JP2006524502A - 乳癌の発現プロファイル及び使用法 - Google Patents

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Abstract

本発明は乳癌の遺伝子発現プロファイル、遺伝子発現プロファイルを表わす核酸配列
を含んでなるミクロアレー並びに発現プロファイル及びミクロアレーを使用する方法に
関する。本発明はまた、癌を検出する診断的アッセイのための方法及び組成物並びに癌を処置するための治療法及び組成物を提供する。本発明はまた、癌の治療薬を計画し、
同定しそして最適化する方法を提供する。

Description

本出願は2003年2月28日の米国特許仮出願第60/450,655号明細書の権利を主張し、その内容はそれらの全体の引用により本明細書に取り入れられている。
本発明は乳癌の遺伝子発現プロファイル、遺伝子発現プロファイルを表わす核酸配列を含んでなるミクロアレー並びに発現プロファイル及びミクロアレーを使用する方法に関する。
多数の疾病状態は遺伝子DNAのコピー数(copy number)の変化又は特定の遺伝子の転写レベルの変化のいずれかによる(例えば、RNA前駆体、RNAプロセシング、等の開始、提供の制御による)様々な遺伝子の発現レベルの相異を特徴として示す。例えば、遺伝物質の喪失及び獲得は悪性の形質転換及び進行において重要な役割を果たす。これらの獲得及び喪失は少なくとも2種の遺伝子、癌遺伝子(oncogenes)及び腫瘍サプレッサー遺伝子(tumor suppressor genes)により「駆動」されると考えられる。癌遺伝子は腫瘍形成の正のレギュレーターであり、他方腫瘍サプレッサー遺伝子は腫瘍形成の負のレギュレーターである(非特許文献1及び2参照)。従って調節されない成長を活性化する1つの機序は、癌遺伝子タンパク質をコードする遺伝子数を増加する又はこれらの癌遺伝子の発現レベルを増加する(例えば、細胞又は環境の変化に反応して)ことであり、そしてもう1つの機序は、腫瘍サプレッサーをコードする遺伝物質を喪失するか又は遺伝子の発現レベルを減少することである。このモデルは神経膠腫の進行と関連する遺伝物質の喪失及び獲得により支持される(非特許文献3参照)。従って、特定の遺伝子(例えば、癌遺伝子又は腫瘍サプレッサー)の発現(転写)レベルの変化は様々な癌の存在及び進行の指標として役立つ。
これら様々な疾患(例えば、癌)を処置するための治療剤として使用される化合物は恐らく、幾らか又はすべてのこれらの遺伝子発現の変化を逆転させる。従って、少なくとも幾つかのこれらの遺伝子の発現の変化はこれらの治療剤の効果をモニターするか又は予測すらするための方法として使用することができる。これらの発現の変化の分析は関係する標的組織(例えば、腫瘍)中で又は何か代替細胞集団(例えば、末梢血白血球)中で実施することができる。後者の場合には、発現の変化パターンが効力のマーカーとして使用されるためには、効力(例えば、腫瘍の縮小又は非成長)との遺伝子発現の変化の相関が特に強度でなければならない。
多数の実験室が分子レベルでヒトの腫瘍を分類するために、ミクロアレー又はその他の方法により遺伝子発現分析を使用して成功を報告している(非特許文献4、5、6、7及び8参照)。この方法で同定された、個別の又はサブセットとしての遺伝子は1もしくは複数の治療化合物の効力と相関する変化を追跡することができると考えられるマーカーとして、あるいはどの患者が特定の治療剤から効果を得ることができるかを予測するために使用することができる。10種のヒトの乳癌からそして正常な隣接組織(NAT)から全RNA(total RNA)を単離し、Affymetrix法を使用して各試料からのRNAを分析した。
Marshall,Cell 64:313−326,1991 Weinberg,Science 254:1138−1146,1991 Mikkelson,et al.,J.Cellular Biochem.46:3−8,1991 Bittner,et al.,Nature 406:536−540,2000 Alon,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:6745−6750,1999 Alizadeh,et al.,Nature 403:503−511,2000 Golub,et al.,Science 286:531−537,1999 Perou,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.96:9212−9217,1999 Kahn,et al.,Am.J.Pathol.156:1887−1900,2000
本発明は乳癌の遺伝子発現プロファイル、発現プロファイルを表わす核酸配列又はアミノ酸配列を含んでなるミクロアレー並びに発現プロファイル及びミクロアレーを使用する方法に関する。
本発明の1態様において、遺伝子発現プロファイルは正常な隣接組織(NAT)に対するヒト乳癌の変化した発現を示す1もしくは複数の遺伝子(例えば、SEQ ID NOs:1〜127)を含んでなる発現プロファイルである。
もう1つの態様において、発現プロファイルは正常な隣接組織(NAT)に対するヒト乳癌の変化した発現を示す1もしくは複数のポリペプチド(例えば、SEQ ID NOs:128〜254)を含んでなる発現プロファイルである。
本発明の更なる態様において、遺伝子発現プロファイルは表1〜3に挙げられた遺伝子から成る群から選択される1もしくは複数の遺伝子を含んでなる発現プロファイルであることができる。本発明のもう1つの態様において、遺伝子発現プロファイルは表中に挙げられた遺伝子を含んでなる群から単離される1もしくは複数のバイオマーカーを含んでなる。
本発明はまた、ヒト乳癌及び正常な隣接組織の遺伝子発現プロファイルの発見に関する。実施例及び表中に記載されるように、ヒトの乳癌は正常な隣接組織に対して、より高いレベルに発現する(すなわち、アップレギュレートされた)遺伝子及びより低いレベルに発現する(すなわちダウンレギュレートされた)遺伝子を有する。アップレギュレートされた又はダウンレギュレートされた遺伝子のセットは本明細書では「ヒト乳癌組織の特徴を示す遺伝子」と呼ばれる。
更に、ヒト乳癌組織中に変化した発現を示す1もしくは複数の遺伝子を含んでなるミクロアレーが本発明の範囲内に含まれる。本発明のもう1つの態様において、ミクロアレーは表中に挙げられる遺伝子から成る群から選択される1もしくは複数の遺伝子を含んでなるミクロアレーであることができる。更なる態様において、ミクロアレーは表中に挙げられる遺伝子を含んでなる群から単離される1もしくは複数のバイオマーカーを含んでなるミクロアレーであることができる。
更に、癌の予測、診断、予後及び治療のための方法及び試薬を提供することが本発明の目的である。
本発明はまた、それらに限定はされないが、組織又は細胞試料に対する薬剤又は処置の効果をスクリーニングすること、組織又は細胞試料に対する毒性効果をスクリーニングすること、組織又は細胞試料中の疾患状態を同定すること、患者の診断を提供すること、処置に対する患者の反応を予測すること、対照と薬剤処置試料間を区別すること、正常及び腫瘍試料間を区別すること、新規薬剤を発見すること並びに組織又は細胞試料中の遺伝子発現レベルを決定することを含む、該ミクロアレーを使用する方法に関する。
本発明のもう1つの態様は、組織又は細胞試料中の遺伝子発現及び/又は遺伝子産物のレベルが薬剤への暴露前及び後に分析され、遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルの変化が薬効を示すか又は患者の診断を提供するか又は処置に対する患者の反応を予測する、1もしくは複数の遺伝子(例えば、SEQ ID NO:1〜127)及び/又は遺伝子産物(例えば、SEQ ID NO:128〜254)の発現レベルを分析する段階を含んでなる、組織又は細胞試料に対する薬剤の効果をスクリーニングする方法である。
本発明のもう1つのアスペクトは、細胞の遺伝子発現及び/又は遺伝子産物のレベルを薬剤に対する暴露の前及び後に分析し、遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルの変化
が薬効を示す、1もしくは複数の遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルを分析する段階を含んでなる、新薬を発見する方法である。
本発明は更に、ポリペプチドの活性の変化が癌の処置に有用な試験化合物を示す、試験化合物を癌を有する被験体に投与し、そしてポリペプチド(例えば、SEQ ID NO:128〜254によりコードされるポリペプチド)の活性を測定することを含んでなる、癌の処置に有用な化合物を同定する方法を提供する。
従って本発明はアゴニスト及びアンタゴニスト、部分的アゴニスト、インバースアゴニスト、アクチベーター、コアクチベーター及び阻害剤のようなレギュレーター又はモジュレーターとして働くことができる化合物を同定するために使用することができる方法を提供する。従って、本発明は癌と関連するポリヌクレオチド又はポリペプチドの発現を調節するための試薬及び方法を提供する。ポリヌクレオチドの発現、安定性又は量あるいはポリペプチドの活性を調整する試薬はタンパク質、ペプチド、ペプチド疑似体、核酸、核酸類似体(例えば、ペプチド核酸、ロック核酸(locked nucleic acid))又は小分子であってもよい。
本発明はまた、正常な試料及び患者の試料の遺伝子発現及び/又は遺伝子産物のレベルが分析され、患者の試料中の遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルの変化が疾患の症状である、1もしくは複数の遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルを分析する段階を含んでなる、患者に診断を与える方法を提供する。患者の試料にはそれらに限定はされないが、血液、羊水、血漿、精液、骨髄及び組織生検が含まれる。
本発明はまた更に、癌を有する疑いのない被験体のポリペプチドの活性に対してポリペプチドの活性に差がある場合に、被験体が癌を有すると診断される、癌を有すると疑われる被験体においてポリペプチドの活性を測定することを含んでなる、被験体における癌を診断する方法を提供する。
もう1つの態様において、本発明は、タンパク質に対する抗体が患者の試料中のタンパク質と反応するために使用される、患者の試料中の癌を検出する方法を提供する。
本発明のもう1つのアスペクトは、正常組織及び疾患組織の遺伝子発現及び/又は遺伝子産物のレベルが分析され、遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルの変化が疾患の状態を示す、1もしくは複数の遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルを分析する段階を含んでなる、正常状態と疾患状態の間を識別する方法である。
もう1つの態様において、本発明は、遺伝子が少なくとも2の係数、少なくとも5の係数、少なくとも20の係数又は少なくとも50の係数だけ区別されて発現される、正常な細胞に対する少なくとも1遺伝子の、異なる発現を検出することを含んでなる、細胞の表現型を決定する方法に関する。
更にもう1つの態様において、本発明は、タンパク質が少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも20倍又は少なくとも50倍だけ区別されて発現される(differentially expressed)、正常な細胞に対する少なくとも1ポリペプチドの、区別される発現を検出することを含んでなる、細胞の表現型を決定する方法に関する。
もう1つの態様において、本発明は少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約25又は少なくとも約40の連続的ヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を含んでなる核酸プローブを提供し、患者から細胞の試料を得、場合によっては、実質的にそれらすべてが非癌性である細胞の第2の試料を提供し、緊縮条件下にある核酸プローブを該第1及び第2の細胞試料それぞれのmRNAと接触させ、そして(a)第1の細胞試料のmRNAによるプローブのハイブリッド形成量を(b)第2の細胞試料のmRNAによるプローブのハイブリッド形成量と比較する(ここで第2の細胞試料のmRNAによるハイブリッド形成量に比較される、第1の細胞試料のmRNAによるハイブリッド形成量において少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも20倍又は少なくとも50倍の差が第1の細胞試料中の細胞の表現型を示す)ことにより、患者からの細胞の表現型を決定する方法に関する。
もう1つの態様において、本発明は患者から単離される細胞の試料中の核酸のレベルを
測定するための、プローブ/プライマーを含んでなる、癌性細胞又は組織の存在を同定するための試験キットを提供する。特定の態様において、該キットは更に、キットを使用するための取扱い説明書、細胞を懸濁又は固定するための溶液、検出可能なタグ又は標識、核酸をハイブリッド形成に感受性にさせる溶液、細胞溶解のための溶液、あるいは核酸の精製のための溶液を含むことができる。
1態様において、本発明は1タンパク質に特異的な抗体を含んでなる癌細胞又は組織の存在を同定するための試験キットを提供する。特定の態様において、該キットは更にキットを使用するための取扱い説明書を含む。特定の態様においてキットは更に、細胞を懸濁又は固定する溶液、検出可能なタグ又は標識、ポリペプチドを抗体の結合に感受性にさせる溶液、細胞を溶解するための溶液あるいはポリペプチドの精製用溶液を含むことができる。
もう1つの態様において、本発明は患者から単離される細胞の試料中の核酸のレベルを測定するためのプローブ/プライマーを含んでなる、癌性細胞又は組織中の化合物又は治療剤の効果を監視するための試験キットを提供する。特定の態様において、該キットは更に、キットを使用するための取扱い説明書、細胞を懸濁又は固定するための溶液、検出可能なタグ又は標識、核酸をハイブリッド形成に感受性にさせるための溶液、細胞を溶解するための溶液あるいは核酸の精製用溶液を含むことができる。
1態様において、本発明は1タンパク質に特異的な抗体を含んでなる、癌性細胞又は組織中の化合物又は治療剤の効果を監視するための試験キットを提供する。特定の態様において、該キットは更に、キットを使用するための取扱い説明書を含む。特定の態様において、該キットは更に、細胞を懸濁又は固定するための溶液、検出可能なタグ又は標識、ポリペプチドを抗体の結合に感受性にさせるための溶液、細胞を溶解するための溶液あるいはポリペプチドの精製用溶液を含むことができる。
本発明また、疾患又は薬剤処置を表わす遺伝子発現プロファイルから1組のバイオマーカーの遺伝子を選択する段階を含んでなる、バイオマーカーを同定する方法に関する。
本発明は記載された特定の方法、プロトコール、細胞株、動物の種又は属、構造物及び試薬に限定されず、従って変動することができることを理解しなければならない。更に、本明細書で使用される用語は特定の態様を説明する目的だけのためのものであり、付記の請求の範囲によってのみ限定されるであろう本発明の範囲を限定する意図はもたれないことも理解しなければならない。
本明細書及び付記の請求の範囲において使用されるような、単数形態「a」「and」及び「the」は内容が明確にその反対を述べない限り、複数の言及を含むことに注意しなければならない。従って、例えば「a gene(遺伝子)」の言及は1もしくは複数の遺伝子の言及であり、当業者に知られたそれらの同等物を含み、以下同様である。
別記されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は本発明が属する分野の当業者に一般的に理解されるものと同様な意味を有する。本明細書に記載されたものと同様な又は同等な任意の方法、装置及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができ、そしてこれらの方法、装置及び材料の例は以下に説明される。
本明細書に言及されるすべての刊行物及び特許は、例えば、現在説明される発明と関連して使用することができると考えられる刊行物中に記載されている構造物及び方法を説明し、開示する目的で、引用により本明細書に取り込まれる。前記及び本文全体中に考察される刊行物は本出願書の出願日より前のそれらの開示のためのみに提供されている。本明細書のいずれも、本発明者が以前の発明のお陰でこれらの開示の日付を早める権利はないことを認めるものと解釈されるべきではない。
定義
便宜のために、明細、実施例及び付記の請求の範囲に使用される特定の用語及び節の意味を以下に提供する。
疾患細胞「の対応する正常な細胞」又は「に対応する正常な細胞」又は「の正常な対応する細胞」の用語は疾患細胞のものと同一タイプの正常な細胞を意味する。
アレー(例えば、ミクロアレー)上の「アドレス」は要素(element)、例えばオリゴヌクレオチドが、アレーの固形表面に付着されている位置を表わす。
本明細書で使用される「アゴニスト」の用語はタンパク質の生物活性を模倣する又はアップレギュレート(例えば、強化又は補強する)物質を表わすことを意味する。アゴニストは野生型タンパク質又は野生型タンパク質の少なくとも1種の生物活性を有するその誘導体であることができる。アゴニストはまた、遺伝子の発現をアップレギュレート又はタンパク質の少なくとも1種の生物活性を増加する化合物であることができる。アゴニストはまた、ポリペプチドの、もう1種の分子、例えば標的のペプチド又は核酸との相互反応を増加する化合物であることができる。
本明細書で使用される「増幅(amplification)」は核酸配列の更なるコピーの生成に関する。例えば、増幅は当業者に周知のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を使用して実施することができる(例えば、Dieffenbach,C.W.及びG.S.Dveksler(1995)のPCRプライマー,実験室マニュアル、Cold Spring Harbor Press, Plainview,N.Y.を参照されたい)。
本明細書で使用される「アンタゴニスト」はタンパク質の少なくとも1種の生物活性をダウンレギュレート(例えば抑制又は阻害する)物質を表わすことを意味する。アンタゴニストはタンパク質ともう1種の分子、例えば、標的のペプチド又は酵素の基質間の相互反応を阻害する又は減少させる化合物であることができる。アンタゴニストはまた、遺伝子の発現をダウンレギュレート又は存在する発現されたタンパク質の量を減少する化合物であることができる。
本明細書で使用される用語「抗体」は例えば任意のアイソタイプ(IgG、IgA、IgM、IgE、等)の全抗体を含むことが意図され、脊椎動物(例えば、哺乳動物)のタンパク質と特異的に反応性であるそれらのフラグメントを含む。抗体は通常の方法及び、全抗体に対して前記と同様な方法で使用のためにスクリーニングされたフラグメントを使用してフラグメントに分割することができる。従って、該用語は特定のタンパク質と選択的に反応することができる抗体分子のタンパク質分解により分割された又は遺伝子組換えにより調製される部分のセグメントを含む。これらのタンパク質分解による及び/又は遺伝子組換えによるフラグメントの限定されない例にはFab、F(ab’)2、Fab’、Fv、及びペプチドリンカーにより結合されたV[L]及び/又はV[H]ドメインを含む単鎖抗体(scFv)が含まれる。scFvは共有結合又は非共有結合により結合されて2個以上の結合部位を有する抗体を形成することができる。本発明には抗体及び組換え抗体のポリクローナル、モノクローナル又はその他の精製調製物が含まれる。
用語「アレー」又は「マトリックス」は装置上のアドレス可能な位置又は「アドレス」の配置を表わす。位置は二次元のアレー、三次元のアレー又はその他のマトリックスフォーマットに配列することができる。位置の数は数個から少なくとも数十万までにわたることができる。もっとも重要なことには、各位置は完全に独立した反応部位を表わす。「核酸アレー」は遺伝子のオリゴヌクレオチド又はより大きい部分のような核酸プローブを含有するアレーを表わす。アレー上の核酸は一重鎖であることができる。プローブがオリゴヌクレオチドであるアレーは「オリゴヌクレオチドアレー」又は「オリゴヌクレオチドチップ」と呼ばれる。本明細書中で、「バイオチップ」又は「生物学的チップ」とも呼ばれる「ミクロアレー」は、例えば少なくとも約100/cm又は少なくとも約1000/cmの別個の領域の密度を有する、領域のアレーである。ミクロアレー中の領域は典型的なディメンション、例えば、約10〜250μmの間の範囲内の直径を有し、ほぼ同一距離だけアレー内で他の領域から分離されている。
本明細書で互換性に使用される「生物学的活性」、「生物活性」、「活性」又は「生物学的機能」はポリペプチド(その本来の形態又は変性形態のいずれでも)により又は任意のその結果により直接的又は間接的に実施されるエフェクター(effector)又は抗原機能を意味する。生物学的活性にはポリペプチドへの結合、その他のタンパク質又は分子への結合、DNA結合タンパク質として、転写調節物としての活性、損傷DNAと結
合する能力、等が含まれる。生物活性は被験体のペプチドに直接作用することにより調整することができる。あるいはまた、生物活性は対応する遺伝子の発現を調整することによるように、ポリペプチドのレベルを調整することにより変化させることができる。
本明細書で使用される用語「生物学的試料」は生物から又は生物の構成成分(例えば、細胞)から得られる試料を意味する。試料は任意の生物学的組織又は流体であってもよい。試料は患者から採取される試料である「臨床試料」であってもよい。これらの試料には、それらに限定はされないが、唾液、血液、血液細胞(例えば、白血球)、組織又は細針生検試料、尿、腹腔液及び胸膜液又はそれらかの細胞が含まれる。生物学的試料にはまた、組織学的目的のために採取される凍結切片のような組織切片も含まれる。
用語「バイオマーカー」又は「マーカー」は生物そのものの生理学的変化のみならずまた、広範囲の細胞内及び細胞外事象を包含する。バイオマーカーは細胞機能の本質的にすべてのアスペクト、例えば、それらに限定はされないが、タンパク質のシグナル伝達分子、転写因子、代謝物、遺伝子転写物並びに翻訳後修飾物のレベル又は生成速度を表わすことができる。バイオマーカーは転写レベルの全ゲノム分析又はタンパク質レベル及び/又は修飾物の全プロテオーム分析を含むことができる。
バイオマーカーはまた、未処置疾患細胞に比較した、疾患を有する被験体の化合物により処置された疾患細胞中でアップレギュレート又はダウンレギュレートされる遺伝子又は遺伝子産物を表わすことができる。すなわち、遺伝子又は遺伝子産物は、場合によりその他の遺伝子又は遺伝子産物と一緒にそれを使用することができる処置される細胞に、小分子の効力を同定、予測又は検出するのに十分に特異的である。従って、バイオマーカーは疾患細胞中の化合物の効果又は化合物による処置に対する該疾患細胞の反応の特徴を示す遺伝子又は遺伝子産物である。
ヌクレオチド配列は、2配列の各塩基がマッチする、すなわちワトソン−クリック塩基対を形成することができる場合に、もう1つのヌクレオチド配列に「相補的」である。用語「相補鎖」は本明細書では用語「相補物(complement)」と互換性に使用される。核酸鎖の相補物は暗号鎖の相補物又は非暗号鎖の相補物であることができる。
「遺伝子の検出物」は遺伝子又はそれに関するその他の生物学的分子、例えば遺伝子から転写されるRNA又は遺伝子によりコードされるポリペプチドを特異的に検出するために使用することができる物質を表わす。代表的な検出物は遺伝子に対応する核酸に対してハイブリッド形成する核酸プローブ及び抗体である。
細胞A及び細胞B間の「区別される(differential)遺伝子発現パターン」は細胞A及び細胞B間の遺伝子発現の相異を反映するパターンを表わす。区別される遺伝子発現パターンはまた、1時点の細胞ともう1つの時点の細胞間、又は化合物とインキュベート又は接触された細胞と、化合物とインキュベート又は接触されなかった細胞間でも得ることができる。
用語「癌(cancer)」にはそれらに限定はされないが、固形腫瘍(例えば乳、気道、脳、生殖器、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭及び首、甲状腺、副甲状腺の癌)及びそれらの遠位転移腫瘍が含まれる。該用語はまた、リンパ腫、肉腫及び白血病も含まれる。
乳癌の例にはそれらに限定はされないが、滲出性腺管癌、滲出性小葉癌、原位置の腺管癌及び原位置の小葉癌が含まれる。
気道の癌の例にはそれらに限定はされないが、小細胞及び非小細胞肺ガン並びに気管支腺腫及び肺動脈芽球腫が含まれる。
脳腫瘍の例にはそれらに限定はされないが、脳幹及び脳下垂体神経膠腫、小脳及び脳星状細胞腫、髄芽細胞腫、上衣細胞腫、並びに神経外胚葉及び松果体腫瘍が含まれる。
男性生殖器の腫瘍にはそれらに限定はされないが、前立腺及び睾丸癌が含まれる。女性生殖器の腫瘍にはそれらに限定はされないが、子宮内膜、頸部、卵巣、膣及び陰唇癌並びに子宮肉腫が含まれる。
消化管の腫瘍にはそれらに限定はされないが、肛門、結腸、結腸直腸、幽門、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸及び唾液腺癌が含まれる。
尿路の腫瘍にはそれらに限定はされないが、膀胱、ペニス、腎臓、腎盂、尿管及び尿道口癌が含まれる。
眼の癌にはそれらに限定はされないが、眼内黒色腫及び網膜芽細胞腫が含まれる。
肝臓癌の例にはそれらに限定はされないが、肝細胞癌(繊維層状(fibrolamellar)バリアントを伴う又は伴わない肝細胞癌)、胆管癌(肝臓内胆管癌)及び混合肝細胞胆管癌が含まれる。
皮膚癌にはそれらに限定はされないが、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌及び非黒色腫皮膚癌が含まれる。
頭部及び頸部癌にはそれらに限定はされないが、喉頭/下咽頭/鼻咽腔/口腔咽頭癌及び口唇及び口腔癌が含まれる。
リンパ管癌にはそれらに限定はされないが、AIDS−関連リンパ腫、非ホジキン氏リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジキン氏病及び中枢神経系のリンパ腫が含まれる。
肉腫にはそれらに限定はされないが、軟組織の肉腫、骨肉腫、悪性繊維性組織球腫、リンパ肉腫及び横紋筋肉腫が含まれる。
白血病にはそれらに限定はされないが、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病及びヘアリー細胞白血病が含まれる。
「癌の疾患細胞」は癌を有する被験体中に存在する細胞を表わす。すなわち、正常細胞の修飾形態であり、癌をもたない被験体には存在しない細胞、あるいは癌をもたない被験体に比較して癌を有する被験体に著しくより高い又はより低い数で存在する細胞を意味する。
用語「同等な」は機能的に等しいポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むと理解される。同等なヌクレオチド配列は対立遺伝子の(allelic)バリアントのような1もしくは複数のヌクレオチド置換基、付加物又は削除物だけ異なる配列を含むことができ、従って、遺伝子コードの縮重のために表中に言及される核酸のヌクレオチド配列と異なる配列を含むことができる。
本明細書で、細胞の「遺伝子発現プロファイル」及び「フィンガープリント」と互換性に使用される用語「発現プロファイル」は細胞中の1もしくは複数の遺伝子のmRNAレベルを表わす1組の値を表わす。発現プロファイルは例えば、少なくとも約10遺伝子、又は少なくとも約50、100、200又はそれを超える遺伝子の発現レベルを表わす値を含んでなることができる。発現プロファイルはまた、多数の細胞及び条件において類似のレベルで発現される遺伝子(例えば、GAPDHのようなハウスキーピング遺伝子)のmRNAレベルを含んでなることができる。例えば、癌の疾患細胞の発現プロファイルは疾患細胞中の10以上の遺伝子のmRNAレベルを表わす1組の値を表わす。更に用語「発現プロファイル」はまた、細胞中の1もしくは複数のタンパク質又はポリペプチドレベルを表わす1組の値を含むことができる。
用語「遺伝子」はポリペプチド又は前駆体の生成に必要な制御(control)及びコード配列を含んでなる核酸配列を表わす。ポリペプチドは全長のコード配列により又はコード配列の任意の部分によりコードすることができる。遺伝子は植物、カビ・真菌、動物、バクテリアのゲノム又はエピソーム、真核細胞、核もしくはプラスミドのDNA、cDNA、ウイルスのDNA又は化学的に合成されたDNAを含む、当該技術分野で知られた任意の源から全体又は一部を取り出すことができる。遺伝子は発現産物の生物学的活性又は化学構造、発現速度あるいは発現制御の方法に影響を与えることができると考えられるコード又は非翻訳領域いずれかに1もしくは複数の改変を含むことができる。このような改変にはそれらに限定はされないが、1もしくは複数のヌクレオチドの突然変異、挿入、欠失及び置換が含まれる。遺伝子は中断されないコード配列を構成してもよいし、又は適当なスプライス部位により結合される1もしくは複数のイントロンを含んでもよい。
「ハイブリッド形成(hybridization)」は1本の核酸の鎖が塩基対により相補的鎖と結合する任意の過程を表わす。例えば、2本の一重鎖核酸はそれらが二重鎖複製体を形成する時に「ハイブリッド形成する」。二重鎖の領域は1本又は二本の一重鎖核酸の全長、あるいは1本の一重鎖核酸全体及び他方の一重鎖核酸の配列を含むことがで
きるかあるいは、二重鎖の領域が各核酸の一部を含むことができる。ハイブリッド形成はまた、2本の鎖がまだ二重鎖らせんを形成していると仮定すると、特定のミスマッチ(mismatches)を含む重複体(duplex)の形成を含む。「緊縮ハイブリッド形成条件」は本質的に特異的(specific)ハイブリッド形成をもたらすハイブリッド形成状態を表わす。
DNA又はRNAのような核酸に関して本明細書で使用される「単離された」の用語は高分子の天然源中に存在する他のDNA又はRNAそれぞれから分離される分子を表わす。本明細書で使用される用語「単離された」はまた、組換えDNA法により生成される時に実質的に細胞物質、ウイルス物質、培地を含まず、又は化学的に合成される時に化学前駆体又は他の化学薬品を実質的に含まない核酸又はペプチドを表わす。更に、「単離された核酸」はフラグメントとしては天然に存在せず、自然状態では発見されないと考えられる核酸フラグメントを含むことができる。用語「単離された」はまた、本明細書では、他の細胞のタンパク質から単離されるポリペプチドを表わすために使用され、精製された及び組換えられたポリペプチド双方を包含することが意味される。
本明細書で使用される用語「標識(label)」及び「検出可能な標識」はそれらに限定はされないが、放射性同位元素、蛍光発色団、化学発光部分、酵素、酵素基質、酵素コファクター、酵素阻害剤、染料、金属イオン、リガンド(例えば、ビオチン又はハプテン)、等を含む、検出可能な分子を表わす。用語「蛍光剤(fluorescer)」は検出可能な範囲の蛍光を発することができる物質又はその一部を表わす。本発明に使用することができる標識の特別の例にはフルオレセイン、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、テキサスレッド、ルミノール、NADPH、アルファ−ベータ−ガラクトシダーゼ及びホースラディッシュ・ペルオキシダーゼが含まれる。
用語「発現のレベル」は細胞中の、遺伝子によりコードされたmRNA並びに1もしくは複数のプレ−mRNA初期転写物、転写プロセシング中間体、1もしくは複数の成熟mRNA及び分解産物のレベルを表わす。「発現のレベル」の用語はまた、細胞中のタンパク質又はポリペプチドのレベルを表わす。
本明細書で使用される用語「核酸」はデオキシリボ核酸(DNA)及び適当な場合にはリボ核酸(RNA)のようなポリヌクレオチドを表わす。用語はまた、同等物として、ヌクレオチド類似体から調節されるRNA又はDNAいずれかの類似物、及び記載されている態様に適用可能なものとして、一重鎖(センス又はアンチセンス)及び二重鎖ポリヌクレオチドを含むと理解しなければならない。染色体、cDNA、mRNA、rRNA及びESTは核酸と呼ぶことができる分子の代表的例である。
用語「遺伝子に対応する核酸」は遺伝子を検出するために使用することができる核酸、例えば遺伝子に対して特異的にハイブリッド形成することができる核酸を表わす。
用語「RNAから由来する核酸試料」はRNAから合成することができる1もしくは複数の核酸分子(例えば、RNA又はDNA)を表わし、PCR(例えば、RT−PCR)を使用する方法から生成されるDNAを含む。
本明細書で使用される用語「オリゴヌクレオチド」は例えば、約10〜約1000ヌクレオチドを含んでなる核酸分子を表わす。本発明に使用のためのオリゴヌクレオチドは例えば、約15〜約150ヌクレオチド、又は約150〜約1000の長さであることができる。オリゴヌクレオチドは天然に存在するオリゴヌクレオチド又は合成オリゴヌクレオチドであってもよい。オリゴヌクレオチドはホスホロアミダイト法(Beaucage及びCarruthers,Tetrahedron Lett.22:1859−62,1981)により又はトリエステル法(Matteucci,等、J.Am.Chem.Soc.103:3185,1981)により又は当該技術分野で知られたその他の化学的方法により調製することができる。
本明細書で使用される用語「患者」又は「被験体」には哺乳動物(例えば、ヒト及び動物)が含まれる。
用語「同一百分率(percent identical)」は2種のアミノ酸配列間又は2種のヌクレオチド配列間の配列同一性を表わす。例えば、2配列間の同一性は比較
の目的で整列させることができる各配列中の特定の部位を比較することにより、決定することができる。対比配列中の同等な部位が同一塩基又はアミノ酸により占居される場合は、分子はその部位で同一である。同等な部位が同一又は類似のアミノ酸残基(例えば、立体的及び/又は電子性が類似の)により占居される時は、その分子はその位置で相同(homologous)(類似(similar))と称することができる。相同性、類似性又は同一性の百分率としての表現は、対比される配列により共有される位置における同一又は類似アミノ酸の数の関数を表わす。例えば、FASTA、BLAST又はENTREZを含む様々なアラインメント・アルゴリズム及び/又はプログラムを使用することができる。FASTA及びBLASTはGCG配列分析パッケージ(Wisconsin大学、Madison,Wis.)の一部として利用可能であり、例えばデフォルト設定(default settings)とともに使用することができる。ENTREZは国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)、国立医学図書館(National Library of Medicine)、国立保険局(National Institutes of Health)、Bethesda,MDをとおして利用可能である。1態様において、2配列の同一性百分率は1のギャップ重量を伴うGCGプログラムにより決定することができる(例えば、各アミノ酸ギャップは、それが2配列間の単一のアミノ酸又はヌクレオチドのミスマッチであるように秤量される)。アラインメントのその他の方法は「酵素学の方法」(第266巻:コンピューターによる高分子配列分析法(1996)、Doolittle,Academic Press,Inc.,Harcourt
Brace & Co.の一部門,San Diego,California,USA出版)に記載されている。配列中にギャップを許すアラインメントプログラムを配列を整列するために使用することができる。例えば、Smith−Watermanは配列のアラインメントにギャップを許すアルゴリズムの1タイプである(例えば、Meth.Mol.Biol.70:173−187,1997を参照されたい)。更にNeedleman及びWunschのアラインメント法を使用するGAPプログラムを、配列を整列させるために使用することができる。代わりの検索法はMASPARコンピューター上で走行するMPSRCHソフトウエアを使用する。MPSRCHは大規模並列処理コンピューター上で配列を評価するためにSmith−Watermanアルゴリズムを使用する。このアプローチは遠位で関連したマッチを検出する能力を改善し、特に小さいギャップ及びヌクレオチド配列の誤差を許容する(tolerant)。核酸エンコードアミノ酸配列はタンパク質及びDNAデータベース双方を検索するために使用することができる。個々の配列を含むデータベースはDoolittle出版、上記の「酵素学における方法」に記載されている。データベースには例えば、Genbank、EMBL及び日本のDNAデータベース(DDBJ)が含まれる。
本明細書で使用されるアレーに結合される核酸又はその他の分子は「プローブ」又は「捕捉プローブ」と呼ばれる。アレーが1遺伝子に対応するいくつかのプローブを含む時、これらのプローブは「遺伝子プローブセット」と呼ばれる。遺伝子プローブセットは例えば、約2〜約20プローブ、約2〜約10プローブ又は約5プローブから成ることができる。
細胞の生物学的状態の「プロファイル」は細胞の生物学的状態の薬剤処置及びその他の摂動物(purturbations)に応答して変化することが知られている細胞の様々な成分のレベルを表わす。細胞の成分には例えば、RNAのレベル、タンパク質アバンダンス(abundances)のレベル又はタンパク質の活性レベルが含まれる。
本明細書で遺伝子産物を表わす時には用語「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」が互換性に使用される。
1細胞中の発現プロファイルは、類似性が共通の特徴、例えば細胞の同一タイプ性を示す2プロファイルの遺伝子の発現レベルが十分に類似している時にもう1つの細胞中の発現プロファイルに「類似」する。従って、第1の細胞及び第2の細胞の発現プロファイルは、第1の細胞中に発現される遺伝子の少なくとも75%が、第1の細胞に対して2以内
の係数レベルで第2の細胞中に発現される時に類似する。
本明細書で使用される「小分子」は約5kD未満の分子量をもつ組成物を表わす。小分子は核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド疑似体、炭化水素、脂質又はその他の有機もしくは無機分子であることができる。多数の製薬会社が生物活性を調整する化合物を同定するために本発明のいずれかのアッセイでスクリーニングすることができる、化学及び/又は生物学的混合物、しばしばカビ・真菌、バクテリヤ又は藻類抽出物の集中したライブラリーを有する。
鋳型核酸の標的部位に対するプローブの「特異的ハイブリッド形成」の用語はハイブリッド形成信号が明白に解釈され得るような、主として標的に対するプローブのハイブリッド形成を表わす。更に本明細書に説明されるように特異的ハイブリッド形成をもたらすこれらの条件は相同性の領域の長さ、領域のGC含量及びハイブリッドの融点(「Tm」)に応じて変動する。従ってハイブリッド形成条件はハイブリッド形成溶液及び洗浄物の塩含量、酸性度及び温度において変動する可能性がある。
ポリペプチドの「バリアント(variant)」は1もしくは複数のアミノ酸残基が変化されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを表わす。バリアントは、置換されたアミノ酸が類似の構造又は化学的特性を有する(例えば、ロイシンのイソロイシンとの置換)「保存的」変化を有することができる。バリアントはまた、「非保存的」変化(例えば、グリシンのトリプトファンによる置換)を有することもできる。類似する小さい改変(variations)はアミノ酸の削除又は挿入又は双方を含むことができる。生物学的又は免疫学的活性を損なわずに、どのアミノ酸残基を置換、挿入又は削除することができるかを決定する際の取扱い説明書は当該技術分野で周知のコンピュータープログラム、例えばLASERGENEソフトウエア(DNASTAR)を使用して同定することができる。
ポリヌクレオチド配列に関して使用される時の用語「バリアント」は特定の遺伝子の配列又はそのコード配列に関連したポリヌクレオチド配列を包含することができる。この定義はまた、例えば、「対立遺伝子」、「スプライス」、「種(species)」又は「多型」バリアントを含むことができる。スプライスバリアントは対照分子(reference melocule)に対して有意な同一性を有することができるが、概括的にmRNAプロセシング期間のエキソンの選択的スプライシングにより、より多数又は少数のポリヌクレオチド数を有するであろう。対応するポリペプチドは更なる官能ドメインをもってもよく又はドメインをもたなくてもよい。種のバリアントはある種からもう1つの種に変動するポリヌクレオチド配列である。生成されるポリペプチドは概括的に相互に対して有意なアミノ酸同一性を有するであろう。多型性バリアントは与えられた種の個体間の特定の遺伝子のポリヌクレオチド配列の変動である。多型性バリアントはまた、ポリヌクレオチド配列が1個の塩基だけ変動する「単一ヌクレオチド多型」(SNPs)を包含することができる。SNPsの存在は例えば特定の集団、疾患状態又は疾患状態の傾向を示すことができる。
遺伝子の発現レベルを決定するためのミクロアレー
概括的に、ミクロアレーにより発現プロファイルを決定することは以下の段階を伴う:(a)被験体からmRNA試料を得て、それから標識された核酸を調製する(「標的核酸」又は「標的」);(b)標的の核酸が、例えば、ハイブリッド形成又は特異的結合によりアレー上の対応するプローブに結合するのに十分な条件下で、標的核酸をアレーと接触させ、(c)アレーから未結合標的を場合により除去し、(d)結合された標的を検出し、そして(e)例えば、コンピューターに基づく分析法を使用して結果を分析する。本明細書で使用される「核酸プローブ」又は「プローブ」はアレーに結合された核酸であり、他方「標的核酸」はアレーに対してハイブリッド形成される核酸である。これらの各段階は以下の更に詳細に説明される。
核酸検体(specimens)は「侵襲的」又は「非侵襲的」試料採取手段のいずれかを使用して、試験される個体から得ることができる。試料採取手段はそれが動物(ネズ
ミ、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ又はネコ科の動物を含む)の皮膚又は器官内からの核酸の採取を伴う場合に「侵襲的」と言われる。侵襲的方法の例には採血、精液採取、針生検、胸膜吸引、臍帯生検、等が含まれる。これらの方法の例はキム等により(J.Virol.66:3879−3882,1992)、Biswas等(Ann.NY
Acad.Sci.590:582−583,1990)及びBiswas等(J.Clin.Microbiol.29:2228−2233,1991)により考察されている。
それに対し、「非侵襲的」試料採取手段は、核酸分子が動物の内面又は外面から回収されるものである。これらの「非侵襲的」試料採取手段の例には例えば「スワビング(swabbing)」、涙、唾液、尿、便物質、汗又は発汗、毛髪、等の収集が含まれる。
本発明の1態様において、試験される被験体からの1もしくは複数の細胞を得て、細胞からRNAを単離する。1態様において、末梢血の白血球(PBL)細胞の試料を被験体から得る。更に被験体から細胞試料を得て、次に所望の細胞タイプのために試料を濃縮することもできる。細胞は、例えば、所望の細胞タイプの細胞表面上のエピトープに結合している抗体による単離のような様々な方法を使用して他の細胞から単離することができる。所望の細胞が固形組織中にある場合は、特定の細胞を例えば、ミクロ切開により又はレーザー捕捉ミクロ切開(LMC)により切開することができる(例えば、Bonner等、Science 278:1481,1997;Emmert−Buck等、Science 274:998,1996;Fend等、Am.J.Path.154:61,1999及びMurakami等、Kidney Int.58:1346,2000を参照されたい)。
RNAは多様な方法、例えばチオシアン酸グアニジウム溶解及びその後のCsCl遠心分離により組織又は細胞試料から抽出することができる(Chirgwin等、Biochemistry18:5294−5299,1979)。単細胞からのRNAは、単細胞からのcDNAライブラリーを調製するための方法中に記載のように得ることができる(例えば、Dulac,Curr.Top.Dev.Biol.36:245,1998;Jena等、J.Immunol.Methods 190:199,1996を参照されたい)。
RNA試料は更に、特定の種に対して濃縮することができる。例えば、1態様において、ポリ(A)+RNAをRNA試料から単離することができる。とりわけ、ポリ−TオリゴヌクレオチドはmRNAの親和性リガンドとして働くために固形支持体上に固定することができる。この目的のためのキット、例えばMessageMakerキット(Life Technologies,Grand Island,NY)が市販されている。
1態様において、RNA集団はヒトの乳癌組織の特徴を表わす遺伝子のような興味深い配列(例えばSEQ ID NO:1〜127)に対して濃縮することができる。濃縮は例えば、プライマーに特異的なcDNAの合成により、又は複数回のcDNA合成に基づく直線状増幅及びテンプレートを目指すインビトロの転写により実施することができる(例えば、Wang等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:9717,1989;Dulac等、上記;Jena等、上記を参照されたい)。
RNAの、濃縮された又は濃縮されないとりわけ種又は配列の集団は更に増幅することができる。これらの増幅は単細胞又はいくつかの細胞からのRNAを使用する時に特に重要である。例えば、PCR、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、Wu及びWallace,Genomics 4:560,1989;Landegren等、Science 241:1077,1988を参照されたい)、自動維持配列複製(self−sustained sequence replication)(SSR)(例えば、Guatelli等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874,1990を参照されたい)、核酸に基づく配列増幅(NASBA)及び転写増幅(例えば、Kwoh等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173,1989を参照されたい)を含む様々な増幅法が本発明の方法における使用に適する。PCR工学の方法は当該技術分野で周知である(例えば、PCR工学法:DNA増幅の原理及び
適用(出版、H.A.Erlich,Freeman Press,N.Y.,N.Y.,1992を参照されたい)、PCRプロトコール:方法及び適用の取扱い説明書(出版、Innis等、Academic Press,San Diego,Calif.,1990);Mattila等、Nucleic Acids Res.19:4967,1991、Eckert等、PCR法及び適用1:17,1991;PCR(発行、McPherson等、IRL Press,Oxford)及び米国特許第4,683,202号明細書を参照されたい)。増幅の方法は例えば、Ohyama等(BioTechniques 29:530,2000)、Luo等(Nat.Med.5:117,1999);Hegde等(BioTechniques 29:548,2000)、Kacharmina等(Meth.Enzymol.303:3,1999)、Liversey等、Curr.Biol.10:301,2000)、Spirin等(Invest.Ophtalmol.Vis.Sci.40:3108,1999)及びSakai等(Anal.Biochem.287:32,2000)により記載されている。RNA増幅及びcDNA合成はまた、細胞中でインシトゥーで実施することができる(例えば、Eberwine等Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3010,1992を参照されたい)。
標的分子はミクロアレーに対する標的分子のハイブリッド形成の検出を許すために標識することができる。すなわち、プローブは信号発生システムの1メンバーを含んでなることができ、従って直接に又は信号発生システムの1もしくは複数の更なるメンバーと合せた作用により検出可能である。直接に検出可能な標識の例にはヌクレオチドモノマー単位(例えば、プライマーのdNMP)のようなプローブの部分中への通常は共有結合により取り込まれる同位元素及び蛍光を発する部分又はプローブ分子の官能性部分に結合することができる検出可能な標識の光活性な又は化学的に活性な誘導体が含まれる。
核酸はRNAの濃縮及び/又は増幅期間中又はその後に標識することができる。例えば、逆転写は検出可能な標識、例えば蛍光標識されたdNTPに共役結合されたdNTPの存在下で実施することができる。もう1つの態様において、cDNA又はRNAプローブは検出可能な標識の不在下で合成されることができ、その後に、例えば、ビオチニル化dNTP又はrNTPを取り込むことにより、又はいくつかの類似の方法により(例えば、RNAに対するビオチンのソラレン誘導体を光架橋結合する)、次に標識ストレプトアビジン(例えば、フィコエリスリン共役ストレプトアビジン)又は同等物の添加により標識することができる。
興味深い蛍光発生部分又は標識にはクマリン及びその誘導体(例えば、7−アミノ−4−メチルクマリン、アミノクマリン)、Bodipy FL及びカスケードブルーのようなボディピー染料(bodipy dye),フルオレセイン及びその誘導体(例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン、オレゴングリーン)、ローダミン染料(例えば、テキサスレッド、テトラメチルローダミン)、エオシン及びエリスロシン、シアニン染料(例えば、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7)、FluorX、ランタニドイオンの大環状キレート(例えば、量子染料TM)、チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロダイマーのような蛍光エネルギー移動染料、TOTAB、ダンシル、等が含まれる。望ましくは本発明の装置又はアッセイ中で検出される元素に結合するための官能基を有する又はこのような官能基を取り込むように修飾することができる個々の蛍光化合物もまた使用することができる(例えば、Kricka,1992,非同異性DNAプローブ方(Nonisotopic DNA Probe Techniques),Academic Press San Diego,Calif.を参照されたい)。
化学蛍光性標識にはルシフェリン及び2,3−ジヒドロフタラジンジオン、例えば、ルミノールが含まれる。
標識はまた検出可能な信号を与えるための同一システムの1もしくは複数の更なるメンバーと共働して働く信号発生システムのメンバーであることができる。このような標識を具体的に表わすものは、リガンド、例えば、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、アンチゲン、多価カチオン、キレート形成群等のような特異的な結合対のメンバーであ
る。メンバーは信号発生システムの更なるメンバーに特異的に結合することができ、更なるメンバーは直接に又は間接的に検出可能な信号、例えば、基質を色素生産性産物(例えば、アルカリホスファターゼ共役抗体等)に転化することができる蛍光部分又は酵素部分に共役結合された抗体を与えることができる。
更なる興味深い標識にはそれが関連するプローブが標的分子に特異的に結合される時にのみ信号を与えるものが含まれる。このような標識にはTyagi及びKramer(Nature Biotech.14:303,1996)及び欧州特許第0 070 685号明細書に記載された「分子ビーコン」が含まれる。その他の興味深い標識には米国特許第5,563,037号明細書,国際公開第97/17471号及び第97/17076号パンフレットに記載のものが含まれる。
その他の態様において、標的の核酸は標識されなくてもよい。この場合は、ハイブリッド形成を例えばプラスモン共鳴により決定することができる(例えば、Thiel等、Anal.Chem.69:4948,1997を参照されたい)。
1態様において、複数の(例えば、2、3、4、5又はそれ以上の)組の標的の核酸を標識して、1ハイブリッド形成反応に使用する(「マルチプレックス」分析)。例えば、1組の核酸は1細胞からのRNAに対応することができ、もう1組の核酸がもう1つの細胞からのRNAに対応することができる。複数の組の核酸は異なる標識、例えば、それらを識別することができるような明確な発光スペクトルを有する異なる蛍光標識(例えば、フルオレセイン及びローダミン)で標識することができる。次にそのセットを混合し、1ミクロアレーに対して同時にハイブリッド形成することができる(例えば、Shena等、Science 270:467−470,1995を参照されたい)。
複数の標的の核酸を1アレーにハイブリッド形成する時に使用のための識別可能な標識の例は当業者には周知であり、それらにはCy3及びCy5のような2種以上の異なる発光波長の蛍光染料、フィコエリスリン及びCy5のような蛍光タンパク質と染料の組み合わせ物、32P及び33Pのような異なる発光エネルギーを伴う2種以上の同位元素、異なる散乱スペクトルをもつ金又は銀の粒子、温度、pH、更なる化学薬剤、等による処置のような異なる処置条件下で信号を発生する又は処置後の異なる時点で信号を発生する標識、が含まれる。信号発生のための1もしくは複数の酵素を使用することは、酵素の異なる基質の特異性(例えば、アルカリ・ホスファターゼ/ペルオキシダーゼ)に基づき、更に多様な識別可能な標識の使用を可能にする。
標識された核酸の質はアレーにハイブリッド形成する前に評価することができる。1態様において、その目的のために、Affymetrix(Santa Clara,CA)からのGeneChip(R)Test3 Arrayを使用することができる。このアレーは哺乳動物を含む幾つかの生物からの特徴を示す遺伝子のサブセットを表わすプローブを含む。従って、標識された核酸の試料の質はアレーに対する試料の画分のハイブリッド形成により決定することができる。
本発明に従う使用のためのミクロアレーにはヒトの乳癌組織の特徴を表わす遺伝子の1もしくは複数のプローブが含まれる。1態様において、ミクロアレーは癌中でアップレギュレートされる遺伝子及び癌中でダウンレギュレートされる遺伝子から成る群から選択される1もしくは複数の遺伝子に対応する1もしくは複数のプローブを含んでなる。ミクロアレーはヒト乳癌組織の特徴を表わす、例えば少なくとも10、少なくとも20、少なくとも50、少なくとも100又は少なくとも1000個の遺伝子に対応するプローブを含んでなることができる。ミクロアレーは表に挙げた各遺伝子に対応するプローブを含んでなることができる。
ミクロアレー上の各遺伝子に対応して1もしくはそれ以上のプローブが存在することができる。例えば、ミクロアレーは1遺伝子に対応する2〜20プローブ又は約5〜10を含むことができる。プローブはヒト乳癌組織の特徴を表わす遺伝子の全長のRNA配列又はその補体に対応することができるか又は、プローブはその一部が特定のハイブリッド形成を許すのに十分な長さをもつその一部に対応することができる。このようなプローブは約50個のヌクレオチド〜約100、200、500又は1000個のヌクレオチド又は
1000個を超えるヌクレオチドを含んでなることができる。本明細書で更に説明されるように、ミクロアレーは約10〜50ヌクレオチド、約15〜30ヌクレオチド又は約20〜25ヌクレオチドから成るオリゴヌクレオチド・プローブを含むことができる。プローブは一重鎖であることができ、その標的に、所望のレベルの配列に特異的なハイブリッド形成を提供するのに十分な相補性を有するであろう。
典型的には、本発明に使用されるアレーは1cm当たり100を超える異なるプローブのサイト密度を有するであろう。アレーは例えば、500/cmを超える、約1000/cmを超える又は約10,000/cmを超えるサイト密度を有することができる。アレーは例えば、単一基質上に約100を超える異なるプローブ、単一基質上に約1000を超える異なるプローブ、約10,000を超える異なるプローブ又は約100,000を超える異なるプローブを有することができる。
多数の異なるミクロアレーの形態及びそれらの生成法が当業者に知られており、米国特許第5,242,974号、第5,384,261号、第5,405,783号、第5,412,087号、第5,424,186号、第5,429,807号、第5,436,327号、第5,445,934号、第5,556,752号、第5,405,783号、第5,412,087号、第5,424,186号、第5,429,807号、第5,436,327号、第5,472,672号、第5,527,681号、第5,529,756号、第5,545,531号、第5,554,501号、第5,561,071号、第5,571,639号、第5,593,839号、第5,624,711号、第5,700,637号、第5,744,305号、第5,770,456号、第5,770,722号、第5,837,832号、第5,856,101号、第5,874,219号、第5、885,837号、第5,919,523号、第6,022,963号、第6,077,674号及び第6,156,501号明細書、Shena等、Tibtech 16:301,1998、Duggan等、Nat.Genet.21:10,1999、Bowtell等、Nat.Genet.21:25,1999、Lipshutz等、21 Nature Genet.20−24,1999、Blanchard等、11Biosensors and Bioelectronics,687−90,1996、Maskos等、21 Nucleic Acids Res.4663−69,1993、Hughes等、Nat.Biotechol.19:342,2001に開示されており、これらの明細は引用により本明細書に取り込まれている。様々な適用にアレーを使用する方法を記載している特許には、米国特許第5,143,854号、第5,288,644号、第5,324,633号、第5,432,049号、第5,470,710号、第5,492,806号、第5,503,980号、第5,510,270号、第5,525,464号、第5,547,839号、第5,580,732号、第5,661,028号、第5,848,659号及び第5,874,219号明細書が含まれ、それらの明細は引用により本明細書に取り入れられている。
アレーは対照(cotrol)及び参照(reference)核酸を含むことができる。対照核酸には例えば、bioB、bioC及びbioDのような原核生物の遺伝子、dap、lys、phe、thr及びtrpのようなP1バクテリオファージ又はpolyAコントロールからのcreが含まれる。対照核酸は様々な実験からの結果の標準化(normalization)及び定量的レベル上の多数の実験の比較を可能にする。代表的な参照核酸には知られた発現レベルのハウスキーピング遺伝子、例えば、GAPDH、ヘキソキナーゼ及びアクチンが含まれる。
1態様において、オリゴヌクレオチドのアレーは固形支持体上で合成することができる。代表的な固形支持体には紙、膜、フィルター、ピン、ガラス、プラスチック、重合体、金属、メタロイド、セラミック、有機物(organics)等が含まれる。チップマスキング法及び光防護化学を使用して、核酸プローブの規則正しい配列のアレーを形成することができる。例えば、「DNAチップ」又は非常に大規模な固定重合体アレー(”VLSIPSTM”アレー)として知られるこれらのアレーは約1cm〜数cmの面積を有する基材上に数百万の規定プローブ領域を含むことができ、それにより数個〜数百万の
プローブを取り入れることができる(例えば、米国特許第5,631,734号明細書を参照されたい)。
核酸プローブは少なくとも例えば、約10、15、20、25、30、50、100又はそれを超えるヌクレオチドであることができ、そして全長の遺伝子を含んでなることができる。例えば、プローブは表中に挙げた遺伝子に特異的にハイブリッド形成するものであることができる。
核酸プローブは例えば、ゲノム、cDNA(例えば、RT−PCR)又はクローン化配列からの遺伝子セグメントのPCR増幅により得ることができる。cDNAプローブは例えば、配列の特異的なプライマーを使用してRNAの逆転写PCR(RT−PCR)により、当該技術分野で知られ、本明細書で更に説明される方法に従って調製することができる。プローブがそれから形成される遺伝子又はcDNAの配列は例えば、Genbank、その他の公共データベース又は刊行物から得ることができる。
オリゴヌクレオチドプローブはまた、当該技術分野で知られた標準法により、例えば自動化DNA合成装置又は任意のその他の化学法により合成することができる。1例として、ホスホロチオエート・オリゴヌクレオチドはStein等(Nucl.Acids Res.16:3209,1988)の方法により合成することができ、そしてメチルホスホネート・オリゴヌクレオチドは制御された多孔ガラスの重合体支持体により調製することができる(例えば、Sarin等、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:7448−7451,1988を参照されたい)。もう1つの態様において、オリゴヌクレオチドは2’)−メチルリボヌクレオチド(Inoue等、Nucl.Acids Res.15:6131−6148,1987)又はキメラRNA−DNA類似体(Inoue等、FEBS Lett.215:327−330,1987)であることができる。
核酸プローブは天然の核酸又は化学的に修飾された核酸(例えば、ヌクレオチド類似体から成る)であることができるが、プローブは結合化学に適合する活性化ヒドロキシル基をもたねばならない。保護基は光不安定であってもよく、又は保護基は特定の化学条件(例えば、酸)下で不安定であることができる。固形支持体の表面は光に露出されると酸を生成する組成物を含むことができる。従って、基質の1領域の光への露出は、その領域に露出領域中の保護基を除去する酸を生成する。更に合成法は3’−保護5’−0−ホスホロアミダイト−活性化デオキシヌクレオシドを使用することができる。この場合にはオリゴヌクレオチドは5’から3’方向に合成され、それが遊離5’末端をもたらす。
本発明の1態様において、アレーのオリゴヌクレオチドは数千のオリゴヌクレオチド生成可能な96−ウェルの自動化マルチプレックスオリゴヌクレオチド合成装置(A.M.O.S.)を使用して合成することができる(例えば、Lashkari等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:7912,1995を参照されたい)。
発現レベルを比較するためには、標的の核酸とアレー上のプローブ間を結合するために十分な条件下で、標識された核酸をアレーと接触させることができる。1態様において、所望レベルのハイブリッド形成特異性を提供するためのハイブリッド形成条件、すなわち標識核酸とミクロアレー上のプローブ間にハイブリッド形成が起るのに十分な条件、を選択することができる。
ハイブリッド形成は本質的に特異的なハイブリッド形成を許す条件下で実施することができる。核酸の長さ及びGC含量は熱の融点及び従って標的の核酸に対するプローブの特異的ハイブリッド形成を得るために必要なハイブリッド形成条件を決定するであろう。これらの因子は当業者には周知であり、更にアッセイで試験することができる。核酸のハイブリッド形成に対する詳細な取扱い説明書はTijssen等(「生化学及び分子生物学における実験室技術」、第24巻、核酸プローブによるハイブリッド形成、P.Tijssen,発行Elsevier,N.Y.,(1993))に認めることができる。概括的に、緊縮条件は規定されたイオン濃度及びpHにおける特定の配列に対する熱融点(Tm)より約5℃低く選択することができる。Tmは、標的の配列の50%が完全にマッチしたプローブにハイブリッド形成する温度(規定イオン濃度及びpH下で)である。著し
く緊縮した条件は特定のプローブに対するTm点に等しいように選択することができる。時々、完全にマッチした標的核酸からプローブの少なくとも半分が解離する温度を定義するために、用語「解離温度」(Td)が使用される。どちらの場合にも、Tm又はTdを算定する様々な方法が利用可能であり、概括的にTijssen、上記中に記載されている。典型的には、重複体中のG−C塩基対はTmに対し約3℃貢献し、他方A−T塩基対は約80〜100℃の理論的最高値までに約2℃貢献すると算定される。しかし、G−Cの積み重なり相互作用、溶媒効果、所望のアッセイ温度等を考慮に入れるTm及びTdのより精巧なモデルが利用可能である。
1態様において、非特異的結合又はバックグラウンド信号はハイブリッド形成中の洗剤(例えば、C−TAB)又はブロッキング剤(例えば、精子DNA、cot−1DNA、等)の使用により弱めることができる。もう1つの態様において、ハイブリッド形成は約0.5mg/mlのDNA(例えば、ニシンの精子DNA)の存在下で実施することができる。ハイブリッド形成時のブロッキング剤の使用は当業者には周知である(例えば、Tijssen、上記を参照されたい)。
標的の配列が同一標識を使用して検出される場合は、各生理学的源に対して異なるアレーを使用するか又は同一アレーを複数回スクリーニングすることができる。上記の方法は異なる標的集団(例えば、異なる生理学的源)に対して異なるそして識別可能な標識を使用することにより多重(multiplex)分析を提供するように変更することができる。この多重法に従うと、異なる各標的集団に対して同一のアレーを同時に使用することができる。
前記の方法はアレー表面上に標識された標的核酸のハイブリッド形成パターンの生成をもたらす。標識核酸の生成されたハイブリッド形成パターンは、標的核酸の特定の標識に基づいて選択される特定の検出法により様々な方法で可視化又は検出することができる。代表的検出法にはシンチレーション計数、オートラジオグラフィー、蛍光測定、カロリー測定、発光測定、光線散乱、等が含まれる。
1つのこのような検出法は市販のアレースキャナー(Affymetrix,Santa Clara,CA)、例えば417TMArrayer、418TMArray Scanner又はAgilent GeneArrayTMScannerを使用する。このスキャナーはインターフェース及び使用の容易なソフトウエアツールを伴うシステムコンピューターから制御される。出力は様々なソフトウエアの応用物(application)により直接取り込むか又は直接読み取ることができる。スキャン装置は例えば、米国特許第5,143,854号及び第5,424,186号明細書に記載されている。
蛍光標識プローブについては、転写アレーの各部位における蛍光発光を例えば、スキャン用共焦点レーザー顕微鏡により検出することができる。あるいはまた、2種の発蛍光団に特異的な波長で同時標本照射を許すレーザーを使用することができ、2種の発蛍光団からの発光を同時に分析することができる(例えば、Shalon等、Genome Res.6:639−645,1996を参照されたい)。1態様において、アレーをコンピューター制御X−Y段階及び顕微鏡対物レンズ(microscope objective)を伴うレーザー蛍光スキャナーでスキャンすることができる。蛍光レーザースキャニング装置はSharon等、上記に記載されている。
データ収集操作後に、データを典型的にはデータ分析操作部門に報告するであろう。試料分析操作を容易にするために、装置から読み取り機により得られるデータをデジタルコンピューターを使用して分析することができる。典型的にはコンピューターは、収集されるデータの分析及び報告のみならずまた、装置からのデータの受信及び貯蔵、例えば、背景の消去、多色画像のデコンボリューション、作製物のフラッギング又は除去、制御装置が適切に実施したことを証明すること、信号を標準化すること、蛍光のデータを翻訳して、ハイブリッド形成標的の量を決定すること、バックグラウンドの標準化及び単一塩基のミスマッチハイブリッド形成、等のために適切にプログラムされるであろう。
1態様において、システムは、特定のパターン、例えば、癌細胞の発現プロファイルと被験体の対応する正常な細胞の発現プロファイル間の例えば、差次的遺伝子発現に関する
パターンの検索を可能にする検索機能を含んでなる。システムはまた、2種を超える試料間の遺伝子発現のパターンを検索させることができる。
遺伝子発現プロファイルデータを分析するためには、様々なアルゴリズム、例えば、実施するための比較法のタイプが利用可能である。特定の態様において、共調節される(co−regulated)遺伝子をグループにまとめることが望ましい。これは多数のプロファイルの比較を可能にする。このような遺伝子のグループを同定する1つの態様はクラスタリングアルゴリズムを伴う(クラスタリングアルゴリズムの概説については例えば、Fukunaga,1990,統計的パターン認識、第2版、Academic Press,San Diego、Everitt,1974,クラスタリング分析、London:Heinemann Educ.Books、Hartigan,1975,クラスタリング・アルゴリズム、New York:Wiley、Sneath及びSokal,1973,数値トキソノミー、Freeman、Anderberg,1973,適用のための集落分析、Academic Press:New Yorkを参照されたい)。
クラスタリングは遺伝子のその他の特徴、例えば、それらの発現レベルに基づく(例えば、米国特許第6,203,987号明細書を参照されたい)か又は、時間曲線のクラスタリングを許すことができる(例えば、米国特許第6,263,287号明細書を参照されたい)。クラスタリングアルゴリズムの例にはK−ミーンズクラスタリング及び階層的クラスタリングが含まれる。クラスタリングはまた、データのグラフによる表示(例えば、「熱マップ」)を使用して遺伝子発現データの視覚的観察により実施することができる。クラスタリングアルゴリズムを含むソフトウエア及び遺伝子発現データをグラフにより表わす手段の1例はSpotfire DecisionSite(Spotfire,Inc,,Somerville,Massachusetts and Goeteborg,Sweden)である。
ヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現レベルの、参照発現レベル、例えば、癌の疾患細胞又は正常な対応する細胞中の発現レベルとの比較はコンピューターシステムを使用して実施することができる。1態様において、発現レベルは2細胞から得ることができ、これらの2組の発現レベルを比較のためにコンピューターシステム中に導入することができる。もう1つの態様において、1組の発現レベルをコンピューターシステム中にすでに存在する又は、次にコンピューターシステム中に入力されるコンピューター読み取り可能な形態の値との比較のためにコンピューターシステムに入力される。
1態様において、コンピューターシステムはまた、ヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現レベルを表わす値を含んでなるデータベースを含むことができる。データベースは異なる細胞中のヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の発現プロファイルを含むことができる。
もう1つの態様において、本発明は遺伝子発現プロファイルデータ又は、疾患細胞中の癌の特徴を示す少なくとも1種の遺伝子の発現レベルに対応する値のコンピューター読み取り可能な形態を提供する。値は実験、例えば、ミクロアレー分析から得るmRNA発現レベルであることができる。値はまた、その発現が多数の条件下の多数の細胞中で一定な参照遺伝子に対して標準化されるmRNAレベルであることもできる(例えば、GAPDH)。その他の態様において、コンピューター中の値は、異なる試料中の標準化又は非標準化mRNAレベルの比率、又はその間の差であることができる。
1態様において、薬剤でインビトロ又はインビボで処置された被験体の細胞の発現データをコンピューターに入力し、コンピューターに、コンピューター中のデータに対し、入力されたデータを比較しそしてコンピューター中に入力された発現データが、薬剤に反応性の被験体の細胞のものにより類似しているか又は薬剤に非反応性の被験体の細胞のものに類似しているかを示す結果を与えるように指示する。従って、結果は、被験体が薬剤による処置に反応し易いか又はそれに反応しにくいかを示す。
本発明はまた、以下の段階:(i)1もしくは複数の参照細胞の参照発現又は発現プロファイルデータ及び細胞のタイプの注釈を含んでなる記録を含むデータベースにより、疑
問の細胞中のヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現レベルに対応する複数の値を比較し、そして(ii)発現プロファイルの類似性に基づいて、疑問の細胞がどの細胞にもっとも類似するかを示すこと、を実施するためのプログラム命令を含む機械読み取り可能な又はコンピューター読み取り可能な媒体を提供する。参照細胞は癌の異なる段階における被験体からの細胞であることができる。参照細胞はまた、特定の薬剤処置に反応性の又は非反応性の被験体からの、そして場合により薬剤とともにインビトロで又はインビボでインキュベートされた細胞であることができる。
参照細胞はまた、幾つかの異なる処置に反応性の又は非反応性の被験体からの細胞であることができ、コンピューターシステムが被験体に好ましい処置を示す。従って、本発明は癌を有する患者のための治療法を選択する方法を提供し、その方法は(i)患者の疾患細胞中のヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現レベルを提供し、(ii)、そこで被験体の発現プロファイル及び各参照プロファイルが複数の値をもち、そこで各値が癌の特徴を示す遺伝子の発現レベルを表わす、それぞれ治療法と関連する複数の参照プロファイルを提供し、そして(iii)被験体の発現プロファイルにもっとも類似した参照プロファイルを選択し、それにより該患者のための治療法を選択すること、を含んでなる。1態様において、段階(iii)はコンピューターにより実施される。もっとも類似した参照プロファイルを、対応する発現データと関連する重量値を使用して、複数の対比値(comparison value)を秤量することにより選択することができる。
2種の生物学的試料中のmRNAの相対的アバンダンス(abundance)を摂動(perturbation)及び決定されるその数値(すなわち、試験されるmRNAの2採取源においてそのアバンダンスは異なる)として、又は摂動されないものとして(すなわち相対的アバンダンスは同一である)評価することができる。様々な態様において、少なくとも約25%倍(1採取源からのRNAが他の採取源より1採取源において25%豊富である)、より通常には約50%、更によりしばしば、約2倍(2倍豊富な)、3倍(3倍豊富な)又は5倍(5倍豊富な)のRNAの2種の採取源間の差が摂動として評価される。摂動は計算及び発現の比較のためにコンピューターにより使用することができる。
ミクロアレーを使用する薬剤デザイン
本発明はまた、癌に対する薬剤をデザインし、最適化する方法を提供する。1態様において、試験化合物とともに癌の疾患細胞又は類似の細胞のインキュベート後に、ヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現レベルを比較することにより、化合物をスクリーニングすることができる。もう1つの態様において、遺伝子の発現レベルをミクロアレーを使用し、試験化合物に反応する細胞の遺伝子発現プロファイルを、癌の疾患細胞に対応する正常細胞の遺伝子発現プロファイル(「参照プロファイル」)と比較することにより決定することができる。更なる態様において、発現プロファイルはまた、癌の疾患細胞のプロファイルと比較することができる。比較は、適切なアルゴリズムを使用して、コンピューターで読み取り可能な形態で貯蔵されている参照遺伝子発現プロファイルを含んでなるコンピューターシステム中に、薬剤で処置された細胞の遺伝子発現プロファイルデータを導入することにより実施することができる。試験化合物はヒト乳癌組織の特徴を示す遺伝子の発現レベルを変えるものに対してスクリーニングすることができる。これらの化合物、すなわちヒト乳癌組織の特徴を示す本質的にすべての遺伝子の発現を標準化することができる化合物が候補の治療剤である。
次に化合物の効果を更なるインビトロ及びインビボアッセイ並びに動物モデル(例えば、異種移植モデル)において試験することができる。試験化合物を試験動物に投与することができ、疾患の1もしくは複数の症状を動物の状態の改善についてモニターすることができる。ヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現はまた、試験化合物の動物への投与の前及び後に測定することができる。1もしくは複数のこれらの遺伝子の発現の標準化は動物における癌処置に対する化合物の効率を示す。
臨床設定において、癌を示す組織のヒト由来の試料を得ることは禁止されていないにしても、困難である可能性がある。従って、治療的化合物の効果を示す遺伝子発現の変化の同定はより容易に入手できる、代理細胞集団、例えば末梢血白血球(PBL)中で決定することができる。この方法はヒト又は動物モデルシステムのいずれでも実施することができる。1態様において、試験化合物はその動物モデルの癌を処置するのに有効であることが認められた同一用量で試験動物(正常な又は癌を含む)に投与することができる。血液は様々な時点(例えば、複数日投与計画の最初、中間及び最後の投与日の1、4、7及び24時間後に)に動物から採取することができる。ベヒクルを投与された動物を対照として使用することができる。RNAはPBLから単離することができ、ミクロアレーに対するハイブリッド形成のためのプローブを形成するために使用することができる。次にハイブリッド形成の結果を前記のようにコンピュータープログラム及びデータベースを使用して分析することができる。生成される発現プロファイルを類似性につき処置された癌組織からの類似のプロファイルに直接比較するか又は単に動物モデルにおける効果(例えば、用量及び時点に関する)と相関させることができる。
もう1つの態様において、ヒト血液を動物モデルの治療用量と一致する用量又は、動物モデルの治療用量の知られた血漿レベルと一致する用量、の治療化合物で生体外処置することができる。血液を即座に、又は採血後、遺伝子発現を再平衡化させるために幾らかのインキュベート時間(例えば、24時間)後に治療化合物で処理する(例えば、37℃で揺する)ことができる。血液はまた、様々な時点(例えば、4時間及び24時間)につき治療化合物で処理し、次にPBL RNAを単離し、そしてミクロアレーに対するハイブリッド形成のためのプローブを形成するために使用することができる。化合物の可溶化剤(例えば、DMSO)を対照として使用することができる。生成される発現プロファイルは類似性に対して処理された癌組織からの類似のプロファイルに直接比較するか又は動物モデルにおける効力(例えば、用量及び時点に関して)と単に相関させることができる。
候補の治療化合物の毒性は例えば、化合物が毒性反応と関連することが知られた遺伝子の発現を誘導するかどうかを決定することにより評価することができる。このような毒性に関連する遺伝子の発現は異なる細胞タイプ、例えば、遺伝子を発現することが知られているものにおいて決定することができる。実際、遺伝子発現の変化は定常の臨床前安全性の研究よりもヒトの毒性のより感受性のマーカーとして役立つことができる。1つの方法において、ミクロアレーは毒性反応と関連することが知られている遺伝子の発現の変化を検出するために使用することができる。遺伝子発現レベルの変化が定常の臨床前安全性試験によっては同定されなかった毒性事象を予測することができることを示す概念の実証研究を実施することができるかも知れない(例えば、Huang等、Toxicol.Sci.63:196−207,2001、Waring等、Toxicol.Appl.Pharmacol.175:28−42,2001を参照されたい)。
薬剤のスクリーニングは細胞の試料に試験化合物を添加し、効果をモニターすることにより実施することができる。試験化合物を投与されない平行試料も対照としてモニターすることができる。次に処置細胞及び未処置細胞を、それらに限定はされないが、顕微鏡分析、生存可能性試験、複製の可能性、組織学的検査、細胞と関連する特定のRNA又はポリペプチドのレベル、細胞又は細胞溶解物により発現される酵素の活性レベル及び、他の細胞又は化合物と反応する細胞の能力を含む任意の適当な表現型の基準により比較する。処置細胞と未処置細胞間の差が試験化合物に起因する効果を示す。
試験化合物の望ましい効果には癌関連マーカーの核酸の配列により与えられたすべての表現型に対する効果が含まれる。例には、mRNAの過剰アバンダンスを限定し、コードされたタンパク質の生成を限定し、又はタンパク質の機能的効果を限定する試験化合物が含まれる。試験化合物の効果は処置細胞と未処置細胞間の結果を比較する時に明白であると考えられる。
診断及び予後のアッセイ
本発明は、癌において区別して調節される(differentially regu
lated)核酸配列及びこのような配列を同定する方法を提供する。本発明は、既知の同一性を有する1もしくは複数の核酸分子を含んでなる核酸試料に対して被験体から得るRNAに対応する核酸試料をハイブリッド形成すること及び、既知の同一性を有する1もしくは複数の核酸分子に対する核酸試料のハイブリッド形成を測定することを含んでなり、そこで癌をもたない被験体から得る核酸試料に関連して、既知の同一性を有する1もしくは複数の核酸分子に対する核酸試料のハイブリッド形成における差が、癌をもつ被験体のヌクレオチド配列の異なる発現を示す、癌を有する被験体において区別して調節されるヌクレオチド配列を同定する方法を提供する。
概括的に、本発明は、被験体からメッセンジャーRNAを単離し、mRNA試料からcRNAを生成し、アレー上の別個の部位に安定に結合した複数の核酸分子を含んでなるミクロアレーに対してcRNAをハイブリッド形成し、そしてアレーに対するcRNAのハイブリッド形成のパターンを同定すること含んでなる、癌を有する被験体において区別して調節される核酸配列を同定する方法を提供する。本発明に従うと、アレー上の与えられた部位に対してハイブリッド形成する核酸分子は、ハイブリッド形成信号が例えば、癌をもたない被験体から得た核酸試料でハイブリッド形成された同一アレー上の同一部位におけるハイブリッド形成信号よりも少なくとも2倍高い又は低い場合に、区別して調節されていると言われる。
患者における薬剤処置の効果を予測するために使用することができるバイオマーカーのパネルを誘導するために、発現パターンを使用することができる。バイオマーカーは生物学的試料から単離されるRNA、腫瘍生検又は血清中の質量分析法由来のタンパク質塊の凍結試料から単離されるRNAに対するミクロアレー実験からの遺伝子発現レベルから成ることができる。
データ分析の精細な機序はデータの正確な本質に左右されるであろうが、バイオマーカーパネルを開発するための典型的な手順は以下である。データ(遺伝子発現レベル又は質量スペクトル)は処置前に各患者に対して収集する。研究が進行するに従って、患者を有効又は無効のいずれかとして、薬剤処置に対する彼らの反応に従って分類する。複数段階の効果をデータモデル中に収納することができるが、特に患者集団が数百未満である場合は二者の比較が最適であると考えられる。各クラス中に適当数の患者を仮定すると、タンパク質及び/又は遺伝子発現データは当該技術分野で知られた多数の方法により分析することができる。多数の方法は伝統的な統計学から、しかも機械の学習分野から由来する。これらの方法は2つの目的に役立つ:
1.データの特質性(dimensionality)を減少する−質量スペクトル又は遺伝子発現ミクロアレーの場合に、データを数千の個々のデータポイントから約3〜10に減少させる。この減少は1組としてとらえる時の、データポイントの予測力に基づく。2.トレイン(training)−次にこれらの3〜10のデータポイントを使用して複数の機械の学習のアルゴリズムをトレインし、次にこの場合は、有効な薬剤処置を無効と区別するタンパク質量(mass)又は遺伝子発現のパターンを認識するように「学習させる」。アルゴリズムをトレインするためにすべての患者の試料を使用することができる。
次に、それらの予測力を測定するために、生成されたトレインされたアルゴリズムを試験する。典型的には、数百未満のトレイン例が利用可能である時は、ある形態のクロス確認を実施する。具体的に示すために、10倍のクロス確認を考えていただきたい。この場合は、患者の試料をランダムに10箱の1つに指定する。第1回目の実行において9個の箱中の試料がトレインに使用され、10番目の箱中の残りの試料はアルゴリズムを試験するために使用される。これを、毎回試験のために異なる箱中に試料を残しながら、更に9回繰り返す。すべての10回の実行からの結果(正確な予測及び誤差)を合せ、次に予測力を算定する。異なるパネルのみならずまた、異なるアルゴリズムをこの研究のためにこの方法で比較することができる。次に「最良の」アルゴリズム/パネル組み合わせを選択するであろう。次にこの「スマート」アルゴリズムを未来の研究に使用して、処置に対してもっとも反応し易い患者を選択することができる。
多数のアルゴリズムは採取された更なる情報から患者に恩恵を与える。例えば、性別又は年令は予測力を改善すると考えられる。更に、標準化及び補正(smoothing)のようなデータ変換はノイズを減少するために使用することができる。このために、成果を最適にするために、多数の異なるパラメーターを使用して多数のアルゴリズムをトレインすることができる。データ中に予測可能なパターンが存在する場合は、最適な、又は最適に近い「スマート」アルゴリズムを開発することができるようである。より多くの患者の試料が入手可能になる場合は、アルゴリズムは新規データを巧みに利用するために再トレインすることができる。
質量分析法を使用する1例として、血漿を疎水性SELDI−標的に適用し、水中で十分洗浄し、そして質量分析機のSELDI−Tにより分析することができる。これを100以上の患者試料につき繰り返すことができる。各試料中の約16,000m/z値の濃度からもたらされるタンパク質プロファイルが、薬効を予測する特定のm/z値の組を同定するために統計的に分析されると考えられる。イオン−交換又はIMAC表面のような他のSELDI−標的を使用する同様な実験も実施することができると考えられる。これらは血漿中に存在するタンパク質の異なるサブセットを捕捉するであろう。更に、SELDI標的上への適用の前に血漿を変性させ、前以て分割することができる。
本発明は、バイオマーカー、すなわち癌の核酸及び/又はポリペプチドのマーカーを検出することにより被験体が望ましくない細胞増殖を特徴として示す疾患又は状態を発症する危険にあるかどうかを決定する方法を提供する。
臨床的適用において、ヒトの組織試料をその中に同定されるバイオマーカーの存在及び/又は不在につきスクリーニングすることができる。このような試料は針生検コア、外科的切除試料、リンパ節組織又は血清から成ることができると考えられる。例えば、これらの方法には生検体を得ることが含まれ、それを場合により、凍結切断により細分して腫瘍細胞を総細胞集団の約80%まで濃縮する。特定の態様において、これらの試料から抽出される核酸を当該技術分野で周知の方法を使用して増幅することができる。検出された選択されたマーカーのレベルは転移性、非転移性の、悪性、良性又は正常な組織試料の統計的に有効な群と比較されると考えられる。
1態様において、診断法は、ノーザンブロット分析、逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、インシトゥーのハイブリッド形成、免疫沈殿法、ウエスタンブロットハイブリッド形成又は免疫組織化学により、被験体がバイオマーカーの異常なmRNA及び/又はタンパク質レベルを有するかどうかを決定することを含んでなる。本方法に従うと、細胞を被験体から得て、バイオマーカー、タンパク質のレベル又はmRNAレベルを決定し、そして健康な被験体のこれらのマーカーのレベルに比較することができる。バイオマーカーのポリペプチド又はmRNAレベルの異常なレベルは癌を示すようである。
1態様において、本方法は患者からの組織中の癌細胞の存在を決定するために、核酸プローブを使用することを含んでなる。特に該方法は:
1.ヌクレオチド配列、例えば、少なくとも10、15、25又は40ヌクレオチド及び、核酸配列のコード配列の一部に相補性であり、そして腫瘍細胞中に区別して発現されるすべて又はほとんどすべてまでのコード配列を含んでなる核酸プローブを提供し、
2.癌性細胞を含んでなる可能性がある患者からの組織試料を得て、
3.それらの実質的にすべてが非癌性の細胞を含む第2の組織試料を提供し、
4.前記第1及び第2の各組織試料のmRNAと、緊縮条件下の核酸プローブを接触させ(例えば、ノーザンブロット又は原位置のハイブリッド形成アッセイにおいて)、そして5.(a)第1の組織試料のRNAによるプローブのハイブリッド形成量を(b)第2の組織試料のRNAによるプローブのハイブリッド形成量を比較すること(ここで第2の組織試料のRNAによるハイブリッド形成量に比較した第1の組織試料のRNAによるハイブリッド形成量の統計的有意差は第1の組織試料中の癌性細胞の存在を示す)、
を含んでなる。
1アスペクトにおいて、該方法は与えられたマーカーの核酸配列から由来するプローブによる原位置のハイブリッド形成を含んでなる。該方法は、標識されたハイブリッド形成
プローブを、正常な細胞のみならずまた、癌性又は前癌性細胞を含む可能性のある与えられたタイプの組織試料と接触させ、そしてプローブが、与えられた組織タイプの幾つかの細胞を、それが同様な組織タイプの他の細胞を標識する程度よりも有意に異なる(例えば、少なくとも2の係数だけ又は少なくとも5の係数だけ又は少なくとも20の係数だけ又は少なくとも50の係数だけ)程度に標識するかどうかを決定することを含んでなる。
更に、試験細胞のmRNAを核酸プローブ、例えば、少なくとも約10、15、25又は40ヌクレオチド及び核酸配列のコード配列の一部に相補性であり、そして与えられた組織タイプの正常細胞に比較して腫瘍細胞中に異なって発現される、すべて又はほとんどすべてまでの配列、と接触させることにより、与えられたヒト組織からの試験細胞の表現型、例えば、細胞が(a)正常であるか又は(b)癌性又は前癌性であるかを決定し、そしてmRNAに対するプローブのハイブリッド形成の適当な量、試験細胞が癌性又は前癌性であることを示すその組織タイプの正常な細胞のmRNAで見られるものより多い又は少ないハイブリッド形成量を決定する方法が本発明内に入る。
あるいはまた、前記の診断アッセイはマーカーの核酸配列によりコードされるタンパク質産物を検出するために、抗体を使用して実施することができる。従って、1態様において、アッセイは、試験細胞のタンパク質を核酸の遺伝子産物に特異的な抗体と接触させ(そこでマーカーの核酸は試験細胞と同様な組織タイプの正常細胞中の与えられた制御(control)レベルで発現されるものである)、そして抗体及び試験細胞のタンパク質による免疫複合体形成の適当な量を決定することを含むと考えられ、そこで同一組織タイプの正常な細胞に比較した試験細胞のタンパク質により形成される免疫複合体の量の統計学的有意差が、試験細胞が癌性又は前癌性である指標である。
本発明に有用なポリペプチドに特異的に結合するポリクローナル及び/又はモノクローナル抗体の生成法は当業者に知られており、例えば、Dymecki等(J.Biol.Chem.267:4815,1992)、Boersma & Van Leeuwen(J.Neurosci.Methods 51:317,1994)、Green等、(Cell 28:477,1982)及びArnheiter等、(Nature 294:278,1981)中に認めることができる。
もう1つのこのような方法には:マーカー核酸配列の遺伝子産物に特異的な抗体を提供し(ここで該遺伝子産物は同一組織タイプの非癌性組織中の遺伝子産物のレベルよりも高い又は低いレベルで、与えられた組織タイプの癌性組織中に存在する)、患者から、その試料が癌性細胞を含む可能性のある、与えられた組織タイプの組織の第1の試料を得、同一組織タイプの組織の第2の試料(同一患者からあるいは、正常な対照、例えば、もう1つの個体の又は培養細胞からのものであることができる)を提供し(ここでこの第2の試料は正常細胞を含みそして癌性細胞を本質的に含まない)、抗体と試料中に存在するマーカーの核酸配列産物間の免疫複合体形成を許す条件下で、抗体を、第1及び第2の試料をタンパク質(溶解されたしかし分割されていない細胞中で又は原位置で部分的に精製することができる)と接触させ、そして(a)第1の試料中の免疫複合体形成量を(b)第2の試料中の免疫複合体形成量と比較すること(ここで第2の試料中の免疫複合体形成量に比較して少ない第1試料中の免疫複合体形成量の統計学的有意差が第1の組織試料中の癌性細胞の存在を示す)段階が含まれる。
本発明は更に、被験体から得た細胞試料が(a)被験体から細胞試料を得て、(b)そのようにして得た試料中のマーカーのポリペプチドの量を定量的に決定し、そして(c)それにより被験体から得た細胞試料が異常な量のマーカーのポリペプチドを有するかどうかをそれにより決定するように、既知の基準と、そのように決定されたマーカーのポリペプチドの量を比較することを含んでなる、異常な量のマーカーのポリペプチドを有するかどうかを決定する方法を提供する。このようなマーカーのポリペプチドは免疫組織化学的アッセイ、ドット−ブロットアッセイ、ELISA等により検出することができる。
イムノアッセイは一般に細胞試料中のタンパク質のレベルを定量するために使用され、多数のその他のイムノアッセイ法が当該技術分野で知られている。本発明は特定のアッセイ法に限定されず、従って均一な方法(homogeneous procedure)
及び不均一な方法(heterogeneous procedure)の双方を含むことが意図される。本発明に従って実施することができる代表的なイムノアッセイには蛍光偏光イムノアッセイ(FPIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、ネフェロ阻害イムノアッセイ(NIA)、酵素−結合免疫吸着剤測定法(ELISA)及びラジオイムノアッセイ(RIA)が含まれる。インジケーター部分又は標識群は被験体の抗体に結合させることができ、しばしば測定装置及び適合するイムノアッセイ法の利用可能性により決定される方法の様々な使用の需要を充たすように選択される。前記の様々なイムノアッセイを実施する際に使用することができる一般的方法は当業者に知られている。
もう1つの態様において、患者の生物学的流体(例えば血液又は尿)中のコード産物のレベル又はポリペプチドのレベルを、患者の細胞中のマーカーの核酸配列の発現レベルを監視する方法として決定することができる。このような方法は患者から生物学的流体の試料を得て、試料(又は試料からのタンパク質)をコードされたマーカーのポリペプチドに特異的な抗体と接触させ、そして抗体による免疫複合体形成量を決定する段階を含むであろうと考えられ、ここで免疫複合体の形成量が試料中のマーカーのコードされた産物のレベルを示す。この決定は正常な個体から採取された対照試料中あるいは同一人物から以前に又はその後に得られた1もしくは複数の試料中の同一抗体による免疫複合体形成量に比較される時に特に教示的である。
もう1つの態様において、本方法は順次、過剰増殖性障害の進行と相関させることができる、細胞中に存在するマーカーのポリペプチドの量を決定するために使用することができる。マーカーのポリペプチドのレベルは、細胞の試料が、形質転換された細胞であるか又はそれらになっていく傾向にある細胞を含むかどうかを評価するために予測的に使用することができる。更に、本方法は形質転換されることが知られている細胞の表現型を算定するために使用することができ、ここで表現タイプの検査結果は特定の治療スケジュールを計画する際に有用である。例えば、試料細胞中のマーカーのポリペプチドの非常に高いレベルは癌の強力な診断及び予後のマーカーである。マーカーポリペプチドレベルの観察は例えば、より挑戦的な治療の使用に関する決定の際に利用することができる。
前記に示されたように、本発明の1アスペクトは、患者から単離された細胞に関して、マーカーのポリペプチドのレベルが試料細胞中で有意に減少しているかどうかを決定するための診断測定法に関する。用語の「有意に減少する」は、細胞が同様な組織源の正常細胞に対して、マーカーのポリペプチドの減少した細胞量を有する、細胞の表現型を表わす。例えば、細胞は正常な対照細胞の量に比較して約50%、25%、10%又は5%未満のマーカーのポリペプチドを有することができる。とりわけ該アッセイは試験細胞中のマーカーのポリペプチドのレベルを評価し、そして好ましくは、測定されたレベルを、少なくとも1種の対照細胞、例えば、正常細胞及び/又は既知の表現型の形質転換細胞中に検出されるマーカーのポリペプチドと比較する。
本発明に対してとりわけ重要なものは、正常又は異常なマーカーのポリペプチドレベルと関連した細胞数により決定される、マーカーのポリペプチドのレベルを定量する能力である。次に特定のマーカーのポリペプチドの表現型をもつ細胞数を患者の予後と相関させることができる。本発明の1態様において、病巣のマーカーのポリペプチドの表現型は、マーカーのポリペプチドの異常に高い/低いレベルを有することが認められる生検における細胞の百分率として決定される。このような発現は免疫組織化学的測定法、ドット−ブロットアッセイ、ELISA等により検出することができる。
組織試料が使用される場合、マーカーのポリペプチドの表現型を有する細胞数を決定するためには免疫組織化学的染色を使用することができる。このような染色のためには、組織のマルチブロック(multiblock)を生検又はその他の組織試料から採取し、プロテアーゼK又はペプシンのような薬剤を使用するタンパク質分解性加水分解にかけることができる。特定の態様において、試料細胞から核の画分を単離し、核の画分中のマーカーのポリペプチドのレベルを検出することが望ましいかも知れない。
組織試料はホルマリン、グルタルアルデヒド、メタノール等のような試薬による処置に
より固定される。次に試料をマーカーのポリペプチドに結合特異性をもつ抗体(例えば、モノクローナル抗体)とともにインキュベートする。この抗体を結合のその後の検出のために標識に共役結合させることができる。試料は免疫複合体の形成に十分な時間だけインキュベートされる。次に抗体の結合が、この抗体に共役結合された標識のお陰で検出される。抗体が未標識の場合は、例えば、抗マーカーのポリペプチドの抗体のアイソタイプに特異的な第2の標識抗体を使用することができる。使用することができる標識の例には放射性核種、蛍光剤、化学発光剤、酵素等が含まれる。
酵素が使用される場合は、着色又は蛍光産物を提供するために、試料に酵素の基質を添加することができる。共役体中への使用に適した酵素の例にはホースラディシュ・ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、マレエートデヒドロゲナーゼ等が含まれる。市販はされていないが、これらの抗体−酵素共役体は当業者に知られた方法により容易に生成することができる。
1態様において、アッセイはドット・ブロットアッセイとして実施される。ドット−ブロットアッセイは、それが前以て決定された数の細胞から生成された細胞を含まない抽出物中のマーカーのポリペプチドの量を相関させることにより、単細胞と関連したマーカーのポリペプチドの平均量の決定を許すので、組織試料が使用される、特別の適用を見いだす。
同一タイプの腫瘍細胞(例えば、乳癌及び/又は結腸癌細胞)は個々の癌遺伝子の均一に増加した発現又は個々の腫瘍抑制遺伝子の均一に減少した発現を示さないかも知れないことは癌文献に十分に確立されている。更に、与えられたタイプの癌の細胞間にすら与えられたマーカー遺伝子の発現レベルは変動することができ、単一の試験よりむしろ一連の試験に依存する必要を更に強調している。従って、1アスペクトにおいて、本発明は診断試験の信頼性及び/又は精度を改善するために本発明の多数のプローブを使用する一連の試験を提供する。
1態様において、本発明はまた、核酸プローブが系統的なアレー中のDNAチップ上に固定される方法を提供する。オリゴヌクレオチドをリソグラフィーを含む多様な方法により固形の支持体に結合することができる。例えば、チップは250,000までのオリゴヌクレオチドを保持することができる。これらの核酸プローブはヌクレオチド配列、例えば、少なくとも約12、15、、25又は40ヌクレオチドの長さ、そしてマーカーの核酸配列のコード配列の一部に相補性であり、腫瘍細胞中に異なって発現されるすべて又はほとんどすべての配列までを含んでなる。本発明はそれが1枚のチップ上に核酸のマーカーのアレーを提供することにより試験の信頼性を増加するために、様々な癌に対する利用可能な試験よりも著しい利点を提供する。
本方法には、場合により総細胞集団の約80%まで腫瘍細胞を濃縮するために凍結切断により画分化される生検を得ることが含まれる。次にDNA又はRNAを抽出し、増幅しそしてDNAチップで分析して、マーカーの核酸配列の存在又は不在を決定する。
1態様において、核酸プローブを二次元マトリックス又はアレー中の基材(substrate)上にスポットに配置する。核酸の試料を標識し、次にプローブに対してハイブリッド形成することができる。試料の未結合部分を洗浄後、プローブの核酸に結合された標識試料核酸を含んでなる二重鎖核酸を検出することができる。
プローブの核酸はガラス、ニトロセルロース等を含む基材上にスポットに配置することができる。プローブは共有結合又は疎水性相互作用のような非特異的相互作用のいずれかにより基材に結合させることができる。試料の核酸は放射性標識、蛍光剤、発色団等を使用して標識することができる。
更にもう1つの態様において、本発明は本発明のマーカーのポリペプチドに対して生成される抗体のパネルを使用することをもくろむ。このような抗体のパネルは癌の信頼できる診断プローブとして使用することができる。本発明のアッセイは、マーカーのポリペプチドの存在又は不在を決定するために、細胞、例えば、乳の細胞を含む生検試料を、1もしくは複数のコードされた産物に対する抗体のパネルと接触させることを含んでなる。
本発明の診断方法はまた、処置に対する追跡として使用することができ、例えば、マー
カーのポリペプチドのレベルの定量が患者の予後に対するこれらの治療の効果のみならずまた、現在の又は以前に使用された癌治療剤の効果を示すことができる。
更に、マーカーの核酸又はマーカーのポリペプチドは初回の検出のための診断パネル、追跡のスクリーニング、再発の検出及び化学療法又は外科処置のための、処置後の監視の一部として使用することができる。
従って、本発明は、例えば、細胞の発癌性形質転換から発生する増殖障害の診断及び表現型の検査の補助をするために、細胞からのマーカーのポリペプチドの獲得及び/又は喪失を検出するための利用可能な診断アッセイ及び試薬を作製する。
前記の診断測定法はまた、予後診断法として使用されるように適応させることもできる。このような適用は、癌の進行における特徴的段階に起る事象に対する本発明のアッセイの感度を利用する。例えば、与えられたマーカーの遺伝子を、恐らく細胞が悪性への発達に非可逆的に変化する前に、非常に早期の段階でアップ又はダウンレギュレートすることができ、他方もう1つのマーカー遺伝子は特徴的にずっと後期の段階でのみアップ又はダウンレギュレートすることができる。このような方法は、腫瘍の進行の異なる段階の癌性又は前癌性細胞の異なる特徴的レベルで発現される与えられたマーカーの核酸から由来する核酸プローブと、試験細胞のmRNAを接触させ、そして細胞のmRNAに対するプローブのハイブリッド形成のおよその量を決定する(ここでこのような量が細胞中の遺伝子の発現レベルの表示であり、そして従って細胞の腫瘍の進行段階の表示である)段階を伴うことができると考えられ、あるいはまた、該アッセイは試験細胞のタンパク質と接触された、与えられたマーカーの核酸の遺伝子産物に特異的な抗体により実施することができる。一連のこのような試験は腫瘍の存在及び部位を開示するのみならずまた、臨床医に、腫瘍に対するもっとも適切な処置法を選択させ、そしてその処置の成功の見込を予測させるであろう。
本発明の方法はまた、腫瘍の臨床経過を追跡するために使用することができる。例えば、本発明のアッセイは患者からの組織試料に適用することができ、癌に対する患者の処置後にもう1つの組織試料を採取して、試験を繰り返すことができる。成功した処置は癌性又は前癌性細胞の特徴を示す、異なる発現を示すすべての細胞の除去、又は恐らく正常レベルに近づく又はそれらを超えさえするこれらの細胞中の遺伝子の発現の実質的な増加をもたらすであろう。
更にもう1つの態様において、本発明は、被験者が、ポリペプチドの異常な活性が(a)マーカーのポリペプチドをコードする遺伝子の完全性に影響を与える変化又は(b)コードする核酸の異常発現、の少なくとも片方を特徴として示す遺伝的病巣の存在又は不在を検出することを特徴とする、ポリペプチドの異常な活性と関連した、癌を発生する傾向のような、疾患を発症する危険にあるかどうかを決定する方法を提供する。具体的に示すために、このような遺伝的病巣は、(i)核酸配列からの1もしくは複数のヌクレオチドの欠失、(ii)核酸配列への1もしくは複数のヌクレオチドの付加、(iii)核酸配列の1もしくは複数のヌクレオチドの置換、(iv)核酸配列の全体的染色体の再配置、(v)核酸配置のメッセンジャーRNA転写レベルの全体の変化、(vi)ゲノムDNAのメチル化パターンのような核酸配列の異常な修飾、(vii)遺伝子のメッセンジャーRNA転写の非野生型スプライシングパターンの存在、(viii)マーカーのポリペプチドの非野生型レベル、(ix)遺伝子の対立遺伝子の喪失、及び/又は(x)マーカーのポリペプチドの不適切な翻訳後修飾、のうちの少なくとも1つの存在を確認することにより検出することができる。
本発明はコード化核酸配列中に病巣を検出するためのアッセイ法を提供する。これらの方法にはそれらに限定はされないが、配列分析、サザンブロットハイブリッド形成、制限酵素サイトマップ作成を伴う方法及び、分析される核酸とプローブ間を繋ぐ(pairing)ヌクレオチドの不在の検出を伴う方法が含まれる。
特定の疾患又は障害、例えば遺伝的疾患又は障害は、必ずしも突然変異タンパク質をコードするとは限らない特定の遺伝子の多型領域の、特定の対立遺伝子バリアントと関連する。従って被験体の遺伝子の多型領域の特定の対立遺伝子バリアントの存在が、被験体を
、特定の疾患又は障害発症に感受性にさせるかも知れない。遺伝子の多型領域は個体の集団の遺伝子のヌクレオチド配列を決定することにより同定することができる。多型領域が同定される時は、個体、例えば癌のような特定の疾患を発症した個体の特定の集団を研究することにより特定の疾患との関連を決定することができる。多型領域は遺伝子、例えばエキソンの任意の領域、エキソンのコード領域又は非コード領域、イントロン及びプロモーター領域に局在することができる。
代表的な例において、遺伝子又は天然に存在するその突然変異体のセンス又はアンチセンス配列、又は被験体の遺伝子又は天然に存在するそれらの突然変異体と天然に関連する5’又は3’フランキング配列又はイントロン配列に対してハイブリッド形成することができるヌクレオチド配列の領域を含む核酸プローブを含んでなる核酸組成物が提供される。細胞の核酸がハイブリッド形成にアクセスできるようにされ、プローブを試料の核酸と接触させ、そして試料の核酸に対するプローブのハイブリッド形成を検出する。このような方法をmRNAの転写レベルを決定するためのみならずまた、欠失、置換、等を含む、遺伝子又はmRNAレベルのいずれかの病巣又は対立遺伝子バリアントを検出するために使用することができる。
検出法の1例は突然変異又は多型サイトを重複し、突然変異体又は多型領域の周囲に約5、10、20、25又は30ヌクレオチドを有するプローブを使用する、アレルに特異的なハイブリッド形成である。本発明の1態様において、対立遺伝子バリアントに特異的にハイブリッド形成することができる幾つかのプローブを固形相支持体、例えば「チップ」に結合させる。「DNAプローブアレー」とも呼ばれるオリゴヌクレオチドを含んでなるこれらのチップを使用する突然変異体検出分析は例えば、Cronin等(Human
Mutation 7:244,1999)により記載されている。1態様において、チップは遺伝子の少なくとも1個の多型領域のすべての対立遺伝子バリアントを含んでなることができる。次に固形相の支持体を試験核酸と接触させ、特定のプローブに対するハイブリッド形成を検出する。従って、1もしくは複数の遺伝子の多数の対立遺伝子バリアントの正体は簡単なハイブリッド形成実験において同定することができる。
特定の態様において、病巣の検出はアンカーPCR又はRACE PCRのようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、米国特許第4,683,195号及び第4,683,202号明細書を参照されたい)、あるいはまた、リガーゼ連鎖反応(LCR)(例えば、Landegran等、Science 241:1077−1080,1988、Nakazaw等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:360−364,1994を参照されたい)中でプローブ/プライマーを使用することを含んでなり、後者は遺伝子の点変異を検出するために特に有用であることができる(例えば、Abravaya等、Nuc.Aci Res.23:675−682,1995を参照されたい)。具体的な態様において、本方法は(i)患者から細胞の試料を収集し、(ii)試料の細胞から核酸(例えば、ゲノム、mRNA又は双方)を単離し、(iii)核酸試料を、核酸(存在する場合に)のハイブリッド形成及び増幅が起るような条件下で核酸配列に対して特異的にハイブリッド形成する1もしくは複数のプライマーと接触させ、そして(iv)増幅産物の存在又は不在を検出するかあるいは、増幅産物のサイズを検出し、対照試料に対してその長さを比較する段階を含む。本明細書で記載された突然変異体を検出するために使用される任意の方法と一緒に、準備的増幅段階としてPCR及び/又はLCRを使用することが望ましい可能性があることは予想される。
従って本発明はまた、薬剤がmRNAの生成を阻害又は促進することができるかどうかを決定するために、薬剤に、マーカーの核酸mRNAが培養細胞中で検出可能な細胞又は組織を暴露し、そして暴露された細胞又は組織中のmRNAレベルを決定すること(ここで薬剤に対する細胞株の露出後のmRNAのレベルの減少はマーカーの核酸mRNAの生成の阻害を示し、mRNAレベルの増加はマーカーのmRNA生成の促進を示す)を含んでなる、インビトロで核酸マーカーの発現を阻害又は促進する薬剤のスクリーニング法を包含する。
あるいはまた、該スクリーニング法は、マーカーのタンパク質の生成を阻害又は促進す
ることが疑われる薬剤に対する、マーカーのタンパク質が培養された細胞中に検出可能な細胞又は組織のインビトロのスクリーニング及び、細胞又は組織中のマーカーのタンパク質のレベルを測定すること(ここで薬剤への細胞又は組織の暴露後のマーカーのタンパク質レベルの減少はマーカータンパク質生成の阻害を示し、マーカーのタンパク質レベルの増加はマーカーのタンパク質生成の促進を示す)を含むことができる。
本発明はまた、マーカーのmRNA又はタンパク質の生成を阻害又は促進することが疑われる薬剤に対して、マーカーmRNA又はタンパク質が検出可能である腫瘍細胞を有する被験体を暴露し、暴露された哺乳動物の腫瘍細胞中のマーカーのmRNA又はタンパク質のレベルを決定することを含んでなる、マーカーの核酸の発現を阻害又は促進する薬剤のスクリーニングのインビボの方法を包含する。薬剤に対する被験体の暴露後のマーカーのmRNA又はタンパク質レベルの減少はマーカーの核酸の発現の阻害を示し、そしてマーカーのmRNA又はタンパク質レベルの増加はマーカーの核酸の発現の促進を示す。
従って、本発明は試験化合物とともにマーカーの核酸を発現する細胞をインキュベートし、そしてmRNA又はタンパク質レベルを測定することを含んでなる方法を提供する。本発明は更に、細胞集団中のマーカーの核酸の発現レベルを定量的に測定する方法及び、薬剤が細胞集団中のマーカーの核酸の発現レベルを増加又は減少させることができるかどうかを決定する方法を提供する。薬剤が細胞集団中のマーカーの核酸の発現レベルを増加又は減少させることができるかどうかを決定する方法は、(a)対照及び薬剤処置細胞集団から細胞抽出物を調製し、(b)細胞抽出物からマーカーのポリペプチドを単離し、そして(c)マーカーのポリペプチドと該ポリペプチドに特異的な抗体間に形成される免疫複合体の量を定量する(例えば、平行して)段階を含んでなる。本発明のマーカーのポリペプチドはまた、その生物活性を測定することにより定量することができる。マーカーの核酸発現の増加を誘発する薬剤は、対照細胞中に形成される免疫複合体の量に比較して、処置細胞中に形成される免疫複合体量を増加させるそれらの能力により同定することができる。同様な方法で、マーカーの核酸の発現を減少する薬剤は、対照細胞に比較して、処置細胞抽出物中に形成される免疫複合体量を減少させるそれらの能力により同定することができる。
予測的アッセイ
与えられる抗ガン剤からの臨床効果を予測することができる実験室に基づくアッセイは癌をもつ患者の臨床管理を著しく強化させるであろう。この効果を算定するために、処置の前、期間中及びその後に、生物学的試料(例えば、腫瘍の標本、血漿)中の抗ガン剤と関連したバイオマーカーを分析することができる。
処置を監視するもう1つの方法は血清プロテオームスペクトルの評価である。特に、血漿試料は質量分析(例えば、表面増強レーザー脱離及びイオン化)にかけ、プロテオームスペクトルを各患者に対して作成することができる。処置の前及びその期間中の患者からの血漿分析から由来する1組のスペクトルは反復検索アルゴリズムにより分析することができ、それは未処置試料から処置試料を完全に区別するプロテオームパターンを同定することができる。次に生成されるパターンを使用して処置後の臨床効果を予測することができる。
抗ガン剤に対する耐性の発達のみならずまた、臨床効果及び感度を予測するために、生物学的試料(例えば、腫瘍生検試料、血液試料)の全体的遺伝子発現プロファイル作成及び生物情報学−に基づくパターン同定法を使用することができる。例えば、処置前及びその期間中の患者からの全血から由来する細胞から単離されるRNAを使用して、Affymetrix GeneChip法及びアルゴリズムを使用する血液細胞遺伝子発現プロファイルを作成することができる。次にこれらの遺伝子発現プロファイルが、特定の抗ガン剤による処置からの臨床効果を予測することができる。
1D H−NMR(核磁気共鳴)による尿の生化学組成の分析も予測的アッセイとして利用することができる。パターン認識法は抗ガン剤による処置に対する代謝反応を評価し、臨床の最終結果(endpoints)とこの反応を相関させるために使用すること
ができる。尿中に排泄される生化学的又は内分泌代謝物は正常な被験体に対するプロトンNMRにより十分に特徴を示されている(Zuppi等、Cli Chim Acta 265:85−97,1997)。これらの代謝物(約30〜40)はクエン酸及び尿素回路のような主要代謝経路の副産物を表わす。薬剤−、疾患−及び遺伝子−刺激は、刺激に対する代謝反応の時系列及び数値を示す基礎的な尿のプロファイルの代謝特異的な変化をもたらすことが示されている。これらの分析は多変数(multi−variant)であり、従って、データの解釈を改善するためにパターン認識法を使用する。尿の代謝プロファイルは臨床最終結果と相関させて、臨床効果を決定することができる。
キット
本発明は更にヒト乳癌組織の特徴を示す遺伝子の発現レベルを決定するためのキットを提供する。該キットは、癌の治療剤を同定し、有効であることを確認するのみならずまた、癌を発症する傾向がある又は癌を有する被験体を同定するために有用であることができる。1態様において、該キットは癌の疾患細胞の1もしくは複数の遺伝子発現プロファイル又は、少なくとも、疾患細胞中のヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現レベルを表わす値がその上に貯蔵されている、コンピューター読み取り可能な媒体(medium)を含んでなる。コンピューター読み取り可能な媒体はまた、対応する正常細胞の遺伝子発現プロファイル、薬剤で処置された疾患細胞及び本明細書に記載されたあらゆるその他の遺伝子発現プロファイルを含んでなることができる。該キットはコンピューターシステムのメモリー中にロードされることができる発現プロファイルの分析ソフトウエアを含んでなることができる。
キットはヒト乳癌組織の特徴を示す遺伝子のプローブを含んでなるミクロアレーを含んでなることができる。キットはヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現レベルを検出するための1もしくは複数のプローブ又はプライマー、及び/又はその上にプローブが結合し、試料中のヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子の発現を検出するために使用することができる固形支持体、を含んでなることができる。キットは更に核酸の対照物、バッファー及び使用指示書を含んでなることができる。
その他のキットは癌を処置するための組成物を提供する。例えば、キットはまた、ヒト乳癌組織の特徴を示す1もしくは複数の遺伝子に対応する1もしくは複数の核酸(例えば、癌をもつ患者を処置する際の使用のための)を含んでなることができる。該核酸はプラスミド又はベクトル(例えば、ウイルスベクトル)中に含まれることができる。その他のキットは癌の特徴を示す遺伝子によりコードされるポリペプチド又はポリペプチドに対する抗体を含んでなる。更にその他のキットはヒト乳癌組織の特徴を示す遺伝子のアゴニスト又はアンタゴニストとして本明細書に同定された化合物を含んでなる。組成物は製薬学的に許容できる賦形剤を含んでなる製薬学的組成物であることができる。
実施例
本明細書に記載の実施例及び態様は具体的説明によるものであり、限定によるものでなく、そしてその他の実施例を特許請求の範囲に示されたような本発明の精神及び範囲から逸脱せずに使用することができることは当業者には明白であろう。
遺伝子発現プロファイル形成のプロトコール
A.組織源
ヒト乳癌組織及び正常な隣接組織を国立疾病研究所(National Disease Research Institute)から購入した。
B.RNA抽出及びcRNA調製
総RNAをNReasyプロトコール(Qiagen,CA)を使用する修飾ベンダープロトコールに従いTRIzol試薬(Lide Technologies,MD)を使用してヒトの組織から抽出した。Brickmann Polytron PT10/35(Brinkmann,Switerland)によるホモジナイズ及びクロロホルムによる相分離後、試料をRNeasyカラムに適用した。RNA試料をRNaseを含まないDNase Set(Qiagen,CA)を使用して、DNase Iで処理し
た。
溶離及びUV分光測定法による定量後に、各試料をベンダーのプロトコール(Invitrogen,CA)に従ってRT−PCRのためのGibco Superscript II Choice Systemを使用して二重鎖cDNAに逆転写させた。
試料を有機的に抽出し、エタノールで沈殿させた。次に約1μgのcDNAを、RNA標識キット(Enzo Diagnostics,NY)を使用してビオチニル化ヌクレオチドを取り込むインビトロの転写反応に使用した。生成されるcRNAをRNeasyクリーンアップ・プロトコールをとおして、次にUV分光測定法を使用して定量した。cRNA(15μg)を94℃でMgOAc及びKOAcの存在下でフラグメントにした。フラグメントRNA(10μg)を各アレー当たり1cRNA試料を各アレー上に充填した。アレーをAffymetrix GeneChipハイブリッド形成用オーブン640中で60rpmで回転することにより、45℃で16時間、ハイブリッド形成させた。C.ミクロアレー・スイート5.0分析
ハイブリッド形成後、アレーをAgilent GeneArryスキャナー中に配置されたフィコエルスリン共役ストレプトアビジンで染色し、次に488nmのレーザーに暴露し、フィコエルスリンの励起を引き起こした。ミクロアレー・スイート5.0ソフトウエアはアレーにより放射される光線強度を、遺伝子発現レベルを示す数値にデジタル変換する。各アレーは単一試料を表わすので、腫瘍RNAを正常な隣接組織から単離されたRNAに比較した。
D.Spotfire分析
本分析の目的は乳癌と正常な組織間を識別するマーカーのセット(核酸配列SEQ ID NO1〜127及び対応するアミノ酸配列SEQ ID NO128〜254)を作製することである。マーカーセット1(表1)は支持ベクトルマシンを使用して、組織が癌性であるか否かの予測のための最適なセットである1組のプローブセットを表わす。最適なセットは最少の誤差を伴い最大の予測精度を示すものであることが決定される。このマーカーセットは以下の方法を使用して誘導された:
1.データをSpotfire中に取り込んだ。
2.t−検定オプションを使用して癌組織と正常組織間の処理の比較を実施した。
3.以下の基準を使用してプローブセットを選択した:
a.すべての正常試料又はすべての癌試料につきAffymetrix Microarray Suiteソフトウエアv.5.0(Affymetrix,Inc.,Santa Clara,CA)により決定されたようなデータが、プローブセットがすべて「Absent(不在)」でないことを示した。
b.プローブセットのデータがt−検定に従って0.001以下のp−値を示した。
4.これらの基準を充たさないすべてのプローブセットを更なる分析から除外した。
5.残りのデータをLIBSVM(Chang及びLin,LIBSVM:A Library for Support Vector Machines,2001(サポートベクトルマシンのライブラリー,2001)。ソフトウエアはhttp://www.csie.ntu.edu.tw/〜cjlin/libsvmから入手できる)の一部であるsvm−トレインプログラム(C++バージョン)の修正バージョンと一緒に特注(custom)ソフトウエアを使用して選択処理に使用した。特注ソフトウエアはPerl言語.5.004で書かれている。ソフトウエアはIRIX6.5.7fオペレーションシステムを走行するSGI Origin 2000上を走行させた。このソフトウエアは以下の方法で使用された:
a.Perlプログラムをsvm−トレインを制御するための「ラッパー(wrapper)」として使用した。その機能はデータのサブセットを選択して、支持ベクトルマシン(SVM)をトレインするためのsvm−トレインにこれらのセットを供給することであった。
b.トレインは多数の除去作業(elimination round)から成った。各作業中に多数の支持ベクトルマシンが精度及び誤差を算定するために10倍のクロス評
価(validation)を使用してトレインされた。各SVMを1つのプローブセットからのデータを残したことを除いてすべてのデータにつきトレインされた。1つのプローブセットを各作業においてデータセットから除去した。これが、それが除去された時のSVMの最良の誤差及び/又は精度を示すプローブセットであった。
c.唯一のプローブセットが残されるまでトレインを継続した。
d.もっとも少ない誤差を伴い、最大精度を示したプローブセットのセットを選択し、表1に示す。
svm−トレイン(train)にインプットされた項目は−s0−t0−c1−v10であった。
「マーカーセット2」(表2)は支持ベクトルマシンを使用する、組織が癌性であるか否かの予測のための最適なセットである1組のプローブセットを表わす。最適なセットは最少の誤差を伴い最大の予測精度を示すものであるように決定される。このマーカーセットは以下の例外を伴う「マーカーセット1」に記載の方法を使用して誘導された:
1.データセットは0.001以下のt−検定のp−値を示すプローブセットに限定されなかった。
2.プローブセットの5パーセントを1000プローブセットが残るまで各作業で除去した。次に各作業中唯一のプローブセットを除去した。
「マーカーセット3」(表3)はNaive Bayes法を使用して組織が癌性であるか否かの予測のための最適セットである1組のプローブセットを表わす。最適セットは最大の予測精度を示すものであるように決定される。このマーカーセットは以下の方法を使用して誘導された:
1.プローブセットの最初のセットは「マーカーセット1」と同様であった。
2.次にプローブセットをWekaソフトウエアバージョン3.3.4による分析にかけた(データマイニング:Practical Machine Learning Tools and Techniques with Java Implementations(Java実行による実際的機械学習ツール及び方法)、 Ian H.Witten,Eibe Frank.,Morgan Kaufmann,October 1999)。
a.ForwardSelection検索法を使用してプローブセットを検索した。
b.Naive Bayes法によりプローブセットのセットを評価した。
c.10倍クロス評価を使用して、更なる分析のためのもっとも有望な8種のプローブセットを選択した。
d.Naive Bayes法を使用して100%予測精度を提供する最適セットが残るまで、手動操作によりプローブセットを除去した。
それらの組織が癌性で、10倍クロス評価により決定された、それらそれぞれの方法を使用して100%精度を伴って正常であったすべての3種のマーカーセットを選択することができた。
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Claims (14)

  1. (a)患者から採取される第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを決定し、
    (b)正常な患者の試料から採取される少なくとも第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを決定し、そして
    (c)第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを、第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルと比較する段階を含んでなり、そこで、
    第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルに比較される第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルの変化が疾患の特徴(a diagnostic)である、
    乳癌の診断を患者に提供する方法。
  2. 1もしくは複数の遺伝子がSEQ ID NOs:1〜127から成る群から選択される、請求項1の方法。
  3. 1もしくは複数の遺伝子産物がSEQ ID NOs:128〜254から成る群から選択されるポリペプチドである、請求項1の方法。
  4. (a)疾患組織の第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを決定し、
    (b)正常な組織から採取される少なくとも第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを決定し、そして
    (c)第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを、第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルと比較する段階を含んでなり、そこで、
    第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又はは遺伝子産物の発現レベルに比較される第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルの変化が疾患状態を表示する(indicative)、
    正常組織と疾患組織間を区別する方法。
  5. 1もしくは複数の遺伝子がSEQ ID NOs:1〜127から成る群から選択される、請求項4の方法。
  6. 1もしくは複数の遺伝子産物がSEQ ID NOs:128〜254から成る群から選択されるポリペプチドである、請求項4の方法。
  7. (a)抗ガン剤による処置の前に患者から採取される第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを決定し、
    (b)抗ガン剤による処置の後に、患者から採取される少なくとも第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを決定し、そして
    (c)第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルを,第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルと比較する段階を含んでなり、そこで
    第1の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルに比較される第2の生物学的試料中の1もしくは複数の遺伝子又は遺伝子産物の発現レベルの変化が抗ガン剤による処置の効力を示す、
    抗ガン剤を投与することにより乳癌を処置されている患者の反応を監視する方法。
  8. 1もしくは複数の遺伝子がSEQ ID NOs:1〜127から成る群から選択される、請求項7の方法。
  9. 1もしくは複数の遺伝子産物がSEQ ID NOs:128〜254から成る群から選択されるポリペプチドである、請求項7の方法。
  10. (a)化合物による処置の前の、細胞又は組織試料中の1もしくは複数の遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルを分析し、
    (b)化合物による処置後の細胞又は組織試料中の1もしくは複数の遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルを分析する
    段階を含んでなり、そこで
    遺伝子及び/又は遺伝子産物の発現レベルの変化が薬効を示す、
    乳癌の処置に有用な化合物を同定する方法。
  11. 1もしくは複数の遺伝子がSEQ ID NOs:1〜127から成る群から選択される、請求項10の方法。
  12. 1もしくは複数の遺伝子産物がSEQ ID NOs:128〜254から成る群から選択されるポリペプチドである、請求項10の方法。
  13. SEQ ID NOs:1〜127から成る群から選択される2種以上の遺伝子に対応する2種以上のプローブを含んでなる、正常組織と疾患組織間を区別するアレー。
  14. SEQ ID NOs:128〜254から成る群から選択される2種以上のポリペプチドを含んでなる、正常組織と疾患組織間を区別するアレー。
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