JP2006329199A - 閉じ込めケーシング - Google Patents

Abstract

【課題】航空機用エンジンに関して利用される閉じ込めケーシング及びそのケーシングの製造方法に関する。
【解決手段】それぞれの層２、３の各々内の管の間の隙間間隔の重なり合いを最小にし得るよう管状の複合材層２、３が互いに角度を成して食い違い状態に配置される、閉じ込めケーシング１が提供される。かかる状況において、一側部又は両側部に連続的な平面状リング４、５が存在する状態にて、先行技術の装置と比較して軽量な閉じ込めケーシング１を備えるが、破片の侵入に対する抵抗性を維持する、作動上の完全さが維持される。
【選択図】 図１

Description

本発明は、閉じ込めケーシング、より具体的には、航空機用エンジンに関して利用される閉じ込めケーシング及びそのケーシングの製造方法に関する。

金属製及び非金属製の管状構造体は、自動車、航空機、列車システム（すなわち蒸気機関車及び客車の構造本体）及び核容器用として何年もの間、使用されている。単一の管及び密に充填した管状構造体の機械的振舞いに関する多くの学術出版物がある。これらの管は、極めて大きい荷重支承能力、潰れ能力及びエネルギ吸収能力を有している。エネルギ吸収方法は、軸方向の管状座屈（すなわち、蛇腹状坐屈）又は横方向管状潰れの何れかによる。これらは、大きい衝撃荷重レベルに耐えることができる。管状システムの衝撃抵抗効率及びエネルギ吸収効率は、セル壁の中実な材料の性質、断面形状、直径／厚さの比、荷重方向、充填方法、及びこれらの内部が空か又は充填されているかどうかに依存する。これらは、一体構造金属、金属又は非金属複合材又はその双方にて出来たものとすることができる。複合材料、セル状及び構造用材料は、低密度及び大きい機械的強度及び機械的剛性を有することが知られている。特定の機械的性質（すなわち、単位質量又は密度当たりの強度）が大きいため、これらは、軽量な構造体及び構成要素に対して理想的な材料である。重合体系複合材（すなわち、ファイバガラス、炭素ファイバ及び重合体系マトリックス内のケブラー（Ｋｅｖｌａｒ））は耐食性もある。

異なる状況に対する閉じ込めケーシングは、異なる目的を有することが理解されよう。しかし、全体として、閉じ込めの必要性のため、これらのケーシングは、飛散する破片材料が解放されるのを防止し得るよう大きい貫入抵抗性を提供することが重要である。このため、航空機用エンジンのケーシングに関して、回転するブレードが破損することがあり、このため、閉じ込めケーシングは、これらの破片がケーシングに貫入し、これにより、高速度の破片が付近の人間又は関係した航空機の機体の胴体又は翼を損傷させる可能性を防止しなければならないことが理解されよう。かかる状況にて、破片の貫入に十分抵抗し得るようにするため、一体構造の板状構造体を利用する傾向がある。残念なことに、積層体又は単一層の材料にて形成されたかどうかを問わず、平面状の構造体は、全体として、中実であり、このため、望ましいよりも大きい重量を有する可能性がある。

本発明に従って、回転組立体用の閉じ込めケーシングであって、複数の管状部材を有する第一の管状複合材層と、複数の管状部材を有する第二の管状複合材層とを備え、第一の管状複合材層及び第二の管状複合材層は、互いに角度を成して食い違い状に配置され、他方の複合材層に対するそれぞれの各複合材層内にて管状部材間の隙間が重なり合うのを制限するようにした、上記の閉じ込めケーシングが提供される。

回転組立体は、航空機用エンジンの一部とすることができる。
好ましくは、連続的な平面状リングがケーシングの一側部に固定されるものとする。更に、第一の管状複合材層及び第二の管状複合材層がその間に狭持された状態にて連続的な平面状リングがケーシングの一側部に固定される。

通常、管状部材は中空である。これと代替的に、管状部材は充填されて、管状複合材層の全体又はその選択的な一部の機械的性質を変化させるようにする。典型的に、管状部材を充填することにより変更する機械的性質は、複合材層の音響的減衰、又は制振又は機械的剛性である。

また、本発明に従って、回転組立体用の閉じ込めケーシングの製造方法であって、
ａ）管状部材の第一の複合材の管状層と、管状部材の第二の複合材の管状層とを形成し、両者の間に角度を成す食い違い状態が存在する状態にて第一の管状複合材の管状層を第二の管状複合材の管状層と関係付けるステップと、
ｂ）第一の複合材層及び第二の複合材層を固定し、両者の間に角度を成す食い違い状態が存在して、他方の複合材層に対するそれぞれの各複合材層内にて管状部材間の隙間が重なり合うのを制限するステップと、備える製造方法が提供される。

典型的に、該方法は、連続的な平面状リングをケーシングの一側部に関係付けて固定するステップを含む。典型的に、連続的な平面状リングは、ケーシングの両側部に固定される。

全体として、ケーシングは円筒状である。

次に、添付図面を参照して、単に一例としてのみ本発明の実施の形態について説明する。
表示したような先行技術の平面状の積層複合材構造体は、航空機用タービン及びブレード用の閉じ込めケーシングとして作用するのに十分に堅固な構成要素構造体を形成することができる。しかし、効率を向上させ得るよう航空機内の構成要素の重量を軽減することが常に望まれる。かかる状況において、本発明は、必要であれば、閉じ込めケーシングを提供し得るようサンドイッチ状にて連続的な平面状リング又は層と管状の複合材層とを組み合わせるステップを備えている。

管状の複合材層は、全体として心合せ状にて互いに隣接して固定された管状部材から形成される。少なくとも１つの更なる管状の複合材層は、角度を成す食い違い状態にて第一の管状の複合材層と関係付けられ、管状の複合材層の各々にて管の間の隙間の重なり合いを最小にする。通常、連続的な平面状層は、管状の複合材層の一側部に固定されケーシングを形成する。

添付図面の図１及び図２を参照すると、本発明に従った閉じ込めケーシングが示されている。第一の管状の複合材層２は、エンジンの軸線に対して平行に長手方向に配置された多数の管状部材を備え、また、第二の管状の複合材層３は、リングを形成し得るよう周方向に配置された多数の管状部材を備えている。薄い平面状層４、５は、管状の複合材層２、３の一側部に提供される。管状の複合材層２、３間の角度を成す食い違い状態は、管状の複合材層２、３の管の間の隙間６、７が最小程度の重なり合いを有する、堅固な閉じ込めケーシングを提供する。これらの重なり合う隙間における破片の侵入に対する抵抗性は小さいことが理解されよう。

図示するように、角度を成す食い違い状態は、全体として垂直である、すなわち、それぞれの管状の複合材層２、３内にて管の向きが９０゜角度を成して変化する。しかし、特に、それぞれの複合材層２、３内にて管の間の隙間の積み重ねた重なり合いを更に最小にし得るよう、幾つかのより多くのレベルの複合材閉じ込め層が提供されるならば、必要とされるとき、複合材層２、３内にて管のその他の角度を成す向きを提供することができることが理解されよう。

平面状の連続的なリング４、５は、閉じ込めケーシングに対し空気力学的抵抗性及び耐食性を提供する作用を果たすが、これらの平面状の連続層４、５は、相対的に薄く、また、通常、高速度にて回転するブレード又はその他の部材の破損部分の貫入に抵抗するのにケーシングが必要とする破片の閉じ込め機能を提供するのに十分ではない。勿論、中実の平面状層は相対的に重く、このため、航空機用構成要素に対する重量を減少させるようそれらの厚さは最小にしなければならない。

図１及び図２から理解し得るように、管状の閉じ込め層２、３は、重合体系、セラミック又は金属系とすることができる個別の押出し成形管又は一体構造の管にて形成することができる。これと代替的に、これら管は、既知の技術に従ってファイバを巻いて管を形成するようにしてもよい。しかし、管状の複合材層２、３内の全ての管は、全体として互いに心合せさせられる。

それぞれの管状の複合材層２、３を形成する単一列の管に加えて、同様に個別の各複合材層２、３を形成し得るよう心合せされた多数の列のより小さい管を提供することも可能である。図３には幾つかの実施例が示されている。

図３ａには、深さ１０にて画成された管状の複合材層を形成し得るよう食い違い列状に配置された微細な円筒状の織地管の束が示されている。全て円筒状であるが、所望の構造的性能を実現し得るようフィラメントから織った構造体として形成するとき、管に対する巻き付け角度が相違する、直径寸法の異なる円筒状管を使用することが可能であることが理解されよう。

図３ｂには、管状の複合材層を提供し得るよう矩形の管の組み合わせが示されている。これらの矩形の管は、層を形成するとき、個別の管の間にある隙間間隔が小さい、より緊密で、従ってより強力な関係状態を提供し、破片の貫入に対するより大きい抵抗性が実現されるようにすることが理解されよう。

図３ｃには、本発明に従って管状の複合材層を形成するため利用される六角形の管が同様に示されており、また、同様に、六角形管の平坦な側部を通じて、管と管の接触がより大きく、従って組立体の強度が実現される。

上述したように、微細なファイバから形成された全体として織地管を、本発明に従って使用することができる。巻き角度及び管の深さを調節し、より大きい強度であるが、中空の中心を有し、これにより同等の性能の中実な壁を有する閉じ込めケーシングと比較して、閉じ込めケーシングの重量を軽減する極めて堅固な管構造体を形成することが可能であることが理解される。しかし、これらの中空管は、発泡材又はその他の材料にて充填し、それらの機械的性質を調節し又は必要とされるように音響学的減衰効果又は制振効果を提供することができる。また、局部的な必要性に適合し得るように、局部的な機械的性能を変更することもできることも理解されよう。例えば、かかる破片により損傷を受ける可能性のある人間の通常の予想される位置又はかかる破片により損傷される可能性のある敏感な制御装置又は作動可能な造作部の位置の結果として、閉じ込めケーシングの特定の部分における破片の貫入に対する抵抗性を増すことが要求されることがある。かかる状況において、ケーシングの重量は、ケーシングの他の部分に対しより大きい保護効果を有するが、ケーシングの必要な部分のみの重量が大きいように最適化され、軽量な閉じ込めケーシングを実現する。

本発明に従い、管状の複合材層は、重合体系の金属系複合材、又はセラミックの何れか又はその双方にて出来た中空又は充填した複合材管にて製造される。これらの管部材は、断面形状、向き、肉厚、直径、セル長さが相違し且つ、厚さも相違する。管は、一体構造の多層管とし、又はその双方が同一の複合材層であるものとすることができる。管は、任意の選んだ向きにてファイバを織った管とし、特定の封じ込めケーシングに要求される重量に対して最良の性能を実現し得るようにすることもできる。更に、説明したように、管は、重合体系材料、金属、発泡材又はその双方又は液体にて充填し機械的性能又は制振効果のようなその他のファクタを変化させることができる。全体として、管は、衝撃荷重状態下にて横方向に装荷されるよう位置決めし且つ配置される。管状の複合材層は、全体として、マトリックス内に固定され且つ、互いにファイバにて縫合される。管が金属で形成されるならば、これらの管は、同様の要領にて溶接し又はこの軸受に対して封入し、それらの位置を保持することができる。

閉じ込めケーシングの目的は、より大きいエンジン効率を実現し得るよう高強度で且つ高衝撃抵抗性のある軽量な複合材を設計することである。
管の中空の性質を利用することにより、軽量な構造を実現しつつ、高強度及び衝撃抵抗性のこれらのものが容易に実現可能である。更に、閉じ込めケーシングの機械的性質及びその他の性質を調節するため必要とされるようにこれらの管内の内部充填物及び幾何学的形態の変化を組み合わせ、また、異なる材料を使用することにより、先行技術の装置と比較して、エンジンに対する特定の必要性に合うよう一層良く調節された閉じ込めケーシングが実現可能である。

航空機用エンジンに関して、典型的に、ケーシングは、実質的に円筒状であり、このため、閉じ込めケーシング内にて可撓性及び剛度を提供することにより高速度のため分離するブレードからの破片を吸収することができる。上述したように、管は、発泡材、又はエラストマー材料又は中実な内部充填物にて充填し、この吸収を実現し且つ、音響学的減衰及び制振作用と共に、剛性の変化を実現することができる。

特に、管状複合材層２、３が連続的な平面状の層４、５の間に狭持されるとき、これらの連続的なリング層４、５の異なる熱膨張を利用して、管状複合材層２、３をその間に狭持し、閉じ込めケーシング１に対する振動及び（又は）音響学的必要性に依存する変更と共に、機械的性質、破片の貫入抵抗性及び変形の更なる変化を実現することができることが理解されよう。更に、管状複合材層２、３を内側の連続的なリング層４とその外側の連続的なリング層５との間に利用して、その間に過剰な応力を形成せずに、内側の連続的な層４と外側の連続的なリング５とが経験する可能性のある大きい温度差に対応することができる。これらの状況において、管状の複合材層２、３は、これらの層４、５が経験するかかる温度の変化に対応し得るよう変形することで膨張及び収縮を実質的に許容することが理解されよう。

本発明の実施の形態の形態変更例及び変形例は、当該技術分野の当業者に理解されよう。このため、例えば、管状の多層閉じ込めケーシングは、２つ以上の管状層により形成することができる。層を形成するために使用される材料は、機能上の必要性に依存して、重合体系ファイバ及びマトリックス、一体構造の金属、金属ファイバ及びマトリックス、セラミック又はこれらの組み合わせを含む。構成要素の外板は、金属、耐食性材料、重合体系又は積層表面の外板とすることができる。

かかる閉じ込めケーシングは、勿論、回転組立体が該組立体の回りに保護ケーシングを必要とする、航空機用エンジン以外の適用例にて使用することができる。かかる組立体は、はずみ車、翼車、電気モータ及び発電装置内のアーマチャ又はその他の回転体を含む。

製造の点にて、典型的に、この方法は、次のものを１つ又はより多く含む、すなわち、射出成形技術、織合わせ／縫合、横方向ブレードの回りへのファイバの巻き付け、重合体系材料、金属又セラミックマトリックス中に埋め込まれた管状システム又はフェルールを使用して、管を配置し且つ、追加的な横方向強度及び剛性を提供することを含む。実質的に、作動の必要性に対する荷重下にて十分な構造強度及び輪郭外形を維持しつつ、適宜な技術により所望の形状品を形成することが要求される。

上記の説明にて、特に重要であると考えられる本発明のこれらの特徴が注目されるよう努めたが、特別に重点的に説明したかどうかを問わずに、当該出願人は、上述した特徴及び（又は）図面に示した特徴の特許可能な特徴又は組み合わせの任意のものに対して保護を請求するものである。

４分の１部分を除去した、閉じ込めケーシングの概略図的な正面斜視図である。 図１に示した閉じ込めケーシング構造体のより詳細な概略図である。 管状の複合材層を提供し得るよう本発明に従って利用される管状部材の概略図である。

符号の説明

１ 閉じ込めケーシング
２、３ 管状の複合材層、管状の閉じ込め層
４、５ 薄い平面状層、平面状の連続的なリング（層）
６、７ 隙間
１０ 深さ

Claims (14)

1. 回転組立体用の閉じ込めケーシングにおいて、複数の管状部材を有する第一の管状の複合材層と、複数の管状部材を有する第二の管状の複合材層とを備え、第一の管状の複合材層及び第二の管状の複合材層は、他方の複合材層に対するそれぞれの各複合材層内にて管状部材間の隙間の重なり合いを制限し得るよう互いに角度を成して食い違い状に配置される、閉じ込めケーシング。
2. 請求項１に記載の閉じ込めケーシングにおいて、回転組立体は、航空機用エンジンの一部である、閉じ込めケーシング。
3. 請求項１に記載のケーシングにおいて、連続的な平面状リングが、ケーシングの一側部に固定される、ケーシング。
4. 請求項３に記載のケーシングにおいて、第一の管状の複合材層及び第二の管状の複合材層がその間に狭持された状態にて連続的な平面状リングがケーシングの一側部に固定される、ケーシング。
5. 請求項１に記載のケーシングにおいて、管状部材は中空である、ケーシング。
6. 請求項１に記載のケーシングにおいて、管状の複合材層全体の又はその一部分の少なくとも１つの機械的性質を変化させ得るよう管状部材が充填される、ケーシング。
7. 請求項６に記載のケーシングにおいて、管状部材を充填することにより変化させた該機械的性質又は各機械的性質は、複合材層の音響学的減衰、制振、機械的剛性から成る群から選ばれる、ケーシング。
8. 請求項１に記載のケーシングにおいて、ケーシングは円筒状である、ケーシング。
9. 請求項１に記載のケーシングにおいて、第一の複合材層と第二の複合材層との間の角度を成す食い違い状態は垂直である、ケーシング。
10. 回転組立体用の閉じ込めケーシングを形成する方法において、
    ａ）管状部材の第一の複合材の管状層と、管状部材の第二の複合材の管状層とを形成し、その間に角度を成す食い違い状態が存在する状態にて第一の複合材の管状層を第二の複合材の管状層と関係付けるステップと、
    ｂ）他方の複合材に対する各それぞれの複合材層内にて管状部材の間の隙間の重なり合いを制限し得るようその間に角度を成す食い違い状態が存在するように第一の複合材層及び第二の複合材層を固定するステップとを備える、回転組立体用の閉じ込めケーシングを形成する方法。
11. 請求項１０に記載の方法において、連続的な平面状リングをケーシングの片側部に関係付けて固定するステップを含む、方法。
12. 請求項１１に記載の方法において、連続的な平面状リングがケーシングの両側部に固定される、方法。
13. 請求項１に記載の閉じ込めケーシングを有する航空機用エンジン。
14. 請求項１０に記載の方法に従って製造された閉じ込めケーシングを有する航空機用エンジン。

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