JP2007003033A - 圧縮機およびそれを用いた冷凍サイクル - Google Patents

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寛之 小林
Makoto Fujitani
誠 藤谷
Shigeki Miura
茂樹 三浦
Yoshizumi Fujita
佳純 藤田
Ikuo Ezaki
郁男 江崎
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Abstract

【課題】 ガスインジェクションサイクルを適用した冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルの効率向上を図ることができる冷凍サイクル及びそれに用いる圧縮機を提供する。
【解決手段】 冷媒を圧縮する複数の作動室45A,45Bが設けられた圧縮機3と、圧縮された冷媒の熱を放熱させる放熱器5と、放熱された冷媒の圧力を減圧させる高圧側減圧部7と、減圧された冷媒を更に減圧させる低圧側減圧部11と、低圧側減圧部11で減圧された冷媒に熱を吸収させる吸熱器13と、を有し、複数の作動室45A,45Bの内の一の作動室45Bには、高圧側減圧部7により減圧された冷媒の一部を一の作動室45Bに供給する冷媒供給手段17が設けられ、他の作動室45Aには、吸熱器13を介して残りの冷媒が供給されることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、圧縮機およびそれを用いた冷凍サイクルに関する。
一般に、冷凍・空調装置等の冷凍サイクルに用いられる圧縮機としては、ピストン式やロータリ式やスクロール式の圧縮機が知られている。
これらロータリ式圧縮機や、スクロール式圧縮機を用いた冷凍サイクルを能力向上させる手法として、放熱器と吸熱器との間に2つの減圧器を備え、これら減圧器を用いて冷媒を2段膨張させ、一の減圧器を通過した後の中間圧を有する冷媒を圧縮機の圧縮行程に供給するガスインジェクション(エコノマイザーサイクル)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−110167号公報
上述の特許文献1においては、圧縮機と凝縮器(放熱器)と気液分離室と蒸発器(吸熱器)等を有する冷房(冷凍)サイクルにおいて、圧縮機が、蒸発器から吸入された冷媒を圧縮する第1作動室と、第1作動室の吐出側に接続されて第1作動室において圧縮された冷媒を受け入れる中間圧力室と、中間圧力室から吸入した冷媒をさらに圧縮する第2作動室とを備え、中間圧力室と気液分離室とが管路により接続されている冷房サイクルに関する技術が開示されている。
しかしながら、上述の特許文献1においては、気液分離室内における冷媒圧力と、中間圧力室内における冷媒圧力の差圧を利用して、気液分離室から中間圧力室へ気体冷媒を供給している。つまり、一の減圧器を通過した後の冷媒圧力(気液分離室内の冷媒圧力)は、第1作動室から吐出される冷媒圧力(中間圧室内の冷媒圧力)よりも高い圧力に設定する必要がある。
一般的に、ガスインジェクションにおいては、一の減圧器を通過した後の中間圧力を低圧にするほど冷凍サイクルの効率が向上する。上述のように、上記中間圧力を低圧にできないと、冷凍サイクルの効率向上が図れないという問題があった。
一方、上記中間圧力を低圧にすると、第1作動室から吐出された冷媒が気液分離室内へ逆流する恐れがあり、冷凍サイクルの効率向上が図れないという問題があった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ガスインジェクションサイクルを適用した冷凍サイクルにおいて、冷凍サイクルの効率向上を図ることができる圧縮機および冷凍サイクルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の冷凍サイクルは、冷媒を圧縮する複数の作動室が設けられた圧縮機と、圧縮された冷媒の熱を放熱させる放熱器と、放熱された冷媒の圧力を減圧させる高圧側減圧部と、減圧された冷媒を更に減圧させる低圧側減圧部と、該低圧側減圧部で減圧された冷媒に熱を吸収させる吸熱器と、を有し、前記複数の作動室の内の一の作動室には、前記高圧側減圧部により減圧された冷媒の一部を前記一の作動室に供給する冷媒供給手段が設けられ、他の作動室には、前記吸熱器を介して残りの冷媒が供給されることを特徴とする。
本発明によれば、高圧側減圧部により減圧された冷媒の一部が、冷媒供給手段により一の作動室に供給され、吸熱器から流出した残りの冷媒が他の作動室に供給される。その結果、高圧側減圧部により減圧された後の冷媒圧力を上記他の作動室に供給されて圧縮される冷媒の圧力(中間圧)とは無関係に所定の低い圧力に設定することができ、ガスインジェクションを用いた冷凍機の効率向上を図ることができる。
つまり、高圧側減圧部により減圧された冷媒の一部を、直接、一の作動室に供給するため、圧力差により冷媒が逆流する恐れがなく、上記減圧後の圧力を所定の低い圧力に設定することができる。また、上記減圧後の圧力を所定の低い圧力に設定できるため、吸熱器における熱交換量を増加させることができ、冷凍サイクルの効率向上を図ることができる。
なお、冷媒供給手段により一の作動室へ供給される一部の冷媒は、高圧側減圧部により減圧された段階において気体の冷媒であることが望ましく、吸熱器を介して他の作動室へ供給される他の冷媒は、高圧側減圧部により減圧された段階において液体の冷媒であることが望ましい。
上記発明においては、前記一の作動室には、前記冷媒供給手段からのみ前記冷媒が供給されることが望ましい。
本発明によれば、一の作動室には冷媒供給手段からのみ冷媒が供給されるため、一の作動室には高圧側減圧部により減圧された冷媒のみが供給される。そのため、冷媒が冷媒供給手段を逆流する恐れがなく、冷凍サイクルの効率向上を図ることができる。
上記発明においては、
前記冷媒供給手段には、前記冷媒の圧力変動を緩和する圧力変動緩和手段が設けられていることが望ましい。
本発明によれば、冷媒供給手段には圧力変動緩和手段が設けられているため、一の作動室に供給される冷媒の圧力変動を緩和させることができる。そのため、一の作動室に冷媒を安定して供給することができ、冷凍サイクルの効率向上を図ることができる。
上記発明においては、前記一の作動室の容積が、前記他の作動室の容積と異なることが望ましい。
本発明によれば、例えば、一の作動室の容積と他の作動室の容積との比を、高圧側減圧部により減圧された後の冷媒における気体と液体との比(クオリティ)に応じて定めることにより、冷凍サイクルの効率向上を図ることができる。
本発明の圧縮機は、吸熱器で蒸発した低圧吸入ガスを圧縮する少なくとも一以上の作動室と、該作動室とは独立し、冷凍サイクル中で分離されたインジェクションガスを圧縮する少なくとも一以上のインジェクションガス専用の作動室とを有することを特徴とする。
本発明によれば、吸熱器で蒸発した低圧吸入ガスを圧縮する作動室とは別に独立したインジェクションガス専用の作動室を有しているため、インジェクションガス冷媒の圧力、つまり中間圧力を、低圧吸入ガスを圧縮する作動室で圧縮される冷媒の圧力とは無関係な所定の低い圧力に設定してインジェクションガスを吸入圧縮することができる。従って、ガスインジェクションを用いた冷凍サイクルに好適な圧縮機を提供することができる。
上記発明においては、前記圧縮機が、前記一の作動室および前記他の作動室を1つずつ備えたロータリ式圧縮機であることが望ましい。
本発明によれば、圧縮機として、一の作動室および他の作動室を1つずつ備えたロータリ式圧縮機を用いることにより、冷凍サイクルの効率向上を図ることができる。
上記発明においては、前記圧縮機が、略円柱状のシリンダが設けられた2つのシリンダ部材と、該シリンダ部材に対して回転可能に支持されるとともに、所定偏心量を有する偏心軸部が2ヶ所に形成されたシャフトと、円筒形状を有し前記偏心軸部に回転可能に嵌合され、前記シリンダの内周面に沿って公転運動をする2つのロータと、を有し、前記一の作動室および前記他の作動室が、それぞれ前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面との間に形成され、前記一の作動室および前記他の作動室における前記偏心軸部の偏心量および前記ロータの外径が異なることが望ましい。
本発明によれば、一の作動室および他の作動室における偏心軸部の偏心量およびロータの外径を異ならせることにより、シリンダの中心軸線方向長さおよび径が同一であっても一の作動室および他の作動室の容積を異ならせることができる。
上記発明においては、前記一の作動室および前記他の作動室における前記シリンダの中心軸線方向長さが異なることが望ましい。
本発明によれば、一の作動室および他の作動室におけるシリンダの中心軸線方向の長さを異ならせることにより、一の作動室および他の作動室の容積を異ならせることができる。
本発明の冷凍サイクルによれば、高圧側減圧部により減圧された冷媒の一部が、冷媒供給手段により一の作動室に供給され、吸熱部から流出した残りの冷媒が他の作動室に供給されるため、高圧側減圧部により減圧された後の冷媒圧力を所定の低い圧力に設定することができ、ガスインジェクションを用いた冷凍サイクルの効率向上を図ることができるという効果を奏する。
本発明の圧縮機によれば、吸熱器で蒸発した低圧吸入ガスを圧縮する作動室とは別に独立したインジェクションガス専用の作動室を有しているため、インジェクションガス冷媒の圧力を吸熱器で蒸発した低圧吸入ガスを圧縮する作動室で圧縮される冷媒の圧力とは無関係に所定の低い圧力に設定でき、上記のガスインジェクションを用いた冷凍サイクルに好適な圧縮機を提供できる。
この発明の一実施形態に係る冷凍サイクル及びそれに用いる圧縮機について、図1から図6を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る冷凍サイクルの概略構成を説明する図である。
冷凍サイクル1は、図1に示すように、冷媒を圧縮するロータリ式圧縮機3と、圧縮された冷媒の熱を放熱させるコンデンサ(放熱器)5と、放熱された冷媒の圧力を減圧させる第1膨張弁(高圧側減圧部)7と、減圧された冷媒を気液分離するレシーバ9と、液冷媒をさらに減圧する第2膨張弁(低圧側減圧部)11と、減圧された液冷媒に熱を吸収させるエバポレータ(吸熱器)13と、エバポレータ13から流出した冷媒の気液分離をするアキュムレータ15と、から概略構成されている。
レシーバ9とロータリ式圧縮機3との間には、レシーバ9において気液分離された気体冷媒をロータリ式圧縮機3に供給するインジェクション流路(冷媒供給手段)17が配置されている。インジェクション流路17には、その内部をながれる冷媒の圧力変動を緩和するマフラ(圧力変動緩和手段)19が設けられている。
マフラ19は、インジェクション流路17に対して直列に配置され、インジェクション流路17と比較して径が大きな容器として形成されている。マフラ19内には、異物を捕捉するストレーナ(図示せず)が備えられていることが望ましい。ストレーナを備えることにより、異物がロータリ式圧縮機3に流入することを防止でき、不具合発生を防止できるからである。
アキュムレータ15は、後述する冷媒吸入流路に対して直列に配置され、冷媒吸入流路と比較して径が大きな容器として形成されている。アキュムレータ15内には、異物を細くするストレーナ(図示せず)が備えられている。
図2は、図1のロータリ式圧縮機の構成を説明する断面図である。
ロータリ式圧縮機3は、図2に示すように、密封容器であるハウジング21と、このハウジング21内に収納され、外部から供給される気体冷媒を圧縮する圧縮機構部23と、圧縮機構部23を駆動する駆動部25と、から概略構成されている。
ハウジング21は、両端が閉じられた略円筒形状の密封容器として構成され、その中心軸線が略鉛直(図2中の上下方向)となるように設置されている。ハウジング21内部の下方(図2中の下方)には、圧縮機構部23が配置されているとともに、ハウジング21内部の上方(図2中の上方)には、駆動部25が配置されている。
また、ハウジング21の下部側面には、エバポレータ13から冷媒を圧縮機に供給する冷媒吸入流路27およびインジェクション流路17が挿入されている。これら冷媒吸入流路27およびインジェクション流路17は圧縮機構部23に接続され、それぞれ気体冷媒を供給している。
なお、ハウジング21の底部には、圧縮機構部23の潤滑等に用いられる潤滑油(図示せず)が貯留されている。
圧縮機構部23は、冷媒吸入流路27およびインジェクション流路17から供給された気体冷媒を圧縮して高圧の圧縮気体としたのちにハウジング2内に送出するものである。
ハウジング2の上方部には、外部から冷媒吐出流路29が挿通されている。ハウジング2内に一時的に貯留された圧縮気体は、冷媒吐出流路29を通じて、ロータリ式圧縮機3からコンデンサ5へ送り込まれる。
圧縮機構部23は、円柱状のシリンダ31が形成された2のシリンダ部材33A,33Bと、シリンダ部材33A,33Bの間に配置されるセパレータ35と、を有している。シリンダ部材33A,33Bは、互いのシリンダ31の中心軸線が略同軸となるように、中心軸線方向に隣接配置されている。
各シリンダ31の内部には、シリンダ31の内径よりも小径の円筒状のロータ37A,37Bが、その中心軸線をシリンダ31の中心軸線と略平行となるように配置されている。
シリンダ部材33A,33B、セパレータ35、及びロータ37には、クランクシャフト(シャフト)39が挿通されている。クランクシャフト39は、その中心軸線がシリンダ部材33の配列方向と略平行に配置され、下端側を圧縮機構部23に挿通されている。
クランクシャフト39の上端側は、駆動部25によって支持され、駆動部25によって中心軸線回りに回転駆動されるよう構成されている。
駆動部25は、クランクシャフト39の上端側を保持するロータを有する電動モータであり、このロータを回転させることでクランクシャフト39が回転駆動されるようになっている。なお、電動モータの構成としては公知の構成を用いることができ、特に限定するものではない。
クランクシャフト39には、シリンダ部材33A,33Bに挿通される領域に略円柱状の偏心軸部41A,41Bが形成されている。偏心軸部41A,41Bの外側にはそれぞれロータ37A,37Bが係合され、クランクシャフト39が回転駆動されることにより、ロータ37A,37Bがシリンダ31の内周面上に沿って偏心回転するように構成されている。
ここで、偏心軸部41A,41Bは、偏心方向をクランクシャフト39の軸線まわりに約180°ずらして設けられている(すなわち軸線まわりの位相が約180°ずれている)。これにより、クランクシャフト39が回転駆動された際に偏心軸部41Aに生じる慣性モーメントと偏心軸部41Bに生じる慣性モーメントとが互いに打ち消し合って、クランクシャフト39の回転が安定する。
図3は、図2のロータリ式圧縮機におけるA−A矢視断面図である。
シリンダ部材33Aは、図3に示すように、その外径がハウジング21の内径と略同一に形成された略円盤状の部材であり、その中心軸線がハウジング21の中心軸線と略同軸となるように固定されている。
シリンダ部材33Aの径方向内側領域には、その中心軸線と略同軸の中心軸線を有する段面視円形の貫通孔であるシリンダ31が形成されている。シリンダ31の内部には、上述したロータ37Aが収納されている。ロータ37Aの中心軸線方向長さは、シリンダ31の中心軸線方向長さと略同一である。シリンダ31内には、これらロータ37Aの外周面とシリンダ31の内周面とセパレータ35と端部軸受43Aにより囲まれた圧縮室(他の作動室)45Aが形成されている。
シリンダ部材33Aには、外周面からシリンダ31まで通じる吸気口47Aが形成されている。吸気口47Aには、冷媒吸入流路27が挿入され、冷媒吸入流路27を通じて圧縮室45Aへ冷媒が供給される。
シリンダ31には、シリンダ31と上面の径方向内側の領域とを接続する吐出ポート49が、吸気口47に対して周方向に隣接して形成されている。吐出ポート49に流出口にはシリンダ31から流出する方向の流れのみを許容する吐出弁(図示せず)が配置されている。吐出弁はシリンダ31内の冷媒圧力が所定圧力以上となった場合のみ開き、冷媒をシリンダ31の外へ流出させるものである。
シリンダ部材33Aには、平面視において吸気口47の開口端と吐出ポート49との間に、シリンダ31の内周面から径方向外側に向かうスリット51が形成されている。スリット51は、略均等な幅に形成されているとともに、シリンダ部材33Aの上下面にも開口するように形成されている。スリット51の径方向外側の端部には、上下面に開口する圧力室53が形成されている。圧力室53は、ハウジング21内に連通するように構成されている。
スリット51内には板状のブレード55が配置され、ブレード55はシリンダ31の中心軸線に対して略平行、かつ、シリンダ31に対して進出・退避可能に配置されている。
ブレード55は、スリット51の幅と略同一の厚さと、シリンダ部材33の中心軸線方向長さと略同一の長さとを有するように形成されている。ブレード55は、圧力室53側の端面で圧力室53の内圧(ハウジング21の内圧)を受け、この圧力によりシリンダ31の径方向内側へ突出するように付勢されている。
ブレード55の径方向内側の端面はロータ37Aの外周面に接触し、圧縮室45Aを高圧空間SHと低圧空間SLとに分割している。ブレード55は、偏心回転するロータ37Aに追従してスリット51内に進出退避する。
図4は、図2のロータリ式圧縮機におけるB−B矢視断面図である。
シリンダ部材33Bは、図4に示すように、シリンダ部材33Aと同様の構成を有するため、同一の構成要素についてはその説明を省略し、異なる構成要素についてのみ説明する。
シリンダ部材33Bに形成されたシリンダ31の内部には、上述したロータ37Bが収納されている。ロータ37Bの中心軸線方向長さは、シリンダ31の中心軸線方向長さと略同一である。シリンダ31内には、これらロータ37Bの外周面とシリンダ31の内周面とセパレータ35と端部軸受43Bとにより囲まれた圧縮室(一の作動室)45Bが形成されている。
シリンダ部材33Bには、外周面からシリンダ31まで通じる吸気口47Bが形成されている。吸気口47Bには、インジェクション流路17が挿入され、インジェクション流路17を通じて圧縮室45Bへ冷媒が供給される。
次に上述した冷凍サイクルの作用について説明する。
図5は、図1の冷凍サイクルを説明するモリエル線図である。
ロータリ式圧縮機3により圧縮され高圧となった冷媒(P1)は、図1および図5に示すように、コンデンサ5に向かって吐出される。コンデンサ5に流入した冷媒はその熱を外部に放出して凝縮し(P2)、第1膨張弁7に向かって流出する。冷媒は第1膨張弁7により減圧され中間圧の冷媒となり(P3)レシーバ9に流入する。冷媒はレシーバ9において液冷媒とガス冷媒とに分離され、液冷媒は第2膨張弁11に向かって流出する(P4)。液冷媒は第2膨張弁11により減圧され低圧の冷媒となり、エバポレータ13に流入する(P5)。低圧の冷媒はエバポレータ13において外部の空気から熱を奪い、蒸発してアキュムレータ15に向かって流出する。アキュムレータ15に流入した冷媒は、液冷媒とガス冷媒とに分離され、ガス冷媒はロータリ式圧縮機3に流入する(P6)。一方、レシーバ9において分離されたガス冷媒は、インジェクション流路17、マフラ19を介してロータリ式圧縮機3に流入する(P7)。ロータリ式圧縮機3に流入した冷媒は再び圧縮される(P1´)
再びロータリ式圧縮機3により圧縮された冷媒は、コンデンサ5に吐出され上述のサイクルを繰り返す。
次にロータリ式圧縮機3の作用について説明する。
ロータリ式圧縮機3においては、図2に示すように、駆動部25によりクランクシャフト39が回転される。クランクシャフト39が回転されると偏心軸部41A、41Bを介してロータ37A,37Bが偏心回転される。
ロータ37A,37Bが偏心回転されると、図3および図4に示すように、圧縮室45A,45Bにそれぞれ冷媒吸入流路27、インジェクション流路17から冷媒が吸入される。圧縮室45Aに吸入された冷媒は、ロータ37Aの回転とともに圧縮され、吐出ポート49からハウジング21内に吐出される。一方、圧縮室45Bに吸入された冷媒は、ロータ37Bの回転とともに圧縮され、吐出ポート49からハウジング21内に吐出される。圧縮室45A、45Bからそれぞれハウジング21内に吐出された冷媒は、ハウジング21内で合流し、冷媒吐出流路29を介してコンデンサ5に供給される。
ここで、圧縮室45A,45Bの容積比は、第1膨張弁7により減圧された後における(図5中のP3)ガス冷媒と液冷媒との重量比(クオリティ)に基づいて定められている。具体的には、圧縮室45A,45Bの容積比は、上記クオリティと略同一になるように定められている。
このような構成にすることにより、レシーバ9において分離されたガス冷媒の大半を、インジェクション流路17を介して圧縮室45Bに供給することができる。一方、レシーバ9において分離された液冷媒の大半を、エバポレータ13、冷媒吸入流路27を介して圧縮室45Aに供給することができる。
圧縮室45A,45Bの容積比は、偏心軸部41A,41Bの偏心量42A,42Bと、ロータ37A,37Bの外径38A,38Bと、を所定値に設定することにより定められている。この時に、シリンダ部材33A,33Bにおける両シリンダ31の中心軸方向長さ及び内径は、略同一に形成されている。
そのため、シリンダ部材33A,33Bおよびシリンダ31の寸法を共通とすることができ、シリンダ部材33A,33Bおよびシリンダ31の加工工程を共通にすることができる。
上記の構成によれば、第1膨張弁7により減圧された冷媒のうちのガス冷媒が、インジェクション流路17により圧縮室45Bに供給され、残りの液冷媒がエバポレータ13を介して圧縮室45Aに供給されるため、第1膨張弁7により減圧された後の冷媒圧力を所定の低い圧力に設定することができ、ガスインジェクションを用いた冷凍サイクル1の効率向上を図ることができる。
つまり、第1膨張弁7により減圧された冷媒のうちのガス冷媒が、直接、圧縮室45Bに供給されるため、冷媒が逆流する恐れがなく、上記減圧後の圧力を所定の低い圧力に設定することができる。また、上記減圧後の圧力を所定の低い圧力に設定できるため、エバポレータ13における熱交換量を増加させることができ、冷凍サイクル1の効率向上を図ることができる。
インジェクション流路17にはマフラ19が設けられているため、圧縮室45Bに供給される冷媒の圧力変動を緩和させることができる。そのため、圧縮室45Bに冷媒を安定して供給することができ、冷凍サイクル1の効率向上を図ることができる。
圧縮室45A,圧縮室45Bの容積比を、第1膨張弁7により減圧された後の冷媒における気体と液体との比(クオリティ)に応じて定めることにより、冷凍サイクルの効率向上を図ることができる。
つまり、第1膨張弁7により減圧された段階で気相状態となっている冷媒を圧縮室45Bで圧縮するとともに、液相状態であった冷媒をエバポレータ13で蒸発させた後に圧縮室45Aで圧縮することにより、冷媒の循環および外気との熱交換効率を向上でき、冷凍サイクル1の効率向上を図ることができる。
図6は、本発明に係る冷凍サイクルの他の実施形態を説明する概略構成図である。
なお、図1に示すように、冷凍機1として、コンデンサ5とエバポレータ13との間にレシーバ9を配置するレシーバ方式を用いてもよいし、図6に示すように、コンデンサ5とエバポレータ13との間に熱交換器101を配置する気液熱交換式を用いてもよい。
かかる場合において、コンデンサ5から流出した冷媒は2つに分岐され、一方の冷媒はそのまま熱交換器101内を通過し、主膨張弁103により減圧された後、エバポレータ13に流入する。他方の冷媒は副膨張弁105により減圧され、熱交換器101内を通過した後、ロータリ式圧縮機3に流入する。熱交換器101においては、主膨張弁103により減圧される前の冷媒と、副膨張弁105により減圧された後の冷媒との間で熱交換が行なわれる。
なお、上述のように圧縮室45A,45Bの容積比を偏心軸部41A,41Bの偏心量およびロータ37A,37Bの外径と、により定めてもよいし、シリンダ31およびロータ37A,37B等の中心軸線方向長さにより定めてもよく、特に限定するものではない。かかる場合に偏心軸部41A,41Bの偏心量とロータ37A,37Bの外径とは、略同一に形成されている。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記の実施の形態においては、この発明を冷凍サイクルとして説明したが、具体的には冷凍機、空調機など、その他各種の冷凍サイクルを適用した機器に適用できるものである。
本発明の冷凍サイクル及びそれに用いる圧縮機に係る一実施形態の概略構成を説明する図である。 図1のロータリ式圧縮機の構成を説明する断面図である。 図2のロータリ式圧縮機におけるA−A矢視断面図である。 図2のロータリ式圧縮機におけるB−B矢視断面図である。 図1の冷凍サイクルを説明するモリエル線図である。 本発明の冷凍サイクルに係る他の実施形態を説明する概略構成図である。
符号の説明
1 冷凍サイクル
3 ロータリ式圧縮機
5 コンデンサ(放熱器)
7 第1膨張弁(高圧側減圧部)
11 第2膨張弁(低圧側減圧部)
13 エバポレータ(吸熱器)
17 インジェクション流路(冷媒供給手段)
19 マフラ(圧力変動緩和手段)
31 シリンダ
33A,33B シリンダ部材
37A,37B ロータ
39 クランクシャフト(シャフト)
41A,41B 偏心軸部
45A 圧縮室(他の作動室)
45B 圧縮室(一の作動室)

Claims (8)

  1. 冷媒を圧縮する複数の作動室が設けられた圧縮機と、
    圧縮された冷媒の熱を放熱させる放熱器と、
    放熱された冷媒の圧力を減圧させる高圧側減圧部と、
    減圧された冷媒を更に減圧させる低圧側減圧部と、
    該低圧側減圧部で減圧された冷媒に熱を吸収させる吸熱器と、を有し、
    前記複数の作動室の内の一の作動室には、前記高圧側減圧部により減圧された冷媒の一部を前記一の作動室に供給する冷媒供給手段が設けられ、
    他の作動室には、前記吸熱器を介して残りの冷媒が供給されることを特徴とする冷凍サイクル。
  2. 前記一の作動室には、前記冷媒供給手段からのみ前記冷媒が供給されることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル。
  3. 前記冷媒供給手段には、前記冷媒の圧力変動を緩和する圧力変動緩和手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の冷凍サイクル。
  4. 前記一の作動室の容積が、前記他の作動室の容積と異なることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の冷凍サイクル。
  5. 吸熱器で蒸発した低圧吸入ガスを圧縮する少なくとも一以上の作動室と、
    該作動室とは独立し、冷凍サイクル中で分離されたインジェクションガスを圧縮する少なくとも一以上のインジェクションガス専用の作動室とを有することを特徴とする圧縮機。
  6. 前記圧縮機が、前記一の作動室および前記他の作動室を1つずつ備えたロータリ式圧縮機であることを特徴とする請求項5記載の圧縮機。
  7. 前記圧縮機が、
    略円柱状のシリンダが設けられた2つのシリンダ部材と、
    該シリンダ部材に対して回転可能に支持されるとともに、所定偏心量を有する偏心軸部が2ヶ所に形成されたシャフトと、
    円筒形状を有し前記偏心軸部に回転可能に嵌合され、前記シリンダの内周面に沿って公転運動をする2つのロータと、を有し、
    前記一の作動室および前記他の作動室が、それぞれ前記シリンダの内周面と前記ロータの外周面との間に形成され、
    前記一の作動室および前記他の作動室における前記偏心軸部の偏心量および前記ロータの外径が異なることを特徴とする請求項6記載の圧縮機。
  8. 前記一の作動室および前記他の作動室における前記シリンダの中心軸線方向長さが異なることを特徴とする請求項6または7に記載の圧縮機。
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