JP2006508707A - 中枢神経系損傷の治療法 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2002年9月4日に出願された仮出願番号第60/408,214号から優先権を主張し、これは、出典明示により全体として本明細書の一部とされる。
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)、国立神経疾患脳卒中研究所(National Institutes of Neurological Disorders and Stroke)認可NS40520のもと、一部、政府の支持によってなされた。政府は、本発明においてある特定の権利を有しうる。
本発明は、概して、医薬の分野、および中枢神経系(CNS)に対する損傷に起因する神経機能の崩壊を治療する方法、より詳細には、CNS損傷を受けている対象において運動および知覚機能を回復する方法に関する。
本発明は、失われた、または損傷を受けたニューロンの活動を必要とするいかなる機能の回復も不可能だと以前は思われていたような広範囲なCNS損傷を有する個体を包含する、CNS損傷個体において運動および知覚機能を回復することに対する新規なアプローチを提供する。該方法は、一部、高頚部(C2)外傷性損傷を有する運動完全麻痺のヒト対象における驚くべき知見に基づいている。該患者は、損傷後5年にわたって、左半身にむらのある感覚だけを示した。患者の下肢におけるパターン化された運動を誘起するのに十分な機能的電気刺激(FES)の適用を包含した物理的療法の計画で治療した場合、該患者は、損傷後6−8年の間に、予想外の後期の部分的な運動機能回復を示した。該方法はまた、一部、脊髄損傷ラットモデルにおける補足的な実験的知見に基づき、それは、ラットにおける神経細胞再生および運動機能に対する該方法の驚くべき効果を示す。
別の具体例において、該方法は、CNS損傷を受けている対象において神経細胞を再生するための方法を包含し、対象の末梢神経系神経と連絡している対象の筋肉に機能的電子刺激(FES)を加えることを含み、ここに、該FESは対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分であり、その結果、FESと関連して該パターン化された運動が、対象のCNSにおいて神経細胞の誕生および生存を促進することによって、対象において神経細胞を再生する。
別の具体例において、該方法は、CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復する方法をであって、該対象において、CNS損傷のために以前は患者にとって達成できなかった運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、知覚完全麻痺対象において知覚機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、該対象において、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、治療の必要な運動完全麻痺または知覚完全麻痺対象を同定し、機能的電子刺激によって誘起されるパターン化された運動を用いて、該対象の脊髄において神経細胞を再生し、次いで、該治療過程の間および治療後に、該対象をモニターして神経細胞再生の効果を評価することを含む方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、対象の末梢神経系神経と連絡している対象の筋肉に機能的電子刺激(FES)を加えることを含む、CNS損傷を受けている対象において神経細胞を再生する方法であって、ここに、該FESは対象の四肢のパターン化された運動を調整している中枢パターン発生器を刺激するのに十分であり、その結果、該中枢パターン発生器の刺激が、対象のCNSにおいて神経細胞の誕生および生存を促進することによって、対象において神経細胞を再生する方法を包含する。
別の具体例において、該方法は、CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、対象においてパターン化された運動を誘起するように形成されたFESを用いて、該対象において中枢パターン発生器を刺激することを含む方法を包含する。
図1は、SCIを有するヒト対象における内部安定化後の頸椎の開口図(A)および側面図(B)を示しているX線フィルムを示す。
図2は、FES自転車の概略図を示す。
図3は、対象、5年前に外傷性SCIを受けたヒト患者において、C−2レベルでの外傷後嚢胞および重症の脳軟化を示す頚髄の一連のMR画像を示す。
図5は、SCIからヒト患者が著しく回復したことを表すグラフを示す。
図6は、1995〜2002年のヒト患者のASIAグレードを比較する概略図である。
図7(b)は、脊髄損傷ラットモデルのための実験計画のタイムラインである。
図8は、慢性SCI後の成人脊髄における新規な細胞の誕生を示す。
図9(a)は、下位腰部セグメントに対して保有された新細胞誕生におけるFES誘導性選択的増加を示すBrdU標識細胞の定量的カウントの結果を示す。
図9(b)は、図8(a)において示された効果が7日後、細胞生存群において持続したことを示す。
図11(a)−(e)は、最後のBrdU注射の2時間後に脊髄損傷を受けた後のBrdUとのNG2(グリア前駆細胞マーカー)共局在化の定量を示す。
図12(a)−(e)は、最後のBrdU注射の2時間後に損傷を受けた脊髄におけるBrdUとのGFAP(星状細胞マーカー)共局在化の定量を示す。
図14は、図1−6のSCI対象において頚部SCIのT1−強調MRIの複数の図を示す。
図15は、視覚運動追跡作業に対する投影されたBOLD応答と共に、アトラス脳の3Dおよび2D平面図を示す。
図17は、SCIヒト対象および対照対象間の一次体性感覚皮質(SI)における機能的トポグラフィーの比較である。
定義
本発明の理解を容易にするために、本明細書中で使用される特定の用語を下記に定義する。
本明細書中で使用される場合、「治療上有効」なる語は、FESによって誘起されるパターン化された運動の量の特徴をいい、ここに、該量は、対象における神経細胞の再生と共に、以前に失われた運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分なものである。運動完全麻痺または知覚完全麻痺対象のような対象において、以前に失われた機能の少なくとも部分的な回復が観察される場合、神経細胞の再生が起こると考えられる。損傷を受けていないスペアのニューロンの存在が機能の回復に部分的に寄与しうる他の対象において、神経細胞の再生は、fMRIおよび他の画像化技術を用いて、または当該分野で既知の他の組織評価法を用いて評価することができる。
本明細書中で使用される場合、「神経細胞」なる語は、トリポテンシャル前駆細胞、グリア前駆細胞、星状細胞および乏突起膠細胞、またはそのいずれかの組み合わせ、ならびに発達上、神経上皮から誘導されうるいずれか他の細胞を包含する。
本明細書中において交換可能に使用される場合、「機能的電気刺激」および「FES」なる語は、外部からの電流を筋肉または筋肉群に加え、それにより、通常はCNSによる随意または不随意の調節に付されるであろう身体運動を誘起する電気療法の形態をいう。
本明細書中で使用される場合、「パターン化された運動」なる語は、身体部分、典型的には四肢、例えば脚が首尾一貫した反復性または循環性の軌道にしたがう対象の運動活動をいう。1以上の身体部分がパターン化された運動に関与する場合、該身体部分は、運動活動の間、認識可能な首尾一貫した相互関係を維持する。パターン化された運動の例は、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること(fist clinching)、つま先をとがらせること、膝屈曲、股関節屈曲(hip flexing)、着席、起立、およびジャンプを包含する。
本明細書中で使用される場合、「相互運動」なる語は、少なくとも2つの肢、例えば、一対の脚が互いに反対の関係で少なくとも2つの交互位置を移動するパターン化された運動の型をいう。相互運動の例は、歩行または自転車漕ぎ運動における2本の脚の活動を包含する。
本明細書中で使用される場合、「対象」なる語は、ヒトおよび非ヒト脊椎動物、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ウサギ、マウス、ラットおよびモルモットを包含する哺乳動物をいう。
脊髄損傷(SCI)は、CNS機能の実質的または全体的な喪失をもたらすCNS損傷のよく知られた原因であり、該損傷の正確な性質にもよるが、知覚または運動機能またはその両方の喪失を包含する。SCI損傷からの後期の回復のための本発明の療法の使用は、安定なASIAグレードA損傷を有している場合でさえ、運動および知覚機能の完全な回復でなくても実質的な回復をもたらしうる。かかる部分的機能回復は、後期の回復が、ASIAグレードA患者にとって大きな改善が可能である期間として以前に認められた損傷から6ヶ月というタイムフレームを優に超えている場合でさえ、可能である。本発明の方法によると、損傷後数年経っても、後期の機能回復が可能である。
この42歳の右利きの男性は、1995年5月27日に乗馬事故のために変位C−2 II型歯状突起骨折を被った。損傷のメカニズムは、直接的な軸方向の荷重であった。患者の馬が突然停止し、患者の手が手綱に絡まり、彼の6フィート4インチ、230ポンドの体が馬の頭部を越えて投げ出された。彼は、ほぼ垂直に、ヘルメットから直接地面に落ちた。彼は、無呼吸になったが、直ちに人工呼吸によって現場で維持された。彼は、ヴァージニア大学病院に移送された。
図3は、C−2 SCIから5年後の患者の頚髄において得られた一連のT2−強調MR画像を示す。図3は、5年前に外傷性SCIを受けた患者において、C−2レベルの外傷後嚢胞および重症の脳軟化を示す。矢状方向のMR画像は、左(A)に示され、対応する冠状セクションは右(B−E)に示される。同定を容易にするために、パネルBおよびDの2倍の画像であるパネルCおよびEにおいて、脊髄の周囲を黒色で囲み、内部嚢胞は白色である。グラフは、MR画像化シグナルを用いることによる、骨髄面積の定量分析を示す。骨髄の横断面においてMR画像シグナルの面積(mm2)は、小脳扁桃からの距離の関数として示される(0リファレンスポイント)。病変中心は、U形の面積曲線における最低点によって示される。約1cm2の正常なC−2頚部断面積に基づいて、MR画像化シグナルの約25%が損傷中心に残存しており、それは組織のドーナツ様縁を示す。図4は、ヒト患者の損傷および合併症のタイムラインを示す図である。
試験は、完全な運動および知覚四肢麻痺と一致した。頚部牽引を開始した。彼は、損傷後に、メチルプレドニソロン(30mg/kgボーラス、次いで、1時間後、5.4mg/kg)を服用した。頸椎X線フィルムは、後頭顆の骨折およびC−1の前方の後頭の置換を伴うII型歯状突起骨折を示し、それは、後頭環椎脱臼を示唆する。
9日後、C−1およびC−2にて、チタニウム環およびやや薄層のソフトワイヤーを用いて、後頭−C2融合を行った(図1)。腸骨稜から骨を得た。MR画像化の様相は保存された神経組織と一致したので、その手法の間、および特に患者を仰向けからうつ伏せに返したときに、配置を維持するために高度の注意が払われた。
1.インフォームドコンセントおよび是認
セントルイスのワシントン大学(Washington University)のヒト研究委員会(Human Studies Committee)は、データ収集方法および事例を紹介する方法を是認した。インフォームドコンセントは、本明細書に記載の個人から、該委員会の基準にしたがって、研究活動に参加するために得られた。生活の質についての質問と回答を含めたものは、患者によって是認された。
「N of 1」分析法は、国立衛生研究所の興味を引きつけた認められた合理的設計である。
回復(1999年)前から回復(終止1999−2002年)を通じる期間にわたるASIA試験は、ASIA国際標準にしたがって、測定の訓練を受けたSCI治療の専門家である一人の研究者(J.W.M.)によって行われた。初期の試験の結果は、最初の病院のカルテ(1995−1999)におけるASIAシートから得られた。これらの試験を行った個人もまた、SCI治療の専門家であり、臨床的ASIA標準試験によく精通していた。通しの試験官(J.W.M.)による最初の試験は、これらの初期の記録(1999)を確認した。試験の全成分は、個体がベッドに横になっている間、ASIA標準にしたがって行われた。完全四肢麻痺患者のASIA国際標準試験は、評価者内および評価者間の信頼性を有する。
Advantage/Clarke−Davis(横隔膜)およびDantec/Keypoint(上および下肢筋ならびに外括約筋)装置およびMedtronicディスポーサル単極ニードルDMN50を筋電図記録に用いた。2Hzの高域フィルター、10kHzの低域フィルター、10〜200msec/Dの掃引および0.1〜0.2mV/Dの感度と共に、増幅器入力インピーダンスを5キロオームに設定した。患者が着席している間、横隔膜を評価し、患者が横になっている間、下記の筋肉を評価した:右三角筋、二頭筋、橈側手根伸筋、および内側広筋。
骨密度測定をWashington University School of Medicine's Bone and Mineral Diseases研究室で行った。デュアルエネルギーX線吸光光度分析測定値は、白人男性の全国的標準(年齢、体重、および身長に基づく)を用いて比較された。データは、t−スコア(性別が一致した正常な若い成人標準)を用いる標準偏差として提供される。
安全試験:
患者をMRIスキャナーに置く前に、整形外科器具類を2つずつ、MR適合性試験のために取得した。患者の頚領域におけるチタンループ器具を刺激するために(Danek Inc., Minneapolis, MN)、2つのステンレススチールHarringtonロッドおよびステンレススチール締結(circlage)ワイヤーを試験のために得た。神経外科医は、患者の単純フィルムラジオグラフを用いて、患者のDanekループの連続したセグメントの湾曲を概算するための標準的な屈曲装置を用いて、ロッドを曲げた。曲げたときにステンレススチールはわずかに磁性を帯びたので、この屈曲が行われた。
患者は、バンでMRIスイートへ運ばれ、全ての外部金属をポケットから出した。移動およびMRIの間、患者は、積極的な呼吸補助のために、気管切開チューブに接続された個人のベンチレーターを用いて換気された。MRI室の外で、患者およびそのベンチレーターを、MR適合性に関して試験された軽量アルミニウムストレッチャー(モデル30NM、Ferno-Washington Inc., Wilmington, Ohio)上に移し、次いで、患者をMRI室に移動させた。パルスオキシメータープローブを患者の右人差し指上に置いて、心拍数および酸素飽和度をモニターした(ゴム製の握りが付いたセンサー、Invivo Research, Inc., Orland, Floridaを用いる)。非侵襲性血圧計を左腕に置き、管類をベンチレーターコネクターの側面の穴に接続して、血圧、呼吸数、呼吸終期CO2、および吸入O2をモニターした(3150 Magnitude/3155A Millenium麻酔モニタリングシステム、Invivo Research, Inc., Orland, Florida)。ベンチレーター管を一時的に外し、患者をMRIテーブル上に持ち上げた。ベンチレーター管をすぐに再接続し、壁型O2ラインをベンチレーターに接続した(医療等級O2、Airgas, St. Louis, Missouri)。酸素流速を2−3L/分に調整して、仰向け位置でSpO2を>95%に維持した。(直立位置において、患者は典型的に、付加的なO2を用いないで97−98%のSpO2を有する。)頸椎のC2−C3領域が頚部アレイコイルの活性成分の中央にくるように、患者を置いた(下記参照)。肘、膝および背中の下に詰め物を置いた。ベンチレーターおよびO2ラインを一時的に外し、MRIスキャナーの隣に置いた非磁気RF−遮蔽ボックス(Shielding Resources Group, Rulsa, Oklahoma)の中に移動させた。RFボックスは、遮蔽されたAC/DC電源、遮蔽された電子コネクター、およびボックスの壁中に組み込まれた導波管(銅コンジット)を含有していた。ベンチレーターおよびO2管を導波管を通して送り、RFボックスの中のベンチレーターに再接続した。該RFボックスを>80dB減衰で試験して、ベンチレーターからのRF放出を完全にスクリーンし、MRIにおけるひどいRF干渉を除去した。聴覚を遮蔽し、音楽を聴かせるために、ヘッドホンを患者に装着させ、頭と首の移動を最小限にするために前頭部からテープを巻いた。次いで、患者テーブルを動かすことによって、患者をスキャナー中に進め、C2−C3領域および活性コイル成分を磁石および傾斜のアイソセンターに配置した。次いで、イン・ビボモニターのディスプレイをMeillenium3155A麻酔ユニットのカスタムビデオポートから、MRI室壁中のカスタムRF侵入パネル(Shielding Resources Group, Tulsa, Oklahoma)を通し、次いで、MRIの間、神経集中治療専門医が生理学的パラメーターの全てをモニターしている制御室における生理学的データのディスプレイのための衛生MRコンソールモニターの後ろに接続した。全設定および画像化期間の間、心拍数は58−86拍/分であり、SpO2は95−97%であり、血圧は126−139mm/72−86mmであり、呼吸数は18呼吸/分(ベンチレーターの設定と等しい)であり、呼吸終期CO2は29−34mmHgであり、吸入O2(FiO2)は28%であった。画像化セッションの間、患者はいずれの不都合な症状も経験しなかった。
1.5−Tesla Siemens Magnetom Vision MRIスキャナーおよびSiemensフェーズドアレイ脊椎コイルを全画像化に用いた(Siemens, Erlangen, Germany)。アイソセンターに位置していることを確認するための最初のスカウト後、供給元のMAP−シム手法を用いて手動により、外部磁場をシミングした。該目的では、隣接する金属装置のためにより高いオーダーのシムチャンネルが不安定になるので、線状のシムチャンネルだけを用いた。次いで、周波数およびトランスミッターを共鳴する180°条件に合わせ、スカウトスキャンを繰り返した。T1−強調MP−RAGEスキャンは、次に、脊髄に対して垂直になるように〜20°矢状かつ冠状に傾かせた横断面で収集された。該スキャンは、TE=4.0ms、TR=9.7ms、TI(反転時間)=472msおよび12°チップ角度と共に、1.0mm等方性ボクセル(256x256mm視野および256x256マトリックス、160 z−パーティションを有する160mm z−スラブ)を有した。収集時間は、シグナル平均化を伴わないで、9分29秒であった。MP−RAGEデータは、脊髄断面積測定に用いられた(下記参照)。T2−強調ターボスピンエコーおよび流体−減衰性(fluid-attenuated)ターボ反転回復法のような付加的な解剖的スキャンもまた、収集された。
MP−RAGEデータは、頚髄に対して垂直になるように再スライスした。関心領域(ROI)トレーシングは、Analyze AVW4.0(Mayo Foundation, Rochester, Minnesota)の「自動トレース」機能を用いて、他の横向き画像毎に、脊髄境界の周りで行った。自動トレースの強度レベルを選択するために、トレースが周囲のバックグラウンドノイズに膨張した低レベルを決定し、トレースが脊髄の中心に崩壊した高レベルを決定した。次いで、2つのレベルの平均を計算し、脊髄領域の自動トレースについて選択した。該手法により、高T1−強調強度から脊髄の周囲の低シグナルへ脊髄強度が推移する部分的容量効果を考慮した(図3参照)。いくつかのスライスにおいて、自動トレース手法によって生じたROIは、該領域が隣接組織へ伸長することを防ぐために編集されなければならなかった。脊髄の二次元領域は、ROIをサンプリングすることによって測定され、結果は脊髄方向の関数としてグラフ表示された。
患者について個人的な24時間看護記録が異例にも詳述され、これにより、各年の抗生物質治療を必要とする感染の数および型を正確に追跡することができた。さらに、各治療の全継続期間が常に記録された。地元の医者によって提供された処方記録により、これらの値が証明された。ほとんどの場合、さらにその感染を証明するために、培養物も得られた。
一人の試験者(J.W.M.)が、電話による評価を行った(2002年6月15日〜30日)。これらの主観的な測定は、機能的回復における定量データを補い、限られた運動および知覚回復の生活の質に対する影響力を強調した。
活動に基づく回復プログラムは、主に、FES自転車における訓練からなる。麻痺個体が使用するために設計された特別にあつらえた横臥バイクシステムは、コンピューター支援のFES−誘導性サイクリングを組み込んでいた。目標は、週に3回、1日に1時間の活動(3000回転まで)であった。FES自転車は、一貫した回転速度を得るために刺激の強度を調節する。表面電極は、各脚において3つの筋肉群を刺激し(図2):1つの電極は臀筋の上縁に位置し、別の1つは膝と臀部の間の中ほどの膝屈筋群にあり、2つが四頭筋にある(1つは上部にあり、他の1つは四頭筋の下位3番目にある)。運動の間、脚は3つの方法でバランスをとった。座った臀部およびブーツが高い位置および低い位置に脚を固定した。高い位置にある脚にベルクロ(Velcro)で付けたベルトが脚の中央部のバランスを取った。重い弾み車が、弾みを伝えることによって滑らかな回転を保証した。目標は、最大回転数(3000/時間)を達成することであった。FES自転車療法は、下記の筋肉群:傍脊椎筋、腹筋、手首の伸筋、手首の屈筋、三角筋、二頭筋および三頭筋を活性化するために、表面電気刺激で補足した。該療法は毎日、通常3日連続で循環させた。各筋肉群は、間欠性1秒オン、1秒オフACサイクルを用いて1時間30分間、活動させた。いったん筋肉回復が開始したら、アクア療法を該プログラムに組み入れ、1時間セッションを週に1回を目標とした。アクア療法は、活動に基づく回復プログラムに参加している間、随意的調節が回復された筋肉群に集中させた。
高頚部SCIに通常起こるように、患者は多くの重篤な合併症を、特に1996年〜1999年に発症した(図4)。患者は、1995年5月27日にC−2 ASIAグレードAのSCIを受けた。四肢麻痺においてしばしば起こるように、彼は、該タイムラインに列挙される多くの重篤な合併症を蓄積した。垂直方向の赤色の棒は、1996年の終わりまでの入院患者の医療的ケアおよびリハビリテーションを示す。ここに示される合併症の他に、1999年の前年には、尿路および肺感染が頻繁であった。四肢麻痺に共通の状況として、合併症率が1995年〜1999年に加速したことに注目されたい。1999年以降の同様の合併症の少なさは、非常に珍しい。1)尾骨皮膚潰瘍。グレードIV仙骨皮膚潰瘍化が入院期間の初期に発症した。積極的な治療により、一年後、二次癒合によって治癒した(垂直方向の緑色の棒は治癒時間を示す)。2)HO。右腿の急性膨張によって示されるように、異所性骨化(右大腿骨の小転子)が1995年7月に発症した。ドップラー(Doppler)研究は、深部静脈血栓症に対して陰性であり、X線フィルムおよびCTスキャニングは骨折を示さなかった。さらに骨再吸収を防ぐために、ダイドロネル(Didronel)での治療を開始した。異所性骨化は、急性損傷後期間において一般的な合併症である。3)AD。重篤な自律神経反射異常は、入院治療を必要とした。4)および5)DVTs。左深部静脈血栓症は、脚の大流出静脈を塞ぎ、ヘパリンおよび次いで、クマジン(Coumadin)での抗凝血のために入院を必要とした。DVTは1ヶ月後に再発し、抗凝血方針の調整および下大静脈(IVC)グリーンフィールド(Greenfield)フィルターの設置を必要とした。次に、クマジンでの生涯治療および毎週の抗凝血試験が必要とされた。6)病理学的骨折。左大腿骨の病理学的骨折は、移動の間の低い落下に起因した。骨折した骨を安定化するために、外科的介入が必要とされた。7)肺の虚脱。急性の息切れは、粘液栓を除去するために、緊急入院および気管支鏡検査を必要とした。8)くるぶしの潰瘍。左外踝皮膚潰瘍化(グレードIV)は、ゆっくりとした治癒および骨髄炎によって悪化し、切断をおびやかされた。積極的な治療および二次癒合による治癒に1年以上かかった。9)仙骨部皮膚潰瘍。毛巣嚢胞除去および縫合閉鎖は、積極的治療および二次癒合による治癒を必要とする仙骨部創傷の裂開および進展によって悪化した(垂直方向の緑色の棒は治癒時間を示した)。10)病理学的骨折。患者が体重免荷した起立を試みている間に、支持左大腿を骨折した。治療は、入院および外科的内固定を必要とした。重篤な骨粗鬆症の付加的な治療は、ビタミンD、カルシウムサプリメントおよび骨再吸収を制限するための薬理学的治療を包含した。
患者は、損傷後の最初の5年の間、機能的改善を経験せず、それにより、C−2 ASIAグレードA分類を維持し、それ以降のいずれかの実質的な改善の見込みは無視できるようであった。患者の損傷後の最初の5年間の複数のASIA試験は、運動スコアが一貫して0/100であり、知覚スコアが5−7/112の範囲であったので、実質的な運動または知覚機能の欠如を証明した。1999年のワシントン大学での最初のASIA試験は、これらの観察と一致した。図5は、SCIからの著しい回復を定量するグラフを示す。データは、SCIの重篤度を評価するための国際的なASIA標準スケールに基づいて、パラメーター値(X軸)ならびに全運動および知覚機能(ライトタッチ(表在触覚)、ピン刺激(ピン痛覚);y軸)として提供された。
顕著には、主要な合併症の減少および神経学的改善の回復と平行して、患者の感染合併症率が1999年に劇的に低下し始めた。抗生物質治療を必要とする感染の発生率および1年の抗生物質適用日数もまた、1999年以降劇的に改善した。必要とされる抗生物質適用日数の概算は、1996年〜1998年と比べて、2000年〜2002年において90%を越える減少を示した(表2)。
随意運動のEMG分析は、2001年の冬に完成され(表4)、結果は、損傷直後の1995年6月21日に行った横隔神経試験の結果と比較された。その時、無傷前角細胞の証拠があった。潜伏期間は、10msec未満であり、右および左振幅は各々、0.9mVおよび0.5mVであった。たとえ小さくても、横隔膜運動は、蛍光透視試験において示された。対照的に、振幅は2001年において大きかった(2−7mV)が、脱神経のさらなる証拠はなかった(表4)。随意的に顕在化したEMG応答は、右三角筋、右二頭筋、右橈側手根伸筋および右内側広筋を包含する試験された他の筋肉群において明らかであった。これらの群のほとんどは、正のシャープな波動、繊維性攣縮、および複合性反復性放電によって示されるように、脱神経の証拠を示した。全体的にみて、漸増された運動単位数は、予想通り小さかった。
表5は、2002年に行われた生活の質についての質問に対する患者の応答を列挙したものである。全体的にみて、回復は、日常生活の多くの範囲に強い衝撃を与えたが、生活改変として認められた変化は:病気および病欠日の回避;安定した健康を期待できる能力の改善ならびに仕事および家族の義務を果たす能力の改善;健康改善;体重調節改善;より達成可能な人生目標;ベンチレーターなしで呼吸できる能力の改善;家族に対する正の影響;医療費の減少、働けない日数の減少による大きな経済的改善;より健康であることの喜び;レジャー活動の大きな喜び;生産性の改善;病気の進行が軽減に置き換わったという認識;より少ない痙攣;および付加的な回復に対する大きな期待であった。かかる回復の影響を検出するための能力は限られているので、半定量的な生活の質の測定が利用可能である。
対象、動物治療および外科手術:
30匹の成体Long Evans雌ラット(275±25g;Simonsen, Gilroy, CA)を収容し(12:12h明暗サイクル)、Laboratory Animal Welfare ActおよびGuidelines/Policies for Rodent Survival Surgery(Animal Studies Committee of Washington University in St. Louis)にしたがって処理した。
ラットに麻酔をかけ(75mg/kg KetasetR(登録商標)、0.5mg/kg DomitorR、腹膜内投与)、T7−T9にて椎弓切除を行った。1mm硬膜切開によって、顕微鏡調節下で、BARONR吸引チューブ(Roboz, Rockville, Maryland)を用いる吸引によって脊髄の1mmを除去した。硬膜開口を筋膜で覆い、筋肉およびその上の皮膚を層状縫合で閉じた。麻酔はAntisedanR1mg/kgによって逆転した。該吸引切断方法は、外科手術的な刃での切除と比べて出血を最小限にし、硬膜および主要血管の無欠性を維持し、きれいな脊髄創傷境界をもたらした。
SCIから3週後、ラットを再麻酔し、下背を中線切開し、2−チャンネルバッテリー電源式の電気刺激器(Jarvis, University of Liverpool)および電流リターン電極を皮下ポケットに埋め込んだ。両方の脛の側面を0.5cm切開し、ステンレススチールワイヤー電極を、刺激器部位から皮膚の下に左右対称に通り抜けさせ、総腓骨神経に隣接する前脛骨筋中に縫い合わせた。手術中の試験刺激は、適当な腓骨神経活性化を保証した。
FES装置を損傷(埋め込み後3日目に開始する)から24日目〜43日目後の間の19日間毎日、各9時間労働の間に1時間セッション3回、活動させた(図11B)。6匹のラットからなる付加的な群は、同一のFESインプラントおよび活動パターンを受けたが、損傷は受けていなかった。刺激パターンは、1つの総腓骨神経の1秒刺激、次いで、1秒の休憩であり、次いで、他の総腓骨神経を1秒刺激し、次いで、1秒の休憩を行い、このサイクルを繰り返した。刺激は、神経上の電極と下背のリターン電極の間に20Hzで送達された3V 200μs単相パルスであり、総腓骨神経内の大きな有髄繊維を活性化するが、小さな無髄侵害受容繊維を活性化しないと予想された。該神経刺激は、相互的な足踏み様後肢運動におおよそ近い後肢の交互屈曲をもたらした。
損傷後31−36目に開始する、細胞サイクルのS期の間に複製しているDNA中に選択的に組み込まれる臭素化したDNAビルディングブロックであるBrdU(50mg/kg腹膜内投与)の毎日の注射によって、新生細胞を同定した。
最後のBrdU注射から2時間後、ラットの半数(n=15)に深く麻酔をかけ、0.1M PBSで5分間、次いで4%パラホルムアルデヒド(Sigma)で15分間、心臓内を潅流した。最後のBrdU注射から1週間後、残りのラットを殺した(n=15)。
骨髄レベルC2、T1、T7、T11、L1およびL5由来の各第6セクション(40μm)を抗−BrdU免疫組織化学のために選択した。セクションを2N HCl中37℃で60分間インキュベートし、0.1Mホウ酸バッファー(pH8.5)に移して20分間維持し、PBSでリンスした。非特異的標識を、0.1%Triton X−100/PBS中における0.1%BSAで60分間ブロックした。マウスモノクローナル抗−BrdU抗体(1:600;Roche, Mannheim, Germany)を組織と一緒に4℃で一晩インキュベートした。次いで、組織を、2%正常ヤギ血清(NGS)中におけるCY3−結合型二次抗体(1:2000;Jackson, West Grove, PA)で60分間処理した。
脊髄レベルの機能としてBrdU標識細胞の数を盲式で測定した。画像をMagnafireRカメラを備え付けたOlympus IX70顕微鏡で収集し、コンピューター支援ソフトウェアパッケージ(StereoinvestigatorTM, Microbrightfield Inc., VT)を用いて、定量的カウントを行った。増殖細胞の不偏立体解析学的カウントのために、インジケーター・フラクショネーター法(indicator fractionator method)を用いた。BrdU陽性核の概算は、考慮中の領域容量の既知フラクション中における核のカウントに基づく。標識指標は、容量あたりのBrdU陽性核の総数を取り、それを、対応する脊髄セクションから取得した容量当たりのHoechst33342(Molecular Probes)標識核の総数で割ることによって算出された。セクションは、200x下で調べられ、メカニカルステージ(Ludl, Hawthorne, NY)を用いてラスターパターンで動かすことによって体系的にスキャンした。StereoinvestigatorTMソフトウェアは、不偏カウンティングフレーム(x=122μm、y=110.1μm)を有するサンプリンググリッドを画像上に載せた。サンプリングフレームは、既知の距離でセクション中で焦点を合わせ、BrdU陽性核はカウンティングフレームの内側でマークされた。これらのマーカー、面積測定値および所定の容量に基づいて、該ソフトウェアは、BrdU陽性核の総数を算出した。表現型を決定するために、細胞を、各表現型マーカーを用いる同時標識について評価した。各BrdU陽性細胞の場合、完全な細胞核はz軸にしたがい、境界が明らかな免疫陽性細胞体を有する細胞だけが、特定の表現型に対して陽性であると考えられた。
実験群間の比較は、後のTukey post−hoc検定を応用しているSigmaStatRを用いる二元配置ANOVAによって行った。比較は、脊髄レベルによる群間および群内におけるBrdU陽性細胞の総数および表現型マーカーについて行った。全統計分析について、有意性は、複数の試験のBonferroni補正を用いてp<0.05で認められた。
FESは、腰髄への腓骨神経の強い投射と一致する、脊髄の腰レベルでの新細胞誕生/生存の密度における実質的な増加をもたらした。FES誘導性後肢運動の細胞誕生/生存に対する影響の吻−尾側選択性は、代謝、血液感染性因子および他の全身性の因子などの可能な包括的メカニズムを排除するのを助け、神経活動の増加に関連する局所的なメカニズムへの支持を強くする。300V/mの範囲の電界は、神経細胞機能に変化をもたらすことができる。他の研究において直接的な影響をもたらすのに必要とされた100X大きい規模の電界に基づき、これらの研究における脊髄による非常に小さな電界経験と比べて(約5V/m)、直接の電界効果よりもむしろニューロン活動が、観察された影響の原因であることが示される。
5日間隔のBrdU標識は、主として、成熟細胞、特にニューロンに分化する時間をもたない増殖細胞を標識するであろう。新ニューロン誕生の証拠は、BrdU注射後の0または7日目に脊髄に存在せず、これは、成体脊髄において新ニューロン誕生がないことを示す以前のデータと一致する。
標識から少なくとも1週間後、BrdU標識前駆体の数を増加するFESの効果が持続した。しかしながら、FESは、生存しているBrdU標識細胞の割合を変化しなかった。BrdU標識から7日後、両群における細胞生存は、損傷部位よりも下位のレベルの全て(T11、L1、L5)で有意に減少した。対照的に、損傷レベルよりも上位(C2、T7)では、細胞生存は主として変化しなかった。SCI後、神経活動は、損傷レベルより下位の領域で著しく減少する。しかしながら、本発明は、FESが細胞の生存よりもむしろ誕生に優先的に影響を及ぼすようであることを示す。おそらく、活動は、前駆体の最適な分化および生存に必要であり、FES処理の限られた生存に対する影響が、このFES例によって誘導される活動の定量的限界に反映しうるようである。
本発明は、FESが損傷を受けた成体CNSにおいて細胞発生を増加することができることの初めての証拠を示す。電気刺激は骨溶解を増加し、末梢神経成長を刺激しようとするために臨床的に用いられるが、CNS再生に応用されたことはない。本研究において、FESに対する細胞誕生/生存応答の規模は、驚くべきことに大きかった(61%〜77%)。全成体ラット脊髄の容量(容量置換によって概算される;506±7mm3、密度=1.21g/cm3)およびFESによって誘導される細胞誕生の概算に基づくと、本研究において、レベルC2において、約2つの新細胞が1秒毎に生まれる。したがって、ほんの1週間も経たないうちに、100万個の新細胞(修復目的で損傷を受けた脊髄において一般に移植される数と等しい)が生まれた。したがって、これらの内生的に生まれた細胞のポテンシャルを活用することは、損傷を受けたCNSの自己修復に対する合理的なアプローチを示す。本発明の実施例のセクションにおいて見られる実験は、再生および新細胞誕生の1つの指標の実験的分析を最適化するように設計された。
膀胱感染の発生率は、FESを受けた群において減少した(対照における発生率85±8%に対し、12日にわたるFES処理動物において65±10%;p<0.05、スチューデントt検定、1群につきn=12)。膀胱感染は、尿沈殿中の赤血球および白血球、スツルバイト(struvite)結晶および上皮細胞の存在と同時に起こる血尿または濁った尿の発生によって定義された。どちらの群も、自己消耗、疼痛、または炎症のいずれのサインも示さなかった。
新細胞誕生を示す抗−BrdU標識細胞は、対照および刺激したラットの両方の脊髄において現れた。DNA損傷修復の結果としてアポトーシスを起こした細胞中にBrdUが組み込まれる可能性もあるが、BrdUは、壊死またはアポトーシスによる死を被るように誘導される成熟細胞中に検出可能なレベルで組み込まれない。これらのデータは、BrdU陽性細胞が抗活性化カスパーゼ−3抗体(アポトーシスによる細胞死のマーカー)で同時標識されないという該研究における観察と一致する(データは示さない)。かくして、該研究において評価されたBrdU陽性核は、分裂細胞を示す。
定量的立体解析分析は、脊髄レベルと電気刺激の存在の両方が、BrdU標識細胞数の決定における有意な因子であったことを示した。細胞誕生における劇的かつ統計学的に有意な増加は、FES誘導性後肢運動の結果として活動を増強することが予想される領域である腰髄に対して選択的なFES群において観察された(図8)。FES群における細胞誕生は、L1にて61±18%およびL5にて77±11%増加した(標識率、対照対FES、1群につきn=6;L1:2.58対4.16、p=0.02、L5:1.86対3.29、p<0.001)。群間の新細胞の比較可能な数は、T11(4.17対3.83細胞/mm3、p=0.48)および離断部位よりも上位(T1、T7およびC2)に存在した。重要なことには、FESの効果は、最後のBrdU注射から7日後に細胞生存が調べられたときに、存続していた(標識率、対照対FES、1群につきn=6;L1:1.62対2.29、p<0.001、L5:1.58対2.39、p<0.001)。
Long Evansラットにおける細胞誕生のベースラインを設定するために、ならびに損傷およびFESの相互作用効果を評価するために、発明者らは、正確なFES処理およびBrdU注射パラダイムを受けた非損傷ラットの群(n=6)に対して結果を比較した。動物は、最後のBrdU注射から2時間後に殺された。いずれのレベルにおいても群間にBrdU陽性細胞数の差はなかった(標識率、対照対FES、1群につきn=3;C2:1.15対1.17、T1:1.2対1.0、T7:1.18対1.05、T11:1.12対1.32、L1:1.17対0.9、L5:0.83対0.8)。損傷を受けた脊髄よりも正常な脊髄において、生まれた細胞数は有意に少なかった(標識率、SCI対照対NO損傷対照;C2:2.3対1.2、T1:3.0対1.2、T7:4.1対1.2、T11:4.2対1.1、L1:2.6対1.2、L5:1.9対0.8)。
病変より上位での細胞誕生/生存の損傷関連パターンは、2つの群間で類似し、SCIが新細胞誕生を誘導することを示す以前の研究と一致していた(図13)。離れたC2およびL5レベルと比べて、脊髄病変の周囲の細胞誕生/生存における有意な増加があった(C2対T7:65±13%;C2対T11:58±9%;L5対T7:113±9%;L5対T11:107±12%;二元配置ANOVA:上記に示される全比較は、有意であったp<0.05、対照群中n=6)。FES処理群において、病変の上位であって、下位ではない細胞数において、同様の差が観察された。
両群における抗−BrdU標識細胞の表現型分析は、5日目のBrdUパルス標識の直後に生まれ、評価された細胞の大部分が、特に損傷から遠いセグメント(C2、T1、L1およびL5)において神経細胞であったことを示した。抗−BrdU標識細胞は、トリポテンシャル前駆体(Nestin)、グリア前駆体(NG2)、星状細胞(GFAP)および乏突起膠細胞(APC−CC1)のマーカーを発現した。群間で、NG2(T1で49±3%;L5で36±3%)、GFAP(T1で45±3%;L5で40±3%)またはAPC−CC1(5%未満)発現において定量的な差はなかった(図14−16)。しかしながら、Nestin陽性細胞の数は、FES処理によって、レベルL5で10±3%から19±2%へほぼ2倍になった。BrdU/Nestin陽性トリポテンシャル前駆体と増殖性有糸分裂後星状細胞とを区別するために、GFAPを用いて3重標識法を行った。BrdU/Nestin陽性細胞の大部分(>90%)は、GFAPを発現しなかった。したがって、表現型によって同定可能な細胞のほとんどは、トリポテンシャル前駆体である(図10)。細胞の増加した数のほとんどを同定することのできる限られた能力は、以前の研究における同様にの低い割合に一致する。
他の非神経細胞型が該研究において測定された全細胞誕生/生存に寄与したという可能性を調べるために、マーカー抗−ED1およびOX−42を用いて、組織マクロファージおよびミクログリアの存在を決定した(図10)。ED−1およびOX−42は、損傷部位周辺のマクロファージおよびミクログリアを標識し、それらの数は、損傷部位からの距離に応じて迅速に減少した。マクロファージは、また、その特徴的な細胞体形状および偏心核ならびにそのビフリンジェント(bifringent)な封入体によって容易に識別できた。抗−BrdUでの二重標識は、これらの細胞の非常に少数がBrdU陽性であったことを示した(2%未満)。抗−BrdU標識は、また、内皮細胞または血管の周皮細胞において時折観察されたが(特徴的な形態、位置および特異的マーカー(抗−CD31、抗−Glut−1)に対する免疫反応性によって同定される)、細胞の総数は小さく(1.5%未満)、ほとんど、損傷部位周辺のレベルに限られた(T8/T11)。かくして、ミクログリア、マクロファージおよび内皮細胞は、損傷部位から遠いレベル(C2、T1、L1およびL5)で測定されたBrdU標識細胞数に、実質的に寄与しなかった。
抗−BrdUおよび初期または後期ニューロンマーカー(抗−NeuN、抗−TUJ1、抗−PSA−NCAM、および抗−ダブルコルチン)で二重標識された細胞に関する注意深い探求にもかかわらず、新生ニューロンの表現型は同定されなかった。脊髄は、回復のあまりに早い時点で調べられたので、ニューロンの直接的な証拠が見られなかったと考えられ、回復のもっと遅い段階を調べる後期の研究は、神経細胞の誕生および生存増加ならびに機能回復と一致するニューロンの存在を明らかにすると考えられる。
体性感覚皮質および運動皮質の機能的再組織化が、高頚髄損傷を有する個体(上記実施例1のヒト対象)において調べられた。上記のように、対象は、肩および肩より下位でほとんど全ての知覚および運動機能の5年間の欠如を示し、激しくて持続的なリハビリテーション療法後、6−8年でいくらかの機能の珍しくて驚くべき回復を示した。結果は、出典明示により、その引用文献と共に全体として本明細書の一部とされるCorbettaら、Proc. Natl. Acad. Sci. 99: 17066-71(December 24, 2002)に十分に記載されている。
実施例1は、1995年に42歳で乗馬事故により変位C2 II型歯状突起骨折を被った50歳の右利き男性の病歴について詳述する。他の永久的損傷、特に頭部損傷は、SCIを悪化させなかった。臨床上の評価により、左半身におけるむらのある感覚を除き、5年間、該病変レベルより下位に運動または体性感覚機能がなかった。彼は、胸部横隔膜および発声の筋肉の機能損傷のため、発声不全有声化(hypophonic vocalization)を伴うベンチレーターに依存している。対照対象は、正常な神経病および精神病歴を有する23歳の男性であった。
対象は、黒色背景に対する黄緑色のテニスボールのビデオ画像に動きを合わせることを求められた。対象は、頭部コイルに取り付けられた鏡に見える背景映写スクリーン上の画像を眺めた。ボール(直径≒4°)は規則的に、固視点の左/右に跳んで(≒4°ジャンプ、0.83−Hz速度)、舌の左/右移動を導き(舌は唇に対して突き出し、動かす)、固視点の上/下に跳んで、左人差し指の移動を導き(中手指関節で)、残りの期間静止していた。視覚モニタリングは、両方の対象が一貫してボール運動を追跡したことを示した。移動範囲および移動力はSCI対象においてより小さかった。SCI患者は左人差し指でのより良好な追跡を維持したので、該指について試験した。対象は、fMRIの間、指を見ることはできなかった。一貫性の試験のために、全触覚刺激を左肢にも付与した。
マッサージバイブレーターは、閾値上触覚刺激を誘導した。以前に陽電子断層撮像研究において使用された該装置は、電気モーターをリモートエアコンプレッサーに接続された空圧駆動に置き換えることによって、磁気共鳴適合性にされた。該バイブレーターは、約100Hzの基礎振動数を中心とした約2mmの変位振動を誘導した。該バイブレーターの頭部は、刺激および残りの期間と通して、左指および掌または左足の足底に対して手動で支えられた。正確な皮膚変位は不明だが、刺激の規模はおそらく、刺激を受けた肢の遠位部位のほとんどの皮膚生理的刺激受容体、隣接するより深部の組織および固有受容体を活性化した。
MRIの間、SCI対象に酸素を補給し、特別注文の磁気共鳴適合性セットアップ(Shielding Resources Group, Tulsa, OK)において、生理学的パラメーターを連続的にモニターした(Magnitude/Millenium麻酔モニタリング、Invivo Research, Inc., Orlando, FL)。全MRIは、1.5−Tesia Magnetom Visionスキャナーおよび円偏光ヘッドコイル(Siemens, Erlangen, Germany)を用いた。3D構造のT1−強調磁化調製高速グラジエントエコーMRI(T1-weighted magnetization-prepared rapid gradient echo MRI)を収集した。fMRIは、BOLDコントラスト(繰り返し時間=2,360ms、T2*展開時間=50ms、α=90°)に感受性の特別注文のT2*−強調非対称スピンエコー−プラナーシークエンスを用いた。各fMRI実行の間、20個の隣接する厚さ6mmスライスの128セットを前交連−後交連面(3.75x3.75mm面ボクセルサイズ)に平行して収集し、それにより、完全な脳適用範囲を可能にした。該プロトコールは、頚部における外科用金属にもかかわらず、脳における有意なシグナル喪失または歪みを伴わずに、SCI対象の画像を与えた。知覚および運動fMRIは、1セッションにつき8−10fMRIランおよび1ランにつき128フレーム(346.75s)を用いることによって異なる撮像セッションにおいて収集された。知覚fMRIの場合、4ランが各刺激された肢につき得られ、各ランは、3フレームの刺激と刺激のない5フレームとを交互に繰り返す15試行による8つのベースラインフレームを含有した。運動fMRIの場合、各作業(舌および指)につき4ないし5ランが得られ、各ランは、5つの作業フレームと5つの休止フレームを交互に繰り返す12試行を有した。
脊髄は、ANALYZE AVW4.0(Mayo Foundation, Rochester, MN)およびSun Fire V880コンピューター(Sun Microsystems, Santa Clara, CA)を用いることによって、面積測定および3Dディスプレイのための構造MRIからセグメントに分けられた。fMRIデータは、Burtonら、J. Neurophysiol. 87: 589-607 (2002)およびCorbettaら、Neuron 21: 761-73 (1998)に記載のように分析された。一般的な線状モデルは、血行力学的応答形状を想定することなく、各対象および各作業(例えば、舌移動)におけるBOLD応答を評価した。BOLD時間経過は、体性感覚作業の場合、8フレーム(21.67s)にわたり、運動作業の場合、10フレーム(27.09s)にわたり、各ボクセルにおいて概算された。fMRIデータは、3D 2−ボクセル ガウシアンカーネル(Gaussian kernel)を用いて平坦化し、統計学的分析の前にタライラッハ(Talairach)アトラスに変形させた。統計学的地図は、概算されたBOLD時間経過と、作業および調節期間を示している矩形関数と遅延性ガンマ関数の畳み込みによって得られた参照血行力学的応答関数との間の相互相関に基づいていた。誘導されたボクセルあたりのt統計値は、正常に分布されたzスコアに変換し、Monte Carlo刺激(S.D. Formanら、Magn. Reson. Med. 33: 636-47 (1995)において記載された方法に基づく)から得られた分布を用いることによって、脳全体にわたる複数の比較に対して補正した。これらの画像は、少なくとも3つの顔に隣接するボクセルにわたり、4.5のzスコア値につきP=0.05の閾値を用いることによって調べられた。統計学的地図は、側方半球表面の3D図および平坦化した皮質の2D図の両方において、標準的な脳アトラスにおいて計画された(Van Essenら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 788-95 (1998); http://stp.wustl.edu/resources/caretnew.html参照)。
SCI対象におけるT1−強調MRIは、C2領域中の組織断面積において75%以上の喪失を示した。
図14は、SCI対象における頚部SCIのT1−強調MRIを示す。上部パネルは、C2椎体の底部中のC2歯状突起のチップ由来の脳幹下部および頚髄セグメントの縦の3D画像(後ろから見た)を示す。真ん中のパネルは、脊髄管(SC)に関連する小さなサイズの脊髄を示す損傷ゾーンの選択された低倍率画像を示す。画像は、脊髄の長軸に対し直角であり、小脳扁桃より40、46および51mm下位のレベルにある(各々、左、中央および右)。一番下のパネルは、同じ3つの横断画像の高倍率図を示し、慢性組織損傷(脊髄軟化)または瘢痕化と一致する低T1−強調シグナルの病巣領域を示す。これらの部位の位置および形状は、変化し、中央の卵形(赤色矢印)、裂け目(青色矢印)およびいくつかの末梢病変(黄色矢印)を包含する。Lは左を示し、Rは右を示す。
運動および体性感覚機能の最初の回復は、受動的範囲の運動および免荷起立状態を包含する標準的な物理療法から数年後の2000年に開始した。回復は、対象がより激しい物理療法計画に登録した後、2002年に増進した。物理療法は、週に3回、図2に示されるようなエクササイズ自転車を漕ぐようにコンピューターで同調させた脚筋の機能的電気刺激の1時間セッションを包含した。最後の2年における頻繁な標準的臨床試験は、左人差し指、右手首、より最近では下肢の自発的な小さな動きを示した。同時に、SCI対象は、触覚刺激時に強い感覚を感じること、ならびに上肢および下肢の受動的な動きを報告した。下肢由来の知覚は、より強かった。彼は、背面および掌表面を包含する手または足に対する触覚刺激のおおよその場所を特定することにおいて、良好な精度を有した。彼はまた、刺激を受けた手指または足指(足指よりも手指がよい)を同定することができた。
図15は、3Dで視覚的に導かれた運動作業に対するBOLD応答および標準的な脳の平坦化した図を示す。アトラス脳の3Dおよび2D平坦図が、視覚運動追跡作業に対して投影されたBOLD応答と共に示される。カラースケールはzスコアを示す。図15Aは、対照対象を示し、図15BはSCI対象を示す。
上記の詳細な記載は、本発明を実施するにあたり当業者を援助するために提供される。しかしながら、本明細書に開示される特定の具体例は、本発明のいくつかの態様として考えられるべきものであるので、本明細書に記載され、請求される本発明は、これらの具体例によって範囲を制限されるものではない。いずれの等価の具体例も、本発明の範囲内にあるとされる。実際、本明細書に示され、記載されるものの他に、本発明の精神または範囲から逸脱することのない本発明の種々の修飾が、上記の記載から当業者に明らかになるであろう。かかる修飾は、また、添付の請求の範囲内にあるとされる。
本出願において引用される全ての出版物、特許、特許出願および他の参考文献は、個々の各出版物、特許、特許出願または他の参考文献が特別に個々に、出典明示により全ての目的で全体として本明細書の一部とされることが示されている場合と同程度に、出典明示により、全ての目的で全体として本明細書の一部とされる。本明細書における参考文献の引用は、本発明の先行技術であると認めたものと解釈されるべきではない。
Claims (67)
- 治療上有効量の機能的電気刺激(FES)によって誘起されるパターン化された運動に哺乳動物対象を曝すことを含む、治療の必要な哺乳動物対象において中枢神経系(CNS)損傷を治療する方法。
- 治療上有効量の機能的電気刺激(FES)によって誘起されるパターン化された運動に哺乳動物対象を曝すことが、神経細胞の再生に十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことからなる請求項1記載の方法。
- 神経細胞の再生に十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことが、神経細胞の誕生を促進するのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことからなる請求項2記載の方法。
- 神経細胞の再生に十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことが、神経細胞の生存を増進するのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことからなる請求項2記載の方法。
- 神経細胞の再生に十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことが、神経シグナル伝達能力を増進するのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことからなる請求項2記載の方法。
- 神経シグナル伝達能力を増進するのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に対象を曝すことが、CNS損傷部位において、またはその周辺で、神経細胞と神経細胞が新たなシナプス結合を再形成するように神経細胞においてシナプス変化を起こすのに十分な期間、FESによって誘起されるパターン化された運動に哺乳動物対象を曝すことからなる請求項5記載の方法。
- CNS損傷が脊髄損傷を含み、神経細胞が脊髄神経細胞を含む請求項6記載の方法。
- CNS損傷が急性外傷または慢性疾患を含む請求項2記載の方法。
- 急性外傷が、脊髄の完全な切断、脊髄の部分的な切断、および卒中のうち少なくとも1つを含む請求項8記載の方法。
- 慢性疾患が、多発性硬化症、癌、腫瘍転移、ハンチントン病、アルツハイマー病、ALS、および加齢による神経変性影響からなる群から選択される請求項8記載の方法。
- 哺乳動物対象が運動完全麻痺または知覚完全麻痺である請求項2記載の方法。
- 神経細胞がトリポテンシャル前駆細胞、グリア前駆細胞、星状細胞および乏突起膠細胞またはそのいずれかの組み合わせのうち少なくとも1つを含む請求項2記載の方法。
- FESによって誘起されるパターン化された運動が脊髄における中枢パターン発生器を活性化する請求項2記載の方法。
- パターン化された運動が、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること、つま先をとがらせること、膝の屈曲、股関節の屈曲、着席、起立、およびジャンプのうち少なくとも1つを含む請求項2記載の方法。
- FESが、臀筋、傍脊椎筋、腹筋、手首伸筋、三角筋、二頭筋、三頭筋、膝屈筋、および四頭筋からなる群から選択される少なくとも1つの筋肉または筋肉群に加えられる請求項14記載の方法。
- 機能的電気刺激が外部から筋肉または筋肉群に加えられる請求項2記載の方法。
- 機能的電気刺激が内部から筋肉または筋肉群に加えられる請求項2記載の方法。
- 機能的電気刺激が少なくとも1日に約1時間、少なくとも週に3回加えられる請求項2記載の方法。
- 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動が、3Vおよび20Hzで送達される200μs単相パルスで電子刺激を送達することを含む請求項2記載の方法。
- 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動の誘導が、対象のASIAスコアを少なくとも1グレード増加させるのに十分なFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することからなる請求項2記載の方法。
- 対象のASIAスコアが治療開始前にAである請求項20記載の方法。
- 対象が運動完全麻痺または知覚完全麻痺である請求項20記載の方法。
- 対象が運動不全または知覚不全である請求項20記載の方法。
- CNS損傷を受けている治療の必要な対象において神経細胞を再生する方法であって、対象の末梢神経系神経と連絡している対象の筋肉に機能的電気刺激(FES)を加えることを特徴とし、該FESは対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分であり、ここに、該パターン化された運動が末梢神経系神経の機能的電気刺激と関連して、対象のCNSにおいて神経細胞の誕生および生存を促進することによって、対象において神経細胞を再生することを含む方法。
- 対象が運動完全麻痺である請求項24記載の方法。
- 対象が知覚完全麻痺である請求項24記載の方法。
- 神経細胞が脊髄神経細胞である請求項24記載の方法。
- 神経細胞が少なくとも部分的に再建した神経シグナルを伝達することができる請求項27記載の方法。
- 少なくとも部分的に再建した神経シグナルが脊髄損傷部位を横切る請求項28記載の方法。
- 少なくとも部分的に再建した神経シグナルが脊髄損傷を受けている対象の脳において開始し、末梢神経系神経細胞と連絡している筋肉において終結する請求項29記載の方法。
- 末梢神経系神経細胞において終結している少なくとも部分的に再建した神経シグナルが筋肉に収縮を引き起こす請求項30記載の方法。
- 対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分なFESが、末梢神経および脊髄における神経シグナル活性、次いで、そこでの神経シグナル不活性のサイクルを誘起するのに十分な末梢神経系の刺激からなり、ここに該サイクルが繰り返される請求項31記載の方法。
- 神経シグナルサイクルが筋肉にパターン化された運動を行わせるのに十分である請求項32記載の方法。
- パターン化された運動が相互運動を含む請求項33記載の方法。
- 相互運動が、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること、つま先をとがらせること、膝屈曲、股関節屈曲、着席、起立、およびジャンプのうち少なくとも1つを含む請求項34記載の方法。
- 機能的電気刺激によって誘起される運動を用いてCNS損傷部位において、またはその周辺で神経細胞を再生することを特徴とする、治療の必要な対象においてCNS損傷を治療する方法。
- 対象が運動完全麻痺である請求項36記載の方法。
- 対象が知覚完全麻痺である請求項36記載の方法。
- CNS損傷が脊髄損傷を含み、神経細胞が脊髄の細胞を含む請求項38記載の方法。
- 神経細胞が神経シグナルを伝達することができる請求項39記載の方法。
- 神経シグナルが脊髄損傷部位を横切る請求項40記載の方法。
- 神経シグナルが脊髄損傷を受けている対象の脳において開始し、末梢神経系神経細胞と連絡している筋肉において終結する請求項41記載の方法。
- 末梢神経系神経において終結している神経シグナルが筋肉に収縮を引き起こす請求項42記載の方法。
- 対象の四肢のパターン化された運動を誘起するのに十分なFESが、末梢神経および脊髄における神経シグナル活性、次いで、そこでの神経シグナル不活性のサイクルを誘起するのに十分な末梢神経系の刺激からなり、ここに、該サイクルが繰り返される請求項43記載の方法。
- 繰り返された神経シグナルが、パターン化された運動を行うように筋肉を活性化するのに十分である請求項44記載の方法。
- パターン化された運動が相互運動を含む請求項45記載の方法。
- 相互運動が、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること、つま先をとがらせること、膝屈曲、股関節屈曲、着席、起立、およびジャンプからなる群から選択される請求項46記載の方法。
- CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、該対象において、CNS損傷のために以前は患者にとって達成できなかった運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを含む方法。
- 対象において、運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することが、CNS損傷の部位において、またはその周辺で神経細胞の誕生および生存を促進するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することからなる請求項48記載の方法。
- 対象において、運動または知覚機能を少なくとも部分的に回復するのに十分な量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することが、対象のCNSにおける神経活動を下肢神経の刺激によって創造するのに十分な量のFESを誘導することからなる請求項48記載の方法。
- 下肢神経の機能的電気刺激が、対象の下肢のパターン化された運動をもたらす請求項50記載の方法。
- 下肢が対象の脚部を含む請求項51記載の方法。
- パターン化された運動が相互運動を含む請求項52記載の方法。
- 相互運動が、歩行、呼吸、自転車漕ぎ、パンチ、キック、水泳、げんこつをつくること、つま先をとがらせること、膝屈曲、股関節屈曲、着席、起立、およびジャンプのうち少なくとも1つを含む請求項53記載の方法。
- 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を対象において誘導することを特徴とする、運動完全麻痺対象において運動機能を少なくとも部分的に回復する方法。
- 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を対象において誘導することを特徴とする、知覚完全麻痺対象において知覚機能を少なくとも部分的に回復する方法。
- 治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を対象において誘導することを特徴とする、運動および知覚の両方が完全に麻痺している対象において運動および知覚機能を少なくとも部分的に回復する方法。
- 治療の必要な運動完全麻痺または知覚完全麻痺対象を同定し;
機能的電気刺激によって誘起されるパターン化された運動を用いて、該対象の脊髄において神経細胞を再生し;次いで
該治療過程の間および治療後に、該対象をモニターして神経細胞再生の効果を評価する
ことを特徴とする脊髄損傷を治療する方法。 - 対象において、CNS損傷によってその調節に影響を及ぼされた筋肉に、治療上有効量のFESによって誘起されるパターン化された運動を誘導することを特徴とし、ここに、CNS損傷が起こった6ヶ月以上後に該誘導が開始される、CNS損傷を受けている対象における知覚または運動機能の後期回復方法。
- CNS損傷が脊髄損傷を含む請求項59記載の方法。
- CNS損傷が急性外傷または慢性疾患を含む請求項59記載の方法。
- 急性外傷が、脊髄の完全な切断、脊髄の部分的な切断、および卒中のうち少なくとも1つを含む請求項61記載の方法。
- 慢性疾患が、多発性硬化症、癌、腫瘍転移、ハンチントン病、アルツハイマー病、ALS、および加齢による神経変性影響からなる群から選択される請求項61記載の方法。
- 哺乳動物対象が運動完全麻痺または知覚完全麻痺である請求項59記載の方法。
- 対象の末梢神経系神経と連絡している対象の筋肉にFESを加えることを特徴とし、該FESは、対象の四肢のパターン化された運動を調整している中枢パターン発生器を刺激するのに十分であり、その結果、該中枢パターン発生器の刺激が、対象のCNSにおいて神経細胞の誕生および生存を促進することによって、対象において神経細胞を再生することを含む、CNS損傷を受けている対象において神経細胞を再生する方法。
- 中枢パターン発生器のFES刺激を用いてCNS損傷部位において、またはその周辺で神経細胞を再生することを特徴とする、治療の必要な対象においてCNS損傷を回復する方法。
- CNS損傷を受けている対象において知覚または運動機能を少なくとも部分的に回復する方法であって、対象においてパターン化された運動を誘起するように形成されたFESを用いて、対象において中枢パターン発生器を刺激することを含む方法。
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