JP2006323289A - 光学補償素子及びその評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶表示装置に組込み、複屈折に基づく光学特性を補償して視角特性を改善でき、表示画質の低下をもたらすようなコントラスト低下を防止した光学補償素子であり、光学補償素子を液晶表示装置内に組込むことなく、光学補償素子単体で光学特性の評価が簡単で、高価な評価装置を用いない光学補償素子及びその評価方法を提供する。
【解決手段】液晶性分子材料を用いた光学補償素子の光学特性の評価方法において、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察し、液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさを評価し、該ドメインの大きさが直径5μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学補償素子及びその評価方法に関する発明である。さらに詳しくは、液晶ディスプレイ、液晶テレビジョン、液晶を利用したモバイル製品等の部材として利用できる光学フィルムの光学補償素子及びその性能を評価する方法に関するものである。
重合性液晶を用いた光学素子への関心が高まってきており、例えば特許文献1にあるように、液晶表示装置の画質を向上させるために、液晶を利用し、複屈折に基づく光学特性を補償して視角特性を改善した光学補償素子が広く知られている。このような光学補償素子においては、特許文献2で示すように、液晶分子の傾きや液晶層の厚みを制御して、膜厚方向の屈折率を制御することで、視野角特性の改善等の視認性を向上させている。しかし、重合性液晶を用いる場合には、液晶が十分に配向していないと光漏れという現象が生じ、液晶表示装置に組み込んだ際に、コントラストの低下等の画質を低下させる要因となる。このような光学補償素子の性能を評価する方法は、実際に光学補償素子を液晶表示装置内に組み込んで、コントラスト等の表示における特性を調べる手法しかないのが、現状である。
また特許文献3には、重合性液晶から成る円偏光分離層において、片表面における単位面積あたりのドメイン平均数10万個/mm以下、およびドメイン数のバラツキが2万個/mm以下の状態で配向していると、光利用効率に優れて高輝度の光源装置や良視認の液晶表示装置が得られるとしている。しかし、光学補償素子においては、ドメインの大きさを具体的に規定したものはなく、またドメイン構造とヘーズの関係を明らかにした文献もない。
また、光学補償素子である配向膜自身を観察、評価する方法としては、特許文献4、および5に開示されているような配向膜の反射光の偏光状態を観察する方法があるが、これらの方法では高価な機械が必要であり、またその操作も煩雑である。
特開2003−227935 特開2001−188125 特開平10−339867 特開平9−90368 特開2001−41850
したがって、本発明は液晶表示装置に組み込んで、複屈折に基づく光学特性を補償して視角特性を改善でき、表示画質の低下をもたらすようなコントラストの低下を防止した光学補償素子を提供でき、かつ光学補償素子を液晶表示装置内に組み込んで、光学特性を評価することなく、光学補償素子単体で光学特性の評価が簡単で、高価な評価装置を用いることがない光学補償素子及びその評価方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、液晶性分子材料を用いた光学補償層を有する光学補償素子において、該光学補償層の表面が、液晶性分子の軸方位の違いによる粒状のドメインを形成し、該ドメインの大きさが直径5μm以下であることを特徴とする光学補償素子である。請求項2の発明は、請求項1に記載の光学補償層が透明基材上に形成されたことを特徴とする。請求項3の発明は、請求項1または2に記載の光学補償層のヘーズが、0.1以上0.4未満の範囲であることを特徴とする。
請求項4の発明は、液晶性分子材料を用いた光学補償層を有する光学補償素子の光学特性の評価方法において、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察し、液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさが直径5μm以下か否かを調べて、評価することを特徴とする。
本発明の光学補償素子は、液晶性分子材料を用いた光学補償層を有するもので、該光学補償層の表面が液晶性分子の軸方位の違いによる粒状のドメインを形成し、該ドメインの大きさが直径5μm以下であることを特徴とするものである。このように光学補償層の表面に、微小な粒状(島状)のドメインが直径5μm以下で形成されていると、その光学補償素子を液晶表示装置に組み込んだ際、複屈折に基づく光学特性を補償して視角特性を改善でき、すなわち視野角が広がり、また透明性が高く、すなわちヘイズが低く、コントラストが高い表示が得られることがわかった。
また、本発明の光学補償素子の光学特性の評価方法は、液晶性分子材料を用いた光学補償層を有する光学補償素子に対し、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察し、液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさが直径5μm以下か否かを調べて、直径5μm以下であれば良好と判断して、評価するものである。この評価方法によれば、光学補償素子を実施に使用する液晶表示装置内に組み込んで評価する手間を必要とせず、光学補償素子単体で光学特性の評価を簡単に行うことができ、また高価な評価装置となることはない。
まず、本発明における光学補償素子について、詳細に説明する。光学補償素子は液晶性分子材料を用いた光学補償層単体で形成したり、また透明基材上に光学補償層を設けた構成であってもよい。
(透明基材)
透明基材としては、液晶性分子材料を配向させる際の加熱等の処理により、基材の表面状態や耐久性に不具合を生じないものであれば特に制限はない。透明基材として、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース等のセルロース系樹脂等の透明性を有する樹脂フィルムからなるフィルムが挙げられる。
さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリウレタン系樹脂等の透明樹脂からなるフィルムも挙げられる。これらのフィルムからなる単層又は積層フィルムであってもよく、また延伸されていてもよい。また、透明基材は上記のフィルムだけではなく、ガラス板であってもよい。透明基材の厚さは、通常25μm〜1000μm程度である。
透明基材として、可視光(380nm〜780nm)における平均光透過率が50%以上、好ましくは、70%以上、より好ましくは85%以上である。尚、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。上記に挙げた透明基材の中でも、複屈折がないトリアセチルセルロース樹脂フィルムが、光拡散フィルムを偏光素子と積層し、拡散層付の偏光板を作製することが可能であり、さらにその偏光板を用いて視認性の良好な液晶表示装置を得ることが出来るので、特に好ましい。
また、光学補償素子を構成する基材に対し、無機物を蒸着処理したり、有機被膜を設け、その表面をラビング処理して、基材に配向膜を形成したり、基材を延伸処理する等の配向処理を施すことが可能である。また、特定の偏光方向を持つ活性エネルギー線の照射により、材料の表面に異方性を生成し、これにより偏光方向に平行または垂直に液晶性モノマーを配向させる光配向技術も挙げることが出来る。光配向技術には分子そのものが変化する二量化反応と分子の形状のみが変化する異性化反応、光分解反応などがある。二量化によって液晶相に対する配向能が得られる材料としてはポリビニルシンナメート(PVCi)が良く知られている。これは、偏光紫外光の照射によって偏光と平行な二つの側鎖の二重結合部分が開き、互いに再結合するものである。他にも、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基を持つ材料でもよい。異性化の代表的な材料としてはアゾベンゼンが挙げられる。本発明では、光配向技術を用いて光学補償層を形成することが特に好ましく行なわれる。上記の各種の配向処理では、工業的生産性において、効率的でなく、製品の歩留まりが低い点等の問題が多いので、光配向技術を用い、本発明の光学補償層を形成することが好ましい。
また、上記のポリカーボネートのような樹脂を延伸したフィルムは、“正のAプレート”として機能し、透明基材として、用いてもよい。ここで、図2(a)に示すように、層面Sの法線方向にz軸、層面S内の直交方向をx軸とy軸をとり、x軸方向、y軸方向、z軸方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、nx>ny=nzの関係にある位相差層が、層面S内に光学的に正の一軸性を有する位相差層であり、これを“正のAプレート”と称される。
(光学補償層)
本発明の光学補償層は、液晶性分子材料からなるものである。その液晶性分子材料としては、ネマチック液晶性分子材料、コレステリック液晶性分子材料、ディスコチック液晶性分子材料を用いることができるが、中でも分子内に重合性官能基を有するものが好適に用いられ、中でも3次元架橋可能な重合性官能基を有するものが好ましい。
重合性官能基を有するものであれば、透明基材上に光学補償層を設けた後、光の照射によって光重合開始剤から発生したラジカル、または電子線等の作用により、液晶性分子材料を高分子化(架橋)することが可能となるので、液晶性分子材料が経時的に、ブリードアウトする等の不具合を防止することが可能となり、安定して使用することができるからである。なお、「3次元架橋」とは、液晶性分子を互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることを意味する。
上記の重合性官能基としては、特に限定されるものではないが、紫外線照射によって光重合開始剤から発生したラジカルの作用により重合する重合性官能基が用いられ、具体的には少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を持つ官能基が挙げられる。さらに具体的には、置換基を有する、もしくは有さないビニル基、アクリレート基等が挙げられる。また液晶性分子材料は、中でも分子構造が棒状である液晶性分子であって、末端に上記重合性官能基を有するものが特に好適に用いられる。例えば両末端に重合性官能基を有するネマチック液晶性分子を用いれば、互いに3次元に重合して、網目(ネットワーク)構造の状態にすることができ、より強固に固定化された液晶層が得られるからである。
具体的には末端にアクリレート基を有する液晶性分子材料が好適に用いられる。末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性分子の具体例として、下記化学式〔化1〕〜〔化11〕等が挙げられる。なお、一般化学式〔化11〕で示される液晶性モノマーの場合、Xは2〜5(整数)であることが好ましい。
Figure 2006323289
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上記に示した分子末端にアクリレート基を有するネマチック液晶性分子の例に限らず、ネマチック液晶性を有し、かつ分子末端に1個以上の重合性官能基を有するものであれば、適宜、他のネマチック液晶性分子を使用することができる。また、適宜、数種類の液晶性分子材料を混合して使用しても良い。
また、本発明においては、ネマチック液晶にカイラル剤を加えた、コレステリック規則性を有するカイラルネマチック液晶を、好適に使用することができる。カイラル剤としては、光学活性な部位を有する低分子化合物であり、分子量1500以下の化合物を意味する。カイラル剤は主として、ネマチック液晶性分子化合物が発現する正の一軸ネマチック規則性に、螺旋ピッチを誘起させる目的で用いられる。この目的が達成される限り、ネマチック液晶性分子化合物と、溶液状態あるいは溶融状態において相溶し、上記ネマチック規則性をとりうる重合性液晶化合物の液晶性を損なうことなく、これに所望の螺旋ピッチを誘起できるものであれば、カイラル剤としての低分子化合物の種類は特に限定されないが、分子の両末端に重合性官能基があることが、耐熱性の良い光学素子を得る上で好ましい。
液晶に螺旋ピッチを誘起させるために使用するカイラル剤は、少なくとも分子中に何らかのキラリティーを有していることが必須である。したがって、本発明で使用可能なカイラル剤としては、例えば1つあるいは2つ以上の不斉炭素を有する化合物、キラルなアミン、キラルなスルフォキシド等のようにヘテロ原子上に不斉点がある化合物、あるいはクムレン、ビナフトール等の軸不斉を持つ化合物が例示できる。カイラル剤として、例えば一般化学式〔化12〕〜〔化14〕に示されるようなカイラル剤を用いることができる。なお、一般化学式〔化12〕、〔化13〕で示されるカイラル剤の場合、Xは2〜12(整数)であることが望ましく、また、一般化学式〔化14〕で示されるカイラル剤の場合、Xが2〜5(整数)であることが望ましい。
Figure 2006323289
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また液晶性分子材料として、ディスコチック(円盤状)液晶性分子材料を用いることができる。このディスコチック液晶性分子材料は、一般的に分子の中心骨格が平板状で、かつその周りにアルキル鎖などの屈曲性に富む部分からなる構造を有する液晶性化合物である。ディスコチック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコチック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。
光学補償層は、上記に説明した液晶性分子材料と、その液晶性分子材料を溶解もしくは分散させる有機溶剤と、カイラル剤や重合開始剤、可塑剤、界面活性剤、シランカップリング剤等の添加剤を必要に応じて、液晶性分子材料の配向や光学特性に悪影響を与えない範囲で加え、塗工液を調整し、基材上に塗工して形成することができる。その形成方法は、均一に塗布することができる方法であれば、塗布方法を特に限定するものではない。例えば、バーコーティング、ブレードコーティング、スピンコーティング、ダイコーティング、スリットリバース、ロールコーティング、ディップコーティング、インクジェット法、マイクログラビア法等が挙げられる。また、上記において、基材上に光学補償層を塗工して積層した構成と、基材上に設けた光学補償層を、基材から分離(剥離)して、光学補償層単体で、光学補償素子を構成することもできる。
上記のように、形成される光学補償層の重量は、得られる光学補償素子の位相差のレベル(リタデーション値)により異なるものであるが、乾燥後の状態で、0.8g/m〜6g/mの範囲、特に1.6g/m〜5g/mの範囲内が好ましい。以上のように、光学補償層形成用塗工液を塗布した後に、有機溶剤を除去するために、乾燥を行なう。乾燥条件は、40〜100℃程度の範囲で、30秒〜5分程度の時間で乾燥を行なう。この乾燥により、塗工液の有機溶剤が除去され、また液晶性分子材料が基材の塗工された面に対して配向される。また塗工液が、ネマチック液晶にカイラル剤を加えたものであれば、液晶性分子が螺旋状に基材の平面と水平に、螺旋状に配向される。
本発明の光学補償素子は、液晶性分子材料を用いた光学補償層を有するもので、該光学補償層の表面が、液晶性分子の軸方位の違いによる粒状のドメインを形成し、該ドメインの大きさが直径5μm以下である特徴を有するものである。上記の液晶性分子の軸方位の違いにより形成されるドメインは、図1に概略的に示すように、基材1上に光学補償層2を設け、その光学補償層2において、棒状の液晶性分子3の軸4が、Aの領域(ドメイン)では基材1に対して、斜めの方位に配向されている。それに対して、Bの領域(ドメイン)では基板1に対して、垂直の方位に配向され、Aの領域が粒状(島状)のドメインを形成している。この図1では、Aで示される粒状のドメインの大きさが直径5μm以下である。
光学補償層における液晶性分子の位置する軸方位の違いによりドメインを形成する際に、ドメインにおける粒状の大きさが直径5μm以下にするためには、例えば、液晶性分子材料の種類に応じた配向温度としての乾燥温度を調整したり、基板と光学補償層との間の中間層として、配向膜を形成し、その配向膜の偏光条件を調整すること等が挙げられる。尚、配向膜については、後記で説明していく。
基材上に、光学補償層用塗工液を塗布し、乾燥させ、該塗工液の有機溶剤を除去し、液晶性分子材料が配向された後に、光学補償層を固定化させることが好ましく行なわれる。使用する液晶性分子材料が重合性官能基を有する場合は、液晶性分子材料を重合させて高分子化するために、固定化が行われる。このような固定化を行うことにより、一旦基材上に設けた光学補償層から、液晶性分子材料が染み出すことを防止することが可能となり、得られる光学補償素子の安定性を向上させるものである。この固定化は、用いる液晶性分子材料により種々の方法が用いられる。例えば、液晶性分子材料が架橋性化合物である場合は、光重合開始剤が含有されて紫外線が照射され、または電子線が照射され、熱硬化性化合物であれば加熱され、固定化が行なわれる。
また、光学補償層を有する光学補償素子は、例えば液晶性分子材料として、その分子構造が、カイラル剤を含有するものを使用して、配向した場合、“負のCプレート”として機能して使用することができる。ここで、図2(b)に示すように、nx=ny>nzの関係にある位相差層(光学補償層)が層面Sの法線方向に光学的に負の一軸性を有する位相差層であり、これを“負のCプレート”と称される。
本発明では、光学補償層のヘーズが、0.1以上0.4未満の範囲であることが好ましく、ヘーズを低く抑えることにより、透明性が高くなり、光学補償素子を液晶表示装置内に組み込んだ際、コントラスト等の表示における性能が高くなる。本発明で規定するヘーズは、全てJIS K 7361に規定する方法に準じて測定したヘイズ値である。本発明で得られる光学補償素子は、可視光(380nm〜780nm)における平均光透過率が50%以上、好ましくは、70%以上、より好ましくは85%以上である。
(中間層)
本発明の光学補償素子は、透明基材と光学補償層との間に1層または2層の中間層を設けることができる。その中間層としては、光学補償層における液晶性分子を配向させる機能を持つ配向膜、または可塑剤などの溶出をブロックするブロック層であり、その両方でも良い。
配向膜としては、従来使用されている各種ポリマーやカップリング剤を使用でき、配向膜となるポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸−メタクリル酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン−ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート等のポリマーが挙げられる。カップリング剤として、シランカップリング剤を挙げることができる。
前記の配向膜形成後に、適宜ラビング処理等の配向処理、任意の偏光状態をもつ紫外線照射による配向処理等を実施しても良い。また、任意の偏光状態の光を照射することにより、その偏光方向に二量化反応等の化学反応が起こり、配向膜の機能を有する光配向膜を使用しても良い。二量化によって液晶の配向が得られる材料としては、ポリビニルシンナメート(PVCi)が知られている。偏光紫外光の照射によって、偏光と平行な2つの側鎖の二重結合が部分が開き、互いに再結合するものである。他にも、シンナモイル基、クマリン基、カルコン基を持つ材料でもよい。
また、中間層として、ブロック層を形成することもできる。当該ブロック層によって、光学補償層等からの可塑剤の溶出をブロックすることができる。ブロック層を形成する材料としては、各種モノマーまたはオリゴマーなどのプレポリマーが使用でき、特に紫外光の照射によって硬化する紫外線硬化樹脂が賞用される。このブロック層はブロック層形成後に、適宜プラズマ処理、オゾン処理、コロナ処理等の後処理を実施することもできる。中間層の形成方法としては、上記の光学補償層と同様の塗布方法が挙げられる。また中間層の重量は、乾燥後の状態で、0.1g/m〜5g/mの程度である。
(光学補償素子の評価方法)
本発明の光学補償素子の光学特性の評価方法は、上記に説明した液晶性分子材料を用いた光学補償層を有する光学補償素子に対し、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察し、液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさが直径5μm以下か否かを調べて、直径5μm以下であれば良好と判断して、評価するものである。その評価方法で使用する偏光顕微鏡は、物質のもつ異方性を利用して試料の観察をするためのものである。その基本構成は、偏光子(ポラライザー)と検光子(アナライザー)とを明視野顕微鏡に試料を挾んで配置したものである。この偏光顕微鏡では、光源からの偏光していない照明光を偏光フィルターからなる偏光子で偏光にかえて、サンプル(試料)に当て、サンプルから透過した光を偏光フィルターからなる検光子でふるいにかける。検光子を通過した光の試料の像から、試料の光学的異方性を利用して試料の観察がなされる。
偏光子と検光子は、その偏光軸が直交している(クロスニコルという)ため、サンプルで偏光が乱されなかった光は、検光子を透過できず、サンプルで偏光が乱さた場合に乱された偏光成分だけが、検光子を透過し通り抜ける。したがって、検光子を通過した光の試料の像は、偏光性を乱す性質のあるサンプル中の成分が抽出されており、こうした試料の光学的異方性から試料の観察を行っている。偏光顕微鏡は、光波の振動状態、つまり偏光を利用して、複屈折性を有する試料の観察に用いられる。その複屈折とは、物質の方向によって屈折率が異なる現象で、光学的異方性をもつ物質に光が入射するとき、一般に2つの屈折光が現れる。その2つの屈折光は、光学軸の方向以外では光線速度が異なり、どちらも直線偏光で、振動方向は互いに垂直である。言い換えると、複屈折性物質を通過した光(電磁波)は、電場の振動方向によって位相が異なって出てくる。
したがって、偏光顕微鏡は、光学的な分解限界以下の分子オーダの情報、特に分子の配向性に関する情報が得られるので、本発明の光学補償素子の光学特性を調べる上で、有用なものである。図3に、本発明の光学補償素子の一例を、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察して、撮影した拡大写真である。写真で見る通り、粒状のドメインが散らばっており、その粒状のドメインの大きさが5μm以下となっている。但し、本発明ではドメインの大きさを調べる際、光学補償層の表面の単位面積が平均で1mm当たりに存在する粒状のドメインを対象として、測定し調べたものであり、またその大きさは5μm以下とは、直径が5μmの円形の内側に、粒状のドメインが収納されるものである。また、ドメインの輪郭が明瞭ではないものは、粒状のドメインとは定義されない。本発明における粒状のドメインは、偏光顕微鏡の対物レンズ倍率20倍で観察して、点または線によって区切られる閉じた領域を、本発明におけるドメインと定義する。本発明では、光学補償層の表面が、液晶性分子の軸方位の違いによる粒状のドメインを形成し、該ドメインの大きさが直径5μm以下であると規定しているが、上記のドメインの定義から、偏光顕微鏡による拡大写真から目視判断できる条件として、実質的に0.5μm程度がドメインの大きさの下限となる。
上記のように、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察し、液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさが直径5μm以下か否かを調べて、直径5μm以下であれば良好と判断して、評価する。その良好と評価された光学補償層を有する光学補償素子を液晶表示装置に組み込んだ際に、視野角が広く、また透明性が高く、すなわちヘーズが低く、コントラストの高い表示が得られる。それに対して、粒状のドメインの大きさが直径5μmよりも大きくなった光学補償層を有する光学補償素子を液晶表示装置に組み込んだ場合、光漏れの現象が生じ、ヘーズが高く、コントラストの低下した表示画質となる。上記の表示画質が生じることは、光学補償層に存在する多数の液晶性分子において、その液晶性分子の軸方位がずれているものが少ないもの、言い換えれば液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさが直径5μm以下であるものが、液晶表示装置に組み込んだ際に、視野角が広く、また透明性が高く、コントラストの高い表示が得られる。また、光学補償層に存在する多数の液晶性分子において、その液晶性分子の軸方位がずれているものが多いもの、言い換えれば液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさが直径5μmを越えるものが、液晶表示装置に組み込んだ際に、視野角が狭く、また透明性が低く、コントラストの低下した表示となる。
本発明の光学補償素子は、単独で位相差フィルム(位相差板)、光学補償フィルム(光学補償板)等として使用でき、実用に際して、他の光学補償層や偏光板と積層した光学素子として用いることができる。また、上記の光学補償フィルムや、光学素子を光路に配置した表示装置に利用することができる。
以下実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
(実施例1)
100mm×100mmのガラス基板上に、光二量化反応を起こすプレポリマーをスピンコートし、90℃のオーブンに2分間入れて乾燥させ、偏光UVを照射した。続いて、48〜51℃で配向する液晶性分子材料をスピンコートし、48℃のオーブンに入れて、2分間加熱処理することにより、液晶の配向を完了させた。その後、試料をオーブンから取り出し、窒素雰囲気下で、非偏光のUVを100mJ/cmの強度で露光し、光学補償層を固定した。こうして得られたサンプルをヘーズメーターで観察すると、ヘーズは0.21であった。また得られたサンプルを偏光顕微鏡(OLYMPUS社製)によりクロスニコル下で、また対物レンズ倍率20倍の条件で、観察すると、粒状のドメインの大きさは直径1〜4μm程度であった。
(実施例2)
トリアセチルセルロースフィルム(TAC)に、アクリル酸エステルモノマーのペンタエリスリトールトリアクリレート(KAYARAD PET−30、日本化薬製)を主成分としたインキにより、ハードコート層を塗工して、UV硬化させた。このハードコート層上に、光二量化反応を起こすプレポリマーをスピンコートし、90℃のオーブンに2分間入れて乾燥させ、偏光UVを照射した。続いて、38〜51℃で配向する液晶性分子材料をスピンコートし、50℃のオーブンに入れて3分間加熱処理することにより、液晶の配向を完了させた。その後、試料をオーブンから取り出して窒素雰囲気下で、非偏光のUVを100mJ/cmの強度で露光し、光学補償層を固定した。こうして得られたサンプルをヘーズメーターで観察すると、ヘーズは0.21であった。また得られたサンプルを偏光顕微鏡(OLYMPUS社製)によりクロスニコル下で、また対物レンズ倍率20倍の条件で、観察すると、粒状のドメインの大きさは直径1〜4μm程度であった。
(比較例1)
100mm×100mmのガラス基板上に、光二量化反応を起こすプレポリマーをスピンコートし、90℃のオーブンに2分間入れて乾燥させた。続いて、48〜51℃で配向する液晶性分子材料をスピンコートし、51℃のオーブンに入れて偏光UVを照射せずに2分間加熱処理することにより、液晶の配向を完了させた。その後、試料をオーブンから取り出して非偏光のUVを100mJ/cmの強度で露光し、光学補償層を固定した。こうして得られたサンプルをヘーズメーターで観察すると、ヘーズは18.20であった。また得られたサンプルを偏光顕微鏡(OLYMPUS社製)によりクロスニコル下で、また対物レンズ倍率20倍の条件で、観察すると、粒状のドメインの大きさは直径15μm程度であった。
(比較例2)
トリアセチルセルロースフィルム(TAC)に、アクリル酸エステルモノマーのペンタエリスリトールトリアクリレート(KAYARAD PET−30、日本化薬製)を主成分としたインキにより、ハードコート層を塗工して、UV硬化させた。このハードコート層上に、光二量化反応を起こすプレポリマーをスピンコートし、90℃のオーブンに2分間入れて乾燥させ、偏光UVを照射した。続いて、38〜51℃で配向する液晶性分子材料をスピンコートし、54℃のオーブンに入れて2分間加熱処理することにより、液晶の配向を完了させた。その後、試料をオーブンから取り出して窒素雰囲気下で、非偏光のUVを100mJ/cmの強度で露光し、光学補償層を固定した。こうして得られたサンプルをヘーズメーターで観察すると、ヘーズは7.12であった。また得られたサンプルを偏光顕微鏡(OLYMPUS社製)によりクロスニコル下で、また対物レンズ倍率20倍の条件で、観察すると、粒状のドメインの大きさは直径10μm程度であった。
実施例1、2で得られた光学補償素子は、全てヘイズが0.4より小さく、透明性が高く、また目視観察の白濁性に関しては、全て白濁は認められず、良好であった。また、得られた光学補償素子の光学補償層における表面が、液晶性分子の軸方位の違いによる粒状のドメインを形成し、該ドメインの大きさが直径5μm以下であった。この実施例1、2で得られた光学補償素子を液晶表示装置に組み込むと、複屈折に基づく光学特性を補償して視角特性を改善でき、視野角が広がり、また透明性が高く、コントラストが高い表示が得られた。
それに対し、比較例1、2で得られた光学補償素子は、全てヘイズが0.4より大きく透明性が低く、また目視観察の白濁性に関しては、全て白濁が認められた。また、得られた光学補償素子の光学補償層における表面が、液晶性分子の軸方位の違いによる粒状のドメインを形成し、該ドメインの大きさが直径5μmよりも大きいものであった。この比較例1、2で得られた光学補償素子を液晶表示装置に組み込むと、複屈折に基づく光学特性を補償する視角特性は悪く、視野角が狭く、また透明性が低く、コントラストが低い表示である。
また、上記の実施例1、2で得られた光学補償素子について、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察し、液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさが直径1〜4μm程度であり、すなわち直径5μm以下か否かを調べると、直径5μm以下であり、良好と判断できる評価であった。この実施例1、2で得られた光学補償素子を液晶表示装置に組み込むと、複屈折に基づく光学特性を補償して視角特性を改善でき、視野角が広がり、また透明性が高く、コントラストが高い表示が得られるものであった。このことは、実施例1、2において、光学補償素子を液晶表示装置内に組み込んで、光学特性を評価することなく、光学補償素子単体で、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察して、光学特性の評価が簡単に行え、また高価な評価装置を用いることがない評価方法を示すものであった。
光学補償層における液晶性分子の軸方位の違いにより形成されるドメインについて説明する概略図である。 正のAプレートと負のCプレートの説明をする概略図である。 本発明の光学補償素子の一例を、偏光顕微鏡により観察して撮影した拡大写真である。
符号の説明
1 基材
2 光学補償層
3 液晶性分子
4 軸

Claims (4)

  1. 液晶性分子材料を用いた光学補償層を有する光学補償素子において、該光学補償層の表面が、液晶性分子の軸方位の違いによる粒状のドメインを形成し、該ドメインの大きさが直径5μm以下であることを特徴とする光学補償素子。
  2. 前記の光学補償層が透明基材上に形成されたことを特徴とする請求項1に記載する光学補償素子。
  3. 前記の光学補償層のヘーズが、0.1以上0.4未満の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償素子。
  4. 液晶性分子材料を用いた光学補償層を有する光学補償素子の光学特性の評価方法において、偏光顕微鏡により光学補償層の表面を観察し、液晶性分子の軸方位の違いにより形成された粒状のドメインの大きさが直径5μm以下か否かを調べて、評価することを特徴とする光学補償素子の評価方法。
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