JP2006528583A - 改良型垂直離着陸機 - Google Patents

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Abstract

2組の折曲げ可能な翼、その翼に取り付けられた2組の傾斜可能なナセル、垂直安定板、水平安定板、2組の補助推力装置をもつ胴体を含むVTOL機である。各ナセルは、その後部開口に配置されたベーンのシステムを含み、水平から所定の角度の範囲にわたって空気流を偏向させるために、そのベーンを延長し、後退させるためのアクチュエータが、ナセルを傾斜させる機構と共に設けられている。各ナセルは、2組のエンジンも含み、その各々がファンを直接駆動する。ファン同士は対向しており、反対の回転方向に同じ回転速度で動作する。一代替実施形態では、補助推力装置を有する代わりに胴体に追加取り付けされたナセル2組を含む。コンピュータ化された、冗長性をもつ飛行制御システムが、1つの飛行モードから他のモードに移行するとき機体の安定性を保つ。

Description

関連出願
(関連出願の相互参照)
本出願は、2002年2月8日に提出された米国特許仮出願第60/355,270号の利点を請求するものである。
本発明は、概してVTOL機(VTOL Vehicle)に関し、より具体的には、エンジンを収容するダクトを形成するナセルを傾けることができ、ナセルを傾けることにより、また各ナセル・ダクトの後部に装着された調整可能なベーンを動作させることにより、推力の方向を選択的に変更する、ダクト付きファン推進システムを有する改良形VTOL機に関する。
空中を飛行でき、陸上を運転することができる機体を生成しようとするいくつかの取組みがなされてきた。このような飛行機は、リフトオフのための必要滑走路のスペースを最小化するために垂直離陸/着陸(VTOL)の能力を有することが望ましい。離着陸のために必要な揚力と、通常の水平飛行に必要な推力を達成するための1つの取組みは、エンジンで駆動するファンまたはプロペラを傾けて推力を垂直から水平方向に向けることである。他の取組みには、ファンを固定位置に装着し、そのファンによって生成された流れを偏向させる様々な手段を設け、所望の推力方向付け(thrust vectoring)を行うことである。
第1の取組みは、Lariviereへの米国特許第5,839,691号に見ることができる。そこに開示されたVTOL飛行機は、プロペラを有し、飛行機がリフトオフからその巡航形態に移行するとその回転軸線は、垂直から水平方向に90度転回する。このような、ティルト・ロータ構成は、飛行機の揚力面の周辺にプロペラ後流として知られる、プロペラによって動かされた空気のマスフローを誘発する。プロペラ後流は、プロペラ軸線が水平方向に対して大きな角度をなすので、垂直から水平飛行への移行の早い段階や水平から垂直飛行への移行の最終段階で顕著である。プロペラ後流は、飛行機の空気力学的な力とモーメントに影響を与え、飛行機の制御を非常に難しくする。さらに移行段階ではプロペラ後流があるので翼が、逆揚力を発生する可能性があり、エンジンはその逆揚力を補うために余分の推力を生成しなければならない。また、ホバリング中に翼の上に大きな空気抵抗が発生し有効積載量が減少する。プロペラ後流の影響に対処するために、プロペラを支えるための余分な構造と追加の制御表面が必要になる。
この取組みは、大きな開放型回転翼を伴い、ユーザーには使用しやすくない。さらにV22 Ospreyのような場合には、ローターを前進飛行するための位置に移行させたままでは、ローターが地面に接触するほど大きいので、飛行機を従来通りには着陸させることができない。この取組みの他の不都合は、エンジンが故障した場合の破局的な故障を防止するために、ローター同士をギヤ・ボックスで連動させなければならないが、飛行機にあってはギヤ・ボックスの故障が主な故障モードであることである。
第1の取組みに対する代案は、90度回転するダクテッド・ファンを使用することである。この取組みは、ユーザーにとってより使用しやすく、エンジンが故障した場合でも飛行機は標準の滑走路に従来通り着陸することができる。しかし、90度一杯に回転するダクトは、ダクトが移行中でまだ高い角度の点にあり、飛行機がかなりの速度で飛行しているときには前縁失速を生じる可能性がある。この気流失速が発生すると、移行は成功しそうにない。この取組みを採用した多くのVTOL飛行機が墜落をしてきた。出願者の本発明は、ダクトを部分的にのみ回転させ、次いで偏向ベーンを使用して推力の向けなおしを完了させることによってダクテッド・ファンの問題を克服する。したがってダクテッド・ファンは、水平速度がまだ低いとき、移行の非常に早い時期に水平位置(ファンの中心線は、飛行の方向)に転回する。これが、前縁剥離を排除する。本発明によれば、ホバーから前進飛行へ移行するための推力は、胴体の中心線の向きの角度に対するダクトの中心線の向きの角度を少し減少させ、相当な水平方向推力を発生させることによって生ずる。
第2の取組みは、Schoenへの米国特許第4,358,074号に見ることができ、この取組みではVTOL飛行機のための推進システムが、隙間スロットに加え、可動の固定式カンバ・カスケーデリング・ベーン・システムを利用して空気流の方向づけをする固定ダクトを有する。各ナセル内の空気流は2つの流れに分けられる。流れの1つは、固定式カンバ・ベーン・システムを通して下方向に案内される。もう一方の流れは、噴出口にある後部ノズルを通して、ダクトの直後に配置されている翼に装着された隙間フラップに向かって吐き出される。固定式カンバ・ベーン・システムは、空気流が分離して推力の損失が発生する前に、穏やかな角度をもって限られた量の空気流を案内することができるだけである。隙間フラップ・システムは、翼のフラップのみを利用して流れのすべてを大きな角度をもって偏向するために必要である。
調整可能なベーンを含む、他の空気流偏向システムが、本発明者Paul Mollerへの米国特許第5,115,996号に開示されている。Mollerへの米国特許第5,115,996号では、ダクテッド・ファン推進システムを有するVTOL飛行機が開示されており、エンジンを収容するダクテッド・ナセルは、胴体の中心線とおおよそ平行な軸線方向中心線をもって固定されており、推力は、各ナセル・ダクトの後部部分に装着された調整可能なベーンにより選択的に方向づけられる。
しかし、この設計には不都合が見出された。この設計では、調整可能なベーンで流れを90度曲げる必要があった。こうすることに伴う問題は、本出願の図1Aに示すように流れがベーンを通過するとき流れの断面積が劇的に変化することである。空気は、変化する断面寸法を有する通路を左から右へ流れるものとする。空気の流れが通路に入る点Aでの断面直径は、それがコーナーを曲がる点Bより小さく、それが通路を出る点Cで再度狭くなることを知ることができる。流れは、転回部分に近づくと点Bを通過するまで減速する。同時に、圧力が上昇して、境界層の急速な発達を含む逆圧力勾配を発生させる。境界層は、表面近傍の流れの薄い層であり、この構成ではベーンの凸側上およびベーンの外側端部を保持する内側壁上で発達する。流れがさらに転回すると、境界層の厚さは考慮すべきサイズに成長し、それによって流れの剥離が起こり、その結果空気流の有効断面積が減少し、ベーンの効率が下がる。この流れ剥離への1つの解決策は、図1Bに示すように、ベーンの断面を厚くして点A、B、Cにおける流れの断面積を図示のように一定に保つことである。これは、流速を一定に保つのに役立つが、図1Cに示すようにベーンを後退させると今度は点A、B、Cにおける距離が変化するので流れへの妨害を生成する。この場合、流速は、有用な目的もなく関連する圧力推力損失を伴って加速しまた減速する。この解決策の他の欠点は、ベーンの後縁近傍の境界層の成長であり、これがベーン・システムの効率を減少させる。
上記のように、第1の取組みには移行段階で空気力学上と制御上の様々な問題が発生する。既存のティルト・ロータは、また、プロペラ自体とプロペラの周期的ピッチ制御のための構造機構の設計に本来の複雑性を有する。第2の取組みでは、流れの転回角度が増加するにつれてベーン・システムの効率が減少する。したがって、調整可能なベーン・システムと協働して有効な出力変調と推力の方向づけを行い、個々の取組みに伴う問題が存在しない範囲で動作し、プロペラに関する本来の複雑な構造を含まない、傾斜角度を変更できるファンを有する、改良形VTOL飛行機のための設計が必要とされている。
したがって、本発明の主な目的は、調整可能なベーン・システムと共にナセルを利用して飛行モード移行中のダクト前縁失速を無くし、推力効率を高め、可変ピッチ・ファンの必要性を無くし、異物をファンへ吸込む傾向を減少させる改良型VTOL機を提供することである。
本発明の他の目的はナセルを傾斜させるための機構と、傾斜角度を監視するためのセンサを有する改良形VTOL機を提供することである。
本発明の他の目的は、推進効率が高められ、流体の機械的損失が減じられた調整可能なベーン・システムを含む改良形VTOL機を提供することである。
本発明の他の目的は、主要な移動推力の発生に加え機体のピッチとロールを制御するためにも使用することができる改良形ナセルの構成と方向付けシステムを提供することである。
本発明の更なる目的は、ナセルに装着した動力装置を2基または4基含むこともある改良形VTOL機を提供することである。
本発明の更なる目的は、機体の姿勢制御のための改良された応答特性もつエンジン制御システムを有する改良形VTOL機を提供することである。
本発明の前述およびその他の目的、特徴および利点は、図面のいくつかの図を参照した好ましい実施形態に対する下記の詳細な説明から明白になるであろう。
本発明のある好ましい実施態様は、手短に言うと2組の折曲げ可能な翼、その翼に取り付けられた傾斜を変えることができる2組のナセル、垂直安定板、水平安定板、2組の補助推力装置をもつ胴体を含む。各ナセルは、その後部開口に配置されたベーンのシステムを含み、水平から所定の角度の範囲にわたって空気流を偏向させるために、そのベーンを延長させ、後退させるための手段が、ナセルを傾斜させる機構と共に設けられている。各ナセルは、2組のエンジンも含み、その各々がファンを直接駆動する。ファン同士は対向しており、反対の回転方向に同じ回転速度で動作する。一代替実施形態では、補助推力装置を有する代わりに胴体に追加して取り付けたナセル2組を含む。コンピュータ化された、冗長性をもつ飛行制御システムが、1つの飛行モードから他のモードに移行するとき機体の安定性を保つ。
図2を参照すると、本発明の垂直離着陸機(VTOL)の形態での好ましい一実施形態は、ナセル動力装置と前部および後部の補助推進装置を有する。本明細書の様々な図面に示されているように、本発明は、いくつかの異なる構成のうちの任意のもので実施することができる。
図2、3に示すように好ましい実施形態は、右ナセル14と左ナセル16を含む細長い胴体12を含む。ナセルは2つの短い翼18によって胴体12に取り付けられている。その短い翼はインボード・セグメント17とアウトボード・セグメント19を含む。
この実施形態では、2組のナセル14、16が、胴体12のそれぞれの側で胴体12の重心2に、または重心の近傍に配置されている。各ナセルは、両翼を貫通する軸線の周りを、リニア・アクチュエータ94によって転回させられる(下記でさらに説明を加える)。重心2(図3)の正確な位置は、負荷の状態でわずかに変化し、2組のナセル14、16が転回するとき、下記に説明するようにその位置もわずかに重心の位置を変化させることを理解するべきであるが、重心を近似的な位置に示す。
この実施形態は、胴体内で開放形ダクト21a、21b内に装着された2組の揚力用補助推力装置20、22を含み、それらダクトは推力装置の外側境界を形成している。推力装置は、ファン23a、23bと電源で駆動されるモータを含む。便宜上モータと電源は図3に示されていない。所要の推力がナセル14、16内の動力装置によって与えられるとしても、ピッチ制御を行うために使用される補助推進装置20、22も離陸、ホバリング、着陸、移行飛行モード期間中は揚力を提供する。補助推進装置20、22を重心2からある距離に位置づけることにより、ピッチ変動の制御に非常に少ない量の推力だけが必要であるという機械的な利点が得られる。このような補助推力装置20、22に求められる推力は小さいので、補助推進装置を電動ファンのように簡単にすることができる。電動ファンは、従来から非常に信頼性があり、エンジン駆動の推力装置よりもコストが低い。
垂直安定板24は、胴体12の後部に取り付けられており、かつそこから立ち上がっていてそれに取り付けられている水平安定板26を支えている。26で示されているような水平安定板の詳細についての詳細な説明は、Mollerへの米国特許第5,115,996号に見ることができる。胴体12は、空気抵抗を最小にするために空気力学的な形をしている。強固で透明な風防28がコックピットの前部を覆っているが、この風防はパイロットや乗客を搭乗させるために開くことができる。風防28の直後には乗客用の窓30が2組、胴体12の両側に各1組がある。胴体12の先端には、保護用に透明プラスチックのヘッドライト・カバー34で覆われたヘッドライト32がある。
点線48が示唆するように、転回機構が、ナセル14、16から延び、ナセルを翼18の翼端50に取り付けており、それらを弧状に大体45度プラス/マイナスおおよそ5度転回させることを可能にしている。このおおよそ45度の転回は、ナセル14、16内にあり空気流をさらに大体45度回転させるベーン・システム(下記に説明する)と共に動作し、それによって離陸、ホバリング、着陸動作中は後に説明するように、空気流がこれらのナセルから垂直に出ることができるように案内される。流れを選択的に0から90度まで向けなおすための同様なベーン・システムについての詳細な説明は、Mollerへの米国特許第5,115,996号に見ることができる。ナセルを回転させるために使用させるアクチュエータ機構94が、下記に説明するように図14、15に示されている。
ナセル14、16のいくつかの部品、例えばエンジン装着用支柱36、排気シュラウド38、エンジン補機ノーズコーン40、分割支柱(dividing strut)41が図2〜3に図示されている。ナセル14、16のその他の構成部品については後述する。
この実施形態では、翼18は連接式であり、地上では機体幅の減少を可能にしている。ヒンジ42が翼18の折曲げジョイント44の位置にあり、図4に示すように機体10が自動車として動かすとき、その折曲げジョイントが、翼端50とナセル14、16を上方向に折り曲げることを可能にしている。翼のアウトボード・セグメント19は、ジョイント44の所で、上方におおよそ垂直になるまで折り曲げることができ、ナセル14、16が、風防28の側部でそのわずか上に持ち上げられるが風防28が開き乗客が乗り込み機体10を出発させるための空間は残されている。機体10の幅は、翼18が上方に折り曲げられたとき、法定道路幅限界2.60メートル(8.5フィート)より小さく都市の街路や道路での運転が可能である。引き込み可能な車輪46があり、機体10が着陸するときに展開する。各ナセルは、反対方向に回転するロータリ・エンジンとファンを有し、そのブレード60、62が図4に示されている。この実施形態で使用するのに適している動力装置のエンジンとファンの詳細は先行の特許(Mollerへの米国特許第5,115,996号)に記載されている。
ナセル14、16が、ウィングレットとして動作し、翼18下側のより高い圧力の空気が翼端50周辺を流れないようにしており、したがって翼18はウィングレット不付のより長い翼としてふるまうので胴体12とナセル14、16の間に延在する翼の部分18は、非常に効率よく揚力を発生させる。幾何学的アスペクト比は、スパン2/翼面積として通常は定義される。しかし、本実施形態では、ウィングレットが、このアスペクト比をもっと大きくする。したがって、幾何学的なアスペクト比の代わりに「有効アスペクト比」を使用して動作するアスペクト比を説明する。有効アスペクト比は空気力学が引き起こす抵抗に直接影響し、その結果燃焼させた燃料0.45kg(1ポンド)当たりの人マイルが、有効アスペクト比の平方根に比例する。本発明のこの実施形態では、ナセル14、16がウィングレットとして動作するので翼18の有効アスペクト比は、大体6で幾何学的なアスペクト比の大体2倍の大きさであると見積もられている。
図5は、ナセル14の内部図でナセル・ハウジング52の側部壁、エンジン補機ノーズコーン40、排気シュラウド38はそこから取り外してある。ナセル・ハウジング52は、後部開口54でより矩形の構成に移行する環形の翼状形を有することが望ましい。ナセルの後部開口54には角度が付けられており、開口が、ナセル14の長手方向の軸線への法線に対してその頂部が後方向に回転した平面内にあるようになされている。各ナセルは、2組のロータリ・エンジン56、58を含み、これらのエンジンがファン・ブレード60、62を反対回転方向で駆動する。各ロータリ・エンジンは、エンジン重量0.45kg(1ポンド)当たり大体2馬力を生成する能力があり、各ナセルは馬力当たり大体1.35kg(3ポンド)の推力を生成する能力がある。エンジン56、58は、ナセル・ハウジング52の内壁とエンジンの間にわたっているエンジン装着用支柱36、37に装着されている。エンジン56、58からの排気ガスは、ダクト(図示せず)を通して案内され、垂直に延びる分流器41の後縁部55に沿って延在する排出ポートを通って排出される。図5には、キャブレタ57とスタータ59も示されている。ナセル14内に含まれるその他の部品に対する詳細説明は、Mollerへの米国特許第5,115,996号に見ることができる。下記に説明するガイド・スロット53および連接式ベーン64も全体として示されている。
図6〜9に概略を示すように、ベーン64はナセル14、16の後部で後部開口54の直前に配置されている。Mollerへの米国特許第5,115,996号に記載されているタイプで、ナセル・ハウジング52の壁部に形成されるガイド・スロット53は、空気流を偏向させるためにベーンが延長するときベーンがそれに沿って移動する経路を決める。Mollerへの米国特許第5,115,996号のガイド・スロットは、流れの偏向範囲0°から90°にわたって連接式ベーンを変形させるが、図7に示すようにガイド・スロット53は、0°から45°の範囲にわたる流れの偏向を達成するのに十分なだけ連接式ベーンを変形させることに注目されたい。しかしある適用例では、45度を何度か超える流れの偏向を容認してホバー・モードにあるときの機体の逆動を可能にすると有利である。
Mollerへの米国特許第5,115,996号に記載されているベーンの動作は、可撓ベーンをガイド・スロット53内で移動させることにより達成される。Mollerへの米国特許第5,115,996号の実施形態の90度限度に対し、本発明におけるスロット53の曲線端部は、ベーンが完全に延長したとき流れが大体45度転回するようにベーン64の延長と変形を制限する。この限度が流れの転回に伴う流れ剥離の成長を制限する。先行部分で説明し、図1A〜Cで示したように流れの急な転回は、ベーン64の表面上とベーン64の外側端部を保持する内壁上での流れ剥離につながり、その結果転回角度が増加するにつれてベーン・システムの効率が低下する。しかし、離陸、ホバリング、着陸のための所要揚力を生成するために流れを下向きにしなければならない、つまり90度転回しなければならない。本発明によれば、流れの90度転回は、ベーン単独で達成されるのではなく、ベーン64をその限度の45度に向かって延長させると同時にナセル14、16を45度傾けることによって達成される。
図6、8は、水平飛行中の場合のように後退した位置にあるナセル16とベーン64を示している。ナセル16が、水平から0度の位置に戻っており、後部開口54の出口面積が、ベーンが完全に展開した場合に比べて少なくなっていることを知ることができる。一般的にナセル14、16内の流れの速度は機体の飛行速度に比例する。したがって、面積を減少させるための機構を伴わない場合、ナセル14、16内の流れの速度は機体の速度の増加に伴って増加する。しかし、摩擦損失は、ナセル14、16内の流れの速度の3乗に比例し、推力を減少させる。本発明によれば、ベーンの後退による後部開口54の出口面積の減少が、水平飛行中の機体速度の増加に伴う推力の急速な減少を防止する。
図7、9は完全に延長した位置にあるベーン64と、離陸、ホバリング、着陸の場合のようにその最大傾き角度にあるナセル16を示している。ベーンによる大体45度の流れの偏向と共にナセルをその45度の位置に転回することには、垂直から水平飛行への移行中、プロペラ後流とエンジンによって駆動されるプロペラの失速を回避するという、従来技術による飛行機のエンジンやプロペラの構成に勝る他の重要な利点がある。前記のように、従来技術による一部の飛行機は、移行中にプロペラを垂直から水平方向に90度傾け、それが制御表面にわたってプロペラ後流を誘発する。プロペラ後流の影響を処理するために、余分は構造や制御表面が必要である。その他の従来技術による一部の飛行機は、飛行モードの移行中にプロペラまたはファンを収容するナセルを90度傾ける。このタイプの推進システムでは、ナセルが傾斜の中間範囲を通過するときナセルの上流の入口リップで流れが分かれ、その結果エンジンで駆動されるプロペラとファンは、ナセルが垂直から約45度傾斜までの領域にあるとき失速する傾向にある。ナセル14、16の傾きを45度より少ない値に制限することにより、本発明ではダクトの前縁失速を回避する。
前記に示唆し、図10A〜11Bに示すように本発明によりベーンとナセルの設定を使用して流れを45度偏向させると、後部開口54のより大きな出口面積がもたらされ、その結果、推力、出力、出口面積の間に下記の関係があるので推力の増加につながる:
T=ρAEXITEXIT 2 T=14.2AEXIT 1/3(H.P.)2/3
ここで、ρは空気の密度、AEXITは後部開口54の出口面積、VEXITは後部開口54の出口での流れの速度、H.P.はエンジンの馬力である。図11A〜Bに示すように、ベーン64を使用して流れを45度偏向した場合、ナセル16の有効出口面積8(図11B)は41%大きくなる。出口面積の41%の増加は、同じエンジン出力に対して12.24%の推力の増加をもたらすことが予測されており、これは、流れの偏向を45度に制限することの他の利点である。
本発明により、かつ下記に説明するようにナセル14、16の傾斜とベーン64の延長は、ダクトの出口面積を調整し、飛行モードの移行中にナセルが発生する推力を方向づけるために徐々に実行される。これは、ダクテッドまたは非ダクテッドの、ただし傾斜するエンジン/プロペラあるいはダクトの出口面積を減少させる能力をもたないスラストの供給源ファンの場合のように、ファン60、62(図5)が、飛行機の速度の増加に伴ってそのピッチを変える必要がないことを意味する。従来技術による飛行機のピッチ変更は、プロペラまたはファンの複雑な設計と、プロペラのピッチを制御するための構造機構に頼っているが、本発明によればプロペラまたはファンのピッチは、このような複雑さを伴わずに効果的に調整される。
図12A〜Eに、最初の離陸の設定(図12A)から水平飛行(図12E)までのさまざまな飛行段階にある機体10が示されている。便宜上ナセル16だけが示されているが、矢印6は、ナセル14、16の後部開口54での空気流の方向を示している。これらの図では、重心2は大体の位置に示されている。
具体的には、図12Aに、ナセル14、16が水平から45度の位置に傾き、ベーン(見えない)が完全に延長している離陸/着陸の設定が示されている。空気流6の方向はおおよそ垂直で最大揚力を提供している。全推力ベクトル80はナセル14、16からの推力、前部補助推力装置からの推力ベクトル86、後部補助推力装置からの推力ベクトル88の合計である。
図12Bは、移行の早い段階を示し、ナセル14、16が水平に向かってわずかに後ろ向きに傾いている。全推力ベクトル80は、ナセルからのエンジン推力と補助推力ベクトル86、88の合計である。水平推力ベクトル82と垂直推力ベクトル84は全推力ベクトル80のそれぞれ水平、垂直成分である。この段階では、翼の揚力は、全揚力ベクトル80の大きさに比べ小さく図示されていない。
図12Cは、移行の中間の飛行設定にある機体10を示しており、ナセル14、16は、さらに水平に向かって傾いている。全推力ベクトル80は、ナセルからのエンジン推力と補助推力ベクトル86、88の合計である。機体を地上のその高さに保つあるいは上昇させるためには、垂直推力ベクトル84、翼本体揚力ベクトル90、尾部揚力ベクトル92の合計である全揚力ベクトル80が、機体の重量を超えていなくてはならない。ベクトル82で示される水平推力が、機体を水平方向に加速する。
ナセル14、16内の各エンジンからの出力を使用して対応するナセルからの推力を制御し、それによって胴体12の迎え角も制御する。これが、翼18、胴体12、ナセル14、16(揚力ダクト(lifting duct))からの空気力学的揚力ベクトルの合計である翼本体揚力ベクトル90大きさを決定する。これら空気力学的揚力ベクトルを合わせて最も効率的に生成することが重要である。これは、テスト・データから移行中の機体12の迎え角、空気速度、所望の加速度の理想的な組み合わせを知った上で、手動制御の位置により決められるこれら3項目を測定することによって達成される。これらの調整が自動的にできるように、これをすべてルックアップ・テーブルその他にプログラムしておくことができる。上昇率と所望の高度が選択されると、手動位置がベーンの位置を制御するので、主導位置は重要である。ベーン(図示せず)が位置を変えるにつれて、ナセル14、16のファンの周りの空気流の外部空気力も影響を受ける。これは、次いでこの実施形態において揚力を発生するための速度と迎え角の最も効率の良い組み合わせに影響を与える。
図12Dは、移行の末期の飛行設定にある機体10を示している。補助推力装置が生成を要求される推力は少なく、ナセル14、16は、ほぼ完全に水平である。ベーン(見えない)はまだ延びており、したがって空気流6は水平からある角度の方向に向けられている。垂直推力ベクトル84とベクトル82によって示される水平ベクトルによって示唆されるように全推力ベクトル80がまだ揚力の大部分を提供している。しかし空気速度が増加するに伴い翼本体揚力ベクトル90と尾部揚力ベクトル92の大きさが増加する。
図12Eは、完全に水平飛行に移行してからの機体の設定を示す。ベーン(図示せず)は、その水平位置に後退し、したがって空気流6は水平に出て行き、全推力80を純粋に水平にする。水平飛行では、翼本体揚力ベクトル90と尾部揚力ベクトル92の合計値が機体の重量に等しい。
図13A〜Cは、重心2に関するナセル14、16の配置の3つの変形形態と、機体の設計に補助推力装置を含めた場合の効果を示している。補助推力装置の配置を示す部分切欠き図もこれらの図に含まれている。
より具体的には、図13Aでは、ナセルの空気流6によって生成された揚力7が、重力2の位置またはその近傍にある。この場合、離陸中の安定性を制御するためにベクトル86で示される推力を生成する前部補助推力装置20とベクトル88で示される推力を生成する後部補助推力装置22の両方を有することが望ましい。矢印87、89は、補助推力装置20、22のファン23a、23bそれぞれによって生成された空気流の流れを表示している。
図13Bでは、ナセルは重心2の前方に配置され、ナセルの空気の流れ6によって生成された揚力7も同様に重心2の前方にある。したがって機首上げモーメントは、揚力と重心に作動する機体重量が生成する。この場合には、ベクトル88で示される推力を生成する後部補助推力装置22を有することが望ましい。推力ベクトル88は、支点である重心2から大きな距離に作動するので、大きな値である必要はない。前記のように、補助推力装置22は、電気駆動のファンのように簡単なもの、あるいはファン・ブレードを駆動するガソリン・エンジンのように複雑なものにすることもできる
図13Cでは、ナセルの空気の流れ6によって生成された揚力7が重心2の後方にある。この場合、機首下げモーメントは、揚力と重心2に作動する機体重量が生成する。ここではベクトル86で示される推力を生成する前部補助推力装置20を有することが望ましい。ここでも推力ベクトル86は、支点である重心2から大きな距離で作用するので、大きな値である必要はない。ここでも補助推力装置20は電気ファンのように簡単なものかあるいはモータ/プロペラの構成にすることができる。
示唆されたように、これら補助推力装置20、22を駆動するための別々の機構で実現可能なものがいくつかあるかもしれない。例えば、事業用航空機で使用されているように、おそらくは、尾部に配置された小さなタービンエンジンからの内部発電を使用することが可能である。あるいは、推力装置が電気モータとファンのときには、これらに電力を与えるために燃料電池、ウルトラ・キャパシタまたはリチウム・ポリマ電池を使用できる。
補助推力装置20、22は、離陸中に最大揚力が要求されるときには追加揚力を提供することができ、水平飛行中には運転停止することができるのでエンジン56、58に求められる最大出力は小さい。すなわち、エンジン56、58は、水平飛行中にその最大出力容量の高いパーセンテージで動作し、水平飛行時の燃料消費率を改善する。
図14、15に示すように、ナセル14、16は、転回機構48により翼18に取り付けられており、その転回機構は、ベアリングとシャフトまたは翼端の中に延びている軸線の周りでナセルの転回を可能にするその他の適切な構造をいくつか含む。本実施形態に使用されているリニア・アクチュエータ94は傾斜機構であり、翼18に97で連結されている一端95と、ナセルの下部に98で連結されている反対側端部96を有する。図14では、後退した位置にあるリニア・アクチュエータ94が示されており、したがってナセル14は水平方向を向いている。回転型位置エンコーダ93またはその他の適切な角度指示器が回転機構48の軸線に装着されており、ナセルの傾斜角度を測定しているが、それは後述する飛行制御システムの一部である。
説明の都合で、スロット53内で後退位置にあるベーン64が、図14に示すナセルの部分切り欠き部に示されている。図15では、リニア・アクチュエータ94が、完全に延びた場合の同じナセルを示し、したがってナセルをその水平位置(点線)と、両端やじりの点線99で示された水平から大体45度の位置の間で回転させるようにしている。
図16〜19に代替実施形態100を示す。図16に示すように代替実施形態は、第1の実施形態の構成部品の大部分、つまり胴体112、点線119で折曲げ可能な一対の翼118、垂直安定板124、水平安定板126、透明な風防128、2組の乗客用窓130を有し、さらに回転可能に翼端150に取り付けられ、リニア・アクチュエータ152により回転可能な第1のナセルの対114、116を有する。ただし、この実施形態、つまり実施形態100では、2組のナセル115、117が短い翼155により回転可能に胴体112に追加取付けされており、一対の追加リニア・アクチュエータ(図示せず)により回転可能である。
この実施形態では、翼118と後部ナセル114、116は、第1の実施形態に比べ胴体112のさらに後部に向かって移動しており、ナセルの前部の対は風防128の前部で胴体112に取り付けられている。4組のナセル114から117はすべて水平から大体45度まで回転することができ、展開してナセルを通る空気流を0から45度まで選択的に偏向することができるベーン(図示せず)を有する。
図17はこの実施形態の斜視図であり、点線119で折り曲げられた翼118を示している。図18は、側立面図であり、水平を向いた前進飛行位置にあるナセル116、117が示されている。点線116’は図17に示すナセルの位置を示している。
図19は、図16、18における場合のように側立面図であるが、この図ではナセルが実質上45度回転して離陸/着陸の位置にあるところが異なっている。
この実施形態と図2のものとの主要な違いは、この構成が、2組のナセルを追加していることから大体2倍の揚力を提供し、より効果的な4点揚力ゆえに離陸モードと降下モードの間により安定し、より制御が可能になることである。
移行は、複数のエンジンが故障をした場合に最大の危険が存在する期間であるので本発明のいずれの実施形態にあっても、移行を敏速に完了する能力が重要である。ナセルの傾き角度を減少させている最中に、重量を支える推力が一定に留まるように、ナセルからの推力を5%増加させると仮定する。この場合、ナセルはその最大傾斜角度45度から水平に向かって20度回転させられている。水平推力が、3.05m/sec2(10ft/sec2)の加速度を発生させる。機体が6秒間で18.29m/sec(60ft/sec)に達すると、加速度はここで7.62m/sec2(25ft/sec2)近傍になり、ナセルは今や水平方向になって、空気力学的な揚力が所要の垂直揚力を30%減少させる。速度がさらに増加するに従いベーンは、その偏向角度を減少させる。加速が継続すると、垂直推力に対する要件が最終的に消滅する。その結果、移行中の離陸出力が一定に保たれると仮定すると、海面における機体の最も効率的な速度(225.31km/h(140m/h))には11秒より少ない合計時間内に到達する。移行が前記のシナリオで、低い高度(15.24メートル(50フィート))で始まったとしても加速度が高ければパラシュートは5秒以内に有効になる。
図5における表示について示したように、本発明は低い回転慣性を有するロータリー形エンジン56、58を使用する。低い慣性のエンジンは、そのスロットル・バルブの位置の変化に応答して迅速にそのRPMを変化させ、その結果その推力を迅速に調整することができる。しかし、独立して動作する、反対方向に回転するエンジンを同じナセル内で使用すると、2組のエンジン間に空気力学的な結合がもたらされることをテスト結果が示している。したがって、前側のエンジン56のRPMを変えると非常に直接的な関係で、後ろ側ファン62のブレードから見た空気のアプローチ角(迎え角)が変わる。後ろ側ブレード62の迎え角が変わると結果として後ろ側エンジン58のRPMが変わる。これが、前側ファン60を通る流れの通路内での速度を二次的な仕方で変化させ、それがエンジン56のRPMをさらに変化させる。要するに、固定されたスロットル位置でエンジンを運転する場合、前側ファン60に入る流れに乱れがあると、エンジン56のRPMを何らかのかたちで加速させまたは減速させる。このRPMの変化は、後側ファン62が前側ファン60に対抗してRPMを変化させるということである。この空気力学的な結合は不安定なエンジン速度の変化とその結果としての推力をもたらす。この結合の結果のエンジン制御システムへの帰結は、RPMの変化(1から2秒のサイクル・タイム)が、バックグラウンド・ノイズとして電子RPM制御ループで見られるということである。本発明のエンジン制御システムは、各ナセル内の前後のエンジンが、変化するように命令されない限り同じRPMで、または一定のRPMで回転するように求められるように各エンジンの回転速度を電子的に制御することによって、この問題を解決した。このような電子制御システムは、エンジン・スロットル・バルブの位置とエンジンRPMの間の正確な関係をもたらす。エンジン推力はエンジンRPMの関数であるからエンジン・スロットル・バルブを制御することによって迅速で正確なエンジン推力の調整を提供することができる。
さらに、本発明では、RPMの変化またはRPMの変化との連携を伴わずにナセルの方向および/またはベーン位置を変更させて機体の姿勢を制御することができる。一般に、航空機は姿勢制御のための、関連する様々な制御表面と複雑な構造を有する。したがって、追加の制御表面を含んでも含まなくとも機体の姿勢制御を実施することができることは本発明の他の利点である。例えば、水平飛行中様々なナセル内でベーンの位置を変化させることにより、従来の制御表面の向きと協働してまたはそれらとは独立に機体のピッチとロールを選択的に制御することができる。その上、ベーン位置の変化と組み合わせてエンジン出力を同時にナセル間で差異的に変化させることにより、より急速に姿勢の変化を達成することができる。
図20は、第2の実施形態の8組のエンジンM1〜M8を電子的に同期させる冗長性をもった制御システムの簡単化したブロック図である。各センサ・パックA、Bは、慣性センサと4つのナセル・センサ・ユニットを有する。各ナセル・ユニットは、スロットル位置を感知するための2つのセンサ(ナセル内の各エンジンに1つ)、ベーン位置を感知するための8つのセンサ(ナセル内のベーン・システム2組当たり1つ)、エンジン速度を監視するための2つのタコメータ(各エンジンに1つ)、ナセルの傾き角度を感知するための角度位置センサ1つを含む。飛行制御システムA、Bは、パイロットが操作するジョイスティックと2つのセンサ・パックからの入力を受け取る。飛行制御システム内のマイクロプロセッサは、飛行パラメータを決定し、次いでそれらに応じて様々なアクチュエータの位置を決定する。アクチュエータの1つは、各エンジンのスロットル位置を制御してエンジンのRPMを変化させる。エンジンのRPMとスロットル位置は、エンジンのタコメータとスロットル位置センサによってそれぞれ監視されている。これらのセンサは、図20に示すように、その信号を飛行制御システムに送り、エンジンのスロットル制御のためのフィードバック・システムを形成している。
前記第1の実施形態は、4つのエンジン・センサと2つのナセル・センサ・ユニットだけが含まれている点を除き、図20に示したものと同様の飛行制御を有する。同様な飛行制御システムの詳細説明は、先行の特許(Mollerへの米国特許第5,115,996号)に見ることができる。
本発明を、特定の好ましい実施形態を参照して示し、説明してきたが、当業者ならばさまざまな改変および変形が形態および詳細において可能であることを理解されよう。したがって、特許請求の範囲が、本発明の真の精神および範囲にあるものとしてこのような改変および変形をすべてカバーするものとする。
図1A〜Cは、従来技術による一対の気流偏向ベーンを図示する側立面図である。 2組のナセルを含む、本発明によるVTOL機を示す斜視図である。 図2に示すVTOL機を示す平面図である。 地上走行のための使用時のように翼が折り曲げられた、図2のVTOL機の前正面図である 図2に示されたタイプのナセルの内部を若干詳細に示す側面切欠き図である。 後退位置にある、ナセルの偏向ベーンを示す側面切欠き略図である。 延長位置にある、ナセルの偏向ベーンを示す側面切欠き略図である。 水平飛行に従事しているときのように偏向ベーンが後退しておりナセルが水平に配設された、図2のVTOL機の部分的な側立面図である。 ホバリング、離陸、または着陸の設定にあるときのように偏向ベーンが延長しておりナセルが45度回転している、図2のVTOL機の部分的な側立面図である。 図10A:水平飛行にあるときのように偏向ベーンが後退しており、ナセルが水平に設定された、ナセル側部を示す略図である。図10B:図10Aに対応するダクトの出口面積を示す図である。 図11A:ホバリング、離陸、または着陸の設定にあるときのように偏向ベーンが延長しておりナセルが45度回転している、ナセル側部を示す略図である。図11B:図11Aに対応するダクトの有効出口面積を示す図である。 機体が、ホバー飛行と水平飛行の間で様々な段階を移行するにつれてナセルが次第に回転しベーンが展開してゆく様子が示されている、図2のVTOL機の側面略図である。 重心に関して様々な位置に配置されたナセルおよび制御および安定をうるための1組または2組の補助推力装置の使用を伴う、本発明のVTOL機の様々な実施形態の側面図である。 ナセルのリニア・アクチュエータが後退し、それによって水平飛行をするときのようにナセルが、水平に設定されていることを示すナセルのインボード側の部分的切欠き側面図である。 リニア・アクチュエータが延長しており、それによってホバリング、離陸、または着陸モードにあるときのようにナセルが、45度回転させられている図14のような側面図である。 4組の傾斜を変えることができるナセルを含む、本発明のVTOL機の一代替実施形態の斜視図である。 その後部の翼が、地上走行または駐機のために設定されているときのように折り曲げられた、図16のVTOL機の斜視図である。 水平飛行の設定になっているナセルを示す図16の実施形態の側立面図である。 ホバー、離陸、または着陸の設定になっているナセルを示す図16の実施形態の側立面図である。 電子的にエンジンを同期させる、冗長性をもつ制御システムの主要な構成部品を示す簡易ブロック図である。

Claims (15)

  1. VTOL機の機体の長手方向軸線を決め、前記機体が前記長手方向軸線の方向に前進しているとき空気力学的な揚力を発生させるように構成された細長い胴体と、
    前記胴体の後部に連結された垂直安定板と、
    前記垂直安定板に連結され、支えられた水平安定板と、
    翼の第1の対であって、その各々が、前記胴体に固定して取り付けられた根元と翼端とを有し、地上走行と駐機に適応するための、前記根元と前記翼端の間に配設された折曲げ機構を有する翼の第1の対と、
    ナセルの第1の対であって、各々が、前記翼の1つの翼端に回転するようにしっかりと取り付けられ、かつ前記翼に支えられ、ダクトを形成し、前記ダクトが、動力装置手段とそれらによって駆動され前記ダクトの長手方向軸線の周りを回転して空気流が前記ダクトを貫通して流れるようにするプロペラ/ファン手段と、前記ダクトの終端部分に配設され、前記ダクトの長手方向軸線と平行な方向で前記ナセルを通過する空気流を案内する後退した位置と、出口面積を制御し前記ダクトの長手方向軸線に対して大体45度の角度で前記空気流を案内する延長した位置の間を移動可能な複数のベーンを含む空気流案内ベーン・システムを有する、ナセルの対と、
    前記各ナセルに結合され、対応するナセルを、対応するダクトの長手方向軸線を前記機体の長手方向軸線と実質上平行な方向に向ける第1の位置と、前記対応するダクトの長手方向軸線を、前記ナセルが第1の位置にあるときのダクトの長手方向軸線に関して大体45度の角度に向ける第2の位置の間で回転させるように動作する傾斜機構と、
    前記各動力装置手段によって生成される出力、対応する傾斜機構によって引き起こされる前記各ナセルの方向、前記各対応するベーン・システムのベーンの動作位置を制御するための制御手段であって、前記制御手段が前記ダクトを貫通する空気流を下側方向へ案内して前記機体を垂直に上昇させるように、かつ前記空気流を後ろ方向に移行させて前記機体を前方向に移動させるように動作し、前記各動力装置手段により供給された出力、前記各ナセルが動作する向き、前記各ベーン・システムの動作位置が協調して前記機体のバランスと安定性を保つ、制御手段と、
    を備えるVTOL機。
  2. 前記各動力装置手段が対応するナセルのダクトの長手方向軸線に沿って配置された一対のエンジンを含み,前記各エンジンが対応するプロペラ/ファン手段を直接駆動し、前記プロペラ/ファン手段が、相互に反対方向に同一の回転速度で回転するようになされている請求項1に記載のVTOL機。
  3. 前記制御手段が、
    前記機体のピッチ、ロール、ヨーを感知し、かつピッチ信号、ロール信号、ヨー信号発生させるためのセンサ手段と、
    前記ピッチ、ロール、ヨー信号に応答し、前記各動力装置手段と前記各ダクトの出口面積によって生成された推力の所望の方向を保つように前記各動力装置手段によって生成された出力と前記各傾斜機構の動作を制御するとともに、前記各ベーン・システム内のベーンの位置どりを制御するための協調信号を発生させるために動作する手段
    を含む請求項2に記載のVTOL機。
  4. 各々が、対応するナセルの回転位置に応答し、前記制御手段との交信に相応した傾斜位置信号を発現するために動作する複数のナセル位置センサをさらに備える請求項3に記載のVTOL機。
  5. 前記各傾斜機構が、ナセルとその支持翼の間に連結されているリニア・アクチュエータを含む請求項4に記載のVTOL機。
  6. 前記胴体に担持され前記機体に推力を与え、前記機体のピッチを制御するために独立した下向きの空気の流れを発生させるように動作する少なくとも1組の補助推力システムをさらに備える請求項1に記載のVTOL機。
  7. 前記推力システムが、前記胴体内に形成された開放型の円形ダクトを有し、かつモータと前記円形ダクト内に配設され前記円形ダクトを貫通する空気の流れを引き起こすように動作するモータによって駆動されるファンを有する請求項6に記載のVTOL機。
  8. 前記モータが、電気で作動するモータであり、前記推力システムが前記モータを作動させるための電源手段をさらに含む請求項7に記載のVTOL機。
  9. 前記の1推力システムが前記機体の重心の片側で前記胴体に配置され、他の推力システムが前記重心の対抗する側に配置され、前記他の推力システムが前記機体に追加の補助的な揚力を与えかつ前記機体のピッチを制御する請求項8に記載のVTOL機。
  10. 前記胴体に取り付けられた翼の第2の対と
    前記ナセルの第1の対と機能的に同等であり、それぞれ前記胴体の対抗する側に配設され前記翼の第2の対に回転するように取り付けられているナセルの第2の対をさらに備える請求項5に記載のVTOL機。
  11. 前記翼の第1の対が前記機体の前記重心の後ろで前記胴体に取り付けられ、前記翼の第2の対が前記機体の前記重心の前で前記胴体に取り付けられている請求項10に記載のVTOL機。
  12. 前記翼の第2の対が前記翼の第1の対より実質上長い請求項11に記載のVTOL機。
  13. 前記ナセルの第1の対が、前記第1の位置にあるとき、前記ナセルの長手方向軸線が、前記胴体の側部に沿って延びる水平飛行推力線を決め、前記水平安定板が前記水平飛行推力線の十分上側にある請求項1に記載のVTOL機。
  14. 前記ナセルの第1の対が、前記第1の位置にあるとき前記ナセルの長手方向軸線が、前記胴体の前記側部に沿って延びる第1レベルの水平飛行推力線を決め、前記水平安定板が前記第1レベルの水平飛行推力線の十分上側にあり、前記ナセルの第2の対が前記第1の位置にあるとき、長手方向の軸線が、前記胴体の長手方向軸線と前記水平安定板の先端の外側と平行に延びる第2のレベルの水平飛行推力線を決める請求項10に記載のVTOL機。
  15. 前記制御手段が、前記各動力装置手段によって生成される前記出力の個別的制御を可能にするためのスロットル手段と、前記各ナセル内における前記ベーン位置の個別的に制御するベーン制御手段を含み、それによってパイロットが、水平飛行時に前記機体のピッチとロールを制御することを可能にする請求項1に記載のVTOL機。
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