本発明は、洗浄および他の用途のための製品に関するものである。この製品は、脂質相および水相が塗布されたパフ、パッド、スポンジ、コットンボール(cotton ball)、綿棒、ブラシ、グローブ、ミット、バー等の塗薬用具を備える。本発明はさらに、このような製品の製造および使用に関する。
一定の表面に日用品を到達させるための複数の塗薬用具が開発されてきた。このような塗薬用具は見栄えだけでなく材料の選択においても種々の性質を持ち、例えば弾力があるまたは弾力がない、再利用可能または使い捨て可能である等の塗薬用具である。このような塗薬用具は、クリーム状、ペースト状、ゲル状、液体状、粉末状等の形態の成分を一定の表面に塗布するために使われてきた。特に、このような塗薬用具は、化粧品、皮膚用製剤等のような局所用製剤を皮膚に塗布するのに用いられてきた。塗薬用具は、個別の製品供給と共に用いれられたり、あるいは製品の測定された量で染み込まされたり覆われたりして、使用されてきた。
塗薬用具のある特定の種類は、大人から幼児までに種々の用途で使われる重要な製品カテゴリーとなったワイプ(wipe)である。例えば、顔または体の洗浄用ワイプ、皮膚処理用ワイプおよび皮膚調整用ワイプがある。いわゆるウエットワイプが、これらの用途に特に適した製品として成功してきた。
ワイプの研究分野における開発は、ワイプの材料および塗布されるローションだけでなく、ワイプ自身にも焦点が当たっていた。ワイプの基礎的な洗浄能力に加えてスキンケアの利益を提供するローションが開発されてきた。
しかしながら、これらのアプローチにはまだ改善の余地がある。第1に、使用中にローションのうち少量のみがワイプから放たれる。したがって、大量の比較的高価なローションが皮膚に届かないので消費者に利益を与えられず、またこの製品は使用後は捨てられるので無駄になる。このことはまた、高価でより効果的な成分の使用を妨げる。第2に、洗浄に効果的な成分はたいてい有効なスキンケア剤と適合しないので、処方の観点から、ある単独のローション中で洗浄の成果を最適化することとスキンケアの効能を上げることとに明らかな矛盾がある。
洗浄において重要な他の要素は、多数の汚れは水適合性で、そのため水ベースの製剤によってより容易に取り除かれ、これに対して他の汚れは脂適合性で、そのため脂ベースまたは油ベースの製剤によって十分に取り除かれるという事実である。したがって、汚れを完全で効果的に取り除くには、ワイプの中または上に、油ベースの組成物のみでなく水ベースの組成物が存在する必要がある。
このことは、特に個人の洗浄用の製品、特に赤ん坊および幼児に使用される製品の中に必要とされる。不十分な洗浄は、個人的な不快だけでなく、おむつかぶれや他の感染による関連現象を生じさせる。おむつかぶれを防ぐ最も効果的な方法は、皮膚を完全に洗浄し、原因となるとされてきた微生物を取り除くことである。これら微生物が生じる原因は、しばしば赤ん坊がおむつを装着している間に赤ん坊の皮膚に残った糞便の堆積物である。このような糞便の堆積物は水溶性および油溶性の物質からなるので、糞便の堆積物をおむつの領域から完全に取り除くためには、水ベースおよび油ベースの洗浄剤が必要である。
US−4,987,632号には、水分バリアがシートの表面を覆う汚れた表面の洗浄に使用される、実質的に触覚乾燥(dry-to-the-touch)のふき取り物が開示される。また、WO 99/13861号およびUS−6,153,208号には、その基質が多数の層を含む、実質的に乾燥した個人用洗浄物が開示される。US−6,280,757号は、ある大きさと頻度の開口部を持つ一定の基質を備えた、乾燥した洗浄物に関するものである。
従来の塗薬用製品は、1つの相を持つ塗薬用材料に基づいていたが、本発明の製品は2つの明確に異なる相を塗薬用具に塗布することに関する。両相は物理的な特徴に関して異なり、塗薬用具の種々の部分または部位に塗布されてよい。このアプローチによって、最適の洗浄作用と優れたスキンケア効果の組み合わせが得られる。
本発明に基づく製品における塗薬用具は、弾力性でも非弾力性でもよい。この塗薬用具は適切なハンドルとして用いられてもよいし、適切なハンドルを保持してもよい。この塗薬用具は、皮膚などの平らな表面に塗布するのに適した任意の三次元形状を有してもよい。塗薬用具は、それぞれに異なる大きさでもよいし種々の形状を有してもよい。例えば、平坦でも平坦でなくてもよいし、幾何学的な形状でもそうでなくてもよいし、円柱形、楕円形、球形などの円形状、また立方体、棒形状を含む正方形、長方形などの角形状、また曲線的な端部を持つもの、またはこれらの形状の組み合わせがある。塗薬用具の1または複数の外表面は、異なる特徴を持つ異なる材料から作られてもよい。例えば、ある面は滑らかであるのに対して、別の面はざらざらしてもよい。後者の面は研磨剤でもよく、こすりつけたり洗い落としたりするのに使用してもよい。塗薬用具は、硬質でも、柔軟性でも半柔軟性でも、弾力性でも非弾力性でも、圧搾可能でも可能でなくてもよい。
ある種の実施の形態は、パフ、パッド、ブラシ、グローブ、ミット、綿棒またはコットンボールである。
他の種の実施の形態はスポンジである。スポンジは、スポンジそれ自体で発泡体およびフェルトを含み、合成および/または天然の材料からなる。
さらに他の種の実施の形態はバーである。
都合よく使用するために、塗薬用具は適切なハンドルを備えてもよい。このような塗薬用具の実施の形態は、好ましくは弾力性のパッド、パフ、またはスポンジの部位と、つまみ部位とを持つ。このような塗薬用具のある種には、概してT型形状を持つものがある。このような塗薬用具には、例えば小型の直立したハンドル材を持つ弾力性の円板がある。
塗薬用具は、脂質相および水相を保持、吸着または吸収できる材料から作られてよい。好ましくは、塗薬用具の材料は、多孔性、または自然状態で吸収性の構造をとる。後者は、塗薬用具の材料の化学的な構造または物理的な配置、またはその両方によるものであってよい。特定の物理的な配置には、例えば多孔性構造、あるいは多泡性または微多泡性構造がある。
塗薬用具は、1種類の材料から作られてもよいし、塗薬用具に沿って異なる形態に配列されうる異なる材料から作られてもよい。異なる大きさまたは等しい大きさの1または複数の材料の小部分が、それと同一または異なる材料で作られる基盤に包含されてもよい。あるいは、塗薬用具は層の積み重ねや同心の層などのように多層化されてもよいし、材料が取り得るある種の形態であってもよい。塗薬用具の一部は、異なる材料から作られても作られなくてもよく、接着される、縫い合わされる、留め金でとじられる、あるいは当分野で知られる他の方法を用いて結合されてもよい。
ある種の実施の形態として、塗薬用具は、部分的あるいは全体的に層状の材料によって包まれたコアを備えてもよい。包む材料は、コアに使われる材料と同一でも異なってもよい。
塗薬用具を生成する材料は、特にポリマーであり、天然由来でも天然由来でなくてもよい。交差結合した、またはしていない1または複数のポリマー材料があってもよい。任意に、結合剤、添加剤、染料等の他の非ポリマー材料がさらに存在してもよい。
この材料は幾分不活性でよく、または分解可能でもよく、特に生物分解性でもよい。材料はまた水で流すことができてもよい。ここで使用されるように、「水で流すことができる(flushable)」とは、材料が、2回のトイレ洗浄によって配水管を少なくとも3メートル通り抜けることを意味する。
塗薬用具を構成するポリマー材料には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、PET、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等の非天然のポリマーと、セルロース、木材パルプ等の天然または天然由来のポリマー、およびこれら合成および天然の繊維または材料の混合物がある。
塗薬用具がパフの形態である場合、塗薬用具は海綿状または樹脂泡状の材料からなってよく、任意に適切な単層または多層の材料に包まれてよい。これらの材料は閉じた構造、または開口部のある構造の、層状材料または被膜状材料から作られてもよい。他の実施の形態として、パフはそのコアに共に結合または接着されうる材料の1または複数の層から作られる。
塗薬用具はバーの形態である場合、塗薬用具は固体状態の脂質相材料から、また任意に他の成分との混合物としての脂質相材料から構成されてもよい。このような実施の形態は好ましくは、他の相がコア内の蓄積物としてバーの内部に保持される間、水相または蝋の分散を保持する、適切に層状化された包み材(wrapping material)に包まれてもよい。
バーは、このようにバー内に捉えられた水相など、特定の成分を保持できる小さい空洞を持つように開口を生成されてもよい。
バーの形態の塗薬用具は、例えば体の熱、または他の任意の外的要因によって使用時にバーがゆっくり分解または溶解するように設計されてもよい。特に、バーは使用中に、例えば体の熱によって分解または溶解する固体の脂質相材料から構成されてもよい。
層状の材料が用いられる場合、これらの材料がそれ自身で単層でも多層でもよく、織状でも不織状でもよい。これらは1またはいくつかの材料から生成されてもよい。特に、好ましい層状の材料は、繊維性または単繊維性の網構造を持つ非織状材料から生成される。この繊維または単繊維は、ランダムに、またはある程度の方向性を持って散布される。前者は空気設置処理(air-laying processes)または特定の湿気設置処理(wet-laying processes)によって得られ、後者は他の湿気設置処理またはカーディング処理(carding processes)によって得られる。繊維または単繊維は、例えば木材パルプ、ウールコットン、リネン等の天然物でも、例えばポリビニル類、ポリエステル類、ポリオレフィン類、ポリアミド類等の合成物でもよい。
ある種の不織材には紙ベースのものがあり、これはほとんど独占的にセルロースベースの繊維から作られる。不織材の織物に高い湿潤強度または硬度が望まれる場合、結合材料が加えられてもよい。柔軟度は、添加剤を加えることで増大されてよい。他の種の不織材において、織物は、主に、例えば綿、ウール、リネン等をベースにしたステープルファイバから作られる。
本発明の塗薬用具に用いられる不織材は、たいていセルロース繊維、またはポリエステルまたはポリプロピレンなどの合成繊維、またはそれらの混合物から生成されてもよい。いわゆるスパンレース(spunlace)技術または水巻き込み(hydro-entanglement)技術を用いることによって、結合材料を含まない、強度を増大させた繊維を取得してもよい。
ある種の不織材料は、パルプとステープルファイバの混合物から生成され、特に上述したような結合材料と共に利用され、あるいは結合材料なしで用いられる。後者の例では、不織材は好ましくは水巻き込み処理によって生成される。
2つの相
本発明に基づく製品において、塗薬用具の材料は脂質相および水相に接触される。ある実施の形態として、塗薬用具はポリマー相でもよい第3の相に接触される。
これらの相は、塗薬用具全体に、すなわち連続的に塗布されてもよいし、塗薬用具の部分的に、すなわち不連続的に塗布されてもよい。ある相が連続的に塗布され、それに対して別の相は不連続的に塗布されてもよい。これらの相は塗薬用具の表面に、または内部に塗布されてもよい。表面に塗布される場合、一方の相または両方の相が塗薬用具の1面またはいくつかの面に存在してもよく、一方の相が塗薬用具の1面に存在して他の相が他の面に存在してもよい。
一方の相または両方の相が不連続的に塗布される場合、それらの相は一定の領域、特に塗薬用具の1または複数の領域に塗布される。この例では、1または複数の相は、1または複数の形態または形状として存在してもよい。例えば、小点または斑点、線または縞として、また正方形、長方形、円形等の幾何学図形として、また文字、テキスト、ロゴ、数字等の記号として、または意匠記号として、または他の任意の形状として、またはこれらの組み合わせとして存在してもよい。これらの形態または形状は、塗薬用具の全体に存在してもよいし、1または複数の領域、例えばある隅にまとまって存在してもよい。
ある実施の形態として、1つの相は塗薬用具の1またはいくつかの面に、縞、小点、または塗薬用具の表面全体または表面の一部を覆うような他の形状で塗布されてもよい。水相は、塗薬用具の表面全体または一定の領域に塗布される。これは、好ましくは脂質相の塗布後の第2の段階として行われてもよいし、1段階の操作として同時に行われてもよい。
好ましい実施の形態として、両相が続いて塗薬用具に塗布される。さらに好ましい実施の形態として、まず脂質相が塗布され、続いて水相が塗布される。
塗薬用具の異なる部位は、異なる水相および/または脂質相を含んでもよい。例えば、塗薬用具はある面にはある脂質相を含み、他の面には他の脂質相を含んでもよい。あるいは、他の実施の形態として、塗薬用具はある面に脂質相を含み、これに対して他の面には水相を含んでもよい。
あるいは、塗薬用具は、異なる脂質相で処理された互いに結合する2またはそれ以上の部位から構成されてもよい。これにより、例えばある部位が洗浄能力を持ち、他の部位がケア能力を持つ塗薬用具を得ることができる。
塗薬用具がパフ、パッドまたはスポンジの形態である場合、塗薬用具は好ましくは固体状態である脂質相で覆われてもよい。あるいは、パフが、液体、半液体または固体の状態で塗薬用具の内側部分に置かれる脂質相を有してもよい。内側部分に置かれる場合、脂質相は均一に分配されてもよい。これは、脂質相は内部全体におおよそ等しい量で分配されることを意味する。あるいは不均一に分配されてもよい。
塗薬用具がバーまたはスポンジの形態である場合、塗薬用具は脂質相がそれに塗布されてもよいシート状の材料に包まれてよい。さらに、バーまたはスポンジの材料は、それ自身で同一または異なる脂質相を含んでもよい。脂質相は外面では好ましくは固体であり、それに対して内部では固体でも半固体でも液体でもよい。塗薬用具の内部位に脂質相が堆積されてもよいし、あるいは塗薬用具が、液体形状でその後固体化してもよい脂質相の材料で充満されてもよい。この種の塗薬用具は、表層または内部にさらに水相を含む。
塗薬用具がパフの形態の場合、脂質相は粉末形状で塗布されてもよい。
塗薬用具がバーの形態の場合、塗薬用具は水相を含むことができる複数の空洞を持つように開口されてもよい。
塗薬用具がスポンジの形態の場合、塗薬用具は、例えば生物分解性の材料など、分解可能な材料で作られてもよい。例えば、分解可能なセルロース、すなわちこのセルロースが製造工程の間はまだ液体状態であるときに脂質相と混合されることができる分解可能なセルロースから生成されてもよい。
脂質相
塗薬用具に塗布された脂質相は、水相中で不溶性または本質的に不溶性である、あるいはそのように調製される。しかし、いくつかの実施の形態として、両相は限られた程度まで互いに混合可能または溶解可能であってよい。脂質相または水相は、いったんシートに載せられ、消費者によってこのシート製品を使用される前の期間に、1つの相または連続的な相を形成しないもの、あるいはそのように調製されるべきものである。
脂質相は疎水性であり、例えば油、脂質、または蝋のように概して不溶性の材料から構成される。脂質相は、室温で液体でも半固体でも固体でもよい。脂質相は半固体でよく、後者の用語は当分野での通常の意味を持つ。また、脂質相は非結晶体、半結晶体、または結晶体でもよく、あるいはクリーム状組成物または蝋状組成物の形態であってもよい。
半固体状態は、脂質相が、例えば溶解過程にあるときなど、固体状態と液体状態の間の遷移状態にあるときに生じるが、脂質相を生成する材料の粘度の増大に起因してもよい。半固体状態は、蝋状、クリーム状、ペースト状、ジェル状、または同様の粘度を持つ材料中に存在する。半固体状態は特に、鋭い融点を持たない材料、すなわち溶解範囲を有する材料と共に生じる。また、例えばガラス様状態として生じるポリマー中など、ガラス様材料中に存在する。
特に、脂質相は室温より高い融点または融点範囲を有する。特に25℃より高く、例えば25℃乃至100℃、さらに30℃乃至75℃、さらに30℃乃至45℃、好ましくは32℃乃至40℃の範囲である。より好ましくは、溶融温度または溶融範囲は人間の体温よりも高い。最も好ましくは、溶融温度または溶融範囲は、およそまたはちょうど人間の体温と等しい。
本発明のいくつかの実施の形態として、脂質相は比較的高い融点または溶融範囲を持ってもよい。融点または溶融範囲は、例えば体温より高くてよく、例えば40℃より高い、または45℃より高い。このような塗薬用具の適用にあたり、2相間により強力な相互作用が求められてもよい。あるいは相互作用の促進のためにより高温の適用が求められてもよい。後者の場合、消費者は、例えば製品をまず湯に触れされ、その後に塗布することを望まれてもよい。前者の場合は、水相は脂質相とのより強力な相互作用を促進する製剤を含んでもよい。
本明細書で使用されるように、「溶融範囲」という用語は、基質または組成物がその固体粘度を失う温度から、完全に液体になるまでの温度である。溶融範囲が、定義された温度範囲と重なり合うときはその定義された温度範囲内にあると判断される。または溶融範囲が上記温度よりも高いときは特定された温度よりも高いと判断されるべきである。
本明細書で使用されるように、「室温」とは、約20℃乃至約25℃の範囲の温度を意味する。
脂質相は、消費者によって塗薬用具に塗布された後、または貯蓄中に塗薬用具に塗布されているとき、あるいは使用されるとすぐに、他の状態に変化できる。脂質相は、液体として塗薬用具に塗布されて、その後半固体または固体になってもよい。あるいは、脂質相は消費者に使用されている間に半固体または液体になってもよい。この状態変化は、温度または圧力などの物理的要因に引き起こされてもよいし、またポリマー化反応または光化学反応の原因となる特定成分などの化学的要因によって引き起こされてもよい。
ある実施の形態として、脂質相は、塗薬用具に塗布される間に混合される2つの別個の相として塗布されてもよい。このとき塗薬用具上では、それぞれの相の中のある成分が混合して、例えばポリマー化反応におけるような相互反応が始まり、これにより脂質相の状態が液体から半固体または固体に変化する。
特に好ましくは、室温で固体であって、(ペトロテスター(Petrotester)PNR10、ミクロコナス(Microkonus)で5秒間、20℃で測定した場合に)0.2mm乃至4mmの浸透値(penetration value)を持つ脂質相の組成物である。
脂質相の水分含有量は低く、特に約10%より低く、好ましくは6%より低く、より好ましくは3%より低い。特定の実施の形態として、脂質相は水分を含まず、それゆえ水相によって分解されない。本明細書使用されるように、「水分を含まない」とは、その相はいかなる水分も加えられない低水分含有量の材料から構成されるという意味である。
脂質相は、油、脂質および蝋から選択される1または複数の成分を含んでもよい。またさらに他の成分を含んでもよい。本明細書で使用されるように、油または脂肪は同じ種類の材料を意味し、油は室温で液体であり、脂肪は室温で固体または半固体である。脂質相はまた、蝋と脂肪および/または油との混合物を含んでもよい。
好ましい実施の形態として、脂質相は蝋ベースの組成物であり、「蝋」という用語は以降で明確にされるものである。
特定の実施の形態として、多数の脂質相、すなわち異なる組成物からなる脂質相が、塗薬用具に塗布されてもよい。例えば、ある種の脂質相が塗薬用具のある面に塗布され、他の種の脂質相が塗薬用具の他の面に塗布される。これらの脂質相のそれぞれが1または複数の後述する成分を含んでもよいし含まなくてもよい。例えば、活性成分、染料、乳化剤および後述する他の成分から選択される1または複数の成分である。種々の染料を含む場合、例えば各脂質相が異なる色を持つような多色模様を有してもよいし、色付けされていなくてもよい。
異なる脂質相は、塗薬用具の各面に異なるように塗布されてもよい。例えば、ある面は脂質相で完全に覆われ、他の面には脂質相が例えば縞のような一定の模様で塗布されてもよい。
油および脂肪
脂質相は、油、脂肪、または脂肪と油および/または油性成分との混合物を含んでもよい。脂質相を構成するように生成された混合物は、好ましくは脂質相の融点または溶融範囲が上述したものから選択されるべきであり、特に室温より高く、さらには32℃乃至40℃の範囲に入る。
脂質相で使われる油または脂肪は、天然油または天然脂肪、または天然油または天然脂肪の誘導体、特に植物由来のものを含む。例えば、アーモンド油、大豆油、ひまわり油、ベニバナ油、コーン油、穀粒油、カノラ油、ルリチシャ油、オオマツヨイグサ油、ブドウ種油、麦芽油、アボカド油、ホホバ油、ゴマ油、クルミ油、アマニ油、パーム油、オリーブ油、マカダミア油、ヒマシ油、菜種油、ピーナツ油、ココナツ油、アブラナ種油、およびこれらの硬化された誘導体がある。後者は脂肪または油の水素化により得られる。好ましくは、植物由来の硬化された油または脂肪であり、例えば硬化されたヒマシ油、ピーナツ油、大豆油、アブラナ種油、綿種油、ひまわり油、パーム油、穀粒油、アマニ油、アーモンド油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、ココアバター、シアバターおよびココナツ油である。
上記硬化された脂肪または油は、脂質相の組成物の粘度を増大させるというさらなる利点を持つ。
脂質相は、これらの天然油から分離された脂肪性組成物、すなわち純トリグリセリド類、またはこれらの混合物をさらに含んでもよく、後者の組成物は化学的に調製されてきたものである。これらのいわゆるトリグリセリド類(またはトリアシルグリセリン類)は、脂肪酸類または脂肪酸混合物類とグリセリン類のエステル類であり、例えば油または脂肪の少量を加水分解して得られる、または加水分解後の脂肪酸混合を分留して得られる、いわゆる技術上の混合物(technical mixtures)である。トリグリセリド類はまた、合成によって化学的に取得してもよい。
上記トリグリセリド類中の脂肪酸は、飽和性でも不飽和性でも、直鎖状でも分枝鎖状でも、置換されていても置換されていなくてもよい。好ましいトリグリセリド類は、飽和性または不飽和性で10乃至60、特に12乃至36、さらには12乃至24、好ましくは16乃至20の炭素原子を有する脂肪酸から誘導されたグリセリンエステル類である。好ましくは、このような脂肪酸は、例えばパルミチン酸、パルミン(palmic)酸、オレイン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、およびこれらの混合物である。このグループの中で、飽和脂肪酸から誘導されたトリグリセリド類が特に対象となる。
特に対象となるのは、グリセリルトリステアレートであり、またステアリン、グリセリントリベヘネート、グリセリントリパルミテート、グリセリントリラウレート、グリセリントリオレエート、グリセリントリミリステートとして言及される。
脂質相はまた、モノ−またはジグリセリド類を、任意に上述した脂肪と油の混合物中に、特にトリグリセリド類の混合物中に含んでもよい。脂質相に使われるモノ−またはジグリセリド類は、飽和性でも不飽和性でも、直鎖状でも分枝鎖状でも、置換されていても置換されていなくてもよい脂肪酸または脂肪酸混合物から誘導されてもよい。またこの例では、脂質相の融点または溶融範囲は、好ましくは上述したものであり、特に室温より高く、さらには32℃乃至40℃の範囲である。特に、モノ−またはジグリセリド類は、モノ−またはジ−C12-24脂肪酸グリセリド類、特にモノ−またはジ−C16-20脂肪酸グリセリド類であり、例えばグリセリルモノステアレート、グリセリルジステアレートである。モノ−、ジ−、および任意にトリグリセリド類の混合物は、脂肪酸の分留により誘導される。脂質相の成分として用いられるこれらの混合物は、C12-18モノ−、ジ−、およびトリグリセリドの混合物である。
本発明の好ましい実施の形態として、脂質相は、グリセリンから得られるモノ−、ジ−またはトリエステル類、またはそれらの混合物から選択される1または複数の脂肪酸グリセリド類を含む。
グリセリド類は種々の量で存在してもよい。典型的には、脂質相の全量に対して60%まで、ある実施の形態では70%まで、または80%(W/W)までの量で存在する。
他の実施の形態として、特にジアルキル(レン)エステル類または−炭酸塩類、ジカルボキシル酸類、またはヒドロキシ脂肪族アルコール類を上記脂肪エステルグリセリド類の量含むものが、脂質相の全量に対して50%より少なく、より好ましくは40%(W/W)より少なく存在するであろう。
本発明の特定の特徴として、脂質相が本質的に、グリセリンから得られるモノ−、ジ−またはトリエステル、またはこれらの混合物から選択される1または複数の脂肪酸グリセリド類から構成される、本明細書で特定されるような製品が提供される。このグリセリドは、例えば上述した、あるいは以降に示すような種々の量で存在してもよい。
モノ−、ジ−またはトリグリセリド類の混合物と同様に、混合されたエステル類は、それらの結晶化傾向が低いことと脂質相を生成する製剤の粘度を改善させる能力のために、特に重要である。
脂質相はまた脂肪酸類のアルキルエステル類を含んでよい。ここでのアルキル基は、1乃至30の炭素原子、好ましくは約12乃至24の炭層原子を有する。上記アルキルエステル類中の脂肪酸類は、特にC12-30脂肪酸類、とりわけC12-20脂肪酸類である。上記エステル類中のアルキル基は、好ましくは脂肪族アルコール類およびそれらの混合物から抽出され、例えば脂肪または油から抽出されたメチルエステル類の技術上の混合物の高圧水素化によって得られる。
好ましくは、C16-24脂肪酸類、より好ましくはC16-18脂肪酸類、およびC1-30脂肪族アルコール類、好ましくはC8-24脂肪族アルコール類、より好ましくはC12-20脂肪族アルコール類のアルキルエステル類である。
これに関して特に重要なのは、例えば、ステアリルステアレート、パルミチルステアレート、ステアリルベヘネート、セチルステアレート、セチルベヘネート、セチルパルミテート、セテアリルベヘネート、ベヘニルベヘネート、ステアリルヘプタノエート、ステアリルオクタノエート、ミリスチルミリステート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート(oleyl erucate)、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、エルシルイソステアレート(erucyl isostearate)である。
さらに重要なのは、分枝状アルコール類を持つ直鎖状C6−C22脂肪酸類、特に2−エチルヘキサノール、直鎖状アルコール類を持つ分枝状C6−C22脂肪酸類のエステル、直鎖状または分枝状C6−C22脂肪族アルコール類を持つC18−C38アルキルヒドロキシカルボン酸類のエステル、ポリアルコール類(例えばプロピレングリコール、ジメルジオールまたはトリメルトリオール)および/またはガーベット(Guerbet)アルコール類を持つ直鎖状および/または分枝状脂肪酸類のエステル、および芳香族カルボン酸類を持つC6−C22脂肪族アルコール類および/またはガーベットアルコール類のエステル類、特に安息香酸、直鎖状または分枝状C1−C22アルコール類(例えばジオクチルマレート)を持つC2−C12ジカルボン酸または2乃至6のヒドロキシ基を持つC2−C10ポリオール類のエステルである。
好ましい脂肪は、トリグリセリド類、特に約12乃至約24の炭素原子、特に約12乃至約20の炭素原子、さらには約16乃至約20の炭素原子を持つ脂肪酸類から抽出されるものを含む。これらの脂肪酸類は、不飽和性でよく、好ましくは飽和性でもよい。
特に好ましくは、オレイン酸、ミリスチン酸、またはラウリン酸から抽出される、またはココヤシ酸類などの天然油から抽出される脂肪酸混合物類から抽出されるグリセリド類である。好ましい脂肪には、ココグリセリド類、グリセリルステアレート、グリセリルラウレート等である。
さらに好ましい脂肪は、水素化されたヒマシ油、水素化されたパーム油等の水素化された天然油を含む。
脂質相は、油性成分、すなわち20℃で液体である非水混合性の成分を含んでもよい。このような成分は、例えばグリセリド類、炭化水素類、シリコン油類、エステル油類等、またこれらの混合物であってよい。脂質相の全組成物中の油性成分の全量は、好ましくは脂質相が室温で固体状態となる、または脂質相が上記に特定したような融点または溶融範囲を有することができる量であろう。油性成分は典型的には、脂質相の全重量の40%(w/w)より少ない、特に20%(w/w)より少ない、さらに1%乃至15%(w/w)、さらには2%乃至10%(w/w)の量存在するであろう。
油性成分は、上述したように「油および脂肪」として述べたような任意の油であってよく、さらに20℃で液体の上述したモノ−、ジグ−およびトリグリセリド類であってよい。油性成分はさらに、本明細書に述べたような20℃で液体の脂肪酸類および脂肪族アルコール類であってもよい。
さらに、脂質相に使用される油性成分は、シリコン油類、鉱物油類およびパラフィン油類、あるいは脂肪族または芳香族の合成油類、およびそれらの混合物を含む。このような油類には、例えばスクアラン、スクアレン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、ポリデカン、およびジアルキルシクロヘキサン類のグループの油類がある。
脂質相はさらに、シリコン油類を含んでよく、揮発性でも不揮発性でもよい。例えば、環状シリコン類、ジアルキル−またはアルキルアリルシロキサン類、例えばシクロメチコン、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)およびメチルフェニルポリシロキサン、およびそれらのアルコキシル化または第4級化(quaternized)された誘導体を含んでもよい。適切な不揮発性シリコン油類は、例えば長鎖ポリアルキルシロキサン類、ポリアルキルアリルシロキサン類、およびポリエーテルシロキサンコポリマー類である。
脂質相中における脂肪または油、または脂肪と油および/または特に油性成分の混合物の全重量は、脂質相を生成する成分の全重量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%(W/W)である。
本発明の特定の特徴として、脂質相が、脂肪または油、または脂肪と油および/または特に本明細書で特定された油性成分との混合物から本質的に構成されるものとして本明細書で特定されるような製品が提供される。脂肪、油および油性成分は種々の量、例えば上述または後述する量で存在してもよい。
蝋類
脂質相は、蝋類から構成されても、備えてもよい。本明細書で使用されるように、「蝋」という用語は、蝋状の粘度を持ち、上述した室温、特に25℃より高い融点または溶融範囲を持つ油溶性材料を意味する。蝋類は、固体から半固体(クリーム状)の粘度を持つ材料であり、結晶体でも非結晶体でもよく、それらの融点よりも少し高い、比較的低い粘度を有する。蝋類は、1または複数の合成または天然の成分からなり、蝋状の粘度を持つ任意の油溶性材料から原則として構成されてよい、または含んでもよい。
脂質相は、合成または天然性の蝋と、他の蝋状の粘度を持つ油溶性材料と共に構成されてもよい、または含んでもよい。
蝋はまた、天然由来または合成由来の油または脂肪等の材料、および蝋状成分、例えば高アルカノール類(特に脂肪族アルコール類)、高アルカンジオール類(特にヒドロキシ脂肪族アルコール類)、カルボキシル酸類(特に脂肪酸類)、ジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、ジカルボキシル酸類等の成分を含んでもよい。
天然の蝋類は、純セリン、シアバター、ココアバター、ジャパン蝋、エスパルトグラス蝋(esparto gras wax)、コルク蝋、ガールマ蝋(Guaruma wax)、ライスシュート蝋(rice shoot wax)、オーリカリー蝋(Ouricury wax)、モンタン蝋、ヒマワリ蝋、セレシン蝋、サトウキビ蝋、カルナバ蝋(carnauba wax)、キャンデリア蝋、ラノリン、またオレンジ蝋、レモン蝋、グレープフルーツ蝋、ヤマモモ蝋などの果実抽出蝋等の植物由来の蝋類、また、例えば蜜蝋、羊毛蝋、スペルマテシ脂肪(spermateci fat)およびクマ脂肪(bear fat)、シェラック蝋等の動物由来の蝋類を含む。天然の蝋類はさらにセレシン蝋、地蝋のような鉱蝋類を含む。合成の蝋類は、例えばパラフィン、ワセリン、石油、マイクロ蝋などの石油ベースの蝋類を含む。さらに合成の蝋類は、例えばポリエチレン蝋などのポリアルキレンおよびポリエチレングリコール蝋、例えば「ハロワックス」などの塩素化ナフタレンベースの蝋、合成の炭化水素蝋類等、およびこれらの混合物を含む。さらに、蝋類は化学的に修飾された蝋類でもよい。特に、例えばモンタンエステル蝋類、サソル蝋類および水素化されたホホバ蝋類など硬化または水素化された蝋類がある。上記天然の蝋類のうち好ましくは植物由来の蝋類である。
他の蝋成分は、一定の脂肪(モノ−、ジ−およびトリグリセリド類、脂肪酸アルキルエステル類を含む)、脂肪族アルコール類、例えば置換された脂肪酸(特にヒドロキシ置換された脂肪酸、例えば12−ヒドロキシステアリン酸)を含む脂肪酸類、ジアルキル(レン)エステル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、ジカルボキシル酸(特にジカルボキシル酸類のC16−C40ジアルキルエステル類、例えばC16−C40アルキルステアレート類、C18−C38アルキルヒドロキシステアリルステアレート類、またはC20−C40アルキルエルケート類)、および本明細書で概要を説明した「蝋」の定義を満たすヒドロキシ脂肪族アルコール類を含んでもよい。これらの成分のいずれも、脂質相を生成している全組成物が蝋状の粘度を有する間は液体状態である均一成分を含んでもよい。例えば、蝋状の脂肪類は油を含んでよく、蝋状の脂肪族アルコール類は液体の脂肪族アルコール類を含んでもよいなどがあり、これらは全組成物が蝋状の粘度を持ち、特に上述した融点または溶融範囲を持つ量で含む。
さらに、蝋成分は芳香族カルボン酸類、トリカルボン酸類のグループから、または長鎖状ヒドロキシカルボン酸類のラクチド類のグループから選択される。皮膚処置のための塗薬用具の使用には、その皮膚への結合能力のために特にミリスチルラクテートが魅力的である。
使用されうるさらなる蝋成分は、C30−C50アルキル蜜蝋;例えばクエン酸トリステアリル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリラウリル等のトリ−C16−C40アルキルクエン酸塩類、エチレングリコール二脂肪酸エステル類、特に、例えばエチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジ(12−ヒドロキシステアレート)などのエチレングリコールジ−C12−C30−脂肪酸エステル類である。さらなる有用な成分として、シリコン蝋が言及されてもよい。
脂質相はまた、蝋と、脂肪および/または油との混合物を含んでもよい。
脂質相中で特に蝋の全量は、脂質相を生成する成分の全量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%W/Wである。
本発明の特定の特徴として、脂質相が、本明細書中で述べた蝋およびそれらの混合物から選択された1または複数の蝋から本質的に構成されるものとして本明細書中で特定されるような製品が提供される。蝋は、例えば前述または後述する量など種々の量で存在してもよい。
脂肪族アルコール類
脂質相は、脂肪族アルコール類を含んでもよい。使用されうる脂肪族アルコール類は、例えばC12−C50脂肪族アルコール類、特にC12−C24脂肪族アルコール類であり、例えばミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、1−ノナデカノール(nonadecanol)、アラキジルアルコール、1−ヘネイコサノール(1-heneicosanol)、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、またはミリシルアルコール、およびガーベットアルコール類などの天然の脂肪、油または蝋から抽出されるものである。本発明での使用に好ましいのは、飽和性で、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族アルコール類である。しかし、不飽和性で、直鎖状または分枝鎖状のアルコール類を使用してもよく、任意に飽和アルコール類と混合される。好ましくは、アルコール類は、混合物の融点が上述した程度になるように、特に32℃乃至40℃の範囲になるように選択されるであろう。
例えば、アーモンド油、大豆油、ヒマワリ油、ベニバナ油、コーン油、穀粒油、カノラ油、ルリチシャ油、ルリチシャ油、オオマツヨイグサ油、ブドウ種油、麦芽油、アボカド油、ホホバ油、ゴマ油、クルミ油、アマニ油、パーム油、オリーブ油、カスター(castor)油、マカダミア油、菜種油、ピーナツ油、ココナツ油、アブラナ種油などの天然由来の油または脂肪から抽出された対応する脂肪酸の部分の還元により得られる脂肪族アルコール部分を含む脂肪族アルコール類の混合物がまた明らかに使用されてもよい。
合成のアルコール類は、例えばジーグラー合成(Ziegler-synthesis)(Alfole(登録商標))の結果得られる偶数個の炭素原子を持つ直鎖状脂肪族アルコール類、またはオキソ合成(Oxo synthesis)(Dobanole(登録商標))の結果得られる部分的に分枝状のアルコール類が用いられてよい。
本発明の好ましい実施の形態では、脂質相は少なくとも1つの脂肪族アルコール、より好ましくは少なくとも1つのC14−C18脂肪族アルコールを含む。より好ましくは、脂質相は少なくとも1つのC16−C18ガーベットアルコールを含む。
脂肪族アルコール類を使用することによって、トリグリセリド類などの成分に比べて、好都合にも、脂質相がより乾いた、すなわち脂っぽくない皮膚感触を有するようになる。
脂質相中の脂肪族アルコール類の全量は変化してよく、脂質相の所望の特性によって決まる。多数の例では、組成物中に比較的高い量の脂肪族アルコール類を持つことが望ましい。特に、上記アルコール類は、脂質相を生成する組成物の全量の50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%(W/W)存在するであろう。他の例では、比較的低い量が望ましく、脂肪族アルコールの全量は脂質相中に、1%乃至40%、好ましくは1%乃至30%(W/W)、より好ましくは1%乃至20%(W/W)、さらには1%乃至10%(W/W)存在する。
本発明の特定の特徴として、脂質相が、本特許明細書中で特定された1または複数の脂肪族アルコール類およびそれらの混合物から本質的に構成されるものとして本明細書中で特定されるような製品が提供される。脂肪族アルコール類は、例えば前述または後述する量など種々の量で存在してもよい。
脂肪酸類
脂質相はまた、C14−C40脂肪酸類、およびそれらの混合物を含んでもよい。特に重要なのはC16−C30脂肪酸類である。これらは、例えばミリスチン酸、ペンタデカノン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカノン(nonadecanoic)酸、アラキン(arachic)酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、エルカイン(erucaic)酸、エレオステアリン(elaeoostearic)酸、オレイン酸、ロノレニン(lonolenic)酸、ラウリン酸、および例えば12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ置換された脂肪酸類などの置換された脂肪酸類、またこれら脂肪酸類のアミド類またはモノエタノールアミド類を含む。
脂質相中に存在するC14−C40脂肪酸類の全量は、脂質相の全重量の1%乃至30%(W/W)、好ましくは1%乃至20%(W/W)、より好ましくは1%乃至10%(W/W)である。
本発明の特定の特徴として、脂質相が、本特許明細書中で特定された1または複数の脂肪酸類およびそれらの混合物から本質的に構成されるものとして本明細書中で特定されるような製品が提供される。脂肪酸類は、例えば前述または後述する量など種々の量で存在してもよい。
ジアルキル(レン)エーテル類またはジアルキル(レン)炭酸塩類、ジカルボキシル酸類、またはヒドロキシ脂肪族アルコール類
脂質相は、ジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、ジカルボキシル酸類、またはヒドロキシ脂肪族アルコール類、またはこれらの混合物を含んでもよい。エーテル類、炭酸塩類、酸類またはアルコール類は特に後述するものである。
本発明の特定の特徴として、脂質相が、本明細書中で特定された1または複数のジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、ジカルボキシル酸類またはヒドロキシ脂肪族アルコール類およびこれらの混合物から本質的に構成されるものとして本明細書中で特定されるような製品が提供される。ジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、ジカルボキシル酸類またはヒドロキシ脂肪族アルコール類は、例えば前述または後述する量など種々の量で存在してもよい。
ジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、ジカルボキシル酸類またはヒドロキシ脂肪族アルコール類およびこれらの混合物を脂質相の組成物に加えることによって、脂質相の特性、特に感覚的な特性を最適化できる。すなわち、製品が塗布された後の皮膚のみでなく製品は、優れたスキンケア効力を持つにもかかわらず、脂っぽくなくかつ乾燥しない皮膚感触を有する。
ジアルキル(レン)エーテル類
ジアルキル(レン)エーテル類は、対称でも非対称でも、直鎖状ででも分枝鎖状でも、飽和性でも不飽和性でもよい。好ましくは蝋質で飽和性のC16−C30ジアルキルエーテル類、特にC16−C24ジアルキルエーテル類である。より好ましくは、C16−C20ジアルキルエーテル類で、特に好ましくはジステアリルエーテル類およびジベヘニルエーテル類である。より鎖長の小さいジアルキルエーテル類もまた使用されてよく、例えば、ジ−n−オクチルエーテル、ジ−(2−エチルヘキシル)−エーテル、ラウリルメチルエーテルまたはオクチルブチルエーテル、ジドデシルエーテルがある。後者の成分を使用するときは、脂質相の完全状態の組成物は、好ましくは本明細書で特定するような好ましい融点を持つ固体、または半固体である。
これらのエーテル類は、当分野で知られる手順に基づいて酸触媒の存在下で適切な脂肪族アルコール類から得ることができる。典型的な例は、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パーモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、トウゴマアルコール、油ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エラシルアルコール、ブラシジルアルコール、ガーベットアルコール類、および例えば脂肪または油から抽出されるメチルエステル類の技術上の混合物の高圧水素化により得られるこれらの混合物である。
特に好ましくは、25℃で固体のジアルキル(レン)エーテル類である。
ジアルキル(レン)炭酸塩類
ジアルキル(レン)炭酸塩類は、対称でも非対称でも、直鎖状でも分枝鎖状でも、飽和性でも不飽和性でもよい。好ましいジアルキル(レン)炭酸塩類は蝋質で、直鎖状または分枝鎖状で、飽和性または不飽和性のC14−C30ジアルキル(レン)炭酸塩類である。より好ましくは、C16−C24ジアルキル炭酸塩類で、特に飽和性直鎖状C16−C22ジアルキル炭酸塩類である。特に好ましくはジステアリル炭酸塩類である。また、液体のジアルキル(レン)炭酸塩類、例えば、ジヘキシル−、ジオクチル−、ジ−(2−エチルヘキシル)−またはジオレイル−炭酸塩類を使用してもよい。後者の成分を使用するときは、完全状態の組成物は、好ましくは本明細書で特定するような好ましい融点を持つ固体、または半固体である。
これらのジアルキル(レン)炭酸塩類は、ジメチル−またはジエチル炭酸塩類を対応するヒドロキシ化合物と共に当分野で知られる手順に基づいて再エステル化することにより得られる。ジアルキル(レン)炭酸塩類の典型的な例は、ジメチル−またはジエチル炭酸塩類を、カプロンアルコール、カプリルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、カプリンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、パーモレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリニルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、トウゴマアルコール、油ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ガドレイルアルコール、ベヘニルアルコール、エラシルアルコール、ブラシジルアルコール、ガーベットアルコール、適切な油、脂肪または油部分、脂肪部分から抽出されるメチルエステル類の水素化によって得られるこれらの技術上の混合物と共に再エステル化した製品である。
特に好ましくは、25℃で固体のジアルキル(レン)炭酸塩類である。
ジカルボキシル酸類
使用されうるジカルボキシル酸は、例えば、C9−C34ジカルボン酸である。特に重要なのは、25℃で固体のジカルボキシル酸類である。
ヒドロキシ脂肪族アルコール類
脂質相中に使用されるヒドロキシ脂肪族アルコール類は、飽和性でも不飽和性でも、直鎖状でも分枝鎖状でもよい。好ましくはC12−C30ヒドロキシ脂肪族アルコール類で、ヒドロキシ置換基の位置は合成経路と使用される開始剤によって決まる。例えば、1,10−デカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、12−ヒドロキシステアリルアルコールまたはヒドロキシ−ガーベットアルコール類が含まれる。好ましくは25℃で固体のヒドロキシ脂肪族アルコール類であるが、また液体類縁物質を用いてもよい。後者の成分を使用するときは、完全状態の組成物は、好ましくは本明細書で特定するような好ましい融点を持つ固体、または半固体である。特に好ましくは、12−ヒドロキシステアリルアルコールである。
1または複数のジアルキルエーテル類、ジアルキル炭酸塩類、ジカルボン酸類およびヒドロキシアルコール類は、脂質相の全重量に対して、脂質相中に1%乃至30%(W/W)、好ましくは1%乃至20%(W/W)、より好ましくは1%乃至10%(W/W)の範囲で存在してもよい。
さらなる成分
脂質相は、蝋質または他の性質でもよいさらなる成分を含んでもよい。さらなる成分を使用することによって、特に塗薬用具の材料に塗布した後、さらには水相に触れたときの、組成物の安定性だけでなく感覚的な性質にも影響を与えうる。これらの成分はまた、粘度、感触、外観に作用するために加えられてもよい。これらの要素は、一般には水に不溶性、またはほぼ不溶性である。水溶性の成分はまた、一般に可溶化剤または乳化剤およびいくらかの水と共に含まれてよい。
さらなる成分には、例えば、過脂肪化剤、増粘剤、ポリマー類、活性成分、フィルム形成剤、UV−フィルター、抗酸化剤、屈水化剤、防腐剤、防虫剤、自己なめし剤、可溶化剤、芳香油、染料等がある。
これらのさらなる成分は、脂質相に、0%乃至30%、特に0.1%乃至20%、さらには1%乃至15%、さらには5%乃至10%の範囲の量で存在してもよい。
過脂肪化剤として使用される物質には、例えば、ラノリンまたは、例えばラノリンアルコール、ラノリン酸、ポリエトキシル化またはアシル化されたラノリン等または他のラノリン誘導体などのラノリン誘導体、またリン脂質、例えばレシチンまたは、例えばポリエトキル化またはアシル化されたレシチン等または他のレシチン誘導体などのレシチン誘導体、またポリオール脂肪酸エステル類、モノグリセリド類および脂肪酸アルカノールアミド類がある。
適切なカチオン性ポリマー類には、例えばカチオン性セルロース誘導体がある。例えば、第4級化ヒドロキシエチルセルロース(商品名ポリマーJR400(登録商標)としてアメルコール(Amerchol)から市販される)、カチオン性でんぷん、ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー、第4級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾール−ポリマー類(例えばBASFのLuviquat(登録商標))、ポリグリコール類とアミン類の縮合生成物、第4級化コラーゲンポリペプチド類、例えばラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解されたコラーゲン(Lamequat(登録商標)L/Grunau)、第4級化小麦ポリペプチド類、ポリエチレンイミン類、カチオン性シリコンポリマー類、例えばアモジメチコン、アジピニン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー類(Cartaretine(登録商標)/Sandoz)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロライド(Merquat(登録商標)550/Chemviron)のコポリマー類、ポリアミノポリアミド類、例えば、微結質形態中に任意に分散された第4級化キトサン等のカチオン性キチン(chitine)誘導体、例えばビス−ジメチルアミノ−1,3−プロパン、例えばセラニーズ(Celanese)から得られるジャグアー(Jaguar)(登録商標)CBS、ジャグアー(登録商標)C−17、ジャグアー(登録商標)C−16などのカチオン性グアーガム誘導体などのビス−ジアルキルアミン類を伴うジブロモブタン等のジハロゲンアルキレンから誘導される縮合生成物、例えばミラノール(Miranol)から得られるミラポール(Mirapol)(登録商標)A−15、ミラポール(登録商標)AD−1、ミラポール(登録商標)AZ−1などの第4級化アンモニウムポリマー塩類がある。
使用されうるアニオン性、双性、両性および非イオン性ポリマーは、例えばビニル酢酸/クロトン酸コポリマー類、ビニルピロリドン/ビニルアクリレートコポリマー類、ビニル酢酸/ブチルマレエート/イソボルニルアクリレート−コポリマー類、メチルビニルエーテル/マレイン酸非水素化コポリマー類およびそれらのエステル類であり、これらは交差結合せず、ポリオール結合した交差結合したポリアクリル酸を持つ。また、アクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム/アクリレート−コポリマー類、オクチルアクリルアミド/メチルメタクリレート/第3ブチルアミノエチルメタクリレート/2−ヒドロキシプロピルメタクリレート−コポリマー類、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/ビニルアセテート−コポリマー類、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート/ビニルカプロラクタム−テルポリマー類、および任意の誘導されたセルロースエーテル類およびシリコン類である。
さらに増粘剤として、少量のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を、C12−C24脂肪酸またはC12−C24ヒドロキシ脂肪酸のアンモニウム塩と同様に使用してもよい。好ましくは、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、特にはステアリン酸亜鉛でもよい。
脂質相はさらに、適切な抗酸化剤を含んでもよい。例えば、亜硫酸ナトリウムなどの亜硫酸塩、トコフェロールまたはその誘導体、アスコルビン酸またはその誘導体、クエン酸、没食子酸プロピル、グリコール酸キトサン、システイン、N−アセチルシステインと硫酸亜鉛類、例えばチオ硫酸ナトリウムなどのチオ硫酸塩類、ポリフェノール類等がある。
脂質相はさらに、粉末または粉末状成分、またはその混合物を含んでもよい。例えば、タルカム、ボラスアルバ(Bolus alba)、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、カルシウムステアレートまたはマグネシウムステアレート、ラウリル硫酸マグネシウム、でんぷんまたはその誘導体がある。
脂質相はさらに、脂質相の物理的に完全な状態を分解させる分解剤を含んでもよい。分解は、脂質相の一部または全体に生じてもよい。分解剤は脂質相の一部または全体に混合されても溶解されてもよい。分解剤は、脂質相に連続的に混合されてもよいし、不連続的に混合されてもよい。例えば、脂質相が1層として塗布される場合に例えばその脂質相の最上面で、またその最上層において、あるいはその最上層の一部において混合されてもよい。
適切な分解剤は、自己の相互作用による、または2つの製剤間の相互作用による、物理的または化学的な相互作用の影響を受ける製剤である。これにより、脂質相と、物理的または化学的な相互作用が生じる。ある種の分解剤には、例えば分解により、あるいは2つの製剤間の化学反応により、気体を放出するものがある。分解剤の例には、例えば、重炭酸塩と酸の固体混合物があり、例えば重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムと、クエン酸などの適切な有機酸との固体混合物がある。水に触れるとすぐに、例えば水相に触れるとすぐに、分解成分は脂質相を物理的に変化させる二酸化炭素と相互に作用すると共にそれを遊離する。この物理的な変化によって、例えば脂質相が均一に塗薬用具に分配されるようになる。このことは、水相と脂質相との間によい影響を与えるかもしれない。これは言い換えると、両相中の活性成分などの材料の皮膚への移送によい影響を与えるかもしれない。
脂質相は、塗薬用具の材料に塗布される間、またはその後にポリマー化反応の影響を受ける成分をさらに含んでもよい。このような成分には、例えばシート上に塗布する間、またはその後にモノマー類または他のオリゴマー類と共にポリマー化し続けるオリゴマー類がある。他には、ネッティング(netting)またはコポリマー化を引き起こる製剤がある。また、特定の期間ポリマー化を妨げる製剤でもよい。あるいは、例えば熱、光、または圧力など他の外部要因の影響下で、ポリマー化を促進する製剤でもよい。
ある実施の形態として、脂質相は、ポリマー化またはコポリマー化を、例えば後者は光下であるなど外部要因の影響下で、生じさせることができるモノマー類またはオリゴマー類を含む。この脂質相は塗薬用具に塗布され、この塗布処理の間、脂質相はポリマー化が生じた場所で起こる光放射の影響を受ける。あるいは、脂質相は塗薬用具に塗布された後に光放射を受けてもよい。
脂質相はさらに、温度または圧力の変化により製品の色を変化させるのに使用される染料を含んでもよい。これは、消費者に一定の快適度と、製品が脂質相を皮膚に分配していること、または脂質相が活性成分を含む場合は脂質相が皮膚に分配されていることの一定の信用度を与えるであろう。
脂質相はさらに、染料前駆体、すなわち物理的または化学的要因の影響で着色する製剤を含んでもよい。特にある実施の形態では、脂質相は、水相中に色を形成するために存在するある種の製剤と反応する染料前駆体を含んでもよい。同様に、染料前駆体は水相中に存在し、脂質相に含まれるある種の化学製品との相互作用により染料に変質してもよい。
脂質相はまた、ビード(beads)に調製されてもよい。特に、ビードは脂質相がいかなる形態でもその内部に捉えられるポリマービードである。「ビード」または「ポリマービード」という用語は、モノマー基盤またはポリマー基盤またはカプセル内に脂質相を包被する、被覆するまたは包含する、任意の形態の分離された自由流動する粉末、ビード、またはカプセルを意味する。この用語はまた、モノマー基盤またはポリマー基盤自身が脂質相である場合の粉末、ビードまたはカプセルを含む。これらの用語はまた、多孔性ビードまたは「マイクロスポンジ」および「マイクロカプセル」を含むことを意味し、後者はより小さいサイズのビードである。ビードは、ビード内部を保護する、または内部に捕らえられる脂質相の解放を制御する、適切な被覆材料でコーティングされてもよい。ビード上のコーティングはそれ自身で脂質相を含んでもよい。後者の場合、コーティングは、不活性なコア、すなわち脂質相および/または他の成分を含むコア上に施される。
脂質相の完全な状態に衝撃を与える可能性のある外的因子から脂質相を守るために、ビード内において脂質相の調製が行われてもよい。しかし、これは主として脂質相を調整して解放するために行われる。
ある種のビードは、マイクロメータ範囲の平均的な直径を持ち、また平均的な直径が200nmほどに小さくてよい小ビードまたは小カプセルである。
この種のカプセルはリポソームベースで、例えば、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸等のリン脂質から生成されてもよい。この種のカプセルはまた、でんぷん、セルロース、多孔性ゼラチン等から生成されてもよい。
カプセルまたはビードは、また比較的大きく、平均mm範囲または0.1mm範囲の大きさでもよい。この種のカプセルまたはビードは、例えば寒天、グリコール酸ポリマー類などの材料、および水、鉱油、グリセリンなど成分から生成されてもよい。これらはさらに防腐剤、染料等の成分を含んでもよい。
他の種のビードまたはマイクロカプセルはマイクロスポンジである。これらは、大きい内部表面を持つ(平均直径が)約5μm乃至約300μmの大きさの材料である。これらは、特定のモノマー類のポリマー化によって得られる。脂質相の材料はこのポリマー化処理の間、または後に、内部に取り込まれてもよい。マイクロスポンジベースの担体が、内部に取り込まれた脂質相の保護、または解放の調整のために使用されてよい。
カプセルは、特に本明細書中で述べたような1または複数の適切な分解剤を任意に含んでもよい。適切な外部要因と接するとすぐにこの分解剤はカプセルを壊して開口させ、これにより内部に取り込まれた脂質相が放たれる。
カプセルはまた、水相またはもう一方の脂質相、または両相に含まれてよい。カプセルはまた、脂質相と水相を導入する前に塗薬用具に塗布してもよい。カプセルはまた塗薬用具自身の製造工程の間に導入されてもよい。
コーティングまたは基盤の破裂の結果、ビードまたはカプセルから脂質相が放たれてよい。ると、これは、圧力、引っ張り力等の物理的要因、あるいは、例えば製品を皮膚または表面にこすりつけるなど、塗薬用具の使用による剪断力により生じてもよい。脂質相の解放は、ビードの半浸透性または多孔性、またはそのコーディングによって生じてよく、あるいは外的要因、例えば脂質相の抽出を引き起こす液体培地との接触、ビードまたはそのコーディングの溶解または分解、または温度の影響によって生じてよい。カプセルは、ある化学薬品の影響、特にカプセルに包含される分解剤の影響によって分解されてよい。後者の特定の実施の形態では、塗薬用具の使用時に水、例えば水相に接触する重炭酸塩および一定の有機酸の適切な量を含むカプセルが、カプセルの分解を引き起こす。
ビードまたはカプセルは、例えばエマルジョン重合など当分野で一般に知られる方法にしたがって生成されてよい。
ビードまたはカプセルは、塗薬用具の任意の部位に塗布されてよいが、好ましくは塗薬用具の表面、または上方の表面部位に集中して塗布される。これにより、製品が塗布された皮膚または表面に、脂質相が最大限に届けられる。
ビードまたはカプセルは、散布、ふるいかけ、スプレー等の方法により、乾燥形態で塗薬用具に塗布されてよい。これらはまた適切な液体またはペースト状でプリントされたりロールコーティングされたりしてよい。また、ビードに対して不活性な溶媒、水、または水相等の適切な液体と混合されて、塗薬用具にスプレーされてよい。
好ましい組成物
本発明の好ましい実施の形態は、脂質相が以下のI、IIまたはIIIに述べるような組成物を含むものである。
好ましい実施の形態として、脂質相の組成物は、25℃より高く、好ましくは30℃乃至45℃の範囲、より好ましくは32℃乃至40℃の範囲の融点または溶融範囲を有する。
好ましい脂質相の組成物の水分含有量は低く、脂質相の全重量に対して例えば10%より低く、好ましくは6%より低く、より好ましくは3%W/Wより低い。特に好ましい組成物は水分を含まないであろう。
好ましい実施の形態I
好ましい実施の形態Iとして、脂質相は、1または複数の脂肪酸モノ−、ジ−、またはトリグリセリド類、または、モノ−、ジ−、またはトリグリセリド類を含む天然油、およびこれら天然油の水素化された誘導体を備える。天然油の水素化された誘導体のある例として、水素化されたヒマシ油がある。脂質相は特にC12-24脂肪酸モノ−、ジ−、またはトリグリセリド類、特にC16-20脂肪酸モノ−、ジ−、またはトリグリセリド類を含む。特に、好ましい実施の形態Iとして、脂質相は、1または複数のトリグリセリド類、特にC12-24脂肪酸トリグリセリド類、さらにはC16-20脂肪酸トリグリセリド類を含む。このようなトリグリセリド類の特定の例には、グリセリルステアレート、グリセリルオレエート、グリセリルラウレート、グリセリルミリステート、ココグリセリド類、水素化されたパームグリセリド類がある。
好ましい実施の形態Iにおける脂質相中のモノ−、ジ−、またはトリグリセリド(類)の全量は特に脂質相を生成する成分の全量の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%W/Wでよい。ある実施の形態として、好ましい実施の形態Iの脂質相中のトリグリセリド(類)の全量は、脂質相を生成する成分の全量の、少なくとも50%、または少なくとも70%、または少なくとも90%W/Wでよい。
好ましい実施の形態II
好ましい実施の形態IIとして、脂質相は、例えばミリスチルアルコール、1−ペンタデカノール、セチルアルコール、1−ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、パルミチルアルコール、セテアリルアルコール、1−ノナデカノール、アラチジルアルコール、1−ヘネイコサノール、ベヘニルアルコール、ブラシジルアルコール、リグノセリルアルコール、セリルアルコール、またはミリシルアルコール、およびガーベットアルコール類などの天然の脂肪、油または蝋から誘導される、C12−C50脂肪酸アルコール類、特にC12−C24脂肪酸アルコール類を含む。
本発明での使用に特に重要なのは、C14−C18脂肪酸アルコール類およびC16−C18ガーベットアルコール類である。
脂質相に存在する1または複数のC12−C50脂肪酸アルコール類の全量は、脂質相の全量の、1%乃至30%(W/W)、好ましくは1%乃至20%(W/W)、より好ましくは1%乃至10%(W/W)の範囲でよい。
好ましい実施の形態III
好ましい実施の形態IIIとして、脂質相は、ジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、カルボキシル酸類またはヒドロキシ脂肪族アルコール類またはそれらの混合物から選択される少なくとも1の油成分または蝋成分を含む蝋質組成物である。
特に好ましい実施の形態IIIとして、脂質相は、
(a)ジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、カルボキシル酸類またはヒドロキシ脂肪族アルコール類またはそれらの混合物から選択される少なくとも1の油成分または蝋成分
(b)1の活性成分
を備えた蝋質組成物である。
好ましい実施の形態IIIの脂質相に用いられるジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、カルボキシル酸類またはヒドロキシ脂肪族アルコール類は、上述したものである。
上記の好ましい、または特に好ましい組成物は、25℃より高い温度で溶融し、および/または、10%より少ない、好ましくは6%より少ない、より好ましくは3%より少ない水分含有量を有する。特に、上記の好ましい、またはさらに好ましい蝋質組成物は水を含まず、水相によって分解されないであろう。本明細書で用いられるように、水を含まないとは、一般にその相は水分が加えられていない低水分含有量の材料から構成されることを意味する。
好ましい組成物IIIを有する脂質相は、脂質相に関連して説明されたような同様のさらなる組成物、特にさらなる蝋質の脂質成分または油を含んでよい。
好ましい組成物IIIを有する脂質相は、液体のジアルキル(レン)エーテル類、ジアルキル(レン)炭酸塩類、ジカルボン酸類またはヒドロキシ脂肪族アルコール類を含んでよい。ただしこれらは、好ましくは脂質相の全組成物が、融点または溶融範囲が25℃を超えない、より好ましくは上述したような温度範囲内となる量を含む。
特に好ましい実施の形態として、本発明の製品は、
(a)1%乃至50%(W/W)、特に1%乃至30%のC14−C30ジアルキルエーテル類、C14−C30ジアルキル炭酸塩類、C4−C34ジカルボン酸類、またはC12−C30ヒドロキシ脂肪族アルコール類、またはこれらの混合物から選択される油質または蝋質の成分
(b)0%乃至5%(W/W)、特に0.1%乃至5%(W/W)の少なくとも1の活性成分
(c)0%乃至10%(W/W)、特に1%乃至10%(W/W)の少なくとも1の油
(d)0%乃至10%(W/W)、特に0.1%乃至10%(W/W)の少なくとも1の乳化剤
(e)0%乃至90%(W/W)、特に5%乃至90%(W/W)のさらなる蝋質成分
(f)0%乃至5%(W/W)、特に0%乃至3%(W/W)の水
を含む脂質相を有する。
脂質相の塗布
脂質相は種々の方法で塗薬用具に塗布されてよい。好ましくは、脂質相は塗薬用具の表面、または表面部分の1またはいくつかの面に塗布されてよい。
脂質相は塗薬用具に均一に、または非均一に塗布されてよい。非均一とは、その量の脂質相の分配が、塗薬用具の領域によって変化する、すなわち塗薬用具のいくつかの領域は脂質相をより多い量、またはより少ない量を有するように塗布されてよい。好ましくは、脂質相は塗薬用具の領域に均一に塗布されてよい。
脂質相は塗薬用具の1またはいくつかの面に不連続的に、または連続的に塗布されてよい。また、塗薬用具の1またはいくつかの表面を完全に覆うように塗布されてもよい。
脂質相は好ましくは不連続模様で、塗薬用具の1またはいくつかの面に塗布される。この目的のために、脂質相は予め決められ、調整された方法で塗薬用具の特定の領域に塗布される。不連続模様とは、脂質相が、脂質相を含まない塗薬用具の領域と分離された、はっきり区別できる領域に塗布されたものである。この場合の脂質相は、塗薬用具の種々の形状をとりうる画定された部分または領域に塗布される。両相の塗布にとってより一般的には、脂質相が上述のように特に塗布されてよい。脂質相が塗布されうる特定の形状は、例えば縞、小点または斑点、例えば円柱形、楕円形、球形、長方形等の規則的な形状、または不規則的な形状の幾何学図形、ロゴ、テキスト、文字、または上述した模様を含む任意の不連続な模様、および脂質相と水相の塗布にとってより一般的な上述の形状である。
不連続の模様はまた、脂質相のより大きな模様の必須の網を含む。好ましい実施の形態として、脂質相は不連続に配置されてよい、すなわち遮られてよい不連続の縞として、または好ましくは塗薬用具の全表面に渡って連続的に存在する。この縞は、集団で縞を包含する不連続部位による一定模様を形成してもよい。あるいは、正弦形状または波形等の反復模様を有してもよい。波状縞が選択された場合は、好ましくは縞は、平行位置が維持され、各縞が隣接する縞と等しい空間を残すように、相を成す。
この縞は、製造を容易にするために装置に方向を合わせるのが好ましい。
ある実施の形態として、1より多い脂質相を塗薬用具の1またはいくつかの面に塗布してもよい。例えば、ある脂質相が塗薬用具の表面全体またはある面の一部に塗布され、これに対して他の脂質相が他の面全体または一部のみに、他の脂質相と同一または異なる模様で塗布されてもよい。特に、このような実施の形態では、同一の面上に、例えば同一または異なる色の平行縞または他の模様など、異なる2つの脂質相を有する。
特定の実施の形態として、塗薬用具の半分より多くない表面部分の1面または好ましくはいくつかの面は、脂質相を運搬する、または脂質相で覆われる。好ましい実施の形態として、脂質相はいくつかの面の表面上に存在し、塗薬用具の表面の50%より多くない、特に35%より多くない、または25%より多くない領域を覆う。特に好ましい実施の形態として、脂質相は縞として、特に塗薬用具のその面に平行な平行縞として存在し、表面の半分より多くない、または特に25%より多くない領域を覆う。他の好ましい実施の形態として、脂質相は小点として存在し、塗薬用具の全体表面に等しく広がり、表面の50%より多くない領域を覆う。
いくつかの実施の形態は、およそ規則的な形の小点を有し、他の実施の形態は円形の小点を有し、他の実施の形態は楕円を有し、さらに他の実施の形態は例えば円形と楕円形の組み合わせ、規則的な形の小点と円形の組み合わせなど、混合模様を有する。
縞の場合、その幅は好ましくは1mm乃至10mm、より好ましくは3mm乃至7mmである。小点の場合は、例えば円形、楕円形などの丸型が好ましく、平均的な直径は1mm乃至10mm、より好ましくは3mm乃至7mmである。1つの製品に異なる幅の縞が存在してもよいし、1つの製品に異なる大きさの小点が存在してもよい。後者の実施の形態の例には、一定の大きさの円形および異なる大きさの楕円、または異なる大きさの円形を有する塗薬用具がある。
脂質相は、色なしでも、色付き、すなわち単色または多色でもよい。多色模様は、異なる色に染色されたいくつかの脂質相を塗布することによって得られる。色付きの脂質相は、使用者に対して、活性成分を含む特別の材料によって塗薬用具が覆われているということ、または塗薬用具が美的に魅力的な製品を作りうることを気づかせるであろう。
他の実施の形態として、塗薬用具は、いくつかの面、または1面、または全面に渡って、あるいは一部分のみ、それ自身で色付きである。塗薬用具の一部のみに色が存在する場合は、その色は好ましくは、脂質相が取りうる模様と関連して述べられた形状および形態を有するだろう。他の実施の形態として、脂質相が塗布された複数の表面部位間のスペースのみが色付きで、脂質相の残りの領域が色なしである。このように、脂質相の模様は色なし模様として現れるだろう。
塗薬用具を色付ける好ましい模様は、縞模様である。このような実施の形態の例には、色付き縞、または色付き縞間の領域が、脂質相で覆われるものがある。前者の例では、脂質相の縞に色が付けられ、後者の場合は色が付けられない。
それ自身に色付けられうる、または色付けられない脂質相は、色の付いた塗薬用具に多数の異なる方法で塗布されてもよい。塗薬用具が全体に色の付いた表面を有する場合、脂質相が表面全体に塗布され、これにより異なる色または変更された色が生じてもよい。例えば、脂質相が白または不透明である場所が、より淡い色になる。脂質相はまた、一定の模様で塗布され、これにより多色製品が生成されてもよいし、あるいは脂質相が白または不透明の場合は単色模様の製品が生成されてもよい。
さらなる実施の形態として、塗薬用具はある模様で色付き、脂質相がこれらの模様上またはこれらの模様の一部に塗布されてよい。またこの場合、脂質相は色付きでも、色なし、すなわち白、不透明でもよく、あるいは透明でもよい。脂質相が白または不透明の場合、その厚さは塗薬用具の下部位の色が見えるように選ばれてよく、これにより脂質相が特定の成分を含むという印象を消費者に与える。
脂質相は、一般に約3g/m2乃至約40g/m2、好ましくは約10g/m2乃至約20g/m2の量で、塗薬用具の1面、好ましくはいくつかの面に塗布されてよい。あるいは、代わりに脂質相は、基質1グラムあたり約0.06g乃至約0.8g、好ましくは乾燥基質1グラムあたり約0.20g乃至約0.40gの量で塗布されてよい。
脂質相は、塗薬用具の上または中に、液体または溶融した脂質材料を接触させたり染み込ませたりするのに使用される任意の方法によって塗薬用具に塗布されてよい。脂質相は、塗薬用具を液体の脂質相に浸すことによって塗布されてよい。後者が室温で固体または半固体の場合、脂質相はその後に蒸発される適切な溶媒中で溶融または溶解することによって液化される。
脂質相はまた、塗薬用具の表面に脂質材料をコーティングさせる任意の方法によって塗布されてよい。ここで使用されるように、「コーティング」とは、印刷(printing)、被覆(covering)、上張り(overlaying)、総仕上げ処理(finishing)、スプレー、成型、薄層で覆う、または相を塗薬用具の表面に塗布する任意の他の方法を意味する。
特定のコーティング技術には、塗薬用具が管を通り過ぎる間に、組成物が強制的にその管を取りぬけて塗薬用具に接触する押し出し成形がある。好ましい技術には、切り込みのあるブレード、すなわちそこから溶融状態の脂質相が押し出される、カットされた部位を持つブレードに設けられた熱せられたヘッドに塗薬用具を接触することを含む。異なる好ましいコーティング技術は、ある熱せられたスプレー用ヘッドまたはノズルから、液化された脂質相をスプレーすることを含む、いわゆるホットメルト処理(hot melt process)を備える。他の塗布技術は、カレンダロール(calender roll)等の回転表面上に組成物をスプレーまたはドリップル(drippling)し、続いてその組成物を基質の表面に移すことである。
さらに他の技術は、例えば、スクリーン印刷(screen printing)、ローラー印刷(roller printing)およびグラビア印刷(gravure printing)などを含む従来の印刷技術に基づくものである。一般には、印刷は、回転表面が(彫り込み、エンボス加工または同様の技術により)高さを与えられ、この高さが、液化された脂質相に(例えば液化された脂質相と共に一定のバスを通過させることによって)接触し、それによって塗薬用具上に印刷されることを含む。脂質相を塗布するための他の技術は、溶融された脂質相が回転ロールに入れられ、このロールを覆う金属スクリーンを通って圧搾されるような、スクリーン印刷法を使用することである。これは、スクリーンの設計にもよるが、縞、小点、四角形、円形等、またはロゴおよびテキストなど、画定された模様を塗薬用具上にもたらす。
脂質相を塗薬用具に塗布するさらなる方法は、ローラーボール塗布(roller-ball application)によるものである。これは、塗薬用具に直接触れる一定のボールを液体状態の脂質相に接触させることと、それをロール動作により塗薬用具に移すことを含む。塗薬用具上の脂質相の望ましい模様に応じて、相互に隣接してまたは相互に後ろに取り付けられた、上記のようないくつかのローラーボール塗薬用具があってよい。これらは、同一または異なる脂質相を含んでもよい。
脂質相はまた、高圧コーティングによって塗布されてよい。この方法のある種の実施において、脂質相は適切なノズルを介して高圧下で押し出されることによって塗布される。特定の模様を作るために、特定の形状のノズルを用いてもよい。例えば、円形、星形、正方形、または他の幾何学図形、あるいは不規則な形状の模様を生成するノズルであってもよい。
脂質相はまた、これらの塗布技術を組み合わせて塗布されてもよい。
脂質相はまた、粒子または粉末として塗薬用具に塗布されてよい。ある種の実施の形態として、脂質相はビードまたは小カプセルとして、例えばドリップル、またはスクリーン印刷によって塗布されてよい。塗布後は粒子は溶融し、それにより塗薬用具の内部または表面に小点が形成されてもよい。
脂質相は、好ましくは液体形態、例えば溶融形態で塗布され、または粉末として塗布されてもよい。
脂質相は、水との混合物である間に液体形状で塗布されてよい。これは、色付きでも色なしでもよく、塗布された後に取り除かれ、乾燥した、または本質的に乾燥した製品になる。この文脈における「液体形状」とは、脂質相がそれ自身で液体であること、あるいは、加熱、例えば塗布された水の中で加熱することによって液化された脂質相であることを意味する。脂質相はすべての過程で液体形状を保つ。固体の脂質相の場合、加えられた水が除去された後のみに固体化が許される。ある実施の形態として、脂質相は湯と混合され、脂質/水の混合物が塗薬用具に塗布される。その後、種々の方法によって水分が蒸発される。例えば、単純に水分を蒸発させること、1または複数の熱せられた部材の上を塗薬用具を通過させて水分を蒸発させること、乾燥した、熱せられたまたは熱せられない空気を適用すること、減圧を適用することによって、水分を蒸発させる。
水が色付けされた実施の形態において、この水は塗薬用具に放散され、その後の蒸発により色付き塗薬用具が残るであろう。この種の実施の形態において塗布された脂質相は、色がなくてもよく、この場合白または淡い領域として現れる。あるいは、脂質相は多色製品を生成するように色付きでもよい。他の実施の形態では、この処理における脂質相は色付きであって、色なしの水が、脂質相の領域が色付きで他の領域が色なしの製品を生成するために使用される。このように得られた製品は、続いて、色付きまたは色なしでもよい水相と共に処理され、さらなる色の混合を有する製品を生成してもよい。
ある種の実施の形態として、脂質相は塗薬用具上に一つの層として、連続的または非連続的に、塗薬用具の1面またはいくつかの面に塗布される。この層は、圧力を与えることによって脂質層の表面にパンチされた脂質相材料の粒子で点を打たれる。この小点の材料は、脂質層のそれと同一でも異なってもよい。
脂質相は、好ましくは製造過程および貯蔵の間に塗薬用具の表面に残るように塗布される。このことは、その溶融温度より高い脂質相を、例えばその溶融時にスプレーしたりコーティングしたりすることにより塗薬用具の表面に塗布し、続いて脂質相を固体化させるために、その融点よりも低く冷却することによって、行われる。
脂質相は好ましくは、この例におけるその物理的位置のために、塗薬用具の表面に存在するように塗布される。この脂質相は使用中に皮膚上に広がって直ちに利用可能になる。この結果、使用中に脂質相が皮膚に移るという効果と、有用性、およびそれによる、混合された任意の活性成分の効果が、1つの連続的に塗布された相に活性剤が単に混合された製品と比較して、増大する。
好ましい実施の形態として、脂質相が液体(溶融)状態で塗薬用具に塗布され、続いて冷却された後で塗薬用具上に固体状態で存在するようにするために、脂質相の融点または溶融範囲は、25℃より高い、または上記に特定した温度範囲内である。これによって、本方法で水相と共に脂質相が塗布された塗薬用具の後処置をより便利に、容易にできる。この方法において、2相は混合したり相互作用したりしないような方法で塗布される。さらなる好ましい実施の形態として、脂質相は塗薬用具上に弱く壊れやすくないフィルムを塗薬用具上に形成する。このように処理された塗薬用具は、2相の混合が本質的に避けられるので、特に貯蔵の間、特に安定している。また、このような塗薬用具によって、脂質相は皮膚に触れるとすぐに溶融し、これにより両相が局所的に混合して乳化することが可能となる。
本発明のいくつかの実施の形態として、製品は、水相に対して異なる安定性を持つ2またはそれ以上の脂質相を含んでもよい。これにより、一方の相は他の相とよりも水と早く相互作用することができる。これにより、活性成分の緩やかさ(gradual)が望まれる場合に、製品内での塗布、または2またはそれ以上の活性成分の順々の解放が見つけられるかもしれない。
水相
水相は、塗薬用具を充満させるのに使用される製剤に基づく当分野で既知の任意の水でよい。水相は、さらなる成分または添加剤、例えば界面活性剤、乳化剤、粘度要因、軟化剤、モイスチャライザ、増粘剤、防腐剤、活性成分、特に美容的または皮膚科学的に活性な成分、香料等を含んでもよい。局所的な塗布に適した活性成分が特に好ましい。
水相は、好ましくは親水性である適切な染料を含んでもよい。ある種の実施の形態として、脂質相は非連続的な層、例えば水相のみを有する色の付いた領域を残す縞形状として、塗布されてよい。これにより、色付き模様、例えば脂質相がそれ自身で色を有するときは色付き線または多色付き模様などの色付き模様を有する塗薬用具製品を製造することができる。
脂質相はさらに、脂質相に触れるとこの脂質相に移り、色を生じさせる親油性の染料を含んでもよい。
水相は、1または複数の防腐剤をさらに含んでよい。例えば、フェノキシエタノール、C1-4アルキルパラベン類およびこれらの塩類、特にナトリウム塩類(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチルパラベン等のパラベンなどのC1-6アルキルパラベン類)などのアルカリ金属塩類、クロロヘキシジン、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒドリリーサー、ベンジルアルコール、クロロキシレノール、フェノキシエタノール、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、安息香酸ナトリウム、クロロヘキシジンジグルコネートメチルジブロモグルタロニトリル、ホウ酸ナトリウム、5−ブロモ−ニトロ−1,3−ジオキサン、アルコール、安息香酸、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、ジクロロベンジルアルコール、グルコールオキシダーゼ、ヘキサミジンジイセチオネート、イミダゾリジニル尿素、ヨードプロピニルブチルカルバメート、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン、ラクトペルオキシダーゼ、硝酸マグネシウム、PEG−4ラウレート、フェネチルアルコール、ポリアミノプロピルビグアニド、ソルビン酸カリウム、プロピレングリコール、ピリドキシンHCl、クオタニウム−15、ソルビン酸、トリクロサン、トコフェロール等がある。
水相は、好ましくは限定された量、例えば水相の全量の20%より少ない、または15%より少ない、または10%より少ない、特に5%より少ない、または3%より少ない量の、適切な界面活性剤を含んでもよい。混合されうる界面活性剤には、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、セテアリル硫酸ナトリウム等の硫酸アルキル、例えばラウリルスルホ酢酸ナトリウム等のスルホ酢酸アルキル、例えばラウレス硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、オレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸アンモニウム等のエーテル硫酸アルキル、例えばラウレススルホコハク酸二ナトリウム等のスルホコハク酸アルキルエーテル、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド等のアルキルグルコシド類、アルキルイソチオネート類、例えばコカミドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオネートナトリウム、ラウロアンホプロピオネート二ナトリウム、および上記両性剤のカリウム塩またはアンモニウム塩、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、アンデシルエナミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、および脂肪族アルコールポリグリコールエーテル類がある。
適切な調整剤には、例えば、アルキルアミドアンモニウムラクテート、セチルジメチコン、セチルリシノレエート、ジメチコン、ラウレス−23、ラウレス−4、ポリデセン、レチニルパルミテート、またグリセリルモノオレエートおよびココグルコシドとそれらの混合物(特に、これらのうち2成分の混合物であるコグニス(Cognis)の「レイムソフト(Lamesoft)(登録商標)」)、第4級プロテインヒドロリセート類、第4級セルロースおよびでんぷん誘導体、アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらの塩の第4級コポリマー類、第4級シリコン誘導体、シリコンオイル、シクロメチコン類等の製剤およびそれらの混合物がある。
水相はさらに、適切な増粘剤および薄層形成基質を含んでもよい。
水相は、pH高感度成分、すなわちpHの変化に伴って特性を変える成分を含んでもよい。pHの変化は、pHが、たいてい約pH7である製品のpHから、約pH5.5である皮膚pHに変化する場所の皮膚に、塗薬用具製品を触れさせたときに起こってもよい。pH高感度剤には、例えば特定の乳化剤、安定化剤、界面活性剤、粘性調整剤、キレート剤等がある。
ある種の実施の形態として、適切な乳化剤は、乳化能力を変化させる、好ましくは乳化能力を増大させ、皮膚に接するとすぐに乳化処理が起こり水相と脂質相との間の相互作用を引き起こすpH範囲における、pH高感度のものから選択される。これは皮膚に製品を塗布することにより生じる前述のpHの変化によって、活性成分、特に、例えばpH依存溶解度を持つ活性剤などpH高感度の活性剤からの解放が促進されてもよい。
水相の塗布
水相は、水性の液体ローションを塗布するための当分野で既知の一般的な方法を用いて塗薬用具に塗布されてもよい。例えば、スプレーする、滴らせる、浸す等の方法がある。水相を塗布する好ましい方法には、適切なノズルを用いてスプレーすること、または例えば穴または切り込みを持つ穴の開いた管を用いることによって、ドリップルすることがある。浸す方法は、塗薬用具を、水相を保持するバス内を通り抜けさせ、続いてプレスすることにより吸収される液体の量を調整することによって行われてもよい。
水相は、脂質相に対して説明した種々の方法によって、均一または非均一に、連続的または非連続的に、表面または表面の一部に、好ましくは塗薬用具材料の全体を通して塗布されてもよい。任意に、塗薬用具のいくつかの部分は乾燥されてよく、すなわち脂質相および水相を持たなくてよく、またはいくつかの部分は脂質相または水相のみを有してもよい。水相は塗薬用具の種々の面または1面のみに塗布されてよい。
水相は、典型的には1gの基質につき約1.0g乃至10g、好ましくは1gの基質につき2.0g乃至5g、より好ましくは乾燥基質1gにつき2g乃至4.5g、最も好ましくは基質1gにつき約3.7g乃至約3.8gの量で塗布される。
脂質相で覆われていない塗薬用具の領域(またはその面)のみに水相を塗布のみすることは、また有益であってよい。
多くの場合、製品は洗浄品として用いられるので、水相を洗浄剤として設計することが有用である。洗浄が最も困難な汚れは、水に不溶性および/または皮膚への強力な接着性を有するものである。そのため、水相は水に不溶性の材料を吸い取ることができるように調製される。
さらなる相
本発明の他の実施の形態としてさらなる層が塗薬用具に塗布される。この層は、後でポリマー層として言及されるポリマー材料から形成される。1または複数のポリマー層が塗薬用具に塗布されてよい。本明細書で用いられるときは常に「ポリマー層」とは1または複数のポリマー層に言及する。
ポリマー層は塗薬用具の1面またはいくつかの面に塗布されてよい。
ポリマー層は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、シリコン等およびこれらの混合物等の適切なポリマーから生成される。ポリマー層はまた他の材料、例えば添加剤または染料を含んでもよい。後者の例では、ポリマー層で覆われた塗薬用具の領域は、色領域として生成するであろう。種々のポリマー層が塗布される場合、異なる色の層が使用され、異なる色付き模様が生じてもよい。
ポリマー層は、脂質相の塗布に対して説明したのと同様に塗薬用具に塗布されてもよい。例えば、連続的に、すなわち塗薬用具の全表面に、または非連続的に、例えば縞、斑点または他の図形等の模様で塗布されてよい。ポリマー層が全表面を覆わない場合は、脂質相は、ポリマー層により覆われた塗薬用具の領域および他の領域を共に覆ってもよい。
脂質相は、ポリマー層に塗布されて二重層を形成してもよい。ポリマー層は脂質相によって完全に覆われる必要はない、すなわちいくつかの部分が覆われずに残ってもよい。
ポリマー層は、脂質相に覆われない領域に塗布されてもよい。例えば、脂質相が非連続の形式で層として塗布され、ポリマー層が脂質相がない箇所に塗布されてよい。ある特定の実施の形態として、脂質相は縞として塗布され、ポリマー層がこれらの縞の間に塗布されて、脂質相とポリマー層の交互の縞模様を形成してもよい。これは、例えば塗薬用具の1面になされ、水相が他の面に塗布されてもよい。
ポリマー層は、上記のような層を持つ製品を塗布されると破裂されうる半固体であってもよい。半固体のポリマー層は、蝋質、クリーム状または同様の粘度を持つポリマー類から生成される。この場合、ポリマー層は塗薬用具に外部被膜として、1面またはいくつかの表面の一部または全体を覆うように塗布されてもよい。ポリマー層は、脂質層の一部または全体を覆ってもよい。
ポリマー層を覆う脂質相は、色付きでも色なしでもよい。前者の場合、ポリマー層は好ましくは色なし、または色が付いても白である。脂質相が色なしの場合、ポリマー層は好ましくは色付きで、白または色なしでもよい。
ポリマー層は、使用者の皮膚に覆われた脂質相の移動を改善または促進するために塗布されてもよい。色付きポリマー層または色付き脂質相、または両方を使用することにより、塗薬用具製品を使用して脂質相が皮膚に移ったときに、色の出現、消失、またはそれぞれの色の変化が生じる。
ポリマー層は、塗薬用具を製造するための、ポリマー層を含む材料等の材料をコーティングする既知の方法を用いて、塗薬用具に塗布されてよい。例えば、ポリマー層はスクリーン印刷、グラビア印刷、ローラー印刷、エンボス加工、スプレー、ドリップル、浸すことによって塗布されてよい。
一方の相または両相に対するさらなる成分
脂質相および/または水相は、一方の相または両相に存在してもよい成分をさらに含んでもよい。
活性成分
脂質相および/または水相は、皮膚に塗布するための活性成分をさらに含んでもよい。脂質相は好ましくは油溶性または疎水性の活性化剤を含み、水相は好ましくは水溶性または親水性の活性化剤を含んでもよい。しかし、適切な乳化剤を使用することによって、油溶性または親油性の活性成分が水相に混合され、反対に水溶性または親水性の製剤が脂質相に混合されうる。
1または複数の活性剤を含む脂質相および/または水相を有する製品は、本発明に特に魅力的な実施の形態を形成する。好ましい実施の形態は、活性成分が脂質相中に存在するものである。この活性成分は、特定の混合物中に存在してもよい。
親油性または疎水性でもよい活性成分は、適切な担体に混合され、または包含されてよい。これらは、活性成分を調製するものとして知られる任意の、皮膚に許容される不活性材料を含む。担体は、細かく、または粗大に分割された粉末、または粒状であってよい。これらは、でんぷん、砂糖、結合剤、潤滑剤、希釈剤、添加剤、分解剤、粒化剤および同様の成分を含んでもよい。担体材料の性質は、その中で調製される活性成分および望まれる製剤の種類によって決まるだろう。
活性成分を包含する特定の担体は、活性成分がいくつかの形態でその中に捕らえられるビードである。「ビード」または「ポリマービード」という用語は、モノマー基盤またはポリマー基盤またはカプセルの中で活性成分を包む、覆う、または含む、任意の形態の分離された自由流動する粉末、ビードまたはカプセルを含むことを意味する。これらの用語はまた、多孔性ビードまたは、「マイクロスポンジ」、「マイクロカプセル」を含むことを意味し、後者はより小さいサイズのビードである。ビードは、ビード内部を保護する、または内部に捕らえられる活性成分の解放を制御する、適切な被覆材料でコーティングされてもよい。ビード上のコーティングはそれ自身で活性成分を含んでよく、この場合、コーティングは、不活性なコア上に施される。
ビード内で活性成分を調製することは、活性剤を環境因子から保護するためであってよいが、主には活性剤を制御して解放させるために行われてもよい。
ある種のビードは、マイクロメータ範囲の平均的な直径を持ち、また平均的な直径が200nmほどに小さくてよい小ビードまたは小カプセルである。
この種のカプセルはリポソームベースで、例えば、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸等のリン脂質から生成されてもよい。この種のカプセルはまた、でんぷん、セルロース、多孔性ゼラチン等から生成されてもよい。
カプセルまたはビードは、また比較的大きく、平均mm範囲または0.1mm範囲の大きさでもよい。この種のカプセルまたはビードは、例えば寒天、グリコール酸ポリマー類などの材料、および水、鉱油、グリセリンなど成分から生成されてもよい。これらはさらに防腐剤、染料等の成分を含んでもよい。
他の種のビードまたはマイクロカプセルはマイクロスポンジである。これらは、大きい内部表面を持つ(平均直径が)約5μm乃至約300μmの大きさの材料である。これらは、特定のモノマー類のポリマー化によって得られる。活性成分はこのポリマー化処理の間、または後に、内部に取り込まれてもよい。マイクロスポンジベースの担体が、内部に取り込まれた活性成分の保護、または解放の調整のために使用されてよい。
カプセルは、特に本明細書中で述べたような1または複数の適切な分解剤を任意に含んでもよい。適切な外部要因と接するとすぐにこの分解剤はカプセルを壊して開口させ、これにより内部に取り込まれた活性成分が放たれる。
カプセルはまた、脂質相または水相、または両相に含まれてよい。カプセルはまた、脂質相と水相を導入する前に塗薬用具に塗布してもよい。カプセルはまた塗薬用具自身の製造工程の間に導入されてもよい。
コーティングまたは基盤の破裂の結果、ビードまたはカプセルから活性剤が放たれてよい。これは、圧力、引っ張り力等の物理的要因、あるいは、例えば製品を皮膚または表面にこすりつけるなど、塗薬用具の使用による剪断力により生じてもよい。活性成分の解放は、ビードの半浸透性または多孔性、またはそのコーディングによって生じてよく、あるいは外的要因、例えば活性成分の抽出を引き起こす液体培地との接触、ビードまたはそのコーティングの溶解または分解、または温度の影響によって生じてよい。カプセルは、ある化学薬品の影響、特にカプセルに包含される分解剤の影響によって分解されてよい。後者の特定の実施の形態では、塗薬用具の使用時に水、例えば水相に接触する重炭酸塩および一定の有機酸の適切な量を含むカプセルが、カプセルの分解を引き起こす。
ビードまたはカプセルは、例えばエマルジョン重合など当分野で一般に知られる方法にしたがって生成されてよい。
ビードまたはカプセルは、塗薬用具の任意の部位に塗布されてよいが、好ましくは塗薬用具の表面、または上方の表面部位に集中して塗布される。これにより、製品が塗布された皮膚または表面に、活性成分が最大限に届けられる。
ビードまたはカプセルは、散布、ふるいかけ、スプレー等の方法により、乾燥形態で塗薬用具に塗布されてよい。これらはまた適切な液体またはペースト状でプリントされたりロールコーティングされたりしてよい。また、ビードに対して不活性な溶媒、水、または水相等の適切な液体と混合されて、塗薬用具にスプレーされてよい。
水相または脂質相に使用される活性成分の例には、抗バクテリア剤、抗真菌剤等の抗菌剤、抗炎症剤、抗刺激化合物、抗痒み剤、モイスチャライザ、スキンケア成分、植物エキス類、ビタミン類、抗炎症剤、また抗痛み、抗刺激、抗フケ、抗老化、または抗シワのための活性剤、例えばレチノール、メリビオース、ジメチルアミノエタノール(DMAE)のような皮膚リフティング剤、また特にその塩形態がある。他の適切な活性剤には、例えば、オマゴヤシ・オフィシナリス(Medicago officinalis)、マタタビ(Actinidia chinensis)、アラントイン(allantoin)、アロエバーバデンシス(Aloe barbadensis)、アノナケリモリア(Anona cherimolia)、ローマカミツレ(Anthemis nobilis)、ナンキンマメ(Arachis hypogaea)、アルニカ(Arnica montana)、カラスムギ(Avena sative)、ベータカロチン、ビスアボロール、ボラゴオフィシナリス(Borago officinalis)、ブチレングリコール、キンセンカオフィシナリス(Calendula officinalis)、ツバキシネンシス(Camellia sinensis)、樟脳、カンジダボンビコラ(Candida bombicola)、カプリロイルグリシン(capryloyl glycine)、パパイヤ(Carica papaya)、ヤグルマギク(Centaurea cyanus)、塩化セチルピリジニウム、カモミラレクチタ(Chamomilla recutita)、ケノポジ(Chenopodium quinoa)、チンチョナスシルブラ(Chinchona succirubra)、ツノマタ(Chondrus crispus)、ダイダイ油(Citrus aurantium dulcis)、ザボン(Citrus grandis)、シトラスリモナム(Citrus limonum)、ココヤシ(Cocos nucifera)、コーヒーノキ(Coffea arabica)、例えば銅トリペプチド−1等の銅ペプチド類、サンザシ(Crataegus monogina)、マクワウリ(Cucumis melo)、ジクロロフェニルイミダゾールジオキソラン、アオノリ(Enteromorpha compressa)、スギナ(Equisetum arvense)、エトキシジグリコール、エチルパンテノール、ファルネソール(farnesol)、フェルラ酸、イチゴ(Fragaria chiloensis)、ゲンチアナ(Gentiana lutea)、銀杏(Ginkgo biloba)、グリシンソヤ(Glycine soya)、グリセリルラウレート、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、ハマメリス(Hamamelis virginiana)、ヘリオトロピン(heliotropine)、水素化されたパームグリセリド類、クエン酸塩類、加水分解されたカスター油、加水分解された小麦たんぱく質、ヒペリカムペルフォラタム(Hypericum perforatum)、シロバナイリス(Iris florentina)、ビャクシン(Juniperus communis)、ラクチスプロテイナム(lactis proteinum)、ラクトース(lactose)、ローソニアイナーミス(Lawsonia inermis)、リナオロール(linalool)、アマ(Linum usitatissimum)、リシン、アスパラギン酸マグネシウム、マグニフェラインディカ(magnifera indica)、アオイ(Malva sylvestris)、マンニトール、メル、メラルーカアルターニフォリア(Melaleuca alternifolia)、セイヨウハッカ(Mentha piperita)、メントール、メンチルラクテート、オジギソウ(Mimosa tenuiflora)、スイレン(Nymphaea alba)、オラフラー(olaflur)、イネ(Oryza sativa)、パンテノール、鉱物油(paraffinum liquidum)、PEG−20M、PEG−26ホホバ酸、PEG−26ホホバ酸アルコール、PEG−35カスター油、PEG−40水素化されたカスター油、PEG−60水素化されたカスター油、PEG−8カプリル酸/カプリン酸、アボガド(Persea gratissima)、ペトロラクタム、アスパラギン酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピレングリコール、アーモンド油(Prunus amygdalus dulcis)、アンズ(prunus armeniaca)、モモ(Prunus persica)、レチニルパルミテート、トウゴマ(Ricinus communis)、ローザカニーナ(Rosa canina)、マンネンロウオフィシナリス(Rosmarinus officinalis)、イチゴ(Rubus idaeus)、サリチル酸、ニワトコ(Sambucus nigra)、サルコシン、セレノアセルラータ(Serenoa serrulata)、シモンドシアキネンシス(Simmondsia chinensis)、カルボキシメチルベタグルカンナトリウム、ココイルアミノ酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、パルミトイルプロリンナトリウム、ステアロキシトリメチルシラン、ステアリルアルコール、硫化TEA−リシノレエート、タルカム、タチジャコウソウ(thymus vulgaris)、フユボダイジュ(Tilia cordata)、トコフェロール、酢酸トコフェリル、トリデセス−9、コムギ(Triticum vulgare)、チロシン、ウンデシレノイルグリシン(undecylenoyl glycine)、尿素、コケモモ(Vaccinium myrtillus)、バリン、酸化鉛、硫化鉛等がある。
特に重要なのは、炎症反応を示す、すなわちヒリヒリしたり赤くなったり損傷を受けたりした皮膚を処置するために使用することができる活性成分である。このような製剤には、例えば鉛化合物または硫黄がある。
使用することができるさらなる活性成分は、商標名Generol(登録商標)の名で知られるものである。これらは、エトキシル化された、またエトキシル化されないフィトステリン類(phytosterines)を含む。他の活性成分には、抗菌剤、生物起源の活性成分がある。
活性成分は、その成分の性質および用途によって種々の濃度で存在してよいが、たいていは0.01%乃至10%(w/w)、好ましくは0.1%乃至7%(w/w)、より好ましくは1%乃至5%(w/w)の範囲の量で存在する。w/wは、脂質相または水相の全量に対する量を表す。
さらなる添加成分
両相は、モイスチャライザ、再脂肪化剤、増粘剤、粉末剤、生物起源の製剤、防臭剤、フィルタ形成剤、UV日焼け止めフィルタ、抗酸化剤、屈水性誘発物質、防腐剤、防虫剤、自己なめし剤、可溶化剤、芳香剤、染料、色素剤等のさらなる成分を含んでもよい。
モイスチャライザ
脂質相および/または水相は、さらに1または複数のモイスチャライザを含んでよい。これらは、皮膚の水和化を調節するためのみでなく感覚的な特性を改善するために加えられる。これらの製剤は、塗薬用具内での、または塗薬用具に対する組成物の浸透をさらに改善できる。
モイスチャライザは、典型的には、脂質相および/または水相の全量に対して、1%乃至20%(w/w)、好ましくは5%乃至15%(w/w)、より好ましくは5%乃至10%(w/w)の量で存在してもよい。
適切なモイスチャライザには、例えばアミノ酸類、ピロリドンカルボン酸、乳酸およびその塩類、ラクチトール、尿素および尿素誘導体、尿酸、グルコサミン、クレアチニン、コラーゲンの加水分解生成物、キトサンまたはキトサン塩/誘導体、また特にポリオール類およびポリオール誘導体(例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、コバルト華、1,2,6−ヘキサントリオール、例えばPEG−4、PEG−6、PEG−7、PEG−8、PEG−9、PEG−10、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−18、PEG−20、PEG−135、PEG−150等のポリエチレングリコール類)、糖および糖誘導体(例えばフルクトース、グルコース、マルトース、マルチトール、マンニート、イノサイト、ソルビート、ソルビチルシランジオール、スクロース、トレハロース、キシロース、キシリット、グルクロン酸およびその塩類)、エトキシル化されたソルビトール(ソルベス−6、ソルベス−20、ソルベス−30、ソルベス−40)、蜂蜜および水素添加された蜂蜜、水素添加されたでんぷん加水分解物、また水素添加された小麦たんぱく質、加水分解されたミルクたんぱく質、レシチン、ピサントリオール、ヒアルロン酸およびその塩類の混合物、およびPEG−20−酢酸コポリマー類がある。特に、好ましいモイスチャライザは、グリセリン、ジグリセリンおよびトリグリセリンである。
本発明に基づく製品は、日焼け止め剤の塗布に用いられてよく、この場合は日焼け止め剤塗布用具の形態を有する。この製品では、脂質相および/または水相は、1または複数の日焼け止めフィルタを含み、例えば、紫外線放射を吸収することができ、熱エネルギーなど、長波放射として吸収されたエネルギー等を解放することができる。UVB−フィルタは油溶性または水溶性でもよい。
不溶性の日焼け止め色素剤、すなわち細かく分散された酸化金属または金属塩がさらに加えられてよい。これらは二次的に光保護因子となる。
染料を加えることは、特定の(活性)成分が脂質相に含まれているというメッセージを送って、使用者に目に見える目安を与えることができるという利点を有する。これにより、塗薬用具上に塗布された相、特に脂質相の安定性がさらに容易に視覚化される。これにより、例えば油相および水相が貯蓄中に混合されたか否かをモニタすることができる。
乳化剤
本発明の製品中の脂質相および/または水相は、さらにW/O型(脂質相用)またはO/W型(水相用)でもよい1または複数の乳化剤を含んでよい。乳化剤を加えることにより、親水性の成分または製剤を脂質相に混合すること、また逆に疎水性の成分または製剤を水相に混合することができる。
好ましくは、通常皮膚と良好な融和性を有する非イオン性乳化剤である。非イオン性のW/O型およびO/W型の乳化剤を混合すると、感覚的な特性が改善される。脂質相および/または水相は、脂質相および/または水相の全量の0%乃至20%(w/w)、特に0.1%乃至15%(w/w)、さらに0.1%乃至10%(w/w)、さらには0.1%乃至5%(w/w)または0.1%乃至2%(w/w)の量の乳化剤を含んでもよい。
非イオン性乳化剤
特定の非イオン性乳化剤は、
(1)2モル乃至50モルの酸化エチレンおよび/または0モル乃至20モルの酸化プロピレンの、アルキル残余中の8乃至40のC原子を有する直鎖状脂肪族アルコール類、12乃至40のC原子を有する脂肪酸、8乃至15のC原子を有するアルキルフェノール類に対する付加生成物。
(2)1モル乃至50モルの酸化エチレンとグリセリンの付加生成物の、C12/18脂肪酸モノ−および−ジエステル類。
(3)6乃至22のC原子を持つ飽和性および不飽和性の脂肪酸のグリセリンモノ−および−ジエステル類およびソルビタンモノ−および−ジエステル類とそれらの酸化エチレン付加生成物。
(4)アルキル残余中の8乃至22のC原子を持つアルキルモノ−および−オリゴグリコシド類とそれらのエトキシル化類似体。
(5)7モル乃至60モルの酸化エチレンの、カストリウム油および/または硬化されたカストリウム油への付加生成物。
(6)ポリオール−、特にポリグリセリンエステル類、例えばポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレート、ポリグリセリンポリリシノレエート、ポリグリセリンジイソステアレートまたはポリグリセリンジメレート。また、適用可能なのは、これらの基質部類のうちのいくつかの化合物の混合物である。
(7)2モル乃至15モルの酸化エチレンの、カストリウム油および/または硬化されたカストリウム油への付加生成物。
(8)直鎖状、分枝鎖状、不飽和または飽和C6−C22脂肪酸類、リシノレイン酸、また12−ヒドロキシステアリン酸およびグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリート、ジペンタエリスリート、糖アルコール類(例えばソルビトール)、アルキルグルコシド類(例えば、メチルグルコシド、ブチルグルコシド、ラウリルグルコシド)、またポリグルコシド類(例えばセルロース)、または例えばグリセリルステアレート/クエン酸、グリセリルステアレート/ラクテートなどの混合エステル類。
(9)羊毛蝋アルコール類。
(10)ポリシロキサン−ポリアルキル−ポリエーテル−コポリマー類およびそれらの誘導体。
(11)メチルグルコースとポリオール類、それぞれにグリセリンまたはポリグリセリンを有する6乃至22のC原子を持つ、ペンタエリスリート、脂肪酸類、クエン酸および脂肪族アルコール類からの混合エステル類、および/または脂肪酸類の混合エステル類。(12)ポリアルキレングリコール類。
付加生成物である、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンおよび脂肪族アルコール類、脂肪酸類、アルキルフェノール類、脂肪酸類またはカストリウム油のグリセリンモノ−、−ジエステル類およびソルビタンモノ−、−ジエステル類が知られ、市販される製品である。たいていこれらは、アルコキシル化の平均的な程度が酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンおよび基質の開始量の比率と一致する同族体の混合物であり、それと共に付加反応が起こる。これらの生成物のアルコキシル化の程度は、W/O型乳化剤であるかO/W型乳化剤であるかによって決まる。酸化エチレンのグリセリンに対する付加生成物のC12/18脂肪酸モノ−、−ジエステル類は、化粧品用途における再脂肪化剤として知られる。
有用で刺激の少ない特定の乳化剤は、ポリオールポリ−12−ヒドロキシステアレート類およびそれと他の化合物との混合物であり、商標名「Dehymuls(登録商標)PGPH」(W/O型乳化剤)または「Eumulgin(登録商標)VL75」(ココグリセリド類との1:1w/w混合物、O/W型乳化剤)またはCognis Deutshland GmbHのDehymuls(登録商標)SBL(W/O型乳化剤)がある。これらの乳化剤のポリオール化合物は、少なくとも2、特に3乃至12、さらには3乃至8のヒドロキシル基と、2乃至12の炭素原子を持つ材料から誘導されてよい。
水溶性の活性成分および/または少量の水を脂質相に混合することが望ましい場合、非イオン性のO/W型乳化剤(HLB値:8乃至18)および/または可溶化剤からなる群から選択される乳化剤を加えることが望ましいだろう。これらは、例えば、相当する高程度にエトキシル化された、すでに述べた酸化エチレン付加物でよく、例えば、O/W型乳化剤の場合は10乃至20の酸化エチレン集合体、いわゆる可溶化剤に対しては20乃至40の酸化エチレン集合体がある。O/W型乳化剤として特に魅力的なのは、セテアレス−12とPEG−20ステアレートである。特に魅力的な可溶化剤は、Eumulgin(登録商標)HRE40(INCI:水素添加されたカストリウム油であるPEG−40)、Eumulgin(登録商標)HRE60(INCI:水素添加されたカストリウム油であるPEG−60)、Eumulgin(登録商標)L(INCI:PPG−1−PEG−9ラウリルグリコールエーテル)およびEumulgin(登録商標)SML20(INCI:ポリソルベート−20)である。
アルキルオリゴグリコシドの群の非イオン性乳化剤は、特に皮膚許容性であり、それゆえO/W型乳化剤として好ましい。C8−C22のアルキルモノ−、−オリゴグリコシド類において、それらの調製と使用は従来技術に開示される。オリゴグリコシド類とは、約8までのある程度のオリゴマー化を有するオリゴマーグリコシド類を含むことを意味する。オリゴマー化の程度は、特定範囲のオリゴグリコシド類から構成される製品に対して使用される統計上の平均値でよい。例えば、商標名Plantacare(登録商標)として市販される製品がある。これは、平均1乃至2程度のオリゴマー化を有するオリゴグルコシド残余にグリコシドのように結合するC8−C16アルキル基を有する。
他の非イオン性乳化剤には、アシルグルカミド類がある。好ましくは、アルキルポリグルコシド類と脂肪族アルコール類の1:1混合物であり商標名Emulgade(登録商標)PL68/50(Cognis Deutshland GmbH)として市販される製品、およびラウリルグルコシド、ポリグリセリル−2−ジポリヒドロキシステアレート、グリセリンおよび水の混合物であり、商標名Emulgade(登録商標)VL75として市販される製品がある。
親油性W/O乳化剤は、原則として1乃至8の範囲のHLB値を有する乳化剤である。エトキシル化された製品のHLB値は、HLB=(100−L):5の公式で算出され、ここで、Lは親油基、すなわち酸化エチレン付加物中の脂肪族アルキル基または脂肪族アシル基のパーセント値(重量%値)である。
特に魅力的なW/O乳化剤には、ポリオール類の一部エステル類、特にポリオール類の脂肪酸類のモノ−、ジ−、トリ−、元素比率が3:2のエステル類、さらに、C3−C6ポリオール類がある。例えば、グリセリルモノエスエル類、ペンタエリスリートの一部エステル類または炭水化物エステル類があり、例えばサッカロースジステアレートまたはソルビタンモノ−、ジ−、トリ−または元素比率が3:2の脂肪族エステル類、特にステアレート類、オレエート類、エルケート類、リシノレエート類、ヒドロキシステアレート類、イソステアレート類(また:酒石酸塩類、クエン酸塩類、マレイン酸塩類)等がある。また、1モル乃至30モル、好ましくは5モル乃至10モルの酸化エチレンを、それらのソルビタンエステル類に付加した付加生成物が魅力的である。
両相に対するさらなる界面活性剤/乳化剤
本発明による製品の使用に応じて、脂質相および/または水相は、双極性、両性、カチオン性、またはアニオン性の界面活性剤をさらに含んでよい。
双極性の界面活性剤は、少なくとも1の第4級アンモニウム基と少なくとも1の−COO(-)−または−SO3I (-)−基を含む張力活性の化合物である。特に有用な双極性界面活性剤は、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネートのようないわゆるベタイン類、例えばココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N−アシルアミノプロピル−N,N−ジメチルアンモニウムグリシネート、例えばココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、および2−アルキル−3−カルボキシルメチル−3−ヒドロキシエチルイミダゾリンであり、それぞれアルキル基またはアシル基中に8乃至18のC原子を有する。またココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートがある。好ましい双極性の界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
両性の界面活性剤が、特に補界面活性剤としてさらに加えられてよい。両性の界面活性剤は、C8−C18−アルキル基またはアシル基と同等であり少なくとも1のフリーアミノ基と少なくとも1の−COOH−基または−SO3H−基を有し、また内部に塩を形成することができる張力活性化合物を含む。適切な両性の界面活性剤には、例えばN−アルキルグリシン類、N−アルキルプロピオン酸類、N−アルキルアミノブテン酸類、N−アルキルイミノジプロピオン酸類、N−ヒドロキシエチル−N−アルキルアミドプロピルグリシン類、N−アルキルタウリン、N−アルキルサルコシン、2−アルキルアミノプロピオン酸類およびアルキルアミノ酢酸類であり、各アルキル基は約8乃至18のC原子を有する。
最も好ましい両性の界面活性剤は、N−ココアルキルアミノプロピオネートココアシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12-18アシルサルコシンである。
アニオン性の界面活性剤は、例えばカルボキシル基、硫酸基、スルホ基またはリン酸基および親油性残部などの水溶性アニオン基によって特徴づけられる。特定のアニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩類のアルカリ塩類、アンモニウム塩類、またはアルカノールアンモニウム塩類、アルキル硫酸エーテル類、アルキルカルボキシルエーテル類、アシルイセチオネート類、アシルサルコシネート類、アシルタウリン類であり、これらは12乃至18のC原子を持つ直鎖状アルキル基またはアシル基を備える。また、スルホスクシネート類およびアシルグルタメート類のアルカリ塩またはアンモニウム塩がある。
第4級アンモニウム誘導体は、特にカチオン性界面活性剤として使用されてよい。好ましくは、ハロゲン化アンモニウムであり、特に塩化物および臭化物、例えば塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化トリアルキルメチルアンモニウム、z.B.塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルアンモニウム、塩化ラウリルジメチルベンジルアンモニウムおよび塩化トリセチルメチルアンモニウムがある。さらなるカチオン性界面活性剤は、良好な生物化学的分解能を持つ第4級エステル類、例えばジアルキルアンモニウムメト硫酸塩類およびメチルヒドロキシアルキルジアルキロキシアルキルアンモニウムメト硫酸塩類(商標名Stepantex(商標登録)として市販される製品、およびDehyquart(登録商標)シリーズの製品)がある。「Esterquats」という用語は、相、特に脂質相の柔軟性に一定の有益な衝撃を有する第4級脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩類を含むことを意味する。さらなるカチオン性界面活性剤は、第4級プロテイン加水分解物である。
製造
本発明は、さらに本明細書に定義されるような製品の調製方法に関するものである。この方法は、本明細書で述べたように塗薬用具を脂質相組成物と水相組成物に接触させることを含む。この方法はまた、塗薬用具を同時にまたは順に脂質相と水相に接触させることを含む。
塗薬用具に水相を接触することは、例えば一定のバスを通過させて、浸す、スプレーする、ドリップルする等の方法によって塗薬用具に水相を注入することを含む。塗薬用具に脂質相を接触することは、「脂質相」の項で説明したように、好ましくはスプレーする、印刷する、または塗薬用具と切り込みノズルを持つ塗薬用ヘッドとの間に直接接触することを含む直接接触法によって行われる。
特定の実施の形態では、この方法は、塗薬用具を脂質相とその次に水相に接触させることを含む。
脂質相と水相は、塗薬用具の製造過程でいつでも塗薬用具に塗布されてよい。例えば、塗薬用具材料の製造過程において、1相または両相が塗布されてよい。好ましくは脂質相および/または水相は、塗薬用具の製造過程の終了後に塗薬用具に塗布される。
こうして得られた塗薬用具は、それぞれ包装されてよいし、例えば10乃至30など決められた数で、例えばラップ、箱等の一定の適切なパッケージに包装されてよい。
異なるコーティングおよび/または注入がなされた塗薬用具が1つのパッケージに組み合わされてよい。例えば、脂質相が増加するまたは減少する一連の塗薬用具があってもよい。あるいは、色付き、または色なしの塗薬用具が代わりに用いられてよい。
用途および特性
本発明に基づく製品は、活性成分の最適な解放を好都合に生じさせる。特に、活性成分が脂質相に包含された場合に、使用中に皮膚上で生じる。
活性成分の最適な解放は、体温と等しい、またはわずかに超える程度の融点または溶融範囲を有する固体脂質である脂質相を使用することによって実現される。これにより、理論とは関係なく、脂質相がより迅速に溶融し、活性材料が皮膚に対してより速くかつ効率的に移動し解放されると考えられる。
活性成分の最適な解放は、1相または両相において適切な乳化剤を使用することによって実行され、これにより塗薬用具の使用中に皮膚での局所的な乳化処理が引き起こされる。好ましくは、乳化剤は水相中に存在する。この局所的な乳化処理は、体温が脂質相を溶融させることによって引き起こされてよいし、または塗薬用具の使用中に加えられる圧力により引き起こされてもよいし、あるいは両方の結果であってもよい。たいていは後者である。圧力の影響による局所的な乳化の場合、この乳化処理は使用者が塗薬用具を皮膚にこすり付けたり押し当てたりする等によって塗薬用具を適用するときに加えられる(限られた)圧力により発生してもよい。これにより、2相が接触して局所的なエマルジョンが形成される。この局所的な乳化はまた、使用前に、製品中の脂質相を水または水相に接触させることによって生じてもよい。あるいは、この局所的な乳化は濡れた皮膚上で製品を使用することによって生じる。
このような局所的な乳化処理において、この相の乳化剤以外の限られた量が、乳化剤を含む相に混合される。好ましい実施の形態として、水相は少量の乳化剤を含み、例えば乳化剤は、約0.5%乃至約5%、特に約1%乃至約3%の量で存在してよい。この例では、脂質相のいくらかは局所的に乳化して水相になる。
好ましい実施の形態では脂質相は塗薬用具の全表面上に存在しないにも関わらず、特に局所的な乳化処理が始まると、脂質相とその中に含まれる成分が良好に解放される。
活性成分の最適な解放は、上述した両方の可能性を利用することによって生じてもよい。
本発明に基づく製品は、個々のケア製品として赤ん坊から大人まで幅広い用途で使用することができ、例えば、赤ん坊の洗浄、顔または体の洗浄、例えば皮膚湿潤および皮膚抗老化などの皮膚処置または皮膚調整、防虫剤、粉末塗布用具、化粧塗布用具、抗発汗塗薬塗布用具、ピーリング塗布用具、日焼け後処置、日焼け止め塗布用具、女性用衛生用品の塗布用具、オムツかぶれのための塗布用具などであり、後者は好ましくは活性剤として酸化鉛を含むもの等がある。
本発明の製品は、脂質相のみを有する製品と比較してより効果的な洗浄剤であってよい洗浄用具として使用されてよい。これは、本発明の製品は水性および脂質性の両方の汚れと成分を取り除くことができるという事実による。本発明の製品はまた、不要物の堆積の除去および感染を引き起こしうる多数の微生物の削減に有効であるので、赤ん坊の洗浄用具として特に使用されてよい。
本明細書で説明される製品は、活性基質、特に本明細書で述べられた活性成分の塗薬用具として使用される。あるいは、1つの製品で活性基質の洗浄用具および塗薬用具の両方として使用される。
本発明の製品は、活性成分を皮膚に良好に移動させる。これにより、多数の活性剤、特にその低い移動率のためにこれまで塗布することができなかった、より高価な活性剤の媒介物として、塗薬用製品の用途が広がる。本発明による製品は、活性成分をより効率的に皮膚に移動させるだけでなく、例えば活性剤を皮膚により均等に分配したり、より良好に皮膚に浸透させたりするなど、消費者への利益をもたらす。
本発明による製品は、1つの同一の製品内で、洗浄能力と、活性成分の皮膚への移動、すなわちリーブ・オン(洗い流さないタイプの)製品の塗布とを組み合わせることができるというさらなる利益を示す。本発明による製品はまた、製品の洗浄特性とスキンケア特性を別々に最適化し、スキンケア活性剤の皮膚への分配を同時に改善する。しがたって、両特徴のいずれかはより広範囲で存在してもよい。すなわち、この製品は主として洗浄目的であってよいが、一定の有益な成分または活性基質を皮膚に移動させる能力も同様に有する。あるいは逆に、この製品は、例えば主な利点が洗浄ではなくリーブ・オン製品のより良好で効率的な形態での塗布である場合に、塗布用に設計されてよい。本発明の製品はさらに、洗浄および皮膚へのメリットに関して、より良好な能力を有してもよい。これは、両特性が異なる相において別々に形成されるためである。
本発明による製品の他の利点として、これらの製品は、脂質相が存在することによって生じる塗薬用具の表面の改善によって、塗布用具材の柔軟な感触を提供してよい。またこの製品は、皮膚に対する塗薬用具の摩擦が少ないため(皮膚感触が柔軟である)、製品はさらに穏やかな洗浄を提供する。
本発明による製品は、1の製品に2または複数の融和性のない成分が混合、または塗布される可能性をさらに提供してもよい。これにより、使用者は1の同一の製品に融和性のない成分を塗布することができる。特に、水溶性および脂溶性の成分を含む製品、例えば水溶性および油溶性の両方の活性成分を有する塗薬用具等を有することができる。
活性成分はたいてい塗薬用具材の表面に集中され、典型的なO/W型エマルジョンの内部相に含まれないので、即座の製品によって皮膚に活性剤を良好に移動させることができるというさらなる利点がある。
本明細書で示される多くの種類の脂質相および水相は、(香料が加えられているにも関わらず)ほぼ無臭で環境に優しく、生物的に分解可能であるというさらなる利益を有する。
本発明の製品により好都合で早急な塗布が可能であり、その製品の内部または上部に含まれる任意の成分を容易により均一に分配できるので、本発明の製品は特に魅力的である。さらに、赤ん坊および子供に対する用途として好都合である。この製品により、さらにより速く効率的な洗浄ができる。
これらの有益な特徴を勘案して、本発明による製品は種々の化粧用途および個々のスキンケア用途に使用することができ、また堅い表面の清浄等、他の洗浄または洗浄用途に使用されてよい。
実施例
次の実施例はINCI.という用語を用いて示される。次の実施例で示されるように、C.I.は染料に言及する。
実施例1:脂質相
相1−A
ココグリセリド類 64.99%
セチルアルコール 33.00%
ジ−ステアリルエーテル 1.00%
トコフェロール 1.00%
C.I.61565 0.01%
相1−B
ココグリセリド類 54.99%
セチルアルコール 33.00%
セテアレス−12 3.00%
グリセリルステアレート 4.00%
ジ−ステアリルカルボネート 2.00%
トコフェロール 1.00%
C.I.61565 0.01%
水 2.00%
相1−C
ココグリセリド類 49.99%
セテアリルアルコール 20.00%
セージソフト(Cegesoft)(登録商標)HF52 5.00%
セージソフト(登録商標)PS6 3.00%
セテアレス−12 2.00%
グリセリルステアレート 2.00%
PEG−20ステアレート 10.00%
ジ−ステアリルエーテル 2.00%
トコフェロール 1.00%
C.I.61565 0.01%
水 5.00%
相1−D
ココグリセリド類 58.99%
グリセリルステアレート 25.00%
グリセリルラウレート 14.00%
ジ−ステアリルカルボネート 1.00%
トコフェロール 1.00%
C.I.75300 0.01%
相1−E
ココグリセリド類 30.00%
セテアリルアルコール 1.00%
セージソフト(登録商標)HF52 20.00%
セージソフト(登録商標)GPO 5.00%
セテアレス−12 15.00%
グリセリルステアレート 20.00%
ジ−ステアリルエーテル 5.00%
トコフェロール 1.00%
パンテノール 1.00%
水 2.00%
相1−F
ココグリセリド類 19.99%
セテアリルアルコール 30.00%
セージソフト(登録商標)PS6 10.00%
ユーマルジン(Eumulgin)(登録商標)VL75 10.00%
セテアレス−12 5.00%
グリセリルステアレート 10.00%
ジ−ステアリルカルボネート 5.00%
トスパール(Tospearl)(登録商標)145A 5.00%
ステアリン酸鉛 2.00%
C.I.61565 0.01%
水 3.00%
相1−G
ミリスチルアルコール 19.99%
ココグリセリド類 10.00%
セージソフト(登録商標)HF52 20.00%
ユーマルジン(登録商標)VL75 10.00%
グリセリルステアレート 20.00%
PEG−20ステアレート 5.00%
ジ−ステアリルカルボネート 2.00%
パンテノール 3.00%
C.I.61565 0.01%
水 10.00%
相1−H
ミリスチルアルコール 47.99%
ステアリルアルコール 25.00%
ユーマルジン(登録商標)VL75 2.00%
PEG−20ステアレート 14.00%
1,2−ヘキサデカンジオール 5.00%
ビスアボロール 1.00%
C.I.47000 0.01%
水 5.00%
相1−I
ココグリセリド類 47.99%
ステアリルアルコール 20.00%
ユーマルジン(登録商標)VL75 2.00%
PEG−20ステアレート 12.00%
ジ−ステアリルカルボネート 5.00%
シクロメチコン 3.00%
トスパール(登録商標)145A 5.00%
C.I.75300 0.01%
水 5.00%
相1−J
ココグリセリド類 55.99%
グリセリルステアレート 20.00%
グリセリルラウレート 15.00%
ジ−ステアリルカルボネート 5.00%
タルク 2.00%
オクテニル琥珀酸アンモニウムでんぷん 2.00%
C.I.60725 0.01%
相1−K
ココグリセリド類 50.99%
グリセリルステアレート 25.00%
グリセリルラウレート 15.00%
ジ−ステアリルエーテル 5.00%
タルク 2.00%
チミロン(Timiron )(登録商標)スプレンディッドゴールド 2.00%
C.I.21230 0.01%
相1−L
ミリスチルアルコール 58.99%
ステアリルアルコール 23.00%
PEG−20ステアレート 15.00%
ジ−ステアリルカルボネート 2.00%
パンテノール 1.00%
C.I.61525 0.01%
相1−M
ミリスチルアルコール 47.99%
ステアリルアルコール 25.00%
ユーマルジン(登録商標)VL75 2.00%
PEG−20ステアレート 10.00%
ジ−ステアリルエーテル 7.00%
パンテノール 2.00%
C.I.61525 0.01%
水 6.00%
相1−N
ミリスチルアルコール 50.00%
ステアリルアルコール 25.00%
ユーマルジン(登録商標)VL75 2.00%
PEG−20ステアレート 10.00%
ジ−ステアリルエーテル 7.00%
エチルブチルアセチルアミノプロピオネート 5.00%
パンテノール 1.00%
相1−O
ココグリセリド類 54.99%
セチルアルコール 33.00%
セテアレス−12 3.00%
グリセリルステアレート 4.00%
ジ−ステアリルカルボネート 2.00%
オクチルメトキシシナメート 6.00%
C.I.61565 0.01%
相1−P
ココグリセリド類 56.99%
グリセリルステアレート 25.00%
グリセリルラウレート 14.00%
ジ−ステアリルカルボネート 1.00%
ポリエチレン 3.00%
C.I.75300 0.01%
相1−Q
ココグリセリド類 58.93%
グリセリルステアレート 25.00%
グリセリルラウレート 15.00%
ジ−ステアリルエーテル 1.00%
水 0.06%
C.I.61565 0.01%
相1−R
ココグリセリド類 43.93%
ステアリルアルコール 15.00%
グリセリルステアレート 25.00%
グリセリルラウレート 15.00%
ジ−ステアリルエーテル 1.00%
水 0.06%
C.I.61565 0.01%
相1−S
ココグリセリド類 44.93%
グリセリルステアレート 25.00%
グリセリルラウレート 15.00%
ジ−ステアリルエーテル 15.00%
水 0.06%
C.I.61565 0.01%
実施例2:水相
相2−A
水 96.336%
ポリソルベート20 0.600%
PEG−75ラノリン 0.100%
香水 0.150%
PEG−40ヒドロゲネートカスター油 0.400%
プロピレングリコール 1.120%
フェノキシエタノール 0.800%
EDTA四ナトリウム 0.078%
カモミールエキス 0.070%
エトキシジグリコール 0.171%
ブチレングリコール 0.035%
グルコース 0.016%
ヨードプロピニルブチルカルバメート 0.010%
PEG−4ラウレート 0.090%
クエン酸 0.020%
相2−B
水 98.252%
フェノキシエタノール 0.800%
ヨードプロピニルブチルカルバメート 0.010%
PEG−4ラウレート 0.090%
香水 0.150%
EDTA四ナトリウム 0.078%
クエン酸 0.020%
ポリソルベート20 0.600%
相2−C
水 97.250%
グリセリン類 1.000%
フェノキシエタノール 0.800%
ヨードプロピニルブチルカルバメート 0.010%
PEG−4ラウレート 0.090%
香水 0.150%
EDTA四ナトリウム 0.078%
クエン酸 0.020%
ポリソルベート20 0.600%
相2−D
水 96.332%
グリセリン類 1.000%
フェノキシエタノール 0.800%
ポリソルベート20 0.600%
PPG−15ステアリルエーテル 0.400%
PEG−7グリセリルココエート 0.100%
プロピレングリコール 0.350%
ヨードプロピニルブチルカルバメート 0.010%
PEG−4ラウレート 0.090%
カモミールエキス 0.070%
香水 0.150%
EDTA四ナトリウム 0.078%
クエン酸 0.020%
相2−E
水 97.33%
フェノキシエタノール 0.800%
ポリソルベート20 0.600%
ソルベス−30 0.400%
プロピレングリコール 0.350%
ジメチコンコポリオール 0.100%
ヨードプロピニルブチルカルバメート 0.010%
PEG−4ラウレート 0.090%
カモミールエキス 0.070%
香水 0.150%
EDTA四ナトリウム 0.078%
クエン酸 0.020%
相2−F
水 97.332%
フェノキシエタノール 0.800%
PEG−80ソルビタンラウレート 0.600%
プロピレングリコール 0.350%
ソルベス−30 0.400%
オクチルデカノール 0.100%
ヨードプロピニルブチルカルバメート 0.010%
PEG−4ラウレート 0.090%
カモミールエキス 0.070%
香水 0.150%
EDTA四ナトリウム 0.078%
クエン酸 0.020%
相2−G
水 97.332%
フェノキシエタノール 0.800%
ポリソルベート20 0.600%
PGG−15ステアリルエーテル 0.400%
プロピレングリコール 0.350%
デシルオレエート 0.100%
ヨードプロピニルブチルカルバメート 0.010%
PEG−4ラウレート 0.090%
カモミールエキス 0.070%
香水 0.150%
EDTA四ナトリウム 0.078%
クエン酸 0.020%
相2−H
ミレス硫酸ナトリウム 10.00%
ラウリルグルコシド 15.00%
コカミドプロピルベタイン 10.00%
水 64.50%
香水 0.50%
相2−I
ラウレス硫酸ナトリウム 20.00%
デシルグルコシド 5.00%
コカミドプロピルベタイン 8.00%
ラウレス−2 2.50%
ポリソルベート−20 1.00%
水 63.00%
香水 0.50%
相2−J
ミレス硫酸ナトリウム 15.00%
ラウリルグルコシド 10.00%
ラウレス−2 1.50%
水 73.00%
香水 0.50%
相2−K
エマルゲード(Emulgade)(登録商標)CM 20.00%
ポリソルベート−20 0.80%
ココグルコシド 2.50%
フェノキシエタノール 1.00%
塩化セチルピリジニウム 0.10%
EDTA四ナトリウム 0.20%
水 75.22%
クエン酸 0.08%
香水 0.10%
相2−L
エマルゲード(登録商標)SE−PF 1.66%
セテアレス−12 0.94%
レイムソフト(Lamesoft)(登録商標)PO65 0.25%
鉱物油(Paraffinum Liquidum ) 3.00%
塩化セチルピリジニウム 0.05%
ポリソルベート20 1.00%
クエン酸 0.03%
EDTA四ナトリウム 0.20%
ニパガード(Nipaguard )(登録商標)IPF 0.10%
水 92.66%
香水 0.11%
相2−M
エマルゲード(登録商標)SE−PF 1.627%
セテアレス−12 0.921%
レイムソフト(登録商標)PO65 0.245%
鉱物油 2.940%
グリセリルポリメタクリレート 2.000%
塩化セチルピリジニウム 0.049%
ポリソルベート20 0.980%
クエン酸 0.029%
EDTA四ナトリウム 0.196%
ニパガード(登録商標)IPF 0.098%
水 90.807%
香水 0.108%
実施例3:
異なる材料で生成された2つの部位からなる乾燥スポンジを、互いに接着する。1つの部位は液体セルロースから生成される。乾燥後、スポンジ材料は厚さ37mmの層を形成する。このスポンジは70g/m2の表面重量を有し、実施例2で5番目に用意された10g/m2の水相を注入した。その後、材料を135mm×90mm×37mmの断片に切る。製品のもう一方の部位は、135mm×90mm×5mmの寸法のポリウレタンから生成される。両部位を接着させた後、実施例リスト1で説明した4番目の脂質相を物品ごとに5gでポリウレタン面に塗布する。内部に水分を閉じ込めるために、製品を1パックに包む。
実施例4:
乾燥スポンジを、液体セルロースと、実施例1で2番目に用意された脂質相との混合物から生成した。このスポンジは、70g/m2の表面重量を有し、生成された後で135mm×90mm×37mmの断片に切った。セルロースに対する脂質の付加は、5%に設定される。スポンジ内には、実施例リスト2の3番目に基づく水相ローションが堆積され、これはスポンジを絞ると流れ出る。