JP2006502693A - 初代ラット肝細胞毒性モデリング - Google Patents

初代ラット肝細胞毒性モデリング Download PDF

Info

Publication number
JP2006502693A
JP2006502693A JP2003565419A JP2003565419A JP2006502693A JP 2006502693 A JP2006502693 A JP 2006502693A JP 2003565419 A JP2003565419 A JP 2003565419A JP 2003565419 A JP2003565419 A JP 2003565419A JP 2006502693 A JP2006502693 A JP 2006502693A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
genes
gene
expression
tables
liver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003565419A
Other languages
English (en)
Inventor
ドナ メンドリック,
マーク ポーター,
コリー ジョンソン,
ブランドン ヒッグス,
アーサー カストル,
マイケル オール,
ミカエル エラショフ,
Original Assignee
ジーン ロジック インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ジーン ロジック インコーポレイテッド filed Critical ジーン ロジック インコーポレイテッド
Publication of JP2006502693A publication Critical patent/JP2006502693A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6883Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for diseases caused by alterations of genetic material
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6813Hybridisation assays
    • C12Q1/6834Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase
    • C12Q1/6837Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase using probe arrays or probe chips
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/142Toxicological screening, e.g. expression profiles which identify toxicity
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q2600/00Oligonucleotides characterized by their use
    • C12Q2600/158Expression markers

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Abstract

本発明は、遺伝子発現の全体的な変化の解明と既知の毒に曝された組織又は細胞中の毒性マーカーの同定に基づいている。医薬スクリーニング及び毒性アッセイにおいて、遺伝子が毒性マーカーとして使われる。本発明は、マイクロアレイ及びその他の固相プローブと共に使用するように設計された、毒に誘導された差次的な発現によって特徴づけられる遺伝子のデータベースを含む。

Description

関連出願
[0001] 本出願は、米国特許法119条(e)項に基づいて、以下の米国仮出願の優先権を主張し、これらすべては全体として関連付けにより本明細書に取り入れられる:2002年2月4日に出願された60/353,171;2002年3月13日に出願された60/363,534;2002年4月10日に出願された60/371,135;2002年4月10日に出願された60/371,134;2002年4月8日に出願された60/370,248;2002年4月10日に出願された60/371,150;2002年4月11日に出願された60/371,413;2002年4月19日に出願された60/373,601;2002年4月22日に出願された60/374,139;2002年7月9日に出願された60/394,253;2002年5月9日に出願された60/378,652;2002年4月19日に出願された60/373,602;2002年5月9日に出願された60/378,653;2002年5月9日に出願された60/378,665;2002年5月8日に出願された60/378,370;2002年7月9日に出願された60/394,230;及び2002年9月4日に出願された60/407,688。
[0002] 本出願は、また、係属中の以下の出願にも関連し、これらすべては全体として関連付けにより本明細書に取り入れられる:2001年7月31日に出願された米国出願09/917,800、2002年1月31日出願された米国出願10/060,087及び2003年1月31日に出願された「分子肝毒性モデリング」という名称のPCT/US03/______、並びに2001年7月31日出願されたPCT出願PCT/US01/23872。
(コンパクトディスクによる配列表提出)
[0003] 本明細書と同時に提出されるコンパクトディスクの配列表は、米国特許法施行規則1.821条(c)項及び1.821条(e)項に基づいて、その全体として関連付けにより本明細書中に取り入れられる。4部の配列表(4枚のコンパクトディスクのそれぞれに1部)が提供される。コピー1、コピー2及びコピー3は同一である。コピー1、コピー2及びコピー3はCRFとも同一である。配列表の電子的複製物はそれぞれが2003年2月3日に作製され、ファイルサイズは6321KBである。ファイル名は下記の通りである:コピー1−gl5113wo.txt;コピー2−gl5113wo.txt;コピー3−gl5113wo.txt;及びCRF−gl5113wo.txt。
(発明の背景)
[0004] 細胞又は生物体に対する、化合物、薬剤又は環境汚染物質の有毒な影響力を評価する方法の必要性により、生物学的モニターとして生物体を利用する手法の開発につながってきた。これらの系統の最も単純であり、そして最も便利なものは、酵母やバクテリアのような単細胞の微生物を利用する、というのは、それらが最も簡単に維持され、そして操作されるからである。また、単細胞のスクリーニング系は、細胞に対する試験化合物の効果をモニターするために、たびたび表現型の簡単に検知できる変化を使用する。しかしながら、単細胞の生物は、それらがより高等な生物で見られる範囲、又はレベルで生体内変換を実行する能力を有しないので、複雑な多細胞の動物に対する多くの化合物の潜在的な効果を評価するための適当なモデルではない。
[0005] 多細胞生物による化合物の生体内変換は、それらが曝される薬剤の全体的な毒性を決定する上での重要なファクターである。したがって、多細胞のスクリーニング系又は単離された真核生物細胞を用いたスクリーニング系が、化合物の毒作用を検知するのに、好まれるか、又は要求される。しかしながら、毒性学スクリーニングツールとして多細胞生物を使用することは、酵母又はバクテリアの系で利用できるような、便利なスクリーニングメカニズム又はエンドポイントの欠如によって、かなり阻害されてきた。さらに、毒性学的予測系を作成する以前からの試みによっては、毒性反応を正確に予測するための必要なモデリング情報及び統計情報を提供することができなかった(例えば、WO00/12760、WO00/47761、WO00/63435、WO01/32928及びWO01/38579)。
(発明の概要)
[0006] 本発明は、既知の毒(毒性物質)−特に、肝臓毒−に曝された初代肝細胞における、曝されない細胞と比較しての遺伝子発現の全体的な変化の解明、ならびに毒に曝すことにより、発現に差のある個々の遺伝子の同定に基づく。
[0007] 様々な態様で、本発明は化合物の少なくとも1つの毒作用を予測し、化合物の毒作用の進行を予測し、そして化合物の肝臓毒性を予測する方法を含む。また、本発明は、毒性反応の発症又は進行を調節する薬剤を同定する方法をも含む。さらに、化合物が細胞で調節する一般的な病理分類及び細胞経路を予測する方法も、また提供される。本発明は、タンパク質活性を調節する薬剤を同定する方法を含む。
[0008] さらなる態様で、本発明は表1〜5XXの中の遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含むプローブを提供する。また、前に述べたプローブのうちの少なくとも2つを含む固体支持体も提供される。また、本発明は、肝臓毒に曝された組織又は細胞試料において表1〜5XXの中の少なくとも2個の遺伝子を含む遺伝子セットの発現レベルを同定する情報を含んでいるデータベースをもつコンピューターシステムをも含む。
(詳細な説明)
[0009] 多くの生物学的機能は、転写制御(例えば、開始の制御、RNA前駆体の供給、RNAプロセッシング等を通して)及び/又は翻訳制御を通して、様々な遺伝子の発現を変化させることによって達成される。例えば、細胞周期、細胞分化及び細胞死のような基本的生物学的プロセスは、遺伝子群の発現レベルにおける変化によって、しばしば特徴づけられる。
[0010] 遺伝子発現の変化は、生物又は細胞に対する様々な化学物質、医薬、毒、薬剤及び汚染物質の影響とも関連する。例えば、薬剤に曝された後、機能的な腫瘍抑制遺伝子の十分な発現の欠如及び/又は癌遺伝子/癌原遺伝子の過剰発現によって、腫瘍形成又は細胞の過形成増殖がもたされるであろう(Marshall,Cell,64:313−326(1991);Weinberg,Science,254:1138−1146(1991))。このように、特定の遺伝子(例えば、癌遺伝子又は腫瘍サプレッサー)の発現レベルの変化は、特定の化合物に曝されたときの毒性の存在及び進行又はその他の細胞の応答の指標として役に立つであろう。
[0011] 遺伝子発現の変化をモニターすることによって、医薬スクリーニング及び開発の間、ある種の利点が提供されるであろう。しばしば、医薬はそれが細胞に対して持つ他の作用を無視して、主要な標的と相互作用する能力についてスクリーンされる。これらの細胞への作用は、動物個体において毒性を引き起こすかもしれないし、そして、それは可能性のある医薬の開発と臨床への使用を妨げる。
[0012] 本発明者は、有害な肝臓への作用を誘導する既知の肝臓毒に曝された初代ラット肝細胞を調べて、これらの化合物によって誘導される遺伝子発現の全体的及び個々の変化を確認した。遺伝子発現の全体的な変化は、発現プロファイルの作成によって検出することができるが、個々の遺伝子と同様に、試験化合物による毒性及び/又は毒性進行をモニターするのに用いることができる有用な毒性マーカーを提供する。発現プロファイルは、個々のマーカーと同様に、様々な病気の状態、生理的状態、病気の進行、医薬の効能及び薬物代謝をモニター又は検出するために用いることができる。
(毒性マーカーの識別)
[0013] 毒性を予測する遺伝子発現の変化を評価及び識別するために、本発明者は、十分に特徴付けられた毒性を持つ選択された化合物を用いた研究を実施して、インビボ及びインビトロでの曝露中に変化した遺伝子発現を分類整理した。本研究では、アミオダロン、α−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)、アセトアミノフェン(APAP)、AY−25329、カルバマゼピン、四塩化炭素、クロルプロマジン、CI−1000、クロフィブラート、CPA、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジメチルニトロサミン(DMN)、17α−エチニルエストラジオール、ゲムフィブロジル(ロピッド(登録商標))、ヒドラジン、イミプラミン(ジャニミン)、インドメタシン、リポ多糖、ロバスタチン(メバコール(登録商標))、メトトレキセート、フェノバルビタール、タクリン、タモキシフェン、テトラサイクリン、バルプロ酸及びWy−14643を既知の肝臓毒として選択した。
[0014] アミオダロン(コルダロン(登録商標))は抗不整脈剤であり、その化学構造はベンゾフラン環(環A)及びそれに共役した2つのヨウ素で置換されジエチル−エタノールアミン側鎖を有するp−OH−ベンゼン構造(環B)を含有する。この薬剤は、肝臓に損傷を引き起こすことが既知であり、酸化的リン酸化反応を脱共役しベータ酸化及び呼吸を阻害することによって、ミトコンドリアに悪影響を及ぼすことが示されている。呼吸の阻害はATPを減少させ、活性酸素種の生成を増加させ、これは次に脂質過酸化を引き起こす。アミオダロン処置後に見られる脂肪肝及び肝炎は、少なくとも一部は、脂質過酸化生成物によるものであると考えられている(Spaniol等,J Hepatol 35(5):628−636(2001);Berson等,Gastroenterology 114:764−774,(1998))。
[0015] 芳香族及び脂肪族イソチオシアネートは、一般に使用される土壌燻蒸剤及び殺虫剤である(Shaaya等(1995)Pesticide Science 44(3):249−253;Cairns等(1988) J Assoc Official Analytical Chemists 71(3):547−550)。これらの化合物は、植物中に毒性残留物としてとどまるため(Cerny等(1996)J Agricultural and Food Chemistry 44(12):3835−3839)、そして土壌から周囲の空気に放出されるため(Gan等(1998)J Agricutural and Food Chemistry 46(3):986−990)、環境有害物質でもある。
[0016] α−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)への曝露は、総ビリルビン、アルカリホスファターゼ、血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ及び血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼの血清レベルを上昇させ、同時に総胆汁流量は減少することが示され、そのどちらも重篤な胆汁機能障害の徴候である。ANITは、黄疸及び胆汁鬱滞(胆汁を分泌できないことによって生じた症状、胆汁物質の血漿蓄積、肝細胞壊死及び胆管閉塞を引き起こす)も誘導する(Tanaka等(1993)Clinical and Experimental Pharmacology and Physiology 20:543−547)。ANITは、広範囲の壊死を生成しないが、肝門路に炎症及び浮腫を生成することが見出された(Maziasa等(1991)Toxicol Appl Pharmacol 110:365−373)。ANIT誘導肝毒性は、胆細管性肝炎及び胆管損傷によっても特徴付けられる。ANITによって引き起こされたラットの急性肝毒性は、胆管上皮細胞(BDECs)及び肝実質細胞の好中球依存性壊死として明らかにされる。これらの変化は、ヒトに見られる胆細管性肝炎を再現している(Hill(1999)Toxicol Sci 47:118−125)。
[0017] 組織学的変化は、多形核好中球の浸潤及びアポトーシス性肝細胞数の増加を含む(Calvo等(2001)J Cell Biochem 80(4):461−470)。ANITへの曝露の他の既知の肝毒性作用は、損傷した抗酸化防御系、スーパーオキシドジスムターゼ及びカタラーゼの活性低下(Ohta等(1999)Toxicology 139(3):265−275)、及び肝細胞死滅を仲介する浸潤好中球、アラニンアミノトランスフェラーゼ、カテプシンG、エラスターゼからのプロテアーゼの放出を含む(Hill等(1998)Toxicol Appl Pharmacol 148(1):169−175)。
[0018] アセトアミノフェン(APAP)は広範に使用されている解熱鎮痛剤であり、アスピリンの効果的な代用品である。アセトアミノフェンは抗炎症特性を持たないが、好ましくは潰瘍を持つ患者、又は長い凝固時間が望ましくない患者に与えられる。アスピリンに対してあまり耐性のない人に摂取されることも好ましい。
[0019] アセトアミノフェンは、シトクロムP450−仲介プロセスにおけるN−ヒドロキシル化によって、N−アセチル−p−ベンゾキノンイミン(NAPQI)に代謝される。高い反応性のこの中間体は、グルタチオン中の、及びグルタチオン枯渇後の他の肝臓タンパク質中のスルフヒドリル基と反応して、小葉中心性肝臓壊死(特にゾーン3において)、腎尿細管壊死、ならびに肝臓及び腎臓障害を引き起こすことがある(Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics.第9版,Hardman等,eds.,631頁〜633頁,McGraw−Hill,New York,1996;Chanda等(1995)Hepatology 21(2):477−486)。より重篤でない副作用は、皮膚発疹(紅斑及び蕁麻疹)及びアレルギー反応を含む。
[0020] ラットをアセトアミノフェンで処置すると、投与の24時間後に肝毒性を観察することができ、それは、血清中のALT及びASTの統計的に有意な上昇や光学顕微鏡レベルで見ることができる肝細胞壊死によって判定される(Hessel等(1996)Braz J Med Biol Res 29(6):793−796;Bruck等(1999)Dig Dis Sci 44(6):1228−1235)。ラットに投与されたアセトアミノフェンの、高いが致死的でない用量は、肝臓急性期反応ならびに肝細胞の維持及び修復に関与する遺伝子のレベルの上昇も生じさせた:アルギナーゼ、β−フィブリノゲン、α1−酸糖タンパク質、α−チューブリン、ヒストン3、TGFβ及びサイクリンd。細胞周期によって調節される遺伝子の発現レベルは低下した(Tygstrup等(1996)J Hepatol 25(2):183−190;Tygstrup等(1997)J Hepatol 27(1):156−162)。マウスにおいては、成長停止及び細胞周期調節タンパク質をコードする遺伝子の発現レベルは、ストレス誘導遺伝子、転写因子LRG−21、SOCS−2(サイトカイン情報伝達リプレッサ)及びPAI−1(プラスミノゲン活性化因子阻害物質−1)の発現レベルとともに上昇した(Reilly等(2001)Biochem Biophys Res Comm 282(1):321−328)。
[0021] AY−25329は、壊死を引き起こすことができる肝臓及び腎臓組織において毒性であることが示されているフェノチアジンである。フェノチアジンは、統合失調症、妄想症、躁病、小児の活動亢進、一部の種類の老衰、及び不安を治療するために使用される向精神薬のクラスである(http://www.encyclopedia.com/articlesnew/36591.html)。これらの薬剤の長期使用に関連する副作用は、血圧低下、パーキンソニズム、運動活性低下、視力障害である。
[0022] 本発明者は、血清化学現象の変化によるAY−25329の肝臓及び腎臓効果の指標を認めている。最初の投与後から早くも6時間後に、クレアチニン、BUN、ALT、トリグリセリド及びコレステロールの血清レベルの統計的に有意な上昇が認められた。腎臓及び肝臓機能障害のこれらのマーカーの大半は、14日間の研究期間中変化したままであった。光学顕微鏡分析により、肝細胞有糸分裂像数の増加及びグリコーゲン含有量の減少によって証明されるように、早くも6時間及び24時間後に肝臓での効果が明らかになった。反復投与の14日後、ネフローゼ及び肝臓の末梢葉(peripheral lobes)及び肝細胞の細胞質における変化は、AY−25329 250mg/kg/日を投与したラットで明らかであった。
[0023] カルバマゼピン(テグレトール(登録商標))は、抗癲癇剤である。ラットにおいて、多数のシトクロムP450酵素、特にCYP2Bを誘導することが示されており、本薬剤はヒトの脂肪性肝炎を引き起こすこともある(Tateishi等,Chem Biol Interact 117:257−268(1999);Grieco等,Eur J Gastroenterol 13(8):973−975(2001))。
[0024] 急性四塩化炭素(CCl)誘導肝毒性の発病は、ヒト及び実験動物において十分に特徴付けられた経路をたどり、小葉中心性壊死及び脂肪肝を生じ、肝再生及び組織修復が続く。肝細胞損傷の重症度も用量依存性であり、種、年齢、性別及び食餌に影響を受けることがある。
[0025] CCl肝毒性への感受性の相違は主に、動物モデルがCClを反応性中間体に代謝する能力に関連する。CCl誘導肝毒性は、主として中心ゾーンの(centrizonal)肝細胞に局在するシトクロムP450酵素(CYP2E1)による、トリクロロメチルフリーラジカルへのCCl生物活性化に依存する。フリーラジカルの形成は、肝細胞の損傷又は死を生じる、膜脂質過酸化及びタンパク質変性につながる。
[0026] CClの雄性ラットへの急性投与後に肝臓は迅速に損傷する。形態学的研究は、投与の1〜3時間以内に肝細胞中の脂質の細胞質蓄積が、そして5〜6時間までには肝細胞の局所壊死及び水症性膨潤が明らかであることを示している。小葉中心性壊死及び炎症性浸潤は、投与後24〜48時間で最高となる。DNA合成の増加及び有糸分裂像の出現から、回復の開始もこの時間枠内で明らかである。壊死組織片の除去は48時間までに始まり、通常は1週間で完了し、14日までの肝臓の完全な回復を伴っている。
[0027] 血清トランスアミナーゼレベルの上昇も、CCl誘導肝臓組織病変と並行して起こる。雄性のSprague Dawley(SD)ラットにおいて、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルは、CCl投与(0.1、1、2、3、4mL/kg、腹腔内投与;2.5mL/kg、経口投与)の3時間以内に上昇し、投与後48時間以内にピークレベル(約5〜10倍の上昇)に達する。血清−グルタチオンs−トランスフェラーゼ(−GST)レベルの著しい上昇も、雄性SDラットへのCCl投与(25L/kg、経口投与)の早くも2時間後に検知されている。
[0028] 分子レベルでは、成長関連原癌遺伝子であるc−fos及びc−junの誘導は、伝えられるところによれば、CCl誘導肝毒性(Schiaffonato等(1997)Liver 17:183−191)の急性モデルで検出される最初の事象である。これらの前初期反応遺伝子の発現は、CClのマウスへの単回投与(0.05〜1.5mL/kg、腹腔内投与)の30分以内に、そしてラットへの投与後の1〜2時間までに(2mL/kg、腹腔内投与;5mL/kg、腹腔内投与)検出された(Schiaffonato等,supra,及びHong等(1997)Yonsei Medical J38:167−177)。同様に、肝臓c−myc遺伝子発現は、雄性SDラットへのCCl急性投与後1時間までに増加する(5mL/kg、経口投与)(Hong等,supra)。CClへの曝露後のこれらの遺伝子の発現は、迅速かつ一過的である。CClの急性投与後のc−fos、c−jun、及びc−mycのピーク肝臓mRNAレベルは、それぞれ、投与後1〜2時間、3時間、及び1時間に報告されている。
[0029] 腫瘍壊死因子−α(TNF−α)の発現も、CClに曝露されたげっ歯類の肝臓において上昇し、TNF−αは肝臓修復プロセスの開始に関わっている。抗TNF−α抗体による前処置は、c−jun及びc−fos遺伝子発現のCCl仲介による上昇を防止することが示されているが、これに対してTNF−αの投与は、これらの遺伝子の迅速な発現を誘導した(Bruccoleri等(1997)Hepatol 25:133−141)。修復プロセス(CCl投与の24〜48時間後)における後での形質転換増殖因子−β(TGF−β)及び形質転換増殖因子受容体(TBRI−III)のアップレギュレーションは、TGF−βがアポトーシスの誘導による再生反応の制限で役割を果たすことを示唆する(Grasl−Kraupp等(1998)Hepatol 28:717−7126)。
[0030] クロルプロマジン(トラジン(登録商標))は中枢神経系抑制剤であり、鎮静剤として使用され、また、抗悪心薬又は抗掻痒薬としても使用される。作用メカニズムは未知である。この薬剤は毛細管胆汁鬱帯を誘導するが、これは形成される胆汁容量の減少及び溶質の胆汁への分泌異常を特徴とし、胆汁酸塩及びビリルビン血清レベルの上昇を引き起こす。クロルプロマジンは胆汁酸取り込み及び毛細管収縮性を阻害することも示されている。胆汁栓は、胆管及び毛細胆管において形成し得る。薬剤で誘導される胆汁鬱帯は、細胞膨潤、炎症及び細胞死とも関連している(Casarett and Doull’s Toxicology:The Basic Science of Poisons,第6版,Klaassenら編,476−486頁,McGraw−Hill Medical Pub. Div.,New York,2001)。
[0031] CI−1000(4H−ピロロ:3,2−d:ピリミジン−4−オン、2−アミノ−3,5−ジヒドロ−7−(3−チエニルメチル) 一塩酸塩 一水和物)は、抗炎症特性を備えた化合物である。CI−1000による処置後、肝臓毒性の標準マーカーである血清ALTレベルの上昇が、イヌにて認められた。
[0032] ハロゲン化フェノキシプロパン酸誘導体(クロフィブリン酸のエチルエステル)であるクロフィブラートは、抗高脂血症剤である。クロフィブラートが、トリグリセリド及び低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールの血清濃度を低下させ、また、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを増加させる、正確なメカニズムは不明確である。この薬剤は、トリグリセリド及び超低密度リポタンパク質(VLDL)コレステロールのクリアランスを増強するリポタンパク質リパーゼの活性化、コレステロール及びトリグリセリド生合成の阻害、組織からのコレステロールの流動、中性ステロイドの糞便排泄の増加、肝臓リポタンパク質の合成及び分泌の減少、ならびに遊離脂肪酸放出の減少を含む、いくつかの抗高脂血作用を持つ。
[0033] クロフィブラートは、肝細胞肥大、細胞増殖、肝腫大、CYP450アイソザイムの誘導、及びパルミトイルCoA酸化の誘導を含め、ラット肝臓に対する多くの効果を持つ。クロフィブラートの長期投与は、ラットにおいて肝細胞癌、良性精巣ライディッヒ細胞腫瘍及び膵腺房腫の発生率の向上を引き起こす。クロフィブラートは、げっ歯類におけるペルオキシソームの増殖を誘導し、遺伝毒性損傷というよりも本効果が、げっ歯類発癌の原因事象であると考えられている(AHFS Drug Information Handbook 2001,McEvoy,ed.,1735頁〜1738頁;Electronic Physicians’Desk Reference−Atromid−S(Clofibrate)at www.pdr.net;Brown and Goldstein,“Drugs used in the treatment of hyperliproteinemias,”in Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics.Eighth ed.,Goodman等,eds.,874頁〜896頁,Pergamon Press,New York,1990)。
[0034] クロフィブラートは、肝臓脂質含有量を増加させ、ホスファチジルコリン及びホスファチジルエタノールアミンのレベルを著しく上昇させることによって、その正常な組成を変化させる(Adinehzadeh等(1998)Chem Res Toxicol 11(5):428−440)。ペルオキシソーム増殖因子によって誘導される肝臓過形成及び肝腫瘍のラットでの研究から、クロフィブラートの投与が、肝臓新生物組織中の銅のレベルを増加させ、銅関連遺伝子の発現を変化させることが明らかになっている。セルロプラスミン遺伝子及びウィルソン病遺伝子(P型ATPaseをコードする)のダウンレギュレーションが、メタロチオネイン遺伝子のアップレギュレーションとともに、これらの組織で認められている(Eagon等(1999)Carcinogenesis 20(6):1091−1096)。クロフィブラート誘導ペルオキシソーム増殖及び発癌性は、げっ歯類に特異的であると考えられており、ヒトでは示されていない。
[0035] 酢酸シプロテロン(CPA)は、強力なアンドロゲン拮抗物質であり、にきび(アクネ)、男性型脱毛症、性早熟症ならびに前立腺過形成及び前立腺癌の治療に使用されている(Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 9thed.,1453頁,J.G.Hardman等,Eds.,McGraw Hill,New York,1996)。さらに、CPAは、子宮内膜を保護し、更年期症状及び骨粗鬆症骨折の危険性を減少させるために、ホルモン補充療法で臨床的に使用されている(Schneider,“The role of antiandrogens in hormone replacementtherapy,”Climacteric 3(Suppl.2):21−27(2000))。
[0036] ラットを用いた実験において、CPAはインビトロでの不定期DNA合成を誘導することが示されている。単回経口投与の後、持続的なDNA修復活性が16時間後に認められた。CPAはS期細胞の発生も増加させたが、それは、ラット肝臓におけるCPAの分裂促進のポテンシャルを実証している(Kasper等(1996)Carcinogenesis 17(10):2271−2274)。CPAは、ヒトにおいて肝硬変を生じさせることも示されている(Garty等(1999)Eur J Pediatr 158(5):367−370)。
[0037] 非ステロイド性抗炎症剤であるジクロフェナクは、リウマチ様関節炎、骨関節炎、及び強直性脊椎炎に罹患した患者に頻繁に投与されてきた。経口投与の後、ジクロフェナクは迅速に吸収され、次に肝臓でシトクロムP450アイソザイムであるCYC2Cサブファミリーによって代謝される(Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 9thed.,637頁,J.G.Hardman等,eds.,McGraw Hill,New York,1996)。さらに、ジクロフェナクは、角膜損傷による痛みを治療するために局所塗布されている(Jayamanne等,(1997)Eye11(Pt.1):79−83;Dornic等(1998)Am J Ophthalmol 125(5):719−721)。
[0038] ジクロフェナクは多数の臨床用途があるが、角膜融解、潰瘍形成、及び重篤な角膜症を含む角膜合併症などの有害な副作用は、該薬剤と結び付られてきた(Gujdera等(2001)Ophthalmology 108(5):936−944)。別の研究において、ジクロフェナクに対する拒絶反応が、食品医薬品局に報告された患者180症例が調査された(Banks等(1995)Hepatology 22 (3):820−827)。報告された180症例のうち、最も一般的な症状は黄疽(症候性患者の75%)であった。肝臓切片を採取及び分析すると、肝臓損傷は薬剤処置の1ヵ月後に明らかであった。さらに別の報告では、骨関節炎のジクロフェナク治療の開始5週間後に、ある患者は重篤な肝炎を発症したことを示した(Bhogaraju等(1999)South Med J92(7):711−713)。
[0039] ジクロフェナク処置ウィスターラットに関するある研究では(Ebong等(1998)Afr J Med Sci 27(3−4):243−246)、ジクロフェナク処置は、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、メトヘモグロビンならびに総ビリルビン及び抱合型ビリルビンの血清化学作用レベルの上昇を誘導した。さらに、ジクロフェナクは、アルカリホスファターゼ及び5’ヌクレオチダーゼの活性を向上させた。ヒトでの研究では、対照群と比較したときに肝臓トランスアミナーゼ及び血清クレアチンのレベルが上昇することが明らかになった(McKenna等(2001)Scand J Rheumatol 30(1):11−18)。
[0040] 非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)であるジフルニサルは、サリチル酸のジフルオロフェニル誘導体である(Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 9thed.,631頁,J.G.Hardman等,Eds.,McGraw Hill,NeW York,1996)。それは骨関節炎及び筋骨格緊張の治療に最も頻繁に使用される。NSAIDは鎮痛、解熱及び抗炎症作用を持つが、肝毒性がNSAID処置の有害な副作用であることが既知である(Masubuchi等(1998)J Pharmacol Exp Ther 287:208−213)。ジフルニサルは他のNSAIDよりも毒性が低いことが示されているが、最終的には血小板又は腎機能に対する悪影響を持つ可能性がある(Bergamo等(1989)Am J Nephrol 9:460−463)。ジフルニサル処置に関連する他の副作用は、下痢、眩暈、傾眠、ガス又は胸やけ、頭痛、悪心、嘔吐、及び不眠症である(http://arthritisinsight.com/medical/meds/dolobid.html)。
[0041] 18の酸性NSAIDの肝毒性比較研究において、対照サンプルと比較した場合、ジフルニサルは、ラット肝細胞において、細胞損傷のマーカーであるLDH漏出を増加させることが示された。さらに、ジフルニサルによる処置は、細胞内ATP濃度の低下を引き起こした。ジフルニサル及びイブプロフェンの効果を比較する研究において(Muncie and Nasrallah(1989)Clin Ther 11:539−544)、両方の薬剤が、たとえ短期使用であっても、腹部痙攣を生じることが明らかになった。胃潰瘍形成が発生するレベルより低くなるように毒性用量が選択されたため、さらに重篤な胃腸効果は検知されなかった。しかし、腎臓損傷の徴候である、クレアチニンの血清レベル上昇も認められた(Muncie等(1989)Clin Ther 11:539−544)。
[0042] 別のモデル化合物のジメチルニトロサミン(DMN)は、既知の発癌物質ならびに肝臓線維症及び脂質過酸化の誘導物質である。DMNは肝細胞において酸化的ストレスを引き起こし、それは慢性肝臓損傷と肝臓線維症との関連付けとなり得る。DMN処置ラットは、散在性フィブロネクチン沈着、ヒドロキシプロリン(線維症の指標)のレベル上昇、コラーゲンのレベル上昇、線維性中隔、及び損なわれた酸化バランスを示した。ALT及びマロンジアルデヒド(MDA)の血清レベルは上昇したが、SODの血清レベルは低下した(Vendemiale等(2001)Toxicol Appl Pharmacol 175:130−139;Liu等(2001)Zhonghua GanZang Bing ZaZhi 9 Suppl:18−20)。ラットでの他の研究では、3日間のDMN投与の数日後に、重篤な小葉中心性鬱帯及び出血性壊死が認められた。DMN処置のさらなる期間の後、ラットは小葉中心性壊死及び極度の好中球性浸潤を発症し、重篤な小葉中心性壊死、線維沈着、局所脂肪沈着、胆管増殖、架橋壊死及び中心静脈周囲の線維症(肝硬変様症状)へと進行した。総タンパク質の減少及びDNAの増加も認められた(George等(2001)Toxicology 156:129−138)。
[0043] 合成エストロゲンである17α−エチニルエストラジオールは、経口避妊薬の成分であり、プロゲステロン化合物であるノルエチンドロンと併用されることが多い。閉経後のエストロゲン補充療法にも使用される(PDR 47thEd.,2415頁〜2420頁,Medical Economics Co.,Inc.,Montvale,NJ,1993;Goodman & Gilman’s The Pharmalogical Basis of Therapeutics 9thEd.,1419頁〜1422頁,J.G.Hardman等Eds,,McGraw Hill,New York,1996)。
[0044] 17α−エチニルエストラジオール用法の最も頻繁な副作用は、心臓血管疾患(心筋梗塞、血栓塞栓症、血管疾患及び高血圧)のリスクの増加、及び炭水化物代謝の変化、特にグルコース不耐性及びインスリン分泌異常である。良性肝臓新形成の発症の危険増加もある。該薬剤が肝臓代謝の速度を低下させるため、それは肝臓からゆっくりと除去され、腫瘍増殖などの発癌性効果が生じることがある。
[0045] 17α−エチニルエストラジオールは、主に胆汁流の胆汁酸塩非依存性画分(BSIF)を減少させることによって、雄性ラットにおける可逆性の肝臓内胆汁鬱帯を引き起こすことが示されている(Koopen等(1998)Hepatology 27: 537−545)。この研究において、ビリルビン、胆汁酸塩、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の血漿レベルは、変化しなかった。17α−エチニルエストラジオールは血漿コレステロール及び血漿トリグリセリドのレベルを低下させたが、3日間の薬剤投与後に、胆汁流量を減少させるとともに肝臓重量を増加させたことも、この研究で示されている。この研究によるさらなる結果は、以下のとおりである。肝臓酵素のロイシンアミノペプチダーゼ及びアルカリホスファターゼの活性は、最初に著しい上昇を示したが、酵素レベルは3日後に低下した。ビリルビン産出量は増加したが、グルタチオン(GSH)産出量は減少した。血漿レベルに影響しない、ビリルビンの胆汁中への分泌の増加は、ビリルビン生成の増加がヘム含有タンパク質からのヘムの分解の増加に関連しなければならないことを示唆している。同様の結果が別の実験でも得られており、肝臓を光学顕微鏡及び電子顕微鏡によっても検査している(Bouchard等,(1993)Liver 13:193−202)。17α−エチニルエストラジオールの毎日投与は、胆汁鬱帯も同様に引き起こすことが示されているが、薬剤治療後に胆汁流速は徐々に正常に戻った(Hamada等(1995)Hepatology 21:1455−1464)。おそらく腫瘍プロモーターの効果に応答している、肝臓過形成も認められている(Mayol(1992)Carcinogenesis 13:2381−2388)。
[0046] 脂質低下剤のゲムフィブロジル(ロピッド(登録商標))は、肝臓組織における既知のペルオキシソーム増殖因子であり、肝臓細胞の過形成及び拡大の両方を引き起こす。ゲムフィブロジルに曝露すると、ラット及びマウスで肝発癌が認められ、ラットとハムスターでα−トコフェロールの減少及びDT−ジアフォラーゼ活性の上昇が認められた(抗酸化能力の障害)。ペルオキシソーム増殖因子は、脂肪酸のペルオキシソームベータ酸化及びオメガ−ヒドロキシル化に関与する酵素の活性を向上させ、これは酸化的ストレスを生じる(O’Brien等(2001)Toxicol Sci 60:271−278;Carthew等(1997)J Appl Toxicol 17:47−51)。
[0047] ヒドラジン(NH=NH)は、航空宇宙用及び航空機用燃料、腐食防止剤、染料及び写真用化学薬品などの、多くの産業用化学薬品の成分である。その誘導体は癌患者の悪液質の治療に使用されるヒドラジンサルフェート、抗結核薬であるイソニアジド、及び血圧降下薬であるヒドララジンなどの医薬品に使用される。これらの薬剤は、生体内で代謝されて、副生成物の中でもヒドラジンを生成する。その結果、ヒドラジンへの曝露は、たとえば軍隊及び航空関係者の間での直接的な接触によるか、たとえば癌又は高血圧を有する患者の体内での生成の結果である。
[0048] ラット肝細胞に関する研究によれば、ヒドラジンは用量依存的に生存度喪失、LDH漏出、GSH及びATPの枯渇ならびにタンパク質合成速度の低下を引き起こすことが示されている(Delaney等(1995)Xenobiotica 25:1399−1410)。ラットに投与した場合、GSH及びATPの枯渇ならびに脂肪肝の誘導(脂肪液滴の出現、ミトコンドリアの膨潤及び微小体の出現を伴う、肝臓重量及びトリグリセリドの増加)に特徴付けられる肝毒性の変化も、用量依存的であることが見出された(Jenner等(1994)Arch Toxicol 68:349−357;Scales等(1982)J Toxicol Environ Health 10:941−953)。ヒドラジン曝露と関連した肝毒性は、腎毒性と同様に、フリーラジカルと還元グルタチオンとの抱合を触媒する、シトクロムP450 2E1(CYP2E1)による酸化的代謝から生じるフリーラジカル損傷に関連付けられている。ヒドラジン及びいくつかのヒドラジン誘導体への曝露が腎臓組織での酵素レベルを向上させるが、酵素レベルの向上は肝臓組織では検出されなかった(Runge−Morris等(1996)Drug Metab Dispos 24:734−737)。
[0049] ヒドラジンの変異原性及び肝臓発癌性効果は、ハムスターの肝臓で検査された。生体内では、ヒドラジンはホルムアルデヒドと反応して、DNA中のグアニンをメチル化するアルキル化中間体である、ホルムアルデヒドヒドラゾン(CH=N−NH)を形成する。ヒドラジンで処置すると、肝臓DNAは、メチル化グアニン、DNA付加体の存在、及び維持メチル化の障害(デオキシシトシンのメチル化の障害)を示した。肝臓腺腫及び癌も用量依存的に発症し、維持メチル化と相関することが可能であった(FitzGerald等(1996)Carcinogenesis 17:2703−2709)。
[0050] ジベンゾアゼピン(dibenzazepine)誘導体であるイミプラミンは、大うつ病の治療によく使用される三環系抗うつ剤である。ラットでの実験では、シトクロムP450が仲介する活性代謝産物の形成をこの薬剤は誘導し、それにより急性細胞損傷が引き起こされることが示されている。肝臓毒性のすべての標準指標である、ラクテートデヒドロゲナーゼ漏出と同様に、グルタチオン及びタンパク質チオールのレベルの低下も認められた(Masubuchi等,Arch Toxicol 73(3):147−151(1999)。ごく稀に、ヒトにおいて、イミプラミンは胆汁鬱滞及び肝炎を引き起こした(Moskovitz等,J Clin Psychiatry 43(4):165−066(1982);Horst等,Gastroenterology 79(3):550−544(1980))。
[0051] インドメタシンは、非ステロイド性抗炎症、解熱及び鎮痛薬であり、リウマチ様関節炎、骨関節炎、強直性脊椎炎、痛風、及び頻繁に日常的に発生し突くような痛みを特徴とする、重篤な慢性群発性頭痛を治療するために一般に使用される。本薬剤は、プロスタグランジン合成の強力な阻害剤として作用する。それは、アラキドン酸のプロスタグランジンへの変換に必要なシクロオキシゲナーゼ酵素を阻害する(PDR 47thEd.,Medical Economics Co.,Inc.,Montvale,NJ,1993;Goodman & Gilman’s The Pharmalogical Basis of Therapeutics 9thEd.,J.G.Hardman等 eds.,1074頁〜1075頁,1089−1095,McGraw Hill,New York,1996;Cecil Textbook of Medicine,20thEd.,part XII,772頁〜773頁,805頁〜808頁,J.C.Bennett and F.Plum Eds.,W.B.Saunders Co.,Philadelphia,1996)。
[0052] インドメタシン治療の最も頻繁な副作用は胃腸障害であり、通常は軽度の消化不良であるが、出血、潰瘍及び穿孔などのさらに重篤な症状が発生する可能性がある。肝臓の関与はまれであるが、肝炎及び黄疽のある致死的症例が報告されている。特に長期投与後の、腎臓毒性も発生することがある。腎乳頭壊死がラットで認められ、血尿、タンパク尿及びネフローゼ症候群を伴う間質性腎炎がヒトで報告されている。腎機能障害に罹患している患者は、腎臓プロスタグランジンが腎臓還流に重要な役割を果たしているため、腎血流減少を発症する危険にさらされている。
[0053] ラットでは、インドメタシンは肝臓よりも消化管で副作用をさらに発生するが、肝細胞シトクロムP450における変化を誘導することが示されている。ある研究では、肝臓において広範囲での変化は認められなかったが、弱い局所的な小葉中心性反応が見られた。アルブミン及び総タンパク質の血清レベルは著しく低下したが、尿素の血清レベルは上昇した。クレアチニン又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの変化は認められなかった(Falzon等(1985)BrJ exp Path 66:527−534)。別のラットの研究では、インドメタシンの単回投与は、CYP450を含む肝臓及び腎臓ミクロソーム酵素を減少させ、消化管内に障害を生じることが示された(Fracasso等(1990)Agents Actions 31:313−316)。
[0054] LPS(リポ多糖)は、哺乳動物における急性炎症性反応を誘導し、敗血症性ショックを引き起こす可能性がある、細胞の破壊又は破裂時にグラム陰性細菌によって放出されるエンドトキシンである。LPSは、炎症性機構を通じてラットにおける肝臓損傷を開始させるために使用される研究ツールでもある。通常、LPSの膜成分は、リピドA、KDO(2−ケト−3−デオキシ−オクツロソン酸)、コア多糖及びO−抗原多糖であり、細菌によって多糖ユニットは異なる(Zinsser Microbiology 20th Ed.,Joklik等,eds.,82頁〜87頁,Appleton & Lange,Norwalk,CT,1992)。
[0055] LPSにインビボで曝露されたラットの肝臓実質細胞及び類洞細胞に由来する初代ラット肝細胞は、細胞培養物中のLPSに直接反応することができる。一酸化窒素及び亜硝酸塩生成の増加を伴う、一酸化窒素合成酵素(NOS)のレベル上昇、細胞肥大、空胞形成、染色体切痕、細胞質DNA断片化及び壊死を含む、LPSによって誘導される内毒血症の多くの効果を検知することができる(Pittner等(1992)Biochem Biophys Res Commun 185(1):430−435;Laskin等,(1995)Hepatology 22(1):223−234;Wang等(1995)Am J Physiol 269(2 Pt 1):G297−304)。他の研究は、初代ラット肝細胞と一緒にクップフェル細胞が存在することが、LPSによる肝細胞のアポトーシス誘導に必須であることを示した(Hamada等(1999)J Hepatol 30(5):807−818)。
[0056] ラット又は初代肝細胞のLPSへの曝露は、肝臓における多くの急性期タンパク質の発現を誘導する。最近の証拠は、ラット肝細胞が可溶性CD14タンパク質を発現し、LPSが遺伝子発現及びタンパク質発現レベルの両方において、CD14のレベルを著しく上昇させることができることを示している(Liu等(1998)Infect Immun 66(11):5089−5098)。可溶性CD14は、内皮及び上皮細胞においても、LPSの毒性レベルまでの各種の細胞の活性化に必要とされる、重要なLPS認識タンパク質であると考えられる(Pugin等(1993)Proc Natl Acad Sci USA 90(7):2744−2748)。LPS認識系の別の主要な成分は、LPSに結合するリポ多糖結合タンパク質(LBP)である。LPS−LBP複合体は、CD14受容体と相互作用して、LPS感受性遺伝子を誘導する。LBPは、LPSによって初回刺激を受けていないラットから単離された肝細胞において誘導することが可能であり、この主要な調節経路が初代ラット肝細胞においてインタクトであることが示されている(Wan等(1995)Infect Immun 63 (7):2435−2442)。
[0057] ロバスタチン(メバコール(登録商標))はコレステロール低下剤であり、HMG−CoA還元酵素の強力な阻害剤である化合物のクラス、スタチンに属する。この酵素は、HMG−CoAのメバロン酸への変換を触媒し、コレステロール生合成における律速酵素である。HMG−CoA還元酵素の阻害剤は、肝臓でのコレステロールの生成を阻止して、血漿中のLDL粒子の減少を引き起こす。ロバスタチンは、ステロールの細胞間プールの枯渇及びLDL受容体合成の上昇を含む、脂質代謝に対する別の効果を持ち、それは血漿からのLDL及びLDL前駆物質の除去の増大につながる。ロバスタチンで処置すると、VLDL、LDL及びトリグリセリドの血漿レベルも低下する。経口投与量のロバスタチンは肝臓によってほとんど吸収され、薬剤は主に肝臓を経由して排出される。13%未満の代謝産物は尿中に排出される(Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ninth Ed.,Hardman等,eds.,884頁〜888頁,McGraw−Hill,New York,1996)。
[0058] 最も頻繁な副作用は、肝臓トランスアミナーゼ(例えばAST及びALT)、クレアチニンホスホキナーゼ及びアルカリホスファターゼのレベルの上昇を特徴とする肝臓損傷、ならびに筋肉痛及び骨格筋細胞の破壊を特徴とするミオパシーである。黄疽及び肝臓酵素のレベルの上昇を伴う薬剤誘発性肝炎の症例も報告されているが、薬剤の退薬後、症状は可逆的であった(Huchzermeyer等,Deutsch Med Wochenschr 120(8):252−256(1995);Heuer等,Med Klin 95(11):642−644(2000))。罹患肝臓組織の組織学的検査は、小葉中心性壊死、小葉中心性胆汁鬱帯、及び好酸球を含む単核及び多形核細胞による浸潤を示した(Grimbert等,Dig Dis Sci 39(9):2032−2033(1994))。
[0059] 9又は90mg/kgのロバスタチンを1日2回ラットに投与した場合、6時間後又は24時間後に肝臓組織で何も効果が認められなかったことが、本発明者による実験から見出された。しかし、より高用量での処置の14日後に、肝臓細胞は細胞質の異常な空胞形成を示した。ロバスタチンで処置された実験用動物の他の研究による肝毒性データは、広く報告されていない。したがって、ロバスタチンによって引き起こされた肝臓組織の変化を検査するためのさらに感受性の高いモデルを確立するため、及び、ロバスタチンへの曝露の結果として個々の遺伝子の発現レベルの変化を検査する手段を持つために、培養肝細胞中での実験に着手した。
[0060] メトトレキセートは、幅広く使用されている抗悪性腫瘍薬であり、乾癬(上皮細胞の異常増殖を特徴とする疾患)、若年性リンパ芽球性白血病、リウマチ様関節炎、及び白血病性髄膜炎及び絨毛癌などの多くの他の癌性疾患の治療にも頻繁に処方される。一般に代謝されないが、高投与量では、腎臓毒である7−ヒドロキシ−メトトレキセートなどの代謝産物が蓄積する。メトトレキセート ポリグルタミン酸は、肝臓に数週間、そして肝臓に数ヶ月間保持される(Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics.Ninth Ed.,Hardman等,eds.,1243頁〜1247頁,McGraw−Hill,New York,1996)。
[0061] メトトレキセートは、プリン及びチミジン合成における律速酵素、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)を阻害することによって、DNA合成及び細胞複製を防止するように作用する(Goodman and Gilman’s supra;Schwartz等,Proc Nat Acad Sci USA 89(2):594−598(1992))。それは細胞仲介免疫応答の抑制剤としても作用する。メトトレキセートの生化学的毒性学は、ヒトにおいて十分に特徴付けられており、長期投与によって、持続性の弱い〜中程度の血清トランスアミナーゼ、アルカリホスファターゼ及びビリルビンの上昇に関連する肝線維症又は肝硬変が生じ、大量飲酒者では顕著である(Reynolds等,South Med J 79(5):536−539(1986);Tolman等,J Rheumatol 12(Suppl 12):29−34(1985))。多くの細胞のタイプにおける標的酵素への高い親和性にもかかわらず、メトトレキセートはどちらかといえば長時間作用性の、迅速な可逆性のDHFR阻害剤であるが、これはDHFRが細胞膜を通過する機能を低下させるメトトレキセート ポリグルタミン酸の形成によるものかもしれない。メトトレキセートの毒作用は、プリン及びチミジル酸合成(肝臓1−炭素代謝におけるメチル化反応)に必要なテトラヒドロ葉酸補因子の枯渇によるものかもしれず、また、プリン及びチミジル酸の代謝に関与する葉酸依存性酵素の阻害であってメトトレキセートポリグルタミン酸及びジヒドロ葉酸 ポリグルタメートの蓄積によって生じる阻害によるものかもしれない。
[0062] メトトレキセートによって誘導される肝毒性のメカニズムは、一つにはヒトでの病態変化を動物モデルで再現することがやや困難であることもあって、なお十分に解明されていないが、ラットでの実験は、メトトレキセートが用量依存的に、初期の線維症を伴うゾーン3肝細胞の局所壊死からコンフルエント壊死の範囲にわたる肝臓損傷を引き起こすことを示している(Hall等,Hepatology 14(5):906−10(1991))。ラットにおける他の研究は、メトトレキセート処置は、微細液滴から大きな液胞の範囲にわたる肝細胞中の脂肪蓄積とともに、肝細胞内脂肪沈着を生じることを証明している。壊死区域は、貧血性梗塞、崩壊型の線維性病巣、肝細胞索の萎縮、及びヘモシデローシスと同様に、鬱血性機能不全に関連する低酸素症の徴候を示した(Custer等,J Natl Cancer Inst 58(4):1011−1015(1977))。肝毒性はおそらく、肝臓におけるトリグリセリド及び他の脂質の生合成経路の干渉を含む。例えばラットでの研究は、メトトレキセートが肝臓1−炭素代謝の干渉によって、メチオニン及びコリンなどの脂肪親和性物質の生合成を阻害することを示している。該薬剤は、別の脂肪親和性因子であるビタミンB12の活性も阻害し(Tuma等,Biochem Pharmacol 24:1327−1331(1975))、RNA合成及びタンパク質合成、トリグリセリド分泌及び総トリグリセリドエステル化に障害を及ぼす(Deboyser等,Toxic in Vitro 6(2):129−132(1992))。
[0063] メトトレキセートは、短時間曝露(最大3.5時間)後には培養初代肝細胞に対して細胞毒性でないように見えるが、低濃度で7日間曝露している最中にHepG2成長曲線に対する著しい効果が観察された(Wu等,Proc Natl Acad Sci USA 80(10):3078−3080(1983))。さらに、メトトレキセートが肝臓グリコーゲン分解、酸素消費及びカルシウム流出を増大させ、グルタチオンレベルを低下させることが証明されている(Yamamoto等,Biochem Pharmacol 44(4):761−767,(1992);de Oliveira等,Res Commun Chem Pathol Pharmacol 53(2):173−181(1986);Lindenthal等,Eur J Plaarmacol 228(5−6):289−298(1993))。メトトレキセートは肝臓N−アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)の活性も阻害するが、様々な治療用アリールアミンのアセチル化を触媒する酵素であるラットNAT1に対してはわずかな阻害作用しか持たないことが、培養ラット肝細胞の実験によって示されている(Zaher等,Toxicol in Vitro 11:271−283(1997))。
[0064] バルビツール酸であるフェノバルビタールは、抗癲癇剤、鎮静剤又は催眠剤として使用され、高血圧症、冠動脈疾患、胃腸障害及び術前不安などの緊張状態を伴う神経症を治療するためにも使用できる。フェノバルビタールは、不眠症及び頭痛を治療する薬物療法にも見出される(Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th Ed.,A.R.Gennaro ed.,1164頁〜1165頁,Mack Publishing Co.,Easton,Pennsylvania,1995)。
[0065] フェノバルビタールは、シトクロムP450酸化還元酵素、アルデヒドデヒドロゲナーゼ、UDP−グルクロニルトランスフェラーゼ、GST、エポキシドヒドロラーゼ、及び各種のシトクロムP450モノオキシゲナーゼなどの多様な薬剤代謝酵素を誘導する(Waxman等,Biochem J 1281(Pt 3):577−592(1992);Kaplowitz等,Biochem J 146(2):351−356(1975);Tank等,Biochem Pharmacol 35(24):4563−4569(1986))。肝臓酵素の誘導は、通常、肝臓拡大、滑面小胞体の増殖、及び腫瘍促進を伴う(Waxman等,supra;Rice等,Carcinogenesis 15(2):395−402(1994);Nims等,Carcinogenesis 8(1):67−71,(1987))。胆汁鬱帯及び肝細胞損傷の発生も見出されている(Selim等,Hepatology 29(5):1347−1351(1999);Gut等,Environ Health Perspect 104(Suppl 6):1211−1218(1999))。フェノバルビタールは、げっ歯類で肝臓腫瘍を誘導するため、非遺伝毒性肝癌誘導物質として分類されているが、短期のインビボ又はインビトロアッセイを用いた遺伝毒性の検出可能な徴候が欠乏している(Whysner等,Pharmacol Ther 71(1−2):153−191(1996))。
[0066] ラット肝臓中のリン脂質代謝に対するフェノバルビタールの効果が研究されてきた。ある研究において、腹腔内(i.p.)投与されたフェノバルビタールは、ミクロソームのホスファチジルコリン含有量の増加を引き起こすことが見出された。さらに、グリセロリン酸アシルトランスフェラーゼ(GAT)、ホスファチジン酸シチジリルトランスフェラーゼ(PCT)、ホスファチジン酸ホスホヒドロラーゼ(PPH)及びコリンホスホトランスフェラーゼ(CPT)のレベルは、著しく上昇した(Hoshi等,Claem Pharm Bull 38:3446−3448(1990))。
[0067] 強力なアセチルコリンステラーゼ(AChE)阻害剤である、タクリン(1,2,3,4−テトラヒドロ−9−アミノアクリジン塩酸塩)は、軽度から中程度のアルツハイマー痴呆の治療に使用される。アルツハイマー患者は、シナプス喪失、ニューロン萎縮及び前脳のコリン作動性核の変性を有するが、これらはグルコースの酸化代謝の減少ならびにATP及びアセチルCoAレベルの低下に関連する。タクリンなどのAChE阻害剤の投与は、この損失に対抗するためにコリン作動性活性を上昇させるように設計されている(Weinstock(1995)Neurodegeneration4:349−356)。患者に見られる効果は、認知及び機能低下の回復であるが、該薬剤は神経変性プロセスを変化させないようである(Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics9thEd.,Hardman等eds.,174頁,McGraw Hill,New York,1996)。
[0068] タクリンによって引き起こされる肝毒性は、通常、可逆的であるが、重篤な肝毒性の症例が見られている(Blackard等(1998)J Clin Gastroenterol 26:57−59)。毒性は、タンパク質合成のレベル低下及び乳酸デヒドロゲナーゼの放出によってはもちろんのこと、トランスアミナーゼのレベルの上昇ならびにATP、グリコーゲン及びグルタチオンのレベルの低下によっても特徴付けられる。タンパク質合成の低下は、細胞死に至るシグナルとなることがある(Lagadic−Gossmann等(1998)Cell Biol Toxicol 14:361−373)。
[0069] 前臨床研究は有害な肝臓事象を検知できなかったが、タクリンは、ヒト肝臓癌株化細胞及び初代ラット肝細胞に対して細胞毒性を示した(Viau等(1993)Drug Chem Toxicol 16:227−239)。肝毒性はヒトで見出されているが、インビボのラット研究は、タクリン曝露と肝毒性の間の相関を示しておらず、作用機序は完全に理解されていない。ヒト及びラットの肝臓ミクロソーム調製物のタクリンに対する反応を比較するインビトロ研究は、2つの種が該薬剤に対して異なって反応することを示しており、そこから、ラットが、肝臓マーカー酵素のタクリン誘導上昇をモニターするための最良のモデルでないことが示唆された(Woolf等(1993)Drug Metab Dispos 21:874−882)。
[0070] タクリンは、ラットにおける肝毒性の古典的徴候を示さなかったが、タクリン投与による遺伝子発現の変化は、該薬剤がヒトでは肝毒素となることを予測するために使用できる。このことは、前臨床スクリーニングにおける古典的であるがさらに粗雑な方法が毒性を検知できない場合でさえ、臨床で毒性であることが判明する薬剤を、トキシコゲノミクスが検知できることを示唆している。
[0071] タモキシフェンは、男性及び女性の乳癌に使用される非ステロイド性の抗エストロゲンである。タモキシフェンは、肝臓酵素レベルの変化、ミトコンドリア代謝の混乱、及び場合により脂肪肝、胆汁鬱帯、肝臓壊死及びNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)を含む、一連のより重篤な肝臓異常に関連している(Duthie等,Xenobiotica 25(10):1151−1164(1995);Cardoso等,Toxicol Appl Pharmacol 176(3):145−152(2001);Pinol等,Gastroenterol Hepatol 23(2):57−61(2000);及びFarrell,Semin Liver Dis 22(2):185−194(2002))。これらの深刻な症例のいくつかでは、致死的であった。肝臓癌の症例もいくつか報告されている。さらに、タモキシフェンは肝臓酵素の活性を著しく変化させ、肝臓癌を誘導しうることが、マウス及びラットの研究で示された(Caballero等,Int J Biochem Cell Biol 33(7):681−690(2001);Guzelian,Semin Oncol 24(1 Suppl 1):S1−105−121(1997))。
[0072] テトラサイクリンは広域スペクトルの抗生物質であり、主な作用機序は細菌のタンパク質合成の阻害である。肝臓毒性、主に脂肪肝が、高用量のテトラサイクリンを服用した患者で観察された。ラット及びイヌでは、テトラサイクリンへ曝露すると、ミトコンドリアの脂質代謝及びベータ酸化の阻害によって、肝細胞中の総脂質及びトリグリセリドのレベルが上昇することが示されている(Lewis等,Am J Dig Dis 12:429−438,(1967);Amacher等,Fundam Appl Toxicol 40(2):256−263(1997)。
[0073] バルプロ酸(n−ジプロピル酢酸、デパケン(登録商標))は、複数の種類の癲癇性発作−欠伸発作、ミオクローヌス発作及び強直間代性発作を治療するために日常的に使用される。大半の他の抗癲癇薬は、1種類のみに対して有効である。バルプロ酸はニューロンに作用して、皮質又は脊髄ニューロンの脱分極によって引き起こされる持続的反復発火を阻害し、不活性化された電位−活性化Naチャネルの長期回復が続く。該薬剤は低閾値Ca2+電流を低下させることによっても作用し、その複数の機序が複数の種類の発作でのその使用に寄与する。バルプロ酸はニューロンのGABAに対する反応に影響を与えないが、GABA合成酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼの活性を上昇させ、GABAを分解する酵素、GABAトランスアミナーゼ及びコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害する(Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutic.9thEd.,Hardman等,eds.,462頁,476頁,477頁,McGraw−Hill,New York,1996)。
[0074] 最も一般的な副作用は、食欲不振、悪心及び嘔吐を含む胃腸障害である。CNSに対する効果は、鎮静、運動失調及び振戦を含む。発疹、毛髪喪失、食欲向上及び催奇形性効果も認められている(Briggs等,A Reference Guide to Fetal and Neonat al Risk.Drugs in Pregnancy and Lactation,4th ed.,869頁,Williams & Wilkins,Baltimore,1994)。肝毒性については、バルプロ酸は、約40%の患者で無症候症状であり得る肝臓酵素レベルの上昇が生じ、また、肝臓脂質レベルの上昇を生じる。劇症肝炎、微小空胞脂肪肝(脂肪変性)、肝細胞壊死及び肝不全も発生する可能性がある。肝毒性はバルプロ酸の不飽和代謝産物の蓄積によって引き起こすと考えられており、特に、2つの既知の肝臓毒である4−エン−ペンタノエート及びメチレンシクロプロピル酢酸に構造的に類似している4−エン−バルプロ酸の蓄積によって引き起こされると考えられる(Eadie等(1988)MedToxicol Adverse Drug Exp 3:85−106)。
[0075] ラットに対する研究では、バルプロ酸によって引き起こされた微小胞脂肪肝が、ミエロイド小体、脂質空胞及びミトコンドリアの異常を伴うことが見出された(Kesterson等(1984)Hepatology 4:1143−1152)。培養ラット肝細胞に対する実験によれば、バルプロ酸が、用量依存的に、乳酸デヒドロゲナーゼを漏出させ、脂肪酸のベータ酸化を妨害する化合物であるアシル−CoAエステルを増加させることが示された(Vance等(1994)Epilepsia35:1016−1022)。バルプロ酸をラットへ投与すると、ミトコンドリアのベータ酸化異常の徴候である、ジカルボン酸の排泄増大を引き起こすことも示されている。他の代謝効果は、低血糖症、高アンモニア血症、ベータヒドロキシ酪酸及びカルニチンのレベル低下ならびに脂肪酸酸化に関与する酵素であるアシル−CoAデヒドロゲナーゼ活性の低下を含む。しかしながら、短鎖、中鎖及び長鎖アシル−CoAデヒドロゲナーゼなどの脂肪酸酸化に関与する遺伝子のmRNAレベルは、上昇することが見出された(Kibayashi等(1999)Pediatr Int 41:52−60)。
[0076] 肝臓で作用する腫瘍誘導化合物であるWy−14643は、癌を検出、診断及び治療するための戦略を開発する目的で、発癌性発症の各種段階の間の細胞の遺伝的特性を研究するために使用されてきた(Rockett等(2000)Toxicology 144(1−3):13−29)。他の発癌物質とは対照的に、Wy−14643はDNAを直接突然変異させない。代わりに、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα)や増殖を調節する他の情報伝達経路に作用する(Johnson等(2001)J Steroid Biochem Mol Biol 77(1):59−71)。効果は、アポトーシスの低下を伴う、上昇かつ持続された細胞複製である(Rusyn等(2000)Carcinogenesis 21(12):2141−2145)。これらの著者(Rusynら)は、塩基除去によってDNAを修復する酵素の発現の増加を認めたが、DNAに対する酸化的損傷を修復しない酵素の発現増加を認めなかった。げっ歯類に関する研究において、Johnsonらは、Wy−14643が肝臓−X−受容体仲介転写を、新規ステロール合成と同様に、用量依存的に阻害したことを認めた。
[0077] マウス肝細胞を用いた実験において(Peters等(1998) Carcinogenesis 19(11):1989−1994)、Wy−14643への曝露は、アシルCoAオキシダーゼ及び細胞増殖に関与するタンパク質:CDK−1,2及び4、PCNAならびにc−mycのレベルの上昇を生じた。レベルの上昇は、PPARαによって直接的に又は間接的に仲介される、加速された転写によって引き起こされる。ペルオキシソーム増殖因子の発癌特性は、PPARα依存的な細胞周期調節タンパク質のレベル変化によるものであると思われる。
[0078] げっ歯類に関する別の研究(Keller等(1992)Biochim Biophys Acta 1102(2):237−244)は、Wy−14643がラット肝臓ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化を脱共役できることを示した。2つのエネルギー依存プロセスである、アンモニア及び胆汁流量からの尿素合成の速度は低下し、これらのプロセスへのエネルギー供給が、細胞を毒素に曝露する結果として妨害されたことが示されている。Wy−14643が、クップフェル細胞における核因子κB、NADPHオキシダーゼ及びスーパーオキシドの生成を活性化することも示されている(Rusyn等(2000)Cancer Res 60(17):4798−4803)。NADPHオキシダーゼは、肝臓細胞の増殖を引き起こす有糸分裂促進剤を誘導することが知られている。
(毒性の識別、予測及びモデリング)
[0079] 表1〜5XXで提供される遺伝子のポートフォリオ及びサブセットと同様に、遺伝子及び遺伝子発現情報を用いて、試験化合物又は未知化合物の肝毒性を含む、少なくとも1つの毒作用を予測又は識別する。本明細書で使用する場合、少なくとも1つの毒作用には、細胞又は生物の生理的状態の有害な変化が含まれるが、これに限定はされない。その応答は、特定の病理学的状態(例えば、組織壊死)と関連するかもしれないが、そうあることを要求されない。したがって、毒作用は、分子及び細胞レベルでの作用を含む。本明細書で使用される、肝毒性とは効果であり、そして、遺伝毒性的発癌、非遺伝毒性的発癌、胆汁鬱帯、肝炎、肝肥大、炎症、壊死、脂肪肝を伴う壊死、ペルオキシソーム増殖、脂肪肝及び肝炎を伴う脂肪肝を含むが、これらには限られない。さらに、肝毒性は、直接作用剤(メトホルミン、ロシグリタゾン及びデキサメタゾンなど)の効果を含むが、これらは肝臓で作用するが肝臓に対して毒性ではないと考えられる医薬である。これらの薬剤に曝されると、遺伝子発現プロファイルが変化する。本明細書において、遺伝子発現プロファイルは、細胞サンプル又は細胞集団における少なくとも1つのmRNA種の定量的な提示を含み、ディファレンシャル・ディスプレイ、PCRハイブリダイゼーションアッセイ等の様々な方法によって作製されるプロファイルを含む。
[0080] 一般に、試験薬剤(又は化合物又は多成分組成物)の毒性又は肝毒性を予測するアッセイは、細胞集団を試験化合物に曝す工程と、表5A〜5XXの遺伝子の1個又はそれ以上の相対的又は絶対的な遺伝子発現レベルをアッセイし又は測定する工程と、同定した発現レベルを本明細書に開示された表及びデータベースに開示された発現レベルと比較する工程と、を含む。多遺伝子発現プロファイルを作成するために、アッセイには、表5A〜5XXから約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、50、75、100、200、300、400、500、1000個又はそれ以上の遺伝子の発現レベルの測定が含まれるかもしれない。ある実施形態では、表5A〜5XXのすべて又は実質的にすべての遺伝子を用いて毒性等を予測することがある。別の実施形態では、個々の毒モデルについての遺伝子又は遺伝子サブセット、例えば、表5Aの遺伝子を用いることがある。表5A〜5XXのデータの「充分な量」とは、毒性を識別又は予測できる情報の量(典型的には2又はそれ以上の遺伝子)をいう。「実質的に」又はほぼすべての表中のデータとは、個々のモデルについて少なくとも約80%のデータをさす。
[0081] 本発明の方法では、試験薬剤、化合物又は組成物によって誘導される、1又は複数の遺伝子の発現レベルが約2倍、約1.5倍又は約1.0倍の係数の範囲内で変化するならば、本明細書に開示される表又はデータベースに見出されるレベルに匹敵する。いくつかのケースでは、薬剤が参照毒と同じ方向(例えば、アップ又はダウン)に、遺伝子の発現変化を誘導するならば、それらの発現レベルは匹敵する。「比較する」とは、試料の遺伝子発現プロファイルに対するデータベース情報の関係を決定することを含み、両者の結果、差異又は類似性に対してアルゴリズムを適用してもしなくてもよい。
[0082] 試験薬剤、化合物又は組成物に曝される細胞集団は、インビトロ又はインビボで曝されてよい。例えば、培養又は新たに単離された肝細胞(特に、ラット肝細胞)は、標準的な実験室及び細胞培養条件の下でその薬剤に曝される。別のアッセイ様式では、インビボの曝露は、生きている動物(例えば、研究室ラット)に、その薬剤を投与することによって達成できる。
[0083] インビトロ及びインビボ系で毒性試験を設計及び実施するための手順は周知であり、その主題に関しては多くの教科書に記載されている。例えば、Loomisら、Loomis’s Essentials of Toxicology Testing,4版(Academic Press,New York,1966)、Echobichon,The basics of Toxicity Testing(CRC Press,Boca Raton,1992)、Frazier編、In vitro Toxicity Testing(Marcel Dekker,New York,1992)などである。
[0084] インビトロ毒性試験では、2つのグループの試験生物が通常使用される。1つのグループは対照であり、他のグループは単一用量で(急性毒性試験用)、又は1つの投薬計画の用量で(遷延性又は慢性毒性試験用)、試験化合物を受ける。いくつかのケースでは、本発明の方法で要求される組織の抽出が、試験動物を犠牲にする必要があるので、実験の継続期間を通して遺伝子発現の動態を観察することが望ましいならば対照グループ及び化合物を受けているグループの両方とも、組織サンプリングのために動物を取り除くことができるように十分大きくなければならない。
[0085] 毒性研究を計画するに際して、試験される化合物のために適切な試験生物を選ぶこと、投与経路、用量の範囲などについて広範囲な指針が文献で提供されている。水又は生理的食塩水(0.9% NaCl水溶液)が、試験化合物のために選択される溶質である。というのは、これらの溶剤が様々な経路による投与を許容するからである。溶解性の限界のために、これが可能でないとき、コーン油のような植物油、又はプロピレングリコールのような有機溶媒が使用できる。
[0086] 投与経路に関係なく、所与の用量を投与するのに要する容積は、使われる動物の大きさによって制限される。動物のグループ内又はグループ間で各用量の容積を均一に保つことが望ましい。ラット又はマウスを使用するとき、一般に経口経路で投与される容積は、動物のグラム当たり0.005mLを超えてはならない。水溶液又は生理的食塩水溶液が非経口的注入のために使われるときでも、そのような溶液は通常無害であると考えられているが、許容される容積は制限される。マウスでの蒸留水の静脈LD50は、マウスグラム当たり約0.044mLであり、等張性生理食塩水のそれはマウスグラム当たり0.068mLである。ある場合には、試験動物への投与経路は、治療目的のためのヒトへの該化合物の投与経路と同一、又はできるだけ似通っているべきである。
[0087] 化合物が吸入によって投与されることになっているとき、試験空気を発生する特殊な手法が必要である。その方法は、通常、化合物を含む液のエーロゾル化又は噴霧化を含む。試験される薬剤が感知できる蒸気圧を持つ液であるならば、それは制御された温度条件下で空気を溶液に通すことによって投与できる。これらの条件下で、用量は単位時間当たりに吸入される空気の容積、溶液の温度及び関与する薬剤の蒸気圧から見積もられる。ガスは、ガス溜めからメーターで測られる。溶液の粒子が投与されることになっているとき、粒径が約2μmより小さくなければ、粒子は肺で末端の肺胞嚢に達しない。吸入によって投与されるとき、様々な装置やチャンバーが、刺激物質又はその他の有毒なエンドポイントの効果を検出するための研究を実行するために利用できる。動物に薬剤を投与する好ましい方法は、挿管によるか又は飼料に薬剤を取り入れることによる、経口経路を通してある。
[0088] 薬剤がインビトロで、細胞又は細胞培養物に曝されるとき、薬剤に曝される細胞集団は、例えば、その集団を2つ以上の同一のアリコートに分割することによって、2つ以上の副集団に分割されるかもしれない。本発明の方法の好適ないくつかの実施の形態で、薬剤に曝される細胞は、肝臓組織に由来する。例えば、培養されたか、又は新たに単離されたラット肝細胞が使われる。
[0089] 本発明の方法は、一般に少なくとも1つの毒性反応を予測するのに使用でき、そして、実施例に記載されているように、化合物又は試験薬剤が、
遺伝毒性的発癌、非遺伝毒性的発癌、胆汁鬱帯、直接作用毒性、肝炎、肝肥大、炎症、壊死、脂肪肝を伴う壊死、ペルオキシソーム増殖、脂肪肝及び肝炎を伴う脂肪肝又はその他の本明細書に記載された少なくとも1つの毒に関連する症状などの様々な特定の肝臓症状を誘導するという見込みを予測するのに使用できる。また、本発明の方法を用いて、1つ又はそれ以上の個々の化合物に対する毒性反応の類似性を決定できる。それに加えて、本発明の方法を用いて、既知の毒(表5A〜5G、5J、5K、5M〜5S、5U〜5Y、5AA〜5EE、5HH〜5JJ、5MM、5OO、5PP及び5SS〜5XXを参照)によって誘導されるプロファイルと比較しての、発現プロファイルの類似性のために、前記化合物又は試験薬剤によって影響、誘導又は調節される可能性のある細胞経路を予測するか、又は解明できる。さらに、毒に曝された結果である特異的な肝臓病理及び特異的な遺伝子発現プロファイルとの間の関連は、肝臓毒性のマーカーとしての表5A〜5XXの遺伝子の区別を考慮する。
(毒性マーカーの診断用途)
[0090] 上述のように、化合物に曝された組織若しくは細胞試料の生理的状態の予測又は同定のための診断マーカーとして、或いは化合物又は薬剤の毒作用を同定するか、予測するのに表5A〜5XXに提供されたような遺伝子や遺伝子発現情報、又はそれらの発現情報を備える遺伝子のポートフォリオを使用することができる。例えば、末梢血液細胞の試料のような組織試料又は他の簡単に得ることができる若干の組織試料を上記の方法のいずれかによってアッセイでき、そして、表5A〜5XXからの1又は複数の遺伝子の発現レベルが本明細書に記載される毒に曝された組織若しくは細胞で見出される発現レベルと比較できる。これらの方法は、細胞での生理的状態の診断をもたらし、ある化合物(例えば、新規の又は未知の化合物又は薬剤)の潜在的な毒性を確認するために使用することができる。利用できる配列又は他の情報と同様に、発現データの比較は、研究者又は診断者が行ってもよいし、下記のようにコンピュータやデータベースの助けを借りてもなし得る。
[0091] 別の様式では、試料(例えば、身体の組織若しくは体液試料)中、表5A〜5XXの1又は複数の遺伝子のレベル、それがコードする1又は複数のタンパク質、又は該コードされたタンパク質によって生産されるいかなる代謝産物でも、モニター又は検出して、生物体の生理的状態を確認するか、診断することができる。そのような試料としては、尿、血液及び簡単に取得できる細胞(例えば、末梢リンパ球)を含む、いかなる組織又は液試料でも挙げられる。
(毒性進行をモニターするためのマーカーの使用)
[0092] 上述のように、医薬、候補薬、毒、汚染物質などに最初に曝された後に見出されるような毒性進行をモニターするためのマーカーとして、表5A〜5XXに提供される遺伝子や遺伝子発現情報を使用することもできる。例えば、組織試料又は細胞試料を上記の方法のいずれによってアッセイでき、そして、表5A〜5XXの1又は複数の遺伝子の発現レベルが本明細書に記載される肝臓毒に曝された組織若しくは細胞で見出される発現レベルと比較できる。利用できる配列又は他の情報と同様に、発現データの比較は、研究者又は診断者が行ってもよいし、下記のようにコンピュータやデータベースの助けを借りてもなし得る。
(医薬スクリーニングのための毒性マーカーの使用)
[0093] 本発明によれば、表5A〜5XXで同定された遺伝子を、マーカー又は薬標的として使用して、細胞又は組織試料に対する、候補薬、化学物質又は他の薬剤の効果を評価することができる。遺伝子をその発現や活性を調節する薬剤をスクリーニングするための薬標的として使用することもできる。様々な様式で、候補薬又は薬剤は、所定の1又は複数のマーカーの転写・発現を刺激する能力、或いは1又は複数のマーカーの転写・発現をダウンレギュレート又は妨げる能力をスクリーニングできる。本発明によれば、薬が誘導するマーカーの数を見て、そしてそれらを比較することによって、薬の効果の特異性を比較することもできる。より特異的な薬は、より少ない転写標的を持つ。2つの薬のために同定されたマーカーの類似したセットは、効果の類似性を示すかもしれない。本明細書において、薬剤が細胞で本発明の核酸の発現をアップレギュレート又はダウンレギュレートする能力がある場合、薬剤は本発明の核酸の発現を調節するという。
[0094] 表5A〜5XXに定義するような1又は複数のマーカーの発現をモニターするためのアッセイは、本発明の核酸の発現レベル変化をモニターするのに利用可能ないかなる手段を利用してもよい。
[0095] 1つのアッセイ様式で、表5A〜5XXからの1個、2個若しくはそれ以上の遺伝子に対するプローブを含む遺伝子チップを使用して、処理又は曝露された細胞で、遺伝子発現の変化を直接モニター又は検出することができる。株化細胞、組織又は他の試料を最初に試験薬剤にさらし、そしてある場合には既知の毒にさらして、表5A〜5XXの遺伝子のうちの1個若しくはそれ以上、又は好ましくは2個若しくはそれ以上の検出された発現レベルを、既知の毒単独で曝されたそれらと同一の遺伝子の発現レベルと比較する。既知の1又は複数の毒の発現パターンを調節する化合物は、インビボで潜在的に有毒な生理作用を調節することが期待されるだろう。表5A〜5XX中の遺伝子は、既知の肝臓毒に曝されたとき、細胞で差次的に発現されるので、これらのアッセイにおいて特に適切な指標である。
[0096] 別の様式では、表5A〜5XXの遺伝子のオープンリーディングフレーム及び/又は転写調節領域間のリポーター遺伝子融合を含む株化細胞及びアッセイ可能な融合パートナーを調製する。多数のアッセイ可能な融合パートナーが知られており、容易に入手可能であるが、ホタルルシフェラーゼ遺伝子及びクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子が挙げられる(Alamら、(1990)Anal.Biochem.188:245−254)。リポーター遺伝子融合を含む株化細胞を、適切な条件と時間で試験される薬剤に曝す。薬剤に曝された試料と対照試料との間のリポーター遺伝子の示差発現は、核酸の発現を調節する薬剤を同定する。
[0097] 追加のアッセイ様式を用いて、表5A〜5XX中で同定された遺伝子の発現を調節する薬剤の能力をモニターできる。上述のように、例えば、mRNA発現は、本発明の核酸に対するプローブのハイブリダイゼーションによって直接モニターできる。株化細胞を適切な条件と時間で、試験される薬剤にさらして、トータルRNA又はmRNAをSambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)に開示されているような標準的な手順によって単離する。
[0098] 別のアッセイ様式では、本発明の遺伝子産物を生理的に発現する細胞又は株化細胞をまず同定する。そのように同定された細胞及び/又は株化細胞は、転写装置の調節の忠実度が、適当な表面伝達機構及び/又は細胞質カスケードと薬剤の外因性接触に関して、維持されるように必要な細胞機構を含むと期待されるだろう。さらに、そのような細胞又は株化細胞は、表5A〜5XXの遺伝子産物をコードする構造遺伝子の末端を含んでいる操作可能な非翻訳性の5’−プロモーターが1つ以上の抗原性フラグメント又は他の検出可能なマーカーに融合したものを含む発現媒体(例えば、プラスミド又はウィルスベクター)構築体で形質導入又は形質転換できるが、これらは本発明の遺伝子産物に特有であり、前記フラグメントはプロモーターの転写調節下にあり、分子量が天然に存在するポリペプチドから区別できるか、又はさらに免疫学的に識別される若しくは他の検出可能なタグを含むポリペプチドとして発現される。そのようなプロセスは、当該技術において周知である(上記のSambrookらを参照)。
[0099] 上記で概説したような細胞又は株化細胞を、それから、適切な条件下で薬剤と接触させる。例えば、その薬剤は薬学的に許容される賦形剤を含み、そして、生理的pHでのリン酸緩衝食塩水(PBS)、生理的pHでのイーグル緩衝塩類溶液(BSS)、血清を含むPBS又はBSS、若しくはPBS又はBSS及び/又は血清を含む条件培地などの水性の生理的緩衝液に含まれる細胞と接触され、37℃でインキュベートされる。前記条件は、当業者が必要と思えば調節されるかもしれない。細胞を前記薬剤に接触させるのに続いて、該細胞を粉砕して、細胞溶解液のポリペプチドを、ポリペプチド画分がプールされ免疫アッセイ(例えば、ELISA、免疫沈降又はウエスタンブロット)によってさらに処理されることになっている抗体と接触させられるように分画する。薬剤と接触された試料から単離したタンパク質のプールを次いで対照試料(非曝露又は既知の毒への曝露)と比較するが−そこでは賦形剤のみが細胞と接触される−、そして、その対照と比較して薬剤と接触された試料からの免疫学的に発生されたシグナルにおける増加又は減少を用いて、前記薬剤の有効性及び/又は毒作用を識別する。
[00100] 本発明の別の実施の形態は、表5A〜5XXの遺伝子によってコードされる1又は複数のタンパク質の少なくとも1つの活性を調節する薬剤を同定するための方法を提供する。そのような方法又はアッセイは、所望の活性をモニター又は検出するいかなる手段をも利用できる。
[00101] 1つの様式では、曝されていない対照細胞集団と比較しての試験される薬剤に曝された細胞集団と既知の毒に曝された細胞集団との間のタンパク質の相対量(表5A〜5XX)をアッセイする。この様式の中で、特異的抗体のようなプローブを用いて、異なる細胞集団でのタンパク質の差次的な発現をモニターする。株化細胞又は細胞集団を、適切な条件と時間の下で試験される薬剤に曝す。曝された株化細胞又は細胞集団、及び対照の曝されていない株化細胞又は細胞集団から細胞溶解液を調製する。この細胞溶解液は、それから、プローブ(例えば、特異的抗体)で分析される。
[00102] 上記の方法でアッセイした薬剤を無作為に選ぶことができるか、又は合理的に選ぶか若しくは設計することができる。本明細書で使用する場合、薬剤が本発明のタンパク質単独で、又はその関連する基質、結合パートナーなどとの会合に関与する特異的配列を考慮することなく無作為に選ばれるとき、その薬剤は無作為に選ばれるという。無作為に選ばれた薬剤の例は、化学的なライブラリ若しくはペプチドのコンビナトリアルライブラリ、又は生物の成長ブロスの使用である。
[00103] 本明細書で使用する場合、薬剤がその作用と関連して、標的部位の配列及び/又はその立体配座を考慮する、無作為な基準ではなく選ばれるとき、その薬剤は合理的に選ばれる又は設計されるという。薬剤は、これらの部位を構成するペプチド配列を利用することによって合理的に選ぶか、設計することができる。例えば、合理的に選ばれたペプチド薬剤は、そのアミノ酸配列が機能コンセンサス部位と同一であるか、又はその誘導体でありえる。
[00104] 本発明の薬剤は、例えば、ペプチド、小分子、ビタミン誘導体、同様に炭水化物でありえる。ドミナントネガティブなタンパク質、これらのタンパク質をコードするDNA、これらのタンパク質に対する抗体、これらのタンパク質のペプチドフラグメント、又はこれらのタンパク質の模擬体(ミミック)は、機能に影響を及ぼすために細胞に導入される。本明細書で使用する「模擬体(ミミック)」とは、親ペプチドと化学的に構造は異なるが、組織分布的に、そして、機能的に親ペプチドと類似な構造を提供するためのペプチド分子の1つの領域又はいくつかの領域の改変を指す(Meyers(編)Molecular Biology and Biotechnology(New York,VCH Publishers,1995)中,659−664頁、Grant GA.の項を参照)。当業者は、本発明の薬剤の構造上の性質に関して、制限がないと容易に認識できる。
(核酸アッセイ様式)
[00105] 既知の肝臓毒(表5A〜5XX)に曝されると、差次的に発現されると同定した遺伝子を様々な核酸検出アッセイで使用して、与えられた試料中、1又は複数の遺伝子の発現レベルを検出又は定量できる。表5A〜5XXに記載した遺伝子は、その差次的な発現が細胞又は組織での毒性に関連する、1つ以上の追加の遺伝子と組合せても使用されるかもしれない。好ましい実施の形態では、表5A〜5XX中の遺伝子は、先願の関連出願である60/353,171;60/363,534;60/371,135;60/371,134;60/370,248;60/371,150;60/371,413;60/373,601;60/374,139;60/394,253;60/378,652;60/373,602;60/378,653;60/378,665;60/378,370;60/394,230;60/407,688;09/917,800;10/060,087;2003年1月31日に出願された「分子肝毒性モデリング」という名称のPCT/US03/______;及びPCT/US01/23872に記載される遺伝子の1つ以上と組合せられるかもしれない。これらすべては、関連付けによって本明細書に取り入れられる。
[00106] 遺伝子発現を検出するいかなるアッセイ様式を使用してもよい。例えば、伝統的なノーザンブロッティング、ドットブロット又はスロットブロット、ヌクレアーゼ保護、プライマー指示された増幅、RT−PCR、半定量的若しくは定量的PCR、分枝鎖DNA及びディファレンシャル・ディスプレイ法が、遺伝子発現レベルを検出するために使われるかもしれない。それらの方法は、本発明のいくつかの実施の形態に有用である。より少ない数の遺伝子が検出される場合には、ハイスループットな増幅に基づくアッセイが最も効率的であるかもしれない。しかしながら、本発明の方法及びアッセイは、多数の遺伝子の発現を検出するハイブリダイゼーションに基づく方法で、最も能率的に設計される。
[00107] いかなるハイブリダイゼーションアッセイ様式を用いてもよいが、これには溶液に基づくアッセイ様式及び固体支持体に基づくアッセイ様式が含まれる。本発明の差次的に発現された遺伝子用オリゴヌクレオチドプロープを含む固体支持体は、フィルター、ポリ塩化ビニルディシュ、粒子、ビーズ、微粒子又はシリコン若しくはガラス基盤チップ等であり得る。そのようなチップ、ウエハー及びハイブリダイゼーション法は広く利用でき、例えばBeattie(WO95/11755)によって開示されたものがある。
[00108] オリゴヌクレオチドが、直接的に又は間接的に、共有結合的に又は非共有結合的に、結合され得るいかなる固体の表面でも、使用することができる。好ましい固体支持体は、高密度アレイ又はDNAチップである。これらは、アレイ上で予め決められた位置に特定のオリゴヌクレオチドプローブを含んでいる。予め決められた位置は、1分子以上のプローブを含むかもしれないが、その予め決められた位置内の各分子は同一の配列を持つ。そのようなあらかじめ決められた位置は、特徴(feature)と呼ばれる。例えば、単一の固体支持体上に2、10、100、1,000から10,000、100,000個まで、又は400,000個以上のこのような特徴があるかもしれない。固体支持体又はプローブが取り付けられる範囲は、約1平方センチメートル程度である。表5A〜5XXの遺伝子に対応するプローブ、又は上記の関連出願からのプローブは、単一の又は複数の固体支持体に取り付けることができる。例えば、それらのプローブは、単一のチップ又は1つのチップセットを構成する複数のチップに取り付けることができる。
[00109] 発現モニター用のオリゴヌクレオチドプローブアレイは、当該技術で知られているいかなる手法によっても作製し、使用することができる(例えば、Lockhartら、Nat.Biotechnol.(1996)14,1675−1680;McGallら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA(1996)93,13555−13460)。そのようなプローブアレイは、表5A〜5XXに記載した2個若しくはそれ以上の遺伝子に相補的であるか、又はハイブリダイズする少なくとも2個以上のオリゴヌクレオチドを含む。例えば、そのようなアレイは、本明細書に記載される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、70、100個若しくはそれ以上の遺伝子に相補的であるか、又はハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含んでよい。好ましいアレイは、表5A〜5XXに挙げられた遺伝子のすべて、又はほぼすべてを含んでおり、或いは個別的には、表5A〜5XXの遺伝子セットを含む。好ましい実施の形態では、単一の固体支持体基質(例えば、チップ)上に表5A〜5XXのいずれか1個又はすべて遺伝子のうち、すべて又はほぼすべての遺伝子を検出するためのオリゴヌクレオチドを含むように、アレイが構築される。
[00110] 表5A〜5XXの発現マーカー遺伝子の配列は、公共のデータベースにある。表1は、配列の各々について、GenBank受入番号、配列番号及びGLGC識別番号(ジーンロジック参照番号)を提供し(www.ncbi.nlm.nih.gov/を参照)、表2は、表1及び5A〜5XXの遺伝子のヒトホモログのための同定情報を提供する。表3は、表1及び5A〜5XXの遺伝子が機能すると信じられている代謝経路を同定する。表4は、表1、2、3及び5A〜5XXで使用されるモデルコードを定義する。本出願の出願日現在でのGenBank中の遺伝子の配列は、明示により本明細書にそれらの全体が関連付けにより組み入れられ、さらに関連する配列、例えば、異なる長さの同一遺伝子からの配列、該遺伝子の変異体配列、多型配列、ゲノム配列及び異なる種(適当な場合、ヒトの対応物を含む)からの関連配列も同様である。これらの配列は、本発明の方法に用いることができるか、或いは本発明のプローブ又はアレイを作製するのに用いることができる。ある実施形態では、以前から毒性反応に関連する遺伝子又はフラグメントに一致する表5A〜5XX中の遺伝子は、その表から除外してよい。
[00111] 上述のように、表5A〜5XXに開示されたGenBank受入番号及びGLGC識別番号の配列に加えて、天然に起こっている変異体又は多型の配列のような配列を本発明の方法及び組成で使用してもよい。例えば、表5A〜5XXに開示された遺伝子の様々な対立形質(allelic)体又は相同体の発現レベルをアッセイできる。表5A〜5XXに挙げられた遺伝子の機能活性を変えない、いかなるそしてすべてのヌクレオチド変異−本明細書に開示された遺伝子の天然に起こっている対立形質変異体を含む−を本発明の方法に用いて、本発明の組成(例えば、アレイ)を作ることができる。
[00112] 上記の遺伝子の配列に基づくプローブは、一般に利用できるいかなる方法によっても調製できる。組織若しくは細胞試料をスクリーニング又はアッセイするためのオリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、適当な、相補的遺伝子又は転写物のみに特異的にハイブリダイズするのに十分な長さである。典型的には、オリゴヌクレオチドプローブが、長さで少なくとも10、12、14、16、18、20又は25個のヌクレオチドである。ある場合には、少なくとも30、40又は50個のヌクレオチドのより長いプローブが望ましいこともある。
[00113] 本明細書で使用する場合、表5A〜5XXに記載された遺伝子の1個若しくはそれ以上に相補的であるオリゴヌクレオチド配列とは、ストリンジェントな条件下、該遺伝子のヌクレオチド配列の少なくとも一部にハイブリダイズすることができるオリゴヌクレオチドを指す。そのようなハイブリダイズ可能なオリゴヌクレオチドは典型的には、該遺伝子にヌクレオチドレベルで、少なくとも約75%の配列同一性、好ましくは約80%又は85%の配列同一性、さらに好ましくは該遺伝子に約90%又は95%以上の配列同一性を示すことになる。
[00114] 「実質的に結合する」とは、プローブ核酸と標的核酸間の相補的なハイブリダイゼーションを指し、標的ポリヌクレオチド配列の望ましい検出を達成するためにハイブリダイゼーション培地の厳密性を減らすことによって適応することができる、少数のミスマッチを包含する。
[00115] 「バックグランド」又は「バックグランドシグナル強度」という用語は、ラベルされた標的核酸とオリゴヌクレオチドアレイの成分(例えば、オリゴヌクレオチドプローブ、対照プローブ、アレイ基質等)との間の非特異的な結合又はその他の相互作用から生じるハイブリダイゼーションシグナルを指す。バックグランドシグナルは、また、アレイ成分自身の内部蛍光によって生じるかもしれない。単一のバックグランドシグナルは、全アレイのために計算することができ、或いは、異なるバックグランドシグナルを各標的核酸のために計算してもよい。好ましい実施の形態では、バックグランドはアレイ中のプローブの最も低い5%〜10%に対する平均ハイブリダイゼーションシグナル強度として計算されるか、或いは、異なるバックグランドシグナルを各標的遺伝子のため計算する場合、各遺伝子のプローブの最も低い5%〜10%に対する平均ハイブリダイゼーションシグナル強度として計算される。当然ながら、当業者は、特定の遺伝子へのプローブがよくハイブリダイズして、標的配列に特異的に結合しているようにみえる場合は、それらをバックグランドシグナル計算に使用してはならないと理解するであろう。別法として、試料中に見出されるいかなる配列にも相補的でないプローブ(例えば、反対のセンスの核酸に指向されているプローブ、又は、試料が哺乳類の核酸であるとき、バクテリア遺伝子のような試料中に見出されない遺伝子に指向されているプローブ)へのハイブリダイゼーションによって生成されるハイブリダイゼーションシグナル強度として計算してもよい。また、バックグランドは、全くプローブを欠くアレイの領域によって生じる平均シグナル強度として計算されることもできる。
[00116] 「特異的にハイブリダイズしている」という表現は、配列が複雑な混合物(例えば、全細胞)のDNA又はRNAに存在するとき、ストリンジェントな条件下、特定の1又は複数の核酸配列に実質的に又はそれらだけに、ある分子が結合、二本鎖形成(duplexing)又はハイブリダイズすることを指す。
[00117] 本発明のアッセイ及び方法は、入手可能な形態を利用して、同時に少なくとも約100個、好ましくは約1,000個、より好ましくは約10,000個、最も好ましくは約100万個の異なる核酸ハイブリダイゼーションを選別できる。
[00118] 本明細書で使用する場合、「プローブ」は、1種類以上の化学結合を通して、通常は相補的な塩基対形成を通して、通常は水素結合形成を通して、相補配列の標的核酸に結合することができる核酸として定義される。本明細書で使用する場合、プローブは天然型の塩基(すなわち、A、G、U、C又はT)又は修飾塩基(7−デアザグアノシン、イノシン等)を含む。加えて、それがハイブリダイゼーションを妨げない限り、プローブ中の塩基は、ホスホジエステル結合以外の結合でつながれていてもよい。したがって、プローブは、構成塩基がホスホジエステル結合ではなくペプチド結合でつながれているペプチド核酸であってもよい。
[00119] 「完全なマッチプローブ」という用語は、特定の標的配列に、完全に相補的である配列を持つプローブを指す。試験プローブは、典型的には、標的配列の部分(部分配列)に対して完全に相補的である。完全なマッチ(PM)プローブは、「試験プローブ」、「規格化対照」プローブ、発現レベル対照プローブなどであり得る。しかしながら、完全なマッチ対照又は完全なマッチプローブは、「ミスマッチ対照」又は「ミスマッチプローブ」から区別される。
[00120] 「ミスマッチ対照」又は「ミスマッチプローブ」という用語は、その配列が特定の標的配列に完全には相補的でないように故意に選ばれるプローブを指す。高密度アレイ中の各ミスマッチ(MM)対照に対して、同じ特定の標的配列に、完全に相補的である対応する完全なマッチ(PM)プローブが典型的には存在する。そのミスマッチは、1つ以上の塩基を含むかもしれない。
[00121] ミスマッチは、ミスマッチプローブでどこにでも存在していてもよいが、末端ミスマッチはより望ましくない。なぜなら、末端ミスマッチは標的配列のハイブリダイゼーションを防ぎそうにないからである。特に好ましい実施の形態では、試験ハイブリダイゼーション条件下、そのミスマッチが標的配列との二本鎖を最も不安定にしそうな、プローブの中央又はその近くにミスマッチは位置する。
[00122] 「ストリンジェントな条件」という用語は、プローブがその標的部分配列にハイブリダイズするが、他の配列へは実体のないハイブリダイゼーションだけか、又は違いが確認される程度に他の配列にハイブリダイズする条件を指す。ストリンジェントな条件は配列に依存しており、異なる状況において異なることになる。より長い配列は、より高温で特異的にハイブリダイズする。一般的には、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度とpHにおける特異的配列の熱融解点(Tm)より約5℃低く選ばれる。
[00123] 典型的には、ストリンジェントな条件は、その塩濃度がpH7.0〜8.3において少なくとも0.01〜1.0MのNaイオン濃度(又は他の塩)であり、そして、温度が、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)用には少なくとも約30℃であるものであろう。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのような不安定化剤の添加で達成することもできる。
[00124] 「配列同一性のパーセント」又は「配列同一性」は、比較ウィンドウ又はスパンにわたって、2つの最適に整列した配列又は部分配列を比較することによって決定されるが、ここで比較ウィンドウ中のポリヌクレオチド配列の部分が、該2つの配列の最適な整列のための基準配列(それは、付加又は欠失を含まない)と比較して、随意に付加若しくは欠失(すなわち、ギャプ)を含むかもしれない。同一のサブユニット(例えば、核酸塩基又はアミノ酸残基)が両方の配列で起こる位置の数を決定しマッチした位置の数をだし、マッチした位置の数を比較ウィンドウ中にある位置の全数で割り、そしてその結果に100を乗じて配列同一性のパーセントを出すことにより、前記パーセントを計算する。GAP又はBESTFITプログラム(下記参照)を使用して計算するとき、配列同一性パーセントは、デフォルトギップの加重値を用いて計算する。
(プローブ設計)
[00125] 配列設計の莫大な数が本発明の実施に適切であることを当業者は理解するであろう。高密度アレイは、興味ある配列に特異的にハイブリダイズする数多くの試験プローブを典型的に含む。プローブは、表及び付随する代表的な配列表において同定されている遺伝子のいかなる領域から作製してもよい。表中の遺伝子参照がESTである例では、その配列から、又は配列データベース(例えば、本明細書に記載されたもの)のどれかで入手可能であろう対応する全長転写物の他の領域から、プローブは設計されてもよい。与えられた1又は複数の遺伝子のためのプローブを作製する方法については、WO99/32660を参照。それに加えて、利用できるソフトウェアならなんでも用いて特定のプローブ配列を作成することができるが、これは例えば、Molecular Biology Insights、オリンパス光学工業(株)及びBiosoft Internationalから入手可能なソフトウェアを含む。好ましい実施の形態では、そのアレイはまた、1個若しくはそれ以上の対照プローブを含む。
[00126] 本発明の高密度アレイチップは、「試験プローブ」を含む。その試験プローブは、長さで約5個〜約500個、又は約7個〜約50個のヌクレオチド、より好ましくは約10個〜約40個のヌクレオチド、そして、最も好ましくは約15個〜約35個のヌクレオチドの範囲にあるオリゴヌクレオチドであってもよい。他の特に好ましい実施の形態では、プローブが長さで20個又は25個のヌクレオチドである。好ましい別の実施の形態では、試験プローブは、二本鎖又は一本鎖DNA配列である。DNA配列は、自然源から単離されるかクローンされるか、或いは天然の核酸を鋳型に使用して増幅される。これらのプローブは、その発現を検出するように設計した遺伝子の特定の部分配列に相補的な配列を有する。このように、前記試験プローブは、それが検出するはずである標的核酸に、特異的にハイブリダイズすることができる。
[00127] 興味ある標的核酸と結合する試験プローブに加えて、高密度アレイは、数多くの対照プローブを含むことができる。その対照プローブは、本明細書において、1)規格化対照、2)発現レベル対照、そして3)ミスマッチ対照と呼ばれる3つのカテゴリーに分類されるかもしれない。
[00128] 規格化対照は、ラベルされた参照オリゴヌクレオチドに、又はスクリーンされる核酸試料に加えられた他の核酸配列に相補的であるオリゴヌクレオチド、又は他の核酸プローブである。ハイブリダイゼーション後、規格化対照から得られるシグナルは、ハイブリダイゼーション条件の変化、ラベル強度、「読み」効率及び完全ハイブリダイゼーションのシグナルをアレイ間で変化させる他の因子、のための対照を提供する。好ましい実施の形態において、アレイ中すべての他のプローブから読まれるシグナル(例えば、蛍光強度)は、対照プローブからのシグナル(例えば蛍光強度)によって割られ、かくして、測定を規格化している。
[00129] 実質的に、いかなるプローブでも、標準対照として役に立つかもしれない。しかしながら、ハイブリダイゼーション効率は、塩基組成及びプローブ長さとともに変化すると認識されている。好ましい規格化プローブは、アレイに存在する他のプローブの平均長を反映するように選ばれるが、それらはある範囲の長さをカバーするように選ばれることができる。規格化対照も、また、アレイ中の他のプローブの(平均)塩基組成を反映するように選ばれ得るが、好ましい実施の形態では、1個か、数個のみのプローブを使用し、それらはよくハイブリダイズし(すなわち、二次構造をとらない)、そしていかなる標的特異的プローブにもマッチしないように選択される。
[00130] 発現レベル対照は、生物学的試料中の恒常的に発現した遺伝子に特異的にハイブリダイズするプローブである。実質的に、恒常的に発現した遺伝子はどれも、発現レベル対照に対して適当な標的を提供する。典型的には、発現レベル対照プローブは、アクチン遺伝子、グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)遺伝子などを含むがこれらに限らない、恒常的に発現した「ハウスキーピング遺伝子」の部分配列に相補的な配列を有する。
[00131] 標的遺伝子に対するプローブ、発現レベル対照、又は規格化対照に対して、ミスマッチ対照が提供される。ミスマッチ対照は、1個以上のミスマッチ塩基の存在を除いて、対応する試験プローブ又は対照プローブと同一なオリゴヌクレオチドプローブ又は他の核酸プローブである。ミスマッチ塩基とは、そのプローブがそうでなければ特異的にハイブリダイズするだろう標的配列中の対応する塩基に相補的でないように、選ばれる塩基である。適切なハイブリダイゼーション条件下(例えば、ストリンジェントな条件)、試験プローブ又は対照プローブがその標的配列にハイブリダイズすると期待されるが、ミスマッチプローブはハイブリダイズしないであろう(又は、かなり少ない程度でしかハイブリダイズしないであろう)ように、1個以上のミスマッチが選択される。好ましいミスマッチプローブは、中央ミスマッチを含む。このように、例えばプローブが20merである場合、対応するミスマッチプローブは、6位から14位(中央ミスマッチ)のどの位置でも単一の塩基ミスマッチ(例えば、G、C又はTをAの代わりとする)を除いて、同一の配列を持つことになる。
[00132] かくして、ミスマッチプローブは、試料中でそのプローブが指示する標的以外の核酸に非特異的に結合するか、又はクロスハイブリダイゼーションするための対照を提供する。例えば、標的が存在するならば、完全なマッチプローブはミスマッチプローブより絶えず明るいはずである。それに加えて、すべての中央ミスマッチが存在するならば、ミスマッチプローブを使用して、変異(例えば、添付の表5A〜5XXの遺伝子の変異)を検出することができる。完全なマッチプローブとミスマッチプローブとの間の強度の違いは、ハイブリダイズした材料の濃度の良い尺度を提供する。
(核酸試料)
[00133] 細胞又は組織試料は、インビトロ又はインビボで試験薬剤に曝される。培養細胞又は組織が使用されるとき、適当な哺乳動物の肝臓抽出物を試験薬剤と共に加え、毒性を示すのに生体内変換を要するかもしれない薬剤を評価してもよい。好ましい様式では、すでに薬物代謝酵素の適切な補体を発現している動物又はヒト肝細胞の初代単離株(primary isolate)が、哺乳類の肝臓抽出物の添加なしで、試験薬剤に曝される。
[00134] 本発明によってアッセイされる遺伝子は、典型的にはmRNA又は逆転写されたmRNAの形態である。その遺伝子は、クローン化されてもよいし、されなくてもよい。その遺伝子は、増幅されてもよいし、されなくてもよい。クローニング及び/又は増幅は、集団内での遺伝子の表現にバイアスをかけるようには見えない。しかし、いくつかのアッセイでは、より少ないプロセッシングステップで使用できるので、材料としてpolyA+RNAを用いることが好ましいかもしれない。
[00135] 当業者にとって明らかであるように、本発明の方法及びアッセイにおいて使われる核酸試料は、いかなる利用可能な方法又はプロセスによって調製されてもよい。トータルmRNAを単離する方法は、当業者に周知である。例えば、核酸の単離と精製の方法は、「生化学と分子生物学における研究室手法(第24巻)核酸プローブとのハイブリダイゼーション:理論と核酸プローブ、P.Tijssen、編、Elsevier Press,N.Y.(1993)」の第3章に詳しく記載されている。そのような試料は、RNA試料を含むが、興味ある細胞若しくは組織から単離されるmRNA試料から合成されるcDNAをも含む。また、そのような試料は、cDNAから増幅されるDNA、及びその増幅されたDNAから転写されるRNAをも含む。当業者は、ホモジネートが使われる前に、ホモジネートに存在するRNA分解酵素を阻害又は破壊することが、望ましいと認めるだろう。
[00136] 生物学的試料は、どんな生物並びにインビトロで育てられた細胞(例えば、株化細胞及び組織培養細胞)からのいかなる生体組織、液体又は細胞のものでもよい。しばしば、その試料は、化合物、薬剤、医薬、医薬組成物、潜在的な環境汚染物質又は他の組成物に曝された組織又は細胞試料である。ある様式では、試料は、患者に由来する試料である「臨床試料」であるだろう。典型的な臨床試料には、痰、血液、血液細胞(例えば、白血球)、組織若しくは細針バイオプシーの試料、尿、腹膜液や胸水、或いはそれらからの細胞が含まれるが、これらには限定されない。
[00137] 生物学的試料は、組織学的目的で取られた凍結切片又はホルマリン固定切片のような、組織の切片をも含むかもしれない。
(高密度アレイの作成)
[00138] 合成のステップの最小数で、オリゴヌクレオチドの高密度アレイを作成する方法は、知られている。オリゴヌクレオチド類似体のアレイは、様々な方法で単一又は複数の固体基質上に合成することができ、これらは限定されないが、光指向された化学的カップリング及び機械的に指向されたカップリングを含む(Pirrung(米国特許第5,143,854号)を参照)。
[00139] 手短に言えば、ガラス表面上でのオリゴヌクレオチドアレイの光指向されたコンビナトリアル合成は、自動化されたホスホラミダイト化学とチップマスキング手法を用いて進む。1つの特定的実施において、ガラス表面を、官能基(例えば、光反応性保護基によってブロックされている水酸基又はアミン基)を有するシラン試薬で誘導体化する。光リソグラフ性マスクを通しての光分解を使用して、導入する5’光保護されたヌクレオシドホスホラミダイトと化学反応する準備ができている官能基を選択的に露出する。そのホスホラミダイトは、照射された(かくして、光反応性ブロック基の除去によって曝される)部位のみと反応する。このように、ホスホラミダイトは前のステップで選択的に曝されるそれらの領域にのみ付加する。所望の配列アレイが固体表面上に合成されるまで、これらのステップが繰り返される。アレイ上の異なる位置での異なるオリゴヌクレオチド類似体のコンビナトリアル合成は、合成の間の照射パターンとカップリング試薬の添加の順序によって決定される。
[00140] 前述のことに加えて、単一基質上でオリゴヌクレオチドのアレイを生成するために使用できる追加の方法は、PCT公報WO93/09668号及びWO01/23614号に記載されている。高密度核酸アレイは、予め調製した、又は天然の核酸を予め決められた位置に置くことによって組み立てることもできる。合成又は天然の核酸は、光指向ターゲティング及びオリゴヌクレオチド指向ターゲティングによって、基質の特定位置に置かれる。別の実施の形態は、区域から区域に移動し、核酸を特定スポットに置くディスペンサーを使用する。
(ハイブリダイゼーション)
[00141] 核酸ハイブリダイゼーションは、相補的な塩基対形成を通してプローブとその相補的な標的とが安定した混成二本鎖を形成することができる条件下、プローブと標的核酸とを接触させることを単に含む。WO99/32660を参照。混成二本鎖を形成しない核酸は、その後、洗い流されて、ハイブリダイズした核酸が検出されるのにまかせる(典型的には、付着した検出可能なラベルの検出を通して)。核酸を含んだ緩衝液の温度を上昇させるか、又はその塩濃度を減少させることによって、核酸が変性すると一般に認められている。低いストリンジェンシー条件下では(例えば、低温及び/又は高塩濃度)、アニールした配列が完全に相補的でない場合でも、混成二本鎖(例えば、DNA:DNA、RNA:RNA又はRNA:DNA)が形成される。このように、ハイブリダイゼーションの特異性は、低いストリンジェンシーで減少する。逆に、より高いストリンジェンシー(例えば、より高温及び/又は低塩濃度)では、うまくゆくハイブリダイゼーションは、より少ないミスマッチしか許容しない。ハイブリダイゼーション条件を選択して、いかなる程度のストリンジェンシーをも提供できると当業者は認識するであろう。
[00142] 好ましい実施の形態では、ハイブリダイゼーションを確実にするために低いストリンジェンシー(この場合、37℃で6×SSPET(0.005% Triton X−100))でハイブリダイゼーションを実行し、それから、ミスマッチした混成二本鎖を除去するためにより高いストリンジェンシー(例えば、37℃で1×SSPET)で、続く洗浄を実行する。続く洗浄はハイブリダイゼーション特異性の要求されるレベルが得られるまで、ストリンジェンシーをより高くしながら(例えば、37℃から50℃で0.25×SSPETまで低く落として)実行されるかもしれない。ストリンジェンシーは、ホルムアミドのような薬剤の添加によっても増加することができる。存在することがありえる様々な対照(例えば、発現レベル対照、規格化対照、ミスマッチ対照など)へのハイブリダイゼーションと試験プローブへのハイブリダイゼーションを比較することによって、ハイブリダイゼーション特異性を評価できる。
[00143] 一般に、ハイブリダイゼーション特異性(ストリンジェンシー)とシグナル強度の間にはトレードオフがある。このように、好ましい実施の形態では、一貫した結果を生む、そして、バックグランド強度のおよそ10%を超えるシグナル強度を与える最も高いストリンジェンシーで、洗浄を実行する。このように、好ましい実施の形態では、ハイブリダイズしたアレイは、継続してより高いストリンジェンシー溶液で洗浄され、各洗浄の間に読み取られる。このようにでてきたデータセットの解析により、それ以上ではハイブリダイゼーションパターンが認めうるほどに変化せず、適切なシグナルを興味ある特定のオリゴヌクレオチドプローブのために適切なシグナルを提供する洗浄ストリンジェンシーが明らかとなる。
(シグナル検出)
[00144] ハイブリダイズした核酸は、試料核酸に付けられた1つ以上のラベルを検出することによって典型的に検出される。ラベルは、当業者に周知である数多い手段のいずれによって取り込まれてもよい。WO99/32660を参照。
(データベース)
[00145] 本発明には、配列情報(例えば、表5A〜5XXの遺伝子の配列情報)と同様に、様々な標準的毒に曝された組織又は細胞からの遺伝子発現情報(例えば、本明細書に記載のもの、表5A〜5XXを参照)を含んでいる関連あるデータベースが含まれる。データベースは、与えられた配列又は組織試料に関連する情報をも含むかもしれないが、これは例えば、配列情報と関連する遺伝子についての記載的な情報(表1、2及び3を参照)や組織試料の臨床状態又はその試料が由来する動物に関する記載的な情報である。データベースは、例えば配列データベースと遺伝子発現データベースというような異なる部分を含むようになっているかもしれない。そのようなデータベースの配置と構築のための方法及びそのようなデータベースがセーブされるコンピュータ読み取り可能な媒体は、広く利用できる。例えば、その全体が関連付けにより本明細書に取り入れられている、米国特許5,953,727号を参照されたい。
[00146] 本発明のデータベースは、外部のデータベースとリンクされていてもよいが、これらは例えば、GenBank(www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez.index.html)、KEGG(www.genome.ad.jp/kegg)、SPAD(www.grt.kyushu−u.ac.jp/spad/index.html)、HUGO(www.gene.ucl.ac.uk/hugo)、Swiss−Prot(www.expasy.ch.sprot)、Prosite(www.expasy.ch/tools/scnpsitl.html)、OMIM(www.ncbi.nlm.nih.gov/omim)、LocusLink(www.ncbi.nlm.nih.gov/LocusLink/)、RefSeq(www.ncbi.nlm.nih.gov/LocusLink/refseq.html)及びGDB(www.gdb.org)である。好ましい実施の形態では、表1〜3に記載されているように、外部データベースはGenBank及び国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)(www.ncbi.nlm.nih.gov)によって維持されているそれに関連するデータベースである。
[00147] 配列情報、遺伝子発現情報及びデータベース中のその他の情報又は入力として提供された他の情報の間の必要な比較を実行するためには、適当なコンピュータープラットフォーム、ユーザーインターフェースなどを用いてもよい。例えば、多数のコンピューターワークステーションが様々な製造業者から入手可能であり、そのようなものは、シリコングラフィックス(Silicon Graphics)から入手可能ものを有する。クライアント/サーバー環境、データベースサーバー及びネットワークも、本発明のデータベースのために広く利用できて、適当なプラットフォームである。
[00148] 本発明のデータベースを用いて、とりわけ、与えられた遺伝子が発現する細胞の型又は組織をユーザーが決定することが可能な電子ノーザンを生成し、そして特定の組織又は細胞中の与えられた遺伝子の存在量及び発現レベルを決定することが可能となる。
[00149] 組織又は細胞において表5A〜5XXの遺伝子の1個若しくはそれ以上からなる遺伝子セットの発現レベルを同定する情報であって、試験薬剤に曝された細胞又は組織中で表5A〜5XX中の少なくとも1個の遺伝子の発現レベルを、データベース中のその遺伝子の発現レベルと比較するステップを含むものを提供するために、本発明のデータベースを用いることができる。そのような方法を用いて、前記試験薬剤に曝された組織又は細胞試料から、表5A〜5XXの1又は複数の遺伝子の発現レベルを、標準毒又は肝臓毒(例えば、本明細書に記載されたもの)に曝された対照組織試料又は細胞試料で見出される発現レベルと比較することによって、与えられた化合物の毒性ポテンシャルを予測することができる。そのような方法は、また、本明細書に記載するように薬又は薬剤スクリーニングアッセイでも使われるかもしれない。
(キット)
[00150] 本発明は、異なる組合せで、高密度のオリゴヌクレオチドアレイ、アレイと使用する試薬、表の遺伝子によってコードされるタンパク質試薬、シグナル検出とアレイ−プロセッシング機器、遺伝子発現データベース及び上記の解析・データベース管理ソフトウェアを組合せたキットをさらに含む。例えば、前記キットを用いて、試験化合物の毒性反応を予測し、モデリングし、肝臓疾患の状態の進行をモニターし、新しい薬標的としての見込みを示す遺伝子を同定し、そして上記で議論したように既知及び新しく設計された薬をスクリーニングすることができる。
[00151] キットとパッケージされるデータベースは、ヒト又は実験動物の遺伝子及び遺伝子断片(表5A〜5XXの遺伝子に対応する)からの発現パターンの編集体である。特に、データベースソフトウェア及びパッケージされた情報−コンピュータ読み取り可能な媒体にセーブされたデータベースも含む−には、試験薬剤によって誘導される表5A〜5XXの遺伝子の発現レベルを表5A〜5XXに提示される発現レベルと比較することによって、試験薬剤の毒性を予測するために使用することができる、表1〜5WWWの発現結果が含まれる。別の様式では、データベース及びソフトウェア情報は、例えば、ウェブサイトのようにアドレスがキットとパッケージされた、遠隔電子フォーマットで提供されるかもしれない。
[00152] キットは、製薬業界で使用されるが、そこでは医薬開発に関連する高いコストのために早期の医薬試験への要求が強いが、バイオインフォマティクス、特に遺伝子発現情報がまだ欠落している。これらのキットは、細胞培養や実験動物を使用する伝統的な新薬スクリーニングに伴うコスト、時間及びリスクを低減するであろう。予めグループ分けされた患者集団、薬理ゲノミクス試験の大規模な医薬スクリーニングの結果も、またより大きい効能とより少ない副作用を備える薬を選ぶために応用できる。そのような大規模試験を実施するための施設を持たない規模の小さいバイオテクノロジー会社及び研究機関によっても前記キットは、使用されるであろう。
[00153] マイクロアレイと使用するように設計されたデータベースとソフトウェアは、Balabanらの米国特許第6,229,911号(少数又は多数のマイクロアレイから収集され、インデックス化された表として保存されている情報を管理するためのコンピュータで実行される方法)及び第6,185,561号(遺伝子発現レベルデータを集め、追加の特性を加え、そしてそのデータをフォーマットし直して様々な質問に対する答えを出すデータマイニング能力を有する、コンピュータベースの方法)で議論されている。Cheeらの米国特許第5,974,164号には、参照配列にハイブリダイズする野生型及び変異型配列間のプローブ蛍光強度の差異に基づいて、核酸配列中の変異を同定するためのソフトウェアベースの方法が開示されている。
[00154] さらに説明することなく、当業者は以上の記載と以下の例示的な実施例を使って、本発明の化合物を作りそして利用することができ、請求項に記載の方法を実施できると考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好適な実施の形態を特定的に指摘するものであり、開示の残りをいかようにも制限するもとは解釈されるべきではない。
(実施例1:ラット肝細胞中での毒性マーカーの識別)
[00155] 毒性を評価するため、肝臓毒であるα−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)、アセトアミノフェン(APAP)、AY−25329、四塩化炭素、クロフィブラート、ジクロフェナク、17α−エチニルエストラジオール、ヒドラジン、インドメタシン、リポ多糖、ロバスタチン、メトトレキセート、タクリン、バルプロ酸及び対照組成物を、雄性SDラットの初代ラット肝細胞の培養物に各種の時点で投与したが、表6と同様に、当該技術分野で既に記載され、そして上で議論した関連出願に記載されているような投与希釈剤、プロトコル及び投与計画を用いた。肝臓毒のアミオダロン、カルバマゼピン、クロルプロマジン、CI−1000、CPA、ジフルニサル、DMN、ゲムフィブロジル、イミプラミン、フェノバルビタール、タモキシフェン、テトラサイクリン及びWy−14643の投与のための実験プロトコルも、表6に示す。毒性マーカーの識別は、マイクロアレイ解析によって、及び細胞毒性の古典的指標であるAlamarBlue(登録商標)アッセイによって実施した。AlamarBlueアッセイは3通り実施した。
[00156] 初代ラット肝細胞の供給源は、Sprague Dawley非近交系CD(登録商標)ラットであった(CRL:CD(登録商標)[SD]IGS BR,Charles River Laboratories)。肝細胞培養物は、AlamarBlue(登録商標)アッセイ用に24ウェル・マトリゲル・コート・プレート中で(175,000細胞/cm)、あるいはマイクロアレイ解析のためのRNA単離用にT−75cmマトリゲル・コート・フラスコ中で(187,000細胞/cm)得た。初代ラット肝細胞は、動物から細胞を除去した翌日に入手した。到着後、細胞を一晩(〜15時間)インキュベートしてから、培養物に毒を添加した。毒性実験に使用した溶媒は、0.2% DMSO(Sigma Cat.No.D−5879)を含有するHIM培地(肝細胞インキュベーション培地、In Vitro Technologies Cat.No.Z90009)であった。毒又は溶媒は、以下のように肝細胞培養物に投与した。各処置、すなわち溶媒のみ、溶媒+低用量の毒、又は溶媒+高用量の毒に対して、毒溶液又は溶媒とともに3、6及び24時間インキュベーションした後に細胞を回収した。
[00157] AlamarBlue(登録商標)アッセイは、24時間時点のサンプルのみを用いて、以下のように実施した。
1.初代ラット肝細胞培養物を、上述のようにマトリゲル・コート・プレート中で175,000細胞/cmで調製した。
2.細胞到着後に培地(HIM)を各ウェルから除去し、新しいHIM 500μlと交換し、そして細胞を37℃、5% COにて一晩(約15時間)インキュベートした。
3.翌日、HIMを除去し、溶媒又は毒の用量のどちらかを含有する培地500μlを添加した。
4.溶解溶液を負の対照として使用した。培地450μl+9%TritonX100 50μlを、Tritonの最終濃度が1%となるように、細胞を含有する3個のウェルにそれぞれ添加した。
5.全ウェル内の細胞を、37℃、5% COにて24時間インキュベートした。
6.HIM培地を除去し、新しいHIM培地500μl+AlamarBlue(登録商標) 50μl(BioSource International,Inc.,Cat.No.DAL1100)を含有する溶液を各ウェルに添加した。
7.細胞を37℃、5%COにて2時間インキュベートした。
8.培地100μlを24ウェルプレートの各プレートから除去し、96ウェルプレートのウェルに添加した。蛍光は、励起として544nmを、発光として590nmを用いて、Molecular Devices,SpectraMax Gemini,Softmax pro 2.6.1で測定した。あるいは、AlamarBlue(登録商標)の酸化型(600nm)及び還元型(570nm)について、2つの吸光度の値を測定することができる。吸光度の値を得た後、製品説明書で与えられたメーカーのプロトコルに従って、結果を計算した。
9.データを評価して、毒が細胞生存度を低下させたか否かを判定した。もし低下させた場合、細砲生存度を〜10−20%低下させた毒の用量を決定した。
(ラット肝細胞からのRNAの回収)
[00158] 各サンプルについて通常、10を超える細胞を調製する。以下の手順による毒の添加の3、6及び24時間後に、RNAを回収した。
[00159] フラスコから培地を廃棄し、20mlの温かい(37℃)RPMI−1640+10mM HEPES培地(Life Technologies,Cat.No.22400−089)で細胞を1回洗浄した。12mlのTrizol(Life Technologies,Cat.No.15596−018)を各T−75フラスコにただちに加えた。各フラスコは、1000万〜2000万個の細胞を含有していた。各フラスコの内容物をボルテックスミキサーで1分間激しく混合し、次にピペットによって5回吸引・排出した。各フラスコの内容物(それぞれ〜12ml)を50mlコニカルポリプロピレン組織培養チューブ(Falcon)に回収し、液体窒素中で急速凍結させ、−86℃以下で貯蔵した。
[00160] マイクロアレイ試料の調製は、Affymetrix GeneChip(登録商標) Expression Analysis Manualに記載されているプロトコルに従って、若干修正した上で実施した。凍結した細胞は、Spex Certiprep 6800 Freezer Millを用いて粉末へすりつぶした。トータルRNAは、メーカーのプロトコルを利用して、Trizol(GibcoBRL)で抽出した。各試料用のトータルRNA収量は、細胞300mgあたり200〜500μgであった。Oligotex mRNA Midi kit(Qiagen)を用い、続いてエタノール沈殿を行い、mRNAを単離した。SuperScript Choice system(GibcoBRL)を用いて、mRNAから二本鎖cDNAを生成させた。第一鎖cDNA合成をT7−(dT24)オリゴヌクレオチドでプライムした。cDNAをフェノール−クロロホルムで抽出し、最終濃度1μg/mlとなるようにエタノール沈殿した。2μgのcDNAから、Ambion’s T7 MegaScript生体内転写キットを用いてcRNAを合成した。
[00161] cRNAをビオチン標識するために、ヌクレオチドBio−11−CTP及びBio−16−UTP(Enzo Diagnostics)を反応液に添加した。37℃での6時間のインキュベーションの後、RNeasy Miniキットプロトコル(Qiagen)に従って、標識cRNAから不純物を除去した。cRNAを94℃にて35分間断片化した(200mM Tris−酢酸、pH8.1、500mM 酢酸カリウム、150mM 酢酸マグネシウムからなる断片化緩衝液)。Affymetrixプロトコルに従って、55μgの断片化cRNAを45℃のハイブリダイゼーション・オーブン内で60rpmにて24時間、Affymetrixラット・アレイ・セットでハイブリダイズした。チップを洗浄し、Affymetrix fluidics station内でストレプトアビジンフィコエリトリン(SAPE)(Molecular Probes)を用いて染色した。染色を増幅するために、抗ストレプトアビジンビオチン化抗体(Vector Laboratories)染色ステップを間に挟んで、SAPE溶液を2回添加した。プローブアレイへのハイブリダイゼーションは、蛍光走査(Hewlett Packard Gene Array Scanner)によって検出した。データは、Affymetrix GeneChip(登録商標) version 3.0及びExpression Data Mining Tool(EDMT)ソフトウェア(version 1.0)、S−Plus、及びGeneExpress(登録商標)ソフトウェアシステムを用いて解析した。
[00162] 毒性を示すパターンに一致する、毒曝露サンプルと対照サンプルとの間の遺伝子の差次的発現は、以下の基準を用いて決定した。
[00163] 表1は、示された毒に曝されたときに差次的に発現する遺伝子を、その対応する配列番号、GenBank受入番号又はRefSeq識別番号、GLGC識別番号(ジーンロジック内部識別番号)、遺伝子名及びUnigene Sequence Clusterタイトルとともに開示している。表1の遺伝子が機能する代謝経路を表3に示し、対応するヒトホモログを表2に与える。モデルコードを表4に示したが、モデルコードは各遺伝子の差次的発現に関連する各種の毒性又は肝臓の病理状態及び各遺伝子の差次的発現に関連する個々の毒のタイプを表す。
[00164] 表5A−5XXは、実施された各比較の統計の概要を示す。これらの表はそれぞれ、予測遺伝子のセットを含有し、未知の、すなわち未試験化合物の肝毒性を予測するためのモデルを作成する。各遺伝子は、そのジーンロジック識別番号によって識別され、表1内の遺伝子名及び代表的な配列番号に相互参照することができる。毒性グループのサンプル(「毒性」サンプル、すなわち特定の毒への曝露により影響されたサンプル)と非毒性グループのサンプル(「非毒性」サンプル、すなわち同じ特定の毒への曝露により影響されないサンプル)との遺伝子発現レベルの各比較のため、毒性サンプルのグループ平均は、アッセイされている各種のチップパラメータについて規格化された、平均信号強度である。非毒性平均は、高用量の特定の毒によって処置されたサンプル以外のサンプルにおける、アッセイされている各種のチップパラメータについて規格化された、平均信号強度を表す。これらのサンプルは、低用量の特定の毒によって、又は溶媒のみによって、又は各種の毒によって処置した。毒性サンプルは、表に示した時点に処理された処置細胞より得たが、これに対して非毒性サンプルは、実験のすべての時点で処理された対照細胞より得た。個々の遺伝子について、非毒性グループ平均と比較した、毒性グループ平均の増加は、毒への曝露時のアップレギュレーションを示す。反対に、非毒性グループ平均と比較した、毒性グループ平均の低下は、ダウンレギュレーションを示す。
[00165] 平均値は、対応する試料全体で平均化された特定の遺伝子に対する平均差(AveDiff)値から導かれる。個々の平均差値はそれぞれが、特定のフラグメントについて覆われる多数のプローブ対から得られる強度情報を積分することによって計算される。規格化により、所与の実験(チップ)に対するそれぞれの発現強度が全体的な調整係数(scaling factor)で乗ぜられる。この規格化の意図は、チップ間の個々の遺伝子の比較を可能にすることである。調整係数は下記のように計算される:
1.実験における規格化されていない発現値のすべてから、最大値側の2%及び最小値側の2%の値を除く。すなわち、実験により、10,000個の実験値が得られた場合、それらの値を順に並べ、最小値側の200個及び最大値側の200個を除く。
2.残った値の平均値に等しい調整平均を計算する。
3.調整係数SF=100/(調整平均)を計算する。
[00166] ここで使用される100の値は、使用された基準標的の値である。AveDiff値のいくつかは、核酸ハイブリダイゼーション実験に含まれる一般的なノイズのために負になることがある。多くの結論を、GeneChipプラットフォームでの負の値に対応して下すことができるが、個々のフラグメントについて負の値の背後にある意味を評価することは困難である。本発明者の観測結果は、負の値が予測遺伝子セット内において何度も観測されるが、これらの値は測定が行われたすべての試料にわたって非常に再現的である実際の生物学的現象を反映することを示している。この理由のために、負の値を示すそのような遺伝子が予測セットに含められる。遺伝子発現測定の他のプラットフォームにより、対応する遺伝子について負の数字が解消され得ることに留意しなければならない。しかし、そのような遺伝子のそれぞれの予測能はプラットフォーム中に広がるはずである。それぞれの平均値には、平均値に対する標準偏差が伴う。
[00167] 表に開示されるような線形判別分析スコア(判別スコア)により、サンプルが毒性であるか否かを予測する各遺伝子の能力が評価される。判別スコアは、下記の工程によって計算される:
(判別スコアの計算)
[00168] Xがグループ1の試料、i=1・・・nにわたる、与えられた遺伝子のAveDiff値を表わすとする。
[00169] Yがグループ2の試料、i=1・・・tにわたる、与えられた遺伝子のAveDiff値を表わすとする。
[00170] 計算を次のように進める。
[00171] XとYに対する平均値と標準偏差を計算して、そして、これらをm、m、s、sと表示する。
[00172] すべてのXとYに対して、関数
f(z) = ((1/s)*exp(−.5*((z−m)/s)) / (((1/s)*exp(−.5*((z−m)/s))+((1/s)*exp(−.5*((z−m)/s)))の数値を求める。
[00173] 正しい予測(例えば、P)の数は、f(Y)>.5であるYの数にf(X)<.5であるXの数を足した数である。
[00174] 判別式スコアは、それからP/(n+t)である。
[00175] 線形判別分析は、試料を分類するのに、各遺伝子の個々の測定値と遺伝子のすべての組合せの計算された測定値の両方を使用する。各遺伝子については、加重値は毒性試料グループと非毒性試料グループの平均と標準偏差から導かれる。あらゆる遺伝子に加重値が乗ぜられ、そして、これらの値の合計が集合的な判別スコアをもたらす。この判別スコアは、それから毒性グループと非毒性グループの集合的な中心(重心)に対して比較される。これらの中心は、それぞれ毒性と非毒性すべての試料の平均値である。したがって、各遺伝子は、全体的な予測に貢献する。この貢献は、その遺伝子に対する毒性と非毒性試料の間の相対的な間隔が大きいならば大きい正値又は負値であり、相対的な間隔が小さいならば小さい数値である、加重値に依存している。各未知試料の判別スコアと中心値を使用して、その未知試料がどのグループに属しているかについて、0と1の間の確率を計算することができる。
(実施例2:一般的な毒性モデル)
[00176] 主成分分析(PCA)を用いてそれぞれの実験を個々に調べて、どの処置が観測可能な応答を有するかを明らかにすることによって、毒性応答群及び毒性非応答群へのグループ分けのために、試料が選択された。それらの毒性応答状態又は毒性非応答状態(それぞれ、特定の毒に曝されることによって影響を受ける発現レベル又は特定の毒に曝されることによって影響を受けない発現レベル)の信頼度が明らかにされた試料群のみが、一般的な毒性モデルを組み立てる際に含められた。
[00177] 線形判別モデルが、毒性試料及び非毒性試料を記述するために作製された。最高の判別遺伝子及び/又はESTが、分散の等分散的処理及び異分散的処理ならびに遺伝子間の相互情報の包含又は排除とともにそれぞれの遺伝子寄与を計算することによって毒性を明らかにするために使用された。データベース内の試料の予測は、真の陽性が80%を越え、偽陽性率は5%未満であった。遺伝子及び/又はESTの組み合わせは、個々の遺伝子よりも良好な予測能を一般にもたらすこと、そして使用される遺伝子及び/又はESTが多いほど予測能が良好であることが明らかにされた。好ましい実施形態には、50個以上の遺伝子が含まれるが、遺伝子及び/又はESTの多くの対形成又はより多くの組み合わせが個々の遺伝子よりも良好に機能し得る。選択されたリストからの2つ以上の遺伝子の組み合わせすべてが、毒性を予測するために使用され得る。これらの組み合わせは、集団として、区別的に、又は無作為なアプローチでの対形成によって選択することができる。さらに、今までのところ明らかにされていない遺伝子及び/又はESTを、予測能を増大させるために、本明細書に記載される遺伝子及び/又はESTの1つ1つと組み合わせることができ、あるいは本明細書に記載される遺伝子及び/又はESTの組み合わせと組み合わせることができる。しかし、本明細書に記載される遺伝子及び/又はESTは、任意のそのような明らかにされていない組み合わせの予測能の大部分に寄与していると考えられる。
[00178] 上記方法に対する他の様々な変化により、十分な予測能が提供され得る。これらには、集団として、区別的に、又は無作為なアプローチによる構成成分の選択的包含、あるいは集団として、区別的に、又は無作為なアプローチで構成成分を負荷し、組み合わせることの抜き出しが含まれる。また、サンプルの分類を決定するためのロジスティック回帰における複合変数の使用もまた、線形判別分析、ニューラルネットワークもしくはベイジアンネットワーク、又は類別的もしくは連続的な従属変数及び独立変数に基づく回帰及び分類の他の形態を用いて達成することができる。
(実施例3:モデリング方法)
[00179] 上記のモデリング方法は、遺伝子の発現を組合せて試料毒性を予測する、広いアプローチを提供する。1つの方法は、単純な投票方法(voting method)で加重値を提供しないか、集団として、区別的に、又は無作為なアプローチを用いる監督された、或いは監督されなかった方法で加重値を決定する。遺伝子のすべて又は選ばれた組み合わせを、分類のための未知試料と、順序づけた、集団として、又は区別的に、監督されているか、監督されていないクラスタリングアルゴリズムと組み合わせることができる。未知試料を分類するために相関行列のどんな形でも用いることができる。グループ分布と判別スコアの広がり単独で、当業者に個別遺伝子の判別能力を超えうる正確さをもって上記のモデルタイプの全てを作成することを可能にする十分な情報を提供できる。個別に又はデータタイプを変換した後に組み合わせて用いることができる方法のいくつかの例には、以下のものが含まれるが、これらには限定されない。すなわち、判別分析、多重判別分析、ロジスティック回帰、多重回帰分析、線形回帰分析、共同解析、正準相関、階層的なクラスタ解析、k−meanクラスタ解析、自己編成マップ、多次元尺度解析、構造方程式モデリング、サポートベクトルマシン決定境界、ファクター解析、ニューラルネットワーク、ベイジアン分類及びリサンプリング方法である。
(実施例4:個々の化合物と病理学的クラスのグループ化)
[00180] 既知の毒性学的反応、観察された臨床化学及び病理学測定に基づく、個々の病理学的クラスへ、或いは化合物(表5A〜5XX)によって生じる観察される毒性へ、試料を分類した。1つのモデルにおいて個々の判別スコアに基づく上位10、25、50、100個の遺伝子を使用して、遺伝子の組み合わせが個々の遺伝子に比べてより良い予測を提供することを確実にした。上記で説明したように、どのような順序で、或いは順序づけて、集団として、区別的に、又は無作為なアプローチによって、選択されるとき、このリストからの2個若しくはそれ以上の遺伝子のすべての組み合わせは、潜在的に個々の遺伝子に比べてより良い予測を提供することができた。それに加えて、これらの遺伝子を他の遺伝子と組み合わせることは、より良い予測能力を提供することができたが、この予測能力の大部分は、本明細書にリストされた遺伝子から来るだろう。
[00181] 病理学的な又は本明細書に記載の個々の化合物クラスにおいて、あるいは、一般的な毒性学モデルの下で述べたいかなるモデリング方法において、データから得られる比較による個々の化合物(既知又は潜在的な毒特性を備える)を用いた実験における試料の時間点及び用量のグループの組み合わせに基づいて、試料が正を記録する場合、試料は毒性があるとみなされる。病理学的なグループ化及び早期や後期モデルは、試料時間と用量時間点とのすべての得られうる組み合わせの好ましい例である。1個若しくはそれ以上の遺伝子及び1つ若しくはそれ以上の試料用量と時間点を備えるほとんどの論理的なグループ化は、個々の遺伝子と比べて、一般的な毒性、病理的な特異的毒性又は既知の毒への類似性のより良い予測を出すはずである。
[00182] 本発明は、上記の実施例に関連して詳述されてきたが、本発明の精神から逸脱することなく、様々な改変をなし得ることが理解される。したがって、本発明は特許請求の範囲のみによって限定される。本出願で言及されたすべての引用特許、特許出願及び刊行物は、それらの全体が関連付けによって本明細書に取り入れられる。
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693
Figure 2006502693

Claims (62)

  1. 化合物が組織又は細胞に対して少なくとも一つの毒作用を誘導するか否かを決定する方法であって、
    (a)当該化合物に曝された組織又は細胞試料の遺伝子発現プロファイルを作成すること、及び
    (b)当該遺伝子発現プロファイルを表5A〜5XXのデータ又は情報を充分な量含むデータベースと比較し、当該化合物が組織又は細胞に対して少なくとも一つの毒作用を誘導するか否かを決定することを含む方法。
  2. 前記組織又は細胞試料から作成された前記遺伝子発現プロファイルが少なくとも1つの遺伝子の発現レベルを含んでいる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記遺伝子の発現レベルが表5A〜5XXの毒性平均及び/又は非毒性平均の値と比較される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記発現レベルが比較の前に規格化される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記データベースが表5A〜5XXのデータ又は情報の実質的にすべてを含む、請求項1に記載の方法
  6. 化合物の少なくとも1つの毒作用を予測する方法であって、
    (a)当該化合物に曝された組織又は細胞試料において、表5A〜5XXの中の2個又はそれ以上の遺伝子の発現レベルを検出することを含み、
    ここで、表5A〜5XXの中の遺伝子の差次的発現が少なくとも1つの毒作用を示唆している、方法。
  7. 化合物の毒作用の進行を予測する方法であって、
    (a)当該化合物に曝された組織又は細胞試料において、表5A〜5XXの中の2個又はそれ以上の遺伝子の発現レベルを検出することを含み、
    ここで、表5A〜5XXの中の遺伝子の差次的発現が毒性の進行を示唆している、方法。
  8. 化合物の肝毒性を予測する方法であって、
    (a)当該化合物に曝された組織又は細胞試料において、表5A〜5XXの中の2個又はそれ以上の遺伝子の発現レベルを検出することを含み、
    ここで、表5A〜5XXの中の遺伝子の差次的発現が肝毒性を示唆している、方法。
  9. 毒性反応の発症又は進行を調節する薬剤を同定する方法であって、
    (a)細胞を当該薬剤及び既知の毒に曝すこと、及び
    (b)表5A〜5XXの中の2個又はそれ以上の遺伝子の発現レベルを検出することを含み、
    ここで、表5A〜5XXの中の遺伝子の差次的発現が毒性を示唆している、方法。
  10. 細胞中で化合物が調節する細胞経路を予測する方法であって、
    (a)当該化合物に曝された組織又は細胞において、表5A〜5XXの中の2個又はそれ以上の遺伝子の発現レベルを検出することを含み、
    ここで、表5A〜5XXの中の遺伝子の差次的発現が少なくとも1つの細胞経路の調節と関連している、方法。
  11. 少なくとも3個の遺伝子の発現レベルが検出される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 少なくとも5個の遺伝子の発現レベルが検出される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  13. 少なくとも10個の遺伝子の発現レベルが検出される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  14. 少なくとも50個の遺伝子の発現レベルが検出される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  15. 少なくとも100個の遺伝子の発現レベルが検出される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  16. 少なくとも500個の遺伝子の発現レベルが検出される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  17. 表5A〜5XXの中の実質的にすべての遺伝子が検出される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  18. 表5A〜5XXの少なくとも1つの表の中のすべての遺伝子が検出される、請求項51に記載の方法。
  19. 化合物への曝露がインビトロである、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記細胞サンプルがラット肝臓細胞を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記発現レベルが増幅アッセイ又はハイブリダイゼーションアッセイによって検出される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記増幅アッセイが定量的又は半定量的PCRである、請求項21に記載の方法。
  23. 前記ハイブリダイゼーションアッセイが、ノーザンブロット、ドットブロット、スロットブロット、ヌクレアーゼ保護及びマイクロアレイアッセイからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
  24. 検出される発現レベルが既知の毒に曝された細胞で見出される発現レベルと比較される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記毒が、アミオダロン、α−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)、アセトアミノフェン(APAP)、AY−25329、カルバマゼピン、四塩化炭素、クロルプロマジン、CI−1000、クロフィブラート、酢酸シプロテロン(CPA)、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジメチルニトロサミン(DMN)、17α−エチニルエストラジオール、ゲムフィブロジル、ヒドラジン、イミプラミン、インドメタシン、リポ多糖、ロバスタチン、メトトレキセート、フェノバルビタール、タクリン、タモキシフェン、テトラサイクリン、バルプロ酸及びWy−14643からなる群から選択される毒である、請求項24に記載の方法。
  26. 前記発現レベルが表5〜5XXで見出される発現レベルと比較される、請求項25に記載の方法。
  27. 前記細胞が初代肝細胞である、請求項26に記載の方法。
  28. 前記細胞がラット初代肝細胞である、請求項27に記載の方法。
  29. 前記作用が、遺伝毒性発癌、非遺伝毒性発癌、胆汁鬱帯、直接作用毒性、肝炎、肝肥大、炎症、壊死、脂肪肝を伴う壊死、ペルオキシソーム増殖、脂肪肝、肝炎を伴う脂肪肝からなる群から選択される、請求項6又は7に記載の方法。
  30. 前記肝毒性が、遺伝毒性発癌、非遺伝毒性発癌、胆汁鬱帯、直接作用毒性、肝炎、肝肥大、炎症、壊死、脂肪肝を伴う壊死、ペルオキシソーム増殖、脂肪肝、肝炎を伴う脂肪肝からなる群から選択される少なくとも1つの肝臓疾患の病理と関連している、請求項8に記載の方法。
  31. 前記細胞経路が、アミオダロン、α−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)、アセトアミノフェン(APAP)、AY−25329、カルバマゼピン、四塩化炭素、クロルプロマジン、CI−1000、クロフィブラート、酢酸シプロテロン(CPA)、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジメチルニトロサミン(DMN)、17α−エチニルエストラジオール、ゲムフィブロジル、ヒドラジン、イミプラミン、インドメタシン、リポ多糖、ロバスタチン、メトトレキセート、フェノバルビタール、タクリン、タモキシフェン、テトラサイクリン、バルプロ酸及びWy−14643からなる群から選択される毒によって調節される、請求項10に記載の方法。
  32. 各プローブが表5A〜5XXの中の遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む、少なくとも2個のプローブのセット。
  33. 前記セットが少なくとも3個の遺伝子にハイブリダイズするプローブを含む、請求項32に記載のプローブのセット。
  34. 前記セットが少なくとも10個の遺伝子にハイブリダイズするプローブを含む、請求項32に記載のプローブのセット。
  35. 前記セットが少なくとも100個の遺伝子にハイブリダイズするプローブを含む、請求項32に記載のプローブのセット。
  36. 前記セットが少なくとも500個の遺伝子にハイブリダイズするプロープを含む、請求項32に記載のプローブのセット。
  37. 前記プローブが固体支持体に取り付けられている、請求項32〜36のいずれか1項に記載のプローブのセット。
  38. 前記固体支持体が、膜、ガラス支持体及びシリコン支持体からなる群から選択される、請求項37に記載のプローブのセット。
  39. 各プローブが表5A〜5XXの中の遺伝子に特異的にハイブリダイズする配列を含む、少なくとも2個のプローブを含む固体支持体。
  40. 前記固体支持体が、1平方センチメートル当たり、少なくとも10個の異なるオリゴヌクレオチドを分離した位置に含むアレイである、請求項39記載の固体支持体。
  41. 前記固体支持体が、1平方センチメートル当たり、少なくとも約100個の異なるオリゴヌクレオチドを分離した位置に含むアレイである、請求項39記載の固体支持体。
  42. 前記固体支持体が、1平方センチメートル当たり、少なくとも約1,000個の異なるオリゴヌクレオチドを分離した位置に含むアレイである、請求項39記載の固体支持体。
  43. 前記固体支持体が、1平方センチメートル当たり、少なくとも約10,000個の異なるオリゴヌクレオチドを分離した位置に含むアレイである、請求項39記載の固体支持体。
  44. (a)肝臓毒に曝された組織又は細胞試料において、表1〜5XXの中の少なくとも2個の遺伝子を含む遺伝子セットの発現レベルを同定する情報を含むデータベース、及び
    (b)前記情報を見るためのユーザーインターフェース
    を含むコンピューターシステム。
  45. 前記細胞試料がラット初代肝細胞である、請求項44に記載のコンピューターシステム。
  46. 前記データベースが前記遺伝子の配列情報をさらに含む、請求項44に記載のコンピューターシステム。
  47. 前記データベースが肝臓毒に曝される前の組織又は細胞試料における前記遺伝子セットの発現レベルを同定する情報をさらに含む、請求項44に記載のコンピューターシステム。
  48. 前記データベースが少なくとも第二の肝臓毒に曝された組織又は細胞試料における前記遺伝子セットの発現レベルを同定する情報をさらに含む、請求項44に記載のコンピューターシステム。
  49. 請求項44〜48のいずれか1項に記載のコンピューターシステムであって、外部データベースからの記述的な情報を含む記録をさらに含み、当該情報は前記遺伝子を当該外部データベースの記録に関連する、コンピューターシステム。
  50. 前記外部データベースがGenBankである、請求項49に記載のコンピューターシステム。
  51. 組織又は細胞試料における表5A〜5XXの中の少なくとも1個の遺伝子の発現レベルを同定する情報を提示するために、請求項44〜48のいずれか1項に記載のコンピューターシステムを用いる方法であって、
    (a)試験薬剤に曝された組織又は細胞試料における、表5A〜5XXの中の少なくとも1個の遺伝子の発現レベルを、データベース中の遺伝子の発現レベルと比較すること
    を含む方法。
  52. 少なくとも2個の遺伝子の発現レベルが比較される、請求項51に記載の方法。
  53. 少なくとも10個の遺伝子の発現レベルが比較される、請求項51に記載の方法。
  54. 少なくとも100個の遺伝子の発現レベルが比較される、請求項51に記載の方法。
  55. 組織又は細胞試料における少なくとも1個の遺伝子の発現レベルを、毒に曝されたときの発現レベルと比較して表示するステップを更に含む、請求項51に記載の方法。
  56. 前記遺伝子の遺伝子発現情報と共にパッケージされた、請求項39〜43のいずれか1項に記載の少なくとも1個の固体支持体を含むキット。
  57. 前記遺伝子発現情報が、肝臓毒に曝された組織又は細胞試料における遺伝子発現情報を含む、請求項56に記載のキット。
  58. 前記遺伝子発現情報が電子フォーマットである、請求項57のキット。
  59. 表5A〜5XXの中の遺伝子によってコードされるタンパク質の少なくとも1つの活性を調節する薬剤を同定する方法であって、
    (a)当該タンパク質を当該薬剤に曝すこと、及び
    (b)当該タンパク質の少なくとも1つの活性をアッセイすること
    を含む方法。
  60. 前記薬剤が前記タンパク質を発現している細胞に曝される、請求項59に記載の方法。
  61. 前記細胞が既知の毒に曝される、請求項60に記載の方法。
  62. 前記毒が前記タンパク質の発現を調節する、請求項61に記載の方法。
JP2003565419A 2002-02-04 2003-02-04 初代ラット肝細胞毒性モデリング Pending JP2006502693A (ja)

Applications Claiming Priority (19)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US35317102P 2002-02-04 2002-02-04
US36353402P 2002-03-13 2002-03-13
US37024802P 2002-04-08 2002-04-08
US37113402P 2002-04-10 2002-04-10
US37113502P 2002-04-10 2002-04-10
US37115002P 2002-04-10 2002-04-10
US37141302P 2002-04-11 2002-04-11
US37360102P 2002-04-19 2002-04-19
US37360202P 2002-04-19 2002-04-19
US37413902P 2002-04-22 2002-04-22
US37837002P 2002-05-08 2002-05-08
US37866502P 2002-05-09 2002-05-09
US37865202P 2002-05-09 2002-05-09
US37865302P 2002-05-09 2002-05-09
US39423002P 2002-07-09 2002-07-09
US39425302P 2002-07-09 2002-07-09
US40768802P 2002-09-04 2002-09-04
US44290003P 2003-01-28 2003-01-28
PCT/US2003/003482 WO2003065993A2 (en) 2002-02-04 2003-02-04 Primary rat hepatocyte toxicity modeling

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2006502693A true JP2006502693A (ja) 2006-01-26

Family

ID=27739584

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003565419A Pending JP2006502693A (ja) 2002-02-04 2003-02-04 初代ラット肝細胞毒性モデリング

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP1578393A4 (ja)
JP (1) JP2006502693A (ja)
AU (1) AU2003219713A1 (ja)
CA (1) CA2471631A1 (ja)
WO (1) WO2003065993A2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013031375A (ja) * 2011-07-29 2013-02-14 Medichrome:Kk 遺伝子発現変動解析による化学物質の毒性評価方法
US8481507B2 (en) 2007-07-31 2013-07-09 The Board Of Regents, The University Of Texas System Micro-RNAs that control myosin expression and myofiber identity
US8629119B2 (en) 2009-02-04 2014-01-14 The Board Of Regents, The University Of Texas System Dual targeting of MIR-208 and MIR-499 in the treatment of cardiac disorders
JP2015042985A (ja) * 2008-05-28 2015-03-05 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 肝酵素誘導を評価する手段及び方法

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1361433A3 (en) * 2002-04-09 2005-02-23 Kabushiki Kaisha Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo Method for estimating therapeutic efficacy of tumor necrosis factor (TNF)
WO2005039588A2 (en) * 2003-10-22 2005-05-06 Novartis Ag Methods for determining the risk of developing liver and lung toxicity
JP4616178B2 (ja) * 2003-11-27 2011-01-19 武田薬品工業株式会社 薬物の毒性予測方法
US20060045847A1 (en) * 2004-08-30 2006-03-02 Fernand Labrie Method for determination of anabolic activity
WO2006088226A1 (ja) * 2005-02-17 2006-08-24 Takeda Pharmaceutical Company Limited リン脂質症の判定方法
JP2018518676A (ja) 2015-06-11 2018-07-12 アスチュート メディカル,インコーポレイテッド 腎損傷および腎不全の診断および予後診断のための方法ならびに組成物

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6372431B1 (en) * 1999-11-19 2002-04-16 Incyte Genomics, Inc. Mammalian toxicological response markers
US20020110808A1 (en) * 2000-01-21 2002-08-15 Reidhaar-Olson John F. Toxicant-induced differential gene expression
US20020012905A1 (en) * 2000-06-14 2002-01-31 Snodgrass H. Ralph Toxicity typing using liver stem cells

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8481507B2 (en) 2007-07-31 2013-07-09 The Board Of Regents, The University Of Texas System Micro-RNAs that control myosin expression and myofiber identity
US8962588B2 (en) 2007-07-31 2015-02-24 The Board Of Regents, The University Of Texas System Micro-RNAS that control myosin expression and myofiber identity
JP2015042985A (ja) * 2008-05-28 2015-03-05 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 肝酵素誘導を評価する手段及び方法
US8629119B2 (en) 2009-02-04 2014-01-14 The Board Of Regents, The University Of Texas System Dual targeting of MIR-208 and MIR-499 in the treatment of cardiac disorders
JP2013031375A (ja) * 2011-07-29 2013-02-14 Medichrome:Kk 遺伝子発現変動解析による化学物質の毒性評価方法

Also Published As

Publication number Publication date
EP1578393A2 (en) 2005-09-28
CA2471631A1 (en) 2003-08-14
WO2003065993A2 (en) 2003-08-14
WO2003065993A8 (en) 2006-04-27
EP1578393A4 (en) 2008-03-19
AU2003219713A1 (en) 2003-09-02
AU2003219713A8 (en) 2003-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2004522411A (ja) 分子毒性学モデリング
Dragovic et al. Evidence-based selection of training compounds for use in the mechanism-based integrated prediction of drug-induced liver injury in man
Liguori et al. Microarray analysis in human hepatocytes suggests a mechanism for hepatotoxicity induced by trovafloxacin
Gómez-Lechón et al. Diclofenac induces apoptosis in hepatocytes by alteration of mitochondrial function and generation of ROS
Kier et al. Applications of microarrays with toxicologically relevant genes (tox genes) for the evaluation of chemical toxicants in Sprague Dawley rats in vivo and human hepatocytes in vitro
Fromenty et al. Hepatic mitochondrial DNA deletion in alcoholics: association with microvesicular steatosis
JP2006502693A (ja) 初代ラット肝細胞毒性モデリング
Hu et al. Identification of genes responsive to PFOS using gene expression profiling
US20070093969A1 (en) Molecular nephrotoxicology modeling
US20070015147A1 (en) Primary rat hepatocyte toxicity modeling
Arifuzzaman et al. Emerging of lysine demethylases (KDMs): From pathophysiological insights to novel therapeutic opportunities
Gonzalez et al. Understanding the role of xenobiotic-metabolism in chemical carcinogenesis using gene knockout mice
US20060084096A1 (en) Biomarkers and expression profiles for toxicology
Sehata et al. Microarray analysis of T-2 toxin-induced liver, placenta and fetal liver lesions in pregnant rats
Kurogi et al. The use of zebrafish as a model system for investigating the role of the SULTs in the metabolism of endogenous compounds and xenobiotics
Bailey et al. Hypothesis-based weight-of-evidence evaluation and risk assessment for naphthalene carcinogenesis
Note et al. Mitochondrial and metabolic effects of nucleoside reverse transcriptase inhibitors (NRTIs) in mice receiving one of five single-and three dual-NRTI treatments
Kienhuis et al. Comparison of coumarin-induced toxicity between sandwich-cultured primary rat hepatocytes and rats in vivo: a toxicogenomics approach
Doktorova et al. Comparison of genotoxicant-modified transcriptomic responses in conventional and epigenetically stabilized primary rat hepatocytes with in vivo rat liver data
JP2007501617A (ja) 初代ラット肝細胞毒性モデリング
Vondráček et al. 7H-Dibenzo [c, g] carbazole and 5, 9-dimethyldibenzo [c, g] carbazole exert multiple toxic events contributing to tumor promotion in rat liver epithelial ‘stem-like’cells
Chung et al. Comprehensive analysis of differential gene expression profiles on diclofenac-induced acute mouse liver injury and recovery
Woods et al. Time course investigation of PPARα-and Kupffer cell-dependent effects of WY-14,643 in mouse liver using microarray gene expression
Mutlib et al. Identification of potential genomic biomarkers of hepatotoxicity caused by reactive metabolites of N-methylformamide: Application of stable isotope labeled compounds in toxicogenomic studies
Patil et al. Effect of methomyl on hepatic mixed function oxidases in rats

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060124

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081028

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090324