本発明の実施の形態について説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態では、本発明の送信端末装置および受信端末装置として携帯電話、サーバ装置として、PoCサーバを例に説明する。
〔PoC通信システムの概要〕
図2は、本実施の形態に係るPoC通信システムの概略構成を示す図である。ここでは、携帯電話サービスの通信事業者が提供する携帯電話網に、本発明に係るPoC通信システムを適用した例について説明する。
図2に示す通り、PoC通信システム(通信システム)100(200、300)は、PoC通信による情報の送信を行う携帯電話40(送信端末装置)(50)(例えば、携帯電話A)と、その送信された情報の受信を行う携帯電話(受信端末装置)60(70、80)(例えば、携帯電話Bや携帯電話C)と、上記各携帯電話のPoC通信を制御するPoCサーバ(サーバ装置)10(20、30)とから構成されている。さらに、PoC通信システム100(200、300)は、上記各携帯電話のプレゼンスを管理するプレゼンスサーバ101を含んでいてもよい。
プレゼンスサーバ101は、PoCサーバ10が集中管理している、すべての携帯電話(携帯電話AからCを含む)についてのプレゼンスを一元管理するためのものである。プレゼンスとは、携帯電話の利用状況や状態などの情報を指す。具体的には例えば、「オンライン」「オフライン」「(会議)オブザーバとして参加」、「(会議)参加中」などといった、アプリケーション上の利用状況、および、「電源ON/OFF」、「話し中」、「スピーカフォン−アクティブ(動作中)」などといった、携帯電話の状態のことを言う。プレゼンスサーバ101が管理するプレゼンス情報の詳細については後述する。
なお、図2に示す通り、各携帯電話A〜Cに適用する本発明に係る携帯電話40(50、60、70、80)と、PoCサーバ10(20、30)との組み合わせによって、種々のPoC通信システム100(200、300)を実現することが可能である。各構成要素の組み合わせおよび各PoC通信システムの詳細については、各実施の形態で後述する。ここでは、PoC通信システム100の各携帯電話A〜C、およびPoCサーバ10を用いてPoC通信システムの各構成要素についての概要を説明する。
PoCサーバ10は、PoC通信システム100において、各携帯電話A〜Cが、PoC通信によって、1対1あるいは1対多のセッションを確立し、通話を行う際に、種々の機能を提供するためのものである。
PoCサーバ10が有する機能は、各携帯電話のセッションを集中制御するPoC制御機能と、集中制御するPoCサーバとセッション参加者となる携帯電話との中継を行うPoC参加機能とに分類することができるが、PoCサーバ10の主な機能は以下の通りである。
例えば、PoC通信のセッションを確立する機能、話し手を識別するなどの発言を統制する機能、SIP(Session Initiation Protocol)セッションの開始(終了)を制御する機能、セッション参加者の情報を提供する機能などが挙げられる。
これにより、1対1のPoCによる通話、あるいは上述のようなグループセッションが実現できる。
各携帯電話A〜Cは、Push-to-Talk(PTT)による通話を実現するための通信端末装置である。ユーザはこの携帯電話を、発話する時にのみボタンを押し、押している間のみ音声を発信する、つまり、トランシーバを用いる時のように操作して通話を行う。各携帯電話A〜Cは、通信事業者が提供する携帯電話網、つまり、基地局103およびそれらを統括制御する基地局制御装置102を介して、PoCサーバ10およびプレゼンスサーバ101と通信することができる。これにより、各携帯電話A〜Cのユーザは、それぞれの携帯電話を用いて互いにPoCによる通信を実現することが可能となる。
図3は、本発明のPoC通信システム100における、各携帯電話A〜C(以下、単に携帯電話と称す)の概略構成を示す図である。
本実施の形態に係る携帯電話は、図3に示すように、無線通信部2、無線通信アンテナ90、操作部3、音声入力部(音声入力手段)4、表示部(表示手段)5、受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7、スピーカフォン音声出力部8、録音部9、カメラ部91、LED(Light Emitting Diode)92、メモリ93、および上記の各部を統括制御する主制御部1を備えた構成となっている。
さらに、携帯電話には、PoC通信を実現するための各種機能実行部が主制御部1の内部に設けられている。これらの各種機能実行部の詳細についてはそれぞれ後述する。
無線通信部2は、外部のPoCサーバや携帯電話と無線通信を行うための構成要素である。また、無線通信アンテナ90は、携帯電話網における基地局103との無線通信を行うための構成要素、すなわち、PoC通信機能や、各種機能、例えば、電話、電子メール、インターネット等の通信機能を実現するためのものである。
操作部3は、携帯電話を操作するためのボタンである。このボタンを押下することにより発生した信号は、主制御部1に送られる。
音声入力部4は、マイクであり、電話機能を実行した場合の送話時に、あるいはPoC通信機能を実行した場合の送信データの入力時に使用される。携帯電話の外部で発生した音声は、この音声入力部4を介して、音声データとして携帯電話に取り込まれる。また、PoC通信によって、他の携帯電話に音声を送信する場合は、この音声入力部4を介して入力されたユーザの音声が送信情報としてPoCサーバ10に送られる。
表示部5は、例えば液晶表示装置(LCD)からなり、携帯電話に備わった各種アプリケーション機能の実行画面を表示する。例えば、PoC通信機能を実行中であれば、現在その携帯電話が参加しているセッションのグループ名、セッションの参加者名、各参加者のプレゼンス(つまり、「オンライン」、「オフライン」、「視聴のみ」、「発言中」などといった、携帯電話のステータス)などを表示させる。
受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7およびスピーカフォン音声出力部8は、電話機能を実行した場合、および、PoC通信機能を実行した場合の、受話時のスピーカとして使用される。
受話器音声出力部6は、通常の電話の受話器と同じようにして、携帯電話を耳に当てて用いる時に、音声が出力されるスピーカである。
イヤフォン音声出力部7は、イヤフォンを接続するための音声出力端子を有しており、該端子にイヤフォンが接続されると、イヤフォンに対して音声を出力する。これにより、ユーザは、耳に装着したイヤフォンの小型のスピーカから音声が出力されるので、携帯電話を耳に当てながら保持しなくても、外部に音を漏らすことなく携帯電話の出力音声を聞くことができる。
スピーカフォン音声出力部8は、携帯電話の外部に音声出力するためのスピーカフォンとして用いる時に音声が出力されるスピーカである。このスピーカから出力される音声は、外部にも十分聞こえる音量で出力される。従って、例えば、表示部5に表示される画像を見ながら通話を行いたい時や、1つの携帯電話で複数のユーザが受信した音声を聞きたい時に、携帯電話を耳から離した位置に設置しても、ユーザは、十分な音量で出力音声を聞くことができる。
本実施の形態では、受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7およびスピーカフォン音声出力部8が音声出力部(メッセージ提示手段)94を構成している。本実施の形態では、音声出力部94において、上記3つの音声出力部のいずれか1つのみが音声を出力できる(アクティブになる)ようになっており、携帯電話から出力された音声は、アクティブになっている音声出力部からのみユーザに提供される。
なお、上記音声出力部94は、受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7、およびスピーカフォン音声出力部8のすべてを備えていなくとも、上記3つの音声出力部のいずれによって構成されていてもよい。また、上記3つの音声出力部に限らず、音声データを音声としてユーザに提供できるものであれば何でもよい。
あるいは、受話器音声出力部6は常にアクティブとし、イヤフォン音声出力部7とスピーカフォン音声出力部8は常にいずれか1つのみがアクティブとなるような構成でもよい。なお、音声出力部94のアクティブ/非アクティブは、主制御部1により制御される。
また、本実施の形態では、受話器音声出力部6とスピーカフォン音声出力部8とは別々に設けられているが、一体となっている構成もあってよい。この場合、受話器音声出力部6の出力音量レベルを携帯電話の外部に聞こえるまでに上げれば、スピーカフォンとして機能する。
録音部9は、無線通信部2または音声入力部4を介して外部より携帯電話に入力された音声を、音声データとして記憶するためのものである。これにより、例えば、入力された音声がその発生時にリアルタイムで音声出力部94より音声出力されない場合でも、録音部9によって記録した音声データを再生することにより、ユーザは後で聞くことが可能となる。
カメラ部91は、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子からなる撮像手段であり、主制御部1からの指示に基づいて被写体を撮像するようになっている。
LED92は、携帯電話のユーザに対して、着信を報知するために、視覚的に報知するための手段として使用される。例えば、着信の場合には、LED92を点滅させるようにしてもよい。
メモリ93は、アプリケーション機能を実行するために必要なプログラムやデータ等を格納するメモリである。従って、グループセッションの行うため登録したグループの情報や、上記録音部9により録音された音声データなどもここに格納されている。その他、携帯電話にて電子メールを送受信するためのアプリケーションプログラムなどもここに格納されている。これらのプログラムやデータは、主制御部1によって必要に応じて読み出されるようになっている。
なお、携帯電話は、上述の各部、各機能に限定されず、他にも様々な機能を有していてもよい。例えば、現在位置検知するためのGPS(Global Positioning System)、TV放送受像機能を実現するためのTVアンテナおよびチューナなどの各部を有した構成でもよい。
上述したようなPoC通信による電話会議において、秘話性の高い会話の音声(内証話)が発話者の携帯電話より発信された場合に、会議参加者のスピーカフォン機能により外部にその音声が漏れることを回避するための構成が、PoCサーバ10(20、30)および携帯電話40(50、60、70、80)の主制御部1内部に設けられている。
以下、各実施形態にて、PoCサーバ10(20、30)および携帯電話40(50、60、70、80)の詳細およびこれらにより構成されるPoC通信システム100(200、300)についてにそれぞれ説明する。
なお、以下では、図2の携帯電話Aを、送信情報を送信する送信端末装置(送信側)の例として、携帯電話B(または、携帯電話C)を、その送信情報を受信する受信端末装置(受信側)の例として説明する。
本発明に係るPoC通信システムは、PoCサーバが内証話の制御を行う場合(第1システム=PoC通信システム100、200)と、受信端末装置が内証話の制御を行う場合(第2システム=PoC通信システム300)とに大きく分類できる。
そこで、始めに両システムに共通の携帯電話Aの機能を説明し、次に、第1・第2システムおける残りの構成要素(PoCサーバ、携帯電話B)についてそれぞれ説明する。
〔携帯電話A−送信側〕
図4は、図2に示すPoC通信システムにおける、送信側の携帯電話A(携帯電話40)の要部構成を示すブロック図である。携帯電話40は、図4に示すように、主制御部1、操作部3、音声入力部4、および無線通信部2を備え、また、主制御部1は内部に、操作部3を介して入力された指示信号の内容を判定するための指示信号判定部(指示信号判定手段)41、音声入力部4を介して入力された音声から送信情報を作成するための送信情報作成部42、および上記送信情報に、該送信情報が秘話性の高い内証話メッセージを含む内証話情報であることを示すためのフラグを挿入する、内証話フラグ挿入部(識別情報挿入手段)43を有している。
なお、図4の残りの各構成要素に付された番号は、図3の各構成要素に付された番号に対応しており、同じ符号は、同じ構成要素を示している。以下、各構成要素についてさらに詳しく説明する。
操作部3は、ユーザが携帯電話40を操作するためのボタンである。各ボタンがユーザによって押下されることにより、そのボタンに対応した指示信号が主制御部1に入力される。操作部3は、ユーザが携帯電話40に対して、PoC通信によるセッションの開始を指示するためのPTT操作ボタン44と、内証話を送信することを指示するための内証話指示ボタン(内証話指示入力手段)45とを含む。各ボタンの設置の例を図5に示す。図5(a)(b)は、携帯電話40の正面図である。
図5(a)は、PTT操作ボタン44を携帯電話40の側面に設け、内証話指示ボタン45を、携帯電話40を通常操作する時のボタン(例えば、十字キーや数字キーなど)に割り当てた例を示す。この場合、ユーザは、まず、内証話指示ボタン45を押下しつつ、PTT操作ボタン44を押下して、PoC通信による発話の権利を取得する。この操作により、ユーザは、携帯電話40に対して、内証話情報送信を指示することができる。
図5(b)は、PTT操作ボタン44、内証話指示ボタン45を共に携帯電話40の側面に設けた例を示す。この場合、ユーザは、通常の会話を送信したい時と、秘話性の高い内証話を送信したい時とで、PoC通信の開始指示ボタンを使い分けることになる。すなわち、通常の会話を送信したい場合は、PTT操作ボタン44を押下することで発話の権利を取得し、内証話を送信したい場合は、内証話指示ボタン45を押下することで発話の権利を取得する。この操作により、ユーザは、携帯電話40に対して、通常の送信メッセージと内証話メッセージとの送信を区別して指示することができる。
指示信号判定部41は、操作部3を介して入力された指示信号の内容を判定するためのものである。より具体的には、PoC通信による送信情報作成の指示を操作部3から受け付けた場合に、送信情報作成の指示信号を送信情報作成部42に供給するとともに、その作成すべき送信情報を内証話メッセージを含む内証話情報とするか否かを判定し、判定結果を内証話フラグ挿入部43に供給する。
この判定は、操作部3の内証話指示ボタン45が押下されたか否かで生じる指示信号の違いによって行われる。内証話指示ボタン45が押下された場合は、作成すべき送信情報は、内証話情報として送信すると判定し、その判定結果を内証話フラグ挿入部43に供給する。
送信情報作成部42は、音声入力部4を介して入力された音声から、送信情報を生成するためのものである。具体的には、本実施の形態では、送信情報作成部42は、入力された音声を音声データファイルに変換する。次に、それを複数のパケットに分割して、パケットごとにヘッダを付けて送信情報とし、内証話フラグ挿入部43へ出力する。
内証話フラグ挿入部43は、その送信情報のヘッダに、該送信情報が内証話情報であることを示す、内証話フラグ(識別情報)を挿入するためのものである。この挿入は、指示信号判定部41によって、上記送信情報は内証話情報として送信すると判定された場合に実施される。内証話フラグが挿入された時の送信情報の例を図6に示す。
図6は、内証話フラグ挿入部43によって内証話フラグが挿入された時の送信情報を模式的に示す図である。図6に示す通り、送信情報46のヘッダ47には、宛先情報とともに、送信メッセージ48に格納されているメッセージが内証話メッセージであることを示す、内証話フラグFが挿入されている。これにより、外部の受信装置は、送信情報46を受信した時に、ヘッダ47を解析することにより、受信した送信情報46に含まれる送信メッセージ48が、通常の送信メッセージか、内証話メッセージかを識別することができる。
一方、指示信号判定部41による判定結果が「通常の送信情報として送信する」として、内証話フラグ挿入部43に入力された場合は、送信情報作成部42により供給された送信情報46は、そのまま何も処理が施されずに無線通信部2へと出力される。
上記構成によれば、PoC通信によって送信する音声が、外部に音が漏れてはいけない秘話性の高い内証話である場合は、ユーザの指示によって、そのことを示す内証話フラグをヘッダに挿入してから、送信情報46が送信される。
結果として、宛先となる受信装置は、上記携帯電話40より受信した送信情報のヘッダを解析することにより、それが内証話情報であるか否かを識別することができる。
なお、ユーザが内証話情報送信の指示を入力するための方法としては、上述した例以外にも様々な方法が考えられる。
例えば、通常携帯電話を操作する際に呼び出すメニュー画面から、十字キーと決定ボタンによって、PoC通信のアプリケーションを呼び出す、あるいは、内証話情報送信のメニューを選択するなどして、指示入力を実現することも可能である。このようにすれば、PoC通信専用のボタンを別途設置する必要が無くなる。
また、別の例では、例えば、PTT操作ボタン44を押しながら、小声で話すと自動で内証話メッセージであると判定して、内証話フラグが挿入された内証話情報を送信するようにしてもよい。入力された音量により、内証話情報を送信するか否かの判定を行う携帯電話の例を図7に示す。
図7は、入力された音量により、内証話情報を送信するか否かの判定を行う携帯電話50の要部構成を示すブロック図である。携帯電話50において、図4の携帯電話40と異なる点は、内証話指示ボタン45が無い代わりに、携帯電話50に入力された音声の音量を計測する入力音量計測部(音量計測手段)52が主制御部1内部に設けられている点である。
図8に、入力音量計測部52のより詳細な構成を示す。図8に示す通り、入力音量計測部52は、音声入力部4を介して入力された音声の音量を計測して数値に換算する音量計測部53、入力された音声の計測時間を計時する計時部54、および、計時部54の計時結果に基づき、指示信号判定部(指示信号判定手段)51に対する指示信号を生成する指示信号生成部56を含む。また、入力音量計測部52は、入力された音声が内証話メッセージか否かを判定する時に用いる、2つの閾値、内証話閾値(sA)および音声閾値(sB)をそれぞれ格納する、内証話閾値格納部55Aおよび音声閾値格納部55Bを有している。
以下、図9のグラフを参照しながら、音声入力部4から音声が入力されてから指示信号判定部51に指示信号が供給されるまでの処理の流れについて具体的に説明する。
図9は、ある入力された音声が、音量計測部53によって計測された時の音量について、音量(dB)を縦軸に、計測時間(秒)を横軸にとって、音量の変化を示したグラフである。
グラフにおいて2本のラインで示される、内証話閾値sA、音声閾値sBは、内証話閾値格納部55Aに格納されている内証話閾値の数値(dB)、音声閾値格納部55Bに格納されている音声閾値の数値(dB)を表している。
上記内証話閾値sAとは、この閾値を越えると、内証話としては音量が大き過ぎると判断するために用いる閾値である。本実施の形態では、例えば、内証話閾値sAを20dBとする。上記音声閾値sBとは、この閾値を越えると、会話を行うための音声が発生していると判断するために用いる値である。本実施の形態では、音声閾値sBを10dBとする。以下、図9のグラフを参照しながら、図8に示す入力音量計測部52の処理の流れを説明する。
初めに、図9のグラフにおける期間Pの音量を計測する場合の入力音量計測部52の動作を説明する。まず、PTT操作ボタン44がユーザにより押下されると、音声は、音声入力部4を介して入力音量計測部52の音量計測部53に供給される。これにより、音量計測部53は、入力された音声の計測を開始する。ここで、計測中の音声の音量が、図9に示す点hにさしかかった時、音量計測部53は、音声閾値格納部55Bに格納されている音声閾値sB(10dB)を参照して、計測した音量が音声閾値sBに達したことにより、会話の音声の発生を検知する。この時で、音量計測部53は、音量計測時間を計るよう計時部54に信号を送る。
計時部54は、音量計測部53の信号の入力に応じ、点hの時点からの音量計測時間を計る。計時部54もまた、内部に時間閾値(例えば、5秒)を有し、音量計測時間が該時間閾値に達するまで(すなわち、点hの時点から5秒経つまで)音量計測時間を計る。一方、5秒経つまでに、入力音声の音量が内証話閾値sA(20dB)を越えたことを音量計測部53が検知した場合は、音量計測部53は、計時部54に対して、計時を中断し、計った音量計測時間をリセットするよう信号を送る。
ここで、図9の期間Pにおいて、5秒経つまでに、つまり、点hから点kまでの間に、音声閾値sAを越える音量が計測されなかったことが分かる。従って、計時部54は、会話の音声が発生してから、5秒以上の間にわたって20dB未満で発話がなされたことを判定し、その結果を指示信号生成部56に供給する。指示信号生成部56は、受信した信号に基づき、期間P内で計測された音声について、内証話情報として送信情報を送信するよう指示信号判定部51に指示するための指示信号を生成する。生成した信号は、指示信号判定部51へと供給される。
これにより、音量の小さい音声を一定の時間以上入力すれば、自動で内証話メッセージと判定するようにできる。
次に、図9のグラフにおける期間Qの音量を計測する場合の入力音量計測部52の動作を説明する。上述のように計時部54の音量計測時間が5秒に達すると(点k)、計時部54は、音量計測時間をリセットし、次に音量計測部53から計時開始の信号が来るまで待機する。
音量計測部53が計時開始の信号を送るのは、期間Pの場合と同様、計測した音量が音声閾値sBに達した時である(点m)。点mの時点にて、音量計測部53から計時開始の信号を供給されることにより、計時部54は音量計測時間の計測を開始する。
ここでは、期間Pの時とは異なり、5秒経つまでに、つまり、点nの時点で、入力音声の音量が内証話閾値sA(20dB)に達したことが分かる。従って、内証話閾値格納部55Aに格納されている内証話閾値sAを参照した音量計測部53は、点nで計測した音量が20dBを越えたことによって、計時部54に計時中断と計測時間のリセットを指示する。
計時部54は、上記指示により、計時中断と計測時間のリセットを実施するとともに、計時を開始した点mの時点から5秒が経過するまでの間に20dB以上で発話がなされたことを判定し、その結果を指示信号生成部56に供給する。指示信号生成部56は、受信した信号に基づき、期間Q内で計測された音声について、通常の送信メッセージとして送信情報に含めて送信するよう指示信号判定部51に指示するための指示信号を生成する。生成した信号は、指示信号判定部51へと供給される。
これにより、一定の時間以内に、所定の音量を越えた場合は、自動で通常の送信メッセージと判定するようにできる。
あるいは、入力音量計測部52が保持する内証話閾値sAや音声閾値sBを自由に設定できる構成としてもよい。例えば、携帯電話50のユーザにおける、通常の会話時の平均音量を測定し、その値に基づき内証話閾値sAや音声閾値sBを設定してもよい。このようにすれば、もともと会話時の声の音量が小さいユーザに対しても、その音量から適切に、内証話か否かを判定するようにできる。
以上これまで述べてきた携帯電話40および携帯電話50の構成によれば、PoC通信によって送信する音声が、外部に音が漏れてはいけない秘話性の高い内証話である場合は、ユーザの指示、あるいは、ユーザにより入力される音声の音量によって、そのことを示す内証話フラグを、送信情報46のヘッダ47に挿入してから、送信情報46を送信する。
結果として、宛先となる受信装置は、上記携帯電話40および携帯電話50より受信した送信情報46のヘッダ47を解析することにより、それが内証話情報であるか否かを識別することができる。以下、実施の形態ごとに、上記携帯電話40および携帯電話50により生成された送信情報46を受信する各受信装置(PoCサーバ、携帯電話B(またはC))について、詳細に説明する。
〔第1のシステム−PoC通信システム100、200〕
上述の送信情報46を携帯電話40(50)から受信し、それが内証話メッセージを含む内証話情報であるか否かを、PoCサーバが判断する場合のPoC通信システム100、200について、以下に説明する。
PoC通信システム100は、図2の携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aと、携帯電話Aからの送信情報を受信し、宛先となる携帯電話(例えば携帯電話B(C))に該送信情報を配信するなどの制御を行うPoCサーバ10(20、30)とを含んでいる。なお、本実施の形態では、携帯電話B(C)を、その送信情報を受信する受信端末装置の例として説明するが、これらの携帯電話は、従来のPoC通信による送信情報を受信可能な携帯電話であれば何でもよい。
また、各携帯電話のプレゼンスを一元管理するためのプレゼンスサーバ101を含んでいてもよい。この場合、PoCサーバ10は、自身が集中管理・制御を行っている携帯電話のプレゼンス情報を、プレゼンスサーバ101に要求することになる。
以下、受信した送信情報が内証話情報か否かを判断する、本発明に係るPoCサーバ10について詳細に説明する。
〔実施の形態1〕
〔PoCサーバ10〕
図1は、図2に示すPoC通信システム100における、PoCサーバ10の要部構成を示すブロック図である。PoCサーバ10は、図1に示すように、主制御部11、通信部12、プレゼンス情報記憶部13、録音部181、およびメモリ182を備え、また、主制御部11は内部に、送信情報のヘッダを解析する内証話識別部(内証話識別手段)16、宛先となる携帯電話Bのプレゼンスを検知するプレゼンス検知部(端末情報検知手段)17、録音部181およびメモリ182を制御する録音制御部18、および、送信情報の配信結果などを各携帯電話に通知する通知メッセージ生成部19を有している。
通信部12は、PoCサーバ10が外部の装置と通信を行うためのものであり、携帯電話Aから送信情報を受信するための情報受信部14と、携帯電話Bに受信した送信情報を配信する情報配信部(情報配信手段)15とを含んでいる。携帯電話Aから送信される送信情報はすべて、情報受信部14を介して主制御部11に入力される。
プレゼンス情報記憶部13は、ROM(read only memory)、メモリ等の記憶装置などで構成されており、PoCサーバ10が集中管理している、携帯電話AからCを含むすべての携帯電話についてのプレゼンスを一元管理するためのものである。
上述のようなプレゼンス情報が、各携帯電話に対応づけてプレゼンス情報記憶部13に格納されており、主制御部11によって適宜読み出されるようになっている。なお、ここに格納されるプレゼンス情報は、プレゼンスサーバ101と同様であってもよい。
また、上記プレゼンス情報は、変更が生じた時点で適宜更新され、その整合性が保たれている。例えば、携帯電話のプレゼンスが変化する度に、携帯電話がプレゼンスサーバ101にその変化を通知するようにしてもよい。
録音部181およびメモリ182は、情報受信部14を介して入力された送信情報に含まれる音声データを録音し、記憶するためのものである。これらの機能の詳細については後述する。
内証話識別部16は、図6に示す送信情報46のヘッダ47を解析するためのものである。解析の結果、ヘッダ47に内証話フラグFを検出した場合、送信情報46が内証話情報であることを識別し、送信情報46をプレゼンス検知部17に供給する。一方、内証話フラグFがなかった場合は、送信情報46を、情報配信部15を供給する。これにより、ヘッダ47の宛先情報に記される宛先の携帯電話に送信情報46は配信される。
プレゼンス検知部17は、内証話識別部16から供給された送信情報46を受け取り、ヘッダ47に含まれる宛先情報が示す各携帯電話についてのプレゼンス情報を検知するためのものである。
プレゼンス情報を検知する方法は、携帯電話を一意に特定する宛先情報に基づき、(1)携帯電話に直接プレゼンスを問い合わせる、(2)プレゼンスサーバ101(図2参照)にプレゼンス情報を問い合わせる、(3)自装置のプレゼンス情報記憶部13からプレゼンス情報を読み出す、などが考えられる。
本実施の形態では、PoC通信システム100のプレゼンスサーバ101に問い合わせることにより、プレゼンス情報を取得する。
図10に、プレゼンスサーバ101(または、プレゼンス情報記憶部13)が一元管理する、各携帯電話のプレゼンス情報リストの例を示す。プレゼンス情報リスト57は、図10に示す通り、PoCサーバ10が集中管理している各携帯電話を一意に識別するための「端末ID」を格納するカラムC1を有し、これに対応付けて、各携帯電話の利用状況や状態が記憶されている。
本実施の形態において、プレゼンス検知部17は、図3に示す携帯電話のスピーカフォン音声出力部8がアクティブになっているか否かの情報が格納されているカラムC2を参照する。ここでは、スピーカフォン音声出力部8がアクティブになっていることを「ON」、非アクティブになっていることを「OFF」、もともとスピーカフォン音声出力部8を備えていない携帯電話であれば「−」を格納し、これを識別できるようにしている。これにより、プレゼンス検知部17は、例えば、携帯電話Bではスピーカフォン音声出力部8より音声が出力されているということを検知することができる。
プレゼンス検知部17は、上記プレゼンス情報リスト57を参照し、携帯電話Bがスピーカフォンの状態(すなわち、スピーカフォン音声出力部8がアクティブ)になっていることを検知する。この場合、内証話識別部16より受信した携帯電話B宛ての内証話情報を録音制御部18に供給するとともに、上記内証話情報がまだ携帯電話B宛てに配信されていないことを示す信号を通知メッセージ生成部19にも供給する。
一方、携帯電話Cにおいて、カラムC2が「OFF」と記されていることによって、携帯電話Cが、音声が外部に漏れない状態であることを検知する。この場合、プレゼンス検知部17は、送信情報46を、情報配信部15を供給する。
これにより、スピーカフォンの状態の携帯電話宛ての内証話情報は、情報配信部15へは供給されずに、録音制御部18および通知メッセージ生成部19に供給される。一方、スピーカフォンの状態でない携帯電話宛ての内証話情報は、そのまま配信される。
なお、ここで述べる「スピーカフォンの状態である」とは、携帯電話の外部に音声が聞こえるようになっている状態のことを指す。従って、受話器音声出力部6とスピーカフォン音声出力部8とが別構成で設けられている場合は、上述の「スピーカフォン音声出力部8がアクティブになっている状態」が該当する。一方、受話器音声出力部6とスピーカフォン音声出力部8とが一体となっている場合(すなわち、受話器音声出力部6の音量出力レベルを上げることによって、スピーカフォン機能とする場合)もある。
このような場合は、例えば、プレゼンス検知部17がスピーカフォンの状態であるか否かを判断できるように、所定の音量出力レベルを設定すればよい。これにより、「受話器音声出力部6が上記で設定した出力レベル以上で音声を出力している状態」の時に、「スピーカフォンの状態である」と判断することができる。
録音制御部18は、内証話情報を録音・記憶するための録音部181およびメモリ182を管理・制御するためのものであり、録音制御部18、録音部181およびメモリ182により内証話情報記憶部(内証話記憶手段)180が構成されている。
プレゼンス検知部17より内証話情報が供給されると、録音制御部18は、録音部181に、該内証話情報を録音するよう指示を送る。録音制御部18は、録音部181により録音された内証話情報を録音内証話情報として、送信元携帯電話、宛先携帯電話などの情報と関連付けてメモリ182に記憶する。これらの情報は上記内証話情報のヘッダにある情報から取得すればよい。ここで、メモリ182に記憶される録音内証話情報のリストの例を図11に示す。
図11は、録音部181内に記憶されている、録音内証話情報の管理リストの例を示す表である。本実施の形態では、1携帯電話につき、1録音内証話情報を保存することができるので、宛先となる携帯電話を一意に識別するための「宛先受信端末ID」と、それに関連付けて、「録音内証話情報」が格納されていればよい。
例えば、携帯電話Bが、スピーカフォンの状態である時に、携帯電話B宛てに内証話情報が送信され、その時に配信されなかったとする。このような場合でも、上記の構成により、携帯電話Bは、スピーカフォン機能を非アクティブにしてから、PoCサーバ10に録音内証話情報を要求することで、PoCサーバ10から内証話情報を受信することが可能となる。
なお、1携帯電話につき、複数の録音内証話情報を保存できる場合は、録音開始(終了)時刻などによって、録音内証話情報を特定すればよい。
通知メッセージ生成部19は、送信情報の配信結果などを送信元の携帯電話Aおよび宛先の携帯電話Bに通知するためのものである。通知メッセージ生成部19は、内部に配信結果情報生成部(配信結果通知手段)191および受信情報生成部(受信通知手段)192を有している。
配信結果情報生成部191は、PoCサーバ10が受信した内証話情報を宛先の各携帯電話に配信したか否かを該内証話情報の送信元となる携帯電話Aに通知するためのものである。配信結果情報生成部191は、プレゼンス検知部17からの信号に基づいて、携帯電話A宛てに、配信結果情報を生成して、情報配信部15を介して送信する。
これにより、携帯電話Aのユーザは、どの携帯電話に対して内証話情報が送信されなかったのかを認識することができる。
受信情報生成部192は、携帯電話Aからの内証話情報を携帯電話B宛てに受信したことを該携帯電話Bに通知するためのものである。受信情報生成部192は、プレゼンス検知部17からの信号に基づいて、携帯電話B宛てに、受信情報(受信通知)を生成して、情報配信部15を介して送信する。
これにより、スピーカフォンの状態の時に、携帯電話B宛てに内証話情報が送信されたために該内証話情報をリアルタイムで受信できなかったとしても、携帯電話Bのユーザは、自身の装置宛てに内証話情報が送信されたことを認識することができる。
以下、本実施の形態のPoC通信システム100における処理の流れを説明する。
図12は、PoC通信システム100の各構成要素における、処理の流れを示すシーケンス図である。
ここでは、送信側の携帯電話の例として携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aを、スピーカフォンの状態にある受信側の携帯電話の例として携帯電話Bを、スピーカフォンの状態でない受信側の携帯電話の例として携帯電話Cを用いて説明する(図2参照のこと)。
まず、携帯電話Aが、上述の方法を用いて、図6に示す送信情報46を携帯電話Bおよび携帯電話Cに宛てて、PoCサーバ10に送信する(S101)。この時の送信情報46のヘッダ47には、内証話フラグと、宛先情報として、携帯電話Bと携帯電話Cの情報が含まれている。
PoCサーバ10は、受信した送信情報46のヘッダ47を解析し、内証話フラグの有無によって、送信情報46が内証話情報か否かを判断する(S102)。ここで、送信情報46は内証話情報であると判断した時、PoCサーバ10は、宛先となる携帯電話Bおよび携帯電話Cのプレゼンスを確認するため、プレゼンスサーバ101に対して問い合わせを行い、携帯電話Bおよび携帯電話Cのプレゼンス情報を取得する。
一方、S102において、送信情報46を通常の送信情報と判断した場合には、そのまま情報配信のステップ(S104)に移り、すべての宛先の携帯電話に対して送信情報46を配信し、処理を終了する。
次に、PoCサーバ10は、取得したプレゼンス情報(図10)を用いて、宛先の携帯電話ごとに、その携帯電話がスピーカフォンの状態であるか否かを判定する(S103)。
まず、携帯電話Bについて、図10のプレゼンス情報リスト57より、携帯電話Bがスピーカフォンの状態であることを検知し(S103においてYes)、携帯電話Aから携帯電話B宛ての内証話情報として、該内証話情報の録音を行う(S105)。
次に、携帯電話Cについて、携帯電話Cがスピーカフォンの状態でないことを検知し(S103においてNo)、上記内証話情報の配信を携帯電話C宛てに行う(S104)。なお、このとき、パケットの内緒フラグを削除して送信してもよい。送信された内証話情報に含まれる内証話メッセージは、携帯電話Cにおいて、スピーカフォン以外の音声出力部により音声出力される。
すべての宛先に対して、スピーカフォンの判定を行い、内証話情報の配信および/または録音の処理を終了すると、最後に、PoCサーバ10は、各携帯電話へ配信結果の通知を行う。
すなわち、携帯電話Aに対しては、送信情報46を宛てた携帯電話のうち、どの携帯電話に対して配信できなかったのかを報告するための、配信結果情報を生成する(S106)。なお、この配信結果情報は、送信が完了した携帯電話の情報であってもよい。携帯電話Aは、上記配信結果情報を受け取ると、未送信携帯電話のリストをユーザに提示する。表示部5(図3)にそのリストを表示すればよい。
一方、携帯電話Bに対しては、携帯電話B宛てに送信情報46を携帯電話Aから受信したが、配信できないために録音して預かっていることを通知するための、受信情報を生成する(S107)。携帯電話Bは、受信情報により録音された内証話情報がある旨、携帯電話Bのユーザに提示する(S108)。この時、表示部5にその旨を表示してもいいし、音声出力部94を介して音によって通知してもよい。
その後、もし、携帯電話Bのユーザがイヤフォンを装着するなどして、携帯電話Bのプレゼンスが変更されたら、携帯電話Bはそのプレゼンスの変化をプレゼンスサーバ101に通知し、プレゼンスサーバ101のプレゼンス情報リスト57が更新される(S110)(図10の「端末ID」がBの「イヤフォン」がON、「スピーカフォン」がOFF)。
続いて、携帯電話Bのユーザが録音通知により、その録音された内証話情報の配信をPoCサーバ10に対して要求する(S109のYes)。PoCサーバ10は、録音内証話情報配信の要求を受け付けると、プレゼンスサーバ101に携帯電話Bのプレゼンス情報を問い合わせて、携帯電話Bがスピーカフォンの状態か否かを判定する(S111)。
上記S110にて、「スピーカフォン」はOFFに変更されていることから、PoCサーバ10は、携帯電話Bはスピーカフォンの状態ではないと判定し、携帯電話Aから携帯電話B宛ての内証話情報として記録されている録音内証話情報を携帯電話Bに配信する(S112)。配信された録音内証話情報に含まれる内証話メッセージは、携帯電話Bによって再生される。そして、PoCサーバ10は、上記録音内証話情報が携帯電話B宛てに配信されたことを示す通知を、携帯電話Aに送信する。
一方、S111にて、携帯電話Bが依然スピーカフォンの状態であると検知した場合は、スピーカフォンの機能を解除しないと内証話情報を配信できない旨を、携帯電話Bに通知してもよい。この通知を受信した携帯電話Bは、「スピーカフォンを解除してください。」などのメッセージを表示部5に表示したり、音でユーザに知らせたりすればよい(S113)。
これにより、もし、携帯電話Aが、外部に漏れてはいけない内証話の音声を携帯電話B宛てに送信したとしても、宛先の携帯電話Bがスピーカフォンの機能により音声を外部に出力する状態になっている場合には、その携帯電話Bには、上記の内証話の音声が配信されないようになる。
結果として、秘話性の高い会話の音声が送信された場合に、受信側の機器のスピーカフォン機能によって外部にその音声が漏れることを回避することができる。
〔実施の形態2〕
上述の実施の形態1において、録音内証話情報の再生は、携帯電話Bのユーザによる要求の指示により行われたが、携帯電話Bのスピーカフォン音声出力部8が非アクティブになったことを携帯電話B自身が検知して、自動で録音内証話情報配信の要求を、PoCサーバ10に対して行ってもよい。
本実施の形態では、この場合の携帯電話80を適用した携帯電話Bおよびそれを含むPoC通信システム200について説明する。
〔携帯電話B−受信側〕
図13は、本実施の形態に係る携帯電話80の要部構成を示すブロック図である。図13に示す通り、携帯電話80は、主制御部1、無線通信部2、表示部5、受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7、およびスピーカフォン音声出力部8を含んでいる。受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7、およびスピーカフォン音声出力部8は、音声出力部94を構成している。
また、携帯電話80は、主制御部1の内部に、PoCサーバ10より配信された送信情報を受信するための情報受信部84、携帯電話80のプレゼンスの変化を検知するプレゼンス監視部(状態監視手段)85、受信した送信情報が含む送信メッセージを音声出力部94へと出力するメッセージ出力部86、およびPoCサーバ10に録音内証話情報の配信を要求する情報配信要求部(情報配信要求手段)87を有している。
なお、図13の残りの各構成要素に付された番号は、図3の各構成要素に付された番号に対応しており、同じ符号は、同じ構成要素を示している。
無線通信部2は、PoCサーバ10からの通信データを無線で受信するための無線受信部82と、携帯電話80で生成した通信データを無線で送信するための無線送信部83とを含んでいる。
情報受信部84は、無線受信部82を介して、PoCサーバ10から送信メッセージを含む送信情報、および受信情報を受信するためのものである。受信情報とは、PoCサーバ10によって生成される、「携帯電話80宛ての内証話情報を録音した」旨を通知する録音通知である。受信した送信情報は、メッセージ出力部86へ、上記受信情報は、プレゼンス監視部85へ供給する。
プレゼンス監視部85は、音声出力部94を監視し、携帯電話80のプレゼンスの変更(例えば、スピーカフォン音声出力部8のアクティブ/非アクティブの変更)を監視するためのものである。プレゼンス監視部85は、情報受信部84より、受信情報を受け取ると、音声出力部94の監視を開始し、ピーカフォン音声出力部8がアクティブから非アクティブの状態に遷移したことを検知して、内証話メッセージを音声出力できる状態になったことを示す信号を情報配信要求部87に供給する。
メッセージ出力部86は、携帯電話80で発生する情報を、表示部5および音声出力部94に供給するためのものである。映像信号であれば、表示部5に、音声信号であれば、音声出力部94に供給する。なお、音声出力部94に音声信号が供給されると、受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7、スピーカフォン音声出力部8のうち、アクティブになっている音声出力部からのみ音声が出力される。
情報配信要求部87は、プレゼンス監視部85からの「スピーカフォン音声出力部8が非アクティブに遷移した」情報を受け付けて、PoCサーバ10に対する、録音内証話情報の配信を要求する送信パケットを生成するためのものである。この送信パケットには、PoCサーバ10がどの携帯電話宛ての録音内証話情報を配信すればよいのかを識別できるように、携帯電話80についての情報が挿入される。
このようにして生成された、録音内証話情報配信要求パケットは、無線送信部83を介してPoCサーバ10に送信される。
以上のことから、携帯電話80は、携帯電話80のスピーカフォン音声出力部8が非アクティブになったことにより、自動で録音内証話情報の配信の要求を、PoCサーバ10に対して実施することができる。
〔PoC通信システム200〕
携帯電話80を受信側の携帯電話B(C)に適用した例については、図2に示す通りである。PoC通信システム200は、携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aと、携帯電話80を適用した、受信側としての携帯電話B(C)と、送信情報を配信するなどの制御を行うPoCサーバ10とを含んでいる。なお、PoC通信システム100と同様、プレゼンスサーバ101を含んでいてもよい。
図14は、PoC通信システム200の各構成要素における、処理の流れを示すシーケンス図である。
ここでは、送信側の携帯電話の例として携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aを、スピーカフォンの状態にある受信側の携帯電話の例として携帯電話80を適用した携帯電話Bを、スピーカフォンの状態でない受信側の携帯電話の例として携帯電話Cを用いて説明する(図2参照のこと)。
携帯電話Aが送信情報46をPoCサーバ10に送信してから、PoCサーバ10が受信情報を携帯電話Bに通知するまでの処理の流れ(S101〜S107)までは、実施の形態1における図12の処理の流れと同様であるので、ここでは説明を省略する。
PoCサーバ10より上記受信情報を受け取ると、携帯電話Bは、携帯電話B宛ての内証話情報がPoCサーバ10に録音された保存されていることを検知し、携帯電話Bのプレゼンスの監視を開始する(S201)。
その後、携帯電話Bのユーザがイヤフォンを装着するなどして、携帯電話Bのプレゼンスが変化すると(S202)、携帯電話Bは、プレゼンスの変更をプレゼンスサーバ101に報告するとともに、その変更によって、自身のスピーカフォン音声出力部8がアクティブから非アクティブへと状態を遷移させたか否かを判定する(S203)。
上記判定の結果、携帯電話Bのスピーカフォンの状態が解除されたことを検知すると、携帯電話Bは、録音内証話情報の配信を要求する送信パケットを生成し、それをPoCサーバ10宛てに送信する(S204)。
PoCサーバ10は、携帯電話Bの録音内証話情報配信の要求を受信し、その要求に応じて、携帯電話B宛ての録音内証話情報を、携帯電話Bに配信する(S205)。この時、録音内証話情報の配信を行う前に、プレゼンスサーバ101に対して携帯電話Bのプレゼンス情報を問い合わせてもよい。
配信された録音内証話情報に含まれる内証話メッセージは、携帯電話Bにおいて、スピーカフォン音声出力部8以外の音声出力部より出力される。また、上記録音内証話情報が携帯電話B宛てに配信されたことを示す通知は、PoCサーバ10より携帯電話A宛てに送信される。
以上のことから、携帯電話Bは、携帯電話Bのスピーカフォン音声出力部8が非アクティブになったことにより、自動で録音内証話情報の配信の要求を、PoCサーバ10に対して実施することができる。
〔実施の形態3〕
上述の実施の形態1、2において、録音内証話情報の配信は、携帯電話Bのユーザによる要求の指示、あるいは、携帯電話Bが自動で要求することによりそれぞれ実施されたが、PoCサーバが携帯電話Bのスピーカフォン音声出力部8を監視し、それが非アクティブになったことを検知して、自動で録音内証話情報を携帯電話Bに配信するようにしてもよい。この場合のPoCサーバ20およびそれを含むPoC通信システム100について、以下に説明する。
〔PoCサーバ20〕
図15は、各携帯電話のプレゼンスを監視し、自動で録音内証話情報を配信するPoCサーバ20の要部構成を示すブロック図である。PoCサーバ20において、図1のPoCサーバ10と異なる点は、主制御部21の内部に、さらに、プレゼンス監視部(端末情報監視手段)22を有している点である。
このプレゼンス監視部22は、PoCサーバ20が録音した内証話情報の宛先となっているすべての携帯電話についてのプレゼンスを監視するためのものである。より具体的には、宛先となっている各携帯電話のスピーカフォン音声出力部8を監視し、それが非アクティブの状態に遷移することを検知する。すなわち、スピーカフォンの状態でなくなった携帯電話を特定することができる。
スピーカフォンの状態でなくなったと判断された携帯電話を示す携帯電話識別情報は、その携帯電話宛ての録音内証話情報を出力せよという指示信号とともに、録音制御部18に供給される。
上記携帯電話識別情報および指示信号を受信した録音制御部18は、メモリ182の録音管理リスト49(図11)から、上記携帯電話識別情報(例えば、図11の「B」)に関連付けられた録音内証話情報(図11の「◎×▲■」)を、その宛先となる携帯電話Bを示す情報とともに情報配信部15に供給する。
なお、プレゼンス監視部22が各携帯電話のプレゼンスを監視する方法としては、(1)携帯電話を直接監視する、(2)プレゼンスサーバ101(図2参照)のプレゼンス情報更新を検知する、(3)自装置のプレゼンス情報記憶部13のプレゼンス情報更新を検知する、などが考えられる。
本実施の形態では、PoC通信システム100のプレゼンスサーバ101のプレゼンス情報更新を検知することにより、プレゼンスを監視する。
情報配信部15は、入力された録音内証話情報(◎×▲■)を、携帯電話B宛てに供給する。
これにより、録音内証話情報の宛先となっている各携帯電話のプレゼンスを監視し、それらの携帯電話がスピーカフォンの状態でなくなった時に、自動で録音内証話情報を配信することができる。
〔PoC通信システム100〕
本実施の形態に係るPoC通信システム100の構成は、図2に示す通りである。PoC通信システム100は、PoCサーバ20を備えているという点以外は、実施の形態1におけるPoC通信システム100と同様である。なお、プレゼンスサーバ101を含んでいてもよい。
図16は、本実施の形態に係るPoC通信システム100の各構成要素における、処理の流れを示すシーケンス図である。
ここでは、送信側の携帯電話の例として携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aを、スピーカフォンの状態にある受信側の携帯電話の例として携帯電話Bを、スピーカフォンの状態でない受信側の携帯電話の例として携帯電話Cを用いて説明する(図2参照のこと)。
携帯電話Aが送信情報46をPoCサーバ10に送信してから、PoCサーバ10が受信情報を携帯電話Bに通知し、携帯電話Bが、録音内証話情報がある旨を表示するまでの処理の流れ(S101〜S108)は、実施の形態1における図12の処理の流れと同様であるので、ここでは説明を省略する。
携帯電話Bがスピーカフォンの状態であるために配信できなかった、携帯電話B宛ての内証話情報が、S105にてPoCサーバ20により録音されている。この時に、PoCサーバ20は、上記録音された内証話情報の宛先となる携帯電話Bのプレゼンス監視を開始する(S301)。
その後、携帯電話Bのユーザがイヤフォンを装着するなどして、携帯電話Bのプレゼンスが変化すると、プレゼンスサーバ101のプレゼンス情報リスト57が更新される(S302)(図10の「端末ID」がBの「イヤフォン」がON、「スピーカフォン」がOFF)。
PoCサーバ20は、このプレゼンス情報の更新を検知し(S303においてYes)、宛先となる携帯電話Bがスピーカフォンの状態であるか否かを判定する(S304)。
上記S302にて、「スピーカフォン」はOFFに変更されていることから、PoCサーバ20は、携帯電話Bはスピーカフォンの状態ではないと判定し、携帯電話Aから携帯電話B宛ての内証話情報として記録されている録音内証話情報を携帯電話Bに配信する(S305)。
配信された録音内証話情報は、携帯電話Bによって再生される。そして、PoCサーバ20は、上記録音内証話情報が携帯電話B宛てに配信されたことを示す通知を、携帯電話Aに送信するとともに、録音管理リスト49(図11)に格納されていた携帯電話B宛ての録音内証話情報を、配信済みとして消去する(S306)。
一方、S304にて、携帯電話Bが依然スピーカフォンの状態であると検知した場合は、プレゼンスの監視を継続する。
また、録音管理リスト49に録音内証話情報がまだ保存されていれば(S307のYes)、その保存されている録音内証話情報の宛先の携帯電話について、プレゼンスの監視を継続し、録音内証話情報がなくなれば(S307のNo)、監視の処理を終了する(S308)。
上述の方法より、録音内証話情報の宛先となっている各携帯電話のプレゼンスを監視し、それらの携帯電話がスピーカフォンの状態でなくなった時に、自動で録音内証話情報を配信することができる。
〔実施の形態4〕
なお、本発明に係るPoC通信システム100において、PoCサーバが、内証話情報を録音して保存する代わりに、それをテキストデータに変換し、それをスピーカフォンの状態の携帯電話に配信するようにしてもよい。この場合のPoCサーバ30およびそれを含むPoC通信システム100について、以下に説明する。
〔PoCサーバ30〕
図17は、内証話情報の宛先の携帯電話Bが、スピーカフォンの状態であった場合に、受信した内証話情報に含まれる内証話メッセージをテキストデータに変換して、携帯電話Bに配信するPoCサーバ30の要部構成を示すブロック図である。PoCサーバ30において、図1のPoCサーバ10と異なる点は、内証話情報記憶部180の代わりに、主制御部31の内部に受信した内証話情報に含まれる、音声による内証話メッセージをテキストデータに変換するテキスト変換部(テキスト変換手段)37を有し、通知メッセージ生成部19は、受信情報生成部192ではなく、配信テキスト情報生成部35および開封情報生成部36を有している点である。
通信部12は、携帯電話Aから送信情報を受信するための情報受信部32と、携帯電話Bに受信した送信情報を配信する情報配信部(情報配信手段)33とを含んでいる。
情報受信部32を介して携帯電話Aから送信情報46が受信されると、内証話識別部16により、それが内証話情報であると識別された場合には、プレゼンス検知部(端末情報検知手段)34に供給される。
プレゼンス検知部34は、上記内証話情報の宛先となる携帯電話Bが、スピーカフォンの状態であるか否かを判定するためのものである。もし、携帯電話Bがスピーカフォンの状態でなければ、上記内証話情報は情報配信部33を介して音声のまま配信される。
一方、携帯電話Bがスピーカフォンの状態であることを検知すると、プレゼンス検知部34は、上記内証話情報をテキスト変換部37に供給する。
なお、プレゼンス検知部34は、携帯電話Bがスピーカフォンの状態であることを検知した時に、配信結果情報生成部191や配信テキスト情報生成部35に対し、携帯電話B宛てに内証話情報を音声のまま配信しなかったことを通知してもよい。
テキスト変換部37は、音声認識によって、入力された音声データによる内証話メッセージをテキスト変換し、テキストデータによる内証話メッセージを含む内証話情報(テキスト内証話情報)を生成するためのものである。
生成された、携帯電話B宛ての上記テキスト内証話情報は、配信テキスト情報生成部35に供給されるとともに、情報配信部33を介して、携帯電話Bに供給される。
通知メッセージ生成部19が内部に有する、配信テキスト情報生成部35は、(1)音声内証話メッセージが配信されなかった携帯電話の情報(ここでは、携帯電話B)と、(2)携帯電話Bに配信される、テキスト変換部37によって生成されたテキスト内証話情報の内容とを含んだ、「配信テキスト情報」を生成するためのものである。上記配信テキスト情報は、内証話情報の送信元である携帯電話Aに対して、情報配信部33を介して送信される。
これにより携帯電話Aのユーザは、どの携帯電話宛てに音声が届かなかったかを把握するとともに、それらの携帯電話には、代わりにどんな文章が配信されたのかを確認することができる。
開封情報生成部36は、携帯電話Bが、上記テキスト内証話情報を開封したことを携帯電話Aに通知するための開封情報を生成するためのものである。生成された開封情報も、情報配信部33を介して携帯電話Aに送信される。
これにより携帯電話Aのユーザは、上記テキスト内証話情報が宛先の携帯電話Bにより開封されたことを確認することができる。
以上のことから、内証話情報の宛先の携帯電話Bが、スピーカフォンの状態であった場合に、受信した内証話情報が含む内証話メッセージをテキストデータに変換して、携帯電話Bに配信することができる。結果として、スピーカフォンの機能の解除を待たずに、リアルタイムで内証話情報を携帯電話Bに届けることができる。
〔PoC通信システム100〕
本実施の形態に係るPoC通信システム100の構成は、図2に示す通りである。PoC通信システム100は、PoCサーバ30を備えているという点以外は、実施の形態1におけるPoC通信システム100と同様である。なお、プレゼンスサーバ101を含んでいてもよい。
図18は、本実施の形態に係るPoC通信システム100の各構成要素における、処理の流れを示すシーケンス図である。
ここでは、実施の形態3と同様、送信側の携帯電話の例として携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aを、スピーカフォンの状態にある受信側の携帯電話の例として携帯電話Bを、スピーカフォンの状態でない受信側の携帯電話の例として携帯電話Cを用いて説明する(図2参照のこと)。
携帯電話Aが送信情報46をPoCサーバ30に送信してから、スピーカフォンの状態でない携帯電話Cにのみ内証話情報を配信するまでの処理の流れ(S101〜S104)は、実施の形態1における図12の処理の流れと同様であるので、ここでは説明を省略する。
S103にて、携帯電話Bがスピーカフォンの状態であると検知したPoCサーバ30は、受信した音声データによる内証話情報をテキスト変換し、テキストデータによる内証話情報(テキスト内証話情報)を生成する(S401)。
生成された上記テキスト内証話情報は、携帯電話Bに配信され、携帯電話Bに受信される(S402)。この時、携帯電話Bの表示部5(図3)にはテキスト内証話情報を受信したことのみを通知し、内証話情報の内容を表示せず封書として受信されるようにしてもよい。
また、PoCサーバ30は、上記S401のテキスト変換が正しく行われたかを携帯電話Aのユーザが確認できるよう、変換したテキストの内証話メッセージを含む配信テキスト情報を生成して携帯電話Aに送信する(S403)。配信テキスト情報を受信した携帯電話Aは、内証話情報が音声にて配信されなかった携帯電話の情報と、テキストに変換された内証話情報を表示部5に表示する。
一方、携帯電話Bでは、S402にて、テキスト内証話情報受信の通知を受けた後、携帯電話Bのユーザが、上記テキスト内証話情報の封書を開封する(S404)。この時、上記テキスト内証話情報が開封されたことを、PoCサーバ30に通知する。
PoCサーバ30は、上記開封の通知を携帯電話Bより受け付けると、携帯電話Bが上記テキスト内証話情報を開封した旨を通知する開封情報を生成し(S405)、携帯電話Aに通知する。
以上のことから、内証話情報の宛先の携帯電話Bが、スピーカフォンの状態であった場合に、受信した内証話情報に含まれる内証話メッセージをテキストデータに変換して、携帯電話Bに配信することができる。結果として、秘話性の高い会話の音声を外部に漏らすことなく、スピーカフォンの機能の解除を待たずに、リアルタイムで内証話情報を携帯電話Bに届けることができる。
〔第2のシステム−PoC通信システム300〕
次に、上述の送信情報46を携帯電話40(50)から、PoCサーバを介して受信し、それが内証話情報か否かを受信端末装置が判断する場合のPoC通信システム300について、以下に説明する。
上述の各実施の形態と大きく異なる点は、内証話情報か否かを判断するのが、PoCサーバでは、受信端末装置自身であるという点である。
PoC通信システム300は、図2の携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aと、携帯電話Aからの送信情報を、PoCサーバを介して受信する、携帯電話60(70)を適用した受信側の携帯電話Bとを含んでいる。なお、PoCサーバは、携帯電話Aからの送信情報を受信し、該送信情報を配信するなどの通信制御が可能なPoCサーバであれば何でもよい。なお、PoC通信システム100、200と同様、プレゼンスサーバ101を含んでいてもよい。
〔実施の形態5〕
図19は、図2に示すPoC通信システム300における、携帯電話60の要部構成を示すブロック図である。携帯電話60は、図19に示すように、主制御部1、無線通信部2、表示部5、受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7、スピーカフォン音声出力部8、録音部9、およびメモリ93を備え、また、主制御部1は内部に、ヘッダを解析する内証話識別部(内証話識別手段)63、携帯電話60本体のプレゼンスを検知するプレゼンス検知部(状態検知手段)64、および、受信した送信情報に含まれる送信メッセージを、音声にて音声出力部94に、映像信号として表示部5に出力するメッセージ出力部(メッセージ出力手段)66とを備えている。
無線通信部2は、PoCサーバからのデータを無線で受信する無線受信部61と、PoCサーバへデータを無線で送信する無線送信部62とを含む。無線受信部61により受信された送信情報は、内証話識別部63に供給される。
内証話識別部63は、PoCサーバを介して携帯電話Aから受信した、送信情報46(図6)のヘッダ47を解析するためのものである。解析の結果、ヘッダ47に内証話フラグFを検出した場合、送信情報46が内証話情報であることを識別し、送信情報46をプレゼンス検知部64に供給する。一方、内証話フラグFがなかった場合は、送信情報46を、メッセージ出力部66に供給する。
なお、この時、音声出力されたか否かを示す情報を出力結果情報生成部(出力結果通知手段)69に供給する。あるいは、音声出力されなかった時のみその旨を通知するのでもよい。
プレゼンス検知部64は、携帯電話60本体のプレゼンス情報を検知するためのものである。より具体的には、携帯電話60に備えられている音声出力部94のスピーカフォン音声出力部8(および、受話器音声出力部6)がアクティブであるか否かを検知する。
プレゼンス検知部64は、内証話識別部63から供給された送信情報46を受け取ると、スピーカフォン音声出力部8がアクティブであるか否か、すなわち、スピーカフォンの状態であるか否かを検知する。ここで、携帯電話60が、スピーカフォンの状態であると検知すれば、受信した内証話情報を、メッセージ出力部66には出力せずに、録音制御部67(あれば)に供給する。反対に、携帯電話60が、スピーカフォンの状態でないと検知すれば、上記内証話情報をメッセージ出力部66に供給する。
メッセージ出力部66は、携帯電話60で発生する情報を、表示部5および音声出力部94に供給するためのものである。映像信号であれば、表示部5に、音声信号であれば、音声出力部94に供給する。メッセージ出力部66は、送信情報46が供給されると、該送信情報が含む送信メッセージ48を音声信号として音声出力部94に出力する。なお、音声出力部94に音声信号が供給されると、受話器音声出力部6、イヤフォン音声出力部7、スピーカフォン音声出力部8のうち、アクティブになっている音声出力部からのみ音声が出力される。
なお、携帯電話60は、さらに、録音部9およびメモリ93を制御する録音制御部67を含んでいてもよい。これら録音制御部67、録音部9およびメモリ93は、内証話情報記憶部(内証話記憶手段)58を構成している。これにより、プレゼンス検知部64が、受信した内証話情報をメッセージ出力部66に供給しなかった場合でも、該内証話情報を録音することが可能となる。なお、メモリ93に複数の録音内証話情報を記憶しておく場合は、図11に示す「送信元端末ID」や「録音開始(終了)時刻」などのような情報に、録音内証話情報を関連付けた録音管理リスト(図示せず)を作成すればよい。これにより、録音内証話情報が複数存在しても、それを一意に特定し、管理することが可能となる。
さらに、携帯電話60は、携帯電話Aからの内証話内証話情報を携帯電話B宛てに受信したことを該携帯電話Bのユーザに通知するための受信情報生成部(受信通知手段)68を含んでいてもよい。この場合、内証話情報が受信され、出力されずにいることを、携帯電話Bのユーザは認識することができる。また、送信内証話情報の配信結果などを送信元の携帯電話Aに通知するための出力結果情報生成部69を含んでいてもよい。ここで生成された出力結果情報は、無線送信部62を介して携帯電話Aに送信される。これにより、携帯電話Bにおいて、内証話情報がまだ出力されていないことを、送信元である携帯電話Aのユーザは認識することができる。
また、上記出力結果情報は、上記内証話情報記憶部58により録音内証話情報が再生された場合に、そのことを携帯電話Aに通知するための情報を含んでいてもよい。
また、携帯電話60は、携帯電話60本体のプレゼンスの変化を監視するプレゼンス監視部(状態監視手段)65を備えていてもよい。この場合、スピーカフォン音声出力部8の状態の遷移に応じて、自動で、録音した内証話情報を再生することが可能となる。
これにより、携帯電話60は本体がスピーカフォンの状態の時に、内証話情報を受信した時には、メッセージ出力部66へは供給されずに、出力結果情報生成部69、受信情報生成部68、および録音制御部67に供給される。一方、スピーカフォンの状態でない場合は、メッセージ出力部66により、スピーカフォン音声出力部8以外の音声出力部によってそのまま音声出力される。
結果として、秘話性の高い会話の音声が受信された場合に、受信端末装置本体のスピーカフォン機能により外部にその音声が漏れることを回避することができる。
以下、本実施の形態のPoC通信システム300における処理の流れを説明する。
図20は、PoC通信システム300の各構成要素における、処理の流れを示すシーケンス図である。
ここでは、送信側の携帯電話の例として携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aを、スピーカフォンの状態にある受信側の携帯電話の例として携帯電話60を適用した携帯電話Bを、スピーカフォンの状態でない受信側の携帯電話の例として携帯電話Cを用いて説明する(図2参照のこと)。
まず、携帯電話Aが、上述の方法を用いて、図6に示す送信情報46を携帯電話Bおよび携帯電話Cに宛てて、PoCサーバに送信する(S501)。この時の送信情報46のヘッダ47には、内証話フラグと、宛先情報として、携帯電話Bと携帯電話Cの情報が含まれている。
PoCサーバは、受信した送信情報46のヘッダ47を解析し(S502)、宛先となる携帯電話Bおよび携帯電話Cに受信した送信情報46を配信する。
上記送信情報46をPoCサーバより受信した、携帯電話B(およびC)は、受信した送信情報46のヘッダ47を解析し、内証話フラグの有無によって、送信情報46が内証話情報か否かを判断する(S503)。
ここで、携帯電話B(およびC)が、送信情報46が送信メッセージを含んだ通常の送信情報と判断した場合には(S503のNo)、そのまま送信情報46を音声出力し(S504)、処理を終了する。
一方、送信情報46が内証話メッセージを含む内証話情報であると判断した時、携帯電話B(およびC)は、携帯電話B(およびC)本体のプレゼンスをそれぞれ確認する(S505)。
ここで、携帯電話Cは、自身がスピーカフォンの状態でないことを検知し(S505のNo)、S504に移行してスピーカフォン音声出力部8(図19)以外の音声出力部により音声を出力して処理を終了する。
反対に、携帯電話Bは、自身がスピーカフォンの状態であることを検知し(S505のYes)、内証話情報の録音を行う(S506)。またここで、受信情報を生成し、内証話情報を受信したことを表示部5に表示してもよい(S507)。さらに、携帯電話Bは、出力結果情報を生成し、上記受信した内証話情報を音声にてまだ出力していない旨をPoCサーバに通知してもよい(S508)。上記出力結果情報は、PoCサーバを経由して、携帯電話Aに送信される。携帯電話Aが上記出力結果情報を受信すると、携帯電話Aの表示部5に、音声未出力の携帯電話の情報が表示される(S509)。
これにより、内証話情報が受信された場合に、携帯電話本体のスピーカフォン機能により外部にその音声が漏れることを回避することができる。
さらに、図19に示す通り、携帯電話60がプレゼンス監視部65を備えている場合には、携帯電話60がスピーカフォンの状態でなくなった時に、それを検知して、自動で録音した内証話情報を音声出力することが可能となる。その処理の流れを、同じく図20のシーケンスを参照しながら以下に説明する。
上記S506にて、内証話情報が録音されると、携帯電話Bは、自身のプレゼンス監視を開始する(S510)。
その後、もし、携帯電話Bのユーザがイヤフォンを装着するなどして、携帯電話Bのプレゼンスが変更されたら(S511)、携帯電話Bは、スピーカフォン音声出力部8がアクティブから非アクティブの状態へと遷移したか否かを検知する(S512)。なお、この時、携帯電話Bはそのプレゼンスの変化をプレゼンスサーバ101に通知してもよい。
続いて、携帯電話B自身がスピーカフォンの状態でないことを検知した時に(S512のYes)、携帯電話Bは、録音した内証話情報を自動で再生する(S513)。そして、内証話メッセージ情報を再生したことを通知するための出力結果情報を生成し、それを、PoCサーバを経由して携帯電話Aに送信してもよい。上記出力結果情報を受信した携帯電話Aは、携帯電話Aが送信した内証話情報を、携帯電話Bが再生したことを表示部5に表示し(S514)、携帯電話Aのユーザに通知する。
上記の方法により、携帯電話のプレゼンスの変更に応じて、自動で、録音した内証話メッセージを再生することが可能となる。
〔実施の形態6〕
なお、本発明に係るPoC通信システム300において、携帯電話Bが、内証話情報を録音して保存する代わりに、内証話情報に含まれる内証話メッセージをテキストデータに変換し、携帯電話Bがスピーカフォンの状態の時には、それを出力するようにしてもよい。この場合の携帯電話70を適用した携帯電話Bおよびそれを含むPoC通信システム300について、以下に説明する。
図21は、図2に示すPoC通信システム300における、携帯電話70の要部構成を示すブロック図である。携帯電話70において、図19の携帯電話60と異なる点は、内証話情報記憶部58の代わりに、主制御部1の内部に受信した内証話情報に含まれる、音声による内証話メッセージをテキストデータに変換するテキスト変換部(テキスト変換手段)74を有し、受信情報生成部68ではなく、出力テキスト情報生成部75および開封情報生成部76を有している点である。
なお、図21の残りの各構成要素に付された番号は、図19の各構成要素に付された番号に対応しており、同じ符号は、同じ構成要素を示している。
無線通信部2は、PoCサーバからのデータを無線で受信する無線受信部61と、PoCサーバへデータを無線で送信する無線送信部71とを含む。
無線受信部61を介してPoCサーバから送信情報46が受信されると、内証話識別部63により、それが内証話情報であると識別された場合には、プレゼンス検知部(状態検知手段)72に供給される。
プレゼンス検知部72は、携帯電話B本体が、自身がスピーカフォンの状態であるか否かを判定するためのものである。もし、携帯電話Bがスピーカフォンの状態でないと判定すれば、受信した内証話情報に含まれる内証話メッセージはメッセージ出力部(メッセージ出力手段)73を介して音声のまま出力される。
一方、携帯電話Bがスピーカフォンの状態であることを検知すると、プレゼンス検知部72は、上記内証話情報をテキスト変換部74に供給する。
なお、プレゼンス検知部72は、携帯電話Bがスピーカフォンの状態であることを検知した時に、出力結果情報生成部69や出力テキスト情報生成部75に対し、内証話メッセージをまだ音声にて出力していないことを通知してもよい。
テキスト変換部74は、音声認識によって、入力された内証話情報に含まれる音声データによる内証話メッセージをテキスト変換し、テキスト内証話メッセージを生成するためのものである。
生成された上記テキスト内証話メッセージは、出力テキスト情報生成部75に供給されるとともに、メッセージ出力部73を介して、表示部5に供給される。
出力テキスト情報生成部75は、(1)音声内証話メッセージが出力されなかったことと、(2)携帯電話Bにて出力される、テキスト変換部74によって生成されたテキスト内証話メッセージの内容とを含んだ、「出力テキスト情報」を生成するためのものである。上記出力テキスト情報は、内証話情報の送信元である携帯電話Aに対して、無線送信部71を介して送信される。
これにより携帯電話Aのユーザは、携帯電話Bが音声を出力していないことを把握するとともに、代わりにどんな文章が出力されたのかを確認することができる。
開封情報生成部76は、携帯電話Bが、上記テキスト内証話メッセージを開封したことを携帯電話Aに通知するための開封情報を生成するためのものである。生成された開封情報も、無線送信部71を介して携帯電話Aに送信される。
これにより携帯電話Aのユーザは、上記テキスト内証話メッセージが宛先の携帯電話Bにより開封されたことを確認することができる。
以上のことから、内証話情報の宛先の携帯電話Bが、スピーカフォンの状態であった場合に、受信した内証話情報に含まれる内証話メッセージをテキストデータに変換して、出力することができる。結果として、ユーザは、スピーカフォンの機能の解除を待たずに、リアルタイムで内証話メッセージを認識することができる。
以下、本実施の形態のPoC通信システム300における処理の流れを説明する。
図22は、PoC通信システム300の各構成要素における、処理の流れを示すシーケンス図である。
ここでは、送信側の携帯電話の例として携帯電話40(50)を適用した携帯電話Aを、スピーカフォンの状態にある受信側の携帯電話の例として携帯電話70を適用した携帯電話Bを、スピーカフォンの状態でない受信側の携帯電話の例として携帯電話Cを用いて説明する(図2参照のこと)。
携帯電話Aが送信情報46をPoCサーバに送信してから、スピーカフォンの状態でない携帯電話Cのみが、内証話メッセージを出力するまでの処理の流れ(S501〜S505)は、実施の形態5における図20の処理の流れと同様であるので、ここでは説明を省略する。
S505にて、自身がスピーカフォンの状態であると検知した携帯電話Bは、受信した内証話情報に含まれる、音声データによる内証話メッセージをテキスト変換し、テキストデータによる内証話メッセージ(テキスト内証話メッセージ)を生成する(S601)。この時、携帯電話Bの表示部5には内証話情報を受信したことのみを通知し、内証話メッセージの内容を表示せず、ユーザの指示に応じて開封されるようにしてもよい。
また、携帯電話Bは、上記S601のテキスト変換が正しく行われたかを携帯電話Aのユーザが確認できるよう、変換したテキスト内証話メッセージを含む出力テキスト情報を生成して携帯電話Aに送信する(S602)。出力テキスト情報を受信した携帯電話Aは、携帯電話Bにおいて、内証話メッセージが音声にて出力されなかったことと、代わりに出力されたテキストに変換された内証話メッセージを表示部5に表示する(S603)。
一方、携帯電話Bでは、S601にて、内証話情報受信の通知を受けた後、携帯電話Bのユーザが、上記テキスト内証話メッセージの封書を開封する(S604)。この時、上記テキスト内証話メッセージが開封されたことを示す開封情報を生成し(S605)、PoCサーバを介して、携帯電話Aに送信する。
以上のことから、内証話情報の宛先の携帯電話Bが、スピーカフォンの状態であった場合に、受信した内証話情報に含まれる内証話メッセージをテキストデータに変換して、出力することができる。結果として、秘話性の高い会話の音声を外部に漏らすことなく、スピーカフォンの機能の解除を待たずに、ユーザは、リアルタイムで内証話メッセージを確認ことができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
最後に、PoCサーバ10(20、30)および携帯電話40(50、60、70、80)の各ブロック、特に内証話識別部16(63)およびプレゼンス検知部17(34、64、72)は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、PoCサーバ10(20、30)および携帯電話40(50、60、70、80)は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるPoCサーバ10(20、30)および携帯電話40(50、60、70、80)の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記PoCサーバ10(20、30)および携帯電話40(50、60、70、80)に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、PoCサーバ10(20、30)および携帯電話40(50、60、70、80)を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。