JP2006325884A - 電気掃除機 - Google Patents

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和則 松尾
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Abstract

【課題】 集塵容器の軸方向長さが短くても、塵埃を効果的に分離することができる電気掃除機を提供すること。
【解決手段】 前記集塵容器17の内周面が下方ほど次第に径大となるように前記集塵容器17を形成したことにより、この集塵容器17の下方ほど渦流の回転角速度を遅くさせることができるので、前記集塵容器17内の底部に溜まった塵埃がかき乱されにくくなり、再び気流に乗って上昇することを従来に比して一段と防止できる。また、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することが防止されるので、前記集塵容器17の軸方向の長さを短く、即ち高さを低くしても、分離された塵埃を前記集塵容器17の底部に溜めておくことができ、これによって、前記集塵容器17、ひいては掃除機全体を小型化することができる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、スティック型或いはアップライト型と呼ばれる縦型の遠心分離式の電気掃除機に関するものである。
従来、この種の縦型の電気掃除機として、ノズルと連通するサイクロン分離装置を掃除機本体に取り付けると共に、この掃除機本体内に電動送風機を設けることで、ノズルから吸い込まれた塵埃を含む空気を前記サイクロン分離装置内で渦流とし、このサイクロン分離装置内で比較的重い(粗い)塵埃を遠心分離して貯留する一方、比較的粗い塵埃が分離された後の比較的軽い(細かい)塵埃を含む気流が上昇してフィルタを通過する際に比較的軽い(細かい)塵埃が濾過されることで、気流から塵埃を除去し、この塵埃が除去された気流が前記電動送風機を通過して大気中に放出されるものが知られている(例えば特許文献1)。
特開2002−209814号公報
ところで、このような家庭で使用される縦型の電気掃除機のサイクロン分離装置では、構造を簡略化させるために、略同一径、或いは下方にゆくに従って径小となる略逆円錐状に形成された集塵容器を備えており、このような形状でなる前記集塵容器内において渦流を発生させて遠心力により気流から塵埃を分離し溜めるようにしているが、このような構造では、渦流が下降するに従って渦流の回転角速度が殆ど変わらないか、或いは徐々に速くなってしまうので、遠心力によって分離された塵埃が回転角速度の速い渦流によってかき乱され、気流と共に上昇してしまうという問題があった。そして、前記塵埃が気流と共に上昇してしまうと、これらの塵埃によってフィルタが塞がれてしまい、その結果、電気送風機による吸引効率が低下してしまうという問題があった。このため、前記サイクロン分離装置においては、前記集塵容器の軸方向長さを長く形成することで、渦流によってかき乱された塵埃が前記フィルタまで届きにくくする必要があったが、このように集塵容器を長く形成すると、掃除機全体が大型化してしまうという問題があった。また、前記集塵容器の軸方向長さの割には、前記集塵容器内の容積が小さいので、分離した塵埃を多く溜めておくことができないという問題もあった。
本発明は、以上の問題点を解決し、集塵容器の軸方向長さが短くても、塵埃を効果的に分離することができる電気掃除機を提供しようとするものである。
本発明の請求項1記載の電気掃除機は、内部に電動送風機を有する掃除機本体と、この掃除機本体に設けられて塵埃を含む気流が導入される集塵容器と、この集塵容器内に導入された気流を渦流にする渦流発生手段とを有する電気掃除機において、前記集塵容器の内周面を下方ほど径大となるように形成したものである。
また、本発明の請求項2記載の電気掃除機は、前記渦流発生手段が、前記集塵容器内に設けられると共に、下方ほど径小となるように形成された補助フィルタ部と、この補助フィルタ部の下端に設けられると共に前記補助フィルタ部の下端よりも径大な円板部とを備えたものである。
本発明の請求項1記載の電気掃除機では、以上のように構成することにより、塵埃を含んだ渦流が前記集塵容器の内周面に沿って旋回しながら下降するに従って、渦流の回転角速度が徐々に遅くなることで、遠心分離の作用としては従来の構造のサイクロン分離装置と比較してやや弱くなるものの、前記集塵容器の下方における渦流の回転角速度が遅いため、前記集塵容器の底部に溜められた塵埃がかき乱されにくくなり、このため、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することが防止されるので、総合的には、従来の構造のサイクロン分離装置と比較して塵埃を効果的に分離することができる。また、前述したように、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することが防止されるので、前記集塵容器の軸方向の長さを短くしても、分離された塵埃を前記集塵容器の底部に溜めておくことができ、これによって、前記集塵容器、ひいては掃除機全体を小型化することができる。
また、本発明の請求項2記載の電気掃除機では、以上のように構成することにより、前記集塵容器の底部略中央から上昇した気流が、前記円板部を乗り越えた後、この円板部よりも径小となった前記補助フィルタ部の下部からこの補助フィルタ部内に吸引されるので、前記集塵容器の底部略中央から前記補助フィルタ部の下部までの吸引経路が長くできることになり、これによって、前記補助フィルタ部からの吸引力が前記集塵容器の底部に溜められた塵埃を持ち上げる作用が弱くなり、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することをより効果的に防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施例について、図1乃至図6に基づいて説明する。なお、本実施例においては、図1(A)及び(B)と図2とに示した姿勢を基準として、x軸方向を幅方向と規定し、y軸方向を前後方向と規定すると共に、z軸方向を上下と規定する。なお、それぞれの座標軸において、矢印方向がそれぞれ右、後、上である。図1乃至図3において、1は掃除機本体であり、この掃除機本体1内の下方には、電動機2と、この電動機2の回転軸に取り付けられたファン3とが設けられており、これら電動機2及びファン3とで電動送風機4が構成されている。また、前記掃除機本体1内における前記電動送風機4の下方には、蓄電池5が設けられている。一方、前記掃除機本体1内における前記電動送風機4の上方には、集塵室6が設けられていると共に、更にこの集塵室6の上方にサイクロン分離装置7が設けられている。
前記掃除機本体1の背面側下部には、吸引管8を設けた突出部9が一体的に設けられている。そして、前記吸引管8の下端は、吸込口10を設けた吸込部たるノズル11に連通しており、このノズル11は前記掃除機本体1の下部に対して着脱自在に取り付けられている。また、前記吸引管8の上端は前記突出部9の上部近傍で開口しており、この開口した吸引管8の上端に対して、可撓管7Aの下端が接続されている。なお、この可撓管7Aの下端は、前記吸引管8の上端に対して着脱自在に接続されている。更に、前記可撓管7Aの上端は、前記掃除機本体1の側面側の上部に形成された吸引管連通路12に接続されており、これら吸込口10から吸引管8及び可撓管7Aを経て吸引管連通路12に至る通風路13が形成されている。そして、前記掃除機本体1の突出部9における横向きの上面14には、取付部15が形成されており、この取付部15に吸引口16が上向きに設けられている。また、前記取付部15の上方には前記集塵室6が固定されていると共に、この集塵室6の上方には、前記サイクロン分離装置7を形成する集塵容器17が着脱自在に取り付けられている。
前記集塵室6は、上下が開口しており、その上部開口の径が前記集塵容器17における底部の径とほぼ一致するように形成され、外観上、前記集塵容器17と一体性を有する。ここで、本実施例の場合、前記集塵室6は、その上部開口に対して載置部18が気密可能な状態で着脱自在に設けられており、この載置部18上に前記集塵容器17が位置決めされ得る。因みにこの場合、前記載置部18上に前記集塵容器17を位置決めして設置するように構成したが、前記集塵室6の気密性を確保できるのであれば、前記集塵容器17を前記集塵室6に直接嵌め込むことにより設置させるようにしても良い。かかる構成に加えて前記集塵室6には、図4に示すように、前方側のほぼ中央に迂回通路20(後述する)と連通した迂回排出口21が形成されており、着脱自在に収容された集塵袋19の吸塵口19Aが前記迂回排出口21に合わせて装着されている。なお、本実施例の場合、集塵フィルタとしての前記集塵袋19は、通気性を有する薄紙製の袋本体23の開口端部に厚紙製のフランジ部24を設けると共に、このフランジ部24の略中心に前記吸塵口19Aが形成されているものである。そして、前記集塵室6の前方側下部に形成された爪状の係止受け部25に、前記フランジ部24の下端縁を着脱可能に係止させると共に、前記フランジ部24の上端縁を前記集塵室6の前方側上部に設けた集塵用ストッパー26に係止することで、前記フランジ部24を前記集塵室6の前側面に気密に取り付けることができるように構成されている。この場合、前記集塵用ストッパー26は、回動軸(図示せず)によって枢支されていると共に、この回動軸よりも前方が弾性部材(図示せず)により上方に常時付勢されていることで、前記集塵用ストッパー26の回動軸よりも後方の爪部26Aが常時下方に付勢されており、この爪部26Aを持ち上げて前記フランジ部24の上端縁に掛けることになる。そして、前記フランジ部24の上端縁が前記集塵用ストッパー26に係止された状態において、前記集塵用ストッパー26の突起部26Bが前記載置部18と干渉しないようになることで、前記載置部18が取り付け可能となる。即ち、前記集塵袋19が前記集塵室6に装着されなければ、前記載置部18、ひいては前記サイクロン分離装置7が前記掃除機本体1に取り付けられないように構成されている。また、前記集塵室6の底面には、上下方向に貫通する下部開口27が形成されており、前記下部開口27が前記吸引口16、ひいては前記突出部9の下部に形成された排気口31(図1(A)及び図2)と連通している。
一方、前記サイクロン分離装置7を構成する前記集塵容器17は、その上面部にストッパー32を備え、前記掃除機本体1の背面に形成したストッパー受け部33に対し前記ストッパー32を係合させることにより、前記掃除機本体1に対して装着し得るようになされている。ここで、前記集塵容器17は、略截頭円錐形状であると共に下方に開口部34を配した容器本体35と、前記開口部34にヒンジ部36を介して開閉自在に取り付けられた底蓋37とを有し、前記容器本体35における前記開口部34の周縁に設けられた係止部35Aに前記底蓋37の係止受け部37Aが係止されて前記集塵容器17内を密閉し得る。因みに、この場合、前記掃除機本体1の凹んだ背面には、前記ヒンジ部36の形状に合わせて収納凹部38が形成されている。これにより、前記ヒンジ部36は、前記集塵容器17の側面17Aから突出した構成となるものの、前記集塵容器17が前記掃除機本体1に位置決めされて装着されると、前記掃除機本体1の収納凹部38に配置され得る。これにより、前記集塵容器17における後方側の側面17Aは、前記掃除機本体1の突出した背面とほぼ一致し、外観上の一体性が図られている。
前記容器本体35の側面17Aには、その上部に前記吸引管連通路12と連通する導入口40が形成されている。この導入口40の中心軸は、前記集塵容器17の軸心方向(z軸方向)に対して直交するように、ほぼ前後方向(y軸方向)に配置されていると共に、前記導入口40は、前記容器本体35の内周面の接線方向に形成されている。これに加えて、前記容器本体35の側面17Aには、前記導入口40の下方に、前記迂回通路20の迂回導入口20Aと連通する接続口22が形成されている。この接続口22の中心軸は、前記集塵容器17の軸心方向(z軸方向)に対して直交するように、ほぼ前後方向(y軸方向)に配置されている。そして、前記容器本体35は、その外郭形状に合わせて、その内周面が下方に配した開口部34側にゆくに従って次第に径大となるように形成されている。
そして、前記容器本体35の内部空間には、渦流発生手段41が設けられている。この渦流発生手段41は、図4及び図5に示すように、前記容器本体35の上部内側に設けられた取付部44に対して着脱自在に取り付けられており、下方に向かって先細状に形成された補助フィルタ部42を備え、この補助フィルタ部42の下端に外縁が下向きとなった円板部43が一体的に設けられた構成を有する。なお、この補助フィルタ部42の下端に設けられた前記円板部43は、前記補助フィルタ部42の軸方向(z軸方向)に対して略直交して設けられていると共に、前記補助フィルタ部42よりも径大に形成されており、その外縁が前記集塵容器17の内周面との間に所定の隙間を隔てて設けられている。一方、前記補助フィルタ部42の上端側には、前記導入口40の上部を始端として下方に向けて次第に傾斜しながら、前記集塵容器17の容器本体35の内周に沿って前記濾過部42の外周をほぼ1周する螺旋状の傾斜部45が形成されている。そして、図4に示すように、前記補助フィルタ部42には、前記傾斜部45と前記円板部43との間に複数の支柱46を備え、この支柱46の外周にメッシュ状の補助フィルタ47が設けられている。更に、前記傾斜部45の終端45A付近には、その内部に、前記補助フィルタ部42内の空間と連通すると共に、前記接続口22と連通する中継通路48が設けられている。これにより、前記集塵容器17内と前記迂回通路20とが、前記補助フィルタ部42内及び前記中継通路48を介して連通されている。
前記迂回通路20は、例えば可撓性部材でなり、一体成形された構成を有する。前記迂回通路20は、図4と、図4のA−A’での一部断面構成を示す図6とのように、一端が前記集塵容器17の接続口22に取り付けられていると共に、他端が前記集塵室6の迂回排出口21に取り付けられており、これにより前記集塵容器17から前記迂回通路20を経て前記集塵室6に至る迂回用の通風路49(図6)を形成している。ここで、前記迂回排出口21は、中心軸が前記集塵容器17の軸心方向(z軸方向)に対して直交するように、ほぼ前後方向(y軸方向)に配置されている。そして、前記迂回通路20は、その全体が前記掃除機本体1の前方側において内蔵され得るように配置されている。実際上、前記迂回通路20は、前記迂回導入口20Aから前記掃除機本体1内で前方に延びた後、前記掃除機本体1の中央部付近に形成された収納凹部38を避けるようにして前記掃除機本体1の幅方向(x軸方向)へ僅かに延びると共に下方へ延びて湾曲状に配置され、前記集塵容器17の下方に配置された前記集塵室6の位置で前記掃除機本体1内で後方に延びて前記迂回排出口21に接続された構成を有する。
このような構成とすることにより、前記集塵容器17は、塵埃(図示せず)を含んだ空気が前記導入口40より流入すると、この空気を前記傾斜部45に沿って下降させ得ると共に前記集塵容器17の内周面に沿って旋回させ得る。このとき、前記集塵容器17は、底部側ほど次第に径大になるように形成された内周面に沿って空気を旋回させながら下降させてゆくことにより、当該空気を下降させるに従いその旋回する径を次第に大きくさせ得る。かくして、前記集塵容器17では、前記集塵容器17の内周面に沿って周方向に流れる渦流の回転角速度を、上方よりも下方において次第に遅くさせ得る。そして、前記集塵容器17の底部に至った空気は、前記集塵容器17の略中央部で上昇に転じ、更に前記円板部43の外縁を越え、前記補助フィルタ47を通過して前記補助フィルタ部42内に導かれた後、前記中継通路48及び前記接続口22を介して前記迂回導入口20Aから迂回通路20に流入されるようになされている。これにより、前記集塵容器17を通過した空気は、前記迂回通路20に沿って大きく迂回しながら下方の前記迂回排出口21まで導かれた後、前記集塵袋19を通過して前記掃除機本体1の排気口31から大気へ排出されるようになされている。
なお、51は前記掃除機本体1の上方に延長して設けられた、折り畳み可能な把持部である。
次に、本実施例の作用について説明する。まず、前記集塵室6内の側面前方に、前記集塵袋19を取り付ける。この取り付けは、前記フランジ部24の下端縁を前記係止受け部25に挿入して係止すると共に、前記集塵用ストッパー26を前記フランジ部24の上端縁に係止することにより行なわれる。これにより、前記吸塵口19Aに前記迂回排出口21が密着するように前記集塵袋19を前記集塵室6の側面に対して気密に取り付けできる。そして、前記載置部18を前記集塵室6の上部開口に嵌合して取り付ける。なお、前述したように、前記集塵袋19が前記集塵室6に取り付けられることによって、前記集塵用ストッパー部26の突起部26Bが前記載置部18と干渉せず、前記載置部18が前記集塵室6の上部開口に対して取り付け可能となる。また、前記集塵室6の上部開口の径が、前記集塵容器17において最も径大となる底部の径とほぼ一致するように形成されていることにより、前記集塵室6の上部開口の径を極力広げることができ、かくして使用者に対し前記集塵室6において上部開口を介した前記集塵袋19の取り付け作業を容易に行わせることができる。
一方、図6に示すように、前記集塵容器17とは別体である前記渦流発生手段41を前記集塵容器17の取付部44に対して取り付け、前記底蓋37を閉じる。この際、前記渦流発生手段41の上端が前記取付部44に取り付けられることで、前記補助フィルタ部42が前記集塵容器17の軸心上に配置されると共に、前記集塵容器17の接続口22と前記渦流発生手段41の前記中継通路48とが連通する。このとき、前記容器本体35が底部側ほど次第に径大になるよう内周面を形成すると共に、前記容器本体35の底部に配した開口部34で最も径大となるように形成したことにより、前記集塵容器17内で前記渦流発生手段41の取り付け作業を行う際、前記開口部34が妨げとなることを回避でき、かくして使用者に対し前記渦流発生手段41の取り付け作業を容易に行わせることができる。そして、このようにして組み立てられた前記サイクロン分離装置7を、前記掃除機本体1に取り付ける。この取り付けは、前記サイクロン分離装置7を前記載置部18に載置して前記掃除機本体1と一体化するもので、前記集塵容器17を前記載置部18に載置した後、前記掃除機本体1の背面に前記集塵容器17における側面17Aの前方側(すなわちヒンジ部36を設けた側)を当接させ、この集塵容器17の上部に設けられた前記ストッパー32を前記掃除機本体1のストッパー受け部33に係止することにより行われる。この取り付けに伴い、前記導入口40が前記吸引管連通路12と連通すると共に、前記接続口22と前記迂回導入口20Aとが連通する。
次に、掃除を行う場合、使用者は把持部51を把持し、図示しないスイッチを操作する。これによって、前記蓄電池5から前記電動送風機4の電動機2に電力が供給されることで、前記電動送風機4が作動する。そして、前記電動送風機4が作動すると、塵埃を含んだ空気が前記ノズル11の吸込口10から吸い込まれ、前記通風路13を経て、前記導入口40から前記サイクロン分離装置7の集塵容器17に流入する。前記導入口40から前記集塵容器17内に入り込んだ空気は、図3に示すように、前記集塵容器17の内周面と前記傾斜部45とに沿って流れることで、旋回する渦流となりながら下降する。そして、前記集塵容器17では、下方ほど次第に径大となるように内周面が形成されていることにより、この内周面に沿って下降するに従って渦流の旋回径を次第に大きくさせることができ、これにより、下方にゆくに従って渦流の回転角流速を遅くさせることができる。
この際、この渦流に含まれる塵埃は、遠心力によって前記集塵容器17の内周面に押し付けられることになる。このとき、渦流に含まれている塵埃のうちの比較的粗い(重い)塵埃は、遠心力によって渦流から分離されることになる。なお、前述したように、前記集塵容器17を、その内周面が下方ほど次第に径大となるように形成したことで、下方にゆくに従って渦流の回転角流速を遅くさせたので、前記集塵容器17の下方ほど塵埃に加わる遠心力が弱くなり、純粋な遠心分離の作用としては従来の構造のサイクロン分離装置と比較してやや弱くなる。
そして、前記渦流が前記集塵容器17の底部に至ると、前記集塵容器17の内周面側で下降していた渦流は、前記集塵容器17の中心側に向かって流れると共に上昇し、更に前記円板部43の外縁を越える。このとき、前述したように、渦流に含まれている塵埃のうち比較的粗い(重い)塵埃は、遠心力によって前記集塵容器17の内周面に押し付けられているので、渦流が前記集塵容器17の内周面側から内側に向かって流れたとしても、そのまま前記集塵容器17の内周面付近に留まることになる。これによって、比較的粗い(重い)塵埃は、渦流から分離されると共に、その自重によって前記集塵容器17の底部に溜められる。なお、前記集塵容器17の下方における渦流の回転角速度が遅いことで、前記集塵容器17の底部に溜められた塵埃がかき乱されにくくなり、このため、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することが従来に比して一段と防止できる。このため、総合的には、従来の構造のサイクロン分離装置と比較して塵埃を効率的に分離することができる。
その後、前記円板部43の外縁を越えて上昇した空気は、前記補助フィルタ47及び前記中継通路48を経て、前記接続口22を介して前記迂回導入口20Aから前記迂回通路20へ排出される。この時、前記円板部43の外縁を超えた空気は、前記補助フィルタ部42における前記円板部43の外縁から近い位置、即ち下方が細く形成された前記補助フィルタ部42の下部からこの補助フィルタ部42内に吸引されることになるが、前述したように、前記円板部43が前記補助フィルタ部42の下端よりも径大に形成されていることによって、前記集塵容器17の底部略中央から上昇した気流が外側に流れて前記円板部43の外縁を越えた後、この円板部43よりも径小となった前記補助フィルタ部42の下部に向かって内側に流れて前記補助フィルタ部42内に吸引されるので、前記集塵容器17の底部略中央から前記補助フィルタ部42の下部までの吸引経路が長くできることになり、この結果、前記集塵容器17を軸方向に長く形成したことと同等の効果、即ち、前記補助フィルタ部42からの吸引力が前記集塵容器17の底部に溜められた塵埃に働きにくくなり、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することを効果的に防止することができるという効果を得ることができる。特に、本実施例では、前記円板部43の径が前記補助フィルタ部42全体よりも径大となるように形成されていることで、前記集塵容器17の底部略中央から前記補助フィルタ部42の株間での吸引経路がより長くできることになり、この結果、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することをより効果的に防止することができる。
一方、綿埃等の比較的軽い塵埃や細かい塵埃等は、比較的粗い塵埃に比べて遠心分離されにくいので、前記集塵容器17の内周面側から内側に向かって流れる気流に混じって集塵容器17の中央付近まで移動し、気流の上昇に伴って集塵容器17内を上昇しようとするが、上昇する気流が前記円板部43の外縁を越える際に、上昇気流に含まれている比較的軽い塵埃や細かい塵埃の大部分が上昇気流と共に前記円板部43の外縁を超えることが阻止される。そして、軽い塵埃や細かい塵埃が僅かに含まれた、前記円板部43を超えた上昇気流は、前記補助フィルタ47を通過して前記補助フィルタ部42内に入り、前記中継通路48を経て、前記迂回通路20から前記集塵室6内の集塵袋19内に流れる。このとき、上昇気流に僅かに含まれた軽い塵埃や細かい塵埃は、前記補助フィルタ47を通過する際に該補助フィルタ47に捕捉され、その大部分を取り除くことができる。
そして、前記サイクロン分離装置7を通過した気流に僅かに軽い塵埃や細かい塵埃が含まれている場合であっても、この気流は前記集塵容器17の側面に設けられた前記接続口22から前記迂回通路20を通過して前記集塵室6まで導かれ、この集塵室6に取り付けられた前記集塵袋19を通過する際に該集塵袋19によって捕捉され、この集塵袋19の内側に溜まることとなる。その後、前記集塵袋19を通過した塵埃を含まない空気は、前記下部開口27から前記吸引口16を経て前記電動送風機4へ排出され、前記掃除機本体1に形成された前記排気口31から大気へ排出される。
清掃終了後、使用者は、前記ストッパー32を操作して、このストッパー32と前記ストッパー受け部33との係止を解いて前記サイクロン分離装置7を前記掃除機本体1から取り外した後、前記底蓋37を開放することで、前記サイクロン分離装置7の集塵容器17内に溜められた塵埃を、径大に形成した前記開口部34から容易にゴミ箱等に捨てることができる。更に、図5に示すように、前記渦流発生手段41を前記取付部44から取り外すことで、前記集塵容器17の内壁や前記渦流発生手段41に付着した塵埃を容易に取り除くことができる。
このとき、前記容器本体35では、底部側ほど次第に径大になるよう内周面を形成して前記底部に配した開口部34で最も径大となるように形成したことにより、前記集塵容器17内で前記渦流発生手段41の取り外し作業を行う際、前記開口部34が妨げとなることを回避でき、かくして使用者に対し前記渦流発生手段41の取り外し作業を容易に行わせることができる。因みに、交換が必要な程度に前記補助フィルタ47が汚れた場合、前記渦流発生手段41ごと前記補助フィルタ47を交換できる。一方、前述したように、前記集塵袋19には殆ど塵埃が溜まらないが、交換が必要な程度に前記集塵袋19に塵埃が溜まった場合、前記集塵袋19を交換できる。
以上のように、本実施形態によれば、前記集塵容器17の内周面が下方ほど次第に径大となるように前記集塵容器17を形成したことにより、この集塵容器17の下方ほど渦流の回転角速度を遅くさせることができるので、前記集塵容器17内の底部に溜まった塵埃がかき乱されにくくなり、再び気流に乗って上昇することを従来に比して一段と防止できる。また、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することが防止されるので、前記集塵容器17の軸方向の長さを短く、即ち高さを低くしても、分離された塵埃を前記集塵容器17の底部に溜めておくことができ、これによって、前記集塵容器17、ひいては掃除機全体を小型化することができる。
また、本実施形態によれば、下方ほど径小となるように形成された補助フィルタ部42の下端に、この補助フィルタ部42の下端よりも径大な円板部43を備えた前記渦流発生手段41を、前記集塵容器17内に設けたことで、気流が、前記集塵容器17の底部略中央から上昇して前記円板部43を越えて前記補助フィルタ部42の下部に至るので、気流の吸引経路が長くなり、これによって、前記補助フィルタ部42からの吸引力が前記集塵容器17の底部に溜められた塵埃を持ち上げる作用が弱くなり、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することをより効果的に防止することができる。
図4との対応部分に同一符号を付して示す図7において、61は第2の実施例による掃除機本体を示し、第1の実施例とは、通気性を有する薄紙製の袋本体23を有する集塵袋19(図4)に代えて、箱状で設置型の集塵フィルタ62を装着した点が異なり、この集塵フィルタ62を配した集塵室63と集塵容器64との間を接続箇所のない前記迂回通路20で連通させた構成を有する。この場合、前記集塵室63は、その前方側の上部に前記迂回排出口21が形成されていると共に、この迂回排出口21の下部に前記集塵フィルタ62が着脱自在に設置された構成を有する。このように、前記載置部18のほぼ真下に設けられた前記集塵室63に、第1の実施例における前記集塵袋19に代えて箱状の前記集塵フィルタ62を配置し得ることにより、前記集塵室63の高さ寸法を全体として短くし得る。かくして、前記掃除機本体61では、上述した第1の実施例における前記掃除機本体1と同一の全長を維持しつつ、前記集塵室63の上方に、前記集塵容器17よりも高さ寸法を長くして内部空間を一段と大きく形成した前記集塵容器64を設置し得るように構成されている。
前記集塵フィルタ62は、上部に入口開口部65が形成されていると共に、底部に出口開口部66が形成された箱型のフィルタケース67を有し、前記フィルタケース67が前記集塵室63の底部に設置されることにより、前記フィルタケース67の入口開口部65及び出口開口部66が前記吸引口16の上方に配置され得るようになされている。なお、前記フィルタケース67は、その外形が前記集塵室63における底部の形状とほぼ一致するように形成されており、これにより、前記集塵室63の底部に嵌め込まれて装着できる。このように、前記集塵フィルタ62は、前記集塵室63の底部に対して着脱し得るような構成を有する。
また、前記フィルタケース67の上部にはシール部68が設けられており、前記集塵室63に前記フィルタケース67を設置した際に、前記集塵室63の内面とシール部68とが密接し得るようになされている。更に、前記フィルタケース67の前記入口開口部65と前記出口開口部66との間には、図8に示すように、通気性を有するシート状のフィルタ材71を波状に折り曲げて形成された集塵部材70が設けられている。そして、前記集塵室63に前記集塵フィルタ62を設置することで、前記集塵部材70全体が水平状に配置されると共に、前記迂回排出口21から前記集塵フィルタ62の入口開口部65、集塵部材70、出口開口部66及び吸引口16を連通し得るようになされている。
次に、本実施例の作用について説明する。この第2の実施例による前記掃除機本体61では、上述した第1の実施例と基本的な作用は同じであるため、その詳細な説明は省略するが、前記集塵室63に設置型の前記集塵フィルタ62を設けるようにしたことにより、前記集塵室63に前記集塵袋19を着脱自在に設けるための各種部品を設ける必要がなくなり、その分だけ前記集塵室63を簡易な構成にできると共に、フィルタ材71を波状に折り曲げて形成された前記集塵部材70を用いることで、集塵フィルタ62が小容積であっても第1の実施例の前記集塵袋19と同程度の濾過面積を確保することができる。その結果、前記集塵室63の高さ寸法を第1の実施例と比較して全体として短くすることができるので、前記集塵室63の上方に、第1の実施例よりも高さ寸法を長くした、即ち内部容量を大きくした前記集塵容器64を設置させることができる。これにより、前記集塵容器64では、その底部略中央から前記円板部43の外縁を超えて前記補助フィルタ部42の下部に至る吸引経路が更に長くできることになり、この結果、前記補助フィルタ部42からの吸引力が前記集塵容器64の底部に溜められた塵埃に更に働きにくくなり、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することをより効果的に防止することができるという効果を得ることができる。一方、前記集塵容器64の高さ寸法を第1の実施例における集塵容器17と同じにすることで、掃除機全体を小型化させることも可能である。
そして、前記サイクロン分離装置7を通過した気流に僅かに軽い塵埃や細かい塵埃が含まれている場合であっても、この気流は前記集塵容器64の側面に設けられた前記接続口22から前記迂回導入口20Aを経て前記迂回通路20を通過して前記集塵室63まで導かれる。これにより、前記サイクロン分離装置7を通過した気流に僅かに軽い塵埃や細かい塵埃が含まれている場合であっても、この軽い塵埃や細かい塵埃は、前記集塵室63において、気流が前記集塵フィルタ62を通過する際に該集塵フィルタ62によって捕捉され、この集塵フィルタ62内に溜まることとなる。
以上のように、本実施形態によれば、前記集塵容器64の内周面が下方ほど次第に径大となるように前記集塵容器64を形成したことにより、この集塵容器64の下方ほど渦流の回転角速度を遅くさせることができるので、前記集塵容器64内の底部に溜まった塵埃がかき乱されにくくなり、再び気流に乗って上昇することを従来に比して一段と防止できる。また、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することが防止されるので、前記集塵容器64の軸方向の長さを短く、即ち高さを低くしても、分離された塵埃を前記集塵容器64の底部に溜めておくことができ、これによって、前記集塵容器64、ひいては掃除機全体を小型化することができる。
また、本実施形態によれば、下方ほど径小となるように形成された補助フィルタ部42の下端に、この補助フィルタ部42の下端よりも径大な円板部43を備えた前記渦流発生手段41を、前記集塵容器64内に設けたことで、気流が、前記集塵容器64の底部略中央から上昇して前記円板部43を越えて前記補助フィルタ部42の下部に至るので、気流の吸引経路が長くなり、これによって、前記補助フィルタ部42からの吸引力が前記集塵容器64の底部に溜められた塵埃を持ち上げる作用が弱くなり、分離された塵埃が再び気流に乗って上昇することをより効果的に防止することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で種々の変形実施をすることができる。例えば、上記実施例では、前記集塵容器における径大な下方に開口部を設けたが、前記集塵容器における径小な上方に開口部を設けるようにしても良い。
第1の実施例による電気掃除機の全体構成を示す正面図及び側面図である。 第1の実施例による電気掃除機の全体構成を示す背面図である。 第1の実施例による掃除機本体の側断面構成を示す断面図である。 掃除機本体の詳細構成を示す断面図である。 渦流発生手段の構成を示す斜視図である。 迂回通路の構成を示す断面図である。 第2の実施例の形態による掃除機本体の詳細構成を示す断面図である。 集塵フィルタの構成を示す斜視図である。
符号の説明
1、61 掃除機本体
17、64 集塵容器
41 渦流発生手段
42 補助フィルタ部
43 円板部

Claims (2)

  1. 内部に電動送風機を有する掃除機本体と、この掃除機本体に設けられて塵埃を含む気流が導入される集塵容器と、この集塵容器内に導入された気流を渦流にする渦流発生手段とを有する電気掃除機において、前記集塵容器の内周面を下方ほど径大となるように形成したことを特徴とする電気掃除機。
  2. 前記渦流発生手段が、前記集塵容器内に設けられると共に下方ほど径小となるように形成された補助フィルタ部と、この補助フィルタ部の下端に設けられると共に前記補助フィルタ部の下端よりも径大な円板部とを備えたことを特徴とする電気掃除機。


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