JP2006506058A - 標的機能を決定して薬物リードを同定するためのプロセス - Google Patents

標的機能を決定して薬物リードを同定するためのプロセス Download PDF

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Abstract

本発明は、化学ライブラリーから低分子を選択するために未知の機能を有する標的を使用することに関し、その低分子は、その後、その標的の機能を決定するためにアッセイにおいて使用される。本発明によると、その化学ライブラリーのメンバーは、生化学結合アッセイにおいてタンパク一と混合され、その後、(連続的に、または並行して)結合するメンバーは、インビトロまたはインビボでのバイオアッセイにおいて使用されて、生物学的状態または病理学的状態における測定可能な表現型の変化によってその遺伝子の機能が決定される。

Description

(1.導入)
本発明は、複数の潜在的リガンドに対して標的を曝露し、リガンド−標的対を収集し、そのリガンドを使用してその標的の生物学的機能を分析し、必要に応じてそのリガンドを化学的および/または構造的に同定する方法に関する。本発明の1つの実施形態において、薬学的に関連する標的に結合するリガンドが、選択される。本発明の別の実施形態において、リガンド−標的対が、収集され、そしてゲノムスケールで分析される。本発明は、表現型の変化について少なくとも1つのバイオアッセイにおいて複数の潜在的リガンドをスクリーニングし、そしてそのヒットを使用して対応する分子標的を同定する方法に関する。
(2.発明の背景)
(2.1.薬物開発に到る伝統的アプローチ)
一般的に、この50年間に開発された薬物は、200〜300個の標的に基づく。協力した製薬会社すべてによるスクリーニングのために使用される、約450個の確認された標的が、現在存在する。これらの標的は、代表的には、薬物開発に到る伝統的アプローチを使用して開発された。この伝統的アプローチにおいて、標的は、遺伝子過剰発現、遺伝子ノックアウト、機能的ドメインについての遺伝子配列相同性検索、X線結晶学、または特定の細胞アッセイおよび生物学的アッセイを含む、還元主義者生物学を使用して確認される。さらに、現在実施されている薬物開発において、標的確認、アッセイ開発、高スループットスクリーニング、およびリード生成が、連続して実施される。
(2.2.ゲノム学)
ヒトゲノムの配列決定の完了からの特徴付けられていない多数の遺伝子によって、製薬会社が、ヒトゲノム配列の価値を確認してその価値を開放するための適切な標的を選択することは、困難にはなるが必須となる。ヒトゲノム中の100,000個以上の遺伝子のうち、これらの遺伝子のうち多くて10,000個が、薬学的に有用な標的であることが推測される。この多数の遺伝子は、遺伝子確認に到る還元主義者アプローチを圧倒し、それによって、薬物開発における主要なボトルネックを示す。
累積する多くのDNA配列データは、このボトルネックを緩和することを約束する機能的ゲノム学の分野を生じる。遺伝子発現プロファイリングは、DNAアレイを使用して研究され得る(De Risi JLら、1997、Science 278;680)。タンパク質発現プロファイリングは、タンパク質アレイを使用して実施され得る(Paweletz CPら、2000、Drug Dev.Research 49:34)。遺伝子機能は、表現型の条件付き変化を誘導するための遺伝子の導入または変異によって、研究され得る。あるいは、遺伝子のアンチセンスバージョンまたはリボザイムバージョンが、種々の細胞株または生物(トランスジェニックマウスもしくはノックアウトマウス、C.elegans、ゼブラフィッシュ、Drosophilaまたは酵母が挙げられる)(Couture LAら、1996、Trends in Genetics 12:510;Nadeau JHら、1998、Curr.Opin.Genet.Dev.8,311)において発現される。
差次的遺伝子発現が、種々の技術を使用して検出され得、この技術としては、差次的スクリーニング(Tedder TFら、1988 PNAS 85:208)、差引きハイブリダイゼーション(Hedrick SMら、1984、Nature 308:149)、ディファレンシャルディスプレイ(Liang PおよびPardee A 1993,US5262311)、遺伝子マイクロアレイ(Lockhart,Dら、1996、Nature Biotechnology 14:1675;Schena Mら、1995、Science 270:467;2000、Nature Genetics 24:236)、提示差分析(Hubank Mら、1994、Nucleic Acids Research 22:5640)、発現配列タグ(EST)の大規模配列決定、逆転写酵素PCR、遺伝子発現の連続分析(SAGE;Nacht Mら、1999、Cancer Res.59:5464)、およびレーザー捕捉顕微解剖(Sgroi DCら、1999、Cancer Research 59:5656)が挙げられる。マイクロアレイ技術は、ゲノム学についての現在の技術水準を示し、そしてこれは、細胞周期、生化学経路、酵母におけるゲノムワイド発現、細胞増殖、細胞分化、単一の化合物に対する細胞応答、遺伝的疾患を研究するために使用されている(M.Schena,1998、TIBTECH 16:301)。
(2.3.タンパク質標的の同定および特徴付け)
古典的生化学技術を使用して、低分子についての以前に未知であったレセプターが、インビトロ生化学方法(光架橋、放射標識リガンド結合およびアフィニティクロマトグラフィーを包含する)を使用してタンパク質レベルで同定されている(Jakoby WBら、1974、Methods in Enzymology 46:1)。これらの方法は、そのタンパク質の精製を必要とする。そのレセプターの遺伝子をクローニングするために、そのペプチドは、さらに配列決定されなければならず、この配列は、そのタンパク質のcDNAをクローニングするために使用されなければならない。低分子は、放射標識され得、そして使用されてその分子標的が決定され得る(Kwon HJら、1998、PNAS 95:3356)。あるいは、低分子は、アガロースマトリックス上に固定され得、そしてそれは使用されて、種々の細胞型および生物の抽出物がスクリーニングされ得る。例えば、プルバラノールB(サイクリン依存性キナーゼの公知のインヒビター)が、アガロースマトリックス上に固定され、そして使用されて、多岐にわたる細胞型および生物の集合物からの抽出物がスクリーニングされ、キナーゼ活性を有する多数のタンパク質が単離された(Knockaert Mら、2000、Chem.Biol.7:411)。あるいは、トラポキシンは、ヒストン脱アセチル化を阻害して細胞周期を停止する、シクロテトラペプチドである。2つの核タンパク質が、トラポキシンで共有結合改変されたアフィニティマトリックス上で、分画された細胞抽出物からヒストンデアセチラーゼ活性を用いて共精製された。その後、それらのタンパク質は、配列決定され、そしてそれらのタンパク質をコードするcDNAが、cDNAライブラリーからクローン化された(Taunton Jら、1996、Science 272:408)。
現在、タンパク質−タンパク質相互作用を研究するための主要な系は、酵母ツーハイブリッドシステムである。このアプローチにおいて、一つのタンパク質が、真核生物転写因子のDNA結合ドメインに融合され、もう1つのタンパク質が、真核生物転写因子のDNA活性化ドメインに結合され、その酵母の増殖を可能にするレポーター遺伝子の存在下で発現される。その2つの異種タンパク質が、その2つのドメインを一緒にする場合、相互作用するタンパク質を含む酵母が、増殖によって選択される(Fields Sら、1989、Nature 340:245)。
酵母「スリーハイブリッド」転写活性化システムが、薬物FK506の以前に同定されたレセプターをコードする遺伝子をクローニングするために使用された。このスリーハイブリッドシステムは、上記転写活性化ドメインに融合したcDNAのライブラリーに対して、活性なリガンドの固定された誘導体を提示する(Borchardt A.ら、1997、Chem.Biol.4:961;Licitra EJら、1996、PNAS 93:12817)。Licitraらにおいて、ラットグルココルチコイドレセプターのホルモン結合ドメインが、Lex A DNA結合ドメインに融合され、FK506レセプター(FKBP12)をコードするcDNAが、上記転写活性化ドメインに癒合され、それら2つが、この酵母ツーハイブリッドシステムにおいて発現された。この酵母細胞は、共有結合したデキサメタゾンとFK506とのヘテロダイマーを含む培地上にプレートされ、この細胞は、ダイマー形成していないFK506により阻害され得る様式で、増殖した。この実験が、FK506結合タンパク質をコードするcDNAの代わりに転写活性化ドメインに融合されたcDNA発現ライブラリーを用いて反復された場合、増殖した酵母は、FK506結合タンパク質をコードするcDNAクローンを含んだ。しかし、この実験は、公知の標的との化学的相互作用を使用して、行われた。Borchardt Aらにおいて、FKBP12−GAL4 DNA結合ドメイン融合物、FK506結合タンパク質ラパマイシン関連タンパク質のFRドメイン、およびラパマイシンの存在下で、酵母細胞は、HIS3 3レポーター遺伝子を転写し、それにより、細胞がヒスチジン非存在下で増殖することを可能にする(Borchardt Aら、1997、Chem Biol 4:961)。
発現クローニングが、小さいタンパク質プール内の標的について試験するために使用され得る(King RWら、1997、Science 277:973)。ペプチド(Kiefferら、1992、PNAS 89:12048)、ヌクレオシド誘導体(Haushalter KAら、1999、Curr.Biol.9:174)および薬物−ウシ血清アルブミン(薬物−BSA)結合体(Tanakaら、1999、Mol.Pharmacol.55:356)が、発現クローニングにおいて使用されている。
標的をコードするDNAと結合するリガンドを密接に結合するための別の有用な技術は、ファージディスプレイである。モノクローナル抗体の分野において優先的に使用されているファージディスプレイにおいて、ペプチドライブラリーまたはタンパク質ライブラリーが、ウイルス表面上で生成され、そして活性についてスクリーニングされる(Smith GP、1985、Science 228:1315)。ファージは、固相に結合している標的についてパニングされる(Parmley SFら、1988、Gene 73:305)。ファージディスプレイの利点のうちの1つは、そのcDNAがファージ中にあり、従って、別個のクローニング工程を必要としないことである。Dyaxは、ファージディスプレイアフィニティカラムを使用して、高分子を単離したが、低分子は単離しなかった(US97/04425)。
最近、Scheらは、天然産物であるFK506をアフィニティプローブとして使用して、T7 cDNAファージディスプレイライブラリーからFKBP12をクローン化した。彼らは、ビオチニル化FK506を保有するアフィニティマトリックスを使用して、ヒト脳cDNAを用いて調製したファージライブラリーをスクリーニングした。2回のアフィニティ選択の後に残るファージ粒子は、全長FKBP12に対応する共通の450bp挿入物を共有した。
ファージディスプレイに対する代替法としては、プラスミドディスプレイ(Cull ら、1992、PNAS 89:1865;Schatz PJら、1996、Methods Enzymol 267:171)、ポリソームディスプレイ(Mattheakis LCら、1996、PNAS 91:9022;Mattheakis LC、1996、Methods Enzymol 267:195)、タンパク質タグ化(Whitehorn EAら、1995、Biotechnology 13:1215)、リボソームディスプレイ(Hanes Jら、1998、PNAS 95:14130)、ならびに細菌および真核生物における細胞表面ディスプレイ(Georgiou Gら、1997、Nat.Biotechnol 15:29;Chesnut Jら、1996、J.Imm Methods 193:17)が挙げられる。ペプチドまたはタンパク質はまた、それをコードするmRNAに、ピューロマイシンを介して化学的に結合され得る(Roberts Rら、1997、PNAS 94:12297)。
(2.4.化学遺伝学)
化学遺伝学は、遺伝子発現または遺伝子機能の条件付き変化を引き起こすための化学物質の使用を介して遺伝子機能を規定することへの新規かつ潜在的に強力なアプローチである。しかし、今日までに、化学遺伝学は、公知の標的に対するより多くのヒットを見出すために薬物が既に利用可能であるその標的に対して、伝統的な高スループット細胞ベーススクリーニングアッセイを使用する、薬物開発から遠くには進歩していない。化学遺伝学の現在の状況は、Haggarty SJら(2000、Chem Biol 7:275)の研究において示されており、その研究において、139個の化合物が、細胞ベースのアッセイにおいて有糸分裂の阻害についてChembridge Diversetライブラリーの高スループットスクリーニングから同定され、その後、インビトロチューブリンポリマー化アッセイにおいてアッセイされた。その139個の化合物のうち、52個が、コルヒチンと同じ機構によってチューブリンを不安定化するアンタゴニストであった。1つの化合物は、タキソールと同じ機構によってチューブリンを安定化するアゴニストであることが示された。86個の化合物は、効果を有さず、従って、非チューブリン標的を介して有糸分裂を調節した可能性があった。染色体および細胞骨格に対する眼に見える効果に基づいて非チューブリン標的を標的化する化合物について、7個が、チューブリンに対する弱いアンタゴニストであると考えられ、1個(モナステロール)が、キネシン関連タンパク質であるEg5を阻害することが示された(Mayerら、1999、Science 286:971)。Haggarty SJらにおいて、低アフィニティリガンドが選択された。なぜなら、アッセイは、リガンド濃度20〜50μMを使用して実施されたからである。しかし、低アフィニティリガンドは、標的機能を決定する際には、限定的にしか価値がない。
Rosania GRらは、細胞形態学的スクリーニングによって、チューブリンに結合して筋肉細胞の可逆的分裂および増殖を誘導する新規な低分子であるミオセベリンを同定した。本発明とは異なり、Schulzは、その機構を理解するために標準的な機能的ゲノム学DNAアレイアプローチに基づいている(Rosania GRら、2000、Nat Biotechnol 18:304)。化学物質が、機能を研究するために使用された。なぜなら、コルヒシンは、1889年に有糸分裂に対して影響を有することが示されたからである(Eigsti O、1949、Science 110:692)。しかし、現在の実施は、既知の標的に結合するかまたは特定の表現型を生じる未同定標的に結合するリガンドを同定することに、限定される。
未知遺伝子の機能を特徴付けるための以前の努力が、オーファンレセプター分析によって例証される。オーファンレセプターは、以前に同定されたレセプターとDNA配列類似性を共有する遺伝子によってコードされる。そのような方式で、そのような配列は、天然の生理学的役割およびリガンドが未知であるレセプタースーパーファミリーに配置される。当該分野の現在の水準は、遺伝的技術を使用すること、あるいはそのファミリーの他のメンバーに結合することが既知である薬物またはタンパク質リガンドを使用してそれらの機能を決定することである(Werme Mら、2000、Brain Res 863:112;Bordji Kら、2000、J.Biol.Chem.275:12243;Yang C.,1999、Cancer Res.59:4519;Chiou L、1999、Br.J.Pharmacol 128:103;Williams C,2000、Curr.Opinion in Biotechnology 11:42)。
(2.5.化学的標的特徴付け)
一旦標的が確認されると、2つの主要なスクリーニングカテゴリー(バイオアッセイおよび機構ベースアッセイ)が適用される(Gordonら、1994、J.Med.Chem.37:1386)。バイオアッセイは、生存度または代謝に基づいてスクリーニングされた化合物の、細胞に対する影響を測定する。例えば、ペニシリンは、細菌培養物におけるその増殖阻害によって発見された。機構ベースアッセイとしては、酵素活性に対する影響を測定する生化学アッセイ、標的およびレポーター系(例えば、ルシフェラーゼまたはβ−ガラクトシダーゼ)が細胞中に導入された細胞ベースアッセイ(Monks Aら、1997、Anticancer Drug Des.12:533)、または結合アッセイが挙げられる。結合アッセイは、ウェル、ビーズ(Boswoth Nら、1989、Nature 1989、341:167;Meldal M,1994、PNAS 91:3314)またはチップ(Sunberg S,2000、Curr.Opin.In Biotechnol 11:47)に固定された標的または固定抗体により捕捉された標的を用いて実施され得、結合したリガンドは、通常は熱量計を使用してかまたは蛍光を測定することによって、検出される(Sunberg S,2000、Curr.Opin.In Biotechnology 11:47)。
いくつかのより新しい結合アッセイにおいて、既知の機能を有する標的に結合する分子はまた、キャピラリー電気泳動によって分離された(US 5783397;US99/15458)。他の新規なアッセイにおいて、ライブラリーは、重み付けコード(weight−coded)され、質量分析法を使用してデコンボリューションされた(Carell Tら、1995、Chem Biol.2:171;Fang ASら、1998、Comb Chem High Throughput Screen 1:23;US 99/23837;US 99/00024)。HPLCはまた、質量分析法を用いて使用されて、コンビナトリアルライブラリーの純度が特徴付けられ、そして血漿サンプルにおける代謝産物が分析された(Korfmacher WAら、1999、Rapid Commun Mass Spectrom 13:1991;Zeng Lら、1998、Comb Chem High Throuput Screen 1:101;Nedved MLら、1996、Anal Chem 68:4228;Zimmer Dら、1999、J.Chromatogr A 854:23;Aubagnac JL、Comb Chem High Throughput Screen 2:289)。
(3.発明の要旨)
本発明は、化学ライブラリーから低分子を選択するために未知の機能を有する標的を使用することに関し、その低分子は、その後、その標的の機能を決定するためにアッセイにおいて使用される。本発明によると、その化学ライブラリーのメンバーは、生化学結合アッセイにおいてタンパク一と混合され、その後、(連続的に、または並行して)結合するメンバーは、インビトロまたはインビボでのバイオアッセイにおいて使用されて、生物学的状態または病理学的状態における測定可能な表現型の変化によってその遺伝子の機能が決定される。
あるいは、本発明は、バイオアッセイにおいて表現型変化を誘導する化学物質を使用して、その標的の正体を決定する。本発明は、少なくとも1つのバイオアッセイにおいて複数の潜在的リガンドをスクリーニングし、バイオアッセイにおける表現型変化を生じるリガンドを選択し、そしてそのリガンドを使用して候補標的をスクリーニングして、変化した表現型を担う特定の標的を同定する、方法を提供する。
本発明は、遺伝子の機能を規定するため、そして薬物標的を同時に確認して薬物リードを生成し、それによって薬物開発プロセスを能率化するために、使用され得る。表現型アッセイにおいて標的に結合するが異なる活性を有する多数の構造的に多岐にわたるヒットの並列比較によって提供される構造活性関連情報が、そのリードを迅速に最適化するために使用され得る。本発明を使用して、ゲノム学により提供される多数の遺伝子が、系統的に分類され得、そして有用な薬物標的が、確認され、そして所定の疾患について選択され得る。
本発明は、当該技術とは異なる。なぜなら、後者は、既知の標的に対するスクリーニングを記載するが、本発明は、標的の正体についても機能についても、いかなる事前知識を必要としないからである。さらに、本発明は、そのライブラリーの構築において、特定の塊の所定のサブユニットの制約を絶対には必要としない。本発明によると、コンビナトリアル手段または非コンビナトリアル手段により生成される事実上あらゆるリガンドライブラリーが、使用され得る。非限定的例としては、化学ライブラリー、ペプチドライブラリー、天然産物ライブラリー、天然産物様ライブラリー、糖ライブラリーまたは抗体ライブラリーが挙げられる。ペプチドおよびタンパク質は、HIV TAT由来の配列、HSV VP22由来の配列、またはタンパク質変換ドメインを含むAntennapediaペプチド由来の配列を使用して、細胞膜を越えるようにされ得る(Swartz SRら、2000、Trends in Cell Biology 10:290)。ライブラリーは、リガンドプールからなり得るか、または個別にスクリーニングされた単一リガンドの集合であり得る。
従って、1つの局面において、本発明は、標的分子に結合する候補リガンドを選択するための方法を特徴とする。この方法は、標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドライブラリーと、その標的分子と1つ以上のその候補リガンドとの間に複合体形成が可能となる条件下で接触させる工程を包含する。その複合体は、単離され、そしてその候補リガンドのうちの1つ以上が、その複合体から回収される。さらに、回収された1つ以上の候補リガンドが、同定される。
上記の局面の種々の実施形態において、標的分子は、未知の生物学的機能の分子または薬物標的として以前に確認されていない分子である。他の実施形態において、このライブラリーは、少なくとも2つの異なる化学的足場(scaffold)を含むか、または少なくとも11つの異なる化合物を含む。他の実施形態において、この複合体は、サイズ排除クロマトグラフィーまたは二相性クロマトグラフィー(biphasic chromatography)(例えば、内部表面逆相(ISRP)、GFF、またはGFFII樹脂を用いたクロマトグラフィー)を用いて単離される。他の実施形態において、MS、IR、FTIR、NMR、および/またはUV分析を使用して、回収した候補リガンドを同定する。さらに他の実施形態において、本発明は、回収した候補リガンドの質量スペクトルにおける親ピーク、フラグメントピーク、および/またはアイソトープピークの割合を変化させる質量を決定することを含む。1つの実施形態において、この方法はまた、標的分子に結合する既知の競合リガンドとサンプルとを接触させる工程を包含する。この競合者は、標的分子に結合する低親和性候補リガンドの数を減少させ得、より高い親和性の候補リガンドが選択されることを可能にする。
別の局面において、本発明は、標的分子に結合する候補リガンドを選択する別の方法を特徴とする。この方法は、第1の標的分子および第2の標的分子を含むインビトロサンプルと、候補リガンドのライブラリーとを、第1の標的分子と1つ以上の候補リガンドとの間に複合体を形成し得、かつ第2の標的分子と1つ以上の候補リガンドとの間に複合体を形成し得る条件下で接触させる工程を包含する。候補リガンドに結合した第1の標的分子を含む第1の複合体および候補リガンドに結合した第2の標的分子を含む第2の複合体が単離される。第1の複合体および/または第2の複合体由来の1つ以上の候補リガンドが回収され、そして同定される。1つの実施形態において、この方法は、第1の標的分子または第2の標的分子に結合する既知の競合リガンドとサンプルとを接触させる工程もまた、包含する。
さらに、本発明は、標的分子(例えば、天然に存在するか、または天然に存在しないタンパク質、核酸、炭水化物もしくは他の有機分子)の生物学的機能を決定する様々な方法を提供する。これらの方法は、目的の遺伝子またはタンパク質(例えば、特定の疾患状態または特定の生物学的刺激(TNFαのような)の存在において上方制御されるか、または下方制御される遺伝子またはタンパク質)の機能を決定するために使用され得る。これらの方法はまた、疾患状態の処置用の治療学的に活性な化合物を同定するために使用され得る。
1つのこのような局面において、本発明は、標的分子の生物学的機能を決定するための方法を提供する。この方法は、標的分子を含むインビトロサンプルと候補リガンドのライブラリーとを、1つ以上の候補リガンドが標的分子に結合し得る条件下で接触させる工程を包含する。標的分子に結合する候補リガンドが選択される。生物学的アッセイにおいて選択された候補リガンドの効果が測定され、それにより、この標的分子の生物学的機能を決定する。多様な実施形態において、標的分子は、未知の生物学的機能の分子または薬物標的として以前に確認されていない分子である。他の実施形態において、この標的分子は、疾患状態、生理的刺激(例えば、TNFのようなサイトカイン)の存在下、または特定の細胞プロセスもしくは生物学的プロセスの間に上方制御または下方制御される。特定の実施形態において、この標的分子は、新脈管形成、分化、増殖、またはインスリン分泌の間に上方制御または下方制御される。1つの実施形態において、選択された候補リガンドは、例えば、MS、IR,FTIR、NMR、UV、または他の任意の適切な方法を用いて同定される。特定の実施形態において、この選択された候補リガンドは、生物学的アッセイにおいて標的分子の活性を増大させる。例えば、候補リガンドは、標的分子の活性(例えば、酵素活性)を活性化し得るか、標的分子の産生を促進し得るか、標的分子の安定性を増大させ得るか、標的分子の局在を変更させ得るか、または標的分子と別の分子との会合を促進させ得る。他の実施形態において、この選択された候補リガンドは、生物学的アッセイにおいて標的分子の活性を減少させる。例えば、この候補リガンドは、標的分子の活性を阻害し得るか、標的分子の産生を阻害し得るか、標的分子の安定性を低減させ得るか、標的分子の局在を変更させ得るか、または標的分子と別の分子との会合を阻害し得る。例示的な生物学的アッセイは、標的が以前より知られていない、トランスフェクトされていない細胞株、細胞、組織、または他の生物学的系を用いてスループットスクリーニングを含む。他の実施形態において、生物学的アッセイは、疾患または障害を有する生物由来の組織で選択された候補リガンドの効果を決定するか、あるいは測定される生理的刺激の存在または非存在下で特定の細胞プロセスまたは生物学的プロセスを実施する工程が包含され、それによって標的分子の生物学的機能を決定する。1つの実施形態において、この組織は、哺乳動物組織(例えば、ヒト組織)である。
同一の標的分子に結合する2つ以上のリガンドを交差させる方法、またはこれらを反応させる方法もまた、提供される。これらの方法は、1つ以上の標的表面が2つのリガンド間の反応を促進または触媒することを可能にする。これらの方法を使用して、どんなリガンドが標的分子に結合するか、そしてどんなリガンドの組み合わせを含む生成物が最も高い親和性で標的分子に結合するのかを決定するために、リガンドのライブラリーをスクリーニングし得る。これらの生成物は、治療剤の開発におけるリード化合物として使用され得るか、または標的分子の活性部位を特徴付けるために使用され得る。関連した方法を使用して、異なる標的分子に結合する2つ以上のリガンドを交差または反応させ得る。これら方法を使用して、どんな標的分子が目的の標的分子と相互作用するのかを決定し、それによってどんな分子が目的の標的分子と同じ経路に存在するのかを決定し得る。
別の局面において、本発明は、目的の標的分子に結合する2つ以上のリガンドを反応させる方法を特徴とする。この方法は、標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルと、第1のリガンド(例えば、第一のクロスリンカーを有する第1のリガンド)および第2のリガンドとを、標的分子が第1のリガンドおよび第2のリガンドの両方に結合し得る条件下、ならびに第1のリガンドまたは第1のクロスリンカーが第2のリガンドに共有結合し得る条件下で接触させる工程を含み、それによって、第1のリガンドおよび第2のリガンドを含む生成物を生じる。いくつかの実施形態において、標的分子は未知の二次構造および三次構造の分子である。他の実施形態において、第1のリガンドまたは第2のリガンドに対する標的分子における結合部位の局在または三次構造は未知である。特定の実施形態において、標的分子に対する生成物の親和性は、標的分子に対する第1のリガンドまたは第2のリガンドの親和性よりも大きい。別の実施形態において、この生成物は、薬物の発見または開発、最適化の先導、または農薬または環境因子(agricultural or environmental agent)の開発のために使用される。なお別の実施形態において、標的分子は、第1と第2のリガンド間の反応を促進するかまたは触媒する。別の実施形態において、第1のリガンドは、標的分子と接触する前に、クロスリンカーと反応される。なお別の実施形態において、第1のリガンド、第2のリガンド、およびクロスリンカーは、標的分子の存在下または非存在下で反応される。好ましい実施形態において、この方法はまた、標的分子に対して最も高い親和性を有する生成物を同定する工程を包含する。例えば、この方法はまた、以下の工程を包含する:(a)標的分子を含むインビトロサンプルと1つ以上の生成物とを、標的分子と1つ以上の生成物との間で複合体を形成し得る条件下で接触させる工程、(b)複合体を単離する工程、(c)この複合体から1つ以上の生成物を回収する工程、および(d)1つ以上の回収された生成物を同定する工程。
関連する局面において、本発明は、標的分子に結合する候補リガンドを選択するための方法を特徴とする。この方法は、標的分子を含むインビトロサンプルと候補リガンドのライブラリーとを、標的分子と1つ以上の候補リガンドとの間の複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程を包含する。この複合体は、単離され、そして1つ以上の候補リガンドがこの複合体から回収される。好ましい実施形態において、1つより多い候補リガンドは、この様式で同定される。標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルは、第1の回収されたリガンドおよび第2の回収されたリガンドと接触される。この接触は、標的分子が第1の回収されたリガンドおよび第2の回収されたリガンドに結合し得る条件下ならびに第1のリガンドが第2のリガンドに共有結合し得る条件下で実施され、それにより、第1の回収されたリガンドまたは第2の回収されたリガンドの標的分子に対する親和性より高い標的分子に対する親和性を有する第1の回収されたリガンドおよび第2の回収されたリガンドを含む生成物を生じる。いくつかの実施形態において、この方法はまた、標的分子を含むインビトロサンプルと1つ以上の生成物を、標的分子と1つ以上の生成物との間に複合体を形成し得る条件下で接触させる工程を包含する。この複合体は単離され、1つ以上の生成物が複合体から回収され、そして同定される。
別の関連する局面において、本発明は、標的分子に結合する候補リガンドを選択するための別の方法を特徴とする。この方法は、標的分子を含むインビトロサンプルと候補リガンドのライブラリーとを、標的分子と1つより多い候補リガンドとの間での複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程を包含する。この複合体は単離され、そして1つより多い候補リガンドがこの複合体から回収される。第一の回収されたリガンドおよび第2の回収されたリガンドは反応し、それにより、第1の回収されたリガンドまたは第2の回収されたリガンドの標的分子に対する親和性より高い標的分子に対する親和性を有する第1の回収されたリガンドおよび第2の回収されたリガンドを含む生成物を生じる。好ましい実施形態において、この方法はまた、標的分子を含むインビトロサンプルと1つ以上の生成物とを、この標的分子と1つ以上の生成物との間での複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程を包含する。この複合体は単離され、そして1つ以上の生成物がこの複合体から回収され、そして同定される。
別の局面において、本発明は、異なる標的分子に結合する2つのリガンドを反応させるための方法を特徴とする。この方法は、第1の標的分子と第2の標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルと、第一のリガンド(例えば、第一のクロスリンカーを有する第1のリガンド)および第2のリガンドとを接触させる工程を包含する。この接触は、以下:(i)第1の標的分子が第1のリガンドに結合し得る条件下、(ii)第2の標的分子が第2のリガンドに結合し得る条件下、および(iii)第1のリガンドまたは第1のクロスリンカーが、第2のリガンドに共有結合し得る条件下で実施され、それによって、第1のリガンドおよび第2のリガンドを含む生成物を生じる。1つの実施形態において、第1のリガンドに対する第1の標的分子における結合部位の位置もしくは三次構造および/または第2のリガンドに対する第2の標的分子における結合部位の位置もしくは三次構造は未知である。1つの実施形態において、生成物の産生は、第1の標的分子(例えば、タンパク質)および第2の標的分子(例えば、タンパク質)が、インビボで相互作用するかまたは同じ生物学的経路の一部であることを示す。別の実施形態において、この生成物は、薬物の発見または開発、リードの最適化、または農薬または環境因子(agricultural or environmental agent)の開発のために使用される。なお別の実施形態において、1つまたは両方の標的分子は、第1と第2のリガンド間の反応を促進または触媒する。別の実施形態において、第1のリガンドは、標的分子と接触する前に、クロスリンカーと反応される。なお別の実施形態において、第1のリガンド、第2のリガンド、およびクロスリンカーは、標的分子の存在下または非存在下で反応される。
別の局面において、本発明は、第1のタンパク質に結合する第2のタンパク質を単離するための方法を提供する。この方法は、第1のタンパク質および第2のタンパク質を含む細胞またはインビトロサンプルと、第1のリガンド(例えば、第1のクロスリンカーを有する第1のリガンド)および第2のリガンドとを接触させる工程を包含する。この接触は、以下:(i)第1のタンパク質が第1のリガンドに結合し得る条件下、(ii)第2のタンパク質が第2のリガンドに結合し得る条件下、および(iii)第1のリガンドまたは第1のクロスリンカーが、第2のリガンドに共有結合し得る条件下で実施され、それによって、第1のリガンドおよび第2のリガンドを含む生成物を生じ、そして生成物、第1のタンパク質、および第2のタンパク質を含む複合体を生じる。この複合体は単離され、そして複合体における第1のタンパク質および/または第2のタンパク質あるいは複合体から回収された第1のタンパク質および/または第2のタンパク質が同定される。1つの実施形態において、第1および/または第2のタンパク質は検出可能基を含む。別の実施形態において、第2のリガンドは、クロスリンカーを含む。1つの実施形態において、生成物の産生は、第1のタンパク質および第2のタンパク質が、インビボで相互作用するか、または同じ生物学的経路の一部であることを示す。別の実施形態において、この生成物は、薬物の発見または開発、リードの最適化、または農薬または環境因子の開発のために使用される。
本発明はまた、目的の化合物に結合する標的分子を選択するための多くの方法を提供する。例えば、この化合物は、疾患状態を促進または阻害するようである分子であり得る。この選択された標的分子を使用して、例えば、疾患を研究し得、疾患に関連する他の分子を同定し得、そして疾患経路の標的分子または別のメンバーに結合しまたはその活性を調節する治療剤を同定し得る。
別の局面において、本発明は、目的の低分子に結合する候補標的分子を選択する方法を提供する。この方法は、目的の低分子を含むインビトロサンプルと候補標的分子のライブラリーとを、目的の低分子と1つ以上の候補標的分子との間での複合体形成が可能な条件下で接触させる工程を包含する。この複合体は単離され、そして1つ以上の候補標的分子がこの複合体から回収され、それによって目的の低分子に結合する1つ以上の候補標的分子を選択する。種々の実施形態において、候補標的分子のライブラリーは、細胞、組織、または生物から組み換え的に生成されるか、またはそれらの抽出物から得られる。候補標的分子のライブラリーは、目的に低分子と接触させる前に、他の成分から精製されていなくても、部分的に精製されていても、完全に精製されていてもよい。種々の実施形態において、標的分子は、ファージの表面に発現されても、ファージの表面に発現されていなくてもよい。1つの実施形態において、低分子と候補標的分子のライブラリーとを接触させる前に、目的の低分子は、生物学的アッセイにおいてその効果に基づいて低分子のライブラリーから選択される。1つの実施形態において、この方法はまた、選択された標的タンパク質を同定する工程を包含する。特定の実施形態において、目的の低分子は、アミノ酸以外の部分を有するか、5000、4000、3000、2000、1000、750、500、または250ダルトン未満の分子量を有する。
別の局面において、本発明は、目的の低分子に結合する標的タンパク質を選択するための方法を提供する。この方法は、表面タンパク質に共有結合された標的タンパク質を含むタンパク質融合物を、細胞集団において発現させる工程を包含し、この発現は、細胞の表面上にタンパク質融合物を提示し得る条件下で実施される。これらの細胞は、目的の低分子と接触され、目的の低分子に結合する細胞が選択され、それによって、目的の低分子に結合する標的タンパク質を選択する。例示的な細胞としては、哺乳動物、細菌、酵母、および昆虫の細胞が挙げられる。1つの実施形態において、この方法はまた、選択された標的タンパク質を同定する工程を包含する。特定の実施形態において、目的の低分子は、アミノ酸以外の部分を有するか、5000、4000、3000、2000、1000、750、500、または250ダルトン未満の分子量を有する。
別の局面において、本発明は、目的の低分子に結合する標的タンパク質を選択するための別の方法を特徴とする。この方法は、表面タンパク質に共有結合された標的タンパク質を含むタンパク質融合物を、細胞集団において発現させる工程を包含し、この発現は、ウイルスに感染した細胞から放出されたウイルスの表面上にタンパク質融合物を提示し得る条件下で実施される。ウイルスは、目的の低分子と接触され、目的の低分子に結合するウイルスが選択され、それによって、目的の低分子に結合する標的タンパク質を選択する。1つの実施形態において、この方法はまた、選択された標的タンパク質を同定する工程を包含する。種々の実施形態において、このウイルスはバクテリオファージまたはアデノウイルスである。特定の実施形態において、目的の低分子は、アミノ酸以外の部分を有するか、5000、4000、3000、2000、1000、750、500、または250ダルトン未満の分子量を有する。さらに他の実施形態において、目的の低分子は、ビオチンも含まず、細菌によって天然に生じもしない。さらに他の実施形態において、目的の低分子は、核酸、脂質、または炭水化物である。なお他の実施形態において、目的の低分子は、磁性ビーズまたは蛍光ビーズのような固体表面上に固定される。他の実施形態において、アデノウイルスを使用して、293細胞またはperc6細胞を感染させるか、あるいはバクテリオファージを使用して細菌を感染させる。
別の局面において、本発明は、目的の低分子に結合する標的タンパク質を選択するための方法を特徴とする。この方法は、標的タンパク質をコードする核酸に共有結合した標的タンパク質の各々のライブラリーを、細胞集団またはインビトロサンプルにおいて発現させる工程を包含する。これらの細胞またはインビトロサンプルは、目的の低分子と接触され、そして目的の低分子に結合する標的タンパク質が選択される。1つの実施形態において、この方法はまた、選択された標的タンパク質を同定する工程を包含する。特定の実施形態において、目的の低分子は、アミノ酸以外の部分を有するか、5000、4000、3000、2000、1000、750、500、または250ダルトン未満の分子量を有する。
目的の低分子を結合する標的分子を選択するための任意の上記の方法の種々の実施形態にいて、少なくとも2、5、10、20、50、100、1000、10000またはそれ以上の標的分子が、低分子と接触される。他の実施形態において、標的ペプチドまたは標的タンパク質は、標準的な方法(例えばファージディスプレイ、細胞表面ディスプレイ、プラスミドディスプレイ、リボソームディスプレイ、ウイルスディスプレイ)を使用して、標的をコードするポリヌクレオチドと関連付けられる。他の実施形態にいて、低分子は、固体表面(例えば、カラム、ビーズまたは磁性ビーズ)上に固定化される。他の実施形態において、低分子は、蛍光基を含むか、または低分子は、蛍光基に間接的かまたは直接的に連結され(例えば、蛍光標識された抗体の結合を介して連結される)、そして低分子と標的分子の複合体は、FACS分類を使用して単離される。他の実施形態において、目的の低分子は、非天然の分子または細菌以外の生物体由来の天然の分子(例えば、天然のヒト分子)である。
本発明はまた、標的分子が薬物標的として実験的に確認される前に、標的分子を結合する化合物を同定するための方法を提供する。さらに、方法は、2つ以上の標的分子のリガンドを同定することを提供する。例えば、バインダーは、複数の標的分子を含むアッセイを行うことによって、または複数アッセイを平行して行うことによって、複数の標的分子について同時に同定され得る。これらの高スループットアッセイは、分析され得る標的分子の数を、非常に増大する。
従って、1つの局面において、本発明は、薬物標的としての標的分子の確認の前に、標的分子に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物を選択するための方法を提供する。この方法は、1つ以上の候補化合物が、標的分子に結合するかまたはその活性を調節することを可能にする条件下で、薬物標的として以前に確認されていない標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルを候補化合物のライブラリーと接触する工程を包含する。標的分子に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物が選択される。1つの実施形態において、選択された候補化合物が同定される。他の実施形態において、この方法はまた、生物学的アッセイにおいて選択された候補化合物の効果を測定し、それによって標的分子の生物学的機能を決定する工程を包含する。なお他の実施形態において、細胞またはインビトロサンプルは、少なくとも2、5、10、20、30、50、100、またはそれ以上の標的分子を含み、そして各標的分子について、標的分子に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物が選択される。
別の局面において、本発明は、標的分子に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物を選択するための方法を特徴とする。この方法は、1つ以上の候補化合物が第1の標的分子に結合するかまたその活性を調節することを可能にし、そして1つ以上の候補化合物が第2の標的分子に結合するかまたはその活性を調節することを可能にする条件下で、第1の標的分子および第2の標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルとを候補化合物のライブラリーと接触する工程を包含する。第1の標的分子に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物が選択され、そして第2の標的分子に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物が選択される。1つの実施形態において、1つ以上の選択された候補化合物が同定される。他の実施形態において、この方法はまた、生物学的アッセイにおいて、選択された1つ以上の候補化合物の効果を測定し、それによって標的分子の生物学的機能を決定する工程を包含する。なお他の実施形態において、細胞またはインビボサンプルは、少なくとも5、10、20、30、50、100またはそれ以上の標的分子を含み、そして各標的分子について、標的分子に結合するかまたはその活性を調節する候補化合物が選択される。
本発明はまた、種々のデータベースを特徴とする。これらのデータベースは、本発明の任意の方法おいて得られる情報を格納するのに有用である。これらのデータベースはまた、治療の開発において、または特定の患者または患者のクラスのための好ましい治療の選択において使用され得る。これらのデータベースの多くの他の使用は、本明細書中に記載される。
1つのこのような局面において、本発明は、リガンドの記録および標的分子に結合するかまたはその活性を調節するその能力に関連される標的分子の少なくとも10、10、10、10、10、10、10、10または10の記録を含む電子データベースを特徴とする。関連する局面において、本発明は、標的分子の複数の記録を含む電子データベースを提供し、この標的分子は、リガンドおよび標的分子に結合するかまたはその活性を調節するそれらの能力の記録に相関される生物学的機能が未知である薬物標的および/または標的分子として以前に確認されていない。別の関連する局面において、本発明は、リガンドおよびそのドメインに結合するそれらの能力の記録に相関される標的分子ドメインの少なくとも10、10、10、10、10、10、10、10または10の記録を含む電子データベースを特徴とする。「ドメイン」とは、同じ型の反応を触媒するか、または同じ型の分子を結合する1つ以上のタンパク質において見出されるドメインを意味する;または、このドメインは、DNAもしくはアミノ酸配列の分析、x線結晶構造または生物学的アッセイに基づいた異なるタンパク質構造モチーフもしくは機能的ファミリーとして同定される。例えば、データベースは、リガンドおよびキナーゼドメインに結合するそれらの能力(すなわち、1つ以上のキナーゼに結合する能力)またはホスファターゼに結合するそれらの能力(すなわち、1つ以上のホスファターゼに結合する能力)を含み得る。このデータベースは、例えば、タンパク質または他の標的分子の結合部位を特徴付けるため、および化合物の特定の結合部位または特定のファミリーの選択的リガンドを決定するために使用され得る。
上記のデータベースの種々の実施形態において、このデータベースは、生物体(例えば、細菌、酵母または哺乳動物)のプロテームにおける少なくとも0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%のタンパク質またはタンパク質ドメインの記録を含む。特定の実施形態において、このデータベースは、ヒトプロテオームにおける少なくとも0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%のタンパク質またはタンパク質ドメインの記録を含む。なお他の実施形態において、データベースは、生物体のゲノムにおける少なくとも0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%のオープンリーディングフレームについてオープンリーディングフレームによって発現される少なくとも1つのタンパク質のリガンドを含む。
別の局面において、本発明は、本発明のデータベースおよび(i)標的分子に結合するかまたはその活性を調節する1つ以上のリガンドを提示し得るユーザーインターフェース(これらの記録がコンピュータ中に格納される)または(ii)リガンドによって調節される活性に結合するか、この活性を有する1つ以上の標的分子を提示し得るユーザーインターフェース(これらの記録がコンピュータ中に格納される)を備えるコンピューターを特徴とする。例示的なデータベースとしては、少なくとも10の記録の標的分子(例えば、以前に確認されていない標的分子または生物学的機能が未知である標的分子)を含む。
別の局面において、本発明は、化合物によって影響される1つ以上の生物学的アッセイにおいて表現型の記録に相関される化合物の少なくとも10、10、5×10、10、10、10、10、10または10の記録を含む電子データベースを提供する。生物学的アッセイは、化合物に結合するか、または外因性レポーター遺伝子を含まないタンパク質をコードする核酸の外因性コピーを含まない細胞またはインビトロサンプルを含む。
別の局面において、本発明は、上記の局面のデータベースおよび(i)化合物について1つ以上の生物学的アッセイにおいて1つ以上の表現型を提示し得るユーザーインターフェース(これらの記録はコンピュータ中に格納される)または(ii)表現型に影響する1つ以上の化合物を提示し得るユーザーインターフェース(これらの記録がコンピューター中に格納される)を備えるコンピュータを特徴とする。
別の局面において、本発明は、標的分子の発現プロフィールまたは活性の記録に相関される標的分子の少なくとも10の記録を含む電子データベースを提供する。別の局面において、本発明は、標的分子の発現プロフィールまたは活性の記録に相関される機能が未知である薬物標的および/または標的分子として以前に確認されていない標的分子の複数の記録を含む電気的データベースを特徴とする。いずれかのデータベースの種々の実施形態において、データベースは、生物体のプロテオームにおいて少なくとも0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%のタンパク質の記録、あるいは少なくとも10、10、5×10、10、10、10、10、10または10の標的分子の記録を含む。他の実施形態において、データベースは、生物体のプロテオーム(例えば、ヒトプロテオーム)において、少なくとも0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%のタンパク質の記録を含む。なお他の実施形態において、データベースは、生物体のゲノムにおいける少なくとも0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90または100%のオープンリーディングフレームのオープンリーディングフレームによって発現される少なくとも1つのタンパク質の記録を含む。
なお別の局面において、本発明は、本発明のデータベースおよび(i)標的分子1つ以上の発現プロフィールまたは活性を提示し得るユーザーインターフェース(これらの記録はコンピューター中に格納される)または(ii)発現プロフィールまたは活性を有する1つ以上の標的分子を提示し得るユーザーインターフェース(これらの記録はコンユーター中に格納される)を備えるコンピューターを提供する。種々の実施形態において、データベースは、標的分子(例えば、機能が未知である薬物標的または標的分子として以前に確認されていない)の少なくとも10個の記録を含む。
任意のデータベースまたはコンピュータが、任意の以下の方法において使用され得る。これらのデータベースの例示的な使用としては、以下が挙げられる:化学足場および活性部位/タンパク質の型のクラスター形成、結合異常およびオーバーラップのような結合特性の全体的な指標付け(indexing)、標的の骨格の特異性を決定すること、化合物の潜在的毒性を決定すること(例えば、代謝および毒性において重要なタンパク質(例えばP450アイソマーに結合しない標的または化合物にのみ特異的な化合物を同定すること(一般的に結合が代謝を予測する))、特定の生物学または病理をプローブするための化合物を選択すること、標的の構造をプローブに結合するか、またはタンパク質上の機能的ドメインの周りのクラスターを用いて「化学的結晶構造」を生成する化合物を同定すること(単独または他の技術(例えば、NMR、X線結晶学または計算機化学アプローチ)と組み合わせて)、化合物が結合するタンパク質内の共有ドメインのデータベースを検索することによってタンパク質ドメインを同定すること、ミニSARを生成するように結合を調節する化学骨格上の置換基を同定すること、特定の化合物の作用の原因である標的分子を選択すること、化合物(例えば、薬物または実験的化合物)の代替標的/指標を開発すること、標的に結合する代替化合物(例えば、好ましい代替化学構造または化学骨格)を開発すること、薬理遺伝学に基づく治療を選択すること、および薬物の最適化のための手がかりとして働くような骨格を選択すること。
1つのこのような局面において、本発明は、目的の表現型に関連する標的分子を同定する方法を特徴とする。この方法は、リガンドおよび表現型の原因となるかまたは表現型に寄与するそれらの能力の記録に相関される生物学的アッセイにおける複数の表現型を含む電子データベースを使用する工程を包含する。目的の表現型の選択は受け入れられ、そして目的の表現型に寄与される1つ以上のリガンドが、同定される。リガンドに結合するかまたはリガンドによって調節される活性を有する標的分子の記録に相関される複数のリガンドの記録を含む電子データベースを使用して、目的の表現型に寄与するリガンドに結合するかまたはこのリガンドによって調節される1つ以上の標的分子を同定し、それによって目的の表現型と関連する1つ以上の標的分子を同定する。1つの実施形態において、目的の表現型は疾患状態に関連し、そして標的分子は、疾患状態を促進するかまたは阻害するかを決定される。1つの実施形態において、この方法は、コンピュータで実施される。
なお別の局面において、本発明は、目的の標的分子と関連する表現型を同定する方法を特徴とする。この方法は、リガンドおよび標的分子に結合するかまたはその活性を調節するその能力の記録に相関される複数の標的分子の記録を含む電子データベースを提供する工程、および目的の標的分子の選択を受け入れる工程を包含する。目的の標的分子に結合するかまたはその活性を調節する1つ以上のリガンドが同定される。生物学的アッセイにおいてリガンドによって引き起こされる表現型の記録に相関される複数のリガンドの記録を含む電子データベースを提供し、そして使用して、生物学的アッセイにおいてリガンドによって引き起こされる1つ以上の表現型を同定し、それによって目的の標的分子に関連する1つ以上の表現型を同定する。1つの実施形態において、この方法はコンピュータで実施される。
なお別の局面において、本発明は、目的の標的分子に結合するかまたはその活性を調節するリガンドを同定する方法を特徴とする。この方法は、リガンドおよび標的分子に結合するかまたはその活性を調節するそれらの能力の記録に相関される標的分子の少なくとも10個の記録を含む電子データベースを提供する工程および目的の標的分子の選択を受け入れる工程を包含する。目的の標的分子に結合するかまたはその活性を調節する1つ以上のリガンドが同定される。種々の実施形態において、方法は、目的の標的分子に結合するかまたはその活性を調節する2つ以上のリガンドの化学構造を比較し、それによって目的の標的分子への結合または目的の標的分子に対する調節を促進するリガンドにおける官能基を同定する工程を包含する。1つの実施形態において、この方法はまた、目的の標的分子に結合するかまたはその活性を調節する2つ以上のリガンドの化学構造を比較し、それによってリガンドの収集における1つ以上の官能基または骨格の頻度を決定する。他の実施形態において、薬物発見または薬物開発あるいは最適化の手がかりにおいて使用される2つ以上のリガンドに存在する1つ以上の官能基を有する1つ以上の化合物。1つの実施形態において、この方法はコンピュータで実施される。
なお別の局面において、本発明は、目的のリガンドに結合するかまたは目的のリガンドによって調節される標的分子を同定する方法を特徴とする。この方法は、リガンドに結合するかまたはリガンドによって調節される活性を有する標的分子の記録に相関される少なくとも10個のリガンドを含む電子データベースを提供し、目的のリガンドの選択を受け入れる工程を包含する。目的のリガンドに結合するかまたは目的にリガンドによって調節される1つ以上の標的分子が同定される。種々の実施形態において、本方法は、目的のリガンドに結合する1つ以上の標的分子の化学構造を比較し、それによって目的のリガンドの結合を促進するかこのリガンドに寄与する標的分子における官能基またはドメインを同定する工程を包含する。
なお別の局面において、本発明は、リガンドの選択性を測定する方法を特徴とする。この方法は、リガンドおよび標的分子に結合するかまたは標的分子の活性を調節するそれらの能力の記録に相関される少なくとも10個に標的分子の記録を含む電子データベースを提供し、そして目的のリガンドの選択を受け入れる工程を包含する。リガンドに結合するかまたはリガンドによって調節されるデータベース中の標的分子の数が測定され、それによって目的のリガンドの選択性を測定する。種々の実施形態において、リガンドは、標的分子の活性を増大し、ここでこの活性は、疾患状態、有害な副作用または毒性に関連し、そしてリガンドは、薬物発見または薬物開発、手がかりの最適化または農薬もしくは環境薬剤(environmental agent)の開発から取り除かれる。他の実施形態において、このリガンドは、標的分子の活性を減少し、ここでこの活性は、疾患状態、有害な副作用または毒性に関連し、そしてこのリガンドは、発見もしくは開発、手がかりの最適化または農薬もしくは環境薬剤の開発のために選択される。1つの実施形態において、本方法は、コンピュータで実施される。
なお別の局面において、本発明は、疾患または障害の処置、安定化または予防のための被験体の治療を選択する方法を提供する。本方法は、治療および標的分子に結合するかまたは標的分子の活性を調節するその能力の記録に相関される標的分子の少なくとも10個の記録を含む電子データベースを提供し、そして疾患または障害に関連する変異を有する被験体にける標的分子を測定する工程を包含する。治療は、標的分子に結合するかまたは標的分子によって調節されるデータベースから選択され、それによって疾患または障害を処置するか、安定化するかまたは予防する。他の実施形態において、変異を有する被験体または被験体のグループは、治療のための臨床試験から選択されるか、または臨床試験のための特定のサブグループに分類される。特定の実施形態において、標的分子は、タンパク質または核酸である。1つの実施形態において、本方法は、コンピュータで実施される。
なお別の局面において、本発明は、疾患または障害の処置、安定化または予防のために被験体の治療を選択する別の方法を特徴とする。この方法は、治療および標的分子ニ結合するかまたはその活性を調節するそれらの能力の記録に相関される標的分子の少なくとも10個の記録を含む電気的データベースを提供し、そして疾患または障害に関連する変異を有する被験体における標的分子を決定する工程を包含する。治療は、標的分子に結合しないかまたはその活性を調節しないデータベースから選択される。1つの実施形態において、変異は、データベースにおける1つ以上の治療剤のための標的分子の親和性を減少し、従って変異を有さない被験体と比較して、被験体の治療効果を増加し得る。この実施形態に従って、標的分子以外の分子に結合する治療剤が選択される。他の実 施形態において、変異を有する被験体または被験体のグループは、標的分子の変異形態に対する減少した親和性を有する治療剤のための臨床試験から除外されるか、または被験体または被験体のグループは、臨床試験にための特定のサブグループに分類される。なお他の実施形態において、変異を有する被験体または被験体のグループは、標的分子以外の分子に結合する治療剤のための臨床試験について選択されるか、または被験体または被験体のグループは、臨床試験のための特定のサブグループに分類される。特定の実施形態において、標的分子は、タンパク質または核酸である。1つの実施形態において、本方法は、コンピュータで実施される。
本発明はまた、目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定するために質量分析を使用するための改善された方法を特徴とする。これらの方法を使用して、特定の標的分子のためのリガンドを同定し得る。
1つのこのような局面において、本発明は、目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定する方法を提供する。この方法は、(i)化合物ライブラリー由来の2つ以上の化合物についての参照マススペクトル、および(ii)該ライブラリー由来の1つ以上の化合物を含むサンプルの試験マススペクトル、を決定または提供する工程を包含する。参照マススペクトルの1つ以上のピークが試験マススペクトル中に含まれるか否かが決定され、それによって、参照マススペクトルを生成した化合物がサンプル中に存在するか否かを決定する。種々の実施形態において、参照マススペクトルは、試験マススペクトルにおける全てのピークが化合物に割り当てられるまで連続的にまたは同時に分析される。他の実施形態において、参照マススペクトルのピークが試験マススペクトル中に含まれるか否かの決定は、1つ以上の参照マススペクトルのピークが試験マススペクトル中に含まれるか否かの連続決定を含む。さらに他の実施形態において、参照マススペクトルのピークが試験マススペクトル中に含まれるか否かの決定は、(i)参照マススペクトルにおける全てのピークが試験マススペクトル中に存在することが決定され、それによって、参照マススペクトルを生成した化合物がサンプル中に存在することが決定されるか、または(ii)参照マススペクトルにおけるピークが試験マススペクトル中に存在しないことが決定され、それによって、参照マススペクトルを生成した化合物が、サンプル中に存在しないことが決定されるかのいずれかまで繰り返される。
さらに別の局面において、本発明は、目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定する別の方法を提供する。この方法は、(i)化合物ライブラリー由来の2つ以上の化合物の参照マススペクトル、および(ii)該ライブラリー由来の1つ以上の化合物を含むサンプルの試験マススペクトル、を決定または提供する工程を包含する。試験マススペクトルの1つ以上のピークは、それらが参照マススペクトル中に含まれるか否かを決定するために分析される。試験マススペクトルに存在するピークを含む参照マススペクトルについては、参照マススペクトルにおける1つ以上の他のピークは、それらが試験マススペクトル中に存在するか否かを決定するために分析され、それによって、参照マススペクトルを生成した化合物がサンプル中に存在するか否かが決定される。特定の実施形態において、参照マススペクトルにおけるピークが試験マススペクトル中に存在するか否かの決定は、1つ以上の参照マススペクトルのピークが試験マススペクトル中に含まれるか否かの連続的または同時の決定を含む。他の実施形態において、参照マススペクトルにおけるピークが試験マススペクトル中に存在するか否かの決定は、(i)参照マススペクトルにおける全てのピークが試験マススペクトル中に存在することが決定され、それによって、参照マススペクトルを生成した化合物がサンプル中に存在することが決定されるか、または(ii)参照マススペクトルにおけるピークが試験マススペクトル中に存在しないことが決定され、それによって、参照マススペクトルを生成した化合物が、サンプル中に存在しないことが決定されるかのいずれかまで繰り返される。
目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定する上記方法のいずれかの種々の実施形態において、ライブラリー中の各化合物のマススペクトルが決定される。さらに他の実施形態において、参照スペクトルにおけるピークの少なくとも1つは、同位体ピーク、フラグメントピーク、または親ピークである。特定の実施形態において、この方法は、参照スペクトルにおける全てのピークが試験マススペクトル中に存在するか否かを決定する工程を包含する。他の実施形態において、参照マススペクトルは、マススペクトルを生成する化合物の記録と相関付けられたマススペクトルの1つ以上の特性の記録を含むデータベースに含まれる。特定の実施形態において、このデータベースは、同位体ピークの質量対電荷比、フラグメントピークの質量対電荷比、親ピークの質量対電荷比、同位体ピークの強度、フラグメントピークの強度、および親ピークの強度からなる群より選択される1つ以上の特性に関するデータを含む。さらに他の実施形態において、試験マススペクトルにおけるピークが参照マススペクトル中に存在するか否かを決定するための工程の1つ以上はコンピュータにより実行される。
本発明ではまた、目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定するためのプログラムが保存されたコンピューター読み取り可能なメモリが提供される。このコンピューター読み取り可能なメモリは、参照マススペクトルにおける1つ以上のピークについての質量対電荷比を含むマススペクトロメトリデータ(すなわち、化合物のライブラリー由来の個々の化合物のマススペクトル)を入力として受信するコンピューターコードを含む。このコンピューター読み取り可能なメモリはまた、試験マススペクトルにおける1つ以上のピークについての質量対電荷比を含むマススペクトロメトリデータ(すなわち、ライブラリー由来の1つ以上の化合物を含むサンプルのマススペクトル)を入力として受信するコンピューターコードを含む。このコンピューター読み取り可能なメモリはまた、参照マススペクトルのピークが試験マススペクトル中に含まれるか否かを決定し、それによって、参照マススペクトルを生成する化合物がサンプル中に存在するか否かを決定するコンピューターコードを有する。
関連する局面において、本発明は、目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定するためのプログラムが保存されたコンピューター読み取り可能なメモリを特徴とする。このメモリは、参照マススペクトルにおける1つ以上のピークについての質量対電荷比を含むマススペクトロメトリデータ(すなわち、化合物ライブラリー由来の個々の化合物のマススペクトル)を入力として受信するコンピューターコード、および試験マススペクトルにおける1つ以上のピークについての質量対電荷比を含むマススペクトロメトリデータ(すなわち、該ライブラリー由来の1つ以上の化合物を含むサンプルのマススペクトル)を入力として受信するコンピューターコードを含む。このメモリはまた、試験マススペクトルの1つ以上のピークが参照マススペクトルに含まれるか否かを決定するコンピューターコード、および参照マススペクトルにける全てのピークが試験マススペクトル中に存在するか否かを決定し、それによって参照マススペクトルを生成する化合物がサンプル中に存在するか否かを決定するコンピューターコードを含む。
本発明はまた、発現ベクターの自動生成またはタンパク質の自動生成および自動精製のための方法を特徴とする。
1つのこのような局面において、本発明は、目的のタンパク質をコードする2つ以上のベクターを生成する方法を特徴とする。この方法は、第1の目的のタンパク質をコードする第1の核酸と、第1の骨格核酸とを、それらの反応を許容する条件下で、ロボットデバイスにおいて、ロボット操作で接触させ、それによって、第1のタンパク質をコードする第1のベクターを生成する工程、および第2の目的のタンパク質をコードする第2の核酸と、第2のベクター核酸とを、それらの反応を可能にする条件下で、ロボットデバイスにおいて、ロボット操作で接触させ、それによって、第2のタンパク質をコードする第2のベクターを生成する工程、を包含する。いくつかの実施形態において、この方法はまた、第1のベクターと第1の細胞とを、第1の細胞への第1のベクターの挿入を可能にする条件下でロボット操作で接触させる工程、および第2のベクターと第2の細胞とを、第2の細胞への第1のベクターの挿入を可能にする条件下でロボット操作で接触させる工程、を包含する。種々の実施形態において、少なくとも3、4、5、8、10、15、30、60、90またはそれより多くのベクターが同時に生成される。他の実施形態において、骨格核酸は、直鎖状にされた発現ベクターであり、そして目的のタンパク質をコードするインサートは、インサートを含む環状の発現ベクターを生成する条件下で発現ベクターに連結される。他の実施形態において、第1および第2のベクターまたは細胞は、ロボットデバイスの異なるフラスコまたはウェルに含まれる。他の実施形態において、第1の細胞は第1のタンパク質を発現し、そして第2の細胞は第2のタンパク質を発現する。さらに他の実施形態において、第1のタンパク質および第2のタンパク質は、以下の局面において記載されるようにして精製される。他の実施形態において、第1の細胞および/または第2の細胞は、細菌(例えば、E.coli)、昆虫細胞(例えば、Drosophila細胞)、または哺乳動物細胞(例えば、Cos細胞、HEK293細胞、またはCHO細胞)である。他の実施形態において、第1のベクターおよび第2のベクターは、第1のタンパク質および第2のタンパク質の生成のために、第1の細胞および第2の細胞から別の細胞型の細胞(例えば、昆虫細胞または哺乳動物細胞)へと移される。他の実施形態において、ローラーボトルシステム(roller bottle system)、攪拌タンクシステム(Stir tank system)、キャピラリーセル培養システム(capillary cell culture system)、またはバイオリアクタが、細胞を増殖させるのに使用される。第1のベクターおよび/または第2のベクターは、本発明の方法のいずれかにおいて使用するタンパク質を生成するために使用され得る(例えば、そのタンパク質に結合するリガンドを同定するため)。
本発明の1つのタンパク質生成および/または精製方法は、ロボットデバイスの第1の培地への第1のタンパク質の分泌を生じる条件下で、第1の細胞において第1のタンパク質を発現させる工程、およびロボットデバイスの第2の培地への第2のタンパク質の分泌を生じる条件下で、第2の細胞において第2のタンパク質を発現させる工程、を包含する。ロボットデバイスは、第1の培地を第1のクロマトグラフィーカラムに移し、そして第2の培地を第2のクロマトグラフィーカラムへと移す。1つの実施形態において、第1のタンパク質および第2のタンパク質は単離され、それによって、第1のタンパク質および第2のタンパク質が精製される。種々の実施形態において、少なくとも3、4、5、8、10、15、30、60、90またはそれより多くのタンパク質が同時に精製される。他の実施形態において、第1および第2の細胞は、ロボットデバイスの異なるフラスコまたはウェルに含まれる。他の実施形態において、第1の細胞および/または第2の細胞は、細菌(例えば、E.coli)、昆虫細胞(例えば、Drosophila細胞)、または哺乳動物細胞(例えば、Cos細胞、HEK293細胞、またはCHO細胞)である。他の実施形態において、第1の細胞および/または第2の細胞は、一過的にトランスフェクトされたCos細胞、HEK293細胞、Drosophila細胞、もしくはCHO細胞であるか、または安定的にトランスフェクトされたCos細胞、HEK293細胞、E.coli細胞、もしくはDrosophila細胞である。さらに他の実施形態において、第1のタンパク質および/または第2のタンパク質は、哺乳動物細胞または昆虫細胞においてグリコシル化される。種々の実施形態において、第1のタンパク質もしくは第2のタンパク質は、分泌シグナルを天然で含むか、または分泌シグナルを含むよう遺伝子改変され、その結果、それらはそれらの細胞により培地中に分泌される。第1のタンパク質および/または第2のタンパク質は、本発明の方法のいずれかにおいて使用され得る(例えば、そのタンパク質に結合するリガンドを同定するため)。他の実施形態において、ロボットデバイスは、本明細書中に記載される方法のいずれかを用いて第1のタンパク質および/または第2のタンパク質と、候補リガンドのライブラリーとを接触させて、それらのタンパク質に結合するリガンドを選択するために使用され得る。さらに他の実施形態において、第1のタンパク質および/または第2のタンパク質は、本明細書中に記載される方法のいずれかを用いて目的の低分子に結合する標的分子を選択するために、ロボット操作で目的の低分子と接触される標的分子のライブラリーのメンバーとして使用される。
本発明はまた、タンパク質の自動生成および自動精製において使用され得る直鎖状DNA分子を特徴とする。1つのこのような局面において、本発明は、3,500未満、3,000未満、2,000未満、1,000未満、750未満,500未満、または300未満のヌクレオチド長であり、分泌配列またはリーダー配列に作動可能に連結されたプロモーターを含む直鎖状DNA分子を特徴とする。好ましいDNA分子は、トポイソメラーゼで標識される(すなわち、トポイソメラーゼに共有結合されるかまたは非共有結合的に結合される)。関連する局面において、本発明は、3,000未満、2,000未満、1,000未満、750未満、500未満、または300未満のヌクレオチド長であり、プロモーターを含み、そしてトポイソメラーゼで標識された直鎖状DNA分子を特徴とする。別の局面において、本発明は、3,500未満、3,000未満、2,000未満、1000未満、750未満、500未満、または300未満のヌクレオチド長であり、そしてアフィニティータグ(例えば、ヒスチジンタグ(例えば、6、10、または12個のヒスチジンを有するヒスチジンタグ)、FLAGタグ、mycタグ、またはGSTタグ)をコードする核酸セグメント、およびポリA領域をコードする核酸セグメントを含む、直鎖状DNA分子を特徴とする。好ましいDNA分子は、トポイソメラーゼで標識されている。好ましくは、上記局面のいずれかのDNA分子は、500と300との間のヌクレオチド長である。
上記局面のDNA分子は、目的のタンパク質をコードする直鎖状DNA分子を構築するために使用され得る。1つのこのような局面において、本発明は、(i)第1の目的のタンパク質およびアフィニティータグ(例えば、ヒスチジンタグ(例えば、6、10、または12個のヒスチジンを有するヒスチジンタグ)、FLAGタグ、mycタグ、またはGSTタグ)をコードする核酸セグメント、ならびに(ii)第1のポリA領域に作動可能に連結された第1のプロモーターを含む直鎖状DNA分子を特徴とする。好ましくは、第1のタンパク質をコードする核酸セグメントは、分泌配列またはリーダー配列に作動可能に連結されている。いくつかの実施形態において、このDNA分子は、3,000未満、2,000未満、または1,000未満のヌクレオチド長である。好ましくは、このDNA分子は、トポイソメラーゼで標識されている。いくつかの実施形態において、このDNA分子はまた、第1のプロモーターに作動可能に連結された第2の目的のタンパク質をコードする核酸セグメントを含む。特定の実施形態において、DNA分子はまた、(i)第2の目的のタンパク質をコードする核酸セグメント、および(ii)第2のポリA領域に作動可能に連結された第2のプロモーターを含む。第2の目的のタンパク質は、アフィニティータグ(例えば、ヒスチジンタグ(例えば、6、10、または12個のヒスチジンを有するヒスチジンタグ)、FLAGタグ、mycタグ、またはGSTタグ)を有していてもそうでなくともよい。他の実施形態において、このDNA分子は、3、4、5、6、またはそれより多くの異なるタンパク質をコードする。
別の局面において、本発明は、目的のタンパク質をコードする直鎖状DNA分子を生成する方法を特徴とする。この方法は、(i)プロモーターを有する、直鎖状の、トポイソメラーゼ標識されたDNA分子、(ii)第1の目的のタンパク質をコードする直鎖状DNA分子、ならびに(iii)アフィニティータグ(例えば、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、またはGSTタグ)をコードする核酸セグメント、およびポリA領域をコードする核酸セグメントを有する直鎖状の、トポイソメラーゼ標識されたDNA分子を、それらの反応を可能にする条件下で、ロボットデバイスの第1の区画において、ロボット操作で接触させ、それによって、第1のタンパク質をコードする第1の直鎖状DNA分子を生成する工程を包含する。好ましい実施形態において、この方法はまた、(i)プロモーターを有する、直鎖状の、トポイソメラーゼ標識されたDNA分子、(ii)第2の目的のタンパク質をコードする直鎖状DNA分子、ならびに(iii)アフィニティータグ(例えば、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、mycタグ、またはGSTタグ)をコードする核酸セグメント、およびポリA領域をコードする核酸セグメントを有する直鎖状の、トポイソメラーゼ標識されたDNA分子を、それらの反応を可能にする条件下で、ロボットデバイスの第2の区画において、ロボット操作で接触させ、それによって、第2のタンパク質をコードする第2の直鎖状DNA分子を生成する工程を包含する。好ましくは、この方法はまた、第1の直鎖状DNA分子と第1の細胞とを、第1の細胞への第1の直鎖状DNA分子の挿入を可能にする条件下でロボット操作で接触させる工程、および第2の直鎖状DNA分子と第2の細胞とを、第2の細胞への第2の直鎖状DNA分子の挿入を可能にする条件下でロボット操作で接触させる工程、を包含する。いくつかの実施形態において、第1および/または第2の直鎖状DNA分子は、細胞への挿入の前に環状化される(例えば、標準的な方法を用いて連結される)。好ましくは、第1の細胞は第1のタンパク質を発現し、そして第2の細胞は第2のタンパク質を発現する。他の好ましい実施形態において、少なくとも3、4、5、8、10、15、30、60、90またはそれより多くの直鎖状DNA分子が同時に生成される。好ましくは、各々のトポイソメラーゼ標識DNA分子は、3,000未満、2,000未満、1,000未満、750未満、500未満、または300未満のヌクレオチド長である。
別の局面において、本発明は、タンパク質を精製する方法を特徴とする。この方法は、ロボットデバイスにおいて、第1の培地への第1のタンパク質の分泌を生じる条件下で、本発明の直鎖状DNA分子(または本発明の直鎖状分子の環状バージョン)を含む第1の細胞において第1のタンパク質を発現する工程、第1の培地を第1のクロマトグラフィーカラムにロボット操作で移す工程、および第1のタンパク質を精製する工程を包含する。好ましい実施形態において、この方法はまた、ロボットデバイスにおいて、第2の培地への第2のタンパク質の分泌を生じる条件下で、本発明の直鎖状DNA分子(または本発明の直鎖状分子の環状バージョン)を含む第2の細胞において第2のタンパク質を発現する工程、第2の培地を第2のクロマトグラフィーカラムにロボット操作で移す工程、および第2のタンパク質を精製する工程を包含する。他の好ましい実施形態において、少なくとも3、4、5、8、10、15、30、60、90、またはそれより多くのタンパク質が同時に精製される。
別の局面において、本発明は、本発明の核酸を用いてトランスフェクトした(例えば、安定的にまたは一過的にトランスフェクトした)細胞または細胞株を特徴とする。種々の実施形態において、細胞は、細菌(例えば、E.coli)、昆虫細胞(例えば、Drosophila細胞)、または哺乳動物細胞(例えば、Cos細胞、HEK293細胞、またはCHO細胞)である。
別の局面において、本発明は、目的のmRNAまたはタンパク質をコードする核酸を用いて一過的にトランスフェクトされたCHO細胞を特徴とする。いくつかの実施形態において、トランスフェクトされた核酸は、直鎖状DNA分子(例えば、本発明の直鎖状DNA分子)である。好ましくは、細胞は、SV40 T抗原をコードする核酸を用いて一過的にまたは安定的にトランスフェクトされる。
本発明のいずれかの局面の種々の実施形態において、リガンドは、標的分子に、共有結合的または非共有結合的に結合する。他の実施形態において、リガンドは、標的分子に直接結合するか、または標的分子と同じ経路で別の分子に結合し、そしてそれによって標的分子を活性化または阻害する。他の実施形態において、リガンドは、5000ダルトン未満、4000ダルトン未満、3000ダルトン未満、2000ダルトン未満、1000ダルトン未満、750ダルトン未満、500ダルトン未満、または250ダルトン未満の分子量を有する。他の実施形態において、リガンドは、5個未満、4個未満、3個未満、または2個未満の水素結合ドナーまたは10個未満、8個未満、6個未満、4個未満、または3個未満の水素結合アクセプターを有する。さらに他の実施形態において、リガンドは、4.15未満のc logPを有する。さらに他の実施形態において、リガンドはFK506ではない。他の実施形態において、選択された候補リガンドは、1fM未満、1fMと1nMとの間、1nMと1μMとの間、または1μM未満のKで標的分子に結合する。他の実施形態において、選択された候補リガンドは、IR、MS、NMR、UV、アミノ酸配列決定、核酸配列決定、またはそれらの組み合わせによる分析に供される。他の実施形態において、同位体ピークまたはフラグメントピークは、ライブラリーの別の候補リガンドと同じ質量を有する候補リガンドを同定するために使用される。
本発明の局面のいずれかの種々の他の実施形態では、候補リガンドおよび/または標的分子は、液相中に存在する。他の実施形態では、このリガンドまたはこの標的分子は、固体表面(例えば、ビーズまたはチップ)上に固定される。他の実施形態では、アッセイ媒体は、クロマトグラフィーによって分画される。特定の実施形態では、複合体は、サイズ排除クロマトグラフィー(例えば、シリカまたはポリマー樹脂を用いる)、多峰形クロマトグラフィー、双峰形クロマトグラフィーまたは二相クロマトグラフィー(例えば、1より多くの単一の特徴に基づくクロマトグラフィー(例えば、サイズ排除および逆相、サイズ排除およびアニオン交換、サイズ排除およびカチオン交換)または内表面逆相(ISRP)樹脂、GFF樹脂、もしくはGFFII樹脂)を用いたクロマトグラフィー)を用いて単離される。例示的な樹脂としては、ジオール、セファロース、スーパーロースおよびポリメチルメタクリレートが挙げられる。他の所望の樹脂は、5psi、50psi、500psi、5000psiまたは7000psiより上で安定である。特定の実施形態では、異なる分離特徴を有する樹脂を含むカラムが直列で組み合わされる。他の実施形態では、カラムクロマトグラフィーは、複合体を単離するために用いられ、そしてこの複合体は、このカラムから60分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、3分未満、2分未満もしくは1分未満で溶出するか;ボイド容積は、20mL未満、15mL未満、10mL未満、5mL未満、4mL未満、3mL未満、2mL未満もしくは1mL未満であるか;またはこのカラムの直径は、5mm未満、4mm未満、3mm未満、2mm未満、もしくは1mm未満である。他の実施形態では、HPLC、スピンカラム、キャピラリークロマトグラフィー、または濾過は、この複合体を単離するために用いられる。他の実施形態では、未結合リガンドに対応する、HPLCまたは他のクロマトグラフィーピークのUV吸収の減少は、未結合リガンドの量における減少(従って、結合リガンドの量における増加)を検出するために用いられる。なお他の実施形態では、標的分子と結合した候補リガンドとの複合体は、結合したリガンドを標的分子から分離するクロマトグラフィー工程に供される。本発明の局面のいずれかのなお他の実施形態では、固定された標的を候補リガンドと接触させ、そして支持体は、候補リガンドを欠く媒体で洗浄され、そして結合したあらゆるリガンドを標的から放出する様式で処理される。なお他の実施形態では、この候補リガンドへのこの標的の曝露に続いて、この支持体は、標的分子を欠く媒体で洗浄され、そしてこの候補リガンド分子および結合したあらゆる標的分子をこの支持体から除去する様式で処理される。他の局面では、この方法における1つ、複数または全ての工程は、ロボットにより自動化されるかまたはコンピュータにより実行される。
本発明の局面のいずれかのなお他の実施形態では、選択された標的の機能または活性は、化学的アッセイ、生化学的アッセイ、酵素的アッセイ、生物学的アッセイまたはこれらの組合せによって特徴付けられる。特定の実施形態では、この標的の機能は、アポトーシスアッセイ、増殖アッセイ、壊死アッセイ、脈管形成アッセイ、侵襲アッセイ、またはこれらの組合せによって特徴付けられる。他の実施形態では、この候補標的分子は、生化学的抽出物、細胞、組織、生物体、または組換え供給源から単離される。なお他の実施形態では、選択された標的分子は、NMR、IR、UV、MS(例えば、MALDITOF、MALDI、単一四重線(single quad)、三重四重線(triple quad)またはエレクトロスプレーMSもしくはMS−MS)、アミノ酸配列決定、または核酸配列決定を用いて同定される。他の実施形態では、この候補標的分子は、全長タンパク質または全長未満であるタンパク質由来フラグメントである。例示的な標的としては、酵素およびレセプター(例えば、GPCR)、キナーゼ、イオンチャネル、核レセプター、プロテアーゼ、ホスファターゼ、およびメチラーゼが挙げられる。標的は、治療的に活性な化合物が以前に開発されているかまたは開発されていない、分子または分子のクラスを包含し得る。
種々の実施形態では、本発明の方法またはデータベースは、標的についての足場の特異性を決定するため、潜在的な毒性を決定するため、特定の生物学もしくは病理をプローブするための化合物を同定するため、標的をプローブするための化合物を同定するため、ミニSARを実施するため、特定の化合物の作用を担う標的を選択するため、生成物についてのポートフォリオおよび特許の寿命を延ばす「若返り」のため(例えば、特許された化合物についての他の用途を同定するため、特許された化合物が結合する他の標的分子を同定するため、または有用な標的を結合する他の化合物を同定するため)、薬理遺伝学に基づいて化合物を選択するため、または薬物の最適化のためのリードとして役立つ足場を選択するために用いられる。
候補リガンドについての本発明の種々の局面の実施形態の全てが、目的の低分子に適用されることが注目される。
本明細書中では、「薬物標的として以前は確認されていなかった標的分子」によって、その調節が、刊行物または公の提示物において記載されたような疾患の動物モデルにおいて疾患状態を促進または阻害するとは以前は実験的に決定されていなかった標的分子を意味する。例えば、確認されていない標的分子としては、その分子の活性化もしくは阻害またはその分子の発現レベルにおける低下もしくは上昇が、その疾患の動物モデルにおける疾患状態を調節するとは実験的に示されていない、分子が挙げられる。対照的に、確認された薬物標的としては、その分子の量または活性の増加または減少が、動物モデルにおける疾患状態を促進または阻害すると実験的に決定されている分子が挙げられる。確認された標的の例としては、ノックアウト変異または他の遺伝子サイレンシング法(例えば、遺伝子発現のアンチセンス阻害)に起因した過剰発現または不活化が、動物モデルにおける疾患状態を促進または阻害すると実験的に実証されている標的が挙げられる。
「生物学的機能が未知の標的分子」により、活性が、刊行物または公の提示物において記載されたような、以前に実験的に実証されていない標的分子を意味する。種々の実施形態では、機能が未知の標的分子は、活性が実験的に実証されている核酸またはタンパク質に対して、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、または10%未満の配列同一性を有する、核酸またはタンパク質である。他の実施形態では、この核酸またはタンパク質は、推定機能が以前には割り当てられていない。配列同一性は、代表的に、配列解析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group,University of Wisconsin Biotechnology Center,1710 University Avenue,Madison,WI 53705)をその中で指定されたデフォールトパラメーターで用いて測定される。このソフトウェアプログラムは、種々の置換、欠失および他の改変に対する相同性程度を割り当てることにより、類似した配列を一致させる。
「二次構造または三次構造が未知の標的分子」により、刊行物または公の提示物において記載されたような、二次構造または三次構造が以前に実験的に決定されていない、標的分子を意味する。いくつかの実施形態では、この二次構造または三次構造は、以前には、相同な分子の既知の構造に基づいて推定もモデリングもされていない。他の実施形態では、この標的分子中での結合部位または活性部位の位置も三次構造も、以前には実験的に決定されていない。
「足場」により、候補化合物のライブラリー中での2以上の異なる分子中に含まれるコア化学的構造を意味する。種々の実施形態では、ライブラリー中の少なくとも5、10、10、10、10、10、10、またはより多くの分子は、足場を含む。いくつかの実施形態では、このライブラリーは、少なくとも2、2、5、10、10、10、10、10、またはより多くの異なる足場を含む。
「ライブラリー」によって、2、5、10、10、10、10、10、10、10、10、10、またはより多くの異なる分子のコレクションを意味する。種々の実施形態では、ライブラリーの各メンバーは、異なる質量を有する。他の実施形態では、少なくとも2、5、10、15、20、30、40、50、またはより多くのメンバーは、同じ質量または別のライブラリーメンバーの質量と少なくとも1、0.5、0.1、0.05、もしくは0.01ダルトン異なる質量を有する。
「架橋剤」により、別の分子と反応し得る1以上の官能基を含む、分子または部分を意味する。
「プロテオーム」によって、生物体によって発現される全てのタンパク質を意味する。プロテオームは、その生物体によって発現される、タンパク質の選択的スプライシングの改変体の全てを包含する。
「精製される」によって、天然では付随している他の成分から分離されることを意味する。代表的に、化合物は、タンパク質、抗体および天然では会合している天然に存在する有機分子を少なくとも50重量%含まない場合、実質的に純粋である。他の実施形態では、この化合物は、少なくとも75重量%、90重量%、または99重量%純粋である。実質的に純粋な化合物は、化学合成、天然の供給源からの化合物の分離または天然ではある化合物を生成しない組換え宿主細胞中でのその化合物の産生によって入手され得る。タンパク質および有機化合物は、標準的な技術(例えば、Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,2000)によって記載される技術)を用いて当業者によって精製され得る。出発物質と比較した精製の程度は、標準的な方法(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィー、光学密度、HPLC分析またはウェスタン分析(Ausubelら,前出))を用いて測定され得る。例示的な精製方法としては、免疫沈降、カラムクロマトグラフィー(例えば、イムノアフィニティークロマトグラフィー)、磁性ビーズイムノアフィニティー精製、およびプレートに結合した抗体を用いたパンニングが挙げられる。
本発明の方法は、多数の利点を有する。例えば、この方法は、生物体のプロテオーム(例えば、ヒトプロテオーム)中のあらゆるタンパク質の発現および精製、ならびに各タンパク質についての高親和性の薬物様足場の同定を可能にする。この方法はまた、理論的に無制限の数の候補化合物および候補足場がスクリーニングされることを可能にする。本発明の方法は非常に迅速であって、このような大規模で実施され得るので、これらは、薬物標的としては以前は確認されていなかった標的分子または生物学的機能が未知の標的分子をアッセイして、標的分子に結合するおよび/または標的分子の活性を調節するリガンドを選択するために有用である。対照的に、標的分子に結合するリガンドを選択するための現在の方法は、薬物標的として確認された標的分子に限定されている。従って、本発明の方法は、アッセイされ得る標的分子の数を大いに拡大する。次いで、高親和性結合因子が選択される標的分子は、薬物標的と確認され得る。
さらに、本発明の方法は、同じ質量を有する候補リガンドの区別を可能にする。例えば、質量スペクトル同位体およびフラグメントのピークは、代表的に、同じ質量のリガンドの間で異なる。従って、これらのピークは、化合物ライブラリー中の別の候補リガンドと同じ親ピークを有する場合でさえ、候補リガンドを同定するために用いられ得る。この利点は、同じかまたは類似の質量の複数の化合物を含むライブラリーの使用を可能にする。
本発明の液相の実施形態は、流体相の結合が、血清または細胞中にある場合と同様に、生じるのを可能にする。標的タンパク質の特異的活性を測定する多くの現行のアッセイとは対照的に、本発明の方法は、カスタマイズなしで、プロテオーム中の任意の標的へと、容易に適用され得る。この方法はまた、非常に少量の試薬を使用する(例えば、200,000の化合物について300μg未満の各標的、および各標的について35ng未満の各化合物)。この方法はまた、化合物のライブラリーが、スクリーニング前のライブラリーの個々のメンバーのタグ化も精製も伴わずにスクリーニングされるのを可能にし、それにより、ライブラリーをスクリーニングするために必要な時間量を大いに減少させる。ライブラリーをスクリーニングするために必要とされる時間の長さはまた、複数のライブラリーおよび/または複数の標的が並行して分析される、本発明の自動化の実施形態を用いることにより、低減され得る。
本発明の他の利点および実施形態は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかである。
(5.発明の詳細な説明)
(5.1 遺伝子型から表現型へ)
1つの局面において、本発明は、タンパク質標的または核酸標的を複数の潜在的リガンドに曝露する方法、リガンド−標的対を収集する方法、および標的を結合するリガンドを使用して標的の生物学的機能を分析する方法に関する。1つの実施形態は、図1に概説される。この方法は、標的の機能を決定するために使用される。この標的は、従来未知であった標的であり得る。標的分子を結合する候補リガンドを選択するための多くの他の方法が、本明細書中に記載される。節5.1.1〜5.1.5において以下に列挙される実施形態の全ては、本発明の方法のいずれかにおいて使用され得る。
(5.1.1.標的)
本発明に従って、標的分子は、結合分子または反応分子が探される化合物である。好ましい実施形態において、標的は、または反応容器中に最も高い濃度で存在する種である。種々の好ましい実施形態において、標的は、反応容器中において、リガンドと同じ濃度で存在する。なお他の実施形態において、標的は、各リガンドの濃度、または候補リガンドの混合物の合計濃度より高い濃度または低い濃度において、存在する。他の好ましい実施形態において、標的は、反応容器中に最も低い濃度で存在する種である。本発明の1つの実施形態において、標的は、反応容器中に存在する、最も高い分子量を有する種である。標的は、インビボまたはインビトロで合成される、天然に存在する生体分子であり得る。標的は、アミノ酸、核酸、糖、脂質、天然産物またはこれらの組み合わせから構成され得る。本発明の利点は、標的の同定または機能の事前の知識が必要ではないことである。
本発明の好ましい実施形態において、標的は、アミノ酸、ペプチド、酵素、タンパク質(例えば、膜タンパク質もしくは可溶性タンパク質)、抗体、またはその組み合わせから構成される。第一の工程において、目的のタンパク質をコードするポリヌクレオチドが選択され得、そして発現系に導入され得る。このポリヌクレオチドは、ディファレンシャルスクリーニング、差引きハイブリダイゼーション、ディファレンシャルディスプレイ、マイクロアレイ発現分析、発現差解析法(RDA)またはレーザー捕捉顕微解剖によって、選択され得る。このタンパク質は、細菌プラスミド、ファージ、一過性細胞発現系またはウイルス発現系においてのように、インビボで合成され得る。あるいは、選択されるタンパク質は、インビトロでの転写および翻訳(例えば、Promegaウェブサイト)によって、または通常のFMOCオリゴペプチド合成化学によって、インビトロで合成され得る。発現されるタンパク質は、必要に応じて精製され得、次いでリガンドライブラリーに曝露され得る。
本発明に従って、遺伝子は、完全cDNA、またはヒトもしくは他の種の遺伝子ライブラリー、あるいは特定の疾患において、または特定の刺激の際の差次的発現について選択された遺伝子のサブセットから、発現され得る。疾患細胞もしくは組織、または刺激された細胞もしくは組織において、差次的に発現される遺伝子は、差引きハイブリダイゼーション、インフォマティクス、マイクロアレイ、SAGE、またはレーザー捕捉顕微分析などであるがこれらに限定されない技術を使用して、選択され得る。部分的配列(例えば、EST)が発見される場合、全長の組織特異的cDNAが、全長ヒトcDNAライブラリー(これらのいくつかは、CLONTECH、STRATAGENE、Life Technologies、およびNCBIから利用可能である)からクローニングされ得る。この様式でクローニングされる遺伝子の20%と60%との間(組織に依存する)は、以前には同定されておらず、そしてクローニングされた事実上全ての遺伝子の機能は、解明されていない。好ましい実施形態において、これらの遺伝子は、ゲノミクスによって発見された。タンパク質を産生するために、全長cDNAが、その遺伝子のカルボキシル末端と、アミノ末端におけるグルタチオンシンテターゼ(GST)(各々が、プロテアーゼ切断部位を有する)との間に挿入された、ヘキサヒスチジン(6his)でタグ化され得る。あるいは、New England Biolabsによるインテインベースの自己切断タグを使用して、プロテアーゼ処理の必要性を回避し得る。これらの遺伝子は、バキュロウイルスによって、例えば、hisタグおよびbipタンパク質リーダーを有するInvitrogen−Schneider 2 Drosophila系、CaPOを用いるトランスフェクション、および硫酸銅を用いてハイグロマイシンで誘導される発現(これは、5〜10mg/Lのタンパク質を上清中に産生し得、このタンパク質は、ニッケルカラムで精製され得る)による選択を使用して、発現され得、そして上清に分泌され得る。代替的な発現系の非限定的な例としては、Fast Bac系または別のバキュロウイルス系、あるいは哺乳動物発現系(CHO、COS、293など)が挙げられる。E.coliもまた、タンパク質生成のために使用され得るが、タンパク質をグリコシル化せず、そしてバキュロウイルス系は、同様に信頼性があり、そしてタンパク質をグリコシル化する。次いで、得られたタンパク質が、第一の精製工程としてNi(2+)−NTAクロマトグラフィーによって精製され、そして第二の工程として、グルタチオンアフィニティークロマトグラフィーによって精製され、続いて、特異的プロテアーゼが、タグの切断によって除去される。インテインベースのアフィニティー系が使用される場合、プロテアーゼは必要とされない。タンパク質は、代替の技術を同様に使用して発現および精製され得るか、または完全なタンパク質もしくは部分的なタンパク質が、ファージ中で発現され得るか、もしくは表面に結合され得る。
本発明の別の実施形態において、標的は、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドのように、RNAまたはDNAから構成される。本発明の1つの非限定的な実施形態において、発現系に導入されるべき核酸は、ESTの大規模な配列決定によって同定される。オリゴヌクレオチド標的は、直接合成され得る。ポリヌクレオチド標的は、直接合成されても、テンプレートポリヌクレオチドの増幅(例えば、PCR)によって調製されてもよい。オリゴヌクレオチド標的またはポリヌクレオチド標的は、必要に応じて精製され得、次いで、リガンドライブラリーに曝露され得る。
本発明の別の実施形態において、標的は、単純な炭水化物または複雑な炭水化物から構成される。本発明の別の実施形態において、標的は、脂質から構成される。本発明の別の実施形態において、標的は、天然産物を含む。
本発明の別の実施形態において、標的は、誘導体化され得る。非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、放射性同位体、hisタグ、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ、光活性化可能な架橋剤、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
標的の調製物は、所望の成分の部分的精製または不完全な精製の結果として、少量の他の化合物を含有し得る。
(5.1.2.リガンド)
本発明に従って、リガンドは、標的に結合する可能性を有し、そして/またはバイオアッセイに影響を与える、任意の分子である。遺伝子型から表現型へのアプローチの種々の実施形態において、リガンドまたは候補リガンドの混合物は、反応容器中に、標的より低濃度で存在する。表現型から遺伝子型へのアプローチの他の実施形態において、リガンドまたは候補リガンドの混合物は、反応容器中に、標的と同じ濃度で存在する。遺伝子型から表現型へのアプローチのさらに他の実施形態において、リガンドまたは他のリガンドと反応容器中に、標的より高濃度で存在する。リガンドは、アミノ酸、核酸、糖、脂質、天然産物、天然産物様化合物、またはこれらの組合せから構成され得る。リガンドは、任意のコンビナトリアルケミストリー方法によって作製され得る。あるいは、リガンドは、インビボまたはインビトロで合成される、天然に存在する生体分子であり得る。リガンドは、必要に応じて、別の化合物で誘導体化され得る。この修飾の1つの利点は、誘導体化化合物が、リガンド−標的複合体の収集またはリガンドの収集(例えば、リガンドと標的との分離後)を容易にするために使用され得ることである。誘導体化基の非限定的な例としては、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁気ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ、光活性化可能な架橋剤またはこれらの組み合わせが挙げられる。
リガンドは、標的がリガンドライブラリーに曝露される条件で、互いに対して低い親和性を有するべきである。
リガンドライブラリーは、質量、組成、構造、またはこれらの組み合わせが互いに異なるリガンドの混合物である。本発明は、少なくとも約10個の異なるリガンド、または少なくとも100個の異なるリガンド、または少なくとも1000個の異なるリガンドを含むようなライブラリーを意図する。
タンパク質を結合するために使用されるリガンドライブラリーは、多くの供給源に由来し得る。本発明は、化学物質、タンパク質、ペプチド、抗体、糖、脂質、天然産物、天然産物様化合物、またはこれらの任意の組み合わせの使用を包含する。これらは、有機合成、コンビナトリアルケミストリー、組換えDNA、生化学的抽出、精製などによって調製され得る。本発明の好ましい実施形態において、天然産物様の合成ライブラリーは、多様な配向化学(例えば、ビーズ上もしくは溶液中での不斉分離プール合成、または並行もしくは直列での合成)を使用して、コンビナトリアルケミストリーまたは医薬品化学のいずれかで作製される。合成において使用されるサブユニットは、好ましくは、薬物様であり、そして可能な限り高度に多様化される。これらのユニットは、構造的に剛性であっても可撓性であってもよい。これらのユニットは、それらの独自の構造を変更する化学反応(例えば、転位)を受け得る。これらのユニットは、官能基を付加され得る。
薬物様化合物は、異なる化学(例えば、有機化合物、無機化合物、ペプチド、タンパク質、アルカロイド、炭水化物、脂質、天然産物様化合物)を用いて、異なる足場を使用して作製され得る。薬物様化合物は、スペクトル識別子を組み込み得る。スペクトル識別子の非限定的な例としては、質量分析において、特徴的な同位体フラグメンテーションパターンに分解される元素(例えば、Cl、Br、N、H)が挙げられる。薬物様化合物はまた、質量分光分析の際に独特のフラグメンテーションパターンを有する化合物(ペニシリン)で作製され得る。ライブラリーはまた、他の分析技術およびデコンボリューション技術(例えば、IR、FTIR)を容易にするように設計され得る。
本発明の別の実施形態において、使用され得る他のライブラリーの非限定的な例としては、市販のライブラリー(例えば、Pharmacopeia、ArQule、およびChembridge)、集束化学ライブラリー、ペプチド、TAT、VP22もしくはANTENNAPEDIA形質導入シグナルを含むペプチドまたはタンパク質、構造的に可撓性の低分子、天然産物、糖、およびモノクローナル抗体が挙げられる。合成において使用されるサブユニットは、好ましくは、薬物様であり、そして可能な限り多様化される。
本発明のライブラリーは、タグ化されて、結合が観察された後のリガンドのデコンボリューションおよび再合成を容易にし得る。あるいは、これらのリガンドは、タグ化なしでデコンボリューションされ得る。これらのリガンドは、個々にかまたは混合物中で試験され得る。溶液相中で混合物として、または固相支持体上で合成された多様なライブラリーが、使用され得る。1つの実施形態において、TAT、VP22またはANTENNAPEDIA由来の形質導入ペプチドまたはその改変体は、低分子と架橋されて、膜または障壁を横切るその能力を増強させ得る。あるいは、これらのペプチドの低分子ホモログが、開発され得、そしてこれらのペプチドに結合され得る。
(5.1.3.結合)
本発明に従って、リガンド−標的対は、リガンドと標的との間の親和性関係を記載し、ここで、解離定数(K)は、約20μM未満であり、そして好ましくは、約1μMである。本発明は、さらに、K<100nMまたはK<100pMまたはK<100fMである、リガンド−標的相互作用を意図する。リガンドと標的との間の相互作用は、共有結合であっても非共有結合であってもよい。リガンド−標的対のリガンドは、他の標的に対する親和性を示しても示さなくてもよい。リガンド−標的対の標的は、他のリガンドに対する親和性を示しても示さなくてもよい。
本発明に従って、反応容器は、標的が少なくとも1つのリガンドに曝露され得る任意の容器または表面である。本発明の好ましい実施形態において、反応容器は、ハイスループットのスクリーニングを容易にするように配置される。このことは、96ウェルまたは384ウェルのマイクロタイタープレートを使用することによって、達成され得る。別の可能性は、異なる標的タンパク質を、MacBeathら、2000、Science 289:1760に示されるように、高密度でスライドガラス上に沈着させることである。本発明の他の実施形態において、反応容器は、カラム、樹脂、膜、マトリックス、ビーズまたはチップであり得る。
標的がリガンドライブラリーに曝露される条件は、変化し得る。非限定的な例としては、温度が約5℃未満、または約5℃〜約25℃、または約25℃〜約40℃、または約40℃より高温である、結合反応が挙げられる。さらなる非限定的な例としては、pHが約5未満、または約5〜約9、または約9より大きい、結合反応条件が挙げられる。さらなる非限定的な例としては、水、アルコール、有機溶媒、またはこれらの組み合わせからなる溶液中での結合反応が挙げられる。さらなる非限定的な例としては、添加剤が、イオン、塩、界面活性剤、還元剤、酸化剤、またはこれらの組み合わせを含有し得る、結合反応条件が挙げられる。さらなる非限定的な例としては、標的が固定されている結合反応条件が挙げられる。さらなる非限定的な例としては、リガンドが固定されている結合反応条件が挙げられる。さらなる非限定的な例としては、標的が固定されている結合反応条件が挙げられる。さらなる非限定的な例としては、標的およびリガンドが溶液中にある結合反応条件が挙げられる。
さらなる非限定的な例としては、リガンドが、マーカー(例えば、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、放射性同位体、hisタグ、磁気ビーズ、酵素、またはこれらの組み合わせ)を含む結合反応条件が挙げられる。
本発明の1つの実施形態において、標的は、機構に基づくアッセイにおいてスクリーニングされ得る。機構に基づくアッセイとしては、標的に結合するリガンドを検出するためのアッセイが挙げられるが、これに限定されない。これは、リガンド、タンパク質、または検出されるいずれかの識別子のいずれかとの、固相結合事象または流体相結合事象を包含し得る。あるいは、以前には規定されていなかった機能を有するタンパク質をコードする遺伝子が、レポーター系(β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質などが挙げられるが、これらに限定されない)で細胞にトランスフェクトされ得、そして理想的には、ハイスループットまたは超ハイスループット(例えば、チップの1つのプレートあたり1560ウェル)のスクリーニングによって、またはライブラリーの個々のメンバーで、ライブラリーに対してスクリーニングされ得る。本発明の代替の実施形態において、他の機構に基づく結合アッセイが使用され得る。これらとしては、他のアッセイ(酵素活性に対する効果を測定する生化学的アッセイ、標的およびレポーター系(例えば、ルシフェラーゼもしくはβ−ガラクトシダーゼ)が細胞に導入された細胞ベースのアッセイ、ならびに自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイが挙げられる)が挙げられる。結合アッセイは、標的をウェル、ビーズまたはチップに固定して、あるいは固定された抗体によって捕捉させて、あるいはキャピラリー電気泳動によって分解して、実施され得る。結合したリガンドは、通常、比色、蛍光、または表面プラズモン共鳴を使用して、検出され得る。カラムベースの結合アッセイにおいて、結合は、ウェルまたは他の容器内、ゲル上などで実施され得る。
多数の様式が存在し、これらのアッセイが実施され得るが、帰納的思考に従って、タンパク質標的に結合する化学物質のみが重要であり、そしてその機能を教示し得る。さらに、流体相は、真の生物学的コンホメーションをより正確に反映する。さらに、反応において、タンパク質と化学物質との両方が、好ましくはタグ化されず、ビーズのプレートへの結合によってタンパク質が何らかの様式で閉じ込められるという問題、またはリガンドが細胞もしくは血液中のものと同じ流体相確認に存在しないという問題を減少させる。その結果、本発明の好ましい実施形態において、1〜20,000個のリガンド(1000〜10,000が好ましい)が、1ng〜1mgの各タンパク質(0.1〜100μgが好ましい)の各タンパク質と一緒に、小さい体積(1fL〜1mLであり、好ましくは、0.1μL〜100μL)中で、0.1μM〜100μMの濃度(好ましい範囲は、0.1μM〜10μM)を有するように混合され得る。本発明の特定の実施形態において、マイクロモル濃度〜ナノモル濃度の親和性で各タンパク質に結合すると予測される、1〜500個のリガンドのみを探すことによって、何百万もの組み合わせを個々にスクリーニングしなければならないことを回避する。このことは、ライブラリーを、分子自体の質量、同位体パターンまたはフラグメンテーションパターン以外のいずれの様式でもタグ化する必要性を克服する。なぜなら、質量分析は、1ウェルあたり可能な1〜5個のヒットを分解および同定し得るからである。あるいは、IRおよび/またはFTIRを、単独でかまたは質量分析と組み合わせて使用して、ヒットを分解および同定し得る。
(5.1.4.リガンド−標的分離およびリガンド同定)
本発明の好ましい実施形態において、リガンド−標的対は、液体クロマトグラフィーによって、未結合のリガンドおよび未結合の標的から分離され、リガンド−標的対は、互いに第2の液体クロマトグラフィー工程において分離され、そして、結合するリガンドは、質量分析によって同定される。本発明の様々な実施形態において、溶液相結合は、ウェル、チューブまたはカラム中で生じ得る。キャピラリー電気泳動、および/または他の検出方法を使用して、リガンドをライブラリーから逆重畳し得る。特に、HPLCおよび質量分析またはキャピラリー電気泳動および質量分析は、極度の感度で分子を測定し得る。さらに、この技術は、非常に低容量で実施され得、これは、化学ライブラリーの少量の各メンバーを最適に利用するのに重要である。例えば、化学ライブラリーからの20,000未満のリガンドが、96ウェルプレート中の各ウェルに、10μM未満、約100μLでかつ1μgのタンパク質で再結合するためのタンパク質と共にプールされ得る。好ましい実施形態において、HPLCは、カートリッジを有する96ウェルプレート中で実施されて、各ウェルに対するカラムとして機能する。別の実施形態において、分離は、384ウェル、1536ウェル、または10,000以上のウェルのカラム、ウェル、カートリッジ、チップ、または充填材を使用する形式で、並行して実施される。あるいは、これは、標準的なHPLCカラム、スピンカラム、または他のカラム中で実施され得る。第1のカートリッジ/カラムは、未結合分子を樹脂中に保持するが、結合リガンドおよびタンパク質は通過させるように、ゲル浸透またはサイズ排除またはゲル濾過(例えば、G25様樹脂、Pharmacia)であり得る。少量のサンプル容量が望ましい(好ましくは、1〜100μL未満)が、この手順は、1倍以上のオーダーでサンプルを希釈し得る。それゆえに、小さくかつ狭いカラム(好ましくは、1〜2mm以下の直径および5〜200mmの長さ(Rocket Column、BioradカラムまたはPharmaciaカラム))を使用し、サンプルの希釈を最小限にすることは有用である。キャピラリー液体クロマトグラフィーもまた、使用され得る。この樹脂は、高い親和性(K≦1.0μM)で樹脂に結合した低分子と共にタンパク質を分離する。次のカートリッジ/カラムは、疎水性または親水性の逆相HPLC樹脂を使用し、この選択は、使用されるリガンドライブラリーの疎水性に依存する:C18(シリカ疎水性−より疎水性でないリガンドに使用される)C8カラム(より親水性、より疎水性リガンドに対して使用される)、シアノカラム(より親水性のリガンドに使用)またはAgilent製のSB8U(親水性リガンドにも疎水性リガンドにも使用され得る)。これらの逆相HPLC方法は、タンパク質から結合した低分子リガンドを分離し、樹脂結合を介して低分子およびタンパク質サンプルを濃縮する。続いて、これらの低分子は、タンパク質および樹脂から溶出され得、溶出物は、96ウェルプレートに回収され得る。出発材料の量が既知の場合、親和性はまた、この工程において測定され得る。あるいは、競合研究を後に実施して、結合親和性を定量し得る。次いで、これらの溶出物は、質量分析計に移されて、特徴付けられ得る。これは、並行複数チャネルマイクロチップシステムまたは並行スプレーインターフェースのいずれかを使用して、恐らく96ウェルフォーマット中でさえも潜在的にリアルタイムで機械的に実施され得る。あるいは、チップベースのMALDI TOF質量分析が使用され得る。この場合、カラム(スピン、HPLC、キャピラリー、他のもの)からのタンパク質画分は、96ウェルか、それ以上の形式におけるチップまたはフィルター上にスポットされ得る。Bruker Daltonics製のOmniflexまたはAutoflex MALDI機器は、それぞれ100サンプル形式および1536サンプル形式から各々のサンプルを機械的に脱着および分析する。使用され得る質量分析の非限定的な形態としては、電子スプレー、イオントラップ、フーリエ変換、MALDI、単一のMS、MS−MS、またはMS−MS−MS形式での一重または三重の四分極が挙げられる。
溶出物は、使用されるリガンドライブラリーについての情報を補充される質量分析計による使用のためのソフトウェアパッケージを使用して特徴付けられ得る。質量分析を使用して、その質量の直接的な検出によって化合物を同定し得る。しかし、質量分析をまた使用して、特徴的な同位体パターンへと分解する元素(例えば、35Cl、13N、H)を含む化合物、足場もしくはリンカー、または特有の断片化パターンを有する化合物(例えば、ペニシリン)を検出し得る。例えば、塩素含有化合物は、35Clおよび37Clから構成され、これらは、2AMU離れた3:1の強度比を有する2つのピークを生じる。同様に、臭素含有化合物は、79Brおよび81Brから構成され、これらは、2AMU離れた1:1の強度比を有する2つのピークを生じる。このアプローチは、化合物を同定するために真の分子量の代替物として、またはそれと組み合わせて使用され得る。
質量分析により、質量、同位体、および断片化パターンが正確に決定されるので、ソフトウェアと組み合わせて、ライブラリーの正確な数を異性体を除いて同定し得る。この後、理論的に予想される約500μM〜nMのヒットは、元のライブラリーから引き抜かれ得、より大きいスケールで合成される。分子がペプチドである場合、これは、タンパク質が細胞膜を横切ることを可能にするTAT形質導入配列に融合され得る。
本発明の別の実施形態において、リガンドは、質量分析に加えて、またはそれに代えてIRもしくはFTIRによって特徴付けられる。これらの技術により、リガンド官能基または置換基(例えば、ヒドロキシル基またはアミノ基)の同定が可能になる。質量分析と組み合わせて使用される場合、これは、同一の分子量のリガンド間の区別を容易にし得る。
本発明に従って、リガンド−標的対の解離定数(K)は、約100μM未満、好ましくは、約10μM未満であるべきである。決定的ではないが、リガンド−標的対の解離定数(K)は、標的機能を決定する際のリガンドの有用性および薬物リードとしての有用性を決定する際に当業者を誘導し得る1つの因子である。従って、本発明は、解離定数(K)が約1μM未満または約100nM未満または約10nM未満または約1nM未満または約100pM未満または約10pM未満であるリガンド−標的対相互作用を企図するが、必ずしもこれらを選択する必要はない。
合理的な親和性を伴うヒットがないか、または少ない数のヒットが見出される場合、化学ライブラリーの構造多様性における構造ギャップまたは化学ギャップが同定され得る。このような場合、標的特異的合成を使用して、そのギャップを満たし得る。少ない親和性バインダーが見出される場合、その結合は、機能的ドメイン上の光活性化可能な(または他の)リンカーを含むライブラリーを用いて繰り返され得る。第1のカラム後に、タンパク質およびタンパク質に結合する分子のみが存在する場合、光活性化工程が実施され得、その後、これらの低分子は、逆相HPLCによって溶出され得る。このようにして、標的はテンプレートとして使用され得る。なぜなら、低い親和性で一緒に結合した2つの分子は、標的に対して増加した親和性を有するからである。好ましい実施形態において、親和性の増加は2〜100倍である。
(5.1.4.1.例示的な化学アレイアッセイ実験方法および結果)
(HPLCベースのアッセイについての方法)
薬物様化学足場の集合(Sigma−Aldrich、ICN、Calbiochem)に相当する薬物様化合物を秤量し、50mMの酢酸アンモニウム(pH7)、10%メタノール中、各々20μMの最終濃度まで混合する。1μM〜20μMのチューブリンまたはP38 MAPキナーゼ(Sigma)をHPLC低容量サンプルキュベット(Waters)に分配し、0.5μM〜20μMの化合物と混合した。混合および15分間の37℃でのインキュベーションの後、キュベットを氷上に置き、50mMの酢酸アンモニウム、10%メタノール実行緩衝液を用いる二重サイズ排除および相分離用の150mm×2.1mm ID Pinkerton GFF IIカラム(Regis Technologies)上に、オートインジェクター(Waters)を使用してHPLC(Waters 2690)に注入した。タンパク質標的および結合化合物は、Diodeアレイ検出器を使用して検出されるカラム空容量で溶出し、ほとんどの化合物は、243nmの周波数でよく吸収した。幾つかの場合において、互いに容易に分離され得る各々低濃度の化合物(0.5〜5mM)および10より少ない化合物を使用して、2つのタンパク質標的において滴定し、タンパク質標的のうちの1つには結合するが、非特異的コントロール化合物には結合しないことが既知の特定の化合物のUV吸光度のレベルでの対応する力価を観察することができた。
本発明者らは、カラム寸法および樹脂の選択を最適化して、タンパク質標的に結合した化合物の未結合化合物からの分離を最小化した。空容量でタンパク質を溶出する樹脂および空容量を最小にする小さなカラム直径および長さを使用した。このようなカラムは、タンパク質サンプルの希釈の量を最小にし、かつ各アッセイに必要な時間を最小にし、それにより、タンパク質から解離する結合化合物の量を最小にする(Koff速度によって支配されるように)。これらの特徴により、最小量の試薬の使用および感度のある検出方法が可能となった。このカラムの長さは、タンパク質が2〜3分未満で溶出するような長さであった。多数のHPLCカラム(Regis 150mm×2.1mm GFF IIカラム、1.0mm×100mm YMC Diolカラム、2.1mm×150mm Phenomonexポリヒドロキシメタクリレート(Polysep)カラム、およびJordi 2.1×150mm ジビニルベンゼンカラムを含む)を試験した。同様に、塩およびメタノール濃度が変化し、結合反応において小化合物に対するタンパク質標的の比が1000:1〜1:1000と変化する他の実行緩衝液を試験した。薬物様低分子化合物からタンパク質画分を分離する能力について、異なるクラスを代表する樹脂を試験し、全ての化合物についてのサイクル時間を最小にして、カラムから溶出させた。これらのカラムの特徴は、表面特性および逆圧下で崩壊する樹脂に起因する流速に対する制限によって決定される。シリカベースであり、従って耐圧性であるので、YMCジオールカラムは、10分未満のサイクル時間であるが、タンパク質から図9に列挙した100の化合物の混合物のうち約50%の化合物を分離することしかできなかった。Phenomonexポリヒドロキシメタクリレートカラムは、タンパク質から100の化合物の混合物のうち約80%の化合物を分離し得、多くの低分子化合物の溶出を達成するのにメタノール勾配を必要とした;それは、600PSIを超える逆圧に耐えることができないので、比較的低流速(0.18ml/分)を許容した。Phenomonexカラムからのサイクル時間は、上記の勾配を用いると1.5時間であり、勾配を用いなくても単離され得る化合物のサブセット(全体の15%)については35分であった。他のポリマーベースのカラム[例えば、ポリヒドロキシメタクリレート(Phenomonex、Shodex、Waters)、ポリメチルメタクリレート(Shodex、TosohBiosep)、Sepharose/Sephadex/Superose(Amersham Pharmacia Biotech)]はまた、比較的低流速を許容するのみであった。Jordi DVBカラムは、ジビニルベンゼンポリマーカラムであり、これらを高圧(4000PSI)で操作し、タンパク質および化合物を不要にも結合し、従って、使用した緩衝液系において分離されなかった。他の緩衝液系は、未結合化合物からのタンパク質の分離を可能にすると予測される。異なるカラムおよび樹脂もまた、一連で合わせて、タンパク質から分離される化合物の割合を増加させたが、サイクル時間も増加した。より長いサイクル時間(例えば、1回の実行あたり10分を超える)が受容可能である適用において、任意の上記のカラムまたは一連の上記のカラムを使用し得る。
より短いサイクル時間について、他のカラムが使用され得る。例えば、Regis GFF IIカラムは、試験した化合物の97%からタンパク質画分を分離した。8000PSIのその圧力等級は、これらのアッセイにおいて使用されるHPLC(Waters 2690)の圧力(これは、6000PSIの圧力で操作した)より上であった。この樹脂のサイクル時間を、容易に8分未満であることを実証し、さらに、8000PSIまでの圧力に耐えるHPLCにおいて、より速い流速を使用することによって減少し得た。GFF II樹脂およびGFF樹脂は、内表面逆相樹脂であり、これらは、タンパク質吸着によって干渉されることなく血清中の薬物および薬物代謝物を直接分析するために、Thomas Pinkertonによって開発された。この樹脂は、親水性の外表面および12,000ダルトン未満の分子量を有する分子に対してのみアクセス可能である疎水性の内部孔を有する、多孔性シリカ支持体からなる。これらの表面は、トリペプチドであるグリシン−フェニルアラニン−フェニルアラニン(GFF)またはグリシドオキシプロピリン−フェニルアラニン−フェニルアラニン(GFF II)をシリカ表面に結合することによって生成される。次いで、GFF骨格ビーズまたはGFF II骨格ビーズは、エキソペプチダーゼであるカルボキシペプチダーゼAにより処理され、これは、孔から排除されるのに十分大きい分子量(35,000ダルトン)を有し、その結果、外表面からフェニルアラニン−フェニルアラニン部分が切断される。この処理により、グリシンまたはグリシドオキシプロピルは、インタクトなまま曝露されて、外表面は親水性になるが、内表面上でインタクトな元のトリペプチドを切断し、それにより、内表面が疎水性になる(例えば、製造者の包装挿入物によって記載されるように)。使用したGFF II樹脂を有するカラムのカタログ番号は、288−4である。これらの樹脂共に充填される他のカタログ番号を有する他のカラムはまた、Regis technologiesから市販されており、これも使用できる。従って、外表面は、大きい分子がサイズ排除および親水性相互作用を介して内側の層に進入することを防ぐ。低分子は内表面に進入し、この内表面は、疎水性相互作用に基づいて化合物を保持および分離する疎水性支持体からなる。短いサイクル時間およびGFF II樹脂によって達成され得る分離の度合いを考慮して、GFF IIカラムを引き続くアッセイに使用した;しかし、他の樹脂も使用し得る。
HPLCカラムからのタンパク質画分を1% TFAで解離し、そして100μLのサンプルを逆相カラム(Waters Symmetry Shield)上に注入して、タンパク質に結合した化合物を分離した。これらの化合物をアセトニトリル勾配を使用して溶出し、UV検出器およびTOF質量分析計(Micromass LCT)を通した。化合物の非存在下でタンパク質を含むコントロールを使用して、バックグランドシグナルを各サンプルから減じ、質量スペクトルを、化合物の断片化を達成するのに十分に高いコーン電圧(cone voltage)(20〜80ボルト)で決定した。他の質量分析機器において、断片化は、衝突セル中で達成され得る。各化合物に特徴的な断片化は、より大きな親ピークおよび化合物またはそれらの同位体のフラグメントに相当する他のピークからなる。タンパク質標的から放出される化合物の断片化パターンを、化合物標準について観察された特徴的な断片化パターンと比較して、タンパク質標的に結合した化合物を同定した。あるいは、化合物の分子量に相当する親ピークの1つ以上の特徴的な同位体を標準物質と比較して、タンパク質標的に結合した化合物を同定した。別の代替の分析において、化合物の分子量に相当する親ピーク自体を標準物質と比較して、化合物を同定した。時々、これらの方法の組み合わせをまた使用して、化合物を同定した。化合物の断片化を誘導しないMS条件下で類似の方法を適用し、その結果、化合物およびその同位体の分子量に相当するピーク(例えば、親ピーク)を含む質量スペクトルを得た。
(HPLCベースの方法からの結果)
SKB86002は、P38 MAPキナーゼタンパク質標的に対してμMの親和性を有するリガンドである。P38 MAPキナーゼ(5μM)を5μM 86002と混合し、Diolカラム上でのHPLCによって分離した(図3)。タンパク質画分を回収し、質量分析により分析した。スペクトル中の親ピーク、フラグメントピーク、および同位体ピークは、86002標準物質に対応し、このことは、P38 MAPキナーゼが、μMの親和性で特異的リガンドを単離および抽出することを示す。
SKB86002およびキニンモノヒドロクロリド(非特異的コントロール化合物)を、各々5μMの最終濃度まで一緒に混合した(図4)。漸増量のP38 MAPキナーゼタンパク質(最終濃度0μM、2.5μM、5μMおよび10μM)を、各々5μMの最終濃度の化合物の混合物と混合し、タンパク質をDiolカラム上でのHPLCにより分離した。UVスペクトルは、86002ピークのP38濃度依存性減少を示したが、キニンピークの減少は無視できた。
P38タンパク質画分を図4に示されるように滴定の中間点(5μM P38 MAPキナーゼ+キニンと86002との5μM混合物)で回収すると、混合物から抽出され、タンパク質から放出された化合物は、放出された化合物の質量分析での親ピーク、フラグメントピーク、および同位体ピークに基づいて、キニンではなく、86002であると同定した(図5)。
86002およびコルヒチンを含む10個の等量の薬物様化合物の混合物を調製した(図6)。漸増量のP38 MAPキナーゼタンパク質(最終濃度0μM、3.5μM、および5μM)を、各化合物の0.5μMの最終濃度の10個の化合物の混合物と混合し、タンパク質をGFF IIカラム上でのHPLCにより分離した(図7)。UVスペクトルは、86002ピークのP38濃度依存性減少を示したが、コルヒチンピークまたは混合物中の他の化合物に相当するピークの減少は無視できた。タンパク質画分を回収し、質量スペクトルを決定すると、このスペクトルは、他のピークよりかなり高いレベルで86002に特徴的な親ピークおよび同位体ピークを含んだ。
漸増量のチューブリンタンパク質(最終濃度0μM、5μM、および20μM)を、各化合物の0.5μMの最終濃度の10個の化合物混合物と混合し、タンパク質をGFF IIカラム上でのHPLCにより分離した(図8)。UVスペクトルは、コルヒチンピークのチューブリン濃度依存性減少を示したが、86002ピークまたは混合物中の他の化合物に相当するピークの減少は無視できた。タンパク質画分を回収し、質量スペクトルを決定すると、このスペクトルは、他のピークよりかなり高いレベルでコルヒチンに特徴的なピークを含んだ。
86002およびコルヒチンを含む等量の100薬物様化合物の混合物を調製した(図9)。P38(2μM)を各化合物20μMの最終濃度で100化合物混合物と混合し、GFF II HPLCカラムを用いて、結合していない化合物からタンパク質を分離した(図10)。タンパク質画分を回収し、化合物をタンパク質から放出させ、そして、質量スペクトルを決定した。このスペクトルは、他のピークよりもはるかに高いレベルで86002に特徴的なピークを含んだ。従って、P38 MAPキナーゼは、マイクロモル濃度の親和性を有するリガンド(86002)と結合し、特異的かつ濃度依存性の様式で、100化合物混合物からこのリガンドを抽出する。質量スペクトルのバックグラウンドは、10化合物のみを用いて生じたバックグラウンドに匹敵し(図7)、これは、このアッセイが、化合物のより大きい数(例えば、1000〜10,000の化合物)に拡大可能であるはずであることを意味する。例えば、これらの方法は、10、20、40、50、75、100、200、500、1000、2000、5000、10000を超えるか、またはそれ以上の化合物、もしくは、それ以上の化学足場のライブラリーを分析するのに用いられ得る。
チューブリン(5μM)を各化合物5μMの最終濃度で100化合物混合物と混合し、タンパク質をGFF II HPLCカラムを用いて、結合していない化合物から分離した(図11)。タンパク質画分を回収し、化合物をタンパク質から放出させ、そして、質量スペクトルを決定した。このスペクトルは、他のピークよりもはるかに高いレベルでコルヒチンに特徴的なピークを示した。従って、チューブリンは、ヒット(hit)(コルヒチン)に結合し、そして、特異的かつ濃度依存性の様式で、100化合物混合物からヒットを抽出する。質量スペクトルバックグラウンドは、10化合物混合物を用いて生じるバックグラウンドに匹敵するようであり(図8)、このことは、このアッセイが、より多くの数(例えば、1000〜10,000の化合物)の化合物に拡大されるはずであることを意味する。例えば、これらの方法は、10、20、40、50、75、100、200、500、1000、2000、5000、10000、またはそれ以上の化合物、もしくはそれ以上の化学足場のライブラリーを分析するのに用いられ得る。
アッセイの速度を増加するための1つの方法は、流速を増加させることである(図12)。カラムが耐え得る最大流速に影響を与える制限因子は、一般に、樹脂が崩壊する前に耐え得る背圧である。GFF II樹脂が選択される1つの理由は、100〜1500PSIの最大背圧を有する多くのサイズ除外ゲル(例えば、Sepharose、Superose、Superdex、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロメタクリレートなど)と比べて、8000PSIまで圧力を維持するその能力である。高い流速において、GFF IIカラムは、100化合物混合物からのタンパク質の優秀な分離をなお達成し、そして、全ての分子が、約6〜7分でカラムから溶出された。従って、本発明に従うアッセイをスケールアップするための1つの方法は、毎分、新しく交換したカラムに新しいサンプルを注入するWaters 2790 HPLC上の6カラム選択弁を含むがこれらに限定されない、カラム交換デバイスを用いてHPLCを実施することである。カスタムカラム交換機は、2以上、約10までのカラムについて作製され得る(図26)。
(スピンカラムクロマトグラフィー法)
薬物様化学足場の回収を意味する薬物様化学化合物(Sigma−Aldrich,ICN,Calbiochem)の重量を測り、50mM酢酸アンモニウム(pH7)、10%メタノール中に各々最終濃度20μMまで混合した。5μM〜20μMのウシ血清アルブミン(BSA)またはチューブリン(Sigma)をHPLCの低容量サンプルキュベット(Waters)に分配して、5μM〜20μMの化合物と混合した。混合して、37℃で15分間インキュベートした後、キュベットを氷上に置いた。図9に列挙した50μLの100化合物混合物を、結合緩衝液の2回の洗浄(すなわち、各洗浄が、200μLの50mM酢酸アンモニウム、10%メタノール緩衝液を添加する工程および、微量遠心管(Eppindorf)の最高設定にて30秒〜1分間、1.5mLの微小遠心チューブ(Eppindorf)にカラムを通して緩衝液をスピンする工程を包含する)で前もって平衡化しておいたMicroSpin G−25(Amersham Pharmacia Biotech)スピンカラムの頂部に重ねた。G−25は、25kDの分子量カットオフを有する標準的なサイズ除外樹脂の1つであるが、このようなスピンカラムは、一般に、標識後にDNAプローブのための緩衝液を脱塩し、交換するのに用いられる。次いで、このスピンカラムを、1.5mLの微小遠心チューブ(Eppindorf)に入れ、微小遠心管(Eppindorf)の最大設定にて30秒間スピンした。あるいは、減圧を用いてスピンカラム/カートリッジが96ウェル設定に配置される場合に特に有用なスピンカラムを通して溶液を吸引し得、そして、減圧マニホールドを用いてカラムを通して96ウェルプレートに溶液を吸引し得る。
BSAの場合、微小遠心チューブの底の50μLの溶液をHPLCにロードし、UVスペクトルを可視化して、分離前の当量のBSA/100化合物混合物と比較した。チューブリンの場合、微小遠心チューブの底の25μLの溶液を、1%TFAで分離させ、逆相カラム(Waters Symmetry Shield)上に注入し、そして、アセトニトリル勾配を用いて溶出し、UV検出器を通ってTOF MS(Micromass LCT)まで通過させる。バックグラウンドは、化合物の不在下でタンパク質を含有するコントロールを用いて、各サンプルからコンピュータを用いて減算し、化合物のフラグメント化を達成するのに十分に高いコーン電圧(20〜80ボルト)にて質量スペクトルを決定した。他の質量分析計において、このようなフラグメント化は、衝突セルにおいて達成され得る。各化合物に固有のフラグメント化パターンは、より大きな親ピークと、化学化合物またはその同位体のフラグメントを表す他のピークからなる。タンパク質標的から放出された化合物のフラグメント化パターンを、標準化合物について観察された固有のフラグメント化パターンと比較して、タンパク質標的に結合した化合物を同定した。あるいは、化合物の分子量を表す親ピークの固有の同位体を、標準と比較して、タンパク質標的に結合した化合物を同定した。別の代替的な分析において、化合物の分子量を表す親ピーク自体を標準と比較して化合物を同定した。時々、これらの方法の組み合わせをまた用いて、化合物を同定した。同様の方法を、化合物のフラグメント化を誘導しないMS条件下で適用し、化合物の分子量を表すピーク(例えば、親ピーク)とその同位体を含む質量スペクトルを得た。
(スピンカラムクロマトグラフィーベースの方法からの結果)
5μMのウシ血清アルブミン(BSA、Sigma)を、各化合物5μMの最終濃度で100化合物混合物と混合した(図13)。この混合物の半分(50μL)をMicro−Spin G−25カラムの頂部に重ねて、遠心分離した。タンパク質含有画分を微小遠心チューブの底に回収した。最初のタンパク質/化合物混合物を、スピンカラム分離法を用いて分離した後のタンパク質/化合物混合物と比較し、タンパク質の有意な精製がUV吸収度に基づいて観察された。同じプロトコルを、20μMのチューブリンと20μMの100化合物の混合物に適用し、溶出したタンパク質含有画分について質量スペクトルを決定した場合、スペクトルは、他のピークよりもはるかに高いレベルでコルヒチンに特徴的なピークを示した。バックグラウンドピークが、HPLCカラム分離を用いて観察されたものよりもわずかに高かった(図14)が、このスピンカラム分離の速さと拡張性は、この分離を非常に魅力的にする。例えば、これらの方法を用いて、10、20、40、50、75、100、200、500、100、200、5000、10000を超えるか、またはそれ以上の化合物、もしくはそれ以上の化学足場のライブラリーを分析し得る。
(5.1.4.2.単離したリガンドを同定するためのパターン認識ソフトウェアの使用のための例示的な方法)
本発明は、タンパク質標的および本明細書中に記載される分離技術のいずれかを用いて単離された混合物から、質量スペクトルのパターン認識分析を用いて、化合物を同定するための方法を提供する。
これらの方法において、質量分析フラグメント化パターンを、最初の候補化合物の混合物中に存在する多くまたは全ての化合物について決定する。あるいは、同位体または他の質量スペクトルパターンをこれらの化合物について決定する(例えば、M+1またはM+2の同位体ピーク)。質量分析計は、m/zを意味する質量 対 電荷の比に基づいて、化合物、その同位体、および/またはそのフラグメントを分類する。質量分析の条件は、多くまたは全てのピークが、+1(または−1)の電荷を有する分子を表し、いくつかのピークの値が親化合物、同位体、または親化合物のフラグメントの等量と等しくなる(すなわち、m/z=m/1=m)ように、調節され得る。いくつかの場合において、他の質量分析の条件は、いくらかまたは全てのピークが、+2以上(または−2以下)の電荷を有する分子を表し、いくつかのピークの値が、親化合物、同位体、またはフラグメントの質量未満であるように用いられ得る。これは、質量 対 電荷の比が、分子の質量未満である(例えば、m/z=m/2)ためである。従って、質量スペクトルパターンは、親化合物、そのフラグメント、および/またはその同位体の質量(または、分子の電荷が1以上である場合は、質量 対 電荷の比)に対応する質量スペクトルピークからなる。
これらのピークの各々の質量(または質量 対 電荷の比)は、情報検索システムのデータベースに入力される。タンパク質標的から放出された、目的の化合物の質量スペクトルを生成し、次いで、パターン認識ソフトウェアを用いて、このパターンとデータベースに含まれるパターンとを比較する。適合の可能性は、目的の化合物を同定する。1つの実施形態において、2、3またはそれ以上の最も特徴的な質量に対応するピーク(化合物1:ピークA、BおよびC;化合物2:ピークDおよびEなど)が、最初の混合物中の各化合物についてのデータベースに入力される。ソフトウェア(例えば、MassLynx、バージョン3.5(Micromass製))を用いて、ピークAについてタンパク質標的から放出された化合物の質量スペクトルを検索し、その後、ピークB、C、D、Eなどについて検索する。特定のピークの存在は、第2のデータベースに入力され、このことは、このピークが質量スペクトルに存在することを意味する。別の可能な方法において、質量スペクトルにおける特定のピークについての検索を、任意の順序で実行する。反復性検索コマンドをまた用いて、質量スペクトルを分析し得る。例えば、特定の化合物に対応するピークAが質量スペクトルに存在する場合、質量スペクトルを分析して、同じ化合物に特徴的な別のピーク(例えばピークB)がまた、質量スペクトルに存在するかどうかを決定し得る。あるいは、特定の化合物に特徴的なピークが質量スペクトル中に存在しない場合、質量スペクトルを分析して、別の化合物に特徴的なピーク(例えば、ピークD)が質量スペクトル中に存在するかどうかを決定し得る。なお別の代替的な方法において、MassLynx上にマクロプログラムをオーバーレイすることによって、複数のピークが一緒に検索される。存在するとして同定されたピークを、最初の混合物中の化合物からの第1のデータベースにおけるピークと比較して、タンパク質標的から放出された化合物を同定する。図16Aは、これらの方法のいくつかの実施形態についての工程を示す、例示的なフローチャートを含む。
別の実施形態において、質量スペクトルパターンの最も特徴的なピークに対応する2、3またはそれ以上の質量(または、質量 対 電荷の比)は、最初の混合物中の各化合物についてのデータベースに入力される。例示的な方法において、このデータベースは、Microsoft(登録商標)ExcelまたはOracleプログラムを用いる。一旦、タンパク質標的から放出されたサンプルについての質量スペクトルが決定され、質量スペクトルにおける2または3の主要なピーク(例えば、最も高いシグナルを有する2または3のピーク)が位置付けられると、これらのピークに対応する質量(または質量 対 電荷の比)を用いて、最初の化合物混合物についてのデータベースに対して実行される。例えば、質量の値は、これらのプログラムの「Find」コマンドにおいて用いて、この質量のピークを生じる候補化合物について検索し得る。従って、この検索において同定された質量の組み合わせが、サンプル中に存在する化合物を同定する。
なお別の実施形態において、特定の質量(または質量 対 電荷の比)におけるシグナルの強度を用いて、化合物を明確に同定する。用いられるパターンが同位体のパターンである場合、この技術は特に適用可能である。この場合、2または3の最も特徴的なピークの各々の質量ならびに強度の両方を含む混合物中の化合物のデータベースを作製する。次いで、この情報を目的のサンプルについて回収する。データベースプログラムの検索機能を用いて、関連する質量および強度のパラメータについて検索する。適合の可能性は、サンプル中に存在する化合物を同定する。
1つ以上の目的の化合物(標的から放出される化合物)の同定のための本発明の任意の方法についての種々の実施形態において、化合物の1つ以上のフラグメントに対応する1つ以上のスペクトルピーク、および/または化合物の1つ以上の同位体に対応する1つ以上のスペクトルピークを用いて、化合物を同定する。他の実施形態において、化合物の同定に親ピークを用いる。種々の実施形態において、親ピークは、化合物の同定に用いられる唯一のスペクトルピークである。なお他の実施形態において、化合物の同定において、親ピークが、フラグメントまたは同位体に対応する1つ以上のピークと組み合せて用いられる。なお他の実施形態において、親ピークは、化合物の同定に用いられない。他の実施形態において、化合物は、目的の標的と接していた少なくとも5、10、20、40、50、75、100、200、500、1000、2000、5000、10000またはそれ以上の化合物の混合物から回収される成分である。他の実施形態において、化合物は、少なくとも5、10、20、40、50、75、100、200、500、1000、2000、5000、10000、またはそれ以上の異なる化学足場を含む化合物の混合物から回収される成分である。特定の実施形態において、親ピークは、少なくとも5、10、20、40、50、75、100、200、500、1000、2000、5000、10000、またはそれ以上の異なる化学足場を含む化合物の混合物からの化合物の同定に用いられる。
本明細書中に記載される任意の方法が、実質的に任意のコンピュータを使用して実行され得る。図15は、このような例示的なコンピュータシステムを示す。コンピュータシステム2は、内部コンポーネントおよび外部コンポーネントを備える。内部コンポーネントは、メモリ6に連結されたプロセッサ4を備える。外部コンポーネントは、大量保存デバイス8(例えば、ハードディスクドライブ)、ユーザ入力デバイス10(例えば、キーボードおよびマウス)、ディスプレイ12(例えば、モニタ)および、通常は、他のコンピュータとコンピュータシステムを接続し得るネットワークリンク14を備え、データを共有し、タスクを処理し得る。オペレーションの間にプログラムを、このシステム2のメモリ6にロードする。これらのプログラムは、コンピュータシステムを管理するオペレーティングシステム16(例えば、Microsoft Windows(登録商標))、共通の言語をコードし、本発明の方法を実行するプログラムを補助するように機能するソフトウェア18、ならびに、手続き型言語または記号パッケージで本発明の方法をコードするソフトウェア20を備える。方法をプログラムするのに用いられ得る言語としては、Microsoft(登録商標)からのVisual C/C++が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい適用において、本発明の方法は、等式の記号入力と処理の高いレベルの特異性を可能にする数学的ソフトウェアパッケージ(プログラムの演算で用いられるアルゴリズムを含む)でプログラムされ、これにより、ユーザは、個々の等式またはアルゴリズムを手続き的にプログラムする必要がなくなる。この目的に有用な例示的な数学的ソフトウェアパッケージは、Mathworks(Natick,MA)製のMatlabである。Matlabソフトウェアを用いて、複数のプロセッサでの処理を支援するParallel Virtual Machine(PVM)モジュールおよびMessage Passing Interface(MPI)をまた適用し得る。本明細書中の方法でのPVMおよびMPIのこの実行は、当該分野で公知の方法を用いて達成される。あるいは、ソフトウェアまたはその一部は、当該分野で公知の方法によって、専用の回路でコードされる。
(5.1.5.標的機能の分析)
標的機能を体系的に分類するために、疾患病理学における主要な分子機構の各々を表す、各標的についてのヒットを、細胞および組織ベースのアッセイにおいてスクリーニングし得る。標的が元々、差次的発現分析に基づいて選択される場合、その差次的発現に特に関連するアッセイが好ましい(例えば、標的が癌腫細胞の差次的発現分析から生じる場合、増殖アッセイが特に関連する)。アッセイのこのパネルとしては、以下を検出および/または測定するためのアッセイが挙げられるが、これらに限定されない:アポトーシス、増殖、虚血/壊死、炎症、線維症、脈管形成、代謝シグナル伝達、感染および発生/分化。病原経路に焦点を当て、疾患特異的な標的および細胞特異的な標的を研究することによって、多数の治療領域についての新規な標的が同定され得る。このパネルの目標は、以下を含むがこれらに限定されない有意な疾患をもたらす分子経路の低分子/タンパク質メンバーについてスクリーニングすることである:慢性変性疾患(例えば、アルツハイマー病、変形関節炎、骨粗鬆症)、代謝疾患(例えば、糖尿病、肥満)、炎症性疾患、癌、心脈管(例えば、冠動脈疾患、高血圧、うっ血性心不全、心筋症、慢性腎不全)、および感染(例えば、ウイルス、細菌、原虫および薬物耐性の機構)。アッセイは、まず細胞において、続いて、疾患を有する患者からの組織生検において同じアッセイが用いられ得るように設計される。潜在的に毒性の分子を同定するために、ネクローシスアッセイを、全ての分子について実施し得る。96ウェルの標準的な市販のマイクロタイタープレートは、ハイスループットによりこれらの表現型のスクリーニングを行うのに十分なスケールを提供し、そして、ウルトラハイスループットの形式は、除外されない。アッセイは、細胞株、初代細胞培養物、組織生検、組織モデル、インビボ動物モデル、または他の生物体について実施され得る。好ましい実施形態において、ヒトの細胞株および組織を用いてバイオアッセイが実施される。他の実施形態に従って、任意の種の細胞、組織、器官または全生物体を用いて、バイオアッセイが実施され得る。リガンドは、これらのアッセイにおいてプールされ得るが、各表現型アッセイが、ウェルあたり1種の分子で実施され、表現型の効果をマスクし得るアゴニスト相互作用およびアンタゴニスト相互作用を避けることが有用である。これらのアッセイとしては、疾患細胞または疾患組織に、疾患または治療的応答に関連し得る遺伝子について富化させることが挙げられるが、これらに限定されない。
癌、糖尿病における標的同定およびTGFβでの細胞の刺激に対する本発明の適用が、実施例において記載されるが、その上記のアプローチは、任意の疾患、細胞刺激、生物学的モジュレーターまたは状態に広く適用され得る。記載されるアッセイおよび疾患に関連する他の分子経路についてのアッセイ以外のアッセイもまた、使用され得る。正常細胞もしくは組織に対する罹患細胞において、またはアゴニストもしくはアンタゴニスト(もしくた各々の一部)の存在下での細胞においてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる遺伝子で始まるこのアプローチを採用することによって、特異性および良好な治療指数を有する標的が富化される。この特異性と、疾患病理における分子機構とを掛け合わせることによって、治療剤であり得る標的が富化される。大きなライブラリーから非常に効率的な様式でヒットを選択する生化学的結合アッセイを連続的に組み合わせ、かつこれらのヒットをヒト疾患を反映する低スループット高品質表現型バイオアッセイにおいて使用することによって、遺伝子の機能が決定され得る。
(5.2.表現型から遺伝子型へ)
代替の一連の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのバイオアッセイにおいて複数の潜在的なリガンドをスクリーニングする方法に関し、この方法は、バイオアッセイにおいて表現型の変化を生じるリガンドを選択する工程、およびこのリガンドを使用して、候補標的をスクリーニングし、変化した表現型を担う特定の標的を同定する工程を包含する。種々の好ましい実施形態において、リガンドの個々の種は、バイオアッセイにおいて別個にスクリーニングされる。バイオアッセイにおいて表現型の変化を生じるリガンドは、リガンド−標的相互作用を可能にする条件下で、複数の潜在的な標的に曝され得る。本発明の種々の好ましい実施形態において、その標的は、ペプチドまたはタンパク質であり、各ペプチド標的またはタンパク質標的は、(例えば、ファージディスプレイまたは細胞表面ディスプレイにより)その標的をコードするポリヌクレオチドと関連する。選択された標的およびそれらの対応するポリヌクレオチドが収集される。タンパク質である標的をコードするDNA配列は、配列決定され得、クローニングされ得、かつ確認され得る。次いで、これらの標的の差次的な発現は、特に、表現型の分子機構が表現型的に関連する場合、ヒト疾患組織生検において研究され得る。同様に、そのリガンドは、罹患組織および/またはこれらの疾患のインビトロもしくはインビボモデルにおいて研究され得る。一実施形態が、図2に概説される。上記のように、第5.1.1節から5.1.5節に挙げられる実施形態は、これらの方法のいずれかにおいて使用され得る。
本発明に従う高スループット表現型細胞ベースのアッセイは、現在実施されているような高スループットスクリーニング方法とは異なる。この代表的な高いスループットスクリーンは、確証された標的についての遺伝子が、レポーター系(例えば、緑色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼなど)で細胞株にトランスフェクトされる機構ベースのアッセイであり、化学ライブラリーのメンバーは、レポーターの活性化についてスクリーニングされる。この型のスクリーンを行う代わりに、本発明は、バイオアッセイにおいて分子標的を予め決定することなく、細胞株において表現型の大きな変化を探索することに焦点を当てる。これあのバイオアッセイは、重要な生物学的刺激または重要な病理的機構を調節するリガンドを探索するために設計される。非限定的例としては、アポトーシス、増殖、虚血、壊死、炎症、線維症、侵襲、新脈管形成、代謝、感染および胚形成が挙げられる。さらに、多能性効果を有する細胞刺激の個々の経路は、それらの効果においてより特異的である標的を同定するために、アンチセンス、輸送ペプチド、抗体または他の技術によってブロックされ得る。このようにして、本発明者らは、ライブラリー(上記のように)からのリガンドと、バイオアッセイにおける表現型との関連づけを達成する。疾患(上記を含むがそれらに限定されない)における分子機構についてのアッセイは、高スループットスクリーニングに適合され得る。
癌における標的同定に対する本発明の適用が本明細書中で記載されるが、本発明は、任意の疾患、細胞刺激または状態に広く適用され得る。生物学的刺激に関連して記載されるもの以外の他のアッセイおよび疾患もしくは生検に関連する他の分子経路についてのアッセイ以外の他のアッセイもまた、使用され得る。リガンドが目的の特定の表現型変化と関連づけられるバイオアッセイを連続的に組み合わせ、これらのヒットを使用して、タンパク質ディスプレイライブラリーまたはペプチドディスプレイライブラリーにおける標的について選択することによって、標的の遺伝子をクローニングし、その標的を同定し得る。次いで、ヒト疾患組織における標的の差示的発現が研究され得る。さらに、インビトロまたはインビボでのバイオアッセイにおけるリガンドの効果の特異性は、生物学的影響を調節するかまたは特定の疾患を処置する際にそのリガンドの有用性を明らかにし得る。
(5.3.分子シグナル伝達経路のマッピング)
一旦、多くの遺伝子が、疾患病理の特定の分子経路に関与していることが示されると、その標的は、互いに対しておよび経路の既知のメンバーに対して分子経路内でマッピングされ得る。異なるタンパク質へのリガンド結合は、光活性化可能架橋剤で誘導体化され得、各メンバーをその経路に位置づけるために使用され得る。例えば、経路の1つのメンバーが第1に標識される(例えば、GFP)。次に、その経路のメンバーが、架橋され得る官能基で誘導体化されたリガンドに曝される。次いで、その混合物が、架橋刺激に曝される。最後に、その経路の選択されたメンバーが、標識を使用して収集され(例えば、GFP)、そのメンバーと会合した任意の化合物が、同定される。このことは、段階的に繰り返されて、遅かれ早かれ、経路のメンバーを同定し得る。これらの方法は、リガンドの結合部位を予め同定することも、架橋前に標的分子の二次構造または三次構造を決定することも必要ないという利点を有する。
次いで、経路のメンバーは、リガンドスクリーンにおける標的として使用され得る。各経路のメンバーに選択的に結合する各リガンドの表現型を比較することによって、他に対する各経路メンバーについての位置情報が得られ得る。この情報は、所定の疾患徴候についての最良の標的を確認し、選択して、薬理遺伝学(pharmacogenetic)ベースの診断を通して最良の治療を最終的に選択するために使用され得る。
(5.4.リードの最適化)
本発明は、リードを最適化し、ヒット割合を増大させるための方法を提供する。用語「リード」とは、本明細書中で使用される場合、薬学的に所望される特性を有するリガンドをいう。好ましくは、この分子は、例えば、50Daと3000Daとの間の分子量を有する当該分野の「低」分子であると考えられる。この方法は、広い適用を有するが、タンパク質−タンパク質相互作用を妨害するリガンドを得るために特に有用である。
タンパク質は、通常、それらの表面上の異なる領域、または結合低分子に対する増大した親和性を示す、ポケットとしてより深く埋め込まれた領域を有する。これら、いわゆる結合部位は、比較的十分に規定された形状およびサイズを有する。多くの薬物分子は、一度に1つをタンパク質の異なる領域に結合する。標的タンパク質に結合する小さな薬物様分子を同定するために、1つのアプローチは、結合アッセイにおける「薬物様」分子(「薬物様」分子の特徴については、例えば、Lipinskiら,Adv.Drug Delivery Rev.,23,3−25,1997を参照のこと)の結合能を試験することである。例えば、本明細書中に記載の結合アッセイ(例えば、サイズ排除クロマトグラフィーベースのアッセイ)は、生理学的条件下で多数の低分子を研究し、かつ妥当に強い結合剤(binder)を迅速に同定するためにすばらしく適切である。本発明に従う結合アッセイは、結合を測定する任意のアッセイであり得る。これらのアッセイとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:サイズ排除クロマトグラフィーベースのアッセイ、チップベースのアッセイ、フィルターベースのアッセイ、アレイベースのアッセイ、カラムベースのアッセイ、濾過ベースのアッセイ、および溶液相もしくは固相における結合アッセイ。好ましいアッセイは、その高度に類似した性質および多重化する能力に起因して、化合物の混合物からリガンドを引き出し得るもの(例えば、本明細書中に記載のサイズ排除クロマトグラフィーベースのアッセイ)である。同定された低分子(「ヒット」)は、さらに最適化され得る。この場合、その分子のいずれか1種が、初期の薬物候補であると考えられる。これらの分子の多くは、200〜500ダルトン内またはそれに近い分子量を有する。以下にさらに記載されるように、結合アッセイからのヒットを使用するコンビナトリアルケミストリーは、2種以上の分子を反応させて、標的タンパク質に対してより高い親和性を有する生成物を生成するために使用され得る(図23)。次いで、この結合アッセイは、より高い親和性を有するリガンド(例えば、コンビナトリアルケミストリー反応からの生成物)を同定するように設計された試薬の濃度を使用して反復され得る。例えば、第1のヒットがμM濃度範囲のKを有し得る一方で、最適化されたリードは、ナノモル濃度範囲またはより高い親和性範囲のKを有する親和性について選択され得る。1つの好ましい実施形態において、溶液相中の混合されたコンビナトリアルケミストリーが実施される。この方法は、コンビナトリアルケミストリーにおける一般的な障害(:混合物からの個々の化合物の精製)を克服し、標的分子(例えば、標的タンパク質)が化合物の混合物から高親和性結合剤を精製するために使用され得るので、選択が必要でない。
多数の化合物リードが生化学的レベルおよび表現型レベルで特徴付けられ得るので、構造活性関係は、リード最適化のための基本として働くように確立され得る。類似の活性を有する分子が同定された場合、その構造活性関係(SAR)が決定され得る。標的指向性合成技術(target directed synthesis technology)は、互いに近くに結合する分子を架橋するために使用され得る。このことは、それらの活性がタンパク質上の同じ活性サブサイトを介してか、またはタンパク質標的上の異なるサブサイトを介するかを示す。一実施形態において、分子のうちの1つは、光活性化可能な架橋剤を含むか、または1つの分子は、第2の分子上の基と反応性の反応基を含む。このようにして、標的上のさらに異なる機能的サブサイトが、マッピングされ得、異なる機構が、それらのサブサイトに結合する分子に対する表現型的知見(例えば、アゴニスト 対 アンタゴニスト)から解釈され得る。リガンド足場の官能基の1つに対する光活性化可能架橋剤は、標的に結合したリガンドを架橋し、従って、テンプレートとして標的分子を使用するために使用され得る。
最適化および合成をもたらすためのこの異なるアプローチは、薬物および薬物様分子の大部分が、標的における結合部位のサイズおよび形状に適合するそれらの大きさと同時に、その極性および電荷分布もまた利用することに起因して、薬物または薬物様分子の約3分の1から約2分の1についての分子量を有する2以上のサブユニットからなるという事実に基づく。いくつかの実施形態において、これらのサブユニットは、1,000、500、または200ダルトン未満の分子量を有し、薬物様足場全体を含んでも含まなくてもよく、μMまたはμM未満のK親和性で結合してもよい。これらのサブユニットは、直接的にまたはリンカーを介してかのいずれかで接合される構築ブロックとして作用して、より大きいが、なお薬物様分子を形成する。これらの個々の構築ブロックはまた、通常、低下しているが、なお有用な親和性を有する結合部位に結合する。あるいは、リード最適化に重要な異なる特徴(例えば、可溶性、膜架橋、バイオアベイラビリティーおよび/または代謝のアップレギュレーションもしくはダウンレギュレーション)を付与する構築ブロックが、含まれ得る。サイズ排除クロマトグラフィーベースのアッセイ技術は、数百または数千もの個々のサブユニット分子を含む混合物から2種以上のこのような低「構築ブロック」を同定する独特の機会を提供する。2以上の構築ブロックは、1つのタンパク質結合部位にともに結合し得る。
適切な低分子対または3つ組を選択するタンパク質の能力は、反応性基を含む低分子について、および反応性基を含まない低分子について利用され得る。前者の場合において、構築ブロックは、それらの上に補完的な反応性基を有するか、またはそれらにリンカーで結合され得る(図24)。低分子は組織化され、タンパク質結合部位によって選択される場合、それらは、互いに隣に位置する。これらの反応性基が非常に近くに存在することによって、「カップリング」反応が誘発され得る。この反応において、その低分子が反応して、生成物を形成する。タンパク質に対して最も高い親和性を有する、得られた生成物は、高分離能LCMSとともに、サイズ排除クロマトグラフィーアッセイまたは任意の他の本明細書中に記載されたアッセイを使用して同定され得る。この場合、構築ブロックの混合物は、好ましくは、それらの上の異なる配向において反応性基を有する。好ましくは、このようなバリエーションのコンビナトリアルライブラリーが試験される。この方法は、例えば、縮合反応、置換反応、および付加反応を利用し得る。中程度に反応性の基を使用する任意の反応が適切であり、その結果、これらの反応性の基は、それらが互いに非常に近位に配向するタンパク質結合部位の非存在下で、反応しないかまたは非常にゆっくりとしか反応しない。この反応のゆっくりとした反応速度は、反応物が互いに近くにある場合に加速され得る。このタンパク質の結合部位は、それらの対および「自己アセンブリ」を見出すために、異なる低分子フラグメントについての「テンプレート」を提供する。いくつかの実施形態において、その低分子は、タンパク質の存在下では反応するが、タンパク質の非存在下では反応しない。特定の実施形態において、タンパク質の存在下で形成される生成物の量は、タンパク質の非存在下で形成される生成物の量よりも、少なくとも2、5、10、20、30、または50倍多い。好ましい実施形態において、架橋または反応は、生理学的条件下で行われる。
他の実施形態において、構築ブロックは、比較的非反応性の安定な低分子であり、これらの分子としては、低分子複素環、アミノ酸、炭水化物、芳香族環、尿素、チオ尿素、グアニジン、アミン、酸、スルホン、スルホキシド、または任意の薬物または薬物様分子の任意の低分子サブユニット(図25)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの低分子は、対または三つ組で上記のように結合し得、タンパク質に対して高い親和性を有する得られた生成物は、サイズ排除クロマトグラフィーベースの結合アッセイを用いて同定されうる。官能化された異なる対または三つ組は、固相またえは液相のコンビナトリアルケミストリーのための足場として働き得、多くの組み合わせが合成および再試験され得る。次いで、有望な低分子を選択するための主要な誘導力として標的タンパク質を使用して、強い結合剤を、さらなるコンビナトリアルケミストリーのための出発足場として使用し得る。いくつかの実施形態において、低分子は、タンパク質の存在下で反応するが、タンパク質の非存在下では反応しない。特定の実施形態において、タンパク質の存在下で形成される生成物の量は、タンパク質の非存在下で形成される生成物の量よりも、少なくとも2、5、10、20、30、または50倍多い。好ましい実施形態において、低分子フラグメントは、リンカーなしの適用については、最小限に置換される(例えば、分子量のごくわずかな変化しか引き起こさない基で置換される)が、「意味深いように」置換される(例えば、標的に対する結合親和性を改善するか、溶解性もしくは生体分布を改善するか、または他のサブユニットとの反応性を増大させる基で置換される)。これらの分子としては、以下の低分子環系が挙げられるが、これらに限定されない:ヘキソース、ペントース、および
Figure 2006506058
R、R’は、同じであるかまたは異なり、水素、低分子アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、クロロアルキル、アルコキシ、アシル、カルボニル(適切な場合)、カルボキシル、およびこれらのバリエーションからなる群より選択される。
X、Y、Zは同じであるかまたは異なり、C、O、SおよびNからなる群より選択される。
非環式低分子は、薬理学的に受容可能でない基(例えば、ハロゲン化ホルミル、ハロゲン化アシル、反応性ホルミル、脂肪族ケトン、1,2−ジカルボニル、ハロケトン、ホスホネートエステル、スルホネートエステル/ハライド、チオール、またはビニル−ケトン)を含まない限り、任意のクラスから選択され得る。薬理学的に受容可能な低分子のいくつかの例としては、置換尿素、チオ尿素、グアニジン、アルコール、エーテル、アミン、アミド、オキシム、ヒドラゾン、エステル、カルボン酸、およびニトリルが挙げられるが、これらに限定されない。
別の例示的な方法において、低分子Aおよび低分子Bは、単独で、または標的およびAおよびBの両方と反応し得る二官能性架橋剤(1つの官能基が、保護され、そして他方がフリー(free)である)を有する他の非結合低分子の存在下で混合され得る。あるいは、Aは、架橋剤と反応し得、そして得られる生成物は、Bと反応し得る。官能基は、任意の反応性基(アミン、カルボン酸、ニトリル、およびハライドを含むがこれらに限定されない)を含み得る。同じまたは異なる官能基は、AまたはB上にあり得る。互いに反応し得る一対の低分子AおよびBの1つの例において、Aは、アミン官能基を含み、そしてBは、カルボン酸、活性エステル、および無水物、アシルハライド、またはアシル化反応またはアルキル化反応においてアミドと反応し得る任意の他の基を有する架橋剤を含む。リンカーは、2つの官能基のみを含むか、または官能基間に成分(ポリエチレングリコールを含むが、これに限定されない)を含む分子を含み得る。例示的な保護基としては、アミン保護基(例えば、BOC、FMOC、またはベンジル)が挙げられる。CBZ保護基は、カルボン酸ベンジルエステル、アリルエステル、およびニトリルを保護するために使用され得る。1つの実施形態において、保護基は、官能基(例えば、ニトロベンジル基またはアゾ基)を脱保護するために光活性化される。別の実施形態において、タンパク質および化合物と反応せず、タンパク質上の官能基(すなわち、アミン、カルボン酸、アルコール、およびSH基)を含まない官能基を含むリンカーが使用される。例において、化合物は、ハライド(例えば、Cl)を含むかまたは含むように改変される。次いで、二重結合、三重結合、ハライド、または芳香族基を含むリンカーは、Heckカップリング反応またはSuzuki反応によって化合物に連結され得、リンカーとタンパク質と反応しない化合物との連結を生じる。このような化合物は、Aldrichから入手可能である。上記反応についてのリンカーおよび保護基は、とりわけ、Advanced ChemtechおよびNovobiochemから入手可能である。この連結は、標的への結合の親和性を(好ましい実施形態において、2倍と100倍との間またはそれ以上で)増加し得る。従って、より高い親和性を有するより優れたリードが得られ得る。このアプローチはまた、標的指向および生物関連方法において化学ライブラリーの構造的多様性をさらに向上するために使用され得る。
これらの方法は、本願明細書において記載されているハイスループット結合アッセイによって可能にされる。これらの方法は、多数の他の非結合剤の混合から薬物候補の小フラグメントを迅速に識別するために適切である。同定、アセンブリ、および薬物候補に向かう低分子のさらなる最適化は、タンパク質によって方向付けられ、そして制御される。全体の「自動選択」プロセスは、生理学的条件の下で起こり、このように、タンパク質の天然の構造および環境において非常に緊密な条件に近づく。アッセイ技術は、非常に速い発展を可能にし、小さい構築用ブロックの広く多様な混合物を使用し得る。いくつかの実施形態において、同定されるサブユニットまたは2つ以上のサブユニットの生成物についての情報が、他の化合物の合成において使用される。
他の方法において、本明細書中に記載される結合アッセイからのヒット(すなわち、標的分子に対して親和性を有する同定されたリガンド)は、標的分子の非存在下で反応して、2つ以上のリガンドからの部分を含む生成物を生じる。所望である場合、ヒット間の反応の速度は、pH、溶媒、触媒濃度、または反応混合物の温度の変化が挙げられるが、これらに限定されない手段によって増加され得る。次いで、得られる生成物は、本明細書において記載されている結合アッセイに適用されて、標的分子に対して最も高い親和性を有する生成物を同定し得る。
(5.5 リードの新規(de novo)合成)
セクション5.4に記載される方法と同一の方法を、標的分子に結合するリード化合物の新規合成のために使用し得る。特に、ライブラリーからの低分子のような化合物は、標的分子(例えば標的タンパク質)の存在下で、反応し得る。標的分子は、標的を結合する低分子の反応を促進するかまたは触媒して、標的に対するより高い親和性を有する生成物を生成する。いくつかの実施形態では、低分子は、タンパク質の存在下において、反応するが、タンパク質の非存在下では反応しない。特定の実施形態において、タンパク質の存在下で形成される生成物の量は、タンパク質の非存在下で形成される生成物の量の、少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、30倍、または50倍である。他の実施形態において、標的は、さらなるリード化合物を形成するために、標的の非存在下で反応し得るフラグメントを単離する。得られる生成物は、先の精製無しで、本明細書中に記載される結合アッセイに適用されて、標的に対する最も高い親和性を有する生成物を同定し得る。従って、このアッセイは、コンビナトリアル合成の汎用的指示(director)として、役立ち得、そしてこの標的を役立つことを可能にし得る。
(6.表現型に対する遺伝子型決定)
(6.1.実施例1:乳癌)
(6.1.1.標的)
少なくとも1人の乳癌患者から、最初に生検を収集する。レーザ捕捉顕微解剖およびANRNAまたはRT PCRが、癌細胞において差示的に発現される遺伝子を単離するために、マイクロアレイ分析法とともに使用され得る。例えば、これらの技術は、同じ生検の非癌細胞より2倍を超える高いレベルで癌細胞に存在する転写物を同定するために用いられ得る。あるいは、遺伝子は、非癌細胞において過剰発現し得る。遺伝子は、試験される患者の有意な画分においてこのようなレベルで発現される遺伝子についてさらに選択され得る。
組織は、Tissue Tek OCT媒体(VWR)に埋め込まれ得、液体窒素において凍結され得、クリオスタットにおいて切断され得る。切片は、コーティングしてないガラススライドに載置され得、−80℃で保存され得る。スライドは、30秒間、70%のエチルアルコールにおいて固定され得、H&Eで染色され得、70%、95%および100%での5秒の脱水ステップおよびキシレンでの5分の脱水ステップが続き得る。空気乾燥の後、切片は、PixCell IおよびII LCMシステム(Arcturus Engineering)を使用してレーザ顕微解剖され得る。5×10の各々形態学的に正常な胸部上皮細胞、悪性の浸潤性の乳癌細胞および悪性の転移乳癌細胞(例えば、腋窩リンパ節から)は、捕捉され得る。全RNAは、室温で、付着細胞を有する移動フィルムをグアニジニウムイソチオシアネートに移動させ、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを用いて抽出し、そしてイソプロパノール中の酢酸ナトリウムおよび10μg/μLグリコーゲンを用いて沈殿させることによってこれらの細胞集団の各々から単離され得る。次いで、RNAペレットは、再懸濁され得、37℃で2時間、RNASEインヒビター(Life Technologies)の存在下で、10単位DNase(Gene Hunter)で処理され得る。再抽出および沈殿に続いて、ペレットを、27μLのRNASEを含まない水中に再懸濁し得る。ANRNAまたはRT PCRが実行され得、続いて、配列決定され得る。ESTであるこの技術によって同定される配列を使用して、cDNAライブラリー(CLONTECH)から全長cDNAを選択し得る。これらのcDNAは、罹患細胞/組織において濃縮され得るが、正常細胞/組織において濃縮されない。しかしそれらの機能は、未知であり得る。
選択されるcDNAは、カルボキシ末端に挿入されるヘキサヒスチジン(6his)および遺伝子のアミノ末端のグルタチオンシンセターゼ(GST)(各々が、プロテアーゼ切断部位を有する)でタグ化され得る。これらの遺伝子は、bipタンパク質リーダーを用いてDrosophila発現系ベクター内にクローン化され得、CaPOを用いて、Drosophila内に、ハイグロマイシンベクターと同時トランスフェクトされ得る。細胞は、選択培地において維持され得、そして遺伝子発現は、硫酸銅(Invitrogen)を用いて誘導され得る。48時間後、5〜10mg/Lの各タンパク質を含む上清を収集し得る。次いで、得られるタンパク質は、第1精製工程としてNi(2+)−NTAクロマトグラフィー、および第2工程としてグルタチオンアフィニティークロマトグラフィーによって、続いて、タグの切断による特異的プロテアーゼ除去によって上清から精製され得る。ミリグラム量までの各タンパク質が回収され得る。
(6.1.2.結合、リガンド−標的対選択、およびリガンド同定)
2百万までのリガンドを含んでいる多様な化学コンビナトリアルライブラリー、天然産物様コンビナトリアルライブラリーおよびペプチドコンビナトリアルライブラリーが、流体相においてプールされた様式で合成され得る。さらに、天然産物ライブラリー(Terragen、Yonsei)および化学ライブラリー(Arqule、Coelocath)が購入され得る。1,000〜10,000リガンドが、100μLまでの容積で1μgのタンパク質とともに混合されて、96ウェルプレートのウェル中に1μMの濃度を有し得る。氷上での30分のインキュベーション後、サンプルを、カートリッジを有する96ウェルプレートに装填し、各ウェル(Waters 2790 HPLC)についてのHPLCカラムとして役立て得る。最初のカートリッジ/カラムは、樹脂内の未結合分子を保持するが、結合したリガンドおよびタンパク質を通過させ得るためのサイズ排除樹脂(G25 Pharmacia)であり得る。小さくかつ狭いカラム(例えば、2mm長×5mm直径のRocket Column,Biorad)を使用して、この工程で希釈を最小化する。使用する次のカートリッジ/カラムは、疎水性または親水性の逆相HPLC樹脂であり、その選択は、使用されているリガンドライブラリーの疎水性に依存する。例えば、疎水性のC18シリカカラムは、より疎水性でないリガンドによって使用され得、その一方で、親水性C8カラムが、より親水性リガンドのために使用され得る。別の例は、親水性または疎水性のリガンドのいずれかのために使用され得るAgilant製のSB8Uカラムである。逆相HPLCは、樹脂上へ結合することができ、その後、低分子がタンパク質および樹脂から溶出し得ることによって、低分子およびタンパク質を濃縮し得る。低分子を含んでいる溶出剤は、96ウェルプレートにおいて収集され得る。次いで、これらの溶出剤は、マススペクトロメーター(Micromass Quattro LC)に移され、そして、スペクトルは、MassLynx(MAxENTソフトウェア(Micromass))を使用して決定され得る。このような方法で、理論的には、ライブラリーの正確なメンバーがキラリティを除いて同定され得るように、タンパク質当たり100リガンドまでが、逆重畳され得る。具体的には、質量分析は、化合物または断片化パターンの同位元素を検出するために使用され得、いずれが化合物を同定するために代替としてまたは真の分子量と組み合わせて使用され得る。さらに、IRまたはFTIR分析は、リガンド官能基または単位を同定するために実行され得る。このとき、各リガンドは、合成されるかまたは大規模であり得る。ペプチドリガンドは、TAT形質導入配列と融合され得る。
同定されるリガンドの親和性は、スクリーニングに使用されるライブラリーの濃度に一部依存するが、少なくともナノモル濃度からマイクロモル濃度の範囲であるべきである。各リガンドの実際の親和性は、競合研究によって決定され得る。次いで、これらのリガンドは、バイオアッセイにおいて試験され得る。
(6.1.3.バイオアッセイ)
cDNAを癌細胞においてそれらの差示的発現に基づいて選択する場合、リガンドは、アポトーシス、増殖、壊死、新脈管形成、炎症または転移性腫瘍浸潤を検出または測定するアッセイにおいて試験され得る。本発明に従って、アッセイは、できるだけヒト疾患に近く、細胞株に基づくモデル(例えば、病理学的組織生検、インビトロ組織モデル、インビトロ疾患モデル、ヒト細胞株)を使用して設計され、そしてヒト病理学的サンプルからの一次組織に容易に適用される。これらのアッセイは、癌に関係することが公知の遺伝子(bcl−2)についてトランスジェニックなマウスからの組織を使用して開発され得る。アッセイされ得るヒト乳癌細胞株としては、以下が挙げられる:MCF−7、NCI/ADR HS578T、MDA−MB−2223l/ATCC、MDA−MB−4335、MDA−N、BT−549、T−47D(NCI、ATCC)。他の細胞株および組織もまた使用され得る。バイオアッセイの非制限的な例は、表1に示される。
(表1:細胞株における生検、ヒト組織生検、および宿主(例えば、ヌードマウス)内に移植されるヒト組織バイオアッセイ)
Figure 2006506058
(6.1.3.1.アポトーシス)
アポトーシスは、細胞膜ホスファチジルセリン結合色素(FITC アネキシンV;Cy5.5のような代替色素もまた使用され得る)を使用してアッセイされ得る。結合アッセイにおいて同定されるタンパク質のそれぞれについて選択されたリガンドは、種々の細胞株に対するアポトーシスの効果について試験され得る。2×10〜2×10細胞が96ウェルプレートの各ウェルにおいてプレートされ得、そして1μM〜10μMの各リガンドを含む培地を3連でウェルに添加する。最小限、ネガティブ(リガンド無し)コントロールおよびポジティブ(bcl2反応性リガンド)コントロールも実施する。1.5時間後、FITC アネキシンをウェルに添加し、15分間細胞とともにインキュベートし、そして3回の洗浄工程後、蛍光レベルを、プレートリーダーを使用して決定する。
アッセイは、bcl−2発現細胞およびbcl−2トランスジェニックマウス(Charles River)からの組織を使用することによって細胞から組織へ移動可能であるように示され得る。アポトーシスを誘導するリガンドは、乳癌患者からの新鮮な腫瘍生検で試験され得る。一次組織生検を使用する利点は、アッセイが、組織収集の2時間以内で(すなわち、組織が、虚血に関連する変化を示し始める前に)実施され得る。腫瘍生検の小片を、96ウェルプレートのウェルにおいてプレートし得、そして上記と同じアッセイが、2連で各サンプルで繰り返される。蛍光が読み取られた後に、サンプルは、DAPI染色(Molecular Probes,Eugene Oregon)を用いて染色され得、そして核形態学が、確認のために核濃縮およびフラグメント化について蛍光顕微鏡下で評価され得る。あるいは、DNA鎖切断を標識するための古典的TUNEL(末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介ビオチン化デオキシウリジン三リン酸ニック末端標識化)法が使用され得る。
(6.1.3.2.増殖)
細胞増殖は、フルオロセイン標識抗PCNA抗体(例えば、PC−10、Santa Cruz Biotechnology)に細胞を曝露することによってアッセイされ得、この抗体は、増殖する細胞核抗原(PCNA)に結合する。結合アッセイにおいて同定されるタンパク質の各々について選択されるリガンドは、細胞株についての増殖に対する効果について試験され得る。2×10〜2×10細胞は、96ウェルプレートの各ウェルでプレートされ得る。1μM〜10μMの各リガンドを含む培地を、次いで、3連でウェルに添加し得る。最小限、ネガティブ(リガンド無し)コントロールおよびポジティブコントロールも実施する。2時間後、FITC抗PCNAを、ウェルに添加し得、15分間細胞とともにインキュベートし得、そして3回の洗浄工程の後に、蛍光のレベルが、プレートリーダーを使用して決定され得る。PCNAアッセイは、既に、細胞および組織において使用されている(Kulldorff Mら、2000、J.Clin Epidemiology 53:875)。増殖を阻害するリガンドは、乳癌患者からの新鮮な腫瘍生検で試験され得る。腫瘍生検の小片を、96ウェルプレートのウェルにおいてプレートし得、そして上記と同じアッセイが、2連で各サンプルで繰り返される。蛍光が読み取られた後に、サンプルは、実際に増殖している細胞が、癌細胞であることを確認するために、蛍光顕微鏡下で評価され得る。
第2のアプローチにおいて、細胞増殖は、BRDUまたはH−チミジン取り込みを見て、古典的に測定される。第3のアプローチに従って、細胞は、CSFE色素(5−および−6カルボキシフルオロセインジアセテートスクシンイミジルエステル)で標識され得る。細胞が7〜8世代にわたって増殖するので、色素が希釈される。第4のアプローチは、内因性酵素酸ホスファターゼを測定するための蛍光ベースのAttoPhosアッセイを使用する。増殖を起こす細胞を検出するための他の方法(増殖段階を決定するために使用される7−ADD(7−アミノ−アクチノマイシン−D)、またはKi67抗体での染色を含む)が使用され得る。
(6.1.3.3.壊死)
壊死を検出する技術としては、ヨウ化プロピジウムまたはTOTO−3のようなDNA結合色素の伝統的な技術が挙げられるが、これに限定されない。あるいは、ミトコンドリア酵素放出についての比色定量メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)アッセイはまた、細胞生存可能性を決定するのに使用され得る。本発明の好ましい実施形態において、細胞生存可能性は、DNA結合色素ヨウ化プロピジウムおよびTOTO−3を使用して決定される。細胞株においてこれらのアッセイを行なうことは、壊死とアポトーシスとの間を識別することを可能にし、これは、リガンドを識別することが広範に細胞傷害性であるリガンドからの特異的な効果を有することを可能にする。この区別はまた、壊死アッセイおよびアポトーシスアッセイを並行に実施することにより容易にされ得る。各々の標的について選択されたリガンドが、アッセイが細胞株の壊死における効果について試験され得ることを確かめた。2×10〜2×10の細胞が、96ウェルプレートの各々のウェルにおいてプレートされ得、各々のリガンドの1μM〜10μMを含む媒体が、三連でウェルに加えられる。最小では、ネガティブコントロール(リガンドなし)およびポジティブコントロールがまた、実施される。8時間後、ヨウ化プロピジウムまたはTOTO3が、ウェルに加えられ、15分の間細胞と共にインキュベートされ、そして3回の洗浄工程の後、蛍光のレベルが、蛍光プレートリーダーを使用して測定される。
組織生検に移動する壊死は、困難なアッセイであり得る。なぜなら、壊死は、一般に少なくとも8時間後にアッセイされ、高いバックグラウンドを提供するこのような間隔の後、組織生検における虚血に起因する多くの壊死が存在するためである。この問題を克服するために、ヒト生検組織がヌードマウスに移植され得、これにより8時間のアッセイ期間の間に虚血に誘導される壊死を防ぐ。ヌードマウスにおける増殖が、腫瘍を変えないことを確実にするために、ヌードマウスにおいて1ヶ月間増殖した腫瘍が、体外移植され得、上に概説されるように短い期間のアポトーシスおよび増殖において試験され得る。腫瘍はまた、組織学的に概観され得、差異を評価するために新鮮な腫瘍体外移植片と比較され得る。同じ標的に結合し、事例の50%の壊死を誘導するリガンドが、動物中の腫瘍に注入され得、8時間後収集され得、そしてヨウ化プロピジウムで染色される。組織学的試験が、腫瘍細胞が壊死を経る一方、生検における他の細胞が壊死を経ないことが明らかになり得る。
(6.1.3.4.新脈管形成)
前新脈管形成効果および抗新脈管形成効果について試験するのに使用されるインビトロアッセイが、抑制コントロールとしてアンジオスタチンの増加する濃度および異なるウェルにおけるリガンドの増加する濃度と共に、β−FGFまたはウシ血清アルブミン(ネガティブコントロール)に向かう培養されたヒト真皮微小血管内皮細胞の移動をアッセイする(Clonetics,San Diego;Polverini PJら、1991,Methods in Enzymology 198:440)。新脈管形成はまた、ヒト生検をこのようにモデリングするより長い期間の事象であり、ヌードマウスにおける増殖を完全に必要とする。抗新脈管形成活性を有するリガンドが将来発見される場合、これらのリガンドは、3日〜5日の間の腫瘍への毎日の注入および続く除去および蛍光抗因子VIII関連抗原で染色して内皮細胞濃度を測定することによりアッセイされ得る。
新脈管形成のための他のモデルは、本発明により企図される。インビボモデルは、無血管ラット角膜(角膜マイクロポケットアッセイ)へと移植される試験分子を有するハイドロン(hydron)ペレットの移植を含む。7日目に縁からペレットに向かう血管の成長は、陽性の応答としてスコアリングされ、この応答は、タンパク質Aビーズ上の抗体により新脈管形成タンパク質または抗新脈管形成タンパク質の除去により無効にされ得る(Poverini PJら、1991,Methods in Enzymology 198:440)。これらの血管は、血管の密度、長さおよび管腔の大きさとして特徴付けられ得る。同様なアッセイがまた、マウスの眼において実施され得る(L.Smith,Children’s Hospital,Boston)。新脈管形成分子がまた、ラビットモデルの後肢虚血において試験され得る(Shyu KGら、1998 Circulation 98:2081)。他のインビトロ組織モデリングシステムは、3次元培養において内皮細胞を含み、ここでこれらの細胞は、未成熟キャピラリーに似ている管状構造を形成する(Springhornら、1995,In vitro Cell Dev Biol Anim 31,473;Sierra−Honigmann MRら、1998,Science 281:1683)。平滑筋細胞漸増は、抗平滑筋アクチン免疫組織化学を使用して測定され得る。
(6.1.3.5.侵襲)
腫瘍侵襲が、Matrigel細胞外マトリクスでコーティングされるチャンバーである基部膜細胞侵襲チャンバーを使用してアッセイされ得る。このマトリクスは、24ウェルプレートにおいて1つのチャンバーを他のチャンバーから分離するのに使用される(Becton Dickinson Labware)。結合アッセイにおいて同定されるタンパク質の各々について選択されたリガンドが、細胞株における侵襲における効果について試験され得る。CSFE色素で標識される細胞は、FACSにより測定され得るか、またはインビボにおいて細胞発生運命に続いて使用され得る。あるいは、細胞は、H−チミジンまたは別のマーカーで標識され得る。約2×10個の標識化細胞が、各々のウェル中にプレートされ得、そして各々のリガンドの1μMまたは10μMを含む培地が、三連のウェルの上半分に加えられる。COインキュベーターにおいて30時間後、膜チャンバーが、DMEM/0.1% BSAと共に両側で3回リンスされ得、上部表面が綿スワップで磨かれる。底部ウェル中に存在する色素の量は、蛍光プレートリーダーを使用して測定され得る。ポジティブウェルにおいて、膜は、切断され得、底部における細胞の数は、計数され得る。このインビトロアッセイにおける腫瘍侵襲に作用するリガンドは、ヌードマウスにおけるヒト腫瘍生検の組織学的分析によりインビボでさらに試験され得る。
(6.1.3.6.進化および/または分化)
細胞、組織、器官および生物の進化および/または分化におけるリガンドの効果を試験する種々のアッセイが、企図される。非限定的な実施例としては、リガンドを主要な組織適合性複合体(MHC)クラスII−陰性細胞または単一の多能性リンパ球系開始細胞のいずれかでインキュベートすることおよびInaba Kら、1993,PNAS 90:3038またはPunzel Mら、1999,Blood 93:3750のいずれかに従う細胞学的技術または免疫学的技術により細胞発生運命を評価することを含む。
(6.2.実施例2:糖尿病)
末梢インスリン耐性は、II型糖尿病(疾患による第4番目の原因であり、失明、腎不全および切断を引き起こす第1番目の原因である)を引き起こす主要な病理学的機構である。インスリンは、筋細胞および脂肪細胞においてグルコース取り込み、肝臓細胞および筋細胞におけるグリコガン合成、ならびに脂肪細胞および肝臓細胞における脂肪合成ならびに肝臓細胞におけるグルコース産生の阻害を刺激する。NIDDMは、平滑筋および脂肪細胞への弱められたインスリン刺激グルコース取り込み、肝臓糖新生の弱められた阻害ならびに潜在的に制御されていないインスリン分泌により特徴付けられる。この経路は、部分的に理解されているのみであり、末梢インスリン耐性の原因である分子は公知ではなく、このことは本発明の方法に適っている。
インスリンは、ホスホリレート自体および近傍のタンパク質へのレセプターのサイトゾルのβサブユニットキナーゼ活性を誘導する二量体レセプターのαサブユニットに結合する。インスリンは、DNAおよびタンパク質合成の作用、同化作用代謝の経路の活性、ならびに異化作用代謝の経路の活性を誘発する。一連のタンパク質、IRS−1、IRS−2IRS−3IRS−4、Gab−1およびp62タンパク質の全てが、ホスホリレート化されたインスリンレセプターに結合し得、そのための基体であり得る。IRS−1は、レセプターに最も関与しているように思われるが、これら全ては、ホスファチジルイノシトール3キナーゼのアクチベーターであり、これは、血漿膜への細胞質中のゴルジ由来の横紋筋筋肉/脂肪組織特異的グルコーストランスポーターGLUT4の輸送を引き起こし、ここでGLUT4は、グルコースを輸送し、このグルコースは次いで、ヘキソキナーゼによりホスホリレート化される。(GLUT2は、肝臓および脾臓のβ細胞に存在する。)インスリンはまた、グリコゲンシンターゼをアップレギュレートし、このグリコゲンシンターゼは、グルコースのグリコーゲンへの変換の最終工程を触媒するが、このシグナル伝達経路の前半において欠損が生じると考えられている。
代謝されるグルコースの大部分と考えられる肝臓および筋肉ならびにこれらの器官由来の細胞が、これらの研究において使用される。糖尿病患者の筋肉生検は、健康な個体由来の筋肉生検であり得るようなインスリンおよび/またはグリクラジドで病原体接種され得る。個体は、患者の親族であり得、これらのいくらかは糖尿病の明白な症状を全く有さず、インスリンに対して完全に正常な応答を有する。インスリン作用における欠損は、明白な疾患に先立ち、糖尿病患者の糖尿病でない親族において見られる。cDNAライブラリの差示的なディスプレーは、糖尿病患者および健康な個体から調製され得る。第2の差示的ディスプレーcDNAライブラリーは、インスリンおよび/またはグリクラジドで病原体接種される患者生検ならびに健康な患者由来の生検から調製され得る。次いで、これらのcDNAライブラリーは、タンパク質として発現され得る。発現されたタンパク質に結合するリガンドは、本発明に記載される方法を使用して単離され得る(例えば、HPLC/マススペクトロメトリー)。
リガンドが、インスリン刺激に続くグルコース取り込みにおける効果についてアッセイされ得る。3T3−L1脂肪細胞およびL6筋細胞細胞株(ATCC)が、グルコース代謝についての細胞モデルとして使用され得る。2×10〜1×1010個の細胞が、96ウェルプレート上の各々のプレートにプレートされ得、公知の濃度のグルコースおよび1μM〜10μMの各々のリガンドを含む培地が、三連でウェルに加えられる。最小には、ネガティブコントロール(インスリンなし、リガンドなし)およびポジティブコントロール(インスリン、リガンドなし)が、実施される。次に、インスリンは、低濃度および高濃度でウェルに加えられる。COインキュベーター中での2時間のインキュベーションの後に、グルコースレベルが、グルコースメーターを使用して測定され得る。次いで、細胞株中のインスリン刺激に続いてグルコース代謝を作用したリガンドが、II型糖尿病患者由来の新鮮な平滑筋生検および脂肪組織生検での同じアッセイを使用して試験され得る。組織生検から懸濁される細胞は、96ウェルプレートのウェル中に同じ濃度でプレートされ得、上記のような同じアッセイが、二連で各々のサンプルで繰り返した。リガンドがこれらの組織生検中の末梢インスリン耐性を減少した場合、リガンド遺伝子組み合わせが、末梢インスリン耐性の処置において承認された標的を表し得、この耐性は、インスリンの代謝シグナル送達経路においてさらに試験され、マッピングされる。
(6.3.既知の遺伝子の分子経路における標的の同定)
上で使用されるアプローチは、多能性の分泌細胞のシグナル送達経路中で未知の遺伝子の機能を同定および決定するために、そして組織特異的方法において毒性効果を治療効果から分離するために使用され得る。TGFβ1は、多くの細胞型およびII型TGFβレセプターにおける周知の有力な増殖阻害因子であり、Smad2およびSmad4は、多くの癌において変異されることが既知である(Kim SJ,2000,Cytokine Growth Factor Rev.11:159)。いくらかの腫瘍抑制遺伝子(DPC4)は、このSMADファミリーのメンバーであり、T細胞免疫応答の有力なダウンレギュレーターである(Prud’homme GJ,2000,J.Autoimmun.14:23)。この増殖阻害のモジュレーションおよびアポトーシス誘導経路は、癌細胞増殖を阻害し、自己免疫におけるT細胞の耐性を誘導し、このTGFβ経路の遮断により癌抗原に対する耐性を破壊する、新規の治療を開発するために使用され得る。
制限因子の1つは、TGFβがまた、フィブロネクチン、コラーゲン、プラミノゲン(plaminogen)アクチベーターインヒビター−1およびマトリクスメタロプロテアーゼのアップレギュレーションを包含する細胞外マトリクスの体積を誘導する一方、間隙性コラーゲナーゼのようなマトリクス分解プロテアーゼをダウンレギュレートする。Massague,1990,J.Ann Rev Biochem 6:597。マトリクス成分の過剰産生は、組織線維症における主な発見であり、最終段階の腎臓疾患および他の疾患の重要な原因である(Blobe GC,2000,NEJM 342:1350)。減少した細胞癒着および増加した代謝を引き起こす減少したフィブロネクチン産生が、癌において観察される(Kornblihttら、1996,FASEB J 10:248)。TGFベータは、Smad非依存性経路を通るECMにおいてこれらの効果を誘導し、この経路において、c−jun N末端キナーゼ(JNK;多くのMAPキナーゼファミリー)が、cJUN(転写因子のAP−1ファミリーのメンバー)およびATF−2(別の転写因子)を調節するために活性化される(Hocevarら、1999,EMBO J 18:1345)。TGFβの多能性効果が、jun経路およびsmad経路を別個に標的化することにより調べられ得る。
この目的のために、一次ヒトT細胞および線維症は、2.5個の細胞に分割され得、子の細胞が、アンチセンスjunおよびsmadを含むレトロウイルスベクターでトランスフェクトされ得る。あるいは、このことは、細胞の異なるベクターで達成され得、またはsmadまたはjunのいずれかと反応性であるペプチドで形質導入され得る。次いで、生じる細胞株は、TGFβで刺激され得、そしてcDNAはクローン化され、これは刺激された細胞と刺激されていない細胞との間で差示的に発現され得、次いで、これらのいずれかの経路を有する細胞は、マイクロアレイ分析または差示的発現の他の技術を使用してブロックされる。一旦cDNAが、経路の1つとただ結合される発現を同定する(しかしその機能は未知である)と、次いで、これらのcDNAが、タンパク質として発現され、これらに結合するリガンドが、生化学的結合アッセイ、HPLCによる分離、およびマススペクトロメトリーを使用して分離され得る。次いで、リガンドは、増殖(上に記載されるようなPCNAに基づく結合アッセイにおいて)または細胞外マトリクスの分泌のいずれかをブロックまたは誘導する能力について試験され得る。細胞外マトリクスアッセイは、線維症についてのELISAアッセイを使用する96ウェルプレートにおける48時間にわたる細胞外マトリクスの線維症堆積および主な成分を測定する。この方法において、遺伝子は同定され得、そして標的が承認され得、この標的はタンパク質の抗増殖効果と結合されるが、前線維症(profibroic)効果と結合されないか、またはその逆である。類似のアプローチがまた、細胞または組織に対する任意の刺激を調べ、分子経路の新しい膜を同定し得、そして薬物標的としてそれらを承認し得る。
(7.1.遺伝子型に対する表現型)
(7.1.1.表現型検出)
節6.1.3.1.および6.1.3.2.に記載される腫瘍細胞アポトーシスおよび増殖アッセイが、例えば、384ウェルプレートフォーマット(Applied Biosystems FMAT8100)を使用して高スループットスクリーニングに適合され得る。アポトーシスおよび壊死が、同時にアッセイされ得る。アポトーシスおよび壊死について、Cy5.5アネキシンVアッセイおよびTOTO3試薬が、各々使用され得る(Applied Biosystems)。Cy5.5標識された抗PCNA抗体(PC−10,Santa Cruz Biotechnology)が、細胞増殖をアッセイするのに使用され得る。アッセイされ得るヒト乳癌の非限定的な実施例は、以下が挙げられる:MCF−7、NCI/ADR HS578T、MDA−MB−22231/ATCC、MDA−MB−4335、MDA−N、BT−549、T−47D(NCI、ATCC)。アッセイされ得るヒト前立腺癌細胞株の非限定的な実施例は、以下が挙げられる:COLO205、HCC−2998、HCT−15、HCT−116、HT29、KM12、SW−620。アッセイされ得るヒト肺癌細胞株の非限定的な実施例は、以下が挙げられる:A549/ATCC、EKVX、HOP−62、NCI−H23、NCI−H226、NCI−H322M、NCI−H460、NCI−H522。10〜10個の細胞が、384ウェルプレートの各々のプレートにプレートされ得る。リガンドライブラリーにおける各々の可能性のあるリガンドの、1pM〜1M、好ましくは、1μM〜10μMを含む培地が、ウェルに加えられ、三連で試験される。ネガティブコントロール(リガンドなし)およびポジティブコントロール(スタウロスポリン)が、含まれる。20μM以下の濃度で表現型を有するリガンドは、本発明に従う標的同定のための良い候補である。
(7.1.2.標的同定)
本発明の重要な利点は、先行技術と異なり、1つ以上の生検において効果を有することが見出されているリガンドの標的が、このリガンドを利用して同定され得る。本発明に従って、標的を同定するために使用され得る多くのアプローチが存在する。
第1の一連の実施形態において、可能性のある標的は、細胞の表面上にディスプレイされるタンパク質である。非限定的な実施例に従って、全長ヒトcDNAライブラリーが、Displayベクター(Invitrogen)において発現される。このベクターは、タンパク質を標的化し、真核生物細胞の表面上の細胞膜においてタンパク質を固定する。本発明の別の非限定的な実施形態において、全長ヒトcDNAライブラリーが、pYD1酵母ディスプレーベクターまたはEBY100 Saccharomyces cerevisiae株(Invitrogen)へと形質導入される類似のベクターにおいて発現される。本発明のさらに別の非限定的な実施形態において、全長ヒトcDNAライブラリーは、バキュロウイルスベクターを使用して昆虫細胞の表面上で発現される(Ernst Wら、1998,Nucleic Acids Research 26:1718)。これらのシステムは、全長タンパク質が、ペプチドが発現されることのみを可能にする原核生物細胞系に対して表面上で発現されることを可能にする。
代替的な実施形態において、ポリヌクレオチドライブラリーは、ペプチドのみまたは細胞の表面上の融合またはウイルスとして発現され得る(例えば、バクテリオファージ、T7、またはM13)。非限定的な実施例としては、ヒトまたは感染剤から発生されるポリヌクレオチドライブラリーが挙げられる。本発明の特異的な実施形態において、cDNAライブラリーが、pFliTrxベクター(Invitrogen)または類似のものにおけるドデカペプチドとして発現される。この実施形態に従って、ベクターがE.coliにおいて発現される場合、ペプチドは、チオレドキシンタンパク質の活性部位ループおよび細菌性フラゲリン遺伝子内でディスプレイされる。本発明の別の実施形態において、可能性のある標的は、リボソームディスプレイシステム上のペプチドとしてディスプレイされ得る。このシステムにおいて、ペプチドはペプチドをコードするRNAにプロマイシンでの処理により融合される(Roberts RWら、1977,PNAS 94:12297)。全ての他のディスプレイシステム(レトロウイルス、アデノウイルスを含むが、これらに限定されない)が、本発明に従って使用され、cDNAまたはペプチドをディスプレイし得る。
(7.1.3 分離)
上記の方法のいずれかによって提示される潜在的標的は、リガンドに曝露され得る。リガンドは、使用される分離方法に依存して、表面、ビーズまたはカラム上に固定されているか、あるいは溶液中に存在するかのいずれかであり得る。本発明の第1の実施形態において、リガンドは、表面上に直接的に固定され得るか、直接的に標識または検出され得る。本発明の第2の実施形態において、リガンドは、リガンド−標的対(標的は、上述の例において例示されるようにして、提示される)の収集を容易にするために、親和性標識により誘導体化され得る。このような親和性標識の非限定的な例としては、ビオチン、ジゴキシゲニン、または抗体が挙げられる。次いで、リガンドに結合した提示された標的は、結合しないものから分離され得、そして標的をコードする配列が、標準的なクローニング技術およびDNA配列決定技術により同定される。
本発明の第1の実施形態において、細胞は、蛍光的に標識されたリガンドまたはビオチン化されたリガンド(後者は、FITCアビジンと結合する)によって「染色」され得、フローサイトメーター(MoFlo HTS Cytometer,Becton Dickinson FACS)を使用してプレート、チューブなどのウェルに分別される。次いで、これらの細胞は、標準的な細胞培養技術を用いて培養され得る。第1の非限定的な例によると、次いで、薬物レセプターをコードする遺伝子は、SV40の複製起点に対するT抗原の大きな効果を使用してCOS1細胞からプラスミドを回収することによりクローニングされ得る。第2の非限定的な実施形態によると、プラスミドへの挿入物を回収するために、PCRが使用され得る。
本発明の第2の実施形態において、細胞、ウイルス粒子またはペプチド−ヌクレオチド融合体は、薬物でコーティングされた磁性ビーズ、薬物でコーティングされた表面(例えば、パニング用ウェル)または薬物でコーティングされたカラムを使用することにより、選択され得る。表面、ビーズまたはカラム上の高密度の薬物リガンドは、低親和性相互作用の結合活性を増大させるために望ましい。薬物は、親和性標識(例えば、アビジン、ジゴキシゲニン)を介して表面、ビーズまたはカラムに結合され得、そして溶出は、1回以上の洗浄工程の後で達成され得る。磁性ビーズの場合において、次いで、磁石が使用されて洗浄の間にビーズが単離され、結合している細胞、ウイルス粒子またはペプチド−ヌクレオチド融合体が回収される。パニングの場合において、各連続的洗浄工程の後で上澄液が排出され、細胞、ウイルス粒子またはペプチド−ヌクレオチド融合体はウェル内に保持される。カラムからの溶出は、標準的な技術によって達成され得る。リガンドが親和性標識により誘導体化されている場合において、細胞、ウイルス粒子またはペプチド−ヌクレオチド融合体は、過剰の遊離の親和性標識をカラムに適用することでカラムから溶出され得る。
一旦分離されると、標的を発現している細胞またはウイルス粒子は、適切に増殖させられ得る。次いで、標的をコードしているcDNAが、標準的な分子生物学的技術(例えば、プラスミド回収またはPCR)により回収され得る。精製したペプチド−ヌクレオチド複合体の場合において、部分的なcDNA配列が、RT PCRを用いて同定される。上記のアプローチを用いることで、標的が精製され得、そして1回以上の選択を使用してクローニングされ得る。このようにして、既述の未知の薬物標的をコードするDNA配列が単離され得、そしてこの薬物標的をコードするcDNAをクローニングするために使用され得る。
一旦薬物標的をコードするcDNAが同定されると、このcDNAは、セクション6.1.にあるように、疾患組織に由来する細胞における差次的発現を研究するために使用され得る。標的が疾患細胞と正常細胞との間で差次的に発現される場合、特異性が立証され、そしてこの標的と相互作用するリガンドが、この疾患細胞についてのインビトロおよびインビボでのバイオアッセイにおいて試験され得る。
このようにして、表現型アッセイにおいてある機能と関連付けられた標的が、本発明を行うことにより同定される。
(7.2. プロテオミクスによる標的の同定)
標的の同定もまた、セクション6.1.2.に示された方法を適合させることで達成され得る。この適合は、目的のリガンドをある複数の潜在的標的と混合し、リガンド−標的対を収集し、そして必要に応じてリガンドと標的とを解離させるように行われる。続いて、標的が同定され得る。本発明の1つの実施形態において、標的は、一般的な技術(例えば、アミノ酸の配列決定、質量分析法および/またはNMR)により同定され得るタンパク質である。一旦タンパク質が同定されると、疾患細胞との関連が、標準的プロテオミクス技術を用いて決定され得る。
(8.1. シグナル伝達経路のマッピング)
一旦、多数の遺伝子が、疾患の病因である特定の分子的経路に関与していることが示されると、標的化された構成要素が、他の分子経路構成要素に対して、その分子経路中にマッピングされ得る。異なる分子経路構成要素に結合するリガンドは、光活性化が可能な架橋剤によって誘導体化され得る。公知の分子経路構成要素の少なくとも1つが、マーカー(例えば、GFP)と融合される。次いで、以下がインビボまたはインビトロで混合され得る:(i)公知の分子経路構成要素に結合する誘導体化リガンド、(ii)標識された経路構成要素(例えば、GFP融合タンパク質)、(iii)別の分子経路構成要素と結合するか、または結合し得る、少なくとも1つの誘導体化リガンド、(iv)他の分子経路構成要素。架橋化を起こす刺激が適用され、そして生じた複合体の各構成要素が同定される。このようにして、分子経路構成要素の各々が、その要素が相互作用する他の構成要素に対してマッピングされ得る。本発明のさらなる利点は、経路エフェクターがこの方法により同定され得るということである。さらに、経路構成要素の各々のプロフィールが、その経路を介して作用する公知の薬物が存在する場合にこれらと比較され得、その病因的経路によって引き起こされる種々の疾患の細胞ベースのアッセイにおいて、比較研究が行われ得る。この情報は、所定の疾患指標についての最良の標的を確認および選択するために使用され得る。代替として、この情報は、薬理遺伝学を用いて特定の患者についての最良の治療を選択するために使用され得る。
(9.1. リードの最適化)
生化学的レベルおよび表現型レベルにおいて、多数の化学的リードが特徴付けられ得るので、構造活性関連性(SAR)が確立され得、リードの最適化のための基礎として寄与する。類似する活性を有する数個の分子が同定される場合、SARは、それらの構造をアッセイにおける活性と比較することで決定され得る。標的指向型の合成技術を使用して、それぞれに対して密接に結合する分子を架橋または反応させ得、これにより、それらの活性が、タンパク質上の同じ活性部分部位を介して媒介されるのか、またはタンパク質標的の異なる部分部位を介して媒介されるのかが示される。このようにして、標的上のさらなる異なる機能的部分部位がマッピングされ得、そして異なる機構が、これらの部分部位に結合する分子による表現型の知見(例えば、アゴニスト 対 アンタゴニスト)から解釈され得る。
標的指向型の合成の第2の使用用途は、リガンドの標的に対する親和性を増大させ、それにより、リガンドを表現型を遺伝子型と連結する際により有用なものとすること、およびより良好な薬物リードを作製することである。リガンド骨格のある官能基上にある光活性化が可能な架橋剤は、標的に結合しているリガンドを結合させ、それにより、標的分子をテンプレートとして使用するために用いられ得る。この結合は、標的に対する結合の親和性を少なくとも2倍〜10倍に増大させ、標的指向型でありかつ生物学的に適切な方法でライブラリーの構造多様性をさらに増強するはずである。
(10. 表現型を遺伝子型と関連付けるためのインシリカ(in silica)アプローチ)
本発明は、表現型を遺伝子型と関連付けるためにインシリカで適合され得る、各リガンドまたはリガンド集団についてのリガンド−標的(遺伝型)およびリガンド−バイオアッセイ(表現型)の化学的フィンガープリントを確立するための方法を提供する。
本発明は、リガンド−標的の対形成実験のデータを保存する、第1の情報記憶システムを提供する。本発明は、試験した各バイオアッセイにおける各リガンドの効果を保存する、第2の情報記憶システムを提供する。本発明は、分かっている場合に各標的の機能および/または発現パターンを保存する、第3の情報記憶システムを提供する。これらのシステムは、必要に応じて統合され得、その使用を容易にする。
本発明の1つの実施形態において、システム内に入ったデータは、ショットガンアプローチによって得られ得る。このアプローチでは、各バイオアッセイにおいて、全ての標的がリガンドへの結合について試験されるか、または全てのリガンドが試験される。例えば、標的の集合は、選択した生物のゲノム中の全てまたはそれ未満の数の遺伝子の全て未満の発現産物を含み得る。次いで、各標的が、リガンドのライブラリーをスクリーニングするために使用され、結合するリガンドが同定される。このデータは、第1の情報記憶システムに入れられる。
別の例によると、リガンドの大きな無作為化学的ライブラリーの各メンバーの効果が、利用可能なバイオアッセイの各々においてアッセイされ得る。このデータは、第2の情報記憶システムに入れられる。
本発明の別の実施形態において、システムに入れられるデータは、選択したバイオアッセイにおいて選択したリガンドによって誘導される特定の疾患または表現型において、選択した標的と結合するリガンドの集中的分析により得られる。このデータは、第1の情報記憶システムまたは第2の情報記憶システムに適切に入れられる。
次いで、これらのシステムは、差次的発現データまたは特定の病巣の非存在下でも、ユーザーが標的機能を予測できるようにし得る。さらに、これらのシステムは、ユーザーが特定の効果を有するリガンドおよび標的を選択することができるようにし得る。さらなる利点は、このシステムが、必要な結合実験およびバイオアッセイの数を軽減し得ることである。他の利点は、当業者にとって明らかである。
本発明の1つの実施形態において、ユーザーは目的の標的を選択する。次に、ユーザーは、実験または第1の情報記憶システムのいずれかから、目的の標的に結合するリガンドを同定する。次いで、ユーザーは、同定したリガンドについて第2の情報記憶システムに問いかけ、各リガンドに関連する表現型を決定する。このようにして、標的が1つ以上の表現型に関連付けられ得る。
本発明の別の実施形態において、ユーザーは目的の表現型を選択する。次に、ユーザーは、実験または第2の情報記憶システムのいずれかから、選択した表現型を調節するリガンドを同定する。次いで、ユーザーは、同定したリガンドについて第1の情報記憶システムに問いかけ、リガンドに結合する標的を決定する。このようにして、表現型が1つ以上の標的に関連付けられ得る。
本発明の別の実施形態において、これらの情報記憶システムは、標的の機能情報および/または発現分析データと組み合わされ、ユーザーが標的および薬物リードを確認できるようにする。この実施形態の第1の例において、ユーザーはタンパク質である標的XおよびYを選択し得る。ユーザーは、Xをコードする遺伝子が正常な細胞では発現しているが、腫瘍細胞では発現していないことを示す発現データを得る。ユーザーは、Yをコードする遺伝子は正常な細胞では発現していないが、腫瘍細胞では発現していることを示すさらなる発現データを得る。次いで、ユーザーは、第1の情報記憶システムに問いかける。この問いかけの結果を表2に示す。
Figure 2006506058
次いで、ユーザーは、第2の情報記憶システムに問いかける。この問いかけの結果を表3に示す。
Figure 2006506058
この例によって、ユーザーは標的Yを癌治療のための確かな標的として選択し得、Yには特異的に結合するが、Xには結合しない能力によりリガンド4を選択し得る。このようにして、本発明は、ユーザーが標的を確認し、そして薬物リードを同定できるようにすることが可能である。
この実施形態の第2の例において、表現型から遺伝子型へ向かうアプローチが使用されて、リガンド1、2、および3がバイオアッセイにおいてアポトーシスを誘導すること;リガンド3、4、および5が新脈菅形成を刺激すること;ならびにリガンド1、3、および6が壊死を誘導することが決定される。この情報は、情報記憶システムに保存される。ハイスループット結合アッセイにおいて、リガンド3および4が、標的XとK<50μMで結合することが発見される。情報記憶システムを検索することにより、(i)標的Xは新脈菅形成に関与し得ること、(ii)リガンド3は薬物リードとしては弱い候補であること、および(iii)リガンド4は薬物リードとして良好な候補であり得ることが、当業者に示される。
(11. 本発明の方法の自動化)
高度に自動化されたアプローチ(例えば、図18および19に概略的に示されるようなアプローチ)は、本発明の別の実施形態である。これは、1週間に20種類よりも多いタンパク質を、化合物ライブラリーからリガンドを決定するために十分な量で製造し得る、ハイスループット発現ベクター構築、タンパク質生産、および精製を行うための設備を備える。この後で、ハイスループットアッセイ(例えば、Chemical Array Assay)が使用され、骨格標的対が同定される。これらの骨格標的対は化学アレイデータベースを構成し、そのデータベースは図17で概説される使用用途を有する。
ハイスループット発現ベクター構築のために、ヒトプロテオーム(例えば、NCBI、Stratagene、またはIncyte)中のタンパク質の1つをコードするcDNAが、自動化流体操作システム(Tecan)を96ウェル形式で使用してDES発現ベクター(Invitrogen)に挿入される。このDES発現ベクターは、コードされているタンパク質に分泌シグナルおよびhisタグを付加し、その結果、そのたんぱく質は培地中に分泌され、hisタグに結合するニッケルカラムを使用して精製され得る。
例示的な方法において、目的のcDNA配列がDNA配列決定によって確認され、そしてそのcDNAの5’末端が4マーによりPCR標識される。このcDNAは、標準的方法を使用して、昆虫細胞内での発現について、リーディングフレームに依存してpMT/BiP/V5−His A、B、またはC(Invitrogen)にクローニングされたトポイソメラーゼ(TOPO)であるか、または293細胞での発現について、pcDNA3.1DV5His TOPO(Invitrogen)にクローニングされたトポイソメラーゼである(図20)。得られたタンパク質が293細胞から分泌されることを確かめるために、cDNAが、配列類似性により分析され、分泌リーダーが存在するか否か、および膜貫通ドメインが存在しないか否かが決定され得る。標準的な分子生物学的技術を使用して、分泌リーダー(例えば、Igκ鎖リーダーまたはCD59リーダー)はcDNAの5’末端に付加され得、膜貫通ドメインはcDNAから削除され得る。この方法は、1つの膜貫通ドメインが存在する場合に特に有用である。複数の膜貫通ドメインが存在するか、あるいはミセルまたは膜中に組み込まれ得る形態のタンパク質の使用が望まれる場合、タンパク質は膜タンパク質として生産される(セクション11.1)。
次いで、ベクターはコンピテントE.coli細胞にトランスフェクションされ、そしてこの細胞(例えば、1つのベクターあたり2個のコロニー)が増殖させられる(例えば、一晩の培養)。この発現ベクターは、ロボット型流体操作機を使用して、E.coli細胞から抽出され得る。このロボット型流体操作機は、標準的な溶解試薬を添加して細胞を溶解させ、そして溶解液をQiagenカラムに適用して発現ベクターを精製する。特定の実施形態において、溶解液はQIAwell96 Ultra Plasmid Kitを使用して精製される。このキットは、溶解液の洗浄のためにQiafilter 96ウェルプレートを、プラスミドDNAの精製のためにQIAwell 96ウェルプレートを、そして各プレートの脱塩のためにQIAprep 96ウェルプレートを、QIAvac96自動化真空デバイス上で連続的に使用する。所望の場合には、適切なリーディングフレームで挿入cDNAを有する発現ベクターを含む細胞が標準的な方法を使用して選択される。例えば、発現ベクターは、制限酵素により切断され得るか、または配列決定され得、このベクターがインフレームで挿入cDNAを含むか否かが決定される。
次いで、挿入物を含む発現ベクターは、標準的なカルシウムリン酸トランスフェクション方法を使用して、CellfectinによりDrosophila S2細胞(Invitrogen)にトランスフェクションされ、SelecT自動化組織培養システム(Automation Partnership)において、1つのベクターあたり5〜12個のフラスコでDrosophila発現培地(Invitrogen)中で増殖させられる(図21)。各SelecTシステムは、150個までのフラスコ、または40種類までの異なるタンパク質を発現する別個の細胞株を扱い得、そして複数のSelecTを並列で使用することにより、1週間あたり600種類のタンパク質にまでスループットを増大させ得る。1つの可能な方法において、24時間後にタンパク質の発現を誘導するために硫酸銅が培地に添加され、そして3日目および7日目に上澄液がタンパク質精製のために収集される。他の方法において、3日目に一過性の発現が誘導され、そして4日目および6日目に上澄液が収穫される。それぞれが150個のT175フラスコ(150mLの培地および約10mg/Lを発現するDrosophila細胞を含む)を扱う、20個のSelecTロボットを使用することにより、2個のフラスコごとに1度の収穫で2〜4mgのタンパク質を生産し得る。タンパク質量を増大させるために、上澄液がさらに何回か(例えば、1回、2回、3回以上)収穫され得る。1つのタンパク質あたり5個のフラスコが使用される場合、各SelecTシステムは30種類のタンパク質を生産する。従って、1週間あたり、600種類のタンパク質(すなわち、20台のSelecTロボットのそれぞれに対して30種類のタンパク質)について、2〜4mgのタンパク質が生産され得る。
この上清を、Biorobot(Qiagen)における96ウェル形式のニッケルカラム(Qiagen QIAexpressタンパク質精製システムまたはQiagenニッケルアフィニティー磁気プレート)を通過させる。ついで、Tecan流体ハンドラーがこのタンパク質のアリコートを、SDS分析、バイオアッセイまたは他の品質管理分析(Qc)のためにPHASTゲル(Pharmacia)に移す。このサンプルの残りを、試薬保存検索システム(Haystack)によってChemical Array Assay(例えば、本明細書において記載されるアッセイ方法のいずれかにおいて)におよび保存のためのフリーザーに移す。例えば、ロボット流体ハンドラー(Tecan)を用いて精製されたタンパク質標的を、候補リガンドのライブラリーに合わせて、1またはそれより多い候補リガンドを96ウェルプレートのウェル中にある標的タンパク質への結合を可能にすることができる。ついで、この96ウェルプレートは、その96ウェルプレートから標的タンパク質および候補リガンドを含むアッセイ混合物を注入し得、そして結合したリガンドを有する標的タンパク質の単離について並行して6カラムまで実行し得るHPLC(Waters 2790)に移され得る。結合したリガンドを有する標的を含む画分は、フラクションコレクター(Gilson)を用いて収集され得る。代替の実施形態において、ロボット流体ハンドラー(Tecan)を用いて、精製されたタンパク質標的と、候補リガンドのライブラリーとを合わせて、1またはそれより多い候補リガンドを96ウェルプレートのウェル中の標的タンパク質に結合させることができる。この96ウェルプレートは、例えば、ロボット(TecanまたはQiagen)による排出の際に、結合していないリガンドから標的タンパク質を分離して結合したリガンドを有するタンパク質を、第二96ウェルプレート中に分離させる能力を有する樹脂を備えるカートリッジを備える。代替の実施形態において、結合は、96ウェルプレート中で起こり、ついで、流体ハンドラー(Tecan)は、サンプルを、分離のためのカートリッジを含む第二96ウェルプレートに移す。なお別の実施形態において、カートリッジはスピンカラムであり、このスピンカラムは、マルチウェル形式(Pharmacia)で入手可能である。チップベースおよびキャピラリーLCベースの分離もまた使用され得る。界面活性剤または他の変性剤は、流体ハンドラー(Tecan)によって加えられて、タンパク質から結合したリガンドを放出することができ、ついで、放出されたリガンドは分析のための適切な装置に加えられる。例えば、リガンドは自動注入器(Waters)を備えるHPLC上の逆相カラムを用いて質量分析での分析に注入され得、MALDITOF質量分析での分析のためにフィルター上にスポットされ得、またはNMR、IR、FTIRもしくはUVのスペクトロメータに適用され得る。代替の実施形態において、結合したリガンドを有する標的タンパク質は、流体ハンドラー(Tecan)を用いて96ウェル形式MALDITOF (Bruker Daltonics)にロードまたはスポットされる。別の代替に実施形態において、結合したリガンドを有する標的タンパク質は、ロボット(Tecan)による排出によって96ウェル形式でのフィルター(例えば、ニトロセルロース)上に排出される。別の実施形態において、この同じフィルターへの排出は、カートリッジと真空デバイスとの間のフィルターに配置することによって、96ウェルカートリッジの排出と同じ工程で行われる。ついで、MALDITOFは、標的タンパク質とリガンドとを、96スポットの各々から分離し、そして化合物および/または複合体のために質量スペクトルを生成する。本明細書において記載される情報システムによるデータ処理の後、リガンドの同一性およびその標的は、Chemical Array Databaseに入れられる。これらの方法のいずれかは、384ウェル、1536ウェル、チップベース、または他の形式で行われ得る。同様に、データのいずれかがIDBS Activity BaseまたはPrice Waterhouseに基づく研究室情報管理システム(LIMS)、あるいは他のLIMSソフトウェア/システムを用いて入れられ得、そして管理され得る。
類似の方法が、他の一過性発現ベースの生成系(HEK293細胞、CHO細胞またはCOS細胞を含むがそれらに限定されない)に適用され得る。あるいは、他の自動化または半自動化の生成システムが使用され得る(例えば、ローラーボトルシステム、Stirタンクシステム(例えば、New Brunswick からのCelligen Plus)、またはキャピラリー細胞培養システム(Amicon))。別の実施形態において、半自動化プロセス(例えば、New Brunswickからの1Lまたはより大きなバイオリアクター)を用いて、ベクターのpCDNAファミリー(Invitrogen)に基づいて上記されるように構築された発現構築物で一過的にトランスフェクトされたHEK293細胞(Life Technologies)のような細胞を成長させる。一過的にトランスフェクトされたCHO細胞もまた使用され得る。これらの細胞型におけるトランスフェクションは、Lipofectamine 2000(Life Technologies)を用いて効率よく達成され得る。代替的な実施形態において、他のトランスフェクション戦略が用いられる(例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム、Lipofectin、Lipofectamine Plus(Life Technologies)または他の標準的な技法)。これらの細胞は、標準的な方法を用いて血清ありまたは無血清の形態で、DMEMまたは他の標準的な培地中で増殖される。さらに、代替的な発現ベクター(例えば、Invitrogenまたは他のベクター会社のカタログ、科学文献に示されている種々の細胞株について適切なベクターあるいは当業者に明らかなベクター)が使用され得る。
半自動化トランスフェクション、1週間あたり600のタンパク質のタンパク質生成および精製(各々2〜4mg)のための例示的な方法において、CHO細胞またはHEK293細胞が使用される。特に、CHO細胞(例えば、T抗原で安定にトランスフェクトされたCHO−F株)または293細胞が2.2Lバイオリアクター(New Brunswick)またはバッグ(Wave System)中で1.4Lの容量、あるいは大容量容器(例えば、5.5Lまたは10.5Lの容器)へと懸濁培養中で増殖される。これらの細胞は、静置させるかまたは遠心分離によってペレット化される。あるいは、HEK293細胞またはCHO細胞は、コンフルエント細胞として増殖され(例えば、半自動化Cell Mateを用いて増殖される)、そしてLipofectamine 2000がトランスフェクション薬剤として用いられる。培地は一過的に除去され、そして細胞が、標準的な方法(例えば、Invitrogenプロトコル)を用いて60mL容量中で発現構築物およびDIMRIE−C試薬でトランスフェクトされる。この培地は、バイオリアクターまたはバッグに戻され、そしてその細胞が培養される。2−3日後、上清が採取される。このタンパク質は、Drosophila細胞を用いて、タンパク質生成方法について上記されるように分析および精製される。大規模タンパク質生成のために、1システムあたり4つの容器を備える150 BioFlow 110 Bioreactor Systems(New Brunswick)が用いられ得る。哺乳動物細胞(約1mg/L)は、昆虫細胞(約1mg/L)よりも少ないタンパク質を生成することから、2−4Lの培養物を用いて2−4mgのタンパク質が生成される。
所望される場合、クローン選択工程を行い得、安定なプロデューサー細胞株ベースの生成システム(例えば、CHOまたはE.coliベースのシステム)が生じ得る。例示的なクローン選択工程は、マルチウェル形式で選択抗生物質(例えば、Geneticin)の存在下で細胞を増殖させて発現ベクターを含むようである細胞を選択する工程、ついで標準的なELISAアッセイまたは他の標準的なアッセイを用いて分泌されるタンパク質の存在について、各々のウェルをチェックしてタンパク質中に存在するhisタグを検出する工程を包含する。
さらに、ハイスループット生成およびスクリーニングの技法が、本発明の方法のいずれかについて使用され得る。例えば、任意の結合アッセイ(チップ、フィルター、放射能標識、蛍光、表面プラズモン共鳴など)、生成方法(例えば、CHO、HEK293、Cosのような哺乳動物細胞;Drosophilaのような昆虫細胞、E.coliのような細菌細胞またはpichiaのような酵母)、生成システム(例えば、バイオリアクター(BrandelによるNew Brunswickシステム)、フラスコベース、細胞キューブ、表面結合、懸濁培養、血清含有培地または無血清培地)、および任意の精製方法(HISタグ/ニッケルカラム、GST/グルタチオン、インテイン、または他のアフィニティーカラム)が用いられ得る。これらの自動化および/またはハイスループットの方法のいずれかが、並行して実行する多重システム(例えば、多重ロボットシステム(例えば、Automation Partnershipからの多重SelecTロボット))を用いて行うことができる。例えば、2、2、4、5、6、8、10、10、10、10、10、10、またはそれより多い標的を、並行してアッセイして、標的を結合するリガンドを選択することができる。同様に、2、5、10、10、10、10、10、10、10、10、もしくは10またはそれより多い目的の小分子を並行してアッセイして、小分子を結合する標的分子を選択することができる。GFF樹脂を有するカラムは、たった7分で再生され得ることから、多重アッセイはまた、アッセイ間でほとんどダウン時間を伴って同じカラムを用いて連続的に行われ得る。さらに、アッセイは、HPLC中のカラムに連続して注入することによって自動化され得る(図26)。
(11.1 膜タンパク質のハイスループット生成)
膜タンパク質の生成のために、Drosophila細胞において発現のためのpMT/V5 His−TOPOまたはCHO細胞もしくは293細胞における発現のためのpcDNA3.1D/V5−His−TOPOのような発現構築物が、分泌リーダー配列なしに使用され得るが、膜リーダー配列は少なくとも有さなければならない。cDNAが少なくとも1つの膜貫通ドメインをコードすることから膜タンパク質について必要であることはなさそうであるが、外来膜貫通ドメイン(例えば、PDGFR膜貫通ドメイン)が、膜への挿入を確実にするために、cDNAの3’末端に必要に応じて付加され得る。この膜貫通ドメインは、cDNAが全長A切断部位ではなく、目的の膜タンパク質をコードするcDNAの3’末端とV5−His(例えば、トロンビン、タバコエッチウイルスまたはインテインベースの自己切断部位)との間に挿入される場合に特に有用であり得る。これはまた、上記分泌されるタンパク質についてもなされ得る。これらのDrosophila細胞、CHO細胞または293細胞は、分泌タンパク質について上記されるように、トランスフェクトされそして培養される。この細胞は、ペレット化され、そしてTween 20(0.05%)を含む溶解緩衝液中にホモジナイズされる。ついで、この混合物を、上記されるように、遠心分離によって明澄化され、そしてニッケルアフィニティーカラムを用いて精製される。V5−Hisタグを切断によって除去し、そしてこのタンパク質をミセル中に組み込ませる。例えば、このタンパク質は、メタノール中に溶解され得、そしてドデシルホスホコリン(Avanti)とともにメタノール中に混合され得る。このメタノールをエバポレートし、そしてこの混合物を界面活性剤なしで水性緩衝液中に溶解する。ついで、このタンパク質を、上記されるような本発明の結合アッセイにおいて分析および使用される。Lahiriら(J.Amer.Chem.Society 118,2347−2358,1996)により記載されている方法もまた、これらの膜タンパク質を含むミセルへのリガンドの結合をアッセイするために用いられ得る。
(11.2 線状発現構築物のハイスループット生成)
線状の発現構築物を、目的のタンパク質の発現のために、環状ベクターの代わりに用いることができる。細菌中にトランスフェクトされ、複製および精製されることによってしばしば増幅される環状ベクターとは対照的に、線状発現構築物は、PCR増幅され得、そしてタンパク質発現のために用いられる細胞(例えば、Drosophila細胞)中に直接トランスフェクトされ得る。図22に例示されているように、線状発現構築物は、プロモーターおよび必要に応じて分泌配列またはリーダー配列を含むトポイソメラーゼ標識された5’核酸と、目的のタンパク質をコードする核酸(例えば、cDNA)と、アフィニティータグ(例えば、ヘキサヒスチジンタグ)をコードする配列を含む3’核酸とポリAテイルとを反応させることによって生成される。膜タンパク質について、PDGFR膜貫通ドメインをコードする配列が、アフィニティータグをコードする配列の上流に挿入され得るか、またはこのドメインは、代替的に、そのcDNA中に存在し得る。好ましくは、5’成分は、そのcDNAが挿入された後にPCR増幅のための5’プライマー;発現のために使用される細胞型に適合するプロモーター;必要に応じて、分泌されるべきタンパク質、内部タンパク質または膜タンパク質を標的化するためのリーダー配列;およびTOPO配列を含む。好ましくは、3’成分は、3’TOPO配列、Hisタグコード配列または標準化された精製のためのアフィニティータグをコードする別の配列、ポリA配列およびcDNA挿入後のPCR増幅のためのプライマーを含む。2つの遺伝子の発現のために、好ましくは第一3’TOPO配列、Hisタグコード配列またはタンパク質精製を容易にするための他の配列、ポリA配列、スペーサー、および発現のために使用されるべき細胞型のためのプロモーター、必要に応じたリーダーおよびTOPO配列を含む第三成分もまた使用される。これらの線状構築物の5’末端および3’末端の成分の例は、表4に列挙される。
Figure 2006506058
これらの線状発現構築物の生成のために、EcoRIのような制限酵素部位を含むポリリンカーが使用され得る。このポリリンカーは、任意数の制限酵素部位(EcoRI、BamHI、XbaI、SalI、HindIII、PvuII、XhoI、EcoRV、SacIおよびBglIIを含むがそれらに限定されない)を含み得る。あるいは、この構築物は、ポリリンカーなしで作製され得る(例えば、たった一つの制限酵素部位とともに作製され得る)。さらに、SV40プロモーター、RSVプロモーター、EF−1αプロモーター、ユビキチンプロモーターまたは他の任意のプロモーターが、CMVの代わりに置き換えられ得る。同様に、二重遺伝子発現構築物が、2つのプロモーター(例えば、CMVおよびEF−1α)を含む発現カセットを用いて構築され得る。構成的、誘導性、一過性、安定、表面、分泌または内部標的化された発現を可能にするためのプロモーターおよびリーダーが選択され得る。SV40 origin配列を含ませて、細胞株において発現されるSV40 T抗原の存在下での増幅を可能にさせることができる。他のorigin(EBV oriPを含むがそれらに限定されない)が代替的に使用され得る。これらの構築物は、線状要素として、またはプラスミドの一部としてのいずれかで、標準的な分子生物学的技法を用いて生産され得、引き続き制限酵素消化もしくはPCR増幅によって放出される。これらの要素の各々は、100ヌクレオチド長未満の要素のためのオリゴマーとして合成され得、制限消化、PCR増幅または他の技法によってプラスミド(例えば、PMT/BiP/V5−His A、B、CまたはpCDNA3.1、Invitrogenを含むがそれらに限定されない)から単離され得、そして個々の成分またはグループとして、標準的な分子生物学的技法を用いて連続的に連結され得る。プラスミドからの5’要素のPCR増幅の場合において、プロモーターのプライマー上流およびプロモーターの下流の第二プライマー(例えば、好ましくは、トポイソメラーゼに対する適合のためのCCCTT配列および直接のクローニングのためのGTGG配列もしくは他の配列、以下を参照のこと、を含む)およびリーダーが使用され得る。3’要素のPCR増幅の場合において、V5−Hisのプライマー上流または少なくともポリA(例えば、好ましくは、トポイソメラーゼでの適合のためにCCCTT配列を含む)、およびそのポリAシグナルもしくはそのOriの下流の第二プライマーが用いられ得る。当業者に公知の代替の構築方法もまた使用され得る。
一旦これらの構築物が作製されると、EcoRI部位が切断され、そして5’末端および3’末端の両方にてDNAの3’鎖がCCCTT配列を伴ってPCR伸長される。あるいは、CCCTT配列を含むオリゴを、標準的な分子生物学的技法で挿入し得、そして切断し得る。あるいは、AまたはTを含む、これらの配列の他のわずかな改変を使用することができる。ついで、これらの3’鎖はトポイソメラーゼ(TOPO;ワクシニアトポイソメラーゼIσ)を用いてトポイソメラーゼIのチロシン274とDNA配列における3’Tとの間の共有結合DNA(3’ホスホチロシル)タンパク質付加物を生成するよう適合させる。この反応は、3’CCCTTトポイソメラーゼ配列を含むピコモルレベルのDNAと、トポイソメラーゼとを、pH8で50mM Tris中で5倍過剰のトポイソメラーゼにて(例えば、0.2pmol二重鎖DNAに対して1pmolトポイソメラーゼ)、Sekiguchiら(J.Biol.Chem.272:15721−15728,1997)の方法を用いて混合することによって行うことができる。5’末端および3’末端は、その線状形態におけるこの様式で改変され得るかまたは制限部位を有するプラスミドに付着され得、これにより、トポイソメラーゼを用いて標識された後に、そのプラスミドからのその放出を可能にする。
これらの構築物は、単一のNまたは二重のNのいずれかをCCCTTトポイソメラーゼ配列の上流の5’鎖に付加することによって、PCR増幅された成分を改変することによって3つのすべてのリーディングフレームにおいて作製される。連結を行うために、各々のcDNAをPCR増幅して各々の鎖に5’Aを含ませ、これは、トポイソメラーゼ配列において3’Tに対して相補的であり、そして線状TOPO試薬と混合される。5’および3’の方向において指向された連結のために、cDNAは、CACCを有する5’末端におけるプライマーを用いてPCR増幅し、そしてベクターの5’末端をTOPO標識の前にPCR増幅することによって5’および3’の末端においてGTGGを用いて改変される。平滑末端または指向された連結を行うための他の配列を含む末端もまた使用され得る。この場合において、3’末端は、(i)プルーフリーディングポリメラーゼを用いることによってcDNAおよび3’末端発現構築物の両方において平滑末端されるか、または(ii)それらは上記の通りであるかのいずれかである。連結は、高信頼性のポリメラーゼ(0.5U Pst)を用いて行われ得る。ついで、構築物全体を、細胞株中へのトランスフェクションのために線状DNAを迅速に生じる5’末端および3’末端における2つのプライマーを用いてPCR増幅させ、そして細菌増殖を必要としない。従って、この方法は、容易に自動化される。線状DNAは代表的に、染色体DNAに組み込まれ、そしてトランスフェクトされた細胞によって発現される。必要に応じて、PCRプライマー遠位末端を環状形態へと連結させて、トランスアクチベータ(例えば、SV40 oriの場合にはT抗原)を発現する細胞株へのトランスフェクション後でのOriginベース(例えば、SV40または別のori)増幅を容易にすることができる。これらの構築物は、一過性または安定なトランスフェクションのために用いられ得る。
SV40 T抗原を発現するプラスミドでのCHO−F株(Life Technologies)のトランスフェクションは、安定なタンパク質生成のために古典的な哺乳動物細胞株であるこれらの細胞株をSV40またはCMVベースのプロモーターを有する高レベルの一過性発現のために適切な細胞株へと適合させる。あるいは、それがすでに発現されていない場合、293細胞は、ラージTでトランスフェクトされ得る。プラスミドのためのエプスタインバーウイルスからのEBNA1のような他のウイルスタンパク質、またはEBV Ori−Pを含む線状の発現エレメントでCHO、293または他の細胞株をトランスフェクトさせることを含む、代替的な増幅システムが用いられ得る。この細胞株はまた、翻訳後改変に関与する酵素(グリコシル化に関与する酵素(例えば、フコシルトランスフェラーゼ7)を含むがそれに限定されない)をコードする遺伝子でトランスフェクトされ得る。そのような細胞株は、病理学/生理学または病理学に関連する具体的な細胞型において存在し得る別の翻訳後改変を伴う標的を生成する。本発明の線状の構築物でトランスフェクトされ得る細胞の他の例としては、例えば、細菌(例えば、E.coli)、昆虫細胞(例えば、Drosophila細胞)または哺乳動物細胞(例えば、Cos、HEK293またはCHO細胞)が挙げられる。
(他の実施形態)
上記記載から、変更および改変は、本明細書に記載される本発明に対して行って、本発明を、種々の用途および条件へと適用させることができることは明らかである。そのような実施形態もまた、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
種々の刊行物および特許出願が本明細書において引用され、その内容は、各々の独立した刊行物または特許出願が、具体的および個々に、参考として援用されることが指示されているのと同じ程度にその全体が、参考として本明細書において援用される。
図1は、「遺伝子型から表現型への」アプローチの概要である。 図2は、「表現型から遺伝子型への」アプローチの概要である。 図3は、P38 MAPキナーゼがマイクロモル濃度の親和性を有する特異的リガンドを単離および抽出する能力を図示するスペクトルセットである。 図4は、遊離化合物からのタンパク質結合化合物のHPLC分離における、キニンピークの無視し得る減少を除いては、86002ピークのP38 MAPキナーゼ濃度依存性減少を図示するUVスペクトルセットである。 図5は、混合物から抽出されてp38 MAPキナーゼから放出された化合物が86002と同定されたことを図示する質量スペクトルセットである。 図6は、10化合物混合物中の化合物およびそれらの分子量のリストである。 図7は、遊離化合物からのタンパク質結合化合物のHPLC分離の間の混合物中の他の化合物を提示するコルヒチンピークの無視し得る減少を除いては、86002ピークのP38濃度依存性減少を実証する、スペクトルセットである。タンパク質画分を収集して質量スペクトルを決定したところ、このスペクトルは、86002に特有のピークを、他のピークよりはるかに高いレベルで含んだ。 図8は、遊離化合物からのタンパク質結合化合物のHPLC分離の間の混合物中の他の化合物を表す、86002ピークの無視し得る減少以外はコルヒチンピークのチューブリン濃度依存性減少を図示する、スペクトルセットである。このタンパク質画分を収集して質量スペクトルを決定したところ、このスペクトルは、コルヒチンに特有のピークを、他のピークよりも高いレベルで含んだ。 図9は、100化合物混合物中の化合物およびそれらの分子量のリストである。 図10は、P38 MAPキナーゼが、マイクロモル濃度の親和性を有するリガンド(86002)と結合して、特異的かつ濃度依存的様式で100化合物混合物からこのリガンドを抽出することを図示する、スペクトルセットである。 図11は、チューブリンがヒット(コルヒチン)を結合して、特異的かつ濃度依存的な様式で100化合物混合物からこのヒットを抽出することを図示する、スペクトルセットである。 図12は、100化合物混合物中の未結合化合物からのタンパク質標的の優れた分離がまたより多い流量で達成されることを図示する、UVスペクトルセットである。 図13は、スピンカラムが、タンパク質標的に結合した化合物を未結合化合物から分離する能力を図示する、スペクトルセットである。この方法は、チューブリンを結合した100化合物混合物から、コルヒチンを優位な化合物と同定するために用いられた。 図14は、化学的アレイアッセイの1つの実施形態における工程の概略図である。 図15は、例示的コンピュータの概略図である。 図16は、サンプル中の化合物を同定するための本発明の1つの実施形態についての例示的フローチャートである。 図17は、化学的足場と、ヒトプロテオームの化学的フィンガープリントを生成するために用いられ得るタンパク質標的との組合せを図示するグラフである。本発明の結合アッセイおよびデータベースは、多くの適用を有する。例えば、これらは、標的についての足場の特異性を決定するため、潜在的毒性を決定するため、特定の生物学または病理をプローブするための化合物を同定するため、標的をプローブするための化合物を同定するため、ミニSARを実施するため、特定の化合物の作用を担う標的を選択するため、生成物についてのポートフォリオおよび特許の寿命を延ばす「若返り」のため(例えば、特許された化合物についての他の用途を同定すること、特許された化合物が結合する他の標的分子を同定すること、または有用な標的を結合する他の化合物を同定すること)、薬理遺伝学に基づいて化合物を選択すること、または薬物の最適化のためのリードとして役立つ足場を選択することに用いられ得る。プロテオームスケールでの標的との化学的相互作用のデータベースにおける知識は、より良好なリードの選択およびゲノミクスに基づく標的の確認を可能にする。 図18は、リガンド/標的対を生成する本発明の方法の自動化およびハイスループットのための1つの実施形態の概略図である。 図19は、1週間あたり約600個のタンパク質の速度での、約3年の期間にわたる、自動化クローニングおよび生成系を用いた、ヒトプロテオーム中の各々約2ミリグラムの約90,000個のタンパク質のハイスループット生成についての1つの実施形態の概略図である。 図20は、発現ベクターの生成についての本発明のハイスループット法に関与する工程の概略図である。 図21は、Drosophila細胞中で標準的方法を用いて適切な翻訳改変を有して生成された例示的タンパク質の表である。 図22は、直鎖状発現ベクターの作製のための本発明のハイスループット法(例えば、約2時間)に関与する工程の概略図である。 図23は、目的の標的分子についての高親和性リガンドを同定するための本発明のハイスループット法に関与する工程の概略図である。化合物のライブラリーおよび標的分子は、本明細書中に記載される結合アッセイのうちの1つに適用され、そして最大の親和性の化合物が選択される。スクリーニングライブラリーに対して最初にバイアスをかけることは必要でない。なぜなら、多数の足場が、高親和性化合物を見出すためにスクリーニングされ得、これらの多くは、このような高親和性を有して結合すると予想されていないかもしれないからである。標的に対してさらにより高い親和性を有する化合物は、選択された化合物を標的分子の存在下で互いに反応させることにより、作製され得る。互いに反応するが標的分子に結合した化合物は、標的分子と相互作用する生成物中のより多数の官能基に起因して、この標的分子についての親和性が増大した生成物を形成し得る。この標的分子について最大の親和性を有する生成物は、本明細書中に記載される結合アッセイのうちの1つを用いて選択され得る。従って、この結合アッセイの前での、伝統的方法を用いた生成物の事前の化学的精製の必要性は存在しない。 図24は、反応性基を有する構築ブロック(例えば、結合アッセイから同定された低分子または化合物のライブラリー由来の低分子)の、標的タンパク質への結合の概略図である。これらの構築ブロックは、タンパク質の表面で反応して、そのタンパク質に対するより高い親和性を有する生成物を生じる。 図25は、反応性基を有さない構築ブロック(例えば、結合アッセイから同定された低分子または化合物のライブラリー由来の低分子)の、標的タンパク質への結合の概略図である。これらの構築ブロックは、タンパク質の表面で反応して、そのタンパク質に対するより高い親和性を有する生成物を生じる。 図26は、複数のサンプルを一度に注入およびアッセイすることによる、並行プロセシングの概略図である。 図27は、本発明の線状DNA構築物の使用のための、例示的な配列のリスト(配列番号1〜9を含む)である。 図27の続きである。 図27の続きである。 図27の続きである。 図27の続きである。

Claims (141)

  1. 標的分子に結合する候補リガンドを選択するための方法であって、該方法は:
    (a)標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドのライブラリーと、該標的分子と1またはそれより多い該候補リガンドとの間の複合体の形成を可能にする条件下で接触させる工程であって、該ライブラリーは、少なくとも2つの異なる化学スキャフォールドを含むかまたは少なくとも11の異なる化合物を含む、工程;
    (b)該複合体を単離する工程;
    (c)該複合体から1またはそれより多い該候補リガンドを回収する工程;および
    (d)1またはそれより多い回収された候補リガンドを同定する工程
    を包含する、方法。
  2. 前記工程(d)は、前記回収された候補リガンドのMS、IR、FITR、NMRおよび/またはUVスペクトルを決定することを包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 少なくとも100の異なる候補リガンドが、前記標的分子と同時に接触される、請求項1に記載の方法。
  4. 標的分子に結合する候補リガンドを選択するための方法であって、該方法は:
    (a)標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドのライブラリーと、該標的分子と1またはそれより多い該候補リガンドとの間の複合体の形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該複合体を単離する工程;
    (c)該複合体から1またはそれより多い該候補リガンドを回収する工程;および
    (d)回収された候補リガンドの質量スペクトルにおける同位体またはフラグメントピークの質量対荷電比率を決定することによって、該回収された候補リガンドを同定する工程
    を包含する、方法。
  5. 少なくとも100の異なる候補リガンドが、前記標的分子と同時に接触される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記工程(d)は、前記回収された候補リガンドの前記質量スペクトルにおいて親ピークの質量対荷電比率を決定することをさらに包含する、請求項4に記載の方法。
  7. 標的分子に結合する候補リガンドを選択するための方法であって、該方法は:
    (a)未知の生物学的機能の標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドのライブラリーと、該標的分子と1またはそれより多い該候補リガンドとの間の複合体の形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該複合体を単離する工程;
    (c)該複合体から1またはそれより多い該候補リガンドを回収する工程;および
    (d)該回収された候補リガンドのMS、IR、FTIR、NMRおよび/またはUVスペクトルを決定することによって、該回収された候補リガンドを同定する工程
    を包含する、方法。
  8. 少なくとも100の異なる候補リガンドが、前記標的分子と同時に接触される、請求項7に記載の方法。
  9. 標的分子に結合する候補リガンドを選択するための方法であって、該方法は:
    (a)標的分子を含むインビトロサンプルを、1またはそれより多い候補リガンドと、該標的分子と1またはそれより多い該候補リガンドとの間の複合体の形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該複合体を単離する工程;
    (c)該複合体から1またはそれより多い該候補リガンドを回収する工程;および
    (d)該回収された候補リガンドのIR、FITR、NMRおよび/またはUVスペクトルを決定することによって、該回収された候補リガンドを同定する工程
    を包含する、方法。
  10. 少なくとも100の異なる候補リガンドが、前記標的分子と同時に接触される、請求項9に記載の方法。
  11. 標的分子に結合する候補リガンドを選択するための方法であって、該方法は:
    (a)第一標的分子および第二標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドのライブラリーと、該第一標的分子と1またはそれより多い該候補リガンドとの間の複合体の形成を可能にし、かつ、該第二標的分子と1またはそれより多い該候補リガンドとの間の複合体の形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)候補リガンドに結合した該第一標的分子を含む第一複合体、および候補リガンドに結合した該第二標的分子を含む第二複合体を単離する工程;
    (c)該第一複合体および/または該第二複合体から1またはそれより多い該候補リガンドを回収する工程;および
    (d)1またはそれより多い回収された候補リガンドを同定する工程
    を包含する、方法
  12. 前記標的分子、前記第一標的分子または前記第二標的分子と結合することが知られているコンペティターリガンドと前記サンプルとを接触させる工程をさらに包含する、請求項11に記載の方法。
  13. 標的分子の生物学的機能を決定するための方法であって、該方法は:
    (a)未知の生物学的機能の標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドのライブラリーと、1またはそれより多い該候補リガンドとが該標的分子と結合することを可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該標的分子を結合する候補リガンドを選択する工程;および
    (c)生物学的アッセイにおいて該選択された候補リガンドの効果を測定することによって、該標的分子の該生物学的機能を決定する工程
    を包含する、方法。
  14. 前記選択された候補リガンドを同定する工程をさらに包含する、請求項13に記載の方法。
  15. 標的分子の生物学的機能を決定するための方法であって、該方法は:
    (a)疾患状態において、生理学的刺激の存在下で、または特定の細胞プロセスもしくは生物学的プロセスの間においてアップレギュレートまたはダウンレギュレートされる標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドのライブラリーと、1またはそれより多い該候補リガンドが、該標的分子と結合することを可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該標的分子を結合する候補リガンドを選択する工程;および
    (c)該選択された候補リガンドの効果を生物学的アッセイにおいて測定することによって該標的分子の該生物学的機能を決定する工程
    を包含する、方法。
  16. 前記選択された候補リガンドを同定する工程をさらに包含する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記選択された候補リガンドが前記生物学的アッセイにおいて前記標的分子の活性を増大させる、請求項15に記載の方法。
  18. 前記選択された候補リガンドが前記生物学的アッセイにおいて前記標的分子の活性を減少させる、請求項15に記載の方法。
  19. 標的分子の生物学的機能を決定するための方法であって、該方法は:
    (a)標的分子を含むインビトロサンプルと、候補リガンドのライブラリーとを、1またはそれより多い該候補リガンドが該標的分子と結合することを可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該標的分子を結合する候補リガンドを選択する工程;および
    (c)疾患もしくは障害を有するか、あるいは生理学的刺激の存在下または不存在下で、特定の細胞プロセスもしくは生物学的プロセスを受ける生物に由来する組織に対する、該選択された候補リガンドの効果を測定することによって、該標的分子の生物学的活性を決定する工程
    を包含する、方法。
  20. 前記組織がヒト組織である、請求項19に記載の方法。
  21. 目的の標的分子を結合する2またはそれより多いリガンドを反応させるための方法であって、該方法は:
    未知の二次構造または三次構造の標的分子を含む細胞もしくはインビトロサンプルと、第一クロスリンカーを含む第一リガンドおよび第二リガンドとを、該第一リガンドおよび該第二リガンドと該標的分子との結合を可能にし、かつ、該第二リガンドと該第一クロスリンカーとが共有結合することを可能にする条件下で接触させることによって、該第一リガンドおよび該第二リガンドを含むクロスリンクした生成物を生成する工程を包含する、
    方法。
  22. 目的の標的分子を結合する2またはそれより多いリガンドを反応させるための方法であって、該方法は:
    第一クロスリンカーを含む第一リガンドおよび第二リガンドと、標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルとを接触する工程であって、該第一リガンドまたは該第二リガンドについての該標的分子における該結合部位の位置または三次構造は未知であり、そして該接触を、該標的分子と、該第一リガンドおよび該第二リガンドとの結合を可能にし、かつ該第一クロスリンカーと第二リガンドとの共有結合を可能にする条件下で行うことによって、該第一リガンドおよび該第二リガンドを含むクロスリンク生成物を生成する、工程を包含する、
    方法。
  23. 目的の標的分子を結合する2またはそれより多いリガンドを反応させるための方法であって、該方法は:
    標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルと、第一リガンドおよび第二リガンドを接触させる工程であって、該接触は、該標的分子が該第一リガンドおよび該第二リガンドに結合することを可能にし、かつ、該第一リガンドが該第二リガンドと共有結合することを可能にする条件下で行うことによって、該標的分子に対する該第一リガンドまたは該第二リガンドのアフィニティーよりも高い、該標的分子に対するアフィニティーを有する、該第一リガンドおよび該第二リガンドを含む生成物を生成する工程
    を包含する、方法。
  24. 異なる標的分子を結合する2つのリガンドを反応させるための方法であって、該方法は:
    第一標的分子および第二標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルと、第一リガンドおよび第二リガンドとを接触させる工程であって、該接触は、以下の条件:(i)該第一タンパク質と該第一リガンドとの結合を可能にする条件;(ii)該第二タンパク質と該第二リガンドとの結合を可能にする条件;および(iii)該第一リガンドを、該第二リガンドに共有結合させることによって該第一リガンドおよび該第二リガンドを含む生成物を生成する条件で行い、そして該第一リガンドについて該第一標的分子において該結合部位の位置または三次構造および/または該第二リガンドについての該第二標的分子における該結合部位の位置または三次構造が、未知である、工程
    を包含する、方法。
  25. 前記生成物の生成は、前記第一タンパク質および前記第二タンパク質が、インビボで相互作用することを示す、請求項24に記載の方法。
  26. 第一タンパク質を結合する第二タンパク質を単離するための方法であって、該方法は:
    (a)第一タンパク質および第二タンパク質を含む細胞またはインビトロサンプルと、第一リガンドを含む第一リガンドおよび第二リガンドとを、以下の条件:(i)該第一タンパク質と該第一リガンドとの結合を可能にする条件;(ii)該第二タンパク質と該第二リガンドとの結合を可能にする条件;および(iii)該第一リガンドを、該第二リガンドに共有結合させることによって該第一リガンドおよび該第二リガンドを含む生成物を生成する条件下で接触させ、そして該生成物、第一タンパク質および第二タンパク質を含む複合体を生成させる工程;
    (b)該複合体を単離する工程;および
    (c)該複合体における該第一タンパク質および/または該第二タンパク質か、または該複合体から回収される該第一タンパク質および/または該第二タンパク質を同定する工程
    を包含する、方法。
  27. 前記第一タンパク質が検出可能な基を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記第二リガンドがクロスリンカーを含む、請求項26に記載の方法。
  29. 前記生成物の生成は、前記第一タンパク質および前記第二タンパク質がインビボで相互作用することを示す、請求項26に記載の方法。
  30. 前記標的分子に対する前記生成物の前記アフィニティーが、前記標的分子に対する前記第一リガンドまたは前記第二リガンドの前記アフィニティーよりも高い、請求項26に記載の方法。
  31. 前記生成物は、薬物探索もしくは薬物開発またはリード最適化に用いられる、請求項26に記載の方法。
  32. 前記生成物は、農業上の薬剤または環境上の薬剤の開発において使用される、請求項26に記載の方法。
  33. 目的の小分子を結合する候補標的分子を選択するための方法であって、該方法は:
    (a)アミノ酸以外の部分を有するかまたは4000ダルトン未満の分子量を有する目的の小分子を含むインビトロサンプルに、候補標的分子のライブラリーを、該目的の小分子と1またはそれより多い該候補標的分子との間の複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程であって、該標的分子がファージの表面上で発現されていない、工程;
    (b)該複合体を単離する工程;および
    (c)1またはそれより多い該候補標的分子を該複合体から回収することによって、該目的の小分子を結合する1またはそれより多い候補標的分子を選択する工程
    を包含する、方法。
  34. 前記工程(a)の前に、前記目的の小分子が生物学的アッセイにおいて、その効果に基づいて小分子のライブラリーから選択される、請求項33に記載の方法。
  35. 目的の小分子を結合する標的タンパク質を選択するための方法であって、該方法は:
    (a)表面タンパク質に共有結合した標的タンパク質を含むタンパク質融合物を、細胞の集団において発現させる工程であって、該発現は、該細胞の該表面上で該タンパク質融合物のディスプレイを可能にする条件下で実行される、工程;
    (b)アミノ酸以外の部分を有するかまたは4000ダルトン未満の分子量を有する目的の小分子に該細胞を接触させる工程;および
    (c)該目的の小分子を結合する該細胞を選択することによって、該目的の小分子を結合する該標的タンパク質を選択する工程
    を包含する、方法。
  36. 前記細胞は、哺乳動物細胞、細菌細胞、酵母細胞または昆虫細胞である、請求項35に記載の方法。
  37. 目的の小分子を結合する標的タンパク質を選択するための方法であって、該方法は:
    (a)表面タンパク質に共有結合した標的タンパク質を含むタンパク質融合物を、細胞の集合において発現させる工程であって、該発現は、ウイルスに感染した該細胞から放出される該ウイルスの表面において該タンパク質融合物のディスプレイを可能にする条件下で行われる、工程;
    (b)目的の小分子に該ウイルスを接触させる工程であって、該目的の小分子は、(i)核酸であるか、(ii)炭水化物であるか、(iii)脂質であるか、(iv)アミノ酸以外の部分を有するか、(v)750ダルトン未満の分子量を有するか、または(vi)細菌によって天然に生成される分子ではない、工程;および
    (c)該目的の小分子を結合する該ウイルスを選択することによって、該目的の小分子を結合する該標的タンパク質を選択する工程
    を包含する、方法。
  38. 前記ウイルスは、バクテリオファージまたはアデノウイルスである、請求項37に記載の方法。
  39. 目的の小分子を結合する標的タンパク質を選択するための方法であって、該方法は:
    (a)標的タンパク質のライブラリーを、細胞の集団またはインビトロサンプルにおいて発現させる工程であって、該標的タンパク質の各々を、該標的タンパク質をコードする核酸に共有結合させる、工程;
    (b)アミノ酸以外の部分を有するか、または4000ダルトン未満の分子量を有する目的の小分子に、該細胞またはインビトロサンプルを接触させる工程;および
    (c)該目的の小分子を結合する該標的タンパク質を選択する工程
    を包含する、方法。
  40. 前記選択された標的タンパク質を同定する工程をさらに包含する、請求項39に記載の方法。
  41. 前記目的の小分子に少なくとも100のヒト標的タンパク質が接触される、請求項39に記載の方法。
  42. 前記目的の小分子は、天然に存在しない分子である、請求項39に記載の方法。
  43. 標的分子を結合するかまたは該標的分子の活性を調節する候補化合物を、該標的分子の薬物標的としての確認の前に、選択するための方法であって、該方法は:
    (a)薬物標的として以前に確認されていない標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルに、候補化合物のライブラリーを、1またはそれより多い該候補化合物が該標的分子を結合または該標的分子の該活性を調節することを可能にする条件下で、接触させる工程;および
    (b)該標的分子を結合するか、または該標的分子の該活性を調節する候補化合物を選択する工程
    を包含する、方法。
  44. 前記ライブラリーは、少なくとも5つの候補化合物を含む、請求項43に記載の方法。
  45. さらに、生物学的アッセイにおいて、前記選択された候補化合物の該効果を測定することによって、前記標的分子の前記生物学的機能を決定する工程(c)を包含する、請求項43に記載の方法。
  46. 標的分子を結合するかまたは該標的分子の活性を調節する候補化合物を選択するための方法であって、該方法は:
    (a)第一標的分子および第二標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルに、候補化合物のライブラリーを、1もしくは複数の該候補化合物が該第一標的分子を結合するかもしくは該第一標的分子の活性を調節することを可能にするか、または1もしくは複数の該候補化合物が該第二標的分子を結合するかもしくは該第二標的分子の活性を調節することを可能にする条件下で、接触させる工程;
    (b)該第一標的分子を結合するかまたは該第一標的分子の活性を調節する候補化合物を選択する工程;および
    (c)該第二標的分子を結合するかまたは該第二標的分子の活性を調節する候補化合物を選択する工程
    を包含する、方法。

  47. 前記細胞またはインビトロサンプルは、少なくとも5つの標的分子を含み、そして該標的分子の各々について、該標的分子を結合するかまたは該標的分子の活性を調節する候補化合物が選択される、請求項46に記載の方法。
  48. 標的分子の少なくとも10個の記録を含む電子データベースであって、該記録は、リガンド、および該標的分子を結合するかまたは該標的分子の活性を調節する該リガンドの能力の記録に関連づけられている、電子データベース。
  49. 生物のプロテオーム中のタンパク質の少なくとも0.5%についての記録を含む、請求項48に記載のデータベース。
  50. 標的分子ドメインの少なくとも10の記録を含む電子データベースであって、該記録は、リガンド、および該ドメインを結合する該リガンドの能力の記録と関連づけられている、電子データベース。
  51. 以前に薬物標的として確認されていない標的分子の複数の記録を含む電子データベースであって、該記録は、リガンド、および該標的分子を結合するかまたは該標的分子の活性を調節する該リガンドの能力の記録と関連づけられている、電子データベース。
  52. 請求項48、50または51に記載のデータベース、およびユーザフェースを備える、コンピュータであって、該ユーザインタフェースは、
    (i)標的分子を結合するかまたは標的分子の活性を調節する1またはそれより多いリガンドを表示する能力を有し、ここで、該標的分子の記録が該コンピュータ中に格納され、または
    (ii)リガンドを結合するかまたはリガンドによって調節される活性を有する1またはそれより多い標的分子を表示する能力を有し、ここで、該リガンドの記録が該コンピュータ中に格納される、
    コンピュータ。
  53. 少なくとも1000の化合物の記録を含む電子データベースであって、該記録は、該化合物によって実施される1またはそれより多い生物学的アッセイにおける表現型の記録に関連づけられ;ここで、該生物学的アッセイは、該化合物を結合するタンパク質をコードする核酸の外来コピーを含まない、細胞またはインビトロサンプルを含む、電子データベース。
  54. 請求項53に記載のデータベースおよびユーザインタフェースを備えるコンピュータであって、該ユーザインタフェースは、
    (i)化合物についての1またはそれより多い生物学的アッセイにおける1またはそれより多い表現型を表示する能力を有し、ここで、該化合物の記録が該コンピュータに格納され、または
    (ii)表現型を実行する1またはそれより多い化合物を表示する能力を有し、該表現型の記録が該コンピュータに格納される、
    コンピュータ。
  55. 標的分子の少なくとも10の記録を含む、電子データベースであって、該記録は、該標的分子の発現プロファイルまたは活性の記録と関連づけられている、電子データベース。
  56. 薬物標的として以前に確認されていない標的分子の複数の記録を含む電子データベースであって、該記録は、該標的分子の発現プロファイルまたは活性の記録に関連づけられている、電子データベース。
  57. 請求項55または56に記載のデータベースおよびユーザインタフェースを備えるコンピュータであって、該ユーザインタフェースは、
    (i)標的分子の1またはそれより多い発現プロファイルまたは活性を表示する能力を有し、該標的分子の記録が該コンピュータに格納されるか、または
    (ii)発現プロファイルまたは活性を有する1またはそれより多い標的分子を表示する能力を有し、該標的分子の記録が該コンピュータに格納される、
    コンピュータ。
  58. 目的の表現型に関連づけられる標的分子を同定する方法であって、該方法は:
    (a)生物学的アッセイにおいて表現型の複数の記録を含む第一電子データベースを提供する工程であって、該表現型の記録は、該リガンドおよび該表現型に寄与する該リガンドの能力の記録に関連づけられている、工程;
    (b)目的の表現型の選択を受け取る工程;
    (c)該目的の表現型を生じる第一のデータベース中の1またはそれより多いリガンドを同定する工程;
    (d)複数のリガンドの記録を含む第二電子データベースを提供する工程であって、該リガンドの記録は、該リガンドを結合するかまたは該リガンドによって調節される活性を有する該標的分子の記録と関連づけられている、工程;および
    (e)該目的の表現型を生じさせる該リガンド(単数または複数)を結合するかまたは該リガンド(単数または複数)によって調節される、該第二データベース中の1またはそれより多い標的分子を同定することによって、該目的の表現型に関連する1またはそれより多い標的分子を同定する工程
    を包含する、方法。
  59. 前記目的の表現型は、疾患状態に関連しており、そして前記標的分子は、該疾患状態を促進または阻害すると判定される、請求項58に記載の方法。
  60. 前記方法は、コンピュータで実行される、請求項58に記載の方法。
  61. 目的の標的分子に関連する表現型を同定する方法であって、該方法は:
    (a)複数の標的分子の記録を含む第一電子データベースを提供する工程であって、該標的分子の記録は、リガンドおよび該標的分子を結合するかまたは該標的分子の活性を調節する該リガンドの能力の記録に関連づけられている、工程;
    (b)目的の標的分子の選択を受け取る工程;
    (c)該目的の標的分子を結合するかまたは該目的の標的分子の活性を調節する、該第一データベース中の1またはそれより多いリガンドを同定する工程;
    (d)複数のリガンドの記録を含む第二電子データベースを提供する工程であって、該リガンドの記録は、該リガンドによって生じる、生物学的アッセイ中の表現型の記録と関連づけられている、工程;および
    (e)該リガンド(単数または複数)によって生じる、該第二データベース中の1またはそれより多い表現型を同定することによって、該目的の標的分子に関連する1またはそれより多い表現型を同定する工程
    を包含する、方法。
  62. 前記方法は、コンピュータによって実行される、請求項61に記載の方法。
  63. 目的の標的分子を結合するかまたは目的の標的分子の活性を調節するリガンドを同定する方法であって、該方法は:
    (a)少なくとも10の標的分子の記録を含む電子データベースを提供する工程であって、該標的分子の記録は、リガンドおよび該標的分子を結合するかまたは該標的分子の活性を調節する該リガンドの能力と関連づけられている、工程;
    (b)目的の標的分子の選択を受け取る工程;および
    (c)該目的の標的分子を結合するかまたは該目的の標的分子の活性を調節する、該データベース中の1またはそれより多いリガンドを同定する工程
    を包含する、方法。
  64. 前記リガンドは、薬物探索もしくは薬物開発またはリード最適化において使用される、請求項63に記載の方法。
  65. 前記リガンドは、農業上の薬剤または環境上の薬剤の開発において使用される、請求項63に記載の方法。
  66. 前記方法は、コンピュータで実行される、請求項63に記載の方法。
  67. 前記目的の標的分子を結合するかまたは前記目的の標的分子の活性を調節する、2またはそれより多いリガンドの化学構造を比較することによって、該目的の標的分子への結合または該目的の標的分子の調節を促進する該リガンド中の官能基を同定する工程をさらに包含する、請求項63に記載の方法。
  68. 前記目的の標的分子を結合するかまたは該目的の標的分子の活性を調節する、2またはそれより多いリガンドの化学構造を比較することによって、該リガンドの集合において1またはそれより多い官能基もしくはスキャフォルドの頻度を決定する工程をさらに包含する、請求項63に記載の方法。
  69. 前記リガンドの2またはそれより多い中に存在する1またはそれより多い官能基を有する1またはそれより多い化合物を生成する工程であって、該化合物は、薬物探索もしくは薬物開発またはリード最適化において用いられる工程をさらに包含する、請求項63に記載の方法。
  70. 目的のリガンドを結合するか、または目的のリガンドによって調節される活性を有する標的分子を同定する方法であって、該方法は:
    (a)少なくとも10のリガンドの記録を含む電子データベースを提供する工程であって、該リガンドの記録は、該リガンドを結合するかまたは該リガンドによって調節される活性を有する該標的分子の記録に関連づけられている、工程;
    (b)目的のリガンドの選択を受け取る工程;および
    (c)該目的のリガンドを結合するかまたは該目的のリガンドによって調節される活性を有する、該データベース中の1またはそれより多い分子を同定する工程
    を包含する、方法。
  71. 前記方法は、コンピュータによって実行される、請求項70に記載の方法。
  72. 目的のリガンドの選択性を決定する方法であって、該方法は、以下:
    (a)標的分子の少なくとも10の記録を含む電子データベースを提供する工程であって、該記録が、リガンドの記録および該標的分子に結合するかまたは該標的分子の活性を調節する能力と相関付けられている、工程;
    (b)目的のリガンドの選択を受信する工程;および
    (c)該リガンドによって結合されたかまたは調節された、該データベース中の標的分子の数を決定し、それにより該目的のリガンドの選択性を決定する工程、
    を包含する、方法。
  73. 前記方法、コンピュータで実行される、請求項72に記載の方法。
  74. 請求項72に記載の方法であって、前記リガンドが標的分子の活性を増大し、ここで該活性は、疾患状態、有害な副作用または毒性と関連し、該リガンドは、薬物の発見もしくは開発、またはリードの最適化から排除される、方法。
  75. 請求項72に記載の方法であって、前記リガンドが標的分子の活性を減少し、ここで該活性は、疾患状態、有害な副作用または毒性と関連し、該リガンドは、薬物の発見もしくは開発、またはリードの最適化のために選択される、方法。
  76. 疾患または障害の処置、安定化または予防のための、被験体の治療を選択する方法であって、該方法は、以下:
    (a)標的分子の少なくとも10の記録を含む電子データベースを提供する工程であって、該記録が、治療剤の記録および該標的分子に結合する該治療剤の能力または該標的分子の活性を調節する該治療剤の能力と相関付けられている、工程;
    (b)該疾患または状態と関連する変異を有する該被検体中の標的分子を決定する工程;および
    (c)該データベースから、該標的分子に結合するかまたは該標的分子の活性を調節する治療剤を選択し、それにより該疾患または障害を処置、安定化または予防する工程、
    を包含する、方法。
  77. 前記方法が、コンピュータで実行される、請求項75に記載の方法。
  78. 疾患または障害の処置、安定化または予防のための、被験体の治療を選択する方法であって、該方法は、以下:
    (a)標的分子の少なくとも10の記録を含む電子データベースを提供する工程であって、該記録は、治療剤の記録および該標的分子に結合する該治療剤の能力または該標的分子の活性を調節する該治療剤の能力と相関付けられている、工程;
    (b)該疾患または障害と関連する変異を有する該被検体中の標的分子を決定する工程;および
    (c)該データベースから、該標的分子に結合することも該標的分子の活性を調節することもない治療剤を選択する工程、
    を包含する、方法。
  79. 前記標的分子が、タンパク質である、請求項78に記載の方法。
  80. 前記標的分子が、核酸である、請求項78に記載の方法。
  81. 前記方法が、コンピュータで実行される、請求項78に記載の方法。
  82. 目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定する方法であって、該方法が、以下:
    (a)化合物のライブラリから2つ以上の化合物の基準質量スペクトルを提供する工程;
    (b)該ライブラリから1つ以上の化合物を含むサンプルの試験質量スペクトルを提供する工程;
    (c)基準質量スペクトルのピークが該試験質量スペクトルに含まれるか否かを決定し、それにより、該基準質量スペクトルを生成した化合物が該サンプル中に存在するか否かを決定する工程、
    を包含する、方法。
  83. 前記基準質量スペクトルが、前記試験質量スペクトル中のピークの全てが化合物に割り当てられるまで、連続的または同時に分析される、請求項82に記載の方法。
  84. 工程(c)が、前記1つ以上の基準質量スペクトルのピークが前記試験質量スペクトルに含まれるか否かを逐次決定する工程を包含する、請求項82に記載の方法。
  85. 請求項82に記載の方法であって、工程(c)が、以下:
    (i)前記基準質量スペクトル中のピークの全てが、前記試験質量スペクトル中に存在することが決定され、それにより該基準質量スペクトルを生成した化合物が前記サンプル中に存在することが決定されるまで;または
    (ii)該基準質量スペクトル中のピークが、該試験質量スペクトル中に存在しないことが決定され、それにより該基準質量スペクトルを生成した化合物が該サンプル中に存在しないことが決定されるまで、繰り返される、方法。
  86. 工程(a)が、前記ライブラリ中の各化合物の質量スペクトルを決定する工程を包含する、請求項82に記載の方法。
  87. 前記基準スペクトル中のピークの少なくとも1つが、同位体ピークまたはフラグメントピークである、請求項82に記載の方法。
  88. 前記基準スペクトル中のピークの少なくとも1つが、親ピークである、請求項82に記載の方法。
  89. 請求項82に記載の方法であって、前記基準質量スペクトルが、該質量スペクトルを生成した記録と相関付けられた質量スペクトルの1つ以上の特性の記録を含むデータベースに含まれる、方法。
  90. 工程(c)がコンピュータで実行される、請求項82に記載の方法。
  91. 目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定する方法であって、該方法が、以下:
    (a)化合物のライブラリから2つ以上の化合物の基準質量スペクトルを提供する工程;
    (b)該ライブラリから1つ以上の化合物を含むサンプルの試験質量スペクトルを提供する工程;
    (c)該試験質量スペクトルの1つ以上のピークが基準質量スペクトルに含まれるか否かを決定する工程;および
    (d)基準質量スペクトル中の該ピークの全てが該試験質量スペクトル中に存在するか否かを決定し、それにより該基準質量スペクトルを生成した化合物が該サンプル中に存在するか否かを決定する工程であって、ここで該基準質量スペクトルは、該試験質量スペクトル中に存在するピークを含む工程(c)からの基準質量スペクトルである、工程、
    を包含する、方法。
  92. 請求項91に記載の方法であって、工程(d)が、前記1つ以上の基準質量スペクトルのピークが前記試験質量スペクトルに含まれるか否かを逐次決定する工程を包含する、方法。
  93. 請求項91に記載の方法であって、工程(d)が、前記基準質量スペクトル中のピークが試験質量スペクトル中に存在するか否かを決定する工程を包含し、該決定する工程は、以下のいずれか:
    (i)該基準質量スペクトル中のピークの全てが、該試験質量スペクトル中に存在することが決定され、それにより該基準質量スペクトルを生成した化合物が該サンプル中に存在することが決定されるまで;または
    (ii)該基準質量スペクトル中のピークが、該試験質量スペクトル中に存在しないことが決定され、それにより該基準質量スペクトルを生成した化合物が該サンプル中に存在しないことが決定されるまで、繰り返される、方法。
  94. 工程(a)が、前記ライブラリ中の各化合物の質量スペクトルを決定する工程を包含する、請求項91に記載の方法。
  95. 前記基準スペクトル中のピークの少なくとも1つが、同位体ピークまたはフラグメントピークである、請求項91に記載の方法。
  96. 前記基準スペクトル中のピークの少なくとも1つが、親ピークである、請求項91に記載の方法。
  97. 請求項91に記載の方法であって、前記基準質量スペクトルが、該質量スペクトルを生成する記録に相関付けられた質量スペクトルの1つ以上の特性の記録を含むデータベースに含まれる、方法。
  98. 請求項97に記載の方法であって、前記特性が、同位体ピークの質量対電荷比、フラグメントピークの質量対電荷比、親ピークの質量対電荷比およびピークの強度からなる群から選択される、方法。
  99. 工程(c)または工程(d)が、コンピュータで実行される、請求項97に記載の方法。
  100. 目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定するためのプログラムを保存されたコンピュータ読み取り可能メモリであって、以下:
    (a)化合物のライブラリからの2つ以上の化合物の基準質量スペクトル中の1つ以上のピークの質量対電荷比を含む入力質量スペクトルデータとして受信する、コンピュータコード;
    (b)該ライブラリからの1つ以上の化合物を含むサンプルの試験質量スペクトル中の1つ以上のピークの質量対電荷比を含む入力スペクトルデータとして受信する、コンピュータコード;および
    (c)基準質量スペクトルのピークが該試験質量スペクトルに含まれるか否かを決定し、それにより該基準質量スペクトルと生成した化合物が該サンプル中に存在するか否かを決定する、コンピュータコード、
    を含む、コンピュータ読み取り可能メモリ。
  101. 目的の化合物がサンプル中に存在するか否かを決定するためのプログラムを保存されたコンピュータ読み取り可能メモリであって、以下:
    (a)化合物のライブラリからの2つ以上の化合物の基準質量スペクトル中の1つ以上のピークの質量対電荷比を含む入力質量スペクトルデータとして受信する、コンピュータコード;
    (b)該ライブラリからの1つ以上の化合物を含むサンプルの試験質量スペクトル中の1つ以上のピークの質量対電荷比を含む入力スペクトルデータとして受信する、コンピュータコード;
    (c)該試験質量スペクトルの1つ以上のピークが基準質量スペクトルに含まれるか否かを決定する、コンピュータコード;ならびに
    (d)基準質量スペクトル中の該ピークの全てが該試験質量スペクトル中に存在するか否かを決定し、それにより該基準質量スペクトルを生成した化合物が該サンプル中に存在するか否かを決定する、コンピュータコード、
    を含む、コンピュータ読み取り可能メモリ。
  102. 目的のタンパク質をコードする2つ以上のベクターを生成する方法であって、該方法が、以下:
    (a)目的の第1のタンパク質をコードする第1の核酸を、第1の骨格核酸と、ロボット式デバイス中の第1のコンパートメント中で、それらの反応を可能にする条件下でロボットにより接触させ、それにより該第1のタンパク質をコードする第1のベクターを生成する工程;および
    (b)目的の第2のタンパク質をコードする第2の核酸を、第2の骨格核酸と、該ロボット式デバイス中の第2のコンパートメント中で、それらの反応を可能にする条件下でロボットにより接触させ、それにより該第2のタンパク質をコードする第2のベクターを生成する工程、
    を包含する、方法。
  103. 請求項102に記載の方法であって、さらに以下:
    (c)前記第1のベクターを、第1の細胞と、該第1の細胞への該第1のベクターの挿入を可能にする条件下でロボットにより接触させる工程;および
    (d)前記第2のベクターを、第2の細胞と、該第2の細胞への該第2のベクターの挿入を可能にする条件下でロボットにより接触させる工程、
    を包含する、方法。
  104. 前記第1の細胞が、前記第1のタンパク質を発現し、前記第2の細胞が、前記第2のタンパク質を発現する、請求項103に記載の方法。
  105. 少なくとも5つのベクターが同時に生成される、請求項102に記載の方法。
  106. タンパク質を精製する方法であって、該方法は、以下:
    (a)第1の細胞中で第1のタンパク質を、該第1のタンパク質が第1の培地に分泌される条件下で、ロボット式デバイス中で発現させる工程;
    (b)第2の細胞中で第2のタンパク質を、該第2のタンパク質が第2の培地に分泌される条件下で、ロボット式デバイス中で発現させる工程;
    (c)該第1の培地を第1のクロマトグラフィーカラムに、そして該第2の培地を第2のクロマトグラフィーカラムにロボットにより移す工程;および
    (d)該第1のタンパク質および該第2のタンパク質を精製する工程、
    を包含する、方法。
  107. 少なくとも5つのタンパク質が同時に精製される、請求項106に記載の方法。
  108. 分泌配列またはリーダー配列に作動可能に連結されたプロモーターを含むDNA分子であって、該DNA分子は、直鎖状であり、かつ3,500ヌクレオチド長未満である、DNA分子。
  109. 前記DNA分子が、1,000ヌクレオチド長未満である、請求項108に記載のDNA分子。
  110. 前記DNA分子が、500ヌクレオチド長未満である、請求項109に記載のDNA分子。
  111. 前記DNA分子が、トポイソメラーゼで標識されている、請求項108に記載のDNA分子。
  112. プロモーターを含むDNA分子であって、該DNA分子が、直鎖状であり、3,500ヌクレオチド長未満であり、かつトポイソメラーゼで標識されている、DNA分子。
  113. 前記DNA分子が、1,000ヌクレオチド長未満である、請求項112に記載のDNA分子。
  114. 前記DNA分子が、500ヌクレオチド長未満である、請求項113に記載のDNA分子。
  115. ヒスチジン親和性タグをコードする核酸セグメントおよびポリA領域をコードする核酸セグメントを含むDNA分子であって、該DNA分子が、直鎖状であり、かつ3,500ヌクレオチド長未満である、DNA分子。
  116. 前記DNA分子が、1,000ヌクレオチド長未満である、請求項115に記載のDNA分子。
  117. 前記DNA分子が、500ヌクレオチド長未満である、請求項116に記載のDNA分子。
  118. 前記DNA分子が、トポイソメラーゼで標識されている、請求項115に記載のDNA分子。
  119. (i)目的の第1のタンパク質をコードする核酸セグメントおよびヒスチジン親和性タグと、(ii)第1のポリA領域に作動可能に連結された第1のプロモーターとを含むDNA分子であって、直鎖状である、DNA分子。
  120. 前記第1のタンパク質をコードする前記核酸セグメントが、分泌配列またはリーダー配列に作動可能に連結されている、請求項119に記載のDNA分子。
  121. 前記DNA分子が、3,500ヌクレオチド長未満である、請求項119に記載のDNA分子。
  122. 前記DNA分子が、1,000ヌクレオチド長未満である、請求項121に記載のDNA分子。
  123. 前記DNA分子が、トポイソメラーゼで標識されている、請求項119に記載のDNA分子。
  124. 前記第1のプロモーターに作動可能に連結された目的の第2のタンパク質をコードする核酸セグメントをさらに含む、請求項119に記載のDNA分子。
  125. (i)目的の第2のタンパク質をコードする核酸セグメントと、(ii)第2のポリA領域とに作動可能に連結された第2のプロモーターをさらに含む、請求項119に記載のDNA分子。
  126. 目的のタンパク質をコードする直鎖状DNA分子を生成する方法であって、該方法が、請求項112に記載のDNA分子と、目的の第1のタンパク質をコードする直鎖状DNA分子と、請求項118に記載のDNA分子とを、ロボット式デバイス中の第1の区画中で、それらの反応を可能にする条件下でロボットにより接触させ、それにより該第1のタンパク質をコードする第1の直鎖状DNA分子を生成する工程、を包含する、方法。
  127. 請求項126に記載の方法であって、請求項112に記載のDNA分子と、目的の第2のタンパク質をコードする直鎖状DNA分子と、請求項118に記載のDNA分子とを、第2のロボット式デバイス中の第2の区画中で、それらの反応を可能にする条件下でロボットにより接触させ、それにより該第2のタンパク質をコードする第2の直鎖状DNA分子を生成する工程をさらに包含する、方法。
  128. 請求項127に記載の方法であって、以下:
    (c)前記第1の直鎖状DNA分子を、第1の細胞と、該第1の細胞への該第1の直鎖状DNA分子の挿入を可能にする条件下でロボットにより接触させる工程;および
    (d)前記第2の直鎖状DNA分子を、第2の細胞と、該第2の細胞への該第2の直鎖状DNA分子の挿入を可能にする条件下でロボットにより接触させる工程、
    をさらに包含する、方法。
  129. 前記第1の細胞が前記第1のタンパク質を発現し、前記第2の細胞が前記第2のタンパク質を発現する、請求項128に記載の方法。
  130. 少なくとも5つの直鎖状DNA分子が同時に生成される、請求項127に記載の方法。
  131. タンパク質を精製する方法であって、該方法が、以下:
    (a)ロボット式デバイス中で、第1のタンパク質を、請求項119に記載のDNA分子を含む第1の細胞中で、該第1のタンパク質が第1の培地に分泌される条件下で発現させる工程;
    (b)該第1の培地を第1のクロマトグラフィーカラムにロボットにより移す工程;および
    (c)該第1のタンパク質を精製する工程、
    を包含する、方法。
  132. 請求項131に記載の方法であって、以下:
    (d)前記ロボット式デバイス中で、第2のタンパク質を、請求項119に記載のDNA分子を含む第2の細胞中で、該第2のタンパク質が第2の培地に分泌される条件下で発現させる工程;
    (e)該第2の培地を第2のクロマトグラフィーカラムにロボットにより移す工程;および
    (f)該第2のタンパク質を精製する工程、
    をさらに包含する、方法。
  133. 少なくとも5つのタンパク質が同時に精製される、請求項132に記載の方法。
  134. 目的のmRNAまたはタンパク質をコードする核酸で一過性トランスフェクトされたCHO細胞。
  135. 前記核酸が直鎖状DNA分子である、請求項134に記載の細胞。
  136. 前記細胞が、SV40 T抗原をコードする核酸で一過的または安定にトランスフェクトされている、請求項134に記載の細胞。
  137. 請求項23に記載の方法であって、以下:
    (a)前記標的分子を含むインビトロサンプルを、1つ以上の前記産物と、該標的分子と1つ以上の該産物との間の複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該複合体を単離する工程;
    (c)該複合体から1つ以上の該産物を回収する工程;および
    (d)1つ以上の該回収された産物を同定する工程、
    をさらに包含する、方法。
  138. 標的分子に結合する候補リガンドを選択する方法であって、該方法は、以下:
    (a)標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドのライブラリと、該標的分子と1つより多くの候補リガンドとの間の複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該複合体を単離する工程;
    (c)該複合体から1つより多くの候補リガンドを回収する工程;および
    (d)該標的分子を含む細胞またはインビトロサンプルを、第1の回収されたリガンドおよび第2の回収されたリガンドと接触させる工程であって、該接触させる工程は、該標的分子が該第1の回収されたリガンドおよび該第2の回収されたリガンドに結合し、かつ該第1の回収されたリガンドが該第2の回収されたリガンドに共有結合する条件下で実施され、それにより該第1の回収されたリガンドおよび該第2の回収されたリガンドを含む産物を生成し、該産物は、該第1の回収されたリガンドまたは該第2の回収されたリガンドの該標的分子に対する親和性より大きい該標的分子に対する親和性を有する、工程、
    を包含する、方法。
  139. 請求項138に記載の方法であって、以下:
    (e)前記標的分子を含むインビトロサンプルを、1つ以上の前記産物と、該標的分子と1つ以上の該産物との間の複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (f)該複合体を単離する工程;
    (g)該複合体から1つ以上の該産物を回収する工程;および
    (h)1つ以上の該回収された産物を同定する工程、
    をさらに包含する、方法。
  140. 標的分子に結合する候補リガンドを選択する方法であって、該方法は、以下:
    (a)標的分子を含むインビトロサンプルを、候補リガンドのライブラリと、該標的分子と1つより多くの候補リガンドとの間の複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (b)該複合体を単離する工程;
    (c)該複合体から1つより多くの候補リガンドを回収する工程;および
    (d)第1の回収されたリガンドと第2の回収されたリガンドとを反応させ、それにより該第1の回収されたリガンドおよび該第2の回収されたリガンドを含む産物を生成し、該産物は、該第1の回収されたリガンドまたは該第2の回収されたリガンドの該標的分子に対する親和性よりも大きい該標的分子に対する親和性を有する、工程、
    を包含する、方法。
  141. 請求項140に記載の方法であって、以下:
    (e)前記標的分子を含むインビトロサンプルを、1つ以上の前記産物と、該標的分子と1つ以上の該産物との間の複合体形成を可能にする条件下で接触させる工程;
    (f)該複合体を単離する工程;
    (g)該複合体から1つ以上の該産物を回収する工程;および
    (h)1つ以上の該回収された産物を同定する工程、
    をさらに包含する、方法。
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