JP2006335993A - カチオン性ポリマー - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な操作で短時間に100nmを超えるような高分子薄膜を構築する。
【解決手段】ポリアミン化合物の窒素原子の一部又は全てが、下記一般式(I)で示される化合物で4級化されたカチオン性ポリマー。
(式中、Xはハロゲン原子であり、nは1〜20の整数、mは1〜20の整数である)
【選択図】なし
【解決手段】ポリアミン化合物の窒素原子の一部又は全てが、下記一般式(I)で示される化合物で4級化されたカチオン性ポリマー。
(式中、Xはハロゲン原子であり、nは1〜20の整数、mは1〜20の整数である)
【選択図】なし
Description
本発明はカチオン性ポリマー、特に重合開始剤となるカチオン性ポリマーに関する。
金属酸化物、樹脂等の固体表面に異なる材質の薄膜を被覆する技術は、様々な工業分野において重要な技術である。
固体基板表面に、膜厚が制御された薄膜を形成する技術として、ポリカチオンとポリアニオンとを交互に積層するLayer-by-Layer法(静電交互積層法)が知られている。この方法は、液中で帯電している固体基板表面に、反対電荷を有するポリイオンが不可逆的に吸着する現象を利用したものであり、極めて簡単な操作によってナノスケールの薄膜を形成できるため、様々な分野において広く利用されている。
特開平05−339387号
固体基板表面に、膜厚が制御された薄膜を形成する技術として、ポリカチオンとポリアニオンとを交互に積層するLayer-by-Layer法(静電交互積層法)が知られている。この方法は、液中で帯電している固体基板表面に、反対電荷を有するポリイオンが不可逆的に吸着する現象を利用したものであり、極めて簡単な操作によってナノスケールの薄膜を形成できるため、様々な分野において広く利用されている。
しかしながら、上記方法では1回の操作での膜厚増加が数nmであるので、厚さ100nmを超えるような膜を構築するためには、何度も繰り返し操作する必要があり、長時間かかるという欠点があった。
本発明は、前記従来の課題に鑑みなされたもので、簡単な操作で短時間に100nmを超えるような高分子薄膜を構築することを目的とする。
本発明は、前記従来の課題に鑑みなされたもので、簡単な操作で短時間に100nmを超えるような高分子薄膜を構築することを目的とする。
前記問題に鑑み、本発明者等が鋭意検討した結果、ポリアミン化合物の窒素原子を特定の化合物で4級化したカチオン性ポリマーを用いることにより、簡単に100nmを超える高分子薄膜が得られることを見出した。
すなわち本発明の第一の主題は、ポリアミン化合物の窒素原子の一部又は全てが、下記一般式(I)で示される化合物で4級化されたカチオン性ポリマーである。
(化1)
(式中、Xはハロゲン原子であり、nは1〜20の整数、mは1〜20の整数である)
すなわち本発明の第一の主題は、ポリアミン化合物の窒素原子の一部又は全てが、下記一般式(I)で示される化合物で4級化されたカチオン性ポリマーである。
(化1)
(式中、Xはハロゲン原子であり、nは1〜20の整数、mは1〜20の整数である)
前記カチオン性ポリマーにおいて、前記ポリアミン化合物がポリピリジン化合物であることが好適である。
前記カチオン性ポリマーにおいて、前記ポリアミン化合物の分子量が1000〜1000000であることが好適である。
前記カチオン性ポリマーにおいて、前記ポリアミン化合物の分子量が1000〜1000000であることが好適である。
本発明によれば、ポリアミン化合物の窒素原子を特定の化合物で4級化したカチオン性ポリマーを重合開始剤として用いることにより、簡単な操作で短時間に厚さ100nm以上の高分子薄膜が得られる。
[1]カチオン性ポリマー
本発明におけるカチオン性ポリマーは、ポリアミン化合物の窒素原子の一部又は全てが、下記一般式(I)で示される化合物で4級化されたカチオン性ポリマーである。
(化2)
本発明の一般式(I)で示される化合物において、nは1〜20の整数であり、好ましくは4〜14、特に好ましくは6〜11である。mは1〜20の整数であり、好ましくは2である。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子であることが好ましく、特に臭素原子であることが好ましい。
本発明におけるカチオン性ポリマーは、ポリアミン化合物の窒素原子の一部又は全てが、下記一般式(I)で示される化合物で4級化されたカチオン性ポリマーである。
(化2)
本発明の一般式(I)で示される化合物において、nは1〜20の整数であり、好ましくは4〜14、特に好ましくは6〜11である。mは1〜20の整数であり、好ましくは2である。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子であり、塩素原子、臭素原子であることが好ましく、特に臭素原子であることが好ましい。
本発明で用いられるポリアミン化合物の構成モノマーとしては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンのいずれでも良く、これらの混合であってもよい。また、炭化水素基が芳香族を含むポリ(4-ビニルピリジン)等のポリ芳香族アミン化合物、あるいは炭化水素基が鎖状であるポリアリルアミン等のポリ鎖状アミン化合物のどちらでも良い。好ましくは、ピリジン又はその誘導体を構成モノマーとして含むポリピリジン化合物であり、特にポリ(4-ビニルピリジン)である。また、ポリアミン化合物の分子量は、1000〜1000000であることが好ましい。また、アミン化合物とその他の化合物とのコポリマーも本発明で用いられるポリアミン化合物に含まれる。
次に、本発明のカチオン性ポリマーの好適な製造方法を説明するが、製造方法はこれに限定されない。
(製造方法)
反応Aにより、化合物1及び化合物2から化合物3を合成し、その後、五塩化リンを用いて酸塩化物化反応(反応B)を行い、化合物4を合成した。さらに、反応Cに示すエステル化反応により化合物5を合成した。そして、得られた化合物5とポリアミン化合物との四級化反応によってカチオン性ポリマーである化合物6を合成した。
(製造方法)
反応Aにより、化合物1及び化合物2から化合物3を合成し、その後、五塩化リンを用いて酸塩化物化反応(反応B)を行い、化合物4を合成した。さらに、反応Cに示すエステル化反応により化合物5を合成した。そして、得られた化合物5とポリアミン化合物との四級化反応によってカチオン性ポリマーである化合物6を合成した。
〔カチオン性ポリマーの合成例1〕
ポリ(4−ビニルピリジン)(Mw=7.0×104、Mn=3.1×104、Mw/Mn=2.3)1.388gと、上記一般式(I)で表される化合物(m=2,n=11,X=Br) 5.03g、及び反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)44mLを混合し、遮光下、温度25℃で2週間撹拌した。
反応溶液をエーテルに滴下して再沈殿を行った。ろ過により得られた粉末を再びDMFに溶解させ、エーテルを用いて同様に再沈殿を行い、ろ過、減圧乾燥し、黄色粉末を得た。
ポリ(4−ビニルピリジン)(Mw=7.0×104、Mn=3.1×104、Mw/Mn=2.3)1.388gと、上記一般式(I)で表される化合物(m=2,n=11,X=Br) 5.03g、及び反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)44mLを混合し、遮光下、温度25℃で2週間撹拌した。
反応溶液をエーテルに滴下して再沈殿を行った。ろ過により得られた粉末を再びDMFに溶解させ、エーテルを用いて同様に再沈殿を行い、ろ過、減圧乾燥し、黄色粉末を得た。
カチオン導入を確認するためにFT-IR測定を行った。
上記一般式(I)で表される化合物(m=2,n=11,X=Br)と、ポリ(4−ビニルピリジン)FT-IRスペクトルを図1に示す。
そして、図2に上記合成例1で得られた生成物のFT-IRスペクトルを示す。
1200cm-1、1700cm-1、2350cm-1及び2800cm-1付近に、一般式(I)で表される化合物に特徴のピークが観察された。これにより、ポリ(4−ビニルピリジン)の4級化反応によるカチオン部位の形成が確認された。
上記一般式(I)で表される化合物(m=2,n=11,X=Br)と、ポリ(4−ビニルピリジン)FT-IRスペクトルを図1に示す。
そして、図2に上記合成例1で得られた生成物のFT-IRスペクトルを示す。
1200cm-1、1700cm-1、2350cm-1及び2800cm-1付近に、一般式(I)で表される化合物に特徴のピークが観察された。これにより、ポリ(4−ビニルピリジン)の4級化反応によるカチオン部位の形成が確認された。
また、図3に合成例1で得られた生成物の重DMSO中での1H-NMRを示す。
ピリジニウム基のα位とβ位に由来するプロトンが8.9ppmと7.7ppmに観察された。これより、ポリ(4−ビニルピリジン)が4級化されていることが確認された。
また6.8ppmに現れる4級化されていないピリジル基のβ位のプロトンと、8.9ppmに現れる4級化されたピリジニウム基のα位のプロトンとの積分比から、ポリ(4−ビニルピリジン)の4級化反応は、約55%進行していることが確認された(以下、これをカチオン導入率55%という)。
ピリジニウム基のα位とβ位に由来するプロトンが8.9ppmと7.7ppmに観察された。これより、ポリ(4−ビニルピリジン)が4級化されていることが確認された。
また6.8ppmに現れる4級化されていないピリジル基のβ位のプロトンと、8.9ppmに現れる4級化されたピリジニウム基のα位のプロトンとの積分比から、ポリ(4−ビニルピリジン)の4級化反応は、約55%進行していることが確認された(以下、これをカチオン導入率55%という)。
〔カチオン性ポリマーの合成例2〕
ポリ(4−ビニルピリジン)(Mw=7.0×104、Mn=3.1×104、Mw/Mn=2.3)0.336g、上記一般式(I)で表される化合物(m=2,n=6,X=Br)1.00g、及び反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)7.06mLを混合し、遮光下、温度25℃で2週間撹拌した。
反応溶液をエーテルに滴下して再沈殿を行った。ろ過により得られた粉末を再びDMFに溶解させ、エーテルでの再沈殿行い、ろ過、減圧乾燥し、黄色粉末を得た(収量0.3g、カチオン導入率55%)。
ポリ(4−ビニルピリジン)(Mw=7.0×104、Mn=3.1×104、Mw/Mn=2.3)0.336g、上記一般式(I)で表される化合物(m=2,n=6,X=Br)1.00g、及び反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)7.06mLを混合し、遮光下、温度25℃で2週間撹拌した。
反応溶液をエーテルに滴下して再沈殿を行った。ろ過により得られた粉末を再びDMFに溶解させ、エーテルでの再沈殿行い、ろ過、減圧乾燥し、黄色粉末を得た(収量0.3g、カチオン導入率55%)。
〔基板上へのカチオン性ポリマーの吸着1〕
合成例1で得られたカチオン性ポリマーをエタノールに溶解し、これを200nmのシリンジフィルターでろ過し、濃度1×10-2mol/dm3のポリマー溶液を調製した。
清浄なシリコンウェハー基板を、100min-1の浸とう下、上記溶液に浸漬した。基板を取り出してエタノールで洗浄し、窒素ガスにより乾燥し、カチオン性ポリマーを吸着させた(図4A)。
合成例1で得られたカチオン性ポリマーをエタノールに溶解し、これを200nmのシリンジフィルターでろ過し、濃度1×10-2mol/dm3のポリマー溶液を調製した。
清浄なシリコンウェハー基板を、100min-1の浸とう下、上記溶液に浸漬した。基板を取り出してエタノールで洗浄し、窒素ガスにより乾燥し、カチオン性ポリマーを吸着させた(図4A)。
処理前及び処理後の基板について、接触角、ζ電位、紫外線可視吸収スペクトルの測定を行った。
処理前の基板は、角度5°の水に対する静的接触角を示し、pH7で−70±10mVの負のζ電位を示した。
これに対し処理後の基板は、角度60±5°の水に対する静的接触角を示し、pH7で40±10mVの正のζ電位を示した。また吸収スペクトルから260nmにピリジル基とピリジニウム基に由来する吸収帯が確認された(図5)。
以上より、処理後の基板においては、カチオン性ポリマーが吸着していることが確認された。
処理前の基板は、角度5°の水に対する静的接触角を示し、pH7で−70±10mVの負のζ電位を示した。
これに対し処理後の基板は、角度60±5°の水に対する静的接触角を示し、pH7で40±10mVの正のζ電位を示した。また吸収スペクトルから260nmにピリジル基とピリジニウム基に由来する吸収帯が確認された(図5)。
以上より、処理後の基板においては、カチオン性ポリマーが吸着していることが確認された。
〔基板上へのカチオン性ポリマーの吸着2〕
合成例1で得られたカチオン性ポリマーをエタノールに溶解し、これを200nmのシリンジフィルターでろ過し、濃度1×10-2mol/dm3のポリマー溶液を調製した。
清浄なシリカ基板を、100min-1の浸とう下、上記溶液に浸漬した。基板を取り出して、そのまま窒素ガスにより乾燥し、カチオン性ポリマーを吸着させた(図4B)。
合成例1で得られたカチオン性ポリマーをエタノールに溶解し、これを200nmのシリンジフィルターでろ過し、濃度1×10-2mol/dm3のポリマー溶液を調製した。
清浄なシリカ基板を、100min-1の浸とう下、上記溶液に浸漬した。基板を取り出して、そのまま窒素ガスにより乾燥し、カチオン性ポリマーを吸着させた(図4B)。
〔カチオン性ポリマー溶液の濃度とカチオン性ポリマーの吸着量との関係〕
合成例1で得られたカチオン性ポリマーをエタノールに溶解させて、10-1,10-2,10-3,10-4mol/dm3の溶液を調製した。
方法1(キャスト法):清浄な表面酸化シリコンウェハー基板に各濃度の溶液を滴下し、室温で自然乾燥させた(図4C)。
方法2(ディッピング法):清浄な表面酸化シリコンウェハー基板を各濃度の溶液に浸漬し、すぐに引き上げ、室温で自然乾燥させた(図4D)。
合成例1で得られたカチオン性ポリマーをエタノールに溶解させて、10-1,10-2,10-3,10-4mol/dm3の溶液を調製した。
方法1(キャスト法):清浄な表面酸化シリコンウェハー基板に各濃度の溶液を滴下し、室温で自然乾燥させた(図4C)。
方法2(ディッピング法):清浄な表面酸化シリコンウェハー基板を各濃度の溶液に浸漬し、すぐに引き上げ、室温で自然乾燥させた(図4D)。
FT-IRの測定結果を図6に示す。
カチオン性ポリマーの濃度が高いほど、カチオン性ポリマーに観測される特徴的なピーク(3400,2900,1750cm-1付近)の強度が強く、カチオン性ポリマーの吸着量が増えることが確認された。
また、ディッピング法よりもキャスト法で作製した方が、カチオン性ポリマーの吸着量が多いことが確認された。
カチオン性ポリマーの濃度が高いほど、カチオン性ポリマーに観測される特徴的なピーク(3400,2900,1750cm-1付近)の強度が強く、カチオン性ポリマーの吸着量が増えることが確認された。
また、ディッピング法よりもキャスト法で作製した方が、カチオン性ポリマーの吸着量が多いことが確認された。
〔基板上でのスチレンの重合〕
次に、カチオン性ポリマーを吸着させた基板上において、スチレンの重合を行った。
ナスフラスコ中に安定剤を除去するため減圧蒸留したスチレンモノマー50mL、カチオン性ポリマーを吸着させた基板(実施例3)、及び清浄な基板を加え、窒素雰囲気下にて80〜85℃で3時間加熱した。基板を取り出し3時間真空乾燥した。
スチレンの重合反応を確認するためにFT-IR測定を行った。スチレン及びポリスチレンのFT-IRスペクトルを図7に示す。
そして、図8に上記基板のFT-IRスペクトルを示す。
その結果、カチオン性ポリマーを吸着させた基板においてはポリスチレン(2924,1600,1492,1028cm-1)のピークが確認された。すなわち、カチオン性ポリマーを吸着させた基板上で、スチレンの重合反応が進行することが確認された。これに対し、カチオン性ポリマーを吸着させていない清浄な基板ではポリスチレンのピークが確認されなかった。
ポリスチレン膜の膜厚を触針式膜厚測定にて求めたところ、700±20nmであった。このように、本発明のカチオン性ポリマーを用いることにより、簡単に短時間で高分子薄膜が形成できる。
次に、カチオン性ポリマーを吸着させた基板上において、スチレンの重合を行った。
ナスフラスコ中に安定剤を除去するため減圧蒸留したスチレンモノマー50mL、カチオン性ポリマーを吸着させた基板(実施例3)、及び清浄な基板を加え、窒素雰囲気下にて80〜85℃で3時間加熱した。基板を取り出し3時間真空乾燥した。
スチレンの重合反応を確認するためにFT-IR測定を行った。スチレン及びポリスチレンのFT-IRスペクトルを図7に示す。
そして、図8に上記基板のFT-IRスペクトルを示す。
その結果、カチオン性ポリマーを吸着させた基板においてはポリスチレン(2924,1600,1492,1028cm-1)のピークが確認された。すなわち、カチオン性ポリマーを吸着させた基板上で、スチレンの重合反応が進行することが確認された。これに対し、カチオン性ポリマーを吸着させていない清浄な基板ではポリスチレンのピークが確認されなかった。
ポリスチレン膜の膜厚を触針式膜厚測定にて求めたところ、700±20nmであった。このように、本発明のカチオン性ポリマーを用いることにより、簡単に短時間で高分子薄膜が形成できる。
〔カチオン性ポリマー溶液の濃度とポリスチレン膜の膜厚との関係〕
カチオン性ポリマーを吸着させた各基板上において、スチレンの重合を試みた。
安定剤を除去するため減圧蒸留したスチレンモノマー5mLをナスフラスコに入れ、20分間窒素バブリングして脱気した。その後、カチオン性ポリマーを吸着させた各基板(実施例5)、及び清浄な基板を入れ、オイルバスにて80℃で3時間重合させた。反応終了後、取り出し窒素ガスで乾燥させた。
FT-IRの測定結果を図9に示す。
カチオン性ポリマーの吸着量が多い(カチオン性ポリマー溶液の濃度が高い)ほど、ポリスチレンに観測される特徴的なピーク(2924,1600,1492,1028cm-1)の強度が強いことが確認された。
一方、清浄な基板では、スチレンモノマーのピーク(3000,1630,1575,1494cm-1)は観察されたが、ポリスチレンのピークは観測されなかった(図10)。すなわち、カチオン性ポリマーが吸着していない基板では、スチレンの重合は進行しなかった。
カチオン性ポリマーを吸着させた各基板上において、スチレンの重合を試みた。
安定剤を除去するため減圧蒸留したスチレンモノマー5mLをナスフラスコに入れ、20分間窒素バブリングして脱気した。その後、カチオン性ポリマーを吸着させた各基板(実施例5)、及び清浄な基板を入れ、オイルバスにて80℃で3時間重合させた。反応終了後、取り出し窒素ガスで乾燥させた。
FT-IRの測定結果を図9に示す。
カチオン性ポリマーの吸着量が多い(カチオン性ポリマー溶液の濃度が高い)ほど、ポリスチレンに観測される特徴的なピーク(2924,1600,1492,1028cm-1)の強度が強いことが確認された。
一方、清浄な基板では、スチレンモノマーのピーク(3000,1630,1575,1494cm-1)は観察されたが、ポリスチレンのピークは観測されなかった(図10)。すなわち、カチオン性ポリマーが吸着していない基板では、スチレンの重合は進行しなかった。
膜厚測定結果を表1に示す。
(表1)
カチオン性ポリマー溶液の濃度(mol/dm 3 )
10 -1 10 -2 10 -3 10 -4
膜厚(nm) 方法1(キャスト法) 2170±880 950±115 -- --
方法2(ディッピング法) 105±35 885±245 -- --
カチオン性ポリマー溶液の濃度が10-1,10-2mol/dm3であった場合に、ポリスチレン膜の形成(スチレンの重合)が確認された。また、ディッピング法よりもキャスト法で作製した方が厚いポリスチレン膜が形成されることが確認された。
以上より、カチオン性ポリマーの吸着量が多いほど厚いポリスチレン膜が形成され、特にキャスト法で作製すると厚いポリスチレン膜が形成されることが確認された。
(表1)
カチオン性ポリマー溶液の濃度(mol/dm 3 )
10 -1 10 -2 10 -3 10 -4
膜厚(nm) 方法1(キャスト法) 2170±880 950±115 -- --
方法2(ディッピング法) 105±35 885±245 -- --
カチオン性ポリマー溶液の濃度が10-1,10-2mol/dm3であった場合に、ポリスチレン膜の形成(スチレンの重合)が確認された。また、ディッピング法よりもキャスト法で作製した方が厚いポリスチレン膜が形成されることが確認された。
以上より、カチオン性ポリマーの吸着量が多いほど厚いポリスチレン膜が形成され、特にキャスト法で作製すると厚いポリスチレン膜が形成されることが確認された。
Claims (8)
- ポリアミン化合物の窒素原子の一部又は全てが、下記一般式(I)で示される化合物で4級化されたカチオン性ポリマー。
(化1)
(式中、Xはハロゲン原子であり、nは1〜20の整数、mは1〜20の整数である) - 請求項1に記載のカチオン性ポリマーにおいて、前記ポリアミン化合物がポリピリジン化合物であることを特徴とするカチオン性ポリマー。
- 請求項1又は2に記載のカチオン性ポリマーにおいて、前記ポリアミン化合物の分子量が1000〜1000000であることを特徴とするカチオン性ポリマー。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のカチオン性ポリマーを、ζ電位が負の値である基粉体表面に吸着させたことを特徴とするカチオン性ポリマー吸着粉体。
ζ電位の測定方法は以下の通りである。
和光純薬社製のpH7.5の1M tris・HCl緩衝液中に試料を分散・超音波処理した後、18時間放置した上澄み液を測定に用いた。ζ電位は大塚電子株式会社製の電気泳動光散乱光度計LEZA−600を用いて、温度25℃にて測定した。測定は3回行い、結果はその平均値で表した。 - ζ電位が負の値である基粉体表面にポリアミン化合物を吸着させた後、該ポリアミン化合物の窒素原子の一部又は全てを、上記一般式(I)で表される化合物で4級化したことを特徴とするカチオン性ポリマー吸着粉体。
- 請求項4又は5に記載のカチオン性ポリマー吸着粉体の表面上で、モノマー分子を重合させ、薄膜を形成させたことを特徴とする薄膜被覆粉体。
- 請求項4又は5に記載のカチオン性ポリマー吸着粉体を含む皮膚外用剤。
- 請求項6に記載の薄膜被覆粉体を含む皮膚外用剤。
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---|---|---|---|---|
CN114828810A (zh) * | 2019-12-16 | 2022-07-29 | 株式会社资生堂 | 防晒化妆品 |
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- 2005-06-06 JP JP2005165863A patent/JP2006335993A/ja not_active Withdrawn
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CN114828810A (zh) * | 2019-12-16 | 2022-07-29 | 株式会社资生堂 | 防晒化妆品 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20080902 |