JP2006507673A - ダイヤモンドエタロンを含む波長固定器 - Google Patents
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Abstract
光ビームの波長を所定の波長に概ね固定するための波長固定器は、光ビームのサンプル部分を受け取って、そして少なくとも1つの出力光ビームをそこから発生させるように配置された少なくとも1つのファブリー・ペロー・エタロンを有する。その出力光ビームの強度はサンプル光ビームの波長に依存し、そのファブリー・ペロー・エタロンはダイヤモンドを含む。好ましくは、ダイヤモンドエタロンは、反射性被覆のない高度に磨かれた入力面及び出力面をもった単結晶合成ダイヤモンドである。
Description
本発明は、所定の波長、または複数の所定の波長の1つに光ビームの波長を固定することに関する。本発明は光通信の分野における特定の用途を有する(そして、主にそれに関連して説明されることになる)が、少なくとも本発明の最も広い観点は光通信用途に限定されない。本発明は、特に波長固定のためのファブリー・ペロー・エタロンの使用に関する。
本明細書において、「光」または「光学の」と言う用語は、一般的に、可視光のみならず、電磁波の他の波長、例えば約200nmから約1mmの範囲の波長、つまり紫外領域から遠赤外領域までにおける波長にも関係して使用される。
波長固定器(波長ロッカー)はよく知られており、例えば光通信ネットワーク上での伝達のためにレーザによって発生された光学信号が正確な波長を有することを確実にするために使用される。これは、例えば波長分割多重(WDM)光通信システムにおいて特に重要であって、高密度波長分割多重(DWDM)システムにおいてさらに重要である。そこでは、複数の波長チャネルが、単一の光ファイバを通して光学信号を伝えるのに使用される。もし、1つまたはそれ以上の光学信号の波長が正確な予め割り当てられた波長チャネル中に収まらないならば、例えば、信号の不正及び/または信号の検出に関する問題が起こりうる。
現在、2つの主要な情報通信バンド即ち、Cバンド(191.6〜196.2THz)及びLバンド(186.4〜191.6THz)が存在する。これらのバンド内に、100GHz(0.8nm)、50GHz(0.4nm)、または25GHz(0.2nm)の間隔で国際電気通信連合(ITU)によって定義された標準波長チャネルが存在する。(将来、追加のバンド、およびそのバンド内の波長チャネルのより狭い間隔を使用できるであろう。)従って、例えばこれらの標準化した波長における光学信号波長を「固定する(ロックする)」必要があり、そして波長固定器がそのために使用される。
特許文献1(Bookham Technology PLCにより出願)は、波長可変レーザ(tunable laser)で使用するための波長固定器を開示しており、この場合の波長固定器はマッハツェンダー(Mach-Zehnder)干渉計に基づいている。
特許文献2は1つまたは2つのファブリー・ペロー・エタロンに基づく波長固定器を開示している。2つのファブリー・ペロー・エタロンを利用する波長固定器は、可変レーザからの光学信号パワーを2つのファブリ−・ペロー・エタロンの間で等しく分割することによって機能し、それらエタロンは類似するがわずかに異なった、出力応答に依存する波長を有している。2つのエタロンの出力応答は、それらの大きさが所定の入力波長(例えば、1550nm)において同一であるように選ばれる。その結果、もし入力波長がこの所定の波長と異なっていれば、2個のエタロンの出力は互いに異なることになるであろう。波長固定器の一部を構成する電子回路構成は、2つのエタロンの出力を比較し、2つのエタロン出力の比に基づく可変レーザの出力の波長を、その電子回路構成が所定の(所望の)波長に固定するように(即ち、エタロン出力からレーザへのフィードバックが存在するように)調整する。この特許文献2は、単一のファブリー・ペロー・エタロンを2つのエタロン固定器と同様の方式で使用する波長固定器も開示している。単一のエタロン固定器では、エタロンを透過して伝達されたエタロン出力は、エタロンから反射されたエタロン出力に依存する異なった波長を有している。エタロンは、透過出力及び反射出力が所定の波長(例えば1550nm)において同じ振幅を持つように選ばれ、レーザを所定の波長に固定するように比較、フィードバック、および調整することは、2つのエタロン波長固定器と同様に行われる。
国際公開第02/39553号パンフレット
米国特許第5,798、859号明細書
米国特許第5,335、245号明細書
本発明は、所定の波長、または複数の所定の波長の1つに光ビームの波長を固定することに関する。
第1の観点によれば、本発明は、所定の波長に光ビームの波長を概ね固定するための波長固定器であって、光ビームのサンプル部分を受け取って少なくとも1つの出力光ビームをそこから発生させるように配置され、前記出力光ビームの強度がサンプル光ビームの波長に依存する少なくとも1つのファブリー・ペロー・エタロンを有する波長固定器において、前記ファブリー・ペロー・エタロンがダイヤモンドを有することを特徴とする波長固定器、を提供する。
本発明の第2の観点は、所定の波長から光ビームの波長のドリフトを検出するための波長ドリフト検出器であって、光ビームのサンプル部分を受け取って少なくとも1つの出力光ビームをそこから発生させるように配置され、前記出力光ビームの強度がサンプル光ビームの波長に依存する少なくとも1つのファブリー・ペロー・エタロンを有する波長ドリフト検出器において、前記ファブリー・ペロー・エタロンがダイヤモンドを有することを特徴とする波長ドリフト検出器、を提供する。
好ましくは、本発明の第1の観点による波長固定器、及び/または、本発明の第2の観点による波長ドリフト検出器は、エタロンの出力に依存して所定の波長からのそのドリフトを低減するかまたは排除するように光ビームの波長を調整するための手段を含む。その結果、本発明の第2の観点は、好ましくは、本発明の第1の観点による波長固定器を含む。
エタロンは、好ましくは、入力面及び出力面を含み、それらはダイヤモンド(例えば、ダイヤモンド・ウェハ)の向かい合う面である。従って、エタロンの機能は、好ましくは、(例えば、ダイヤモンド・ウェハの空間的に隔てられた2面間よりはむしろ)ダイヤモンド材料内に現れる。
光ビームは、好ましくは、光学信号を含み、そして光ビームのサンプル部分は、好ましくは、光学信号のサンプル部分を含む。
上述したように、1つまたはそれ以上のファブリー・ペロー・エタロンを利用する波長固定器は、例えば特許文献2から公知である。本発明による波長固定器は、(上記特許文献2で開示されているように、そのミラー間の空間を満たす空気または他のガスを有する)空間的に隔てられた部分的に反射するミラー、あるいは他の何らかの従来のエタロンから構成される、その(あるいはそれぞれの)エタロンではなく、エタロンがダイヤモンドを含む、ということを除いては、上記米国の特許文献2において説明することが可能である。従って、特許文献2の全体の開示内容は参照としてここに取り入れられる。
波長固定器(または波長ドリフト検出器)のエタロンの材料としてダイヤモンドを使用することは、いくつかの素晴らしい利点がある。
第一に、ダイヤモンドは高い屈折率を有する。例えば、それは1550nmにおいて約2.39の屈折率測定値を有する(例えば、同じ波長において約1.44の屈折率を有する石英ガラスと比較して)。この利益は、ダイヤモンドから形成されたエタロンが、与えられた自由スペクトル領域に対して、一般により小さな長さ(光路に沿って測定される長さとしての)であり、そのため、より低い屈折率を有する従来のエタロンよりも、よりコンパクトであるということである、(自由スペクトル領域は定義されたエタロン特性であり、以下で議論する。)その結果、ダイヤモンドを使用することによって、波長固定器のファブリー・ペロー・エタロンは、従来のエタロンより小型化でき、そして、これはオプトエレクトロニクス・システムの微細化と集積化の全般的な必要性を与える非常に重要な利益となりうる。
ダイヤモンドの高屈折率のもう一つの利益は、エタロンのフレネル反射率が十分高いので、少なくともいくつかの用途に対しては、反射性被覆の供給が必要でない、ということである。反射性被覆の必要性の排除は、いくつかの理由から、エタロンの材料としてダイヤモンドを使用することの第2の主な利点である。それにより、製造工程数が低減され、結果として製造コストが削減される。また、それは、時間経過につれてエタロンのコントラスト比に影響する水分吸収の潜在的問題をも回避する(そして、その結果、ダイヤモンドエタロンは、一般に、従来の被覆型のエタロンよりも、時間経過に対して、より安定したコントラスト比を有する)。しかも、反射性被覆の必要性の回避は、それを施さなければエタロンが正確に機能することが阻害されるような被覆に対する、損傷の可能性を防止する。
後者の利益は、エタロンの材料としてダイヤモンドを使用する第3の主要な利点にも関連している。即ち、その高い強度と硬度が(被覆がない場合の)引っかきに対して影響されないようにしていることである。
エタロンとしてのダイヤモンドの第4の主要な利点は、それが優秀な熱的安定性を有していることである。ダイヤモンドは、例えば、低い熱膨張係数と温度による低い屈折率変化の係数を有する。これらの2つの特性の結果の組み合わせは、エタロンに、高度に安定した自由スペクトル領域と、優秀な(温度変動に対する)波長安定性を持たせる。
第5の、そして恐らくは最大の、エタロンの材料としてのダイヤモンドの利点は、ダイヤモンドが例外的に高い熱伝導率をも有するということである。これは、エタロンの中に最小の温度勾配があることを意味する(即ち、エタロンはあらゆる点で概ね等温になるであろう)。この特性の特別な利益は、エタロンの温度、そして特に使用中に光ビームが通過するエタロンの領域を正確に制御できるということである。例えば、その結果、ダイヤモンドの高い熱伝導率のために、エタロンの外部の一部(例えば、エタロンが取り付けられる面などの外部のある面)の温度を制御することにより、内部領域の温度がエタロンの外部の温度と実質的に同じになるので、光ビームが通過するエタロンの内部領域の温度も制御される。
石英ガラスを有するエタロンの材料としてのダイヤモンドの、これらの特性(本発明の目的のための測定によるもの)を、定量的に比較した結果が以下の表で提供される。
さらに、ダイヤモンドの大きな電磁放射透過「窓」(即ち、ダイヤモンドを通して伝播できる大きな電磁放射波長の範囲)は、ダイヤモンドを、約200nm(UV)から約1mm(遠赤外)までの波長に対するエタロンとして適切なものにする。
ダイヤモンドの化学的不活発性は、エタロンを清浄にすることを容易にし、従って、それは、一般的に、酸化雰囲気中の約500℃の温度にかかわること以外の、いかなる清浄化の手順にも耐えることができる。
ダイヤモンド・ウェハの窓においてCO2レーザのファブリー・ペロー干渉計の原理を使用することは、特許文献3から知られる。この特許文献3はレーザ・キャビティの窓としてダイヤモンド・ウェハを使用することを記載している。透過ウェハの厚さを正しく選ぶことによって、あるCO2レーザの輝線スペクトルを、他の利益となるように抑制できる。しかしながら、レーザ・キャビティの窓としてのこのダイヤモンドの使用は、本発明による波長固定器におけるエタロンとしてのダイヤモンドの使用とは、完全に異なっている。米国の特許文献3に記載されたレーザでは、レーザの出力全体がダイヤモンドのウェハの窓を透過し、そして、その窓は、完全に受動的な方式で、レーザ材料のある輝線スペクトルに対応する波長の透過だけを妨げる。これに対し、本発明による波長固定器(または波長ドリフト検出器)において、ダイヤモンドエタロンは、好ましくは、光ビームにおける波長ドリフトを積極的に検出し、また必要な波長に固定するようにビームの波長を調整するために積極的に情報を使用するフィードバック機構の一部として、積極的に使用される。しかも、これは、エタロンによって受け取られる光ビームのサンプル部分(その強度の例えば10%未満、例として2%と4%の間)だけによって達成される。
上述のように、本発明による波長固定器、及び/または、波長ドリフト検出器は、好ましくは、ファブリ−・ペロー・ダイヤモンド・エタロンの出力に応じて、所定の波長からそのドリフトを低減するかまたは排除するように光ビームの波長を調整するための手段を含む。好ましくは、そのような調整手段は、光ビームを発生させる光源を制御するために配置された電子回路を含む。
波長固定器または波長ドリフト検出器は光源から離すことができ、その場合、好ましくは、調整手段は光ビームの波長を調整するために制御信号を光源に伝達する。しかしながら、好ましくは、波長固定器または波長ドリフト検出器は光ビームの光源を含んでいる。
先にも述べたように、光ビームは、好ましくは、光学信号、例えば情報通信光学信号である。
本発明の第3の観点は、第1の観点による波長固定器または本発明の第2の観点による波長ドリフト検出器を含む光学信号発信器を提供する。好ましくは、その光学信号発信器は光学信号を発生させる光源を含んでいる。
光ビームの光源は、好ましくはレーザを含む。そのレーザは可変レーザ(即ち、その出力を広範囲の波長に亘って変えることができるレーザ、通常少なくとも70nm)とすることができる。あるいは、レーザは固定波長レーザとすることができる(それにもかかわらず、その出力は波長ドリフトを補正できる小さい波長の範囲に亘って調整できる)。
本発明の第4の観点は、本発明の第1の観点による波長固定器、または本発明の第2の観点による波長ドリフト検出器、または本発明の第3の観点による光学信号発信器におけるファブリー・ペロー・エタロンとして、ダイヤモンドの使用を提供する。
ダイヤモンドエタロンは、好ましくは単結晶ダイヤモンドを含む。
好都合なことに、ダイヤモンドは合成ダイヤモンドとすることができる。そのダイヤモンドは、例えば化学気相蒸着によって形成できる。
ダイヤモンドエタロンにとって、構造欠陥(例えば、介在物、及び/または、ストライエーション(縞;striation))が極力ないようにできることは、非常に有利である。
本発明におけるエタロンとして使用するのに好適なダイヤモンドは、本願の出願と同時に、Element Six Limitedによって出願された「光学品質ダイヤモンド材料」という名称のイギリス特許出願で記載された方法を使用して生産できる。この特許出願は、炭素源(好ましくはメタンガス)を使用して、厳密に制御された合成条件を使用することで、ダイヤモンド基板上への炭素の化学気相蒸着によって、合成ダイヤモンドを生成することを説明している。
本発明で使用されるダイヤモンドのサンプルは、本発明(のみ)の試用と開発の目的に対する秘密保持契約の下でElement Six Limited BVによって提供された。
ダイヤモンドエタロンは、好ましくは、エタロンの厚さdによって隔てられた入力面と、その反対側の出力面とを含む。エタロンの入力面及び出力面は、好ましくは、ほぼ平坦であり、好ましくは、ほぼ平行な面内にある。エタロンの入力面及び出力面は、部分的に反射性であり、好ましくは磨かれている。
周知のとおり、エタロンの自由スペクトル領域(FSR)は(周波数に関して)以下のように定義される。
FSR=c/2nd
ここに、
cは光速
nはエタロンの材料(即ち、ダイヤモンド)の屈折率
dはエタロンの厚さ(即ち、入力面と出力面の間の距離)
である。
FSR=c/2nd
ここに、
cは光速
nはエタロンの材料(即ち、ダイヤモンド)の屈折率
dはエタロンの厚さ(即ち、入力面と出力面の間の距離)
である。
自由スペクトル領域は、エタロンの出力特性に依存した周波数(または、波長)における隣接した極大値または極小値の間の、周波数(または波長)の間隙である。
ダイヤモンドエタロンの厚さdは、好ましくは、少なくとも0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、特に少なくとも0.5mmである。ダイヤモンドエタロンは、好ましくは、5.0mmを超えず、より好ましくは4.0mmを超えず、特に2.0mmを超えない厚さを有する。エタロンは1.0mmから1.5mmの範囲の厚みを有する。好ましくは、エタロンは1.251mmの厚さを有し(その実施例としては、入射光線はエタロンの入力面に垂直である)、従って、1550nmにおいて50GHzの自由スペクトル領域を提供する(本発明の目的に対して、この波長におけるダイヤモンドの屈折率が2.3964と測定されたため)。(50GHzの自由スペクトル領域の利点は以下で説明されるであろう。)
エタロン特性の変調深さはエタロン面のフレネル反射率に依存している。それぞれのエタロン面は2つの透過媒質、つまりダイヤモンド材料とダイヤモンド材料のすぐ隣の他の媒質の間の境界と見なすことができる。ダイヤモンド材料に被覆が全く塗布されていない本発明の実施例に対して、ダイヤモンド材料のすぐ隣の透過媒質は通常は空気であるだろう(これは必ずしもそうでなければならないというわけではないが)。それぞれのエタロンの面の反射率(R)は以下の式によって与えられる。
R=((nt−ni)/(nt+ni))2
ここに、
niは入射媒質の屈折率
ntは透過媒質の屈折率
である。
R=((nt−ni)/(nt+ni))2
ここに、
niは入射媒質の屈折率
ntは透過媒質の屈折率
である。
エタロンの入力面に対して、入射媒質は空気(または、ダイヤモンド材料の入力面のすぐ外側の他のある媒質)になり、そして透過媒質はダイヤモンド材料になるだろう。エタロンの出力面に対して、入射媒質はダイヤモンド材料になり、そして透過媒質は空気(または、ダイヤモンド材料の出力面のすぐ外側の他のある媒質)になるだろう。
エタロン特性の変調は、コントラスト比(CR)として知られており、最大の透過率(ピーク)と最小の透過率(谷)との比によって定義できる。
CR=Tmax/Tmin
CR=Tmax/Tmin
コントラスト比はエタロン反射率に関しても定義できる。
CR=((1+R)/(1−R))2
CR=((1+R)/(1−R))2
エタロンの挿入損失(IL)は、完全な透過率(100%)から最大のその特性の透過率(ピーク)を減算することによって、決定される。
IL=1−Tmax
IL=1−Tmax
ここで、本発明は、添付図面に関連して実施例の形態で説明される。
図1は、本発明による波長固定器または光学信号発信器の実施例を概略的に示しており、それはレーザ装置10を含み、分布帰還型レーザ(DFB)などの固定波長レーザであるか、または分布ブラッグ型反射器(DBR)などの可変波長レーザであり、レーザ・サブ・アセンブリ101上にサーミスタ122と共に取り付けられている。レーザ装置10からの光はコリメートレンズ12によって平行化され、光学アイソレータ13を通って平行ビームBとして伝えられる。次に、ビームBは、光学ビームスプリッタ装置15を含んだビームスプリッタ/エタロン・アセンブリ11、ファブリー・ペロー・エタロン16、及び1組のフォトダイオード17及び18を通過する。ファブリー・ペロー・エタロン16は単結晶合成ダイヤモンドを有している。ダイヤモンドエタロンは入力面26と出力面36を有し(図4参照)、エタロンの厚さdだけ隔てられている(それで、ダイヤモンドの屈折率と共にエタロンの自由スペクトル領域を決定する)。入出力面26及び36は、非常によく磨かれ、いかなる反射性被覆(または他の被覆)も含んでいない。ダイヤモンドは、好ましくは、50GHzの自由スペクトル領域を提供するために、1.251mmの厚さdを有する。
波長固定器のレーザ・サブ・アセンブリ101と他の光学部品は、高い熱伝導率を有する光学アセンブリ・プレート121上に全て取り付けられる。ビームスプリッタ/エタロン・アセンブリ11からの光出力は、波長ビームスプリッタ/エタロン・アセンブリの特定の用途に応じて、図示しない第2の光学アイソレータを通じて結合できる。
フォトダイオード17、18からの電気信号S1とS2は、電子回路21を制御するために連結され、その電子回路は、レーザ動作波長の閉ループ・フィードバック制御を提供するために半導体レーザ(laser diode)に順次接続される。半導体レーザ装置10は、好ましくは、DWDM光学情報通信システムに光出力を伝える。レーザは、光学構成における温度変化で引き起こされる波長変動に対して最高の感度を有するので、サーミスタ122は、レーザ温度の正確な制御を維持するために半導体レーザ装置10に隣接して位置決めされている。
半導体レーザ装置10からの光は、ビームスプリッタ/エタロン・アセンブリにおける光学要素に(特にエタロン16に)平面波面を提供するために、レーザの前面に近接して位置決めされたレンズ12によって、平行化される。
図4を参照すると、ビームスプリッタ15は理論上立方体であり、光の入口ポート、出口ポート、及び入口/出口ポートからなる4ポートの光学部品である。ビームスプリッタ装置は、例えばプレート形ビームスプリッタまたは箱形ビームスプリッタとすることが可能である。ビームスプリッタは半導体レーザ10から放射された平行ビームを、出力光学系上に、あるいはさらに、共にパッケージされた電気光学装置、例えば変調器(そしてそこから光学電気通信網に)の方に部分的に伝える。ビームスプリッタ15は、平行ビームBのパワーにおける通常4%の小部分B1をそらせ、そして、平行ビーム・パワーの通常96%が出力B’として利用可能である。4%のサンプルビームB1は平行ビームBに対してほぼ垂直であり、ダイヤモンドエタロンの方に向けられる。ダイヤモンドエタロンは、波長依存の透過及び反射特性を有し、それぞれB2(サンプルビームB1の透過出力部分)、及びB3’(サンプルビームB1の反射出力部分)である。ダイヤモンドエタロンから反射した小部分B3’はビームスプリッタを横断して戻り、再びメインの平行ビームBにほぼ垂直に進む。ビームスプリッタは通常96%の透過率を有するので、大部分のエタロンの反射出力B3’はビームスプリッタを通過してビームB3を出現させ、小部分B3”が反射して光学アイソレータ13中で消滅する。
(光学設計の観点は、ビームスプリッタが実質的にメインビームB/B’のほぼ零偏向を可能にし、その結果光軸を一直線に保つということである。これは、共にパッケージされたモジュールの適用にとって、例えば下流の半導体電気光学変調器へのオフセット光入力を避けるためには、特に重要である。)
前述の通り、ダイヤモンドエタロン16は、透過出力B2と反射出力B3’を有する(それはビームスプリッタを通過した後にB3になる)。エタロンの透過出力B2の強度はフォトダイオード17によって検出され、そしてエタロンの反射出力B3の強度はフォトダイオード18によって検出される。これらエタロンの透過及び反射出力は波長依存特性を有し、そしてこれらの典型的なプロットが図2に示される。上側(暗い方)のプロットは透過出力特性のものであり、下側(明るい方)のプロットは反射出力特性のものである。
波長固定は、エタロンの透過出力特性と反射出力特性の間の差分の電子回路処理から得られる。先に述べたように、エタロンの自由スペクトル領域は出力特性における隣接する極大値か極小値の間の周波数差である(この周波数差は透過特性と反射特性の両方について同一である)。従って、XGHzの間隔を持った周波数に固定することは、透過及び反射出力特性の間の差を使用することにより、2XGHzの自由スペクトル領域を持っているエタロンを用いてできる。
ダイヤモンドエタロンの厚さは、好ましくは、エタロンの透過出力特性と反射出力特性の両方が50GHzの自由スペクトル領域(FSR)を有するように選択される。ダイヤモンドエタロンの高屈折率は、透過特性と反射特性の間の差分が図3に示す通りとなるように、約2に近いコントラスト比を与える。25GHzのITUグリッド周波数に固定することを可能にするために、固定ポイントが、およそ、あるいは厳密に25GHzとなるように、差分特性の振幅が選ばれる。コントラスト比の絶対値における小さな変化は、較正動作の間に、制御装置21で調整される。
好都合なことに、ダイヤモンドエタロンの高屈折率は、25GHz波長固定ポイントを達成するために、遥かに厚いエタロンを使用する必要性を回避する。明らかに、より小さなエタロンを使用して50GHzと25GHZの固定ポイントの両方を得るためのこの能力は、波長ビームスプリッタ/エタロン・アセンブリ11中のスペースの必要性を低減することの助けとなる。
ビームスプリッタ/エタロン・アセンブリ11の製造中において、ダイヤモンドエタロン16は、ITUグリッドの中間点チャネルにおける固定を達成するために、ビームスプリッタ/エタロン・アセンブリ11中で積極的に傾けて配置され、その結果、例えばC−バンド(191.6〜196.2THz)のエッジにおける正確なチャネルで、いかなる自由スペクトル領域(FSR)の外れも最小化することになる。
図1を参照すると、フォトダイオード17及び18は、それぞれ電気信号S1及びS2を供給するために、ダイヤモンドエタロンから透過及び反射した光の強度を光電流に変換する。好ましくは、これらの信号は制御電子回路21にインターフェース接続される。各フォトダイオードは、通常は1mA/mWの応答性、即ち1次のオーダーに対する応答性をもって、入射光を光電流に変換し、光電流は光強度に正比例する。各フォトダイオードは、光学システムへの光の戻り反射を抑えるために、そこに入射する光に対して通常2°の角度で取り付けられる。各フォトダイオードは、ダイヤモンドエタロンからの検出信号の光の位相差が低減されるように、例えば図1に示されるように、互いに反対の向きに回転している。これは、検出された光パワーを、メインビーム光強度を決定するのに使用することを可能にするのに、即ちパワーモニターとして機能させることを可能にするのに、特に有利である。この用途のために適切なフォトダイオードはイギリスのWoking SurryのLGP Electro Opticsから、例えば部品番号GAP1060が入手可能である。
フォトダイオード信号S1とS2は制御電子回路21への入力を提供する。次に、これらの信号はバッファリングされ、適宜入力信号の位相反転を含む差動増幅器に入力される。好適な実施例によれば、25GHzと50のGHzの両方の条件に対する反射光強度及び透過光強度の間の差分を利用することによって、固定波長はエタロン透過特性の名目上66%の振幅で、またエタロン反射特性の34%の振幅で達成される。
ITU波長で名目上動作するレーザ装置10を用いて、S1とS2の間の差は制御電子回路21に格納された基準値と比較される。そして、制御電子回路は、適切な制御信号手段を使用して、フォトダイオード差分信号が格納された基準値に等しくなるように、レーザ装置10の波長制御手段に依存するレーザ波長S3を調整するよう動作する。半導体レーザ動作波長が温度、並びに駆動電流または電界の両方に敏感であるので、動作波長の閉ループ制御は、レーザの電気的動作条件を変えるか、またはレーザ動作温度を変えることによって実施できる。レーザ波長が要求された値から変われば、フォトダイオード差分信号は格納された値から逸脱し、制御電子回路21はその逸脱量に比例した誤差信号を作り出す。誤差信号の極性を正しく構成することによって、正しいITU波長に戻し、それによって誤差を最小にして要求される動作波長にレーザを保持しつつ運転するように、S3はレーザ装置10に命令することができる。これはフィードバック制御ループを構成する。レーザ装置10が可変レーザである場合には、制御電子回路は、必要な各々のレーザ装置波長に適合させ、それに応じてレーザ調整手段を駆動することが必要であり、また各々の運転のITU波長に対する格納された適切な基準値を採用することも必要である。単一波長及び複数波長の両方の動作波長データの模範的な格納手段は、参照テーブルである。
制御電子回路21に格納された値は、格納された基準値が、試験され固定された正確な波長と特定のユニット耐久試験の両方に対して特有のものとなり、そして所定の基準値を構築するように、製品の工場試験の間に決定される。各動作波長を順にテストし、制御電子回路21に対応する基準値を格納することによって、各々の動作波長が特定の精度内でITUに合うように設定できる。S1とS2の間の差が定量的に格納された基準値と比較される一方で、この技術分野の当業者ならば、S1とS2から得られた他のデータが、格納された適切な所定の基準値または値のセットと比較できるということを理解するであろう。
制御電子回路における差分信号の位相反転動作は固定される波長に依存する。位相反転は25GHz間隔を有する固定された周波数の間に必要である。なぜなら、これらは、50GHzエタロン特性の反対側に位置するからである。図3を参照されたい。位相反転は、例えば、フォトダイオード差分信号と制御電子回路に格納された参照信号振幅とから作成された誤差信号に対して、制御電子回路21内のいかなる適切な点においても適用できる。
上記で説明された波長固定器は、ダイヤモンドエタロンを使用できる波長固定器に関する単なる一例にすぎないことが理解されるであろう。他の方法で機能する、及び/または、(例えば、特許文献2で説明されるように)1つ以上のダイヤモンドエタロンを使用する波長固定器も、また本発明の範囲内に入る。
10 半導体レーザ装置
11 ビームスプリッタ/エタロン・アセンブリ
12 コリメートレンズ
13 光学アイソレータ
15 ビームスプリッタ
16 ファブリー・ペロー・エタロン(ダイヤモンドエタロン)
17、18 フォトダイオード
21 制御電子回路
26 入力面
36 出力面
101 レーザ・サブ・アセンブリ
121 光学アセンブリ・プレート
122 サーミスタ
11 ビームスプリッタ/エタロン・アセンブリ
12 コリメートレンズ
13 光学アイソレータ
15 ビームスプリッタ
16 ファブリー・ペロー・エタロン(ダイヤモンドエタロン)
17、18 フォトダイオード
21 制御電子回路
26 入力面
36 出力面
101 レーザ・サブ・アセンブリ
121 光学アセンブリ・プレート
122 サーミスタ
Claims (26)
- 所定の波長に光ビームの波長を概ね固定するための波長固定器であって、光ビームのサンプル部分を受け取って少なくとも1つの出力光ビームをそこから発生させるように配置され、前記出力光ビームの強度がサンプル光ビームの波長に依存する少なくとも1つのファブリー・ペロー・エタロンを有する波長固定器において、前記ファブリー・ペロー・エタロンがダイヤモンドを有することを特徴とする波長固定器。
- 所定の波長から光ビームの波長のドリフトを検出するための波長ドリフト検出器であって、光ビームのサンプル部分を受け取って少なくとも1つの出力光ビームをそこから発生させるように配置され、前記出力光ビームの強度がサンプル光ビームの波長に依存する少なくとも1つのファブリー・ペロー・エタロンを有する波長ドリフト検出器において、前記ファブリー・ペロー・エタロンがダイヤモンドを有することを特徴とする波長ドリフト検出器。
- 前記エタロンの出力に依存して所定の波長からのそのドリフトを低減するかまたは排除するように光ビームの波長を調整する調整手段をさらに含む、請求項1に記載の波長固定器、または請求項2に記載の波長ドリフト検出器。
- 前記調整手段が制御電子回路を含む請求項3に記載の波長固定器、またはドリフト検出器。
- 前記調整手段が光ビームを発生させる光源を制御するように配置される請求項3または請求項4に記載の波長固定器またはドリフト検出器。
- 前記光源は前記波長固定器または前記ドリフト検出器から離され、前記調整手段が制御信号を前記光源に伝達して前記光ビームの波長を調整する請求項5に記載の波長固定器またはドリフト検出器。
- 前記光源が前記波長固定器または前記ドリフト検出器の一部分を含む請求項5に記載の波長固定器またはドリフト検出器。
- 前記光ビームが光学信号を有し、前記光ビームのサンプル部分が前記光学信号のサンプル部分を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の波長固定器またはドリフト検出器。
- 請求項8に記載の波長固定器またはドリフト検出器を有する光学信号発信器であって、前記光学信号を発生させる光源を有する光学信号発信器。
- 前記光源がレーザを含む請求項5、またはそれに従属するいずれかの請求項に記載の波長固定器、ドリフト検出器、または発信器。
- 先行する請求項のいずれかに記載の波長固定器、ドリフト検出器、または光学信号発信器におけるファブリー・ペロー・エタロンとしてのダイヤモンドの使用。
- 前記ダイヤモンドが単結晶ダイヤモンドを含む、先行する請求項のいずれかに記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記ダイヤモンドが合成ダイヤモンドである、先行する請求項のいずれかに記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記ダイヤモンドは化学気相蒸着によって形成された、請求項13に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記ダイヤモンドには実質的に構造欠陥がない、先行する請求項のいずれかに記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記ダイヤモンドエタロンが部分的に反射性の入力面と、反対側の部分的に反射性の出力面とを含み、前記エタロンの厚さにより分離している、先行する請求項のいずれかに記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記入力面及び前記出力面はほぼ平坦であり、ほぼ平行な面内にある、請求項16に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記入力面及び前記出力面が磨かれている、請求項16または17に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記入力面及び/または前記出力面がいずれの被覆もされていない、請求項16から18のうちいずれか1項に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記ダイヤモンドエタロンの厚さが少なくとも0.1mm、好ましくは少なくとも0.2mm、特に少なくとも0.5mmである、請求項16から19のうちいずれか1項に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記ダイヤモンドエタロンの厚さが5.0mmを超えず、好ましくは4.0mmを超えず、特に2.0mmを超えない、請求項16から20のうちいずれか1項に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記ダイヤモンドエタロンが1.0mmから1.5mmの範囲の厚みを有し、好ましくは1.25mmの厚みを有する、請求項20または21に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記ダイヤモンドエタロンが出力特性に依存する透過及び反射波長を有し、それらの特性は、2XGHz範囲の自由スペクトル領域を有し、2XGHzとXGHzの両方の間隔範囲において波長固定点を可能にする、先行する請求項のいずれかに記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記XGHzの間隔範囲における波長固定点は、前記エタロンの出力特性に依存する透過波長と反射波長の間の差によって決定される、請求項23に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- 前記波長固定点がXGHz離れるように、前記エタロンの出力特性に依存する透過波長と反射波長の間の差の振幅が予め設定される、請求項24に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
- Xが25である、請求項23から25のうちいずれか1項に記載の波長固定器、ドリフト検出器、発信器、または使用。
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