JP2006510629A - 被検体における免疫応答を調節するための組成物および方法 - Google Patents

被検体における免疫応答を調節するための組成物および方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、被検体での免疫応答を調節し、特に腫瘍、顕著には固形腫瘍や感染症のある被検体を処置するための組成物および方法に関する。開示されているのは、被検体でのγδ T細胞の活性を調節する方法などによる被検体での自然免疫の調節方法である。開示されているのは、サイトカインおよびγδ T細胞活性化因子との組み合わせ、特定の投与計画および薬用量でγδ T細胞がin vivoで顕著に増殖すること、さらには被検体の免疫防御が顕著に増加することである。好ましいγδ T細胞活性化因子には、BrHPP(ブロモヒドリンピロホスフェート又はPhosphostim)、CBrHPP、HDMAPP、CHDMAPP及びEpox−PPが挙げられる。

Description

本発明は、被検体における免疫応答、特に被検体におけるT細胞応答を調節するための組成物および方法に関する。具体的には、本発明は、被検体でのγδ T細胞の活性を調節するなどの方法で、被検体における先天性免疫を調節する効率的な方法を開示するものである。さらに本発明は、固形腫瘍、特に転移を伴う腫瘍の処置に前記方法および化合物を利用できることを示すものである。
ヒト末梢血γδ T細胞はその大半がVγ9/Vδ2遺伝子によってコードされるγδ TCRヘテロダイマーを発現し、クラスI MHCに対するNK系統受容体をいくらか発現し、CD4やCD8についてはほとんど発現しない。これらの細胞は、ウイルス感染細胞(Pocciaら(1999)、寄生生物感染細胞(Constantら(1995))または腫瘍細胞(Fournie et Bonneville (1996))に対して、強い非MHC制限細胞溶解活性を呈することが明らかになっている。また、これらの細胞は、結核、マラリア、野兎病、大腸菌症などのいくつかの無関係な感染症との関連で、さらにはB−細胞腫瘍によって(概要については、Hayday,2000を参照のこと)、生理学的に増幅される。
こうした細胞の抗感染活性とは別に、Vγ9/Vδ2 T細胞は、B−細胞、T−細胞または骨髄細胞系からのリンパ腫および白血病(Fischら、1997;Selinら、1992;Sicardら、2001;Sturmら、1990;Zhengら、2001a)、乳癌(Bankら、1993)、神経膠芽腫(Fujimiyaら、1997;Yamaguchiら、1997)、腎細胞癌(Choudharyら、1995;Kobayashiら、2001;Mitropoulosら、1994)、上咽頭癌(Zhengら、2001b)、肺腺癌(Ferrariniら、1996)といった極めて幅広い起源に由来する多種多様な腫瘍細胞系を溶解できることが短期細胞毒性試験で明らかになった。
微生物(microbe)では、Vγ9/Vδ2リンパ球は、天然ホスホ抗原およびアルキルアミンと呼ばれる構造的に関連した一組の非ペプチド抗原を自発的に認識する。B細胞腫瘍では、γδ T細胞に対する抗原の性質はまだ同定されていない。Vγ9/Vδ2リンパ球も、事前の曝露なく、さまざまなウイルス感染細胞型、ウイルス活性化細胞型または腫瘍細胞型に応答する。繰り返すが、こうした状況で原因となる抗原は分かっていない(概要についてはFisch,2000を参照のこと)。in vitroでは、Vγ9/Vδ2 2リンパ球が、治療用アミノビスホスホネートなどの合成薬に応答し(Espinosa,2001にて概説)、in vitroでの活性化につながることが明らかになっている。天然非ペプチド抗原の認識は、Vγ9−CDR3領域とVδ2−CDR3領域の両方に所在するアミノ酸残基を介して、γδ TCRによって行われる。CD1またはMHC分子による処理と提示はどちらも関与していないが、非ペプチド抗原によるVγ9/Vδ2リンパ球の活性化には細胞と細胞との接触が必要であるようにみえる(Lang,1995;Morita,1995;Miyagawa,2001、Rojas,2002)。
刺激性の(stimulating)細菌抗原には、多くの場合はホスフェート基が存在することから、かつてホスホ抗原と呼ばれていた小さな非ペプチド化合物であることが明らかになっている(Behrら、1996;Belmantら、2000;Constantら、1994;Poquetら、1998;Tanakaら、1995)。
メバロン酸塩経路の内在性代謝産物:IPP
Vγ9/Vδ2 T細胞については、微生物細胞と哺乳動物細胞の両方にみられる従来のメバロン酸塩経路を介して生成される、イソペンテニルピロホスフェートまたはIPPなどの内在性代謝産物(ミクロモル範囲で作用)によって活性化させることもできる(Espinosaら、2001b;Tanakaら、1995)。後者の細胞におけるIPPの生成は、細胞ストレスおよびトランスフォーメーションの状況で上方制御可能なものである。特に、昨今の研究で、腫瘍細胞におけるIPPの内在産生レベルとVγ9/Vδ2 T細胞による細胞溶解に対するその感受性との相関が報告されている(Goberら、2003)。
内在性代謝産物を調節する化合物:スタチンおよびアミノビスホスホネート
メバロン酸塩経路の内在性代謝産物がVγ9/Vδ2 T細胞の認識に対して果たす直接的な役割とも一貫して、IPP生合成を妨げる薬剤(スタチンなど)あるいはIPPの蓄積につながる薬剤(アミノビスホスホネートなど。後述)で細胞を処理すると、それぞれ処理細胞のVγ9/Vδ2 T細胞刺激特性が低下または亢進する(Goberら、2003; Katoら、2001)。
アミノビスホスホネートも、メバロン酸塩経路における酵素であるFPP合成酵素を阻害し、その阻害によってIPPなどの上流のイソプレノイド脂質が蓄積・放出されると考えられている。アミノビスホスホネート化合物は、がん患者での骨への転移を治療すべくヒトでの治療に用いられてきたもので、パミドロネート60〜90mgを静脈内注射する治療後に多発性骨髄腫を有するヒトの成人で1から3週間以内に循環γδ T細胞が増加することを示す、ホスホ抗原アゴニストによって誘導されるヒトVγ9/Vδ2リンパ球のin vivoでの増殖に対する最初のまとまった証拠となった(Kunzmannら、1999)。しかしながら、このような化合物は抗原提示細胞による提示を必要とし、純なVγ9/Vδ2 T細胞培養におけるサイトカイン分泌から評価したところ、Vγ9/Vδ2 T細胞活性の実質的な刺激を生むことはできない。さらに、パミドロネートはγδ T細胞の活性力価が極めて低く、γδ T細胞数がせいぜい2倍になるだけであるとの報告がある(Wilhelmら、2003)。
比活性の高いホスホ抗原
最近になって、γδ T細胞を直接活性化する力価の高いγδ T細胞活性化ピロホスフェート含有化合物がいくつか報告されている。特に、ホスファリヒドリン(phosphalyhydrin)およびホスホエポキシド化合物が、J.J.Fournieのグループによって報告された。現在では、γδ T細胞のex vivoでの増殖を刺激する目的で、ヒトで行われている臨床研究にはBrHPP(ブロモヒドリンピロホスフェート)とも呼ばれる(R,S)−3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェートが用いられている。原核微生物及び真核微生物に特異な「ロメール」または「非メバロン酸塩」経路と呼ばれるイソプレノイド生合成経路で、比活性の高い(ナノモル範囲またはこれよりもよい範囲でEC50)他のピロホスフェート含有化合物が生成される(Feurleら、2002;Jomaaら(2003);Jomaaら、1999a;Jomaaら、1999b;Rohmerら、1993)。
上述したアミノビスホスホネートおよびスタチンとは対照的に、式I〜式XVIIにあげた化合物などの比活性の高いホスホ抗原化合物は、サイトカインの分泌を基準にモニタリングして判断すると、ミリモル濃度での培養中にてVγ9/Vδ2 T細胞クローンの個体群でVγ9/Vδ2 T細胞活性を調節できる。ホスホ抗原の厳密な認識モードは分からないままであるが、遺伝子移入実験によって、Vγ9/Vδ2 TCRがホスホ抗原による活性化に対して直接的に影響していることが示されている(Bukowskiら、1995)。このため、Vγ9/Vδ2 TCRを結晶解析して導かれた昨今の構造データは、抗原側の負に荷電したホスフェート残基とTCR側の正に荷電したいくつかのアミノ酸との間の静電相互作用による、ホスホ抗原とγδ TCRとの対応する相互作用と整合する(Allisonら、2001)。
γδ T細胞活性化化合物の投与を伴う処置方法
上記にかかわらず、さまざまな化合物群から得たアナログの合成とin vitroでの試験を含むホスホ抗原に関する研究から、高いγδ T細胞活性化をもたらす構造、特に本明細書にて記載の式Iの化合物が明らかになる。しかしながら、比活性の高いホスホ抗原をin vivoで使うための方法または処置計画については何ら提案されていない。このため、γδ T細胞活性を大幅に高められるだけの十分なin vivoでの刺激を伴う戦略に対する方法または処置計画も提案されていない。
一面では、in vivoでの好適なモデルがないことから、γδ T細胞活性化化合物に基づく処置計画の研究ができずにいる。in vivoでのさまざまなモデルによって、生来の免疫系の一般的な免疫監視機能を示す徴候が得られており、NK細胞、NKT細胞またはγδ T細胞などの生来のエフェクター細胞の欠損マウスでは腫瘍発生率の有意な増加が認められる(Girardiら、2001;Kimら、2000;Smythら、2000)。しかしながら、ヒトでは、これらの細胞個体群がマウスの場合に比して少々異なっているため、十分に注意しなければ上記の結果をヒトの場合に当てはめることはできない。特に、ヒトVγ9/Vδ2細胞個体群などには、齧歯類で公式に同等であるとされているものがない。
上記に鑑みて、いくつかの化合物がin vitroでの活性を持つことが明らかになってはいるが、こうした化合物のin vivoでの活性ならびに、広義には刺激に応答してのin vivoでのγδ T細胞動態は、いまだ探求されていない。このため、治療に適した条件下にて、被検体においてin vivoでγδ T細胞を選択的に活性化するには、効率のよい方法が必要である。
さらに、腫瘍の処置、ことさら固形腫瘍、特に転移を伴う固形腫瘍の処置に向けた、in vivoでの循環γδ T細胞の多様な増加を刺激することを含む治療戦略は、まったく開発されていない。腫瘍に対する処置の安全性ならびに有効性は、さまざまな要因で変わることがあり、処置についても、腫瘍の増殖動態、腫瘍細胞の薬剤耐性、全身腫瘍細胞負荷、細胞に対して治療がおよぼす毒性作用、腫瘍以外の組織、患者の組織内での治療薬の分布などによって影響されることがある。一次腫瘍が大きくなればなるほど、診断される前に多数の細胞(薬剤耐性および薬剤感受性)が転移して患者に病気が再発する確率が高くなる。ヒトに起こるがん全体の90%以上を固形腫瘍と癌腫が占め、リンパ腫や白血病の治療にモノクローナル抗体ならびに抗毒素を用いることが検討されてはいるが、このような薬剤の多くは癌腫や他の固形腫瘍に対する臨床試験では非常に効果の薄いものであった。エフェクター細胞をベースにした処置にこれほど効果のないことに対して考えられる理由のひとつに、細胞を固形腫瘍に移動させるのが容易ではない点があげられる。あるいは、仮に腫瘍塊の中に入り込めたとしても、これらの細胞は、腫瘍細胞間のしっかりとした結合、線維性ストロマ、間質の圧較差、結合部位のバリアなどがゆえに均一に分散されない場合がある。
発明の概要
本発明は、γδ T細胞の活性、特に、γδ T細胞の活性化および増殖を、被検体でin vivoにて効率よく調節する上で利用できる特定の組成物および方法を開示するものである。これらの組成物および方法は、被検体、特に腫瘍のある被検体、さらには固形腫瘍のある被検体での免疫療法に特に適している。とはいえ、本発明は、他の疾患、特に感染症に羅患した被検体の治療にも役立つことがある。
本発明者らによる本明細書に記載の組成物および方法は、一連の結果に立脚している。一態様では、比活性の高いピロホスフェート化合物によってex vivoで活性化させた自家γδ T細胞を利用した治療戦略によって、ex vivoで刺激したγδ T細胞を転移性腎細胞癌の処置に利用する進行中の臨床研究で、ヒトの患者における抗腫瘍活性の指標を示す。別の態様では、本発明による組成物および方法は、γδ T細胞の生物活性のin vivoでの亢進ならびに、γδ T細胞個体群の多様な増殖の両方を含むγδ T細胞の活性を調節する過程を伴う、動物での第1の周知の実験から得られた一連の所見に立脚している。さらに、γδ T細胞活性化とγδ T細胞媒介抗腫瘍活性の評価試験に適合させた新規なNod−Scidマウスモデルでは、動物に投与した力価の高いγδ T細胞活性化化合物によって、γδ T細胞活性をin vivoにて調節でき、γδ T細胞が固形腫瘍に浸透し、さらには固形腫瘍、特には転移性腫瘍の塊を減らす上で、このような処置が効果的であることが明らかになった。転移性固形腫瘍のあるヒトの患者から得た培養中で新鮮な細胞に対しては、γδ T細胞活性化因子刺激γδ T細胞の抗腫瘍効果が観察されたが、同じ患者から得た非腫瘍細胞に対しては、このような効果は観察されなかった。このような発見に基づいて、本発明者らは、γδ T細胞の活性を調節できる化合物を用いる固形腫瘍の治療法を考案した。
さらに実験を行って、比活性の高いγδ T細胞活性化因子のin vivoでの動態を求めた。これによって、このような化合物を投与し、感染、自己免疫疾患、腫瘍を処置することまたは防止することを含む、免疫応答の調整が望ましい広範囲にわたる用途で、上記化合物を処置に利用する方法が得られた。特に、in vivoでのγδ T細胞動態を解明したところ、特に以下のような所見が得られた。
(a)投与計画に応じて、γδ T細胞活性化因子を利用して、サイトカインの放出と細胞個体群の増殖によって示される細胞の活性化を含め、γδ T細胞の活性を繰返し調節することができ、薬剤投与の間隔を特定の間隔にすることでγδ T細胞活性が最適な形で再刺激されること、
(b)サイトカイン、特にIL−2、さらには特定用量のIL−2を投与計画に加えるとにより、γδ T細胞のin vivoでの増殖が改善されること、
(c)γδ T細胞活性を亢進できるγδ T細胞活性化因子に対するin vitroでの活性をin vivoの薬用量投与計画に置き換える方法、
(d)γδ T細胞活性化因子を利用してγδ T細胞活性を高められる特定の薬用量および投与計画。
一態様では、本発明は、少なくとも1回の処置で、治療有効量のγδ T細胞活性化因子を薬学的に許容可能な担体と一緒に、このような処置が必要な温血動物に投与する工程を含む、腫瘍の処置方法を開示するものである。特に好ましい態様では、少なくとも1回の処置で、治療有効量のγδ T細胞活性化因子を薬学的に許容可能な担体と一緒に、このような処置が必要な温血動物に投与する工程を含む、固形腫瘍の処置方法が得られる。また、少なくとも1回の処置で、治療有効量のγδ T細胞活性化因子を薬学的に許容可能な担体と一緒に、このような処置が必要な、転移した固形腫瘍のある温血動物に投与する工程を含む、固形腫瘍の処置方法も得られる。前記腫瘍の処置方法は、好適な方法で実施可能なものである。好ましくは、前記方法は、固形腫瘍のある温血動物のγδ T細胞を治療有効量のγδ T細胞活性化因子と接触させる工程を含み、あるいは場合により、前記方法は、固形腫瘍のある温血動物の血流中に治療有効量のγδ T細胞活性化因子を提供する工程を含む。特定の実施形態では、前記腫瘍は転移した固形腫瘍である。あるいは、前記腫瘍が血液腫瘍であり、好ましくはリンパ腫である。場合により、前記腫瘍は転移性腫瘍である。好ましくは、前記腫瘍は、肺の腫瘍と、結腸直腸の腫瘍と、前立腺の腫瘍と、乳房の腫瘍と、類表皮頭頸部の腫瘍と、からなる群から選択される。本発明の好ましい態様では、前記腫瘍は腎臓がんであり、好ましくは転移性の腎臓がんである。あるいは、前記腫瘍は、黒色腫と、卵巣がんと、膵臓がんと、神経芽細胞腫と、頭頸部がんと、膀胱がんと、腎臓がんと、脳腫瘍と、胃がんと、からなる群から選択される。好ましくは、前記方法が少なくとも2回の処置を含む。好ましくは、前記γδ T細胞活性化因子を処置間隔約2週間から約8週間で投与し、一層好ましくは処置間隔約3週間から約4週間で投与する。場合により、少なくとも3回、4回または6回の処置を前記動物に対してほどこす。好ましくは、前記温血動物でγδ T細胞の生物活性を亢進させる。好ましくは、前記温血動物で循環γδ T細胞数を増やす。特定の実施形態では、前記γδ T細胞活性化因子の量は、被検体でγδ T細胞個体群を増殖させ、少なくとも30%、40%、50%または60%に達し、あるいは全循環リンパ球の30〜90%に達するのに十分な量である。別の特定の実施形態では、前記γδ T細胞活性化因子の量は、被検体のγδ T細胞個体群を少なくとも10倍に増加するのに十分な量である。好ましくは、前記γδ T細胞活性化因子の投与後4日目から8日目の間に前記γδ T細胞個体群を評価し、一層好ましくは前記γδ T細胞活性化因子の投与後5日目、6日目または7日目にこれを評価する。好ましくは、前記γδ T細胞個体群をフローサイトメトリーで評価する。好ましくは、前記γδ T細胞はVγ9/Vδ2 T細胞である。場合により、前記γδ T細胞活性化因子を静脈内注入で投与し、好ましくは前記注入を約5から約120分間で行い、一層好ましくは約5から約30分間で行う。さらに好ましい態様では、これらの方法にはさらに、サイトカイン、好ましくはIL−2を投与することを含む。
もうひとつの態様では、2回以上の処置で、治療有効量のγδ T細胞活性化因子を、薬学的に許容可能な担体と一緒に、このような処置が必要な温血動物に投与することを含み、γδ T細胞活性化因子は、処置間隔約2週間から約8週間で2回以上の処置にて投与される、温血動物での腫瘍疾患の処置方法が開示される。また、(a)温血動物のγδ T細胞を治療有効量のγδ T細胞活性化因子と接触させ、(b)工程(a)での前記接触後に工程(a)を約2週間から約8週間以内に少なくとも1回繰り返すことを含む、温血動物でγδ T細胞を刺激するための方法も開示される。また、(a)温血動物の血流に治療有効量のγδ T細胞活性化因子を提供し、(b)工程(a)での前記接触後に工程(a)を約2週間から約8週間以内に少なくとも1回繰り返すことを含む、温血動物でγδ T細胞を刺激するための方法も開示される。場合により、工程(b)は、前記方法が工程(a)を少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回または少なくとも6回繰り返すことを含むものであってもよい。
また、本発明者らは、固形腫瘍のある温血動物のγδ T細胞を、被検体でγδ T細胞個体群を増大させ、全循環リンパ球の少なくとも30%、40%、50%または60%、あるいは30〜90%を達成するのに十分な量のγδ T細胞活性化因子と接触させる工程を含む、固形腫瘍の処置方法を開示するものである。また、固形腫瘍のある温血動物の血流中に、被検体でγδ T細胞個体群を増大させ、全循環リンパ球の少なくとも30%、40%、50%または60%、あるいは30〜90%を達成するのに十分な量のγδ T細胞活性化因子を提供する工程を含む、固形腫瘍の処置方法も得られる。好ましくは、γδ T細胞活性化因子の投与後4日目から8日目の間、最も好ましくは約5日目、6日目または7日目に、γδ T細胞個体群を評価する。
本発明の一態様は、γδ T細胞個体群を増やすことである。本発明は、固形腫瘍のある温血動物のγδ T細胞を、被検体においてγδ T細胞個体群を少なくとも10倍に増加するのに十分な量のγδ T細胞活性化因子と接触させる工程を含む、固形腫瘍の処置方法を包含する。また、固形腫瘍のある温血動物の血流中に、被検体においてγδ T細胞個体群を処置前のレベルと比して少なくとも10倍に増加するのに十分な量のγδ T細胞活性化因子を提供する工程を含む固形腫瘍の処置方法も包含される。好ましくは、γδ T細胞活性化因子の投与後4日目から8日目の間、最も好ましくは約5日目、6日目または7日目にγδ T細胞個体群を評価する。好ましくは、γδ T細胞個体群をフローサイトメトリーで評価する。
また、腫瘍処置用医薬品の製造にγδ T活性化因子を使用する方法であって、前記γδ T活性化因子を薬学的に許容可能な担体と混合し、前記医薬品を前記被検体に投与することを含む方法も本発明に包含される。好ましくは、前記腫瘍は固形腫瘍である。特定の実施形態において、前記腫瘍は転移した固形腫瘍である。あるいは、前記腫瘍が血液腫瘍であり、好ましくはリンパ腫である。場合により、前記腫瘍は転移性腫瘍である。好ましくは、前記腫瘍は、肺の腫瘍と、結腸直腸の腫瘍と、前立腺の腫瘍と、乳房の腫瘍と、類表皮頭頸部の腫瘍と、からなる群から選択される。本発明の好ましい態様では、前記腫瘍は腎臓がんであり、好ましくは転移性の腎臓がんである。あるいは、前記腫瘍は、黒色腫と、卵巣がんと、膵臓がんと、神経芽細胞腫と、頭頸部がんと、膀胱がんと、腎臓がんと、脳腫瘍と、胃がんと、からなる群から選択される。好ましくは、前記医薬品を少なくとも2回投与し、一層好ましくは約2週間から約8週間の処置間隔で投与し、さらに一層好ましくは、約3から約4週間の処置間隔で投与する。場合により、前記医薬品を少なくとも3回、4回または6回投与する。好ましくは、前記医薬品は前記被検体でγδ T細胞の生物活性を高めるものである。好ましくは、前記医薬品は前記被検体で循環γδ T細胞数を増やすものである。特定の実施形態では、前記γδ T細胞活性化因子の量は、被検体でγδ T細胞個体群を増大させ、全循環リンパ球の30〜90%を達成するのに十分な量である。他の特定の実施形態では、前記γδ T細胞活性化因子の量は、被検体でγδ T細胞個体群を少なくとも10倍に増やすのに十分な量である。好ましくは、前記γδ T細胞活性化因子の投与後4日目から8日目の間、一層好ましくは前記γδ T細胞活性化因子の投与後7日目に前記γδ T細胞個体群を評価する。好ましくは、前記γδ T細胞個体群をフローサイトメトリーで評価する。好ましくは、前記γδ T細胞はVγ9/Vδ2 T細胞である。場合により、前記医薬品を静脈内注入で投与し、好ましくは前記注入を約5から約120分間行い、一層好ましくは約5から約30分間行う。さらに好ましい態様では、この方法は、サイトカイン、好ましくはIL−2をさらに投与することを含むものであってもよい。
本発明の方法の一態様では、サイトカインを投与せずにγδ T細胞活性化因子を投与する。他の態様では、本発明の方法は、哺乳動物被検体でγδ T細胞の活性を調節するための製剤組成物の製造に、γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを利用することを含み、このγδ T細胞活性化因子およびインターロイキン−2ポリペプチドを別々に被検体に投与する。
本明細書に記載の方法の好ましい態様ではいずれも、少なくとも2回、3回、4回または6回の処置を前記動物に対して施す。本明細書に記載の方法の好ましい態様ではいずれも、約2から約8週間の処置間隔、あるいは一層好ましくは、処置間隔約3から約4週間をあけて、2回以上の処置でγδ T細胞活性化因子を投与する。
本明細書にて記載の方法ではいずれも、本方法の温血動物は、齧歯類または非ヒト霊長類であっても構わない。好ましい態様では、本方法の温血動物はヒトである。
本発明の態様の好ましい態様ではいずれも、これらの方法を用いることで、前記温血動物または前記被検体でのγδ T細胞の生物活性が高まるか、あるいは前記温血動物または前記被検体での循環γδ T細胞数が増加する。好ましくは、本発明の方法に記載のγδ T細胞はVγ9/Vδ2 T細胞である。
例をあげて説明したように、本発明の方法については、固形腫瘍の処置ならびに転移した固形腫瘍の処置に利用できる。他の態様では、本発明の方法を血液腫瘍の処置に利用してもよい。好ましくは、このような処置が必要なヒトに対して、前記疾患の処置に適した用量でγδ T活性化因子を投与する。しかしながら、好ましい用量ならびに特に有効な用量については、本明細書にてさらに説明する。場合により、本明細書に記載のいずれの方法においても、ヒト用量のEC50よりも多い用量でγδ T活性化因子を投与し、各々がヒト用量のEC50よりも多い1以上のさらなる用量を、2から8週間の処置間隔をあけた後に、少なくともさらに1回の追加処置で投与する。
本明細書にて記載の方法ではいずれも、本発明はさらに、サイトカインを投与するものである。本明細書に記載の方法の好ましい態様ではいずれも、サイトカインはIL−2である。好ましくは、インターロイキン−2ポリペプチドを低用量で投与する。本発明の方法のいずれかのさらなる態様では、サイトカイン、最も好ましくはインターロイキン−2ポリペプチドを、1から10日間の時間をかけて投与する。好ましくは、インターロイキン−2ポリペプチドを、1日あたり0.2から2MU、さらに一層好ましくは0.2から1.5MU、なお好ましくは0.2から1MUの一日用量で投与する。サイトカイン、好ましくはインターロイキン−2ポリペプチドの一日用量については、1回の注射または2回の注射で投与する。好ましくは、処置開始時にγδ T細胞活性化因子を単回用量で投与する。
好ましい態様では、有効量のγδ T活性化因子およびサイトカイン、好ましくはインターロイキン−2ポリペプチドを、その投与が必要な被検体に、1から10日間の時間をかけて別々に投与することを含む、被検体においてγδ T細胞を刺激するための方法あるいは、被検体において、がん、感染症、自己免疫疾患またはアレルギー疾患を処置する方法が得られる。好ましくは、処置開始時にγδ T細胞活性化因子を単回用量で投与する。好ましくは、処置開始時にγδ T細胞活性化因子を単回用量で投与し、サイトカイン、好ましくはIL−2を、γδ T細胞活性化因子の投与後10日間の期間内に、少なくとも2、3、4または5日間投与する。また、本発明は、別々に利用できるγδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを含む、哺乳動物被検体でのγδ T細胞の活性調節用の製品も包含する。
本発明はさらに、哺乳動物被検体でのγδ T細胞の活性を調節するための製剤組成物の製造に、γδ T細胞活性化因子およびインターロイキン−2ポリペプチドを使用することに関するものであり、γδ T細胞活性化因子およびインターロイキン−2ポリペプチドを別々に被検体に投与する。好ましくは、前記γδ T活性化因子は合成γδ T活性化因子である。好ましくは、前記インターロイキン−2ポリペプチドを低用量で投与する。好ましくは、前記インターロイキン−2ポリペプチドを、1から10日間の時間をかけて投与する。一層好ましくは、前記インターロイキン−2ポリペプチドを、1日あたり0.2から2MU、なお一層好ましくは0.2から1.5MU、さらに好ましくは0.2から1MUの一日用量で投与する。場合により、インターロイキン−2ポリペプチドの前記一日用量については、1回の注射または2回の注射で投与する。好ましくは、処置開始時に前記γδ T細胞活性化因子を単回用量で投与する。場合により、前記γδ T細胞活性化因子は、γδ Tリンパ球のT受容体のリガンドである。好ましくは、前記γδ T細胞活性化因子を少なくとも2回投与し、一層好ましくは約2週間から約8週間の処置間隔、なお一層好ましくは約3から約4週間の処置間隔で投与する。場合により、前記γδ T細胞活性化因子を少なくとも3回、4回または6回投与する。好ましくは、前記製剤組成物は、前記被検体でγδ T細胞の生物活性を亢進するものである。好ましくは、前記製剤は、前記被検体の循環γδ T細胞数を増加させる。好ましくは、被検体でγδ T細胞個体群を増大させ、全循環リンパ球の30〜90%を達成するのに十分な量で、前記γδ T細胞活性化因子を投与する。場合により、被検体でγδ T細胞個体群を少なくとも10倍に増やすのに十分な量で、前記γδ T細胞活性化因子を投与する。好ましくは、前記γδ T細胞はVγ9/Vδ2 T細胞である。場合により、前記γδ T細胞活性化因子を静脈内注入で投与し、好ましくは前記注入を約5から約120分間で行い、一層好ましくは約5から約30分間で行う。場合により、前記被検体は、がん、感染症、自己免疫疾患またはアレルギー疾患のあるヒト被検者である。特定の実施形態では、前記製剤組成物を利用して被検体のがんを処置する。好ましくは、前記がんが固形腫瘍である。特定の実施形態では、前記がんは転移した固形腫瘍である。あるいは、前記がんが血液腫瘍であり、好ましくはリンパ腫である。場合により、前記がんは転移性腫瘍である。好ましくは、前記がんは、肺の腫瘍と、結腸直腸の腫瘍と、前立腺の腫瘍と、乳房の腫瘍と、類表皮頭頸部の腫瘍と、からなる群から選択される。本発明の好ましい態様では、前記がんは腎臓がんであり、好ましくは転移性の腎臓がんである。あるいは、前記がんは、黒色腫と、卵巣がんと、膵臓がんと、神経芽細胞腫と、頭頸部がんと、膀胱がんと、腎臓がんと、脳腫瘍と、胃がんと、からなる群から選択される。他の特定の実施形態では、前記製剤組成物を利用して、被検体の感染症を処置する。さらなる特定の実施形態では、前記製剤組成物を利用して、被検体の自己免疫疾患を処置する。別の特定の実施形態では、前記製剤組成物を利用して、被検体でのγδ T細胞による溶解の影響を受けやすい病原細胞によって引き起こされる、あるいは関連した疾患を処置する。
本発明は、有効量のγδ T活性化因子およびインターロイキン−2ポリペプチドを、その投与が必要な被検体に、別々に投与することを含む、被検体において、がん、感染症、自己免疫疾患またはアレルギー疾患を処置するための方法に関するものである。好ましくは、前記γδ T活性化因子は合成γδ T活性化因子である。好ましくは、前記インターロイキン−2ポリペプチドを低用量で投与する。好ましくは、前記インターロイキン−2ポリペプチドを、1から10日間の時間をかけて投与する。一層好ましくは、前記インターロイキン−2ポリペプチドを、1日あたり0.2から2MU、なお一層好ましくは0.2から1.5MU、さらに好ましくは0.2から1MUの一日用量で投与する。場合により、インターロイキン−2ポリペプチドの前記一日用量については、1回の注射または2回の注射で投与する。好ましくは、処置開始時に前記γδ T細胞活性化因子を単回用量で投与する。場合により、前記γδ T細胞活性化因子はγδ Tリンパ球のT受容体のリガンドである。特定の実施形態では、前記γδ T細胞活性化因子はPED化合物またはPHD化合物であり、これを処置開始時に10から50mg/kgの用量で1回の注射にて投与し、前記インターロイキン−2ポリペプチドについては、1日あたり0.2から2MUの一日用量で1から10日間の時間をかけて投与する。好ましくは、前記γδ T細胞活性化因子を、少なくとも2回、一層好ましくは約2週間から約8週間の処置間隔、さらに一層好ましくは約3から約4週間の処置間隔で投与する。場合により、前記γδ T細胞活性化因子を少なくとも3回、4回または6回投与する。好ましくは、前記製剤組成物は、前記被検体でγδ T細胞の生物活性を亢進するものである。好ましくは、前記製剤は、前記被検体の循環γδ T細胞数を増加させる。好ましくは、被検体でγδ T細胞個体群を増大させ、全循環リンパ球の30〜90%を達成するのに十分な量で、前記γδ T細胞活性化因子を投与する。場合により、被検体でγδ T細胞個体群を少なくとも10倍に増やすのに十分な量で、前記γδ T細胞活性化因子を投与する。好ましくは、前記γδ T細胞はVγ9/Vδ2 T細胞である。場合により、前記γδ T細胞活性化因子を静脈内注入で投与し、好ましくは前記注入を約5から約120分間で行い、一層好ましくは約5から約30分間で行う。好ましくは、前記方法は、がんの処置方法である。好ましくは、前記がんが固形腫瘍である。特定の実施形態では、前記がんは転移した固形腫瘍である。あるいは、前記がんが血液腫瘍であり、好ましくはリンパ腫である。場合により、前記がんは転移性腫瘍である。好ましくは、前記がんは、肺の腫瘍と、結腸直腸の腫瘍と、前立腺の腫瘍と、乳房の腫瘍と、類表皮頭頸部の腫瘍と、からなる群から選択される。本発明の好ましい態様では、前記がんは腎臓がんであり、好ましくは転移性の腎臓がんである。あるいは、前記がんは、黒色腫と、卵巣がんと、膵臓がんと、神経芽細胞腫と、頭頸部がんと、膀胱がんと、腎臓がんと、脳腫瘍と、胃がんと、からなる群から選択される。
本明細書では、本明細書に記載の方法のいずれにおいても利用できる多数の好適なγδ T細胞活性化因子が得られる。好ましくは、γδ T細胞活性化因子は、γδ T細胞クローン、好ましくはVγ9/Vδ2 T細胞の純粋な個体群で、γδ T細胞の活性を調節できるか、または好ましくはその増殖を誘導できる化合物である。一層好ましくは、γδ T細胞活性化因子は、100mM未満、10mM未満、あるいは最も好ましくは1mM未満の濃度でγδ T細胞活性化因子が培養中に存在する場合に、γδ T細胞クローンの個体群でγδ T細胞の活性を調節できる化合物である。さらに好ましいγδ T細胞活性化因子については、本明細書にて詳細に説明する。
特に好ましいγδ T細胞活性化因子は、式(II)の化合物を含む組成物を含む。
Figure 2006510629

式中、Xはハロゲン(好ましくは、I、Br、Clから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1から3の整数であり、R1はメチル基またはエチル基であり、Cat+は、1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2から20の整数であり、Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、Yは、OCat+、ヌクレオシドまたはラジカル−A−R(式中、Rは1)、2)または3)からなる群から選択される)である。好ましくは、Yは、OCat+であるか、またはヌクレオシドである。一層好ましくは、YはOCat+である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、AはOまたはCHである。一層好ましくは、AはOである。好ましくは、nは2である。好ましくは、Xは臭化物である。好ましくは、BはOである。好ましくは、mは1または2である。一層好ましくは、mは1である。好ましくは、このような化合物を、約10mg/kgから約100mg/kg、好ましくは約5mg/kgから約60mg/kgの用量で、薬学的に許容可能な担体と一緒にヒトに投与する。他の好ましい態様では、このような化合物を2以上の処置で投与し、好ましくは、この化合物を、式(A)単回用量(mg/kg)=(10からy)*N(A)(式中、Nは処置と処置との間の週数であり、yは100である)に基づいて算出される用量でヒトに投与し、一層好ましくは、式B単回用量(mg/kg)=(5から60)*N(B)で算出される用量でヒトに投与、あるいは、好ましくは、約20mg/kgの用量で、ヒトに投与する。なお一層好ましくは、式(C)単回用量(mg/kg)=(10から100)*N(C)(式中、Nは、約3から約4の間であるような、処置と処置との間の週数である)に基づいて算出される用量で、静脈内注入によって、前記γδ T活性化因子をヒトに投与する。
他の特に好ましいγδ T細胞活性化因子は、式(XII)の化合物を含む組成物を含む。
Figure 2006510629

(式中、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、水素または(C〜C)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、Rは、(C〜C)アシル、アルデヒド、(C〜C)アルコールまたは(C〜C)エステルであり、Cat+は1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1から3の整数であり、Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、Yは、OCat+、ヌクレオシドまたはラジカル−A−R(式中、Rは1)、2)または3)からなる群から選択される)である。好ましくは、Yは、OCat+であるか、またはヌクレオシドである。一層好ましくは、YはOCat+である。好ましくは、AはOまたはCHである。一層好ましくは、AはOである。一層好ましくは、RおよびRはメチルであり、Rは水素である。一層好ましくは、Rは−CH−OH、−CHO、−CO−CHまたは−CO−OCHである。好ましくは、BはOである。好ましくは、mは1または2である。一層好ましくは、mは1である。場合により、WとCとの間の二重結合は、トランス(E)またはシス(Z)の立体配座である。一層好ましくは、WとCとの間の二重結合はトランス(E)の立体配座である。好ましくは、このような化合物を、約10μg/kgから20mg/kg、一層好ましくは10μg/kgから5mg/kg、あるいはなお一層好ましくは10μg/kgから1mg/kgの用量で、薬学的に許容可能な担体と一緒にヒトに投与する。他の好ましい態様では、このような化合物を2以上の処置で投与し、好ましくは、この化合物を、式(A)単回用量(mg/kg)=(0.001からy)*N(A)(Nは、処置と処置との間の週数であり、yは100である)に基づいて算出される用量でヒトに投与し、好ましくは、式B単回用量(mg/kg)=(0.01から20)*N(B)に基づいて算出される用量でヒトに投与し、好ましくは、式C単回用量(mg/kg)=(0.01から5)*N(C)に基づいて算出される用量でヒトに投与し、好ましくは、式D単回用量(mg/kg)=(0.02から5)*N(D)に基づいて算出される用量あるいは好ましくは、約0.5mg/kgの用量でヒトに投与する。最も好ましくは、前記γδ T活性化因子を、式(E)単回用量(mg/kg)=(0.01から20)*N(E)(式中、Nは約3から約4になるような、処置と処置との間の週数である)に基づいて算出される用量で静脈内注入してヒトに投与する。
本明細書に記載の方法の好ましい態様のいずれにおいても、γδ T活性化因子は合成γδ T活性化因子である。
本明細書に記載の方法の他の好ましい態様のいずれにおいても、γδ T細胞活性化因子は、ホスホハロヒドリン(PHD)化合物、ホスホエポキシド(PED)化合物、アルキルアミンから選択される。一層好ましくは、γδ T細胞活性化因子は、以下の化合物すなわち、
3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート(BrHPP)、
3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート(IHPP)、
3−(クロロメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート(ClHPP)、
3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−トリホスフェート(BrHPPP)、
3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル−トリホスフェート(IHPPP)、
α,γ−ジ−[3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル]−トリホスフェート(ジBrHTP)、
α,γ−ジ−[3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル]−トリホスフェート(ジIHTP)、
3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−ジホスフェート(Epox−PP)、
3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−トリホスフェート(Epox−PPP)、
α,γ−ジ−3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−トリホスフェート(ジ−Epox−TP)から選択される。
他の態様では、γδ T細胞活性化因子はPED化合物またはPHD化合物であり、処置開始時に、10から50mg/kgの用量を1回の注射で投与され、インターロイキン−2ポリペプチドは、1日あたり0.2から2MUの一日用量で1から10日間の時間をかけて投与される。
さらなる態様では、本発明は、2回以上の処置で、式XIIの化合物を含む組成物を薬学的に許容可能な担体と一緒に、温血動物に投与することを含み、γδ T細胞活性化因子は、2回以上の処置で、約2週間から約8週間の処置間隔をあけて投与される、温血動物でγδ T細胞を刺激するための方法を提供するものである。
さらなる態様では、本発明は、2回以上の処置で、式IIの化合物を含む組成物を薬学的に許容可能な担体と一緒に、温血動物に投与することを含み、γδ T細胞活性化因子は、2回以上の処置で、約2週間から約8週間の処置間隔をあけて投与される、温血動物でγδ T細胞を刺激するための方法を提供するものである。
本発明のもうひとつの態様では、HDMAPP化合物を含む組成物を、約10μg/kgから約2.5mg/kgの用量で、薬学的に許容可能な担体と一緒に被検者に投与することを含む、被検者でγδ T細胞を刺激するための方法が開示される。さらなる態様では、本発明は、CHDMAPP化合物を含む組成物を、約10μg/kgから約2.5mg/kgの用量で、薬学的に許容可能な担体と一緒に被検者に投与することを含む、被検者でγδ T細胞を刺激するための方法を提供するものである。
さらなる態様では、本発明は、CBrHPP化合物を含む組成物を、約5mg/kgから約60mg/kgの用量で、薬学的に許容可能な担体と一緒に被検者に投与することを含む、被検者でγδ T細胞を刺激するための方法を提供するものである。
また、本発明は、γδ T細胞活性化因子を被検体に投与するための方法を提供するものである。よって、本発明のいずれの方法でも、前記方法は、γδ T細胞活性化因子を静脈内注入で投与することを含み得る。好ましくは、それぞれの注入を約5から約120分間行い、あるいは一層好ましくは、約5から約30分間行う。最も好ましくは、特定の日(24時間未満の期間内など)に、γδ T細胞活性化因子の上記のような注入を1回だけ(シングルショットとも呼ばれる)行う。好ましくは、γδ T細胞活性化因子の投与時すなわち処置サイクルごとに、1回だけ注入を行う。
特に好ましい一態様では、本発明は、被検者においてγδ T細胞を調節する方法であって、好ましくは静脈内注入によって、式XIIの化合物を含む組成物を、前記被検者に、被検体の体重1キログラムあたり前記化合物を10μg/kgから20mg/kg、一層好ましくは10μg/kgから5mg/kg、あるいは、なお一層好ましくは10μg/kgから1mg/kgの用量で、好ましくは単回投与(シングルショット)、かつ好ましくは注入による場合は24時間未満の時間内で投与することを含む方法に関するものである。特に好ましい一態様では、本発明は、被検者においてVγ9/Vδ2T細胞を調節する方法であって、好ましくは静脈内注入によって、(それぞれ式XVおよびXVI)のHDMAPP化合物またはCHDMAPP化合物を含む組成物を、前記被検者に、被検体の体重1キログラムあたり前記化合物を10μg/kgから20mg/kg、一層好ましくは10μg/kgから5mg/kg、あるいは、なお一層好ましくは10μg/kgから1mg/kgの用量で、好ましくは単回投与(シングルショット)、かつ好ましくは注入による場合は24時間未満の時間内で投与することを含む方法に関するものである。
さらになお別の態様では、本発明は、薬学的に許容可能な担体と一緒に、治療有効量のCHDMAPPを活性成分として含有する製剤組成物を提供するものである。また、薬学的に許容可能な担体と一緒に、治療有効量のCBrHPPを活性成分として含有する製剤組成物も得られる。
詳細な説明
定義
本発明に関する限り、「γδ T細胞の活性を調節する」という表現は、被検体でこのような細胞の数および/または生物活性の増加を引き起こすまたは増加を助けることを意味する。よって、調節するとは、被検体でのこのような細胞の増殖の調整(刺激など)および/または、たとえば、サイトカイン(TNFαまたはIFNγなど)分泌の誘発を含むがこれに限定されるものではない。上述したように、γδ T細胞は通常、健常な成人被検者の場合で全循環リンパ球の約1〜10%を占める。本発明を利用すれば、被検体のγδ T細胞個体群を有意に増加させ、特に、全循環リンパ球の30〜90%、一般に40〜90%、一層好ましくは50〜90%に達することができる。一般的な実施形態では、本発明は、被検体でのγδ T細胞の選択的増殖を、全循環リンパ球の60〜90%、好ましくは70〜90%、一層好ましくは80〜90%にできるようにするものである。また、調節には、上記に加えてあるいは上記に代える形で、被検体におけるγδ T細胞の生物活性、特にその細胞溶解活性またはそのサイトカイン分泌活性の調整を含む。本発明は、標的細胞に対するγδ T細胞の生物活性を高めるための新規な条件ならびに戦略を定義するものである。
本明細書にて使用する場合、γδ T細胞の活性の調節に関しての「EC50」という用語は、このようなγδ T細胞の活性に関して最大応答または効果の50%が得られる効率的な対象組成物濃度を示す。
本明細書にて使用する場合、γδ T細胞の活性の調節に関しての「EC100」という用語は、このようなγδ T細胞の活性に関して最大応答または効果が得られる効率的な対象組成物濃度を示す。
上記ならびに以下で数値的な表現を用いる場合、これらの表現は、上限および下限を表す数を含むことを想定している。たとえば、「1から3」とは「1以上3以下」の範囲を意味し、「1から3の範囲」とは「1以上3以下」を意味する。算用数字(3など)ではなく単語で数を記述している場合(「三」など)にも同じことが当てはまる。
「〜を含む」を用いる場合、これは、好ましくは「本質的に〜からなる」と置き換え可能であり、一層好ましくは「〜からなる」と置き換え可能である。
数に鑑みて「約」を用いる場合、これは、好ましくは数+/−15%、一層好ましくは数プラス5%、最も好ましくは「約」のない数それ自体を意味する。たとえば、「約100」とは「85以上115以下」を意味し得る。たとえば「約1から約3」または「約1から約3の間」など、数字の範囲について「約」を用いる場合は、好ましくは、最後のセンテンスの数についての「約」の定義は、範囲の最初と最後を定義する数それぞれに別々に適用される。好ましくは、数値について「約」を用いる場合、「約」を削除することが可能である。
「毎週」とは「1週間に約1回」ということ(約1週間の処置間隔で2回以上の処置を行うことを意味する)であり、ここでの約は、好ましくは+/−1日(すなわち、「6日から8日ごと」と置き換えられる)を意味し、最も好ましくは、「毎週」は「7日に1回」を意味する。
「3週ごと」または「3週間ごと」は、「3週間に約1回」ということ(約3週間の処置間隔で2回以上の処置を行うことを意味する)であり、ここでの約は、好ましくは+/−3日間(すなわち18日から24日ごとと置き換えられる)を意味し、最も好ましくは、「毎週」は「21日に1回」(=3週目ごと)を意味する。
本明細書全体をとおして、「増殖性疾患の処置」または「腫瘍の処置」または「がんの処置」などの表現がγδ T細胞活性化因子に関して用いられる場面では、これは以下のような意味を持つ。
a)増殖性疾患の処置(=処置するための)方法であって、γδ T細胞活性化因子を(好ましくは薬学的に許容可能な担体材料中で)、前記疾患の処置を可能にする用量(=治療有効量)、好ましくは上記および下記にて好ましいとして示す用量(量)で、このような処置が必要な温血動物、特にヒトに(少なくとも1回の処置のために)投与する工程を含む方法;
b)(特にヒトにおいて)γδ T細胞活性化因子を増殖性疾患の処置に用いること、あるいは前記処置に用いられるγδ T細胞活性化因子;
c)増殖性疾患処置用の医薬品の製造にγδ T細胞活性化因子を用いること;および/または
d)増殖性疾患の処置に適した1回分用量のγδ T細胞活性化因子を含む医薬品、あるいは、本願を出願した国で特許査定になる主題に従って、a)、b)、c)、d)の任意の組み合わせ;
e)前記γδ T細胞活性化因子を薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、増殖性疾患処置用の医薬品の製造にγδ T細胞活性化因子を用いる方法。「増殖性疾患」ではなく腫瘍疾患または特定の腫瘍(大腸腫瘍、大腸癌腫または大腸がん;または前立腺腫瘍、前立腺癌腫または前立腺がんなど)について言及する場合、カテゴリa)〜e)も包含される。これは、特許性のある主題に沿って、上記a)〜e)に準じて「増殖性疾患」をそれぞれの腫瘍疾患に代えられることを意味する。
本明細書にてさらに説明するように、いくつかのγδ T細胞活性化因子が、in vitroにてナノモル濃度レベルおよびピコモル濃度レベルでγδ T細胞の活性を調節することが明らかになっている。第1および第2のγδ T活性化因子すなわちBrHPPおよびHDMAPPを用いたin vivoでの研究から、これらの化合物が霊長類でin vivoにてγδ T細胞の生物活性の亢進ならびに高い率での増殖を誘導できることが明らかになっている。これにより、in vivoでγδ T細胞を刺激する、新しい戦略が可能となる。
また、γδ T細胞を刺激する戦略が、固形腫瘍をはじめとするヒトでの腫瘍の処置、さらには転移した固形腫瘍の処置にも功を奏し得ることも明らかになっている。γδ T細胞細胞活性化化合物であるBrHPP(Phosphostimとも呼ばれる)を臨床研究に利用して、ex vivoで活性化させたγδ T細胞を導入することで転移性腎臓癌腫のあるヒトを処置すると、固形腫瘍を効果的に処置できることを示した。簡単に説明すると、患者のサイタフェレシスから高濃縮Vγ9Vδ2 T細胞を多数生成するように設計された養子細胞免疫治療プロセスに、BrHPPを利用した。ex vivoでの刺激によって、臨界数のエフェクター細胞を治療目的で生成できる。2週間の製造プロセスでBrHPP刺激γδ T細胞を得た。最初の細胞調製物は、新鮮なサイタフェレシスまたは冷凍サイタフェレシスのいずれかから得た血液に由来するPBMCからなる。これらの細胞を閉じた系で2週間増大させ、独特なGMP−グレードのPhosphostimでの刺激の後に、培養液に規定薬用量のIL−2を順次加える。この製造プロセスは、最後の分離または精製工程がない上に、支持細胞を使う必要もなく、Phosphostimによって得られる特定のTCR媒介シグナルで、Vγ9Vδ2サブセットのIL−2依存性増殖を十分トリガーでき、これが培養中で優勢になるなど、従来のCD8+T細胞系またはクローンを用いる現行の細胞治療法と比較するとかなり単純である。冷凍サイタフェレシス1種類から何通りかの用量のγδ細胞製品を製造できる。一般に、サイタフェレシス由来の冷凍PBMC1億で、20億から50億個の細胞が得られる。BrHPP刺激γδ T細胞は、現在、転移性腎細胞癌(mRCC)のフェーズIの臨床試験で利用されている。この試験は現在、最初の細胞10億個の用量で正しい寛容を得た上で、細胞40億個という第2の用量レベルで行われている。評価可能な患者では、抗腫瘍活性の徴候が疾患の安定という形で認められたことから、進行中の試験から得られる予備の結果は見込みのあるものである。
また、自家γδ T細胞は、標的細胞比に対するエフェクターの機能として、転移性腎細胞癌のある患者から得た腫瘍細胞を溶解できるが、同じ患者から得た正常な(非腫瘍)細胞の溶解は実質的に引き起こさないことも明らかになっている。本明細書にて説明するように、BrHPPは、健常なドナーの末梢血単核細胞(PBMC)からVγ9Vδ2 T細胞を特異的に増大する合成ホスホ抗原である。これらの増大したVγ9Vδ2 T細胞はリンパ腫標的を溶解し、樹立腎癌細胞(RCC)系もいくらか溶解した。
本研究では、RCC患者から得た一次正常腎細胞および腫瘍腎細胞を樹立し、BrHPPがこれらの患者のPBMCに対しておよぼす影響について調査した。これにより、自家設定で一次正常および腫瘍腎細胞に対して増大したVγ9Vδ2 T細胞の溶解能を評価することができた。この細胞毒性活性を、LAK細胞(リンフォカイン活性化キラー細胞)などの他の自家エフェクター細胞と比較した。
本発明者らは、固形腫瘍、さらには転移性腫瘍のin vivoでの処置に化合物BrHPPも利用できるのではないかということを示唆する一連の実験を実施した。ある一組の実験で、本発明者らは、ヒトγδ T細胞を導入したがんのNOD/SCIDマウスモデルを利用して、γδ T細胞活性化因子が培養中で転移性腎細胞腫瘍細胞の増殖を防止または抑制できることを示した。
本発明者らはさらに、何種類かのγδ T細胞活性化因子を用いる一連の実験で、霊長類のγδ T細胞の薬物動態を解明した。得られるのは、霊長類においては、刺激されたγδ T細胞がγδ T細胞活性化因子の投与から約5日から7日後にピーク数に達するという所見である。さらに、これらの結果から、γδ T細胞活性化因子を繰返し投与して、γδ T細胞活性をin vivoで再刺激できるということも明らかになった。しかしながら、γδ T細胞の再刺激は、γδ Tのピーク増加前には行わないようにし、実質的に1回目の刺激の前の率までγδ T細胞個体群がもどされたら、このような再刺激を行うのが最適である。さらに、γδ T細胞を刺激する目的での化合物の投与は毎回、たとえば本明細書にて示す例における注入などの方法で、シングルショットで行うのが最適である。2つのγδ T細胞活性化因子すなわちBrHPPとHDMAPPを比べる一例において、最適なγδ T細胞生物活性と増殖の亢進が得られる薬用量を求めた。それぞれの化合物のEC50を求めるにあたり、比較によってin vitroとin vivoのEC50薬用量の対応が明らかになった。興味深いことに、HDMAPP化合物の活性を評価したところ、先に報告された活性との比較で、この化合物では低用量の投与計画を利用できることが明らかになった。これは、霊長類でのEC50で確認できた。
よって、第1の態様では、本発明は、腫瘍の処置、好ましくは固形腫瘍の処置に関するものであり、γδ T細胞活性化因子を、治療有効量で、温血動物、特にヒト、好ましくはこのような処置が必要なヒトに投与する。
本発明の方法および組成物を用いると、以下の疾病を含むがこれに限定されるものではない、さまざまながんや他の増殖性疾患を処置できる。
−扁平上皮細胞癌など、膀胱、乳房、大腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、頚部、甲状腺および皮膚の癌腫をはじめとする癌腫;
−白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B−細胞リンパ腫、T−細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫をはじめとする、リンパ細胞系の造血腫瘍;
−急性および慢性の骨髄性白血病および前骨髄球性白血病をはじめとする骨髄細胞系の造血腫瘍;
−線維肉腫および横紋筋肉腫(rhabdomyoscarcoma)をはじめとする間葉由来の腫瘍;
−黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、神経芽細胞腫、神経膠腫をはじめとする他の腫瘍;
−星状膠細胞、神経芽細胞腫、神経膠腫、神経鞘腫をはじめとする中枢神経系および末梢神経系の腫瘍;
−線維肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫をはじめとする間葉由来の腫瘍;
−黒色腫、色素性乾皮症、ケラトアカントーマ、精上皮腫、甲状腺濾胞腺がんおよび奇形癌腫をはじめとする他の腫瘍。
上述したように、本発明の方法は、自己免疫疾患または感染症の処置または防止にも利用できるものである。
上記ならびに下記にて、腫瘍、腫瘍疾患、癌腫またはがんについて言及され、また、元の臓器または組織および/または他のいずれかの場所における転移が示唆され、あるいは、またはこれに加えて、腫瘍および/または転移がどのような場所にあるかを問わない。
好ましい態様では、γδ T細胞活性化因子は、γδ T細胞の生物活性を高めることができ、好ましくは、γδ T細胞の増殖を刺激しながら、あるいは未刺激で、γδ T細胞の活性化を亢進、特にγδ T細胞からのサイトカイン分泌を亢進するか、あるいはγδ T細胞の細胞溶解活性を高める。よって、一態様において、本発明は、疾患、特に増殖性疾患、一層好ましくは固形腫瘍、特に転移した固形腫瘍を処置するための方法に関するものであり、式Iの化合物、特に式I〜XVIIのγδ T細胞活性化因子、特にBrHPPと、CBrHPPと、HDMAPP HDMAPPと、epoxPPと、からなる群から選択されるγδ T細胞活性化因子を含むγδ T細胞活性化因子を、被検体で活性γδ T細胞を増加するのに十分な量と条件、好ましくはγδ T細胞によってサイトカイン分泌を増大できるおよび/またはγδ T細胞の細胞溶解活性を高めるのに十分な量と条件で投与する。一般的な実施形態では、γδ T細胞活性化因子は、in vitroで求めたγδ T細胞によるサイトカイン分泌を、少なくとも2、3、4、10、50、100倍に増やすことができる。
サイトカイン分泌および細胞溶解活性については、適当なin vitroアッセイまたは本明細書に記載の例にあげたアッセイを用いて評価できる。たとえば、TNF−α感受性細胞を利用してバイオアッセイでのTNF−α放出の測定について説明した、Espinosaら(J.Biol.Chem.、2001、第276巻、第21号、18337〜18344)に記載の方法でサイトカイン分泌を求めることができる。簡単に説明すると、γδ T10個/ウェルの細胞を刺激物プラス25単位のIL2/ウェルと一緒に培養液100μl中で37℃で24時間インキュベートした。続いて、この上清50μlを、培養液にアクチノマイシンD(2μg/ml)とLiCl(40mM)を加えたものに細胞3×10個/ウェルで蒔いたWEHI細胞50μlに加え、37℃で20時間インキュベートした。TNF−α感受性細胞の生存度を、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドアッセイで求めた。1ウェルあたり3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(Sigma;リン酸緩衝生理食塩水中、2.5mg/ml)50μlを加え、37℃で4時間のインキュベーション後、可溶化バッファ(20%SDS、66%ジメチルホルムアミド、pH4.7)50μlを加え、吸光度(570nm)を測定した。続いて、精製ヒトγTNF−α(PeproTech,Inc.、ニュージャージー州ロッキーヒル(Rocky Hill))を用いて得た標準曲線から、TNF−α放出のレベルを算出した。活性化T細胞によって放出されたインターフェロン−γを、サンドイッチ酵素結合免疫酵素測定アッセイで測定した。γδ T5×10個/ウェルの細胞を、刺激物プラス25単位のIL2/ウェルと一緒に培養液100μl中にて37℃で24時間インキュベートした。続いて、マウスモノクローナル抗体(BIOSOURCE、カリフォルニア州カマリロ(Camarillo))を用いた酵素結合免疫酵素測定アッセイ用に上清50μlを収集した。
細胞溶解活性に合った好ましいアッセイのひとつが51Cr放出アッセイである。典型的なアッセイでは、自家の正常細胞系および腫瘍標的細胞系、あるいはDaudiなどの対照の感受性標的細胞系やRajiなどの対照の耐性標的細胞系といったγδ T細胞の細胞溶解活性を4h 51Cr放出アッセイで測定する。具体例では、標的細胞を細胞2×10個/ウェルの量で利用し、100μCi 51Crで60分間標識した。エフェクター/標的(E/T)比については30:1から3.75:1の範囲とした。標準的な式[(実験−自発的放出/合計−自発的放出)×100]を利用して比溶解(パーセンテージで表現)を算出する。
もうひとつの態様では、本発明は、疾患、特に増殖性疾患、一層好ましくは固形腫瘍、特に転移した固形腫瘍の処置方法であって、γδ T細胞活性化因子、特に式I〜XVIIに記載のγδ T細胞活性化因子、特にBrHPPと、CBrHPPと、HDMAPP HDMAPPと、epoxPPと、からなる群から選択されるγδ T細胞活性化因子を、被検体でγδ T細胞個体群の増殖を刺激でき、特に全循環リンパ球の30〜90%、一般に40〜90%、一層好ましくは50〜90%を達成するのに十分な量と条件で投与する方法に関するものである。一般的な実施形態では、本発明は、被検体でのγδ T細胞の選択的増殖を全循環リンパ球の60〜90%、好ましくは70〜90%、一層好ましくは80〜90%にできるものである。全循環リンパ球のパーセンテージについては、従来技術において周知の方法で求めることができる。全循環リンパ球中のγδ T細胞のパーセンテージを求めるための好ましい方法のひとつに、適切なプロトコールの例を本明細書に記載の例で説明するフローサイトメトリーを利用するものがある。
もうひとつの実施形態では、本発明は、疾患、特に増殖性疾患、一層好ましくは固形腫瘍、特に転移した固形腫瘍の処置方法であって、γδ T細胞活性化因子、特に式I〜XVIIに記載のγδ T細胞活性化因子、特にBrHPPと、CBrHPPと、HDMAPP HDMAPPと、epoxPPと、からなる群から選択されるγδ T細胞活性化因子を、被検体でγδ T細胞個体群の増殖を刺激でき、特に被検体におけるγδ T細胞の数を2倍よりも増加、一般に少なくとも10倍、一層好ましくは少なくとも20倍増加するのに十分な量と条件で投与する方法に関するものである。一般的な実施形態では、本発明は、被検体におけるγδ T細胞の選択的増殖を、被検体におけるγδ T細胞数の少なくとも2、4、10、20または50倍、一層好ましくは少なくとも100または200倍に増加できるものである。被検体のγδ T細胞数については、前記γδ T細胞活性化因子の投与前後に患者から血液試料を得て、試料中に含まれるγδ T細胞数の差を求めることで評価すると好ましい。γδ T細胞数を求めるための好ましい方法のひとつに、適切なプロトコールの例を本明細書に記載の例で説明するフローサイトメトリーを利用するものがある。
もうひとつの態様では、本発明は、疾患、特に増殖性疾患、一層好ましくは固形腫瘍、特に転移した固形腫瘍の処置方法であって、γδ T細胞活性化因子、特に式I〜XVIIに記載のγδ T細胞活性化因子、特にBrHPPと、CBrHPPと、HDMAPP HDMAPPと、epoxPPと、からなる群から選択されるγδ T細胞活性化因子を、被検体でγδ T細胞個体群の増殖を刺激でき、特に被検体における循環γδ T細胞数として少なくともγδ T細胞500個/mm3、一般に少なくともγδ T細胞1000個/mm3、一層好ましくは少なくともγδ T細胞2000個/mm3を達成するのに十分な量と条件で投与する。被検体の循環γδ T細胞数については、前記γδ T細胞活性化因子の投与前後に患者から血液試料を得て、一定容量の試料に含まれるγδ T細胞数を求めることで評価すると好ましい。γδ T細胞数を求めるための好ましい方法のひとつに、適切なプロトコールの例を本明細書に記載の例で説明するフローサイトメトリーを利用するものがある。
さらなる態様では、本発明は、増殖性疾患、特に固形腫瘍、さらには転移した固形腫瘍を処置するためのin vivo療法であって、γδ T細胞活性化因子、特に式I〜XVIIに記載のγδ T細胞活性化因子、特にBrHPPと、CBrHPPと、HDMAPP HDMAPPと、epoxPPと、からなる群から選択されるγδ T細胞活性化因子を、γδ T細胞生物活性または個体群増殖についての最大の効果の半分が得られる単回投与有効濃度値(EC50)よりも高い(好ましくは少なくとも10%、20%、30%高い)用量、あるいは一層好ましくは、最大の効果が得られる単回投与有効濃度値の少なくとも50%、または一層好ましくは少なくとも60%、75%、85%または好ましくは約50%から100%の用量で温血動物、特にヒトに投与する療法に関するものである。
好ましい態様では、好ましくは各々が本明細書にて記載の用量範囲内にある1とおりまたはそれ以上(好ましくは少なくとも2とおり)のさらなる用量を、特に処置サイクル間の間隔を前の処置後から1週間より長くした、あるいは好ましくは2週間よりも長くした、一層好ましくは前の処置後から約2から約8週間、最も好ましくは約3から約4週間後とした、1または好ましくは2以上のさらなる処置サイクルで投与する。通常、2以上の処置サイクルで、1から8週間、好ましくは3から4週間の投与間隔をあけて一用量を投与する上記の処置計画の方が、もっと低用量で頻繁に処置を行い、γδ T細胞生物活性の増加量が少ない、あるいはγδ T細胞個体群の増殖が少ない方法よりも好ましい。
好ましくは、処置のための式Iの化合物の薬用量(単回投与)は約1μg/kgおよび約1.2g/kgである。
化合物群に関連した上記の薬用量ならびに個々の化合物については、代表的な化合物について本明細書でさらに説明するように、最適な用量に変更できる点は明らかであろう。それにもかかわらず、γδ T細胞の生物活性を有意に増大する、あるいは被検体におけるγδ T細胞個体群を有意に増加するのに十分な用量の化合物を投与すると好ましい。前記用量をヒトに投与する際には、2から180分間、好ましくは2から120分間、一層好ましくは約5から約60分間、あるいは最も好ましくは約30分間または約60分間での静脈内(i.v.)投与を利用すると好ましい。
好ましい代表的な化合物では、式IIからXIの化合物を、約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5μg/kgから60mg/kgの薬用量(単回投与)で投与する。最も好ましくは、3週間ごとまたは4週間ごとに処置を行う(3週間に1回または3週目ごとの処置)薬用量(単回投与)は、約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5μg/kgから60mg/kgである。この用量をヒトに投与する際には、2から180分間、好ましくは2から120分間、一層好ましくは約5から約60分間、あるいは最も好ましくは約30分間または約60分間での静脈内(i.v.)投与を利用すると好ましい。
好ましい代表的な化合物では、式XIIからXVIIの化合物を、約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgの薬用量(単回投与)で投与する。最も好ましくは、3週間ごとまたは4週間ごとに処置を行う(3週間に1回または3週目ごとの処置)薬用量(単回投与)は、約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgである。この用量をヒトに投与する際には、2から180分間、好ましくは2から120分間、一層好ましくは約5から約60分間、あるいは最も好ましくは約30分間または約60分間での静脈内(i.v.)投与を利用すると好ましい。
他の態様では、γδ T細胞活性化因子の薬用量を、非ヒト動物でのその最大耐量または最高被検量の関数として求めることができる。よって、本発明は、増殖性疾患、特に固形腫瘍、さらには転移した固形腫瘍を処置するためのin vivo療法であって、γδ T細胞活性化因子、特に式Iに記載のγδ T細胞活性化因子、特にBrHPPと、CBrHPPと、HDMAPP HDMAPPと、epoxPPと、からなる群から選択されるγδ T細胞活性化因子を、(単回投与)最大耐量(MTD)の約1から約100%、好ましくは約25から100%の用量で、温血動物、特にヒトに投与する療法について開示するものである。
処置サイクル
別の方法において、本発明者らは、γδ T細胞調節ピロホスフェート化合物のin vivoでの動態に基づいてγδ T細胞活性の調節を改善する投与計画を考案した。
本発明は、哺乳動物の被検体でのγδ T細胞の活性の調節方法であって、化合物の2回目の投与前に、γδ T細胞活性、好ましくはγδ T細胞率(γδ T細胞数)を実質的に基線の率に戻すことのできる処置サイクルに従って、投与を必要としている被検体に、γδ T細胞活性化因子を有効量で投与する方法を提供するものである。本明細書にてさらに説明するように、好ましい実施形態では、患者のγδ T細胞率が実質的に基線の率に戻るまでには少なくとも約1週間であるが、一層好ましくは少なくとも約2週間必要である。
実施例でさらに示すように、本発明者らは、サイクルが約7日間よりも短いとγδ T細胞活性の好適な刺激を得られないことを見いだした。好ましいサイクルの過程は、少なくとも1週ごとのサイクルであるが、一層好ましくは少なくとも2週ごとのサイクル(少なくとも約14日間)、あるいは一層好ましくは少なくとも3週間ごとまたは4週間ごとであるとはいえ、2週から4週間ごとの範囲内でいずれかの日数でのサイクルであれば好ましい。また、同じく有効であると思われるのが、最大8週間ごと、すなわちたとえば5週間ごと、6週間ごと、7週間ごとまたは8週間ごとのサイクルである。
好ましい一実施形態では、γδ T細胞活性化因子の投与を2週間ごとから4週間ごとのサイクル(すなわち、約14日から28日周期で繰り返すサイクル)の初日に行う。好ましい実施形態では、2週ごとから4週間ごと、あるいは好ましくは3週間ごとのサイクルの初日にのみγδ T細胞活性化因子を投与する。
好ましい実施形態では、γδ T細胞活性化因子の投与を1週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日に行う。好ましい実施形態では、1週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日にのみγδ T細胞活性化因子を投与する。好ましい実施形態では、1週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日にのみγδ T細胞活性化因子を投与する。
特に好ましい実施形態では、γδ T細胞活性化因子の投与を3週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日に行う。好ましい実施形態では、3週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日にのみγδ T細胞活性化因子を投与する。好ましい実施形態では、3週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日にのみγδ T細胞活性化因子を投与する。
上述したように、好ましくは少なくとも2サイクル、あるいは一層好ましくは少なくとも3サイクルにわたって被検体の処置を行う。他の態様では、さらに多くのサイクル数で処置を継続してもよく、たとえば、少なくとも4、5、6またはさらに多くのサイクル数が考えられる。各サイクルの最後に、腫瘍が制御されるか腫瘍退縮が起こるまで、そして臨床的に寛容のある限り投薬サイクルを繰り返してもよい。腫瘍の「制御」は上記にて定義したとおり十分に知られている臨床パラメータである。好ましい実施形態では、投薬サイクルを最大約8サイクルまで繰り返す。
サイトカインでの同時処置
他の実施形態では、本発明の方法はサイトカインを投与することをさらに含む。本発明の化合物についてはさらに他の投与と併用してもよいし併用しなくてもよいが、好ましい態様では、サイトカインを投与することが可能であり、この場合の前記サイトカインは、γδ T細胞活性化化合物で処置したγδ T細胞個体群の増殖を亢進することができ、好ましくは、サイトカインによってγδ T細胞個体群の増殖を誘導でき、これがγδ T細胞活性化化合物を前記サイトカインのない状態で投与したときに得られる増殖量よりも多い。好ましいサイトカインのひとつにインターロイキン−2ポリペプチドがある。
γδ T細胞増殖誘導活性のあるサイトカイン、最も好ましくはインターロイキン−2ポリペプチドを、一般に1から10日間の時間をかけて低用量で投与する。γδ T細胞活性化因子については、一般にはサイクルの開始時に単回用量で投与すると好ましい。
好ましい態様では、サイトカイン、最も好ましくはIL−2を、毎日から最大で約10日間、好ましくは約3日から10日の期間、あるいは最も好ましくは約7日間投与する。好ましくは、γδ T細胞活性化因子の投与と同日(24時間以内など)にサイトカインの投与を開始する。サイトカインについては、約3日から10日の前記療法内の好適なスキームで投与可能であることは理解できよう。たとえば、一態様では、サイトカインを毎日投与するのに対し、他の態様ではサイトカインを毎日投与する必要はない。サイトカインを約7日から約14日間投与する場合、4週間ごとの処置サイクルが好ましい。最初の成分を約4日間投与する場合、3週間ごとに1日の処置サイクルが好ましい。
よって、本発明は、合成γδ T細胞活性化因子とサイトカインの使用方法にも関するものである。最も好ましい実施形態では、このサイトカインはインターロイキン−2ポリペプチドである。このサイトカインを利用して、哺乳動物の被検体でのγδ T細胞の活性調節用の製剤組成物を製造することができる。具体的には、γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを別々に投与する。なお一層好ましくは、インターロイキン−2ポリペプチドを、一般に1から10日間の時間をかけて低用量で投与する。好ましい実施形態では、γδ T細胞活性化因子を、一般には処置開始時に単回用量で投与する。
特に、本発明は、γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを利用して、被検体のがんを処置するための製剤組成物を製造することに関するものであり、前記γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを別々に被検体に投与する。一層好ましくは、インターロイキン−2ポリペプチドを、一般に1から10日間の時間をかけて低用量で投与および/またはγδ T細胞活性化因子を単回用量で処置開始時に投与する。
他の具体的な実施形態では、本発明は、γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを利用して、被検体の感染症を処置するための製剤組成物を製造することに関するものであり、前記γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを別々に被検体に投与する。一層好ましくは、インターロイキン−2ポリペプチドを、一般に1から10日間の時間をかけて低用量で投与および/またはγδ T細胞活性化因子を単回用量で処置開始時に投与する。
さらなる実施形態では、本発明は、γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを利用して、被検体の自己免疫疾患を処置するための製剤組成物を製造することに関するものであり、前記γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを別々に被検体に投与する。一層好ましくは、インターロイキン−2ポリペプチドを、一般に1から10日間の時間をかけて低用量で投与および/またはγδ T細胞活性化因子を単回用量で処置開始時に投与する。
また、本発明は、被検体のがん、感染症、自己免疫疾患またはアレルギー疾患を処置するための方法であって、投与が必要な被検体に、γδ T細胞活性化因子およびインターロイキン−2ポリペプチドを有効量で別々に投与することを含む方法に関するものである。
上記の方法ならびに処置については、単独で使用してもよいし、他の活性剤または処置との組み合わせで使用してもよい。たとえば、腫瘍を処置する場合、化学療法、放射線療法または遺伝子療法などの処置または他の抗腫瘍剤と本発明を併用することができる。
また、本発明は、哺乳動物の被検体でγδ T細胞の活性を調節する目的で、別々に使用できるγδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを含む製品にも関するものである。
好ましい実施形態では、γδ T活性化因子を用いての1回目の処置サイクルの間と以後のγδ T活性化因子での処置サイクルにサイトカインを投与する。しかしながら、1回目の処置サイクルではサイトカインを投与しないようにするなど、本発明の処置計画を変更してもよい点は理解できよう。すなわち、この方法は、
(a)1週間ごとから4週間ごとのサイクル、あるいは一層好ましくは2週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日に合成γδ T活性化因子を投与し、サイトカインを投与しない1回目の処置サイクルを被検体に少なくとも1回ほどこし、
(b)1週間ごとから4週間ごとのサイクル、あるいは一層好ましくは2週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日に合成γδ T活性化因子を投与し、1日から約10日の期間サイトカインを投与することを含む2回目の処置サイクルを少なくともほどこし、
(c)場合により、工程(b)を適当なサイクル数だけ繰り返すことを含み得る。
他の態様では、以後の1以上の処置サイクルではサイトカインを投与しないなど、本発明の処置計画を部分的に変更してもよい点は理解できよう。すなわち、この方法は、
(a)1週間ごとから4週間ごとのサイクル、あるいは一層好ましくは2週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日に合成γδ T活性化因子を投与し、1日から約10日の期間サイトカインを投与することを含む1回目の処置サイクルを被検体に少なくとも1回ほどこし、
(b)1週間ごとから4週間ごとのサイクル、あるいは一層好ましくは2週間ごとから4週間ごとのサイクルの初日に合成γδ T活性化因子を投与し、サイトカインを投与しない2回目の処置サイクルを少なくともほどこし、
(c)場合により、工程(a)または(b)を適当なサイクル数だけ繰り返すことを含む。
使用形態
本明細書にて開示するように、γδ T細胞活性化因子はシングルショットで投与すると好ましいものである。2回以上の投与がなされる処置に用いる場合、処置サイクルの開始時にγδ T細胞活性化因子をシングルショットで投与すると好ましい。実験に関するセクションで説明するように、このような投与スケジュールによって、被検体でのγδ T細胞の活性が顕著に増大する。活性成分については、一般には注射または経口投与などの異なる経路で投与できる。注射は、静脈内注射、腹腔内注射、動脈内注射、筋肉内注射、皮内注射、皮下注射などの形でさまざまな組織に実施できるものである。
最も好ましくは、γδ T細胞活性化因子を静脈内(i.v.)投与によって投与する。好ましくは、前記注入を2から180分間、好ましくは2から120分間、一層好ましくは約5から約30分間、最も好ましくは約10から約30分間、たとえば約30分間などの時間をかけて行う。本明細書にてさらに説明するように、本発明は、γδ T細胞調節作用を得るにはγδ T細胞活性の軽い刺激で十分であることを開示するものである。よって、好ましくは、γδ T細胞活性化化合物の血清半減期が、たとえば血清半減期約48時間未満、約24時間未満または約12時間未満といった具合に短いときには、短時間で注入を行う。前記短時間での注入については、好ましくは約10分間から60分間、あるいは一層好ましくは約30分間行う。
投与計画にγδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドの両方が含まれる場合、前記化合物を別々に投与するのが好ましい。本発明に関する限り、「別々に投与する」という表現は、異なる部位に、あるいは異なる経路で、あるいは異なるスケジュールで活性成分を被検体に投与することを示す。このため、通常は投与前に成分同士が混合されることはないが、適宜分離させた容器に入れて独特なパッケージで組み合わせるようにしてもよい。
好ましい実施形態では、活性成分を異なるスケジュールで投与する。すなわち、合成γδ T細胞活性化因子を処置開始時にシングルショットで投与し、インターロイキン−2ポリペプチドを一般に1日から10日間という長めの時間をかけて投与する。実験に関するセクションに示すように、このような投与スケジュールを用いると、被検体でのγδ T細胞の活性が顕著に増大する。
これらの活性成分については、一般には注射または経口投与などの異なる経路で投与できる。注射は、静脈内注射、腹腔内注射、動脈内注射、筋肉内注射、皮内注射、皮下注射などの形でさまざまな組織に実施できるものである。合成活性化因子に好ましい投与経路は静脈内注射と筋肉内注射である。サイトカインに好ましい投与経路は、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射である。
本発明の具体的な一実施形態は、(i)PED化合物またはPHD化合物から選択される合成γδ T活性化因子と、(ii)インターロイキン−2ポリペプチドとを、被検体のがん、感染症または自己免疫疾患を処置するための製剤組成物の製造に利用することであって、前記合成γδ T活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを別々に被検体に投与することに関するものである。一層好ましくは、インターロイキン−2ポリペプチドを、一般に1から10日間の時間をかけて低用量で投与および/または合成γδ T活性化因子を単回用量で処置開始時に投与し、好ましくは0.5から80mg/kg、一層好ましくは1から60、なお一層好ましくは2から60mg/kgの用量で投与する。
γδ T細胞活性化因子の薬用量
上述したように、γδ T細胞の活性を増大させる上でγδ T細胞活性化因子の投与に適した具体的な薬用量範囲を本明細書にて開示する。ただし、活性化因子の用量については、活性化因子の性質、その比活性、EC50、安定性および/または薬物動態ならびに、被検体のタイプなどに応じて、当業者が適宜変更すればよいことは理解できよう。γδ T細胞活性化因子に関してこれを行うためのいくつかの方法も本明細書に記載しておく。好ましくは、γδ T細胞活性化因子を、0.01から200mg/kg、好ましくは0.05から80mg/kg、一層好ましくは0.1から60、なお一層好ましくは1から60mg/kgの用量でヒト被検者に投与する。活性化因子については、単回用量で処置開始時に投与してもよいし、数日間に分けて投与してもよい。しかしながら、本発明は、活性化因子を単回用量で処置開始時に投与すると有意に高い効果が得られることを示している。一般的な薬用量は1から60mg/kg、一層好ましくは1から50mg/kgである。適切な薬用量を推定するには、動物での実験を平均体重および平均体表面積で正規化して利用すればよい。たとえば、カニクイザル(平均体重約3kg、平均体表面積約0.3m)での有効用量2から300mg/kgが、ヒト被検者(平均体重約65kg、平均体表面積約1.8m)での有効薬用量0.5から80mg/kgに相当することを算出できる。なお、合成活性化因子を用いてin vivoで観察される毒性が低いことに鑑みて、上記よりも多い薬用量を含め、上記とは異なる薬用量を利用してもよい点は理解されたい。
本発明はさらに、in vitroでの活性に基づいて、他のγδ T細胞活性化因子に適した薬用量範囲を求める目的で利用できる方法を提供するものである。一態様では、本発明は、in vitroとin vivoのγδ T細胞刺激活性の対応関係、特にEC50値の対応関係を示す、2種類のγδ T細胞活性化因子についてのin vivoおよびin vitroでの用量作用曲線を提供するものである。よって、本発明は、γδ T細胞活性化因子の薬用量ならびに、本明細書に記載の例に基づいて前記被験化合物を被検者に投与する際の薬用量を求める方法を提供するものでもある。化合物に合った適切な薬用量範囲については、(a)好ましくは本明細書の例に記載のアッセイ法を利用して、化合物のin vitroでのγδ T活性化力価を求め、(b)被験化合物の前記活性と、in vivoでの活性が既知の化合物、好ましくはBrHPPまたはHDMAPP化合物を用いて得られたin vitro活性とを比較し、in vivoでの活性が既知の化合物の場合に比例させる形でin vivoでの薬用量または薬用量範囲をコンピュータで算出することで求められる。好ましくは、in vitroでの活性を求めることには、EC50を求めることが含まれる。このようにして、たとえば非ヒト哺乳動物の被検体、好ましくはカニクイザルでの研究に合った開始用量を選択する上で有用な薬用量の範囲を求めることができる。上記の範囲内で異なる用量を被検体に投与し、たとえば本明細書に記載のアッセイを利用してγδ T細胞活性を評価することで、さらに厳密な数値を得ることも可能である。
また、本発明は、γδ T細胞活性の増大を刺激するにはγδ T細胞活性の軽い刺激で十分だということを示すものでもある。よって、好適なγδ T細胞活性化化合物には、半減期の短い化合物と半減期の長い化合物とが含まれる。一態様では、血清半減期が、たとえば血清半減期約48時間未満、約24時間未満または約12時間未満といった具合に短いγδ T細胞活性化因子を、γδ T細胞生物活性または個体群増殖についての最大の効果の半分(EC50)が得られる単回投与有効濃度値よりも高い(好ましくは、EC50の少なくとも110%、120%、130%または150%)用量、あるいは一層好ましくは、少なくとも50%、あるいは一層好ましくは、最大の効果が得られる単回投与有効濃度値の少なくとも60%、75%、85%または好ましくは約50%から100%(EC100)の用量で投与する。好ましくは、前記投与を約10分間から約60分間かけて静脈内注入により行う。
他の態様では、最大耐量(MTD)の関数として適切な薬用量を求めることができる。MTDは標準的な手順で求められる。好ましくは、温血動物では、経口投与または静脈内投与の場合のMTDを、死に至ることがなく、かつ、処置した温血動物の個体(この用語は、ここでは主に動物を示すもので、ヒトについては下記を参照のこと)で体重が40パーセント(%)未満、好ましくは25パーセント未満落ちる単回投与の用量として求める。動物での用量範囲の研究でMTDが明らかにならなかった場合の他の態様では、試験を行った中で最も高い用量をMTDに代えて利用してもよい。
MTDは、腫瘍のタイプ、年齢域、性別、腫瘍の段階などで定義できる患者の個体群次第で違ってくることがある。動物の場合、MTDを求める最も好ましい方法は、以下に示す実施例であげる方法に近いものでよいが、ヒトの場合、通常MTDは、毒物の研究がすでになされている最も感受性の高い動物種のLD10(すなわち、動物の10%が死に至る致死用量)の1/10など、極めて低用量での1単回投与から開始して求められる。次の用量レベルへの用量増分は、米国国立癌研究所の改訂共通毒性基準でみてグレード2の毒性が認められない限りは100%であり、このような毒性が認められた場合は用量増分67%になる。次の用量レベルへの用量増分は25%から67%の範囲である。たとえば、通常は患者3名を1用量レベルで処置し、一過程の処置で急性毒性について観察を行った上で、患者の人数を増やすようになっている。患者3名全員にDLT(用量限定毒性)が生じなければ、次の患者3名からなる集団に次に高い用量で処置を行う。この患者3名のうち2名以上でDLTが生じた場合は、続いてさらに3名の患者を次に低い用量で処置するが、患者6名がすでにその用量で処置を受けている場合はこの限りではない。この用量で処置した患者3名のうち1名でDLTが生じた場合は、さらに3名の患者を同じレベルで処置する。これらの患者間でのDLTの発生率が六分の一であれば、次の集団を次に高い用量で処置する。通常、ある用量レベルで処置を行った患者6名のうち2名以上でDLTが生じた場合に、MTDを超えたとみなし、さらに3名の患者を上述したようにして次に低い用量で処置する。MTDは、DLTの発生率が33%未満で検討した中での最高用量として定義される。通常、同じ患者で以後の過程に用量を増分すること−−すなわち患者内での用量増分−−は認められない。あるいは、開始用量よりも後ろのレベルへの用量の増分が100%、67%、50%および40%であり、以後はどのレベルでも33%になる、フィボナッチ数列を改変して用量段階を定義してもよい。最後に、Simon,R.ら、J.Nat.Cancer Inst.89(15)、1997、p.1138〜1147に記載の方法でMTDを求めればよい。
DLTには通常、薬剤関連死と、発熱性好中球減少症(米国国立癌研究所の改訂共通毒性基準も参照のこと)を含むグレード3と4のほとんどの薬剤関連毒性が入る(が、これに限定されるものではない)。特に実施例を参照のこと。
上記の方法ならびに用途では、好ましくは被検体が、がん、感染症、自己免疫疾患またはアレルギー疾患のある被検体などの被検者である。本発明は特に、γδ T細胞溶解に対する感受性のある病的細胞が存在することで生じるあるいはこれに関連したあらゆる症状の処置に好適である。
本発明は特に、リンパ腫、膀胱がん、多発性骨髄腫、腎細胞癌などの固形腫瘍または造血腫瘍のある被検体の抗腫瘍免疫を刺激するのに適している。
それにもかかわらず、本発明は、HIV、CMV、EBV、インフルエンザウイルス、HCV、HBVなどから選択されるウイルスに感染した被検体で抗ウイルス免疫応答を刺激するのにも適している。
また、本発明は、結核、マラリア、野兎病、大腸菌症などを引き起こす病原体に感染した被検体で免疫応答を刺激するのにも適している。
さらに、本発明は、糖尿病、多発性硬化症、関節リウマチなどの自己免疫疾患のある被検体、あるいは、喘息、気道過敏症などをはじめとするアレルギー疾患のある被検体を処置する(たとえば被検体の免疫応答を刺激するなど)にも適している。
特に明記しない限り、温血動物、特にヒトに投与する場合の本明細書にて記載の薬用量は、それぞれの化合物の純粋な形態(アニオン形態)でのものを示してある。合成バッチに左右される活性成分の純度レベルを利用して、実際の薬用量からアニオン形態へ、またその逆といった具合に薬用量を調節することが可能である。
合成γδ Tリンパ球活性化因子
本発明の有利な一態様が、合成γδ Tリンパ球活性化化合物を使用することにある。特に、本発明は、規定の活性化化合物を特定の投与スケジュールに沿って用いて、単一の代謝経路をトリガーすることで、γδ T細胞の持つ潜在的かつ標的となる増殖と活性化をin vivoで得られることを示すものである。
「合成γδ Tリンパ球活性化化合物」という用語と「合成γδ T細胞活性化化合物」という用語は同義であり、γδ Tリンパ球を活性化することが可能な人工生成分子を示す。さらに、合成γδ Tリンパ球活性化化合物という用語は、ex vivoまたはin vitroで生成される分子を示す。一層好ましくは、γδ Tリンパ球のT受容体のリガンドである。活性化因子は、ペプチド、脂質、小分子など、さまざまな性質のもので構わない。精製あるいは(化学合成または微生物学的プロセスによって)人工的に生成された内在性リガンドまたは断片またはその誘導体、あるいは実質的に同じ抗原特異性を持つ抗体であってもよい。活性化因子は、最も好ましくは、Vγ9Vδ2 Tリンパ球を選択的に活性化できる合成化合物である。Vγ9Vδ2 Tリンパ球の選択的活性化とは、その化合物に、特定の細胞個体群に対する選択的作用があり、基本的にVδ1 T細胞などの他のT細胞サブタイプを活性化することはないことを示す。このような選択性は、本願に開示のとおり、好ましい化合物がVγ9Vδ2 Tリンパ球の増殖または生物活性の選択的活性化または標的活性化を引き起こし得ることを示唆している。
好ましくは、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、培養中にてγδ T細胞クローンの個体群でγδ T細胞の活性を調節できる化合物である。合成γδ Tリンパ球は、好ましくは培養中にγδ T細胞活性化因子が100mM未満の濃度で含まれるときに、ミリモル濃度でγδ T細胞クローンのγδ T細胞個体群の活性を調節できる。場合により、合成γδ Tリンパ球は、好ましくは培養中にγδ T細胞活性化因子が10mM未満の濃度で含まれ、あるいは一層好ましくは1mMの濃度で含まれるときに、ミリモル濃度でγδ T細胞クローンの個体群でのγδ T細胞の活性を調節できる。本明細書にて記載のように、γδ T細胞の活性の調節については、好ましくはサイトカイン分泌を評価し、最も好ましくはTNF−α分泌を評価するなどの好適な手段で、評価することが可能なものである。なお、純粋なγδ T細胞クローンの個体群を得るための方法が、Davodeauら(1993)およびMoreauら(1986)に記載されており、これらの開示内容を本明細書に援用する。好ましくは、この化合物は、培養中のγδ T細胞数を少なくとも20%、50%またはそれ以上増やすことができ、あるいは一層好ましくは、培養中のγδ T細胞数を少なくとも2倍にできるものである。
合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(I)の化合物を含む。
Figure 2006510629

式中、Cat+は、1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を示し、
mは1から3の整数であり、
Bは、O、NHまたは加水分解可能な任意の基であり、
Y=OCat+、C〜Cアルキル基、基−A−Rであるか、ヌクレオシドと、オリゴヌクレオチドと、核酸と、アミノ酸と、ペプチドと、タンパク質と、単糖と、オリゴ糖と、多糖と、脂肪酸と、単純脂質と、複合脂質と、葉酸と、テトラヒドロ葉酸と、リン酸と、イノシトールと、ビタミンと、補酵素と、フラボノイドと、アルデヒドと、エポキシドと、ハロヒドリンと、からなる群から選択されるラジカルであり、
Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、
Rは、場合により少なくとも1個のヘテロ原子で中断された、直鎖状、分枝状または環状の、芳香族または非芳香族の、飽和または不飽和のC〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキルと、アルキレニルと、アルキニルと、エポキシアルキルと、アリールと、複素環と、アルコキシと、アシルと、アルコールと、カルボキシル基(−COOH)と、エステルと、アミンと、アミノ基(−NH)と、アミド(−CONH)と、イミンと、ニトリルと、ヒドロキシル(−OH)と、アルデヒド基(−CHO)と、ハロゲンと、ハロゲノアルキルと、チオール(−SH)と、チオアルキルと、スルホンと、スルホキシドと、これらの組み合わせと、からなる群から選択される1個またはいくつかの置換基で置換可能である、アルキル、アルキレニルまたはアルキニルを含み、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含む。
特定の実施形態において、上記にて定義したような置換基は、上に明記した置換基のうちの少なくとも1つで置換される。
好ましくは、置換基は、(C〜C)アルキルと、(C〜C)アルキレニルと、(C〜C)アルキニルと、(C〜C)エポキシアルキルと、アリールと、複素環と、(C〜C)アルコキシと、(C〜C)アシルと、(C〜C)アルコールと、カルボキシル基(−COOH)と、(C〜C)エステルと、(C〜C)アミンと、アミノ基(−NH)と、アミド(−CONH)と、(C〜C)イミンと、ニトリルと、ヒドロキシル(−OH)と、アルデヒド基(−CHO)と、ハロゲンと、(C〜C)ハロゲノアルキルと、チオール(−SH)と、(C〜C)チオアルキルと、(C〜C)スルホンと、(C〜C)スルホキシドと、これらの組み合わせと、からなる群から選択される。
一層好ましくは、置換基は、(C〜C)アルキルと、(C〜C)エポキシアルキルと、(C〜C)アルキレニルと、(C〜C)アルコキシと、(C〜C)アシルと、(C〜C)アルコールと、(C〜C)エステルと、(C〜C)アミンと、(C〜C)イミンと、ヒドロキシルと、アルデヒド基と、ハロゲンと、(C〜C)ハロゲノアルキルと、これらの組み合わせと、からなる群から選択される。
なお一層好ましくは、置換基は、(C〜C)エポキシアルキルと、(C〜C)アルコキシと、(C〜C)アシルと、(C〜C)アルコールと、(C〜C)エステルと、(C〜C)アミンと、(C〜C)イミンと、ヒドロキシルと、ハロゲンと、(C〜C)ハロゲノアルキルと、これらの組み合わせと、からなる群から選択される。好ましくは、Rは(C〜C25)炭化水素基であり、一層好ましくは(C〜C10)炭化水素基である。
本発明に関する限り、「アルキル」という用語は、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシルならびに、これらの他の異性体などの基を意味する。(C〜C)アルキルは、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルならびに、これらの他の異性体を意味する。(C〜C)アルキルは、具体的には、メチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルを意味する。
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和エチレン結合を有する、上記にて定義したアルキル基を示し、「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの不飽和アセチレン結合を有する、上記にて定義したアルキル基を示す。(C〜C)アルキレンとしては、エテニル、プロペニル(1−プロペニルまたは2−プロペニル)、1−または2−メチルプロペニル、ブテニル(1−ブテニル、2−ブテニルまたは3−ブテニル)、メチルブテニル、2−エチルプロペニル、ペンテニル(1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル)、ヘキセニル(1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル)ならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)アルキニルとしては、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニルまたは5−ヘキシニルならびに、これらの他の異性体があげられる。
「エポキシアルキル」という用語は、エポキシド基を有する、上記にて定義したアルキル基を示す。特に、(C〜C)エポキシアルキルとしては、エポキシエチル、エポキシプロピル、エポキシブチル、エポキシペンチル、エポキシヘキシルならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)エポキシアルキルとしては、エポキシエチルおよびエポキシプロピルがあげられる。
「アリール」基は、6から18個の炭素原子を有する、単環式芳香族炭化水素、二環式芳香族炭化水素または三環式芳香族炭化水素である。一例として、特に、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチルまたはアントラセニル基があげられる。
「複素環」基は、1以上のヘテロ原子、好ましくは1から5個の環内ヘテロ原子を有する、5から18個の環を含む基である。これらの基は、単環式や二環式であってもよいし、三環式であってもよい。また、芳香族であってもなくても構わない。好ましくは、かつRについては具体的に、これらの基は芳香族複素環である。芳香族複素環の例としては、ピリジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、ピラジン基、フラン基、チオフェン基、ピロール基、オキサゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、イミダゾール基、ピラゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、チアジアゾール基、トリアジン基があげられる。二環の例としては、特に、キノリン基、イソキノリン基、キナゾリン基(2個の6員環の場合)ならびにインドール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール(6員環および5員環の場合)があげられる。非芳香族複素環は、特に、ピペラジン、ピペリジンなどを含む。
「アルコキシ」基は、−O−(エーテル)結合によって分子に結合した、上記にて定義したアルキル基に相当する。(C〜C)アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシがあげられる。
「アルシル(alcyl)」基は、−CO−(カルボニル)基によって分子に結合した、上記にて定義したアルキル基に相当する。(C〜C)アシルとしては、アセチル、プロピルアシル、ブチルアシル、ペンチルアシル、ヘキシルアシルならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)アシルとしては、アセチル、プロピルアシル、イソプロピルアシルがあげられる。
「アルコール」基は、少なくとも1個の水酸基を含有する、上記にて定義したアルキル基に相当する。このアルコールには、第1級、第2級または第3級が可能である。(C〜C)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールがあげられる。
「エステル」基は、−COO−(エステル)結合によって分子に結合した、上記にて定義したアルキル基に相当する。(C〜C)エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステルならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)エステルとしては、メチルエステルおよびエチルエステルがあげられる。
「アミン」基は、−N−(アミン)結合によって分子に結合した、上記にて定義したアルキル基に相当する。(C〜C)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミンならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンがあげられる。
「イミン」基は、(−C=N−)結合を有する、上記にて定義したアルキル基に相当する。(C〜C)イミンとしては、メチルイミン、エチルイミン、プロピルイミン、ブチルイミン、ペンチルイミン、ヘキシルイミンならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)イミンとしては、メチルイミン、エチルイミン、プロピルイミンがあげられる。
ハロゲンには、Cl、Br、IまたはFが可能であり、一層好ましくはBrまたはFである。
「ハロゲノアルキル」基は、少なくとも1個のハロゲンを有する、上記にて定義したアルキル基に相当する。これらの基には、同一または異なるハロゲン原子を含有する、モノハロゲン化または多ハロゲン化したものが可能である。たとえば、この基には、トリフルオロアルキル(CF−R)が可能である。(C〜C)ハロゲノアルキルとしては、ハロゲノメチル、ハロゲノエチル、ハロゲノプロピル、ハロゲノブチル、ハロゲノペンチル、ハロゲノヘキシルならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)ハロゲノアルキルとしては、ハロゲノメチル、ハロゲノエチル、ハロゲノプロピルがあげられる。
「チオアルキル」基は、−S−(チオエーテル)結合によって分子に結合した、上記にて定義したアルキル基に相当する。(C〜C)チオアルキルとしては、チオメチル、チオエチル、チオプロピル、チオブチル、チオペンチル、チオヘキシルならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)チオアルキルとしては、チオメチル、チオエチル、チオプロピルがあげられる。
「スルホン」基は、−SOO−(スルホン)結合によって分子に結合した、上記にて定義したアルキル基に相当する。(C〜C)スルホンとしては、メチルスルホン、エチルスルホン、プロピルスルホン、ブチルスルホン、ペンチルスルホン、ヘキシルスルホンならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)スルホンとしては、メチルスルホン、エチルスルホン、プロピルスルホンがあげられる。
「スルホキシド」基は、−SO−(スルホキシド)基によって分子に結合した、上記にて定義したアルキル基に相当する。(C〜C)スルホキシドとしては、メチルスルホキシド、エチルスルホキシド、プロピルスルホキシド、ブチルスルホキシド、ペンチルスルホキシド、ヘキシルスルホキシドならびに、これらの他の異性体があげられる。(C〜C)スルホキシドとしては、メチルスルホキシド、エチルスルホキシド、プロピルスルホキシド、イソプロピルスルホキシドがあげられる。
「ヘテロ原子」は、N、SまたはOを示す。
「ヌクレオシド」としては、アデノシン、チミン、ウリジン、シチジンおよびグアノシンがあげられる。
特定の実施形態では、炭化水素基はシクロペンタジエンまたはフェニルなどのシクロアルキレニルであるか、あるいは、フラン、ピロール、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピランまたはピラジンなどの複素環である。好ましくは、シクロアルキレニルまたは複素環は、シクロペンタジエン、ピロールまたはイミダゾールからなる群から選択される。好ましい実施形態では、シクロアルキレニルまたは複素環はアルコールによって置換される。好ましくは、前記アルコールは(C〜C)アルコールである。
他の実施形態では、炭化水素基は、1個または数個の二重結合を持つアルキレニルである。好ましくは、このアルキレニル基には二重結合が1個ある。好ましくは、アルキレニル基は(C〜C10)アルキレニル基であり、一層好ましくは(C〜C)アルキレニル基である。好ましくは、前記アルキレニル基は少なくとも1個の官能基で置換される。一層好ましくは、この官能基は、ヒドロキシ、(C〜C)アルコキシ、アルデヒド、(C〜C)アシルまたは(C〜C)エステルからなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、炭化水素基は、基−CHOHで置換されたブテニルである。場合により、前記アルケニル基には、トランス(E)またはシス(Z)型のアイソフォームが可能であり、一層好ましくはトランスアイソフォーム(E)である。最も好ましい実施形態では、アルキレニル基は(E)−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニルである。他の好ましい実施形態では、アルキレニル基は、イソペンテニル、ジメチルアリルまたはヒドロキシジメチルアリルである。
別の実施形態では、炭化水素基はアシルで置換されたアルキル基である。一層好ましくは、炭化水素基は、(C〜C)アシルで置換された(C〜C)アルキル基である。
さらに好ましい実施形態では、Rは以下の選択肢からなる群から選択される。
Figure 2006510629

式中、nは2から20の整数であり、Rは(C〜C)アルキル基であり、Rは、ハロゲン化(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、ハロゲン化(C〜C)アシルまたは(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アシルである。好ましくは、Rはメチル基またはエチル基であり、Rはハロゲン化メチル(−CH−X、Xはハロゲンである)、ハロゲン化(C〜C)アセチルまたは(C〜C)アルコキシ−アセチルである。ハロゲン化メチルまたはアセチルには、モノハロゲン化、ジハロゲン化またはトリハロゲン化したものが可能である。好ましくは、nは2から10の整数であるか、2から5の整数である。一層好ましい実施形態では、nは2である。最も好ましい実施形態では、nは2であり、Rはメチルであり、Rはハロゲン化メチルであり、一層好ましくはモノハロゲン化メチルであり、なお一層好ましくは臭化メチルである。特に好ましい実施形態では、nは2であり、Rはメチルであり、R2は臭化メチルである。最も好ましい実施形態では、Rは3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イルである。
Figure 2006510629

式中、nは2から20の整数であり、Rはメチル基またはエチル基である。好ましくは、nは2から10の整数であるか、2から5の整数である。一層好ましい実施形態では、nは2であり、R1はメチルである。
Figure 2006510629

式中、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、水素または(C〜C)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、Rは、(C〜C)アシル、アルデヒド、(C〜C)アルコールまたは(C〜C)エステルである。一層好ましくは、RおよびRはメチルであり、Rは水素である。一層好ましくは、Rは、−CH−OH、−CHO、−CO−CHまたは−CO−OCHである。場合により、WとCとの間の二重結合はトランス(E)またはシス(Z)の立体配座である。一層好ましくは、WとCとの間の二重結合はトランス(E)の立体配座である。
基Yはプロドラッグの設計を可能にするものである。したがって、Yは、被検体の特定の領域で切断可能な酵素不安定基(enzymolabile group)である。基Yはまた、標的基であってもよい。好ましい実施形態では、Yは、OCat+、基−A−Rであるか、ヌクレオシドと、単糖と、エポキシドと、ハロヒドリンと、からなる群から選択されるラジカルである。好ましくは、Yは酵素不安定基である。好ましくは、Yは、OCat+、基−A−Rであるか、またはヌクレオシドである。第1の好ましい実施形態では、Yは、OCat+である。第2の好ましい実施形態では、Yはヌクレオシドである。
好ましい実施形態では、CatはH、Na、NH 、K、Li、(CHCHNHである。
好ましい実施形態では、Aは、O、CHF、CFまたはCHである。一層好ましくは、AはOまたはCHである。
好ましい実施形態では、Bは、OまたはNHである。一層好ましくは、BはOである。
好ましい実施形態では、mは1または2である。一層好ましくは、mは1である。
特定の一実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(II)の化合物を含む。
Figure 2006510629

式中、Xはハロゲン(好ましくは、I、Br、Clから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1から3の整数であり、R1はメチル基またはエチル基であり、Cat+は1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2から20の整数であり、Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、Yは、OCat+、ヌクレオシドまたはラジカル−A−R(式中、Rは1)、2)または3)からなる群から選択される)である。好ましくは、Yは、OCat+であるか、またはヌクレオシドである。一層好ましくは、Yは、OCat+である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、AはOまたはCHである。一層好ましくは、AはOである。好ましくは、nは2である。好ましくは、Xは臭化物である。好ましくは、BはOである。好ましくは、mは1または2である。一層好ましくは、mは1である。
たとえば、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(III)または式(IV)の化合物を含む。
Figure 2006510629

Figure 2006510629

式中、X、R1、n、mおよびYは上述した意味を持つ。
好ましい一実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(V)の化合物を含む。
Figure 2006510629

式中、Xはハロゲン(好ましくは、I、Br、Clから選択される)であり、R1はメチル基またはエチル基であり、Cat+は1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2から20の整数である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、nは2である。好ましくは、Xは臭化物である。
最も好ましい実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(VI)の化合物を含む。
Figure 2006510629
好ましくは、x Cat+は1または2Naである。
他の最も好ましい実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(VII)の化合物を含む。
Figure 2006510629
好ましくは、x Cat+は1または2Naである。
特定の一実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(VIII)の化合物を含む。
Figure 2006510629

式中、R1はメチル基またはエチル基であり、Cat+は1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1から3の整数であり、nは2から20の整数であり、Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、Yは、OCat+、ヌクレオシドまたはラジカル−A−R(式中、Rは1)、2)または3)からなる群から選択される)である。好ましくは、Yは、OCat+であるか、またはヌクレオシドである。一層好ましくは、Yは、OCat+である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、AはOまたはCHである。一層好ましくは、AはOである。好ましくは、nは2である。好ましくは、BはOである。好ましくは、mは1または2である。一層好ましくは、mは1である。
たとえば、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(IX)または式(X)の化合物を含む。
Figure 2006510629

式中、R1、n、mおよびYは上述した意味を持つ。
好ましい一実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(XI)の化合物を含む。
Figure 2006510629

式中、R1はメチル基またはエチル基であり、Cat+は1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2から20の整数である。好ましくは、R1はメチルである。好ましくは、nは2である。
最も好ましい実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(XI)の化合物を含む。
Figure 2006510629
好ましくは、x Cat+は1または2Naである。
特定の一実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(XII)の化合物を含む。
Figure 2006510629

式中、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、水素または(C〜C)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、Rは、(C〜C)アシル、アルデヒド、(C〜C)アルコールまたは(C〜C)エステルであり、Cat+は、1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1から3の整数であり、Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、Yは、OCat+、ヌクレオシドまたはラジカル−A−R(式中、Rは1)、2)または3)からなる群から選択される)である。好ましくは、Yは、OCat+であるか、またはヌクレオシドである。一層好ましくは、Yは、OCat+である。好ましくは、AはOまたはCHである。一層好ましくは、AはOである。一層好ましくは、RおよびRはメチルであり、Rは水素である。一層好ましくは、Rは、−CH−OH、−CHO、−CO−CHまたは−CO−OCHである。好ましくは、BはOである。好ましくは、mは1または2である。一層好ましくは、mは1である。場合により、WとCとの間の二重結合はトランス(E)またはシス(Z)の立体配座である。一層好ましくは、WとCとの間の二重結合はトランス(E)の立体配座である。
たとえば、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(XIII)または(XIV)の化合物を含む。
Figure 2006510629

式中、R3、R4、R5、R6、W、mおよびYは、上述した意味を持つ。好ましくは、Wは−CH−である。好ましくは、R3およびR4は水素である。好ましくは、R5はメチルである。好ましくは、R6は−CH−OHである。
最も好ましい実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(XV)の化合物を含む。
Figure 2006510629
他の最も好ましい実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化因子は、式(XVI)の化合物を含む。
Figure 2006510629

化合物の具体例としては、以下のものがあげられる。
(E)1−ピロホスホノブタ−1,3−ジエン
(E)1−ピロホスホノペンタ−1,3−ジエン
(E)1−ピロホスホノ−4−メチルペンタ−1,3−ジエン
(E,E)1−ピロホスホノ−4,8−ジメチルノナ−1,3,7−トリエン
(E,E,E)1−ピロホスホノ−4,8,12−トリメチルトリデカ−1,3,7,11−テトラエン
(E,E)1−トリホスホノ−4,8−ジメチルノナ−1,3,7−トリエン
4−トリホスホノ−2−メチルブテン
α,β−ジ−[3−メチルペント−3−エニル]−ピロホスホネート
1−ピロホスホノ−3−メチルブト−2−エン
α,γ−ジ−[3−メチルブト−2−エニル]−トリホスホネート
α,β−ジ−[3−メチルブト−2−エニル]−ピロホスホネート
アリル−ピロホスホネート
アリル−トリホスホネート
α,γ−ジ−アリル−ピロホスホネート
α,β−ジ−アリル−トリホスホネート
(E,E)4−[(5’−ピロホスホノ−6’−メチル−ペンタ−2’,4’−ジエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン
(E,E)4−[(5’−トリホスホノ−6’−メチル−ペンタ−2’,4’−ジエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン
(E,E,E)[4−(9’−ピロホスホノ−2’,6’−ジメチル−ノナ−2’,6’,8’−トリエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン
(E,E,E)[4−(9’−ピロホスホノ−2’,6’,8’−トリメチル−ノナ−2’,6’,8’−トリエニルオキシメチル)−フェニル]−フェニル−メタノン
5−ピロホスホノ−2−メチペンテン
5−トリホスホノ−2−メチペンテン
α,γ−ジ−[4−メチルペント−4−エニル]−トリホスホネート
5−ピロホスホノ−2−メチペント−2−エン
5−トリホスホノ−2−メチペント−2−エン
9−ピロホスホノ−2,6−ジメチノナ−2,6−ジエン
9−トリホスホノ−2,6−ジメチノナ−2,6−ジエン
α,γ−ジ−[4,8−ジメチルノナ−2,6−ジエニル]−トリホスホネート
4−ピロホスホノ−2−メチブテン
4−メチル−2−オキサ−ペント−4−エニルオキシメチルピロホスフェート
4−メチル−2−オキサ−ペント−4−エニルオキシメチルトリホスフェート
α,β−ジ−[4−メチル−2−オキサ−ペント−4−エニルオキシメチル]−ピロホスフェート
α,γ−ジ−[4−メチル−2−オキサ−ペント−4−エニルオキシメチル]−トリホスフェート
ホスホハロヒドリン(R=1st))
3−(ハロメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート
3−(ハロメチル)−3−ペンタノール−1−イル−ジホスフェート(diphsophate)
4−(ハロメチル)−4−ペンタノール−1−イル−ジホスフェート
4−(ハロメチル)−4−ヘキサノール−1−イル−ジホスフェート
5−(ハロメチル)−5−ヘキサノール−1−イル−ジホスフェート
5−(ハロメチル)−5−ヘプタノール−1−イル−ジホスフェート
6−(ハロメチル)−6−ヘプタノール−1−イル−ジホスフェート
6−(ハロメチル)−6−オクタノール−1−イル−ジホスフェート
7−(ハロメチル)−7−オクタノール−1−イル−ジホスフェート
7−(ハロメチル)−7−ノナノール−1−イル−ジホスフェート
8−(ハロメチル)−8−ノナノール−1−イル−ジホスフェート
8−(ハロメチル)−8−デカノール−1−イル−ジホスフェート
9−(ハロメチル)−9−デカノール−1−イル−ジホスフェート
9−(ハロメチル)−9−ウンデカノール−1−イル−ジホスフェート
10−(ハロメチル)−10−ウンデカノール−1−イル−ジホスフェート
10−(ハロメチル)−10−ドデカノール−1−イル−ジホスフェート
11−(ハロメチル)−11−ドデカノール−1−イル−ジホスフェート
11−(ハロメチル)−11−トリデカノール−1−イル−ジホスフェート
12−(ハロメチル)−12−トリデカノール−1−イル−ジホスフェート
12−(ハロメチル)−12−テトラデカノール−1−イル−ジホスフェート
13−(ハロメチル)−13−テトラデカノール−1−イル−ジホスフェート
13−(ハロメチル)−13−ペンタデカノール−1−イル−ジホスフェート
14−(ハロメチル)−14−ペンタデカノール−1−イル−ジホスフェート
14−(ハロメチル)−14−ヘキサデカノール−1−イル−ジホスフェート
15−(ハロメチル)−15−ヘキサデカノール−1−イル−ジホスフェート
15−(ハロメチル)−15−ヘプタデカノール−1−イル−ジホスフェート
16−(ハロメチル)−16−ヘプタデカノール−1−イル−ジホスフェート
16−(ハロメチル)−16−オクタデカノール−1−イル−ジホスフェート
17−(ハロメチル)−17−オクタデカノール−1−イル−ジホスフェート
17−(ハロメチル)−17−ノナデカノール−1−イル−ジホスフェート
18−(ハロメチル)−18−ノナデカノール−1−イル−ジホスフェート
18−(ハロメチル)−18−エイコサノール−1−イル−ジホスフェート
19−(ハロメチル)−19−エイコサノール−1−イル−ジホスフェート
19−(ハロメチル)−19−ヘンエイコサノール−1−イル−ジホスフェート
20−(ハロメチル)−20−ヘンエイコサノール−1−イル−ジホスフェート
20−(ハロメチル)−20−ドコサノール−1−イル−ジホスフェート
21−(ハロメチル)−21−ドコサノール−1−イル−ジホスフェート
21−(ハロメチル)−21−トリコサノール−1−イル−ジホスフェート
特に、
3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート(BrHPP)
5−ブロモ−4−ヒドロキシ−4−メチルペンチルピロホスホネート(CBrHPP)
3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート(IHPP)
3−(クロロメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート(ClHPP)
3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−トリホスフェート(BrHPPP)
3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル−トリホスフェート(IHPPP)
α,γ−ジ−[3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル]−トリホスフェート(ジBrHTP)
α,γ−ジ−[3−(ヨードメチル)−3−ブタノール−1−イル]−トリホスフェート(ジIHTP)
ホスホエポキシド(R=2nd))
3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−ジホスフェート(Epox−PP)
3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−トリホスフェート(Epox−PPP)
α,γ−ジ−3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−トリホスフェート(ジ−Epox−TP)
3,4−エポキシ−3−エチル−1−ブチル−ジホスフェート
4,5−エポキシ−4−メチル−1−ペンチル−ジホスフェート
4,5−エポキシ−4−エチル−1−ペンチル−ジホスフェート
5,6−エポキシ−5−メチル−1−ヘキシル−ジホスフェート
5,6−エポキシ−5−エチル−1−ヘキシル−ジホスフェート
6,7−エポキシ−6−メチル−1−ヘプチル−ジホスフェート
6,7−エポキシ−6−エチル−1−ヘプチル−ジホスフェート
7,8−エポキシ−7−メチル−1−オクチル−ジホスフェート
7,8−エポキシ−7−エチル−1−オクチル−ジホスフェート
8,9−エポキシ−8−メチル−1−ノニル−ジホスフェート
8,9−エポキシ−8−エチル−1−ノニル−ジホスフェート
9,10−エポキシ−9−メチル−1−デシル−ジホスフェート
9,10−エポキシ−9−エチル−1−デシル−ジホスフェート
10,11−エポキシ−10−メチル−1−ウンデシル−ジホスフェート
10,11−エポキシ−10−エチル−1−ウンデシル−ジホスフェート
11,12−エポキシ−11−メチル−1−ドデシル−ジホスフェート
11,12−エポキシ−11−エチル−1−ドデシル−ジホスフェート
12,13−エポキシ−12−メチル−1−トリデシル−ジホスフェート
12,13−エポキシ−12−エチル−1−トリデシル−ジホスフェート
13,14−エポキシ−13−メチル−1−テトラデシル−ジホスフェート
13,14−エポキシ−13−エチル−1−テトラデシル−ジホスフェート
14,15−エポキシ−14−メチル−1−ペンタデシル−ジホスフェート
14,15−エポキシ−14−エチル−1−ペンタデシル−ジホスフェート
15,16−エポキシ−15−メチル−1−ヘキサデシル−ジホスフェート
15,16−エポキシ−15−エチル−1−ヘキサデシル−ジホスフェート
16,17−エポキシ−16−メチル−1−ヘプタデシル−ジホスフェート
16,17−エポキシ−16−エチル−1−ヘプタデシル−ジホスフェート
17,18−エポキシ−17−メチル−1−オクタデシル−ジホスフェート
17,18−エポキシ−17−エチル−1−オクタデシル−ジホスフェート
18,19−エポキシ−18−メチル−1−ノナデシル−ジホスフェート
18,19−エポキシ−18−エチル−1−ノナデシル−ジホスフェート
19,20−エポキシ−19−メチル−1−エイコシル−ジホスフェート
19,20−エポキシ−19−エチル−1−エイコシル−ジホスフェート
20,21−エポキシ−20−メチル−1−ヘンエイコシル−ジホスフェート
20,21−エポキシ−20−エチル−1−ヘンエイコシル−ジホスフェート
21,22−エポキシ−21−メチル−1−ドコシル−ジホスフェート
21,22−エポキシ−21−エチル−1−ドコシル−ジホスフェート。
特に、
3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−ジホスフェート(Epox−PP)
3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−トリホスフェート(Epox−PPP)
α,γ−ジ−3,4,−エポキシ−3−メチル−1−ブチル−トリホスフェート(ジ−Epox−TP)
ウリジン5’−トリホスフェート−(3,4−エポキシメチルブチル)(Epox−UTP)
ホスホエポキシド(R=3rd))
(E)−4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブテニルピロホスフェート(HDMAPP)
(E)−5−ヒドロキシ−4−メチルペント−3−エニルピロホスホネート(CHDMAPP)。
これらの化合物は、それ自体は従来技術において周知のさまざまな手法で生成できるものである。こうした手法のうちのいくつかは、PCT国際公開第00/12516号、同第00/12519号、同第03/050128号、同第03/009855号に開示されており、その開示内容を本明細書に援用する。
最も好ましい実施形態では、合成γδ Tリンパ球活性化化合物は、HDMAPPと、CHDMAPPと、Epox−PPと、BrHPPと、CBrHPPと、からなる群から選択され、一層好ましくはHDMAPP、CHDMAPP、BrHPP、CBrHPPであり、なお一層好ましくはHDMAPPである。
あるいは、潜在的に効率は低めではあるが、本発明で用いる他の活性化因子に、国際公開第95/20673号に開示されているホスホ抗原、イソペンテニルピロホスフェート(IPP)(米国特許第5,639,653号)、3−メチルブト−3−エニルピロホスホネート(C−IPP)がある。これら両引用文献の開示内容を本明細書に援用する。
Y基としてヌクレオシドを含む化合物は、たとえば、以下の反応によって調製可能である。Yで提供される官能基のタイプと反応性によっては、感受性官能基の保護/非保護の相またはカップリング反応と相互作用可能な相をはじめとする以下の例を、専門家であれば必要に応じて適宜変更できる。
Figure 2006510629

式中、−O−Vは、トシル、メシル、トリフリル(triflyle)、ブロシルまたはブロミウムなどから選択される、Vで始まる良い基(good group)であり、PPはピロホスフェート基を示し、PPPはトリホスフェート基を示し、R−A−は上述した意味であり、Nuclはヌクレオシドである。好ましくは、Nucl−O−Vは、5’−O−トシルアデノシン、5’−O−トシルウリジン、5’−O−トシルシチジン、5’−O−トシルチミジンまたは5’−O−トシル−2’−デオキシアデノシンからなる群から選択される。
たとえば、Rが基1)の化合物では、以下のような反応の流れにすることができる。
Figure 2006510629

式中、−O−Vは、トシル、メシル、トリフリル(triflyle)、ブロシルまたはブロミウムなどから選択される、Vで始まる良い基(good group)であり、PPはピロホスフェート基を示し、Nuclはヌクレオシドである。好ましくは、Nucl−O−Vは、5’−O−トシルアデノシン、5’−O−トシルウリジン、5’−O−トシルシチジン、5’−O−トシルチミジンまたは5’−O−トシル−2’−デオキシアデノシンからなる群から選択される。これについてはDavissonら(1987)に開示されており、その開示内容を本明細書に援用する。
中性pHは、Davissonら(1987)およびDavissonら(1986)に記載されているものと同様の条件で実施可能な求核置換反応であり、その開示内容を本明細書に援用する。
また、この反応を利用し、基Yとして単糖を含む化合物を調製することができる。この場合、Nucl−O−VがMonoSac−O−Vに置き換わり、Monosacが単糖である。たとえば、本明細書に援用する刊行物NilssonおよびMosbach(1980)に記載されているような化合物メチル−6−O−トシル−α−D−ガラクトピラノシドに対応するMonoSac−O−Y基または市販のマンノーストリフレート化合物を用いることが可能である。
また、この反応を利用し、基Yとしてオリゴ糖を含む化合物を調製することもできる。この場合、Nucl−O−VがoligoSac−O−Vに置き換わり、oligoSacがオリゴ糖である。たとえば、刊行物(Organic synthesis、第77巻、第225〜228ページ、その開示内容を本明細書に援用する)に記載されているように、化合物6−O−p−トルエンスルホニル−β−シクロデキストリンに対応するoligoSac−O−Y基を用いることが可能である。
さらに、この反応を利用し、基Yとして多糖を含む化合物を調製することもできる。この場合、Nucl−O−VがpolySac−O−Vに置き換わり、polySacが多糖である。たとえば、開示内容を本明細書に援用する刊行物Nilssonら(1981)およびNilssonおよびMosbach(1980)に記載されているように、トシル化多糖に対応するpolySac−O−Y基を用いることが可能である。この多糖支持体の水酸基のトシル化による活性化に基づくカップリング手法によって、水性媒体または有機媒体中で共有結合を得ることができる。
また、この反応を利用し、アセタールまたは官能基を保護する他の基の形で保護アルデヒド官能基を有する誘導体をNuclの代わりに選択すれば、基Yとしてアルデヒド誘導体を含む化合物を調製することができる。
あるいは、Y基としてヌクレオシドを含む化合物を以下の反応で調製することが可能である。
Figure 2006510629

式中、PPPはトリホスフェート基を示し、R−Aは上述した意味であり、DMFはジメチルホルムアミドであり、Nuclはヌクレオシドである。この反応は、開示内容を本明細書に援用するKnorreら(1976)またはBloomら、米国特許第5,639,653号(1997)に記載されているものと同様の条件で、式Nucl−O−PPPのアルコールおよびヌクレオチドから実施可能なものである。
たとえば、Rが基1)の化合物では、以下のような反応の流れにすることができる。
Figure 2006510629


式中、PPPはトリホスフェート基を示し、DMFはジメチルホルムアミドであり、Nuclはヌクレオシドである。
この反応を、刊行物Knorreら(1976)の著者らによって示されているように、オリゴヌクレオチド5’−トリホスフェートγ−エステルの調製に適用することも可能である。
核酸、特にリボ核酸をY基として含む化合物を、刊行物F.Huangら(1997)に記載されているものと同様の条件で調製することが可能である。著者らは、遊離末端ホスフェート基を含むどのような分子にも適用可能な触媒RNAからの普遍的な方法について説明している。イソペンテニルピロホスフェートまたはチアミンピロホスフェートなどのホスホハロヒドリン基と構造的に関連した化合物が、これらの著者らによって使用または言及されている(F.Huangら(1997)の8968ページを参照のこと)。また、8965ページの「Reaction of Isolate 6 pppRNA with phosphate containing Nucleophiles」というセクションに記載のカップリング手法の実験条件(特にpH条件)もハロヒドリン官能基の存在と両立できる点に注意されたい。
アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質誘導体をY基として含む化合物については、エポキシド官能基上のチオール官能基または第1級アミンの周知の反応性を利用して得ることができる(S2反応)。このタイプのカップリングには、エポキシド官能基を有する、いまだ「リンカー」と呼ばれている中間基が伝統的に必要である。このタイプのカップリングを用いる反応の流れの一例を以下にあげておく。
Figure 2006510629

式中、PPはピロホスフェート基を表し、R−Aは上述した意味であり、R’−SHは、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質誘導体である。第1相は、開示内容を本明細書に援用するDavissonら(1987)およびDavissonら(1986)に記載されているものと同様の条件で、初期化合物のテトラブチルアンモニウム塩とグリシジルトシレートまたはエピクロロヒドリンなどの市販の化合物から実施可能なものである。この反応はまた、スリホスフェート(thriphosphate)化合物を用いて実施可能である。あるいは、R’−SHの代わりに第1級アミンR’−NHを利用してもよい。R’−SHを用いる反応がない場合は、最初の反応を利用してエポキシド誘導体を含む化合物を調製することができる。
あるいは、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質誘導体をY基として含む化合物を、以下の反応で調製することも可能である。
Figure 2006510629

式中、PPPはトリホスフェート基を示し、PPはピロホスフェート基を示し、Pはホスフェート基を示し、R−Aは上述した意味であり、R’−NHは、アミノ酸、ペプチドまたはタンパク質誘導体である。この反応は、開示内容を本明細書に援用するKnorreら(1976)に記載されているものと同様の条件で、化合物(R−A−PPP)と式R−NHのアミノ酸、ペプチドまたはタンパク質から実施可能である。この反応には、化合物R−NHの感受性官能基の保護が必要であり、そうでなければカルボジイミド(特に、カルボキシル官能基)と反応する可能性がある。
リン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸またはポリリン酸のトリ−n−ブチルアンモニウム塩またはテトラ−n−ブチルアンモニウム塩を、市販の対応する酸から調製することが可能である。また、この反応手法に従って、開示内容を本明細書に援用するLiuら(1999)の刊行物に記載されているメタントリスホスホン酸の誘導体などの関連の構造を持つ誘導体を調製することも可能である。
上述した反応は、ヒドロキシル、アミン、ホスフェートまたはチオール官能基の反応性を利用して、分子または生体分子の極めて大きなスペクトルに外挿(extrapolate)可能である。これによって、反応AまたはBに従ってヒドロキシル官能基を活性化して、イノシトール誘導体を調製可能である。また、反応DまたはEに従って第1級アミン官能基の反応性を求めて、葉酸(ビタミンB9)またはテトラヒドロ葉酸の誘導体を調製可能である。
もちろん、他のタイプのカップリングを考慮することもでき、専門家には反応に関する多数の選択肢があり得る。
よって、カルボン酸またはフェノール基のリン酸化によるカップリングを利用して、脂肪酸、脂質または特定のフラボノイド誘導体を形成することができる。
サイトカイン
上述したように、この方法は、活性因子の特定を組み合わせで特定のスケジュールに沿って用いることに立脚している。本発明では、一層好ましくは合成活性化因子との組み合わせでサイトカインを併用するが、このサイトカインはインターロイキン−2ポリペプチドである。
インターロイキン−2ポリペプチドは、ヒト由来であっても動物由来であってもよく、好ましくはヒト由来のものである。これは、野生型ヒト(または動物)IL−2タンパク質の配列あるいは、その生物学的に活性な断片、変異体または類似体、すなわち、IL−2受容体に結合でき、かつ、本発明の方法でγδ T細胞の活性化を誘導できる断片、変異体または類似体を含み得る。
基準配列である野生型ヒトインターロイキン−2タンパク質は、たとえばジーンバンクでの受託番号NP000577、AAK26665、PO1585、XP035511などとして従来技術において入手可能であり、その開示内容を本明細書に援用する。
「変異体」という用語は、特に、多型、スプライシング、変異などによって生じるものなどの、天然の変異体を示す。よって、このような自然界に発生する変異体には、基準のIL−2タンパク質配列と比較したときに、1以上のアミノ酸残基の1つまたはいくつかの変異、欠失、置換および/または付加が含まれることがある。
また、「変異体」という用語は、たとえば、齧歯類、ウシ、ブタ、ウマなどのさまざまな哺乳動物種起源のIL−2ポリペプチドも含む。一層好ましくは、IL−2ポリペプチドはヒト由来のものであり、すなわち、ヒトIL−2タンパク質またはその変異体、断片または類似体の配列を含む。
また、「変異体」という用語は、基準のIL−2タンパク質配列と比較したときに、1以上のアミノ酸残基の1つまたはいくつかの変異、欠失、置換および/または付加を含み、IL−2受容体に結合でき、かつ、本発明の方法でγδ T細胞の活性化を誘導できる合成ポリペプチドなどの合成IL−2変異体も含む。好ましい合成IL−2変異体は、IL−2基準タンパク質の一次配列とのアミノ酸配列同一性が少なくとも75%であり、一層好ましくは少なくとも80%、なお一層好ましくは少なくとも85または90%である。配列間の同一性は、一般に、CLUSTAL法を用いるなどの周知のさまざまな方法で求められる。
また、変異体には、従来の適度なストリンジェンシーで、基準IL−2タンパク質またはその断片をコードする核酸配列とハイブリダイズされる核酸配列でコードされるIL−2ポリペプチドも含まれる。ハイブリダイゼーション条件は、たとえば、50%ホルムアミド、5×SSPE、5×デンハルト溶液、0.1%SDS中、40〜42℃で12時間のインキュベーションである。
IL−2ポリペプチドは、IL−2受容体に結合し、本発明の方法でγδ T細胞の活性化を誘導する機能が保たれた、基準IL−2タンパク質の断片であってもよい。このような断片は、受容体結合部位など、IL−2の官能基ドメインを少なくとも1つ含有する。断片には、完全な基準配列の好ましくは少なくとも40%、50%または好ましくは、少なくとも60%が含まれる。
類似体はインターロイキン−2と同じ受容体を利用してポリペプチドを指定するため、γδ Tリンパ球で同様の活性化信号を媒介することになる。
インターロイキン−2ポリペプチドはさらに、付加アミノ酸、糖、脂質など、天然配列に付加された異種残基を含むものであってもよい。これはまた、化学的、酵素的またはマーカー(放射性など)基であってもよい。付加された残基または部分は、安定化剤、形質移入促進剤などとなることがある。
IL−2ポリペプチドは、可溶性の精製された形であってもよいし、生物学的に活性なペプチド、タンパク質、脂質などの他の分子とコンジュゲートまたは複合体化されたものであってもよい。IL−2ポリペプチドは、化学合成、酵素合成、遺伝子(組換えDNAなど)合成またはこれらの組み合わせなどの従来技術において周知の手法で生成すればよいものである。医薬品グレードのIL−2ポリペプチドも商業的供給源から調達できる。
インターロイキン−2ポリペプチドについては、低用量すなわち、三分子複合体CD25/CD122/CD130として定義されるIL2の高親和性受容体を発現する細胞をin vivo標的できるだけの十分な用量で投与すると好ましい。実用上、ヒトでは、このような用量は臨床試験で実験的に規定されており、皮下注射の場合で1平方メートルあたり0.2から2百万単位(たとえば、buzioら2001を参照)である。
このIL−2ポリペプチドについては、1日から10日の時間をかけて、1日あたり0.1から3百万単位(Million Unit)の注射で投与すると好ましい。好ましくは、1日あたり0.2から2MU、なお一層好ましくは0.2から1.5MU、さらに好ましくは0.2から1MUの一日用量を投与する。一日用量の投与は、1回の注射で行ってもよいし数回行ってもよく、一般には同じ注射を2回行う。IL−2での処置を、1日から9日間、なお一層好ましくは3日から7日間続けると好ましい。最適な効果が達成されるのは5日間の処置後であるように思われる。
本発明の好ましい実施形態
好ましい実施形態では、本発明の方法に従って、化合物BrHPP、CBrHPP、HDMAPP、CHDMAPPおよびepoxPPを用いる。
BrHPPおよびEpoxPP
BrHPPの合成は、実施例1ならびに、開示内容を本明細書に援用するEspinosa(2001)に記載されている。EpoxPPの合成は、開示内容を本明細書に援用する欧州特許第1109818 B1号に記載されている。
(1)本発明は特に、疾患、特に腫瘍、特に固形腫瘍、さらには上記または下記にて定義するような好ましい疾患のうちのひとつを処置することであって、式II、式IIIまたは式VIIIの化合物、特にBRHPPまたはEpoxPPを、2週間ごとから最大8週間ごと、好ましくは3週間ごとまたは4週間ごとの間隔をあけて、式(A)
単回用量(mg/kg)=(0.1からy)*N (A)
(式中、N(整数または分数)は、処置と処置との間の週数(約2週間から約8週間)すなわち、Nは約2から約8、好ましくは約3から4である)に従って算出される用量でヒトに対して2回以上投与し、一層好ましくは、処置用量を、式B
単回用量(mg/kg)=(5から100)*N; (B)
に従って算出し、
なお一層好ましくは、式C
単回用量(mg/kg)=(10から100)*N; (C)
に従って算出し、
さらになお一層好ましくは、式D
単回用量(mg/m2)=(5から60)*N (D)
(式中、式A〜Dの各々において、Nは約2から約8であるか、または好ましくは約3から4である(それぞれ、約2週間から約8週間と約3週間から約4週間の処置間隔に相当))に従って算出し、
式IIまたは式IIIの化合物、特にBRHPPは、好ましくは、
(a)ヒトでは、約3週間ごとから約4週間ごと、好ましくは3週間ごとまたは4週間ごとに、約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5mg/kgから60mg/kgあるいは、好ましくは約20mg/kgの用量で、または
(b)ヒトでは、約4週間ごとから約8週間ごと、好ましくは約5週間ごと、6週間ごと、7週間ごとまたは8週間ごとに、用量が約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5mg/kgから60mg/kgあるいは、好ましくは約20mg/kgの用量で、投与され、
この投与は、2分から120分間、一層好ましくは約5分から約30分間、最も好ましくは約10分から約30分間、たとえば約30分間などの時間で、好ましくはi.v.注入で行われることを特徴とする、処置に関するものである。
(2)また、本発明は、好ましくは、腫瘍疾患、最も好ましくは転移のある腫瘍疾患を処置することであって、前記腫瘍が、結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択され、最も好ましくは消化管の腫瘍であり、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんであるか、あるいは泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんであり、式II、式IIIまたは式VIIIの化合物、特にBRHPPまたはEpoxPPを、温血動物、特にヒトに投与する処置にも関するものである。
(3)また、本発明は、好ましくは、個体においてγδ T細胞を刺激するためのin vivo療法、好ましくは、腫瘍疾患、好ましくは固形腫瘍、あるいは自己免疫疾患または感染症を処置するための療法であって、式II、式IIIまたは式VIIIの化合物、特にBRHPPまたはEpoxPPが、
(a)ヒトに対して、おおよそEC50値とEC100値の間、一層好ましくはEC50の少なくとも110%、120%、150%または175%、
(b)ヒトに対して、約0.1mg/kgから約100mg/kgの用量かつ、
必要があれば、最初の用量について上述した用量範囲に各々が入る、1またはそれ以上(好ましくは少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8または少なくとも10)のさらなる用量を、さらなる処置サイクルで投与し、好ましくは、前の用量での投与から、処置をほどこした個体でγδ T細胞個体群が基底レベルまで十分回復できるだけの時間、特に前の処置後1週間を超える日数、2週間を超える日数、さらには、前の処置後2週から8週間、特に3週から4週間、特にその処置後3週間経過後の各用量で1回投与されるような形で、個体に組成物を投与する。
一層好ましくは、(1)〜(3)で、式II、式IIIまたは式VIIIの化合物、特にBRHPPまたはEpoxPPを、約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5mg/kgから60mg/kgあるいは、好ましくは約20mg/kgの用量で、3週間ごとにヒトに投与するか、または式II、式IIIまたは式VIIIの化合物、特にBRHPPまたはEpoxPPを、約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5mg/kgから60mg/kgあるいは、好ましくは約20mg/kgの用量で、4週間ごと(4週間に1回)に投与する。この用量をヒトに投与するのは、2分から120分間、一層好ましくは約5分から約30分間、最も好ましくは約10分から約30分間、たとえば約30分間などの時間での静脈内(i.v.)投与によると好ましい。
一層好ましくは、疾患の進行、容認できない毒性、完全に応答したと判断した後の1または好ましくは2サイクル、あるいは何らかの理由で患者が同意を取り下げるまで、前記処置を繰り返す。
(4)本発明は、好ましくは、腫瘍疾患、特に(i)結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択される固形腫瘍、最も好ましくは消化管の腫瘍、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんあるいは、泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんを、特にこのような腫瘍が転移性である場合に処置するためのin vivo療法であって、式II、式IIIまたは式VIIIの化合物、特にBRHPPまたはEpoxPPを、1週間ごとから8週間ごとに、最大耐量(MTD)または非ヒト動物で試験を行った最大用量の80%未満、一層好ましくは50%未満の用量で温血動物に投与する療法にも関するものである。
好ましくは、前記式II、式IIIまたは式VIIIの化合物、特にBRHPPまたはEpoxPPでヒトを毎週処置する場合、用量は、MTDの約1から約60%、好ましくは約10から約60%、たとえば約5から約35%の範囲であり、たとえばMTDの約30から約35%の範囲である。好ましくは、BRHPPでは、用量は、MTDの約5から約60%、好ましくは約10から約60%の範囲であり、特に約10から約45%の範囲、ことさら約30から約45%の範囲である。
(5)本発明は、好ましくは、疾患、特に、結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択される固形腫瘍疾患、最も好ましくは消化管の腫瘍、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんあるいは、泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんを、特にこのような腫瘍が転移性である場合に処置するためのin vivo療法であって、式II、式IIIまたは式VIIIの化合物、特にBRHPPまたはEpoxPPを、最大の効果の半分が得られる有効濃度値(EC50)と最大の効果が得られる有効濃度値(EC100)との間の用量あるいは、EC50とEC50の200%との間、あるいは好ましくは、EC50値の少なくとも110%、120%、130%、150%、160%、175%または200%の用量で、1週間ごとから8週間ごとの間で温血動物に投与する療法にも関するものである。
CBrHPP
CBrHPPの合成は好適な方法で実施可能である。好ましい例では、PCT特許国際公開第03/050128号、Brondinoら(1996)またはValentijnら(1991)に記載の方法で3−メチルブト−3−エニルピロホスホネート(C−IPP)を調製し、これをEspinosaら(2001a)の方法に従ってCBrHPPに転換する。上記に引用した参考文献各々を本明細書に援用する。
(1)本発明は特に、疾患、特に腫瘍、特に固形腫瘍、さらには上記または下記にて定義するような好ましい疾患のうちのひとつを処置することであって、CBrHPP化合物を、2週間ごとから最大8週間ごと、好ましくは3週間ごとや4週間ごとの間隔をあけて、式(A)
単回用量(mg/kg)=(0.1からy)*N (A)
(式中、N(整数または分数)は、処置と処置との間の週数(約2週間から約8週間)すなわち、Nは約2から約8、好ましくは約3から4である)に従って算出される用量でヒトに対して2回以上投与し、一層好ましくは、処置用量を、式B
単回用量(mg/kg)=(5から100)*N; (B)
に従って算出し、
なお一層好ましくは、式C
単回用量(mg/kg)=(10から100)*N; (C)
に従って算出し、
さらになお一層好ましくは、式D
単回用量(mg/m2)=(5から60)*N (D)
(式中、式A〜Dの各々において、Nは約2から約8であるか、または好ましくは約3から4である(それぞれ、約2週間から約8週間と約3週間から約4週間の処置間隔に相当))に従って算出し、
CBrHPPは、好ましくは、
(a)ヒトでは、約3週間ごとから約4週間ごと、好ましくは3週間ごとまたは4週間ごとに、約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5mg/kgから60mg/kgあるいは、好ましくは約20mg/kgの用量で、または
(b)ヒトでは、約4週間ごとから約8週間ごと、好ましくは約5週間ごと、6週間ごと、7週間ごとまたは8週間ごとに、用量が約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5mg/kgから60mg/kgあるいは、好ましくは約20mg/kgの用量で、投与され、
この投与は、2分から120分間、一層好ましくは約5分から約30分間、最も好ましくは約10分から約30分間、たとえば約30分間などの時間で、好ましくはi.v.注入で行われることを特徴とする、処置に関するものである。
(2)また、本発明は、好ましくは、腫瘍疾患、最も好ましくは転移のある腫瘍疾患を処置することであって、前記腫瘍が、結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択され、最も好ましくは消化管の腫瘍であり、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんであるか、あるいは泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんであり、CBrHPPを、温血動物、特にヒトに投与する処置にも関するものである。
(3)また、本発明は、好ましくは、個体においてγδ T細胞を刺激するためのin vivo療法、好ましくは、腫瘍疾患、好ましくは固形腫瘍、あるいは自己免疫疾患または感染症を処置するための療法であって、
(a)ヒトに対して、おおよそEC50値とEC100値の間、一層好ましくはEC50の少なくとも110%、120%、150%または175%、
(b)ヒトに対して、約0.1mg/kgから約100mg/kgの用量かつ、
必要があれば、最初の用量について上述した用量範囲に各々が入る、1またはそれ以上(好ましくは少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8または少なくとも10)のさらなる用量を、さらなる処置サイクルで投与し、好ましくは、前の用量での投与から、処置をほどこした個体でγδ T細胞個体群が基底レベルまで十分回復できるだけの時間、特に前の処置後1週間を超える日数、2週間を超える日数、さらには、前の処置後2週から8週間、特に3週から4週間、特にその処置後3週間経過後の各用量で、CBrHPPを1回投与する。
一層好ましくは、(1)〜(3)で、CBrHPPを、約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5mg/kgから60mg/kgあるいは、好ましくは約20mg/kgの用量で、3週間ごとにヒトに投与するか、またはCBrHPPを、約0.1mg/kgから約1.2g/kg、好ましくは約10mg/kgから約1.2g/kg、一層好ましくは約5mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約5mg/kgから60mg/kgあるいは、好ましくは約20mg/kgの用量で、4週間ごと(4週間に1回)に投与する。この用量をヒトに投与するのは、2分から120分間、一層好ましくは約5分から約30分間、最も好ましくは約10分から約30分間、たとえば約30分間などの時間での静脈内(i.v.)投与によると好ましい。
一層好ましくは、疾患の進行、容認できない毒性、完全に応答したと判断した後の1または好ましくは2サイクル、あるいは何らかの理由で患者が同意を取り下げるまで、前記処置を繰り返す。
(4)本発明は、好ましくは、腫瘍疾患、特に(i)結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択される固形腫瘍、最も好ましくは消化管の腫瘍、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんあるいは、泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんを、特にこのような腫瘍が転移性である場合に処置するためのin vivo療法であって、CBrHPPを、1週間ごとから8週間ごとに、最大耐量(MTD)の80%未満、一層好ましくは50%未満の用量で温血動物に投与する療法にも関するものである。
好ましくは、前記CBrHPP化合物でヒトを毎週処置する場合、用量は、MTDの約1から約60%、好ましくは約10から約60%、たとえば約5から約35%の範囲であり、たとえばMTDの約30から約35%の範囲である。好ましくは、CBrHPPでは、用量は、MTDの約5から約60%、好ましくは約10から約60%の範囲であり、特に約10から約45%の範囲、ことさら約30から約45%の範囲である。特別な場合で、CBrHPPの用量を約2から約18mg/m2にすることが可能である。
(5)本発明は、好ましくは、疾患、特に、結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択される固形腫瘍疾患、最も好ましくは消化管の腫瘍、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんあるいは、泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんを、特にこのような腫瘍が転移性である場合に処置するためのin vivo療法であって、CBrHPPを、最大の効果の半分が得られる有効濃度値(EC50)と最大の効果が得られる有効濃度値(EC100)との間の用量あるいは、EC50の110%と200%との間、あるいは好ましくは、EC50値の少なくとも110%、120%、130%、150%、160%、175%または200%の用量で、1週間ごとから8週間ごとの間で温血動物に投与する療法にも関するものである。
HDMAPP
Hintzら(2001)に記載の非メバロン酸塩(MEP)経路のlytB成分欠損E.coli細胞からのHDMAPPの単離以来、多数の実験室でHDMAPPの化学合成が行われてきている。合成HDMAPPと、E.coli lytB変異体から単離された天然化合物は、Vγ9/Vδ2 T細胞の刺激にあたって同じ活性を示した。ヒト末梢血単核細胞のHDMAPPに対する反応性がゆえにVγ9/Vδ2 T細胞が抑制され、細胞表面での活性化マーカーの上方制御、炎症性サイトカインの分泌、IL−2による同時刺激の存在下でのVγ9/Vδ2亜個体群の増殖につながった。(IPPのEC50が約1μMであるのに比して)HDMAPPはEC50値が約0.1nMであることが報告されたことから、Brucella、Campylobacter、Ehrlichia、E.coli、Francisella、Listeria、Mycobacterium、Pseudomonas、Salmonella、Yersiniaなどの病原細菌ならびに、PlasmodiumおよびToxoplasmaといった原生寄生生物に対する周知のVγ9/Vδ2 T細胞反応性は、もっぱらHDMAPPのみがゆえに生じているのではないかと仮定される。
本発明者らが解明したVγ9/Vδ2T細胞刺激のin vitro in vivo薬力学から、γδ T細胞活性の調節にあたってHDMAPPが驚くほど有効であり、低用量の投与計画で哺乳動物に投与できることが分かっている。
HDMAPPを合成するための好ましい方法が、実施例2およびWolffら、Tetrahedron Letters(2002)43:2555およびHechtら、Tetrahedron Letters(2002)43:8929に記載されており、これらの開示内容からHDMAPP化合物の調製方法に関する教示部分を本明細書に援用する。
(1)本発明は特に、疾患、特に腫瘍、特に固形腫瘍、さらには上記または下記にて定義するような好ましい疾患のうちのひとつを処置することであって、式XIIの化合物、特にHDMAPPを、2週間ごとから最大8週間ごと、好ましくは3週間ごとや4週間ごとの間隔をあけて、式(A)
単回用量(mg/kg)=(0.1からy)*N (A)
(式中、N(整数または分数)は、処置と処置との間の週数(約2週間から約8週間)すなわち、Nは約2から約8、好ましくは約3から4である)に従って算出される用量でヒトに対して2回以上投与し、一層好ましくは、処置用量を、式B
単回用量(mg/kg)=(0.001から100)*N; (B)
に従って算出し、
なお一層好ましくは、式C
単回用量(mg/kg)=(0.01から5)*N; (C)
に従って算出し、
さらになお一層好ましくは、式D
単回用量(mg/m2)=(0.02から2.5)*N (D)
(式中、式A〜Dの各々において、Nは約2から約8であるか、または好ましくは約3から4である(それぞれ、約2週間から約8週間と約3週間から約4週間の処置間隔に相当))に従って算出し、
式XIIの化合物、特にHDMAPPは、好ましくは、
(a)ヒトでは、約3週間ごとから約4週間ごと、好ましくは3週間ごとまたは4週間ごとに、約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgあるいは、好ましくは約0.5mg/kg、あるいは好ましくは約0.5mg/kgの用量で、または
(b)ヒトでは、約4週間ごとから約8週間ごと、好ましくは約5週間ごと、6週間ごと、7週間ごとまたは8週間ごとに、用量が約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgあるいは、好ましくは約0.5mg/kg、あるいは好ましくは約0.5mg/kgの用量で、投与され、
この投与は、2分から120分間、一層好ましくは約5分から約30分間、最も好ましくは約10分から約30分間、たとえば約30分間などの時間で、好ましくはi.v.注入で行われることを特徴とする、処置に関するものである。
(2)また、本発明は、好ましくは、腫瘍疾患、最も好ましくは転移のある腫瘍疾患を処置することであって、前記腫瘍が、結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択され、最も好ましくは消化管の腫瘍であり、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんであるか、あるいは泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんであり、前記式XIIの化合物、特にHDMAPPを、温血動物、特にヒトに投与する処置にも関するものである。
(3)また、本発明は、好ましくは、個体においてγδ T細胞を刺激するためのin vivo療法、好ましくは、腫瘍疾患、好ましくは固形腫瘍、あるいは自己免疫疾患または感染症を処置するための療法であって、
(a)ヒトに対して、おおよそEC50とEC100の間、一層好ましくはEC50の少なくとも110%、120%、150%または175%、
(b)ヒトに対して、約10μg/kgから約20mg/kgの用量かつ、
必要があれば、最初の用量について上述した用量範囲に各々が入る、1またはそれ以上(好ましくは少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8または少なくとも10)のさらなる用量を、さらなる処置サイクルで投与し、好ましくは、前の用量での投与から、処置をほどこした個体でγδ T細胞個体群が基底レベルまで十分回復できるだけの時間、特に前の処置後1週間を超える日数、2週間を超える日数、さらには、前の処置後2週から8週間、特に3週から4週間、特にその処置後3週間経過後の各用量で、式XIIの化合物、特にHDMAPPを1回投与する。
一層好ましくは、(1)〜(3)で、式XIIの化合物、特にHDMAPPを、約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgあるいは、好ましくは約0.5mg/kg、あるいは好ましくは約0.5mg/kgの用量で、3週間ごとにヒトに投与するか、または式XIIの化合物、特にHDAMPPを、約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgあるいは、好ましくは約0.5mg/kg、あるいは好ましくは約0.5mg/kgの用量で、4週間ごと(4週間に1回)に投与する。この用量をヒトに投与するのは、2分から120分間、一層好ましくは約5分から約30分間、最も好ましくは約10分から約30分間、たとえば約30分間などの時間での静脈内(i.v.)投与によると好ましい。
一層好ましくは、疾患の進行、容認できない毒性、完全に応答したと判断した後の1または好ましくは2サイクル、あるいは何らかの理由で患者が同意を取り下げるまで、前記処置を繰り返す。
(4)本発明は、好ましくは、腫瘍疾患、特に(i)結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択される固形腫瘍、最も好ましくは消化管の腫瘍、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんあるいは、泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんを、特にこのような腫瘍が転移性である場合に処置するためのin vivo療法であって、式XIIの化合物、特にHDMAPPを、1週間ごとから8週間ごとに、最大耐量(MTD)の80%未満、一層好ましくは50%未満の用量で温血動物に投与する療法にも関するものである。
好ましくは、前記式XIIの化合物、特にHDMAPPでヒトを毎週処置する場合、用量は、MTDの約1から約60%、好ましくは約10から約60%、たとえば約5から約35%の範囲であり、たとえばMTDの約30から約35%の範囲である。好ましくは、HDMAPPでは、用量は、MTDの約5から約60%、好ましくは約10から約60%の範囲であり、特に約10から約45%の範囲、ことさら約30から約45%の範囲である。特別な場合で、HDMAPPの用量を約2から約18mg/m2にすることが可能である。
(5)本発明は、好ましくは、疾患、特に、結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択される固形腫瘍疾患、最も好ましくは消化管の腫瘍、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんあるいは、泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんを、特にこのような腫瘍が転移性である場合に処置するためのin vivo療法であって、式XIIの化合物、特にHDMAPPを、最大の効果の半分が得られる有効濃度値(EC50)と最大の効果が得られる有効濃度値(EC100)との間の用量あるいは、EC50の110%と200%との間、あるいは好ましくは、EC50値の少なくとも110%、120%、130%、150%、160%、175%または200%の用量で、1週間ごとから8週間ごとの間で温血動物に投与する療法にも関するものである。
CHDMAPP
CHDMAPPの合成は、好適な方法で実施可能なものである。一例として、リン酸化またはホスホネーション(phosphonation)の前にE−ヒドロキシジメチルアリルタイプのシントンを生成することを目的とした、Nakamuraら(1973)、ZoreticおよびZhang(1996)またはUmbreitおよびSharpless(1977)の方法があげられ、その開示内容を本明細書に援用する。リン酸化またはホスホネーションについては、開示内容を本明細書に援用するPCT特許出願国際公開第03/050128号、Brondinoら(1996)またはValentijnら(1991)に記載の方法で実施可能である。
(1)本発明は特に、疾患、特に腫瘍、特に固形腫瘍、さらには上記または下記にて定義するような好ましい疾患のうちのひとつを処置することであって、CHDMAPP化合物を、2週間ごとから最大8週間ごと、好ましくは3週間ごとや4週間ごとの間隔をあけて、式(A)
単回用量(mg/kg)=(0.1からy)*N (A)
(式中、N(整数または分数)は、処置と処置との間の週数(約2週間から約8週間)すなわち、Nは約2から約8、好ましくは約3から4である)に従って算出される用量でヒトに対して2回以上投与し、一層好ましくは、処置用量を、式B
単回用量(mg/kg)=(5から100)*N; (B)
に従って算出し、
なお一層好ましくは、式C
単回用量(mg/kg)=(10から100)*N; (C)
に従って算出し、
さらになお一層好ましくは、式D
単回用量(mg/m2)=(5から60)*N (D)
(式中、式A〜Dの各々において、Nは約2から約8であるか、または好ましくは約3から4である(それぞれ、約2週間から約8週間と約3週間から約4週間の処置間隔に相当))に従って算出し、
CHDMAPPは、好ましくは、
(a)ヒトでは、約3週間ごとから約4週間ごと、好ましくは3週間ごとまたは4週間ごとに、約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgあるいは、好ましくは約0.5mg/kg、あるいは好ましくは約0.5mg/kgの用量で、または
(b)ヒトでは、約4週間ごとから約8週間ごと、好ましくは約5週間ごと、6週間ごと、7週間ごとまたは8週間ごとに、用量が約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgあるいは、好ましくは約0.5mg/kg、あるいは好ましくは約0.5mg/kgの用量で、投与され、
この投与は、2分から120分間、一層好ましくは約5分から約30分間、最も好ましくは約10分から約30分間、たとえば約30分間などの時間で、好ましくはi.v.注入で行われることを特徴とする、処置に関するものである。
(2)また、本発明は、好ましくは、腫瘍疾患、最も好ましくは転移のある腫瘍疾患を処置することであって、前記腫瘍が、結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択され、最も好ましくは消化管の腫瘍であり、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんであるか、あるいは泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんであり、CHDMAPPを、温血動物、特にヒトに投与する処置にも関するものである。
(3)また、本発明は、好ましくは、個体においてγδ T細胞を刺激するためのin vivo療法、好ましくは、腫瘍疾患、好ましくは固形腫瘍、あるいは自己免疫疾患または感染症を処置するための療法であって、
(a)ヒトに対して、おおよそEC50とEC100の間、一層好ましくはEC50の少なくとも110%、120%、150%または175%、
(b)ヒトに対して、約10μg/kgから約20mg/kgの用量かつ、
必要があれば、最初の用量について上述した用量範囲に各々が入る、1またはそれ以上(好ましくは少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも8または少なくとも10)のさらなる用量を、さらなる処置サイクルで投与し、好ましくは、前の用量での投与から、処置をほどこした個体でγδ T細胞個体群が基底レベルまで十分回復できるだけの時間、特に前の処置後1週間を超える日数、2週間を超える日数、さらには、前の処置後2週から8週間、特に3週から4週間、特にその処置後3週間経過後の各用量で、CHDMAPPを1回投与する。
一層好ましくは、(1)〜(3)で、CHDMAPPを、約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgあるいは、好ましくは約0.5mg/kg、あるいは好ましくは約0.5mg/kgの用量で、3週間ごとにヒトに投与するか、またはCHDAMPPを、約1μg/kgから約100mg/kg、好ましくは約10μg/kgから約20mg/kg、一層好ましくは約20μg/kgから約5mg/kg、なお一層好ましくは約20μg/kgから2.5mg/kgあるいは、好ましくは約0.5mg/kg、あるいは好ましくは約0.5mg/kgの用量で、4週間ごと(4週間に1回)に投与する。この用量をヒトに投与するのは、2分から120分間、一層好ましくは約5分から約30分間、最も好ましくは約10分から約30分間、たとえば約30分間などの時間での静脈内(i.v.)投与によると好ましい。
一層好ましくは、疾患の進行、容認できない毒性、完全に応答したと判断した後の1または好ましくは2サイクル、あるいは何らかの理由で患者が同意を取り下げるまで、前記処置を繰り返す。
(4)本発明は、好ましくは、腫瘍疾患、特に(i)結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択される固形腫瘍、最も好ましくは消化管の腫瘍、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんあるいは、泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんを、特にこのような腫瘍が転移性である場合に処置するためのin vivo療法であって、式CHDMAPPを、1週間ごとから8週間ごとに、最大耐量(MTD)の80%未満、一層好ましくは50%未満の用量で温血動物に投与する療法にも関するものである。
好ましくは、前記CHDMAPPでヒトを毎週処置する場合、用量は、MTDの約1から約60%、好ましくは約10から約60%、たとえば約5から約35%の範囲であり、たとえばMTDの約30から約35%の範囲である。好ましくは、CHDMAPPでは、用量は、MTDの約5から約60%、好ましくは約10から約60%の範囲であり、特に約10から約45%の範囲、ことさら約30から約45%の範囲である。特別な場合で、CHDMAPPの用量を約2から約18mg/m2にすることが可能である。
(5)本発明は、好ましくは、疾患、特に、結腸直腸などの消化管と、肺腫瘍、特に非小細胞肺癌腫と、乳房腫瘍と、類表皮腫瘍と、腎臓と、前立腺などの泌尿生殖器と、膵臓と、脳腫瘍(および/またはその転移)と、から選択される固形腫瘍疾患、最も好ましくは消化管の腫瘍、特に結腸直腸がん、さらには消化管がん、特に結腸直腸がんあるいは、泌尿生殖器の腫瘍、特に前立腺がんを、特にこのような腫瘍が転移性である場合に処置するためのin vivo療法であって、CHDMAPPを、最大の効果の半分が得られる有効濃度値(EC50)と最大の効果が得られる有効濃度値(EC100)との間の用量あるいは、EC50の110%と200%との間、あるいは好ましくは、EC50値の少なくとも110%、120%、130%、150%、160%、175%または200%の用量で、1週間ごとから8週間ごとの間で温血動物に投与する療法にも関するものである。
本発明のさらなる態様および利点については、実験に関する以下のセクションで開示するが、これはあくまでも一例にすぎず、本願の範囲を限定するものではない。本願には多数の参考文献を引用しているが、これらの引用文献各々の内容を本明細書に援用する。
実施例1
BrHPPの合成
ガラス製品および設備をすべて使用前に数時間乾燥させた。特に明記しない限り、試薬と開始材料についてはフルカ(Fluka)から入手した。三ナトリウム(R,S)−3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェート(BrHPP)を以下の手順で白色の非晶質粉末として生成した。塩化トシル(4.8g、25mmol)と4−(N,N−ジメチルアミノ−)ピリジン(3.4g、27.5mmol、アルドリッチ(Aldrich))とを、氷浴中で冷却した250ml容の三首フラスコにて、磁気攪拌下で無水ジクロロメタン90mlと混合した。続いて、3−メチル−3−ブテン−1−オール(2.2g、25mmol)を無水ジクロロメタン約10mlに加えた溶液を、注射器でフラスコの隔壁からゆっくりと導入した後、氷浴を取り除いた。反応をシリカゲルTLC(ペンタン/酢酸エチル、85:15(v/v))でモニタリングした。一定速度で攪拌しながら2時間経過後、混合物をヘキサン1リットルに希釈して沈殿させ、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。この濾過/懸濁工程についてはジエチルエーテルを用いて繰り返し、得られた油状物をシリカゲル(ペンタン/酢酸エチル、85:15(v/v))での液体クロマトグラフィで精製したところ、3−メチル−3−ブテン−1−イル−トシレートの黄色の油状物(5.6g、23.5mmol、収率94%)が得られ、これを乾燥N下4℃に維持した(陽性モデルESI−MS:m/z 241 [M+H];m/z 258[M+NH、m/z 263[M+Na]、m/z 258のMS]:m/z 190(C損失))。
脱イオン水(NHOHでpH9に調節)100mlに溶解させたピロリン酸二水素二ナトリウム(51.5mmol、11.1g)を、カチオン交換DOWEX 50WX8(42g、Hの形態で200meq)カラムに通し、脱イオン水(pH9)150mlで溶出した。回収した溶液を水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウムでpH7.3に中和し、凍結乾燥させた。得られた吸湿性の粉末を無水アセトニトリルで可溶化し、減圧下で繰返し水分を蒸発させてさらに乾燥させた。得られたトリス(テトラ−n−ブチルアンモニウム)ハイドロゲノピロホスフェート(HPAECにより純度97.5%;下記参照)を無水条件にてモレキュラーシーブ下、−20℃で保管(濃度、〜0.5M)した。無水アセトニトリル中、トリス(テトラ−n−ブチルアンモニウム)ハイドロゲノピロホスフェート(0.5 M、2.5eq)50mmolを含有する溶液100mlを、氷浴中で冷却した250ml容の三首フラスコにて、磁気攪拌下で、注射器で隔壁を介して導入した3−メチル−3−ブテン−1−イル−トシレート20mmol(4.8g)とゆっくりと混合した。20分後、氷浴を取り除き、反応物を室温にて24時間攪拌下に放置した。この反応物をHPAEC(下記参照)で分析し、水分を蒸発させ、アンモニウムハイドロゲノカーボネート(25mM)の溶液(98容量%)と2−プロパノール(2容量%)で構成される混合物50mlに希釈した。得られた混合物を、事前にアンモニウムハイドロゲノカーボネート(25mM)の溶液(98容量%)および2−プロパノール(2容量%)200mlで平衡化しておいたカチオン交換DOWEX 50WX8(NH4、750meq)カラムに通した。同じ溶液250mlをゆっくりと流してカラムを溶出し、氷浴中に保持したフラスコに回収した。回収された液体を凍結乾燥させ、得られた白色の粉末をアンモニウムハイドロゲノカーボネート(0.1M)130mlで可溶化し、アセトニトリル/2−プロパノール(v/v)320mlで終えた。攪拌後、無機ピロホスフェートおよびモノホスフェートの白色沈殿物を遠心分離(2100×g、10℃、8分間)で除去した。この手順を3回繰返し、上清を回収して乾燥させ、得られた油状物を水120mlで希釈した。未反応トシレートの残りを分液漏斗にてクロロホルム/メタノール(7:3(v/v))で3回抽出し、最終的に水相を凍結乾燥させた。得られた白色の粉末を再度アセトニトリル/クロロホルム/メタノール(50:35:15(v/v))で2回洗浄し、穏やかなN流下で乾燥させた。この手順で純粋な3−メチル−3−ブテン−1−イル−ピロホスフェート三アンモニウム塩11.25mmolが得られ(収率75%)、これを酸化できるよう水200mlに溶解させた。3−メチル−3−ブテン−1−イル−ピロホスフェート6mmolについて、BrHPPの酸性溶液(pH2.1)5.8mmol(2.3g)が蒸発した後に生じる、黄色を帯びた色が出現するようになるまで、4℃に維持したBr(0.1M)の水溶液を滴下して加え、これをDOWEX 50WX8〜200(NH4、48meq)に通すことで、すみやかに中和した。凍結乾燥後に得られたBrHPPのアンモニウム塩を水に溶解させ、Dionex OnGuard−Ag(2meq/単位)カートリッジとmilli−Q水で溶出した(100meq、21g)DOWEX 50WX8〜200(Na)のオンラインカラムに通すことで、ブロミドと分離した。BrHPP(Na)の無色のストック溶液を0.2μMのAcrodisc 25膜で濾過し、アリコートとして−20℃で保持した。
HPLC−1ml/分、20℃で、下記に示す三次元勾配で溶出した分析用Symmetry 5μC18カラム(Waters)上のHPLC(SpectraシステムP1000 XR装置)でBrHPPを最終精製した。検出器の上流すなわち、溶離液の一部を190μl/分でオンラインMS検出器(下記参照)に分配し、残りの810μl/分をWaters 996フォトダイオードアレイ検出器に送った。λ=226nmでの単波長検出は、25μl(Rheodyneインジェクター)に注入したBrHPP 6μgで7ミリ吸収(milliabsorbance)単位のものであった。勾配プログラムについては以下のとおりとした。溶媒A、アセトニトリル;溶媒B、50mM酢酸アンモニウム;溶媒C、水;0〜7分間、C中5%B;7.1〜11分間、100%C;12〜15分間、100%A;15〜17分間、100%C。
実施例2
Hechtら(2002)の方法によるHDMAPPの合成
(E)−4−クロロ−2−メチルブト−2−エン−1−オール
TiCl4(285mg、1.5mmol、164.5μL)をN2下にて乾燥CH2CL2 3mLに溶解させる。この溶液を−80から−90Cまで冷却し、市販の2−メチル−2−シニルオキシラン(cinyloxirane)(98.2μL、1mmol)84mgをCH2CL2 0.4mLに加えた溶液を、攪拌しながら滴下して加える。90分後、1N HCl 5mLを加えて反応混合物を急冷する。室温まで温めた後、相同士を分離し、水性層をジエチルエーテル20mLで4回抽出する。混合有機相をMgSO4上で乾燥させる。溶媒の蒸発とフラッシュクロマトグラフィ(ペンタン/ジエチルエーテル1:1v/v)での精製によって、純粋な生成物93mgが得られる。
(E)−4−クロロ−2−メチルブト−2−エン−1−オールから得られる(E)−1−ヒドロキシ−2−メチルブト−2−エニル4−ジホスフェート
MeCN 300μL中にトリス(テトラ−n−ブチルアンモニウム)水素ピロホスフェート227mg(0.25mmol)を含有する溶液を、(E)−4−クロロ−2−メチルブト−2−エン−1−オール(25mg、0.21mmol)をMeCN 250μLに加えた溶液に室温にてゆっくりと添加し、朱色の溶液を得る。2時間後、溶媒を減圧下にて除去する。オレンジ色の油状物をH2O 3mLに溶解させ、25mM NH4HCO3 20mLで平衡化しておいたDOWEX 50 WX8(1×4cm、NH4+フォーム)カラムに上記の溶液を通す。このカラムを25mM NH4HCO3 20mLで展開する。画分を一緒にし、凍結乾燥させて純粋な生成物0.19mmol(90%)を得る。
実施例3
BrHPP非−GLP研究
3.1.材料および方法
3.1.1.動物
−第1群:モーリシャス国マエブール、フェルネー(Ferney)S.E.に所在するC.R.P. Le Vallonから得た、目的を持って繁殖させた健康な雄のカニクイザル(M.fascicularis)5匹。研究開始時の体重範囲3.7から4.6kg。
−第2群:C.R.P.Le Vallonから得た、目的を持って繁殖させた健康なカニクイザル10匹(雄5匹と雌5匹)。研究開始時の体重範囲1.8から3.5kg、年齢2から3歳。
牧畜条件については、監視温度、湿度、換気、照明サイクルを含む欧州での要件に合わせた。第1群の動物をBiomatech(フランス、シャッセシュールローヌ)で飼育し、第2群の動物をMDS(フランス、Les Oncins)で飼育した。
いずれの実験も進行前に地元の倫理委員会に通した。
3.1.2.ホスホ抗原
三ナトリウム(R,S)−3−(ブロモメチル)−3−ブタノール−1−イル−ジホスフェートBrHPPの合成およびキャラクタリゼーションについては、過去に説明がある(上記参照、Espinosa、2001で実施されているようなもの)。本明細書に記載の実験用のロットには、GMP条件下でPCAS−SELOC(フランス、リマイ)が製造およびキャラクタライズしたものを用いた。滅菌と臨床単位調製はGLP下でAXCELL BIOTECHNOLOGIES(フランス、サン−ジェニスラルジャンティエール)が行った。滅菌水溶液中でのBrHPPの滴定については、電気伝導度検出(DIONEX DX600システム)を行う高性能アニオン交換クロマトグラフィで実施した。
3.1.3.投薬および血液サンプリング
−第1群:注射や採血を行う前に、動物にZoletilND 100(Tiletamine−Zolazepam、フランス、カーロス、Virbac)6mg/kgを筋肉内注射して麻酔をかけた。
−第2群:麻酔をかけずに動物を手で押さえて注射と採血を行った。
−4日間BrHPPのみで処置(第1群):0日目に、生理食塩水10mlにBrHPP 1mg/kgを加えたものを動物2匹に与えた(外の(external)伏在静脈に導入したマイクロフレックス注入セット)後、生理食塩水20ml中4mg/kg、16mg/kg、32mg/kgを、1日目、2日目、3日目に同じようにして与えた(注入時間:10分から15分間)。
−BrHPP/IL2同時処置(第1群):最終容量50mlで生理食塩水に加えたBrHPPを20mg/kgを1回で、または4mg/kg(アニオン形態のBrHPPで16.7mg/kgまたは3.3mg/kg)ずつ1日5回に分けて、上記と同じようにして動物5匹に与えた(注入時間:30分間)。IL2(1バイアルあたり18百万UI、Proleukin(登録商標)、米国Chiron社)を滅菌水1mlに再懸濁させ、最終濃度1.8百万UI/mlで10mlになるまで4%HSAを用いて希釈した。1回目の処置サイクルでは、すべての動物に対して、5日間0.9百万単位のIL2を1日2回注射する形で同用量のIL2を与えた。2回目の処置サイクルでは、以下のIL2処置を皮下注射で動物にほどこした:0.15百万単位を1日2回で9日間(動物Z059)、0.3百万単位を1日2回で5日間(Z135)、0.9百万単位を1日2回で5日間(動物Z714)または9日間(動物X973)。
動物1匹にBrHPPを80mg/kg(アニオン形態で66.6mg/kg)+0.6百万単位を1日1回皮下注射することからなるIL2で9日間の同時処置をほどこした。
−BrHPP/IL2同時処置(第2群):常に30分以内で約50mlの注射ができるように(頭部または外の伏在静脈に導入したマイクロフレックス注入セット)、BrHPPを適切な最終濃度(注射する用量と最後に記録された体重によって決まる)まで生理食塩水で希釈した。すべての動物に、1日あたり0.6百万IUのIL2を7日間与えた。IL2を、滅菌水中IL2を0.3百万IUずつ2回に分け、8時間の間隔をあけて皮下注射した。対照動物にはIL2しか与えなかった。
大腿血管/動脈から1週間に2回、血液試料(1から4ml)を採取し、EDTA含有チューブに入れた。フローサイトメトリー分析を行う前に、チューブを室温(RT)にて一晩シップ(ship)した。
3.1.4.フローサイトメトリー
サル全血について、抗−CD3−PE抗体および抗−Vガンマ9−FITC抗体および/または抗Vd2抗体(CD3−PE:SP34クローン、BD Biosciences Pharmingen、フランス、Le Pont de Claix)で二重染色した後、1週間に2回、フローサイトメトリーで末梢γδリンパ球を分析した。
抗Vガンマ9、クローン7B6は、ヒトVガンマ9に対して産生させたモノクローナルであるが、カニクイザルの細胞と交差反応する。これをタンパク質Aでの親和性クロマトグラフィによって精製し、上述したようにしてFITCに結合させた。本発明者らは、この抗体が、市販(Endogen、マサチューセッツ州ウォーバーン)TCR2732クローン(リーサスモンキーで他のVg9抗体について、Shen、2002で過去に説明されているとおりであるが、データ表示はない)で染色されるVd2陽性細胞の大半を染色することを確認した。
簡単に説明すると、サルの血液50μlを、抗−CD3−PE抗体5μlと抗−デルタ2−FITC抗体6μlまたは抗−ガンマ9−FITC抗体10μlを用いて、RTにて15分間インキュベートする。抗体を1×PBS 3mlで洗浄し、RTにて1300rpmで4分間遠心分離し、上清を破棄する。OptiLyse C試薬(Immunotech−Beckman−Coulter、フランス、マルセイユ)を製造業者の指示通りに用いて赤血球を溶解させる。最終工程で、染色された白血球を遠心分離によって回収し、PBS+0.2%PFA 300μlに再懸濁させる。分析の直前に、較正したFlow CountTM Fluorospheres(Immunotech−Beckman−Coulter、フランス、マルセイユ)50μlを細胞に加え、該当する個体群の絶対数を計数できるようにする。
第2群では、CD20−FITC(2H7クローン);CD3−PE(SP34クローン);CD4−FITC(M−T477クローン);CD8−FITC(SK1クローン)(いずれもフランス、Le Pont de ClaixのBD Biosciencesから購入)を使用して、デュアルカラー(dual color)フローサイトメトリーでリンパ球のサブセットも平行して分析した。
Epics XL−MCL装置(Beckman−Coulter、ロワシー、フランス)でExpo32ソフトウェアを用いてフローサイトメトリーを実施した。
3.1.5.サイトカイン検出
血清サイトカイン(TNFaおよびINFg)を検出し、それぞれBIOSOURCE CytoscreenTM ELISAサルTNFaおよびCytoscreenTM ELISAサルINFg(フランス、モンルージュのCliniSciencesから購入)を製造業者の指示通りに用いて定量化した。
3.1.6.血液学および血清臨床化学
投与の直前直後と1週間に2回、サルのハンドリング(handling)部位で伝統的な血液パラメータの追跡(赤血球、血小板全白血球数および分化した白血球数、ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン量、平均赤血球ヘモグロビン濃度)を実施した。
第2群のすべての動物について、注射後48時間または72時間に、16の血液化学パラメータを測定した(ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、無機リン、ブドウ糖、尿素、総コレステロール量、総ビリルビン量、総タンパク質量、アルブミン、グロブリン、クレアチニン、アルカリホスファターゼ、アスパラテートアミノトランスフェラーゼ、アルカリアミノトランスフェラーゼ)。
3.1.7.生体パラメータの追跡
生体パラメータと臨床パラメータ(一般行動、皮膚、毛、呼吸器系、中枢神経系)に変化がないかどうか、動物を毎日観察し、さらには注射の間と注射後にも観察した。動物の体重を3日に1回(第1群)または1週間ごと(第2群)の定期的に計測した。
(第2群の不眠の動物について)BrHPP/IL2(またはIL2のみ)の注入前と注入終了時に毎回、さらには投与後5日間は1日1回、体温を測定した。投与前と投与終了時に毎回、第2群のすべての動物について心拍数と血圧を記録した。
病的状態/死亡の徴候がないかどうか、すべての動物を少なくとも1日2回観察した。
3.1.8.生検組織標本
2回目の投与の9日後に、ペントバルビタールナトリウムを静脈内注射して第2群の動物5匹を屠殺し、放血し、薬剤の臓器毒性を評価するために完全検視を行った。臓器試料を秤量し、以後の処理のためにRPMI培地(ギブコ−BRL − Life Science)に回収した。
リンパ系臓器試料(胸腺、扁桃腺、骨髄、腸間膜、鼠径部および気道内リンパ節)を、滅菌した注射器のプランジャで慎重かつ機械的に解離させ、RPMI培地中で数回洗浄し、ナイロン膜(Scrynel NYHC 100μmナイロン、フランスのVWR Internationalから購入)で2回濾過した。続いて、抗−CD3−PE抗体と抗−ガンマ9−FITC抗体で細胞を二重染色し、上述したようにフローサイトメトリーで分析した。
3.2.結果
3.2.1.BrHPPのみではin vivoでg9d2細胞の再現可能な増殖は誘導されない
本発明者らは最初に、BrHPPの注射だけでg9d2陽性T細胞の活性化をin vivoで支持できるかどうかを試験した。
最初の一連の実験で、サル4匹にBrHPPを0.2mg/kg(アニオン形態で0.17mg/kg)注射して1日5回の処置を行い、動物4匹に生理食塩水を注射して処置した。BrHPPをこの用量で注射しても、生命徴候または直腸温で評価した限り、処置済みの非ヒト霊長類に毒性は生じなかった。Vg9Vd2 T細胞を追跡したところ、処置した動物2匹でVg9Vd2がわずかに増加(%)し、プラシーボ群では増加は認められないが、この増殖は有意ではなかった(データ表示なし)ことが明らかになった。
これよりも分子の用量を上げれば、さらに一貫した活性化または増殖を誘導できるのかどうかを試験するために、他の2匹の動物に、用量を増やしながらBrHPPを1日4回注射(1mg/kg、4mg/kg、16mg/kg、32mg/kg、あるいはそれぞれこれと等価な用量である0.83mg/kg、3.33mg/kg、13.33mg/kg、26.6mg/kg、アニオン形態のBrHPP)した。
繰り返すが、処置した2匹の動物では毒性も熱も何ら観察されなかった。Vg9Vd2の追跡を行ったところ、1回目の注射後2日目に減少したが、2匹とも9日目に基底レベルまで戻った(図1)ことが明らかになった。CD25およびCD69についての調査研究では有意な結果は得られなかったが、これらのマーカーは非ヒト霊長類細胞の研究には最適なものでなかったのかもしれない。
BrHPP処置時にVg9Vd2細胞の目的の応答が得られなかったことについては、少なくとも、i)BrHPPはピロホスフェートを含有する小分子であるため、極めて短時間で排泄または分解されてしまい、細胞の活性化を可能にする上で十分に標的細胞と接触できなかったか、ii)in vivoでのg9d2細胞の増殖には、in vitroの場合と同様に、サイトカイン、特にIL2の存在が必要であるという2つの可能性が考えられる。
本発明者らは、現時点では分子をin vivoで追跡できる十分な感受性のある分析方法を知らないが、Vg9Vd2細胞を誘因するにはin vivoでの血清濃度で十分ではないかと思われた。in vitroでは、本発明者らならびに他の研究者(Lang、1995)が、Vg9Vd2細胞の活性化が分子の添加後数分以内に起こることを明らかにしている。i)このような小分子で可能性のある迅速な腎臓クリアランスと、ii)in vivoでの分解プロセスの2つの機序が、in vivoでの分子の活性化を妨げている可能性がある。霊長類の血清に含まれる分子の半減期についての研究から、この分子の半減期は37℃で約1時間であることが明らかになった。この分子が分解される主な機序は、最初のホスフェートの除去によって、分子生物学的に不活性になることである。それにもかかわらず、in vivoで血球または臓器に関連する分解プロセスがそれ以上起こらないのであれば、比較的多い量で静脈内経路から注射される分子の濃度を相応の時間20nM EC50未満に維持しなければならない。
細胞の活性化についての解明を試みるべく、本発明者らは低用量のrhIL2とBrHPPの同時注射について試験を行った。
3.2.2.BrHPP+IL2は、カニクイザルのin vivoにてVg9Vd2細胞の再現可能な一過性の増殖を誘導する
動物4匹と対照例(第1群の動物)1匹とを、BrHPPまたは生理食塩水と低用量のrhIL2との組み合わせで処置した。この動物群は、BrHPPのみを注射した際にVg9Vd2の増加が認められなかった動物2匹と、新たな動物3匹とで構成されていた。BrHPP処置した動物4匹のうち、動物2匹にはBrHPPを4mg/kgずつ1日5回注射し、動物2匹には20mg/kg(アニオン形態で16.7mg/kg)を1回注射した。BrHPP処置した動物と対照例とに、5日間皮下注射で0.9百万単位を1日2回投与することからなる同じrhIL2療法をほどこした。対照動物については、まず生理食塩水とIL2で処置した上で、14日後にBrHPPをシングルショットと2回目のIL2を5日間投与することで処置した。
動物を血液学的に追跡したところ、BrHPP処置した動物ならびに対照例でリンパ球数が2から4に増えることは、IL2投与と整合することが明らかになった。
CD3陽性細胞での増加率(%)とVg9Vd2の絶対数の具体的な増加を、すべてのBrHPP処置動物で観察した(図2)。3日目にすでにわずかに増加していたところへ7日目に増殖が認められ、10日目には処置前のレベル近辺まで戻ったことから、この増加は一過性である。IL2だけで処置した対照動物では、絶対数にわずかな増加が認められたが、パーセンテージは増加しなかったため、他のリンパ球サブセット同様に、末梢Vg9Vd2も、IL2投与時にわずかに増加するのではないかと考えられた。IL2だけでのサイクルの後、対照動物にBrHPPを投与すると、処置した動物の場合と整合する増殖が起こるため、この動物を対照として有効なものとした。
Vg9Vd2の絶対増加率は、同じ用量を5日の注射に分けた(×8および×18)(図1c)動物よりも、BRHPP(×30および×40)の用量を1回で与えた2匹の動物での方が高かった。これはおそらく、数回にわたる注射の有害作用か個々の注射用量が少なすぎるかのいずれかが原因であろう。注射を1回で行えば少なくとも効率的かつ実用的であるため、次の実験は生成物を1回で注射して行った。
3.2.3.カニクイザルにおけるBrHPPの用量範囲の作用
分子の用量範囲による作用を評価するために、新たな動物10匹(第2群動物)に対して新たな実験を設定した。雄が1匹と雌が1匹の2匹の動物のサブグループを、BrHPPで用量を増やしながら(0、0.2、4、20、80mg/kg)処置し、IL2で7日間同時処置した。
繰り返すが、IL2だけで処置した動物には、他のリンパ球サブセットと比較して同じ次元でのVg9Vd2細胞のわずかな増加であった。
用量0.2mg/kgでは、Vg9Vd2の絶対数と%の両方について対照動物と区別がつかなかった。7日目に4から80mg/kg(図3a)からのVg9Vd2の絶対数と%の両方で、用量範囲による作用を観察したところ、明らかにプラトーには達していなかった。繰り返すが、%と絶対数は短時間で処置前のレベルに戻った。
この処置の間にはプラトーに達しないため、1回目の注射の21日後に、Vg9Vd2が処置前のレベルに戻ってから、用量を20mg/kg、80mg/kg、120mg/kg、160mg/kgの範囲にして、もう一度同じ動物を処置した。1回目の処置が2回目の処置に対しておよぼす潜在的な影響を最小限に抑えるために、新たな用量(120および160mg/kg)については1回目の処置でほとんど応答しなかった動物(すなわち、最初の処置過程で0.2および4mg/kgで処置した動物、図3b)に与えた。
この2回目の注射後の増加のタイムラインは、上述したものとほぼ同じであった。最高濃度で、循環Vg9Vd2のレベルが循環CD3陽性細胞の約80%に達し(図3b)、絶対数は平均でVg9Vd2細胞10,000個/mm3に達した点に注意されたい。Vg9Vd2の数とパーセンテージは5日目から7日目の間のピークの後に減少したが、注射前のレベルに戻るまでには、用量が最大の2つではより時間がかかるように思われる。
注射1と注射2でためたデータから、応答ピーク時のVg9Vd2細胞の絶対数とパーセンテージの両方について、明らかに用量範囲による作用があることが分かった(図3cおよび図3d)。特にエラーバーで示すように120mg/kgの群で、0.2から4mg/kgの間は有効用量がなかったにもかかわらず、プラトーを得るにはこれよりも高い用量が必要となり、個々には若干のバラツキがあったとはいえ、上記の用量範囲による作用が観察される。
3.2.4.IL2スケジュールの影響
第1群の動物5匹にBrHPPを注射した後、異なる用量とタイムスケジュールでIL2を注射した。図6に示されるように、用量が0.15百万単位と低いときであっても、Vγ9Vδ2 T細胞の増殖を支持するには1日2回で十分であり、明らかにこれよりも高い用量(0.3および0.9百万単位を1日2回)の場合と等しい。IL2での処置を6日以上行ったときに、Vγ9Vδ2の増殖の長さが長くなるようには見えないが、もっと多くの動物を試験してこの点を明らかにすべきである。興味深いことに、0.6百万単位のIL2を1日1回の注射で皮下注射した動物でも、Vγ9Vδ2細胞の増殖が認められた(データ表示なし)。
3.2.5.ホスホ抗原+IL2誘導増殖を少なくとも5回連続して再現することが可能
最近になって、ホスホ抗原含有調製物(すなわちBCG)のリコール注射に対するメモリタイプの応答が、霊長類のモデルで示唆された。本発明者らは、合成リガンドの純粋な調製物とIL2同時処置でこのような応答が得られるのかどうかの試験を行った。
第1群の動物を20mg/kgのシングルショットで2回目に処置し、7日間のIL2とVg9Vd2の増加をフローサイトメトリーでモニタリングした。2回の注射で得られた倍増量を図4aに示す。Vg9Vd2の増幅タイミングは1回目の注射のときと同じであった。1回目の注射のときにシングルショットのBrHPPで処置した2匹の動物では、2回目の注射での増幅率がわずかに低下した。1日5回、BrHPPを4mg/kgずつ注射して処置した2匹の動物では、2回目の注射で増幅率がわずかに高かったが、これはおそらく、上述したように何回かに分けて注射をするよりも1回で注射をする方が効果が高いことを反映しているのであろう。
上述したように、この用量範囲のアッセイでは第2群の動物に連続2回注射を行った。興味深いことに、1回目に80mg/kgで処置した上で20mg/kgでの処置を行った2匹の動物では、1回目のBrHPP注射を20mg/kgにした動物どれと比べても増殖は少なかった(図4b)。1回目に20mgで処置した後に80mgで処置した動物では、1回目の注射で80mg/kgで処置した動物の場合に匹敵する増幅が見られた。総合すれば、これらの結果から、BrHPP+IL2増加に対するVg9Vd2の応答を2回繰り返すことができるが、増殖率は低くなる場合があろうと考えられる。
連続注射がVg9Vd2の応答に対しておよぼすと考えられる影響をさらによく理解するために、第2群の動物5匹(サブグループ1つあたり動物1匹)を、2回目の注射の21日後に3回目のBrHPP注射サイクルで処置し、さらに21日後に4回目のサイクルで処置した。
繰り返すが、Vγ9Vδ2の増殖動態は上述したものと同じであり、ピークは5日目から9日目の間にあった。図3cに示されるように、動物1匹で3回目の注射のときに大幅な増加が見られた(×28)。興味深いことに、この動物は、120mg/kgの2回目の注射後に基底レベルに戻らなかった唯一の個体であった(動物2034、図3B)。1回目の2過程にわたる処置でIL2しか与えられなかった対照動物では、1回目の2処置サイクルにおいてこの用量で処置した動物4匹で得られた値に匹敵する、40前後の増加が得られた(図4b)。他の3匹の動物では、増幅が40未満であり、同じ用量で注射1または2にて処置した動物での増幅よりも低かった。
80mg/kgのBrHPPおよびIL2の4回目の注射で処置した動物5匹で、Vg9Vd2の検出可能な増加が認められたが、これは3回目の注射で得られたよりは低かった(図4b)。
要するに、BrHPP+IL2の同時処置によるVg9Vd2の増殖の誘導は何回か再現可能であることが分かった。これらの実験では、本発明者らはBrHPPの注射を20日間またはそれ以上の間隔で行って、連続4回の増殖を達成できた。
3.2.6.ホスホ抗原での攻撃時におけるg9d2 T細胞によるin vivoでのサイトカインの短期産生
Vg9Vd2細胞は、ホスホ抗原での攻撃時にTNFaおよびIFNgをin vitroで産生する周知の細胞である。これらの細胞が上記サイトカインのin vivoにおける起源となり得るか否かを評価するために、BrHPP注射のすぐ後に何匹かの動物の血清を採取した。
1回目の用量範囲アッセイ(0から80mg/kg)で注射直前と注射の1時間後ならびに4時間後に、第2群の動物から血清試料を採取し、TNFaとIFNgに特異的なELISAでアッセイした。
処置した動物すべてにおいて、IFNγの評価から有意な結果は得られなかった。
BrHPP注射の1時間後に最高用量(80mg/kg)で処置した動物の血清において、TNFαが検出可能であった(図5a)。TNFaの血清レベルは急速に低下し、BrHPP注射の4時間後には検出できなくなり、血液中のVg9Vd2が増加する間も検出できないままであった。このことから、Vg9Vd2によって細胞内の予め形成されたプールからTNFaが急速に産生され、以後、この薬剤による最初の活性化後にはほとんど産生されないと考えられる。
上記薬剤での増殖後の細胞のサイトカイン産生能を試験するために、第2群の動物2匹に対して、Vg9Vd2のレベルがピークにあった80mg/kgでの4回目の注射から7日後に、80mg/kgで5回目のBrHPP注射(IL2なし)を行った。図5Bに示されるように、処置した動物の血清ではTNFaとIFNgのどちらも検出可能であった。TNFaの産生は、注射の4時間後にレベルが検出不能になる1回目の実験の場合と同じ動態をとった。逆に、IFNgは注射の1時間後に検出可能になり、注射の4時間後に増加したことから、このサイトカインが、ゆっくりとではあるが、持続的に産生されるのではないかと考えられる。
3.2.7.BrHPP単独注射またはIL2を併用した場合の毒性の欠如
BrHPPのみまたはIL2との併用で処置したどの動物でも、臨床パラメータまたは血液化学パラメータ(材料および方法を参照)に変動は認められなかった。血液学的な視点からいうと、IL2で処置したすべての動物で、リンパ球の一過性の増加(2から5倍)が観察された。最高用量のBrHPPで処置した動物では、末梢血でのVg9Vd2のピークに対応して、リンパ球増加が観察された。
処置した動物の中には血清中に検出可能なレベルでTNFαおよびIFNγ炎症性サイトカインが存在していた個体があったにもかかわらず、処置したどの動物でも直腸温が大きく影響することはなかった点に注意されたい。
実施例4
カニクイザルでのPhosphostim(BrHPP)I.V.薬力学研究
このGLP研究の目的は、Phosphostim(BrHPP、200mg;GMPバッチ)のみの場合とIL−2と併用した場合について、カニクイザルに数回のi.v.投与をした後における薬力学的特性をさらに探求することにあった。特に、この研究では、以下の項目を評価するつもりでいた。
−Phosphostimの注射とγδ T細胞末梢増幅との間の用量−作用関係;
−雄と雌の動物に2回目、3回目、最大5回までPhosphostimを投与したときの薬力学的作用;
−Phosphostimでの処置後に全身性サイトカインを投与することでin vivoで誘導したγδ T細胞の機能;
−IL−2だけで処置した場合の作用と0.6百万IU/日/動物の選択用量の正当性の確認
動物2匹(雄1匹+雌1匹)ずつからなる5つの群に、Phosphostimをさまざまな用量レベルでゆっくりと注入(30分間で50ml)しながらi.v.投与した。雄には、屠殺前にBrHPPを続けて2回注射(0日目と22日目)し、雌には4回注射(0日目、22日目、52日目、84日目)した。4回目の処置に対する応答レベルに応じて選択した2匹の雌に、全身性サイトカイン薬用量についてγδ細胞末梢が増加している間の91日目にBrHPPだけを追加で注射した。
試験生成物の投与スケジュールを以下の表1にまとめておく。
Figure 2006510629
表1に示す用量レベルは、それぞれの用量に0.6を乗算することで、これに相当する純粋な(アニオン)形態のBrHPPに変換できる。よって、表1の用量0.2、4、20、50、80、120、160mg/kgはそれぞれ、アニオン形態のBrHPPで0.12、2.4、12、30、48、72、96mg/kgと等しい。
IL−2を以下の頻度でs.c.投与した。0日目から6日目までと22日目から28日目まではすべての動物;25日目から58日目までと84日目から90日目まではすべての雌。IL−2を約8時間あけて0.3百万IUずつ2回のs.c.注射で投与したが、これは0.6百万IU/日/動物に相当する。
結果
PhosphostimおよびIL−2の1回目と2回目の投与を行ったところ、末梢Vγ9Vδ2 T細胞が7日目に明らかに用量に関連して上昇した。これを図7に示す。
1回目のわずかに効率的な被験用量は、γδ細胞数を20倍に増やした、4mg/kg(アニオン形態のBrHPPで2.4mg/kg)、20mg/kg(アニオン形態のBrHPPで12mg/kg)であった。BrHPPのin vivoでの推定EC50値は120mg/kg(72mg/kgアニオン形態のBrHPP)前後であり、循環γδ細胞数を100倍に増やした。試験を行った中で最も高い用量で、循環Vγ9Vδ2 T細胞は処置前と比して200倍以上に増え、末梢リンパ球の大多数を占めていた。
この研究では、IL−2単独ではin vivoでγδ T細胞の特異的増幅が誘導されないことを確認した。
Phosphostimによる処置が血清中でのサイトカイン(INFγおよびTNFa)の産生に対しておよぼす作用について2回研究した。
−1回目の注入後、処置したすべての動物で:BrHPP注射の1時間後に80mg/kgを与えた両方の動物で、全身性TNFaが有意に産生される(血清濃度60から120pg/ml前後)ことが実証された。
−4回目の注射のピーク(7日目)の間に80mg/kg(アニオン形態のBrHPPで48mg/kg)(IL−2なし)与えた雌2匹(F2032&F2034)。両方の動物についての血清TNFaおよびINFγ濃度の展開を以下の曲線に示す(図8参照)。
このように、BrHPP/IL−2の同時処置時にin vivoで増幅されたVγ9Vδ2 T細胞は、検出可能な量の全身性サイトカインも産生する。
実施例5
霊長類での補助的な薬力学的研究
よって、本発明者らは、用量または注射間の間隔を変えて行うBrHPPの連続的な注射に対するin vivoでのγδ T細胞応答の特徴をさらに証明する目的で、雄のカニクイザルで他の非GLP薬力学的研究を行った。本発明者らは、雄では、
−20または80mg/kg(アニオン形態で12または48mg/kgに相当)のBrHPPを8週間おきに少なくとも3回連続して注射すると、末梢におけるγδ細胞率と絶対数が有意に増加し、
−20mg/kg(アニオン形態で12mg/kgに相当)のBrHPPを4週間おきに少なくとも4回連続して注射しても、やはりγδ細胞率と絶対数が検出可能な程度に増加する
ということを明らかにした。
そこで、本発明者らは、BrHPP/IL−2の同時処置によって誘導されるγδ T細胞の少なくとも4回の連続した末梢増幅が、雄と雌のカニクイザルでは区別なくいくつかの条件下で得られることを示す。
実施例6
PhosphostimおよびBrHPPのI.V.投与後のカニクイザルにおける二相反復用量毒性研究
この非GLP研究のフェーズ1の目的は、2匹のカニクイザル(雄1匹、雌1匹)からなる群で、用量を増やしながらBrHPPの最大耐量(MTD)を求めることであった。この研究の第2の目的は、研究のフェーズ1で求めたMTDで、2匹のカニクイザル(雄1匹、雌1匹)でPhosphostimを2週間毎日i.v.投与することに伴う毒性を特徴付けることであった。3日または4日ごとに用量レベルを高めた(フェーズ1)後、推定最大耐量(MTD)で2週間毎日(フェーズ2)動物を処置した。
合計で4匹のカニクイザル(雄2匹と雌2匹)を2つの群に分け、BrHPPを1時間の注入時間で以下のようにして静脈内投与して処置した。
−フェーズ1(用量を増加):
第1群(雄1匹および雌1匹)に、3日または4日ごとに用量レベルを増やしながら(160、400、600、900、1200mg/kg)BrHPPおよび/またはPhosphostim(BrHPP、200mg)をi.v.投与した。これらの用量に等しいアニオン形態のBrHPPはそれぞれ、96、240、360、540、720mg/kgである。BrHPPについては、最終的には用量4、10または15mL/kgで乳酸加リンゲルを用いて希釈される、注射用の水に加えて再構成して溶液の形にした。
−フェーズ2(一定用量):
第2群(雄1匹および雌1匹)に毎日900mg/kg/日(アニオン形態のBrHPPで540mg/kg/日に相当)で2週間、BrHPPをi.v.投与した。
死亡や臨床的な徴候がないかどうか、動物を毎日調べた。フェーズ1では研究開始前と投与日、フェーズ2では、フェーズ2の検視日を含めて1週間に2回、体重を記録した。飼料の消費量を、フェーズの少なくとも7日前から開始して毎日推定した。研究開始前と、フェーズ1では投与日、フェーズ2では7日目、さらには両フェーズの終了時に、血液学的、血液生化学的および/または末梢血リンパ球サブセット分析調査を実施した。研究開始前と、フェーズ1では投与日、フェーズ2では1日目と処置終了時に、心電図と血圧を記録した。フェーズ2の1日目と14日目に、試験対象物の血漿濃度を求めるための血液をサンプリングした。各フェーズの終了時、動物の完全肉眼死後検査を行い、組織を保存した。フェーズ2では、すべての動物について選択した体器官を秤量し、選択した組織の顕微鏡検査を行った。
結果
処置フェーズの間、予定外の死は全く起こらず、関連の臨床的徴候も特に見当たらなかった。どちらのフェーズでもBrHPPでの処置は動物の体重増加に何ら影響をおよぼさず、飼料消費量に影響はなかった。
どちらのフェーズでもBrHPPは血圧に影響しなかった。フェーズ1では、処置に関連した血液学的または血液化学的な変化は特に見当たらなかった。フェーズ2では、両方の動物でリンパ球数の増加が見られたが、これはBrHPPの薬理学的活性がゆえのものかもしれない。
雌では絶対胸腺重量がわずかに少なめだった。
フェーズ1またはフェーズ2の間と肉眼死後検査後のいずれにおいても関連の所見は見られなかった。フェーズ2において、雌では胸腺と腸間膜リンパ節にリンパ球欠乏が認められたのに対し、雄では逆の傾向(腸間膜リンパ節での濾胞胚中心の増加)が見られた。
実施例7
PhosphostimのI.V.投与後のラットにおける2週間反復用量毒性研究
このGLP研究の目的は、ラットに2週間毎日i.v.投与した後のBrHPPの潜在的な毒性を評価することであった。116匹のSprague−Dawleyラットを、雄10匹と雌10匹の対照群(第1群)1つと、雄10匹と雌10匹の処置群(第2群から第4群)3つの合計4つの群に分けた。第2群、第3群、第4群にそれぞれに、80、150、300mg/kg/日(それぞれアニオン形態で48、90、180mg/kgに相当)のBrHPPを投与した。各処置群には雌6匹と雄6匹のサテライト群も用意した。サテライトの動物は、薬物動態を調べる目的で割り当てたものである。
注射用の滅菌水の溶液と乳酸加リンゲルとしてゆっくりと静脈内注射(0.4mL/分)して、BrHPPを用量レベル80、150または300mg/kg/日で毎日投与した。対照群には、ビヒクル(高用量群の剤形に近い浸透圧にするために1%ナトリウムを加えてある)を同一の実験条件で与えた。5mL/kgの一定薬用量を用いた。
死亡や臨床的な徴候がないかどうか、動物を毎日調べた。体重と飼料の消費量を1週間に2回記録した。処置前と処置期間終了時に眼科診察を行った。BrHPPのレベルを求めるための血液試料を、1日目と処置期間終了時にサテライトの動物から採取した。発情サイクルをモニタリングするために、前処理時と処置期間終了時に雌では膣洗浄を実施した。2週目の終わりに、主要な動物すべての血液学的、血液生化学的および尿検査を実施した。研究が終わったら、すべての動物を屠殺し、肉眼死後検査を実施し、特定の臓器を秤量して保存した。対照群と300mg/kg/日の群の動物から得た組織を選択し、顕微鏡検査を行った。
結果
研究の間、予定外の死は全く起こらなかった。150および300mg/kg/日(それぞれアニオン形態で90および180mg/kgに相当)を用いたすべての動物において、多くの場面で投与時の啼鳴が見られた。BrHPPで処置した雌で用量に関連する多めの平均体重増加が見られた。
対照動物とBrHPP処置動物との平均飼料消費量は同様であった。処置期間終了時、300mg/kg/日(アニオン形態で180mg/kgに相当)の動物で関連の眼科的所見は見られなかった。血液学的、生化学的または尿のパラメータのいずれにおいても毒性の有意性に変化はなかった。処置期間終了時、どのBrHPP処置群でも対照群と比較して臓器重量の関連した差はなかった。処置期間終了時、どのBrHPP処置群でも肉眼死後検査での関連の所見はなかった。顕微鏡検査では、対照動物とBrHPP処置動物の両方で尾静脈にわずかな変化が観察されたが、これは毎日静脈内投与を行ったことによる機械的な損傷が原因であった。300mg/kg/日を用いた動物の他の臓器や組織に関連の所見は認められなかった。BrHPPの血中濃度に関する上記以外の結果、発情サイクルと毒物動態の監視内容については、現在分析している。
結論
試験を行った中で最も高い用量で、上記の研究実験の条件にて、BrHPPの副作用が観察されないレベル(NOAEL)は300mg/kg/日(アニオン形態で180mg/kgに相当)であるとした。
実施例8
RCC患者の自家一次腫瘍細胞に対するBrHPP増幅γδ T細胞の細胞毒性の分析
本研究の目的は次のとおりである。
・RCC患者から正常および腫瘍一次腎細胞の獲得
・BrHPPがこれらの患者のPBMCに対しておよぼす作用の調査
・自家設定での正常および腫瘍一次腎細胞に対して増大したVγ9Vδ2 T細胞の溶解能の調査。この細胞毒性活性をLAK細胞(リンフォカイン活性化キラー細胞)などの他の自家エフェクター細胞と比較した。
8.1 材料および方法
患者
この研究に含まれるmRCC患者(N=12)は腎明細胞癌腫があり、腎部分摘出または腎全摘出を行った。患者にはいずれも、事前の処置は行わなかった。
12名の患者のうち7名は、研究の主な部分について試験の初期フェーズ後には含めなかった。mRCC患者らからインフォームドコンセントを得た。
末梢血ガンマデルタT細胞の増殖
12名のRCC患者(50ml)の血液試料を、腎摘出直前と腎摘出から2ヶ月が経過する前に採取した。フィコール−ハイパック密度勾配(Amersham Biosciences)での遠心分離によってPBMCを単離した。1名の健常なボランティアから得たPBMCを対照として利用した。
10%v/vウシ胎仔血清(放射線照射胎仔クローン、Hyclone)を加えたRPMI 1640の24ウェルのプレートにて、2×10/mlで10百万PBMCを培養した。
3μMのBrHPP分子(バッチINPA−0214)と100IU/ml IL2の存在下、15日間でポリクローナルVγ9Vδ2 T細胞系が特異的に増大した。
3日目ごとに、培養液の半分に対応する容積分を、200IU/mlのIL2しか含有しない新しい培地と交換した。
LAK細胞の獲得
mRCC患者から得たPBMC5百万を、1000UI/mlのIL−2の存在下で6ウェルのプレートにて3日間培養した。これらの細胞毒性活性を自家増大したVγ9Vδ2 T細胞と平行して4時間51Cr放出アッセイで評価し、両個体群の細胞毒性効率を比較した。
腫瘍/正常細胞系の確立および培養
コラゲナーゼ(300U/ml)、デオキシリボヌクレアーゼI(500U/ml)、ヒアルロニダーゼ(3000U/ml)(Sigma Aldrich)を用いた酵素消化で腫瘍断片から自家一次腫瘍細胞系を引き出した。腫瘍とは距離をあけて採取した腎臓の正常断片にも同じプロトコールを適用し、短期正常腎細胞を引き出した。
10%FCSとUltroser(ギブコBRL、スコットランド)を加えたダルベッコ変法イーグル培地で、これらの細胞を培養した。
細胞型の特徴付け
患者から得たPBMCを、冷凍するか上述したようにして培養で直接使用する。
in vitroでの培養前に、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、フィコエリスリン(PE)およびフィコエリスリン−シアニン5(PC5)コンジュゲート抗体の以下の組み合わせを用いて、NK、αβおよびγδ T細胞個体群(いずれもBeckman−Coulterから購入)を決定するためにRCC患者を分析した。:CD3−PC5/Vδ2−FITC/IgG1−PE、CD8−PE、CD56−PE。培養15日目、増大したVγ9Vδ2 T細胞バルクで三重染色を行った。以下の抗体の組み合わせを実施した。
CD3−PC5/Vδ2−FITC/CD8−PE(IgG1)、CD16−PE(IgG1)、CD2−PE(IgG1)、CD56−PE(IgG1)、CD69−PE(IgG1)、HLA−DR−PE(IgG1)、CD45RO−PE(IgG1)、NKG2D−PE(IgG1)、NKG2A−PE(IgG2b)、CD94−PE(IgG1)、CD158a,b,e−PE(IgG1)。
アイソタイプの対照物を利用して、バックグラウンドレベルを測定した。単回染色試料での補償を設定し、低前方散乱要素を分析から除外し、10,000のイベントを回収し、Cell Questソフトウェア(Becton Dickinson)を用いて分析した。
間接的な単色蛍光法によって、正常および腫瘍一次腎細胞を表現型決定した。細胞(2×10)を以下の抗体と一緒に4℃で30分間インキュベートした。
抗−HLA−A2、抗−HLA−BC(クローンB1.23.2)、抗−HLA−ABC(クローンW6/32)、CD54、抗−MICA(A.Moretta博士から入手したクローンBAM195(イタリア、ジェノバ))、G250−FITC(Hirsch F博士Hopital Paul Brousseから入手、パリ)、抗−ヒト線維芽細胞(クローンAD02ディアノヴァ、ハンブルグ)。
細胞をホスフェート緩衝生理食塩水(PBS)で2回洗浄した後、フィコエリスリン(PE)コンジュゲートヤギ抗−マウスIgと一緒に4℃で20分間インキュベートした。
細胞溶解活性アッセイ
4h51Cr放出アッセイで、増大したγδエフェクターT細胞の、自家正常および腫瘍標的細胞系、対照の感受性標的細胞系Daudiおよび対照の耐性標的細胞系Rajiに対する細胞毒性を試験した。同じ患者のLAKエフェクターT細胞をアッセイに含め、γδ T細胞のうちのひとつに対する溶解能を比較した。
・標的細胞については、細胞2×10個/ウェルの量で使用し、100μCi51Crで60分間標識した。エフェクター/標的(E/T)比は30:1から3.75:1の範囲とした。
・標準式((実験−自発的放出/全−自発的放出)×100)を用いて特異的溶解(パーセンテージで表現)を算出した。データは3重ウェルの平均である。
8.2 結果
RCCのある患者のPBMCでのTCR Vδ2保持T細胞の選択的増殖
まず、mRCC患者の末梢血からの休止γδ T細胞をBrHPPが増大する機能を、健康なボランティア1名のγδ T細胞増殖と比較した。患者7名は、血液を採取していなかった(BAZ、DEN、GOU、SAN)か、病状が明細胞(または従来の細胞)腎癌(COU、FABおよびROU)ではないため研究に入れることができなかった。
評価可能な患者では、材料および方法で説明したようにしてPBMCを刺激した。分析した患者12名について、このうち7名(7/12または58%)すなわち、BEL、FOUR、MOR、POU、QUI、VAGおよびZENにVγ9Vδ2 T細胞増幅が認められた。これらのmRCC患者は、基線においてγδ T細胞が1.6%から4.2%であったが、これがBrHPP(n=7)での刺激後に73.3%から94.8%まで増大した。
患者5名すなわち、CHA、CHAR、PAS、SAUおよびSCHは、彼らのVγ9Vδ2個体群について特異的にin vitroで増大するのが不可能であったため、細胞毒性試験に入れなかった。これらの「BrHPP非応答患者」は、基線におけるγδ T細胞が0.6%から3.8%であったが、これが刺激後(n=5)に4.7%から19.6%まで増大した。
腎摘出前の血液試料を入手できた場合、この試料で実験を行った。腎摘出後に採取した血液試料で同一の増幅結果を得られるかどうか確認した(データ表示なし)。
「BrHPP応答患者」の細胞型特徴付け
効果細胞
BrHPPに応答するmRCC患者由来の増殖したVγ9Vδ2 T細胞の表現型解析を実施した。患者QUIおよびFOURのデータについては、以下に詳述する理由から示していない。これらの細胞の大半が表現型Ag経験細胞(CD45RO+)であり、LFA−1またはCD2のような接着分子を発現し、同時刺激分子NKG2Dを発現した。γδ T細胞の中には、CD69およびHLA−DRの発現で確認すると、活性化表現型が維持されているものもあった。自己のCD8、CD56またはCD16を発現する異なる亜個体群も同定できた。阻害ヘテロダイマー複合体CD94/NKG2Aはγδ T細胞のほぼ半分発現されたが、キラーIg様受容体ファミリ(CD158a;b;e)に属する受容体は、極めて限られたサブセットにおいて発現された。
標的細胞
短期in vitro培養後に、応答患者から採取した腫瘍および正常腎細胞の表現型解析を行った。患者QUIは、正常な腎細胞を得られなかったことから除外した。他の6名の患者はいずれも、正常な細胞と腫瘍細胞の両方にて高いレベルでクラスI MHC分子を発現し、接着分子CD54に対して陽性であった。予想通り、G250は、さまざまなレベルではあるが腫瘍細胞で特異的に発現された。マーカーAS02は、培養中、線維芽細胞汚染レベルを示した。これは、患者BEL、MOR、POU、VAGおよびZENの正常な細胞で4.7%から58.3%、腫瘍の対応物で6.7%から53.2%の範囲であった。ZEN以外、線維芽細胞(γδ T細胞溶解に耐性の細胞型である)汚染レベルが腫瘍培養で対応する正常な細胞培養よりも高かった。患者FOURは、腫瘍培養のみで線維芽細胞が増殖している(AS02陽性細胞の98.5%)ため大幅な汚染を示した点に注意することが重要である。よって、患者FOURを研究の主要な部分から除外した。BAM195染色によって読み取れるMICA発現レベルは、BEL正常腎細胞以外、試験したすべての細胞で低めである。
mRCC患者由来の増大したVγ9Vδ2 T細胞のin vitro細胞毒性
BEL、MOR、POU、VAG、及びZENの患者5名について、増幅γδ T細胞の溶解活性を、伝統的な対照標的(RajiおよびDaudi)、選択した患者の一次自家正常および腫瘍細胞系に対して、4h標準51Cr放出アッセイで測定した。個々のデータと、これらの5名の患者で得られた結果の平均を図9Aおよび図9Bにあげておく。
・BrHPPで増大したVγ9Vδ2 T細胞は、30:1の比での一次腫瘍細胞系に対する特異的溶解が36.7+/−5.4%(範囲29.1から43.1%)であったのに対し、一次正常細胞系は同じ比のときに12.5+/−5.0%(範囲7.0から18.9%)溶解した。これらの結果は試験した5名の患者の平均である。
・自家効果細胞による腫瘍細胞の溶解レベルは、正常対照に比して有意に高い。二方向に対応のあるスチューデントのT検定では、p値はE/T比30:1でp=0.0002、E/T比15:1でp=0.01、E/T比7.5:1でp=0.04である。
すべての分析培養で、γδエフェクターT細胞が、対照の感受性標的細胞系Daudi(68.3+/−14.2%)に強い溶解活性を呈し、対照の陰性標的細胞系Raji(12.9+/−5.0%)には極めて低い活性を示した。
患者ZENでは、自家LAK細胞による溶解を調査した。予想通り、LAK細胞はDaudi細胞系とRaji細胞系に対して溶解活性を示したが、正常細胞および腫瘍細胞に対しても匹敵する効率で溶解活性を示した。これらの結果については、他の患者で確認する必要があるが、いずれにしてもLAK細胞媒介溶解の特異性がないことは明らかである。
8.3 考察
この研究では、本発明者らは、BrHPP刺激によって、RCC患者由来の末梢Vγ9Vδ2 T細胞を、事例では58%(患者12名のうち7名)in vitroにて増大できることを明らかにした。これらの細胞は、細胞毒性アッセイから読み取った限り、自家腎臓腫瘍細胞に対して選択的な溶解性を示し、腎臓の正常細胞には溶解性を持たなかった。
しかしながら、これらの培養中での線維芽細胞による汚染レベルがまちまち(線維芽細胞のパーセンテージは正常細胞で4.7%から58.3%の範囲、腫瘍細胞で6.7%から53.2%の範囲)であることから、増大されたγδ T細胞の一次腫瘍細胞に対する溶解活性が最小になることがある。この一次細胞培養の汚染によって細胞毒性アッセイのE/T比が変わった。
この試験を一層よい条件で実現するために、本発明者らは、特定の抗体(クローンAS02、Dianova)を用いて線維芽細胞を取り除いた上で、精製腎臓腫瘍細胞を培養することを提案した。
本発明者らは、増大されたγδ T細胞が線維芽細胞を溶解しないことを確認した。この研究の1名の患者(患者FOUR)から得た腫瘍細胞の培養物では線維芽細胞による汚染が98.5%であった。増大された自家Vγ9Vδ2 T細胞を用いて細胞毒性アッセイを行ったところ、これらの細胞は30:1比で4.0%溶解するが、Daudiは同じ比で75.4%溶解することが明らかになった。
結論として、この研究から、評価可能な患者全員で、自家in vitro BrHPP刺激γδ T細胞によって、正常な細胞を溶解せずに一次腫瘍細胞を特異的に溶解できることが分かった。
実施例9
BrHPP化合物およびHDMAPP化合物のin vitroとin vivoでの薬用量応答の比較
9.1 材料および方法
9.1.1 in vivo
動物
目的を持って繁殖させた8匹の健康な雄のカニクイザル(M.fascicularis)。研究開始時、体重3.5から4kgの範囲で、37から41月齢であった。
牧畜条件については、監視温度、湿度、換気、照明サイクルを含む欧州での要件に合わせた。動物をステンレス鋼製のケージに入れて個別に飼育した。餌は、新鮮な果物を毎日加えて拡大された霊長類用の完全食(U.A.R.、Villemoisson、Epinay/Orge、フランス)を自由に与えた。
灌流の前に動物にZoletil(商標)100(Tiletamine−Zolazepam、フランス、カーロス、Virbac)を6mg/kg筋肉内注射して麻酔をかけた。
HDMAPP/IL2
HDMAPP:最初は21.5mM。
本明細書に記載の方法に従ってHDMAPPを生成した。これを0.22μMのマイクロフィルタで濾過して滅菌した。HDMAPP水溶液を冷凍保存する。
IL2:Chiron(米国エミリービル)から入手したProleukin(登録商標)を1バイアルあたり18M UIで、−20℃にて保存し、滅菌水1mlで再構成して注射用とした。この18M IU/mlの開始溶液をqsp水10mlで希釈し、300μl(0.6M IU)の用量を毎日注射した。希釈溶液のバッチを各々4℃で最大3日間保存する。
注射/血液サンプリング
雄のカニクイザルに、乳酸加リンゲルをビヒクルとして用いて総容量50mlで30分間の灌流を行い、HDMAPPをi.v.投与した。
注射したHDMAPPの用量:2.5mg/kg、0.5mg/kg、0.1mg/kgおよび0.02mg/kg.。
滅菌水に加えた1日あたり0.6M IUのIL2を用いて、動物を皮下的に5日間同時処置した。
投与前、HDMAPP灌流の4日後、5日後、7日後、11日後、14日後に、該当する血球個体群をフローサイトメトリー分析するために血液を採取した。
大腿血管/動脈からヘパリン−リチウム含有チューブに血液試料(1から4ml)を採取した。フローサイトメトリー分析の前に、チューブを室温(RT)にて一晩シップ(ship)した。
フローサイトメトリー
大腿血管/動脈からヘパリン−リチウム含有チューブに血液試料(1から4ml)を採取した。フローサイトメトリー分析の前に、チューブを室温(RT)にて一晩シップ(ship)した。
サル全血について、抗−Vガンマ9FITC抗体、抗−CD3PE抗体、及び抗−CD69PC5抗体(Vガンマ9−FITC:7B6クローン、Innate Pharmaで生成、精製、FITC結合させた;CD3−PE:SP34クローン、BD Biosciences Pharmingen、フランス、Le Pont de Claix;CD69PC5:FN50クローン、Immunotech−Beckman−Coulter、フランス、マルセイユ)で三重染色後、フローサイトメトリーで末梢γδリンパ球を分析した。
簡単に説明すると、サルの血液50μlを、抗−ガンマ9−FITC抗体10μl、抗−CD3−PE抗体5μl、抗−CD69PC5抗体5μlを用いて、RTにて15分間インキュベートした。抗体を1×PBS 3mlで洗浄し、RTにて1300rpmで4分間遠心分離し、上清を破棄した。OptiLyse C試薬(Immunotech−Beckman−Coulter、フランス、マルセイユ)を製造業者の指示通りに用いて赤血球を溶解させた。最終工程で、染色された白血球を遠心分離によって回収し、1×PBS+0.2%PFA 300μlに再懸濁させた。分析の直前に、較正したFlow Count(商標)Fluorospheres(Immunotech−Beckman−Coulter、フランス、マルセイユ)50μlを細胞に加え、該当する個体群の絶対数を計数できるようにした。
Epics XL−MCL装置(Beckman−Coulter、ロワシー、フランス)でExpo32ソフトウェアを用いてフローサイトメトリーを実施した。
9.1.2 in vitro
in vitroでの増殖アッセイとin vitroでのTNFα放出アッセイを、基本的には実施例3で説明したようにして実施する。
9.2 結果
9.2.1 in vivo
8匹の被験動物について、以下の表2に示すスケジュールでHDMAPP注射を行った。
Figure 2006510629
カニクイザルにHDMAPPをさまざまな用量で連続静脈内注射することによる影響をモニタリングした。同じ細胞の末梢γδ T細胞および絶対血球数のパーセンテージの個々の曲線を、それぞれの動物について求めた。
2.6mg/kgのHDMAPPを5週間ずつあけて4回続けて注射した後、in vivoでの増幅を評価した。4回連続してHDMAPP処置することで、5日目にそれぞれCD3のうちγδ細胞が約60、55、60、40%となった)。
20または80mg/kgのPhosphostim(登録商標)を4週間または8週間ずつあけて4回続けて注射した後、in vivoでの増幅を評価した。4回連続してBrHPP処置することで、本明細書の上述した例で説明したように、それぞれγδ細胞が繰返し増加した。
フローサイトメトリーでγδ T細胞数を求めて判断したHDMAPPとBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。HDMAPPについては表2に示すとおり4とおりの用量で試験し、図示のように、さまざまな注射回数(2.5mg/kg:3回注射;0.5mg/kg:5回注射;0.1mg/kg:3回注射;0.02mg/kg:3回注射)でデータを得た。
BrHPPについては、0、0.12、2.4、12、48、72、96mg/kgという7とおりの用量で試験した。図面には、HDMAPPで5日目と7日目、BrHPPで7日目に計数したγδ T細胞数が示してある。上述したように、γδ T細胞増殖のピークは注射後5日目に見られた。それぞれの用量範囲について、結果を(a)絶対細胞数(/mm血液)でのγδ T細胞の倍増量、(b)絶対細胞数(/mm血液)、(c)全循環リンパ球のγδ T細胞パーセンテージ、及び(d)全循環リンパ球のパーセンテージの倍増量で表してある。
図10Aおよび図10Bはそれぞれ、HDMAPPおよびBrHPPの絶対細胞数(/mm血液)を示している。
図11Aおよび図11Bはそれぞれ、HDMAPPおよびBrHPPの全循環リンパ球のγδ T細胞のパーセンテージを示している。
図12Aおよび図12Bはそれぞれ、HDMAPPおよびBrHPPの絶対細胞数(/mm血液)でのγδ T細胞の倍増量を示している
図13Aおよび図13Bはそれぞれ、HDMAPPおよびBrHPPの全循環リンパ球のパーセンテージの倍増量を示している。
9.2.1 in vitroおよびin vivoでの生物活性におけるBrHPPとHDMAPPの比較
in vitroおよびin vivoでのアッセイを用いて、BrHPPとHDMAPPの生物活性を比較した。ヒトPBMC由来のγδ T細胞増幅のin vitroでの生物活性(rhIL2の存在下)を、TNFα放出アッセイで評価した。in vivoでの活性については、上述したようにして求め、図10〜図13に示してある。比較の目的で、今までに本発明者らが評価した中では最も力価の高いアミノビスホスホネートであるアミノビスホスホネート化合物Zoledronate(登録商標)をin vivoでの比較に含めた。
in vitroでの比較を図14に示す。図14は、化合物のin vitroでのEC50を示しており、BrHPPではEC50が約30nMであるのに対し、HDMAPPではEC50は約0.6nMであり、力価にほぼ50倍の差がある。
in vivoでの比較を図15に示す。図15は、化合物のin vivoでのEC50を示しており、BrHPPではEC50が約1nMであるのに対し、HDMAPPではEC50は約5pMであり、力価に約2対数差がある。対照的に、力価の小さいZoledronate(登録商標)でEC50値約1μMが示された。
実施例10
ヒトγδ T細胞Nod−Scid/腫瘍モデルにおけるin vivoでの効力
Nod−SCID/腫瘍マウスモデルを用いることが前提のこのプロジェクトの目的は、ヒトMNCをBrHPPによってin vivoで単回刺激した後のヒトγδ T細胞の増殖について研究し、かつ展開したγδ T細胞のin vivoでの抗腫瘍効力を研究することであった。
材料および方法
Nod−SCID/腫瘍をセットアップし、Nod−SCIDのBrHPPでヒトMNCを刺激するための予備研究を以下のようにして実施した。
* ATCC(786−O、Kaci1、G401およびG402)から購入した以下の腎臓腫瘍細胞系を利用して、モデルを構築した。786−0およびKaci−1細胞系は腎明細胞癌腫(RCC)、G401横紋筋様およびG402 leimyeloblastomaであった。
8〜12週齢のNod−SCIDマウスを細胞系のレシピエントとして利用した。
それぞれのマウスの左脇腹上部に、細胞2〜5×10個をD0日目に皮下注射した。腫瘍の見た目と増殖の進み具合を毎週確認した。
腫瘍の見た目と発達は、細胞系と移植細胞数に左右される。たとえば、細胞2×10個を移植後、786−OおよびKaci−1には3から4週間必要であるが、G401および402には2週間必要であった。
* 0日目、IP 50×10 PBMC(健康なドナーから採取、etablissement fransais du sang)をマウスに注射した後、1000IUのIL2と混合したBrHPP 40mg/kgで刺激した(IP)。D5と3日ごとに、マウスを500UIのIL2で処置した。Nod−SCID/ヒト(hu)BrHPP処置マウスの腹膜腔でヒトγδ T細胞を発達させた。
抗腫瘍効力
Nod−SCIDマウスでの腫瘍の発達とヒトγδ T細胞のin vivoでの刺激を利用して、γδ T細胞の抗腫瘍作用をin vivoで研究した。固形腫瘍の体積が>30mm3(式A×B/2で算出;式中、AとBはそれぞれ腫瘍の長さと幅を示す)となった3週間後に、786−0細胞系2×10を移植することで、腫瘍モデルを構築した。マウスを無作為化し、PBMCのIPを与え、刺激のためにBrHPPで処置した。いくつかの群を構成した。
A−負の対照群:この群のマウスには腫瘍細胞系だけを与えた。
B−PBMC群:マウスに50×10PBMCをIP注射した。
C−研究群:50×10PBMCを与えた後のマウスをBrHPPおよびIL2で処置した。
それぞれの群について、パラメータを以下のようにして観察した。
−腫瘍の大きさと体積を毎週チェック
−ヒトγδ T細胞対abヒトT細胞のパーセンテージで腹膜腔および血液回収細胞におけるヒトT細胞の表現型を毎週判断
−血清学的TNFおよびINFチェック
−屠殺時:1−ヒト白血球細胞のホーミングとその表現型(IP、肝臓、肺、脾臓、骨髄、血液、胸腺および腫瘍)についての表現型研究。
2−レシピエントマウスの腫瘍の免疫組織学化学(IHC)的研究。
結果
・腫瘍成長:786−O腫瘍をヒトIL2で処置しても、活性は誘導されなかった。この群と非処置マウス群との間に腫瘍の大きさに違いは観察されなかった。
BrHPP処置後の最初の数日間における腫瘍の成長を図15に示す。
PBMC/BrHPPおよびIL2処置群では、処置後の最初の数日間は腫瘍が大きくなったが、その後は腫瘍の大きさが急激に小さくなった。7日目から先は腫瘍の大きさが縮小していることを図19に示す。PBMC群では、短時間の拘束後、大きさが大きくなり、この群と負の対照例の群とで腫瘍の大きさに有意な差は観察されなかった。
・表現型解析およびヒト細胞のホーミング:腹膜腔で:処置マウスのIP表現型を毎週チェックしたところ、BrHPP処置マウスでのみヒトγδ T細胞の存在が明らかになった。血液中のγδ T細胞の相対数を図16に示し、腹膜腔での場合を図17に示す。ヒトγδ T細胞はヒトCD3T細胞の高いパーセンテージをなす。マウスレシピエントの臓器で:屠殺時に表現型解析を行う(PBMCおよびBrHPP処置または非処置群で4週間後);これらの臓器に存在する主なヒト細胞はヒトCD3+T細胞であり、Ab TcRの発現率99%である。しかしながら、腫瘍では、ヒトγδ細胞はBrHPP処置群にしか存在しなかった。
・IHC:屠殺時に得た腫瘍の切片4μmで、γδ T細胞はPBMC BrHPP処置マウスの腫瘍にしか存在しないことが確認された。腫瘍内のヒトγδ T細胞の頻度がBrHPP処置の遅延と相関しているように見える。
結論
ここで得たデータから、γδのin vivoでの効力が明らかになった。γδ T細胞は、その活性をBrHPP刺激後2週間発揮する。腫瘍が消えてなくなり、処置12週間後に新たな腫瘍の再発が観察されなかったマウスの群では、上記の作用は持続性で安定している。10匹のマウスのうち4匹では、腫瘍は完全には消えなかったが、この群ですら、腫瘍の成長は止まり、腫瘍の大きさは12週間後も安定したままであった。BrHPP未処置マウスのTILはabT細胞で構成されていたが、本発明者らはこの群で腫瘍活性を観察できなかった。
実施例11
ヒトにおける進行性/転移性固形腫瘍を処置する目的でのBrHPPの投与
Phosphostimは、新たな臨床エントリすなわち薬剤物質ブロモヒドリンピロホスフェート(BrHPP)をベースにしたものであり、これは免疫コンピテント細胞すなわち抗腫瘍活性を持つVγ9Vδ2 T細胞亜個体群の特定のアゴニストである。Phosphostim(BrHPP、200mg)は、がんの免疫治療用のBrHPPの静脈製剤であり、進行性/転移性固形腫瘍のある患者での最初の臨床試験では低用量のIL−2(s.c.1M IU/m/日)と併用される。
臨床試験
いままでPhosphostimがヒトに投与されることはなかった。Phosphostimを用いる計画したフェーズIの臨床試験の主な目的は、Phosphostim単独の場合と一定用量のIL−2と併用した場合の安全性と寛容を評価することにある。この臨床試験は、進行性/転移性固形腫瘍のある患者の系列的なコホートで行う単一治療群(single arm)、非盲検、国内の多数の機関で行う用量増分試験である。各用量レベルごとに3〜6名の患者からなるコホートで、従来の用量増分設計(Fibronacci)を用いる。患者のコホートにはすべて、3週間ごとに処置を反復サイクルで実施する。1回目のサイクルはPhosphostim単独を注入する1回の投与からなり、2回目のサイクルから先は、1百万IU/m/日のIL−2を加える(全体の期間は7日間)。Phosphostimの開始用量は、BrHPPアニオン形態での118mg等量に相当する200mg/m(5mg/kg)である。Phosphostim単独の場合とIL−2と併用した場合の薬物動態および薬力学的特性についてもこの研究で評価する。
Phosphostim(BrHPP、200mg)は、注入時に溶液に入れて再構成される、凍結乾燥させた無発熱原性滅菌白色粉末である。
Phosphostim(BrHPP、200mg)の各バイアルには、アニオン形態でのBrHPPが200mgと賦形剤としてのα−ラクトースモノハイドレート(USP)50mgとが入っている。
Phosphostim(BrHPP、200mg)は、−20℃での保存期間が6ヶ月である。現在、安定性に関するさらなる研究が行われている。これらの研究が終わるまで、Phosphostimは光の当たらない場所で−20℃±5℃で保管すべきである。
Phosphostimは、開封して再構成したらすみやかに使い切るタイプのものである。Phosphostimの再構成は、使用する直前に注射用水2mlで行い、100mg/mlの溶液にする。再構成品に必要な量だけ、全体量100mlの乳酸加リンゲル緩衝液注入ビヒクルに希釈する。この希釈溶液は無色透明である。
Phosphostimを1時間かけて静脈内投与する。
Figure 2006510629

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BrHPPの用量を増やしながら連続して静脈内注射を行っても、M.fascicularis(カニクイザル)の末梢血でのγδ細胞増幅は持続されない。動物2匹に対して、BrHPPを毎日1、4、16、32mg/kgずつ与え、それぞれのPBMCをフローサイトメトリーで監視した。BrHPP投与後20日目まで全血を抗−デルタ2−FITC抗体と抗−CD3−PE抗体で染色した。 M.fascicularisでは、BrHPPとIL2を同時投与することで、再現可能なγδ細胞の増加が誘導される。2匹の動物に、BrHPPを20mg/kg(「1回用量」)与え、他の2匹には5日間かけて毎日BrHPPを4mg/kgずつ(「分割用量」)与えた。いずれの場合も5日間毎日0.9百万UIのIL2を同時注射した。BrHPP/IL2で同時処置した4匹の動物では末梢γδ細胞の増加が認められ、7日目がピークであった。対照例として、5匹目の動物をIL2だけで処置したところ、末梢γδ率に何ら変化は認められなかった。14日目に、この動物にBrHPP/IL2を同時投与すると、7日後のγδ率と同じ増加量で答えられることが明らかになった。 投与7日後におけるM.fascicularisの全血のフローサイトメトリー分析。これらのグラフは、投与7日後にIL2のみ(Z604 D7 IL2のみ)またはBrHPPおよびIL2(Z604、X973、Z059、Z135、Z714、D7 IL2+BrHPP)で処置した動物の全血の抗−デルタ2−FITC/抗−CD3−PE染色を示している。 BrHPP/IL2を同時注射したM.fascicularisで循環γδ細胞の絶対数が5から40倍増加する。末梢γδ細胞の絶対数については、BrHPP/IL2を同時注射した4匹の動物でのフローサイトメトリーによって求めた。末梢γδ細胞数は、動物次第で投与7日後にそれ以前と比して5から40倍多かった。全量20mg/kgのBrHPP注射で平均して24倍の増加が得られ、単回用量の方が分割用量の場合よりも効率的だった。 BrHPP/IL2の投与時における末梢γδ細胞率の増加は用量依存性である。 上側のパネル:10匹の動物(2031から2040までの番号を付す)について、各用量に動物2匹ずつ(雄1匹+雌1匹)、BrHPPの量を増やしながら(0、0.2、4、20、80mg/kg)1回目の注射を行った。 下側のパネル:同じ動物に対して、1回目の注射から3週間後に、BrHPPの量をさらに増やして(20、80、120、160mg/kg)2回目の注射を行った。1回目の注射での用量が最も少なかった動物(0.2mg/kgと4mg/kgの群)に、今度は最も多い用量(120mg/kgと160mg/kg)で注射を行い、1回目の注射が2回目の注射に対して影響する可能性を最小限に抑えた。 BrHPP/IL2での同時処置時における循環γδ細胞数の増加も用量依存性である。末梢γδ細胞数の倍増量を、処置前のγδ絶対数に対する処置7日後のγδ絶対数の比として算出した。同一用量群の動物間にも若干の食い違いがあるが、この増加は明らかに用量依存性である。 抗−ガンマ9−FITC抗体と抗−CD3−PE抗体で染色した状態での、BrHPP 160mg/kgを与える前と5日後における動物No.2034の全血のフローサイトメトリー画像。 霊長類のγδ細胞は、1回目と2回目のBrHPP/IL2同時処置にin vivoで等しく応答する。20mg/kgでの1回目のBrHPP処置(分画済みまたは未分画)7日後に観察されたγδ細胞数の平均増幅量は、20mg/kgでのBrHPPリコール後に観察された平均増加量に匹敵する。 in vivoでのγδ増幅量はBrHPP/IL2の連続投与後に減少する。この実験では、2匹の動物に、80mg/kgそして22日間の後に20mg/kgを、または20mg/kgの後に80mg/kgを連続して与えた。いずれの場合も、γδ細胞数倍増量の応答は、特定の用量で1回目の注射のときよりも1回目のリコールでの方が低い(左側のパネル)。さらに、5匹の雌に対して、3週間間隔で80mg/kgで2回目、3回目のリコールで処置をした。得られた増幅率は、依然として検出可能であるが、リコールごとに低くなっていく(右側のパネル)。 BrHPP/IL2同時処置後にin vivoで血清TNFαが生成される。TNFαについては、まずIL2と、BrHPPを用量(0から80mg/kg、それぞれの用量で動物2匹ずつ、図3A参照)を増やしながら用いて処置した上で、BrHPP注射の1時間後と4時間に、サルの血清に対するElisaで検出した。 in vivoで末梢BrHPP増幅霊長類γδ細胞はBrHPPの攻撃に応答してサイトカインを産生する。4回目のBrHPP/IL2処置として、雌2032および2034にBrHPPを80mg/kg与えたところ、γδ細胞数がそれぞれ3倍および7.9倍に増加した。γδ細胞の末梢ピークの時点(4回目の注射後5日目)で、これらの動物に再度BrHPPを(IL2なしで)80mg/kg注射したところ、注射の60分後と120分後にElisaで血清INFγおよびTNFαが検出された。 IL2同時処置の内容が異なっても末梢γδ率の維持には影響しない。20mg/kgのBrHPPと同時に、以下のIL2処置を動物の皮下に対してほどこした。0.15百万単位を1日2回で9日間(動物Z059)、0.3百万単位を1日2回で5日間(Z135)、0.9百万単位を1日2回で5日間(動物Z714)または9日間(動物X973)。 Phosphostim用量の増加に応答した霊長類のγδ細胞数倍増量。 PhosphostimおよびIL−2を1回目と2回目で投与し、フローサイトメトリーで判断したところ、7日目に末梢Vγ9Vδ2 T細胞で明らかに用量関連性の上昇が認められた。これを図7に示す。 Phosphostim処置霊長類での血清サイトカイン(INFγおよびTNFα)の産生。 Phosphostimでの処置が血清中でのサイトカイン(INFγおよびTNFα)産生の生成に対しておよぼす影響について2回検討した。 −1回目の注入後、処置をほどこしたすべての動物:BrHPP注射の1時間後に80mg/kgを与えた動物両方で全身のTNFαが有意に産生(血清濃度60pg/mlおよび120pg/ml前後)されることが証明された。 −4回目の注射のピーク(7日目)の間に80mg/kgを(IL−2なしで)与えた2匹の雌(F2032&F2034)。 両方の動物で血清TNFαおよびINFγの濃度の増加が示されたことから、BrHPP/IL−2の同時処置時にin vivoで増幅したVγ9Vδ2 T細胞も検出可能な量の全身のサイトカインを生成することが分かる。 mRCC患者から増大したVγ9Vδ2 T細胞のin vitroでの細胞毒性。 5名の患者について4h標準51Cr放出アッセイで、従来の対照標的(RajiおよびDaudi)、選択した患者の一次(primary)自家健常細胞系および腫瘍細胞系に対してBrHPP増幅γδ T細胞の溶解活性を測定した。 mRCC患者から増大したVγ9Vδ2 T細胞のin vitroでの細胞毒性。 5名の患者について4h標準51Cr放出アッセイで、従来の対照標的(RajiおよびDaudi)、選択した患者の一次(primary)自家健常細胞系および腫瘍細胞系に対してBrHPP増幅γδ T細胞の溶解活性を測定した。 HDMAPPおよびBrhPPでのin vivo(サル)用量範囲研究。フローサイトメトリーでγδ T細胞数を決定して得られるHDMAPPおよびBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。 図10Aは、それぞれHDMAPPおよびBrHPPについて絶対細胞数(/mm血液)を示す。 HDMAPPおよびBrhPPでのin vivo(サル)用量範囲研究。フローサイトメトリーでγδ T細胞数を決定して得られるHDMAPPおよびBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。 図10Bは、それぞれHDMAPPおよびBrHPPについて絶対細胞数(/mm血液)を示す。 HDMAPPおよびBrhPPでのin vivo(サル)用量範囲研究。フローサイトメトリーでγδ T細胞数を決定して得られるHDMAPPおよびBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。 図11Aは、それぞれHDMAPPおよびBrHPPについて全循環リンパ球のγδ T細胞パーセンテージを示す。 HDMAPPおよびBrhPPでのin vivo(サル)用量範囲研究。フローサイトメトリーでγδ T細胞数を決定して得られるHDMAPPおよびBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。 図11Bは、それぞれHDMAPPおよびBrHPPについて全循環リンパ球のγδ T細胞パーセンテージを示す。 HDMAPPおよびBrhPPでのin vivo(サル)用量範囲研究。フローサイトメトリーでγδ T細胞数を決定して得られるHDMAPPおよびBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。 図12Aは、それぞれHDMAPPおよびBrHPPについて絶対細胞数(/mm血液)のγδ T細胞倍増量を示す。 HDMAPPおよびBrhPPでのin vivo(サル)用量範囲研究。フローサイトメトリーでγδ T細胞数を決定して得られるHDMAPPおよびBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。 図12Bは、それぞれHDMAPPおよびBrHPPについて絶対細胞数(/mm血液)のγδ T細胞倍増量を示す。 HDMAPPおよびBrhPPでのin vivo(サル)用量範囲研究。フローサイトメトリーでγδ T細胞数を決定して得られるHDMAPPおよびBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。 図13Aは、それぞれHDMAPPおよびBrHPPについて倍増量を全循環リンパ球のパーセンテージで示す。 HDMAPPおよびBrhPPでのin vivo(サル)用量範囲研究。フローサイトメトリーでγδ T細胞数を決定して得られるHDMAPPおよびBrHPPのin vivoでの用量範囲作用を図10〜図13に示す。 図13Bは、それぞれHDMAPPおよびBrHPPについて倍増量を全循環リンパ球のパーセンテージで示す。 BrHPPおよびHDMAPPのin vitroでの活性の比較。化合物BrHPP、HDMAPPおよびアミノビスホスホネート化合物Zoledronate(登録商標)についてのin vitroでのEC50を示す。ヒトPBMC由来(rhIL2の存在下)のγδ T細胞増幅のin vitroでの生物活性をTNFα放出アッセイで評価した。 BrHPPおよびHDMAPPのin vivoでの活性の比較。化合物についてのin vivoでのEC50を示し、BrHPPではEC50は約1nMであるのに対し、HDMAPPではEC50は約5pMである。これに反して、力価が低いZoledronate(登録商標)のEC50値は約1μMであった。フローサイトメトリーを用いてγδ T細胞を計数し、ヒトPBMC由来のδT細胞増幅の生物活性を評価した。 ヒトγδ T細胞Nod−Scid/腫瘍モデルのin vivoでの有効性 Nod−ScidマウスにヒトPBMLおよびBrHPPでの処置をほどこした後最初の数日間における腫瘍の増殖を図15に示す。 ヒト細胞の表現型解析とホーミング:腹膜腔:処置済みマウスのIP表現型を毎週チェックしたところ、BrHPP処置マウスでのみヒトγδ T細胞の存在が明らかになった。血液中のγδ T細胞の相対数を図16に示し、腹膜腔については図17に示す。ヒトγδ T細胞は、ヒトCD3 T細胞のパーセンテージが高いことを示す。マウスレシピエントの臓器:屠殺時(PBMCおよびBrHPP処置4週間後の群または未処置群)に表現型解析を実施する;これらの臓器に存在する主要なヒト細胞は、Ab TcR発現率99%のヒトCD3+T細胞である。しかしながら、腫瘍では、ヒトγδ細胞は、BrHPP処理群だけに存在した。 腫瘍の大きさは処置後最初の数日間は大きくなったが、その後、PBMC/BrHPPおよびIL2処置群では腫瘍の大きさがすみやかに小さくなった。図19は、7日目以降の腫瘍の大きさが小さくなったことを示している。PBMC群では、進行が短期間停止した後に大きくなり、この群の腫瘍の大きさと負の対照例の腫瘍の大きさとの間には有意な差は何ら認められなかった。 ヒトγδ T細胞Nod−Scid/腫瘍モデルのin vivoでの有効性 Nod−ScidマウスにヒトPBMLおよびBrHPPでの処置をほどこした後最初の数日間における腫瘍の増殖を図15に示す。 ヒト細胞の表現型解析とホーミング:腹膜腔:処置済みマウスのIP表現型を毎週チェックしたところ、BrHPP処置マウスでのみヒトγδ T細胞の存在が明らかになった。血液中のγδ T細胞の相対数を図16に示し、腹膜腔については図17に示す。ヒトγδ T細胞は、ヒトCD3 T細胞のパーセンテージが高いことを示す。マウスレシピエントの臓器:屠殺時(PBMCおよびBrHPP処置4週間後の群または未処置群)に表現型解析を実施する;これらの臓器に存在する主要なヒト細胞は、Ab TcR発現率99%のヒトCD3+T細胞である。しかしながら、腫瘍では、ヒトγδ細胞は、BrHPP処理群だけに存在した。 腫瘍の大きさは処置後最初の数日間は大きくなったが、その後、PBMC/BrHPPおよびIL2処置群では腫瘍の大きさがすみやかに小さくなった。図19は、7日目以降の腫瘍の大きさが小さくなったことを示している。PBMC群では、進行が短期間停止した後に大きくなり、この群の腫瘍の大きさと負の対照例の腫瘍の大きさとの間には有意な差は何ら認められなかった。 ヒトγδ T細胞Nod−Scid/腫瘍モデルのin vivoでの有効性 Nod−ScidマウスにヒトPBMLおよびBrHPPでの処置をほどこした後最初の数日間における腫瘍の増殖を図15に示す。 ヒト細胞の表現型解析とホーミング:腹膜腔:処置済みマウスのIP表現型を毎週チェックしたところ、BrHPP処置マウスでのみヒトγδ T細胞の存在が明らかになった。血液中のγδ T細胞の相対数を図16に示し、腹膜腔については図17に示す。ヒトγδ T細胞は、ヒトCD3 T細胞のパーセンテージが高いことを示す。マウスレシピエントの臓器:屠殺時(PBMCおよびBrHPP処置4週間後の群または未処置群)に表現型解析を実施する;これらの臓器に存在する主要なヒト細胞は、Ab TcR発現率99%のヒトCD3+T細胞である。しかしながら、腫瘍では、ヒトγδ細胞は、BrHPP処理群だけに存在した。 腫瘍の大きさは処置後最初の数日間は大きくなったが、その後、PBMC/BrHPPおよびIL2処置群では腫瘍の大きさがすみやかに小さくなった。図19は、7日目以降の腫瘍の大きさが小さくなったことを示している。PBMC群では、進行が短期間停止した後に大きくなり、この群の腫瘍の大きさと負の対照例の腫瘍の大きさとの間には有意な差は何ら認められなかった。 ヒトγδ T細胞Nod−Scid/腫瘍モデルのin vivoでの有効性 Nod−ScidマウスにヒトPBMLおよびBrHPPでの処置をほどこした後最初の数日間における腫瘍の増殖を図15に示す。 ヒト細胞の表現型解析とホーミング:腹膜腔:処置済みマウスのIP表現型を毎週チェックしたところ、BrHPP処置マウスでのみヒトγδ T細胞の存在が明らかになった。血液中のγδ T細胞の相対数を図16に示し、腹膜腔については図17に示す。ヒトγδ T細胞は、ヒトCD3 T細胞のパーセンテージが高いことを示す。マウスレシピエントの臓器:屠殺時(PBMCおよびBrHPP処置4週間後の群または未処置群)に表現型解析を実施する;これらの臓器に存在する主要なヒト細胞は、Ab TcR発現率99%のヒトCD3+T細胞である。しかしながら、腫瘍では、ヒトγδ細胞は、BrHPP処理群だけに存在した。 腫瘍の大きさは処置後最初の数日間は大きくなったが、その後、PBMC/BrHPPおよびIL2処置群では腫瘍の大きさがすみやかに小さくなった。図19は、7日目以降の腫瘍の大きさが小さくなったことを示している。PBMC群では、進行が短期間停止した後に大きくなり、この群の腫瘍の大きさと負の対照例の腫瘍の大きさとの間には有意な差は何ら認められなかった。 ヒトγδ T細胞Nod−Scid/腫瘍モデルのin vivoでの有効性 Nod−ScidマウスにヒトPBMLおよびBrHPPでの処置をほどこした後最初の数日間における腫瘍の増殖を図15に示す。 ヒト細胞の表現型解析とホーミング:腹膜腔:処置済みマウスのIP表現型を毎週チェックしたところ、BrHPP処置マウスでのみヒトγδ T細胞の存在が明らかになった。血液中のγδ T細胞の相対数を図16に示し、腹膜腔については図17に示す。ヒトγδ T細胞は、ヒトCD3 T細胞のパーセンテージが高いことを示す。マウスレシピエントの臓器:屠殺時(PBMCおよびBrHPP処置4週間後の群または未処置群)に表現型解析を実施する;これらの臓器に存在する主要なヒト細胞は、Ab TcR発現率99%のヒトCD3+T細胞である。しかしながら、腫瘍では、ヒトγδ細胞は、BrHPP処理群だけに存在した。 腫瘍の大きさは処置後最初の数日間は大きくなったが、その後、PBMC/BrHPPおよびIL2処置群では腫瘍の大きさがすみやかに小さくなった。図19は、7日目以降の腫瘍の大きさが小さくなったことを示している。PBMC群では、進行が短期間停止した後に大きくなり、この群の腫瘍の大きさと負の対照例の腫瘍の大きさとの間には有意な差は何ら認められなかった。

Claims (79)

  1. 薬学的に許容可能な担体と一緒に、固形腫瘍の処置が必要な温血動物においてこのような処置をするための製剤組成物の製造に用いる、γδ T細胞活性化因子の使用。
  2. 固形腫瘍を処置するための方法であって、このような処置が必要な温血動物に、少なくとも1回の処置で、治療有効量のγδ T細胞活性化因子を、薬学的に許容可能な担体と一緒に、温血動物に対して投与する工程を含む、固形腫瘍を処置するための方法。
  3. 動物に少なくとも2回の処置をほどこす、請求項1に記載の使用。
  4. 動物に少なくとも3回の処置をほどこす、請求項1に記載の使用。
  5. 動物に少なくとも4回の処置をほどこす、請求項1に記載の使用。
  6. 動物に少なくとも6回の処置をほどこす、請求項1に記載の使用。
  7. 約2週間から約8週間の処置間隔をあけて2回以上の処置でγδ T細胞活性化因子を投与する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
  8. 約3週間から約4週間の処置間隔をあけて2回以上の処置でγδ T細胞活性化因子を投与する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 薬学的に許容可能な担体と一緒に、腫瘍の処置が必要な温血動物においてこのような処置するための製剤組成物の製造に用いる、γδ T細胞活性化因子の使用であって、約2週間から約8週間の処置間隔をあけて2回以上の処置でγδ T細胞活性化因子を投与する、使用。
  10. 動物に少なくとも2回の処置をほどこす、請求項9に記載の使用。
  11. 動物に少なくとも3回の処置、好ましくは少なくとも4回の処置をほどこす、請求項9に記載の使用。
  12. 動物に少なくとも6回の処置をほどこす、請求項9に記載の使用。
  13. 腫瘍が血液腫瘍である、請求項9〜12のいずれか1項に記載の使用。
  14. 処置対象となる腫瘍がリンパ腫である、請求項9〜12のいずれか1項に記載の使用。
  15. 腫瘍が固形腫瘍である、請求項9〜12のいずれか1項に記載の使用。
  16. 温血動物または被検体においてγδ T細胞の生物活性が増大する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用。
  17. 温血動物または被検体において循環γδ T細胞数が増加する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用。
  18. 被検体でγδ T細胞個体群を増大させ、全循環リンパ球の30〜90%を達成するのに十分な量でγδ T細胞活性化因子を投与する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用。
  19. 被検体でγδ T細胞個体群を少なくとも10倍に増やすのに十分な量のγδ T細胞活性化因子を投与する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の使用。
  20. 腫瘍が転移性腫瘍であり、前記疾患の処置に適した用量でこのような処置が必要なヒトにγδ T活性化因子を投与する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の使用。
  21. 処置対象となる腫瘍が、肺の腫瘍と、結腸直腸の腫瘍と、前立腺の腫瘍と、乳房の腫瘍と、類表皮頭頸部の腫瘍と、からなる群から選択される、請求項1〜8、15〜20のいずれか1項に記載の使用。
  22. 処置対象となる腫瘍が腎臓がんである、請求項1〜8、15〜20のいずれか1項に記載の使用。
  23. 処置対象となる腫瘍が転移性の腎臓がんである、請求項1〜8、15〜20のいずれか1項に記載の使用。
  24. 処置対象となる増殖性疾患が、黒色腫と、卵巣がんと、膵臓がんと、神経芽細胞腫と、頭頸部がんと、膀胱がんと、腎臓がんと、脳腫瘍と、胃がんと、からなる群から選択される、請求項1〜8、15〜20のいずれか1項に記載の使用。
  25. γδ T細胞活性化因子が、化合物が1mM未満の濃度で培養中に存在する場合にγδ T細胞クローンの純粋な個体群でγδ T細胞の増殖を誘導できる前記化合物を含む組成物である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の使用。
  26. γδ T細胞活性化因子が、式(I)
    Figure 2006510629

    〔式中、Cat+は、1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、
    mは1から3の整数であり、
    Bは、O、NHまたは加水分解可能な任意の基であり、
    Y=OCat+、C〜Cアルキル基、基−A−Rであるか、ヌクレオシドと、オリゴヌクレオチドと、核酸と、アミノ酸と、ペプチドと、タンパク質と、単糖と、オリゴ糖と、多糖と、脂肪酸と、単純脂質と、複合脂質と、葉酸と、テトラヒドロ葉酸と、リン酸と、イノシトールと、ビタミンと、補酵素と、フラボノイドと、アルデヒドと、エポキシドと、ハロヒドリンと、からなる群から選択されるラジカルであり、
    Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、
    Rは、場合により少なくとも1個のヘテロ原子で中断された、直鎖状、分枝状または環状の、芳香族または非芳香族の、飽和または不飽和のC〜C50炭化水素基であり、前記炭化水素基は、アルキルと、アルキレニルと、アルキニルと、エポキシアルキルと、アリールと、複素環と、アルコキシと、アシルと、アルコールと、カルボキシル基(−COOH)と、エステルと、アミンと、アミノ基(−NH)と、アミド(−CONH)と、イミンと、ニトリルと、ヒドロキシル(−OH)と、アルデヒド基(−CHO)と、ハロゲンと、ハロゲノアルキルと、チオール(−SH)と、チオアルキルと、スルホンと、スルホキシドと、これらの組み合わせと、からなる群から選択される1個またはいくつかの置換基で置換可能である、アルキル、アルキレニルまたはアルキニルを含み、好ましくはアルキルまたはアルキレンを含む〕の化合物を含む組成物である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の使用。
  27. γδ T細胞活性化因子が、式(II)
    Figure 2006510629

    〔式中、Xはハロゲン(好ましくは、I、Br、Clから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1から3の整数であり、R1はメチル基またはエチル基であり、Cat+は、1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2から20の整数であり、Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、Yは、OCat+、ヌクレオシドまたはラジカル−A−R(式中、Rは1)、2)または3)からなる群から選択される)〕の化合物を含む組成物である、請求項26に記載の使用。
  28. 式(II)の化合物がBrHPPである、請求項27に記載の使用。
  29. 式(II)の化合物がCBrHPPである、請求項27に記載の使用。
  30. 式(II)の化合物がepoxPPである、請求項27に記載の使用。
  31. γδ T細胞活性化因子を、10mg/kgから100mg/kgの用量でヒトに投与する、請求項27〜30のいずれか1項に記載の使用。
  32. γδ T細胞活性化因子を、式(I):
    単回用量(mg/kg)=(10からy)*N (I)
    (式中、Nは処置と処置との間の週数、yは100である)に基づいて算出される用量でヒトに投与する、請求項27〜30のいずれか1項に記載の使用。
  33. γδ T細胞活性化因子を、式(I):
    単回用量(mg/kg)=(5から60)*N (I)
    に基づいて算出される用量でヒトに投与する、請求項32に記載の使用。
  34. 式(I):
    単回用量(mg/kg)=(10から100)*N (I)
    (式中、Nは、約3から約4の間であるような、処置と処置との間の週数である)に基づいて算出される用量で、静脈内注入によって、γδ T活性化因子をヒトに投与する、請求項27〜30のいずれか1項に記載の使用。
  35. ヒト被検者においてVγ9/Vδ2 T細胞を調節するための製剤組成物の製造に用いる、CBrHPP化合物の使用であって、CBrHPP化合物を、被検者の体重1キログラムあたり前記化合物10mg/kgから100mg/kgの用量で前記被検者に投与する、使用。
  36. ヒト被検者においてVγ9/Vδ2 T細胞を調節するための製剤組成物の製造に用いる、CBrHPP化合物の使用であって、CBrHPP化合物を、被検者の体重1キログラムあたり前記化合物10mg/kgから100mg/kgの用量で24時間未満の時間内に前記被検者に投与する、使用。
  37. γδ T細胞活性化因子を、5mg/kgから60mg/kgの用量でヒトに投与する、請求項27〜36のいずれか1項に記載の使用。
  38. γδ T細胞活性化因子を約20mg/kgの用量で投与する、請求項27〜36のいずれか1項に記載の使用。
  39. 温血動物においてγδ T細胞を刺激するための製剤組成物の製造に用いる、請求項27に記載の化合物の使用であって、約2週間から約8週間の処置間隔をあけて2回以上の処置で前記化合物を温血動物に投与する、使用。
  40. γδ T細胞活性化因子が、式(XII)
    Figure 2006510629

    〔式中、R、RおよびRは、同一であっても異なっていてもよく、水素または(C〜C)アルキル基であり、Wは−CH−または−N−であり、Rは、(C〜C)アシル、アルデヒド、(C〜C)アルコールまたは(C〜C)エステルであり、Cat+は1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、BはOまたはNHであり、mは1から3の整数であり、Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、Yは、OCat+、ヌクレオシドまたはラジカル−A−R(式中、Rは1)、2)または3)からなる群から選択される)〕の化合物を含む組成物である、請求項26に記載の使用。
  41. 式(XII)の化合物がHDMAPPである、請求項40に記載の使用。
  42. 式(XII)の化合物がCHDMAPPである、請求項40に記載の使用。
  43. γδ T細胞活性化因子を、式(I):
    単回用量(mg/kg)=(0.001からy)*N (I)
    (Nは、処置と処置との間の週数であり、yは100である)に基づいて算出される用量でヒトに投与する、請求項40〜42のいずれか1項に記載の使用。
  44. γδ T細胞活性化因子を、式(I):
    単回用量(mg/kg)=(0.01から20)*N (I)
    に基づいて算出される用量でヒトに投与する、請求項43に記載の使用。
  45. γδ T細胞活性化因子を、式(I):
    単回用量(mg/kg)=(0.01から5)*N (I)
    に基づいて算出される用量でヒトに投与する、請求項43に記載の使用。
  46. γδ T細胞活性化因子を、式(I):
    単回用量(mg/kg)=(0.02から5)*N (I)
    に基づいて算出される用量でヒトに投与する、請求項43に記載の使用。
  47. γδ T細胞活性化因子を、10μg/kgから20mg/kgの用量でヒトに投与する、請求項40〜42のいずれか1項に記載の使用。
  48. 式(I):
    単回用量(mg/kg)=(0.01から20)*N (I)
    (式中、Nは、約3から約4の間であるような、処置と処置との間の週数である)に基づいて算出される用量で、静脈内注入によって、γδ T活性化因子をヒトに投与する、請求項40〜42のいずれか1項に記載の使用。
  49. 式(II)
    Figure 2006510629

    〔式中、Xはハロゲン(好ましくは、I、Br、Clから選択される)であり、BはOまたはNHであり、mは1から3の整数であり、R1はメチル基またはエチル基であり、Cat+は、1個の(またはいくつかの、同一であっても異なっていてもよい)有機または鉱物カチオン(プロトンを含む)を表し、nは2から20の整数であり、Aは、O、NH、CHF、CFまたはCHであり、Yは、OCat+、ヌクレオシドまたはラジカル−A−R(式中、Rは1)、2)または3)からなる群から選択される)〕の化合物を、ヒト被検者においてVγ9/Vδ2 T細胞を調節するための製剤組成物の製造に用いる使用であって、前記化合物を、被検者の体重1キログラムあたり前記化合物10μg/kgから20mg/kgの用量で前記被検者に投与する、使用。
  50. ヒト被検者においてVγ9/Vδ2 T細胞を調節するための製剤組成物の製造に用いる、HDMAPP化合物またはCHDMAPP化合物の使用であって、HDMAPP化合物またはCHDMAPP化合物を、被検者の体重1キログラムあたり前記化合物10μg/kgから20mg/kgの用量で前記被検者に投与する、使用。
  51. ヒト被検者においてVγ9/Vδ2 T細胞を調節するための製剤組成物の製造に用いる、HDMAPP化合物またはCHDMAPP化合物の使用であって、HDMAPP化合物またはCHDMAPP化合物を、被検者の体重1キログラムあたり前記化合物10μg/kgから20mg/kgの用量で24時間未満の時間内に前記被検者に投与する、使用。
  52. γδ T細胞活性化因子を、10μg/kgから5mg/kgの用量でヒトに投与する、請求項50または51に記載の使用であって、HDMAPP化合物またはCHDMAPP化合物を、被検者の体重1キログラムあたり前記化合物10μg/kgから20mg/kgの用量で24時間未満の時間内に前記被検者に投与する、使用。
  53. γδ T細胞活性化因子を、10μg/kgから2.5mg/kgの用量でヒトに投与する、請求項50または51に記載の使用。
  54. γδ T細胞活性化因子を、10μg/kgから1mg/kgの用量でヒトに投与する、請求項50または51に記載の使用。
  55. 有効量のγδ T活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを、それらの投与が必要な被検体に別々に投与することをさらに含む、請求項1〜54のいずれか1項に記載の使用。
  56. インターロイキン−2ポリペプチドを1日から10日間の時間をかけて投与する、請求項55に記載の使用。
  57. γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを、哺乳動物の被検体でγδ T細胞の活性を調節するための製剤組成物の製造に用いる使用であって、γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを被検体に別々に投与し、インターロイキン−2ポリペプチドを1日から10日間の時間をかけて投与する、使用。
  58. 有効量のγδ T活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを、それらの投与が必要な被検体に別々に投与することを含み、インターロイキン−2ポリペプチドを1日から10日間の時間をかけて投与する、被検体においてγδ T細胞を刺激するための方法。
  59. 有効量のγδ T活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを、それらの投与が必要な被検体に別々に投与することを含み、インターロイキン−2ポリペプチドを1日から10日間の時間をかけて投与する、被検体において、がん、感染症、自己免疫疾患またはアレルギー疾患を処置するための方法。
  60. インターロイキン−2ポリペプチドを低用量で投与する、請求項1〜59のいずれか1項に記載の使用。
  61. インターロイキン−2ポリペプチドを、1日あたり0.2から2MU、さらに一層好ましくは0.2から1.5MU、なお好ましくは0.2から1MUの一日用量で投与する、請求項1〜60のいずれか1項に記載の使用。
  62. インターロイキン−2ポリペプチドの一日用量を1回の注射または2回の注射で投与する、請求項1〜61のいずれか1項に記載の使用。
  63. γδ T細胞活性化因子を処置開始時に単回用量で投与する、請求項1〜62のいずれか1項に記載の使用。
  64. γδ T細胞活性化因子を処置開始時に単回用量で投与し、インターロイキン−2ポリペプチドを、前記処置開始から10日以内の間に少なくとも2日間投与する、請求項1〜63のいずれか1項に記載の使用。
  65. γδ T細胞活性化因子がγδ Tリンパ球のT受容体リガンドである、請求項1〜64のいずれか1項に記載の使用。
  66. γδ T細胞活性化因子がPED化合物またはPHD化合物であり、これを処置開始時に10から50mg/kgの用量で1回の注射にて投与し、インターロイキン−2ポリペプチドを1日あたり0.2から2MUの一日用量で1日から10日間の時間をかけて投与する、請求項1〜65のいずれか1項に記載の使用。
  67. 被検体が、がん、感染症、自己免疫疾患またはアレルギー疾患を有するヒト被検者である、請求項1〜66のいずれか1項に記載の使用。
  68. γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを、被検体におけるがんを処置するための製剤組成物の製造に用いる使用であって、前記合成γδ T活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを被検体に別々に投与する、使用。
  69. γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを、被検体における感染症を処置するための製剤組成物の製造に用いる使用であって、前記合成γδ T活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを被検体に別々に投与する、使用。
  70. γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを、被検体における自己免疫疾患を処置するための製剤組成物の製造に用いる使用であって、前記合成γδ T活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを被検体に別々に投与する、使用。
  71. γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを、γδ T細胞による溶解の影響を受けやすい病原細胞によって引き起こされる、あるいはこのような細胞に関連した疾患を被検体において処置するための製剤組成物の製造に用いる使用であって、前記合成γδ T活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドを被検体に別々に投与する、使用。
  72. 哺乳動物の被検体でγδ T細胞の活性を調節する目的で、別々に使用できるγδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを含む、製品。
  73. γδ T活性化因子を薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、固形腫瘍を処置するための医薬品の製造に用いる、γδ T活性化因子の使用。
  74. γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを、哺乳動物の被検体でγδ T細胞の活性を調節するための製剤組成物の製造に用いる使用であって、γδ T細胞活性化因子とインターロイキン−2ポリペプチドとを別々に被検体に投与する、使用。
  75. γδ T細胞活性化因子を静脈内注入によって投与する、請求項1〜74のいずれか1項に記載の使用。
  76. 各注入を約5分から約120分間で行う、請求項1〜75のいずれか1項に記載の使用。
  77. 各注入を約5分から約30分間で行う、請求項1〜76のいずれか1項に記載の使用。
  78. 治療有効量のCHDMAPPを活性成分として薬学的に許容可能な担体と一緒に含有する、製剤組成物。
  79. 治療有効量のCBrHPPを活性成分として薬学的に許容可能な担体と一緒に含有する、製剤組成物。
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