JP2006336434A - 構造物の浮上沈下防止工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 地震時の液状化に伴う構造物の浮上と沈下をともに有効に防止すること。
【解決手段】 地盤中のマンホール埋め戻し層120には、埋設されたマンホール200の周囲にマンホール底部用ネット300およびマンホール側部用ネット310−1〜310−3が布設されている。地盤中の本管埋め戻し層122には、埋設された本管210の周囲に本管底部用ネット320および本管上部用ネット330が布設されている。マンホール底部用ネット300、マンホール側部用ネット310−1〜310〜3、本管底部用ネット320、および本管上部用ネット330は、それぞれ、地盤の液状化時に発生する砂と水が一体となった重い液体をろ過して通常の砂と水に分離する機能を有する。
【選択図】 図3
【解決手段】 地盤中のマンホール埋め戻し層120には、埋設されたマンホール200の周囲にマンホール底部用ネット300およびマンホール側部用ネット310−1〜310−3が布設されている。地盤中の本管埋め戻し層122には、埋設された本管210の周囲に本管底部用ネット320および本管上部用ネット330が布設されている。マンホール底部用ネット300、マンホール側部用ネット310−1〜310〜3、本管底部用ネット320、および本管上部用ネット330は、それぞれ、地盤の液状化時に発生する砂と水が一体となった重い液体をろ過して通常の砂と水に分離する機能を有する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、構造物の浮上沈下防止工法に関し、特に、地震時の液状化に伴う構造物の浮上と沈下を防止するための工法に関する。
従来の液状化対策工法として、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されているものがある。
特許文献1記載の工法では、線状合成樹脂を重ねた円筒状の表面開孔率の大きな排水材の周囲に砂の数倍の透水性を有するフィルタを巻き、このフィルタ付きの基本長さの排水材を専用のジョイントを用いて継足して所定深度の地盤内まで設置可能にしたドレーン材を液状化の可能性の高い地盤に設置することにより、地震により発生する過剰間隙水圧を速やかに消散させ、地盤の液状化を防止するようにしている。
また、特許文献2記載の工法では、埋設管路を土木シートで囲うことにより、土木シートと上部基礎材料および下部基礎材料との間および土木シートと埋め戻し材料との間の摩擦力を利用して埋設管路の沈下を防止するようにしている。
特開2004−36300号公報
特開平6−34076号公報
しかしながら、特許文献1記載の工法においては、過剰間隙水をドレーン内に導くことにより過剰間隙水圧を消散させるため、ドレーン内に導かれた過剰間隙水の量だけ地盤が圧密沈下してしまうという問題がある。また、ドレーン材の周囲に貼り付けたフィルタは、液状化した重い液体(例えば、比重が1.9)ではなく通常の水(例えば、比重が1.0)を排出するためのものであるため、そもそも、地下構造物の浮上防止の効果にも一定の限界がある。
また、特許文献2記載の工法においては、摩擦力を利用して埋設管路の沈下を防止することに主眼が置かれているため、液状化した重い液体の圧力で埋設管路が浮上してしまう。また、雨が砂地盤に浸透すると、土木シートよりも上の砂層の含水比が高くなり、液状化の可能性が生じるという問題もある。
近時の大規模地震災害においては、地下構造物(例えば、下水道施設のマンホールや本管など)が地震時の地盤の液状化に伴って浮上・沈下する現象が数多く観察されており、このような地震時の液状化に伴う地下構造物の浮上と沈下をともに有効に防止することは、今日、緊急の社会的要請となっている。また、このことは、支柱や基礎など一部が地中に埋設される建物などについても、同様である。
なお、本明細書において、構造物とは、一部または全部が地中に埋設されるものを広く意味し、例えば、地下構造物(例えば、下水や上水、ガス、電気などの供給施設)や建物などを含んでいる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、地震時の液状化に伴う構造物の浮上と沈下をともに有効に防止することができる構造物の浮上沈下防止工法を提供することを目的とする。
本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法は、構造物の一部または全部が埋設される地盤であって液状化の可能性があるものの中に、前記地盤の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離するろ過手段を設置するようにした。
本発明によれば、地震時の液状化に伴う構造物の浮上と沈下をともに有効に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明者は、液状化に伴う構造物の浮上・沈下のメカニズムを詳細に検討した結果、地震時の構造物の浮上と沈下をともに有効に防止するためには、液状化時に生じる過剰間隙水圧を抑制することが必要であることを見出した。また、液状化時に生じる過剰間隙水圧を抑制するためには、過剰間隙水圧の原因となる砂と水が一体となった重い液体を通常の砂と水に分離することが必要であることを見出したのである。
本発明者は、液状化に伴う構造物の浮上・沈下のメカニズムを詳細に検討した結果、地震時の構造物の浮上と沈下をともに有効に防止するためには、液状化時に生じる過剰間隙水圧を抑制することが必要であることを見出した。また、液状化時に生じる過剰間隙水圧を抑制するためには、過剰間隙水圧の原因となる砂と水が一体となった重い液体を通常の砂と水に分離することが必要であることを見出したのである。
本発明は、構造物の一部または全部が埋設される地盤であって液状化の可能性があるものの中に、液状化時に発生する砂と水が一体となった重い液体をろ過して通常の砂と水に分離するろ過手段(例えば、ネットまたは相当物)を設置することにより、液状化時に生じる過剰間隙水圧を抑制するものである。
なお、本発明は、新設か既設かを問わず構造物の一部または全部が地中に埋設される場合のみならず(実施の形態1)、将来構造物が設置される埋立地を造成する場合にも適用可能である(実施の形態2)。
また、「砂」は、通常、大きさが0.15mmから2.5mm程度のものを意味するが、液状化は、大きさが10mm程度のものまで発生することが知られている。従って、特許請求の範囲では、大きさが10mm程度のものまで含むものとして「骨材」という用語を使用する。「骨材」は、砂と砂利を含む概念である。しかし、本明細書では、便宜上、主として「砂」という用語を使用する。
まず、本発明の原理を説明する。
液状化とは、砂の地盤が地震の衝撃で流れやすくなる現象である。通常の状態では、地盤内の砂粒子は互いにかみ合って安定しているため、砂粒子および砂粒子の間隙水は安定した状態にある。
しかし、強い地震が発生すると、それまで互いにかみ合って安定していた砂粒子の間隙が変形して砂粒子の間隙水圧が高くなる。そして、砂粒子の間隙水圧が砂粒子のかみ合いの力よりも高くなると、砂粒子のかみ合いがはずれ、砂粒子が間隙水の中に浮いた状態の砂と水が一体となった重い液体(以下「液状化水」という)が発生する。すると、見た目では平坦に見えるような極めて緩い傾斜面上でも、液状化した地盤は低い方へ徐々に流動する。このようにして、地盤は支持力を失い、砂粒子のかみ合いの力よりも高くなった砂粒子の間隙水圧(以下「過剰間隙水圧」という)により発生した液状化水は、逃げ場を求めて地表面に吹き出して構造物を浮上させる。さらに、地表面に吹き出した液状化水の量だけ地盤は圧密沈下することになる。
また、液状化が発生する地盤の条件としては、1)細粒土が少なく、砂の粒径が揃っている地盤、2)締め固め度が低い地盤、3)地下水位が高い地盤、があり、このような液状化の可能性がある地盤として、1)新設・既設工事における開削後の地盤、2)埋立地の地盤、3)水田地帯・河川地帯の地盤、がある。
次に、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法の有用性を、本工法を実施した場合における液状化時の砂の流れ・砂の密度および本工法を実施しない場合における液状化時の砂の流れ・砂の密度に着目して説明する。
図1(A)、(B)は、液状化時の構造物の埋設部分の周囲の砂の流れを示す図であり、特に、図1(A)は側面図であり、図1(B)は断面図である。図1(C)は、液状化時の構造物の埋設部分の周囲の砂の密度を示す図である。図2(A)、(B)は、本発明に係る浮上沈下防止工法を施した場合における液状化時の構造物の埋設部分の周囲の砂の流れを示す図であり、特に、図2(A)は側面図であり、図2(B)は断面図である。また、図2(C)は、本発明に係る浮上沈下防止工法を施した場合における液状化時の構造物の埋設部分の周囲の砂の密度を示す図である。図中の黒色の矢印は、地表面に向かって浮上する液状化水の過剰間隙水圧の大きさを示し、図中の白色の矢印は、再堆積する砂粒子の圧密作用の大きさを示す。ここでは、構造物の例として下水道設備(地盤に埋設されたマンホールと本管)を用いて説明する。
上記のように、強い地震が発生すると、それまで互いにかみ合って安定していた地盤10内の砂粒子の間隙が変形して砂粒子の間隙水圧が高くなる。そして、砂粒子の間隙水圧が砂粒子のかみ合いの力より大きくなり過剰間隙水圧が発生すると、液状化水が発生する。このようにして、地盤10は支持力を失い、過剰間隙水圧により発生した液状化水は、逃げ場を求めて地表面に向かって吹き出して下水道設備20を浮上させる(図1(A)、(B)の黒色の矢印)。
地表面に向かって吹き出した液状化水の砂粒子は、液状化発生前よりも高い密度で再堆積するため、地表面に向かって吹き出した液状化水の量だけ、地盤10は圧密沈下する(図1(A)、(B)の白色の矢印)。すなわち、液状化前における地盤10内の砂粒子のかみ合いが一旦はずれるため、吹き出した砂粒子の間隙水の量だけ再堆積する砂粒子のかみ合いの密度が高くなって地盤10が圧密沈下する。また、過剰間隙水圧により発生した液状化水により浮上した下水道設備20の領域に、地盤10内に再堆積した砂粒子がまわり込むことによって、さらに、地盤10が沈下する(図1(C)参照)。
また、砂粒子が再堆積した地盤10の深度が高いほど、砂密度の圧密作用が大きくなるため、砂の密度は高くなる(図1(C)参照)。
これに対し、本発明に係る浮上沈下防止工法を施すと、液状化水は、下水道設備20の埋設部分の周囲に布設された複数のネット30を通過しながら地表面に向かって浮上する。また、液状化水は、地震時の振動によって、1つのネットを複数回出入りしながら浮上し、同様にして、液状化水が、複数のネット30を通過することにより、地表面に向かって浮上する液状化水の過剰間隙水圧が抑制される(図2(A)、(B)の黒色の矢印)。すなわち、液状化水の比重は、ネット30を通過することにより、ネット30を通過する前よりも低くなる。このことは、ネット30が、液状化水をろ過して通常の砂と水に分離していることを示す。従って、液状化による構造物の浮上を防止することができる。
一方、液状化発生後に再堆積する液状化水の砂粒子の圧密は、ネット30を通過することにより抑制される(図2(A)、(B)の白色の矢印)。すなわち、下水道設備20の埋設部分の周囲の砂粒子の密度勾配を、通常の液状化時における砂粒子の密度勾配よりも低くすることができる(図2(C)参照)。従って、液状化発生後に再堆積する液状化水の砂粒子の圧密による下水道設備20の沈下を防止することができる。
このように、本発明の特徴は、構造物が埋設される地盤中に、液状化時に発生する液状化水を通常の砂と水に分離するろ過手段(ネット30または相当物)を設置することである。
本実施の形態では、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を、マンホールおよび本管からなる下水道設備に適用した例を示す。
図3〜図5は、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を下水道設備に適用した例を示す図であり、特に、図3は側面断面図、図4は斜視図、図5は平面図である。この例では、マンホールを布設する掘削孔(以下「マンホール掘削孔」という)124(後述する図7参照)は円状であり、マンホールと本管は直角接合である。
本構造において、地下の岩体まで繋がっていて転移していない地山100の中に、マンホール掘削孔124を埋め戻してなる埋め戻し層(以下「マンホール埋め戻し層」という)120と、本管を布設する掘削孔(以下「本管掘削孔」という)126(図7参照)を埋め戻してなる埋め戻し層(以下「本管埋め戻し層」という)122が形成されている。ここで、「開削」とは、新設工事で地山を掘り起こすことをいい、「掘削」とは、既設工事で構造物が埋設されている地盤を掘り起こすことをいう。すなわち、地盤を掘り起こすことを広く「掘削」といい、地山を初めて掘り起こす場合の「掘削」を、特に「開削」という。
マンホール埋め戻し層120の底面には、マンホール掘削孔124と同一の形状を有するマンホール底面用ネット300が水平に布設されている。ここで、上記のろ過作用を有効に得るためには、本実施の形態で使用する全てのネットの網目のサイズは、マンホール掘削孔124および本管掘削孔126を埋め戻すための砂粒子の平均粒径の1倍〜10倍であることが望ましく、さらには、1倍〜5倍であることが望ましく、さらには、5倍であることが望ましい。また、ネットの網目のサイズの形状は、矩形、円形、ひし形などどのようなものでもよく、水が通過することができるものであればこれに代わる透水材料でもよい。このことは、後述する実施例において詳細に説明する。
マンホール底面用ネット300の上部には、栗石および砕石を用いて、マンホール掘削孔124の底面を所定の高さまで締め固めた栗石・砕石基礎110が形成されている。栗石・砕石基礎110の上部には、マンホール200を支持するマンホール底板230が布設されている。マンホール底板230の上部には、マンホール200が布設されている。マンホール200は、本管210と可とう継手220によって連結されている。また、マンホール200の中心は、マンホール掘削孔124の中心に位置することが望ましい。
マンホール側面には、マンホール掘削孔124と同一の形状を有し、マンホール側面と同一の形状の開口を有する複数(例えば、3枚)のマンホール側面用ネット310−1、310−2、310−3が、所定の間隔を置いて水平に布設されている。マンホール側面用ネット310−1、310−2、310−3の内径部に切り込みを入れて立ち上げたネット立ち上げ部360が、マンホール200の側面に隙間がないように布設されている。また、マンホール側面用ネット310間のマンホール掘削孔124には、施工時に開削または掘削されて埋め戻されたマンホール埋め戻し層120が形成されている。
本管埋め戻し層122の底面には、本管掘削孔126と同一の形状を有する本管底面用ネット320が水平に布設されている。本管底面用ネット320の上部には、本管210が水平に布設されている。また、本管210の上部には、本管掘削孔126と同一の形状を有する本管上部用ネット330が布設されている。本管上部用ネット330は、本管210を包み込みかつ両端部が本管底面用ネット320と重なるように布設されている。本管210と本管底部用ネット320および本管上部用ネット330との間に空隙が生じないように、管床転圧および管底側部固めにより本管210の底部、側部、底側部が転圧されている。このように本管底面用ネット320および本管上部用ネット330を布設することにより、本管210の上部に、本管上部用ネット330が水平に布設されている場合よりも液状化水のろ過作用の有効性が高くなる。このことについては、後述する実施例において詳細に説明する。
ここで、本実施の形態で布設するマンホールについて説明する。
図6(A)、(B)は、一般的なマンホールを示す図であり、図6(A)は、正面断面図であり、図6(B)は、側面断面図である。
マンホールは、下水道の処理区域内において、下水道管渠の向き、勾配または管径が変わる点、起点、終点、接続点に設けられる。マンホールは、下水道管の点検、清掃、換気、採水のために使用される。
マンホール200は、マンホールを支持するマンホール底板230、マンホールの入口を覆う蓋部232、マンホール内を人間が昇降するためのステップ234を有する。また、上記のように、マンホール200は、可とう継手220によって本管210と連結されている。
下水道設備(地盤に埋設されたマンホールと本管)の布設作業は、開削した地盤が崩れないように、マンホール掘削孔124および本管掘削孔126に矢板240を設置して行う(図7参照)。また、マンホール掘削孔124および本管掘削孔126の埋め戻し作業は、矢板240を抜き、矢板240が布設されていた隙間に、モルタルを速やかに充填しながら行う。
次に、マンホール側面用ネット310について説明する。
図8は、マンホール掘削孔が円状のときのマンホール側面用ネットを示す図である。マンホール側面用ネット310aは、4つの扇形(90°)のネットを連結するようになっており、マンホール側面と同一の形状の開口340aを有している。また、上記のように、マンホール側面用ネット310aは、マンホール掘削孔124と同一の形状を有している(図9参照)。
マンホール側面用ネット310aは、マンホール側面用ネット310aの内径部に切り込みを入れて立ち上げたネット立ち上げ部360を、マンホール200の側面との間に隙間がないように、図示しない締結手段(例えばSUSバンド等の紐類)を用いて、マンホール側面用ネット310aのネット立ち上げ部360がマンホール側面から拡散しないように締結して、所定の間隔を置いてマンホール側面に布設されている(図10参照)。ここで、所定の間隔は、マンホール掘削孔124を埋め戻すための砂粒子の最大粒径によって設定する。例えば、埋め戻し砂粒子の最大粒径が2mm程度の場合は、所定の間隔は0.5〜1mに設定し、埋め戻し砂粒子の最大粒径が2mm程度でない場合は、所定の間隔は1〜1.5mに設定するのが望ましい。このようなネットの形状、布設形態および布設間隔を設定することにより、上記のろ過作用の有効性を高めることができる。
なお、ここでは、マンホール側面用ネット310aのネット立ち上げ部360が、締結手段(例えばSUSバンド等の紐類)でマンホール側面から拡散しないように締結してマンホール200の側面に布設されているとしたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、マンホール側面用ネット310aのネット立ち上げ部360を、マンホール200の側面に締結せずに、マンホール側面との間に隙間がないように布設するようにしてもよい。
さらに、ネットをマンホール側面に締結するかどうかに一定の判断基準を設けるようにしてもよい。例えば、マンホール埋め戻し層120の埋め戻し砂の締め固め度を90%以上確保できる場合は、ネットを図示しない締結手段でマンホール側面に締結し、軟弱地盤、地下水位または作業環境によりマンホール埋め戻し層の埋め戻し砂の締め固め度を90%以上確保できない場合は、マンホール側面用ネット310aを、マンホール側面に締結せずに、マンホール側面との間に隙間がないように布設するようにしてもよい。
次に、本管掘削孔に布設するネットについて説明する。
図11は、本管上部用ネットと本管底面用ネットとの境界部を示す図である。上記のように、本管底面用ネット320は、本管埋め戻し層122の底面に、水平に布設されており、本管上部用ネット330は、本管210を包み込みかつ両端部が本管底面用ネット320と重なるように布設されている(図11参照)。また、上記のように、本管210と本管底部用ネット320および本管上部用ネット330との間に空隙が生じないように、管床転圧および管底側部固めにより本管210の底部、側部、底側部が転圧されている。
また、本実施の形態においては、マンホール側面には、マンホール掘削孔124と同一の形状を有するマンホール側面用ネット310を水平に布設する。従って、マンホール掘削孔124が矩形状である場合に布設するマンホール側面用ネット310bは、図12のように、4つの扇形(90°)のネットを連結するようになっており、マンホール側面と同一の形状の開口340bを有している。また、上記のように、マンホール側面用ネット310bは、矩形状のマンホール掘削孔124と同一の形状を有している(図13参照)。
一方、マンホール側面に、マンホール掘削孔124と異なる形状を有するマンホール側面用ネット310cを水平に布設するようにしてもよい。例えば、矩形状のマンホール掘削孔124に、マンホール掘削孔124に収めることができる環状のマンホール側面用ネット310cを布設してもよい(図14参照)。この場合においても、マンホール掘削孔と同一の形状のマンホール側面用ネット310を布設した場合より若干ろ過効率は低下するものの、一定の効果を得ることができる。
さらに、ここでは、マンホール側面には、マンホール掘削孔124と同一の形状を有するマンホール側面用ネット310を水平に布設するようにしたが、これに限られない。例えば、マンホール側面に巻き付けるように、かつ、地表面に垂直にマンホール側面用ネット350を布設するようにしてもよい(図15、図16参照)。
ここで、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を新設の下水道設備に適用したときの布設作業の手順を、図3〜図5を例にして、図17の工程図を用いて説明する。
まず、工程1では、地山100の中にマンホール掘削孔124および本管掘削孔126を開削する。マンホール掘削孔124は、一片がマンホール200の直径の2倍程度の正方形であることが望ましい。さらには、本管掘削孔126は、マンホール掘削孔124と連通した水平な溝であることが望ましい。
そして、工程2では、マンホール掘削孔124の底面に、マンホール掘削孔124と同一の形状を有するマンホール底面用ネット300を水平に布設する。また、上記のように、本工程で布設する全てのネットの網目のサイズは、マンホール掘削孔124および本管掘削孔126を埋め戻すための砂粒子の平均粒径の1倍〜10倍であることが望ましく、さらには、1倍〜5倍であることが望ましく、さらには、5倍であることが望ましい。また、上記のように、ネットの網目のサイズの形状は、矩形、円形、ひし形などどのようなものでもよく、水が通過することができるものであればこれに代わる透水材料でもよい。
そして、工程3では、基礎転圧を行う。すなわち、マンホール底面用ネット300の上部に、粒度調整砕石等の締め固めやすい材料を所定の高さまで十分に締め固める。基礎転圧には、タンピングラマー、プレートコンパクタ等を使用する。
そして、工程4では、栗石および砕石を用いて、マンホール掘削孔124の底面を所定の高さまで締め固めた栗石・砕石基礎110を形成し、栗石・砕石基礎110の上部に、マンホール200を支持するマンホール底板230を布設する。
そして、工程5では、本管掘削孔126の底面に、本管掘削孔126と同一の形状を有する本管底面用ネット320を水平に布設する。
そして、工程6では、マンホール底板230の上部に、マンホール200を地表面に垂直に布設する。ここで、上記のように、マンホール200の中心がマンホール掘削孔124の中心に位置するように布設することが望ましい。また、本管掘削孔126に布設した本管底面用ネット320の上部に、本管210を水平に布設する。ここで、本管底部用ネット320と工程7で布設する本管上部用ネット330との間に本管210を布設する前の作業として、管床転圧および管底側部固めを行う。すなわち、本管210と本管底部用ネット320および本管上部用ネット330との間に空隙が生じないように、本管210の底部、側部、底側部を転圧する(図11参照)。
そして、工程7〜工程8および工程9〜工程11を併行して行う。
そして、工程7では、本管210の上部に、本管上部用ネット330を布設する。上記のように、本管上部用ネット330は、本管210を包み込みかつ両端部が本管底面用ネット320と重なるように布設する(図11参照)。
そして、工程8では、本管掘削孔126に、地表面の高さまで埋め戻し砂を埋め戻して転圧し、本管埋め戻し層122を形成する。
そして、工程9では、マンホール掘削孔124に所定の間隔だけ埋め戻し砂を埋め戻して転圧し、マンホール埋め戻し層120を形成する。また、上記のように、所定の間隔は、マンホール掘削孔124を埋め戻すための砂粒子の最大粒径によって設定する。例えば、埋め戻し砂粒子の最大粒径が2mm程度の場合は、所定の間隔は0.5〜1mに設定し、埋め戻し砂粒子の最大粒径が2mm程度でない場合は、所定の間隔は1〜1.5mに設定するのが望ましい。
そして、工程10では、マンホール側面に、マンホール掘削孔124と同一の形状を有し、マンホール側面と同一の形状の開口を有する複数(例えば、3枚)のマンホール側面用ネット310−1、310−2、310−3を水平に布設する。
ここで、マンホール側面用ネット310の布設作業の手順を示す工程を、図18の工程図を用いて説明する。
図18は、マンホール側面用ネットの布設作業の手順を示す工程図である。
まず、工程10−1では、4つの扇形(90°)のネット(例えば、図8または図12)で構成されるマンホール側面用ネット310の内径部に切り込みを入れて端部を立ち上げ、ネット立ち上げ部360とする。
そして、工程10−2では、内径部に切り込みを入れて端部を立ち上げたネット立ち上げ部360を有する4つの扇形(90°)のネットで構成されるマンホール側面用ネット310をマンホール200の側面に配置する。このとき、ネット立ち上げ部360とマンホール200の側面との間に隙間がないようにマンホール側面用ネット310を配置することが望ましい(図10参照)。
そして、工程10−3では、マンホール側面に配置した4つの扇形(90°)のネットで構成されるマンホール側面用ネット310を連結する。
そして、工程10−4では、内径部に切り込みを入れて端部を立ち上げたネット立ち上げ部に図示しないバンドを締め付けて、マンホール側面から拡散しないように締結してマンホール側面に布設する。該バンドはSUSバンドのように錆びにくい材料のものを使用することが望ましい。また、マンホール側面用ネット310を、マンホール側面に締結せずに、マンホール側面との間に隙間がないように布設するようにしてもよく、この場合は、工程10−1の作業は不要である。
そして、工程9〜工程10を所定回数実施していない場合は、工程9に戻り、工程9〜工程10を所定回数実施した場合は、工程11に進む。
ここで、工程9〜工程10を実施する所定回数は、上記したマンホール埋め戻し層120の埋め戻し砂の最大粒径に基づいて設定した所定の間隔およびネットから地表面までの距離によって設定する。例えば、マンホール側面の長さを上記工程10の所定の間隔で除した数値を所定回数として設定する。
そして、工程11では、マンホール掘削孔124に、地表面の高さまで埋め戻し砂を埋め戻して転圧し、マンホール埋め戻し層120を形成する。
そして、工程7〜工程8および工程9〜工程11を行うと、作業を終了する。
なお、ここでは、工程7〜工程8および工程9〜工程11を併行して行うようにしたが、本実施の形態はこれに限定されない。例えば、工程7〜工程8を行った後に工程9〜工程11を行うようにしてもよく、工程9〜工程11を行った後に工程7〜工程8を行うようにしてもよい。
なお、マンホール掘削孔124に人が入れないような現場においても、基本的には、所定の間隔を置いて埋め戻し砂とマンホール側面用ネットを交互に布設する。このとき、埋め戻し砂は、埋め戻しの都度、例えば、先端が平面である棒状の道具を使って転圧し、ネットは、例えば、各扇形ネットの内径側端部をそれぞれ立ち上げてマンホール側面と同一の形状の開口を有するようにリング状に連結したものを、マンホールの上部からかぶせるようにして埋め戻し砂の上に布設する。そして、このような埋め戻し砂の埋め戻し転圧とネットの布設の作業セットを所定回数繰り返した後、地表面まで埋め戻し砂を埋め戻して転圧し、マンホール埋め戻し層120を形成する。
なお、ここでは、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を新設の下水道設備に適用した例について説明したが、本発明は、下水道掘削埋め戻し時の既設の下水道設備にも適用することができる。すなわち、既設の下水道設備の周囲をウォータージェットその他の掘削工法で掘削してから、上記したネットの布設および埋め戻し砂の埋め戻し転圧等の工程を行う。
なお、ここでは、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法をマンホールおよび本管からなる下水道設備全体に適用したが、これに限られるものではない。例えば、新設または既設のマンホールまたは本管のみに適用しても、これらの構造物の浮上沈下の効果を得ることができる。
さらには、本発明は、マンホールの立杭のみを掘削し、本管を、モグラ方式で隣のマンホールに横穴を開けてつなぐ推進工法の立杭の埋め戻しにも適用することができる。
このように、本実施の形態の構造物の浮上沈下防止工法によれば、地震時の液状化に伴う、新設または既設の構造物の一部または全部が地中に埋設される構造物の浮上沈下をともに有効に防止することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を埋立地に適用した例を示す。
本実施の形態では、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を埋立地に適用した例を示す。
上記のように、埋立地のような締め固め度が低く地下水位が高い地盤は、通常の地山より含水比が高く比重が高い水(以下「埋立地水」という)を多量に含有しているため、地震時には液状化水が発生しやすい。従って、埋立地は、通常の地盤よりも液状化が起こる可能性が高く、埋立地に布設された構造物は、液状化による被害を受けやすい。埋立地は、通常、骨材を含む砂質土を堆積して造成される。
本実施の形態では、埋立地造成中の堆積層の中に、液状化水をろ過して通常の水と砂に分離するネットを、埋立地の地盤中に所定の間隔を置いて水平に布設する。
従って、埋立地に将来構造物が設置される場合においては、構造物を支持する基礎杭が、布設したネットを貫通するように打設されるため、埋立地のような軟弱な地盤をさらに掘削せずに、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を埋立地に適用することができる。
図19は、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を埋立地に適用した例を示す図である。
埋立地400の埋め立て層130の中に、液状化水をろ過して通常の水と砂に分離する複数(例えば、3枚)の埋立地用ネット410−1、410−2、410−3が所定の間隔で水平に布設されている。ここで、所定の間隔は、実施の形態1の場合と同様に、埋め立て砂の最大粒径によって設定される。また、埋立地用ネット410−1、410−2、410−3の網目のサイズも、実施の形態1の場合と同様に、埋め立て層130の埋め立て砂の最大粒径によって設定される。
図20は、図19の埋立地に構造物を布設した例を示す図である。
埋立地400の埋め立て層130の中に水平に布設された埋立地用ネット410−1、410−2、410−3を貫通するように、構造物430を支持する基礎杭420が布設されている。そのため、埋め立て層130をさらに掘削せずに、埋設された構造物(ここでは、基礎杭420)の周囲に、液状化水をろ過して通常の水と砂に分離する埋立地用ネット410を設置することができる。
本実施の形態は、埋立地造成中の埋め立て層130の中に、予め、埋立地用ネット410を布設する点において、実施の形態1と異なる。
従って、埋立地用ネット410は、埋立地400に構造物430を布設するための基礎杭420を打設する際に、基礎杭420の断面形状とサイズに破壊されることが望ましい。具体的には、埋立地用ネット410は、アトラス工法に代表される機械的な掘削攪拌機による作業の衝撃によって破壊される材料であることが望ましい。すなわち、掘削攪拌機の先端で破壊され、掘削攪拌機に巻き込まれず、地震時には埋立地中の土砂に追随する程度の強度を有する材料、例えば、引っ張り強度が高くないプラスチック樹脂のネットであることが望ましい。
次に、埋立地への埋立地用ネットの布設作業の手順を、図21に示す工程図を用いて説明する。
まず、工程1では、土砂を堆積して、埋立地400を所定の間隔だけ埋め立てる。ここで、所定の間隔は、実施の形態1の場合と同様に、埋め立て砂の最大粒径によって設定する。例えば、埋め立て砂の最大粒径が2mm程度の場合は、所定の間隔は0.5〜1mに設定し、埋め立て砂の最大粒径が2mm程度でない場合は、所定の間隔は1〜1.5mに設定するのが望ましい。
そして、工程2では、土砂を堆積して埋め立てた埋立地400の底面に埋立地用ネット410を布設する。ここで、本実施の形態で使用する埋立地用ネット410のサイズは、実施の形態1の場合と同様に、埋立地400を埋め戻すための砂粒子の平均粒径の1倍〜10倍であることが望ましく、さらには、1倍〜5倍であることが望ましく、さらには、5倍であることが望ましい。
そして、工程1〜工程2を所定回数実施していない場合は、工程1に戻る。工程1〜工程2を所定回数実施した場合は、作業を終了する。
ここで、工程1〜工程2を実施する所定回数は、上記した埋め立て砂粒子の最大粒径に基づいて設定した所定の間隔および埋立地用ネットから地表面までの距離によって設定する。例えば、埋め立て層130の最底部に布設した埋立地用ネット410−1から地表面までの距離を上記工程2の所定の間隔で除した数値を所定回数として設定する。
なお、本実施の形態の工法は、工業跡地の宅地化に伴う汚染土砂の入替え埋戻しにも適用することができる。
このように、本実施の形態の構造物の浮上沈下防止工法によれば、埋立地に将来構造物が設置される場合において、埋立地のような軟弱な地盤をさらに掘削せずに、本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法を適用できる。
次に、本発明者が行った本発明の効果を確認するための室内振動模型試験および室内振動模型試験結果について説明する。
図22(A)〜(C)は、室内振動模型試験システムの一例を示す図であり、特に、図22(A)は平面図であり、図22(B)は側面図であり、図22(C)は正面図である。室内振動模型試験システムは、実際の構造物の6分の1のサイズである。
室内振動模型モデル500は、タンク502、標準地盤試料504、マンホール506、本管508、接合部510で構成されている。
タンク502(長さ:33.4cm、幅:66.7cm、深さ:66.7cm)は、4つの側面が透明なガラスで作られている。
タンク502内には、突き棒を用いて地盤の相対密度が60%、水の含有量が50%となるように調整した標準地盤試料(Gs:2.60、D50:0.5mm、最大粒径:2.36mm、FM:2.4、水の含有率:7.6%、地下水位:50cm)504がタンク502の底面から50cmの高さまで詰め込まれている。ここで、粗粒率FMは、0.15mmから80mmまでの10種類の標準ふるいで、試料をふるって、各ふるいにとどまる試料の百分率を合計して100で除した数値であり、数値が大きいほど試料が粗いということを示す。また、D50は、粒度曲線と通過重量百分率が50%に相当するふるい目の開きを示す。
標準地盤試料504内には、タンク502の横端から7.95cmの位置に、マンホール(全長:31.9cm(マンホール底板の長さ1.5cmを含む)、直径:17.5cm、深さ:17.5cm)506が地表面に垂直に布設されている。マンホール506は、セメントコンクリートで作られている。
標準地盤試料504内には、塩化ビニールで作られた本管(直径:3.8cm)508が地表面に水平に布設されている。
接合部510は、マンホール506と本管508を、気密状態を保持しつつ接合する。気密状態を保持し、マンホール506と本管508の若干の沈下による変形にも対応できるように、接合部510は、ゴムなどの柔軟な可とう性材料であることが望ましい。
また、上記の構造物に対して、長方形の第1ネット(長方形:7.95×33.4cm)、正方形の第2ネット(長方形:33.4×33.4cm)、長方形の第3ネット(長方形:41.3×33.4cm)、円状の開口を有する長方形の第4ネット(長方形:33.4×33.4cm、開口の直径:17.5cm)、円状の第5ネット(直径:27.5cm)、環状の第6ネット(外径:27.5cm、内径:17.5cm)、環状の第7ネット(外径:27.5cm、内径:18.5cm)の7種類のネットを、ネットの布設位置、組み合わせおよび網目のサイズを変化させて、以下に示す10種類の試験を行った。
No.1は、マンホールのみを布設し、本管およびネットを布設しなかった場合の試験例である。
No.2は、マンホールおよび本管のみを布設し、ネットを布設しなかった場合の試験例である。
No.3は、マンホール底面に第2ネットを水平に布設し、マンホール側面のマンホール全長の3分の1の部位および3分の2の部位にそれぞれ第4ネットを水平に、かつ、ネットの内径とマンホール側面に隙間がないように布設し、マンホールを挟んだ2つの本管の下部に第3ネットを水平に布設し、上部に本管を包み込むように第1ネットを布設した場合の試験例である。また、ネットの網目のサイズは5mmである。
No.4は、マンホール底面に第5ネットを水平に布設し、マンホール側面のマンホール全長の4分の1の部位、4分の2の部位および4分の3の部位にそれぞれ第6ネットを地表面と平行に、かつ、ネットの内径とマンホール側面に隙間がないように布設した場合の試験例である。また、ネットの開きは5mmである。
No.5は、ネットの布設位置はNo.3と同様であるが、ネットの網目のサイズが10mmである場合の試験例である。
No.6は、マンホール底面に第5ネットを水平に布設し、マンホール側面のマンホール全長の4分の1の部位、4分の2の部位および4分の3の部位にそれぞれ第7ネットを地表面と平行に、かつ、ネットの内径とマンホール側面に5mmの隙間があるように布設した場合の試験例である。また、ネットの開きは10mmである。
No.7は、ネットの布設位置はNo.3と同様であるが、ネットの網目のサイズが15mmである場合の試験例である。
No.8は、標準地盤試料の代わりに、粒径2.5〜5mmで含水率100%の砕石がタンクに詰め込まれている場合の試験例である。
No.9は、マンホールへのネットの布設位置およびネットの網目のサイズはNo.5と同様であるが、マンホールを挟んだ2つの本管の下部に第3ネットを水平に布設し、上部に第1ネットを水平に布設した場合の試験例である。
No.10は、ネットの布設位置はNo.3と同様であるが、ネットの網目のサイズが20mmである場合の試験例である。
次に、加震条件を説明する。
図23(A)〜(C)は、本実施例で使用した加震装置を示す図であり、特に、図23(A)は平面図であり、図23(B)は側面図であり、図23(C)は正面図である。
加震装置600は、室内振動模型モデル500を乗せる振動台602、加震部606a〜606cにそれぞれ駆動力を与えるモータ604a〜604c、モータ604a〜604cから与えられた駆動力を利用して振動台602を振動させる加震部606a〜606c(加震部606(a)、(b)は水平方向の振動、加震部606(c)は垂直方向の振動)、室内振動模型モデル500および加震装置600を載積する載積部608で構成されている。
加震条件は、周波数10Hzの正弦波で入力加速度を1200Gal、ひずみを0.9%、振動量を±3mmとして、10秒間および30秒間の加震を行った。なお、加震条件は、全ての試験について共通である。
上記10種類の試験条件の下で、10秒間の加震後のマンホールの浮上量(mm)、30秒間の加震後のマンホールの浮上量(mm)、浮上後のマンホールの圧密沈下量(mm)、水位(mm)を測定した。
表1は、室内振動模型試験システムの試験条件および試験結果を示す表である。
No.4およびNo.6の試験例より、ネットの内径とマンホール側面に隙間がない方が優れた効果を挙げている。従って、ネットの内径とマンホール側面に隙間がないようにネットを布設することが最適であることがわかる。
No.5およびNo.9の試験例より、本管の上部に布設するネットは、水平に布設するよりも本管を包み込むように布設する方が優れた効果を挙げている。従って、本管の上部に布設するネットは本管を包みこむようにかつ両端部が本管の底面に布設するネットと重なるように布設することが最適であることがわかる。
以上のように、本発明者は、室内振動模型試験を行い、上記した本発明の実施の形態の浮上沈下防止工法の有用性を立証した。
本発明に係る構造物の浮上沈下防止工法は、過剰間隙水圧による構造物の浮上および砂粒子の圧密による沈下をともに有効に防止し、地震時の液状化による構造物の浮上沈下防止工法として有用である。
100 地山
110 栗石・砕石基礎
120 マンホール埋め戻し層
122 本管埋め戻し層
124 マンホール掘削孔
126 本管掘削孔
130 埋め立て層
200 マンホール
210 本管
220 可とう継手
230 マンホール底板
240 矢板
300 マンホール底面用ネット
310−1〜310−3、350 マンホール側面用ネット
320 本管底面用ネット
330 本管上部用ネット
340 マンホール側面用ネットの開口
360 ネット立ち上げ部
400 埋立地
410−1〜410−3 埋立地用ネット
420 基礎杭
430 埋立地構造物
110 栗石・砕石基礎
120 マンホール埋め戻し層
122 本管埋め戻し層
124 マンホール掘削孔
126 本管掘削孔
130 埋め立て層
200 マンホール
210 本管
220 可とう継手
230 マンホール底板
240 矢板
300 マンホール底面用ネット
310−1〜310−3、350 マンホール側面用ネット
320 本管底面用ネット
330 本管上部用ネット
340 マンホール側面用ネットの開口
360 ネット立ち上げ部
400 埋立地
410−1〜410−3 埋立地用ネット
420 基礎杭
430 埋立地構造物
Claims (26)
- 構造物の一部または全部が埋設される地盤であって液状化の可能性があるものの中に、前記地盤の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離するろ過手段を設置する、構造物の浮上沈下防止工法。
- 地盤に形成され構造物の一部または全部を埋設するための掘削孔に、前記構造物の埋設部分を設置する工程と、
前記掘削孔の中でかつ設置された構造物の埋設部分の周囲に、前記地盤の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離するろ過手段を設置する工程と、
前記掘削孔を埋め戻す工程と、
を有する構造物の浮上沈下防止工法。 - 前記地盤に前記掘削孔を形成する工程、
をさらに有する構造物の浮上沈下防止工法。 - 前記ろ過手段は、ネットである、請求項2または請求項3記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記ネットの網目のサイズは、前記掘削孔を埋め戻すための骨材の粒子の最大粒径の1倍から10倍である、請求項4記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記ネットは、前記掘削孔と同一の形状を有する、請求項4記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記ネットは、水平方向および/または垂直方向に複数設置される、請求項4記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 一部または全部が地盤に埋設された構造物と、
前記構造物の一部または全部を埋設するために形成された掘削孔の埋め戻し層の中でかつ前記構造物の埋設部分の周囲に設置され、前記地盤の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離するろ過手段と、
を有する構造物の浮上沈下防止構造。 - 地盤に対して、マンホールを埋設するための掘削孔を形成する工程と、
前記掘削孔の底面に、マンホール底面用のネットを布設する工程と、
前記マンホール底面用ネットが布設された掘削孔の底面に、前記マンホールを布設する工程と、
布設されたマンホールの側面に、一または複数のマンホール側面用のネットを布設する工程と、
前記マンホール側面用ネットが布設された掘削孔を埋め戻す工程と、を有し、
前記マンホール底面用ネットおよび前記マンホール側面用ネットは、それぞれ、前記地盤の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離する機能を有する、
構造物の浮上沈下防止工法。 - 地盤に対して、本管を埋設するための掘削孔を形成する工程と、
前記掘削孔の底面に、本管底面用のネットを布設する工程と、
前記本管底面用ネットが布設された掘削孔の底面に、前記本管を布設する工程と、
布設された本管の上に、本管上部用のネットを布設する工程と、
前記本管上部用ネットが布設された掘削孔を埋め戻す工程と、を有し、
前記本管底面用ネットおよび前記本管上部用ネットは、それぞれ、前記地盤の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離する機能を有する、
構造物の浮上沈下防止工法。 - 地盤に対して、マンホールを埋設するための掘削孔および本管を埋設するための掘削孔をそれぞれ形成する工程と、
前記マンホール用掘削孔の底面にマンホール底面用のネットを布設し、前記本管用掘削孔の底面に本管底面用のネットを布設する工程と、
前記マンホール底面用ネットが布設されたマンホール用掘削孔の底面に前記マンホールを布設し、前記本管底面用ネットが布設された本管用掘削孔の底面に前記本管を布設し、それぞれ布設したマンホールおよび本管を互いに連結する工程と、
布設されたマンホールの側面に一または複数のマンホール側面用のネットを布設し、前記マンホール用掘削孔を埋め戻す工程と、
布設された本管の上に本管上部用のネットを布設し、前記本管用掘削孔を埋め戻す工程と、を有し、
前記マンホール底面用ネット、前記マンホール側面用ネット、前記本管底面用ネット、および前記本管上部用ネットは、それぞれ、前記地盤の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離する機能を有する、
構造物の浮上沈下防止工法。 - 前記マンホール底面用ネットおよび前記マンホール側面用ネットの網目のサイズは、それぞれ、前記マンホール用掘削孔を埋め戻すための骨材粒子の最大粒径の1倍から10倍である、請求項9または請求項11記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記マンホール底面用ネットおよび前記マンホール側面用ネットは、それぞれ、前記マンホール用掘削孔と同一の形状を有する、請求項9または請求項11記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記マンホール側面用ネットは、水平方向および/または垂直方向に布設される、請求項9または請求項11記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記マンホール側面用ネットは、前記マンホールの側面に締結手段によって隙間なく締結される、請求項9または請求項11記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記マンホール側面用ネットは、水平方向に複数、それぞれ所定の間隔を置いて布設される、請求項9または請求項11記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記本管底面用ネットおよび前記本管上部用ネットの網目のサイズは、それぞれ、前記本管用掘削孔を埋め戻すための骨材粒子の最大粒径の1倍から10倍である、請求項10または請求項11記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記本管底面用ネットおよび前記本管上部用ネットは、それぞれ、前記本管用掘削孔と同一の形状を有する、請求項10または請求項11記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 前記本管上部用ネットは、前記本管を包み込みかつ両端部が前記本管底部用ネットと重なるように布設される、請求項10または請求項11記載の構造物の浮上沈下防止工法。
- 地盤にそれぞれ埋設され互いに連結されたマンホールおよび本管と、
前記マンホールを埋設するための掘削孔の埋め戻し層の底面に布設されたマンホール底面用のネットと、
前記マンホール用掘削孔の埋め戻し層の中でかつ前記マンホールの側面に布設された一または複数のマンホール側面用のネットと、
前記本管を埋設するための掘削孔の埋め戻し層の底面に布設された本管底面用のネットと、
前記本管用掘削孔の埋め戻し層の中でかつ前記本管の上に布設された本管上部用のネットと、を有し、
前記マンホール底面用ネット、前記マンホール側面用ネット、前記本管底面用ネット、および前記本管上部用ネットは、それぞれ、前記地盤の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離する機能を有する、
構造物の浮上沈下防止構造。 - 骨材を含む砂質土を堆積して埋立地を造成する工程と、
埋立地造成中の堆積層の中に、前記埋立地の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離するろ過手段を設置する工程と、
を有する埋立地の液状化対策工法。 - 前記ろ過手段は、ネットである、請求項21記載の埋立地の液状化対策工法。
- 前記ネットの網目のサイズは、堆積する砂質土に含まれる骨材の粒子の最大粒径の1倍から10倍である、請求項21記載の埋立地の液状化対策工法。
- 前記ネットは、水平方向および/または垂直方向に複数設置される、請求項21記載の埋立地の液状化対策工法。
- 前記ネットは、前記埋立地に前記構造物を設置するための杭を打設する際に、前記杭の断面形状とサイズに破壊される、請求項21記載の埋立地の液状化対策工法。
- 骨材を含む砂質土を堆積して造成された埋立地と、
前記埋立地の堆積層の中に設置され、前記埋立地の液状化時に発生する骨材と水が一体となった重い液体をろ過して通常の骨材と水に分離するろ過手段と、
を有する埋立地の液状化対策構造。
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CN114541559A (zh) * | 2022-04-07 | 2022-05-27 | 常州纺织服装职业技术学院 | 方便清理的储水池用排水管道 |
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