JP2006339237A - 多波長の同期パルス光源 - Google Patents

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Abstract

【課題】モード同期半導体レーザを用いて、同期した光パルスを生成するようにした多波長の同期パルス光源の提供
【解決手段】半導体レーザ110’,110’’,110’’’に対して、正弦波電源122からの同じ正弦波をSA領域に、逆バイアスに重畳して印加し、外部共振器130’,130’’,130’’’で別々の波長(λ,λ,λ)の光パルスとなるように選択的に発生させている。各半導体レーザ110’,110’’,110’’’には電流源126からの電流をゲイン領域に印加している。各モード同期半導体レーザからの光パルスは、正弦波に同期した複数波長の数ピコ秒以下の超短光パルスとして、発生することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数波長の同期パルス光源に関するものであり、特に、光パルス間の同期ずれが小さい、超短光パルスの同期パルス光源に関するものである。
医療計測分野では、超短光パルスレーザが多用されていく動向である。例として挙げると、光コヒーレンストモグラフィ,多光子吸収蛍光,高調波発生,コヒーレント反ストークスラマン分光,テラヘルツ分光など急速な適用領域の広がりが見られる。現状の問題は、ほとんどの超短光パルス光源が欧米で開発された理化学用途の固体レーザであり、大型・高価でかつ操作にも習熟が必要であることから汎用機器としての導入が阻害されていることである。
固体レーザに代わる光パルスを発生する超短光パルスの半導体レーザとして、モード同期半導体レーザが注目されている(非特許文献1,2参照)。図1にモード同期半導体レーザ100の構成例を示す。半導体レーザ110のチップの片方には端面高反射膜(HRコーティング)118を施し、他の端面には反射防止膜(ARコーティング)116を施している。半導体レーザ110のゲイン領域114には、定電流源126からバイアス電流を印加している。基本的動作では、高反射膜118と外部共振器130を構成しているミラー136との間で、低タイミングジッタかつ低チャーピングの光パルスが形成される。また、外部共振器130内の波長選択素子134の挿入により、半導体レーザの利得の帯域幅内で中心波長を選択することができる。
モード同期により数ピコ秒以下の時間幅の超短光パルスを得るうえでは、半導体レーザ110内に組み込まれた可飽和吸収体(saturable absorber:SA)領域112が大きな役割を果たす。SA領域112は、光強度が低いと吸収が大きく、光強度が高いと吸収が飽和して透過率が高くなる性質を持つ。この作用により、共振器内で光パルスの短縮化が進行する。このような動作は受動モード同期と呼ばれている。このSA領域112に共振器内を光が往復する時間の周期の正弦波を、逆バイアスに重畳して、共振器の損失変調を行って電気的同期をとっている。このような動作をハイブリッドモード同期という。また、直流電流源を正弦波変調させるハイブリッドモード同期の構成もある。
さて、光計測の機能の高度化に伴い、複数波長の超短同期光パルスが用いられるようになってきた。固体レーザでは複数波長の同期光パルスを実現するには極めて大型かつ高価なシステム構成にせざるを得ない。
したがって、上述したモード同期半導体レーザを用いた簡単な構成で、複数波長の同期光パルスを得る構成が望まれている。
横山弘之「超高速・超広帯域コヒーレント光源」OPTRONICS(2004)No.9,p142−148 「モード同期半導体レーザ」超高速光エレクトロニクス技術ハンドブック p98−110 サイペック社 2003
本発明の目的は、それぞれ別々の波長の光パルスを発生するモード同期半導体レーザを用いて、同期した光パルスを生成するようにした多波長の同期パルス光源を提供するものである。
上記目的を達成するために、本発明は、周期的な電気信号を発生する周期信号発生器と、該周期信号発生器からの周期的な電気信号を入力して、該電気信号に同期してそれぞれ異なる波長の光パルスを発生する複数のモード同期半導体レーザとを備えており、簡単な構成で同期した多波長の光パルスを得ることができる多波長の同期パルス光源である。
前記周期信号発生器は、例えば正弦波発生器であり、周期的な電気信号は正弦波である。
また、前記周期信号発生器は、パルス信号を繰り返し発生するパルス発生器であり、前記複数のモード同期半導体レーザは、該パルス発生器からのパルス信号を入力して、該パルス信号に同期してそれぞれ異なる波長の光パルスを発生することが望ましい。
このとき、前記パルス発生器は、モード同期半導体レーザからの光パルスを一旦電気パルスに変換して、光パルスの発生に用いるとさらによい。これは、複数のパルス発生器の同期をとるときに、電気パルスの時間幅が狭いほど有利であることによる。
さらに、前記パルス発生器からのパルス信号を分周するパルス分周器と、該パルス分周器からの分周されたパルス信号により駆動される複数の光ゲートとを備え、前記複数のモード同期半導体レーザからの光パルスを該光ゲートを通過させることで、より低い繰り返し周波数の多波長の光パルスを得ることができる。
また、さらに、非線形波長変換器と、波長セレクタとを備え、前記複数の同期光パルスを前記非線形波長変換器に入力し、発生する複数波長の光パルスから、所定の複数波長の光パルスを前記波長セレクタにより選択することもできる。
本発明により、モード同期半導体レーザをベースとした小型・高安定な、複数波長で同期したピコ秒程度以下の超短パルス光源が実現され、医療計測分野を始めとして高機能の光計測に広く資することができる。
図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
複数波長の数ピコ秒以下の超短同期光パルスを得るために、図2のように、上述で説明したモード同期半導体レーザを、例えば3台用いて構成した例を示す。
図2の構成では、半導体レーザ110’,110’’,110’’’に対して、周期信号を発生する正弦波電源122からの同じ正弦波をSA領域に、逆バイアスに重畳して印加し、外部共振器130’,130’’,130’’’で別々の波長(λ,λ,λ)の光パルスとなるように選択的に発生させている。各半導体レーザ110’,110’’,110’’’には電流源126からの電流をゲイン領域に印加している。各モード同期半導体レーザからの光パルスは正弦波に同期した複数波長の数ピコ秒以下の超短光パルスを発生することができる。
図3に模式的に示すように、各モード同期半導体レーザからの光パルスは正弦波のほぼトップで発生するが、発生した光パルスのパルス幅が非常に短いため、ジッタにより各半導体レーザでの光パルスのずれがわずかに生ずる。また、長期的には、時間による位相ドリフトが生じ、タイミングがずれてくる。
図4は、パルス変調による複数のモード同期半導体レーザを用いた複数波長の同期光パルスを発生する構成を示す。なお、図4においては、図2と同じ符号は同じ構成を示している。
図4において、図2とは異なり、パルス発生器128から一定周期の電気パルス(パルス信号)を、複数の波長(λ,λ,λ)の光パルスを生成するモード同期半導体レーザを構成する各半導体レーザ110’,110’’,110’’’のSA領域に逆バイアスに重畳して印加している。光パルスは、図5に示すように、電気パルスのほぼトップに同期して発生する。なお、電気パルスのパルス幅が短いほど、各光パルスの同期ずれは少ない。これは、SA領域が電気パルス印加により開く時間が短いほど、ドリフトによる同期ずれを起こすことが少ないことによる。
<光パルスを用いた短いパルス幅の電気パルス発生>
短いパルス幅の電気パルスを発生させるためには、ここで用いているモード同期半導体レーザが超短光パルスを発生することができるので、これを用いるとよい。図6にその構成を示す。図6において、モード同期半導体レーザ100が発生する光パルスを受けて、高速の光電素子150で電気パルスに変換し、この電気パルスを複数のモード同期半導体レーザ100’,100’’,100’’’に印加して、多波長の同期光パルス発生を行う。これにより、同期をとる目的で、電気信号(正弦、パルス)−光パルス−電気パルスというようにして、発生した光パルスを用いて、電気信号を作り、モード同期半導体レーザが発生する超短光パルスと同程度の超短電気パルスを発生することができる。
このように、各モード同期半導体レーザに対して、同じ周期の電気パルスを印加することで、同期のとれた複数波長の超短光パルスを発生することができる。
<低い繰り返し周波数の同期超短光パルスのための構成>
図2,図4,図6に示した構成では、得られる光パルスの繰り返し周波数としては、モード同期半導体レーザの高安定動作が得られる100MHz以上が望ましく、好ましくはGHz以上がよい。これ以下の繰り返し周波数の光パルスを得るための構成を図7に示す。
図7において、信号制御回路120から、モード同期半導体レーザ100,100’に対して、図4と同様に周期的な電気パルスを印加して、同期した複数波長(λ,λ)の超短光パルスを発生させている。モード同期半導体レーザ100,100’からの超短光パルスは、光ゲート140,140’を通過して、光増幅器150,150’で増幅されている。光ゲート140,140’は、モード同期半導体レーザ100,100’に印加されている電気パルスの繰り返し周波数を所定の比率で分周した周波数で駆動されている。
光ゲート140,140’に印加されている分周された電気パルスは信号制御回路120中の分周器により発生し、モード同期半導体レーザ100,100’に印加されている電気パルスと同期しているため、光ゲート140,140’を通過した光パルスは、モード同期半導体レーザ100,100’で発生した光パルスより低い、分周された繰り返し周波数の同期超短光パルスである。
なお、図7では、光ゲート140,140’と光増幅器150,150’とを別々の構成としているが、例えば半導体レーザ増幅器を用いると、光ゲートと光増幅器との機能を同時に実現することができる。
<得られる波長の数を増大させるための構成>
上述の図7では、モード同期半導体レーザを2台用いて、2周波数の同期超短光パルスが得られる構成例を示している。以下に、この構成例から、モード同期半導体レーザが発生する波長とは異なった波長の同期超短光パルスを発生することができる構成を、図8を用いて説明する。ここで、図7と同じ符号は同じ構成を示している。
光ゲート140,140’を通過した光パルスは、非線形波長変換器160に印加され、第2高調波,誘導ラマン散乱,自己位相変調,和周波発生,広帯域のパラメトリック四光波混合などの非線形の効果により波長変換され、新しい波長成分を離散的に作ることができる。
波長成分が増大した光は、波長セレクタ170により、必要な複数の波長成分(λ,λ,λ)を取り出す。波長セレクタ170からの光パルスのエネルギーは一般的には小さいので、光増幅器180,180’,180’’により増幅を行う。図8では3つの波長の同期光パルスを得ているが、もっと多数の波長の同期光パルスを得ることができる。
図8では、図7に示した構成を用いたが、図2,図4,図6の構成のものを用いて同様に使用することができる。
このような構成により、モード同期半導体レーザ100,100’で発生する光パルスの波長とは異なった波長の同期超短光パルスを得ることができる。
モード同期半導体レーザの基本構成を示す図である。 同期超短光パルスの発生するモード同期半導体レーザの構成を示す図である。 図2の構成による同期超短光パルスの発生を示す模式的な波形図である。 同期超短光パルスの発生のための他の構成を示す図である。 図4の構成による同期超短光パルスの波形図である。 光パルスにより短い電気パルスを発生して、同期長短パルスを発生する構成である。 低い繰り返し周波数の同期超短光パルス発生を得るための構成を示す図である。 モード同期半導体レーザで発生する波長とは異なった同期超短光パルスを得るための構成を示す図である。

Claims (5)

  1. 周期的な電気信号を発生する周期信号発生器と、
    該周期信号発生器からの周期的な電気信号を入力して、該電気信号に同期してそれぞれ異なる波長の光パルスを発生する複数のモード同期半導体レーザと
    を備え、同期した多波長の光パルスを得ることを特徴とする多波長の同期パルス光源。
  2. 請求項1に記載の多波長の同期パルス光源において、
    前記周期信号発生器は、パルス信号を繰り返し発生するパルス発生器であり、
    前記複数のモード同期半導体レーザは、該パルス発生器からのパルス信号を入力して、それぞれ異なる波長の光パルスを発生する
    ことを特徴とする多波長の同期パルス光源。
  3. 請求項2に記載の多波長の同期パルス光源において、
    前記パルス発生器は、モード同期半導体レーザからの光パルスを電気パルスに変換して、パルス信号を得ることを特徴とする多波長の同期パルス光源。
  4. 請求項2又は3に記載の多波長の同期パルス光源において、
    さらに、前記パルス発生器からのパルス信号を分周するパルス分周器と、
    該パルス分周器からの分周されたパルス信号により駆動される複数の光ゲートとを備え、
    前記複数のモード同期半導体レーザからの光パルスを、該光ゲートを通過させることで、より低い繰り返し周波数の多波長の光パルスを得ることを特徴とする多波長の同期パルス光源。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の多波長の同期パルス光源において、
    さらに、非線形波長変換器と、波長セレクタとを備え、
    複数の同期光パルスを前記非線形波長変換器に入力し、発生する複数波長の光パルスから、所定の複数波長の光パルスを前記波長セレクタにより選択することを特徴とする多波長の同期パルス光源。
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