JP2006500916A - hnRNPA1およびA2核酸分子と関連がある新形成を治療するための方法および組成物 - Google Patents

hnRNPA1およびA2核酸分子と関連がある新形成を治療するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子と関連がある新形成を治療するための治療方法および診断方法を提供する。

Description

本発明は、新形成を治療するための方法および組成物を特徴とする。
テロメアは脊椎動物の染色体の末端において見られ、二本鎖形のさまざまな数のTTAGGG反復配列、続いてGが豊富な反復配列(G-rich repeats)の一本鎖突出部からなる。この突出部の大きさは、約150〜300ヌクレオチド長であると推定され、この伸長部の少なくとも一部分が、その前の二本鎖テロメアDNAに侵入して、Tループを形成する。哺乳動物タンパク質TRF1およびTRF2は、二本鎖テロメアDNAと直接結合し、テロメアの生物発生に関して重要である。一本鎖反復配列と特異的に相互作用するタンパク質には、hnRNP A1およびA2タンパク質、ならびに近年発見されたhPot1タンパク質が挙げられる。
リボ核タンパク質酵素テロメラーゼは、Gが豊富な鎖上のテロメア反復配列の合成、すなわちそれぞれの細胞分裂時に起こる配列の損失に反対に作用するプロセスを指令する。テロメア配列の段階的損失は、細胞の老化をもたらすと考えられている。安定したテロメアを維持することができる突然変異細胞をもたらす突然変異事象が、新形成の発生に先行する可能性がある。すべての腫瘍の約85%において、安定したテロメアは、テロメラーゼ酵素の再活性化の、直接の結果であると考えられている。他の経路(ALT)を含めた異なる機構も、明らかとなっている。テロメアの機能は、癌細胞の起源とは無関係に、癌細胞の増殖に絶対に必要である。したがって、細胞の腫瘍の表現型を逆転させることを目的とした多くの研究は、テロメアの生物発生に関与するタンパク質の活性を標的としている。
例えば、ヒト癌細胞系における、触媒として不活性な形のテロメラーゼの発現は、テロメアの短縮を促進し、最終的に増殖停止および細胞死をもたらすことが示された。テロメラーゼ阻害剤を使用して、癌細胞中のテロメアの短縮を促進することも探求されている。テロメラーゼ阻害剤を投与するときにテロメアが長いほど、テロメアがゲノムの不安定性を誘導する決定的な長さに達する前に、癌細胞はより多く分裂を続けることを記さなければならない。一方、テロメアを維持するための他の経路が生じ、テロメラーゼ機能の要件を回避し、これによってテロメラーゼ阻害剤の効果を中和する可能性がある。
テロメアのキャッピング機能と関係があるタンパク質は、治療的介入のもう1つの魅力的な標的である。キャッピング機能は、染色体の最終的な末端にある一本鎖のGが豊富な伸長部を認識するタンパク質によって、少なくとも部分的に介在されている可能性がある。酵素テロメラーゼはおそらく、キャッピングに必須ではない。なぜなら、安定した染色体が、テロメラーゼの不在下で存在するからである。癌細胞中のテロメアのキャッピング機能を妨害する戦略によって、迅速な増殖細胞の停止および細胞死をもたらすことができる。二本鎖DNA結合テロメアタンパク質TRF2は、Tループ形成におけるその機能に基づいてキャッピングにおいて、およびドミナントネガティブ型のTRF2が、染色体融合および迅速なp53依存性のプログラムされた細胞死を促進する能力において、役割を果たす可能性がある。
hnRNPタンパク質
hnRNPタンパク質は、哺乳動物細胞中で最も豊富な核タンパク質のうちのいくつかのタンパク質である。前駆体mRNAと関係がある20を超えるhnRNPタンパク質が、ヒト細胞中に存在する。これらの多くは、プレmRNAのプロセッシングならびにmRNA代謝および運搬の他の態様に影響を与える。最も特徴付けされているhnRNPタンパク質hnRNP A1は、プレmRNAのスプライシングの制御において役割を果たす。またhnRNP A1は、高い親和性でテロメアの一本鎖DNA配列に結合し、in vitroでテロメラーゼRNAと同時に相互作用することができる。HnRNP A1は、in vitroでテロメアDNAおよびヒトテロメラーゼRNAと、同時に相互作用することができる。重要なことに、マウス赤白血病細胞でのA1の不完全な発現によって、短いテロメアが生成し、その長さは、hnRNP A1の正常レベルが回復するとき、あるいは選択的スプライシング機能が欠損している小型のA1であるUP1が発現されるときに増大する。A1の過剰発現は、ヒトHeLa細胞中のテロメアの伸長も誘導する。
hnRNP A1の近系の相同体はhnRNP A2タンパク質(A2)であり、これはhnRNP A1と69%のアミノ酸同一性を共有している。hnRNP A2はin vitroで一本鎖テロメアの配列と特異的に結合することができるが、テロメアの生物発生におけるその役割は、いまだに確認されていない。A1およびA2の双方に関して、あまり豊富ではないスプライス変異体、A1BおよびB1がそれぞれ記載されてきている。興味深いことに、A1は結腸癌中で過剰発現され、A2/B1タンパク質は、肺癌用の初期マーカーとして使用されてきている。
すべての腫瘍の約85%において、安定化したテロメアは、テロメラーゼ酵素の再活性化の、直接の結果であると考えられている。テロメアの機能は、腫瘍細胞の増殖に絶対に必要である。アメリカ人の2人に1人より多くが、その一生の間に新形成を発症し、約556,500人のアメリカ人が2003年に新形成で死亡するであろうことを考慮すると、新形成を治療するための、有効な方法が早急に必要とされる。
本発明は、新形成を治療するための方法および組成物を特徴とする。
一態様では本発明は、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子またはポリペプチドの発現を阻害することによって、細胞の細胞死を誘導する方法を提供する。一実施形態では、本方法は、(i)hnRNP A1の配列の少なくとも一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子、および(ii)hnRNP A2の配列の少なくとも一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子を細胞に投与することを含み、これらの核酸分子は、内因性hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子またはタンパク質の発現を低下させるのに十分な量で投与する。好ましい実施形態では、投与する核酸分子は、細胞中で安定して発現される。他の好ましい実施形態では、細胞は腫瘍細胞である。他の好ましい実施形態では、腫瘍細胞は、哺乳動物細胞(例えばヒト細胞)である。他の好ましい実施形態では、ヒト細胞はin vivoである。他の好ましい実施形態では、細胞死は、テロメアの脱キャッピング(uncapping)によって引き起こされる。他の好ましい実施形態では、本方法は、正常細胞ではなく腫瘍細胞で、アポトーシスを誘導するのに十分である。
他の態様では本発明は、新生物を有する被験者を治療する方法であって、(i)hnRNP A1の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子、および(ii)hnRNP A2の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子を、被験者の細胞に投与することを含む方法を提供するものであり、この投与によって、被験者の細胞中でのhnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子またはタンパク質の発現が低下する。好ましい実施形態では、この投与によって、被験者の腫瘍細胞の細胞死が特異的に誘導されるが、被験者の正常細胞の細胞死は誘導されない。他の好ましい実施形態では、細胞死は、テロメアの脱キャッピングによって引き起こされる。他の実施形態では、被験者は、膀胱、血液、骨、脳、乳房、軟骨、結腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺癌、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖管、尿管、尿道、子宮、または膣の癌を有する。他の好ましい実施形態では、本方法は、任意の標準的な癌療法と組み合わせて施される。
関連態様では本発明は、細胞の染色体の一本鎖テロメア伸長部の長さを減少させる方法であって、(i)hnRNP A1の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子、および(ii)hnRNP A2の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子を、細胞に投与することを含む方法を提供するものであり、この投与によって、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子またはタンパク質の発現が低下する。一実施形態では、細胞死は、増大したテロメアまたは染色体融合の結果である。
他の態様では本発明は、hnRNP A1の配列の少なくとも一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子を含む、医薬組成物を特徴とする。
他の態様では本発明は、配列番号30の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子を含む、医薬組成物を特徴とする。
他の態様では本発明は、(i)hnRNP A1の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子、および(ii)hnRNP A2の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子を含む、医薬組成物を特徴とする。好ましい実施形態では、核酸分子はdsRNA、siRNA、shRNA、またはアンチセンス核酸分子である。他の好ましい実施形態では、(i)のsiRNAは、配列番号29の少なくとも18、19、20、21、22、23、24または25ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有し、かつ(ii)のsiRNAは、配列番号30の少なくとも18、19、20、21、22、23、24または25ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する。他の好ましい実施形態では、核酸分子はアンチセンスである。好ましい実施形態では、(i)のアンチセンス核酸分子は、配列番号29の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100ヌクレオチドと相補的であり、かつ(ii)のアンチセンス核酸分子は、配列番号30の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100ヌクレオチドと相補的である。
関連態様では本発明は、薬学的に許容される担体中に、以下の配列番号1と2、3と4、5と6、7と8、9と10、11と12、13と14、15と16、17と18、19と20、21と22、23と24、および25と26の任意の1つまたは複数からなる群から選択される、二本鎖核酸分子の少なくとも一対を含む、医薬組成物を提供する。好ましい実施形態では、医薬組成物は、配列番号1と2、3と4、5と6、7と8、9と10、11と12、13と14、15と16、17と18、19と20、21と22、23と24、および25と26からなる群から選択される、少なくとも二対の核酸分子を含む。
他の態様では本発明は、以下の配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、および26の任意の1つまたは複数からなる群から選択される、1つのアンチセンス核酸分子を含む、医薬組成物を特徴とする。
他の態様では本発明は、患者の新形成を治療するためのキットであって、以下の配列番号1と2、3と4、5と6、7と8、9と10、11と12、13と14、15と16、17と18、19と20、21と22、23と24、および25と26の任意の1つまたは複数からなる群から選択される、二本鎖核酸分子の少なくとも一対を含むキットを特徴とする。
関連態様では本発明は、患者の新形成を治療するためのキットであって、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、および26からなる群から選択される、少なくとも1つのアンチセンス核酸分子を含むキットを特徴とする。
他の態様では本発明は、新形成を有しているか、あるいは新形成を発症する傾向を有している患者を診断する方法を特徴とし、この方法は、患者サンプル中のhnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子もしくはポリペプチドの発現のレベルを測定することを含み、対照サンプル中の発現レベルに対して高い発現レベルは、その患者が新形成を有しているか、あるいは新形成を発症する傾向を有していることを示す。一実施形態では、本方法は、hnRNP A1の発現のレベルを測定することを含む。他の実施形態では、本方法は、hnRNP A2核酸分子の発現のレベルを測定することを含む。好ましい実施形態では、本方法は、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子の発現のレベルを測定することを含む。他の好ましい実施形態では、本方法は、hnRNP A1ポリペプチド、hnRNP A2ポリペプチド、あるいはhnRNP A1ポリペプチドおよびhnRNP A2ポリペプチドの発現のレベルを測定することを含む。一実施形態では、免疫学的アッセイで発現のレベルを測定する。
他の態様では本発明は、患者の新形成を診断するための診断キットであって、核酸配列、またはその断片、およびhnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子の少なくとも1つを含む診断キットを特徴とする。
他の態様では本発明は、新形成を改善する候補化合物を同定する方法を特徴とし、この方法は、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子を発現する細胞を、候補化合物と接触させること、および候補化合物と接触した細胞中の核酸分子の発現レベルを、候補化合物と接触していない対照細胞中の発現レベルと比較することを含み、hnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子の発現の低下によって、新形成を改善する候補化合物として候補化合物を同定する。一実施形態では、発現の低下は転写の減少である。他の実施形態では、発現の低下は翻訳の減少である。
他の態様では本発明は、新形成を改善する候補化合物を同定する方法を特徴とし、この方法は、hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドを発現する細胞を、候補化合物と接触させること、および候補化合物と接触した細胞中のポリペプチドの発現のレベルを、候補化合物と接触していない対照細胞中のポリペプチドの発現のレベルと比較することを含み、hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドの発現の低下によって、新形成を改善する候補化合物として候補化合物を同定する。一実施形態では、発現の低下は免疫学的アッセイ、酵素アッセイ、またはラジオイムノアッセイを使用してアッセイする。
他の態様では本発明は、hnRNP A2核酸分子またはポリペプチドの発現を阻害することによって、細胞の細胞死を誘導する方法を特徴とする。好ましい実施形態では、本方法は、hnRNP A2の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子を細胞に投与することを含み、この核酸分子は、hnRNP A2核酸分子またはタンパク質の発現を低下させるのに十分な量で投与する。他の好ましい実施形態では、投与する核酸分子は、二本鎖核酸分子である。
他の態様では本発明は、発現用に配置された核酸分子を含むベクターを特徴とし、この核酸分子は、hnRNP A1の配列の少なくとも一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子をコードする。
他の態様では本発明は、発現用に配置された核酸分子を含むベクターを特徴とし、この核酸分子は、hnRNP A2の配列の少なくとも一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子をコードする。
他の態様では本発明は、発現用に配置された核酸分子を含むベクターを特徴とし、この核酸分子は、(i)hnRNP A1の配列の少なくとも一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子、および(ii)hnRNP A2の配列の少なくとも一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子をコードする。
他の態様では本発明は、前述の態様の核酸分子を使用して、細胞のアポトーシスを誘導する方法を特徴とする。好ましい実施形態では、細胞は腫瘍細胞である。他の好ましい実施形態では、腫瘍細胞はヒト中に存在する。
他の態様では本発明は、任意の前述の態様の核酸分子を使用して、新生物を有する被験者を治療する方法を特徴とする。好ましい実施形態では、被験者はヒトである。
他の態様では本発明は、任意の前述の態様の核酸分子を使用して、細胞中の染色体の一本鎖テロメア伸長部の長さを減少させる方法を特徴とする。
任意の前述の態様の、さまざまな好ましい実施形態では、核酸分子はdsRNA、siRNA、shRNA、またはアンチセンス核酸分子である。任意の前述の態様の、他の好ましい実施形態では、これらの核酸分子は、細胞(例えば哺乳動物、ヒト、または腫瘍細胞)中で、安定して発現される。任意の前述の態様の、好ましい実施形態では、ヒト細胞はin vivoである。前述の態様の他の実施形態では、細胞死は、テロメアの脱キャッピングによって引き起こされる。
任意の前述の態様の、他の好ましい実施形態では、siRNAは、配列番号29または30の少なくとも15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオチドと、85%、90%、95%、または100%の核酸配列同一性を有する。任意の前述の態様の、他の実施形態では、アンチセンス核酸分子は、配列番号29または30の少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、または500ヌクレオチドと、85%、90%、95%、または100%相補的である。
「アンチセンス」は、長さに関係なく、hnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子のコード鎖、またはmRNAと相補的である核酸配列を意味する。好ましくは、アンチセンス核酸分子は、細胞中のhnRNP A1またはhnRNP A2の発現を、少なくとも10%、20%、30%、40%、あるいはさらに好ましくは少なくとも50%、60%、70%、または75%、あるいはさらに80%、90%、または95%も、未処理対照細胞に対して低下させることができる。アンチセンス核酸分子は、約8〜30ヌクレオチドを含むことが好ましい。アンチセンス核酸分子は、hnRNP A1またはhnRNP A2のmRNAもしくはDNAと相補的である、少なくとも10、15、20、25、30、40、60、85、120個以上の連続したヌクレオチドを含むこともでき、完全長のhnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子もしくはmRNAほどの長さであってよい。アンチセンス核酸分子は、修飾骨格、例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または当技術分野で知られている他の修飾骨格を含むことができ、あるいは非天然のヌクレオシド間結合を含むことができる。
「候補化合物」は、遺伝子またはタンパク質の発現レベル、または遺伝子またはタンパク質の生物学的活性を改変するその能力に関して、本明細書に記載するアッセイ法の1つを使用してアッセイされる、任意の核酸分子、ポリペプチド、または他の小分子を意味する。候補化合物には、例えばペプチド、ポリペプチド、合成有機分子、天然有機分子、核酸分子、およびこれらの構成要素が挙げられる。
「細胞死」は、アポトーシスを意味する。アポトーシスは、以下の特徴の1つまたは複数:細胞の縮小、膜の泡状突起、ヌクレオソーム中DNA切断(internucleosomal DNA cleavage)、および細胞断片化に到るクロマチン凝縮によって特徴付けられる、高度に制御された形の細胞死である。
「差異的に発現される」は、核酸分子またはポリペプチドの、発現レベルの差異を意味する。この差異は、参照または対照の発現に対する、発現の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%の増大または低下であってよい。
「有効量」は、新形成の連続的な増殖、成長、または転移(例えば、侵入または移動)を停止、改善、または阻害するのに十分な量を意味する。
「腫瘍細胞」は、異常、制御不能な方式で、増殖または成長する細胞を意味する。腫瘍細胞は、正常細胞の増殖を阻害すると思われる条件で成長する。
「テロメアの長さを減少させる」は、テロメア中に見られる末端の反復配列(TTAGGG)の、全体数を減らすことを意味する。一般に、本明細書に使用する短縮したテロメアの全体長は、3kB〜12kB、より好ましくは5kB〜10kB、最も好ましくは5kB〜8kBのテロメアを含む。一般に、テロメア短縮の割合は、細胞集団倍化(population doubling)当たり20〜200のヌクレオチド、より好ましい割合は細胞集団倍化当たり30〜150のヌクレオチド、および最も好ましい割合は細胞集団倍化当たり40〜100ヌクレオチドの範囲であろう。
「一本鎖であるGが豊富な鎖のテロメアの突出部を減少させる」は、染色体の最も3'端で見られる一本鎖のTTAGGG反復配列の、数を減らすことを意味する。
テロメア3'一本鎖のGが豊富な突出部の好ましい長さは、50〜400ヌクレオチド、より好ましくは125〜275ヌクレオチドである(Cimino-Reale他、Nucl.Acids Res.29:e35、2001; Wright他、Genes and Dev.11:2801〜2809、1997)。
「dsRNA」は、センス鎖およびアンチセンス鎖を有する、リボ核酸分子を意味する。
「hnRNP A1核酸分子」は、GenBank登録番号NM_002136(配列番号29)と実質的に同一である、核酸分子(例えばDNA、cDNA、ゲノム、mRNA、RNA、dsRNA、アンチセンスRNA、shRNA)を意味する。
「hnRNP A2核酸分子」は、GenBank登録番号NM_002137(配列番号30)と実質的に同一である、核酸分子(例えばDNA、cDNA、ゲノム、mRNA、RNA、dsRNA、アンチセンスRNA、shRNA)を意味する。
「hnRNP A1ポリペプチド」は、hnRNP A1核酸配列によってコードされているポリペプチドを意味する。このようなポリペプチドは、至る所で発現されるhnRNPのA/Bサブファミリーに属する。
「hnRNP A2ポリペプチド」は、hnRNP A2核酸分子によってコードされているタンパク質を意味する。このようなポリペプチドは、至る所で発現されるhnRNPのA/Bサブファミリーに属する。
「阻害」は、好ましくは20%、30%、または40%、より好ましくは50%、60%、または70%、最も好ましくは80%、90%、あるいはさらには100%低下することを意味する。
「実質的に相補的である」は、参照核酸配列の少なくとも一部分と、70%、80%、85%、90%または95%相補的である核酸配列を意味する。
「実質的に同一である」は、参照アミノ酸または核酸配列と、少なくとも75%、ただし好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは95%、あるいは99%もの同一性を示す、ポリペプチドまたは核酸を意味する。ポリペプチドに関しては、比較配列の長さは、一般に少なくとも20個のアミノ酸、好ましくは少なくとも30個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも40個のアミノ酸、最も好ましくは50個のアミノ酸であろう。核酸に関しては、「実質的に同一である」は、「実質的に相補的である」も意味する。核酸に関しては、比較配列の長さは、一般に少なくとも60個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも90個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも120個のヌクレオチドであろう。
配列同一性は典型的には、その中で指定されるデフォルトパラメータを用いる配列分析用ソフトウェア(例えば、the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、WI53705の配列分析用ソフトウェアパッケージ)を使用して測定する。このソフトウェアプログラムは、さまざまな置換、欠失、および他の修飾との相同性の程度を割り当てることによって、類似の配列を合致させる。保存的置換は、以下の群:グリシン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、リシン、アルギニン、およびフェニルアラニン、チロシン内の置換を典型的には含む。
「新生物」は、迅速、制御不能な細胞増殖によって成長し、新たな増殖中止を開始させた刺激後に成長し続ける、異常組織を意味する。新生物は、構造編成、および正常組織との機能的協調の部分的または完全な欠如を示し、明確な組織の塊を通常形成し、これは良性または悪性である可能性がある。
「新形成」は、細胞または組織の病的増殖によって特徴付けられる疾患を意味する。新形成の増大は、典型的には制御不能で進行性であり、正常細胞の増殖を誘導せず、または中止させると思われる条件下で起こる。新形成は、さまざまな細胞型、組織、または膀胱、骨、脳、乳房、軟骨、グリア、食道、ファロピアン管、胆嚢、心臓、小腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖管、尿管、尿道、子宮、および膣からなる群から選択される器官だけには限られないが、これらを含めた器官、あるいは器官の組織または細胞型に影響を与える可能性がある。新形成は、肉腫、癌腫、または形質細胞腫(形質細胞の悪性腫瘍)などの癌を含む。
「低下または阻害」は、RNAiで処理しなかったサンプルと比較した、前述のアッセイにより検出されるタンパク質または核酸のレベルの、好ましくは20%以上、より好ましくは50%以上、最も好ましくは75%以上の、全体的な低下を引き起こす能力を意味する。RNAまたはタンパク質発現の、この低下または阻害は、標的mRNAの切断または分解によって起こる可能性がある。
「RNA干渉(RNAi)」は、長さに関係なく、hnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子の発現を阻害する核酸分子(例えばアンチセンス、shRNA、siRNA、dsRNA)の投与を意味する。典型的には、投与する核酸分子は、hnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子のmRNAのコード鎖と相補的である1つの鎖を含む。RNAiは、二本鎖RNA(dsRNA)またはアンチセンスRNAの導入によって開始される、転写後遺伝子サイレンシングの1つの形である。好ましくはRNAiは、細胞中のhnRNP A1またはhnRNP A2の発現を、少なくとも10%、20%、30%、または40%、より好ましくは少なくとも50%、60%、または70%、および最も好ましくは少なくとも75%、80%、90%、95%以上低下させることができる。二本鎖RNAまたはアンチセンスRNAは、少なくとも10、20、または30ヌクレオチド長である。他の好ましい長さは、hnRNP A1またはhnRNP A2のmRNAもしくはDNAと相補的である、40、60、85、120個以上の連続したヌクレオチドを含み、完全長のhnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子もしくはmRNAほどの長さであってよい。二本鎖核酸は、修飾骨格、例えばホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、または当技術分野で知られている他の修飾骨格を含むことができ、あるいは非天然ヌクレオシド間結合を含むことができる。1つの好ましい実施形態では、短い21、22、23、24または25ヌクレオチドの二本鎖RNAを使用して、hnRNP A1またはhnRNP A2発現をダウンレギュレートする。このようなRNAは、哺乳動物組織培養細胞系の遺伝子発現のダウンレギュレーションにおいて有効である(Elbashir他、Nature411:494〜498、2001、参照によってここに組み込んだ)。哺乳動物における、この手法のさらなる治療上の有効性は、McCaffrey他(Nature418:38〜39.2002)によりin vivoで実証された。hnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子の核酸配列を使用して、小さな干渉RNAを設計することができ、このRNAはhnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子を不活性化させ、例えばさまざまな新形成を治療するための治療剤として使用することができる。
「小さな干渉RNA(siRNA)」は、好ましくは10ヌクレオチド長より長い、より好ましくは15ヌクレオチド長より長い、および最も好ましくは18、19、20、21、22、23、24、または25ヌクレオチド長の単離dsRNA分子を意味し、これを使用して、分解する標的遺伝子またはmRNAを同定する。19〜25ヌクレオチドの範囲が、siRNAの最も好ましい大きさである。siRNAは短いヘアピンRNAも含むことができ、その中ではsiRNA2重鎖の二本の鎖が、1つのRNA分子中に含まれている。siRNAは、任意の形のdsRNA(タンパク質分解により切断されたより大きなdsRNAの産物、部分精製したRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組み換えによって生成したRNA)、ならびに1つまたは複数のヌクレオチドの付加、欠失、置換および/または改変によって、天然のRNAと異なる改変型RNAを含む。このような改変は、非ヌクレオチド物質の付加、例えば末端の21〜23ヌクレオチドRNA、または内部(1つまたは複数のRNAのヌクレオチド)への付加などを含むことができる。好ましい実施形態では、RNA分子は3'ヒドロキシル基を含む。本発明のRNA分子中のヌクレオチドは、非天然ヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含めた、非標準的ヌクレオチドも含むことができる。集合的に、すべてのこのような改変型RNAをRNAの類似体と呼ぶ。本発明のsiRNAは、天然RNAと十分に類似して、RNAiを介在する能力を有していれさえすればよい。本明細書で使用する「RNAiを介在する」は、どのRNAを分解するかを区別または識別する能力を指す。
「テロメラーゼ」は、テロメアの両端へのTTAGGG反復配列の付加を担う酵素を意味する。
「テロメア」は、配列TTAGGGの数百の末端反復配列から構成される、真核生物の染色体の端部分を意味する。
「治療量」は、in vivoでの新形成の増殖、進行、または転移を阻害するのに十分な、単独あるいは知られている治療剤と組み合わせた、化合物の量を意味する。新生物(すなわち新形成)の療法治療用に、本発明を実施するために使用する活性化合物の有効量は、投与の方式、被験者の年齢、体重、および一般的な健康状態に応じて変わる。最終的には、担当の内科医または獣医が、適切な量および投与レジメンを決定するだろう。新形成を治療するための、hnRNP A1またはhnRNP A2治療剤の有効量は、1投与当たり少なくて0.005、0.01、0.02、0.025、0.05、0.075、0.1、0.133mgであり、または1投与当たり多くて0.15、0.399、0.5、0.57、0.6、0.7、0.8、1.0、1.25、1.5、2.0または2.5mgである。この用量を、1日1回、2、3、4、7、14、21日毎に1回、投与することができる。新形成を治療するために投与する量は、治療化合物の活性に基づく。それは細胞の増殖、腫瘍の大きさ、新形成の進行、または転移を効果的に低下させるのに十分な量である。所与の適用例に関する治療量を決定するための、当技術分野で知られている多くの方法が存在するであろうことは理解されよう。例えば、用量を決定するための薬理学的方法は、治療的状況で使用することができる。
本発明の他の特徴および利点は、以下の本明細書の好ましい実施形態の説明から、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
本発明は、新形成を治療および予防するための方法および組成物を提供する。
以下でより詳細に報告するように、テロメア内の一本鎖伸長部と結合する、哺乳動物のhnRNP A1およびA2タンパク質は、さまざまなヒトの癌において高レベルで発現され、hnRNP A1およびhnRNP A2の発現を阻害することによって、特に腫瘍細胞において迅速なアポトーシスによる細胞死が促進されることを、本発明者らは見出している。
本発明者らは小さな干渉RNA(siRNA)によって介在されるRNA干渉を使用して、ヒト癌細胞系中のhnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質のレベルを低下させた。この処理によって、子宮頚部、結腸、乳房、卵巣および脳癌由来の細胞系中で、アポトーシスによる特異的かつ迅速な細胞死が促進された。p53を欠いた、すなわち不完全なp53タンパク質を発現する癌細胞系は、siRNA介在のhnRNP A1およびHNRNP A2の発現の低下に対しても感受性があった。顕著なことに、いくつかのヒト致死線維芽および上皮細胞系における、hnRNP A1およびHNRNP A2の発現のかなりの低下により、細胞死が誘導されることはなかった。
ヒトの癌でのhnRNP A1およびhnRNP A2の発現
本発明者らは、hnRNP A1およびhnRNP A2の発現と、種々の型のヒトの癌との間の関係を調べた。さらに本発明者らは、hnRNP A1および/またはA2タンパク質レベルの変化の、腫瘍細胞系および正常な致死細胞系の増殖に対する影響を決定し、RNA干渉(RNAi)を使用して、ヒト細胞系中のhnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質の発現を低下させた。RNAiは、転写後遺伝子サイレンシングの近年見出された方法である。RNAiでは、目的の遺伝子の少なくとも一部分に対応する、少なくとも1つの小さな二本鎖RNA(siRNA)を、哺乳動物細胞に導入して、対応するmRNAの分解を誘導する。RNAiは、遺伝子機能を制御するための強力なツールを表す。
A1およびA2の発現プロファイルに関する本発明者らの結果によって、多くの型の腫瘍に関する潜在的なマーカーとして、これらのタンパク質が同定された。最も重要なことに本発明者らは、hnRNP A1およびA2発現の複合的低下によって、試験したすべての癌細胞系において、アポトーシスが促進されたことを示した。正常な致死細胞系における、hnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質レベルの同様の低下は、細胞の増殖に対して有意な影響はなかった。特定のモデルに固定せずに、本発明者らの結果によって、hnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質が、哺乳動物のテロメアキャッピング因子であることが示唆され、hnRNP A1およびhnRNP A2の発現を阻害することは、腫瘍細胞の増殖を予防または阻害するための、強力で特異的な手法であることが実証される。
HeLaS3細胞増殖に対するRNAiの影響およびHeLaS3細胞におけるタンパク質hnRNP A1およびhnRNP A2RNAi
hnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質が、テロメアキャップの形成と関係がある場合、それらの発現を阻害することによって、脱キャッピング、細胞増殖の停止、および迅速な細胞死がもたらされるはずである。この仮説を試験するために、本発明者らは、ヒト癌細胞中のA1および/またはA2タンパク質のレベルの特異的低下を促進する必要があった。本発明者らはsiRNAを使用してこのことを実施し、RNA干渉アッセイを行った。
siRNAトランスフェクションに関する最適条件は、蛍光オリゴヌクレオチド、およびHeLaS3細胞中のラミンA/Cと相補的であるsiRNAを使用して確認した。3'末端に2-ヌクレオチド伸長部を含み、A1およびA2mRNAの一部分に対応する、さまざまな19塩基対の二本鎖RNAを、本発明者らは設計した。
A1#1: 5'-UGGGGAACGCUCACGGACUdTdT-3' (配列番号1)
3'-dTdTACCCCUUGCGAGUGCCUGA-5' (配列番号2)

A1#1M: 5'-UGGGGAACCGUCACGGACUdTdT-3' (配列番号3)
3'-dTdTACCCCUUGGGAGUGCCUGA-5' (配列番号4)

A1#2: 5'-UGAGAGAUCCAAACACCAAdTdT-3' (配列番号5)
3'-dTdTACUCUCUAGGUUUGUGGUU-5' (配列番号6)

A1#3: 5'-GCGCUCCAGGGGCUUUGGGdTdT-3' (配列番号7)
3'-dTdTCGCGAGGUCCCCGAAACCC-5' (配列番号8)

A1#4: 5'-UCGAAGGCCACACAAGGUGdTdT-3' (配列番号9)
3'-dTdTAGCUUCCGGUGUGUUCCAC-5' (配列番号10)

A1#5: 5'-AUCAUGACUGACCGAGGCAdTdT-3' (配列番号11)
3'-dTdTUAGUACUGACUGGCUCCGU-5' (配列番号12)

A1#6: 5'-CUUUGGUGGUGGUCGUGGAdTdT-3' (配列番号13)
3'-dTdTGAAACCACCACCAGCACCU-5' (配列番号14)

A1#7: 5'-UUUUGGAGGUGGUGGAAGCdTdT-3' (配列番号15)
3'-dTdTAAAACCUCCACCACCUUCG (配列番号16)

A2#1: 5'-GCUUUGAAACCACAGAAGAdTdT-3' (配列番号17)
3'-dTdTCGAAACUUUGGUGUCUUCU-5' (配列番号18)

A2#2: 5'-CCACAGAAGAAAGUUUGAGdTdT-3' (配列番号19)
3'-dTdTGGUGUCUUCUUUCAAACUC-5' (配列番号20)

A2#3: 5'-GAAGCUGUUUGUUGGCGGAdTdT-3' (配列番号21)
3'-dTdTCUUCGACAAACAACCGCCU-5' (配列番号22)

A2#4: 5'-AUUUCGGACCAGGACCAGGdTdT-3' (配列番号23)
3'-dTdTUAAAGCCUGGUCCUGGUCC-5' (配列番号24)

A2#5: 5'-CUUUGGUGGUAGCAGGAAC-3' (配列番号25)
3'-dTdTGAAACCACCAUCGUCCUUG-5' (配列番号26)
これらのRNAのそれぞれを、以下のように試験した。
A1またはA2の一部分と相補的である二本鎖siRNAを、A1およびA2siRNA(20nM)を用いた2回連続したトランスフェクションを行うことによって、HeLaS3細胞中に個別に導入した。2回目のトランスフェクションは、第1回目の24時間後に行った。A1の一部分と相補的である7つの異なるsiRNA、およびA2の一部分と相補的である5つのsiRNAを試験した。対照サンプルは、siRNAの不在下においてオリゴフェクタミンで処理した。他の陰性対照として、siRNA A1-1Mを使用した。この対照は、2箇所の隣接した位置(GC〜CG)に突然変異を有する、ミスマッチ型のA1-1を含んでいた。
細胞をトリパンブルー染色後に計数し、最初のトランスフェクションの96時間後に、細胞分裂の数(細胞集団倍化の数として表す)を計算することによって、細胞の増殖を評価した。
siRNAトランスフェクト細胞中での、hnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質の発現
最初のトランスフェクションの96時間後に、すべてのタンパク質を単離し、A1、A2、およびそれらの少量のスプライスアイソフォームA1BおよびB1と結合するウサギポリクローナル抗体を使用して、ウエスタン分析によってA1およびA2タンパク質の量を評価した(図1)。
hnRNP A1またはhnRNP A2(A1-1、A1-2、A1-5およびA1-6)のいずれかを標的とするsiRNAでトランスフェクトした細胞からのタンパク質抽出物は、A1のタンパク質発現レベルの著しい低下を示した。A2に対するすべてのsiRNAは、A2-4を除いて、A2タンパク質レベルの強力な低下を促進した。siRNA A1-1Mが、hnRNP A1の低下を促進することはなかった。したがって本発明者らは、hnRNP A1およびA2の発現を低下させた、いくつかのsiRNAを同定した。
siRNA A1およびA2トランスフェクト細胞中での細胞増殖のアッセイ
A1およびA2を標的とするsiRNAによるHeLaS3細胞の処理が、細胞増殖に影響を与えたかどうかを判定するために(図2)、本発明者らは個々のsiRNA、siRNAの組み合わせ、および対照混合物で、HeLaS3細胞をトランスフェクトした。接着細胞および非接着細胞を最初のトランスフェクションの96時間後に回収し、計数した。本発明者らは顕微鏡による検査によって全体的な細胞形態も評価した(図3)。A1またはA2の発現レベルを低下させた個々のsiRNAが、細胞増殖に影響を与えることはなく、それらが細胞形態を変えることもなかった。
hnRNP A1とA2の両方の量の低下を促進したsiRNAの組み合わせ(siRNA、A1-1/A2-1およびA1-5/A2-5)は、細胞増殖および細胞形態に影響を与えた。実際、hnRNP A1およびhnRNP A2を標的とした、これらの組み合わせで処理した細胞の形態は、アポトーシス細胞と似ていた。いくつかの実験では、細胞増殖の低下はそれほど明らかではなかったが、調べた大部分の細胞は円形で、緩く接着していた。本発明者らは実験間の細胞増殖の違いは、細胞死の時期の違いであるとした。
トリパンブルー色素排除から、hnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的としたsiRNAの組み合わせで処理した大部分の細胞では、hnRNP A1またはhnRNP A2を標的とした個々のsiRNAで処理した細胞と比べて、死細胞の数の増大が常に生じたことが示された。hnRNP A1またはhnRNP A2のみに影響を与えるsiRNAの対が、これらの効果を誘導することはなかった(例えばA1-6/A2-4)。同様に、hnRNP A2タンパク質レベルの低下を促進するが、hnRNP A1タンパク質レベルの低下を生じさせることはない、ミスマッチ対照siRNA(A1-1M/A2-1)対は、細胞増殖および細胞形態に影響を与えることはなかった。したがって、hnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的としたsiRNAの特定の組み合わせ(Al-1/A2-1siRNA)は、A1およびA2タンパク質の発現を低下させる際に、および細胞死を促進させる際に有効であった。図2に示す実験は、個々のsiRNAに関して80nMの濃度、siRNAの対(それぞれ40nM)を使用したときは総濃度80nMで行った。この実験を多数回繰り返し(n>10)、同一の結果であった(データ示さず)。20nMにおいてsiRNAの混合物は活性があったが、低濃度では細胞の生存能力を効率よく低下させることはなかった。未処理細胞に対する、hnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質レベルのレベルの50%の低下によって、細胞死がほぼ常に促進された。hnRNP A1またはhnRNP A2を標的とする、個々のsiRNAを用いた処理が、120nM、210nMおよび300nMの濃度で試験したとき、細胞増殖に影響を与えることはなかった。なお、300nMが試験した最高濃度であった。
本発明者らは、低濃度の血清で増殖させたHeLaS3細胞も試験した。これらの条件下では、対照混合物に関する細胞分裂の数は低いままであったが(96時間で細胞集団倍化は3回未満)、特異的なsiRNA誘導型の細胞死は劇的であった(データ示さず)。細胞増殖の低下、細胞形態の変化、およびトリパンブルーを使用した生細胞の差別的染色の結果はいずれも、hnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的とするsiRNAの組み合わせが、細胞死を促進したことを示唆した。
アポトーシスアッセイ
この細胞死がアポトーシスによって起こったことを確認するために、本発明者らは、PARP、プロ-カスパーゼ-3切断、およびDNA含量分析アッセイを含めた、さまざまなアッセイを行った(図4A〜4C)。hnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的とするsiRNAの組み合わせ(A1-1/A2-1)によって、プロ-カスパーゼ-3タンパク質切断によりアッセイしたのと同様に、アポトーシスによる細胞死がもたらされた。
DNA含量分析によって、DNA分別による特徴的なsubG1の増大は、hnRNP A1およびhnRNP A2を標的とするsiRNAの組み合わせ(A1-1/A2-1)に関しては観察されたが、siRNAミスマッチ組み合わせ対照(A1-1M/A2-1)に関しては観察されなかったことが示された(図4C)。本発明者らは、アポトーシス細胞を特異的に染色する、TUNELアッセイも行った(図4B)。これらのアッセイによって、A1-1/A2-1siRNAで処理すると、70%を超えるHeLa細胞がTUNEL陽性であったことが示された。対照A1-1M/A2-1siRNAの組み合わせで処理した細胞の0.1%未満が(図4B)、TUNEL陽性であった。したがって、アポトーシス分析によって、HeLaS3細胞中のhnRNP A1およびhnRNP A2発現の低下によって、アポトーシスが促進されたことが示された。
hnRNP A1およびhnRNP A2を標的とするsiRNAによって誘導された迅速な細胞死は、テロメアキャッピングタンパク質として機能する、これらのタンパク質と一致した。このことが当てはまる場合、hnRNP A1およびhnRNP A2レベルの低下が、テロメア上の一本鎖のGが豊富な伸長部の長さの減少をもたらすと予想される。hnRNP A1およびhnRNP A2レベルがsiRNA処理によって低下すると、一本鎖の伸長部が短くなるかどうかを測定するために、本発明者らはテロメアのオリゴヌクレオチド連結アッセイ(T-OLA)を行った(図5Aおよび5B)。このアッセイによって、hnRNP A1およびA2を標的とするsiRNAの組み合わせ、および対照siRNAで処理したHeLaS3細胞中の、Gが豊富な伸長部の大きさの分布を特徴付けた。hnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的とするsiRNAの組み合わせで、72時間処理したHeLaS3細胞は、対照siRNAミスマッチ対照の組み合わせ(A1-1M/A2-1)で処理した細胞と比べて、連結したテロメアオリゴヌクレオチドの大きさの分布の違いを示した(図5A)。hnRNP A1およびA2発現の低下は、より短いテロメア伸長部と関係があった(図5Cおよび5D)。トランスフェクションの48時間後に、同じ結果を観察した(データ示さず)。最も重要なことに、HeLaS3細胞を、アポトーシスの誘導物質であるスタウロスポリンで48時間処理すると、本発明者らは、Gが豊富な伸長部の長さの同様の変化を観察しなかった。
RNAiの有効性に関するさまざまな濃度のsiRNAの比較
HeLa細胞を6ウエルプレートに接種し(65,000細胞/ウエル)、24時間後にそれらを、以下に記載する方法を使用して、hnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的とするsiRNAの組み合わせ(A1#1およびA2#1またはA1#2およびA2#1)でトランスフェクトした。96時間目に、細胞の生存能力に関して、トリパンブルー色素排除アッセイを行った。1nMおよび2nMというsiRNAの最終濃度は、細胞の生存能力を低下させる際に不十分であった(図6)。100nMおよび10nMというsiRNAの最終濃度は、細胞の生存能力を低下させるそれらの能力について、ほぼ同等であった(図6;注:線影を付けた領域は、アポトーシス細胞に特徴的な改変された形態を細胞が示したことを示す)。10nMというsiRNAの組み合わせの濃度は、やや有効性が低かった。
HeLaS3細胞におけるsiRNA処理の時間経過
HeLaS3細胞を6ウエルプレートに接種し(65,000細胞/ウエル)、24時間および48時間目に、siRNAの示した組み合わせ(80nM)を用いて細胞をトランスフェクトした。示したそれぞれの時点で、細胞の生存能力に関して、トリパンブルー色素排除アッセイを行った。最初のトランスフェクションの96時間後に、最大の細胞死が見られた(図7A)。
示した時点で採取した、40,000個の細胞からの全細胞の抽出物を、Al/A2/A1B/B1に対するポリクローナル抗体を使用して、ウエスタンブロッティングによって分析した。hnRNP A1とA2の両方を標的とするsiRNAの組み合わせ(A1#1およびA2#1)でトランスフェクトした細胞からの抽出物によって、最初のトランスフェクションの72時間後に始まり、144時間後までに達する最大の低下で、タンパク質発現の低下が示された(図7B、上側パネル)。siRNA Al#2およびA2#1でトランスフェクトした細胞からの抽出物によって、72時間目に始まり、144時間目にタンパク質発現がほとんど検出不可能であった、タンパク質発現の低下が示された(図7B、下側パネル)。ニトロセルロース膜のポンソーS-染色を、両方の条件で使用して、等しいタンパク質充填を確認した。
hnRNP A1およびA2を標的とするRNAiは、さまざまな癌細胞系のアポトーシスを促進する
HeLaS3細胞中のA1およびA2のレベルを低下させる際のRNAiの有効性、および細胞の生存能力に対するその影響を、さまざまなヒト癌由来の細胞系でアッセイした。
結腸直腸癌
本発明者らは最初に、個別または組み合わせのhnRNP A1およびA2siRNAの、結腸直腸癌細胞系HCT116に対する影響を試験した(図8)。hnRNP A1および/またはhnRNP A2を標的とする個別または組み合わせのsiRNAを、HCT116に2回施した。トランスフェクションの72時間後に、細胞の生存能力を測定した。HeLaS3細胞に関して観察したことと同様に、個々のsiRNAによる処理によって、標的タンパク質の減少が促進されたが(図8)、hnRNP A1およびA2の双方を標的とするsiRNAの組み合わせのみが、HCT116細胞の増殖および形態に影響を与えた(図9Aおよび9B)。ミスマッチ対照の組み合わせA1-1M/A2-1でトランスフェクトした細胞は、A2の減少を示したが、それらが形態を変えることはなかった(図9B)。アポトーシスの表現型を、PARPおよびプロ-カスパーゼ-3切断に関して試験することによって確認した(データ示さず)。したがって、hnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的とするsiRNAの特定の組み合わせは、A1およびA2タンパク質発現を効果的に阻害し、HCT116細胞の死を促進した。突然変異p53を発現する結腸直腸癌細胞系HT29に関して、同様の結果を得た(データ示さず)。これらの結果は、siRNA hnRNP A1およびhnRNP A2介在のアポトーシスは、p53と無関係に起こることを示す。
線維肉腫
またsiRNA介在のhnRNP A1およびA2発現の低下の影響を、線維肉腫細胞系HT1080において試験した(図10)。これらのアッセイは、HCT116に関して記載したのと同様に行った。siRNA介在のhnRNP A1およびA2発現の低下は、タンパク質発現の低下(図10)、細胞増殖(図11A)、およびアポトーシスに特徴的な細胞形態の変化と相関関係があった(図11B)。DNA含量の分析によって、subG1カテゴリーの細胞の増大が明らかになった(データ示さず)。このことは、アポトーシスを介在したクロマチン分画と一致した。
乳癌、卵巣癌、および神経膠芽細胞腫
試験した他の癌細胞系には、乳癌細胞系、MCF-7(図12)、卵巣癌細胞系、PA-1、および転移性卵巣癌SK-OV-3(Claudine Rancourtによって提供された)、および神経膠芽細胞腫細胞系、U373(David Fortinによって寛大に供給された)が含まれる。いずれの場合も、hnRNP A1とA2の組み合わせsiRNA対、A1-1/A2-1を用いた処理によって、hnRNP A1およびA2ポリペプチドの発現の著しい低下が誘導され、これは細胞増殖の低下、およびアポトーシスに特徴的な表現型の変化を伴った。個々のsiRNA、またはsiRNAミスマッチ対照の組み合わせ(A1-1M/A2-1)による処理によって、それらがhnRNP A1またはA2の発現の低下を生じたときでさえ、表現型の変化が示されることはなかった。
hnRNP A1およびhnRNP A2の発現の低下が、致死細胞系の増殖に影響を与えることはない
正常細胞における、hnRNP A1およびhnRNP A2の発現を標的とするsiRNAによる処理の影響を評価するために、本発明者らは3つの致死細胞系:結腸筋線維芽細胞CCD-18Co(図13)、包皮線維芽細胞BJ(図14)、および上皮腸細胞系HIEC(図15)(Jean-Francois Beaulieuによって供給された)を使用した。本発明者らはBJ-TIELF細胞系(図16および17)も使用し、これは不死化してあるが、そうでなければヒトテロメラーゼの触媒要素(hTERT)を発現する、明らかに正常な型のBJ系である(James Smith、Baylor College of Medicine、Texasによって親切なことに提供された)。
BJ-TIELF細胞系は不死状態である。なぜなら、それはテロメラーゼの触媒サブユニットを発現するからである。細胞を6ウエルに接種し、示したsiRNA単独(80nM)、またはsiRNAの組み合わせ(全体濃度80nM用にそれぞれ40nMのsiRNA)を用いて、2回トランスフェクトした。対照細胞は、siRNAの不在下においてオリゴフェクタミンで処理した。細胞の生存能力に関するトリパンブルー色素排除アッセイを、最初のトランスフェクション後72時間で行い、細胞増殖を評価した(細胞集団倍化として表した)。A1/A2/A1B/B1に対するポリクローナル抗体を用いて、ウエスタン分析を行った。ニトロセルロース膜のポンソーS-染色を使用して、すべてのレーンでタンパク質ローディングが等しいことを確認した(示さず)。トランスフェクションの96時間後に、接着細胞の写真をとり、接着細胞および浮遊細胞の双方を採取し、計数した。
細胞の生存能力をトリパンブルー色素排除によって評価し(図16A)、形態は位相差顕微鏡(倍率200倍)を使用して評価した(図16B)。hnRNP A1およびhnRNP A2に対するsiRNAで処理したBJ-TIELF細胞の、DNA含量分析を行った(図17)。トランスフェクションの96時間後のプロファイルを、HeLaS3細胞の平行した処理と比較する。
すべてのこれらの致死細胞は、hnRNP A1およびA2タンパク質を発現する(図18)。前に示したように、致死細胞が老化期に近づくと、hnRNP A1およびA2発現は低下する(Hubbard他、Exp Cell Res.218:241〜247、1995)。不死BJ-TIELF細胞系は、BJ細胞の初期の継代でさえ観察されたものより、高レベルのhnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質を常に発現した。
hnRNP A1、A2、または両方を標的とするsiRNAを用いたRNA干渉アッセイによって、対応するタンパク質レベルが低下した。この低下は、同様に処理した癌細胞系で観察された低下と匹敵した(図18)。前に記載した、癌細胞系に関する本発明者らの結果とは対照的に、致死細胞系はhnRNP A1およびhnRNP A2の発現の低下に耐性があったが、細胞増殖および形態に対する有意な影響は観察されなかった。しかしながら、不死状態であるが、形質転換していないBJ-TIELF細胞の増殖は、未処理細胞で観察されたレベルの50%にhnRNP A1およびhnRNP A2の発現レベルを低下させたsiRNA処理によって影響を受けることはなかった。調べたすべての場合において、DNA含量の細胞周期分析によって、subG1増大を示すことはなかった。致死ヒト細胞系は、癌細胞系とは対照的に、RNA干渉によって課されるhnRNP A1およびA2タンパク質の減少に非常に耐性があると、本発明者らは結論付けた。
ヒト細胞系における細胞増殖およびタンパク質発現に対するA1およびA2RNAiの影響
いくつかの正常および癌ヒト細胞系を、hnRNP A1またはhnRNP A2の一方のみを標的とするsiRNA(A1#l、Al#1M、A2#1)、またはhnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的とするsiRNAの組み合わせ(A1#1およびA2#1)、あるいはA2を標的とするsiRNAと組み合わせたA1ミスマッチ対照(Al#1MおよびA2#1)で処理した。それぞれの場合、細胞を24時間で1回、48時間で1回トランスフェクトし、細胞をトランスフェクション後の時点で採取し、これによって最初のトランスフェクション後、少なくとも3〜4回の細胞集団倍化が可能であった。本明細書に記載するように、細胞増殖を測定し、タンパク質発現を確認した。アポトーシス細胞の割合は、標準的なアッセイを使用して測定した。hnRNP A1およびA2の発現の低下によって、試験したすべてのヒト癌細胞系において、それらのp53の状態とは無関係に、広範囲の細胞死がもたらされた。興味深いことに、試験したすべての正常なヒト細胞系では、A1およびA2の発現の低下によって、大規模な細胞死の誘導がもたらされることは決してなかったが、いくつかの正常な細胞系では、hnRNP A1とhnRNP A2の両方を標的とするsiRNAの組み合わせ(A1#1およびA2#1)によって、細胞増殖率のわずかな低下、およびわずかな形態の変化がもたらされた。
癌組織および正常組織におけるhnRNP A1およびhnRNP A2の発現
本発明者らはウサギポリクローナル抗体を使用して、さまざまなヒト癌の生検材料および正常な細胞型における、hnRNP A1およびA2の発現を調べた。免疫組織化学法を、A1およびA1Bタンパク質と結合する抗A1抗体、ならびにA1/A1B/A2/B1タンパク質と結合する抗A1/A2抗体を用いて行った。
表Iは、癌組織中のhnRNP A1およびhnRNP A2の発現を示す。癌のスクリーニングを、8つの異なるヒトの癌の型において行った。1つの癌の型当たり3つの異なる生検材料を、ウサギポリクローナル抗A1および抗A1/A2血清を使用して分析した。hnRNP A1およびA2の核での発現の全体的な結果は、上付き文字の表記(C)で報告し、これは細胞質中でのhnRNP A1およびhnRNP A2発現の状態を示す。発現レベルは以下のように報告する:強い:+++、中程度:++、低度:+、非常に低度:+/-、陰性:-。
Figure 2006500916
表IIは、正常組織中のhnRNP A1およびhnRNP A2の発現を示す。正常組織のスクリーニングは、抗A1および抗A1/A2血清の両方を使用して、10個の異なる正常なヒト組織(1組織当たり1サンプル)において行った。同じ組織サンプルの2つの異なる切片を、それぞれの血清を用いて独立して処理した。それぞれの切片で観察された、細胞型の結果を与える。hnRNP A1およびhnRNP A2の核での発現の全体的な結果は、上付き文字の表記(C)で報告し、これは細胞質中でのhnRNP A1およびhnRNP A2発現の状態を示す。
Figure 2006500916
Figure 2006500916
調べた大部分の正常組織は、高レベルのA1を発現した皮膚の基底層以外は、低レベルまたは検出不能レベルのhnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質を発現した。低度、あるいは時折のA1の発現が、数種類のニューロン、腎臓の上皮および内皮、肝臓のクップファー細胞、マクロファージ、胆管、神経内分泌組織、マクロファージ、小腸の陰窩細胞、脾臓のリンパ球および内皮において観察された。
正常細胞と比べて腫瘍細胞中で、hnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質のより高い発現が観察された(表IIおよび図19)。この発現プロファイルによって、癌検出用の有用なマーカーとして、A1およびA2が同定される。hnRNP A1をテロメアの生物発生と結び付ける機能的関係によって、およらくそのテロメアのキャッピング因子としての役割によって、形質転換された状態の腫瘍細胞を維持する際にA1が重要な役割を果たしていることが示唆される。いくつかの報告が、肺癌でのA2およびそのスプライシングされたアイソフォームB1の高レベルの発現を述べている(Zhou他、J.Biol.Chem.271:10760〜10766、1996;Sueoka他、Cancer Res.59:1404〜1407、1999)。
近年の研究はA2/B1を、膵臓癌および乳癌用の初期マーカーとしても同定している(Yan-Sanders他、Cancer Lett、183:215〜220、2002;Zhou他、Breast Cancer Res Treat66:217〜224、2001)。A1とA2との間のアミノ酸配列同一性、およびこの両方がテロメアの反復配列とin vitroで結合する事実を考慮すると、これらのタンパク質は機能的相同体であるようである。この点と一致して、hnRNP A1およびhnRNP A2は、非常に類似した方法でin vitroでの選択的プレmRNAスプライシングを制御する(Hutchison他、J Biol Chem.277:29745〜52、2002)。
異なる組の多数の異種核リボ核タンパク質(hnRNP)A1結合部位が、hnRNP A1プレmRNAの5'スプライス部位の選択を制御する。
癌組織および良性組織におけるhnRNP A1およびhnRNP A2の発現
図19は、良性および癌性の乳房(図19A)および膵臓組織(図19B)における、抗hnRNP A1または抗hnRNP A1/A2抗血清を使用する免疫組織化学分析を示す。
治療用途
癌の首尾良い治療は、その発現が癌細胞に限られ、無制限の細胞増殖を促進または可能にするために機能する、治療標的の同定に依存する。さまざまな標的が異なる型の癌で同定されてきているが、ほぼすべての型の癌で偏在的な役割を果たす因子の例は、ほとんど存在しない。その発現が癌細胞に限られるテロメア因子を同定することは、新規の癌治療戦略に向けた重要な進歩を表すと思われる。なぜなら、機能的テロメアの維持は、癌の発症をもたらす機構とは無関係に、癌細胞の分裂には必要不可欠だからである。
1つの有望な癌標的物質は、酵素テロメラーゼである。テロメラーゼは、いくつかの高度に再生された組織型以外は、大部分の正常なヒト組織中で発現されないが、すべての癌の約85%で発現される。癌細胞中のテロメラーゼ機能を失わせる治療には、健康上の利点がある可能性があるが、それらの成功は、治療時に癌細胞中に存在するテロメアの長さにおそらく依存するだろう。なぜならテロメアは、細胞分裂に適合しない非常に短い長さにそれらが達するまで、徐々に短くなるはずだからである。本明細書に記載した実験において、本発明者らは、癌治療の標的としてhnRNP A1およびA2タンパク質を同定した。hnRNP A1およびA2/B1タンパク質が、それぞれ結腸癌および肺癌において高レベルで発現されたことは知られていたが、本発明者らは現在、中レベルから高レベルのhnRNP A1タンパク質が、乳房、肺、結腸、前立腺、卵巣、膵臓および皮膚の癌中で検出されることを示している。正常組織中のhnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質のレベルは一般に、癌細胞中で観察されるレベルよりはるかに低い。示した皮膚の基底層のみが、高レベルのhnRNP A1およびA2タンパク質を発現した。
意外なことに本発明者らは、多くの異なる起源由来の癌細胞系はいずれも、hnRNP A1およびA2タンパク質のレベルの低下に対する感受性があったことを見出した。RNAiを介在したhnRNP A1およびA2発現レベルの低下によって、96時間以内にアポトーシスによる癌細胞の死が通常は誘導された。おそらくは、A1とA2は互いに補うことができる機能的相同体であるために、hnRNP A1またはA2タンパク質のみの減少によって、アポトーシスが誘導されることはなかった。他の実験において本発明者らは、A1が重度に欠損したマウス赤白血病細胞系は短いテロメアを有しており、A1の発現レベルが増大すると、その大きさが増大したことを観察した。
これらの細胞中においてわずかに高いレベルで通常発現されるhnRNP A2は(データ示さず)、A1のみを標的化し、細胞を生存させると、A1機能の低下を部分的に補った可能性がある。したがって、A1とA2が等モル量で発現される状況では、A1またはA2のみを標的化することによって、hnRNP A1およびhnRNP A2の全体レベルを50%低下させることは、ほぼ不可能であると思われる。A1とA2を組み合わせで標的化することによってのみ、hnRNP A1およびhnRNP A2レベルの全体的な低下を達成し、細胞増殖を阻害することができる。さらに、いくつかの細胞型では、hnRNP A1およびA2の発現が独立に制御されている可能性があると考えられる。例えば、いくつかの癌細胞では、より高レベルのhnRNP A1が発現され、より低レベルのhnRNP A2が発現され、あるいはhnRNP A2が発現されない可能性がある。このような細胞型では、A1またはA2を別々に標的化することによって、細胞増殖を阻害し、プログラムされた細胞死を誘導することができる。
hnRNP A1およびA2特異的なsiRNAを用いた処理後に癌細胞が死ぬ速度は、テロメアキャッピング因子として作用するhnRNP A1およびA2タンパク質と一致する。この点と一致して、hnRNP A1およびhnRNP A2発現の低下には、テロメア上の一本鎖のGが豊富な伸長部の長さの減少が伴うことを、本発明者らは現在示している。この短縮は、siRNA処理後の48時間と72時間の間に検出することができるので、テロメア突出部の大きさの減少が、細胞増殖の停止を誘発する可能性があり、したがって癌細胞のアポトーシスを誘導すると思われる。最も重要なことに、このGが豊富な伸長部の長さの減少は、細胞をアポトーシス誘導物質であるスタウロスポリンで処理すると観察されず、このことは、一本鎖テロメアの反復配列の分解は、アポトーシスに関する絶対的な特徴ではないことが示唆される。これによって、hnRNP A1およびA2発現の低下がGが豊富な伸長部の長さの減少の直接の原因であるという結論を、支持するためのさらなる証拠が与えられる。p53ヌル(null)細胞系とp53突然変異細胞系はhnRNP A1およびA2に対するRNAiに対して同等に感受性があったので、アポトーシス誘導はp53発現の状態と無関係であるらしいことが示されるのも、非常に興味深い。対照的に、テロメア因子TRF2中のドミナントネガティブ突然変異によって誘発されたアポトーシスは、野生型p53タンパク質の存在を必要とした。これらの結果は、突然変異したTRF2、およびhnRNP A1およびA2のレベルの低下によって、アポトーシスをもたらす異なる事象が誘発されることを示唆する。
非常に対照的に、致死細胞系でのsiRNA介在のhnRNP A1およびA2レベルの低下は、細胞分裂に影響を与えることはなく、細胞死を誘導することはなかった。これらの「正常」細胞系が、hnRNP A1およびA2発現の低下に耐性があるという事実は興味深く、癌細胞と正常細胞のテロメアキャッピング構造の違いが存在することを示唆する。テロメラーゼは癌細胞中において通常発現されるが、正常細胞中では通常発現されないことを考慮すると、これは全く予想外のことではない。テロメラーゼ発現、および他の要因が、一本鎖のGが豊富な伸長部の大きさの違いをもたらす可能性があり、キャッピング因子の同一性および機能に影響を与える可能性がある。hPot1タンパク質は、ヒトテロメアの一本鎖伸長部と関係があることが近年示されてきている。将来の研究によって、正常細胞および癌細胞中での、hPot1の発現プロファイル、およびテロメアキャッピング機能に対するその貢献が明らかになるはずである。
要約すると本発明者らは、hnRNP A1とA2の両方の低下した発現によって、p53欠陥細胞(p53-compromised cell)を含めたさまざまな癌細胞系において、プログラムされた細胞死が引き起こされたことを実証している。本発明者らの知見は癌療法の薬剤標的としてhnRNP A1およびhnRNP A2を確定し、癌細胞中のhnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質の発現または機能を失わせることを目的とする、戦略開発の強力な根拠を与える。hnRNP A1およびhnRNP A2が正常細胞中において低レベルで発現され、致死細胞系中のhnRNP A1およびhnRNP A2レベルの低下が、それらの細胞増殖または生存に著しく影響を与えることはないことを考慮すると、このような手法は非常に魅力的である。
方法
トランスフェクション
トランスフェクションの前日に、指数関数的に増殖している細胞をトリプシン処理し、計数し、6ウエルプレートに接種して、その結果それらをトランスフェクションの日に30〜50%のコンフルエント(confluent)にした。適切な細胞数、およびそれぞれの細胞系用の培地に関しては、以下を参照のこと;いくつかの細胞系はFBSを必要とし、一方他の細胞系に関しては、FBSを加えないことが重要であることを記す。平板培養時およびトランスフェクション中は、抗生物質は避けた。20継代以下の細胞培養物を常に選択した。
Figure 2006500916
37℃/5%CO2で一晩、細胞をインキュベートした。トランスフェクションの日に、混合物#1をそれぞれのウエル用に調製し、室温で5〜10分間インキュベートした。
混合物#1
10μlのsiRNA(50μMのストックを希釈することによって調製した8μMのストック)+175μlのOPTI-MEM I(Invitrogen Cat.#51985-034)。
それぞれのウエル用の、トランスフェクション試薬も調製した(混合物#2):
混合物#2
4μlのオリゴフェクタミン(Invitrogen Cat.#12252-011)+11μlのOPTI-MEM I。
混合物#2を混合物#1に加え、軽く攪拌し、室温で20分間インキュベートした。培地を除去し、800μlの新鮮な培地をそれぞれのウエルに加えた(一晩培養と同じ培地を使用する)。複合体を混合し、細胞の上にオーバーレイした(overlayed)。siRNAの最終濃度は80nMであった。37℃/5%CO2で、混合した化合物と共に4時間、細胞をインキュベートした。正常濃度の2倍の血清を含む1.0mlの増殖培地を、トランスフェクション混合物を除去せずに加えた。37℃/5%CO2で、細胞をインキュベートした。第2の同一のトランスフェクションを、最初のトランスフェクションの24時間後に行った。
細胞の生存能力、細胞増殖およびタンパク質発現を、最初のトランスフェクションの48〜144時間後にアッセイした。細胞系および分析に応じて、以下に記載したようにインキュベーション時間を変えた。
Figure 2006500916
トリパンブルー色素排除アッセイによる、細胞の生存能力の測定:
それぞれのウエルのトランスフェクト細胞用に、培地を2.0mlのマイクロヒュージに移した。細胞を遠心分離にかけて(高速回転)、懸濁液中の細胞を回収し、その上清は捨てた。それぞれのウエルの接着細胞を、400μlのPBS/EDTA(170mMのNaCl、3.3mMのKCl、10mMのNa2HP04、1.8mMのKH2P04、0.5mMのEDTA、0.0015%のフェノールレッド)ですすいだ。PBS/EDTAを、対応する浮遊細胞のペレットを含む2.0mlのマイクロチューブに移した。0.06%トリプシンを含むPBS/EDTA 300μlを加え、5分間インキュベートした。トリプシン処理した細胞を回収し、対応する2.0mlのマイクロチューブに移した。それぞれのウエルを400μlのPBS/EDTAですすぎ、細胞懸濁液に移した。最終体積を決定し、50μlの細胞懸濁液を、50μlのトリパンブルー染色液と混合させた。トリパンブルー混合物を血球計算器のチャンバーに充填し、生細胞(染色されず)および死んだ(青色)細胞を計数した。合計回収体積中に含まれていた、細胞数を決定した。懸濁液を組み合わせ、1分間遠心分離にかけ、その上清は捨てた。細胞のペレットは100μlのLaemmli緩衝液に再懸濁させ、超音波処理して粘性を低下させ、湯浴中で3分間インキュベートした。タンパク質濃度は、ローリー(Lowry)法により10μlのアリコートで測定した。タンパク質発現のウエスタンブロット分析用に使用するまで(15〜25μg/SDS-PAGE上の1レーン)、サンプルは-20℃で保存した。
細胞増殖の測定:
等式:PD=log(Nf/N0)/log2を使用して、トランスフェクション以降の細胞集団倍化の数を計算することによって、細胞増殖を測定した。
上式で、
PD:細胞集団倍化の数
Nf:最終的な細胞数(トリパンブルー排除後に計数した生細胞および死細胞)。
N0:トランスフェクション時の細胞数(HeLaS3細胞は平均数110,000;HCT116細胞は平均数150,000;MCF7細胞は平均数80,000)。
抗hnRNP抗体
hnRNP A1タンパク質ペプチド配列に特有なペプチド:(ASASSSQRGR)に対して、またはhnRNP A1とA2タンパク質の両方に共通なペプチド(KEDTEEHHLRDYFE)に対して産生した、ウサギポリクローナル血清を使用して、免疫組織化学的試験を行った。ペプチド合成および抗体産生は、Eastern Quebec Proteomic Center(Quebec City)によって行なわれた。それぞれの血清の特異性は、ELISAおよびウエスタン分析によって確認した。
免疫組織化学法
正常組織のスクリーニングを、両方の血清を使用して、10個の異なる正常なヒト組織(脳、心臓、腎臓、肝臓、肺、膵臓、骨格筋、皮膚、小腸および脾臓)において行った。同じ組織サンプルの2つの異なる切片を、それぞれの血清を用いて別々に処理した。癌のスクリーニングは、8個の異なるヒト癌型(乳癌、結腸癌、肺腺癌、肺小細胞癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌および皮膚メラノーマ)について行った。癌の型当たり3個の異なるサンプルを、抗A1および抗A1/A2血清を使用してスクリーニングした。免疫組織化学法は、LifeSpan BioSciences Inc.(Seattle、WA)によって行なわれた。
細胞培養
HeLaS3、HCT116、HT-1080、MCF-7およびCCD-18Co細胞は、American Type Culture Collectionからのものであった。BJ包皮正常線維芽細胞は、James Smith(Baylor College of Medicine、Houston)によって親切なことに提供された。HIEC細胞はJean-Francois Beaulieu(Universite de Sherbrooke、Quebec)からのものであった。PA-1およびSK-OV-3細胞は、Claudine Rancourt(Universite de Sherbrooke、Quebec)によって提供された。U387はDavid Fortin(Universite de Sherbrooke、Quebec)によって親切なことに供給された。HeLaS3およびU-373MG細胞は、10%FBSを補ったDMEM中で増殖させた。HCT116細胞は、10%FBSを補ったMcCoyの5A培地中で増殖させた。BJおよびBJ-TIELF細胞は、10%FBSを補ったαMEM中で増殖させた。HIEC細胞は、5%FBSを補ったOpti-MEM I中で増殖させた。PA-1およびSK-OV-3細胞は、10%FBSを補ったDMEM-F12中で増殖させた。MCF-7細胞は、10%FBS、0.1mMの非必須アミノ酸、および10μg/mlのウシインシュリンを補ったEMEM中で増殖させた。HT-1080およびCCD-18Co細胞は、10%FBS、アールの塩(Earle's salt)、1mMのピルビン酸ナトリウム、0.1mMの非必須アミノ酸を補ったαMEM中で増殖させた。
siRNA
オリゴヌクレオチドは、Dharmacon Research、Inc.(Lafayette、CO)から購入した。標的とすべき核酸配列は、以下のように同定した。標的とすべきmRNA配列は、ヒトゲノムに対してBLAST探索して、1つのヒト遺伝子のみがそれぞれのsiRNAによって標的化されることを確実にした。ヒトhnRNP A1のmRNA(GenBank登録番号NM_002136)を標的化する、7つのsiRNAを試験した。これらは、開始コドンから107〜127(A1-1)、135〜155(A1-2)、154〜174(A1-3)、217〜237(A1-4)、404〜424(A1-5)、601〜621(A1-6)および757〜777(A1-7)のヌクレオチドを含んでいた。5つのsiRNAは、hnRNP A2のmRNA(GenBank登録番号NM_002137)を対象とするものであり、ヌクレオチド48〜68(A2-1)、57〜77(A2-2)、298〜318(A2-3)、615〜635(A2-4)および922〜942(A2-5)由来のものであった。トランスフェクションの前に、siRNA二重鎖を、オリゴヌクレオチドの相補対をアニーリングすることによって作製した。二重鎖の形成は、2%アガロースゲル上で混合物の一部分を分画することによって確認した。siRNA二重鎖の最終濃度は、20mMのKCl、6mMのHEPES-KOH pH7.5および0.2mMのMgCl2において50μMであった。この混合物を、-80℃でアリコートとして凍結保存した。
siRNAの配列は以下の通りである。
A1#1 5'-UGGGGAACGCUCACGGACUdTdT-3' (センス), 3'-dTdTACCCCUUGCGAGUGCCUGA-5' (アンチセンス),
A1#1M: 5'-UGGGGAACCGUCACGGACUdTdT-3' (センス), 3'-dTdTACCCCUUGGCAGUGCCUGA-5' (アンチセンス),
A1#2: 5'-UGAGAGAUCCAAACACCAAdTdT-3' (センス), 3'-dTdTACUCUCUAGGUUUGUGGUU-5' (アンチセンス),
A1#3: 5'-GCGCUCCAGGGGCUUUGGGdTdT-3' (センス), 3'-dTdTCGCGAGGUCCCCGAAACCC-5' (アンチセンス),
A1#4: 5'-UCGAAGGCCACACAAGGUGdTdT-3' (センス) 3'-dTdTAGCUUCCGGUGUGUUCCAC-5' (アンチセンス),
A1#5: 5'-AUCAUGACUGACCGAGGCAdTdT-3' (センス), 3'-dTdTUAGUACUGACUGGCUCCGU-5' (アンチセンス),
A1#6: 5'-CUUUGGUGGUGGUCGUGGAdTdT-3' (センス), 3'-dTdTGAAACCACCACCAGCACCU-5' (アンチセンス),
A1#7: 5'-UUUUGGAGGUGGUGGAAGCdTdT-3' (センス), 3'-dTdTAAAACCUCCACCACCUUCG-5' (アンチセンス),
A2#1: 5'-GCUUUGAAACCACAGAAGAdTdT-3' (センス), 3'-dTdTCGAAACUUUGGUGUCUUCU-5' (アンチセンス),
A2#2: 5'-CCACAGAAGAAAGUUUGAGdTdT-3' (センス), 3'-dTdTGGUGUCUUCUUUCAAACUC-5' (アンチセンス),
A2#3: 5'-GAAGCUGUUUGUUGGCGGAdTdT-3' (センス), 3'-dTdTCUUCGACAAACAACCGCCU-5' (アンチセンス),
A2#4: 5'-AUUUCGGACCAGGACCAGGdTdT-3' (センス), 3'-dTdTUAAAGCCUGGUCCUGGUCC-5' (アンチセンス),
A2#5: 5'-CUUUGGUGGUAGCAGGAACdTdT-3' (センス), 3'-dTdTGAAACCACCAUCGUCCUUG-5' (アンチセンス)。
トランスフェクション
トランスフェクションの前日に、指数関数的に増殖した細胞をトリプシン処理し、6ウエルプレートに接種した。製造者の教示書に従いオリゴフェクタミン(Oligofectamine)(商標)を使用して、示したsiRNA濃度:HeLaS3(80nM)、HCT116(20または40nM)、HCT116p53-(40nM)、HT-1080(20nM)、PA-1(10nM)、U-373MG(10nM)、SK-OV-3(20nM)HIEC(80nM)、BJ(80nM)、BJ-TIELF(80nM)、およびCCD-18Co(80nM)において、30〜50%のコンフルエントな細胞にトランスフェクションを行った。簡潔には、siRNA(10μl中)を175μlのOPTI-MEM-I(Invitrogen)と混合し、一方オリゴフェクタミン(商標)はOPTI-MEM-Iと混合した(それぞれ4μlと11μl)。次いでトランスフェクション試薬とsiRNAを混合し、細胞に施す前に室温で20分間インキュベートした。同じ濃度のsiRNAでの第2のトランスフェクションを、24時間後に常に行った。
TUNELアッセイおよびDNA含量分析のプロトコル
最初のトランスフェクション後の示した時間において、接着細胞と浮遊細胞の両方を採取し計数した。トリパンブルー色素排除によって、細胞の生存能力を評価した。トランスフェクション後の細胞集団倍化の数は、等式:PD=log(Nf/N0)/log2を使用して、それぞれのサンプルに関して計算した。
TUNEL標識は、製造者の教示書に従いApopTagキット(商標)(Intergen、S7110)を使用して行った。簡潔には、接着細胞を2%ホルムアルデヒドを含むPBSAで、1時間4℃において固定し、事前に冷却したエタノール:酢酸(2:1)中において、5分間、-20℃で浸透処理した。TdT酵素を含む反応緩衝液を、湿気のあるチャンバー中において37℃で90分間、細胞と共にインキュベートして、ジゴキシゲニン-dNTPを有するテイル(tail)を作製した。TdT産物は、室温において湿気のあるチャンバー中で30分間、フルオレセインと結合した抗ジゴキシゲニンを使用して検出した。ヨウ化プロピジウム(0.5μg/ml)を、核の対比染色物質として使用して、全体の細胞集団を可視化した。蛍光顕微鏡によって、細胞を可視化した。
DNA含量分析用に、浮遊細胞と接着細胞の両方を回収し、80%冷エタノール中に固定し、室温で5分間放置し、-20℃で保存した(2週間まで保存することができる)。細胞をPBSAで洗浄し、30分間、37℃においてRNAseAで処理した(PBSA中に20μgのRNAseA、5mMのEDTA、0.5%BSA)。これらの細胞を、ヨウ化プロピジウム(50μg)で5分間室温において染色し、CellQuest(商標)ソフトウェアを使用して、Becton Deckinson FACScan(商標)上で読み取った。それぞれのサンプルに関して、少なくとも10,000個の細胞を、DNA含量に関して分析した。
ウエスタンブロッティング
すべての細胞抽出物は、Laemmliサンプル緩衝液に細胞を溶解することによって調製した。等量のそれぞれのサンプル(15〜25μg)を、ポリアクリルアミドゲル上に載せた。一次抗体に関する以下の希釈:抗A1/A2抗体は1:5000;抗PARP抗体は1:500(Biosource、AHF0262);活性カスパーゼ-3抗体(Chemicon、AB3623)は1:100;および抗プロ-カスパーゼ-3抗体(Biosource、AHZ0052)は1:500を使用して、標準的なプロトコルに従い、ウエスタンブロッティングを行った。
テロメアGテイル伸長部の分析
Cimino-Reale他、Nucl.Acids Res.29:e35、2001に記載されたのと同様に、T-OLAアッセイを行った。簡潔には、ゲノムDNAを、標準的な細胞溶解プロトコルによって作製した。オリゴヌクレオチド(CCCTAA)3は末端標識し、以下の反応混合物:0.16μMのオリゴヌクレオチド、1.6μMの[γ-32P]ATP(3000Ci/ミリモル、10mCi/ml)、70mMのTris pH7.6、10mMのMgCl2、5mMのDTT、および20UのT4ポリヌクレオチドキナーゼ中、最終体積50μl中で、T4ポリヌクレオチドキナーゼによってリン酸化した。この反応を40分間、37℃で進行させ、さらに20分間のインキュベーション時間の前に、次いで1μlの0.1M ATP、およびさらに10Uのキナーゼを加えた。次いで酵素を、65℃において20分間で熱不活性化させた。オリゴヌクレオチドはエタノールを用いて沈殿させ、水中に溶かした。ハイブリダイゼーションは、10μgの未変性DNA、0.5pmoleのオリゴヌクレオチド、20mMのTris pH7.6、25mMの酢酸カリウム、10mMの酢酸マグネシウム、10mMのDTT、1mMのニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、および0.1%のTritonX-100を含む20μl体積中、0.5mlPCRチューブ中において50℃で12〜14時間行った。40単位の熱安定性Taqリガーゼ(New England Biolabs)、および2μlの新鮮な10mM NADストックを加え、連結反応を5時間、同じ温度で進行させた。30μlの水を加え、フェノール-クロロホルム抽出によって、反応を終了させた。サンプルをエタノール沈殿させ、6μlのTE緩衝液に溶かした。3μlのそれぞれの反応混合物を、4μlのホルムアルデヒド染料と混合し、90℃で加熱することによって変性させ、8%アクリルアミド-尿素ゲルに載せる前に氷上で急冷した。連結産物を調べて定量化する前に、ゲルをオートラジオグラフィフィルムに露出した。
RNA干渉
RNAiは、二本鎖RNA(dsRNA)の導入によって開始される、転写後遺伝子サイレンシングの1つの形である。短い21〜25ヌクレオチド二本鎖RNAは、線虫類中(Zamore他、Cell 101:25〜33)、および哺乳動物組織培養細胞系中(Elbashir他、Nature411:494〜498、2001、参照によって本明細書に組み込まれる)の遺伝子発現をダウンレギュレートする際に有効である。哺乳動物におけるこの手法の、さらなる治療上の有効性は、McCaffrey他(Nature418:38〜39.2002)によってin vivoで実証された。A1またはA2などの、哺乳動物遺伝子の核酸配列を使用して、小さな干渉RNA(siRNA)を設計することができ、このRNAは、使用する特異的な21〜25ヌクレオチドRNA配列を有する、A1またはA2標的遺伝子を不活性化させるだろう。siRNAは、例えば新形成を治療するための治療剤として、使用することができる。
本明細書に記載するように、哺乳動物遺伝子の配列を与えて、dsRNAを設計して、目的の標的遺伝子を不活性化させ、有効な遺伝子サイレンシングに関してスクリーニングすることができる。本明細書に開示するdsRNA以外に、標準的な方法を使用して、他のdsRNAを設計することができる。
dsRNAの特異的な要件および修飾は、PCT出願番号WO01/75164(参照によって本明細書に組み込む)中に記載されている。dsRNA分子は長さが変わる可能性があるが、特徴的な2〜3ヌクレオチドの3'突出末端を有する21〜23ヌクレオチドのdsRNAである、siRNA分子を使用することが最も好ましく、これらは(2'-デオキシ)チミジンまたはウラシルが存在することが好ましい。siRNAは典型的には、3'ヒドロキシル基を含む。あるいは、一本鎖siRNAまたは平滑末端dsRNAを使用する。RNAの安定性をさらに高めるために、3'突出部を分解に対して安定化させる。一実施形態では、アデノシンまたはグアノシンなどのプリンヌクレオチドを含ませることによって、RNAを安定化させる。あるいは、ピリミジンヌクレオチドを修飾型類似体で置換すること、例えばウリジン2-ヌクレオチド突出部を(2'-デオキシ)チミジンで置換することは許容され、RNAiの有効性に影響を与えることはない。2'ヒドロキシル基が存在しないことによって、組織培地において、突出部のヌクレアーゼ耐性が有意に高まる。
siRNA分子は、化学合成、またはショウジョウバエin vitro系を使用する組み換え生成を含めた、さまざまなプロトコルによって得ることができる。これらの分子は、Dharmacon Research Inc.またはXeragon Inc.,などの企業から、商業的に入手することができるか、あるいはこれらの分子は、AmbionからのSilencer(商標)siRNA構築キット(カタログ番号1620)、またはNew England BioLabs(カタログ番号E2000S)からのHiScribe(商標)RNAi転写キットなどの市販のキットを使用して、合成することができる。
あるいはsiRNAは、PCT番号WO01/75164(参照によって本明細書に組み込む)中で述べられた任意の方法を使用して、あるいはElbashir S.M.他(Genes & Dev.、15:188〜200、2001)中に記載されたのと同様の、in vitroでのRNAの転写に関する標準的手順、およびdsRNAアニーリング手順を使用して調製することができる。siRNAは、Elbashir S.M他中に記載されたのと同様に、多核性胞胚葉ショウジョウバエ胚由来の無細胞ショウジョウバエ溶解産物中で、標的遺伝子の配列に対応するdsRNAをインキュベーションすることによっても得られ、この条件下でdsRNAを処理して、約21〜約23ヌクレオチドのsiRNAを生成させ、次いで当業者に知られている技法を使用してsiRNAを単離する。例えば、ゲル電気泳動を使用して、21〜23ヌクレオチドのRNAを分離することができ、次いでRNAをゲル切片から溶出させることができる。さらに、クロマトグラフィー(例えばサイズ排除クロマトグラフィー)、グリセロール勾配遠心分離、および抗体を用いた親和性による精製を使用して、21〜23ヌクレオチドのRNAを単離することができる。
短いヘアピンRNA(shRNA)を、Yu他またはPaddison他(Proc.Natl.Acad.Sci USA,99:6047〜6052、2002; Genes & Dev、16:948〜958、2002;参照によって本明細書に組み込む)中に記載されたのと同様に、RNAi用に使用することもできる。センス鎖とアンチセンス鎖の両方が1つのRNA分子内に含まれ、ヌクレオチド(3つ以上)のループによって結合するように、shRNAを設計する。標準的なin vitroのT7転写合成を使用して、前に記載されたのと同様に、Yu他(上記)中に記載されたのと同様に、shRNAを合成し精製することができる。shRNAは、マウスU6プロモーター配列を有する発現ベクターにサブクローニングすることもでき、次いで細胞中にトランスフェクトし、shRNAのin vivoでの発現用に使用することができる。
細胞中へのdsRNAの導入
RNAiの成功は、dsRNAの配列選択および設計、使用する細胞、トランスフェクション試薬およびトランスフェクション条件を含めた、いくつかの要因に依存する。さまざまな方法を、哺乳細胞中へのdsRNAのトランスフェクションまたは導入に、利用可能である。例えば、TransIT-TKO(商標)(Mirus、Cat.#MIR2150)、Transmessenger(商標)(Qiagen、Cat.#301525)、およびオリゴフェクタミン(商標)(Invitrogen、Cat.#MIR12252-011)だけには限られないが、これらを含めた、いくつかの市販のトランスフェクション試薬が存在する。それぞれのトランスフェクション試薬に関するプロトコルは、製造者から入手可能である。
それぞれの標的およびそれぞれの細胞系用に使用する、dsRNAの濃度は変化するが、一般に0.05nM〜500nM、より好ましくは0.1nm〜100nM、および最も好ましくは1nM〜50nMの範囲である。望ましいならば、多数のdsRNAを使用して、細胞を多数回トランスフェクトして、遺伝子サイレンシング効果を最適化することができる。
siRNAの安定した発現
DNA鋳型法を使用して、siRNA分子を作製および送達する(T.Tuschl、Nature Biotechnology、20:446〜448、2002中に概説されている)。siRNA鋳型をRNAポリメラーゼIII転写単位にクローニングし、これは小核RNA U6またはヒトRNAse P RNAH1を通常コードしている。これらの発現カセットは、センスRNAとアンチセンスRNAの両方の発現を可能にする。発現カセットは、小さなヘアピンRNAの安定した発現にも利用可能である(Brummelkamp他、Science296:550〜553、2002;Paddison他、Genes & Dev.16:948〜958、2002;Paul他、Nature Biotechnol.20:505〜508、2002;およびYu他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA99(9):6047〜6052を参照のこと)。
導入されたDNA鋳型由来のsiRNAまたはshRNAの内因性発現は、外因性送達のいくつかの制限、特に表現型の一時的な損失を克服すると考えられている。実際、機能表現型の安定した損失を可能にするこれらの発現カセットを使用して、安定した細胞系が得られてきている(Miyagishi M.およびTaira K.、Nature Biotech.、20:497〜500、2002;Brummelkamp T.R.他、Science、296:550〜553、2002)。マウスU6プロモーター系発現ベクターを使用して、shRNAを安定して発現させることもできる。望ましいならば、A1および/またはA2のRNAi用の安定した細胞系を、前述の技法を使用して生成させることができる。
遺伝子サイレンシング効果を評価するためのアッセイ
一般には、siRNAのトランスフェクション後に5時間〜7日間、細胞をインキュベートし、次いで分析用に採取する。mRNAおよびタンパク質の発現は、ノーザンブロット分析、RNAse保護アッセイ、ルシフェラーゼまたはβ-galレポーターアッセイ、およびウエスタンブロットだけには限られないがこれらを含めた、任意のさまざまな当技術分野で知られている方法を使用して、分析することができる。
細胞型
RNAiを使用して、A1またはA2を発現するほぼすべての哺乳動物細胞において、A1および/またはA2の遺伝子またはタンパク質の発現をダウンレギュレートする。これらの細胞には、HeLaS3、HCT116、CCD18Co、BJ、BJ-TIELF、HIEC、NIH3T3、BHK-21、CHO-K1、初代ヒト哺乳動物上皮細胞、および腫瘍細胞だけには限られないがこれらが含まれ、これらは分化組織よりも高レベルのA1を発現する(Biamonti他、J.Mol.Biol.230:77〜89、1993)。
細胞死の促進を評価するためのアッセイ
細胞死の促進における、A1および/またはA2RNAiの有効性を、標準的な細胞増殖アッセイ、細胞生存に関するトリパンブルー染色、TUNELアッセイ、フローサイトメトリー分析、ウエスタンブロットによるアポトーシスマーカーの検出、またはアポトーシスに関する任意の他のアッセイだけには限られないがこれらを含めた、当技術分野で知られている任意のアッセイ系を使用してアッセイする。
テロメアの長さを評価するためのアッセイ
テロメアの長さの調節における、A1および/またはA2RNAiの有効性は、テロメア制限断片(TRF)の長さを測定するための、テロメアの配列と相同的であるオリゴヌクレオチドを用いるサザンブロッティング、またはテロメアのGが豊富な鎖の3'一本鎖突出部を測定するためのオリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)だけには限られないがこれらを含めた、当技術分野で知られているテロメアの長さに関する、ほぼすべてのアッセイを使用してアッセイすることができる。
診断
特定の核酸またはポリペプチドの発現レベルは、特定の病状と相関関係がある可能性があり、したがって診断において有用である。hnRNP A1またはhnRNP A2由来の、オリゴヌクレオチドまたはより長い断片をプローブとして使用して、被験者(例えば患者)からの、生物学的サンプル(例えば単離細胞、単離組織、生検試料、または生物学的流体)中の、内因性hnRNP A1またはhnRNP A2の発現レベルをアッセイすることができる。対応する対照サンプルと比べて、hnRNP A1および/またはhnRNP A2の増大したレベルを示す生物学的サンプルによって、新形成(例えば肺癌、結腸癌、腎臓癌、骨癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、脳癌、リンパ腫、メラノーマ、ミエローマ、腺癌、胸腺腫、形質細胞腫、または任意の他の新生物)を有しているか、あるいは発症する傾向を有しているとして、患者を診断する。新形成を有しているか、あるいは新形成を発症する傾向を有している被験者が、hnRNP A1またはhnRNP A2の少なくとも1つの発現の増大を示すことが好ましいだろう。
他の実施形態では、hnRNP A1および/またはhnRNP A2ポリペプチドに特異的に結合する抗体を、新形成の診断用に使用することができる。このようなのポリペプチドの発現の変化を測定するためのさまざまなプロトコルが、免疫学的方法(ELISAおよびRIAなど)を含めて知られており、新形成を診断するための基盤を与える。hnRNP A1および/またはhnRNP A2ポリペプチドのレベルの増大は、新形成を有する患者の症状を示す。
さらに他の実施形態では、ゲノム配列を含めた、hnRNP A1および/またはhnRNP A2ポリヌクレオチド配列、または密接に関連がある分子を検出することができるPCRプローブとの、ハイブリダイゼーションを使用して、新形成を有する患者由来の核酸配列とハイブリダイズさせることができる。高度に特異的な領域、例えば5'調節領域から作製されたものであろうが、あるいはあまり特異的ではない領域、例えば保存型モチーフから作製されたものであろうが、プローブの特異性、およびハイブリダイゼーションまたは増幅のストリンジェンシー(最大、高度、中等度または低度)によって、そのプローブが天然に存在する配列、対立遺伝子変異体、または他の関連配列とハイブリダイズするかどうかが決定される。ハイブリダイゼーション技法を使用して、hnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子中の新形成を示す突然変異を同定することができ、あるいはハイブリダイゼーション技法を使用して、これらの遺伝子の発現レベルをモニタリングすることができる(例えば、ノーザン分析によって(Ausubel他、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience、New York、2001))。
さらに他の手法では、hnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子の配列を直接分析することによって、新形成を発症する傾向に関して、被験者を診断することができる。
スクリーニングアッセイ
前に論じたように、hnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子の発現は、新形成で増大する。この発見に基づくと、本発明の組成物は、hnRNP A1および/またはhnRNP A2ポリペプチドの発現または生物学的活性を低下させ、その発現が新形成を有する患者で増大する、候補化合物を同定するための、ハイスループットで低コストの候補化合物のスクリーニングに有用である。
任意の数の方法が、hnRNP A1および/またはhnRNP A2ポリペプチドの発現を阻害する、新しい候補化合物を同定するための、スクリーニングアッセイを行うために利用可能である。一実施例では、hnRNP A1またはhnRNP A2核酸配列を発現する培養細胞の培地に、さまざまな濃度で候補化合物を加える。次いで遺伝子発現を、例えばマイクロアレイ分析、ノーザンブロット分析(Ausubel他、上記)、またはRT-PCRによって、ハイブリダイゼーションプローブとして核酸分子から作製した任意の適切な断片を使用して測定する。候補化合物の存在下での遺伝子発現のレベルを、候補分子を欠く対照培地中で測定したレベルと比較する。hnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子、またはその機能的同等物の発現の低下を促進する化合物は、本発明において有用であるとみなされ;このような候補化合物は、例えばヒト患者の新形成を治療するための治療剤として、使用することができる。
他の実施例では、同一の一般的手法および標準的な免疫学的技法、例えばウエスタンブロッティング、またはhnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子によってコードされたポリペプチドに特異的な抗体を用いる免疫沈降などを使用して、ポリペプチド生成のレベルで、候補化合物の効果を測定することができる。例えば、イムノアッセイを使用して、生物中のhnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドの発現を検出するか、あるいはモニタリングすることができる。このようなポリペプチドと結合することができる、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を、任意の標準的なイムノアッセイ形式(例えばELISA、ウエスタンブロット、またはRIAアッセイ)で使用して、ポリペプチドのレベルを測定することができる。候補化合物は、ポリペプチドの発現または生物学的活性の低下を、促進することが好ましい。ここでもこのような分子を、例えばヒト患者の新形成、または新形成の症状を予防、遅延、改善、または治療するための治療剤として、使用することができる。
さらに他の実施例では、hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドと特異的に結合する、候補化合物をスクリーニングすることができる。このような候補化合物の有効性は、このようなポリペプチド、またはその機能的同等物と相互作用するその能力に依存する。このような相互作用は、任意の数の標準的結合技法および機能性アッセイ(例えばAusubel他、上記中に記載されたもの)を使用して容易にアッセイすることができる。一実施形態では、hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドと特異的に結合するその能力に関して、候補化合物をin vitroで試験することができる。他の実施形態では、hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドの生物学的活性を増大させるその能力に関して、候補化合物を試験する。hnRNP A1またはhnRNP A2の生物学的活性は、本明細書に記載した標準的方法を使用してアッセイする。
他の実施例では、hnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子は、検出可能なレポーターとの転写または翻訳融合体として発現され、誘導性プロモーターなどの異種プロモーターの制御下で、単離細胞(例えば哺乳動物細胞または昆虫細胞)中において発現される。融合タンパク質を発現する細胞を、次いで候補化合物と接触させ、その細胞中での検出可能なレポーターの発現を未処理対照細胞中での検出可能なレポーターの発現と比較する。検出可能なレポーターの発現を低下させる候補化合物は、新形成を治療するのに有用な化合物である。好ましい実施形態では、候補化合物は、hnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子と融合したレポーター遺伝子の発現を低下させる。
1つの特定の実施例では、hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドと結合する候補化合物を、クロマトグラフィーをベースとする技法を使用して同定することができる。例えば、本発明の組み換えポリペプチドは、ポリペプチドを発現させるために工学処理した細胞(例えば上記に記載したもの)から、標準的技法によって精製することができ、カラムに固定することができる。候補化合物の溶液を次いでカラムに通し、hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドに特異的な化合物を、ポリペプチドと結合する、およびカラムに固定するその能力に基づいて同定する。化合物を単離するために、カラムを洗浄して、非特異的に結合した分子を除去し、次いで目的の化合物を、カラムから遊離し、回収する。類似の方法を使用して、ポリペプチドマイクロアレイと結合した化合物を単離することができる。この方法(または任意の他の適切な方法)によって単離した化合物は、望ましいならば、さらに精製することができる(例えば高性能液体クロマトグラフィーによって)。10mM以下の親和性定数で、本発明のポリペプチドと結合するとして同定される化合物は、本発明において特に有用であるとみなされる。あるいは、任意のin vivoタンパク質相互作用検出系、例えば任意の2ハイブリッドアッセイを使用することができる。
可能性のあるアンタゴニストには、hnRNP A1またはhnRNP A2の核酸配列またはポリペプチドと結合する有機分子、ペプチド、ペプチド擬似体、ポリペプチド、核酸、および抗体が含まれる。
本明細書中に挙げたそれぞれのDNA配列は、新形成を治療するための治療用化合物の発見および開発において、使用することもできる。コードされているタンパク質は、発現によって、薬剤のスクリーニング用の標的として使用することができる。さらに、コードされているタンパク質のアミノ末端領域をコードするDNA配列、またはそれぞれのmRNAのシャイン-ダルガルノ配列、または他の翻訳促進配列を使用して、目的のコード配列の発現を促進する配列を構築することができる。このような配列は、標準的な技法によって単離することができる(Ausubel他、上記)。
本発明の小分子は、好ましくは2,000ダルトン以下、より好ましくは300ダルトンと1,000ダルトンの間、および最も好ましくは400ダルトンと700ダルトンの間の分子量を有する。これらの小分子は、有機分子であることが好ましい。
試験抽出物および化合物
一般に、hnRNP A1またはhnRNP A2の発現または生物学的活性を低下させる化合物は、当技術分野で知られている方法に従って、天然産物、合成(または半合成)抽出物の大きなライブラリー、または化学物質のライブラリーから同定する。当業者は、試験抽出物または化合物の供給源そのものは、本発明のスクリーニング手順には重要ではないことを理解するであろう。したがって、ほぼ任意の数の化学抽出物または化合物を、本明細書に記載した例示的な方法を使用して、スクリーニングすることができる。このような抽出物または化合物の例には、植物、真菌、原核生物、または動物に基づく抽出物、発酵培養液、および合成化合物、ならびに既存の化合物の変形が挙げられるが、これらだけには限られない。多数の方法が、糖、脂質、ペプチド、および核酸系化合物だけには限られないがこれらを含めた、任意の数の化学化合物の、ランダムまたは指定合成(例えば半合成または全合成)を生じるのにも利用可能である。合成化合物のライブラリーは、例えばBrandon Associates(Merrimack、NH)、Aldrich Chemical(Milwaukee、WI)、およびTalon Cheminformatics(Acton、Ont.)から市販されている。
あるいは、細菌、真菌、植物、および動物抽出物の形である天然化合物のライブラリーは、Biotics(Sussex、UK)、Xenova(Slough、UK)、Harbor Branch Oceangraphics Institute(Ft.Pierce、FL)、およびPharmaMar、U.S.A.(Cambridge、MA)だけには限られないがこれらを含めた、いくつかの供給源から市販されている。さらに、天然および合成によって生じるライブラリーは、望ましいならば当技術分野で知られている方法に従って(例えばコンビナトリアル化学法または標準的な抽出および分画法によって)生成される。さらに、望ましいならば、任意のライブラリーまたは化合物は、標準的な化学的;物理的、または生化学的方法を使用して、容易に改変することができる。
hnRNP A1またはhnRNP A2の生成
hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドは、このようなポリペプチドと結合し、それらの生物学的活性を阻害する候補化合物のスクリーニングにおいて有用である。一般に、hnRNP A1またはhnRNP A2などのポリペプチドは、適切な宿主細胞、例えば真核細胞を、ポリペプチド-コード核酸分子、またはその断片の全体または一部分を用いて、適切な発現ビヒクル中で形質転換することによって、生成することができる。
分子生物学の分野の当業者は、任意の広くさまざまな発現系を使用して、組換えタンパク質を提供することができることを理解するであろう。hnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子配列をプラスミドまたは他のベクターに導入した真核生物のhnRNP A1またはhnRNP A2ペプチド発現系を作製することができ、これは次いで生細胞を形質転換するために使用する。完全なオープンリーディングフレームを含むhnRNP A1またはhnRNP A2のcDNAが、発現プラスミドに正しい方向に挿入された構築体を、タンパク質の発現用に使用することができる。真核生物の発現系は、hnRNP A1またはhnRNP A2ペプチドが、同定および/または精製を容易にするタグ分子と共有結合している、hnRNP A1またはhnRNP A2ペプチド融合タンパク質の発現および回収を可能にする。精製後にタグを除去することができるように、hnRNP A1またはhnRNP A2ペプチドとタグ分子の間に、酵素または化学切断部位を設計することができる。
典型的な発現ベクターは、プラスミド含有細胞中で、挿入されるhnRNP A1またはhnRNP A2核酸に対応する多量のmRNAの合成を指令するプロモーターを含む。発現ベクターは、宿主生物中でのその自律複製を可能にする複製配列の起点、合成mRNAが翻訳される効率を増大させる他の配列の存在下において、ベクター含有細胞の選択を可能にする遺伝的形質をコードする配列も含むことができる。安定性のある長期用のベクターは、例えばウイルス(例えばエプスタインバーウイルスのゲノム由来のOriP配列)の調節エレメントを使用して、自由に複製する実体として維持することができる。ベクターがゲノムDNAに組み込まれた、細胞系を生成することもでき、このようにして、連続的に遺伝子産物が生成される。
使用する宿主細胞そのものは、本発明には重要ではない。hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドは、任意の真核生物宿主(例えば、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、Sf21細胞などの昆虫細胞、またはNIH3T3、HeLa、COS細胞などの哺乳動物細胞、または線維芽細胞)において、生成することができる。このような細胞は、広範囲の供給源(例えば、the American Type Culture Collection、Rockland、MD;例えば、Ausubel他、Current Protocols in Molecular Biology、Wiley Interscience、New York、2001も参照のこと)から入手可能である。形質転換またはトランスフェクションの方法、および発現ビヒクルの選択は、選択する宿主系に依存するであろう。形質転換およびトランスフェクションの方法は、例えばAusubel他(上記)中に記載されており;発現ビヒクルは、例えばCloning Vectors:A Laboratory Manual(P.H.Pouwels他、1985、Supp.1987)中に与えられたものから選択することができる。
天然のhnRNP A1またはhnRNP A2は、それを天然に生成するヒト細胞から、あるいは組換えhnRNP A1またはhnRNP A2遺伝子を発現するように設計した、トランスジェニック真核細胞から単離することができる。
適切な発現ベクターを構築した後、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラントランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、プロトプラスト融合、またはリポソーム介在トランスフェクションなどだけには限られないが、これらの形質転換技法によって、ベクターを適切な宿主細胞中に導入する。
本発明の組換えポリペプチドを発現させた後、例えば親和性クロマトグラフィーを使用して、それを単離する。一例では、本発明のポリペプチドに対して産生した抗体(例えば、本明細書に記載したように生成したもの)をカラムに結合させることができ、それを使用して組換えポリペプチドを単離することができる。親和性クロマトグラフィーの前の、ポリペプチド収容細胞の溶解および分画は、標準的な方法(例えばAusubel他、上記を参照)によって行うことができる。組換えタンパク質は、例えば高速液体クロマトグラフィーまたは他のクロマトグラフィーを含めた任意の適切な技法によって精製することができる(例えば、Fisher、Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology、eds.、Work and Burdon、Elsevier、1980を参照)。
本発明のポリペプチド、特に短いペプチド断片は、また化学合成によって(例えば、Solid Phase Peptide Synthesis、2nd ed.、1984 The Pierce Chemical Co.、Rockford、IL中に記載された方法によって)生成することもできる。
ポリペプチド発現および精製のこれらの一般的技法を使用して、有用なペプチド断片または類似体を生成および単離することもできる。
治療用hnRNP A1またはhnRNP A2 RNAi
任意の温血哺乳動物由来の新生物を、本発明の方法を使用して治療することができる。そのような治療に供する新生物としては、特に限定されるものではないが、肺癌、結腸癌、腎臓癌、骨癌、乳癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、肝臓癌、膵臓癌、脳癌、リンパ腫、メラノーマ、ミエローマ、腺癌、胸腺腫、形質細胞腫、または任意の他の新生物が挙げられるが、このような新生物は、高いA1および/またはA2発現を有することによって特徴付けられることが好ましい。本発明のdsRNA分子を使用するのに特に興味深いのは、hnRNP遺伝子産物の高い発現、または改変型遺伝子産物の発現と関係がある新生物である。温血動物には、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、鳥類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、サル、ヒヒ、または他の哺乳動物が含まれるが、これらだけには限られない。
RNAi用のhnRNP A1またはhnRNP A2治療剤
RNAi療法用のhnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子(例えば、dsRNA、アンチセンスRNA、またはsiRNA)の投与を施して、新生物を予防または治療することができる。このような核酸分子は、組織または新生物に直接投与することができ、あるいは発現ベクター内において与えることができ、したがって、RNAiを介在する核酸分子が安定して発現される。
RNAi用のhnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子(例えば、dsRNA、アンチセンスRNA、またはsiRNA)、またはこれらの混合物を直接投与するために、核酸分子は単位剤形で与え、それぞれの用量は、標的遺伝子をサイレンシングするのに十分な所定量のこのような分子を、医薬組成物を形成するためのリン酸緩衝生理食塩水などの、薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含む。さらに、RNAi用のhnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子は、固体形態に調合することができ、使用前に再溶解または懸濁することができる。医薬組成物は、場合によっては他の化学療法剤、抗体、抗ウイルス剤、および外因性免疫調節物質を含むことができる。
投与の経路は、静脈内、筋肉内、皮下、局所、皮内、腹膜内、クモ膜下、ex vivoなどであってよい。投与は経粘膜または経皮手段によるものであってもよく、あるいは化合物を経口投与することができる。経粘膜または経皮投与用に、障壁を浸透するのに適した浸透剤を、製剤中に使用する。このような浸透剤は当技術分野では一般的に知られており、例えば経粘膜投与用の胆汁酸塩およびフシジン酸誘導体を含む。さらに、界面活性剤を使用して浸透を容易にすることができる。経粘膜投与は、例えば鼻腔スプレーによる投与、あるいは座薬を使用する投与であってよい。経口投与には、RNAi用のhnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子を、カプセル、錠剤およびトニックなどの、従来の経口投与形態に調合する。局所投与には、当技術分野では一般的に知られているように、本発明の核酸分子を、軟膏、膏薬、ゲルまたはクリームに調合する。
哺乳動物にRNAi用のhnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子を与える際には、投与する核酸分子の用量は、哺乳動物の年齢、体重、身長、性別、一般的な医療状況、以前の病歴、疾患の進行状態、腫瘍の重度などの要因に応じて変わるであろう。示すような用量を投与する。他の療法剤を、核酸分子と共に投与することができる。
本明細書に記載する、核酸分子を使用する治療の有効性は、A1およびA2のDNA、RNA、または遺伝子産物の濃度または活性の変化、腫瘍の進行状態、または新生物と関係がある病状または症状の低下を決定することによって評価することができる。
核酸療法
核酸療法は、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子の高い発現と関係がある新形成を、予防または改善するための他の治療手法である。アンチセンス核酸分子、dsRNA、siRNA、またはshRNAをコードする発現ベクターを、内因性hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子を過剰発現する細胞に送達することができる。このような送達によって、RNAi用のhnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子の持続的発現がもたらされる。核酸分子が細胞によって取り込まれることができ、その結果十分なレベルのRNAi核酸分子が生成され、新形成を有する患者のhnRNP A1またはA2レベルを低下させることができる形で、RNAiを必要とする細胞(例えば腫瘍細胞)に、核酸分子を送達しなければならない。
形質導入ウイルス(例えばレトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)ベクターは、特にそれらの高い感染効率、および安定した組み込みおよび発現のために、体細胞遺伝子療法に使用することができる(例えばCayouette他、Human Gene Therapy8:423〜430、1997;Kido他、Current Eye Research15:833〜844、1996;Bloomer他、Journal of Virology71:6641〜6649、1997;Naldini他、Science272:263〜267、1996;およびMiyoshi他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94:10319、1997を参照のこと)。使用することができる他のウイルスベクターは、例えばワクシニアウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、またはエプスタインバーウイルスなどのヘルペスウイルスを含むことができる(例えばMiller、Human Gene Therapy15〜14、1990;Friedman、Science244:1275〜1281、1989;Eglitis他、BioTechniques6:608〜614、1988;Tolstoshev他、Current Opinion in Biotechnology1:55〜61、1990;Sharp、The Lancet337:1277〜1278、1991;Cornetta他、Nucleic Acid Research and Molecular Biology36:311〜322、1987;Anderson、Science226:401〜409、1984;Moen、Blood Cells17:407〜416、1991;Miller他、Biotechnology7:980〜990、1989;Le Gal La Salle他、Science259:988〜990、1993;およびJohnson、Chest107:77S〜83S、1995のベクターも参照のこと)。レトロウイルスベクターが特に十分に開発されており、臨床設定で使用されてきている(Rosenberg他、N.Engl.J.Med323:370、1990;Anderson他、米国特許第5,399,346号)。ウイルスベクターを使用して、RNAiを介在することができるhnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子を発現させることが最も好ましい。
非ウイルス手法を、新形成を有する患者の細胞に、RNAi治療剤を導入するために使用することもできる。例えば、リポフェクション(Felgner他、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:7413、1987;Ono他、Neuroscience Letters17:259、1990;Brigham他、Am.J.Med.Sci.298:278、1989;Staubinger他、Methods in Enzymology101:512、1983)、アシアロオロソムコイド-ポリリシン結合(Wu他、Journal of Biological Chemistry263:14621、1988;Wu他、Journal of Biological Chemistry264:16985、1989)の存在下で核酸を投与することによって、あるいは外科手術条件下でのマイクロインジェクション(Wolff他、Science247:1465、1990)によって、核酸分子を細胞に導入することができる。核酸分子はプラスミドベクター中に含まれ、リポソームおよびプロタミンと組み合わせて投与されることが好ましい。
RNAi遺伝子療法に使用するための核酸分子の発現は、任意の適切なプロモーター(例えばヒトサイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、またはメタロチオネインプロモーター)から指令することができ、任意の適切な哺乳動物の調節エレメントによって制御することができる。例えば、望ましいならば、腫瘍細胞などの特定の細胞型における遺伝子発現を、優先的に指令することが知られているエンハンサーを使用して、核酸の発現を指令することができる。使用するエンハンサーは、組織または細胞特異的エンハンサーとして特徴付けられるエンハンサーを、非制限的に含むことができる。
併用療法
hnRNP A1またはA2核酸またはポリペプチドは、任意の他の標準的な新形成療法と組み合わせて投与することができ;このような方法は、当業者には知られており(例えば、Wadler他、Cancer Res.50:3473〜86、1990)、当該療法には、化学療法、ホルモン療法、免疫療法、放射線療法、および新形成を治療するために使用される任意の他の治療法が含まれるが、これらだけには限られない。
他の実施形態
前述の記載事項から、変形および変更を、本明細書に記載した本発明に対して行い、それをさまざまな使用および条件に適合させることができることは明らかである。このような実施形態も、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
本明細書に述べたすべての刊行物は、それぞれ個別の刊行物または特許出願が、参照によって組み込まれていることが詳細かつ個別に示されるが如く同程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
図1は、siRNAトランスフェクトHeLaS3細胞中の、hnRNP A1およびhnRNP A2発現のウエスタンブロットを示す。子宮頚癌HeLaS3細胞系由来の細胞を、6ウエルプレートに接種し(65,000細胞/ウエル)、24時間および48時間でトランスフェクトした。対照サンプルは、siRNAの不在下においてオリゴフェクタミンで処理した。最初のトランスフェクションの96時間後に、細胞を収集した。ニトロセルロース膜のポンソーS染色を使用して、等量のタンパク質がそれぞれのレーンに載っていたことを確認した(示さず)。hnRNP A1、hnRNP A2タンパク質、およびそのそれぞれのスプライシングされたアイソフォームA1BおよびB1を、抗Al/A2抗体を用いて明らかにした。Al#1〜Al#7:ヒトhnRNP A1のmRNAを標的とする、センスおよびアンチセンスsiRNA;A2#1〜A2#5:ヒトhnRNP A2のmRNAを標的とする、センスおよびアンチセンスsiRNA;Al#1M:ミスマッチ型のA1#1を含む対照siRNA、対照:siRNAを含まないリポフェクタミン。(注:これらの略語は図面を通してこの意味を有するものとする)。 図2は、siRNAトランスフェクトHeLaS3細胞の、細胞増殖を示すヒストグラムである。siRNAは、hnRNP A1(A1#1〜A1#7、A1ミスマッチ対照Al#M)、またはhnRNP A2(A2#1〜A2#5)を標的とした。トランスフェクションの96時間後に、接着細胞の写真をとり、接着細胞および浮遊細胞の双方を、採取し計数した。細胞の生存能力は、トリパンブルー色素排除によって評価した。線影を付けた領域は、アポトーシスと関係がある特徴的な形態を、細胞が示すことを示す。 図3は、位相差顕微鏡(倍率200倍)下での、siRNAトランスフェクトHeLaS3細胞の顕微鏡写真を示す。対照:リポフェクタミン;siAl:hnRNP A1を標的とするsiRNA;siAlM:ミスマッチhnRNP A1対照;siA2:hnRNP A2を標的とするsiRNA。(注:これらの略語は図面を通してこの意味を有するものとする)。 図4Aの上側パネルは、33kDaの不活性プロ-カスパーゼ-3、およびアポトーシス細胞中で見られる活性化20kDa形態の双方を認識するモノクローナル抗体を用いた、ウエスタンブロット分析を示す。HeLaS3細胞は上記に記載したのと同様にトランスフェクトし、最初のトランスフェクションの96時間後に、細胞を収集した。図4Aの下側パネルは、活性化カスパーゼ-3の基質であるPARP酵素を認識する抗体を用いて、同じタンパク質サンプルに行った、ウエスタン分析を示す。 図4Bは、リポフェクタミン(対照)、hnRNP A1およびA2を標的とするsiRNAの組み合わせ(siA1+siA2)、ミスマッチ対照の組み合わせ(siA1M+siA2)またはスタウロスポリンで処理した、HeLaS3細胞のTUNELアッセイを示す。 図4Cは、サイトメトリーによるDNA含量分析前に、固定しヨウ化プロピジウムで染色した、siRNA処理細胞中のDNA含量を示す。「n」は、半数体DNA含量を指す。アポトーシスと関係があるsubG1 DNAの出現が、HeLaS3細胞において見られることを記す。 図5Aは、テロメア一本鎖伸長部の長さを測定するための、オリゴヌクレオチド連結アッセイの結果を示す。最初のトランスフェクションの72時間後に、HeLaS3細胞を採取し、細胞のDNAを抽出した。オリゴヌクレオチド連結アッセイは、5μgの細胞DNAを使用して行い、その連結産物をシークエンスゲル上で解析し、オートラジオグラフィーにより検出した。ゲルをスキャニングした。ゲル横のヒストグラムは、スキャン画像のバンド強度を示す。レーン1:A1#1とA2#1の組み合わせ;レーン2:A1#1MおよびA2。 図5Bは、図5Aのオリゴヌクレオチド連結アッセイの定量化を示すグラフである。最初のトランスフェクションの48時間後に、同様の結果が見られた。Quantity One quantificationソフトウェア(商標)(Bio-Rad)を使用して、その画像を分析した。連結産物ラダーの、それぞれのバンドの強度の値は、バンド中の連結オリゴヌクレオチドプローブの数に関する除法によって正規化した。次いでこの値を全体強度に正規化し、3'-突出部の長さの相対頻度としてプロットした。 図5Cは、スタウロスポリン(レーン2)で24時間、または対照としてDMSO(レーン1)で処理した、HeLaS3細胞のテロメア一本鎖の3'突出部の測定値を提供する。ゲルをスキャニングし、ゲルの横のヒストグラムは、スキャン画像のバンド強度を示す。 図5Dは、図5Cに示すアッセイ連結アッセイの、テロメアプローブ連結産物の定量化を提供する。Quantity One quantificationソフトウェア(商標)(Bio-Rad)を使用して、その画像を分析した。連結産物ラダーの、それぞれのバンドの強度の値は、バンド中の連結オリゴヌクレオチドプローブの数に関する除法によって正規化した。次いでこの値を全体強度に正規化し、3'-突出部の長さの相対頻度としてプロットした。 図6は、hnRNP A1およびhnRNP A2を標的とするさまざまなsiRNA濃度の、HeLaS3細胞の生存能力に対する影響を示すヒストグラムである。HeLaS3細胞はトランスフェクションの24時間前に6ウエルプレートに接種した(65,000細胞/ウエル)。示した濃度のsiRNAで細胞を二度トランスフェクトし、細胞の生存能力の分析は、トランスフェクションの96時間後に、トリパンブルー色素排除アッセイを使用して行った。NT:トランスフェクトせず;対照:siRNAを含まないリポフェクタミン;ラミンA/C。 図7Aは、siRNAトランスフェクション後のさまざまな時点での、HeLaS3細胞の細胞生存能力の測定値を示すグラフである。HeLaS3細胞を、トランスフェクションの24時間前に6ウエルプレートに接種した(65,000細胞/ウエル)。24時間および48時間でsiRNAを用いて細胞をトランスフェクトし、細胞の生存能力の分析は、最初のトランスフェクションの72時間、96時間、120時間、および144時間後に、トリパンブルー色素排除アッセイを使用して行った。 図7Bは、siRNAトランスフェクション後にアッセイしたHeLaS3細胞抽出物中の、hnRNP A1およびhnRNP A2タンパク質の発現を示す。前述のようにトランスフェクトした40,000個の細胞からの抽出物を、トランスフェクションの72時間、96時間、120時間、および144時間後に採取し、SDS-PAGEによって分離し、膜に転写し、Al/A2/A1B/B1に対するポリクローナル抗体を使用して、免疫ブロットした。オリゴフェクタミン(Oligofect):siRNAなしの対照トランスフェクション。 図8は、HCT116癌細胞系中でのhnRNP A1およびhnRNP A2発現に対する、siRNAによる処理の影響を示す、ウエスタンブロットである。 図9Aは、HCT116結腸直腸癌細胞系に対するhnRNP A1およびA2を標的とするsiRNAの、細胞増殖に対する影響を示すヒストグラムである。下部分は、A1/A2発現のウエスタン分析を示す。 図9Bは、siRNA処理HCT116細胞の顕微鏡写真を示す。トランスフェクション後72時間で、細胞を採取し処理して、hnRNP A1およびhnRNP A2発現の、表現型に対する影響を決定した。 図10は、HT1080線維肉腫癌細胞系中でのhnRNP A1およびhnRNP A2発現に対する、siRNAによる処理の影響を示す、ウエスタンブロットである。 図11Aは、HT1080細胞における細胞増殖、ならびにhnRNP A1およびhnRNP A2発現に対するsiRNAトランスフェクションの影響を示すヒストグラムおよびウエスタンブロットである。siA1M+siA2:ミスマッチ対照の組み合わせ;対照:示すsiRNAを含まないリポフェクタミン処理;siA1+siA2:hnRNP A1およびhnRNP A2を標的とするsiRNAの組み合わせ。 図11Bは、示したsiRNAでトランスフェクトしたHT1080細胞の顕微鏡写真を示す。siA1M+siA2:ミスマッチ対照の組み合わせ;対照は、示すsiRNAを含まないリポフェクタミン処理である;siA1+siA2:hnRNP A1およびhnRNP A2を標的とするsiRNAの組み合わせ。 図12Aは、hnRNP A1およびA2を標的とするsiRNAのMCF-7乳癌細胞系の増殖に対する影響を示すヒストグラムである。下部分は、hnRNP A1およびA2発現のウエスタン分析を示す。 図12Bは、siRNA処理MCF-7細胞の顕微鏡写真を示す。トランスフェクション後72時間で、細胞を採取し処理して、hnRNP A1およびhnRNP A2発現の、表現型に対する影響を決定した。 図13Aは、CCD-18Co細胞における細胞増殖、ならびにhnRNP A1およびhnRNP A2発現に対するsiRNAトランスフェクションの影響を示すヒストグラムおよびウエスタンブロットである。 図13Bは、示したsiRNAでトランスフェクトした、CCD-18Co細胞の顕微鏡写真を示す。siA1M+siA2:ミスマッチ対照の組み合わせ;対照は、示すsiRNAを含まないリポフェクタミン処理である;siA1+siA2:hnRNP A1およびhnRNP A2を標的とするsiRNAの組み合わせ。 図14Aは、致死BJ細胞における細胞増殖、ならびにhnRNP A1およびhnRNP A2発現に対する、siRNAトランスフェクションの影響を示す、ヒストグラムおよびウエスタンブロットである。 図14Bは、示したsiRNAでトランスフェクトした、致死BJ細胞の顕微鏡写真を示す。 図15Aは、HIEC細胞における細胞増殖、ならびにhnRNP A1およびhnRNP A2発現に対するsiRNAトランスフェクションの影響を示すグラフおよびウエスタンブロットである。 図15Bは、示したsiRNAでトランスフェクトした不死化したHIEC細胞の顕微鏡写真を示す。 図16Aは、不死化したBJ-TIELF細胞における細胞増殖、ならびにhnRNP A1およびhnRNP A2発現に対するsiRNAトランスフェクションの影響を示すグラフおよびウエスタンブロットである。 図16Bは、示したsiRNAでトランスフェクトした不死化したBJ-TIELF細胞の顕微鏡写真を示す。 図17は、BJ-TIELF細胞におけるRNAi後のDNA含量分析を示す。 図18は、さまざまな細胞系中でのhnRNP A1およびhnRNP A2発現に対するRNAiの影響を示す表である。 図19は、癌組織および正常組織中でのhnRNP A1およびhnRNP A2発現の顕微鏡写真を示す。(A)正常患者、および(B)肺腺癌を有する患者由来の肺組織中のhnRNP A1およびhnRNP A2発現の免疫組織化学分析。(C)正常患者および(D)膵臓腺癌を有する患者由来の膵臓組織中のhnRNP A1およびhnRNP A2発現の免疫組織化学分析。倍率40倍。
【配列表】
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Claims (136)

  1. 細胞の細胞死を誘導する方法であって、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子またはポリペプチドの発現を阻害することを含む、前記方法。
  2. (i)hnRNP A1の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子、および(ii)hnRNP A2の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子を細胞に投与することを含み、かつ前記核酸分子を、内因性hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子またはタンパク質の発現を低下させるのに十分な量で投与する、請求項1に記載の方法。
  3. 上記投与する核酸分子が二本鎖核酸分子である、請求項1に記載の方法。
  4. 上記投与する核酸分子がsiRNA核酸分子である、請求項1に記載の方法。
  5. 上記投与する核酸分子がアンチセンス核酸分子である、請求項1に記載の方法。
  6. 上記投与する核酸分子が上記細胞中で安定して発現されるものである、請求項1に記載の方法。
  7. 上記細胞が腫瘍細胞である、請求項1に記載の方法。
  8. 上記腫瘍細胞が哺乳動物細胞である、請求項7に記載の方法。
  9. 上記哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項8に記載の方法。
  10. 上記ヒト細胞がin vivoである、請求項9に記載の方法。
  11. 上記細胞死がテロメアの脱キャッピングによって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
  12. 上記siRNAが、配列番号29または30の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項4に記載の方法。
  13. 上記siRNAが、配列番号29または30の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項4に記載の方法。
  14. 上記siRNAが、配列番号29または30の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項4に記載の方法。
  15. 上記アンチセンス核酸分子が、配列番号29または30の少なくとも10ヌクレオチドと相補的である、請求項5に記載の方法。
  16. 上記アンチセンス核酸分子が、配列番号29または30の少なくとも20ヌクレオチドと相補的である、請求項2に記載の方法。
  17. 上記アンチセンス核酸分子が、配列番号29または30の少なくとも30ヌクレオチドと相補的である、請求項2に記載の方法。
  18. 上記方法が、正常細胞ではなく腫瘍細胞でアポトーシスを誘導するのに十分である、請求項1に記載の方法。
  19. 新生物を有する被験者を治療する方法であって、(i)hnRNP A1の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子、および(ii)hnRNP A2の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子を、前記被験者の細胞に投与することを含み、前記投与によって、前記被験者の細胞中のhnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子またはタンパク質の発現が低下する、前記方法。
  20. 上記投与する核酸分子が二本鎖核酸分子である、請求項12に記載の方法。
  21. 上記投与する核酸分子がsiRNA核酸分子である、請求項12に記載の方法。
  22. 上記投与する核酸分子がアンチセンス核酸分子である、請求項12に記載の方法。
  23. 上記投与する核酸分子が上記細胞中で安定して発現されるものである、請求項12に記載の方法。
  24. 上記投与が、上記被験者の腫瘍細胞の細胞死を特異的に誘導するが、上記被験者の正常細胞の細胞死を誘導しない、請求項12に記載の方法。
  25. 上記細胞死がテロメアの脱キャッピングによって引き起こされる、請求項17に記載の方法。
  26. 上記被験者が膀胱、血液、骨、脳、乳房、軟骨、結腸、腎臓、肝臓、肺、リンパ節、神経組織、卵巣、膵臓、前立腺癌、骨格筋、皮膚、脊髄、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、気管、尿生殖管、尿管、尿道、子宮、または膣の癌を有する、請求項12に記載の方法。
  27. 上記方法が、任意の標準的な癌療法と組み合わせて施される、請求項12に記載の方法。
  28. 上記siRNAが、配列番号29または30の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項21に記載の方法。
  29. 上記siRNAが、配列番号29または30の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項21に記載の方法。
  30. 上記siRNAが、配列番号29または30の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項21に記載の方法。
  31. 上記アンチセンス核酸分子が、配列番号29または30の少なくとも10ヌクレオチドと相補的である、請求項22に記載の方法。
  32. 上記核酸分子が、配列番号29または30の少なくとも20ヌクレオチドと相補的である、請求項22に記載の方法。
  33. 上記核酸分子が、配列番号29または30の少なくとも30ヌクレオチドと相補的である、請求項22に記載の方法。
  34. 細胞中の染色体の一本鎖テロメア伸長部の長さを減少させる方法であって、(i)hnRNP A1の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子、および(ii)hnRNP A2の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子を、細胞に投与することを含み、前記投与によって、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子またはタンパク質の発現が低下する、前記方法。
  35. 上記投与する核酸分子が二本鎖核酸分子である、請求項21に記載の方法。
  36. 上記投与する核酸分子がsiRNA核酸分子である、請求項21に記載の方法。
  37. 上記投与する核酸分子がアンチセンス核酸分子である、請求項21に記載の方法。
  38. 上記細胞死が、増大したテロメアまたは染色体融合の結果である、請求項21に記載の方法。
  39. hnRNP A1の配列の少なくとも一部分と実質的に相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子を含む、医薬組成物。
  40. 上記核酸分子がsiRNA核酸分子である、請求項39に記載の組成物。
  41. 上記siRNAが、配列番号29の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項40に記載の組成物。
  42. 上記siRNAが、配列番号29の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項40に記載の組成物。
  43. 上記siRNAが、配列番号29の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項40に記載の組成物。
  44. 配列番号30の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子を含む、医薬組成物。
  45. 上記核酸分子がsiRNAである、請求項44に記載の組成物。
  46. 上記siRNAが、配列番号30の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項45に記載の組成物。
  47. 上記siRNAが、配列番号30の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項45に記載の組成物。
  48. 上記siRNAが、配列番号30の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項45に記載の組成物。
  49. 上記核酸分子がアンチセンス核酸分子である、請求項44に記載の組成物。
  50. 上記アンチセンス核酸分子が、配列番号30の少なくとも10ヌクレオチドと100%相補的である、請求項49に記載の組成物。
  51. 上記アンチセンス核酸分子が、配列番号30の少なくとも20ヌクレオチドと100%相補的である、請求項49に記載の方法。
  52. 上記アンチセンス核酸分子が、配列番号30の少なくとも30ヌクレオチドと100%相補的である、請求項49に記載の方法。
  53. (i)hnRNP A1の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子、および(ii)hnRNP A2の核酸配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を含む核酸分子を含む、医薬組成物。
  54. 上記核酸分子が二本鎖核酸分子である、請求項53に記載の組成物。
  55. 上記核酸分子がsiRNA核酸分子である、請求項53に記載の組成物。
  56. 上記核酸分子がアンチセンス核酸分子である、請求項53に記載の組成物。
  57. (i)のsiRNAが配列番号29の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有し、かつ(ii)のsiRNAが配列番号30の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項55に記載の組成物。
  58. (i)のsiRNAが配列番号29の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有し、かつ(ii)のsiRNAが配列番号30の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項55に記載の組成物。
  59. (i)のsiRNAが配列番号29の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有し、かつ(ii)のsiRNAが配列番号30の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項55に記載の組成物。
  60. (i)のアンチセンスが配列番号29の少なくとも10ヌクレオチドと相補的であり、かつ(ii)のアンチセンスが配列番号30の少なくとも10ヌクレオチドと相補的である、請求項56に記載の組成物。
  61. (i)のアンチセンスが配列番号29の少なくとも20ヌクレオチドと相補的であり、かつ(ii)のアンチセンスが配列番号30の少なくとも20ヌクレオチドと相補的である、請求項56に記載の組成物。
  62. (i)のアンチセンスが配列番号29の少なくとも30ヌクレオチドと相補的であり、かつ(ii)のアンチセンスが配列番号30の少なくとも30ヌクレオチドと相補的である、請求項56に記載の組成物。
  63. 薬学的に許容される担体中に、配列番号1と2、3と4、5と6、7と8、9と10、11と12、13と14、15と16、17と18、19と20、21と22、23と24、および25と26からなる群から選択される二本鎖核酸分子の少なくとも一対を含む、医薬組成物。
  64. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号1と2である、請求項63に記載の医薬組成物。
  65. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号3と4である、請求項63に記載の医薬組成物。
  66. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号5と6である、請求項63に記載の医薬組成物。
  67. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号7と8である、請求項63に記載の医薬組成物。
  68. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号9と10である、請求項63に記載の医薬組成物。
  69. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号11と12である、請求項63に記載の医薬組成物。
  70. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号13と14である、請求項63に記載の医薬組成物。
  71. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号15と16である、請求項63に記載の医薬組成物。
  72. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号17と18である、請求項63に記載の医薬組成物。
  73. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号19と20である、請求項63に記載の医薬組成物。
  74. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号21と22である、請求項63に記載の医薬組成物。
  75. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号23と24である、請求項63に記載の医薬組成物。
  76. 上記二本鎖核酸分子の対が配列番号25と26である、請求項63に記載の医薬組成物。
  77. 上記組成物が、配列番号1と2、3と4、5と6、7と8、9と10、11と12、13と14、15と16、17と18、19と20、21と22、23と24、および25と26からなる群から選択される少なくとも二対の核酸分子を含む、請求項26に記載の医薬組成物。
  78. 配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、および26からなる群から選択される1つのアンチセンス核酸分子を含む医薬組成物。
  79. 患者の新形成を治療するためのキットであって、配列番号1と2、3と4、5と6、7と8、9と10、11と12、13と14、15と16、17と18、19と20、21と22、23と24、および25と26からなる群から選択される少なくとも一対の二本鎖核酸分子を含む、前記キット。
  80. 患者の新形成を治療するためのキットであって、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、および26からなる群から選択される少なくとも1つのアンチセンス核酸分子を含む、前記キット。
  81. 新形成を有しているか、あるいは新形成を発症する傾向を有している患者を診断する方法であって、患者サンプル中のhnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子もしくはポリペプチドの発現のレベルを測定することを含み、対照サンプル中の発現レベルに対して高い発現レベルが、前記患者が新形成を有しているか、あるいは新形成を発症する傾向を有していることを示す、前記方法。
  82. 上記方法が上記hnRNP A1の発現のレベルを測定することを含む、請求項81に記載の方法。
  83. 上記方法が上記hnRNP A2核酸分子の発現のレベルを測定することを含む、請求項81に記載の方法。
  84. 上記方法がhnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子の発現のレベルを測定することを含む、請求項81に記載の方法。
  85. 上記方法が上記hnRNP A1ポリペプチドの発現のレベルを測定することを含む、請求項81に記載の方法。
  86. 上記方法が上記hnRNP A2ポリペプチドの発現のレベルを測定することを含む、請求項81に記載の方法。
  87. 上記発現のレベルを免疫学的アッセイで測定する、請求項81に記載の方法。
  88. 患者の新形成を診断するための診断キットであって、核酸配列またはその断片、およびhnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子の少なくとも1つを含む、前記診断キット。
  89. 新形成を改善する候補化合物を同定する方法であって、hnRNP A1およびhnRNP A2核酸分子を発現する細胞を、候補化合物と接触させること、および前記候補化合物と接触した前記細胞中の前記核酸分子の発現のレベルを、前記候補化合物と接触していない対照細胞中の発現のレベルと比較することを含み、前記hnRNP A1またはhnRNP A2核酸分子の発現の低下によって、新形成を改善する候補化合物として前記候補化合物を同定する、前記方法。
  90. 上記発現の低下が転写の減少である、請求項89に記載の方法。
  91. 上記発現の低下が翻訳の減少である、請求項89に記載の方法。
  92. 新形成を改善する候補化合物を同定する方法であって、hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドを発現する細胞を候補化合物と接触させること、および前記候補化合物と接触した前記細胞中の前記ポリペプチドの発現レベルを、前記候補化合物と接触していない対照細胞中のポリペプチドの発現レベルと比較することを含み、前記hnRNP A1またはhnRNP A2ポリペプチドの発現の低下によって、新形成を改善する候補化合物として前記候補化合物を同定する、前記方法。
  93. 上記発現の低下を免疫学的アッセイ、酵素アッセイ、またはラジオイムノアッセイを使用してアッセイする、請求項92に記載の方法。
  94. hnRNP A2核酸分子またはポリペプチドの発現を阻害することによって、細胞の細胞死を誘導する方法。
  95. hnRNP A2の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子を細胞に投与することを含み、前記核酸分子を、hnRNP A2核酸分子またはタンパク質の発現を低下させるのに十分な量で投与する、請求項94に記載の方法。
  96. 上記投与する核酸分子が二本鎖核酸分子である、請求項94に記載の方法。
  97. 上記投与する核酸分子がsiRNA核酸分子である、請求項94に記載の方法。
  98. 上記投与する核酸分子がアンチセンス核酸分子である、請求項94に記載の方法。
  99. 上記投与する核酸分子が上記細胞中で安定して発現されるものである、請求項94に記載の方法。
  100. 上記細胞が腫瘍細胞である、請求項94に記載の方法。
  101. 上記腫瘍細胞が哺乳動物細胞である、請求項100に記載の方法。
  102. 上記哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項101に記載の方法。
  103. 上記ヒト細胞がin vivoである、請求項102に記載の方法。
  104. 上記細胞死がテロメアの脱キャッピングによって引き起こされる、請求項94に記載の方法。
  105. 発現用に配置された核酸分子を含むベクターであって、前記核酸分子は、hnRNP A1の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子をコードする、前記ベクター。
  106. 上記コードされた核酸分子が二本鎖核酸分子である、請求項105に記載のベクター。
  107. 上記コードされた核酸分子がsiRNA核酸分子である、請求項105に記載のベクター。
  108. siRNAが、配列番号29の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項107に記載のベクター。
  109. siRNAが、配列番号29の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項107に記載のベクター。
  110. siRNAが、配列番号29の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項107に記載のベクター。
  111. 発現用に配置された核酸分子を含むベクターであって、前記核酸分子は、hnRNP A2の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子をコードする、前記ベクター。
  112. 上記コードされた核酸分子が二本鎖核酸分子である、請求項111に記載のベクター。
  113. 上記コードされた核酸分子がsiRNA核酸分子である、請求項111に記載のベクター。
  114. siRNAが、配列番号30の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項113に記載のベクター。
  115. siRNAが、配列番号30の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項113に記載のベクター。
  116. siRNAが、配列番号30の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項113に記載のベクター。
  117. 上記コードされた核酸分子がアンチセンス核酸分子である、請求項113に記載のベクター。
  118. アンチセンスが、配列番号30の少なくとも10ヌクレオチドと相補的である、請求項117に記載のベクター。
  119. アンチセンスが、配列番号30の少なくとも20ヌクレオチドと相補的である、請求項117に記載のベクター。
  120. アンチセンスが、配列番号30の少なくとも30ヌクレオチドと相補的である、請求項117に記載のベクター。
  121. 発現用に配置された核酸分子を含むベクターであって、前記核酸分子は、(i)hnRNP A1の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子、および(ii)hnRNP A2の配列の少なくとも一部分と相補的である少なくとも1つの鎖を有する核酸分子をコードする、前記ベクター。
  122. 上記核酸分子がdsRNAをコードする、請求項122に記載のベクター。
  123. 上記核酸分子がsiRNAをコードする、請求項122に記載のベクター。
  124. 上記核酸分子がアンチセンスRNAをコードする、請求項122に記載のベクター。
  125. (i)のsiRNAが配列番号29の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有し、かつ(ii)のsiRNAが配列番号30の少なくとも18ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項123に記載の組成物。
  126. (i)のsiRNAが配列番号29の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有し、かつ(ii)のsiRNAが配列番号30の少なくとも19ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項123に記載の組成物。
  127. (i)のsiRNAが配列番号29の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有し、かつ(ii)のsiRNAが配列番号30の少なくとも20ヌクレオチドと100%の核酸配列同一性を有する、請求項123に記載の組成物。
  128. (i)のアンチセンスが配列番号29の少なくとも10ヌクレオチドと相補的であり、かつ(ii)のアンチセンスが配列番号30の少なくとも10ヌクレオチドと相補的である、請求項124に記載の組成物。
  129. (i)のアンチセンスが配列番号29の少なくとも20ヌクレオチドと相補的であり、かつ(ii)のアンチセンスが配列番号30の少なくとも20ヌクレオチドと相補的である、請求項124に記載の組成物。
  130. (i)のアンチセンスが配列番号29の少なくとも30ヌクレオチドと相補的であり、かつ(ii)のアンチセンスが配列番号30の少なくとも30ヌクレオチドと相補的である、請求項124に記載の組成物。
  131. 細胞のアポトーシスを誘導するために、請求項105、111、または121に記載の核酸分子を使用する方法。
  132. 上記細胞が腫瘍細胞である、請求項131に記載の方法。
  133. 上記細胞がヒト中に存在する、請求項132に記載の方法。
  134. 新生物を有する被験者を治療するために、請求項105、111、または121に記載の核酸分子を使用する方法。
  135. 上記被験者がヒトである、請求項134に記載の方法。
  136. 細胞中の染色体の一本鎖テロメア伸長部の長さを減少させるために、請求項105、111、または121に記載の核酸分子を使用する方法。
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