JP2006508951A - 片頭痛を処置するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、糖質コルチコイドレセプターの生物学的作用を阻害し得る薬剤が、被験体における片頭痛を処置するための方法で使用され得るという知見に関する。本発明の方法は、片頭痛を処置する必要のある被験体における片頭痛を処置する方法であって、該方法は、該被験体における片頭痛を処置するために効果的な量の糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストを該被験体に対して投与する工程を包含する。(i)ただし、該被験体は、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストでの処置を他の点では必要としておらず、そして(ii)ただし、該被験体はまた、トリプタン、または任意の他の薬学的に処方される実体であって、シトクロムP450−3A4アイソザイムによって優先的に代謝される実体のいずれによっても処置されていない。

Description

(発明の分野)
本発明は、糖質コルチコイドレセプターの生物学的作用を阻害し得る薬剤は、被験体における片頭痛を低減するためか、排除するためか、または予防するための方法で使用し得るという知見に関する。
(関連出願の引用)
本出願は、米国特許第60/424,199号(2002年11月5日出願)への優先権を主張する。米国特許第60/424,199号は、その全体が本明細書中で参考として援用される。
(発明の背景)
片頭痛は、一般的な、十分には診断されていない、かつ十分には処置を受けていない、神経学的障害である。片頭痛は、重篤で再発性の頭痛の最も一般的な原因であるが、頭痛は、この疾患の症状が現れる多くの状態のうちのほんの一つの状態にすぎない。片頭痛はまた、視覚障害、意識(conciousness)における変化、光恐怖症、または音恐怖症を含み得る。この状態は、本当に衰弱させ得、そしてこの疼痛は、正常な生産的な生活を送るという人々の能力を妨害し得る。実際に、発作は、罹患者に日常的活動を3日間まで断念することを強い得る。症状が現れない期間でさえも、罹患者は、次の発作を恐れて生活する可能性がある。
年齢が12歳を超える2300万人を超えるアメリカ人が、片頭痛を経験し、女性において17.6%の罹患率、および男性において5.7%の罹患率である。罹患者の高い罹患率を考慮すると、アメリカの商業が、常習欠勤、労働者の生産力の低減、および片頭痛に対して二次的な医療費のために、年間500億ドルを超える損害を受けていることは驚くにあたらない。従って、片頭痛の経済的影響および社会的影響は、莫大なものである。
種々の型の片頭痛の中では、古典的片頭痛(前兆を伴う片頭痛)および普通片頭痛(前兆を伴わない片頭痛)の2つが、最も優勢である。片頭痛は、断続的な大脳機能障害によって引き起こされるが、関連する詳細な病態生理学的機構は、理解されていない。
片頭痛を処置する試みにおいて使用されている薬物としては、以下のものが挙げられる:エルゴタミンおよびエルゴタミン様薬剤;セロトニンアゴニスト;ならびに麦角または薬理学的薬剤を有するカフェイン(例えば、Silberstein,S.D.,Curr.Opinion Neurology 7:258−263(1994);Welch,K.M.A.,New Engl J.Med.329:1476−1483(1993);Kumar,K.L.,J.Gen.Int.Med.9:339−348(1994);Saadah,H.,Headache 32:95−97(1992);およびBecker,Arzneimittelforshung 42(4):552−555(1992)を参照のこと)。これらの薬物の全ては、血管収縮を引き起こすことによって片頭痛に関連する疼痛を最初に軽減すると考えられる。不運なことには、これらの薬物は、多数の副作用(例えば、胸部の疼痛または胸部の圧迫、顔面潮紅、全身性の刺痛感覚、吐き気、嘔吐、脚および腕における疼痛、無力症、嗜眠状態、および眩暈感)をもたらす。急性の麦角中毒は、麦角薬物の特に悪性の副作用であり、この麦角中毒は、重篤な中枢神経性および末梢神経性の血管収縮、吐き気、嘔吐、下痢、仙痛、頭痛、眩暈感、感覚異常、およびおそらく痙攣発作によって、特徴付けられる。
患者は、時々、非処方鎮痛薬の使用を通して、いくつかの形態の片頭痛に対して全体的なまたは部分的な軽減を見出している。Welch(New Engl J.Med.329:1476−1483(1993))によって概説されるように、このような鎮痛薬の初期投与量は、代表的には、アスピリン500mg〜650mg、アセトアミノフェン500mg、ナプロキセンナトリウム750mg〜825mg、トルフェナム酸200mg〜400mg、および、イブプロフェン200mgである。しかし、片頭痛の発作の間のこのような薬剤および他の薬剤の吸収は、明らかに胃の静止に起因して、低下すると示されている。
片頭痛を取り扱うことにおいて、有意な進歩が達成されてきたが、種々の選択肢に関連する副作用は、これらの価値を制限するので、長期間にわたって広く効果的であると証明されたものはない。
明らかに、当該分野では、効果的な片頭痛の処置についてのニーズがある。理想的には、片頭痛薬物の処方は、非中毒性であるべきであり、かつ、血管作用薬剤を含むべきではない。これは、麦角、スマトリプタンのようなセロトニンアゴニスト、およびカフェインの排除を必要とする。この処方は、片頭痛の症状を軽減するかもしくは排除するべきであり、そして、急性の処置について使用されるとき、または予防的に使用されるとき、効果的であるべきである。本明細書中に開示される本発明は、これらのニーズおよび他のニーズを満たす。本発明は、少なくとも部分的には、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、片頭痛の処置について効果的な薬剤であるという驚くべき知見に基づく。
コルチコステロイドは、副腎より放出されるステロイドホルモンである。最も重要なヒト副腎コルチコステロイドは、コルチソル、コルチコステロン、およびアルドステロンである。コルチコステロイドは、細胞の細胞質に位置するレセプターに結合した後、細胞性効果を生じる。2つの一般的なクラスのコルチコステロイドレセプターが、現在認識されている。この2つのクラスとは、鉱質コルチコイドレセプター(タイプI、またはMRとも呼ばれる)および糖質コルチコイドレセプター(タイプII、またはGRとも呼ばれる)である。
鉱質コルチコイドレセプター(MR)は、糖質コルチコイドに結合する糖質コルチコイドレセプター(GR)よりも10倍も高い親和性でコルチソルに結合する。従って、2つのクラスのレセプターの活性化は、コルチコステロイド(コルチソル)濃度に依存して相違し得る。糖質コルチコイドコルチソルの血液レベルは、一日の間中広範な範囲に亘って変化する。一般的に、血液中の正常なコルチソル濃度は、約0.5nM〜約50nMの範囲にあるが;しかし、ストレスに応答して、コルチソル濃度は、100nMを超え得る。
糖質コルチコイドブロッカーは、糖質コルチコイドの効果をブロックするか、または低減する薬剤である。糖質コルチコイド作用に対するこのような妨害は、例えば、糖質コルチコイドレセプター(GR)への糖質コルチコイドアゴニストの結合に対する妨害、または、細胞核でのアゴニスト結合GRの作用に対する妨害、または、核でのアゴニスト結合GRの作用により誘発される遺伝子産物の発現もしくはプロセシングに対する妨害に起因し得る。糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト(GRアンタゴニスト)は、GRに対する天然リガンドの効果または糖質コルチコイドアゴニストの効果を阻害する化合物である。GRアンタゴニストの1つの作用様式は、GRへのGRリガンドの結合を阻害することである。糖質コルチコイドアンタゴニストの考察は、Agarwalら、「Glucocorticoid antagonists」、FEBS Lett.,217:221−226(1987)に見出され得る。GRアンタゴニストの1例は、(11β,17β)11[4(ジメチルアミノ)フェニル]−17ヒドロキシ−17(1プロピニル)エストラ−4,9ジエン−3オンであり、RU−486またはRU−38486としても公知の、ミフェプリストンである。米国特許第4,368,085号を参照のこと。ミフェプリストンは、GRに対するコルチソルの親和性の約18倍の親和性でGRへ特異的に結合する。GRアンタゴニストは、ミフェプリストンのようなステロイド、または非ステロイドであり得る。
本発明者らは、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、片頭痛の処置についての効果的な薬剤であると初めて決定した。従って、本発明は、被験体へ糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストを投与する方法を提供することによって、片頭痛の処置についての効果的な方法に対するニーズを満たす。
(発明の簡単な要旨)
本発明は、少なくとも部分的には、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストの投与が、片頭痛の効果的かつ向上した処置を提供するという知見に基づく。従って、1つの局面において、本発明は、被験体における片頭痛を処置する方法に関するが、ただし、この被験体は別の点では糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストでの処置を必要としておらず、そして、ただし、この被験体はまた、トリプタン、または任意の他の薬学的に処方される実体であって、シトクロムP450−3A4アイソザイムによって優先的に代謝される実体のいずれによっても処置されていない。
本発明の1つの局面において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、ステロイド性骨格を含み、このステロイド性骨格の11−β位に少なくとも1つのフェニル含有部分を有する。1つの局面において、このステロイド性骨格の11−β位のフェニル含有部分は、ジメチルアミノフェニル部分である。別の局面において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、ミフェプリストンである。
本発明の1つの局面において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、11β−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−17α−プロピニル−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンおよび17β−ヒドロキシ−17α−19−(4−メチルフェニル)アンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オンからなる群より選択される。別の局面において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、4α(S)−ベンジル−2(R)−プロプ−1−イニル−1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)−オクタヒドロ−フェナントレン−2,7−ジオールおよび4α(S)−ベンジル−2(R)−クロロエチニル−1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)−オクタヒドロ−フェナントレン−2,7−ジオールからなる群より選択される。
別の1つの局面において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、(11β,17β)−11−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−17−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オンである。
本発明の別の局面において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、1日につき体重1キログラムあたり約0.5mg〜約35mgの間の1日量で投与される。別の局面において、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、1日につき体重1キログラムあたり約5mg〜約15mgの間の1日量で投与される。
本発明の1つの局面において、投与は、1日につき1回である。さらに別の局面において、投与の様式は、経皮的適用によるか、噴霧される懸濁液によるか、またはエアロゾルスプレーによる。別の局面において、投与の様式は、経口的である。
別の局面において、本発明はまた、被験体における片頭痛を処置するためのキットを提供する。このキットは、特異的糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト、ならびに胃食道逆流疾患を罹患する患者に対する適応症、胃食道逆流疾患を罹患する患者に対する糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストの投与量および投与スケジュールを指示する指示書を備える。
(発明の詳細な説明)
(定義)
用語「片頭痛」とは、以下の症状のうちの1つ以上によって特徴付けられる、周期的に起こる症状複合体をいう:運動または身体的活動によって悪化され得る、頭部における疼痛;吐き気および/または嘔吐、下痢、光恐怖症、光の閃光性出現を含む視覚障害;発作、失神、および錯乱状態を含む意識における変化;眩暈感、頭がふらふらすること(light headedness)、頭皮圧痛、または感覚異常。症状の特定の組み合わせならびにこれらの頻度および重篤度は、片頭痛を多数のサブクラスへ分類することに使用される(例えば、Headache Classification Committee of the International Headache Society:The International Classification of Headache Disorders,第2版.Cephalalgia 24,supplement 1,2004;(Blackwell Publishing,9600 Garsington Road,Oxford OX4 2DQ,UKより入手可能)を参照のこと)。全ての片頭痛は、片頭痛として分類されるための全ての片頭痛の診断基準を満たす必要があるとは限らない。例えば、人は、身体的活動により悪化される、左側頭部の中程度の強度のズキズキとする頭痛を有し得る。これらの頭痛の特徴は、片頭痛の診断基準を満たす。しかし、この頭痛は、吐き気または光もしくは雑音に対する過敏性を伴わないかもしれず、それゆえ、片頭痛についての全ての診断基準を満たすわけではない。しかし、この人の他の頭痛のいくつかが、全ての片頭痛の診断基準を満たす場合、次いで、この頭痛もまた、片頭痛であると言われ得る。
用語「片頭痛の発作」とは、片頭痛の症状の経験をいう。この経験は、初期の前兆症状および片頭痛の間に起こる任意の症状を含み得る。
用語「頭痛」とは、任意の神経の分布領域に限定されない、頭部の種々の部分における疼痛をいう。多くの型の頭痛が公知である。例えば、1988年におけるInternational Headache Society(IHS)のHeadache Classification Committeeにより刊行された分類系は、100型を超える頭痛を記載する(Headache Classification Committee of the International Headache Society:The International Classification of Headache Disorders,第2版,前出)。
用語「予防剤」とは、片頭痛のような疾患を予防するために作用する薬剤をいう。1つの局面において、本発明の糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、片頭痛の発症を防ぐために予防的に投与される。
用語「処置すること(treating)」、「処置」、「処置すること(to treat)」とは、被験体における片頭痛および/または付随する症状を予防するためか、低減するためか、または排除するための手段をいう。処置とは、片頭痛の予防、低減、排除、または回復における成功の任意の印をいい、この印としては、任意の客観的パラメーターまたは主観的パラメーター(例えば、軽減;寛解;症状の減少(diminishing)、予防、または片頭痛症状の減少(lessening)、または被験体にとって状態をより耐性にすること;片頭痛をより弱めること;または患者の身体的幸福もしくは精神的幸福を向上させること)が挙げられる。例えば、本発明の方法による処置の成功は、本発明の抗糖質コルチコイドで処置が開始される前の年と、処置の開始の後の年とにおいて、片頭痛発作の頻度および重篤度を比較することで測定され得る。症状の予防、処置または回復は、客観的パラメーターまたは主観的パラメーターに基づき得;そのパラメーターとしては、身体検査の結果、または症状の重篤度および生活の質に関しての個人面接の結果、または当該分野で公知の任意の他の適切な手段の結果が挙げられる。
用語「コルチソル」とは、ヒドロコルチゾンともいわれる組成物のファミリー、およびこれらの任意の合成アナログまたは天然アナログをいう。
用語「糖質コルチコイドレセプター」(「GR」)とは、コルチソルレセプターともいわれる、コルチソルおよび/またはコルチソルアナログへ特異的に結合する細胞内レセプターのファミリーをいう。この用語は、GRのイソ型、組換えGRおよび変異GRを含む。
用語「ミフェプリストン」とは、(代表的には高い親和性で)GRへ結合し、そして、GRレセプターへの任意のコルチソルまたはコルチソルアナログの結合により開始/媒介される生物学的効果を阻害する、RU486、またはRU38.486、または17−β−ヒドロキシ−11−β−(4−ジメチル−アミノフェニル)−17−α−(1−プロピニル)−エストラ4,9−ジエン−3−オン)、または、11−β−(4ジメチルアミノフェニル)−17−β−ヒドロキシ−17−α−(1−プロピニル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン)、またはこれらのアナログともいわれる組成物のファミリーをいう。RU−486の化学名は変化する;例えば、RU486はまた、以下のようにも命名されている:11β−[p−(ジメチルアミノ)フェニル]−17β−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン;11β−(4−ジメチル−アミノフェニル)−17β−ヒドロキシ−17α−(プロプ−1−イニル)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン;17β−ヒドロキシ−11β−(4−ジメチルアミノフェニル−1)−17α−(プロピニル−1)−エストラ−4,9−ジエン−3−オン;17β−ヒドロキシ−11β−(4−ジメチルアミノフェニル−1)−17α−(プロピニル−1)−E;(11β,17β)−11−[4−(ジメチルアミノ)−フェニル]−17−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オン;および、11β−[4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル]−17α−(プロプ−1−イニル)−D−4,9−エストラジエン−17β−オール−3−オン。
用語「特異的糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト」とは、GRへの糖質コルチコイドレセプター(GR)アゴニスト(例えば、合成的または天然の、コルチソルまたはコルチソルアナログ)の結合を、部分的にまたは完全に阻害する(拮抗する)、任意の組成物または化合物をいう。「特異的糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト」とはまた、アゴニストへのGRの結合に関連する任意の生物学的応答を阻害する、任意の組成物または化合物をいう。「特異的」によって、本発明者らは、薬物が、鉱質コルチコイドレセプター(MR)の少なくとも100倍、また高い頻度で1000倍の親和性において、GRへ優先的に結合することを意図する。
「別の点では糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストでの処置を必要としていない」被験体とは、抗糖質コルチコイド化合物で効果的に処置可能であると医学界で認められた任意の障害について抗糖質コルチコイド化合物で処置されていない、個体または患者である。糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストで効果的に処置可能であると当該分野で公知の、かつ、このように医学界で認められた状態としては、クッシング病、薬物禁断症状、痴呆、ストレス障害、不安障害(米国特許第5,741,787号)、鬱病、精神病的大鬱病(米国特許第6,150,349号)、分裂感情障害、糖尿病、慢性関節リウマチ、自己免疫疾患、HIV感染症、皮膚炎、炎症、線維筋痛、中枢神経系疾患、神経変性、神経傷害、骨盤の疼痛、および種々の癌が挙げられる。
「トリプタン、または任意の他の薬学的に処方される実体であって、シトクロムP450−3A4アイソザイムによって優先的に代謝される実体のいずれによっても処置されていない」被験体は、トリプタン薬物で効果的に処置可能であると医学界で認められた任意の障害について、トリプタン薬物(例えば、エリトリプタンまたはスマトリプタン)で処置されていない個体または患者である。トリプタン薬物は、P450−3A4酵素の代謝活性に対するこれらの影響を通して作用すると考えられる。従って、「トリプタン、または任意の他の薬学的に処方される実体であって、シトクロムP450−3A4アイソザイムによって優先的に代謝される実体のいずれによってもで処置されていない」被験体は、トリプタン薬物がP450−3A4酵素に影響を与える様式と同様の様式でP450−3A4酵素の代謝活性に影響を与える任意の薬物で処置されていない。
(I.導入)
本発明は、糖質コルチコイド誘発性の生物学的応答を阻害し得る薬剤が、片頭痛を処置することについて効果的であるという驚くべき知見に関する。片頭痛を処置することにおいて、本発明の方法は、片頭痛の症状を回復し得るか、排除し得るか、低減し得るか、または予防し得る。1つの実施形態において、本発明の方法は、コルチソルとGRとの相互作用をブロックする、GRアンタゴニストとして作用する薬剤を使用し、片頭痛を処置する。本発明の方法は、罹患した患者における片頭痛を処置することに効果的である。
コルチソルは、細胞内糖質コルチコイドレセプター(GR)へ結合することにより作用する。ヒトにおいて、糖質コルチコイドレセプターは、2つの形態(すなわち:777個のアミノ酸のリガンド結合GR−α;および、最後の15個のアミノ酸のみが異なるGR−βイソ型)で存在する。2つの型のGRは、それらの特異的リガンドに対して高い親和性を有し、そして、同じシグナル伝達経路を介して機能すると考えられる。
高コルチソル血症(hypercortisolemia)によって引き起こされる病状または機能障害を含む、コルチソルの生物学的効果は、レセプターアンタゴニストを用いて、GRレベルで調節され得、制御され得る。いくつかの種々のクラスの薬剤は、GRアンタゴニストとして作用し得る。すなわち、GR−アゴニスト結合の生理的効果をブロックし得る(その天然アゴニストは、コルチソルである)。これらのアンタゴニストとしては、GRへ結合することによって、GRへ効果的に結合して、そして/またはGRを活性化させるアゴニストの能力をブロックする組成物が挙げられる。公知のGRアンタゴニストのうちの1つのファミリーである、ミフェプリストンおよび関連の化合物は、ヒトにおいて効果的かつ強力な抗糖質コルチコイド薬剤である(Bertagna,J.Clin.Endocrinol.Metab.59:25,1984)。ミフェプリストンは、高い親和性で、10−9M未満の解離のKで、GRへ結合する(Cadepond,Annu.Rev.Med.48:129,1997)。従って、本発明の1つの実施形態において、ミフェプリストンおよび関連の化合物は、被験体における片頭痛を処置するために使用される。
本発明の方法は、アゴニスト結合GRの生物学的効果を阻害するための任意の手段の使用を含むので、被験体における片頭痛を処置するために使用され得る例示的な化合物および組成物もまた、示される。本発明の方法を実施することにおいて使用するために、GR−アゴニスト相互作用によって引き起こされる生物学的応答をブロックし得るさらなる化合物および組成物を同定することに使用され得る慣用の手順もまた、記載される。本発明が、医薬品としてのこれらの化合物および組成物の投与を提供するので、GRアンタゴニスト薬物レジメンを決定する慣用の手段、および本発明の方法を実施する処方が、以下に示される。
(II.被験体における片頭痛の診断)
片頭痛は、人の再発性の頭痛のいくつかが、以下に開示されるような片頭痛診断基準を満たすかどうかを決定することによって、診断される:The International Classification of Headache Disorders,第2版,Headache Classification Committee of the International Headache Society:Cephalalgia 24,supplement 1,2004;これは、本明細書中で参考として援用される。例えば、前兆を伴わない片頭痛の診断についてInternational Headache Societyにより示されるこの診断基準は、表1に示される。前兆を伴わない片頭痛は、4時間〜72時間持続する発作において現れる再発性頭痛障害を含む、特発性の症候群であり、この症候群において、頭痛は、代表的には、片側性であり、ずきずきとし、中程度から重篤な強度のものであり、日常の身体的活動より悪化させられ、そして、吐き気ならびに明度および雑音に対する不耐性を伴う。
Figure 2006508951
同様に、International Headache Societyは、前兆を伴う片頭痛についての1組の診断基準を提供する。これらの診断基準は、表2に示される。
Figure 2006508951
内科医院において示される大部分の片頭痛は、(「普通片頭痛」と以前は呼ばれた)前兆を伴わない片頭痛、および、(「古典的片頭痛」と以前は呼ばれた)前兆を伴う片頭痛である。頭痛を有さない片頭痛の前兆もまた、かなり一般的であり、眼科医によりしばしば示される。神経科医および頭痛専門医は、72時間に亘る頭痛段階に特徴付けられる、片頭痛の持続状態をしばしば処置する。他の片頭痛の型は、The International Classification of Headache Disorders,第2版,前出、に十分に記載される。
全ての片頭痛が、片頭痛の全ての診断基準を満たすことを必要とするとは限らない。例えば、人は、身体的活動により悪化される中程度の強度の左側頭部のズキズキとする頭痛を有し得る。これらの頭痛の特徴は、片頭痛の診断基準を満たす。しかし、この頭痛は、吐き気または光もしくは雑音に対する過敏症を伴わないかもしれず、それゆえ、片頭痛についての全ての診断基準を満たさない。しかし、この患者の他の頭痛のいくつかが、片頭痛の全ての診断基準を満たす場合、次いで、この頭痛もまた、片頭痛であると言われ得る。
非常に正確である病歴は、任意の片頭痛の患者を評価し、診断することにおいて有用である。被験体の患者の頭痛の病歴に対する有用な情報としては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:発症の年齢;家族歴;疼痛の部位;持続時間;性質;強度;発症の様式;発症から最高の疼痛の間の時間;時間的プロファイル;悪化因子または増悪因子;軽減因子;関連する神経学的な、眼科学的な、および自律神経性の特徴;以前および現在の薬物使用、カフェイン使用;頭部の外傷歴;事前の神経画像処理研究の結果;系の徹底的な再調査;または患者が医学的な配慮を一般に求めている理由。
(III.一般的な検査室手順)
本発明の方法を実施するとき、多くの一般的検査室テストが、片頭痛を罹患する患者の診断、経過、および予後を補助するために使用され得、この臨床試験としては、パラメーター(例えば、血液コルチソル、薬物代謝、脳構造および機能など)をモニタリングすることが挙げられる。全ての患者は、薬物を独自に代謝し、この薬物に対して独自に反応するので、これらの手順は有用であり得る。さらに、各GRアンタゴニストは、種々の薬物動態を有するので、このようなモニタリングは、重要であり得る。種々の患者および疾患状態は、種々の投与レジメンおよび処方を必要とし得る。投与レジメンおよび処方を決定するためのこのような手順および手段は、科学文献および特許文献に十分に記載される。いくつかの例示的な例が、以下に示される。
(a.血液コルチソルレベルの決定)
本発明は、明らかに正常レベルの血液コルチソルを有する患者に対して実行され得る。しかし、片頭痛についての処置は、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストの投与を包含するので、血液コルチソルをモニタリングすること、およびベースラインのコルチソルレベルを決定することは、片頭痛の患者の診断、処置、および予後を補助する、有用な検査室テストである。個体が正常なコルチソル血であるか、低コルチソル血であるか、または高コルチソル血であるかを決定することに使用され得る、非常に種々の検査室テストが存在する。片頭痛の患者は、代表的には、正常レベルのコルチソルを有する。このレベルは、朝ではたいてい25μg/dl未満であり、この値は、午後では5〜15μg/dlであると一般的に考えられる正常範囲のうちの上限値にたいてい下がるが、午後では高い頻度で約15μg/dl以下である。
放射性免疫アッセイのような免疫アッセイは、正確で、行いやすく、比較的安いので、一般的に使用される。循環するコルチソルのレベルは、副腎皮質機能の指標であるので、種々の刺激テストおよび抑制テスト(例えば、ACTH刺激、ACTH貯蔵量、またはデキサメタゾン抑制(例えば、Greenwald,Am.J.Psychiatry 143:442−446,1986を参照のこと))もまた、診断情報、予後情報、または他の情報を提供し得、本発明の方法において付属的に使用され得る。
キットの形態で入手可能な1つのこのようなアッセイは、「Double Antibody Cortisol Kit」(Diagnostic Products Corporation,Los Angeles,CA)として入手可能な放射性免疫アッセイである(Acta Psychiatr.Scand.70:239−247,1984)。このテストは、競合的な放射性免疫アッセイであり、このアッセイにおいて、125I標識コルチソルは、臨床サンプルからのコルチソルと抗体部位に対して競合する。このテストにおいて、抗体の特異性および任意の有意なタンパク質効果の欠如に起因して、血清サンプルおよび血漿サンプルは、事前抽出も事前希釈もどちらも必要としない。このアッセイは、以下の実施例2でさらに詳細に説明される。
(b.血液/尿のミフェプリストンレベルの決定)
患者の代謝、クリアランス率、毒性レベルなどは、根底にある原発性疾患状態または二次疾患状態、薬物歴、年齢、全身の医学的状態などにおけるバリエーションを伴って変化するので、GRアンタゴニストの血液レベルおよび尿レベルを測定することが、必要であり得る。このようなモニタリングの手段は、科学文献および特許文献に十分に記載される。本発明の1つの実施形態において、ミフェプリストンが、片頭痛を処置するために投与されるので、血液のミフェプリストンレベルおよび尿のミフェプリストンレベルを決定する例示的な例が、以下の実施例に示される。
(c.他の検査室手順)
GRアンタゴニスト代謝産物の生成、血漿濃度および(アンタゴニストおよび代謝産物の尿濃度を含む)クリアランス率をモニタリングし、測定する検査室テストもまた、本発明の方法を実施することに有用であり得る。例えば、ミフェプリストンは、2つの親水性(N−モノメチル化およびN−ジメチル化された)代謝産物を有する。(RU486に加えて)これらの代謝産物の血漿濃度および尿濃度は、例えば、Kawai、Pharmacol.and Experimental Therapeutics 241:401−406、1987に記載されるような、薄層クロマトグラフィーを用いて決定され得る。
(IV.被験体における片頭痛を処置するための糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト)
本発明は、GRへのコルチソルまたはコルチソルアナログの結合に関する生物学的応答をブロックし得る任意の組成物または化合物を利用して、被験体における片頭痛を処置するための方法を提供する。本発明の方法において利用されるGR活性のアンタゴニストは、科学文献および特許文献に十分に記載される。いくつかの例示的な例が、以下に示される。
(A.GRアンタゴニストとしてのステロイド性抗糖質コルチコイド)
ステロイド性糖質コルチコイドアンタゴニストは、本発明の種々の実施形態において片頭痛を処置するために投与される。ステロイド性抗糖質コルチコイドは、糖質コルチコイドアゴニストの基本構造の修飾(すなわち、ステロイド性骨格の変化した形態)によって得られ得る。コルチソルの構造は、種々の方法で修飾され得る。糖質コルチコイドアンタゴニストを作製するためのコルチソルステロイド骨格の構造修飾の2つの最も一般的に公知のクラスとしては、11−βヒドロキシ基の修飾および17−β側鎖の修飾が挙げられる(例えば、Lefebvre,J.Steroid Biochem.33:557−563,1989を参照のこと)。
ステロイド性GRアンタゴニストの例としては、米国特許第5,929,058号に記載されるようなアンドロゲン型ステロイド化合物、および、以下に開示される化合物が挙げられる:米国特許第4,296,206号;米国特許第4,386,085号;米国特許第4,447,424号;米国特許第4,477,445号;米国特許第4,519,946号;米国特許第4,540,686号;米国特許第4,547,493号;米国特許第4,634,695号;米国特許第4,634,696号;米国特許第4,753,932号;米国特許第4,774,236号;米国特許第4,808,710号;米国特許第4,814,327号;米国特許第4,829,060号;米国特許第4,861,763号;米国特許第4,912,097号;米国特許第4,921,638号;米国特許第4,943,566号;米国特許第4,954,490号;米国特許第4,978,657号;米国特許第5,006,518号;米国特許第5,043,332号;米国特許第5,064,822号;米国特許第5,073,548号;米国特許第5,089,488号;米国特許第5,089,635号;米国特許第5,093,507号;米国特許第5,095,010号;米国特許第5,095,129号;米国特許第5,132,299号;米国特許第5,166,146号;米国特許第5,166,199号;米国特許第5,173,405号;米国特許第5,276,023号;米国特許第5,380,839号;米国特許第5,348,729号;米国特許第5,426,102号;米国特許第5,439,913号;米国特許第5,616,458号;米国特許第5,696,127号、および米国特許第6,303,591号。このようなステロイド性GRアンタゴニストとしては、コルテキソロン、デキサメタゾン−オキセタノン(oxetanone)、19−ノルデオキシコルチコステロン、19−ノルプロゲステロン、コルチソル−21−メシレート;デキサメタゾン−21−メシレート、11β−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−17α−プロピニル−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン(RU009)、および、17β−ヒドロキシ−17α−19−(4−メチルフェニル)アンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オン(RU044)が挙げられる。
ステロイド性抗糖質コルチコイドの他の例は、Van Kampenら(2002)Eur.J.Pharmacol.457(2−3):207、WO 03/043640、EP 0 683 172 B1、および、EP 0 763 541 B1に開示され、これらの各々は、本明細書中で参考として援用される。EP 0 763 541 B1およびHoybergら、Int’l J.of Neuro−psychopharmacology、5:Supp.1、S148(2002)は、化合物(11β,17β)−11−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−17−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オン(ORG34517)を開示し、この化合物は、1つの実施形態において、被験体における片頭痛を処置するために効果的な量で投与される。
(1.11−βヒドロキシ基の除去または置換)
11−βヒドロキシ基の除去または置換を含む修飾をされたステロイド性骨格を有する糖質コルチコイドアンタゴニストは、本発明の1つの実施形態において投与される。このクラスは天然の抗糖質コルチコイドを含み、この抗糖質コルチコイドとしては、コルテキソロン、プロゲステロンおよびテストステロンの誘導体、ならびに、ミフェプリストンのような合成組成物が挙げられる(Lefebvreら、前出)。本発明の好ましい実施形態は、全ての11−β−アリールステロイド骨格誘導体を含む。なぜなら、これらの化合物は、プロゲステロンレセプター(PR)結合活性を欠いているからである(Agarwal,FEBS 217:221−226,1987)。別の好ましい実施形態は、11−βフェニル−アミノジメチルステロイド骨格誘導体(すなわち、ミフェプリストン)を含み、これは、効果的な抗糖質コルチコイド剤であるとともに効果的な抗プロゲステロン剤である。これらの組成物は、可逆的に結合するステロイドレセプターアンタゴニストとして作用する。例えば、11−βフェニル−アミノジメチルステロイドに結合されるとき、このステロイドレセプターは、これの天然リガンド(例えば、GRの場合、コルチソル)に結合し得ない立体配座で維持される(Cadepond,1997,前出)。
合成的11−βフェニル−アミノジメチルステロイドとしては、RU486として、または17−β−ヒドロキシ−11−β−(4−ジメチル−アミノフェニル)17−α−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オンとしても公知の、ミフェプリストンが挙げられる。ミフェプリストンは、プロゲステロンレセプターおよび糖質コルチコイド(GR)レセプターの両方の強力なアンタゴニストであると示されている。GRアンタゴニスト効果を有すると示される別の11−βフェニル−アミノジメチルステロイドとしては、RU009(RU39.009)(11−β−(4−ジメチル−アミノエトキシフェニル)−17−α−(プロピニル−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オン))が挙げられる(Bocquel,J.Steroid Biochem.Molec.Biol.45:205−215,1993を参照のこと)。RU486に関連する別のGRアンタゴニストは、RU044(RU43.044)(17−β−ヒドロキシ−17−α−19−(4−メチル−フェニル)−アンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オン)である(Bocquel,1993,前出)。また、Teutsch,Steroids 38:651−665,1981;米国特許第4,386,085号および米国特許4,912,097号を参照のこと。
1つの実施形態は、不可逆的な抗糖質コルチコイドである、基本の糖質コルチコイドステロイド骨格を含有する組成物を含む。このような化合物としては、コルチソルのα−ケト−メタンスルホネート誘導体が挙げられ、この誘導体としては、コルチソル−21−メシレート(4−プレグネン−11−β,17−α,21−トリオール−3,20−ジオン−21−メタン−スルホネート)、および、デキサメタゾン−21−メシレート(16−メチル−9α−フルオロ−1,4−プレグナジエン−11β,17−α,21−トリオール−3,20−ジオン−21−メタン−スルホネート)が挙げられる。Simons,J.Steroid Biochem.24:25−32,1986;Mercier,J.Steroid Biochem.25:11−20,1986;米国特許第4,296,206号を参照のこと。
(2.17−β側鎖基の修飾)
17−β側鎖の種々の構造修飾によって得られ得るステロイド性抗糖質コルチコイドもまた、本発明の方法において使用される。このクラスとしては、合成的抗糖質コルチコイド(例えば、デキサメタゾン−オキシエタノン、種々の17,21−アセトニド誘導体、および、デキサメタゾンの17−β−カルボキサミド誘導体)が挙げられる(Lefebvre、1989、前出;Rousseau、Nature 279:158−160、1979)。
(3.他のステロイド骨格の修飾)
本発明の種々の実施形態において使用されるGRアンタゴニストは、GR−アゴニスト相互作用に起因する生物学的応答をもたらす、任意のステロイド骨格修飾を含む。ステロイド骨格アンタゴニストは、コルチソルの任意の天然バリエーション(例えば、C−19メチル基を欠失している副腎ステロイド)または合成的バリエーション(例えば、19−ノルデオキシコルチコステロンおよび19−ノルプロゲステロン)であり得る(Wynne、Endocrinology 107:1278−1280、1980)。
概して、11−β側鎖置換基、および特に、この置換基のサイズは、ステロイドの抗糖質コルチコイド活性の程度を決定することにおいて重要な役割を果たし得る。ステロイド骨格のA環における置換もまた、重要であり得る。17−ヒドロキシプロペニル側鎖は、化合物を含む17−プロピニル側鎖と比較して、抗糖質コルチコイド活性を一般的には減少させる。
当該分野で公知であり、かつ本発明の実施について適切なさらなる糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストとしては、21−ヒドロキシ−6,19−オキシドプロゲステロン(Vicent,Mol.Pharm.52:749−753,1997を参照のこと)、Org31710(Mizutani,J Steroid Biochem Mol Biol 42(7):695−704,1992を参照のこと)、RU43044、RU40555(Kim,J Steroid Biochem Mol Biol.67(3):213−22,1998を参照のこと)、RU28362、およびZK98229が挙げられる。
(B.アンタゴニストとしての非ステロイド性抗糖質コルチコイド)
非ステロイド性糖質コルチコイドアンタゴニストもまた、本発明の方法で、被験体における片頭痛に対して使用される。これらは、タンパク質の合成模倣物およびアナログを含み、この模倣物およびアナログとしては、部分的にペプチド性の分子実体、シュードペプチド性の分子実体、および非ペプチド性の分子実体が挙げられる。例えば、本発明において有用なオリゴマー性ペプチド模倣物としては、(α−β−不飽和)ペプチドスルホンアミド、N−置換グリシン誘導体、オリゴカルバメート、オリゴ尿素ペプチド模倣物、ヒドラジノペプチド、オリゴスルホンなどが挙げられる(例えば、Amour、Int.J.Pept.Protein Res.43:297−304、1994;de Bont、Bioorganic & Medicinal Chem.4:667−672、1996を参照のこと)。合成分子の大きなライブラリーの作製および同時のスクリーニングは、コンビナトリアルケミストリーにおいて周知の技術を用いて実行され得る。例えば、van Breemen、Anal Chem 69:2159−2164、1997;および、Lam、Anticancer Drug Des 12:145−167、1997を参照のこと)。GRに対して特異的なペプチド模倣物の設計は、コンビナトリアルケミストリー(コンビナトリアルライブラリー)スクリーニングアプローチ(Murray、J.of Computer−Aided Molec.Design 9:381−395、1995;Bohm、J.of Computer−Aided Molec.Design 10:265−272、1996)と関連してコンピュータープログラムを用いて設計され得る。このような「合理的な薬物設計」は、(Chorev、TibTech 13:438−445、1995で考察されるような)シクロ異性体、逆反転(retro−inverso)異性体、逆(retro)異性体などを含む、ペプチド異性体および配座異性体の開発を助け得る。
非ステロイド性GRアンタゴニストの例としては、以下が挙げられる:ケトコナゾール、クロトリマゾール;N−(トリフェニルメチル)イミダゾール;N−([2−フルオロ−9−フェニル]フルオレニル)イミダゾール;N−([2−ピリジル]ジフェニルメチル)イミダゾール;N−(2−[4,4’,4’’−トリクロロトリチル]オキシエチル)モルホリン;二マレイン酸1−(2[4,4’,4’’−トリクロロトリチル]オキシエチル)−4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン;N−([4,4’,4’’]−トリクロロトリチルイミダゾール;9−(3−メルカプト−1,2,4−トリアゾリル)−9−フェニル−2,7−ジフルオロフルオレノン;1−(2−クロロトリチル)−3,5−ジメチルピラゾール;4−(モルホリノメチル)−A−(2−ピリジル)ベンズヒドロール;5−(5−メトキシ−2−(N−メチルカルバモイル)−フェニル)ジベンゾスベロール;N−(2−クロロトリチル)−L−プロリノールアセテート;1−(2−クロロトリチル)−2−メチルイミダゾール;1−(2−クロロトリチル)−1,2,4−トリアゾール;1,S−ビス(4,4’,4’’−トリクロロトリチル)−1,2,4−トリアゾール−3−チオールおよびN−((2,6−ジクロロ−3−メチルフェニル)ジフェニル)メチルイミダゾール(米国特許第6,051,573号を参照のこと);米国特許第5,696,127号および米国特許第6,570,020号に開示されるGRアンタゴニスト化合物;米国特許出願20020077356に開示されるGRアンタゴニスト化合物、Bradleyら、J.Med.Chem.45、2417−2424(2002)に開示される糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト(例えば、高親和性である非ステロイド性化合物を記載するPCT国際出願第WO 96/19458号に開示される化合物である4α(S)−ベンジル−2(R)−クロロエチニル−1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)−オクタヒドロ−フェナントレン−2,7−ジオール(「CP394531」)および4α(S)−ベンジル−2(R)−プロプ−1−イニル−1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)−オクタヒドロ−フェナントレン−2,7−ジオール(「CP409069」))、ステロイドレセプターに対して高度に選択的なアンタゴニスト(例えば、6−置換−1,2−ジヒドロ−N−保護−キノリン);いくつかのκオピオイドリガンド(例えば、κオピオイド化合物ダイノルフィン−1,13−ジアミド、U50,488(トランス−(1R,2R)−3,4−ジクロロ−N−メチル−N−[2−(1−ピロリジニル)シクロヘキシル]ベンゼンアセトアミド)、ブレマゾシン、および、エチルケトシクラゾシン);ならびに、Evansら、Endocrin.、141:2294−2300(2000)に開示されるような、非特異的オピオイドレセプターリガンド、ナロキソン。
(C.特異的糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストの同定)
任意の特異的GRアンタゴニストは、被験体における片頭痛を処置するために使用され得るので、上記の化合物および組成物に加えて、さらなる有用なGRアンタゴニストが、当業者によって決定され得る。種々のこのような慣用の周知の方法は、使用され得、そして、科学文献および特許文献に記載される。これらの方法は、さらなるGRアンタゴニストの同定のためのインビトロアッセイおよびインビボアッセイを含む。いくつかの例示的な例が、以下に記載される。
本発明のGRアンタゴニストを同定するために使用され得る1つのアッセイは、チロシンアミノトランスフェラーゼ活性に対する推定GRアンタゴニストの効果を測定し、このアッセイは、Granner、Meth.Enzymol.15:633、1970の方法に従う。この分析は、ラットヘパトーム細胞(RHC)の培養物中の肝酵素チロシンアミノトランスフェラーゼ(TAT)の活性の測定に基づく。TATは、チロシンの代謝における第一の工程を触媒し、そして、肝細胞およびヘパトーム細胞の両方において糖質コルチコイド(コルチソル)により誘導される。この活性は、細胞抽出物の中で容易に測定される。TATは、チロシンのアミノ基を2−オキソグルタル酸へ変換させる。P−ヒドロキシフェニルピルベートもまた、形成される。このP−ヒドロキシフェニルピルベートは、アルカリ性溶液中でより安定なp−ヒドロキシベンズアルデヒドへ変換され得、そして、331nmでの吸光度によって定量される。推定GRアンタゴニストは、インビボまたはエキソビボで、肝臓全体、またはヘパトーム細胞もしくは細胞抽出物へ、コルチソルと共に共投与される。コントロール(すなわち、コルチソルのみ、またはGRアゴニストが添加されているもの)と比較して、この投与が、誘導されるTAT活性の量を減少させるとき、化合物は、GRアンタゴニストとして同定される(Shirwany、Biochem.Biophys.Acta 886:162−168、1986もまた、参照のこと)。
TATアッセイに加えて、本発明の方法で利用される組成物を同定するために使用され得る多くのアッセイのさらなる例示は、インビボの糖質コルチコイド活性に基づくアッセイである。例えば、糖質コルチコイドにより刺激される細胞中のDNAの中への3H−チミジンの取り込みを阻害する、推定GRアンタゴニストの能力を評価するアッセイが、使用され得る。あるいは、推定GRアンタゴニストは、ヘパトーム組織培養GRへの結合に対して、3H−デキサメタゾンと競合し得る(例えば、Choiら、Steroids 57:313−318、1992を参照のこと)。別の例として、3H−デキサメタゾン−GR複合体の核結合をブロックするという推定GRアンタゴニストの能力が、使用され得る(Alexandrovaら、J.Steroid Biochem.Mol.Biol.41:723−725、1992)。推定GRアンタゴニストのさらなる同定のために、レセプター結合反応速度によって糖質コルチコイドアゴニストと糖質コルチコイドアンタゴニストとの間を識別し得る反応速度アッセイもまた、(Jones、Biochem J.204:721−729、1982に記載されるように)使用され得る。
別の例示的な例において、Daune、Molec.Pharm.13:948−955、1997によって;および米国特許第4,386,085号に記載されるアッセイが、抗糖質コルチコイド活性を同定するために使用され得る。簡単にいうと、副腎摘出されたラットの胸腺細胞が、デキサメタゾンを含有する栄養培地中で、変動する濃度のテスト化合物(推定GRアンタゴニスト)と共にインキュベートされる。3H−ウリジンが、細胞培養物へ添加され、これは、さらにインキュベートされ、そして、ポリヌクレオチドの中への放射性標識の取り込みの程度が、測定される。糖質コルチコイドアゴニストは、取り込まれる3H−ウリジンの量を減少させる。従って、GRアンタゴニストは、この効果を妨害する。
本発明の方法で利用され得るさらなる化合物、およびこのような化合物を同定し、作製する方法については、以下を参照のこと:米国特許第4,296,206(上記を参照のこと);米国特許第4,386,085号(上記を参照のこと);米国特許第4,447,424号;米国特許第4,477,445号;米国特許第4,519,946号;米国特許第4,540,686号;米国特許第4,547,493号;米国特許第4,634,695号;米国特許第4,634,696号;米国特許第4,753,932号;米国特許第4,774,236号;米国特許第4,808,710号;米国特許第4,814,327号;米国特許第4,829,060号;米国特許第4,861,763号;米国特許第4,912,097号;米国特許第4,921,638号;米国特許第4,943,566号;米国特許第4,954,490号;米国特許第4,978,657号;米国特許第5,006,518号;米国特許第5,043,332号;米国特許第5,064,822号;米国特許第5,073,548号;米国特許第5,089,488号;米国特許第5,089,635号;米国特許第5,093,507号;米国特許第5,095,010号;米国特許第5,095,129号;米国特許第5,132,299号;米国特許第5,166,146号;米国特許第5,166,199号;米国特許第5,173,405号;米国特許第5,276,023号;米国特許第5,380,839号;米国特許第5,348,729号;米国特許第5,426,102号;米国特許第5,439,913号;および米国特許第5,616,458;ならびに、WO 96/19458。このWO 96/19458は、ステロイドレセプターに対して高親和性で高度に選択的なモジュレーター(アンタゴニスト)である非ステロイド性化合物(例えば、6−置換−1,2−ジヒドロN−1保護キノリン)を記載する。
MRと比較したGRに対するアンタゴニストの特異性は、当業者に公知の種々のアッセイを用いて測定され得る。例えば、特異的アンタゴニストは、MRと比較してGRへ結合するアンタゴニストの能力を測定することによって同定され得る(例えば、米国特許第5,606,021号;米国特許第5,696,127号;米国特許第5,215,916号;米国特許第5,071,773号を参照のこと)。このような分析は、直接結合アッセイを用いるか、または、既知のアンタゴニストの存在下での精製GRまたは精製MRへの競合的結合を評価することによって、行われ得る。例示的なアッセイにおいて、高レベルで糖質コルチコイドレセプターまたは鉱質コルチコイドレセプターを安定に発現する細胞(例えば、米国特許第5,606,021号を参照のこと)が、精製レセプターの供給源として使用される。次いで、レセプターに対するアンタゴニストの親和性が、直接的に測定される。次いで、MRと比較してGRに対して少なくとも100倍高い親和性(しばしば少なくとも1000倍高い親和性)を示すアンタゴニストが、本発明の方法における使用について選択される。
GR特異的アンタゴニストもまた、MR媒介活性ではなく、GR媒介活性を阻害する能力を有する化合物として定義され得る。このようなGR特異的アンタゴニストを同定する1つの方法は、トランスフェクションアッセイを用いて、レポーター構築物の活性化を防ぐというアンタゴニストの能力を評価することである(例えば、Bocquelら、J.Steroid Biochem Molec.Biol.45:205−215、1993;米国特許第5,606,021号、米国特許第5,929,058号を参照のこと)。例示的なトランスフェクションアッセイにおいて、レセプターをコードする発現プラスミド、および、レセプター特異的調節エレメントに結合されたレポーター遺伝子を含むレポータープラスミドは、適切なレセプター陰性の宿主細胞の中へ共トランスフェクトされる。このトランスフェクトされた宿主細胞は、次いで、ホルモン(例えば、コルチソルまたはこれらのアナログ)の存在下または非存在下で培養され、レポータープラスミドのホルモン応答性プロモーター/エンハンサーエレメントを活性化し得る。次に、トランスフェクトされて、培養されたこの宿主細胞は、レポーター遺伝子配列の産物の誘導(すなわち、存在)についてモニタリングされる。最後に、(発現プラスミドにおけるレセプターDNA配列によってコードされ、そして、トランスフェクトされて培養された宿主細胞の中で産生された)ホルモンレセプタータンパク質の発現および/またはステロイド結合能力が、アンタゴニストの存在下および非存在下でのレポーター遺伝子の活性を決定することによって、測定される。化合物のアンタゴニスト活性は、GRレセプターおよびMRレセプターの既知のアンタゴニスト(例えば、米国特許第5,696,127号を参照のこと)と比較して決定され得る。次いで、効力は、参照アンタゴニスト化合物と比較して、各化合物について観察される最大応答のパーセントとして報告される。GR特異的アンタゴニストは、MRと比較して、GRに対して、少なくとも100倍、しばしば1000倍、またはそれより高い活性を示すと考えられる。
(V 糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストを用いる被験体における片頭痛の処置)
ミフェプリストンのような抗糖質コルチコイドは、医薬品として処方され、本発明の方法で使用されて、被験体における片頭痛を処置する。GRへのコルチソルまたはコルチソルアナログの結合に関連する生物学的応答をブロックし得る、任意の組成物または化合物は、本発明において医薬品として使用され得る。本発明の方法を実施するためのGRアンタゴニスト薬物レジメンおよび処方を決定する慣用の手段は、特許文献および科学文献に十分に記載され、そして、いくつかの例示的な例が、以下に示される。
(A.薬学的組成物としての糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト)
本発明の方法で使用されるGRアンタゴニストは、当該分野で公知の任意の手段(例えば、非経口的、局所的、経口的)により、または、局在的投与(例えば、エアロゾルによるか、もしくは経皮的)により、投与され得る。本発明の方法は、予防的なおよび/または治療的な処置を提供する。薬学的処方物としてのGRアンタゴニストは、片頭痛が、発作の間にかまたは予防的に処置されているか、各患者の全身の病態、その結果の好ましい投与方法などに依存して、種々の単位投与形態で投与され得る。処方および投与についての技術に関する詳細は、科学文献および特許文献に十分に記載されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Maack Publishing Co,Easton PA(「Remington’s」)の最新版を参照のこと。本発明の方法の実施に適切な糖質コルチコイドブロッカーの治療的に効果的な量は、代表的には、1キログラム当たり約0.5ミリグラム〜約35ミリグラム(mg/kg)の範囲にある。当業者は、過度の実験をせずに、この技術およびこの開示を考慮して、本発明の実施に対する特定の糖質コルチコイドブロッカー化合物の治療的に効果的な量を決定し得る。例えば、特定の糖質コルチコイドブロッカーは、より高い用量またはより低い用量でより効果的であり得る。本明細書中で記載される方法を用いて患者を評価することによって、当業者は、患者が処置に反応しているかどうか判断し得、そしてそれに応じて、投与量のレベルを調節する方法がわかる。
概して、糖質コルチコイドブロッカー化合物は、治療的薬物を投与することについての当該分野で公知の任意の方法によって、薬学的組成物として投与され得る。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固体、散剤、徐放性処方物、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル剤、または任意の他の適切な組成物の形態をとり得;そして、少なくとも1つの薬学的に受容可能な賦形剤と組み合わせて、本発明の少なくとも1つの化合物を含む。適切な賦形剤は、当業者に周知であり、そして、これらの賦形剤、および組成物を処方する方法は、Alfonso AR:Remington’s Pharmaceutical Science、第17版、Mack Publishing Company、Easton PA、1985のような標準参考文献に見出され得る。適切な液体キャリア(特に、注射用溶液)としては、水、生理食塩水、デキストロース水溶液、およびグリコールが挙げられる。
本発明の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合されたGRアンタゴニストを含む。このような賦形剤としては、懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム)、ならびに分散剤または湿潤剤(例えば、天然に存在するホスファチド)(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、または、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。この水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤(例えば、エチルp−ヒドロキシゼンゾエートまたはn−プロピルp−ヒドロキシベンゾエート)、1つ以上の着色剤、1つ以上の矯味矯臭剤、および1つ以上の甘味剤(例えば、ショ糖、アスパルテーム、またはサッカリン)を含み得る。処方物は、容量オスモル濃度が調節され得る。
油性懸濁液は、植物性油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、またはココナッツ油)中に、または、鉱油(例えば、流動パラフィン)中に、またはこれらの混合物中にGRアンタゴニストを懸濁することによって、処方され得る。このオイル懸濁液は、増粘剤(例えば、蜜蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコール)を含み得る。甘味剤(例えば、グリセロール、ソルビトール、またはショ糖)は、口当たりが良い経口調製物を提供するために添加され得る。これらの処方物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存され得る。注射用油性ビヒクルの例については、Minto、J.Pharmacol.Exp.Ther.281:93−102、1997を参照のこと。本発明の薬学的処方物はまた、水中油型乳濁液の形態であり得る。この油相は、上記の植物油もしくは鉱油、またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤としては、天然に存在するゴム(例えば、アラビアゴム、およびトラガカンタゴム)、天然に存在するホスファチド(例えば、大豆レシチン)、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレイエート)、および、これらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。シロップ剤およびエリキシル剤の処方においてのように、この乳濁液はまた、甘味剤および芳香剤を含み得る。このような処方物もまた、粘滑剤、保存剤、または着色剤を含み得る。
糖質コルチコイドブロッカー薬学的処方物は、医薬品の製造について当該分野で公知の任意の方法に従って、調製され得る。このような薬物は、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤、および保存剤を含み得る。任意の糖質コルチコイドブロッカー処方物は、製造に適切である、無毒性の薬学的に受容可能な賦形剤と混合され得る。
1つの局面において、本発明の実施における使用に適切な糖質コルチコイドブロッカー化合物は、経口的に投与され得る。組成物中の本発明の化合物の量は、組成物の型、単位投与量のサイズ、賦形剤の種類、および、当業者に周知の他の因子に依存して、広範に変化し得る。概して、この最終組成物は、0.000001重量パーセント(%w)〜10%wの、好ましくは0.00001%w〜1%wの、糖質コルチコイドブロッカー化合物を含み得、そして残りは、賦形剤であり得る。例えば、GRアンタゴニストであるミフェプリストンは、錠剤の形態で経口的に、約0.5mg/kgと35mg/kgとの間の範囲での投与量で、与えられ、他の実施形態において、投与量は、約0.75mg/kgと15mg/kgとの間の範囲に及び得るか、または、約10mg/kgであり得る。
経口的投与のための薬学的処方物は、当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアを用いて、経口的投与について適切な投与量で、処方され得る。このようなキャリアは、薬学的処方物が、患者が摂取するのに適切な単位投与量の形態(例えば、錠剤、丸剤、散剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ロゼンジ剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤など)で処方されることを可能にする。経口的な使用のための薬学的調製物は、糖質コルチコイドブロッカー化合物と固体賦形剤とを組み合わせて、必要に応じて、(所望の場合は適切なさらなる化合物を加えた後に)その結果得られる混合物をすりつぶし、そして、この混合物を顆粒に加工することによって、錠剤または糖衣錠の核を得ることにより得られ得る。適切な固体賦形剤は、炭水化物充填剤またはタンパク質充填剤であり、この固体賦形剤としては、(乳糖、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールを含む)糖類、(トウモロコシ、小麦、イネ、ジャガイモ、または他の植物由来の)デンプン、セルロース(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム)、ならびに(アラビアゴムおよびトラガカントゴムを含む)ゴム、および、タンパク質(例えば、ゼラチンおよびコラーゲン)が挙げられるが、これらに限定されない。所望の場合、崩壊剤または可溶化剤が加えられ得る。これらの薬剤は、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、または、アルギン酸ナトリウムのようなそれらの塩である。
別の局面において、本発明のGRアンタゴニストはまた、薬物の直腸投与のために、坐剤の形態で投与され得る。これらの処方物は、薬物と、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って、直腸で融解し、薬物を放出する、適切な非刺激性の賦形剤とを混合することによって調製され得る。このような物質は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである。
別の局面において、本発明のGRアンタゴニストは、鼻腔内、眼内、膣内、および直腸内の経路を経由して投与され得る。これらの経路としては、坐剤、ガス注入、散剤、およびエアロゾルの処方物が挙げられる(ステロイド吸入剤の例については、Rohatagi,J.Clin.Pharmacol.35:1187−1193,1995;Tjwa,Ann.Allergy Asthma Immunol.75:107−111,1995を参照のこと)。
別の局面において、本発明のGRアンタゴニストはまた、局所的経路を経由して、経皮的に送達され得、アプリケータースティック、液剤、懸濁剤、乳濁剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、ペースト剤、ゼリー剤、塗布剤、散剤、およびエアロゾル剤として処方され得る。
さらに別の局面において、本発明のGRアンタゴニストはまた、身体の中での徐放のために、ミクロスフェアとして送達され得る。例えば、ミクロスフェアは、皮下にゆっくりと放出される、薬物(例えば、ミフェプリストン)含有ミクロスフェアの皮内注射を介して(Rao,J.Biomater Sci.Polym.Ed.7:623−645,1995を参照のこと);生分解性かつ注射可能なゲル処方物として(例えば、Gao、Pharm.Res.12:857−863,1995を参照のこと);または、経口的投与のためのミクロスフェアとして(例えば、Eyles,J.Pharm.Pharmacol.49:669−674,1997を参照のこと)投与され得る。経皮的経路および皮内経路の両方は、数週間または数ヶ月間にわたって一定の送達を提供する。
本発明のGRアンタゴニスト薬学的処方物は、塩として提供され得、そして、多くの酸を用いて形成され得る。これらの酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などが挙げられるがこれらに限定されない。塩は、水性溶媒または対応する遊離の塩基形態である他のプロトン性溶媒中で、より可溶である傾向がある。他の場合において、好ましい調製物は、4.5〜5.5のpH範囲の、1mM〜50mMのヒスチジン、0.1%〜2%のショ糖、2%〜7%のマンニトールを含む凍結乾燥された粉末であり得、これは、使用の前に緩衝液と組み合わせられる。
1つの実施形態において、本発明のGRアンタゴニスト処方物は、静脈内(IV)の投与のような、非経口的投与にとって有用である。投与のための処方物は、一般的には、薬学的に受容可能なキャリア中に溶解されたGRアンタゴニスト(例えば、ミフェプリストン)の溶液を含む。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒は、とりわけ、水およびリンガー溶液(等張性塩化ナトリウム溶液)である。さらに、無菌の不揮発性油は、従来通り、溶媒または懸濁媒体として使用され得る。この目的のために、合成的なモノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油が、使用され得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、同様に、注射可能物の調製において使用され得る。これらの溶液は、無菌であり、かつ、所望しない物質を一般的には含まない。これらの処方物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌され得る。この処方物は、生理学的条件に近づけるために必要な場合、薬学的に受容可能な補助的な基質を含み得る。この薬学的に受容可能な補助的な基質とは、例えば、pH調節剤および緩衝剤、毒性調節剤(例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウムなど)である。これらの処方物におけるGRアンタゴニストの濃度は、広範に変化し得、そして、液体体積、粘度、体重などに基づいて、選択される特定の投与様式および患者のニーズに従って、主に選択される。IV投与については、処方物は、無菌性注射用水性懸濁液または無菌注射用油性懸濁液のような無菌性注射用調製物であり得る。この懸濁液は、公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて、処方され得る。この無菌性注射用調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈液または溶媒(例えば、1,3−ブタンジオール溶液)における無菌性注射用溶液または無菌性注射用懸濁液であり得る。
別の実施形態において、本発明のGRアンタゴニスト処方物は、リポソームの使用によって送達され得、このリポソームは、細胞膜と融合するか、またはエンドサイトーシスされる(すなわち、リポソームに付着したリガンド、または、オリゴヌクレオチドに直接付着したリガンドを使用することによって、細胞の表面膜タンパク質レセプターに結合し、エンドサイトーシスがもたらされる)。リポソームを使用することによって(特に、このリポソーム表面が、標的細胞に特異的なリガンドまたは、別の点で優先的に特定の器官へ指向されるリンガンドを保有する場合)、インビボでのGRアンタゴニストの標的細胞への送達に焦点が合わされ得る(例えば、Al−Muhammed,J.Microencapsul.13:293−306,1996;Chonn,Curr.Opin.Biotechnol.6:698−708,1995;Ostro,Am.J.Hosp.Pharm.46:1576−1587,1989を参照のこと)。
(B.糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストについての投与レジメンの決定)
本発明の方法は、被験体における片頭痛を処置する。この方法を達成することに適切なGRアンタゴニストの量は、「治療的に効果的な用量」と定義される。この使用について効果的な投与スケジュールおよび投与量(すなわち、「投与レジメン」)は、種々の因子に依存し、この因子としては、片頭痛の重篤度、処置が片頭痛の発作過程の間に施されるかまたは予防的に施されるか、患者の身体状態、年齢、片頭痛歴などが挙げられる。患者について投与レジメンを計算することにおいて、投与様式もまた、考慮に入れられる。
投与レジメンはまた、当該分野で周知の薬物動態学パラメーター(すなわち、GRアンタゴニストの吸収率、バイオアベイラビリティ、代謝、クリアランスなど)を考慮する(例えば、Hidalgo−Aragones,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.58:611−617,1996;Groning,Pharmazie 51:337−341,1996;Fotherby,Contraception 54:59−69,1996;Johnson,J.Pharm.Sci.84:1144−1146,1995;Rohatagi,Pharmazie 50:610−613,1995;Brophy,Eur.J.Clin.Pharmacol.24:103−108,1983;最新のRemington’s,前出を参照のこと)。例えば、1つの研究において、ミフェプリストンの一日用量の0.5%未満は、尿に排出された;この薬物は、循環するアルブミンに広範に結合した(Kawai,前出,1989を参照のこと)。技術水準は、臨床医が、各個々の患者、GRアンタゴニスト、および処置される疾患または状態について、投与レジメンを決定することを可能にする。例示的な例として、ミフェプリストンについての以下に提供される指針は、投与レジメン(すなわち、本発明の方法を実施するときに投与される、任意のGRアンタゴニストの投与スケジュールおよび投与量レベル)を決定するための指針として使用され得る。
GRアンタゴニスト処方物の単一投与物または複数投与物は、患者が必要とし、耐えられるような投与量および投与頻度に依存して、投与され得る。この処方物は、被験体における片頭痛を効果的に処置するために十分な量の活性薬剤(すなわち、ミフェプリストン)を提供すべきである。従って、ミフェプリストンの経口的投与についての1つの代表的な薬学的処方物は、1日につき、体重1kgあたり約0.5mg〜約35mgの間の一日量である。代替的な実施形態において、1日につき、1人の患者当たり、体重1kgあたり約5mg〜約15mgである投与量が、本発明の実施において使用される。より低い投与量が、特に、薬物が、解剖学的に隔離された部位(例えば、脳脊髄液(CSF)腔)へ投与されるときに、経口的投与と対照的に、血流の中へ、体腔の中へ、または臓器の管腔の中へ、使用され得る。実質的により高い投与量が、局所的投与で使用され得る。非経口的に投与可能なGRアンタゴニスト処方物を調製するための実際の方法は、当業者に公知であるか、明らかであり、そして、Remington’s,前出のような刊行物に、より詳細に記載される。また、Nieman,「Receptor Mediated Antisteroid Action」,Agarwalら編,De Gruyter,New York,1987を参照のこと。
本発明のGRアンタゴニストを含む医薬品が、受容可能なキャリアの中に処方された後に、この医薬品は、適切な容器中に配置されて、示された状態の処置についてラベルが付けられ得る。GRアンタゴニストの投与について、このようなラベルは、例えば、投与量、投与頻度および投与方法についての指示を含む。1つの実施形態において、本発明は、被験体における片頭痛を処置するためのキットを提供し、このキットは、GRアンタゴニスト、ならびに適応症、GRアンタゴニストの投与量および投与スケジュールを指示する、指示書を備える。
本明細書中で記載される実施例および実施形態は、例示的な目的のためにすぎず、これらの実施例および実施形態に照らして、種々の修飾または変更が当業者に対して示唆され、そして、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲のうちに含まれることが理解される。
本明細書中に列挙される全ての刊行物および特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物または特許出願が具体的かつ独立して、参考として援用されると示されたかのように、本明細書中で参考として援用される。
以下の実施例は、本願発明を例示するために提示されるが、本願発明を限定するために提示されるわけではない。
(実施例1:ミフェプリストンを用いる予防的な片頭痛の処置)
ある人が、以下を含む片頭痛の症状を示す:4時間〜72時間持続し、未だにうまく処置されていない、10回の片頭痛による頭痛発作であって、この頭痛は、拍動性の特性を有し、そして、階段を歩くことによって悪化される。頭痛の間、この被験体は、吐き気および嘔吐を経験し、完全には耐えることができず、対処し得ない。この片頭痛は、代表的には、1月あたり2回以上起こるが、関連する器質性疾患の証拠はない。
この被験体は、前兆を伴わない片頭痛の診断を受ける。この診断を、以下に示される診断基準に従って行う:The International Classification of Headache Disorders,第2版,Headache Classification Committee of the International Headache Society,前出。
糖質コルチコイドレセプター(GR)アンタゴニストであるミフェプリストン(Shanghai HuaLian Pharmaceuticals Co.,Ltd.,Shanghai,Chinaのような商業的供給源から入手可能)を用いた処置を、開始する。片頭痛は、頻繁に起こり、48時間より長く持続し、そして被験体が、発作を耐え難いものだと感じるので、予防的な処置を開始する。
被験体に、ミフェプリストンを毎日、一日当たり600mgの投与量を摂取し、この毎日の投与を6ヶ月間続けることを指示する。投与量を、必要な場合には調節し、さらなる評価を、処置の間中、定期的に行う。
(疼痛の低減の評価)
被験体の片頭痛を処置することにおいて、ミフェプリストンの有効性を描写し、評価するために、片頭痛発作の頻度、片頭痛の重篤度および片頭痛の付随する症状を、ベースラインにおいて、3ヶ月目に、そして6ヶ月目に、記録および測定する。
(実施例2:コルチソルレベルの測定)
実施例1の被験体におけるコルチソルレベルを測定するために、午後のコルチソルテスト測定値を得て、ベースラインのコルチソルの尺度として使用する。コルチソルレベルは、0日目、薬物療法を受けた2週間後(14日目)に測定され、そして、各患者は、6ヶ月間まで通院し、その後も定期的に通院する。
「Double Antibody Cortisol Kit」(Diagnostic Products Corporation,Los Angeles、CA)を使用し、血液コルチソルレベルを測定する。このテストは、競合的な放射性免疫アッセイであり、このアッセイにおいて、125I−標識コルチソルは、臨床サンプルからのコルチソルと抗体部位に対して競合し、そしてこのテストは、製造者の指示書に従って、製造者から供給される試薬を用いて、本質的には行われる。簡単にいうと、血液を、静脈穿刺により収集し、そして血清を細胞から分離する。このサンプルを、2〜8℃で、7日間まで保存するか、または、2ヶ月まで−20℃で凍結させて保存する。アッセイの前に、サンプルを、優しく旋回するか反転させて、室温(15〜28℃)まで戻す。1つのチューブあたり25マイクロリットルの血清を入れたチューブを16本、2通り調製する。コルチソル濃度を、調製した較正チューブから計算する。正味数は、(平均のCPM)−(平均の非特異的CPM)に等しい。未知物質についてのコルチソル濃度は、較正曲線からの補間法により、概算される(Dudleyら,Clin.Chem.31:1264−1271,1985)。
(実施例3:ミフェプリストンを用いる片頭痛の急性的な処置)
ある人は、以下を含む片頭痛の症状を示す:4時間〜72時間持続するが、未だにうまく処置されていない、10回の片頭痛による疼痛発作であって、この頭痛は、拍動性の特性を有し、そして、階段を歩くことによって悪化される。頭痛の間、この被験体は、吐き気および嘔吐を経験するが、どうにかして対処する。この片頭痛は、代表的には、1年あたり2回または3回起こり、関連する器質性疾患の証拠はない。
この被験体は、前兆を伴わない片頭痛の診断を受ける。この診断は、以下に示される診断基準に従って行われる:The International Classification of Headache Disorders,第2版,Headache Classification Committee of the International Headache Society,前出。
糖質コルチコイドレセプター(GR)アンタゴニストであるミフェプリストンでの処置を、開始する。片頭痛がまれに起こり、この被験体は発作に対処し得るので、急性の処置を開始する。
被験体に、片頭痛の最初の兆候または症状において600mgの投与量を摂取することを指示する。この被験体に、任意の片頭痛の発作の性質および重篤度に対して注意を払うことをさらに指示する。この被験体は、2年間の期間中に6ヶ月の間隔でミフェプリストンの処置の評価について報告する。投与量は、必要な場合、処置の全期間にわたって調節される。
本明細書中で記載される実施例および実施形態は、例示的な目的のためにすぎなく、これらの実施例および実施形態に照らして、種々の修飾または変更が当業者に対して示唆され、そして、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲のうちに含まれることが理解される。

Claims (21)

  1. 片頭痛を処置する必要のある被験体における片頭痛を処置する方法であって、該方法は、該被験体における片頭痛を処置するために効果的な量の糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストを該被験体に対して投与する工程を包含し、
    (i)ただし、該被験体は、糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストでの処置を他の点では必要としておらず、そして
    (ii)ただし、該被験体はまた、トリプタン、または任意の他の薬学的に処方される実体であって、シトクロムP450−3A4アイソザイムによって優先的に代謝される実体のいずれによっても処置されていない
    方法。
  2. 前記被験体が、ヒトである、請求項1に記載の方法。
  3. 片頭痛についての前記処置が、予防的に施される、請求項1に記載の方法。
  4. 片頭痛についての前記処置が、毎日施される、請求項3に記載の方法。
  5. 片頭痛についての前記処置が、片頭痛発作の過程の間に施される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、ステロイド性骨格を含み、該ステロイド性骨格の11−β位に少なくとも1つのフェニル含有部分を有する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ステロイド性骨格の前記11−β位の前記フェニル含有部分が、ジメチルアミノフェニル部分である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、ミフェプリストンである、請求項7に記載の方法。
  9. 請求項7に記載の方法であって、前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、11β−(4−ジメチルアミノエトキシフェニル)−17α−プロピニル−17β−ヒドロキシ−4,9−エストラジエン−3−オンおよび17β−ヒドロキシ−17α−19−(4−メチルフェニル)アンドロスタ−4,9(11)−ジエン−3−オンからなる群より選択される、方法。
  10. 請求項1に記載の方法であって、前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、4α(S)−ベンジル−2(R)−プロプ−1−イニル−1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)−オクタヒドロ−フェナントレン−2,7−ジオールおよび4α(S)−ベンジル−2(R)−クロロエチニル−1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)−オクタヒドロ−フェナントレン−2,7−ジオールからなる群より選択される、方法。
  11. 前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、(11β,17β)−11−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−17−ヒドロキシ−17−(1−プロピニル)エストラ−4,9−ジエン−3−オンである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、1日につき体重1キログラムあたり約0.5mg〜約35mgの間の1日量で投与される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、1日につき体重1キログラムあたり約5mg〜約15mgの間の1日量で投与される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記投与が、1日につき1回である、請求項1に記載の方法。
  15. 前記投与の様式が、経皮的適用によるか、噴霧される懸濁液によるか、またはエアロゾルスプレーによる、請求項1に記載の方法。
  16. 前記投与の様式が、経口的である、請求項1に記載の方法。
  17. 被験体における片頭痛を処置するためのキットであって、該キットは、以下:
    (i)特異的糖質コルチコイドレセプターアンタゴニスト;および
    (ii)該片頭痛を罹患する患者に対する適応症、該片頭痛を罹患する患者に対する該糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストの投与量および投与スケジュールを指示する指示書、
    を備える、キット。
  18. 請求項17に記載のキットであって、前記指示書が、前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、1日につき体重1キログラムあたり約0.5mg〜約35mgの1日量で投与され得ると示す、キット。
  19. 請求項17に記載のキットであって、前記指示書が、前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストは、1日につき体重1キログラムあたり約5mg〜約15mgの1日量で投与され得ると示す、キット。
  20. 前記糖質コルチコイドレセプターアンタゴニストが、ミフェプリストンである、請求項17に記載のキット。
  21. 前記ミフェプリストンが、エアロゾルスプレーによる投与を可能にする形態である、請求項17に記載のキット。
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