JP2006506181A - 圧縮骨断片ワイヤ - Google Patents

Abstract

骨断片ワイヤ（１０）は、治癒期間の間、骨断片（３０）をアンカー骨（３２）へと接続する。この骨断片ワイヤ（１０）は、骨（２０）へと前進される遠位骨貫通セクション（２２）と、近位骨外部セクション（２４）とを有する。この近位骨外部セクション（２４）は、骨貫通セクション（２２）よりも長く、従って、骨（２０）の治癒の間、骨（２０）の実質的に外側に広がる。この骨貫通セクション（２２）は、アンカー骨（３２）とねじ切り係合する遠位骨アンカーセクション（１２）と、小さな直径の近位断片セクション（１４）とを備える。この断片セクション（１４）は、骨断片（３０）を通って骨アンカーセクション（１２）を前進することによって作製された大きめの穴内に適合し、従って、骨断片（３０）全体に広がるが、骨断片（３０）と積極的には係合しない。

Description

（発明の背景）
本願は、骨ピンおよび骨ワイヤに関し、より詳細には、治癒期間の間、骨断片をアンカー骨へと付着させるための骨ピンおよび骨ワイヤに関する。

骨ピンおよび骨ワイヤは、比較的小さな直径（例えば、０．１インチ（２．５ｍｍ）未満の直径）を有することによって特徴付けられる。細長いワイヤである骨ピンは、一般に、「キルシュナーワイヤ」または「Ｋ−ワイヤ」と呼ばれる。この一例は、Ｋｉｒｓｃｈｎｅｒに対する米国特許第２，３９３，６９４号に開示される。用語「骨ピン」は、より短い（例えば、２インチ以下の長さの）構造体に関して、より一般的に用いられ、一方、用語「Ｋ−ワイヤ」は、より長い（例えば、１２インチまでの長さの）構造体に対して、より一般的に適用されるが、「骨ピン」と「Ｋ−ワイヤ」との間を長さに基づいて明らかに区別する、明確な境界となる定義は存在しない。本出願は、用語「骨ワイヤ」を、このような小さな直径の構造体を言及するために使用し、長さに拘わらず、骨ピンまたはＫ−ワイヤのいずれをも包含するが、例えば、より大きな直径の骨ねじを除外する。

このような骨ワイヤは、整形外科の分野で、いくつかの異なる目的で長期にわたって用いられている。骨ワイヤはしばしば、手術の間に、別のより永続的なデバイス（例えば、骨ワイヤを超えてカニューレ挿入される骨ねじ）を骨断片またはアンカー骨へと標的化して指向するための一時的ガイドとして用いられる。骨ワイヤは、他のデバイス（例えば、骨プレート、固定具または外部副子デバイス）を、骨折した骨へと係留するために移植されている。骨ワイヤはまた、多くの種類の骨断片をアンカー骨へと固定するために用いられており、ここで、用語骨「断片」とは、その骨折が骨の一部であろうと完全に骨全体にわたるものであろうと、骨折によって分離した任意の骨部分をいう。

骨ワイヤは通常、鋭い先端部を有し、これは、その長手軸方向の軸の周りの骨ワイヤの回転が、穴から骨物質を除去してこの穴の中に骨ワイヤが前進するのを補助するように、ドリル型構造体を用いてさらに製造され得る。この骨ワイヤは、回転の間にこの骨ワイヤをその穴の中に軸方向に前進させることをさらに補助する細いねじを有しても有さなくてもよい。

骨ワイヤは、断片固定のために用いられているが、骨断片とそのアンカー骨との間に適切な圧縮力をより容易に与える、小さな直径の骨ワイヤ構造体を有するために、設計の改良が必要である。

（発明の簡単な要旨）
本発明は、治癒期間、骨断片をアンカー骨へと接続するための骨断片ワイヤである。この骨断片ワイヤは、骨内に前進される骨貫通セクションを有する。この骨断片ワイヤは、骨の治癒の間、骨の実質的に外側に広がる骨外部セクションを有する。この骨貫通セクションは、アンカー骨とねじ切り係合する遠位骨アンカーセクションと、骨断片を通って広がるが骨断片と積極的には係合しない断片セクションとを備える。従って、この断片セクションは、骨断片を通って骨アンカーセクションを前進することによって作製された大きめの穴（ｏｖｅｒｂｏｒｅ）内に適合する。骨外部セクションの遠位端部における圧縮係合は、圧縮肩部を提供する。この肩部は、骨断片の外部表面と実質的に接触させ、制御された圧縮力で、骨断片をアンカー骨に向かって付勢する。

本明細書中で指定した図面は、好ましい実施形態を示すが、本発明の他の実施形態もまた意図され、これらのうちのいくつかもまた、考察において注記される。全ての場合、この開示は、提示のためであって限定ではなく、例示された実施形態を提示する。本発明の原理の範囲および精神の範囲に入る多数の他の重要でない改変および実施形態は、当業者によって考えられ得る。

（詳細な説明）
本発明の好ましい断片骨ワイヤ１０は、中間断片セクション１４の遠位に位置するアンカーセクション１２を包含する。圧縮セクション１６には、中間断片セクション１４が近位に提供され、そして回転セクション１８には、圧縮セクション１６が近位に提供される。骨ワイヤ１０を用いた外科手術方法では、アンカーセクション１２および断片セクション１４は、骨２０を貫通し、一方、圧縮セクション１６および回転セクション１８は、骨２０の外部において外側にあり続ける。骨貫通セクション２２（すなわち、アンカーセクション１２および断片セクション１４）は、合わせた長さが、骨外部セクション２４（すなわち、圧縮セクション１６および回転セクション１８）の合わせた長さよりも短い。

遠位アンカーセクション１２は、ドリル先端２８において終結するシャフト部分２６を有する。断片３０において作製される穴および骨ワイヤ１０についてのアンカー骨３２は、一般に、予め穿孔されないが、むしろ、断片３０を通ってアンカー骨３２へと入る骨ワイヤ１０の前進の間、ドリル先端２８によって穿孔される。このドリル先端２８は、現行の骨ワイヤについて用いられるドリル先端技術（例えば、３尖の（ｔｈｒｅｅ−ｓｉｄｅｄ）鋭いトロカール）に従って構築され得る。当該分野で公知のように、このドリル先端２８は、骨２０を通る穴を穿孔する際に骨ワイヤ１０を保持し、骨２０を破壊し、そして骨粉末および微小な骨片を穿孔の間に穴から除去する。

シャフト部分２６は、アンカーねじ３４を備え、このアンカーねじ３４は、回転の間に骨ワイヤ１０をアンカー骨３２内に前進させるため、および移植が完了した後に骨ワイヤ１０をアンカー骨３２内に係留するための両方に役立つ。このシャフト部分２６は、所望のアンカー骨３２内に係留するために適切な、比較的短い長さを有する。遠位アンカーセクション１２のシャフト部分２６は、約５ミリメートルのアンカーについて５ｍｍの長さを有し得る。使用の間、この骨ワイヤ１０は、遠位アンカーセクション１２が実質的に完全にアンカー骨３２内にあるようになるまで、断片３０を通ってアンカー骨３２内へと前進される。このアンカーねじ３４は、小さな直径を有する骨ワイヤ１０において全身機能および係留機能を適切に実施するに適切な幅およびピッチを有して構築される。例えば、このアンカーねじ３４は、好ましい「細い」実施形態では、１．６５ｍｍの内径および２ｍｍの外径を有する。好ましい「太い」実施形態では、このアンカーねじ３４は、２ｍｍの内径および２．３５ｍｍの外径を有する。このアンカーねじ３４は、好ましい実施形態では、１回転あたり０．５ｍｍのピッチを有する。

断片３０およびアンカー骨３２は代表的には予め穿孔されないので、断片３０およびアンカー骨３２における骨ワイヤ１０のための穴は、代表的には予めタッピングされない。従って、このアンカーねじ３４は、好ましくは、ねじ山の分野で通常公知ように、アンカーセクション１２の遠位側において自己タッピングされない。挿入のために自己タッピングされるアンカーねじ３４を有することにより、別々のタップを有するタッピングと比較して外科手術工程の数および外科手術時間が減少し、一方、より少ない骨損傷を有する、より強固な結合を提供し、全くタッピングしない場合と比較して、より少ない穿孔力を必要とする。

本発明の骨ワイヤ１０は、外科手術によって移植されて、治癒期間の間、断片３０がアンカー骨３２に結合してアンカー骨３２と一緒に増殖しながら、患者内に残されることが意図される。この骨増殖治癒期間の間、骨組織は、アンカーねじ３４によって断片３０へと切断されたねじ内で増殖し得る。治癒期間後に断片３０を通してアンカーセクション１２を除去することを補助するために、好ましいねじ３４は、近位側にも自己タッピングされる。近位側に自己タッピングされるねじ３４を有することにより、除去のために必要なトルクが低減され、除去の間の骨ワイヤ１０の剪断破壊の可能性が低減され、そして除去の間の周囲の骨および周囲の組織への損傷の可能性が低減される。

図２に示されるように、好ましいアンカーねじ３４は、引っ張りに対して角度がついたねじ形態を有する。ねじ形態の角度は、骨ワイヤ１０によって支持され得る引っ張り力を有意に増大し得、これは、特に、アンカー骨３２が弱いか、損傷を受けているかまたはあまりにも多孔質（ｐｏｕｒｏｕｓ）である場合、非常に重要であり得る。

断片セクション１４は、アンカーセクション１２の外径よりも少なくとも小さく、また好ましくはアンカーセクション１２の内径よりも小さな、直径を有する。直径がより小さいことにより、アンカーセクション１２が断片３０を通して前進された場合、この断片セクション１４は、アンカーセクション１２によって作製された断片３０内の穴と干渉しない。例えば、この断片セクション１４は、ねじ切りしたアンカーセクション１２に対して対照して平滑な円筒形断面を有し得る。好ましい「細い」実施形態では、この断片セクション１４は、１．５ｍｍの直径を有する、平滑な円筒形断面を有する。従って、この断片セクション１４は、１．６５ｍｍのねじ切りしたアンカーセクション１２における内径の後ろに続き、断片３０の骨と実質的に係合しない。好ましい「太い」実施形態では、この断片セクション１４は、１．８５ｍｍの直径を有する、平滑な円筒形断面を有する。従って、この断片セクション１４は、２ｍｍのねじ切りしたアンカーセクション１２における内径の後ろに続き、断片３０の骨と実質的に係合しない。断片セクション１４が小さな直径を有するので、本発明の骨ワイヤ１０は、逆のテーパを有すると考えられ得、ワイヤ１０の近位断片セクション１４は、遠位アンカーセクション１２よりも直径がより狭い。

断片セクション１４の長さは、損傷を受けた骨２０における断片３０の長さとほぼ対応するべきである。明らかに、断片３０の長さは、損傷に依存し、骨折した骨すべてについて同じというわけではない。特に、「細い」実施形態に関して、骨ワイヤ１０は、特定の断片３０について所望に応じて外科医が断片セクション１４の長さを選択するのを可能にするキットの一部として提供され得る。例えば、このキットは、２ｍｍの増分で変化する断片セクション長さ（すなわち、２ｍｍ、４ｍｍ、６ｍｍ、８ｍｍ、１０ｍｍ、１２ｍｍ、１４ｍｍおよび１６ｍｍの断片セクション１４についての長さ）を有する骨ワイヤ１０を備え得る。

圧縮セクション１６は、断片セクション１４の近位の程度を規定する圧縮係合３６を提供する。圧縮係合３６の目的は、圧縮力を骨断片３０の外部表面に与え、従って、骨断片３０をアンカー骨３２に向けて外側から付勢することである。この圧縮係合３６は、骨断片３０の外部表面と実質的に接触するための、ワイヤ軸に対して実質的な角度で広がる肩部３８を備える。従って、この骨ワイヤ１０は、圧縮係合３６の皮膚を通した挿入および骨断片３０に対する配置の後、圧縮係合３６を介した圧縮を可能にする。

図１〜図３の実施形態において、この圧縮係合３６は、近位ねじ切りしたシャフトセクション４４に配置された１以上のナット４０、４２によって提供される。近位ねじ切りしたシャフトセクション４４についての好ましい長さは、１５ｍｍである。好ましい圧縮ナット４０は、圧縮肩部セクション４６および駆動セクション４８を有する。この圧縮肩部セクション４６は、ナット４０の遠位側にあり、そして円筒形の外側断面（例えば、４ｍｍの外径）を有する。この圧縮肩部セクション４６は、内側の穴を有し、これは、近位ねじ切りしたシャフトセクション４４および断片セクション１４の両方と適合するに充分に大きい。例えば、内側穴は、１．８５ｍｍの直径の平滑な円筒形の穴であり得る。この長さの圧縮肩部セクション４６は、所望される調節量および可撓性に対応して、所望に応じて設計され得る。骨ワイヤ１０のキットが、断片セクション１４の長さにおいて２ｍｍの分散で提供されるならば、圧縮肩部セクション４６の長さは、この分散に適合し得る（すなわち、少なくとも２ｍｍにわたって軸方向に延び得る）。

その駆動セクション４８は、そのナット４０の近位側にあって、外科医がその圧縮ナット４０を標準的ツールを用いて回転させて進めることができる。例えば、その圧縮ナット４０の駆動セクション４８は、約３．４５ｍｍの対向する平坦面（ｐｌａｎｅ）の間の距離で伝統的な六角形断面を有し得る。その駆動セクション４８は、その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の外部ねじ（例えば、４ｍｍのねじ切りした長さ）と嵌合するように内側からねじ切りされている。所望であれば、ロックナット４２は、所望の軸位置において、その圧縮ナット４０（例えば、２ｍｍのロックナット４２）を固定するためにさらに使用され得る。

図４〜６の実施形態において、その圧縮係合３６は、涙形肩部５０である。その圧縮ナット４０とは対照的に、その涙形肩部５０は、その骨ワイヤ１０の架台に対して、一体的に形成されるかまたは永続的に固定される。

その圧縮ナット４０またはその涙形肩部５０のいずれかで、遠位肩部表面３８は、その骨断片３０の外部表面と接触するために提供される。その遠位肩部表面３８は、好ましくは、その断片３０の外部表面との平滑係合の可能性を増すために、大きな曲率半径を有する。所望であれば、その骨ワイヤ１０は、外科医がその骨断片３０の表面と最もよく合わさる遠位肩部表面３８を有する圧縮係合３６を選択できるように、いくつかの異なる圧縮係合３６（各々が遠位肩部表面３８上で異なる曲率半径を有する）を有するキットの一部として含まれ得る。その意図は、その骨断片３０に食い込んで損傷を与え得る接点においてではなく、その圧縮係合３６とその骨断片３０との間の表面接触するように広い表面でその圧縮力を支持することである。

その断片セクション１４は、その断片３０を完全に（ｐｏｓｉｔｉｖｅｌｙ）係合するには、直径が小さすぎるので、その圧縮肩部３８は、治癒期間の間にその骨断片３０をそのアンカー骨３２に押し込む力の実質的に全てを提供する。本発明は、２つの方法のいずれかでこの圧縮力の制御を可能にする。第１に、その圧縮力は、どの程度の距離だけその骨ワイヤ１０をそのアンカー骨３２へと回転させて進めるかを決定することに基づいて外科医によって選択され得る一方で、その圧縮肩部３８は、その骨ワイヤ１０に対する一定の長手軸位置に留まる。図１〜３の実施形態において、かつ関連する相対的摩擦力に依存して、圧縮力をこのようにして供給することによって、その骨ワイヤ１０を回転させる間に、外科医は、その圧縮ナット４０を完全に回転させることが必要であり得る。図４〜６の実施形態において、その涙形肩部５０は、その骨ワイヤ１０に対して、一体的に形成されるかまたは永続的に固定され、よって、外科医は、その骨ワイヤ１０を回転させる以外の、いかなるさらなる工程をも採る必要がなく、その圧縮肩部３８は、骨ワイヤ１０を回転させれば、常に進む。

第２に、図１〜３の実施形態において、その圧縮力は、固定（ｓｔａｔｉｏｎａｒｙ）骨ワイヤ１０に対してその圧縮ナット４０を回転させて進めることによって、その骨ワイヤ１０を、そのアンカー骨３２に完全に進めた後に、外科医によって選択され得る。このことは、その骨ワイヤ１０の先端（ｔｉｐ）２８とその圧縮肩部３８との間の長さと同様に、外科医がその骨ワイヤ１０を合わせて調節する（ｃｕｓｔｏｍｉｚｅ）ことを可能にする。関連する相対的摩擦力に依存して、このようにして圧縮力を供給することによって、その圧縮ナット４０を回転させる間に、外科医は非回転位置にその骨ワイヤ１０を完全に保持する必要があり得る。

何れの実施形態でも、外科医は、いくつかの異なる方法のいずれかで付与される圧縮力の量をモニターし得る。第１に、外科医は、目視的に（直接的にまたは検査機器の補助によるかのいずれかで）その断片３０がそのアンカー骨３２に向かって進んでいることを見ることができる。例えば、図５が、わずかな間隙（ｇａｐ）５２だけそのアンカー骨３２から分離された断片３０を示し、図６が、その間隙５２を完全に閉じるようにアンカー骨３２に対して動いた断片３０を示すことに留意すること。第２に、外科医は、手で、またはモニタリングツール（例えば、トルクレンチ）の助けを借りてかのいずれかで、その断片３０に対してその圧縮肩部３８を進めることと関連づけられたトルクの変化を敏感に感じなければならないかもしれない。進んでいるトルク要件のそのような「感触」は、その骨ワイヤ１０が固定していれば、図１〜３の実施形態に一致して、比較的容易である；さもなければ、外科医は、その圧縮肩部３８を回転させて進めるために必要とされるトルクの任意の変化から区別されるように、その骨ワイヤ１０を回転させて進めるために必要とされる任意の変化の間を区別することに注意深くなければならない。第３に、圧縮肩部３８を進めるにあたって付与されるトルク量は、最大閾値未満に制御され得る。制御され得るかもしくは設定された最大トルクを有するドリルが使用され得るか、または回転式係合構造体（ｒｏｔａｔｉｏｎａｌ ｅｎｇａｇｅｍｅｎｔ ｓｔｒｕｃｔｕｒｅ）（例えば、圧縮ナット４０の平坦面）は、所望のトルクにおいて剪断するように設計され得る。実際に、全ての３つの方法は、同時に使用され得る。

図１〜３の実施形態は、ナット４０を支持する近位ねじ切りしたシャフトセクション４４が、十分に長く、かつ十分に小さな直径にされるのであれば、さらなる利益を提供し得る。すなわち、その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４は、圧縮動作（ｍｏｖｅｍｅｎｔ）の所望の量よりも実質的に長くすることができる。その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４が、そのアンカーセクション１２によって作製されるその断片３０の大きめの穴内にフィットし、その骨ワイヤ１０は、近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の実質的な部分がその断片３０内に存在するまで、進められ得る。その上、その選択可能な長さの断片セクション１４は、それほど重要ではない。例えば、図１〜３の実施形態におけるその近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の好ましい長さは、１５であるが、好ましい圧縮ナット４０は、ロックナット４２と合わせて、わずか８ｍｍの軸長を有する。その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の直径が、そのアンカーセクション１２により穿孔される大きめの穴内にフィットするようにされるのであれば、７ｍｍまでの近位ねじ切りしたシャフトセクション４４が、その断片３０における大きめの穴内に配置され得る。その圧縮ナット４０は、少なくともその圧縮肩部セクション４６が断片セクション１４を超えて延びるまで、すなわち、９ｍｍというその圧縮肩部３８についての圧縮運動（ｍｏｔｉｏｎ）の全範囲に対して、その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の端部を軸方向に２ｍｍ超えるまで、進められ得る。圧縮肩部３８についての圧縮運動のこの大きな範囲とともに、そのキットは、圧縮運動の全範囲の長さの多様性を有する断片セクション１４を含むことのみが必要である。例えば、２ｍｍ、１１ｍｍおよび２０ｍｍの断片セクション１４を有するキットは、厚み０〜２７ｍｍのいずれかの場所の断片３０に対する使用を可能にする。近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の長さが３３ｍｍに伸ばされた場合、２ｍｍの断片セクション１４を有する単一の骨ワイヤ１０が、厚み０〜２７ｍｍの断片３０に対して使用され得る。

しかし、長さのこの融通性についての交換条件は、その骨ワイヤ１０の強さにある。特に、その断片セクション１４が１．５ｍｍの直径を有する場合、近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の外径は、断片セクション１４がその大きめの穴内でフィットするのと同程度に、その断片３０における大きめの穴内でフィットするように、１．５ｍｍ以下であるべきである。そのねじの深さが少なくとも０．１５ｍｍに保持される場合、１．５ｍｍの外径によって、１．２ｍｍ以下の小さい方の直径を生じる。しかし、その小さい方の直径は、アンカーセクション１２を、その断片３０を介してかつそのアンカー骨３２を介して駆動するために必用とされるトルクを支持するに十分強くなければならない。現在の材料を用いると、３３ｍｍ長に対して１．２ｍｍという小さい方の直径は、もろく、弱い製品を生じてしまい、これは、骨２０を通って駆動する間または使用中に破損する可能性が高い。

代わりに、その骨ワイヤ１０の好ましい実施形態は、全体にわたって、少なくとも１．５ｍｍの最小直径を保持する。近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の外径は、応じて、１．８３ｍｍにおいて選択される。この外径は、「薄い」アンカーセクション１２によって穿孔された、１．６５ｍｍの小さい方の直径を妨害せず、従って、その骨ワイヤ１０は、近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の任意の部分をその断片穴に進めることなく、使用され得る。その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４のいかなる部分も、その断片穴の中へ延びないと仮定すると、その圧縮ナット４０は、軸方向の進行の融通性が２ｍｍしかなく、その骨ワイヤ１０は、従って、断片セクション１４の長さにおいて２ｍｍの変動のキットにおいて提供される。１．８３ｍｍの近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の外径は、「厚い」アンカーセクション１２によって穿孔される１．８５ｍｍの小さい方の直径を妨害しない。よって、その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４は、その「厚い」アンカーセクション１２によって穿孔された断片穴に延び得、その圧縮ナット４０は、好ましい「厚い」実施形態において、軸方向の進行の融通性が最高９ｍｍある。

その骨ワイヤ１０の回転セクション１８は、その圧縮セクション１６の端部を実質的に超えて延びる。大部分の使用において、その回転セクション１８は、非常に治癒を促進し得る治癒期間全体の間に患者の皮膚の外側に延びる。その回転セクション１８は、その骨ワイヤ１０がその骨２０に隣接した組織を妨害することなく回転することを可能にする。よってその周りの組織は、先行技術の方法で起こるものよりも、外科手術の間のより少ない損傷を受ける。その回転セクション１８は、その骨ワイヤ１０が、米国特許第６，０５８，７４８号、同第６，２８３，９４６号、および米国特許出願第１０／１６０，４７０号（参考として援用される）に記載されるように、固定具支持構造で骨折を固定することにおいて使用されるようにし、その固定具は、適切な量の応力が、治癒の間にその骨２０上に配置されるようにし得、治癒プロセスに実質的に利益を与える。その固定具支持構造は、その骨ワイヤ１０の回転セクション１８に取り付けられる。その断片３０に対する圧縮肩部３８の配置はまた、例えば、手首が動く間に起こり得るワイヤトグルを減少させることによってその固定を増強する。好ましい実施形態において、その回転セクション１８は、１．５ｍｍの直径を有する円筒形であり、１００〜１５０ｍｍにわたる。

本発明は、具体的には、治癒期間の後のその骨ワイヤ１０の取り外しに関するいくつかの特徴を包含する。大部分の骨ピンおよび骨スクリューとは対照的に、本発明の骨ワイヤ１０は、有意な長さが皮膚を貫通して曝されるままにして、組織に損傷を与えることなく、取り外すために担持される。図１〜３の実施形態において、近位ねじ切りしたシャフトセクション４４のねじは、アンカーねじ３４とは異なるピッチおよび異なる形状を有する。例えば、その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４は、好ましいアンカーねじピッチが０．５ｍｍであるのに比較して、１回転あたり０．４ｍｍのピッチを有し得る。その骨ワイヤ１０の反時計回りの回転は、骨ワイヤ１０がそのアンカーねじピッチ（すなわち、１回転あたり０．５ｍｍ）を収縮させる。その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４は、アンカーねじ３４よりもさらに浅いピッチを有するので、そのナット４０、４２は、その骨ワイヤ１０の反時計回りの回転により収縮しなければならない。すなわち、そのナット４０、４２は、骨ワイヤ１０を回転させることで回転し得、その場合、そのナット４０、４２は、アンカーねじピッチ（すなわち、１回転あたり０．５ｍｍ）にて収縮する。あるいは、その周りの組織がナット４０、４２の周りで増殖し、ナット４０、４２の回転を妨げるとしても、そのナット４０、４２は、ピッチ間の差異（すなわち、その骨ワイヤ１０の１回転あたり０．１ｍｍ）においてなお後退する。さらに、その圧縮ナット４０が、近位ねじ切りしたシャフトセクション４４の遠位端部までの進路の全てで回転する場合、その圧縮ナットスクリューねじは、その断片セクション１４の外径よりも小さい内径を有し、その圧縮ナット４０が、その断片セクション１４の上をさらに進まないようにする。

図３に示されるように、その近位ねじ切りしたシャフトセクション４４は、引き出しに抗うように角度を付けられたねじ形態を有する好ましいアンカーねじ３４とは対照的に、近位方向および遠位方向の両方で釣り合いがとれたねじ形態を有し得る。あるいは、近位ねじ切りしたシャフトセクション４４についてのそのねじ形態は、その圧縮ナット４０上に配置される圧縮力をよりよく支持するために、好ましいアンカーねじ３４のねじ形態とは反対に角度を付けられ得る。

図４〜６の実施形態において、その涙形肩部５０の近位表面５４は、治癒期間の間に、その骨ワイヤ１０の骨外部セクション２４の周りに増殖し得る組織を通る、その骨ワイヤ１０の取り外しを補助する。特に、その涙形形状の近位表面５４は、取り外しのために傾斜しており、その傾斜角は、その骨ワイヤ１０の軸近くで浅く、中間直径において急になり、次いで、再び、その涙形肩部５０の最大直径付近で浅くなる。この形状は、その骨ワイヤ１０が除去されるときに、そのような周りの組織に対して最小の損傷しか有さないように、上に重なる組織を分離することを助ける。図１〜３の実施形態において、その圧縮ナット４０および／またはロックナット４２の近位表面は、代わりに、除去の間に上にある組織を分離することにおいて補助するために同様の傾きを提供するように改変され得る。除去を容易にする本発明の骨ワイヤ１０の種々の特徴に起因して、その骨ワイヤ１０の除去は、治癒期間の後に行われるべき別個の切開を必要とすることなく達成され得る。このさらなる切開が避けられることは、骨折した骨２０にわたって組織を治癒することにおいて、および完全な治癒に必要とされる時間の長さおよび瘢痕組織の発生を避けるという両方の観点から、大きな助けになる。

その骨ワイヤ１０は、任意の手術的に受容可能な強い物質（例えば、外科手術的に受容可能なステンレス鋼（例えば、電解研磨されかつ不動態化されているＡＳＴＭ Ｆ１３５０による、３１６ ＬＶＭ）またはチタン合金（例えば、ＡＳＴＭ Ｆ１３６による、ＴＩ−６ＡＬ−４Ｖ）から形成され得る。

本発明の骨ワイヤ１０を使用する方法は、前述の議論において容易に明らかであるはずであり、本明細書中でさらに概説される。骨ワイヤ１０の挿入は、骨２０に対して行われる平滑切開で小さな切開を通じて行われる。例えば、その骨ワイヤ１０は、断片３０を通じて穿孔され、より厚みのある直径アンカーねじ３４は、断片３０を通る孔を大きめに穿孔する。より厚みのある直径アンカーねじ３４は、次いで、アンカー骨３２に達し、骨ワイヤ１０を軸方向に前方へ引っ張る。シース（示さず）を通して穿孔すると、周りの組織を保護するのに役立ち、その結果、ねじ３４は軟組織付近で損傷を与えない。一旦骨ワイヤ１０のより狭い断片セクション１４がその断片３０を通って延びると、その骨ワイヤ１０は、もはや、断片３０とのねじによる係合の状態にはない。このことにより、その圧縮係合３６がその断片３０をそのアンカー骨３２に向かって付勢したままになる。図１〜３の実施形態において、その圧縮ナット４０は、圧縮肩部３８が、所望の圧縮力でその断片３０の外部表面を係合するまで、レンチで締められ得る。治癒期間の後に、その骨ワイヤ１０は、回転セクション１８の反時計回りの回転によって骨２０から単に外され、さらなる組織損傷ができるだけ少なくされる。

本発明は、以前には経皮的なピン固定によって処置されていた骨折の大部分の型に対して使用され得る。手および足の剥離骨折は、ＩＰ融合および槌足指の矯正のような再構成手順と同様に、優れた適用である。

本発明は、好ましい実施形態を参照して記載されてきたものの、当業者は、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく、形式かつ詳細において変更が行われ得ることを認識する。特に、言及されるが請求の範囲において不可欠ではない具体的な寸法は、単に例示するにすぎず、本願発明を限定しない。

図１は、本発明の第１の実施形態の側面図である。 図２は、図１の領域２でとったねじ／ナットの断面図である。 図３は、図１の領域３でとったねじの断面図である。 図４は、本発明の第２の実施形態の側面図である。 図５は、骨折した骨の移植の間の本発明の第２の実施形態の側面図である。 図６は、移植後の本発明の第２の実施形態の側面図である。

Claims (17)

1. 治癒期間の間、骨断片をアンカー骨へと接続し、そして該治癒期間の間、骨を伸長させるための骨断片ワイヤであって、該骨断片ワイヤは、細長いワイヤ（１０）を備え、該細長いワイヤ（１０）は、ワイヤ軸の周囲の骨外部セクション（２４）から遠位に延びる骨貫通セクション（２２）を有し、該骨貫通セクション（２２）は、該骨外部セクション（２４）よりも短く、該骨貫通セクション（２２）は、非係合断片セクション（１４）と、該非係合断片セクション（１４）に対して遠位に位置する骨アンカーセクション（１２）とを備え、該非係合断片セクション（１４）は、０．１インチ（２．５４ｍｍ）以下のシャフト直径を有するシャフト（２６）を有し、該骨断片ワイヤは、該骨アンカーセクション（１２）が、該アンカー骨と係合するためのねじ（３４）を有し、該ねじ（３４）の外径が該非係合断片セクション（１４）のシャフト直径よりも大きいことによって特徴付けられ；そして圧縮係合部（３６）が該骨外部セクション（２４）の遠位端部に設けられ、該圧縮係合部（３６）が、該骨断片の外部表面との実質的接触のために、該ワイヤ軸に対して実質的角度で延びる肩部（３８）を提供することによって特徴付けられる、骨断片ワイヤ。
2. 前記骨外部セクション（２４）が、前記骨アンカーセクション（１２）の前記ねじ（３４）よりも浅いピッチのねじ（４４）を有することによって特徴付けられ、そして前記圧縮係合部（３６）が、該骨外部セクション（２４）の該ねじ（４４）によって回転可能に支持されるナット（４０）によって提供されることによって特徴付けられる、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
3. 前記骨外部セクション（２４）が、外部ねじ（４４）を有することによって特徴付けられ、該外部ねじが、前記圧縮係合部（３６）における内部ねじと嵌合し、該圧縮係合部（３６）における該内部ねじの内径が、前記非係合断片セクション（１４）よりも小さく、その結果、該圧縮係合部（３６）における該内部ねじが、前記非係合断片セクション（１４）へと前進することができないことによって特徴付けられる、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
4. 前記骨外部セクション（２４）が、前記骨アンカーセクション（１２）のねじ（３４）とは異なるねじ断面のねじ（４４）を有することによって特徴付けられ、そして前記圧縮係合部（３６）が、該骨外部セクション（２４）の該ねじ（４４）において回転可能に支持されるナット（４０）によって提供されることによって特徴付けられる、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
5. 複数の骨断片ワイヤのキット中に提供され、各骨断片ワイヤが、異なる長さの非係合断片セクション（１４）を有する、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
6. 前記圧縮係合部（３６）が、治癒期間後に組織を通して該圧縮係合部（３６）を除去するのを補助する傾斜した断面の近位側を有することによって特徴付けられ、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
7. 前記圧縮係合部（３６）の近位側の傾きが、前記ワイヤ（１０）の前記骨外部セクション（２４）の外径に隣接した緩い傾きから、該緩い傾きに対して遠位のより急な傾きへと増大し、それにより、ほぼ涙形の断面形状の圧縮係合部（３６）を提供することによって特徴付けられる、請求項６に記載の骨断片ワイヤ。
8. 前記圧縮係合部（３６）が、前記ワイヤ（１０）に対して永続的に固定されていることによって特徴付けられる、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
9. 前記非係合断片セクション（１４）の前記シャフト（２６）が、実質的に平滑でかつ円筒形であることによって特徴付けられる、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
10. 前記骨アンカーセクション（１２）における前記ねじ（３４）が、挿入については遠位に自己タッピングし、除去については近位に自己タッピングすることによって特徴付けられる、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
11. 前記圧縮係合部（３６）が、涙形の断面形状を有することによって特徴付けられ、前記圧縮係合部（３６）が、前記ワイヤ（１０）に対して永続的に固定されていることによって特徴付けられ、前記非係合断片セクション（１４）の前記シャフト（２６）が、実質的に平滑でかつ円筒形であることによって特徴付けられ、そして前記骨アンカーセクション（１２）における前記ねじ（３４）が、挿入については遠位に自己タッピングし、そして除去については近位に自己タッピングすることによって特徴付けられる、請求項１に記載の骨断片ワイヤ。
12. 治癒期間の間、骨断片をアンカー骨へと接続するための骨断片ワイヤであって、該骨断片ワイヤは、細長いワイヤ（１０）を備え、該細長いワイヤ（１０）は、ワイヤ軸の周囲の骨外部セクション（２４）から遠位に延びる骨貫通セクション（２２）を有し、該骨貫通セクション（２２）は、非係合断片セクション（１４）と、該非係合断片セクション（１４）に対して遠位に位置する骨アンカーセクション（１２）とを備え、該非係合断片セクション（１４）は、０．１インチ（２．５４ｍｍ）以下のシャフト（２６）直径を有するシャフト（２６）を有し、該骨断片ワイヤは、該骨アンカーセクション（１２）が、該アンカー骨と係合するためのねじ（３４）を有し、該ねじ（３４）の外径が該非係合断片セクション（１４）のシャフト（２６）直径よりも大きいことによって特徴付けられ；そして該骨断片ワイヤが、該骨外部セクション（２４）の遠位端部において圧縮係合部（３６）をさらに供え、該該圧縮係合部（３６）が、該骨断片の外部表面との実質的接触のために、該ワイヤ軸に対して実質的角度を有して延びる肩部（３８）を提供することによって特徴付けられ、該圧縮係合部（３６）が、治癒期間後に組織を通して該圧縮係合部（３６）を除去することを補助する、傾斜した断面を有する近位側を有することによって特徴付けられる、骨断片ワイヤ。
13. 前記圧縮係合部（３６）の近位側の傾きが、前記ワイヤ（１０）の前記骨外部セクション（２４）の外径に隣接した緩い傾きから、該緩い傾きに対して遠位のより急な傾きへと増大し、その結果、該圧縮係合部（３６）が、ほぼ涙形の断面形状を有することによって特徴付けられる、請求項１２に記載の骨断片ワイヤ。
14. 前記圧縮係合部（３６）の肩部（３８）が、湾曲を有し、該湾曲が、前記骨断片の該湾曲に沿った外部表面と接触することによって特徴付けられる、請求項１２に記載の骨断片ワイヤ。
15. 前記圧縮係合部（３６）が、前記ワイヤ（１０）に対して永続的に固定されることによって特徴付けられる、請求項１２に記載の骨断片ワイヤ。
16. 前記非係合断片セクション（１４）の前記シャフト（２６）が、平滑でかつ円筒形であることによって特徴付けられる、請求項１２に記載の骨断片ワイヤ。
17. 前記骨アンカーセクション（１２）における前記ねじ（３４）が、挿入については遠位に自己タッピングし、そして除去については近位に自己タッピングすることによって特徴付けられる、請求項１２に記載の骨断片ワイヤ。

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