JP2006350185A - 反射型スクリーン - Google Patents
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Abstract
【課題】反射光の色度バランスを調整し、ホワイトバランスのとれたハイコントラストの映像を表示できる反射型スクリーンを提供する。
【解決手段】少なくとも可視波長領域における反射率が略均一の光反射層11と、透過する光の一部を吸収する色素層12と、屈折率がそれぞれ異なる数種の光学膜14H(1),14L(1),14H(2)が積層された複数層からなる光学多層膜14とが順次積層されてなり、投射光により画像を表示する反射型スクリーン10において、光学多層膜14は、少なくとも緑色成分の波長領域を含む特定波長領域に反射率ピークを有するとともに、前記特定波長領域以外の波長領域に対して高透過特性を有し、前記色素層12は、赤色成分及び青色成分の波長領域における透過率よりも、前記緑色成分の波長領域における透過率が小さいことを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】少なくとも可視波長領域における反射率が略均一の光反射層11と、透過する光の一部を吸収する色素層12と、屈折率がそれぞれ異なる数種の光学膜14H(1),14L(1),14H(2)が積層された複数層からなる光学多層膜14とが順次積層されてなり、投射光により画像を表示する反射型スクリーン10において、光学多層膜14は、少なくとも緑色成分の波長領域を含む特定波長領域に反射率ピークを有するとともに、前記特定波長領域以外の波長領域に対して高透過特性を有し、前記色素層12は、赤色成分及び青色成分の波長領域における透過率よりも、前記緑色成分の波長領域における透過率が小さいことを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、反射型スクリーンに関し、より詳細には、投射型プロジェクタ、例えば、ビデオプロジェクタ、フィルムプロジェクタ、オーバーヘッドプロジェクタ等の投射画像を写すスクリーンに適用されるものであり、特に、明光下でもプロジェクタ光による投影画像が高コントラストであり、且つ色再現性の優れた選択波長反射型スクリーンに関する。
近年、会議等において発言者が資料を提示する方法としてオーバーヘッドプロジェクタやスライドプロジェクタが広く用いられている。また、一般家庭においても液晶を用いたビデオプロジェクタや動画フィルムプロジェクタが普及しつつある。これらプロジェクタの映写方法は光源から出力された光を、例えば透過形の液晶パネル等によって光変調して画像光を形成し、この画像光をレンズ等の光学系を通して出射してスクリーン上に映写するものである。
例えばスクリーン上にカラー画像を形成することができるフロント・プロジェクタは、光源から出射された光線を赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の光線に分離して所定の光路に収束させる照明光学系と、この照明光学系によって分離されたRGB各色の光束をそれぞれ光変調する液晶パネル(ライトバルブ)と、液晶パネルにより光変調されたRGB各色の光束を合成する光合成部とを備え、光合成部により合成したカラー画像を投射レンズによりスクリーンに拡大投影するようにしている。
また、最近では光源として狭帯域三原色光源を使用し、液晶パネルの代わりにグレーティング・ライト・バルブ(GLV:Grating Light Valve)を用いてRGB各色の光束を空間変調するタイプのプロジェクタ装置も開発されている。
また、上述したようなプロジェクタにおいては、投影像を得るために投影用スクリーンが用いられるが、この投影用スクリーンには大別して、スクリーンの裏面から投影光を照射してスクリーンの表面から見る透過型のものと、スクリーンの表側から投影光を照射して当該投影光のスクリーンでの反射光を見る反射型のものとがある。
いずれの方式にしても、視認性の良好なスクリーンを実現するためには、明るい画像、コントラストの高い画像が得られることが必要である。
いずれの方式にしても、視認性の良好なスクリーンを実現するためには、明るい画像、コントラストの高い画像が得られることが必要である。
しかしながら、フロント・プロジェクタは、自発光型ディスプレイやリアプロジェクタとは異なり、例えばNDフィルターを用いて外光の映り込みを低減することができず、反射型スクリーン上の明所コントラストを高くすることが困難であるという問題があった。
この問題に対して、マトリクス法に基づいたシミュレーションにより誘電体多層膜の各光学膜の膜厚が設計され、特定波長領域の光に対して高反射特性を有し、少なくとも該波長域光以外の可視波長域光に対しては高透過特性を有する誘電体多層膜からなる光学薄膜(光学多層膜)を備えた反射型スクリーンが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
上記スクリーンにおいて、光学多層膜はいわゆる波長帯域フィルターとしての役割を果たし、この光学多層膜の作用により特定波長領域の光はその大部分が反射される。また、例えば外光が入射した場合には、特定波長領域以外の大部分が光学薄膜を透過し、ほとんど反射することがない。
このように、上記反射型スクリーンでは、特定波長の光のみを選択的に反射することができ、通常のスクリーンに比べて相対的に外光の反射を抑えることができるため、スクリーン上に形成される画像のコントラストの低下が抑制されるとともに外光の映り込みが効果的に低減され、明るい画像を得ることができる。また、この反射型スクリーンでは、映写環境が明るい場合においても明瞭な画像が得られ、映写環境の明るさに影響されずに明瞭な画像を得ることができる。とくに、GLVなど光源のスペクトルが急峻で、スクリーンの特定波長反射率の半値幅に対して光源スペクトルの半値幅が狭い場合に、きわめて高いコントラストが得られ、光源側の持つ能力を十分発揮させることが出来る。
しかしながら、上記のような反射型スクリーンを使用しても高圧水銀ランプ(UHPランプ)を用いたLCDプロジェクタの場合には、映像光のホワイトバランスが大きく崩れる問題が生じていた。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、反射光の色度バランスを調整し、ホワイトバランスのとれたハイコントラストの映像を表示できる反射型スクリーンを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、投射光により画像を表示する反射型スクリーンにおいて、少なくとも可視波長領域における反射率が略均一である光反射層と、顔料及び/又は染料の色素を含有し、透過する光の一部を吸収する色素層と、屈折率がそれぞれ異なる数種の光学膜が積層された複数層からなり、特定波長領域に反射率ピークを有するとともに、前記特定波長領域以外の波長領域に対して高透過特性を有する光学多層膜とが順次積層されてなることを特徴とする反射型スクリーンである。
ここで、前記光学多層膜は、前記特定波長領域として少なくとも緑色成分の波長領域に反射率ピークを有し、前記色素層は、赤色成分及び青色成分の波長領域における透過率よりも、前記緑色成分の波長領域における透過率が小さいことが好ましい。
また、前記光学多層膜の緑色成分の波長領域における反射率ピークの反射率が75%以下であることが好適である。
また、前記光学多層膜の緑色成分の波長領域における反射率ピークの反射率が75%以下であることが好適である。
また、前記特定波長領域は、前記投射光の赤色成分、緑色成分及び青色成分の各波長領域であって、該各波長領域の光の強度に応じて、前記光学多層膜は前記各波長領域それぞれの反射率が調整された反射特性を有するとともに、前記色素層は前記各波長領域それぞれの透過率が調整された透過・吸収特性を有することが好ましい。
また、前記色素層は、前記投射光の赤色成分の輝線ピークの波長と緑色成分の輝線ピークの波長との間、及び緑色成分の輝線ピークの波長と青色成分の輝線ピークの波長との間に吸収特性を有することが好ましい。
また、前記光学多層膜上に反射光を散乱させる光拡散層を備えるとよい。
本発明によれば、プロジェクタの光源スペクトルに対応して反射光の色度が調整されるため、画面全体で均一な色表現が可能となる。同時にプロジェクタからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となり、スクリーン上の映像の黒レベルを下げた高コントラスト化を達成するものであり、部屋が明るい状態でもコントラストの高い映像を表示することが可能となる。
以下に、本発明に係る反射型スクリーンの実施の形態について説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
まず、本発明の前提となる反射型スクリーンの構成について説明する。
図1に本発明の前提となる反射型スクリーンの構成を示す断面図を示す。
図1に示すように、反射型スクリーン90は、基板13上に、反射層である光学多層膜94と、光拡散層16とが順番に設けられた構成であり、さらに基板13の裏面上に光吸収層91が設けられている。
図1に本発明の前提となる反射型スクリーンの構成を示す断面図を示す。
図1に示すように、反射型スクリーン90は、基板13上に、反射層である光学多層膜94と、光拡散層16とが順番に設けられた構成であり、さらに基板13の裏面上に光吸収層91が設けられている。
光学多層膜94は、高屈折率膜94Hとこれより低い屈折率をもつ低屈折率膜94Lとが交互に積層された複数層からなり、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の波長領域(RGB三原色波長領域)の光に対してそれぞれ反射率ピークをもつ高反射特性を有し、前記波長領域以外の少なくとも可視波長領域に対して高透過特性を有するものである。
ここで、光学多層膜94の各膜厚は、マトリクス法に基づいたシミュレーションにより光学薄膜が特定波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくとも該波長域光以外の可視波長域光に対しては高透過特性を有するように膜厚設計されている。ここでいうマトリクス法に基づいたシミュレーションとは、特開2003−270725号公報に示されている手法であり、複数の異なる材料で構成され各層の境界で多重反射が生じる多層光学薄膜系に角度θ0で光が入射した場合、用いる光源の種類及び波長と、各層の光学膜厚(屈折率と幾何学的膜厚との積)に依存して位相が揃い、反射光速は可干渉性を示す場合が生じ、互いに干渉しあうようになる原理に基づいた方程式を利用してシミュレーションを行い、所望の特性を有する光学膜の膜厚設計を行うものである。
また、特定の波長領域として、プロジェクタ光源で画像光として使用されるRGB三原色の各色の光の波長領域を選択して、マトリクス法に基づいたシミュレーションによりこれらの波長領域の光のみを反射させるとともにこれらの波長領域以外の波長領域の光を透過させるように膜厚設計されている。このような厚みの高屈折率膜94H及び低屈折率膜94Lを重ね合わせることにより、光学多層膜94は三原色波長帯域フィルターとして機能する。
具体的には、高屈折率膜94Hと低屈折率膜94Lそれぞれの膜厚はつぎのように設定される。一般に、ある基板上にその基板物質よりも屈折率が高い物質を積層した場合、波長λcに反射率ピークをださせるためには、その目標膜厚dが次式(1)の条件を満たす必要がある。
d=m・(λc/4)/n ・・・(1)
(d:目標膜厚、m:奇数、λc:波長、n:光学膜の屈折率)
(d:目標膜厚、m:奇数、λc:波長、n:光学膜の屈折率)
ここで、mはλc/4を単位とする光学的距離(qwot)のことであり、奇数とすることにより波長λcに反射率ピークが形成される。ちなみに、mを偶数とすると、反射率曲線として波長λcにボトムが形成される。また、膜厚dは、mの値(qwot数)に比例して増減する。
高屈折率膜94Hと低屈折率膜94Lとが交互に積層される光学多層膜の場合、最外層が高屈折率膜94Hであれば、各層の膜厚がすべて同数の奇数qwotにすると反射率ピークは波長λcを中心にほぼ等間隔に並ぶ形で分布する。また、qwot数を増やすほど、つまり光学膜の膜厚を厚くするほど反射率ピーク同士の間隔が狭くなり、積層数を増やすほど各反射率ピーク強度が向上する。図1に示す光学多層膜94は、プロジェクタ光のRGBの各波長領域に、ほぼ同反射率値の反射率ピークをそれぞれ1つずつ持たせるように、波長λcを530〜570nmの間とし、各層のqwot数をすべて11,13または15としている。特開2004−61546号公報に開示の光学多層膜はこれらの設計値が用いられている。
また、基板13は反射型スクリーン90の支持体となるものであり、可撓性を有するポリマーであり、光拡散層16は光学多層膜94で反射された光を散乱して散乱光を得るものであり、光吸収層91は光学多層膜94を透過した光を吸収するものである。
上記光学多層膜94を有する反射型スクリーン90は、プロジェクタからの映像を表現するのに必要なRGB三原色波長領域のみを反射し、外光の影響を有効に除去できるため、室内灯や太陽光の環境下においてもきわめて高いコントラストと色再現性を実現することができる。
しかしながら、現在市販されているプロジェクタのうち最も一般的な光源ランプは、高圧水銀ランプ(以下、UHPランプ)であるが、UHPランプなどを光源に用いたLCDプロジェクタから反射型スクリーン90に光を投射すると、光源スペクトルの一部もカットされてしまうため、反射光のホワイトバランスを大きく崩す結果となっていた。
その一例を図2に示す。図2には、UHPランプを光源としたプロジェクタ光の標準波形(図中、実線)と図1に示した反射型スクリーン90の反射率曲線(図中、破線)を示している。なお、反射型スクリーン90における光学多層膜94は5層構造であり、波長λcを550nmとし、各光学膜の膜厚設定に関するqwot数を13としている。
これら2曲線の重なりを見ると、プロジェクタ光のRGB三原色波長領域の各成分を反射型スクリーン90により反射できることがわかる。しかし、プロジェクタ光のB成分に相当する波長領域aの輝度ピークや、R成分に相当する波長領域cの輝度ピークは、反射型スクリーン90の反射率ピークd,fによりその一部が反射されるのに対し、G成分に相当する波長領域bの輝度ピークはその大部分が該スクリーンの反射率ピークeにより反射される。したがって、最終的に該スクリーンから反射される映像は、本来プロジェクタが表現しようとする映像よりも緑がかって見えた。
この緑がかった映像を本来の色度に修正する方法としては、以下に示す3つの方法が考えられる。
(方法1)プロジェクタ本体の色調整機能を用いる方法
(方法2)スクリーン側に緑の波長領域のみを吸収するような顔料や染料を交互膜よりも表面側に仕込む方法
(方法3)光学多層膜の膜厚設計により緑色成分の反射ピーク強度を赤色成分や青色成分のそれよりも低くする方法
(方法1)プロジェクタ本体の色調整機能を用いる方法
(方法2)スクリーン側に緑の波長領域のみを吸収するような顔料や染料を交互膜よりも表面側に仕込む方法
(方法3)光学多層膜の膜厚設計により緑色成分の反射ピーク強度を赤色成分や青色成分のそれよりも低くする方法
しかしながら、上記方法1の修正方法では、使用者自身でプロジェクタ光の色調整を行うため、正確な標準色に合わせることが困難であり操作自体も手間がかかっていた。また製品によっては、この調整機能を備えていないものもあった。また、上記方法2の修正方法は入射光が光学多層膜に到達する前にあらかじめ緑成分を減らしておくという方法であるが、真正面以外の斜め方向からスクリーンを観察したときに、外光の選択膜最表面における全反射成分が視聴者にとどく割合が増大するため、投影像が顔料や染料の色の影響を強く受けてしまい、その顔料や染料の色がかかった映像となっていた。また、真正面からみてもスクリーン端部においては同様の現象が起こりやすく、画面全体で均一な色表現をすることが極めて困難であった。一方、上記方法3の修正方法では方法1や方法2の欠点を補っており、ホワイトバランスを調整可能で、かつスクリーン全体で均一な色再現を行うことができる。しかしながら、この方法はRGBの反射ピークを作り出すための設計と緑色成分の波長領域における反射強度を青色成分や赤色成分よりも低くするための設計を重ね合わせて作る場合が多く、一般に光学多層膜の層数が多くなる傾向がある。このことは、材料費や製造コストを考慮する上で大きな問題となる。
本発明は、積層数が比較的少ない光学多層膜の反射・透過特性と顔料や染料等の光吸収特性と組み合わせることにより、上記色度点のずれを補正する機能を付与することを特徴とする。
従来の反射型スクリーンにおいて、入射するプロジェクタ光の一部は光学多層膜を透過し、反射により表示される映像には寄与していなかった。すなわち、前記反射型スクリーン90の場合、光学多層膜94の分光反射率において、ある波長の反射率が50%であった場合、入射した該波長の光の50%は反射され、残りの50%は透過し、底部の光吸収層91により吸収されていた。発明者らは、この光学多層膜を透過してしまう光に着目し、この光を有効に活用して上記色度点のずれを補正するという着想を得て、鋭意検討することにより本発明を成すに至った。
すなわち、仮に前記光吸収層91をアルミや銀などの光反射層に置き換えた場合、透過した光はこの光反射層により反射され再びスクリーン外部へ出射されるようになる。ここで、光学多層膜と光反射層との間に、ある波長領域に光吸収特性を有する色素層を設けた反射体を考えた場合、この反射体の最終的な反射特性は光学多層膜による光干渉効果と色素層による光吸収効果の両方の影響を受けたものとなる。発明者らはこのことを利用し、プロジェクタ光を外光よりも優先的に反射し、かつ緑色成分の波長領域の光を赤色成分や青色成分のそれよりも少なく反射することによりホワイトバランスが調整された反射体を作り出した。
図3に、本発明の基本原理の概念を示す。
図3は反射型スクリーンの一部として、光反射層11、色素層12、光学多層膜13が順番に積層された反射体の断面を示したものである。この反射体において、まず光学多層膜13表面から入る光のうち、RGB三原色波長領域の各成分の光R,G,Bが他の成分より優先的に反射される。この時、反射されなかった光R,G,Bのうち、光Rと光Bは下層部の色素層12をほとんど透過し、光反射層11により反射される。一方、光Gは色素層12により吸収される。その結果、反射光は光R,Bが光Gよりも多く反射されるようになり、ホワイトバランスが調整されたものとすることができる。
図3は反射型スクリーンの一部として、光反射層11、色素層12、光学多層膜13が順番に積層された反射体の断面を示したものである。この反射体において、まず光学多層膜13表面から入る光のうち、RGB三原色波長領域の各成分の光R,G,Bが他の成分より優先的に反射される。この時、反射されなかった光R,G,Bのうち、光Rと光Bは下層部の色素層12をほとんど透過し、光反射層11により反射される。一方、光Gは色素層12により吸収される。その結果、反射光は光R,Bが光Gよりも多く反射されるようになり、ホワイトバランスが調整されたものとすることができる。
図4及び図5を用いて、本発明の反射型スクリーンをより詳しく説明する。
図4は、本発明に係る反射型スクリーンの構成を示す断面図である。
反射型スクリーン10は、少なくとも可視波長領域における反射率が略均一の光反射層11と、透過する光の一部を吸収する色素層12と、屈折率がそれぞれ異なる数種の光学膜が積層された複数層からなる光学多層膜14とが順次積層された構成を有し、投射光により画像を表示するものである。また、反射型スクリーン10は、光学多層膜14上に粘着フィルム15を介して光拡散層16を備える。
図4は、本発明に係る反射型スクリーンの構成を示す断面図である。
反射型スクリーン10は、少なくとも可視波長領域における反射率が略均一の光反射層11と、透過する光の一部を吸収する色素層12と、屈折率がそれぞれ異なる数種の光学膜が積層された複数層からなる光学多層膜14とが順次積層された構成を有し、投射光により画像を表示するものである。また、反射型スクリーン10は、光学多層膜14上に粘着フィルム15を介して光拡散層16を備える。
ここで、光反射層11は、その表面がAl,Agまたはそれらの合金からなることが好ましい。その形態としてはAl,Agまたはそれらの合金からなる金属板、金属箔、もしくはプラスチックフィルムなどの基材上にその金属を被覆したものなどいずれのものでもよい。また、光反射層11の平坦性は、スクリーンとしての外光の散乱が少なくなりコントラストが向上するため、高いほうが望ましい。
色素層12は、顔料及び/又は染料の色素を含有し、赤色成分及び青色成分の波長領域における透過率よりも、前記緑色成分の波長領域における透過率が小さく、赤色成分及び青色成分の波長領域における吸収率よりも、前記緑色成分の波長領域における吸収率が大きい半透明層である。また、この色素層12に光反射層11と光学多層膜13とを貼り合わせるための粘着機能を付与してもよい。
また、色素層12は、前記投射光の赤色成分の輝線ピークの波長と緑色成分の輝線ピークの波長との間、及び緑色成分の輝線ピークの波長と青色成分の輝線ピークの波長との間に吸収特性を有することが好ましい。これにより、プロジェクタからの投射光以外の光、すなわち外光を吸収し、高コントラストの映像を表示することができる。
光学多層膜14は、基板13上に屈折率がそれぞれ異なる複数種類の光学膜が積層された複数層からなるものであり、少なくとも緑色成分の波長領域を含む特定波長領域に反射率ピークを有するとともに、前記特定波長領域以外の波長領域に対して高透過特性を有する。図4においては、基板13の両面それぞれに光学膜14H(1),14L(1),14H(2)が順番に設けられた構成を示している。ここで、光学膜14H(1),14H(2)は高屈折率の光学膜(高屈折率膜14H)であり、光学膜14L(1)は、光学膜14H(1),14H(2)よりも低屈折率の光学膜(低屈折率膜14L)である。また、光学膜14H(1)と光学膜14H(2)は、同一組成(屈折率が同じもの)からなり膜厚が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
高屈折率膜14H、低屈折率膜14Lは、それぞれスパッタリング法などのドライプロセス、あるいはスピンコート、ディップコートなどのウェットプロセスのいずれの方法によっても形成することができる。
ドライプロセスにより形成する場合には、高屈折率膜14Hの構成材料は、屈折率が2.0〜2.6程度のものであれば種々のものを用いることができる。同様に、低屈折率膜14Lの構成材料は、屈折率が1.3〜1.5程度のもので種々のものを用いることができる。例えば、高屈折率膜14Hは、TiO2,Nb2O5又はTa2O5からなり、低屈折率膜14Lは、SiO2又はMgF2からなるとすればよい。
ウェットプロセスにより形成する場合には、溶剤系塗料を塗布・硬化して得られる光学膜を用いることができる。また、それぞれの光学膜は、加熱や紫外線照射などにより付与されるエネルギーを吸収して硬化反応を起こす樹脂を含む塗料を塗布して形成するとよい。例えば、高屈折率膜14Hとしては、熱硬化型樹脂JSR製オプスター(JN7102、屈折率1.68)により形成され、低屈折率膜14Lとしては、熱硬化型樹脂JSR製オプスター(JN7215、屈折率1.41)により形成されるとよい。これにより光学多層膜14は可撓性を有する。また、高屈折率膜14Hは、上記熱硬化型樹脂に限定されるものではなく、1.6〜2.1程度の屈折率が確保できる溶剤系塗料であればよい。また、低屈折率用膜14Lは、上記熱硬化型樹脂に限定されるものではなく、1.3〜1.59程度の屈折率が確保できる溶剤系塗料であればよい。
また、光学多層膜14の緑色成分の波長領域における反射率ピークの反射率は75%以下であることが好ましい。これにより、反射型スクリーン10として表示される映像のホワイトバランスの調整が容易となるとともに、基板13における片面当りの積層数を3以下とすることができる。
なお、基板13は透明であり、透明フィルム、ガラス板、アクリル板、メタクリルスチレン板、ポリカーボネート板、レンズ等の所望の光学特性を満足するものであればよい。光学特性として、上記基板11を構成する材料の屈折率は1.3〜1.7、ヘイズは8%以下、透過率は80%以上が好ましい。また、基板13にアンチグレア機能をもたせてもよい。
透明フィルムはプラスチックフィルムが好ましく、このフィルムを形成する材料としては、例えばセルロース誘導体(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース及びニトロセルロース)、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA 型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールA のモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル;アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。この場合には加熱温度の上限が200℃以上となり、その温度範囲が幅広くなることが予想される。
プラスチックフィルムは、これらの樹脂を伸延あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。厚さは剛性の面からは厚いほうがよいが、ヘイズの面からは薄いほうが好ましく、通常25〜500μm程度である。
プラスチックフィルムは、これらの樹脂を伸延あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。厚さは剛性の面からは厚いほうがよいが、ヘイズの面からは薄いほうが好ましく、通常25〜500μm程度である。
また、上記プラスチックフィルムの表面がハードコートなどの被膜材料で被覆されたものであってもよく、無機物と有機物からなる光学多層膜の下層にこの被膜材料を存在させることによって、付着性、硬度、耐薬品性、耐久性、染色性などの諸物性を向上させることも可能である。
光拡散層16は、光学多層膜14が反射した光を拡散させるものである。光拡散層16の構成材料として特に限定されるものではなく従来公知のものを用いることが可能であり、例えばビーズを配列した層により構成することができる。このようにビーズを配列することにより構成した光拡散層は、使用するビーズの種類、大きさ等の諸条件により、ある特定範囲の波長の光に対して優れた光散乱特性を有するなどの特性を設計することも可能である。また、光拡散層としては、マイクロレンズアレー(MLA)を形成したフィルムなどを用いることも可能である。
図5は、反射型スクリーン10を構成する実際の部材である各層の分光特性例を示したものである。
このうち、図5(a)は、本発明に適した光吸収特性を有する色素層12の分光透過率曲線を示している。色素層12は波長500〜600nmの波長領域a1において透過率の小さい、すなわち吸収率の大きい特性を有している。
このうち、図5(a)は、本発明に適した光吸収特性を有する色素層12の分光透過率曲線を示している。色素層12は波長500〜600nmの波長領域a1において透過率の小さい、すなわち吸収率の大きい特性を有している。
図5(b)は、光学多層膜14の分光反射率曲線を示している。光学多層膜14は、RGB領域それぞれにほぼ同じ反射率の反射率ピークを有し、かつ、そのピークにおける反射率が75%以下、より好ましくは40〜60%の値となるような波形を有する。このような光学多層膜14は、2種類の屈折率の異なる膜を用いれば2〜3層積層することで作り出すことが可能である。
図5(c)は、光反射層11と、図5(a)の特性を持つ色素層12と、図5(b)の特性を持つ光学多層膜14とが順次設けられた反射体の分光反射率曲線である。
ここで、光学多層膜14におけるRGB三原色波長領域にそれぞれ対応する反射率ピークP3,P2,P1のうち、ピークP1とピークP3は、その波長領域の光の透過成分が下層の光反射層11により反射されるために増幅されるが、ピークP2はその領域の透過成分が色素層12により吸収されるために増幅されず、結果的に反射体としては反射率ピークp2は反射率ピークp3およびp4よりも低い反射率を有する特性となり、図2に示すプロジェクタ光と組合せた場合にホワイトバランスのとれた映像を表示することが可能となる。
ここで、光学多層膜14におけるRGB三原色波長領域にそれぞれ対応する反射率ピークP3,P2,P1のうち、ピークP1とピークP3は、その波長領域の光の透過成分が下層の光反射層11により反射されるために増幅されるが、ピークP2はその領域の透過成分が色素層12により吸収されるために増幅されず、結果的に反射体としては反射率ピークp2は反射率ピークp3およびp4よりも低い反射率を有する特性となり、図2に示すプロジェクタ光と組合せた場合にホワイトバランスのとれた映像を表示することが可能となる。
なお、ここでいうRGB三原色波長領域は、プロジェクタからの投射光(プロジェクタ光)の赤色成分、緑色成分及び青色成分の各波長領域であるが、該プロジェクタ光の各波長領域の光の強度に応じて、光学多層膜14については前記各波長領域それぞれの反射率が調整された反射特性を有するようにするとともに、色素層12については前記各波長領域それぞれの透過率が調整された透過・吸収特性を有するようにして、反射型スクリーンにおける色度点のずれを補正してホワイトバランスの調整を行うとよい。
具体的には、光学多層膜14については、光学膜(高屈折率膜14H,低屈折率膜14L)の構成材料(屈折率)を決定し、光学膜の各膜厚について、前記(1)式により前記RGB三原色波長領域の光に対して上記反射特性を有し、少なくとも該波長域光以外の可視波長域光に対しては高透過特性を有するように膜厚設計するとよい。
また、色素層12については、含有させる顔料及び/又は染料の色素材料を決定し、該色素含有量を変化させることにより図5(b)に示す色素層12の吸収領域a1の透過率の値を調整するとよい。とくに、プロジェクタ及び光学多層膜14の構成を固定した後に該色素層12の色素含有量を調整するようにすれば、最終的な反射型スクリーンの微妙な色度バランスの調整を容易に行うことができる。
また、光学多層膜14における波長領域a2およびa3(図5(b))に示す透過量が多い範囲の光については、この領域と色素層12におけるa1の吸収領域(図5(a))とが重なるため、そのほとんどが色素層12で吸収される。その結果、a2およびa3の領域は反射体の波形(図5(c))において波長領域a4およびa5で認められる反射率ボトム領域となる。この領域はプロジェクタ光のRGB成分外の領域であり、主に外光を吸収する領域となるためスクリーンのコントラスト向上に寄与する。
なお、上述した本発明の色度修正方法は前記方法1と色素層を利用する点では同じであるが、方法1は光学多層膜より上部(スクリーン表面側)に色素層を用いるのに対し、本方法ではその下部に設けられるため、外光の高角度入射によるスクリーン着色化は方法1より起こりにくい。
さらにこの方法は、前記方法3のように光学多層膜の積総数により制約されるピーク強度限界値から、膜厚設定により緑色成分の反射率ピークの強度を低下させる方法とは異なり、赤色,青色成分の透過成分を下部で反射させて上乗せする方法であるため、スクリーンの輝度の向上にも利用可能である。
さらにこの方法は、前記方法3のように光学多層膜の積総数により制約されるピーク強度限界値から、膜厚設定により緑色成分の反射率ピークの強度を低下させる方法とは異なり、赤色,青色成分の透過成分を下部で反射させて上乗せする方法であるため、スクリーンの輝度の向上にも利用可能である。
上記本発明を実際に実施した例を以下に説明する。この実施例は例示であり、本発明は
この実施例に限定されるものではない。
この実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1における高屈折率膜用材料である塗料(I),低屈折率膜用材料である塗料(II)の組成と製造方法及びスクリーン製造方法を以下に示す。
実施例1における高屈折率膜用材料である塗料(I),低屈折率膜用材料である塗料(II)の組成と製造方法及びスクリーン製造方法を以下に示す。
(1)塗料(I)
・顔料微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48)100重量部(2.02wt%)
・結合剤:SO3Na基含有ウレタンアクリレート
(数平均分子量:350、SO3Na濃度:1×10-1 mol/g)9.2重量部(0.19wt%)
・分散剤:ポリオキシエチレンリン酸エステル 7.5重量部(0.15wt%)
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン(MIBK)4800重量部(97.19wt%)
・UV硬化性樹脂:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
(日本化薬社製、商品名DPHA) 22重量部(0.45wt%)
・顔料微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48)100重量部(2.02wt%)
・結合剤:SO3Na基含有ウレタンアクリレート
(数平均分子量:350、SO3Na濃度:1×10-1 mol/g)9.2重量部(0.19wt%)
・分散剤:ポリオキシエチレンリン酸エステル 7.5重量部(0.15wt%)
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン(MIBK)4800重量部(97.19wt%)
・UV硬化性樹脂:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物
(日本化薬社製、商品名DPHA) 22重量部(0.45wt%)
上記顔料微粒子、分散剤、結合剤、有機溶媒を所定量混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行い微粒子分散液を得た。つぎに、UV硬化性樹脂を添加し、攪拌機にて攪拌処理を行い、塗料(I)とした。なお、塗料(I)より成膜した光学膜について、フィルメトリックス(松下インターテクノ社製)を用いて膜の屈折率を測定したところ、可視領域で平均1.94であった。
(2)塗料(II)
・結合剤:末端カルボキシル基をもつパーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体
100重量部(5.66wt%)
・有機溶媒:含フッ素アルコール(C6F13C2H4OH)とパーフルオロブチルアミンとの混合溶媒(混合比95:5) 1666重量部(94.34wt%)
上記結合剤と有機溶媒とを混合し、十分攪拌して塗料(II)とした。なお、塗料(II)より成膜した光学膜について、フィルメトリックス(松下インターテクノ社製)を用いて膜の屈折率を測定したところ、可視領域で平均1.34であった。
・結合剤:末端カルボキシル基をもつパーフルオロブテニルビニルエーテルの重合体
100重量部(5.66wt%)
・有機溶媒:含フッ素アルコール(C6F13C2H4OH)とパーフルオロブチルアミンとの混合溶媒(混合比95:5) 1666重量部(94.34wt%)
上記結合剤と有機溶媒とを混合し、十分攪拌して塗料(II)とした。なお、塗料(II)より成膜した光学膜について、フィルメトリックス(松下インターテクノ社製)を用いて膜の屈折率を測定したところ、可視領域で平均1.34であった。
(3)目標膜厚の設定
(s11)上記の通り、高屈折率膜,低屈折率膜それぞれの屈折率はnH=1.94,nL=1.34であった。
(s12)プロジェクタの光源をUHPランプとし、その光源スペクトルから求めた最強輝度ピークの波長λcは550nmであった。
(s13)ステップs11の屈折率nH,nL、ステップs12の波長λcを使い、上式(1)に基づいて図4に示す光学多層膜14の構成を前提に光学膜14H(1),14L(1),14H(2)それぞれの目標膜厚を設定した。具体的には、光学積層膜14の各層のqwot数をすべて13として式(1)より目標膜厚を求め、光学膜14H(1),14H(2)の目標膜厚を921nm、光学膜14L(1)の目標膜厚を1334nmとし、14H(1)/14L(1)/14H(2)の片面3層、表裏合わせて6層膜構成とした。
(s11)上記の通り、高屈折率膜,低屈折率膜それぞれの屈折率はnH=1.94,nL=1.34であった。
(s12)プロジェクタの光源をUHPランプとし、その光源スペクトルから求めた最強輝度ピークの波長λcは550nmであった。
(s13)ステップs11の屈折率nH,nL、ステップs12の波長λcを使い、上式(1)に基づいて図4に示す光学多層膜14の構成を前提に光学膜14H(1),14L(1),14H(2)それぞれの目標膜厚を設定した。具体的には、光学積層膜14の各層のqwot数をすべて13として式(1)より目標膜厚を求め、光学膜14H(1),14H(2)の目標膜厚を921nm、光学膜14L(1)の目標膜厚を1334nmとし、14H(1)/14L(1)/14H(2)の片面3層、表裏合わせて6層膜構成とした。
(4)反射型スクリーンの製造方法
(s21)PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の主面に塗料(I)をディッピング方式で塗布した。塗料(I)の塗布量は基板の引き上げ速度を調整して行い、目標膜厚921nmとなる量とした。
(s22)塗料(I)の塗膜を80℃で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、高屈折率の光学膜14H(1)を形成した。
(s23)ついで、その高屈折率膜14H上に塗料(II)をディッピング方式で塗布した。塗料(II)の塗布量は基板の引き上げ速度を調整して行い、目標膜厚1334nmとなる量とした。
(s24)塗料(II)の塗膜を室温で乾燥後、90℃で熱硬化を行い、低屈折率の光学膜14L(1)を形成した。
(s25)ステップs21,s22と同様の方法によりステップs24により作製された光学膜14L(1)上に高屈折率の光学膜14H(2)を形成し、両面で合計6層の膜を基板13上に作製した。この段階のサンプル(PETフィルム両面に光学多層膜14が設けられたもの)についての分光反射率特性を図6(a)に示す。
(s21)PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の主面に塗料(I)をディッピング方式で塗布した。塗料(I)の塗布量は基板の引き上げ速度を調整して行い、目標膜厚921nmとなる量とした。
(s22)塗料(I)の塗膜を80℃で乾燥後、紫外線(UV)硬化(1000mJ/cm2)させ、高屈折率の光学膜14H(1)を形成した。
(s23)ついで、その高屈折率膜14H上に塗料(II)をディッピング方式で塗布した。塗料(II)の塗布量は基板の引き上げ速度を調整して行い、目標膜厚1334nmとなる量とした。
(s24)塗料(II)の塗膜を室温で乾燥後、90℃で熱硬化を行い、低屈折率の光学膜14L(1)を形成した。
(s25)ステップs21,s22と同様の方法によりステップs24により作製された光学膜14L(1)上に高屈折率の光学膜14H(2)を形成し、両面で合計6層の膜を基板13上に作製した。この段階のサンプル(PETフィルム両面に光学多層膜14が設けられたもの)についての分光反射率特性を図6(a)に示す。
(s26)一方の光学多層膜14上にシート状の拡散層16を、透明粘着フィルム15を用いて貼り合わせた。
(s27)他方の光学多層膜14上に、図5(a)の透過・吸収特性を有する色素含有粘着フィルムAである色素層12を介してAl層を表面に蒸着したPETフィルムを光反射層11として貼り付けて反射型スクリーン10とした。
(s27)他方の光学多層膜14上に、図5(a)の透過・吸収特性を有する色素含有粘着フィルムAである色素層12を介してAl層を表面に蒸着したPETフィルムを光反射層11として貼り付けて反射型スクリーン10とした。
得られた反射型スクリーンの評価として、以下の方法により色度評価を行った。
まず、UHPランプを光源としたプロジェクタ(ソニー(株)製HS20)から該スクリーン中央部に白色像を投射し、スクリーン中央部からの反射光のCIE1960uv色度座標を分光放射輝度計(ミノルタ製CS1000)により測定した。ついで、その座標と完全放射体軌跡との距離Δuvの値を求め、この値が小さいほどホワイトバランス良好とみなした。
まず、UHPランプを光源としたプロジェクタ(ソニー(株)製HS20)から該スクリーン中央部に白色像を投射し、スクリーン中央部からの反射光のCIE1960uv色度座標を分光放射輝度計(ミノルタ製CS1000)により測定した。ついで、その座標と完全放射体軌跡との距離Δuvの値を求め、この値が小さいほどホワイトバランス良好とみなした。
(実施例2〜4)
実施例1において、光学多層膜14の膜厚設計をそれぞれ表1のごとく、光学膜14H(1)/14L(1)/14H(2)として354/1334/354nm(実施例2)、212/1334/212nm(実施例3)、921/513/921nm(実施例4)に変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、実施例2〜4それぞれのPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図6(b)〜図6(d)に示す。
実施例1において、光学多層膜14の膜厚設計をそれぞれ表1のごとく、光学膜14H(1)/14L(1)/14H(2)として354/1334/354nm(実施例2)、212/1334/212nm(実施例3)、921/513/921nm(実施例4)に変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、実施例2〜4それぞれのPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図6(b)〜図6(d)に示す。
(実施例5,6)
実施例1において、光学多層膜14の膜厚設計をそれぞれ表1のごとく、光学膜14H(1)/14L(1)/14H(2)として916/745/916nm(実施例5)、916/541/916nm(実施例6)に変更し、さらに色素層12を図7に示す透過・吸収特性を有する色素含有粘着フィルムBに変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、実施例5,6それぞれのPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図8(e),図8(f)に示す。
実施例1において、光学多層膜14の膜厚設計をそれぞれ表1のごとく、光学膜14H(1)/14L(1)/14H(2)として916/745/916nm(実施例5)、916/541/916nm(実施例6)に変更し、さらに色素層12を図7に示す透過・吸収特性を有する色素含有粘着フィルムBに変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、実施例5,6それぞれのPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図8(e),図8(f)に示す。
(実施例7,8)
実施例1において、光学多層膜14の膜厚設計をそれぞれ表1のごとく、光学膜14H(1)/14L(1)/14H(2)として0/753/913nm(実施例7)、0/346/913nm(実施例8)の片面2層構造のものに変更し、さらに色素層12を図9に示す透過・吸収特性を有する色素含有粘着フィルムCに変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、実施例7,8それぞれのPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図8(g),図8(h)に示す。
実施例1において、光学多層膜14の膜厚設計をそれぞれ表1のごとく、光学膜14H(1)/14L(1)/14H(2)として0/753/913nm(実施例7)、0/346/913nm(実施例8)の片面2層構造のものに変更し、さらに色素層12を図9に示す透過・吸収特性を有する色素含有粘着フィルムCに変更し、それ以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、実施例7,8それぞれのPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図8(g),図8(h)に示す。
つぎに比較例として、前記実施例の光学多層膜と積層数がほぼ同じ状態で、該光学多層膜の膜厚設計のみにより色度調整を行うことを試みた。
(比較例1)
実施例1において、図4における色素層12及び光反射層11を用いず、その代わりにその部位を黒色PETフィルムである光吸収層とし、それ以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、比較例1のPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図10(i)に示す。
(比較例1)
実施例1において、図4における色素層12及び光反射層11を用いず、その代わりにその部位を黒色PETフィルムである光吸収層とし、それ以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、比較例1のPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図10(i)に示す。
(比較例2,3)
実施例1において、図4における色素層12及び光反射層11を用いず、その代わりにその部位を黒色PETフィルムである光吸収層とし、さらに光学多層膜14の膜厚設計をそれぞれ表1のごとく、光学膜14H(1)/14L(1)/14H(2)として425/1334/921nm(比較例2)、425/1533/1063nm(比較例3)に変更し、以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、比較例2,3それぞれのPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図10(j),図10(k)に示す。
実施例1において、図4における色素層12及び光反射層11を用いず、その代わりにその部位を黒色PETフィルムである光吸収層とし、さらに光学多層膜14の膜厚設計をそれぞれ表1のごとく、光学膜14H(1)/14L(1)/14H(2)として425/1334/921nm(比較例2)、425/1533/1063nm(比較例3)に変更し、以外は実施例1と同じ条件で反射型スクリーンを作製した。なお、比較例2,3それぞれのPETフィルム両面に光学多層膜14が設けられた段階のサンプルについての分光反射率特性を図10(j),図10(k)に示す。
以上の得られた実施例の反射型スクリーンの分光反射率特性を図11,図12に示す。また、実施例、比較例の反射型スクリーンの色度評価結果を表2に示す。
表2の色度差Δuvの値の大きさについて実施例と比較例とを比較してみると、実施例のほうがいずれも比較例よりも小さく、本発明による色調整が有効であることが確認された。
表2の色度差Δuvの値の大きさについて実施例と比較例とを比較してみると、実施例のほうがいずれも比較例よりも小さく、本発明による色調整が有効であることが確認された。
10,90…反射型スクリーン、11…光反射層、12…色素層、13…基板、14…光学多層膜、14H(1),14H(2),14L(1),94H,94L…光学膜、15…粘着フィルム、16…光拡散層、91…光吸収層
Claims (6)
- 投射光により画像を表示する反射型スクリーンにおいて、
少なくとも可視波長領域における反射率が略均一である光反射層と、
顔料及び/又は染料の色素を含有し、透過する光の一部を吸収する色素層と、
屈折率がそれぞれ異なる数種の光学膜が積層された複数層からなり、特定波長領域に反射率ピークを有するとともに、前記特定波長領域以外の波長領域に対して高透過特性を有する光学多層膜とが順次積層されてなることを特徴とする反射型スクリーン。 - 前記光学多層膜は、前記特定波長領域として少なくとも緑色成分の波長領域に反射率ピークを有し、
前記色素層は、赤色成分及び青色成分の波長領域における透過率よりも、前記緑色成分の波長領域における透過率が小さいことを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。 - 前記光学多層膜の緑色成分の波長領域における反射率ピークの反射率が75%以下であることを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
- 前記特定波長領域は、前記投射光の赤色成分、緑色成分及び青色成分の各波長領域であって、該各波長領域の光の強度に応じて、前記光学多層膜は前記各波長領域それぞれの反射率が調整された反射特性を有するとともに、前記色素層は前記各波長領域それぞれの透過率が調整された透過・吸収特性を有することを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
- 前記色素層は、前記投射光の赤色成分の輝線ピークの波長と緑色成分の輝線ピークの波長との間、及び緑色成分の輝線ピークの波長と青色成分の輝線ピークの波長との間に吸収特性を有することを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
- 前記光学多層膜上に反射光を散乱させる光拡散層を備えることを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
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Cited By (1)
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JP2011085753A (ja) * | 2009-10-15 | 2011-04-28 | Seiko Epson Corp | スクリーンおよびプロジェクションシステム |
-
2005
- 2005-06-20 JP JP2005179013A patent/JP2006350185A/ja active Pending
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JP2011085753A (ja) * | 2009-10-15 | 2011-04-28 | Seiko Epson Corp | スクリーンおよびプロジェクションシステム |
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