IV.発明の概要
一定の態様において、試料中にある1種類以上の標的核酸配列を検出するための方法が提供される。一定の態様において、これらの方法は、試料、および各標的核酸配列に対するライゲーション用のプローブセットを含むライゲーション反応用組成物を形成させることを含む。一定の態様において、このプローブセットは、(a)標的特異的部位、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位、および5’末端側プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第一のアドレス可能部位、1種類以上の第一のプローブ、および(b)標的特異的部位、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第二のアドレス可能部位を含む、1種類以上の第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるこれらのプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズさせられるとき、一緒にライゲーションするのに適している。
一定の態様において、これらの方法は、ライゲーション反応用組成物に一回以上のライゲーションであって、隣接してハイブリダイズする相補的プローブを互いにライゲーションして、5’末端側プライマー特異的部位、第一のアドレス可能部位、標的特異的部位、第二のアドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成させるライゲーションを行うことによって、試験用組成物を形成させることを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、
試験組成物、
ポリメラーゼ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有し、第一のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第一のアドレス可能部位に相補的な配列を含む第一の標識プローブ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有し、第二のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第二のアドレス可能部位に相補的な配列を含む第二の標識プローブ、および
(i)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、および(ii)ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含む一組以上のプライマーセット
を含む増幅反応用組成物を形成させることを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、増幅反応用組成物に一回以上の増幅反応を行うことを含む。一定の態様において、これらの方法は、さらに、増幅反応の間およびその後に一回以上、第一の標識プローブおよび第二の標識プローブからの第二の検出可能なシグナル値を検出することを含むが、ここで、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差(threshold difference)があり、また、第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があれば、標的核酸配列が存在することが示され、また、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がなく、また、第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がなければ、標的核酸配列は存在しないことが示される。
一定の態様において、方法は、試料中の1種類以上の標的核酸配列を検出するために提供される。一定の態様において、これらの方法は、試料、および、各標的核酸配列に対するライゲーション用プローブを含むライゲーション反応用組成物を形成させることを含む。一定の態様において、プローブセットは、(a)標的特異的部位、および、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位を含む1種類以上の第一のプローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、および、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位を含む、1種類以上の第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズさせられるとき、一緒にライゲーションするのに適している。一定の態様において、1種類以上の第一のプローブの少なくとも一つ、および1種類以上の第二のプローブの少なくとも一つは、さらに、(a)プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第一のアドレス可能部位、
、および(b)プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第二のアドレス可能部位を含む。
一定の態様において、これらの方法は、隣接してハイブリダイズする相補的プローブを互いにライゲーションさせて、5’末端側プライマー特異的部位、第一のアドレス可能部位、第二のアドレス可能部位、標的特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成させる、一回以上のライゲーションをライゲーション反応用組成物に行うことによって試験化合物を形成することを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、
試験組成物、
ポリメラーゼ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有し、第一のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第一のアドレス可能部位に相補的な配列を含む第一の標識プローブ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有し、第二のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第二のアドレス可能部位に相補的な配列を含む第二の標識プローブ、および
(i)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、および(ii)ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含む一組以上のプライマーセット
を含む増幅反応用組成物を形成させることを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、増幅反応用組成物に一回以上の増幅反応を行うことを含む。一定の態様において、これらの方法は、さらに、増幅反応の間およびその後に一回以上、第一の標識プローブおよび第二の標識プローブからの第二の検出可能なシグナル値を検出することを含むが、ここで、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があり、また、第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があれば、標的核酸配列が存在することが示され、また、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がなく、また、第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がなければ、標的核酸配列は存在しないことが示される。
一定の態様において、方法は、試料中の1種類以上の標的核酸配列を検出するために提供される。一定の態様において、これらの方法は、試料、および、各標的核酸配列に対するライゲーション用プローブを含む反応用組成物を形成させることを含む。一定の態様において、プローブセットは、(a)標的特異的部位、および、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位を含む1種類以上の第一のプローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、および、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位を含む、1種類以上の第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズさせられるとき、一緒にライゲーションするのに適しており、各プローブセットの一つのプローブが、さらに、プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含むアドレス可能部位を含む。
一定の態様において、反応組成物は、さらに、
ポリメラーゼ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有し、アドレス可能部位を含むか、または、アドレス可能部位に相補的な配列を含む標識プローブ、ならびに、(i)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、および(ii)ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含む一組以上のプライマーセットを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、隣接してハイブリダイズする相補的プローブを互いにライゲーションさせて、5’末端側プライマー特異的部位、標的特異的部位、アドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成させる、一回以上のライゲーションを反応用組成物に行うことを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、一回以上のライゲーションの後、反応組成物に一回以上の増幅反応を行うことを含む。一定の態様において、これらの方法は、さらに、増幅反応の間およびその後に一回以上、第二の検出可能なシグナル値を検出することを含むが、ここで、第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があることが、標的核酸配列が存在することを示し、また、第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないときは、標的核酸配列は存在しないことを示す。
一定の態様において、方法は、試料中にある1種類以上の標的核酸配列を検出するために提供される。一定の態様において、これらの方法は、試料、および各標的核酸配列に対するライゲーション用のプローブセットを含む反応用組成物を形成させることを含む。一定の態様において、このプローブセットは、(a)標的特異的部位、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位、および5’末端側プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第一のアドレス可能部位でを含む、1種類以上の第一のプローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第二のアドレス可能部位を含む、1種類以上の第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるこれらのプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズするとき、一緒にライゲーションするのに適している。
一定の態様において、この反応組成物は、さらに、
ポリメラーゼ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有する第一の標識プローブであって、第一のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第一のアドレス可能部位に相補的な配列を含むプローブ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有る第二の標識プローブであって、第二のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第二のアドレス可能部位に相補的な配列を含むプローブ、および
一組以上のプライマーセットであって、(i)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、および(ii)ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含むプライマーセットを含む。
一定の態様において、これらの方法は、反応用組成物に一回以上のライゲーションであって、隣接してハイブリダイズする相補的プローブを互いにライゲーションして、5’末端側プライマー特異的部位、第一のアドレス可能部位、標的特異的部位、第二のアドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成するライゲーションを行うことを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、一回以上のライゲーションの後、反応組成物に一回以上の増幅反応を行うことを含む。一定の態様において、これらの方法は、さらに、増幅反応の間およびその後に一回以上、第一の標識プローブおよび第二の標識プローブから第二の検出可能なシグナル値を検出することを含むが、ここで、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があること、および、第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があることが、標的核酸配列が存在することを示し、また、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないこと、および第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないことが、標的核酸配列が存在しないことを示す。
一定の態様において、方法は、試料中にある1種類以上の標的核酸配列を検出するために提供される。一定の態様において、これらの方法は、試料、および各標的核酸配列に対するライゲーション用のプローブセットを含む反応用組成物を形成させることを含む。一定の態様において、このプローブセットは、(a)標的特異的部位、および配列を含む5’末端側プライマー特異的部位を含む、1種類以上の第一のプローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、および配列を含む3’末端側プライマー特異的部位であってを含む、1種類以上の第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるこれらのプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズするとき、一緒にライゲーションするのに適している。一定の態様において、1種類以上の上記第一のプローブの少なくとも一つ、および1種類以上の上記第二のプローブの少なくとも一つは、さらに、(a)プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第一のアドレス可能部位、および(b)プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第二のアドレス可能部位を含む。
一定の態様において、この反応組成物は、さらに、
ポリメラーゼ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有する第一の標識プローブであって、第一のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第一のアドレス可能部位に相補的な配列を含むプローブ、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有る第二の標識プローブであって、第二のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第二のアドレス可能部位に相補的な配列を含むプローブ、および
一組以上のプライマーセットであって、(i)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、および(ii)ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含むプライマーセットを含む。
一定の態様において、これらの方法は、反応用組成物に一回以上のライゲーションであって、隣接してハイブリダイズする相補的プローブを互いにライゲーションして、5’末端側プライマー特異的部位、第一のアドレス可能部位、標的特異的部位、第二のアドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成するライゲーションを行うことを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、一回以上のライゲーションの後、反応組成物に一回以上の増幅反応を行うことを含む。一定の態様において、これらの方法は、さらに、増幅反応の間およびその後に一回以上、第一の標識プローブおよび第二の標識プローブから第二の検出可能なシグナル値を検出することを含むが、ここで、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があること、および、第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があることが、標的核酸配列が存在することを示し、また、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないこと、および第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないことが、標的核酸配列が存在しないことを示す。
一定の態様において、方法は、プローブのライブラリーを作製するために提供される。一定の態様において、これらの方法は、各プローブが、プライマー特異的部位、長さXヌクレオチドの標的特異的部位、および、プライマー特異的部位と標的特異的部位との間にある第一のアドレス可能部位を含む4X種類のプローブの第一のライブラリーであって、4X種類のプローブの第一のライブラリーの4X種類のプローブのそれぞれが、異なった標識特異的部位を含むライブラリーを合成することを含む。一定の態様において、Xは4から8である。
一定の態様において、方法は、プローブを選択するために提供される。一定の態様において、これらの方法は、プローブの第一のライブラリーから、標的核酸配列のXヌクレオチドの所望の部位に相補的な標的特異的部位を含むプローブを選択することを含む。一定の態様において、Xは4から8である。一定の態様において、第一のライブラリーは、それぞれが、プライマー特異的部位、長さXヌクレオチドの標的特異的部位、および、プライマー特異的部位と標的特異的部位との間にある第一のアドレス可能部位を含む4X種類のプローブを含み、この4X種類のプローブの各々が、異なった標的特異的部位を含む。
一定の態様において、4X種類のプローブの第一のライブラリーが提供される。一定の態様において、各プローブは、プライマー特異的部位、長さXヌクレオチドの標的特異的部位、および、プライマー特異的部位と標的特異的部位との間にある第一のアドレス可能部位を含み、4X種類のプローブの第一のライブラリーの4X種類のプローブのそれぞれが、異なった標識特異的部位を含む。一定の態様において、Xは4から8である。
一定の態様において、方法は、(4(X−1)に6を乗じた数)対のプローブのライブラリーを作製する方法であって、(4(X−1)に6を乗じた数)対のプローブのライブラリー合成することを含む方法が提供される。一定の態様において、各対の一方のプローブが、プライマー特異的部位、Xヌクレオチドの配列を含む標的特異的部位、および、プライマー特異的部位と標的特異的部位との間にある第一のアドレス可能部位を含む。一定の態様において、各対のもう一方のプローブは、プライマー特異的部位、Xヌクレオチドの配列を含む標的特異的部位、および、プライマー特異的部位と標的特異的部位との間にある第二のアドレス可能部位を含む。一定の態様において、プローブ対における各プローブの標的特異的部位のXヌクレオチドからなる配列は、ヌクレオチド一個が異なるだけで、あとは同一である。一定の態様において、(4(X−1)に6を乗じた数)対のプローブの各プローブを用いて、Xヌクレオチドを含む標的核酸配列が、2種類の可能な核酸配列の一方を有するか否かを判定することができる。ここで、2種類の可能な核酸配列は、一箇所で一個のヌクレオチドが異なっており、このライブラリーの別の一組以上のプローブ対が、Xヌクレオチドを含む標的核酸の一箇所において、それぞれ別のヌクレオチド一個が異なっている。一定の態様において、Xは4から8である。
一定の態様において、(4(X−1)に6を乗じた数)対のプローブのライブラリーが提供される。一定の態様において、一定の態様において、各対の一方のプローブが、プライマー特異的部位、Xヌクレオチドの配列を含む標的特異的部位、および、プライマー特異的部位と標的特異的部位との間にある第一のアドレス可能部位を含む。一定の態様において、各対のもう一方のプローブは、プライマー特異的部位、Xヌクレオチドの配列を含む標的特異的部位、および、プライマー特異的部位と標的特異的部位との間にある第二のアドレス可能部位を含む。一定の態様において、プローブ対における各プローブの標的特異的部位のXヌクレオチドからなる配列は、ヌクレオチド一個が異なるだけで、あとは同一である。一定の態様において、(4(X−1)に6を乗じた数)対のプローブの各プローブを用いて、Xヌクレオチドを含む標的核酸配列が、2種類の可能な核酸配列の一方を有するか否かを判定することができる。ここで、2種類の可能な核酸配列は、一箇所で一個のヌクレオチドが異なっており、このライブラリーの別の一組以上のプローブ対が、Xヌクレオチドを含む標的核酸の一箇所において、それぞれ別のヌクレオチド一個が異なっている。一定の態様において、Xは4から8である。
一定の態様において、キットは、1種類以上の標的核酸配列を検出するために提供される。一定の態様において、これらのキットは、各標的核酸配列に対するライゲーション用のプローブセットを含む。一定の態様において、このプローブセットは、(a)標的特異的部位、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位、および5’末端側プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第一のアドレス可能部位を含む、1種類以上の第一のプローブ、および(b)標的特異的部位、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第二のアドレス可能部位を含む、1種類以上の第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるこれらのプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズさせられるとき、一緒にライゲーションするのに適している。
一定の態様において、さらに、キットは、
第一のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第一のアドレス可能部位に相補的な配列を含む第一の標識プローブ、および
第二のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第二のアドレス可能部位に相補的な配列を含む第二の標識プローブを含む。
一定の態様において、キットは、1種類以上の標的核酸配列を検出するために提供される。一定の態様において、これらのキットは、各標的核酸配列に対するライゲーション用のプローブセットを含む。一定の態様において、このプローブセットは、(a)標的特異的部位、および、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位を含む1種類以上の第一のプローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、および、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位を含む、1種類以上の第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズさせられるとき、一緒にライゲーションするのに適している。一定の態様において、1種類以上の第一のプローブおよび1種類以上の第二のプローブの少なくとも一つは、さらに、(a)プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第一のアドレス可能部位、および(b)プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にある配列を含む第二のアドレス可能部位を含む。
一定の態様において、これらのキットは、さらに、第一のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第一のアドレス可能部位に相補的な配列を含む第一の標識プローブ、および、第二のアドレス可能部位の配列を含むか、または、第二のアドレス可能部位に相補的な配列を含む第二の標識プローブを含む。
一定の態様において、方法は、試料中の1種類以上の標的核酸配列を検出するために提供される。一定の態様において、これらの方法は、試料、および、各標的核酸配列に対するライゲーション用プローブを含むライゲーション反応用組成物を形成させることを含む。一定の態様において、プローブセットは、(a)標的特異的部位、および、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位を含む1種類以上の第一のプローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、および、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位を含む、1種類以上の第二のプローブであって、副溝結合因子(minor groove binder)が結合している第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズさせられるとき、一緒にライゲーションするのに適している。
一定の態様において、これらの方法は、ライゲーション反応用組成物に一回以上のライゲーションを行うことによって、試験用組成物を形成させることを含み、、隣接してハイブリダイズする相補的プローブは互いにライゲーションして、5’末端側プライマー特異的部位、標的特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成する。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、
試験組成物、
ポリメラーゼ、および
一組以上のプライマーセットであって、(i)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、および(ii)ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含むプライマーセットを含む増幅反応用組成物を形成させることを含む。
一定の態様において、これらの方法は、さらに、増幅反応用組成物に一回以上の増幅反応を行うことを含む。一定の態様において、これらの方法は、さらに、ライゲーション産物の有無を検出することによって、1種類以上の標的核酸配列の有無を検出することを含む。
一定の態様において、方法は、試料中の1種類以上の標的核酸配列を検出するために提供される。一定の態様において、これらの方法は、試料、および、各標的核酸配列に対するライゲーション用プローブを含む反応用組成物を形成させることを含む。一定の態様において、プローブセットは、(a)標的特異的部位、および、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位を含む1種類以上の第一のプローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、および、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位を含む、1種類以上の第二のプローブであって、副溝結合因子が結合している第二のプローブを含む。一定の態様において、各セットにおけるプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズさせられるとき、一緒にライゲーションするのに適している。
一定の態様において、この反応用組成物は、さらに、
ポリメラーゼ、および
一組以上のプライマーセットであって、(i)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、および(ii)ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含むプライマーセットを含む。
一定の態様において、さらに、これらの方法は、反応組成物に一回以上のライゲーションを行うことを含み、隣接してハイブリダイズする相補的プローブは互いにライゲーションして、5’末端側プライマー特異的部位、標的特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成する。
一定の態様において、さらに、これらの方法は、一回以上のライゲーションの後、反応組成物に一回以上の増幅反応を行うことを含む。一定の態様において、さらに、これらの方法は、さらに、ライゲーション産物の有無を検出することによって、1種類以上の標的核酸配列の有無を検出することを含む。
VI.一定の例示的実施態様の詳細な説明
当然ながら、上記一般的説明および以下の詳細な説明はともに、例示および説明のためだけのものであり、本願に係る発明を制限するものではない。本願において、単数形を使用する場合には、特段に記載がない限り、複数形も包含する。本願において、特段に記載がない限り、「または」は「および/または」を意味する。さらに、「包含する」という用語は、「包含し」や「包含され」など別の語形のときにも、限定的なものではない。また、「因子」または「構成要素」などの用語は、特段の記載がない限り、一つのユニットを含む因子および構成要素、ならびに一つのサブユニットを含む因子および構成要素を含む。
ここで使用する各節の見出しは、専ら構成のためのものであり、説明されている主題を制限するものと解されるべきではない。本願において引用する文書のすべて、または文書の一部には、特許、特許出願、記事、本、および論文が包含されるが、これらに限定されず、その全体があらゆる目的のために明示して参照として本明細書に組み入れられる。2000年5月30日付けで出願された米国特許出願第09/584,905号、2000年11月28日付けで出願された第09/724,755号、2001年12月5日付けで出願された第10/011,993号、および2001年5月30日付けで出願された特許協力条約出願第PCT/US01/17329号を、その全体として、あらゆる目的のために参照として明示的に本明細書に組み入れる。
A.一定の定義
本明細書において「ヌクレオチド塩基」という用語は、置換型および非置換型の芳香環を意味する。一定の態様において、芳香環は、1個以上のチッソ原子を含む。一定の態様において、ヌクレオチド塩基は、適当な相補的ヌクレオチド塩基とともに、ワトソン−クリック型および/またはフーグステン(Hoogsteen)型水素結合を形成することができる。ヌクレオチド塩基およびそのアナログは、天然のヌクレオチド塩基であるアデニン、グアニン、シトシン、6メチル−シトシン、ウラシル、チミン、および、天然のヌクレオチド塩基のアナログである、例えば、7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザ−8−アザアデニン、N6−Δ2−イソペンテニルアデニン(6iA)、N6−Δ2−イソペンテニル−2−メチルチオアデニン(2ms6iA)、N2−ジメチルグアニン(dmG)、7−メチルグアニン(7mG)、イノシン、ネブラリン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、プソイドウリジン、プソイドシトシン、プソイドイソシトシン、5−プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン、7−デアザグアニン、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O6−メチルグアニン、N6−メチルアデニン、O4−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウルシル、ピアゾロ[3,4−D]ピリミジン(例えば、米国特許第6,143,877号および第6,127,121号、およびPCT公開出願第WO 01/38584号参照)、エテノアデニン、例えば、ニトロインドールや4−メチルインドールなどのインドール類、ニトロピロールなどのピロール類などを包含するがこれらに限定されるものではない。ヌクレオチド塩基いくつかの例が、例えば、Fasman,1989,Practical Handbook of Biochemstry and Molecular Biology,第385〜394頁、CRC Press,Boca Raton,Fla、およびそこで引用されている文献に記載されいる。
本明細書において、「ヌクレオチド」という用語は、リボース、アラビノース、キシロース、およびピラノースなどの糖のC−1’炭素に結合したヌクレオチド塩基を含む化合物を意味する。ヌクレオチドという用語は、ヌクレオチドのアナログも含む。この糖は、置換型でも非置換型でもよい。置換型リボース糖には、1個以上の炭素原子、例えば2’−炭素原子が、同一または異なったCl、F、−R、−OR、−NR2(ここで、各Rは、別々に、H、C1〜C6アルキル、またはC5〜C14アリールである)、またはハロゲン基によって置換されているリボースが包含されるが、これらに限定されるものではない。リボースの例には、以下のものが包含されるが、それらに限定されるものではない。2’−(C1−C6)アルコキシリボース、2’−(C5−C14)アリールオキシリボース、2’,3’−ジデヒドロリボース、2’−デオキシ−3’−ハロリボース、2’−デオキシ−3’−フルオロリボース、2’−デオキシ−3’−クロロリボース、2’−デオキシ−3’−アミノリボース、2’−デオキシ−3’−(C1−C6)アルキルシリボース、2’−デオキシ−3’−(C1−C6)アルコキシシリボース、および2’−デオキシ−3’−(C5−C14)アリールオキシリボース、リボース、2’−デオキシリボース、2’,3’−デオキシリボース、2’−ハロリボース、2’−フルオロリボース、2’−クロロリボース、および、2’−アルキルリボース、例えば、2’−O−メチル、4’−α−アノマーヌクレオチド、1’−α−アノマーヌクレオチド、2’−4’−および3’−4’−2’−結合した、およびその他の「ロックされた」または「LNA」、二環式糖修飾体(例えば、PCT公開出願第WO 98/22489号、第WO 98/39352号、および第WO 99/14226号など参照)。ポリヌクレオチドの中にあるLNA糖アナログの例には、以下の構造体:
を包含するが、式中、Bはいずれのヌクレオチドでもよい。
2’位または3’位のリボースの修飾基には、水素、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、アリルオキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、メトキシエチル基、アルコキシ基、フェノキシ基、アジド基、アミノ基、アルキルアミノ基、フルオロ基、クロロ基、およびブロモ基が包含されるが、これらに限定されるものではない。ヌクレオチドは、天然のD型光学異性体、およびL型光学異性体を包含するが、これらに限定されるものではない(例えば、Garbesi (1993)Nucl.Acis.Res.21:4159−65;Fujimori (1990)J.Amer.Chem.Soc.112:7435;Urata,(1993)Nucleic Acids Symposium Ser.No.29:69−70参照)。ヌクレオチド塩基が、例えばAまたはGなどのプリン基の場合、リボース糖は、ヌクレオチド塩基のN9−位に結合している。ヌクレオチド塩基が、例えばC、TまたはUなどのピリミジン基の場合、リボース糖は、プソイドウリジン以外、ヌクレオチド塩基のN1−位に結合している。プソイドウリジンでは、ウラシルヌクレオチド塩基のC5位にペントース糖が結合している(例えば、KornbergとBaker,(1992)DNA Replication,2nd Ed.,Freeman,San Francisco,CA参照)。
ヌクレオチドのペントースの1個以上の炭素は、次の化学式をもつリン酸エステルによって置換していてもよい。
式中、αは0から4までの整数である。一定の態様において、αは2であり、リン酸エステルが、ペントースの3’−位または5’−位の炭素に結合している。一定の態様において、ヌクレオチドは、ヌクレオチド塩基がプリン、7−デアザプリン、ピリミジン、またはそれらのアナログであるヌクレオチドである。「ヌクレオチドの5’−三リン酸」とは、5’位に三リン酸エステル基を有するヌクレオチドを意味し、時に、「NTP」、または「dNTP」および「ddNTP」と表記して、リボース糖の構造的特徴を指し示す。三リン酸エステル基は、例えば、α−チオ−ヌクレオチド5’−三リン酸など、さまざまな位置にある酸素に対するイオウ基置換を包含することができる。ヌクレオチドの化学の概説については、Shabarova,Z.とBogdanov,A.Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,VCH,New York,1994を参照。
本明細書において「ヌクレオチドのアナログ」という用語は、ペントース糖、および/またはヌクレオチド塩基、および/または、ヌクレオチドの1個以上のリン酸エステルが、それぞれのアナログで置換されている態様を意味する。一定の態様において、ペントース糖の例は上記されているものである。一定の態様において、ヌクレオチドのアナログは、上記したようなヌクレオチド塩基のアナログを有する。一定の態様において、リン酸エステルのアナログの例は、アルキルホスホン酸、メチルホスホン酸、ホスホルアミデート、ホスホトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート(phosphoroselenoate)、ホスホロジセレノエート(phosphorodiselenoate)、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニリデートphosphoroanilidate)、ホスホロアミデート、ボロノホスフェート(boronophosphates)などを包含するが、これらに限定されるものではなく、関連する対イオンを包含することも可能である。
また、「ヌクレオチドのアナログ」の定義には、DNA/RNAのリン酸エステルおよび/または糖のリン酸エステル骨格が、さまざまな種類のヌクレオチド間結合に置換されているポリヌクレオチドアナログに重合することができるヌクレオチドアナログの単量体も包含する。ポリヌクレオチのドアナログの例は、ポリヌクレオチドの糖リン酸骨格がペプチド骨格によって置換されているペプチド核酸を包含するが、これに限定されるものではない。
本明細書において、「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」という用語は互換的に使用され、ヌクレオチド単量体の一本鎖および二本鎖のポリマーを意味し、ヌクレオチド間リン酸エステル結合によって結合している2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)およびリボヌクレオチド(RNA)、または、ヌクレオチド間アナログ、および、関連する対イオン、例えば、H+、NH4 +、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Na+などを包含する。核酸は、全部がデオキシリボヌクレオチドから、全部がリボヌクレオチドから、または、それらのキメラ混合体から構成されうる。ヌクレオチド単量体のユニットは、本明細書に記載されているヌクレオチドであって、天然のヌクレオチドおよびヌクレオチドのアナログを包含することができるが、これらに限定されるものではない。核酸の大きさは、典型的には、数個の単量体ユニット、例えば、5〜40個のサイズで、この場合、当技術分野において時々オリゴヌクレオチドと称される長さから、数百の単量体ヌクレオチドユニットまでの範囲にある。別段の記載がない限り、核酸配列が表示されるときはいつも、当然ながら、ヌクレオチドは、特段の記載がない限り、左から右に5’から3’の順番となり、また、「A」はデオキシアデノシンまたはそのアナログを示し、「C」はデオキシシトシンまたはそのアナログを示し、「G」はデオキシグアノシンまたはそのアナログを示し、また、「T」はチミジンまたはそのアナログを示す。
核酸は、ゲノムDNA、cDNA、hnRNA、mRNA、rRNA、tRNA、断片化された核酸、ミトコンドリアはクロロプラストなどの細胞内オルガネラ得られる核酸、および、生体試料上またはその中で存在することができる微生物、ならびにDNAもしくはRNAウイルスから得られる核酸を包含するが、これらに限定されるものではない。
核酸は、例えばRNAおよびDNAの場合のように、一種類の糖部分から構成されていることがあり、または、例えば、RNA/DNAキメラの場合のように、異なった糖部分の混合物から構成されることもある。一定の態様において、核酸は、以下の構造式に記載されているリボポリヌクレオチドおよび2’−デオキシリボポリヌクレオチドである。
式中、各Bは、それぞれ個別に、ヌクレオチドの塩基部分であって、例えば、プリン、7−デアザプリン、ピリミジン、またはアナログヌクレオチドであり、各mは、各ヌクレオチドの長さを規定し、0から数千、数万、またはそれ以上の範囲となることがあり、各Rは、水素、ハロゲン、−R”、−OR”、および−NR”R”を含むグループからそれぞれ別個に選択され、各R”は、それぞれ別個に、(C1〜C6)アルキル基または(C5〜C14)アリール基であり、または、2個の隣接するRは、リボース糖が2’,3’−ジデヒドロリボースとなるように一緒に結合を形成し、また、各R’は、それぞれ別個にヒドロキシル基か、または、
上記図示したリボポリヌクレオチドおよび2’−デオキシポリヌクレオチドの一定の態様において、ヌクレオチド塩基Bは、既述したとおり、糖部分のC1’炭素に共有結合している。
また、「核酸」、「ポリヌクレオチド」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、核酸アナログ、ポリヌクレオチドアナログ、およびオリゴヌクレオチドアナログを包含する。「核酸アナログ」、「ポリヌクレオチドアナログ」、および「オリゴヌクレオチドアナログ」という用語は互換的に使用され、本明細書においては、1個以上のヌクレオチドアナログおよび/または1個以上のリン酸エステルアナログおよび/または1個以上のペントース糖アナログを含む核酸を意味する。また、核酸アナログの定義には、リン酸エステルおよび/または糖リン酸エステル結合が、以下のような別の種類の結合に置き換わっている核酸も包含される。すなわち、N−(2−アミノエチル)−グリシンアミドおよびその他のアミド類(例えば、Nielsenら、1991、Science 254:1497−1500;WO 92/20702;米国特許第5,719,262号、米国特許第5,698,685号参照)、モルフォリノ(例えば、米国特許第5,698,685号、米国特許第5,378,841号、米国特許第5,185,144号参照)、カルバミン酸塩(例えば、StirchakとSummerton、1987、J.Org.Chem.52:4202参照)、メチレン(メチルイミノ)(例えば、Vasseurら、1992、J.Am.Chem.Soc.114:4006参照)、3’−チオホルムアセタール(例えば、Jonesら、1993、J.Org.Chem.58:2983参照)、スルファミン酸塩(例えば、米国特許第5,470,967号参照)、一般的にはPNAと称される2−アミノエチルグリシン(例えば、Buchardt,WO 92/20702;Nielsenら、(1991)Science 254:1497−1500参照)、およびその他(例えば、米国特許第5,817,781号;FrierとAltman,1997,Nucl.Acids Res.25:4429およびそこで引用されている文献参照)。リン酸エステルのアナログは、(i)C1−C4アルキルホスホン酸、例えばメチルホスホン酸;(ii)ホスホルアミデート;(iii)C1−C6アルキル−ホスホトリエステル;(iv)ホスホロチオエート;および(v)ホスホロジチオエートを包含するが、これらに限定されるものではない。
「アニーリング」および「ハイブリダイゼーション」という用語は互換的に使用され、一つの核酸が別の核酸と塩基対合する相互作用であって、その結果、二重鎖、三重鎖、またはその他の高次構造を形成する相互作用を意味する。一定の態様において、一次的な相互作用は、例えば、ワトソン−クリック型およびフーグステン(Hoogsteen)型の水素結合によるA/TおよびG/Cのように塩基特異的である。一定の態様において、塩基のスタッキングおよび疎水性相互作用も二重鎖の安定に寄与しうる。
ポリメラーゼやリガーゼなどの酵素に関して使用される場合、「酵素的に活性のある突然変異体またはその変異体」とは、適当な酵素活性を有する蛋白質を意味する。したがって、例えば、DNAポリメラーゼの活性型突然変異体または変異体とは、適当なデオキシヌクレオシド三リン酸を、一つずつ未完成のDNA鎖に鋳型依存的な態様で付加する反応を触媒できる蛋白質のことである。酵素的に活性のある突然変異体または変異体は、その酵素について「一般的に認められている」または共通な配列とは1個以上のアミノ酸が異なるもので、1個以上のアミノ酸の置換、1個以上のアミノ酸の付加、1個以上のアミノ酸の欠失、およびアミノ酸自体の改変などを包含するが、これらに限定されるものではない。しかし、この変化によって、少なくともいくらかの活性が保持される。一定の態様において、この変化は、保存的なアミノ酸置換も含む。保存的アミノ酸置換は、あるアミノ酸を、例えば、同様の疎水性、親水性、電荷または芳香族性を有する別のアミノ酸に置換することも含みうる。一定の態様において、保存的アミノ酸置換は、類似した疎水性親水性指標に基づいて行われる。疎水性親水性指標は、アミノ酸の疎水性および電荷の特徴を考慮しており、一定の態様において、保存的アミノ酸置換を選択するための指針として使用することができる。疎水性親水性指標は、例えば、Kyteら、J.Mol.Biol.,157:105−131 (1982)において考察されている。保存的アミノ酸置換が、前記特徴のいずれかに基づいて行うことができることは、当技術分野において当然である。
アミノ酸の改変は、蛋白質のグリコシル化、メチル化、リン酸化、ビオチン化、ならびにその他の共有結合および非共有結合による付加であって、アミノ酸配列に変化をもたらさない付加を包含するが、これらに限定されるものではない。本明細書において、「アミノ酸」とは、天然または非天然のアミノ酸であって、酵素的または合成によって、ポリペプチドまたは蛋白質に取り込むことができるアミノ酸を意味する。
例えば、蛋白質分解による切断産物などの断片も、少なくともいくらかの酵素活性が保持されている場合には、この用語に包含される。
当業者は、適当な周知アッセイ法を用いて、容易に酵素活性を測定することができる。したがって、ポリメラーゼの触媒活性についての適当なアッセイ法は、例えば、適当な条件下で、変異体が、rNTPまたはdNTPを、鋳型依存的な態様で未完成のDNA鎖に取り込むことができる能力を測定することを包含するかもしれない。同様に、リガーゼの触媒活性についての適当なアッセイ法は、例えば、適当な反応基を含む、隣接してハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドを連結させる能力を測定することを包含するかもしれない。このようなアッセイ法のプロトコールは、とりわけ、Sambrookら、Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1989)(以下、「Samrookら」と略す)、SambrookとRussell,Molecular Cloning,第三版、Cold Spring Harbor Press(2000)(以下、「SamrookとRussell」と略す)、Ausbelら、Current Protocols in Molecular Biology(1993)(2001年4月までの補遺を含む)、John Wiley & Sons(以下、「Ausbelら」と略す)に記載されている。
本発明に係る「標的」または「標的核酸配列」は、プローブによって識別することができる特異的核酸配列を含む。標的は、天然および合成の分子をともに包含しうる。
本発明に係る「プローブ」は、特異的な核酸配列、例えば標的核酸配列上の相補的領域に、配列特異的態様でハイブリダイズするように設計されている特異的部位を含むオリゴヌクレオチドを含む。一定の態様において、プローブの特異的部位は、特定の配列に対して特異的であってもよく、あるいは、縮退、例えば、一連の配列に特異的であってもよい。
本発明に係る「ライゲーション用プローブセット」は、一つ以上の標的を検出するよう設計された2種類以上のプローブのグループである。非限定的な例として、ライゲーション用プローブセットは、2種類のプローブが、互いに隣接する標的にハイブリダイズするときには、一緒にライゲーションするのに適したものとなるように、標的とハイブリダイズするよう設計された2種類の核酸プローブを含むことができる。
本発明と関連して使用されるとき、「ライゲーションに適した」とは、それぞれが適当な反応基を含む、1種類以上の第一の標的特異的プローブおよび1種類以上の第二の標的特異的プローブを意味する。反応基の例には、第一プローブの3’末端の遊離ヒドロキシル基、および、第二プローブの5’末端の遊離リン酸基が包含されるが、これらに限定されるものではない。反応基対の例には、ホスホロチオエートとトシル基またはヨード基;エステルとヒドラジド基;RC(O)S−、ハロアルキル基、またはRCH2Sとα−ハロアシル基;チオホスホリル基とブロモアセトアミド基が包含されるが、これらに限定されるものではない。補の基の例には、S−ピバロイルオキシメチル−4−チオチミジンが包含されるが、これらに限定されるものではない。さらに、一定の態様において、第一および第二の標的特異的プローブは、第一の標的特異的プローブの3’末端と、第二の標的特異的プローブの5’末端が、すぐの位置に隣接してライゲーション可能なように、標的配列にハイブリダイズする。
本明細書において「シグナル部分」という用語は、タグ、標識、または識別可能な部分を意味する。
「検出できるように異なったシグナル」は、さまざまなシグナル部分からの検出可能なシグナルを、少なくとも一つの方法で互いに識別できることを意味する。
「検出可能なシグナル値」という用語は、標識から検出されるシグナルの値を意味する。一定の態様において、検出可能なシグナル値は、標識から検出されるシグナルの量または強度である。したがって、標識から検出可能なシグナル値が得られない場合には、その検出可能なシグナル値は零(0)である。一定の態様において、検出可能なシグナル値は、シグナルのスペクトル、波長、色、または寿命のような、シグナルの量または強度以外のシグナル特性である。
「検出可能に異なったシグナル値」とは、少なくとも一つの方法によって、互いから区別できる1種類以上の検出可能なシグナルの値を意味する。
「標識プローブ」という用語は、一定の核酸配列の有無によって、検出可能に異なったシグナル値を提供できるプローブを意味する。一定の態様において、標識プローブは、元の標識プローブが一定の核酸配列にハイブリダイズしないときではなく、元の標識プローブが一定の核酸配列にハイブリダイズしたときには、検出可能に異なったシグナル値を提供する。したがって、一定の核酸配列が存在すれば、標識プローブは、その核酸配列が存在しないときとは異なった検出可能なシグナル値を提供する。一定の態様において、標識プローブは、プローブが元のままでないときではなく、プローブが元のままのときに検出可能に異なったシグナル値を提供する。そのような一定の態様において、一定の核酸配列が存在しない限り、標識プローブは元のままである。そのような一定の態様において、一定の核酸配列が存在すると、標識プローブは切断されて、プローブが元のままではなくなり、検出可能に異なったシグナル値を生じる。
一定の態様において、標識プローブは、「相互作用プローブ」である。「相互作用プローブ」という用語は、互いに相互作用して、一定の核酸配列の有無に応じて、検出可能に異なったシグナル値を提供できる2つ以上の部分を含むプローブを意味する。相互作用プローブから検出されるシグナル値は、この2つの部分が、互いに十分に近接しているか、互いから離れているかによって異なる。本明細書に記載された方法において、2つの部分が互いにどの位近接しているかは、一定の核酸配列の有無によって異なる。
一定の態様において、相互作用プローブの2つの部分は、一定の核酸配列が存在すると、さらに遠くに移動する。一定の態様において、相互作用プローブは、結合因子によって一緒に結合されている2つの部分を含むが、この2つの部分は、一定の核酸配列が存在すると、この方法の途中で結合を解かれる。一緒に結合している2つの部分を含む相互作用プローブから検出されるシグナル値は、2つの部分が結合していないときの相互作用プローブから検出されるシグナル値と異なる。
「シグナル値間の限界差」という用語は、試料中に探索されている標的核酸配列が存在するときには生じるが、標的核酸配列が存在しないときには生じない、第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間の一連の違いを意味する。標識プローブの第一検出可能なシグナル値は、一定の核酸配列に曝露されていないときのプローブから得られる検出たシグナル値である。第二の検出可能なシグナル値は、標識プローブを含む組成物を用いて、増幅反応の過程および/またはその後に検出される検出可能なシグナル値である。
増幅産物に関して使用されるとき、「定量する」という用語は、試料中の標的核酸配列を示す特定の配列の数量または量を決定することを意味する。例えば、標識プローブからのシグナルの強度を測定することができるが、それに限定されるものではない。シグナルの強度または量は、典型的には、増幅産物の量に関係する。生成された増幅産物の量は、ライゲーションおよび増幅の前に存在する標的核酸配列の量に相関するため、一定の態様において、特定の遺伝子に関する発現レベルを示すことができる。
本明細書において「増幅産物」という用語は、プライマー伸長、ポリメラーゼ連鎖反応、RNA転写などであるが、これらに限定されない増幅反応の産物を意味する。したがって、増幅産物の例は、プライマー伸長の産物、PCR増幅産物、RNA転写産物などの少なくとも一つを含む。
本発明に係る「プライマー」とは、プローブ、ライゲーション産物、または増幅産物のプライマー特異的部位に配列特異的な態様でハイブリダイズし、増幅反応のプライマーとして使用されるように設計されたオリゴヌクレオチドを意味する。
「汎用性プライマー」は、必要に応じて、一種類以上のプローブ、ライゲーション産物または増幅産物のプライマー特異的部位にハイブリダイズできる。「汎用性プライマーセット」は、必要に応じて複数種のプローブ、ライゲーション産物または増幅産物にハイブリダイズする。
本発明に係る「ライゲーション剤」は、他の核酸への核酸のライゲーションをもたらすことができる酵素的または化学的(すなわち非酵素的)薬剤を多数含むことができる。
本願において、ある配列が他の配列と同一または相補的であるとの表現は、両方の配列が、互いに対して完全に同一または相補的である状態、および、配列の一方の一部だけが、他方の配列の一部または全部と同一または相補的である状態を包含する。したがって、「配列」という用語は、核酸配列、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プローブ、プライマー、プライマー特異的部位、標的特異的部位、アドレス可能部位、およびオリゴヌクレオチド結合因子を包含するが、これらに限定されるものではない。
本願において、ある配列が他の配列に相補的であるとの表現は、2つの配列にミスマッチがある状態を包含する。ここで、「配列」という用語は、核酸配列、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プローブ、プライマー、プライマー特異的部位、標的特異的部位、アドレス可能部位、およびオリゴヌクレオチド結合因子を包含するが、これらに限定されるものではない。ミスマッチがあるにもかかわらず、この2つの配列は、適当な条件下で、互いに選択的にハイブリダイズするはずである。
「選択的にハイブリダイズする」という用語は、特定の同一の配列に関して、特定の同一の配列の大部分が、一定の所望の配列にハイブリダイズし、その特定の同一の配列の大部分が、他の所望でない配列にはハイブリダイズしないことを意味する。各例における「特定の同一の配列の大部分」は、特定の同一の配列の全体数の一部を意味し、各特定の同一の配列の一部を意味するものではない。一定の態様において、「特定の同一の配列の大部分」は、特定の同一の配列の90%以上を意味する。
一定の態様において、「特定の同一の配列の大部分」は、特定の同一の配列の95%以上を意味する。
一定の態様において、存在可能なミスマッチの数は、組成物の複雑さによってさまざまであろう。したがって、一定の態様において、ゲノム全体に由来するDNAを含む組成物においては、より少ないDNAしか存在しない組成物と比べて、ミスマッチがより少ないほど許容されえる。例えば、一定の態様において、一定の数のミスマッチがあると、同じハイブリダイゼーション条件を用いる場合、全ゲノムDNAを有する組成物では、より少ないDNAを有する組成物と比べて、所望でない配列とハイブリダイズする可能性が高くなるだろう。したがって、その一定の数のミスマッチは、より少ないDNAを有する組成物にとっては適当であろうが、全ゲノムDNAを有する組成物にとっては、ミスマッチがもっと少ない方がより最適であろう。
一定の態様において、20%を超えるミスマッチヌクレオチドがなければ、それらの配列は相補的である。一定の態様において、15%を超えるミスマッチヌクレオチドがなければ、それらの配列は相補的である。一定の態様において、10%を超えるミスマッチヌクレオチドがなければ、それらの配列は相補的である。一定の態様において、5%を超えるミスマッチヌクレオチドがなければ、それらの配列は相補的である。
本願において、ある配列が他の配列にハイブリダイズまたは結合するとの表現は、両方の配列全体が互いにハイブリダイズまたは結合する状態、および、一方または両方の配列の全部または一部だけが、他の配列全部またはその一部にハイブリダイズまたは結合する状態を包含する。ここで、「配列」という用語は、核酸配列、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プローブ、プライマー、プライマー特異的部位、標的特異的部位、アドレス可能部位、およびオリゴヌクレオチド結合因子を包含するが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、「測定可能により低い範囲まで」という用語は、問題となっている事象が、10倍以上低下した状態を包含する。一定の態様において、「測定可能により低い範囲まで」という用語は、問題となっている事象が、100倍以上低下した状態を包含する。
一定の態様において、因子が「実質的に除去」されうる、除去される、または除去されているという表現は、90%以上の因子が除去されうる、除去される、または除去されていることを意味する。一定の態様において、因子が「実質的に除去」されうる、除去される、または除去されているという表現は、95%以上の因子が除去されうる、除去される、または除去されていることを意味する。
B.一定の構成要素
一定の態様において、標的核酸配列は、RNAおよびDNAを包含しうる。RNA標的配列の例は、mRNA、rRNA、tRNA、ウイルスRNA、および、スプライシング変異体など、RNAの変異体を包含するが、これらに限定されるものではない。DNA標的配列の例は、ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、核DNA、ミトコンドリアDNA、およびクロロプラストDNAを包含するが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、標的核酸配列は、cDNA、酵母の人工染色体(YAC)、細菌の人工染色体(BAC)、その他の染色体外DNA、および核酸のアナログを包含するが、これらに限定されるものではない。核酸アナログの例は、LNA、PNA、PPG、およびその他の核酸アナログを包含するが、これらに限定されるものではない。
さまざまな方法を、本発明の組成物および方法に用いるための標的核酸配列を得るために利用できる。生体マトリックスからの単離によって核酸標的を得るときには、一定の単離技術は、(1)一定の態様において、例えば、Applied Biosystems社(Foster City,CA)から入手可能なモデル341 DNA抽出装置などの自動DNA抽出装置を用いて、例えば、フェノール/クロロフォルム有機試薬(例えば、Ausbubelら編、Current Protocols in Molecular Biology、Volume 1,Chapter 1,Section I,John Wiley & Sons,New York(1993))を用いる、有機抽出の後にエタノール沈殿する技術;(2)固定相吸着法(Stationary phase adsorption methods)
(例えば、Boomら、米国特許第5,234,809号;Walshら、Biotechniques 10(4):506−513(1991));および(3)塩誘導によるDNA沈殿法(例えばMillerら、Nucleic Acids Research,16(3):9−10(1988))であって、このような沈殿法は、一般的には「塩析法」と称される。一定の態様において、前記単離法は、その前に、例えばプロテイナーゼKまたはその他同様のプロテアーゼによる分解など、試料から無用の蛋白質を除去するための酵素分解ステップを置くことも可能である。例えば米国特許出願第09/724,613号参照。
一定の態様において、標的核酸配列は、原核生物、真核生物、植物、動物、およびウイルスなど、生きている生物またはかつて生きていた生物から得ることが可能である。一定の態様において、標的核酸配列は、例えばゲノムDNAなど、細胞核に由来することが可能であり、または、例えばプラスミド、ミトコンドリアの核酸、さまざまなRNAなど、核外核酸であってもよい。一定の態様において、生物に由来する配列がRNAである場合、逆転写してcDNA標的核酸配列にすることが可能である。さらに、一定の態様において、標的核酸配列は、二本鎖または一本鎖の形で存在することが可能である。
標的核酸配列の例は、増幅産物、ライゲーション産物、転写産物、逆転写産物、プライマー伸長産物、メチル化DNA、および切断産物が包含するが、これらに限定されるものではない。増幅産物の例は、PCRおよび等温産物を包含するが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、試料中の核酸に切断処理を行うことが可能である。一定の態様において、このような切断産物が標的となりうる。
異なった標的核酸配列は、一本の連続した核酸の異なった部位であることもあり、または、異なった核酸上にある可能性もある。一本の連続した核酸上の異なった部位は、オーバーラップしていてもよいし、していなくてもよい。
一定の態様において、標的核酸配列は、上流または5’末端側領域、下流または3’末端側領域、および上流領域または下流領域に位置する「中心ヌクレオチド」を含む(図6参照)。一定の態様において、中心ヌクレオチドは、プローブセットによって検出されているヌクレオチドであり、例えば、複対立遺伝子座における一塩基多型などを示すものであってもよい。一定の態様において、1個以上の中心ヌクレオチドが存在する。一定の態様において、1個以上の中心ヌクレオチドが上流域に存在し、また、1個以上の中心ヌクレオチドが下流域に存在する。一定の態様において、1個以上の中心ヌクレオチドが上流領域または下流域に存在する。
当業者は、標的核酸配列が、一般的には一本鎖分子であるとして説明されるが、二本鎖分子の対向鎖は、標的配列として使用することも可能な相補鎖を含む。
一定の態様に係るライゲーションプローブセットは、特異的標的核酸配列上の相補的領域と配列特異的にハイブリダイズするよう設計されている標的特異的部位を含む2個以上のプローブを含む(図2のプローブ2および3を参照)。ライゲーション用プローブセットのプローブは、さらに、プライマー特異的部位、アドレス可能部位、プロモーターまたはその相補鎖の全部または一部、または、これらの付加的構成要素を組み合わせたものを含む。一定の態様において、プローブの構成要素は、他のプローブの構成要素と重複することも可能である。例えば、無制限に、標的特異的部位は、プライマー特異的部位、プロモーターもしくはその相補鎖、またはその両方と重複していてもよい。また、無制限に、アドレス可能部位は、標的特異的部位もしくはプライマー特異的部位またはその両方と重複していてもよい。
一定の態様において、ライゲーション用プローブセットの1種類以上のプローブは、標的特異的部位とプライマー特異的部位の間にあるアドレス可能部位を含む(例えば、図3のプローブ23参照)。一定の態様において、プローブのアドレス可能部位は、標識プローブの少なくとも一つの部位と同一または相補的である配列を含むことができる。一定の態様において、プローブのプライマー特異的部位は、標識プローブの少なくとも一つの部位と同一または相補的である配列を含むことができる。一定の態様において、プローブのアドレス可能部位は、標的配列、プライマー配列、または標識プローブの相補部位以外のプローブ配列に相補的でない。
プローブの配列特異的部位は、必要に応じて、プライマー、アドレス可能部位、および標的中の相補配列に特異的にアニールするのに十分な長さのものである。一定の態様において、アドレス可能部位および標的特異的部位の長さは、6から35個のヌクレオチド数である。配列特異的なアニーリングのために提供されるプローブ設計の詳細な説明は、とりわけ、DiffenbachとDveksler、PCR Primer,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,1995,、およびKwokら、Nucleic Acids Res.18:999−1005(1990)に記載されている。
一定の態様に係るライゲーション用プローブセットは、同一の標的核酸配列に隣接してハイブリダイズする1種類以上の第一プローブおよび1種類以上の第二プローブを含む。一定の態様によれば、ライゲーション用プローブセットは、第一プローブの標的特異的部位が、下流側の標的領域とハイブリダイズするように(例えば、図2のプローブ2参照)、そして、第二プローブの標的特異的部位が、上流側の標的領域とハイブリダイズするように(例えば、図2のプローブ3参照)設計されている。プローブの配列特異的部位は、必要に応じて、標的およびプライマー中の相補配列に特異的にアニールできる十分な長さのものである。一定の態様において、プローブセット中の1種類以上の第一プローブの一つおよび1種類以上の第二プローブの一つが、さらにアドレス可能部位を含む。
適当な条件下で、隣接してハイブリダイズしたプローブが、例えば、制限はないが、遊離した3’−ヒドロキシル基および5’−リン酸基など、適当な反応基を含むならば、それらを一緒にライゲーションして、ライゲーション産物を形成させることができる。
一定の態様によれば、ライゲーション用プローブセットには、1種類以上の第一プローブ、または1種類以上の第二プローブを含み、1個以上のヌクレオチドが異なる標的配列を区別することができるものがある(例えば、図7参照)。
本発明の一定の態様によれば、ライゲーション用プローブセットは、第一プローブの標的特異的部位が、下流側の標的領域とハイブリダイズし(例えば、図6の第一プローブ参照)、第二プローブの標的特異的部位が、上流側の標的領域とハイブリダイズするように(例えば、図6の第二プローブ参照)設計されている。一定の態様において、中心ヌクレオチドに相補的なヌクレオチド塩基である「中心相補部」または「中心相補ヌクレオチド」が、標的特異的なプローブセットの第二プローブの近位末端に存在する(例えば、図6の第二プローブの5’末端(PC)参照)。一定の態様において、第二プローブよりも第一プローブが、中心相補部およびアドレス可能部位を含むことができる(例えば図7参照)。当業者は、さまざまな態様において、中心ヌクレオチドが標的配列の中に位置し、同様に、中心相補部が、プローブの標的特異的部位の中に位置することができることが分かるはずである。例えば、さまざまな態様によれば、中心相補部は、プローブの3’末端、プローブの5’末端、または、プローブの3’末端と5’末端の間のどこかに位置することができる。
一定の態様において、ライゲーション用プローブセットの第一および第二のプローブが、適当な上流側および下流側の標的領域にハイブリダイズするとき、および、中心相補部が、一方のプローブの5’末端、または他方のプローブの3’末端にあって、中心相補部が、標的配列上の中心ヌクレオチドと塩基対合するとき、ハイブリダイズした第一および第二のプローブを一緒にライゲーションして、ライゲーション産物を形成させることができる(例えば、図7(2)〜(3)参照)。しかし、図7(2)〜(3)に示した例において、両方のプローブが、それら各々の標的領域に、そこ以外では完全にハイブリダイズしたとしても、中心ヌクレオチドにあるミスマッチ塩基はライゲーションを妨害する。
一定の態様において、別のメカニズムを用いて、中心相補部に正しい相補的ヌクレオチドを含まないプローブのライゲーションを避けることができる。例えば、一定の態様において、中心ヌクレオチドにミスマッチがある場合には、ライゲーションプローブセットのプローブの標的配列へのハイブリダイゼーションが測定可能な程度減少するような条件を用いることが可能である。したがって、このような態様において、このようなハイブリダイズしないプローブは、プローブセットのもう一方のプローブにライゲーションしない。
一定の態様において、ライゲーション用プローブセットの第一プローブおよび第二プローブは、同じ融解温度(Tm)を有するよう設計される。一定の態様において、プローブが、中心相補部を含む場合には、求める標的中心ヌクレオチドの中心相補部を含むプローブに対するTmは、プローブセット中に中心相補部を含まない他のプローブよりも約4〜15℃低い。一定の態様において、中心相補部を含むプローブも、ライゲーション温度に近いTmを有するよう設計される。したがって、ミスマッチヌクレオチドを有するプローブは、ライゲーション温度で、より容易に標的から解離する。したがって、一定の態様において、ライゲーション温度は、例えば、標的における複数の可能な対立遺伝子を区別する別の方法を提供する。
さらに、一定の態様において、ライゲーション用プローブセットは、第一プローブの末端にも、第二プローブの末端(例えば、第一プローブまたは第二プローブの3’末端または5’末端)にも中心相補部を含まない。むしろ、中心相補部は、第一プローブまたは第二プローブの5’末端と3’末端との間のいずれかの位置に存在する。一定のそのような態様において、それぞれの標的領域に対して完全に相補的な標的特異的部位をもつプローブは、高度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。一方、標的領域に一つ以上のミスマッチ塩基を有するプローブは、それぞれの標的領域に測定可能なほど少ない程度でハイブリダイズする。ライゲーション産物を形成するには、第一プローブおよび第二プローブがともにハイブリダイズする必要がある。
一定の態様において、一塩基しか異ならないという高度に近似した配列を区別することもできる。例えば、一定の態様によれば、2対立遺伝子座における2つの可能な対立遺伝子を以下のようにして区別することができる。アドレス可能部位および中心相補部が異なる2種類の第一プローブ(例えば、図7(1)のプローブAおよびB、1種類の第二プローブ(例えば、図7(1)のプローブZ)、ならびに標的を含む試料を含むライゲーション用プローブセットを組み合わせることができる。3種類のプローブはすべて、適当な条件下(例えば、図7(2)参照)で標的配列とハイブリダイズする。しかし、ハイブリダイズした中心相補部をもつ第一プローブのみが、ハイブリダイズした第二プローブにライゲーションする(例えば、図7(3)参照)。したがって、1種類の対立遺伝子しか試料中に存在しなければ、その標的に対しては1種類のライゲーション産物しか生成されない(例えば、図7(D)のライゲーション産物A〜Z参照)。ヘテロ接合体の個体の試料では、両方のライゲーション産物が形成されるであろう。一定の態様において、中心ヌクレオチドに相補的でない中心相補部とプローブとのライゲーションが起きるかもしれないが、そのようなライゲーションは、中心ヌクレオチドに相補的な中心相補部とプローブとのライゲーションよりも測定可能なほど低い程度でしか起きない。
本発明の多様な態様において、多くの異なったシグナル部分を使用することができる。例えば、シグナル部分は、フルオロフォア、放射性同位元素、色素原、酵素、抗原、重金属、染料、リン光性発色基、化学発光基、および電気化学検出成分を包含するが、これらに限定されるものではない。シグナル部分として使用できるフルオロフォアの例は、ローダミン、シアニン3(Cy3)、シアニン5(Cy5)、フルオレセイン、商標Vic、商標Liz、商標Tamra、商標5−Fam、商標6−Fam、およびテキサスレッド(Molecular Probes)を包含するが、これらに限定されるものではない(商標Vic、商標Liz、商標Tamra、商標5−Fam、商標6−FamはすべてApplied Biosystems,Foster City,CAから購入可能)。放射性同位元素の例は、32P、33P、および35Sを包含するが、これらに限定されるものではない。また、シグナル部分は、例えば、ビオチン/アビジン、抗体/抗原、リガンド/レセプター、酵素/基質など、検出シグナルをもたらすために、要素が同一システム中の別の要素と相互作用する多要素間接レポーターシステム(multi−element indirect reporter system)を包含する。多要素システムの一定の例は、プローブに結合したビオチンレポーター基、および蛍光標識に接合したアビジンを包含する。シグナル部分をオリゴヌクレオチドに結合させる方法の詳細なプロトコールは、なかんずく、G.T.Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego,CA(1996)、およびS.L.Beaucageら、Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,John Wiley & Sons,New York,NY(2000)に記載されている。
上記したとおり、「相互作用プローブ」という用語は、互いに相互作用して、ある核酸の有無に応じて検出可能な程度異なるシグナル値を提供できる2種類以上のプローブ部分を含むプローブを意味する。一定の態様において、これら部分の一つの部分はシグナル部分であり、残りの部分は消光体部分である。シグナル部分から検出されるシグナル値は、消光体部分がシグナル部分に十分近接しているか、シグナル部分から離れているかによって異なる。一定の態様において、消光体部分がシグナル部分に十分近接しているときには、消光体部分は、シグナル部分からの検出可能なシグナル値を減少させる。一定の態様において、消光体部分がシグナル部分に十分近接しているときには、消光体部分は、シグナル部分からの検出可能なシグナル値を0または0に近い値に減少させる。
一定の態様において、相互作用プローブの一つの部分はシグナル部分であり、残りの部分は供与体部分である。シグナル部分から検出されるシグナル値は、ドナー部分がシグナル部分に十分近接しているか、シグナル部分から離れているかによって異なる。一定の態様において、供与体部分がシグナル部分に十分近接しているときには、供与体部分は、シグナル部分からの検出可能なシグナル値を減少させる。一定の態様において、供与体部分がシグナル部分に十分近接しているときには、供与体部分は、シグナル部分からの検出可能なシグナル値を0または0に近い値に減少させる。
供与体部分とシグナル部分を用いる一定の態様において、一定のエネルギー転移蛍光染料を使用することができる。供与体(供与体部分)と受容体(シグナル部分)との組み合わせの一定の非限定的な例が、例えば、米国特許第5,863,727号、第5,800,996号、および第5,945,526号に例示されている。供与体と受容体のこのような一定の組み合わせを使用することは、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)とも呼ばれている。
一定の態様において、相互作用プローブの各部分は、オリゴヌクレオチドなどの結合要素によって互いに結合することができる。一定の該態様において、相互作用プローブにハイブリダイズする配列が存在すると、本明細書に記載された方法の過程で各部分の近接性に影響する。多様な態様において、これらの部分は、当技術分野で既知の多様な方法で結合要素に結合することができる。例えば、部分をオリゴヌクレオチドに結合させる非限定的なプロトコールは、なかんずく、G.T.Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego,CA(1996)、およびS.L.Beaucageら、Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry,John Wiley & Sons,New York,NY(2000)に記載されている。一定の態様において、相互作用プローブは、1種類以上のシグナル部分を含む。一定の態様において、相互作用プローブは、1種類以上の消光体部分を含む。一定の態様において、相互作用プローブは、1種類以上の供与体部分を含む。
一定の態様によれば、相互作用プローブは、シグナル部分が、短い結合要素を介して、消光体部分または供与体部分に結合している「5’末端側ヌクレアーゼプローブ」でもよい。5’末端側ヌクレアーゼプローブが元のままのときには、消光体部分または供与体部分が、シグナル部分からの検出可能シグナルに影響を与える。一定の態様において、5’末端側ヌクレアーゼプローブは、特異的な核酸配列に結合し、PCRやその他の鎖置換プロトコールなどの増幅反応の過程で新しく重合された鎖によってプローブが置換されると、1種類以上のポリメラーゼおよび別の酵素構築物の5’末端側ヌクレアーゼ活性によって切断される。
5’末端側ヌクレアーゼプローブのオリゴヌクレオチド結合要素が切断されると、シグナル部分からの検出可能なシグナルが、シグナル部分がさらに消光体部分または供与体部分から離れるときに変化する。消光体部分を用いる一定の態様において、シグナル部分が消光体部分から離れるとシグナル値が増加する。供与体部分を用いる一定の態様において、シグナル部分が供与体部分かさらに離れるとシグナル値が減少する。
一定の態様に従った5’末端側ヌクレアーゼの例を図1Aに示すが、そこで、標識プローブ(LBP)は、消光体部分(Q)およびシグナル部分(S)を含んでいる。図1Aにおいて、相互作用プローブが相互作用する核酸配列は、5’末端側プローブ特異的部位P−SP1、アドレス可能部位(ASP)、および3’末端側プローブ特異的部位(P−SP2)を含む。標識プローブから検出されるシグナルは、切断によって増加する。
一定の態様において、5’末端側ヌクレアーゼプローブは蛍光プローブであって、シグナル部分が蛍光成分であり、消光体部分が蛍光消光体部分である。鎖置換プロトコールの過程でプローブが切断されると、蛍光体部分が、検出可能な蛍光シグナルを発光する。一定の態様において、5’末端側ヌクレアーゼ蛍光プローブは、切断前に相補鎖配列にハイブリダイズすると一定レベルのシグナルを発光することができ、切断によってシグナルのレベルを低下させることも可能である。5’末端側ヌクレアーゼ蛍光プローブの一定の例示的態様は、例えば、米国特許第5,538,848号などに記載されており、TaqMan(登録商標)アッセイ系(Applied Biosystems、Foster City、CAから入手可能)の一部であるTaqMan(登録商標)プローブ分子などの例が挙げられる。
一定の態様によれば、相互作用プローブは、オリゴヌクレオチドの結合要素を介して消光体部分または供与体部分に結合しているシグナル部分を含む「ハイブリダイゼーション依存型プローブ」でもよい。ハイブリダイゼーション依存型プローブが一定の核酸配列に結合していないため一本鎖であるとき、オリゴヌクレオチド結合要素は柔軟に折れ曲がることができ、消光体部分または供与体部分はシグナル部分に近づいて、シグナル部分から検出可能シグナルを発生させるのに十分な近さになる。一定の態様において、ハイブリダイゼーション依存型プローブのオリゴヌクレオチド結合要素は、一定の核酸配列にハイブリダイズしないときには、折り返されて自分自身、すなわち分子ビーコンプローブにハイブリダイズする(例えば、図1C参照)。例えば、米国特許第5,118,801号、第5,312,728号および第5,925,517号参照。一定の態様において、ハイブリダイゼーション依存型プローブのオリゴヌクレオチド結合要素は、一定の核酸配列にハイブリダイズしないときには、自分自身にハイブリダイズしない(例えば、図1B参照)。
ハイブリダイゼーション依存型プローブが、二本鎖核酸として一定の核酸に結合しているとき、消光体部分または供与体部分がシグナル部分から離れるため、検出可能シグナルが変化する。消光体部分を使用する一定の態様において、シグナル値は、シグナル部分が消光体部分からさらに離れると増加する。供与体部分を使用する一定の態様において、シグナル値は、シグナル部分が供与体部分からさらに離れると減少する。
一定の態様による一定のハイブリダイゼーション依存型プローブの例が図1Bと1Cに図示されており、図中、標識プローブ(LBP)は、消光体部分(Q)およびシグナル部分(S)を含んでいる。図1Bおよび1Cにおいて、相互作用プローブが相互作用する核酸配列は、5’末端側プローブ特異的部位P−SP1、アドレス可能部位(ASP)、および3’末端側プローブ特異的部位(P−SP2)を含む。
ハイブリダイゼーション依存型プローブの一定の態様において、シグナル部分は蛍光成分であり、消光体部分は蛍光消光体部分である。プローブが特異的核酸配列にハイブリダイズすると、蛍光成分が検出可能な蛍光シグナルを発光する。プローブが標的核酸配列にハイブリダイズしないで元のままだと、消光が起きて、蛍光は、ほとんどまたは全く検出されなくなる。
ハイブリダイゼーション依存型プローブの一定の例示的態様は、例えば、米国特許第5,723,591号に記載されている。
一定の態様において、ハイブリダイゼーション依存型プローブ中の配列を用いて、ハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的な部分が、増幅反応中に酵素によって切断されないようにする。「ハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的な部分が切断されない」とは、増幅されている一定の核酸配列にハイブリダイズするよう設計されているハイブリダイゼーション依存型プローブの全数の一部を意味するのであって、各プローブの一部を意味するわけではない。一定の態様において、「ハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的な部分が切断されない」とは、ハイブリダイゼーション依存型プローブの90%以上が切断されないことを意味する。一定の態様において、ハイブリダイゼーション依存型プローブの95%以上が切断されない。一定の態様において、ハイブリダイゼーション依存型プローブの核酸の一部または全部にPNAを使用する。
一定の態様において、ハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的な部分が、伸長反応の過程で、アドレス可能部位またはアドレス可能部位の相補鎖にハイブリダイズしないハイブリダイゼーション依存型プローブを使用する。ここで、「ハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的な部分がハイブリダイズしない」とは、増幅されている一定の核酸配列にハイブリダイズするよう設計されているハイブリダイゼーション依存型プローブの全数の一部を意味するのであって、各プローブの一部を意味するわけではない。一定の態様において、「ハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的な部分がハイブリダイズしない」とは、ハイブリダイゼーション依存型プローブの90%以上がハイブリダイズしないことを意味する。一定の態様において、ハイブリダイゼーション依存型プローブの95%以上がハイブリダイズしない。
一定の態様によれば、相互作用プローブは、シグナル部分が、短い結合要素を介して、消光体部分または供与体部分に結合している「切断可能なRNAプローブ」でもよい。切断可能なRNAプローブが元のままのときには、消光体部分または供与体部分が、シグナル部分からの検出可能シグナルに影響を与える。一定の態様によれば、切断可能なRNAプローブは、特異的な核酸配列に結合してから、RNaseH、または同様の活性を有する因子によって切断される。
切断可能なRNAプローブのRNA結合要素が切断されて、消光体部分または供与体部分がシグナル部分からさらに離れると、シグナル部分からの検出可能シグナルが変化する。消光体部分を使用する一定の態様において、シグナル値は、シグナル部分が消光体部分からさらに離れると増加する。供与体部分を使用する一定の態様において、シグナル値は、シグナル部分が供与体部分からさらに離れると減少する。
一定の態様において、検出すべき特定の核酸配列が試料中に存在する場合には、検出すべき特定の核酸配列が試料中に存在しない場合に比べて、核酸増幅処理をすると、切断可能なRNAプローブが結合する特異的DNA配列を含むDNAが増加する。このような態様において、増幅処理の間および/またはその後、切断可能なRNAプローブから発生するシグナルを見て、試料中に特定の核酸が存在すると判定することができる。一定の態様において、増幅処理の間および/またはその後、切断可能なRNAプローブから発生するシグナルを見て、試料中に存在する特定の核酸の量を定量することができる。
一定の態様において、切断可能なRNAプローブは、切断可能なRNA蛍光プローブであって、シグナル部分が蛍光成分で、消光体部分が蛍光消光体部分である。プローブが切断されると、蛍光成分が検出可能な蛍光シグナルを発光する。一定の態様において、切断可能なRNAプローブは、切断前に相補鎖とハイブリダイズすると、一定レベルのシグナルを発光することができ、切断とともにシグナルのレベルが増加する。
一定の態様によれば、相互作用プローブは「構造特異的ヌクレアーゼプローブ」であって、シグナル部分が、短いオリゴヌクレオチド結合要素を介して、消光体部分または供与体部分に結合しているプローブであってもよい。構造特異的ヌクレアーゼプローブが元のままのときには、消光体部分または供与体部分が、シグナル部分からの検出可能シグナルに影響を与える。一定の態様によれば、構造特異的ヌクレアーゼプローブは、特異的な核酸配列に結合し、それが特異的核酸配列に適当にハイブリダイズすれば、構造特異的ヌクレアーゼによって切断される。
構造特異的ヌクレアーゼプローブのオリゴヌクレオチド結合要素が切断されて、消光体部分または供与体部分がシグナル部分からさらに離れると、シグナル部分からの検出可能シグナルが変化する。消光体部分を使用する一定の態様において、シグナル値は、シグナル部分が消光体部分からさらに離れると増加する。供与体部分を使用する一定の態様において、シグナル値は、シグナル部分が供与体部分からさらに離れると減少する。
一定の態様において、構造特異的ヌクレアーゼプローブは、構造特異的な蛍光プローブであって、シグナル部分が蛍光成分で、消光体部分が蛍光消光体部分である。プローブが切断されると、蛍光成分が検出可能な蛍光シグナルを発光する。一定の態様において、切断可能な構造特異的ヌクレアーゼプローブは、切断前に相補鎖とハイブリダイズすると、一定レベルのシグナルを発光することができ、切断とともにシグナルのレベルが増加する。
一定の態様において、アドレス可能部位に実質的にハイブリダイズしないフラップ(flap)を、構造特異的ヌクレアーゼプローブを用い、また、構造特異的ヌクレアーゼとしてフラップエンドヌクレアーゼ(FEN)を用いることができる。例示的態様を図19に示す。図19の構造特異的ヌクレアーゼプローブは、アドレス可能部位にハイブリダイズしないフラップ部位、およびフラップ部位とハイブリッド形成部位との間にFEN切断位置ヌクレオチドを含む。FEN切断位置のヌクレオチドは、プローブがハイブリッド形成部位の5’末端側ヌクレオチドにハイブリダイズするヌクレオチドのすぐ3’末端側にあるアドレス可能部位のヌクレオチドに相補的になるよう設計されている。フラップ部位は、それに結合したシグナル部分を含み、ハイブリッド形成部位は、それに結合した消光体部分または供与体部分を含む。
図19に図示した態様で示したように、別のオリゴヌクレオチドXは、構造特異的ヌクレアーゼプローブのハイブリッド形成部位にハイブリダイズする、アドレス可能部位中の部位の3’末端側にあるアドレス可能部位にハイブリダイズするよう設計されている。適当なアドレス可能部位が存在すると、FENは、シグナル部分が消光体部分または供与体部分から離れるように構造特異的ヌクレアーゼプローブを切断する。
一定の態様によれば、相互作用プローブは、互いに隣接する一定の核酸配列にハイブリダイズずる2種類のオリゴヌクレオチドを含むことができる。一定の態様において、このオリゴヌクレオチドの一つはシグナル部分を含み、そのオリゴヌクレオチドの一つは消光体部分または供与体部分を含む。両方のオリゴヌクレオチドが、特定の核酸配列にハイブリダイズすると、消光体部分または供与体部分は、シグナル部分からの検出シグナルに影響を与えるほどシグナル部分に近くなる。
供与体部分を用いる一定の態様において、2種類のオリゴヌクレオチドが一定の核酸配列にハイブリダイズすると、シグナル値が増加する。消光体部分を用いる一定の態様において、2種類のオリゴヌクレオチドが一定の核酸配列にハイブリダイズすると、シグナル値は減少する。一定の態様において、シグナル部分は蛍光成分である。
一定の態様による適当な標識プローブの別の例には、i−プローブ、スコルピオン・プローブ(scrprion probes)、エクリプス・プローブ(eclipse probes)などがある。例示的であって、非限定的なプローブについては、例えば、Whitcomeら、Nucleic Biotechnol.17(8):804−807(1999)(スコルピオン・プローブを含む);Afoninaら、Biotechniques,32(4):(2002)(エクリプス・プローブを含む);Thelwellら,Nucleic Acids Res.,28(19):3752−3761(2000) (スコルピオン・プローブを含む);Liら、“A new class of homogenous nucleic acid probes based on specific displacement hybridization”,Nucleic Acids Res.,30(2):E5(2002);Kandimallら、Bioor.Med.Chem.,8(8):1911−1916(2000);Isacssonら、Mol.Cell.Probes,14(5):321−328(2000);Frenchら、Mol.Cell.Probes,15(6):363−374(2001);およびNumiら、“A new label technology for the detection of specific polymerase chain reaction products in a closed tube”,Nucleic Acids Res.,28(8),E28(2000)において考察されている。一定の態様に従った消光体部分の例は、Epoch Bioscience,Bothel,Washingtonから入手することができる。
一定の態様において、試料中の標的核酸の有無を検出するために、標識プローブ、および第一および第二の検出可能なシグナル値との間の限界差を利用することができる。このような態様において、第一および第二の検出可能なシグナル値の間の差が、限界差以上であれば、すなわち、限界差があれば、標的核酸が存在すると結論づけられる。
一定の態様による限界差をどのように設定できるかということに関する一定の非限定的な例は、以下のとおりである。
まず、一定の態様において、相補配列にハイブリダイズしない標識プローブの第一の検出可能なシグナル値を0とすることができる。一定の態様において、増幅前に、標識プローブ、ならびに相補的アドレス可能部位を含むライゲーションしていないライゲーション用プローブおよびライゲーション産物を含む増幅反応産物を形成すると、検出可能なシグナル値は0.4に増加する。一定の態様において、このような増幅反応組成物が、相補的なアドレス可能部位を含むライゲーション産物を含まないとき、増幅反応の間および/またはその後、検出可能なシグナル値は0.4にとどまる。(すなわち、第二の検出可能なシグナル値は0.4である。)しかし、そのような一定の態様において、増幅反応用組成物が、相補的なアドレス可能部位を含むライゲーション産物を含むときには、増幅反応の間および/またはその後、検出可能なシグナル値は2に増加する。(すなわち、第二の検出可能なシグナル値は2である。)
したがって、一定のこのような態様において、第一および第二の検出可能なシグナル値の間の限界差を、0.4より大きく約2までの間のいずれかの値に設定する。例えば、限界差を0.5から2の間に設定することができる。
次に、一定の態様において、相補配列にハイブリダイズしない標識プローブの第一の検出可能なシグナル値を0とすることができる。一定の態様において、増幅前に、標識プローブ、ならびに相補的アドレス可能部位を含むライゲーションしていないライゲーション用プローブおよびライゲーション産物を含む増幅反応産物を形成すると、検出可能なシグナル値は0.4に増加する。一定の態様において、このような増幅反応組成物が、相補的なアドレス可能部位を含むライゲーション産物を含まないとき、増幅反応の間および/またはその後、検出可能なシグナル値は0.7に増加。(すなわち、第二の検出可能なシグナル値は0.7である。)しかし、そのような一定の態様において、増幅反応用組成物が、相補的なアドレス可能部位を含むライゲーション産物を含むときには、増幅反応の間および/またはその後、検出可能なシグナル値は2に増加する。(すなわち、第二の検出可能なシグナル値は2である。)
したがって、一定のこのような態様において、第一および第二の検出可能なシグナル値の間の限界差を、0.7より大きく約2までの間のいずれかの値に設定する。例えば、限界差を0.8から2の間に設定することができる。
さらに、一定の態様において、相補配列にハイブリダイズしない標識プローブの第一の検出可能なシグナル値を0とすることができる。一定の態様において、増幅前に、標識プローブ、ならびに相補的アドレス可能部位を含むライゲーションしていないライゲーション用プローブおよびライゲーション産物を含む増幅反応産物を形成すると、検出可能なシグナル値は0.4に増加する。一定の態様において、このような増幅反応組成物が、相補的なアドレス可能部位を含むライゲーション産物を含まないとき、増幅反応の間および/またはその後に、検出可能なシグナル値は直線的に増加する。(すなわち、第二の検出可能なシグナル値は、第一の検出可能なシグナル値から直線的に増加する。)しかし、そのような一定の態様において、増幅反応用組成物が、相補的なアドレス可能部位を含むライゲーション産物を含むときには、増幅反応の間および/またはその後、検出可能なシグナル値は指数的に増加する。(すなわち、第二の検出可能なシグナル値は、第一の検出可能なシグナル値から指数的に増加する。)
したがって、一定のこのような態様において、増幅している間に2つ以上のポイントで、また、増幅反応の最後に検出可能なシグナル値を測定して、検出可能なシグナル値の増加が直線的か指数的かを判定することができる。一定の態様において、増加が指数的であれば、第一および第二の検出可能なシグナル値の間には限界差が存在する。
一定の態様において、FEN−OLA技術において使用することができるライゲーション用プローブセットを用いることが可能である。FEN−OLA技術において、ライゲーション用プローブセットの第一プローブは、標的核酸配列にハイブリダイズするよう設計された標的特異的部位を含む。このライゲーション用プローブセットの第二プローブは、フラップ部位、標的特異的部位、および、フラップ部位と標的特異的部位との間にFEN切断位置ヌクレオチドを含む。第二プローブの標的特異的部位は、標的核酸配列にハイブリダイズして、フラップ部位に最も近い標的特異的部位の末端が、第一プローブのハイブリダイズした標的特異的部位に隣接するように設計される。
フラップ部位は、フラップ部位の実質的な部位が、標的核酸配列にハイブリダイズしないように設計されている。「フラップ部位の実質的な部位がハイブリダイズしない」とは、フラップ部位の総数の一部を意味するのであって、各フラップ部位の一部を意味するものではない。一定の態様において、「ハイブリダイズしないフラップ部位の実質的な一部」とは、フラップ部位の90%以上がハイブリダイズしないことを意味する。一定の態様において、フラップ部位の95%以上がハイブリダイズしない。
FENは、適正な標的核酸配列が存在すると、切断位置にあるヌクレオチドと標的特異的部位との間で第二プローブを切断する。すなわち、第一および第二のプローブの標的特異的部位が標的核酸配列にハイブリダイズし、また、FEによって切断される位置にあるヌクレオチドが、第二プローブの標的特異的部位にハイブリダイズする標的核酸配列の部位に直接隣接する標的核酸配列のヌクレオチドに相補的であれば、そのような切断が起こる。図15は、一定の態様にしたがってFEN−OLA技術において使用できる一定のライゲーション用プローブセットを具体的に説明するための一定の非限定的な例を示す。
フラップが切断されると、第二プローブを、隣接してハイブリダイズした、ライゲーション用プローブセットの第一プローブにライゲーションによって連結させることができる。フラップが切断されないと、第二プローブは、隣接してハイブリダイズした第一プローブに連結されない。
FEN−OLA技術において使用されるプローブの一定の非限定的な例を図16に図示する。図16では、以下のものを含むプローブセットを用いる。アドレス可能部位および中心相補部が異なる2種類の第一プローブ(例えば、図16(A)のプローブAおよびB参照)、ならびに2種類の第一プローブの中心相補部に対応する異なったFEN切断位置ヌクレオチドを含む2種類の第二プローブ(例えば、図16(A)のプローブYおよびZ参照)。
図16に示す態様において、FENは、第二プローブが、標的核酸配列の中心ヌクレオチドに相補的なFEN切断位置ヌクレオチドを含むときにのみ、第二プローブのフラップを切断する(例えば、図16(B)参照)。そのような態様のそのような場面において、プローブセットの第一および第二のプローブは、第一プローブの中心相補部が、標的核酸配列の中心ヌクレオチドに相補的な場合に一緒にライゲーションされる(例えば、図16(C)参照)。中心ヌクレオチドにミスマッチがある場合は、ライゲーションは生じない。
したがって、試料中に一種類の対立遺伝子しかない場合には、標的に対するライゲーション産物が1種類だけ生成される(例えば、図16(C)のライゲーション産物A〜Z参照)ヘテロ接合の個体からの試料では、両方のライゲーション産物が形成される。一定の態様において、中心ヌクレオチドに相補的でないFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブの切断が起きる可能性もあるが、このような切断は、中心ヌクレオチドに相補的なFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブの切断よりも測定可能な程度少ない。一定の態様において、中心ヌクレオチドに相補的でない中心相補部をもつプローブのライゲーションが起きる可能性もあるが、このようなライゲーションは、中心ヌクレオチドに相補的な中心相補部をもつプローブのライゲーションよりも測定可能な程度少ない。
FEN−OLA技術において使用されるプローブの一定の非限定的な例を図17にも図示する。図17では、異なったアドレス可能部位および異なった中心相補部を含む第一プローブであって、各第一プローブの中心相補部が、第一プローブの3’末端側の最後から2番目のヌクレオチドの位置にある2種類の第一プローブを含むプローブセット(例えば、図17(A)のプローブAおよびB参照)を用いる。このプローブセットは、さらに、2種類の第一プローブの3’末端のヌクレオチドと同じFEN切断位置ヌクレオチドを含む2種類の第二プローブを含む(例えば、図17(A)のプローブZ参照)。
a.図17に示した態様において、FENは、第二プローブが、標的核酸配列の中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側にあるヌクレオチドに相補的なFEN切断位置ヌクレオチドを含む場合にのみ、第二プローブのフラップを切断する(例えば、図17(B)参照)。このような態様におけるこのような場面では、(1)第一プローブの中心相補部が、標的核酸配列の中心ヌクレオチドに相補的であり、(2)第一プローブの3’末端のヌクレオチドが、標的核酸配列の中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側にあるヌクレオチドに相補的であれば(例えば、図17(C)参照)、プローブセットの第一および第二のプローブを一緒にライゲーションする。中心ヌクレオチドにミスマッチがあれば、ライゲーションは生じない。
したがって、1種類の対立遺伝子しか試料中に存在しなければ、その標的に対しては1種類のライゲーション産物しか生成されない(例えば、図17(C)のライゲーション産物A〜Z参照)。ヘテロ接合体の個体の試料では、両方のライゲーション産物が形成されるであろう。一定の態様において、中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側のヌクレオチドに相補的でないFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブの切断が起きるかもしれないが、そのような切断は、中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側のヌクレオチドに相補的なFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブの切断よりも測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定の態様において、中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側のヌクレオチドに相補的でないFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブのライゲーションが起きるかもしれないが、そのようなライゲーションは、中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側のヌクレオチドに相補的なFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブのライゲーションよりも測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定の態様において、中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側のヌクレオチドに相補的でない3’末端のヌクレオチドをもつプローブのライゲーションが起きるかもしれないが、そのようなライゲーションは、中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側のヌクレオチドに相補的な3’末端のヌクレオチドをもつプローブのライゲーションよりも測定可能なほど低い程度でしか起きない。
FEN−OLA技術において使用されるプローブの一定の非限定的な例を図18にも図示する。図18では、2種類の第二プローブを含むプローブセットであって、同一のFEN切断位置ヌクレオチドを含み、かつ、異なったアドレス可能部位および異なった中心相補部(各第二プローブの中心相補部は、FEN切断位置ヌクレオチドのすぐ3’末端側にある)を含むプローブセットを用いる(例えば、図18(A)のプローブAおよびB参照)。このプローブセットは、さらに、FEN切断位置ヌクレオチドと同じヌクレオチドを3’末端に含む第一プローブを含む(例えば、図18(A)のプローブZ参照)。
図18に示した態様において、FENは、第二プローブが、標的核酸配列の中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側にあるヌクレオチドに相補的なFEN切断位置ヌクレオチドを含む場合にのみ、第二プローブのフラップを切断する(例えば、図18(B)参照)。このような態様におけるこのような場面では、(1)第二プローブの中心相補部が、標的核酸配列の中心ヌクレオチドに相補的であり、(2)第一プローブの3’末端のヌクレオチドが、標的核酸配列の中心ヌクレオチドのすぐ3’末端側にあるヌクレオチドに相補的であれば(例えば、図18(C)参照)、プローブセットの第一および第二のプローブを一緒にライゲーションする。中心ヌクレオチドにミスマッチがあれば、ライゲーションは生じない。
したがって、1種類の対立遺伝子しか試料中に存在しなければ、その標的に対しては1種類のライゲーション産物しか生成されない(例えば、図18(C)のライゲーション産物A〜Z参照)。ヘテロ接合体の個体の試料では、両方のライゲーション産物が形成されるであろう。一定の態様において、中心ヌクレオチドのすぐ3’末端側のヌクレオチドに相補的でないFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブの切断が起きるかもしれないが、そのような切断は、中心ヌクレオチドのすぐ3’末端側のヌクレオチドに相補的なFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブの切断よりも測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定の態様において、中心ヌクレオチドのすぐ3’末端側のヌクレオチドに相補的でないFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブのライゲーションが起きるかもしれないが、そのようなライゲーションは、中心ヌクレオチドのすぐ3’末端側のヌクレオチドに相補的なFEN切断位置ヌクレオチドをもつプローブのライゲーションよりも測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定の態様において、中心ヌクレオチドのすぐ3’末端側のヌクレオチドに相補的でない3’末端のヌクレオチドをもつプローブのライゲーションが起きるかもしれないが、そのようなライゲーションは、中心ヌクレオチドのすぐ5’末端側のヌクレオチドに相補的な3’末端のヌクレオチドをもつプローブのライゲーションよりも測定可能なほど低い程度でしか起きない。
一定の態様において、さまざまなアドレス可能部位に特異的なさまざまな標識プローブを用いることができる。一定のこのような態様において、さまざまな配列と検出可能な程度異なるシグナル部分を含むさまざまな標識プローブを用いることができる。検出可能な程度異なるシグナル部分は、異なった波長の光を放出する部分、異なった波長の光を吸収する部分、異なった蛍光崩壊寿命をもつ部分、異なったスペクトルシグネチャ(spectral signature)を有する部分、および異なった放射活性崩壊特性を有する部分を包含するが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、特定の核酸配列が存在しない限り元のままに残る標識プローブを用いることもできる。標識はプローブに結合している。特定の核酸配列が存在していれば、プローブは切断される。このようなプローブの一定の例は、伸長反応の過程で5’ヌクレアーゼ活性によって切断されるプローブ、構造特異的ヌクレアーゼ活性によって切断されるプローブ、およびRNaseHまたは同様の活性をもつ別の因子によって切断されるプローブを包含するが、これらに限定されるものではない。
一定のこのような態様において、「移動度依存的解析技術」などの方法を用い、プローブの切断部位および元のプローブで異なる移動速度を考慮して、元のプローブから標識をもつプローブの切断部位を分離することができる。「移動度依存的解析技術」とは、さまざまな分析物の間で異なっている移動速度に基づいた解析法を意味する。移動度依存的解析技術の例は、電気泳動法、質量分析法、クロマトグラフィー、沈降分析法、勾配遠心分離法、場流動分画法、および多段階抽出技術を包含するが、これらに限定されるものではない。したがって、このような態様において、標識プローブの標識切断部位の存在を検出(または定量)することによって、試料中に特定の核酸配列が存在するか否かを判定(または定量)することができる。
一定の態様において、移動度変更因子(mobility modifier)を用いて、標識プローブのさまざまな切断部位を互いから分離することができる。例えば、一定のそのような態様において、異なった遺伝子座の各々に対する標識プローブが、異なった移動度変更因子を持っていたなら、同一の標識によるさまざまな標識プローブを使用することができるだろう。一定の態様において、移動度変更因子は、異なる移動度をもたらす長さの異なったオリゴヌクレオチドであろう。一定の態様において、移動度変更因子は、非限定的な例としてポリエチレンオキシド(PEO)、ポリグリコール酸、ポリウレタンポリマー、ポリペプチド、またはオリゴ糖などの非ヌクレオチドポリマーなどである。一定の態様において、移動度変更因子は、ポリヌクレオチドのサイズを増やすことによって、または、実質的にはサイズを増加させなくても、媒体を移動する間、分子の「足かせ」を増加させることによって役割を果たすことができる。PEOなど一定の移動度変更因子については、例えば、米国特許第5,470,705号、第5,580,732号;第5,624,800号;および第5,989,871号に記載されている。
一定の態様において、ライゲーション用プローブセットの一つのプローブに対するヌクレオチドの可能な組み合わせのすべてのライブラリー、またはすべてのサブセットを作り出すことができる。例えば、一定の態様において、核酸配列における一塩基多型を検出するために、2つの対立遺伝子特異的プローブを選択することができる、プローブのライブラリーを作り出すことができる。
一定の態様において、一定数のヌクレオチドの標的特異的部位のあらゆる可能なヌクレオチドの組み合わせに対する、対立遺伝子特異的プローブを含むライブラリーを作り出す。一定数のヌクレオチドのそれぞれについて、4種類の可能なヌクレオチドがあるため、一定数であるX個のヌクレオチドに対しては、4X通りの可能な組み合わせがある。したがって、一定のそのような態様において、4X種類の対立遺伝子特異的プローブがライブラリーの中に提供されているため、プローブの標的特異的部位におけるX個のヌクレオチドのすべての組み合わせに対するプローブを選択することができる。
一定の態様において、ライブラリーの対立遺伝子特異的プローブのそれぞれは、さらに、プライマー特異的部位、およびプライマー特異的部位と標的特異的部位との間にアドレス可能部位を含む。
一定の態様において、全てのプローブは同様のプライマー特異的部位をもつことができる。
一定の態様において、2対立遺伝子座の2つの可能な対立遺伝子を検出または定量するために、2つの可能な対立遺伝子のそれぞれを区別するための2種類の対立遺伝子特異的プローブを選択できる、プローブの標的特異的部位におけるXヌクレオチドの可能な組み合わせのすべてに対する、プローブ[4(X−1)×6]のライブラリーを制作することができる。
例えば、一定のそのような態様において、ライブラリーの対立遺伝子特異的プローブの標的特異的部位は、長さ6ヌクレオチドである。一定のそのような態様において、ライブラリーは、アドレス可能部位AP1をもつプローブを含み、また、別のアドレス可能部位AP2をもつプローブを含む。一定の態様を以下で考察する助けとなるよう、表Aを示す。
表Aに示されているとおりの態様において、ライブラリーは、AP1、および中心相補部として「A」を有する6ヌクレオチド長の標的特異的部位の可能な組み合わせのそれぞれを含む対立遺伝子特異的プローブを含む。このようなプローブはすべて、「A」を中心相補部に有するため、各標的特異的部位の5つのヌクレオチド位置(N
5)の組み合わせは、プローブが異なるとそれぞれ異なり、そのため、AP1、および中心相補部として「A」を含むライブラリーには、4
5=1024種類の異なったプローブが存在する。
表Aに示されているとおりの態様において、ライブラリーは、AP1、および中心相補部として「C」を有する6ヌクレオチド長の標的特異的部位の可能な組み合わせのそれぞれを含む対立遺伝子特異的プローブを含む。このようなプローブはすべて、「C」を中心相補部に有するため、各標的特異的部位の5つのヌクレオチド位置(N5)の組み合わせは、プローブが異なるとそれぞれ異なり、そのため、AP1、および中心相補部として「C」を含むライブラリーには、45=1024種類の異なったプローブが存在する。
表Aに示されているとおりの態様において、ライブラリーは、AP1、および中心相補部として「G」を有する6ヌクレオチド長の標的特異的部位の可能な組み合わせのそれぞれを含む対立遺伝子特異的プローブを含む。このようなプローブはすべて、「G」を中心相補部に有するため、各標的特異的部位の5つのヌクレオチド位置(N5)の組み合わせは、プローブが異なるとそれぞれ異なり、そのため、AP1、および中心相補部として「G」を含むライブラリーには、45=1024種類の異なったプローブが存在する。
表Aに示されているとおりの態様において、ライブラリーは、AP2、および中心相補部として「C」を有する6ヌクレオチド長の標的特異的部位の可能な組み合わせのそれぞれを含む対立遺伝子特異的プローブを含む。このようなプローブはすべて、「C」を中心相補部に有するため、各標的特異的部位の5つのヌクレオチド位置(N5)の組み合わせは、プローブが異なるとそれぞれ異なり、そのため、AP2、および中心相補部として「C」を含むライブラリーには、45=1024種類の異なったプローブが存在する。
表Aに示されているとおりの態様において、ライブラリーは、AP2、および中心相補部として「G」を有する6ヌクレオチド長の標的特異的部位の可能な組み合わせのそれぞれを含む対立遺伝子特異的プローブを含む。このようなプローブはすべて、「G」を中心相補部に有するため、各標的特異的部位の5つのヌクレオチド位置(N5)の組み合わせは、プローブが異なるとそれぞれ異なり、そのため、AP2、および中心相補部として「G」を含むライブラリーには、45=1024種類の異なったプローブが存在する。
表Aに示されているとおりの態様において、ライブラリーは、AP2、および中心相補部として「T」を有する6ヌクレオチド長の標的特異的部位の可能な組み合わせのそれぞれを含む対立遺伝子特異的プローブを含む。このようなプローブはすべて、「T」を中心相補部に有するため、各標的特異的部位の5つのヌクレオチド位置(N5)の組み合わせは、プローブが異なるとそれぞれ異なり、そのため、AP2、および中心相補部として「T」を含むライブラリーには、45=1024種類の異なったプローブが存在する。
したがって、このライブラリーは、[4(X−1)×6]=[4(6−1)×6]=[45×6]=6144種類のプローブを含む。下記の表Bは、可能な2対立遺伝子座のいずれかで可能な2つの中心ヌクレオチドのそれぞれについて、表Aに示したライブラリーからどのようにして2種類のプローブを選択できるかに関する一定の態様を示している。
したがって、可能な2対立遺伝子座のそれぞれについて、6144種類の異なったプライマー対から一組のプローブを選択できる。
一定の態様において、表Aに示されている、一定のアドレス可能部位と中心相補部の一定のヌクレオチドとの間の対応関係を変えることも可能である。例えば、一定の態様による以下の表Cに示すライブラリーを参照。
以下の表Dは、長さ8ヌクレオチドの標的特異的部位を含む一定の態様にしたがった、2対立遺伝子座に対する対立遺伝子特異的プローブのライブラリーを示す。
したがって、このライブラリーは、[4
(X−1)×6]=[4
(8−1)×6]=[4
7×6]=98,304種類のプローブを含む。下記の表Eは、可能な2対立遺伝子座のいずれかで可能な2つの中心ヌクレオチドのそれぞれについて、表Dに示したライブラリーからどのようにして2種類のプローブを選択できるかを示している。
したがって、可能な2対立遺伝子座のそれぞれについて、16,384種類の異なったプライマー対から一組のプローブを選択できる。
一定の態様において、2対立遺伝子座の可能な2種類の対立遺伝子を検出または定量するために、ライブラリーは、4X種類のプローブを2セット含むことができる。このようなプローブの1セットは、第一のアドレス可能部位をもつことができ、もう一方のセットは、第二の異なったアドレス可能部位を有する以外は同じである。したがって、このような態様においては、2種類の異なったアドレス可能部位を有する2種類の対立遺伝子特異的プローブのあらゆる組み合わせが可能である。
例えば、一塩基多型(SNP)によって、特定の2対立遺伝子のSNPローカスを同定すると仮定してみる。一定の態様において、2つの異なったアドレス可能部位を有する2種類の適当な対立遺伝子特異的プローブを見つけるために、標的ローカスのSNPの2種類の可能なヌクレオチドおよび隣接する(Xひく1)ヌクレオチドをプローブのライブラリーに適合させることができる。
一定の態様において、ライブラリーの対立遺伝子特異的プローブの標的特異的部位は、長さ6ヌクレオチドである。したがって、ライブラリーの対立遺伝子特異的プローブの標的特異的部位に対して、46=4096通りの可能な組み合わせがある。ライブラリーが、4096通りの可能な標的特異的部位のそれぞれについて2種類の異なったアドレス可能部位を有するプローブを含むとすると、このライブラリーは、8192種類の対立遺伝子特異的プローブを含むことになる。
一定の態様において、ライブラリーの対立遺伝子特異的プローブの標的特異的部位は、長さ8ヌクレオチドである。したがって、ライブラリーの対立遺伝子特異的プローブの標的特異的部位に対して、48=65,536通りの可能な組み合わせがある。ライブラリーが、65,536通りの可能な標的特異的部位のそれぞれについて2種類の異なったアドレス可能部位を有するプローブを含むとすると、このライブラリーは、131,072種類の対立遺伝子特異的プローブを含むことになる。
一定の態様において、ライゲーション用プローブセットの他方のプローブ(ローカス特異的プローブ)であって、対立遺伝子特異的プローブに隣接する標的へのアニールを可能にする標的特異的部位をもつプローブを作成することもできる。ローカス特異的プローブという用語は、単に、ライブラリーの対立遺伝子特異的プローブと区別するために使用される。
さまざまな態様において、あるライブラリーの対立遺伝子特異的プローブの標的特異的部位の特異的ヌクレオチドの数は、4ヌクレオチドから20ヌクレオチドの間のいずれかの数でよい。
当業者は、ローカス特異的プローブと適当な対立遺伝子特異的プローブ(SNPヌクレオチドに相補的なヌクレオチドをもつ)とが、標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズするときにライゲーションが生じるよう、プローブを設計することができる。一定の態様において、プローブにLNAを使用することもできる。
一定の態様において、特定の標的核酸配列および隣接した縮退部位にハイブリダイズするように設計されている特異的部位を有する配列を包含することによって、プローブの長さを増加させることができる。例えば、一定の態様において、一群のプローブをすべて、特定の標的核酸配列の特異的な6ヌクレオチド部位に用いることができる。一定のそのような態様において、この群のプローブのそれぞれは、特定の標的核酸配列に相補的な6ヌクレオチド配列部位が同じであるものを含むことができる。さらに、この群のプローブは、この群の1種類以上のプローブの特異的な6ヌクレオチド部位および縮退部位がともに、特異的な6ヌクレオチド部位を含む核酸とハイブリダイズするように、縮退部位の各末端に4個の異なったヌクレオチドをランダムにもつ付加的隣接縮退部位を含む。
例えば、一定の6ヌクレオチド標的核酸配列に対して、ある一群のプローブの各々が、その特定の標的核酸配列に相補的な同一の6ヌクレオチド配列部位を含むこともできる。さらに、その群の各プローブは、4ヌクレオチドの縮退部位を含むことも可能である。この一連のプローブは、4ヌクレオチド配列について可能な組み合わせのすべてをもつことも可能である。したがって、6ヌクレオチドだけが標的核酸配列に対する特異性を示すが、その群のプローブの1種類が、標的にもハイブリダイズするランダムな4ヌクレオチド配列をもつ。したがって、群中の1種類以上のプローブの標的にハイブリダイズする部位の長さは、6ヌクレオチドではなく、10ヌクレオチドに増加する。
一定の態様において、ほとんどまたはすべてのヌクレオチドに非特異的にハイブリダイズする汎用ヌクレオチド(universal nucleotide)をもつ部位を付加することによって、プローブの長さを増加させることが可能である。非限定的な汎用ヌクレオチドの例を、例えば、Bergerら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(2000)39:2940−42;およびSmithら、Nucleosides & Nucleotides(1998)17:541−554が検討している。非限定的な汎用ヌクレオチドの例は、8−アザ−7−デアザアデニンであり、例えば、SellaとDebelak,Nucl.Acids Res.,28:3224−3232(2000)で検討されている。
一定の態様において、配列変異に対応するために、汎用ヌクレオチドまたは縮退部位をプローブで用いることができる。一定の態様において、ライブラリーの複雑さを減らすためにライブラリーのプローブに汎用ヌクレオチドを使用することもできる。
一定の態様によるプライマーセットは、ライゲーション用プローブセットの1種類以上のプローブのプライマー特異的部位にハイブリダイズできる1種類以上のプライマーを含む。一定の態様において、プライマーセットは、1種類以上の第一のプライマーおよび1種類以上の第二のプライマーであって、1種類以上の第一プライマーが、ライゲーション用プローブセットの一つのプローブ(またはそのプローブの相補鎖)に特異的にハイブリダイズし、プライマーセットの1種類以上の第二プライマーが、同じライゲーション用プローブセットの別のプローブ(またはそのプローブの相補鎖)に特異的にハイブリダイズするプライマーを含む。一定の態様において、プライマーセットの1種類以上の第一プライマーは、プロモーター配列、またはその相補鎖の全部または一部をさらに含む。一定の態様において、プライマーセットの第一および第二のプライマーは、異なるハイブリダイゼーション温度を有し、温度による非対称的PCR(asymmetric PCR)反応が可能になる。
当業者は、本発明に係るプローブおよびプライマーは単数形で説明されているが、文脈からも明らかなように、それらの単数形の用語には複数のプローブまたはプライマーも含まれうることを理解している。したがって、例えば一定の態様において、ライゲーション用プローブセットは、典型的には、複数の第一プローブと複数の第二プローブを含む。
配列特異的プライマーおよびプローブを設計するための基準は、当業者に周知である。配列特異的アニーリングを提供するプライマー設計の詳細な説明は、なかんずく、DiffenbachとDveksler、PCR Primer,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,1995、およびKwokら(Nucl.Acids Res.18:999−1005,1990)に記載されている。プライマーの配列特異的部位は、必要に応じて、ライゲーション産物および増幅産物中の相補配列に特異的にアニール可能な十分の長さのものである。
プロモーター配列を使用する一定の態様において、プロモーター配列、およびその相補配列は、適当なポリメラーゼが相互作用できる十分な長さのものである。ポリメラーゼ相互作用するのに十分な長さの配列についての詳細な説明は、なかんずく、SambrookとRussellに記載されている。
一定の態様によれば、本発明に係るプライマーセットは、1種類以上の第二プライマーを含む。一定の態様において、そのプライマーセットの第二プライマーは、ライゲーション産物または増幅産物の3’末端側プライマー特異的部位に、配列特異的にハイブリダイズするよう設計されている(例えば、図2C参照)。一定の態様において、プライマーセットは、1種類以上の第一プライマーをさらに含む。一定の態様において、プライマーセットの第一プライマーは、同一のライゲーション産物または増幅産物の5’末端側特異的部位の相補鎖に、配列特異的にハイブリダイズするよう設計されている。一定の態様において、プライマーセットの1種類以上のプライマーは、プロモーター配列もしくはその相補配列、またはプロモーター配列の一部もしくはその相補配列を含む。プロモーター配列を含むプライマーの検討については、例えば、SambrookとRussell参照。
一定の態様にしたがって、汎用のプライマーまたはプライマーセットを使用することができる。一定の態様において、汎用プライマーまたは汎用プライマーセットは、必要に応じて、反応液中の2種類以上のプローブ、ライゲーション産物、または増幅産物にハイブリダイズする。PCRなどがあるが、これに限定されない一定の増幅反応において汎用プライマーセットを用いると、広範囲の鋳型濃度について定性的または定量的な結果が得られる。
ライゲーション反応および増幅反応を含む一定の態様において、それに結合している副溝結合因子を含む1種類以上のプローブおよび/または1種類以上のプライマーを使用することができる。一定の副溝結合因子の例、および副溝結合因子をオリゴヌクレオチドに結合させる一定の方法については、例えば、米国特許第5,801,155号および第6,084,102号で検討されている。一定の副溝結合因子例としては、Epoch Bioscience,Bothel,Washingtonから入手することができるものである。一定の態様によれば、副溝結合因子は、以下の一つ以上に結合することができる。ライゲーション用プローブセットの1種類以上のプローブ、プライマーセットの1種類以上のプライマー、および1種類以上の標識プローブ。
一定の態様によれば、副溝結合因子は、3’末端側特異的部位を含むライゲーション用プローブに結合することができる。一定の態様において、副溝結合因子が存在すると、増幅反応において、3’末端側プライマー特異的部位にハイブリダイズする短いプライマーの利用が容易になる。例えば、一定の態様において、短いプライマー、または、プライマー特異的部位もしくはその相補配列にハイブリダイズするプライマーのセグメントは、8ヌクレオチドと15ヌクレオチドの間のいずれかの長さをもつことができる。
一定の態様において、副溝結合因子は、増幅反応で使用される1種類以上のフォワードプライマーまたはリバースプライマーに結合している。一定のそのような態様において、副溝結合因子が結合しているプライマーは短いプライマーである。例えば、一定の態様において、短いプライマー、または、プライマー特異的部位もしくはその相補配列にハイブリダイズするプライマーのセグメントは、8ヌクレオチドと15ヌクレオチドの間のいずれかの長さをもつことができる。一定の態様において、フォワードプライマーとリバースプライマーがともに、それらに結合している副溝結合因子をもつことができる。
一定の態様において、副溝結合因子は、5’末端側プライマー特異的部位を含む第一プローブ、および3’末端側プライマー特異的部位を含む第二プローブを含むライゲーション用プローブセットを使用する方法において、以下のように使用することができる。副溝結合因子は第二プローブの3’末端に結合し、また、副溝結合因子は、第一プローブの5’末端側プライマー特異的部位の相補配列にハイブリダイズするプライマーに結合している。一定のこのような態様において、副溝結合因子が存在すると、増幅反応において、短いフォワードプライマーおよびリバースプライマーの使用が容易になる。例えば、一定の態様において、短いプライマー、または、プライマー特異的部位もしくはその相補配列にハイブリダイズするプライマーのセグメントは、8ヌクレオチドと15ヌクレオチドの間のいずれかの長さをもつことができる。
本明細書において検討しているアドレス可能部位を有するライゲーション用プローブを使用するさまざまな方法によって、上記副溝結合因子をふくむ構成を用いることができる。一定の態様において、異なったタイプのライゲーション法および増幅法でこのような構成を使用することができる。例えば、結合している副溝結合因子をもつ1種類以上のプローブおよび/または1種類以上のプライマーを、ライゲーション反応および増幅反応を利用するさまざまな方法において用いることができる。例示的な方法は、米国特許第6,027,889号、PCT公開特許出願第WO01/92579号、および米国特許出願第09/584,905号および第10/011,993号で検討された方法を包含するが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、天然のヌクレオチドであるA、G、C、TおよびU以外の非天然のヌクレオチドを使用することができる。例えば、一定の態様において、互いに特異的にハイブリダイズするが、天然のヌクレオチドにはハイブリダイズしない非天然型ヌクレオチド対を含む、プライマー特異的な部位およびプライマー、および/またはアドレス可能部位および標識プローブを使用することができる。非限定的であるが、非天然型ヌクレオチドの例が、例えば、Wuら、J.Am.Chem.Soc.(2000)122:7621−32;Bergerら、Nuc.Acids.Res.(2000)28:2911−14;Ogawaら、J.Am.Chem.Soc.(2000)122:3274−87で検討されている。
一定の態様は、ライゲーション剤を包含する。例えば、リガーゼは、適当な条件下で、DNA分子もしくはRNA分子、またはそのハイブリッドにおいて隣接するヌクレオチドの3’−OH基と5’−リン酸基の間にホスホジエステル結合を形成させる酵素のライゲーション剤である。リガーゼの例は、Tth K294RリガーゼおよびTsp AK16Dリガーゼを包含するが、これらに限定されるものではない。例えば、Luoら、Nucleic Acids Res.,24(14):3071−3078(1996);Tongら、Nucleic Acids Res.,27(3):788−794(1999);およびPCT公開出願第WO 00/26381号を参照。温度感受性リガーゼには、T4 DNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、および大腸菌(E.coli)リガーゼが包含されるが、これらに限定されるものではない。一定の態様において、熱安定的リガーゼには、Taqリガーゼ、Tthリガーゼ、Tscリガーゼ、およびPfuリガーゼが包含されるが、これらに限定されるものではない。一定の熱安定的リガーゼは、原核生物、真核生物または古細菌を包含するが、これらに限定されない好熱性また超好熱性の生物から得られる。一定のRNAリガーゼを一定の態様において使用することができる。一定の態様において、リガーゼは、RNA依存型DNAリガーゼであって、RNA鋳型およびDNAライゲーション用プローブとともに使用することができる。このようなRNA依存型DNAリガーゼ活性を有するリガーゼの非限定的な例はT4 DNAリガーゼである。一定の態様において、ライゲーション剤は「活性化」剤または還元剤である。
化学的ライゲーション剤は、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、N−シアノイミダゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、ジチオスレイトール(DTT)、および紫外光などの活性化剤、縮合剤、および還元剤を包含するが、これらに限定されるものではない。自己ライゲーション、すなわちライゲーション剤不在下で自然にライゲーションすることも、本発明に係る一定の態様の範囲に含まれる。化学的ライゲーション法の詳細なプロトコールおよび適当な反応基についての説明は、なかんずく、Xuら、Nucleic Acids Res.,27:875−81(1999);GryaznovとLetsinger、Nucleic Acids Res.,21:1403−08(1993);Gryaznovら、Nucleic Acids Res.,22:2366−69(1994);KanayaとYanagawa,Biochemistry 25:7423−30(1986);LuebkeとDervan、Nucleic Acids Res.,20:3005−09(1992);Sieversとvon Kiedrowski,Nature 369:221−24(1994);LiuとTaylor,Nucleic Acids Res.,26:3300−04(1999);WangとKool、Nucleic Acids Res.,22:2326−33(1994);Purmalら、Nucleic Acids Res.,20:3713−19(1992);AshleyとKushlan、Biochemistry 30:2927−33(1991);ChuとOrgel、Nucleic Acids Res.,16:3671−91(1988);Sokolovaら、FEBS Letters 232:153−55(1988);NaylorとGilham,Biochemistry 5:2722−28(1966);および米国特許第5,476,930号に記載されている。
一定の態様において、1種類以上のポリメラーゼが包含される。一定の態様において、1種類以上の熱安定性ポリメラーゼが包含される。熱安定性ポリメラーゼの例は、Taqポリメラーゼ、Pfxポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、登録商標Ventポリメラーゼ、商標Deep Ventポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、UlTmaポリメラーゼ、およびこれらの酵素的活性型突然変異体および変異体を包含するが、これらに限定されるものではない。これらのポリメラーゼの説明は、なかんずく、ワールドワイドウェブURL:the−scientist.com/yr1998/jan/profile 1_980105.html;ワールドワイドウェブURL:the−scientist.com/yr2001/jan/profile 1_010903.html;ワールドワイドウェブURL:the−scientist.com/yr2001/sep/profile 2_010903.html;Science 12(1):17(Jan.5,1998)の記事、およびScience 15(17):1(Sep.3,2001)の記事に記載されている。
当業者には、開示されたプローブ、標的、およびプライマーの配列、またはそれらを組み合わせたものの相補配列が、本発明に係る一定の態様において使用できることが理解される。例えば、限定的な例ではないが、ゲノムDNA試料は、標的配列とその相補配列を含んでいるものである。したがって、一定の態様において、ゲノム試料を変性させると、標的配列とその相補鎖がともに、一本鎖の配列として試料中に存在することになる。一定の態様において、ライゲーション用プローブは、標的配列またはその相補配列いずれかの適当な配列に特異的にハイブリダイズする。
C.発明を構成する一定の例示的方法
本発明に係るライゲーションは、隣接して鋳型にハイブリダイズする核酸配列の対向する末端同士でヌクレオチド間結合を形成する、酵素または化学剤による方法を含む。さらに、アニールした核酸配列の対向末端は、ライゲーションに適したものでなければならない(ライゲーションへの適合性は、用いるライゲーション法の関数である)。ヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル結合の形成を包含するが、これらに限定されるものではない。このような結合形成は、バクテリオファージT4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、T7 DNAリガーゼ、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(Tth)リガーゼ、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)(Taq)リガーゼ、またはパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(Pfu)リガーゼなどのDNAまたはRNAのリガーゼによって酵素的に作り出される結合を包含するが、これらに限定されるものではない。その他のヌクレオチド間結合には、α−ハロアシル基とホスホチオエート基の間でのチオホスホリルアセチルアミノ基の形成、およびホスホロチオエート基とトシル基またはヨウ化物基の間での5’−ホスホロチオエステル結合またはピロリン酸結合の形成など、適当な反応基間での共有結合形成を包含するが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、化学的ライゲーションが、適当な条件下で自己ライゲーションによるなどして自然に生じ得る。あるいは、一定の態様において、「活性化」剤または還元剤を使用することができる。活性化剤および還元剤の例は、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、N−シアノイミダゾール、ジチオスレイトール(DTT)、および紫外光を包含するが、これらに限定されるものではない。一定の態様による非酵素的ライゲーションには、整列したプローブの3’末端および5’末端各々の上にある特異的な反応基を利用することができる。
一定の態様において、ライゲーションは、通常、例えば、第一プローブおよび第二プローブの標的特異的部位であってライゲーションに適した部位を、標的核酸配列上のそれぞれの相補的領域にハイブリダイズさせ、第一プローブの3’末端と第二プローブの5’末端をライゲーションしてライゲーション産物を形成させ、また、核酸二重鎖を変性して、標的核酸配列からライゲーション産物を分離するという一連の処理であるライゲーションを一サイクル以上行うことを含む。このサイクル処理は、繰り返すことも繰り返さないこともできる。例えば、ライゲーション反応を温度サイクル処理することによって、ライゲーション産物の量は直線的に増加するが、これに限定されるものではない。
一定の態様によれば、ギャップ充填OLAおよびLCR、オリゴヌクレオチド架橋ライゲーション(bridging oligonucleotide ligation)、FEN−LCR、および補正ライゲーション(correction ligation)を包含するが、これらに限定されないギャップ充填ライゲーション(gap−filling ligation)などのライゲーション技術を使用することができる。これらの技術に関する説明は、なかんずく、米国特許第5,185,243号、欧州出願公開第EP320308号および第EP439182号、PCT特許出願公開第WO90/01069号、PCT特許出願公開第WO02/02823号、ならびに米国特許出願第09/898,323号に記載されている。
一定の態様において、ポリdICをライゲーション反応に使用することができる。一定の態様において、15から80 ng/マイクロリットルのポリdICをライゲーション反応に使用することができる。一定の態様において、30 ng/マイクロリットルのポリdICをライゲーション反応に使用することができる。
本明細書に記載したとおりのアドレス可能部位をもつライゲーション用プローブを使用するさまざまな方法によるライゲーション反応においてポリdICを使用することができる。一定の態様において、さまざまなタイプのライゲーション法によってポリdICを使用することができる。例えば、ライゲーション反応を利用するさまざまな方法のいずれかにおいて、ポリdICを使用することができる。例示的な方法には、米国特許第6,027,889号、PCT特許出願公開第WO01/92579号、および米国特許出願第09/584,905号および第10/011,993号が包含されるが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、ライゲーション反応組成物に一回以上のライゲーションを行うことによって、後続の増幅反応用の組成物を形成する。一定の態様において、ライゲーションの後、試験組成物を直接後続の増幅反応に使用することができる。一定の態様において、増幅反応の前に、この試験組成物に、一回以上のライゲーションの後に、存在していたかもしれない成分のすべてよりは少ないものを含む試験組成物を生じさせる精製技術を施すことができる。例えば、一定の態様において、ライゲーション産物を精製することができる。
一定の態様に従って、ライゲーション産物を精製する工程は、一回以上のライゲーションの後、ライゲーション反応用組成物から、ライゲーションしなかったプローブ、標的核酸配列、酵素、および/または補助因子を少量以上除去する何らかの処理を含む。このような処理は、例えばゲル濾過クロマトグラフィーもしくは透析などの分子量/サイズ排除処理、ハイブリダイゼーションによる除去法、アフィニティー捕捉法、沈殿法、吸着法、またはその他核酸精製技術を包含するが、これらに限定されるものではない。当業者は、一定の態様において、増幅の前にライゲーション産物を精製すると、ライゲーション産物を増幅するのに必要なプライマー量を減少させて、標的配列を検出するコストを低減させられると理解できる。また、一定の態様において、増幅の前にライゲーション産物を精製すると、増幅過程での副反応の可能性を低下させ、ハイブリダイゼーションの過程でのライゲーションしなかったプローブとの競合反応を減少させることができる。
本発明の一定の態様に係るハイブリダイゼーションによる除去(hybridization−base pullout(HBP))は、あるプローブ(またはその相補配列)の少なくとも一部に相補的な塩基配列、例えばプライマー特異的部位が、固体または粒子状の除去用支持体(例えば、米国特許第6,124,092号参照)に結合または固定される処理を含む。一定の態様において、ライゲーション産物、標的配列、およびライゲーションしなかったプローブを含む組成物を除去用支持体に曝露する。ライゲーション産物は、適当な条件下で、支持体に結合している配列とハイブリダイズする。組成物の結合しなかった成分を除去して、除去用支持体上の配列に相補的な配列を含まない、これらライゲーション反応組成物成分からライゲーション産物を精製する。その後、精製されたライゲーション産物を支持体から取り出し、1種類以上のプライマーセットと結合させて、第一の増幅反応用組成物を形成させる。当業者は、一定の態様において、除去用支持体上で異なった配列を用いてHBPをさらに行えば、ライゲーションしなかったプローブのすべて、または実質的にすべてを除去することができ、ライゲーション産物をさらに精製することができる。
本発明に係る増幅法は、直線的または指数的に核酸配列を増幅するための広い範囲の技術を包含する。増幅技術の例は、プライマー伸長反応ステップを利用するPCRその他の方法、ならびに転写法、または1種類以上のRNA転写産物を生成する他の方法を包含するが、これらに限定されるものではない。増幅法のその他の非限定的な例は、リガーゼ検出反応法(LDR)およびリガーゼ連鎖反応法(LCR)である。増幅法は、温度サイクルを含むこともでき、または、等温で行うことも可能である。「増幅産物」という用語は、文脈上明らかでない限り、増幅反応、プライマー伸長反応、およびRNA転写反応を何回か行って得られる産物を含む。
一定の態様において、増幅法は、一回以上の増幅サイクル、例えば、非限定的であるが、ライゲーション産物、または何回か増幅反応を行って得られる増幅産物のプライマー特異的部位にプライマーをハイブリダイズする工程、ポリメラーゼを用いて、鋳型依存的にヌクレオチド鎖を合成する工程、および、新しく合成された核酸二重鎖を変性して鎖を分離する工程という一連の手順を含む。このサイクルは繰り返して、繰り返さなくてもよい。一定の態様において、増幅法は、一回以上の増幅サイクル、例えば、非限定的であるが、ポリメラーゼをプロモーターに相互作用させる工程、ポリメラーゼを用いて、鋳型依存的にヌクレオチド鎖を合成する工程、および、新しく合成された核酸二重鎖を変性して鎖を分離する工程という一連の手順を含む。このサイクルは繰り返して、繰り返さなくてもよい。
一定の増幅技術に関する説明は、なかんずく、H.Ehrlichら、Science,252:1643−50(1991),M.Innisら、PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Academic Press,New York,NY(1990),R.Favisら、Nature Biotechnology 18:561−64(2000)、およびH.F.Rabenauら、Infection 28:97−102(2000);SambrookとRussell,Ausbelらに記載されている。
本発明に係るプライマー伸長は、鋳型依存型ポリメラーゼを用いて、5’末端から3’末端方向に鋳型にアニールしているプライマーを伸長させることを含む増幅プロセスである。一定の態様によれば、適当なバッファー、塩、pH、温度、およびヌクレオチド三リン酸(含アナログおよび誘導体)を用いて、鋳型依存型ポリメラーゼが、アニールしたプライマーの3’末端から出発して、鋳型鎖に相補的なヌクレオチドを取り込んで行き相補鎖を生成させる。一定の態様に従ったプライマー伸長に関する詳細な説明は、なかんずく、SambrookとRussell,Ausbelらに記載されている。
一定の態様に従った転写は、一本鎖または二本鎖の鋳型上に存在するプロモーターと相互作用するRNAポリメラーゼを含み、5’末端から3’末端方向にRNAポリマーを生成してゆく増幅プロセスである。一定の態様において、転写反応用組成物は、転写因子をさらに含む。T3ポリメラーゼ、T7ポリメラーゼおよびSP6RNAポリメラーゼを包含するが、これらに限定されない、一定の態様に従ったRNAポリメラーゼは、二本鎖のプロモーターと相互作用する。一定の態様に従った転写に関する詳細な説明は、なかんずく、SambrookとRussell,Ausbelらに記載されている。
増幅の一定の態様は、複数の標的配列を同時に増幅する多重PCR法を利用することができる(例えば、H.Geadaら、Forensic Sci.Int.108:31−37(2000)、およびD.G.Wangら、Science 280;1077−82(1998)参照)。
一定の態様において、非対称的PCR法を利用する。一定の態様によれば、非対称PCR法は、(i)1種類のプライマーが(そのプライマーセットの他のプライマーに較べて)過剰に存在する1種類以上のプライマーセット、(ii)第一のプライマーまたは第二のプライマーだけを含む1種類以上のプライマーセット、(iii)一定の増幅条件にあるとき、一つの鎖を増幅させるプライマーと、作用不能のプライマーとを含む1種類以上のプライマーセット、または(iv)上記(i)および(iii)の記載に合致する1種類以上のプライマーセットを含む増幅反応用組成物を含む。その結果、ライゲーション産物が増幅されると、一つの鎖が(その相補鎖に比べて)過剰な増幅産物が生成される。
一定の態様において、プライマーの一つの融解温度(Tm50)が、他のプライマーのTm50よりも高いという1種類以上のプライマーセットを使用できる。このような態様は、非対称PCR法(A−PCR)と呼ばれている。例えば、2001年6月5日出願の米国特許出願第09/875,211号を参照。一定の態様において、第一のプライマーのTm50は、第二のプライマーのTm50とは少なくとも4〜15℃異なる。一定の態様において、第一のプライマーのTm50は、第二のプライマーのTm50とは少なくとも8〜15℃異なる。一定の態様において、第一のプライマーのTm50は、第二のプライマーのTm50とは少なくとも10〜15℃異なる。一定の態様において、第一のプライマーのTm50は、第二のプライマーのTm50とは少なくとも10〜12℃異なる。一定の態様において、1種類以上のプライマーセットにおいて、1種類以上の第一のプライマーのTm50が、1種類以上の第二のプライマーの融解温度と約4℃以上、約8℃以上、約10℃以上、または約12℃以上異なる。
また、A−PCRの一定の態様においては、プライマーセットのプライマーのTm50の違いに加えて、該プライマーセットの他のプライマーと比較して、1種類のプライマーが過剰に存在する。一定の態様において、プライマーセットの他のプライマーと比較して、1種類のプライマーが5倍から20倍過剰に存在する。A−PCRの一定の態様において、プライマー濃度は50 mM以上である。
一定の態様に従ったA−PCRにおいて、両方のプライマーがアニールして、両方の鎖が増幅すよう、最初のサイクルにおいて従来のPCR法を用いることができる。しかし、その後のサイクルで温度を上昇させることによって、Tmが低い方のプライマーが作用できないようにして、一方の鎖だけが増幅するようにできる。したがって、A−PCRのその後のサイクルでは、低いTmをもつ方のプライマーが作用できなくなり、非対称的な増幅が起きる。その結果、ライゲーション産物が増幅されると、増幅産物の一方の鎖が(その相補鎖に比べて)過剰に生成される。
A−PCRの一定の態様によれば、従来のPCRサイクルの最初の段階でサイクル回数を変えることによって、増幅量を調節することができる。そのような態様において、従来の最初のサイクルの回数を変えることによって、低いTmをもつ方のプライマーが作用できなくなる高温で、その後のPCRサイクルを施す二本鎖の量を変えることができる。
一定の態様において、A−PCRプロトコールは、それぞれが50mM以上の濃度をもつ一対のプライマーを使用することを含む。一定の態様において、両方のプライマー増幅が起こる従来のPCR法を最初に20〜30サイクル行う。一定の態様において、従来のPCR法を20〜30サイクル行った後、アニーリング温度を66〜70℃に上昇させて、この高いアニーリング温度で5から40サイクルPCRを行う。このような態様において、Tmが低いプライマーは高いアニーリング温度で5から40サイクルの間に働けなくなる。このような態様において、非対称再増幅法を利用することができる。
一定の態様によれば、非対称増幅法は、第二の増幅プロセスで一本鎖増幅産物を生成させることを含む。一定の態様において、第一の増幅プロセスの二本鎖増幅産物を、非対称再増幅プロセスにおける増幅用標的として用いる。一定の態様において、最初のPCRサイクルでは従来通りに二本の鎖を増幅し、その後のサイクルを、上記したようにプライマーセットの一方のプライマーが働けなくなる高温の融解温度で行う非同期式PCR(asynchronous PCR)を用いて非対称増幅を行うことができる。一定の態様において、第二の増幅反応用組成物は、プライマーセットの1種類以上の第一のプライマーまたは1種類以上の第二プライマーを含むが、両方は含まない1種類以上のプライマーセットを含む。一定の態様において、プライマーセット中のプライマーが等モル濃度で存在しない場合にも、最終的には非対称再増幅が起こることが当業者には理解できる。一定の非対称再増幅法においては、典型的には、第二の増幅産物用組成物が、各プライマーセットの第一または第二のプライマーのみか、または、プライマーセットの第一または第二のプライマーを等モル比ではないように含むため、一本鎖アンプリコンだけが生成される。
一定の態様において、補助的なポリメラーゼも、第二の増幅産物用組成物の成分となりうる。一定の態様において、第二の増幅産物を合成するのに十分な残存量のポリメラーゼが第一の増幅用組成物からあるかもしれない。
増幅反応を最適化する方法が当技術分野においてよく知られている。例えば、PCRは、反応組成物のバッファー、塩、およびその他の試薬を変えるだけでなく、アニーリング、重合、および変性の時間と温度を変えることによっても最適化できることが知られている。最適化は、使用する増幅プライマーの設計によっても影響を受けうる。例えば、プライマーの長さ、および、G−C対A−Tの比も、プライマーのアニーリング効率を変えることができ、それによって、増幅反応を変えることができる。James G.Vetmur,“Nucleic Acid Hybrids,Formation and Structure,”in Molecular Biology and Biotehcnology,pp.605−8,(Robert A.Meyers編、1995)参照。
一定の増幅反応において、dUTPとウラシル−N−グルコシダーゼ(UNG)を使用することもできる。dUTPおよびUNGの使用についての考察は、例えば、Kwokら、“Avoiding false positives with PCR,”Nature,339:237−238(1989);およびLongoら、“Use of uracil DNA glycosylase to control carry−over contamination in polymerase chain reactions,”Gene,93:125−128(1990)に記載されている。
一定の態様において、特定の配列が存在しているか否かを検出するために、標識されたプローブが増幅反応に含まれる。一定の態様によれば、標識プローブは、反応物における特異的な核酸配列の有無(またはその量)を示す。これらは、5’−ヌクレアーゼプローブ、切断型RNAプローブ、構造特異的ヌクレアーゼプローブ、およびハイブリダイゼーション依存型プローブを包含するが、これらに限定されるものではない。一定の態様において、標識プローブは、例えば特異的オリゴヌクレオチドなどの結合要素を介して消光分子に結合した蛍光染料を含む。このようなシステムの例は、例えば、米国特許第5,538,848号および第5,723,591号に記載されている。
一定の態様に従った適当な標識プローブの別例は、i−プローブ、スコルピオン・プローブ、エクリプス・プローブなどがある。例示的であって、非限定的なプローブについては、例えば、Whitcomeら、Nat.Biotechnol.17(8):804−807(1999)(スコルピオン・プローブを含む);Thelwellら、Nucleic Acids Res.,28(19):3752−3761(2000)(スコルピオン・プローブを含む);Afoninaら、Biotechniques,32(4):(2002)(エクリプス・プローブを含む);Liら、“A new class of homogenous nucleic acid probes based on specific displacement hybridization”,Nucleic Acids Res.,30(2):E5(2002);Kandimallら、Bioorg.Med.Chem.,8(8):1911−1916(2000);Isacssonら、Mol.Cell.Probes,14(5):321−328(2000);Frenchら、Mol.Cell.Probes,15(6):363−374(2000);およびNumiら、“A new label technology for the detection of specific polymerase chain reaction products in a closed tube”,Nucleic Acids Res.,28(8),E28(2000)において考察されている。
一定の態様において、発光に反応して蛍光シグナルを発する標識プローブの量は、一般的には、増幅反応において産生される核酸の量に関係する。したがって、一定の態様において、蛍光シグナルの量は、増幅反応において生み出される産物の量に関係する。したがって、このような態様において、蛍光標識から発生する蛍光シグナルの強度を測定することによって、増幅産物の量を測定することができる。一定の態様によれば、蛍光シグナルによって示される増幅産物を定量するための内部標準を利用することができる。例えば、米国特許第5,736,333号を参照。
蛍光標識を含む組成物を用いて温度サイクル反応を行い、特定の波長の光線を発光し、蛍光染料の強度を読み取り、各サイクルの後に蛍光強度を表示することのできる装置が開発されている。サーマルサイクラー、光線放出体、および蛍光シグナル検出器を含む装置が、例えば米国特許第5,928,907号、第6,015,674号、および第6,174,670号に記載されており、ABI登録商標Prism7700配列検出装置(Applied Biosystems,Foster City,California)およびABI登録商標GeneAmp 5700配列検出装置(Applied Biosystems,Foster City,California)を包含するが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、これらの各機能を別々の装置で行うことも可能である。例えば、増幅にQ−βレプリカーゼ反応を利用する場合には、サーマルサイクラーで反応を行わないが、特定の波長で放出される光線、蛍光シグナルの検出、および増幅産物の量を計算・表示することを含むことはできる。
一定の態様において、試料中の標的核酸配列を正確に定量するために温度サイクル装置と蛍光検出装置を併用することができる。一定の態様において、一回以上の温度サイクルの間および/またはその後、蛍光シグナルを検出して表示でき、それによって、反応が「リアルタイム」で起こるにつれて増幅産物を測定することが可能になる。一定の態様において、その増幅産物量と増幅サイクル数を用いて、増幅前の試料中にどの位の標的核酸配列があったかを計算することができる。
一定の態様によれば、試料中に標的核酸配列が存在することを示すのに十分な所定のサイクル数を行った後、増幅産物の量を単純に測定することもできよう。当業者は、所定の試料の種類、プライマー配列、および反応条件について、何回のサイクルが、所定の標的ポリヌクレオチドが存在することを判定するのに十分であるかを簡単に決定することができる。
一定の態様によれば、増幅産物は、所定のサイクル数が完了したところで直ちにプラスまたはマイナスで記録することができる。一定の態様において、これらの結果を直接データベースに送って集計することができる。したがって、一定の態様において、少ない時間と労力で多数の試料を処理および解析することができる。
一定の態様によれば、さまざまな標識プローブで、さまざまな標的核酸配列を区別することが可能である。そのようなプローブの非限定的な例は、TaqMan(登録商標)プローブ分子などの5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブであって、蛍光分子が、オリゴヌクレオチド結合要素を介して消光分子に結合している。一定の態様において、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブのオリゴヌクレオチド結合要素は、アドレス可能部位またはその相補鎖の特異的配列に結合する。一定の態様において、それぞれが異なった波長で蛍光を発する、さまざまな5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブによって、同一増幅産物内のさまざまな増幅産物を区別することができる。
例えば、一定の態様において、2種類の異なった波長(WLAおよびWLB)で蛍光を発し、2つの異なったライゲーション産物(それぞれA’およびB’)の2つの異なったアドレス可能部位に特異的な2種類の5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブを使用することができる。標的核酸配列Aが試料中にあれば、ライゲーション産物A’が形成され、標的核酸配列Bが試料中にあれば、ライゲーション産物B’が形成される。一定の態様において、適当な標的核酸配列が試料中になくてもライゲーション産物A’およびB’が形成されるかもしれないが、そのようなライゲーションは、適当な標的核酸配列が試料中にあるときと比べると、測定可能なほど低い程度でしか起こらない。増幅後、検出されたシグナルの波長に基づいて、どちらの特異的標的核酸配列が試料中に存在しているかを判定することができる。したがって、適当な検出可能シグナル値として波長WLAだけが検出された場合、試料中には、標的核酸配列Bではなく、標的核酸配列Aだけが含まれていることが分かる。適当な検出可能シグナル値として波長WLAとWLBの両方が検出された場合、試料中には、標的核酸配列Aおよび標的核酸配列Bが含まれていることが分かる。
D.標的検出の一定の例示的実施態様
本発明は、ライゲーション反応および増幅反応を用いて、試料中の標的核酸配列の有無を検出(または定量)する方法、試薬、およびキットを目的とする。特定の標的核酸配列が試料中に存在すると、アドレス可能部位を含むライゲーション産物が形成される。増幅反応の過程で、相補配列の有無によって異なった検出可能なシグナル値をもたらす標識プローブが使用される。一定の態様において、標識プローブは、アドレス可能部位の配列と同一の配列、または、アドレス可能部位の配列に相補的な配列を含むように設計されている。
一定の態様において、1種類以上の核酸種に、直接、または、逆転写によってmRNAから生成されたcDNA標的などの中間体を介してライゲーション反応および増幅反応を行う。一定の態様において、開始核酸がmRNAを含み、逆転写反応を行って1種類以上のcDNAを生成させ、その後、一回以上のライゲーション反応および一回以上の増幅反応を行うことができる。一定の態様において、DNAライゲーションプローブは、標的RNAとハイブリダイズし、RNA依存型DNAリガーゼがライゲーション反応で使用され、その後、増幅反応が行われる。
一定の態様において、検出される標的核酸配列の各々について、1種類以上の第一のプローブおよび1種類以上の第二のプローブを含むライゲーション用プローブセットを試料と組み合わせて、ライゲーション反応用組成物を形成させる。一定の態様において、ライゲーション用組成物は、ライゲーション剤をさらに含む。一定の態様において、各ライゲーション用プローブセットの第一および第二のプローブは、一緒にライゲーションするのに適しており、標的核酸配列に存在する隣接する配列にハイブリダイズするよう設計されている。標的核酸配列が試料中に存在すると、第一および第二のプローブは、適当な条件で、標的核酸配列上で隣接する領域にハイブリダイズする(例えば、図2Aの標的核酸配列1にハイブリダイズしたプローブ2および3を参照)。図2Aでは、標的核酸配列(1)が、第一プローブ(2)にハイブリダイズしているものとして描かれており、例示するために、5’末端プライマー特異的部位(25)、アドレス可能部位(4)、および標的特異的部位(15a)、および3’末端側プライマー特異的部位(35)を含む第二プローブ(3)、標的特異的部位(15b)、およびライゲーションのための遊離5’末端リン酸基(「P」)を含むとしている。
一定の態様において、隣接してハイブリダイズしたプローブは、適当な条件下で、一緒にライゲーションして、ライゲーション産物を形成する(例えば、図2Bのライゲーション産物6を参照)。図2Bは、第一プローブ(2)と第二プローブ(3)のライゲーションによって生成されたライゲーション産物(6)を描いている。ライゲーション産物(6)は、5’末端プライマー特異的部位(25)、アドレス可能部位(4)、および3’末端側プライマー特異的部位(35)を含むことが示されている。一定の態様において、標的核酸配列(1)およびライゲーション産物(6)を含む二重鎖は、例えば、加熱によって変性し、ライゲーション産物(6)が解離する。
一定の態様において、ライゲーション産物6、一組以上のプライマーセット7、ポリメラーゼ8、および標識プローブ26を含む増幅反応用組成物を形成させる(例えば図2C参照)。図示された態様における標識プローブ26は、ライゲーション産物のアドレス可能部位の配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド結合要素を介して蛍光体部分(F)に結合している消光体部分(Q)を含む5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブである。最初の増幅サイクルにおいて、ライゲーション産物6の3’末端側プライマー特異的部位35の配列に相補的な配列を含む第二プライマー7’が、ライゲーション産物6にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼおよびデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)存在下で鋳型依存的に伸長する。ポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性によって、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブの切断が起き、蛍光体部分が、消光体部分(Q)によって消光されている状態から脱して蛍光シグナルが検出されるようになる。5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブから蛍光シグナルが検出されると、試料中に標的核酸配列が存在することが分かる。
一定の態様において、試料中に標的核酸配列が存在しなかったなら、ライゲーション反応の過程でアドレス可能部位、ならびに5’末端側および3’末端側のプライマー特異的部位を含むライゲーション産物は形成されなかったであろう。その結果、標識プローブは、ライゲーション産物にも増幅産物にも結合せず、増幅反応の過程で標識プローブの切断も起きないであろう。(標識プローブには、ライゲーションしなかったライゲーション用プローブにハイブリダイズするものもあるかもしれない。)したがって、増幅反応の過程で検出可能シグナルが存在しないことは、試料中に標的核酸配列が存在しないことを示している。一定の態様において、適当な標的核酸配列が試料中に存在しなくても、ライゲーション産物が形成されるかもしれないが、そのようなライゲーションは、適当なライゲーション産物が試料中にあるときと比べると、測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定のこのような態様において、適当な核酸配列を含む試料と適当な核酸配列を含まない試料を区別するために、検出可能なシグナル値の間に適当な限界差を設定することができる。
一定の態様は、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブのオリゴヌクレオチド結合要素が、ライゲーション産物のアドレス可能部位の配列(アドレス可能部位の配列に相補的な配列ではない)を含んでいることを除けば、図2Aから2Cに描いた態様と実質的に同一であるかもしれない。例えば、図2Dおよび2Eの標識プローブ27参照。最初の増幅サイクルにおいて、ライゲーション産物6の3’末端側プライマー特異的部位35の配列に相補的な配列を含む第二プライマー7’が、ライゲーション産物6にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼおよびデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)存在下で鋳型依存的に伸長する。最初の増幅サイクルによって、ライゲーション産物の5’末端プライマー特異的部位(25)の相補鎖、およびライゲーション産物のアドレス可能部位(4)を含む二本鎖産物が生成される(図2D参照)。
二本鎖プライマー伸長産物は変性してから、ライゲーション産物のアドレス可能部位の配列を含むオリゴヌクレオチド結合要素を含む標識プローブ27を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を一回以上施される(図2E参照)。ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含むプライマーは、この5’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列25’を含む増幅産物にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼおよびデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)存在下で鋳型依存的に伸長する。例えば、図2E参照。ポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性によって、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブの切断が起き、蛍光体部分が、消光体部分(Q)によって消光されている状態から脱して蛍光シグナルが検出されるようになる。5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブから蛍光シグナルが検出されると、試料中に標的核酸配列が存在することが示される。
一定の態様において、試料中に標的核酸配列が存在しなかったなら、ライゲーション反応の過程でアドレス可能部位、ならびに5’末端側および3’末端側のプライマー特異的部位を含むライゲーション産物は形成されなかったであろう。したがって、そのようなライゲーション産物のアドレス可能部位の相補鎖を含む増幅産物は形成されないであろう。その結果、標識プローブは、ライゲーション産物にも増幅産物にも結合せず、増幅反応の過程で標識プローブの切断も起きないであろう。したがって、増幅反応の過程で検出可能シグナルが存在しないことは、試料中に標的核酸配列が存在しないことを示している。適当な標的核酸配列が試料中に存在しなくても、ライゲーション産物が形成されるかもしれないが、そのようなライゲーションは、適当なライゲーション産物が試料中にあるときと比べると、測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定のこのような態様において、適当な核酸配列を含む試料と適当な核酸配列を含まない試料を区別するために、検出可能なシグナル値の間に適当な限界差を設定することができる。
一定の態様において、図2のいずれかの態様において、増幅産物が二本鎖分子として存在する場合、その後の増幅サイクルは、この分子を指数的に増幅することができる。一定の態様において、蛍光シグナルの強度を測定することによって、試料中に存在する標的核酸配列の量を定量することができる。
図3Aに示されているように、一定の態様において、mRNAはcDNAのコピー1を生成させるために使用される。このcDNAは、ライゲーション用プローブセットの第一プローブおよび第二プローブがハイブリダイズする標的核酸配列として使用される(図3B参照)。第一プローブ22は、5’末端プライマー特異的部位(25)、および標的特異的部位15aを含み、ならびに、第二プローブ23は、標的特異的部位15b、アドレス可能部位4、および3’末端側プライマー特異的部位(35)を含む。適当な条件下で、隣接してハイブリダイズしたプローブは、5’末端側プライマー特異的部位(25)、標的特異的部位15bおよび15b、アドレス可能部位4、および3’末端側プライマー特異的部位(35)を含む(図3C参照)。
標的核酸配列1’によって二重鎖が形成されると、ライゲーション産物28は、一定の態様において、加熱されて変性して、ライゲーション産物が解離する。適当なプライマーセット存在下および適当な条件下では、3’末端側プライマーが、ライゲーション産物28の3’末端側プライマー特異的部位35とハイブリダイズする。この3’末端側プライマーは、DNAポリメラーゼ8存在下で伸長して、ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位(25)の相補鎖(25’)、およびライゲーション産物のアドレス可能部位(4)の相補鎖(4’)を含む二本鎖産物を生成する(図3D参照)。
二本鎖プライマー伸長産物は変性されてから、標識プローブ27を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を一回以上施される(図3E参照)。図示された態様における標識プローブ27は、ライゲーション産物のアドレス可能部位の配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド結合要素を介して蛍光体部分(F)に結合している消光体部分(Q)を含む5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブである。ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含むプライマーは、この5’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列25’を含む増幅産物にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼおよびデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)存在下で鋳型依存的に伸長する。ポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性によって、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブの切断が起き、蛍光体部分が、消光体部分(Q)によって消光されている状態から脱して蛍光シグナルが検出されるようになる(例えば図3E参照)。5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブから蛍光シグナルが検出されると、試料中に標的核酸配列が存在することが示される。
一定の態様において、試料中に標的核酸配列が存在しなかったなら、ライゲーション反応の過程でアドレス可能部位、ならびに5’末端側および3’末端側のプライマー特異的部位を含むライゲーション産物は形成されなかったであろう。したがって、そのようなライゲーション産物の相補鎖を含む増幅産物は形成されないであろう。その結果、標識プローブは、ライゲーション産物にも増幅産物にも結合せず、増幅反応の過程で標識プローブの切断も起きないであろう。したがって、増幅反応の過程で検出可能シグナルが存在しないことは、試料中に標的核酸配列が存在しないことを示している。一定の態様において、適当な標的核酸配列が試料中に存在しなくても、ライゲーション産物が形成されるかもしれないが、そのようなライゲーションは、適当なライゲーション産物が試料中にあるときと比べると、測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定のこのような態様において、適当な核酸配列を含む試料と適当な核酸配列を含まない試料を区別するために、検出可能なシグナル値の間に適当な限界差を設定することができる。
一定の態様は、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブのオリゴヌクレオチド結合要素が、ライゲーション産物のアドレス可能部位の配列に相補的な配列(アドレス可能部位の配列ではない)を含んでいることを除けば、図3Aから3Eに描いた態様と実質的に同一であるかもしれない。例えば、図3Fの標識プローブ26参照。
最初の増幅サイクルにおいて、ライゲーション産物28の3’末端側プライマー特異的部位35の配列に相補的な配列を含む第二プライマー7’が、ライゲーション産物28にハイブリダイズして、DNAポリメラーゼおよびデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)存在下で鋳型依存的に伸長する。ポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性によって、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブの切断が起き、蛍光体部分が、消光体部分(Q)によって消光されている状態から脱して蛍光シグナルが検出されるようになる。
一定の態様において、ライゲーション反応の後、ライゲーションしていない第二ライゲーション用プローブが組成物から実質的に除去された場合に、最初の増幅サイクルからの蛍光シグナルの検出は、試料中に標的核酸配列が存在することを示している。一定の態様において、ライゲーション反応後、組成物を、第一のライゲーション用プローブ上に含まれる配列に相補的であるが、第二のライゲーション用プローブ上には含まれない固相上の核酸に曝露することによって、ライゲーションしなかった第二プローブを実質的に除去することができる。そして、ハイブリダイズしたライゲーション産物と個相上のライゲーションしなかった第一ライゲーション用プローブとを、ライゲーションしなかった第二ライゲーション用プローブから分離することができる。
ライゲーション反応の後、ライゲーションしていない第二ライゲーション用プローブが組成物から実質的に除去されない場合には、最初の増幅サイクルから蛍光シグナルが検出されても、試料中に標的核酸配列が存在することを必ずしも示すものではない。このような態様において、標識プローブは、ライゲーションしていない第二ライゲーション用プローブとライゲーション産物の両方にハイブリダイズする。また、ポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性によって、ライゲーションしていない第二ライゲーション用プローブとライゲーション産物にハイブリダイズした5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブの切断が起きる。このため、ライゲーション産物が存在していてもいなくても、同じシグナルが検出される。
しかしその後の増幅サイクルは、標的核酸配列の有無を検出(または定量)するための態様において用いられる。ライゲーション産物が存在しなければ、その後の増幅サイクルによってアドレス可能配列を含む配列の量は増加しない。ライゲーションしていない第二ライゲーション用プローブの最初の量だけが標識プローブと相互作用してシグナルを放出する。
これに対し、ライゲーション産物を含む組成物を包含するその後の増幅サイクルは、アドレス可能部位を含む配列の量を増加させる結果となる。したがって、一定の態様において、ライゲーション産物を含む試料とライゲーション産物を含まない試料とを区別するために、検出可能なシグナル値の間に限界差を設定することができる。適当な標的核酸配列が試料中に存在しなくても、ライゲーション産物が形成されるかもしれないが、そのようなライゲーションは、適当なライゲーション産物が試料中にあるときと比べると、測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定のこのような態様において、適当な核酸配列を含む試料と適当な核酸配列を含まない試料を区別するために、検出可能なシグナル値の間に適当な限界差を設定することができる。
図3に示した態様は、RNAの逆転写から得られたcDNAを使用するのではなく、単に標的DNAを使用することによって改変できる。また、図3に示した態様は、ライゲーション用プローブがハイブリダイズする標的核酸配列としてRNAを使用することによって改変できる。
この応用法においては、標識プローブからのシグナル値に限界差があるか否かを判定するために増幅反応を利用するときには必ず、探索されている標的配列が試料中に含まれていれば、上記のような限界差をもたらすように増幅反応が行われる。以下の非限定的な例示的態様は、この概念を具体化したものである。
第一の例示的態様では、5’末端側プライマー特異的部位および標的特異的部位を含む第一プローブ、および、標的特異的部位、アドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含む第二プローブを含むライゲーションプローブセットを用いる。標的核酸が試料中に存在すれば、第一および第二のプローブが一緒にライゲーションして、ライゲーション反応の過程でライゲーション産物を形成する。ライゲーション産物は、5’末端側プライマー特異的部位、2つの標的特異的部位、アドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含む。
この態様では、ライゲーション産物、アドレス可能部位の配列を含む5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブ、ならびに5’末端側および’末端側のプライマー特異的部位に対する適当なプライマーセットを含む増幅反応用組成物を形成させる。5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブは、相補配列にハイブリダイズしないとき、第一の検出可能シグナル値を有する。増幅反応としてPCRを用いる場合、増幅の最初のサイクルでは、最初の増幅サイクルの間および/またはその後に、第一の検出可能シグナル値と第二の検出可能シグナル値との間に限界差は生じない。5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブが、ライゲーション産物のアドレス可能部位と同じ配列を有するためにアドレス可能部位にハイブリダイズできず、限界差は検出されない。したがって、最初の増幅サイクルの間には5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブの切断は起こらない。
しかし、増幅の最初のサイクルによって、アドレス可能部位の相補鎖、および3’末端に5’末端側プライマー特異的部位の相補鎖を含む増幅産物ができる。したがって、5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブが、増幅産物にハイブリダイズして、2回目の増幅サイクルの過程で切断される。したがって、この例示的態様においては、2回目の増幅サイクルで、2回目の増幅サイクルの間および/またはその後に、第一の検出可能シグナル値と第二の検出可能シグナル値との間に限界差が生じる。したがって、このような態様において、シグナル値に限界差があるか否かを判定するために用いられる増幅反応は、2回以上のPCR増幅サイクルを含む。
第二の例示的態様では、5’末端側プライマー特異的部位、アドレス可能部位、および標的特異的部位を含む第一プローブ、ならびに、標的特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含む第二プローブを含むライゲーションプローブセットを用いる。標的核酸が試料中に存在すれば、第一および第二のプローブが一緒にライゲーションして、ライゲーション反応の過程でライゲーション産物を形成する。ライゲーション産物は、5’末端側プライマー特異的部位、アドレス可能部位、2つの標的特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含む。
この態様では、ライゲーション産物、アドレス可能部位の配列に相補的な配列を含む5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブ、ならびに5’末端側および’末端側のプライマー特異的部位に対する適当なプライマーセットを含む増幅反応用組成物を形成させる。5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブは、相補配列にハイブリダイズしないとき、第一の検出可能シグナル値を有する。増幅反応としてPCRを用いる場合、増幅の最初のサイクルによって、最初の増幅サイクルの間および/またはその後に、第一の検出可能シグナル値と第二の検出可能シグナル値との間に限界差が生じる。5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブが、ライゲーション産物のアドレス可能部位の配列に相補的な配列を有するため、アドレス可能部位にハイブリダイズして、最初の増幅サイクルで5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブの切断がおきるため、限界差が検出される。したがって、このような態様では、シグナル値に限界差があるか否かを判定するために用いられる増幅反応は、1回以上のPCR増幅サイクルを含む。
第三の例示的態様では、5’末端側プライマー特異的部位および標的特異的部位を含む第一プローブ、および、標的特異的部位、アドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含む第二プローブを含むライゲーションプローブセットを用いる。標的核酸が試料中に存在すれば、第一および第二のプローブが一緒にライゲーションして、ライゲーション反応の過程でライゲーション産物を形成する。ライゲーション産物は、5’末端側プライマー特異的部位、2つの標的特異的部位、アドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含む。
この態様では、ライゲーション産物、アドレス可能部位の配列を含むハイブリダイゼーション依存型プローブ、ならびに5’末端側および’末端側のプライマー特異的部位に対する適当なプライマーセットを含む増幅反応用組成物を形成させる。ハイブリダイゼーション依存型プローブは、相補配列にハイブリダイズしないとき、第一の検出可能シグナル値を有する。本態様では、PCRが増幅反応として用いられる。
最初の増幅サイクルの前に、増幅反応用組成物からライゲーションしなかったプローブが実質的に除去されなければ、最初のサイクルの間および/またはその後に限界差は検出されない。限界差が検出されないのは、探索しているライゲーション産物が存在していようといなかろうと、最初の増幅サイクルでは、ハイブリダイゼーション依存型プローブがハイブリダイズする増幅産物が同数できるからである。このような態様においては、ライゲーションしなかったプローブおよびライゲーション産物はともに、増幅の最初のサイクルで伸長を開始する同一の3’末端側プライマー特異的部位を含み、また、同一のアドレス可能部位を含む。したがって、増幅の最初のサイクルの後、ハイブリダイゼーション依存型プローブが、増幅産物上のアドレス可能部位の相補鎖にハイブリダイズすると、ライゲーション産物の有無に関わらず同一のシグナル値を生じる。
しかし、ライゲーション産物が増幅されて、アドレス可能部位の配列に相補的な配列をもつ増幅産物が指数的に増加すると、その後の増幅サイクルにおいて、シグナル値に限界差が生じる。そのような後続サイクルでは、ライゲーション産物が存在しなければ、そのような増幅産物は、ライゲーションしなかったプローブから直線的に増加するだけである。このような直線的増幅が起きるのは、ライゲーション産物とは異なり、ライゲーションしなかったプローブには、5’末端側プライマー特異的部位がないからである。
第四の例示的態様では、5’末端側プライマー特異的部位および標的特異的部位を含む第一プローブ、および、標的特異的部位、アドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含む第二プローブを含むライゲーションプローブセットを用いる。標的核酸が試料中に存在すれば、第一および第二のプローブが一緒にライゲーションして、ライゲーション反応の過程でライゲーション産物を形成する。ライゲーション産物は、5’末端側プライマー特異的部位、2つの標的特異的部位、アドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含む。
この態様では、ライゲーション産物、アドレス可能部位の配列に相補的な配列を含むハイブリダイゼーション依存型プローブ、ならびに5’末端側および’末端側のプライマー特異的部位に対する適当なプライマーセットを含む増幅反応用組成物を形成させる。また、本態様において、ハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的な部位は、増幅反応サイクルの間は切断されない。「ハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的な部位は切断されない」とは、増幅されている最中の所定の塩基配列にハイブリダイズするよう設計されているハイブリダイゼーション依存型プローブの総数の一部を意味するのであって、各プローブの一部を意味するものではない。一定の態様において、「切断されないハイブリダイゼーション依存型プローブの実質的部位」とは、90%以上のハイブリダイゼーション依存型プローブが切断されないことを意味する。一定の態様において、95%以上のハイブリダイゼーション依存型プローブが切断されない。ハイブリダイゼーション依存型プローブは、相補配列にハイブリダイズしないと、最初の検出シグナルを有する。この態様においては、増幅反応としてPCRが用いられる。
最初の増幅サイクルの前に、増幅反応用組成物からライゲーションしなかったプローブが実質的に除去されなければ、最初のサイクルの間および/またはその後に限界差は検出されない。限界差が検出されないのは、ハイブリダイゼーション依存型プローブは、ライゲーションしなかった第二プローブとライゲーション産物の両方にハイブリダイズするからである。最初の増幅サイクルによって、ライゲーション産物のアドレス可能部位の配列に相補的な配列をもつ増幅産物ができる。したがって、ハイブリダイゼーション依存型プローブは、最初の増幅サイクルで産生される増幅産物のいずれにもハイブリダイズしない。
しかし、ライゲーション産物が存在しさえすれば、2回目の増幅サイクルによって、アドレス可能部位の配列を含むDNAの増加が起きるため、2回目の増幅サイクルの後、シグナル値に限界差が生じる。したがって、このような態様においては、シグナル値に限界差があるか否かを判定するために用いられる増幅反応は、2回以上のPCR増幅サイクルを含む。
一定の態様において、後続の増幅反応においてプライマーとして用いるため、過剰な第一プローブを含むライゲーション用プローブセットを用いることができる。図14は、一定の例示的態様を示している。図14において、第一プローブは、標的特異的部位T−SP1を含む。第二プローブは、3’末端側プライマー特異的部位P−SP 42、アドレス可能部位ASP、および標的特異的部位T−SP2を含む。
このような態様では、ライゲーションの後(図14Aおよび14B参照)、増幅反応用組成物に含まれるプライマーセットは、第二プローブの3’末端側プライマー特異的部位P−SP 42の配列に相補的な配列を含む1種類のプライマー42’だけを含むことが可能である。ライゲーションの後、このプライマーによって一回増幅をすると、ライゲーション産物に相補的な配列を含む増幅産物が生じる(図14C参照)。
増幅の2回目のサイクルにおいて、プライマーP−SP 42’は、ライゲーション産物に相補的な配列を含む増幅産物をもたらす(図14D参照)。さらに、過剰な第一プローブは、ライゲーション産物に相補的な配列と相互作用して、ライゲーション産物の配列を含む増幅産物を形成するプライマーとして用いられる(図14D参照)。
図14は、第一プローブがプライマーとして増幅反応において相互作用することを含む例示的態様を示すために提供されている。図14は、第二ライゲーション用プローブがアドレス可能部位を含み、第一ライゲーション用プローブがアドレス可能部位を含まない態様を示す。過剰な第一ライゲーション用プローブをプライマーとして用いる一定の態様において、第一または第二のライゲーション用プローブのいずれか、または、第一および第二のライゲーション用プローブにおいてアドレス可能部位を使用することができる。
また、図14は、標識プローブとアドレス可能部位との特異的な相互作用を示していない。過剰な第一ライゲーション用プローブをプライマーとして用いる態様において、アドレス可能部位の配列を含む標識プローブ、および/またはアドレス可能部位に相補的な配列を含む標識プローブを使用することができる。
また、一定の態様において、第一プローブは、標的核酸配列にハイブリダイズしない付加的なヌクレオチドを5’末端に含むことが可能である。
後続の増幅反応のためのプライマーとして過剰な第一プローブを用いる一定の態様を、本願全体で述べているライゲーションおよび増幅のさまざまな態様で使用できる。例には、図18に示された態様が包含されるが、これに限定されるものではない。一定のこのような態様によれば、図18に示されている第一プローブZを、プライマー特異的部位P−SP1が含まれないようにして変更できる。その後の増幅反応において、図18に示す第一プローブ上のP−SP1配列に相当するプライマーを使用するのではなく、過剰な第一プローブをプライマーとして用いることができる。
本明細書に記載したようなアドレス可能部位をもつライゲーション用プローブを使用するさまざまな方法とともに、ライゲーション用プローブセットの過剰な第一プローブをプライマーとして用いることができる。一定の態様において、このような構成を、異なったタイプのライゲーション法および増幅法とともに用いることができる。例えば、ライゲーション反応および増幅反応を利用するさまざまな方法において、ライゲーション用プローブセットの過剰な第一プローブをプライマーとして用いることができる。例示的な方法は、米国特許第6,027,889号、PCT公開出願第WO 01/92579号、ならびに米国特許出願第09/584905号および第10/011,993号に記載されているものを包含するが、これらに限定されるものではない。
一定の態様において、ライゲーションおよび増幅の両反応(「閉管」反応)のための試薬すべてを含む反応体積でライゲーション反応を行うことができる。一定のこのような態様では、反応容量からライゲーション産物を取り出すことなく増幅反応を続いて行うことができる。したがって、一定のこのような態様において、反応容量は、試料、ライゲーション用プローブセット、ライゲーション剤、ポリメラーゼ、標識プローブ、プライマーセット、およびdNTPを含むことが可能である。
一定のこのような態様では、後続の増幅反応で用いられる高温下では機能しないライゲーション試薬を使用することができる。一定の態様において、増幅反応の前に一定時間反応容量を高温にかけて、ライゲーション反応後にライゲーション用試薬の活性を実質的に破壊することができる。例えば、一定の態様において、ライゲーション反応の過程で、ライゲーション試薬の活性を実質的に破壊しないような短いサイクル時間高温を用い、ライゲーション反応後に、ライゲーション試薬活性の実質量を破壊するような長時間、反応容量を高温に置くことができる。一定の態様において、ライゲーション試薬活性の実質量を破壊するとは、ライゲーション反応活性の90%以上を破壊することを意味する。一定の態様において、ライゲーション反応活性の95%以上が破壊される。一定の態様において、ライゲーション反応活性の100%が破壊される。
一定の態様において、後続の増幅反応の前に、ライゲーション用試薬の活性を実質的に破壊する方法を使用することができる。例えば、増幅反応に用いる高温ではライゲーション用試薬の活性を阻害するが、ライゲーション反応に用いられる低温ではライゲーション用試薬を阻害しない薬剤を使用することができる。
ライゲーション反応中の反応容量中に増幅用試薬を含ませる一定の態様において、ハイブリダイゼーション、およびライゲーション反応過程でのライゲーション用プローブのライゲーションに干渉しない増幅用プライマーを使用することができる。
ライゲーション反応中の反応容量中に増幅用試薬を含ませる一定の態様において、用いられたライゲーション条件下では実質的に不活性なポリメラーゼを使用することができる。一定の態様において、実質的に不活性とは、90%以上のポリメラーゼが不活性であることを意味する。一定の態様においては、95%以上のポリメラーゼが不活性である。一定の態様においては、100%のポリメラーゼが不活性である。
一定のこのような態様において、ポリメラーゼは、ライゲーション反応に用いられる温度では実質的に不活性になることができる。例えば、一定の態様において、ポリメラーゼは、ライゲーション反応に用いられるような低温では実質的に活性を持たず、その温度ではライゲーション用試薬が活性を持つようにすることができる。一定の態様において、ライゲーション反応に用いられるような低温ではポリメラーゼの活性を阻害するが、増幅反応に用いられるような高温ではポリメラーゼの活性を阻害しない薬剤を使用することができる。このような態様において、低温でポリメラーゼの活性を阻害するために使用される薬剤の例はアプタマーであるが、これに限定されるものではない。例えば、Linら、J.Mol.Biol.,271:100−111(1997)参照。
一定の態様において、ライゲーション反応に用いられる条件では実質的に活性化されないが、ライゲーション反応の後に実質的に活性化されるポリメラーゼを使用することができる。例えば、一定のこのような態様において、短時間高温に置かれたときには実質的に活性化されないが、長時間高温に置かれると実質的に活性化されるポリメラーゼを使用することができる。一定の態様によって、このようなポリメラーゼを使用すると、ライゲーション反応の過程では、ポリメラーゼが実質的に活性化されないような短いサイクル時間高温を用い、ライゲーション反応後、ポリメラーゼが活性化されるように、反応容量を長時間高温に置くことができる。非限定的であるが、このようなポリメラーゼの例は登録商標AmpliTaq Gold(Applied Biosystems,Foster City,CA)である。
ライゲーション反応中の反応容量中に増幅用試薬を含ませる一定の態様において、ハイブリダイゼーション、およびライゲーション反応過程でのライゲーション用プローブのライゲーションに干渉しない標識プライマーを使用することができる。
一定の態様において、増幅反応用試薬の一部または全部を、ライゲーション反応の後、ライゲーション反応容量に加えることも可能である(「開管」反応)。一定の態様において、ライゲーション反応後、ライゲーション反応容量の少なくとも一部を、増幅反応用試薬に加えることができる。
図4Aに示すような一定の態様において、アドレス可能部位4を含む第一プローブ2、および、プロモーター14を含む第二プローブ33を標的核酸配列1にハイブリダイズさせる。隣接してハイブリダイズしたプローブをライゲーションして、図4Bに示すように、標的核酸配列1、ならびにアドレス可能部位4およびプロモーター14を含むライゲーション産物36を含む二重鎖を形成させる。この二重鎖が変性すると、ライゲーション産物が解離する。
ライゲーション産物を、適当なRNAポリメラーゼ16およびrNTPと混合する(図4B参照)。RNAポリメラーゼはプロモーターと相互作用して、鋳型依存的にrNTPが付加されて転写産物36’が作られる(図4Cおよび4D参照)。転写産物が作られる前、最中、またはその後に標識プローブ29を加える。図示された態様では、標識プローブ29は、ライゲーション産物のアドレス可能部位の配列と同一の配列を含むオリゴヌクレオチド結合要素を介して蛍光体部分(F)に結合した消光体部分(Q)を含むハイブリダイゼーション依存型蛍光プローブである。ハイブリダイゼーション依存型蛍光プローブが、アドレス可能部位に相補的な配列にハイブリダイズすると、消光体部分(Q)が蛍光体部分(F)を消光する。ハイブリダイゼーション依存型蛍光プローブは、アドレス可能部位に相補的な、転写産物の配列(4’)にハイブリダイズすると、蛍光体部分(F)が、消光体部分(Q)による消光を脱して、蛍光シグナルが検出される(図4D参照)。蛍光シグナルの検出が、試料中に標的核酸配列が存在することを示している。
一定の態様において、標的核酸配列が試料中に存在しなかったなら、アドレス可能部位およびプロモーターを含むライゲーション産物が、ライゲーション反応中に形成されることはなかったであろう。その結果、標識プローブはライゲーション産物に結合せず、標識プローブからの蛍光シグナルは生じないであろう。したがって、増幅反応の間または後に検出可能なシグナルが存在しないということは、試料中に標的核酸配列が無いことを示している。適当な標的核酸配列が試料中に存在しなくても、ライゲーション産物が形成されるかもしれないが、そのようなライゲーションは、適当なライゲーション産物が試料中にあるときと比べると、測定可能なほど低い程度でしか起きない。一定のこのような態様において、適当な核酸配列を含む試料と適当な核酸配列を含まない試料を区別するために、検出可能なシグナル値の間に適当な限界差を設定することができる。
RNAポリメラーゼが、一般的には一本鎖の転写用鋳型ではなく、二本鎖の転写用鋳型を用いてRNA転写産物を形成することを当業者は理解している。したがって、このようなRNAポリメラーゼを使用するときは、例えば図5に示されているように、転写が起きる前に、一般的にはライゲーション産物の二本鎖のものが生成されている。また、当業者は、変性処理の一部または全部の後にRNAポリメラーゼを加えるのが望ましいということを理解している。
一定の態様では、図5に示すように、5’末端標的特異的部位25、アドレス可能部位4、および標的特異的部位15aを含む第一プローブ32、ならびに標的特異的部位15b、およびプロモーター14’の相補鎖を含む第二プローブ43を使用する。この2種類のプローブは、標的核酸配列1にハイブリダイズする。隣接してハイブリダイズしたプローブは、一緒にライゲーションされて、図5Bに示すように、標的核酸配列1、ならびに、プライマー特異的部位25、アドレス可能部位4、およびプロモーター相補配列14’を含むライゲーション産物46を含む二重鎖を形成する。二重鎖が変性されると、ライゲーション産物46が解離する。
図5Cに示すように、適当な条件下、ならびに適当なプライマー7およびDNAポリメラーゼ8存在下では、プロモーター14およびその相補配列14’、ならびにアドレス可能支持体(addressable support)特異的部位4およびその相補配列4’を含む二本鎖の第一の増幅産物18が生成される。この第一の増幅産物は、適当な条件下、およびRNAポリメラーゼ16存在下で転写されて、転写産物17を生成する。この転写産物は、例えば、非限定的であるがハイブリダイゼーション依存型プローブなどの標識プローブを例えば使用して検出および定量することができる。
一定の態様によれば、各ライゲーション用プローブセットの第一および第二のプローブは、標的配列の中心ヌクレオチドに直接隣接する配列に相補的になるよう設計されている(例えば図8(1)のプローブA、B、およびZ参照)。図8A〜8Cに示されている態様では、ライゲーション用プローブセットの2種類の第一プローブAおよびBは、中心相補部に異なったヌクレオチドを含み、中心相補部の異なったヌクレオチドごとに異なったアドレス可能部位を含む。このプローブセットと試料を含むライゲーション反応用組成物を形成する。
試料中に標的配列が存在すると、適当な条件下で、第一および第二のプローブが、標的上の隣接する領域にハイブリダイズする(例えば、図8(2)参照)。中心相補部が適当なライゲーション剤存在下で標的と対合すると、隣接してハイブリダイズした2つのプローブが、ライゲーションしてライゲーション産物を形成する(例えば、図8(3)参照)。一定の態様において、第一プローブの中心相補部が標的と対合しないと、そのミスマッチプローブを含むライゲーション産物は形成されない(例えば、図8(2)から8(4)のプローブB参照)。
図8(2)および(3)において、第一プローブBは標的にハイブリダイズしない。一定の態様において、ミスマッチ末端中心相補部をもつプローブが、第二プローブにライゲーションできないのは、ミスマッチを有するプローブが、使用した条件下では標的にハイブリダイズできないからである。一定の態様において、ミスマッチ末端中心相補部をもつプローブが、第二プローブにライゲーションできないのに、ミスマッチを有するプローブが標的にハイブリダイズするかもしれない。しかし、中心相補部のヌクレオチドは、標的と対合していない。
一定の態様において、ライゲーション反応させられた反応容量は試験化合物を形成する。一定の態様において、次に、試験化合物、1種類以上のプライマーセット、ポリメラーゼ、および、各第一プローブにつき異なった標識プローブ(LBP−AおよびLBP−B)であって、検出可能なように異なったシグナルをもたらす標識プローブを含む増幅反応用組成物を形成する(例えば、図8(4)参照)。図示された態様における標識プローブは、オリゴヌクレオチド結合要素を介して、検出可能なように異なった蛍光体部分(F)に結合している消光体部分(Q)を含む、異なった5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブである。異なったオリゴヌクレオチド結合要素は、異なった第一ライゲーション用プローブの異なったアドレス可能部位の一つに相補的な配列を含む。
図示された態様において、第一の標識プローブ(LBP−A)は、第一プローブAのアドレス可能部位(ASP−A)の配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド結合要素を介して消光体部分(Q)に結合している第一の蛍光体部分(FA)を含む。図示された態様において、第二の標識プローブ(LBP−B)は、第一プローブBのアドレス可能部位(ASP−B)の配列に相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド結合要素を介して消光体部分(Q)に結合している第二の蛍光体部分(FB)を含む。異なった標識プローブのそれぞれの蛍光体部分は、消光体部分によって消光されなくなると、互いに異なった検出可能なシグナルを放出する。
一定の適当な塩、バッファー、およびヌクレオチド三リン酸の中で、増幅反応用組成物に、一サイクル以上の増幅を行う。最初の増幅サイクルにおいて、ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む第二プライマー(P2)が、ライゲーション産物とハイブリダイズし、鋳型依存的に伸長して二本鎖分子を生み出す。
また、最初の増幅サイクルの過程で、ポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼ活性によって、ライゲーション産物のアドレス可能部位にハイブリダイズした標識プローブの切断が起こる(例えば、図8(5)の標識プローブLBA−A参照)。切断の結果、蛍光体部分(FA)は、消光体部分(Q)に消光されなくなり、蛍光シグナルが検出される。蛍光体部分(FA)から蛍光シグナルが検出されることは、試料中に、ライゲーション産物の中心相補部にあるヌクレオチド(T)に相補的な中心ヌクレオチド(A)を有する標的核酸配列が存在することを示している。
本例において、試料中には、プローブBの中心相補部のヌクレオチドに相補的な中心ヌクレオチド(C)をもつ標的核酸配列は存在しない。したがって、本例においては、プローブBのアドレス可能部位と3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物は形成されない。その結果、蛍光体部分(FB)を含む標識プローブ(LBP−B)は、ライゲーション産物にも増幅産物にも結合せず、増幅反応の間に標識プローブ(LBP−B)の切断は起こらない。したがって、増幅反応の間またはその後に、蛍光体部分(FB)からの検出可能なシグナルがないことは、試料中に中心ヌクレオチド(C)を有する標的核酸配列が存在しないことを示している。一定の態様において、中心ヌクレオチドに相補的でない中心相補部をもつプローブのライゲーションが起きるかもしれないが、そのようなライゲーションは、中心ヌクレオチドに相補的な中心相補部を有するプローブのライゲーションよりも測定可能なほど低い程度でしか起こらない。一定のこのような態様においては、適当な核酸配列を含む試料と適当な核酸配列を含まない試料を区別するために、検出可能なシグナル値の間に適当な限界差を設定することができる。
一定の態様において、5’−ヌクレアーゼプローブが、アドレス可能部位、またはアドレス可能部位の相補配列にハイブリダイズすると、消光体部分は、シグナルが検出可能になるのに十分なほどシグナル部分から離れることが可能になる。一定の態様において、このようなシグナルの検出可能なシグナル値(切断前)は、5’−ヌクレアーゼプローブの切断後の検出可能なシグナル値よりも小さい。したがって、一定の態様において、5’−ヌクレアーゼプローブが切断されずに一定の配列にハイブリダイズした後に検出されるシグナル値が、設定された限界差とはならないよう、検出可能なシグナル値の間に適当な限界差を設定することができる。しかし、5’−ヌクレアーゼプローブの切断によって検出されるシグナル値は設定された限界差となる。
一定の態様において、後続の増幅サイクルで指数的増幅が起きることも可能である(例えば、図8(4)〜(11)参照)。したがって、サイクルごとに、標識プローブ(LBP−A)の切断によって検出されるシグナル値は増加し、標識プローブ(LBP−B)から検出されるシグナル値は実質的に一定のままである。
一定の態様において、第一プローブおよび第二プローブの両方にアドレス可能部位を含むライゲーション用プローブセットであって、第一プローブと第二プローブが、標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズすると、一緒にライゲーションされるプローブセットを使用する。一定のこのような態様において、一方の標識プローブが対照シグナルを提供し、他方の標識プローブが標的の識別または定量のシグナルを提供するように、異なったアドレス可能部位に対し異なった標識プローブを使用する。
例えば、一定の態様において、このような対照を、図8に図示された態様に以下の非限定的な態様で付加することもできる。図8に示した2つの第一プローブと同じもの、すなわち、中心相補部に異なったヌクレオチドと異なったアドレス可能部位を含むプローブを含むライゲーション反応用組成物を形成する。しかし、第二プローブは、標的特異的部位と3’末端側プライマー特異的部位の間に三番目の異なったアドレス可能部位ASP−Cを含む。
したがって、ライゲーション反応の過程で、図8に示されている標的核酸が存在していると、5’末端側プライマー特異的部位、アドレス可能部位ASP−A、2つの標的特異的部位、アドレス可能部位ASP−C、および3’末端側プライマー特異的部を含むライゲーション産物が得られる。追加的な標識プローブLBP−Cをさらに含んでいる以外は、図8について上記したものと同じ増幅反応用組成物を用いる。図示された態様における標識プローブLBP−Cは、第二プローブZのアドレス可能部位(ASP−C)と同一の配列を含むオリゴヌクレオチド結合要素を介して、消光体部分(Q)に結合している第三の異なった蛍光体部分(FC)に結合している消光体部分(Q)を含む5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブである。この蛍光体部分(FC)は、(FA)、(FB)、および(FC)が消光体部分によって消光されないときには、蛍光体部分(FA)および(FB)のどちらとも異なった検出可能なシグナルを放出する。
図8のこれら改変態様の最初の増幅サイクルは、切断された標識プローブLBP−Aの蛍光体部分(FA)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に限界差をもたらすはずである。また、図8のこれら改変態様の最初の増幅サイクルは、切断されていない標識プローブLBP−Bの蛍光体部分(FB)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に何ら限界差をもたらさないはずである。(これは、第三のアドレス可能部位ASP−Cを使用しない、図8に図示されている態様において生じるのと同じ結果である。)
図8のこれら改変態様の最初の増幅サイクルは、切断されていない標識プローブLBP−Cの蛍光体部分(FC)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間にも何ら限界差をもたらさないはずである。(標識プローブLBP−Cは、ライゲーション産物のアドレス可能部位ASP−Cの配列を含むため、最初の増幅サイクルでは切断されない。)
また、図8のこれら改変態様の最初の増幅サイクルは、ライゲーション産物に相補鎖である増幅産物をもたらす。図8のこれら改変態様において、標識プローブLBP−Cは、ライゲーション産物のアドレス可能部位ASP−Cの相補鎖を含む、この増幅産物にハイブリダイズする。
図8のこれら改変態様の2回目の増幅サイクルは、最初の増幅サイクルで得られた標識プローブLBP−Aの蛍光体部分(FA)からのシグナル値の倍増をもたらす。また、図8のこれら改変態様の2回目の増幅サイクルは、切断された標識プローブLBP−Cの蛍光体部分(FC)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に限界差をもたらす。また、図8のこれら改変態様の2回目の増幅サイクルは、切断されていない標識プローブLBP−Bの蛍光体部分(FB)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に何ら限界差をもたらさないはずである。
後続の増幅サイクルは、ライゲーション産物およびその相補鎖に相当する産物の指数的な増幅をもたすため、標識プローブLBP−AおよびLBP−Cからの検出可能なシグナル値も対応して増加するはずである。標識プローブLBP−AおよびLBP−Cからの検出可能なシグナル値の期待された増加量との間に不一致が見られる場合には、アッセイが適正に進行しなかった可能性がある。標識プローブLBP−AおよびLBP−Cからの検出可能なシグナル値が適当に増加する場合には、アッセイの結果を信頼してもよい。
対照は、試料中に両方の可能な標的核酸が存在するということで図8の態様が変更されている態様で説明することもできる。このような態様においては、2回目の増幅サイクルの後続増幅サイクルが、標識プローブLBP−AおよびLBP−Bからの蛍光体部分(FA)および(FB)からの検出可能なシグナル値の増加量を合わせたのと同じ、標識プローブLBP−Cからの蛍光体部分(FC)からの検出可能なシグナル値の増加をもたらすはずである。ライゲーション産物の一部はアドレス可能部位ASP−Aを有し、ライゲーション産物の一部はアドレス可能部位ASP−Bを有するが、すべてのライゲーション産物はアドレス可能部位ASP−Cを有するはずなので、このような結果になるはずである。
例えば、蛍光体部分(FC)から検出可能なシグナル値が大きく増加し、蛍光体部分(FB)から検出可能なシグナル値が極めて少なく増加したが、蛍光体部分(A)からの検出可能なシグナル値には限界差が見られなかったと仮定する。このような結果から、アッセイが適正に進行しなかったと結論づけることができる。アドレス可能部位ASP−Aを有するライゲーション産物が存在して増幅されているが、標識プローブLBP−Aが適正に機能していないせいなのかもしれない。
一定の態様において、第一プローブおよび第二プローブの少なくとも一方に2つの異なったアドレス可能部位を含むライゲーション用プローブセットを使用する。一定のこのような態様において、異なったアドレス可能部位に対し異なった標識プローブを使用して、一方の標識プローブが対照シグナルを提供し、他方の標識プローブが標的の識別または定量のシグナルを提供するようにする。
例えば、一定の態様において、このような対照を、図8に図示された態様に以下の非限定的な態様で付加することもできる。図8に示した第二プローブと同じものを含むライゲーション反応用組成物を形成する。図8同様、中心相補部に2つの異なったヌクレオチド、および2つの異なったアドレス可能部位を含む2つの第一プローブを使用する。しかし、第一プローブの各々は、標的特異的部位と3’末端側プライマー特異的部位との間に位置する三番目の異なったアドレス可能部位ASP−Cも含む。
したがって、ライゲーション反応の過程で、図8に示されている標的核酸が存在していると、5’末端側プライマー特異的部位、アドレス可能部位ASP−Aおよびアドレス可能部位ASP−C、2つの標的特異的部位、ならびに3’末端側プライマー特異的部を含むライゲーション産物が得られる。追加的な標識プローブLBP−Cをさらに含んでいる以外は、図8について上記したものと同じ増幅反応用組成物を用いる。図示された態様における標識プローブLBP−Cは、第一プローブAおよびBのアドレス可能部位(ASP−C)の配列と相補的な配列を含むオリゴヌクレオチド結合要素を介して、消光体部分(Q)に結合している第三の異なった蛍光体部分(FC)に結合している消光体部分(Q)を含む5’−ヌクレアーゼ蛍光プローブである。この蛍光体部分(FC)は、(FA)、(FB)、および(FC)が消光体部分によって消光されないときには、蛍光体部分(FA)および(FB)のどちらとも異なった検出可能なシグナルを放出する。
図8のこれら改変態様の最初の増幅サイクルは、切断された標識プローブLBP−Aの蛍光体部分(FA)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に限界差をもたらすはずである。また、図8のこれら改変態様の最初の増幅サイクルは、切断されていない標識プローブLBP−Bの蛍光体部分(FB)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に何ら限界差をもたらさないはずである。(これは、第三のアドレス可能部位ASP−Cを使用しない、図8に図示されている態様において生じるのと同じ結果である。)
また、図8のこれら改変態様の最初の増幅サイクルは、切断された標識プローブLBP−Cの蛍光体部分(FC)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に限界差をもたらすはずである。図8のこれら改変態様の最初の増幅サイクルは、ライゲーション産物の相補鎖である増幅産物をもたらす。
図8のこれら改変態様の2回目の増幅サイクルは、最初の増幅サイクルで得られた標識プローブLBP−Aの蛍光体部分(FA)からのシグナル値の倍増をもたらす。また、図8のこれら改変態様の2回目の増幅サイクルは、切断された標識プローブLBP−Cの蛍光体部分(FC)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に限界差をもたらす。また、図8のこれら改変態様の2回目の増幅サイクルは、最初の増幅サイクルで得られた標識プローブLBP−Cの蛍光体部分(FC)からのシグナル値の倍増をもたらす。また、図8のこれら改変態様の2回目の増幅サイクルは、切断されていない標識プローブLBP−Bの蛍光体部分(FB)からの第一および第二の検出可能なシグナル値の間に何ら限界差をもたらさないはずである。
後続の増幅サイクルは、ライゲーション産物およびその相補鎖に相当する産物の指数的な増幅をもたすため、標識プローブLBP−AおよびLBP−Cからの検出可能なシグナル値も対応して増加するはずである。標識プローブLBP−AおよびLBP−Cからの検出可能なシグナル値の期待された増加量との間に不一致が見られる場合には、アッセイが適正に進行しなかった可能性がある。標識プローブLBP−AおよびLBP−Cからの検出可能なシグナル値が適当に増加する場合には、アッセイの結果を信頼してもよい。
対照は、試料中に両方の可能な標的核酸が存在するということで図8の態様が変更されている態様で説明することもできる。このような態様においては、増幅サイクルが、標識プローブLBP−AおよびLBP−Bからの蛍光体部分(FA)および(FB)からの検出可能なシグナル値の増加量を合わせたのと同じ、標識プローブLBP−Cからの蛍光体部分(FC)からの検出可能なシグナル値の増加をもたらすはずである。ライゲーション産物の一部はアドレス可能部位ASP−Aを有し、ライゲーション産物の一部はアドレス可能部位ASP−Bを有するが、すべてのライゲーション産物はアドレス可能部位ASP−Cを有するはずなので、このような結果になるはずである。
例えば、蛍光体部分(FC)から検出可能なシグナル値が大きく増加し、蛍光体部分(FB)から検出可能なシグナル値が極めて少なく増加したが、蛍光体部分(A)からの検出可能なシグナル値には限界差が見られなかったと仮定する。このような結果から、アッセイが適正に進行しなかったと結論づけることができる。アドレス可能部位ASP−Aを有するライゲーション産物が存在して増幅されているが、標識プローブLBP−Aが適正に機能していないせいなのかもしれない。
一定の態様において、一本鎖増幅産物は、例えば、非対称PCR、非同期式PCR、プライマー伸長、RNAポリメラーゼ(例えば図4参照)、非対称的再増幅であるが、包含するが、これらに限定されない方法によって合成される。非対称PCRの例示的態様において、増幅反応用組成物は、1種類以上の第一プライマーまたは1種類以上の第二プライマーのいずれかであり、両方ではないプライマーが過剰に加えられている1種類以上のプライマーセットを用いて調製される。したがって、一定の態様において、過剰プライマーの制限プライマーに対する割合を、それぞれ約100:1にできる。当業者は、一定の態様による最適なプライマー量を実験的に基づいて決定できることを認識している。一定の態様において、量は、制限プライマーについては約2から50 nM、過剰なプライマーについては約100から900 nMである。一定の態様において、実験的には、プライマーセットの一方のプライマーの濃度は、増幅反応用組成物100μlあたり5 pmolよりも低く保たれる。
一定の態様において、PCR反応の最初には、両プライマーとも実質的に過剰量存在するため、両鎖とも指数的に増幅される。しかし、一定の態様においては、増幅サイクルのすべてを完了する前に、制限プライマーが消耗する。その後の増幅サイクルの間、一方の鎖のみが増幅されるため、一本鎖増幅産物が過剰に生成する。
例えば、限定的ではないが、一定の態様において、約40から45サイクルの増幅が行われた後、長い伸長ステップによって増幅処理を完了させる。一定の態様において、制限プライマーは、一般的には25回目の増幅サイクルまでには消耗する。その後の増幅サイクルの間は、プライマーセットの一方のプライマーだけしか存在しないため、一方の鎖の増幅産物だけが産生される。一定の態様において、標識プローブは、その後の各サイクルで一定量のシグナルが生じるよう、その後のサイクルの過程では産生されない鋳型鎖にハイブリダイズするよう設計されている5’−ヌクレアーゼプローブである。一定の態様において、標識プローブは、その後の各サイクルで一定量のシグナルが生じるよう、その後のサイクルの過程で産生される鋳型鎖にハイブリダイズするよう設計されているハイブリダイゼーション依存型プローブである。
一定の例示的な非対称的再増幅プロトコールにおいて、二本鎖増幅産物を含む、風乾
された第一の増幅用組成物は、30μlの0.1×TEバッファー、pH 8.0に再懸濁される。2マイクロリットルの再懸濁された増幅用組成物を、9μlの滅菌濾過脱イオン水、18μlの登録商標AmpliTaq Goldミックス(PE Biosystems,Foster City,CA)、適当量の標識プローブ、および1μlの1×TEバッファーに懸濁した20〜40 pmolの1種類以上の第一プライマーまたは1種類以上の第二プライマーとともに0.2 mlのMicroAmp反応チューブの中で混合して、第二の増幅反応用組成物を調製する。
このチューブを95℃で12分間加熱してから、(94℃で15秒間、60℃で15秒間、そして72℃で30秒間)というサイクルを10回繰り返した後、(89℃で15秒間、53℃で15秒間、そして72℃で30秒間)というサイクルを25回繰り返してから60℃に45分間置く。標識プローブは、対応するライゲーション産物が最初の増幅反応の前に存在している場合には、後続の再増幅処理の間に検出可能なシグナルが変化するよう設計されている。
例えば、一定の態様において、5’末端側プライマー特異的部位、アドレス可能部位、および標的特異的部位を含む第一プローブ、ならびに標的特異的部位および3’末端側プライマー特異的部位を含む第二プローブからライゲーション産物を形成する。プライマーセットは、5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む第一プライマーと、3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む第二プライマーとを含む。標識プローブは、アドレス可能部位の配列に相補的な配列を含み、第二プライマーが、第一プライマーよりも過剰に含まれる。
一定の態様において、二本鎖増幅産物が生成された後、一本鎖配列に転換される。二本鎖核酸を一本鎖配列に転換する方法には、制限はないが、加熱変性、化学的変性、およびエキソヌクレアーゼ分解などが包含される。一本鎖核酸分子を合成するか、二本鎖核酸を一本鎖配列に転換するための詳細なプロトコールは、なかんずく、Ausbelら、Samrookら、Navagenの商標Strandase製品添付説明書(Navagen、Madison,WI)、およびSambrookとRussellに記載されている。
一定の態様において、本発明に係る方法は、汎用プライマー、汎用プライマーセット、またはその両者を含む。一定の態様において、異なった標的配列に対して任意の回数の増幅反応を行うため、単一の汎用プライマーセットを使用することが可能である。
一定の態様において、2種類以上の異なったライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位は、反応用組成物における一つの第一プライマーの少なくとも一部と同一の配列を含む(例えば図9(A)のプライマーPA参照)。一定の態様において、反応用組成物中の大部分のライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位は、1種類以上の第一プライマーの少なくとも一部と同一の配列を含む(例えば、図9(B)のプライマーPA参照)。一定の態様において、反応用組成物中のすべてのライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位は、1種類以上の第一プライマーの少なくとも一部と同一の配列を含む(例えば、図9(C)のプライマーPA参照)。一定の態様において、反応用組成物は、1種類よりも多い汎用プライマー、1種類よりも多い汎用プライマーセット、またはその両者を含む。
このようなライゲーション産物は、例えば、限定するわけではないが、多数の標的核酸配列を定量する多重反応に使用することができる。
一定の態様によれば、多重反応は、例えば、それぞれが異なった標的配列もしくは対立遺伝子またはその両者の組み合わせに対応するユニークなアドレス可能部位を含む6種類のライゲーション産物を包含するが、これらに限定されるものではない(例えば、図9の6つの異なったAPS参照)。図9(A)では、2種類のライゲーション産物(A−Z)の5’末端側プライマー特異的部位が、反応用組成物中の1種類の第一プライマー(PA)の少なくとも一部と同じ配列を含む。同じ2種類のライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位は、反応用組成物中の1種類の第二プライマーの少なくとも一部に相補的な配列を含む。したがって、これら6種類のライゲーション産物を指数的に増幅させるためには、5種類のプライマーセット(PA−PZ、PC−PZ、PD−PZ、PE−PZ、およびPF−PZ)を用いる。
図9(B)は、大部分のライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位が、反応用組成物中の1種類の第一プライマーの少なくとも一部と同じ配列を含む以外は、同一の6種類のライゲーション産物を示す。すべてのライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位は、反応用組成物中の1種類の第二プライマーの少なくとも一部に相補的な配列を含む。これら6種類のライゲーション産物を指数的に増幅させるためには、3種類のプライマーセット(PA−PZ、PE−PZ、およびPF−PZ)を用いる。
図9(C)は、すべてのライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位が、反応用組成物中の1種類の第一プライマーの少なくとも一部と同じ配列を含む以外は、同一の6種類のライゲーション産物を示す。すべてのライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位は、反応用組成物中の1種類の第二プライマーの少なくとも一部に相補的な配列を含む。これら6種類のライゲーション産物を指数的に増幅させるためには、1種類のプライマーセットだけ(PA−PZ)を用いる。
したがって、反応用組成物における2種類以上のライゲーション産物に対して同一のプライマーセットが使用される(例えば、図9(A)のプライマーPAおよびPZ参照)。一定の態様において、反応用組成物中の大部分のライゲーション産物は同一のプライマーセットを用いる(例えば、図9(B)のプライマーPAおよびPZ参照)。一定の態様において、反応用組成物中のすべてのライゲーション産物は同一のプライマーセットを用いる(例えば、図9(C)のプライマーPAおよびPZ参照)。
図9に示された態様において、3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション用プローブは、アドレス可能部位(ASP)も含む。図9に示された態様は、5’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション用プローブがアドレス可能部位を含み、3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション用プローブがアドレス可能部位を含まないように変更することができる。図9に示された態様は、5’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション用プローブと、3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション用プローブがともにアドレス可能部位を含むように変更することができる。
一定の態様によれば、プローブが、プライマー特異的部位を共通にするが、異なったアドレス可能部位および/または標的特異的部位を含むように設計されているため、わずか1種類の汎用プライマーまたは1種類の汎用プライマーセットを用いて、1種類以上のライゲーション産物または増幅産物を増幅することができる。
本発明に係る方法は、一定の態様によれば、反応用組成物に加えられる異なったプライマーの数を減らす汎用プライマーまたは汎用プライマーセットを含み、必要なコストと時間を低減できる。例えば、限定するものではないが、100種類の標的配列の多重反応には、従来の方法では、一般的に100種類の異なったプライマーを必要とする。本発明の一定の態様によれば、同じ100種類の標的多重反応において、100種類のプライマーセットから僅か1種類のプライマーセットまでの間を用いることが可能である。例えば、一定の態様において、汎用プライマーまたは汎用プライマーセットによって増幅されるライゲーション産物または増幅産物はすべて、同じ5’末端側プライマー特異的部位と3’末端側プライマー特異的部位を含む。当業者は、一定の態様において、反応中のライゲーション産物または増幅産物の異なる一部に対して各々特異的な1種類以上の汎用プライマーセットを多重反応において用いることが可能であると理解できる。一定の態様において、増幅反応用組成物は、1種類以上の汎用プライマーまたは汎用プライマーセット、および1種類だけのプローブ種、ライゲーション産物、または増幅産物にハイブリダイズする1種類以上のプライマーまたはプライマーセットを含むことができる。
一定の態様において、1種類だけか限られた種類のプライマーまたはプライマーセットが増幅に使用されるため、試料中の標的核酸配列を検出または定量するための従来の方法よりもより費用効率が高く、時間がかからない。一定の態様において、限られた種類のプライマーを使用することで、プライマーの増幅効率および交差反応の変動を抑えることもできる。さらに、一定の態様において、それぞれ汎用プライマーまたは汎用プライマーセットによって増幅されるライゲーション産物または増幅産物に対する多重反応から定量的な結果を得ることもできる。
当業者は、多重対立遺伝子の検出を包含するが、これに限定されない一定の態様において、ライゲーション反応用組成物は、複対立遺伝子の標的遺伝子座における可能な対立遺伝子の各々に対する1種類以上の第一プローブまたは、1種類よりも多い第二プローブを含むことができる。一定の態様において、これらの方法は、各遺伝子座における異なった対立遺伝子の各々に対して、異なったアドレス可能部位をもつ異なったプローブを使用する。一定のこのような態様において、増幅反応用組成物は、異なったアドレス可能部位の各々に対して異なった標識プローブを含むことができる。一定の態様において、異なった標識プローブの各々が、異なったアドレス可能部位の各々に対して検出可能な異なったシグナルをもつことができる。
図12は、3つの2対立遺伝子座がある一定の態様を例示している。各遺伝子座について、2種類の第一プローブを含むライゲーション用プローブセットを使用する。図12において、3つの異なった遺伝子座の各々に対し、異なったプローブセットがある。各プローブセットは、各遺伝子座にある2種類の異なった対立遺伝子に対する2種類の第一プローブを含む。各プローブセットの第一プローブの各々が、同一の5’末端側プライマー特異的部位(P−SP(A))、一定の遺伝子座の一部に対して相補的で、かつ、中心相補部に異なったヌクレオチド(第一の遺伝子座に対しAまたはG、第二の遺伝子座に対しTまたはG、第三の遺伝子座に対しGまたはC)を含む標的特異的部位、および異なったアドレス可能部位(第一の遺伝子座に対しAP1またはAP2、第二の遺伝子座に対しAP3またはAP4、第三の遺伝子座に対しAP5またはAP6)を含む。各プローブセットの第二プローブの各々が、同一の3’末端側プライマー特異的部位(P−SP(Z))および異なった各遺伝子座に対する異なった標的特異的部位を含む。
図12に示す一定の態様において、ライゲーションの後、同一のプライマーセット(PA)および(PZ)、ならびに、6種類の異なったアドレス可能部位の各々に相補的な(または同一の)配列を含む6種類の異なった標識プローブ(LBP−1、LBP−2、LBP−3、LBP−4、LBP−5、およびLBP−6)を用いて、すべての遺伝子座について多重増幅反応を行うことができる。また、6種類の異なった標識プローブは、6種類の異なった検出可能なシグナルを提供する。
したがって、本例においては、増幅によって、6種類の標識プローブすべてからの検出可能なシグナル値に限界差が生じた場合には、その試料は、3つの遺伝子座すべてについてヘテロ接合だったと結論づけるであろう。シグナル値における限界差が標識プローブLBP−1、LBP−3、LBP−4、およびLBP−5だけから検出された場合には、この試料は、遺伝子座1で中心ヌクレオチドに(C)を有する遺伝子座1のホモ接合であり、遺伝子座2でヘテロ接合、そして、中心ヌクレオチドに(G)を有する遺伝子座3でホモ接合であると結論づけるであろう。
一定の態様において、1つ以上の遺伝子座で2種類の対立遺伝子の選択肢に対して同じ2種類の異なったアドレス可能部位を用いることができる。一定のこのような態様において、各遺伝子座について異なった反応用組成物を使用して異なった遺伝子座を区別することができる。
したがって、一定のそのような態様において、3つの2対立遺伝子座の対立遺伝子における一塩基の違いを判定したい場合には、各遺伝子座における2つの選択肢に対して特異的な異なったライゲーション用プローブセットを各々が有する3種類の異なった反応用組成物を使用することができる。図13は、3種類の2対立遺伝子座につき、3種類の異なった反応用組成物を使用する、一定のそのような態様を例示している。図13では、3つの異なった遺伝子座の各々について異なったプローブセットがある。各プローブセットは、各遺伝子座の2種類の異なった対立遺伝子に対する2種類の第一プローブを含む。第一プローブの各々は、各プローブセットの第一プローブの各々が、同一の5’末端側プライマー特異的部位(P−SP(A))、一定の遺伝子座の一部に対して相補的で、かつ、中心相補部に異なったヌクレオチド(第一の遺伝子座に対しAまたはG、第二の遺伝子座に対しTまたはG、第三の遺伝子座に対しGまたはC)を含む標的特異的部位、および、各遺伝子座についての2種類の対立遺伝子のヌクレオチド選択肢の一方に対応する異なったアドレス可能部位(AP1またはAP2)を含む。アドレス可能部位(AP1またはAP2)が同一セットになっているものを、3種類の異なったプローブセットの各々の2種類の第一プローブ上で使用することも可能である。各プローブセットの第二プローブの各々が、同一の3’末端側プライマー特異的部位(P−SP(Z))、および異なった各遺伝子座に対する異なった標的特異的部位を含む。
図13に示す一定の態様において、各遺伝子座につき別々にライゲーションした後、同一のプライマーセット(PA)および(PZ)、ならびに、同じ2種類の標識プローブ(アドレス可能部位AP1の配列に相補的な(または同一の)配列を含むLBP−1、アドレス可能部位AP2の配列に相補的な(または同一の)配列を含むLBP−2)を用いて、各遺伝子座について3つの別々の増幅反応を行うことができる。また、2種類の異なった標識プローブは、2種類の異なった検出可能なシグナルを提供する。
したがって、本例においては、増幅によって、3つの反応用組成物のすべてにおいて、双方の標識プローブ(LBP−1およびLBP−2)からの検出可能なシグナル値に限界差が生じた場合には、その試料は、3つの遺伝子座すべてについてヘテロ接合だったと結論づけるであろう。増幅反応によって生じる別の可能な結果は、以下の通りである。第一の増幅反応用組成物が、標識プローブLBP−1からの検出可能なシグナル値に限界差を生じ、第二の増幅反応用組成物が、標識プローブLBP−1およびLBP−2からの検出可能なシグナル値に限界差を生じ、また、第三の増幅反応用組成物が、標識プローブLBP−1からの検出可能なシグナル値に限界差を生じる。このような結果から、この試料は、遺伝子座1で中心ヌクレオチドに(C)を有する遺伝子座1でホモ接合であり、遺伝子座2でヘテロ接合、そして、中心ヌクレオチドに(G)を有する遺伝子座3でホモ接合であると結論づけるであろう。
一定の態様において、別々の反応用組成物中のさまざまな特異的プローブを用いて、さまざまな標的配列を解析することができる。例えば、96種類の異なった標的核酸配列に対する96種類の異なったライゲーション用プローブセットをもつ96ウェルプレートを用いることができる。一定の態様において、96種類のプローブセットのそれぞれを用いて、一つの標的核酸配列の有無を検出(または定量)したい場合がある。一定のそのような態様において、異なった96ウェルの各々において、2種類のプライマーの同じセットおよび同一の標識プローブを用いて、96種類の異なった標的配列についての結果を得ることができる。
一定の態様において、96種類の異なったライゲーション用プローブセットを用いて、96種類の異なった遺伝子座に2つの異なった対立遺伝子があるか否かを検出(または定量)したい場合がある。一定の態様において、各プローブセットは、2種類の第一プローブと1種類の第二プローブを含む。一定の態様において、各プローブセットの第一プローブの各々は、一定の遺伝子座の一部に相補的で、中心相補部に異なったヌクレオチドを包含する標的特異的部位、および各遺伝子座に対する2種類の対立遺伝子ヌクレオチドの一方に対応する異なった2種類のアドレス可能部位を含む。一定の態様において、同じ2種類の異なったアドレス可能部位を、96プローブセットの各々の2種類の第一プローブ上で使用することができる。一定の態様において、各プローブセットの第二プローブの各々が、各遺伝子座に対する異なった標的特異的部位を含む。一定の態様において、96プローブセットの各々の2種類の第一プローブは、同一のプライマー特異的部位をさらに含むことも可能である。一定の態様において、96プローブセットの各々の第二プローブは、別のプライマー特異的部位をさらに含むことも可能である。
一定のこのような態様において、ライゲーションの後、96個の異なったウェルで96種類の別々の増幅反応を行うことができる。一定のこのような態様において、96ウェルのすべてにおいて、同一のプライマーセットおよび同一の2種類の標識プローブを用いることができる。一つの標識プローブは、2つのアドレス可能部位の配列の一つに相補的な(または同一の)配列を含むことができ、もう一つの標識プローブが、2つのアドレス可能部位の配列のもう一つに相補的な(または同一の)配列を含むことができる。また、この2種類の異なった標識プローブは、2種類の検出できるように異なったシグナルを提供する。標識プローブからの検出可能なシグナル値の変化を検出することによって、96ウェルのそれぞれにどの対立遺伝子(単/複数)が存在するかを検出することができる。
一定の態様において、288種類のライゲーション用プローブセットによって、288の異なった遺伝子座に2種類の異なった対立遺伝子があるか否かを検出(または定量)したい場合がある。それぞれのウェルが、3種類の異なった遺伝子座に対して3種類の異なったプローブセットを含む96ウェルプレートを用いることができる。各ウェルに対する3種類のプローブセットの各々は、それぞれが、各遺伝子座における対立遺伝子の選択肢のそれぞれに対する異なったアドレス可能部位を含む2種類の第一プローブを含むことができる。例えば、異なった6種類のアドレス可能部位(AP−1、AP−2、AP−3、AP−4、AP−5およびAP−6)をもつ6種類の異なった第一プローブがある図12参照。各ウェルの3種類の異なったプローブセット上で同じ6種類の異なったアドレス可能部位を用いることができる。一定のこのような態様において、異なった96ウェルのそれぞれの中で、2種類のプライマーの同じ一セット、および同じ6種類の標識プローブを用いて、288種類の異なった2対立遺伝子座について結果を得ることができる。
当業者は、さまざまな態様において、第一プローブまたは第二プローブのどちらかの位置に中心相補部をもつライゲーション用プローブを設計できることを理解できる。さらに、一定の態様において、ライゲーション用プローブは、複数の中心相補部を含むことも可能である。
一定の遺伝子座に対する複数の第一プローブであって、異なった中心相補部をもつ標的特異的部位を含む第一プローブを含むライゲーション用プローブセットを用いる一定の態様において、一定の遺伝子座に対する異なった第一プローブ各々の標的特異的部位は、中心相補部にある異なったヌクレオチド以外は、同じ配列をもつことができる。一定の態様において、一定の遺伝子座に対する異なった第一プローブ各々の標的特異的部位は、中心相補部に異なったヌクレオチドを有し、また、中心相補部の5’末端側に異なった長さの配列を有することも可能である。一定のこのような態様においては、中心相補部から5’末端側にある、このような標的特異的部位の配列はすべて、中心ヌクレオチドに隣接する同一遺伝子座の核酸配列の一部に相補的であってもよいが、異なった長さを持つこともできる。例えば、2種類の異なった第一プローブがある、そのような態様では、中心相補部から5’末端側にある標的特異的部位の配列は、それらの一つが、標的特異的部位の5’末端に1個以上の付加的ヌクレオチドをもつ以外は同一である。
一定の遺伝子座に対する複数の第一プローブであって、異なった中心相補部をもつ標的特異的部位を含む第二プローブを含むライゲーション用プローブセットを用いる一定の態様において、一定の遺伝子座に対する異なった第二プローブ各々の標的特異的部位は、中心相補部にある異なったヌクレオチド以外は、同じ配列をもつことができる。一定の態様において、一定の遺伝子座に対する異なった第二一プローブ各々の標的特異的部位は、中心相補部に異なったヌクレオチドを有し、また、中心相補部の3’末端側に異なった長さの配列を有することも可能である。一定のこのような態様においては、中心相補部から3’末端側にある、このような標的特異的部位の配列はすべて、中心ヌクレオチドに隣接する同一遺伝子座の核酸配列の一部に相補的であってもよいが、異なった長さを持つこともできる。例えば、2種類の異なった第二プローブがある、そのような態様では、中心相補部から3’末端側にある標的特異的部位の配列は、それらの一つが、標的特異的部位の5’末端に1個以上の付加的ヌクレオチドをもつ以外は同一である。
一定の態様において、ライゲーション用プローブの標的特異的部位の末端に付加的なヌクレオチドを付加して、融解温度に影響を与えることができる。例えば、一定の態様において、ライゲーション用プローブセットの2種類の第一プローブの中心ヌクレオチドにある異なったヌクレオチドは、標的特異的部位の長さが同じ場合には、それらプローブに対する融解温度を変える結果をもたらす可能性がある。一定のそのような態様において、1個以上の付加的ヌクレオチドを、プローブセットの隣接するライゲーション用プローブと一列に並ぶ末端の反対側の標的特異的部位の末端に付加することによって、このような融解温度の違いを最小にすることができる。
一定の態様において、アドレス可能部位と標的特異的部位との間に1個以上のスペーサーヌクレオチドを含むプローブを使用することができる。一定の態様において、このようなスペーサーヌクレオチドは、ライゲーション用プローブの融解温度に影響を与えるために含まれることがある。例えば、一定の態様において、アドレス可能部位の1個以上のヌクレオチドは、ライゲーション用プローブの標的特異的部位にハイブリダイズする配列の隣接領域ある標的核酸配列に相補的であるかもしれない。例えば、アドレス可能部位(ASP)に隣接する標的特異的部位(TSP)の末端と、標的特異的部位に隣接するアドレス可能部位の末端は、以下のようにして標的核酸にハイブリダイズすることができる。
ASP/TSP(二重下線で示されるハイブリダイズする部位)
ACG/ATC(ライゲーション用プローブ)
TGC/TAG(標的核酸)
一定のこのような態様においては、アドレス可能部位の1個以上のヌクレオチドが、標的にハイブリダイズすると、プローブの融解温度に影響を与える。
一定のこのような態様において、プローブのアドレス可能部位と標的特異的部位との間に1個以上のスペーサーヌクレオチドを導入して、スペーサーヌクレオチドとアドレス可能部位が標的核酸にハイブリダイズしないようにすることができる。例えば、上記の具体例において、以下のようにして、標的特異的部位とアドレス可能部位の間にスペーサー「C」を導入できる。
ASP//TSP(二重下線で示されるハイブリダイズする部位)
ACG/C/ATC(ライゲーション用プローブ)
TGC/TAG(標的核酸)
一定の態様において、1個以上のスペーサーヌクレオチドは、ライゲーション用プローブのさまざまな部位の間に含むことができる。例えば、一定の態様において、プライマー特異的部位とアドレス可能部位との間に1個以上のスペーサーヌクレオチドを含ませることができる。一定の態様において、プライマー特異的部位と標的特異的部位との間に1個以上のスペーサーヌクレオチドを含ませることができる。
一定の態様において、標的核酸配列の同一部位にハイブリダイズさせるための、2種類のライゲーション用プローブの標的特異的部位は、適当なライゲーションを妨げない限り、異なったヌクレオチドを含むことができる。例えば、一定の態様において、標的の同一部位にハイブリダイズするよう設計されているが、それらの3’末端に異なった中心相補部AおよびCを有する標的特異的部位を含む2種類のプローブは、適当なライゲーションを妨げない限り、以下のようにして、標的特異的部位の中に変異を含むことができる(以下の小文字で示すヌクレオチド参照)。
5’CATGCcAATGACGGA−3’
5’CATGCgAATGACGGC−3’
一定の態様において、任意の数の標的配列を検出するために使用されるライゲーション用プローブの数は、検出すべき標的の数に、標的あたりの検出すべき対立遺伝子の数プラス1の積である(すなわち、(標的配列の数)×[対立遺伝子の数+1])。したがって、3つの2対立遺伝子の配列を検出するには、例えば、9種類のプローブが使用される(3×[2+1])。一定の態様において、4つの3対立遺伝子の配列を検出するには、例えば、16種類のプローブが使用される(4×[3+1])などなどである。
一定の態様において、プライマーと標識プローブの数が減少し、それによって費用と操作回数が減少することの意義は、一人の個人の多数の複対立遺伝子座について、または多くの個人について遺伝子スクリーニングを行うとき、すぐに明らかになる。一定の態様において、標的配列のライゲーション産物を増幅するために、2種類のプライマーが使用される。一つのプライマーは、ライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的であり、一つのプライマーは、5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む。一定の従来の方法を用いて、異なったライゲーション産物のそれぞれに対する3種類の異なったプライマーを使用する。したがって、一定の従来の方法を用いて、個人に存在しうる3つの2対立遺伝子座に対するライゲーション産物を増幅するためには、9種類のプライマーを用いることになる(3n、ここでn=3)。
これに対し、本発明の一定の態様は、この数を僅か1種類の増幅プライマーになるまで効果的に減少させることができる。本発明の一定の態様によれば、プローブを、プライマー特異的部位を共有するが、異なったアドレス可能部位を含むように設計できるため、僅か2種類の「汎用」プライマーを用いて、1種類以上のライゲーション産物または増幅産物を増幅できる。100種類の可能な2対立遺伝子を含む試料には、従来の検出法では200種類のプライマーが必要であるが、本発明の一定の態様では、たった1種類の汎用プライマーを用いることができる。
また、標識プローブを用いる一定の従来法を用いるのだとしたならば、異なった遺伝子座のそれぞれにおける異なった対立遺伝子に対して異なった標識プローブが使用されよう。本発明の一定の態様によれば、1つ以上の異なった遺伝子座の配列を検出するために2種類の標識プローブを用いることができる。例えば、一定の従来からの方法では、100個の2対立遺伝子における200種類の可能な配列を検出するためには、200種類の異なった標識プローブが使用される。本発明の一定の態様を用いれば、2種類の標識プローブを用いて100個の2対立遺伝子にある200種類の可能な配列を検出することができる。
また、一定の態様において、一定の配列の有無について、試料を予備スクリーニングすることができる。例えば、一定の態様において、異なった遺伝子座のヌクレオチドを検出するために異なったライゲーション用プローブセットを用いることができるが、各ライゲーション用プローブセットは、同一のアドレス可能部位をもつプローブを含む。検出可能なシグナル値に限界差が検出されなければ、その試料は、問題となっている配列のすべてについて陰性であると結論づける。増幅反応の間またはその後に検出可能なシグナル値に限界差があれば、問題となっている配列の少なくとも一つが存在すると結論づける。一定のこのような態様では、試料をさらにスクリーニングして、どの特異的配列が存在するかを決定することができよう。
E.一定の例示的応用
一定の態様によれば、本発明を用いて、標的核酸配列の中にスプライス変異体が存在するか否かを検出(または定量)することが可能である。例えば、遺伝子、すなわち蛋白質をコードするDNAは、イントロンと呼ばれる非コード領域が散在している中、エクソンと呼ばれる一連のコード領域を含む。スプライシング過程で、イントロンは除去されて、エクソンが並列し、一般的には伝令RNA(mRNA)である最終的なmRNA分子が、連続するコード配列を含む。一つのタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子がある一方で、選択的スプライシングによって、多数のタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子もある。
例えば、遺伝子は、1つ以上のイントロンによって互いに他のエクソンから分離している5つのエクソンを含んでいるかもしれない。図10参照。図10の一番上に示した一次転写産物をコードする仮想の遺伝子は、それぞれが、図10の下に示した3種類の成熟mRNAの一つによってコードされる3種類の異なった蛋白質をコードしている。選択的スプライシングによって、エクソン1は、(a)エクソン2a〜エクソン3、(b)エクソン2b〜エクソン3、または(c)エクソン2c〜エクソン3と並列する可能性がある。これらは、図10に示した3種類のスプライシングの選択肢である。
ラットの筋肉蛋白質であるトロポニンTは、選択的スプライシングの一例にすぎない。トロポニンTをコードする遺伝子は、それぞれが最終産物である蛋白質のドメインをコードしている5個のエクソン(W、X、α、β、およびZ)を含む。この5つのエクソンは、イントロンによって分離されている。2つの異なった蛋白質である、α−型およびβ−型は、トロポニンT遺伝子の選択的スプライシングによって産生される。α−型は、W、X、α、およびZを含むmRNAから翻訳される。β−型は、W、X、β、およびZを含むmRNAから翻訳される。
スプライス変異体の一定の例示的態様は次の通りである。本応用法においては、「第一エクソン」および「第二エクソン」という用語は、その通りの意味で使用されることが明らかでない限り、所定の核酸配列における実際の第一エクソンおよび第二エクソンに限定されるものではない。むしろ、これらの用語は、隣接しているエクソンを区別するために使用される。したがって、配列Aの2つの異なったスプライス変異体である、配列Aのエクソン2および3を含むものと、配列Aのエクソン2および5を含むものを区別したい場合があろう。本明細書に記載する態様において、配列Aのエクソン2が「第一エクソン」であり、また、配列Aのエクソン3および5が2つの「第二エクソン」である。
一定の態様において、試料中に、1種類以上の一定の核酸配列の1種類以上のスプライス変異体であって、第一エクソンと複数の第二エクソンの一つとの間の結合部に相当する配列を含む1種類以上のスプライス変異体が存在するか否かを検出(または定量)するための方法が提供される。一定の態様において、この方法は、試料、および各標的核酸配列に対するライゲーション用プローブセットを含むライゲーション反応用組成物を形成することを含む。一定の態様において、各標的核酸配列に対するライゲーション用プローブセットは、(1)(a)第一エクソンの一部に相当する一定の核酸配列の一部に相補的な標的特異的部位、および(b)5’末端側プライマー特異的部位を含む第一プローブ、および(2)(a)複数の第二エクソンの一つの一部に相当する一定の核酸配列の一部に相補的なスプライス特異的部位、(b)3’末端側プライマー特異的部位、および(c)スプライス特異的部位と3’末端側プライマー特異的部位の間に位置するアドレス可能部位であって、複数の第二エクソンの一つに特異的なアドレス可能部位を含む1種類以上の第二プローブを含む。
試料が、第一エクソンと複数の第二エクソンの一つとの結合部に相当する配列を含む場合、第一プローブと、複数の第二エクソンの一つの一部に相当する一定の核酸配列の一部に相補的なスプライス特異的部位を含む第二プローブは、一定の核酸配列に互いに隣接してハイブリダイズし、一緒にライゲーションするのに適した状態になる。
一定の態様において、ライゲーション反応用組成物に一回以上のライゲーションを行うことによって試験用組成物を形成する。ここで、隣接してハイブリダイズしたプローブを互いにライゲーションして、5’末端側プライマー特異的部位、標的特異的部位、スプライス特異的部位、アドレス可能部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成する。
一定の態様において、(1)試験化合物、(2)ポリメラーゼ、(3)1種類以上の標識プローブであって、(a)複数の第二エクソンの一つに特異的なアドレス可能部位の配列を含むか、または(b)複数の第二エクソンの一つに特異的なアドレス可能部位の配列に相補的な配列を含み、1種類以上の標識プローブが、相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有する標識プローブ、および(4)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、およびライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含むプライマーセットを含む増幅反応用組成物を形成する。
一定の態様において、この増幅反応用組成物に増幅反応を行わせる。一定の態様において、増幅反応の間およびその後に一回以上、1種類以上の標識プローブからの第二の検出可能なシグナル値を検出する。一定の態様において、1種類以上の標識プローブからの第一の検出可能なシグナル値と、1種類以上の標識プローブからの第二の検出可能なシグナル値との間の限界差が、1種類以上の一定の標的核酸配列の1種類以上のスプライス変異体が存在していることを示す。このような態様において、1種類以上の標識プローブからの第一の検出可能なシグナル値と、1種類以上の標識プローブからの第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないことが、1種類以上の一定の標的核酸配列の1種類以上のスプライス変異体が存在しないことを示す。
一定の態様において、一定の核酸配列の1種類以上のスプライス変異体の有無を検出(または定量)したい場合がある。一定のこのような態様においては、それぞれが、異なったスプライス特異的な配列、および、検出または定量すべき異なった第二エクソンごとに異なったアドレス可能部位を含む複数の第二プローブを使用することができる。このような態様において、それぞれが、異なったアドレス可能部位の一つの配列を含むか、または、異なったアドレス可能部位の一つの配列に相補的な配列を含む異なった標識プローブを用いることができる。一定の態様において、異なった標識プローブの各々は、それぞれが、検出可能なように異なったシグナルをもたらす異なったシグナル部分を含むことができる。2つの異なった標識プローブの検出可能なシグナル値が0ならば、その値では異なったシグナルを検出できないであろう。しかし、シグナル値が0よりも大きいときは、異なったシグナル部分を含む2つの異なった標識プローブから、異なったシグナルを検出できるであろう。
一定の態様において、1種類以上の標的核酸配列中の1種類以上のスプライス変異体の量が決定される。
一定の態様において、試料中の1種類以上の一定の核酸配列の1種類以上のスプライス変異体が存在するか否かを検出(または定量)するための方法であって、試料、および一定の各核酸配列に対するライゲーション用プローブセットを含むライゲーション反応用組成物を形成することを含む方法が提供される。一定の態様において、一定の各核酸配列に対するライゲーション用プローブセットは、(1)(a)5’末端側プライマー特異的部位、(b)複数の第二エクソンの一つの一部に相当する一定の核酸配列の一部に相補的なスプライス特異的部位、および(c)スプライス特異的部位と5’末端側プライマー特異的部位との間に位置するアドレス可能部位を含む1種類以上の第一プローブ、ならびに(2)(a)第一エクソンに相当する一定の核酸配列の一部に相補的な標的特異的部位、および(b)5’末端側プライマー特異的部位を含む1種類以上の第二プローブを含む。
標的核酸が、第一エクソンと第二エクソンの結合部に相当する配列を含む場合、プローブセットの第一プローブと第二プローブが、一定の核酸配列に互いに隣接してハイブリダイズし、一緒にライゲーションするのに適した状態になる。
一定の態様において、ライゲーション反応用組成物に一回以上のライゲーションを行うことによって試験用組成物を形成する。ここで、隣接してハイブリダイズしたプローブを互いにライゲーションして、5’末端側プライマー特異的部位、アドレス可能部位、スプライス特異的部位、標的特異的部位、および3’末端側プライマー特異的部位を含むライゲーション産物を形成する。
一定の態様において、(1)試験化合物、(2)ポリメラーゼ、(3)1種類以上の標識プローブであって、(a)複数の第二エクソンの一つに特異的なアドレス可能部位の配列を含むか、または(b)複数の第二エクソンの一つに特異的なアドレス可能部位の配列に相補的な配列を含み、標識プローブが、相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有する標識プローブ、および(4)ライゲーション産物の5’末端側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、およびライゲーション産物の3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含むプライマーセットを含む増幅反応用組成物を形成する。
一定の態様において、この増幅反応用組成物に増幅反応を行わせる。一定の態様において、増幅反応の間およびその後に一回以上、1種類以上の標識プローブからの第二の検出可能なシグナル値を検出する。一定の態様において、1種類以上の標識プローブからの第一の検出可能なシグナル値と、1種類以上の標識プローブからの第二の検出可能なシグナル値との間の限界差が、1種類以上の一定の標的核酸配列の1種類以上のスプライス変異体が存在していることを示す。このような態様において、1種類以上の標識プローブからの第一の検出可能なシグナル値と、1種類以上の標識プローブからの第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないことが、1種類以上の一定の標的核酸配列の1種類以上のスプライス変異体が存在しないことを示す。
一定の態様において、一定の核酸配列の1種類以上のスプライス変異体の有無を検出(または定量)したい場合がある。一定のこのような態様においては、それぞれが、異なったスプライス特異的な配列、および、それぞれが、検出または定量すべき異なった第二エクソンごとに異なったアドレス可能部位を含む複数の第一プローブを使用することができる。このような態様において、それぞれが、異なったアドレス可能部位の一つの配列を含むか、または、異なったアドレス可能部位の一つの配列に相補的な配列を含む異なった標識プローブを用いることができる。一定の態様において、異なった標識プローブの各々は、それぞれが、検出可能なように異なったシグナルをもたらす異なったシグナル部分を含むことができる。2つの異なった標識プローブの検出可能なシグナル値が0ならば、その値では異なったシグナルを検出できないであろう。しかし、シグナル値が0よりも大きいときは、異なったシグナル部分を含む2つの異なった標識プローブから、異なったシグナルを検出できるであろう。
一定の態様において、1種類以上の標的核酸配列中の1種類以上のスプライス変異体の量が決定される。
一定の態様において、1種類以上の標的核酸配列は、RNAから作成された1種類以上の相補的DNA(cDNA)を含む。一定の態様において、1種類以上のcDNAが、1種類以上のRNA(mRNA)から作成される。一定の態様において、1種類以上の標的核酸配列は、試料中に存在する1種類以上のRNA標的配列を含む。
スプライス変異体の有無を検出(または定量)するためのさまざまな態様において、本応用法で開示されているアドレス可能部位を用いるさまざまな態様のいずれかを用いることができる。さまざまな態様において、第一プローブもしくは第二プローブまたは両者は、異なったスプライス変異体の有無を検出(または定量)するためのスプライス特異的部位を含むことができる。また、一定の態様において、スプライス変異体を一つだけ同定および定量したいときには、スプライス特異的部位を含む1種類のプローブ(その一つのスプライス変異体に特異的)だけを使用することができる。
スプライス変異体を同定するための一定の非限定的な態様が図11に描かれている。このような態様によって、異なった2種類のスプライス変異体の有無を検出(または定量)する。一方のスプライス変異体は、エクソン1、エクソン2およびエクソン4を含む。もう一方のスプライス変異体は、エクソン1、エクソン3およびエクソン4を含む。
図示された態様において、5’末端側プライマー特異的部位(PSPa)、およびエクソン1の少なくとも一部に相当する標的特異的部位(TSP)を含む第一プローブ(プローブEX1)を含むプローブセットを使用する。このプライマーセットは、2種類の異なった第二プローブ(プローブEX2およびプローブEX3)をさらに含む。プローブEX2は、3’末端側プライマー特異的部位PSPb、アドレス可能部位ASP1、およびエクソン2の少なくとも一部に相当するスプライス特異的部位(SSP−EX2)を含む。プローブEX3は、3’末端側プライマー特異的部位PSPb、アドレス可能部位ASP2、およびエクソン3の少なくとも一部に相当するスプライス特異的部位(SSP−EX3)を含む。
図11に示された態様において、スプライス変異体が存在する場合には、そのスプライス変異体に対応する第一プローブおよび第二プローブが互いに隣接してハイブリダイズし、ライゲーションしてライゲーション産物を形成する。図11に示された態様において、2種類の標識プローブが使用される。一方の標識プローブ(LBP−1)は、アドレス可能部位(ASP1)の配列、および蛍光体部分(F1)を含む。他方の標識プローブ(LBP−2)は、アドレス可能部位(ASP2)の配列、および蛍光体部分(F2)を含む。図11に示された態様において、ライゲーション産物の相補鎖が、プライマー(Pb)を用いて生成される。
特定のスプライス変異体に対応する特定のライゲーション産物の相補配列が存在する場合には、そのスプライス変異体に対応する標識プローブが、そのスプライス変異体に対するアドレス可能部位の対応する相補配列にハイブリダイズする。ライゲーション産物のこのような相補配列にハイブリダイズした標識プローブは、プライマー(Pa)による伸長反応過程で切断されて、検出可能なシグナル値の限界差をもたらす。
したがって、図11において、標識プローブ(LBP−1)と(LBP−2)はともに、それぞれアドレス可能部位の相補鎖(ASP’)および(ASP2’)にハイブリダイズし、プライマー(Pa)による伸長反応過程で切断される。蛍光体部分F1およびF2は、もう消光されていないため、標識プローブLBP−1およびLBP−2のシグナル値における限界差を検出することができる。このような結果によって、試料が両方のスプライス変異体を含むと結論づけられる。
一定の態様において、ある試料でいくつかの標的核酸配列の発現レベルが知られているとき、その試料の遺伝子発現プロファイルを集めて、別の試料と比較する。例えば、限定するわけではないが、同じ細胞集団から2つの細胞等量液を得て、一方の等量液は、化合物または薬剤の存在下で増殖させ、他方をそれなしで増殖させることができる。薬剤存在下で増殖させた細胞の遺伝子発現プロファイルを、薬剤不在下で増殖させた遺伝子発現プロファイルと比較して、その薬剤の特定の標的遺伝子の発現に与える効果を判定することができる。一定の態様において、ある個人の特定の状態を判定するために、細胞中の特定の蛋白質をコードするmRNAの量を定量することができる。例えば、蛋白質のインシュリンは、とりわけ、血中のグルコース量を調節している。各人において産生されるインシュリン量によって、各個人が健康か否かを判定できる。インシュリン欠乏は、致命的な疾患となる可能性のある糖尿病を引き起こす。糖尿病の人は、一般的に、インシュリンmRNAのレベルが低いため、低量のインシュリンを産生するが、健康な人は、一般的に、高いインシュリンmRNAレベルをもつため、正常レベルのインシュリンを産生する。
異常に遺伝子発現が少ないことによるもう一つの人間の病気はテイ・サックス病である。テイ・サックス病の子供は、スフィンゴ脂質の分解に必要な蛋白質が欠乏または不足している。そのため、このような子供は、スフィンゴ脂質が異常の高レベルで、死に至る可能性がある神経系の障害を引き起こす。
一定の態様において、遺伝子の過剰発現または低発現によって起こる、さらなる遺伝子による病気/疾患を同定および検出するのは有用である。さらに、一定の遺伝子の過剰発現または低発現によるか、またはそれに関連した癌やその他の既知の病気または疾患を検出できる。例えば、前立腺癌の男性は、一般的に異常に高レベルの前立腺特異的抗原(PSA)を産生するが、腫瘍抑制遺伝子由来の蛋白質が、多くのタイプの癌の進行に重要な役割を果たしていると考えられている。
一定の態様において、核酸技術を用いれば、微量の生体試料で、多くの病気、疾患、および素因を同時に検査するのに十分な材料を一般的に提供できる。また、特異的な標的核酸の量を定量することが望ましい状況が他にも数多くある。一定の例では、時に「遺伝子細胞または生体のmRNA、発現プロファイリング」と呼ばれる処理である。一定の症例にいて、例えば、特定の細胞型もしくは組織、または個体の中にある特定の標的核酸の量が分かっている場合には、その細胞、組織、個体について、遺伝子発現プロファイルを集めることから開始できる。個人の遺伝子発現プロファイルを、既知の遺伝子発現プロファイルと比較することによって、一定の症例における病気または疾患の診断が可能になる。一定の症例では、一定の病気の将来の進行に対する素因または感受性があることを、遺伝子発現プロファイルを評価することによって同定することもできる。遺伝子発現プロファイル解析も、なかんずく、一定の場合には遺伝相談および法医学的検査にとって有用である。
F.一定の例示的キット
一定の態様において、本発明は一定の方法の実施を促進するように設計されたキットも提供する。一定の態様において、キットは、該方法を行うときに使用する2以上の構成成分をまとめることによって、対象となる方法の効率を高めるのに役立つ。一定の態様において、キットは、末端の使用者による測定の必要を最小限に抑えるため、事前に測定したユニット量とした構成成分を含むこともできる。一定の態様において、キットは、本発明に係る方法の一つ以上を行うための説明書を含むことができる。一定の態様において、キットの構成成分は、互いにまとめて操作するのに最適化されている。
一定の態様において、試料中の1種類以上の標的核酸配列を検出するためのキットが提供される。一定の態様において、キットは、各標的核酸配列に対するライゲーション用のプローブセットであって、(a)標的特異的部位、および配列を含む5’末端側プライマー特異的部位を含む、1種類以上の第一プローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、および配列を含む3’末端側プライマー特異的部位を含む、1種類以上の第二プローブを含むプローブセットを含む。各セットにおけるプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズするとき、一緒にライゲーションするのに適している。各プローブセットの一つのプローブは、プライマー特異的部位と標的特異的部位の間にあるアドレス可能部位であって、配列を含む部位をさらに含む。一定の態様において、このキットは、アドレス可能部位の配列を含むか、またはアドレス可能部位の配列に相補的な配列をさらに含む。一定の態様において、キットは、アドレス可能部位の配列を含むか、または、アドレス可能部位に相補的な配列を含む標識プローブをさらに含む。
一定の態様において、キットは、相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有する標識プローブを含み、また、増幅反応の間およびその後の少なくとも一方で標識プローブの第二の検出可能なシグナル値が検出されうる。一定の態様において、第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があることが、標的核酸配列が存在することを示し、第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないことが、標的核酸配列が存在しないことを示す。
一定の態様において、試料中の1種類以上の標的核酸配列を検出するためのキットが提供される。一定の態様において、キットは、各標的核酸配列に対するライゲーション用のプローブセットであって、(a)標的特異的部位、配列を含む5’末端側プライマー特異的部位、および、5’末端側プライマー特異的部位と標的特異的部位の間に存在する配列を含む第一のアドレス可能部位を含む、1種類以上の第一プローブ、ならびに、(b)標的特異的部位、配列を含む3’末端側プライマー特異的部位、および、3’末端側プライマー特異的部位と標的特異的部位の間に存在する配列を含む第二のアドレス可能部位を含む、1種類以上の第二プローブを含むプローブセットを含む。
各セットにおけるプローブは、相補的な標的核酸配列上で互いに隣接してハイブリダイズするとき、一緒にライゲーションするのに適している。
一定の態様において、キットは、
第一のアドレス可能部位のアドレス可能配列を含むか、または第一のアドレス可能部位の配列に相補的な配列をさらに含む第一の標識プローブ、および、
第二のアドレス可能部位の配列を含むか、または第二のアドレス可能部位の配列に相補的な配列をさらに含む第二の標識プローブ
をさらに含む。
一定の態様において、キットは、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有し、増幅反応の間およびその後の少なくとも一方で第一の標識プローブの第二の検出可能なシグナル値を検出することができる第一の標識プローブ、および、
相補鎖にハイブリダイズしないときに第一の検出可能なシグナル値を有し、増幅反応の間およびその後の少なくとも一方で第二の標識プローブの第二の検出可能なシグナル値を検出することができる第二の標識プローブを含む。
一定の態様において、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があること、および、第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差があることが、標的核酸配列が存在することを示し、また、第一の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないこと、および第二の標識プローブにつき第一の検出可能なシグナル値と第二の検出可能なシグナル値との間に限界差がないことが、標的核酸配列が存在しないことを示す。
一定の態様において、キットは、さらにプライマーを含む。一定の態様において、キットは、(i)1種類以上の第一のプローブの5’側プライマー特異的部位の配列を含む1種類以上の第一のプライマー、および(ii)1種類以上の第二のプローブの3’末端側プライマー特異的部位の配列に相補的な配列を含む1種類以上の第二のプライマーを含むプライマーセットを含む、1種類以上のプライマーセットをさらに含む。
一定の態様において、キットは、以下のものを包含するが、これらに限定されるものではない1つ以上の付加的構成成分を含む。1種類以上のポリメラーゼ、1種類以上の転写酵素、1種類以上のライゲーション剤、オリゴヌクレオチド三リン酸、ヌクレオチドアナログ、反応バッファー、塩類、イオン、および安定化剤。一定の態様において、キットは、一つ以上の透析用膜、クロマトグラフィー用合成物、支持体、およびオリゴヌクレオチドが包含されるが、これらに限定されるない、ライゲーション産物を精製するための1種類以上の試薬を含む。
以下の実施例は、専ら例示目的のためのものであり、いかなる意味でも、発明の範囲wを制限するものと解してはならない。
実施例1
以下の表1は、以下の実施例1全体にわたって参照される。
A.ライゲーション用プローブ
これらの実施例において、各標的核酸配列に対するライゲーション用プローブは、適当な標的核酸配列上で隣接してハイブリダイズするように設計されていた。これら隣接してハイブリダイズしたプローブは、適当な条件下でライゲーションされてライゲーション産物を形成した。
この例示的態様は、2種類の異なったライゲーション用プローブセットを2つの2対立遺伝子座を検出するために用いられた。ゲノムDNAの3つの異なった試料を試験した。表1は、使用された2つのプローブセットを示す。表1は、これらの実施例に使用された2種類のTaqMan(登録商標)プローブも示している。ライゲーション用プローブは、表1に斜字体で示されている標的特異的部位を含む。表1に太字で示されるように、ライゲーションプローブは、汎用プライマー特異的部位の配列も含んでいた(各プローブセットで最初にリストされたプローブの5’末端に18ヌクレオチド、また、各プローブセットで二番目にリストされたプローブの3’末端に18ヌクレオチド)。表1に下線で示されるように、各ライゲーション用プローブセットにおける最初の2種のプローブも、2種類のTaqMan(登録商標)プローブの異なった配列に相補的な同じ2つの異なったアドレス可能部位を含んでいた。
ライゲーション用プローブは、従来からの自動DNA合成化学法を用いて合成できた。
B.例示的ライゲーション反応(オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ法「OLA」)
表1に示す2種類の異なったライゲーション用プローブのそれぞれをとともに、別々の反応容量でライゲーション反応を行った。ライゲーション反応用組成物を形成する前の構成成分材料の濃度は、表2に示すとおりである。
Taqリガーゼを、1×OLAバッファー2混合液で2.0ユニット/μLになるよう希釈した。Taqリガーゼの量は、以下のOLA試薬を作るのに十分であった。OLA試薬の通常の実験用保存液は下記の表3に具体的に記載されている。構成成分の以下の容量は、一回分10μLのOLA反応容量に基づいている。所望のOLA反応数に応じて、OLA保存試薬の具体的な容量にすることができる。
表1の2つのプライマーセットの一つによる各反応について、表3のの保存OLA反応組成物7μLを、表2のOLAプローブセット濃度を用いて、一定のプローブセット2.0μLと混合し、表2のゲノムDNA濃度を用いて、1.0μLのゲノムDNAと混合した。最終アッセイ成分濃度を下記の表4に示す。
これらの実施例については、表1記載の2種の異なったプローブセットのそれぞれを、3種類のゲノムDNA試料に対する異なる反応に含ませた。したがって、6種類の異なった反応容量があって、それぞれが、異なるプローブセットとゲノムDNA試料の組み合わせになっていた。3つのゲノムDNA試料は、Coriell Cell Respositories(Camden,NJ)から入手し、以下のように名付けた。NA17103、NA171212、およびNA17247。ゲノムDNA試料のそれぞれをライゲーション反応用組成物に混ぜる前に、DNsaeI分解してゲノムDNAを断片化した。
これらのライゲーション反応容量を、ABI 9700サーマルサイクラー(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて、下記表5に示す反応条件に置いた。反応容量は、サーマルサイクラーに移すまで氷上放置した。サーマルサイクラーが、最初の保持温度である90℃に達したところで、OLA反応チューブを氷上からサーマルサイクラーに移した。
C.例示的増幅反応
表1のフォワードプライマーおよびリバースプライマーと、VICとFAMで標識した2種類のTaqMan(登録商標)プローブとを、以下の最終濃度になるように組み合わせて、10×プライマー/標識プローブ組成物を形成させた。
フォワードプライマー 9μM
リバースプライマー 9μM
TaqMan(登録商標)[VIC] 2μM
TaqMan(登録商標)[FAM] 2μM
PCR反応容量はそれぞれ以下の成分を含んでいた。
12.5μL −− 2×TaqMan(登録商標)ユニバーサルPCRミックス(Applied Biosystems,Foster City,CA)。このPCRミックスは、PCRバッファー、dNTPs、MgCl
2、ウラシル−N−グルコシダーゼ、およびAmpliTaq登録商標Gold DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems,Foster City,CA)を含んでいた。
2.5μL −− 上記10×プライマー/標識プローブ組成物
8μL −− 水、および
2μL −− 上記実施例1Bからのライゲーション反応後のOLA反応容量
したがって、各PCR反応に対するPCR反応溶液の総量は25μLであった。各PCR反応容量を、ABI 7700サーマルサイクラー(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて、下記表6に示す反応条件に置いた。
アッセイ1において、FAM標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNAのNA17103が、中心相補部にヌクレオチドとして「C」を有する第一プローブRNA(1)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17103は、アッセイ1において、中心ヌクレオチドに「G」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ1において、VIC標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17212が、中心相補部にヌクレオチドとして「T」を有する第一プローブCYC(1)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17212
は、アッセイ1において、中心ヌクレオチドに「A」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ1において、FAMおよびVICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17247が、第一プローブCYC(1)および第一プローブRNA(1)に対応する対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17212
は、アッセイ1において、中心ヌクレオチドに「G」および「A」を用いて解析された遺伝子座においてヘテロ接合であると正しく判定された。
アッセイ2において、FAM標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNAのNA17103が、中心相補部にヌクレオチドとして「A」を有する第一プローブRNA(2)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17103は、アッセイ2において、中心ヌクレオチドに「T」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ2において、FAMおよびVICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNAのNA17212が、第一プローブCYC(2)および第一プローブRNA(2)の双方に対応する対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17212は、アッセイ2において、中心ヌクレオチドに「T」および「C」を用いて解析された遺伝子座においてヘテロ接合であると正しく判定された。
アッセイ2において、VICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNAのNA17247が、中心相補部にヌクレオチドとして「G」を有する第一プローブCYC(2)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17247は、アッセイ2において、中心ヌクレオチドに「C」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ1および2と同じ材料濃度および同じ温度周期条件を用いたが、異なった遺伝子座における2つの対立遺伝子の有無を検出するために異なったプローブセットを用いた別のアッセイも行った。それらのアッセイには、偽陽性シグナルが生じたものもあった。これらのプローブセットの第二プローブに欠陥があって、適正なライゲーションを阻害したと結論づけられた。
実施例2
以下の表7は、以下の実施例2全体にわたって参照される。
A.ライゲーション用プローブ
これらの実施例において、各標的核酸配列に対するライゲーション用プローブセットは、適当な標的核酸配列に隣接してハイブリダイズするよう設計された第一および第二のライゲーション用プローブを含む。これら隣接してハイブリダイズしたプローブは、適当な条件下でライゲーションしてライゲーション産物を形成する。
この例示的態様は、3種類の異なったライゲーション用プローブセットを3つの2対立遺伝子座を検出するために用いた。ゲノムDNAの3つの異なった試料を試験した。表7は、使用された3つのプローブセットを示す。表7は、これらの実施例に使用された2種類のTaqMan(登録商標)プローブも示している。ライゲーション用プローブは、表7に斜字体で示されている標的特異的部位を含む。表7に太字で示されるように、ライゲーションプローブは、汎用プライマー特異的部位の配列も含んでいた(各プローブセットで最初にリストされたプローブの5’末端に18ヌクレオチド、また、各プローブセットで二番目にリストされたプローブの3’末端に18ヌクレオチド)。表7に下線で示されているように、各ライゲーション用プローブセットにおける最初の2種のプローブも、2種類のTaqMan(登録商標)プローブの異なった配列と同じ配列をもつ同じ2つの異なったアドレス可能部位を含んでいた。
ライゲーション用プローブは、従来からの自動DNA合成化学法を用いて合成した。
B.例示的ライゲーション反応(オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ法「OLA」)
表7に示した3種類の異なったライゲーション用プローブセットのそれぞれを、別々の反応容量にして用いた。各反応容量において、ライゲーション反応と増幅反応が行われた。本実施例については、表7に示した3種類の異なったライゲーション用プローブセットのそれぞれを、3つの異なるゲノムDNA試料に対して異なった反応に含ませた。したがって、それぞれが異なったプローブセットと異なったDNA試料をもつ、9種類の異なった反応容量ができた。また、このような反応の一組のセットには、ジチオスレイトール(DDT)を入れたが、もう一方の組のセットにはDDTを入れなかった。したがって、18種類の異なった反応容量ができた。反応は反復した。
3つのゲノム試料は、Coriell Cell Respositories(Camden,NJ)から入手し、以下のように名付けた。NA17103、NA171212、およびNA17247。ゲノムDNA試料のそれぞれをライゲーション反応用組成物に混ぜる前に、以下のようにしてゲノムDNAを断片化した。ゲノムDNAを、1×TE(10 mM Tris,pH 8,1 mM EDTAナトリウム、Sigma Pt No.T−9285)溶液に希釈して、約300 ng/μlの濃度まで希釈した。希釈されたDNA溶液を、チューブあたり150μlになるようPCR用チューブに分注した。
次に、希釈ゲノムDNA溶液のチューブを4℃で1分間、99℃で15分間、そして、断片化したDNAが必要となるときまで期限を定めず4℃に置いた。複数のチューブに分割して入れたゲノムDNAの試料を、また一つのしてプールした。
各反応のための成分材料の保存濃度および最終濃度を表8に示す。反応容量は25μlであった。
表8
プライマー/標識プローブ組成物およびgDNA以外の成分はすべて、マスター混合液に含ませ、プライマー/標識プローブ組成物およびgDNAは後で加えた。
VICプローブはサイクロフィリンTaqMan(登録商標)プローブである。
FAMプローブはRNASE PTaqMan(登録商標)プローブである。
NADは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドである。
本願は、先願である2002年9月19日出願の米国仮出願第60/412,189号の米国特許法119条e項による利益を主張するものであり、参照として本明細書に組み込む。TaqManユニバーサルミックスは、2×TaqMan(登録商標)ユニバーサルPCRミックス(Applied Biosystems,Foster City,CA)である。このPCRミックスは、PCRバッファー、dNTPs、MgCl
2、ウラシル−N−グルコシダーゼ、およびAmpliTaq登録商標Gold DNAポリメラーゼ(Applied Biosystems,Foster City,CA)を含んでいた。
各反応容量は、下記の表9に示す温度周期条件にしたがって行われた。
アッセイ3において、VICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17103が、中心相補部にヌクレオチドとして「A」を有する第一プローブCYC(3)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17103は、アッセイ3において、中心ヌクレオチドに「G」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ3において、FAMおよびVICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17212が、第一プローブCYC(3)および第一プローブRNA(3)に対応する対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17212は、アッセイ3において、中心ヌクレオチドに「T」および「C」を用いて解析された遺伝子座においてヘテロ接合であると正しく判定された。
アッセイ3において、FAMで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17247が、中心相補部にヌクレオチドとして「G」を有する第一プローブRNA(3)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17247は、アッセイ2において、中心ヌクレオチドに「C」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ4において、VICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17103が、中心相補部にヌクレオチドとして「T」を有する第一プローブCYC(4)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17103は、アッセイ4において、中心ヌクレオチドに「A」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ4において、FAMで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17212が、中心相補部にヌクレオチドとして「C」を有する第一プローブRNA(4)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17212は、アッセイ4において、中心ヌクレオチドに「G」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ4において、FAMおよびVICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17247が、第一プローブCYC(4)および第一プローブRNA(4)に対応する対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17247は、アッセイ4において、中心ヌクレオチドに「A」および「G」を用いて解析された遺伝子座においてヘテロ接合であると正しく判定された。
アッセイ5において、FAMで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17103が、中心相補部にヌクレオチドとして「A」を有する第一プローブRNA(5)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17103は、アッセイ5において、中心ヌクレオチドに「T」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
アッセイ5において、FAMおよびVICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17212が、第一プローブCYC(5)および第一プローブRNA(5)に対応する対立遺伝子についてヘテロ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17212は、アッセイ2において、中心ヌクレオチドに「C」および「T」を用いて解析された遺伝子座においてヘテロ接合であると正しく判定された。
アッセイ5において、VICで標識したTaqManプローブからのシグナルは、ゲノムDNA NA17247が、中心相補部にヌクレオチドとして「G」を有する第一プローブCYC(5)に対応する対立遺伝子についてホモ接合であることを示した。したがって、ゲノムDNA NA17247は、アッセイ5において、中心ヌクレオチドに「C」を用いて解析された遺伝子座においてホモ接合であると正しく判定された。
大部分について、これら3つのアッセイ法は、3種類のプローブセットによって解析された3つのゲノムDNA試料の3つの異なった遺伝子座において適当な対立遺伝子の有無を正確に同定した。反復結果についてのデータは、必ずしも、一定の態様に従って望まれるほど厳密ではなかった。
アッセイ3から5と同じ材料濃度および温度周期条件を用いたが、異なった遺伝子座における2つの対立遺伝子の有無を検出するために異なったプローブセットを用いた別のアッセイも行った。それらのアッセイには、対照に問題があるものもあり、また、少なくとも一つのアッセイは、手動で行ったピペッティングを間違えた可能性がもっとも高いと思われる間違いが含まれていた。
本発明を、一定の応用、方法、および組成物に関して説明したが、さまざまな変更および修正も本発明の範囲内に含まれることは当然である。