報記録媒体を加熱する方法を挙げることができる。情報記録媒体を加熱することによって、情報記録媒体上に記録された情報を一括消去しやすくなる。
また、加熱手段としては、光を情報記録媒体上の大面積に照射して、この照射領域を加熱する方法を挙げることができる。この場合には、例えば、第1及び第2の波長のエネルギー線を照射する際(記録及び再生の際)に用いる対物レンズ等を取り除くことによって、大面積での照射が可能となる。この加熱手段における消去に用いる光の設定方法について更に説明する。
記録層を加熱する為のエネルギー線の波長は、記録再生に使用される第1及び第2の波長のエネルギー線以外の波長を用いて行うこともできるが、装置を簡略化する目的で第1及び第2の波長のエネルギー線を用いることが好ましい。
第1及び第2の波長のエネルギー線以外の波長のエネルギー線を消去のための加熱源として選択する場合は、転移後の状態での吸光度のピーク近傍の波長を選択することが望ましい。記録層でのエネルギー線の吸収が多く、簡単に温度上昇しやすいからである。
第1の波長のエネルギー線を使用する場合、記録工程でのエネルギー線のパワーをA、消去時のパワーをBとしたとき、A<Bであることが好ましい。同じ波長の光を用い、記録時は熱緩和温度以下でのフォトクロミズム現象を利用し、消去時は熱緩和温度以上の熱緩和現象及びサーモクロミズム現象を利用するためである。ここでいうパワーとは、エネルギー線の出力と照射時間との積であって、出力と時間とのいずれで調整されるものであってもよい。
更に、第1のエネルギー線の波長は、通常、記録前の基底状態の吸光度のピーク近傍に設定される。このため、第1のエネルギー線に対しては、記録時の記録層は吸収が大きくなるが、消去時の記録層は吸収が少なくなり、記録層が加熱しにくい場合がある。この場合には消去時の加熱を補助する目的で、記録層の下部に第1の波長に吸光度をもつ材料で加熱補助層を設けることも好ましい。更に加熱補助層を入れた場合には、熱伝導による所望部以外への影響を防ぐ目的で熱拡散層を合わせて用いることも好適な手段である。
第2の波長のエネルギー線を使用する場合、再生工程でのエネルギー線のパワーをC、消去時のパワーをDとしたとき、C<Dであることが好ましい。同じ波長の光を用い、再生時は熱緩和温度以下で状態変化させないようにし、消去時は熱緩和温度以上の熱緩和現象及びサーモクロミズム現象を利用するためである。ここでいうパワーとは、エネルギー線の出力と照射時間との積であって、出力と時間とのいずれで調整されるものであってもよい。
更に、第2のエネルギー線の波長は、通常、記録層の基底状態と転移後の状態での吸光度の波長分布と重ならない波長に設定される。このため、第2のエネルギー線に対しては、記録時の記録層は吸収が少なくなる上、消去時の記録層も吸収が少なくなり、記録層が加熱しにくい場合がある。この場合には消去時の加熱を補助する目的で、記録層の下部に第2の波長に吸光度をもつ材料で加熱補助層を入れることも好ましい。更に加熱補助層を入れた場合には、熱伝導による所望部以外への影響を防ぐ目的で熱拡散層を合わせて用いることも好適な手段である。
3.装置
次に、上記記録・再生・消去方法、又は、上記消去方法を実施するための装置について説明する。このような装置としては、以下のものを挙げることができる。つまり、光源と、光源からのエネルギー線を情報記録媒体に照射するための第1の光学手段と、情報記録媒体からの情報を受信する第2の光学手段と、第1の光学手段又は第2の光学手段を利用して情報記録媒体を加熱するための加熱手段と、を有する装置である。
該装置では、記録は第1の光学手段を用いて行う。つまり、記録は、第1の波長のエネルギー線を使い、通常、光誘起反応による相転移で記録を行う。一方、再生は第2の光学手段を用いる。つまり、再生は、通常、記録時とは異なる第2の波長のエネルギー線を使い、その反射波を検出することにより行われる。ここで、第1の波長、第1の波長のエネルギー、第2の波長、及び第2の波長のエネルギー等の事項については、すでに説明をしたので、ここでの説明は省略する。
なお、この異なる2つの波長のエネルギー線のうち少なくとも1つが、本発明に用いる情報記録媒体以外の少なくとも1種類の光熱反応型情報記録媒体(CDやDVDに代表される、記録、消去共にヒートモードを用いる光熱反応型情報記録媒体。)の記録再生に使用されることが好ましい。
例えば、第1、2の波長のエネルギー線のうち、少なくとも1つの波長が780nmであれば、本発明に用いる情報記録媒体の他、CD(例えば、CD−RやCD−RW)の記録再生が可能となる。第1、2の波長のエネルギー線のうち、少なくとも1つの波長が650nmであれば、DVD(例えば、DVD−Rや書換型のDVD)の記録再生が可能となる。第1、2の波長のエネルギー線のうち、少なくとも1つの波長が405nm付近にあれば、青色レーザ対応の光熱反応型情報記録媒体(例えば、ブルーレイディスクやHD−DVD)の記録再生が可能となる。
また、例えば、第1、2の波長のエネルギー線が、780nm、650nm、405nm付近から選ばれる波長である場合は、本発明に用いる情報記録媒体の他、CD、DVD、青色レーザ対応の光熱反応型情報記録媒体のうちの2種の記録再生が可能となる。
このように第1、2の波長のエネルギー線を780nm、650nm、405nm付近から選ばれる波長に設定することにより、部材を増やすことなく全ての情報記録媒体の下位互換が達成できるので好ましい。
消去は、第1の光学手段又は第2の光学手段を利用した加熱手段を用いる。具体的には、第1の光学手段又は第2の光学手段を利用して、情報記録媒体上の比較的大きな面積を一括して加熱する。
より具体的には、以下の方法を挙げることができる。
第1の光学手段又は第2の光学手段では対物レンズが用いられるのが通常である。これは、対物レンズを用いることにより、情報記録媒体上に微小なレーザスポット(通常0.5μm以下)を形成するためである。そこで、消去の際には、この対物レンズを第1、2の波長のエネルギー線の光路から取り除くことにより、情報記録媒体上の比較的大きな面積に光を照射できるようになる。この結果、情報記録媒体上の大面積を一括して加熱することができる。そして、この面積内に記録された情報を一括消去できるようになる。
ここで、大面積とは、通常1μm2以上、好ましくは3μm2以上、より好ましくは5μm2以上の面積をいう。一方、大面積とはいっても、現実的な上限は10μm2程度となる。
4.具体的な実施態様
以下本発明の具体的な態様についてさらに詳細に説明する。
(実施形態1)
第1の実施形態として、図1及び2を参照しながら、記録層6にスピンクロスオーバー
材料を用いた情報記録媒体3における記録・再生・消去方法を説明する。
図2の情報記録媒体3は、基板4上に、保護層5、記録層6、保護層7が順次積層された構造を有している。ここで、基板4、保護層5、記録層6、保護層7については上記説明した通りなので、ここでの説明は省略する。また、記録層6と保護層7の間、或いは保護層7の下に反射光を増やす目的で反射層を付与することもできる。反射層についても上記説明した通りである。さらに、基板のレーザ光入射側には、必要に応じて、保護層、防汚層(いずれも図示しない)を付与することができる。この点についても上記説明した通りである。
また、消去工程を容易に行なうために、反射層の挿入位置と同一箇所に加熱補助層(図示しない)及び/又は熱拡散層(図示しない)を配置してもよい。ここで、反射層の機能を加熱補助層または熱拡散層の機能に追加することにより、層数が抑えられ構成が簡単になるので好ましい。
本実施形態では、記録層6にスピンクロスオーバー材料を用いている。このような記録層6を用いた場合における、記録・再生・消去工程を詳細に説明する。まず、説明の便宜上、スピンクロスオーバー材料の温度依存性曲線を説明する。
図1は、スピンクロスオーバー材料の(質量磁化率×温度)の温度依存性を示している。[1]、[5]の状態はスピン状態のLS、[3]、[6]の状態はHSの(質量磁化率×温度)に相当し、T1は熱緩和温度、T3は転移温度を示す。
スピンクロスオーバー材料は、低温側で基底状態がLSすなわち[1]の状態にある。そして、レーザ光の照射で加温することにより、スピンクロスオーバー材料の温度が[5]の状態を経てT3に達すると、[2]の状態に変化する。その結果、[3]の状態(HS)に達する。
一方、[3]の状態から、冷却すると[4]のように変化する。その結果、[5]の状態(LS)に戻る。この変化をサーモクロミック現象と呼ぶ。
これに対し[1]の状態に特定波長の光を照射すると、[1]の状態から[6]の状態(HS)に転移する。[6]の状態において、[1]の状態から[6]の状態への転移に使用した波長と異なる特定の波長の光を照射すると[6]の状態から[1]の状態へ転移する。これをフォトクロミズム現象という。また、光により[1]状態から[6]の状態へ転移させた状態で加温していくとT1に達したところで、熱緩和現象により、基底状態の[5]の状態(LS)に戻る。
本実施形態における記録はT1以下の温度域で起きるフォトクロミズム現象を利用する。一方、本実施形態における消去は、T1以上の温度域で起きる熱緩和現象利用する。
(1)初期化工程
情報記録媒体3の製造工程におけるスピン状態のバラつきを抑えるため、必須ではないが必要に応じて、情報記録媒体3全体を温度T2からT3の範囲に昇温し、記録層6に用いるスピンクロスオーバー材料のスピン状態を全てLSにする。その後T1以下の動作域の温度まで冷却し、記録層6に用いるスピンクロスオーバー材料のスピン状態を[1]の状態(LS)にする。なお、この工程は、通常、情報記録媒体3の製造の際に行われることが望ましく、記録・再生・消去装置を使うことは必須ではない。よって、記録・再生・消去装置においても初期化工程の機能は必須とするものではない。
(2)記録工程(LSからHSへの転移工程)
第1の波長を有するレーザビーム1(第1の波長のエネルギー線)は、対物レンズ2により透明基板4及び保護層5を介して、[1]の状態(LS)となっているスピンクロスオーバー材料を含有する記録層6に集光される。フォトンが供給された記録層6では、フォトン励起により相転移が起き、その部位のスピン状態が[6]の状態(HS)になる。この結果、第1の波長を有するレーザビーム1の照射部に記録マーク(記録部8)が形成される。
すなわち、第1の波長を有するレーザビーム1の未照射部が未記録部9([1]の状態:LS)となる。一方、第1の波長を有するレーザビーム1の照射部が、記録部8([6]の状態:HS)となる。このように記録することにより、スピンクロスオーバー材料では、[6]の状態(HS)と[1]の状態(LS)とで色すなわち屈折率が異なる記録パターンが形成される。
(3)再生工程
第2の波長を有するレーザビーム1(第2の波長のエネルギー線)は、対物レンズ2により透明基板4及び保護層5を介して、[1]の状態(LS)の未記録部9と[6]の状態(HS)の記録部8とが形成された記録層6に集光される。第2の波長を有するレーザビーム1としては、通常、記録層6の[6]の状態(HS)及び[1]の状態(LS)のいずれの状態においても吸光がほとんどない波長域の光が選ばれる。このため、第2の波長を有するレーザビーム1(再生光)を照射しても、[6]の状態(HS)から[1]の状態(LS)、又は[1]の状態(LS)から[6]の状態(HS)のいずれの転移も起きない。よって、第2の波長を有するレーザビーム1(再生光)により、記録パターンは破壊されることがない。このため、記録層6の記録部8と未記録部9とのスピン状態の違いによって生じる屈折率の差(換言するば、反射光量の差)を、ピックアップ(図示しない)により検出することができる。
(4)消去工程(HSからLSへの転移工程)
消去は情報記録媒体3を加熱することによって行う。つまり、該加熱により、情報記録媒体3の温度がT1を経てT2以上になる。その結果、記録層6の記録部8が一括して[5]の状態(LS)となる。このようにすることにより、情報記録媒体3に記録された情報を一括又は大面積で消去することが可能となる。
加熱はヒーター等の公知の方法を用いて行えばよい。ヒーター等を用いて、情報記録媒体3を加熱すれば、情報記録媒体3に記録された情報の一括消去をすることができる。
また、加熱は、情報記録媒体3上の比較的大きな面積にレーザーを照射することによって行ってもよい。例えば、上述したように、記録工程、再生工程で用いる対物レンズ2(情報記録媒体3上に照射されるレーザー光のスポット径を絞り込むために用いられる対物レンズ2)を取り除くことにより、情報記録媒体3上の比較的大きな面積へのレーザー光の照射が可能となる。この点については上述したので、ここでの説明は省略する。
上記レーザー光を用いて加熱を行う場合には、上記第1、第2の波長(第1の波長のエネルギー線、又は第2の波長のエネルギー線)のいずれを使っても、動作原理は同じである。従って、上記第1、第2の波長のいずれを用いてもよい。
第2のエネルギー線を用いる場合には、以下のようにエネルギー線(レーザ光)のパワーを設定する。つまり、再生工程での第2エネルギー線のパワーをC、消去時のパワーをDとしたとき、C<Dと設定する。これは、再生時においては、T1以下で状態変化させないようにするためであり、消去時においては、T1以上の熱緩和現象及びサーモクロミズム現象を用いるからである。
一方、第1のエネルギー線を使用する場合は、記録工程のパワーをA、消去時のパワーをBとしたときに、上記と同様の理由からA<Bとする。ここでいうパワーとは、エネルギー線の出力と照射時間との積であって、出力と時間とのいずれで調整されるものであってもよい。
例えば、第1の波長又は第2の波長を有するレーザビーム1(第1の波長又は第2の波長のエネルギー線)は、対物レンズ2を介さずに、[6]の状態(HS)の記録層6に集光される。ここで、記録層6が第2の波長を有するレーザビーム1に対して吸収度が低く、加熱が進まない場合には、上記説明した加熱補助層を用いればよい。つまり、加熱補助層を加熱することにより、熱伝導により極近接した記録層6の加熱を助けて記録部8の消去を行うのである。
(実施形態2)
第2の実施形態として、図3、4を参照しながら、記録層15に光励起により自発磁化を生成する材料を用いた情報記録媒体12における記録・再生・消去方法を説明する。
記録層15以外の材料、層構成は、全て実施形態1と同様である。
図示していないが、自発磁化を生成する材料を適用した場合においても記録層15と保護層16との間、或いは保護層16の下に反射光を増やす目的で反射層を付与することもできる。さらに、基板のレーザ光入射側には、必要に応じて、保護層、防汚層(いずれも図示しない)を付与することができる。この点についても上記説明した通りである。
また、消去工程を容易に行なうために、反射層の挿入位置と同一箇所に加熱補助層(図示しない)及び/又は熱拡散層(図示しない)を配置してもよい。ここで、反射層の機能を加熱補助層または熱拡散層の機能に追加することにより、層数が抑えられ構成が簡単になるので好ましい。
本実施形態では、記録層15に自発磁化を生成する材料(単に「自発磁化材料」という場合がある。)を用いている。このような記録層15を用いた場合における、記録・再生・消去工程を詳細に説明する。まず、説明の便宜上、自発磁化材料の温度依存性曲線を説明する。
図3は、自発磁化材料の(質量磁化率×磁束密度)の温度依存性を示している。[8]、[9]の状態は非磁性状態、[10]の状態は磁性状態の(質量磁化率×磁束密度)に相当し、T4は熱緩和温度、T5はキューリー温度を示す。
自発磁化材料は、基底状態が非磁性すなわち[8]の状態にある。そして、この状態において特定波長の光を照射すると、[8]の状態から[10]の状態すなわち磁性状態に転移する。[10]の状態で、[8]の状態から[10]の状態の転移に使用した波長と異なる特定の波長の光を照射すると[10]の状態から[8]の状態へ転移する。これをフォトクロミズム現象という。
また、光により[8]の状態から[10]の状態へ転移させた状態で加温していくと、T4に達したところで、熱緩和現象により、[11]の緩和期間を経て基底状態の[9]の状態(非磁性状態)に戻る。
本実施形態における記録はT4以下の温度域で起きるフォトクロミズム現象を利用する。一方、本実施形態における消去は、T4以上の温度域で起きる熱緩和現象を利用する。
(1)初期化工程
情報記録媒体12の製造工程における状態のバラつきを抑えるため、必須ではないが、必要に応じて、情報記録媒体12全体を温度T5以上に昇温し、記録層15に用いる自発磁化材の状態を全て[9]の状態(非磁性状態)に揃える。その後、T4以下の動作域の温度まで冷却し、記録層15に用いる自発磁化材料の状態を[8]の状態(非磁性)にする。なお、この工程は、通常、情報記録媒体の製造の際に行われることが望ましく、記録・再生・消去装置を使うことは必須ではない。よって、記録・再生・消去装置においても初期化工程の機能は必須とするものではない。
(2)記録工程(非磁性から磁性への転移工程)
第1の波長を有するレーザビーム10(第1の波長のエネルギー線)は、対物レンズ11により透明基板13及び保護層14を介して、[8]の状態(非磁性)となっている自発磁化材料を含有する記録層15に集光される。フォトンが供給された記録層15では、フォトン励起により相転移が起き、その部位の状態が[10]の状態(磁性)になる。この結果、第1の波長を有するレーザビーム10の光照射部に記録マーク(記録部17)が形成される。
すなわち、第1の波長を有するレーザビーム10の未照射部が、未記録部18([8]の状態:非磁性)となる。一方、第1の波長を有するレーザビーム10の照射部が、記録部17([10]の状態:磁性)となる。このように記録することにより、自発磁化材料では、[8]の状態(非磁性)と[10]の状態(磁性)で記録が屈折率の違いのみならず自発磁化の有無による磁化パターンとしても形成される。
(3)再生工程
第2の波長を有するレーザビーム10(第2の波長のエネルギー線)は、対物レンズ11により透明基板13及び保護層14を介して、[8]の状態(非磁性)及び[10]の状態(磁性)で形成された記録パターンが形成されている記録層15に集光される。第2の波長を有するレーザビーム10としては、通常、記録層15の[8]の状態(非磁性)及び[10]の状態(磁性)いずれの状態においても吸光がほとんどない波長域の光が選ばれる。このため、第2の波長を有するレーザビーム10(再生光)を照射しても、[8]の状態(非磁性)から[10]の状態(磁性)または[10]の状態(磁性)から[8]の状態(非磁性)のいずれの転移も起きない。よって、第2の波長を有するレーザビーム10(再生光)により、記録パターンは破壊されることがない。このため、記録層15の記録部17と未記録部18との屈折率の違い或いは自発磁化の有無によって生じる反射光量の違い、或いは磁場変化を、ピックアップ(図示しない)により検出することができる。
(4)消去工程(磁性から非磁性への転移工程)
消去は情報記録媒体12を加熱することによって行う。つまり、該加熱により、情報記録媒体12の温度がT5以上になる。その結果、記録層15の記録部17が一括して[9]の状態(非磁性)となる。このようにすることにより、情報記録媒体12に記録された情報を一括又は大面積で消去することが可能となる。
加熱はヒーター等の公知の方法を用いて行えばよい。ヒーター等を用いて、情報記録媒体12を加熱すれば、情報記録媒体12に記録された情報の一括消去をすることができる。
また、加熱は、情報記録媒体12上の比較的大きな面積にレーザーを照射することによって行ってもよい。例えば、上述したように、記録工程、再生工程で用いる対物レンズ11(情報記録媒体12上に照射されるレーザー光のスポット径を絞り込むために用いられる対物レンズ11)を取り除くことにより、情報記録媒体12上の比較的大きな面積へのレーザー光の照射が可能となる。この点については上述したので、ここでの説明は省略する。
上記レーザー光を用いて加熱を行う場合には、上記第1、第2の波長(第1の波長のエネルギー線、又は第2の波長のエネルギー線)のいずれを使っても、動作原理は同じである。従って、上記第1、第2の波長のいずれを用いてもよい。
第2のエネルギー線を用いる場合には、以下のようにエネルギー線(レーザ光)のパワーを設定する。つまり、再生工程での第2エネルギー線のパワーをC、消去時のパワーをDとしたとき、C<Dと設定する。これは、再生時においては、T4以下で状態変化させないようにするためであり、消去時においては、T4以上の熱緩和現象及びサーモクロミズム現象を用いるからである。
一方、第1のエネルギー線を使用する場合は、記録工程のパワーをA、消去時のパワーをBとしたときに、上記と同様の理由からA<Bとする。ここでいうパワーとは、エネルギー線の出力と照射時間との積であって、出力と時間とのいずれで調整されるものであってもよい。
例えば、第1の波長又は第2の波長を有するレーザビーム10(第1の波長又は第2の波長のエネルギー線)は、対物レンズ11を介さずに、[10]の状態(磁性)の記録層15に集光される。ここで、記録層15が第2の波長を有するレーザビーム10に対して吸収度が低く、加熱が進まない場合には、上記説明した加熱補助層を用いればよい。つまり、加熱補助層は加熱され、熱伝導により極近接した記録層15を加熱する。該加熱によりその部位の温度がT4を経てT5以上になり、記録層15の状態が[9](非磁性)となる。
(実施形態3)
第3の実施形態として、図5を参照しながら、アパーチャー型Super−RENS方式(基板面入射型)の情報記録媒体21における、記録・再生・消去方法を説明する。ここで、本実施形態では、実施形態1と同様、記録層27にスピンクロスオーバー材料を用いている。
図5の情報記録媒体21は、基板23上に、保護層24、マスク層25、保護層26、記録層27、保護層28が順次積層された構造を有している。ここで、基板23、保護層24、マスク層25、保護層26、記録層27、及び保護層28については上記説明した通りなので、ここでの説明は省略する。また、記録層27と保護層28の間、或いは保護層28の下に反射光を増やす目的で反射層を付与することもできる。反射層についても上記説明した通りである。さらに、基板のレーザ光入射側には、必要に応じて、保護層、防汚層(いずれも図示しない)を付与することができる。この点についても上記説明した通りである。
また、消去工程を容易に行なうために、反射層の挿入位置と同一箇所に加熱補助層(図示しない)及び/又は熱拡散層(図示しない)を配置してもよい。ここで、反射層の機能を加熱補助層または熱拡散層の機能に追加することにより、層数が抑えられ構成が簡単になるので好ましい。
(1)初期化工程
情報記録媒体21の製造工程におけるスピン状態のバラつきを抑えるため、必須ではないが必要に応じて、情報記録媒体21全体を温度T2からT3(T2、T3については図1参照)の範囲に昇温し、記録層27に用いるスピンクロスオーバー材料のスピン状態を全てLSにする。その後、T1(T1については図1参照)以下の動作域の温度まで冷却し、記録層27に用いるスピンクロスオーバー材料のスピン状態を[1]の状態(LS)にする。なお、この工程は、通常、情報記録媒体21の製造の際に行われることが望ましく、記録・再生・消去装置を使うことは必須ではない。よって、記録・再生・消去装置においても初期化工程の機能は必須とするものではない。
(2)記録工程(LSからHSへの転移工程)
第1の波長を有するレーザビーム19(第1の波長のエネルギー線)は、対物レンズ20により、基板23及び保護層24を介して、マスク層25に集光される。レーザスポットのガウス分布に従った中心部分の温度高い部分では、閾値以上にマスク層25が加熱され該部分の屈折率が変化する。そして、該部分の透過率が約10%から80%に上がり、波長以下の径を持ったアパーチャー22がマスク層25内に形成される。
回折限界のために、波長以下の径を持つアパーチャー22から保護層26内に伝播光は出射されないが、近接場光29が染み出す。ここで、近接場光29は、保護層26内で距離と共に指数関数的にエネルギーが減少する。しかし、保護層26を近接場光の到達距離以下の厚み、通常100nm以下、好ましくは50nm以下にすることにより、近接場光29は、[1]の状態(LS)の記録層27にカップリングされる。そして、近接場光29は、記録層27にフォトンを供給する。フォトンが供給された記録層27では、フォトン励起により相転移が起き、その部位のスピン状態が[6]の状態(HS)になり光照射部に記録マーク(記録部30)が形成される。すなわち近接場光29の未照射部が未記録部31(LS)、照射部が記録部30(HS)となる。このように記録することにより、スピンクロスオーバー材料では、[6]の状態(HS)と[1]の状態(LS)とで、色すなわち屈折率が異なる記録パターンが形成される。
加熱により屈折率が変化し透明になったマスク層25の部分は、レーザビーム19の移動或いはオフにより冷却され、元の不透明膜に戻る。
(3)再生工程
第2の波長を有するレーザビーム19(第2の波長のエネルギー線)は、対物レンズ20により、基板23及び保護層24を介して、マスク層25に集光される。レーザスポットのガウス分布に従った中心部分の温度高い部分では、閾値以上にマスク層25が加熱され該部分の屈折率が変化する。そして、該部分の透過率が約10%から80%に上がり、波長以下の径を持ったアパーチャー22がマスク層25内に形成される。
回折限界のため波長以下の径を持つアパーチャー22から保護層26内に伝播光は出射されないが、近接場光29が染み出す。ここで、近接場光29は、保護層26内で距離と共に指数関数的にエネルギーが減少する。しかし、保護層26を近接場光の到達距離以下の厚み、通常100nm以下、好ましくは50nm以下にすることにより、近接場光29は、[1]の状態(LS)及び[6]の状態(HS)で形成された記録パターンが形成されている記録層27にカップリングされる。記録層27に到達した近接場光29は、記録パターンと相互作用し、伝播光となり、その一部が反射され、反射光としてピックアップ(図示しない)により検出される。
第2の波長を有するレーザビーム19(第2の波長のエネルギー線)は、記録層27の[6]の状態(HS)、[1]の状態(LS)いずれの状態においても吸光がほとんどない波長域の光が選ばれる。このため、第2の波長を有するレーザビーム1(再生光)を照射しても、[6]の状態(HS)から[1]の状態(LS)、又は[1]の状態(LS)から[6]の状態(HS)のいずれの転移も起きない。よって、第2の波長を有するレーザビーム1(再生光)により、記録パターンは破壊されることがない。このため、記録層27の記録部30と未記録部31とのスピン状態の違いによって生じる屈折率の差(換言するば、反射光量の差)を、ピックアップ(図示しない)により検出することができる。
(4)消去工程(HSからLSへの転移工程)
消去は情報記録媒体21を加熱することによって行う。つまり、該加熱により、情報記録媒体21の温度がT1を経てT2以上になる(T1、T2については図1を参照)。その結果、記録層27の記録部30が一括して[5]の状態(LS)となる。このようにすることにより、情報記録媒体21に記録された情報を一括して消去することが可能となる。
加熱はヒーター等の公知の方法を用いて行えばよい。ヒーター等を用いて、情報記録媒体21を加熱すれば、情報記録媒体21に記録された情報の一括消去をすることができる。
情報記録媒体21の記録部30の一部のみを消去する場合には、当該消去部分のみをT2以上となるようにすればよい。このような場合には、上記第1、第2の波長(第1の波長のエネルギー線、又は第2の波長のエネルギー線)のいずれを使っても、動作原理は同じである。従って、上記第1、第2の波長のいずれを用いてもよい。
第2のエネルギー線を用いる場合には、以下のようにエネルギー線(レーザ光)のパワーを設定する。つまり、再生工程での第2エネルギー線のパワーをC、消去時のパワーをDとしたとき、C<Dと設定する。これは、再生時においては、T1以下で状態変化させないようにするためであり、消去時においては、T1以上の熱緩和現象及びサーモクロミズム現象を用いるからである。
一方、第1のエネルギー線を使用する場合は、記録工程のパワーをA、消去時のパワーをBとしたときに、上記と同様の理由からA<Bとする。ここでいうパワーとは、エネルギー線の出力と照射時間との積であって、出力と時間とのいずれで調整されるものであってもよい。
第1の波長又は第2の波長を有するレーザビーム19(第1の波長又は第2の波長のエネルギー線)は、対物レンズ20により、基板23及び保護層24を介して、マスク層25に集光される。レーザスポットのガウス分布に従った中心部分の温度高い部分では、閾値以上にマスク層25が加熱され該部分の屈折率が変化する。そして、該部分の透過率が約10%から80%に上がり、波長以下の径を持ったアパーチャー22がマスク層25内に形成される。
回折限界のため波長以下の径を持つアパーチャー22から保護層26内に伝播光は出射されないが、近接場光29が染み出す。ここで、保護層26内で近接場光29は、距離と共に指数関数的にエネルギーが減少する。しかし、保護層26を近接場光の到達距離以下の厚み、通常100nm以下、好ましくは50nm以下にすることにより、近接場光29は、[1]の状態(LS)及び[6]の状態(HS)で形成された記録パターンが形成されている記録層27にカップリングされる。
ここで、記録層6がレーザビーム19に対して吸収度が低く、加熱が進まない場合には、上記説明した加熱補助層を用いればよい。つまり、加熱補助層を加熱することにより、熱伝導により極近接した記録層27の加熱を助けて記録部27の消去を行うのである。また、同時に加熱されたマスク層25からの熱伝導による記録層27への加熱も加わり、記録相27の温度はT1を経てT2以上になり、該スピン状態が[5]の状態(LS)となりやすくなる。すなわちレーザビーム19の未照射部が照射前のスピン状態を維持し、照射部がLS状態に戻る。
加熱により屈折率が変化し透明になったマスク層25の部分は、レーザビーム19の移動或いはオフにより冷却され、元の不透明膜に戻る。
(実施形態4)
第4の実施形態として、図6を参照しながら、散乱型Super−RENS方式(基板面入射型)の情報記録媒体34における、記録・再生・消去方法を説明する。ここで、本実施形態では、実施形態1と同様、記録層40にスピンクロスオーバー材料を用いている。
図6に示すようにマスク層38の以外の材料、層構成は、全て実施形態3と同様である。マスク層38としては、透過率が光照射により減少するものを用いる。このようなマスク層38についてはすでに説明した通りである。
(1)初期化工程
情報記録媒体34の製造工程におけるスピン状態のバラつきを抑えるため、必須ではないが必要に応じて、情報記録媒体34全体を温度T2からT3(T2、T3については図1参照)の範囲に昇温し、記録層40に用いるスピンクロスオーバー材料のスピン状態を全てLSにする。その後、T1(T1については図1参照)以下の動作域の温度まで冷却し、記録層40に用いるスピンクロスオーバー材料のスピン状態を[1]の状態(LS)にする。なお、この工程は、通常、情報記録媒体34の製造の際に行われることが望ましく、記録・再生・消去装置を使うことは必須ではない。よって、記録・再生・消去装置においても初期化工程の機能は必須とするものではない。
(2)記録工程(LSからHSへの転移工程)
第1の波長を有するレーザビーム32(第1の波長のエネルギー線)は、対物レンズ33により、基板36及び保護層37を介して、マスク層38に集光される。レーザスポットのガウス分布に従った中心部分の温度高い部分では、閾値以上にマスク層38が加熱され、該部分が化学分解を起こす。そして、該部分の透過率が約20%程度減少し、波長以下の径を持った散乱体35がマスク層38内に形成される。
透過率の減少した部分では、散乱体35にまつわりつく近接場光42が保護層39内に発生する。近接場光42は、保護層39内で距離と共に指数関数的にエネルギーが減少する。しかし、保護層39を近接場光42の到達距離以下の厚み、通常100nm以下、好ましくは50nm以下にすることにより、近接場光42は、[1]の状態(LS)の記録層40にカップリングされる。そして、近接場光42は、記録層40にフォトンを供給する。フォトンが供給された記録層40では、フォトン励起により相転移が起き、その部位のスピン状態が[6]の状態(HS)になり光照射部に記録マーク(記録部43)が形成される。すなわち近接場光42の未照射部が未記録部44(LS)、照射部が記録部43(HS)となる。このように記録することにより、スピンクロスオーバー材料では、[6]の状態(HS)と[1]の状態(LS)とで色すなわち屈折率が異なる記録パターンが形成される。
マスク層38の加熱により散乱体35が形成され、不透明になった部分は、レーザビーム32の移動或いはオフにより冷却され、化学分解した成分の再結合が起き、元の透明膜に戻る。
(3)再生工程
第2の波長を有するレーザビーム32(第2の波長のエネルギー線)は、対物レンズ33により、基板36及び保護層37を介して、マスク層38に集光される。レーザスポットのガウス分布に従った中心部分の温度高い部分では、閾値以上にマスク層38が加熱され、該部分が化学分解を起こす。そして、該部分の透過率が約20%程度減少し、波長以下の径を持った散乱体35がマスク層38内に形成される。
透過率の減少した部分では、散乱体35にまつわりつく近接場光42が保護層39内に発生する。ここで、近接場光42は、保護層39内で距離と共に指数関数的にエネルギーが減少する。しかし、保護層39を近接場光42の到達距離以下の厚み、通常100nm以下、好ましくは50nm以下にすることにより、近接場光42は、[1]の状態(LS)及び[6]の状態(HS)で形成された記録パターンが形成されている記録層40にカップリングされる。記録層40に到達した近接場光42は、記録パターンと相互作用し、伝播光となり、その一部が反射され、不透明な散乱体35以外の部分より反射光として出射されピックアップ(図示しない)により検出される。
第2の波長を有するレーザビーム32(第2の波長のエネルギー線)は、記録層40の[6]の状態(HS)、[1]の状態(LS)いずれの状態においても吸光がほとんどない波長域の光が選ばれる。このため、第2の波長を有するレーザビーム32(再生光)を照射しても、[6]の状態(HS)から[1]の状態(LS)または[1]の状態(LS)から[6]の状態(HS)のいずれの転移も起きない。よって、第2の波長を有するレーザビーム32(再生光)により記録パターンは破壊されることがない。このため、記録層40の記録部43と未記録部44とのスピン状態の違いによって生じる屈折率の差(換言するば、反射光量の差)を、ピックアップ(図示しない)により検出することができる。
(4)消去工程(HSからLSへの転移工程)
消去は情報記録媒体34を加熱することによって行う。つまり、該加熱により、情報記録媒体34の温度がT1を経てT2以上になる(T1、T2については図1を参照)。その結果、記録層40の記録部43が一括して[5]の状態(LS)となる。このようにすることにより、情報記録媒体34に記録された情報を一括して消去することが可能となる。
加熱はヒーター等の公知の方法を用いて行えばよい。ヒーター等を用いて、情報記録媒体34を加熱すれば、情報記録媒体34に記録された情報の一括消去をすることができる。
また、加熱は、情報記録媒体34上の比較的大きな面積にレーザーを照射することによって行ってもよい。例えば、上述したように、記録工程、再生工程で用いる対物レンズ33(情報記録媒体34上に照射されるレーザー光のスポット径を絞り込むために用いられる対物レンズ33)を取り除くことにより、情報記録媒体34上の比較的大きな面積へのレーザー光の照射が可能となる。この点については上述したので、ここでの説明は省略する。
上記レーザー光を用いて加熱を行う場合には、上記第1、第2の波長(第1の波長のエネルギー線、又は第2の波長のエネルギー線)のいずれを使っても、動作原理は同じである。従って、上記第1、第2の波長のいずれを用いてもよい。
第2のエネルギー線を用いる場合には、以下のようにエネルギー線(レーザ光)のパワーを設定する。つまり、再生工程での第2エネルギー線のパワーをC、消去時のパワーをDとしたとき、C<Dと設定する。これは、再生時においては、T1以下で状態変化させないようにするためであり、消去時においては、T1以上の熱緩和現象及びサーモクロミズム現象を用いるからである。
一方、第1のエネルギー線を使用する場合は、記録工程のパワーをA、消去時のパワーをBとしたときに、同様の理由からA<Bとする。ここでいうパワーとは、エネルギー線の出力と照射時間との積であって、出力と時間とのいずれで調整されるものであってもよい。
第1の波長又は第2の波長を有するレーザビーム32(第1の波長又は第2の波長のエネルギー線)は、対物レンズ33を介さずに、情報記録媒体34に照射される。つまり、レーザビーム32は、透過率の高いマスク層38を介して、記録層40に照射される。
ここで、記録層40が、第1の波長又は第2の波長を有するレーザビーム32に対して吸収度が低く、加熱が進まない場合には、上記説明した加熱補助層を用いればよい。つまり、加熱補助層を加熱することにより、熱伝導により極近接した記録層40の加熱を助けて記録部43の消去を行うのである。また、同時に加熱された散乱体35からの熱伝導による記録層40への加熱も加わり、記録層40の温度はT1を経てT2以上になり、該スピン状態が[5]の状態(LS)となりやすくなる。すなわち未照射部(未記録部44)が照射前のスピン状態を維持し、照射部がLS状態に戻る。
マスク層38の加熱により散乱体35が形成され、不透明になった部分は、レーザビーム32の移動或いはオフにより冷却され、化学分解した成分の再結合が起き、元の透明膜に戻る。
(実施形態5)
記録・再生・消去装置の一例について、図7を参照しながら詳細に説明する。
図7の装置は、少なくとも2つの波長を発生することができる光源(レーザダイオード45)ユニット、又は、異なる波長を発生する複数の光源(図示していないが、レーザダイオードを複数設ける。)ユニットを有する。また、レーザダイオード45からのエネルギー線を情報記録媒体53に照射するための第1の光学手段と、情報記録媒体53からの光学情報を受信する第2の光学手段と、情報記録媒体53を回転させる第1の駆動手段と、第1及び第2の光学手段を情報記録媒体53上の所望の位置に移動させる第2の駆動手段と、情報記録媒体53に書き込むためのデータの生成及び読み出したデータの処理を行う信号処理手段(図示しない)とを備える。さらに、図7の装置は、第1の光学手段又は第2の光学手段を利用した加熱手段を有する。
第1の光学手段は、レーザダイオード45からのレーザビーム56を主ビームと副ビーム(図示しない)に分けるグレーティング46と、S偏光(縦波)を反射しP偏光(横波)を透過させる偏向ビームスプリッター47と、レーザビーム56を平行光にするコリメータレンズ48と、波長を1/4だけずらすλ/4板49と、情報記録媒体53上にレーザビーム56を絞り込む対物レンズ50と、から構成されている。
第2の光学手段は、情報記録媒体53からの情報を含んだ反射光57を取り出すための対物レンズ50と、波長を1/4だけずらすλ/4板49と、コリメータレンズ48と、偏向ビームスプリッター47と、反射光57を絞り込む円筒レンズ51と、光検出機52と、で構成されている。
それぞれの光学手段には、必要によって光軸方向を変えるためのミラーが挿入されることがある。光学手段はそれぞれの波長ごとに別途設けてもよいが、できるだけ少ない光学部品で構成することがコスト及び小型化の面から好ましく、複数の波長で共有化する方がよい。共有化は全ての部品で行ってもよいが、一部であってもよい。一部共有化の場合は、波長別に光を分離する目的で、所望の位置にダイクロイックミラーを挿入する。
また、図示していないが、グレーティング46で分けられた副ビームは、別の光学系で構成された手段により第2の駆動手段の位置を制御するための信号情報を得るためのサーボトラッキング用手段に使用される。
第1の駆動手段は、情報記録媒体53を保持する保持部材(図示しない)と、スピンドルモータ54と、スピンドルモータ54を駆動するドライバー(図示しない)と、それを制御するコントローラ(図示しない)と、から構成されている。
第2の駆動手段は、第1及び第2の光学手段を保持する保持部材55と、保持部材を所望の位置に移動させるためのアクチュエータ(図示しない)と、そのアクチュエータを駆動するモータ(図示しない)と、モータのドライバー(図示しない)と、モータをコントロールするコントローラ(図示しない)と、で構成されている。
情報記録媒体53に書き込むためのデータの生成及び読み出したデータの処理を行う信号処理手段(図示しない)は、第1の光学手段および第2の光学手段に接続されている。
更に第1の駆動手段及び第2の駆動手段のコントローラ(図示しない)と、信号処理手段と、サーボトラッキング用手段(図示しない)と、はメインコントローラ(図示しない)に接続されている。そして、該記憶装置からの命令を受け取ったメインコントローラがそれぞれに所望の命令を行うことで、それぞれの手段間で情報伝達が行われ、記録・再生・消去が行われる。
また、加熱手段は、例えば、上記第1の光学手段又は上記第2の光学手段を利用しつつ、レーザーの光路から対物レンズ50を除去する機構(図示しない)を有する。
記録は以下のようにして行われる。
まず、レーザダイオード45から第1の波長を有するレーザビーム56(第1の波長のエネルギー線)を照射する。そして、このレーザビーム56を、主ビームと副ビーム(図示しない)に分けるグレーティング46、S偏光(縦波)を反射しP偏光(横波)を透過させる偏向ビームスプリッター47、レーザビーム56を平行光にするコリメータレンズ48、波長を1/4だけずらすλ/4板49、及び情報記録媒体53上にレーザビーム56を絞り込む対物レンズ50を介して、情報記録媒体53に照射する。この結果、情報記録媒体53に記録が行われる。
再生は以下のようにして行われる。
まず、レーザダイオード45から第2の波長を有するレーザビーム56(第2の波長のエネルギー線)を照射する。そして、このレーザビーム56を、主ビームと副ビーム(図示しない)に分けるグレーティング46、S偏光(縦波)を反射しP偏光(横波)を透過させる偏向ビームスプリッター47、レーザビーム56を平行光にするコリメータレンズ48、波長を1/4だけずらすλ/4板49、及び情報記録媒体53上にレーザビーム56を絞り込む対物レンズ50を介して、情報記録媒体53に照射する。
次に、情報記録媒体53から反射される反射光57を対物レンズ50で取り出す。そして、反射光57を、波長を1/4だけずらすλ/4板49、コリメータレンズ48、偏向ビームスプリッター47、及び反射光57を絞り込む円筒レンズ51を介して光検出機52に入射させる。この結果、情報記録媒体53に記録された情報の再生が行われる。
消去は以下のようにして行われる。
まず、対物レンズ50をレーザーの光路から取り除く。次に、レーザダイオード45から、第1の波長又は第2の波長を有するレーザビーム56(第1の波長のエネルギー線、又は第2の波長のエネルギー線)を照射する。そして、このレーザビーム56を、主ビームと副ビーム(図示しない)に分けるグレーティング46、S偏光(縦波)を反射しP偏光(横波)を透過させる偏向ビームスプリッター47、レーザビーム56を平行光にするコリメータレンズ48、及び波長を1/4だけずらすλ/4板49を介して、情報記録媒体53に照射する。そして、情報記録媒体53上の照射領域を所定の温度以上(例えば、記録層にスピンクロスオーバー材料を用いる場合は、図1のT2以上の温度とすることが挙げられる。また、例えば、記録層に自発磁化材料を用いる場合は、図3のT4以上の温度とすることが挙げられる。)に加熱する。その結果、情報記録媒体53に記録された情報の一括消去を行うことができる。
スピンクロスオーバー材料の温度依存性を示す図である。 実施形態1に係る情報記録媒体の模式図である。 自発磁化材料の温度依存性を示す図である。 実施形態2に係る情報記録媒体の模式図である。 実施形態3に係る情報記録媒体の模式図である。 実施形態4に係る情報記録媒体の模式図である。 記録・再生・消去装置の模式図である。
符号の説明
1、10、19、32 レーザビーム
2、11、20、33、50 対物レンズ
3、12、21、34、53 情報記録媒体
22 アパーチャー
4、13、23、36 基板
5、7、14、16、24、26、28、37、39、41 保護層
25、38 マスク層
6、15、27、40 記録層
29、42 近接場光
8、17、30、43 記録部
9、18、31、44 未記録部
35 散乱体
45 レーザダイオード
46 グレーディング(回折格子)
47 ビームスプリッター
48 コリメータレンズ
49 λ/4板
50 対物レンズ
51 円筒レンズ
52 光検出器
54 スピンドルモータ
55 ヘッドアクチュエータ
56 レーザビーム
57 レーザビーム

Claims (4)

  1. 基板上に光誘起相転移を起こす材料を含有する記録層を備えた情報記録媒体に対し、
    第1の波長のエネルギー線を用いて記録を行い、
    記録時とは異なる第2の波長のエネルギー線を用いて再生を行い、
    前記情報記録媒体を加熱して消去を行う
    ことを特徴とする情報記録媒体の記録・再生・消去方法。
  2. 前記情報記録媒体が、光或いは熱によって透過率が変化するマスク層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体の記録・再生・消去方法。
  3. 基板上に光誘起相転移を起こす材料を含有する記録層を備え、情報が記録された情報記録媒体に対し、光又は熱を用いて前記情報記録媒体を加熱することにより、前記情報の消去を行うことを特徴とする情報記録媒体の消去方法。
  4. 光源と、光源からのエネルギー線を情報記録媒体に照射するための第1の光学手段と、情報記録媒体からの情報を受信する第2の光学手段と、第1の光学手段又は第2の光学手段を利用して情報記録媒体を加熱するための加熱手段と、を有することを特徴とする情報記録媒体の記録・再生・消去装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010103982A1 (ja) * 2009-03-11 2010-09-16 昭和電工株式会社 情報記憶媒体および情報記憶装置

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