JP2006522032A - 抗ミエリン関連糖タンパク質(mag)抗体の治療での使用 - Google Patents

抗ミエリン関連糖タンパク質(mag)抗体の治療での使用 Download PDF

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Abstract

脳卒中または別の神経疾患に罹患している、または発症の危険があるヒトにおいて、稀突起神経膠細胞の生存を促進する方法であって、該ヒトに治療上有効な量の抗MAG抗体、またはその機能性フラグメントを投与することを含む方法。

Description

本発明は神経学的疾患の治療方法に関する。特に、本発明はヒトにおいて特に酸化ストレス事象後の稀突起神経膠細胞(oligodendrocyte)の生存を促進するための抗MAG抗体の使用に関する。
ミエリン関連糖タンパク質(MAG)はミエリンの表面上に発現されている細胞表面膜貫通分子であり、5個の細胞外免疫グロブリンドメイン、1個の膜貫通ドメイン、および1個の細胞内ドメインからなる。MAGの発現はミエリン化神経膠細胞に制限されており、そのような細胞は、中枢神経系の稀突起神経膠細胞および末梢神経系のシュワン細胞である。MAGはニューロンの受容体と相互作用し、受容体はニューロンと神経膠細胞の間の双方向性のシグナル伝達を開始させる。ニューロン受容体に対するMAGの結合作用は、in vitroで神経突起の伸長の阻害をもたらす。このin vitroのデータに基づいて、MAGのアンタゴニストが外傷後の軸索発芽の促進に有用であるとの仮説が立てられたが(WO 9522344、WO 9701352、およびWO 9707810)、これらの主張を支持するin vivoのデータはない。WO 02/062383は、抗MAG抗体を、ラットの局所的脳虚血(脳卒中モデル)後に直接的に脳内へ、または静脈内へ投与すると神経が防護され機能回復が増強されることを開示している。
文献中に見られる証拠では、MAGはグリア細胞中へのシグナル伝達をも仲介するが、このことの機能的意義は不明である。CHO細胞の表面に発現されたMAGを抗体と結合させるとfynキナーゼの活性化が起こることが報告されている(Umemoriら, 1994, Nature, 367, 572-576)。さらに、MAGをノックアウトした動物はミエリンの欠損を示し、それは多発性硬化症および脳脊髄炎患者の脳で観察される欠損性の変化と似ている(Lassmanら, Glia, 19,104-110)。
脳卒中のラットモデルで有益性を示すことが既に判明している抗MAGモノクローナル抗体が、in vitroで酸化で誘導される細胞死から稀突起神経膠細胞を防護することが判明した。さらに、中大脳動脈閉塞後、抗MAG抗体で処理したラット脳では対照の抗体と比較して組織学的にインタクトな稀突起神経膠細胞の数が増加していることが観察された。従って、抗MAG抗体は神経再生の促進、ならびに驚くべきことに稀突起神経膠細胞の生存を促進する経路の引き金を引くという2つの活性を提供することができる。
稀突起神経膠細胞の傷害または変性はいくつかの神経疾患で観察され、そのような疾患としては、アルツハイマー病(例えば、Roherら, 2002, Biochemistry 41:11080-90; Xuら, 2001, J. Neurosci. 2001 21:RC118)、脊髄損傷(例えば、Croweら, 1997, Nature Madicine, 1997, 3:73-6; Beattieら, 2002, Neuron 36:375-86 )、外傷性脳損傷(例えば、Castejonら, 2000, Brain Inj. 2000 Apr;14(4):303-17)、および多発性硬化症が含まれる。従って、抗MAG抗体またはアンタゴニストは脳卒中に加えてこれらの疾患にも、神経再生を促進すること、および稀突起神経膠細胞の細胞死を防止することの双方によって、有益なものとなろう。
発明の簡単な要約
1態様においては、本発明は神経疾患に罹患しているまたは発症する危険性のあるヒトにおいて、稀突起神経膠細胞の生存を促進する方法を提供し、その方法は、該ヒトに治療上有効な量の抗MAG抗体、その抗体としては改変(altered)抗体またはその機能性フラグメントを含むが、その抗体を投与することを含む。
別の1態様においては、本発明は抗MAG抗体、それには改変抗体またはその機能性フラグメントが含まれるが、その抗体の、神経疾患に罹患しているまたは発症する危険性のあるヒトで稀突起神経膠細胞の生存を促進するための医薬品の製造における使用を提供する。
本発明のその他の態様および利点については「発明の詳細な説明」およびそれの好ましい実施形態の中でさらに説明する。
発明の詳細な説明
本発明の方法で治療することのできる神経疾患としては、脳卒中、外傷性脳損傷、および脊髄損傷、ならびにアルツハイマー病、前頭葉痴呆(タウオパチー:tauopathies)、末梢神経症、パーキンソン病、ハンチントン病、および多発性硬化症を含む慢性疾患が含まれる。従って、抗MAGモノクローナル抗体はこれらの疾患ならびに酸化ストレスおよび/またはミエリンもしくは稀突起神経膠細胞の変性に関連するその他の疾患の治療に有用なものとなりうる。
抗MAGモノクローナル抗体、それにはこれまでに報告されたもの(Poltorakら (1987) Journal of Cell Biology 105,1893-1899; DeBellardら (1996) Mol. Cell. Neurosci. 7, 89-101; Tangら (1997) Mol. Cell. Neurosci. 9, 333-346; Torigoe, K.とLundborg, G. (1997) Exp. Neurology 150, 254-262)および市販のもの(MAB1567(Chemicon))があるが、それをラットの局所性脳虚血(脳卒中モデル)後に脳内に直接または静脈内に投与すると、酸化によって誘発される細胞死から稀突起神経膠細胞を直接的に防護することが、今回見出された。この抗体はマウス抗体である。マウス抗体はしばしば診断用剤として用いられているが、マウス抗体の治療剤としての有用性が証明されたのはごく少数の場合にすぎない。それらの抗体の適用が限定されていることは、1つにはマウスモノクローナル抗体をヒトに反復投与すると通常はそれらの分子に対してのヒトの免疫応答が引き出されるためである。マウスモノクローナル抗体のこれらの本質的な望ましくない性質を克服するために、ヒト抗体の領域を組み入れるようにデザインされた「改変」抗体が開発され、当業界ではその評価が確立されている。例えば、ヒト化抗体は、ヒト以外の動物起原の相補性決定領域(CDR)を含み、その抗体の構造のそれ以外の残りの大部分がヒト抗体由来のものである。
本発明で有用な抗体は好ましくは完全ヒト抗体であるか、または改変抗体、好ましくはモノクローナル抗体(mAb)で、より好ましくはキメラ抗体、ヒト化抗体、または新形態(reshaped)抗体で、さらにより好ましくはヒト化抗体である。
そのようなヒト抗体または改変抗体は天然の抗体またはそのフラグメントの構造を有していることが好ましい。従ってそのような抗体としては、完全抗体、(Fab')2フラグメント、Fabフラグメント、軽鎖二量体、または重鎖二量体が含まれている。その抗体はIgG1、IgG2、IgG3、もしくはIgG4;またはIgM、IgA、IgE、もしくはIgD、またはそれらの改変された変異体とすることができる。従って、その抗体の重鎖の定常ドメインを選択することができる。軽鎖定常ドメインはκまたはλ定常ドメインとすることができる。
好ましくは、本発明の抗体またはその機能性フラグメントはMAGと結合し、下記のCDRのうちの1個以上を含んでいる。CDRはKabat(Kabatら, (1991) "Sequences of proteins of immunological interest"; 第5版; US Department of Health and Human Services; NIH Publication No.91-3242)によって報告されるように同定される。好ましくはCDRはKabatの定義のとおりとするが、ChotiaとLesk(Chothiaら, (1989) "Conformation of immunoglobulin hypervariable regions"; Nature 342, p877-883)によって定義されたようなタンパク質の構造と折り畳みの原理に従ってさらに別の残基を抗原結合領域の一部分であると見なすこともでき、それらも本発明に包含されることは理解されよう。
軽鎖CDR
CDR Kabatによる
L1 KSSHSVLYSSNQKNYLA (配列番号1)
L2 WASTRES (配列番号2)
L3 HQYLSSLT (配列番号3)
重鎖CDR
CDR Kabatによる
H1 NYGMN (配列番号4)
H2 WINTYTGEPTYADDFTG (配列番号5)
H3 NPINYYGINYEGYVMDY (配列番号6)
本発明はまた、上述のCDRを有する抗体が結合するエピトープと同じエピトープと結合する抗体の使用にも関する。ある抗原上のエピトープのマッピングには競合阻害アッセイが用いられる。従って、上述のCDRを有する改変抗体のMAG、好ましくはヒトMAGとの結合を競合的に阻害する抗MAG抗体(改変または非改変)の使用も提供される。
より好ましくは、本発明の改変抗体またはその機能性フラグメントは、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3から選択された1個以上のCDRを含んでいる重鎖可変ドメイン、ならびにCDRL1、CDRL2、およびCDRL3から選択された1個以上のCDRを含んでいる軽鎖可変ドメインを含んでいる。
最も好ましくは、本発明で有用な改変抗MAG抗体またはその機能性フラグメントは次のものを含んでいる:
a) CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を順に含む重鎖可変ドメイン(VH)、
および/または
b) CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を順に含む軽鎖可変ドメイン(VL)。
上述のとおり、改変抗体にはキメラ抗体が含まれ、それはある1動物種由来の定常領域と連結された別の動物種由来の可変領域を含んでいる。本発明で有用なキメラマウス-ヒト抗MAG免疫グロブリン軽鎖および重鎖は下記のとおり提供される:
マウス/ヒトキメラ抗MAG抗体重鎖の配列で、その配列中ではマウス抗MAG重鎖可変領域が機能性免疫グロブリン分泌シグナル配列およびヒトIgG1定常領域の改変した形態のものと結合されているがそれは次のとおりで、その定常領域中では、FcγRIおよび補体タンパク質C1qとの結合のエフェクター機能の能力を失わせるためにKabatの残基248および250がアラニンに変異されている(Duncan, A.R.とWinter, G. "Localization of the C1q binding site on antibodies by surface scanning" Nature 332, 738-740, 1988. Duncan, A.R., Woolf, J.M., Partridge, L.J., Burton, D.R.とWinter, G.)。
MGWSCIILFLVATATGVHSEIQLVQSGPELKKPGETNKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLKWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFAFSLETSASTAYLQISNLKNEDTATYFCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号7)
マウス/ヒトキメラ抗MAG抗体軽鎖の配列で、その配列中ではマウス抗MAG軽鎖可変領域が機能性免疫グロブリン分泌シグナル配列およびヒトκ定常領域と結合されているがそれは次のとおりである。
MGWSCIILFLVATATGVHSNIMMTQSPSSLAVSAGEKVTMSCKSSHSVLYSSNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTIINVHTEDLAVYYCHQYLSSLTFGTGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号8)
マウス/ヒトキメラ抗MAG抗体重鎖の配列で、その配列がキメラ免疫グロブリン重鎖のアミノ酸配列を提供し、その重鎖中ではマウス抗MAG重鎖可変領域が機能性分泌シグナル配列、およびヒトIgG1定常領域の野生型のものと結合されているが、それは次のとおりである。
MGWSCIILFLVATATGVHSEIQLVQSGPELKKPGETNKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLKWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFAFSLETSASTAYLQISNLKNEDTATYFCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号 9)
従って例えば、本発明には、配列番号9または7の重鎖、および/または配列番号8の軽鎖を含んだ改変抗体の使用が含まれている。
マウス可変領域をヒト以外の動物種の重鎖または軽鎖定常領域と結合させたキメラを作成することができるのと同様に、ヒト1gG1、1gG2、1gG3、1gG4、1GA、1gE、1gM、1gD定常領域を用いたマウス-ヒトキメラを作成することができる。
最も好ましくは、本発明で用いる抗体は、MAGの1つと結合し、下記のアミノ酸配列を含んだ重鎖可変領域を含んでいるヒト化抗体またはその機能性フラグメントである:
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSS (配列番号10)
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYFCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSS (配列番号11)
QVQLVQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTATYFCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSS (配列番号12)
QVQLVQSGSELKKPGASNKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTATYFCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSS (配列番号13)
これらの場合の各々で、4種類の重鎖の各々は好ましくは4種類の軽鎖可変領域のうちの1つと組み合わされる:
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSHSVLYSSNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCHQYLSSLTFGQGTKLEIKRTV (配列番号14)
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSHSVLYSSNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTIINLQAEDVAVYYCHQYLSSLTFGQGTKLEIKRTV (配列番号15)
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSHSVLYSSNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLHTEDVAVYYCHQYLSSLTFGQGTKLEIKRTV (配列番号16)
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSHSVLYSSNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTIINLHTEDVAVYYCHQYLSSLTFGQGTKLEIKRTV (配列番号17)
本発明での使用に好ましい抗体としては、上記で列挙した好ましいエレメントの組み合わせの全てが含まれる。特に本発明には上記4種の重鎖(配列番号10〜13)と4種の軽鎖(配列番号14〜17)の組み合わせの全てが含まれる。
本発明のさらに特別な1態様においては、MAGと結合するヒト化抗体またはその機能性フラグメントが提供され、その抗体は配列番号10、11、または12の重鎖可変領域と、配列番号14、15、16、または17のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とをともに含んでいる。
定常領域は要求される機能に従って選択される。通常はIgG1が補体との結合を通じて溶解能(lytic ability)を示し、ADCC(抗体依存性細胞傷害性)を仲介する。細胞傷害性のないブロッキング抗体を必要とする場合には、IgG4が好ましいものとなろう。しかし、IgG4抗体は作成時に不安定なものとなりうるので、通常より安定なIgG1を改変する方がより好ましい。改変をどのように行うかはEPO307434の記載で示唆されており、好ましい改変としては、235および237の位置での改変が含まれる。従って本発明は、本発明の溶解型(lytic form)または非溶解型(non-lytic form)の抗体を提供する。
本発明に有用な改変抗体の好ましい1態様は、IgGクラスのもの、より好ましくはIgG1である。
従って、本発明の抗体の好ましい形態は、上述のCDRを有する完全長の非溶解性IgG1抗体である。最も好ましい形態においては、配列番号10および14のCDRを有する完全長の非溶解性IgG1、および配列番号12および16のCDRを有する完全長の非溶解性のIgG1が提供される。
本発明のさらに別の1態様においては、ヒト化抗体が提供され、それは次のものを含んでいる:
配列番号10、11、または12を含んでいる重鎖可変フラグメント、およびヒト重鎖の定常部分、
ならびに、
配列番号14、15、16、または17を含んでいる軽鎖可変フラグメント:およびヒト軽鎖の定常部分。
好ましい1態様においては、該ヒト化抗体はIgGクラスの、より好ましくはIgG1である。
本発明の好ましい抗体は、次のものを含んでいる:
配列番号10を含んでいる重鎖可変領域と配列番号14を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号10を含んでいる重鎖可変領域と配列番号15を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号10を含んでいる重鎖可変領域と配列番号16を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号10を含んでいる重鎖可変領域と配列番号17を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号11を含んでいる重鎖可変領域と配列番号14を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号11を含んでいる重鎖可変領域と配列番号15を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号11を含んでいる重鎖可変領域と配列番号16を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号11を含んでいる重鎖可変領域と配列番号17を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号12を含んでいる重鎖可変領域と配列番号14を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号12を含んでいる重鎖可変領域と配列番号15を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号12を含んでいる重鎖可変領域と配列番号16を含んでいる軽鎖可変領域;
配列番号12を含んでいる重鎖可変領域と配列番号17を含んでいる軽鎖可変領域;
「中和する」とは、MAGのニューロンへの結合および神経突起伸長の阻害を含むMAG機能の実質的な阻害を意味する。
「実質的な阻害」とは、in vitroの試験で測定された75%、より好ましくは85%、最も好ましくは95%の阻害を意味する。
「改変抗体」とは、改変された免疫グロブリンコード領域によってコードされるタンパク質を意味し、それは選択された宿主細胞中での発現によって得ることができる。このような改変抗体としては、加工(engineered)抗体(例えば、キメラ、新形態(reshaped)、ヒト化、またはベクター化された抗体など)、または免疫グロブリンの定常領域の全てもしくは一部が失われた抗体フラグメント、例えば、Fv、Fab、もしくはF(ab)2および類似のものが含まれる。
「改変された免疫グロブリンコード領域」とは改変抗体をコードする核酸配列を意味する。改変抗体がCDRを移植した、またはヒト化抗体である場合には、ヒト以外の動物種の免疫グロブリンから得た相補性決定領域(CDR)をコードする配列が、ヒト可変部フレームワーク配列を含んでいる第1の免疫グロブリンパートナー中に挿入される。任意でその第1の免疫グロブリンパートナーは第2の免疫グロブリンパートナーと機能しうる形で連結されている。
「第1の免疫グロブリンパートナー」とは、天然の(天然に生ずる)CDRをコードする領域がドナー抗体のCDRをコードする領域で置換されている、ヒトフレームワークまたはヒト免疫グロブリン可変領域をコードしている核酸配列を意味する。そのヒト可変領域は、免疫グロブリン重鎖、軽鎖(またはそれらの鎖の双方)、それらの類似体または機能性フラグメントとすることができる。このような抗体(免疫グロブリン)の可変領域内に位置しているCDR領域は、当業界では既知の方法によって決定することができる。例えば、Kabatら("Sequences of proteins of immunological interest"; 第4版; U.S. Department of Health and Human Services, National Institute of Health(1987))はCDRの位置を決める規則を開示している。さらに、CDRの領域/構造を同定するために有用なコンピュータープログラムも知られている。
「第2の免疫グロブリンパートナー」とは、あるタンパク質またはペプチドをコードする別の核酸配列であって、そのタンパク質またはペプチドに対して第1の免疫グロブリンパートナーがインフレームで融合されるかまたは任意の従来のリンカー配列を用いて(すなわち機能しうる形で連結されて)融合される、核酸配列を意味する。好ましくは、それは免疫グロブリン遺伝子である。その第2の免疫グロブリンパートナーには、対象となる抗体と同一の(すなわち、同種の−第1と第2の改変抗体が同一の供給源由来のものである)ものまたは付加的な(すなわち異種の)ものの定常領域全体をコードする核酸配列を含むものとすることができる。それは免疫グロブリン重鎖または軽鎖(または単一のポリペプチドの一部分として双方の鎖)とすることができる。第2の免疫グロブリンパートナーは免疫グロブリンのクラスまたはアイソタイプの特定のものには限定されない。さらに、第2の免疫グロブリンパートナーは、FabまたはF(ab)2中に見出されるものなど(すなわち、適切なヒト定常領域またはフレームワーク領域の別個の部分)の、免疫グロブリン定常領域の一部分を含んでもよい。このような第2の免疫グロブリンパートナーもまた、宿主細胞の外表面上に露出した構成要素の膜タンパク質をコードする配列を含むことができ、それは例えば、ファージディスプレイライブラリーの一部、または分析もしくは診断での検出のためのタンパク質、例えば西洋ワサビペルオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼをコードする配列を含むことができる。
Fv、Fc、Fd、Fab、またはF(ab)2という用語は、それらの標準的な意味で用いられている(例えば、Harlowら, "Antibodies A Laboratory Manual" Cold Spring Harbor Laboratory, (1988)を参照せよ)。
本明細書で用いている「加工抗体」とは、あるタイプの改変抗体を意味する、すなわち、完全長の合成抗体(例えば、抗体フラグメントとは対照的なものとしてキメラ、新形態、またはヒト化抗体)であってその中の選択されたアクセプター抗体の軽鎖および/または重鎖可変ドメインの一部分が、該選択されたエピトープに対しての特異性を有する1つ以上のドナー抗体から得た類似の部分で置換されている抗体を意味する。例えば、そのような分子としては、非改変の軽鎖(またはキメラ軽鎖)と結合したヒト化重鎖、またはその逆のもの、によって特徴付けられる抗体が含まれうる。加工抗体はまた、ドナー抗体の結合特異性を保持させるためにアクセプター抗体の軽鎖および/または重鎖可変ドメインのフレームワーク領域をコードする核酸配列が改変されていることによって特徴付けることもできる。これらの抗体は、アクセプター抗体由来のCDRの1つ以上(好ましくは全て)の、本明細書に記載のドナー抗体由来のCDRでの置換を含むものとすることができる。
「キメラ抗体」とは、加工抗体の1タイプであって、アクセプター抗体由来の軽鎖および重鎖の定常領域と結合した、ドナー抗体由来の天然の可変領域(軽鎖および重鎖)を含んでいるものを意味している。
「ヒト化抗体」とは、加工抗体の1タイプであって、ヒト以外の動物のドナー免疫グロブリン由来のCDRを有し、抗体分子の残りの免疫グロブリン由来部分が1つ(またはそれ以上)のヒト免疫グロブリン由来のものである抗体を意味する。さらに、フレームワークサポート残基は結合のアフィニティーを保持するために改変することができる(例えば、Queenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:10029-10032(1989), Hodgsonら, Bio/Technology, 9:421 (1991)を参照せよ)。
「新形態ヒト抗体」とは、改変抗体であって、最小限でも第1のヒトモノクローナルドナー抗体のCDRの少なくとも1個で第2のヒトアクセプター抗体中の1個のCDRが置換されたものを意味する。6個のCDR全てが置換されていることが好ましい。より好ましくは、第1のヒトドナーモノクローナル抗体の抗原結合領域(例えば、Fv、Fab、またはF(ab')2)で第2のヒトアクセプターモノクローナル抗体中の対応する領域が置換される。最も好ましくは、第1のヒトドナーのFab領域が第2のヒトアクセプター抗体の適切な定常領域と機能しうる形で連結されて完全長のモノクローナル抗体を形成する。
「ベクター化抗体」とは、血液脳関門(BBB)を通過する輸送を改善するためにある剤が結合された抗体を意味する。その結合は化学的なものとすることができ、またはその結合物を抗体内に組み入れることができる。1例としては、脳の毛細血管内皮細胞受容体に対する抗体、例えば抗インスリン受容体抗体または抗トランスフェリン受容体抗体などとのキメラを作成することである(Saitoら, (1995) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:10227-31; Pardridgeら, (1995) Pharm. Res. 12:807-816; Broadwellら, (1996) Exp. Neurol. 142:47-65; Bickelら, (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2618-2622; Fridenら, (1996) J. Pharm. Exp. Ther. 278:1491-1498, 米国特許第5,182,107号, 米国特許第5,154,924号, 米国特許第5,833,988号, 米国特許第5,527,527号)。ひとたび受容体に結合すると、二重特異性抗体の双方のコンポーネントがトランスサイトーシスの過程によってBBBを横切る。あるいはまた、その剤をそのような細胞表面の受容体と結合するリガンド、例えばインスリン、トランスフェリン、または低密度リポタンパク質などとすることができる(Descampsら, (1996) Am. J. Physiol. 270:H1149-H1158; Duffyら, (1987) Brain Res. 420:32-38; Dehouckら, (1997) J. Cell Biol. 1997, 877-889)。BBBを通過する輸送を改善することが知られている、ペネトラチン、ならびにSynB1およびSynB3などの天然のペプチドも用いることができる(Rouselleら, (2000) Mol. Pharm. 57:679-686、およびRouselleら, (2001) Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 296:124-131)。
「ドナー抗体」という用語は、抗体(モノクローナル、または遺伝子組換え体)であって、その可変領域、CDR、もしくはその他の機能性フラグメント、またはそれらの類似体のアミノ酸配列を、第1の免疫グロブリンパートナーに与えて、改変された免疫グロブリンコード領域を提供し、その結果、そのドナー抗体に特徴的な抗原特異性および中和活性を有する改変抗体を発現させる抗体を意味する。
「アクセプター抗体」という用語は、ドナー抗体とは異種の抗体(モノクローナル、または遺伝子組換え体)であって、その重鎖および/もしくは軽鎖のフレームワーク領域、ならびに/またはその重鎖および/もしくは軽鎖の定常領域をコードするアミノ酸配列の全て(または何らかの部分、しかし好ましくは全て)を、第1の免疫グロブリンパートナーに与える抗体を意味する。
「CDR」は、抗体の相補性決定領域のアミノ酸配列と定義され、それらは免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の超可変領域にある。例えば、Kabatら, "Sequences of proteins of immunological interest"; 第4版; U.S. Department of Health and Human Services, National Institute of Health(1987)を参照せよ。免疫グロブリンの可変部分中に、重鎖に3個と軽鎖に3個のCDR(またはCDR領域)がある。従って、本明細書中で用いている「CDR」とは、重鎖CDR3個の全て、または軽鎖CDR3個の全て(または、それが適切である場合には重鎖CDRの全てと軽鎖CDRの全ての双方)を意味する。抗体の構造とタンパク質の折り畳みによっては、その他の残基が抗原結合領域の一部であると見なされ、当業者がそのように理解することもありうる。例えば、Chothiaら, (1989) "Conformation of Immunoglobulin hypervariable regions", Nature 342:p877-883を参照せよ。
CDRは抗体が抗原またはエピトープへの結合のために接触する残基の大多数を提供する。本発明で対象とするCDRはドナー抗体の可変重鎖および軽鎖配列由来であり、天然のCDRの類似体を含み、その類似体は、それの起原となったドナー抗体と同じ抗原結合の特異性および/または中和能を共有または保持している。
「機能性フラグメント」とは、重鎖または軽鎖の可変配列の部分的配列(例えば、免疫グロブリン可変領域のアミノ末端またはカルボキシ末端での小規模の欠失)であって、そのフラグメントが由来する抗体と同じ抗原結合の特異性および/または中和能を保持しているものである。
「類似体」とは少なくとも1個のアミノ酸が改変されたアミノ酸配列であって、その改変は化学的なものとすることができ、または数個のアミノ酸(すなわち10個未満)の置換もしくは再構成とすることができ、その改変によっても改変後のアミノ酸配列が、改変されていない配列の生物学的性質、例えば抗原特異性および高アフィニティーなどを保持しているものである。例えば、CDRをコードする領域内またはその周囲にある特定のエンドヌクレアーゼ切断部位が作られる場合には、置換を行うことによって(サイレント)突然変異を構築することができる。本発明は本発明の抗体の類似体の使用も包含している。アミノ酸配列または核酸配列に小規模の変化を起こさせると、例えば実質的に元のタンパク質と類似の性質を保持している、元のタンパク質の対立遺伝子形態をもたらしうることはよく知られている。従って、本発明の抗体の類似体としては、重鎖および軽鎖の超可変領域中のCDRが、上記でCDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、およびCDRL3と定義したCDRに対して、少なくとも80%相同なもの、好ましくは少なくとも90%が相同なもの、およびより好ましくは95%が相同なものであって、MAG中和活性を保持しているものが含まれる。複数のアミノ酸配列はそれらの配列を最適に整列させたときに、それらのアミノ酸残基が80%同一でほぼ同じ位置にある場合に少なくとも80%相同であるとされるが、その計数の際にギャップまたは挿入は非同一の残基と見なされる。
類似体は対立遺伝子変異から生じさせることもできる。「対立遺伝子変異または改変」とは、核酸配列内の変化である。そのような変異または改変は、遺伝子コードの縮重によることもあり、または所望の性質を提供するために故意に工学的に処理されてもよい。これらの変異または改変はコードされているアミノ酸配列の変化をもたらしてもよいし、あるいはそうでなくともよい。
「エフェクター剤(effector agent)」という用語は、非タンパク質性の担体分子であって、それに対して、改変抗体、および/またはドナー抗体の天然または合成の軽鎖または重鎖、またはドナー抗体のその他のフラグメントを従来法で結合させることのできるものを意味する。そのような非タンパク質性の担体には、診断の分野で用いられる従来の担体、例えば、ポリスチレンまたはその他のプラスチックのビーズ、ポリ多糖、例えばBIAcore(Pharmacia)システムで用いられているものなど、またはその他の医学の分野で有用な非タンパク質性の物質で、ヒトおよび動物への投与用として安全なものが含まれる。その他のエフェクター剤としては、重金属原子をキレートするための大環状物質、または放射性同位元素が含まれる。そのようなエフェクター剤はまた、改変抗体の半減期を延長させるために有用なものとすることもでき、そのようなものとしては例えばポリエチレングリコールがある。
MAGに特異的な中和抗体は、すでに報告されているもの(Poltorakら (1987) Journal of Cell Biology 105,1893-1899; DeBellardら (1996) Mol. Cell. Neurosci. 7, 89-101; Tangら (1997) Mol. Cell. Neurosci. 9, 333-346; Torigoe, K.とLundborg, G. (1997) Exp. Neurology 150, 254-262)、および、市販されているもの(MAB1567(Chemicon))である。
あるいはまた、抗体、改変抗体、およびフラグメントを、ヒト以外の動物種(例えば、ウシ、ヒツジ、サル、ニワトリ、げっ歯類(例えば、マウスおよびラット)、その他)を免疫して、何らかの動物種から得た天然のMAG(そのMAGに対してヒトMAGに交差反応性の抗体を作り出すことができるような天然のMAG)を提示したときに所望の性質を示す免疫グロブリンを作成することによって構築することができる。MAGに対するヒト以外の動物のmAbを分泌するハイブリドーマ細胞系統を作るために従来のハイブリドーマ技法が用いられる。次いで、そのようなハイブリドーマを、MAGをコートした384ウエルまたは96ウエルのプレートで、ストレプトアビジンをコートしたプレートにビオチニル化したMAGを結合させて、またはビオチニル化MAGを用いた均一ユウロピウム-APC結合イムノアッセイで、結合性についてスクリーニングする。
天然のヒト抗体は「ゼノマウス(Xenomouse)」(Abgenix)などのヒト抗体を産生するマウスの体内で産生させることができ、その体内では、マウス免疫グロブリン遺伝子は取り除かれ、ヒト免疫グロブリンをコードする遺伝子がマウスの染色体中に挿入されている。そのマウスを通常の方法で免疫して、ヒト遺伝子由来の抗体応答を生じさせる。従ってこのマウスはヒト抗体を産生し、陽性のハイブリドーマの選択後のヒト化を不要なものとする(Green L.L., J. Immunol. Methods 1999 Dec.10;231(1-2):11-23を参照せよ)。
本発明はまた、MAGに対して作成されたmAb由来のFabフラグメントまたはF(ab')2の使用をも含んでいる。これらのフラグメントはin vivoで防護作用を示す剤として有用である。Fabフラグメントは軽鎖全体と重鎖のアミノ末端部分と含んでいる;また、F(ab')2フラグメントはジスルフィド結合で結合した2つのFabフラグメントによって形成されるフラグメントである。FabフラグメントとF(ab')2フラグメントは従来法、例えばmAbを適切なタンパク分解酵素である、パパインおよび/またはペプシンで開裂させるか、または遺伝子組換え法で得ることができる。FabフラグメントおよびF(ab')2フラグメントはそれ自体、治療用および予防用として、ならびに本明細書に記載の組換えまたはヒト化抗体の形成に有用な、可変領域およびCDR配列を含んでいる配列のドナーとして有用である。
FabフラグメントおよびF(ab')2フラグメントはまた、コンビナトリアルファージライブラリー(例えば、Winterら, Ann. Rev. Immunol., 12:433-455(1994)を参照せよ)、または免疫グロブリン鎖のシャフリング(例えば、Marksら, Bio/Technology, 10:779-783(1992)を参照せよ)を介して構築することもでき、それらの文献の全体を参照により本明細書中に組み入れる。
MAGに特異的なヒト抗体フラグメント(Fv、scFv、Fab)はヒト抗体フラグメントファージディスプレイライブラリーを用いて単離することができる。バクテリオファージ粒子のライブラリー、それはヒト抗体フラグメントタンパク質をディスプレイしているが、それをMAGタンパク質に対してパンニングする。MAGと結合するファージディスプレイしている抗体フラグメントがライブラリーから引き出され、クローンが増幅される。次いでその特定のバクテリオファージからヒト抗体遺伝子が切り出され、ヒトIgG定常領域を含んでいるヒトIgG発現構築物中に挿入されて、MAGに対して特異的な単離されたバクテリオファージ由来の可変領域を有するインタクトなヒトIgG分子が形成される。
ドナー抗体は、可変重鎖および/または軽鎖ペプチド配列、フレームワーク配列、CDR配列、機能性フラグメント、およびそれらの類似体、ならびにそれらをコードする核酸配列などの、種々の改変抗体をデザインするため、および得るために有用な配列を与えることができ、そのような改変抗体は該ドナー抗体の抗原結合の特異性によって特徴付けられる。
遺伝子コードの縮重を考慮に入れると、可変重鎖および軽鎖アミノ酸配列、およびCDR配列、ならびにそれらの機能性フラグメントおよび類似体であって、該ドナー抗体の抗原特異性を共有する種々のコード配列を構築することができる。可変鎖ペプチド配列またはCDRをコードする単離された核酸配列またはそのフラグメントは、第2の免疫グロブリンパートナーと機能しうる形で組み合わせて、改変抗体、例えばキメラ抗体もしくはヒト化抗体、またはその他の加工抗体を作成するために用いることができる。
改変された免疫グロブリン分子は改変抗体をコードすることができ、そのような抗体としては、キメラ抗体およびヒト化抗体などの加工抗体が含まれる。所望の改変免疫グロブリンコード領域は、抗MAG抗体、好ましくは高アフィニティーの抗体の抗原特異性を有し、第1の免疫グロブリンパートナー(ヒトフレームワーク領域またはヒト免疫グロブリン可変領域)中に挿入されるペプチドをコードするCDRコード領域を含んでいる。
好ましくは、第1の免疫グロブリンパートナーは機能しうる形で第2の免疫グロブリンパートナーと連結される。第2の免疫グロブリンパートナーは上記で定義されており、対象となる第2の抗体領域、例えばFc領域をコードする配列を含むことができる。第2の免疫グロブリンパートナーはまた、別の免疫グロブリンであって軽鎖または重鎖定常領域がそれにインフレームで、またはリンカー配列を用いて融合される免疫グロブリンをコードする配列を含むことができる。MAGの機能性フラグメントまたは類似体に対する加工抗体は、結合が増強されるようにデザインすることができる。
また第2の免疫グロブリンパートナーは、上記で定義したエフェクター剤、それには非タンパク質性の担体分子が含まれ、そのエフェクター剤にはその第2の免疫グロブリンパートナーを従来の手段で機能しうる形で連結することができるが、そのようなエフェクター剤と結合させることもできる。
第2の免疫グロブリンパートナー、例えば抗体配列と、エフェクター剤との間の融合または連結は何らかの適切な手段で、例えば従来の共有結合またはイオン結合、タンパク質の融合、もしくはヘテロ2官能性架橋剤、例えばカルボジイミド、グルタールアルデヒド、および類似のものによって行うことができる。そのような技法は当業界では既知であり、従来の化学および生化学の教科書中に容易にその記載を見出すことができる。
さらに、第2の免疫グロブリンパートナーとエフェクター剤との間に所望の量のスペースを単に提供するような従来のリンカー配列も、改変免疫グロブリンコード領域中に構築することができる。そのようなリンカーのデザインは当業者にはよく知られている。
さらに別の1実施形態においては、本発明の抗体にさらに別の剤を結合させることができる。例えば、組換えDNA技法を用いて、完全な抗体分子のFcフラグメントまたはCH2-CH3ドメインが酵素またはその他の検出しうる分子(すなわち、ポリペプチドエフェクターまたはレポーター分子)で置換された本発明の加工抗体を作成することができる。
第2の免疫グロブリンパートナーはまた、抗MAG抗体の抗原特異性を有しているCDR含有配列とは異なる、免疫グロブリンでないペプチド、タンパク質、またはそれらのフラグメントに、機能しうる形で連結させることもできる。その結果得られたタンパク質は発現されると、抗MAG抗原特異性と非免疫グロブリンの特徴の双方を示しうる。そのような融合パートナーの特徴としては、例えば、別の結合もしくは受容体ドメインなどの機能的な特徴、またはその融合パートナー自体が治療用タンパク質である場合には治療に用いうる特徴、または追加の抗原性の特徴とすることができる。
本発明のまた別の望ましいタンパク質は、完全長の重鎖および軽鎖を有する完全な抗体分子、またはそれらの別個のフラグメントのいずれか、例えばFabフラグメントまたはF(ab')2フラグメント、重鎖二量体、またはそれのいずれかの最小の組換えフラグメント、例えばFvまたは単鎖抗体(SCA)、または選択されたドナーmAbと同じ特異性を有するその他のなんらかの分子を含むことができる。そのようなタンパク質は改変抗体の形態で用いることができ、または融合していない形態で用いることができる。
第2の免疫グロブリンパートナーがドナー抗体とは異なる抗体由来のもの、例えば、免疫グロブリンフレームワークまたは定常領域の何らかのアイソタイプまたはクラスのものである場合には常に加工抗体がもたらされる。加工抗体は、免疫グロブリン(Ig)定常領域、および1つの供給源、例えばアクセプター抗体由来の可変フレームワーク領域、およびドナー抗体由来の1個以上の(好ましくは全ての)CDRを含むものとすることができる。さらに、アクセプターmAb軽鎖および/もしくは重鎖可変ドメインのフレームワーク領域、またはドナーCDR領域の、核酸レベルもしくはアミノ酸レベルでの改変、例えば欠失、置換、もしくは付加を、ドナー抗体の抗原結合特異性を保持するために行うことができる。
そのような加工抗体は、抗MAG mAbの可変重鎖および/もしくは軽鎖のうちの一方(または双方)、または重鎖もしくは軽鎖のCDRのうちの1つ以上を用いてデザインされる。その加工抗体は上記で定義したとおりの中和抗体とすることができる。
そのような加工抗体としては、選択されたヒト免疫グロブリンもしくはサブタイプのフレームワーク領域を含んでいるヒト化抗体、または抗MAG抗体の機能性フラグメントに融合させたヒト重鎖および軽鎖の定常領域を含んでいるキメラ抗体が含まれる。適切なヒト(またはその他の動物種)アクセプター抗体は、慣用のデータベース、例えばKABAT(登録商標)データベース、Los Alamosデータベース、およびSwiss Protein データベースからドナー抗体の核酸配列とアミノ酸配列に対しての相同性によって選択することができる。ドナー抗体のフレームワーク領域に対する相同性(アミノ酸配列ベース)によって特徴付けられたヒト抗体は、重鎖定常領域、および/またはドナーCDRを挿入するための重鎖可変フレームワーク領域を提供するために適したものでありうる。軽鎖定常領域または可変フレームワーク領域を与えることのできる適切なアクセプター抗体も同様なやり方で選択することができる。そのアクセプター抗体の重鎖および軽鎖は、同一のアクセプター抗体に起原を持つものである必要はないことは留意すべきである。
異種のフレームワーク領域と定常領域がヒト免疫グロブリンクラスおよびアイソタイプ、例えばIgG1(サブタイプ1から4)、IgM、IgA、およびIgEなどから選択されたものであることが望ましい。しかし、そのアクセプター抗体がヒト免疫グロブリンタンパク質のみを含んだものである必要はない。例えば、ヒト免疫グロブリン鎖の一部分をコードするDNA配列が免疫グロブリン以外のアミノ酸配列、例えばポリペプチドエフェクターもしくはレポーター分子などをコードするDNA配列と融合されている遺伝子を構築することができる。
好ましくは、ヒト化抗体では、ヒト重鎖および軽鎖の双方の中の可変ドメインは、そのCDRを1個以上置換することによって加工されたものである。6個のCDR全てを用いること、またはCDRの6個未満の種々の組み合わせを用いることが可能である。好ましくは、6個のCDR全てが置換されたものである。ヒトアクセプター抗体由来の非改変軽鎖を軽鎖として用いて、ヒト重鎖中のCDRのみを置換することが可能である。あるいはまた、慣用の抗体データベースを利用して相容性の軽鎖を別のヒト抗体から選択することができる。加工抗体の残りの部分は、何らかの適切なアクセプターヒト免疫グロブリン由来のものとすることができる。
加工ヒト化抗体は好ましくは天然のヒト抗体またはそれのフラグメントの構造を有し、治療用途で有効なものとなるために必要とされる性質が組み合わされたものとなっている。
当業者であれば、加工抗体はさらに、ドナー抗体の特異性と高アフィニティーに必ずしも影響を与えることなく可変ドメインのアミノ酸を変えることによって改変することができることは理解されよう。重鎖および軽鎖のアミノ酸を、可変ドメインのフレームワークもしくはCDR、またはその双方にある他のアミノ酸で置換することができるものと考えられる。
さらに、定常領域は、本発明の分子の選択した性質について、それを増強または低減させるために改変することができる。例えば、二量体化、Fc受容体への結合、または補体との結合と補体活性化能などの性質である(例えば、Angalら, Mol. Immunol, 30:105-108(1993); Xuら, J. Biol. Chem., 269:3469-3474(1994); Winterら, EP 307,434-Bを参照せよ)。
改変抗体がキメラ抗体である場合には、ヒト以外の動物のドナー抗体の重鎖および軽鎖可変領域の全体が提供され、その可変領域にはフレームワーク領域が含まれており、その可変領域が他の動物種の免疫グロブリン定常領域、好ましくは双方の鎖ともヒトの定常領域と結合されている、という点で上述のヒト化抗体とは異なる。
好ましくは、該可変軽鎖および/または重鎖配列、ならびに適切なドナーmAbのCDR、ならびにそれらをコードする核酸配列は、本発明の改変抗体、好ましくはヒト化抗体の構築において下記の方法で用いられる。同じまたは類似の技法を、本発明の他の実施形態を作成するためにも用いることができる。
当業者には既知の技法、例えば、Sambrookら, "Molecular Cloning(A Laboratory Manual)" 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている技法によって、選択されたドナーmAbを産生するハイブリドーマを都合よくクローン化し、その重鎖および軽鎖可変領域のDNAを得ることができる。少なくともCDRコード領域を含んでいる可変重鎖および軽鎖領域、ならびにドナーmAbの結合特異性を保持するために必要なアクセプターmAbの軽鎖および/または重鎖可変ドメインのフレームワーク領域、ならびにヒト免疫グロブリン由来の抗体の鎖の残りの免疫グロブリン由来部分は、ポリヌクレオチドプライマーおよび逆転写酵素を用いて得ることができる。CDRをコードする領域は既知のデータベースを用いて他の抗体と比較することによって同定される。
その後、マウス/ヒトキメラ抗体を調製して結合能についてアッセイすることができる。そのようなキメラ抗体は、ヒト以外の動物のドナー抗体のVHおよびVL領域の全体を含んでおり、それらがヒトIg定常領域と双方の鎖で結合している。
あるヒト抗体由来の重鎖可変領域のフレームワーク領域と相同なものは、コンピューター化されたデータベース、例えばKABAT(登録商標)を用いて同定することができ、ドナー抗体と相同性を有するヒト抗体がアクセプター抗体として選択されることとなる。適切な軽鎖可変領域のフレームワーク領域は、類似のやり方でデザインすることができる。
ヒト化抗体はキメラ抗体由来のものとすることができ、または好ましくは、重鎖および軽鎖由来のドナーmAbのCDRをコードする領域を、選択された重鎖および軽鎖のフレームワーク内に適切に挿入することによって合成することができる。あるいはまた、ヒト化抗体は標準的な突然変異誘発技法を用いて作成することができる。従って、得られたヒト化抗体にはヒトフレームワーク領域とドナーmAbのCDRをコードする領域が含まれている。フレームワークの残基にはその後さらに操作を行うことができる。その結果得られたヒト化抗体は組換え宿主細胞、例えば、COS、CHO、または骨髄腫細胞中で発現させることができる。
従来の発現ベクターまたは組換えプラスミドは、抗体のコード配列を機能しうる形で、複製と宿主細胞内での発現、および/または宿主細胞からの分泌を制御することのできる従来の制御配列と機能しうる形で結合させることによって作成される。制御配列としては、プロモーター配列、例えばCMVプロモーター、およびシグナル配列が挙げられ、それらは他の既知の抗体由来のものとすることができる。同様にして、相補的抗体軽鎖または重鎖をコードするDNA配列を有する第2の発現ベクターを作成することができる。この第2の発現ベクターと第1のベクターとは、コード配列と選択マーカーに関することを除いては、各ポリペプチド鎖が機能的に発現されることが可能な限り保証されるものであれば、同一のものであることが好ましい。あるいはまた、改変抗体を得るための重鎖および軽鎖コード配列は単一のベクター上に置くことができる。
選択された宿主細胞は従来技法によって第1と第2の双方のベクターで同時トランスフェクトされて(または単に単一のベクターによってトランスフェクトされて)、組換えまたは合成軽鎖および重鎖の双方を含んでいる本発明のトランスフェクトされた宿主細胞が作られる。次いで、そのトランスフェクトされた細胞は従来技法で培養されて本発明の加工抗体が産生される。組換え重鎖および/または軽鎖の双方の結合が含まれているヒト化抗体は培養物から適切なアッセイ法、例えばELISAまたはRIAなどでスクリーニングされる。その他の改変抗体および分子を構築するために類似の従来技法を用いることができる。
本発明の方法および組成物の構築で用いられるクローニングおよびサブクローニングのための適切なベクターは、当業者であれば選択することができる。例えば、従来のpUCシリーズのクローニングベクターを用いることができる。そのようなベクターの1つであるpUC19は供給者、例えばAmersham(Buckinghamshire, United Kingdom)またはPharmacia (Uppsala, Sweden)などから市販されている。さらに、容易に複製させることができ、クローニング部位と選択しうる遺伝子(例えば抗生物質耐性)を豊富に有し、容易に操作しうるいかなるベクターもクローニング用に用いることができる。従って、クローニングベクターの選択は本発明の限定要因ではない。
同様にして、抗体の発現のために用いられるベクターは当業者であれば従来のベクターから選択することができる。そのベクターはまた、選択された宿主細胞内での異種DNA配列の複製と発現を指令する、選択された制御配列(例えば、CMVプロモーター)を含んでいる。これらのベクターは、該抗体または改変された免疫グロブリンコード領域をコードする上述のDNA配列を含んでいる。さらに、そのベクターには、操作を容易にするために、所望の制限酵素切断部位を挿入することによって改変された、選択された免疫グロブリン配列を組み入れることができる。
発現ベクターはまた、異種DNA配列の発現を増幅するために適切な遺伝子、例えば哺乳類のジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(DHFR)などで特徴付けることもできる。その他の好ましいベクター配列としては、ポリAシグナル配列、例えば、ウシ成長ホルモン(BGH)およびβ-グロビンプロモーター配列(betaglopro)由来のものなどが含まれる。本発明で有用な発現ベクターは当業者にはよく知られた技法によって合成することができる。
このようなベクターのコンポーネント、例えば、レプリコン、選択遺伝子、エンハンサー、プロモーター、シグナル配列、および類似のものは、選択された宿主中での組換えDNAの産物の発現および/または分泌の指令に用いるために、市販のもしくは天然の供給源から、または既知の方法による合成で入手することができる。その他の適切な発現ベクターとしては、膨大なタイプのものが哺乳類、細菌、昆虫、酵母、および真菌での発現のためのものとして当業界で知られており、それらを本発明の目的のために選択することもできる。
本発明はまた、抗体またはそれの改変免疫グロブリン分子のコード配列を含んでいる組換えプラスミドを用いてトランスフェクトした細胞系統をも包含する。これらのクローニングベクターのクローニングおよびその他の操作に有用な宿主細胞も、従来から用いられてきたものである。しかし、最も望ましいのは、大腸菌(E.coli)の種々の株から得た細胞を、そのクローニングベクターの複製、および本発明の改変抗体の構築の際のその他のステップに用いることである。
本発明の抗体の発現に適した宿主細胞または細胞系統は、好ましくはNS0、Sp2/0、CHO、COS、線維芽細胞(例えば、3T3)、および骨髄腫細胞などの哺乳類細胞であり、より好ましくはCHOまたは骨髄腫細胞である。ヒト細胞を用いることができ、そうすることによって産生される分子がヒトの糖鎖付加パターンでの修飾が可能となる。あるいはまた、その他の真核生物の細胞系統を用いることができる。適切な哺乳類宿主細胞、および形質転換、培養、増幅、スクリーニング、ならびに産生と精製の方法の選択は当業界では既知である。例えば、上記で引用したSambrookらの文献を参照せよ。
細菌の細胞は本発明の組換えFabの発現に適した宿主細胞として有用なものとなろう(例えば、Pluckthun, A., Immunol. Rev., 130:151-188(1992)を参照せよ)。しかし、細菌細胞内で発現されたタンパク質は折り畳まれていないかもしくは不適切に折り畳まれている、または糖鎖付加されていない形態である傾向があるので、細菌細胞中で産生された組換えFabは抗原結合能が保持されているかスクリーニングしなければならないであろう。細菌細胞で発現された分子が適切に折り畳まれた形態で産生されるならば、細菌細胞は望ましい宿主となりうるであろう。例えば、発現に用いられる大腸菌(E.coli)の種々の株はバイオテクノロジーの分野で宿主細胞としてよく知られている。枯草菌(B. subtilis)、連鎖球菌(Streptomyces)、その他の桿菌および類似のものもこの方法に用いることができる。
それが望ましいと考えられるならば、当業者には既知の酵母細胞の株、ならびに昆虫細胞、例えばキイロショウジョウバエ(Drosophila)や鱗翅類(Lepidoptera)の細胞も宿主細胞として利用することができ、ウイルス発現系を利用することもできる。例えば、Millerら, Genetic Engineering, 8:277-298, Plenum Press(1986)およびその文献中の引用文献を参照せよ。
ベクターを構築する一般的方法、本発明の宿主細胞を作成するために必要なトランスフェクション方法、およびそのような宿主細胞から本発明の改変抗体を産生させるために必要な培養方法は全て、従来の技法である。同様にして、本発明の抗体は産生された後、当業界での標準的な方法に従って細胞培養液内容物から精製することができ、そのような方法としては、硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、および類似のものが含まれる。そのような技法は当業界で用いられている技術の範囲内であり、本発明を制限するものではない。例えば、改変抗体の調製はWO 99/58679およびWO 96/16990に記載されている。
さらに抗体の発現の別の方法ではトランスジェニック動物体内での発現を用いることができ、その方法は例えば、米国特許第4,873,316号に記載されている。その方法は動物のカゼインプロモーターを用いた発現系に関するもので、そのプロモーターがトランスジェニック法で哺乳類に組み入れられるとその哺乳類のメスは所望の組換えタンパク質をその乳汁中に産生することができる。
抗体は所望の方法で発現させた後に、適切なアッセイ法を用いてin vitroでの活性について試験する。現在のところ、従来のELISAアッセイのフォーマットが抗体のMAGへの結合を定性的および定量的に評価するために用いられる。さらに、通常のクリアランス機序にかかわらず生体内にとどまる抗体を評価するために行われるヒトでの臨床試験の前に中和効果を確かめるためにその他のin vitroアッセイ法を用いることもできる。
本発明の治療剤は予防用としてもしくは外傷後に、またはその他の用途で必要に応じて投与することができる。投与量と治療期間は、ヒトの循環中での本発明の分子の相対的期間に関連しており、治療しようとする病状および患者の全般的な健康状態の如何によって当業者であれば調整することができる。
本発明の治療剤の投与方法はその治療剤を宿主に送達するのに適切であればどのような経路であっても良い。本発明のアンタゴニスト、および医薬組成物は、非経口投与、すなわち、皮下、筋肉内、静脈内、または鼻腔内投与に特に有用である。
本発明の治療剤は、製薬上許容される担体中に有効成分として有効量の本発明のアンタゴニストまたは抗体を含有する医薬組成物として調製することができる。本発明の予防用剤としては、加工抗体を含有し、好ましくは生理学的pHに緩衝液で調整され、直ちに注射しうる形態の、水性懸濁液または溶液が好ましい。非経口投与用の組成物は一般的には、製薬上許容される担体、好ましくは水性の担体中に溶解させた本発明のアンタゴニストもしくは抗体の溶液、またはそれらのカクテルを含んでいる。種々の水性担体、例えば、0.9%食塩液、0.3%グリシン、および類似のものなどを用いることができる。それらの溶液は無菌であり、通常は微粒子を含まない。これらの溶液は従来の、よく知られた滅菌技法(例えばろ過)で滅菌することができる。該組成物は、pH調整などの、生理的条件に近似させるために必要な製薬上許容される添加物や緩衝剤、その他を含有させることができる。このような医薬品製剤中の本発明のアンタゴニストまたは抗体の濃度は広範囲に変えることができ、すなわち、重量比で約0.5%以下、通常は約1%もしくは少なくとも1%から、15もしくは20%に至るまで変えることができ、選択した特定の投与方法に従って、主として液量、粘度、その他に基づいて選択される。
筋肉内注射用の本発明の医薬組成物は、1mLの滅菌済の緩衝化した水、および約1ngから約100mg、例えば約50ngから約30mg、またはより好ましくは約5mgから約25mgの本発明のアンタゴニストまたは抗体を含有するように調製しうる。同様にして、静脈内注射用の本発明の医薬組成物は、約250mLの滅菌済リンゲル液、および約1から30mg、好ましくは5mgから約25mgの本発明の加工抗体を含有するように作成しうる。非経口投与可能な組成物を調製するための実際の方法は良く知られており、当業者には明らかであり、より詳細には例えば、Remington's Pharmaceutical Science, 第15版, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania中に記載されている。
本発明の治療剤は、それが医薬品製剤中にある場合には、ユニット投与形態となっていることが好ましい。適切な治療上有効な投与量は当業者であれば容易に決定することができる。ヒトの脳卒中およびその他の神経疾患を効果的に治療するためには、本発明のアンタゴニストまたは抗体を体重70kgあたり最高700mgまでを1回の投与量として非経口的に、好ましくは静脈内または筋肉内に投与すべきである。そのような投与量は、必要に応じて、医師によって適切なものとして選択された適切な時間間隔で反復することができる。
本明細書に記載の抗体は貯蔵のために凍結乾燥することができ、使用前に適切な担体中に溶解することができる。この技法は従来の免疫グロブリンには効果的であることが示されており、当業界で既知の凍結乾燥および溶解法を用いることができる。
別の1態様においては、本発明は、稀突起神経膠細胞の生存の促進に用いるための、抗MAG抗体またはその機能性フラグメント、および製薬上許容される担体を含んでいる医薬組成物を提供する。
下記の実施例は本発明を説明するものである。
抗MAGモノクローナル抗体、対照のマウスIgG1およびTau1はChemiconから購入した。ラット組織溶解物のウエスタンブロットは非還元条件下で調製されたものをChemiconから購入した。
稀突起神経膠細胞の初代培養は、P0-P2 Sprague-Dowleyラットから単離されたO2A前駆細胞から既に報告されているとおり(Vinsonら, Mol. Cell Neurosci. Vol.22, 2003)調製し、5日間培養して分化させたが、その時点で細胞はミエリンマーカー陽性のミエリン様の膜を張り出しており、細胞表面にMAGを発現していた(Vinsonら, Mol. Cell Neurosci. Vol. 22, 2003)。
生存率のアッセイには、O2A細胞を500μLのSato培地(400 ng/mL T3、 400 ng/mL T4、 2 mM グルタミン、 50 U/mL ペニシリン、および50 μg/mL ストレプトマイシン、5 mL N2 supplement (Life Technology)に0.5% FCSを添加し、in vitroで5日間経過した時点で使用)に含む液を48ウエルのプレートに蒔いた(1ウエルあたり5 x 104個)。グルタミン酸と抗体を、シスチンを含まないDMEM、および1N HCl中にシスチンを含む液中に希釈した。インキュベーションは全て37℃で16時間行った。細胞の生存率は比色MTTアッセイ(Skaperら, 1990, P. M. Conn編, Methods in Neurosciences Vol. 2, p17-33, Academic Press)で定量した。吸光度は570 nmと630 nmで、ミクロELISA分光光度計を用いて測定した。
免疫組織化学的観察:
免疫組織化学的観察は既に報告されているとおりの(Irvingら, 2001, Acta Neuropathol. (Berl) 102:627-35)標準的な方法を用いて行った。一次抗体とのインキュベーションを4℃で一晩行った(Tau 1 1:500, Egr-1 1:200)。analySYS(登録商標)画像システムソフトウエアを用いて、25 μm2の面積あたりのegr-1陽性の核の数を数えた。反対側および同じ側からの12カ所の面積を測定した:1匹の動物あたり2つの別々の切片で線条体、後肢皮質、および帯状束皮質(n=6/群)。オペレーターは治療群について盲検とした。
稀突起神経膠細胞をグルタミン酸が仲介する細胞死から防護することに関しての細胞表面MAGの関わりの影響を調べるために、抗MAG抗体を用いた。O2A稀突起神経膠細胞前駆細胞をin vitroで6日間分化させた。この時点で、成体ラットの脳と同様に、稀突起神経膠細胞はRNAレベルでMAGの長いアイソフォームと短いアイソフォームを発現し、細胞表面ではMAGの染色が陽性であった(Vinsonら, 2003)。システイン不含の培地中の2 mMのグルタミン酸で16時間処理すると、細胞の生存率は50%低減した(図1)。細胞死はNMDA受容体アンタゴニストであるMK801またはAMPA受容体アンタゴニストであるDNQXの添加では回復しなかったが(データはここには示していない)、外来性のシスチンの添加では完全に逆行した(図1)。抗MAG抗体の添加では細胞死の程度は低減し、1 μg/mLで防護作用は最大となったが(図1)、対照のIgGでは低減しなかった。
WO 02/062383は脳卒中のラットモデルで抗MAG抗体の投与が機能回復の程度の改善をもたらし、それには一過性MCAOの7日後に測定した病変の面積の顕著な低減を伴うことを示した。抗MAG抗体で処置した動物では、CFV染色で検出するときニューロンの喪失の低減(約40-50%)が認められ、Tau 1免疫染色で、IgGで処置した対照と比較するとき、軸索路へのダメージの低減を示した。稀突起神経膠細胞でのTau 1免疫染色は、卒中後の細胞の完全性を示していると考えられている(Irvingら, Acta Neuropathol. (Berl), 102:p627-35, 2001)。MCAO後、虚血の見られた半球では24時間まで稀突起神経膠細胞中でTau 1が増加するが(Irving ら, J. Cereb. Blood Flow Metab. 17:p612-22, 1997; Valerianiら, J. Cereb. Blood Flow Metab. 20:P765-771, 2000)、MCAO後1週間目では白質の変性につれてTau 1 は失われた(Irvingら, Acta Neuropathol. (Berl) 102:p627-35, 2001)。虚血病変部の内部のTau 1 が陽性で組織学的には正常な稀突起神経膠細胞の数は、図2の投与しなかったものと比較すると抗MAG抗体投与後ではより多かった。病変部の内部での稀突起神経膠細胞内のTau 1の喪失を防止する抗MAG抗体の能力は、治療が稀突起神経膠細胞の完全性の程度を維持した可能性を示唆している。
キメラ抗体
配列番号7の配列はキメラ免疫グロブリン重鎖のアミノ酸配列を提示しており、その配列中ではマウス抗MAG重鎖可変領域が機能性免疫グロブリン分泌シグナル配列およびヒトIgG1定常領域の改変した形態のものと結合されており、その定常領域中では、FcγRIおよび補体タンパク質C1qとの結合のエフェクター機能の能力を失わせるためにKabatの残基248および250がアラニンに変異されている(Duncan, A.R.とWinter, G. "Localization of the C1q binding site on antibodies by surface scanning" Nature 332, 738-740, 1988. Duncan, A.R., Woolf, J.M., Partridge, L.J., Burton, D.R.とWinter, G., "Localisation of the binding site for human FcR1 on IgG", Nature 332, 563-564, 1988)。このような突然変異は、特別な治療効果を達成するために改変抗体の性質−例えば、溶解性(lytic)のエフェクター機序を活性化することなく、ある抗原と結合させる、および抗原の機能をブロックする−をカスタマイズする目的で任意で作成することができる。
MGWSCIILFLVATATGVHSEIQLVQSGPELKKPGETNKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLKWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFAFSLETSASTAYLQISNLKNEDTATYFCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号7)
配列番号8の配列は、マウス抗MAG軽鎖可変領域が機能性免疫グロブリン分泌シグナル配列、およびヒトκ定常領域と結合されている、キメラ免疫グロブリン軽鎖のアミノ酸配列である。
MGWSCIILFLVATATGVHSNIMMTQSPSSLAVSAGEKVTMSCKSSHSVLYSSNQKNYLAWYQQKPGQSPKLLIYWASTRESGVPDRFTGSGSGTDFTLTIINVHTEDLAVYYCHQYLSSLTFGTGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号8)
同様に、抗MAG可変領域はエフェクター機能を不能にする突然変異を有していない免疫グロブリン定常領域と結合させることができる。配列番号9のキメラ免疫グロブリン重鎖アミノ酸アミノ酸配列は、マウス抗MAG重鎖可変領域が機能性免疫グロブリン分泌シグナル配列、およびヒトIgG1定常領域の野生型のものと結合されたものである。
MGWSCIILFLVATATGVHSEIQLVQSGPELKKPGETNKISCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGKGLKWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFAFSLETSASTAYLQISNLKNEDTATYFCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号9)
配列番号7、8、および9で提供された情報から、これらのキメラ鎖をコードするcDNAインサートは当業者にはよく知られた標準的な分子生物学の技法によって調製することができる。簡潔に述べれば、所望のアミノ酸をコードするヌクレオチドコドンを同定するために遺伝子コードが用いられ、該キメラタンパク質をコードする仮想のcDNA配列が作られる。そのcDNAインサートが特定の生物体内で発現することを望む場合には、コドン使用の既知の偏りに従って、特に好ましいコドンを選択することができる。次いで、所望のヌクレオチド配列が、鋳型のPCR増幅によって合成されるが、その鋳型はオーバーラップしている合成オリゴヌクレオチドを含んでおり、それは、コンティグとして、所望の配列を表している。この結果得られた産物をPCRまたは突然変異誘発で改変して制限酵素切断部位を付加して、発現またはその後の操作のために適したプラスミド中へのクローニングを容易にすることができる。
ELISAでキメラ抗体はラットMAGと結合する
本発明の軽鎖および重鎖のCDRを含んでいるキメラ抗MAG抗体をCHO細胞の一過性トランスフェクションによって作成した。抗体の濃度はELISAで測定し、約0.5μg/mLと推定した。MAGとの結合を調べるためには、市販のラットMAG-Fcを用いた。ヒトFcと融合させるために、結合したキメラ抗体は抗ヒトIgG二次抗体を用いた検出はできなかった。その替わりに、抗ヒトκ軽鎖特異的抗体を用いた。図3はこのキメラ抗体が1/64に希釈されてもMAGと結合することを示している。MAGとは無関係のヒト化抗体および模擬的にトランスフェクトした細胞の培養上清はこのアッセイではシグナルを示さなかった。
方法:
ELISAマイクロタイタープレート(Nunc Maxisorp)を、PBS中の1μg/mLのラットMAG-Fc融合タンパク質を用いて4℃で一晩コートした。プレートをPBSで2回洗った後、PBS/BSA (1% w/v)を用いて室温(RT)で1時間ブロックした。一過性にトランスフェクトさせたCHO細胞の培養上清を0.2 μmのフィルターに通過させて希釈していない上清から1/64希釈までPBS/BSA中に段階希釈した。希釈したサンプルを室温で1時間放置した。次いでプレートをPBS/Tween 20 (0.1%)で3回洗った。検出に用いた抗体はヤギ抗ヒトκ軽鎖特異的−ペルオキシダーゼコンジュゲート抗体(Sigma A-7164)をPBS/BSAで1/2000に希釈したものである。この検出抗体を室温で1時間インキュベートし、プレートを上述のとおり洗った。基質溶液(Sigma Fast OPD P-9187)を添加し、適切な発色が検出されるまでインキュベートした後、3M H2SO4を用いて反応を停止させた。発色は490 nmで読み取った。
ヒト化抗体
改変抗体には、ヒト化可変領域をヒト定常領域に連結させたヒト化抗体が含まれる。本発明のヒト化抗MAG免疫グロブリン鎖の例は図4に示す。ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM、IgDの定常領域を用いたヒト化抗体を作成することができる。
図4(配列番号18)はヒト化免疫グロブリン重鎖のアミノ酸配列の1例を提示し、その配列ではヒト化抗MAG重鎖可変領域が機能性免疫グロブリン分泌シグナル配列、および改変型のヒトIgG1定常領域と結合されており、その定常領域中では、FcγRIおよび補体タンパク質C1qとの結合のエフェクター機能の能力を失わせるためにKabatの残基248および250がアラニンに変異されている(Duncan, A.R.とWinter, G. "Localization of the C1q binding site on antibodies by surface scanning" Nature 332, 738-740, 1988. Duncan, A.R., Woolf, J.M., Partridge, L.J., Burton, D.R.とWinter, G., "Localisation of the binding site for human FcR1 on IgG", Nature 332, 563-564, 1988)。このような突然変異は、特別な治療効果を達成するために改変抗体の性質−例えば、溶解性(lytic)のエフェクター機序を活性化することなく、ある抗原と結合させる、および抗原の機能をブロックする−をカスタマイズする目的で任意で作成することができる。
図4(配列番号19)はまた、ヒト化免疫グロブリン軽鎖のアミノ酸配列の1例をも提示し、その配列ではヒト化抗MAG軽鎖可変領域が機能性免疫グロブリン分泌シグナル配列、およびヒトκ定常領域と結合されている。
同様にして、抗MAG可変領域を、エフェクター機能を失わせるような突然変異を持っていない免疫グロブリン定常領域と結合させることができる。図4(配列番号20)はヒト化免疫グロブリン重鎖のアミノ酸配列を提示し、その配列ではヒト化抗MAG重鎖可変領域は機能性免疫グロブリン分泌シグナル配列、およびヒトIgG1定常領域の野生型のものと結合されている。
図4で提供された情報から、これらのヒト化された鎖をコードするcDNAインサートを当業者にはよく知られた標準的な分子生物学の技法で調製することができる。簡潔に記せば、所望のアミノ酸をコードするヌクレオチドコドンを同定するために遺伝子コードが用いられ、該キメラタンパク質をコードする仮想のcDNA配列が作られる。そのcDNAインサートが特定の生物体内で発現することを望む場合には、コドン使用の既知の偏りに従って、特に好ましいコドンを選択することができる。次いで、所望のヌクレオチド配列が、鋳型のPCR増幅によって合成されるが、その鋳型はオーバーラップしている合成オリゴヌクレオチドを含んでおり、それは、コンティグとして、所望の配列を表している。この結果得られた産物をPCRまたは突然変異誘発で改変して制限酵素切断部位を付加して、発現またはその後の操作のために適したプラスミド中へのクローニングを容易にすることができる。
ELISAでヒト化抗MAG抗体はラットおよびヒトのMAGと結合する
1) 9種類のヒト化重鎖と軽鎖の組み合わせについて、培養上清の規準化した量のラットMAG-Fc融合タンパク質への直接結合ELISA
本発明の軽鎖および重鎖CDRを含んでいるヒト化抗MAG抗体をCHO細胞の一過性トランスフェクションで作成した。このために、Transfastトランスフェクション試薬(Promega; E2431)を用い、トランスフェクションは製造者の使用説明書に従って行った。簡潔に記せば、6ウエルの培養プレートに1ウエルあたり約106個のCHO細胞をプレーティングした。翌日、適切な重鎖または軽鎖をコードする哺乳類発現ベクターDNAを1:1の比で(総DNA量5μg)培地(Glutamaxを添加したOptimem1;Gibco #51985-026)中で混合した。Transfastトランスフェクション試薬を添加し、その溶液を、コンフルエントな細胞層となっているウエルに移した。細胞インキュベーター中に37℃で1時間置いた後、そのDNA/Transfast混合物上に2 mLのOptimem培地を重ね、そのインキュベーター中で48〜72時間放置した。上清を採取し、遠心で清澄化し、0.2μmのフィルターを通過させた。9組の重鎖と軽鎖の可変鎖の組み合わせが、下記の表に示した配列から作成され、それらの配列番号に従うIgG1重鎖定常領域は機能を有するものであった。
Figure 2006522032
抗体の濃度はELISAで測定し、このアッセイで用いた上清の量は当初の濃度を250または500 ng/mL (培養上清の濃度によってどちらかにする)に規準化した。抗原としては、市販のラットMAG-Fcを用いた(R&D Systems; 538-MG)。この抗原とヒトFcとの融合のため、結合したキメラ抗体は通常の抗ヒトIgG二次抗体では検出できなかった。その替わりに、抗ヒトκ軽鎖特異的抗体を用いた。図5はここで調べた9種類のヒト化抗体が、非常によく似た結合曲線で、濃度が約4ng/mLに下がるまでラットMAGと結合したことを示している。参照として用いたキメラ抗体はここで調べたヒト化抗体の群に加わりうる結合特性を示した。完全とは言えないまでも、このことは、ここで調べたそれらのヒト化抗体のアフィニティーが、ここで参照として用いたヒト化されていないキメラ抗体のアフィニティーの範囲内に非常に近接していることを示唆するものであろう。
方法:
96ウエルのNunc Maxisorpプレートを、PBS中のラットMAG-Fc融合タンパク質(1μg/mL;R&D Systems; カタログ番号538-MG)を用いて4℃で一晩コートした。プレートをTween20含有のPBS(0.1% v/v; PBST)で2回洗った後、BSA(1% w/v)含有のPBSを用いて室温(RT)で1時間ブロックした。種々の量の培養上清をブロッキングバッファー中に段階希釈し、ブロックされたウエルに、約500または250 ng/mLの濃度を開始濃度として順次添加した。上清の抗体濃度は、各培養上清中に存在するヒト化抗体の量を独立したアッセイで測定したものに基づいたものである。キメラマウス-ヒト(ヒト化はされていない)抗体も参照として実験に含めた。抗体のサンプルを室温で1時間インキュベートした後、PBSTで3回洗った。二次抗体(ヤギ抗ヒト軽鎖特異的−ペルオキシダーゼコンジュゲート抗体;Sigma A-7164)をブロッキングバッファーで1/5000に希釈したものを添加し、室温で1時間インキュベートした。ウエルを上述のとおり3回洗い、結合は基質を添加することによって検出した(OPDの錠剤を使用説明書に従って溶解した;Sigma P-9187)。発色をモニターし、反応を3M H2SO4を用いて停止させた。発色は490 nmで読み取った。
2) 2種の精製ヒト化抗MAG抗体重鎖-軽鎖組み合わせのラットMAG-Fc融合タンパク質への直接結合ELISA
重鎖と軽鎖の可変領域の組み合わせBVh1/CVl1およびBVh3/CVl3(表、図4)ならびに突然変異させたIgG1定常領域からなる2種類のヒト化抗体、その例は配列番号30に示しているが(これはBVh1/CVl1突然変異IgG1であるが、当業者であればBVh3/CVl3均等物の配列をこの配列から容易に誘導することができる)、それらのヒト化抗体を実施例3に記載の一過性トランスフェクションをスケールアップした方法で作成し、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーで精製した。精製した抗体物質をPBSに対して透析し、濃度はOD280の読みで決定した。抗体濃度を5000 ng/mLに調整し、段階希釈してラットMAG-Fc結合ELISAで用いた。図6は精製した抗体がラットMAG-Fcと結合し、試験した2種の重鎖と軽鎖の可変領域の組み合わせが非常によく似ていることを示している。
方法:
96ウエルのNunc Maxisorpプレートを、PBS中のラットMAG-Fc融合タンパク質(2.5μg/mL;R&D Systems; カタログ番号538-MG)を用いて4℃で一晩コートした。プレートをTween20含有のPBS(0.1% v/v; PBST)で2回洗った後、BSA(1% w/v)含有のPBSを用いて室温(RT)で1時間ブロックした。精製したヒト化抗体をブロッキングバッファーで調整して開始濃度を5 μg/mLとし、次いで段階希釈した。抗体のサンプルを室温で1時間インキュベートした後、PBSTで3回洗った。二次抗体(ヤギ抗ヒト軽鎖特異的−ペルオキシダーゼコンジュゲート抗体;Sigma A-7164)をブロッキングバッファーで1/5000に希釈したものを添加し、室温で1時間インキュベートした。ウエルを上述のとおり3回洗い、結合は基質を添加することによって検出した(OPDの錠剤を使用説明書に従って溶解した;Sigma P-9187)。発色をモニターし、反応を3M H2SO4を用いて停止させた。発色は490 nmで読み取った。
結果:
2種類の精製ヒト化抗体は双方ともフレームワークでの突然変異がないかまたは数カ所あり、それらの抗体はラットMAGに対してきわめて類似した結合を示す。それらの結果を図6に示している。
3) 2種類のヒト化重鎖および軽鎖の組み合わせについての培養上清の規準化した量の、CHO細胞上に発現されたヒトMAGに対する結合
実施例5の2)で述べたものと同じヒト化可変重鎖および軽鎖の組み合わせを、清澄な培養上清として得て、CHO細胞の表面上に発現されたヒトMAGに対する結合を試験した。各抗体について用いた培養上清の量は、ELISAで決定した抗体濃度に基づいて規準化した。96ウエルのプレート(Nunc Maxisorp)をヤギ抗ヒトIgG(γ)鎖抗体(Sigma I-3382;重炭酸塩バッファー pH9.6; 2 μg/mL)を用いて4℃で一晩コートした。翌日、プレートを洗浄用バッファー(PBST)で2回洗い、少なくとも75μLのブロッキングバッファー(BSA 1% w/v含有のPBS)を添加して室温で1時間ブロックした。抗体サンプル溶液をブロッキングバッファーで段階希釈し(希釈の開始は元の溶液のまま、または1/2希釈のものとした)、これを二連で行った。抗体の標準品はMAGと無関係の特異性を有し濃度が既知の精製ヒト化IgG1抗体を用いた。この標準品の溶液も開始濃度を500ng/mLとして段階希釈した。抗体溶液の全てを室温で1時間インキュベートした。プレートを上述のとおり3回洗った後、ヤギ抗ヒト軽鎖(κ)特異的(遊離のものと結合したもの)ペルオキシダーゼコンジュゲート抗体(Sigma; A-7164)をブロッキングバッファーで1/5000としたものとともに室温で1時間インキュベートした。プレートを再度上述のとおり3回洗い、基質溶液(OPD錠剤;Sigma P-9187)とともに強い発色が見られるまでインキュベートした。発色は25μLの3M H2SO4を添加して停止させ、プレートを490 nmで読み取った。
図8は試験した2種の抗体の双方がヒトMAGを認識しており、それらの結合の特徴が非常によく似ていることを示している。CHO/−は陰性対照とした、MAGの発現のないCHO細胞である。
Eu 細胞をベースとしたELISA法:
96ウエルのプレート(Costar 3595)に1ウエルあたり100μLの細胞懸濁液を満たした(1、2、3、または4日目にアッセイを行うための推奨細胞数については下表を参照せよ)。
Figure 2006522032
培地を取り除き、プレートをFCS(10%)、BSA(1%)、NaN3(1%; ブロッキングバッファー)含有のDMEM/F12(Sigma D6421)で室温で1時間ブロックした。次いでブロッキング溶液を除去してサンプル(ブロッキングバッファー中、50μL/ウエル)を添加した。サンプルを4℃で1時間インキュベートした。次いでプレートをSkatronプレートウォッシャーを用いてPBSで3回洗った。洗浄後、細胞を0.5%パラホルムアルデヒド(PBS中に希釈)で4℃で20分間固定し、再度上述のとおり洗った。1ウエルあたり50μLのユウロピウムバッファー(50 mM Tris塩基、150 mM NaCl、0.5% BSA、0.1 g/L Tween20、7.86 mg/L DTPA、pH7.3)で希釈したユウロピウムコンジュゲート二次抗体を添加し4℃で1時間インキュベートした。
プレートを上述のとおり洗い、200μL/ウエルのDelphia 増強溶液を添加した。溶液を室温で5〜10分間インキュベートした。24時間以内にウエルをVictorで読み取った。
4) 2種類の精製ヒト化抗体およびヒト化していないマウスモノクローナル抗体のラットMAG-Fc融合タンパク質への結合の競合ELISA
方法:
96ウエルのNunc Maxisorpプレートを、PBS中のラットMAG-Fc融合タンパク質(2.5μg/mL;R&D Systems; カタログ番号538-MG)を用いて4℃で一晩コートした。プレートをTween20含有のPBS(0.1% v/v; PBST)で2回洗った後、BSA(1% w/v)含有のPBSを用いて室温(RT)で1時間ブロックした。精製したヒト化抗体を200 ng/mLの濃度に調整し、ブロッキングバッファー中に6000から0 ng/mLの範囲とした競合分子と等しい液量で混合した。競合分子としては抗体作成の元となったマウスモノクローナル抗体(抗MAG)またはMAGとは関連のないマウスモノクローナル抗体(INN1)を同じ濃度で用いた(BVh1/CVl1の場合のみ)。抗体/競合分子溶液を室温で1時間インキュベートした後、プレートをPBSTで3回洗った。二次抗体(ヤギ抗ヒト軽鎖特異的−ペルオキシダーゼコンジュゲート抗体;Sigma A-7164)をブロッキングバッファーで1/5000に希釈したものを添加し、室温で1時間インキュベートした。ウエルを上述のとおり3回洗い、結合は基質を添加することによって検出した(OPDの錠剤を使用説明書に従って溶解した;Sigma P-9187)。発色は490 nmで読み取った。
結果:
2種の精製抗体調製物は双方とも同等に元のマウスモノクローナル抗体と競合したが、特異性の関連のないマウスモノクローナル抗体とは競合しなかった−図8を参照せよ。このことは、もともとのマウスモノクローナル抗体およびここで試験したヒト化抗体がおそらく同じエピトープを認識し、ラットMAGに対しておそらく非常に類似したアフィニティーを有していることを示している。
抗MAGモノクローナル抗体がグルタミン酸が仲介する細胞死から稀突起神経膠細胞を防護することを示す。 抗MAG抗体の存在または非存在下での虚血病変中に存在する稀突起神経膠細胞を示す。 抗MAGキメラのラットMAGへの結合を示す。 ヒト化抗MAGの配列を示す。 上清の規準化した量とのMAGの結合を示す。 ヒト化抗MAG抗体のラットMAGへの結合を示す。 ヒト化抗MAG抗体のヒトMAGへの結合を示す。 マウス抗MAG抗体およびヒト化抗MAG抗体を用いた競合ELISAを示す。

Claims (19)

  1. 脳卒中または別の神経疾患に罹患している、または発症の危険があるヒトにおいて、稀突起神経膠細胞の生存を促進する方法であって、該ヒトに治療上有効な量の抗MAG抗体、またはその機能性フラグメントを投与することを含んでなる、方法。
  2. 脳卒中または別の神経疾患に罹患している、または発症の危険があるヒトにおいて、稀突起神経膠細胞の生存を促進するための医薬品の製造における、抗MAG抗体またはその機能性フラグメントの使用。
  3. 該抗MAG抗体が改変抗体である、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
  4. 該抗MAG抗体がキメラ抗体である、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
  5. 該抗MAG抗体がヒト化抗体である、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
  6. 該改変抗体またはその機能性フラグメントがMAGと結合し、次のCDRのうちの1つ以上を含んでいる、請求項3〜5に記載の使用または方法。
    軽鎖CDR
    CDR Kabatによる
    L1 KSSHSVLYSSNQKNYLA
    L2 WASTRES
    L3 HQYLSSLT
    重鎖CDR
    CDR Kabatによる
    H1 NYGMN
    H2 WINTYTGEPTYADDFTG
    H3 NPINYYGINYEGYVMDY
  7. 該改変抗体またはその機能性フラグメントが、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3から選択された1つ以上のCDRを含む重鎖可変ドメイン、ならびにCDRL1、CDRL2、およびCDRL3から選択された1つ以上のCDRを含む軽鎖可変ドメインを含んでいる、請求項6に記載の使用または方法。
  8. 該改変抗MAG抗体またはその機能性フラグメントが:
    超可変領域CDRH1、CDRH2、およびCDRH3を順に含む重鎖可変ドメイン(VH)
    および/または
    超可変領域CDRL1、CDRL2、およびCDRL3を順に含む軽鎖可変ドメイン(VL)
    を含んでいる、請求項7に記載の使用または方法。
  9. 該改変MAG抗体またはその機能性フラグメントが、配列番号7もしくは9の重鎖、および/または配列番号8の軽鎖を含んでいる、請求項8に記載の使用または方法。
  10. 該改変抗MAG抗体またはその機能性フラグメントが、配列番号10、11、12、もしくは13から選択された重鎖可変領域、および/または配列番号14、15、16、もしくは17から選択された軽鎖可変領域を含んでいる、請求項8に記載の使用または方法。
  11. 該改変抗MAG抗体またはその機能性フラグメントが、配列番号10の重鎖可変領域、および配列番号14、15、16、または17から選択された軽鎖可変領域を含んでいる、請求項10に記載の使用または方法。
  12. 該改変抗MAG抗体またはその機能性フラグメントが、配列番号11の重鎖可変領域、および配列番号14、15、16、または17から選択された軽鎖可変領域を含んでいる、請求項10に記載の使用または方法。
  13. 該改変抗MAG抗体またはその機能性フラグメントが、配列番号12の重鎖可変領域、および配列番号14、15、16、または17から選択された軽鎖可変領域を含んでいる、請求項10に記載の使用または方法。
  14. 該抗体がヒト化抗体であって、配列番号10、11、または12を含んでいる重鎖可変フラグメントおよびヒトの重鎖の定常部分またはそれのフラグメント、ならびに配列番号14、15、16、または17を含んでいる軽鎖可変フラグメントおよびヒトの軽鎖の定常部分またはそれのフラグメントを含んでいるものである、請求項10-13に記載の使用または方法。
  15. 該ヒト化抗体がIgGクラスである、請求項14に記載の使用または方法。
  16. 該ヒト化抗体がIgG1である、請求項15に記載の使用または方法。
  17. 該重鎖が:
    MGWSCIILFLVATATGVHSHSQVQLVQSQSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGEPTYADDFTGRFVFSLDTSVSTAYLQISSLKAEDTAVYYCARNPINYYGINYEGYVMDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELAGAPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号18)
    である、請求項16に記載の使用または方法。
  18. 該抗体の軽鎖が:
    MGWSCIILFLVATATGVHSDIVMTQSPDSLAVSLGERATICKSSHSVLYSSNQKNYLAWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCHQYLSSLTFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号19)
    である、請求項16に記載の使用または方法。
  19. 該抗体が、請求項6のCDRを有する抗体と同じエピトープに結合する抗体である、前記の請求項のいずれかに記載の使用または方法。
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