JP2007001981A - 皮膚組織の再生及び肌質改善効果のあるペプチドを含有する化粧品 - Google Patents

皮膚組織の再生及び肌質改善効果のあるペプチドを含有する化粧品 Download PDF

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健司 佐藤
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考志 中村
Koji Iwai
浩二 岩井
Yasuki Taguchi
靖希 田口
Takanori Hasegawa
隆則 長谷川
Fumitake Morimatsu
文毅 森松
Koji Toyomura
浩司 豊村
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Abstract

【課題】ヒトの消化酵素で分解されたり、繊維芽細胞の増殖促進活性が弱いという従来の問題点を解決し、細胞の増殖を促進し、皮膚を損傷から防御し、各種の食品、飲み物、医薬品及び化粧品に含有させて利用することのできるペプチドを実現する。
【解決手段】イミノ基-NHをもつイミノ酸であるプロリンやヒドロキシプロリンが結合したジペプチド、もしくは、これらのジペプチドを含有するペプチド、例えば、Pro-HypやPro-Hyp-Glyは、培養細胞の増殖促進活性を有し、皮膚損傷時の損傷治癒活性を有する。又、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドを含有する細胞培養用試薬は、繊維芽細胞等の細胞の増殖促進機能を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドよりなる細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有している化粧品に関する。
過去、現在を問わず多種多様な状況下で皮膚の種々の損傷に対する治癒を促進することが望まれている。例えば、怪我による皮膚組織の損傷や日焼けによる損傷、更には、皮膚の老化の阻止、寝たきり病人の床ずれや難治性の潰瘍など皮膚組織の損傷の早期治癒が必要な事例は多い。このため、植物の抽出成分を含む塗り薬など、多くの対処法が試みられたが、望む成果を上げることは難しかった。
一方、近年、様々なペプチドが種々の生理活性を有することが報告されている。例えば、降圧効果を有するペプチドは(特許文献1参照)、コレステロール低減ペプチドとしては(特許文献2参照)が出願されるなど、機能性を有するペプチドの研究が進んでいる。
また、最近、経口摂取した牛乳カゼイン由来ペプチドがヒトの静脈血中に存在することが見出された。このペプチドは、κ-カゼイン11残基からなる大きなペプチドであり、in vitroの実験では、抗血栓活性や血小板凝集抑制作用が報告されている。また、ヒト小腸管腔内においてジ、トリペプチドを輸送するペプチドトランスポーターが発見され、ペプチドを摂取する有効性が機構的に裏付けられ始めていた。
そこで、種々の皮膚損傷を治癒させるためにペプチド利用を試みることとし、皮膚損傷の治癒促進には、皮膚組織を構成する細胞の早期増殖が必要と考えられるため、繊維芽細胞の増殖、活性化に働く、ペプチドの探索を目指した。
特に内服・外服に有効なペプチドとしては、ペプチド数が少ないものがより有効と考えられたので、活性の調査対象として比較的短いペプチド、具体的には、10残基以内、望ましくは5残基以内、より望ましくは3残基以内のペプチド鎖を調べることとした。
尚、この効果が言われている物質としては、甘草などの植物抽出物が言われていた。また、細胞レベルの研究より、Gly-Pro-Hyp を含む培地でヒト線維芽細胞を培養により、コラーゲンを発現するmRNAが増加することが調べられており、この関連では、(特許文献3参照)皮膚賦活剤としての効能が言われていた。一方、Hypがヒト線維芽細胞の増殖を促すことも言われていた。
特開2003−192607号公報 特開2003−306443号公報 特開2002−255847号公報
しかしながら、甘草などの植物抽出物やGly-Pro-HypやHypは、ヒトの消化酵素で分解されたり、繊維芽細胞の増殖促進活性が強く無いなど、それぞれ欠点を持ち、有効性が低いという問題があった。本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とし、より強く有効に活性を発揮するペプチド含有する化粧品を実現することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために、イミノ酸とイミノ酸の結合物からなる、又はイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドであって、繊維芽細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有することを特徴とする化粧品を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、N末にイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドよりなり、繊維芽細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有することを特徴とする化粧品を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、イミノ酸とイミノ酸の結合物であるPro-Hypよりなり、繊維芽細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有することを特徴とする化粧品を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドであるPro-Hyp-Glyよりなり、繊維芽細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有することを特徴とする化粧品を提供する。
上記化粧品は、皮膚の艶や弾力性を増強し、皮膚の損傷などの障害を緩和させる用途として使用される化粧品であることが好ましい。
上記化粧品は、そのイミノ酸の含量が、1 0 n M / ml以上であることが好ましい。
本発明によれば、細胞を培養する場合に細胞の増殖を促進すること、及び、皮膚を損傷から防御すること、及び、損傷した皮膚の治癒を促進することができる。
本発明を実施するための最良の形態を実施例、試験例等に基づいて以下説明する。
本発明に係る、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドよりなる細胞増殖促進作用及び皮膚損傷保護修復作用を有するペプチド及び当該ペプチドを含有している化粧品の実施の形態を、その特徴とする構成を説明するとともに、その実施例及び効果確認のための試験例について説明する。
発明者らは、繊維芽細胞の増殖、活性化が、皮膚の老化の阻止や医学的には寝たきり病人の床ずれや難治性の潰瘍など、炎症性の組織で細胞の早期増殖が必要なケースへの有効利用が期待できる為に繊維芽細胞の増殖・活性化に働く物質について発明者らは鋭意検討し本発明を想到するに至った。この検討乃至発明の想到について以下述べる。
本発明者らは、上述の目的を達成するために種々のペプチドを合成し、繊維芽細胞の増殖促進が強いペプチドを調べた。結果、イミノ基-NH をもつイミノ酸であるプロリンやヒドロキシプロリンが結合したジペプチド、もしくは、これらのジペプチドを含有するペプチド、例えば、Pro-HypやPro-Hyp-Glyを培養細胞の増殖促進活性を有すペプチド、更には、皮膚損傷時の損傷治癒活性を有するペプチドとして見い出した。
また、これら、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチド、望ましくは、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドでこのイミノ酸とイミノ酸の結合物のC末にグリシン以外のアミノ酸が結合したペプチド、更に望ましくは、N末にイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドを含有する細胞培養用試薬は、繊維芽細胞等の細胞の増殖促進機能を有す。これら、細胞培養用試薬中のプロリンとヒドロキシプロリンよりなるイミノ酸の含量は、10nM/ml以上、望ましくは100nM/ml以上、又、より更に望ましくは、Gly含量/イミノ酸含量の比率は、0.5以下が望まれる。
また、これら、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチド、望ましくは、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドでこのイミノ酸とイミノ酸の結合物のC末にグリシン以外のアミノ酸が結合したペプチド、更に望ましくは、N末にイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドを含有する医薬品は、各種の皮膚の損傷前もしくは皮膚の損傷時、患部に塗布、もしくは、経口摂取により治癒促進させる機能を有す。
これら、医薬品中のプロリンとヒドロキシプロリンよりなるイミノ酸の含量は、外服用の場合は、10nM/ml以上、望ましくは100nM/ml以上、その他では、望ましくは5mg以上、より望ましくは、50mg以上であることが望ましい、又、より更に望ましくは、Gly含量/イミノ酸含量の比率は、0.5以下が望まれる。
これら、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチド、望ましくは、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドでこのイミノ酸とイミノ酸の結合物のC末にグリシン以外のアミノ酸が結合したペプチド、更に望ましくは、N末にイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドを含有する化粧品は、皮膚の艶や弾力性を増強し、年齢を重ねた場合や、皮膚の損傷を受けた場合の皮膚の衰えや各種の皮膚の損傷などの障害を緩和させる効果を有する。
これら、化粧品中のプロリンとヒドロキシプロリンよりなるイミノ酸の含量は、10nM/ml以上、望ましくは100nM/ml以上、であることが望ましい、又、より更に望ましくは、Gly含量/イミノ酸含量の比率は、0.5以下が望まれる。
これら、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチド、望ましくは、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドでこのイミノ酸とイミノ酸の結合物のC末にグリシン以外のアミノ酸が結合したペプチド、更に望ましくは、N末にイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドを含有する食品は、皮膚の艶や弾力性を増強し、年齢を重ねた場合や、皮膚の損傷を受けた場合の皮膚の衰えや各種の皮膚の損傷などの障害を緩和させる効果を有する。
これら、食品中のプロリンとヒドロキシプロリンよりなるイミノ酸の含量は、望ましくは5mg以上、より望ましくは、50mg以上であることが望ましい、又、より更に望ましくは、Gly含量/イミノ酸含量の比率は、0.5以下が望まれる。
尚、上記、本発明及び本発明に使用されるペプチドの長さは、具体的には、特に限定されないが、望ましくは10残基以内、より望ましくは5残基以内、更に望ましくは3残基以内である。
(実験例1)
本発明者らは、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドであるPro-Hyp及びPro-Hyp-Glyを含有した細胞培養用試薬が、in vitroで線維芽細胞の増殖にあたえる影響を検討した。
検討方法は、以下の通りである。96 well plateに皮膚組織の環境を模す為にI、III型コラーゲン (I型、III型コラーゲン比、87:13) をコート (コラーゲン量、300μg/cm2) した。コラーゲンコートプレートに、培養用試薬としてPro-Hyp (0-200 nmol/ml) を含む10%FBS-DMEM及びPro-Hyp-Gly (0-200 nmol/ml) を含む10%FBS-DMEMを加えて、1時間、37度でIncubationし、コラーゲンを再線維化した。正常ヒト由来線維芽細胞 (MSU-2)を各wellに播種 (5000 cells/well) し、2日間培養した。培養後の細胞数は各wellに調製MTT (0.5mg/ml in PBS) を10μl加え4時間、37度で、5%CO2条件下でIncubation後、10%SDS in 0.01N HClを100μl加え、 ホルマザン産物(10%SDS in 0.01N HCl)を一晩かけて溶解し、マイクロプレートリーダーで595nmの吸光度を測定した。細胞数は、吸光度で示された。
次の表1に、Pro-Hyp群とPro-Hyp-Gly群について、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドの繊維芽細胞の増殖に及ぼす効果を示す。この結果、Pro-Hyp群及びPro-Hyp-Gly群ともに、濃度依存的に培養2日後の細胞数が増加した。この細胞数の増加は、Pro-Hyp群がより優れていた。
Figure 2007001981
(実験例2)
本発明者らは、実験例1において、Pro-Hyp及びPro-Hyp-Glyが、in vitroで線維芽細胞の増殖にあたえる影響を検討した。一方、コラーゲン由来の活性物質として、Gly-Pro-Hypのトリペプチド及びHypの繊維芽細胞増殖に及ぼす細胞増殖活性が調べられている。そこで、これらとPro-Hyp及びPro-Hyp-Glyの増殖活性を比較検討した。
検討方法は、以下の通りであった。96 well plateにI、III型コラーゲン (I型、III型コラーゲン比、87:13) をコート (コラーゲン量、300μg/cm2) した。コラーゲンコートプレートに、Pro-Hyp (200 nmol/ml)、Pro-Hyp-Gly (200 nmol/ml)、Gly-Pro-Hyp (200 nmol/ml)、Hyp (200 nmol/ml) をそれぞれ含む10%FBS-DMEMを加えたものを使用し、1時間、37度でIncubationし、コラーゲンを再線維化した。正常ヒト由来線維芽細胞 (MSU-2)を播種 (5000 cells/well) し、2日間培養した。後は、実施例1と同様に線維芽細胞の細胞数をMTT assayで測定し、細胞数は、吸光度で示された。
表2に、イミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドでこのイミノ酸とイミノ酸の結合物のC末にグリシン以外のアミノ酸が結合したペプチドと他のペプチドの繊維芽細胞の増殖に及ぼす効果の比較を示す。
結果、Pro-Hyp (200 nmol/ml)、Pro-Hyp-Gly (200 nmol/ml)、Gly-Pro-Hyp (200 nmol/ml)、Hyp (200 nmol/ml)の順に培養2日後の細胞数が増加した。このことより、Pro-Hyp及びPro-Hyp-Glyに代表されるイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドでこのイミノ酸とイミノ酸の結合物のC末にグリシン以外のアミノ酸が結合したペプチドが、他のペプチドより優れた細胞増殖促進活性を有することが確認された。
Figure 2007001981
本発明の実施例1として、本発明に係るペプチドを含有した固形たまごスープを以下説明する。乾燥みつば0.8g、乾燥紅ずわいがに0.6g、乾燥しいたけ0.4gをトレーに入れておく。これにPro-Hyp0.5g、鶏エキス2g、デキストリン0.6g、適当量の調味料、水を加え加温溶解した。これに鶏卵16gを溶き卵にして加えて凝固させて、卵スープを調製し、トレーに流し入れた。そして、予備凍結し、凍結乾燥して固形たまごスープを作製した。
本発明の実施例2として、本発明に係るペプチドを含有したりんごジュースを以下説明する。1/5濃縮りんご果汁20g、Pro-Hyp0.6g、クエン酸0.2g、アップルフレーバー0.1gに水を加えて全量を100gとし、常法により飲料を製造した。
本発明の実施例3として、本発明に係るペプチドを含有したゼリー飲料を以下説明する。グラニュー糖8g、増粘多糖類を6gをあらかじめ混合し、Pro-Hyp0.3gと水を加え全量を100gとし、加熱溶解した。あら熱を除去した後、アイソトニックミックス10g、ビタミンミックス0.09g、クエン酸0.3gを加え、常法によりゼリー飲料を作製した。
本発明の実施例4として、本発明に係るペプチドを含有した細胞培養用試薬を以下説明する。10%の牛胎児血清(FCS)を含むD−MEMに、Pro-Hypを100nM/mlで含有するよう添加し、常法に従い細胞培養用試薬を作成した。
(試験例1)
鶏ゼラチンペプチドの経口投与によるラットの真皮中繊維芽細胞の増加によるコラーゲン合成量の増加について
(1)実験動物
9週齢のWister系雄ラット48匹を4群に分けた。
(2)試験区及び飼料
両群共に通常の飼育用固形飼料と水を自由摂取させた。さらに、Pro-Hyp群には10mg/mlのPro-Hyp1ml、Gly-Pro-Hyp群には10mg/mlのGly-Pro-Hyp1ml、そして、Hyp群には10mg/mlのHyp 1mlを、対象群には水1mlを毎日1回、強制的に経口投与した。
(3)試験方法
1週間の予備飼育後、実験開始初日にエーテル麻酔下にてラット背部の皮膚2cm×2cmを真皮層から剥離した。4日及び8日後に、かさぶた状の再生皮膚を採取し(各群6匹)、これら再生皮膚の水分含量とハイドロキシプロリン含量を測定した。また、再生した皮膚の重量と剥離した皮膚の重量の比(回復率と呼ぶ)を求め、創傷治癒の指標とした。
(4)結果
結果を表3に示す。各測定項目において、Pro-Hyp投与群と対照群及びGly-Pro-Hyp群そして、Hyp群との差は有意であった(Mann−WhitneyのU検定;p〈0.05)。尚、繊維芽細胞はコラーゲンの産生に関わっており、繊維芽細胞の増加量は、組織中のコラーゲン含量に反映するので、コラーゲンの含量の違いを測定することとした。
そして、ハイドロキシプロリンはコラーゲン特有のアミノ酸であるので、コラーゲン量の指標となるため、コラーゲンの含量の違いを表す指標として、つまりは、繊維芽細胞の増加量を示す指標としてハイドロキシプロリンの量を調べた。Pro-Hyp及び、より弱いがPro-Hyp-Gly投与群の再生皮膚のハイドロキシプロリン含量が高かったことから、Pro-Hyp及びPro-Hyp-Glyの経口投与はコラーゲン産生を行う皮膚の繊維芽細胞の増殖を促進し、結果、コラーゲン含量の多い皮膚を再生させることが判明した。
また、投与群の再生皮膚の水分含量が高かったことから、Pro-Hyp及びPro-Hyp-Glyの経口投与は潤いのある肌の再生を対照群及びGly-Pro-Hyp群及びHyp群より有意に促進させることが判明した。
さらに、投与群の再生皮膚の回復率が高かったことから、Pro-Hyp及びPro-Hyp-Glyの経口投与は欠損皮膚の回復を対照群及びGly-Pro-Hyp群及びHyp群より有意に促進させることが判明した。これは、回復に関わる繊維芽細胞の数の増加促進の結果であると思われる。
Figure 2007001981
(試験例2)
Pro-Hypの経口投与はuv照射により生じる皮膚変化の程度を軽減する効果について
(1)実験動物
14週齢の雌ヘアレスラット40匹を5群に分けた。
(2)試験区及び飼料
各群のuv照射の有無及び飼料組成は次の表4の通りとした。なお、飼料組成の数値は百分率(w/w)を表わす。
Figure 2007001981
(3)試験方法
各群の飼料を毎日20g、10日間給与して予備飼育した。その後、20日間ラットの背部に紫外線(線量;55mJ/cm /日。使用機種;UVP社製CL−1000)を照射した。なお、紫外線照射期間中も各群の飼料を毎日20g給与し、水は自由摂取させた。そして、紫外線照射が皮膚に及ぼす影響を下記の通り測定した。
(イ)皮膚の水分保持能
表皮の角層には塩類、アミノ酸などの電解質が存在するので、水分が存在すれば電気伝導性となる。電気伝導度と水分含量には相関関係があるので、電気伝導度を測定することによって、角層の水分を測定することができる。そこで、生体角層水負荷試験を行い皮膚の水分保持能を測定した。
ラット背部に水100μlを静かに乗せ、10秒後余分な水分をペーパータオルで除き、直後、30、60、90と120秒後に電気伝導度(ms;ミリシーメンス)を測定した(IBS社製SKICON−200)。そして、電気伝導度と時間(秒)の積分値(mS・sec)を求めて皮膚の水分保持能とした。
(ロ)皮膚の炎症
紫外線照射終了後のラット背部の皮膚の炎症の程度を調べた。即ち、ラットの両後足付け根を結ぶ直線から頭部方向に4cm垂直に延ばしたエリアの面積と同エリア内の炎症により表皮が損傷を受け赤変した面積を画像解析装置(ピアス製)を用いて測定し、それらの割合(皮膚損傷度と呼ぶ)を求めて皮膚炎症の指標とした。
(4)結果
(イ)Pro-Hypの経口投与はUV照射により生じる皮膚の水分保能の低下の程度を軽減する。結果を表5に示す。Pro-Hyp(C群)の予備投与はラットの皮膚角層の水分保持能を上昇した。紫外線を照射された全試験区に於いて(B、C、D及びE群)、ラットの皮膚角層の水分保持能は減少した。
しかし、Pro-Hyp(C群)の経口投与は紫外線の暴露後の皮膚角層の水分保持能を対照群及びGly-Pro-Hyp群及びHyp群より有意に高値に保持させた。そして、Pro-Hypの経口投与は、紫外線の暴露により生じる皮膚の水分保持能の低下の程度を対照群及びGly-Pro-Hyp群及びHyp群より有意に軽減することが判明した。
Figure 2007001981
(ロ)
Pro-Hypの経口投与はUV照射により生じる皮膚炎症の程度を軽減する。結果を表6に示す。紫外線を照射された全試験区に於いて(B、C、D及びE群)、ラットの皮膚の炎症が認められた。症状の重い箇所では表皮が損傷していた。
しかし、Pro-Hyp(C群)の経口投与は紫外線の暴露による生じる皮膚損傷度を対照群及びGly-Pro-Hyp群及びHyp群より有意に軽減させた。そして、Pro-Hypの経口投与は紫外線の暴露により生じる炎症の程度を対照群及びGly-Pro-Hyp群及びHyp群より軽減することが判明した。
Figure 2007001981
(試験例3)
Pro-Hyp添加たまごスープの摂取はヒトの肌の状態を改善する効果について
(1)試験参加者20〜50才台の健康なボランティア80名を4群に分けた。
(2)供試試料
実施例1に記載のたまごスープ(試験第1群)、実施例1に記載のPro-Hypに代えてGly-Pro-Hyp 0.5gを加えたたまごスープ(試験第2群)、実施例1に記載のPro-Hypに代えてHyp(試験第3群)、及び実施例1に記載のPro-Hypに代えてデキストラン1gを加えたスープ(プラセボ群)を調製した。
そして、各スープを各試験群のボランティアに30日間摂取させた(1食分/日)。なお、各ボランティアにはスープ摂取以外には特段の条件は設定せず、通常の生活をしていたただいた。また、1日当たりのスープの摂取時間は限定しなかった。
そして、試験開始前及び終了後に各群のボランティアの上腕部の皮膚の水分保持能を試験例2に記載の方法に準じて測定した。なお、試験第1群とプラセボ群のボランティアには、30日間の試験終了時に肌の変化に関する感想をアンケート調査した。試験は太陽の紫外線照射量の多い夏季(7月中旬〜8月中旬の1ヵ月間)に行った。
(3)結果
供試スープ摂取前後の皮膚の水分保持能を表5に示す。試験第1群のスープを摂取したボランティアの皮膚の水分促持能は、プラセボ群及び試験2群及び同3群のスープを摂取したボランティアの皮膚の水分保持能に比べて有意に向上した(p<0.05)。また、試験第1群のボランティアの皮膚の水分保持能は試験2群及び同3群のボランティアの皮膚保湿力より高くなる傾向が伺われた。
試験第1群と試験2群及び同3群及びプラセボ群のボランティアに肌の変化について聴取したアンケート調査の結果を表8に示す。試験第1群のスープを摂取したボランティアの60%以上は肌触りや肌の弾力の改善を実感したが、試験第2群のボランティアでは30%以下、試験第3群のボランティアでは20%以下、プラセボ群のボランティアでは10%以下しか実感できなかった。
これらのことから、Pro-Hypの摂取は、皮膚の水分保持能を向上し、肌触りや弾力を改善し、表皮細胞のターンオーバーを促進することが確認された。
Figure 2007001981
Figure 2007001981
以上、本発明に係るイミノ酸とイミノ酸の結合物又は、イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドよりなる細胞増殖促進作用及び皮膚損傷保護修復作用を有するペプチド及び当該ペプチドを含有している食品及び医薬品及び実験試薬及び化粧品を実施するための最良の形態を、実施例、試験例とともに説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施の態様があることは言うまでもない。
本発明に係るペプチドは、以上のように、細胞の増殖を促進し、皮膚を損傷から防御する効果があるので、各種の食品、飲み物、医薬品及び化粧品に含有させることで損傷した皮膚の治癒を自然に促進することができる。

Claims (6)

  1. イミノ酸とイミノ酸の結合物からなる、又はイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドであって、繊維芽細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有することを特徴とする化粧品。
  2. N末にイミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドよりなり、繊維芽細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有することを特徴とする化粧品。
  3. イミノ酸とイミノ酸の結合物であるPro-Hypよりなり、繊維芽細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有することを特徴とする化粧品。
  4. イミノ酸とイミノ酸の結合物を有するペプチドであるPro-Hyp-Glyよりなり、繊維芽細胞増殖促進作用を有するペプチドを含有することを特徴とする化粧品。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の化粧品であって、皮膚の艶や弾力性を増強し、皮膚の損傷などの障害を緩和させる用途として使用されることを特徴とする化粧品。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の化粧品であって、イミノ酸の含量が、1 0 n M / ml以上であることを特徴とする化粧品。
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