本発明は、糖尿病の治療のための治療法の一部として血流に治療的に有効な量でインスリンを経口送達することに関する。本発明は、また、糖尿病の治療のために血流に治療的に有効な量でインスリン輸送を容易にするインスリンと送達物質の組成物の経口投与に関する。本発明は、また、耐糖能低下及び/又はインスリン抵抗性低下をもつ患者を含む糖尿病前症患者に、初期糖尿病患者に、及び後期糖尿病患者に長期にわたってインスリンの経口医薬剤形を投与するための治療及びプロトコールに関する。本発明は、更に、特に膵臓のβ-細胞に対して、全身性高インスリン血症や高血糖症と関連している疾患の副作用や発病率を減少させるための方法に関する。
タンパク質、ペプチド、他の生体分子("生体高分子"、即ち、タンパク質やポリペプチドのような生物重合体)が科学や技術の多くの多様な領域においてますます用いられている。例えば、タンパク質は、医薬、ワクチン、動物薬の分野における活性薬剤として使われている。都合の悪いことに、医薬組成物における活性薬剤としての生体高分子の使用は、活性薬剤が必要とされる場所への移行の天然バリヤの存在でしばしば厳しく制限される。このようなバリヤとしては、皮膚、脂質二重層、粘膜、厳しいpH条件、消化酵素が含まれる。
生体高分子の功を奏する経口送達に対して多くの妨害がある。例えば、生体高分子は、大きく、本来は両親媒性である。更に重要なことに、多くの生体高分子の活性コンホメーションは、種々の環境要因、例えば、温度、酸化剤、pH、凍結、振盪、剪断応力に感受性があることである。薬物開発のために活性薬剤として生体高分子を含む経口送達系を計画する際に、これらの複雑な構造的要因や安定性要因を考慮しなければならない。更に、一般に、生体高分子が患者に投与され、その生理作用が発揮されることを期待して医療や治療を行う場合、送達賦形剤は、胃腸管による吸収を容易にするために使用し得る。これらの送達賦形剤は、具体的な患者又は疾患過程の要求と一致している速度で活性分子を放出することができなければならない。
一つの特定の生体高分子、ホルモンインスリンは、膵臓によって、更に詳しくは膵臓組織(ランゲルハンス島)の主要型のβ細胞によってその放出による血糖値の通常の調節に関与するので、グルコースがエネルギー源として使用し得る。インスリン分泌は、健常人において、空腹時と摂食時双方の間、血液におけるグルコースの安定な濃度を与える調節された過程である。健常なヒトにおいては、インスリンは、門脈に膵臓から分泌され、インスリンを肝臓へ運ぶ。肝臓は、門脈循環から受けるインスリンの大部分を利用及び/又は代謝させる。非常に基礎的には、肝臓は、以下の通りグルコースの代謝に重要な役割を果たしている: 過剰なインスリン、過剰なグルコース、又はその双方がある場合には、肝臓は、血液中に放出されるグルコースの生成を調整し、インスリンがない場合又は血糖濃度が非常に低くなる場合には、肝臓は、グリコーゲンからグルコースを製造し、血液中にそれを放出する。肝臓は、高くなりすぎることから又は低くなりすぎることから血糖濃度を保持することによって重要な血糖緩衝機序として作用する。
血糖濃度は、健常なヒトにおけるインスリン分泌への主要な刺激である。膵臓からインスリンの放出が血糖値上昇によって刺激される正確な機序は、完全にはよく理解されていないが、膵臓のβ-細胞へグルコースが入ることは必要とする。グルコースは、媒介輸送によって膵臓β細胞に入り、次に、グルコキナーゼによってリン酸化する。グルコキナーゼの発現は、主に、糖代謝の調節に関係している細胞と組織、例えば、肝臓や膵臓β細胞に制限される。リン酸化及びその後の解糖を受ける糖の能力は、密接に、インスリン放出を刺激するそれらの能力と相関している。全ての組織がグルコース取込みのためのインスリンに依存していないことは指摘される。例えば、脳、腎、赤血球はインスリン独立組織であるが、肝臓、脂肪組織、筋肉はインスリン依存性組織である。
糖尿病にかかっていない個体においてグルコースの存在下に引き起こされた場合(例えば、固形の食事が摂取された後)、インスリン分泌は、二相である。食品を摂取した直後に、膵臓は、突発に貯蔵インスリンを放出し、これが第一相インスリン応答と呼ばれ、次に、約15-20分後にインスリンを更に産出して食品からの血糖レベルを制御する。第一相インスリン応答は、1〜2分後にピークに達し、短期であり、一方第2相の分泌の発生は遅延するが、持続期間は長い。従ってインスリンの分泌は、血糖濃度が基準値(例えば、100mg/100mlの血液)より高くなるにつれて、正常なヒト被検者において急速に上昇し、インスリン分泌のターンオフも急速であり、血糖濃度の低下が空腹時レベルに戻った数分以内に起こる。
健康なヒト被検者において、インスリン分泌は、被検者が食事を摂取したか否か(即ち、絶食及び摂食した状態)に関係なく許容域の範囲内にグルコースの血中濃度を維持する厳しく調節された過程である。インスリンは、身体、特に骨格筋や脂肪組織の多くの細胞の膜を通るグルコース輸送を容易にする(及びその速度を上げる)。インスリンは、3つの基本的作用: 糖代謝速度の増大、筋肉や脂肪組織におけるグリコーゲン貯蔵増加の促進、及び循環血糖濃度の低下を有する。
真性糖尿病("糖尿病")は、膵臓が血糖値を制御することができるレベルでインスリンを放出せず及び/又はインスリン抵抗性があることから筋肉、脂肪、肝細胞が正常なインスリンレベルに十分に応答しない疾病状態である。従って、糖尿病は、インスリン抵抗性と膵臓のβ-細胞の“燃え尽き"の二重欠損から生じる得る。真性糖尿病は、2つの種類:1型と2型に分類される。診断された糖尿病の症例の約5〜10%が1型糖尿病によるものであり、約90%〜95%が2型糖尿病によるものである。
1型糖尿病は、インスリン依存性であり、通常はまず若年に生じる糖尿病である。1型糖尿病においては、膵臓の膵島細胞が主に自己免疫の破壊のためにインスリンを生産することを停止し、患者は、患者自身に欠損するホルモンを注射しなければならない。1型糖尿病患者に対して、インスリン治療は不可欠であり、不在の内在性インスリンを外因性のインスリン供給に置き換えるものである。
2型糖尿病は、一般に成人発症糖尿病又はインスリン非依存性糖尿病と呼ばれ、インスリン抵抗性(又はインスリン感受性低下)と、後期での不十分なインスリン分泌との組合わせに起因するものである。これは、西側世界において最も一般的な種類の糖尿病である。米国を含む世界中の種々の国の成年人口の6%近くが2型糖尿病であり、二次的膵臓疲労とインスリン産生の最終的な停止のために、これらの患者の約30%が寿命の間のある時点で外因のインスリンを用いることが必要である。2型糖尿病患者に対して、治療は、まず経口抗糖尿病薬からなり、これはインスリン感受性及び/又はインスリン分泌を高め、経口剤がなければ、また、ないときには、インスリンのみからなる。
糖尿病は、米国において6番目の主要な死因であり、1997には死亡が193,000を超えるとみなされている。しかしながら、これは、糖尿病から結果として生じる合併症が集団における罹患率の主因であることから過小評価である。糖尿病は、心臓血管疾患、脳卒中、消化器系疾患、感染症、代謝合併症、眼障害、神経障害、腎疾患と腎不全、末梢血管疾患、潰瘍形成と切断術、経口合併症、うつ病の形でかなりの罹患率と死亡率と関連している。従って、糖尿病は、最終的に他の原因のものとされるかなり多くの死亡に関与している。
糖尿病による死亡率の主な原因は、長期微小血管性疾患や大血管性疾患である。心臓血管疾患は、2型糖尿病患者の死亡の最高80%の原因となり、糖尿病患者は、脳卒中又は心筋梗塞を生き残った患者の等しいリスク、冠状動脈疾患のリスクが2〜4倍増加する。言い換えれば、心疾患、高血圧、心臓発作、脳卒中は、成人の非糖尿病患者より成人の糖尿病患者においてしばしば2〜4倍生じる。冠状動脈疾患のこの増加したリスクは、高血圧性心筋症の増加と相まってうっ血性心不全のリスクの増加に現れる。これらの血管合併症によって、神経障害、網膜症、末梢血管疾患となる。糖尿病性網膜症(目の網膜を供給している小血管や毛管における病巣、即ち、目の後ろの内層の損傷)は20〜74歳の成人における盲目の主要な原因であり、糖尿病性腎疾患、例えば、腎症(腎疾患になってしまう腎臓を与える小血管や毛管における病巣、及び体毒素を適切にろ過する腎の不能)は末期腎臟病(腎不全)の全ての新規な症例の40%を占めている。更にまた、糖尿病は、また、米国において肢体の切断の主要な理由である。糖尿病は妊娠中に特別な問題を生じ、先天性奇形の割合は糖尿病をもつ女性の子供において5倍高くなり得る。
不十分な血糖コントロールは、これらの合併症の高発生率に関与し、糖尿病の慢性合併症に対する厳しい血糖コントロールの有益効果が臨床診療において広く受け入れられている。しかしながら、高血糖値が糖尿病の長期の合併症の直接的な原因であることがしっかりと確立されたのは最近にすぎない。糖尿病の制御と合併症の試験と英国糖尿病前向き研究のどちらによってもできるだけ正常に近いレベルで血糖値を制御することが糖尿病性網膜症、腎症、神経障害及び微小血管性疾患の発症を予防し遅延させることが示された。
インスリン抵抗性(又はインスリン感受性低下)は、また、集団において、特に太りすぎの個体において、糖尿病のリスクを有する個体において(即ち、血糖値が正常であるが、糖尿病と診断されるのにまだ十分高くない糖尿病前症患者)、十分なインスリンを生産するが、組織が、インスリンの作用に十分に応答する能力が減弱した2型糖尿病をもつ個体において一般的である。肝臓がインスリン抵抗性になった場合、インスリンが肝臓に影響してそのグルコース産生を抑制する機序が壊れ、高インスリン状態(高血漿インスリンレベル)でさえ、肝臓はグルコースを生産し続ける。この抑制欠除により、絶食状態でさえ、高血糖症(高血糖値)になり得る。
インスリン抵抗性を補償し克服するために、膵臓β-細胞は、まず最初にそれらのインスリン産生を増強し、インスリン抵抗性の個体は血漿インスリンレベルが高い場合が多い。このインスリンは、門脈に放出され、常に又はほぼ常に肝臓に存在する。肝臓が高レベルのインスリンに連続してさらされると、インスリン抵抗性増強やグルコース耐性低下の役割を果たすことが考えられる。膵臓β−細胞が高い要求量に置かれた期間の後で、、細胞の代償不全と消耗が始まり、インスリン分泌又はインスリン分泌能が糖尿病の後期で低下する。個体が2型糖尿病と診断される頃には、インスリン産生の要求が増大したためにおよそ50%のβ細胞が死滅していることが推定される。
インスリン抵抗性は、2型糖尿病における高血糖症の病因に重要な役割を果たし、最終的には糖尿病合併症の発症を誘発する。更にまた、インスリン抵抗性は、表面的には大血管性疾患、心臓血管疾患及び微小血管性疾患の病因に役割を果たす。例えば、Shinohara K. et al., Insulin Resistance as an Independent Predictor of Cardiovascular Mortality in Patients With End-Stage Renal Disease, J. Am. Soc. Nephrol., Vol. 13, No. 7, July 2002, pp. 1894-1900を参照のこと。研究は、現在インスリン抵抗性が最大に達し、次に、プラトーに達することを示している。一旦インスリン抵抗性がプラトーに達すると、これといってより悪くならないが、改善し得ると考えられる。
当業者に既知であるように、糖尿病又はインスリン抵抗性はさまざまな方法で診断され得る。例えば、最初の診断はグルコース負荷試験(GTT)からすることができ、患者は、グルコースのボーラスを、通常は経口投与され、次に、患者の血糖値が約2時間、又は長期のGTTの場合には6時間ものの一定の時間間隔で測定される。糖尿病又はインスリン抵抗性のための他の試験法は、絶食している患者又は食後のグルコースの試験である。ヘモグロビンA1c(HbA1c)としてはしばしば報告される他の試験、例えば、グリコシル化ヘモグロビン(Glycosolated Hemoglobin)は、2-3ヵ月にわたる血糖を評価するために使用し得る。
正常血糖高インスリンクランプ、空腹時血漿インスリン、インスリン抵抗性(HOMA-IR)のホメオスタシスモデル評価(HOMA)、空腹時グルコースインスリン対比法、定量的インスリン感受性検査指標(QUICKI)を含む、インスリン抵抗性を評価するいくつかの方法が現在利用可能である。正常血糖高インスリンクランプ法を除いて、その他は代わりの指標であり、インスリン抵抗性を評価する間接的な方法である。例えば、HOMA-IRは、空腹時血漿グルコース(FPG)と空腹時免疫活性インスリン(FIRI)から式HOMA-IR = FIRI、mU/l×FPG、mg/dl/405によって算出される。更に、ホメオスタシスモデル評価(1/HOMA-IR)の代償的な指標も算出される。同様に、QUICKIも対数変換されたFPGとインスリンレベルからFPGとFIRIレベルから式QUICKI = 1/(log [FIRI、mU/l] + log [FPG、mg/dl])によって算出されるように得られる。
いくつかの経口血糖降下薬、例えば、患者をインスリンにさらに感受性にするチアゾリジンジオン、肝臓によって生成されるグルコースの量を減少させるビグアニドが、特に患者のインスリン抵抗性を改善するために開発され、これらは糖尿病及びインスリン抵抗性をもつ患者に臨床的に現在利用可能である。更に、スルホニル尿素は膵臓を刺激してさらにインスリンを生成し、アルファグリコシダーゼ阻害薬は個体が食べたデンプンの吸収を遅らせ、メグリチニドは膵臓を刺激してさらにインスリンを生成し、D-フェニルアラニン誘導体は膵臓が急速にさらにインスリンを生成するのを援助する。インスリン抵抗性の現在の治療は、健康的な体重を達成する減量、1日につき30分間の集積された中程度の強度の身体活動、食物繊維摂取の増加、血糖値やカロリー摂取量の調節を含む食事制限を含む分別のある生活様式の変更を含んでいる。更に、糖尿病を治療するためにしばらくの間うまく用いられてきたメトホルミンも、インスリン感受性を増強させることから治療として研究されている。
糖尿病患者のインスリン治療の目標は、典型的には、患者が1日全体にわたって正常な炭水化物代謝を有するように十分なインスリンを投与することである。糖尿病の個体の膵臓が1日全体にわたって十分なインスリンを分泌しないことから、インスリン治療によって糖尿病を効果的に制御するために、基礎インスリンとして知られる持続性インスリン治療は、食品が消化されていない場合に血糖濃度を制御しかつ細胞にエネルギーを供給し続けるために必要なインスリンをゆっくりと安定して放出するように投与されなければならない。基礎インスリンは、食事と食事の間や一晩中グルコース産生を抑制するのに必要であり、好ましくは24時間にわたって患者の正常な膵臓基礎インスリン分泌を模倣するものである。従って、糖尿病患者は、皮下に毎日、持効性インスリンの一回量を投与することができ、作用は約24時間持続する。
更にまた、血糖値の食後の上昇を処理することによるインスリン治療によって糖尿病を効果的に制御するために、速効性治療、ボーラスも投与されなければならない。一般的には皮下に投与される、ボーラスインスリンは投与の約1時間後に血漿インスリンレベルを上昇させ、それによって、食後の高血糖症を制限する。従って、レギュラーインスリンのこれらの追加量は、例えば、5-6時間の作用の持続期間においては、患者の血糖値が、例えば、食事時間に高くなり過ぎる傾向がある場合の1日のそれらの時間に皮下投与することができる。ボーラスインスリンと組合わせた基礎インスリンの投与と別に、ボーラスインスリンの少量の頻回の一定量を持効性の基礎インスリンの代わりに投与することができ、ボーラスインスリンは、必要に応じて食後に投与することができる。
糖尿病患者の絶えず増大する集団に、有効な形で、生体利用可能な修飾されていないヒトインスリンを供給する問題はほぼ100年間医師や科学者を占領してきた。このペプチドの安定性と生物学的送達の一部の問題を解決するために多くの試みがなされてきた。インスリンが胃腸管に吸収されないペプチド薬剤(MW約6000 Da)であることから、普通は、皮下注射のような非経口投与を必要とする。従って、ほとんどの糖尿病患者は皮下注射によりインスリンをしばしば1日数回自己投与する。しかしながら、複数の毎日の注射の限界、例えば、不便、不十分な患者の許容性、コンプライアンス、食後の要求に対して食後のインスリン有効性を適合させることの難しさは、インスリン治療のより周知の欠点の一部である。
現在では、皮下に注入された一定のインスリンは、食事時間の30〜45分前に投与されるように推奨される。結果として、糖尿病患者や他のインスリン使用者はそれらの食事の、そして、それらの食事と関連するそれらのインスリン投与の相当な計画に係わらなければならない。都合の悪いことに、インスリンの投与と食事の摂取の間で行われ得る介在事象は予想されたグルコース逸脱に影響するものである。更にまた、投与されたインスリンがあまりに長い時間にわたって治療効果を与える場合には、例えば、食事の摂取の結果として起こる血糖値の上昇がすでに下がった後に、低血糖症の可能性もある。
糖尿病の慢性合併症に対する厳しい血糖コントロールの有益効果を示している研究にもかかわらず、臨床医は、特に疾患の初期段階においては、特に積極的なインスリン治療を切望せず、このことは臨床診療において広く受け入れられている。厳しい血糖コントロールを達成することの果たされていない挑戦は、部分的には、インスリン投与の用いうる皮下経路や低血糖症の恐れの欠点のためである。上で述べた複数の毎日の注射の実際的な限界に加えて、インスリン投与の一般に用いうる皮下経路の欠点により、糖尿病に伴う慢性合併症(共存症)の多くと関連していると考えられるたいていは不十分な血糖コントロールの結果となった。従って、徹底的なインスリン治療は糖尿病の合併症の多くを減少させることができるが、Diabetes Care, Volume 24, pp. 1711-21 (2001)に報告されるように、治療によって低血糖症のリスクが増大し、しばしば体重の増加が生じる。
更に、高インスリン血症(インスリンの高血中濃度)は、正常な生理的送達経路と一致しない場所(と方法)におけるインスリンの投与によって起こり得る。インスリンは遊離したモノマーとして血液中に循環し、その分布容量は細胞外液の容量に近い。空腹時条件下で、門脈血液中のインスリンの濃度は、例えば、約2-4ng/mlであるが、インスリンの全身系(末梢)濃度は、例えば、健常なヒトにおいては、約0.5ng/mlであり、例えば、5:1比になる。皮下注射によってインスリンを受けるヒト糖尿病患者においては、門脈と末端の比は約0.75:1に変わる。従って、このような糖尿病患者においては、肝臓は十分に血糖を制御するのに必要なインスリンの濃度を受けず、末梢循環は健康者において見出だされるより高濃度のインスリンに供される。インスリンの高全身系レベルにより、グルコース取込み、グリコーゲン合成、解糖、脂肪酸合成、コルチゾル合成、トリアシルグリセロール合成が増強され、グルコースの利用が結果として多くなるキー遺伝子の発現に至る。
インスリンの存在に対する生理反応の一態様は、筋肉と脂肪組織へのグルコース輸送の刺激である。高血糖症及び/又は高インスリン血症が糖尿病に関連がある血管疾患に関係することが報告された。血管系に対する障害は、微小血管合併症又は疾患、例えば、網膜症、神経障害(自律神経の機能障害、胃腸管や膀胱の機能異常、下肢の感覚の喪失になる)、腎症、又は大血管合併症又は疾患、例えば、心臓血管疾患等のような症状の隠れた理由であると考えられる。
インスリン送達の分野においては、複数の反復投与が患者の寿命全体にわたって毎日必要とされる場合、生理的臨床的活性を変えず且つ注射を必要としないインスリンの組成物を作成することが望ましい。インスリンの経口送達は、反復皮下注射をしばしば伴う不快を最小限又は除外することができることから、安全性や便利さを考慮した場合、特に望ましい投与経路である。インスリンの経口投与による門脈全身系循環において正常なインスリンレベルを模倣することは当該技術において果たされていない有意な目標であった。
インスリンの経口送達は、便利さ、承認、コンプライアンスの問題を越えて有利なものである。胃腸管に吸収されるインスリンは、膵臓によって分泌されるインスリンの生理学を模倣する。これは、どちらも門脈に放出され、末梢循環に送達される前に直接肝臓に運ばれるからである。門脈循環への吸収は、インスリン分泌を調節する末梢門脈インスリン勾配を維持する。肝臓を通るその第一通路においては、インスリンのおよそ60%が保持され代謝され、それによって要因が糖尿病における合併症と関連づけられる末梢高インスリン血症の発生率が低下する。
しかしながら、インスリンは、生体高分子の有効な経口ドラッグデリバリーシステムを設計する際に従来技術において直面した問題を例証している。胃腸管におけるインスリン吸収は、おそらくその分子の大きさや酵素分解のその影響されやすさによって妨げられる。インスリンの物理化学的性質や酵素消化のその影響されやすさによって、商業的に実行可能な経口又は代替のデリバリー系の設計が排除された。
Emisphere Technologies, Inc.は、経口投与後にインスリンが生体利用可能であり、生体活性であり、且つ十分な吸収と薬物動態学的/薬力学的性質を示して所望の治療効果を与えるように、即ち、血糖の減少を引き起こすように、経口投与可能である、例えば、胃腸管から十分な濃度で吸収されるインスリン組成物を開発した。これは、米国特許出願第10/237,138号、同第60/346,746号、同第60/347,312号、同第60/368,617号、同第60/374,979号、同第60/389,364号、同第60/438,195号、同第60/438,451号、同第60/438,444号、同第60/452,660号、同第60/488,465号、同第60/518,168号、同第60/535,091号、同第60/540,462号、国際特許出願第WO 03/057170号、同第WO 03/057650号、同第WO02/02509号、国際特許出願第PCT/US04/00273号に開示され、全てEmisphere Technologies, Inc.に譲渡され、全て本願明細書に含まれるものとする。
Emisphere Technologies, Inc.の新規なドラッグデリバリー技術は、"送達物質"と呼ばれる低分子量化合物の設計及び合成に基づいている。インスリンと処方される場合、好ましい実施態様においてはナトリウムN-[4-(4-クロロ-2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]ブチレート(4-CNAB)である送達物質がインスリンの胃腸の吸収を可能にする。この過程のメカニズムは4-CNABが非共有結合的にインスリンと相互作用し、吸収のために更に有利な物理化学的性質を生じることであると考えられる。胃腸の壁全体に、インスリンは、4-CNABから急速に分離し、その正常な薬理学的に活性な状態に戻る。4-CNABは、あらゆる固有の薬理活性を有することを意図せず、胃腸壁全体にインスリンの運搬を容易にすることによってインスリンの経口生体利用性を増強する働きをするだけである。インスリンの薬理学は、所望の治療効果であり、十分に特徴づけられるものである。
インスリン/4-CNABカプセルを、Emisphere Technologies, Inc.により、ラットとサルにおいて薬理学的スクリーニング、薬物動態学的プロファイルと代謝プロファイル、毒性評価を含む非臨床的プログラムで評価した。ラットとサルにおけるこれらの研究から、経口投与後に4-CNABが急速に吸収されること及び試験された範囲にわたって、4-CNABの投与量の増加と共にインスリン吸収が増強されることが示された。同様に、4-CNABの一定の経口投与量の場合、インスリンの投与量の増加と共にインスリン吸収が増強した。ラット及びサルにおける臨床前の薬物動態学的研究から、インスリンと4-CNABが共に経口投与後急速に吸収され排除されることが示された。受容体結合スクリーニング分析で、4-CNABがいかなる固有の薬理活性ももたず、インスリンの経口生体利用性に役立つだけに働くことが分かった。
単独で又はインスリンと組合わせて4-CNABの潜在的毒性を評価するためにラット及びサルにおいて毒物学研究も行われた。14日間経口再投与毒性研究に基づいて、NOAEL(No-Adverse Effect Level)は、スプラーグ-ドーリーラットにおいて500mg/kg、アカゲザルにおいて400mg/kgであると推定された。90日間経口再投与毒性研究においては、それぞれ250mg/kg及び600mg/kgのNOAELがラット及びサルにおいて観察された。4つの遺伝子毒性研究も4-CNABによって行われ、正の知見がなかった。開発的且つ再現性の毒物学研究は、まだ行われていない。
インスリン/4-CNABカプセルを、また、Emisphere Technologies, Inc.により、安全性、薬物動力学、薬力学、インスリンの吸収に対する食品の作用の臨床的研究において評価した。これらの研究においては、4-CNABは、糖尿病患者及び健康者における経口投与後にインスリンの胃腸の吸収を強化することが示された。インスリン/4-CNABカプセルの経口投与によってインスリンと4-CNAB双方の迅速な吸収が得られ(tmax〜20-30分間)、4-CNABと組合わせて経口的に吸収されたインスリンは、健康者と糖尿病患者における血糖の低下によって、また、糖尿病患者における食後のグルコース可動域の鈍化によって証明されるように、薬理学的に活性であった。これらの研究は、インスリン/4-CNABの製剤の経口投与が十分に許容され、健康者と糖尿病患者双方の血糖濃度を低下させることを示している。
従来の皮下インスリン投薬は自然の部位(門脈)からインスリンが体循環に入る位置を移動させるが、Emisphere Technologies, Inc.によって開発された経口服用法は自然の生理学を模倣すると考えられる。即ち、門脈循環と体循環のインスリンの濃度比は、正常な生理的な比、例えば、約2:1〜約6:1に近づく。この投薬経路の効果は2倍である。最初に、直接肝臓を目標とすることによって、グルコースのより大きな制御を達成することができる。最初に、直接肝臓を目標とすることによって、グルコースのより大きな制御を達成することができる。種々の研究から、インスリンの門脈内送達によって末梢の投与によって必要とされるより遅い注射速度でグルコースの匹敵する制御が得られることが示された。体循環に入る前にインスリンが実質的な(〜50%)初回通過代謝を受けることから、皮下の等価投与量と比較して低い血清濃度と全体曝露が達成される。このことは、対象外の組織に対するインスリンのあらゆる有害作用を軽減するものである。
従って、Emisphere Technologies, Inc.の経口インスリン配合物は、投与の容易さ、痛みのない投与、患者のコンプライアンス改善の可能性の利点以上に、現在技術水準である皮下に投与されたインスリンより有利である。皮下に投与されたインスリンが末梢から胃腸管と門脈に送達されるとともに皮下の間隙から大生体分子の吸収は、一般的にはさらに長期にわたることから、第一相インスリン応答は、皮下のインスリン投与によって十分に複製されない。本発明の経口インスリン配合物の投与により、膵臓によってインスリン分泌の第一(急性)相に生じるインスリンの血漿レベルは、GI管から急速な直接的な吸収によってシミュレーションされ得る。
正常な生理学においては、第一相インスリン分泌が食事の開始の5〜20分後に起こり、この作用は食事のグルコースホメオスタシスに対して周知の影響を有する。インスリン分泌の第一相は、持続期間が短いが、予め代謝事象(食事)まで肝臓を満たすのに重要な役割を有する。第一相インスリン分泌の消失は疾患の初期段階において2型糖尿病患者の固有の特徴であり、糖尿病前期患者状態で、即ち、グルコース耐性低下をもつ個体にも観察される。第一相インスリン分泌が存在しないとき、糖新生に対するグルカゴンの刺激作用が抑制されず、食事の高血糖症の発症に関与することができる。基礎状態と食事相においては、血漿グルコース濃度は肝臓グルコース排出量と相関している。それ故、食事摂取時の第一相インスリン分泌の回復は、食事の肝臓グルコース排出量を抑制しなければならず、続いて、血糖プロファイルを改善しなければならない。
この仮説を証明するためにいくつかの方法が着手された。しかしながら、治療法は、あまりに長期間治療に危険である(例えば、規則的なヒトインスリンの静脈内投与)か又は薬理学的に不適当であった(速効性のインスリン類似体)。更に、第一相インスリン応答の回復は、内在性インスリン分泌能力のほとんど又は全てを失った糖尿病の長期の病歴をもつ患者において難しいと考えられる。更に、ある種の短時間作用型インスリン製剤は、インスリンが血糖低下作用を与える速度であることから、インスリンの投与時間と食事の摂取の時間の間で、準臨床的な低血糖症からより更に望ましくない作用まで変動することができるレベルに血糖を下げることに関与する。
ヒトにおける一回量投与後の経口インスリン/4-CNABの作用の急速な発生及び短い持続期間は、経口インスリン/4-CNABが2型糖尿病をもつ被検者における第一相インスリン分泌の補充に十分適しているものであることを示している。以前の研究において、国際特許出願第PCT/US04/00273号に示されるように、2型糖尿病患者に、インスリン(300U)/4-CNAB(400mg)の一回量を就寝時に又は就寝直前に投与した。インスリン、C-ペプチド、及び空腹時血糖レベルにおける実質的な減少が観察された。HOMA-モデルによって評価されるように、インスリン感受性も著しく改善された。このことは、食事前のインスリン/4-CNABによる短期治療さえインスリン感受性、それにより、代謝制御を改善することができるものであることを示している。
それ故、以前に知られるより更に近く食事として投与される得るインスリン医薬組成物を提供すること及びグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者のためのインスリン治療用プロトコールであって、治療が、毎日複数回、例えば、食事時間に又はその直前に及び/又は就寝時に又はその直前に経口投与することができ、作用の持続期間が短く、患者のグルコース耐性、血糖コントロール、インスリン分泌能力及びインスリン感受性に対して持続効果が正で長いが、インスリン治療に通常関連がある低血糖症、高インスリン血症、体重増加のリスクを増大しない、前記プロトコールを提供することが望ましい。
本発明の目的は、現在の非経口インスリン治療より大きい又はそれには見られない患者に対する治療効果を与えるためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の他の目的は、患者のグルコース耐性と血糖コントロールに対して正の治療効果を与えるためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の目的は、患者のグルコース耐性と血糖コントロールに対して長い持続治療効果を与えるためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の他の目的は、糖負荷を処理する患者の内在性能力を改善するためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の目的は、更に、食事又は経口グルコース負荷試験のようなグルコース負荷後に測定された、改善されたグルコースプロファイル、グルコース可動域の減少又は血糖の減少AUCを患者に与えるためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の目的は、更に、治療を始める前の患者の自身のベースラインレベルと比較して空腹時血糖濃度の低下を患者に与えるためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の更に他の目的は、血清フルクトサミンレベルの低下を患者に与えるためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の更に他の目的は、患者の体のインスリン利用を改善するためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の更に他の目的は、患者のインスリン感受性を改善するためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の目的は、更に、患者の体のインスリン分泌能力を改善するためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の目的は、更に、非経口インスリン治療に現在見られる負の副作用なしでグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の他の目的は、低血糖症を引き起こさずにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の目的は、更に、高インスリン血症を引き起こさずにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の更に他の目的は、非経口インスリン治療に一般に伴う体重増加なしでグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の別の目的は、更に、現在のインスリン治療法において現在必要とされる血糖値の頻繁なモニタリングの必要を減少させるグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の他の目的は、グルコース耐性低下又は最も初期から最も後期の糖尿病をもつ患者に対する治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の目的は、更に、治療的インスリン治療の投与によってグルコース耐性低下又は糖尿病を逆転させる方法を提供することである。
本発明の他の目的は、スルホン尿素とインスリン増感剤により二回又は複数回の治療をできない患者に対して治療的インスリン治療を提供することである。
本発明の目的は、血流に治療的に有効な量でインスリン輸送を容易にするインスリン及び送達物質を含む経口投与のための医薬組成物であって、組成物が治療的に且つ急速に有効である、前記医薬組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、インスリン療法の治療に通常伴う低血糖症、高インスリン血症、及び体重増加のリスクなしで患者のグルコース耐性と血糖コントロールに対して長い持続する治療効果を与えるためにグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に経口投与するためのインスリン及び送達物質を含む治療的に有効な医薬組成物を提供することである。
本発明の目的は、更に、糖尿病の治療のために、グルコース耐性低下の治療のために、グルコースホメオスタシスを達成するために、初期糖尿病の治療のために、後期糖尿病の治療のために、血流に治療的に有効な量でインスリン輸送を容易にする及び/又はインスリン療法の治療に通常伴う低血糖症、高インスリン血症、体重増加のリスクなしで患者のグルコース耐性と血糖コントロールに対して長い持続効果を与えるためにI型糖尿病患者のための置換療法として役立つインスリン及び送達物質の経口投与用組成物を提供することである。
本発明の目的は、なお更に、哺乳動物においてグルコースホメオスタシスを達成するために、膵臓β-細胞機能を予防的に保全するために、β細胞死滅又は機能異常を予防するために、顕性又はインスリン依存性糖尿病を発症することから哺乳動物を長期間保護するために、グルコース耐性低下又は初期糖尿病をもつ哺乳動物において顕性又はインスリン依存性糖尿病の発症を遅延させるために、インスリンの慢性投与に伴う全身性の高インスリン血症又はインスリンの慢性投与に伴う1つ以上の病態の発生率及び/又は重篤度を低下させるために、グルコース耐性低下、初期糖尿病又は後期糖尿病をもつ哺乳動物を治療する方法を提供することである。
これらの、また、他の目的によれば、本発明は、グルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ哺乳動物を治療し、且つ哺乳動物においてグルコースホメオスタシスを達成する方法であって、インスリンを含む医薬配合物の治療的に有効な投与量を哺乳動物に経口的に投与し、哺乳動物が治療の前のベースラインレベルと比較して改良されたグルコース耐性及び血糖コントロールを達成することを含む、前記方法を提供する。
本発明は、また、グルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ哺乳動物を治療する方法であって、インスリンを含む医薬配合物の治療的に有効な投与量を哺乳動物に経口的に投与し、治療期間にわたって哺乳動物によるいかなる統計学的に有意な体重増加がなく治療より前のベースラインレベルと比較して哺乳動物が改良されたグルコース耐性及び血糖コントロールを達成することを含む、前記方法を提供する。
本発明は、また、グルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ哺乳動物を治療する方法であって、インスリンを含む医薬配合物の治療的に有効な投与量を哺乳動物に経口的に投与し、治療期間にわたって哺乳動物において低血糖症のいかなる統計学的に有意なリスクがなく治療より前のベースラインレベルと比較して哺乳動物が改良されたグルコース耐性及び血糖コントロールを達成することを含む、前記方法を提供する。
本発明は、また、グルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ哺乳動物を治療する方法であって、インスリンを含む医薬配合物の治療的に有効な投与量を哺乳動物に経口的に投与し、治療期間にわたって哺乳動物において高インスリン血症のいかなる統計学的に有意なリスクがなく治療より前のベースラインレベルと比較して哺乳動物が改良されたグルコース耐性及び血糖コントロールを達成することを含む、前記方法を提供する。
ある種の好適実施態様においては、グルコース負荷後で治療の前のベースライン血糖濃度と比較して統計学的に有意な量だけ低下する、糖負荷後の血糖濃度で測定されるように糖負荷を処理する哺乳動物の良好な内在性能力によってグルコース耐性の改善が示される。好ましくは、統計学的に有意な量は平均約10-20%、好ましくは約15%である。
ある種の好適実施態様においては、グルコース負荷後で治療前の血糖可動域のAUCと比較して統計学的に有意な量だけ低下する、グルコース負荷後の血糖可動域のAUCで測定されるように糖負荷を処理する哺乳動物の良好な内在性能力によってグルコース耐性改善が示される。好ましくは、統計学的に有意の量は、平均約10-30%、好ましくは約20%である。
ある種の好適実施態様においては、治療より前のベースライン空腹時血糖濃度と比較して統計学的に有意の量だけ低下する空腹時血糖濃度で測定されるように空腹時血糖レベルの低下によって血糖コントロールの改善が示される。好ましくは、統計学的に有意な量は、平均約10-30%、好ましくは約19%である。
ある種の好適実施態様においては、治療より前のベースライン血清フルクトサミンレベルと比較して統計学的に有意な量だけ低下する、血清フルクトサミン分析で測定されるように、血清フルクトサミンレベルの低下によって血糖コントロールの改善が示される。好ましくは、統計学的に有意な量は、平均約5-20%、好ましくは約9%である。
ある種の好適実施態様においては、治療前のベースラインレベルと比較して治療後のHbA1cレベルの改善によって血糖コントロールの改善が示される。好ましくは、HbA1cレベルの改善は、HbA1cレベルにおける統計学的に有意な低下によって測定される。更に好ましくは、本発明の医薬配合物の投与は、好ましくは、HbA1cレベルが治療前の正常から高いまでの範囲にあるグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ哺乳動物になされ得る。一実施態様においては、哺乳動物のHbA1cレベルは、治療前に好ましくは約8.0未満であってもよい。
ある種の好適実施態様においては、更に、治療期間にわたって哺乳動物の血糖濃度又はHbA1cレベルをモニタリングを必要とすることなく、グルコース耐性と血糖コントロールの改善が達成される。
ある種の好適実施態様においては、哺乳動物は、治療前のベースラインレベルと比較して治療の後にインスリン利用とインスリン感受性の改善を達成する。好ましくは、インスリン利用とインスリン感受性の改善はHOMA(ホメオスタシスモデル評価)における統計学的に有意な低下で測定される。
ある種の好適実施態様においては、哺乳動物は、治療前のベースラインレベルと比較して治療の後にインスリン分泌能力の改善を達成する。好ましくは、インスリン分泌能力の改善は、Stumvoll第一相インスリン分泌能力指標における統計学的に有意な低下によって測定される。
本発明は、また、部分的には、ヒト糖尿病患者に経口投与した後に血糖の治療的に有効な低下を達成し、且つ生理的な(門脈/末梢)勾配を維持するインスリンの投与量を含む経口固体剤形に関し、ある実施態様においては、門脈インスリン濃度と末梢血インスリン濃度約2.5: 1〜約6:1、好ましくは約4:1〜約5:1の比を提供する。
本発明は、更に、部分的には、インスリンの治療的に有効な量を含む経口剤形であって、前記剤形が糖尿病患者への食事前の経口投与時に前記患者における食事後の血糖濃度を治療せずに食後の血糖濃度と相対して経口投与後の最初時間又は又は皮下インスリン投与又は他の標準治療の用法後に低下させる、前記剤形に関する。
本発明は、更に、部分的には、インスリンの治療的に有効な量を含む経口剤形であって、前記経口剤形が食事前の経口投与時に、前記剤形の経口投与の約1/2時間以内に前記患者によって食事が食べられる場合、前記患者において平均ベースライン(絶食した)血漿グルコース濃度と相対して、経口投与後の最初時間の約40%を超える(更に好ましくは30%以下)だけ変動しない平均血漿グルコース濃度を与える、前記剤形に関する。
ある種の好適実施態様においては、本発明の経口インスリン配合物の投与によって、皮下注射を経て達成される末梢血インスリン曝露と比較して急性、亜急性、慢性条件下の末梢血液循環にインスリンの全体曝露が低くなりつつ(例えば、20%以上)、患者における皮下インスリン注射に匹敵するヒト糖尿病患者における血糖濃度の低下が達成される。
本発明は、グルコース耐性低下、初期糖尿病、後期糖尿病をもつ哺乳動物を治療する方法; グルコースホメオスタシスを達成する方法; インスリンの慢性投与を伴う全身性の高インスリン血症の発生率及び/又はひどさを低下させる方法を提供する。本発明もまた、インスリンの慢性投与を伴う一つ以上の疾病状態の発生率及び/又は重篤度を低下させる方法; グルコース耐性低下又は初期糖尿病を有する哺乳動物においてβ-細胞機能を予防的に保全するか又はβ-細胞死滅又は機能異常を予防する方法; グルコース耐性低下又は初期糖尿病をもつ哺乳動物において、顕性又はインスリン依存性糖尿病を発症することから長期保護する方法、又は顕性又はインスリン依存性糖尿病の発症を遅延させる方法を提供すると考えられる。
本発明の好適実施態様においては、かかる方法は、血糖及び血漿インスリン濃度の治療的に有効な低下を与え、皮下注入されたインスリンの治療的に等価な投与量によって得られる血漿インスリン濃度と相対して低下する血糖濃度及び血漿インスリン濃度の治療的に有効な低下及び/又は制御を与えるためにインスリン及び胃腸管からインスリンの吸収を容易にする送達物質を含む医薬配合物の治療的に有効な投与量を経口的に投与することを含んでいる。皮下インスリンを投与した患者において得られるインスリン濃度の定量は、当業者に周知である。
好適実施態様においては、医薬配合物の投与は、毎日複数回、好ましくは就寝時に、1日の時間での食前に、例えば、朝食、昼食、夕食の食前に行われる。更に好ましくは、医薬配合物の投与は、就寝時に又はその直前食事の摂取と同時に又はその直前、即ち、食事の摂取の約15分間以内である。
本発明の他の好適実施態様においては、経口医薬配合物は、1日約1回から1日約4回まで、食前に及び/又は就寝時に投与され、患者のグルコース耐性低下の程度や外因性血糖コントロールの要求に左右される。患者が空腹時血糖コントロールを必要とする場合には、経口医薬配合物は、就寝時に又はその直前にのみ投与される。患者が食後の血糖コントロールを必要とする場合には、経口医薬配合物は、全ての食事の食前に投与される。患者が包括的血糖コントロールを必要とする場合には、経口医薬配合物は、全ての食事の食前に、就寝時に又はその直前に投与される。
好ましくは、本発明の剤形は、少なくとも1日、更に好ましくは長期にわたって投与され、患者の寿命の間投与することができる。最も好ましくは、本発明の剤形は、長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間投与される。
好ましくは、本発明の治療的インスリン治療は、ある形のグルコース耐性低下を有する患者に投与される。このことは、前糖尿病患者や初期2型糖尿病患者において見られるインスリン抵抗性から1型糖尿病や後期2型糖尿病患者において見られる膵臓によるインスリン産生不全まで及ぶことができる。ある実施態様においては、患者の体のインスリン利用又はインスリン感受性の得られた改善は、HOMA(ホメオスタシスモデル評価)で測定される。ある実施態様においては、患者の体のインスリン分泌能力の得られた改善は、Stumvoll第一相インスリン分泌能力指標で測定される。
更に、本発明の治療的インスリン治療は、正常から高レベルの範囲にあるHbA1cをもつ哺乳動物に投与することができる。更に詳細には、治療は、正常な血糖コントロールから後期2型糖尿病又は1型糖尿病に対する血糖コントロール障害の範囲の誰にでも投与することができる。ある実施態様においては、患者の体における血糖コントロールの得られた改善は、血清フルクトサミン濃度低下によって測定される。好ましくは、平均的低下は、本発明のよる治療の少なくとも2週間後に約8.8%である。
上記本発明の経口剤形の好適実施態様においては、経口剤形は、固体であり、好ましくは、ゼラチンカプセルの中に取込まれたものであるか又は錠剤中に含有されている。
ある種の好適実施態様においては、1種以上の剤形に含有される修飾されていないインスリンの投与量は、1mgにつき26.11単位の力価の容認された変換に基づいて約50単位〜約600単位(約2〜約23mg)、好ましくは約100単位(3.8mg)〜約450単位(15.3mg)インスリン、更に好ましくは約200単位(7.66mg)〜約350単位(13.4mg)、更に好ましくは約300単位(11.5mg)である。
ある本発明の好適実施態様においては、剤形は、門脈を経て(胃腸管の粘膜による吸収を経て)体循環にインスリンを送達し始め、約30分間以内にピークレベルを達成する。
ある種の好適実施態様においては、本発明の剤形は、糖尿病患者に経口投与した約5分〜約30分後、更に好ましくは約10分〜約25分後にインスリンのtmaxを与える。本発明のある種の好適実施態様においては、剤形は、体循環にインスリンを送達し始めて経口投与後約10〜約20分でピークの血漿インスリン濃度を生じ、好適実施態様においては、更に、食事の摂取の約0又は約10分前に投薬を摂取した患者に経口投与後約10分〜約15分にピークの血漿インスリン濃度を生じる。
本発明は、また、部分的には、食事時間に又はその直前に錠剤形でヒト糖尿病患者に経口投与した後に食後血糖の治療的に有効な制御を達成する修飾されていないインスリンの投与量を含む経口剤形であって、経口固体剤形が前記患者に経口投与した約10分〜約15分の時点でインスリンtmaxを与え、前記インスリン投与量によって引き起こされる少なくとも約30%の血糖濃度低下が前記剤形の経口投与の約1時間以内に生じる、前記経口剤形に関する。本発明の好適実施態様においては、経口剤形は錠剤である。
ある種の好適実施態様においては、組成物は、経口投与後、約0.25〜約1.5時間、更に好ましくは約0.75〜約1.25時間でグルコース可動域の最大制御のtmaxを与える。ある種の好適実施態様においては、食後グルコース制御のtmaxは、組成物の経口投与の後、好ましくは約120分以内に、更に好ましくは約80分以内に、なお更に好ましくは約45分〜約60分に生じる。
ある種の好適実施態様においては、1つ以上の剤形に含有される医薬組成物は、約5mg〜約800mgの送達物質、好ましくは約20mg〜約600mg、更に好ましくは約30mg〜約400mg、更に好ましくは約40mg〜約200mg、最も好ましくは約40mg、80mg又は160mgを含んでいる。ある実施態様においては、組成物は、約3,000〜約15,000ng/mlのピークの血漿送達物質濃度Cmax、約10分〜約35分にtmaxを与える。更に好ましくは、組成物は、経口投与後の約15分〜約35分以内に、更に好ましくは食物を与えた糖尿病患者に経口投与した後の約20分以内にピークの血漿送達物質濃度を与える。
本発明のために好ましい送達物質は、化学命名法によって4-[(4-クロロ,2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]ブタン酸として同定される。ある種の好ましい実施態様においては、送達物質は、ナトリウム塩、好ましくは一ナトリウム塩である。或はまた、同じ化合物が代替命名法一ナトリウムN-(4-クロロサリチロイル)-4-アミノ酪酸塩によって、又は短い名前"4-CNAB"によって同定される。
下記用語は、以下で定義されるように適用全体で用いられる。
患者は、求められるあらゆる哺乳動物を意味する。
糖尿病患者は、診断されたか又は診断未確定の糖尿病前症又は糖尿病の様態をもつ、及び/又は抗糖尿病薬および/またはインスリン治療に応答する症状をもつ哺乳動物を意味する。
哺乳動物は、齧歯動物、水生哺乳動物、家畜、例えば、イヌやネコ、農場の動物、例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、及び好ましくはヒトを含むが、これらに限定されるものではない。
糖尿病又は真性糖尿病は、特にことわらない限り、1型及び2型の糖尿病を包含すると考えられる。
顕性糖尿病は、インスリン依存性である1型及び2型糖尿病を包含すると考えられる。
初期糖尿病は、血糖コントロール障害、治療のない状態を意味し、ここで、膵臓の膵島細胞の機能はなお存在するが、グルコース耐性低下(IGT)及び空腹時血糖障害(IFG)も含む損傷状態状態で存在する。例えば、患者の内在性インスリン産生は、食事の摂取後に第一相インスリン応答を示すには不十分であるが、食事の摂取後に第二相インスリン応答を示すには十分である。
後期糖尿病は血糖コントロール障害、治療のない状態を意味し、ここで、膵臓の膵島細胞は、全体の不全に近くなっているか又は到達している。例えば、患者の内在性インスリン産生は、食事の摂取後に第一又は第二相インスリン応答を示すには不十分である。
糖尿病に関して本明細書に用いられる場合の治療は、特にことわらない限り、糖尿病の予防、糖尿病の発症の遅延、糖尿病の状態の悪化する遅延、糖尿病の初期から糖尿病の後期への進行の遅延を含むと考えられる。
送達物質は、治療剤の経口送達に有効である担体化合物又はキャリア分子を意味し、"キャリヤ"と同じ意味で用いることができる。
インスリンの治療的に有効な量は、投薬間隔の間に絶食の状態で又は有効な摂食した状態で、ヒト糖尿病患者における血糖濃度の臨床的に関連した制御を達成するために十分である本発明の剤形に含まれるインスリンの量を意味する。
送達物質の有効な量は、薬物動態学的及び/又は薬力学的終点の測定によって経口投与後に薬剤を送達するために示された送達物質の量を意味する。
有機溶媒は、液状ポリマーとその混合液を含む、非水由来のあらゆる溶媒を意味する。本発明に適している有機溶媒は、セトン、メチルアルコール、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、1-プロパノール、イソプロパノール、2-プロパノール、アセトニトリル、1-ブタノール、2‐ブタノール、エチルアルコール、シクロヘキサン、ジオキサン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジクロロエタン、ヘキサン、イソオクタン、塩化メチレン、tert-ブチルアルコール、トルエン、四塩化炭素、又はその組合わせを含んでいる。
ペプチドは、低〜中分子量のポリペプチド、通常は2以上のアミノ酸残基を意味し、しばしばであるが、必ずでなく更に大きいタンパク質の断片である。
タンパク質は、炭素、水素、酸素、窒素及び通常はイオウを含有する複雑な高重合体を意味し、ペプチド結合によって結合したアミノ酸の鎖から構成される。本出願におけるタンパク質は、糖蛋白質、抗体、非酵素タンパク質、酵素、ホルモン、タンパク質のサブユニット、例えば、ペプチドを意味する。タンパク質の分子量範囲は、1000ダルトンのペプチドから600〜1000キロダルトンの糖蛋白質までを含んでいる。
再構成は、組成物の溶解又は適切な緩衝液中の組成物又は医薬組成物を意味する。
単位投与形態は、ヒトや動物の被検者に適し、当該技術において既知である個々に包装された、物理的に分離した単位を意味する。インスリンの治療的に有効な量を含む本発明の剤形が、治療効果を達成する1種以上の単位投与量(例えば、錠剤、カプセル、粉末、半固体(例えば、ゲルカップ又はフィルム)、経口投与のための液体、注射用アンプル又はバイアル、充填した注射器を含むことができることが本発明のために企図される。剤形の好ましい一実施例が経口剤形であることが本発明のために更に企図される。
“多回投与"という用語は、患者が薬剤組成物の少なくとも2つの投与量をその組成物の投薬間隔に従って投与されたことを意味する。
“一回量"という用語は、患者が薬剤組成物の一回量を投与されたこと又は反復一回量が中間のウオッシュアウト期間において投与されたことを意味する。
特に“一回量"として又は“定常状態"で示されない限り、本明細書に開示され特許請求されたファーマコキネティックパラメータは一回量と複数回投与量双方の条件を包含する。
修飾されていないインスリンは、あらゆる薬学的に許容しうる方法で又は米国特許第6,309,633号に記載されるようなオリゴマーと結合されていない及び/又は米国特許第5,359,030号; 同第5,438,040号; 及び/又は同第5,681,811号に記載されるような両親媒性修飾に供されていないあらゆる薬学的に許容しうる原料から調製されるインスリンを意味し、これらの特許は全体として本願明細書に含まれるものとする。
本明細書に用いられる“等価治療的に有効な低下"語句は、インスリン投与の第一方法によって(例えば、患者におけるインスリンの経口投与によって)達成された血糖濃度の最大の低下と、第二方法(例えば、皮下注射)による投与の後の血糖濃度の最大の低下との違いが、同じ患者又は同じ血糖値の低下を必要としている異なる患者において20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下であることを意味する。語句は、また、あらゆる投与方法による近似の正常血糖に必要とされる投与量を意味してもよく、正常血糖は、絶食した状態において、20%以下、好ましくは10%、更に好ましくは5%の被検者のベースライン血糖からの変動として定義される。
“食事"という用語は、標準ADA及び/又は混合食事を意味する。
“平均"という用語は、薬物動態学的値に先行する場合(例えば、平均tmax)、特に明記しない限り薬物動態値の算術平均値を示す。
“平均ベースラインレベル"は、例えば、単一臨床実験又は1を超える臨床実験の組合わせ全体で統計学的に有意な数の被検者の平均値である比較の根拠として用いられるある種の値の測定、計算又はレベルを意味する。
本明細書に用いられる“Cmax"という用語は、投薬間隔内で観察される薬剤の最高血漿濃度である。
本明細書に用いられる“tmax"という用語は、Cmaxが観察される投与後の時間である。
本明細書に用いられる“AUC"という用語は、完了する試料収集間隔に対する台形規則によって算出される血漿濃度-時間曲線の下での領域を意味する。
本明細書に用いられる“AUC(0-last)"という用語は、時間ゼロ(投薬)から最後の定量化可能な濃度の投薬後の時間までの線状の台形の和を用いた血漿濃度-時間曲線の下での面積を意味する。
本明細書に用いられる用語“AUC(0-t)"は、時間ゼロ(投薬)から時間t 投薬後までの線状の台形の和を用いた血漿濃度-時間曲線の下での面積を意味し、tがあらゆる定量化可能な時間位置である。
本明細書に用いられる“AUC(0-inf)"という用語は、時間ゼロ(投薬)から無限までの血漿濃度-時間曲線の下での面積の評価を意味する。
本明細書に用いられる“CL/F"という用語は、絶対生体利用性のために補正されていない投与量/AUC(0-inf)として算出された見かけの全身クリアランスを意味する。
本明細書に用いられる“Vd/F"という用語は、絶対生体利用性のために補正されていない(CL/F)/Kel"として算出された見かけの分配容量を意味する。
本明細書に用いられる“Eb"という用語は、低血糖症のための介入の前の観察された最大効果(ベースラインが差し引かれた)を意味する。
本明細書に用いられる“Emax"という用語は、観察された最大効果(ベースラインが差し引かれた)を意味する。
Kelは、濃度と時間の対数曲線の末端直線部の直線回帰によって算出される末端排出速度定数である。
本明細書に用いられる“t1/2"という用語は、ln(2)/Kelとして算出される末端半減期を意味する。
本明細書に用いられる“BMI"という用語は、mの高さの二乗で割ったkgの質量として算出されたボディーマスインデックスを意味する。
本明細書に用いられる"生体利用性"という用語は、薬剤又は物質は、体内の治療部位に吸収されるか或いは利用できる程度又は比率(%)を意味する。これは、下記式によって算出される。
相対生体利用性(%)= (SC投与量)/(経口投与量)×(経口AUC)/(SC AUC)×100
本明細書に用いられる"生物作用能"という用語は、薬剤又は物質は、体内の治療部位に有効である程度又は比率(%)を意味する。これは下記式によって算出される。
相対生物作用能(%)= (SC投与量)/(経口投与量)×(経口AUC)/(SC AUC)×100
本明細書に用いられる“夜間"又は“就寝"という用語は、患者が眠る前の時間を意味し、クロックタイム又は明暗のサイクルに限定されず、代わりとして最も長い絶食の日中又は夜間の時間、外部グルコース供給源のない期間を意味する。
本明細書のために、本明細書に用いられる"夜間に"又は"就寝時に又は直前に(前に)"投与したという語句は、長時間の睡眠、又は相対的な物理的及び/又は精神的不活動で、間断ない、例えば、一晩の約3時間前までに、好ましくは約2時間前まで、更に好ましくは約1時間前までに投与されることを意味する。一晩は、典型的には、午後(p.m.)の時間から午前(a.m.)時間までを意味するが、人が彼/彼女の必要な睡眠時間を得る睡眠覚醒サイクルのあらゆる時間を意味することができる。本明細書のために、投与は、また、その日の最後の食事の少なくとも約1時間後、好ましくは少なくとも約1.5時間後、更に好ましくは少なくとも約2時間後、なお更に好ましくは少なくとも約2〜約3時間後でなければならない。
本明細書のために、本明細書に用いられる“食事中に"又は“食事の摂取時に又はその直前に(前に)"投与されるという語句は、食事の前の約30分間以内に投与されることを意味する。本明細書のために、投与は、食事の摂取の好ましくは約25分以内、更に好ましくは約20分以内、また更に好ましくは約15分以内、なお更に好ましくは約10分以内、更に好ましくは更に約5分以内であり、最も好ましくは食事の摂取と同時に(約0分間以内に)投与される。
本明細書に用いられ、添えられた特許請求の範囲における、名詞の単数形は、文脈が明らかに示されない限り、複数の対象を含んでいる。従って、例えば、“分子"に対する指示はそのような分子の1種以上を含み、"試薬"はそのような異なる試薬の1種以上を含み、"抗体"に対する指示はそのような異なる抗体の1種以上を含み、“方法"に対する指示は本明細書に記載される方法を修飾又は置換することができる当業者に既知の等価ステップや方法に対する指示を含んでいる。
特に定義されない限り、本明細書に用いられる全ての専門用語や科学用語は本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同様の意味を有する。本明細書に記載される類似の又は等価ないかなる方法、組成物、試薬、細胞も本発明の実施又は試験において使用し得るが、好ましい方法及び材料が本明細書に記載されている。文献が共に引用しているた個々の情報を記載し開示している、全ての図、グラフ、式、具体例、及び図面を含む本明細書に言及された全ての参考文献の記載は、本願明細書に含まれるものとする。
上記参考文献は、本出願の出願日前の開示だけが示されている。本発明が従来の発明によってこのような開示に先だつ権利を与えられないことを容認するものとして解釈すべきものはその中にはなにもない。本説明の全体にわたって、示される好ましい実施態様と実施例は本発明に対する制限でなく典型としてみなされるべきである。
図1〜図8は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図である。
図9〜図11は、1016p-実験175A-C-07(Hadassah III)夜間錠剤からの図である。
図12〜図46は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図である。
図47〜図59Bは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図である。
インスリンが血流に入ると血糖値の低下が生じることから、組成物の経口投与後の被検者の血糖に対する影響を観察することによってインスリンの経口吸収を証明することができる。本発明の好ましい実施態様においては、本発明の経口投与形態はインスリンの経口送達を容易にし、インスリンが血流に吸収された後、組成物により経口投与の約5〜約60分後の治療された2型糖尿病患者において血糖の最大低下が生じる。本発明の他の実施態様においては、医薬組成物により経口投与の約10〜約50分後の治療された2型糖尿病患者において血糖の最大低下が生じる。更に詳細には、医薬組成物により経口投与後の約20〜約40分以内に治療された2型糖尿病患者において血糖の最大低下が生じる。
胃腸管に入った後に血流に吸収されたインスリンによって生じた血糖の低下の大きさは、インスリンの投与量によって変動する。本発明のある実施態様においては、2型糖尿病の糖尿病患者は、経口投与の1時間以内に少なくとも10%だけ血糖の最大低下を示す。他の実施態様においては、2型糖尿病の糖尿病患者は、経口投与後1時間以内に少なくとも20%、或いは、経口投与の1時間以内に少なくとも30%だけ血糖の最大低下を示す。
血糖の正常なレベルは、1日の全体にわたって、また、最後の食事からの時間に相対して変動する。本発明の1つの目標は、24時間の1日のサイクルの全体にわたって血糖の正常なレベル近くに達成することを促進するインスリンの経口組成物を提供することである。本発明の好ましい実施態様においては、医薬組成物は、活性薬剤としてインスリン又はインスリン類似体及び送達物質を約90〜約115mg/dlの空腹時血糖濃度を達成するのに有効な量で含んでいる。他の本発明の好ましい実施態様においては、医薬組成物は、活性薬剤としてインスリン又はインスリン類似体及び送達剤を約95〜約110mg/dlの空腹時血糖濃度を達成するのに有効な量で含んでいる。更に好ましくは、被検者が約100mg/dlに空腹時血糖濃度を示すものである。
食事が消費された後の時間において、食べた食品から得られる炭水化物の血流への消化と吸収に応答して血糖濃度が上昇する。本発明は、非常に高レベルの血糖を到達及び/又は持続されることから予防又は制御するインスリンの経口組成物を提供する。更に詳細には、本発明は、食事が消費された後、即ち、食後に正常レベルの血糖の達成を容易にする組成物を提供する。本発明の好ましい実施態様においては、医薬組成物は、活性薬剤としてインスリン及び送達剤を約130〜約190mg/dlの食後血糖濃度を達成するのに有効な量で含む。本発明の他の好ましい実施態様においては、医薬組成物は、活性薬剤としてインスリン又はインスリン類似体及び送達物質を約150〜約180mg/dlの食後血糖濃度を達成するのに有効な量で含んでいる。更に好ましくは、被検者が約175mg/dl未満に空腹時血糖濃度を示すものである。
本発明は、活性薬剤としてインスリン又はインスリン類似体及び送達剤を約90〜約125mg/dlの食事前(食事が消費される前に)血糖濃度を達成するのに有効な量で含む経口投与用医薬組成物を提供する。好適実施態様においては、本発明は、活性薬剤としてインスリン又はインスリン類似体及び送達剤物質を約100〜約115mg/dlの食前血糖濃度を達成するのに有効な量で含む経口投与用医薬組成物を提供する。
本発明は、活性薬剤としてインスリン及び送達物質を約70〜約120mg/dlの午後の間の正常範囲内の血糖濃度を達成するのに有効な量で含む経口投与用医薬組成物を提供する。好適実施態様においては、本発明は、活性薬剤としてインスリン又はインスリン類似体及び送達物質を約80〜約120mg/dlの就寝後に約4時間に血糖濃度を達成するのに有効な量で含む経口投与用医薬組成物を提供する。
一般に、本発明は、インスリンと、及びインスリンが生体利用性且つ生物作用能であるようにインスリンを投与するために有効な医薬組成物を投与する方法を提供する。送達物質は、インスリンが胃の粘膜で経口的に吸収されることを可能にし、それとともに(同じ剤形でか又は、同時にそれとともに)、又は、順次(送達物質とインスリンが同時に同じ場所、例えば、胃に共に供給する時間内で投与される限り、いずれの順序でも)投与されるインスリンの吸収を容易にする。本発明の医薬組成物の経口投与後、送達物質が胃腸管の粘膜バリヤを通過し、被検者の血漿及び/又は血液において検出され得る血流に吸収される。血漿及び/又は血液において測定される血流中の送達物質のレベルは用量依存である。
本発明によって、ヒト糖尿病患者に近い門脈(修飾されていない)インスリン濃度と全身系(修飾されていない)インスリン濃度との比は、健常なヒトにおいて得られる比に近い。本発明の経口投与形態の長期投与によって、皮下投与されるインスリンの等効果的投与量で得られる(即ち、血糖値の類似した制御を与える)ものより時間が経つにつれて門脈インスリン濃度が高くなり、全身系インスリン濃度が低くなる。本発明のインスリンの経口投与によって起こることができるインスリンレベルにおける一時的なピークは、血管疾患と関連していると考えられない。
インスリンの等価有効な皮下投与量の代わりに本発明の経口投与形態の長期投与によって、低いレベルの高インスリン血症が得られる。例えば、全身性インスリン濃度は、インスリンの同等に有効な皮下投与量と比較した場合に少なくとも約20%より低い。それ故、本発明は、インスリンの長期投与に伴う全身性高インスリン血症の発生率及び/又は重篤度を低下させる方法を提供し、本発明は、また、インスリンの長期投与に伴う1種以上の病態の発生率及び/又は重篤度を低下させる方法を提供すると考えられる。
本発明の経口投与形態の長期投与によって、患者は、治療期間にわたっていかなる統計学的に有意な体重の増加も、低血糖症のリスク又は高インスリン血症のリスクさえもなく治療前のベースラインレベルと比較してグルコース耐性と血糖コントロールの改善を達成する。更に、本発明の経口投与形態の長期投与によって、患者は、治療前のベースラインレベルと比較して改善されたインスリン利用、インスリン感受性インスリン分泌能力及びHbA1cレベルを達成する。
また、グルコース耐性低下又は初期糖尿病をもつ哺乳動物において内在性インスリン産生を置き換える本発明の経口投与形態の長期投与によって、哺乳動物のβ-細胞の機能が予防的に保全されることになるか又は哺乳動物のβ-細胞の死滅又は機能異常が予防され、それによって、顕性又はインスリン依存性糖尿病を発症することから哺乳動物に長期保護を与えるか又は哺乳動物において顕性又はインスリン依存性糖尿病の発症を遅延させると考えられる。
本発明の好ましい医薬組成物は、当業者によって理解されるようにインスリンと送達物質の組み合わせを適切な医薬担体又は賦形剤において含んでいる。医薬組成物の送達手段は、例えば、被検者に投与するのに適したカプセル、圧縮錠剤、丸剤、溶液、すぐに再構成できる凍結乾燥粉末又は懸濁液であり得る。
従つて、本発明のある種の好ましい実施態様においては、本発明の経口インスリン配合物は食事時間に、好ましくは食事の摂取のすぐ前に(例えば、約10-30分間前に)患者に投与することができ、食事から得られたピークの血糖濃度の時間に又はその前後にピーク血漿インスリン濃度が達成される。ある種の好ましい実施例において更に利点として、比較的短時間作用性インスリン(例えば、付属の実施例において報告される臨実験において投与されるカプセルを調製するために用いられるインスリンのような)の投与によって、更に、本発明のインスリン配合物の経口投与後の約4時間以内(好ましくは約3時間以内)にベースラインレベルに戻っている血漿インスリンレベルに結果としてなる。
本明細書に用いられる"インスリン"は、種々の原料からのインスリンを意味する。天然に存在するインスリンや構造的に類似した生物活性等価物(短い作用を含むインスリン類似体や長引いた作用を有する類似体)が使用し得る。本発明で有効なインスリンは、天然源、例えば、哺乳動物の異なる種から単離することによって得ることができる。例えば、ウシ又はブタの膵臓から抽出される動物インスリン製剤が使用し得る。インスリン類似体、断片、ミメティクスこれらの化合物、誘導体及びその生物学的等価性のポリエチレングリコール(PEG)修飾誘導体もまた、本発明において使用し得る。
本発明に用いられるインスリンは、ペプチド合成のようなタンパク質化学法を用いて化学合成することにより又は細菌細胞又は真核細胞において組換えインスリンを生産するために分子生物学の手法を用いることにより得ることができる。インスリンの物理的形態は、結晶性及び/又はアモルファス固体形態を含むことができる。更に、溶解されたインスリンは用いることができる。インスリンの合成形態を含むがこれに限定されないインスリンの他の適切な形態は、米国特許第4,421,685号、同第5,474,978号、及び同第5,534,488号に記載され、それぞれの開示は、本願明細書に全体で含まれるものとする。
本発明の医薬組成物及び方法に有効な最も好ましいインスリンは、亜鉛、ナトリウム、カルシウム、アンモニウム又はそのあらゆる組合わせを含む対イオンを任意に有するヒト組換えインスリンである。ヒト組換えインスリンは、当該技術において周知である遺伝子工学技術を用いて調製することができる。組換えインスリンは、細菌又は真核細胞で生産することができる。ヒト組換えインスリンの機能的等価物もまた、本発明に有効である。組換えヒトインスリンは、種々の商業的原料から得ることができる。例えば、インスリン(亜鉛、ヒト組換え体)は、Calbiochem(サンディエゴ、カリフォルニア州)から購入することができる。或はまた、ヒト組換え亜鉛インスリン結晶: Proinsulin Derived(組み換えDNA由来)USP Qualityは、Eli Lilly & Company(インディアナポリス、インディアナ州)から入手することができる。インスリン類似体を含むインスリンの全てのこのような形態(Insulin Lispro、Insulin Aspart、Insulin Glargine、Insulin Detemirを含むがこれらに限定されない)は本明細書のために考えられ、添付の特許請求の範囲は"インスリン"という用語によって包含されるとみなされる。本発明は、また、ヒトにおけるインスリンの経口投与用薬剤として組換えヒト亜鉛インスリンと送達物質の組成物を提供する。
本発明の他の好ましい実施態様においては、インスリンは、修飾インスリン、例えば、米国特許第6,309,633号に記載されるようなオリゴマーと結合したもの及び/又は米国特許第5,359,030号; 同第5,438,040号;及び/又は同第5,681,811号に記載されるような両親媒性修飾に供されないものである。結合(修飾)インスリンは、上記インスリンのあらゆる種類に加えて又は存在しないときに、また、他のインスリン類似体とともに本発明の経口製剤に取り込むことができる。このような実施態様においては、経口製剤は、胃腸管から前記インスリンの吸収を容易にする薬学的に許容しうる送達物質を含む又は含まない修飾インスリンを含んでいる。
用いるべきインスリンの合計量は、当業者によって決定することができる。経口剤形は、修飾されていないインスリンの治療的に有効な量、即ち、薬理学的又は生物学的に有効な量、又はインスリンの用途を達成するために有効な量を含むことが好ましい。投与されるインスリンの投与量は、好ましくは、経口投与時に、健常な被検者において血糖値における測定できる統計学的に有意な低下を生じる量でなければならない。
しかしながら、投薬単位形が多数の送達物質/生物学的又は化学的に活性な薬剤の組成物を含有することができ、又は分割された薬理学的又は生物学的に有効な量を含有することもできることから、組成物が投薬単位形、例えば、錠剤に用いられる場合、薬理学的又は生物学的に有効な量未満の量があり得る。そのとき、全有効量は、全体として、生物学的又は薬理学的に活性な薬剤の薬理学的、生物学的又は化学的に活性な薬剤を含有する累積した単位で投与することができる。
ここで開示された送達物質の使用がインスリンの極めて効率的な送達を与えることがわかった。本明細書に記載される送達物質と組み合わせて投与される場合に好ましいインスリン投与量は、1mgにつき26.11単位の倍率の容認された変換に基づいて、約50〜約600のインスリン単位USP(約2〜約23mg)、好ましくは約100単位(3.8mg)〜約450単位(15.3mg)、更に好ましくは約200単位(7.66mg)〜約350単位(13.4mg)、なお更に好ましくは約300単位(11.5mg)である。
現在、異なる長さの活性(活性プロファイル)を与えるために、しばしば短いか又は急速な活性(例えば、注射用の結晶性亜鉛レギュラーインスリン溶液; セミレンテインスリン(速効型インスリン亜鉛懸濁液); 中間の活性(例えば、NPH(イソフェンインスリン懸濁液; レンテ(インスリン亜鉛懸濁液; レンテは、酢酸緩衝液中結晶化(ウルトラレンテ)インスリンとアモルファス(セミレンテ)インスリンの混合物である); 及び緩慢な活性(ウルトラレンテ、持続型インスリン亜鉛懸濁液である; プロタミン亜鉛)からの範囲にあるインスリンと投与された成分による、典型的な皮下投与インスリン製剤の異なる形が開発されている。米国において市販されている短時間作用性インスリン製剤は、レギュラーインスリンや速効作用性インスリンを含んでいる。レギュラーインスリンの作用発生は30-60分間、効果のピーク時間は1.5〜2時間、活性の持続期間は5〜12時間である。速効作用性インスリン、例えば、アスパルト(Humalog(登録商標))/lispro(Novolog(登録商標))の、作用発生は10-30分間、効果のピーク時間は30-60分間、活性の持続期間は3〜5時間である。中間の時間作用性インスリン、例えば、NPH(中性プロタミンハーゲドーン)やレンテインスリン(インスリン亜鉛懸濁液)の作用発生は1-2時間、効果のピーク時間は4〜8時間、活性の持続期間は10〜20時間である。長時間作用性インスリンの場合、ウルトラレンテインスリンの作用発生は2-4時間、効果のピーク時間は8-20時間、活性の持続期間は16〜24時間であり、グラルギンインスリンの作用発生は、作用の持続期間は24時間であるが効果のピークはない。
世界で入手できる個々のインスリン製剤は180を超える。これらの約25%は、可溶性インスリン(修飾されていない形)であり; 約35%は、基礎インスリン(NPH又はレンテインスリン、高pI、又は等電点(インスリングラルギン)、又はアシル化(インスリンデテミル)と混合; これらの形は可溶性インスリン相対して溶解性が低く、皮下吸収が緩慢で、作用の持続期間が長い)であり; 約2%は、速効作用性インスリン(例えば、アミノ酸の変化によって巧みに処理され、自己会合が低く、皮下吸収が増大している)である; 約38%は、予め混合されたインスリン(例えば、NPH/可溶性/速効作用性インスリン; これらの製剤の利点は、例えば、1日の注射の回数が少ない)である。多くの場合、糖尿病の処置においてインスリンを用いる用法は、長時間作用性インスリンと短時間作用性インスリンの組合わせである。
本発明の経口インスリン配合物は、インスリンを、好ましくは胃腸管から前記インスリンの吸収を容易にする薬学的に許容しうる送達物質と共に含み、糖尿病患者において有効な基礎インスリンレベルを与えるために、上記のように、速効作用、中間の作用及び/又は遅延作用を有するインスリンを含む併用療法において利用することができることが企図される。インスリンの作用速度は、その溶解性によって、及び/又はその半減期等によってもたらされるものである。従って、代替実施態様においては、本発明の経口製剤は、例えば、皮下投与されたNPHインスリンにおいて見られる中間の活性、又はプロタミン亜鉛インスリンにおいて見られる緩慢な作用を与えるように設計されるものである。各場合においては、好ましくは、インスリンの吸収を容易にする薬学的に許容しうる送達物質を含む(本願明細書に記載されるように)本発明の経口製剤は、時間が異なり血漿グルコース時間曲線が異なるにもかかわらず、血糖値の有効な制御を与える。
中間の時間作用性インスリンと長時間作用性インスリンは、正常な膵臓によって生じるインスリンの緩慢な安定した(基礎)分泌と同様に、連続レベルのインスリンを与えるために当業者に既知の方法を用いて調製することができる。例えば、Aventis Pharmaceuticals Inc.製のLantus(登録商標)は、長時間作用性非経口血糖低下剤である組換えヒトインスリン類似体であり、作用の長い持続期間(最高24時間)は、その緩慢な吸収速度に直接関連がある。Lantus(登録商標)は、1日に一度、好ましくは就寝時に皮下に投与され、正常な膵臓によって生じるインスリンの緩慢な安定した(基礎)分泌と同様に、連続レベルのインスリンを与えると言われる。かかる長時間作用性インスリンの活性によって、はっきりしたピークなしで、24時間にわたって比較的一定の濃度/時間プロファイルが生じるので、患者の基礎インスリンとして1日に一度投与されることを可能にする。かかる長時間作用性インスリンは、投与される場合にインスリンに添加することによってではなく、その化学組成物によって長時間の効果を有する。
好適実施態様においては、長時間作用性インスリンを含む医薬配合物の投与は1日に一、二度である。好適実施態様においては、短時間作用性インスリン効果を与える剤形の投与は毎日、1回、2回、3回、4回又は4回を超えることができ、夜間、朝及び/又は食前であり得る。更に好適実施態様においては、剤形の投与は、好ましくは夜間又は朝と食前に3回であり、更に好ましくは夜間と朝食、昼食及び夕食の食前である。好ましくは、インスリン配合物はかかるヒト患者に長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間投与される。
本発明の他の実施態様においては、経口製剤は、米国特許第6,309,633号に記載された及び/又は米国特許第5,359,030号; 同第5,438,040号; 及び/又は同第5,681,811号に記載されるような両親媒性変性に供されていないオリゴマーと結合したインスリンを含んでいる。結合(変性)インスリンは、上記インスリンの種類のいずれかに加えて又は不在下に、他のインスリン類似体と共に本発明の経口製剤に組込むことができる。かかる実施態様においては、経口製剤は、好ましくは、変性インスリンを胃腸管から前記インスリンの吸収を容易にする薬学的に許容しうる送達物質と共に含んでいる。
2型糖尿病の処置に現在用いうる経口投与可能な薬剤は、2つの一般的な範疇: インスリン供給を増強するもの(スルホニル尿素、他の分泌促進物質、インスリン自体)とインスリン抵抗性を低下させるか又はその有効性を改善するもの(ビグアニド、チアゾリジンジオン)に分類される。The Medical Letter, Volume 1, Issue 1, September 2002, Treatment Guidelines, Drugs for Diabetesを参照のこと。経口スルホニル尿素分泌促進物質は、インスリンの分泌を増強するためにベータ細胞膜においてATP感受性カリウムチャネルと相互作用すると考えられる第1及び第2生成インスリン分泌促進物質を含んでいる。更に一般的に用いられる第2生成物質(グリブリド、グリピジド、グリメピリド)は、第1生成薬剤(アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トルブタミド、トラザミド)より更に強力であり、効力において相互に類似しているが、投薬と作用の持続期間において異なっている。
典型的には、かかる分泌促進物質は、自分自身のインスリンをなお生産することができるII型糖尿病の初期の患者において所望の基礎インスリンレベルを達成するのに十分なインスリンレベルを上げるのに有効である。しかしながら、かかる分泌促進物質が、ごくわずかな膵臓機能が残り、内因的にごくわずかなインスリンを生産するII型糖尿病の後期の患者において所望の基礎インスリンレベルを達成するのに十分なインスリンレベルを上げるのに有効であることはないようである。かかる患者において、基礎インスリンレベルは、例えば、インスリン(例えば、長時間作用性インスリン、例えば、Lantus(登録商標))の皮下注射の使用によって達成される。
本発明のある実施態様においては、経口インスリン配合物は、上記の種類のインスリンに加えて前述の種々の種類の分泌促進物質の1種以上を含んでいる。例えば、第1スルホニル尿素に関して、トルブタミド(Orinase(登録商標))の作用発生は1時間の(1)時間、作用の持続期間は6-12時間であり、通常は、1000mg〜2000mgの投与量が分割された1日量(最大1日量、3000mg/日)で投与される。トラザミド(Tolinase(登録商標))の作用発生は4-6時間、作用の持続期間は10-14時間であり、通常は、250mg〜500mgの投与量が1回か又は分割された1日量(1000mg/日)で投与される。アセトヘキサミド(Dymelor(登録商標))の作用発生は1時間の(1)時間、作用の持続期間は10-14時間であり、通常は、500mg〜750mgの投与量が分割された1日量(最大1日量、1500mg/日)で投与される。クロルプロパミド(Diabinese(登録商標))の作用発生は1時間、作用の持続期間は72時間であり、通常は、250mg〜375mgの投与量が1日1回(最大1日量、1000mg/日)で投与される。
第2スルホニル尿素に関して、グリブリド(DiaBeta(登録商標); Micronase(登録商標); Glynase(登録商標))の作用発生は1.5時間、作用の持続期間は18-24時間である。通常は、5mg〜20mgの投与量が1回か又は分割された1日量(最大1日量、20mg/日)で投与される。グリピジド(Glucotrol(登録商標))の作用発生は1時間、作用の持続期間は10-24時間である。通常は、10mg〜20mgの投与量が1回か又は分割された1日量(最大1日量、40mg/日)で投与される。グリメピリド(Amaryl(登録商標))の作用発生は2時間、作用の持続期間は18-28時間である。通常は、1〜4mgの投与量が1日1回(最大1日量、8mg/日)で投与される。最後に、グリクラジド(Diamicron(登録商標))は、1日40〜80mgの投与量(最大1日量、320mg)で投与される。
経口非スルホニル尿素分泌促進物質、例えば、レパグリニドやナテグリニドは、スルホニル尿素と構造的に異なるが、ベータ細胞上のATP感受性カリウムチャネルにも結合すし、インスリン放出を増強する。The Medical Letter, Volume 1, Issue 1, September 2002, Treatment Guidelines, Drugs for Diabetesを参照のこと。レパグリニドもナテグリニドも、急速に吸収され、30〜60分以内にピークがあり、次の食事の前にベースラインに戻るインスリンの血漿レベルが得られる。これらの薬剤は、各食事の前にとられなければならず; 食事を抜く場合には、薬剤は省略されなければならない。レパグリニドやナテグリニドは、スルホニル尿素より更に非常に高価であるが、レパグリニドは、腎臓機能障害患者において(主に肝臓代謝によって取り除かれることから)又は散発的に食べる患者においてスルホニル尿素の有効な代替物であってもよい。低血糖症は、スルホニル尿素よりナテグリニドやレパグリニドでわずかに頻度が少なくなることがあるが、データは制限される。ナテグリニド(Starlix(登録商標))は、経口投与の20分以内に膵臓インスリン分泌を刺激する。食事の直前に経口投与した後、ナテグリニドは急速に吸収され、ピークの平均血漿薬剤濃度(Cmax)が、通常は投薬後1時間(tmax)以内に生じる。ナテグリニドが食前に1日3回投与される場合、血漿インスリンの急激な上昇があり、ピークレベルが投薬の約1時間の(1)時間後で、投薬の4時間の(4)時間後にベースラインに下がる。ナテグリニドは、通常は、60〜120mgの投与量で食前に1日3回(最大1日量、360mg/日)投与される。食事と共に又は食後に投与される場合、ナテグリニド吸収(AUC)の程度は影響を受けないままである。しかしながら、Cmaxの低下とピークの血漿濃度(tmax)に対する時間の遅れによって特徴づけられ吸収速度の遅れがある。同様に、レパグリニド(Prandin(登録商標))は、経口投与後胃腸管から急速に且つ完全に吸収される。健康な被検者において又は患者において一回や複数回の経口投与後、ピークの血漿薬物濃度(Cmax)は、1時間以内に(tmax)生じる。レパグリニドは、通常は、1〜4mgの投与量が食前に1日3回(最大1日量、16mg/日)投与される。レパグリニドが食品と共に投与された場合、平均tmaxは変化しなかったが、平均CmaxとAUC(時間/血漿濃度曲線の下の面積)はそれぞれ20%と12.4%減少した。
更に、循環する活性な強力なインスリン分泌促進物質グルコース依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)レベルを高めるために、ジペプチジルペプチダーゼIV(DP IV)の特定のインヒビターの長期投与によって、グルコース耐性とベータ細胞グルコース反応を改善するとともに2型糖尿病脂肪バンクーバー糖尿病患者(VDF)ラットモデルにおける高インスリン血症を低下させることが示された。[ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビターによる長期間治療は、VDFズッカーラットにおいて肝臓と末梢のインスリン感受性を改善する: 正常血糖-高インスリンクランプ研究。Diabetes 2002 Sep; 51(9): 2677-2683. Pospisilik JA, Stafford SG, Demuth HU, McIntosh CH,Pederson RA.] 循環へ放出する際、GIPとGLP-1は急速に切断され、酵素DP IVによって不活性化する。
インスリン抵抗性を低下させるか又はその有効性を改善する2型糖尿病の処置に現在用いうる抗糖尿病薬に関して、肝臓によってつくられるグルコースの量を減少させるビグアニド、患者をインスリンに更に感受性にするチアゾリジンジオンは、現在インスリン抵抗性を改善するために臨床的に用いられている経口血糖降下薬である。ビグアニド、例えば、治療使用に入手できる唯一のビグアニドであるメトホルミン(ニュージャージー州プリンストンのBristol-Myers Squibb Company製のGlucophage(登録商標)やGlucophage(登録商標)XR )は、肝臓グルコース産生(糖新生)が減少し、グルコースの腸管吸収が減少し、且つ末梢のグルコース取込みと利用を増強することによるインスリン感受性が改善される。高血糖症の処置のためのGlucophage(登録商標)の一定の投薬がなく、投薬は、有効性や許容量に基づいて個々に区別されなければならないが、1回又は分割量で成人の2550mg、小児患者の2000mgの最大の推奨された1日量を上回らない。一般に、臨床的に有意な結果は、1500mg/日より少ない投与量では見られない。しかしながら、胃腸症状を最小限に抑えるために、少量の推奨された開始投与量や段階的に増加された投薬が勧められる。
チアゾリジンジオンは、筋肉及び脂肪組織におけるインスリンに対する感受性を改善するとともに肝臓糖新生を阻止するので、それらの作用のインスリンの存在に左右される。現在承認されている2種のチアゾリジンジオン化合物は、pioglitazone(Takeda Pharmaceuticals America, Inc.、リンカンシア、イリノイ州製のActos(登録商標))、rosiglitazone(リサーチトライアングルパーク、ニューカロライナ州のGlaxoSmithKline製のAvandia(登録商標))である。Actos(登録商標)は、また、インスリンに対する肝臓感受性を改善し、機能障害性グルコースホメオスタシスを改善する。Actos(登録商標)は、まず血清において絶食の状態での経口投与後、30分間以内に測定可能であり、2時間以内にピーク濃度が観察される。食品は、3〜4時間まで、ピークの血清濃度に対する時間をわずかに遅らせるが、吸収の程度を変えない。Actos(登録商標)は、通常は食事に関係なく1日1回投与され、投薬は、HbA1cの変化を評価するのに十分な時間、HbA1cに基づいて個々に区別されなければならない。食事と運動によって十分に制御されない患者における単一治療の投薬は、15mg又は30mgで開始することができ、最高45mgまで逐次増加することができる(最大投与量1日45mg)。Avandia(登録商標)は、投薬後約1時間以内にピークの血漿濃度に達し、食品との投与によって全体の曝露(AUC)の変化が生じないが、最大血漿濃度の28%の低下と投薬後約1.75時間までのピークの血漿濃度に達する時間の遅れが生じる。Avandia(登録商標)の投薬は個々に区別されなければならず、Avandia(登録商標)は単一の1日量として4mgの開始投与量か又は分割して投与されてもよく、食品とともに又はそれを含めずに1日2回投与されてもよい。不十分に応答する患者の場合、空腹時血糖の低下によって求められる投与量は、毎日8mg(最大投与量1日8mg)まで増加することができる。
本発明のある種の好ましい実施態様においては、本発明の経口製剤は、糖尿病にかかっていないヒトにおいてインスリンの二相の放出をシミュレーションするために活性速度の異なるインスリンの2つの形を提供する。例えば、かかる経口製剤は、急速に生じ且つ短期であるインスリンの第1のピークを与えるように、速効作用型のインスリンを遅延型のインスリンと共に含むことができ、続いてインスリンの第2ピークがあとで生じるが、好ましくは持続期間が長い。
本発明の好ましい実施態様においては、更に或いは、本発明の経口製剤は、速効作用型のインスリンをベータ細胞からインスリンの分泌を促進する分泌促進物質と共に糖尿病にかかっていないヒトにおけるインスリンの第2相放出を模倣する時間と程度に含んでいる。
或いは、本発明の好ましい実施態様において、本発明のインスリン投与の方法は、用法が糖尿病にかかっていないヒトにおいてインスリンの二相の放出をシミュレートするために活性速度の異なるインスリンの2つの別々の形を提供する。例えば、経口製剤は、急速に生じ且つ短期であるインスリンの第1ピークを生じるように速効作用型のインスリンを含むことができる。かかる速効作用性効果は、胃腸管からインスリンの吸収を容易にする送達物質によって与えることができる。遅延型インスリンは、あとで生じるが、好ましくは持続期間が長いインスリンの第2ピークを与える。かかる遅延性インスリンは、別々の剤形によって与えることができ、経口的に又は皮下に投与することができる。
本発明の更なる実施態様においては、本明細書に記載される経口投与形態は、糖尿病、グルコース耐性低下を治療するか又はグルコースホメオスタシスを達成する追加の治療と組み合わせて本明細書に記載されるように経口投与され、前記追加の治療は、例えば、スルホニル尿素のような追加薬剤、ビグアニド(例えば、メトホルミン)、アルファ-グルコシダーゼ、異なる経路(例えば、非経口的なインスリン)を経て送達されるインスリン、及び/又は増感剤(例えば、チアゾリジンジオン)を含んでいる。
本発明の実施例においては、更に、本明細書に記載される経口投与形態は低血糖事象の可能性を低下させる。低血糖症は、通常は、例えば、インスリンピークがピークの血糖症で生じるように、インスリンの投与と食事の摂取の時間が合わせられない場合に、インスリンレベルと血糖症の程度の間の不適合から生じ、食事直前のインスリンの投与は、グルコースがその後ですぐに摂取されることから、患者に対してさらに実施しやすく、また、更に安全である。低血糖症のリスクは、主に経口インスリンの投与が門脈の生理学的経路のために減少する。インスリン分泌過剰状態でさえ、肝臓によるグルコースの取込みが一定であることから、人は、肝臓をインスリン分泌過剰にすることができない。末梢組織と異なり、膵臓は、更にグルコースを封鎖せず、内在性インスリンの生産を中止するだけである。第2に、本明細書に記載される経口組成物から生じるインスリンの簡単なピークは、インスリンが高末梢レベルに達することになったとしても、ピークは急速に急激に低下することを示している。
更に、本明細書に記載される経口投与形態の他の実施態様は、ある種の短時間作用性インスリン配合物で生じることができる低血糖事象のリスクを避け、インスリン投与時間と食事の摂取時間との間で、望ましくないレベルから臨床的に低血糖レベルの範囲にあることができるレベルに血糖を下げることに関与する。本明細書に開示される経口投与形態においては、食事に近い投薬は、血糖値の下降を排除し、それだけで不安定であった。効果は、その後のグルコース可動域の低下に移ったようである。
本明細書に記載される剤形の好ましい実施態様においては、送達物質の不在下で、望ましい治療効果を与えるためにヒト患者に経口投与される場合、インスリン投与量は十分に吸収されないが、他の投与経路によって前記患者に投与される場合、前記投与量は望ましい治療の効果を与える。Emisphere Technologies, Inc.による以前の開示は、腸壁を通ってインスリンがその生物学的機能を行うことができる血流にインスリンの輸送を容易にする送達物質を供給することによってインスリンの経口吸収の問題を解決した。結果として、有効な経口薬送達方法は、現在非経口投与されているインスリンの経口生体利用可能性と吸収を増強するために与えられる。
本発明は、従って、インスリンをインスリンが胃腸粘膜を通って経口的に吸収可能である働きをする薬学的に許容しうる送達物質と共に含む剤形の経口投与を含んでいる方法であって、送達物質は前記インスリンの吸収を容易にするのに有効な量で存在し、インスリンの前記投与量の治療的に有効な量はヒト糖尿病患者の胃腸管から吸収される、前記方法に関する。このことは、経口剤形が以前に教示されたより食事に非常に近づいて投与されること可能にする。
好ましい実施態様においては、本発明の経口投与形態は、インスリン及び送達物質、例えば、N-(4-クロロサリシロイル)-4-アミノ酪酸一ナトリウム(4-CNAB)、Emisphere Technologies, Inc.によって発見された新規な化合物の混合物、又はインスリン及び送達物質を別個に含有する混合物を含んでいる。
他の好ましい実施態様においては、本発明に用いられる送達物質は、次の構造を有する。
(式中、Xは水素、ハロゲン、ヒドロキシル又はC
1-C
3アルコキシの1種以上であり、Rは置換又は無置換C
1-C
3アルキレン、置換又は無置換C
1-C
3アルケニレンである。)
ある種の好ましい実施例においては、本発明の送達物質は、好ましくは次の構造を有する。
(式中、Xはハロゲンであり、Rは置換又は無置換C
1-C
3アルキレン、置換又は無置換C
1-C
3アルケニレンである。)
本発明の好ましい実施態様においては、医薬組成物は、Xが塩素であり、RがC3アルキレンである、送達物質を含んでいる。本発明の他の好ましい実施態様においては、医薬組成物はインスリンの経口送達のための送達物質として化合物4-[(4-クロロ, 2-ヒドロキシベンゾイル)アミノ]ブタン酸、好ましくはその一ナトリウム塩を含んでいる。好ましい実施態様においては、本発明の経口投与形態は、インスリン及び送達物質、例えば、N-(4-クロロサリチロイル)-4-アミノ酪酸一ナトリウム(4-CNAB)、Emisphere Technologies, Inc.によって発見された新規な化合物の混合物、又はインスリン及び送達物質を別個に含有する混合物を含んでいる。
送達物質は、カルボン酸又はその塩の形にあることができる。適切な塩としては、有機塩や無機塩、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムのようなアルカリ金属塩; マグネシウム、カルシウム又はバリウムのようなアルカリ土類金属塩; アンモニウム塩; リシン又はアルギニンのような塩基性アミノ酸; ジメチルアミン又はピリジンのような有機アミンを含むが、これらに限定されない。好ましくは、塩はナトリウム塩である。塩は、一価又は多価塩、例えば、一ナトリウム塩、二ナトリウム塩であることができる。塩は、また、エタノール溶媒和物、水和物を含む溶媒和物であることができる。
本発明に使用し得る他の適切な送達物質としては、米国特許第5,650,386号、同第5,773,647号、同第5,776,888号、同第5,804,688号、同第5,866,536号、同第5,876,710号、同第5,879,681号、同第5,939,381号、同第5,955,503号、同第5,965,121号、同第5,989,539号、同第5,990,166号、同第6,001,347号、同第6,051,561号、同第6,060,513号、同第6,090,958号、同第6,100,298号、同第5,766,633号、同第5,643,957号、同第5,863,944号、同第6,071,510号、同第6,358,504号に記載されるそれらの送達物質が含まれ、それぞれの開示は本願明細書に含まれるものとする。追加の適切な送達物質は、また、国際公開第WO 01/34114号、同第WO 01/21073号、同第WO 01/41985号、同第WO 01/32130号、同第WO 01/32596号、同第WO 01/44199号、同第WO 01/51454号、同第WO 01/25704号、同第WO 01/25679号、同第WO 00/50386号、同第WO 02/02509号、同第WO 00/47188号、同第WO 00/07979号、同第WO 00/06534号、同第WO 98/25589号、同第WO 02/19969号、同第WO 00/59863号、同第WO 95/28838号、同第WO 02/19969号、同第WO 02/20466号、同第WO 02/069937号、同第WO 02/070438号、に記載され、それぞれの開示は本願明細書に含まれるものとする。
本発明の送達物質化合物の塩は、当該技術において既知の方法によって調製することができる。例えば、ナトリウム塩は、送達物質化合物をエタノールに溶解するとともに水酸化ナトリウム水溶液を加えることによって調製することができる。
本明細書に記載される化合物は、アミノ酸から得ることができ、本開示及び国際公開第WO 96/30036号、同第WO 97/36480号、同第WO 98/34632号、同第WO 00/07979号、米国特許第5,643,957号、同第5,650,386号に記載される方法に基づき当業者に既知の方法でアミノ酸から容易に調製することができ、それぞれの開示は本願明細書に含まれるものとする。例えば、化合物は、単一アミノ酸と、アミノ酸内に有する遊離アミノ部分と反応してアミドを形成する適切なアシル化剤又はアミン修飾剤とを反応させることによって調製することができる。保護基は、当業者に既知である望まれていない副作用を避けるために用いることができる。
送達物質は、また、国際公開第WO 02/02509号や同第WO 03/057650号の方法によって調製することができ、その開示は本願明細書に含まれるものとする。
送達物質は、また、国際公開第WO 00/46182の方法に従って適切なサリチルアミドのアルキル化によって調製することができ、その開示は本願明細書に含まれるものとする。サリチルアミドは、サリチル酸から硫酸とアンモニアとの反応によってエステルを経て調製することができる。
更に、これらの化合物の1種以上を含むポリアミノ酸やペプチドを用いることができる。アミノ酸は、少なくとも1つの遊離アミン基を有するあらゆるカルボン酸であり、天然に存在するアミノ酸、合成アミノ酸を含んでいる。ポリアミノ酸は、ペプチド(ペプチド結合で結合した2つ以上のアミノ酸である)であり、例えば、エステル又は無水物結合によって結合し得る、他の基によって形成された結合によって結合される2つ以上のアミノ酸でもある。ペプチドは、長さが2つのアミノ酸を有するジペプチドから数百のアミノ酸を有するポリペプチドまで変動させることができる。
送達物質化合物は、再結晶又は単独で又は相前後して結合された1種以上の固体クロマトグラフ保持体による分画によって精製することができる。適切な再結晶溶媒系は、エタノール、水、ヘプタン、酢酸エチル、アセトニトリル、メタノール、テトラヒドロフラン、その混合物を含むが、これらに限定されない。分画は、移動層としてメタノール/n-プロパノール混合液を用いた、アルミナのような適切なクロマトグラフ保持体; 移動層としてトリフルオロ酢酸/アセトニトリル混合液を用いた逆相クロマトグラフィ; 移動層として水又は適切な緩衝液を用いたイオン交換クロマトグラフィで行うことができる。陰イオン交換クロマトグラフィが行われる場合、好ましくは、0-500mM塩化ナトリウム勾配が用いられる。
本発明の医薬組成物の経口投与後、送達物質は胃腸管の粘膜バリヤを通過し、血流に吸収され、そこで被検者の血漿において検出することができる。送達物質は、それとともに(同じ剤形で、又は同時にそれとともに)、又は順次(送達物質と薬剤が、同時に、同じ場所、例えば、胃に双方を供給する時間内に投与される限り、いずれの順序でも)投与された薬剤(活性薬剤)の吸収を容易にする。4-CNABがインスリンの胃腸の吸収を容易にする機序は、まだ完全には解明されていない。現在の作業仮説は、4-CNABが非共有結合的にインスリンと相互作用し、吸収のための更に有利な物理化学的特性を作成することである。この作業仮説は、説明のためにだけ示され、決して本発明又は添付の特許請求の範囲を制限するものではない。
本組成物における送達物質の量は、送達有効量であり、当業者に既知の方法であらゆる具体的な送達物質/インスリンの組合わせについて求めることができる。インスリンの治療効果を必要としている被検者の血流に活インスリンを十分に送達するのに必要な送達物質の量は、次の1種以上; インスリンの化学的性質; 具体的な送達物質の化学構造; インスリンと送達物質の相互作用の種類と程度; 単位投与量、即ち、固体、液体、錠剤、カプセル、懸濁液の種類; 胃腸管における送達物質の濃度; 被検者の摂食状態; 被検者の食事; 被検者の健康; 送達物質とインスリンとの比によって変動させることができる。本発明のある種の好ましい実施態様においては、医薬組成物に好ましく1種以上の剤形に含有する送達物質の量は、約1mg〜約2,000mg、更に好ましくは約5mg〜約800mg、更に好ましくは約20mg〜約600mg、更に好ましくは約30mg〜約400mg、なお更に好ましくは約40〜約200mg、最も好ましくは約40mg、80mg又は160mgである。
送達物質が血流(tmax)においてピークに達するのにかかる時間は、次のような多くの要因: 単位投与量の種類、即ち、固体、液体、錠剤、カプセル、懸濁液; 胃腸管における送達物質の濃度; 被検者の摂食状態; 被検者の食事; 被検者の健康; 送達物質と活性薬剤との比に左右されることがある。本発明の送達物質は、経口的に直接の放出剤形で、好ましくは錠剤形態で投与された場合に胃腸管から急速に吸収され、好ましくは、経口投与後の約5分〜約40分以内に、好ましくは経口投与の約10分〜約35分後にピークの血漿送達物質濃度を示す。医薬組成物がインスリンの送達物質として化合物4-CNABを含む、本発明の好ましい実施態様においては、組成物は、空腹時の糖尿病患者に経口投与した後約25分間〜約35分間以内に、供給された糖尿病患者に経口投与した後約15分間〜約25分間以内にピークの血漿送達物質濃度を示す。
本発明のある種の好ましい実施態様においては、経口投与の後に達成された送達物質のピークの血漿濃度(Cmax)は、経口投与の後、好ましくは約10〜約250,000ng/ml、好ましくは約100〜約125,000ng/mlであり、好ましくは、送達物質のピークの血漿濃度は、経口投与の後、約1,000〜約50,000ng/mlである。更に好ましくは、本発明の送達物質のピークの血漿濃度は、経口投与後、約3,000〜約15,000ng/mlである。
医薬組成物が送達物質として化合物4-CNABと活性薬剤としてインスリンを含む本発明の好ましい実施態様においては、組成物は、経口投与後の約0.1〜約3時間以内にピーク血漿4-CNAB濃度を示す。医薬組成物が送達物質として化合物4-CNABと活性薬剤としてインスリンを含むある種の好ましい実施態様においては、達成した送達物質のピーク血漿濃度は約8,000〜約37,000ng/mlである。
具体的な活性薬剤を送達するのに必要とされる送達物質の量が可変であり、所望の治療効果を生じるのに必要とされる活性薬剤の量も可変であるので、異なる活性薬剤/送達物質の組合わせの活性薬剤と送達物質との比は変動してもよい。経口医薬組成物が活性薬剤としてインスリンを含み、送達物質が化合物4-CNABである、本発明のある種の好ましい実施態様においては、医薬組成物に含まれる送達物質の量は約100mg〜約600mgの前記送達物質であってもよい。
インスリンと送達物質との最適比は、送達物質や配合物によって変動させることができる。インスリンと送達物質との比を最適化することは当業者の知識の範囲内である。本発明のある種の好ましい実施態様においては、医薬組成物が活性薬剤としてインスリンを含み、送達物質が4-CNABの一ナトリウム塩である、インスリン[単位]と送達物質[mg]との比は10:1[単位/mg]〜1:10[単位/mg]の範囲にあり、好ましくは、インスリン[単位]と送達物質[mg]との比は5:1[単位/mg]〜0.5:1[単位/mg]の範囲にある。
単独投与における好ましいインスリン投与量は、約5〜約1000のインスリン単位USP、好ましくは約50〜約400、更に好ましくは約150〜約400、なお更に好ましくは約150〜約300単位である。
インスリンの吸収は、後処理のインスリンの血漿レベルをモニタすることによって本発明の医薬組成物で治療される被検者において検出することができる。活性薬剤が血流(tmax)でのピークに達するのにかかる時間は、多くの要因、例えば、以下: 単位投与量の種類、即ち、固体、液体、錠剤、カプセル、懸濁液; 胃腸管における活性薬剤と送達物質の濃度; 被検者の摂食状態; 被検者の食事; 被検者の健康及び活性薬剤と送達物質との比に左右されるものである。
医薬組成物が送達物質として化合物4-CNABと活性薬剤としてインスリンを含む本発明の好ましい実施態様においては、組成物は、経口投与後の約0.1〜約1時間以内にピーク血漿インスリン濃度を示す。他の実施態様においては、組成物は、経口投与の約0.2〜約0.6時間後にピークの血漿インスリン濃度を示す。好適実施態様においては、組成物は、経口投与の約0.3〜約0.4時間後にピークの血漿インスリン濃度を示す。他の実施態様においては、組成物は、経口投与後約1時間以内にピークの血漿インスリン濃度を示す。ある種の好ましい実施態様においては、医薬組成物は、インスリン及びインスリンの経口送達を容易にする送達物質として化合物4-CNABを含み、インスリンが血流に吸収された後、治療された患者における血漿インスリンレベルは経口投与の約20分後にピークに達し、約105分間で第2ピークに達する。
インスリンの吸収作用は、経口治療後のC-ペプチド濃度の低下を観察することによって本発明の医薬組成物で治療したヒト患者において現れる。例えば、本発明の一実施例においては、インスリンの経口送達を容易にするために、医薬組成物は活性薬剤としてのインスリンと送達物質としての化合物4-CNABを含み、インスリンが血流に吸収された後、組成物は経口投与の約80〜約120分後に治療された患者においてC-ペプチド濃度の最大の低下を生じる。特に、組成物は、経口投与の約90〜約110分後に治療された患者におけるC-ペプチド濃度の最大低下を生じる。
本明細書に含まれている上で列挙したような以前の特許出願においては、Emisphere Technologies, Inc.が種々の送達物質の構造、吸収の有効性と送達の有効性の比較、好ましい送達物質4-CNABの調製、ヒト研究のためのその調製、送達物質4-CNABを含む以前の非臨床的研究と臨床的研究に関するデータを開示した。
送達物質は、乾燥粉末形態で又は共に湿潤粒状化して、投与前に修飾されていないインスリンと混合することによって直接用いることができる。この混合物に、他の薬学的に許容しうる賦形剤を添加することができる。次に、混合物を錠剤にするか又は活性薬剤と送達物質の単位投与量を含有するゼラチンカプセルに入れることもできる。或はまた、送達物質/インスリン混合物は経口溶液又は懸濁液として調製することができる。送達物質とインスリンは、投与前に共に混合される必要がなく、ある種の実施態様においては、インスリンの単位投与量(他の薬学的に許容しうる賦形剤の有無にかかわらず)が本発明の送達物質を含めずに経口投与され、送達物質がインスリンの前に、後に、又は同時に別個に経口投与される(他の薬学的に許容しうる賦形剤の有無にかかわらず)。
ある種の好ましい実施例においては、本発明の経口投与形態は固体である。乾燥粉末形態でのインスリンは安定であり、ある種の好ましい実施態様においては、送達物質と望ましい比で簡単に混合される。次に、任意の医薬賦形剤の有無にかかわらず、乾燥粉末混合物はゼラチンカプセルに充填することができる。或はまた、乾燥粉末形態での修飾されていないインスリンは送達物質と任意の医薬賦形剤と共に混合することができ、混合物を当業者に既知の標準打錠手順に従って錠剤にすることができる。
本発明の剤形は、まずインスリンと送達物質を1つの溶液又は別個の溶液に溶解することにより製造することができる。溶媒は、好ましくは水溶液であるが、送達物質を可溶化するのに必要な場合に有機溶媒又は水性有機溶媒混合物を用いることができる。2つの溶液が用いられる場合、インスリン或いは送達物質の適正量を与えるのに必要な各々の割合を組合わせ、得られた溶液は凍結乾燥法又は等価手段によって乾燥することができる。本発明の一実施形態においては、経口剤形は、乾燥することができ、経口投与前に再水和することができる。
投与混合液は、例えば、投与の直前に送達物質の水溶液とインスリンの水溶液とを混合することによって調製することができる。或はまた、送達物質とインスリンは製造プロセスの間に混合することもできる。溶液は、リン酸緩衝塩、クエン酸、酢酸、ゼラチン、アラビアゴムのような添加剤を任意に含有することができる。
上記本発明の経口剤形の好ましい実施態様においては、経口剤形は、固体であり、好ましくはゼラチンカプセル内組み込まれて又は錠剤中に含有されて供給される。
安定化添加剤は、送達物質溶液に取込むことができる。ある薬剤においては、このような添加剤を存在させると、溶液中の物質の安定性と分散性が促進する。安定化添加剤は、約0.1〜5%(W/V)の範囲にある濃度、好ましくは約0.5%(W/V)で使うことができる。安定化添加剤の適切であるが限定されない例としては、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、カルボン酸、その塩、及びポリリジンが含まれる。好ましい安定化添加剤は、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロースである。
インスリンと送達物質、例えば、4-CNABの混合液を含有するか又は別個にインスリンと送達物質を含有する本発明の経口投与形態は、医薬賦形剤として当業者に既知の追加材料を含むことができる。医薬成分又は賦形剤を含むあらゆる賦形剤又は成分。このような医薬賦形剤としては、例えば、以下の化合物が含まれる。酸性化剤(酢酸、氷酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、希塩酸、リンゴ酸、硝酸、リン酸、希釈されたリン酸、硫酸、酒石酸); エアロゾル噴射剤(ブタン、ジクロロジフルオロ-メタン、ジクロロテトラフルオロエタン、イソブタン、プロパン、トリクロロモノフッ化メタン); 空気置換剤(二酸化炭素、窒素); アルコール変性剤(安息香酸デナトニウム、メチルイソブチルケトン、スクロースオクタアセテート); アルカリ化剤(強アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、トロールアミン); 固化防止剤(流動促進剤を参照のこと); 消泡剤(ジメチコーン、シメチコン); 抗菌防腐剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム液、塩化ベンゼルトニウム、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、クロロクレゾール、クレゾール、デヒドロ酢酸、エチルパラベン、メチルパラベン、メチルパラベンナトリウム、フェノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピルパラベン、プロピルパラベンナトリウム、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ソルビン酸、チメロサール、チモール); 抗酸化剤(アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化イオウ、トコフェロール、トコフェロール賦形剤); 緩衝剤(酢酸、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム溶液、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム); カプセル滑沢剤(錠剤及びカプセルの滑沢剤を参照のこと); キレート剤(エデト酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸及び塩、エデト酸); コーティング剤(カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、医薬用釉薬、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、メタクリル酸コポリマー、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸フタル酸ビニル、シェラック、スクロース、二酸化チタン、カルナウバ蝋、ミクロクリスタリンワックス、ゼイン); 着色剤(キャラメル、赤、黄、黒又はブレンド、酸化第二鉄);錯化剤(エチレンジアミン四酢酸及び塩(EDTA)、エデト酸、ゲンチジン酸エタノールアミド、オキシキノリン硫酸塩); 乾燥剤(塩化カルシウム、硫酸カルシウム、二酸化ケイ素);乳化剤及び/又は可溶化剤(アカシア、コレステロール、ジエタノールアミン(補助剤)、モノステアリン酸グリセリン、ラノリンアルコール、レシチン、モノグリセリド、ジグリセリド、モノエタノールアミン(補助剤)、オレイン酸(補助剤)、オレイルアルコール(安定剤)、ポロキシマー、ポリオキシエチレン50ステアレート、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40水素化ヒマシ油、ポリオキシル10オレイルエーテル、ポリオキシル20 セトステアリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリソルベート20、ポリソルベート40、、ポリソルベート80、プロピレン二酢酸エチレングリコール、プロピレングリコールモノステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ステアリン酸、トロラミン、乳化蝋); ろ過助剤(粉末セルロース、精製ケイ藻土); 香味剤及び香料(アネトール、ベンズアルデヒド、エチルバニリン、メントール、サリチル酸メチル、グルタミン酸一ナトリウム、オレンジ花精油、ハッカ、ハッカ油、ハッカ精、ローズ油、強いローズ水、チモール、トルーバルサムチンキ、バニラ、バニラチンキ、バニリン); 流動促進剤及び/又は固化防止剤(ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク); 湿潤剤(グリセリン、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール); 可塑剤(ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、フタル酸ジエチル、グリセリン、モノアセチル化モノグリセリド、ジアセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリアセチン、トリエチルシトレート); ポリマー(例えば、酢酸セルロース、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アクリルポリマー、アクリルコポリマー); 溶媒(アセトン、アルコール、希アルコール、抱水アミレン、安息香酸ベンジル、ブチルアルコール、四塩化炭素、クロロホルム、トウモロコシ油、綿実油、酢酸エチル、グリセリン、ヘキシレングリコール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、塩化メチレン、メチルイソブチルケトン、鉱油、落花生油、ポリエチレングリコール、炭酸プロピレン、プロピレングリコール、ゴマ油、注射用水、滅菌注射用水、洗浄用滅菌水、純水); 吸収剤(粉末セルロース、木炭、精製ケイ藻土);二酸化炭素吸収剤(水酸化バリウムライム、ソーダライム); 硬化剤(硬化ヒマシ油、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、硬質脂肪、パラフィン、ポリエチレン賦形剤、ステアリルアルコール、乳化蝋、白蝋、黄蝋); 沈殿防止剤及び/又は粘度増強剤(アカシア、寒天、アルギン酸、モノステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、精製ベントナイト、マグマベントナイト、934pカルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラゲナン、ミクロクリスタリンセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムセルロース、デキストリン、ゼラチン、グアガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、アルギン酸ナトリウム、トラガカントゴム、キサンタンガム);甘味剤(アスパルテーム、デキストレート、デキストロース、賦形剤ブドウ糖、フルクトース、マンニトール、サッカリン、カルシウムサッカリン、ナトリウムサッカリン、ソルビトール、溶液ソルビトール、スクロース、圧縮糖、粉砂糖、シロップ); 錠剤結合剤(アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ミクロクリスタリンセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、グアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、糊化前デンプン、シロップ); 錠剤及び/又はカプセル希釈剤(炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ミクロクリスタリンセルロース、粉末セルロース、デキストレート、デキストリン、デキストロース賦形剤、フルクトース、カオリン、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、糊化前デンプン、スクロース、圧縮糖、粉砂糖); 錠剤崩壊剤(アルギン酸、ミクロクリスタリンセルロース、クロスカルメロースナトリウム、コルスポビドン、ポラクリリンカリウム、ナトリウムデンプングリコレート、デンプン、糊化前デンプン); 錠剤及び/又はカプセル滑沢剤(ステアリン酸カルシウム、グリセリルベヘネート、ステアリン酸マグネシウム、軽油、ポリエチレングリコール、ナトリウムステアリルフマレート、ステアリン酸、精製ステアリン酸、タルク、水素化植物油、ステアリン酸亜鉛); 等張化剤(デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、塩化ナトリウム); 賦形剤: 香味及び/又は甘味(芳香エリキシル、化合物ベンズアルデヒドエリキシル、イソアルコールエリキシル、ハッカ水、ソルビトール溶液、シロップ、トルーバルサムシロップ); 賦形剤: 油性(扁桃油、トウモロコシ油、綿実油、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、鉱油、軽油、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オリーブ油、落花生油、杏仁油、ゴマ油、ダイズ油、スクアラン); 賦形剤: 固体担体(糖球); 賦形剤: 滅菌(制菌性注射用水、制菌性塩化ナトリウム注射); 粘度増強; (沈殿防止剤を参照のこと); 撥水剤(シクロメチコーン、ジメチコーン、シメチコン); 湿潤剤及び/又は可溶化剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ドキュセートナトリウム、ノノキシノール9、ノノキシノール10、オクトキシノール9、ポロキサマー、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40、硬化ヒマシ油、ポリオキシル50ステアレート、オレイルポリオキシル10エーテル、ポリオキシル20、セトステアリルエーテル、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、チロキサポール)。このリストは、排他的であることを意味せず、その代わりに本発明の経口投与形態において用いることができる賦形剤の種類と具体的な賦形剤の代表例であるにすぎない。
インスリンの安定性は、十分に証明されており、温度、pH、水分はインスリン配合物の安定性に影響する要因の一部である。同様に、インスリンの安定性に対する医薬賦形剤の影響力も十分に証明されている。本明細書は、安定性指示高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析方法によって示されるように室温で長期保存を正当化するのに十分な安定性の証拠を示す錠剤形での経口医薬配合物を開示する。この配合物においてインスリン安定性に関与すると考えられる要因の一部は、
- 大気中の条件に晒される表面積の減少(錠剤の外表面だけが晒され、内部の錠剤コアは晒されない);
- おそらく一部にはリン酸二カルシウムの存在のために“インスリン友好的"局所的pHを与える錠剤の配合物;
- 低水分(可能な場合はいつでも、無水賦形剤が用いられ、4-CNABは、吸湿性でない(残留水分< 0.5%)RH75%より低く、水分が0.5%w/wより低い)。
インスリンの安定性を評価するいくつかの方法がある。1つの方法は、HPLC安定性指示分析である: この方法は試料中に存在する無傷インスリン分子の量を決定するが、有効な製品を有するために必要である、これらの分子が生物活性コンフォメーションにあるかを決定しない。他の方法は、生体内分析又は生体内性能の試験管内の予測装置であり得る、HPLC及び製品の生物活性を評価することによる関連物質(不純物)の測定である。
投与後、投薬単位形に本存在するインスリンは循環に吸収される。インスリン自体の循環値は、直接測定することができる。同様に、血液中の4-CNAB送達物質のレベルも測定することができる。インスリンの生体利用性は、血液における既知の薬理活性、例えば、血糖低下、を測定することによって容易に評価される。インスリンの生理学的作用は、更に、試験、例えば、内在性インスリン産生の基準として血漿C-ペプチド濃度の測定を用いて測定することができる。
更に、2〜3週間前にわたって糖尿病患者の血糖コントロールの基準を決定するためにフルクトサミン分析を行うことができる。フルクトサミンは、グルコースとタンパク質のアミノ酸残基間の非酵素的反応によって形成され、血清フルクトサミンレベルは、高血糖濃度をもつ糖尿病患者において高められる。血糖濃度が糖尿病制御の短期指標であるが、フルクトサミンは、2週間にわたる空腹時と平均双方の血糖とよく関連する糖尿病制御の短期から中期指標である。
本発明においては、グルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ哺乳動物を治療する方法は、インスリン又はインスリン類似体の治療的に有効な量及び送達剤を含む医薬配合物を胃腸管からインスリンの吸収を容易にするのに有効な量で哺乳動物に経口投与することを含んでいる。投与が長期にわたり、例えば、少なくとも2週間、食前や就寝時であり、2週間の治療後、哺乳動物は、治療前のベースラインレベルと比較して、グルコース耐性及び血糖コントロールの改善、並びにインスリン利用、インスリン感受性、インスリン分泌能力及びHbA1cレベルの改善を達成することが好ましい。
グルコース耐性の改善は、糖負荷後、血糖濃度で測定されるように糖負荷を処理する哺乳動物のより良好な内在性能力によって示すことができ、治療の前のグルコース負荷後のベースライン血糖濃度と比較して統計学的に有意な量で低下する。好ましくは、血糖濃度の統計学的に有意な低下は、平均約10-20%、好ましくは約15%である。
グルコース耐性の改善と糖負荷を処理する哺乳動物のより良好な内在性能力は、グルコース負荷後、血糖可動域のAUCでも測定することができ、治療の前のグルコース負荷後、血糖可動域のAUCと比較して統計学的に有意な量で低下する。好ましくは、血糖可動域のAUCの統計学的に有意な低下は、平均約10-30%、好ましくは約20%である。
血糖コントロールの改善は、空腹時血糖濃度で測定されるように空腹時血糖レベルの低下によって示すことができ、治療前のベースライン空腹時血糖濃度と比較して統計学的に有意な量で低下する。好ましくは、空腹時血糖濃度の統計学的に有意な低下は、平均約10-30%、好ましくは約19%である。
血糖コントロールの改善は、血清フルクトサミン分析で測定されるように、血清フルクトサミン濃度の低下によって示すことができ、治療の前のベースライン血清フルクトサミン濃度と比較して統計学的に有意な量で低下する。好ましくは、血清フルクトサミン濃度の統計学的に有意な低下は、平均約5-20%、好ましくは約9%である。
血糖コントロールの改善は、治療の前のベースラインレベルと比較して治療後のHbA1cレベルの改善によって示すこともできる。好ましくは、HbA1cレベルの改善は、HbA1cレベルの統計学的に有意な低下で測定される。グルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ哺乳動物を治療する場合、本発明の医薬配合物の投与は、好ましくは、哺乳動物のHbA1cレベルが治療前に正常レベルから高レベルの範囲にあるようにすることができる。一実施態様においては、哺乳動物のHbA1cレベルは、治療の前に、好ましくは約8.0未満であることができる。
患者の体のインスリン利用とインスリン感受性の改善は、HOMA(ホメオスタシスモデル評価)における統計学的に有意な低下で測定されることができ、患者の体のインスリン分泌能力の改善はStumvoll第一相インスリン分泌能力指標で測定される。
本発明の好ましい実施態様においては、本発明の経口剤形の長期投与によって、あらゆる統計学的に有意な体重増加なしで、低血糖症のリスクのあらゆる統計学的に有意な増加なしで又は治療期間にわたって哺乳動物における高インスリン血症のリスクのあらゆる統計学的に有意な増加なしでさえ、また、哺乳動物の血糖濃度又はHbA1cレベルをモニタリングを必要とせずに治療前のベースラインレベルと比較して患者はグルコース耐性と血糖コントロールの改善を達成する。更に、本発明の経口剤形の長期投与によって、治療前のベースラインレベルと比較して患者はインスリン利用、インスリン感受性インシスリン分泌能力及びHbA1cレベルの改善を達成する。
経口医薬配合物の投与は食前及び/又は就寝時に1日約1回〜1日約4回以上であることが好ましい。本発明の一実施態様においては、医薬配合物の投与は、就寝時か又は又は1日の間の1食、例えば、朝食、昼食又は夕食の食前に1日1回行われる。他の実施態様においては、医薬配合物の投与は、好ましくは、就寝時に、1日の間の1食、例えば、朝食、昼食又は夕食の食前に、毎日複数回行われる。実施態様においては、更に、医薬配合物の投与は、好ましくは、就寝時に、1日の間の1食を超える食事の食前に、毎日複数回行われる。医薬配合物の投与は、また、就寝時に又はその直前に、各食事の摂取と同時に又はその直前に、即ち、各食事の摂取の約15分間以内であり得る。
好ましくは、インスリン配合物は、長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間かかるヒト患者に投与される。本発明の剤形は、少なくとも1日、1週間、2週間、更に長い時間、オン/オフの交互の時間、又は患者の寿命の間投与することができる。
毎日(即ち、日中-夜の間のいつか)や長期(即ち、多くの何日間かの間)の経口医薬配合物の投与の頻度は、“糖尿病連続"に沿った患者の位置、即ち、患者のグルコース耐性低下の程度糖尿病の患者のステージ、外因性の血糖コントロール要求の患者の要求に左右される。この連続は、正常な血糖コントロールから、糖尿病前症患者又は初期2型糖尿病患者において見られる簡単なグルコース耐性低下やインスリン抵抗性、1型糖尿病患者や後期2型糖尿病患者において見られる膵臓によるインスリン産生不全までの範囲にある。このことは、また、正常から高レベルまでの範囲にある患者のHbA1c濃度で測定することができる。
例えば、患者が空腹時血糖コントロールを求めた場合には、経口医薬配合物は、好ましくは就寝時に又はその直前にのみ投与されなければならない。患者が食後血糖コントロールの一部を求めた場合には、経口医薬配合物は、好ましくは、ある食事の食前に投与されなければならない。患者が全体の食後の血糖コントロールを求めた場合には、経口医薬配合物は、好ましくは、全ての食事の食前に投与されなければならない。
同様に、“糖尿病連続"に沿った患者の位置によって、本発明の経口インスリン配合物は併用療法において用いることができ、経口又は皮下に投与される追加治療、例えば、急速な作用、中間の作用及び/又は緩慢な作用を有する抗糖尿病薬又はインスリンを含むことができる。本発明のある種の好ましい実施態様においては、本明細書に記載される経口剤形は、糖尿病又はグルコース耐性低下を治療するか又はグルコースホメオスタシスを達成するために追加のなお別々の治療法、例えば、スルホニル尿素のような追加の薬剤、ビグアニド、アルファ-グルコシダーゼ、異なる経路によって送達されるインスリン(例えば非経口的なインスリン)、チアゾリジンジオンのようなインスリン増感剤、及び/又はインスリン分泌促進物質と組み合わせて本明細書に記載されるように経口投与することができると考えられる。
本発明の好ましい実施態様においては、或いは、追加の治療は、用法が糖尿病にかかっていないヒトにおけるインスリンの二相の放出をシミュレートするために、活性速度の異なる2つの別個の形のインスリンを与える。例えば、経口製剤は、急速に生じ短期である第1インスリンピークを与えるように速効作用型インスリンを含むことができ、速効作用性効果は、胃腸管からインスリンの吸収を容易にする送達物質によって得ることができる。遅延型インスリンは、遅く生じるが、持続期間が長い第2インスリンピークを与える。かかる遅延性インスリンは、速効作用性インスリンと同じ経口製剤によって又は経口又は皮下投与することができる別個の剤形によって得ることができる。
更に、毎日や長期にわたる、特定の併用療法とその投与の頻度は、“糖尿病連続"に沿った患者の位置に左右されると考えられる。例えば、患者が空腹時血糖コントロールを求めた場合には、経口医薬配合物は、就寝時に又はその直前にのみ投与されなければならない。患者が食後の血糖コントロールの一部を求めている場合には、経口医薬配合物は、食事の摂食前に投与しなければならない。患者が、後期2型糖尿病又は1型糖尿病のように、基礎インスリンを求めている場合には、補足的な遅延性インスリン又は抗糖尿病薬を毎日投与されなければならない。患者が包括的血糖コントロールを求めている場合には、経口医薬配合物は、好ましくは、全ての食事の摂食前に、就寝時に又はその直前に遅延性インスリン又は抗糖尿病薬と組合わせて投与されなければならない。
本発明は、哺乳動物においてグルコースホメオスタシスを達成する方法であって、インスリン又はインスリン類似体の治療的に有効な量及び送達剤を胃腸管からインスリンの吸収を容易にするのに有効な量で含む医薬配合物を哺乳動物に経口投与することを含む、前記方法を提供するとも考えられる。投与が長期にわたり、例えば、少なくとも2週間、食前や就寝時刻であり、2週間の治療後、哺乳動物が治療前のベースラインレベルと比較してグルコース耐性と血糖コントロールの改善を達成することが好ましい。
更に、本発明の経口剤形の長期投与は、グルコース耐性低下又は初期糖尿病をもつ哺乳動物においてインスリンの長期投与に伴う全身性高インスリン血症又はインスリンの長期投与に伴う1種以上の疾病状態の発生率および/または重篤度を低下させると考えられる。
本発明の経口剤形を長期投与すると、皮下に投与されたインスリンの等価有効投与量で得た(即ち、血糖値の類似した制御を与える)より、時間がたつにつれて門脈のインスリン濃度が高くなり且つ全身性インスリン濃度が低くなる。本発明のインスリンの経口投与によって生じることができるインスリンレベルの一時的なピークは、血管疾患を伴わないと考えられる。インスリンの等価有効的な皮下投与量の代わりに本発明の経口剤形の長期投与によって、低いレベルの高インスリン血症が得られる。例えば、全身性インスリン濃度はインスリンの同等に有効な皮下投与量と比較して少なくとも約20%低い。
本発明は、従って、インスリンの慢性投与に伴う全身性高インスリン血症の発生率及び/又は重篤度を低下させる方法を提供し、本発明は、また、インスリンの慢性投与に伴う1種以上の病態の発生率及び/又は重篤度を低下させる方法を提供すると考えられる。
かかる方法もまた、インスリン及び胃腸管からインスリンの吸収を容易にする送達物質を含む医薬配合物の治療的に有効な投与量を経口投与して、皮下に注入されたインスリンの治療的に等価の投与量によって得られる血漿インスリン濃度に相対して低下する血糖濃度と血漿インスリン濃度の治療的に有効な低下及び/又は制御を与えることを含んでいる。かかる方法もまた、皮下注射によって達成される末梢血インスリン曝露と比較して急性、亜急性、慢性条件下で末梢血液循環にインスリンの低い(例えば、20%以上)全体曝露を与えつつ、それらの患者における皮下のインスリン注射に匹敵するヒト糖尿病患者における血糖濃度の低下を達成する。皮下インスリンを投与した患者において得られる血液又はインスリン濃度の定量は当業者に周知である。
また更に、グルコース耐性低下又は初期糖尿病をもつ哺乳動物において内在性インスリン産生を置き換えるために本発明の経口剤形を長期投与すると哺乳動物のβ-細胞の機能を予防的に保全することになるか又は哺乳動物のβ-細胞の死滅又は機能異常を予防し、それによって、顕性又はインスリン依存性糖尿病を発症することから哺乳動物に長期保護を与えるか又は哺乳動物において顕性又はインスリン依存性糖尿病の発症を遅延させると考えられる。この信念のための論理的根拠は、以下の通りである。
Kalfhaus J and Berger M, Insulin Treatment With Preprandial Injections of Regular Insulin in Middle-Aged Type 2 Diabetic Patients: A Two Years Observational Study Diabetes Metab, Volume 26, pp. 197-201 (2000)に報告されるように2型糖尿病患者においてSCインスリン治療が最初に開始された2年の観察研究から、皮下インスリン治療の用法が安全で(低血糖症の発生率が非常に低い)、β-細胞機能の保存によって長期代謝制御を確立する観点から非常に有効であることがわかった。インスリン/4-CNABは、経口治療として、患者によってずっと容易に受け入れられることから、類似した又は更に良好な結果を示す可能性を有することができる。
以前にEmisphere Technologies, Inc.によって、また、本明細書で報告された2型糖尿病患者における経口インスリンによる臨床的な研究は短い持続期間の血糖低下作用を示し、おそらく経口投与によって得られた全身性循環インスリンの半減期が短く末梢グルコース処理に影響することを意味する。しかしながら、本明細書に示された経口投与インスリンは、その門脈の送達のために、肝臓グルコース産生に対する効果が更に重大なものであり、空腹時血糖レベルに関与すると仮定した。
糖尿病にかかっていない個人においては、絶食の時間の間、例えば、就眠時間又は食間の間、膵臓は、将来の使用のためにインスリンを貯蔵することができ、分泌からの静止を示す。糖尿病患者又はインスリン抵抗性患者においては、膵臓は、達成すべき適当なインスリン貯蔵を可能にせずにインスリンを分泌し続ける。インスリン抵抗性及び2型糖尿病における膵臓の第1の欠陥の1つがインスリン貯蔵におけるこの欠陥であると考えられる。
2型糖尿病患者においては、糖尿病疾患の特質である、おそらくインスリン抵抗性と不十分なインスリン分泌の組合わせの結果としての肝臓によるグルコース産生が抑制されないことから、血糖値が一晩の絶食後しばしば高められる。高血糖値により、血糖濃度が長時間高められる場合には、インスリンを分泌して血糖値を調節する膵臓における細胞に対応する“損耗"が可能であることから、糖尿病患者の症状の重篤度を永続させる悪循環が生じ得る。高血糖症は膵臓のβ-細胞に毒性であると考えられる。現在の文献は、2型糖尿病をもつ米国における患者が糖尿病過程が始まった8-10年後に診断されていることを示している。糖尿病を診断するための現在の米国糖尿病協会ガイドラインは、2つの連続的な空腹時血糖値が110mg/dlより高いものである。診断のときによって、糖尿病患者は、彼の膵島細胞の約50%の機能がすでに失われていると考えられる。
インスリン抵抗性及び初期糖尿病患者においては、第一相インスリン応答は疾患の段階によって失われているか又は損なわれている。更に、膵臓、特にβ-細胞によるこの静止の欠除によって、これらの細胞が疲労から機能不全又は死滅を引き起こし得る。従って、治療がインスリン生産細胞機能を保全した場合には、細胞に対するこの“静止"は顕性糖尿病を発症するために長期保護を得ることができる。
国際特許出願第PCT/US04/00273号において報告され、後述される研究においては、夜間の外因性のインスリンの投与が肝臓グルコース産生、従って、FBG(遊離した血糖)に影響し、それによっておそらく、患者のβ細胞が静止させ少ないインスリンを生産することを可能にし、同じ血糖レベルを達成することがわかった。提起された臨床的な意味は、夜間の経口インスリン治療が単独で投与された場合には、β-細胞の機能を保全させると思われることである。この意味は、短時間、例えば、2週間でさえインスリンを投与することによる疾患の初期に(例えば、グルコース耐性低下段階で)インスリンを“積極的に"介入させることによってβ-細胞に対した得られた静止が顕性糖尿病を発症することから長期間保護することができることを示したいくつかの報告された研究によって支持される。従って、夜間の外因性のインスリンのブーストが健康状態から糖尿病前症状態まで、最後には糖尿病状態まで糖尿病の進行によって有効であり得ると考えられる。
β-細胞機能を予防的に保全するとともにβ-細胞死滅及び顕性糖尿病への進行の予防を援助するために初期に治療を開始することができると考えられる。多くの要因は、治療が必要であり又は望ましいものになった場合に考慮することができ、インスリン抵抗性の徴候を示すGTTの異常、反応性低血糖症、又は初期のβ-細胞機能異常、空腹時又は食後血糖値の上昇、糖尿病の家族歴、肥満、約6.5より高いHbA1c又はたとえ正常範囲内としても、患者の過去の値より約10%を超えるHbA1cの上昇を含むがこれらに限定されない。本発明によれば、この初期の哺乳動物は、インスリン(本明細書に記載される)を含む医薬配合物、好ましくは経口製剤の有効量を1日1回夜間に、朝に又は食前に、好ましくは夜間に又は朝に投与することによって治療することができ、β-細胞機能を予防的に保全し、β-細胞死滅及び/又は顕性糖尿病への進行の予防を援助すると考えられる。好ましくは、インスリン配合物は長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間、かかるヒト患者に投与される。
糖尿病が進行するにつれて、上記の通り1日1回の投与量でさえ、患者はもはや朝食で彼の血糖を制御することができないものと考えられる。この進行は、当該技術において既知のあらゆる方法を用いて診断することができ、GTTが更に異常、空腹時又は食後の血糖値の上昇、約6.5より高いHbA1c又はたとえ正常範囲内としても患者の過去の値より約10%を超えるHbA1cの上昇、又は治療にもかかわらず上記のように高HbA1c患者の顕著な低下がないを含むが注記に限定されない。本発明によれば、グルコース耐性低下又は初期糖尿病のこの初期の哺乳動物は、インスリン(本明細書に記載される)を含む医薬配合物、好ましくは経口製剤の有効量を1日2回夜間に、朝に及び/又は食前に、好ましくは夜間又は朝に、食前に、更に好ましくは夜間に朝食の食前に投与することによって治療することができ、残存するβ-細胞機能を予防的に保全し、β-細胞死滅及び/又は顕性糖尿病への進行の予防を援助し、血糖コントロール機能異常の現在のレベルを治療すると考えられる。好ましくは、インスリン配合物は、長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間、かかるヒト患者に投与される。
或はまた、グルコース耐性低下又は初期糖尿病のこの段階でさえ、患者は、インスリン(本明細書に記載される)を含む医薬配合物、好ましくは経口製剤の有効量を1日3回食前又は食後に投与することによって治療することができ、残存するβ-細胞機能を予防的に保全し、β-細胞死滅死及び/又は顕性糖尿病の進行の予防を援助し、血糖コントロール機能異常の現在のレベルを治療する。この治療の用法は、糖尿病の後期まで行うことができる。好ましくは、インスリン配合物は、長期にわたる、例えば、少なくとも約2週間、かかるヒト患者に投与される。
更に糖尿病が進行するにつれて、患者は、上記のように1日2回の投与量でさえもはや昼食で彼の血糖を制御することができないと考えられる。この進行は、従来技術において既知のあらゆる方法を用いて診断することができ、GTTが更に異常、空腹時又は食後の血糖値の上昇、約6.5より高いHbA1c又はたとえ正常範囲内としても患者の過去の値より約10%を超えるHbA1cの上昇、又は治療にもかかわらず上記のように高HbA1c患者の顕著な低下がないを含むが注記に限定されない。本発明によれば、グルコース耐性低下又は糖尿病のこの段階の哺乳動物は、インスリン(本明細書に記載される)を含む医薬配合物、好ましくは経口製剤の有効量を1日3回夜間に、朝に及び/又は食前に、好ましくは夜間又は朝と食前に2回、更に好ましくは夜間及び朝食と昼食の食前に投与することによって治療することができ、残存するβ-細胞機能を予防的に保全し、β-細胞死滅及び/又は顕性糖尿病への進行の予防を援助し、血糖コントロール機能異常の現在のレベルを治療すると考えられる。好ましくは、インスリン配合物は、長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間、かかるヒト患者に投与される。
更に糖尿病が進行するにつれて、患者は、上記のように1日3回の投与量でさえもはや夕食で彼の血糖を制御することができないと考えられる。この進行は、従来技術において既知のあらゆる方法を用いて診断することができ、GTTが更に異常、又は夕食時のGTTが異常、空腹時又は食後の血糖値の上昇、約6.5より高いHbA1c又はたとえ正常範囲内としても患者の過去の値より約10%を超えるHbA1cの上昇、又は治療にもかかわらず上記のように高HbA1c患者の顕著な低下がないを含むが注記に限定されない。本発明によれば、グルコース耐性低下又は糖尿病のこの段階の哺乳動物は、インスリン(本明細書に記載される)を含む医薬配合物、好ましくは経口製剤の有効量を1日4回夜間に、朝に及び/又は食前に、好ましくは夜間又は朝と食前に3回、更に好ましくは夜間及び朝食、昼食及び夕食の食前に投与することによって治療することができ、残存するβ-細胞機能を予防的に保全し、及び/又はβ-細胞死滅の予防を援助し、血糖コントロール機能異常の現在のレベルを治療すると考えられる。好ましくは、インスリン配合物は、長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間、かかるヒト患者に投与される。
更に糖尿病が進行するにつれて、患者は、上記のように1日4回の投与量でさえもはや夕食で彼の血糖を制御することができないと考えられる。本発明によれば、糖尿病のこの段階の哺乳動物は、長時間作用性インスリンを含む医薬配合物、好ましくは経口の有効な投与量、及びインスリン(本明細書に記載される)を含む医薬配合物、好ましくは経口製剤の有効量を1日4回夜間に、朝に及び/又は食前に、好ましくは夜間又は朝と食前に3回、更に好ましくは夜間及び朝食、昼食及び夕食の食前に投与することによって治療することができ、あらゆる残存するβ-細胞機能を予防的に保全し、及び/又はβ-細胞死滅の予防を援助し、血糖コントロール機能異常の現在のレベルを治療すると考えられる。好ましくは、インスリン配合物は、長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間、かかるヒト患者に投与される。
膵臓の機能が終わったと決定される場合には、本発明によれば、この段階での糖尿病の哺乳動物は、長時間作用性インスリンを含む医薬配合物、好ましくは経口、の有効量、及びインスリン(本明細書に記載される)を含む医薬配合物、好ましくは経口製剤の有効量を1日3回又は4回夜間に、朝に及び/又は食前に、好ましくは夜間又は朝と食前に3回、好ましくは夜間と食前に3回投与することによって治療することができると考えられる。1日3回の投与が選ばれる場合には、上記長時間作用性配合物に加えて、医薬配合物の有効な投与量が、好ましくは食前に投与されなければならない。好ましくは、インスリン配合物は、長期にわたって、例えば、少なくとも約2週間かかるヒト患者に投与される。
本発明の他の実施態様においては、糖尿病前症患者段階、初期糖尿病及び後期糖尿病を含む糖尿病の発症の連続が確認され、本発明は、糖尿病の発症の連続に沿って患者の段階を確認することを含んでいる。本発明の好ましい実施態様は、糖尿病の発症の彼/彼女の段階に従って患者を治療する方法であって、糖尿病の発症の連続に沿って患者の段階を確認すること、糖尿病の発症の連続に沿って彼の段階に従ってその患者のための治療の過程を構成すること及び患者に対する治療を管理することを含む、前記方法を含んでいる。
本発明をよりよく理解することができるように、以下に実施例を示す。これらの実施例は、例示のためだけにあり、いかなる方法でも本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきでない。
実施例1
経口インスリンとSC短時間作用性食後血糖可動域間の比較
いかなる抗糖尿病性薬剤も含めずに2型糖尿病患者被検者における食後の血糖可動域に対する経口インスリン配合物の効果(即ち、食後の薬物動態学的と薬力学的プロファイル)と皮下投与された短時間作用性インスリンの効果とを比較するために、ランダム化3間交差二重盲検ダブルダミー実験を行った。
この実験の主たる目的は、食後の血糖可動域に対する経口インスリン配合物(2つのカプセルでの300のUインスリンと400mgの4-CNABとを組合わせた、各カプセルは150のUインスリン/200mgの4-CNABを含有する)の効果と12Uの皮下(SC)注射した短時間作用性インスリン[Eli Lilly and Company製Humalog(登録商標)注射100 U/ml]とを比較することであった。標準化された朝食摂取後、食後の血糖可動域を評価した。
1年を超える間、米国糖尿病協会(1998年Diabetes治療、21: S5-S19)で定義された2型糖尿病をもつ35〜70歳(含む)の15人の男性被検者のみを選んだ。実験に含まれる被検者のBMIは<36kg/m2であり、血糖コントロール(HbA1C< 11%)が安定であり、各実験投薬日の24時間前に全て経口血糖降下薬を止め、Visit 1の少なくとも四(4)週間前にあらゆる臨床試験用医薬品を止め、入院の72時間前で実験の期間まで激しい身体活動開始を控え、プロトコールによって必要とされる臨床的な研究単位に限定した。被検者は、一定の体重(+/-2kg)を維持した。
全ての患者は、ランダム順序で同じ経口及びSC注射治療を受けた。通院1では、各患者を6つの可能な治療順序の1つにランダム化した(表1を参照のこと)。4つの別々の場合に、患者は、標準化朝食の前に4つの可能な治療: 300 U経口インスリン/400mg4-CNAB(2つのカプセル、各カプセルは150Uインスリン/200mg4-CNABを含有する)、150U経口インスリン/200mg4-CNAB(1つのカプセル)、12 U SC短時間作用性インスリン(Humalog(登録商標))、補足的なインスリンでない(プラセボ)の1つを受けた。最初の3治療期間の間に、300U経口、12U SC、プラセボインスリンを、順不同で盲検条件(ダブルダミー法)下に投与した。第4治療期間の間に、150U経口インスリンを公開方式で患者に投与した。全体の実験設計を、下記の表1に示す。
*)全ての患者について、通院7と8を合わせた(即ち、最後の検査は、実験手順が終わった直後に通院7で行った)。
12UのSCインスリン投与量は、2型糖尿病患者に典型的な範囲に入るように選んだ。300Uインスリンの経口投与量(400mg4-CNBAと組合わせた)は、上の実施例5で有効であることが示されている。150Uインスリン(200mg4-CNBAと組合わせた)の経口投与量は、肝臓グルコース産生に対する効果が少量のインスリン投与量によっても達成されるかいなかを調べるように選ばれた。
投与されたインスリン配合物のPKとPDの特性を血糖の食後の上昇と適合させるように、実験薬剤投与の時点(SC注射: 摂食の15分前; 経口投与: 摂食の30分前)を選んだ。最初の3つの治療のセッション間のウオッシュアウト期間は、1-20日であった。各セッションの期間は、約8-9時間であり、約12時間の一晩の絶食後、全ての実験を行った。
通院1(検査通院)において、患者は絶食状態で臨床的研究単位に来た(即ち、有しないことは、少なくとも12時間のいかなるカロリーも摂取しなかった)。患者の身体的な統計、既往及び社会的な習慣を記録し、理学的検査を行った。14日以内の、通院2で、下記の表2に示される6つの治療順序の1つに各患者をランダム化し、2つの有効な治療(300 U経口インスリン/400mg4-CNAB又は12 U短時間作用性SCインスリン)か又は補足的なインスリンでないもの(プラセボ)の1つを投与した。経口投与の30分後とSC薬剤投与の15分後に、患者は、標準化朝食を摂り、食後の血糖濃度を6時間モニタした。血漿インスリン、4-CNAB、C-ペプチド濃度を測定するために連続血液試料を一定の間隔で収集した。実験患者は、治療セッション終了後研究所から解放した。
通院3及び4において、実験患者は、それらの治療順序に従って試験食と連動して代替物治療を受けるために、臨床単位に戻った。全ての実験手順と測定は、前の治療日と同一であった。最後の試験(通院5)は、通院4後、好ましくは実験手順が完了した直後であるが、通院4後の14日以内に行った。
患者は、試験食の30分前の150Uインスリン/200mg4-CNABの単回経口投与による第4の治療セッション(通院7)に参加するために通院した。全ての実験手順と測定は、前の治療日と同様であった。検査(通院6)、追加セッションの20日以内、と最後の試験(通院8)、好ましくは通院7の実験手順の直後であるがその14日以内に参加した患者が完了した。通院7と8は、通常はいっしょにした(即ち、全ての患者について、最後の試験は通院7で実験手順の完了の直後に行った)。
患者は、以下の治療順序の1つに、ランダムに割り当てた。
表2: 投与した治療
ダブルダミー法によって、各患者は、最初の3つの治療セッション(通院2-4)で、彼の予定の治療投与(経口又はSC)に加えて、プラセボ製剤としての代替投与(SC又は経口である)を受けた。補足的なインスリンのないセッションでの治療(経口、SC)は共にプラセボ製剤であった。最後の治療セッション(通院7)での全ての患者は、150Uインスリン/200mg4-CNABの経口投与量を公開方式で受けた。
上記の6つの順序に基づいて、以下の治療が実験の間に投与された。
順序1:
- 通院2: 食事の30分前に2つのインスリンカプセル、15分前に1回のSCプラセボ注射。
- 通院3: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1回のSCインスリン注射
- 通院4: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1回のSCプラセボ注射
- 通院7:食事の30分前に1つのインスリンカプセル
順序2:
- 通院2: 食事の30分前に2つのインスリンカプセル、15分前に1回のSCプラセボ注射。
- 通院3: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1つのSCプラセボ注射
- 通院4: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1つのSCインスリン注射
- 通院7: 食事の30分前に1つのインスリンカプセル
順序3:
- 通院2: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1回のSCインスリン注射
- 通院3: 食事の30分前に2つのインスリンカプセル、15分前に1回のSCインスリン注射
- 通院4: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1回のSCプラセボ注射
- 通院7: 食事の30分前に1つのインスリンカプセル
順序4:
- 通院2: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1回のSCインスリン注射
- 通院3: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1回のSCプラセボ注射
- 通院4: 食事の30分前に2つインスリンカプセル、15分前に1回のSCプラセボ注射
- 通院7:食事の30分前に1つのインスリンカプセル
順序5:
- 通院2: 食事の30分前に2プラセボカプセル、15分間前に1回のSCプラセボ注射
- 通院3: 食事の30分前に2プラセボカプセル、15分間前に1回のSCインスリン注射)
- 通院4: 食事の30分前に2つのインスリンカプセル、15分前に1回のSCプラセボ注射
- 通院7: 食事の30分前に1つのインスリンカプセル
順序6:
- 通院2: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1回のSCプラセボ注射
- 通院3: 食事の30分前に2つのインスリンカプセル、15分間前に1つのSCプラセボ注射
- 通院4: 食事の30分前に2つのプラセボカプセル、15分前に1回のSCインスリン注射
- 通院7: 食事の30分前に1つのインスリンカプセル
カプセルに用いられる4-CNABは、GMP遵守の下で製造された。カプセルを調製するために用いられるインスリンは、Eli Lilly and Company(インディアナポリス、インディアナ州)から入手した亜鉛-インスリン結晶は、ヒト: プロインスリン誘導(組み換えDNA由来)USP品質であった。インスリン/4-CNABカプセルは、150のインスリン単位USPと200mgの4-CNABを含有した。インスリン/4-CNABカプセルは、AAI Pharma Inc.(ウィルミントン、ノースカロライナ州)によって調製された。
インスリン/4-CNABカプセルは、HDPE瓶で供給され、そのそれぞれは、40カプセルとポリエステルコイルを含有した。各瓶は、熱誘導シールと子供に安全なキャップを有し、-10℃以下で凍結保存した。投薬の日に、適切な数のカプセルをフリーザから取り出し、約1時間の室温(15〜30℃)にした。カプセルを4時間の調剤中に用い、未開封瓶を室温で4時間を超えて放置しなかった。
被検者は、経口インスリン投与の30分後に食事を摂取した。グルコース摂取の6時間後に血糖濃度をモニタし、インスリン濃度、4-CNAB濃度、C-ペプチド、血糖の測定のために一定の間隔で連続血液試料を収集し、薬物動態学的及び薬力学的定量の情報を得た。試料収集の直後に血糖濃度を求め、証明した。全ての実験は、すべての通院について試料収集とモニタリング期間が同一であった。食事摂取後の実験手順は、6時間続けた(所望の食前の血糖値の血糖濃度の安定化のために+ 1時間のベースライン期間)。
各治療セッションの間に、4-CNAB、インスリン、C-ペプチドの血漿濃度の定量と、血糖濃度のために、血液試料を収集した。試験食の摂取の1時間前にサンプリングを始め、その後、6時間まで続けた。血液試料を静脈カニューレによって引き抜き、0時点のに試験食の開始に関して収集した。予定試料のタイミングは、臨床的な要求又は薬物動態学的データの要求に従って調整することができた。各セッションの持続期間は、約8-9時間であった。全ての実験は、約12時間の一晩の絶食後に行った。
実験は朝に開始した。17-ゲージPTFEカテーテルを血糖と、血漿インスリン、4-CNAB、C-ペプチド濃度の測定の採血のために腕静脈に挿入した。系統を0.15モル/l(0.9%)滅菌生理食塩水で明白に保持した。
-15の時点で、3日間の実験日のうちの2日間に経口インスリン投与又は皮下注射によって外因性インスリンを投与した。0時点で、被検者は、実験日毎に(通院2-4と7)標準化朝食を摂取した。経口治療(インスリン/4-CNABカプセルとプラセボカプセル)を食事摂取の30分前に、注射(短時間作用性インスリンとプラセボ溶液)を15分前に投与した。誘発される薬力学的応答を他の6時間に5分間隔で血糖濃度の測定によって実験し、この期間中摂食はできなかったが、所望されるように水は消費した。
血糖定量(1試料につき0.25ml)のための血液試料を食事摂取の開始の-1分(ベースライン)、5分後に、その後、食事摂取の開始後に5分間隔で120分間まで、10分間隔で240分間まで、15分間隔で360分間まで採取した(セッションにつき45の試料)。血糖濃度を、自動GOD法(Super GL Ambulance Glucose Analyzer, Ruhrtal Labortechnik, Delecke-Mohnesee, Germany)を用いて試料収集の直後に測定された。
4-CNAB血漿濃度の定量のための血液試料(ヘパリンナトリウム管に2ml)を食事摂取の開始の10、20、30、40、60、90、120、240、360分間後に採った(1セッションにつき9試料)。インスリンとC-ペプチド血漿濃度の定量のための血液試料(ヘパリンナトリウム管に5ml)を-60分、-30分、0時(食事摂取の開始)、10、20、30、40、50、60、75、90、105、120、150、180、210、240、300、360分後に採った(1セッションにつき19試料)。インスリンの血漿濃度をGLP有効微小粒子エンザイムイムノアッセイ(MEIA)で測定した。
低血糖症(60mg/dlより低い血糖濃度として定義された)の場合には、20%グルコースの可変静脈内注入によって60mg/dlの血糖濃度を維持した。必要に応じて、この血糖値を維持するために測定された血糖濃度に関してグルコース注射速度を用いた。血糖値が60分間を超えて350mg/dlを上回る場合には、実験を中止し、被検者を追加のs.c.インスリンで治療して彼の血糖濃度を正常化した。
上記のように、インスリン、4-CNAB、C-ペプチドの血漿濃度の定量用の血液試料を決まった間隔で収集した。イムノアッセイによる定量が行われるまで血漿試料を約-20℃(4-CNABは-70℃で)で貯蔵した。採血の終了後、実験被検者は、クリニックから解放された。
選ばれた薬力学的パラメータと薬物動態学的パラメータの被検者間の変動を評価した。食後の低血糖症の発生率を、各被検者と実験集団全体に評価した。
食事の摂取の後に記入された血糖可動域(即ち、食前と食後の血糖濃度の違い)を用いて2つのインスリン投与経路の薬力学的パラメータを評価し、いかなる補足的なインスリンを含まない実験日に得られる同様のデータと比較した。これらの測定から、グルコース注射速度下の面積と0-6時間(他の時間間隔)からの時間曲線、最大の血糖可動域(Cmax)、最大の血糖可動域(tmax)の時間を分析した。
薬力学的評価について、以下のパラメータを算出した。最大血糖可動域(BGmax)、BGmax(tBGmax)に対する時間、決まった時間間隔における血糖可動域曲線下の面積(AUCBG 0-1h、AUCBG 0-2h、AUCBG 0-3h、AUCBG 0-4h、AUCBG 0-6h)、最大絶対血糖濃度(BGabsmax)、BGabsmaxに対する時間(tBGabsmax)。
薬物動態学的評価について、以下のパラメータを算出した。最大血漿インスリン濃度(INSmax)、INSmaxに対する時間(tINSmax)、決まった時間間隔におけるグルコース注射速度下の面積(AUCIns 0-1h、AUCIns 0-2h、AUCIns 0-3h、AUCIns 0-4h、AUCIns 0-6h)、C-ペプチド濃度の最大低下
血漿インスリン濃度を適切な薬物動態学的分析に供した。決定されたパラメータは、Cmax、tmax、投薬の時間からベースライン測定に戻る復までの血漿濃度と時間曲線下の面積(AUC0-t')、(ここで、t'は血漿インスリン濃度レベルがベースラインに戻る時間である。)を含んでいる。更に、適切であるとみなされる場合、実験の範囲内に登録された各個々の被検者について、他の薬力学パラメータ、例えば、t1/2、排出速度定数(λz)、部分的なAUC値を算出した。
薬力学
経口インスリン/4-CNABカプセルの薬力学的効果の測定として、6時間にわたって測定された血糖可動域を考慮し、食事摂取の開始の最初の2時間後における血糖可動域と時間曲線下の面積(AUC0-2h)を主たる薬力学的終点として定義した。
採取された血液試料から、個々の血糖濃度を求め、下記の表3-20に示されるように、濃度と時間の纏めの表を作り、プロファイルをプロットした。
個々の血糖可動域データに基づき、1治療につき血糖可動域の平均時データ(標準偏差を含む)を算出した。下記の表21は、1治療につき血糖可動域の平均時プロファイル(標準偏差と)を示すものである。
表21:血糖可動域(mg/dl)と時間に関する統計
個々の血糖可動域データに基づき、1治療につき血糖可動域の平均時プロファイル(標準偏差を含む)をプロットした。図1は、全ての被検者に対する食後の血糖可動域(mg/dl)の算術平均と時間のプロット線を示すグラフである。図1に示されるように、異なる治療の平均血糖可動域は食事摂取の開始の1〜2時間後に最大に達し、その後、ベースラインに戻る。最大のグルコース可動域(中央値)の時間は、SC 12 U短時間作用性インスリンが1.3時間、プラセボが1.7時間、経口150Uインスリン/200mg 4-CNABが1.8時間、経口300Uインスリン/400mg 4-CNABが2.2時間であった。
最低の全体の可動域は、12U SC短時間作用性インスリン注射によって達成した。経口インスリン治療とプラセボと比較して、SC注射の後の血糖可動域は45〜360分の間、著しく低くなり、約180分間でベースラインと交差した後に、食事摂取の360分後まで値はますます負になる。
経口300Uインスリン/400mg 4-CNAB後、ベースラインから急激な低下を15分間で-20.8mg/dlまで見ることができ、続いて30分間でベースラインに戻る。従つて、ほぼ最初の時間で、300U経口インスリン/400mg4-CNABの投与量によって注射と比較してさえ可動域が小さくなった。その後、曲線の上昇とその後の低下は、経口150Uインスリン/200mg4-CNAB投薬と治療なし(プラセボ)に見られるパターンに従う。150U経口インスリン/200mg4-CNABと治療なし(プラセボ)の間で違いを見ることができなかった。
プロファイルに基づき、誘導パラメータ、AUC
0-1h、AUC
0-2h、AUC
0-3h、AUC
0-4h、AUC
0-6h、C
maxを、下記の表22に示されるように算出した。
表22:
このデータは、300U経口インスリン/400mg4-CNAB投薬後にAUC0-1hが最低であることを示している。2時間と3時間まで、AUCは、150U経口インスリン/200mg4-CNABと治療なし(プラセボ)のAUCより更に小さいが、12U SC短時間作用性インスリンのAUCより大きい。しかしながら、4時間と6時間については、経口適用と治療なしの間で違いを見ることができない。150U経口インスリン/200mg4-CNABについては、全てのAUCは、治療なしによって得られたものにだいたい等しい。両者の経口インスリン投与後と治療なしの後の平均最大血糖可動域(Cmax)は、同様であり、SC注射の後のCmaxより高いことは明らかである。
図3と図4は、それぞれ、被検者116と117に対する血糖濃度と時間曲線を示すグラフである。被検者116は、彼が疾患の初期においてII型糖尿病患者であることから、即ち、自分自身のインスリンを生産することができることから選ばれ、図3において示される被検者116のグルコース曲線は健康的な(正常な)糖尿病にかかっていないヒトに匹敵した。対照的に、被検者117は、疾患の進行期においてII型糖尿病患者であり、即ち、放置されるごくわずかな膵臓機能がごくわずかしか残ってなく、ごくわずかな内在性インスリンしか生産していない。従って、被検者117の図4のグルコース曲線に示されるように、この被検者の血糖値を健康的な(正常な)糖尿病にかかっていないヒトにおいて見いだされるレベルへ低下させるために非常に長くかかった。
実験結果は、次のように纏めることができる。3時間以上のCmaxとAUCがみなされる場合、治療なし(プラセボ)と比較して経口治療の統計学的に有意な違いは確立することができなかった。一方では、双方の経口治療がSCインスリン注射と有意に異なり、経口治療によって平均値が高くなる。
主要な終点AUC0-2hに関して、標準化試験食の30分前に投与された300Uインスリン/400mg4-CNABの経口1回投与は、治療なし(プラセボ)と比較して食後の血糖可動域の統計学的に有意な低下を引き起こした。しかしながら、効果は、12U短時間作用性インスリンのSC注射後よりかなり低かった。150U経口インスリン/200mg4-CNABの効果は、治療なし(プラセボ)とかなり異なった。
薬物動態
採取した血液試料から、4-CNAB、インスリン及びC-ペプチドの個々の血漿濃度を求め、濃度と時間の纏めの表を作り、下のインスリンとC-ペプチド濃度について表23-40に示されるようにプロファイルをプロットした。
下記の表41は、4-CNABを含む2つの治療のための血漿4-CNAB濃度の平均時間データ(標準偏差を含む)を示すものである。
表41:4-CNAB濃度(ng/ml)と時間に関する統計
図2は、4-CNABを含む2つの治療のための4-CNAB血漿濃度(ng/ml)と時間(算術平均)のプロファイルを示すグラフである。図2に示されるように、血漿4-CNAB濃度は、食事摂取の開始の最初の2時間後の範囲内に急速な低下を示す。2時間後、濃度は10分後に見られるレベルの10%未満である。結果は、インスリン/4-CNABカプセルの摂取と食事摂取の開始の最初の測定の10分後との間の時間に著しく高い濃度が達成されたことを示している。400mg4-CNABの摂取後の濃度は、約200mgの摂取後のほぼ2倍程度である。
下記の表42は、1治療につき血漿インスリン濃度の平均時データ(標準偏差を含む)を示すものである。
表42: インスリン濃度(pmol/l)と時間のプロファイルに関する統計
図5は、インスリン血漿濃度(pmol/l)と時間(算術平均)のプロファイルを示すグラフである。図5とに上の表Bに示されるように、最高平均インスリン血漿濃度は、150U経口投与後に達され、続いて300U経口、プラセボ、12U SC注射に達成される。経口300Uインスリン/400mg4-CNABの曲線は、2つの最大、最初に0分で、第2に120分で示すものである。0分でのピークは、平均インスリン濃度のこの著しい移動に対して最大の1803pmol/lの値に関与した1人の特定の患者のためである。ほとんどすべての患者は、0時にインスリン濃度の多少の顕著な分離された増加を示したが、その患者ほどの程度ではない。更に、プラセボの下でのインスリン濃度の上昇は、食事摂取によって引き起こされる患者の内在性インスリン産生によって説明される。
図7と図8は、それぞれ被検者116と117のインスリン血漿濃度と時間の曲線を示す図である。自分自身のインスリンを生産した初期II型糖尿病患者であった被検者116については、図7に示されるインスリン血漿濃度と時間曲線は、健康的な(正常な)糖尿病にかかっていないヒトのそれを模倣した。即ち、同様の二相分泌時間曲線の形を有したが、インスリンピークが正常であるよりわずかに早く生じた。ごくわずかな内在性インスリンしか生産しなかった進行期のII型糖尿病患者であった被検者117については、図8に示されるインスリン血漿濃度と時間曲線は、正常な糖尿病にかかっていないヒトより低い初期ピークの後のインスリンのレベルを示し、血漿インスリン濃度の第2ピークが生じなかったことを示している。このことは、この被検者が正常なインスリン血漿濃度と血糖値を維持するために長く続く基礎インスリンを投与することが必要とされることを示している。
下記の表43は、1治療につき血漿C-ペプチド濃度の平均時間データ(標準偏差を含む)を示すものである。
表43: C-ペプチド濃度(nmol/l)と時間に関する統計
図6は、C-ペプチド血漿濃度(nmol/l)と時間(算術平均)のプロファイルを示すグラフである。内在性インスリン産生の指標であるC-ペプチドの平均血漿濃度は、すべての治療後に増大した。低下しているか又は多かれ少なかれ一定のC-ペプチド濃度は、2、3人の患者だけ、短時間作用性インスリンのSC注射後にだけ見られた。このことは、大部分の患者において、内在性インスリンを生産する能力がなお維持されたという事実を反映するものである。予想されるように、150U経口インスリン投与量とプラセボは、最も著しい増加を示すが、300U経口投与量や12U SC注射の後の増加は明らかに低い。
インスリン濃度と時間プロファイルに基づき、時間0からベースラインインスリンレベルがさらにまた(AUC
0-t *)に達した時間のパラメータC
max、t
max及びAUCを下記の表44に示されるように算出した。
表44:
t*は ベースラインインスリンレベルがさらにまた達するか又は最後のデータ点(360 min)であるときの時間を示す
このデータは、平均インスリン血漿濃度と時間プロファイルが150U経口インスリン後に最高AUCを示し、続いてプラセボ、300U経口インスリン、12U SC注射を示したことを意味している。最高平均Cmaxは、150U経口インスリン後に達し、続いて300U経口インスリン、プラセボ、12U SC注射であった。Cmax(tmax)までの時間の中央値は、150U経口インスリンとプラセボについて最も長く、続いて300U経口インスリンと12U SC注射であった。
結論
この実験の主たる目的は、標準化朝食後の食後の血糖可動域に対して経口投与された300Uインスリン/400mg4-CNABの効果を12Uの皮下注射された短時間作用性インスリン(Humalog(登録商標))と比較することであった。薬力学的評価のの主なパラメータとしてのAUC0-2hに関して、血糖可動域に対する最高の効果は、12U SC短時間作用性インスリンに見いだされ、続いて経口300Uインスリン/400mg4-CNAB、経口150Uインスリン/200mg4-CNAB、プラセボであり、2つの後者の効果は、だいたい等しく見えた。しかしながら、これらの結果は、全ての算出AUCについて一貫していなかった。最初の時間の間、300U経口インスリンは、12U SCより優れ、この順序は2時間を超えるAUCが比較された場合に変化した。両者の経口治療は治療なし(プラセボ)ともはやほとんど違わなかったが、12U SC注射は、なお有意差を示し、明らかにAUCが小さかった。
300Uの経口インスリン投与後、平均血糖可動域は変わり(食事摂取の開始の15分後に-20.8mg/dlまで)、30分間でベースラインに戻った。この一時的な低下は大部分の患者に見ることができたが、ベースライン血糖が80mg/dlより低い特定の1人においてのみ低血糖エピソードに至った。これらの知見は、試験食から炭水化物の相当な吸収の前に経口投与された300Uインスリン/400mg4-CNABの作用の急速な発生を意味するものである。それ故、服用投与と食事摂取の開始との間で30分の時間の間はあまりに長いものである。
可動域の計算のための基準として役立つベースライン(-1分)の平均空腹時血糖値は、経口150Uインスリン/200mg4-CNABについては124.38mg/dl(99.10-172.00)、経口300Uインスリン/400mgの4-CNABについては120.26mg/dl(72.20-175.00)、12U SC短時間作用性インスリンについては143.11mg/dl(104.00-190.00)、プラセボについては137.32mg/dl(93.10-183.00)であった。これらのベースライン値に関して、4つの治療は、2つのグループ: 約120mg/dlの値を示す2つの経口治療と、約140mg/dlを示すプラセボと共にSC注射に分けられた。この知見は、服用投与と食事摂取の開始との間の時間における経口インスリン配合物の初期作用によって説明することができるが、これはプロファイルによってカバーされていない。しかしながら、記載された不均一性は、結果の品質を損なうとみなされない。
4-CNABの濃度と時間のプロファイルは、血漿から物質の除去だけを示す。吸収相と最大濃度は消失する。-30〜+10分間の時間において、急速な上昇に続いて急速な低下をとることができ、達成された最大濃度は食事摂取の開始の10分後に見られる値より著しく高くなければならない。それ故、4-CNAB薬物動態の調査は、更に、服用投与後の最初の時間から、試料の適当な数を含まなければならない。
インスリンプロファイルは、150U経口インスリン後に最高のAUCを示し、続いてプラセボ、300U経口インスリン、12U SC短時間作用性インスリンであった。プラセボ後の平均血漿インスリン濃度の著しい増加は、食事摂取によって引き起こされた内在性インスリン産生の患者の能力がなお維持されたことを示している。また、150U経口インスリンの高AUCは、おそらく主に内在性インスリン産生を反映し、その他の治療の曲線もある量の内在性インスリンとみなすことができる。
C-ペプチド血漿濃度プロファイルによって、この観点が確認され、かなりの量の内在性インスリンの放出も示される。レベルは、150U経口インスリン後に最高であり、続いてプラセボ、300U経口インスリン、12U SC短時間作用性インスリンであった。予想されるように、150U経口投与量とプラセボによって最も著しい増加が生じたが、300U経口投与量と12U SC注射後の増加は明らかにより低く、これらの知見は、異なる治療に見られる血糖低下作用と相関し、外部インスリン服用の効果が下がるほど、内在性インスリン産生の指標としてのC-ペプチドの量が大きくなった。
この実験において双方の経口投与量に見られるインスリン濃度と時間のプロファイルは、国際出願第03057170号の実施例6で得られるものとかなり異なり、平均インスリン濃度は、約2時間後にベースラインに戻り、約半時間後に最大濃度が生じた。これらの違いは、食事の影響によるものであり、内在性インスリン放出を刺激し、おそらく、経口インスリン製剤の吸収も妨害する。国際出願第03057170号の実施例6においては、患者は、全ての実験の間に絶食し、内在性インスリン産生は、一定の低投与量インスリン注入によって抑制された。それ故、国際出願第03057170号の実施例6の濃度と時間の曲線は、投与された外因性のインスリンの純粋な薬物動態をより表しているが、本実験では、外因性と内在性のインスリンの効果が重なっている。
有害な事象は、この実験において報告されなかった。臨床検査室安全性パラメータ、バイタルサイン、ECG又は理学的検査の治療に関連した知見はなかった。4人の患者に生じた5つの低血糖エピソードは、グルコース静注による直接の介入のために症状のないままであった。エピソードの1つだけは、経口300Uインスリン/400mg4-CNABのためであり、大多数(4/5)が12U SC短時間作用性インスリン注射後に生じた。従って、全ての実験治療は十分に許容された。
全体的に、300Uインスリン/400mg4-CNABを経口投与した実験の結果から(主要な終点AUC0-2hに基づき)2型糖尿病患者において血糖の食後の上昇を下げるのに有効であることが示される。しかしながら、効果は、双方の経口投与よりよりかなり優れている12U SC短時間作用性インスリンの注射後より小さい。150Uインスリン/200mg4-CNABの経口投与量は、治療なし(プラセボ)と同様に有効である。どちらの投与量においても、経口投与されたインスリン/4-CNABは、十分に許容されると思われる。
実施例2
国際特許出願第PCT/US04/00273号においても示される、本実施例においては、本願明細書に記載される経口インスリンカプセルを就寝前の夜に糖尿病をもつ20人のヒト被検者に経口投与した。
1つは絶食状態で1つは標準食事後の2型糖尿病をもつ被検者の2つのグループにおいて経口投与された4-CNAB/インスリン配合物の安全性を皮下注射されたインスリンと比較するために、公開標識の1回の投与量の交差実験を行った 。目的は、(1)空腹時2型糖尿病患者被検者において経口投与された4-CNAB/インスリンの安全性、薬物動態及び薬力学を皮下注射されたレギュラーインスリンと比較することと、(2)標準食事とレギュラー薬剤後の血糖、インスリン、Cペプチドレベルを標準食事と4-CNAB/インスリン後の血糖、インスリン、Cペプチドレベルと比較することであった。
この研究の焦点は、2型糖尿病被検者に対する、就寝時に経口投与されるインスリン/4-CNABの安全性の評価である。研究の目的は、経口インスリンの就寝時の投与が一晩絶食中のグルコースホメオスタシスとインスリン分泌に対して効果を及ぼすことができるかを求めることであった。仮定された作用機序(例えば、グルコースの肝臓生成を抑制するので、β-細胞死滅又はインスリン産生性機能異常を予防する)は実験の設計の基礎であった。
空腹時血糖値(2型糖尿病)が高いが、そうでなければ既往、理学的検査、臨床的検査に基づいて良好な健康状態の年齢35-70歳の24人のヒト被検者(患者)が、実験に関与し、少なくとも7日の間隔で分けられた2つの場合に一晩絶食された状態で実験した。以下の治療条件を実験した。
グループ1: 十二(12)人の2型糖尿病患者被検者: (a)経口インスリン/4-CNAB-絶食された被検者と、(b)空のカプセル-絶食された被検者。
グループ2: 十二(12)人の2型糖尿病患者被検者: (a)標準食事とレギュラー薬剤と、(b)標準食事と経口ヒトインスリン/4-CNAB。
合計20人の被検者は就寝時に経口投与されるインスリン/4-CNABの安全性に関して、実験の第二部で関与し、更に4人の被検者が実際業務を考慮したために含まれていない。これらの20人の被検者は、就寝前の夜に経口インスリンカプセルをとった。実験は、民間の臨床職務看護婦の管理の下に被検者の自宅で行われた。患者自身の環境で実験を行う論理的根拠は、グルコースホメオスタシスが、なれた環境で行われる場合に最良に反映されるとともに入院によりかなり変化するという事実に基づいた。
空腹時血糖、インスリン及びC-ペプチドレベルは、3日間の午前7時00分に測定されてベースラインレベルを確立した。カプセルをとる前の2連続の夜と朝に、被検者は、グルコメーター(支給される)で血糖値を測定した。被検者の血糖値が、最初の2日間の朝で(空腹時)、3番目目の夜に>120mg/dlであった場合には、被検者はインスリンカプセルをとった。最初の2連続の朝に患者の空腹時血糖が120mg/dl以下であった場合には、患者は実験から放免され、全ての最後の実験手順をプロトコールに従って行った。被検者は、毎晩午後7:00と8:00の間に家で一定の夕食を取った。被検者が通常晩に糖尿病の薬剤(メトホルミン又はアカルボース)をとる場合には、それらの常用量をとった。
午後11:00(夕食の少なくとも2時間後)に、被検者は、以下の成分: 被検者が実験の第一相で投与される300mg4-CNABと投与量(200-400U)に従うインスリンを含有した1回の経口インスリン投与量をとった。被検者が足跡の第一相において200Uインスリンを受け、血糖値降下(<15%の低下)がなかった場合には、彼は300Uのインスリンを受けた。被検者が足跡の第一相において300Uインスリンを受け、血糖値降下(<15%の低下)がなかった場合には、彼は400Uのインスリンを受けた。被検者のいずれも、400Uを超えるインスリンを受けなかった。カプセルは、AAIで調製され、安定性を示した。
経口インスリンカプセルをとったときと夜中には看護婦は被検者の自宅にいた。被検者が薬剤をとる前に、看護婦はグルコメーターで血糖値を調べた。更に、血糖値、インスリン、C-ペプチドのために採血した。低血糖症の場合には治療のためにオレンジジュースが容易に入手できた。睡眠の間、被検者は、グルコウォッチ(Glucowatch)(血糖モニタであり、一定の間隔で血糖値を記録する)を着用した。グルコウォッチは、血糖値が調査者又は患者が測定する所定の血糖値(低血糖レベル)に達した場合引き金となるアラームを備えている。民間の臨床職務看護婦は、また、患者をモニタするために夜の間もいた。朝に、被検者が起きた(例えば、午前7:00に)ときに、看護婦はグルコメーターで血糖値を調べた。更に血液試料を、血糖値、インスリン、C-ペプチドのために採取した。前の晩から血液試料を家の冷蔵庫に保存し、そして、朝に看護婦が分析のための研究室に、血液試料(夜と朝の)を運んだ。
実験の間に深刻な悪影響はなかった。本明細書に実施例として報告した夜間経口インスリン実験の結果(空腹時血糖、インスリン、C-ペプチドを午前7:00頃に測定し、患者自身のベースラインレベルと比較した)を図9-図12に示す。インスリンと4-CNABを各被検者に夜間投与した朝に収集し、被検者自身のベースラインレベルと比較したデータ(血糖、インスリン、C-ペプチド)は、表45(μUU/ml)に患者によって報告され、図9-図11においてグラフで示されている。
一晩の実験は、経口インスリンの一回量の代謝効果が朝に、即ち、投与の約8時間後になお明らかであったことを示した。結果として、肝臓から出される血糖が減少した。図9(血糖に対する効果)に示されるように、夜間経口インスリンカプセルの投与の後の患者においてベースライン血糖値と血糖値間に統計学的に有意な違いはなかった。投与の後の朝に測定した血糖は、ベースラインレベルから6%だけ低下した。即ち、133.78の±40.53mg/dlから125.78の±42.99(p=0.017)に低下した。
一方、全ての患者において、C-ペプチドとインスリンの統計学的に有意な低下が朝に検出された(血糖値は幾分不変だった)。ベースラインから平均24%のC-ペプチドレベルの一貫した代償低下、即ち、2.69±0.88ng/ml から2.04の±0.71(p<0.001)へは、内因的に生産されたインスリンを分泌するβ-細胞の活性が低下したことを示した。血漿インスリンレベルは、平均33%だけ低下した。即ち、13.90の±6.44μU/mlから9.35±4.52(p<0.001)へ低下した。これらの結果は、それぞれ、図3と図4にグラフで示されている。
これらの結果の解釈は、夜間の外因性インスリンの“ブースト"は、患者のβ-細胞を休止させるとともに、より少ないインスリンの生産を少なくさせることができ、同じ血糖レベルを達成することを可能にすることである。提起された臨床的な意味は、かかる治療が単独で示された(就寝時経口インスリン)場合には、これらの細胞が消耗から機能異常又は死滅するのでβ-細胞機能を保全するらしいことである。この意味は、疾患の初期(例えば、IGT又は“グルコース耐性低下"段階)にインスリンによって“積極的に"介入することによって、短い時間、例えば、2週間の持続期間でさえインスリンを示すことによって細胞に対するこの“静止"が顕性糖尿病の発症を長期間保護保護することができることを示したいくつかの報告された実験によって支持される。
この実験においては、インスリンが空腹時状態において、また、絶食を継続した患者に投与されたにもかかわらず、患者はいずれも臨床的に有意な低血糖エピソードを有しないことが更にわかった。この結果は、本明細書に記載される経口インスリン配合物の投与が低血糖症に関して安全であるという結論を支持する。
実施例3
インスリン/4-CNAB(75U/100mg)錠剤の調製
本実施例は、インスリン/4-CNAB錠剤のための製造手順を記載するものである。各錠剤は、約75単位のインスリンUSP(約26.6U/mgの無保証の効力を有する約2.82mgの組換えヒトインスリンに等価)と約100mgの4-CNAB一ナトリウム塩を含有した。
4-CNABとポビドン(KOLLIDON(登録商標)90F(BASF Corporation, Mount Olive, NJ))の重さを量った。KOLLIDON(登録商標)90Fを15%w/w水に溶解した。インスリン(Diosynth, Inc.から入手した)をKOLLIDON(登録商標)溶液に懸濁し、次に、4-CNABは、造粒媒体としてインスリン懸濁液を用いて粒状にした。必要に応じて、水を追加して造粒を完了した。顆粒を約50℃で真空オーブン内で乾燥した。部分的に乾燥した顆粒(約0-10%w/w、好ましくは約2-3%w/w水分)をハンマーミルを用いて約0.02インチのスクリーンを通る粉にした。約0.6%w/w未満の最終含水量まで乾燥を続けた。
乾燥顆粒についてインスリンと4-CNABを分析した。分析結果に基づいて、賦形剤の量(無水EMCOMPRESS(登録商標)(リン酸二カルシウム(JRS Pharma LP, パターソン、ニューヨーク州)とステアリン酸マグネシウム)を算出し、重さを量った。インスリン/4-CNAB顆粒と無水EMCOMPRESS(登録商標)をV-ブレンダで約15分間のためのブレンドした。試料についてブレンド均一性を分析した。試料がブレンド均一性規格を通過した場合、ステアリン酸マグネシウムを約3分間ブレンドた。試料がブレンド均一性規格を通過しなかった場合には、次に、混合物を更に約5分間ブレンドし、アッセイと分析段階を繰り返した。錠剤を、硬度が約7KPのEK-0単一位置押圧で圧縮した。
得られた錠剤の硬度は約7.6kPであり、厚みが約2.8mmであり、直径が約7.1mmであり、破砕性が0.00%であり、崩壊時間が約5分であった。下記の実施例3に記載されるように、この製剤の投与量は、1人の患者につき約4個の錠剤であった。
インスリン/4-CNAB(75U/100mg)錠剤の調製
生成物の品質が温度と湿度の影響によって時間とともにどのように変動するかについて明らかにするために、得られた錠剤が推奨された貯蔵条件下に保存された場合に規格内に残るかを求めるために実験した。安定性試験は、資格のある装置、試験方法及び人員を用いて米国連邦医薬品局最新医薬品の製造及び品質に関する基準、21 C.F.R.§210、211や、医薬品規制整合化(ICH)国際会議、ICH Q1A(R2)を遵守して行った。
錠剤試料を多くの密封容器で包装され、それは、制御された温度と湿度のチャンバ内に入れた。室温安定性試験については、容器を25℃±2℃/60%±5% の相対湿度で保存した。次に、試料を指定された時間間隔でこれらのチャンバから引き出し、外観(方法No.AM001v2)、インスリンアッセイ(方法no. AM018)、4-CNABアッセイ(方法no. AM018)、水分(方法no. USP<921>)、崩壊(方法no. USP<701>)及び、場合によっては、微生物試験(方法no. USP<1111>)に関して、製品安定性規格に対する適合性を試験した。
以下の表46は、25℃±2℃/60%±5%の相対湿度条件での75Uのインスリン/100mg 4-CNABの錠剤の安定性データを示すものである。
表46:
インスリン分子は、25度Cで60%相対湿度(25/60)で2ヵ月間保存した場合75Uインスリン/100mg4-CNABインスリン錠剤配合物において安定に(> 90%)見える。
実施例4
インスリン/4-CNAB(150U/80mg錠剤の調製
本実施例は、インスリン/4-CNAB錠剤のための製造手順を記載するものである。各錠剤は、約150単位のインスリンUSP(約26.6U/mgの無保証の効力を有する約5.64mgの組換えヒトインスリンに等価)と約80mgの4-CNAB一ナトリウム塩を含有した。この実験に用いられるインスリンは、Diosynth, Inc.から入手され、アメリカ薬局方に記載されているヒトインスリンの規格を満たした。
4-CNABとポビドン(KOLLIDON(登録商標)90Fの重さを量った。KOLLIDON(登録商標)90Fを水に溶解した。この段階で用いられる水の量は、造粒において用いられる材料の量の約1-50%、好ましくは約15%であった。インスリン(Diosynth, Inc.から入手した)と4-CNABを幾何学的に混合し、Key Instruments KG-5高剪断グラニュレータの5Lボウルに充填した。次に、インスリン/4-CNABブレンドをKOLLIDON(登録商標)溶液を用いて粒状にした。必要に応じて、水を追加して造粒を完了した。顆粒を約20-80℃、好ましくは約50℃で真空オーブン内で乾燥した。部分的に乾燥した顆粒(約0-10%w/w、好ましくは約2-3%w/w水分)をハンマーミルを用いて約0.02インチのスクリーンを通る粉にした。約0.6%w/w未満の最終含水量まで乾燥を続けた。
乾燥顆粒についてインスリンと4-CNABを分析した。分析結果に基づいて、賦形剤の量(無水EMCOMPRESS(登録商標)とステアリン酸マグネシウム)を算出し、重さを量った。インスリン/4-CNAB顆粒と無水EMCOMPRESS(登録商標)をV-ブレンダで約15分間のためのブレンドした。試料についてブレンド均一性を分析した。試料がブレンド均一性規格を通過した場合、ステアリン酸マグネシウムを約1-5 分間、好ましくは約3分間ブレンドした。試料がブレンド均一性規格を通過しなかった場合には、次に、混合物を更に約1-10分間、好ましくは5分間ブレンドし、アッセイと分析段階を繰り返した。錠剤を、硬度が約5 KP約10KP、好ましくは約7KPのEK-0単一位置押圧で圧縮した。得られた錠剤の硬度は約7.6kPであり、厚みが約2.8mmであり、直径が約7.1mmであり、破砕性が0.02%であり、崩壊時間が約6分であった。
インスリン/4-CNAB(150U/80mg)錠剤の調製
生成物の品質が温度と湿度の影響によって時間とともにどのように変動するかについて明らかにするために、得られた錠剤が推奨された貯蔵条件下に保存された場合に規格内に残るかを求めるために実験した。安定性試験は、資格のある装置、試験方法及び人員を用いて米国連邦医薬品局最新医薬品の製造及び品質に関する基準、21 C.F.R.§210、211や、医薬品規制整合化(ICH)国際会議、ICH Q1A(R2)を遵守して行った。
錠剤試料を多くの密封容器で包装され、それは、制御された温度と湿度のチャンバ内に入れた。室温安定性試験については、容器を25℃±2℃/60%±5% の相対湿度で保存した。次に、試料を指定された時間間隔でこれらのチャンバから引き出し、外観(方法No.AM001v2)、インスリンアッセイ(方法no. AM018)、4-CNABアッセイ(方法no. AM018)、水分(方法no. USP<921>)、崩壊(方法no. USP<701>)及び、場合によっては、微生物試験(方法no. USP<1111>)に関して、製品安定性規格に対する適合性を実験した。
以下の表47は、25℃±2℃/60%±5%の相対湿度条件での150Uのインスリン/80mg 4-CNABの錠剤の安定性データを示すものである。
インスリン分子は、25度Cで60%相対湿度(25/60)で6ヵ月間保存した場合150Uインスリン/80mg4-CNABインスリン錠剤配合物において安定に(> 90%)見える。比較すると、150インスリン/200mg4-CNABカプセル配合物によって、2ヵ月後に疑似HPLCデータと、3ヵ月後に90%より低い結果が得られた。カプセルと錠剤配合物間の違いは、カプセルが大気に晒される表面積を大きくすることができ、4-CNABのレベルが高く、無水リン酸二カルシウムより水を含有し、ラウリル硫酸ナトリウム(潜在的インスリン変性剤)を含有したことである。
実施例5
4-CNAB(100mg)錠剤の調製
本実施例は、4-CNAB錠剤のための製造手順を記載するものである。各錠剤は、約100mgの4-CNAB一ナトリウム塩を含有する。
配合物の組成(理論上、全て数字は概算である):
4-CNABとポビドン(KOLLIDON(登録商標)90F(BASF Corporation, Mount Olive, NJ))の重さを量った。KOLLIDON(登録商標)90Fを水に溶解した。この段階で用いられる水の量は、造粒において用いられる材料の量の約1-50%、好ましくは約15%であった。4-CNABをKOLLIDON(登録商標)溶液を用いて粒状にした。必要に応じて、水を追加して造粒を完了した。顆粒を20-80℃、好ましくは約50℃で真空オーブン内で乾燥した。部分的に乾燥した顆粒(約0-10%w/w、好ましくは約2-3%w/w水分)をハンマーミルを用いて約0.02インチのスクリーンを通る粉にした。約1.0%未満、約0.6%w/w未満の最終含水量まで乾燥を続けた。最終水分に基づいて、賦形剤の量(無水EMCOMPRESS(登録商標)(リン酸二カルシウム(JRS Pharma LP, パターソン、ニューヨーク州)とステアリン酸マグネシウム)を算出し、重さを量った。4-CNAB顆粒と無水EMCOMPRESS(登録商標)をV-ブレンダで約10-20分間、好ましくは約15分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを加え、約1-5分間、好ましくは約3分間ブレンドた。錠剤を、硬度が約5KP-10KP、好ましくは7KPのEK-0単一位置押圧で圧縮した。
実施例6
本実施例においては、絶食し食前の2型糖尿病患者において経口インスリン/4-CNAB錠剤の安全性、許容性、薬物動態及び薬力学を評価するために単純盲検交差実験を行った。この実験には、被検者間の変動を低下させるとともに制限された試料の大きさの最大使用を可能にするために交差設計を選び、患者側から先入観を減少させるために盲検実験設計が選ばれた。
30〜65歳が含まれ、臨床的に証明された食事制御された2型糖尿病をもつ肥満度指数が<32kg/m2であり、空腹時血糖レベルが<150mg/dlの八(8)人の男性被検者がこの実験に選ばれた。これらの患者は、一般的には、正常な許容値の範囲内で既往、理学的検査、臨床検査室テスト、バイタルサイン及びECG、及び肝臓や腎臓の実験室評価に有意な知見の欠除がないことにより証明された良好な健康状態にあった。これらの患者は、糖尿病を制御するインスリンの使用が現在も過去もなく、肝臓、腎臓又は胃腸系の臨床的に有意な病気又は異常状態がない。
被検者は各投薬の投与の前に一晩少なくとも8時間絶食し、各実験薬剤を正確に150mlの水によって投与し、続いて治療の薬理学的相互作用を排除するために72時間の期間ウオッシュアウトした。留置カテーテルを、薬物動態学的、薬力学的、臨床的血液試料の収集のために挿入した。実験薬剤の用法は、以下の通りにした。
- 期間1: 被検者は、朝に75Uインスリン/100mg4-CNAB(全投与量300 Uインスリン/400mg4-CNAB)の4錠剤が朝に投与され、4.5時間絶食状態にあった。
- 期間2: 被検者は、75Uインスリン/100mg4-CNAB(全投与量300Uインスリン/400mg4-CNAB)の4錠剤が標準のADA朝食を食べる正確に10分前に投与された。
- 期間3: 被検者は、150Uインスリン/80mg4-CNAB(全投与量300Uインスリン/160mg4-CNAB)の2錠剤が朝に投与され、4.5時間絶食状態にあった。
- 期間4: 被検者は、150Uインスリン/80mg4-CNAB(全投与量300Uインスリン/160mg4-CNAB)の2錠剤を標準のADA朝食を食べる正確に10分前に投与された。
- 期間5: 全ての被検者は、300Uインスリンと160mgの4-CNAB(2錠剤)が投与された。3人の患者は、150Uインスリン/80mg4-CNABを含有する1錠剤が朝食の正確に10分前と150Uインスリン/80mg4-CNABを含有する1錠剤が朝食の正確に0分前に投与された。5人の患者は、300Uインスリン/160mg4-CNABの合計を含有する2錠剤が朝食の正確に0分前に(N=5)投与された
- 期間6: 被検者は、100mgの4-CNAB(全投与量200 mg 4-CNAB)の2錠剤が標準のADA朝食を食べる正確に10分前に投与された。
この実験の投与量レベルは、健康な被検者と糖尿病被検者双方において以前のヒト経験に基づいて選ばれ、ここで、450Uまでのインスリン/600mg4-CNABが1型及び2型糖尿病患者において問題なく許容された。配合物及びインスリンと4-CNABの用量比は、配合物最適化のために薬剤/担体比-応答関係を調査するように選ばれた。75Uインスリン/100mg4-CNAB錠剤と150U インスリン/80mg4-CNAB錠剤は、それぞれ上の実施例1及び2において記載されたように製造した。
4-CNAB、インスリン、C-ペプチドの薬物動態学的分析及びインスリンやグルコースの薬力学的分析のための血液試料を次の時に各期間で収集した(4-CNABが第6期間後に測定されなかったことを除く):
- 4-CNAB(12試料): 実験の5分前投与; 実験の5、10の,15、20、25、30、40、50、60分後、2、4時間後投与。
- インスリン(13試料): 実験の15、5分前投与; 実験の5、10、15、20、25、30、40、50、60分、2、4時間後投与。
- C-ペプチド(9試料): 実験の15、5分前投与; 実験の10、20、30、40、60分、2、4時間後投与。
- 血漿又は血糖(13試料): 実験の15、5分前投与; 実験の5、10、15、20、25、30、40、50、60分、2、4時間後投与(血糖は、SuperGL装置を用いた; 血漿は、Elisaアッセイを用いた)。
4-CNABの血漿濃度時間データから決定又は算出されるファーマコキネティックパラメータは、Cmax、tmax、t1/2、AUC0-last、AUCinf、AUC0-t、及びCL/Fであった。インスリンの血漿濃度時間データから決定又は算出されるファーマコキネティックパラメータは、Cmax、tmax、AUC0-t(t = 1、2)、AUC0-last及びAUC0-infであった。
グルコースの血漿濃度-時間データから計算される薬力学的パラメータは、ベースラインからの低下パーセント、絶対血糖濃度、Emax、temax及びEAUClastであった。
薬物動態学的/薬力学的評価
絶食した食前の2型糖尿病患者において経口インスリン/4-CNAB錠剤の投与後に収集されたデータ、すなわち、4-CNAB、インスリン、C-ペプチド及びグルコースの濃度をここに示す。
下記の表48は、平均血糖変化と時間のデータを示す。
表48: ベースライン血糖と時間からの平均変化パーセント
図12は、食事を含む又は含まない2型糖尿病患者に上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤の組み合わせ及び対照を経口投与した後のベースラインレベルからの血糖濃度の平均(全8人の被検者について)変化パーセントを示すグラフである。平均の図12は、上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤の組み合わせを経口投与した後の被検者101-108のベースラインレベルからの血糖濃度の変化パーセントを示す図15-図22に基づいている。経口インスリン/4-CNAB錠剤は、2型糖尿病患者において十分に許容されるように見えた。
これらの図は、経口インスリン錠剤が対照(4-CNABのみ)と比較して作用の速い発生を示すとともに2型糖尿病患者におけるグルコース可動域の著しい低下を生じることを示す図である。このことは、図2において明らかに示され、すべて摂食後のインスリン/4-CNAB錠剤の組み合わせと対照(食事に襲われる全て)の経口投与後の血糖濃度の平均変化パーセントのグラフの比較を示す。全てのインスリン/4-CNAB錠剤配合物がインスリンを含まない(対照、4-CNABのみ)配合物と比較して食後グルコース可動域の有意な(p<0.0005)低下を示したことがわかる。(配合物の間に空腹時グルコース可動域低下の有意差はなかった。)
図13はまた、300Uインスリン/160mgの4-CNAB比が300Uインスリン/400mgの4-CNAB比より食事の10分前に投与した場合にわずかにより大きな血糖の低下を生じたことから、300Uインスリン/160mg4-CNAB比が300Uインスリン/400mg4-CNAB比よりインスリン送達時にさらに有効だったように見えたことを示すグラフである。それ故、食後のグルコース可動域の制御時に、300Uインスリン/160mg4-CNAB比は300Uインスリン/400mg4-CNAB比より有効でないとしても少なくとも有効であるように見えた。
図13も、食事の0分前に投与される(N=5)場合の300Uインスリン/160mg4-CNAB比が、食事の10分前に投与される場合の対照(4-CNABのみ)より血糖可動域プロファイルが低いことを示したグラフである。このことは、食間に投与される場合に300Uインスリン/160mgの4-CNAB錠剤投与量が、吸収され所望の効果を生じたことを示している。
その比がこの研究においてグルコース可動域を下げることが最良に行われるように見える300Uインスリン/160mg4-CNAB錠剤については、図3は、食事の10分前の経口投与後と空腹時(食事n=7の10分前の対照と比較して)の血糖濃度の平均(全8人の被検者について)変化パーセントの比較を示すグラフである。
図23は、食事を摂った又は摂らない双方の2型糖尿病患者に上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤の組み合わせを経口投与した後のベースラインレベルから血漿グルコース濃度の平均(全8人の被検者について)変化パーセントを示すグラフである。図24は、300Uインスリン/160mg4-CNAB錠剤と4-CNABのみの錠剤のいずれの場合も食事の10分前の血漿グルコース濃度の平均(全8人の被検者について)変化パーセントの比較を示す。これらの図は、血糖濃度の代わりに血漿グルコース濃度を測定した以外は、図12と図14と同様である。
下記の表49は、平均絶対血糖濃度と時間とのデータを示すものである。
表49: 平均血糖濃度と時間
図25は、食事を摂った、摂らない双方の、2型糖尿病患者に上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤の組み合わせを経口投与した後の平均(全8人の被検者について)血糖濃度を示すグラフである。平均の図25は、上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤の組み合わせの経口投与後の被検者101-108について血糖濃度と時間曲線を示す図26-図33に基づいている。
下記の表50は、平均血清インスリン濃度と時間とのデータを示すものである。
表50: 平均血清インスリン濃度と時間
図34は、食事を摂った、摂らない双方の、2型糖尿病患者に上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤の組み合わせを経口投与した後の平均(全8人の被検者について)血清インスリン濃度の曲線を示すグラフである。平均の図34は、食事を摂った、摂らない双方の、被検者101-108について上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤の組み合わせを経口投与した後の血清インスリン濃度と時間のグラフを示す図36-図43に基づくものである。
図35は、食事10分前の300Uインスリン/160mg4-CNAB錠剤(共に絶食後で食事の10分前に)のみと対照(4-CNABのみ)の平均(全8人の被検者について)血清インスリン濃度と時間の比較を示すグラフである。
300Uインスリン/160mg4-CNAB比グループと300Uインスリン/400mg4-CNAB比グループ双方において食事の状態(食事の0又は10分前の投与)の場合より、絶食状態の場合、Cmaxは幾分より高く、tmaxは幾分遅かった。例えば、300Uインスリン/160mg4-CNAB比錠剤について平均絶食Cmaxは、約170のμU/mlであり、平均絶食tmaxは、投与の約20分後であり、平均Cmaxは、約65μU/mlであり、平均tmaxは、食事の10分前に投与された場合、投与の約15分後であった。同様に、300Uインスリン/400mg4-CNAB比錠剤について、平均絶食Cmaxは、約90μU/mlであり、平均絶食tmaxは、投与の約20分後であり、平均Cmaxは、約75μU/mLであり、平均tmaxは、食事の10分前に投与される場合、投与の約15分後であった。
下記の表51は、平均血漿4-CNAB濃度と時間のデータを示すものである。
表51: 平均血漿4-CNAB濃度と時間
図33は、食事を摂った、摂らない2型糖尿病患者に、上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤の組合わせを経口投与した後の平均(全8人の被検者について)血漿4-CNAB濃度と時間を示すグラフである。
300Uインスリン/160mg4-CNAB比錠剤については、平均絶食tmaxは、投与後約20-25分間であり、平均tmaxは、食事の10分前に投与された場合、投与の約15分後であった。300Uインスリン/400mg4-CNAB比錠剤については、平均絶食tmaxは、投与の約30分後であり、平均のtmaxは、食事の10分前に投与された場合、投与の約20分後であった。
下記の表52は、平均血漿Cペプチド濃度と時間のデータを示すものである。
表52: 平均血漿C-ぺプチド濃度と時間
図45は、食事を摂った、摂らない双方の、2型糖尿病患者に上記種々のインスリン/4-CNAB錠剤組合わせを経口投与した後の平均(全8人の被検者について)血漿C-ペプチド濃度と時間を示すグラフである。
更に、インスリン分泌促進物質とも呼ばれる膵臓ベータ細胞からインスリン分泌を亢進する薬剤と比較して、本明細書に開示された経口インスリン配合物は、分泌促進物質によって観察されるように、標準食事の後のグルコース抑制に対して同様の効果を有する。このことは、図14と図46において示される比較グルコース可動域プロファイルによって見ることができる。図3においては、食事の10分前に投与された300Uインスリン/160mg4-CNABのベースラインからの血糖濃度の変化が食事の10分前に投与された4-CNABのみ(対照)と比較される。ここで、経口インスリン投与量によって、約60分間食後グルコース可動域が約30%低下することになった。M.F. Carrol et al., Control of Postprandial Hyperglycemia, Diabetes Care, Vol. 25, page 2152 (2002)からとられている図46においては、プラセボ、グリピジド、ナテグリニド、グリピジドとナテグリニドのベースラインから血漿グルコース濃度の変化が示されている。ここで、分泌促進物質によって、約60分間約30%の低下が持続した。従って、グルコース可動域(約25%〜30%)の低下及び作用の持続期間(約60分間持続した)が経口インスリン配合物と分泌促進物質双方において同様であり、分泌促進物質が経口インスリンと作用の大きさと持続期間が同じであった。
これらの結果から、経口インスリンカプセル配合物によって以前に示された重要な特性のかなりの増強が示された。それ故、本明細書に開示された錠剤配合物は、糖尿病や他のインスリン関連の依存症を治療するために食事時間に又は食事の直前の経口投与に適切である。現在の経口インスリン錠剤配合物は、食事時間の非常に近く、即ち、10分間以内、又は食事時間の直前に投与することができる便利で有効な経口インスリン製品の見込みを示すものである。
実施例7
この研究の目標は、2週間の食前と就寝時投与後の経口インスリン/4-CNABの安全性、許容性、薬物動態を評価すること及び良好から中程度の代謝制御において食事治療された2型糖尿病患者被検者における血糖コントロール、インスリン分泌能力、インスリン感受性、グルコース耐性に対する効果を調べることであった。このことは、経口インスリンの反復投与が2型糖尿病患者において持続した治療の効果を及ぼすことができるかを求める食事制御された2型糖尿病患者における単一センターの二重盲検ランダム化制御平行グループ研究であった。
更に詳細には、この研究は、経口インスリンの毎日複数回の反復投与が2型糖尿病患者において持続した治療効果を及ぼすことができるかを評価することであった。この実験において得られる情報は、初期2型糖尿病患者における経口インスリン/4-CNABによる食前の治療の有益効果に対する洞察を更に提供することである。
肥満度指数<32kg/m2でHbA1cが6.1%〜7.8%の30〜75歳の13人の男性と女性患者によって実験が完了した(登録された最初の14人の患者から)。全ての患者は、米国糖尿病協会にによって定義された複数年の間、2型糖尿病と診断され、食事だけを有するそれらの糖尿病いかなる経口抗糖尿病薬及び/又はインスリンを用いずに制御した。これらの患者は、一般的には、そして、既往、理学的検査、臨床検査室テスト、バイタルサイン、ECGの有意な知見がないことが示された良好な健康状態にあり、肝臓や腎臓の実験室評価は、正常な許容値の範囲内であった。
この実験のスクリーニング相の間、患者は実験適格性が評価された。経口グルコース負荷試験(OGTT)も行い、ここで、患者は、300mlのブドウ糖液(75gGlucose、Dextro(登録商標) O.G-T.)Saft, Hoffmann La Roche, Grenzach-Wyhlen, Germany)を10分以内飲んだ。空腹時グルコース、C-ペプチド、インスリン及びプロインスリンからなる10本の血液試料をこの4時間の試験の間に採取した。
実験の治療相の初日の前の午後に、患者は、遅くとも午後10時までには最後の食物を摂り、朝には空腹時状態における調査中の位置に着いた。血糖濃度、インスリン、プロインスリン及びC-ペプチドの定量のための血液試料を、次の24時間にわたって一定の間隔で、まず標準朝食が用意される30分前と、後の昼食、夕食、就寝時、次の朝の全体で採った。更に、フルクトサミンのための空腹時血液試料を採り、C-ペプチドの定量のための24時間の採尿を得た。
患者は、2つの治療グループのうちの1つにランダム化されて毎日4回2週間、朝食、昼食及び夕食の10分前と就寝時)、インスリン/4-CNABの有効投与量又は4-CNABのみの対照投与量を受けた。有効グループにおける7人の患者は、合計300Uインスリン/160mg4-CNABになる2つの錠剤で治療し、そして、対照グループにおける6人の患者は、合計200mg4-CNABになる2つの錠剤で治療した。有効な治療に選ばれる患者は、初期2型糖尿病患者であることを意味する、HbA1cが6.1%〜7.7%、平均HbA1cが6.5%であった。有効な治療に選ばれる患者は、体重が71.3kg〜101.4kgであり、中央値が96.9kg、平均が92.4kgであった。
治療相の最初の3日間に、患者は、研究場所に残り、朝食、昼食及び夕食の前と就寝時に実験薬剤が投与された。その後、患者は、治療相の残りの通院患者基づいてとられる実験薬剤が取られた。実験薬剤の投与量は、あらゆる食事の10分前に、就寝時の前に、150mlの水とともに投与した。グルコース表示は、真夜中と午前3時に患者から得た。血糖濃度、インスリン、プロインスリン、C-ペプチド、4-CNABの定量のための血液試料は、実験投与量の最初の投与量の前に開始する最初の24時間にわたって、即ち、朝食が準備される直前、昼食と夕食の全体で、就寝前、次の朝に一定の間隔で採られた。
患者は、通院患者の薬剤で血糖を自己モニタするとともに日記にそれらのデータを記録するように教えられた。その後、投薬が家で生じた場合、患者は、血糖濃度を自己モニタし、血糖、インスリン、プロインスリン、C-ペプチド、4-CNAB濃度の測定日のうちの3日間に調査中位置に通院した。
最終日の前日の午後に、患者は、遅くとも午後10時までには最後の食物を摂り、朝に空腹時状態で調査中位置で着いた。血糖濃度、インスリン、プロインスリン、C-ペプチド、4-CNABの定量のための血液試料は、24時間にわたって最初の治療の1日目と同じ指定された間隔時点で採り、患者は各食事の10分前と就寝前に実験薬剤を取り続けた。更に、尿をC-ペプチドの定量のための24時間にわたって収集した。24時間の採血期間終了後、空腹時の血液試料をフルクトサミンの評価のために採り、経口グルコース負荷試験を上記のように行い、10本の血液試料を空腹時グルコース、C-ペプチド、インスリン、プロインスリンのために4時間にわたって採った。
それぞれ引き続いての通院で、バイタルサイン(心拍数、血圧、温度)を測定し、空腹時の血液試料を血糖、インスリン、C-ペプチド、プロインスリン濃度のために採った。更に、患者は、潜在的有害事象について尋ねられ、前に報告されたあらゆる有害事象の追跡が行われる。
全ての血液試料は、静脈カニューレによって収集された。インスリン分析の場合、1.5mlの血液を採り、ナトリウム-ヘパリン管に収集され、得られた血漿試料を-70℃に保持した。インスリンの血漿濃度をGLP有効RIAアッセイによって、Huntingdon Life Sciencesで約0.5mlの血漿から求めた。血糖濃度は、グルコオキシダーゼ反応に基づく検査法(スーパーGLアンビュランスグルコースアナライザー、Ruhrtal Labortechnik, Delecke-Moehnesee, Germany)を用いて試料収集の直後に測定した。
血漿C-ペプチドを、3mlの血液試料から得られた0.5ml血清から測定し、保持された-70℃に保持した。二重定量で評価したRIAアッセイを測定のために用いた。尿C-ペプチドを、安定な同位元素的標識内部標準による液体クロマトグラフィ-タンデム型質量分析で測定した。血漿プロインスリンを、C-ペプチドと同じ試料から得られる1mlの血清から測定し、二重定量で評価したRIAアッセイを測定のために用いた。
血清フルクトサミンを、1mlの血液試料収集から得、分析するまで-70℃で保持した0.5mlの血清から測定した。血漿4-CNABは、ナトリウムヘパリン管に収集された1mlの血液試料から得られ、有効LC/MS/MSアッセイによる分析のためにHuntingdon Life Science Laboratoriesに出荷されるまで-70℃で凍結保存された、0.5mlの血漿から測定した。
データ分析
治療配合物の生物学的効果を評価し比較するために、いくつかの特性が、予備的で検査されない薬物動態学的データと薬力学的データから誘導され、各患者について算出され、標準数字と記述的な統計法によって評価した。
インスリンと及び4-CNABの薬物動態学的値とグルコースの薬力学的値を、実験1日目と実験14日目に比較した。以下のPK/PDパラメータを4-CNABについて評価した。Cmax、tmax、AUClast、AUCinf、t1/2、CL/f、Vd。以下のPK/PDパラメータをインスリン、C-ぺプチドについて評価した。Cmax、tmax、AUC(0-1)、AUC(0-2)、AUC(0-3)、AUC(0-last)、AUC(0-inf)。
曲線(AUC)の下の面積を、0-60分、0-120分、0-180分、0-240分、0-300分、0-360分の時間間隔で経口ブドウ糖液(AUCBG)(AUCBG 0-60、AUCBG 0-120、その他)の摂取後のグルコース濃度について算出し、2つの治療グループの間で比較した(図49Aと図49Bを参照のこと)。同様に、AUCを、インスリン(AUCINS)、プロインスリン(AUCPRO)、及びC-ペプチド(AUCCP)について実験の最初の2時間、6時間及び、全持続期間(AUC0-120、AUC0-360、AUC0-1440)だけ算出した(インスリンAUCの図52Aと図52Bを参照のこと)。全てのAUCを増加するAUCとして、即ち、絶対値−ベースライン値の曲線の下の面積(台形規則を有する)を算出した。多くの負の増加するAUCの場合には(ベースライン値がその後の値より大きい場合に生じる)、絶対AUCを更に算出した。全てのAUCを、治療アーム間で比較した。
更に、各時点の平均の濃度と最大濃度をグルコース(CBG max)、インスリン(CIns max)、プロインスリン(CPro max)及びC-ペプチド(CCP max)について算出した。最大の濃度の時点(tmax)を、これらの全てのパラメータについて算出した。
経口グルコース負荷試験の間に、インスリン感受性をインスリン及び血糖値から誘導される先に述べたパラメータについて評価した。インスリン感受性(IS)の以下の指数を算出した。
AUC比:
Belfiore:
複合指数:
Stumvoll:
HOMA:
FIRI-1:
ここで、- AUC(BG)/AUC(Ins): 血糖(BG)又はインスリン(INS)濃度曲線の下の面積。
- BG/Ins(0): 0時点での血糖(BG)又はインスリン(INS)濃度、即ち、経口グルコース負荷の摂取直前。
- BG/Ins(OGTT): 経口グルコース負荷試験の間の平均血糖(BG)又はインスリン(INS)濃度。
- INS(120): 経口グルコース負荷の摂取の120分後のインスリン濃度。
- BG(90): 経口グルコース負荷の摂取の90分後の血糖濃度。
インスリン分泌能力(ISC)の以下の指数を算出した。
HOMA:
Stumvoll 1
st相:
Stumvoll 2
nd相:
インスリンの産生(30):
インスリンの産生(120):
HOMAとFIRI指数は、OGTT実験だけでなく、外来通院及び引き続いての通院で採られる空腹時試料からも算出される。
主要な効力パラメータによって、食事治療された2型糖尿病患者においてインスリン分泌能力、インスリン感受性、グルコース耐性に対する経口インスリン/4-CNAB錠剤配合物による2週間の治療の効果が評価される。主なパラメータとして、インスリン分泌のStumvoll指数及び第一相インスリン分泌のStumvoll指数を求めた。
二次的効力パラメータによって、食事治療された2型糖尿病患者において血糖コントロールに対する経口インスリン配合物による2週間治療の効果が評価される。血糖コントロールは、フルクトサミンと24時間の血糖プロファイルの測定によって評価した。血糖コントロールを評価するために、予定の時点での絶対濃度と最大濃度、最大濃度の時間、及び種々の時間間隔曲線の下の面積を求めた。インスリン感受性とインスリン分泌の他の全てのパラメータ、及びインスリン、C-ペプチド及びプロインスリンのAUCと最大の濃度は、二次的成果パラメータとみなされる。
評価すべき安全性パラメータは、理学的検査、心電図、バイタルサイン、臨床的なラボ(化学、血液学、尿検査)、及び連続グルコースモニタリングである。
実験終了後、有効な治療に選ばれた患者は、体重が70.3kg〜99.2kgで、中央値が94.3kgで、実験前の96.9の中央値から下がった。
結論
結果として、以下の結論を引き出すことができる。一般的には、経口インスリン錠剤を2週間投与した患者は、下記を含む改善と重要なパラメータに関するベースラインを示した。
- 空腹時血糖の低下;
- 15日目の経口グルコース負荷試験(OGTT)後のAUC(曲線の下の面積)の減少によって証明されるように、平均血糖の低下;
- 15日目のOGTT後の低下された負荷後2時間の血糖の低下;
- 血清フルクトサミンレベルの低下(ほぼ2週間前の平均血糖コントロールの指標);- 広く使われている少なくとも2つの指数に基づく改良されたインスリン分泌能力と感受性の改善(Stumvoll第一相インスリン分泌能力指数、ホメオスタシスモデル評価、又はHOMA指数)。
図47に示されるように、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者は、経口グルコース負荷試験後のグルコース可動域レベルの低下によって、空腹時血糖低下に関してベースラインレベルに対する明らかな改善を示した。図48Aに示されるように、15日目の経口グルコース負荷試験後のベースラインレベルに対して空腹時血糖濃度の臨床的に関連した減少があった(平均19%)。従って、2週間の治療後、患者は治療前のベースラインレベルと比較して血糖コントロールの改善が達成された。
更に、経口グルコース負荷試験後の図48Aの血糖AUCを示す図49Aに示されるように、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者は、15日目の経口グルコース負荷試験後のAUCの減少(平均21%)によって証明されたように、平均血糖濃度低下に基づき、ベースラインレベルに対してグルコース曝露の著しい減少を示した。更にまた、図50Aに示されるように、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者は、15日目の経口グルコース負荷試験後のベースラインレベルに対して負荷後2時間の血糖濃度の低下(平均16%)を示した。従って、2週間の治療後、患者は、治療前のベースラインレベルと比較してグルコース耐性の改善と糖負荷を処理する良好な能力を達成した。更に、患者の負荷後2時間のグルコースが患者の糖尿病の病態を評価する標準の臨床マーカーであることから、このマーカーの低下、特に平均16%は、おそらく患者の糖尿病の病態の逆転を意味する。
経口インスリン吸収は、図58に示されるように、投与後15-20分で観察された明らかなインスリンピークによって明白であった。更に、経口インスリンは、食事制御された被検者に低血糖症がなく、そして、深刻な副作用がなかったように安全で十分に許容された。図51と図52Aに示されるように、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者は、15日目の経口グルコース負荷試験後、ベースラインレベルに対して全身性血漿インスリン曝露の増加も、ベースラインレベルに対する平均血糖濃度増加も示さなかった。同様に、データは、有効なグループにおいて空腹時又は負荷後血漿インスリン濃度に有意差がないことを示した。これらの結果は、内在性インスリンを生産することができないことをわずらっていない、初期から中期までの糖尿病に対してグルコース耐性低下と通常はみなされている、HbA1cが〜6.5(HbA1cの範囲6.1〜7.5)の糖尿病集団でさえ、本明細書に開示された配合物による追加のインスリンの経口投与によって高インスリン血症に結果としてならないことを示している。
これらの結果は、特に2週間にわたって投与されたインスリンの量とグルコース制御の著しい改善を示していることは注目すべきである。図53Aにグラフで示されるように、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者は、15日目の経口グルコース負荷試験後に血漿インスリン濃度のいかなる増加もなくベースラインレベルに対する空腹時血糖濃度の低下を示した。同様に、図54Aにグラフで示されるように、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者は、15日目の経口グルコース負荷試験後、血漿インスリン濃度のいかなる増加もなくベースラインレベルに対して負荷後2時間の血糖濃度の低下を示した。従って、この実験は、ベースラインレベルに対する空腹時と負荷後2時間の血糖濃度の有意な減少から見られるように、インスリンに対する患者の肝臓の感受性の改善又はインスリンを生産し、それによって一晩グルコース濃度を制御するための患者の膵臓の能力の改善を示した。
インスリン分泌能力とインスリン感受性の改善は、広く用いられる少なくとも2つ指数(Stumvoll第一相インスリン分泌能力指数とホメオスタシスモデル評価、又はHOMA、指数)に基づいたものである。インスリン感受性のベンチマークとしてHOMA指数を用いて、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者がベースライン(平均0.010)から治療の14日目(平均0.018)にインスリン感受性の有意な増加を示したことが決定された。インスリン分泌能力のベンチマークとしてStrumvoll第一相指数を用いて、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者がベースライン(平均-37594)から14日目(平均-30264)にインスリン分泌能力の有意な増加を示したことがさらにまた決定された。(しかしながら、インスリン分泌能力のベンチマークとしてのHOMA指数はベースライン(平均2.328)から14日目(平均2.134)にインスリン分泌能力のわずかな低下を示した。)
食後の効果に関して、経口インスリン効力は、“現実"の外来患者投薬設計において観察された。図55と図56に示されるように、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者は、治療の1日目のベースラインから治療の14日目に食後のグルコース可動域の有意な減少を示した。同様に、食後(朝食)グルコースCmaxは、209mg/dlのベースラインレベルから治療の1日後の194に低下し、更に、治療の2週間後の186mg/dlに低下した。図57は、食後のグルコース可動域に対する2週間の治療の連続的で累積的な影響を示すために、治療の1日目から治療の14日目まで食後グルコース可動域の比較を示すグラフである。即ち、14日目の食後グルコース可動域の低下は、その日の投薬のためではなくて1日目の食後グルコース可動域より更に低く、食後グルコース可動域を下げることに対する2週間治療の蓄積効果が証明された。
図58に示されるように、食後のインスリン吸収はベースラインレベルより高レベルに到達せず、2週間の治療から高インスリン血症が生じないことが示された。実際に、食後のインスリン吸収は、治療の1日後に129.1μU/mlのベースラインレベルから123.7μU/mlに食後(朝)のインスリンCmaxの低下、更に2週間の治療後の105.4μU/mlへの低下によって明らかなように少なくなった。従って、この実験は、患者に2週間経口インスリン錠剤を投与すると、食後のグルコース可動域の有意な減少と血糖コントロールの改善に伴う高インスリン血症がなかったという事実から見られるように、食後の血糖コントロールの改善を与えることを示した。
従って、2週間の経口インスリンによって食後の血糖コントロールが改善され、ベースライン値と比較したように14日目のCmax値がかなり低く(平均最大血糖が11%低下)、ベースラインと比較したように14日目のグルコースAUC値がかなり低い(平均グルコースAUCが12%低下)ことにより証明された。更に、インスリンCmaxの有意差がなくインスリンAUCの有意差によって証明されたように(実際に、0日目から14日目まで平均AUC値がわずかに低くなった)、2週間の経口インスリンによって、高インスリン血症にならなかった。更にまた、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者はいずれも低血糖症のエピソードをもたず、被検者は、実験全体に救出を必要としなかった。
従って、初期から中期糖尿病によってグルコース耐性低下であると通常はみなされるHbA1cが〜6.5(HbA1cの範囲 6.1〜7.5)の糖尿病集団においてさえ、本明細書に開示された配合物による追加のインスリンを経口投与すると、あらゆる低血糖症を含まずに食後の血糖コントロールを改善した。有意には、患者のHbA1cが最低であった14日目でさえ、低血糖事象は生じなかった。結果として、このインスリン治療は、患者の血糖濃度とHbA1cレベルの頻繁なモニタリングを必要とせずに、グルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者に投与することができる。
治療によって、また、血清フルクトサミンレベルによって証明されるように、患者は前の2週間にわたる血糖コントロールを証明的に改善した。フルクトサミンアッセイに基づき、図59に示されるように、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者(平均ベースラインHbA1c6.5%)は、ベースラインレベルに対してフルクトサミンレベルの平均8.8%の低下を示し、患者が約2週間の実験期間にわたって平均血糖コントロールが良好であったことを意味した。従って、患者のフルクトサミンレベルを低下させることによって、HbA1cが〜6.5(HbA1cの範囲6.1〜7.5)の糖尿病集団におけるフルクトサミンレベルが約9%低下し、本明細書に述べられる経口インスリン治療が実際に糖尿病や糖尿病前症を減少、又は逆転さえするのに有効であることができることが示された。
実験終了後、有効な治療に選ばれた患者は、体重が70.3kg〜99.2kgであり、中央値が94.3kgであり、実験前の96.9の中央値から下がった。従って、2週間経口インスリン錠剤を投与した患者は、通常従来の糖尿病治療に随伴するように、いかなる重量増を示さなかった。従って、この実験は、患者に2週間経口インスリン錠剤を投与すると、インスリン治療に通常伴う体重増加することなく食後の血糖コントロールを改善したことを示した。
従って、2型糖尿病患者において、特にグルコース耐性低下又は初期又は後期糖尿病をもつ患者において、経口インスリン/4-CNABで食前と就寝時に簡単に2週間治療すると、全身性高インスリン血症、低血糖症、重量増加なしで、各投与の直後に(〜20分間)全身のインスリン濃度が増大し、空腹時血糖が下がり、24時間の血糖コントロールが改善される。この治療は、また、治療が止められた後に、経口グルコース耐性を改善する。
また、対照グループもある改善をある種の重要なパラメータに感じた点に留意されなければならない。例えば、送達物質だけを含有する錠剤を投与した患者は、15日目のグルコース負荷試験後のグルコース可動域レベルの低下を幾分、ベースラインレベルに対する空腹時血糖濃度の低下(平均13%)、グルコース(AUC)とベースラインレベルに対するグルコース曝露の低下(平均11%)、ベースラインレベルに対する負荷後2時間のグルコース濃度の低下(平均5%)を示した。更に、送達物質だけを含有する錠剤を投与した患者は、インスリン感受性のHOMA指数(0.015から0.021に)とそして、インスリン分泌能力のStrumvoll第一相指数ベンチマーク(-38371から-35815に)の統計学的に有意な増加に基づいてインスリン感受性とインスリン分泌能力の改善を幾分示した。しかしながら、ほとんどの改善は、全体的に、ベースラインレベルと比較して統計学的に有意であるとみなされなかった。これらの変更は、代わりに、このグループ患者は、グルコースのモニタリング結果と義務的な毎日保持している実行に基づいて、たぶん食事を更に良く調節し且つ他の生活様式を変更させたという事実によるものであり、このグループの改善は糖尿病患者における実験の最初の2週間以内で典型的に観察されているように予想されるものであった。対照的に、有効なグループにおいて、変更が所望される全ての重要なパラメータについて、ベースラインから著しい改善が、一貫し統計学的に有意であり(対のパラメトリックT-検定を用いてp<0.05)、全ての場合に、対照グループより大きさが大きいことが観察された。しかしながら、実験は、有効グループと対照グループ間の統計的有意性を示すためには発揮されなかった。有効グループと対照グループ間の統計学的に有意性の違いを評価するために、より大きな試料の大きさが必要とされた。
経口インスリン錠剤は、血糖コントロールの厳しい(HbA1c〜6.5%)患者にさえ低血糖事象がないこと、また、深刻な有害事象がなく、軽度から中度の有害事象の発生率が低いこと(この2つは、実験薬剤に潜在的に関連があるとみなされた)に基づき、それらを投与した患者に安全で許容できることがわかった。
本発明が本明細書に示される生体内臨床的(ヒト)データのいずれかのあらゆる態様、及びそのあらゆる組合わせを特徴とするものであることが 企図される。従って、例えば、本発明は、(i)インスリンレベル、血糖値、C-ペプチドレベルの直接的な測定に関して試験配合物に得られる効力値、発症、持続期間の特許態様(tmax、Cmax、血漿濃度曲線の形(例えば、血漿インスリンレベル)を含むがこれらに限定されない); (ii)上記の明細書に示され及び/又は添えられた実施例によって示される治療効力特性の種々の直接的な測定のあらゆる組合わせ; (iii)企図された配合物自体の態様とともに本発明の上述の特性のいずれかのあらゆる組み合わせ、を包含するとみなされ、配合物の製造方法、薬剤負荷、送達物質負荷、薬剤及び用いられる薬剤の形(例えば、修飾されていないインスリン)、用いられる送達物質、薬剤と配合物の全質量との比、薬剤と送達物質との比、任意の送達物質を用いた又は用いない薬剤の実際の量;等を含むがこれらに限定されない。
本発明のある種の好ましく代替的実施態様を本発明の開示のために示されてきたが、開示された実施態様に対する変更が当業者に生じてもよい。従って、添付の請求の範囲が本発明の真意と範囲から逸脱しない本発明の全ての実施態様とその変更を包含するものである。
図1は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図であり、全ての被検者に対する食後の血糖可動域の算術平均のプロット線を示す図である。
図2は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図であり、4-CNAB血漿濃度(ng/ml)と時間(算術平均)のプロット線を示す図である。
図3は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図であり、標準食事(時間= 0の食事)の30分前のインスリン又はインスリン/4-CNABの経口又は皮下投与後の2型糖尿病被検者no. 116に対する食後の血糖可動域(血糖濃度(SuperGL)(mg/dl)と時間)のプロット線を示す図である。
図4は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図であり、標準食事(時間= 0の食事)の30分前のインスリン又はインスリン/4-CNABの経口又は皮下投与後の2型糖尿病被検者no. 117に対する食後の血糖可動域(血糖濃度(SuperGL)(mg/dl)と時間)のプロット線を示す図である。
図5は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図であり、インスリン血漿濃度(pmol/l)と時間(算術平均)のプロット線を示す図である。
図6は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図であり、C-ペプチド血漿濃度(nmol/l)と時間(算術平均)のプロット線を示す図である。
図7は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図であり、標準食事(時間= 0の食事)の30分前のインスリン又はインスリン/4-CNABの経口又は皮下投与後の2 型糖尿病被検者no. 116に対するインスリン血漿濃度(pmol/l)と時間のプロット線を示す図である。
図8は、1015p実施例7‐実験175A-C-04(Profil II)(食品効果2型)からの図であり、標準食事(時間= 0の食事)の30分前のインスリン又はインスリン/4-CNABの経口又は皮下投与の後の2型糖尿病被検者no. 117に対するインスリン血漿濃度(pmol/l)と時間のプロット線を示す図である。
図9は、1016p-実験175A-C-07(Hadassah III)夜間錠剤からの図であり、血糖濃度に対するインスリンと4-CNABの夜間投薬の効果を示す棒グラフである。
図10は、1016p-実験175A-C-07(Hadassah III)夜間錠剤からの図であり、血液C-ペプチド濃度に対するインスリンと4-CNABの夜間投薬の効果を示す棒グラフである。
図11は、1016p-実験175A-C-07(Hadassah III)夜間錠剤からの図であり、血液インスリン濃度に対するインスリンと4-CNABの夜間投薬の効果を示す棒グラフである。
図12は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、摂食した又は絶食した2型糖尿病患者にインスリン/4-CNAB錠剤を経口投与した後のベースライン血糖(SuperGL)の予備的変化%平均+/-SDのプロット線である。
図13は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、標準食事を摂った2型糖尿病にインスリン/4-CNAB錠剤を経口投与した後の血糖(SuperGL)の予備的変化%平均+/-SDのプロット線である。
図14は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、食事を摂った又は摂らない2型糖尿病患者にインスリン/4-CNAB錠剤を経口投与した後の血糖(SuperGL)の予備的変化% 平均+/-SDのプロット線である。
図15は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者101に対する血糖(SuperGL)の予備的変化パーセントのプロット線である。
図16は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者102に対する血糖(SuperGL)の予備的変化パーセントのプロット線である。
図17は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者103に対する血糖(SuperGL)の予備的変化パーセントのプロット線である。
図18は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者104に対する血糖(SuperGL)の予備的変化パーセントのプロット線である。
図19は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者105に対する血糖(SuperGL)の予備的変化パーセントのプロット線である。
図20は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者106に対する血糖(SuperGL)の予備的変化パーセントのプロット線である。
図21は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者107に対する血糖(SuperGL)の予備的変化パーセントのプロット線である。
図22は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者108に対する血糖(SuperGL)の予備的変化パーセントのプロット線である。
図23は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、食事を摂った又は摂らない2型糖尿病患者にインスリン/4-CNABを経口錠剤投与した後の予備的血漿グルコース変化(%)平均+/-SDのプロット線である。
図24は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、食事を摂った又は摂らない2型糖尿病患者にインスリン/4-CNAB錠剤を経口投与した後の予備的血漿グルコース濃度平均+/-SDのプロット線である。
図25は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、食事を摂った又は摂らない2型糖尿病患者にインスリン/4-CNAB錠剤を経口投与した後の予備的血糖(SuperGL)濃度平均+/-SDのプロット線である。
図26は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者101の予備的血糖(SuperGL)グルコース濃度のプロット線である。
図27は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者102の予備的血糖(SuperGL)グルコース濃度のプロット線である。
図28は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者103の予備的血糖(SuperGL)グルコース濃度のプロット線である。
図29は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者104の予備的血糖(SuperGL)グルコース濃度のプロット線である。
図30は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者105の予備的血糖(SuperGL)グルコース濃度のプロット線である。
図31は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者106の予備的血糖(SuperGL)グルコース濃度のプロット線である。
図32は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者107の予備的血糖(SuperGL)グルコース濃度のプロット線である。
図33は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、被検者108の予備的血糖(SuperGL)グルコース濃度のプロット線である。
図34は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した又は摂食した2型糖尿病患者にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度平均+/-SDのプロット線である。
図35は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した又は摂食した2型糖尿病患者にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度平均+/-SDのプロット線である。
図36は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した2型糖尿病患者の被検者101にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度のプロット線である。
図37は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した2型糖尿病患者の被検者102にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度のプロット線である。
図38は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した2型糖尿病患者の被検者103にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度のプロット線である。
図39は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した2型糖尿病患者の被検者104にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度のプロット線である。
図40は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した2型糖尿病患者の被検者105にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度のプロット線である。
図41は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した2型糖尿病患者の被検者106にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度のプロット線である。
図42は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した2型糖尿病患者の被検者107にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度のプロット線である。
図43は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、絶食した2型糖尿病患者の被検者108にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血清インスリン濃度のプロット線である。
図44は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、摂食した又は絶食した2型糖尿病患者にインスリン/4-CNABを単一経口錠剤投与した後の血漿4-CNAB濃度平均+/-SDのプロット線である。
図45は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、摂食した又は絶食した2型糖尿病患者にインスリン/4-CNAB錠剤を一回経口投与した後の血漿C-ぺプチド濃度平均+/-SDのプロット線である。
図46は、1019p実験175A-C-11(Profil)食間錠剤からの図であり、プラセボ、グリピジド、ナテグリニド、グリピジドとナテグリニドの投与についてベースラインからの血漿グルコース濃度の平均変化を示す従来技術のグラフである。
図47は、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、300Uのインスリン/160mg4-CNAB又は200mgの4-CNABのみを毎日14日間QID投与した後の0日目と15日目の経口グルコース耐性試験後の予備的平均(n=6又は7、SD)血液(SuperGL)グルコースを示す曲線である。
図48Aは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被験者に300Uインスリン/160mg4-CNABを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルコース耐性試験前の予備的平均と個々の空腹時血糖を示す曲線である。
図48Bは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に200mgの4-CNABのみを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルコース耐性試験前の予備的平均と個々の空腹時血糖を示す曲線である。
図49Aは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に300Uインスリン/160mg4-CNABを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルース耐性試験後の予備的平均と個々の血糖AUC0-240minを示す曲線である。
図49Bは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に200mgの4-CNABのみを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルース耐性試験後の予備的平均と個々の血糖AUC0-240minを示す曲線である。
図50Aは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に300Uインスリン/160mg4-CNABを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルース耐性試験の2時間後の予備的平均と個々の血糖を示す曲線である。
図50Bは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に200mgの4-CNABのみを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルース耐性試験の2時間後の予備的平均と個々の血糖を示す曲線である。
図51は、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、300Uインスリン/160mg4-CNAB又は200mgの4-CNABのみを14日間毎日QID経口投与した後のベースライン時と15日目のOGTT後の予備的血漿インスリン濃度(SD、n=6又は7)を示す曲線である。
図52Aは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に300Uインスリン/160mg4-CNABを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルコース耐性試験後の予備的平均と個々の血漿インスリンAUC0-240分を示す曲線である。
図52Bは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に200mgの4-CNABのみを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルコース耐性試験後の予備的平均と個々の血漿インスリンAUC0-240分を示す曲線である。
図53Aは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に300Uインスリン/160mg4-CNABを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルコース耐性試験前の予備的平均と空腹時の血糖と血漿インスリンを示す棒グラフである。
図53Bは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に200mgの4-CNABのみ(53B)を14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルコース耐性試験前の予備的平均と空腹時の血糖と血漿インスリンを示す棒グラフである。
図54Aは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に300Uインスリン/160mgの4-CNABを14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルコース耐性試験の2時間後の予備的平均血糖と血漿インスリンを示す棒グラフである。
図54Bは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に200mgの4-CNABのみ(54B)を14日間毎日QID投与した後のスクリーニング時と15日目の経口グルコース耐性試験の2時間後の予備的平均血糖と血漿インスリンを示す棒グラフである。
図55は、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、300Uインスリン/160mg4-CNAB又は200mgの4-CNABのみを2型糖尿病被検者に毎日食事中に経口投与した後の血糖濃度の予備的平均(n=6又は7、SD)を示す曲線である。
図56は、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、300Uインスリン/160mg4-CNAB又は200mgの4-CNABのみを2型糖尿病被検者に毎日食事中に投与した後の血糖濃度の予備的平均(n=6又は7、SD)を示す曲線である。
図57は、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、300Uインスリン/160mg4-CNAB又は200mgの4-CNABのみを2型糖尿病被検者に毎日食事中に投与した後の血糖濃度の予備的平均(n=6又は7、SD)を示す曲線である。
図58は、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、300Uインスリン/160mg4-CNAB又は200mgの4-CNABのみを2型糖尿病被検者に毎日食事中に投与した0日(ベースライン)、1日、14日後の血漿インスリン濃度の予備的平均(n=6又は7、SD)を示す曲線である。
図59Aは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に300Uインスリン/160mg4-CNABを14日間毎日QID投与した0日と15日後の予備的血清フルクトサミンを示す曲線である。
図59Bは、1022p‐実験175A-C-10(Profil)多回投与からの図であり、2型糖尿病被検者に200mgの4-CNABのみ(対照)を14日間毎日QID投与した0日と15日後の予備的血清フルクトサミンを示す曲線である。