JP2006343305A - 三極管型熱陰極電離真空計 - Google Patents
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Abstract
【課題】 三極管型熱陰極電離真空計において、測定管の内部電極と測定管内壁の脱ガス効果を向上させる。
【解決手段】 三極管型熱陰極電離真空計において、集イオン電極7を螺旋形状にし、電極の両端を導入端子12、13に接続する。この導入電極に電力を供給し、集イオン電極を加熱する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電離真空計に属する、三極管型熱陰極電離真空計の集イオン電極に関するものである。
熱陰極電離真空計で多用されているものに、B−A型熱陰極電離真空計と、三極管型熱陰極電離真空計がある。いずれも、真空度を直接感知する測定管と制御機とよりなる。制御機は測定管に電力を供給し、測定管より真空度に対応して流入するイオン電流を読み取る装置である。
本発明は、三極管型熱陰極電離真空計の測定管に関するもので、これの従来の技術について述べる。
図2の縦断面図によって示す三極管型測定管は、ガラス容器1の内部中央に、逆V字状の熱陰極2と、その外側に螺旋状の集電子電極3を置き、更にその外側に円筒状の集イオン電極4を置く。測定管はφ15かφ18の接続管5を経て、真空槽に取り付けられる。このような構造から、真空槽内と測定管内は、ほぼ同一気圧雰囲気中に置かれる。
管内の各電極は、管の下部に設置されている導入端子群6を経て外部に突き出し、制御機と電気的に接続されている。
管内の各電極は、管の下部に設置されている導入端子群6を経て外部に突き出し、制御機と電気的に接続されている。
以上の構成において、真空時に熱陰極を点火すると、熱電子は150V付近の電圧を加えてある集電子電極に向かうが、大部分は集電子電極に直接捕足されず、その前後を何回も往復する。熱電子の飛翔時には、管内残留気体と衝突を繰り返し、イオンを発生させる。イオンは正の電荷をもっているので、集電子電極より電位の低い集イオン電極に捕足され、イオン電流となる。熱電子の飛翔時に発生するイオン電流は、残留気体の量に比例するので、集イオン電極に流れるイオン電流値より、管内の真空度を知ることができる。
上述の真空度測定時に、管内各電極、および、管壁より吸着ガスの放出があると、測定管内の真の真空度を測定することはできない。通常真空槽内に大気を導入し、これを排気し、真空にする動作を再三に亘り繰り返す。真空槽に大気を導入したとき、測定管の内部電極とガラス管内壁は大気に曝され、ガスを吸着する機会をもつ。そのため、真空槽内を真空にしたとき、これらの吸着ガスが放出され続けると正確な真空度の測定を妨げる。
吸着ガスの存在は次の方法により確かめられる。真空槽内を10−3Paより圧力を低下させた状態で、測定管壁と電極に熱を加えると、急激に真空度は悪くなり、吸着ガスの放出を知る。
上述の結果より、真の真空度を知るにはガラス管内壁や測定管内部電極に熱を加え、吸着ガスの除去を必要とする。以下、このような操作を脱ガスを行うと記述する。測定管壁や電極の脱ガスを行う従来の技術と、それらの特徴は次の通りである。
測定管外壁よりの加温。測定管外壁にニクロム線等の発熱体線条を巻きつけ通電過熱し、測定管全体を加温する。測定管外壁に発熱体を巻きつけ、一体化して製造する方法は困難であり、電力が大きいため、発熱体に電力を供給する機構をもった制御機も大型化する欠点がある。
集電子電極通電加熱方式。集電子電極に3〜5アンペアを通電し電極を赤熱させ、測定管内を加温する。この時熱陰極を点火すれば、測定管内は更に高温になる。この方法は、吸着ガス量と放出の程度を知ることができることから、従来最も多く使用されているが、脱ガスに必要な充分な温度は得られず、脱ガスには通常20分以上要する。
三極管型測定管において、測定管内の電極と、管内壁の脱ガスを短時間で終了させる方法を見出すことを目的とした。
集イオン電極の構造を、金属線で通電可能な螺旋状形態にすることにより解決した。以後、この螺旋状の集イオン電極を単に集イオン電極と呼び、螺旋状であることを強調する場合は、螺旋状集イオン電極と称する。
図1は、本発明の螺旋状集イオン電極7を取り付けた縦断面図で、熱陰極2、集電子電極3は従来のものと等しい。図1のように、各電極は導入端子に接続されており、熱陰極は8、9に、集電子電極は10、11に、集イオン電極は12、13の導入端子に接続してある。
本発明の螺旋状集電子電極により構成した測定管は次の利点をもつ。
1.螺旋用集イオン電極の表面積と体積は、従来の円筒状集イオン電極の1/2以下になり、大気導入時の吸着ガス量は減少する。この集イオン電極の形状から脱ガス時における集電子電極を通電加熱したときの熱線の大部分は管壁に到達するので、管壁の温度は上昇し、これの脱ガスは短時間で終了する。
2.集イオン電極の螺旋線条をタングステン線、モリブデン線等の高融点金属を用い、これに通電し加熱すれば、集イオン電極自体と、これに近接する管内壁の脱ガスは急激に進む。このとき、集電子電極の通電加熱を同時に行えば、測定管内の脱ガスは5分〜10分で完了する。
3.後述するように、集イオン電極の通電加熱を独立した電源によって行えば、集イオン電極を加熱した状態で、イオン電流の計測を行うことができる。従って、脱ガスの状態を連続して知ることができる利点を生じる。
従来から使用されている熱陰極用の点火電源、集電子電極に印加する150V付近の電源、集電子電極用の加熱電源、および、イオン電流の読取り装置を備える制御機に、本発明の測定管を接続すると、従来の測定管と感度において大差ないので、真空度の測定が可能で、吸着ガスも少量なため、集電子電極の通電加熱による脱ガス時間が短縮される利点を生じる。
前述において、集イオン電極の加熱に専用の電源を用いれば、集イオン電極の加熱中でも、イオン電流が測定できることを述べた。これは三極管型測定管の測定範囲では、イオン電流が数百pA以上であること、および、絶縁抵抗の高い電源トランス、スイッチ等が入手可能になったためである。これらの部品による回路構成には、次のような点に留意する必要がある。
図3の集イオン電極の導入端子12、13に接続した通電加熱用電源15と、スイッチ16、17よりなる回路において、スイッチの絶縁抵抗が低ければ、スイッッチ16、17がOFF状態でも、真空度に比例したイオン電流は制御機に流入しない。また絶縁抵抗の高いスイッチを使用しても、スイッチ16、17をON状態にし、集イオン電極を加熱した時、管内ガスの吸着ガスの放出の完了を正確に知ることができない。理由は、電源トランス14のリーク電流が、スイッチを通じて集イオン電極に流入するためである。
この欠点を除くには、通電加熱用電源は、電源トランスの鉄心、および、他の巻き線間の絶縁抵抗をなるべく高くなるよう構成し、スイッチ16、17の絶縁抵抗も極力高いものを使用する。実験結果から絶縁抵抗は、5000MΩ以上が必要で、スイッチには大型のウエハーをもつ手動スイッチか、電子的に動作するホトモスリレー、リードリレーの使用が適切である。
この欠点を除くには、通電加熱用電源は、電源トランスの鉄心、および、他の巻き線間の絶縁抵抗をなるべく高くなるよう構成し、スイッチ16、17の絶縁抵抗も極力高いものを使用する。実験結果から絶縁抵抗は、5000MΩ以上が必要で、スイッチには大型のウエハーをもつ手動スイッチか、電子的に動作するホトモスリレー、リードリレーの使用が適切である。
真空度の測定を必要とせず、単に脱ガスを行うには図4のように通電加熱用電源は一回路で、導入端子12、13と10、11に接続し、スイッチ16、17、18、19をONにすれば、集イオン電極と集電子電極の加熱を同時に行うことができる。この場合、機器の保護のため、イオン電流読取り装置か、集電子電極に加えてある150V付近の印加電圧の、いずれかを切り離す必要がある。イオン電流読取り装置を切り離してある場合は、熱電子電極を点火した時に通常のエミッション電流が流れる。また、熱電子電極を点火せず、熱電子点火用の電源を回路から切り離し、この電源により集イオン電極と集電子電極を共に加熱する方法もある。
図1に示した集イオン電極7は、スプリングと同様な単純な巻き方である。これを線条長の中央を折り曲げ、その部分を他端子よりの線条で保持する2重巻き、またはダブル巻きと呼ばれる巻き方を採用しても良い。
真空槽は半導体、薄膜等の製造に広く使用されている。真空槽は真空中においての作業終了後に大気を導入し、次の準備にかかり、更に槽内を真空にして次の作業に移る。このような課程において、真空計の脱ガスが短時間で終了し、真の真空度を素早く示すことができれば、作業の回転を円滑にし、能率の向上に寄与することができる。
1:ガラス容器
2:熱陰極
3:集電子電極
4:円筒状集イオン電極
5:真空槽への接続管
6:導入端子群
7:螺旋状集イオン電極
8、9:熱陰極導入端子
10、11:集電子電極導入端子
12、13:螺旋状集イオン電極導入端子
14:電源トランス
15:通電加熱用電源
16、17、18、19:スイッチ
20:交流100V
2:熱陰極
3:集電子電極
4:円筒状集イオン電極
5:真空槽への接続管
6:導入端子群
7:螺旋状集イオン電極
8、9:熱陰極導入端子
10、11:集電子電極導入端子
12、13:螺旋状集イオン電極導入端子
14:電源トランス
15:通電加熱用電源
16、17、18、19:スイッチ
20:交流100V
Claims (1)
- 集イオン電極を螺旋状抵抗線により構成し、その両端を個別の導入端子に接続し、両導入端子間は螺旋状抵抗線のもつ抵抗を介して、通電可能な状態にあることを特徴とする三極管型熱電子電離真空計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005213394A JP2006343305A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 三極管型熱陰極電離真空計 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005213394A JP2006343305A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 三極管型熱陰極電離真空計 |
Publications (1)
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JP2006343305A true JP2006343305A (ja) | 2006-12-21 |
Family
ID=37640360
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005213394A Pending JP2006343305A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 三極管型熱陰極電離真空計 |
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JP (1) | JP2006343305A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008233079A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-02 | Kofukin Seimitsu Kogyo (Shenzhen) Yugenkoshi | 電離真空計 |
JP2008281565A (ja) * | 2007-05-09 | 2008-11-20 | Kofukin Seimitsu Kogyo (Shenzhen) Yugenkoshi | 電離真空計 |
JP2013072695A (ja) * | 2011-09-27 | 2013-04-22 | Ulvac Japan Ltd | 熱陰極電離真空計 |
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2005
- 2005-06-09 JP JP2005213394A patent/JP2006343305A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8242783B2 (en) | 2007-03-16 | 2012-08-14 | Tsinghua University | Ionization vacuum gauge |
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