JP2007001875A - 造粒組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 適度な大きさで均一な粒度の分布を持ち、粒度毎の薬物含量均一性が高く、圧縮成形して得られる錠剤が高い硬度と良好な崩壊時間を兼ねそなえた圧縮成形特性を有する造粒組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が100〜3000g、水溶性成分が40〜95%である機能性澱粉粉末を結合剤として用い、水への溶解度が0.0001〜10g/Lの1種以上の活性成分を含む粉粒体を湿式造粒することを特徴とする、造粒組成物の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が100〜3000g、水溶性成分が40〜95%である機能性澱粉粉末と、水への溶解度が0.0001〜10g/Lの1種以上の活性成分とを含む粉粒体とを混合し、次いで湿式造粒することを特徴とする、造粒組成物の製造方法に関する。より詳細には、医薬、農薬、肥料、飼料、食品、工業、化粧品等の用途において利用される、過度の造粒による粒子の粗大化や、造粒不十分による未成長粒子の残存を抑えた、適度な大きさで均一な粒度の分布を持ち、且つ、圧縮成形して得られる錠剤が高い硬度と良好な崩壊時間を兼ね備えた圧縮成形特性を有する、造粒組成物を製造することができる。
湿式造粒法は、湿式顆粒圧縮法による錠剤等の成形物の製造において、圧縮成形物に適度な硬度が得られるような結合力を与えるための前処理として実施されている。被圧縮物に結合性を付与するために、原料となる粉粒体に結合剤が加えられ、次いで混練することで、粉粒体の表面が結合剤でコーティングされる。しかし、従来からある結合剤では、結合剤の使用量または濃度が大きいほど結合性は良くなるが、一方で崩壊性が悪化してしまう問題を有しており、適度の結合性と速やかな崩壊性を必要とする実用的な錠剤を必ずしも製造できない場合があった。また、湿式造粒では、得られる造粒組成物の粒度分布が狭いことが望まれるが、従来の結合剤では、過度の造粒による粒子の粗大化や、造粒不十分による未成長粒子の残存のために何度も整粒操作を繰り返す必要があり、そのためか、収率が低下してしまうという課題があった。
医薬品分野の湿式造粒で従来から用いられている結合剤は、天然由来成分として、澱粉類、ゼラチン、アラビアゴムなどが、化学的な変換を施したものとして、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体や、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子物質などが用いられている。なかでも澱粉類は、物理的、化学的に不活性で、活性成分との配合禁忌の問題がなく、また安価で手軽に入手可能であり、昔からの使用実績が多く天然物であるため安心して利用できるなどの理由で、従来より多く用いられている。また、化学薬品による変性処理を施したセルロース誘導体なども、多く用いられるようになっている。
澱粉類は水中で加熱することで、澱粉特有の糊化開始温度で水を吸収して膨潤しはじめ、以後の加熱温度の上昇につれて、澱粉粒はさらに膨潤を続け吸水により体積は数倍に膨らみ、膨潤が極限に達すると粒の破壊が進行する。この過程が澱粉の糊化あるいはアルファー化であり、分子配列の規則性の強いβ型から規則性のないα型へと変化する。糊化されたα型の澱粉(澱粉糊)は極めて結合性に富んでいるため、湿式造粒における結合剤として用いられ、原料粉粒体どうしを結合して細粒や課粒などの粒子へと造粒することに寄与する一方、該造粒粒子を圧縮成形して錠剤とする際には、錠剤硬度を高めることにも寄与する。しかし、澱粉糊は他の天然成分由来の結合剤同様に、錠剤硬度を高くするために使用量が多くなると崩壊性が悪化する問題を有しており、高い硬度と良好な崩壊性を兼ね備えた錠剤を得るのが困難であった。これは、錠剤の細孔に崩壊液が浸透する際に糊成分の溶解による粘度上昇が生じ、続く液の浸透が阻害されるためと考えられる。また、澱粉糊の結合性は、糊化における加熱温度の上昇とともに澱粉固有の糊化温度までは高くなるが、一方、糊化温度を過ぎると崩壊時間が急激に悪くなることが知られており(非特許文献1)、調整方法により結合力と崩壊性のバランスが大きく影響を受けるため、厳密な管理が必要であるという、取り扱いの難しさも伴っていた。糊化温度を適切にコントロールしないと、結合力が足りず十分な硬度が発現しない、あるいは崩壊時間が著しく遅くなるなどの問題があった。
一方、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体は、澱粉類に見られるような、調整の難しさや煩雑さがなく、結合剤用途としてよく使用されている。しかし、セルロース誘導体のような結合剤は、添加量によっては、被造粒粉粒体に均一に分散させるのが困難であるため、被造粒粉粒体中へ偏析することにより、未造粒の微細粒子を残したまま粒子が大きく成長してしまうという欠点を有しており、微細粒子と粗大粒子を多く含む不均一な粒度分布の造粒組成物となり、薬物の含量均一性が不十分となる問題を有していた。また、セルロース誘導体は水に溶解すると高い粘性を示すため、澱粉類と同様に、錠剤の細孔に崩壊液が浸透する際に結合剤の溶解による粘度上昇が生じ、続く液の浸透が阻害され、崩壊時間が遅くなってしまうという問題も残していた。
上述の澱粉類やセルロース誘導体の欠点を解決するため、澱粉に物理的変換を施した表面α型のβ澱粉(特許文献1〜3)や、部分α化澱粉(特許文献4、5)が開示されている。
特許文献1〜3の表面α型のβ澱粉は、α型澱粉の結合性と、β型澱粉の崩壊性という、澱粉が持っている相異なる2つの性質を組み合わせた澱粉である。しかし、この表面α型のβ型澱粉は、結合性に富むα型澱粉の含有量を小さく抑えたために結合性に劣るという問題点を有しており、高い硬度を付与するためには、特許文献1の実施例3に記載されているように、15%以上と多くの量を用いる必要があった。また、錠剤硬度を高くするために多量に用いると、結果としてα型澱粉量が増えてしまい、通常の澱粉糊と同じ理由で崩壊液の錠剤内部への浸透が阻害されるため、崩壊時間が遅くなってしまう問題を抱えていた。
特許文献4、5の部分α化澱粉は、澱粉粒の破壊を少なくして部分的にアルファー化し急速に乾燥した澱粉である。この部分α化澱粉は、崩壊性には優れるが、冷水可溶分が約10%と少なく糊成分量が少ないために結合性が十分ではなかった。特許文献4の実施例6に例示されているように、該部分α化澱粉を湿式造粒で用いる際は、別にヒドロキシプロピルセルロースなどの他の結合剤を併用する必要があった。
以上のように、糊化温度の管理等の厳密で煩雑な調整操作などを必要としない簡単な方法で、かつ、均一な粒度分布を有し薬物含量均一性が高く、圧縮成形して得られる錠剤に高い硬度と良好な崩壊性を同時に付与できる結合剤は、従来技術においては見当たらないのが現状であり、このような結合剤が望まれていた。
特公昭53−5725号公報 特公昭62−7201号公報 特公昭58−27774号公報 特公昭59−47600号公報 特許第3004758号公報 Ghem.Pharm.Bull.,43(3)514−516(1995)
本発明は、適度な大きさで均一な粒度の分布を持ち、粒度毎の薬物含量均一性が高く、圧縮成形して得られる錠剤が高い硬度と良好な崩壊時間を兼ねそなえた圧縮成形特性を有する造粒組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、澱粉粉末の保水性、膨潤性、結合性、および造粒機構について鋭意検討を重ねた結果、適度な結合性と良好な崩壊性を兼ね備えた澱粉粉末を結合剤として用い、水への溶解度が0.0001〜10g/Lの活性成分を含む粉粒体を湿式造粒することにより、上記課題を解決できることを見い出し、その知見にもとづき本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が100〜3000g、水溶性成分が40〜95%である機能性澱粉粉末を結合剤として用い、水への溶解度が0.0001〜10g/Lの1種以上の活性成分を含む粉粒体を湿式造粒することを特徴とする、造粒組成物の製造方法、
(2)結合剤としての機能性澱粉粉末が1箇所以上がくぼんだ構造を有し、粒子径が50〜500μmの澱粉粒子を含有している機能性澱粉粉末を用いる、(1)に記載の造粒組成物の製造方法、
(3)水への溶解度が0.0001〜10g/Lの1種以上の活性成分が、医薬品薬効成分、農薬成分、肥料成分、飼料成分、食品成分、化粧品成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、及び界面活性剤から選択される、(1)または(2)に記載の造粒組成物の製造方法、
(4)結合剤としての機能性澱粉粉末が澱粉質原料を水存在下60℃以上100℃未満で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで該膨潤させた澱粉粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程を含む方法によって製造される機能性澱粉粉末である、(1)〜(3)の何れか1つに記載の造粒組成物の製造方法、
(5)結合剤としての機能性澱粉粉末が、減圧下、100〜130℃で加熱処理された澱粉質原料を、さらに水存在下60〜150℃で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで膨潤させた澱粉粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程を含む方法によって製造される機能性澱粉粉末である、(1)〜(3)の何れか1つに記載の造粒組成物の製造方法、
(6)澱粉質原料が馬鈴薯澱粉である、(4)または(5)に記載の造粒組成物の製造方法、
に関する。
本発明の造粒組成物の製造方法は、適度な大きさで均一な粒度の分布を持ち、粒度毎の薬物含量均一性が高く、圧縮成形して得られる錠剤が高い硬度と良好な崩壊時間を兼ね備えた圧縮成形特性を有する造粒組成物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における機能性澱粉粉末は、保水量が400%以上である必要がある。より好ましくは500%以上、特に好ましくは700%以上である。保水量とは乾燥した澱粉粉末1gを20℃±5℃の純水に分散し遠心分離(2000G、10分)した後に澱粉が保持する純水量で定義する。湿式造粒において澱粉粉末は吸水・保水し粘着性を示す膨潤粒子となり、この粘着性を示す膨潤粒子を核として造粒が成長する。保水量が400%未満であると、澱粉粉末の粘着性が小さく結合性に劣るために造粒が進み難い等の点で好ましくない。また、結合水の保水能力に劣るために、結合水量の僅かな変動による影響を受けやすく、安定した粒径および粒度分布を有する造粒組成物が得られないので好ましくない。保水量が高いほど澱粉粉末の吸水・保水による他の成分との付着性が増し造粒が進行しやすいため好ましいが、最大値は澱粉原料の特性に依存してせいぜい3000%までである。
本発明における機能性澱粉粉末は、ゲル押込み荷重100〜3000gである必要がある。好ましくは100〜2000g、更に好ましくは100〜500gである。ゲル押込み荷重とは、澱粉粉末0.5gを50MPaで圧縮して得られる直径1.13cmの円柱状成形体を20℃±5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、0.1mm/secの速度で3mm円柱状のアダプターを押込んだ時の最大荷重で定義する。ここで、最大荷重とはゲル層の破断がある場合は破断時の荷重値、破断がない場合はアダプターがゲル化した円柱状成形体に5mm進入するまでに示した最大の荷重値とする。ゲル押込み荷重が100gより小さいと結合性に劣るため造粒が進み難い等の点で好ましくない。ゲル押込み荷重が3000gを超えると崩壊性が悪くなり、崩壊時間が長くなるなど点で好ましくない。
さらに本発明の機能性澱粉は水溶性成分が40%〜95%である必要がある。水溶性成分は澱粉1gに20℃±5℃の純水99gを加えてマグネチックスターラーで2時間攪拌して分散させ、得られた分散液の40cmを50cmの遠沈管に移し、5000Gで15分間遠心分離し、この上澄液30cmを秤量瓶に入れ、110℃で一定重量になるまで乾燥し、下式により求めた値と定義する。
水溶性成分(%)=(乾燥重量(g)×100÷30)÷澱粉1g中の絶乾重量(g)×100
水溶性成分は、澱粉粉末が加熱処理により糊化し水溶性となった糊成分の量を表す値である。水溶性成分が40%より少ないと結合性が弱いため、造粒が進まず、錠剤の硬度も低くなる等の点で好ましくない。水溶性成分が95%より多いと錠剤の硬度は高くなるが、崩壊時間が長くなる等の点で好ましくない。水溶性成分を40%〜95%の範囲にすることで、造粒不十分による小さな粒子を残したまま粒子が大きく成長してしまうような造粒の偏りを抑えることができるため、適度な大きさと均一な粒度分布を有し、粒度毎の薬物含量均一性が高く、圧縮成形して得られる錠剤等の組成物が高い硬度と良好な崩壊時間を兼ね備えた圧縮成形特性を有する造粒組成物を製造することができる。
本発明における活性成分は、水への溶解度が0.0001〜10g/Lである必要がある。好ましくは0.0001〜1.0g/L、更に好ましくは0.0001〜0.1g/Lである。活性成分の水への溶解度が10g/Lより大きいと、湿式造粒時の結合溶媒に水を使用した際、活性成分が早い段階で水に溶解するため、活性成分が造粒の進んだ大きな粒子に偏析し易く、粒度分布の均一性や、粒度毎の薬物均一性に劣る等の点で好ましくない。活性成分の水への溶解性は小さいほど粒度分布の均一性や粒度毎の薬物均一性が保たれるために好ましいが、せいぜい0.0001g/L程度である。水への溶解度が0.0001〜10g/Lである活性成分としては、例えば、医薬品分野においては、第14改正日本薬局方に記載されている、水にとけにくい医薬品(1gを溶かすに要する溶媒量が100ml〜1000ml)、水に極めて溶けにくい医薬品(1gを溶かすに要する溶媒量が1000ml〜10000ml)、水にほとんど溶けない医薬品(1gを溶かすに要する溶媒量が10000ml以上)等を用いることができる。
本発明の湿式造粒における機能性澱粉粉末の配合割合は、0.1重量%以上10重量%以下が好ましい。配合割合が0.1重量%以下では造粒組成物に十分な結合性を付与することができず、造粒が進み難く、該造粒組成物を圧縮成形して得られる錠剤も硬度の低いものしか得られない等の点で好ましくない。配合割合が10重量%以上では、湿式造粒の際、結合溶媒と接触した部位から順に吸水・膨潤が開始されるために部分的に高い粘度と結合性を示す混練部位が発生するが、それ以降均一に分散され難いため、粗大粒子量が増加して造粒組成物の収率が著しく低下したり、粒度分布が不均一になる等の点で好ましくない。また、時には数センチ四方の塊が発生してしまう場合もある。
本発明における湿式造粒は、機能性澱粉粉末を粉末状態で混合し溶媒のみで練合する粉末添加法を用いてもよく、或いは、予め機能性澱粉粉末を溶媒に懸濁・溶解させておき、粉粒体に溶液として加える溶液添加法を用いてもよい。粉末添加法では本発明の澱粉粉末が予め均一に混合されているのに加え、該澱粉粒子が吸水・膨潤・部分溶解により徐々に結合性が増大する特性を有しているために、結合溶媒および該澱粉粉末を系内に均一に分散することができ、均一に造粒が進行するため、適度な大きさを有する均一な粒度分布の造粒組成物を与える等の点で好ましい。従来から用いられているセルロース誘導体などの結合剤は水への溶解性が高いため、たとえ粉末添加法で湿式造粒を行う場合でも、系に溶媒が加えられると速い段階で結合剤が水にとけて結合性を増すため、溶媒と接触した部分と接触していない部分とで結合性の差が生じ、造粒の進行に偏りが生じてしまい、造粒の進み過ぎによる粗大粒子の発生や造粒不十分による未成長粒子の残存により粒度分布の不均一な造粒組成物となってしまう欠点があった。また、粉末添加法による湿式造粒では、溶液添加法に比べて造粒組成物の表面にコーティングされる結合剤量が少ないために結合性に劣ることが知られているが、本発明における澱粉粉末を用いた湿式造粒法では、粉末添加法でも錠剤に高い硬度を付与することが可能である点で特に優れている。また、粉末添加法は、予め結合剤を溶媒に溶解或いは分散させておく必要がないため、温度等の厳密な管理を要する煩雑な処理を省くことができる点でも好ましい。
本発明の造粒組成物の製造方法は、結合剤や結合溶媒の偏析が少なく均一に造粒が進行するため、平均粒径100〜500μm、500μm以上の粒子が10重量%未満、75μm以下の粒子が7重量%未満であり、且つ、下式で定義される粒度分布の均一度が、大粒子側、小粒子側ともに0.4以上である、狭い粒度分布を有する造粒組成物が得られる利点を有する。本発明における粒度分布とは、造粒組成物をIS篩の目開き1410μmの篩を用いて篩分し、篩過する造粒組成物20gをIS篩の目開き45、75、106、150、212、250、500μmの篩を使用し、ロータップ篩分機で15分間篩過した後のそれぞれの留分の重量百分率より求める。また、粒度分布の均一度は、上記方法で篩分けした累積の重量百分率が90%、50%、10%の粒子径D10、D50、D90を用いて次式により定義する。
大粒子側の粒度分布の均一度=D50/D90
小粒子側の粒度分布の均一度=D10/D50
従来の結合剤を用いた造粒方法では、例えば、平成13年度標準処方研究会講演要旨集の28〜31ページには、結合剤にHPC−Lを用いてエテンザミドを0.1%含む乳糖とコーンスターチの混合粉末(7:3)を高速攪拌造粒する場合、未整粒下では1000μm以上が30.3%、1000〜710μmが10.3%、710〜500μmが9.3%と粗大粒子が非常に多く発生し、或いは、乾燥の前後に粉砕を伴う整粒処理を行う方法では500μm以上の粗大粒子は少なく抑えられるが逆に75μ以下の粒子が9.6%と多く発生してしまうことが掲載されているように、特別な処理無しで均一な粒度分布を得ることは難しかった。また、水への溶解性が0.0001〜10g/Lである活性成分を配合しないと、比較例1〜5に記載しているように、粒度分布の均一度が大粒子側、小粒子側ともに0.4以上となる造粒組成物を得るのは難しかった。
また、本発明の方法で得られる造粒組成物は、圧縮成形して得られる錠剤等の組成物に高い硬度と速い崩壊時間を付与できるという利点を有するが、例えば、実施例1〜5に示すように、60N以上の実用硬度を有する錠剤の崩壊時間を60秒以内に抑えることができる。
本発明における澱粉粉末を構成する澱粉粒子の形態は、球または楕円形の1箇所以上がくぼんだ構造を有していることが好ましい。また、本発明の澱粉粉末を構成する1箇所以上がくぼんだ構造を有している澱粉粒子の粒子径はSEM(Ccanning Electron Microscope)を用い、200〜1500倍で観測する時、50〜500μmの範囲にあるものを含有することが好ましい。好ましくは50〜400μm、さらに好ましくは50〜300μmである。そのような球または楕円体の1箇所以上がくぼんだ構造を有している澱粉粒子の含有量としては、例えば倍率100倍で観測する時、視野内に目視可能な全粒子に対する割合(粒子個数による%)として5%以上、好ましくは10%以上含んでいることが好ましい。なお、このような目視における含有量(粒子個数における%)は、全澱粉粒子に対する含有量(重量%)とみなすものとする。1箇所以上がくぼんだ構造の澱粉粒子の粒子径が50μm未満であると、澱粉粒子が澱粉粒子外部に放出する水溶性成分量が少なく、結合性に劣るため好ましくない。1箇所以上がくぼんだ構造の澱粉粒子の粒子径が500μmより大きいと、該澱粉粒子からの水に可溶な糊成分の放出速度が遅く、結合性に欠けるため好ましくない。
本発明の機能性澱粉粉末を構成する澱粉粒子は、球または楕円体の1箇所以上がくぼんだ構造を有し、粒子径が50〜500μmであって、球または楕円体の1箇所以上がくぼんだ構造を有する1〜10μmの粒子が周囲に部分的に付着した凝集体でも良い。
また、本発明の機能性澱粉粉末を構成する澱粉粒子は非結晶性であることが好ましい。澱粉粒子が結晶性であるか非結晶性であるかは、光学顕微鏡の偏光像(倍率10倍)で見分けることができる。結晶性であれば明るい偏光像(例えば生澱粉であれば偏光十字といわれるもの)が現れる。
本発明で用いる湿式造粒法は、高速攪拌造粒、押し出し造粒、流動層造粒などの公知の湿式造粒法を用いて、均一な粒度分布と、圧縮成形して得られる錠剤が高い硬度と良好な崩壊時間を兼ね備えた圧縮成形特性とを有する造粒組成物を得ることができる。シェア−が大きく攪拌効率が良い点で、高速攪拌造粒を用いることが好ましい。
本発明における湿式造粒では、本発明の澱粉粉末の他に必要に応じて他の結合剤を併用することも可能であるが、本発明の、適度な大きさと均一な粒度分布を有し、粒度毎の薬物含量均一性が高く、且つ、圧縮成形して得られる錠剤等の組成物の高い硬度と良好な崩壊時間を阻害するような結合剤の種類や量を取らない限りにおいて使用してもよい。また、本発明における湿式造粒に用いる溶媒は、水や、アルコール等の有機溶媒を用いることができる。
本発明でいう活性成分とは、水への溶解性が0.0001〜10g/Lであれば特に限定されることはなく、医薬品薬効成分、農薬成分、肥料成分、飼料成分、食品成分、化粧品成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、界面活性剤などをいい、粉体状、結晶状、油状、液状、半固形状などいずれの形態でも良く、粉末、細粒、顆粒等の形態は問わない。また溶出制御、苦味低減等の目的でコーティングを施したものであってもよい。活性成分は、それ単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
例えば医薬品薬効成分としては、解熱鎮痛消炎薬、催眠鎮静薬、眠気防止薬、鎮暈薬、小児鎮痛薬、健胃薬、制酸薬、消化薬、強心薬、不整脈用薬、降圧薬、血管拡張薬、利尿薬、抗潰瘍薬、整腸薬、骨粗症治療薬、鎮咳去痰薬、抗喘息薬、抗菌剤、頻尿改善剤、滋養強壮剤、ビタミン剤など、経口で投与されるものが対象となる。薬効成分は、それを単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明で製造する造粒組成物には、本発明の澱粉粉末、活性成分の他に、必要に応じて崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤等の他の成分を含有することも自由である。また他の成分は希釈剤として使用することも自由である。
結合剤としては、白糖、ブドウ糖、乳糖、果糖、トレハロース等の糖類、マンニトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール類、ゼラチン、プルラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、寒天、グルコナンナン、キサンタンガム、タマリンドガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アラビアガム等の水溶性多糖類、結晶セルロース(例えば、旭化成ケミカルズ株式会社製、「セオラス」PH−101、PH−101D、PH−101L、PH−102、PH−301、PH−301Z、PH−302、PH−F20、PH−M06、M15、M25、KG−801、KG−802等)、粉末セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類、アルファー化デンプン、デンプン糊等のデンプン類、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等の合成高分子類、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、合成ヒドロタルサイト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム等の無機化合物類等が挙げられことができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
結合剤として使用できる結晶セルロースとしては、圧縮成形性に優れるものが好ましい。圧縮成形性に優れる結晶セルロースを使用することにより、低打圧で打錠できるため打圧で失活する活性成分の活性維持が可能である、顆粒含有錠とできる、少量添加で硬度を付与できるため、嵩高い活性成分の錠剤化や多種類の活性成分を含む薬剤の錠剤化が可能で、場合によっては小型化できる、液状成分の担持性に優れ、打錠障害を抑制できる等の利点がある。
崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等のデンプン類、結晶セルロース、粉末セルロース等のセルロース類、クロスポビドン、クロスポビドンコポリマー等の合成高分子等が挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸等のケイ素化合物類を挙げることができ、それ単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル、タルク等が挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
矯味剤としては、グルタミン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、塩化ナトリウム、1−メントール等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
香料としては、オレンジ、バニラ、ストロベリー、ヨーグルト、メントール、ウイキョウ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油等の油類、緑茶末等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
着色剤としては、食用赤色3号、食用黄色5号、食用青色1号等の食用色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン、リボフラビンなどを挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
甘味剤としては、アスパルテーム、サッカリン、ギリチルリチン酸二カリウム、ステビア、マルトース、マルチトール、水飴、アマチャ末等を挙げることができ、上記から選ばれる1種を単独で使用しても、2種以上を併用することも自由である。
本発明の方法で得られる造粒組成物は、そのまま散剤、顆粒剤、細粒剤などとして用いることも可能であるが、圧縮成形を施して錠剤として用いることもできる。また、本発明の方法で得られる造粒組成物や、該造粒組成物を圧縮成形して製した錠剤は、味のマスキング、防湿等の目的でコーティングが施されていても良い。コーティング剤としては例えばセルロース系コーティング剤(エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート等)、アクリルポリマー系コーティング剤(オイドラギットRS、オイドラギットL、オイドラギットNE等)、シェラック、シリコン樹脂等が挙げられ、これらを単独または2つ以上組み合わせて用いても良い。これらのコーティング剤の使用方法は公知の方法を用いることができる。コーティング剤は有機溶媒に溶解しても、水に懸濁させてもよい。水に懸濁させた状態で医薬品活性成分や他の成分とともに造粒することも自由である。
以下に本発明に用いる澱粉粉末の製造方法について記載する。
本発明に用いる機能性澱粉粉末は、澱粉原料を水存在下60℃以上100℃未満で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで該膨潤させた澱粉粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程により製造される。或いは、減圧下、100〜130℃で加熱処理された澱粉質原料を、さらに水存在下60〜150℃で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで膨潤させた粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程により製造される。澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとは、加熱処理による膨潤により外殻構造が崩壊した澱粉に由来する、澱粉粒子の外部に放出されたアミロースとアミロペクチンである。
本発明でいう澱粉質原料とはコメ、モチゴメ、トウモロコシ、モチトウモロコシ、アミロトウモロコシ、モロコシ、コムギ、オオムギ、サトイモ、リョクトウ、バレイショ、ユリ、カタクリ、チューリップ、カンナ、エンドウ、シワエンドウ、クリ、クズ、ヤマノイモ、カンショ、ソラマメ、インゲンマメ、サゴ、タピオカ(キャッサバ)、ワラビ、ハス、ヒシ等の天然澱粉、老化澱粉、架橋澱粉等澱粉質物質を含有するものであれば特に制限しないが、粒子の膨潤性が高く保水量を高く制御しやすいという観点からバレイショが好ましい。
また糊化開始温度が高くなり、粒子の膨潤性が高まるという観点から、例えば特開平4−130102号公報や特開平7−25902号公報に記載されているように、澱粉質含量に減圧下100℃〜130℃で加熱処理する等の、湿熱処理を施したものであればさらに良い。すなわち、特開平4−130102号公報には、(1)減圧ラインと加圧蒸気ラインとの両方を付設し、内圧、外圧共に耐圧性の密閉できる容器に澱粉を入れ、減圧とした後、蒸気導入による加圧加熱を行い、あるいはこの操作を繰り返すことにより、澱粉を所定時間加熱した後冷却する方法、(2)缶内温度を少なくとも120℃以上とすることで、水懸濁液を加熱した時、澱粉粒子の膨潤が認められるが実質的に粘度を示さず、α−アミラーゼ吸着能が著しく高い澱粉を製造する(1)の方法、加熱後減圧にして冷却する(1)、(2)の方法や、特開平7−25902号公報には、(1)澱粉質系穀粒を湿熱処理して得られる湿熱処理澱粉質系穀粒の製造方法において、耐圧容器内に充填した澱粉質系穀粒を減圧する第1工程と、減圧後、蒸気を導入して加熱、加圧する第2工程を、少なくとも1回繰り返す湿熱処理澱粉質系穀粒の製造方法、(2)前記第2工程において、前記加熱を80℃以上で、かつ5分〜5時間行う(1)の製造方法等、澱粉質原料を減圧下このように湿熱処理された澱粉は、高温加熱により、粒子の内部が中空状で、粒子の外殻部の結晶性が増したものであり、光学顕微鏡の偏光像に見られる偏光十字模様が、生澱粉よりも弱く、非複屈折性粒子が減少しているという特徴を有する。また中空部はアミロースやアミロペクチンの結晶状態がほぐれた構造になっていると思われ、α―アミラーゼによる消化性が生澱粉よりも増しているという特徴を有する。また5%濃度に調整した湿熱処理澱粉乳液の粘度が、50〜95℃へ加温していく過程で400ブラベンダーユニット(BU)以下の値であり、かつ95℃で30分間保持した時の最大粘度が1000BU以下であるものであれば好ましい。原料として、上記のうち1種を使用してもよいし、2種以上を混合したものを使用することも自由である。また澱粉質原料の粒子の大きさは膨潤しやすさの観点から大きいほどよい。
本発明でいう澱粉質原料についての水存在下とは、澱粉質原料と水とが存在した状態であって、水分が40重量%以上である状態をいう。本発明でいう加熱の方法は、公知の方法であれば特に制限しないが、例えば水存在下の澱粉質原料を、ジャケット付リアクターに入れてジャケットに蒸気を導入して加熱する方法、水存在下の澱粉質原料に蒸気を混合する方法、ドラム乾燥機の液溜め部で加熱する方法、噴霧乾燥時に蒸気を澱粉スラリーに供給しながら糊化と噴霧とを同時に行う方法等が挙げられるが、澱粉粒子の加熱時間の観点から水存在下の澱粉質原料に蒸気を混合する方法が好ましい。加熱温度は、上記の種々の方法で澱粉を糊化した後の液温度が、60〜150℃であればよく、好ましくは90〜130℃である。
乾燥方法は特に制限はないが、例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、棚段乾燥、気流乾燥、真空乾燥及び溶剤置換による乾燥などが挙げられるが、工業的には噴霧乾燥、ドラム乾燥が好ましい。また乾燥時の液固形分は0.5%〜60%程度である。0.5%未満では生産性が悪くなり、60%以上では高粘度になり収率が低下して好ましくない。1〜30%が好ましく、1〜20%がさらに好ましい。
澱粉粉末1gを100cm3の純水に分散させ16時間放置し上下に分かれた下層部分を光学顕微鏡(倍率10倍)で観察する時、本発明の機能性澱粉粉末は澱粉質原料が本来有する外殻構造が完全に失われることなく存在しているのに対して、α化澱粉では何も観察されないか、一度膨潤・溶解したアミロースやアミロペクチンがβ化することなどにより形成される薄片状、塊状等の構造体が観察される。
主として医薬用途で使用されているアルファー化澱粉、部分アルファー化澱粉は天然澱粉を加熱し糊化させた後、乾燥して得られるが、崩壊性の優れた澱粉を得るためには特公昭59−47600号公報に記載されているように、50℃以上で固有の糊化開始温度を約10℃上回る温度以下(澱粉種によるが90℃未満の温度)で加熱することにより、大部分が外殻構造を有する粒子であって、膨潤したアミロースやアミロペクチンの溶出が極力抑制されたものになる。しかし、これらは外殻構造を有する粒子はあるものの、水中での膨潤が不十分なために十分な結合性を付与することができない。
また主として食品用途で使用されるアルファー化澱粉は150℃前後でドラム乾燥する方法や120〜160℃で高圧下エクストルーダーで押出す方法で製造される。このような方法で得られるアルファー化澱粉は、糊化温度が高すぎるために粒子が膨潤しすぎてしまい、外殻構造を持つ粒子がほとんど存在せず、膨潤・溶解したアミロースやアミロペクチンと、それがβ化した、澱粉粒子が本来有する外殻構造とは異なる薄片状や塊状となった粒子となる。このようなα化しすぎることによって外殻構造を失い、膨潤したアミロースやアミロペクチンが主成分となった澱粉は崩壊性に劣るが、錠剤の細孔に崩壊液が浸透する際に糊成分の溶解による粘度上昇が生じ、続く液の浸透が阻害されるためである。
すなわち本発明の造粒組成物の製造方法に用いる機能性澱粉粉末は、外殻薄膜構造を有する粒子を完全に破壊することなく、保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が100〜3000g、水溶性成分が40%〜95%となるように適度に澱粉粒子を糊化させることによって初めて、高い結合性と良好な崩壊性を付与することに成功したものである。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、実施例、比較例における各物性の測定方法は以下の通りである。
(1)保水量(%)
乾燥した澱粉粉末W(g)(約1g)を、約15mlの20℃±5℃の純水が入った50cm遠沈管へ少しずつ入れ、かき混ぜながら透明〜半透明になるまで純水に分散させる。50cm沈降管の7割程度になるよう20℃±5℃の純水を追加して遠心分離(2000G、10分)する。遠心分離終了後すぐに分離した上層を切り捨てた後、下層に残る重量W(g)(澱粉+澱粉が保持する純水量)から下式により保水量を求める。
保水量(%)=100×(W−W)/W
(2)ゲル押込み荷重(g)
澱粉粉末0.5gを50MPaで圧縮して得られる直径1.13cmの円柱状成型体を20℃±5℃の純水中に4時間浸漬しゲル化させた後、0.1mm/secの速度で3mm円柱状のアダプターを押込んだ時の最大荷重と定義する。最大荷重とはゲル層の破断があれば破断時の、破断がなければアダプターがゲル化した円柱状成型体に5mm侵入するまでに示した最大の荷重値とする。
(3)水に分散させたときの沈降体積
乾燥した澱粉粉末1.0gを20℃±5℃の純水に分散させて100mlの沈降管に移し、全量を100cmとし、16時間放置した後、上下に分かれた下層の容積を読み取る。
(4)水溶性成分
澱粉1.0gに20℃±5℃の純水99.0gを加えてマグネチックスターラーで2時間攪拌して分散させ、得られた分散液40cmを50cmの遠沈管に移し、5000Gで15分間遠心分離し、この上澄液30cmを秤量瓶に入れ、110℃で一定重量になるまで乾燥する。試験に用いた澱粉1.0中の絶乾重量W(g)と、乾燥後の重量W(g)から下式により水溶性成分を求める。
水溶性成分(%)=(W(g)×100÷30)÷W(g)×100
(5)くぼみを有する澱粉粒子の粒子径(μm)
澱粉粒子の粒子径は、SEM(JEOL JSM−5510LV、日本電子製、蒸着はPt、JEOL JFC−1600 AUTO FINE COATER、日本電子製)を用い、倍率200倍〜1500倍で観察する時、単一粒子の最大径で定義する。1つ以上の粒子が凝集して単一粒子と判定できない場合は、本発明でいう粒子径ではないとみなす。また、粒子が凝集していても、凝集粒子が小さいなど、粒子界面が明確であれば、単一粒子の最大径が明確であるため、本発明でいう粒子径とみなすことができる。
(6)外殻構造
外殻構造は、澱粉粉末1gを100cmの純水に分散させ16時間放置し、上下に分かれた下層部分を光学顕微鏡(倍率10倍)で観察する。本発明の澱粉粉末は澱粉質原料が本来有する外殻構造が完全に失われることなく存在しているのに対して、α化澱粉では何も観察されないか、一度膨潤・溶解したアミロースやアミロペクチンがβ化することなどにより形成される薄片状、塊状の構造体が観察される。
[実施例1]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分処理したものを原料とし、固形分濃度5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度100℃)させ、3L容器の滞留管(100℃)を連続的に通した後噴霧乾燥して澱粉粉末Aを得た。滞留時間は9分であった。
澱粉粉末A32gとエテンザミド(エトキシベンツアミドP、エーピーアイコーポレーション)480 gと200M乳糖(ファーマトース200M、DMV製)784gと局方コーンスターチ(日澱化学製)336gとを攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーターFM−VG−10、パウレック社製)に入れ、ブレード回転数280rpm、クロススクリュー回転数3000rpmの条件で3分間予備混合を行った。その後、結合水として純水340gを一括添加し、ブレード回転数280rpm、クロススクリュー回転数3000rpmの条件で3分間湿式造粒を行った。得られた造粒物は60℃、16時間棚段乾燥を行った後、目開き1410μmの篩で篩過して打錠用顆粒Aとした。打錠用顆粒Aにステアリン酸マグネシウムを外割で0.5%添加し、ロータリー打錠機(クリーンプレス、correct12HUK、菊水製作所製)を用いて、54rpm、φ8mm−12R杵装着、オープンフィードの条件にて10kN、15kNの打錠圧で錠剤を製した。
澱粉粉末Aの物性を表1に、打錠用課粒Aの粒度分布特性および錠剤物性を表2に、打錠用顆粒Aの粒度毎の薬物(エテンザミド)含量を図1に示した。澱粉粉末Aと、水への溶解度が0.0001〜0.1g/Lの範囲にあるエテンザミドを含む粉粒体とを用いて湿式造粒により得られた打錠用顆粒Aは、粒度分布の均一度が大粒子径側、小粒子径側ともに0.4以上であり、均一な粒度分布がえられた。
表2における打打錠用課粒の収率(重量%)、粒度分布、粒度分布の均一度、及び表3における粒度毎の薬物含量について説明する。
打錠用課粒の収率(重量%)は、湿式造粒に用いた原料粉粒体の重量W(g)に対する得られた打錠用顆粒の重量W(g)より、下式により求める値とする。
打錠用課粒の収率(重量%)=100×W/W
粒度分布は、IS篩の目開き45、75、106、150、212、250、500μmを使用し、打錠用課粒20gを15分間ロータップ篩分機で篩分した時、各篩上に残存する重量百分率より求めた値とする。また、篩過累積50%の粒径を平均粒径とする。
粒度分布の均一度は、篩過累積10%、50%、90%の粒径D10、D50、D90より、下式により求めた値と定義する。
大粒子側の粒度分布の均一度=D50/D90
小粒子側の粒度分布の均一度=D10/D50
粒度毎の薬物含量は、各篩上に残存する造粒組成物の一部W(g)(約200mg)を分取し、該造粒組成物に純水を加えて1Lとし、エテンザミドを完全に溶解させた後、波長420nmの吸光度を利用して求める造粒組成物W(g)中のエテンザミドW(g)から下式より求める。
薬物含量=100×W/W
なお、錠剤の硬度は錠剤10個の硬度を錠剤硬度計(MODEL6D型、フロイント製)を用いて測定した平均値であり、錠剤の崩壊時間は、錠剤6個の崩壊時間を崩壊試験機(MODELNT−40HS型、富山産業製)を用いて37℃、純水、ディスク無しの条件で測定した平均値である。
[比較例1]
実施例1で得られた澱粉粉末A32gと、200M乳糖(ファーマトース200M、DMV製)1120gと局方コーンスターチ(日澱化学製)480gとを攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーターFM−VG−10、パウレック社製)に入れ、ブレード回転数280rpm、クロススクリュー回転数3000rpmの条件で3分間予備混合を行った。その後、結合水として純水340gを一括添加し、ブレード回転数280rpm、クロススクリュー回転数3000rpmの条件で3分間湿式造粒を行った。得られた造粒物は60℃、16時間棚段乾燥を行った後、目開き1410μmの篩で篩過して打錠用顆粒Bとした。打錠用顆粒Bにステアリン酸マグネシウムを外割で0.5%添加し、ロータリー打錠機(クリーンプレス、correct12HUK、菊水製作所製)を用いて、54rpm、φ8mm−12R杵装着、オープンフィードの条件にて10kN、15kNの打錠圧で錠剤を製した。
打錠用顆粒Bの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。同じ澱粉粉末Aを用いた実施例1の打錠用顆粒Aに比べると、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一度が小さく、不均一な粒度分布となった。
[実施例2]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(130℃)にて20分処理したものを原料とし、固形分濃度5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度115℃)させ噴霧乾燥して澱粉粉末Bを得た。
実施例1の澱粉粉末Aを澱粉粉末Bとする以外は実施例1と同様に操作し打錠用顆粒C、および錠剤を製した。澱粉粉末Bの物性を表1に、打錠用顆粒Cの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。澱粉粉末Bと、水への溶解度が0.0001〜0.1g/Lの範囲にあるエテンザミドを含む粉粒体とを用いて湿式造粒により得られた打錠用顆粒Bは、粒度分布の均一度が大粒子径側、小粒子径側ともに0.4以上であり、均一な粒度分布がえられた。
[比較例2]
比較例1の澱粉粉末Aを澱粉粉末Bとする以外は比較例1と同様に操作し、打錠用顆粒D、および錠剤を製した。打錠用顆粒Dの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。同じ澱粉粉末Bを用いた実施例1の打錠用顆粒Cに比べると、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一度が小さく、不均一な粒度分布となった。
[実施例3]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分処理したものを原料とし、固形分濃度5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液を20L/hrでジェットクッカーで加熱、糊化(出口温度120℃)させ噴霧乾燥して澱粉粉末Cを得た。滞留時間は9分であった。
実施例1の澱粉粉末Aを澱粉粉末Cとする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒E、および錠剤を製した。澱粉粉末Cの物性を表1に、打錠用顆粒Eの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。澱粉粉末Cと、水への溶解度が0.0001〜0.1g/Lの範囲にあるエテンザミドを含む粉粒体とを用いて湿式造粒により得られた打錠用顆粒Eは、粒度分布の均一度が大粒子径側、小粒子径側ともに0.4以上であり、均一な粒度分布がえられた。
[比較例3]
比較例1の澱粉粉末Aを澱粉粉末Cとする以外は比較例1と同様に操作し、打錠用顆粒F、および錠剤を製した。打錠用顆粒Fの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。同じ澱粉粉末Cを用いた実施例3の打錠用顆粒Eに比べると、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一度が小さく、不均一な粒度分布となった。
[実施例4]
バレイショ澱粉をステンレスバット(50cm×25cm)中に層厚5cmで充填して耐圧容器内で5分減圧(600mmHg)後、加圧蒸気(120℃)にて20分処理したものを原料とし、固形分濃度5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液をジャケット付攪拌槽(4L)で95℃、45分加熱し糊化した後、60℃温水で2倍に希釈し、60℃で保温しながら、流量8.3L/hrで連続して噴霧乾燥して澱粉粉末Dを得た。
実施例1の澱粉粉末Aを澱粉粉末Dとする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒G、および錠剤を製した。澱粉粉末Dの物性を表1に、打錠用顆粒Gの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。澱粉粉末Dと、水への溶解度が0.0001〜0.1g/Lの範囲にあるエテンザミドを含む粉粒体とを用いて湿式造粒により得られた打錠用顆粒Gは、粒度分布の均一度が大粒子径側、小粒子径側ともに0.4以上であり、均一な粒度分布がえられた。
[比較例4]
比較例1の澱粉粉末Aを澱粉粉末Dとする以外は比較例1と同様に操作し、打錠用顆粒H、および錠剤を製した。打錠用顆粒Hの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。同じ澱粉粉末Dを用いた実施例4の打錠用顆粒Gに比べると、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一度が小さく、不均一な粒度分布となった。
[実施例5]
バレイショ澱粉を原料とし、固形分濃度5%の澱粉乳液を調製した。この澱粉乳液をジャケット付攪拌槽(4L)で95℃、45分加熱し糊化した後、60℃温水で2倍に希釈し、60℃で保温しながら、流量8.3L/hrで連続して噴霧乾燥して澱粉粉末Eを得た。
実施例1の澱粉粉末Aを澱粉粉末Eとする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒I、および錠剤を製した。澱粉粉末Eの物性を表1に、打錠用顆粒Iの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。澱粉粉末Eと、水への溶解度が0.0001〜0.1g/Lの範囲にあるエテンザミドを含む粉粒体とを用いて湿式造粒により得られた打錠用顆粒Iは、粒度分布の均一度が大粒子径側、小粒子径側ともに0.4以上であり、均一な粒度分布がえられた。
[比較例5]
比較例1の澱粉粉末Aを澱粉粉末Eとする以外は比較例1と同様に操作し、打錠用顆粒J、および錠剤を製した。打錠用顆粒Jの粒度分布特性および錠剤物性を表2に示した。同じ澱粉粉末Eを用いた実施例5の打錠用顆粒Jに比べると、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一度が小さく、不均一な粒度分布となった。
[比較例6]
澱粉粉末Aを市販バレイショα化澱粉(マツノリンM、松谷化学製)とする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒K、および錠剤を製した。市販バレイショα化澱粉の物性を表1に、打錠用顆粒Kの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に示した。市販のα化バレイショ澱粉を用いて製した打錠用顆粒Kは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Kを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例7]
澱粉粉末Aを市販コーンα化澱粉(コーンα化澱粉、松谷化学製)とする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒M、および錠剤を製した。市販コーンα化澱粉の物性を表1に、打錠用顆粒Mの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に示した。市販のコーンα化澱粉を用いて製した打錠用顆粒Mは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Mを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例8]
澱粉粉末Aを市販ハイアミロースα化澱粉(ハイアミロースα化澱粉、松谷化学製)とする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒N、および錠剤を製した。市販コーンα化澱粉の物性を表1に、打錠用顆粒Nの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に示した。市販のコーンα化澱粉を用いて製した打錠用顆粒Nは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Nを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例9]
澱粉粉末Aを市販ワキシーコーンα化澱粉(ワキシーコーンα化澱粉、松谷化学製)とする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒O、および錠剤を製した。市販のワキシーコーンα化澱粉の物性を表1に、打錠用顆粒Oの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に示した。市販のコーンα化澱粉を用いて製した打錠用顆粒Oは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Oを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例10]
局方コーンスターチを流動層造粒機(ユニ・グラット、大河原製作所製)中で、コーンスターチ糊液を結合液として表面α型のβ型澱粉である澱粉粉末Fを得た。噴霧されたα化澱粉の割合は約14%であった。
澱粉粉末Aを澱粉粉末Fとする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒P、および錠剤を製した。澱粉粉末Fの物性を表1に、打錠用顆粒Pの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に示した。澱粉粉末Fを用いて製した打錠用顆粒Pは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Pを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例11]
澱粉粉末Aを市販の部分α化澱粉(PCS、三和澱粉工業製)とする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒Q、および錠剤を製した。市販の部分α化澱粉の物性を表1に、打錠用顆粒Qの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に示した。市販の部分α化澱粉を用いて製した打錠用顆粒Qは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Qを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例12]
澱粉粉末Aを市販の部分α化澱粉(Starch1500)とする以外は実施例1と同様に操作し、造打錠用顆粒R、および錠剤を製した。市販の部分α化澱粉の物性を表1に、打錠用顆粒Rの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に示した。市販の部分α化澱粉を用いて製した打錠用顆粒Rは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Rを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例13]
局方コーンスターチを3重量%のスラリーとし90℃に加熱して完全に糊化し、二流体ノズルを有する噴霧乾燥機を用いて入り口温度180℃、出口温度90℃の雰囲気中に5L/hrのスラリー供給速度で噴霧し澱粉粉末Gを得た。得られた澱粉粉末を用いる以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒S、および錠剤を製した。
澱粉粉末Aを澱粉粉末Gとする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒S、および錠剤を製した。澱粉粉末Gの物性を表1に、打錠用顆粒Sの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に、打錠用顆粒Uの粒度毎の薬物(エテンザミド)含量を表3に示した。澱粉粉末Gを用いて製した打錠用顆粒Sは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Sを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例14]
澱粉粉末Aを非澱粉系の市販結合剤(HPC−L、日本曹達製)とする以外は実施例1と同様に操作し、打錠用顆粒T、および錠剤を製した。市販の結合剤の物性を表1に、打錠用顆粒Tの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に、打錠用顆粒UTの粒度毎の薬物(エテンザミド)含量を表3に示した。市販の結合剤を用いて製した、打錠用顆粒Tは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Tを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
[比較例15]
純水500gを容器に入れ80℃に加熱し、TKホモミキサー(MARKII型、特殊機化工業製)を用いて5000rpmの条件で攪拌しながら、非澱粉系の市販結合剤(HPC−L、日本曹達製)40gを少量ずつ加え、全量を加えた後30分間攪拌を行い、均一なHPC−Lの懸濁液をとした後、室温まで冷却してHPC−L水溶液を得た。エテンザミド(エトキシベンツアミドP、エーピーアイコーポレーション)480gと200M乳糖(ファーマトース200M、DMV社製)784gと局方コーンスターチ(日澱化学製)336gとを攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーターFM−VG−10、パウレック社製)に入れ、ブレード回転数280rpm、クロススクリュー回転数3000rpmの条件で3分間予備混合を行った。その後、上記で得られたHPC−L水溶液340gを結合剤として一括添加し、ブレード回転数280rpm、クロススクリュー回転数3000rpmの条件で3分間湿式造粒を行った。得られた造粒物は60℃、16時間棚段乾燥を行った後、目開き1410μmの篩で篩過して打錠用顆粒Uとした。打錠用顆粒Uにステアリン酸マグネシウムを外割で0.5%添加し、ロータリー打錠機(クリーンプレス、correct12HUK、菊水製作所製)を用いて、54rpm、φ8mm−12R杵装着、オープンフィードの条件にて10kN、15kNの打錠圧で錠剤を製した。
打錠用顆粒Uの粒度分布特性、および錠剤物性を表2に、打錠用顆粒Uの粒度毎の薬物(エテンザミド)含量を表3に示した。HPC−Lを用いて製造した打錠用顆粒Uは、実施例1〜5で得られた造粒組成物A〜Eに比べて、大粒子側、小粒子側ともに粒度分布の均一性が小さく不均一な粒度分布であり、打錠用顆粒Uを用いて製造した錠剤は崩壊時間が著しく遅い錠剤となった。
Figure 2007001875
Figure 2007001875
本発明の機能性澱粉粉末は、適度な結合性と良好な崩壊性を兼ねそろえている。従って、本発明の機能性澱粉を用いて湿式造粒することによって、適度な大きさと均一な粒度分布を有し粒度毎の薬物含量均一性が高く、且つ、圧縮成形して得られる錠剤等の組成物が高い硬度と良好な崩壊時間を兼ね備えた圧縮成形特性を有する組成を製造することができ、医薬、農薬、肥料、飼料、食品、工業、化粧品等の分野で用いることができる。
実施例1及び比較例13〜15で求めた粒度毎の薬物含量である。

Claims (6)

  1. 保水量が400%以上、ゲル押込み荷重が100〜3000g、水溶性成分が40〜95%である機能性澱粉粉末を結合剤として用い、水への溶解度が0.0001〜10g/Lの1種以上の活性成分を含む粉粒体を湿式造粒することを特徴とする、造粒組成物の製造方法。
  2. 結合剤としての機能性澱粉粉末が1箇所以上がくぼんだ構造を有し、粒子径が50〜500μmの澱粉粒子を含有している機能性澱粉粉末を用いる、請求項1に記載の造粒組成物の製造方法。
  3. 水への溶解度が0.0001〜10g/Lの1種以上の活性成分が、医薬品薬効成分、農薬成分、肥料成分、飼料成分、食品成分、化粧品成分、色素、香料、金属、セラミックス、触媒、及び界面活性剤から選択される、請求項1または2に記載の造粒組成物の製造方法。
  4. 結合剤としての機能性澱粉粉末が、澱粉質原料を水存在下60℃以上100℃未満で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで該膨潤させた澱粉粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程を含む方法によって製造される機能性澱粉粉末である、請求項1〜3の何れか1つに記載の造粒組成物の製造方法。
  5. 結合剤としての機能性澱粉粉末が、減圧下、100〜130℃で加熱処理された澱粉質原料を、さらに水存在下60〜150℃で加熱し、澱粉質原料の澱粉粒子を膨潤させる工程、次いで膨潤させた澱粉粒子を乾燥させ、澱粉粒子と該澱粉粒子の外部に存在するアミロースとアミロペクチンとを含有する混合物の粉末を得る工程を含む方法によって製造される機能性澱粉粉末である、請求項1〜3の何れか1つに記載の造粒組成物の製造方法。
  6. 澱粉質原料が馬鈴薯澱粉である、請求項4または5に記載の造粒組成物の製造方法。
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