JP2006325268A - アンテナ装置及び携帯無線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置基板の中央部分のイメージ電流を低減して、使用時における人体頭部等の影響によるアンテナ特性の劣化を抑制したアンテナ装置を提供する。
【解決手段】開示されるアンテナ装置は、長辺方向の実効長が1/2波長付近又はこれより長い装置基板1の一方の短辺側装置基板端部2又はその近傍に、無線部6の無線信号の送受を行うための内蔵アンテナ装置4を有する場合に、一端を装置基板1の他方の短辺側装置基板端部3又はその近傍の接地部9に接続されたとき、使用波長における装置基板1の長辺方向の実効長を延長する機能を有する無給電の電流制御素子7を設けたものである。
【選択図】図1

Description

この発明は、人体等に近接して使用しても特性が劣化しないアンテナ装置、及びこのようなアンテナ装置を用いた携帯無線装置に関する。
近年において、小型携帯無線装置のアンテナは、装置のデザイン上及び使い勝手の面から、装置筐体内に内蔵化されることが多い。
このような装置内蔵型のアンテナとしては、種々の方式のものが存在するが、実際に使用される方式は、必要とする装置特性及び実装条件等によって異なっている。
すなわち、マイクロストリップアンテナ等の内部共振アンテナでは、電波発射時、高周波誘導に基づいて装置内部の導電性部分(特に基板)に流れる高周波誘導電流(イメージ電流)が小さいため、筐体内にアンテナを内蔵しても大きな問題は生じないが、開放型の内蔵アンテナ、例えば、筐体端に取付られた逆L型アンテナや逆F型アンテナ、ヘリカルアンテナ等の共振線型のアンテナでは、電波発射時、基板部分に大きなイメージ電流が流れる。
図9は、携帯無線装置の基板上におけるイメージ電流強度の分布を例示したものであって、例えば長辺方向の実効長(導体上の電磁界分布の波長を単位とする長さ)が略平行1/2波長である長方形の装置基板上におけるイメージ電流の強さの分布を、長辺側の中央位置を0としたときの位置の違いに対応して示している。
図9において破線は、本発明による電流制御素子を備えていない、従来の携帯無線装置の場合のイメージ電流を示したものであって、装置基板の左右の各短辺側装置基板端部の位置ではイメージ電流の節になるためイメージ電流が小さいが、中央位置0においては、イメージ電流の腹になるためイメージ電流が最も大きくなることが示されている。
図10は、携帯無線装置の使用態様を示したものであって、100は人体頭部、200は携帯電話機等の携帯無線装置を示し、(a)は人体頭部100と携帯無線装置200との相互の位置関係を示す正面図、(b)は同じく側面図である。
図10に示すように、携帯無線装置を使用する場合には、一般に、人体頭部100に対して携帯無線装置200の略平行中央部を接近させることによって、携帯無線装置200のレシーバ部(不図示)が使用者の耳に当たるようにして使用する形態がとられる。
近年において、携帯無線装置の小型化が進み、筐体サイズが10〜15cm程度のものが多く用いられるようになっている。これに対して、例えば、1G・の周波数帯で使用される携帯無線装置では、1波長が約30cmであり、その1/2波長は15cm程度であって、その導電性部分の主要部である装置基板の長辺長に近いものとなるため、使用時における装置基板上の高周波誘導電流の分布は、図9において破線で示された状態に近いものとなり、大きなイメージ電流が流れる状態になっている。
携帯無線装置における導電性部分上のイメージ電流が大きい場合には、図10に示すような携帯無線装置の使用態様においては、携帯無線装置における、300で示すようなイメージ電流の大きい部分に対して人体頭部等が接近することによって、使用時における携帯無線装置の全体の高周波電磁界分布が乱れて、アンテナの放射特性が大きく劣化する。
そのため、図10に示すような携帯無線装置の使用態様においては、携帯無線装置において使用されるアンテナの形式によっては、使用時における人体等の影響が大きく、アンテナ特性の劣化を招く状態になりやすいという問題があった。
これに対して、第1の使用周波数と第2の使用周波数とに整合可能な線状又はコイル状の複共振アンテナを備えた携帯無線機において、基板上の上記複共振アンテナと同一端部に、例えば使用周波数の1/4波長の、第1の使用周波数に共振する線状又はコイル状の無給電素子と、第2の使用周波数に共振する線状又はコイル状の無給電素子とを設けるとともに、使用周波数に応じて、スイッチによって第1の無給電素子又は第2の無給電素子の基部を接地することによって、使用周波数ごとに最適なアンテナ特性を得るようにした携帯無線機が知られている。
また、特許文献1においては、例えば、回路基板103上面の一端に設けられた不平衡給電アンテナ素子201に対して、略平行に使用波長の略平行1/10以下の間隔をおいて、使用周波数に共振する両端が開放された無給電素子202を配設し(図2)、又は不平衡給電アンテナ素子201に対して、略平行に使用波長の略平行1/10以下の間隔をおいて、異なる使用周波数に共振する両端が開放された2本の無給電素子301,302を配設し(図3)、又は回路基板103上面の一端に設けられたジグザグ状の不平衡給電アンテナ素子1901に対して、略平行に使用波長の略平行1/10以下の間隔をおいて、使用周波数に共振する両端が開放されたジグザグ状の無給電素子202を配設して(図19)、回路基板103からの放射に比べて無給電素子からの放射が支配的になるようにして、回路基板103に流れるアンテナ電流を極力抑え、これによって、人体に起因するアンテナ利得の低下を抑制することが記載されている。
また、特許文献2においては、導体板1に対して略平行に配置された線状又はメアンダ状の、使用周波数の略1/4波長の、一端が導体板1に短絡され他端が開放された逆F型アンテナ2に対して、アンテナ2と略平行で導体板1に対して略平行に配置された使用周波数の略1/4波長の、アンテナ2とは反対側の一端が接地された線状又はメアンダ状の非励振素子3を備えることによって、複共振のインピーダンス特性を得るとともに、アンテナ装置の低姿勢化を可能にすることが記載されている。
また、特許文献3においては、板状放射素子20は、回路の基板である無線機地板10の上面に配置されて給電されて、電波の送受信を行う。これに対して、一端が無線機地板10に短絡されるとともに、板状放射素子20の中心軸と平行に配置され、その長さが反射器として動作するように設定されている無給電素子30を設けることによって、使用時に人体と反対側への指向性を強化させてアンテナの利得を向上することが記載されている。
特開2003−198410(段落0139,図2,図3,図19) 特許第3296189号(段落0012〜0014,図1) 特開2003−037413(段落0031〜0036,図1)
上述の従来の携帯無線機においては、送受信用アンテナと同一端部に線状又はコイル状の無給電素子を設けることによって、使用周波数ごとに最適なアンテナ特性を得ることは記載されているが、使用時における人体の影響を軽減することについては特に考慮されていない。また、特許文献1に記載された技術では、不平衡給電アンテナ素子201に対して近接して無給電素子を配設するため、不平衡給電アンテナ素子201自体に基づくアンテナ指向特性が変化する。また、特許文献2に記載された技術では、複共振のインピーダンス特性を得ることはできるが、使用時における人体の影響を軽減する効果は少ない。さらに特許文献3記載の技術では、使用時に人体と反対側への指向性を強化させることはできるが、使用時における地板上のイメージ電流を抑制して積極的に人体の影響を低減することは期待できない。
この発明は上述の事情に鑑みてなされたものであって、アンテナ方式や筐体サイズによって問題となる、装置基板上のイメージ電流を抑制することによって、使用時における人体の影響を少なくして最適なアンテナ条件とすることが可能な、アンテナ装置及びこのようなアンテナ装置を用いた携帯無線装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明はアンテナ装置に係り、装置基板の一方の短辺側端部又はその近傍に、無線信号の送受を行うためのアンテナ手段と、前記装置基板の他方の短辺側端部又はその近傍の接地部にその一端が接続されていて、前記装置基板の長辺方向の実効長を延長する働きをなす無給電の電流制御素子とを備えたアンテナ装置に係り、前記装置基板の長辺方向の前記実効長が使用波長の略1/2の長さであり、前記装置基板と前記電流制御素子とを含めた実効長が使用波長の略1/2よりも長く設定されていることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のアンテナ装置に係り、前記アンテナ手段と電流制御素子が、それぞれ前記装置基板を収容する筐体の内面に配設されていて、前記装置基板と前記筐体とを結合したとき、それぞれ接触端子を介して無線部又は対応する接地部に接続されるように構成されていることを特徴としている。
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のアンテナ装置に係り、前記電流制御素子が、一端を前記他方の短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と平行又は略平行に設けられた線状導体からなることを特徴としている。
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載のアンテナ装置に係り、前記線状導体が、それが配設されている筐体内面の形状に合わせて折り曲げられていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
また、請求項5記載の発明は、請求項1又は2記載のアンテナ装置に係り、前記電流制御素子が、一端を前記他方の短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と平行又は略平行に設けられたヘリカル状線状導体からなることを特徴としている。
また、請求項6記載の発明は、請求項1又は2記載のアンテナ装置に係り、前記電流制御素子が、一端を前記他方の短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と平行又は略平行に設けられたミアンダ状線状導体からなることを特徴としている。
また、請求項7記載の発明は、請求項1又は2記載のアンテナ装置に係り、前記電流制御素子が、一端を前記短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と平行又は略平行に設けられた高誘電率の棒状絶縁体にヘリカル状に密着して又は埋め込んで巻かれた線状導体からなることを特徴としている。
また、請求項8記載の発明は、請求項1又は2記載のアンテナ装置に係り、前記電流制御素子が、一端を前記短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と垂直又は略垂直に設けられたヘリカル状線状導体からなることを特徴としている。
また、請求項9記載の発明は、請求項1又は2記載のアンテナ装置に係り、前記電流制御素子が、一端を前記短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と垂直又は略垂直に設けられたミアンダ状線状導体からなることを特徴としている。
また、請求項10記載の発明は、請求項1又は2記載のアンテナ装置に係り、前記電流制御素子が、一端を前記短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接地された、前記装置基板面と垂直又は略垂直に設けられた複数のヘリカル状線状導体からなることを特徴としている。
また、請求項11記載の発明は、請求項10記載のアンテナ装置に係り、前記複数のヘリカル状電流制御素子が、それぞれ異なる実効長を有することを特徴としている。
また、請求項12記載の発明は、請求項10又は11記載のアンテナ装置に係り、前記複数のヘリカル状電流制御素子が、前記他方の短辺側装置基板端部又はその近傍におけるそれぞれ異なる位置の接地部に接続されることを特徴としている。
また、請求項13記載の発明は携帯無線装置に係り、請求項1乃至12のいずれか一記載のアンテナ装置を備えたことを特徴としている。
本発明のアンテナ装置及び携帯無線装置では、装置基板の中央部分のイメージ電流が低減されるので、使用時における人体頭部の影響によるアンテナ特性の劣化を低減することができる。
長辺方向の実効長が1/2波長付近又はこれより長い装置基板の一方の短辺側装置基板端部又はその近傍に、無線信号の送受を行うための内蔵アンテナ装置を有する携帯無線装置等において、一端を装置基板の他方の短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続されたとき、装置基板の長辺方向の実効長を延長する機能を有する無給電の電流制御素子を設ける。
図1は、本発明の第1実施例であるアンテナ装置の構成を示したものである。
図1においては、装置基板1と、該装置基板1の一方の短辺側端部(短辺側装置基板端部)2と、他方の短辺側端部(短辺側装置基板端部)3とが示されている。短辺側装置基板端部2の部分には、内蔵アンテナ装置4と、接触端子5と、無線部6とが示されているとともに、短辺側装置基板端部3の部分には、電流制御素子7と、接触端子8と、接地部9とが示されている。
装置基板1は、携帯電話機等の携帯無線装置の回路部分を搭載したものであって、例えば長方形からなり、図1にはその短辺側装置基板端部2,3が示されている。内蔵アンテナ装置4は、携帯無線装置の電波の送受信を行うものであって、装置基板1の面と平行に設けられた線状導体からなり、樹脂等からなる携帯無線装置の筐体(不図示)内面に取り付けられている。内蔵アンテナ装置4は、装置筐体内部に配設されるため、通常、筐体内面の形状に合わせてL字形に折り曲げる等の方法で小型化されている。接触端子5は、装置基板1を筐体に収容したとき、内蔵アンテナ装置4の饋電端が無線部6側の接続部と接触して、電気的に接続されるようにする作用を行う。
無線部6は、基地局(不図示)等と通信を行う際に、内部回路で生成された送信用データを送信信号に変換して内蔵アンテナ装置4に供給し、内蔵アンテナ装置4を経て受信した基地局からの受信信号を受信用データに変換して内部回路に供給する。電流制御素子7は、装置基板1の面と平行又は略平行に設けられた線状導体であって、内蔵アンテナ装置4と同様に、筐体内面に取り付けられている。電流制御素子7も、装置筐体内部に配設されるため、通常、筐体内面の形状に合わせてL字形に折り曲げる等の方法で小型化されている。接触端子8は、装置基板1を筐体に収容したとき、電流制御素子7の基部が接地部9と接触して、電気的に接続されるようにする作用を行う。接地部9は、装置基板1に搭載された携帯無線装置の回路部分に対する共通の接地導体部分のうちの、短辺側装置基板端部3の近傍の部位にある部分である。
以下、この例のアンテナ装置の動作を説明する。
図1に示されたアンテナ装置において、無線部6から接触端子5を経て内蔵アンテナ装置4に給電すると、内蔵アンテナ装置4に電流が流れるが、同時に、筐体内の導電性部分の主要部である装置基板1に、高周波誘導に基づく電流(イメージ電流)が流れる。
いま、電流制御素子7が接続されていない場合には、装置基板1の実効長が使用波長の1/2波長又はこれに近い値になると、装置基板1における高周波電流の分布は、図8に示されたように、その長辺の両端における短辺側装置基板端部2,3の部分では小さく、中央部分では大きくなるとともに、高周波電圧の分布は、短辺側装置基板端部2,3の部分では高く、中央部分では低くなる。
従って、実効長が1/2波長又はこれに近いような装置基板1では、内蔵アンテナ装置4に対する給電時、装置基板1の中央部分が共振の腹となるため、イメージ電流が最も大きい状態となる。
このような状況の場合に、装置基板1における、内蔵アンテナ装置4が設けられた側と反対側の短辺側装置基板端部3の部分に設けられた電流制御素子7が、接触端子8を経てその基部を接地部9に接続された状態になると、イメージ電流が装置基板1から電流制御素子7にも流れるようになるため、イメージ電流の分布が変化して、見かけ上、装置基板1の実効長が長くなったように振る舞う。
このように、電流制御素子7を接続したことによって装置基板1のイメージ電流分布が変化すると、装置基板1の固有の共振状態からずれてくるため、装置基板1の中央部分における共振の腹となる部分の電流が小さくなる。そのため、図9に示されたような携帯無線装置の使用形態において、携帯無線装置筐体の中央部分が人体頭部に近接して使用される場合でも、送信時における装置基板1の中央部分のイメージ電流が小さいので、人体頭部の影響による電磁波の損失が小さくなり、アンテナ特性の劣化が低減される。
なお、このような現象は受信時も同様であって、この場合は、受信感度の低下となって現れる。
図2は、本発明の第2実施例であるアンテナ装置の構成を示したものである。
図2においては、装置基板1に対して、短辺側装置基板端部2と、短辺側装置基板端部3と、内蔵アンテナ装置4と、接触端子5と、無線部6と、電流制御素子7Aと、接触端子8と、接地部9とを備えた構成が示されている。これらのうち、短辺側装置基板端部2,短辺側装置基板端部3,内蔵アンテナ装置4,接触端子5,無線部6,接触端子8,接地部9は、図1に示された第1実施例の場合と同様である。
電流制御素子7Aは、線状導体を螺旋状に巻いて形成したヘリカル状をなし、L字形に装置基板1の面と平行又は略平行に設けられている。電流制御素子7Aも、内蔵アンテナ装置4と同様に、筐体内面に取り付けられている。
以下、この例のアンテナ装置の動作を説明する。
図2に示されたアンテナ装置において、電流制御素子7Aが接続されていない場合における、内蔵アンテナ装置4に給電したときの、装置基板1におけるイメージ電流の分布は図8に示されたものと同様である。
電流制御素子7Aが接触端子8を経てその基部を接地部9に接続された状態になると、装置基板1からイメージ電流が電流制御素子7Aにも流れるようになるため、イメージ電流の分布が変化して、見かけ上、装置基板1の実効長が長くなったように振る舞う。
従って、この例の場合にも、第1実施例の場合と同様に、装置基板1の電流分布が変化して、図8において実線で示すように装置基板1の中央部分の、共振の腹となる部分のイメージ電流が小さくなるので、携帯無線装置が人体頭部に近接して使用される場合でも、人体頭部の影響によるアンテナ特性の劣化が低減される。
このように、電流制御素子7Aを用いた場合も、第1実施例の場合と同様の効果が得られるとともに、ヘリカル状にして小型化したため筐体内の実装が容易になるとともに、その寸法に比べて装置基板1の電流分布改善の効果が大きいので、第1実施例の場合の線状導体からなる電流制御素子7の場合と比較して、使用周波数がより低い携帯無線装置の場合にも対応可能となる。
図3は、本発明の第2実施例であるアンテナ装置の構成を示したものである。
図3に示された例においては、電流制御素子7Bのみが、第1実施例の場合と異なっている。電流制御素子7Bは、線状導体を繰り返し折り返し形に形成したミアンダ状をなし、L字形に装置基板1の面と平行又は略平行に設けられている。電流制御素子7Bも、内蔵アンテナ装置4と同様に、筐体内面に取り付けられている。
図3に示されたアンテナ装置において、電流制御素子7Bが接続されていない場合における、内蔵アンテナ装置4に給電したときの、装置基板1におけるイメージ電流の分布は図8に示されたものと同様である。
電流制御素子7Bが接触端子8を経てその基部を接地部9に接続された状態になると、装置基板1からイメージ電流が電流制御素子7Bにも流れるようになるため、イメージ電流の分布が変化して、共振の腹となる装置基板1の中央部分の電流分布が小さくなるので、携帯無線装置が人体頭部に近接して使用される場合でも、人体頭部の影響によるアンテナ特性の劣化が低減される。
このように、電流制御素子7Bを用いた場合も、使用時における人体頭部の影響を軽減する効果が得られるととももに、ミアンダ状にして小型化したため、筐体内の実装が容易になるとともに、その寸法に比べて装置基板1の電流分布改善の効果が大きく、使用周波数がより低い場合にも対応可能になることは、第2実施例の場合と同様である。
図4は、本発明の第4実施例であるアンテナ装置の構成を示したものである。
図4に示された例においては、電流制御素子7Cのみが、第1実施例の場合と異なっている。電流制御素子7Cは、第2実施例の場合と同様のヘリカル状に形成した線状導体からなっているが、第2実施例の場合と異なり、装置基板1の面に対して垂直又は略垂直方向に設けられている。電流制御素子7Cも、内蔵アンテナ装置4と同様に、筐体内面に取り付けられている。
図4に示されたアンテナ装置において、電流制御素子7Dが接続されていない場合における、内蔵アンテナ装置4に給電したときの、装置基板1におけるイメージ電流の分布は図8に示されたものと同様である。
電流制御素子7Cが接触端子8を経てその基部を接地部9に接続された状態になると、装置基板1からイメージ電流が電流制御素子7Cにも流れるようになるため、イメージ電流の分布が変化して、共振の腹となる装置基板1の中央部分の電流分布が小さくなるので、携帯無線装置が人体頭部に近接する場合でも、人体頭部の影響によるアンテナ特性の劣化が低減される。
このように、電流制御素子7Cを用いた場合も、使用時における人体頭部の影響を軽減する効果が得られる。さらに、電流制御素子7Cをヘリカル状にして小型化したため、電流制御素子7Cの素子全体の長さが短くなって、使用周波数がより低い場合にも対応可能になるとともに、装置基板1に対して垂直に設けたので、筐体内の実装スペースをより小さくすることができる。
図5は、本発明の第5実施例であるアンテナ装置の構成を示したものである。
図5に示された例においては、電流制御素子7Dのみが、第1実施例の場合と異なっている。電流制御素子7Dは、第3実施例の場合と同様のミアンダ状に形成した線状導体からなっているが、第3実施例の場合と異なり、装置基板1の面に対して垂直又は略垂直方向に設けられている。電流制御素子7Dも、内蔵アンテナ装置4と同様に、筐体内面に取り付けられている。
図5に示されたアンテナ装置において、電流制御素子7Dが接続されていない場合における、内蔵アンテナ装置4に給電したときの、装置基板1におけるイメージ電流の分布は図8に示されたものと同様である。
電流制御素子7Dが接触端子8を経てその基部を接地部9に接続された状態になると、装置基板1からイメージ電流が電流制御素子7Dにも流れるようになるため、イメージ電流の分布が変化して、共振の腹となる装置基板1の中央部分の電流分布が小さくなるので、携帯無線装置が人体頭部に近接して使用される場合でも、人体頭部の影響によるアンテナ特性の劣化が低減される。
このように、電流制御素子7Dを用いた場合も、使用時における人体頭部の影響を軽減する効果が得られる。さらに、電流制御素子7Dをミアンダ状にして小型化したため、電流制御素子7Dの素子全体の長さが短くなって、使用周波数がより低い場合にも対応可能になるとともに、装置基板1に対して垂直に設けたので、筐体内の実装スペースをより小さくすることができる。
図6は、本発明の第6実施例であるアンテナ装置の構成を示したものである。
図6に示された例においては、電流制御素子7Eのみが、第1実施例の場合と異なっている。電流制御素子7Eは、高誘電率を有する絶縁体棒10の表面に、線状導体をヘリカル状に巻き付けるとともに表層に埋め込んで一体化したものであって、装置基板1の面に対して平行又は略平行方向に設けられている。電流制御素子7Eも、内蔵アンテナ装置4と同様に、筐体内面に取り付けられている。
図6に示されたアンテナ装置において、電流制御素子7Eが接続されていない場合における、内蔵アンテナ装置4に給電したときの、装置基板1におけるイメージ電流の分布は図8に示されたものと同様である。
電流制御素子7Eが接触端子8を経てその基部を接地部9に接続された状態になると、装置基板1からイメージ電流が電流制御素子7Eにも流れるようになるため、イメージ電流の分布が変化して、共振の腹となる装置基板1の中央部分の電流分布が小さくなるので、携帯無線装置が人体頭部に近接して使用される場合でも、人体頭部の影響によるアンテナ特性の劣化が低減される。
このように、電流制御素子7Eを用いた場合も、使用時における人体頭部の影響を軽減する効果が得られる。さらに、電流制御素子7Eは線状導体を高誘電率の絶縁体棒に一体成形した構造のため、実効長が長い(固有共振周波数が低い)ので、電流制御素子の形状を小型化することができ、従って、筐体内の実装スペースを節減できるので、使用周波数がより低い場合にも対応可能になる。
図7は、本発明の第7実施例であるアンテナ装置の構成を示したものである。
図7に示された例においては、線状導体からなる複数のヘリカル状の電流制御素子7F1〜7Fn(nは2より大きい自然数)が並列に、装置基板1の面に対して垂直又は略垂直方向に設けられている。電流制御素子7F1〜7Fnも、内蔵アンテナ装置4と同様に、筐体内面に取り付けられている。
図7に示されたアンテナ装置において、電流制御素子7F1〜7Fnが接続されていない場合における、内蔵アンテナ装置4に給電したときの、装置基板1におけるイメージ電流の分布は図8に示されたものと同様である。
電流制御素子7F1〜7Fnがそれぞれ接触端子81〜8nを経てその基部を接地部91〜9nに接続された状態になると、装置基板1からイメージ電流が電流制御素子F1〜7Fnにも流れるようになるため、イメージ電流の分布が変化して、共振の腹となる装置基板1の中央部分の電流分布が小さくなるので、携帯無線装置が人体頭部に近接して使用される場合でも、人体頭部の影響によるアンテナ特性の劣化が低減される。
この例では、複数個の電流制御素子7F1〜7Fnを装置基板1に対して垂直に接続したので、1個のヘリカル状素子7Cのみを用いた第4実施例の場合と比較して、より効果的に装置基板1の中央部の電流分布を改善することができる。
この場合、各電流制御素子7F1〜7Fnを短辺側装置基板端部3の同一接地部に接続するよりも、図7に示すように、それぞれ異なる接地部に接続することによって、装置基板1から流れるイメージ電流を増加させることができるので、より高い改善効果を得ることができる。
図8は、この例のアンテナ装置の変形例を示したものである。
図8においては、電流制御素子7F1,7F2,…,7Fnを、接触端子81,82,…,8nを経て、それぞれ異なる接地部91,92,…,9nに接続するとともに、電流制御素子7F1,7F2,…,7Fnの実効長(固有共振周波数)をそれぞれ異ならせて、各電流制御素子7F1,7F2,…,7Fnに基づくイメージ電流分布の変化をバランスよく調整することによって、使用時における人体頭部の影響を低減する上で、最も高い効果を得ることができるようにした例が示されている。
このように、この例の電流制御素子7F1〜7Fnをを用いた場合には、使用時における人体頭部の影響を除去する効果が最も高くなるとともに、使用周波数がより低い場合にも対応可能になる。
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施例に限られたものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、上記各実施例においては、装置基板1の長辺の実効長が1/2波長又はこれに近い値であって、イメージ電流最大の位置が装置基板1の中央部分になるものとしたが、装置基板の長辺の実効長が上記と異なる場合には、イメージ電流最大の位置も異なるものとなる。例えば、装置基板長辺の実効長が3/4波長付近の場合は、イメージ電流最大の位置が装置基板の中央部分から偏った位置に生じ、また、装置基板長辺の実効長が1波長付近の場合は、イメージ電流最大の位置が装置基板の中央部分と装置基板の両側の短辺側装置基板端部のそれぞれとの中間位置に生じる等、イメージ電流最大の位置は装置基板の中央部分にはならないが、携帯無線装置の構成や使用態様によっては、使用時における人体頭部の影響が問題になる場合もあり得る。一方、装置基板長辺の実効長が3/2波長付近の場合は、イメージ電流最大の位置が3箇所に生じてそのうちの1箇所は装置基板の中央付近になるので、この場合は使用時における人体頭部の影響が大きくなる。このように、使用波長と装置基板長辺の実効長との関係によって、使用時における人体頭部の影響は必ずしも一様ではないが,それぞれの場合に応じて、本発明を適用することによって、使用時における人体頭部の影響を排除して、安定なアンテナ特性を得られるうようにすることができる。なお、使用時に上述の影響を与えるものとして、人体頭部以外に、携帯無線装置を保持する手の影響も考えられる。
また、電流制御素子によって装置基板の実効長を延長する限度は、使用時における人体頭部等の影響を実用上許容できる範囲で、使用波長に対してなるべく小さい比率となるように定めればよい。
また、実施例1,2,3,6の場合に、電流制御素子7,7A,7B,7Eの向きは図示のものに限定されず任意であるが、向きによっては、装置基板の電流分布を改善する効果に多少の差異が生じることがあり得る。さらに、装置基板1からの高さによっても、同様に多少の差異が生じることがあり得る。また、実施例2,4,7の場合に、電流制御素子7A,7C,7F1〜7Fnを構成するヘリカル状導体は、基部から先端部まで等径なものであってもよく、又は基部側と先端部側とで径が異なるものであってもよい。また、実施例3,5の場合に、電流制御素子7B,7Dを構成するミアンダ状導体は、基部から先端部まで同形のものであってもよく、又は基部側と先端部側とで折り返し長さが異なるものであってもよい。
また、実施例6の場合に、絶縁体棒10を形成する絶縁物の比誘電率は、1より大きいものであればよく特に限定されないが、通常は比誘電率3〜10程度のものが好適である。さらに、絶縁体棒10の断面形状は、図6に示す四角形又は長方形の場合に限らず、丸形,六角形,八角形等、任意の形状のものを使用できる。
また、実施例7の場合に、電流制御素子7F1〜7Fnはすべてヘリカル状導体からなるものとしたが、これに限らずミアンダ状導体であってもよく、又はヘリカル状導体からなるものとミアンダ状導体からなるものとを混合して用いてもよい。さらに、電流制御素子7F1〜7Fnはすべて装置基板1の同一面に設けられるものとしたが、これに限らず、各電流制御素子を装置基板1の両面に任意に配分して設けてもよい。この場合も、各電流制御素子は、装置基板1を収容するために装置基板1の上下面に対応して分割された各筐体の内面にそれぞれ配設されていて、装置基板1の両面に設けられたそれぞれの接地部に対して、それぞれ接触端子を介して接続されるように構成される。
本発明の電流制御素子は、携帯無線装置に限らず、一般に、装置基板の短辺側の端部に内蔵アンテナ装置を有し、装置基板の長辺方向の実効長が1/2波長付近又はこれより長くなるようなすべての種類の無線装置の場合に利用可能である。
本発明の第1実施例であるアンテナ装置の構成を示す図である。 本発明の第2実施例であるアンテナ装置の構成を示す図である。 本発明の第2実施例であるアンテナ装置の構成を示す図である。 本発明の第4実施例であるアンテナ装置の構成を示す図である。 本発明の第5実施例であるアンテナ装置の構成を示す図である。 本発明の第6実施例であるアンテナ装置の構成を示す図である。 本発明の第7実施例であるアンテナ装置の構成を示す図である。 同実施例の変形例の構成を示す図である。 携帯無線装置の基板上におけるイメージ電流強度の分布を例示する図である。 携帯無線装置の使用態様を示す図である。
符号の説明
1 装置基板
2 短辺側装置基板端部
3 短辺側装置基板端部
4 内蔵アンテナ装置(アンテナ手段)
5 接触端子
6 無線部
7,7A,7B,7C,7D,7E,7F1〜7Fn 電流制御素子
8,81〜8n 接触端子
9,91〜9n 接地部
10 絶縁体棒(棒状絶縁体)

Claims (13)

  1. 装置基板の一方の短辺側端部又はその近傍に、無線信号の送受を行うためのアンテナ手段と、前記装置基板の他方の短辺側端部又はその近傍の接地部にその一端が接続されていて、前記装置基板の長辺方向の実効長を延長する働きをなす無給電の電流制御素子とを備えたアンテナ装置であって、
    前記装置基板の長辺方向の前記実効長が使用波長の略1/2の長さであり、前記装置基板と前記電流制御素子とを含めた実効長が使用波長の略1/2よりも長く設定されていることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記アンテナ手段と電流制御素子が、それぞれ前記装置基板を収容する筐体の内面に配設されていて、前記装置基板と前記筐体とを結合したとき、それぞれ接触端子を介して無線部又は対応する接地部に接続されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 前記電流制御素子が、一端を前記他方の短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と平行又は略平行に設けられた線状導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  4. 前記線状導体が、それが配設されている筐体内面の形状に合わせて折り曲げられていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
  5. 前記電流制御素子が、一端を前記他方の短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と平行又は略平行に設けられたヘリカル状線状導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  6. 前記電流制御素子が、一端を前記他方の短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と平行又は略平行に設けられたミアンダ状線状導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  7. 前記電流制御素子が、一端を前記短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と平行又は略平行に設けられた高誘電率の棒状絶縁体にヘリカル状に密着して又は埋め込んで巻かれた線状導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  8. 前記電流制御素子が、一端を前記短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と垂直又は略垂直に設けられたヘリカル状線状導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  9. 前記電流制御素子が、一端を前記短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接続された、前記装置基板面と垂直又は略垂直に設けられたミアンダ状線状導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  10. 前記電流制御素子が、一端を前記短辺側装置基板端部又はその近傍の接地部に接地された、前記装置基板面と垂直又は略垂直に設けられた複数のヘリカル状線状導体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のアンテナ装置。
  11. 前記複数のヘリカル状電流制御素子が、それぞれ異なる実効長を有することを特徴とする請求項10記載のアンテナ装置。
  12. 前記複数のヘリカル状電流制御素子が、前記他方の短辺側装置基板端部又はその近傍におけるそれぞれ異なる位置の接地部に接続されることを特徴とする請求項10又は11記載のアンテナ装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一記載のアンテナ装置を備えたことを特徴とする携帯無線装置。
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