JP2006327401A - シートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量の増大を極力抑制しつつ、カバーの振動をできるだけ抑制することのできるモータ駆動のシートベルトリトラクタを提供する。
【解決手段】動力伝達歯車機構8のカバー9の薄肉平板部9aに所定数のリブ11が設けられている。これらのリブ11はシートベルトリトラクタ1の上下(鉛直)方向に互いに平行に延設されている。これらのリブ11によりカバー9の剛性が高められているので、モータ7が駆動して動力伝達機構8が作動したときにそれぞれ振動が発生しても、これらの振動を拾ってカバー9が振動するのを効果的に抑制することができる。これにより、カバー9の振動による騒音の発生も効果的に抑制することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車等の車両に装備され、乗員を拘束保護するためのシートベルトを、モータの駆動トルクを動力伝達機構によりスプールに伝達することで巻取るシートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置の技術分野に関するものである。
自動車等の車両に装備されているシートベルト装置は、衝突時等の車両に大きな減速度が作用した場合のような緊急時にシートベルトで乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出しを阻止して、乗員を保護している。このシートベルト装置は、シートベルトを巻き取るスプールを常時ベルト巻き取り方向に付勢するとともに、前述の緊急時に緊急ロック機構(ELR機構)が作動してスプールの引出方向の回転をロックすることでシートベルトの引き出しを阻止するシートベルトリトラクタを備えている。
このようなシートベルトリトラクタとして、従来、モータの駆動トルクによりスプールを回転することによりシートベルトを巻取りおよび引出しを行うモータリトラクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなモータリトラクタによれば、モータによるシートベルトの巻取りでシートベルトの張力を制御することができるようになるので、シートベルトの装着モードを種々設定することができ、シートベルトによる乗員の拘束を車輌走行状況等に応じてよりきめ細かくかつより適切に行うことができる。
この特許文献1に開示のモータリトラクタでは、モータの駆動トルクをスプールに伝達する動力伝達機構として、所定数の歯車を有する動力伝達歯車機構を採用している。またこの動力伝達歯車機構をカバーで覆うことにより、動力伝達歯車機構に外部から異物が接触したり、互いに噛合する歯車間に侵入したりすることを防止するとともに、動力伝達歯車機構が作動したときに発生する作動音が外部に漏れるのを抑制している。
ところで、特許文献1に開示のモータリトラクタは、モータ駆動ではない従来一般的なシートベルトリトラクタが有する、シートベルトの非装着時にシートベルトを巻き取るためのスプリング手段を備えていないが、このようなスプリング手段を備えたモータリトラクタも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この特許文献2に開示のモータリトラクタでも、モータの駆動トルクをスプールに伝達する動力伝達機構として、所定数の歯車を有する動力伝達歯車機構を採用しているとともに、特許文献と同様の目的のために動力伝達歯車機構を覆うカバーを設けている。
特開2005−35485号公報。 特開2005−53422号公報。
しかしながら、特許文献2に開示の従来のモータリトラクタでは、図3に示すように動力伝達歯車機構を覆うカバーaが薄肉の平板状材料で形成されているとともに、比較的薄し薄肉平板部bが存在している。このため、カバーで動力伝達歯車機構を覆うことで、動力伝達歯車機構で発生した作動音の外部への漏出をある程度抑制するものの、モータの駆動により発生する振動や動力伝達歯車機構の歯車の回転により発生する振動等のモータリトラクタの作動で発生する振動を拾うことにより、カバー自体が振動してしまい、カバーの振動による騒音が発生してしまうおそれが考えられる。
そこで、カバーを比較的厚肉の平板状材料で形成することが考えられるが、単純にカバーを厚肉材で形成すると、カバーにおける必要材料の質量が著しく増大するという問題がある。
このような問題は、特許文献1に開示のモータリトラクタの動力伝達歯車機構のカバーを始め、他の従来のモータリトラクタの動力伝達歯車機構のカバーにも潜在している。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、必要材料の質量の増大を極力抑制しつつ、カバーの振動をできるだけ抑制することのできるモータ駆動のシートベルトリトラクタおよびこれを用いたシートベルト装置を提供することである。
前述の課題を解決するために、請求項1の発明のシートベルトリトラクタは、シートベルトを巻取るスプールと、このスプールを回転させる駆動トルクを発生するモータと、このモータの駆動トルクを前記スプールに伝達する動力伝達機構と、この動力伝達機構を覆うカバーとを少なくとも備えているシートベルトリトラクタにおいて、前記カバーに、前記モータの駆動および前記動力伝達機構の作動の振動で発生する前記カバーの振動を抑制する振動抑制手段を設けたことを特徴としている。
また、請求項2の発明のシートベルトリトラクタは、前記振動抑制手段が、前記カバーの剛性を増大する剛性増大手段であることを特徴としている。
更に、請求項3の発明のシートベルトリトラクタは、前記剛性増大手段が、前記カバーに設けられたリブからなることを特徴としている。
更に、請求項4の発明のシートベルト装置は、乗員を拘束するシートベルトと、このシートベルトを引出し可能に巻き取るシートベルトリトラクタと、前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングと、車体または車両シートに設けられ前記タングが係合可能なバックルとを少なくとも備えたシートベルト装置において、前記シートベルトリトラクタが、請求項1ないし3のいずれか1記載のシートベルトリトラクタであることを特徴としている。
このように構成された請求項1ないし3の発明に係るシートベルトリトラクタによれば、カバーの振動抑制手段を設けているので、モータが駆動して動力伝達機構が作動したときにそれぞれ振動が発生しても、これらの振動を拾ってカバーが振動するのを効果的に抑制することができる。これにより、カバーの振動による騒音の発生も効果的に抑制することができる。
特に、請求項2および3の発明のシートベルトリトラクタによれば、カバーの剛性を増大する剛性増大手段を設けているので、カバーの剛性を高めることができる。これにより、カバーの振動を抑制でき、カバーの振動による騒音の発生も効果的に抑制することができる。しかも、カバーによる動力伝達歯車機構の作動音の外部への漏出抑制機能が組み合わされることで、動力伝達歯車機構の作動音による外部への騒音も効果的に遮音できるので、モータ駆動時および動力伝達歯車機構作動時におけるカバー外部での騒音をより一層効果的に抑制することができる。
また、請求項3の発明によれば、剛性増大手段をカバーに設けたリブから構成しているので、剛性増大手段を簡単な構造にすることができるとともに、必要な材料の質量の増大を最小限に抑制することができる。
更に、請求項4の発明のシートベルト装置によれば、シートベルトリトラクタに請求項1ないし3のいずれか1記載のシートベルトリトラクタを用いているので、シートベルトリトラクタのモータの駆動および動力伝達歯車機構の作動時の騒音を抑制でき、車両の運転中、車室内を快適な空間にすることができる。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例を模式的に示す図、図2はこの例のシートベルトリトラクタを概略的に示し、(a)は斜視図、(b)は動力伝達機構のカバーの一部を拡大して示す部分拡大斜視図である。
図1に示すように、この例のシートベルトリトラクタ1は、大きく分けてフレーム2と、必要時に乗員を拘束するシートベルト3と、このシートベルト3を引出し可能に巻き取るスプール4と、フレーム2の一側に配設され、衝突時等の所定減速度以上の大減速度時に作動してスプール4のベルト引出し方向の回転を阻止するELR機構であるロック手段5と、車両に所定値以上の減速度が加えられたときに作動してロック手段5を作動させる減速度感知手段(ヴィークルセンサ)6と、スプール4に付与する駆動トルクを発生するモータ7と、モータ7の駆動トルクを減速してスプール4に伝達する動力伝達歯車機構(本発明の動力伝達機構に相当)8、フレーム2に固定され動力伝達歯車機構8を覆うカバー9と、スプール4を常時巻取り方向に付勢するスプリング手段10とからなっている。
フレーム2、シートベルト3、スプール4、ロック手段5、減速度感知手段(ヴィークルセンサ)6、モータ7、動力伝達歯車機構8、およびスプリング手段10は、いずれも前述の特許文献2のそれらと同じである。また図2に示すように、動力伝達歯車機構8のカバー9は、図2に示す部分以外は、特許文献2の動力伝達歯車機構のカバーと同じである。
すなわち、図2(a)および(b)に示すようにこの例の動力伝達歯車機構8のカバー9では、モータ7の回転軸に設けられ、動力伝達歯車機構8の一部であるモータギヤ(不図示)を覆う部分が薄肉平板部9aとされているが、この薄肉平板部9aに所定数(図示例では、3本)のリブ11が設けられている。これらのリブ11はシートベルトリトラクタ1の上下(鉛直)方向に互いに平行に延設されている。なお、これらのリブ11はシートベルトリトラクタ1の左右(水平)方向に延設されてもよいし、上下左右に対して傾斜する方向に延設されてもよく、更には格子状に形成することもできる。そして、これらのリブ11により、カバー9の薄肉平板部9aの剛性が高められており、これらのリブ11は本発明の剛性増大手段および振動抑制手段を構成している。
このように構成されたこの例のシートベルトリトラクタ1によれば、カバー9の薄肉平板部9aにリブ11を設けて、カバー9の剛性を高めているので、モータ7が駆動して動力伝達機構8が作動したときにそれぞれ振動が発生しても、これらの振動を拾ってカバー9が振動するのを効果的に抑制することができる。これにより、カバー9の振動による騒音の発生も効果的に抑制することができる。
しかも、カバー9による動力伝達歯車機構8の作動音の外部への漏出抑制機能が組み合わされることで、動力伝達歯車機構9の作動音による外部への騒音も効果的に遮音できるので、モータ7の駆動時および動力伝達歯車機構8の作動時におけるカバー9外部での騒音をより一層効果的に抑制することができる。
また、カバー9にリブ11を設けるだけでよいので、剛性増大手段を簡単な構造にすることができるとともに、カバー9に必要な材料の質量の増大を最小限に抑制することができる。
このシートベルトリトラクタ1は、従来公知のシートベルト装置に用いられているシートベルトリトラクタ1に適用することができる。
図3は、この例のシートベルトリトラクタを用いたシートベルト装置の一例を模式的に示す図である。
図3に示すように、この例のシートベルト装置15は、車体に固定されたこの例のシートベルトリトラクタ1、このシートベルトリトラクタ1から引き出されるとともに先端のベルトアンカー3aが車体の床あるいは車両シート16に固定されるシートベルト3、シートベルトリトラクタ1から引き出されたシートベルト3を乗員のショルダーの方へガイドするガイドアンカー17、このガイドアンカー17からガイドされてきたシートベルト3に摺動自在に支持されたタング18、車体の床あるいは車両シートに固定されかつタング18が係脱可能に挿入係合されるバックル19から構成されている。
この例のシートベルト装置15の作用効果は、前述のシートベルトリトラクタ1の作用効果と同じであり、またそれ以外は従来公知のシートベルト装置の作用効果と同じである。
この例のシートベルト装置15によれば、この例のシートベルトリトラクタ1を用いているので、シートベルトリトラクタ1のモータ7の駆動および動力伝達歯車機構8の作動時の騒音を抑制でき、車両の運転中、車室内を快適な空間にすることができる。
なお、前述の例では、カバー9の振動抑制手段をリブ11で構成しているが、このリブ11に代えて、例えば、カバー9とフレーム2との間に、フレーム2からカバー9に振動が伝達するのを抑制するゴム等の振動抑制手段を始め、フレーム2からカバー9に振動が伝達するのを抑制することができるものでシートベルトリトラクタ1に適用することができるものであれば、どのような他の公知の振動抑制手段も用いることができる。
また、前述の例では、動力伝達歯車機構8およびカバー9として特許文献2に開示されている動力伝達歯車機構およびカバーを用いるものとしているが、これに限定されることはなく、例えば特許文献1に開示されている動力伝達歯車機構およびカバーを始め、モータリトラクタに適用することができる動力伝達歯車機構およびカバーであれば、公知のどのような動力伝達歯車機構を用いることもできる。更に、動力伝達機構としては、動力伝達歯車機構に限定されることはなく、モータリトラクタに適用することができる動力伝達機構であれば、例えばプーリと無端ベルトとからなる動力伝達機構を始め、他の公知のどの様な動力伝達機構をも用いることもできる。
更に、スプリング手段10は、特許文献1に開示のシートベルトリトラクタと同様に省略することもできる。
本発明にかかるシートベルトリトラクタの実施の形態の一例を模式的に示す図である。 図1に示す例のシートベルトリトラクタを概略的に示し、(a)は斜視図、(b)は動力伝達機構のカバーの一部を拡大して示す部分拡大斜視図である。 図1に示す例のシートベルトリトラクタを用いたシートベルト装置の一例を模式的に示す図である。 従来のモータリトラクタの動力伝達歯車機構における問題点を説明する、図2と同様の部分拡大断面図である。
符号の説明
1…シートベルトリトラクタ、3…シートベルト、4…スプール、7…モータ、8…動力伝達歯車機構、9…カバー、9a…薄肉平板部、11…リブ、15…シートベルト装置、18…タング、19…バックル

Claims (4)

  1. シートベルトを巻取るスプールと、このスプールを回転させる駆動トルクを発生するモータと、このモータの駆動トルクを前記スプールに伝達する動力伝達機構と、この動力伝達機構を覆うカバーとを少なくとも備えているシートベルトリトラクタにおいて、
    前記カバーに、前記モータの駆動および前記動力伝達機構の作動の振動で発生する前記カバーの振動を抑制する振動抑制手段を設けたことを特徴とするシートベルトリトラクタ。
  2. 前記振動抑制手段は、前記カバーの剛性を増大する剛性増大手段であることを特徴とする請求項1記載のシートベルトリトラクタ。
  3. 前記剛性増大手段は、前記カバーに設けられたリブからなることを特徴とする請求項2記載のシートベルトリトラクタ。
  4. 乗員を拘束するシートベルトと、このシートベルトを引出し可能に巻き取るシートベルトリトラクタと、前記シートベルトに摺動可能に支持されたタングと、車体または車両シートに設けられ前記タングが係合可能なバックルとを少なくとも備えたシートベルト装置において、
    前記シートベルトリトラクタは、請求項1ないし3のいずれか1記載のシートベルトリトラクタであることを特徴とするシートベルト装置。
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