JP2006508707A - 中枢神経系損傷の治療法 - Google Patents

中枢神経系損傷の治療法 Download PDF

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Abstract

CNS損傷の治療法が記載され、治療の必要な対象に、CNS損傷によってその調節に影響を及ぼされた該対象の筋肉においてパターン化された運動を誘起するのに十分な治療上有効量の機能的電子刺激(FES)を誘導することを含む。FESによって誘起されるパターン化された運動の誘導は、少なくとも部分的に、失われた運動機能および感覚機能を回復し、対象患者において神経前駆細胞の再生を刺激する。

Description

発明の詳細な説明
関連出願に対する相互参照
本出願は、2002年9月4日に出願された仮出願番号第60/408,214号から優先権を主張し、これは、出典明示により全体として本明細書の一部とされる。
連邦政府によって保証された研究または開発に関する声明
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)、国立神経疾患脳卒中研究所(National Institutes of Neurological Disorders and Stroke)認可NS40520のもと、一部、政府の支持によってなされた。政府は、本発明においてある特定の権利を有しうる。
発明の背景
本発明は、概して、医薬の分野、および中枢神経系(CNS)に対する損傷に起因する神経機能の崩壊を治療する方法、より詳細には、CNS損傷を受けている対象において運動および知覚機能を回復する方法に関する。
哺乳動物のCNSに対する損傷は、破壊的な身体的障害をもたらすことができ、それ自体、生命に関わることのできる多くの付加的な合併症を招くことができる。CNS損傷は、例えば、典型的には交通事故または他の事故における脊髄のある領域の完全または部分的な切断を含む脊髄損傷(SCI)、または卒中誘導性病変に起因することができる。SCIはまた、多発性硬化症または癌性腫瘍のような慢性疾患過程の結果であることもある。急性外傷および多発性硬化症などの慢性疾患過程は、また、知覚または運動機能あるいはその両方の機能の著しい障害をもたらすCNS中のどこかに病変を生じることができる。
運動および知覚機能の障害のほかにも、CNS損傷の付加的な医学的結果がほとんどいつも発生している。例えば、実質的な運動障害に起因する合併症は、筋肉萎縮、骨塩量の喪失、褥瘡性潰瘍、尿路感染症、筋肉痙攣、循環障害、および心肺容量の減少を包含する。
アメリカ脊髄損傷協会(American Spinal Injury Association: ASIA)は、脊髄損傷(SCI)の重篤度を試験し、報告するための国際的基準を開発した。表1は、脊髄機能のASIAの5つのグレード、A〜Eを示す。Eは正常である。ASIAグレードAは、機能が最も残っていない個体を示す。かかる患者は、回復に対する希望がほとんどない。損傷を受けた1ヶ月後に下肢における筋肉活性がない患者の1%未満が再び歩くことを覚え、たった10%がASIA Bまたはそれ以上に再分類されるのに十分なほど機能を回復する。患者の約90%が依然としてASIAグレードAとして分類される。
Figure 2006508707
SCI患者はしばしば、損傷後、主として最初の6ヶ月で改善または回復が起こり、2年で完全になると言われている。実際、文献は、損傷の2年後に1グレード以上回復したASIAグレードA SCI個体について一例も提供しない。いくらかの遅れた回復も起こるが、典型的にタイムフレームは、大きな改善の場合、損傷後1〜6ヶ月である。かかる回復は、最も一般的には、付随する頭部損傷が最初の進行を妨げるときである。小さな改善は、2年以上の期間の後に起こることができるが、典型的には、不完全な損傷を有する個体において起こる。
ASIAグレードA SCI個体のうち幾人かは、SCI病変を横切る少なくともある程度の機能的結合を有するかもしれない。実際、射撃またはナイフでの攻撃が創傷をもたらさないかぎり、脊髄が脊髄外傷によって完全に切断されることは稀である。1950年代に行われた研究は、SCI病変を横切る白質の限られた保存により、実質的な脊髄機能を維持することができることを示す。ネコ脊髄における正常な軸索量の10%未満の保存は歩行を支持することができるが、これは最適な要件として考察されるべきではない。さらに、ヒトにおける慢性SCIの詳細な解剖学的死後研究は、病変を横切る少量の残存結合がいくらか機能を保存することができることを明らかにする。例えば、ASIAグレードC SCIの1個体は、病変レベルで白質をたった1.17mmしか保持していなかった。頚部損傷レベルより下位にいくらか保存された運動機能を有する別の患者は、たった3175個の皮質脊髄軸索(正常な対象において見られた数(41,472)の8%未満)しか有していなかった。
10年前、成人中枢神経系(CNS)は、再生できないと考えられていた。患者がまだ入院している場合、リハビリテーションは主として損傷直後の段階に集中しており、現存している機能を最大化し、かつ、合併症を最小限にすることを目的としていた。これらの目標は今でも重要であるが、自発的再生の概念が持ち上がってきた。
SCIに対する現行の治療は限られており、かつ、論争上にある。外傷性損傷後8時間以内のメチルプレドニソロンの投与は、支持を受けるための最初の薬物療法の1つであった。技術的設計における制限および最初の多施設研究において見られたメチルプレドニソロンの限界的臨床効果は、該アプローチについての心配を高めた。ナロキソン(Naloxone)およびチリラザド(Tirilazad)を包含する他の薬物療法もまた試験されたが、これらの研究はその主要評価項目を達成しなかった。ごく最近では、ガングリオシド、GM−1が亜急性損傷期間に投与された場合に見込みがあったが、主要評価項目はまた達成されなかった。一般に、大抵のリハビリテーションアプローチが該分野において許容されているが、特定の態様はSCI集団における効力について試験されていない。さらに、入院患者のリハビリテーション持続期間は、過去10年にわたって著しく減少しており、費用効果の高い在宅治療の開発を必要としている。
機能的電気刺激(FES)は、神経損傷または疾患後のある特定の機能を回復するために用いられてきた。例えば、聴力を回復するための移植蝸牛刺激装置、手の開閉、起立した足踏み、呼吸および膀胱内容排出を包含する運動機能の回復のための下位運動ニューロンの刺激、ならびにパーキンソン病の運動症状を治療するための脳深部刺激が挙げられる(Grill および Kirsch, 1999; McDonald and Sadowsky, 2002)。これらの応用の各々は、現存するニューロンおよび筋肉における神経活動を刺激して、損傷または疾患によって調節が損なわれた系に対する調節を回復することによって作用する。しかしながら、FESが疾患進行の逆行または改変に、あるいは組織再生または修復の促進に応用されたことはない。
トレッドミルにおけるような歩行訓練は、歩行の回復を増進するために、運動不全患者(すなわち、ASIAグレードBまたはそれ以上)に応用されてきた。歩行訓練は、このような患者がその歩行速度および姿勢を改善すること、および歩行の間のバランスを再学習し、維持することを助けることができる。これらの改善は、対応する筋力および心血管状態の改善とよく相関し、また、現存するスペアの運動ニューロンの漸増改善を含むと考えられる。歩行療法は、訓練の間に下肢によって支えられる負荷を減らすために、歩行姿勢を正すために、ならびに揺れおよびバランスなどのある特定の歩行態様を援助するために、40%までの部分的体重サポート(BWS)と組み合わされた。約30−40%より大きいBWSは、一般に、患者に対する歩行訓練のあらゆる利益を実質的に制限すると考えられる。
FES療法は、運動不全患者のための歩行またはサイクリング訓練と組み合わせて用いられてきた。Field-Foteは、ASIAグレードCの患者において地上歩行能力を改善するために、部分的BWSおよびトレッドミル訓練とFESの組み合わせ使用を記載している(Edelle C. Field-Fote, Arch. Phys. Med. Rehabil. 82: 818-24, (June 2001))。患者は、自身の体重の少なくとも70%を支えることができ、トレッドミル上で歩行することができた。したがって、治療された患者は、筋骨格および心血管系に対する訓練の効果のため、BWSおよびFESの不在下で、改善された地上歩行速度を示した。運動不全患者において脚力および持久力の回復を促進するために、FESサイクリングが記載された(N. Donaldsonら、Spinal Cord 38: 680-82 (2000))。1対象において、FESサイクリングは、脚筋厚の増加および随意的な脚力をもたらした。しかしながら、かかる療法の利益は、患者の神経筋系の現存するスペアの(すなわち、損傷を受けていない)要素に対する訓練の効果に関連するので、運動不全患者だけがFES療法から、または歩行訓練から、またはその2つの組み合わせから利益を得るのだと思われていた。したがって、かかる訓練の効果は、運動完全麻痺患者における極度の損傷およびスペアの欠如によって妨げられるので、FES療法および歩行療法はかかる患者では試みられてさえいない。
したがって、CNSの損傷のために運動および知覚機能の崩壊を受けている個体において、失われた、または損なわれた知覚および運動機能を部分的または完全に回復するための新規なアプローチに対する大きな要望が依然としてある。
発明の簡単な概要
本発明は、失われた、または損傷を受けたニューロンの活動を必要とするいかなる機能の回復も不可能だと以前は思われていたような広範囲なCNS損傷を有する個体を包含する、CNS損傷個体において運動および知覚機能を回復することに対する新規なアプローチを提供する。該方法は、一部、高頚部(C2)外傷性損傷を有する運動完全麻痺のヒト対象における驚くべき知見に基づいている。該患者は、損傷後5年にわたって、左半身にむらのある感覚だけを示した。患者の下肢におけるパターン化された運動を誘起するのに十分な機能的電気刺激(FES)の適用を包含した物理的療法の計画で治療した場合、該患者は、損傷後6−8年の間に、予想外の後期の部分的な運動機能回復を示した。該方法はまた、一部、脊髄損傷ラットモデルにおける補足的な実験的知見に基づき、それは、ラットにおける神経細胞再生および運動機能に対する該方法の驚くべき効果を示す。
したがって、治療の必要な哺乳動物対象における中枢神経系(CNS)損傷を治療するための方法は、治療上有効量の機能的電気刺激(FES)によって誘起されるパターン化された運動に該哺乳動物対象を曝すことを含む。例示的具体例によると、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動に哺乳動物対象を曝すことは、該対象のCNSにおいて神経細胞を再生するのに十分な期間曝すことを包含する。
別の具体例において、該方法は、CNS損傷を受けている対象において神経細胞を再生するための方法を包含し、対象の末梢神経系神経と連絡している対象の筋肉に機能的電子刺激(FES)を加えることを含み、ここに、該FESは対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分であり、その結果、FESと関連して該パターン化された運動が、対象のCNSにおいて神経細胞の誕生および生存を促進することによって、対象において神経細胞を再生する。
別の具体例において、該方法は、治療の必要な対象においてCNS損傷を修復するための方法を包含し、機能的電子刺激によって誘起されるパターン化された運動を用いて、CNS損傷部位において、またはその周辺において神経細胞を再生することを含む。
別の具体例において、該方法は、CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復する方法をであって、該対象において、CNS損傷のために以前は患者にとって達成できなかった運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、運動完全麻痺対象において運動機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、該対象において、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、知覚完全麻痺対象において知覚機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、該対象において、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、運動および知覚の両方が完全に麻痺している対象において、運動および知覚機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、該対象において、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、治療の必要な運動完全麻痺または知覚完全麻痺対象を同定し、機能的電子刺激によって誘起されるパターン化された運動を用いて、該対象の脊髄において神経細胞を再生し、次いで、該治療過程の間および治療後に、該対象をモニターして神経細胞再生の効果を評価することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、CNS損傷を受けている対象における知覚または運動機能の後期回復方法であって、該対象において、CNS損傷によってその調節に影響を及ぼされた筋肉に、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含み、ここに、CNS損傷が起こった6ヶ月以上後に、FESによって誘起されるパターン化された運動の誘導が開始される方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、対象の末梢神経系神経と連絡している対象の筋肉に機能的電子刺激(FES)を加えることを含む、CNS損傷を受けている対象において神経細胞を再生する方法であって、ここに、該FESは対象の四肢のパターン化された運動を調整している中枢パターン発生器を刺激するのに十分であり、その結果、該中枢パターン発生器の刺激が、対象のCNSにおいて神経細胞の誕生および生存を促進することによって、対象において神経細胞を再生する方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、治療の必要な対象においてCNS損傷を修復する方法であって、中枢パターン発生器のFES刺激を用いて、CNS損傷部位において、またはその周辺において神経細胞を再生することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、対象においてパターン化された運動を誘起するように形成されたFESを用いて、該対象において中枢パターン発生器を刺激することを含む方法を包含する。
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利益は、下記の記載、実施例および添付の請求の範囲を参照して、よく理解できるであろう。
図面の簡単な説明
図1は、SCIを有するヒト対象における内部安定化後の頸椎の開口図(A)および側面図(B)を示しているX線フィルムを示す。
図2は、FES自転車の概略図を示す。
図3は、対象、5年前に外傷性SCIを受けたヒト患者において、C−2レベルでの外傷後嚢胞および重症の脳軟化を示す頚髄の一連のMR画像を示す。
図4は、図3のヒト患者の損傷および合併症のタイムラインを示す図である。
図5は、SCIからヒト患者が著しく回復したことを表すグラフを示す。
図6は、1995〜2002年のヒト患者のASIAグレードを比較する概略図である。
図7(a)は、FESによって誘起されるパターン化された運動の効果を評価するために、脊髄損傷ラットモデルにおいて用いられた方法を説明する図である。
図7(b)は、脊髄損傷ラットモデルのための実験計画のタイムラインである。
図8は、慢性SCI後の成人脊髄における新規な細胞の誕生を示す。
図9(a)は、下位腰部セグメントに対して保有された新細胞誕生におけるFES誘導性選択的増加を示すBrdU標識細胞の定量的カウントの結果を示す。
図9(b)は、図8(a)において示された効果が7日後、細胞生存群において持続したことを示す。
図10(a)−(l)は、最後のBrdU注射の2時間後、腰部のレベルL5にてFES処理動物から、新生細胞をトリポテンシャル(tripotential)前駆細胞、グリア前駆細胞、星状細胞および乏突起膠細胞として同定する抗−BrdU標識および表現型標識細胞の共焦点顕微鏡画像を示す。
図11(a)−(e)は、最後のBrdU注射の2時間後に脊髄損傷を受けた後のBrdUとのNG2(グリア前駆細胞マーカー)共局在化の定量を示す。
図12(a)−(e)は、最後のBrdU注射の2時間後に損傷を受けた脊髄におけるBrdUとのGFAP(星状細胞マーカー)共局在化の定量を示す。
図13(a)−(e)は、最後のBrdU注射の2時間後に損傷を受けた脊髄におけるBrdUとのNestin(トリポテンシャル前駆細胞マーカー)共局在化の定量を示す。
図14は、図1−6のSCI対象において頚部SCIのT1−強調MRIの複数の図を示す。
図15は、視覚運動追跡作業に対する投影されたBOLD応答と共に、アトラス脳の3Dおよび2D平面図を示す。
図16は、振動触覚刺激に対するBOLD応答が投影されたアトラス脳の3Dおよび2D平面図を示す。
図17は、SCIヒト対象および対照対象間の一次体性感覚皮質(SI)における機能的トポグラフィーの比較である。
発明の詳細な記載
定義
本発明の理解を容易にするために、本明細書中で使用される特定の用語を下記に定義する。
本明細書中で使用される場合、「治療上有効」なる語は、FESによって誘起されるパターン化された運動の量の特徴をいい、ここに、該量は、対象における神経細胞の再生と共に、以前に失われた運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分なものである。運動完全麻痺または知覚完全麻痺対象のような対象において、以前に失われた機能の少なくとも部分的な回復が観察される場合、神経細胞の再生が起こると考えられる。損傷を受けていないスペアのニューロンの存在が機能の回復に部分的に寄与しうる他の対象において、神経細胞の再生は、fMRIおよび他の画像化技術を用いて、または当該分野で既知の他の組織評価法を用いて評価することができる。
本明細書中で使用される場合、「再生する」および「再生」なる語は、細胞損傷部位内またはその周辺における、特に脊髄の細胞を包含する中枢神経系の神経上皮由来細胞の誕生および生存の増加をいう。神経再生は、細胞損傷部位中またはその周辺でニューロンのシグナル伝達を少なくとも部分的に回復または増強すると考えられるべきである。
本明細書中で使用される場合、「神経細胞」なる語は、トリポテンシャル前駆細胞、グリア前駆細胞、星状細胞および乏突起膠細胞、またはそのいずれかの組み合わせ、ならびに発達上、神経上皮から誘導されうるいずれか他の細胞を包含する。
本明細書中で交換可能に使用される場合、「中枢神経系損傷」および「CNS損傷」なる語は、脳または脊髄の正常な運動および知覚調節機能が崩壊されるような脳または脊髄の破壊または損傷によって特徴付けられる疾患過程または損傷の結果をいう。CNS損傷は、例えば、脊髄を完全または部分的に切断する脊椎の急性外傷性破壊または損傷の結果、多発性硬化症、ハンチントン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および加齢による神経変性などの慢性疾患の結果、および中枢神経系内で形成する癌性腫瘍の結果を包含するものとして理解されるべきである。CNS損傷を受けている対象は、また、CNS損傷の結果として、運動機能または知覚機能または運動および知覚機能の両方の少なくとも部分的な崩壊を受けているものとも考えられる。
本明細書中において交換可能に使用される場合、「脊髄損傷」または「SCI」なる語は、脊椎に対する急性外傷または疾患過程に起因しうる1以上の部位での脊髄の完全または部分的な破壊によって特徴付けられるCNS損傷の特定の例をいう。
本明細書中において交換可能に使用される場合、「機能的電気刺激」および「FES」なる語は、外部からの電流を筋肉または筋肉群に加え、それにより、通常はCNSによる随意または不随意の調節に付されるであろう身体運動を誘起する電気療法の形態をいう。
本明細書中において交換可能に使用される場合、「中枢パターン発生器」および「脊髄パターン発生器」なる語は、次々と収縮するように筋肉を刺激する調整されたシグナルパターンを生じるように、回路内で相互作用する中枢神経系、特に骨髄における神経細胞の群をいう。一例は、歩行の間の脚筋の交互運動である。中枢パターン発生器内の全ての神経細胞は骨髄に局在しうるが、該回路の活性は通常、脳からのシグナルによって調節されており、その結果、該活性は通常、随意調節下にある。
本明細書中で使用される場合、「パターン化された運動」なる語は、身体部分、典型的には四肢、例えば脚が首尾一貫した反復性または循環性の軌道にしたがう対象の運動活動をいう。1以上の身体部分がパターン化された運動に関与する場合、該身体部分は、運動活動の間、認識可能な首尾一貫した相互関係を維持する。パターン化された運動の例は、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること(fist clinching)、つま先をとがらせること、膝屈曲、股関節屈曲(hip flexing)、着席、起立、およびジャンプを包含する。
本明細書中で使用される場合、「FESによって誘起される」なる語は、運動活動に関与する身体部分の筋肉に対して電気刺激を与えることによって部分的または完全に惹起される対象の運動活動を記載するために使用される。
本明細書中で使用される場合、「相互運動」なる語は、少なくとも2つの肢、例えば、一対の脚が互いに反対の関係で少なくとも2つの交互位置を移動するパターン化された運動の型をいう。相互運動の例は、歩行または自転車漕ぎ運動における2本の脚の活動を包含する。
本明細書中で使用される場合、「神経シグナル」なる語は、神経細胞間で情報を伝達する神経細胞の電気化学的脱分極または過分極、またはその組み合わせをいう。神経シグナルは、細胞のインプットからそのアウトプットへ細胞を通じて情報を伝達する型にはまった一連の細胞膜の脱分極および再分極のからなる活動電位であってもよい。別法では、神経シグナルは、多かれ少なかれ、細胞に発火および活動電位を与えうる細胞膜の局所的な過分極または脱分極であってもよい。
本明細書中で使用される場合、「対象」なる語は、ヒトおよび非ヒト脊椎動物、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ウサギ、マウス、ラットおよびモルモットを包含する哺乳動物をいう。
本発明は、CNS損傷を受けている対象、例えば、運動完全麻痺対象においてパターン化された運動を誘起するのに十分なFESの誘導を含む治療計画が、以前に失われたCNS機能を少なくとも部分的に回復し、CNS損傷部位において、またはその周辺において神経細胞を再生するという驚くべき知見に基づいている。したがって、本発明は、CNS損傷を受けている個体、特に、失われた、または損傷を受けたニューロンの活動を必要とするいずれの機能の回復も以前には不可能であると思われていたような広範囲なCNS損傷を有する個体において、運動および知覚機能を少なくとも部分的に回復することに対する新規なアプローチを提供する。
該方法は、一部、臨床的に運動完全麻痺と評価された高頚部(C2)外傷性損傷を有するヒト対象における驚くべき知見に基づく。該患者は、損傷後5年にわたって、左半身にむらのある感覚だけを示した。患者の下肢においてパターン化された運動を誘起するのに十分な機能的電気刺激(FES)の適用を誘導する物理療法計画で治療したとき、該患者は、損傷後6−8年の間に、運動機能の予想外の後期の部分的な回復を示した。該方法はまた、一部、脊髄損傷ラットモデルにおける補足的な実験的知見に基づき、それは、ヒトでの知見と一致して、ラットにおける神経細胞再生および運動機能に対する該方法の驚くべき効果を示す。
従来の考えは、成体哺乳動物CNSにおける神経は再生せず、再生するように誘導することはできないとされていた。かくして、CNS損傷を受けている患者における失われたCNS機能の回復は、以前には、現存する損傷を受けていない(すなわち、スペアの)神経細胞を単に再訓練することによって回復できる機能に限られていた。「再訓練」なる語により、現存する損傷を受けていない細胞がより有効に使用されるように、現存する損傷を受けていない運動ニューロンの漸増によって、および現存するニューロン間およびニューロンと筋繊維間でのシナプス変化の誘導から機能改善をもたらしうる歩行訓練などの治療計画の適用が意味される。
対照的に、発明者らは、FESによって誘起されるパターン化された身体運動を誘導することにより、以前は修復不可能と考えられていたCNS損傷が修復されるように神経細胞を再生し、以前は永遠に失われると考えられていた機能が少なくとも部分的に回復されるということを見出した。特定の理論に縛られることはないが、FESによって誘起されるパターン化された運動は、中枢パターン発生器における神経活動を刺激することによって、神経再生を刺激すると考えられる。脊髄回路を含む細胞にある生理学的および代謝的要求は、新規な神経細胞の誕生および生存を促進する細胞プロセスを活性化しうる。
したがって、本発明の方法は、哺乳動物対象において、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む、治療の必要な哺乳動物対象においてCNS損傷を治療する方法を包含する。治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動は、一部、トリポテンシャル前駆細胞として知られる神経前駆細胞、ならびにグリア前駆細胞、星状細胞および乏突起膠細胞を包含する神経細胞を再生するのに十分な時間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことを含む。再生は、下記の抗−BrdU細胞標識結果によって明らかにされるように、神経細胞誕生または生存の増加あるいは誕生および生存の両方の増加の結果である。さらに、ヒトでの知見および対応するラットデータによって明らかにされたように、FESによって誘起されるパターン化された運動は、脊髄病変部位またはその周辺などのCNS損傷部位またはその周辺において神経シグナル伝達能力を増強することによって、少なくとも部分的に機能を回復する。結果として得られる少なくとも部分的な機能の回復は、また、新規および以前から存在している神経細胞の両方におけるシナプス変化が、CNS損傷部位またはその周辺において該細胞間の新たなシナプス結合を形成することと一致する。
下記するような例示的具体例において、FESによって誘起されるパターン化された運動は、ヒト対象の脚の自転車漕ぎ運動であり、FESは、少なくとも1つの脚筋または筋群に加えられる。しかしながら、治療のために選択されたパターン化された運動にもよるが、FESの誘導のために選択される筋肉または筋肉群は、例えば、臀筋、傍脊椎筋、腹筋、手首伸筋、手首屈筋、三角筋、二頭筋、三頭筋、膝屈筋、および四頭筋から適宜選択されるであろう。
一般に、該方法は、末梢神経において開始され、脊髄に伝わり、次いで、最初は末梢神経で、次に脊髄で神経無活動が起こる神経活動のサイクル(次いで、該神経活動サイクルが繰り返される)に起因し、四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分なFESの適用を意図する。しかしながら、特に損傷後数年経った運動完全麻痺患者のような重篤な損傷を受けた患者において、運動の実際の顕在化は、神経再生を得るために必要とされない。パターン化された運動を調整する中枢パターン発生器を刺激するのに十分なFESが同様の効果を生じるであろう。かくして、該方法は、また、神経細胞を再生し、少なくとも部分的に機能を回復するために、運動が実際にもたらされるかどうかに関わらず、中枢パターン発生器のパターン化された電気的活性化を意図する。該具体例は、損傷後数ヶ月および数年にわたり、萎縮によってその筋力が重篤な損傷を受けている、実施例1のヒト対象のような重篤な損傷を受けた患者を治療するのに、特に適当である。最初に、中枢パターン発生器のFES誘導性活性化を用いて神経細胞を再生することによって、機能の部分的回復が得られる。その後、機能の改善が可能な場合、実際の運動ももたらす中枢パターン発生器のFES誘導性活性化によって、連続したさらなる改善が得られる。
刺激プロトコールは、一般に、物理療法およびリハビリテーションの分野において知られており、例えば、G.M. Yarkonyら、Arch. Phys. Med. Rehabil. 73: 78-86 (1992)において記載される。しかしながら、例示的具体例において、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動は、少なくとも1日に約1時間、少なくとも週に3回、パターン化された運動を誘起するのに十分なFESを誘導することによって達成される。本発明の意味内の電子刺激の有効なレベルの例は、実施例1および2において記載されるように、3Vにて、20Hzで送達される200μs単相パルスを用いて送達される電子刺激である。FESは、外部に置かれた電極およびコネクターによって、すなわち、皮膚上で、または埋め込まれた電極などの内部に置かれた電極によって誘導されてもよい。
FESの効果は、ASIAグレードの臨床評価によって、およびCNS損傷部位またはその周辺における神経細胞の再生を示すことが当該分野において知られている他の臨床基準および画像化技術の使用によって評価される。臨床上の完全麻痺患者において、例えば、少なくとも1グレードのASIAグレードの改善に相当する機能の部分的回復は、運動または知覚機能に関し、再生が起こったことを示す。臨床上の不全として評価された患者において、FESの効果は、少なくとも1グレードのASIAグレードの改善を包含する臨床基準、最初の損傷からの経過時間、および必要ならば、神経再生を示すfMRIなどの画像化技術の組み合わせを用いて評価された。例えば、以前には、損傷後約6ヶ月間、有意な改善を示さなかったが、記載の方法にしたがってFESに曝した後、少なくとも1グレードのASIAグレードに相当する機能の実質的な改善を示す運動不全として臨床上評価された患者において、FESは神経細胞を再生したと考えられる。以前に失われた運動または知覚機能が、少なくとも1グレードのASIAグレードの改善に相当するレベルまで少なくとも部分的に回復し、ここに、該回復した機能は、以前には、単に現存している損傷を受けていない(すなわち、スペアの)神経細胞を再訓練することによってでは達成できなかった運動不全患者または知覚不全患者において、FESは神経細胞を再生したと考えられる。FES効果の評価は、さらに神経再生を示し、特徴付けるために、fMRIまたは常磁性トレーサーによるものなどの他の画像化技術の使用で補足することができる。
別の具体例において、該方法は、CNS損傷を受けている対象において神経細胞を再生する方法であって、該対象の末梢神経系神経と連絡している該対象の筋肉にFESを加え、該FESが該対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分であることを含み、ここに、末梢神経系神経のFESと関連して該パターン化された運動が、該対象のCNSにおいて神経細胞誕生および生存を促進することによって、該対象において神経細胞を再生することを含む方法を包含する。該方法は、運動完全麻痺、または知覚完全麻痺、またはその両方の対象を治療することを包含する。該方法は、また、現存している損傷を受けていないニューロンの再訓練によって回復されることのできないCNS損傷によって特徴付けられる運動不全または知覚不全またはその両方の対象を治療することを包含する。
神経細胞の再生、および運動機能または知覚機能または運動機能および知覚機能の両方の少なくとも部分的な回復をもたらすことは、神経シグナルの伝達の回復を含む。脊髄病変の場合、例えば、機能の部分的回復は、脊髄損傷部位を横切ることのできる少なくとも部分的に回復した神経シグナルを含む。次いで、該少なくとも部分的に回復した神経シグナルは、例えば、脊髄病変の結果として、または他のCNS損傷の結果として以前に神経麻痺した筋肉の随意的運動調節を包含する随意的調節を開始するために、対象によって使用されることができる。
別の具体例において、該方法は、治療の必要な対象においてCNS損傷を治療する方法であって、機能的電子刺激によって誘起される運動を用いて、CNS損傷部位またはその周辺において神経細胞を再生することを含む方法を意図する。
別法では、該方法は、対象において、CNS損傷のため、患者にとって以前は達成できなかった運動機能または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することによって、CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復することを包含する。「達成できない」なる語によって、単に現存している損傷を受けていない(すなわち、スペアの)神経細胞を再訓練することによってでは回復することのできないCNS機能が意味される。
別の具体例は、治療の必要な運動完全麻痺または知覚完全麻痺対象を同定し、機能的電子刺激によって誘起されるパターン化された運動を用いて、該対象の脊髄において神経細胞を再生し、次いで、該治療過程の間および後に、該対象をモニターして神経細胞再生の効果を評価することを含む、脊髄損傷の治療法を意図する。
さらに工夫することなく、上記の記載を用いて、当業者は本願発明をその完全な範囲まで利用することができると考えられる。下記の特定の実施例は、単なる説明として提供されるのであって、残りの開示を限定するものではない。
実施例1−ヒトにおける神経再生
脊髄損傷(SCI)は、CNS機能の実質的または全体的な喪失をもたらすCNS損傷のよく知られた原因であり、該損傷の正確な性質にもよるが、知覚または運動機能またはその両方の喪失を包含する。SCI損傷からの後期の回復のための本発明の療法の使用は、安定なASIAグレードA損傷を有している場合でさえ、運動および知覚機能の完全な回復でなくても実質的な回復をもたらしうる。かかる部分的機能回復は、後期の回復が、ASIAグレードA患者にとって大きな改善が可能である期間として以前に認められた損傷から6ヶ月というタイムフレームを優に超えている場合でさえ、可能である。本発明の方法によると、損傷後数年経っても、後期の機能回復が可能である。
この見込みのある唯一の事例研究は、慢性脊髄損傷(SCI)からの機能回復の可能性を評価した。該結果は、McDonaldら、J. Neurosurg. (Spine 2) 97: 252-65 (2002)に十分に記載されており、該文献は、その主な引用文献と共に、出典明示により本明細書の一部とされる。該患者は、左半身に最小限の一過性の知覚を有する運動完全麻痺患者であった。その症状は、C−2アメリカ脊髄損傷協会(ASIA)グレードAとして分類され、彼は、外傷性SCI後の最初の5年で実質的な回復を経験しなかった。臨床的な経験および科学文献由来の証拠は、さらなる回復がないことを示唆する。該研究が1999年に開始したとき、患者は四肢麻痺状態であり、補助換気がなくては呼吸できなかった。その症状分類は、C−2 ASIAグレードAを維持した。
図1は、内部安定化後、頸椎の開口図(A)および側面図(B)を示しているX線フィルムを示す。患者が受けた損傷の型は、頭部および脊椎の骨分離をもたらす。再構築には、チタンのロッド、ワイヤーおよび骨移植を用いて後頭部をC−2に融合させる必要があった。
磁気共鳴画像は、中央の含液嚢胞を白質の狭いドーナツ様縁で取り囲まれた状態にしたC−2レベルでの重篤な損傷を示した。損傷から5年後、「活動に基づく回復(activity-based recovery)」として知られるプログラムが始められた。該仮説は、パターン化された神経活動が中枢神経系を刺激すると、発達段階のように、より機能的になるかもしれないというものである。詳細には、対象において、FESによって誘起される自転車漕ぎ運動を週に3回、1セッションにつき約1時間誘導した。
図2は、FES自転車の概略図を示す。FES自転車は、コンピューター制御電極を用いて、特定のパターンにおいて脚筋を刺激する。したがって、麻痺した個体は、たとえ彼が随意的に脚筋を調節できなくても、自転車の車輪を回転させることができる。該研究において、3つの筋肉群(赤):臀筋、四頭筋および膝屈筋が相互に刺激された。電極(青)は、各筋肉を覆う皮膚に取り付けられたパッド(各四頭筋(1)のために2つのパッド、膝屈筋(2)および臀筋(3)の各々のために1つのパッド)につながっていた。
3年の期間(損傷後5−8年)にわたり、患者の状態はASIAグレードAからASIAグレードCへ改善し、ASIAグレードが2グレード改善した。運動スコアは、0/100から20/100へ改善し、知覚スコアは5−7/112から58−77/112へ上がった。筋電図記録法を用いて、発明者らは、右片側横隔膜(C3−5)、橈側手根伸筋(C−6)および内側広筋(L2−4)を包含する重要な筋肉群にわたる随意的調節を記録した。骨粗鬆症の逆転および筋肉量の増加は、該回復と関連した。さらに、痙性が減少し、合併症の発生率が著しく低下し、感染の発生率および抗生物質薬の使用が90%以上減少した。損傷レベルにて、外側の脊髄(おそらく、白質)の25mm未満の組織(約25%)しか生存していなかったという事実にもかかわらず、これらの改善は起こった。
病歴:
この42歳の右利きの男性は、1995年5月27日に乗馬事故のために変位C−2 II型歯状突起骨折を被った。損傷のメカニズムは、直接的な軸方向の荷重であった。患者の馬が突然停止し、患者の手が手綱に絡まり、彼の6フィート4インチ、230ポンドの体が馬の頭部を越えて投げ出された。彼は、ほぼ垂直に、ヘルメットから直接地面に落ちた。彼は、無呼吸になったが、直ちに人工呼吸によって現場で維持された。彼は、ヴァージニア大学病院に移送された。
損傷:
図3は、C−2 SCIから5年後の患者の頚髄において得られた一連のT2−強調MR画像を示す。図3は、5年前に外傷性SCIを受けた患者において、C−2レベルの外傷後嚢胞および重症の脳軟化を示す。矢状方向のMR画像は、左(A)に示され、対応する冠状セクションは右(B−E)に示される。同定を容易にするために、パネルBおよびDの2倍の画像であるパネルCおよびEにおいて、脊髄の周囲を黒色で囲み、内部嚢胞は白色である。グラフは、MR画像化シグナルを用いることによる、骨髄面積の定量分析を示す。骨髄の横断面においてMR画像シグナルの面積(mm)は、小脳扁桃からの距離の関数として示される(0リファレンスポイント)。病変中心は、U形の面積曲線における最低点によって示される。約1cmの正常なC−2頚部断面積に基づいて、MR画像化シグナルの約25%が損傷中心に残存しており、それは組織のドーナツ様縁を示す。図4は、ヒト患者の損傷および合併症のタイムラインを示す図である。
損傷中心は、C−2椎体の下位レベルで中央嚢胞を含有する。参照を容易にするために、挿入図CおよびEにおいて中央嚢胞を白色で示す。同じ挿入図において、黒線で脊髄の輪郭を描く。高頚部損傷において典型的であるように、重篤な脳軟化(収縮)は、上部脊髄の直径をほとんど二等分していた。重篤な損傷にもかかわらず、該病変の横断面(挿入図B−Eを示している矢印を有する水平線)は、残存する白質組織の可変性ドーナツ様縁を示す。組織の可変性ドーナツ様縁の損傷部位における存在は、大抵のSCIの典型である。さらに、多くの臨床上重要な運動および知覚系は、通常、白質の外側の縁に存在するが、該MR画像は、該ドーナツ様組織が機能的な脊髄であるのか、または単なる瘢痕組織であるのかを示さない。患者の画像の興味深い特徴は、外傷性SCIでより典型的であるように、嚢胞領域が、1レベル上下に広がるよりもむしろ、C−2レベルに限られることである。可能性として、頚管はC−2でより広く、それが他のレベルでの管よりも多くの脊髄を保護するという説がある。
上部頚領域において残存する脊髄断面積の定量測定は、下位のC−2病変中心に約25mmの組織が残っていることを示し、それはドーナツ様組織縁を示した(図3F)。該病変中心は、対応する最小面積値と共に減少した平均シグナル強度によって同定された。MR画像において示唆されるように、最も重篤な損傷の面積は、主として1レベルに制限された(図3において標識したC−2)が、脊髄の実質的な萎縮はまた、損傷レベルの吻側および尾側方向にも存在した。この萎縮は、さらに、齧歯類における高頚部病変において観察されたより大きな吻側軸索ダイバック(dieback)と共に、尾側よりも吻側に広がる。
試験:
試験は、完全な運動および知覚四肢麻痺と一致した。頚部牽引を開始した。彼は、損傷後に、メチルプレドニソロン(30mg/kgボーラス、次いで、1時間後、5.4mg/kg)を服用した。頸椎X線フィルムは、後頭顆の骨折およびC−1の前方の後頭の置換を伴うII型歯状突起骨折を示し、それは、後頭環椎脱臼を示唆する。
該事例は、限られた乏しい白質が運動および知覚機能の実質的な保存と関連しうるという上記のデータを補強する。該患者の事例において、高分解能MR画像化が、脊髄の25%未満が損傷レベルに残存していた(MR画像化は機能的組織と瘢痕組織とを区別できないので、その割合はおそらく、これよりも低い)ことを示した。まだ、実質的な運動および知覚回復が可能であった。これらの観察は、小さな段階的な処理が、機能において大きな利益を生じると予測できることを意味する。ASIAグレードA損傷を有する個体において、病変を横切る持続性の結合を決定するための新規な方法の開発および応用が重要であろう。かかる技術は、拡散テンソル画像化法、機能的MR画像化法、および運動/知覚誘発電位を包含することができた。
病変のMR画像化分析は、C−2レベルにて、脊髄の外側のドーナツ様縁におけるわずか約25mmの残存組織を示した。中央の嚢胞中の組織および髄液の境界は常に明白な境界であるとはかぎらないので、該分析は、膨張した面積測定値の側に間違う傾向にある。それにもかかわらず、病変中心は、シグナル強度および最小残存面積における同時低下によって、図3において同定できる。正常なボランティアにおける以前の研究は、C2−4脊髄断面積が67〜101mmの範囲であることを示唆し、研究平均は78.1〜84.7mmである。MR画像化に基づいて、C2−3およびC3−4椎間腔レベルにて正常なヒトボランティアにおいて得られた以前に発表されたデータは、下記の通りである:15人のボランティアにおいて、平均31歳(範囲23−49歳)、面積78mm(範囲70.1−86.1mm);30人のボランティアにおいて、平均38歳(範囲26−57歳)、面積84.7mm(範囲67−101mm)。したがって、該患者において約25%の脊髄が損傷レベルに残存すると仮定することが妥当である。
手術および手術直後の経過:
9日後、C−1およびC−2にて、チタニウム環およびやや薄層のソフトワイヤーを用いて、後頭−C2融合を行った(図1)。腸骨稜から骨を得た。MR画像化の様相は保存された神経組織と一致したので、その手法の間、および特に患者を仰向けからうつ伏せに返したときに、配置を維持するために高度の注意が払われた。
高頚部損傷において普通であるように、患者は、気管切開および胃管配置を施された。SCIに対する初期のASIA試験の全てが同様の結果を示した。例えば、損傷からほぼ1ヶ月後の1995年6月24日の試験は、レベルC−2で運動および知覚機能完全麻痺、C−3で知覚機能の部分的保存、および左半身にむらのある感覚を有するASIAグレードAの分類を示し、該レベルは随意的肛門収縮のような仙骨機能の不在を包含した。該患者は、損傷から39日後にガングリオシドGM−1の単回試験投与を受けたが、肥満細胞症がさらなる投与を妨げた。入院患者リハビリテーションを包含する患者の最初の病院での経過は、仙骨部皮膚損傷(二次的意図によって治癒したグレードIV)によらないかぎり、合併症を伴わなかった。患者が損傷から約5ヶ月後の1995年12月13日に病院から退院したとき、彼はベンチレーターに依存し、SCIはC−2 ASIAグレードAとして分類された。
長期治療経過:
1.インフォームドコンセントおよび是認
セントルイスのワシントン大学(Washington University)のヒト研究委員会(Human Studies Committee)は、データ収集方法および事例を紹介する方法を是認した。インフォームドコンセントは、本明細書に記載の個人から、該委員会の基準にしたがって、研究活動に参加するために得られた。生活の質についての質問と回答を含めたものは、患者によって是認された。
2.「N of 1」研究設計
「N of 1」分析法は、国立衛生研究所の興味を引きつけた認められた合理的設計である。
3.ASIA試験
回復(1999年)前から回復(終止1999−2002年)を通じる期間にわたるASIA試験は、ASIA国際標準にしたがって、測定の訓練を受けたSCI治療の専門家である一人の研究者(J.W.M.)によって行われた。初期の試験の結果は、最初の病院のカルテ(1995−1999)におけるASIAシートから得られた。これらの試験を行った個人もまた、SCI治療の専門家であり、臨床的ASIA標準試験によく精通していた。通しの試験官(J.W.M.)による最初の試験は、これらの初期の記録(1999)を確認した。試験の全成分は、個体がベッドに横になっている間、ASIA標準にしたがって行われた。完全四肢麻痺患者のASIA国際標準試験は、評価者内および評価者間の信頼性を有する。
4.筋電図記録評価
Advantage/Clarke−Davis(横隔膜)およびDantec/Keypoint(上および下肢筋ならびに外括約筋)装置およびMedtronicディスポーサル単極ニードルDMN50を筋電図記録に用いた。2Hzの高域フィルター、10kHzの低域フィルター、10〜200msec/Dの掃引および0.1〜0.2mV/Dの感度と共に、増幅器入力インピーダンスを5キロオームに設定した。患者が着席している間、横隔膜を評価し、患者が横になっている間、下記の筋肉を評価した:右三角筋、二頭筋、橈側手根伸筋、および内側広筋。
5.骨密度
骨密度測定をWashington University School of Medicine's Bone and Mineral Diseases研究室で行った。デュアルエネルギーX線吸光光度分析測定値は、白人男性の全国的標準(年齢、体重、および身長に基づく)を用いて比較された。データは、t−スコア(性別が一致した正常な若い成人標準)を用いる標準偏差として提供される。
6.磁気共鳴画像
安全試験:
患者をMRIスキャナーに置く前に、整形外科器具類を2つずつ、MR適合性試験のために取得した。患者の頚領域におけるチタンループ器具を刺激するために(Danek Inc., Minneapolis, MN)、2つのステンレススチールHarringtonロッドおよびステンレススチール締結(circlage)ワイヤーを試験のために得た。神経外科医は、患者の単純フィルムラジオグラフを用いて、患者のDanekループの連続したセグメントの湾曲を概算するための標準的な屈曲装置を用いて、ロッドを曲げた。曲げたときにステンレススチールはわずかに磁性を帯びたので、この屈曲が行われた。
該ロッドおよびワイヤーは、MRIスキャナーの内外に手動で出し入れした。磁性のためのいずれかの力を示す金属上でトルクは感じられなかった。また、強力な手に持てる磁石を該金属の周囲で動かし、引力は感じられなかった。次いで、該ロッドおよびワイヤーをラジオグラフ上の配置に一致するように配列させた。該ハードウェアを、0.9%NaCl(セーライン)を含有し、T1緩和時間を生理学的範囲に短縮するための0.15mM Gd[DTPA−BMEA](Optimark, Mallinckrodt Inc., St. Louis, Missouri)を添加した球状ファントムにテープで固定した。該ファントムをMRIスキャナー中に置き、その後の患者画像化セッション(MP−RAGE、ターボスピンエコー、エコープラナー撮像法、拡散テンソル画像化など)において使用することが計画された種々のパルス系列を用いて、いくつかのスキャンを行った。研究者は、該画像化の間、手を該金属上に置き、いずれのRF発熱も、該金属の移動も感じなかった。
患者準備:
患者は、バンでMRIスイートへ運ばれ、全ての外部金属をポケットから出した。移動およびMRIの間、患者は、積極的な呼吸補助のために、気管切開チューブに接続された個人のベンチレーターを用いて換気された。MRI室の外で、患者およびそのベンチレーターを、MR適合性に関して試験された軽量アルミニウムストレッチャー(モデル30NM、Ferno-Washington Inc., Wilmington, Ohio)上に移し、次いで、患者をMRI室に移動させた。パルスオキシメータープローブを患者の右人差し指上に置いて、心拍数および酸素飽和度をモニターした(ゴム製の握りが付いたセンサー、Invivo Research, Inc., Orland, Floridaを用いる)。非侵襲性血圧計を左腕に置き、管類をベンチレーターコネクターの側面の穴に接続して、血圧、呼吸数、呼吸終期CO、および吸入Oをモニターした(3150 Magnitude/3155A Millenium麻酔モニタリングシステム、Invivo Research, Inc., Orland, Florida)。ベンチレーター管を一時的に外し、患者をMRIテーブル上に持ち上げた。ベンチレーター管をすぐに再接続し、壁型Oラインをベンチレーターに接続した(医療等級O、Airgas, St. Louis, Missouri)。酸素流速を2−3L/分に調整して、仰向け位置でSpOを>95%に維持した。(直立位置において、患者は典型的に、付加的なOを用いないで97−98%のSpOを有する。)頸椎のC2−C3領域が頚部アレイコイルの活性成分の中央にくるように、患者を置いた(下記参照)。肘、膝および背中の下に詰め物を置いた。ベンチレーターおよびOラインを一時的に外し、MRIスキャナーの隣に置いた非磁気RF−遮蔽ボックス(Shielding Resources Group, Rulsa, Oklahoma)の中に移動させた。RFボックスは、遮蔽されたAC/DC電源、遮蔽された電子コネクター、およびボックスの壁中に組み込まれた導波管(銅コンジット)を含有していた。ベンチレーターおよびO管を導波管を通して送り、RFボックスの中のベンチレーターに再接続した。該RFボックスを>80dB減衰で試験して、ベンチレーターからのRF放出を完全にスクリーンし、MRIにおけるひどいRF干渉を除去した。聴覚を遮蔽し、音楽を聴かせるために、ヘッドホンを患者に装着させ、頭と首の移動を最小限にするために前頭部からテープを巻いた。次いで、患者テーブルを動かすことによって、患者をスキャナー中に進め、C2−C3領域および活性コイル成分を磁石および傾斜のアイソセンターに配置した。次いで、イン・ビボモニターのディスプレイをMeillenium3155A麻酔ユニットのカスタムビデオポートから、MRI室壁中のカスタムRF侵入パネル(Shielding Resources Group, Tulsa, Oklahoma)を通し、次いで、MRIの間、神経集中治療専門医が生理学的パラメーターの全てをモニターしている制御室における生理学的データのディスプレイのための衛生MRコンソールモニターの後ろに接続した。全設定および画像化期間の間、心拍数は58−86拍/分であり、SpOは95−97%であり、血圧は126−139mm/72−86mmであり、呼吸数は18呼吸/分(ベンチレーターの設定と等しい)であり、呼吸終期COは29−34mmHgであり、吸入O(FiO)は28%であった。画像化セッションの間、患者はいずれの不都合な症状も経験しなかった。
MRI収集:
1.5−Tesla Siemens Magnetom Vision MRIスキャナーおよびSiemensフェーズドアレイ脊椎コイルを全画像化に用いた(Siemens, Erlangen, Germany)。アイソセンターに位置していることを確認するための最初のスカウト後、供給元のMAP−シム手法を用いて手動により、外部磁場をシミングした。該目的では、隣接する金属装置のためにより高いオーダーのシムチャンネルが不安定になるので、線状のシムチャンネルだけを用いた。次いで、周波数およびトランスミッターを共鳴する180°条件に合わせ、スカウトスキャンを繰り返した。T1−強調MP−RAGEスキャンは、次に、脊髄に対して垂直になるように〜20°矢状かつ冠状に傾かせた横断面で収集された。該スキャンは、TE=4.0ms、TR=9.7ms、TI(反転時間)=472msおよび12°チップ角度と共に、1.0mm等方性ボクセル(256x256mm視野および256x256マトリックス、160 z−パーティションを有する160mm z−スラブ)を有した。収集時間は、シグナル平均化を伴わないで、9分29秒であった。MP−RAGEデータは、脊髄断面積測定に用いられた(下記参照)。T2−強調ターボスピンエコーおよび流体−減衰性(fluid-attenuated)ターボ反転回復法のような付加的な解剖的スキャンもまた、収集された。
データ分析:
MP−RAGEデータは、頚髄に対して垂直になるように再スライスした。関心領域(ROI)トレーシングは、Analyze AVW4.0(Mayo Foundation, Rochester, Minnesota)の「自動トレース」機能を用いて、他の横向き画像毎に、脊髄境界の周りで行った。自動トレースの強度レベルを選択するために、トレースが周囲のバックグラウンドノイズに膨張した低レベルを決定し、トレースが脊髄の中心に崩壊した高レベルを決定した。次いで、2つのレベルの平均を計算し、脊髄領域の自動トレースについて選択した。該手法により、高T1−強調強度から脊髄の周囲の低シグナルへ脊髄強度が推移する部分的容量効果を考慮した(図3参照)。いくつかのスライスにおいて、自動トレース手法によって生じたROIは、該領域が隣接組織へ伸長することを防ぐために編集されなければならなかった。脊髄の二次元領域は、ROIをサンプリングすることによって測定され、結果は脊髄方向の関数としてグラフ表示された。
7.感染性合併症の定量化
患者について個人的な24時間看護記録が異例にも詳述され、これにより、各年の抗生物質治療を必要とする感染の数および型を正確に追跡することができた。さらに、各治療の全継続期間が常に記録された。地元の医者によって提供された処方記録により、これらの値が証明された。ほとんどの場合、さらにその感染を証明するために、培養物も得られた。
8.生活の質の評価
一人の試験者(J.W.M.)が、電話による評価を行った(2002年6月15日〜30日)。これらの主観的な測定は、機能的回復における定量データを補い、限られた運動および知覚回復の生活の質に対する影響力を強調した。
9.活動に基づく回復プログラム
活動に基づく回復プログラムは、主に、FES自転車における訓練からなる。麻痺個体が使用するために設計された特別にあつらえた横臥バイクシステムは、コンピューター支援のFES−誘導性サイクリングを組み込んでいた。目標は、週に3回、1日に1時間の活動(3000回転まで)であった。FES自転車は、一貫した回転速度を得るために刺激の強度を調節する。表面電極は、各脚において3つの筋肉群を刺激し(図2):1つの電極は臀筋の上縁に位置し、別の1つは膝と臀部の間の中ほどの膝屈筋群にあり、2つが四頭筋にある(1つは上部にあり、他の1つは四頭筋の下位3番目にある)。運動の間、脚は3つの方法でバランスをとった。座った臀部およびブーツが高い位置および低い位置に脚を固定した。高い位置にある脚にベルクロ(Velcro)で付けたベルトが脚の中央部のバランスを取った。重い弾み車が、弾みを伝えることによって滑らかな回転を保証した。目標は、最大回転数(3000/時間)を達成することであった。FES自転車療法は、下記の筋肉群:傍脊椎筋、腹筋、手首の伸筋、手首の屈筋、三角筋、二頭筋および三頭筋を活性化するために、表面電気刺激で補足した。該療法は毎日、通常3日連続で循環させた。各筋肉群は、間欠性1秒オン、1秒オフACサイクルを用いて1時間30分間、活動させた。いったん筋肉回復が開始したら、アクア療法を該プログラムに組み入れ、1時間セッションを週に1回を目標とした。アクア療法は、活動に基づく回復プログラムに参加している間、随意的調節が回復された筋肉群に集中させた。
患者を最初に評価するにあたり、物理的ならびに機能的回復に対する該活動に基づく回復プログラムの効果が研究された。初期の結果は、物理的利益のみが、活動に基づく療法を日々の生活に取り込むのに十分な理由であったことを示唆した。該利益は、筋肉量および骨密度の増加、心血管耐久性の増加、および痙性の減少を包含した(データは示されない)。
セントルイスにあるワシントン大学での最初の評価の後、患者はFES自転車を使用するために訓練を受けた(図2)。彼がその居住地で頻繁に運動できるように、同様の自転車を彼の家に設置した。目標は、1時間セッションを週に3回完了することであった。
最初は、患者の脚筋が表面刺激ですぐに疲労したが、約20セッションのうちに、1時間連続して自転車に乗ることができた。いったん運動回復が開始したら、随意的機能を回復したが、弱すぎて重力に逆らえなかった筋肉群を働かせるために、該プログラムに週に1回のアクア療法を補足した。また、表面非荷重負担電気刺激を下記の筋肉群:傍脊椎筋群、腹筋群および上肢筋群において、さらに3日の計画で行った。標準範囲の運動物理療法も毎日行われたが、該計画は、個体が最初にリハビリテーションから開放された時から変わっていなかった。呼吸運動もまた、1998年に開始した毎日のルーチンの一部となった。筋肉サイズの増加および健康における一般化された改善は、2000年までにはっきりと明白になったが、機能的回復は遅かった。
1.主な合併症
高頚部SCIに通常起こるように、患者は多くの重篤な合併症を、特に1996年〜1999年に発症した(図4)。患者は、1995年5月27日にC−2 ASIAグレードAのSCIを受けた。四肢麻痺においてしばしば起こるように、彼は、該タイムラインに列挙される多くの重篤な合併症を蓄積した。垂直方向の赤色の棒は、1996年の終わりまでの入院患者の医療的ケアおよびリハビリテーションを示す。ここに示される合併症の他に、1999年の前年には、尿路および肺感染が頻繁であった。四肢麻痺に共通の状況として、合併症率が1995年〜1999年に加速したことに注目されたい。1999年以降の同様の合併症の少なさは、非常に珍しい。1)尾骨皮膚潰瘍。グレードIV仙骨皮膚潰瘍化が入院期間の初期に発症した。積極的な治療により、一年後、二次癒合によって治癒した(垂直方向の緑色の棒は治癒時間を示す)。2)HO。右腿の急性膨張によって示されるように、異所性骨化(右大腿骨の小転子)が1995年7月に発症した。ドップラー(Doppler)研究は、深部静脈血栓症に対して陰性であり、X線フィルムおよびCTスキャニングは骨折を示さなかった。さらに骨再吸収を防ぐために、ダイドロネル(Didronel)での治療を開始した。異所性骨化は、急性損傷後期間において一般的な合併症である。3)AD。重篤な自律神経反射異常は、入院治療を必要とした。4)および5)DVTs。左深部静脈血栓症は、脚の大流出静脈を塞ぎ、ヘパリンおよび次いで、クマジン(Coumadin)での抗凝血のために入院を必要とした。DVTは1ヶ月後に再発し、抗凝血方針の調整および下大静脈(IVC)グリーンフィールド(Greenfield)フィルターの設置を必要とした。次に、クマジンでの生涯治療および毎週の抗凝血試験が必要とされた。6)病理学的骨折。左大腿骨の病理学的骨折は、移動の間の低い落下に起因した。骨折した骨を安定化するために、外科的介入が必要とされた。7)肺の虚脱。急性の息切れは、粘液栓を除去するために、緊急入院および気管支鏡検査を必要とした。8)くるぶしの潰瘍。左外踝皮膚潰瘍化(グレードIV)は、ゆっくりとした治癒および骨髄炎によって悪化し、切断をおびやかされた。積極的な治療および二次癒合による治癒に1年以上かかった。9)仙骨部皮膚潰瘍。毛巣嚢胞除去および縫合閉鎖は、積極的治療および二次癒合による治癒を必要とする仙骨部創傷の裂開および進展によって悪化した(垂直方向の緑色の棒は治癒時間を示した)。10)病理学的骨折。患者が体重免荷した起立を試みている間に、支持左大腿を骨折した。治療は、入院および外科的内固定を必要とした。重篤な骨粗鬆症の付加的な治療は、ビタミンD、カルシウムサプリメントおよび骨再吸収を制限するための薬理学的治療を包含した。
しかしながら、重篤な損傷および固定にもかかわらず、患者は非常に順調であった。これらの合併症は、皮膚損傷、異所性骨化、自律神経反射異常、病理学的骨折、深部静脈血栓症、および粘液栓による急性呼吸障害を包含した。
2.機能の回復
患者は、損傷後の最初の5年の間、機能的改善を経験せず、それにより、C−2 ASIAグレードA分類を維持し、それ以降のいずれかの実質的な改善の見込みは無視できるようであった。患者の損傷後の最初の5年間の複数のASIA試験は、運動スコアが一貫して0/100であり、知覚スコアが5−7/112の範囲であったので、実質的な運動または知覚機能の欠如を証明した。1999年のワシントン大学での最初のASIA試験は、これらの観察と一致した。図5は、SCIからの著しい回復を定量するグラフを示す。データは、SCIの重篤度を評価するための国際的なASIA標準スケールに基づいて、パラメーター値(X軸)ならびに全運動および知覚機能(ライトタッチ(表在触覚)、ピン刺激(ピン痛覚);y軸)として提供された。
運動機能は、腕における5つの筋節および脚における5つの筋節において評価され、0〜5のスケールが最大スコア100を提供した(各側において10の筋肉)。知覚は、各側につき28個の皮膚節において測定された。0〜2のスケール(0=なし、1=障害あり、2=正常)は、最大スコア112を提供した。ASIA分類は、グレードA〜E(Eは正常)であった。該個体は、損傷後の最初の5年間に運動機能を示さなかった。最初の5年にわたって知覚機能は、上頚皮膚節に限られていた。活動に基づく回復プログラムは、1999年半ばに始められた。6ヶ月後、回復は観察されなかったが、その後2.5年にわたって、進行性の相当な運動および知覚回復が明らかになった。
患者は、1999年の始めに、胴体上部および上腕における深部触接に対する知覚を回復し始めたが、これは、ライトタッチおよびピン刺激に対する知覚の検出が唯一の尺度であるため、ASIAグレードにおける実質的な変化をもたらさなかった。
活動に基づく回復プログラムの最初の6ヶ月後(2000年1月)、機能の回復はほとんど分からなかった。腕および脚は依然として運動機能を表さず、頚部の損傷を受けた皮膚節の上位(C1−C2/3)においてのみ、ライトタッチまたはピン刺激を感じることができた。患者は最初、2000年11月始めに、左人差し指の攣縮運動を制御する能力を示した。ASIA試験において最初に証明された回復は、2000年の終わりであった(図5)。知覚および運動スコアにおける適度の改善が観察されたが、ライトタッチに対する知覚がわずかにある仙骨が最初に明らかになり、患者のASIA分類をASIAグレードBに変えた。しかしながら、該プログラム中の22ヶ月(2001年7月)で、ライトタッチに対する知覚が正常値の52%まで改善した。2002年には、正常値の66%に回復した。弁別を必要とし、したがってより困難であるピン刺激による評価は、3年プログラムの最後の年まで改善せず、それは今日まで進行中である。知覚は、仙骨領域(S−3、S4−5)を包含する体(図6)のほとんどの皮膚節において感知できた。ピン痛覚および表在触覚の回復の他に、付加的な知覚モダリティーの回復が起こり、振動、自己受容、ならびに熱さおよび冷たさを区別する能力を包含した。
最も顕著な変化は、20%(20/100)までの運動機能における改善であった。外肛門括約筋の随意的調節が可能である(S4−5)。かくして、2001年7月に、患者の状態のASIAグレードCへの転換が起こった。運動回復は、最初、左指において、次いで右手、次いで脚において明らかになった。現在、上腕のほとんどの筋肉が運動可能であるが、脚においては少数の筋肉が運動可能である。脚におけるほとんどの筋肉はいまだ重力に逆らうことができない。図6は、1995年から2002年の患者のASIAグレードの比較を示す概略図である。青色の値は、1999年由来のスコアを示し;赤色の値は、2002年のスコアを示す。T−4より下位で得られた1995年の運動スコアおよび知覚スコアが全て0であったことに注目されたい。1995年のスコアは、1995年7月のASIAシートから得られた。
下記の比較は、該運動回復を大局的にみるものである。全国急性脊髄損傷研究(National Acute Spinal Cord Injury Study)IIおよびIII試験は、損傷から8時間以内にメチルプレドニソロンを投与した場合、プラシーボを投与した患者に比べてメチルピレドニソロンを投与した患者の運動スコアにおいて平均4.8ポイントの改善を示した。
該患者の場合、損傷後5〜8年にわたって運動スコアにおいて20ポイントの改善があり(図5)、それは、肘、手首、指、尻および膝を包含するほとんどの関節における運動をもたらし(図6)、かくして、患者の状態は、現在、ASIAグレードAよりもむしろCとして類別される。該程度の運動により、患者は、環境および動力を備えた車椅子のより良好な調節が可能となる。回復した運動の直接的な結果は限られているが、二次的回復の結果は実質的である。さらに、増強した筋肉機能に関連する他の利益は、患者の生活の質を著しく改善した。
3.感染の減少および物理的改善
顕著には、主要な合併症の減少および神経学的改善の回復と平行して、患者の感染合併症率が1999年に劇的に低下し始めた。抗生物質治療を必要とする感染の発生率および1年の抗生物質適用日数もまた、1999年以降劇的に改善した。必要とされる抗生物質適用日数の概算は、1996年〜1998年と比べて、2000年〜2002年において90%を越える減少を示した(表2)。
Figure 2006508707
事件は、詳細な個人の看護記録から記録され、抗生物質治療を必要とする全感染事件数、感染の型および必要な抗生物質治療の全日数を示す。
これらの改善の他に、患者はまた、実質的な物理的利益も達成した。体中の最も大きい骨のうち2つ(大腿骨および上腕骨)の病理学的骨折に起因した患者の重篤な骨粗鬆症が完全に逆転し、現在、正常な範囲内にある(骨密度t−スコア:1999年以前の−4.1に比べて、2002年には−0.5)。痙縮のAshworth測定値は、3から1−2に改善し(表3)、患者の耐久性も増加した。
Figure 2006508707
4.筋電図記録結果
随意運動のEMG分析は、2001年の冬に完成され(表4)、結果は、損傷直後の1995年6月21日に行った横隔神経試験の結果と比較された。その時、無傷前角細胞の証拠があった。潜伏期間は、10msec未満であり、右および左振幅は各々、0.9mVおよび0.5mVであった。たとえ小さくても、横隔膜運動は、蛍光透視試験において示された。対照的に、振幅は2001年において大きかった(2−7mV)が、脱神経のさらなる証拠はなかった(表4)。随意的に顕在化したEMG応答は、右三角筋、右二頭筋、右橈側手根伸筋および右内側広筋を包含する試験された他の筋肉群において明らかであった。これらの群のほとんどは、正のシャープな波動、繊維性攣縮、および複合性反復性放電によって示されるように、脱神経の証拠を示した。全体的にみて、漸増された運動単位数は、予想通り小さかった。
Figure 2006508707
随意的に筋肉群を動かせという指令に対する応答における基本的な筋肉のEMG特徴。カラムは、記録された筋肉群、活動化要求に対する同定可能なEMG応答の存在(随意的応答)、随意的活動化要求に比べてEMG活動化の遅れ(応答潜伏期)、動こうとする努力の増加を伴う漸増された運動単位数(漸増された運動単位数)、EMG針の挿入を用いる活動の存在(挿入活動)、自発的休眠活動の存在(自発的活動)、および運動単位の特徴(運動単位特徴:振幅、持続期間および構成)を示す。略語:正のシャープな波動(PSW);繊維性攣縮(fibs);複合性反復性放電(CRD);正常(NL);評価されず(NA);ミリボルト(mV);ミリ秒(ms)。
5.生活の質の評価
表5は、2002年に行われた生活の質についての質問に対する患者の応答を列挙したものである。全体的にみて、回復は、日常生活の多くの範囲に強い衝撃を与えたが、生活改変として認められた変化は:病気および病欠日の回避;安定した健康を期待できる能力の改善ならびに仕事および家族の義務を果たす能力の改善;健康改善;体重調節改善;より達成可能な人生目標;ベンチレーターなしで呼吸できる能力の改善;家族に対する正の影響;医療費の減少、働けない日数の減少による大きな経済的改善;より健康であることの喜び;レジャー活動の大きな喜び;生産性の改善;病気の進行が軽減に置き換わったという認識;より少ない痙攣;および付加的な回復に対する大きな期待であった。かかる回復の影響を検出するための能力は限られているので、半定量的な生活の質の測定が利用可能である。
実施例2−ラットにおけるCNS再生
対象、動物治療および外科手術:
30匹の成体Long Evans雌ラット(275±25g;Simonsen, Gilroy, CA)を収容し(12:12h明暗サイクル)、Laboratory Animal Welfare ActおよびGuidelines/Policies for Rodent Survival Surgery(Animal Studies Committee of Washington University in St. Louis)にしたがって処理した。
BrdUパルス標識後、2種類の生存インターバルを用い、直後または7日後に6群を試験した。30匹のラットは全て、FESインプラントを受けた。24匹のラットは、FES装置埋め込みの3週間前に脊髄損傷を受けた。さらに6匹のラットは損傷を受けていない対照であった。動物の半分(n=15)において、FESシステムが活動した。図7(a)は、損傷と刺激レベルとの間の関係を示す実験的ラットモデルの概略図を示す。
図7(b)は、12匹のLong Evans成体雌ラットが2レベル(T8−9)の吸引切断により脊髄の完全な離断を受けた実験のための43日タイムラインを示す。慢性型の損傷をシミュレートするために、発明者らは、FES装置を埋め込む前に3週間待った。3日の外科手術後インターバル後、ラットの半数において該装置を12日間、1日に3時間活動させた。FESスケジュールの7日目〜12日目に、発明者らは毎日のBrdUパルス標識プロトコールを行った。最後のBrdU注射から2時間後、全ラットを殺した。
反射的排泄の回復まで、1日に3回膀胱を絞り出した。自己消耗を防ぐために、ラットに10.5cmのプラスチック首輪(Ejay, Glendora, CA)をはめ、吸湿性ベッド(ALPHA-DriTM(登録商標), Shepherd, Kalamazoo, MI)および巣用材料と共に個別に収容した。個人は治療に対して盲目であり、外科手術チームから独立して、毎日5分間、各ラットを取り扱った。
脊髄損傷:
ラットに麻酔をかけ(75mg/kg Ketaset(登録商標)、0.5mg/kg Domitor、腹膜内投与)、T7−T9にて椎弓切除を行った。1mm硬膜切開によって、顕微鏡調節下で、BARON吸引チューブ(Roboz, Rockville, Maryland)を用いる吸引によって脊髄の1mmを除去した。硬膜開口を筋膜で覆い、筋肉およびその上の皮膚を層状縫合で閉じた。麻酔はAntisedan1mg/kgによって逆転した。該吸引切断方法は、外科手術的な刃での切除と比べて出血を最小限にし、硬膜および主要血管の無欠性を維持し、きれいな脊髄創傷境界をもたらした。
刺激器および電極埋め込み:
SCIから3週後、ラットを再麻酔し、下背を中線切開し、2−チャンネルバッテリー電源式の電気刺激器(Jarvis, University of Liverpool)および電流リターン電極を皮下ポケットに埋め込んだ。両方の脛の側面を0.5cm切開し、ステンレススチールワイヤー電極を、刺激器部位から皮膚の下に左右対称に通り抜けさせ、総腓骨神経に隣接する前脛骨筋中に縫い合わせた。手術中の試験刺激は、適当な腓骨神経活性化を保証した。
電気刺激例:
FES装置を損傷(埋め込み後3日目に開始する)から24日目〜43日目後の間の19日間毎日、各9時間労働の間に1時間セッション3回、活動させた(図11B)。6匹のラットからなる付加的な群は、同一のFESインプラントおよび活動パターンを受けたが、損傷は受けていなかった。刺激パターンは、1つの総腓骨神経の1秒刺激、次いで、1秒の休憩であり、次いで、他の総腓骨神経を1秒刺激し、次いで、1秒の休憩を行い、このサイクルを繰り返した。刺激は、神経上の電極と下背のリターン電極の間に20Hzで送達された3V 200μs単相パルスであり、総腓骨神経内の大きな有髄繊維を活性化するが、小さな無髄侵害受容繊維を活性化しないと予想された。該神経刺激は、相互的な足踏み様後肢運動におおよそ近い後肢の交互屈曲をもたらした。
ブロモデオキシウリジン注射例:
損傷後31−36目に開始する、細胞サイクルのS期の間に複製しているDNA中に選択的に組み込まれる臭素化したDNAビルディングブロックであるBrdU(50mg/kg腹膜内投与)の毎日の注射によって、新生細胞を同定した。
組織加工処理:
最後のBrdU注射から2時間後、ラットの半数(n=15)に深く麻酔をかけ、0.1M PBSで5分間、次いで4%パラホルムアルデヒド(Sigma)で15分間、心臓内を潅流した。最後のBrdU注射から1週間後、残りのラットを殺した(n=15)。
免疫組織化学:
骨髄レベルC2、T1、T7、T11、L1およびL5由来の各第6セクション(40μm)を抗−BrdU免疫組織化学のために選択した。セクションを2N HCl中37℃で60分間インキュベートし、0.1Mホウ酸バッファー(pH8.5)に移して20分間維持し、PBSでリンスした。非特異的標識を、0.1%Triton X−100/PBS中における0.1%BSAで60分間ブロックした。マウスモノクローナル抗−BrdU抗体(1:600;Roche, Mannheim, Germany)を組織と一緒に4℃で一晩インキュベートした。次いで、組織を、2%正常ヤギ血清(NGS)中におけるCY3−結合型二次抗体(1:2000;Jackson, West Grove, PA)で60分間処理した。
BrdU陽性細胞の同時標識のために、CY3−結合型抗体を接触させた後、セクションを4%パラホルムアルデヒドで30分間固定した。次いで、それらを適宜、0.1%Triton X−100で60分間浸透させ、2%NGSで60分間ブロックした。2%NGS中で希釈した一次抗体を該セクションに2時間接触させた。使用した抗体は:ウサギ抗−NG2(1:250、Chemicon, Temecula, CA)、マウス抗−Nestin(1:8、Developmental Studies Hybridoma Bank-DSHB)、ウサギ抗−GFAP(1:4、Diasorin, Stillwater, MN)、マウス抗−APC−CC1(1:20、Oncogene, Cambridge, MA)、マウス抗−ED1(1:100、Serotec, Raleigh, NC)、マウス抗−OX42(1:100、Serotec)、ヒツジ抗−Glut−1(1:30、Biodesign, Saco, MN)、ラット抗−CD31(1:20、BD Pharmigen, Lexington, KY)、マウス抗−NeuN(1:200、Chemicon)、マウス抗−TUJ1(1:200、Babco, Richmond, CA)、モルモット抗−ダブルコルチン(1:3000、Chemicon)、およびマウス抗−PSA−NCAM(1:8、DSHB)を包含した。二次抗体(1:300、Molecular Probes, Eugene, OR)は、Alexa488に結合させた。一次および二次対照スライドは、各染色シリーズと一緒にインキュベートした。
BrdU陽性細胞の定量:
脊髄レベルの機能としてBrdU標識細胞の数を盲式で測定した。画像をMagnafireカメラを備え付けたOlympus IX70顕微鏡で収集し、コンピューター支援ソフトウェアパッケージ(StereoinvestigatorTM, Microbrightfield Inc., VT)を用いて、定量的カウントを行った。増殖細胞の不偏立体解析学的カウントのために、インジケーター・フラクショネーター法(indicator fractionator method)を用いた。BrdU陽性核の概算は、考慮中の領域容量の既知フラクション中における核のカウントに基づく。標識指標は、容量あたりのBrdU陽性核の総数を取り、それを、対応する脊髄セクションから取得した容量当たりのHoechst33342(Molecular Probes)標識核の総数で割ることによって算出された。セクションは、200x下で調べられ、メカニカルステージ(Ludl, Hawthorne, NY)を用いてラスターパターンで動かすことによって体系的にスキャンした。StereoinvestigatorTMソフトウェアは、不偏カウンティングフレーム(x=122μm、y=110.1μm)を有するサンプリンググリッドを画像上に載せた。サンプリングフレームは、既知の距離でセクション中で焦点を合わせ、BrdU陽性核はカウンティングフレームの内側でマークされた。これらのマーカー、面積測定値および所定の容量に基づいて、該ソフトウェアは、BrdU陽性核の総数を算出した。表現型を決定するために、細胞を、各表現型マーカーを用いる同時標識について評価した。各BrdU陽性細胞の場合、完全な細胞核はz軸にしたがい、境界が明らかな免疫陽性細胞体を有する細胞だけが、特定の表現型に対して陽性であると考えられた。
統計学的分析:
実験群間の比較は、後のTukey post−hoc検定を応用しているSigmaStatを用いる二元配置ANOVAによって行った。比較は、脊髄レベルによる群間および群内におけるBrdU陽性細胞の総数および表現型マーカーについて行った。全統計分析について、有意性は、複数の試験のBonferroni補正を用いてp<0.05で認められた。
FESは、損傷レベルより下位でBrdU陽性細胞数を増加した。
FESは、腰髄への腓骨神経の強い投射と一致する、脊髄の腰レベルでの新細胞誕生/生存の密度における実質的な増加をもたらした。FES誘導性後肢運動の細胞誕生/生存に対する影響の吻−尾側選択性は、代謝、血液感染性因子および他の全身性の因子などの可能な包括的メカニズムを排除するのを助け、神経活動の増加に関連する局所的なメカニズムへの支持を強くする。300V/mの範囲の電界は、神経細胞機能に変化をもたらすことができる。他の研究において直接的な影響をもたらすのに必要とされた100X大きい規模の電界に基づき、これらの研究における脊髄による非常に小さな電界経験と比べて(約5V/m)、直接の電界効果よりもむしろニューロン活動が、観察された影響の原因であることが示される。
あまり完全ではない病変によって起こりうる動物内でのばらつきを最小限にするために、ラット脊髄をT8/T9での吸引切断によって完全に離断したが、該モデルは機能的回復の分析を制限した。以前の研究は、脊髄の胸部の分離が病変レベルより下位に神経活動の減少をもたらし、末梢神経刺激または歩行活動が各脊髄レベルでの活動を増強することを示す。慢性損傷は、ヒト再生に最も関連しており、血液脳関門が開いており、かつ、損傷誘導性細胞増殖が標準化しているので、慢性損傷が選択された。
1時間過程を3回という1日あたりの段階的活動の刺激プロトコールは、1日に少なくとも1時間の歩行訓練が正常マウスの海馬状隆起における前駆体由来のニューロンの数を2倍にするのに十分であったという以前の知見に基づいていた。総腓骨神経刺激の交互刺激は、後肢の相互的な足踏み様運動におおよそ近い後肢の交互屈曲をもたらした。
新生細胞は主に、トリポテンシャルおよびグリア前駆細胞、ならびに星状細胞および乏突起膠細胞のマーカーを発現した。BrdU標識されたミクログリア、マクロファージまたは内皮細胞の数は小さく、損傷部位(T8/9)から遠いレベル、L1およびL5での細胞誕生/生存の増加に実質的に寄与しなかった。該結果は、正常脊髄中の全BrdU標識細胞に対するミクログリアおよび内皮細胞の非常に低い寄与(1.5%より小さい)と一致する。
不偏定量分析のために、該分野においてよく許容されている進んだ立体解析法を用いた。FESの影響は強く、選択的であり、FESの影響は、正常な損傷を受けていないラットにおいて観察されなかった。立体解析測定の妥当性は、損傷から遠い(例えば、C2)新生細胞の細胞総数(標識率:核総数の2.61%)が、他の研究室において観察された正常ラット脊髄における同様のBrdU標識法および立体解析分析によって得られた値とよく相関するという事実によって支持されている。
FESはSCI後のトリポテンシャル前駆体誕生を増加した。
5日間隔のBrdU標識は、主として、成熟細胞、特にニューロンに分化する時間をもたない増殖細胞を標識するであろう。新ニューロン誕生の証拠は、BrdU注射後の0または7日目に脊髄に存在せず、これは、成体脊髄において新ニューロン誕生がないことを示す以前のデータと一致する。
図8は、慢性SCI後の成体脊髄における新細胞誕生を示す。パネルAおよびBは、マウス抗−BrdU抗体で免疫標識したC2(A)およびL1(B)レベルでの脊髄の40μm冠状セクションを示す。セクションは、20x倍率での個々の画像からStereoInvestigatorを用いて再構築した。BrdU陽性細胞の大部分が見られたゾーンを矢印で示す。パネルAおよびB中の文字入りの正方形の印は、パネルC−Fにおいて拡大した画像に対応する。最大数のBrdU陽性細胞が白質において見られたが(C)、BrdU陽性細胞は、灰白質(D−E)中、および中心管(F)の周辺にも存在した。パネルA−B中のスケールバーは1mmであり、パネルC−F中のスケールバーは50μmである。
図9(a)および(b)は、損傷を受けた脊髄において、FESによって促進された新細胞誕生/生存を示す。BrdU標識細胞の定量的カウントは、冠状脊髄セクション(C2−L5)において、立体解析法を用いて行った。二元配置ANOVAは、処理および脊髄レベルの影響を示した(群内、p<0.05)。(A)FESは、パターン化されたFES誘導性足踏み様肢運動由来の活動増加を予想通りに経験した後肢セグメントに保有された新細胞誕生において、強く、選択的な増加を誘導した。(B)該効果は、7日後の細胞生存群において持続した(p<0.05、**p<0.001、FES対対照)。
図10、パネル(a)−(l)は、細胞特異的マーカーを用いるBrdU同時局在性を示す。最後のBrdU注射から2時間後に、腰レベルL5でFESで処理した動物由来の共焦顕微鏡画像。(A−C)Nestin免疫反応性(青)は主に白質で見られ、標識細胞は二極性および多極性形態を示した。Nestin+細胞のいくつかは、反応性星状細胞を示しうるGFAP(緑、矢じり)で同時標識されたが、2%未満がBtdU(赤)で二重標識された。かくして、BrdU+/Nestin+細胞は、反応性星状細胞よりもむしろトリポテンシャル前駆体を増殖している。(D−F)NG2(緑、矢じり)で二重標識されたいくつかのBrdU+/Nestin+細胞。これらの細胞は、通常、軟膜層の近くに位置し、二極性形態を示した。(G−I)マクロファージ(ここに、抗−ED1(緑)で標識される)は、損傷を受けた脊髄の全体に位置した。3%未満がBrdU+であり、損傷部位に近いレベルでのみ見られた。Nestin+/ED1+細胞は同定されなかった。(J−L)脊髄中で、特に白質において(J=レベルC2、K=レベルL5)、乏突起膠細胞マーカーAPC−CC1(緑、矢じり)で同時標識されたBrdU+細胞の小さなサブセットが見られた。この比率は、最後のBrdU注射から7日後に観察したとき、迅速に増加し、このことは、多くのグリア前駆細胞が乏突起膠細胞に変わることを示唆する。(L)BrdU+/APC−CC1+細胞の単一共焦セクション。スケールバー(A−K)=50μm、(L)=10μm。
図11、パネル(a)−(e)は、最後のBrdU注射から2時間後のSCI後の、BrdUを用いるNG2同時局在性の定量化を示す。NG2免疫反応性は、BrdU+細胞を、病変部位に対する吻側(A)および尾側(B)のグリア前駆細胞として分類するために用いた。NG2+細胞は、主に白質における二極性および多極性細胞形態を示した(矢印は、個々のBrdU+/NG2+細胞を示す)。パネルC−Eは、かかる個々の細胞に対する各マーカーの単一共焦セクションを示す。BrdU+/NG2+細胞の分布パターンは、群間で変化しなかった。しかしながら、損傷レベルより下位でBrdU+/NG2+免疫反応性の有意な減少があり(対照において、T1で47±3%およびL5で51±3%;FES処理動物において、T1で33±3%およびL5で39±3%)、このことは、新たに生じたグリア前駆細胞がわずかであったことを意味する。二元配置ANOVAは、脊髄レベルの影響を示した(p<0.05、**p<0.001、T1対L5)。スケールバー(A,B)=50μm、(C−E)=10μm。
図12、パネル(a)−(e)は、最後のBrdU注射から2時間後の損傷を受けた脊髄におけるBrdUを用いるGFAP同時局在性の定量化を示す。GFAP免疫反応性は、BrdU+細胞を、病変部位に対する吻側(A)および尾側(B)の星状細胞として分類するために使用された。標識細胞は、主に多極性細胞形態を示した(矢印は、個々のBrdU+/GFAP+細胞を示す)。パネルC−Eは、個々の星状細胞に対する各マーカーの単一共焦セクションを示す。GFAP+細胞の分布パターンは、群間で変化しなかった。BrdU+/GFAP+発現に対する脊髄レベルの影響は同定されなかった。スケールバー(A,B)=50μm、(C−E)=10μm。
図13、パネル(a)−(e)は、最後のBrdU注射から2時間後の損傷を受けた脊髄におけるBrdUを用いるNestin同時局在性の定量化を示す。Nestin免疫反応性は、BrdU+細胞を、病変部位に対する吻側(A)および尾側(B)に見られるトリポテンシャル前駆細胞として分類するために用いた(矢印は、個々のBrdU+/Nestin+細胞を示す)。Nestin+細胞のいくつかは、反応性星状細胞の形態学的サインを示す(アスタリスク)。しかしながら、2%未満がBrdUで二重標識された。パネルC−Eは、典型的なNestin+/BrdU+細胞の単一共焦セクションを示す。Nestin+細胞の分布パターンは、病変部位に対して吻側の群間で変化しなかった。しかしながら、NG2(図4)で示されるように、脊髄レベルの効果があった(二元配置ANOVA、**p<0.001、T1対L5)。最も重要なことには、FESはL5でトリポテンシャル前駆細胞誕生を2倍にした。スケールバー(A,B)=50μm、(C−E)=10μm。
脊髄離断部位から等距離の脊髄レベルT1およびL5での前駆体表現型の定量分析を行い、これにより、FESの効果がなかった領域およびFESの効果が強かった領域における細胞表現型の比較を可能にした。
NG2+、GFAP+またはAPC−CC1+細胞数における定量的な差はなかったが、Nestin+細胞数は、レベルL5でのFES処理により10±3%から19±2%へ2倍になった。Nestin発現における増加がSCIまたはFESによって引き起こされた反応性星状細胞増加のためであるという可能性を除外するために、3重標識法(BrdU/GFAP/Nestin)および共焦顕微鏡を用いた。しかしながら、細胞誕生の増加に寄与している細胞の大部分の表現型を同定する能力は、以前の研究のように、制限されていた。
細胞生存は、損傷レベルより下位で減少した。
標識から少なくとも1週間後、BrdU標識前駆体の数を増加するFESの効果が持続した。しかしながら、FESは、生存しているBrdU標識細胞の割合を変化しなかった。BrdU標識から7日後、両群における細胞生存は、損傷部位よりも下位のレベルの全て(T11、L1、L5)で有意に減少した。対照的に、損傷レベルよりも上位(C2、T7)では、細胞生存は主として変化しなかった。SCI後、神経活動は、損傷レベルより下位の領域で著しく減少する。しかしながら、本発明は、FESが細胞の生存よりもむしろ誕生に優先的に影響を及ぼすようであることを示す。おそらく、活動は、前駆体の最適な分化および生存に必要であり、FES処理の限られた生存に対する影響が、このFES例によって誘導される活動の定量的限界に反映しうるようである。
SCI後の再生および回復に対するFES誘導性神経前駆体増殖の関係
本発明は、FESが損傷を受けた成体CNSにおいて細胞発生を増加することができることの初めての証拠を示す。電気刺激は骨溶解を増加し、末梢神経成長を刺激しようとするために臨床的に用いられるが、CNS再生に応用されたことはない。本研究において、FESに対する細胞誕生/生存応答の規模は、驚くべきことに大きかった(61%〜77%)。全成体ラット脊髄の容量(容量置換によって概算される;506±7mm、密度=1.21g/cm)およびFESによって誘導される細胞誕生の概算に基づくと、本研究において、レベルC2において、約2つの新細胞が1秒毎に生まれる。したがって、ほんの1週間も経たないうちに、100万個の新細胞(修復目的で損傷を受けた脊髄において一般に移植される数と等しい)が生まれた。したがって、これらの内生的に生まれた細胞のポテンシャルを活用することは、損傷を受けたCNSの自己修復に対する合理的なアプローチを示す。本発明の実施例のセクションにおいて見られる実験は、再生および新細胞誕生の1つの指標の実験的分析を最適化するように設計された。
データは、FESが慢性脊髄損傷後の回復を増強しうることを示唆する。FESは、損傷を受けた脊髄における細胞誕生/生存を劇的に増加し、機能的回復に貢献できる1の因子となりうる。活動に基づく回復応用法は、SCIを有する個体のための重要な長期治療標的でありうる。
総腓骨神経の相互の左右相称FESによってもたらされる足踏み様肢運動の、完全な脊髄離断部位に対して近位および遠位の6レベル(C2、T1、T7、T11、L1およびL5)での細胞発生に対する効果が調べられた。図11は、実験概要および損傷レベルとFES刺激レベルとの間の局所解剖学的関係を示す。
FESは合併症の発生率を減少させた。
膀胱感染の発生率は、FESを受けた群において減少した(対照における発生率85±8%に対し、12日にわたるFES処理動物において65±10%;p<0.05、スチューデントt検定、1群につきn=12)。膀胱感染は、尿沈殿中の赤血球および白血球、スツルバイト(struvite)結晶および上皮細胞の存在と同時に起こる血尿または濁った尿の発生によって定義された。どちらの群も、自己消耗、疼痛、または炎症のいずれのサインも示さなかった。
新生細胞の大部分が白質に位置した。
新細胞誕生を示す抗−BrdU標識細胞は、対照および刺激したラットの両方の脊髄において現れた。DNA損傷修復の結果としてアポトーシスを起こした細胞中にBrdUが組み込まれる可能性もあるが、BrdUは、壊死またはアポトーシスによる死を被るように誘導される成熟細胞中に検出可能なレベルで組み込まれない。これらのデータは、BrdU陽性細胞が抗活性化カスパーゼ−3抗体(アポトーシスによる細胞死のマーカー)で同時標識されないという該研究における観察と一致する(データは示さない)。かくして、該研究において評価されたBrdU陽性核は、分裂細胞を示す。
損傷を受けていない成体ラット脊髄における新細胞誕生の以前の報告と一致して、標識された細胞の大部分は、灰白質よりもむしろ白質においてみられた。抗−BrdU標識細胞は、灰白質、特に後角において存在し、少数の標識細胞が中心管の周囲に存在した。データは、移動を反映し、細胞誕生の位置を直接評価しない。
FESは、新細胞誕生/生存の選択的かつ強い増加をもたらした。
定量的立体解析分析は、脊髄レベルと電気刺激の存在の両方が、BrdU標識細胞数の決定における有意な因子であったことを示した。細胞誕生における劇的かつ統計学的に有意な増加は、FES誘導性後肢運動の結果として活動を増強することが予想される領域である腰髄に対して選択的なFES群において観察された(図8)。FES群における細胞誕生は、L1にて61±18%およびL5にて77±11%増加した(標識率、対照対FES、1群につきn=6;L1:2.58対4.16、p=0.02、L5:1.86対3.29、p<0.001)。群間の新細胞の比較可能な数は、T11(4.17対3.83細胞/mm、p=0.48)および離断部位よりも上位(T1、T7およびC2)に存在した。重要なことには、FESの効果は、最後のBrdU注射から7日後に細胞生存が調べられたときに、存続していた(標識率、対照対FES、1群につきn=6;L1:1.62対2.29、p<0.001、L5:1.58対2.39、p<0.001)。
FESは健康な脊髄に影響を及ぼさなかった。
Long Evansラットにおける細胞誕生のベースラインを設定するために、ならびに損傷およびFESの相互作用効果を評価するために、発明者らは、正確なFES処理およびBrdU注射パラダイムを受けた非損傷ラットの群(n=6)に対して結果を比較した。動物は、最後のBrdU注射から2時間後に殺された。いずれのレベルにおいても群間にBrdU陽性細胞数の差はなかった(標識率、対照対FES、1群につきn=3;C2:1.15対1.17、T1:1.2対1.0、T7:1.18対1.05、T11:1.12対1.32、L1:1.17対0.9、L5:0.83対0.8)。損傷を受けた脊髄よりも正常な脊髄において、生まれた細胞数は有意に少なかった(標識率、SCI対照対NO損傷対照;C2:2.3対1.2、T1:3.0対1.2、T7:4.1対1.2、T11:4.2対1.1、L1:2.6対1.2、L5:1.9対0.8)。
ほとんどのBrdU標識細胞が病変部位の周囲で見られた。
病変より上位での細胞誕生/生存の損傷関連パターンは、2つの群間で類似し、SCIが新細胞誕生を誘導することを示す以前の研究と一致していた(図13)。離れたC2およびL5レベルと比べて、脊髄病変の周囲の細胞誕生/生存における有意な増加があった(C2対T7:65±13%;C2対T11:58±9%;L5対T7:113±9%;L5対T11:107±12%;二元配置ANOVA:上記に示される全比較は、有意であったp<0.05、対照群中n=6)。FES処理群において、病変の上位であって、下位ではない細胞数において、同様の差が観察された。
BrdU標識細胞は、主に、グリアおよび前駆体マーカーを発現した。
両群における抗−BrdU標識細胞の表現型分析は、5日目のBrdUパルス標識の直後に生まれ、評価された細胞の大部分が、特に損傷から遠いセグメント(C2、T1、L1およびL5)において神経細胞であったことを示した。抗−BrdU標識細胞は、トリポテンシャル前駆体(Nestin)、グリア前駆体(NG2)、星状細胞(GFAP)および乏突起膠細胞(APC−CC1)のマーカーを発現した。群間で、NG2(T1で49±3%;L5で36±3%)、GFAP(T1で45±3%;L5で40±3%)またはAPC−CC1(5%未満)発現において定量的な差はなかった(図14−16)。しかしながら、Nestin陽性細胞の数は、FES処理によって、レベルL5で10±3%から19±2%へほぼ2倍になった。BrdU/Nestin陽性トリポテンシャル前駆体と増殖性有糸分裂後星状細胞とを区別するために、GFAPを用いて3重標識法を行った。BrdU/Nestin陽性細胞の大部分(>90%)は、GFAPを発現しなかった。したがって、表現型によって同定可能な細胞のほとんどは、トリポテンシャル前駆体である(図10)。細胞の増加した数のほとんどを同定することのできる限られた能力は、以前の研究における同様にの低い割合に一致する。
ミクログリア、マクロファージおよび内皮細胞は、病変部位周辺での細胞誕生/生存の増加に最小限に寄与した。
他の非神経細胞型が該研究において測定された全細胞誕生/生存に寄与したという可能性を調べるために、マーカー抗−ED1およびOX−42を用いて、組織マクロファージおよびミクログリアの存在を決定した(図10)。ED−1およびOX−42は、損傷部位周辺のマクロファージおよびミクログリアを標識し、それらの数は、損傷部位からの距離に応じて迅速に減少した。マクロファージは、また、その特徴的な細胞体形状および偏心核ならびにそのビフリンジェント(bifringent)な封入体によって容易に識別できた。抗−BrdUでの二重標識は、これらの細胞の非常に少数がBrdU陽性であったことを示した(2%未満)。抗−BrdU標識は、また、内皮細胞または血管の周皮細胞において時折観察されたが(特徴的な形態、位置および特異的マーカー(抗−CD31、抗−Glut−1)に対する免疫反応性によって同定される)、細胞の総数は小さく(1.5%未満)、ほとんど、損傷部位周辺のレベルに限られた(T8/T11)。かくして、ミクログリア、マクロファージおよび内皮細胞は、損傷部位から遠いレベル(C2、T1、L1およびL5)で測定されたBrdU標識細胞数に、実質的に寄与しなかった。
脊髄損傷後の神経発生の不在
抗−BrdUおよび初期または後期ニューロンマーカー(抗−NeuN、抗−TUJ1、抗−PSA−NCAM、および抗−ダブルコルチン)で二重標識された細胞に関する注意深い探求にもかかわらず、新生ニューロンの表現型は同定されなかった。脊髄は、回復のあまりに早い時点で調べられたので、ニューロンの直接的な証拠が見られなかったと考えられ、回復のもっと遅い段階を調べる後期の研究は、神経細胞の誕生および生存増加ならびに機能回復と一致するニューロンの存在を明らかにすると考えられる。
実施例3−ヒト対象におけるCNSの機能的再組織化および安定性
体性感覚皮質および運動皮質の機能的再組織化が、高頚髄損傷を有する個体(上記実施例1のヒト対象)において調べられた。上記のように、対象は、肩および肩より下位でほとんど全ての知覚および運動機能の5年間の欠如を示し、激しくて持続的なリハビリテーション療法後、6−8年でいくらかの機能の珍しくて驚くべき回復を示した。結果は、出典明示により、その引用文献と共に全体として本明細書の一部とされるCorbettaら、Proc. Natl. Acad. Sci. 99: 17066-71(December 24, 2002)に十分に記載されている。
震動性刺激に応答した対象の脳活動および病変より上位および下位の身体部分の随意的運動を研究するために、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた。手の震動性刺激に対する応答は、主要な体性感覚皮質(SI)手領野において観察されず、それは、逆に、通常、より側面の顔領野においてのみ応答を誘起する舌運動の間に漸増された。該結果は、以前に報告された動物およびヒトにおける末梢病変後の神経可塑性変化に類似するSI再組織化を示唆する。対照的に、脚の震動性刺激は、SIおよび二次体性感覚皮質(SII)において局所解剖学上適当な応答を誘起した。運動皮質応答は、視覚運動追跡作業によると、ほぼ典型的なトポグラフィーを示したが、それらは運動前野においてより広がっていた。これらの知見は、脊髄損傷後数年間、明白な運動または意識的な知覚がない場合の運動の保存およびいくらかの体性感覚皮質表現と一致し、将来のリハビリテーションおよび神経修復療法に影響がある。
切断または末梢神経損傷による重篤な知覚喪失は、大いに、一次体性感覚皮質(SI)の反応および局所解剖学的組織化を改変させる。脊髄損傷(SCI)後の皮質応答における該改変は、あまりよく知られていない。切断個体とは反対に、SCIを有する個体は、正常な体を保持し、そのことが、特に、損傷レベルを横切る残存繊維および潜在的にいくつかの機能的連結を有する部分的SCIを有する個体において、皮質再組織化に有意に影響を与えうる。損傷直後の皮質反応を評価することが重要な実際的な論点となり、回復の過程において、進行中ならば、移植またはFESによって誘起されるパターン化された運動のような他の手段によって機能を復活させる努力が成功する。血液酸素飽和レベル依存性(BOLD)コントラストを用いる機能的MRI(fMRI)は、デオキシヘモグロビンの局所的組織濃度における作業関連性の変化をモニタリングすることによって、ニューロン活動を評価するための非侵襲性の方法を提供する。
これらのfMRI結果は、ヒト対象における皮質体性感覚−運動野のマッピングを提供する。対象の独特の病歴が運動完全麻痺および知覚ほぼ完全麻痺として臨床的に評価された後、後期の機能部分的回復を包含する場合、fMRI研究により、損傷レベルより上位および下位での対象の体性感覚および運動皮質応答の局所解剖学的正常性を決定し、SCIからの後期回復に続く可能な皮質再組織化の研究が試みられた。
対象
実施例1は、1995年に42歳で乗馬事故により変位C2 II型歯状突起骨折を被った50歳の右利き男性の病歴について詳述する。他の永久的損傷、特に頭部損傷は、SCIを悪化させなかった。臨床上の評価により、左半身におけるむらのある感覚を除き、5年間、該病変レベルより下位に運動または体性感覚機能がなかった。彼は、胸部横隔膜および発声の筋肉の機能損傷のため、発声不全有声化(hypophonic vocalization)を伴うベンチレーターに依存している。対照対象は、正常な神経病および精神病歴を有する23歳の男性であった。
視覚運動追跡
対象は、黒色背景に対する黄緑色のテニスボールのビデオ画像に動きを合わせることを求められた。対象は、頭部コイルに取り付けられた鏡に見える背景映写スクリーン上の画像を眺めた。ボール(直径≒4°)は規則的に、固視点の左/右に跳んで(≒4°ジャンプ、0.83−Hz速度)、舌の左/右移動を導き(舌は唇に対して突き出し、動かす)、固視点の上/下に跳んで、左人差し指の移動を導き(中手指関節で)、残りの期間静止していた。視覚モニタリングは、両方の対象が一貫してボール運動を追跡したことを示した。移動範囲および移動力はSCI対象においてより小さかった。SCI患者は左人差し指でのより良好な追跡を維持したので、該指について試験した。対象は、fMRIの間、指を見ることはできなかった。一貫性の試験のために、全触覚刺激を左肢にも付与した。
振動触覚刺激
マッサージバイブレーターは、閾値上触覚刺激を誘導した。以前に陽電子断層撮像研究において使用された該装置は、電気モーターをリモートエアコンプレッサーに接続された空圧駆動に置き換えることによって、磁気共鳴適合性にされた。該バイブレーターは、約100Hzの基礎振動数を中心とした約2mmの変位振動を誘導した。該バイブレーターの頭部は、刺激および残りの期間と通して、左指および掌または左足の足底に対して手動で支えられた。正確な皮膚変位は不明だが、刺激の規模はおそらく、刺激を受けた肢の遠位部位のほとんどの皮膚生理的刺激受容体、隣接するより深部の組織および固有受容体を活性化した。
MRI収集
MRIの間、SCI対象に酸素を補給し、特別注文の磁気共鳴適合性セットアップ(Shielding Resources Group, Tulsa, OK)において、生理学的パラメーターを連続的にモニターした(Magnitude/Millenium麻酔モニタリング、Invivo Research, Inc., Orlando, FL)。全MRIは、1.5−Tesia Magnetom Visionスキャナーおよび円偏光ヘッドコイル(Siemens, Erlangen, Germany)を用いた。3D構造のT1−強調磁化調製高速グラジエントエコーMRI(T1-weighted magnetization-prepared rapid gradient echo MRI)を収集した。fMRIは、BOLDコントラスト(繰り返し時間=2,360ms、T2展開時間=50ms、α=90°)に感受性の特別注文のT2−強調非対称スピンエコー−プラナーシークエンスを用いた。各fMRI実行の間、20個の隣接する厚さ6mmスライスの128セットを前交連−後交連面(3.75x3.75mm面ボクセルサイズ)に平行して収集し、それにより、完全な脳適用範囲を可能にした。該プロトコールは、頚部における外科用金属にもかかわらず、脳における有意なシグナル喪失または歪みを伴わずに、SCI対象の画像を与えた。知覚および運動fMRIは、1セッションにつき8−10fMRIランおよび1ランにつき128フレーム(346.75s)を用いることによって異なる撮像セッションにおいて収集された。知覚fMRIの場合、4ランが各刺激された肢につき得られ、各ランは、3フレームの刺激と刺激のない5フレームとを交互に繰り返す15試行による8つのベースラインフレームを含有した。運動fMRIの場合、各作業(舌および指)につき4ないし5ランが得られ、各ランは、5つの作業フレームと5つの休止フレームを交互に繰り返す12試行を有した。
MRIデータ分析
脊髄は、ANALYZE AVW4.0(Mayo Foundation, Rochester, MN)およびSun Fire V880コンピューター(Sun Microsystems, Santa Clara, CA)を用いることによって、面積測定および3Dディスプレイのための構造MRIからセグメントに分けられた。fMRIデータは、Burtonら、J. Neurophysiol. 87: 589-607 (2002)およびCorbettaら、Neuron 21: 761-73 (1998)に記載のように分析された。一般的な線状モデルは、血行力学的応答形状を想定することなく、各対象および各作業(例えば、舌移動)におけるBOLD応答を評価した。BOLD時間経過は、体性感覚作業の場合、8フレーム(21.67s)にわたり、運動作業の場合、10フレーム(27.09s)にわたり、各ボクセルにおいて概算された。fMRIデータは、3D 2−ボクセル ガウシアンカーネル(Gaussian kernel)を用いて平坦化し、統計学的分析の前にタライラッハ(Talairach)アトラスに変形させた。統計学的地図は、概算されたBOLD時間経過と、作業および調節期間を示している矩形関数と遅延性ガンマ関数の畳み込みによって得られた参照血行力学的応答関数との間の相互相関に基づいていた。誘導されたボクセルあたりのt統計値は、正常に分布されたzスコアに変換し、Monte Carlo刺激(S.D. Formanら、Magn. Reson. Med. 33: 636-47 (1995)において記載された方法に基づく)から得られた分布を用いることによって、脳全体にわたる複数の比較に対して補正した。これらの画像は、少なくとも3つの顔に隣接するボクセルにわたり、4.5のzスコア値につきP=0.05の閾値を用いることによって調べられた。統計学的地図は、側方半球表面の3D図および平坦化した皮質の2D図の両方において、標準的な脳アトラスにおいて計画された(Van Essenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 788-95 (1998); http://stp.wustl.edu/resources/caretnew.html参照)。
脊髄の構造MRI
SCI対象におけるT1−強調MRIは、C2領域中の組織断面積において75%以上の喪失を示した。
図14は、SCI対象における頚部SCIのT1−強調MRIを示す。上部パネルは、C2椎体の底部中のC2歯状突起のチップ由来の脳幹下部および頚髄セグメントの縦の3D画像(後ろから見た)を示す。真ん中のパネルは、脊髄管(SC)に関連する小さなサイズの脊髄を示す損傷ゾーンの選択された低倍率画像を示す。画像は、脊髄の長軸に対し直角であり、小脳扁桃より40、46および51mm下位のレベルにある(各々、左、中央および右)。一番下のパネルは、同じ3つの横断画像の高倍率図を示し、慢性組織損傷(脊髄軟化)または瘢痕化と一致する低T1−強調シグナルの病巣領域を示す。これらの部位の位置および形状は、変化し、中央の卵形(赤色矢印)、裂け目(青色矢印)およびいくつかの末梢病変(黄色矢印)を包含する。Lは左を示し、Rは右を示す。
さらに、残りの脊髄の異なる部分において、組織損傷(脊髄軟化)の複数の病巣領域があった。病変を横切る白質経路の連続性は、特に、小さな脊髄サイズならびにレベル内およびレベルを横切る複数の損傷領域があっても、これらの画像のみから決定することはできない。
SCI患者の病歴
運動および体性感覚機能の最初の回復は、受動的範囲の運動および免荷起立状態を包含する標準的な物理療法から数年後の2000年に開始した。回復は、対象がより激しい物理療法計画に登録した後、2002年に増進した。物理療法は、週に3回、図2に示されるようなエクササイズ自転車を漕ぐようにコンピューターで同調させた脚筋の機能的電気刺激の1時間セッションを包含した。最後の2年における頻繁な標準的臨床試験は、左人差し指、右手首、より最近では下肢の自発的な小さな動きを示した。同時に、SCI対象は、触覚刺激時に強い感覚を感じること、ならびに上肢および下肢の受動的な動きを報告した。下肢由来の知覚は、より強かった。彼は、背面および掌表面を包含する手または足に対する触覚刺激のおおよその場所を特定することにおいて、良好な精度を有した。彼はまた、刺激を受けた手指または足指(足指よりも手指がよい)を同定することができた。
運動追跡作業
図15は、3Dで視覚的に導かれた運動作業に対するBOLD応答および標準的な脳の平坦化した図を示す。アトラス脳の3Dおよび2D平坦図が、視覚運動追跡作業に対して投影されたBOLD応答と共に示される。カラースケールはzスコアを示す。図15Aは、対照対象を示し、図15BはSCI対象を示す。
対照対象における舌の動きは、中心前回、中心溝および中心後回の腹側セグメントを相互に活性化した(図15A、SMfc)。これらの領域は、おそらく、一次感覚および運動皮質顔面野に対応する。視覚運動追跡作業におけるSIの漸増は、おそらく、正常な運動に関連する触覚および固有受容知覚フィードバックシグナルを反映する。有意な活性は、また、帯状溝(補足運動野/前帯状領域)に沿った内側前頭皮質、および視覚後頭皮質において起きた。
左人差し指の動きは、反体側性(右)中心前回溝の中央セグメントにおいて最も強い活性をもたらした(図15A、Mh)。該応答は、舌運動の間に活性な点のおよそ2cm上であった。より小さな応答が、右頭頂弁蓋において起き、中心溝および中心後回内で相互に起きた(SI、領域3b)。これらはおそらく、知覚フィードバックに関連した。
最後に、舌運動について観察されたのと同様に、補足運動野/前帯状領域において、相互的な応答が観察された。SCI対象において、両運動作業の間のBOLD応答は、対照対象において観察されたものよりも強く、広かった(図15B対A)。舌運動は、腹側中心前回、中心溝および中心後回(一次体性感覚−運動皮質、SMfc)において、SI/M1の顔面野を活性化した。活性は、手の領野中に背側に広がり、二次体性感覚皮質(SII)および前頭弁蓋のような隣接領域により広範囲に広がった。
背外側前頭前皮質および補足運動野/前帯状領域の強い活性もあった。左人差し指の運動は、対側性M1手領野(Mh)、前頭弁蓋、SII、帯状皮質、ならびに側方および内側の頭頂葉皮質を強く活性化した(図15B)。SI/M1顔面野には広がらなかった。腹側および背面側の両方での視覚皮質の漸増は、対照対象よりもSCIにおいて、SCI対象において舌運動よりも指運動の間に、非常に強かった(図15B)。一の実験において、足に隣接する全皮質および皮質下の領野はひどく欠損していたので、SCI対象が無傷表現(representation)との競合のための視覚フィードバックを用いないで左指運動を行った間に、fMRIが収集された。このことは、おそらく、SI足領野を、損傷レベルで残存している繊維を介して伝えられたいずれかの入力に影響を受けやすい状態にした(図14)。
臨床上の変化は、本発明の方法にしたがう下肢のFESによって誘起されるパターン化された運動を含むより強力なリハビリテーション後に増進した。SCI対象は、強い触覚振動に対するSI手領野における応答の証拠がほとんどないにもかかわらず、触覚刺激を手に特定することができた。手の振動刺激は、SII、および通常、受動刺激の間に応答しないが、注意の必要な触覚識別作業の間に活性になる付加的な中心後および後部頭頂体性感覚領域を漸増した。さらに、より後方の多様な頭頂領域の漸増が観察された。
体性感覚地図において見出された変化とは対照的に、一次運動野は、何年も運動しなかったにもかかわらず、より正常に近かった。指運動は、M1の限られた中央セグメントを活性化し、一方、舌運動は手SI領野を活性化したが、隣接するM1領域を侵略しなかった。
二次運動野(運動前および帯状皮質)は、対照対象に対し、SCIにおいてより活性化された。さらに、多くのより高オーダーの領域(例えば、後部頭頂、側頭、および背外側前頭前皮質)が、SCI対象において、舌より指運動の場合により多く漸増された。舌運動は病変より上位のニューロンを利用するが、これらの運動は、病変にて、または病変の下位にC2−C5筋節を有するいくつかの筋群(例えば、横隔膜または副呼吸筋)の協調を必要とするので、異常に広がった活動ネットワークが誘起されたことは驚くべきことではない。
視覚および運動情報の結合は、運動行為を補助し、自己時間設定した(self-timed)運動と比べて、より強力で、より幅広い活動を導いた。視覚的に導いた運動対導かれない運動における差は、これらの影響が2つの作業において類似していたので、より大きな努力または固有受容フィードバックの欠如によってだけでは説明できない。かくして、おそらく、テニスボール画像の規則的な振幅が、より維持された規則的な運動を計画し、実行するために必要なタイミングおよび方向の情報を提供したようである。
回復を伴わないSCIの研究において、正常な運動皮質応答は、胸腰部対麻痺を有する9/9対象において試みられた/想像された足指運動の間に見出されたが、3/9対象において受動的な無意識の移動に対するより弱い知覚皮質応答があった。正常なSII活性化は、3/3対麻痺において表れたが、たった1つの対象において弱いSI足活性化が見られた。本明細書のデータは、SCI後何年も経って部分的回復を示す稀な事例において、皮質のトポグラフィー(顔 対 手 対 足)の保存および再配列を評価することによって、その研究を広げた。
損傷よりも下位由来の感覚または運動がないという長期の病歴を与えられた四肢麻痺の体性感覚および運動野におけるいずれかの正常なトポグラフィーの知見は、驚くべきものである。これらのfMRIの知見は、重篤であるが、全体的なSCIではない患者におけるFESによって誘起されるパターン化された運動のプログラムを包含する異例の激しいリハビリテーション療法と一致した。
これらの皮質応答は、病変を横切る神経結合の再建により運動および知覚機能を再確立できるらしいことを示唆するので、脱神経の数年後にこれらの皮質応答が存在するだけで、脊髄連絡を再建することを目的とする治療法の目標と一致する。
他の具体例
上記の詳細な記載は、本発明を実施するにあたり当業者を援助するために提供される。しかしながら、本明細書に開示される特定の具体例は、本発明のいくつかの態様として考えられるべきものであるので、本明細書に記載され、請求される本発明は、これらの具体例によって範囲を制限されるものではない。いずれの等価の具体例も、本発明の範囲内にあるとされる。実際、本明細書に示され、記載されるものの他に、本発明の精神または範囲から逸脱することのない本発明の種々の修飾が、上記の記載から当業者に明らかになるであろう。かかる修飾は、また、添付の請求の範囲内にあるとされる。
引用文献
本出願において引用される全ての出版物、特許、特許出願および他の参考文献は、個々の各出版物、特許、特許出願または他の参考文献が特別に個々に、出典明示により全ての目的で全体として本明細書の一部とされることが示されている場合と同程度に、出典明示により、全ての目的で全体として本明細書の一部とされる。本明細書における参考文献の引用は、本発明の先行技術であると認めたものと解釈されるべきではない。
(原文に記載なし)

Claims (67)

  1. 治療上有効量の機能的電気刺激(FES)によって誘起されるパターン化された運動に哺乳動物対象を曝すことを含む、治療の必要な哺乳動物対象において中枢神経系(CNS)損傷を治療する方法。
  2. 治療上有効量の機能的電気刺激(FES)によって誘起されるパターン化された運動に哺乳動物対象を曝すことが、神経細胞の再生に十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことからなる請求項1記載の方法。
  3. 神経細胞の再生に十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことが、神経細胞の誕生を促進するのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことからなる請求項2記載の方法。
  4. 神経細胞の再生に十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことが、神経細胞の生存を増進するのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことからなる請求項2記載の方法。
  5. 神経細胞の再生に十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことが、神経シグナル伝達能力を増進するのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことからなる請求項2記載の方法。
  6. 神経シグナル伝達能力を増進するのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことが、CNS損傷部位において、またはその周辺で、神経細胞と神経細胞が新たなシナプス結合を再形成するように神経細胞においてシナプス変化を起こすのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に哺乳動物対象を曝すことからなる請求項5記載の方法。
  7. CNS損傷が脊髄損傷を含み、神経細胞が脊髄神経細胞を含む請求項6記載の方法。
  8. CNS損傷が急性外傷または慢性疾患を含む請求項2記載の方法。
  9. 急性外傷が、脊髄の完全な切断、脊髄の部分的な切断、および卒中のうち少なくとも1つを含む請求項8記載の方法。
  10. 慢性疾患が、多発性硬化症、癌、腫瘍転移、ハンチントン病、アルツハイマー病、ALS、および加齢による神経変性影響からなる群から選択される請求項8記載の方法。
  11. 哺乳動物対象が運動完全麻痺または知覚完全麻痺である請求項2記載の方法。
  12. 神経細胞がトリポテンシャル前駆細胞、グリア前駆細胞、星状細胞および乏突起膠細胞またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも1つを含む請求項2記載の方法。
  13. FESによって誘起されるパターン化された運動が脊髄における中枢パターン発生器を活性化する請求項2記載の方法。
  14. パターン化された運動が、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること、つま先をとがらせること、膝の屈曲、股関節の屈曲、着席、起立、およびジャンプのうち少なくとも1つを含む請求項2記載の方法。
  15. FESが、臀筋、傍脊椎筋、腹筋、手首伸筋、三角筋、二頭筋、三頭筋、膝屈筋、および四頭筋からなる群から選択される少なくとも1つの筋肉または筋肉群に加えられる請求項14記載の方法。
  16. 機能的電気刺激が外部から筋肉または筋肉群に加えられる請求項2記載の方法。
  17. 機能的電気刺激が内部から筋肉または筋肉群に加えられる請求項2記載の方法。
  18. 機能的電気刺激が少なくとも1日に約1時間、少なくとも週に3回加えられる請求項2記載の方法。
  19. 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動が、3Vおよび20Hzで送達される200μs単相パルスで電子刺激を送達することを含む請求項2記載の方法。
  20. 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動の誘導が、対象のASIAスコアを少なくとも1グレード増加させるのに十分なFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することからなる請求項2記載の方法。
  21. 対象のASIAスコアが治療開始前にAである請求項20記載の方法。
  22. 対象が運動完全麻痺または知覚完全麻痺である請求項20記載の方法。
  23. 対象が運動不全または知覚不全である請求項20記載の方法。
  24. CNS損傷を受けている治療の必要な対象において神経細胞を再生する方法であって、対象の末梢神経系神経と連絡している対象の筋肉に機能的電気刺激(FES)を加えることを特徴とし、該FESは対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分であり、ここに、該パターン化された運動が末梢神経系神経の機能的電気刺激と関連して、対象のCNSにおいて神経細胞の誕生および生存を促進することによって、対象において神経細胞を再生することを含む方法。
  25. 対象が運動完全麻痺である請求項24記載の方法。
  26. 対象が知覚完全麻痺である請求項24記載の方法。
  27. 神経細胞が脊髄神経細胞である請求項24記載の方法。
  28. 神経細胞が少なくとも部分的に再建した神経シグナルを伝達することができる請求項27記載の方法。
  29. 少なくとも部分的に再建した神経シグナルが脊髄損傷部位を横切る請求項28記載の方法。
  30. 少なくとも部分的に再建した神経シグナルが脊髄損傷を受けている対象の脳において開始し、末梢神経系神経細胞と連絡している筋肉において終結する請求項29記載の方法。
  31. 末梢神経系神経細胞において終結している少なくとも部分的に再建した神経シグナルが筋肉に収縮を引き起こす請求項30記載の方法。
  32. 対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分なFESが、末梢神経および脊髄における神経シグナル活性、次いで、そこでの神経シグナル不活性のサイクルを誘起するのに十分な末梢神経系の刺激からなり、ここに該サイクルが繰り返される請求項31記載の方法。
  33. 神経シグナルサイクルが筋肉にパターン化された運動を行わせるのに十分である請求項32記載の方法。
  34. パターン化された運動が相互運動を含む請求項33記載の方法。
  35. 相互運動が、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること、つま先をとがらせること、膝屈曲、股関節屈曲、着席、起立、およびジャンプのうち少なくとも1つを含む請求項34記載の方法。
  36. 機能的電気刺激によって誘起される運動を用いてCNS損傷部位において、またはその周辺で神経細胞を再生することを特徴とする、治療の必要な対象においてCNS損傷を治療する方法。
  37. 対象が運動完全麻痺である請求項36記載の方法。
  38. 対象が知覚完全麻痺である請求項36記載の方法。
  39. CNS損傷が脊髄損傷を含み、神経細胞が脊髄の細胞を含む請求項38記載の方法。
  40. 神経細胞が神経シグナルを伝達することができる請求項39記載の方法。
  41. 神経シグナルが脊髄損傷部位を横切る請求項40記載の方法。
  42. 神経シグナルが脊髄損傷を受けている対象の脳において開始し、末梢神経系神経細胞と連絡している筋肉において終結する請求項41記載の方法。
  43. 末梢神経系神経において終結している神経シグナルが筋肉に収縮を引き起こす請求項42記載の方法。
  44. 対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分なFESが、末梢神経および脊髄における神経シグナル活性、次いで、そこでの神経シグナル不活性のサイクルを誘起するのに十分な末梢神経系の刺激からなり、ここに、該サイクルが繰り返される請求項43記載の方法。
  45. 繰り返された神経シグナルが、パターン化された運動を行うように筋肉を活性化するのに十分である請求項44記載の方法。
  46. パターン化された運動が相互運動を含む請求項45記載の方法。
  47. 相互運動が、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること、つま先をとがらせること、膝屈曲、股関節屈曲、着席、起立、およびジャンプからなる群から選択される請求項46記載の方法。
  48. CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、該対象において、CNS損傷のために以前は患者にとって達成できなかった運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む方法。
  49. 対象において、運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することが、CNS損傷の部位において、またはその周辺で神経細胞の誕生および生存を促進するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することからなる請求項48記載の方法。
  50. 対象において、運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することが、対象のCNSにおける神経活動を下肢神経の刺激によって創造するのに十分な量のFESを誘導することからなる請求項48記載の方法。
  51. 下肢神経の機能的電気刺激が、対象の下肢のパターン化された運動をもたらす請求項50記載の方法。
  52. 下肢が対象の脚部を含む請求項51記載の方法。
  53. パターン化された運動が相互運動を含む請求項52記載の方法。
  54. 相互運動が、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること、つま先をとがらせること、膝屈曲、股関節屈曲、着席、起立、およびジャンプのうち少なくとも1つを含む請求項53記載の方法。
  55. 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を対象において誘導することを特徴とする、運動完全麻痺対象において運動機能を少なくとも部分的に回復する方法。
  56. 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を対象において誘導することを特徴とする、知覚完全麻痺対象において知覚機能を少なくとも部分的に回復する方法。
  57. 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を対象において誘導することを特徴とする、運動および知覚の両方が完全に麻痺している対象において運動および知覚機能を少なくとも部分的に回復する方法。
  58. 治療の必要な運動完全麻痺または知覚完全麻痺対象を同定し;
    機能的電気刺激によって誘起されるパターン化された運動を用いて、該対象の脊髄において神経細胞を再生し;次いで
    該治療過程の間および治療後に、該対象をモニターして神経細胞再生の効果を評価する
    ことを特徴とする脊髄損傷を治療する方法。
  59. 対象において、CNS損傷によってその調節に影響を及ぼされた筋肉に、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを特徴とし、ここに、CNS損傷が起こった6ヶ月以上後に該誘導が開始される、CNS損傷を受けている対象における知覚または運動機能の後期回復方法。
  60. CNS損傷が脊髄損傷を含む請求項59記載の方法。
  61. CNS損傷が急性外傷または慢性疾患を含む請求項59記載の方法。
  62. 急性外傷が、脊髄の完全な切断、脊髄の部分的な切断、および卒中のうち少なくとも1つを含む請求項61記載の方法。
  63. 慢性疾患が、多発性硬化症、癌、腫瘍転移、ハンチントン病、アルツハイマー病、ALS、および加齢による神経変性影響からなる群から選択される請求項61記載の方法。
  64. 哺乳動物対象が運動完全麻痺または知覚完全麻痺である請求項59記載の方法。
  65. 対象の末梢神経系神経と連絡している対象の筋肉にFESを加えることを特徴とし、該FESは、対象の四肢のパターン化された運動を調整している中枢パターン発生器を刺激するのに十分であり、その結果、該中枢パターン発生器の刺激が、対象のCNSにおいて神経細胞の誕生および生存を促進することによって、対象において神経細胞を再生することを含む、CNS損傷を受けている対象において神経細胞を再生する方法。
  66. 中枢パターン発生器のFES刺激を用いてCNS損傷部位において、またはその周辺で神経細胞を再生することを特徴とする、治療の必要な対象においてCNS損傷を回復する方法。
  67. CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、対象においてパターン化された運動を誘起するように形成されたFESを用いて、対象において中枢パターン発生器を刺激することを含む方法。

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