JP2006511062A5 - - Google Patents

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化学薬剤のセンサシステム 発明の詳細な説明
関連出願の相互参照
本願は、2002年11月12日付けで出願された米国特許願第10/293,965号の優先日の特典を主張するものである。なおこの出願は本願に援用するものである。
米国連邦政府支援の研究に関する陳述
本願に記載の発明は、NASAとの契約に基づいた研究でなされたものであり、契約者が権利を保有すると規定している公法96−517条(35U.S.C.202)の規定に従っている。
背景
本願は、試料中の微量のターゲット分子を検出するのに有用な方法と装置に関する。
化学薬剤の微粒子、汚染物又は蒸気を検出することは、公共の安全、国家の安全、及び爆薬や違法薬物を検出する安全産業に重要な用途がある。このような爆薬、薬物又は化学薬剤が存在すると、それら密売品が貯蔵されているか又は扱われている場所の表面上、空気中、水中又は沈降物中には、通常、少量の粒子が残る。例えば、空港又は公共建造物における旅行かばん又は衣服の表面上の爆薬又は薬物の粒子は爆発又は薬物密輸の企ての発見につながる。
ターゲット分子(すなわち爆薬の成分)への電荷の移動による正イオンもしくは負イオンの生成、又はソース温度(source temperature)(300K)においてマクスウエル分布の電子エネルギー(約40ミリ電子ボルト(meV)のピークを有する)の多重衝突状態下での電子捕獲に基づいた技法が開発されている。このような技法としては、大気サンプリンググロー放電イオン化法(ASGDI)、大気圧イオン化法(API)、電子捕獲検出法(ECD)及び負イオン化学薬剤イオン化法(NICI)がある。
イオンの生成を最大にしてターゲット分子の検出感度を最大にするには、電子と極微量のターゲット分子が結合する際に低エネルギー(<10meV)の高電子流が必要であった。電子エネルギーの分布関数と結合断面積(attachment cross section)とをより良好に「整合」させるため、電子反転法(electron reversal technique)が開発された。この技法では、電子の方向を静電場で反転させることによって電子を一瞬停止させる。その電子は、反転領域Rでゼロ又はゼロに近いエネルギーを有している。ターゲット分子を含むビームを導入し、次いでゼロ又はゼロに近いエネルギーを有する電子を前記ビームの分子に結合させる。いくつかの大きいクラスの分子(爆薬、クロロハロカーボン化合物及びペルフッ素化炭素化合物を含む)を結合させるための断面積は、電子エネルギーがゼロに近い場合、10−12cmより大きい値まで増大することが分かっているため、電子を熱エネルギー以下のエネルギー(<10meV)まで減速する必要がある。事実、ゼロエネルギーの範囲内で、これら断面積は、ε−1/2として発散すると予想される(eは電子エネルギーである)。
この基本的電子反転法は、より良好な反転構造、より高い電子流、より低いバックグランド、及び負イオン抽出効率の増大を達成できるように改良されている(BerniusとChutjianの米国特許第4,933,551号及びBoumsellekとChutjianの米国特許第5,374,828号参照。なおこれら特許文献は本願に援用するものである)。
米国特許第4,933,551号(‘551)における電子エミッタは、表面の構造が平面の(平坦な)間接的に加熱される酸化物のカソードであった。エミッタやミラーの領域の形状を利用してエミッタ領域の電界−飛行経路(field−trajectory)が計算された。この計算から得られた電子の飛行経路を使用して反転領域の電界-飛行経路が計算された。続いて、その飛行経路をグラフで検査した。入射と反転の飛行経路が前記グラフ内で互いに重なって見えれば、前記ミラーの設計は容認された。しかし、前記電子の飛行経路のグラフによる検査は、電子の運動エネルギーの特定を僅か20meVにまで限定する。さらに、電子の飛行経路の計算は電子光学レンズスタック(electron optics lens stack)の単一通過に限定された。電子源領域の逆電流は明らかな説明がなされなかったので、カソードからの電子飛行経路の計算結果には固有の誤差があった。これら飛行経路は逆電流の空間電荷の影響を受けるが、この影響は、‘551特許では、考慮されなかった。
‘551特許とは対照的に、米国特許第5,374,828号(‘828)に開示された電子源は、電子源と逆の等電位配置構成との不整合を起こす小さい「シム(shim)」電極をカソード領域中に含んでいた。‘828特許は、エミッタに隣接する等電位球面(spherical equipotential)を反転領域の等電位平面中にブレンドしたシステムを開示した。対照的に、‘551特許に開示されたシステムは、平面のエミッタに隣接しかつ反転領域内の等電位平面を利用した。‘828特許に開示された「シム」電極は、カソードの等電位球面を、‘551特許に開示された等電位平面内での反転に適した等電位平面に変換することによって、初期の構造の差を補償した。基本的に、前記球面の飛行経路は、「真直ぐにして」、システム全体にわたって等電位球面を維持するほど正確ではない平行の電界の配置構成にした。
したがって、ターゲット分子の検出感度を増大するためには、電子反転技法を利用して、装置の反転領域におけるイオンの生成を最大にする必要がある。
要約
反転領域の静電ミラーの構造を電子源の構造に整合させて、反転領域における低エネルギー電子の量を増大する機構を提供する。これは、反転領域における電子の軸方向と半径方向の運動エネルギーを分析し次いでシステム全体を通じて等電位球面を維持することによって達成される。本発明は、電子源の形態を反転領域と整合させることによって、負イオンを反転領域に生成する性能を高めた複合システムを提供する。この機構は、ターゲット分子を検出する化学薬剤検出器の性能を改善するのに有用である。
一実施態様で、負イオンを反転領域に生成する方法が提供される。この方法は、電子ビームを構成する電子を生成する球形凹面を有する電子エミッタを提供し、1)放射された電子を軸線に沿って反転領域に静電気で収束するための電子抽出器及び2)その電子の運動エネルギーを中和するための静電ミラーを含むレンズスタックを提供するステップを含んでいる。この方法は、さらに、前記レンズスタックの構造特定し;電子ビームを構成する電子の電界と飛行経路を、静電ミラーにおける電子の軸方向と半径方向の運動エネルギーの分析によって特定することによって特定して、前記静電ミラーにおける電子の飛行経路を球面の電界配置構成で計算し;反転領域における電子ビームの反射回数を特定し;前記電界及び飛行経路の特定結果と電子ビームの反射回数の特定結果を比較し;前記比較結果にしたがって、電子の運動エネルギーが2meV以下でかつ反転領域での反射回数が少なくとも5回になるように前記レンズスタックを修正し;次いで前記反転領域を、ターゲット分子を含有するターゲット分子ガスビームに横切らせて電子をターゲット分子と結合させて負イオンを生成させる;ステップを含んでいる。
別の実施態様で、低エネルギー電子を反転領域に生成する装置が提供される。この装置は、電子を含む電子ビームを生成する球形凹面を有する電子エミッタ;1)放射された電子を、軸線に沿って反転領域に静電気で収束するための電子抽出器及び2)その電子の運動エネルギーを中和するための静電ミラーを含むレンズスタックを備えている。この装置はさらに、電子の電界と飛行経路を、反転領域における電子の軸方向と半径方向の運動エネルギーを分析して、反転領域における電子の飛行経路を球面の電界配置構成で計算する手段;反転領域における電子反転の回数を特定する手段;前記電界と飛行経路の特定結果と電子反転の回数を比較して、電子の運動エネルギーが2meV以下でかつ反転領域における反射が少なくとも5回になるように、レンズスタックの構造と電子エミッタの構造を整合させる手段を含んでいる。
別の実施態様で、ターゲット分子の存在を検出する化学薬剤感知装置を提供する。この装置は、噴射ポートに隣接する少なくとも一つの第一壁、噴射ポートに対し近位の第二壁及び噴射ポートに対し遠位の第三壁を有する気相ジェット分離器;並びに1)球形凹面を有する電子エミッタと、2)i)放射された電子を、軸線に沿って反転領域に静電気で収束する電子抽出器及びii)その電子の運動エネルギーを中和するための静電ミラーを含むレンズスタックとを含む、前記ジェット分離器と蒸気連通している電子−イオン光学チャンバーを含んでいる。前記化学薬剤検出装置はさらに、前記静電ミラーにおける電子の軸方向と半径方向の運動エネルギーを分析して特定しその静電ミラーにおける電子の飛行経路を球形の電界配置構成で計算することによって、電子ビームを構成する電子の電界と飛行経路を特定する手段;反転領域における電子ビームの反射回数を特定する手段;前記電界と飛行経路を前記電子の反射回数と比較して電子の運動エネルギーを2meV以下にかつ反転領域における反射を少なくとも5回するように前期レンズスタックを修正する手段;反転領域とイオン連通しているイオン抽出要素;及び前記抽出要素とイオン連通している質量分析器を備えている。
別の実施態様で、静電分析器の内表面に非導電性物質が堆積するのを阻止する装置が提供される。この装置は、前記静電分析器と一体に結合しているアパーチャをカバーする非中実材料を含んでいる。そのアパーチャは電子エミッタの直接視線内に位置している。この装置は、静電界の完全性を実質的に維持し、非導電性物質の堆積する表面積を減らしながら前記静電分析器を通して負イオンを流動させることができる。
さらに別の実施態様で、静電分析器の内表面に非導電性物質が堆積するのを阻止する方法が提供される。この方法は、前記静電分析器と一体に連結しているアパーチャをカバーする非中実物質を正イオン及び負イオンと接触させるステップを含んでいる。そのアパーチャは電子エミッタの視界内にあり、前記物質は静電界の完全性を実質的に維持しかつ前記静電分析器を通して負イオンを流動させることができる。
本願に記載の方法、装置及び器具は、特定の抽出技法と化学的分離法に組み入れることができる。例えば、爆薬残留物が水中又は沈降物上に存在する場合、ターゲット分子を含有する蒸気は、固相微細抽出繊維を使って沈降物又は海水から抽出できる。ターゲット分子を含有する爆薬残留物は、前記繊維をチャンバー内又は炉内で加熱することによって脱着させ、さらに残留成分を超音波膨張法でバックグランド空気又はキャリヤーガスから分離するジェット分離器内で処理することができる。次にその試料分子は、電子を静電ミラーの方に放射するカソードなどの電子源を含む電子-イオン光システムに送る。その静電ミラーは、前記電子を停止させて反射する静電界を提供する。この処理によって前記電子の運動エネルギーがゼロ又はゼロの近くまで低下又は中和され、そのエネルギーで前記電子がターゲット分子と効率的に結合し負イオンを生成し、そのイオンを質量分析計に送って分析する。
本発明の一つ以上の実施態様の詳細は、添付図面と以下の説明に記載されている。本発明のその外の特徴、目的及び利点は、以下の説明と図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
本発明の上記側面とその外の側面を添付図面を参照して以下に説明する。
詳細な説明
本願に記載の方法、装置及び器具は広範囲の対象の化学薬剤を検出するのに適用できる。これら適用例としては、例えば不発の水中残留物を含む爆薬と爆薬製造に関連する化学薬剤、工業地帯又は軍事地域からの排水中の爆薬又は化学薬剤、製造工場が産生する有毒物質の検出及び神経ガス及び発疱性ガスの検出がある。このような適用性は、テロリストの活動を含めた、かような化学的危険性に対して、建造物、港、大使館、空港及び職員を保護するのに役立つ。
本発明では、反転領域Rが、電子とイオンの空間電荷を完全に計数する三次元の電界−飛行経路計算法を使って、電子エミッタの形状に整合される。用語「整合される」は、本願で使用する場合、反転領域の静電界の形状が、反射されてカソードに戻る電子の数を、軸方向と半径方向のエネルギーが小さい電子の数で増やすように調節されることを意味する。反転領域にて反射される電子の数が増大すると、ターゲット分子のイオンが生成する機会が増大する。この点については、爆薬を含む、電子エネルギーがゼロのクラスの結合分子に対する検出感度が増大する。
このイオナイザシステムは、直接又は間接的に加熱されるカソード又は電界放出源由来の電子源を備えている。電子光学レンズシステムが、電子ビームを、抽出し、次いでそのビームに含まれている電子をゼロ又はゼロに近い電子エネルギーまで減速する静電ミラーに集束する。前記カソード源由来のエネルギーの各バンドを、このミラーの異なる平面で停止させてゼロエネルギー電子の複数の積み重ね平面を提供する。ターゲット分子を含有するターゲットガスビームをこの領域に導入し、次いで前記ゼロ又はゼロに近いエネルギーの電子を前記ターゲット分子に結合させてターゲット分子の特徴的な負イオンスペクトル(「フィンガープリント」)を生成させ次にそのスペクトルを質量分析計で分析する。
この方法と装置は、ゼロエネルギーの電子と結合する効率(断面積)が大きいターゲット分子を検出するのに特に有用である。用語「ターゲット分子」は、本願で使用する場合、RDX、TNT、PETN及びEGDNを含む爆薬などの化学薬剤を含んでいる。ターゲット分子としてはさらに、タブン(GA)、サリン(GB)、ソマン(GD)、GF、Vエイジェント(VX)(ホスホノチオ酸メチル−S−(2ビス(1−メチルエチルアミノ)エチル)O−エチルエステル)及びピリドスチグミンなどの神経ガス剤がある。ターゲット分子としてはさらに、ホスゲン(CG)、ジホスゲン(DP)、塩素及びクロロピクリン(PS)などの窒息性毒ガス剤;シアン化物などの血液毒ガス剤;硫黄マスタード(H/HD)やナイトロジェンマスタード(HN)、ヒ素剤(ルイサイト(L))及びホスゲンオキシム(CX)などの糜爛性又は発疱性毒ガス剤;並びにBZなどの無能力化剤がある。ターゲット分子としてはさらに、シアン化水素(AC)及び塩化シアン(CK)などの血液毒ガス剤並びにメース又はコショウのスプレーなどの暴動鎮圧剤がある。またターゲット分子として、プラスチック爆薬に関連する電気的陰性蒸気がある。このようなターゲット分子のパート−パー−トリリオン(pptr)以下の量が検出される。したがって、この方法と装置は、爆薬、戦争化学薬剤及び密輸品を検出するのに有用である。空気もしくは水が運ぶ極微量の化学薬剤又は乾燥沈降物もしくは海中沈降物中の極微量の化学薬剤を検出するための分離界面が提供される。
ターゲット分子が高エネルギーの電子と結合することを好む場合、ミラー電極の静電電位は弱められ、その結果、高エネルギーの電子ビームが電子結合領域を通過して、結合がそのエネルギーで起こる。この電子の結合とイオンの抽出はパルスモードで行われる。すなわち、電子ビームがパルス「オン」されて結合が起こり、電子ビームがパルス「オフ」され、続いてイオンオプティクス(ion optics)がパルス「オン」され、負イオンが抽出され質量分析計の入口アパーチャに集束される。この分析計は、必要な質量の範囲と分解能を提供するのに適したどんなタイプのものでもよい。この分析計としては、限定されないが、四重極分析計、イオントラップ分析計、磁場型分析計、飛行時間型分析計又はトロコイド型分析計がある。システム全体の小型化も実現可能であり、本願の一部とみなされる。爆薬の結合断面積はゼロ電子エネルギーにおいて大きいことが分かっておりかつその結合断面積がε−1(εは電子エネルギーである)に比例する「S波」依存性を有していることはほぼ確かである。したがって、ターゲットの活用及び負イオン生成の最適化が行われる。
一般に、爆薬の分子は、ゼロエネルギーの電子と結合する断面積が極めて大きい。この断面積は(電子速度)−1に比例して変化する。したがって、結合率(又はイオン化効率)は遅い電子の方が高い。高エネルギーの電子に結合する分子に対して、ミラーは、ターゲット分子に結合する時点でより速い電子を生成するように弱めることができる。
図1には、極微量の化学薬剤を分析するセンサ装置10が示されている。一実施態様において、極微量の分子は、固相マイクロ抽出(SPME)繊維11を隔壁12を通過させて炉13中に挿入した後、その繊維から熱で脱着される。前記炉によって、試料を蒸発させるため充分に試料を加熱する。その蒸気は、ガスライン14を通って調整式ジェット分離器15に入る。約1p.s.i.の窒素ガス好ましくは純窒素ガスに、ガス入り口16と炉13を通過させる。その窒素ガスは、極微量の化学薬剤を、ガスライン14及びジェット分離器15のソースオリフィス17を通じて運ぶ。ソースオリフィス17とスキマーオリフィス18の間の間隔は、対象の質量ピークを最大限に集束するように調節できる。その距離は、前記ソースオリフィスから超音波膨張させて、前記ジェット分離器中の窒素から重分子量の種を分離できるように調節される。
脱着炉13、ガスライン14及びジェット分離器15は、加えられる温度や力に耐えることができかつインターフェラント(interferant)蒸気を生成しないか又は吸着によって被検体蒸気の損失しないどんな材料でも製造できる。かような材料としてはチタンとステンレス鋼がある。好ましい実施態様において、炉、ガスライン及びジェット分離器はステンレス鋼製である。別の好ましい実施態様のジェット分離器はガラスライニングされている。運転中、炉とガスラインは一般に190℃に維持されジェット分離器は140℃に維持されるが、これらの温度は分析される化学薬剤に対応して調節することができる。
調節部材19(マイクロメータねじ)が、ジェット分離器の少なくとも一つの壁と調節可能に連通していてソースオリフィス17とスキマーオリフィス18の間の距離を調節できるので、ジェット分離器内のスキマー−ノズルの距離を調節できる。この距離は、分析される化学薬剤もしくは試料及び使用されるキャリヤーガスに対応して調節できる。ガス蒸気が、ノズル開口を通じて高圧領域から有意に低い圧力の領域に流動すると超音波膨張が起こる。そのノズルの直径が前記分子又はイオンの平均自由行程よりはるかに大きいと、前記分子又はイオンは前記低圧領域に入って超音速ジェットを形成する。この超音速ジェット中のイオン又は分子は、流動の統計的平均の方向又は軸を有している。このジェットの超音波膨張によって、そのジェット中の分子とイオンのエネルギー分布の幅が狭くなる。イオンが小オリフィスを通過して膨張すると、そのイオンの内部エネルギーと運動エネルギーが二体衝突によって分配されてそれらエネルギーが一層等化される。
ガスビーム23を、電子−イオン光学システムとも呼称されるセンサイオナイザ20中に導入して、前記ガス流中のターゲット分子を前記光学システム20内の低エネルギー電子ビームと接触させる。前記ガスビーム23は、ターゲットと電子が最大限にオーバーラップするように、電子ビームに対し平行又は直角に注入してもよい。図1を見れば、前記電子が、ターゲット分子(例えば、爆薬分子)を含有するターゲットガスビーム23と接触している。負イオンは、電子解離的結合法(electron dissociative attachment process)で形成させることができる。
READはパルス装置であり、そのサイクルの第一ハーフで、電子が前記静電ミラーで反射されて、負電子が結合領域内に形成される。前記サイクルの第二ハーフで、前記負イオンが前記結合領域から抽出され、次いでこの実施態様では静電分析器(ESA)24中に集束され次に四重極質量分析計(QMS)25中に集束される。この電子−イオン光学システム20、ESA24及び質量分析計25は真空チャンバー26内に封入してもよい。
どんなタイプの質量分析計も本発明に適合させることができるが、その質量分析計としては、少数の例を挙げると、PCT特許願公開第WO89/12315号に記載の可変分散(variable dispersion)質量分析計、飛行時間質量分析計、磁場型質量分析計、イオントラップ及び四重極質量分析計がある。四重極質量分析計(QMS)25は一般に4本の棒状電極を備え、それら棒状電極は、これら電極をその両端で保持する一対の非導電性ホルダー及びその非導電性ホルダーを掴む一対のプレートによって、中心軸に平行にかつその中心軸の周りに対照的に配置されている(例えば、米国特許第5,459,315号参照)。
負イオンの質量分析計は、出発試料中に存在する特定の種の独特のフィンガープリントである。READサイクルの第一ハーフでレンズ要素に印加される電位差によって、結合領域に形成された正イオンが、抽出されて静電分析計(ESA)24中に集束され、その静電分析計は前記正イオンが前記質量分析計に入らないように反射する。したがって、ESAは、READで生成した負イオンと正イオンを識別する方法を提供する。前記負イオンと正イオンが識別されなかったならば、その質量スペクトルは、もはや対象の種の独特のフィンガープリントではない。
正イオンと負イオンはESAを使わずに識別することができる。例えば、識別は、質量分析計へのイオンの到達時間に基づいて行うことができる。負イオンは、READサイクルの第二ハーフにおいてのみ質量分析計に集束され、一方、正イオンは第一ハーフ中に現れる。前記サイクルの第二ハーフ中のデータ収集を除外することによって、負イオンの質量スペクトルの一意性を保持できる。
図2を参照すると、電子−イオン光学システム20は、球面カソードと電子抽出器の要素(F、V1、V1’)21、反転要素(V2、V2’、V3)22、イオン抽出要素(V2、V2’、V3、V4)27、MOSFETスイッチ(S1−S4)30及びこのMOSFETスイッチを制御するクロック33を備えている。前記MOSFETスイッチは、球面カソード要素21、反転要素22及びイオン抽出要素27と作動的に連結している。前記球面カソード要素21は、直接加熱されるカソード又は間接的に加熱される酸化物のディスペンサカソードのような電子エミッタ(F)31を備えている。この電子源(すなわち、電子エミッタ又はカソード)31は電子を放出しその電子は反転要素22中に集束される。用語「球面カソード」は、本願で使用する場合、電子を放出する、半球の一部分の凹面を有するカソードと定義する。その電子エミッタの設計には、その球面カソードの幅を決定するためにチャイルドの法則を使用できる。このカソードの凹面は、2r(rは曲率半径である)が前記幅より大きいような曲率半径rで設計できる。曲率半径を1/2まで小さくすると、カソードの幅は、電子放出が最大の真の半球面になるが、その半球の端縁の近傍で放出される電子は、初期の運動方向が、集束し加速するレンズ要素の軸線に対し直角であるので、形成されるビームの所望の形状を損なう傾向がある。
前記反転要素は、静電ミラーとして機能して反転(R)位置32において電子の運動エネルギーを減らすか又は中和する。その反転要素は電界を生成する電極を備えている。その電界は、電子速度を、ゼロ又はゼロの近くまで減らすことによって修正するレンズとして作用する。反転要素を含む電極V2とV2’はこの用途に適した導電性金属などの材料であればよい。その電子源と反転要素はレンズスタック36を備えている。このレンズスタックを有する要素の構造は、前記球面電子エミッタの形状に整合した反転領域を提供するように成形される。これは、反転要素の等電位面における電子の飛行経路を分析することによって達成される。先に述べた方法とは対照的に、本発明の方法のカソードの等電位球面は、それを平行の電界配置構成中に真直ぐにすることによって等電位平面に変換されない。本発明のシステムでは、等電位球面はシステム全体にわたって(すなわちカソードから反転領域まで)維持される。電界と飛行経路は、電子とイオンの空間電荷を完全に計数する三次元の電界−飛行経路計算法を使って計算される。一般に、この計算法は、コンピュータコードの一要素である。位置Rで反転された電子の性質、すなわちそれら電子の半径方向と軸方向の速度の差が、いかにゼロまで小さくなっているかは、レンズの位置、レンズの形状及び電子ビームの空間電荷度を含むレンズスタックの構造の関数として監視される。その監視は、位置Rにおけるこれら性質について、前記コンピュータコードに問い合わせることによって達成される。
前記電子ビームは、ファストスイッチS−Sによって、約50%のデューティサイクルで方形波変調される。これらスイッチは、全浮動レンズ電圧間の速い(50ns)立ち上がり時間を保証するpower MOSFETベースのスイッチである。試料分子に対する電子の結合は、電子ビームが「ON」のとき、デューティサイクルの第一ハーフ中、反転平面Rで起こる。生成した負イオンはデューティサイクルの第二ハーフ中(電子ビームは「OFF」)に抽出され次いでイオン抽出要素(V2、V2’、V3、V4)27によって静電分析器(ESA)24の入口平面(W1)中に集束される。その抽出されたイオンは次にESAによって反射され電荷の標識を保証し、さらに四重極質量分析計(QMS)25の入口平面(W2)中に集束される。
電子は、電極Fで生成して、試料分子に対する結合又は解離的結合(DA)が起こる反転領域R中に加速される。ファストスイッチS−Sは電子を第一ハーフ中にパルスさせ、そして負イオンを第二ハーフ中、静電分析器24の方に向けてパルスさせる。前記ESAによって選択されたイオンはQMS中に集束され個々の質量が検出される。
別の実施態様では、ESA24に含まれているアパーチャ40の入口を遮蔽する器具が設けられている。先に述べたように、本発明の装置は静電分析器(ESA)24を備えている。そのESAは、電子エネルギーフィルターとして作用することによって負イオンと正イオンを識別する手段を提供する。このようなフィルターは、本願用に作製された静電エネルギー分析器又は電磁エネルギー分析器であればよく、例えば円筒形の静電分析器又は半球形の静電分析器がある。
反転領域で形成された負イオンはESA24中に集束される。しかし、READサイクルの第一ハーフ中にレンズ要素に印加される電位差のため、結合領域で形成された正イオンも抽出されESA24中に集束される。そのESAは通常、不要の正イオンを、質量分析計に入らないように反射する。図3Aと図3Bを参照して述べるが、本願の試験によって、電子エミッタFの視線内にある位置38におけるESAの外表面が、非導電性物質で汚染されやすいことが確認された。この非導電性物質は試料中に存在する化学成分が分解して生成する。このような分解は、前記ESA要素の外表面が正イオンによって帯電されることが原因である。
ESAの前記表面の帯電作用を減らして装置内の非導電性汚染物質の分解を阻止するため、ESAの外側球面上に位置しかつ電子エミッタFの直接視線内にある器具38(図3Aと3B)が設置されている。器具38は、静電界の完全性を維持しながら、ESAの最も汚染されやすい臨界領域の表面積を減らす。この器具は、アパーチャ40の入口を遮蔽するが、ESA24を貫通する負イオンの経路を破壊しない材料で構成されている。さらに、この器具は、正イオンがアパーチャ40を通ってESAから出る出口を完全には阻害しない材料で構成されている。この器具はアパーチャ40の入口に配置されている。アパーチャ40は、正イオンがESAから出る、ESAと一体に連結しているチャネルを備えている。この器具はESAから取り外すことができるか又は取り外すことができなくてもよい。
アパーチャ40の入口に配置されている器具38は、ESAの外表面に位置しかつ電子エミッタFの直接視線内に位置する臨界領域42に非中実表面を形成する複数の開口を提供するメッシュ、スクリーン、膜又は多孔性材料でよい。前記器具は、臨界領域内に、100%未満の中実表面領域を提供する。例えば、この器具は、臨界領域に、約10%の中実表面領域を提供しているので汚染物質がコートする材料を約90%減らすことができる。指定位置において100%未満が中実でありかつESAの静電界の完全性を維持するのに充分な中実表面の大きさは本発明に含まれると解される。
図4を参照して述べるが、レンズスタックの構造が、最初に特定され次いで電子の飛行経路の情報に対応して電子の反転が電子の放出に整合するように修正される。電子の飛行経路は、反転領域Rにおける電子の軸方向と半径方向の運動エネルギーの計算結果から分析して特定できる。前記電子の軸方向と半径方向の運動エネルギーは、それ計算自体から得られる。あるいは、電子の飛行経路は、電子ビームが反転領域で行う反射の回数を具体的に知ることによって、視覚で調べることができる。反転領域Rで計算された電子のエネルギーが2meVより小さくかつ電子ビームが反転領域で行う反射の回数が5回を超えるならば、レンズスタックの構造は最適化されていると認められる。その全レンズスタックの構造は、球形凹面の電子エミッタの構造に整合させることができる。したがって、その全レンズの構造は、コンピュータフィールドにて飛行経路を分析すると考えられる。
前記レンズスタックの構造(すなわちレンズスタックを構成する要素の形状と位置)は、最初特定され次いで電子エミッタの構造と整合するように修正される。
電子ビームの空間電荷の分布及びレンズの構造は、計算又はコンピュータコードによって特定できる。電界の球形の配置構成における電子の電界と飛行経路を特定する手段は、当業者に知られているあらゆる手段を含んでいる。例えば、ヘルマンスフェルト電界(Herrmannsfeldt field)と飛行経路コードを使って電子の飛行経路を計算できる。追加のコードとしては、限定されないが、MEBS code(Munro Electron Beam Software)、MAFIA code及びVECTOR
FIELDS codeがある。
電子は、反転領域に接近すると、減速されてその運動エネルギーは数ミリ電子ボルトまで低下する。そのエネルギーはほとんどすべてが位置エネルギーになる。試料の分子は低エネルギー電子の領域を通過する。したがって、電子源31から放出された、特定のエネルギーを有する電子は、反転要素(すなわち静電ミラー)22によって、反転平面においてゼロ又はゼロに近い縦方向と半径方向の速度まで減速される。電子源から放出される電子は、平均のエネルギーが約0.25電子ボルトのボルツマン分布の運動エネルギーを有している。静電ミラーの電子反転の領域は、前記レンズシステムの軸に沿ってスタックされた反転平面の空間範囲(spatial extent)で構成さている。例えば、運動エネルギーが小さい電子が反転した後、運動エネルギーが大きい電子が反転する。
前記静電ミラーは、反転平面の空間範囲とターゲット分子ガスビームの空間範囲とが交差しやすいようにして、減速されたか又は停止された電子とターゲット分子との空間のオーバーラップを促進するように設計される。その空間のオーバーラップが促進されると、電子のターゲット分子に対する結合の効率が増大する。したがって、本発明の静電ミラーは、大きい電位差をかけるとシャープな反転領域が生成するので、大きい電位差がかかることを避けるように設計されている。このシャープな反転領域は空間の範囲が狭いので、ターゲットビームとの空間オーバーラップが最適のオーバーラップより小さくなる。同様に、静電ミラーは、それに低電位差がかかることも避けるように設計される。かような電位差は、1)高電子流に対するプアーな反転パケット(パケットは半径方向のエネルギーが非常に高い)及び2)ターゲットビームより空間範囲が大きい平面を助長する空間中に反転平面を広げるので、オーバーラップ又はイオン化の効率が全く最適でなくなる。
静電ミラーでの反転に続いて、ガスビーム内に存在するターゲット分子と結合しなかった電子は、後方に反射されて静電レンズシステムを通過して反対方向に走行する。本発明の装置は、これら「後方への」飛行経路の作用が、反転領域に入る前進電子の飛行経路の飛行経路に含まれるように、その後方への飛行経路を拘束して集束する機構を提供する。
球面カソードの要素とレンズスタックの構造はソフトウェアを含むコンピュータと連携している。そのソフトウェアは、レンズスタックの構造を球面カソードの要素に対して最適化する。電子放出の形態を修正するには、運動エネルギーが小さい電子と反転領域(R)(図1と図2の32)を横切るガスビーム中に存在するターゲット分子との間の相互作用を高めるため、レンズスタックの要素の構造を修正する必要がある。球面電界配置構成における電子の経路を計算する(すなわち等電位球面として)。先に述べた化学薬剤検出システムとは対照的に、球面飛行経路は、平行な電界配置構成に線形化されない。したがって、反転領域で起こる電子反転量をより正確に確認する手段が提供される。
電子反転システム内の電子の飛行経路を計算する先に述べた試みは、制限がある。かような試みでは一般に計算がセクションに分割される。例えば、米国特許第5,374,828号(‘828号)では、電子の飛行経路は、前記システムを二つの部分、すなわち電極11,11’、12、13,14を含む部分1及び電極12−17を含む部分2に分割することによって計算された(‘828特許の図1参照)。三つの電極13−15は、部分1からのフリンジング電界が部分2に含まれるように両方の部分に共通に作製された。部分1の電子飛行経路を特定した後、その出力飛行経路を、電位が両部分内で同一のレンズ軸上の位置の部分2中に注入した(初期条件として)。ところが、電子の飛行経路を分割し続いてそれらをつなぎ合わせて元に戻すことは、本来、本願に記載の方法より精度が低い。
したがって、レンズスタックを含む要素の構造は、球面の電子エミッタの構造に整合した反転領域を提供するように成形される。レンズ要素V1とV2(図2の21と22参照)の小さい球形先端は、レンズスタックが、反転要素の等電位表面における電子の飛行経路を分析することによって、どのように球面抽出法に適応するように最適化できるかを示す例である。最初の分析が完了したならば、レンズスタックは電子源の構造に整合するように修正される。先に述べたように、レンズスタックの要素の構造は電子エミッタに対し最適化される。電子放出の形状を修正するにはミラーの形を修正する必要があるから前記最適化は同時に行われる。前記静電レンズシステムのこれら二つの部分すなわち電子源と静電ミラーは連結されたシステムを構成している。これらシステムの最適の結合効率は、電子ビームが反転領域とカソードの間を多数回通過することを保証することから生れる。この作用は、最高の電子流で電子がターゲットビームを通過する回数を最大にすることができる。本発明は、電子源と、静電ミラーを備えたレンズシステムとを結合する装置と方法を提供するものである。この電子源とレンズシステムは、電界と飛行経路のコードがその電子源から放射された電子流の単一パケットの飛行経路だけをモデル化することに限定されないように、同時に変調される。したがって、多数の反転が、結合されたレンズシステムのカソードと反転領域の間を往復する電子電荷のセグメントとして、前記コード中に観察される。
例えば、図2を参照して述べるが、電子源31は、電子がレンズシステムによって抽出され加速される、直接加熱の球面カソードを備えていればよい。次いでその電子は静電ミラー中に集束される。このミラーは、電子ビームを、反転平面Rにおいて、縦方向の速度をゼロまでかつ半径方向の速度をゼロの近くまで減速する。Rにおいて、前記反転した電子ビームは、ターゲット分子のビームと交わるか又は「交差」する。前記結合法又は解離的結合(DA)法でRに形成された負イオンは、次いで、要素V3とV4によって抽出される。
コンピュータシミュレーションの前記具体的説明は、明白な期間にわたって連続的に放射された電子流を集束し反転する結合レンズシステムの説明である。この光学システムの設計は、高性能の反転がシステム中に電子を連続的に注入することによって行われることを保証している。
実施例
極微量の爆発性物質を含有している疑いがある沈降物は各種の技法を使って抽出した。一つの技法では固相抽出法(SPE)を使用し、別の技法では塩析溶媒抽出法を使いそしてさらに別の技法では膜SPE法を使用した。本願の試験では、水溶液からの爆薬の抽出は固相微量抽出法(SPME)で行った。SPME法は、各種のセンサ技法、例えばガスクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーがうまく統合されてなる技法である。ポリ(ジメチルシロキサン)ジビニルベンゼン(PS−DVB)繊維を使用したが、これはTNT抽出用の市販繊維の中で最高の相対効率を有することが見出された。
爆薬のSPE繊維からの熱による脱着は、高温で行うべきであり、その温度としては、被検物の沸点より僅かに高い温度が提案される。時間の経過とともに起こる前記繊維からの脱着の状態は図5に示してある。TNTの負イオンの質量ピークm/e=167をモニターする。先に述べた炉の温度(約190℃)で、脱着工程は1〜2分間かかる。ブランク抽出の試験結果も図5に示してある。ブランク試料を注入した後にバックグランドレベルがゆっくり上昇しているのは、READチャンバーの圧力が、8×10−6トルから1.4×10−5トルまで上昇することが原因である。一般に、沈降試料のSPME法による抽出物は、順次、SPME法による抽出物に既知濃度のTNTを添加した試料及び海水のブランクとともに分析する。
爆薬が前記繊維から脱着される1〜2分間に、四重極質量分析計はフラグメンテーションパターンを各種の質量ピークに調整して、その特徴的な解離的結合のフィンガープリントを精密に示すことができる。図6は、水中のTNTの濃度に対する前記システムの感度曲線を示す(m/e=167uをモニターする)。ハッチングをつけた領域は、表示された信号に対応するTNTの濃度を特定する際の感度とその誤差を示す。m/eが227u及び197uであるイオンが検出されたならば、TNTがそのSPME抽出物中に存在していることを示している。これらイオンが存在せず、m/eが182u、167u及び151uのイオンが検出されたならば、DNTの異性体が存在している。
表1は、本発明の方法と装置を使用して空気中の極微量の種を検出する際の感度を示す。
Figure 2006511062
本発明は、従来の材料、方法及び装置を採用して実行できる。したがって、このような材料、装置及び方法の詳細は、ここでは詳細には述べない。本発明を完璧に理解するため、特定の材料、構造、化学薬剤、方法などの多数の特定の詳細事項は先の説明に述べられている。しかし、本発明は、その具体的に述べられた詳細事項に頼ることなく実施できると認識すべきである。別の例では、周知の処理構造物は、本発明を不必要に分かりにくくしないように詳細には述べていない。本発明の実施態様だけでなくその多能性を示すいくつかの実施例を本願の開示事項に示し記載してある。本発明は、各種の他の組合わせと環境で使用することができ、かつ本願で述べられている発明の思想の範囲内で変更又は修正を行うことができると解すべきである。本発明は、その具体的実施態様に関連して説明されているが、本発明はさらに修正できると解すべきである。本願は、一般に本発明の原理にのっとりかつ本発明が属する技術分野内の公知の慣行に入る本願開示事項から外れた事項を含む本発明のあらゆる変形、使用又は適応をカバーするものである。したがって、他の実施態様は、本願の請求項の範囲内に入っている。
ターゲット分子を検出するシステムの概略図を示す。 電子イオン光学システムの概略図を示す。球面カソード要素(F、V1、V1’)、反転要素(V2、V2’)及びイオン抽出要素(V3、V4)が示されている。負イオンが静電分析器(ESA)によって90°反射されて四重極質量分析計(QMS)中に入る。レンズ要素の電圧はマスタークロックによって制御される高速MOSFETスイッチ(S1−S4)でサイクルされる。ESA外側球面上のアステリスク(*)は、エミッタFの直接視線内にある領域を示す。 エミッタFの直接視線内に位置するESAの外側球面とアパーチャの拡大図を示す。電界の完全性を維持する器具が前記アパーチャを遮蔽(カバー)して非導電性物質が分解するのを阻止する。 エミッタFの直接視線内に位置するESAの外側球面とアパーチャの拡大図を示す。電界の完全性を維持する器具が前記アパーチャを遮蔽(カバー)して非導電性物質が分解するのを阻止する。 ターゲット分子を検出する代表的な方法の流れ図を示す。 質量(m)/電荷(e)比(m/e)が167uのTNT負イオンフラグメントの信号の表示を示す。時間は、400ppbの標準TNT溶液からの抽出物、未知濃度の沈降物抽出試料及びブランクを注入した後の時間を示す。 TNTの水中濃度に対するシステムの感度曲線を示す(m/e=167uを監視)。斜線を施した領域は、表示された信号に対応するTNTの濃度を特定する際の感度とその誤差を示す。
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