JP2006516392A - 神経試料における反復電気活性の分析を使用して精神活性をインビトロ検出および特性付けするための方法および装置 - Google Patents

神経試料における反復電気活性の分析を使用して精神活性をインビトロ検出および特性付けするための方法および装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、種々のベースラインの周期的リズム振動について測定されたパラメーターを、結果として生じる種々の周期的なリズム振動について測定された同じパラメーターと比較することによる、神経組織を用いる精神活性物質の検出・特性付け方法に関する。ベースラインの周期的なリズム振動は、コリン作動性相互作用、同時沈着神経組織、または電気刺激をもたらす化学的化合物のような因子によって誘導・刺激される。結果として生じる種々の周期的リズム振動は、神経組織を、精神活性物質を含むかまたは含まない試料組成物に曝露した後に得られる。ベースラインの周期的リズム振動についてのパラメーターと結果として生じる周期的なリズム振動についてのパラメーターとを比較すると、試料組成物を用いて精神活性物質が検出され、特定の精神活性化合物のクラスに属するとして特性付けられ、そして、精神活性化合物のクラスの他のメンバーから区別され得る。

Description

(発明の分野)
本発明は、好ましくは、インビトロ神経組織試料上に候補試料を導入する前後の細胞外電圧の周期的なリズム振動を検出することにより、インビトロ神経組織試料を用いて精神活性化合物を検出する方法、およびこれらの方法を実行する装置に関する。細胞外電圧のパラメーターを分析すると、この候補試料を用いて精神活性物質の存在の指標およびその薬理学的活性および組成に関する情報が得られる。さらに、本発明は、このインビトロ試料内の反復神経活性を開始し、その存在を維持する方法を包含する。それに加えて、本発明は、アセチルコリン、セロトニンまたはカテコールアミンの作用を促進または模倣する化合物(例えば、カルバコール)を含有する刺激組成物を導入することにより、インビトロ神経組織試料を用いて反復神経活性(例えば、EEG)を刺激または開始する方法を包含する。
(関連出願の引用)
本出願は、米国特許出願第10/352,629号(2003年1月27日に出願され、本明細書中に参考として援用される)の優先権を主張する。
(連邦政府により支援された研究または開発に関する陳述)
米国政府は、国立衛生研究所によって授与された助成金番号NIA AG−00538 455365−29174に関して提供されるように、特許権者が妥当な期間に他者に許諾することを必要とする、本発明において支払い済みの実施権および制限された状況における権利を有する。
(発明の背景)
小哺乳動物の海馬中のリズム活性は、以下の3つの周波数バンドに分類されると記述されている:4〜10Hz(θ)、10〜30Hz(β)および30Hzより上(γ)(Traubら、1998;最近の論述については、1999)。θは、これらのうちで群を抜いて最も研究されているものであり、中でも、運動活性(Vanderwolf,1969)および記憶コード化(Landfieldら、1972;Vertes and Kocsis,1997)に関する。後者の考えに従うと、θと長期間相乗作用とは密接な関係にあり(Larson and Lynch,1986;Larsonら、1986;1993)、これは、ある種の記憶形態の推定基質である。高周波リズムの機能的な相関は、最近では、相当に関心が持たれている課題となっている。γ活性は、まず、嗅覚系で分析され(初期の概説について、Freeman,1975)、その結果、それによって、臭いの到達前に、臭球、梨状皮質および嗅内皮質の間に、干渉性が生得る(KayおよびFreeman,1998)。γ範囲に入る活性はまた、手掛かり提示(cue presentation)中に、視覚皮質に現れ(Gray and Singer,1989)、この場合、細胞を異なる受容野と過渡的に同調させることが提案されている。この仮説によれば、同調により、手掛かりの複数の特徴を干渉性描写に組み立てることができる(概説では、Singer,1998)。βリズムは、典型的には、高周波海馬活性の論述において、γ波とは区別されていないが、海馬スライスで、選択的に誘発されている(Boddekeら、1997)。いずれにしても、皮質終脳での干渉性作動には高周波同調が必須であるという証拠が増加していることで、この周期的なβリズム振動および周期的なγリズム振動の原因となっている経路および神経伝達物質系を同定することの重要性が強調されてきた。
上行コリン作動性突出は、β範囲およびγ範囲にあるものを含めた内生の周期的なリズム振動を促進する。初期の研究(Stumpf,1965)により、コリン作動遮断剤または中隔外傷は、明白な効果がないことが分かったものの、引き続いた研究では、自由に運動しているラットの速波が、コリンエステラーゼ阻害剤であるフィゾスチグミンにより高まり、また、アンタゴニストにより実質的に低下することが示された(Leung,1985)。海馬スライスまたは嗅内スライスのコリン作動刺激は、通常、θ様活性の数秒間ものエピソードを誘発すると記述されているが(Konopackiら、1987;MacVicar and Tse,1989;Dickson and Alonso,1997;Williams and Kauer,1997)、最近の実験は、それはまた、皮質スライスおよび海馬スライスにおいて、高周波リズム(20〜40Hz)を誘発できることを示す(Boddekeら、1997;Fisahnら、1998)。コリン作動性中隔海馬線維は、海馬系の別個の領域を神経支配し(Lewis and Shute,1967;Moskoら、1973;Frotscher and Leranth,1985;Matthewsら、1987)、この場合、それらは、介在神経の亜集団と接触して、主細胞の樹状領域を選択する(Moskoら、1973;Lynchら、1978;Matthewsら、1987)。ムスカリン様レセプターを刺激すると、錐体細胞が脱分極し、一部の介在神経からの解離が抑制され、他の介在神経の興奮性が高まる(Pitler and Alger,1992;Behrends and Bruggencate,1993)。インビボでの結果およびインビトロでの結果の組合せは、アセチルコリンが、皮質終脳で高周波活性を生じる際に、重要な役割を果たすことを示唆している。
コリン作動的に駆動した高周波リズムが、いかにして、皮質作動に影響を与えるかは、それらが局部的に特殊化しているかどうか、およびそれらがどのように生成されるかに依存している。カルバコール誘発された周期的なリズム振動は、嗅内皮質(Dickson and Alonso,1997)および海馬(Fisahnら、1998)にある制限された部位に起因していることが報告されている。領域特異性に関しては、その答えには、内側嗅領海馬系の広い範囲にわたる体系的なマッピングが必要である。
上記で議論した文献のいずれも、精神活性物質の薬理学的活性の存在の指標についても、その精神活性物質の薬理学的活性の特性付けについても、その精神活性物質の組成物についても、インビトロサンプルを用いて見出された高周波数の周期的なリズム振動の分析を利用しない。さらに、これらの文献のいずれも、自走周期的リズム振動条件(すなわち、周期的リズム振動誘導剤が連続して存在しないで周期的なリズム振動が起こる)下でのこのような分析を利用しない。
(発明の要旨)
本明細書における本発明の方法は、薬理学的活性を検出し、薬理学的活性を特性付けかつインビトロ神経組織試料を用いて精神活性化合物の組成を決定する方法を包含する。関連した本発明の方法は、その神経組織と、細胞外電位の周期的なリズム振動を刺激する薬剤とを接触させる独立した工程、そして/または神経組織の共に移植したビットを利用する独立した工程、そして/または電気刺激パターンを使用して神経試料を刺激する独立した工程により、反復神経活性を様々に刺激しその始動を刺激する方法である。さらに関連した本発明の方法は、このような刺激組成、材料、組織、または電気刺激パターンを必要に応じて除去するが、それらにより誘導される周期的なリズム振動挙動を保存する工程を包含する。このような技術に続いて、その誘導される周期的なリズム振動挙動に対する精神活性化合物の効果が試験され得る。
一変形例において、インビトロ神経組織試料を用いて精神活性化合物を検出する方法は、この組織試料を用いて周期的なリズム振動を誘発し、次いで、その存在を検出する工程、そしてその誘導剤をおそらく除去すると同時に、その誘発された周期的なリズム振動活性を保存する工程、そしてそれらの周期的なリズム振動のベースライン値を提供する工程を包含する。その検出後、このインビトロ試料は、精神活性化合物の候補試料と接触させられる。この候補試料の導入と同時に(またはそれに引き続いて)、その周期的なリズム振動(例えば、EEG波)が、次いで、測定される。その二組の周期的なリズム振動データは、次いで、それぞれ、2つのいわゆる「計算値」を作成するようにされる。次いで、これらの2つの計算値を比較すると、その薬理学的活性が検出でき、その薬理学的活性を特性付けでき、そして(望ましい場合)1種以上の化合物が存在しているなら、その試料を用いて精神活性化合物の組成が決定できる。
これらの種々の周期的なリズム振動は、典型的には、細胞外電圧中で見られるものである。例えば、それらは、θEEG波、βEEG波またはγEEG波であり得る。
標準的な電気生理学的システムを使用することが望ましい。複数電極ディッシュ(「MED」)を使用することもまた望ましく、その結果、この神経試料上の多数の異なる活性部位または活性が低い部位が、同時または順次に試料採取され得る。MEDを使用すると、空間的関係の測定および計算が可能となる;これらは、神経の周期的なリズム振動値間で測定され計算される。MEDの複数電極的な性質により、また、所定インビトロ神経試料内での領域特異的効果を決定しそして特性付けることが可能となる。
細胞外電圧の周期的なリズム振動の適当な数学的分析には、前後単一部位測定の振幅および周波数の差を高めるために単一空間点で測定される周期的なリズム振動の高速フーリエ変換(FFT)が挙げられ得る。
同様に、時間の関数としてアレイで得られる細胞外電圧の周期的なリズム振動シーケンスは、電流源密度(CSD)解析を受けて、このインビトロ神経組織試料内で、電流流れパターンを生成しそして描写し得る。
本発明のさらに他の部分としては、インビトロ神経組織試料を用いて反復神経活性を刺激または誘発する傾向にある化学的または解剖学的組成物および電気刺激パターンの使用が挙げられる。これらの組成物は、アセチルコリン、セロトニンまたはカテコールアミンの作用を模倣または促進する化合物であり得る。このような組成物は、本明細書中に記載される手順を使用して、その試料および/または試験化合物の電気生理学的解析の前、その間またはその後に、その組織試料から除去されてもよいし、されなくてもよい。それらは、共に沈着した神経組織であり得る。それらは、コリン模倣化合物であり得る。非常に望ましい化学化合物は、カルバコールである。電気刺激もまた、使用され得る。
別の変形例において、神経組織を用いて精神活性化合物の検出および特性付けのための方法は、1)神経組織試料と誘導剤とを接触させて、その神経組織において種々のベースラインの周期的なリズム振動を生成する工程;2)その神経組織と、候補試料組成物とを接触させて、その神経組織において種々の得られる周期的なリズム振動を生成する工程;3)その種々のベースラインからのパラメーターと得られた周期的なリズム振動からのパラメーターとの組み合わせを検出する工程;4)その種々のベースラインからのパラメーターと得られた周期的なリズム振動からのパラメーターとの組み合わせを比較して、その候補試料組成物中の精神活性化合物を検出および特性付ける工程、を包含する。そのパラメーターの組み合わせは、代表的には2つのパラメーターを含むが、その組み合わせは、2つに限定される必要はなく、そして精神活性化合物の検出および特性付けに必要な比較のために、任意の数のパラメーターを含み得る。さらに、その組のベースラインの周期的なリズム振動を生成するための誘導剤は、望ましい場合、その後除去され得る。その誘導剤は、化合物、共に沈着した神経組織、または電気刺激であり得る。
比較して、その候補試料組成物中の精神活性化合物を検出および特性付けるために有用なパラメーターは、周期的なリズム振動の出力(power)および周波数を含むが、任意のパラメーターの組み合わせが使用され得る。好ましい変形例において、その候補試料組成物中の精神活性化合物を検出および特性付けるために使用される方法は、一般に、周波数および出力の二次元アレイを形成して、その精神活性剤を特定の精神活性化合物のクラスに属すると特性付ける工程を包含する。別の好ましい変形例において、その周波数および出力の二次元アレイはまた、一般に、その特定の精神活性化合物を、そのクラス内の他のメンバーから区別することによって、精神活性化合物を特性付ける。
一般に、本発明の手順は、その方法のために電気生理学的技術を利用し、その技術において:1)周期的なリズム振動は、誘導剤を用いて脳組織を用いて誘導され、2)その周期的なリズム振動は、誘導剤が除去された後も継続されている。その方法は、アゴニストおよび/または酵素インヒビターの適用、ならびに自発的に発生する周期的なリズム振動が、その誘導剤を継続して適用しなくても残ったままである組織調製技術を包含する。これらの「薬剤なし」周期的リズム振動は、化合物を検出および特性付ける改善されたアッセイ、ならびに薬物の発見および開発方法を提供し得、ここでその誘導剤の影響は、このような薬剤なし周期的リズム振動の間に行われる特性付け工程および/または検出工程には存在しない。このような方法は、多くの利点を有し、これらの利点としては、その誘導化合物が、試験物品の効果を曖昧にしない傾向があること(なぜなら、このような誘導化合物の継続的注入を必要とする先行技術の方法は、試験物品の効果を曖昧にし得るからである)が挙げられるが、これに限定されない。本発明の方法は、種々の薬物(例えば、コリン作動性治療剤)の作用機構を解明するにあたって特定の用途が見出され得る。
本発明は、その薬理学的活性を検出し特性付け、そして種々の精神活性試験化合物または精神活性試験組成物を決定する種々の方法を包含する。これらの試験化合物を同定する多数の方法は、本発明の方法の範囲内である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、好ましくは、インビトロ神経組織試料を用いて細胞外電圧(すなわち、電位)の周期的リズム振動を使用して、精神活性活動または精神活性組成物を検出および/または特性付けするプロセスを包含する。それに加えて、本発明のプロセスは、以下で詳述する特定の薬物(例えば、特定の化学組成物)または電気刺激技術を使用して、これらの周期的なリズム振動を刺激または誘発することを包含する。
標準的方法を用いるか、または神経試料の空間アレイ上でのいずれかでのインビトロ神経組織を用いる細胞外電位の測定は、公知である。例えば、Dunwiddieら、J.Physiol 276:353−367(1978)など、ならびに米国特許第5,563,067号および第5,810,725号(各々は、Sugiharaらの特許である(本明細書中に参考として援用される))で見られるような装置の種々の記述を参照せよ。
(定義)
この記載の目的で、本発明者らは、別段その語句が異なる意味を示さなければ、この節において規定されるように、以下の用語を使用する。
本明細書中で使用する「シンク」との用語は、細胞外媒体から神経要素に吸収される電流をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「ソース」とは、電流が神経要素内から細胞外媒体へと導入されることをいう。
本明細書中で使用される場合、用語「海馬」とは、側頭葉の後ろに位置し、ヒトおよび他の動物において記憶形成および想起に関与している終脳の領域をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「海馬スライス」とは、本明細書中で記載される電気生理学的記録デバイスで使用され得る、概して厚みが約100〜500μmの海馬組織の物理的スライスをいう。
本明細書中で使用される場合、用語「CA1」、「CA2」、「CA3」および「CA4」は、海馬の4つの領域のうちの1つをいう。
本明細書中で使用される場合、用語「樹状突起」とは、神経細胞の細胞体から生じている高度に枝分かれした構造をいう。
(測定装置)
本発明のプロセスと共に好ましく使用される細胞電位測定装置は、「標準的」刺激技術および記録技術ならびに当業者に理解される変形例を含む(1つのこのような装置に関して、Dunwiddie TおよびLynch G(1978)J Physiol 276:353−367を参照のこと)。絶縁基板上の複数の微小電極;この微小電極領域の外側のいくつかの領域にこの微小電極を接続する導電性パターン;電気接点(この電気接点は、この導電性パターンの末端に接続される);絶縁フィルム(この絶縁フィルムは、この導電性パターンの表面を覆う);およびこの絶縁フィルムの表面にあるこの微小電極を含む領域を取り囲む壁、を採用する装置もまた好ましい。それらの参照電極は、この測定微小電極のインピーダンスよりも比較的低いインピーダンスを有し得る。それらは、この壁により取り囲まれる領域にある複数の位置で、また、しばしば、この微小電極から特定の距離で、設置され得る。この電気接点は、さらに、通常、各参照電極を配線するこの導電パターンとこの導電パターンの末端との間で、接続される。この参照電極を配線するこの導電パターンの表面は、典型的には、絶縁フィルムで覆われている。
典型的には、上記の他電極方法のために、これらの微小電極は、例えば、0.8〜2.2mm(300μmの微小電極ピッチの場合)または0.8〜3.3mm(450μmの微小電極ピッチの場合)の側面を有する長方形のマトリックス配置で位置している。1つの側面上の5〜15mmの長方形の4隅に、4個の参照電極が位置する。さらに好ましくは、約100〜450μm、好ましくは、100〜300μmの中心ピッチで、8列および8行で、64個の微小電極が位置している。
好ましくは、これらの微小電極および参照電極は、酸化インジウム−スズ(ITO)フィルム上のニッケルメッキ、金メッキおよび白金黒の層から形成される。
この絶縁基板(例えば、ガラス基板)は、殆ど長方形であり得る。この導電性パターンの末端には、複数の電気接点が接続され得、そしてこれらは、好ましくは、この絶縁基板の4側面に設置される。結果として、複数の微小電極および参照電極の配線パターンレイアウトは、簡単である。これらの電気接点のピッチは、比較的に大きくなるように作製され得るので、電気接点を通す外部ユニットとの電気接続もまた、簡単である。
この微小電極領域は、通常、非常に狭い。その試料を顕微鏡で観察するとき、垂直方向および水平方向の両方での位置を区別することは困難である。この顕微鏡による視覚的な認識を、方向、軸および位置で様々にするために、この微小電極領域の近くに位置合わせ微小マークを置くことが望ましい。
このインビトロ神経試料の解剖学的な相関に対して電極位置を決定するために、以下の順序の事象を実行することは、さらに好ましい。アレイがこの試料の重要な領域を覆うことができるように、そのアレイ上にインビトロ神経試料の対照を設置すること、このアレイ上の対照試料の写真を撮ること、対照試料からの応答を記録すること、対照試料と同じ相対位置で、できるだけ正確に、このアレイ上に試験試料を設置すること、このアレイ上の試験試料の写真を撮ること、試験試料からの応答を記録すること、ならびに対照写真と試験写真とを比較すること、および対照応答と試験応答とを比較すること。
当業者に理解される代替方法には、物体認識アルゴリズムを使用すること(この場合、この物体は、このインビトロ神経試料の肉眼解剖学的構造である)、物体認識アルゴリズムデータを比較すること、および対照応答と試験応答とを比較することがある。
最も好ましい細胞電位測定装置は、細胞設置装置から構成され、これは、細胞電位測定電極、電気接点と接触する接触部位、および上下から挟むことにより絶縁基板を固定する電極ホルダーを有する。この細胞電位測定電極は、この細胞設置アセンブリ装置に電気的に接続され得、この試料から発生してこのような各微小電極および参照電極間で測定された電位または電位信号の処理が可能となる。この細胞電位測定アセンブリは、試料神経細胞または試験神経組織を培養する領域(これは、壁により取り囲まれている)を含み得る。それはまた、好ましくは、この壁により取り囲まれた領域で培養される細胞または組織を拡大して光学的に観察するための光学装置を含む。この細胞電位測定装置は、好ましくは、さらに、この光学装置により得られた拡大画像を保存する画像記憶装置を含む。
典型的には、測定ソフトウェアをインストールしたパーソナルコンピュータが含まれ、測定した細胞電位を受容する。このコンピュータおよび細胞設置装置は、典型的には、測定用I/O基板を介して接続されている。このI/O基板は、A/D変換器およびD/A変換器を含む。このA/D変換器は、通常、得られた電位を測定し変換するためにある;このD/A変換器は、必要なとき、その試料に対する刺激信号のためにある。
このコンピュータにインストールされた測定用ソフトウェアは、刺激信号を与えて刺激信号を形成し、そして得られた検出信号を記録するための条件を設定するソフトウェアを含み得る。このような測定用ソフトウェアを使用することにより、このコンピュータは、細胞に刺激信号を与える手段および細胞から検出される信号を処理する手段を含み得る。このコンピュータはまた、任意の光学観察装置(SITカメラおよび画像記録装置)および細胞培養システムを制御し得る。
望ましくは、細胞から検出された細胞外電位は、リアルタイムで表示され得る。それに加えて、記録された自発性の活性、電位または誘導電位は、望ましくは、細胞の顕微鏡画像の上にオーバーレイすることにより、表示される。代替的には、このソフトウェアはまた、画像処理(例えば、フィーチャー認識、エッジ検出またはエッジ増強)アルゴリズム性能を含む。この電位を測定するとき、記録された波形全体は、通常、その神経試料における波形の位置に対応して、視覚的に表示される。
データ分析または処理に関して、高速フーリエ変換(FFT)分析、干渉性分析および相関分析もまた、望ましい。下記で議論する変形例では、電流源密度(CSD)解析もまた、非常に望ましい。他の使用可能な機能には、波形識別、一時的なプロフィール表示機能およびトポグラフィー表示機能を使用する、単一スパイク分離機能が挙げられ得る。これらの分析の結果は、この画像記憶装置に保存された神経試料の表示画像の上にオーバーレイすることにより、表示され得る。
このコンピュータから刺激信号が発せられるとき、この刺激信号は、D/A変換器およびアイソレータを通って、この細胞設置装置に送られる。この細胞設置装置は、細胞電位測定電極を含み、これらは、例えば、マトリックス形状で、ガラス基板上の64個の微小電極から形成され得、そして微小電極およびそれらの培養流体と接触する神経試料(例えば、細胞または組織のセグメント)を維持する囲壁を有する。好ましくは、この細胞設置装置に送られる刺激信号は、これらの64個の微小電極のうちの任意の電極に適用され、次いで、この試料に適用される。
各微小電極と参照電位(これは、この培養液の電位である)との間で生じる誘導電位、誘発電位または自然電位は、64チャンネルの高感度増幅器およびA/D変換器を通って、このコンピュータに入る。この増幅器の増幅率は、例えば、約0.1〜10kHzまたは約0.1〜20Hzの周波数バンドで、例えば、約80〜100dBであり得る。しかしながら、ローカットフィルターを使用することにより刺激信号によって誘発された電位を測定する場合、その周波数バンドは、好ましくは、100Hz〜400Hzまたはそれ以上である。
この望ましい装置は、細胞培養システムを含み得、このシステムは、温度制御装置、培養流体循環装置、および供給機(これは、例えば、空気および二酸化炭素の混合ガスを供給する)を有する。この細胞培養システムは、市販のマイクロインキュベーター、温度制御装置およびCO2シリンダーから構成され得る。このマイクロインキュベータは、ペルチェ素子によって、0〜50℃の温度範囲で制御するのに使用でき、そして3.0ml/分以下の液体供給速度および1.0リットル/分以下の気体流量に適用できる。また、あるいは、温度制御装置を組み込んだマイクロインキュベータが使用され得る。
(データ測定および分析)
一般に、本明細書中で記述した手順は、細胞外電圧値または細胞外電位値の同時測定、そして好ましくは記録を使用する。このような手順は、神経組織内の単一の部位で起こりうるか、または複数の測定部位で空間的および時間的の両方で起こりうる。その空間アレイにおける測定部位の各々で、これらの信号の周波数および振幅を観察することは、さらに好ましい。神経試料の配置およびその試料中の固有の物理的境界が、光学装置および電子感知装置のいずれかを使用して観察できること、およびこれらのマージンが、全て、選択したコンピュータ内のセンサの位置と相関していることは、よりさらに好ましい。
複数電極方法に関して、この神経試料は、このインビトロ細胞電位測定電極アレイ上に置かれ、その試験中にその生存度を維持するために、当業者に公知の手順が使用される。この神経試料は、もし望ましいなら、培養され得る。実施例に関する典型的な手順が、以下に述べられる。これらの微小電極の各々は、細胞外電圧または細胞外電位のリズム振動について、時間の関数および周波数の関数として、モニターされる。これにより、時間の関数として、周波数および振幅の群の信号が生じる。(例えば、2Hzの)DCに近い領域から35Hzより高い領域まで、これらの周期的なリズム振動を測定するのが好ましい。これにより、神経リズム活性で見られる典型的な以下の3個の周波数バンドの測定維持が許容される:4〜20Hz(θ EEG)、15〜25Hz(β EEG)および30Hzより高い値(γ EEG)。10〜50Hzのさらに高い周波数バンドは、非常に有益である。
(分析)
精神活性化合物または精神活性活動の存在または特性付けに関する重要な情報を提供する1手順は、高速フーリエ変換(FFT)の使用である。FFTは、種々の異なる領域で使用され、そして通例、スペクトル分析器として公知の装置で、使用される。その測定アレイにおいて特定の測定にFFTを適用すること、およびその結果を、その候補組成物の導入前の同じ位置の特定の測定値と比較することは、精神活性化合物の存在、特性付けまたは薬理学的活性に関して、有益である。具体的には、もし、この候補が、分析される神経試料の領域において精神活性であるなら、そのように分析した信号の比較により、ピークの周波数、振幅またはそれら2つの組合せにおけるシフトが明らかとなり得る。
有益な他のタイプの分析には、電流源密度(CSD)解析があり、実施例4および5においてさらに記載される。この分析手順の論述は、例えば、Nicholsonら、「Theory of Current Source Density Analysis and Determination of Conductivity Tensor for Anuran Cerebellum」(Journal of Neurophysiology,1975年3月、38(2):356−68)で見られる。この分析手順は、上記装置により測定された電位または電圧を変換し、そしてそれらを、類似の電流の流れ(さらに重要なことには、電流の大きさ)の設定アレイに変換するのに使用される。これらの電流の大きさおよび方向を時間の関数として相関させることにより、電流「シンク」および「ソース」が観察され得る。このような「シンク」および「ソース」の位置は、このインビトロ神経組織試料に添加された精神活性薬剤の存在、特性付けまたは薬理学的活性を決定する際に、有益である。
(周期的なリズム振動の刺激)
本発明者らは、薬理学的/化学的方法、生理学的方法または解剖学的方法により、細胞外電圧または細胞外電位の周期的なリズム振動を多様に刺激(誘発)するのが特定の手順の実施において望ましいことを発見した。薬理学的組成物(例えば、この神経組織中のアセチルコリン、セロトニンまたはカテコールアミンの作用を促進または模倣する1種以上の化合物)を使用し得るが、他の類似の刺激もまた、許容できる。この化学刺激組成物は、カルバコール(CCh、カルビルコリンクロライド(carbyl choline chloride))のような1種以上のコリン模倣化合物を含み得る。本発明者らは、周期的なリズム振動が開始した後にその刺激組成物を除去すると同時に、その誘導された周期的なリズム振動挙動を保存する(その結果、試験候補精神活性組成物からの結果が混乱しない)ことが、望ましい変形例であることを見出した。
図1および2A〜2Bに示され、実施例4にさらに記載されるように、カルバコール(コリン作動性アゴニスト)を神経組織に添加すると、カルバコールを除去(洗い流し)した後にも持続するリズム活性が生じる。カルバコールを、ベースライン記録の少なくとも10分後に、20分間の期間にわたって注入した(黒棒で示される)。
コリン作動性アゴニストを含む組成物に加えて、神経組織試料において周期的なリズム振動を刺激するために使用され得る薬理学的/化学的組成物としては、コリンエステラーゼインヒビター(AchEI)、および交感神経作用性アゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。
コリン作動性アゴニストの例としては、アセチルコリン、アレコール(arechol)、カルバコール、メタコリン、ベタネコール、ムスカリン、およびピロカルピンが挙げられる。
コリンエステラーゼインヒビターの例としては、アンベノニウム、デメカリウム、ジイソプロピルフルオロホスフェート、エコチオフェート、エドロホニウム、ヒューペルジンおよびヒューペルジンアナログ、ネオスチグミン、フィゾスチグミン(physotigmine)、ピリドスチグミンが挙げられる。
交感神経作用性アゴニストの例としては、ドパミンおよびノルエピネフリンが挙げられる。
一般に、周期的リズム振動活性の保存は、コリン作動性相互作用を調節することから得られる。図3および図6、ならびに実施例5の記載は、この概念を支持する。例えば、図3Bおよび図6A〜6Eにおいて、コリンエステラーゼインヒビター(例えば、フィゾスチグミンおよびヒューペルジンアナログ)が、カルバコールで見られるリズム活性と同様に、神経組織においてリズム活性を誘導することが示される。さらに、CCh誘導活性は、アトロピン(コリン作動性アンタゴニスト)によりブロックされる(図3C)が、APV(NMDAアンタゴニスト)によってブロックされない(図3A)。具体的には、そのリズム活性は、アトロピンがコリン作動性ムスカリンアンタゴニストであるので、ムスカリン様相互作用によって調節され得る。より具体的には、そのリズム活性は、M1ムスカリンレセプターとの相互作用によって調節され得る。図5A〜5Bに示され、実施例6にさらに記載されるように、M1選択的ムスカリン様アンタゴニストであるピレンゼピン(PRZ)は、CChに誘導される周期的なリズム振動に対するブロック効果を有するのに対して、M2選択的ムスカリン様アンタゴニストであるメトクトラミン(methoctramine)(MTC)は、最小の効果しか有さないか、または、効果を有さない。
一旦、誘導組成物または刺激組成物をインビトロ神経組織試料に添加すると、その周期的なリズム振動の種々のベースライン値が得られる。
(候補試料組成物)
精神活性化合物を含んでもよいしまたは含まなくてもよい候補試料組成物は、この神経組織試料と、好ましくは、例えば、カルバコールによって刺激された種々のベースラインの周期的なリズム振動(細胞外電圧または細胞外電位のアレイ)が測定された後に、接触される。本発明者は、精神活性化合物の導入の前後で、これらの周期的なリズム振動性細胞外電圧から測定されるパラメーターの組み合わせの比較(この比較は、典型的には、それらの周波数および出力の比較を含む)が、精神活性組成物の存在および/または特性付けに関する情報を与えることを発見した。比較の組み合わせは、典型的には、2つのパラメーターを含むが、任意の数の組み合わせが使用され得る。
一変形例において、精神活性組成物の周期的なリズム振動の挙動は、周期的なリズム振動の周波数における変化の関数として、周期的なリズム振動の出力の変化をプロットすることにより特性付けられる。図27および図39は、このような二次元プロットの例示である。このプロットは、定性的様式において、誘起された電位における相対的相違が、種々の精神活性化合物を神経組織に添加することによって引き起こされることを示す。これらの相対的相違の観察または定量は、これらの化合物が属し得る種々の一般的精神活性機能群または一般的精神活性化合物クラス(例えば、ベンゾジアゼピン 対 アンパカイン)を同定し、これらの群の特定のメンバー間(例えば、ジアゼパム 対 トリアゾラム)を区別することによって、精神活性化合物の検出および特性付けを可能にする。例えば、図39に示され、実施例13〜16にさらに記載されるように、コントロール(カルバコールに誘導される周期的なリズム振動)に対する比較において、ベンゾジアゼピンは、周期的なリズム振動の出力において増加をもたらし、周期的なリズム振動の周波数において何ら有意な変化をもたらさなかった;アンパカインは、周期的なリズム振動の周波数において増加をもたらし、周期的なリズム振動の出力において減少をもたらした;GABAアンタゴニストは、周期的なリズム振動の出力および周波数において減少をもたらした;そしてAMPAアンタゴニストは、周期的なリズム振動の出力において減少を示したが、周期的なリズム振動の周波数においては何ら有意な変化を示さなかった。実施例13においてさらに示されるように、周期的なリズム振動の周波数および/または出力における変化を比較することはまた、ある薬物クラスの中の精神活性化合物を区別することにおいて有用である。
ベースラインの周期的なリズム振動はまた、共に沈着した神経組織により刺激または誘導され得る。実施例15にさらに記載されるように、コントロール(アセチルコリンエステラーゼインヒビター(AchEI)についての海馬中隔共培養物により、およびSSRIについての海馬縫線共培養物により誘導される周期的なリズム振動)と比較して、AchEIは、周期的なリズム振動の周波数に有意には影響を及ぼすことなく、出力を増加し(図31)、SSRIは、周期的なリズム振動の出力を減少させ、周期的なリズム振動の周波数をわずかに減少させた(図33)。
本発明の方法によって検出および特性付けされ得る精神活性剤としては、以下の精神活性化合物のクラスが挙げられるが、これらに限定されない:
1.GABAアンタゴニスト(例えば、ビククリン、β−ヒドラスチン、ピクロトキシン、SR−95531(ガバジン(Gabazine)));
2.AMPAアンタゴニスト(例えば、CNQX、DNQX、GYKI 52466HCl、ジョロウグモ毒素、1−ナフチル−アセチルスペルミン、NS257、NBQX;
3.ベンゾジアゼピン(一般的に、強力な催眠作用および鎮静作用を有する化学的に類似する向精神薬のグループのいずれか;抗不安薬および催眠薬として主に使用される)(例えば、アルプラゾラム、クロラゼパート、テマゼパム、フルラゼパム、クロルジアゼポキシド(Cholrdiazepoxide)、ジアゼパム、オキサゼパム、メダゼパム、ロラゼパム、フルトラゼパム、フルジアゼパム、アルプラゾラム、オキサゾラム、クロチアゼパム、エチゾラム、フルラゼパム、フロキサゾラム(hloxazolam)、エスタゾラム、ニトラゼパム、ニメタゼパム、フルニトラゼパム、トリゾラム(trizolam)、リマザフォン(rimazafone)、フルマゼニル、ブロマゼパムなど);
4.アンパカイン(ベンゾイルピペリジン薬物(BDP)のような;AMPAレセプターモジュレーター(例えば、CX516(BDP−12)、CX554(BDP−20)、CX614、CX691);およびピラセタム様ヌートロピック(nootropic)(例えば、アニラセタム、ネフィラセタム(nefiracetam)など);
5.抗精神病薬(一般的に、例えば、フェノチアジン誘導体、チオキサンテン誘導体、ブチロフェノン誘導体(ドーパミンレセプターアンタゴニスト)、イミノジベンジル誘導体、ジベンゾチアゼピン(Dibenzotthiazepine)誘導体、ベンズアミド誘導体、チエピン(Thiepine)誘導体、ベンズイソオキサゾール誘導体(セロトニンおよびドーパミンアンタゴニスト)および具体的には以下のような抗精神病薬:カルバマゼピン、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、クロザピン、ジバルプロエートナトリウム(divalroex sodium)、フルフェナジン、ハロペリドール、炭酸リチウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、ロキサピン、メソリダジン、モリンドン、オランザピン(olanzapine)、ペルフェナジン、ピモジド、クエチアピン(quetiapine)、リスペリドン、チオリダジン、チオチキセン(thiothixene)、トリフルオペラジン、およびトリフロプルマジン);
6.抗うつ薬(一般的に、例えば、三環式抗うつ薬および四環式抗うつ薬、選択的セロトニン再取込みインヒビター(SSIR)、セロトニンおよびノルエピネフィリン再取込みインヒビター、およびモノアミン酸化(oxidize)インヒビター、ならびに具体的には以下のような抗うつ薬:アミノケトン、アミトリプチリン、アモキサピン、アムフェブタモン(bupropion)、ドキセピン、デシプラミン、クロミプラミン、フルオキセチン、フルボキサミン、Hypericum、Hypericum perforatum、イミプラミン、イソカルボキサジド、マプロチリン、ミルタザピン、ネファゾドン、ノルトリプチリン、ノルトリプチリン、パロキセチン、フェニルピペラジン、フェネルジン、プロトリプチリン、セルトラリン、トラニルシクロプロミン、トラゾドン、チアゾロピリジン、トリミプラミン、およびベンラファキシン;
7.中枢神経系刺激剤(一般的に、例えば、キサンチンおよびアンフェタミン、ならびに具体的には以下のような中枢神経刺激剤:デキストロアンフェタミン、Ephedra、Ephedra sinica、メタンフェタミン、メチルフェニデート、メチルフェニデート、およびペモリン);
8.鎮痙薬(一般的に、例えば、バルビツレート、オキサゾリジンジオン誘導体、カルボニックアンヒドラーゼインヒビター、ベンゾジアゼピン、およびGABAトランスアミナーゼインヒビター;具体的には、例えば、カルバマゼピン、クロバザム、デジナミド、ジバルプロエックスナトリウム、フェルバマート、フルナリジン、フォスフェニトイン、ガバペンチン、ラモトリジン、レベチラセタム、ミダゾラム、ミラセミド、MK−801、オクスカルバゼピン、フェノバルビタール、プリミドン、プロガビド、スチリペントール、チアガビン(tiagabine)、トピラマート、バルプロ酸、ビガバトリン、およびゾニサミド;
9.抗不安薬(一般的に、例えば、抗ヒスタミン薬、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、β遮断薬、ブスピロン、プロパンジオール、選択的セロトニン再取込みインヒビター(SSIR)、セロトニンレセプターアゴニスト、および三環式抗うつ薬;具体的には、例えば、アルプラゾラム、ブスピロン、クロルジアゼポキシド、クロミプラミン、クロラゼパート、ジアゼパム、フルオキセチン、フルボキサミン、ハラゼパム、ロラゼパム、メプロバメート、オキサゼパム、フェノバルビタール、Piper、Piper methysticum、プラゼパム、およびプロプラノロール);
10.催眠薬(一般的に、催眠薬は、睡眠または催眠に関連する薬物であるか、または求心性拍動を阻害するかもしくは脳の皮質中心における感覚印象の受容を阻害して、部分的または完全な無意識を引き起こすことにより、疼痛に対する無感覚を引き起こす薬剤である)。催眠薬は、一般的に、鎮静薬、鎮痛薬、麻酔薬、および酔わせる物質を含み、そして睡眠を誘導するのに使用された場合、催眠薬(somnifacient)および催眠薬(soporific)とよばれることもある。具体的な催眠薬としては、脂肪族アルコール、バルビツレート、ベンゾジアゼピン、Hypericum、Hypericum perforatum、メラトニン、特定の非バルビツレート、Piper、Piper methysticum、Valeriana、およびValeriana officinalisが挙げられる;
11.麻酔性鎮痛薬(例えば、オピオイドレセプターアンタゴニストおよび具体的には、例えば、ヘロインおよびモルヒネ);
12.ドーパミン作動性薬剤(例えば、アマンタジン、ベンツアトロピン(benztropine)、カルビドパ/レボドパ、およびトリへキシフェニジル)。
以下の実施例は、海馬皮質において、コリン作動的に誘発した高周波リズムの起源および局所的変化を検討するために、64個の部位から同時に記録する標準的刺激および記録装置ならびに/または多電極ディッシュ(MED)の両方を利用した。次いで、これらの周期的なリズム振動に関連したさらなる薬理学的研究および生理学的な研究を行った。
薬物/化学物質を、Research Biochemicals International(ジアゼパム、ビククリン、CNQX、2−ヒドロキシサクロフェン)またはSigma(全ての他の化合物)から購入した。CX614およびCX691は、Cortex Pharmaceuticals Inc.(Irvine、CA)から得た。全ての薬物を、既知の濃度で適用し、かつ凍結アリコートから毎日調製した。薬物/化学物質を、AP5を除いて(これは、バッチで適用した)、注入ポンプを用いて注入ラインに添加した。溶液を、実験日に新たに調製した。統計技術および測定技術は、対応のある両側t検定および反復して測定二元配置ANOVAの使用を含んだ。これらの検定を使用して、統計学的有意性を評価した。データは、平均±S.E.M.として表す。出力スペクトルは、MATLAB(Math Works,Natick,MA)における高速フーリエ変換関数を使用して、400ms試料採取から予測した。出力を、アゴニスト注入の最後の5分間に対して正規化した。
当業者は、具体的実施形態が例示されかつ記載されているものの、種々の改変および変更が本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得ることを認識する。
(実施例1)
(多電極アレイ(MEDプローブ)の作製)
Multi−Electrode−Dish(松下電気産業株式会社、大阪:「MEDプローブ」)を作製する一般的な手順は、上で記述した。MEDプローブを作製する手順はまた、Okaら(1999)で記述されている。この装置は、64個の平面微小電極のアレイを有し、その各々は、50×50μmのサイズを有し、8個×8個のパターンで配列されている。プローブには、2種類の極間距離(150μm(Panasonic:MED−P515AP)および450μm(Panasonic:MED−P545AP))が付いている。
このMED表面に対する神経試料スライスの十分な接着性を与えるために、このMEDプローブの表面を、室温で、8時間にわたって、25mMホウ酸緩衝液(pH8.4)中の0.1%ポリエチレンイミン(Sigma:P−3143)で処理した。このプローブ表面を、無菌蒸留水で3回リンスした。このプローブ(チャンバ)に、次いで、37℃で、少なくとも1時間にわたって、DMEM/F−12混合培地(これは、10%ウシ胎仔血清(GIBCO:16141−079)および10%ウマ血清(GIBCO:16050−122)を含有する)を充填した。DMEM/F−12混合培地は、ダルベッコ変性イーグル培地およびハム(Ham’s)F−12(GIBCO:D/F−12培地の1:1混合物 12400−014)(これらは、N2栄養剤(GIBCO:17502−014)およびヒドロコルチゾン(20nM、Sigma、H0888))を補充した)である。
(実施例2)
(海馬スライスの調製)
3〜4週齡のSprague Dawleyラットを、国立衛生研究所からのガイドラインとともに、University of California Institutional Animal Care and Use Committeeから認可された動物プロトコルの下で、ハロタンを使用して麻酔した後、断頭することにより屠殺した。脳組織を取り出し、標準的な電気生理学的記録技術のために、350μmの海馬スライスを、振動組織スライサー(Leica:VT−1000S;Bannockburn,IL)を使用して切り出した。人工脳脊髄液(ACSF)は、解剖のために以下の組成(mM単位)であった:NaCl 124、KCl 3、KHPO 1.25、MgSO 5、CaCl 3.4、D−グルコース 10、NaHCO 26。
次いで、海馬スライスを、境界面記録チャンバに置き、CaClおよびMgSOの濃度をそれぞれ3mMおよび1mMに低下させたことを除いて、上記と同じ組成の酸素化記録ACSFを用いて、60ml/時間の速度で注入した。加湿95% O/5% COを、回復期および記録期全体を通してチャンバにさらに吹き込んだ。スライスを、少なくとも1時間の期間の間に回収した。
複数電極実験のために、17〜24日齢のSprague Dawleyラットを、ハロタン(2−ブロモ−2−クロロ−1,1,1−トリフルオロエタン、Sigma:B4388)を使用して麻酔した後、断頭することにより屠殺し、その全脳を、注意深く取り出した。その脳を、直ちに、およそ2分間にわたって、以下の組成(mM単位)の氷冷酸素化調製緩衝液に浸した:124 NaCl、26 NaHCO3、10 グルコース、3 KCl、1.25 NaH2PO4、2 CaCl2、2 MgSO4。この脳の適当な部分を切り取り、そして振動組織スライサー(Leica:VT−1000S)の氷冷ステージに置いた。このステージを、直ちに、酸素化緩衝液および凍結調製緩衝液の両方で満たした。各組織スライスの厚さは、350μmであった。各スライスを、絵筆でそのブレードから穏やかに取り除き、切り取り、そして直ちに、室温で、1時間にわたって、この酸素化調製緩衝液に浸した。次いで、このMEDプローブの中心に、1個のスライスを置いた。このスライスは、8個×8個のアレイを覆うように、配置した。このスライスを配置した後、このMEDプローブを、直ちに、95%のO2および5%のCO2で満たした箱に置き、そして32℃で、1時間にわたって、回復させた。
(実施例3)
(電気生理学的な記録)
標準的な電気生理学実験のために、電場電位を、2M NaClで満たした細胞外記録電極(1〜5MΩ)を用いて記録した。自発的活性およびリズム活性の記録のために、電極を、CA3領域の錐体細胞層に置いた。シェファー側副枝刺激/交連刺激により誘起される興奮シナプス後電位(ESP)をモニターするために、記録電極を、CA1放射線維層に置いた。刺激を、双極性刺激電極(ねじった64μm絶縁ニクロム線)を通じて送り、刺激電流強度を、最大単相応答(0.1〜0.3ms持続時間、10〜50μAの二相パルス)の50%未満であった応答を誘発するように設定した。800msの試料を30秒ごとに記録した;刺激を伴う場合、刺激パルスを30秒毎に送った。安定なベースライン条件を、薬物溶液の注入前に少なくとも10分間にわたってモニターした。データを差動AC増幅器(A−M Systems Model 1700;Carlsborg,WA)を使用して記録し、5kHzでデジタル化した。実験を、生理学的温度(32±2℃)で行った。
スパイク数およびバースト数を、400ms時間ウィンドウ内で平滑化時間経過記録の二次導関数における正のピークを、MATLABを再び使用して見出すことによって計算した。5ms以下の間隔で発生するスパイクは、「バースト」を構成した。スパイクおよびバーストの数を、別段記載しない限り、コリン作動性アゴニスト注入の最後の5分間に対して正規化した。
多電極実験について、このMEDプローブ上のスライスを、32℃で、小さいCO2インキュベータ(Asahi Lifescience:モデル4020)に置いた。MEDプローブ上のスライスを回収した後、その培地を、血清を含まないDMEM/F−12混合培地で置き換えた。これらのスライスをその界面に置き、そして加湿した95%O2および5%CO2気体混合物と接触させた。この条件で、それらの応答を2時間より長い間にわたって記録した。
20kHzの試料採取速度で、多チャンネル記録システム(松下電器産業株式会社、「MED64」システム)を使って、64個の全ての部位での自然電場電位および誘発電場電位を同時に記録した。この誘発応答の場合、利用できる64個の平面微小電極のうちの1個を、刺激カソードに使用した。そのアイソレータを介したデータ収集ソフトウェアにより、双極定電流パルス(10〜50μA、0.1ミリ秒)が生じた。この刺激微小電極は、64配電箱から選択した。測定した電場電位を、次いで、下記のCSD分析(Nicholsonら)を使用して、分析にかけた。
(実施例4)
(長期間持続性カルバコール誘導リズム)
この実施例において、カルバコールが長期間持続性リズム活性を神経組織において誘導する能力を示す。図1は、海馬スライスのCA3領域においてコリン作動性アゴニストにより誘導または刺激される長期間持続性のリズム活性、およびそのコリン作動性アゴニストを洗い流した後のこのリズム活性の保存を示す。図1Aは、コントロールの出力スペクトル(破線)および20μM CChにより誘導された細胞外の周期的なリズム振動(実線)を示す。図1Bは、20μM CChの注入前(上)および注入後(下)に細胞外記録の例示のトレースを示す。図1Cは、CChを洗い流した後の、周期的なリズム振動の持続性を例示する。各点は、β周波数バンドまたはγ周波数バンドの平均正規化出力(平均±SEM)を表す。CCh(20μM)を、少なくとも10分間のベースライン記録の後に、20分間にわたって(黒棒で示される)注入した。
CA3領域におけるCCh(20μM)の注入は、βバンドにおける主な周波数(注入の10〜20分注入の時点で27.4±0.2Hz、n=28)およびγ範囲における副次的な周波数(48.2±0.2Hz、図1A)を有する速いリズム活性の迅速な出現を引き起こした。β範囲の出力は、注入の間に30倍を超えて増大した(p<0.0001、n=28)。CA3リズムの波形は、図1Bに例示される。各サイクルは、大きなスパイクまたはスパイクのバーストで始まり、急な正の電位が続いて、それは徐々に、サイクルが再び始まるまでに減少する。そのスパイク形成(spiking)活性は、ベースライン条件下ではCA3にほとんど存在しない。リズム活性の増加は、シェファー側副枝刺激/交連突出の刺激に応じて、CA1領域の先端突起で記録されるEPSP領域の振幅の信頼性の高い減少と関連した。
CChにより生成されるfEPSPの抑制は、洗い流したときに迅速に明らかになった。回復は決して完全ではなかったが、このことは、CChの流し混み(washin)または洗い流しの時間経過の尺度を与えた。誘発された応答で観察される可逆性の効果とは対照的に、そのリズム活性は、洗い流しの時間後ですら高レベルで持続した。図1Cは、14スライスの群についての洗い流しの間に、β周波数範囲およびγ周波数範囲における正規化出力を示す。50〜60分間の洗い流し後のβバンドにおける出力は、前CCh期に記録されたものよりも20倍大きく(p<0.0001、n=14)、時間と共に減少するという証拠はなかった。3つの場合において、3時間より長い洗い流しの間にわたって記録を続け、その時点で、高レベルのリズム活性がなお存在した。同様の効果が、γ周波数範囲において得られた。
図2はまた、CCh洗い流し後のCA3錐体細胞活性レベルにおける持続的増加を示す。図2Aに認められるように、代表的追跡は、それぞれ「*」および「**」で示される、スパイクおよびバーストの例を示す。図2Bは、一時的なCCh適用から生じる持続した増加を示すために、時間に対してプロットしたCA3錐体神経のスパイク速度(上)およびバースト速度(下)を示す。CChを20分間にわたって注入した。各点(平均±SEM)は、CCh注入の最後の5分間に対して正規化した、400ms時間ウィンドウ内のスパイク数またはバースト数を表す。
持続性リズムの誘導には、CA3錐体神経の興奮パターンにおける長期間持続性の変化が伴う。CA3錐体細胞層において自発的に記録されるスパイク形成およびバースト形成は、ベースライン条件下では比較的少なく、継続しているリズムと同じ時間経過の後に、一時的なCCh適用後に増大した(図2A)。図2Bにおいて、スパイク速度(上部)を、CCh注入の最後の5分間の平均速度に対して正規化した。これらの群のデータにおいて認められ得るように、スパイク形成は、注入に伴って約3倍増大し、60分の洗い流し全体を通してのそのレベルに近いままであった(p<0.0001、前CCh期 対 60分後、n=14)。CChによって生成されるスパイクの短く高周波数のバーストの増大した数はまた、洗い流し期間全体を通して明らかに変化することなく持続した(図2B、下部)。全てにおいて、コリン作動性刺激によって誘導されるリズム、およびそれらと関連したスパイク形成活性は、刺激を除去した後数時間にわたってそのままであった。
(実施例5)
(コリン作動性突出における変化は、長期間持続性リズムを担う)
実施例5は、神経組織における周期的なリズム振動の誘導または刺激がコリン作動性相互作用を調節することから生じる可能性が最も高いことを示す。例えば、図3Aは、周期的なリズム振動活性における長期の増大のNMDA非依存性を示す。具体的には、図3Aは、5つの場合を示し、ここでCCh注入の開始前に、スライスに、100μM APV(D,L−2−アミノ−5−ホスホペンタン酸(NMDAアンタゴニスト)を浴中で15分間にわたって適用し、20分間、20μM CChを注入ラインへ注入し、25分後、CChを洗い流した。APV注入の最後およびAPVを洗い流して30分後のCA1錐体細胞層(差し込み図)を、示す。CChを洗い流して50〜60分後の平均β出力は、CCh単独群についてはピーク効果の76.0±1.6%であり、CCh+APV群については、109.0±4.7%であった(p<0.0001)。従って、安定なリズム活性の誘導も発現も、NMDAレセプターアンタゴニストによってブロックされなかったことが示された。
対照的に、図3Bは、内因性アセチルコリンレベルの上昇によって引き起こされるリズム活性における長期間の増加を示す。アセチルコリンエステラーゼインヒビターであるフィゾスチグミンを、中程度の濃度(5μM)で20分間にわたって適用した。図3Bに示されるように、フィゾスチグミンは、規模がより小さいこと以外は、CChによって生成されるものと検出可能であるほどには異ならないリズム活性の増加を引き起こした。そのピーク効果は、再度、β範囲において存在し、γバンドにおいては副次的な増加が存在し、得られた波は、そのアゴニストで認められた同じスパイクオントラフ(spike−on−trough)パターンを有した。CChとフィゾスチグミンとの間の1つの顕著な差異は、フィゾスチグミンがfEPSPに対して明らかな効果を有さなかったことである。最も重要なことには、増大したリズム活性が、洗い流し期の持続時間全体にわたって顕著に変化することなく持続し;β範囲およびγ範囲の出力は、記録期間の最後にベースライン出力の約3倍であった(p<0.0001、n=5)。
図3Cは、βリズムおよびγリズムの維持のためのコリン作動性ムスカリン性レセプターの必要性を具体的に実証する。ムスカリン性アンタゴニストであるアトロピン(ATR)を、CCh洗い流しの45分間後に始めて、20分間にわたって10μMの濃度で注入し、リズム時間を安定化させた。CA1放射線維層からの代表的なEPSPが、アトロピンの洗い込みおよび洗い流しの間に示される(挿入図)。図3Cにおいて観察され得るように、アトロピン適用は、CCh誘発性の周期的なリズム振動活性を減少させ、これは、アトロピン洗い流し後に回復されない。
上記のデータは、コリン作動性シナプスが、海馬の生理の天然に存在する局面についての使用依存性の長期継続変化の基礎となることを確立する。その後、同じシナプスが、リズムを駆動する非コリン作動性系における変化を表すかまたは反応を誘発するか否かに関する問題が、生じる。前者の仮説が真である場合、CCh(またはフィゾスチグミン)の洗い流し後にコリン作動性伝達をブロックすると、誘発されるリズムに対して顕著な効果を有すると予測される。図3Cは、この予測を確認する結果を要約する。ムスカリン性アンタゴニストであるアトロピンを、CCh洗い流し後の45分間後に開始して注入し、長期リズムを安定化させた。明らかなように、アトロピンは、周期的なリズム振動を完全に廃止した。β活性およびγ活性の正規化した出力は、最後の10分間のアトロピン注入によって、ほぼベースラインレベルまで減少された(βについて、p<0.0001、γについて、p<0.0001、n=5)。EPSPを、CA1放射線維層において記録して、スライスの健康をモニターした。これは、アトロピンの洗い込みおよび洗い流しの間(周期的なリズム振動が失われた同じ期間)に強力かつ健康なままであるようであった(図3C、挿入図)。
コリン作動性アゴニストにより示される周期的なリズム振動活性に対する効果はまた、アセチルコリンエステラーゼインヒビターによっても同様に増強され得る。図6において観察されるように、アセチルコリンエステラーゼインヒビターを、10分間のベースライン後に30分間注入した。出力を、20〜40Hzの周波数バンド全体にわたって平均し、ベースライン活性に対して正規化した。図6Aにおいて、カルバメート誘導体であるフィゾスチグミンは、比較的低濃度(2.5μM)で安定なコリン作動性リズムを惹起し、β出力を約3倍増加した。図6Bにおいて、濃度2.5μMでのフペルジンアナログであるフペルジンX(HUP−X)の注入は、フィゾスチグミンにより生成される出力のリズムと同様の出力のリズムを生じた。図6Cにおいて観察されるように、例の痕跡は、アセチルコリンエステラーゼインヒビターにより生成されるリズムの波形および周波数が、カルバコールにより駆動されるリズムとほぼ同一であることを示す。ベースライン条件下で、リズム活性は、全く存在しないかまたはほとんど存在しないことに、留意すべきである。図6Dは、フペルジンアナログであるジメチルフペルジンA((−)−DMHA)により生成されるリズムは、濃度依存性であったことを示す。リズムは、高濃度(10μM)については高振幅でありかつ安定に維持されたが、低濃度(2.5μM)は、経時的に出力を失うようである弱いリズムを生じた。また、図6Eは、フペルジンアナログであるフペルジンA((−)−HA)の2つの濃度を示す。これらは、継続するコリン作動性リズムを生じる能力に関して試験された。10μMの注入は、β出力の安定で長期継続する増加を生じ、一方、2.5μM注入後のリズムは、低出力であり、徐々に減少したようであった。
(実施例6)
(リズム活性の長期継続する増加の逆転)
実施例6は、緊張性リズムがアトロピンの洗い流しにより影響を受けないという予期されない知見をさらに分析する。アトロピンの場合のリズム活性の喪失には、アンタゴニストの注入および洗い流しの間に、EPSPの大きさの減少を伴わなかった。セロトニン作動性活性化は、海馬のEEGを脱同期化することが報告されている(Assaf,S.Y.およびMiller,J.J.,Neuroscience 3:539〜550(1978))。従って、これを使用して、誘発性リズムが、コリン作動性レセプターとは無関係の一過性抑制の後に回復したか否かを決定した。
図3Dは、5−HT注入によって生じたリズム活性の一時的抑制を示す。5−HT(30μM)を、45分間のCCh洗い流しの後に、20分間注入した。図3Dにおいて示されるように、セロトニン(5−HT,10μM)は、リズム活性の即時逆転を引き起こしたが、アトロピンの結果とは顕著に対照的なことに、このリズムは、アゴニストの洗い流しの際には本質的に変化しないように戻った。
図4は、スパイクおよびバーストの周波数に対するアトロピンおよび5−HTの効果を比較する。スパイクおよびバーストの速度を、最後の5分間のCCh注入の間の平均速度に対して正規化する。図4Aは、アトロピン注入の直前、その間、および30分間後の長期リズムの誘導後にCA3錐体細胞層において記録した、自然発生活性の例を提供する。図4Bは、アトロピンの不可逆的効果と対照的なスパイク周波数に対する5−HTの可逆的効果を示す。図4Cは、5−HT適用およびアトロピン適用後の、それぞれ、バースト周波数の継続する増加の回復および回復の欠如を示す。図4Dは、5−HT注入の直前、その間、およびその30分間後にCA3錐体細胞層において記録した自然発生活性の例示的試料を示す。
5−HT適用後の長期継続リズムの逆転とその後の回復には、CA3錐体細胞活性レベルの対応する変化が伴った(図4B〜D)。対照的に、アトロピンに起因するリズムの完全な除去には、錐体細胞活性のCCh誘導性増加の永続的逆転が関係した(図4A〜C)。これらのデータは、ムスカリン性アンタゴニストによるリズム活性の喪失は、コリン作動性伝達に特有の効果に起因する(すなわち、コリン作動性レセプターの強い活性化は、安定なリズムを誘導する一方、レセプターのブロックは、その安定なリズムを排除する)ことを示唆する。
図5は、コリン作動性可塑性に対する選択的ムスカリン性アンタゴニストの効果を示す。図5Aにおいて観察されるように、M2選択的ムスカリン性アンタゴニストであるメトクトラミン(MTC)は、長期リズムを排除しない。MTC(10μM)を、カルバコールの洗い流し後の45分間の時点で開始して、20分間注入した。MTC適用は、出力のわずかな減少とその後の回復をもたらした。図5Bにおいて、M1選択的ムスカリン性アンタゴニストであるピレンゼピン(PRZ)の注入は、アトロピンを用いて観察されたリズムの排除を再現した。20分間のピレンゼピン(10μM)の注入を、カルバコールの洗い流しの45分間後に開始した。長期リズムは、そのアンタゴニストの洗い流しの際に回復しなかった。代表的な痕跡は、リズムの喪失が、Schaffer側副刺激に応答して惹起されたCA1における荒廃とも疲労の徴候とも関連しなかったことを示すために示される(挿入図)。
この結果は、一過性のコリン作動性刺激の期間が、細胞のスパイク速度およびバースト速度の継続する増加と関連する、長期リズムを誘導することを示す。長期リズムが、天然に存在する生理に関係し、比較的短い激しい活性エピソードによって誘発され、誘発因子が除去された後でも(少なくとも3時間)長く残るという点で、緊張性リズムは、長期増強と似ている。リズム活性の継続する増加についてのもっともな説明は、CChにより誘導されるバーストパターンから生じるグルタミン酸作動性シナプスにおけるLTPの誘導が、増強された側副接続を介して、リズム活性を維持したというものである。しかし、LTPを完全に抑制する濃度のNMDAレセプターアンタゴニストは、安定なリズムの形勢を妨害しなかった。その後の実験は、内因性コリン作動性活性の促進が、安定なリズムの形成もたらす一方で、内因性コリン作動性伝達の拮抗作用が、すでに生じていたリズムを排除したことを示した。すべてにおいて、長期リズムは、おそらくCA3領域において、内因性シナプスによって誘導されかつ発現されるようである。この知見は、海馬へとコリン作動性突出は、可塑的であり、特に、LTPにおいて見出される変化といくらか似ている使用依存性の変化を経験するという、さらなる結論をもたらす。
長期リズムは、CChまたはフィゾスチグミンの存在下での急性の周期的なリズム振動と顕著には異ならないので、長期リズムは、薬物(すなわち、上記の通常の数のコリン作動性レセプターの刺激)により生成される同じ終点に起因する可能性がある。
上記リズムのより驚くべき特徴のうちの1つは、ムスカリン性アンタゴニストへの一過性暴露によってそのリズムが抹消されることである。すなわち、上記リズムは、上記周期的なリズム振動が進行中のコリン作動性活性を反映する場合に予期されるように、上記アンタゴニストによりブロックされるだけでなく、上記アンタゴニストの洗い流しの際に戻らなかった。このことは、上記リズム自体の抑制に起因するものではなかった。なぜなら、非コリン作動性因子は、組織中に存在する場合にのみ上記周期的なリズム振動をブロックしたからである。これらの結果は、正常に満たないコリン作動性活性の期間が、強い活性の期間により誘導される継続する変化を停止することを示唆する。この知見は、長期継続するリズムを表す変化を同定する際に助けとなるはずである。これを超えて、コリン作動性可塑性の潜在的な機能的重要性にとって、可逆性が、重要な意味合いを有する。おそらく、上行性コリン作動性突出と、その前脳の標的との間の接続の強度は、継続的な調整を受け、最も誓い(高/低)活性期間は、それに続く事象について活性を設定するために役立つ。
すべてにおいて、本明細書中のデータは、長期継続する使用依存性の可塑性が、グルタミン酸作動性シナプスに制限されないという証拠を提供する。さらに、これらのデータは、コリン作動性の速いリズムを、神経活性の継続変化(これは、速いリズムの主要な役割と一致する)および一般的に記憶増進処理におけるコリン作動性系に関連付ける。
(実施例7)
(電流源密度(CSD)分析)
電流源密度解析のよく研究された方法は、電流ソースおよびシンク(Im)の位置および相対的大きさの確認を試みるために、測定した電場電位(φ)に対して、ラプラシアン変換(∇2)を使用する(概説について、Howlandら、1955;Mitzdorf、1985)。
Im=−(σx∇2xφ+σy∇2yφ+σz∇2zφ)
ここで、σは、3つの直交する次元の各々の導電性である。この方法は、電気生理学的な測定のために、その全三次元形態では滅多に使用されず(Nicholson,1973;NicholsonおよびFreeman,1975;NicholsonおよびLlinas,1975)、むしろ、一次元に切り詰めた形状が、典型的には、適用される(HaberlyおよびShepherd,1973;KetchumおよびHaberly,1993;Koltaら、1996)。しかしながら、一次元電流源密度解析は、二次元またはそれ以上の材料(例えば、脳スライス)で行われ、その結果、その測定軸に対して直交して生じるいかなる電流も、検出されず、得られた一次元結果は、従って、誤解を招くおそれがあり得る。それゆえ、一次元解析では、試料を測定する向きに対して側方で最小限の電流が生じることを確実にするように、注意する。好ましくは、このインビトロ神経試料が脳の海馬領域のスライスであるとき、線形系列の測定の整列は、(先端樹状突起に対して側方の電流が、先端に近位の軸に沿って生じる電流に対して、非常に小さいことが証明されているので、)先端樹状突起の成長方向に平行となるように、行われる。本実施例で使用した技術は、二次元法であり、ここで、等距離アレイにある複数電極から、同時に試料を記録して、このスライスに存在しているアレイの列および行と樹状突起との相対的な配向とは無関係に、このスライスの平面内の任意の方向で、電流流れを連続的に感知することが可能となる。このアレイは、64個の平面電極から構成されており、各々は、50×50μmのサイズであり、8個×8個のパターンで配列され、150μmまたは450μmの極間距離である(Okaら、1999)。
100Hzでローパスフィルタリングした後、そのデータを、3×3の重量平均カーネル(0 1/8 0、1/8 1/2 1/8、0 1/8 0)で空間的に滑らかにし、その結果を、3×3ラプラシアンカーネル(0 1 0、1 −4 1、0 1 0)と絡めて、第二空間導関数の別個の概算値を得る。好ましくは、その培地は、均一なコンダクタンスを備えて、オーム抵抗性であると考えられている。その全相関マトリックスを、考慮した時間ウィンドウ(0〜3秒間)で、全チャンネル(64)について算定する。このスライス中の単一点に対する電流対時間のプロットは、各時間段階に対する8個×8個の電流源密度を算定することにより、そしてバイニリア補間によって所望位置での値を計算することにより、得られる。電流源密度解析で得ることができる解像度のよく知られた限界は、その電極間距離(試料採取解像度)と、このスライスで生じる電流ソースまたはシンクの半径との間の関係から生じ、そして当業者に認識される。コンピュータグラフィックスインターフェイスの領域で周知の「エイリアシング」現象とは、試料採取点間の距離が、現れる最小現象のサイズよりも大きいときの、偽のデータ「ゴースト」(エイリアス)の出現を意味する。コンピュータスクリーングラフィックスでは、これは、表示する画像に関して、そのスクリーン解像度が不十分であるとき、起こる(図7の左パネル−滑らかな縁部を備えた高解像度画像、図7の中間パネル−比較的に低解像度の画素間距離で試料採取した同じ画像は、高い空間周波数を備えた新たな特徴を有するように見える(ギザギザの階段状))。このスクリーン上での偽画像の出現は、典型的には、その画像のローパスフィルタリングを画像縁部での部分的に陰影を付けた画素の導入と組み合わせた「アンチエイリアシング」により、処理される(図7右)。アンチエイリアシングには、ローパスフィルターが挙げられ、これは、この画像から、偽エイリアス特徴を取り除き、従って、また、(本発明の場合と同様に)、初期画像から、ある程度高い空間周波数ディテールをなくし得る。アレイ試料採取した生理学的データへのアーチファクトの対応電位導入は、同じアンチエイリアス法により排除でき(以下の図8を参照)、それに対応して、このデータに由来の一定の細かい(高い空間周波数)ディテールをなくす。好ましくは、この解析は、完全アンチエイリアスなしで、ローパスフィルタリングを使用する。あるいは、もし、このデータが、電極間試料採取距離だけ解像するには高すぎる空間周波数を伴う現象を含むなら、その結果は、ローパスフィルタリングされて、高周波データも取り除きつつ、偽エイリアスを除去する(図8)。
具体的には、図8は、アンチエイリアスの効果を描写している。その上部パネルは、試料採取したデータの解像度に対して十分なセンサ間間隔がある場合を示している。エイリアスは、非常に高い周波数の特徴として現れる;そのセンサ間の空間周波数の半分(センサ間距離の2倍)をローパスフィルタリングすると、試料採取データの解像度を低下させることなく、全てのエイリアスがなくなる。他方、図8の左下のパネルは、そのセンサ間間隔が試料採取データの解像度に対して不十分であった場合を示している。エイリアスの空間周波数は、このデータに存在している最高周波数と重なり合っている。この左パネルは、半分のセンサ間空間周波数でのローパスフィルタリングが全エイリアスを排除できず、また、このデータの最も細かいディテールの一部を排除することを示している。図8の右手パネルは、それより低い空間周波数でのローパスフィルタリングが、全ての偽エイリアスを排除することに成功し、さらに、試料採取データの解像度を低下させて、測定データに存在し得る高周波数の細かいディテールの多くを排除することを示している。それより低い周波数または高い事象だけが残る。
(実施例8)
(連続二次元電流源密度解析)
海馬スライス調製物におけるCA1領域に求心性のSchaffer−commissuralの刺激に関連して、二次元電流源密度解析を行った。図9Aおよび9Bは、典型的な実験を図示している。図9Aは、150μmの電極間空間での8個×8個のMED電極アレイ上のスライスの配置を示し、これは、海馬スライスにて、CA1の先端樹状領域の中心にある。これらの電極は、この電極アレイにて、歯状回顆粒細胞領域のCA1基底樹状突起、CA1の先端樹状突起および上部ブレードを覆っている。GABAAおよびGABABが媒介する禁止成分を抑制するために、この実験は、50μMのピクロトキシンおよび100μMの2−ヒドロキシサクロフェンを使用して実行した。図9Bは、暗灰色で示した電極(10)に対する1回の刺激パルスにより誘発された代表的なシナプス後電流(EPSC)を示しており、これは、淡灰色の電極(12)から測定した。その時間尺度は、このような誘発応答に典型的である。垂直の破線は、全64個の電極にわたって測定した時間点を示しており、これは、以下の図10で示す。
図9Bは、指定した電極でのシナプス後電流の時間経過および大きさを図示しており、これは、CA1の先端樹状突起の近接部分である。この電流のシンクおよびソースの方向は、指示したとおりである;初期線維ボレー(約1ミリ秒間続く)後、電流シンクは、約5ミリ秒間にわたって上昇し、次の5ミリ秒で低下し、その後、大体13ミリ秒で、ベースラインに戻った。それは、電流ソースになって、さらに約15〜20ミリ秒間にわたって続き、その後、約35〜40ミリ秒で、ベースラインに戻った。このシンクおよびソースの相対的な大きさおよび時間経過は、このような誘発応答に典型的である。
二次元電流源密度解析は、同じ応答の電流ソースおよびシンクの同様な尺度を得るために、実行した。図10は、図9Bで示した誘発応答の連続的な二次元電流源密度解析を図示している。図10の各パネルは、図9Bの垂直の破線で示した選定時間で、このスライスで算定した瞬間的なソースおよびシンクを図示している。このアレイは、図9Aで示したようにして、このスライス上に配置した;海馬領域CA1の細胞体層は、各パネルの頂部からの進路の約4分の1で、ほぼ水平の曲線を規定している。これらの点線は、CA1の細胞体層(上部)および先端樹状領域の最も遠位にある伸長部(下部)を示している。下部にある目盛り棒で見えるように、灰色の電流ニュートラルバックグラウンドに対して、シンクは黒色であり、そしてソースは白色である。
初期線維ボレー(約1ミリ秒間続く)後、CA1の先端樹状突起での電流シンクは、およそ5ミリ秒間にわたって急速に上昇し(「6ms」と印したパネルを参照)、引き続いた5ミリ秒で低下し、その後、約11ミリ秒で消失するが、刺激部位では、特異性を備えたパネルが現れることが観察され得る。約2ミリ秒の暫定期間(この間、電流は、ニュートラルバックグラウンドとは識別不能であった)の後、この先端樹状突起でソースが現れ(「15ms」)、これは、さらに約15〜20ミリ秒間続いて、その後、およそ35msで消失した。単一電極に由来する波形の時間経過および大きさ(図9B)は、図10の算定した電流源密度のシンク−ソース系列と密接に対応していることが観察され得る。
二次元電流源密度法により、他の手段では識別困難な電流ソースおよびシンクの空間的様相が明らかになる。その興奮性のシナプス後電流シンクは、Schaffer−commissural線維(これは、おそらく、初期電流パルス(3ms〜9msのパネル)により刺激されている)の領域において、CA1の先端領域にわたって展開する;次の電流ソースは、ほぼ同じゾーンを占めた(15ms〜27msのパネル)。この先端樹状突起で生じたシンクおよび次のソースの両方は、CA1の基底樹状領域(各パネルの上部近く)において、逆極性の電流を伴っていた。それゆえ、その主な誘発応答は、3〜9ミリ秒で生じた電流シンク−ソース双極子として特性付けることができ、そして逆転して、15〜27ミリ秒の電流ソース−シンク双極子を形成し得る。このスライスには、それより小さい他の電流が存在していたが、ここでは述べない。
短い休止期間の後、これらの樹状突起には、電流ソースが現れ、その中心は、この電流シンクの中心よりも僅かに遠位にある。この先端ソースは、約50ミリ秒までに、強まり、拡大し、散逸し、そして消失して、約50ミリ秒の誘発応答「期間」となる。この先端シンクおよび次の先端ソースの両方は、CA1の基底樹状突起(各パネルの上部)で現れる逆極性領域を伴い、これは、この先端事象とほぼ同じ時間経過で、成長し散逸する。
ここで記述したように、エイリアスが原因のアーチファクトの導入を防止するために、これらの分析で実行されるアンチエイリアシングは、十分に高い空間周波数で、データ損失を引き起こす。そのフィルタリングは、せいぜい試料採取周波数の半分の空間周波数を伴う現象だけを通す;本実施例では、その電極間距離は、150μmであり、約300μmの幅(150μmの半径)よりも小さい電流ソースまたはシンクの測定を防止する。これは、CA1の海馬領域のサイズについて、構造上の欠陥であり得、この方法では、細かい空間的ディテールが失われると予想される。従って、この方法で測定したCSDの空間解像度を検査することが有益である。
図11Aおよび11Bは、測定領域において重ね合わせられたCA1領域の先端樹状突起の境界を描写している。
図11Aは、(図9Aおよび図9Bに由来の)アレイのスライスおよび位置を示す;右側には、指示した電極での刺激の6ミリ秒後、(図10に由来の)電極アレイの領域における瞬間的CSDがある。このアレイの上部は、CA1の基底樹状突起と一致している;このアレイの上部中心部は、CA1の先端樹状突起の領域を覆っており、そしてアレイの下部3分の1は、歯状回の上部ブレードを覆っている。その点線は、CA1の細胞体層(上部)および先端樹状突起領域の最遠位伸長部(下部)を示す。
図11Bで示すように、その主要測定電流シンク(黒色)は、先端樹状突起が生じる領域だけを占め、その相反電流ソース(白色、上部)は、基底樹状突起の領域でだけ生じた。(この刺激電極に対応している位置では、その算定画像において、電流の不在が現れた;その電極からは記録がなされず、得られたCSD処理では、ギャップが残った)。単一電極の刺激の6ミリ秒後、連続二次元電流源密度解析により、その生理学的応答を算定した(暗灰色で示した);この画像は、図10Bからの6ミリ秒フレームのクローズアップである。点線は、CA1の先端樹状突起領域の限界を示している。その誘発電流シンクの伸長部は、これらの先端樹状突起の限界と密接に対応していることが観察され得る。この刺激電極の部位では、この電流シンクにおいて、見かけホールが生じ、この場所では、記録は実行されず、電流源密度は算定されない。この細胞体層自体では、殆ど電流はなく、電流ソースは、この基底樹状突起で現れる(パネルの上部)。このCA1樹状突起の先端チップでは、殆ど電流はなく(パネルの中間部)、歯状回の顆粒細胞の先端樹状突起では、ある程度弱い電流ソースが生じる。
算定したシンクの境界は、樹状領域の解剖学的な限界位置とは正確には一致せず、不正確さは、この方法の解像度限界から生じ得ることが、理解され得る。
(実施例9)
(海馬内のカルバコール誘発β波の分布および電流ソース)
図12A〜12Eは、海馬スライス内のカルバコール誘発性β波の分布を示す。図12Aは、海馬スライスおよびその下にある64個の電極アレイの顕微鏡写真(「ブロードアレイ」)を含み、記録位置間は、450μmである。海馬およびその下にある皮質の亜領域もまた、見られ得る。図12Bは、このスライスでの海馬の一部と接触している20個の電極部位でのカルバコール誘発自然活性のスペクトルを示す。各x軸は、1〜100Hzの対数目盛上にある。活性は、10〜30Hzの周波数範囲で見られ、特に、CA1領域およびCA3領域の先端樹状突起にあり、他の箇所では、活性レベルは低い。その目盛り棒は、5×10-112である。図12Cで分かるように、そのベースライン活性は、低電圧であり、一般に、活性を欠いており、亜領域間では、信頼できる差はなかった。
カルバコールの注入に続いて、CA1領域およびCA3領域(これは、試験した55個のスライスのうち41個で、βバンド(10〜30Hz)内かそれに近かった)では、リズム活性が徐々に発生した(一例では、図12D)。41個のスライスのうちの34個は、CA1およびCA3の両方の領域で、βバンドの周期的なリズム振動を有していた。残りの7個の場合、CA1またはCA3のいずれかの領域では、そのθ範囲の上端において、低電圧活性が観察された。CA1対CA3の相対的なプロミネンス(prominence)は、スライスにわたって一貫していなかった。歯状回では、高周波数の活性もまた見られ、その構造体の外部ウイングよりも内部ウイングにおいて、そうであった(図12B、図12D)。図12Eは、このアレイの上部左電極でのカルバコール誘発活性のクローズアップを示し、これは、CA1領域の細胞体層にわたる極性の逆転を示している。図12Eでは、その目盛り棒は、0.1mV;250ミリ秒であった。図12Eのそれより高いゲイン記録で見られ得るように、錐体細胞領域では、その波は、基底樹状突起よりも先端において大きく、典型的には、2個の部位間で位相の逆転があった。
カルバコール誘発リズムの周波数および分布の定量的分析のために、高速フーリエ変換を使用した。図12Bに図示される例について、スペクトルにおける出力(power)の大部分は、20Hzに明確なピークを伴って、10Hzと30Hzとの間に見出された。全てのスライスについての主CA1周波数の群平均は、18.8±5.7Hz(平均±標準偏差)であり、βの場合単独については、19.2±4.8Hzであった。CA3についての等価な値は、16.4±5.7Hzおよび17.3±4.2Hzであった。CA3とCA1との差は、統計学的有意に達しなかった。10〜30Hz帯における最大の出力を記録した部位は、CA3領域およびCA1領域の先端樹状突起、代表的には、より遠位の領域に位置していた。
図13Aに示され得るように、150μmの間隔の空いたアレイ(「濃密アレイ」)は、リズム活性のより細かい空間解像度を与えた。CA3/CA1境界上に集中した記録は、遠位から近位への次元において絶対電位の驚くほど急な傾斜を示し、最大の電位は、CA3a領域およびCA3b領域の分子層に対応する別個の領域を占めた(図13B)。電位が細胞層境界を横切って逆転することに注目すべきである(例えば、図13Bの左上欄を参照のこと)。少ないがなお実質的な電圧帯がまた、CA1に存在する。全てのチャンネルについての周波数スペクトルを、図13Cに示す。
連続2次元電流源密度解析法を行い、これらのコリン作動性誘発周期的リズム振動のソースをさらに規定した。図14は、図13に示される濃密アレイの同一の自発的活性の間、任意に選択された開始時間である0から4ミリ秒の間隔で、瞬間的なソース(白)およびシンク(黒;灰色のニュートラルバックグラウンドに対して)を図示する。CA3およびCA1の顆粒細胞領域および錐体細胞領域の輪郭およびその先端樹状突起の範囲を、この期間に起こる事象の位置を図示するために重ねる。アレイは、歯状回の上部ブレードの一部を含む。各フレームは、電極アレイの領域における瞬間的な計算電流源密度を示す。任意に選択された開始点から、シンクはCA3領域とCA1領域との間の境界の先端樹状突起に現れ、付随するソースは、基底樹状突起における細胞境界層にまたがって現れる。先端CA1における大きなシンクは、CA1の基底樹状突起におけるソースを伴う。このシンクおよびその付随する基底ソースは、およそ12ミリ秒間にわたり増強および拡大し、そして最初に出現しておよそ16ミリ秒後までにおよそベースラインレベルまで、両方とも減退する。活性がバックグラウンドと区別されない間の短い暫定期間の後、ソースは約20ミリ秒で先端樹状突起中に現れ、対応するシンクは基底樹状突起に現れる。これらは、およそ20ミリ秒後までに散逸する前に、拡大および増強し(40ミリ秒)、この後、先端シンクが再出現し、サイクルを再び開始する。ソース(およびその付随する双極子)は、散逸する前におよそ20ミリ秒間持続した。150μmの電極間間隔の解像出力の範囲内で、先端ソースは、その中心が、先端ソースの前方に有る、より局所的な(more focal)先端シンクの中心より遠位に位置しているようであることに注目するべきである。シンク−ソース双極子は、反復し(recur)そして図13Cに示される周波数プロットを生じ;この反復する先端シンク−ソース双極子のピークからピークまでの時間経過は、約40msecであり、約25Hzの周波数と一致した。
図15Aおよび15Bは、スライスにおけるカルバコールにより誘発される反復周期的リズム振動の代表的な記録を示す。ソース−シンク双極子およびシンク−ソース双極子、ならびにインビトロ神経試料の錐体細胞体層に沿ったソースとシンクとの間の鋭く明確な境界は、1つの先端シンクから先端ソースを通って次の先端シンクまでの潜伏と同様に、多くの実験にわたって繰り返される特徴であった。
図15Aは、幅広(電極間間隔450μm)のアレイ上の海馬スライスを示す。錐体細胞領域の基底樹状突起応答を測定するために使用される電極は、淡灰色で示され;先端樹状突起応答を測定するために使用される電極は、暗灰色で示される。図15Bは、先端樹状突起領域(黒)および基底樹状突起領域(淡灰色)からの平均応答が、図15Aのスライスについて500msec(0.5秒)の経過時間にわたって示されるということを示す。カルバコール誘発(20μM)周期的リズム振動は、この代表的な応答におけるように、全ての試料採取した期間にわたって持続された。平均先端応答および平均基底応答は、極性が逆であり;すなわち、位相が180度ずれている。CA3およびCA1の細胞体層を横切る交互の電流ソース−シンク双極子の持続した出現(10〜30Hz(β)の範囲内)が、スライスの大部分および試料採取した期間の大部分において強く観測された。
距離が150μmのアレイを使用した以前の電流源密度の例とは反対に、450μmの電極間間隔を有する電極アレイを使用する連続2次元電流源密度解析法を用いて、より大きな面積にわたってシンクとソースとの間のシフトを評価した。生じたエイリアスおよびアンチエイリアシング(図8を参照のこと)は、必然的に解像度のさらなる損失を伴い;450μmの電極間間隔および付随するアンチエイリアシングについては、確実に画像化し得る最小の事象は、450μm以上の半径(直径900μm以上)を有する事象である。
図16は、42msecにわたる電流源密度の計算した漸進的変化を示す。各フレームは、幅広(450μm間隔)アレイでの自発的活性の記録の間の、特定の時点(各フレームの左上の角にミリ秒で示される)における計算された電流源密度を示す。黒は、シンクの最大の大きさを示し;白は、ソースの最大の大きさを示す。錐体細胞領域および顆粒細胞領域の位置を示す。
任意に選択された時間0msecで生じ、CA3領域の先端樹状突起における弱い電流源は、錐体細胞層に中心のある拡散したソースにより取り囲まれる。CA3領域の先端樹状突起または近位放射線維層における強い局所的シンクは、約6msecに生じ、それに伴いCA3の細胞層および基底樹状突起層におけるソースも生じる。このシンクが発達し、CA3b上に中心のある完全に発達したシンク−ソースの関係が、9msecの時点で明らかになる。このシンクはCA1領域に向って拡大し始める前のおよそ12msecを通して存続する。先端CA3におけるシンクは、およそ18msecで散逸し、次いで約3msec後にCA1における先端シンクが散逸し、これに伴い明白な細胞体/基底樹状突起ソースが15msecで出現した。この時点までにCA3におけるシンク−ソースの関係が崩壊し始めていたことに留意すること。基底ソースは、それに付随する先端シンクとほぼ同時に散逸する。先端ソースは、約24msecにCA3において生じ、それに伴い数ミリ秒以内にCA3において弱い基底ソースが生じ;次いで先端ソースは、CA1における基底シンクを伴って、CA1に向って拡大する。次いでこれらのソース−シンク対は、約15〜20msec後に散逸する。このようなサイクルは、このスライスにおいて不規則に繰り返す。波は、約10msec続く強い先端樹状突起シンク、次いでこの期間の約2倍の間続く先端ソースを含んでいた。これらの事象は、CA3で始まり、そして3〜5msec以内にCA1において見られた。要約すると、コリン作動性誘発β範囲リズムは、先端樹状突起に位置し、かつより近位に位置する電流シンクよりも通常より明確な、電流源を有する。
これらの観察は、比較的短い先端シンクが、より長く持続する先端ソース間に挿入されるということを示した。平均電流の試験は、海馬の錐体細胞細区画にわたるソースおよびシンクの分布が、スライス間で変化することを実証した。事象がCA1に対してCA3に集中する程度の大きな差を伴い、連続する電流ソース密度の解析において、スライス間の変動性がまた存在した。しかし、先端樹状突起についての短い先端シンク−より長い先端ソースの連続は、β範囲の周期的なリズム振動を示す全てのスライスにおいて顕著であった。
(実施例10)
(カルバコールは、海馬後部皮質において40Hzリズムを誘発する)
電極アレイが、海馬自体の錐体細胞領域に沿った海馬後部皮質領域のかなりの部分の下に位置付けされたスライスを精密に調べることにより、カルバコールにより惹起されるリズムが局所的に差異を生じるか否かという疑問に取り組んだ。図17Aは、幅広アレイ上の皮質−海馬の顕微鏡写真を示す。目的の2つの部位−−CA1中の部位(100)および内側嗅皮質の深層の部位(102)を示す。CA1領域および内側嗅皮質において示された位置からの、カルバコール(50μM)誘発速波を、図17Bと比較した。出力値は、図面に10-11倍で示す。図17Bに示され得るように、内側嗅の周期的なリズム振動は、海馬からの周期的なリズム振動よりも高い周波数を有する。高速フーリエ変換は、皮質における主要な周波数は、CA1領域における周波数の約2倍であることを示した。20Hz付近にピークを有するリズム活性は、海馬錐体細胞領域の先端樹状突起を通して見出され、一方40Hzの活性は、内側嗅部位と主に関連した。40Hzの周期的なリズム振動が、内側嗅(medial entorhinal)皮質の深層に中心が有るということもまた観察された(図17Bにおける右上のスペクトル)。海馬と内側嗅皮質との間にある領域は、両方のピークを示した。実際、40Hz対20Hzの相対バランスは、海馬後部皮質に含まれる一連のステップにわたる順序正しい様式で増加するようである。40Hz活性を、適切に電極を位置付けされた15個のスライスの各々において内側嗅皮質の深層で記録した;それにより、これはコリン作動性刺激に対するこの領域の特徴的な応答であるように思われる。全ての記録部位についての結果を、図17C(スライスにおける代表的な活性の分布(較正線:0.1mV,500msec))および図17D(スライスにおけるローパス(0〜100Hz)フィルターした出力のスペクトル(較正線:2×10-11))に要約する。
(実施例11)
(カルバコール誘導β波に関与する伝達系)
カルバコール誘発高周波数リズムを、20μMのアトロピンで完全に消去し、そしてAMPAレセプターアンタゴニストCNQX(20μM)でかなり減少した。ビククリン(10μM)の存在下で、ムスカリン様刺激は、錐体細胞層において高周波スパイクを生じ、そしていくつかの例ではてんかん様放電を生じたが、リズム活性は、存在しなかった。これらの条件下で、カルバコールは、繰り返しバースト挙動および時々の発作を開始した。てんかん様バースト間の間隔は、θ波の期間に近づくこともあった(データは示さず)。これらの発作は、WilliamsおよびKauer(1997)により報告される活性に類似していた。
(実施例12)
(錐体細胞の順方向活性化は、先端樹状突起においてβ様活性を誘発する)
先端ソースの原因であるGABA作動性細胞がどのように活性化されるかは、周期的なβリズム振動の起源を理解するために明らかに重要である。錐体細胞側副枝が関与する場合、繰り返しスパイクを引き起こすのに十分な順方向刺激は、カルバコール惹起リズムが見出される領域においてβ様活性の出現を生じる。Schaffer−commissural線維の単一パルス刺激は、典型的には、繰り返しスパイクを引き起こさない。なぜならば、(i)放射線維層における強力なフィードフォワード樹状突起阻害が、興奮性電流の分路を作るからであり、そして(ii)体細胞周囲(perisomatic)阻害が繰り返し放電を防ぐからである。GABAaレセプタープールを部分的にブロックする濃度のビククリンを、これらの阻害性応答を低減し、それにより順方向刺激に応じて錐体細胞が4〜5回のスパイクを放出することを可能にするために使用した。
図18A〜18Dは、CA3領域の順方向活性化により惹起されるβ様活性の2次元電流源密度解析法を示す。図18Aは、CA3領域に中心のある、海馬スライスに対するアレイ(電極間間隔150μm)の位置を示す。無地色で示される電極(106)において刺激を誘発し、そして取り囲む電極(108)において記録した。以下に示すように、図18Bは、CA3領域の順方向刺激に対する代表的な応答を示す。この応答は、スパイクの小さなバースト、次いで約30〜40msec持続する正方(positive−going)波を示す。矢印は、ピークシンク(53msec)およびピークソース(83msec)を示す。図18Cは、スライスにおける出力スペクトルの分布を示し:最大の応答はCA1の先端樹状突起ならびにCA3の先端および近位の樹状突起にある。フーリエ変換は、この応答についての周波数スペクトルが、15〜20Hzおよび100〜200Hzにピークを有することを示した(図18C);使用される対数スケールが1〜1000に及ぶことに留意すること。図18Dは、2つの時点(刺激後53msecおよび83msec、矢印で示される)での2次元瞬間電流源密度解析を示す。15〜20Hzの成分は、遠位先端樹状突起において顕著であり、そしてカルバコール誘発β波についての分布と同様の分布を有していた。53msecにおいて、惹起された電流シンクは、そのピークにあり、そして基底樹状突起における対応するソースと共に、主にCA3の先端樹状突起に現れることが観察され得る。83msecにおいて、リバウンドソースピークはまた、基底樹状突起における対応するシンクと共に、CA3の先端樹状突起に現れることが観察され得る。
図18Bに記載される型の応答は、ビククリン濃度に感受性であり、そして20μMのビククリンでブロックされた。遅くに惹起された応答の電流源密度解析は、錐体細胞層の上約200〜400μmの放射線維層において、門(hilus)付近の刺激部位からCA1に向って延びるソースを示した;これは、細胞体および基底樹状突起における高密度シンクと平行していた(図18D)。
(実施例13)
(ベンゾジアゼピンの同定および特性付け)
図19A〜19Cは、カルバコール誘発β波に対するベンゾジアゼピンの効果を示す。図19A(20μMカルバコール単独)と図19B(カルバコールおよび3μMのジアゼパムを用いた同じスライス)の比較において見られ得るように、ベンゾジアゼピンは、周期的なβリズム振動の振幅を顕著に増大させた。フーリエ変換は、増加した振幅にこの波の周波数における有意な変化が伴わないことを示した。リズム活性は、大きく増大され、そして比較的に不活性な領域に広がる(図19Aおよび19Bについての較正線:0.2mV、500msec)。
図19Cは、海馬内の記録位置についての周波数スペクトルを要約し、そしてジアゼパムの非存在下(黒)および存在下(灰色)での出力スペクトルの重ね合わせを示す。このことは、ジアゼパム(灰色スペクトル)が、周波数が多く変化することなく、20Hzバンド内でカルバコール単独(黒スペクトル)に対して出力のおよそ3倍の増加を引き起こしたことを示した。さらに、ジアゼパムの添加により、より高い(約40Hzγ)周波数にピークが加えられる(較正線:5μV)。
さらに、表1は、カルバコール誘発高周波数リズムがジアゼパムの注入の前に存在した8つの実験の結果を要約する。ピーク周波数における出力の増加は、CA3について321±170%であり、そしてCA1について217±137%であった。ジアゼパムのスライス内における効果を、相関させた(r=0.93)。CA3における増加は、CA1における増加よりも統計学的に大きかった(p<0.05、対応のあるt検定、両側)。ジアゼパム後の周期的なリズム振動の周波数を、カルバコール単独下で記録された周期的なリズム振動と、スライス全体にわたって相関させた(CA3:r=0.85;CA1:r=0.96)。
(表1.カルバコール誘発高周波数リズムが、ジアゼパムの注入の前に海馬スライスに存在した8つの実験の要約。CA3領域およびCA1領域におけるピーク周波数での出力の最大増加パーセントが示される。)
示されるように、ベンゾジアゼピンのクラスの化合物のメンバーの適用は、周期的なβリズム振動の振幅を顕著に増大した。図20A〜Cおよび21A〜Cに示される結果について、カルバコール単独ならびにカルバコールおよび2つの型のベンゾジアゼピンを用いたそれぞれの試料について電位を測定した(1つの例は、3μMのジアゼパム(図20A〜C)であり、そして別の例は、20μMのフルラゼパム(図21A〜C)であった)。
図20Aは、MEDアレイの頂上に置いた海馬スライスの顕微鏡写真である。同様に、図21Aは、ここで使用されるMEDアレイの頂上の海馬スライスの顕微鏡写真である。電極間距離は、450μmであった。両方のデータセットに対する高速フーリエ変換の結果が(それぞれ図20Bおよび21Bにおける、淡灰色の、バックグラウンドにおける有意な解剖学的境界と共に)示される。そのように解析されたデータは、ベンゾジアゼピン注入データの増加した振幅が、波の周波数における有意な変化を伴わないことを示す。図20Cおよび21Cにおいて見られるように、両方のベンゾジアゼピンは、20Hzバンド内の出力においておよそ3倍の増加をもたらした。ピーク周波数における出力の増加は、約300%であった。
(実施例14)
(アンパカインの同定および特性付け)
この実施例において、広い間隔のMEDを海馬試料とともに使用した(それぞれ図22Aおよび23Aに、下に置かれた微小電極とともに示される)。カルバコール単独、その後10μMのアンパカインを用いたサンプルについて、再び電位を測定した(図22A〜CにおけるCX614および図23A〜CにおけるCX691)。両方のデータセットに対する高速フーリエ変換の結果を、(淡灰色の、バックグラウンドにおける有意な解剖学的境界と共に、そしてデータに相関させて)それぞれ図22Bおよび23Bに示す。得られたデータは、アンパカイン注入データの増加した周波数はまた、波の振幅における有意な変化を伴っていたことを示す。具体的には、図22Cおよび23Cは、特定の選択された記録位置についての周波数スペクトルを要約する。これは、アンパカインが20Hzバンド(矢印)内の出力の有意な増加をもたらしただけでなく、ピークの10Hzシフトを生じたこともまた示す。
アンパカインは、同期性の顕著な減少および10Hzよりわずかに大きい二次ピークを生じた。得られたデータは、アンパカイン注入データの減少した振幅が、波の周波数におけるわずかに低いシフトを伴うことを示す。構造的に異なるアンパカインの両方が、20Hzバンド内の出力の有意な減少だけでなく、ピークの10Hzシフトもまた生じた。示されるように、二次ピークは、アンパカイン前のβリズムのCA1鉤状回局在化と反対に、歯状回およびCA3領域に中心があるようであった。
(実施例15)
(GABAアンタゴニストの同定および特性付け)
GABA作動性レセプターのアンタゴニストは、顕著な減少および複雑なスパイクで中断される脱同期化活性をもたらした。図34A〜Cおよび35A〜Cは、それぞれ、カルバコール誘発β波に対するビククリンおよびピクロトキシンの効果を示す。
図34Aは、MEDアレイの頂上に置かれた海馬スライスの顕微鏡写真である。同様に、図35Aは、そこで使用されるMEDアレイの頂上の海馬スライスの顕微鏡写真である。電極間距離は、450μmであった。カルバコール単独、続いて2つの列挙された型のGABA作動性アンタゴニスト(10μMビククリン(図34A〜C)および50μMのピクロトキシン(図35A〜C))を用いた試料について電位を測定した。
両方のデータセットに対する高速フーリエ変換の結果を、(淡灰色の、バックグラウンドの有意な解剖学的境界と共に、そしてデータと相関させて)それぞれ図34Cおよび35Cに示す。得られたデータは、アンタゴニスト注入データの振幅が、GABA作動性アンタゴニストのいずれかの投与後に顕著に減少することを示した。このアンタゴニストは、20Hzバンド内の出力の有意な減少をもたらしただけでなく、遅い成分(これは、複雑なスパイクからなる)も生じた。これらのスパイクは、CA1、鉤状回および皮質に中心があるようであった。図34Bおよび35Bは、図34Cおよび35Cからの選択されたデータを示す。
(実施例16)
(AMPAアンタゴニストの同定および特性づけ)
AMPA型グルタミン酸レセプターの構造的に異なるアンタゴニストは、予めカルバコールで処理されたインビトロの神経試料における同期化された活性の急速な損失を引き起こした。カルバコール単独、およびその後3つの型のグルタミン酸アンタゴニスト(一例は20μMのCNQX(図36A〜C、1つは20μMのDNQX(図37A〜C)および他は10μMのNBQX(図38A〜C))を用いた試料について電位を測定した。各々のデータセットに対する高速フーリエ変換の結果を、(淡灰色で、バックグラウンドにおける有意な解剖学的境界と共に、そしてデータに相関させて)図36C、37Cおよび38Cに示す。得られたデータは、アンタゴニスト注入試料の振幅データが有意に減少されたか、および/または消去されたことを示す。これら3つのアンタゴニストは、出力の有意な減少を生じた。図36B、37Bおよび38Bは、図36C、37C、および38Cからの選択されたデータを示す。
(実施例17)
(アンパカイン対ベンゾジアゼピン:ラット海馬スライスにおける周期的なβリズム振動を使用する分化)
(方法)
(多電極アレイの調製)
多電極アレイを、実施例1に記載される通りに調製した。
(海馬スライスの調製)
海馬スライスを、実施例2に記載される通りに調製したが、但し、その調製緩衝液が、0.75mM MgSOを含み、その組織スライスが375μmであったことは異なった。
これらのスライスを、5μMカルバコール(CCh)(ムスカリンレセプターアゴニスト)の存在下で20分間インキュベートし、その後、MEDプローブの中心へと移した。このスライスを望ましい方向へと配置した後、MEDプローブ上にあるこのスライスの写真を撮り、このMEDプローブを、32℃のインキュベーター中にあるMEDコネクター上配置した。このスライスを、5μM CCHを含むACSFを用いて1ml/分にて継続的に灌流した。
(精神活性剤)
トリアゾラム(TZL)、クロルジアゼポキシド(CDP)、およびフラゼパム(FZP)を、Research Biochemicals International(RBI)から購入した。シクロチアジド(CTZ)を、Sigmaから購入した。CX516およびCX546を、Cortex Pharmaceuticalsから得た。各薬物を、5μM CChを含むACSF中に、実験当日に溶解した。各精神活性剤の濃度は、少なくとも出力における効果が有意であるのに十分に高かった。
(電気生理学的記録)
電気生理学的記録の間、MEDプローブ上のスライスを、32℃のインキュベーター中に配置した。そのスライスを、境界面に維持し、加湿した95% Oおよび5% CO混合物を、上から吹かせた。これらの条件下で、電気生理学的応答を、>2時間にわたって記録した。64部位すべてにおける自然電場電位を、5kHzサンプリング速度にて、MED64システムと同時に記録した。1秒持続期間のサンプルを、30秒間ごとに記録した。安定なベースライン条件を、少なくとも20分間モニターした後、上記化学溶液を注入した。
図24は、海馬スライスにおけるCCh誘導性リズム活性に対するCX546の影響を示す。図24Aは、MEDプローブ上の海馬スライスの顕微鏡写真である。図24Bは、電場CA3の先端樹状突起に位置する電極(四角で示す)で記録した、ベースラインおよび薬物洗い込み活性のサンプルを示す。ここで、最大の活性が得られる。
(統計学および測定)
リズム活性の出力スペクトルを、MED64 Performer 1.5(Panasonic)における高速フーリエ変換機能を使用して、計算した
図25において、リズム活性の周波数および出力のサンプルを、経時的にプロットした。上記薬物の効果の統計学的有意性を、最後5分間のベースラインおよび薬物注入についての10個の応答各々を、6つの(または7つの)実験(スライス)にわたって、Microsoft Excelにおいて「反復測定2元配置分散分析」を使用して比較することによって、評価した。
(結果)
データを、ベースライン出力が50〜400(167±14.3)μV2の範囲内にある37個の安定な細胞外記録から得た。ベースラインリズム活性の主要成分は、β範囲(27.74±0.56Hz)内にあった。ベースラインを少なくとも20分間記録した後、薬物溶液を、同じ流量(1ml/分)で20分間継続的に注入した。薬物濃度は、ベンゾジアゼピンについて10μMであり、シクロチアジドについては100μMであり、アンパカインについては250μMであった(CX516およびCX546)。
図26は、最後5分間(10サンプル)のベースラインと、各薬物注入との間の周波数変化および出力変化の割合を示す。出力変化は、1種類の薬物においては類似したが、複数の薬物の種類間では反対であった。ベンゾジアゼピン(すなわち、FZP、CDP、およびTZL)は、β範囲出力を、それぞれ、55±18%(平均±標準偏差;n=6)、55±13%(n=6)、および64±17%(n=6)増加した。他方、AMPAレセプターモジュレーター(すなわち、CX516、CX546、およびCTZ)は、出力を、それぞれ、36±7%(n=7)、65±7%(n=6)、および67±4%(n=6)減少した。これらすべての出力変化は、統計的に有意であった(p<0.01、反復測定2元配置分散分析)。
周波数変化は、ベンゾジアゼピン類のうちで異なった。FZPは、周波数を5.4±2.5%(p<0.01、ANOVA、n=6)増加したが、CDPは、周波数を5.0±2.4%(p<0.01、ANOVA、n=6)減少した。TZLは、周波数を変化させなかった(p>0.05、ANOVA、n=6)。他方、AMPAレセプターモジュレーターは、周波数を増加させた。CX516、CXC546、およびCTZは、周波数を、それぞれ、4.0±2.3%(p<0.05、ANOVA、n=7)、11±2.5%(p<0.01、ANOVA、n=6)、および13±1.8%(p<0.01、ANOVA、n=6)増加した。
図26は、最後の5分間(10サンプル)のベースラインと、各薬物注入との間での、周波数変化および出力変化の割合を示す。出力および周波数の両方が、種類間および種類内で薬物を区別するために有用であるので、これらの変化は、図27において2次元空間(出力軸および周波数軸)にプロットした。このプロットにおいて、ベンゾジアゼピン(灰色)は、AMPAレセプターモジュレーター(黒色)から離れている。さらに、ベンゾジアゼピン類のうちの2つ(CDPおよびTZL)は、FZPと比較した場合に互いに類似する(周波数変化が反対方向である)。2つのAMPAレセプターモジュレーター(CX546およびCTZ)もまた、CX516と比較して、互いに類似する。しかし、これらの差異は、上記レセプターを占有する程度に起因し得る。用量応答実験が、これらの差異をさらに評価するためには必要である。
図27は、最後の5分間(10サンプル)のベースラインと、各薬物注入との間での周波数変化および出力変化の2次元プロットである。
(実施例18)
(ラット海馬スライスにおける低周波数バースト活性および周期的なβリズム振動を使用する、5−HT1Aレセプターアゴニストアッセイ)
図28は、CA3領域の錐体細胞層からの細胞外電場記録の例示的トレースであり、これは、CCh(5mM)が周期的なβリズム振動(28A)および低周波数バースト活性(0.1〜0.2Hz、図28Bにおける拡張トレース)を誘導したことを示す。
この低周波数バースト活性は、5−HT(3mMおよび10mM)ならびにフルオキセチン(10mM)を注入することによって可逆的に減少した(図29)。この効果は、5−HT1Aレセプターの活性化によって媒介されることが見出された。なぜなら、選択的5−HT1AレセプターアンタゴニストであるN−(2−(4−(2−メトキシフェニル)−1−ピペラジニル)エチル)−N−(2−ピリジニル)シクロヘキサンカルボキサミド(WAY 100635、1mM)は、5−HT(10mM)によるバースト活性の抑制を逆転した(データは、示さない)からである。
図29において、5−HTおよびフルオキセチンは、CCh誘導性ネットワークバースト活性の周波数を減少することが示される。図29Aにおける上部トレースは、5−HTの効果を示す。下部トレースは、フルオキセチンの効果を示す。図29Bにおける棒グラフは、プールしたデータを示す。
図30は、CChにより誘導される周期的なβリズム振動もまた、5−HTに対して感受性であることを示す。5−HTは、CCh誘導性周期的なβリズム振動の出力を減少する。図30Aにおいて、CA3領域の錐体細胞層からの細胞外電場記録の例示的トレースは、5−HTの効果を示す。図30Bにおける棒グラフは、プールしたデータを示す。
(実施例19)
(共培養サンプルを使用するSSRIおよびコリンエステラーゼインヒビターのアッセイ)
調節性突出(例えば、コリン作動性突出およびセロトニン作動性突出)に影響を与える薬物は、測定するのが困難である。海馬を付着した縫線核または中隔と共培養することを使用すると、それらの間に自然な結合が提供され、コリンエステラーゼインヒビター系に作用する化合物および選択的セロトニン再取込み系に作用する化合物を試験することが可能になる。
(方法)
(MEDプローブの調製)
使用前に、MEDプローブ(Panasonic;MED−P545AP、各電極:50×50μm、極間距離:450μm)を、70%エタノール中に15分間浸漬し、クリーンベンチ中で乾燥させ、UV照射で15分間滅菌した。そのプローブの表面を、0.1%ポリエチレンイミンおよび25mMホウ酸緩衝液(pH8.4)を用いて室温で一晩処理した。そのプローブ表面を、乾燥させ、滅菌蒸留水で3回リンスした。最後に、そのプローブに、培養培地を充填し、使用するまで(少なくとも1時間)COインキュベーター中に保存した。その培養培地は、基礎培地Eagle(Sigma;B9638)およびEarle平衡化塩溶液(Sigma;E7510)の2:1混合物であった。これには、NaCl(20mM)、NaHCO(5mM)、CaCl(0.2mM)、MgSO(1.7mM)、グルコース(48mM)、HEPES(26.7mM);5%ウマ血清(GIBCO;26050)および10ml/lペニシリン―ストレプトマイシン(GIBCO;10378)を添加しており、そのpHは7.2に調節されていた。
(脳スライスの解剖)
培養物調製のためのすべての手順を、滅菌ベンチのもとで実行した。Sprague−Dawleyラットを、70%エタノールで滅菌し、麻酔後に断頭することにより屠殺し、全脳を取り出した。その脳を、HEPES(25mM)、Trisベース(10mM)、グルコース(10mM)およびMgCl(3mM)を補充した滅菌氷冷MEM(pH7.2;GIBCO;61100)中にすぐに浸漬した。脳の適切な部分を、手で調整し、残りの脳ブロックを、振動組織スライサー(Leica;VT1000S)の氷冷ステージ上に配置した。中隔部分および縫線部分を、5日齢または6日齢のラットから取得し、海馬部分を、11日齢ラットから取得した。そのスライスの厚さを、200μmに設定した。そのスライスは、ピペットを用いてブレードから穏やかに取得した。各スライスを、適切に整えた。
(膜上での培養)
1つの海馬スライスおよび1つの中隔スライスまたは縫線スライスを、多孔膜(Millipore,Bedford,MA)の中心に配置した。この多孔膜は、以前に上記のようにコーティングしていた。この膜上に切片を配置した後、切断切片を取り出し、培養培地をこの膜の下に(約1ml)添加した。この膜上のスライスを、34℃のCOインキュベーター中に保存した。その培地を、1日置きに全容量を交換した。
電気生理学的記録のために、それらのスライスを、膜を切断することによって取得し、MEDプローブ上で刺激し、8×8微小電極アレイを覆うように配置した。その後、培養培地を境界面レベルまで(約250ml)添加し、MEDプローブ上のスライスを、34℃のCOインキュベーター中に1時間保存した。インキュベーション後、そのプローブ上のスライスを、インキュベーターから取り出し、より小さいCOインキュベーター中に34℃で配置し、MED−64の記録要素に接続した。その培地は、組成がNaCl(124mM)、NaHCO(26mM)、グルコース(10mM)、KCl(3mM)、NaHPO(1.25mM)、CaCl(2mM)、MgSO(1mM)およびHEPES(10mM)である滅菌した人口脳脊髄液(ACSF)で置換した。64部位すべてにおける自然電場電位を、20kHzサンプリング速度にて、マルチチャネル記録システム(Panasonic;MED64システム)を用いて同時に記録した。
(MEDプローブ上での培養)
1つの海馬スライスおよび1つの中隔スライスまたは縫線スライスを、MEDプローブ(これには、以前に、上記に記載したようにしてコーティングしていた)の中心に配置し、8×8微小電極アレイ上で互いに隣り合うように配置した。MEDプローブ上に切片を配置した後、切断溶液を除去し、培養培地を、このスライスに境界面レベルまで(約250μl)添加した。滅菌した蒸留水をプローブの周囲に添加して、湿度を増加させ、MEDプローブ中の培養培地の過剰乾燥を防止した。MEDプローブ上のスライスを、34℃のCOインキュベーター中で保存した。その培地を、毎日半量ずつ交換した。
電気生理学的記録のために、そのスライスを含むMEDプローブを、インキュベーターから取り出し、34℃のより小さいCOインキュベーター中に配置して、MED−64の刺激/記録要素に接続した。その培地を、組成がNaCl(124mM)、NaHCO(26mM)、グルコース(10mM)、KCl(3mM)、NaHPO(1.25mM)、CaCl(2mM)、MgSO(1mM)およびHEPES(10mM)である滅菌した人口脳脊髄液(ACSF)で置換した。64部位すべてにおける自然電場電位を、20kHzサンプリング速度にて、マルチチャネル記録システム(Panasonic;MED64システム)を用いて同時に記録した。
(結果)
図31は、MEDプローブ上で直接増殖した中隔海馬共培養物にコリンエステラーゼインヒビターを添加することからの結果のグラフ表示である。具体的には、図31は、中隔海馬共培養物中のコントロールとコリンエステラーゼインヒビター(フィゾスチグミン、10μm)との間の周波数変化および出力変化の2次元プロットである。その振幅および周波数は、個別のデータセット各々に対する高速フーリエ変換の結果であった。この図から観察されるように、フィゾスチグミンは、自然発生リズム活性の出力を増加したが、その周波数には影響を与えなかった。
図32は、同じ中隔海馬共培養物におけるスパイクの数におけるフィゾスチグミン(10μm)の影響を示す。アトロピン(1μM)は、フィゾスチグミンの影響を完全に逆転した。
縫線海馬調製物に対するSSRIの影響が、図33に示される(出力の減少、周波数のわずかな減少)。図33は、縫線海馬共培養物におけるコントロールとSSRI(フルオキセチン)との間の周波数変化および出力変化の2次元プロットである。この図は、上記膜上で増殖してMEDプローブ上に移されて測定された、縫線海馬共培養物に対するフルオキセチン(2μM)により引き起こされる自然発生リズム活性の相対的差異を示す。その振幅および周波数は、個々のデータセット各々に関する高速フーリエ変換の結果であった。
本願において引用されるすべての刊行物および特許出願は、その全体が参考として本明細書中に援用される。上記の発明は、明確さおよび理解のために、例証および例示として記載されているが、本発明の教示を考慮すれば、特定の変化および改変が、添付の特許請求の範囲の趣旨からも範囲からも逸脱することなく本発明に対してなされ得ることが、当業者にとって容易に明らかである。
(参考文献)
添付の図面は、本発明の原理を例示し、説明する。これらの図面は、本発明の範囲を制限することを意図するのではない。
図1は、海馬スライスのCA3領域における速い周期的なリズム振動の誘導を示し、そしてコントロールおよびCChによって誘導される細胞外の周期的なリズム振動の出力スペクトルの例を示す。 図2は、一時的にCChを適用した後に、CA3錐体細胞活性レベルにおける持続性の増加ならびにスパイクおよびバーストを示す。較正:10ms、100μV。 図3は、長持続性リズムに対する薬理学的操作の効果を示す。図3Aについては、較正:5ms、400μV。図3Cについては、較正:5μs、500μV。 図4は、スパイクおよびバースト周波数に対するアトロピンおよび5−HTの効果を示す。図4Aについては、較正:20ms、100μV。図4dについては、較正:20μd、100μV。 図5は、コリン作動性可塑性に対する選択的ムスカリンアンタゴニストの効果を示す。較正:5ms、500μV. 図6は、種々のアセチルコリンエステラーゼインヒビターによって海馬スライスにおいて誘導されたβリズム活性を例示する。 図6は、種々のアセチルコリンエステラーゼインヒビターによって海馬スライスにおいて誘導されたβリズム活性を例示する。 図7は、低解像度で測定された画像を描く際の「エイリアシング」の現象を示す。 図8は、アンチエイリアシングの効果を示す。 図9Aおよび9Bは、各々、8×8の検出器アレイ上への海馬スライスの配置、およびそれらの電極の1つにおいて誘起されたシナプス後応答を示す。 図10は、図9Aおよび9Bにおけるスライスの配置から計算された、誘起された応答の連続する二次元電流源密度解析を示す。 図11Aおよび11Bは、計算された生理学的現象と、既知の解剖的構造とのアラインメントを示す。 図12A〜12Eは、海馬スライスの顕微鏡写真および海馬内のカルバコール誘導β波の分布を示す。 図13A〜13Cは、高密度微小電極アレイで測定した、海馬におけるカルバコール誘導β波を示す。 図14は、図13Aに示されるスライスについての、カルバコール誘導活性の電流源密度解析を示す。 図15Aおよび15Bは、先端樹状突起および基底樹状突起における、カルバコール誘導反復周期的リズム振動の関係を示す。 図16は、特定の時間にわたる電流源密度の計算された進化を示す。 図17は、海馬および皮質における、2つの異なるカルバコール誘導リズムを示す。 図17は、海馬および皮質における、2つの異なるカルバコール誘導リズムを示す。 図18は、CA3領域の順方向活性化により誘起された、β様活性の二次元電流源密度解析を示す。 図18は、CA3領域の順方向活性化により誘起された、β様活性の二次元電流源密度解析を示す。 図18は、CA3領域の順方向活性化により誘起された、β様活性の二次元電流源密度解析を示す。 図19は、カルバコール誘導β波に対するベンゾジアゼピンの影響を示す。 図20A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するジアゼパムの影響を示す。 図20A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するジアゼパムの影響を示す。 図21〜Cは、カルバコール誘導β波に対するフルラゼパムの影響を示す。 図21〜Cは、カルバコール誘導β波に対するフルラゼパムの影響を示す。 図22A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するアンパカイン(ampakine)(CX614)の影響を示す。 図22A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するアンパカイン(ampakine)(CX614)の影響を示す。 図23A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するアンパカイカイン(CX691)の影響を示す。 図23A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するアンパカイカイン(CX691)の影今日を示す。 図24は、海馬スライスにおけるCCh誘導リズム活性に対するCX546の影響を示す。電極間間隔は、300μmである。 図25は、CX546を用いて経時的にプロットしたリズム活性の周波数および出力における試料変化を示す。 図26は、ベンゾジアゼピン、シクロチアジド、およびアンパカインの間の周波数および出力の変化%を示す。 図27は、ベンゾジアゼピン、シクロチアジド、およびアンパカインの間の周波数および出力の変化の二次元プロットを示す。 図28は、5mM CChとの組織のインキュベーションが、周期的なβリズム振動およびより低い周波数のバースト活性(0.1〜0.2Hz)を誘導することを実証する。 図29は、5−HTおよびフルオキセチンがCCh誘導ネットワークバースト活性の周波数を減少させることを示す。 図29は、5−HTおよびフルオキセチンがCCh誘導ネットワークバースト活性の周波数を減少させることを示す。 図30は、5−HTがCCh誘導される周期的なβリズム振動の出力を減少させることを実証する。 図30は、5−HTがCCh誘導される周期的なβリズム振動の出力を減少させることを実証する。 図31は、MEDプローブ上で直接増殖された中隔海馬共培養物へのフィゾスチグミン(コリンエステラーゼインヒビター)の添加によって引き起こされる自発性リズム活性における相対的相違を示す。 図32は、中隔海馬共培養物におけるスパイクの数に対するコリンエステラーゼインヒビター(フィゾスチグミン)の影響を示す。 図33は、海馬縫線共培養物におけるコントロール組織とSSSRI(フルオキセチン)処理組織の間の周波数および出力における変化の二次元プロットである。 図34A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するビククリンの影響を示す。 図34A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するビククリンの影響を示す。 図35A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するピクロトキシンの影響を示す。 図35A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するピクロトキシンの影響を示す。 図36A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するCNQXの影響を示す。 図36A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するCNQXの影響を示す。 図37A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するDNQXの影響を示す。 図37A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するDNQXの影響を示す。 図38A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するNBQXの影響を示す。 図38A〜Cは、カルバコール誘導β波に対するNBQXの影響を示す。 図39は、本発明の方法に従う、神経組織への特定のクラスの神経活性剤の添加の前後の周期的なリズム振動のリズムを比較した予測的な結果を広範に示す。

Claims (34)

  1. 神経組織試料を用いて精神活性化合物を検出および特性付けするための方法であって、以下:
    a)該神経組織試料を誘導因子と接触させることによって誘導される種々のベースラインの周期的なリズム振動からのパラメーターの組み合わせ、および該神経組織試料と候補試料組成物との接触後に生成される種々の結果として生じる周期的なリズム振動からのパラメーターの組み合わせを測定する工程;
    b)該種々のベースラインの周期的なリズム振動からの該パラメーターの組み合わせおよび該結果として生じる周期的なリズム振動からの該パラメーターの組み合わせを比較する工程;ならびに
    c)該候補試料組成物中の精神活性化合物の存在または非存在を検出し、精神活性化合物が存在する場合、該種々のベースラインの周期的なリズム振動からの該パラメーターの組み合わせと該結果として生じる周期的なリズム振動からのパラメーターの組み合わせとの間の差異に基づいて、該精神活性化合物を特性付ける工程、
    を包含する、方法。
  2. 前記特性付ける工程が、前記精神活性化合物がメンバーである化合物のクラスを同定する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記同定された化合物のクラスと1つ以上の異なる精神活性化合物のクラスとの間の相対的な差異を比較する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記精神活性化合物を、前記化合物のクラスの他のメンバーと区別する工程をさらに包含する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記パラメーターの組み合わせが、周波数および出力を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記比較する工程が、少なくとも2つのパラメーターを比較する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記少なくとも2つのパラメーターが、周波数および出力である、請求項6に記載の方法。
  8. 神経組織を用いて精神活性化合物を検出および特性付けするための方法であって、以下の工程:
    a)誘導因子を該神経組織と接触させて、該神経組織を用いて種々のベースラインの周期的なリズム振動を生成する、工程;
    b)候補試料組成物を該神経組織と接触させて、該神経組織を用いて種々の結果として生じる周期的なリズム振動を生成する工程;
    c)該種々のベースラインからのパラメーターの組み合わせおよび結果として生じる周期的なリズム振動からのパラメーターの組み合わせを検出する工程;および
    d)該種々のベースラインからのパラメーターの組み合わせおよび該結果として生じる周期的なリズム振動からのパラメーターの組み合わせを比較して、該候補試料組成物中の該精神活性化合物を検出および特性付けする、工程、
    を包含する、方法。
  9. 前記誘導因子を前記神経組織から除去する工程をさらに包含する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記パラメーターの組み合わせが、周波数および出力を含む、請求項8に記載の方法。
  11. 前記精神活性化合物が、AMPAアンタゴニスト、AMPAレセプターモジュレーター、抗不安薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン、中枢神経系刺激剤、ドーパミン作動性薬剤、GABAアンタゴニスト、催眠薬、および麻酔性鎮痛薬からなる群より選択される、請求項8に記載の方法。
  12. 前記精神活性化合物が、AMPAアンタゴニストを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記AMPAアンタゴニストが、CNQX、DNQX、GYKI 52466HCl、ジョロウグモ毒素、1−ナフチル−アセチルスペルミン、NS257、およびNBQXからなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記精神活性化合物が、AMPAレセプターモジュレーターを含む、請求項11に記載の方法。
  15. 前記AMPAレセプターモジュレーターが、アンパカインを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記AMPAレセプターモジュレーターが、CX516、CX546、CX554、CX614、およびCX691からなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記精神活性化合物が、ベンゾジアゼピンを含む、請求項11に記載の方法。
  18. 前記ベンゾジアゼピンが、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、クロラゼパート、クロチアゼパム、ジアゼパム、エスタゾラム、エチゾラム、フルジアゼパム、フルマゼニル、フルニトラゼパム、フルラゼパム、フルトラゼパム、ハロキサゾラム、ロラゼパム、メダゼパム、ニメタゼパム、ニトラゼパム、オキサゼパム、オキサゾラム、リルマザホン、テマゼパム、およびトリゾラムからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記ベンゾジアゼピンが、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、フルラゼパム、およびトリアゾラムからなる群より選択される、請求項17に記載の方法。
  20. 前記精神活性化合物が、GABAアンタゴニストを含む、請求項11に記載の方法。
  21. 前記GABAアンタゴニストが、ビククリン、β−ヒドラスチン、ピクロトキシン、およびSR−95531(ガバジン)からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記GABAアンタゴニストがビククリンを含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記GABAアンタゴニストがピクロトキシンを含む、請求項21に記載の方法。
  24. 前記種々のベースラインの周期的なリズム振動を生成するための誘導因子が、化学的化合物である、請求項8に記載の方法。
  25. 前記化学的化合物が、コリン作動性アゴニスト、コリンエステラーゼインヒビター、および交感神経アゴニストからなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記化学的化合物が、コリン作動性アゴニストを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記コリン作動性アゴニストが、アセチルコリン、アレコール、カルバコール、メタコリン、ベタネコール、ムスカリン、およびピロカルピンからなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記コリン作動性アゴニストが、カルバコールを含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記化学的化合物が、コリンエステラーゼインヒビターを含む、請求項25に記載の方法。
  30. 前記コリンエステラーゼインヒビターが、アンベノニウム、デメカリウム、ジヨードプロピル−フルオロホスフェート、エコチオフェート、エドロホニウム、ヒューペルジンおよびヒューペルジンアナログ、ネオスチグミン、フィゾスチグミン、ならびにピリドスチグミンからなる群より選択される、請求項29に記載の方法。
  31. 前記コリンエステラーゼインヒビターが、フィゾスチグミンを含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記化学的化合物が、ムスカリン性M1レセプターに選択的に結合する、請求項24に記載の方法。
  33. 前記誘導因子が、電気シグナルである、請求項8に記載の方法。
  34. 前記誘導因子が、同時沈着した神経組織である、請求項8に記載の方法。
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