JP2006524633A - β−アドレナリン作動性経路における病理学的変化を打ち消すための方法 - Google Patents
β−アドレナリン作動性経路における病理学的変化を打ち消すための方法 Download PDFInfo
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Abstract
本発明はβ−アドレナリン作動性経路を調節する方法に関する。特に本発明は、TGF−β受容体を介するTGF−βシグナル伝達を阻害することができる有効な量の化合物を投与することにより、例えばβ−アドレナリン作動性シグナル伝達経路のβアドレナリン作動性の感受性の低下のような病理学的変化を打ち消す方法に関する。
Description
発明の背景
発明の分野
本発明は、β−アドレナリン作動性経路の調節法に関する。特に本発明は例えばβ−アドレナリン作動性シグナル伝達経路におけるβ−アドレナリン作動性の感受性(β−adrenergic sensitivity)の低下のような病理学的変化を打ち消すための方法に関する。
発明の分野
本発明は、β−アドレナリン作動性経路の調節法に関する。特に本発明は例えばβ−アドレナリン作動性シグナル伝達経路におけるβ−アドレナリン作動性の感受性(β−adrenergic sensitivity)の低下のような病理学的変化を打ち消すための方法に関する。
関連分野の説明
トランスフォーミング増殖因子−ベータ
トランスフォーミング増殖因子−ベータ(TGF−β)は、タンパク質、TGF−β1、TGF−β2およびTGF−β3のファミリーを表し、これらは細胞増殖および分化、胚および骨の発育、細胞外マトリックス形成、造血、免疫および炎症応答の多面発現性モジュレーターである(非特許文献1;非特許文献2)。このスーパーファミリーの他のメンバーにはアクチビン、インヒビン、骨形成因子およびミュラー抑制物質を含む。TGF−βは細胞内シグナリング(signaling)経路を開始し、最終的に細胞サイクルを調節し、増殖応答を制御するか、または細胞のシグナリングの外で細胞の接着、移動および細胞内コミュニケーションを媒介する細胞外マトリックスタンパク質に関する遺伝子発現を導く。
トランスフォーミング増殖因子−ベータ
トランスフォーミング増殖因子−ベータ(TGF−β)は、タンパク質、TGF−β1、TGF−β2およびTGF−β3のファミリーを表し、これらは細胞増殖および分化、胚および骨の発育、細胞外マトリックス形成、造血、免疫および炎症応答の多面発現性モジュレーターである(非特許文献1;非特許文献2)。このスーパーファミリーの他のメンバーにはアクチビン、インヒビン、骨形成因子およびミュラー抑制物質を含む。TGF−βは細胞内シグナリング(signaling)経路を開始し、最終的に細胞サイクルを調節し、増殖応答を制御するか、または細胞のシグナリングの外で細胞の接着、移動および細胞内コミュニケーションを媒介する細胞外マトリックスタンパク質に関する遺伝子発現を導く。
TGF−β1、−β2および−β3を含むTGF−βは、その生物学的活性を、転写レギュレーターのSmadファミリーを介してシグナルを伝える細胞内セリン−トレオニンキナーゼドメインを持つI型およびII型の1回膜貫通TGF−β受容体(受容体サブユニットとも呼ぶ)を含む受容体系を介して発揮する。TGF−βのII型受容体の細胞外ドメインへの結合は、II型受容体(TGFβ−RII)によるI型受容体(TGFβ−RI)のリン酸化および活性化を誘導する。活性化されたTGFβ−RIは受容体が会合した同時転写因子(co−transcription factor)Smad2/Smad3をリン酸化し、これによりそれを細胞質に放出し、ここでSmad4に結合する。このSmad複合体は核に移入し(translocate into)、Fast−1のようなDNA−会合コファクターと会合し、特異的遺伝子のエンハンサー領域に結合し、そして転写を活性化する。これらの遺伝子の発現は、増殖性応答を制御する細胞サイクルレギュレーターまたは細胞の外側のシグナリング、細胞接着、移動および細胞内コミュニケーションを媒介する細胞外マトリックスタンパク質の合成を導く。MAPキナーゼ−ERKカスケードのような他のシグナリング経路もTGF−βのシグナリングにより活性化される。総説については例えば非特許文献3;および非特許文献4(これらは引用により本明細書に編入する)を参照にされたい。TGF−βシグナリング経路に関するさらなる情報は、例えば以下の刊行物に見いだすことができる:非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7、総説;非特許文献8、総説)。
TGF−βが誘導するベータ−アドレナリン受容体のダウンレギュレーションは、心臓の繊維芽細胞、および気管支平滑筋細胞、神経膠腫細胞および腎臓の上皮細胞で観察された。例えばTGF−β1は、アデニリルシクラーゼ活性の改変、およびβ2−アドレナリン受容体遺伝子の転写速度の低下を介するβ2−アドレナリン受容体mRNAおよびタンパク質のダウンレギュレーションを介してβ2−アドレナリン受容体の脱感作を誘導することが示された。
ベータ−アドレナリン受容体
ベータ−アドレナリン受容体(βAR)は、アデニリルシクラーゼ(AC)に共役するグアニンヌクレオチド結合タンパク質(G−タンパク質)を介して共役し、そしてシグナルを伝達する7回膜貫通ドメイン受容体の大きなファミリーに属する。βARはβ1、β2およびβ3サブグループに分類され、これらははっきり異なる発現パターンを現す。β1ARは心臓組織で主に発現され、β2ARは気道の平滑筋組織で高度に、そしてまた心臓および他の組織で発現され;β3は主に脂肪組織で発現される。β1/β3−とβ2−受容体との間で約65〜70%の相同性がある。
ベータ−アドレナリン受容体
ベータ−アドレナリン受容体(βAR)は、アデニリルシクラーゼ(AC)に共役するグアニンヌクレオチド結合タンパク質(G−タンパク質)を介して共役し、そしてシグナルを伝達する7回膜貫通ドメイン受容体の大きなファミリーに属する。βARはβ1、β2およびβ3サブグループに分類され、これらははっきり異なる発現パターンを現す。β1ARは心臓組織で主に発現され、β2ARは気道の平滑筋組織で高度に、そしてまた心臓および他の組織で発現され;β3は主に脂肪組織で発現される。β1/β3−とβ2−受容体との間で約65〜70%の相同性がある。
肺におけるβ−アドレナリン受容体の役割が、例えば非特許文献9、総説で検討されている。β2−アドレノレセプターは広く分布し、そして気道平滑筋細胞だけでなく上皮および内皮細胞、II型細胞およびマスト細胞のような肺の他の細胞にも存在する。気道の上皮細胞におけるβ2−アドレナリン受容体の導入遺伝子の過剰発現が気管支収縮を減少させることが報告された(非特許文献10)。β2−アドレナリン受容体のII型細胞を標的とした導入遺伝子発現は、肺胞液の排除を増加することが示された(非特許文献11)。
β−アドレナリン受容体の心臓における役割も、徹底的に研究された。β−アドレナリン受容体の心臓における役割に関する詳細は、例えば非特許文献12;非特許文献13、総説;非特許文献14;および非特許文献15を参照にされたい。β2−アドレナリン受容体の低−および高−レベルの導入遺伝子発現が、心臓肥大およびGαq過剰発現マウスでの機能に示差的に影響を及ぼすことが報告された。
プロカテロール(procaterol)、アルブテロール(albuterol)、サルメテロール(salmeterol)およびホルモテロール(hormoterol)のようなβ−アドレナリンアゴニストは、気道の疾患の処置において気管支拡張薬として有用であることが示された。例えば喘息患者はエピソード性気管支痙攣の処置にアルブテロールのような吸入型のβ2−アドレナリン受容体アゴニストを投与されることが多い。アゴニストの結合はβARの細胞内ドメインとヘテロ三量体G−タンパク質Gsとの間の相互作用を促進する。この相互作用は次いでGαサブユニット内のGDPのGTPへの交換を触媒し、これによりGαを活性化する。活性化されたGαはアデニリルシクラーゼを活性化して、ATPからcAMPの合成を触媒する。cAMPはプロテインキナーゼA(PKA)を活性化し、下流のリン酸化反応を生じる。特にcAMPは筋肉調節タンパク質のリン酸化および細胞性Ca++濃度の低下を介して気道の弛緩を誘導する。βARのシグナリング経路およびβ2−アドレナリンアゴニストの作用メカニズムに関するさらなる詳細は、例えば非特許文献16;および非特許文献17を参照にされたい。
ドブタミン(dobutamine)のようなβ−アゴニスト変力薬は、現在、うっ血性心不全(CHF)および類似の心疾患の管理に使用されている。
不幸なことに、気管支拡張薬としてβ−アドレナリン受容体アゴニストの長期使用が、しばしば患者に弱化した応答を生じる。アゴニストが誘導するβAR感受性の低下(loss)には、(1)Gタンパク質シグナル伝達物質からの脱共役を介する受容体機能の低下(loss)、この効果は典型的には迅速な可逆性である;(2)長期のアゴニストへの暴露で、細胞内側の受容体の封鎖;および(3)βARの分解を含む。さらに特定の疾患状態では、βARの定常状態レベルがアゴニスト非依存的な手段によっても、βAR合成またはβAR分解速度のいずれかに影響することにより改変され得る。後者のメカニズムは、うっ血性心不全(CHF)のような種々の心臓状態に役割を果たしていることが示され、そして恐らく嚢胞性線維症(CF)および慢性閉塞性肺疾患(COPD)にも役割を果たしていると思われる。
さらなる詳細に関しては、例えば非特許文献18;非特許文献17;非特許文献9を参照にされたい。
βAR感受性の低下(decline)が受容体のアゴニストにより誘導されるならば、ある限界内で、βAR応答性の低下はアゴニストの用量を増分的に増すことにより補償することが可能である。しかしこの取り組みは、アゴニストの治療指数により制限される。より高用量は毒性を示すか、あるいは他の副作用を有する。同様に、現時点でCHF、COPDまたはCF患者におけるようなアゴニスト非依存性のメカニズムの結果として起こるβAR感受性の低下を打ち消すために利用できる信頼性のある手段はない。したがって元にあるメカニズムには関係なく、βAR感受性の低下のようなβAR経路における病理学的変化を打ち消す新規取り組みが臨床的に大いに必要とされている。この目的が、アゴニストが誘導するβAR感受性の低下を打ち消すことである場合、そのような取り組みはβ−アドレナリン受容体アゴニストの効力を低下することなくその長期使用を可能とし、かつ/または患者の全般的な状態を別なふうに改善することになるだろう。
[参考文献]
Roberts and Sporn Handbook of Experimental Pharmacology(1990)95:419−58 Massague et al.Ann Rev Cell Biol(1990)6:597−646 Whitman,Genes Dev.12:2445−62,1998 Miyazono et al.,Adv.Immunol.75:111−57,2000 Attisano et al.,「TGF−βスーパーファミリーによるシグナル伝達(Signal transduction by the TGF−β superfamily)」 Science 296:1646−7,2002 Bottinger and Bitzer,「腎臓疾患におけるTGF−βシグナル伝達(TGF−β Signaling in renal diseae)」 Am.Soc.Nephrol.13:2600−2610,2002 Topper,J.N.,「心血管系におけるTGF−β:コンテクスト特異的な増殖因子の分子メカニズム(TGF−β in the cardiovascular system:molecular mechanisms of a context−specific growth factor)」 Trends Cardiovasc.Med.10:132−7,2000 Itoh et al.,「トランスフォーミング増殖因子−βファミリーのシグナル伝達(Signaling of transforming growth factor−β family)」 Eur.J.Biochem.267:6954−67,2000 Johnson,M.,Am.J.Respir.Cirt.Care Med.158:S146−S153,1998 MsGraw et al.,Am.J.Physiol.Lung Cell.Mol.Physiol.279:L379−89,2000 McGraw et al.,Am.J.Physiol.Lung Cell.Mol.Physiol.281:L895−903,2001 Ligget S.B.,J.Clin.Invest.107:947−8,2001 Moniotte and Balligand,Cardiovasc.Drug.Rev.2):19−26,2002 Xiao,R.P.,Sci.STKE Oct 16:2001(104):RE15 Port and Bristow,J.Mol.Cell.Cardiol.33:887−905,2001 Cross et al.,Circ.Res.85:1077−1084,1999 Millis,S.F.,J.Anim.Sci.80(E.Suppl.1):E30−E35,2002 Ligget and Lefkowitz,「アドレナリン受容体共役アデニリルシクラーゼ系:リン酸化、封鎖およびダウンレギュレーションによる受容体機能の調節(Adrenergic receptor−coupled adenylyl cyclase systems:Regulation of receptor function by phosphorylation,sequestration,and down−regulation)」、D.R.Sibley and M.D.Houslay(SudFj)、脱感作および増幅による細胞シグナル伝達経路の調節(Regulation of Cellular signal Transduction Pathways by Desensitization and Amplification)において、pp.71−96、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク、1994
[参考文献]
Roberts and Sporn Handbook of Experimental Pharmacology(1990)95:419−58 Massague et al.Ann Rev Cell Biol(1990)6:597−646 Whitman,Genes Dev.12:2445−62,1998 Miyazono et al.,Adv.Immunol.75:111−57,2000 Attisano et al.,「TGF−βスーパーファミリーによるシグナル伝達(Signal transduction by the TGF−β superfamily)」 Science 296:1646−7,2002 Bottinger and Bitzer,「腎臓疾患におけるTGF−βシグナル伝達(TGF−β Signaling in renal diseae)」 Am.Soc.Nephrol.13:2600−2610,2002 Topper,J.N.,「心血管系におけるTGF−β:コンテクスト特異的な増殖因子の分子メカニズム(TGF−β in the cardiovascular system:molecular mechanisms of a context−specific growth factor)」 Trends Cardiovasc.Med.10:132−7,2000 Itoh et al.,「トランスフォーミング増殖因子−βファミリーのシグナル伝達(Signaling of transforming growth factor−β family)」 Eur.J.Biochem.267:6954−67,2000 Johnson,M.,Am.J.Respir.Cirt.Care Med.158:S146−S153,1998 MsGraw et al.,Am.J.Physiol.Lung Cell.Mol.Physiol.279:L379−89,2000 McGraw et al.,Am.J.Physiol.Lung Cell.Mol.Physiol.281:L895−903,2001 Ligget S.B.,J.Clin.Invest.107:947−8,2001 Moniotte and Balligand,Cardiovasc.Drug.Rev.2):19−26,2002 Xiao,R.P.,Sci.STKE Oct 16:2001(104):RE15 Port and Bristow,J.Mol.Cell.Cardiol.33:887−905,2001 Cross et al.,Circ.Res.85:1077−1084,1999 Millis,S.F.,J.Anim.Sci.80(E.Suppl.1):E30−E35,2002 Ligget and Lefkowitz,「アドレナリン受容体共役アデニリルシクラーゼ系:リン酸化、封鎖およびダウンレギュレーションによる受容体機能の調節(Adrenergic receptor−coupled adenylyl cyclase systems:Regulation of receptor function by phosphorylation,sequestration,and down−regulation)」、D.R.Sibley and M.D.Houslay(SudFj)、脱感作および増幅による細胞シグナル伝達経路の調節(Regulation of Cellular signal Transduction Pathways by Desensitization and Amplification)において、pp.71−96、ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク、1994
1つの観点では、本発明はTGF−β受容体を介するTGF−βのシグナリングを阻害することができる化合物の有効量を投与することにより、哺乳動物個体のβ−アドレナリン作動性経路内の病理学的変化を打ち消すための方法に関する。
別の観点では、本発明はTGF−β受容体を介するTGF−βシグナリングを阻害することができる化合物の有効量を投与することにより、哺乳動物個体のβ−アドレナリン受容体(βAR)の感受性の低下を打ち消すための方法に関する。特定の態様では、βAR感受性の低下はβARアゴニストにより誘導される。別の態様ではTGF−β1を使用する。さらに別の態様ではβARはβ2ARである。
さらに別の観点では、本発明はβ2−ARの細胞発現を、TGF−β受容体を介するTGF−βのシグナリングを可能にする化合物で処理することを含んでなる、β2−アドレナリン受容体(β2−AR)発現およびβ−アドレナリン受容体アンタゴニストに対する応答の選択的阻害法に関する。
好適な態様の詳細な説明
A.定義
用語「β−アドレナリン受容体」、「β−アドレノレセプター」および「βAR」は互換的に使用し、そしてヒトおよびすべての哺乳動物種のβ1−、β2−およびβ−アドレナリン受容体を含むβ−アドレナリン受容体のすべての群、ならびにそれらの多型バリアントを包含する。
好適な態様の詳細な説明
A.定義
用語「β−アドレナリン受容体」、「β−アドレノレセプター」および「βAR」は互換的に使用し、そしてヒトおよびすべての哺乳動物種のβ1−、β2−およびβ−アドレナリン受容体を含むβ−アドレナリン受容体のすべての群、ならびにそれらの多型バリアントを包含する。
本明細書において用語「TGF−β」は、TGF−βポリペプチドの任意の自然に存在するバリアントを含め、すべての哺乳動物種の天然配列のTGF−β1、TGF−β2およびTGF−β3を含むために使用する。
本明細書において用語「β−アドレナリン作動性経路における病理学的変化」とは最も広義に使用し、そして疾患または病理学的状態を生じるか、またはそれらに引き起こされ、または付随する、限定するわけではないがβ1−、β2−およびβ−アドレナリン受容体、サイクリックアデノシンモノホスフェート(cAMP)、アデニリルシクラーゼ(AC5およびAC6アイソフォームを含む)、α、βおよびγサブユニットを含む三量体Gsタンパク質、グアノシントリホスフェート(GTP)、グアノシンジホスフェート(GDP)等を含むβ−アドレナリン受容体シグナル伝達経路の任意のメンバーのmRNAまたはタンパク質レベル、合成、密度、活性、機能、活性化の状態または感受性における変化を称する。例えばβ−アドレナリン受容体の過剰または不十分な発現、減少した感受性、低下した密度は種々の疾患または病理学的状態と関連し、そしてβ−アドレナリン作動性経路における病理学的変化と考えられる。
用語「病理学的変化を打ち消す」とは最も広義に使用し、そして元にあるメカニズムには関係なく病理学的変化を防ぐ、回避する、逆転する、補償する、遅らせる、遮断する、または限定する任意の作用を指す。
用語「β−アドレナリン作動性の感受性の低下」および「β−アドレナリン受容体の感受性の低下」ならびにそれらの文法的異形は互換可能に使用し、そしてそのような応答を誘引する刺激の持続的存在にもかかわらず、β−アドレナリン受容体を介してシグナルが伝達される生物学的応答の弱化を指す。
用語「β−アドレナリン作動性の感受性の低下を打ち消す」および「β−アドレナリン受容体の感受性の低下を打ち消す」ならびにそれらの文法的均等物は互換可能に、そして最も広義に使用し、そして元にある原因またはメカニズムに関係なく、そのような受容体を介してシグナルを伝達する分子、すなわち受容体のアゴニストに暴露されたβ−アドレナリン受容体の感受性の低下を防ぐ、回避する、逆転する、補償する、遅らせる、遮断する、または限定する任意の作用を含む。この用語は具体的には限定するわけではないが、β−アドレナリン受容体の脱感作、脱共役、封鎖およびダウンレギュレーションを網羅する。
用語「脱感作」は最も広義に使用し、そして事前にアゴニストに対して暴露した後に所定用量のアゴニストに対する低下した応答を意味する。
β−アドレナリン受容体に関連して用語「封鎖」は最も広義に使用し、そして元にあるメカニズムには関係なく、β−アドレナリン受容体アゴニストに暴露された後、細胞表面上のβ−アドレナリン受容体により提供されるリガンド結合部位に損失を生じるプロセスを説明する。
本明細書で使用する用語β−アドレナリン受容体の「アゴニスト」は、β−アドレナリン受容体を介するシグナリングに関与することができる任意の分子を指し、そしてそのような受容体の任意の天然リガンド、および受容体の天然リガンドの生物学活性を模する他の分子を含む。アゴニストには具体的に、β−アドレナリン受容体に対するアゴニスト抗体、β−アドレナリン受容体の天然リガンド(リガンド断片を含む)、およびペプチドおよび非ペプチド低分子を含む。
β−アドレナリン受容体により媒介される好適な「生物学的活性」は、哺乳動物個体の肺、心臓および/または腎臓機能に改善を生じる任意の活性である。
用語「肺(lung)機能の改善」および「肺(pulmonary)機能の改善」は互換的に使用し、そして肺の性能を測定するために適する任意のパラメーターにおける改善を指す。すなわち肺機能の改善は、例えば呼吸速度および一回呼吸量における改善をモニタリングするブレオマイシンラット肺損傷モデルのようなマウスのブレオマイシンが誘導する肺損傷モデルで測定することができる。肺機能の尺度としてヒト患者で典型的にモニタリングされるパラメーターには、限定するわけではないが吸気および呼気速度、肺容積(肺活量とも呼ぶ)、および一酸化炭素に関する拡散容量、強制的な呼気(forcible exhale)、呼吸速度等を含む。患者の肺機能を定量的に測定する方法は当該技術分野では周知であり、そして具体的なパラメーターを測定するための吸気および呼気措置(inspiratory and expiratory maneuver)の設定した時間での測定を含む。例えば努力肺活量(FVC)は最初の深い吸気から患者により強制的に呼出される総容積をリットルで測定する。このパラメーターは、1秒に強制的に排出される容積(FEV1)と一緒に評価される時、気管支収縮が定量的に測定できるようになる。呼出された空気の容積を肺機能の指数として測定することに加えて、呼息サイクルの異なる部分にわたり測定される1分間あたりの流れ(リットルで)は、患者の肺機能の状態を測定するために有用となり得る。特に強制的な最大呼気中に1分あたりの最高流速としてリットルで取られるピーク呼気流は、呼吸疾患を有する患者の全体的な肺機能とよく相関する。これらのおよび類似するパラメーターを測定するための方法および道具は当該技術分野では周知であり、そして毎日の臨床的プラクティスで日常的に使用されている。
用語「一回呼吸量」は、それぞれ通常の呼吸で吸入または吐き出される空気の容積を指す。
用語「心機能の改善」および「心臓機能の改善」は互換的に使用し、そして心臓の性能を測定するために適する任意のパラメーターにおける改善を指す。適当なパラメーターには限定するわけではないが、不整脈、(末梢)血管収縮、循環しているカテコールアミンのレベル、イオノトロピーの程度等を含む。
用語「腎臓機能の改善」は、例えば種々の物質の血漿クリアランスの測定、三次元的コンピューター断層撮影法、腎臓機能の放射線評価等のような腎臓の性能を測定するために適する任意のパラメーターにおける改善を指す。
用語「TGF−β受容体により媒介される生物学的活性」および類似の用語は、TGF−β受容体の活性化、および下流の細胞内シグナリングの結果に伴う任意の活性を指すために使用する。
「TGFβ−R1キナーゼ受容体により媒介される生物学的活性」または「TGFβ−R1受容体により媒介される生物学的活性」は、TGFβ−R1の活性化、およびSmad2/Smad3のリン酸化のような下流の細胞内シグナリングの結果、または例えばp38およびrasを含むTGFβシグナル伝達カスケードのSmad非依存的なシグナリングアームで起こる任意のシグナリング効果に伴う任意の活性を指すことができる。
用語「処置」は治療的処置および予防的または防止的措置の両方を称し、ここで目的は標的とする病理学的状態または障害を防止し、または遅らせ(弱め)ることである。処置が必要であるものには、すでに障害を有するものならびに障害を有する傾向があるもの、あるいは障害が防止されるべきものを含む。すなわち肺機能、心機能または腎機能を改善する内容において、処置には肺機能、心機能または腎機能に負の影響を及ぼす疾患または状態の防止および処置、あるいは肺機能、心機能または腎機能の改善からそうではなく利益を得ること、そのような疾患の1以上の症状の軽減、あるいはそのような疾患から生じる合併症の防止および処置、および死亡率の低下を含む。肺機能の場合、処置は肺機能に欠陥がある患者の運動耐性の改善ももたらすことができる。
肺機能に負の影響を及ぼす疾患または状態の「病状」には、患者の健康を危うくするすべての現象を含む。
「肺機能の改善から利益を得る疾患または状態」には、肺の性能の測定に適する少なくとも1つのパラメーターに負の変化を含むすべての疾患、障害および状態を含む。そのような疾患および状態には限定するわけではないが、気管支収縮疾患、そして具体的には気腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺水腫、嚢胞性線維症(CF)、閉塞性肺疾患、急性呼吸不全症候群(ARDS)、喘息、放射線が誘発する肺の損傷、および感染源、吸入した毒素、または循環している外因性毒素、老化および肺機能の減損に対する遺伝的素因のような他の因子から生じる肺の損傷を含む。
「心機能の改善から利益を得る疾患または状態」には、心臓の性能の測定に適する少なくとも1つのパラメーターに負の変化を含むすべての疾患、障害および状態を含む。そのような疾患および状態には限定するわけではないが、心臓肥大、うっ血性心不全、心筋障害等を含む。
「腎機能の改善から利益を得る疾患または状態」には、腎臓の性能の測定に適する少なくとも1つのパラメーターに負の変化を含むすべての疾患、障害および状態を含む。そのような疾患および状態には、限定するわけではないが、急性および慢性の腎臓疾患、腎不全および溶血性尿毒素症候群を含む。
本明細書で使用する用語「TGF−βインヒビター」は、TGF−β受容体キナーゼとの相互作用によりTGFβ−R1またはTGFβ−R2受容体のような、TGF−β受容体キナーゼにより媒介される天然TGF−β分子の生物学的機能を阻害する能力を有する分子を称する。したがって用語「インヒビター」は、TGF−βおよびその受容体の生物学的役割の内容において定義される。本明細書のインヒビターはそれらがTGF−β受容体キナーゼと相互作用する能力、そしてこれによりTGF−βの生物学的機能を阻害することにより特徴つけられるが、それらはさらにTGF−βシグナル伝達経路の他のメンバーまたはTGF−βシグナル伝達経路および他の経路に共有されるメンバーと相互作用するかもしれない。すなわち用語「TGF−βインヒビター」は、限定するわけではないがアクチビン受容体キナーゼ、例えばAlk4および/またはMAPキナーゼを含む2以上の受容体キナーゼの生物学的機能と相互作用し、そして阻害できる分子を具体的に含む。
インヒビターおよび受容体に関して、用語「相互作用する」にはインヒビターの受容体への結合、ならびに結合が関与しない間接的相互作用を含む。受容体への結合は例えば特異的または優先的であることができる。
用語「特異的な結合性(specifically binding)」、「特異的に結合する(binds specifically)」、「特異的結合(specific binding)」およびそれらの文法的異形は、TGFβ受容体のような標的分子内の独自なエピトープ、例えばI型TGF−β受容体(TGFβ−R1)への結合を指すために使用する。結合は受容体、例えばTGFβ−R1を介するTGF−βシグナル伝達を効果的に阻害するための親和性で起こらなければならない。
本明細書で使用する「優先的な結合性(preferentially binding)」、「優先的に結合する(binds preferentially)」、「優先的結合(preferential binding)」およびそれらの文法的異形は、1つの標的に対する結合が任意の他の結合パートナーに対する結合よりも有意に大きいことを意味する。優先的に結合する標的への結合親和性は、任意の他の結合パートナーに対する結合親和性よりも一般に少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約5倍、さらに一層好ましくは少なくとも約10倍大きい。
本明細書で使用する用語「優先的に阻害する」とは、「優先的に阻害される」標的に及ぼす阻害効果が、任意の他の標的よりも有意に大きいことを意味する。すなわち例えばp38キナーゼと比較したTGF−β−R1キナーゼの優先的阻害の内容では、この用語はインヒビターがp38キナーゼにより媒介される生物学的活性よりもTGF−β−R1キナーゼにより媒介される生物学的活性を有意に多く阻害することを意味する。優先的に阻害される受容体を選ぶ場合に阻害程度の差異は、一般に少なくとも約2倍、より好ましくは少なくとも約5倍、さらに一層好ましくは約10倍である。
処置の目的に関して用語「哺乳動物」はヒトを初めとして、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウサギ等のような家畜および飼育場の動物、および動物園、変種(sport)または愛玩動物を含む哺乳動物に分類される任意の動物を指す。好ましくは哺乳動物はヒトである。
1以上のさらなる治療薬と「組み合わせた」投与には、任意の順序で同時(simultaneous)(同時(concurrent))および順次の投与を含む。
本発明の内容において「治療に有効な量」とは、上記に定めるようにβ−アドレナリン作動性経路における病理学的変化を打ち消すことができる量を指す。疾患または状態の処置に関して、用語「治療に有効な量」とは以下の効果の1以上を引き起こすことができる量を指す:(1)疾患または状態の防止;(2)疾患または状態の発生または進行の抑制(すなわち低下、遅延または完全な停止);(3)そのような疾患または状態から生じる結果または合併症の抑制(すなわち低下、遅延または完全な停止);および(4)そのような疾患または状態に伴う1以上の症状、あるいはそのような疾患および/または状態から生じる結果または合併症の症状のある程度の軽減を含む。
本明細書で使用する「非妨害置換基」は、定性的に完全なTGF−β活性を阻害する式(1)の化合物の能力を残す置換基である。すなわち置換基は阻害の程度を改変することができる。しかし式(1)の化合物がTGF−β活性を阻害する能力を保持する限り、置換基は「非妨害置換基」に分類される。
本明細書で使用する「ヒドロカルビル残基」とは、炭素および水素のみを含む残基を指す。この残基は脂肪族または芳香族の直鎖、環状、分枝、飽和もしくは不飽和でよい。ヒドロカルビル残基は、示す時にはヘテロ原子を置換残基の炭素および水素の員の上(over and above)に含むことができる。すなわちそのようなヘテロ原子を含有すると具体的に記す時、ヒドロカルビル残基はカルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基等を含み、またはヒドロカルビル残基の「骨格」内にヘテロ原子を含むことができる。
本明細書で使用する用語「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」には直鎖および分枝鎖および環式の一価の置換基を含む。例にはメチル、エチル、イソブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルエチル、2−プロペニル、3−ブチニル等を含む。典型的にはアルキル、アルケニルおよびアルキニル置換基は、1−10C(アルキル)または2−10C(アルケニルもしくはアルキニル)を含む。好ましくはそれらは1−6C(アルキル)または2−6C(アルケニルもしくはアルキニル)を含む。ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニルは同様に定義されるが、1−2O、SまたはNヘテロ原子またはそれらの組み合わせを骨格残基内に含むことができる。
本明細書で使用する「アシル」は、アルキル、アルケニル、アルキニルの定義、およびカルボニル基を介してさらなる残基に結合した関連するヘテロ形を包含する。
「芳香族」部分は、フェニルもしくはナフチルのような単環式または縮合二環式部分を指し;また「複素芳香族」はO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含有する単環式または縮合二環式環系を指す。ヘテロ原子の包含は、5員環ならびに6員環の包含を可能とする。すなわち典型的な芳香族系にはピリジル、ピリミジル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリル等を含む。環系全体の電子的分布という意味で、芳香族の特性を有する任意の単環式または縮合環二環式系がこの定義に含まれる。典型的には環系は5−12環員の原子を含む。
同様に「アリールアルキル」および「ヘテロアルキル」とは、置換もしくは非置換の、飽和もしくは不飽和の典型的には1−6Cの炭素鎖を含む炭素鎖を介して、別の残基に結合する芳香族および複素芳香族系を称する。これらの炭素鎖はカルボニル基を含んでもよく、これによりそれらがアシル部分としての置換基を提供できるようにする。
B.本発明の実施の形態
本発明は、TGFβ受容体を介するTGFβのシグナリングを阻害することができる化合物はβ−アドレナリン作動性経路における病理学的変化を打ち消すことができるという驚くべき知見に基づく。したがって本発明は必要な哺乳動物、例えばヒト、個体にTGFβ受容体を介するTGFβのシグナリングを阻害することができる化合物を投与することに関する。
B.本発明の実施の形態
本発明は、TGFβ受容体を介するTGFβのシグナリングを阻害することができる化合物はβ−アドレナリン作動性経路における病理学的変化を打ち消すことができるという驚くべき知見に基づく。したがって本発明は必要な哺乳動物、例えばヒト、個体にTGFβ受容体を介するTGFβのシグナリングを阻害することができる化合物を投与することに関する。
上で検討したように、β−アドレナリン作動性経路における特定の病理学的変化は、β−アドレナリン作動性の感受性の低下、すなわち刺激に対するβ−アドレナリン受容体の応答の損失である。β−アドレナリン作動性の感受性の低下は、限定するわけではないがβ−アドレナリン受容体アゴニストに対する長期または過剰な暴露を含む様々な理由から生じる。
β−アドレナリン受容体(βAR)アゴニストは、それらの生物学的活性をβ−アドレノレセプターのリガンド結合部位との相互作用により発揮する。この相互作用は活性化されたアデニリルシクラーゼによるATPからcAMPの合成の触媒を含め、一連の下流の出来事を誘起する。cAMPは筋肉調節タンパク質のリン酸化、および細胞性Ca++濃度の低下(atennuation)を介して気道の弛緩を誘導することが知られている。βARアゴニストはcAMPの生産を誘導するので、それらは有力な平滑筋弛緩剤である。
気管支拡張剤用の吸入型βARアゴニストの使用は臨床的使用で広く行きわたっている。β−受容体アゴニストを用いた処置から利益を得る慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような多数の肺の状態が存在する。COPDは例えば慢性の閉塞性気管支、気腫、および慢性気道閉塞を含む個別に、または組み合わさって起こり得る状態、疾患および症状の範囲を説明するために通常使用される。時間の経過につれて、疾患が進行すると、次第により重篤な症状が発生し得る。COPDは進行性疾患であるが、その重篤度は時間とともに増し、例えば反復的な環境汚染物質への暴露、喫煙等により強度が変動する再発性の悪化を特徴とする。COPDは現在、米国で4番目の主な死亡原因である。またβARアゴニストは限定するわけではないが気腫、慢性気管支炎、肺水腫、嚢胞性線維症(CF)、閉塞性肺疾患、急性呼吸不全症候群(ARDS)、喘息、放射線が誘発する肺の損傷、および感染源、吸入した毒素、または循環している外因性毒素、老化および肺機能の減損に対する遺伝的素因のような他の因子から生じる肺の損傷を含め、肺機能の改善を必要とするか、またはそれから利益を得る他の肺の状態(特に気管支拡張から利益を得る状態)の処置にも広く使用されている。すべての場合で、βARアゴニストは単独で、または抗コリン作用性薬、テオフィリンのような他の薬理学的作用物質またはコルチコステロイド療法と組み合わせて投与することができる。
またβARが媒介する心臓の変力性応答は、心臓の血流学的バランスに重要であることも周知である。心筋障害、心臓肥大およびうっ血性心不全(CHF)の様々な形態で、βAR経路は低下したアドレナリン作動性の刺激をもたらす幾つかの改変を受ける。すなわち肥大および不全は、βAR機能における著しい異常を特徴とする(Bristow,Lancet 352(Suppl.I)8−14(1998))。機能しないヒトの心臓では、β1−ARが脱感作され、そして選択的にダウンレギュレートされ、さらに弱いイオノトロピー応答をもたらす。β2−ARは機能しない心臓で脱感作され得るが、受容体レベルは有意に変化せず、発生中の心筋層のβ1−AR/β2−AR比の記憶(reminiscent)を生じる(Bristow et al.,Circ.Res. 59:297−309(1986);Brodde and Michel,Pharmacol.Rev.51:651−690(1999);Ligget,J.Clin.Invest.107:947−948(2001))。心不全で観察される上昇したカテコールアミンは少なくとも一部が、β−ARの脱感作およびダウンレギュレーションの両方の原因であると仮定された(Bristow,1998,同上;Bristow et al.,N.Engl.J.Med.307:205−211(1982))。しかしアゴニストが誘導するダウンレギュレーションは、サブタイプに特異的なβ1−ARの損失を説明せず;すなわち他のメカニズムが作動しているかもしれない。増加する証拠は、トランスフォーミング増殖因子−β1(TGF−β1)、上皮増殖因子(EGF)および神経成長因子(NGF)のような種々の増殖因子が、病理学的条件下の実験モデルの心臓でβ−ARのシグナリングを調節することができることを示唆する(Nair et al.,J.Cel.Physiol.164:232−239(1995):Lorita et al.,Am J.Physiol.Heart.Circ.Physiol.283:H1887−1895(2002);Heath et al.,J.Physiol.512:779−791(1998))。ドブタミンのような外因性β−アゴニスト変力剤の投与は、これらのおよび類似の心臓状態の進行した形態の患者に利益をもたらす。
市販されているβ−アドレナリン受容体アゴニストにはアルブテロール(PROVENTIL(商標))を含み、これはβ2受容体、フェノテロール、フォルモテロール、ピルブテロール、プロカテロールおよびドブタミンと選択的に相互作用するβ2−アゴニストの原型であると考えることができる。β−受容体アゴニストは、それらの生物学的活性を発揮するためにβ−アドレナリン受容体の活性部位と相互作用する必要がある。β2−アドレナリン受容体のようなβ−アドレナリン受容体のアゴニスト結合/相互作用部位も周知であり、そして受容体と受容体のアゴニストとの間の相互作用のメカニズムも十分に特性決定されている(例えばStrader et al.,J.Biol.Chem.264:13572−13580(1989)を参照にされたい)。
不幸なことには、β−アゴニストに長期または過剰に暴露された患者は、典型的には受容体の脱感作、脱共役、封鎖および/またはダウンレギュレーションの結果としてそのような処置に対する耐性を発生するようである。このリスクは気管支拡張薬として使用されるアルブテロールのような急速に作用する吸入剤の場合に特に高い。したがってこれらのプロセスは気管支拡張薬から利益を得る種々の肺の状態の処置において、βARアゴニストの効力を有意に制限する。同様に、機能しない心臓はβ−アゴニスト変力剤の投与に対して抑制された応答性を現すことが多い。すなわち心筋症およびCHFの種々の形態には、β1ARのダウンレギュレーションおよび/または脱共役およびβ2ARの脱共役が関与することが示された。例えば心臓の繊維芽細胞において、TGF−β1はβ−AR数およびイソプロテレノールに対する応答をダウンレギュレートすることが示された(Iizuka et al.,J.mol.Cel.,Cardiol.26:435−440(1994))。最近、Rozankranz et al.がトランスジェニック(TG)マウスにおいて循環するTGF−β1の過剰発現が、心臓肥大および強化されたβ−アドレナリン作動性シグナリングを誘導することを報告した(Am.J.Physiol.Heart.Circ.Physiol.283:H1253−1262(2002))。しかしこれらのマウスにおいて改変されたβ−ARのシグナリングがTGF−β1の直接的効果を反映しているのか、またはTG系での過剰TGF−β1により引き起こされる心臓肥大の2次的効果によるものかどうかは明らかではない。
これまでの多くの検討はアゴニストが誘導するβAR応答性の損失に集中してきたが、CFおよびCOPDのような特定の状態では、βAR感受性はアゴニス非依存的様式でも低下する可能性がある。例えばこれらのおよび他の疾患状態において、受容体の定常状態は疾患状態の結果としてβAR合成の低下、またはβARの分解速度の上昇の結果のいずれかにより改変し得る。
本発明はヒトのような哺乳動物個体において、減損されたβAR応答を改善する新規かつ効率的方法を提供する。特定の観点では、本発明はTGF−β受容体を介するTGF−β1のシグナリングを阻害することができる化合物を投与することにより、β−アゴニスト治療に対する患者の応答性を上げる新規かつ効率的方法を提供する。
本発明の化合物
本発明の化合物は、TGFβ受容体を介するTGFβのシグナリングを阻害することができ、そして結果として、βアドレナリン作動性シグナル伝達経路における病理学的変化を打ち消すことができる。すでに検討したように、本発明の目的について定義したTGF−βインヒビターは、TGF−β受容体キナーゼとの相互作用を介してTGFβ−R1またはTGFβ−R2受容体のようなTGF−β受容体キナーゼにより媒介される天然TGF−β分子の生物学的機能を阻害する能力を有する任意の化合物であることができる。インヒビターはそれらのTGF−β受容体キナーゼと相互作用する能力、そしてこれによりTGF−βの生物学的機能を阻害することにより特性づけられるが、それらはさらにTGF−βシグナル伝達経路の他のメンバーまたはTGF−βシグナル伝達経路および他の経路により共有されるメンバーと相互作用する可能性がある。すなわちTGF−βインヒビターは2以上の受容体キナーゼと相互作用するかもしれない。
本発明の化合物
本発明の化合物は、TGFβ受容体を介するTGFβのシグナリングを阻害することができ、そして結果として、βアドレナリン作動性シグナル伝達経路における病理学的変化を打ち消すことができる。すでに検討したように、本発明の目的について定義したTGF−βインヒビターは、TGF−β受容体キナーゼとの相互作用を介してTGFβ−R1またはTGFβ−R2受容体のようなTGF−β受容体キナーゼにより媒介される天然TGF−β分子の生物学的機能を阻害する能力を有する任意の化合物であることができる。インヒビターはそれらのTGF−β受容体キナーゼと相互作用する能力、そしてこれによりTGF−βの生物学的機能を阻害することにより特性づけられるが、それらはさらにTGF−βシグナル伝達経路の他のメンバーまたはTGF−βシグナル伝達経路および他の経路により共有されるメンバーと相互作用する可能性がある。すなわちTGF−βインヒビターは2以上の受容体キナーゼと相互作用するかもしれない。
すでに検討したように、1型および2型TGF−β受容体は転写レギュレーターのSmadファミリーを介してシグナルを伝達するセリン−トレオニンキナーゼである。TGF−βの結合はTGFβ−R2によるTGFβ−R1のリン酸化および活性化を誘導する。活性化されたTGFβ−R1はSmad2およびSmad3をリン酸化し;これはSmad4に結合して核に移動し、そして転写調節複合体を形成する。MAPキナーゼ−ERKカスケードのような他のシグナリング経路もTGF−βのシグナリングにより活性化され、そしてSmad活性化を調節する。Smadタンパク質は核の転写に対してTGF−βおよびアクチビン受容体の両方の活性化と共役する。すなわち本発明のTGF−βインヒビターは、Alk4および/またはMAPキナーゼのようなアクチビン受容体キナーゼとさらに相互作用することができる。
本発明の化合物には限定するわけではないが、抗体および抗体様分子を含むポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、アンチセンス分子、おとり物質(decoy)、およびTGF−β受容体を介するTGF−βのシグナリングを阻害することができる非ペプチド小有機分子を含む。
特定の態様では、本発明の化合物は一般に約1,000ダルトンよりも小さいサイズの小有機分子(非ペプチド低分子)である。好適な非ペプチド低分子は、約750ダルトン未満、より好ましくは約500ダルトン未満、そしてさらに一層好ましくは約300ダルトン未満の分子量を有する。
好適な態様では、本発明の化合物は、式
[式中、
R3は非妨害置換基であり;
各ZはCR2またはNであり、環A中の2より多くのZ位がNではなく、そして環A中の2つの隣接するZ位はNであることはできず;
各R2は独立して非妨害置換基であり;
Lはリンカーであり;
nは0または1であり;そして
Ar’は、1〜3個の非妨害置換基で場合により置換された環式脂肪族、環式複素脂肪族、芳香族または複素芳香族部分の残基である]
の化合物またはそれらの製薬学的に許容され得る塩である。
R3は非妨害置換基であり;
各ZはCR2またはNであり、環A中の2より多くのZ位がNではなく、そして環A中の2つの隣接するZ位はNであることはできず;
各R2は独立して非妨害置換基であり;
Lはリンカーであり;
nは0または1であり;そして
Ar’は、1〜3個の非妨害置換基で場合により置換された環式脂肪族、環式複素脂肪族、芳香族または複素芳香族部分の残基である]
の化合物またはそれらの製薬学的に許容され得る塩である。
好適な態様では、小有機分子は本明細書ではキナゾリンおよびキナゾリンの誘導体またはキナゾリンの2−および4−位に対応する位置に必須な(mandatory)置換基を含有する関連化合物である。一般にキナゾリン核が好適であるが、本発明の範囲内の選択肢も以下に具体的に説明する。Z3の好適な態様はNおよびCHであり;Z5−Z8の好適な態様はCR2である。しかし各Z5−Z8は上記の条件下でNであることもできる。このように基本的なキナゾリン型の環系に関して、好適な態様にはキナゾリン自体、およびすべてのZ5−Z8ならびにZ3がNまたはCHのいずれかである態様を含む。また好適であるのは、Z3がNであり、そしてZ5またはZ8のいずれか、またはZ5およびZ8の両方がNであり、そしてZ6およびZ7がCHまたはCR2である態様である。R2がH以外である場合、CR2は6および/または7位に存在することが好適である。このように例として本発明の範囲内のキナゾリン誘導体には、さらに置換され得る非妨害置換基(R3)として2位に結合した芳香族環を有するキナゾリン核を含んでなる化合物を含む。
キナゾリンの4−位に対応する位置の置換基、LAr’に関して、Lは存在するか、または不存在であり、そして2−8Å、好ましくは2−6Å、より好ましくは2−4Åの距離で環Bから置換基Ar’と距離を置くリンカーである。この距離はLの一原子価が結合する環Bの環の炭素から、リンカーのもう1つの原子価が結合するAr’の環式部分の原子に結合するまでを測定する。Ar’部分は環Bに直接結合することができる(すなわちnが0である時)。しかし典型的には、非限定的なLの態様は式S(CR2 2)m、−NR1SO2(CR2 2)l、NR1(CR2 2)m、−NR1CO(CR2 2)l、O(CR2 2)m、OCO(CR2 2)l、および
であり、式中、ZはNまたはCHであり、そしてmは0−4であり、lは0−3であり、好ましくはそれぞれ1−3および1−2である。Lは好ましくは環Bに直接結合した−NR1−を提供する。R1の好適な態様はHであるが、R1はアシル、アルキル、アリールアシルまたはアリールアルキルでもよく、ここでアリール部分はアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリール、アルキルアリール、アロイル、N−アリール、NH−アルキルアリール、NH−アロイル、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−NRSOR、−NRSO2R、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、−RCO、−COOR、−SO3R、−CONR2、SO2NR2、CN、CF3およびNO2のような1−3個の基により置換されることができ、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−4C)であり、好ましくは置換基はアルキル(1−6C)、OR、SRまたはNR2であり、ここでRはHまたは低級アルキル(1−4C)である。より好ましくはR1はHまたはアルキル(1−6C)である。置換基に含まれる任意のアリール基はさらに、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、−RCO、−COOR、SO2R、NRSOR、NRSO2R、−SO3R、−CONR2、SO2NR2、CN、CF3またはNO2により置換されることができ、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−4C)である。
Ar’はアリール、6−5縮合ヘテロアリールを含むヘテロアリール、シクロ脂肪族またはシクロ複素脂肪族を含む。好ましくはAr’はフェニル、2−、3−もしくは4−ピリジル、インドリル、2−もしくは4−ピリミジル、ベンズイミダゾリル、インドリルであり、好ましくは各々は場合により置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、N−アリール、N−アロイル、ハロ、OR、NR2、SR、−OOCR、−NROCR、RCO、−COOR、−CONR2、SO2NR2、CN、CF3およびNO2からなる群から選択される基で場合により置換され、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−4C)である。
Ar’はより好ましくはインドリル、6−ピリミジル、3−もしくは4−ピリジルまたは場合により置換されたフェニルである。
Ar’が場合により置換されたフェニルである態様について、置換基には限定するわけではないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アロイル、N−アリール、NH−アルキルアリール、NH−アロイル、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、RCO、−COOR、−SO3R、−CONR2、SO2NR2、CN、CF3およびNO2を含み、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−4C)である。好適な置換基にはハロ、OR、SRおよびNR2を含み、ここでRはHまたはメチルもしくはエチルである。これらの置換基はフェニル環のすべての5つの位置、好ましくは1−2つの位置、好ましくは1つの位置を占めることができる。Ar’の態様には置換または非置換フェニル、2−、3−もしくは4−ピリジル、2−、4−もしくは6−ピリミジル、インドリル、イソキノリル、キノリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イミダゾリルおよびモルホリニルを含む。Ar’の態様として特に好適であるのは、3−もしくは4−ピリジル、特に非置換形の4−ピリジルである。
任意のアリール部分、特にフェニル部分は2個の置換基も含むことができ、これらが一緒になる時、5−7員の炭素環式または複素環式脂肪族環を形成する。
このようにキナゾリンの4−位に対応する環B中の位置の好適な置換基の態様には、2−(4−ピリジル)エチルアミノ;4−ピリジルアミノ;3−ピリジルアミノ;2−ピリジルアミノ;4−インドリルアミノ;5−インドリルアミノ;3−メトキシアニリニル;2−(2,5−ジフルオロフェニル)エチルアミノ−等を含む。
R3は一般に、O、SおよびNから選択される0−5個のヘテロ原子を含有するヒドロカルビル残基(1−20C)である。好ましくはR3は、アルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、各々が非置換であるか、または1−3個の置換基で置換されている。置換基はハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、RCO、−COOR、−SO3R、NRSOR、NRSO2R、−CONR2、SO2NR2、CN、CF3およびNO2を含む群から独立して選択され、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−4C)であり、そして任意のアリールまたはヘテロアリール部分に関して、該基はさらにアルキル(1−6C)またはアルケニルまたはアルキニルを含む。R3の好適な態様(キナゾリンの2−位に対応する位置の置換基)は、1−2個の置換基、好ましくはハロ、アルキル(1−6C)、OR、NR2およびSRで場合により置換されたフェニル部分を含んでなり、ここでRは上記定義の通りである。このようにキナゾリンの2−位の好適な置換基には、フェニル、2−ハロフェニル、例えば2−ブロモフェニル、2−クロロフェニル、2−フルオロフェニル;2−アルキル−フェニル、例えば2−メチルフェニル、2−エチルフェニル;4−ハロフェニル、例えば4−ブロモフェニル、4−クロロフェニル、4−フルオロフェニル;5−ハロフェニル、例えば5−ブロモフェニル、5−クロロフェニル、5−フルオロフェニル;2,4−もしくは2,5−ハロフェニルを含み、ここで異なる位置のハロ置換基は同一もしくは異なってもよく、例えば2−フルオロ−4−クロロフェニル;2−ブロモ−4−クロロフェニル;2−フルオロ−5−クロロフェニル;2−クロロ−5−フロオロフェニル等でよい。R3の他の好適な態様は、シクロペンチルまたはシクロヘキシル部分を含んでなる。
上記のように、R2は非妨害置換基である。上で説明したように、「非妨害置換基」はその存在が式(1)の化合物のTGF−β阻害能を実質的に破壊しないものである。
各R2も独立して、O、SおよびNから選択される0−5個のヘテロ原子を含有するヒドロカルビル残基(1−20C)である。好ましくはR2は独立してH、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシルまたはそれらのヘテロ形であるか、あるいはアリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルであり、各々が非置換であるか、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アロイル、N−アリール、NH−アルキルアリール、NH−アロイル、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、NRSOR、NRSO2R、−OCONR2、RCO、−COOR、−SO3R、NRSOR、NRSO2R、−CONR2、SO2NR2、CN、CF3およびNO2からなる群から独立して選択される1−3個の置換基で置換され、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−4C)である。該置換基上のアリールまたはアロイル基はさらに、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、RCO、−COOR、−SO3R、−CONR2、SO2NR2、CN、CF3およびNO2により置換されることができ、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−4C)である。より好ましくはR2上の置換基はR4、ハロ、OR4、NR4 2、SR4、−OOCR4、−NROCR4−COOR4、R4CO、−CONR4 2、−SO2NR4 2、CN、CF3およびNO2から選択され、ここで各R4は独立してH、または場合により置換されたアルキル(1−6C)であるか、または場合により置換されたアリールアルキル(7−12C)であり、そして2つのR4または該アルキルまたはアリールアルキル上の2つの置換基は一緒に5−7員の縮合脂肪族環を形成することができる。
またR2はそれ自体が、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、NRSOR、NRSO2R、−OCONR2、RCO、−COOR、−SO3R、NRSOR、NRSO2R、−CONR2、SO2NR2、CN、CF3およびNO2からなる群から選択されてもよく、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−4C)である。
R2により表されるより好適な置換基は、上で説明したAr’またはR3に含まれるフェニル部分に関して説明したものである。2つの隣接するCR2は一緒に5−7原子の炭素環式または複素環式の縮合脂肪族環を形成することができる。好適なR2置換基は、式R4、−OR4、SR4またはR4NH−、特にR4NH−のものであり、ここでR4は上記定義の通りである。特に好適であるのは、R4が置換されたアリールアルキルである場合である。式(1)の化合物の具体的な代表例は以下の表1−3に示す。表1に列挙するすべての化合物は、キナゾリン環系(Z3はNである)を有し、ここでA環は非置換である(Z5−Z8はCHを表す)。B環の置換基は表中に列挙する。
表2の化合物は、示すようなキナゾリン核の修飾を含む。表2中のすべての化合物は、Z3がNであり、そしてZ6およびZ7がCHを表す式(1)の態様である。すべての場合でリンカーが存在し、そしてNHである。
環AがZ6またはZ7にCR2を含み、ここでR2がHではないさらなる化合物を調製した。LがNHであり、そしてAr’が4−ピリジルである、すべてがキナゾリン誘導体のこれらの化合物を表3に示す。
本発明は特定のキナゾリン誘導体について具体的に説明するが、そのように限定されない。本発明のインヒビターには、キナゾリン誘導体について上で検討したもののような置換基を持つピリジン、ピリミジン核のような非キナゾリンを有する化合物を含む。
式(1)の化合物を含め本発明の化合物は、塩酸、硫酸、臭化水素酸またはリン酸のような無機酸の塩、あるいは酢酸、酒石酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等のような有機酸の塩を含むそれらの製薬学的に許容され得る酸付加塩の状態で供給されることができる。カルボキシル部分が式(1)の化合物に存在する場合、化合物は製薬学的に許容され得るカチオンとの塩としても供給され得る。
本発明の方法に使用するための別の化合物群は、以下の式(2)
[式中、
Y1は、ハロ、アルコキシ(1−6C)、アルキルチオ(1−6C)、アルキル(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、−O−(CH2)m−Ph、−S−(CH2)m−Ph、シアノ、フェニルおよびCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)であり、そしてmは0−3である)から選択される1以上の置換基で場合により置換されたフェニルまたはナフチルであるか;あるいは5−もしくは7−員の芳香族または非芳香族環(ここで該環はN、OおよびSから独立して選択される最高3個のヘテロ原子を含む)に縮合したフェニルであり、
Y2、Y3、Y4およびY5は独立して、水素、アルキル(1−6C)、アルコキシ(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)を表すか;あるいは隣接するY2、Y3、Y4およびY5の対が、場合により最高2個の窒素原子を含む縮合した6−員の芳香族環を形成し、該環は、アルキル(1−6C)、アルコキシ(a−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)から独立して選択される1以上の置換基により場合により置換され、そして残りのY2、Y3、Y4およびY5は、水素、アルキル(1−6C)、アルコキシ(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)を表し;そして
X1およびX2の1つがNであり、そしてもう1つがNR6であり、ここでR6は水素またはアルキル(1−6C)である]
により表される。
Y1は、ハロ、アルコキシ(1−6C)、アルキルチオ(1−6C)、アルキル(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、−O−(CH2)m−Ph、−S−(CH2)m−Ph、シアノ、フェニルおよびCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)であり、そしてmは0−3である)から選択される1以上の置換基で場合により置換されたフェニルまたはナフチルであるか;あるいは5−もしくは7−員の芳香族または非芳香族環(ここで該環はN、OおよびSから独立して選択される最高3個のヘテロ原子を含む)に縮合したフェニルであり、
Y2、Y3、Y4およびY5は独立して、水素、アルキル(1−6C)、アルコキシ(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)を表すか;あるいは隣接するY2、Y3、Y4およびY5の対が、場合により最高2個の窒素原子を含む縮合した6−員の芳香族環を形成し、該環は、アルキル(1−6C)、アルコキシ(a−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)から独立して選択される1以上の置換基により場合により置換され、そして残りのY2、Y3、Y4およびY5は、水素、アルキル(1−6C)、アルコキシ(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)を表し;そして
X1およびX2の1つがNであり、そしてもう1つがNR6であり、ここでR6は水素またはアルキル(1−6C)である]
により表される。
式(2)で使用するように、点線で表す二重結合は化合物の可能な互変異性体環を表す。式(2)の化合物およびそれらの調製に関するさらなる情報は、2002年5月23日に公開された国際公開第02/40468号パンフレットに開示され、その全開示は引用により明白に本明細書に編入する。
本発明の方法に使用するための別の化合物群は、以下の式(3)
[式中、
Y1は、ハロ、アルコキシ(1−6C)、アルキルチオ(1−6C)、アルキル(1−6C)、−O−(CH2)−Ph、−S−(CH2)n−Ph、シアノ、フェニルおよびCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)であり、そしてnは0、1、2または3である)からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されたナフチル、アントラセニルまたはフェニルであるか;あるいはY1は5−7員の芳香族または非芳香族の環式環(ここで該環式環はN、OおよびSから独立して選択される最高2個のヘテロ原子を場合により含む)に縮合したフェニルを表し;
Y2は、H、NH(CH2)n−PhまたはNH−アルキル(1−6C)(ここでnは0、1、2または3である)であり;
Y3は、CO2H、CONH2、CN、NO2、アルキルチオ(1−6C)、−SO2−アルキル(C1−6)、アルコキシ(1−6C)、SONH2、CONHOH、NH2、CHO、CH2NH2またはCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)である)であり;
X1およびX2の1つがNまたはCR’であり、そしてもう1つがNR’またはCHR’(ここでR’は水素、OH、アルキル(C−16)またはシクロアルキル(C3−7)である)であるか;あるいはX1およびX2の1つがNまたはCR’である時、他はSまたはOであることができる]
により表される。
Y1は、ハロ、アルコキシ(1−6C)、アルキルチオ(1−6C)、アルキル(1−6C)、−O−(CH2)−Ph、−S−(CH2)n−Ph、シアノ、フェニルおよびCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)であり、そしてnは0、1、2または3である)からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されたナフチル、アントラセニルまたはフェニルであるか;あるいはY1は5−7員の芳香族または非芳香族の環式環(ここで該環式環はN、OおよびSから独立して選択される最高2個のヘテロ原子を場合により含む)に縮合したフェニルを表し;
Y2は、H、NH(CH2)n−PhまたはNH−アルキル(1−6C)(ここでnは0、1、2または3である)であり;
Y3は、CO2H、CONH2、CN、NO2、アルキルチオ(1−6C)、−SO2−アルキル(C1−6)、アルコキシ(1−6C)、SONH2、CONHOH、NH2、CHO、CH2NH2またはCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)である)であり;
X1およびX2の1つがNまたはCR’であり、そしてもう1つがNR’またはCHR’(ここでR’は水素、OH、アルキル(C−16)またはシクロアルキル(C3−7)である)であるか;あるいはX1およびX2の1つがNまたはCR’である時、他はSまたはOであることができる]
により表される。
式(3)の化合物およびそれらの調製様式に関するさらなる詳細は、2000年10月19日に公開された国際公開第00/61576号パンフレットに開示され、その全開示は引用により明白に本明細書に編入する。
さらなる態様では、本発明のTGF−βインヒビターは以下の式(4)
[式中、
Arは5−12の環の員を含む場合により置換された芳香族または場合により置換された複素芳香族部分を表し、ここで該複素芳香族部分は、場合により置換されたArが
Arは5−12の環の員を含む場合により置換された芳香族または場合により置換された複素芳香族部分を表し、ここで該複素芳香族部分は、場合により置換されたArが
{式中、R5はH、アルキル(1−6C)、アルケニル(2−6C)、アルキニル(2−6C)、5−11の環の員を含む芳香族または複素芳香族部分である}
でないならば、1以上のO、Sおよび/またはNを含み;
XはNR1、OまたはSであり;
R1は、H、アルキル(1−8C)、アルケニル(2−8C)またはアルキニル(2−8C)であり;
Zは、NまたはCR4を表し;
各R3およびR4は独立して、Hまたは非妨害置換基であり;
各R2は独立して、非妨害置換基であり;そして
nは0、1、2、3、4または5である]
およびそれらの製薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグ形により表される。1つの態様では、n>2、そしてR2’が隣接する場合、それらは一緒に連結して、各ヘテロ原子が独立してO、NまたはSであることができる1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜7員の非芳香族、複素芳香族または芳香族環を形成することができる。
でないならば、1以上のO、Sおよび/またはNを含み;
XはNR1、OまたはSであり;
R1は、H、アルキル(1−8C)、アルケニル(2−8C)またはアルキニル(2−8C)であり;
Zは、NまたはCR4を表し;
各R3およびR4は独立して、Hまたは非妨害置換基であり;
各R2は独立して、非妨害置換基であり;そして
nは0、1、2、3、4または5である]
およびそれらの製薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグ形により表される。1つの態様では、n>2、そしてR2’が隣接する場合、それらは一緒に連結して、各ヘテロ原子が独立してO、NまたはSであることができる1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜7員の非芳香族、複素芳香族または芳香族環を形成することができる。
好適な態様では、Arは5−9環の員を含有する場合により置換された芳香族または場合により置換された複素芳香族部分を表し、ここで該複素芳香族部分は1以上のNを含むか;あるいは
R1は、H、アルキル(1−8C)、アルケニル(2−8C)またはアルキニル(2−8C)であり;あるいは
Zは、NまたはCR4を表し;ここで
R4はH、アルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)またはアルキニル(2−10C)、アシル(1−10C)、アリール、アルキルアリール、アロイル、O−アリール、O−アルキルアリール、O−アロイル、NR−アリール、NR−アルキルアリール、NR−アロイルまたは前記のヘテロ形、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−NRSOR、−NRSO2R、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、−COOR、−SO3R、−CONR2、−SO2NR2、−CN、−CF3または−NO2であり、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−10C)または該アルキルのハロまたはヘテロ原子の含有形であり、その各々は場合により置換されてもよい。好ましくはR4はH、アルキル(1−10C)、OR、SRまたはNR2であり、ここでRはHまたはアルキル(1−10C)であるか、またはO−アリールであるか;あるいは
R3はR4と同じ様式で定義され、そして好適な形態は類似するが、R3は独立して具体化され;あるいは
各R2は独立してアルキル(1−8C)、アルケニル(2−8C)、アルキニル(2−8C)、アシル(1−8C)、アリール、アルキルアリール、アロイル、O−アリール、O−アルキルアリール、O−アロイル、NR−アリール、NR−アルキルアリール、NR−アロイルまたは前記のヘテロ形、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−NRSOR、−NRSO2R、−NRSO2R2、−SO2R、−OCOR、−OSO3R、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、−COOR、−SO3R、−CONR2、−SO2NR2、−CN、−CF3または−NO2であり、ここで各Rは独立してHまたは低級アルキル(1−4C)である。好ましくはR2は、ハロ、アルキル(1−6C)、OR、SRまたはNR2であり、ここでRはHまたは低級アルキル(1−4C)であり、より好ましくはハロであり;またはnは0−3である。
R1は、H、アルキル(1−8C)、アルケニル(2−8C)またはアルキニル(2−8C)であり;あるいは
Zは、NまたはCR4を表し;ここで
R4はH、アルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)またはアルキニル(2−10C)、アシル(1−10C)、アリール、アルキルアリール、アロイル、O−アリール、O−アルキルアリール、O−アロイル、NR−アリール、NR−アルキルアリール、NR−アロイルまたは前記のヘテロ形、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−NRSOR、−NRSO2R、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、−COOR、−SO3R、−CONR2、−SO2NR2、−CN、−CF3または−NO2であり、ここで各Rは独立してHまたはアルキル(1−10C)または該アルキルのハロまたはヘテロ原子の含有形であり、その各々は場合により置換されてもよい。好ましくはR4はH、アルキル(1−10C)、OR、SRまたはNR2であり、ここでRはHまたはアルキル(1−10C)であるか、またはO−アリールであるか;あるいは
R3はR4と同じ様式で定義され、そして好適な形態は類似するが、R3は独立して具体化され;あるいは
各R2は独立してアルキル(1−8C)、アルケニル(2−8C)、アルキニル(2−8C)、アシル(1−8C)、アリール、アルキルアリール、アロイル、O−アリール、O−アルキルアリール、O−アロイル、NR−アリール、NR−アルキルアリール、NR−アロイルまたは前記のヘテロ形、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−NRSOR、−NRSO2R、−NRSO2R2、−SO2R、−OCOR、−OSO3R、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、−COOR、−SO3R、−CONR2、−SO2NR2、−CN、−CF3または−NO2であり、ここで各Rは独立してHまたは低級アルキル(1−4C)である。好ましくはR2は、ハロ、アルキル(1−6C)、OR、SRまたはNR2であり、ここでRはHまたは低級アルキル(1−4C)であり、より好ましくはハロであり;またはnは0−3である。
Arにより表される芳香族または複素芳香族部分上の任意の置換基には、アルキル(1−10C)、アルケニル(2−10C)、アルキニル(2−10C)、アシル(1−10C)、アリール、アルキルアリール、アロイル、O−アリール、O−アルキルアリール、O−アロイル、NR−アリール、NR−アルキルアリール、NR−アロイルまたは前記のヘテロ形、ハロ、OR、NR2、SR、−SOR、−NRSOR、−NRSO2R、−SO2R、−OCOR、−NRCOR、−NRCONR2、−NRCOOR、−OCONR2、−COOR、−SO3R、−CONR2、−SO2NR2、−CN、−CF3および/または−NO2を含み、ここで各Rは独立してHまたは低級アルキル(1−4C)である。好適な置換基にはアルキル、OR、NR2、O−アルキルアリールおよびNH−アルキルアリールを含む。
一般に置換基に含まれる任意のアルキル、アルケニル、アルキニル、アシルまたはアリール基は、それら自体がさらなる置換基により場合により置換されてもよい。これら置換基の性質は、主たる置換基自体に関して述べた性質に類似する。
式(4)の代表的化合物を以下の表4に列挙する。
さらに本発明の方法に使用するためのTGF−βインヒビターは、式(5)
[式中、
各Z5、Z6、Z7およびZ8はNまたはCHであり、そしてZ5、Z6、Z7およびZ8の1または2個がNであり、そして2つの隣接するZ位はNであることはできず;
mおよびnはそれぞれ独立して0−3であり;
2つの隣接するR1基は連結して、5〜6員の脂肪族の複素環式環を形成することができ;
R2は非妨害置換基であり;そして
R3はHまたはCH3である]
またはそれらの製薬学的に許容され得る塩により表される。
各Z5、Z6、Z7およびZ8はNまたはCHであり、そしてZ5、Z6、Z7およびZ8の1または2個がNであり、そして2つの隣接するZ位はNであることはできず;
mおよびnはそれぞれ独立して0−3であり;
2つの隣接するR1基は連結して、5〜6員の脂肪族の複素環式環を形成することができ;
R2は非妨害置換基であり;そして
R3はHまたはCH3である]
またはそれらの製薬学的に許容され得る塩により表される。
式(5)の代表的化合物は、以下の表5に列挙する。
本明細書でTGF−βインヒビターは、個体に投与された時に化合物を放出するように設計された「プロドラッグ」の形態で供給することもできる。プロドラッグ形の設計は当該技術分野では周知であり、そして化合物に含まれる置換基に依存する。例えばスルフヒドリルを含有する置換基は、内因性酵素により、または例えば特定の受容体または個体の場所を標的とする酵素により除去されるまで、化合物を生物学的に不活性にする担体に結合させることができる。
前述の化合物の任意の置換基がキラル中心を含む場合(実際に幾つかは含むのであるが)、化合物はそれらのすべての立体異性体を、単離された立体異性体として、およびこれらの立体異性体の混合物としての両方で含む。
本発明の化合物の合成
本発明の式(1)の低分子化合物は、対応する4−ハロ−2−フェニルキナゾリンから、反応スキーム1に記載するように合成することができる;これは対応する4−ヒドロキシキナゾリンから反応スキーム2に示すように得ることができる。あるいは化合物は出発材料としてアントラニルアミドを使用し、そしてアミノ基をベンゾイル化して調製し、続いて環化して反応スキーム3に示す中間体2−フェニル−4−ヒドロキシキナゾリンを得ることができる。反応スキーム4−6は、反応スキーム3に準じるが、カルボキサミド残基および隣接するアミノ残基で置換された適切なピリジンまたは1,4−ピリミジン核にアントラニルイミドを代える。R1がHである本発明の化合物はさらに誘導化して、反応スキーム7に示すようなR1が他の態様を含んでなることができる。
本発明の化合物の合成
本発明の式(1)の低分子化合物は、対応する4−ハロ−2−フェニルキナゾリンから、反応スキーム1に記載するように合成することができる;これは対応する4−ヒドロキシキナゾリンから反応スキーム2に示すように得ることができる。あるいは化合物は出発材料としてアントラニルアミドを使用し、そしてアミノ基をベンゾイル化して調製し、続いて環化して反応スキーム3に示す中間体2−フェニル−4−ヒドロキシキナゾリンを得ることができる。反応スキーム4−6は、反応スキーム3に準じるが、カルボキサミド残基および隣接するアミノ残基で置換された適切なピリジンまたは1,4−ピリミジン核にアントラニルイミドを代える。R1がHである本発明の化合物はさらに誘導化して、反応スキーム7に示すようなR1が他の態様を含んでなることができる。
反応スキーム1はハロゲン化キナゾリンの本発明の化合物への単純な転換の具体的説明である。もちろんこの具体的説明の2位のフェニルはR3として一般化することができ、そして2位の4−ピリジルアミノはAr’−LまたはAr’−に一般化することができる。
反応スキーム2はもちろん、反応スキーム1に関して説明したものと同じ様式で一般化することができる。
ここでも反応スキーム3は、パラフルオロベンゾイルクロライドを対応するアシルハライド、R3COClに代えることにより一般化することができる。さらに最終工程で4−アミノピリジンをAr’またはAr’−Lに代えることができる。
反応スキーム1は反応スキーム2−6の最終工程を表し、そして反応スキーム2は反応スキーム3−6の最後の2工程を表すことが分かる。
反応スキーム7は、R1がH以外である式(1)の化合物が得られる条件を提供する。
反応スキーム8は反応スキーム3の修飾であり、これは環A上の置換基が合成工程を通して保たれることを単に示す。この置換基の挙動の原理は、反応スキーム4−6にも適用される。
反応スキーム8は式(1)のキナゾリン環に置換基R2を含む反応スキーム3の修飾形を示す。置換基は反応スキームを通じて保たれる。工程aでは、出発材料をメタノールの存在下で塩化チオニルで処理し、そして12時間還流する。工程bでは適切に置換された塩化ベンゾイルを、適当に置換された塩化ベンゾイルを用いてピリジン中で24時間処理することにより、工程aの生成物と反応させる。X(具体的説明のためにオルト位で示す)がフルオロである態様では、試薬として2−フルオロベンゾイルクロライドを使用し;ここでXは(オルト−クロロの具体的説明に関して)2−クロロベンゾイルクロライドを使用する。
工程cでは、エステルをジメチルホルムアミド(DMF)のような非プロトン性溶媒中の水酸化アンモニウム中で24時間処理することによりアミドに転換する。次いでこの生成物は工程dにて10N NaOH(エタノール中)を用いて処理し、そして3時間還流することにより環化される。
次いで生成した環化形は、工程eにて触媒量のDMFが存在するクロロホルム中の塩化チオニルを用いて還流下、4時間処理することによりクロライドに転換する。最後に具体的に説明する4−ピリジルアミノ化合物は、工程fにて炭酸カリウムおよびDMFの存在下で4−アミノピリジンを用いて処理し、そして2時間還流することにより得る。
反応スキーム8の具体的説明の態様では、出発材料が2−アミノ−4,5−ジメトキシ安息香酸であり、そして生成物は例えば2−(2−クロロフェニル)−4−(ピリジルアミノ)−6,7−ジメトキシキナゾリンであるので、R2は例えば2つのメトキシ置換基を提供することができる。
別の具体的説明の態様では、R2は1つのニトロを提供し;出発材料はすなわち、例えば2−アミノ−5−ニトロ安息香酸であり、そして生成する化合物は例えば2(2−フルオロフェニル)−4−(ピリジルアミノ)−5−ニトロキナゾリンである。
反応スキーム4−6は反応スキーム8に説明する様式に準じて行うことができ、すなわち方法の工程を通じてR2置換基を保持する。
R2がニトロである本発明の化合物では、ニトロ基はアミノに還元され、そして反応スキーム9に示すようにさらに誘導化することができる。
反応スキーム9では、反応スキーム8の具体的説明の生成物は、最初に工程gにて酢酸およびメタノールの存在下、水素および炭素担持パラジウム(10%)を用いて大気圧で12時間処理することにより還元してアミノ化合物を得る。生成したアミノ化合物は、クロロホルムおよびピリジンの存在下で適切な酸クロライドを4時間使用してアシル形(R=アシル)に転換するか、またはアミン中間体をエタノール、酢酸およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムの存在下で適当なアルデヒドを用いて4時間処理することにより対応するアルキル化アミン(R=アルキル)に転換する。
前述の例示的反応スキームは、本発明の合成法を具体的に説明するために示すが、生成物のキナゾリン環上に示す置換基は本明細書に記載する包括的な式(1)であり、そして反応物はそれに応じて代えることができると理解される。これらの具体的説明例で示す部分以外のR3の態様、またはこれらの具体的説明例でAr’として示す種々の置換基を有する変形も使用することができる。同様に4位の置換基がアリールアルキルを含む態様も、これらのスキームで使用することができる。本発明の化合物を合成するための方法は、一般に当該技術分野で知られている。
キナゾリン誘導体以外の小有機分子は、標準的な教科書に記載されているように有機化学の周知方法により合成することができる。
式(4)または(5)の化合物は、当業者には直ちに明白な当該技術分野で周知の方法により合成することができる。
処置法
本発明に有用な化合物およびそれらの関連化合物の投与および製剤の様式は、状態の性質および重篤度、処置する特定の個体、および専門家の判断に依存するだろう。また詳細な製剤は投与様式に依存する。
処置法
本発明に有用な化合物およびそれらの関連化合物の投与および製剤の様式は、状態の性質および重篤度、処置する特定の個体、および専門家の判断に依存するだろう。また詳細な製剤は投与様式に依存する。
すなわち本発明の低分子化合物は、錠剤、カプセル、シロップ等を提供するように化合物を適当な製薬学的補形剤と配合することにより、経口投与により都合よく投与される。また経口投与に適する製剤には、バッファー、風味料等のような微量成分を含んでもよい。典型的には製剤中の有効成分の量は全製剤の約5%−95%の範囲内であるが、担体に依存して広い変動が可能である。適当な担体にはシュクロース、ペクチン、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、ピーナッツ油、オリーブ油、水等を含む。
本発明に有用な化合物は、座薬または他の経粘膜(transmucosal)賦形剤を介して投与することができる。典型的にはそのような製剤には、製薬学的に許容され得る界面活性剤のような化合物の粘膜の通過を促進する補形剤を含む。
化合物はさらに、静脈内、筋肉内、皮下、動脈内または腹腔内注射を含む注射により投与することができる。そのような使用に典型的な製剤は、ハンクス溶液またはリンゲル溶液のような等張性賦形剤中の液体製剤である。
別の製剤には、当該技術分野で知られているようなエーロゾル吸入物、鼻スプレー、リポソーム製剤、緩効型製剤等を含む。
任意の適切な製剤を使用することができる。
本発明の化合物が、β2−アドレナリンアゴニストのような別の治療薬の長期使用または過剰使用から生じるβ−アドレナリン作動性の感受性の低下を打ち消すために使用される場合、化合物の投与経路は他の治療薬が投与される経路にも依存するかもしれない。例えば肺機能の改善から利益を得る喘息、COPDおよび他の疾患(特に気管支拡張)の処置に使用するβ2−アゴニストは、吸入使用のためのエーロゾル製剤として投与されることが多い。したがって本発明の化合物の同時投与は、同じかまたは異なる製剤を使用して吸入経路を使用して都合よく行うことができる。また本発明の化合物は、天然または合成コルチコステロイド、特にプレドニゾンおよびその誘導体、および限定するわけではないが脳由来ナトリウム排泄増加性ペプチド(NBP)を含むうっ血性心不全のよう心疾患の処置に使用する薬剤のような他の治療薬と組み合わせて投与してもよい。
技術的に知られている製剤の概論は、レミングトンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Science)、最新版、マック出版社(Mack Publishing Company)、イーストン、ペンシルバニア州に見いだされる。このマニュアルの引用は、当該技術的分野では日常的である。
本発明の化合物の投薬用量は、患者毎に変動する多数の因子に依存するだろう。しかし一般に毎日の経口投薬用量には0.001−100mg/kg(全体重)、好ましくは0.01−50mg/kg、そしてより好ましくは約0.01mg/kg−10mg/kgを利用すると考えられる。しかし投薬処方は、処置する状態および専門家の判断に依存して変動する。
上に示したように、本発明の化合物はヒトに使用することができるが、それらはまた非ヒト哺乳動物個体を処置するために獣医学的用途にも利用することができる。
本発明のさらなる詳細は、以下の非限定的な実施例から明らかになるだろう。
TGFβ−R1インヒビターは、ヒト気管支平滑筋細胞(hBSMC)および心筋細胞のβ−アドレナリン作動性シグナル伝達経路における病理学的変化を打ち消す
材料および方法
材料:
ヒト組換えトランスフォーミング増殖因子−β1(TGFβ1)およびAvtivin Aは、R&Dシステム(ミネアポリス、ミネソタ州)から得た;ポルカテロール、プロパノルオール、ICI 118,551は、シグマ(Sigma)(セントルイス、ミズーリ州)から得た;イソプロテレノール、フォルスコリン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)はカルビオケム(Calbiochem)(サンディエゴ、カリフォルニア州)から得た。[5,7−3H]−CGP12177(比活性33Ci/mmol)は、パーキンエルマーライフサイエンス(PerkinElmer Life Science)(ボストン、マサチューセッツ州)から購入した。ダイレクトサイクリックAMP(cAMP)EIAキットはアッセイデザイン(Assay Design)(アン アーバー、ミシガン州)から購入した。抗−Smad2/3マウスモノクローナル抗体はBDトランスダクションラボラトリー(Trnsduction Laboratory)、サンディエゴ、カリフォルニア州)から購入し、抗−ホスホ−Smad2(Ser465/467)ウサギ抗血清は、セルシグナリングテクノロジー(Cell Signaling Technology)から購入た。TGFβ受容体I特異的インヒビターである化合物番号79(表2)は、サイオス社(Scios,Inc.)の医化学部門により合成され、そしてストックとしてDMSOに溶解した。
細胞培養および薬剤処理:
ヒト気管支平滑筋細胞(hBSMC)はクロンテック(Clonetics)(バイオフィッタカー社(Bio Whittaker,Inc.)、ウォーカーズヴィル、メリーランド州)から購入し、そして5%ウシ胎児血清(クロンテック)を含有するSmGM−2で37℃/5%CO2にて維持した。すべての実験は6−8継代の細胞について行った。前処理については、細胞を1%血清含有培地または無血清培地で、TGFβ1、Activin Aおよび他の薬剤の存在または不存在下でインキュベーションした。対照細胞は適切な賦形剤で処理した。
材料および方法
材料:
ヒト組換えトランスフォーミング増殖因子−β1(TGFβ1)およびAvtivin Aは、R&Dシステム(ミネアポリス、ミネソタ州)から得た;ポルカテロール、プロパノルオール、ICI 118,551は、シグマ(Sigma)(セントルイス、ミズーリ州)から得た;イソプロテレノール、フォルスコリン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)はカルビオケム(Calbiochem)(サンディエゴ、カリフォルニア州)から得た。[5,7−3H]−CGP12177(比活性33Ci/mmol)は、パーキンエルマーライフサイエンス(PerkinElmer Life Science)(ボストン、マサチューセッツ州)から購入した。ダイレクトサイクリックAMP(cAMP)EIAキットはアッセイデザイン(Assay Design)(アン アーバー、ミシガン州)から購入した。抗−Smad2/3マウスモノクローナル抗体はBDトランスダクションラボラトリー(Trnsduction Laboratory)、サンディエゴ、カリフォルニア州)から購入し、抗−ホスホ−Smad2(Ser465/467)ウサギ抗血清は、セルシグナリングテクノロジー(Cell Signaling Technology)から購入た。TGFβ受容体I特異的インヒビターである化合物番号79(表2)は、サイオス社(Scios,Inc.)の医化学部門により合成され、そしてストックとしてDMSOに溶解した。
細胞培養および薬剤処理:
ヒト気管支平滑筋細胞(hBSMC)はクロンテック(Clonetics)(バイオフィッタカー社(Bio Whittaker,Inc.)、ウォーカーズヴィル、メリーランド州)から購入し、そして5%ウシ胎児血清(クロンテック)を含有するSmGM−2で37℃/5%CO2にて維持した。すべての実験は6−8継代の細胞について行った。前処理については、細胞を1%血清含有培地または無血清培地で、TGFβ1、Activin Aおよび他の薬剤の存在または不存在下でインキュベーションした。対照細胞は適切な賦形剤で処理した。
心室の心筋細胞は新生児ラットの心臓から前に記載したように単離し、そしてフィブロネクチンで覆ったプレート(10%FBSを含むDMEM21およびCoon’sF12中)に播種した。特に1つの心筋細胞を、1−2日齢のラットの子の心室から酵素的に単離し、そしてヒトのフィブロネクチンを覆ったプレート(ベクトンデッキンソンラボウェア(Becton Dikenson Labware)、ブレッドフォード、マサチューセッツ州)(10%ウシ胎児血清(FBS)および1%ペニシリン−ストレプトマイシンを含むDMEM21およびCoon’sF12中)ですでに記載したように維持した(Henson et al.,DNA Cell Biol.19:757−763(2000))。筋細胞は単離から24−72時間内に使用した。
実験に関しては、cAMPアッセイ用に細胞を24−ウェルプレートで、そしてリアルタイムRT−PCR分析、ウエスタンブロッティング分析および放射性リガンド結合実験用には6−ウェルプレートで培養した。前処理に関しては、細胞は0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)を補充した無血清培地(SFM)で1回洗浄し、そして同培地中でインヒビターの存在または不存在下でTGF−β1とインキュベーションした。対照細胞は適切な賦形剤で処理した。
サイクリックAMP蓄積のアッセイ:
HBSMCまたはラット新生児の心筋細胞を、96−ウェルまたは24−ウェルプレートで24時間から48時間、継代培養し、次いで1%血清含有または無血清培地中のTGFβ1(1−2ng/ml)、 Activin A(10−50ng/ml)および他の薬剤で処理した。24時間後、ホスフォジエステラーゼインヒビター、IBMX(200μM)を10−15分間、新たな培地に加えた後、10μMプロカテロール、1μMイソプロテレノールまたは10−50μMのフォルスコリンに10分間暴露して、cAMP生産の刺激した。刺激培地を除去し、そして細胞を0.1M HClに溶解した。cAMPレベルはアッセイデザイン社からのダイレクトcAMP EIAキットを製造元の指示に従い使用して測定した。
放射性リガンド結合アッセイ:
細胞表面上のβ2−アドレナリン受容体数は、親水性の膜非透過性β−アドレナリンアンタゴニスト[3H]CGP−12177を使用して放射性リガンド結合により測定した。10cm皿中の完全なhBSMCを、5nMの[3H]−CGP 12177と20μMのプロプラノルオール(非特異的結合の量を定めるために)の存在または不存在下で、SmBM中にて1時間、37℃で大変穏やかに振盪しながらプレインキュベーションした。細胞を0.1%のTween−20を含有する氷冷1X PBS(結合バッファー)で3回洗浄し、そして氷冷1X PBSでさらに3回洗浄した。プロテアーゼインヒビターを含有する400μlのRIPAバッファーをプレートに加え、そして細胞をプレートから掻き取った。細胞溶解物を集め、そしてタンパク質濃度をBCA法(PIERCE)により測定した。全細胞に結合した放射性リガンドは、液体シンチレーションカウンターにより定量し、そしてタンパク質濃度に対して標準化した。
定量的なリアルタイムRT−PCR:
全RNAはキアゲン(Qiagen)(バレンシア、カリフォルニア州)のRNAeasyキットを使用して細胞から抽出し、そして定量的なリアルタイムRT−PCR[Gibson UEM,Heid CA and Williams PM.Genome Res.6,995−1001,1996]によりABI Prism(商標)7700配列検出システム(PEアプライドバイオシステム(Applied Biosystems)、フォスター市、カリフォルニア州)を使用して分析した。このシステムはTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がPCRの延長期間中に非延長性の二重標識蛍光ハイブリダイゼーションプローブを分解する能力に基づく。プローブはレポーターの蛍光色素で5’末端を標識し、そしてクエンチャーの蛍光色素(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)で3’末端を標識する。プローブが完全である時、レポーターの発光はレポーターとクエンチャーの蛍光色素との物理的近位により消される。しかしPCRの延長期間中に、DNAポリメラーゼのヌクレオリティック(nucleolytic)活性がハイブリダイゼーションプローブを分解し、そしてレポーター色素をプローブから放出され、同時にレポーターの蛍光が増加する。
サイクリックAMP蓄積のアッセイ:
HBSMCまたはラット新生児の心筋細胞を、96−ウェルまたは24−ウェルプレートで24時間から48時間、継代培養し、次いで1%血清含有または無血清培地中のTGFβ1(1−2ng/ml)、 Activin A(10−50ng/ml)および他の薬剤で処理した。24時間後、ホスフォジエステラーゼインヒビター、IBMX(200μM)を10−15分間、新たな培地に加えた後、10μMプロカテロール、1μMイソプロテレノールまたは10−50μMのフォルスコリンに10分間暴露して、cAMP生産の刺激した。刺激培地を除去し、そして細胞を0.1M HClに溶解した。cAMPレベルはアッセイデザイン社からのダイレクトcAMP EIAキットを製造元の指示に従い使用して測定した。
放射性リガンド結合アッセイ:
細胞表面上のβ2−アドレナリン受容体数は、親水性の膜非透過性β−アドレナリンアンタゴニスト[3H]CGP−12177を使用して放射性リガンド結合により測定した。10cm皿中の完全なhBSMCを、5nMの[3H]−CGP 12177と20μMのプロプラノルオール(非特異的結合の量を定めるために)の存在または不存在下で、SmBM中にて1時間、37℃で大変穏やかに振盪しながらプレインキュベーションした。細胞を0.1%のTween−20を含有する氷冷1X PBS(結合バッファー)で3回洗浄し、そして氷冷1X PBSでさらに3回洗浄した。プロテアーゼインヒビターを含有する400μlのRIPAバッファーをプレートに加え、そして細胞をプレートから掻き取った。細胞溶解物を集め、そしてタンパク質濃度をBCA法(PIERCE)により測定した。全細胞に結合した放射性リガンドは、液体シンチレーションカウンターにより定量し、そしてタンパク質濃度に対して標準化した。
定量的なリアルタイムRT−PCR:
全RNAはキアゲン(Qiagen)(バレンシア、カリフォルニア州)のRNAeasyキットを使用して細胞から抽出し、そして定量的なリアルタイムRT−PCR[Gibson UEM,Heid CA and Williams PM.Genome Res.6,995−1001,1996]によりABI Prism(商標)7700配列検出システム(PEアプライドバイオシステム(Applied Biosystems)、フォスター市、カリフォルニア州)を使用して分析した。このシステムはTaqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がPCRの延長期間中に非延長性の二重標識蛍光ハイブリダイゼーションプローブを分解する能力に基づく。プローブはレポーターの蛍光色素で5’末端を標識し、そしてクエンチャーの蛍光色素(6−カルボキシ−テトラメチル−ローダミン)で3’末端を標識する。プローブが完全である時、レポーターの発光はレポーターとクエンチャーの蛍光色素との物理的近位により消される。しかしPCRの延長期間中に、DNAポリメラーゼのヌクレオリティック(nucleolytic)活性がハイブリダイゼーションプローブを分解し、そしてレポーター色素をプローブから放出され、同時にレポーターの蛍光が増加する。
配列特異的プライマーおよびプローブは、プライマーエスクプレス(Primer Express)ソフトウェア(PEアプライドバイオシステム、フォスター市、カリフォルニア州)を使用して設計した。18S rRNA用のプライマーおよびプローブは、
フォワード 5´−CGGCTACCACATCCAAGGAA−3´(配列番号:1),リバース 5´−GCTGGAATTACCGCGGCT−3´(配列番号:2),およびプローブ 5´−6FAM−TGCTGGCACCAGACTTGCCCTC−TAMRA−3´(配列番号:3)であり;ヒトおよびラットβ1−AR用はフォワード 5´−TGCTACAACGACCCCAAGTG−3´(配列番号:4),リバース 5´−AGGTACACGAAGGCCATGATG−3´(配列番号:5)およびプローブ 5´−6FAM−CCATCGCCTCGTCCGTAGTCTCCTT−TAMRA−3´(配列番号:6)であり;ヒトβ2−AR用はフォワード 5´−TGCCGGAGCCCAGATTT−3´(配列番号:7),リバース 5´−ATTCCCATAGGCCTTCAAAGAAG−3´(配列番号:8),およびプローブ 5´−6FAM−AGGATTGCCTTCCAGGAGCTTCTGTGC−TAMRA−3´(配列番号:9)であり; ラットβ2−AR用はフォワード 5´−CAACTCTGCCTTCAATCCTCTTATC−3´(配列番号:10),リバース 5´−TGCTAGAGTAGCCGTTCCCATAG−3´(配列番号:11),およびプローブ 5´−6FAM−AGGATTGCCTTCCAGGAGCTTCTGTGC−TAMRA−3´(配列番号:12)であった。プライマーは200nM濃度で、そしてプローブは100nM濃度で各反応に使用した。Multiscribe逆転写酵素およびAmpliTaq Goldポリメラーゼ(PEアプライドバイオシステム、フォスター市、カリフォルニア州)をすべてのRT−PCR反応およびPCR反応に使用した。RT−PCRのパラメーターは以下の通りであった:48℃で30分間(逆転写)、95℃で10分間(AmpliTaq Gold活性化)および40サイクルの95℃で15秒、60℃で1分。β1−AR、β2−ARおよび18S mRNAの相対的定量は、5点標準曲線に対して合わせた各サンプルについて、相対的閾値サイクル数(comparative threshold cycle number)を使用して算出した(ABI Prism7700ユーザーニュースレター#2、PEアプライドバイオシステム、フォスター市、カリフォルニア州)。発現レベルは18S rRNAに対して標準化した。内因性対照としての18Sの選択は、数種のハウスキーピング遺伝子のΔCTレベルの評価に基づいた:シクロフィリンA、18S、GAPDHおよびβ−グルクロニダーゼ(Cyclophilin A,18S,GAPDH,and β−Gulucronidase)。18SのΔCTレベルは処理条件間で有意に異ならなかった;すなわちそれらはサンプル間で一定レベルで発現された(データは示さず)。
ウエスタンブロット分析:
TGFβ1および他の薬剤とのインキュベーション後、細胞を1xPBSで1回洗浄し、そして0.2ml/プレートの冷RIPAバッファー(リン酸緩衝化生理食塩水、pH7.4、1%NP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、1mM オルトバナジウム酸ナトリウム、1mM NaF、1mM β−グリセロホスフェート、1μM オカダ酸、10ng/ml アプロチニン、10ng/ml ロイペプチン、1mM フェニメチルスルホニルフルオリド)に溶解した。サンプルは遠心(4℃、10分間、15,000×g)により清澄化し、そしてタンパク質濃度をBCA法(PIRCE)により測定した。等量の全細胞タンパク質を含む溶解物(15−20μg)は、10%SDS−NuPAGE(インビトロジェン)で分離し、次いでニトロセルロース膜に移した。膜は3%無脂肪ドライミルク/TBST(10mM Tris−HCl pH7.5、150mM NaCl、0.1% Tween20)中で1時間ブロックし、そして抗−Smad2/3マウスモノクローナル抗体[トラスンスダクションラボラトリー(S66220);3%ミルク/TBST中で1:500希釈]、または抗−ホスホ−Smad2(Ser465/467)ウサギ抗血清[セルシグナリング:(3101S);3%BSA/TBST中で1:500希釈]で、4℃にて一晩、プローブ処理した。ウマ抗−マウスHRP[サンタクルス(Santa Cruz)(SC−2314);1:2000希釈]またはウマ抗−ウサギHRP[サンタクルス(SC−23130);1:2000希釈]を2次抗体として使用した。免疫反応性は化学発光試薬(サンタクルス)で検出し、そしてx−線フィルム(コダック(Kodak))に露出することにより視覚化した。
結果
ヒト気管支平滑筋細胞(hBSMC)をTGFβ1で処理し、そしてβ2AR mRNAをリアルタイムの定量的PCRにより上記のように分析した。図1に示す結果は、TGFβ1への暴露がβ2ARを有意に減少させることを示す。
フォワード 5´−CGGCTACCACATCCAAGGAA−3´(配列番号:1),リバース 5´−GCTGGAATTACCGCGGCT−3´(配列番号:2),およびプローブ 5´−6FAM−TGCTGGCACCAGACTTGCCCTC−TAMRA−3´(配列番号:3)であり;ヒトおよびラットβ1−AR用はフォワード 5´−TGCTACAACGACCCCAAGTG−3´(配列番号:4),リバース 5´−AGGTACACGAAGGCCATGATG−3´(配列番号:5)およびプローブ 5´−6FAM−CCATCGCCTCGTCCGTAGTCTCCTT−TAMRA−3´(配列番号:6)であり;ヒトβ2−AR用はフォワード 5´−TGCCGGAGCCCAGATTT−3´(配列番号:7),リバース 5´−ATTCCCATAGGCCTTCAAAGAAG−3´(配列番号:8),およびプローブ 5´−6FAM−AGGATTGCCTTCCAGGAGCTTCTGTGC−TAMRA−3´(配列番号:9)であり; ラットβ2−AR用はフォワード 5´−CAACTCTGCCTTCAATCCTCTTATC−3´(配列番号:10),リバース 5´−TGCTAGAGTAGCCGTTCCCATAG−3´(配列番号:11),およびプローブ 5´−6FAM−AGGATTGCCTTCCAGGAGCTTCTGTGC−TAMRA−3´(配列番号:12)であった。プライマーは200nM濃度で、そしてプローブは100nM濃度で各反応に使用した。Multiscribe逆転写酵素およびAmpliTaq Goldポリメラーゼ(PEアプライドバイオシステム、フォスター市、カリフォルニア州)をすべてのRT−PCR反応およびPCR反応に使用した。RT−PCRのパラメーターは以下の通りであった:48℃で30分間(逆転写)、95℃で10分間(AmpliTaq Gold活性化)および40サイクルの95℃で15秒、60℃で1分。β1−AR、β2−ARおよび18S mRNAの相対的定量は、5点標準曲線に対して合わせた各サンプルについて、相対的閾値サイクル数(comparative threshold cycle number)を使用して算出した(ABI Prism7700ユーザーニュースレター#2、PEアプライドバイオシステム、フォスター市、カリフォルニア州)。発現レベルは18S rRNAに対して標準化した。内因性対照としての18Sの選択は、数種のハウスキーピング遺伝子のΔCTレベルの評価に基づいた:シクロフィリンA、18S、GAPDHおよびβ−グルクロニダーゼ(Cyclophilin A,18S,GAPDH,and β−Gulucronidase)。18SのΔCTレベルは処理条件間で有意に異ならなかった;すなわちそれらはサンプル間で一定レベルで発現された(データは示さず)。
ウエスタンブロット分析:
TGFβ1および他の薬剤とのインキュベーション後、細胞を1xPBSで1回洗浄し、そして0.2ml/プレートの冷RIPAバッファー(リン酸緩衝化生理食塩水、pH7.4、1%NP−40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、1mM オルトバナジウム酸ナトリウム、1mM NaF、1mM β−グリセロホスフェート、1μM オカダ酸、10ng/ml アプロチニン、10ng/ml ロイペプチン、1mM フェニメチルスルホニルフルオリド)に溶解した。サンプルは遠心(4℃、10分間、15,000×g)により清澄化し、そしてタンパク質濃度をBCA法(PIRCE)により測定した。等量の全細胞タンパク質を含む溶解物(15−20μg)は、10%SDS−NuPAGE(インビトロジェン)で分離し、次いでニトロセルロース膜に移した。膜は3%無脂肪ドライミルク/TBST(10mM Tris−HCl pH7.5、150mM NaCl、0.1% Tween20)中で1時間ブロックし、そして抗−Smad2/3マウスモノクローナル抗体[トラスンスダクションラボラトリー(S66220);3%ミルク/TBST中で1:500希釈]、または抗−ホスホ−Smad2(Ser465/467)ウサギ抗血清[セルシグナリング:(3101S);3%BSA/TBST中で1:500希釈]で、4℃にて一晩、プローブ処理した。ウマ抗−マウスHRP[サンタクルス(Santa Cruz)(SC−2314);1:2000希釈]またはウマ抗−ウサギHRP[サンタクルス(SC−23130);1:2000希釈]を2次抗体として使用した。免疫反応性は化学発光試薬(サンタクルス)で検出し、そしてx−線フィルム(コダック(Kodak))に露出することにより視覚化した。
結果
ヒト気管支平滑筋細胞(hBSMC)をTGFβ1で処理し、そしてβ2AR mRNAをリアルタイムの定量的PCRにより上記のように分析した。図1に示す結果は、TGFβ1への暴露がβ2ARを有意に減少させることを示す。
hBSMCをTGFβ1で処理し、そして細胞表面上のβ2−アドレナリン受容体の数は、親水性の膜非透過性β−アドレナリンアンタゴニスト[3H]−CGP12177を使用して放射性リガンド結合により測定した。図2に示すように、TGFβ1への暴露はhBSMC上のβAR結合部位を減少させる。
サイクリックAMP(cAMP)の蓄積は、上記のように測定した。図3はhBSMC中のプロカテロールが誘導する、およびフォルスコリンが誘導するcAMPの蓄積に及ぼすTGFβ1の効果のタイムコースを示す。プロカテロールはβ2ARの特異的アゴニストであり、そしてフォルスコリンはアデニリルシクラーゼ(AC)を活性化し、そしてプロカテロールおよびフォルスコリンの両方は細胞中にcAMP生産を誘導することができる。図3に示すように、TGFβ−1が誘導するβ2AR応答の損失は12時間後に起こり、そして24時間以降でより顕著であるが、TGFβ−1が影響を及ぼすAC活性およびシグナル伝達は、24時間以降により少ない程度で観察されただけである。
これらの結果はTGFβ1がhBSMC中でSmad2のリン酸化を誘導し、そしてβ2AR/ACシグナル伝達を調節することを証明する。
hBSMCは上記のようにプロカテロールおよびイソプロテレノールを用いて、TGFβ−R1の代表的な非ペプチド小有機分子インヒビターの存在下で処理した。図4に示すように、インヒビターはTGFβが誘導するhBSMC中のアドレナリン作動性の応答の損失を防止した。さらにインヒビターは、hBSMC中のTGFβが誘導するSmad2リン酸化およびアドレナリン作動性の応答の損失を防止した。
図5はhBSMCにおけるTGFβ1処置が誘導するp38のリン酸化、およびTGFβ1が誘導するβ2ARの損失を示し、これはp38インヒビターにより部分的に逆転させることができた。
図6は、より高濃度のアクチビンAもhBSMC中でβAR応答の損失およびAC活性の低下を引き起こすことを示す。これらの効果はTGF−β−R1インヒビターにより逆転することができる。
ラット新生児の心筋細胞をTGFβ1で処理し、そしてβ1AR発現を上記のようにモニタリングした。図7に示す結果は、TGFβ1がラット新生児の心筋細胞でβ2AR mRNAをダウンレギュレートすることを示す。
TGFβ1で処理したラット新生児の心筋細胞では、cAMPの蓄積を上記のように測定した。図8に示す結果は、TGFβ1がSmad2のリン酸化を誘導し、そしてβ2AR応答の損失を引き起こすことを示す。
図9に示すように、式(1)の代表的な低分子化合物はラット新生児の心筋細胞において、TGFβ1が誘導するβ2AR応答およびAC活性の損失を防止する。
図10に示すように、Activinはラット新生児の心筋細胞でβ2AR mRNAをダウンレギュレートし、そしてこのダウンレギュレーションは代表的な低分子TGFβ1インヒビターにより防止することができる。
ラット心筋細胞を培養し、そして上記のようにプロカテロールおよびフォルスコリンで処理した。図11に示すように、続いてアクチビンAおよびIL−1βを用いた処理がそれぞれβ2AR応答/AC活性の損失を誘導する。
次いでTGFβが誘導するSmadのシグナル伝達をhBSMC細胞培養で調査した。ウエスタンブロット分析を行い、そしてホスホル−Smad2およびSmad3レベルを上記のように測定した。図12に示す結果は、TGFβ1がhBSMCでSmad2のリン酸化、およびダウンレギュレートされたSmad3発現を誘導することを示す。
図13は、代表的な式(1)の化合物が、hBSMCにおいてTGFβ1が誘導するSmad2のリン酸化、およびSmad3のダウンレギュレーションを遮断することを示す。
図14は、hBSMCにおいてTGFβ1の暴露がSmad2/3の核への一過性の転位を誘導することを示す。
結論すると、この実施例で記載する実験は、TGFβ1がhBSMCおよびラット心筋細胞の両方で、β2AR応答の損失を誘導し、そしてAC活性を減少させることを証明した。TGFβ1はその機能をSmad2/3転写因子の活性化を介して発揮する。この上で検討した結果は、さらに代表的なTGFβ−RIインヒビターがSmad2/3の活性化を遮断することによりTGFβ1効果を遮断できることを示す。さらにアクチビンも同様の効果を有することが分かり、これは代表的なTGFβ−RIインヒビターにより逆転することができた。
TGFβ−RIインヒビターが心筋細胞のTGF−βのシグナリングに及ぼす効果
材料および方法
試薬:
試薬は実施例1に記載した同じ供給元から得た。(L)−形、細胞透過性JNKインヒビターIはカルビオケム(サンディエゴ、カリフォルニア州)から得た。TGF−β I型受容体(TGFβ−RI)インヒビター化合物番号79(表2を参照)およびp38αMAPキナーゼインヒビターは、サイオス社の医化学部門により合成され、そしてストックとしてDMSOに溶解した。化合物番号79はインビトロのTGFβ−RIキナーゼ活性に対して〜37nMのIC50を、TGFβ−RII受容体に対して>100倍、そして関連するタンパク質キナーゼパネルのメンバーよりも少なくとも20倍高い特異性で有した(データは含まず)。
心筋細胞の培養および処理
心筋細胞は実施例1に記載したように培養し、そして処理した。
サイクリックAMP蓄積のアッセイ
TGF−β1(1−2ng/ml)での処理に続いて、心筋細胞(24ウェルプレート中で〜1×105細胞/ウェル)を、SFM中のホスフォジエステラーゼインヒビター、IBMX(200μM)と30分間インキュベーションした。次いで細胞をプロカテロール(10μM)、フォルスコリン(10−50μM)またはイソプロテレノール(Iso、1μM)に10分間暴露してcAMPを蓄積させた。幾つかの実験では、選択的なβ1−ARアンタゴニスト、CGP−20712A(200nM)または選択的なβ2−ARアンタゴニスト、ICI 118,551(200nM)を筋細胞とプレインキュベーションした後、Iso処理を行ってそれぞれ特異的なβ2−ARまたはβ1−AR媒介型のcAMP蓄積を刺激した。インキュベーションは培地を除去することにより止めた。各ウェル中の細胞を150μlの0.1M HClで室温(RT)にて30分間溶解した。細胞内cAMP含量は、ダイレクトcAMP EIAキットを使用して製造元の指示に従い測定し、そしてcAMPレベルをpmol/mlで算出した。
放射性リガンドアッセイ
放射性リガンド結合アッセイは実施例1に記載したように行った。β2−ARに対する非特異的結合を測定するために、50nMのCGP−20712Aを使用した。
リアルタイムRT−PCR
リアルタイムRT−PCRは実施例1に記載したように行い、そして以下のさらなる配列特異的プライマーおよびプローブの使用を含んだ:
ラットSmad3用は、フォワード 5´−CAGCACACAATAACTTGGACCTACAG−3´(配列番号:13),リバース 5´−AACTCGCTGGTTCAGCTCGTA−3´(配列番号:14),およびプローブ 5´−6FAM−AGCCGGCCTTTTGGTGCTCCA−TAMRA−3´(配列番号:15)であり;ラットβARK−1/GRK2用はフォワード 5´−TGGGCTGCATGCTCTTCA−3´(配列番号:16),リバース 5´−GCGGTCAATCTCATGCTTGTC−3´(配列番号:17),およびプローブ 5´−6FAM−CCTTCCGGCAGCACAAGACCA−TAMRA−3´(配列番号:18),であり;ラットAC5用はフォワード 5´−ACCGCCAATGCCATAGACTT−3´(配列番号:19),リバース 5´−CACCTTCAGCGCCACCTT−3´(配列番号:20),およびプローブ 5´−6FAM−CCCAGTGCCCTGAGCATGCGA−TAMRA−3´(配列番号:21)であり; ラットAC6用はフォワード 5´−GCCTGTCCCGCAGTATCGT−3´(配列番号:22),リバース 5´−GAACACAAGCAGAACCGAGAAGA−3´(配列番号:23),およびプローブ 5´−6FAM−CACGGGTGCACAGCACGGCT−TAMRA−3´(配列番号:24)であり;ラットGiα−1用はフォワード 5´−CGGGAGTACCAGCTGAACGA−3´(配列番号:25),およびリバース 5´−TGGGTTGGGATGTAATTTGGTT−3´(配列番号:26),およびプローブ 5´−6FAM−CGGCGTACTACCTGAATGACTTGGACAGAAT−TAMRA−3´(配列番号:27)であり;そしてラットGiα−2用はフォワード 5´−TGCGGACCCGTGTGAAG−3´(配列番号:28),およびリバース 5´−CGCTGACCACCCACATCA−3´(配列番号:29)およびプローブ 5´−6FAM−AGGCATCGTCGAAACACACTTCACCTTC−TAMRA−3´(配列番号:30)であり; ラットGiα−3用はフォワード 5´−GCTTCATATTACCTAAATGATTTGGATAGA−3´(配列番号:31),およびリバース 5´−CCACAATGCCTGTAGTCTTCACTCT−3´(配列番号:32),およびプローブ 5´−6FAM−TCCCAGACCAACTACATTCCAACTCAGCA−TAMRA−3´(配列番号:33)であった。
ウエスタンブロット分析
ウエスタンブロット分析は実施例1に記載したように行い、そして以下のさらなる1次抗体の使用を含んだ:Smad2/3モノクローナル抗体(BDトランスダクションラボラトリー、サンディエゴ、カリフォルニア州);抗−ホスホ−Smad2(Ser465/467)ウサギ抗血清(セルシグナリングテクノロジー社、ベヴァリー、マサチューセッツ州):Actin(sc−1616)およびGRK−2(sc−13143)用の抗体(サンタクルスバイオテクノロジー、サンタクルス、カリフォルニア州);抗−Gsα、抗−Giα−1、抗−Giα3抗体(カルビオケム、サンディエゴ、カリフォルニア州)。1次抗体の結合に続いて、2次の西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗−マウスまたはヤギ抗−ウサギ抗体とRTで1時間、インキュベーションした(サンタクルスバイオテクノロジー)。免疫反応性は化学発光試薬で検出し、そしてx−線フィルム(コダック)に露出することにより視覚化した。
免疫蛍光染色
TGF−β1に応答したSmadタンパク質の核への転位は、モノクローナル抗−Samd2/3抗体(BDトランスダクションラボラトリー)および抗−Smad4抗体(sc−7966)(サンタクルスバイオテクノロジー)を用いて免疫蛍光染色により測定した。簡単に説明すると、フィブロネクチンおよびゼラチンで覆ったLab−Tekチャンバースライド(ナルジェ ヌンク インターナショナル(Nalge Nunc International)、ナパーヴィル、イリノイ州)上で培養した筋細胞を、4%パラホルムアルデヒド(PBS中)で5分間固定し、次いで0.1%サポニン/1%正常ヤギ血清(NGS)(PBS中)を15分間染み込ませた。非特異的結合を5%NGS/0.05%サポニン(PBS中)で15分間ブロッキングした後、スライドを1次抗体と1%NGS(PBS中)中で4℃にて一晩インキュベーションした。さらに洗浄およびブロッキングした後、スライドをビオチン化抗−マウス抗体と30分間インキュベーションし、続いてフルオレセインイソチオシアネート(FITC)−結合−アビジン(ベクター(Vector)、バーリンガム、カリフォルニア州)と30分間インキュベーションした。スライドを乾燥させ、そしてVectashield(ベクター)に乗せた。サンプルは蛍光顕微鏡により分析した。
統計分析
調査したデータは、平均+S.Eとして表した。スチューデントt検定は群の対を比較するために使用した。0.05未満のP値は統計的に有意と考えた。
結果
TGF−β1はラット心筋細胞のβ2−AR応答の損失を誘導する
最初の実験はラット心筋細胞中の最大cAMP蓄積を測定するために、非選択的β−ARアゴニストであるイソプロテレノール(1μM)を使用した。以前の知見と一致して(Steinberg,Cir Res.85:1101−1111(1999);Sabri et al.,Cir Res.86:1047−1053(2000))、応答は200nMのCGP−20712A(β1−ARアンタゴニスト)で〜75%まで弱められ、200nMのICI 118,551(β2−ARアンタゴニスト)で〜25%まで弱められ、そして両方の存在下で90%以上まで遮断された(図18)。これらの結果は、cAMP蓄積の刺激がβ1−およびβ2−AR作用の組合わせを介して媒介されたことを示す。β2−AR特異的アゴニストであるプロカテロール(10μM)もラット心筋細胞中のcAMP蓄積を実質的に増加した。
材料および方法
試薬:
試薬は実施例1に記載した同じ供給元から得た。(L)−形、細胞透過性JNKインヒビターIはカルビオケム(サンディエゴ、カリフォルニア州)から得た。TGF−β I型受容体(TGFβ−RI)インヒビター化合物番号79(表2を参照)およびp38αMAPキナーゼインヒビターは、サイオス社の医化学部門により合成され、そしてストックとしてDMSOに溶解した。化合物番号79はインビトロのTGFβ−RIキナーゼ活性に対して〜37nMのIC50を、TGFβ−RII受容体に対して>100倍、そして関連するタンパク質キナーゼパネルのメンバーよりも少なくとも20倍高い特異性で有した(データは含まず)。
心筋細胞の培養および処理
心筋細胞は実施例1に記載したように培養し、そして処理した。
サイクリックAMP蓄積のアッセイ
TGF−β1(1−2ng/ml)での処理に続いて、心筋細胞(24ウェルプレート中で〜1×105細胞/ウェル)を、SFM中のホスフォジエステラーゼインヒビター、IBMX(200μM)と30分間インキュベーションした。次いで細胞をプロカテロール(10μM)、フォルスコリン(10−50μM)またはイソプロテレノール(Iso、1μM)に10分間暴露してcAMPを蓄積させた。幾つかの実験では、選択的なβ1−ARアンタゴニスト、CGP−20712A(200nM)または選択的なβ2−ARアンタゴニスト、ICI 118,551(200nM)を筋細胞とプレインキュベーションした後、Iso処理を行ってそれぞれ特異的なβ2−ARまたはβ1−AR媒介型のcAMP蓄積を刺激した。インキュベーションは培地を除去することにより止めた。各ウェル中の細胞を150μlの0.1M HClで室温(RT)にて30分間溶解した。細胞内cAMP含量は、ダイレクトcAMP EIAキットを使用して製造元の指示に従い測定し、そしてcAMPレベルをpmol/mlで算出した。
放射性リガンドアッセイ
放射性リガンド結合アッセイは実施例1に記載したように行った。β2−ARに対する非特異的結合を測定するために、50nMのCGP−20712Aを使用した。
リアルタイムRT−PCR
リアルタイムRT−PCRは実施例1に記載したように行い、そして以下のさらなる配列特異的プライマーおよびプローブの使用を含んだ:
ラットSmad3用は、フォワード 5´−CAGCACACAATAACTTGGACCTACAG−3´(配列番号:13),リバース 5´−AACTCGCTGGTTCAGCTCGTA−3´(配列番号:14),およびプローブ 5´−6FAM−AGCCGGCCTTTTGGTGCTCCA−TAMRA−3´(配列番号:15)であり;ラットβARK−1/GRK2用はフォワード 5´−TGGGCTGCATGCTCTTCA−3´(配列番号:16),リバース 5´−GCGGTCAATCTCATGCTTGTC−3´(配列番号:17),およびプローブ 5´−6FAM−CCTTCCGGCAGCACAAGACCA−TAMRA−3´(配列番号:18),であり;ラットAC5用はフォワード 5´−ACCGCCAATGCCATAGACTT−3´(配列番号:19),リバース 5´−CACCTTCAGCGCCACCTT−3´(配列番号:20),およびプローブ 5´−6FAM−CCCAGTGCCCTGAGCATGCGA−TAMRA−3´(配列番号:21)であり; ラットAC6用はフォワード 5´−GCCTGTCCCGCAGTATCGT−3´(配列番号:22),リバース 5´−GAACACAAGCAGAACCGAGAAGA−3´(配列番号:23),およびプローブ 5´−6FAM−CACGGGTGCACAGCACGGCT−TAMRA−3´(配列番号:24)であり;ラットGiα−1用はフォワード 5´−CGGGAGTACCAGCTGAACGA−3´(配列番号:25),およびリバース 5´−TGGGTTGGGATGTAATTTGGTT−3´(配列番号:26),およびプローブ 5´−6FAM−CGGCGTACTACCTGAATGACTTGGACAGAAT−TAMRA−3´(配列番号:27)であり;そしてラットGiα−2用はフォワード 5´−TGCGGACCCGTGTGAAG−3´(配列番号:28),およびリバース 5´−CGCTGACCACCCACATCA−3´(配列番号:29)およびプローブ 5´−6FAM−AGGCATCGTCGAAACACACTTCACCTTC−TAMRA−3´(配列番号:30)であり; ラットGiα−3用はフォワード 5´−GCTTCATATTACCTAAATGATTTGGATAGA−3´(配列番号:31),およびリバース 5´−CCACAATGCCTGTAGTCTTCACTCT−3´(配列番号:32),およびプローブ 5´−6FAM−TCCCAGACCAACTACATTCCAACTCAGCA−TAMRA−3´(配列番号:33)であった。
ウエスタンブロット分析
ウエスタンブロット分析は実施例1に記載したように行い、そして以下のさらなる1次抗体の使用を含んだ:Smad2/3モノクローナル抗体(BDトランスダクションラボラトリー、サンディエゴ、カリフォルニア州);抗−ホスホ−Smad2(Ser465/467)ウサギ抗血清(セルシグナリングテクノロジー社、ベヴァリー、マサチューセッツ州):Actin(sc−1616)およびGRK−2(sc−13143)用の抗体(サンタクルスバイオテクノロジー、サンタクルス、カリフォルニア州);抗−Gsα、抗−Giα−1、抗−Giα3抗体(カルビオケム、サンディエゴ、カリフォルニア州)。1次抗体の結合に続いて、2次の西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗−マウスまたはヤギ抗−ウサギ抗体とRTで1時間、インキュベーションした(サンタクルスバイオテクノロジー)。免疫反応性は化学発光試薬で検出し、そしてx−線フィルム(コダック)に露出することにより視覚化した。
免疫蛍光染色
TGF−β1に応答したSmadタンパク質の核への転位は、モノクローナル抗−Samd2/3抗体(BDトランスダクションラボラトリー)および抗−Smad4抗体(sc−7966)(サンタクルスバイオテクノロジー)を用いて免疫蛍光染色により測定した。簡単に説明すると、フィブロネクチンおよびゼラチンで覆ったLab−Tekチャンバースライド(ナルジェ ヌンク インターナショナル(Nalge Nunc International)、ナパーヴィル、イリノイ州)上で培養した筋細胞を、4%パラホルムアルデヒド(PBS中)で5分間固定し、次いで0.1%サポニン/1%正常ヤギ血清(NGS)(PBS中)を15分間染み込ませた。非特異的結合を5%NGS/0.05%サポニン(PBS中)で15分間ブロッキングした後、スライドを1次抗体と1%NGS(PBS中)中で4℃にて一晩インキュベーションした。さらに洗浄およびブロッキングした後、スライドをビオチン化抗−マウス抗体と30分間インキュベーションし、続いてフルオレセインイソチオシアネート(FITC)−結合−アビジン(ベクター(Vector)、バーリンガム、カリフォルニア州)と30分間インキュベーションした。スライドを乾燥させ、そしてVectashield(ベクター)に乗せた。サンプルは蛍光顕微鏡により分析した。
統計分析
調査したデータは、平均+S.Eとして表した。スチューデントt検定は群の対を比較するために使用した。0.05未満のP値は統計的に有意と考えた。
結果
TGF−β1はラット心筋細胞のβ2−AR応答の損失を誘導する
最初の実験はラット心筋細胞中の最大cAMP蓄積を測定するために、非選択的β−ARアゴニストであるイソプロテレノール(1μM)を使用した。以前の知見と一致して(Steinberg,Cir Res.85:1101−1111(1999);Sabri et al.,Cir Res.86:1047−1053(2000))、応答は200nMのCGP−20712A(β1−ARアンタゴニスト)で〜75%まで弱められ、200nMのICI 118,551(β2−ARアンタゴニスト)で〜25%まで弱められ、そして両方の存在下で90%以上まで遮断された(図18)。これらの結果は、cAMP蓄積の刺激がβ1−およびβ2−AR作用の組合わせを介して媒介されたことを示す。β2−AR特異的アゴニストであるプロカテロール(10μM)もラット心筋細胞中のcAMP蓄積を実質的に増加した。
心筋細胞のTGF−β1を用いた24時間の前処理は、β2−ARアゴニストであるプロカテロール(10μM)による後のcAMP蓄積に濃度依存的な減少を引き起こした。最大効果は1ng/mlのTGF−β1で達成され、59±5.2%の低下を生じた(n=5回の独立した実験)(図19A)。TGF−β1の効果は時間依存的であり;cAMP蓄積の最大減少は、24時間までに観察された(図19B)。またTGF−β1は、β2−ARがCGP−20712Aの存在下でイソプロテレノールにより選択的に刺激された時、cAMP蓄積を有意に減少させた(〜65%)。興味深いことには、筋細胞の24時間のTGF−β1前処理は、ICI 118,551の存在下でイソプロテレノールを用いた刺激により測定されるβ1−AR媒介型のcAMP蓄積に、わずかな低下を引き起こしただけであった(16.5±3.1%)(n=3回の独立した実験)(図19C)。加えて、TGF−β1への暴露は直接的なアデニリルシクラーゼ(AC)アクチベーターであるフォルスコリン(25μM)により刺激されるcAMP蓄積を減少させ(図19D)、TGF−β1がAC活性の改変が関与するβ−アドレナリン作動性の感受性の低下を誘導したことを示唆する。合わせるとこれらの結果は、心筋細胞のTGF−β1処置が主に低下したβ2−AR応答によるアゴニスト刺激に応答してβ−AR応答の減損を引き起こし;さらに減少したAC活性が少なくとも一部は貢献することを示す。
TGF−β1はβ2−ARの定常状態mRNAレベルおよび受容体数をダウンレギュレートする
TGF−β1は、β2−AR mRNAおよびタンパク質のダウンレギュレーションを介して種々の細胞型のβ−AR受容体および機能を調節することが示された(Iizuks et al.,J.Mol.Cel.Cardiol.26:435−440(1994):Nogami et al.,Am.J.Physiol.266:L187−191(1994);Mak et al.,Naunyn,Schmiedbergs.Arch.Pharmacol.362:520−525(2000))。β−AR mRNAの変化を検出できるかどうかを調査するために、リアルタイムRT−PCR分析を行った。24時間のTGF−β1前処理はβ2−AR mRNAレベルを劇的に減少させた(図20A)。機能的アッセイと合致して、TGF−β1の暴露は心筋細胞のβ1−AR mRNAレベルを有意に改変しなかった。さらにタイムコース実験では、TGF−β1によるβ2−AR mRNAの抑制が処置からわずか1時間で起こることが明らかとなり、β2−AR遺伝子転写の調節がラット新生児の心筋細胞では迅速な出来事であることを示す(図20B)。これらの結果は、TGF−β1がβ2−ARメッセージレベルをダウンレギュレートし、心筋細胞において可能な受容体発現の減少に関するメカニズムを示唆している。
β−アドレナリン作動性のシグナリング分子の発現に及ぼすTGF−β1の効果
TGF−β1で処置した心筋細胞で、β−アゴニストに対する改変されたcAMP応答に貢献することができる他のβ−ARシグナル伝達分子の発現に変化があるのかどうかを調査するために、我々はリアルタイムRT−PCRおよびウエスタンブロット分析をそれぞれ使用してmRNAおよび/またはタンパク質レベルを調査した。心筋細胞でβ−ARのシグナル伝達を媒介する幾つかの候補が試験され、それらにはβ−ARキナーゼ1(βARK1、GRK2としても知られている)、Gs、Gi、AC5およびAC6を含む。代表的なデータを図5に示す。TGF−β1への暴露は、心筋細胞でメッセージおよびタンパク質レベルのいずれでもβARK1、Gsα、Giα−1またはGiα−3の発現を改変しなかったことを示す(図21A−C、データは示さず)。対照的に、AC5およびAC6のmRNAレベルは、時間依存的な様式でTGF−β1による有意な低下を示し、TGF−β1で処理した心筋細胞においてフォルスコリンが誘導するAC活性の低下は、低下したAC5およびAC6発現に由来し得ることを示唆する。
TβRIキナーゼインヒビターは心筋細胞においてTGF−β1活性化Smadのシグナリングを遮断する
TGF−β1が誘導するβ2−AR応答の損失の原因となるシグナル伝達経路(1つまたは複数)を読み解くために、最初に培養した心筋細胞でTGF−β1により開始される潜在的なシグナル伝達反応を調査した。筋細胞とTGF−β1とのインキュベーションは、Smadシグナル伝達の迅速な活性化を誘導した。Smad2タンパク質のセリンリン酸化は1時間で頂点となり、そして24時間維持され、全Smadタンパク質レベルの変化は最少であった(図22A)。同様なリン酸化プロファイルがTGF−β1で処理した心筋細胞のSmad3タンパク質について観察された(データは示さず)。TGF−β1が活性化したSmadシグナル伝達がTβRIキナーゼ活性に依存するのかどうかを測定するために、選択的な低分子インヒビターである化合物番号79を使用した。400nMの化合物番号79とのプレインキュベーションは、1時間および24時間の両方でTGF−β1により誘導されるSmad2のリン酸化/活性化を有意に遮断した(図6B)。対照的に、特異的なp38キナーゼインヒビターとのプレインキュベーションでは、化合物番号79は、TGF−β1が誘導するSmad2のリン酸化に影響を及ぼさなかった(図22B)。Smad2/3またはSmad4に対して特異的なモノクローナル抗体を用いた免疫蛍光染色は、休止している心筋細胞中のSmad2/3およびSmad4の優勢な細胞質での局在化を明らかとした(図22C)。TGF−β1による1時間の刺激で蛍光染色は核で劇的に増加し、Smad2/3およびSmad4の核への転位を示した。ここでも化合物番号79は400nMで、これらの細胞におけるTGF−β1が誘導するSmad2/3およびSmad4の核への転位を完全に廃止した。加えて我々はTGF−β1処理が24時間内に心筋細胞においてSmad3をダウンレギュレートするが、Smad2 mRNAはしないことが分かった。これはまた化合物番号79により用量依存的様式で遮断された(図23A、データは示さず)。対照的に、阻害Smad7 mRNAは心筋細胞でTGF−β1処理によりアップレギュレートされ(データは示さず)、負のフィードバックループを表した。Smad3のダウンレギュレーションは、幾つかの系で報告されるようなTGF−βシグナル伝達の別の負のフィードバックループを表す可能性があり(Poncelet et al.,Kidney International 56:1354−1365(1999);Zhao and Geverend,Biochem.Biophys.Res.Commun.294:319−323(2002))、そして心筋細胞における遺伝子発現を調節するためのTGF−βシグナル伝達に、Smad2とは異なるSmad3の役割の可能性を示唆する。
TGF−β1はβ2−ARの定常状態mRNAレベルおよび受容体数をダウンレギュレートする
TGF−β1は、β2−AR mRNAおよびタンパク質のダウンレギュレーションを介して種々の細胞型のβ−AR受容体および機能を調節することが示された(Iizuks et al.,J.Mol.Cel.Cardiol.26:435−440(1994):Nogami et al.,Am.J.Physiol.266:L187−191(1994);Mak et al.,Naunyn,Schmiedbergs.Arch.Pharmacol.362:520−525(2000))。β−AR mRNAの変化を検出できるかどうかを調査するために、リアルタイムRT−PCR分析を行った。24時間のTGF−β1前処理はβ2−AR mRNAレベルを劇的に減少させた(図20A)。機能的アッセイと合致して、TGF−β1の暴露は心筋細胞のβ1−AR mRNAレベルを有意に改変しなかった。さらにタイムコース実験では、TGF−β1によるβ2−AR mRNAの抑制が処置からわずか1時間で起こることが明らかとなり、β2−AR遺伝子転写の調節がラット新生児の心筋細胞では迅速な出来事であることを示す(図20B)。これらの結果は、TGF−β1がβ2−ARメッセージレベルをダウンレギュレートし、心筋細胞において可能な受容体発現の減少に関するメカニズムを示唆している。
β−アドレナリン作動性のシグナリング分子の発現に及ぼすTGF−β1の効果
TGF−β1で処置した心筋細胞で、β−アゴニストに対する改変されたcAMP応答に貢献することができる他のβ−ARシグナル伝達分子の発現に変化があるのかどうかを調査するために、我々はリアルタイムRT−PCRおよびウエスタンブロット分析をそれぞれ使用してmRNAおよび/またはタンパク質レベルを調査した。心筋細胞でβ−ARのシグナル伝達を媒介する幾つかの候補が試験され、それらにはβ−ARキナーゼ1(βARK1、GRK2としても知られている)、Gs、Gi、AC5およびAC6を含む。代表的なデータを図5に示す。TGF−β1への暴露は、心筋細胞でメッセージおよびタンパク質レベルのいずれでもβARK1、Gsα、Giα−1またはGiα−3の発現を改変しなかったことを示す(図21A−C、データは示さず)。対照的に、AC5およびAC6のmRNAレベルは、時間依存的な様式でTGF−β1による有意な低下を示し、TGF−β1で処理した心筋細胞においてフォルスコリンが誘導するAC活性の低下は、低下したAC5およびAC6発現に由来し得ることを示唆する。
TβRIキナーゼインヒビターは心筋細胞においてTGF−β1活性化Smadのシグナリングを遮断する
TGF−β1が誘導するβ2−AR応答の損失の原因となるシグナル伝達経路(1つまたは複数)を読み解くために、最初に培養した心筋細胞でTGF−β1により開始される潜在的なシグナル伝達反応を調査した。筋細胞とTGF−β1とのインキュベーションは、Smadシグナル伝達の迅速な活性化を誘導した。Smad2タンパク質のセリンリン酸化は1時間で頂点となり、そして24時間維持され、全Smadタンパク質レベルの変化は最少であった(図22A)。同様なリン酸化プロファイルがTGF−β1で処理した心筋細胞のSmad3タンパク質について観察された(データは示さず)。TGF−β1が活性化したSmadシグナル伝達がTβRIキナーゼ活性に依存するのかどうかを測定するために、選択的な低分子インヒビターである化合物番号79を使用した。400nMの化合物番号79とのプレインキュベーションは、1時間および24時間の両方でTGF−β1により誘導されるSmad2のリン酸化/活性化を有意に遮断した(図6B)。対照的に、特異的なp38キナーゼインヒビターとのプレインキュベーションでは、化合物番号79は、TGF−β1が誘導するSmad2のリン酸化に影響を及ぼさなかった(図22B)。Smad2/3またはSmad4に対して特異的なモノクローナル抗体を用いた免疫蛍光染色は、休止している心筋細胞中のSmad2/3およびSmad4の優勢な細胞質での局在化を明らかとした(図22C)。TGF−β1による1時間の刺激で蛍光染色は核で劇的に増加し、Smad2/3およびSmad4の核への転位を示した。ここでも化合物番号79は400nMで、これらの細胞におけるTGF−β1が誘導するSmad2/3およびSmad4の核への転位を完全に廃止した。加えて我々はTGF−β1処理が24時間内に心筋細胞においてSmad3をダウンレギュレートするが、Smad2 mRNAはしないことが分かった。これはまた化合物番号79により用量依存的様式で遮断された(図23A、データは示さず)。対照的に、阻害Smad7 mRNAは心筋細胞でTGF−β1処理によりアップレギュレートされ(データは示さず)、負のフィードバックループを表した。Smad3のダウンレギュレーションは、幾つかの系で報告されるようなTGF−βシグナル伝達の別の負のフィードバックループを表す可能性があり(Poncelet et al.,Kidney International 56:1354−1365(1999);Zhao and Geverend,Biochem.Biophys.Res.Commun.294:319−323(2002))、そして心筋細胞における遺伝子発現を調節するためのTGF−βシグナル伝達に、Smad2とは異なるSmad3の役割の可能性を示唆する。
TGF−β1がMAPキナーゼ経路に及ぼす効果も調査した。MEK1/2(U0126)、c−Jun N−末端キナーゼ(JNK)(細胞透過性ペプチドインヒビター)およびp38MAPキナーゼの特異的インヒビターを機能的アッセイに使用して、それらのβ2−AR応答のTGF−β1調節における役割を調査した。これらの化合物に有意な効果は観察されなかった(図24A)。これらのデータは、TGF−βRIキナーゼ依存的なSmadシグナル伝達がラットの心筋細胞でTGF−β1による刺激で活性化され、そして恐らくこれらの細胞でTGF−β1の細胞作用を媒介する可能性がある主要なシグナル伝達経路の1つであることを示す。
化合物番号79はTGF−β1が誘導するβ2−AR発現および機能のダウンレギュレーションを遮断する
次に我々はTGF−β1と同時処理した化合物番号79が、β2−AR遺伝子およびタンパク質発現レベルに及ぼす効果を調査した。培養した心筋細胞を、化合物番号79の不存在または存在下で5ng/mlのTGF−β1と24時間インキュベーションした。TGF−β1が誘導するβ2−AR mRNAのダウンレギュレーションは、用量依存的様式で化合物番号79により逆転された(図23B)。最高用量(400−1000nM)の化合物番号79で、TGF−β1処理細胞中のβ2−ARのmRNAレベルは対照細胞のレベルよりも高く、休止心筋細胞中の基本的なTGF−βシグナル伝達がTGFβRIキナーゼインヒビターである化合物番号79により阻害されることが示唆される。対照的に、p38インヒビターはβ2−AR mRNAレベルに効果が無かった。加えてTGF−β1処理心筋細胞における減少したAC5およびAC6のmRNAレベルも、用量依存的様式で化合物番号79により阻害された(図23C、D)。
化合物番号79はTGF−β1が誘導するβ2−AR発現および機能のダウンレギュレーションを遮断する
次に我々はTGF−β1と同時処理した化合物番号79が、β2−AR遺伝子およびタンパク質発現レベルに及ぼす効果を調査した。培養した心筋細胞を、化合物番号79の不存在または存在下で5ng/mlのTGF−β1と24時間インキュベーションした。TGF−β1が誘導するβ2−AR mRNAのダウンレギュレーションは、用量依存的様式で化合物番号79により逆転された(図23B)。最高用量(400−1000nM)の化合物番号79で、TGF−β1処理細胞中のβ2−ARのmRNAレベルは対照細胞のレベルよりも高く、休止心筋細胞中の基本的なTGF−βシグナル伝達がTGFβRIキナーゼインヒビターである化合物番号79により阻害されることが示唆される。対照的に、p38インヒビターはβ2−AR mRNAレベルに効果が無かった。加えてTGF−β1処理心筋細胞における減少したAC5およびAC6のmRNAレベルも、用量依存的様式で化合物番号79により阻害された(図23C、D)。
TGF−β1への暴露から24時間後のプロカテロール刺激に対するβ2−AR応答の機能的分析は、賦形剤対照に比べて200nMの化合物番号79または中和抗−TGFβpan−特異的モノクローナル抗体の存在下で、心筋細胞におけるcAMP蓄積の上昇を示した(図24A)。対照的に化合物番号79、U0126またはJNKインヒビターIは、TGF−β1処理心筋細胞におけるβ2−ARが媒介するcAMP蓄積に影響を及ぼさず、主要なMAPキナーゼ経路はβ2−AR機能のTGF−β1調節の原因ではないことを示す。さらにTGF−β1処理心筋細胞におけるイソプロテレノールまたはフォルスコリンが誘導するcAMP蓄積は、200nMの化合物番号79またはTGF−β中和抗体とのプレインキュベーションにより保護された(図24B)。まとめると、これらのデータはTβRIキナーゼインヒビターである化合物番号79が心筋細胞中でTGF−β/Smadシグナル伝達を遮断し、そしてTGF−β1が誘導するβ2−AR遺伝子発現および機能の抑制を排除することを示す。
考察
本実験はラットの心筋細胞において、TGF−β1処理がβ−アドレナリン作動性機能の脱感作を誘導し、β−アゴニスト(β2−特異的プロカテロールおよび非特異的βアゴニストのイソプロテレロール)に応答して減少したcAMP蓄積を生じることを示す。この効果はβ2−AR応答でさらに劇的であり、24時間でプロカテロールが刺激するcAMP生産に最大〜60%の減少をもたらした。TGF−β1効果は濃度および時間依存的であり、そしてTGF−β1の効果的濃度は、生理学的範囲であった(Li et al.,Circulation 98:II−144−II−160(1998))。TGF−β1によるβ2−AR mRNAレベルの明白なダウンレギュレーションが観察された。放射性リガンド結合実験は、TGF−β1処理心筋細胞中でβ2−AR受容体の結合部位を減少させる傾向を示し、そしてこの低下はそのダウンレギュレーションにより説明することができる。興味深いことに、TGF−β1はβ1−AR mRNAレベルも受容体レベルも改変せず、TGF−β1処理心筋細胞中のβ1−ARが媒介するcAMP蓄積には恐らくAC活性の低下のような他のメカニズム(1つまたは複数)が関与することを示唆している。
考察
本実験はラットの心筋細胞において、TGF−β1処理がβ−アドレナリン作動性機能の脱感作を誘導し、β−アゴニスト(β2−特異的プロカテロールおよび非特異的βアゴニストのイソプロテレロール)に応答して減少したcAMP蓄積を生じることを示す。この効果はβ2−AR応答でさらに劇的であり、24時間でプロカテロールが刺激するcAMP生産に最大〜60%の減少をもたらした。TGF−β1効果は濃度および時間依存的であり、そしてTGF−β1の効果的濃度は、生理学的範囲であった(Li et al.,Circulation 98:II−144−II−160(1998))。TGF−β1によるβ2−AR mRNAレベルの明白なダウンレギュレーションが観察された。放射性リガンド結合実験は、TGF−β1処理心筋細胞中でβ2−AR受容体の結合部位を減少させる傾向を示し、そしてこの低下はそのダウンレギュレーションにより説明することができる。興味深いことに、TGF−β1はβ1−AR mRNAレベルも受容体レベルも改変せず、TGF−β1処理心筋細胞中のβ1−ARが媒介するcAMP蓄積には恐らくAC活性の低下のような他のメカニズム(1つまたは複数)が関与することを示唆している。
実際に心筋細胞のTGF−β1処理は、フォルスコリン(直接的なACアクチベータ)が完全な細胞中のcAMP蓄積を増す能力を下げた。さらに2つの主要な心臓ACアイソフォームであるAC5およびAC6(Hanoune and Defer,Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.41:145−174(2001))の発現も、時間依存的様式でTGF−β1により抑制されることが示され、これはTGF−β1処理細胞に由来する膜中で低下したAC活性に貢献することができた(Nair et al.,J.Cel.Physiol.164:232−239(1995))。対照的にβ−ARの下流の他のシグナル伝達分子(Gsα、Giα−1、−2、−3およびβARK1)の発現は、改変されなかった。したがって心筋細胞においてTGF−α1が誘導するβ2−AR応答性の損失は、減少したβ2−ARタンパク質レベルおよび改変されたAC活性の組合わさった作用による可能性がある。
化合物番号79は本出願で一般に、または具体的に開示するちょうど他の化合物のように、TGF−βRIキナーゼの有力な選択的低分子インヒビターの新規クラスに属する。このインヒビターを使用して、本明細書に与えるデータはSmadシグナル伝達経路がラット心筋細胞におけるβ2−AR発現および機能のTGF−β1調節を媒介することを証明する。TGF−β1が誘導するSmad2/3の活性化および核への転位ならびにSmad2の基本的リン酸化は、化合物番号79とのインキュベーションにより遮断され(図22B)、オートクラインメカニズムにより基本的TGF−βシグナル伝達が培養した休止心筋細胞に存在することを示唆する。この現象はβ2−AR遺伝子発現に反映され、ここで化合物番号79を用いた処置はTGF−β1により低下したβ2−AR mRNAレベルを回復するだけでなく、高濃度で未処置カルチャー中よりも高くβ2−ARレベルを上昇させる(図23)。これは化合物番号79が、より高濃度で使用した時に心筋細胞中の基準cAMPレベルを上昇させることが観察されたこととも一致する。
多くの証拠が、β−AR刺激に対する心臓の応答は、ヒトおよび動物モデルにおける慢性的心不全で減少することを証明した。また実験は、上昇した血漿カテコールアミンレベルとβ−AR応答の弱化の程度との間に正の相関があることも示唆する(Bristo,Lancet 1998、同上)。多くの類似性にもかかわらずβ1−ARおよびβ2−ARは、β2−ARのGsおよびGiタンパク質への二重共役に起因する心臓肥大および生存に著しく異なる慢性的効果を有する(Ziao et al.,Circ.Res.85:1092−1100(1999))。一般にβ2−ARは保護的となるが、β1−ARの過剰刺激は有害である。心臓β1−ARの導入遺伝子過剰発現は、低レベルで心臓肥大および心不全をもたらす(Engelhardt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:16701−16708(1999))。対照的にβ2−ARの過剰発現は中程度のレベルで生化学的およびインビボの心臓機能を強化する(Minano et al.,Science 264:582−586(1994)およびLiggett et al.,Circulation 101:1707−1714(2000))。さらに培養したラット心筋細胞の実験は、β2−ARがアゴニスト刺激で生存シグナルを発揮する一方、β1−AR刺激はアポトーシス経路を活性化するだけであることを示唆している(Communal et al.,Circulation 100:2210−2212(1999)およびZhu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:1607−1612(2001))。これらの知見を仮定すると、心臓β2−ARの選択的な再活性化は、心臓毒性との因果関係無しにカテコールアミン依存的な変力的支持(inotropic support)を提供できる。実際に幾つかの実験モデルにおいて、アデノウイルス伝達によるβ2−ARの心臓特異的な発現は心筋β−ARのシグナリングおよび心室機能こ有意な改善をもたらした(Akhter et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:12100−12105(1997);Maurice et al.,J.Clin.Invest.104:21−29(1999)およびShah et al.,Circulation 101:408−414(2000))。
本実験では、TβRIキナーゼインヒビターである化合物番号79がTGF−β1処理心筋細胞でβ2−AR発現およびβ−アゴニストに対する応答を選択的に上昇させることが証明された。TGF−β1は肥大および線維症のようなHFの他の観点で重要な役割を果たすことが示された。化合物番号79を使用した他の実験も、幾つかのインビトロおよびインビボモデルで化合物がTGF−β媒介型の線維症を遮断できることを示す。化合物番号79のようなTβRIキナーゼインヒビターの組み合わされた特性は、慢性心不全に新たな治療的パラダイムを与える。
心筋細胞におけるTGF−β1および化合物番号79によるβ−AR結合部位の改変 心筋細胞は、TGFβ1の存在または不存在下で500nMの化合物番号79の手段により処理した。次いで膜を調製し、100pm[125]−CYPの結合は8μgの膜タンパク質を使用して23℃で2時間測定し、そしてfmol/mgタンパク質として表した。100nMのCGP−20712Aの存在下での結合はβ2−ARへの結合と定め、一方、100μMのプロプラノルオールの存在下での結合は非特異的結合を定めた。全結合からβ2−AR結合を引いたものをβ1−AR結合と定めた。結果を図25に示す(p<0.05対賦形剤)。
【配列表】
Claims (65)
- TGF−β受容体を介するTGF−βのシグナルシリングを阻害することができる化合物の有効量を必要な哺乳動物個体に投与することを含んでなる、β−アドレナリン作動性シグナル伝達経路における病理学的変化を打ち消すための方法。
- TGF−β受容体がTGFβ−R1受容体キナーゼである、請求項1に記載の方法。
- 上記化合物がTGFβ−R1受容体キナーゼに特異的に結合することができる、請求項2に記載の方法。
- 上記化合物がTGFβ−R1受容体キナーゼにより媒介される生物学的活性を優先的に阻害する、請求項2に記載の方法。
- 病理学的変化が、(a)β−アドレナリン受容体のmRNAレベルにおける低下、(b)β−アドレナリン受容体の結合部位数の低下、(c)TGF−βが誘導するSmad3発現のダウンレギュレーション、および(d)β−アドレナリン作動性の感受性の低下からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
- β−アドレナリン作動性の感受性の低下がβ−アドレナリンアゴニストの投与に付随する、請求項5に記載の方法。
- β−アドレナリン作動性の感受性の低下がβ−アドレナリンアゴニストの長期または過剰投与から生じる、請求項6に記載の方法。
- β−アドレナリンアゴニストが、プロカテロール、アルブテロール、サルメテロール、ホルモテロールおよびドプタミンからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
- 病理学的変化が肺組織で観察される請求項1に記載の方法。
- 病理学的変化が肺機能の改善から利益を得る疾患または状態を生じる、請求項9に記載の方法。
- 疾患または状態が気管支収縮疾患である請求項10に記載の方法。
- 疾患または状態が、気腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺水腫、嚢胞性線維症(CF)、閉塞性肺疾患、急性呼吸不全症候群(ARDS)、喘息、放射線が誘発する肺の損傷、および感染源、吸入した毒素、または循環している外因性毒素、老化および肺機能の減損に対する遺伝的素因のような他の因子から生じる肺の損傷からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
- 哺乳動物個体がヒトである請求項12に記載の方法。
- ヒト個体が気管支拡張を必要とする、請求項13に記載の方法。
- 病理学的変化が心臓組織で観察される、請求項1に記載の方法。
- 哺乳動物個体がヒトである請求項15に記載の方法。
- ヒト個体がすでに心臓疾患と診断されている、請求項16に記載の方法。
- 心臓疾患が慢性またはうっ血性心不全(CHF)である、請求項17に記載の方法。
- 化合物がさらなる受容体キナーゼに結合することができる、請求項3に記載の方法。
- さらなる受容体キナーゼがアクチビン受容体(Alk4)である、請求項19に記載の方法。
- 化合物が小有機分子である請求項2に記載の方法。
- 小有機分子が、式(1)
R3は非妨害置換基であり;
各ZはCR2またはNであり、環A中の2より多くのZ位がNではなく、そして環A中の2つの隣接するZ位はNであることはできず;
各R2は独立して非妨害置換基であり;
Lはリンカーであり;
nは0または1であり;そして
Ar’は、1〜3個の非妨害置換基で場合により置換された環式脂肪族、環式複素脂肪族、芳香族または複素芳香族部分の残基である]
の化合物またはそれらの製薬学的に許容され得る塩である、請求項21に記載の方法。 - 化合物がキナゾリン誘導体である請求項22に記載の方法。
- Z3がNであり;そしてZ5−Z8がCR2である請求項23に記載の方法。
- Z3がNであり;そしてZ5−Z8の少なくとも1つが窒素である請求項23に記載の方法。
- R3が場合により置換されたフェニル部分である、請求項23に記載の方法。
- R3が2−、4−、5−、2,4−および2,5−置換フェニル部分からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
- フェニル部分の少なくとも1つの置換基がアルキル(1−6C)またはハロである、請求項27に記載の方法。
- 小有機分子が、式(2)
Y1が、ハロ、アルコキシ(1−6C)、アルキルチオ(1−6C)、アルキル(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、−O−(CH2)m−Ph、−S−(CH2)m−Ph、シアノ、フェニルおよびCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)であり、そしてmは0−3である)から選択される1以上の置換基で場合により置換されたフェニルまたはナフチルであるか;あるいは5−もしくは7−員の芳香族または非芳香族環(ここで該環はN、Oおよびから独立して選択される最高3個のヘテロ原子を含む)に縮合したフェニルであり、
Y2、Y3、Y4およびY5が独立して、水素、アルキル(1−6C)、アルコキシ(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)を表すか;あるいは隣接するY2、Y3、Y4およびY5の対が、場合により最高2個の窒素原子を含む縮合した6−員の芳香族環を形成し、該環は、アルキル(1−6C)、アルコキシ(a−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)から独立して選択される1以上の置換基により場合により置換され、そして残りのY2、Y3、Y4およびY5が、水素、アルキル(1−6C)、アルコキシ(1−6C)、ハロアルキル(1−6C)、ハロ、NH2、NH−アルキル(1−6C)またはNH(CH2)n−Ph(ここでnは0−3である)を表し;そして
X1およびX2の1つがNであり、そしてもう1つがNR6(ここでR6は水素またはアルキル(1−6C)である)である]
の化合物である、請求項21に記載の方法。 - 上記小有機分子が、式(3)
Y1が、ハロ、アルコキシ(1−6C)、アルキルチオ(1−6C)、アルキル(1−6C)、−O−(CH2)−Ph、−S−(CH2)n−Ph、シアノ、フェニルおよびCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)であり、そしてnは0、1、2または3である)からなる群から選択される1以上の置換基で場合により置換されたナフチル、アントラセニルまたはフェニルであるか;あるいはY1が5−7員の芳香族または非芳香族の環式環(ここで該環式環はN、OおよびSから独立して選択される最高2個のヘテロ原子を場合により含む)に縮合したフェニルを表し;
Y2が、H、NH(CH2)n−PhまたはNH−アルキル(1−6C)(ここでnは0、1、2または3である)であり;
Y3が、CO2H、CONH2、CN、NO2、アルキルチオ(1−6C)、−SO2−アルキル(C1−6)、アルコキシ(C1−6)、SONH2、CONHOH、NH2、CHO、CH2NH2またはCO2R(ここでRは水素またはアルキル(1−6C)である)であり;
X1およびX2の1つがNまたはCR’であり、そしてもう1つがNR’またはCHR’(ここでR’は水素、OH、アルキル(C−16)またはシクロアルキル(C3−7)である)であるか;あるいはX1およびX2の1つがNまたはCR’である時、もう1つはSまたはOであることができる]
の化合物である、請求項21に記載の方法。 - 上記小有機分子が、式(4)
Arが5−12の環の員を含む場合により置換された芳香族または場合により置換された複素芳香族部分を表し、ここで場合により置換されたArが
でないならば、該複素芳香族部分は1以上のO、Sおよび/またはNを含み;
XがNR1、OまたはSであり;
R1が、H、アルキル(1−8C)、アルケニル(2−8C)またはアルキニル(2−8C)であり;
Zが、NまたはCR4を表し;
各R3およびR4が独立して、Hまたは非妨害置換基であり;
各R2が独立して、非妨害置換基であり;そして
nが0、1、2、3、4または5である]
の化合物およびそれらの製薬学的に許容され得る塩およびプロドラッグ形である請求項21に記載の方法。1つの態様では、n>2、そしてR2’が隣接する場合、それらは一緒に連結して、各ヘテロ原子が独立してO、NまたはSであることができる1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜7員の非芳香族、複素芳香族または芳香族環を形成することができる。 - 上記小有機分子が、式(5)
各Z5、Z6、Z7およびZ8がNまたはCHであり、そしてZ5、Z6、Z7およびZ8の1または2個がNであり、そして2つの隣接するZ位はNであることはできず;
mおよびnがそれぞれ独立して0−3であり;
2つの隣接するR1基は連結して、5〜6員の脂肪族複素環式環を形成することができ;
R2が非妨害置換基であり;そして
R3がHまたはCH3である]
の化合物またはそれらの製薬学的に許容され得る塩である請求項21に記載の方法。 - TGF−β受容体を介してTGF−βシグナル伝達を阻害することができる有効な量の化合物を必要な哺乳動物個体に投与することを含んでなる、β−アドレナリン受容体の感受性における低下を打ち消すための方法。
- β−アドレナリン受容体の感受性における低下がアゴニストにより誘導される請求項33に記載の方法。
- β−アドレナリン受容体の感受性における低下が、アゴニストにより誘導されるβ−アドレナリン受容体の脱共役、封鎖、分解および脱感作からなる群から選択される1以上の原因から生じる、請求項34に記載の方法。
- β−アドレナリン受容体の感受性における損失がアゴニスト非依存的メカニズムによる請求項33に記載の方法。
- 哺乳動物個体がヒトである請求項36に記載の方法。
- ヒト個体に気管支拡張の必要がある、請求項37に記載の方法。
- ヒト個体が肺機能の改善から利益を得る疾患または状態を有するとすでに診断されている、請求項38に記載の方法。
- 肺機能の改善から利益を得る疾患または状態が、気腫、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺水腫、嚢胞性線維症、閉塞性肺疾患、急性呼吸不全症候群(ARDS)、喘息、放射線が誘発する肺の損傷、および感染源、吸入した毒素、または循環している外因性毒素、老化および肺機能の減損に対する遺伝的素因のような他の因子から生じる肺の損傷からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
- 肺機能の改善から利益を得る疾患または状態が急性肺損傷を含む請求項39に記載の方法。
- 肺機能の改善から利益を得る疾患または状態が肺線維症を伴わない、請求項39に記載の方法。
- 肺機能の改善から利益を得る疾患または状態が、肺線維症が主な症状ではない時の段階である、請求項39に記載の方法。
- 肺機能の改善から利益を得る疾患または状態が肺の炎症を伴う請求項39に記載の方法。
- 肺機能の改善から利益を得る疾患または状態が、有害な粒子またはガスに対する肺の異常な炎症応答を伴う請求項39に記載の方法。
- 肺機能の改善から利益を得る疾患または状態が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である請求項39に記載の方法。
- ヒト個体がβ−アドレナリンアゴニストで処置される、請求項39に記載の方法。
- β−アドレナリン受容体がβ2−アドレナリン受容体である、請求項47に記載の方法。
- β2−アドレナリンアゴニストが気管支拡張薬である請求項48に記載の方法。
- β2−アドレナリンアゴニストが、プロカテロール、アルブテロール、サルメテロールおよびホルモテロールからなる群から選択されている、請求項48に記載の方法。
- 哺乳動物個体がすでに心臓疾患と診断された、請求項37に記載の方法。
- 心臓疾患がうっ血性心不全である、請求項52に記載の方法。
- TGF−β受容体を介するTGF−βのシグナリングを阻害することができる化合物の投与がイオノトロピーの上昇を生じる、請求項52に記載の方法。
- TGF−β受容体を介するTGFβのシグナリングを阻害することができる化合物の投与が循環するカテコールアミンの減少を生じる、請求項52に記載の方法。
- TGF−β受容体を介するTGF−βのシグナリングを阻害することができる化合物の投与が不整脈および末梢血管収縮の減少を生じる、請求項52に記載の方法。
- ヒト個体が脳由来ナトリウム排出増加性ペプチド(BNP)で処置される、請求項52に記載の方法。
- 上記受容体がTGFβ−R1受容体キナーゼである、請求項33に記載の方法。
- 上記TGFβ−R1受容体キナーゼを介するTGF−βのシグナリングを阻害することができる化合物が、β−アドレナリン受容体の感受性の低下を生じる化合物を用いた処置と同時に投与される、請求項57に記載の方法。
- 上記TGFβ−R1受容体キナーゼを介するTGF−βのシグナリングを阻害することができる化合物が、β−アドレナリン受容体の感受性の低下を生じる化合物を用いた処置により断続的に投与される、請求項57に記載の方法。
- 上記TGFβ−R1受容体キナーゼを介するTGFβのシグナリングを阻害することができる化合物が、β−アドレナリン受容体の脱感作を生じる化合物を用いた処置後に投与される、請求項57に記載の方法。
- 上記β2−ARを発現する細胞を、TGF−β受容体を介するTGF−βのシグナリングを可能にする化合物で処理することを含んでなる、β2−アドレナリン受容体(β2−AR)発現およびβ−アドレナリン受容体アンタゴニストに対する応答の選択的阻害法。
- TGF−β受容体がTGFβ−R1キナーゼである、請求項61に記載の方法。
- 細胞が心臓細胞である、請求項62に記載の方法。
- 心臓細胞が疾患している、請求項63に記載の方法。
- 心臓細胞がうっ血性心不全(CHF)を有する個体の細胞である、請求項64に記載の方法。
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