JP2006330040A - 観察装置 - Google Patents

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昌行 秀島
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Abstract

【課題】 コンタクトプリズムによる収差を補正するための操作の簡便化を図る。
【解決手段】 コンタクトプリズム60により観察像に発生される非点収差を補正する非点収差補正用光学素子61と、色収差を補正する色収差補正用光学素子70とを各観察光路O1、O2に備え、コンタクトプリズム60の光学情報を測定する測定機器90及びテンプレート100と、その測定結果を入力するための手動操作部110と、フットスイッチ7と、フットスイッチ7が操作されたことに対応し、入力された光学情報に基づいて、非点収差の補正方向及び補正量と色収差の補正方向及び補正量とを算出する算出処理部133と、算出された非点収差の補正方向及び補正量に基づいて非点収差補正用光学素子61を制御し、色収差の補正方向及び補正量に基づいて色収差補正用光学素子70を制御する装置制御部131とを備える。
【選択図】 図12

Description

本発明は、観察装置に関し、特に、人眼などの観察に用いられる手術用顕微鏡装置やスリットランプ等の観察装置に関するものである。
図22〜図24は、観察装置の一例である手術用顕微鏡装置の従来の構成を示している(たとえば、特許文献1の従来の技術を参照)。この手術用顕微鏡装置は、図22に示すような外観構成を有し、装置を床面上に支持するための支持ポスト1と、手術用顕微鏡本体を支持するための支持アーム2と、この支持アーム2の先端部に装着された手術用顕微鏡本体取り付け用のブラケット3とを含んで構成されている。
支持アーム2は、L字状アーム4と揺動アーム5とから構成されている。L字状アーム4は、支持ポスト1の上端に水平方向に回動操作可能に装着されている。また、揺動アーム5は、その内部に格納されたスプリングの弾性作用により、上方にバネ付勢されている。
揺動アーム5の先端部には、水平方向に回動操作可能に支持されたアーム6が下方に向かって設けられている。ブラケット3はアーム6の下端部に取り付けられており、ブラケット3には、当該手術用顕微鏡装置の本体部を構成する手術用顕微鏡10が取り付けられている。
また、当該装置を足で操作するためのフットスイッチ7が床面上に設けられている。このフットスイッチ7は、支持ポスト1に通信線を介して接続されている。
手術用顕微鏡10は、各種光学系を格納した鏡筒11を中心に構成されている。鏡筒11には、双眼の接眼レンズ鏡筒11′が設けられている。術者は、この接眼レンズ鏡筒11′をのぞき込んで被手術眼Eの拡大像を観察しつつ手術を行う。また、手術を補助する補助者は、補助者用接眼レンズ部12′をのぞき込んで被手術眼Eを観察できるようになっている。
手術用顕微鏡10の鏡筒11内には、図23、図24に示すような照明光学系12と観察光学系13が収納されている。照明光学系12は、被手術眼Eに照明光を照射するための光学系であり、照明用光源14、集光レンズ15、照明野絞り16、コリメータレンズ17及びプリズム18を含んで構成される。
照明用光源14から発せられた照明光は、集光レンズ15、照明野絞り16、コリメータレンズ17を経由し、プリズム18の反射面18bによって反射され、対物レンズ19を介して被手術眼Eに導かれ被手術眼Eの眼底Er等を照明する。このとき、プリズム18の下面18aは、照明光学系12の射出瞳となっている。なお、符号Eaは被手術眼Eの瞳孔、Ebは虹彩、Ecは角膜を示している。
なお、実際の手術においては、このような照明では手術器具の影の影響で観察が妨げられることがある。その場合、別途、眼球内に導光ファイバを直接に挿入して照明を行うことがある。これは、紫外線及び赤外線を除去した光線を光ファイバを通じて眼球内に導入することで、手術器具が照明光を遮って生じる影などの影響を排除する照明方法である。
観察光学系13は、被手術眼Eに照射された照明光の眼底Erでの反射光(観察光)を接眼レンズ鏡筒11′まで導く光学系であり、図24に示すように左観察光学系13aと右観察光学系13bを有している。
左観察光学系13aは、対物レンズ19と、レンズ20a、20b、20cからなる変倍レンズ系(ズームレンズ系)20と、ビームスプリッタ21と、結像レンズ22と、像正立プリズム23と、眼幅調整プリズム24と、視野絞り25と、(左眼用)接眼レンズ26とこの順に含んでいる。なお、符号2a1は入射瞳であり、符号26aはアイポイントである。
一方、右観察光学系13bは、同様に、対物レンズ19と、レンズ30a、30b、30cからなる変倍レンズ系(ズームレンズ系)30と、ビームスプリッタ31と、結像レンズ32と、像正立プリズム33と、眼幅調整プリズム34と、視野絞り35と、(右眼用)接眼レンズ36とをこの順に含んでいる。また、符号2b1は入射瞳である、符号36aはアイポイントである。
両観察光学系13a、13bは、次のような特徴を持っている。(1)対物レンズ19から変倍レンズ系20、30に至るまでの間は、それぞれ、観察光を平行光束として変倍レンズ系20、30にリレーする観察光路となっている。(2)変倍レンズ系20、30から結像レンズ22、32に至るまでの間は、それぞれ、変倍レンズ系20、30を通じて得られた観察光を平行光束として結像レンズ22、32にリレーする観察光路となっている。
眼底Erにて反射された照明光(観察光)は、対物レンズ19を経由するとともに、両観察光学系13a、13bの各光学素子を経由して接眼レンズ26、36まで案内されて、接眼レンズ鏡筒11′をのぞき込む術者の両眼にそれぞれ導かれる。また、観察光の一部は、ビームスプリッタ21、31により反射されて分岐され、補助観察光学系40及びTV撮像系50にそれぞれ導かれる。
補助観察光学系40は、補助者が被手術眼Eを観察するための光学系であり、結像レンズ41、反射ミラー42及び接眼レンズ43を含んで構成される。また、TV撮像系50は、被手術眼Eの画像を撮影するための光学系であり、結像レンズ51、反射ミラー52及びTVカメラ53を含んで構成される。TVカメラ53は、受像手段53aとしてのCCD撮像素子を備えている。
図25は、図24に示す観察光学系13を上方から見たときの概略構成を示す。なお、同図において、対物レンズ19の光軸をOと示し、両観察光学系13a、13bの光軸(観察光軸)をそれぞれO1、O2と示す。また、プリズム18の下面18aは前述のように照明光学系12の射出瞳であり、両観察光学系13a、13bの観察光路2a2、2b2に近接して形成されている。
ところで、この種の手術用顕微鏡装置を用いて被手術眼Eの眼底Erの周辺部を観察したい場合がある。その場合、被手術眼Eの角膜Ecに図26に示すような(手術用)コンタクトプリズム60をあてがって観察を行う。コンタクトプリズム60は、頂角θ(たとえばθ=45°)を有している。
このようなコンタクトプリズム60を角膜Ecにあてがうと、対物レンズ19の光軸O及び照明光学系12の照明光軸O′(図23参照)が屈折されるのに加えて、両観察光学系13a、13bの観察光軸O1、O2が屈折されるために、眼底周辺部Er′の観察が可能となる。このとき、各種頂角θのコンタクトプリズム60を複数用意し、目的の観察部位に応じてそれらを使い分けることにより、観察部位を適宜変更できる。
しかしながら、このようなコンタクトプリズム60を被手術眼Eにあてがって観察を行う場合、照明光や観察光の屈折分散作用により非点収差や色収差が生じる。
図27は、コンタクトプリズム60をあてがっていない状態での非点収差を模式的に描いた図であって、横軸は、合焦位置を原点とし、その合焦位置から前後にデフォーカスしたときのデフォーカス量を示している。また、縦軸は各デフォーカス量に対する点像Qの大きさと形状を示している。コンタクトプリズム60を角膜Ecにあてがっていないときには、デフォーカス量が大きくても、点像Qはほぼ円形を保ったままである。
それに対して、図28は、コンタクトプリズム60をあてがった状態での非点収差を模式的に描いた図であって、横軸は合焦位置(原点)から前後にデフォーカスしたときのデフォーカス量を示し、縦軸は各デフォーカス量に対応する点像の大きさと形状を示している。このように、コンタクトプリズム60をあてがっているときには、点像Qが円形になる位置が合焦位置から変位し、更に、デフォーカス量が合焦位置前側から後側に変化されるのに伴って縦長の楕円形の状態から最小円を経由して横長の楕円形を呈する状態になり、非点収差が発生してしまう。
また、図29は、コンタクトプリズム60をあてがっていない状態での非点収差、色収差を模式的に描いた図であって、横軸は合焦位置を原点とし、その合焦位置から前後にデフォーカスしたときのデフォーカス量を示している。縦軸は各デフォーカス量に対応する点像Qの大きさと形状を示している。コンタクトプリズム60をあてがっていないときには、合焦状態からデフォーカス量が大きくなったとしても、点像Qはほぼ円形を保ったままであり、また、光が波長成分に分離される色収差もほとんど見られない。デフォーカス量が大きくなるに伴ってわずかに見られるのみであり、合焦位置では観察にほとんど支障がない。
それに対して、図30は、コンタクトプリズム60をあてがった状態での非点収差、色収差を模式的に描いた図であって、横軸は合焦位置(原点)から前後にデフォーカスしたときのデフォーカス量を示し、縦軸は各デフォーカス量に対応する点像Qの大きさと形状を示している。コンタクトプリズム60をあてがっているときには、点像Qが円形になる位置が合焦位置から変位し、更に、デフォーカス量が合焦位置前側から後側に変化されるのに伴って縦長の楕円形の状態から最小円を経由して横長の楕円形を呈する状態になり非点収差が発生する。このとき、同時に、合焦位置においてもコンタクトプリズム60の屈折作用により色収差が発生する。
この図30においては、光の赤、緑、青の波長成分をそれぞれ「R」、「G」、「B」で表して、色収差の発生状況を模式的に描写している。なお、光の成分が分離する方向は、コンタクトプリズム60の屈折力の方向である(同図中の縦軸方向)。
色収差が発生している場合には、図31に示すように、たとえ非点収差を除去したとしても、色収差が残存することとなる。
コンタクトプリズム60を被手術眼Eの角膜Ecにあてがって眼底周辺部Er′を観察するときに、このような非点収差や色収差が介在すると、観察像が歪んで見えたり、色が分離して見えたりするため、観察像のシャープさが劣化して眼底周辺部Er′の手術をしにくくなる。
観察像の非点収差や色収差は、被手術眼Eの眼球光学系によっても生じ、特に、白内障の治療等に用いられる眼内レンズ(IOL)が挿入された眼を手術する場合にはその影響が大きくなって観察が困難になる。
なお、非点収差や色収差による観察像の品質劣化の問題は、手術用顕微鏡装置だけでなく、眼底やその周辺部にレーザ光を照射して光凝固治療を行う光凝固治療装置や、眼科観察用の細隙灯顕微鏡装置(スリットランプ)などの観察装置一般において指摘されている。
このような事情を鑑みて、非点収差や色収差の影響を補正可能な観察装置が提案されている(たとえば、本出願人による特許文献1、2を参照)。特許文献1、2に係る観察装置は、図32、図33に示すように、以前の手術用顕微鏡装置の両観察光学系13a、13bの変倍レンズ系20、30と結像レンズ22、32との間の観察光路中に非点収差打ち消し用光学素子61を設けた構成とされている。
この非点収差打ち消し用光学素子61は、図34、図35に示すように一対のシリンダーレンズ61A、61Bからなるバリアブルクロスシリンダーレンズによって構成される。シリンダーレンズ61Aは凸のシリンダーレンズから構成され、シリンダーレンズ61Bは凹のシリンダーレンズから構成されている。
シリンダーレンズ61A、61Bは、観察光軸O1、O2の回りに一体回転可能(互いの母線軸61C、61Dのなす角度を変えずに回転可能)であるとともに、相対回転可能(互いの母線軸61C、61Dのなす角度のみを変化させ、収差発生方向は変化させないように回転可能)とされている。このシリンダーレンズ61A、61Bを観察光軸O1、O2の回りに一体回転させると、コンタクトプリズム60の被手術眼Eへのあてがい方によって生じる非点収差の方位に非点収差打ち消し用光学素子61を対応させることができ、その方位を固定した状態で、シリンダーレンズ61Aとシリンダーレンズ61Bとの両者を相対回転させて非点収差打ち消し用光学素子61のパワーを適宜変更させることで、コンタクトプリズム60を被手術眼Eにあてがったときに生じる非点収差を打ち消すことができる。
一方、色収差については、図36、図37に示すように、対物レンズ19と変倍レンズ系20、30との間の観察光路中に色収差打ち消し用光学素子70を設けることによって補正される。
この色収差打ち消し用光学素子70は、図38、図39に示すように、2つのプリズム70A、70Bから構成される。プリズム70Aは、薄い2枚のプリズム71a、71bが貼り合わされて構成され、プリズム70Bは、薄いプリズム71c、71dが貼り合わされて構成される。そして、プリズム71a、71dの基本波長(d線)の屈折率ndが等しく、プリズム71b、71cの基本波長(d線)の屈折率ndが等しく、プリズム71aの分散νがプリズム71bの分散νよりも小さく、プリズム71dの分散νがプリズム71cの分散νよりも小さくなるように、プリズム71a〜71dの形成材料を選択することで、色収差打ち消し用光学素子70は、観察光の中心波長を変化させずに色分散(色収差)のみを発生させるように構成されている。
一般に、色収差はプリズムの屈折力の方向に生じる。コンタクトプリズム60によって波長成分に分離された観察光が色収差打ち消し用光学素子70を通過したときに平行光束となるように、色収差打ち消し用光学素子70を回転調整することにより、コンタクトプリズム60の屈折作用による色収差が除去される。
以上より、変倍レンズ系20、30と結像レンズ22、32との間の観察光路中に非点収差打ち消し用光学素子61と色収差打ち消し用光学素子70とを設けることにより、コンタクトプリズム60による非点収差及び色収差が除去された点像が得られることになる。
上記の非点収差打ち消し用光学素子61と色収差打ち消し用光学素子70は、それぞれ、変倍レンズ系20、30と結像レンズ22、32との間の観察光路中、又は、対物レンズ19と変倍レンズ系20、30との間の観察光路中のいずれかに設けることができる。なお、変倍レンズ系20、30と結像レンズ22、32との間の観察光路は、前述のように平行光路になっており、各種補正光学などの通常の挿入位置とされている。
このような手術用顕微鏡装置の制御系については、特許文献1、2に開示されている。それによれば、両観察光学系13a、13bの補正光学系(非点収差打ち消し用光学素子61、色収差打ち消し用光学素子70)は、左右独立に、あるいは左右を統合して制御される。左右の非点収差打ち消し用光学素子61の各シリンダーレンズ61A、61Bは、非点収差の補正量及び補正方向に対応する回転角度にそれぞれ設定される。同様に、左右の色収差打ち消し用光学素子70の各プリズム70A、70Bは、色収差の補正量及び補正方向に対応する回転角度にそれぞれ設定される。
収差の補正量や補正方向の設定は、手動操作によって行うこともできるし、自動的に行うように構成することも可能である。後者の場合、たとえば特許文献2に記載の構成のように左右の観察光学系13a、13bの観察光路のそれぞれから分岐された光路上にTV撮像系50L、50Rを設ける(図40参照)。この左右のTV撮像系50L、50Rは、それぞれ、結像レンズ51L、51R、反射ミラー52L、52R及びTVカメラ53L、53Rを含んで構成される。TVカメラ53L、53Rは、受像手段54L、54R(CCD撮像素子)を備えている。左右のTVカメラ53L、53Rの受像素子54L、54Rからの出力信号を基に収差の量及び方向を検出することができる。そして、その検出結果を用いて補正光学系を駆動することにより、収差補正処理の自動化が図られる(詳細は特許文献2参照)。
特許文献2の構成においては、コントロールパネルを操作することで、手動による収差補正操作も行えるようになっている。このコントロールパネルには、コンタクトプリズム60の頂角θを設定するツマミ及びその装着角度を設定するツマミとともに、収差の補正方向(軸角度)と補正量とのそれぞれを左右別々に手動設定するツマミが、非点収差及び色収差のそれぞれについて設けられている。
また、図41は、本発明の観察装置の他の形態である光凝固治療装置の従来の構成を表している。なお、手術用顕微鏡装置と同様の構成部分については同じ符号が付してある。この光凝固治療装置は、治療用レーザ光を被手術眼Eの眼底Erに照射することが可能な照射光学系80を備える。この照射光学系80から出力される治療用レーザ光は、図示しないコリメートレンズによって平行光束としてリレーされ、プリズム18により反射されて対物レンズ19に導かれて眼底Erに照射される。
眼底周辺部Er′に治療用レーザ光を照射する場合、角膜Ec上にコンタクトプリズム60があてがわれる。対物レンズ19と変倍レンズ系20、30との間の観察光路中には非点収差打ち消し用光学素子61が設けられ、また、プリズム18と対物レンズ19との間の照明光路中にも非点収差打ち消し用光学素子81が設けられており、治療用レーザ光がコンタクトプリズム60を通過するときに発生する非点収差を打ち消すようになっている。非点収差打ち消し用光学素子81は、非点収差打ち消し用光学素子61と同様に一対のシリンダーレンズ81A、81Bから構成される。
シリンダーレンズ81A、81Bの非点収差補正量は、左右の観察光学系13a、13b(図41では左右まとめて符号13と表記している)のそれぞれを介して検出された画像データに基づくソフトウェア処理によって決定できる。また、非点収差打ち消し用光学素子81によるパワーの方向及び大きさを任意に補正可能な図示しない補正レンズ(系)が設けられている。なお、色収差についても同様にして補正することが可能である。
特開2003−172876号公報 特開2004−361891号公報
しかしながら、たとえ補正光学系の動作が自動化されている場合であっても、手術という使用状況を考慮すると、患部を観察している術者(執刀医)自らが収差補正操作を行えるようにする必要があり、そのため手動操作のための手段は不可欠と考えられる。特に、頂角45°など頂角の大きなコンタクトプリズムを使用する場合には、収差の発生量が大きくなるので、コンタクトプリズムによる非点収差の向きと、それを打ち消すために非点収差打ち消し用光学素子が発生する非点収差の向きとが駆動中に重なると、観察像の品質が大幅に劣化して観察部位の状態を全く判別できなくなることもあり得る。
また、手術中において、コンタクトプリズムを回転させて観察部位を変更することがあるが、そのときに観察部位を決定するのは術者であるため、術者自らが収差を補正するための操作を行うことが望ましい。
特許文献2のコントロールパネルによる手動操作によれば、多数のツマミを個別に操作する必要があり、操作に手間取るおそれがある。特に、術者は、多くの場合において両手を同時に使用して手術を行っているので、そのような煩雑な手動操作を手術中に行うことは困難である。
また、両手を使用している状況においても操作可能にするために、コントロールパネルの多数のツマミに対応する多数のスイッチをフットスイッチ上に配設することも考えられる。しかしながら、そのような多数のスイッチを足で選択的に操作することは、手術という極めて集中を要する状況下においては非常に困難である。
ところで、上記した従来の構成によれば、図24、図33に示したTV撮像系50により眼底Erの電子的な画像を撮影して観察できるので、その撮影画像の鮮鋭度を用いることにより、最も収差の少ない補正状態を得ることが可能である。
しかし、画像の鮮鋭度から収差の方向及び量を検出するためには、いわゆる山登り法(条件を逐次変更しながら指標となる数値を求めて最大点を探索する近似計算方法である。実用的には、指標となる数値が、過去の最大点から所定の値(又は比)小さくなったときに探索を終了して計算時間を短縮する。)を適用する必要がある。この山登り法を従来の観察装置に適用する場合、非点収差及び色収差のそれぞれの補正方向と補正量とを適宜に変更しながら、その都度、画像の鮮鋭度を求める処理を何度も反復して実施することとなる。
実際には、被手術眼Eの乱視等に起因する誤差を別にすれば、非点収差の発生方向と色収差の発生方向との相対角度(相対方向)が一定になるという条件を考慮することで、色収差又は非点収差の方向と非点収差及び色収差のそれぞれの収差量との、3つのパラメータについて網羅的に探索すれば十分である。しかし、その場合であっても、計算には長時間が必要であり、結局、収差補正処理に長い時間が掛かってしまう。
ここで、画像の鮮鋭度は、たとえば、撮影画像の各画素について、所定範囲における隣接する画素との画素値の差の絶対値の総和として算出される。
また、人眼の眼底はほぼ赤一色であり、青色等の光は眼底においてほとんど反射されないため、光の赤、緑、青の波長成分の分離として表れる色収差(図30参照)の検出は、特に困難である。更に、眼底上には、目立った組織構造は視神経乳頭(白色に近い)と血管程度しかないため、コントラストの低い撮影画像しか得られないことが多く、それにより、非点収差の検出も困難になる。このように収差状態の検出が困難であると、収差を効果的に補正することが困難になってしまう。
また、上記の鮮鋭度を用いた収差検出手法の他に、収差の特性を用いてその補正方向及び補正量を決定する手法が考えられる。これは、たとえば、非点収差については像の変形から、また色収差については像の色ずれから、それぞれ収差の方向と量とを検出しようとするものである。しかしながら、このような手法によっても、赤一色かつ低コントラストの撮影画像から収差を高精度で検出することは困難である。特に、収差の補正方向や補正量の調節を一旦行った後などにおいては、収差量が小さいためにその検出は大変困難になり、結果的に、収差補正を効果的に行うことが困難になる。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたもので、コンタクトプリズムに起因する収差を補正するための操作を簡便化することが可能な観察装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、コンタクトプリズムに起因する収差を効果的に補正することが可能な観察装置を提供することを他の目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、観察対象物に対峙される対物レンズから左右の接眼レンズに至るまでの間の左右それぞれの観察光路に、光束を結像させる結像レンズを有し、観察部位を変更するプリズム部材を前記観察対象物と前記対物レンズとの間に配置して観察を行う観察装置であって、前記左右それぞれの観察光路に、前記プリズム部材を配置させたときに前記観察対象物の観察像に発生する非点収差を補正するための非点収差補正用光学素子と、前記プリズム部材を配置させたときに前記観察像に発生する色収差を補正するための色収差補正用光学素子とを設け、前記プリズム部材の光学情報を取得するための測定を行う測定手段と、操作手段と、前記操作手段が操作されたことに対応し、前記取得された前記プリズム部材の光学情報に基づいて、前記非点収差の補正方向及び補正量と前記色収差の補正方向及び補正量とを算出する算出手段と、前記算出された前記非点収差の補正方向及び補正量に基づいて前記非点収差補正用光学素子を制御し、前記色収差の補正方向及び補正量に基づいて前記色収差補正用光学素子を制御する制御手段と、を備えていることを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の観察装置であって、前記測定手段は、前記プリズム部材の厚さを前記光学情報として測定するプリズム厚測定手段と、前記プリズム部材のプリズム角を前記光学情報として測定するプリズム角測定手段と、前記プリズム部材により発生される非点収差及び/又は色収差の発生方向と、前記非点収差及び色収差のそれぞれの発生量とを前記光学情報として測定するための収差測定手段と、を含んでいることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の観察装置であって、前記算出手段は、前記プリズム厚測定手段を用いて測定された前記プリズム部材の厚さと、前記プリズム角測定手段を用いて測定された前記プリズム角と、前記収差測定手段を用いて測定された前記発生方向及び前記発生量と、あらかじめ取得された前記左右の観察光路を形成する観察光学系の光学情報とに基づいて、前記プリズム部材の屈折率を算出するとともに、前記プリズム部材の厚さと、前記プリズム角と、前記発生方向及び前記発生量と、前記観察光学系の光学情報と、前記算出された前記屈折率とに基づいて、前記プリズム部材の分散を算出するプリズム特性値算出手段を含み、前記算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散に基づいて、前記非点収差の補正量と前記色収差の補正量とを算出する、ことを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の観察装置であって、前記算出手段は、前記測定された前記プリズム部材の厚さ及び前記プリズム角と、前記観察光学系の光学情報と、前記プリズム特性値算出手段により算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散とに基づいて、前記プリズム部材の向きと前記対物レンズの光軸に対する前記プリズム部材の軸の傾斜角度との双方に対応する、前記非点収差及び前記色収差のそれぞれの補正量の情報を含む補正量情報を作成する補正量情報作成手段を更に含み、前記作成された補正量情報に基づいて、前記非点収差の補正量と前記色収差の補正量とを算出する、ことを特徴とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の観察装置であって、前記補正量情報作成手段は、それぞれ所定のステップ毎に定義された前記方向と前記傾斜角度とに対応する前記非点収差及び前記色収差のそれぞれの補正量を算出して前記補正量情報を作成し、前記算出手段は、前記作成された補正量情報を参照し、前記定義された前記方向及び/又は前記傾斜角度の前記ステップの間の値に対応する前記非点収差及び前記色収差の補正量を算出する、ことを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記非点収差補正用光学素子による非点収差の補正方向及び補正量と、前記色収差補正用光学素子による色収差の補正方向及び補正量とを、それぞれ手動操作にて調整するための手動調整手段を更に備え、前記収差測定手段は、前記対物レンズの下方位置にて前記プリズム部材を支持するプリズム部材支持部と、前記支持された前記プリズム部材の下方位置に配置され、眼底に相当する位置にターゲットを有する模擬眼と、前記模擬眼の下方位置に配置され、前記ターゲットを照明して前記ターゲットを観察可能にする照明光源とを含み、前記支持された前記プリズム部材により前記ターゲットの観察像に発生された非点収差と色収差とを前記手動操作にて調整したときの非点収差及び/又は色収差の補正方向を前記発生方向として入力するための発生方向入力操作手段と、前記手動操作にて調整したときの非点収差及び色収差のそれぞれの補正量を前記発生量として入力するための発生量入力操作手段とを更に備え、前記算出手段は、前記入力された前記発生方向及び前記発生量とに基づいて、前記非点収差の補正量と前記色収差の補正量とを算出する、ことを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記収差測定手段は、前記対物レンズの下方位置にて前記プリズム部材を支持するプリズム部材支持部と、前記支持された前記プリズム部材の下方位置に配置され、眼底に相当する位置にターゲットを有する模擬眼と、前記模擬眼の下方位置に配置され、前記ターゲットを照明して前記ターゲットを観察可能にする照明光源と、前記左右の観察光路の少なくとも一方を分岐させる光路分岐手段と、前記分岐された光路を経由した光束を受光して前記ターゲットの画像を撮影する撮像手段と、前記撮影された前記ターゲットの画像を解析して、前記支持された前記プリズム部材によって前記ターゲットの画像に発生された非点収差及び/又は色収差の発生方向と非点収差及び色収差の発生量とを検出する検出手段とを含み、前記算出手段は、前記検出された前記発生方向及び前記発生量に基づいて、前記非点収差の補正量と前記色収差の補正量とを算出する、ことを特徴とする。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の観察装置であって、前記測定手段は、前記プリズム部材により前記観察対象物の観察像に発生される非点収差及び/又は色収差の発生方向と、前記非点収差及び色収差のそれぞれの発生量とを前記光学情報として測定し、前記算出手段は、あらかじめ取得された前記プリズム部材の厚さ及びプリズム角と、あらかじめ取得された前記左右の観察光路を形成する観察光学系の光学情報と、前記測定手段により測定された前記発生方向及び前記発生量とに基づいて、前記プリズム部材の屈折率を算出するとともに、前記プリズム部材の厚さ及びプリズム角と、前記発生方向及び前記発生量と、前記観察光学系の光学情報と、前記算出された前記屈折率とに基づいて、前記プリズム部材の分散を算出するプリズム特性値算出手段を含み、前記算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散に基づいて、前記非点収差の補正方向及び補正量と前記色収差の補正方向及び補正量とを算出する、ことを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の観察装置であって、前記測定手段は、前記プリズム部材が前記配置された前記観察対象物にターゲットを形成するターゲット形成手段と、前記左右の観察光路の少なくとも一方を分岐させる光路分岐手段と、前記分岐された光路を経由した光束を受光して前記ターゲットを含む前記観察対象物の画像を撮影する撮像手段と、前記撮影された前記画像を解析して、前記ターゲットの画像を抽出する画像抽出手段と、前記抽出された前記ターゲットの画像を解析して、前記プリズム部材により発生された色収差の発生方向及び発生量を検出する収差検出手段とを含み、前記算出手段は、前記プリズム特性値算出手段により算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散とともに、前記収差検出手段により検出された前記発生方向及び前記発生量に基づいて、前記非点収差の補正方向及び補正量と前記色収差の補正方向及び補正量とを算出する、ことを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の観察装置であって、前記色収差補正用光学素子を制御して、前記観察対象物の画像における色収差の発生量を、前記収差検出手段により検出された前記発生量よりも増大させる収差制御手段と、前記収差検出手段によりそれぞれ検出された、前記収差制御手段により色収差が増大される前の前記ターゲットの画像における色収差の発生量と、前記増大された後の前記観察対象物の画像から前記画像抽出手段により抽出された前記ターゲットの画像における色収差の発生量との差が、所定のしきい値よりも大きいか否かを判断する判断手段と、を更に備え、前記算出手段は、前記差が前記所定のしきい値よりも大きいと前記判断されたときに、前記プリズム特性値算出手段により算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散とともに、前記増大された色収差の発生方向及び/又は発生量を粗調整して得られる色収差の発生方向及び発生量の前記収差検出手段による検出結果に基づいて、前記非点収差の補正方向及び補正量と前記色収差の補正方向及び補正量とを算出する、ことを特徴とする。
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の観察装置であって、前記収差制御手段は、前記判断手段により前記差が前記所定のしきい値以下であると判断されたときに、前記色収差補正用光学素子を制御して、前記観察対象物の画像における色収差の発生量を、前記増大される前の発生量に変更することを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、請求項9ないし請求項11のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記収差検出手段は、前記画像抽出手段により抽出された前記ターゲットの画像をR成分、G成分及びB成分の画像に分解し、前記R成分、G成分及びB成分の画像のそれぞれの重心を算出し、この算出された前記R成分、G成分及びB成分の画像の重心の変位方向と変位量とに基づいて、前記プリズム部材により発生された色収差の発生方向及び発生量を求めることを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記操作手段は、前記観察対象物の観察像に発生する非点収差の補正方向と色収差の補正方向とを変更するための補正方向操作手段を含み、前記制御手段は、前記補正方向操作手段が操作されたことに対応して、前記非点収差補正用光学素子による非点収差の補正方向と前記色収差補正用光学素子による色収差の補正方向とを一括制御する、ことを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の観察装置であって、前記プリズム部材の向きに応じた非点収差の発生方向と色収差の発生方向とを対応付ける収差発生方向対応情報をあらかじめ記憶した発生方向記憶手段を更に備え、前記算出手段は、前記補正方向操作手段により変更される前記補正方向と、前記記憶された前記収差発生方向対応情報とに基づいて、前記非点収差の補正方向と前記色収差の補正方向とを算出する、ことを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、請求項13又は請求項14に記載の観察装置であって、前記非点収差補正用光学素子は、それぞれ独立に回転駆動される2枚のシリンダーレンズを含んで構成されるバリアブルクロスシリンダーレンズであり、前記制御手段は、前記2枚のシリンダーレンズのそれぞれを同方向に同角度だけ回転させて非点収差の補正方向を変更させる、ことを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、請求項13ないし請求項15のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記色収差補正用光学素子は、それぞれ独立に回転駆動される2枚のプリズムを含んで構成され、前記制御手段は、前記2枚のプリズムのそれぞれを同方向に同角度だけ回転させて色収差の補正方向を変更させる、ことを特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記操作手段は、前記観察対象物の観察像に発生する非点収差の補正量と色収差の補正量とを変更するための補正量操作手段を含み、前記制御手段は、前記補正量操作手段が操作されたことに対応して、前記非点収差補正用光学素子による非点収差の補正量と前記色収差補正用光学素子による色収差の補正量とを一括制御する、ことを特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、請求項17に記載の観察装置であって、前記非点収差補正用光学素子は、それぞれ独立に回転駆動される2枚のシリンダーレンズを含んで構成されるバリアブルクロスシリンダーレンズであり、前記制御手段は、前記2枚のシリンダーレンズを互いに逆方向に同角度だけ回転させて非点収差の補正量を変更させる、ことを特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、請求項17又は請求項18に記載の観察装置であって、前記色収差補正用光学素子は、それぞれ独立に回転駆動される2枚のプリズムを含んで構成され、前記制御手段は、前記2枚のプリズムを互いに逆方向に同角度だけ回転させて色収差の補正量を変更させる、ことを特徴とする。
また、請求項20に記載の発明は、請求項1ないし請求項19のいずれか一項に記載の観察装置であって、装置の動作を足で操作するためのフットスイッチを備え、前記操作手段は前記フットスイッチに設けられている、ことを特徴とする。
また、請求項21に記載の発明は、請求項1ないし請求項20のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記左右それぞれの観察光路に観察倍率を変化させる変倍レンズ系を有し、前記結像レンズは、前記変倍レンズ系を経由した光束を結像させ、前記非点収差補正用光学素子は、前記対物レンズから前記結像レンズに至るまでの間の観察光路上に配置されている、ことを特徴とする。
また、請求項22に記載の発明は、請求項1ないし請求項21のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記左右それぞれの観察光路に観察倍率を変化させる変倍レンズ系を有し、前記結像レンズは、前記変倍レンズ系を経由した光束を結像させ、前記色収差補正用光学素子は、前記対物レンズから前記結像レンズに至るまでの間の観察光路上に配置されている、ことを特徴とする。
また、請求項23に記載の発明は、請求項1ないし請求項22のいずれか一項に記載の観察装置であって、第1の操作手段と、前記第1の操作手段が操作されたことに対応し、前記非点収差補正用光学素子を制御して前記観察像に発生する非点収差の補正量をゼロにし、前記色収差補正用光学素子を制御して前記観察像に発生する色収差の補正量をゼロにする補正リセット手段と、を更に備えていることを特徴とする。
また、請求項24に記載の発明は、請求項1ないし請求項22のいずれか一項に記載の観察装置であって、第2の操作手段及び第3の操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記第2の操作手段が操作されたことに対応し、前記非点収差補正用光学素子による非点収差の現在の補正方向及び補正量の情報と、前記色収差補正用光学素子による色収差の現在の補正方向及び補正量の情報とを所定の記憶手段に記憶させるとともに、前記第3の操作手段が操作されたことに対応し、前記所定の記憶手段に記憶された前記補正方向及び補正量の情報を読み出し、前記非点収差補正用光学素子を制御して非点収差の補正方向及び補正量を前記読み出された前記補正方向及び補正量に変更し、前記色収差補正用光学素子を制御して色収差の補正方向及び補正量を前記読み出された前記補正方向及び補正量に変更することを特徴とする。
また、請求項25に記載の発明は、請求項1ないし請求項22のいずれか一項に記載の観察装置であって、第4の操作手段を更に備え、前記制御手段は、前記非点収差補正用光学素子による非点収差の補正方向及び補正量と、前記色収差補正用光学素子による色収差の補正方向及び補正量とのうちの少なくともいずれかが変更される度毎に、その変更された後の前記補正方向及び補正量の情報を所定の記憶手段に記憶させるとともに、前記第4の操作手段が操作されたことに対応し、前記所定の記憶手段に記憶された最後の前記変更の直前における前記補正方向及び補正量の情報を読み出し、前記非点収差補正用光学素子を制御して非点収差の補正方向及び補正量を前記読み出された前記補正方向及び補正量に変更し、前記色収差補正用光学素子を制御して色収差の補正方向及び補正量を前記読み出された前記補正方向及び補正量に変更することを特徴とする。
また、請求項26に記載の発明は、請求項1ないし請求項22のいずれか一項に記載の観察装置であって、前記プリズム部材の光学特性に基づいて得られた非点収差の標準的な補正方向及び補正量と色収差の標準的な補正方向及び補正量とをあらかじめ記憶する記憶手段と、第5の操作手段と、を更に備え、前記制御手段は、前記第5の操作手段が操作されたことに対応し、前記記憶手段に記憶された前記標準的な補正方向及び補正量を読み出し、前記非点収差補正用光学素子を制御して非点収差の補正方向及び補正量を前記標準的な補正方向及び補正量に変更し、前記色収差補正用光学素子を制御して色収差の補正方向及び補正量を前記標準的な補正方向及び補正量に変更することを特徴とする。
本発明に係る観察装置は、請求項1に記載のように、観察対象物の観察部位を変更するプリズム部材を配置させたときに観察像に発生する非点収差を補正するための非点収差補正用光学素子と、色収差を補正するための色収差補正用光学素子とを左右それぞれの観察光路に備えており、プリズム部材の光学情報を測定するための測定を行う測定手段を備えている。そして、操作手段が操作されたことに対応して、算出手段が、プリズム部材の光学情報の測定結果に基づいて、非点収差の補正方向及び補正量と、色収差の補正方向及び補正量とをそれぞれ算出するとともに、制御手段が、算出された非点収差の補正方向及び補正量に基づいて非点収差補正用光学素子を制御し、色収差の補正方向及び補正量に基づいて色収差補正用光学素子を制御するように構成されている。
このような本発明の観察装置によれば、操作手段を操作するだけで、プリズム部材に起因する非点収差の補正と色収差の補正との双方を一括して行うことができるので、プリズム部材によって観察像に発生される非点収差及び色収差を補正するための操作の簡便化を図ることが可能である。
請求項2〜7に記載の観察装置によれば、プリズム部材の厚さを測定するプリズム厚測定手段、プリズム部材のプリズム角を測定するプリズム角測定手段、及び、プリズム部材により発生される非点収差及び/又は色収差の発生方向と、非点収差及び色収差のそれぞれの発生量とを測定するための収差測定手段を含む測定手段を用いて、実際に観察を行う前にプリズム部材の光学情報を高精度で測定することができる。特に、請求項6、7に記載の収差測定手段を用いることにより、プリズム部材に起因する収差の発生方向や発生量を高精度で測定できる。それにより、プリズム部材に起因する収差補正の精度向上を図ることが可能となる。
請求項8〜12に記載の観察装置においては、測定手段は、プリズム部材により観察対象物の観察像に発生される非点収差及び/又は色収差の発生方向と、非点収差及び色収差のそれぞれの発生量とを測定し、算出手段は、あらかじめ取得されたプリズム部材の厚さ、プリズム角、観察光学系の光学情報と、測定された収差の発生方向及び発生量とに基づいて、プリズム部材の屈折率及び分散を算出するプリズム特性値算出手段を備えている。そして、算出手段は、算出されたプリズム部材の屈折率及び分散に基づいて、非点収差及び色収差のそれぞれの補正方向及び補正量を算出するように作用する。
このような請求項8〜12に記載の観察装置によれば、観察対象物を観察している最中であっても、プリズム部材の屈折率及び分散を取得できるので、それらを取得するための測定を事前に行う必要がないという利点がある。
また、請求項10に記載の観察装置によれば、観察対象物の画像における色収差の発生量を増大させる収差制御手段を備えているので、色収差の発生量が小さい場合であっても、色収差の発生方向及び発生量を高精度で検出でき、したがって、収差補正を効果的に行うことが可能となる。
また、請求項12に記載の観察装置によれば、抽出されたターゲットの画像をR成分、G成分及びB成分の画像に分解してそれぞれの画像の重心を算出するとともに、これら3つの画像の重心の変位方向と変位量とに基づいて色収差の発生方向及び発生量を求めるように構成されているので、色収差を高精度で検出することができ、それにより、収差補正を効果的に行うことが可能となる。
本発明に係る観察装置の好適な実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係る観察装置は、上記〔背景技術〕にて説明したように、手術用顕微鏡装置、スリットランプ、光凝固治療装置などの眼科観察装置として特に好適に使用される。
以下、第1の実施形態では、主として手術用顕微鏡装置において、コンタクトプリズムの光学情報を測定するための手段を後付け可能なアタッチメントとして形成し、それによる事前の測定結果に基づいて観察像に発生する収差を補正する構成について説明する。また、第2の実施形態では、観察対象物(被手術眼)の観察中にコンタクトプリズムの光学情報を測定し、その測定結果に基づいて観察像の収差を補正する構成について説明する。
〈第1の実施形態〉
本実施形態に係る手術用顕微鏡装置は、従来と同様の外観及び光学系の構成を備えている。そこで、従来の手術用顕微鏡の説明を適宜参照しつつ本実施形態を説明する。まず、本実施形態の手術用顕微鏡装置の外観構成及び光学系の構成について簡単に説明する。
本実施形態の手術用顕微鏡装置を用いて被手術眼E(観察対象物)の眼底Erの周辺部を観察する場合、図26に示すような頂角θの(手術用)コンタクトプリズム60が角膜Ecにあてがわれる。このコンタクトプリズム60は、本発明の「プリズム部材」の一例に相当するものである。
[装置の外観構成及び光学系の構成]
本実施形態に係る手術用顕微鏡装置は、図22に示すような外観構成を有しており、支持ポスト1、支持アーム2、手術用顕微鏡本体取り付け用のブラケット3、手術用顕微鏡10及び補助者用接眼レンズ部12′を備える。支持アーム2は、L字状アーム4と揺動アーム5とから構成されている。揺動アーム5の先端部にはアーム6が支持されており、このアーム6の下端部にはブラケット3が取り付けられている。更に、ブラケット3には、この手術用顕微鏡装置の本体部を構成する手術用顕微鏡10が取り付けられている。
また、この手術用顕微鏡装置には、装置を足で操作するためのフットスイッチ7が設けられている。本実施形態では、このフットスイッチ7を用いて収差補正操作を行う(詳細は後述する。)。
手術用顕微鏡10の鏡筒11には双眼の接眼レンズ鏡筒11′が設けられ、術者は接眼レンズ鏡筒11′をのぞき込んで被手術眼Eの拡大像を観察して手術を行う。鏡筒11には、観察像のズーム倍率を変更するための操作部(後述のズーム操作部)や、収差補正を行う光学部材(非点収差打ち消し用光学素子61、色収差打ち消し用光学素子70)を観察光路上に挿脱させるための操作部などが設けられている。また、術者を補助する補助者は、補助者用接眼レンズ部12′をのぞき込んで被手術眼Eの拡大像を観察する。
手術用顕微鏡10の鏡筒11内には、図1、図2に示すように、被手術眼Eに照明光を照射する照明光学系12と、照明光の眼底Erでの反射光(観察光)を接眼レンズ鏡筒11′まで導く観察光学系13とが収納されている。
照明光学系12の照明用光源14から発せられた照明光は、集光レンズ15、照明野絞り16、コリメータレンズ17を経由し、プリズム18の反射面18bにて反射され、対物レンズ19を介して被手術眼Eに導かれて被手術眼Eの眼底Er等を照明する。
観察光学系13は、左の接眼レンズ鏡筒11′に観察光を導く左観察光学系13aと、右の接眼レンズ鏡筒11′に観察光を導く右観察光学系13bとを有する。左観察光学系13a(右観察光学系13b)は、対物レンズ19と、レンズ20a(30a)、20b(30b)、20c(30c)からなる変倍レンズ系20(30)と、色収差打ち消し用光学素子70と、非点収差打ち消し用光学素子61と、ビームスプリッタ21(31)と、結像レンズ22(32)と、像正立プリズム23(33)と、眼幅調整プリズム24(34)と、視野絞り25(35)と、接眼レンズ26(36)とをこの順に備えている。なお、符号2a1(2b1)は入射瞳であり、符号26a(36b)はアイポイントである。
両観察光学系13a、13bは、対物レンズ19から変倍レンズ系20、30に至るまでの間が観察光を平行光束として変倍レンズ系20、30にリレーする観察光路となっており、変倍レンズ系20、30から結像レンズ22、32に至るまでの間が変倍レンズ系20、30を通じて得られた観察光を平行光束として結像レンズ22、32にリレーする観察光路となっている。
非点収差打ち消し用光学素子61は、本発明の「非点収差補正用光学素子」の一例に相当し、たとえば、図34、図35に示すように、一対のシリンダーレンズ61A、61Bを含むバリアブルクロスシリンダーレンズにより構成される。なお、非点収差打ち消し用光学素子61は、変倍レンズ系20、30から結像レンズ22、32に至るまでの間の観察光路中に配設されているが、対物レンズ19から変倍レンズ系20、30に至るまでの間の観察光路中に配設してもよい。
シリンダーレンズ61A、61Bは、観察光軸O1,O2の回りに一体的に回転(互いの母線軸61C、61Dのなす角度を変えずに回転)可能であり、また、相対的に回転(互いの母線軸61C、61Dのなす角度のみを変化させ、収差発生方向は変化させないように回転)可能とされている。
色収差打ち消し用光学素子70は、本発明の「色収差補正用光学素子」の一例に相当し、たとえば、図38、図39に示すように、一対のプリズム70A、70Bを含んで構成される。プリズム70Aは、薄い2枚のプリズム71a、71bが貼り合わされて構成され、プリズム70Bは、薄いプリズム71c、71dが貼り合わされて構成される。なお、色収差打ち消し用光学素子70は、対物レンズ19から変倍レンズ系20、30に至るまでの間の観察光路中に配設されているが、変倍レンズ系20、30から結像レンズ(系)22、32に至るまでの間の観察光路中に配設するようにしてもよい。
コンタクトプリズム60によってR、G、B等の波長成分に分離された観察光が色収差打ち消し用光学素子70を通過したときに平行光束になるように色収差打ち消し用光学素子70を回転調整することで、色収差を除去することができる。
眼底Erにて反射された照明光(観察光)は、対物レンズ19を経由し、両観察光学系13a、13bの各光学素子を経由して接眼レンズ26、36までそれぞれ案内される。また、観察光の一部は、ビームスプリッタ21、31により反射され、補助観察光学系40、TV撮像系50にそれぞれ導かれる。補助観察光学系40は、結像レンズ41、反射ミラー42及び接眼レンズ43を含んで構成される。また、TV撮像系50は、結像レンズ51、反射ミラー52及びTVカメラ53を含んで構成される。TVカメラ53は、受像手段53aとしてのCCD撮像素子を備えている。なお、右観察光学系13bのビームスプリッタ31は本発明の「光路分岐手段」の一例に相当し、TV撮像系50は「撮像手段」の一例に相当する。
なお、図2に示す光学系に代えて、図3に示すような光学系を適用することも可能である。この図3の光学系は、左観察光学系13aの観察光路からビームスプリッタ21により分岐された光路上にTV撮像系50Lが設けられ、右観察光学系13bの観察光路からビームスプリッタ31により分岐された光路上にTV撮像系50Rが設けられている。TV撮像系50L、50Rは、結像レンズ51L、51R、反射ミラー52L、52R及びTVカメラ53L、53Rをそれぞれ含んで構成される。TVカメラ53L、53Rは、受像手段54L、54R(CCD撮像素子)によって観察光を受光して信号を出力する。
左右の受像素子54L、54Rからの出力信号はそれぞれ画像処理されて、収差の発生量と発生方向が検出される。非点収差打ち消し用光学素子61及び色収差打ち消し用光学素子70は、検出された収差の発生量と発生方向に基づいて制御され、コンタクトプリズム60が左右の観察光にそれぞれ与えた非点収差及び色収差を自動補正する。なお、このような光学系を備えた手術用顕微鏡装置による収差の自動補正の制御態様については、本出願人による前述の特許文献2に詳細に説明されている。
[用語の定義]
ここで、以下の説明において使用される用語「コンタクトプリズムの軸」、「コンタクトプリズムの角度」、「コンタクトプリズムの方向(向き)」、「鏡筒の軸」、「左眼の軸、右眼の軸」、「軸の一致、軸の傾き」の意味を定義しておく。
(1)「コンタクトプリズムの軸」:コンタクトプリズム60は、図4に示すように、プリズム部60Aと手術用コンタクトレンズ部60Cとを一体にした形状であり、一個の部品として形成されている。手術用コンタクトレンズ部60Cは、その下面60Dを角膜Ecに接触させるようにして角膜Ecにあてがわれる。この下面60は、角膜Ecの形状に合わせるように凹面状に形成されている。プリズム部60Aは、手術用コンタクトレンズ部60Cの平面状の上面に形成される。図4(A)に示すように、手術用コンタクトレンズ部60Cの光軸を延長し、これをコンタクトプリズム60の軸60aとして定義する。
(2)「コンタクトプリズムの角度」:コンタクトプリズム60の軸60aに直交する面(図4(B)中における横方向の点線)とプリズム部60Aの上面60Bとの成す角度を、コンタクトプリズム60の角度αとして定義する。ここで、コンタクトプリズム60の頂角θを用いると、角度α=90°−θと表される。この定義によれば、角度α=45°のコンタクトプリズムに比べ、角度α=15°のコンタクトプリズムは薄い形状となる。
(3)「コンタクトプリズムの方向(向き)」:図4(A)に示すように、プリズム部60Aの上面60B上に立てた法線nをコンタクトプリズム60の軸60aに直交する平面上に投影して得られる向きを、コンタクトプリズム60の方向(向き)Dとして定義する。この方向Dは、簡単に言うと、コンタクトプリズム60の斜面(上面60B)が向いている方向を意味する。図4(B)に示すように、軸60aに平行に入射した光線Lは、この方向Dの逆方向に曲げられてコンタクトプリズム60から出射する。
(4)「鏡筒の軸」:手術用顕微鏡10の鏡筒11は、図5に示すように円筒状に形成されている。この円筒状の鏡筒11の中心軸を鏡筒11の軸11aとして定義する。なお、鏡筒11の軸11aは、対物レンズ19の光軸Oと一致している。
(5)「左眼の軸、右眼の軸」:手術用顕微鏡10は、前述のように双眼観察が可能とされ、左右の観察光学系13a、13bを有している。観察光学系13a、13bの観察光軸O1、O2は鏡筒11の軸11aと平行であるが、対物レンズ19と被観察物(眼底Er、眼底周辺部Er′等)との間では、図5に示すように、術者の左右眼に達する光軸は輻輳し、鏡筒11の軸11aと平行にはならない。この対物レンズ19と被観察物(眼底Er、眼底周辺部Er′等)との間における左右の光軸を、それぞれ左眼の軸OL、右眼の軸ORとして定義する。
(6)「軸の一致、軸の傾き」:手術用顕微鏡10は、通常、対物レンズ19を含む鏡筒11を垂直配置として(つまり、対物レンズ19の光軸Oと観察光軸O1、O2を垂直配置するようにして)設置される。このとき、鏡筒11の軸11aも垂直配置される。角膜Ecにあてがわれたコンタクトプリズム60の軸60aと、垂直配置の鏡筒11の軸11a(対物レンズ19の光軸O)とが互いに平行になっている場合、その状態を「軸の一致」と定義する。また、コンタクトプリズム60の軸60aと鏡筒11の軸11aとが平行でない場合(たとえば傾いている場合、交差している場合、ねじれの関係にある場合など)に、その状態を「軸の傾き」と定義する。
[検討]
本発明は、コンタクトプリズム60によって生じる非点収差と色収差の補正操作を一括して行うものである。ここで、非点収差と色収差の補正を一括して行うにあたって考慮すべき問題点及びその解消に必要な事項について検討する。
〔問題点の検討〕
(収差の発生方向について)
コンタクトプリズム60を角膜Ec上にあてがったときの非点収差の発生方向及び色収差の発生方向は、コンタクトプリズム60の向きDによって決定され、それらの相対角度は常に一定であるので、非点収差と色収差の補正方向の一括制御については問題はない。なお、被手術眼Eの眼球光学系により発生する収差によって非点収差や色収差の発生方向に誤差が生じることがある。特に、乱視による非点収差などが問題となるが、乱視のほとんどは角膜で発生し、手術用コンタクトレンズ部60Cの作用によってキャンセルされるので、実用上は問題にならない。
(収差の発生量について)
収差の発生量については、図6に示すように、コンタクトプリズム60の姿勢の傾きの状態(すなわち、軸の一致の状態、軸の傾きの状態における軸60aの傾斜角度γ)に応じて変化し、この変化は単純な比例関係ではない。
図6から分かるように、色収差は、全体的に発生量が大きい一方で、コンタクトプリズム60の傾き状態(傾斜角度γ)の変化に対する発生量の変化量は小さい。また、非点収差は、コンタクトプリズム60の傾き状態(傾斜角度γ)の変化に応じて発生量が大きく変化する。
また、非点収差と色収差は、コンタクトプリズム60の厚さ(角度α)の増減に対応してその発生量が増減する。
また、収差発生量は、コンタクトプリズム60のどの部分を光が通過するかにも左右される。たとえば、図7に示す場合においては、左眼の軸OLに沿って導かれる光と、右眼の軸ORに沿って導かれる光とでは、前者の光がコンタクトプリズム60内を通過する光路よりも後者の光が通過する光路の方が長いので、後者の光に発生する収差量の方が大きくなる。
特に、コンタクトプリズム60の姿勢が傾いている(軸の傾き;傾斜角度γ≠0°)場合、非点収差の量の補正と色収差の量の補正とを一括して操作するには、非点収差及び色収差のいずれか一方から他方を算出する必要がある。たとえば、非点収差の補正量を調整したら、色収差の補正量も最適値になるように調整される必要がある。さもなくば、2つの補正量を別々に調整することとなり補正操作が煩雑になってしまう。
このような「軸の傾き」の状態は、特殊なケースではなく、装置の光学的構成上、そして手術の過程において頻繁に発生する。以下に、「軸の傾き」状態が発生する代表的な要因を例示する。
「軸の傾き」状態の第1の発生要因としては、双眼観察における輻輳がある。たとえば、図7に示すようにコンタクトプリズム60が左を向いている場合(方向D=左方向の場合)、左眼の軸OLと右眼の軸ORとは輻輳しており、コンタクトプリズム60の上面60Bに対する観察光路の角度が異なっており、また左右の観察光が通過する場所も異なるためにコンタクトプリズム60を通過するときの経路長に差が生じる。したがって、左右の観察光における収差の発生状況が異なる場合がある。
第2の発生要因としては、コンタクトプリズム60の方向Dの変更(つまりコンタクトプリズム60の回転)がある。たとえ「軸の一致」状態が成立している場合であっても、左右眼の軸OL、ORは、輻輳により、コンタクトプリズム60の軸60aに対して傾いている。したがって、コンタクトプリズム60を回転させると、上面60Bに対する各軸OL、ORの角度が変わり、その都度補正量を変更しなければならないことがわかる。
第3の発生要因は、手術形態に関連する。通常、被手術眼Eは、手術器具により「緩く」固定された状態で手術に供される。そのため、手術中に被手術眼Eが動いてしまい、それとともにコンタクトプリズム60も動いてしまうことがある。このように、手術中において「軸の一致」は非常にまれな状態であり、「軸の傾き」状態が通常であると言える。また、コンタクトプリズム60の傾き具合(軸60aの傾斜角度γ)は、被手術眼Eの変位に応じて常に変動することから、コンタクトプリズム60を回転させなくても補正量の調整を適宜行う必要があることがわかる。
〔必要事項の検討〕
以上の問題点の検討を踏まえ、収差補正操作の簡便化を達成するための必要事項について検討する。
コンタクトプリズム60の様々な設置状況において適切な収差補正量を取得するために、本実施形態では、観察光学系13a、13bの光学情報とコンタクトプリズム60の光学情報とに基づいて非点収差と色収差の相互関係(特に補正量の相互関係)を求め、それを利用して双方の収差補正を一括して行う。
(観察光学系の光学情報について)
観察光学系13a、13bの光学情報としては、観察光学系13a、13bの光学設計数値(特に物側焦点から補正光学系まで)や、変倍レンズ系20、30によるズーム倍率などがある。なお、非点収差はズーム倍率の二乗に比例して変化し、色収差はズーム倍率に比例して変化することが光学原理として知られている。したがって、他の条件が同一であれば、ズーム倍率の変化に対応する収差の変化は容易に求められる。
なお、本実施形態においては、物側焦点から補正光学系までの光学データのうち、対物レンズ19の焦点距離、観察光学系13a、13bの輻輳角、同じく対物レンズ19上の瞳の位置とサイズ、対物レンズ19から補正光学系までの距離などが特に重要である。
(コンタクトプリズムの光学情報について)
コンタクトプリズム60の光学情報としては、その挿入位置、サイズ・形状、姿勢、光学特性値(屈折率と分散)が必要とされる。
コンタクトプリズム60の挿入位置は、被手術眼Eの角膜Ec上である。人眼の眼球は、その大きさがおおよそ決まっているので、個人差による多少の誤差はあるものの、既知とすることができる。
コンタクトプリズム60のサイズは、たとえば、そのコンタクトプリズム60の直径や中心部の厚さ(中心厚)により定義される。また、その形状は、コンタクトプリズム60の角度α(図4(B)参照)により定義される。コンタクトプリズム60の直径は、角膜程度とされている。また、コンタクトプリズム60は角度αと直径に基づいてなるべく薄く作られていることを考慮すると、中心厚のおおよその値を求めることができる。なお、コンタクトプリズム60の角度αは、たとえば、手術部位が眼底Erの中心(黄斑部)からどの程度離れた位置にあるかなどの条件に基づいて選択される。なお、上述のコンタクトプリズム60のサイズや形状としては、手術用顕微鏡装置やコンタクトプリズム60のカタログやマニュアル等に記載された公称値を用いることもできる。
コンタクトプリズム60の姿勢については、被手術眼Eが手術器具によりある程度固定されていること、また、姿勢があまりに傾くと観察視野がずれたり狭くなったりすることから術者等により修正されることなどを考慮すると、姿勢のずれは一般にある程度の範囲内に収まっていると仮定できる(詳細は後述する)。
コンタクトプリズム60の光学特性値(屈折率、分散)については、一般に不明である。屈折率と分散は、コンタクトプリズム60の形成材料の特性であるが、その材料は、ディスポーザブル用のアクリルやシリコンゴム、各種光学硝子、傷に強いサファイアなど、多様であり、特別な場合を除いてユーザは知ることができない。
以上のように、コンタクトプリズム60の光学情報取得に関する問題は、第1に屈折率と分散の値が不明である点、第2に手術中における正確な姿勢が不明である点である。
第1の問題点(屈折率と分散)について検討する。コンタクトプリズム60の屈折率と分散は、それによる収差の発生量から算出可能である。すなわち、収差を十分に補正した状態においては、収差の補正量と収差発生量とがほぼ等しくなることから、上記の他の必要事項が得られていると仮定すると、屈折率と分散の値を取得することができる。なお、屈折率と分散を取得するための器具及びその取得方法については後述する。
一方、第2の問題点(手術中のコンタクトプリズム60の姿勢)については、たとえば次のように対処できる。屈折率と分散の値は手術前に分かっているので、手術中におけるコンタクトプリズム60の方向Dと収差発生量とが分かれば、非点収差及び色収差の内の一方の収差量からコンタクトプリズム60の姿勢を求めることができる。そして、その情報から他方の収差量を算出することができる。なお、コンタクトプリズム60の方向Dは、たとえば、色収差の発生方向(波長成分の分離方向)が方向Dに等しいことを利用して検知できる。なお、この第2の問題点に対する処理の具体的内容については後述することとする。
上述のコンタクトプリズム60の光学情報を取得すれば、観察光学系13a、13bの光学情報と合わせることにより、非点収差と色収差の発生方向及び発生量を算出することができる。
なお、補正光学系(非点収差打ち消し用光学素子61、色収差打ち消し用光学素子70)は、本実施例においては、付加的アタッチメントとして構成されているために、変倍レンズ系20、30よりも接眼レンズ26、36側に配置されている。この補正光学系が発生すべき収差量(補正量)は、コンタクトプリズム60による収差量をズーム倍率により拡大/縮小したものに相当する。なお、補正光学系を付加的アタッチメントとして構成する必要がない場合などには、この補正光学系を変倍レンズ系20、30よりも対物レンズ19側に配置することができる。その場合には、収差量を求める際に、変倍レンズ系20、30によるズームの影響を考慮しなくても良くなる。
(コンタクトプリズムを測定する器具について)
図8に示す測定器具90は、コンタクトプリズム60の中心厚及び光学特性値(屈折率と分散)の測定に適用可能なものである。また、図9に示す(角度測定)テンプレート(角度測定ゲージ)100は、コンタクトプリズム60の角度αの測定に適用可能なものである。
なお、測定器具90及びテンプレート100は、本発明の「測定手段」の一例に相当する。特に、測定器具90は「プリズム厚測定手段」及び「収差測定手段」の一例に相当し、テンプレート100は「プリズム各測定手段」の一例に相当する。
図8に示す測定器具90は、手術用顕微鏡10の鏡筒11の下端部にホルダ部91により装着される。ホルダ部91の側部には昇降機構部92が固着されている。この昇降機構部92には、下方に延びる棒状の懸垂アーム94が接続されている。フォーカスノブ93を操作すると、昇降機構部92が懸垂アーム94を伸縮(又は上下移動)させることができる。
懸垂アーム94には、昇降アーム95の摺動部95aが上下方向(鏡筒11の軸11aに沿う方向)及び水平方向(軸11aに直交する方向)に摺動可能に取り付けられている。摺動部95aには、水平方向に延びる水平アーム95bが固着されている。
懸垂アーム94と昇降アーム95の摺動部95aにはバーニヤ付きの目盛が付されており、昇降アーム95を上下に移動させるときの移動量を測定できるようになっている。なお、この目盛は、たとえば、後述の模擬角膜97の頂点位置を原点0とし、上方に向かって距離を刻んだものになっている。
懸垂アーム94の下端には、テーブル96が取り付けられている。テーブル96には、軸11aを中心とする開口(図示せず)が形成されており、この開口には模擬角膜97が配設されている。
また、このテーブル96の開口の周囲には、模擬角膜97上に載置されるコンタクトプリズム60のずれを防止するための固定枠96aが取り付けられる。この固定枠96aは、たとえば、コンタクトプリズムの各種サイズに応じて用意された大きさの異なる複数のリング状の部材から選択的に取り付けられたものである。また、テーブル96上においてスライド可能に構成された「」形状(カギ括弧形状)の固定枠96aを用いてもよい。なお、模擬角膜97は、本発明の「プリズム部材支持部」の一例に相当する。
テーブル96の下面側には、模擬眼98と照明光源99とを収納した収納部96Aが取り付けられている。模擬眼98と照明光源99は、模擬角膜97の下方に配置されている。また、模擬眼98の眼底中心部に相当する部分にはピンホール等の円形のターゲット98aが形成されている。照明光源99から出力された光(の一部)は、このターゲット98aのみを透過する。なお、照明光源99は、専用の電源装置や手術用顕微鏡装置の電源装置(いずれも図示省略)から電源の供給を受けて発光する。
このような測定器具90による中心厚の測定は、次のようにして実施される。まず、ホルダ部91により鏡筒11に測定器具90を取り付ける。このとき、模擬角膜97の頂点位置が軸11a上に配置されるように取付位置を調整する。
次に、測定対象のコンタクトプリズム60を模擬角膜97上に載置する。このとき、実際の手術時に使用するゲル状物質をコンタクトプリズム60と模擬角膜97との間に挟んだ状態とすることが望ましい。
コンタクトプリズム60の中心厚を測定するには、まず、昇降アーム95を水平方向に回転させ、水平アーム95bをコンタクトプリズム60の上方に配置させる。続いて、水平アーム95bの下面がコンタクトプリズム60の中心部に接触する位置まで昇降アーム95を下降させ、そのときの目盛の値を取得する。この目盛の値をコンタクトプリズム60の中心厚の測定値とする。
一方、コンタクトプリズム60の屈折率と分散を測定するためには、コンタクトプリズム60による収差の発生方向と発生量を測定する必要がある。そこで、昇降アーム95を回転させて水平アーム95bを軸11a上から退避させるとともに、照明光源99を点灯して模擬眼98のターゲット98aを介して照明光を上方に投射する。操作者は、接眼レンズ鏡筒11′をのぞき込むなどしてターゲット98aの像を観察しながら、フォーカスの部93を操作して、ターゲット98aの像にピントを合わせる。更に、ターゲット98aの像を観察しつつ、非点収差打ち消し用光学素子61や色収差打ち消し用光学素子70を操作して(操作法については後述する。)収差の補正方向や補正量を調整し、ターゲット98aの像が最も良好に観察される状態になったときの補正方向と補正量を取得して測定値とする(その取得方法としては、ターゲット98aの像がベストな観察状態になったときに後述の手動操作部110の測定値記憶操作部113を操作して記憶する方法を本実施形態では採用する。)。
ここで、「ターゲット98aの像が最も良好に観察される状態」とは、非点収差の場合においては、円形のターゲット98aの像が円形に視認される状態を示し、色収差の場合においては、ターゲット98aの像が波長成分(R、G、B等の成分)に分解されずに視認される状態を示す。このようにして取得される収差の補正方向及び補正量は、コンタクトプリズム60が発生する収差の方向及び量に相当するものと考えることができる。
なお、特に色収差の測定において、操作者の直接目視ではなく、TVカメラ53によるターゲット98aの撮影画像を観察しながら測定する場合、受像手段53a(CCD撮像素子等)による色フィルタ特性を利用することもできるが、測定精度を高めるためには、照明光源99として赤色LED及び青色LEDなどを用いてターゲット98aを赤と青の特定波長の光で照明することで、受像手段53aが検出する光の波長をより厳密に特定できるようにすることが可能である。
図9に示すテンプレート100は、コンタクトプリズム60の角度αを測定するために使用される。このテンプレート100は、たとえばプラスティック板などからなり、角度αとして一般的な角度(15°、30°、45°等)などを成すように略三角形状に形成された複数の切欠部100A〜100Cを有している。各切欠部100A〜100Cが成す角度はそれぞれ異なっている。また、各切欠部100A〜100Cの近傍には、その角度を示す数値が記載されている。
テンプレート100の切欠部100A〜100Cにコンタクトプリズム60を方向Dの方向に挿入して切欠部100A〜110Cに対するコンタクトプリズム60の接触状態を判断し、コンタクトプリズム60がぴったりと嵌合する切欠部100A〜100Cを探す。その切欠部100A〜100Cの成す角度をコンタクトプリズム60の角度αの測定値として採用する。
[操作系の構成]
上記のように測定された値などを設定入力したり、手術時に収差を補正したりするための操作系について説明する。
実際の手術の開始前に行うデータ設定時には、ある程度時間に余裕があるため、そのときに測定値等を設定入力するとともに、収差を十分に補正しておく。そのためには、測定値等を詳細に設定できる操作部が必要である。
また、手術中においては、術者は、手術を行いながら収差補正操作を行うため、補正精度よりも操作の簡便性が優先される。また、両手で手術を行うこともあるため、手以外で操作できることが望ましい。なお、実験によれば、肉眼で収差の増加を認識できるのは、補正方向で角度5°程度以上、量で数%の誤差程度以上の場合であり、画像の分解能の低下が明らかに認識されて手術に影響が出ると思われるのは、補正方向で角度15°程度以上ずれたときであった。
それらを勘案して、本実施形態では、手術開始前に設定入力を詳細に行うための手動操作系と、手術中に収差補正を簡便に行うためのフットスイッチ操作系との2種類の操作系を適用することにする。
〔手動操作系〕
本実施形態の手動操作系の一例を図10に示す。手動操作部110は、手術用顕微鏡10に対し演算制御部130を介して電気的に接続されており、たとえば手術用顕微鏡装置の脇に配置されるテーブル(図示せず)上などに設置される。手動操作部110は、手術開始前における光学情報の測定における操作やその測定結果等の設定入力に用いられるとともに、後述のフットスイッチ7が故障したときのバックアップとしての機能を備えている。この手動操作部110は、本発明の「手動調整手段」の一例に相当する。
この手動操作部110のパネル上には、プリズムサイズ設定部111、プリズム角設定部112、測定値記憶操作部113、非点収差補正量設定部114、色収差補正量設定部115、補正方向設定部116、相対角度微調整操作部117及び自動補正起動操作部118がそれぞれ配設されている。また、これらが操作されて入力されたデータやその他必要なデータを表示する表示部119が設けられている。この表示部119は、たとえばLCD等の薄型ディスプレイにより構成される。
プリズムサイズ設定部111は、図8の測定器具90を用いて測定されたコンタクトプリズム60のサイズ(中心厚)を設定入力するために操作される。このプリズムサイズ設定部111は、たとえば、ロータリーエンコーダやテンキーなどの数値入力可能なデバイスにより構成される。プリズムサイズ設定部111から入力されたデータは、表示部119に表示される。
プリズム角設定部112は、図9のテンプレート100を用いて測定されたコンタクトプリズム60の角度αを設定入力するために操作される。このプリズム角設定部112は、ロータリーエンコーダやテンキーなどの数値入力可能なデバイスにより構成される。また、特定の複数の角度α1、α2、・・・、αNのコンタクトプリズムのみが使用されるような環境下においては、各角度に対応する複数のボタンを設けるなど、角度α1、・・・、αNを択一的に設定入力可能なデバイスにより構成してもよい。プリズム角設定部112から入力されたデータは、表示部119に表示される。
なお、コンタクトプリズム60の角度αを設定入力する代わりに、その頂角θを設定入力するようにしてもよい。ここで、前述のようにα=90°−θの関係があるので、各Dαと頂角θとは一対一に対応している。コンタクトプリズム60の角度αや頂角θは、本発明の「プリズム角」の一例に相当するものである。
測定値記憶操作部113は、ボタン等によって構成されており、プリズムサイズ設定部111やプリズム角設定部112を操作して入力されたデータを設定情報として記憶させるために操作される。操作者は、プリズムサイズ設定部111やプリズム角設定部112を操作してデータを入力したら、この入力データを表示部119にて確認した後に測定値記憶操作部113を操作して、当該入力データを記憶させる。なお、この入力データを記憶する記憶媒体については後述する。
非点収差補正量設定部114及び色収差補正量設定部115は、それぞれ、非点収差及び色収差の補正量を設定するために操作され、(操作性が良好であることから)コンタクトプリズム60の光学特性の測定時に主に使用される。また、手術中においては、フットスイッチ7の補正量変更ボタン(後述)のバックアップとして使用される。この非点収差補正量設定部114及び色収差補正量設定部115は、たとえば、無限回転可能なアブソリュートタイプのロータリーエンコーダにより構成される。
また、この非点収差補正量設定部114及び色収差補正量設定部115は、それぞれ、コンタクトプリズム60による非点収差及び色収差の発生量の測定結果を入力するためにも使用される。入力された測定結果は、表示部119に表示される。
操作者は、ターゲット98aの像を観察しつつ非点収差補正量設定部114と色収差補正量設定部115とを操作して収差量を最適な補正状態にするか、あるいは、ターゲット98aの像を観察すること無くそれらを操作して、事前測定から得られた収差量を設定入力するなどして、表示部119に収差補正量を表示させ、それから測定値記憶操作部113を操作してその収差補正量を記憶させる(すなわち、2つの収差の補正状態をベストな状態とし、それから測定値記憶操作部113を操作して、そのベストな状態の収差量を記憶させる。)。
なお、非点収差補正量設定部114と色収差補正量設定部115は、本発明の「発生量入力操作手段」の一例に相当するものである。
補正方向設定部116は、本発明の「発生方向入力操作手段」の一例に相当し、非点収差の補正方向と色収差の補正方向とを一括して設定するためのものであり、手術前の準備段階におけるコンタクトプリズム60に起因する収差発生方向の設定に使用されるとともに、フットスイッチ7の補正方向変更ボタン(後述)のバックアップとしても使用される。収差発生方向を設定したら、操作者は測定値記憶操作部113を操作して、その設定値を記憶させる。
この補正方向設定部116は、設定操作を容易にするために、たとえば、無限回転可能なアブソリュートタイプのロータリーエンコーダに加え、補正方向を指示する回転ツマミ116aを備えた構成とされている。
補正方向設定部116のアブソリュートタイプのロータリーエンコーダは、たとえば、基本分解能(角度)が1°(360ステップ/回転)程度のもので、角度30°毎にクリックを設けたもの(クリック12個/回転)とすることが望ましい。ここで、基本分解能を1°とするのは、補正方向を細かく調整するためにはその程度の精度が好適であるからである。また、クリックを30°毎に設けるのは、手術中などに補正方向を口頭で指示する場合に、時計板上の時刻(12時間/回転)の方向を用いることがあり、それに適合させるためである(たとえば、「(時計板上の)3時方向に補正」など)。
操作者は、回転ツマミ116aを回転させて所望の方向を指示させることにより補正方向を設定入力する。なお、補正方向設定部116の周囲に目盛などを設けて、回転ツマミ116aの指示方向を容易に認識できるようにしてもよい。
なお、「アブソリュートタイプのロータリーエンコーダ」とは、原点に対して1回転又は多回転の絶対角度位置を検出できるロータリーエンコーダを意味している。また、「クリック」とは、ロータリーエンコーダを回転させるときの操作感を良くするために、「カチカチ」といった手応えを付与するものである。
相対角度微調整操作部117は、非点収差の補正方向と色収差の補正方向との相対角度を微調整するために操作される。前述のように、非点収差と色収差の発生方向は、コンタクトプリズム60の方向Dに応じてそれぞれ決定され、それらの相対角度は常に一定である。しかし、この相対角度は、被手術眼Eの眼球光学系に起因する収差によってずれることがある。相対角度微調整操作部117は、このときのずれに応じて相対角度を微調整するものである。
この相対角度微調整操作部117としては、中央位置(コンタクトプリズム60に対応する相対角度の位置)にクリックを有するアブソリュートタイプのロータリーエンコーダなどによって構成してもよいが、微調整のリセット操作などを考慮すると、インクリメンタルタイプのロータリーエンコーダを適用して、電源オン時やリセット時に微調整なしの状態に自動的に戻すように構成する方が実用上望ましいと思われる。なお、「インクリメンタルタイプのロータリーエンコーダ」とは、測定開始点からの回転変位量に対応するパルスを発生するタイプのロータリーエンコーダを意味する。
ここで、非点収差の補正方向を微調整するための操作部と、色収差を補正方向を微調整するための操作部とを別々に設けた構成を採用してもよいし、また、一方の補正方向を微調整する操作部を設けて上記相対角度を参照して他方の補正方向も微調整する構成を採用してもよい。それらによっても、相対角度微調整操作部117と同様の機能を実現できる。
相対角度微調整操作部117による補正方向設定の分解能は、たとえば角度1°〜0.5°程度とされ、ロータリーエンコーダの分解能は、たとえば角度20°単位(18ステップ/回転)程度で十分である。また、各ステップ毎にクリックを設け、操作中にクリック数をカウントして元の位置(微調整なしの位置)に戻せるようにして操作性を向上させることができる。
自動補正起動操作部118は、たとえば図2や図3に示す光学系を適用する場合などに設けられるもので、収差の自動補正機能を起動させるために操作されるボタン等からなる。この自動補正起動操作部118は、自動補正機能を搭載しない手術用顕微鏡装置においては設ける必要がない。
〔フットスイッチ〕
フットスイッチ7は、本発明の「操作手段」の一例に相当するものであり、手術中に使用され、十字型に配置された4つのボタン7F、7B、7L、7Rを備えている。前後のボタン(補正量変更ボタン)7F、7Bは、本発明の「補正量操作手段」の一例に相当するもので、観察像に発生した収差の補正量を変更するために操作される。また、左右のボタン(補正方向変更ボタン)7L、7Rは、本発明の「補正方向操作手段」の一例に相当し、観察像に発生した収差の補正方向を変更するために操作される。
前方位置に配置された補正量増加ボタン7Fは補正量を増加させるときに操作され、後方位置に配置された補正量減少ボタン7Bは補正量を減少させるときに操作される。また、左方位置に配置された補正方向左回転ボタン7Lは補正方向を左回り(反時計回り)に変更するときに操作され、右方位置に配置された補正方向右回転ボタン7Rは補正方向を右回り(時計回り)に変更するときに操作される。
なお、手術中におけるコンタクトプリズム60の方向Dの変更動作は、一般にゆっくりと行われるものではない。たとえば、コンタクトプリズム60による眼底周辺部Er′の視野の端まで手術部位が到達し、その先の領域を観察したい場合には、当該手術部位を視野の中心あるいは反対側の端に位置させるように、コンタクトプリズム60の方向Dが所定角度だけすばやく回転される。このような使用環境に対処するため、補正方向左回転ボタン7L及び補正方向右回転ボタン7Rに、任意の変速機構を設けることが望ましい。
そのためには、たとえば、ボタン7L、7Rが強く踏まれて操作された場合や、その外側部分が踏まれて操作された場合に、補正方向の回転速度を早くするような構成とすることができる。また、補正方向の変更速度は、このような2段階変速には限定されず、ボタン7L、7Rを踏む強さやストロークに応じて、複数段階又は無段階で補正方向の回転速度を変速させてもよい。また、ボタン7L、7Rが所定時間以上踏まれたことに対応して補正方向の回転速度を上昇させるように構成することも可能である。このような構成とすることで、コンタクトプリズム60の方向Dの回転に応じて補正方向を迅速に切り換えられるとともに、補正方向の精密な微調整も可能となる。
補正方向を変更するための操作部としては、以上のような左右のボタン7L、7Rに限定されるものではなく、たとえば12方向に傾倒できるジョイスティックなどを適用することも可能である(図示省略)。
フットスイッチ7には、更に、収差の自動補正機能を起動させるために操作される自動補正起動ボタン7Aが設けられる。この自動補正起動ボタン7Aは、図3に示す光学系を適用する場合などに設けられ、自動補正機能を搭載しない手術用顕微鏡装置においては設ける必要がない。
[制御系の構成]
本実施形態に係る手術用顕微鏡装置の制御系の構成を説明する。図12のブロック図は、手術用顕微鏡装置の制御系の構成の一例を表している。
手術用顕微鏡装置の制御系は、装置各部の制御と各種演算処理を実行する演算制御部130を中心に構成される。演算制御部130は、たとえば、CPU等のマイクロプロセッサと、ROM、RAM、ハードディスクドライブ等の記憶装置とを含んで構成される。なお、このような記憶装置に代えて、DVDやCD−ROM等のメディアと、このメディアに対応するドライブ装置とを用いることも可能である。
なお、演算制御部130は、手術用顕微鏡装置自体に搭載されていてもよいし、手術用顕微鏡装置に付属のコンピュータ装置に搭載されていてもよいし、また、それらの双方に分散して搭載されていてもよい。また、手術用顕微鏡装置がLAN等のネットワークに接続されている場合には、そのネットワーク上のサーバやクライアントのマイクロプロセッサや記憶装置を、手術用顕微鏡装置制御用のマイクロプロセッサや記憶装置(すなわち演算制御部130)として使用することも可能である。
演算制御部130は、装置各部の制御を司る装置制御部131と、各種データを記憶するデータ記憶部132と、本発明に係る各種算出処理を実行する算出処理部133とを備える。以下、演算制御部130の各部について詳細に説明する。
〔装置制御部〕
装置制御部131は、本発明の「制御手段」の一例に相当し、前述のROMやハードディスクドライブ等にあらかじめ格納されたコンピュータプログラム(図示せず)にしたがって、装置の操作系、光学系、撮像・表示系などを制御するように動作するもので、CPU等のマイクロプロセッサを含んで構成される。
この装置制御部131による操作系の制御としては、フットスイッチ7、手動操作部110、ズーム操作部120等の操作系から入力される操作信号に基づく動作の制御などがある。また、装置制御部131は、手動操作部110の表示部119による表示処理を制御することにより、たとえば手動操作部110からの入力データ等の各種データや各種画面などを表示させるための制御を行う。
光学系の制御としては、たとえば次のような制御処理を実行する。左右の観察光学系13a、13bの非点収差打ち消し用光学素子61は、2枚のシリンダーレンズ61A、61Bにより構成されており、各シリンダーレンズ61A、61Bには、図12に示すシリンダーレンズ駆動部62A、62Bがそれぞれ設けられている。
また、左右の観察光学系13a、13bの色収差打ち消し用光学素子70は、2枚のプリズム70A、70Bにより構成されており、各プリズム70A、70Bには、図12に示すプリズム駆動部72A、72Bがそれぞれ設けられている。
各シリンダーレンズ駆動部62A、62B及び各プリズム駆動部72A、72Bは、パルスモータ等の駆動装置を含んで構成され、各シリンダーレンズ61A、61B及び各プリズム70A、70Bをそれぞれ回転駆動するように作用する。
装置制御部131は、各シリンダーレンズ駆動部62A、62B及び各プリズム駆動部72A、72Bをそれぞれ独立に制御して、各シリンダーレンズ61A、61B及び各プリズム70A、70Bをそれぞれ独立に回転駆動させる。たとえば、非点収差打ち消し用光学素子61による非点収差の補正方向を変更する場合、装置制御部131は各シリンダーレンズ61A、61Bを同方向に同角度だけ回転させるように各シリンダーレンズ駆動部62A、62Bを制御し、非点収差の補正量を変更する場合には、各シリンダーレンズ61A、61Bを互いに逆方向に同角度だけ回転させるように各シリンダーレンズ駆動部62A、62Bを制御する。
同様に、色収差打ち消し用光学素子70による色収差の補正方向を変更する場合には、各プリズム70A、70Bを同方向に同角度だけ回転させるように各プリズム駆動部72A、72Bを制御し、色収差の補正量を変更する場合には、各プリズム70A、70Bを互いに逆方向に同角度だけ回転させるように各プリズム駆動部72A、72Bを制御する。
装置制御部131は、変倍レンズ系20、30によるズーム倍率の変更制御を行う。図示は省略するが、手術用顕微鏡装置には、変倍レンズ系20、30を構成する各レンズを観察光軸O1、O2方向に沿って移動させる変倍レンズ駆動部が設けられている。この変倍レンズ駆動部は、パルスモータ等の駆動装置を含んで構成される。ズーム操作部120は、変倍レンズ系20、30による被手術眼Eの観察像のズーム倍率(観察倍率)を設定入力するために操作され、前述のように手術用顕微鏡10の鏡筒11等に設けられている。
ズーム操作部120に対する操作によって所望の観察倍率が設定入力されると、装置制御部131は、その操作信号を基に変倍レンズ駆動部を制御し、設定入力された観察倍率を実現させるように変倍レンズ系20、30の各レンズの位置を調整する。
撮像・表示系の制御としては、右観察光学系13bから分岐された光路上に配置されたTVカメラ53による撮影画像の処理や、モニタ装置140による表示処理の制御などを行う。なお、モニタ装置140は、CRTやLCD等の表示用ディスプレイから構成され、たとえば手術用顕微鏡装置に接続されたコンピュータ装置のモニタ装置や、手術室内又は手術室外に設置されたモニタ装置などに相当する。
〔データ記憶部〕
データ記憶部132は、手術用顕微鏡装置の動作に関わる各種データ、特に、収差発生方向対応情報132Aと補正値マップ132Bと観察光学系情報132Cとを記憶する。なお、これら3つの情報132A、132B、132Cについては、同一の記憶装置に記憶させてもよいし、複数の異なる記憶装置に記憶させるようにしてもよい。データ記憶部132は、ハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置により構成され、データの書き換えが可能な記憶装置とすることが望ましい。なお、補正値マップ132Bについては、使用するコンタクトプリズム60毎に変更されるので、RAM等の揮発性記憶装置に記憶するようにしてもよい。
このデータ記憶部132は、本発明の「発生方向記憶手段」及び「発生量記憶手段」の一例に相当するものである。
また、データ記憶部312には、コンタクトプリズム60のサイズ(中心厚)、角度αなどのコンタクトプリズム60に関する情報や、収差補正方向、収差補正量などの収差補正に関する情報など、手動操作部110にて設定入力された各種情報が記憶される。
(収差発生方向対応情報)
収差発生方向対応情報132Aは、前述のようにコンタクトプリズム60の方向Dに応じてそれぞれ決定される非点収差の発生方向と色収差の発生方向とを対応付ける情報である。この情報は、たとえば、コンタクトプリズム60の方向Dと同一の色収差発生方向に対する、非点収差の発生方向の相対角度を含んでいる(この場合、色収差の発生方向=Dc=D、非点収差の発生方向=Daとすると、収差発生方向対応情報132Aは相対角度ΔD=一定=Da−Dcとなる)。なお、非点収差の発生方向と色収差の発生方向とは、基本的に直交関係にある。
(補正値マップ)
補正値マップ132Bは、後述の補正値マップ作成部135によって作成される、本発明の「補正量情報」の一例であり、コンタクトプリズム60の向きDと、対物レンズ19の光軸Oに対するコンタクトプリズム60の軸60aの傾斜角度γとに対応する、非点収差の補正量と色収差の補正量とを含んだ情報である。
図13は、このような補正値マップ132Bの一例を表している。同図に示す補正値マップ132Bは、横欄にコンタクトプリズム60の軸60aの傾斜角度γを2°ステップ毎に取り、縦欄にコンタクトプリズム60の向きDを5°ステップ毎に取るとともに、横欄に示す傾斜角度γと縦欄に示す向きDとの各組み合わせについて、非点収差の補正量の値と色収差の補正量の値とを定義したものである(図13では各補正量の値が省略されているが、実際には補正値マップ作成部135により得られる補正量の値が含まれる。)。
なお、図13の補正値マップ132Bにおいては、傾斜角度γ及び向きDは、それぞれ2°ステップ及び5°ステップで定義されているが、各パラメータを定義するステップはこれに限定されるものではない。たとえば、傾斜角度γについては2°〜3°ステップ程度とすることができ、向きDについては5°〜10°ステップ程度とすることができる。より一般に、これら各パラメータを定義するステップは、適宜に設定することが可能である。
(観察光学系情報)
観察光学系情報132Cは、前述した観察光学系13a、13bの光学情報に相当する情報であり、観察光学系13a、13bの光学設計数値や変倍レンズ系20、30によるズーム倍率などのデータが含まれる。
このような観察光学系13a、13bの光学設計数値のデータは、たとえば装置のメーカー等が保持する光学設計数値の情報からなり、装置の設置前などに観察光学系情報132Cとして記憶される。また、変倍レンズ系20、30のズーム倍率のデータは、たとえば装置制御部131によるズーム倍率の変更制御の制御内容からなり、ズーム倍率が変更される度毎に装置制御部131によってデータが更新されるようになっている。
〔算出処理部〕
算出処理部133は、本発明の「算出手段」の一例に相当し、CPU等のマイクロプロセッサを含んで構成され、前述のROMやハードディスクドライブ等に格納されたコンピュータプログラムにしたがって、以下に説明するような各種の算出処理を実行する。
この算出処理部133には、プリズム特性値算出部134、補正値マップ作成部135、補正方向算出部136、補正量算出部137及び変倍補正量算出部138が設けられている。以下、これら各部133〜138についてそれぞれ詳細に説明する。
(プリズム特性値算出部)
プリズム特性値算出部134は、本発明の「プリズム特性値算出手段」の一例に相当するものであり、以下に列挙する情報に基づいてコンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値を算出する処理を行う:(1)手動操作部110のプリズムサイズ設定部111により設定入力されたコンタクトプリズム60の厚さ、(2)プリズム角設定部112により設定入力されたコンタクトプリズム60の角度α、(3)補正方向設定部116(及び相対角度微調整操作部117)により設定入力された非点収差及び色収差の少なくとも一方の補正方向、(4)非点収差補正量設定部114により設定入力された非点収差の補正量、及び、色収差補正量設定部115により設定入力された色収差の補正量、(5)データ記憶部132に記憶された観察光学系情報133C(観察光学系13a、13bの光学情報)、(6)変倍レンズ系20、30による観察像のズーム倍率(変倍レンズ系20、30に対する制御に基づいて得られる)。
これらの情報(1)〜(6)には、コンタクトプリズム60の光学情報と観察光学系13a、13bの光学情報とズーム倍率とが含まれている。すなわち、情報(1)〜(6)には、コンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値を除いて、被手術眼Eと観察者(術者)の眼との間の全ての光学情報(非点収差打ち消し用光学素子61及び色収差打ち消し用光学素子70による収差の補正方向及び補正量の情報を含む)が含まれている。
(3)収差の補正方向及び(4)収差の補正量は、測定器具90を用いた測定において、非点収差打ち消し用光学素子61や色収差打ち消し用光学素子70を調整して、ターゲット98aの観察像が最も良好に観察される状態にしたときの、収差の補正方向及び補正量である。このようにして取得される収差の補正方向及び補正量は、前述のように、コンタクトプリズム60による収差の発生方向及び発生量と考えることができる。
プリズム特性値算出部134によるコンタクトプリズム60の屈折率の算出方法について説明する。観察像を形成する光線は、コンタクトプリズム60により発生された非点収差の影響で一点には集束されないが、(3)の補正方向及び(4)の補正量により収差が良好に補正された状態では再び一点に集束される。被手術眼E(模擬眼98)と観察者の眼との間の光学系の情報は、コンタクトプリズム60の屈折力及び分散を除いて既知である(特に、補正光学系の情報も既知である。)。
そこで、特定の波長(たとえばTVカメラ53からのRGB信号のいずれか一つ)のみを考慮して色収差すなわち分散の影響を排除した状態で、コンタクトプリズム60の屈折力を変化させつつ光線追跡の計算を行って、光線を像面の一点に結像させるような屈折率を探索することにより、目的のコンタクトプリズム60の屈折率の値を求めることができる。
ここで、光線追跡とは、光学設計分野において一般に使用されている計算手法であり、スネルの法則と三角方程式とを用いて、光学系を通る光線の経路を計算して決定するための手法である。ここでは、被手術眼Eの眼底Erに相当するターゲット98aから出射された光線の経路を求めるために光線追跡の手法が用いられる。なお、この光線追跡によれば、各光学素子の各面、特にコンタクトプリズム60の上面及び下面における光線の通過点を求めることができるので、当該光線がコンタクトプリズム60内を通過する距離についても求めることができる。
なお、実際の観察光学系13a、13bの全ての光学素子を考慮すると計算が煩雑になるので、固定状態の光学素子による光学系部分を同等の単純な光学系に置換して計算を行うことが可能である。
以上のような屈折率の取得処理は、たとえば、光の逆進性(光学の基本原理のひとつ。特殊な場合を除き、光線の向きを反対にしても、その光線は同じ光路を経由すること。)を利用して、次のようにして行うことができる。
まず、観察像の結像点に光源を置いたと仮定したときの、コンタクトプリズム60の上面(対物レンズ19側のレンズ面)における光線の状態を求める。この光線状態には、補正光学系の状態が特に反映される。
次に、求めた光線状態に基づき、眼底Erにおける光線状態を求める。その際、コンタクトプリズム60の「向き」の方向と、それに直交する方向とに、それぞれ複数の光線を置くようにして計算を行う。
続いて、コンタクトプリズム60の屈折率の値を変化させ、眼底Er上に光線が集束するような屈折率の値を求める。この計算は、たとえば、2分割法やニュートン法など、方程式の解を逐次的に近似するための一般的な手法を用いて行うことができる。
プリズム特性値算出部134によるコンタクトプリズム60の分散の算出方法について説明する。観察像を形成する光線は、コンタクトプリズム60により発生された色収差の影響で一点には集束されないが、(3)の補正方向及び(4)の補正量により収差が良好に補正された状態では再び一点に集束される。前述の手法等によってコンタクトプリズム60の屈折率が算出されると、被手術眼E(模擬眼98)と観察者の眼との間の光学系の情報は、コンタクトプリズム60の分散を除いて既知である(特に、補正光学系の情報も既知である。)。
そこで、前述の屈折率の算出と同様に、コンタクトプリズム60の分散の値を変化させつつ光線追跡計算を行って、光線を像面の一点に結像させるような分散の値を探索することにより、目的のコンタクトプリズム60の分散の値を求めることができる。
なお、ここでも、実際の観察光学系13a、13bの全ての光学素子を考慮すると計算が煩雑になるので、固定状態の光学素子による光学系部分を同等の単純な光学系に置換して計算を行うことが有効である。
このような分散算出処理の具体的態様としては、たとえば次のような手法が用いられる。まず、観察像の結像点に光源を置いたと仮定したときの、コンタクトプリズム60の上面における光線の状態を求める。この光線状態には、補正光学系の状態が特に反映される。
次に、求めた光線状態に基づき、眼底Erにおける光線状態を求める。その際、コンタクトプリズム60の「向き」の方向に複数の光線を置くようにして計算を行う。
続いて、2分割法やニュートン法などを適用し、コンタクトプリズム60の分散の値を変化させ、眼底Er上に光線が集束するような分散の値を求める。
以上のような計算により、上記(1)〜(6)の情報からコンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値が求められる。
(補正値マップ作成部)
プリズム特性値算出部134によりコンタクトプリズム60の屈折率及び分散値が求められると、前述の補正値マップ132Bを作成することができる。補正値マップ132Bは、本発明の「補正量情報作成手段」の一例をなす補正値マップ作成部135によって作成される。
補正値マップ132Bは、図13に示すように、コンタクトプリズム60の様々な向き(収差発生方向)Dと、対物レンズ19の光軸Oに対するコンタクトプリズム60の軸60aの傾斜角度γとに応じた、非点収差補正量と色収差補正量との関係を表す情報(たとえばテーブルデータ)である。換言すると、補正値マップ132Bは、コンタクトプリズム60の複数の向きDのそれぞれに対応する、図6に示した非点収差と色収差との関係を含んだ情報である。
なお、左右の観察光学系13a、13bにおける補正量の相違に関しては、鏡筒部11の軸11a(対物レンズ19の光軸O)に対する観察光軸O1、O2の対称性(図5参照)を利用することにより、一方の観察光学系の補正量から他方の観察光学系の補正量を求めることができる。したがって、補正値マップ132Bは、左右の観察光学系13a、13bの内の一方についてのみ作成しておけば十分である。
また、左右眼の軸OL、OR(観察光軸O1、O2)の輻輳(図5参照)により、左右の観察光には、コンタクトプリズム60を通過する距離の差が生じる。それによる左右の収差補正量の差違については、左右観察光軸O1、O2の中線が、コンタクトプリズム60を使用時の有効視野の中心を通っているとして計算することができる。(なお、コンタクトプリズム60のプリズム作用により、上方からの観察視野においてプリズム側壁が見える部分があるが、その部分は無効である。実際の有効視野は、コンタクトプリズム60を介して眼底Erを観察できる楕円形の部分となる。)
コンタクトプリズム60が単にシフトした場合における観察光の通過距離(すなわち厚み)の変化は、コンタクトプリズム60が傾いた場合の変化よりも影響度が小さい。また、コンタクトプリズム60が単にシフトした場合において、左右観察光軸O1、O2が全てコンタクトプリズム60を通過できるようなプリズム移動範囲は比較的狭くなる。したがって、コンタクトプリズム60の単なるシフトの影響は、無視することができる。
また、変倍レンズ系20、30による変倍の影響は、ズーム倍率から容易に計算できるので、補正値マップ132Bは、特定のズーム倍率についてのみ作成しておけば十分である。
以上のような条件の下、補正値マップ作成部135は、補正値マップ132Bをたとえば次のようにして作成する。
まず、コンタクトプリズム60の向きDと軸60aの傾斜角度γとの組み合わせを任意に設定する。たとえば、図13の補正値マップ132Bの作成においては、(向きD、傾斜角度γ)=・・・、(0、−10)、・・・、(0、0)、・・・、(0、10)、・・・、(5、−10)、・・・、(5、0)、・・・、(5、10)、・・・、(15、−10)、・・・、(15、0)、・・・、(15、10)、・・・といった各組み合わせを順次設定する。
次に、眼底Erから発せられる光線を仮定する。このとき、コンタクトプリズム60の向きDの方向と、それに直交する方向とに、それぞれ複数本の光線を仮定する。次に、これらの光線について光線追跡を実施する。次に、光線追跡の結果から、補正光学系がニュートラル(収差補正量0)であるときの非点収差及び色収差のそれぞれの発生量を算出する。この発生量が、最初に設定されたコンタクトプリズム60の向きD及び軸60aの傾斜角度γに対応する、非点収差及び色収差のそれぞれの必要な補正量である。算出された補正量は、補正値マップ132Bの当該向きD及び傾斜角度γに対応する欄に入力される。
以上の処理を、コンタクトプリズム60の向きD及び傾斜角度γの各組み合わせについて行うことにより、当該コンタクトプリズム60に対する補正値マップ132Bが作成される。
(補正方向算出部)
補正方向算出部136は、フットスイッチ7の補正方向変更ボタン7L、7Rから入力される収差の補正方向と、データ記憶部132に記憶された収差発生方向対応情報132Aとに基づいて、非点収差の補正方向と色収差の補正方向との双方を算出する処理を行う。
補正方向算出部136の処理をより詳しく説明する。操作者(術者)は、観察像に生じている非点収差又は色収差の補正状態を観察しつつ補正方向変更ボタン7L、7R(や補正量変更ボタン7F、7B)を操作して、最適な収差補正状態に導く。このとき、補正方向変更ボタン7L、7Rに対する操作に応じ、非点収差の補正方向Daと色収差の補正方向Dc(=向きD)とが一括して変更される。補正方向算出部136は、そのようにして変更される非点収差の補正方向Daと色収差の補正方向Dcとを、収差発生方向対応情報132Aの上記「ΔD」を参照して算出する。当該算出処理には、Da=Dc+ΔDもしくはDc=Da−ΔDの関係が用いられる。
なお、補正方向算出部136は、手動操作部110の補正方向設定部116により収差の補正方向が設定入力された場合にも、同様に作用して非点収差の補正方向及び色収差の補正方向を取得する。
(補正量算出部)
補正量算出部137は、テンプレート100等により測定されたコンタクトプリズム60の角度αと、フットスイッチ7からの入力情報(特に収差の補正方向、すなわちコンタクトプリズム60の向きD)と、データ記憶部132に記憶された補正値マップ132Bとに基づいて、非点収差及び色収差のそれぞれの補正量を取得する。
フットスイッチ7の補正量変更ボタン7F、7Bは、非点収差の補正量と色収差の補正量とを一括して変更するために用いられる。操作者は、観察像の画像状態を観察しつつ、補正量変更ボタン7F、7B(や補正方向変更ボタン7L、7R)を操作して非点収差や色収差の補正状態を適宜調整して、観察像を最適な収差補正状態に導く。
補正量変更ボタン7F、7Bは、短時間押すことによるステップ動作(あらかじめ決めておいた微少量収差補正量を変化させる)、あるいは、長時間押すことによる連続動作(つまりステップ動作の繰り返し)を指令する。このように単一の操作で非点収差補正量と色収差補正量との双方を逐次的に変更するには、非点収差補正量と色収差補正量との連携、更には左右観察光学系13a、13bの連携が必要である。
本実施形態では、コンタクトプリズム60の向きDに基づいて収差の補正方向を決定し、また、各観察光学系13a、13bの観察光路とコンタクトプリズム60との配置関係を決定する。コンタクトプリズム60の位置ずれによる影響は、その傾きによる影響に比べて小さいので、収差の変化はコンタクトプリズム60の傾きの変化が主要な原因と考えることができる。収差の発生方向からコンタクトプリズム60の向きDを決定できるので、この向きDと、角度αと、左右観察光学系13a、13bの観察光軸O1、O2の輻輳角度及び位置関係と、コンタクトプリズム60の屈折率及び分散とに基づいて、左右観察光学系13a、13bに対して共通の姿勢にあるコンタクトプリズム60に対応する各収差の補正値及び補正方向を求めることができる。このとき、補正値マップ132Bを参照することで、補正値等の算出に掛かる時間の短縮が図られる。
さて、図13に示した補正値マップ132Bを用いる場合における補正量算出処理の一例について以下に説明する。
なお、収差の補正方向や補正量を変更する時点における収差補正方向(コンタクトプリズム60の向きDと同等)と軸60aの傾斜角度とについては、シリンダーレンズ駆動部62A、62Bやプリズム駆動部72A、72Bに対する装置制御部131の駆動制御の経過などから既知であるとする。
まず、操作者がフットスイッチ7を操作して入力した情報に基づいて、操作者が要求する収差の補正方向、すなわちコンタクトプリズム60の向きDと、その軸60aの傾斜角度γとを求める。
次に、求めた向きDと傾斜角度γとに対応する非点収差及び色収差のそれぞれの補正量を、補正値マップ132Bから求める。このとき、向きDと傾斜角度γとの双方が補正値マップ132Bのステップ値、すなわち、向きDについては5°ステップの「0、5、10、・・・」の値、傾斜角度γについては2°ステップの「・・・、−10、−8、・・・−2、0、2、・・・、10、・・・」に示す値である場合と、それらのうちの少なくとも一方が当該ステップ値ではない場合との相違に対応して、異なる処理を実行する。
向きDと傾斜角度γとの双方がステップ値に示す値である場合、その向きDと傾斜角度γとに対応する欄にある非点収差の補正量と色収差の補正量とを取得して、目的の補正量とする。
一方、向きDと傾斜角度γとのうちの少なくとも一方がステップ値に示す値ではない場合には、次のような補間処理を行う。
まず、当該向きDを含むステップ幅5°の範囲を形成する2つの向きのステップ値D1、D2(D1<D<D2)を特定するとともに、当該傾斜角度γを含むステップ幅2°の範囲を形成する2つの傾斜角度のステップ値γ1、γ2(γ1<γ<γ2)を特定する。たとえば、向きD=3°、傾斜角度γ=1.5°の場合には、向きのステップ値D1=0°、D2=5°が特定され、傾斜角度のステップ値γ1=0°、γ2=2°が特定されることとなる。
次に、向きの範囲[D1、D2](閉区間)における当該向きDの位置(つまり、当該向きDが範囲[D1、D2]を内分する位置)を求めるとともに、傾斜角度の範囲[γ1、γ2]における当該傾斜角度γの位置(つまり、当該傾斜角度γが範囲[γ1、γ2]を内分する位置)を求める。それにより、向きに関する範囲[D1、D]の長さG1と、範囲[D、D2]の長さG2との比G1:G2を求めることができる。同様に、傾斜角度に関する範囲[γ1、γ]の長さH1と、範囲[γ、γ2]の長さH2との比H1:H2を求めることができる。
次に、向きのステップ値D1、D2と傾斜角度のステップ値γ1、γ2との各組み合わせ(Di、γj)に対応する、非点収差の補正量Aijと色収差の補正量Bijとを、補正値マップ132Bから取得する(ここで、i、j=1、2)。
次に、取得した4組の補正量Aij、Bijを比G1:G2、H1:H2とに基づいて重み付け平均して、当該向きD及び傾斜角度γに対応する非点収差の補正量Aと色収差の補正量Bとを算出する。具体的には、目的の補正値A、Bは、たとえば次の2式を適用して算出することができる。
Figure 2006330040
Figure 2006330040
なお、補正量算出部137は、手動操作部110によって収差の補正方向や補正量が設定入力された場合にも、同様に作用して非点収差及び色収差のそれぞれの補正量を算出する。
(変倍補正量算出部)
変倍補正量算出部138は、変倍レンズ系20、30により被手術眼Eの観察倍率が変化されたときに、その変化量に対応する非点収差及び色収差の補正量を算出するように動作する。
より詳しくは、変倍補正量算出部138は、ズーム操作部120により観察倍率がM倍に設定されたことを受けて装置制御部131が変倍レンズ系20、30による観察倍率をM倍に変更したことに対応し、左右の観察光学系13a、13bの非点収差打ち消し用光学素子61による非点収差の補正量をM^2倍とするようにシリンダーレンズ駆動部62A、62Bを制御するとともに、左右の観察光学系13a、13bの色収差打ち消し用光学素子70による色収差の補正量をM倍とするようにプリズム駆動部72A、72Bを制御する。
(補足:左右の観察光軸がコンタクトプリズム内を通過する距離について)
算出処理部133は、対物レンズ19による観察光軸O1、O2の輻輳に基づく補正量の変位を求めるために、輻輳された観察光軸O1、O2(左右眼の軸OL、OR;図5参照)がコンタクトプリズム60内を通過する距離の算出を行う。
図5、図7に示したように、左右の観察光軸O1、O2は対物レンズ19により輻輳されてコンタクトプリズム60に入射するので、各観察光軸O1、O2がコンタクトプリズム60内を通過する距離はコンタクトプリズム60の配置状態に応じて変化し、結果として収差の発生量も変化する。
この収差発生量の変化に寄与するコンタクトプリズム60の配置状態としては、(1)コンタクトプリズム60の方向Dと、(2)コンタクトプリズム60の姿勢(「軸の一致」、「軸の傾き」;傾斜角度γ)とが想定される。なお、以下に説明する算出処理は、たとえば、補正値マップ132Bを作成するときなどに織り込まれて実行される。
(1)コンタクトプリズム60の方向Dが変更されたとき、すなわち、補正方向変更ボタン7L、7Rにより収差補正方向が変更されたときの、上記通過距離の算出処理について説明する。算出処理部133は、補正方向変更ボタン7L、7Rの操作に基づいて補正方向算出部136が算出する非点収差及び色収差の双方の補正方向と、手動操作部110のプリズムサイズ設定部111から設定入力されたコンタクトプリズム60の厚さ(中心厚)と、プリズム角設定部112から設定入力されたコンタクトプリズム60の角度α(又は頂角θ)とに基づいて、補正方向変更前における左右の観察光路O1、O2のコンタクトプリズム60内の通過距離と、補正方向変更後における通過距離との間の変位を算出する。
この通過距離の算出処理について詳しく説明する。まず、図7に示すように、左右の観察光軸O1、O2がそれぞれ輻輳されてなる左眼の軸OL、右眼の軸ORは、コンタクトプリズム60の上面60Bに対して異なる角度で入射する。そして、コンタクトプリズム60が回転されて方向Dが変化すると、それに応じて左眼の軸OL、右眼の軸ORの上面60Bへの入射角度も変化する。それにより、方向D変更の前後における左眼の軸OL、右眼の軸ORがコンタクトプリズム60内を通過する距離が変化する。
左眼の軸OLの通過距離の変位を算出するには、まず、コンタクトプリズム60の方向Dの変更前における左眼の軸OLの入射位置を(x0、y0)とし、変更後における入射位置を(x1、y1)とする。また、対物レンズ19の光軸O(鏡筒11の軸11a)に対する左眼の軸OLの角度をβとし(2×β=輻輳角)、上面60Bにおける観察光路(左眼の軸OLの屈折角をβ′とする。
このとき、コンタクトプリズム60が「軸の一致」の状態で角度δだけ回転されたとすると、変更後の入射位置は(x1、y1)=(x0×cosδ−y0×sinδ、x0×sinδ+y0×cosδ)と表される。なお、対物レンズ10の光軸Oに対する左眼の軸OLの角度βは既知である。
コンタクトプリズム60の中心厚と角度α(頂角θ=90°−α)から、コンタクトプリズム60の上面60Bの各位置(x、y)におけるコンタクトプリズム60の厚さd(x、y)を求めることができるので、変更前の入射位置(x0、y0)における厚さd(x0、y0)と、変更後の入射位置(x1、y1)における厚さd(x1、y1)とを求める。
更に、「軸の一致」が仮定されており、左眼の軸OLが光軸Oに対して角度βを成し、上面60Bにおける屈折角がβ′であるので、β″=|β−β′|とすると、変更前の通過距離L0=d(x0、y0)/cosβ″、変更後の通過距離L1=d(x1、y1)/cosβ″となる。したがって、コンタクトプリズム60の方向Dの変更前後における左眼の軸OLの通過距離の変位ΔLは、ΔL=L1−L0={d(x1、y1)−d(x0、y0)}/cosβ″となる。右眼の軸ORの通過距離の変位についても同様にして求めることができる。
(2)コンタクトプリズム60の姿勢の傾き(傾斜角度γ)に対応する左右眼の軸OL、ORの通過距離については、コンタクトプリズム60の使用時における観察視野が限られていることを考慮すると、許容される左右眼の軸OL、ORの範囲(つまり、観察を有効に行える傾斜角度γの範囲)はおおよそ決まっており、また、補正方向が決まると当該範囲は更に限定される。そこで、上記許容される範囲の中心位置に対応する通過距離を計算しておく。そうすれば、傾斜角度γが(観察が有効な範囲において)変化した場合でも、左右眼の軸OL、ORがコンタクトプリズム60内を通過する距離に大きな誤差は出ない。
[動作態様]
以上のような構成を備える本実施形態の手術用顕微鏡装置の動作態様について説明する。以下、(1)手術開始前に行う準備段階における動作態様、(2)手術中にズーム倍率を変更するときの動作態様、(3)手術中にコンタクトプリズム60の方向D(収差補正方向)を変更するときの動作態様、(4)手術中に収差補正量を変更するときの動作態様についてそれぞれ説明する。動作態様(1)〜(4)の一例を、それぞれ図14〜図17のフローチャートに表す。
なお、フットスイッチ7の自動補正起動ボタン7Aや手動操作部110の自動補正起動操作部118を操作して起動される収差自動補正処理機能を適用する場合の動作態様については、後述の[変形例]において説明することとする。
(1:準備段階における動作態様)
手術開始前に行う準備段階においては、図14のフローチャートに示すように、コンタクトプリズム60の光学情報の測定と、その測定結果に基づく光学特性値の算出処理とを行う。
まず、手術で用いるコンタクトプリズム60の角度αをテンプレート100で測定し(S1)、その測定結果を手動操作部110のプリズム角設定部112を操作して入力する(S2)。操作者は、表示部119に表示された入力内容を確信し、測定値記憶操作部113を操作して、入力された角度αをデータ記憶部132に記憶させる(S3)。
次に、手術用顕微鏡10の鏡筒11にホルダ部91を取り付けて測定器具90を装着する(S4)。このとき、必要に応じて、模擬角膜97の頂点位置を鏡筒11の軸11a(対物レンズ19の光軸O)の真下に配置させるようにアライメントがなされる。その後、コンタクトプリズム60を模擬角膜97上に載置する(S5)。コンタクトプリズム60と模擬角膜97との間には、手術用のゲル状物質が介在される。
操作者は、昇降アーム95を把持し、水平アーム95bの下面がコンタクトプリズム60に接触する位置まで上下方向に移動させて、コンタクトプリズム60の中心厚を測定する(S6)。更に、プリズムサイズ設定部111を操作して測定結果を入力するとともに(S7)、表示部119に表示された入力内容を確認し、測定値記憶操作部113を操作して、入力された中心厚をデータ記憶部132に記憶させる(S8)。
続いて、操作者は、模擬眼98のターゲット98aを観察しつつ、手動操作部110の非点収差補正量設定部114、色収差補正量設定部115、補正方向設定部116を操作し、コンタクトプリズム60によってターゲット98aの観察像に発生される収差を補正して最適と思われる観察状態にする(S9)。ここで、非点収差の補正方向と色収差の補正方向とは、単一の補正方向設定部116により一括設定される。また、必要があれば、相対角度微調整操作部117を操作して、非点収差や色収差の補正方向を個別に調整する。
ターゲット98aの観察像を最適な状態に補正したら、操作者は、測定値記憶操作部113を操作して、非点収差補正量設定部114に設定されている非点収差の補正量と、色収差補正量設定部115に設定されている色収差の補正量と、補正方向設定部116に設定されている収差の補正方向とをデータ記憶部132に記憶させる(S10)。これらの補正量及び補正方向は、コンタクトプリズム60による収差の発生量及び発生方向とみなされる。
演算制御部130のプリズム特性値算出部134が、データ記憶部132に記憶された上記の各測定データと観察光学系情報132Cとに基づき、コンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値を算出し、装置制御部131が、この算出された屈折率及び分散の値をデータ記憶部132に記憶させる(S11)。
更に、補正値マップ作成部135が、コンタクトプリズム60の中心厚及び角度αの測定値と、観察光学系情報132Cと、プリズム特性値算出手段により算出されたコンタクトプリズム60の屈折率及び分散とに基づいて、補正値マップ132Bを作成し、装置制御部131が、この作成された補正値マップ132Bをデータ記憶部132に記憶させる(S12)。以上で、手術開始前の準備段階における動作は終了となる。
(2:ズーム倍率変更時における動作態様)
次に、図15のフローチャートを参照して、手術中に被手術眼Eの観察倍率を変更するときの動作態様について説明する。
操作者がズーム操作部120を操作して所望の観察倍率を設定すると(S21)、装置制御部131は、前述の変倍レンズ駆動部を制御して、変倍レンズ系20、30による観察倍率をステップS21で設定された観察倍率に変更する(S22)。
また、演算制御部130の変倍補正量算出部138は、ステップS21にて設定された観察倍率に対応する非点収差の補正量と色収差の補正量とを算出する(S23)。ここで、非点収差の補正量は観察倍率の変化の二乗に比例する値とされ、色収差の補正量は観察倍率の変化に比例する値とされる。
装置制御部131は、シリンダーレンズ駆動部62A、62Bを制御して、左右の観察光学系13a、13bの非点収差打ち消し用光学素子61による非点収差の補正量を、ステップS23で算出された値に変更し(S24)、プリズム駆動部72A、72Bを制御して、色収差打ち消し用光学素子70による色収差の補正量を、ステップS23で算出された値に変更する(S25)。以上で、ズーム倍率変更時における動作は終了となる。
(3:収差補正方向変更時における動作態様)
図16に示すフローチャートは、手術中に収差の補正方向を変更するときの動作態様を表している。収差補正方向の変更操作は、手術中に観察領域を移動するためにコンタクトプリズム60の方向Dを回転させる場合などに実施される。
なお、収差の補正方向を変更するための操作を行う時点(ステップS31)における収差補正方向(コンタクトプリズム60の向きDと同等)と軸60aの傾斜角度γとについては、シリンダーレンズ駆動部62A、62Bやプリズム駆動部72A、72Bに対する装置制御部131の駆動制御の経過などから既知であるとする。
まず、操作者は、フットスイッチ7の補正方向変更ボタン7L、7Rを操作して、観察像が良好に視認されるように収差の補正方向を変更する(S31)。
補正方向算出部136は、フットスイッチ7からの入力情報と現時点における収差補正方向とに基づいて、変更後の非点収差及び色収差の補正方向を求めるとともに、変更後のコンタクトプリズム60の向きDを求める(S32)。このとき、色収差の補正方向とコンタクトプリズム60の向きDとの同一性を用いて、当該向きDを求めることができる。
次に、補正量算出部137は、求められた向きDと現時点における傾斜角度γとの双方が、補正値マップ132Bのステップ値に該当しているか判断する(S33)。この判断処理は、より具体的には、求められた向きDが、補正値マップ132Bの縦欄に列挙された向きのステップ値のいずれかに該当するかを判断するとともに、現時点における傾斜角度γが、横欄に列挙された傾斜角度のステップ値のいずれかに該当するかを判断することによりなされる。
向きDと傾斜角度γとの双方が補正値マップ132Bのステップ値に示す値である場合(S33;Y)、補正量算出部137は、当該向きDと傾斜角度γとに対応する非点収差の補正量と色収差の補正量とを補正値マップ132Bから取得する(S34)。
一方、向きDと傾斜角度γとのうちの少なくとも一方がステップ値に示す値ではない場合には(S33;N)、補正量算出部137は、補正値マップ132Bを用いた前述の補間処理を実行して、当該向きDと傾斜角度γとに対応する非点収差の補正量と色収差の補正量とを取得する(S35)。
装置制御部131は、シリンダーレンズ駆動部62A、62Bを制御して、非点収差打ち消し用光学素子61による補正方向をステップS32にて求めた非点収差の補正方向に変更するとともに、ステップS34又はステップS35にて取得された非点収差の補正量に変更する(S36)。同様に、プリズム駆動部72A、72Bとを制御して、色収差打ち消し用光学素子70による補正方向をステップS32にて求めた色収差の補正方向に変更するとともに、ステップS34又はステップS35にて取得された色収差の補正量に変更する(S37)。
操作者は、コンタクトプリズム60が「軸の傾き」状態にある場合や、被手術眼Eの眼球光学系の影響がある場合などには、必要に応じて、フットスイッチ7の補正量変更ボタン7F、7Bを操作して補正量を調整する(S38)。
ここで、補正量だけでなく補正方向の調整も必要なケースも想定されるが、補正方向はS32により既に決定されているので、当該動作態様ではコンタクトプリズム60の姿勢の傾きに対応する補正量の調整を主として行うこととする。なお、フットスイッチ7の補正方向変更ボタン7L、7Rを操作して、補正方向の調整を行ってもよいことは言うまでもない。
必要に応じて、最終的に良好な観察像を得るために、補正方向及び/又は補正量の微調整を繰り返し行う(S39)。この補正方向の微調整は、手動操作部110の相対角度微調整操作部117にて行うことができ、補正量の微調整は、非点収差補正量設定部114と色収差補正量設定部115にて行うことができる。
なお、微調整を実施するための操作部(補正方向微調整操作部、補正量微調整操作部)を具備したフットスイッチ7を適用することも可能である。また、補正方向変更ボタン7L、7Rや補正量変更ボタン7F、7Bの操作態様によって、微調整操作を行えるようにしてもよい。以上で、収差補正方向が変更されたときの動作は終了となる。
(4:収差補正量変更時における動作態様)
図17に示すフローチャートは、手術中に収差の補正量を変更(増減)するときの動作態様を表している。収差補正量の変更操作は、手術中にコンタクトプリズム60の姿勢が傾いた場合などに実施される。
なお、上記の動作態様(3)と同様に、収差の補正量を増減するための操作を行う時点(ステップS41)における収差補正方向Dとコンタクトプリズム60の軸60aの傾斜角度とは、それぞれ既知であるとする。
まず、操作者は、フットスイッチ7の補正量変更ボタン7F、7Bを操作して、観察像が良好に視認されるように収差の補正量を増減する(S41)。
補正量算出部137は、フットスイッチ7からの入力情報と現時点における傾斜角度とに基づいて、補正量増減後におけるコンタクトプリズム60の傾斜角度γを求める(S42)。
この傾斜角度γの算出処理は、たとえば、図6に示す傾斜角度と収差発生量との関係、あるいは、図13に示す補正値マップ132Bを参照して行うことができる。その一例として、増減前の収差補正量(発生量;シリンダーレンズ駆動部62A、62B等の駆動制御の経過から既知)と増減後の収差補正量(増減前の補正量にステップS41での増減量を加味したもの)との関係を用いて、増減前の収差補正量に対応する上記既知の傾斜角度から、増減後の収差補正量に対応する目的の傾斜角度γを求めることが可能である。
次に、補正量算出部137は、現時点における向きDと求められた傾斜角度γとの双方が、補正値マップ132Bのステップ値に該当しているか判断する(S43)。
向きDと傾斜角度γとの双方が補正値マップ132Bのステップ値に示す値である場合(S43;Y)、補正量算出部137は、当該向きDと傾斜角度γとに対応する非点収差の補正量と色収差の補正量とを補正値マップ132Bから取得する(S44)。
一方、向きDと傾斜角度γとのうちの少なくとも一方がステップ値に示す値ではない場合には(S43;N)、補正量算出部137は、補正値マップ132Bを用いた前述の補間処理を実行して、当該向きDと傾斜角度γとに対応する非点収差の補正量と色収差の補正量とを取得する(S45)。
装置制御部131は、シリンダーレンズ駆動部62A、62Bを制御して、非点収差打ち消し用光学素子61による補正量を、ステップS44又はステップS45にて取得された非点収差の補正量に変更する(S46)。同様に、プリズム駆動部72A、72Bとを制御して、色収差打ち消し用光学素子70による補正量を、ステップS44又はステップS45にて取得された色収差の補正量に変更する(S47)。
操作者は、必要に応じて、フットスイッチ7の補正量変更ボタン7F、7Bを操作して補正量を調整する(S48)。また、最終的に良好な観察像を得るために、必要に応じて、補正方向及び/又は補正量の微調整を繰り返し行う(S49)。以上で、収差補正量が変更されたときの動作は終了となる。
[作用効果]
以上で説明したように、本実施形態に係る手術用顕微鏡装置(観察装置)によれば、手術中にコンタクトプリズムに起因する非点収差及び色収差を補正するための操作をフットスイッチ7を用いて行うことができるので、両手を使用して手術を行っている場合であっても、収差補正を容易に行うことができる。
また、コンタクトプリズム60の特性(サイズ、角度、屈折率、分散)以外の全ての光学要素の詳細が事前に把握されていることから、コンタクトプリズム60の特性を高い精度で測定でき、それにより、高精度で効果的な収差補正を実施することができる。
本実施形態によれば、収差の補正方向を変更する場合において、フットスイッチ7の補正方向左回転ボタン7Lと補正方向右回転ボタン7Rを操作することにより、非点収差の補正方向と色収差の補正方向とを一括して変更することができる。このとき、補正方向の変更に伴う補正量の変位についても、補正量を自動的に調整して当該変位を補正するようになっている。
また、収差の補正量を変更する場合においては、フットスイッチ7の補正量増加ボタン7Fと補正量減少ボタン7Bを操作することにより、非点収差の補正量と色収差の補正量とを一括して変更することができる。それにより、コンタクトプリズム60に起因する収差を補正するための操作を簡便化できるとともに、補正を短時間で行うことができる。また、収差の補正を効果的に行うことができる。
本実施形態によれば、被手術眼Eの観察像のズーム倍率を変更した場合に、それに伴う非点収差の発生量の増減を相殺するように、非点収差打ち消し用光学素子61による非点収差の補正量が自動的に変更され、かつ、色収差の発生量の増減を相殺するように、色収差打ち消し用光学素子70による色収差の補正量が自動的に変更される。このように、本実施形態によれば、ズーム倍率の変更に対応して収差が自動補正されるので、収差補正操作を簡便に行うことができ、また、短時間で収差を補正することができる。
本実施形態によれば、手術開始前の準備段階において、手術で実際に使用するコンタクトプリズム60の光学情報を測定することができ、そのコンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値を求めることができる。また、手術開始前には時間に余裕があるので、光学情報を測定するための時間を十分に取ることができる。本実施形態は、そのような事情を考慮し、コンタクトプリズム60の屈折率や分散値を取得するための測定(コンタクトプリズム60に起因する収差の発生方向及び発生量の測定)を精密に実施可能な手動操作部110を備えている。このように精密に測定された光学情報を使用することで、手術中にフットスイッチ7を用いた収差補正を高い精度で行うことができる。それにより、収差の補正を効果的に行うことが可能となる。
本実施形態においては、手動操作部110にフットスイッチ7のバックアップとしての機能を設けているので、手術中にフットスイッチ7が故障したなどに、手動操作部110を使用して収差補正操作を実施できる。したがって、手術の安全性向上を図ることが可能である。
フットスイッチ7のバックアップとして使用される非点収差補正量設定部114、色収差補正量設定部115及び補正方向設定部116は、それぞれ、フットスイッチ7の補正量変更ボタン7F、7B及び補正方向変更ボタン7L、7Rと同様に、非点収差と色収差の一括操作に用いるように構成することが可能である。このうち、補正方向設定部116による補正方向の一括操作については前述した。
また、非点収差補正量設定部114や色収差補正量設定部115については、たとえば色収差補正量設定部115が操作されて色収差が所定の補正量に設定された場合、図6に示した関係や補正値マップ132Bを参照して、設定された色収差の補正量に対応する非点収差の補正量を求めることにより、補正量の一括操作が可能となる。非点収差補正量設定部114が操作されて非点収差が所定の補正量に設定された場合も同様にして一括操作を行うことが可能である。
[変形例]
以上に詳述した本実施形態に係る手術用顕微鏡装置(観察装置)に関する各種の変形例について説明する。
(測定器具)
上記実施形態の測定器具90は、コンタクトプリズム60の中心厚を手作業で測定するものとして構成され、また、その測定結果を手入力するものとして構成されているが、たとえば以下のような構成を適用することで、測定作業や入力作業の自動化を図ることが可能である。
昇降アーム95を懸垂アーム94に沿って昇降させるアーム駆動部(図示省略;以下同様)を設ける。このアーム駆動部は、たとえばリニアアクチュエータ等を含んで構成される。また、アーム駆動部に、昇降アーム95の位置を検出する位置検出器(位置検出部)を設ける。この位置検出部はエンコーダ等を含んで構成され、その検出値は、上記実施形態の目盛(バーニヤ付き目盛)と同様に、コンタクトプリズム60の中心厚を示すようになっている。更に、アーム駆動部又は水平アーム95bの下面には、昇降アーム95が物体に接触したことを検知する公知のセンサが設けられている。なお、これらの各デバイスの制御は、演算制御部130の装置制御部131によって行うこともできるし、専用の制御部(CPU等)を設けて行うこともできる。
このような構成の測定器具によれば、まず、アーム駆動部を制御して昇降アーム95の水平アーム95bをコンタクトプリズム60の真上から下方に向かって移動させ、模擬角膜97上のコンタクトプリズム60に水平アーム95bが接触したことをセンサが検出したら、下方への移動を停止させる。位置検出器は、そのときの昇降アーム95の位置を検出し、その検出信号を装置制御部131に送信する。装置制御部131は、この検出信号が示す検出結果をコンタクトプリズム60の中心厚の値としてデータ記憶部132に記憶させる。
本変形例の測定器具によれば、コンタクトプリズム60の中心厚を自動測定でき、また、測定結果を手入力する必要がないので、中心厚測定の簡便化を図ることが可能である。
また、上記実施形態では、コンタクトプリズム60の厚さを測定するプリズム厚測定手段と、コンタクトプリズム60による収差の発生方向及び発生量を測定する収差測定手段とを単一の測定器具90によって構成しているが、それぞれ別個の器具によって構成することも可能である。
プリズム厚測定手段の変形例としては、たとえばノギスや物差しなど、長さを測定するための任意の器具を用いることが可能である。
また、収差測定手段の変形例としては、コンタクトプリズム60の非点収差や色収差を光学的に測定可能な任意の測定装置を適用できる。また、このような収差測定手段に代えて、コンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値を光学的に測定可能な任意の測定装置を設けることにより、それらの値を算出する処理を省略するように構成することも可能である。
(収差の発生方向及び発生量の自動測定)
上記実施形態では、コンタクトプリズム60による収差の発生方向及び発生量の測定は、操作者が手作業で行っている。本変形例は、この収差の発生方向及び発生量の測定を自動化することにより、作業の簡便化を図るものである。
本変形例の手術用顕微鏡装置は、たとえば図3に示したような光学系を備える。この手術用顕微鏡装置は、左右の観察光学系13a、13bが成す左右の観察光路をそれぞれ分岐させるビームスプリッタ21、31(光路分岐手段)と、その分岐された左右の光路を経由した光束を受光して観察対象物の画像を撮影するTV撮像系50L、50R(撮像手段)とを備えている。
また、本変形例の制御系には、TV撮像系50L、50Rにより撮影された画像を解析して非点収差や色収差の発生方向及び発生量を検出する収差検出部(本発明の「検出手段」の一例に相当する;図示省略)が設けられている。この収差検出部は、所定の解析プログラムにしたがって動作するCPU等のマイクロプロセッサを含んで構成され、たとえば図12に示す演算制御部130の算出処理部133内に設けられる。この収差検出部による画像解析処理の具体例については、本出願人による上記特許文献2(特開2004−361891号公報)に開示されている。
本変形例の手術用顕微鏡装置によるコンタクトプリズム60に起因する収差の測定は、たとえば上記実施形態の測定器具90を用いて行う。左右のTV撮像系50L、50Rは、模擬角膜97上に載置されたコンタクトプリズム60を介して、模擬眼98のターゲット98aの画像を撮影する。その撮影画像は、演算制御部130の収差検出部に送られる。収差検出部は、このターゲット98aの撮影画像を解析して、コンタクトプリズム60により発生される非点収差や色収差の発生方向及び発生量を検出する。この検出結果は、装置制御部131によってデータ記憶部132に記憶され、算出処理部133による前述の算出処理などに用いられる。
このような本変形例によれば、図14のフローチャートに示した手術開始前の準備段階における動作において、模擬眼98のターゲット98aを観察しながらターゲット98aの観察像の収差を最適な状態に補正する作業(図14のステップS9)を手作業で行う必要がなくなるので、準備段階における作業が簡便になり、また、当該作業に要する時間の短縮を図ることができる。
以上のような収差測定の自動化は、図2に示した光学系を有する手術用顕微鏡装置に対しても適用可能である。図2の光学系は、左右の観察光学系13a、13bの一方(ここでは右観察光学系13b)による観察光路をビームスプリッタ31で分岐し、その分岐された光路にTV撮像系50を設けたものである。この光学系を適用する場合、右観察光学系13b側については、TV撮像系50が撮影したターゲット98aの画像を解析して収差の発生方向及び発生量を求めることができるが、左観察光学系13a側に発生する収差については、右観察光学系13b側に発生する収差から推定する必要がある。
そのために、右観察光学系13b側の収差の発生方向及び発生量に基づいて左観察光学系13a側の収差の発生方向及び発生量のそれぞれの推定値を算出する収差推定値算出部(図示省略)を、演算制御部130の算出処理部133の補正方向算出部136及び補正量算出部137に設ける。
この収差推定値算出部は、たとえば、測定されたコンタクトプリズム60の中心厚及び角度、データ記憶部132に記憶された観察光学系情報132C(左右の観察光学系13a、13bの光学情報)、対物レンズ19の光軸Oに対する左右の観察光学系13a、13bの位置、対物レンズ19による左右の観察光軸O1、O2の輻輳角度、コンタクトプリズム60の右観察光学系13b側におけるターゲット98aの撮影画像から求められた収差の発生方向及び発生量の情報を用いて、左観察光学系13a側の非点収差の発生方向及び発生量と色収差の発生方向及び発生量の推定値を算出する。ここで、計算を簡単にするために、右観察光学系13b側の収差測定時において、コンタクトプリズム60の軸60aは、対物レンズ19の光軸Oに一致しているものと仮定している。
(収差自動補正機能)
上記実施形態においては、手術中における収差の補正方向及び補正量の変更操作をフットスイッチ7を用いて行っている。本変形例は、収差の自動補正機能を搭載した手術用顕微鏡装置を用いる場合に適用可能なものであり、フットスイッチ7による補正方向や補正量の変更後に自動補正を施すことで、補正操作の簡便化、補正動作の短時間化、更には補正精度向上を図るものである。
フットスイッチ7による収差の補正方向や補正量の調整が終了したら、操作者は、フットスイッチ7の自動補正起動ボタン7Aあるいは手動操作部110の自動補正起動操作部118を操作して、収差の自動補正機能を起動させる。
図3に示す光学系を適用する場合、まず、左右の観察光学系13a、13bを経由して観察される左右の観察像の非点収差及び色収差をそれぞれ検出する。そして、その検出結果に基づいて、左右の観察光学系13a、13bの非点収差打ち消し用光学素子61と色収差打ち消し用光学素子70とをそれぞれ制御することにより、左右の観察像の非点収差及び色収差のそれぞれの補正方向及び補正量を調整する。
一方、図2に示す光学系を適用する場合には、前述のような収差推定値算出部を設ける必要がある。まず、右の観察光学系13bを経由して観察される右の観察像の非点収差の発生方向及び発生量と色収差の発生方向及び発生量を検出する。次に、収差推定値算出部が、測定されたコンタクトプリズム60の光学情報(中心厚、角度、屈折率、分散)と、データ記憶部132に記憶された観察光学系情報132C(左右の観察光学系13a、13bの光学情報)と、検出された右観察光学系13b側の収差の発生方向及び発生量とに基づいて、対物レンズ19の光軸Oに対するコンタクトプリズム60の軸60aの傾斜角度を算出する。更に、収差推定値算出部は、算出された傾斜角度を参照して左観察光学系13a側の非点収差の発生方向及び発生量と色収差の発生方向及び発生量の推定値を算出する。
収差自動補正処理の他の例として、図13に示した補正値マップを使用する動作態様について説明する。図18に示すフローチャートは、当該動作態様を表している。
同図のフローチャートに示す動作は、図3に示す光学系を有する手術用顕微鏡装置によるものであるが、図2に示す光学系を有する装置においても、前述の収差推定値算出処理を適用することで、同様の動作を実施することが可能である。
なお、前述の動作態様(3)、(4)と同様に、自動収差補正開始時点(ステップS51)における収差補正方向とコンタクトプリズム60の軸60aの傾斜角度とは、それぞれ既知であるとする。
まず、操作者が、フットスイッチ7の自動補正起動ボタン7Aあるいは手動操作部110の自動補正起動操作部118を操作して、収差の自動補正機能を起動させると(S51)、TV撮像系50L、50Rが、眼底Er等の観察像を撮影し(S52)、収差検出部が、その撮影画像を解析して非点収差、色収差の発生方向及び発生量を検出する(S53)。
ここで、検出された色収差の発生方向は、コンタクトプリズム60の向きDと同一である。また、上記実施形態において説明したように、図6に示す関係や補正値マップ132Bを参照することで、検出された発生量から、コンタクトプリズム60の軸60aの傾斜角度γを求めることができる。それにより、コンタクトプリズム60の向きDと、その軸60aの傾斜角度γとを取得する(S54)。
補正量算出部137は、取得されたコンタクトプリズム60の向きDと、その軸60aの傾斜角度γとの双方が、補正値マップ132Bのステップ値に該当しているか判断する(S55)。
向きDと傾斜角度γとの双方が補正値マップ132Bのステップ値に示す値である場合(S55;Y)、補正量算出部137は、当該向きDと傾斜角度γとに対応する非点収差の補正量と色収差の補正量とを補正値マップ132Bから取得する(S56)。
一方、向きDと傾斜角度γとのうちの少なくとも一方がステップ値に示す値ではない場合には(S55;N)、補正量算出部137は、補正値マップ132Bを用いた前述の補間処理を実行して、当該向きDと傾斜角度γとに対応する非点収差の補正量と色収差の補正量とを取得する(S57)。
装置制御部131は、シリンダーレンズ駆動部62A、62Bを制御して、非点収差打ち消し用光学素子61による補正量を、ステップS44又はステップS45にて取得された非点収差の補正量に変更する(S58)。同様に、プリズム駆動部72A、72Bとを制御して、色収差打ち消し用光学素子70による補正量を、ステップS44又はステップS45にて取得された色収差の補正量に変更する(S59)。以上が自動収差補正機能による処理である。以下は、この自動収差補正機能による補正結果を、必要に応じて、手動調整するときの手順である。
操作者は、必要に応じて、フットスイッチ7の補正量変更ボタン7F、7Bを操作して補正量を調整する(S60)。また、最終的に良好な観察像を得るために、必要に応じて、補正方向及び/又は補正量の微調整を繰り返し行う(S61)。
このような自動収差補正動作によれば、収差補正のための操作の簡便化はもとより、補正値マップ132Bを使用することで、補正動作の時間短縮を図ることが可能である。
(手動操作部とフットスイッチとの連係動作)
上記実施形態の手動操作部110は、フットスイッチ7が故障等したときのバックアップとして使用できるようになっている。手動操作部110の非点収差補正量設定部114、色収差設定部115及び補正方向設定部116は、操作量(回転変位量)に応じたパルスを出力するロータリーエンコーダをそれぞれ備えている。
更に、非点収差補正量設定部114、色収差設定部115及び補正方向設定部116のそれぞれのロータリーエンコーダにモータを接続し、各ロータリーエンコーダを独立に回転駆動制御するように構成する。フットスイッチ7の各ボタン7F、7B、7L、7Rが操作されると、対応する設定部114〜116のモータに電気信号が送信される。モータは、この電気信号に基づいて、その回転量が制御されるようになっている。
操作者がフットスイッチ7の補正量変更ボタン7F、7Bを操作すると、その操作に対応する電気信号が非点収差補正量設定部114及び色収差補正量設定部115のそれぞれのモータに送信される。各モータは、この電気信号に応じた回転量だけ回転し、非点収差補正量設定部114及び色収差補正量設定部115のそれぞれのロータリーエンコーダを目的の回転変位量だけ回転させる。各ロータリーエンコーダは、その回転変位量に応じたパルスを装置制御部131に送信する。
装置制御部131は、非点収差補正量設定部114のロータリーエンコーダからのパルスに基づいて左右の観察光学系13a、13bの非点収差打ち消し用光学素子61を制御し、非点収差の補正量をフットスイッチ7に対する操作に応じた補正量に変更する。また、装置制御部131は、色収差補正量設定部115のロータリーエンコーダからのパルスに基づいて左右の観察光学系13a、13bの色収差打ち消し用光学素子70を制御し、色収差の補正量をフットスイッチ7に対する操作に応じた補正量に変更する。なお、非点収差の補正量と色収差の補正量との対応関係は、上記実施形態と同様に、図6に示した関係や補正値マップ132Bを参照して取得することができる。
また、操作者がフットスイッチ7の補正方向変更ボタン7L、7Rを操作すると、その操作に対応する電気信号が補正方向設定部116のモータに送信される。モータは、この電気信号に応じた回転量だけ回転し、補正方向設定部116のロータリーエンコーダを目的の回転変位量だけ回転させる。ロータリーエンコーダは、その回転変位量に応じたパルスを装置制御部131に送信する。
装置制御部131は、このパルスに基づいて左右の観察光学系13a、13bの非点収差打ち消し用光学素子61を制御し、非点収差の補正方向をフットスイッチ7に対する操作に応じた補正方向に変更する。また、装置制御部131は、当該パルスに基づいて左右の観察光学系13a、13bの色収差打ち消し用光学素子70を制御し、色収差の補正方向をフットスイッチ7に対する操作に応じた補正方向に変更する。なお、非点収差の補正方向と色収差の補正方向との対応関係は、上記実施形態と同様に、補正方向算出部136によって求められる。
以上のような構成によれば、フットスイッチ7が故障した場合に、手動操作部110の非点収差補正量設定部114や色収差補正量設定部115を操作して収差の補正量を変更することができる。また、手動操作部110の補正方向設定部116を操作して収差の補正方向を変更することができる。
ここで、収差の補正量を変更する場合には、非点収差補正量設定部114及び色収差補正量設定部115の一方のみを操作すればよく、操作の簡便化が図られている。また、補正方向を変更するための操作についても、単一の補正方向設定部116を操作するだけで非点収差及び色収差のそれぞれの補正方向を変更できるので、好適に簡便化が図られている。
なお、手動操作部110の非点収差補正量設定部114、色収差補正量設定部115、補正方向設定部116は、ロータリーエンコーダを備えた回転式のものに限定されるものではない。
たとえば、非点収差補正量設定部114や色収差補正量設定部115は、収差の補正量を所定ステップで増減させるボタンによって構成することができる。ここで、操作性を考慮すると、補正量を所定ステップで増加させるボタンと、所定ステップで減少させるボタンとを設けることが望ましい。
また、補正方向設定部116は、収差の補正方向を所定の角度ステップで回転させるボタンにより構成できる。ここでも、補正方向を反時計回りに所定の角度ステップで回転させるボタンと、時計回りに所定の角度ステップで回転させるボタンとを設けることが、操作上望ましい。
(光凝固治療装置への適用)
本発明に係る構成は、光凝固治療装置やスリットランプ(細隙灯顕微鏡装置)などの観察装置に適用することが可能である。ここでは、図41を主に参照しつつ、光凝固治療装置に対する適用例について説明する。
光凝固治療装置は、治療用レーザ光を出力する照射光学系80を備え、この治療用レーザ光をプリズム18で反射して対物レンズ19に導き、眼底Erに照射するように構成されている。眼底周辺部Er′に治療用レーザ光を照射する場合、角膜Ec上にコンタクトプリズム60があてがわれる。
対物レンズ19と変倍レンズ系20、30との間の観察光路中には非点収差打ち消し用光学素子61が設けられ、プリズム18と対物レンズ19との間の照明光路中にも同様の非点収差打ち消し用光学素子81が設けられている。また、従来の構成を表す図41中には示されていないが、本発明に係る光凝固治療装置においては、対物レンズ19と変倍レンズ系20、30との間の観察光路中に色収差打ち消し用光学素子70が設けられ、プリズム18と対物レンズ19との間の照明光路中にも同様の色収差打ち消し用光学素子82が設けられる。
この光凝固治療装置は、上記実施形態と同様の制御系を有する(図12参照)。特に、同様の演算制御部130を備えている。非点収差打ち消し用光学素子61、80は、上記実施形態の非点収差打ち消し用光学素子61と同様にして各々制御される。また、色収差打ち消し用光学素子70、81も、上記実施形態の色収差打ち消し用光学素子70と同様にして各々制御される。
更に、この光凝固治療装置は、上記実施形態と同様の手動操作系110とフットスイッチ7とを有する(図10、図11参照)。また、コンタクトプリズム60の光学情報を測定する測定器具90とテンプレート100とが設けられている(図8、図9参照)。
このような構成の光凝固治療装置によれば、上記実施形態の手術用顕微鏡装置と同様に、コンタクトプリズムに起因する収差を補正するための操作を簡便化することが可能である。
以上に説明した第1の実施形態の変形例は、以下に説明する第2の実施形態の構成に対しても適用することが可能である。
〈第2の実施形態〉
本発明に係る観察装置の第2の実施形態について説明する。本実施形態においても、手術用顕微鏡装置に関する一構成例を取り上げることとする。なお、上記第1の実施形態と同様の構成や動作等については、第1の実施形態の説明を参照することにする。
上記第1の実施形態は、手術開始前に、専用の測定器具90やテンプレート100を用いて、コンタクトプリズム60の特性(サイズ、角度、屈折率、分散)を測定し、その測定結果に基づいて収差補正処理を実行するように構成されている。このような手法によれば、コンタクトプリズム60の特性以外の全ての光学要素の詳細が分かっていることから、コンタクトプリズム60の特性を高い精度で測定でき、収差補正を高精度で行うことができるという利点がある。
一方、第1の実施形態には、コンタクトプリズム60の特性を測定するための時間を手術開始前あるいは別の時間に設ける必要があり、更にその測定結果を事前に記録しておかなければならないという面もある。
そこで、本実施形態では、コンタクトプリズム60の特性の測定精度(したがって収差補正の精度)は、第1の実施形態と比較して若干落ちるが、手術開始時あるいは手術中に測定を実施可能とする構成を提供する。
そのために、本実施形態においては、コンタクトプリズム60のサイズ(中心厚)及び角度(もしくは頂角)は、カタログ等から既知であると仮定し、左右の観察光学系13a、13bの光学情報も既知であると仮定する。そして、被手術眼Eの角膜Ec上にコンタクトプリズム60を載置し、できるだけ「軸の一致」になるように調整した状態で十分な収差補正を実施するとともに、そのときの収差補正状態と上記の既知の値とに基づいて、コンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値を算出するようになっている(詳細は後述する)。
また、本実施形態は、第1の実施形態における模擬眼98に代えて、実際の被手術眼Eを観察した状態で測定を行うことにより、当該被手術眼Eの光学特性も測定できるという利点を有するものである。特に、コンタクトプリズム60の向きDが決まっている場合、被手術眼Eの眼球光学系に起因する収差も併せて最適化されることから、有効な収差補正を実施できるという利点がある。
一方、被手術眼Eの眼球光学系に起因する収差が測定結果に加味されるため、コンタクトプリズム60の向きDを大きく変更する場合においては、そのときの収差補正に過不足を招いてしまう。このようなケースに対しては、第1の実施形態の収差補正を適用することが望ましい。
なお、可能であれば、第1の実施形態における事前測定と、本実施形態における測定とを併用することにより、コンタクトプリズム60の特性の高精度の測定結果と、被手術眼Eの光学特性との双方を取得でき、それにより、より確実な収差補正を実現することが可能であることを指摘しておく。
[装置構成]
さて、本実施形態の手術用顕微鏡装置(観察装置)の構成の一例について説明する。本実施形態の手術用顕微鏡装置は、上記第1の実施形態と同様の外観構成(図22参照)及び光学的構成(図1〜図3参照)を有し、同様のコンタクトプリズム(図4参照)を用いた手術にて使用される。また、本実施形態の手術用顕微鏡装置の操作系は、第1の実施形態と同様に構成されている(図10に示す手動操作部110及び図11に示すフットスイッチ7を参照)。
本実施形態の手術用顕微鏡装置を用いる手術では、図19に示すように、被手術眼Eに光ファイバ201(ライトガイド)を挿入し、有害・不要な赤外線や紫外線を除去した光をこの光ファイバ201を通じて眼内に導入して眼底Erを照明する手法を採用することが望ましい。また、光ファイバ201によって導かれる照明光は、白色光であることが望ましい。なお、当該照明光を発生させる光源(装置)としては一般的なものを使用することができる。
光ファイバ201の眼内挿入部の先端は、たとえば円形に形成されている。したがって、光ファイバ201のこの先端を眼底Er等に十分に近づけると、眼底Er等は略円形の照明スポットにより照明されることとなる。なお、図19において、符号Elは水晶体を示し、符号Evは硝子体を示している。
このような光ファイバ201は、本発明の「ターゲット形成手段」の一例に相当し、照明スポットは、「ターゲット」の一例に相当する。また、図2に示すビームスプリッタ31や、図3に示すビームスプリッタ21、31は、本発明の「光路分岐手段」の一例に相当し、TVカメラ53、53L、53Rは、本発明の「撮像手段」の一例に相当する。
〔制御系の構成〕
図20のブロック図は、本実施形態の制御系の構成の一例を表している。本実施形態の制御系は、第1の実施形態と同様に、演算制御部133の特に装置制御部133を中心に構成されている。なお、装置制御部133は、本発明の「収差制御手段」の一例に相当するものである。以下、第1の実施形態との差異点を中心に説明する。
まず、本実施形態におけるデータ記憶部132には、上記第1の実施形態の補正値マップ132Bに代わり、コンタクトプリズム情報132Dが記憶されている。このコンタクトプリズム情報132Dには、特にコンタクトプリズム60のサイズ(中心厚)及び角度のデータが含まれている。このデータは、たとえばコンタクトプリズム60や手術用顕微鏡装置のマニュアルやカタログ等に記載された公称値を記憶したものであってもよいし、装置の出荷時や設置時などにその設計データを記憶したものであってもよい。
また、本実施形態の算出処理部133(算出手段)には、プリズム特性値算出部231、画像抽出部232、収差検出部233、収差判断部234、補正方向算出部235及び補正量算出部236がそれぞれ設けられている。なお、図20において図示は省略するが、本実施形態の算出処理部133には、上記第1の実施形態と同様の変倍補正量算出部138が設けられている。
(プリズム特性値算出部)
プリズム特性値算出部231は、第1の実施形態のプリズム特性値算出部134と同様に本発明の「プリズム特性値算出手段」として作用するものであり、次の(1)〜(6)の情報に基づいて、コンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値を算出する処理を行う:(1)データ記憶部132に記憶されたコンタクトプリズム情報132Dのコンタクトプリズム60のサイズ(中心厚)のデータ、(2)同じくコンタクトプリズム60の角度のデータ、(3)被手術眼Eにコンタクトプリズム60を載せた状態における非点収差及び色収差の少なくとも一方の補正方向、(4)同じく非点収差及び色収差のそれぞれの補正量、(5)データ記憶部132に記憶された観察光学系情報133C(観察光学系13a、13bの光学情報)、(6)変倍レンズ系20、30による観察像のズーム倍率。なお、(3)、(4)の情報の求め方については、後述の[動作態様]において説明する。
(画像抽出部)
画像抽出部232は、TVカメラ53により撮影された画像を解析するコンピュータプログラムを実行するCPU等のマイクロプロセッサを含んで構成され、特に、光ファイバ201で眼内を照明した状態で撮影された画像を解析し、その画像中の照明スポットを抽出する処理を行う。
この照明スポット検出処理は、たとえば、撮影画像中の各画素の画素値を所定のしきい値と比較し、このしきい値よりも大きな画素値を有する画素からなる一繋がりの領域を照明スポットの領域として認識する処理である。ここで、当該しきい値は、光ファイバ201から出射される照明光の明るさなどを基準に設定される。このような処理を行う画像抽出部232は、本発明の「画像抽出手段」の一例に相当する。
(収差検出部)
収差検出部233は、TVカメラ53により撮影された画像中の収差の発生方向及び発生量を検出するためのコンピュータプログラムを実行するCPU等のマイクロプロセッサを含んで構成される。この収差検出処理は、たとえば、鮮鋭度の画像を用いる通常の手法に代えて、光ファイバ201による照明スポットを用いて非点収差や色収差の発生方向や発生量を検出する手法によって実行される。
非点収差の検出処理は、たとえば、照明スポットのエッジ部分(照明スポットの明るい領域と、その周囲の暗い領域との境界部分)の形状を検出することによりなされる。すなわち、光ファイバ201の先端を眼底Erに十分に近接させると略円形の(エッジ部分を有する)照明スポットが形成されるので、撮影画像中のエッジ部分の形状が略円形である場合には非点収差が無いあるいは比較的小さいと判断することができ、また、その形状が明確に楕円形である場合には比較的大きな非点収差が発生していると判断できる。そのために、たとえば、楕円形(円形を含む)の照明スポットの画像の長軸及び短軸のそれぞれの長さを求め、それらの長さの差を算出し、この差の値に対応する非点収差の発生量を(あらかじめ記憶されたテーブルデータ等を参照して)取得するように構成できる。
また、非点収差の発生方向については、照明スポットの像の変形方向から求めることもできるが、下記の色収差の発生方向と、データ記憶部132の収差発生方向対応情報132Aとから求める手法が容易である。
一方、色収差については、たとえば、照明光の強度を十分にして白色の照明スポットを形成し、その(カラー)撮影画像をR成分、G成分、B成分の各画像に分解するとともに、R、G、Bの照明スポットの各画像の重心を算出し、それらのずれ方向(変位方向)とずれ量(変位量)とを求めることで、発生方向と発生量とを検出する。なお、画像の重心(N、N)は、次式によって定義される。ここで、当該画像はm×n個の画素から構成され、その画素値をaij(i=1〜m、j=1〜n)とする。
Figure 2006330040
以上のような処理を行う収差検出部233は、本発明の「収差検出手段」の一例に相当するものである。
(収差判断部)
収差判断部234は、収差検出部233により検出された撮影画像中の収差発生量(特に色収差の発生量)に関する所定の判断処理を行うためのコンピュータプログラムを実行するCPU等のマイクロプロセッサと、収差検出部233により検出された収差発生量を記憶する記憶装置とを含んで構成される。なお、専用の記憶装置を設ける代わりに、データ記憶部132に収差発生量を記憶させる構成を採用することもできる。この収差判断部234は、特に、次の2種類の判断処理を実行する。
収差判断部234による第1の判断処理は、撮影画像中の色収差の変化量に関するものである。より詳しく説明すると、収差判断部234は、所定のタイミング(後述)において収差判断部234が色収差発生量を検出したときに、この新たに検出された色収差発生量を、上記記憶装置(あるいはデータ記憶部132)に記憶されている以前の色収差発生量と比較し、検出タイミングの異なるそれら2つの色収差発生量の間の変化量を算出する。更に、収差判断部234は、この算出した色収差発生量の変化量が、あらかじめ設定されたしきい値(「変化量しきい値」と呼ぶこととする。)より大きいか否かを判断する。この判断結果に基づいてなされる処理については、後述の[動作態様]において説明する。
一方、第2の判断処理は、撮影画像に発生する色収差の絶対量に関するものである。すなわち、収差判断部234は、所定のタイミング(後述)において検出された色収差発生量が、あらかじめ設定されたしきい値(「絶対量しきい値」と呼ぶこととする。)より大きいか否かを判断する。この判断結果に基づいてなされる処理についても、後述の[動作態様]において説明する。
このような収差判断部234は、本発明の「判断手段」の一例に相当し、上記の変化量しきい値は「所定のしきい値」に一例に相当する。なお、本実施形態では、上記2種類の判断処理を単一の収差判断部234が行うように構成されているが、各処理を別個の判断部によって行うように構成してもよい。
(補正方向算出部)
補正方向算出部235は、上記第1の実施形態における補正方向算出部136と同様に、非点収差及び色収差のそれぞれの補正方向を算出する処理を行うものである。
補正方向算出部235は、たとえば、収差検出部133により検出された色収差の発生方向と、データ記憶部132に記憶された収差発生方向対応情報132Aとに基づいて、非点収差の補正方向を算出する。なお、非点収差の発生方向と色収差の発生方向との双方を収差検出部233が検出する場合には、当該算出処理は特に必要ではない。
また、補正方向算出部235は、フットスイッチ7の補正方向変更ボタン7L、7Rにより収差補正方向が変更された場合、もしくは、手動操作部110の補正方向設定部116により収差補正方向が変更された場合に、上記第1の実施形態と同様にして非点収差の補正方向及び色収差の補正方向をそれぞれ取得する処理を行う。
(補正量算出部)
補正量算出部236は、収差検出部233により検出された非点収差及び色収差のそれぞれの発生量に基づいて、非点収差及び色収差のそれぞれの補正量を求める処理を行う。補正量算出部236は、左右の観察光学系13a、13bにおける収差の補正量をそれぞれ個別に算出する。
右観察光学系13bについては、TVカメラ53が設けられているので、その撮影画像に基づいて検出された収差発生量が収差補正量となる。
一方、左観察光学系13a側における非点収差及び色収差の補正量については、たとえば、上記第1の実施形態と同様にして算出され、収差検出部233により検出された右観察光学系13b側の収差発生量(収差補正量)と、データ記憶部132に記憶されたコンタクトプリズム情報132D(コンタクトプリズム60の中心厚及び角度)と、同じく観察光学系情報132C(左右の観察光学系13a、13bの光学情報)と、対物レンズ19の光軸Oに対する左右の観察光学系13a、13bの位置と、対物レンズ19による左右の観察光軸O1、O2の輻輳角度とに基づいて、それらの推定値が算出される。なお、左観察光学系13aにおける非点収差及び色収差の補正方向は、右観察光学系13bの補正方向と同じである。
算出処理部133は、補正方向算出部235と補正量算出部236とを用いて、前述した「山登り法」による非点収差及び色収差のそれぞれの補正方向、補正量の算出処理を実行する。
なお、以上に説明した本実施形態の装置構成において、本発明の「測定手段」は、光ファイバ201と、観察光学系13(特にビームスプリッタ21、31及びTVカメラ53、53L、53R)と、制御系(特に画像抽出部232及び収差検出部233)とを含んで構成される。
[動作態様]
以上のように構成された本実施形態の手術用顕微鏡装置の動作態様について説明する。図21に示すフローチャートは、その動作態様の一例を表している。
最初に、実際の被手術眼Eの角膜Ec上に置かれたコンタクトプリズム60の屈折率及び分散の値を測定により求める(S71)。求められた値は、データ記憶部132に記憶される。ステップS71の処理について、以下に詳しく説明する。
当該測定は、たとえば次のようにして行う:(1)カタログ等に記載されたコンタクトプリズム60の中心厚、角度の公称値を、手動操作部110のプリズムサイズ設定部111、プリズム角設定部112(及び測定値記憶操作部113)を用いて設定入力し、(2)軸60aを対物レンズ19の光軸Oに合わせるようにして、コンタクトプリズム60を被手術眼E上に載置し、(3)観察像の収差補正状態を観察しつつ、手動操作部110やフットスイッチ7を用いて収差補正を行い、(4)最適な収差補正状態における非点収差及び色収差のそれぞれの補正方向(発生方向)と補正量(発生量)とを、たとえば補正光学系の動作経過や手動操作部110などから取得する。なお、補正方向については、非点収差及び色収差のうちの一方のみを取得するようにしてもよい。
そして、プリズム特性値算出部231は、前述したように、(1)コンタクトプリズム情報132Dのコンタクトプリズム60の中心厚、(2)同じくコンタクトプリズム60の角度、(3)上記測定により取得された収差の補正方向、(4)同じく非点収差及び色収差のそれぞれの補正量、(5)観察光学系情報133Cの観察光学系13a、13bの光学情報、(6)変倍レンズ系20、30による観察像のズーム倍率、に基づいて、コンタクトプリズム60の屈折力及び分散の値を算出する。以上が、ステップS71で行う処理の一例である。
次に、操作者は、所定の操作により、被手術眼Eの観察部位にピントを合わせるとともに(S72)、この観察部位に光ファイバ201を近づけて、所定のスポットサイズの照明スポットにて照明する(S73)。そして、フットスイッチ7の自動補正起動ボタン7Aあるいは手動操作部110の自動補正起動操作部118を操作して、自動収差補正の開始を要求する(S74)。
補正開始の要求が入力されると、装置制御部131は、TVカメラ53を制御して、当該観察部位を含む画像を撮影する(S75)。撮影された画像は、装置制御部131に送信され、データ記憶部132に記憶される。なお、この撮影画像は、左右の観察光学系13a、13bのうちの右観察光学系13bを経由する観察光を受光して得られる画像である。
次に、画像抽出部232が、前述の手法により、当該撮影画像中における照明スポットの像を抽出する(S76)。抽出された照明スポットの像のデータは、データ記憶部132に記憶される。
更に、収差検出部233が、この抽出された照明スポットの像を解析して、当該撮影画像における色収差の発生方向及び発生量を検出する(S77)。その検出結果は、データ記憶部132に記憶される。
続いて、装置制御部131が、プリズム駆動部72A、72Bを制御して、左右の観察光学系13a、13bの色収差打ち消し用光学素子70により、観察像に適量の色収差を発生させる(S78)。この「適量の色収差」の発生処理としては、(1)色収差の補正量を減少させる、あるいは補正量をゼロにする、(2)色収差の発生量を積極的に増大させる、などの方法が適用される。それにより、観察像における色収差の影響が大きくなり、色収差検出処理におけるR、G、Bの各画像のずれが増大することとなる。
収差検出部233は、適量の色収差発生後にTVカメラ53により撮影された画像中の照明スポットの像を解析して、この新たな撮影画像における色収差の発生方向及び発生量を検出する(S79)。その検出結果は、データ記憶部132に記憶される。なお、図21のフローチャートにおいては、適量の色収差発生後の画像の撮影処理(ステップS75と同様)と、この撮影画像からの照明スポットの像の抽出処理(ステップS76と同様)とを省略した。
次に、収差判断部234が、ステップS78の適量の収差発生の前後における色収差発生量の変化量、すなわち、ステップS77で検出された色収差発生量を基準とした、ステップS79で検出された新たな色収差発生量の変位量が、上記の変化量しきい値よりも大きいか否か判断する(S80)。
当該変位量が変化量しきい値よりも大きくないと判断された場合(S80;N)、この判断は収差状況がほとんど変化していないことを意味していることから、プリズム駆動部72A、72Bを制御して、色収差の補正量をステップS77で検出された値に戻すように、左右の観察光学系13a、13bの色収差打ち消し用光学素子70をそれぞれ動作させる(S81)。そして、必要に応じて、算出処理部133が、前述の山登り法を実行して、最適な鮮鋭度が得られる収差(非点収差、色収差)の補正方向及び補正量を求め、装置制御部131が補正状態を微調整する(S90)。以上で、自動収差補正処理は終了となる。術者は、この収差補正状態で被手術眼Eを観察して手術を実施する。
なお、上記変位量が十分小さい場合(S80;N)、最良の収差補正状態がおおよそ得られていることを意味するので、山登り法は数回のトライアルで完了する。
一方、当該変位量が変化量しきい値よりも大きいと判断された場合(S80;Y)、操作者は、フットスイッチ7や手動操作部110を操作して、色収差の粗調整を行う(S82)。ここで、粗調整とは、(色収差の)大まかな調整を意味し、微調整の対義語として用いられる用語である。
収差検出部233は、粗調整後における観察像に介在する色収差の発生方向及び発生量を検出する(S83)。ここでも、ステップS79と同様に、画像撮影処理と照明スポット像抽出処理を省略した。
補正方向算出部235及び補正量算出部236が、それぞれ、粗調整後の収差発生方向及び収差発生量の検出結果に基づいて、右観察光学系13b側における色収差の補正方向及び補正量を算出する(S84)。また、補正方向算出部235及び補正量算出部236は、それぞれ、粗調整後の収差発生方向及び収差発生量の検出結果に基づいて、右観察光学系13b側における非点収差の補正方向及び補正量を算出する(S85)。
更に、補正量算出部236は、右観察光学系13b側の非点収差及び色収差の補正量の算出結果、コンタクトプリズム情報132D、観察光学系情報132C、対物レンズ19の光軸Oに対する左右の観察光学系13a、13bの位置、及び、対物レンズ19による左右の観察光軸O1、O2の輻輳角度に基づいて、左観察光学系13a側の非点収差及び色収差の補正量の推定値を算出する(S86)。なお、前述したように、左観察光学系13a側の収差補正方向は、右観察光学系13b側の補正方向と同じである。
装置制御部131は、ステップS84〜S86で得られた算出結果に基づいてシリンダーレンズ駆動部62A、62Bとプリズム駆動部72A、72Bとをそれぞれ制御し、左右の観察光学系13a、13bのそれぞれの非点収差打ち消し用光学素子61及び色収差打ち消し用光学素子70を駆動して、非点収差及び色収差のそれぞれの補正方向及び補正量を変更する(S87)。
収差検出部233は、補正状態変更後における観察像に介在する色収差の発生方向及び発生量を検出する(S88)。ここでも、ステップS79等と同様に、画像撮影処理と照明スポット像抽出処理を省略した。
続いて、収差判断部234が、検出された補正状態変更後における色収差発生量が、前述の絶対量しきい値よりも大きいか否か判断する(S89)。
色収差発生量が絶対値しきい値よりも大きいと判断された場合(S89;Y)、依然として相当量の色収差が発生しているため、ステップS82の粗調整に戻り、そこからの処理を再度実施uする。
一方、色収差発生量が絶対値しきい値よりも大きくないと判断された場合には(S89;N)、必要に応じて、算出処理部133が、前述の山登り法を実行して、最適な鮮鋭度が得られる収差(非点収差、色収差)の補正方向及び補正量を求め、装置制御部131が補正状態を微調整する(S90)。以上で、自動収差補正処理は終了となる。術者は、この収差補正状態で被手術眼Eを観察して手術を実施する。
[作用効果]
以上で説明したように、本実施形態の手術用顕微鏡装置によれば、コンタクトプリズムに起因する収差の補正処理の自動化が促進される。操作者は、コンタクトプリズム60の特性値を求めるための測定(ステップS71)、照明スポットのスポットサイズの調整(ステップS73)、自動補正処理開始要求(ステップS74)、色収差の粗調整(ステップS82)等の簡単な動作を行うだけで、コンタクトプリズム60に起因する非点収差と色収差が自動補正される。したがって、本実施形態によれば、収差を補正するための操作を簡便化することが可能である。
また、本実施形態では、光ファイバ201の先端を観察部位に近接させることにより、高コントラスト、略円形、白色の照明スポットを形成し、この照明スポットの撮影画像に基づいて非点収差及び色収差の状態を検出するようになっている。なお、照明スポットのコントラストは、照明光の強度や、光ファイバ201の先端の観察部位に対する距離などの条件に依存する。
それにより、非点収差については、高コントラストの略円形の照明スポットの撮影画像の変形状態から、その発生方向及び発生量を効果的に検出することができる。また、色収差については、白色の照明スポットの撮影画像から得られる高コントラストのR、G、Bの各画像に基づいて、その発生方向及び発生量を効果的に検出することができる。したがって、効果的な収差補正を実施することが可能となる。
また、色収差の発生量が小さい場合であっても、適量の色収差を発生させてやることで、観察像に介在する色収差を増大させることができる。これに加えて、照明スポットが白色であることも考慮すると、色収差の発生方向及び発生量を高い精度で検出することができ、収差補正を効果的に行うことが可能となる。
また、白色の照明スポットのR、G、Bの各画像の重心をそれぞれ算出し、それらのずれに基づいて色収差を検出するように構成されているので、色収差検出を高精度で行うことが可能である。
また、本実施形態によれば、色収差の粗調整等により収差をある程度補正した後、最終段階の微調整(ステップS90)において山登り法を適用するようになっている。したがって、山登り法の適用時には、既にほぼ最適な収差補正状態に到達しているので、数回のトライアルで山登り法の計算処理は完了する。それにより、収差補正処理の短時間化を図ることが可能となる。
また、本実施形態は、上記第1の実施形態とは異なり、実際の被手術眼E上に載置されたコンタクトプリズム60の特性値を測定するため、被手術眼E自体の影響をも加味した収差状態を取得することができる。特に、コンタクトプリズム60の方向が決まっている場合には、被手術眼Eに起因する収差についても併せて最適に補正されることとなるため有効である。
また、本実施形態による収差補正は、第1の実施形態のような専用の測定手段を用いることなく、実際の被手術眼Eを利用して同様の測定を行うことから、手術中でも適宜に実施できるという利点がある。
〈各種変形例〉
以上に説明した第1、2の実施形態は、本発明に係る観察装置を好適に実施するための一構成例に過ぎないものである。以下、本発明に係る観察装置に適用可能な各種の変形例について説明する。
(補正リセット機能)
手術用顕微鏡装置に故障が発生した場合などにおいて、最低限度の品質の観察像を確保して手術の続行を可能にするために、補正光学系(非点収差打ち消し用光学素子61、色収差打ち消し用光学素子70)による収差の補正をリセットする機能を搭載することができる。
この補正リセットの動作は、電気的な動作であってもよいが、手術用顕微鏡装置の電気系がダウンしたときやCPU等がダウンしたときの対処を考慮すると、メカ的(機構的)な動作であることが望ましい。
補正リセット動作を電気的に行う構成を採用する場合、たとえば、補正リセットを要求するためのボタン等の操作部を、手術用顕微鏡装置本体やフットスイッチ7や手動操作部110などに設けるとともに、当該操作部からの要求を受けた装置制御部131が補正光学系を制御して収差補正量をゼロに変更する構成とすることができる。この操作部は本発明の「第1の操作手段」の一例に相当し、装置制御部131は「補正リセット手段」の一例に相当する。
一方、補正リセット動作を機構的に行う構成を採用する場合、たとえば、第1の実施形態において説明したように、補正光学系及びその駆動系を手術用顕微鏡10の鏡筒11に着脱可能なユニットとして形成するとともに、当該ユニットを鏡筒11から機構的に取り外すための操作部を鏡筒11等に配設した構成とすることができる。
より具体的に説明すると、たとえば、ユニットの外周面(たとえば側面)に凹部を設けるとともに、この凹部に係合する凸部(ツメ)を鏡筒11内に設け、上記操作部によって凹部に対する凸部の係合状態が解除されるように構成する。装着時には、ユニットを鏡筒11側面の開口部(図示せず)内に凸部が凹部に係合するまで挿入する。ユニットは、凸部と凹部との係合により、図1〜図3に示すように補正光学系が観察光軸O1、O2上に配置される位置に保持される。
装置やCPU等がダウンした場合には、上記操作部を操作して凸部と凹部との係合状態を解除し、鏡筒11からユニットを取り外す。それにより、補正光学系が観察光軸O1、O2上から退避され、収差補正がリセットされる。
このような構成において、上記操作部は本発明の「第1の操作手段」の一例に相当し、当該操作部に対する操作に応じて動作する上記機構は「補正リセット手段」の一例に相当するものである。
また、機構的な補正リセット動作の他の例として、補正光学系による収差補正量をゼロに変更するための操作部を設けた構成を適用してもよい。そのために、たとえば、シリンダーレンズ61A、61Bの少なくとも一方を回転操作するための第1の操作部と、プリズム70A、70Bの少なくとも一方を回転操作するための第2の操作部とを設ける。なお、シリンダーレンズ61A、61Bの双方を回転操作する場合、あるいは、プリズム70A、70Bの双方を回転操作する場合には、それらを独立に操作可能に構成する。
装置やCPU等がダウンしたら、第1の操作部を操作して非点収差の補正量をゼロにする(シリンダーレンズ61A、61Bの母線軸を一致させる)とともに、第2の操作部を操作して色収差の補正量をゼロにする(プリズム70A、70Bを互いに逆方向を向くように配置させる)ことにより、収差補正をリセットすることができる。
(補正状態記憶機能、補正状態復帰機能)
特に手や足を用いて収差補正を行う場合に、誤って収差を増強させてしまうおそれがある。本変形例の機能は、そのような事態に対処するためのものである。
現状の補正状態を記憶させるための補正状態記憶操作部と、記憶された補正状態に復帰させるための補正状態復帰操作部とを、フットスイッチ7や手動操作部110や手術用顕微鏡10の鏡筒11などに設ける(いずれも図示省略)。これらの操作部からの操作信号は、装置制御部131に入力される。これら操作部はボタン等の任意の操作デバイスからなる。
ここで、補正状態記憶操作部は本発明の「第2の操作手段」の一例に相当し、補正状態復帰操作部は「第3の操作手段」の一例に相当し、装置制御部131は「制御手段」の一例に相当している。また、データ記憶部132は、「所定の記憶手段」の一例に相当する。
補正状態記憶操作部からの操作信号が入力されると、装置制御部131は、現状の補正状態(非点収差の補正方向及び補正量、色収差の補正方向及び補正量)をデータ記憶部132に記憶させる。なお、現状の補正状態の情報は、算出処理部133による算出結果や、補正光学系に対する制御の経過などから取得できる。
一方、補正状態復帰操作部からの操作信号が入力されると、装置制御部131は、データ記憶部132に記憶されている補正状態の情報を読み出し、補正光学系を駆動制御して当該補正状態に変更する。
このような本変形例によれば、ある程度良好な補正状態を記憶させておくことで、それ以降の補正によって収差状態が悪化した場合であっても、記憶させた補正状態に容易に復帰させることができる。
なお、複数の補正状態を記憶可能とするとともに、それらの補正状態を選択的に復帰させるように構成することもできる。
(UnDo機能)
上記の補正状態記憶機能及び補正状態復帰機能と同様に、誤って収差を増強させてしまった場合などに対処するための機能として、UnDo機能(「戻る」機能)を搭載することができる。
そのために、ボタン等により構成される「戻る」操作部をフットスイッチ7や手動操作部110や手術用顕微鏡10の鏡筒11などに設ける。この「戻る」操作部からの操作信号は、装置制御部131に入力される。装置制御部131は、収差の補正状態(非点収差の補正方向及び補正量と、前記色収差補正用光学素子による色収差の補正方向及び補正量とのうちの少なくともいずれか)が変更される度毎に、その変更後の補正状態を時系列順にデータ記憶部132に記憶させる(それにより、収差の補正状態の変更履歴が逐次形成される。)
この時系列順に応じた補正状態の記憶処理は、複数の変更のそれぞれに対応する補正状態の情報を当該変更の順序に関連付けるようにしてなされる。たとえば、補正状態の変更をN回行う場合においては、次のような処理を行う。まず、第1回目の変更(デフォルトの補正状態から第1の補正状態への変更)がなされたら、それにより設定された第1の補正状態の情報を記憶し、第2回目の変更がなされたら、それにより設定された第2の補正状態の情報を記憶し、・・・・、第N回目の変更がなされたら、それにより設定された第Nの補正状態の情報を記憶する。
ここで、「戻る」操作部は本発明の「第4の操作手段」の一例に相当し、装置制御部131は「制御手段」の一例に相当している。また、データ記憶部132は、「所定の記憶手段」の一例に相当する。
「戻る」操作部が操作されると、装置制御部131は、現状の補正状態のひとつ前の補正状態を読み出し、補正光学系を駆動制御して当該補正状態に変更する。その状態で「戻る」操作部が再度操作されると、更にひとつ前の補正状態を読み出して当該補正状態に変更する。同様に、「戻る」操作部が操作される度毎に、ひとつずつ前の補正状態を読み出し、その補正状態に変更する。
たとえば前述の例においては、N回の変更後に「戻る」操作部を1回操作すると、第N−1の補正状態に変更され、2回操作すると、第N−2の補正状態に変更され、・・・、というように過去の補正状態が逐次再現される。
それにより、補正操作を誤った場合であっても、現状よりも良好な過去の補正状態に容易に復帰することが可能となる。
なお、以上のように収差補正の全履歴を記憶する必要はなく、古い履歴から逐次消去するようにしてもよい。たとえば、一つ前の履歴のみを記憶するように構成できる。その場合、「戻る」操作部の操作可能回数は1回のみであり、最後の変更の直前における補正状態に戻ることができるだけである。
(標準補正機能)
標準補正機能は、標準的な補正状態をあらかじめ記憶しておき、要求に応じてその標準的な補正状態を再現する機能である。操作者は、この標準的な補正状態を出発点として補正状態の調整を行う。
この標準的な補正状態の情報は、たとえば、非点収差の標準的な補正方向及び補正量と、色収差の標準的な補正方向及び補正量とを含む情報であり、データ記憶部132等の記憶装置にあらかじめ記憶される。これらの標準的な補正方向や補正量は、コンタクトプリズム60の光学特性(屈折率、分散)等の情報に基づく計算あるいは測定によって事前に取得される。
また、標準補正機能に関する操作系として、フットスイッチ7や手動操作部110にボタン等からなる標準補正操作部を設ける。この標準補正操作部を操作すると、装置制御部131に操作信号が入力される。装置制御部131は、この操作信号を受信すると、データ記憶部132から標準的な補正状態の情報を読み出し、補正光学系を駆動制御して当該標準的な補正状態に設定する。
ここで、標準補正操作部は本発明の「第5の操作手段」の一例に相当し、装置制御部131は「制御手段」の一例に相当している。また、データ記憶部132は、「記憶手段」の一例に相当する。
操作者は、標準補正操作部が操作されたことに対応して自動的に設定された、標準的な補正状態における被手術眼Eの観察状態(収差の状態)を確認する。そして、必要に応じて、まず、観察像の収差状態を視認しつつフットスイッチ7の補正方向変更ボタン7L、7R等を操作して、収差の補正方向を調整して決定する。続いて、同様に観察像の収差状態を視認しつつ補正量変更ボタン7F、7Bを操作して、収差の補正量を調整して決定する。
このような標準補正機能によれば、コンタクトプリズム60に応じて事前に設定された標準的な補正状態が自動的に設定され、それを出発点として収差補正操作を行うことができるので、補正操作に掛かる時間の短縮を図ることができ、また、補正操作の容易化を図ることができる。
なお、異なる光学特性を有する複数のコンタクトプリズムを選択的に使用する場合には、たとえば次のような構成を適用することができる。まず、各コンタクトプリズムに識別情報(たとえば屈折力の値など)を付与する。また、フットスイッチ7や手動操作部110や手術用顕微鏡10の鏡筒11などに、当該識別情報を入力するための操作部を設ける。更に、複数のコンタクトプリズムのそれぞれについて、その光学特性に応じた標準的な補正状態の情報をあらかじめ記憶しておく。各情報は、対応するコンタクトプリズムの識別情報に関連付けられて記憶される。
操作者は、上記操作部を操作して、手術に用いるコンタクトプリズムの識別情報を入力する。装置制御部131は、入力された識別情報に関連付けられた標準的な補正状態の情報をデータ記憶部132から読み出し、補正光学系を駆動制御して当該補正状態に設定する。それにより、使用するコンタクトプリズムに応じた標準的な補正状態が自動設定される。
なお、複数のコンタクトプリズムを選択使用する場合における他の構成例として、各コンタクトプリズム毎に個別の操作部を設けるようにしてもよい。
(コンタクトプリズムの外観に基づく方向設定)
照明光や観察光の光路が通過しないコンタクトプリズムの外観部位にマークを設ける。このマークは、たとえば、コンタクトプリズムの外周や、その上面の端部近傍に設けられる。なお、マークの個数は、一つあるいは複数とすることができる。術者等は、このマークの位置を確認することで、コンタクトプリズムの方向を認識することができる。
本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の光学系の構成の一例を表す図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の光学系の構成の一例を表す図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の光学系の構成の一例を表す図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態にて使用される手術用コンタクトプリズムの構成の一例を表す図である。図4(A)は手術用コンタクトプリズムの斜視図であり、図4(B)は側面図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の左右の観察光軸の輻輳状態を説明するための図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態にて使用される手術用コンタクトプリズムの姿勢の傾きに対応して発生する収差量の変化を示すグラフ図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の左右の観察光軸の手術用コンタクトプリズムに対する入射状態を説明するための図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の測定手段の構成の一例を表す図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の測定手段の構成の一例を表す図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の手動操作系の構成の一例を表す図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態のフットスイッチの構成の一例を表す図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の制御系の構成の一例を表すブロック図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態にて使用される手術用コンタクトプリズムに関する補正値マップの概要を表す図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第1の実施形態の変形例の動作態様の一例を表すフローチャートである。 被手術眼に光ファイバを挿入して眼底を照明する手法の態様を表す概略図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第2の実施形態の制御系の構成の一例を表すブロック図である。 本発明に係る観察装置(手術用顕微鏡装置)の第2の実施形態の動作態様の一例を表すフローチャートである。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の外観構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)において使用されるコンタクトプリズムの構成及び作用を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の使用時に発生する収差の影響を説明するための図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の使用時に発生する収差の影響を説明するための図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の使用時に発生する収差の影響を説明するための図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の使用時に発生する収差の影響を説明するための図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の使用時に発生する収差の影響を説明するための図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系に設けられた非点収差打ち消し用光学素子の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系に設けられた非点収差打ち消し用光学素子の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系に設けられた色収差打ち消し用光学素子の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系に設けられた色収差打ち消し用光学素子の構成を表す図である。 従来の観察装置(手術用顕微鏡装置)の光学系の構成を表す図である。 従来の観察装置(光凝固治療装置)の光学系の構成を表す図である。
符号の説明
7 フットスイッチ
7F 補正量増加ボタン
7B 補正量減少ボタン
7L 補正方向左回転ボタン
7R 補正方向右回転ボタン
7A 自動補正起動ボタン
10 手術用顕微鏡
11 鏡筒
11a 鏡筒の軸
11′ 接眼レンズ鏡筒
12 照明光学系
13a 左観察光学系
O1 左の観察光軸
OL 左眼の軸
13b 右観察光学系
O2 右の観察光軸
OR 右眼の軸
19 対物レンズ
O 対物レンズの光軸
20、30 変倍レンズ系
21、31 ビームスプリッタ
22、32 結像レンズ(系)
26、36 接眼レンズ
53、53L、53R TVカメラ
60 コンタクトプリズム
60A プリズム部
60C 手術用コンタクトレンズ部
60a コンタクトプリズムの軸
D プリズムの方向
α プリズムの角度
θ 頂角
61 非点収差打ち消し用光学素子
61A、61B シリンダーレンズ
62A、62B シリンダーレンズ駆動部
70 色収差打ち消し用光学素子
70A、70B プリズム
72A、72B プリズム駆動部
90 測定器具
91ホルダ部
92昇降機構部
93フォーカスノブ
94 懸垂アーム
95 昇降アーム
95a 摺動部
95b 水平アーム
96 テーブル
96a 固定枠
97 模擬角膜
98 模擬眼
98a ターゲット
99 照明光源
100 テンプレート
100A〜100C 切欠部
110 手動操作部
111 プリズムサイズ設定部
112 プリズム角設定部
113 測定値記憶操作部
114 非点収差補正量設定部
115 色収差補正量設定部
116 補正方向設定部
117 相対角度微調整部
118 自動補正起動操作部
119 表示部
120 ズーム操作部
130 演算制御部
131 装置制御部
132 データ記憶部
132A 収差発生方向対応情報
132B 補正値マップ
132C 観察光学系情報
133 算出処理部
134、231 プリズム特性値算出部
135 補正値マップ作成部
136、235 補正方向算出部
137、236 補正量算出部
138 変倍補正量算出部
232 画像抽出部
233 収差検出部
234 収差判断部
140 モニタ装置

Claims (26)

  1. 観察対象物に対峙される対物レンズから左右の接眼レンズに至るまでの間の左右それぞれの観察光路に、光束を結像させる結像レンズを有し、観察部位を変更するプリズム部材を前記観察対象物と前記対物レンズとの間に配置して観察を行う観察装置であって、
    前記左右それぞれの観察光路に、前記プリズム部材を配置させたときに前記観察対象物の観察像に発生する非点収差を補正するための非点収差補正用光学素子と、前記プリズム部材を配置させたときに前記観察像に発生する色収差を補正するための色収差補正用光学素子とを設け、
    前記プリズム部材の光学情報を取得するための測定を行う測定手段と、
    操作手段と、
    前記操作手段が操作されたことに対応し、前記取得された前記プリズム部材の光学情報に基づいて、前記非点収差の補正方向及び補正量と前記色収差の補正方向及び補正量とを算出する算出手段と、
    前記算出された前記非点収差の補正方向及び補正量に基づいて前記非点収差補正用光学素子を制御し、前記色収差の補正方向及び補正量に基づいて前記色収差補正用光学素子を制御する制御手段と、
    を備えていることを特徴とする観察装置。
  2. 前記測定手段は、
    前記プリズム部材の厚さを前記光学情報として測定するプリズム厚測定手段と、
    前記プリズム部材のプリズム角を前記光学情報として測定するプリズム角測定手段と、
    前記プリズム部材により発生される非点収差及び/又は色収差の発生方向と、前記非点収差及び色収差のそれぞれの発生量とを前記光学情報として測定するための収差測定手段と、
    を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
  3. 前記算出手段は、
    前記プリズム厚測定手段を用いて測定された前記プリズム部材の厚さと、前記プリズム角測定手段を用いて測定された前記プリズム角と、前記収差測定手段を用いて測定された前記発生方向及び前記発生量と、あらかじめ取得された前記左右の観察光路を形成する観察光学系の光学情報とに基づいて、前記プリズム部材の屈折率を算出するとともに、前記プリズム部材の厚さと、前記プリズム角と、前記発生方向及び前記発生量と、前記観察光学系の光学情報と、前記算出された前記屈折率とに基づいて、前記プリズム部材の分散を算出するプリズム特性値算出手段を含み、
    前記算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散に基づいて、前記非点収差の補正量と前記色収差の補正量とを算出する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の観察装置。
  4. 前記算出手段は、
    前記測定された前記プリズム部材の厚さ及び前記プリズム角と、前記観察光学系の光学情報と、前記プリズム特性値算出手段により算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散とに基づいて、前記プリズム部材の向きと前記対物レンズの光軸に対する前記プリズム部材の軸の傾斜角度との双方に対応する、前記非点収差及び前記色収差のそれぞれの補正量の情報を含む補正量情報を作成する補正量情報作成手段を更に含み、
    前記作成された補正量情報に基づいて、前記非点収差の補正量と前記色収差の補正量とを算出する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の観察装置。
  5. 前記補正量情報作成手段は、それぞれ所定のステップ毎に定義された前記方向と前記傾斜角度とに対応する前記非点収差及び前記色収差のそれぞれの補正量を算出して前記補正量情報を作成し、
    前記算出手段は、前記作成された補正量情報を参照し、前記定義された前記方向及び/又は前記傾斜角度の前記ステップの間の値に対応する前記非点収差及び前記色収差の補正量を算出する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の観察装置。
  6. 前記非点収差補正用光学素子による非点収差の補正方向及び補正量と、前記色収差補正用光学素子による色収差の補正方向及び補正量とを、それぞれ手動操作にて調整するための手動調整手段を更に備え、
    前記収差測定手段は、前記対物レンズの下方位置にて前記プリズム部材を支持するプリズム部材支持部と、前記支持された前記プリズム部材の下方位置に配置され、眼底に相当する位置にターゲットを有する模擬眼と、前記模擬眼の下方位置に配置され、前記ターゲットを照明して前記ターゲットを観察可能にする照明光源とを含み、
    前記支持された前記プリズム部材により前記ターゲットの観察像に発生された非点収差と色収差とを前記手動操作にて調整したときの非点収差及び/又は色収差の補正方向を前記発生方向として入力するための発生方向入力操作手段と、前記手動操作にて調整したときの非点収差及び色収差のそれぞれの補正量を前記発生量として入力するための発生量入力操作手段とを更に備え、
    前記算出手段は、前記入力された前記発生方向及び前記発生量とに基づいて、前記非点収差の補正量と前記色収差の補正量とを算出する、
    ことを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の観察装置。
  7. 前記収差測定手段は、前記対物レンズの下方位置にて前記プリズム部材を支持するプリズム部材支持部と、前記支持された前記プリズム部材の下方位置に配置され、眼底に相当する位置にターゲットを有する模擬眼と、前記模擬眼の下方位置に配置され、前記ターゲットを照明して前記ターゲットを観察可能にする照明光源と、前記左右の観察光路の少なくとも一方を分岐させる光路分岐手段と、前記分岐された光路を経由した光束を受光して前記ターゲットの画像を撮影する撮像手段と、前記撮影された前記ターゲットの画像を解析して、前記支持された前記プリズム部材によって前記ターゲットの画像に発生された非点収差及び/又は色収差の発生方向と非点収差及び色収差の発生量とを検出する検出手段とを含み、
    前記算出手段は、前記検出された前記発生方向及び前記発生量に基づいて、前記非点収差の補正量と前記色収差の補正量とを算出する、
    ことを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか一項に記載の観察装置。
  8. 前記測定手段は、前記プリズム部材により前記観察対象物の観察像に発生される非点収差及び/又は色収差の発生方向と、前記非点収差及び色収差のそれぞれの発生量とを前記光学情報として測定し、
    前記算出手段は、
    あらかじめ取得された前記プリズム部材の厚さ及びプリズム角と、あらかじめ取得された前記左右の観察光路を形成する観察光学系の光学情報と、前記測定手段により測定された前記発生方向及び前記発生量とに基づいて、前記プリズム部材の屈折率を算出するとともに、前記プリズム部材の厚さ及びプリズム角と、前記発生方向及び前記発生量と、前記観察光学系の光学情報と、前記算出された前記屈折率とに基づいて、前記プリズム部材の分散を算出するプリズム特性値算出手段を含み、
    前記算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散に基づいて、前記非点収差の補正方向及び補正量と前記色収差の補正方向及び補正量とを算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の観察装置。
  9. 前記測定手段は、前記プリズム部材が前記配置された前記観察対象物にターゲットを形成するターゲット形成手段と、前記左右の観察光路の少なくとも一方を分岐させる光路分岐手段と、前記分岐された光路を経由した光束を受光して前記ターゲットを含む前記観察対象物の画像を撮影する撮像手段と、前記撮影された前記画像を解析して、前記ターゲットの画像を抽出する画像抽出手段と、前記抽出された前記ターゲットの画像を解析して、前記プリズム部材により発生された色収差の発生方向及び発生量を検出する収差検出手段とを含み、
    前記算出手段は、前記プリズム特性値算出手段により算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散とともに、前記収差検出手段により検出された前記発生方向及び前記発生量に基づいて、前記非点収差の補正方向及び補正量と前記色収差の補正方向及び補正量とを算出する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の観察装置。
  10. 前記色収差補正用光学素子を制御して、前記観察対象物の画像における色収差の発生量を、前記収差検出手段により検出された前記発生量よりも増大させる収差制御手段と、
    前記収差検出手段によりそれぞれ検出された、前記収差制御手段により色収差が増大される前の前記ターゲットの画像における色収差の発生量と、前記増大された後の前記観察対象物の画像から前記画像抽出手段により抽出された前記ターゲットの画像における色収差の発生量との差が、所定のしきい値よりも大きいか否かを判断する判断手段と、
    を更に備え、
    前記算出手段は、前記差が前記所定のしきい値よりも大きいと前記判断されたときに、前記プリズム特性値算出手段により算出された前記プリズム部材の屈折率及び分散とともに、前記増大された色収差の発生方向及び/又は発生量を粗調整して得られる色収差の発生方向及び発生量の前記収差検出手段による検出結果に基づいて、前記非点収差の補正方向及び補正量と前記色収差の補正方向及び補正量とを算出する、
    ことを特徴とする請求項9に記載の観察装置。
  11. 前記収差制御手段は、前記判断手段により前記差が前記所定のしきい値以下であると判断されたときに、前記色収差補正用光学素子を制御して、前記観察対象物の画像における色収差の発生量を、前記増大される前の発生量に変更することを特徴とする請求項10に記載の観察装置。
  12. 前記収差検出手段は、前記画像抽出手段により抽出された前記ターゲットの画像をR成分、G成分及びB成分の画像に分解し、前記R成分、G成分及びB成分の画像のそれぞれの重心を算出し、この算出された前記R成分、G成分及びB成分の画像の重心の変位方向と変位量とに基づいて、前記プリズム部材により発生された色収差の発生方向及び発生量を求めることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか一項に記載の観察装置。
  13. 前記操作手段は、前記観察対象物の観察像に発生する非点収差の補正方向と色収差の補正方向とを変更するための補正方向操作手段を含み、
    前記制御手段は、前記補正方向操作手段が操作されたことに対応して、前記非点収差補正用光学素子による非点収差の補正方向と前記色収差補正用光学素子による色収差の補正方向とを一括制御する、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の観察装置。
  14. 前記プリズム部材の向きに応じた非点収差の発生方向と色収差の発生方向とを対応付ける収差発生方向対応情報をあらかじめ記憶した発生方向記憶手段を更に備え、
    前記算出手段は、前記補正方向操作手段により変更される前記補正方向と、前記記憶された前記収差発生方向対応情報とに基づいて、前記非点収差の補正方向と前記色収差の補正方向とを算出する、
    ことを特徴とする請求項13に記載の観察装置。
  15. 前記非点収差補正用光学素子は、それぞれ独立に回転駆動される2枚のシリンダーレンズを含んで構成されるバリアブルクロスシリンダーレンズであり、
    前記制御手段は、前記2枚のシリンダーレンズのそれぞれを同方向に同角度だけ回転させて非点収差の補正方向を変更させる、
    ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の観察装置。
  16. 前記色収差補正用光学素子は、それぞれ独立に回転駆動される2枚のプリズムを含んで構成され、
    前記制御手段は、前記2枚のプリズムのそれぞれを同方向に同角度だけ回転させて色収差の補正方向を変更させる、
    ことを特徴とする請求項13ないし請求項15のいずれか一項に記載の観察装置。
  17. 前記操作手段は、前記観察対象物の観察像に発生する非点収差の補正量と色収差の補正量とを変更するための補正量操作手段を含み、
    前記制御手段は、前記補正量操作手段が操作されたことに対応して、前記非点収差補正用光学素子による非点収差の補正量と前記色収差補正用光学素子による色収差の補正量とを一括制御する、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか一項に記載の観察装置。
  18. 前記非点収差補正用光学素子は、それぞれ独立に回転駆動される2枚のシリンダーレンズを含んで構成されるバリアブルクロスシリンダーレンズであり、
    前記制御手段は、前記2枚のシリンダーレンズを互いに逆方向に同角度だけ回転させて非点収差の補正量を変更させる、
    ことを特徴とする請求項17に記載の観察装置。
  19. 前記色収差補正用光学素子は、それぞれ独立に回転駆動される2枚のプリズムを含んで構成され、
    前記制御手段は、前記2枚のプリズムを互いに逆方向に同角度だけ回転させて色収差の補正量を変更させる、
    ことを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の観察装置。
  20. 装置の動作を足で操作するためのフットスイッチを備え、
    前記操作手段は前記フットスイッチに設けられている、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項19のいずれか一項に記載の観察装置。
  21. 前記左右それぞれの観察光路に観察倍率を変化させる変倍レンズ系を有し、
    前記結像レンズは、前記変倍レンズ系を経由した光束を結像させ、
    前記非点収差補正用光学素子は、前記対物レンズから前記結像レンズに至るまでの間の観察光路上に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項20のいずれか一項に記載の観察装置。
  22. 前記左右それぞれの観察光路に観察倍率を変化させる変倍レンズ系を有し、
    前記結像レンズは、前記変倍レンズ系を経由した光束を結像させ、
    前記色収差補正用光学素子は、前記対物レンズから前記結像レンズに至るまでの間の観察光路上に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項21のいずれか一項に記載の観察装置。
  23. 第1の操作手段と、
    前記第1の操作手段が操作されたことに対応し、前記非点収差補正用光学素子を制御して前記観察像に発生する非点収差の補正量をゼロにし、前記色収差補正用光学素子を制御して前記観察像に発生する色収差の補正量をゼロにする補正リセット手段と、
    を更に備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項22のいずれか一項に記載の観察装置。
  24. 第2の操作手段及び第3の操作手段を更に備え、
    前記制御手段は、
    前記第2の操作手段が操作されたことに対応し、前記非点収差補正用光学素子による非点収差の現在の補正方向及び補正量の情報と、前記色収差補正用光学素子による色収差の現在の補正方向及び補正量の情報とを所定の記憶手段に記憶させるとともに、
    前記第3の操作手段が操作されたことに対応し、前記所定の記憶手段に記憶された前記補正方向及び補正量の情報を読み出し、前記非点収差補正用光学素子を制御して非点収差の補正方向及び補正量を前記読み出された前記補正方向及び補正量に変更し、前記色収差補正用光学素子を制御して色収差の補正方向及び補正量を前記読み出された前記補正方向及び補正量に変更する、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項22のいずれか一項に記載の観察装置。
  25. 第4の操作手段を更に備え、
    前記制御手段は、
    前記非点収差補正用光学素子による非点収差の補正方向及び補正量と、前記色収差補正用光学素子による色収差の補正方向及び補正量とのうちの少なくともいずれかが変更される度毎に、その変更された後の前記補正方向及び補正量の情報を所定の記憶手段に記憶させるとともに、
    前記第4の操作手段が操作されたことに対応し、前記所定の記憶手段に記憶された最後の前記変更の直前における前記補正方向及び補正量の情報を読み出し、前記非点収差補正用光学素子を制御して非点収差の補正方向及び補正量を前記読み出された前記補正方向及び補正量に変更し、前記色収差補正用光学素子を制御して色収差の補正方向及び補正量を前記読み出された前記補正方向及び補正量に変更する、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項22のいずれか一項に記載の観察装置。
  26. 前記プリズム部材の光学特性に基づいて得られた非点収差の標準的な補正方向及び補正量と色収差の標準的な補正方向及び補正量とをあらかじめ記憶する記憶手段と、
    第5の操作手段と、
    を更に備え、
    前記制御手段は、前記第5の操作手段が操作されたことに対応し、前記記憶手段に記憶された前記標準的な補正方向及び補正量を読み出し、前記非点収差補正用光学素子を制御して非点収差の補正方向及び補正量を前記標準的な補正方向及び補正量に変更し、前記色収差補正用光学素子を制御して色収差の補正方向及び補正量を前記標準的な補正方向及び補正量に変更する、
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項22のいずれか一項に記載の観察装置。
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