JP2006528303A - トロイダル内燃機関 - Google Patents

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Abstract

2つの同心エンジンリングを含むトロイダル内燃機関である。吸気弁は1組のピストンの2つの面に組み立てられ、排気弁は第2の組のピストンの2つの面に組み立てられる。吸気弁ピストンはエンジンリングの1つに固定的に取付けられ、排気弁ピストンはエンジンリングの他の1つに固定的に取付けられる。1つの吸気弁ピストンの面と1つの隣接する排気弁ピストンの面とがエンジンチャンバの境界を形成する。ピストン面上の燃焼力は2つの同心エンジンリングを逆回転するよう強制する。吸気弁ピストンと隣接する排気弁ピストンは、エンジンサイクルの異なるストロークにおいて同じチャンバ容積を押しのける。エンジンはCRC材から構成されて中央シャフトに装着され、エンジンの各側面には吸気マニフォルドと排気マニフォルドとが装着され、軽量で自己潤滑式の、燃料効率の高い、動的にバランスのとれたエンジンをもたらす。

Description

背景
発明の分野
本発明の分野は内燃(IC)機関に関する。より特定的には、本発明はトロイダル内燃機関に関する。
先行技術の説明
伝統的な往復式内燃機関は100年以上も存在してきたが、その設計はいくつかの固有の欠点を有していた。1つの主要な欠点は、燃焼によって放出されるエネルギが直線的に動くピストンを通じて仕事に変換され、次にそれがクランクシャフトに伝達されるとき回転仕事出力に変換されることである。この直線運動から回転運動への仕事出力の移動は、いくつかの理由で本質的に非効率である。一例として、燃焼チャンバの圧力がピークに達したときに、ピストンから仕事出力を受取るスライダクランク機構はクランクシャフト上で高トルクを生成するのに最適な位置になく、したがって、燃焼プロセスによって生成されるエネルギの一部のみにしかクランクシャフトに伝達されず、残りはサイドスラストにおいて放散し、結果的に摩擦仕事となる。ピストンリングが用いられてピストンとシリンダ壁との間にシールを与え、さらにスライダクランク構成から生じるピストンのサイドスラストを吸収する。この構成によって、シリンダ壁に沿ったピストンアセンブリ、すなわちピストンおよびピストンリングのこすり動作が、この機関設計の摩擦損失全体の50%−70%を占める。
往復式内燃機関に典型的に用いられるきのこ弁も、いくつかの理由によってエネルギ損失の源である。第1に、きのこ弁は高い摩擦、ノイズ、および振動を有し、それらはすべてエネルギを放散させる。シリンダヘッドにおいて吸気弁および排気弁の両方が互いに近接した位置にあるような典型的な弁構成も、バルブオーバーラップ中のエネルギ損失の源である。1ストロークの少なくとも一部について両方の弁が同時に開くバルブオーバーラップの間、シリンダに引込まれた新鮮な充填物のいくらかが直接に排気弁を通じて逃げ、そのため、シリンダに入る燃料空気混合体の質量を減じる。排気ガスから入ってくる充填物への熱伝導もまた、燃焼のために利用可能な新しい充填物の質量の減少に関与する。
これらの伝統的な往復式内燃機関のいくつかの固有の欠点を克服しようとして、ロータリエンジンまたはトロイダル内燃機関の設計が過去に研究されてきた。ロータリエンジンは、たとえばセルウッドオービタル(Selwood Orbital)およびブラッドショーオメガ(Bradshaw Omega)トロイダルエンジンなどの、回転するハウジング内に往復ピストンを有する設計、ならびに、たとえばチューディ(Tshudi)およびカウエルツ(Kauertz)エンジンなどの、ピストンが循環経路において可変速度で進むキャットアンドマウスピストン設計を含む。トロイダル機関は伝統的な往復式ピストンエンジンと比べていくつかの顕著な利点を有し、たとえばバランスが良好で(セルウッドおよびブラッドショーオメガ)、弁機構がなく、小型で、出力−重量比が高い。ヴァンケル(Wankel)エンジンは、偏心性の3つのチャンバのロータリエンジンであって、その簡潔な設計およびサイズの小ささにより最も成功している。これらの利点に関わらず、不均一な加熱、封止、慣性効果、および/または潤滑の問題点が、これらのエンジンが市場に定着することを妨げてきた。これらのおよび他のロータリエンジンは、チニッツ(Chinitz)、ウォルター(Walter)著、1999年2月発行のサイエンティフィックアメリカンScientific American)、90−99頁に説明されている。
先行技術の多くのトロイダル機関は、平行であるが間隔をおいた平面上で動作する1対の回転子がハウジング内に含まれるトロイダル構成を教示する。ピストンベーンは回転子上に一体的に形成されるかまたは装着され、ベーンの面は、回転子が逆に回転する、すなわち反対方向に回転するにつれて、拡大し、縮小するチャンバを形成する。パーマリー(Parmerlee)(米国特許番号第3,702,746号、1972年)は、フリーピストン式ガスジェネレータであるこのようなトロイダル機関を開示する。ハウジングの壁に吸気ポートおよび排気ポートが与えられ、バイパス凹部も同様に与えられる。180度の間隔をおいた2つのチャンバにおける同時燃焼は、燃焼チャンバを境界付ける各回転子上のベーンを強制して離れるように動かし、それにより回転子を回転させ、同時に燃焼チャンバおよび吸気チャンバを拡大し、かつ圧縮チャンバおよび排気チャンバを縮小させる。ポートおよび/またはバイパス凹部は、ベーンがハウジング内で回転する際にベーンの側壁によって適切に開閉されるよう、ハウジング内に位置する。キム(Kim)(米国特許番号第6,321,693号、2001年)もまた、パーマリーのエンジンと同様の回転子−ピストン−ハウジング構成を有する内燃機関を開示する。キムのエンジンにおいては、吸気弁および排気弁はハウジング上で互いに近接して位置し、90度の間隔をおいている。これらのエンジンは、仕事出力を回転運動に変換する、直線的に往復するピストンエンジン設計に固有の非効率性および力バランスの問題をある程度解決する。なぜなら、円環体内で180度離れた2つの場所で同時に燃焼が起こるからである。しかしながら、構成およびエンジン構造のために、回転子に働く力、したがってハウジングに働く力は極めて高く、必然的に極めて高性能のシールを要求し、それはこれらのエンジン設計が解決しない問題である。先行技術のトロイダル機関の開示のうちいずれもが、定常動作中のエンジンの過熱、歪み、または破壊を防止する冷却技術を提供しない。
したがって必要とされるのは、より効率性が良く、より排出が少ない、優れた性能を生じる内燃機関である。さらに必要とされるのは、重量が軽く、小型で、可動部がより少ない機関である。さらに必要とされるのは、機械力が動的にバランスがとられ、熱応力が均等に配分された機関である。さらに必要とされるのは、負荷が少なく、シール、潤滑および冷却に対する要求の少ない機関である。
発明の概要
上記の理由により、本発明の目的は、優れた性能の、排出が少ない内燃機関を提供することである。さらなる目的は、匹敵する出力を有する従来の内燃機関よりも可動部が少なく、重量が小さく、小型の機関を提供することである。さらなる目的は、機械力が動的にバランスがとれ、熱応力が均等に配分された機関を提供することである。さらなる目的は、必要なシールがより少なく、より簡略で、冷却および潤滑に対する要求がより少ない機関を提供することである。
上述の目的は、円環体であるエンジンリング内に自由に動くピストンを有するトロイダル内燃機関を提供することにより達成された。円環体は2つの同心リング、内側エンジンリングおよび外側エンジンリングから形成される。2つのリングは2つのリングシームに沿って封止され、完全な円環体を形成する。1組のピストンが外側リングに固定され、別の1組のピストンが内側エンジンリングに固定される。各組のピストンは互いに相対して固定的な間隔をおく。したがって円環体はチャンバ壁を形成し、ピストン面は円環体内でチャンバの境界を形成する。ピストン面に与えられる圧力がピストンを強制して動かし、結果として円環体の内側リングおよび外側リングは互いに相対して逆に回転し、ピストンはピストンが固定されていないリングの壁に沿って円環体内で摺動する。例示および簡潔にする目的のため、本発明によるトロイダル内燃機関は、本願明細書において8つのピス
トンおよび8つのチャンバを有する4ストロークのエンジンとして説明される。したがって8つのピストンのうち4つは90度の間隔をおいて外側リングに固定され、他の4つのピストンは同じく90度の間隔をおいて内側エンジンリングに固定される。この構成のエンジンにおいて、円環体は4ストロークサイクルの各ストロークについて2つのチャンバを含み、すなわち、2つの燃焼チャンバ、2つの吸気チャンバ、2つの圧縮チャンバ、および2つの排気チャンバを含む。同じストロークを進むいずれの2つのチャンバも円環体において180度離れている。燃焼が起ると、圧力変化が2つの燃焼チャンバの境界を隔てる2つのピストンを強制し、2つのリングが逆に回転するよう有効に強制する。リング上の4つのピストンが互いに90度の空間関係で固定されているので、2つの燃焼チャンバにおける圧力変化は同時に4つのチャンバを強制して容積を増加させ、かつ4つのチャンバを強制して容積を減少させるよう強制する。このエンジンは、エンジンのサイズおよび所要出力に依存して、1つ以上のいくつのピストンを用いても構成可能であることが理解されるべきである。たとえばトロイダル内燃機関は6つのピストンを有する2ストロークエンジンとしても構成され得る。この場合、エンジンサイクルのどの1ストロークにおいても6つのチャンバのうち3つのチャンバが燃焼チャンバであって、エンジンリング上で互いに120度の空間関係で固定される。
本発明によるエンジンにおいて、吸気弁および排気弁が各面に1つの弁のみを有してピストン面上に直接に組立てられる。各ピストンは2つの面を有し、理想的には排気弁または吸気弁のいずれかがピストンの各面に組立てられ、吸気弁を有するすべてのピストンが一方のリングに組立てられ、排気弁を有するすべてのピストンが他方のリングに組立てられる。この配置はエンジンの構造を単純化する。なぜなら各ピストンはそれぞれの吸気マニフォルドまたは排出マニフォルドについて1つの接続しか要さず、1つのリング上のすべてのピストンは同じマニフォルドから送られるからである。したがって、一方のリングに接続されたすべてのピストンがエンジン内に新しい充填物を導入することを可能にし、他方のリングに接続されたすべてのピストンが排出生成物をエンジンから排出することを可能にする。この構成は、新鮮な空気充填物がピストン面を通じてチャンバの一方端から入り、排気ガスがピストン面を通じてチャンバの他方端から出るというさらなる利点をもたらす。この配置は、吸気弁および排気弁のオーバーラップの間、排気弁を通じて吐き出される新鮮な空気充填物の部分を減じ、吸気ストローク中に取り込まれる新鮮な充填物の量に対する掃気(排気ガスの消滅)および制御を向上させる。吸気弁および排気弁をチャンバの反対側に配置することはまた、エンジンへの質量の流れ(mass flow)を強化する。なぜなら吸気弁は、シリンダヘッド上に吸気弁と排気弁とがともに近接して配置される伝統的弁配置においてよりも、冷たいままだからである。さらに、チャンバの一方端で排出物を通気しながらチャンバの他方端に新鮮な空気を強制することにより、新鮮な空気充填物は、チャンバの一方端から入って反対側の端部へ進んだ後にはじめて排気弁を洗い(bathes)、冷却するからである。
ピストン面に1つの弁しか配置しないことは、弁のために利用可能なより広い表面面積を与え、伝統的なきのこ弁以外の型の弁を用いることを可能にする。トロイダル内燃機関に最も適した弁の型は、スライダ弁またはスロット弁型である。これらの型の弁を用いる弁システムは、従来使われてきたきのこ弁またはスリーブ弁システムよりもより速い開閉動作を可能にし、より軽く、小さく、より少ないエネルギで動作する。好ましくは弁は、油圧で、空気圧で、または電気機械的に制御され、そのため操作が速く効率的で、クラッチの動作などの同様の適用例に対して軽量である。これらの3つの操作の種類においてすべての弁は独立して操作可能であり、さまざまな条件下でのエンジンの最適化を可能にし、それがさらに性能の向上と排出の減少とに貢献する。前述のように、吸気弁および排気弁はチャンバの反対側にあり、2ストロークサイクルモードおよび4ストロークサイクルモードの両方について最適な掃気を与え(ピストンの輪郭加工は必要とされない)、弁をピストン位置の関数として独立して動作可能とする。弁の独立した動作とピストン面にお
ける理想的な配置とにより、動作中エンジンが4ストロークモードから2ストロークモードへ切換えられることが可能になる。この能力は、理論的にはエンジン速度を増加することなくエンジンのパワー出力をほとんど瞬間的に2倍にする。このことは、デュアルサイクルモードの動作特性を有するエンジンの全く新しい階級を開く可能性がある。エンジンの出力−重量比はここでも2倍となり、本発明によるトロイダル内燃機関のパワー出力範囲に大きな影響を有する。さらに、弁を独立に動作する能力は、エンジン速度および負荷の関数としての弁時間の最適化を可能にし、これがさらに排出を減らす。エンジンの出力−重量比はここでも2倍となり、トロイダル内燃機関のパワー出力範囲に大きな影響を有する。エンジンは、燃焼ストロークが上述の構成において90度ごとに起るので、2ストロークサイクルモードおよび4ストロークサイクルモードの両方において動的にバランスがとられることに注意されたい。
1つの弁しかピストン面に置かれないので、ピストン面の表面面積全体が弁の作動面として利用可能である。表面面積は十分に大きいので、火花点火または燃料噴射のためにピストン面の中央に適切な装置を置くことが可能である。ピストン面の中心に点火プラグを置くことは、燃焼中に炎の移動が最短で済むという利点を有する。これは爆発を防ぎ、エンジンの排出を減じることが証明されてきた。圧縮点火エンジンについては、直接燃料噴射は理想的にはピストン面の中心近くに置かれ得る。
本発明によるトロイダル内燃機関は、2つの異なる種類のシール、すなわちピストンシールおよびリングシームシールを要する。エンジンリングシームシールは、伝統的なエンジンにおけるピストンリングシールの設計とは異なる設計を規定する2つの主要な課題を有する。第1に、エンジンリングシームシールは内側エンジンリングおよび外側エンジンリングのための滑り面として作用して、燃焼チャンバから円環体の外側の周囲領域への高圧ガスのブローバイを防がなければならない。第2に、エンジンリングシームシールは、隣接するチャンバ間にガスシールを与えなければならない。過去に用いられたOリングが必然的に漏れに至ったことが知られている。トロイダル内燃機関のシールの要件は非常に異なる。一例として、燃焼はトロイダル内燃機関の周囲で均等に起こり、それがエンジン円環体における熱応力を減じ、したがって、エンジンの歪みを防止する。エンジンはまた、熱膨張係数が低い、進歩した複合材から構成され、それはさらに熱応力を減じてエンジンの歪みを防止する。サイドスラストの欠落、熱膨張係数が低いこと、および進歩した複合材の公知の自己潤滑特性(下記で説明される)によって、Oリングタイプシールをエンジンリングシームに用いることなく、また伝統的な潤滑油システムを用いることなく、トロイダル内燃機関を動作することが可能になる。エンジン円環体におけるリングシームはセルフシールに構成され、すなわち内外リングにおけるシーム表面はセルフシールの態様で作用するよう機械加工される。各エンジンリングの内側表面の圧力は反対方向に合力を有し、それは共にシーム表面を有効に押さえつける。理想的には、チャンバの内側のシーム表面は円環体形状の断面と境界を接する。ピストンがリングシームシールを通過するとき、高圧ガスが隣接するチャンバに漏れ出す間隙はない。この設計では、円環体の内周部周囲で均一な表面接触を得るために、エンジンリングシーム表面が正確かつ精密に機械加工されることが必要である。
精密な機械加工が現実的でないかまたは経済的に実現可能でない場合、リングシームシールを与えるために湾曲片が用いられ得る。小さなスリットまたはキャビティが各シームの2つの表面のうちの1つに切込まれて湾曲片を形成する。この小片における湾曲は、シール表面がわずかに湾曲し/曲がり、リングシームの隣接面に対してシールを形成することを可能にする。この一片の湾曲は、チャンバ内が高圧の間、影響を受けることに注意されたい。スリットの適切なサイズおよび位置は、材料特性および予想されるシーム表面の不規則性に依存する。別個のエンジンリングシームシールを提供することも本発明の範囲内にある。別個のエンジンリングシールを用いることの利点は、内側エンジンリングおよ
び外側エンジンリングの動きの結果生じる磨耗がシールによって担持され、それによりエンジンリングの磨耗が最小となることである。当然のことながら、エンジンリングよりもエンジンシールを置換するほうがはるかにより経済的である。出願人は、デルタジオメトリ(delta geometry)断面を有する別個のシールが優れたシール特性を有すると判断した。
ピストンは、円環体断面内で最小のクリアランスで嵌合するよう機械加工され、ピストンの一方の半分は内側エンジンリングまたは外側エンジンリングに固定的に取付けられ、他方の半分は、封止されたチャンバを維持する一方で他方のエンジンリングにおいてピストンが摺動することを可能にする一体型のシールで嵌合される。このように、ピストンは独立したリングシールに嵌合しない。上記のように、エンジンリングおよびピストンは複合材から造られる。複合材の熱膨張係数が極めて低く、ピストンおよびエンジンリングは許容誤差近くまで機械加工されるので、ピストンは別個のピストンシールを必要とすることなくチャンバ間に十分な封止を与える。リングのないピストンは摩擦が低いという利点を与える。なぜなら、ピストンリングの不在が燃焼中に増加したシリンダ圧力から生じる追加的なピストンリング摩擦をなくし、またピストンとチャンバ壁との間に不燃焼燃料を留める間隙がないので排出を低下させるからである。
本発明のトロイダル内燃機関は、火花点火または圧縮点火について、2ストロークまたは4ストロークサイクルモードで動作可能である。下記は、4ストロークの圧縮点火サイクル動作の概要である。さらに図3A−図3Dを参照されたい。A、A´;B、B´;C、C´;およびD、D´として8つのチャンバが円環体周囲に示される。説明のこの開始時点で、燃焼はチャンバA、A´において起こったばかりであり、チャンバB、B´は圧縮チャンバ、チャンバC、C´は吸気チャンバ、D、D´は排気チャンバである。チャンバA、A´が完全な膨張である下死点(BDC)に到達すると、チャンバA、A´の排気弁が開き、チャンバA、A´は排気ストロークを開始する。ここでチャンバB、B´は出力ストロークにあり、チャンバC、C´は圧縮ストローク、チャンバD、D´は吸気ストロークにある。次のストロークにおいて、チャンバC、C´は出力ストロークにあり、と続く。180度離れた2つのチャンバはエンジンの各ストロークについて出力ストロークを行い、これらの2つのチャンバが他チャンバでのストロークを有効にするエネルギを与える。このプロセスが、すべてのチャンバが全4ストロークサイクル(出力、圧縮、吸気、排気)を終えるまで継続し、次にサイクルは連続的に繰り返す。内外リングは、エンジンの各ストロークにおいて前後に往復し、すなわち1つの完全な4ストロークサイクルにつき4回往復する。
円環体のピストンの往復作用は、隣接するピストンがチャンバ容量を共有することを可能にする。このように、本発明のトロイダル内燃機関の押しのけ容積(エンジン排気量)は、同じ容積を有する従来のエンジンの実質的に2倍である。たとえば、シームからシームまでの径が12インチと測定される円環体、径が3.5インチのピストン面、厚さ3.0インチのピストンを有するエンジンは、263立方インチの押しのけ容積を有する。無限大の圧縮比を仮定すると、押しのけ容積はエンジンの実際の容積(8つのチャンバの容積)の実質的に2倍に等しい。
円環体のジオメトリと、燃焼が4ストロークサイクルのうちに円環体周囲の全チャンバにおいて180度間隔の2つの位置で同時に起ることとが要因となり、動的かつ熱的にバランスがとれたエンジンに貢献する。燃焼中、チャンバ壁に与えられる圧力は、その位置で内外リングを離すよう強制する傾向がある。しかしながら、円環体の形状およびリングシームのセルフシール構成がリングを合わせて保持する。エンジンリング上の等しいが対抗する力がシームエッジを互いに離すよう強制するのではなく、より強固な封止効果をもたらすために互いに対して強制するようリングシームが設計される結果、セルフシール効
果が生じる。加えて、一方のチャンバにおける燃焼中のチャンバ壁(内外リング壁)の力は、180度離れた他方のチャンバからの力を相殺する。この属性はエンジンマウントシャフト上の逆の力をなくし、動作中、摩擦の低下(より高い熱効率)および完全にバランスがとれたエンジンを結果としてもたらす。加えて摩擦の低下は、磨耗および潤滑要件を減じ、信頼性を増し、メンテナンスを減じる。
回転中のリングのモーメントが実質的に同じであるよう、内外リングの質量慣性がバランスがとられる。このことと、リングが逆に回転することおよび回転が同時に停止し開始することは、たとえばチューディおよびカウエルツエンジンにおいて固有である、逆慣性効果をなくす。本発明のトロイダル内燃機関は、振動がはるかに低く、さらに円滑な動作で、動的にバランスがとられる。さらに、(ピストンを含む)円環体上の慣性荷重は、伝統的な往復式設計のコネクティングロッド−クランクシャフト軸受けにより吸収される代わりに、燃焼チャンバおよび加圧チャンバの圧力により対抗される。対照的に、キム(Kim)の設計の構成では軸方向に対向する側壁を有する。壁上の力は滑り面上の摩擦力に移行し、それにより効率を低下させる。
本発明のトロイダル内燃機関の設計において固有であるのは、エンジンの一様な加熱である。これは、燃焼が、完全な1サイクルの動作中に一度、トロイダル内燃機関の全チャンバで起るからである。8つのチャンバを有する4ストロークサイクルエンジンを参照すると、燃焼は4ストロークサイクルに一度、8つのチャンバの各々に起こる。円環体周囲に等間隔をおいた8つの位置における間欠的な加熱は、結果として一様な加熱をもたらし、エンジン上の熱応力を有意に低下させる。
理想的には、本発明のトロイダル内燃機関は、炭素強化炭素(CRC)材から全てが製造される。CRC材の熱膨張は極めて低く、したがって、不均一な加熱によるエンジンの歪みは最小である。CRC材はエンジンの重量を平均2倍以上潜在的に低下させる。炭素−炭素複合材が高温において酸化の問題を有することは公知である。この問題を避けるため、エンジンは、酸素に露出される領域において、炭化珪素などの適切なコーティングで被膜され、それにより酸化を予防し、追加的な絶縁特性を与える。CRC材およびコーティングはエンジンの冷却要件を大幅に減じる。加えて、先端的材料はより高い動作温度を可能にし、伝熱損失を減じ、結果としてエンジンの燃料変換効率を高める。CRC材の使用は、4ストローク動作モードから2ストローク動作モードへ切換える能力において大きな役割を果たし、かつ動作中熱平衡を依然保持する。これは、CRC材がより高い動作温度を可能にするからであって、2ストロークモードは1サイクル中に4ストロークが行うよりも2倍多くの燃焼ストロークを行うのでより高い動作温度を必要とする。
一様な加熱、CRC材の極めて低い熱膨張、および全燃焼チャンバ壁が空気に囲まれていることが組合わされて、トロイダル内燃機関は空冷に理想的となっている。水冷システムをなくすことはさらにエンジンの重量およびサイズを低下させる一方で、その信頼性を高める。これは、前述のエンジン設計による重量の節約と合わせて、このトロイダル内燃機関の出力−重量比を、伝統的なエンジン設計と比較して少なくとも6対1で潜在的に高める。
伝統的なフリーピストンエンジンと同様に、本発明のトロイダル内燃機関の圧縮比は可変であって、点火サイクルモードおよび圧縮サイクルモードの両方について、燃料および/または燃料噴射の着火点に依存する。この特性は、利用される燃料の種類に基づいて(熱効率を増加させた)動作サイクルの最適化を可能にし、燃料消費量および排出を低下させる。トロイダル内燃機関は、伝統的なフリーピストンエンジンと異なり、圧縮のピストンを戻すために、従来のフリーピストンエンジンの速度/パワー出力を著しく制限していたバウンスシリンダには依存しない。燃焼がピストンの両側で起るので、エンジンははる
かに高い動作速度が可能である。加えて、エンジンが4ストロークまたは2ストロークサイクルモードにおいて動作可能である一方で、伝統的なフリーピストンエンジンでは厳密に2ストロークサイクルでしか動作しない。内外リングが、同じ角速度および加速度で動くことを確実にするよう、リンクされなければならないことに注意されたい。これは、往復するリングの質量慣性が円滑な動作のために互いに均衡をとるため、かつ中央シャフトのまわりでリングが回転することを防ぐために必要である。1つのラックが外側リングに、他のラックが内側エンジンリングに接続される、デュアルラックおよびピニオンギアと同様の機構は、両リングが同じ回転角度で動くことを確実にするよう2つのラックをリンクするための適切な機構である。ピニオンの運動は、動作中、リングの位置を測定するために用いられる。この機構によっては負荷が引出されないことに注意されたい。したがって、小さく細かい歯車システムが有効な動作に好適である。
理想的には、本発明のトロイダル内燃機関は、ピストンの吸排気弁にそれぞれ接続する通路を有する吸排気マニフォルドを伴って、中央シャフトに装着される。排気経路は、ピストンから中央シャフトの方へ向う。これは、半径流圧縮機およびタービン付きのターボチャージャ/ターボ合成/タービン交流発動機ユニットを設置するのに理想的な配列をもたらす。圧縮機およびタービンはエンジンと同じ中央シャフトに整列され、結果として極めて小型で軽量なシステムになる。
本発明のトロイダル内燃機関は、隣接するピストンがチャンバ空間を共有するので、実際のチャンバ長の合計(シリンダ容積)を50%減らす。さらに、シリンダヘッド、クランクシャフトまたはコネクティングロッドがなくされる。したがって、エンジンの重量およびサイズはそれぞれ約70%著しく低下する。本発明のトロイダル内燃機関は、摩擦損失がはるかにより低いため、同じ排気量の従来のスライダクランクエンジンより多くの出力を生じる。この属性のみが、トロイダル内燃機関の出力−重量比を3倍超に高める。これは次に車両の重量を減じ、それが燃料消費量をより低くし、排出を低下させる。
圧縮点火エンジンおよび火花点火エンジンの主要な相違の1つは圧縮比である。圧縮点火は燃料の自動点火が生じるためにより高い圧縮比を必要とする。本発明のトロイダル内燃機関の圧縮比は可変なので、エンジンはいずれのモードにおいても動作可能である。(火花点火エンジンよりはるかに重い)伝統的なディーゼルエンジンとは異なり、トロイダル内燃機関は、トロイダル内燃機関が低圧縮比と高圧縮比との間で切換わることを可能にする可変圧縮比特性に対応するためにエンジンハウジング構成に大幅な変更をする必要はない。これは、伝統的な設計のシリンダヘッドをなくしたことが原因である。トロイダル内燃機関においては、露出されたエンジンリングの面積が圧縮比とともに直線的に低下するので、エンジンリング上の力は高圧縮比において増加しない。その結果、可変圧縮比を有するエンジンにおいて、力はほぼ一定のままである。自動点火温度は燃料が異なれば変動し、エンジンの可変圧縮比機能は、使用される燃料の種類に基づいて、自動的にエンジンサイクルを最適化する。
本発明のトロイダル内燃機関にはさまざまな方法の抽出動力が適しており、本願明細書においてはいかなる程度にも説明されない。抽出動力の最も好適な方法は、ある程度エンジンの特定の適用例に依存する。エンジンからエネルギを抽出する3つの異なる好適な方法は、機械的伝導機構、排気タービンまたは電気的交流発電機である。
発明の詳細な説明
図1は、本発明によるトロイダル内燃機関100の概略図である。本発明によるトロイダル内燃機関100は、複数のピストン3を有するエンジンリング10を含む。図解および簡明さのため、トロイダル内燃機関100の説明は、8つのピストン3および8つのチ
ャンバ11を有する4ストロークエンジンに基づく。しかしながらトロイダル内燃機関100が、エンジンのサイズおよび出力要件に依存して1を超えるあらゆる数のピストンを有する、2ストロークまたは4ストロークエンジンとしても構成可能であることが理解されなければならない。
図2Aおよび図2Bは、エンジンリング10の基礎的構造を示す。エンジンリング10は、外側エンジンリング10Aおよび内側エンジンリング10Bを有する分割リングである。示されるように、内側エンジンリング10B、外側エンジンリング10Aは両方ともC型で、第1のシームエッジ10S1および第2のシームエッジ10S2を含むシームエッジ10Sを含む。外側エンジンリング10Aおよび内側エンジンリング10Bは2つのシームエッジ10Sに沿って結合され、エンジンリング10を形成する。組立てのためには、エンジンリング10A、10Bのうち少なくとも1つがつなぎ合わされるべきであることに注意されたい。図2Aおよび2Bに示されるエンジンリング10の実施例において、内側エンジンリング10Aの1つのシームエッジ10Sが、対応する外側エンジンリング10Bの1つのシームエッジ10Sに合わせられ、セルフシール式のシームであるエンジンリングシール10Cを形成する。したがって示されるように、エンジンリング10は、2つのシーム10C1および10C2を有する。リングシーム10Cの表面は、内側エンジンリング10Bおよび外側エンジンリング10Aの厚みを貫いて斜めに切り込まれる。同様の斜めの切り込みが両方のシームエッジ10S上の同じ方向に作られると、内側エンジンリング10Bの内側表面積は一方側でより大きいが、外側エンジンリング10Aの内側表面積は反対側でより大きい。したがって、エンジンリング10A、10Bが組立てられて加圧されると、内側エンジンリング10B上の合力は、外側エンジンリング10A上の力と等しいが対抗する。図2Aに最もよく示されるように、各エンジンリング10A、10Bの対抗する力は両側でシーム表面10Cを圧搾し、それにより、シーム10Cを有効に漏れを封止する。
上述のセルフシール式リングシームシール10C以外の他のシールを用いることが可能である。図2Cは、リングシーム10Cにおいて内側エンジンリング10Bおよび外側エンジンリング10Aの間に嵌合する連続的リングである、代替的エンジンリングシール10Fを示す。シール10Fは、エンジンリングシール10Fのより広い部分がエンジンリング10の内部に向いているデルタジオメトリを有する。このより広い部分は2つの滑り面を与え、1つは内側エンジンリング10Bに対し、1つは外側エンジンリング10Aに対する。エンジンリングシール10Fはエンジンリング10Aおよび10Bとともに回転はしない。つまり、エンジンリングシール10Fは、内側エンジンリング10A、外側エンジンリング10B間の間隙を封止するために、径方向にのみ動く。エンジンリング10の内径にほぼ対応する断面を有するピストン3は、内側エンジンリング10A、外側エンジンリング10B上のシームエッジ10Sに対して、リングシームシール10Fを定位置に保持する。明確にする目的で、図2A−図2Cに示されるエンジンリング10の部分には1つのピストン3のみが示されるが、エンジンにおけるピストン3の個数に依存して、実際には複数のピストンが示される部分に配置される。エンジンリング10内の高圧は、内側エンジンリング10Bおよび外側エンジンリング10Aの両方に対してシール10Fを押し上げる。理想的には、エンジンリング10に面するリングシームシール10Cの部分が内外エンジンリング10B、10Aの壁とそれぞれ実質的に境を接するよう、シームエッジ10Sが機械加工されてエンジンリングシール10Fを収容する。ピストン3はエンジンリング10内できつく嵌合するよう機械加工され、ピストン3またはピストンシールとエンジンリングシール10Fとの間に空間を残さず、そのため封止されたチャンバ11をもたらして、それらがエンジンリングシーム10Cに沿って滑動する間、有効な封止を維持する。これは、隣接するチャンバ11へのブローバイを防ぐ。エンジンリングシール10Fに対する圧力はチャンバ11の圧力に依存し、したがって、トロイダル内燃機関100の全周囲のあらゆる瞬間で異なることに注意されたい。エンジンリングシール10
Fの両面の摺動作用は等しく、対向しており、それにより、不均一な磨耗をなくす。
各チャンバ11は、円環体10の2つのピストン3に境界付けられる。図2Aに示されるように、ピストン3の断面積は円環体10の内部断面積に実質的に対応し、そのため、ピストン3はチャンバ11間に有効な封止をもたらす。上述のように、このトロイダル内燃機関100の説明は8つのチャンバを有する4ストロークエンジンに基づく。したがって、ピストン3は4つの吸気弁ピストン2および4つの排気弁ピストン4を含む。下記の説明の中では参照表示3は一般に、すなわち吸気弁ピストン2または排気弁ピストン4としての機能に関係なく、ピストンを指すことに注意されたい。吸気弁ピストン2は、内側エンジンリング10Bの凹面(内側)壁に装着され、90度の間隔を置かれる。同様に、排気弁ピストン4も外側エンジンリング10Aの凹面壁に装着され、90度の間隔を置かれる。ピストン3の各々は、ポートを介して、マニフォルドに接続する通路に接続し、したがって、吸気弁ピストン2は吸気マニフォルド20に接続し、または、かつ、排気弁ピストン4は排気マニフォルド40に接続する。これらの接続は下記に説明される。
図3A−図3Dは、4ストロークエンジンサイクル全体にわたる、8つのチャンバ11のサイズの変化を示す。8つのチャンバ11は、2つの燃焼チャンバ12A、12Bと、2つの吸気チャンバ14A、14Bと、2つの圧縮チャンバ16A、16Bと、2つの排気チャンバ18A、18Bとを含む。下記の説明の中で、エンジンサイクル中の機能に関係なく、参照表示11は一般にチャンバを指すことに注意されたい。各チャンバ11は、2つのピストン3に境界付けられ、1つは吸気弁ピストン2であって1つは排気弁ピストン4である。明確にするため、ピストン2、4は、マニフォルド20、40を伴わずに示される。動作中、チャンバ11に起こっている圧力変化はピストン3の面に反して作用する。たとえば、2つの燃焼チャンバ12A、12Bで燃焼が起ると、2つの燃焼チャンバ12A、12Bを境界付ける吸気弁ピストン2および排気弁ピストン4は離れるように強制され、外側エンジンリング10Aおよび内側エンジンリング10Bを反対方向に動かして、すなわち、リング回転矢印9Aおよび9Bによって示されるように逆に回転させる。図解の目的のみのため、チャンバの対は、ストロークサイクルから独立して、図3A−図3Dにおいて、A、A´;B、B´;C、C´;およびD、D´として特定される。
図3A−図3Dの各々は、ストロークの一瞬前のチャンバ11の相対的な位置を示す。図3Aにおいて、チャンバA、A´は燃焼が起る直前の燃焼チャンバ12A、12Bを表わす。燃焼チャンバ12A、12Bおよび吸気チャンバ14A、14Bを境界付けるピストン2、4はともに(TDCにおいて)近接し、圧縮チャンバ16A、16Bおよび排気チャンバ18A、18Bを境界付けるピストン2、4は、はるかに離れている。チャンバ12A、12B内の燃焼は、これらのチャンバを境界付けるピストン2、4を離すよう強制する。図3Bは燃焼が起った直後のチャンバA、A´を示す。2つのピストン2、4の面に対する上昇した圧力が、リング回転矢印9A、9Bに示されるように、ピストン2、4を反対方向に動くよう強制する。内側エンジンリング10Bの全ての吸気弁ピストン2が一緒に動き、外側エンジンリング10Aの全ての排気弁ピストン4は一緒に動く。結果として、ここでチャンバA、A´は、これらのチャンバに排気ストロークが起こる直前の排気チャンバ18A、18Bを示す。この説明から、A、A´;B、B´;C、C´;およびD、D´のチャンバの各対は、トロイダル内燃機関100が1サイクルを行う間、4つのストロークのそれぞれ1つを行うことが明らかである。
図4は、ピストン3を円環体10に装着するシステムを示す。吸気マニフォルド20および排気マニフォルド40は、概略的かつ部分的にのみ示される。排気マニフォルド40は、吸気マニフォルド20より直径が大きいように示される。これは、図解の目的のためのみであって、本発明の制限的特徴ではない。吸気弁ピストン2である4つのピストン3は吸気マニフォルド20に接続され、内側エンジンリング10Bにおいて固定的に装着さ
れる。シールリング5は、外側エンジンリングに10Aに延在する吸気弁ピストン2の一部を囲む。排気弁ピストン4である4つのピストン3は排気マニフォルド40に接続され、外側エンジンリング10Aにおいて固定的に装着される。シールリング5は、内側エンジンリング10Bに延在する排気弁ピストン4の一部を囲む。図3A−図3Dを用いて説明されるように、燃焼圧力が、外側エンジンリング10Aにすべて固定的に装着された排気弁ピストン4を一方向に動くよう強制し、それは外側エンジンリング10Aを一方向に動くよう強制し、その一方で、内側エンジンリング10Bにすべて固定的に装着された吸気弁ピストン2の力は、吸気弁ピストン2を反対方向に動くよう強制して、それにより、内側エンジンリング10Bを反対方向に回転するよう強制する。シールリング5は図6に最もよく示される。たとえば外側エンジンリング10Aに固定されるいずれかのピストン3の半分は内側エンジンリング10Bに延在し、過度の摩擦を引き起こすことなく内側エンジンリング10Bの内壁に沿って滑動可能可能でなければならず、同時にガス漏れに対してチャンバを封止する。
図4は、さまざまなピストン3、チャンバ11および2つのマニフォルド20、40を通るガスフローを示す。ガスフロー矢印13Aは、円環体10から排気マニフォルド40への排気ガスフローを示す。ガスフロー矢印13Bは、吸気マニフォルド20から円環体10への吸気流を示す。
図5Aは、ピストン3の面3Aに配置される弁7、および、吸気マニフォルド20または排気マニフォルド40への通路に弁7を接続するポート9を示す。吸気弁および排気弁は、ピストン面3A上に1つのみの弁7を有して、ピストン面3Aにおいて組立てられることが上述された。弁の最も好適な種類はスロット型弁および滑動型弁である。図5Aは、ピストン面3Aにおいて組立てられるスライダ弁7Bを示す。図5Bは、排気ポート9Aに装着されるスロット弁7Aを示す。
図6は、外側エンジンリング10Aにおいて組立てられる、排気弁ピストン4のうちの1つの斜視図である。図解のため、内側エンジンリング10Bはこの図には示されない。上述のように、各ピストン3は、2つのピストン面3A、3Bを有し、具体的には、各吸気弁ピストン2は2つのピストン2A、2Bを有し、各排気弁ピストン4は、2つのピストン面4A、4Bを有する。図6に示すように、シールリング5は内側エンジンリング10Bに延在する排気弁ピストン4の一部に与えられる。排気ポート9は、排気マニフォルド40(図示されず)に排気弁ピストン4を接続するために排気弁ピストン4の壁に示され、スライダ弁7Bは排気弁ピストン面4Aにおいて組立てられる。
図7は、本発明のトロイダル内燃機関100の一実施例を示し、シャフト30に装着された吸気マニフォルド20および排気マニフォルド40を示し、トロイダル内燃機関100は、マニフォルド20、40間でシャフト上に支持される。示されるように、アーム20Aは吸気マニフォルド20から内側エンジンリング10Bに延在して吸気弁ピストン2上の吸気ポート9Bに接続し、アーム40Aは、排気マニフォルド40から外側エンジンリング10Aに延在して排気弁ピストン4上の排気ポート9Aに接続する。
図8は力線図であって、燃焼サイクルの過程で円環体10に作用するさまざまな力を示す。示される力は、
er=エンジンリング上の摩擦力
pr=ピストンリング摩擦
orp=外側リングピストン上の力
irp=内側リングピストン上の力
or=外側エンジンリング上の力
ir=内側エンジンリング上の力
同じストロークを進んでいる任意の2つのチャンバ11がエンジンリング10上で正確に180度の間隔をおいていることは、図3A−図3Dの前述の説明から明らかである。この構成は、本発明のトロイダル内燃機関100の動的なバランスに役立つ。図8に示されるように、外側エンジンリング上の力Forおよび内側エンジンリング10B上の力Firは、チャンバ11において等しいが対抗する力によってバランスがとられる。180度の間隔をおいた2つのチャンバ11が同時に同じストロークを行うので、それらの2つのチャンバ11におけるあらゆる瞬間の特定の力は180度離れており、それぞれのチャンバ11において、外側エンジンリング10Aおよび内側エンジンリング10Bにそれぞれ取付られるピストン3に、等しいが対抗する力(ForpおよびFirp)を加える。ピストンリング摩擦Fprが各ピストンリング力について内側エンジンリング10Bおよび外側エンジンリング10Aの間で等しくバランスがとられるのと同様、エンジンリング上の摩擦力Ferも、内側エンジンリング10Bおよび外側エンジンリング10Aの間で等しくバランスがとられる。
図9はトロイダル内燃機関100の分解図である。外側エンジンリング10Aは、2つのリング分割シーム10Dを有する分割リングとして示される。排気弁ピストン4は、外側エンジンリング10Aの凹面壁に固定的に装着される。排気弁ピストン4のうちの2つは、リング分割シーム10Dの接合部自体において外側エンジンリング10Bに装着され、内側エンジンリング10Bの周囲に2つの外側エンジンリング10Aの半分を固定的に取り付けるために用いられる。吸気弁ピストン2は、内側エンジンリング10Bの凹面に固定的に装着される。示されるように、吸気弁ピストン2および排気弁ピストン4は、ピストン2、4が固定的に取り付けられない内側エンジンリングまたは外側エンジンリングに届くような面径を有する。ピストンリングシール5は、特定のピストン2、4とピストン2、4がそれに沿って滑動するエンジンリングの壁との間でガス漏れを封止する。ピストンリングシール5は、リング分割シーム10Dに配置される排気弁ピストン4に最もよく見られるように、ピストン2、4のまわりに部分的にのみ延在する。外側エンジンリング10Aに固定的に取り付けられるピストン4の表面の輪郭はその外側エンジンリング10Aの内部表面の輪郭に対応し、すなわちピストンリングシール5がない。ピストンリングール5は、内側エンジンリング10Bに延在してそれに沿って摺動するピストン4の、その部分のまわりに延在して示される。ピストンリングシール5は同様に吸気弁ピストン2に与えられ、すなわち、外側エンジンリング10Aに延在してそれに沿って摺動する、ピストンの部分に与えられる。分解図にさらに示されるのは、排気マニフォルド40および吸気マニフォルド20である。
本発明のトロイダル内燃機関100が伝統的なエンジンの同様のパワー出力範囲で動作し得るか否かを判断するため、本出願の出願人により予備研究が完了された。研究では、直径12インチの円環体形状、3.5インチのピストン面、および3.0インチのピストン厚さを考慮し、それは約260inの掃気容積のエンジンをもたらした。トロイダル内燃機関は、伝統的なエンジンと同等の5000rpmで動作することになっていた。提案されたエンジンリング速度は正弦曲線状に変化すると仮定され、そこから、エンジンリング加速のための等式が引き出された。提案されたエンジンのチャンバ内の圧力には、750psiのピーク圧を有する火花点火エンジンについての標準的インディケータ線図が用いられた。リングシームおよびピストン摩擦の推定値は計算に含まれており、質量慣性は炭素−炭素複合材のエンジン構造に基づいて計算された(エンジン重量は約35ポンドであると算出された)。研究では、伝統的なエンジンのシリンダ圧力については、エンジンリングの加速度が、5000rpmで作動するのに必要な加速度を上回ったことを示し、エンジンがいまだ出力を生じていることを示した。計算から、(伝達機構および弁損失は無視して)約600馬力の推定されたパワー出力が知られた。この研究は完全でなかったにもかかわらず、本発明のトロイダル内燃機関が、伝統的な設計と比較して、優れた性能を与える極めて高い潜在性を有することを示す。
図10は、吸気弁ピストン面2Aに組立てられる、点火プラグ15を有する吸気弁ピストン2の図である。
図11はトロイダル内燃機関100の図であり、排気弁ピストン4の長さ寸法L2とは異なる長さ寸法LIを有する吸気弁ピストン2の集合を示す。
図12は、エンジンリング10で組立てられた歯車対50を示し、歯車対はエンジンリング10の回転角度が外側エンジンリング10Aおよび内側エンジンリング10Bの両方で同じ大きさであることを確実にする。歯車対50は、外側エンジンリング10Aに組立てられる第1のラック歯車51と、内側エンジンリング10Bに組立てられる第2のラック歯車52とを含む。外側リング歯車53Aおよび内側リング歯車53Bを有するピニオンギア53が、2つのラック歯車51、52および同時にそれに伴うかみ合いの間で保持される。
本発明によるトロイダル内燃機関100は、好ましくは炭素強化炭素(CRC)複合材で作られる。酸素に露出された領域において、エンジン表面は、酸化を防ぐためにコーティングで被膜される。たとえば炭化珪素は、絶縁の特性をももたらす好適なコーティング材料であり、さらにエンジンの冷却要件を減じる。油潤滑システムが図に示されないことに注意されたい。本発明のトロイダル内燃機関100は、油潤滑システムを必要としない自己潤滑式機関である。従来の内燃機関において、抽出動力のためのクランクシャフトは、強力なサイドスラストをピストンに与える。トロイダル内燃機関100においてはこのサイドスラストが完全に欠けている。自己潤滑性CRC複合材の使用、エンジンサイクル過程でエンジンリングの全周囲で複数の燃焼ストロークが起るためにエンジン上に熱応力が均等に分配されること、および、サイドスラストがないために摩擦力が極めて低いことは全て、空冷を有するが油潤滑および油冷は有さずに長期間にわたって連続的に動作可能である自己潤滑式エンジンの実現に貢献する。
本願明細書において記載される実施例は単に本発明を図示するのみであると理解される。トロイダル内燃機関の構成の変形例は、本願明細書において開示され、以下の請求項で規定される、本発明の意図された範囲を制限することなく、当業者によって考慮され得る。
本発明によるトロイダル内燃機関の概略図である。 円環体を形成するよう継ぎ合わされる内外エンジンリングを示す図である。 内外エンジンリングの部分的な部分を示す図である。 デルタジオメトリを有するエンジンリングシールの図である。 4ストロークエンジンサイクルを通じたピストンおよびチャンバの位置を示す図である。 4ストロークエンジンサイクルを通じたピストンおよびチャンバの位置を示す図である。 4ストロークエンジンサイクルを通じたピストンおよびチャンバの位置を示す図である。 4ストロークエンジンサイクルを通じたピストンおよびチャンバの位置を示す図である。 円環体における吸気弁ピストンおよび排気弁ピストンの配置の概略図である。 ピストン面のスロット型弁の図である。 ピストン面のスライダ型弁の図である。 外側エンジンリングの排気弁ピストンの図である。 シャフト上に吸排気マニフォルドを有して組立てられた、本発明のエンジンの斜視図である。 外側リング、組立てられたエンジンリングおよび内側リング上の力を示す力線図である。 本発明によるトロイダル内燃機関の分解図である。 ピストン面に組立てられた点火プラグを有するピストンの図である。 排気弁ピストンとは異なる寸法を有する吸気弁ピストンを示す図である。 内外エンジンリングの、反対向きだが等しい回転を確実にする歯車対の図である。

Claims (28)

  1. 自己潤滑性内燃機関であって、
    2つの同心リングから構成されるエンジンリングを含み、一方は外側エンジンリングであり、他方は内側エンジンリングであって、前記2つの同心リングの各々は第1のシームエッジ、第2のシームエッジ、およびその間にエンジンリング壁を有するC型の断面を有し、前記外側エンジンリングの前記第1のシームエッジは前記内側エンジンリングの前記第1のシームエッジによって封止可能であり、前記外側エンジンリングの前記第2のシームエッジは前記内側エンジンリングの前記第2のシームエッジによって対応して封止可能であり、そのため、前記外側エンジンリングの前記エンジンリング壁および前記内側エンジンリングの前記エンジンリング壁により境界付けされるエンジンリング断面を有する円環体を形成し、前記外側エンジンリングの前記エンジンリング壁は外側リング直径を有し、かつ前記内側エンジンリングの前記エンジンリング壁は前記外側リング直径より小さい内側リング直径を有し、さらに、
    複数の吸気弁ピストンと複数の排気弁ピストンとを含む複数のピストンを含み、前記複数の吸気弁ピストンは前記2つの同心リングの第1のリングに固定的に接続され、前記複数の吸気弁ピストンは互いに間隔をおき、前記複数の排気弁ピストンは前記2つの同心リングの第2のリングに固定的に接続され、前記複数の排気弁ピストンは互いに間隔をおき、前記複数のピストンの各ピストンは前記ピストン本体の各端面にピストン面を有するピストン体を有し、前記ピストン体は、前記エンジンリングにおいて摺動可能かつ封止可能に可動の断面を有し、第1の吸気弁ピストンの第1の面および第1の排気弁ピストンの第1の面はチャンバのための境界を形成し、前記チャンバ内で燃焼が起こると、前記第1の吸気弁ピストンおよび前記前記第1の排気弁ピストンに与えられる燃焼力は、前記2つの同心リングのうちの前記第1のリングと前記第2のリングとを強制して逆回転させ、それにより前記チャンバの容積を増加させ、隣接するチャンバの容積を減じ、さらに、
    複数のガスフロー弁を含み、前記複数のガスフロー弁は総計で前記複数のピストンに対応し、前記複数のガスフロー弁は吸気弁および排気弁を含み、さらに、
    吸気マニフォルドと、
    排気マニフォルドと、
    前記エンジンリングを冷却する空冷システムとを含み、前記冷却システムは空冷システムを含み、油潤滑空冷システムを含まず、前記複数のガスフロー弁のガスフロー弁は、前記複数のピストンの各ピストン上に組立てられ、前記吸気弁は前記吸気弁ピストン上に直接に組立てられ、前記排気弁は前記排気弁ピストンに組立てられ、
    前記吸気弁はガスが流れられるように前記吸気マニフォルドに接続され、そのため前記吸気マニフォルドから前記吸気弁ピストンを通して前記エンジンリングへの気流を制御し、前記排気弁はガスが流れられるように前記排気マニフォルドに接続され、前記エンジンリングから前記排気弁ピストンを通して前記排気マニフォルドへの排気ガスフローの制御を可能にし、
    前記エンジンリングおよび前記複数のピストンは炭素強化炭素材から構成される、内燃機関。
  2. 内燃機関であって、
    2つの同心リングから構成されるエンジンリングを含み、一方は外側エンジンリングであって、他方は内側エンジンリングであり、前記2つの同心リングの各々は第1のシームエッジ、第2のシームエッジ、およびその間にエンジンリング壁を有するC型の断面を有し、前記外側エンジンリングの前記第1のシームエッジは前記内側エンジンリングの前記第1のシームエッジによって封止可能であり、前記外側エンジンリングの前記第2のシームエッジは前記内側エンジンリングの前記第2のシームエッジによって対応して封止可能であり、そのため、前記外側エンジンリングの前記エンジンリング壁により形成される第1のリング直径の外周エンジン壁と前記内側エンジンリングの前記エンジンリング壁によ
    り形成される第2のリング直径の内周エンジン壁とを有する円環体を形成し、前記第1のリング直径は前記第2のリング直径より大きく、さらに、
    ピストンと、
    ガスフロー弁とを含む、内燃機関。
  3. 前記エンジンリングは円環体断面を有し、前記ピストンはピストン面を有するピストン本体を有し、前記ピストン本体は前記円環体断面内に嵌合するよう形成される、請求項2に記載の内燃機関。
  4. 前記ピストンは複数のピストンを含み、前記複数のピストンは、前記円環体内で摺動可能に組立てられる吸気弁ピストンおよび排気弁ピストンを含み、そのため前記吸気弁ピストンおよび排気弁ピストンの間でチャンバを形成する、請求項3に記載の内燃機関。
  5. 前記ガスフロー弁は前記ピストン上に組立てられ、前記吸気弁ピストン上の前記ガスフロー弁は吸気弁であり、前記排気弁ピストン上の前記ガスフロー弁は排気弁であり、前記エンジンリングを通じたガスフローは、前記吸気弁を通じて前記チャンバへ入る気流と前記チャンバから前記排気弁を通じて出る排気流とを含む、請求項4に記載の内燃機関。
  6. 前記チャンバは複数のチャンバを含み、前記吸気弁ピストンは複数の吸気弁ピストンを含み、前記排気弁ピストンは複数の排気弁ピストンを含み、前記複数の排気弁ピストンは前記複数の吸気弁ピストンと総計が等しく、前記複数の吸気弁ピストンは前記2つの同心リングの前記第1の同心リングに固定的に取り付けられ、互いに相対して固定的に間隔をおき、前記複数の排気弁ピストンは前記2つの同心リングの前記第2の同心リングに固定的に取り付けられ、互いに相対して固定的に間隔をおき、前記吸気弁ピストンおよび前記排気弁ピストンは前記エンジンリング内で交替に配置され、そのため前記複数のチャンバの各チャンバが前記吸気弁ピストンの1つおよび前記排気弁ピストンの1つによって境界付けられる、請求項5に記載の内燃機関。
  7. 前記エンジンは燃焼ストロークを有するモードで動作可能であって、前記複数のチャンバは少なくとも1つの燃焼チャンバを含み、前記燃焼チャンバ内の前記燃焼ストロークによって前記吸気弁ピストンの前記1つおよび前記排気弁ピストンの前記1つに与えられる力の下では、前記複数の吸気弁ピストンおよび前記複数の排気弁ピストンは反対方向に動くよう強制され、そのため前記第1の同心リングに固定的に取り付けられた前記吸気弁ピストンは、前記第2の同心リング内で摺動可能に動く一方で前記第1の同心リングを強制して第1の方向に回転させ、前記第2の同心リングに固定的に取り付けられた前記排気弁ピストンは、前記第1の同心リング内で摺動可能に動く一方で前記第2の同心リングを強制して第2の方向に回転させ、それにより前記燃焼チャンバを強制して容量を増加させ、前記燃焼チャンバに隣接する第2のチャンバの容積を減じさせる、請求項6に記載の内燃機関。
  8. 前記燃焼チャンバは少なくとも2つの燃焼チャンバを含み、前記燃焼ストロークは前記少なくとも2つの燃焼チャンバで同時に起り、前記少なくとも2つの燃焼チャンバは前記エンジンリングの周囲で互いから等距離に間隔をおく、請求項7に記載の内燃機関。
  9. 前記少なくとも2つの燃焼チャンバは、互いから180度の間隔をおく2つの燃焼チャンバを含む、請求項8に記載の内燃機関。
  10. 前記少なくとも2つの燃焼チャンバは、互いから120度の間隔をおく3つの燃焼チャンバを含む、請求項8に記載の内燃機関。
  11. 前記ガスフロー弁が前記エンジンの機械的作用とは独立して作動する、請求項5に記載の内燃機関。
  12. 前記ガスフロー弁はスライダ弁である、請求項11に記載の内燃機関。
  13. 前記ガスフロー弁は前記ピストン面に装着される、請求項5に記載の内燃機関。
  14. 前記エンジンの製造のための材料は、自己潤滑式特性および低い熱膨張係数を有する低膨張材を含む、請求項2に記載の内燃機関。
  15. 前記低膨張材は絶縁および非酸化コーティングで被膜される、請求項14に記載の内燃機関。
  16. 前記コーティングは炭化珪素である、請求項15に記載の内燃機関。
  17. 前記低膨張材は炭素強化炭素材である、請求項14に記載の内燃機関。
  18. 前記エンジンリングは前記外側エンジンリングおよび前記内側エンジンリングを封止するセルフシールリングシームを有する、請求項2に記載の内燃機関。
  19. 前記外側エンジンリングおよび前記内側エンジンリングはそれぞれシームエッジを有し、前記外側エンジンリングの前記シームエッジは各々前記内側エンジンリングの前記シームエッジと合い、そのため燃焼力が前記シームに与えられると、ガス漏れに対して封止するオーバーラップシームを形成する、請求項18に記載の内燃機関。
  20. 前記第1の同心リングの前記第1のシームエッジおよび前記第2の同心リングの間に嵌合するエンジンリングシールをさらに含む、請求項2に記載の内燃機関。
  21. 吸気マニフォルドおよび排気マニフォルドをさらに含み、前記吸気弁ピストンは前記吸気マニフォルドに接続され、そのため前記吸気マニフォルドから前記吸気弁ピストンを通して前記エンジンリングへの空気が流れるのを可能にし、前記排気弁ピストンは前記排気マニフォルドに接続され、そのため前記エンジンリングから前記排気弁ピストンを通して前記排気マニフォルドへの排気ガスが流れるのを可能にする、請求項4に記載の内燃機関。
  22. 前記エンジンリングは、前記内側エンジンリングの前記内周壁により形成される開口部を通じて挿入可能なシャフトに装着可能である、請求項21に記載の内燃機関。
  23. 前記吸気マニフォルドおよび前記排気マニフォルドは、前記シャフトに装着可能である、請求項22に記載の内燃機関。
  24. 前記エンジンリングは流体力学的に制御され、機械的に制限されない回転角度で回転する、請求項7に記載の内燃機関。
  25. 点火プラグをさらに含み、前記エンジンリングは火花点火モードで動作可能であって、前記点火プラグは前記吸気弁ピストンの前記ピストン面に装着される、請求項4に記載の内燃機関。
  26. 前記第1の同心リングおよび前記第2の同心リングを連結し、そのため前記同心リングの各々の等しいが反対向きの回転を可能にするエンジンリング歯車対をさらに含む、請求
    項2に記載の内燃機関。
  27. 前記ピストンは、前記エンジンリングの前記ピストンの回転方向に延在する長さ寸法を有し、前記吸気弁ピストンの前記長さ寸法は前記排気弁ピストンの前記長さ寸法と異なる、請求項4に記載の内燃機関。
  28. 空冷システムをさらに含み、油潤滑冷却システムを含まない、請求項2に記載の内燃機関。

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