しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来のパチンコ機では、例えば、球送り装置の球送りソレノイドは、コイルへの通電時に、その可動片が固定鉄心に当接吸引されているとすると、コイルへの通電を停止したとしても、固定鉄心と可動片の鉄板とを循環する残留磁気によって吸着力が残存し、可動片が離れないという問題が生じることから、前記の吸引状態において固定鉄心と可動片の鉄板との間を所定の僅かの隙間を空けて位置決めするための位置決め部材を、容器本体に球送りソレノイドとは別体で設けているが、電磁石と可動片と位置決め部材との相対取付位置関係によってこの隙間は変わってくるため、この隙間調整作業が以下に説明するように煩雑となるばかりでなく、取付精度がばらつくという問題がある。
つまり、位置決め部材による隙間として可動片が固定鉄心に近すぎるという場合では、残留磁気による吸着力が大きく、可動片が離れ難いことがあり、離れない場合には取り込んだ遊技球を出力できないこととなる。これとは逆に、位置決め部材による隙間として可動片が固定鉄心に遠すぎるという場合では、十分な吸引力を確保できないため、吸引状態が良好に維持できずに不完全な場合があり、吸引が不十分である場合には次の遊技球を取り込めないこととなる。
また、例えば経年使用等により可動板が埃等で容器本体に引っ付くことがあり、通常の吸引力では動かないことがあるため、吸引力が増加したソレノイドを用いることが考えられるが、そのためにコイルの巻数を増やすとソレノイドが大型化し、この大型化したソレノイドを収容するために球送り装置も大型化するという問題が生じてしまう。また、前述したように、非吸引状態において可動片を固定鉄心から離間させる必要があるため、吸引力を増加させたソレノイドでは、残留磁気による吸着力も増加しており、この増加した残留磁気吸着力よりも強い力で可動片を強制的に引き離すように復帰させる復帰バネ(例えばスプリング)を可動片の基端側に設けなければならず、残留吸着力増加に伴って復帰バネの付勢力も増加させなければならない関係となっており、結局吸引力のみを増加させることができず、吸引力を効率良く増加させることができないという問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができるソレノイド用電磁石とソレノイドおよびそのソレノイドを用いた遊技機を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、
固定鉄心と、
前記固定鉄心が嵌入される中空部を有する、非磁性体の中空部材と、
前記中空部材の外周で前記固定鉄心の軸心周りとなるように巻きつけられたコイルと、
前記コイルの巻きつけられた前記中空部材の前記中空部に嵌入された状態の前記固定鉄心の基端側が固定される、磁気を通すヨークと
を備えたソレノイド用電磁石において、
吸引状態のソレノイドの可動片が当接される部材であって、前記固定鉄心の先端側の周縁部よりも外周領域でかつ当該固定鉄心の先端側の面よりも突出した箇所に位置する被当接部を備え、
前記ヨークは、
前記固定鉄心の基端側を固定するための固定受を有する固定面部と、
前記固定面部を側面視した状態で当該固定面部の両端側が前記固定鉄心の存する方にそれぞれ立設した両立設板部と
を備え、かつ、前記両方の立設板部の先端側の高さを前記被当接部の高さよりも低くしているものである
ことを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、ソレノイド用電磁石は、固定鉄心と、この固定鉄心が嵌入される中空部を有する、非磁性体の中空部材と、この中空部材の外周で固定鉄心の軸心周りとなるように巻きつけられたコイルと、このコイルの巻きつけられた中空部材の中空部に嵌入された状態の固定鉄心の基端側が固定される、磁気を通すヨークとを備えている。被当接部は、吸引状態のソレノイドの可動片が当接される部材であって、固定鉄心の先端側の周縁部よりも外周領域でかつ当該固定鉄心の先端側の面よりも突出した箇所に位置する。ヨークは、固定鉄心の基端側を固定するための固定受を有する固定面部と、この固定面部を側面視した状態で当該固定面部の両端側が固定鉄心の存する方にそれぞれ立設した両立設板部とを備え、かつ、両方の立設板部の先端側の高さを被当接部の高さよりも低くしているものである。
したがって、このようなソレノイド用電磁石をソレノイドに採用した場合には、コイルに通電することで、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が被当接部に当接した状態となるが、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、ヨークの両立設板部の製造精度で当該隙間を実現でき、従来例のようなソレノイドとは別体の位置決め部材などで隙間を調整するという隙間調整作業を不必要にでき、取付精度がばらつくという問題を解消できる。
さらに、ヨークに両立設板部を設けているので、コイル通電時には、固定鉄心と一方の立設板部と可動片とを磁気が通る第1の磁気回路と、固定鉄心と他方の立設板部と可動片とを磁気が通る第2の磁気回路とを形成することができ、つまり、2つの環状の磁気回路を形成することができ、吸引力を増加させることができる。すなわち、従来の1つの環状の磁気回路に比してさらにもう一つ磁気回路を形成することができ、その新規に形成された磁気回路の分だけ吸引力を増加させることができる。また、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、コイル非通電時には、それらの隙間により磁気回路が遮断され、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができ、吸引力のみを増加させることができ、吸引力を効率良く増加させることができ、従来例のような増加した残留磁気吸着力よりも強い力で可動片を強制的に引き離すように復帰させる復帰バネを不必要にできる。
その結果、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができるソレノイド用電磁石を提供することができる。
また、コイル通電時には、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が被当接部に当接した状態となるが、可動片は、固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに隙間を空けた状態となっているので、可動片が永久磁化されることも低減できる。
なお、前述したように、被当接部は、固定鉄心の先端側の面よりも突出した箇所に位置するものであるが、その突出量はわずかなもの、つまり微小突出が挙げられる。すなわち、この突出量としては、可動片が永久磁化されることも低減できる程度の距離であることが好ましい。
また、請求項2記載のソレノイドの発明は、
請求項1に記載のソレノイド用電磁石を備え、
前記固定鉄心の先端側に吸引された状態と、その状態よりも離間した状態とに変位可能な可動片を備えたものである。
[作用・効果]請求項2に記載の発明によれば、ソレノイドはソレノイド用電磁石と可動片とを備えている。ソレノイド用電磁石は、固定鉄心と、この固定鉄心が嵌入される中空部を有する、非磁性体の中空部材と、この中空部材の外周で固定鉄心の軸心周りとなるように巻きつけられたコイルと、このコイルの巻きつけられた中空部材の中空部に嵌入された状態の固定鉄心の基端側が固定される、磁気を通すヨークとを備えている。被当接部は、吸引状態のソレノイドの可動片が当接される部材であって、固定鉄心の先端側の周縁部よりも外周領域でかつ当該固定鉄心の先端側の面よりも突出した箇所に位置する。ヨークは、固定鉄心の基端側を固定するための固定受を有する固定面部と、この固定面部を側面視した状態で当該固定面部の両端側が固定鉄心の存する方にそれぞれ立設した両立設板部とを備え、かつ、両方の立設板部の先端側の高さを被当接部の高さよりも低くしているものである。可動片は、固定鉄心の先端側に吸引された状態と、その状態よりも離間した状態とに変位可能なものである。
したがって、このようなソレノイド用電磁石を有するソレノイドの場合には、コイルに通電することで、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が被当接部に当接した状態となるが、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、ヨークの両立設板部の製造精度で当該隙間を実現でき、従来例のようなソレノイドとは別体の位置決め部材などで隙間を調整するという隙間調整作業を不必要にでき、取付精度がばらつくという問題を解消できる。
さらに、ヨークに両立設板部を設けているので、コイル通電時には、固定鉄心と一方の立設板部と可動片とを磁気が通る第1の磁気回路と、固定鉄心と他方の立設板部と可動片とを磁気が通る第2の磁気回路とを形成することができ、つまり、2つの環状の磁気回路を形成することができ、吸引力を増加させることができる。すなわち、従来の1つの環状の磁気回路に比してさらにもう一つ磁気回路を形成することができ、その新規に形成された磁気回路の分だけ吸引力を増加させることができる。また、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、コイル非通電時には、それらの隙間により磁気回路が遮断され、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができ、吸引力のみを増加させることができ、吸引力を効率良く増加させることができ、従来例のような増加した残留磁気吸着力よりも強い力で可動片を強制的に引き離すように復帰させる復帰バネを不必要にできる。
その結果、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができるソレノイドを提供することができる。
また、コイル通電時には、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が被当接部に当接した状態となるが、可動片は、固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに隙間を空けた状態となっているので、可動片が永久磁化されることも低減できる。
また、請求項3記載の遊技機の発明は、
請求項2に記載のソレノイドを備えたことを特徴とするものである。
[作用・効果]請求項3に記載の発明によれば、前述の請求項2の作用・効果で説明したように、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができる。つまり、可動片の変位動作の信頼性が向上し、かつ、可動片の吸引力が向上したソレノイドを採用しているので、従来のソレノイドによる不具合を低減することができ、遊技の信頼性を向上させることができる遊技機を提供することができる。
なお、本明細書は、次のようなソレノイド用電磁石に係る発明も開示している。
(1) 請求項1に記載のソレノイド用電磁石において、
前記被当接部は、前記中空部材の先端側の少なくとも周縁部に、前記固定鉄心の先端側の面よりも突出した周縁突出部であることを特徴とするソレノイド用電磁石。
前記(1)に記載の発明によれば、被当接部は、中空部材の先端側の少なくとも周縁部に、固定鉄心の先端側の面よりも突出した周縁突出部としている。ヨークの両方の立設板部の先端側の高さを中空部材の先端側の周縁突出部の高さよりも低くしている。
したがって、このようなソレノイド用電磁石をソレノイドに採用した場合には、コイルに通電することで、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が中空部材の先端側の周縁突出部に当接した状態となるが、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、ヨークの両立設板部の製造精度で当該隙間を実現でき、従来例のようなソレノイドとは別体の位置決め部材などで隙間を調整するという隙間調整作業を不必要にでき、取付精度がばらつくという問題を解消できる。
さらに、ヨークに両立設板部を設けているので、コイル通電時には、固定鉄心と一方の立設板部と可動片とを磁気が通る第1の磁気回路と、固定鉄心と他方の立設板部と可動片とを磁気が通る第2の磁気回路とを形成することができ、つまり、2つの環状の磁気回路を形成することができ、吸引力を増加させることができる。すなわち、従来の1つの環状の磁気回路に比してさらにもう一つ磁気回路を形成することができ、その新規に形成された磁気回路の分だけ吸引力を増加させることができる。また、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、コイル非通電時には、それらの隙間により磁気回路が遮断され、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができ、吸引力のみを増加させることができ、吸引力を効率良く増加させることができ、従来例のような増加した残留磁気吸着力よりも強い力で可動片を強制的に引き離すように復帰させる復帰バネを不必要にできる。
その結果、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができるソレノイド用電磁石を提供することができる。
また、コイル通電時には、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が中空部材の先端側の周縁突出部に当接した状態となるが、可動片は、固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに隙間を空けた状態となっているので、可動片が永久磁化されることも低減できる。
さらに、被当接部は、中空部材の先端側の少なくとも周縁部に、固定鉄心の先端側の面よりも突出した周縁突出部としているので、中空部材とは別体で当該中空部材の外周側に専用の被当接部を設ける必要がないため、スペースメリットが高く、放熱性が悪化することもない。
(2) 前記(1)に記載のソレノイド用電磁石において、
前記両方の立設板部のうちでソレノイドの可動片の軸支される基端側に近い方の前記立設板部である第1立設板部の先端側に、ソレノイドの可動片の金属板の基端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部を備え、
前記ヨークは、前記第1立設板部の先端側の高さに替えて、前記第1立設板部の先端側の前記切欠き部の底部高さを前記中空部材の先端側の前記周縁突出部の高さよりも低くしているものである
ことを特徴とするソレノイド用電磁石。
前記(2)に記載の発明によれば、両方の立設板部のうちでソレノイドの可動片の軸支される基端側に近い方の立設板部である第1立設板部の先端側に、ソレノイドの可動片の金属板の基端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部を備えている。ヨークは、第1立設板部の先端側の高さではなく、第1立設板部の先端側の切欠き部の底部高さを中空部材の先端側の周縁突出部の高さよりも低くしているので、ソレノイドの可動片が非吸引状態において当該可動片の金属板の基端側部分をヨークの第1立設板部の先端側の切欠き部内に配置することができ、コイル通電による磁気回路形成時の磁気をヨークから可動片の金属板に効率良く通すことができ、始動時(可動片の吸引開始時)の吸引力を向上させることができる。しかも、可動片の吸引状態では、可動片の基端側と第1立設板部の切欠き部との間に隙間を形成することができ、コイルを非通電とした際においてこの隙間により磁気回路を遮断することができ、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができる。
(3) 前記(1)または(2)に記載のソレノイド用電磁石において、
前記両方の立設板部のうちでソレノイドの可動片の軸支される基端側とは反対側の先端側に近い方の前記立設板部である第2立設板部の先端側に、ソレノイドの可動片の金属板の基端側とは反対側の先端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部を備え、
前記ヨークは、前記第2立設板部の先端側の高さに替えて、前記第2立設板部の先端側の前記切欠き部の底部高さを前記中空部材の先端側の前記周縁突出部の高さよりも低くしているものである
ことを特徴とするソレノイド用電磁石。
前記(3)に記載の発明によれば、両方の立設板部のうちでソレノイドの可動片の軸支される基端側とは反対側の先端側に近い方の立設板部である第2立設板部の先端側に、ソレノイドの可動片の金属板の基端側とは反対側の先端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部を備えている。ヨークは、第2立設板部の先端側の高さではなく、第2立設板部の先端側の切欠き部の底部高さを中空部材の先端側の周縁突出部の高さよりも低くしているので、ソレノイドの可動片が吸引状態において当該可動片の金属板の先端側部分をヨークの第2立設板部の先端側の切欠き部内に吸引位置させることができ、コイル通電による磁気回路形成時の磁気をヨークから可動片の金属板に効率良く通すことができ、可動片の吸引状態の吸引力を向上させることができる。しかも、可動片の吸引状態では、可動片の先端側と第2立設板部の切欠き部との間に隙間を形成することができ、コイルを非通電とした際においてこの隙間により磁気回路を遮断することができ、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができる。
なお、本明細書は、次のようなソレノイドに係る発明も開示している。
(4) 請求項2に記載のソレノイドにおいて、
前記被当接部は、前記中空部材の先端側の少なくとも周縁部に、前記固定鉄心の先端側の面よりも突出した周縁突出部であることを特徴とするものである。
前記(4)に記載の発明によれば、被当接部は、中空部材の先端側の少なくとも周縁部に、固定鉄心の先端側の面よりも突出した周縁突出部としている。ヨークの両方の立設板部の先端側の高さを中空部材の先端側の周縁突出部の高さよりも低くしている。
したがって、このようなソレノイド用電磁石を有するソレノイドの場合には、コイルに通電することで、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が中空部材の先端側の周縁突出部に当接した状態となるが、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、ヨークの両立設板部の製造精度で当該隙間を実現でき、従来例のようなソレノイドとは別体の位置決め部材などで隙間を調整するという隙間調整作業を不必要にでき、取付精度がばらつくという問題を解消できる。
さらに、ヨークに両立設板部を設けているので、コイル通電時には、固定鉄心と一方の立設板部と可動片とを磁気が通る第1の磁気回路と、固定鉄心と他方の立設板部と可動片とを磁気が通る第2の磁気回路とを形成することができ、つまり、2つの環状の磁気回路を形成することができ、吸引力を増加させることができる。すなわち、従来の1つの環状の磁気回路に比してさらにもう一つ磁気回路を形成することができ、その新規に形成された磁気回路の分だけ吸引力を増加させることができる。また、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、コイル非通電時には、それらの隙間により磁気回路が遮断され、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができ、吸引力のみを増加させることができ、吸引力を効率良く増加させることができ、従来例のような増加した残留磁気吸着力よりも強い力で可動片を強制的に引き離すように復帰させる復帰バネを不必要にできる。
その結果、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができるソレノイドを提供することができる。
また、コイル通電時には、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が中空部材の先端側の周縁突出部に当接した状態となるが、可動片は、固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに隙間を空けた状態となっているので、可動片が永久磁化されることも低減できる。
さらに、被当接部は、中空部材の先端側の少なくとも周縁部に、固定鉄心の先端側の面よりも突出した周縁突出部としているので、中空部材とは別体で当該中空部材の外周側に専用の被当接部を設ける必要がないため、スペースメリットが高く、放熱性が悪化することもない。
(5) 前記(4)に記載のソレノイドにおいて、
前記可動片は、その基端側が、前記両方の立設板部のうちの一方の前記立設板部である第1立設板部の先端側で軸支され、かつ、その先端側が、前記両方の立設板部のうちの他方の前記立設板部である第2立設板部の先端側に近づいた吸引状態と、その吸引状態よりも離れた状態である非吸引状態とに変位可能なものである
ことを特徴とするソレノイド。
前記(5)に記載の発明によれば、可動片は、その基端側が、両方の立設板部のうちの一方の立設板部である第1立設板部の先端側で軸支され、かつ、その先端側が、両方の立設板部のうちの他方の立設板部である第2立設板部の先端側に近づいた吸引状態と、その吸引状態よりも離れた状態である非吸引状態とに変位可能なものである。したがって、可動片の基端側を回動軸とし、この可動片の先端側が第2立設板部の先端側から離れた状態(非吸引状態:片開き状態)となるソレノイドにおいても、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができる。
(6) 前記(5)に記載のソレノイドにおいて、
前記第1立設板部は、その先端側に、前記可動片に設けられた金属板の基端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部を備え、
前記ヨークは、前記第1立設板部の先端側の高さに替えて、前記第1立設板部の先端側の前記切欠き部の底部高さを前記中空部材の先端側の前記周縁突出部の高さよりも低くしているものである
ことを特徴とするソレノイド。
前記(6)に記載の発明によれば、第1立設板部は、その先端側に、可動片に設けられた金属板の基端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部を備えている。ヨークは、第1立設板部の先端側の高さに替えて、第1立設板部の先端側の切欠き部の底部高さを中空部材の先端側の周縁突出部の高さよりも低くしているので、ソレノイドの可動片が非吸引状態において当該可動片の金属板の基端側部分をヨークの第1立設板部の先端側の切欠き部内に配置することができ、コイル通電による磁気回路形成時の磁気をヨークから可動片の金属板に効率良く通すことができ、始動時(可動片の吸引開始時)の吸引力を向上させることができる。しかも、可動片の吸引状態では、可動片の基端側と第1立設板部の切欠き部との間に隙間を形成することができ、コイルを非通電とした際においてこの隙間により磁気回路を遮断することができ、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができる。
(7) 前記(5)または(6)に記載のソレノイドにおいて、
前記第2立設板部は、その先端側に、前記可動片に設けられた金属板の基端側とは反対側の先端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部を備え、
前記ヨークは、前記第2立設板部の先端側の高さに替えて、前記第2立設板部の先端側の前記切欠き部の底部高さを前記中空部材の先端側の前記周縁突出部の高さよりも低くしているものである
ことを特徴とするソレノイド。
前記(7)に記載の発明によれば、第2立設板部は、その先端側に、可動片に設けられた金属板の基端側とは反対側の先端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部を備えている。ヨークは、第2立設板部の先端側の高さではなく、第2立設板部の先端側の切欠き部の底部高さを中空部材の先端側の周縁突出部の高さよりも低くしているので、ソレノイドの可動片が吸引状態において当該可動片の金属板の先端側部分をヨークの第2立設板部の先端側の切欠き部内に吸引位置させることができ、コイル通電による磁気回路形成時の磁気をヨークから可動片の金属板に効率良く通すことができ、可動片の吸引状態の吸引力を向上させることができる。しかも、可動片の吸引状態では、可動片の先端側と第2立設板部の切欠き部との間に隙間を形成することができ、コイルを非通電とした際においてこの隙間により磁気回路を遮断することができ、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができる。
(8) 前記(5)から(7)のいずれか一つに記載のソレノイドにおいて、
前記第1立設板部に、前記可動片の基端側を付勢する非磁性体の付勢手段を備えている
ことを特徴とするソレノイド。
前記(8)に記載の発明によれば、可動片は、その基端側が、両方の立設板部のうちの一方の立設板部である第1立設板部の先端側で軸支され、かつ、その先端側が、両方の立設板部のうちの他方の立設板部である第2立設板部の先端側に近づいた吸引状態と、その吸引状態よりも離れた状態である非吸引状態とに変位可能なものである。非磁性体の付勢手段は、第1立設板部に設けられ、可動片の基端側を付勢する。したがって、コイル非通電時には、当然、固定鉄心とヨークと可動片とを通る磁気回路が形成されないので、可動片を固定鉄心の方に吸引するという吸引力は発生しておらず、付勢手段によって可動片の基端側が第1立設板部の方に引っ張られるのみであるので、可動片の基端側を回動軸とし、この可動片の先端側が第2立設板部の先端側から離れた状態(非吸引状態:片開き状態)となる。また、可動片の片開き状態(非吸引状態)においても、第1立設板部の先端側と可動片の基端側とが接触しているので、この接触箇所でも磁気を通すことができ、当該接触箇所に磁気を通すことができる分、コイル通電開始時の可動片を吸引する吸引力を確保でき、好適に吸引できる。
(9) 前記(5)から(7)のいずれか一つに記載のソレノイドにおいて、
前記第1立設板部に、非磁性体部材を介して、前記可動片の基端側を付勢する付勢手段を備えている
ことを特徴とするソレノイド。
前記(9)に記載の発明によれば、可動片は、その基端側が、両方の立設板部のうちの一方の立設板部である第1立設板部の先端側で軸支され、かつ、その先端側が、両方の立設板部のうちの他方の立設板部である第2立設板部の先端側に近づいた吸引状態と、その吸引状態よりも離れた状態である非吸引状態とに変位可能なものである。付勢手段は、非磁性体部材を介して第1立設板部に設けられ、可動片の基端側を付勢する。したがって、コイル非通電時には、当然、固定鉄心とヨークと可動片とを通る磁気回路が形成されないので、可動片を固定鉄心の方に吸引するという吸引力は発生しておらず、付勢手段によって可動片の基端側が第1立設板部の方に引っ張られるのみであるので、可動片の基端側を回動軸とし、この可動片の先端側が第2立設板部の先端側から離れた状態(非吸引状態:片開き状態)となる。また、可動片の片開き状態(非吸引状態)においても、第1立設板部の先端側と可動片の基端側とが接触しているので、この接触箇所でも磁気を通すことができ、当該接触箇所に磁気を通すことができる分、コイル通電開始時の可動片を吸引する吸引力を確保でき、好適に吸引できる。
(10) 前記(5)から(9)のいずれか一つに記載のソレノイドにおいて、
前記可動片は、その先端側に、前記第2立設板部の方に屈曲して延出した延出部を備え、
前記延出部は、前記可動片の吸引状態においても前記第2立設板部に非接触としている
ことを特徴とするソレノイド。
前記(10)に記載の発明によれば、可動片は、その先端側に、第2立設板部の方に屈曲して延出した延出部を備えている。また、延出部は、可動片の吸引状態においても第2立設板部に非接触としている。したがって、コイル非通電時には、この可動片の先端側が第2立設板部の先端側から離れた状態(非吸引状態:片開き状態)となっているが、可動片の先端側には、第2立設板部の方に屈曲して延出した延出部があるので、可動片の先端側の延出部が第2立設板部に近い位置にあるため、その近くなった分だけ吸引力の増加させることができる。また、可動片の吸引状態では、この可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されており、延出部は、可動片の吸引状態においても第2立設板部に非接触となっているので、コイル非通電とした際には、それらの隙間により磁気回路が遮断され、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができる。
なお、本明細書は、次のような遊技機に係る発明も開示している。
(11) 請求項3に記載の遊技機において、
前記被当接部は、前記中空部材の先端側の少なくとも周縁部に、前記固定鉄心の先端側の面よりも突出した周縁突出部であることを特徴とするものである。
前記(11)に記載の発明によれば、前述の(4)の作用・効果で説明したように、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができる。つまり、可動片の変位動作の信頼性が向上し、かつ、可動片の吸引力が向上したソレノイドを採用しているので、従来のソレノイドによる不具合を低減することができ、遊技の信頼性を向上させることができる遊技機を提供することができる。
さらに、被当接部は、中空部材の先端側の少なくとも周縁部に、固定鉄心の先端側の面よりも突出した周縁突出部としているので、中空部材とは別体で当該中空部材の外周側に専用の被当接部を設ける必要がないため、スペースメリットが高く、放熱性が悪化することもない。
(12) 前記(11)に記載の遊技機において、
前記(4)から(10)のいずれか一つに記載のソレノイドを備えた遊技機。
前記(12)に記載の発明によれば、前記(4)から(10)のいずれか一つに記載のソレノイドを備えており、前述した(4)から(10)の作用効果を得ることができる。
(13) 前記(12)に記載の遊技機において、
前記ソレノイド用電磁石を内部の所定箇所に配設される容器本体を備え、
前記容器本体は、前記第1立設板部の先端側の近傍箇所で前記可動片の基端側を軸支する軸支手段を備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(13)に記載の発明によれば、容器本体は、内部の所定箇所にソレノイド用電磁石が配設される。また、この容器本体は、第1立設板部の先端側の近傍箇所で可動片の基端側を軸支する軸支手段を備えている。したがって、可動片の基端側をヨークの第1立設板部で軸支するのではなく、可動片の基端側を容器本体で軸支する場合であっても、前述した(4)から(10)と同様の作用効果を得ることができる。
また、従来のソレノイドは、ヨークと可動片とが常時接触するタイプであり、可動片の動作毎に、ヨークと可動片との接点での磨耗が生じており、ソレノイドの寿命回数を延ばすことができなかったが、前記(13)に記載の発明では、容器本体は、第1立設板部の先端側の近傍箇所で可動片の基端側を軸支する軸支手段を備えているので、ヨークと可動片との接点がなく、前記のような接点での磨耗が生じないので、ソレノイドの寿命回数を延ばすことができる。
(14) 前記(13)に記載の遊技機において、
前記容器本体は、その内部の所定箇所に、前記ソレノイド用電磁石をその固定鉄心の先端側が下向きとなるように配設されるものであり、
前記容器本体は、さらに、吸引状態において水平あるいは略水平姿勢であった前記可動片が、非吸引状態において、当該可動片の基端側を軸心として可動片の先端側が下方に所定間隔離れた斜め姿勢状態で止めるための止め手段を備えている
ことを特徴とする遊技機。
前記(14)に記載の発明によれば、容器本体は、その内部の所定箇所に、ソレノイド用電磁石をその固定鉄心の先端側が下向きとなるように配設されるものである。この容器本体は、さらに、吸引状態において水平あるいは略水平姿勢であった可動片が、非吸引状態において、当該可動片の基端側を軸心として可動片の先端側が下方に所定間隔離れた斜め姿勢状態で止めるための止め手段を備えている。したがって、コイル通電時には可動片を水平あるいは略水平姿勢で固定鉄心に吸引させた吸引状態とすることができ、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、コイル非通電とした際には、それらの隙間により磁気回路が遮断され、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができ、しかも可動片の自重で、その先端側が第2立設板部から離間した状態とすることができ、可動片の基端側を付勢する付勢手段を不必要にできる。
(15) 前記(14)に記載の遊技機において、
前記ソレノイドは球送り装置に用いられるものであり、
前記容器本体は、球送り装置用の容器本体であり、その正面側に、遊技球が入力される入口部を備え、その裏面側で前記入口部よりも低い位置に、遊技球を出力するための出口部を備えたものであり、
前記可動片は、非吸引状態であるときに前記入口部からの遊技球の前記出口部への出力を抑止し、吸引状態となる際に前記入口部からの遊技球の前記出口部への出力を許容するように構成されている
ことを特徴とする遊技機。
前記(15)に記載の発明によれば、ソレノイドは球送り装置に用いられるものである。容器本体は、球送り装置用の容器本体であり、その正面側に、遊技球が入力される入口部を備え、その裏面側で入口部よりも低い位置に、遊技球を出力するための出口部を備えている。可動片は、非吸引状態であるときに入口部からの遊技球の出口部への出力を抑止し、吸引状態となる際に入口部からの遊技球の出口部への出力を許容するように構成されている。したがって、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させた球送り装置を実現できる。つまり、可動片の変位動作の信頼性が向上し、かつ、可動片の吸引力が向上した球送り装置を採用しているので、従来のソレノイドによる球送り装置の不具合を低減することができ、球送り装置に関する遊技の信頼性を向上させることができる遊技機を提供することができる。
(16) 請求項3に記載の遊技機、または、前記(10)から(15)のいずれか一つに記載の遊技機において、
前記遊技機はパチンコ機であることを特徴とする遊技機。
前記(16)に記載の遊技機によれば、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができ、遊技の信頼性を向上させることができるパチンコ機を提供できる。なお、パチンコ機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて遊技用媒体としての球を所定の遊技領域に発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(または作動ゲートを通過)することを必要条件として、表示装置において動的表示されている識別情報(図柄等)が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞手段(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
この発明に係るソレノイド用電磁石によれば、固定鉄心と、前記固定鉄心が嵌入される中空部を有する、非磁性体の中空部材と、前記中空部材の外周で前記固定鉄心の軸心周りとなるように巻きつけられたコイルと、前記コイルの巻きつけられた前記中空部材の前記中空部に嵌入された状態の前記固定鉄心の基端側が固定される、磁気を通すヨークとを備えたソレノイド用電磁石において、吸引状態のソレノイドの可動片が当接される部材であって、前記固定鉄心の先端側の周縁部よりも外周領域でかつ当該固定鉄心の先端側の面よりも突出した箇所に位置する被当接部を備え、前記ヨークは、前記固定鉄心の基端側を固定するための固定受を有する固定面部と、前記固定面部を側面視した状態で当該固定面部の両端側が前記固定鉄心の存する方にそれぞれ立設した両立設板部とを備え、かつ、前記両方の立設板部の先端側の高さを前記被当接部の高さよりも低くしているので、このようなソレノイド用電磁石をソレノイドに採用した場合には、コイルに通電することで、ソレノイドの可動片が固定鉄心に吸引され、この可動片が被当接部に当接した状態となるが、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とに直接に接触するのではなく、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、ヨークの両立設板部の製造精度で当該隙間を実現でき、従来例のようなソレノイドとは別体の位置決め部材などで隙間を調整するという隙間調整作業を不必要にでき、取付精度がばらつくという問題を解消できる。さらに、ヨークに両立設板部を設けているので、コイル通電時には、固定鉄心と一方の立設板部と可動片とを磁気が通る第1の磁気回路と、固定鉄心と他方の立設板部と可動片とを磁気が通る第2の磁気回路とを形成することができ、つまり、2つの環状の磁気回路を形成することができ、吸引力を増加させることができる。すなわち、従来の1つの環状の磁気回路に比してさらにもう一つ磁気回路を形成することができ、その新規に形成された磁気回路の分だけ吸引力を増加させることができる。また、可動片は固定鉄心と両方の立設板部とのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、コイル非通電時には、それらの隙間により磁気回路が遮断され、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができ、吸引力のみを増加させることができ、吸引力を効率良く増加させることができ、従来例のような増加した残留磁気吸着力よりも強い力で可動片を強制的に引き離すように復帰させる復帰バネを不必要にできる。その結果、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができるソレノイド用電磁石を提供することができる。また、この発明に係るソレノイドによれば、前述したソレノイド用電磁石を備え、前記固定鉄心の先端側に吸引された状態と、その状態よりも離間した状態とに変位可能な可動片を備えているので、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができるソレノイドを提供することができる。また、この発明に係る遊技機によれば、前述したソレノイドを備えているので、可動片と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を効率良く増加させることができ、遊技の信頼性を向上させることができる遊技機を提供することができる。
実施例1のパチンコ機を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は、パチンコ機10の遊技盤30の正面図であり、図3は、パチンコ機10の裏面図である。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。図5は、第3図柄表示装置42の表示内容を示す説明図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成し遊技場(ホール)の遊技島に固定される外枠11と、この外枠11の一側部(例えば正面視での左側部)を開閉軸として外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12と、この内枠12の一側部(例えば正面視での左側部)を開閉軸として内枠12に対して開閉自在に取り付けられる前面枠セット14とを備えている。
外枠11は、木製の板材により全体として正面視で矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。本実施の形態では、例えば、外枠11の上下方向の外寸は809mm(内寸771mm)、左右方向の外寸は518mm(内寸480mm)となっている。なお、外枠11は樹脂やアルミニウム等の軽金属などにより構成されていてもよい。
図1に示すように、内枠12は、大別すると、その最下部に取り付けられた下皿ユニット13と、この下皿ユニット13よりも上側の範囲で内枠12の左側の上下方向の開閉軸を軸心にして開閉自在に取り付けられた前面枠セット14と、外形が矩形状の樹脂ベース(図示省略)に着脱自在に取り付けられる遊技盤30(図2参照)とを備えている。
図1に示すように、下皿ユニット13は、内枠12に対してネジ等の締結具により固定されている。この下皿ユニット13の前面側には、下皿15と球抜きレバー17と遊技球発射ハンドル18と音出力口24が設けられている。球受皿としての下皿15は、下皿ユニット13のほぼ中央部に設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。球抜きレバー17は、下皿15内の遊技球を抜くためのものであり、この球抜きレバー17を図1で左側に移動させることにより、下皿15の底面の所定箇所が開口され、下皿15内に貯留された遊技球を下皿15の底面の開口部分を通して下方向外部に抜くことができる。遊技球発射ハンドル18は、下皿15よりも右方で手前側に突出して配設されている。遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に応じて、遊技球発射装置38によって遊技球が後述する遊技盤30の方へ打ち込まれるようになっている。遊技球発射装置38は、例えば、遊技球発射ハンドル18と発射装置229(図4参照)などで構成されている。音出力口24は、下皿ユニット13内あるいは背面に設けられたスピーカからの音を出力するための出力口である。
また、前面枠セット14は、図1に示すように、内枠12に対して開閉可能に取り付けられており、内枠12と同様、パチンコ機10の正面からみて左側に上下に延びる開閉軸を軸心にして前方側に開放できるようになっている。
図1に示すように、前面枠セット14の下部(上述の下皿15の上方位置)には、遊技球の受皿としての上皿19が一体的に設けられている。ここで、上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するための球受皿である。また、前面枠セット14には、遊技盤30の遊技領域30a(図2参照)のほとんどを外部から視認することができるよう略楕円形状の窓部101が形成されている。詳しくは、窓部101は、その左右側の略中央部が、上下側に比べて比較的緩やかに湾曲した形状となっている略楕円形状で中央が空洞とした枠体であり、その枠体の空洞部分に略楕円形状のガラス板137が取り付けられたものである。このガラス板137は二重ガラス構造としている。なお、窓部101の前記略中央部が直線状になるようにし、ガラス板137もその形状に合わせるようにしてもよい。また、ガラス板137は、ガラスに限定されず、所定の強度がある透明板であればその材質などは問わない。
また、前面枠セット14は、図1に示すように、上皿19の左下側の箇所に、遊技者による操作指示(例えば、押下指示)を受ける枠ボタン20(演出ボタン)を備えている。図4に示すように、枠ボタン20はサブ制御装置262に接続されている。例えば、所定の操作有効条件成立時には、当該枠ボタン20の操作が有効となり、枠ボタン20を押下するなどにより、第3図柄表示装置42の画面表示が変化したり、出力音を変更したり、ランプ表示を変更したりするなど、遊技者が遊技に積極的に参加できるようになっている。
加えて、前面枠セット14は、その前面側で窓部101の周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が左右対称に設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。その他、中央電飾部103の左右側方には、賞球払出し中に点灯する賞球ランプ105と所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ106とが設けられている。また、環状電飾部102の下端部に隣接するようにして、内枠12表面や遊技盤30表面等の一部を視認できるよう透明樹脂からなる小窓107が設けられている。この小窓107の所定箇所を平面状としているので、遊技盤30の右下隅部に貼り付けられた証紙などを、小窓107の当該平面状箇所から機械で好適に読み取ることができる。
また、窓部101の下方には貸球操作部120が配設されており、貸球操作部120には球貸しボタン121と、返却ボタン122と、度数表示部123とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置された図示しないカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部120が操作されると、その操作に応じて遊技球の貸出が行われる。球貸しボタン121は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿19に供給される。返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。度数表示部123はカード等の残額情報を表示するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部120が不要となる。故に、貸球操作部120の設置部分に、飾りシール等が付されるようになっている。これにより、カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との貸球操作部の共通化が図れる。
遊技盤30は、図2に示すように、四角形状の合板よりなり、その周縁部が内枠12の樹脂ベース(図示省略)の裏側に当接した状態で取着されており、この遊技盤30の前面側の略中央部分たる遊技領域30aが樹脂ベースの略円形状の図1に示した窓部101(ガラス板137)を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
次に、図2を用いて遊技盤30の構成を説明する。遊技盤30は、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33a,33b(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等を備えている。これらの一般入賞口31、可変入賞装置32、第1の始動口33a,33b(例えば作動チャッカ)、第2の始動口34(例えばスルーゲート)、可変表示装置ユニット35等は、遊技盤30における、ルータ加工によって形成された各貫通穴にそれぞれに配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取り付けられている。前述の一般入賞口31、可変入賞装置32および第1の始動口33a,33bに遊技球が入球し、当該入球が後述する検出スイッチ(入賞口スイッチ、カウントスイッチ、作動口スイッチ)で検出され、この検出スイッチの出力に基づいて、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞品球が払い出される。なお、前述したように、上部側の第1の始動口33aには作動口スイッチ(通過検出スイッチ)が設けられ、この第1の始動口33aへの入球をその作動口スイッチにより検出されるようになっている。また、下部側の第2の始動口33bにも作動口スイッチ(通過検出スイッチ)が設けられ、この第2の始動口33bへの入球をその作動口スイッチにより検出されるようになっている。すなわち、遊技球の第1の始動口33aへの入球または遊技球の第2の始動口33bへの入球のどちらの場合にも、それが始動入賞であることに変わりは無い。
その他に、図2に示すように、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞装置等に入球しなかった遊技球はこのアウト口36を通って図示しない球排出路の方へと案内されるようになっている。遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車37等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35は、第1の始動口33a,33bへの入賞をトリガとして、識別情報としての第1図柄(例えば特別図柄)を変動表示する第1図柄表示装置40と、第2の始動口34の通過をトリガとして、第2図柄(例えば普通図柄)を変動表示する第2図柄表示装置41と、第1の始動口33a,33bへの入賞をトリガとして、第3図柄(例えば装飾図柄)を変動表示する第3図柄表示装置42とを備えている。
第1図柄表示装置40は、例えば、複数個(本実施例では2個)の2色発光タイプのLED(発光ダイオード)40a,40bと、このLED40a,40bでの変動表示の保留数を示す保留ランプ40cとを備えている。このLED40a,40bは、例えば、赤色と青色に発光可能なものである。第1図柄表示装置40は、各LED40a,40bの発光色を交互に変更させることで、第1図柄(本実施例では各LED40a,40bの発光色態様)の変動表示状態を発生させ、例えば、両方のLED40a,40bが赤色発光状態で停止すると確変大当り(特定当り)を示し、両方のLED40a,40bが青色発光状態で停止すると通常大当り(非特定当り)を示し、両方のLED40a,40bが互いに異なる色の発光状態で停止すると外れを示す。
なお、この第1図柄表示装置40として、少なくとも3色以上の発光が可能なタイプの単一のLEDを採用してもよく、各色の発光を交互などに行うようにすることで、第1図柄の変動表示状態を発生させ、LEDが第1の色の発光状態で停止すると確変大当り(特定当り)を示し、LEDが第2の色の発光状態で停止すると通常大当り(非特定当り)を示し、LEDが第3の色の発光状態で停止すると外れを示すようにしてもよい。なお、上述した第1図柄表示装置40が本発明における識別情報変動表示手段に相当する。
第2図柄表示装置41は、第2図柄用としての例えば「○」が描かれた表示部41aと、第2図柄用としての例えば「×」が描かれた表示部41bと、保留ランプ41cとを有し、遊技球が第2の始動口34を通過する毎に例えば表示部41a,41bによる表示図柄(普通図柄)が変動し、その変動表示が所定図柄で停止した場合に下部側の第1の始動口33bが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。遊技球が第2の始動口34を通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ41cにて点灯表示されるようになっている。なお、表示部41a,41bは、その内部にLED(発光ダイオード)を有しており、このLEDの発光(あるいはランプの点灯)を切り換えることにより変動表示される構成としている。なお、上述した第2図柄表示装置41が本発明における普通識別情報変動表示手段に相当する。
第3図柄表示装置42は、例えば液晶表示装置で構成されており、後述する表示制御装置45により表示内容が制御される。第3図柄表示装置42には、例えば後述する図5に示すように、左、中及び右の3つの装飾図柄列L,M,Rが表示される。各装飾図柄列L,M,Rは複数の装飾図柄によって構成されており、これら装飾図柄が装飾図柄列L,M,R毎にスクロールされるようにして第3図柄表示装置42に可変表示されるようになっている。なお本実施の形態では、第3図柄表示装置42(液晶表示装置)は、例えば、9.3インチサイズの大型の液晶ディスプレイを備える。可変表示装置ユニット35には、第3図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。なお、上述した第3図柄表示装置42が本発明における装飾識別情報(図柄)変動表示手段に相当し、上述した表示制御装置45が本発明における表示制御手段に相当する。
図2に示すように、可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動されるものである。このように、大当たりの際に可変入賞装置32が開状態と通常の閉状態とに繰り返し作動される状態は、特別遊技状態(例えば、大当り状態)と呼ばれ、可変入賞装置32に多数の遊技球が入球(入賞)し、その入賞に対して大量の遊技球が賞球払い出しされることから、遊技者にとって有利な遊技状態となっている。
より詳しくは、第1の始動口33a,33bに対し遊技球が入賞すると第1図柄表示装置40の2個のLED40a,40bが変動表示され、その変動停止後のLED40a,40bの表示が予め設定した発光態様の組合せとなった場合に特別遊技状態が発生する。例えば、両方のLED40a,40bが赤色発光状態で停止するという発光態様の場合には、確変大当り(特定当り)の特別遊技状態に当選したことを示し、両方のLED40a,40bが青色発光状態で停止するという発光態様の場合には、通常大当り(非特定当り)の特別遊技状態に当選したことを示し、両方のLED40a,40bが互いに異なる色の発光状態で停止するという発光態様の場合には外れ(特別遊技状態に落選したこと)を示す。
そして、可変入賞装置32は、その大入賞口32aが所定の開放状態となり、遊技球が入賞しやすい状態(大当たり状態)になるよう構成されている。具体的には、当該開放状態についての所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口32aが所定回数(ラウンド数)繰り返し開放される。遊技球が第1の始動口33a,33bを通過した回数は最大4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ40cにて点灯表示されるようになっている。なお、保留ランプ40cは、第3図柄表示装置42の表示画面の一部で保留表示等される構成等であっても良い。
また、遊技盤30には、図2に示すように、遊技球発射装置38(図3参照)から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するためのレールユニット50が取り付けられており、遊技球発射ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレールユニット50の後述する球案内通路49を通じて所定の遊技領域30aに案内されるようになっている。レールユニット50はリング状をなす樹脂成型品(例えば、フッ素樹脂が添加されて成形されたもの)にて構成されており、内外二重に一体形成された内レール51と外レール52とを有する。内レール51は上方の約1/4ほどを除いて略円環状に形成され、一部(主に左側部)が内レール51に向かい合うようにして外レール52が形成されている。かかる場合、内レール51と外レール52とにより誘導レールが構成され、これら各レール51,52が所定間隔を隔てて並行する部分(向かって左側の部分)により球案内通路49が形成されている。なお、球案内通路49は、遊技盤30との当接面を有した溝状、すなわち手前側を開放した溝状に形成されている。
内レール51の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、内レール51及び外レール52間の球案内通路49から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度球案内通路49内に戻ってしまうといった事態が防止されるようになっている。また、外レール52には、遊技球の最大飛翔部分に対応する位置(図2の右上部:外レール52の先端部に相当する部位)に返しゴム54が取着されている。従って、所定以上の勢いで発射された遊技球は、返しゴム54に当たって跳ね返されるようになっている。外レール52の内側面には、遊技球の飛翔をより滑らかなものとするべく、つまり遊技球の摩擦抵抗を少なくするべく、長尺状をなすステンレス製の金属帯としての摺動プレート55が取着されている。
また、レールユニット50の外周部には、正面視した状態で周囲外方へ張り出した円弧状のフランジ56が形成されている。フランジ56は、遊技盤30に対する取付面を構成する。レールユニット50が遊技盤30に取り付けられる際には、遊技盤30上にフランジ56が当接され、その状態で、当該フランジ56に形成された複数の透孔にネジ等が挿通されて遊技盤30に対するレールユニット50の締結がなされるようになっている。
さらに本実施の形態では、正面から見てレールユニット50の上下左右の各端部は略直線状に(平坦に)形成されている。つまり、レールユニット50の上下左右の各端部においてはフランジ56が切り落とされ、パチンコ機10における有限の領域にてレール径の拡張、すなわち遊技盤30上の遊技領域30aの拡張が図られるようになっている。
内レール51及び外レール52間の球案内通路49の入口には、当該球案内通路49の一部を閉鎖するようにして凸部57が形成されている。この凸部57は、内レール51からレールユニット50下端部にかけて略鉛直方向に設けられ、遊技領域30aまで至らず球案内通路49内を逆流してくるファール球を内枠12に設けられたファール球通路(図示省略)に導くための役目をなす。なお、遊技盤30の右下隅部及び左下隅部は、証紙(例えば製造番号が記載されている)等のシール(図2のS1,S2)やプレートを貼着するためのスペースとなっており、この貼着スペースを確保するために、フランジ56に切欠58,59が形成されている。遊技盤30の右下隅部や左下隅部に、証紙等のシール(図2のS1,S2)を貼着することで、遊技盤30と証紙との一義性を持たせることができる。
次に、遊技盤30の遊技領域30aについて説明する。遊技領域30aは、図2に示すように、レールユニット50の内周部(内外レール)により略円形状に区画形成されており、特に本実施の形態では、遊技盤30の盤面上に区画される当該遊技領域30aが従来よりもはるかに大きく構成されている。本実施の形態では、外レール52の最上部地点から遊技盤30下部までの間の距離は445mm(従来品よりも58mm長い)、外レール52の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は435mm(従来品よりも50mm長い)となっている。また、内レール51の極左位置から内レール51の極右位置までの間の距離は418mmとなっている。
本実施の形態では、遊技領域30aを、パチンコ機10の正面から見て、内レール51及び外レール52によって囲まれる領域のうち、内外レール51,52の並行部分である誘導レールの領域を除いた領域としている。従って、遊技領域30aと言った場合には誘導レール部分は含まないため、遊技領域30aの向かって左側限界位置は外レール52によってではなく内レール51によって特定される。同様に、遊技領域30aの向かって右側限界位置は内レール51によって特定される。また、遊技領域30aの下側限界位置は遊技盤30の下端位置によって特定される。また、遊技領域30aの上側限界位置は外レール52によって特定される。
従って、本実施の形態では、遊技領域30aの幅(左右方向の最大幅)は、418mmであり、遊技領域30aの高さ(上下方向の最大幅)は、445mmである。
なお、詳しい図面の開示は省略するが、遊技球発射装置38には、前面枠セット14側の球出口(上皿19の最下流部より通じる球出口)から遊技球が1つずつ供給される。
次に、パチンコ機10の背面の構成について説明する。図3に示すように、パチンコ機10は、その背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして又は前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給するための遊技球供給装置(払出機構部352)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施の形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合、後述する図4に示した主制御装置261とサブ制御装置262とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、後述する図4に示した払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。
また、払出機構部352及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で何ら工具等を用いずに着脱できるよう構成されており、さらにこれに加え、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。これは、各ユニット201〜203やその他構成が前後に重ねて配置されても、隠れた構成等を容易に確認することを可能とするための工夫でもある。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出するための入賞感知機構などが設けられている。具体的には、遊技盤30表側の一般入賞口31に対応する位置には入賞口スイッチが設けられ、可変入賞装置32にはカウントスイッチが設けられている。カウントスイッチは入賞球をカウントするスイッチである。また、第1の始動口33a,33bに対応する位置には作動口スイッチがそれぞれ設けられ、第1の始動口33a,33bへの遊技球の入球を当該作動口スイッチで検出される。第2の始動口34に対応する位置にはゲートスイッチが設けられ、第2の始動口34への遊技球の通過を当該作動口スイッチで検出される。ている。なお、上述した作動口スイッチが本発明における入賞検出手段に相当する。
入賞口スイッチ及びゲートスイッチは、図示しない電気配線を通じて盤面接続基板(図示省略)に接続され、さらにこの盤面接続基板が後述する主制御装置261内の主制御基板261a(図4参照)に接続されている。また、カウントスイッチは大入賞口中継端子基板(図示省略)に接続され、さらにこの大入賞口中継端子基板(図示省略)がやはり主制御基板261aに接続されている。これに対し、作動口スイッチは中継基板を介さずに直接に主制御基板261aに接続されている。
その他図示は省略するが、可変入賞装置32には、大入賞口32aを開放するための大入賞口ソレノイドが設けられ、下部側の第1の始動口33bには、電動役物を開放するための作動口ソレノイドが設けられている。
上記入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主制御装置261内の主制御基板261aに取り込まれ、該主制御基板261aよりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板311aに送信される。そして、該払出制御基板311aの出力により所定数の遊技球の払出が実施される。かかる場合、各種入賞口に入賞した遊技球を入賞球処理装置に一旦集め、その入賞球処理装置で入賞球の存在を1つずつ順番に確認した上で払出を行う従来方式(いわゆる証拠球方式)とは異なり、本実施の形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる(すなわち、本パチンコ機10では入賞球処理装置を廃止している)。故に、払い出す遊技球が多量にあっても、その払出をいち早く実施することが可能となる。但し、本発明に従来の「証拠球方式」を適用してもよい。
第1制御基板ユニット201は略L字状をなす取付台(図示省略)を有し、この取付台に主制御装置261とサブ制御装置262とが搭載されている。ここで、主制御装置261は、図4に示すように、主たる制御を司るCPU501と、遊技プログラムを記憶したROM502と、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM503と、各種機器との連絡をとる入出力ポート505と、各種抽選の際に用いられる乱数発生器(図示省略)と、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路(図示省略)などを含む主制御基板261aを具備しており、この主制御基板261aが透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263(被包手段)に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス263が封印されている。
封印手段としての封印ユニットはボックスベースとボックスカバーとを開封不能に連結する構成であれば任意の構成が適用できるが、本実施例では、例えば5つの封印部材が連結された構成となっており、この封印部材の長孔に係止爪を挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に連結されるようになっている。封印ユニットによる封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度開封・封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、封印ユニット(図示省略)を構成する5つの封印部材のうち、少なくとも一つの封印部材の長孔に係止爪を挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板261aの不具合などにより基板ボックス263を開封する場合には、係止爪が挿入された封印部材と他の封印部材との連結を切断する。その後、再度封印処理する場合は他の封印部材の長孔に係止爪を挿入する。基板ボックス263の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス263に残しておけば、基板ボックス263を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
また、サブ制御装置262は、例えば主制御装置261内の主制御基板261aからの指示に従い音声やランプ表示の制御や表示制御装置45の制御を司るCPU551や、その他ROM552、RAM553、バスライン554及び入出力ポート555等を含むサブ制御基板262aを具備しており、このサブ制御基板262aが透明樹脂材料等よりなる基板ボックス(図示省略)に収容されて構成されている。サブ制御装置262上には電源中継基板(図示省略)が搭載されており、後述する電源基板より供給される電源がこの電源中継基板(図示省略)を介してサブ制御装置262および表示制御装置45に出力されるようになっている。
第2制御基板ユニット202は横長形状をなす取付台(図示省略)を有し、この取付台に払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板(図示省略)が搭載されている。払出制御装置311は制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、発射制御装置312は発射制御基板を具備しており、電源装置313は電源制御基板を具備している。払出制御装置311の払出制御基板311aは、賞品球や貸出球の払出を制御する。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者による遊技球発射ハンドル18の操作に従い発射装置229(図4参照)の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。本実施例の発射装置229は、後述する発射ソレノイド420への通電 /非通電に従って進退自在な発射槌部421で遊技球を打ちつけて発射させるソレノイド式発射部品を採用しているが、それ以外の発射装置229としては、発射モータの駆動に従って動作する発射杵で遊技球を打ちつけて発射させる機械式発射部品や、電磁場を発生させることで遊技球を発射させる電磁式発射部品など種々のタイプのものが採用できる。カードユニット接続基板(図示省略)は、パチンコ機前面の貸球操作部120(図1参照)及び図示しないカードユニットに電気的に接続され、遊技者による球貸し操作の指令を取り込んでそれを払出制御装置311に出力するものである。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出される現金機では、カードユニット接続基板314は不要である。
上記払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板(図示省略)は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス(図示省略)にそれぞれ収容されて構成されている。特に、払出制御装置311では、前述した主制御装置261と同様、基板ボックス(被包手段)を構成するボックスベースとボックスカバーとが封印ユニット(封印手段)によって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ(図示省略)が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ(図示省略)が押下されると、払出モータ358a(図4参照)がゆっくり正回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られるようになっている。
また、電源監視基板261bにはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、通常手順で(例えばホールの営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入することとしている。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、図3に示すように、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パックユニット203は、その最上部に上方に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技ホールの島設備(遊技島設備)から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに下り傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。ケースレール357の最下流部には、払出装置358が設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は払出通路(図示省略)等を通じて前記上皿19に供給される。
また、タンクレール356には、当該タンクレール356に振動を付加するためのバイブレータ360が設けられている。例えば、バイブレータ360が例えば2本のネジでタンクレール356に締結されて取り付けられるようになっている。さらに、バイブレータ360は、タンクレール356に面接触するのではなく、当該2本のネジの部分で接触するようになっており、バイブレータ360による振動がより効果的にタンクレール356に伝わるようになっている。従って、仮にタンクレール356付近で球詰まりが生じた際、バイブレータ360が駆動されることで球詰まりが解消されるようになっている。
払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板(図示省略)が設置されると共に、外部より主電源を取り込むための電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFとされるようになっている。
タンク355から払出通路(図示省略)に至るまでの払出機構部352は何れも導電性を有する樹脂材料(例えば導電性ポリカーボネート樹脂)にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
なお、図3に示すように、内枠12の右上側には、内枠12が外枠11に対して開かれたことを検出する内枠開検出スイッチ388が設けられている。内枠12が開かれると、内枠開検出スイッチ388からホール内(パチンコ店内)用コンピュータへ出力されるようになっている。
次に、本パチンコ機10の電気的構成について、図4を用いて説明する。本パチンコ機10は、主制御装置261と、払出制御装置311と、発射制御装置312と、サブ制御装置262と、表示制御装置45と、電源装置313などを備えている。以下に、これらの装置を個別に詳細に説明する。
パチンコ機10の主制御装置261には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアを備えている。
つまり、停電などの発生により電源が切断された場合において、主制御装置261のCPU501は、通常処理を最後までを実行するので、RAM503は、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のカウンタ用バッファや保留球格納エリアの内容を記憶保持するだけでよく、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させることができる。具体的には、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)における通常処理の途中の遊技情報についての各レジスタやI/O等の値を記憶しておくための専用のバックアップエリアをRAM503に設ける必要がない。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号S1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、発射制御装置312、サブ制御装置262、第1図柄表示装置40、第2図柄表示装置41や、その他図示しないスイッチ群などが接続されている。また、主制御装置261は、第1図柄表示装置40における第1図柄の変動表示と、第2図柄表示装置41における第2図柄の変動表示とを制御する機能を備えている。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアを備えている。
RAM513は、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時の状態に関する情報を記憶保持する。つまり、このRAM513の記憶保持は、NMI割込み処理と払出制御処理の後半部分のステップとによって電源切断時に実行され、逆にRAM513の記憶情報の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
図4に示すように、発射制御装置312は、発射装置229による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置229は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、発射制御装置312は、払出制御装置311からのカードユニット接続信号S4(前述したカードユニットがパチンコ機10に接続されている場合に出力される信号である)と、遊技者が遊技球発射ハンドル18をタッチしている場合に出力されるタッチ検出信号S5と、遊技球発射ハンドル18に設けられている、発射を停止させるための発射停止スイッチ18aが操作されていない場合に出力される発射維持信号S6との全てが入力されていることを条件に、発射許可信号S7を主制御装置261に出力する。
すなわち、発射許可信号S7がON(ハイレベル)である期間は発射許可状態であり、発射許可信号S7がOFF(ローレベル)である期間は発射不許可状態である。つまり、主制御装置261は、入力される発射許可信号S7がON(ハイレベル)である期間において、遊技球を発射する発射ソレノイド420(図6参照)の制御を行う発射制御信号S8(パルス信号)と、発射レール401に遊技球を送る球送りソレノイドの制御を行う球送り制御信号S9(パルス信号)とを、発射制御装置312に所定の繰り返し周期で繰り返し出力する。発射制御装置312は、発射制御信号S8及び球送り制御信号S9に基づいて発射装置229を駆動制御し、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。逆に、主制御装置261は、入力される発射許可信号S7がOFF(ローレベル)である期間においては、発射制御信号S8及び球送り制御信号S9を発射制御装置312に出力せず、発射装置229によって遊技球が発射されることはない。
表示制御装置45は、第3図柄表示装置42における第3図柄(装飾図柄)の変動表示を制御するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、ROM(プログラムROM)522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527の入力にはサブ制御装置262の出力が接続され、入力ポート527には、CPU521、ROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529の出力には液晶表示装置である第3図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、主制御装置261からの各種コマンドがサブ制御装置262で編集等されて送信される各種コマンドに基づいて、第3図柄表示装置42での装飾図柄表示を制御する。ROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するためのメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するためのメモリである。
ビデオRAM524は、第3図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するためのメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、第3図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、第3図柄表示装置42に表示される装飾図柄などのキャラクタデータを記憶するためのメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを、キャラクタROM525から所定のタイミングで読み出して第3図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給するための電源部541とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆部するための+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
図4に示すように、主制御装置261は、透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263内に、主制御基板261aと、この主制御基板261aとは別体の電源監視基板261bとを備えている。電源監視基板261bは、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号S1を出力するための回路である。停電監視回路542は、電源部541で交流24ボルトの電圧を監視し、この電圧が24ボルト未満になった時間が例えば20ミリ秒を超えた場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号S1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号S1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、電源部541で監視している交流5ボルトが5ボルト未満となった時間が20ミリ秒を越えた後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアするための回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号S2を主制御基板261aに出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261においてRAM503のデータがクリアされ、払出制御装置311は主制御装置261からの初期化コマンドを受けるとRAM513のデータがクリアされる。
ところで、第3図柄表示装置42(液晶表示装置)には、図5に示すように、左・中・右の3つの装飾図柄列L,M,Rが設定されており、装飾図柄列L,M,R毎に上装飾図柄、中装飾図柄、下装飾図柄の3個ずつの装飾図柄が変動表示される。本実施の形態では、一連の図柄は、「0」〜「9」の数字を各々付した主装飾図柄SZと、菱形状の絵図柄からなる副装飾図柄FZとにより構成されており、数字の昇順又は降順に主装飾図柄SZが表示されると共に各主装飾図柄SZの間に副装飾図柄FZが配されて一連の装飾図柄列L,M,Rが構成されている。そして、周期性を持って主装飾図柄SZと副装飾図柄FZが上から下へと変動表示されるようになっている。
かかる場合、左装飾図柄列Lにおいては、上記一連の装飾図柄が降順(すなわち、主装飾図柄SZの番号が減る順)に表示され、中装飾図柄列M及び右装飾図柄列Rにおいては、同じく上記一連の装飾図柄が昇順(すなわち、主装飾図柄SZの番号が増える順)に表示される。そして、左装飾図柄列L→右装飾図柄列R→中装飾図柄列Mの順に変動表示が停止し、その停止時に第3図柄表示装置42上の5つの有効ライン、すなわち上ラインL1、中ラインL2、下ラインL3、右上がりラインL4、左上がりラインL5の何れかで主装飾図柄SZが大当たり図柄の組合せ(本実施の形態では、同一の主装飾図柄SZの組合せ)で揃えば大当たりとして特別遊技動画が表示されるようになっている。
次に、本発明のパチンコ機10のさらなる特徴部分の構成について図6〜図11を用いて説明する。図6は、下皿ユニット13と遊技球発射装置38の概略斜視図である。図7は、パチンコ機10の下皿ユニット13と遊技球発射装置38を示す横断面図である。図8(a)はパチンコ機10の上皿19の平面図であり、図8(b)はパチンコ機10の上皿19を含む箇所の正面図である。図9は、上皿19の裏面図である。図10は、発射装置229の正面図である。図11〜図13は、発射装置229の球送り装置の動作を示す図である。
図6に示すように、パチンコ機10の遊技球発射装置38は、遊技球発射ハンドル18と発射レール部400と発射ユニット410と発射ソレノイド420と発射制御装置312(図4参照)により構成されている。また、図4に示した発射装置229は、図6に示すように、発射レール部400と発射ユニット410と発射ソレノイド420とにより構成されている。発射装置229は、図9に示すように、上皿19の裏面側で左側に対応する、内枠12の箇所に設けられている。
遊技球発射ハンドル18は、図6,図7に示すように、遊技者による発射操作を受けるものであり、図1に示したパチンコ機10の下皿ユニット13に正面視で左側に配設されている。この遊技球発射ハンドル18を正面視で時計回りに回動させた操作量(操作回動角度)に応じた信号が発射制御装置312に出力され、遊技球発射ハンドル18の操作量に応じた強さで遊技球が発射されるようになっている。
上皿19は、図8に示すように、貸し出された遊技球や賞球払い出しされた遊技球を複数個受けることができるものであり、この受けた複数個の遊技球を一列に整列させながら遊技球発射装置38の方へ導出するためのものである。具体的に言えば、上皿19は、図9に示すように、複数個の遊技球を一列に整列させながら発射ユニット410に送り出すものである。
発射ユニット410は、図6に示すように、後述する球送りソレノイド430(図9,図10参照)を内部の所定箇所に配設される容器本体411を備えている。この容器本体411は、図6に示すように、その正面側に、遊技球が入力される入口部412を備え、その裏面側で入口部412よりも低い位置に、遊技球を出力するための出口部413(図9,図10参照)を備えている。
球送りソレノイド430は、図9,図10に示すように、ソレノイド用電磁石440と、このソレノイド用電磁石440の固定鉄心441に吸引された状態とその状態よりも離間した状態とに変位可能な可動片450とを備えている。球送りソレノイド430の可動片450が非吸引状態から吸引状態に変位し再び非吸引状態に変位することで、入口部412に入った遊技球を一つずつ出口部413に送り出すようになっている。
具体的には、容器本体411は、その所定箇所に、可動片450の基端部を軸支する軸支部460を備えている。この軸支部460は、例えば、可動片450の基端部に形成された貫通孔451に挿入される挿入ピンと、この挿入ピンが嵌入する、容器本体411に形成された嵌入穴とにより構成されている。挿入ピンは、可動片450の基端部の貫通孔451よりも僅かに直径の小さい円柱体形状のピン部(図示省略)と、可動片450の基端部の貫通孔451よりも大きい直径のピン頭部(図示省略)とを備えたものである。そして、可動片450の基端部の貫通孔451を介して挿入ピンが挿入された状態で、当該挿入ピンの先端を嵌入穴に嵌入させることにより、挿入ピンが固定され、可動片450がその基端部の貫通孔451を回動軸として回動可能に支持されている。
また、容器本体411は、入口部412を有する正面側壁面を含み、かつ、当該正面側壁面の所定箇所に球送りソレノイド430が取り付け可能なように開口された容器部(図示省略)と、出口部413を有する裏面側部材であって、この容器部(図示省略)の開口を塞ぐカバー部(図示省略)とを備えている。
また、容器本体411は、図10に示すように、その内部の所定箇所に、ソレノイド用電磁石440をその固定鉄心441の先端側が下向きとなるように配設されるものである。さらに、この容器本体411は、吸引状態において水平あるいは略水平姿勢であった可動片450が、図10に示すように、非吸引状態において、当該可動片450の基端側を軸心として可動片450の先端側が下方に所定間隔離れた斜め姿勢状態で止めるための止め部414を備えている。この止め部414は、容器部(図示省略)の正面側壁面の内側に突出した突出板部材としている。可動片450は、その正面視で略長円形の孔部452が形成されており、この孔部452の上端側が容器部(図示省略)の突出板部材に載置することで前記の斜め姿勢状態で可動片450が止められた状態となる。
発射ユニット410の出口部413から出力された遊技球は、図10に示すように、発射レール部400の基端側、つまり、左上がりに傾斜する発射レール401の下端側に位置する。発射レール部400の基端側には、遊技球を打ち出すための発射ソレノイド420が備えられている。発射ソレノイド420は、進退自在な発射槌部421を備えており、例えば、発射ソレノイド420のコイル(図示省略)への通電により、発射槌部421が所定位置(発射位置)まで突き出し、発射レール部400の基端側に位置する遊技球を打ち出すことになる。また、発射ソレノイド420のコイル(図示省略)を非通電とすることにより、発射槌部421が、発射レール部400の基端側の位置よりも後退した所定位置(発射前位置)まで引っ込む。
なお、本実施例のパチンコ機10は、上皿19より供給された遊技球を1個ずつ、1分間に約100個発射するようになっている。すなわち、発射ユニット410での遊技球の球送り動作および発射ソレノイド420での遊技球の打ち付け動作は、遊技球を1個ずつ、1分間に約100個発射するようになっている。つまり、発射ユニット410で遊技球が球送りされるやいなや発射ソレノイド420で発射されることが高速で繰り返しされるようになっている。また、前述したように発射制御装置312は、図4に示すように、遊技球発射ハンドル18からのタッチ検出信号S5と、発射停止スイッチS6からの発射維持信号S6と、払出制御装置311からのカードユニット接続信号S4と、主制御装置261からの発射ソレノイド420の制御のための発射制御信号S8および球送りソレノイド430の球送り制御信号S9に基づいて、1分間に約100個発射するように発射装置229を制御、つまり、発射ユニット410の球送りソレノイド430および発射ソレノイド420を制御している。
なお、容器本体411は、その正面側と裏面側のそれぞれの箇所で、球送りソレノイド430が取り付けられた箇所に、例えば縦並びで2個の横長の長円形の貫通孔415が形成されている。この貫通孔415は、球送りソレノイド430で生じた熱を逃がすためのものである。
ここで、発射ユニット410での球送り動作について、もう少し詳細に説明する。図8,図9に示すように複数個の遊技球が上皿19に一旦貯留されて一列に整列されており、その先頭の遊技球と2番目の遊技球とが図9に示すように一列で発射ユニット410の入口部412に入った状態となっている。図9に示すように、球送りソレノイド430の可動片450は、固定鉄心441から離れた状態となっており、入口部412に入り込んだ先頭の遊技球は、可動片450の先端側に当接し止められた状態となっており、この先頭の遊技球の後に2番目の遊技球が続いて止められている状態となっている。また、この状態をパチンコ機10の前面側から見た場合には、図11に示すようになっている。つまり、図11(a)に示すように、球送りソレノイド430のコイル443を非通電としており、固定鉄心441への吸引力が不発生となっているため、球送りソレノイド430の可動片450が固定鉄心441から離れた状態となっており、この可動片450の先端側に先頭の遊技球が当接して止められた状態となっており、図11(a)に示したA−A断面線で断面視した図11(b)に示すように、先頭および2個目の遊技球が入口部412に入った状態で止められていることが分かる。
続いて、図12(a)に示すように、球送りソレノイド430のコイル443に通電することで、固定鉄心441への吸引力を発生させているため、球送りソレノイド430の可動片450が固定鉄心441に吸引した状態となる。このとき先頭の遊技球は可動片450の先端側の凹部453に取り込まれた格好となる。図12(a)に示したA−A断面線で断面視した図12(b)に示すように、先頭および2個目の遊技球がさらに入り込んだ状態で止められていることが分かる。
なお、図12(a)には、発射レール部400の中程に位置する遊技球が図示されているが、この遊技球は発射ソレノイド420の発射槌部421で打ち出されたものであり、言わば、現在の1個前に送り出された遊技球の遊技領域への発射を示しているものである。
続いて、図13(a)に示すように、球送りソレノイド430のコイル443を非通電とすることで、固定鉄心441への吸着力を消滅させているため、球送りソレノイド430の可動片450がその自重で固定鉄心441から離間した状態となる。このとき、可動片450の先端側の凹部453に取り込まれた先頭の遊技球は、出口部413に出力され、この出口部413から出力された遊技球は発射レール部400の基端側に位置する格好となる。図13(a)に示したA−A断面線で断面視した図13(b)に示すように、出口部413から出力された遊技球は発射レール部400の基端側に位置しており、発射ユニット410の入口部412では2個目であった遊技球が先頭の遊技球となり、可動片450の先端側に当接し止められた状態となっており、この先頭の遊技球の後に次の遊技球が続いて止められていることが分かる。
上述したように、可動片450は、非吸引状態であるときに入口部412からの遊技球の出口部413への出力を抑止し、吸引状態となる際に入口部412からの遊技球の出口部413への出力を許容するように構成されている。つまり、可動片450は、非吸引状態であるときにその先端側で入口部412からの遊技球を止め、出口部413に出力されることを抑止しており、吸引状態となる際にその先端側が上方向に上がり当該先端側の凹部453でその遊技球を捉えた状態となり、非吸引状態になると凹部453の遊技球が出口部413に出力されるように構成されている。
ここで、球送りソレノイド430の構成について、図14〜図17を用いて詳細に説明する。図14(a)は、球送りソレノイド430の可動片450が吸引状態であること示す裏面図、図14(b)は、球送りソレノイド430の可動片450が非吸引状態であること示す裏面図である。図15(a)は、図14(a)に示した球送りソレノイド430の底面図、図15(b)は、可動片450の裏面図、図15(c)は、ソレノイド用電磁石440の裏面図である。図16(a)は固定鉄心441の底面図、図16(b)は固定鉄心441の側面図、図16(c)はコイル443が巻きつけられたボビン442の底面図、図16(d)はそのボビン442の側面図、図16(e)はヨーク444の底面図、図16(f)はそのヨーク444の裏面図、図16(g)はヨーク444の側面図である。図17はヨーク444の立設板部とボビン442の周縁突出部445との高さの違いを示す図である。なお、図17では、説明の便宜上の理由により、コイル443の図示を省略している。
球送りソレノイド430は、図14に示すように、ソレノイド用電磁石440と可動片450とを備えている。ソレノイド用電磁石440は、図14に示すように、固定鉄心441と、この固定鉄心441が嵌入される中空部を有する、非磁性体のボビン442と、このボビン442の外周で固定鉄心441の軸心周りとなるように巻きつけられたコイル443と、このコイル443の巻きつけられたボビン442の中空部に嵌入された状態の固定鉄心441の基端側が固定される、磁気を通すヨーク444とを備えている。
さらに、ボビン442は、その先端側の少なくとも周縁部に、固定鉄心441の先端側の面よりも突出(微小突出)した周縁突出部445を備えている。
ヨーク444は、固定鉄心441の基端側を固定するための固定受444eを有する固定面部444aと、この固定面部444aを側面視した状態で当該固定面部444aの両端側が固定鉄心441の存する方にそれぞれ立設した両立設板部444b,444cとを備えている。
両方の立設板部444b,444cのうちで、可動片450の軸支される基端側に近い方の立設板部444bである第1立設板部444bの先端側には、可動片450の金属板454の基端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部444dを備え、可動片450の軸支される基端側とは反対側の先端側に近い方の立設板部444cである第2立設板部444cの先端側には、可動片450の金属板454の基端側とは反対側の先端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部444dを備えている。第1立設板部444bおよび第2立設板部444cの切欠き部444dは、図17に示すように、例えばヨーク444の固定面部444aからの高さを同一としている。
さらに、ヨーク444は、第1立設板部444bおよび第2立設板部444cの切欠き部444dの底部高さH1をボビン442の先端側の周縁突出部445の高さH2よりも低くしている。つまり、図14(a)に示すように、可動片450が固定鉄心441に吸引された状態においては、可動片450の金属板454は、ボビン442の周縁突出部445に当接した状態となっているが、固定鉄心441や、第1立設板部444bおよび第2立設板部444cの切欠き部444dに対しては、非接触で隙間が空いた状態となっている。
ところで、図15(a)に示すように、可動片450が固定鉄心441に吸引された状態を底面側から見てみる(可動片450側から見てみる)と、可動片450の金属板454が固定鉄心441の方に吸引されており、可動片450が第1立設板部444bおよび第2立設板部444cの切欠き部444dに入り込んだ状態となっていることがわかる。
可動片450は、図15(b)に示すように、その基端側に前述した挿入ピンが挿入される貫通孔451が形成されており、固定鉄心441と対向する面側に例えば長方形状の金属板454が設けられており、一方、先端側に遊技球を受ける凹部453と、出力口の方に遊技球を送り出すための傾斜部455とを備えている。
ソレノイド用電磁石440は、図15(c)に示すように、固定鉄心441とボビン442とコイル443とヨーク444とを備えている。固定鉄心441は、図16(a),(b)に示すように、頭付きの円柱形状となっているものであり、可動片450と対向する側に形成された円板状の頭部441aの直径よりも胴部441bの直径の方が小さくなっており、さらに基端部の方に胴部441bの直径よりも小さい挿入部441cを備えている。ボビン442は、図16(c),(d)に示すように、固定鉄心441が挿入される横断面視で円形の中空部を備えており、その外周側にはコイル443が巻き付けられている。
ヨーク444は、図16(f)に示すように裏面視でコノ字状(凹部状)となっており(正面視した場合も裏面視と同様にコノ字状となっている)、図16(e)に示すように底面視すると(開口側から見ると)、ボビン442に挿入された状態の固定鉄心441の基端側の挿入部441cが挿入される固定受444eが固定面部444aに形成されており、図16(e)に示すように側面視すると両立設板部444b,444cの先端側に例えばコノ字状の切欠き部444dが形成されている。
ヨーク444は、図16(e)〜(g)に示すように、容器本体411の容器部(図示省略)に取り付けられるよう、固定ネジが挿入されるネジ孔が形成された、天側あるいは底側から見るとLの字状の取付部444fを備えている。つまり、ヨーク444の取付部444fのネジ孔にネジを挿入して容器本体411の容器部(図示省略)に当該ネジを螺入することで、ヨーク444つまりソレノイド用電磁石440が容器本体411に締結されるようになっている。
なお、上述したボビン442は本発明の中空部材に相当し、上述した周縁突出部445は本発明の被当接部に相当し、上述した軸支部460は本発明の軸支手段に相当し、上述した止め部414は本発明の止め手段に相当する。
ここで、本実施例のパチンコ機10での発射ユニット410内の球送りソレノイド430の吸引動作について、図18を用いて以下に説明する。図18(a)は、本実施例の球送りソレノイド430の吸引時の磁気回路を示す図であり、図18(b)は、本実施例の球送りソレノイド430の吸引時の磁気回路を示す図であり、図18(c)は、本実施例よりも劣る別の球送りソレノイド490の吸引時の磁気回路を示す図であり、図18(d)は、図18(c)に示した球送りソレノイド490の吸着時の磁気回路を示す図である。
図18(a)に示すように、本実施例の球送りソレノイド430の吸引時には、球送りソレノイド430のコイル443に通電されて、実線で示す磁気回路の他に、破線で示す新規なもう一つ別の磁気回路(追加磁気回路)が形成される。図18(c)に示す本実施例とは別の球送りソレノイド490では、実線で示す磁気回路しか形成されていない。すなわち、本実施例の球送りソレノイド430では、破線で示す新規なもう一つ別の磁気回路(追加磁気回路)が形成されていることから、図18(c)の球送りソレノイド490と比べて、吸引力が増加(アップ)している。
図18(b)に示すように、コイル443への通電が維持されており、可動片450の吸引状態の場合には、本実施例の球送りソレノイド430は、両方の立設板部444b,444cと可動片450の金属板454との間と、固定鉄心441と可動片450の金属板454との間とは、非接触で隙間が形成されているが、微小隙間であることから、磁気回路は問題なく形成されており、可動片450の金属板454の固定鉄心441への吸引状態を良好に維持することができる。
ところで、コイル443への通電を停止し、非通電状態とした場合には、本実施例の球送りソレノイド430では、前述したように、両方の立設板部444b,444cと可動片450の金属板454との間と、固定鉄心441と可動片450の金属板454との間とは、非接触で隙間が形成されていることから、これらの隙間が磁気回路の遮断点SPとなり、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができ、可動片450を迅速に固定鉄心441から離間させることができる。つまり、図18(d)に示す球送りソレノイド490では、可動片450の金属板454が固定鉄心441に吸引された状態において、ヨーク444の先端側と可動片450の金属板454とが接触したままの状態であるため、コイル443を非通電としても残留磁気による吸着力のため可動片450が固定鉄心441から離れない、あるいは離れ難いなどの問題が生じる。すなわち、本実施例の球送りソレノイド430では、両方の磁気回路を両方の立設板部444b,444cと可動片450の金属板454との間の隙間(2点の遮断点SP)で切断できることから、図18(d)の球送りソレノイド490と比べて、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができる。
上述したように、本実施例1のソレノイド用電磁石440によれば、固定鉄心441と、この固定鉄心441が嵌入される中空部を有する、非磁性体のボビン442と、このボビン442の外周で固定鉄心441の軸心周りとなるように巻きつけられたコイル443と、このコイル443の巻きつけられたボビン442の中空部に嵌入された状態の固定鉄心441の基端側が固定される、磁気を通すヨーク444とを備えたソレノイド用電磁石440において、ボビン442の先端側の少なくとも周縁部に、固定鉄心441の先端側の面よりも微小突出した周縁突出部445を備え、ヨーク444は、固定鉄心441の基端側を固定するための固定受444eを有する固定面部444aと、この固定面部444aを側面視した状態で当該固定面部444aの両端側が固定鉄心441の存する方にそれぞれ立設した両立設板部444b,444cとを備え、両方の立設板部444b,444cのうちで、可動片450の軸支される基端側に近い方の立設板部である第1立設板部444bの先端側には、可動片450の金属板454の基端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部444dを備え、可動片450の軸支される基端側とは反対側の先端側に近い方の立設板部である第2立設板部444cの先端側には、可動片450の金属板454の基端側とは反対側の先端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部444dを備え、第1立設板部444bおよび第2立設板部444cの切欠き部444dの底部高さH1をボビン442の先端側の周縁突出部445の高さH2よりも低くしている。
したがって、このようなソレノイド用電磁石440を球送りソレノイド430に採用した場合には、コイル443に通電することで、球送りソレノイド430の可動片450が固定鉄心441に吸引され、この可動片450がボビン442の先端側の周縁突出部445に当接した状態となるが、可動片450は固定鉄心441と両方の立設板部444b,444cとに直接に接触するのではなく、可動片450は固定鉄心441と両方の立設板部444b,444cとのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、ヨーク444の両方の立設板部444b,444cの製造精度で当該隙間を実現でき、従来例のようなソレノイドとは別体の位置決め部材などで隙間を調整するという隙間調整作業を不必要にでき、取付精度がばらつくという問題を解消できる。
さらに、ヨーク444に両立設板部444b,444cを設けているので、コイル443の通電時には、固定鉄心441と一方の立設板部444bと可動片450とを磁気が通る第1の磁気回路と、固定鉄心441と他方の立設板部444cと可動片450とを磁気が通る第2の磁気回路とを形成することができ、つまり、2つの環状の磁気回路を形成することができ、吸引力を増加させることができる。すなわち、従来の1つの環状の磁気回路に比してさらにもう一つ磁気回路を形成することができ、その新規に形成された磁気回路の分だけ吸引力を増加させることができる。また、可動片450は固定鉄心441と両方の立設板部444b,444cとのそれぞれに対して所定の隙間を空けた状態で吸引されているので、コイル443の非通電時には、それらの隙間により磁気回路が遮断され、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができ、吸引力のみを増加させることができ、吸引力を効率良く増加させることができ、従来例のような増加した残留磁気吸着力よりも強い力で可動片450を強制的に引き離すように復帰させる復帰バネを不必要にできる。
その結果、可動片450と電磁石との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸着力を効率良く増加させることができるソレノイド用電磁石440を提供することができる。
また、ボビン442の先端側の少なくとも周縁部に、固定鉄心441の先端側の面よりも微小突出した周縁突出部445を設けているので、ボビン442とは別体で当該ボビン442の外周側に専用の被当接部(非磁性体で当接される部材)を設ける必要がないため、スペースメリットが高く、放熱性が悪化することもない。
また、コイル443の通電時には、球送りソレノイド430の可動片450が固定鉄心441に吸引され、この可動片450がボビン442の先端側の周縁突出部445に当接した状態となるが、可動片450は、固定鉄心441と両方の立設板部444b,444cとに直接に接触するのではなく、固定鉄心441と両方の立設板部444b,444cとのそれぞれに隙間を空けた状態となっているので、可動片450が永久磁化されることも低減できる。
また、両方の立設板部444b,444cのうちで可動片450の軸支される基端側に近い方の立設板部である第1立設板部444bの先端側に、可動片450の金属板454の基端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部444dを備え、ヨーク444は、第1立設板部444bの先端側の高さではなく、第1立設板部444bの先端側の切欠き部444dの底部高さをボビン442の先端側の周縁突出部445の高さよりも低くしているので、可動片450が非吸引状態において当該可動片450の金属板454の基端側部分をヨーク444の第1立設板部444bの先端側の切欠き部444d内に配置することができ、コイル443の通電による磁気回路形成時の磁気をヨーク444から可動片450の金属板454に効率良く通すことができ、始動時(可動片450の吸引開始時)の吸引力を向上させることができる。しかも、可動片450の吸引状態では、可動片450の基端側と第1立設板部444bの切欠き部444dとの間に隙間を形成することができ、コイル443を非通電とした際においてこの隙間により磁気回路を遮断することができ、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができる。
また、両方の立設板部444b,444cのうちで可動片450の軸支される基端側とは反対側の先端側に近い方の立設板部である第2立設板部444cの先端側に、可動片450の金属板454の基端側とは反対側の先端側部分が進入可能な凹形状の切欠き部444dを備え、ヨーク444は、第2立設板部444cの先端側の高さではなく、第2立設板部444cの先端側の切欠き部444dの底部高さをボビン442の先端側の周縁突出部445の高さよりも低くしているので、可動片450が吸引状態において当該可動片450の金属板454の先端側部分をヨーク444の第2立設板部444cの先端側の切欠き部444d内に吸引位置させることができ、コイル443の通電による磁気回路形成時の磁気をヨーク444から可動片450の金属板454に効率良く通すことができ、可動片450の吸引状態の吸引力を向上させることができる。しかも、可動片450の吸引状態では、可動片450の先端側と第2立設板部444cの切欠き部444dとの間に隙間を形成することができ、コイル443を非通電とした際においてこの隙間により磁気回路を遮断することができ、残留磁気による吸着力を極端に低くすることができる。
また、本実施例の球送りソレノイド430によれば、本実施例のソレノイド用電磁石440を備えているので、前述したように、可動片450とソレノイド用電磁石440との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を向上させることができ、しかも残留磁気による吸着力を極端に低減することができる。
また、本実施例のパチンコ機10によれば、本実施例の球送りソレノイド430を備えているので、前述したように、可動片450とソレノイド用電磁石440との隙間調整の煩雑さを解消でき、吸引力を向上させることができ、しかも残留磁気による吸着力を極端に低減することができる。つまり、可動片450の変位動作の信頼性が向上し、かつ、可動片450の吸引力が向上した球送りソレノイド430を採用しているので、従来のソレノイドによる不具合を低減することができ、遊技の信頼性を向上させることができる遊技機を提供することができる。