JP2006315926A - 転炉副生ガスの処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】LDG中のCO2をCOに改質し、LDGのカロリーアップならびにLDGの増幅増量を図る転炉副生ガスの処理方法を提供する。
【解決手段】転炉より発生する副生ガス中に含まれるCO2を、吸収塔に供給されるCO2吸収液で除去し、該CO2吸収液を再生塔で再生させることにより放出されるCO2を転炉に吹き込まれる酸素と混合し、該CO2を転炉々内で溶鉄中のCと反応させてCOに改質することを特徴とする転炉副生ガスの処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、転炉より発生する副生ガス(以下、LDGという)中のCO2をCOに改質し、LDGのカロリーアップならびにLDGの増幅増量を図る転炉副生ガスの処理方法に関する。
製鉄所で発生する副生ガスのうち、LDGはその発生・回収形態からLDG中に含まれるCO濃度の変動が大きい。
すなわち、転炉はバッチ操業であるために、炉内からのガス発生の少ない吹錬の開始・終了時にあっては、転炉々口とLDG回収設備との隙間から引き込まれる浸入エアーによって、LDGの一部は燃焼し、CO濃度低下を来している。
また、最近の転炉技術として特開昭63-241107号公報に記載されているように、原料自由度の拡大を狙い転炉々内でCOをCO2まで燃焼させ、その反応熱を利用してスクラップ溶解する方法が提案されている。このためLDG中に含まれるCO濃度は、従来以上に変動が大きくなっており、これに伴ってLDG中に含まれるCO2濃度は増大し、かつ、変動が大きくなっている。
このようなLDG中に含まれるCO濃度の変動により、LDGを燃料ガスとして利用する際にカロリー変動に対応し得るような対策が必要となり、例えばバーナー構造が複雑になるという問題点があった。
このような従来技術の問題点に対して、特開昭62-167390号公報では圧力変動式ガス吸着法にてLDG中のCO濃化方法が提案されている。
しかし、この特開昭62-167390号公報ではLDGの増幅増量には言及しておらず、またCO濃化の過程で生ずるLDGよりもさらにカロリーの低いオフガスを生成させるという問題点があった。
また、特開平4-239095号公報ではLDGを回収する煙道部分に石炭を供給し、LDG中CO2と石炭との反応でCOを生成させる方法が提案されている。
しかし、この方法は石炭を用いることによるS分の影響、特に煙道部分での硫酸酸性腐蝕による設備損傷が懸念されるが、その詳細や対策については言及されていなかった。
特開昭63-241107号公報 特開昭62-167390号公報 特開平4-239095号公報
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、LDG中のCO2をCOに改質し、LDGのカロリーアップならびにLDGの増幅増量を図る転炉副生ガスの処理方法を提供することを課題とする。
本発明は、前述の課題を解決するために、鋭意検討の結果なされたものであり、LDG中に含まれるCO2を転炉吹錬用酸素と混合することによって、これまで何ら改質されることなく大気に排出されていたLDG中のCO2をCOに改質し、LDGのカロリーアップならびにLDGの増幅増量を図る転炉副生ガスの処理方法を提供するものであり、その要旨とするところは、特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
(1)転炉より発生する副生ガス中に含まれるCO2を、吸収塔に供給されるCO2吸収液で除去し、該CO2吸収液を再生塔で再生させることにより放出されるCO2を転炉に吹き込まれる酸素と混合し、該CO2を転炉々内で溶鉄中のCと反応させてCOに改質することを特徴とする転炉副生ガスの処理方法。
(2)前記再生塔で必要な熱源として、転炉副生ガスの顕熱回収設備にて回収される蒸気を用いることを特徴とする(1)に記載の転炉副生ガスの処理方法。
地球環境問題への対応から、産業界では自主行動計画を立て、省エネルギーの推進、CO2等の温室効果ガス排出削減に鋭意努力している所である。
本発明によれば、これまで何ら改質されることなく大気に排出されていたCO2の一部をCOに転化し、このCOを燃料ガスとして利用することにより、LDGのカロリーアップならびにLDGの増幅増量を図ることができる。
またCO2を回収するに必要となる熱源も、従来は大気に放散されているガス顕熱から回収される蒸気を利用しているため、新たなエネルギーを必要としない。 以上のことから本発明は、大幅な省エネルギーを実現するとともに、炭酸ガス排出抑制に大きく貢献する産業上有用な著しい効果を奏する。
本発明の実施形態について、図1を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明における転炉副生ガスの処理方法の実施形態を例示する図である。
図1において、1は転炉、2はスカート、3は純水供給ポンプ、4はボイラードラム、5はアキュムレーター、6は吸収塔、7は再生塔を示す。
まず、転炉1で溶鋼中のCが酸化されてCOおよびがCO2からなるLDGが発生する。
前述のように、LDG中のCOおよびCO2の量は変動し、特に、炉内からのガス発生量の少ない吹錬の開始・終了時には、図1に示すスカート2からの浸入エアーによってLDGの一部を燃焼させて爆発限界を超えない操業を行う必要があるためLDG中のCO濃度が低下しCO2濃度が高くなるという問題点があった。
そこで、本発明の転炉副生ガスの処理方法においては、LDG中に含まれるCO2を吸収塔6に供給された吸収液で除去し、該CO2吸収液を再生塔7で再生させることにより放出されるCO2を転炉1に吹き込まれる酸素と混合し、該CO2を転炉々内で溶鉄中のCと反応させてCOに改質することを特徴とする。
LDG中に含まれるCO2は吸収塔6に供給されたアミン系などの吸収液で除去され、該CO2吸収液を再生塔7で再生させることにより放出されるCO2を転炉1に吹き込まれる吹錬用酸素と混合し、該CO2を転炉々内で溶鉄中のCと反応させてCOに改質することによってLDG中のCOの量と比率を増加させることができるのでLDGのカロリーアップが実現でき、その結果、LDGを加熱炉などの燃料として使用する際に混合するLNG量を低減させることができる。
また、再生塔7でCO2の分離のために必要となる熱源として、LDG顕熱回収設備にて回収される蒸気を利用することにより、LDGの顕熱を有効利用することができる。
LDG顕熱回収設備としては、例えば、図1に示すような純水供給ホポンプ3、ボイラードラム4、アキュムレーター5からなるボイラーシステムを構成することが好ましく、転炉1の操業によって発生するLDGの顕熱によって純水供給ポンプ3からボイラー4に供給される純水を加熱して蒸気を発生させ、蒸気をアキュムレーター5を介して再生塔7の操業に利用することによりLDGの顕熱を有効利用することができるうえ、転炉1と再生塔7の操業を同期させることができる。
すなわち、本発明のポイントは以下の通りである。
1)LDG中のCO濃度を濃化するために、CO2などの不必要なオフガスの生成
をミニマム化することができる。
2)またLDG中のCO濃度を濃化するに必要となるエネルギーとしてLDG顕熱回収設備にて回収される蒸気を利用することにより自己完結型とし、新たなエネルギー投入量をミニマム化することができる。
3)LDG中のCO2をCOに改質するために、Sを含む石炭などを用いないので、硫酸酸性腐食など既設LDG回収設備への負荷を与えない。
こうした着眼にあって、本発明は以下に記す構成にて具現化したものである。
すなわちCO濃度変動は、前述の通り転炉々内ならびに転炉々口部でのCO燃焼に由来することから、LDG中CO2のみを適当な手段にて除去することによって抑制することが可能である。
従って対象とするLDG流量規模から最も効率的なCO2除去方法であるCO2吸収液を利用した化学吸収法を採用した。また同技術にあっては、吸収塔6でCO2をCO2吸収液で除去し、同CO2吸収液を再生塔7で再生し、CO2を放出するに多量の熱源を必要とするが、同熱源としてLDG顕熱回収設備にて回収される蒸気を利用する。
すなわちLDGは非連続的なバッチ操業から発生するものであり、LDG顕熱回収設備にて回収される蒸気も非連続的な回収形態となる。当然LDG中の脱CO2処理も非連続的なバッチ操業となり、そこで必要とされる熱源の供給・需要ともマッチングすることとなり、新たなエネルギー投入量をミニマム化することとなる。さらに回収されたCO2を転炉吹錬に供している上吹き酸素に混合させ、転炉々内の溶鉄と酸素とが反応する火点にてCO2+C → CO なる反応によりCO2をCOに転化・改質を図ることができる。
また、転炉1は、ランスと呼ばれる水冷銅管製のノズルを介して上吹きにて酸素を炉内へ吹き込み、溶鉄中Cとの反応でCOを発生する。発生したCOの一部は上吹き酸素の一部と反応し、転炉炉内でCO2となる。特に転炉々内でスクラップ溶解を促進する場合にあっては、転炉々内でCOをCO2まで積極的に燃焼させている。
さらに炉内から発生したLDGは、ガス発生の少ない吹錬の開始・終了時にあって、転炉々口とLDG回収設備との隙間から引き込まれる浸入エアーによって一部が燃焼する。従って排ガス煙道内温度は千数百℃にも達することから、排ガス煙道はガス冷却を兼ねた機能となっており、同ガス冷却機をボイラー化することによって莫大な排ガス顕熱を蒸気として回収することができる。
またLDGは、前述のように回収過程で燃焼することでCO2濃度が高まる。
特にスクラップ溶解を積極的に実施している転炉では、LDG中CO2濃度が高い。このLDGを除塵した後、LDG中CO2を分離・回収するべくCO2吸収塔6へ導入する。CO2吸収塔6ではCO2吸収液を充填材に湿潤させ、LDGが通過することでLDG中CO2を吸収液中に吸収させる。CO2を除去された改質LDGはCO濃度が向上するうえ、濃度変動が低減するため燃料ガスとしての付加価値を高めることができる。
一方、CO2を吸収したCO2吸収液は再生塔7へ送られ、前述の回収蒸気を熱源とし120℃まで温度を高めることによってCO2離脱が生じ、CO2ガスとして回収され、さらにこの回収CO2を前述の上吹き酸素に希釈混合することにより、溶鉄中Cと CO2+C→ CO なる反応によりCOガスへの転化、増幅増量させることができる。
本発明の転炉副生ガスの処理方法を、下記の操業条件により転炉々内でスクラップ溶解を促進させた場合に適用した実施例について図2および図3に示す。
<転炉操業条件>
・CO2流量:5000Nm3/Hr
・O2流量:28645Nm3/Hr
・二次燃焼率:15%
・炉口侵入エアー:10333Nm3/Hr
図2に示す従来の転炉操業による比較例は、回収したCO2の全量を大気に放散した場合を示しており、回収されるLDG中CO濃度は 52%、CO2濃度は16%となっている。これにLDG中のCO2の分離除去を施すとLDG中CO濃度は 60.7%、CO2濃度は1.9% となり、ガスとしての付加価値は向上する。しかしながらここで回収されたCO2 10,512Nm3/Hrはそのまま大気放散され、有用成分であるCOのボリューム変化はない。
一方、図3に示す本発明例は、回収したCO2の約50%を吹錬用酸素と混合した場合を示しており、転炉々内から発生するCOの時間当たりの流量が増大することにより、回収されるLDG中CO濃度は 54.2%、CO2濃度は15.7%と比較例に対してCO濃度が増加している。さらにLDG中CO2の分離除去を施すとLDG中CO濃度は 62.7%、CO2濃度は2.5%となり 、COボリュームでも比較例に対して4,050Nm3/Hrの増量効果を得ている。また大気に放散されるCO2 5,512Nm3/Hrまで低減させることができる。
一方、熱バランスについても検証したところ、CO2 10,512Nm3/Hr を標記方法で分離・回収する場合、必要蒸気量は 約 20 t/Hr となるのに対し、発明例での回収蒸気量は 約20 t/Hr であり、両者は熱量的にほぼ合致している。さらに転炉のバッチ操業特性からもLDG回収タイミングと同タイミングで蒸気が回収されることから、時間的なロスも少なく、エネルギーロスをミニマム化することができ、本発明の効果が確認された。
本発明における転炉副生ガスの処理方法の実施形態を例示する図である。 転炉副生ガスの処理方法の比較例示す図である。 転炉副生ガスの処理方法の発明例を示す図である。
符号の説明
1 転炉
2 スカート
3 純水供給ポンプ
4 ボイラードラム
5 アキュムレーター
6 吸収塔
7 再生塔

Claims (2)

  1. 転炉より発生する副生ガス中に含まれるCO2を、吸収塔に供給されるCO2吸収液で除去し、該CO2吸収液を再生塔で再生させることにより放出されるCO2を転炉に吹き込まれる酸素と混合し、該CO2を転炉々内で溶鉄中のCと反応させてCOに改質することを特徴とする転炉副生ガスの処理方法。
  2. 前記再生塔で必要な熱源として、転炉副生ガスの顕熱回収設備にて回収される蒸気を用いることを特徴とする請求項1に記載の転炉副生ガスの処理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101234557B1 (ko) * 2010-12-27 2013-02-22 재단법인 포항산업과학연구원 전로부생가스 및 유기성 자원을 이용한 발열량 및 가연성 가스 증량방법 및 이에 사용되는 장치
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CN106319154A (zh) * 2016-09-27 2017-01-11 东北大学 一种涡流卷入石灰石脱除含铜铁水中碳的方法

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