説明のため図面に本発明の実施形態を示す。当業界における習熟者であれば、以下の説明から、図示したものに代わる構造及び方法による実施形態を、本発明の基本原理から逸脱することなく想到することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔通信システム100を描いた上位ブロック図である。同様の又は対応する部材には同様の符号を付している。例えば“112A”のように参照数字の後に文字がくるものに関しては、明細書本文中では参照数字のみで参照及び特定することがある。“112”のように文字を付さないで参照数字のみを示した場合、その参照数字で始まる何れかの又は全ての部材を参照している。例えば、明細書本文中における“112”は、図中における“112A”及び/又は“112B”、という意味である。
図1に示されているパケット交換網110は、基地局送受信機(BTS)112、ソフトスイッチ(SS)128、シグナリングゲートウエイ130、メディアゲートウエイ132、VoIP(voice over Internet protocol)デバイス134、DSN(data service serving node)118、並びにOMC(operation and maintainance console)120といった、複数のエンティティと通信している。また、図示されているBTS112はそれぞれ2個のモバイルデバイス114と通信中である。シグナリングゲートウエイ130及びメディアゲートウエイ132はそれぞれ公衆電話交換網(PSTN)122及び公衆地上波モバイルネットワーク(PLMN)124と通信している。DSN118は外部データサービスネットワーク126と通信している。
図1に示したシステム100は、ネットワーク110上のエンティティが非パケットベース通信インタフェース及びプロトコルを使用してパケット通信網110上で通信を行いまたモバイルデバイス114による通信をサポートすることを、可能にしている。パケット交換網を使用することによって、ネットワーク110上のエンティティ及びシステム100により提供される機能は、効率的でコスト的に有利な形態にて、分散される。例えば、システム100において、提供されているメディア機能及びフィーチャを制御機能から分離させる。システム100におけるいくつかの制御要素、典型的にはソフトウエアとして実現されているものは、好ましくはBTS112に又はその近傍に配置する。対照的に、共有できる制御要素や集中化できる制御要素は、好ましくはSS128等に集中配置する。典型的にはハードウエアによって実現されるメディア要素、例えばディジタル信号処理(DSP)は、好ましくはメディアゲートウエイ132に配置する。このような設計によって、比較的安価なBTS112を所期覆域たる地理的エリアに分散配置する一方、比較的高価なコンポーネントをSS128やメディアゲートウエイ132に配置及び共有することが可能になるため、BTS112に関連した費用が低減され、全体の効率化も達成される。
図1に示した個別のエンティティに立ち返って述べると、ネットワーク110は好ましくは、パケットベースデータをルーティングするに当たって従来型のネットワーク技術、例えばイーサネット(登録商標)やATM(asynchronous transfer mode)ベース回路等を用いる。好適な実施形態に係るネットワーク110においては、IP及びその付随プロトコル、例えばTCP(transmission control protocol)、UDP(user datagram protocol)乃至SCTP(stream control transport protocol)を用いて、データパケットをルーティングしている。このような理由から、以下の説明中でネットワーク10のことをしばしばIP網と呼んでいる。無論、他種プロトコルによってデータを搬送しまたルーティングする実施形態もあり得る。例えば、IP網110は専ら以下に述べる機能を提供する。また例えば、ネットワーク110の全体又は一部分として共有リンク、例えばインターネットその他公衆がアクセスできるデータ網を介したリンクや、通信サービスプロバイダにより提供される共有リンクが、使用される。
実施に当たっては、例えば、盗聴がされないようにIP網110におけるリンクが安全化される。かかるセキュリティは、リンクを物理的に対盗聴性とすることやリンク上で搬送されるデータを暗号化することにより、提供され得る。例えば、ネットワーク110上のエンティティが従来型のセキュリティ技術、例えばSSL(secure sockets layer)や、IPSec(Internet Security Protocol)トンネリングを用いたVPN(virtual private network)を用い、ネットワーク110上で送信されるデータを安全化することができる。
好ましくは、IP網110は、ネットワーク渋滞期間中を通じて予測可能性を提供するため、QoS(quality of service)機能を有する。より詳細には、QoS機能とは、遠隔通信システムに関連したネットワーク上のエンティティ例えばBTS112が少なくとも特定の最小帯域幅にて受信を行うこと、特にネットワークが渋滞しているときでも受信を行うことを、ネットワーク110が保証するものである。但し、IP網110にQoS機能を設けないでおくこともできる。そのようにする場合、ネットワークが渋滞する頻度を減らすためにネットワークを“過構築”しておくのが望ましい(但し必要ではない)。
図1に示されているBTS112は、ネットワークと結合されている。図1に示されているBTS112はたった4個であるが、実際は数百個乃至数千個のBTSを設けてネットワーク110による通信を行うことができる。各BTS112はある地理的な領域即ちセルにおいてサービスしており、当該領域内に存するモバイルデバイス114のうち無線送受信できる状態になっているものと通信を行い得る。加えて、各BTS112は好ましくはIP網110と通信できるよう構成される。
BTS112は、好ましくは、無線周波数(RF)ベース通信技術を用い、モバイルデバイス114或いは固定無線端末と通信できるよう、構成される。或いは、BTSのうち1個又は複数個により他種の無線通信技術例えば赤外線による通信をサポートするようにしてもよい。また、複数のBTS112を互いに近いところにて使用し、あるエリア全体をくまなくカバーするようにしてもよい。
好ましくは、その覆域内に存するセルラーホンその他、好適に利用可能なモバイルデバイス114と通信できるよう、BTS112を構成する。BTS112は、モバイルデバイス114等ネットワーク110上にあるデバイス同士の間において、更にはそれらデバイスとPSTN122やPLMN124や外部データサービスネットワーク126上のデバイスとの間において、音声やデータ(これらをまとめて又は個別的に“ユーザメディア”と称する)を伝送できるようにしている。
このようなデバイス間でのユーザメディアの通信は、“セッション”として組織立てて行われれる。セッションの一例としては、音声による電話コールがある。セッションの他の例としては、ビデオコール、ファックスコール、サーバへのダイアルアップ接続、テレメトリ若しくはテレプレゼントのための接続、チャット通信等がある。
セッションは2個又はそれ以上の個数の“エンドポイント”の間で実施される。ここでは、“エンドポイント”という言葉を広く解し、セッション中にユーザメディアがルーティングされるエンティティのことを指すものとしている。例えば、BTS112やメディアゲートウエイ132はセッションのエンドポイントとなり得る。“エンドポイント”なる用語は、ユーザメディアがルーティングされるエンティティ上のアドレス可能なインタフェースを指すものでもある。例えば、各BTS112、メディアゲートウエイ132、その他IP網110上に存するエンティティは、多数の独立してアドレス可能なエンドポイントを有している。これらのエンドポイントによって、同一エンティティを介してルーティングされる複数のセッションをシステムが追跡することが、可能になる。
どのような形で実施されるかにも依るが、モバイルデバイス114及びBTS112は、CDMA(Code Divison Multiple Access)やGSM(Global System for Mobile Communications)、UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)、802.11、ブルートゥース(Bluetooth)といった通信技術を、1個又は複数個使用して、ユーザメディアをやりとりする。音声を表すユーザメディアは、使用する通信技術に応じ、EVRC(enhanced variable rate coding)、QCELP(QualComm excited linear predective)符号化、FR(full rate)符号化、EFR(enhanced FR)符号化、VoIP(voice over IP)符号化、AMR(adaptive multirate)符号化といった、符号化手法乃至形態にて、符号化される。モバイルデバイス114及びBTS112はまた、データを表すユーザメディアをWAP(wireless application protocol)やSMS(short message service)プロトコル、MMS(multimdia messaging protocol)プロトコル、TCP/IPを介して、好適に交換できる。
BTS112は、モバイルデバイス114から受信したユーザメディアを、IP網110を介した伝送に適したIPベース表現形態に、好適にカプセル化する。ユーザメディアの固有のフォーマットは保存されるが、カプセル化によってユーザメディアはIP上で機能する符号化形態となる。同様に、BTS112は、IP網110から受信したユーザメディアのカプセル化を好適に解除する。カプセル化されたユーザメディアは、リアルタイムストリーミングプロトコルに従いIP網110上を好適に搬送される。
図1には、各BTS112と通信中のモバイルデバイス114が2個示されているが、普通、各BTSはより多くのモバイルデバイスと通信し、また各モバイルデバイスが複数のBTSと通信することもある。ここで用いた“モバイルデバイス”なる用語は、そのデバイスが普通又は実際に“モバイル”(可動的)であるかどうかを問わず、BTS112と通信可能な全てのデバイスをカバーしている。モバイルデバイス114には、セルラーホンだけでなく、無線通信をサポートするモジュールを備えたPDA(personal digital assistant)やラップトップ若しくはデスクトップコンピュータも、含まれ得る。例えば、BTS112及びモバイルデバイス114の機能を同一デバイス内に統合・集積化することもできる。
各モバイルデバイス114は、好ましくは少なくとも一人の“加入者”に関連づけられている。翻って、各加入者は例えば全国規模で展開しているセルラーホンサービスプロバイダ等の特定の通信プロバイダに、関連づけられている。ここで用いた“加入者”なる用語は、モバイルデバイスに関連づけられている人又はエンティティを表しており、現実の加入有無を意味するものではない。
VoIPデバイス134は、IP網110に対し直接的にインタフェースしている有線又は無線通信デバイスである。VoIPデバイス134は例えばDSP機能を包含している特定目的用の電話機である。このDSP機能により、VoIPデバイス134は、音声乃至音響を示す信号をVoIP表現形態へと符号化し、逆にVoIP表現形態から音声乃至音響信号へと符号化する。VoIPデバイス134は、或いは、標準的な電話機にIAD(Internet access device)を接続したデバイスである。IADは、電話機とIP網110との間に接続され、電話にて用いる表現形態とVoIPにて用いる表現形態との間で、音声信号を変換する。SS128は、好ましくは、標準的な電話機能を提供するためIP網110にて搬送される制御信号を介して、VoIPデバイス134を制御する。
PSTN122は従来型の電話網である。PSTN122上のユーザメディアは、通常、PCM(pulse code modulation)を用いて符号化されている。PLMN124は、好ましくは、セルラーホンサービスプロバイダ例えばAT&T、SPRINT、CINGULAR等によって運用されているセルラーホンネットワークである。PLMN124上のユーザメディアは、通常、そのネットワーク(PLMN124)によってサポートされているモバイルデバイスに固有のフォーマット、例えばEVRC、QCELP、FR、EFR、VoIP、AMR等のフォーマットを用いて、符号化されている。
DSN118は、データを適当なインバウンド/アウトバンドロケーションへとルーティングすることにより、外部データサービスネットワーク126上のサーバと、IP網110上にあるモバイルデバイスその他のエンティティとの間の通信(機能)を、サポート及び提供している。例えば、外部ネットワーク126が広義のインターネットであるならば、DSN118はIP網110とインターネットの間のピアリングポイントとして機能する。或いは、外部ネットワーク126はインターネット以外の専用乃至公衆用ネットワークであり得る。IP網110を他の複数のネットワークに接続するため、遠隔通信システム100は複数のDSN118を有する構成とすることができる。DSN118によりサポートされる通信によって、2個のネットワーク間での汎用IPベース通信に加え、好ましくはモバイルデバイス114上でフィーチャされるWAP、SMS、MMSその他、ウエブイネーブルな通信が実行可能になる。
DSN118により提供されるハードウエアや機能は、モバイルデバイス114にて利用される技術に依存している。例えばモバイルデバイス114がCDMAを利用しているのであれば、DSN118は好ましくはPDSN(packet data serving node)機能を備える。同様に、もしモバイルデバイス114がGSMやUMTSを利用しているのであれば、DSN118は好ましくはPRS(serving general packet radio service)サポートノード(SGSN)機能を備える。
SS128は、好ましくは、IP網110上にあるBTS112その他のデバイスの動作を制御する。SS128は、例えば、コンピューティングシステム上で実行される1個又は複数個のモジュールによって、構成されている。ここで用いている“モジュール”なる用語は、そのモジュールに帰する機能を提供するために利用されるコンピュータプログラムロジックやハードウエア若しくは回路を、表している。従って、モジュールはハードウエアでもファームウエアでもソフトウエアでも実現できる。
SS128は、好ましくはセッションプロセシングを提供し、モバイルデバイス114やVoIPデバイス134向けにメディアコネクションスイッチング及びシグナリングを制御している。SS128はまた、好ましくはモバイルデバイス114向けにモビリティマネージメントを提供している。このモビリティマネージメントによってローミングが可能になる。即ち、モビリティマネージメントは、IP網110上のBTS112によって提供される覆域内や外部覆域(例えばPLMN124上の外部覆域)内を移動しているモバイルデバイスがサービスの提供を受けることを、可能にしている。SS128は、好ましくは、外部HLR(home location register)アクセス機能をサポート乃至インタフェースすることにより(或いは、UMTSネットワークの場合、HSS(home subscriber server)アクセス機能をサポート乃至インタフェースすることにより)、モビリティマネージメントを提供している。HLRは所与の加入者についての情報を保持しているストレージロケーションである。SS128及びPLMN124上のデバイスは、HLRにより保持されている情報に係る加入者に対し、その情報を使用して、サービスをオーソライズ及び提供している。好ましくは、ある特定の加入者についての情報はある1個のHLR上においてのみ保持する。SS128及びPLMN124上のデバイスは、IS−41インターネットワーキングスタンダード又はGSM MAPを用いて、HLRにアクセスする。
例えば、SS128はモバイルデバイス114に関連づけられている少なくとも一部の加入者のためHLRを保持し、そのHLRをPLMN124からアクセス可能にしている。例えば、BTS112と通信中のモバイルデバイス114を利用している少なくとも一部の加入者向けのHLRは、セルラーホンサービスプロバイダによってPLMN124上にて維持され、SS128は、HLRにアクセスすることによって、IP網110上のBTS112の覆域内にいる加入者に対するサービスを、オーソライズ及び提供する。
SS128が有しているモビリティマネージメント能力は、ローカル覆域又は外部覆域に対する加入者アクセスを、SS128が制御できるようにしている。例えば、SS128は、IP網110上にあるBTS112により提供されているローカル覆域内のモバイルデバイスに対するサービスを、付与又は切断することができる。同様に、SS128は、そのSS128によりそのアカウントが保持されている加入者に関連づけられているモバイルデバイス114が、PLMNネットワーク上でサービスを取得できるかどうかを、制御することができる。
SS128が有しているモビリティマネージメント能力の中には、ハンドオフ(GSMにおける用語法ではハンドオーバ)機能が含まれている。“ハンドオフ”は、セッション中のモバイルデバイス114がIP網110(或いはPLMN124等の他のネットワーク)上のBTS112により提供されている覆域から同様の他の覆域へと移動するときに、アクティブセッションを接続したまま、機能しているままに保持できることをいう。SS128はまた、好ましくは、そのモビリティマネージメント能力を用いてモバイルデバイス114に対するロケーションベースサービスを実行可能にしている。総じて、SS128のモビリティマネージメント能力によって、加入者はモバイルデバイス114をノーマルに使用することができる。
例えば、シグナリングゲートウエイ130もまた、コンピューティングシステム上で実行される1個又は複数個のモジュールから構成される。シグナリングゲートウエイ130は、好ましくはIP網110、PSTN122及びPLMN124と通信し、SS128からのコマンドに応じて動作する。シグナリングゲートウエイ130は、メディアコネクションシグナリングを実行することにより、BTS112、VoIPデバイス134並びにPSTN122及びPLMN124上のデバイスと通信しているモバイルデバイス114間のセッションを、サポートしている。シグナリングゲートウエイ130はまた、好ましくは、モバイルデバイス向けにモビリティマネージメントを提供するためのシグナリングを行う。
例えば、メディアゲートウエイ132もまた、コンピューティングシステム上で実行される1個又は複数個のモジュールから構成される。メディアゲートウエイ132は、好ましくは、IP網110やPSTN122やPLMN124と通信し、電話網とIP網との間のゲートウエイとして機能している。メディアゲートウエイ132は、モバイルデバイス114、PSTN122、PLMN124及びVoIPデバイス134にて利用される符号化形態のうち何れかに従い、ユーザメディア例えば音声データを変換する。メディアゲートウエイ132は、また、IP網110を介して送受信するユーザメディアをIPカプセル化しまたそのIPカプセル化を解除する。モバイルデバイスに固有のフォーマットは例えばEVRC、QCELP符号化、FR符号化、EFR符号化、VoIP符号化、AMR符号化等である。PLMN124は、通常、ネットワークエッジにおいてこれらのフォーマットを利用するが、その内部における転送に当たってはユーザメディアをPCM符号化する。PSTN122は、通常、PCM符号化を用いる。
SS128、シグナリングゲートウエイ130及びメディアゲートウエイ132は、好ましくは、本実施形態に係る効果的且つ効率的な配置を以て、ネットワーク110上に分散されている。好ましくは、SS128の配置はその動作特性に従って選択する。例えば、SS128はBTS112が集まっている場所に近いリンク上に配置する。メディアゲートウエイ132は、好ましくは、PSTN122やPLMN124と効率的にインタフェースできる場所に配置する。システム100は、SS128やメディアゲートウエイ132やSG130を複数個、ネットワーク110上に分散させた形態で実施することができる。
OMC120はアドミニストレータにより使用される。アドミニストレータは、OMC120を用い、BTS112、SS128、シグナリングゲートウエイ130、メディアゲートウエイ132、DSN118その他、IP網110のエンティティに対しインタフェースしシステムを管理及び監督する。OMC120はこれらのデバイス向けの制御コンソールと論理上等価なものであり、アドミニストレータはこれを用い、利用可能なフィーチャを特定及び管理し、加入者プロファイルを作成及び維持し、デバイス構成を組織化し、利用及び課金記録を検討し、保守を実行する、等々。OMC120には、また、モビリティ用のHLRとの同期をとるのに使用すべく、加入者プロファイルのコピーを格納することができる。加入者プロファイルは、好ましくは、加入者を識別する情報、加入者に関わる企業を識別する情報、並びに加入者が利用できる用途及びフィーチャ(即ち権利及び特権)を特定する情報を、含むものである。
図2は、図1に示した遠隔通信システム100の一部分を機能的観点から描いた上位ブロック図である。図2には、無線モバイルデバイス114及びBTS112が示されている。BTS112はSS128及びメディアゲートウエイ132と通信中である。モジュールの間の矢印202、204及び206は、IP網110を介して形成される通信経路を示している。例えば、経路202及び204は制御信号を搬送し経路206はユーザメディアを搬送する。メディアゲートウエイ132はPLMNやPSTN(ここでは電話網212として個別的及び一括的に参照している)と通信中である。
モバイルデバイス114は、好ましくは、無線インタフェース210を介しBTS112と通信する。BTS112は、このインタフェースを介したモバイルデバイス114との通信及び当該モバイルデバイス114へのサービス提供のため、多数の機能モジュールを備えている。無線モジュール214は、モバイルデバイス114とこのBTS112との間でRF通信を行えるようにする。無線モジュール214は、好ましくはチャネル形成能力を提供し、各種モバイルデバイス114と効率的に通信を行えるようにしている。放送制御モジュール216は、無線モジュール214の動作を制御する。このモジュール216は、レンジ内にあるモバイルデバイス114がアクセスできるようにするため、無線モジュール214をレディ状態に維持する。放送制御モジュール216は、好ましくは、無線モジュール214を用いて制御/アクセスチャネルを利用及び送信可能に維持する。モバイルデバイスは、ページを受信するため(即ちBTS112から通知を受信するため)制御/アクセスチャネル上にとどまることができる。放送制御モジュール216は、また、モバイルデバイス114がBTS112を介して利用可能な通信ネットワーク及び放送サービスにアクセスできるよう、パラメータを放送する。
シグナリングマネージメントモジュール218は、無線モジュール214とインタフェースする一方、通信経路202を介しSS128内のモビリティマネージメントモジュール228とインタフェースし、BTS112におけるモバイルメッセージングを制御している。シグナリングマネージメントモジュール218は、正しいモバイルデバイス114が自分向けのメッセージを取得できるよう、セッションコンテキストを保持している。シグナリングマネージメントモジュール218は、モビリティマネージメント及びセッションプロセシングのうちメッセージハンドリングに係る部面を実行する。
BTS112内のメディアコントロールモジュール220は、経路204を介しSS128内のメディアコントロールモジュール232とインタフェースし、セッションプロセシングにより決定又は要請されるところに従いIP網110を介して両者を接続している。接続経路が必要である旨、一旦セッションプロセシングによって決定されると、BTS112、SS128及びメディアゲートウエイ132内のメディアコントロールモジュール220、232及び234は、データパケットを適当な宛先にルーティングすることによってIP網110を介した論理的接続を形成している。従って、メディアコントロールモジュール220の動作は、通信システム100における通信経路の生成、維持及び解放を行うという点で従来の交換と同様であるが、その経路がパケット交換網を介した論理的な経路であるという点で従来の交換とは異なっている。
チャネルコントロールモジュール222は、特定のセッションについてモバイルデバイス114に割り当てられる専用リソースを提供している。例えば、アクティブである(例えば音声コールその他のセッションの途中である)モバイルデバイス114はそれぞれ別々のトラフィックチャネルに割り当てられ、そのセッションについてネットワークとの間でメディアを送受信するのにそのトラフィックチャネルを使用している。GSMを使用している例では、チャネルコントロールモジュール222はモバイルデバイス114に対し、TDM(time-division multiplexed)タイムスロットを与え、無線インタフェース210を介したメディア転送を実行させる。CDMAを使用している例では、チャネルコントロールモジュール222はコードを与える。このコードは、モバイルデバイス114がメディア転送に使用するチャネルを構成するためのコードである。チャネルコントロールモジュール222は、基本無線チャネル機能を維持しつつ、チャネル上でモバイルデバイス114を監督及び制御している。好ましくは、シグナリングマネージメントモジュール218がチャネルコントロールモジュール222の動作を制御する。
BTS112内のネットワークエンドポイントコントロールモジュール224は、ユーザメディアが送受信されるBTS112における個別アドレス可能なエンドポイントインタフェースを、制御している。BTS112内のネットワークエンドポイントコントロールモジュール224はまた、好ましくは、(必要な場合又は望まれる場合)固有のユーザメディアをIP網110を介した伝送に適するフォーマットにカプセル化する。同様に、ネットワーク110からユーザメディアを受信するとき、ネットワークエンドポイントコントロールモジュール224は、好ましくは、(必要な場合又は望まれる場合)そのユーザメディアの宛先たるモバイルデバイス114に固有のフォーマットに、そのユーザメディアを復号する。経路206は、メディアゲートウエイ132とBTS112との間でユーザメディアを搬送するための通信経路を、表している。
翻ってSS128にて、フィーチャコントロールモジュール226がモビリティマネージメントモジュール228及びセッションプロセシングモジュール230と連携して提供する機能としては、モバイルデバイス114に対し与える拡張コーリング機能がある。この拡張コーリング機能には、例えば部分ナンバーダイアリング、トールコーリング、コールフォワーディング及びトランスファリング、カンファレンスコーリング、ラインキャンピング、コールされた又はコール中の者に依るカスタマイズトリートメント、特別な課金レポートを発行するカスタマイズビリングアプリケーション、ナンバーポータビリティ、拡張911、同時及び順次リンギングが、含まれる。拡張コーリング機能にはまた、コール非関連フィーチャ、例えばフォローイング乃至ロケーションベースサービスを、含めることができる。フィーチャコントロールモジュール226は、その実施形態により、ここで述べたものに代えて又はこれらと共に、異なる拡張コーリング機能を提供することができる。
モビリティマネージメントモジュール228がフィーチャコントロールモジュール226及びセッションプロセシングモジュール230と連携して提供する機能としては、モバイルデバイス114にサービスを提供しこれを管理する機能がある。一般に、モビリティマネージメントモジュール228はモバイルデバイス114の移動に関連した事項を取り扱う。そのため、モビリティマネージメントモジュール228は、好ましくは、セッションローミング、セッションデリバリ或いはハンドオフといったフィーチャをサポートしている。モジュール228はまた、好ましくは、無線デバイス向けの特別のフィーチャに対応した機能、例えばプライバシーや認証をサポートする機能を、サポートしている。加えて、モビリティマネージメントモジュール228は、モバイルデバイス114と無線モジュール214との間の無線インタフェース210にて利用される無線プロトコルをサポートする機能を、提供している。
セッションプロセシングモジュール230は、IP網110(及び必要であれば他のネットワーク)を介したセッションをセットアップし、ティアダウンし、アカウントする機能を有している。モジュール230はまた、オルタネートルーティング、ネットワークシグナリング、タイミングディストリビューション、トランスレーション、トラフィック計測及び制御といった、IP網110を介する従来型の交換能力をも、サポートしている。SS128内のメディアコントロールモジュール232は、好ましくは、BTS112及びメディアゲートウエイ132内のメディアコントロールモジュール220及び232と連携し、IP網110を介した接続能力を提供している。
メディアゲートウエイ132内のメディアコントロールモジュール234はまた、SS128内の対応するモジュール232と連携し、接続能力を提供している。加えて、メディアゲートウエイ132内のネットワークエンドポイントコントロールモジュール236は、BTS112内の対応するモジュール224と連携し、IP網110を介しカプセル化されたユーザメディアを送受信する。
メディアゲートウエイ132内のネットワークインタフェースモジュール238は、好ましくは電話網212とインタフェースしている。このモジュール238は、遠隔通信システム100にて利用されている符号化形態と電話網212にて利用されている符号化形態との間でユーザメディアを変換できるよう、構成されている。ネットワークインタフェースモジュール238はまた、好ましくは、遠隔通信システム100と電話網212上のシステムとの間でのセッションセットアップをサポートするため、インバンド又はコモンチャネルプロトコル向けにシグナリングを実行する。ディジタル信号処理(DSP)モジュール240は、好ましくは、ネットワークエンドポイントコントロールモジュール236及びネットワークインタフェース238と連携している。DSPモジュール240は、ネットワークインタフェースモジュール238におけるユーザメディア変換機能をサポートしている。
図3は、無線モジュール214とモバイルデバイス114との間での通信に使用される無線インタフェース210の一例における通信プロトコルスタックを示すブロック図である。無線インタフェース214の最上位層はデータ層310であり、ユーザメディアパケットをモバイルデバイスからBTS112へ、或いはその逆へと転送する。ユーザメディアパケットは、好ましくは、モバイルデバイス114に固有のフォーマットにより符号化される。
これに続く2層はリンクアクセス制御(LAC)層312及びメディアアクセス制御(MAC)層314である。LAC層312は、データからのフレームの組立及びデータステーション間での交換を管理している。翻って、MAC層314は、トポロジーに依存した機能をサポートしている。エアリンク層316は無線インタフェース210における物理層であり、この場合は、モバイルデバイス114と無線モジュール214との間の通信に使用されるRFキャリア及び個別的変調を指している。
図4は、遠隔通信システム100の一実施形態に関し、BTS112内のネットワークエンドポイントコントロールモジュール224と、メディアゲートウエイ132内のエンドポイントコントロールモジュール236との間の経路206上で、ユーザメディアを搬送するために使用されるプロトコルスタックを示している。スタックの最上位層はデータ層410である。この層は、好ましくは、モバイルデバイス114に固有のフォーマットに符号化されているユーザメディアを搬送する。例えば、モバイルデバイス114がGSM通信技術をサポートしているのであれば、データ層410ではFR符号化やEFR符号化が施されたデータを搬送する。また例えば、モバイルデバイス114がCDMA通信技術をサポートしているのであれば、データ層410ではEVRCやQCELPにより符号化されているデータを搬送する。他の符号化形態による実施も可能である。
固有の符号化形態により符号化されたユーザメディアは、好ましくは、リアルタイムプロトコル(RTP)層(又はその他のストリーミングプロトコル層)412においてカプセル化される。RTPは、時間に敏感なユーザメディアをIP網上で移動させるための転送機構を提供している。この目的のため、RTP層412においては、パケットロスを検出する機能や各種遅延ジッタを補償する機能を、実現している。RTP層412はまた、QoS機能をサポートしている。
UDP層414は、相異なる通信セッション同士(例えばポート番号間)を区別する機能を提供し、ユーザメディアが宛先へと何ら改変されずに到来したことを証明するためのチェックサム機能を、提供している。UDP層414は、好ましくは、IP層416上で実行される。IP層416は、ネットワーク110上でデータパケットをルーティングする機能を提供している。
図5A〜図5Cは、遠隔通信システム100の一実施形態において、SS128のモビリティマネージメントモジュール228と、BTS112のシグナリングマネージメントモジュール218との間の経路202上で、制御信号を搬送するために用いられるプロトコルスタックを示している。図5A、図5B及び図5Cは、それぞれ、プロトコルスタックの別例を示している。これらの例は互いに機能的に等価であり、遠隔通信システム100の実施形態においてはこれらのうち何れか一つ(或いは複数)を使用することができる。
図5Aに示したスタック(及びその他のスタック)の最上位層は通信インタフェース510Aである。このインタフェースでは、BTS112に対し、及びBTS112を介してモバイルデバイス114に対し、セッションコントロール及びモビリティマネージメントを提供するためのメッセージを、搬送している。システム100においてモバイルデバイス114としてGSMをサポートするデバイスを使用するのであれば、インタフェース510Aは好ましくはGSM−Aインタフェースとする。システム100においてモバイルデバイス114としてCDMAをサポートするデバイスを使用するのであれば、インタフェース510Aは好ましくはTIA(Telecommunications Industry Association)暫定規格IS−634インタフェースとする。
スタック中の次の層はSCCP(Signaling Connection Control Part)層512Aである。この層512Aは、コネクションレス及びコネクション指向サービス並びにアドレストランスレーションサービスを制御するメッセージを、含んでいる。SCCP層512AはMTP3(message transport port 3)層514A上にある。MTP3層514Aは、メッセージルーティング及びネットワークマネージメントに関連する機能及びプロセスを提供している。M2UA(MTP2-User Adaptation)層516AはMTP3層514Aの下にあり、IP網110を介しMTP3シグナリングメッセージを転送するためのプロトコルを提供している。
SCTP層518Aは、IP網110を介してシグナリングされる非パケットベースプロトコルについて、信頼し得る伝送特性を提供する。IP層520Aは、図4中に示した対応する層と同様の機能を提供する。
図5Bに示したスタックも、通信インタフェースをその最上位層510Bとしている。この層510Bは、好ましくは図5Aに示した対応する層510Aと同様の機能を提供する。スタック中の次の層はSCCP−LITE層512Bである。SCCP−LITE層512Bは、TELOS Technology, Inc.から入手可能なSCCP−LITEプロトコルにより実現されている。このプロトコルは、SCCP機能のサブセットをサポートしており、TCP/IPパケットベースネットワーク上での使用に特化・最適化されている。従って、スタック中でこれに続く2層はTCP層514B及びIP層516Bとなる。TCP層514Bは、IP層516BによりIP網110上に転送されるパケットへとデータを分割・分解する動作を、管理している。
図5Cに示したスタック中の最上位層510Cは、上述した対応する層510A及び510Bと同様の機能を有する通信インタフェースである。図5Cにおいては、インタフェース層510Cの下にある層512Cが、SUA(SCCP User Adaptation)層512Cである。SUA層512Cは、SCCPサービスを用いたIP上でのSCCPユーザシグナリングの転送を、サポートしている。従って、SUA層512Cの下にはSCTP層514Cがあり、SCTP層514Cは転送層機能を提供している。IP層516Cは先に述べたIP層520A及び516Bと同様の機能を提供している。
図6Aは、遠隔通信システム100の一実施形態において、BTS112、SS128及びメディアゲートウエイ132の三者間にまたがる経路204上で制御信号を搬送するのに使用されるプロトコルスタックを、示している。スタック中の最上位層610Aは、MGCP(Media Gateway Control Protocol)、H.248/Mecago、又は同種のメディアコントロールプロトコルである。これらのプロトコルは、複数のエンドポイントに対しトーン乃至アナウンスを再生する一方、当該複数のエンドポイント間でのメディアコネクションをセットアップし維持し終端させるのに、利用されている。好ましくは、スタック中でこれに続く2層はUDP層612A及びIP層614Aである。これらの層は、IP網110を介したMGCPメッセージ又はH.248メッセージの転送及びルーティングを、容易にしている。
図6Bは、遠隔通信システム100の他の実施形態において、BTS112、SS128及びメディアゲートウエイ132の三者間にまたがる経路204上で制御信号を搬送するのに使用されるプロトコルスタックを、示している。スタック中の最上位層610Bは、MGCP(Media Gateway Control Protocol)、H.248/Mecago、又は同種のメディアコントロールプロトコルである。これらのプロトコルは、複数のエンドポイントに対しトーン乃至アナウンスを再生する一方、当該複数のエンドポイント間でのメディアコネクションをセットアップし維持し終端させるのに、利用されている。好ましくは、スタック中でこれに続く2層はSCTP層612B及びIP層614Bである。これらの層は、IP網110を介したMGCPメッセージ又はH.248メッセージの転送及びルーティングを、容易にしている。
図7は、図1に示した遠隔通信システムにおけるエンティティ及びこのシステム中でのメディアフロー経路の例を示す上位ブロック図である。図7においては、それぞれBTS112A又はBTS112Bと通信中の2個のモバイルデバイス114A及び114Bが示されている。BTS112は、IP網110を介しメディアゲートウエイ132と通信している。
モバイルデバイス114は、無線インタフェース210を介しそれぞれBTS112と通信している。無線インタフェース210におけるメディアフロー経路は参照符号710で示されている。先に述べたように、経路上のこの部分710におけるメディアはモバイルデバイス114に固有のフォーマット、例えばFRやEFRやEVRCやQCELPにより、符号化されている。
モバイルデバイス114からユーザメディアを受信すると、BTS112は、IP網110上に送出するのに適したフォーマットへと、固有の符号化形態に係るメディアをカプセル化する。BTS112はSS128(図7には示さず)からの指令の下に動作し、カプセル化されたユーザメディアをIP網110上で直接に、セッションの他のエンドポイントへとルーティングする。例えば、第1のモバイルデバイス114A及び第2のモバイルデバイス114Bとがセッション中であるならば、第1のモバイルデバイス114Aに対しサービスを提供しているBTS112Aは、好ましくは、第2のモバイルデバイス114Bに対しサービスを提供しているBTS112Bに直結している経路712上へと、カプセル化されたメディアをルーティングする。第2のBTS112Bは、ユーザメディアを受信すると、好ましくは、固有の符号化形態に係るデータを取得すべくそのカプセル化を解除する。BTS112Bは、そのユーザメディアを、無線インタフェース上の経路710Bを介してモバイルデバイス114Bへと送信する。
同様に、第1のモバイルデバイス114AがPSTN122上又はPLMN124上のデバイスとセッション中であるならば、BTS112Aは、好ましくは、PSTNやPLMNに対しサービスを提供しているメディアゲートウエイ132への経路714へと、ユーザメディアをルーティングする。メディアゲートウエイ132はカプセルからユーザメディアを抽出し、必要であれば、それを、セッション相手のデバイスが属しているネットワーク(即ちPSTN122又はPLMN124)に固有のフォーマットへと、変換する。メディアゲートウエイ132は、変換後のユーザメディアを、PSTN122又はPLMN124に至る経路716又は718上へとルーティングする。
総じて、遠隔通信システム100においては、非パケット交換通信インタフェース及びプロトコルを用いつつパケット交換網で通信を行うことが可能となっている。このような形態でネットワークを用いることにより、システム100におけるメディアコントロール機能をネットワーク中に分散させることができる。しかもその形態は効率的でコスト効果のある形態となり、モバイル交換センターや基地局コントローラを別途設ける必要もなくなる。
以上の説明は、本発明の好適な実施形態を説明するためのものであり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨のものではない。上述の議論から明らかな通り、関連技術分野に習熟した者であれば、本発明の本質及び技術的範囲から逸脱することなく様々な変形を施すことができる。