JP2006330892A - 非線形モデルを利用したプラントにおける運転制御システム及び運転制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 非線形の特性を有し、かつ、条件数の多いプロセスにおいて、広範囲に高精度で速やかにフィードフォワード制御を行なうことのできる運転制御システムを提供する。
【解決手段】 非線形モデルを用いて蒸留塔や反応炉等のプラントの運転制御を行う運転制御システムであって、前記非線形モデルを用いて制御対象の操作量に対する製品性状の予測を行う予測部1と、この予測部1の予測結果が入力され、前記予測結果に基づいて制御対象に対し所定の操作量を出力するとともに、入出力マトリックスにおいて対角要素に制御成分が設定されてなる制御器3と、この制御器3に前記予測結果を入力するに先立ち、静的モデルである非線形モデルに動的特性を付与する動特性化手段2とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、常圧蒸留塔や精密蒸留塔、FCC反応装置、エチレン装置分解炉などのプラントの運転を制御するのに好適な運転制御システム及び運転制御方法に関し、特に化学工学モデルに基づく非線形モデルを利用した運転制御システム及び運転制御方法に関する。
原料油から種々の石油製品を製造する石油コンビナート等のプロセス産業においては、最適なマテリアルバランスをシミュレーション等で製造前に求めるための手法として、線形計画法(LP:Linear Programming)が利用されている(例えば、特許文献1参照)。この線形計画法は、原料、最終製品、石油コンビナートを構成する装置の運転条件に基づいて制約条件を設定し、目的関数の最大値を与える運転条件を求めることを目的として実施される。
この制御では、操作変数に対して様々な変更がシミュレートされている。シミュレーションにおけるモデル(線形モデル)は、プロセスの主たる外乱、操作及び制御変数を全て利用して、多変量制御が可能になっている。
図9は、線形モデルを用いた運転制御が行われるプラントの一例にかかり、蒸留塔に原油を供給する原油供給装置の構成を説明する図である。
原油供給装置10は、図中右側に配置された常圧蒸留塔1に原油を供給する装置であり、A原油を貯留する原油タンク11と、B原油を貯留する原油タンク12と、これらの各原油タンク11,12に接続されて常圧蒸留塔1に原油を供給する二つの原油供給系列13,14と、各原油供給系列13,14の流量調整を統括的に行う制御手段30と、制御手段30で用いる制御情報の算出処理を行う計算機31とを備えている。なお、二つの原油タンク11,12は、多数設置されている原油タンクの中から切り替えにより現在選択されている原油タンクを示すものとし、残りの原油タンクは記載を省略されているものとする。
各原油供給系列13,14は、いずれも各原油タンク11,12に接続可能とされ、一方の原油供給系列13の各原油タンク11,12に接続される部分には、それぞれ電動式の開閉弁21A,21Bが設けられている。また、他方の原油供給系列14の各原油タンク11,12に接続される部分には、それぞれ電動式の開閉弁21C,21Dが設けられている。これらの四つの開閉弁21A〜21Dは、原油タンクの切り替えの際に操作されるものであり、各原油タンク11,12をそれぞれ原油供給系列13,14に接続する際には、開閉弁21Aおよび21Dを開状態とし、かつ、開閉弁21Bおよび21Cを閉状態とする。
また、各原油タンク11,12をそれぞれ原油供給系列14,13に接続する際には、開閉弁21Aおよび21Dを閉状態とし、かつ、開閉弁21Bおよび21Cを開状態とするようになっている。
一方の原油供給系列13は、二つの分岐路22A,22Bに分岐され、これらの各分岐路22A,22Bには、それぞれ電動式の吸込み側弁23A,23Bと、ポンプ24A,24Bと、第一流量調節弁25A,25Bとが設けられている。また、各ポンプ24A,24Bの前後を連結するように配置された最少流量確保用のミニマムフローライン26A,26Bには、それぞれ第二流量調節弁27A,27Bが設けられている。これらの吸込み側弁23A,23B、ポンプ24A,24B、第一流量調節弁25A,25B、および第二流量調節弁27A,27Bにより、原油供給系列13の流量調整を行う流量調整手段28が構成されている。
同様に、他方の原油供給系列14は、二つの分岐路22C,22Dに分岐され、これらの各分岐路22C,22Dには、それぞれ電動式の吸込み側弁23C,23Dと、ポンプ24C,24Dと、第一流量調節弁25C,25Dとが設けられ、ミニマムフローライン26C,26Dには、第二流量調節弁27C,27Dが設けられている。これらの吸込み側弁23C,23D、ポンプ24C,24D、第一流量調節弁25C,25D、および第二流量調節弁27C,27Dにより、原油供給系列14の流量調整を行う流量調整手段29が構成されている。
図10は、線形モデルとフィードフォワード技術とを用いたモデル予測制御(MPC)のブロックダイヤグラムである。
図示するように、モデル予測制御(MPC)は、線形モデルを主体として、偏差予測ベクトルを将来区間においてLQG問題として解くシステムである。
しかしながら、石油化学プラントのような複雑なプロセスには、本来的に非線形の特性が存在するため、線形制御法の一つの手法であるMPCでは正確な制御を行うことが困難であるという問題がある。
また、MPCでは、条件数が100以上になると制御が不安定になるという問題があるが、上記したような石油化学プラントでは、前記条件数が数百から千以上になることがあり、MPCでは安定的に制御することが困難である。
なお、非線形モデルを操作量に関し逐次線形化しながらモデル予測制御を行う技術や、定常運転において制御量を急激に変化させようとした場合、制約条件の自動調整により強い非線形特性が現れない様に制御量の変化速度にブレーキをかける技術等が提案されているが(例えば特許文献2,3参照)、このような技術を用いてもなお、上記の問題は解決することはできない。
特開平5−120256号公報 特開平6−95707号公報 特開平8−83104号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、常圧蒸留塔や精密蒸留塔、FCC反応装置、エチレン装置分解炉などのプラントにおける非線形の特性を有し、かつ、条件数の多いプロセスにおいて、広範囲に高精度で速やかにフィードフォワード制御を行なうことのできる運転制御システム及び運転制御方法の提供を目的とする。
本発明の発明者は、非線形モデルとフィードフォワード制御とを組み合わせたモデルベースド制御(MBC)により、本発明の目的を達成できることに想到した。本発明においてMBCは、ソフトセンサとしての機能を果たすとともに、制御予測モデルとしての機能を果たすように構成している。
具体的に、請求項1に記載の発明は、非線形モデルを用いて蒸留塔や反応炉等のプラントの運転制御を行う運転制御システムであって、前記非線形モデルを用いて制御対象の操作量に対する製品性状の予測を行う予測部と、この予測部の予測結果が入力され、前記予測結果に基づいて制御対象に対し操作量を出力するとともに、入出力マトリックスにおいて対角要素に制御成分が設定されてなる制御器と、この制御器に前記予測結果を入力するに先立ち、静的モデルである非線形モデルに動的特性を付与する動特性化手段とを有する運転制御システムとして構成してある。
この構成によれば、非線形モデルを使って原料の変動や運転モードの変更に適応できる運転制御システムを容易に構築することができる。この場合、非線形モデルは静的であり、動的予測が困難とされるが、動特性化手段により過去のデータを利用する動特性を付与することで、動的予測が可能になる。また、PID制御器のような制御器は、線形であることを前提とするが、入出力マトリックスにおいて対角要素のみに制御成分が設定されてなるように制御器を設計することで、非線形にも対応が可能になる。
ここで、前記動特性化手段は、請求項2に記載するように、所定の状態量を、時間要素を含むプロセス応答モデルに変換するものであるとよい。例えば、蒸留塔においては、請求項3に記載するように、前記状態量が塔内の熱収支及び/又は物質収支で、現在の塔内温度分布と熱収支とから蒸留曲線を求め、この蒸留曲線から塔内各段の留分のカットポイントを予測し、予測されたカットポイントから前記プロセス応答モデルを作成するようにするとよい。この場合、請求項4に記載するように、前記プロセス応答モデルと分析結果とを比較して補正値を求め、この補正値を次回予測に反映するようにするとよい。
なお、複数のプロセス応答が出現するモデルでは、請求項5に記載するように、最も早く出現するプロセス応答のモデルを用いて予測を行うようにするとよい。また、複数のプロセス応答モデルを用いて予測を行うようにしてもよい。
前記制御器としては、請求項6に記載するように、フィルタ付PID制御器を用いるとよい。このようなフィルタ付PID制御器としては、例えば、本発明の発明者によって1997年1月6日に計測自動制御学会で発表されたワンスポットチューニングPID制御器を挙げることができる。
本発明は、常圧蒸留塔や精密蒸留塔、FCC反応装置、エチレン装置分解炉などの様々なプラントの運転制御に適用が可能であるが、例えば蒸留塔に本発明を適用する場合は、前記非線形モデルとして塔内の熱収支モデル及び物質収支モデルを含むものを用いることができる。
本発明の目的は、請求項7以下に記載した方法によっても達成が可能である。
請求項7に記載の方法は、非線形モデルを用いて蒸留塔や反応炉等のプラントの運転制御を行う運転制御方法であって、入力された制御変数,外乱変数,与えられたパラメータ及び前記非線形モデルを用いて制御対象に入力された操作量に対する製品性状の予測を行い、静的モデルである非線形モデルに動的特性を付与し、入出力マトリックスにおいて対角要素に制御成分が設定されてなる制御器に前記予測結果を入力して制御対象に入力する操作量を決定する方法としてある。
この場合、請求項8に記載するように、所定の状態量を、時間要素を含むプロセス応答モデルに変換することで前記動的特性を付与するとよい。
また、プラントが蒸留塔の場合、請求項9に記載するように、前記状態量が塔内の熱収支及び/又は物質収支で、現在の塔内温度分布と熱収支とから蒸留曲線を求め、この蒸留曲線から塔内各段の留分のカットポイントを予測し、予測されたカットポイントから前記プロセス応答モデルを作成するようにするとよい。そして、請求項10に記載するように、前記プロセス応答モデルと分析結果とを比較し、補正値を求めて次の予測に反映させるとよい。
本発明の運転制御システム及び運転制御方法によれば、蒸留塔や反応炉のようなプラントにおいて、非線形モデルを用い、広範囲に亘って高精度で速やかにフィードフォワード制御を行なうことができる。
また、本発明においては、非線形モデルに基づくロバストな制御系を容易に構築することが可能である。
本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下の説明では、制御対象となるプラントとして、図9に示す常圧蒸留塔を挙げて説明する。
[制御システムの構成]
図1は本発明の運転システムの一実施形態にかかり、その構成を説明するブロック図である。
図1に示すように、この実施形態の運転制御システムは、非線形モデルを用いて塔内各段における留分の性状予測を行う非線形モデル予測器1と、この非線形モデル予測器1の予測結果が入力され、前記予測結果に基づいて制御対象4に対し操作量(プロセス)を出力するとともに、入出力マトリックスにおいて対角要素に制御成分が設定されてなる制御器3と、この制御器3に前置され、静的モデルである非線形モデルに動的特性を付与する動特性化手段としての位相調整器2とを有している。
[モデル予測器]
非線形モデル予測器1は、蒸留塔内の各段における留分のカットポイントを、プロセス応答モデルから予測する。この予測は、熱収支モデルや物質収支モデル、TBP曲線を含む非線形モデルを用いて行う。すなわち、熱収支モデルや物質収支モデルとTBP曲線とから、規格化された分析法(ASTMD86)を満足する各留分の分析相当値を予測する。
ここで、上記した熱収支モデルや物質収支モデル等の化学工学モデルは、動特性を考慮しない(過去のデータを利用しない)静的なものである。このような静的モデルでは、MBC予測器における動的な予測を困難にするという問題がある。
そこで、本発明では、プロセス応答モデル及びプロセス応答における位相差を利用して、位相調整器2で上記の静的モデルに動的特性を与え、動的な予測を可能にしている。
図2は、プロセス応答の概要を示す図である。図2において縦軸はプロセス応答(信号強度)を、横軸は時間を示している。
蒸留塔では、各留分の性状を一定に保つために、塔内の熱収支(ヒートバランス)を常に一定に保つ必要がある。しかし、熱収支を一定に保つための操作(プロセス入力)を行っても、その応答(プロセス応答)は、一定時間の遅れを持って現れることになる。
蒸留塔では、図2に示すように、熱収支、物質収支、計測値、分析値の順でプロセス応答が現れる。
ところで、ある時点における各留分のカットポイントは、そのときの塔内の温度分布と熱収支とからリアルタイムに予測することが可能である。
図3(a)は、ある計測時点における塔内のTBP曲線である。このTBP曲線は、計測された塔内の圧力,温度分布及び熱収支に基づいて作成することができる。このTBP曲線において、両端の点X1,X2は、1atm換算の塔底温度(符号X1)と塔頂温度(同X2)を基に推定された温度である。そして、図3(a)に示すように、このTBP曲線に各留分の蒸留曲線を重ね合わせて、各留分のカットポイントを予測することが可能である。
カットポイントの予測は、物質収支からも可能である。
各留分の留量と温度との関係は、図3(b)に示すように、一部が交差した連続山形となる。図において符号Y1〜Y4は計測温度における留分の抜き出し点を示している。この抜き出し点の位置から経験的(例えば、この蒸留塔においては、各留量の約1/3のところに抜き出し点が位置する推定する)に図示するような各留分の留量−温度線図を求めることができる。
この留分−温度線図をTBP曲線に重ね合わせ、各留分の留量−温度線図が交差する点(図の符号Z1,Z2,Z3で示す点)を求めることで、各留分のカットポイントを予測することができる。
上記の予測は塔内の温度分布を計測するたびに、好ましくは、数十秒〜数分間隔で行うのがよい。これにより、予測されたカットポイントを目標とするプロセス応答モデルを作成することが可能になる。このようにすることで、静的モデルである化学工学モデルに時間的要素を加えて動的予測を行うことが可能になる。
上記で求めたプロセス応答モデルは予測であり、D86分析器等による分析結果が出力されたときに、分析値に基づいて予測値の補正を行うとよい。
すなわち、図3(c)に示すように、D86分析器等による分析結果に基づくプロセス応答と、同一の計測点(図においては計測点Y)における熱収支のプロセス応答モデルとのプロセス応答の差を求める。この差が、補正すべき誤差(予測値と分析値との差)である。補正後のプロセス応答モデルを、図3(c)において仮想線で示すが、以後、補正後の内容に基づいてカットポイントの予測やプロセス応答モデルの作成を行う。
なお、上記の補正は、物質収支に基づく予測と分析値との間でも同様に行うことができる。また、熱収支に基づく予測を物質収支に基づく予測で補正してもよい。さらに、熱収支と物質収支の双方から予測を行うようにしてもよい。
また、熱収支及び物質収支の双方に基づいて予測を行って制御変数を決定する場合は、位相調整器2でプロセス応答モデルにおける両者の位相合わせを行って、制御器3に出力するようにするとよい。
[制御器]
この実施形態の制御器3は、フィルタ付PID制御器である。この実施形態では、PID制御器はDCS上に構築されている。
図4にこの実施形態の制御器3のブロック図を示す。
この制御器は、制御対象に対し、制御ループ間の協調やプロセス全体の安定性、むだ時間対策を目的として、制御器3内のPIDを主体とする主制御器3aと制御対象4との間に、フィルタ(一次フィルタあるいは高次フィルタ)3bを挿入している。符号3cは補償器である。
このフィルタ3b及び制御パラメータは、部分的モデルマッチング法(北森法)に基づいて設計される。その計算に用いられるシステムパラメータは、ヒストリカルデータを用いて、最小二乗法により予測する。フィルタ3bのパラメータは、モデルの無駄時間をTd、応答時間をTp、フィルタ時定数をTfとしたときに、Td/(Tf+Tp)が0.1〜0.2程度となるように設定する。
なお、このフィルタ付PID制御器の基本構成は、本発明の発明者が1997年1月6日に発表した計測自動制御学会論文集VOL.33、NO1「常圧蒸留塔のワンスポットチューニングPID制御」により公知である。
図5は、この実施形態の制御器3に関する入出力マトリクスを示す図である。
この実施形態の制御器3は、対角要素のみに制御成分が設定されるものとして設計されていて、システムへの入力、外乱が予測の形で表現されている。そのため、内的なフィードフォワード制御、非干渉制御となっている。
このような制御器3を用いることで、ロバストの向上が期待でき、非線形予測モデルとの相乗効果から、実用的な非線形モデル予測制御の効果が期待できる。
[処理手順]
上記構成の本制御システムによる処理の手順を、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、目標値の他、留分の引火点(Flush Point)や流動点(Pour Point)、曇点(Cloud Point)等の各種変数を、非線形モデル予測器1に入力する(ステップS1)。パラメータは予め設定されているものとする。図7は、非線形モデル予測器1に入力される各種変数及びパラメータの一例を示す表である。図示するように、この実施形態では、23個の変数と30個のパラメータとが非線形モデル予測器1に入力される。
非線形モデル予測器1は、入力された変数及びパラメータと非線形モデルとから、蒸留塔内の熱バランス及び蒸留塔内の状態量を計算する(ステップS2)。次いで、TBPの傾斜からTBP曲線を求める(ステップS3)。このようにしてTBP曲線が得られたら、TBP曲線に基づいてカット条件を計算し(ステップS4)、ASTMD86により予め決定されたナフサ,ケロシン,LGOの各留分の留量を計算する(ステップS5)。これらが求まれば、フィードフォワード値を求めて(ステップS6)、制御対象4に送信すべき操作量を決定する(ステップS7)。
[効果]
本発明の制御システムは、非線形の化学工学モデルを用い、装置特性が変化してもそれに対して追随できるようになっている。また、外乱があっても、その外乱を予測して制御できるようになっている。
図8は、本発明の運転制御システム及び方法を適用した蒸留塔における予測結果である。
この図からわかるように、本発明のシステムを用いた予測結果の形状(MBC)は、分析結果の形状(Analyzer)とほぼ一致しており、かつ、MBCの方がAnalyzerよりも位相が進んでいる。これは、Analyzerによる分析結果よりも早く装置特性を予測できることを意味している。本発明の運転制御システムでは、分析値の予測を精度よくモデリングできていることがわかる。また、本発明の予測値を用いることで非線形モデル予測に基づくロバストな制御系が容易に構築可能である。
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態により何ら限定されるものではない。
例えば、制御器として本発明の発明者が過去に学会発表したフィルタ付PIDを例にあげて説明したが、上記と同様の作用を奏するものであれば、他の制御器を用いることも可能である。
また、本発明は、定常運転時に限らず、原油切り替え時のように装置特性が大きく変化する場合にも適用が可能である。
本発明は、常圧蒸留塔や精密蒸留塔、FCC反応装置、エチレン装置分解炉など、広範なプラントの運転制御に適用が可能である。
本発明の制御システムの一実施形態にかかり、その構成を説明するブロック図である。 プロセス応答の一例を示すグラフである。 熱収支から各留分のカットポイントを予測する場合の一例にかかり、ある計測時点における塔内のTBP曲線である。 物質収支から各留分のカットポイントを予測する場合の一例にかかり、各留分の留量−温度曲線とある計測時点における塔内のTBP曲線である。 予測値と分析値との差を補正する手順を説明するためのプロセス応答のグラフである。 この実施形態における制御器のブロック図である。 制御器に関する入出力マトリクスを示す図である。 本制御システムによる処理の手順を説明するフローチャートである。 この実施形態の制御器に入力される各種変数及びパラメータの一例を示す表である。 本発明の制御システムを適用した蒸留塔におけるMBC予測結果である。 フィードフォワード技術が適用されるプラントの一例にかかり、蒸留塔に原油を供給する原油供給装置の構成を説明する図である。 本発明の従来例にかかり、線形モデルを用いたモデル予測制御システムのブロックダイヤグラムである。
符号の説明
1 非線形モデル予測器
2 位相調整器
3 制御器
4 制御対象

Claims (10)

  1. 非線形モデルを用いて蒸留塔や反応炉等のプラントの運転制御を行う運転制御システムであって、
    前記非線形モデル、制御変数,外乱変数及び予め付与されたパラメータを用いて前記プラントにおける製品性状の予測を行う予測部と、
    この予測部の予測結果が入力され、前記予測結果に基づいて制御対象に対し所定の操作量を出力するとともに、入出力マトリックスにおいて対角要素に制御成分が設定されてなる制御器と、
    この制御器に前記予測結果を入力するに先立ち、静的モデルである非線形モデルに動的特性を付与する動特性化手段と、
    を有することを特徴とするプラントにおける運転制御システム。
  2. 前記動特性化手段が、所定の状態量を、時間要素を含むプロセス応答モデルに変換するものであることを特徴とする請求項1に記載のプラントにおける運転制御システム。
  3. 前記状態量が塔内の熱収支及び/又は物質収支で、現在の塔内温度分布と熱収支とから蒸留曲線を求め、この蒸留曲線から塔内各段の留分のカットポイントを予測し、予測されたカットポイントから前記プロセス応答モデルを作成することを特徴とする請求項2に記載のプラントにおける運転制御システム。
  4. 前記プロセス応答モデルと分析結果とを比較し、補正値を求めることを特徴とする請求項2又は3に記載のプラントにおける運転制御システム。
  5. 前記プロセス応答が所定の位相差で複数現れる場合に、最も早く現れるプロセス応答モデルを用いて予測を行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のプラントにおける運転制御システム。
  6. 前記制御器は、フィルタ付PID制御器であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラントにおける運転制御システム。
  7. 非線形モデルを用いて蒸留塔や反応炉等のプラントの運転制御を行う運転制御方法であって、
    入力された制御変数,外乱変数,与えられたパラメータ及び前記非線形モデルを用いて制御対象に入力された操作量に対する製品性状の予測を行い、
    静的モデルである非線形モデルに動的特性を付与し、
    入出力マトリックスにおいて対角要素に制御成分が設定されてなる制御器に前記予測結果を入力して制御対象に入力する操作量を決定すること、
    を特徴とするプラントにおける運転制御方法。
  8. 所定の状態量を、時間要素を含むプロセス応答モデルに変換することで前記動的特性を付与することを特徴とする請求項7に記載のプラントにおける運転制御方法。
  9. 前記状態量が塔内の熱収支及び/又は物質収支で、現在の塔内温度分布と熱収支とから蒸留曲線を求め、この蒸留曲線から塔内各段の留分のカットポイントを予測し、予測されたカットポイントから前記プロセス応答モデルを作成することを特徴とする請求項8に記載のプラントにおける運転制御方法。
  10. 前記プロセス応答モデルと分析結果とを比較し、補正値を求めることを特徴とする請求項8又は9に記載のプラントにおける運転制御方法。
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