JP2006300768A - 衝撃センサ、衝撃量検出方法および衝撃のモニタリング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 衝撃量の検出を可能とすると同時に、小型で、繰返し利用することが可能であり、外乱に対する耐久性も高く、外部電源を要しない衝撃センサ、当該衝撃センサを用いた衝撃量検出方法、および衝撃のモニタリング方法を提供する。
【解決手段】 衝撃センサ1は、容器部材7と、第1の媒体としての液状の媒体9と、第2の媒体としての気体状の媒体12とを備える。容器部材7は、隔壁13を介して隣接する少なくとも2つの部屋11a、11b(または部屋11b、11c)を構成する。液状の媒体9は、少なくとも2つの部屋のうちの1つである部屋11aまたは部屋11cに充填される。気体状の媒体12は、少なくとも2つの部屋のうち、液状の媒体9が充填された部屋11aに隣接する部屋11bに充填される。気体状の媒体12は液状の媒体9と異なる材料から構成される媒体である。隔壁13には1つ以上の流通孔15が形成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】 衝撃センサ1は、容器部材7と、第1の媒体としての液状の媒体9と、第2の媒体としての気体状の媒体12とを備える。容器部材7は、隔壁13を介して隣接する少なくとも2つの部屋11a、11b(または部屋11b、11c)を構成する。液状の媒体9は、少なくとも2つの部屋のうちの1つである部屋11aまたは部屋11cに充填される。気体状の媒体12は、少なくとも2つの部屋のうち、液状の媒体9が充填された部屋11aに隣接する部屋11bに充填される。気体状の媒体12は液状の媒体9と異なる材料から構成される媒体である。隔壁13には1つ以上の流通孔15が形成されている。
【選択図】 図1
Description
この発明は、衝撃センサ、衝撃量検出方法および衝撃のモニタリング方法に関し、より特定的には、小型で繰返し使用が可能であり、かつ外部からの電力供給を必要としない自立型の衝撃センサ、この衝撃センサを用いた衝撃量検出方法および衝撃のモニタリング方法に関する。
従来、衝撃量を検出・記録する衝撃センサとして様々な方式のセンサが提案されている(特許文献1〜特許文献6参照)。
たとえば、特許文献1および特許文献2には、センサに所定値以上の衝撃が加えられると、配線の一部を構成する破砕部をおもりが当該衝撃により破壊して、配線を断線させることで衝撃量を検出するセンサが開示されている。
また、特許文献3には、磁石により保持されている磁性体からなる検出子が、衝撃により磁石から外れ、その後重力により下方の電極上に落下・接触することで衝撃量を検出するセンサが開示されている。
また、特許文献4には、ハウジング内に、円筒状磁石と、当該円筒状磁石の中心穴に挿通されたリードスイッチと、円筒状磁石を一方に付勢するコイルばねと、ダンパーとしての液体とが配置された衝撃センサが開示されている。当該衝撃センサでは、衝撃による磁石の移動によりリードスイッチがONになることで衝撃量を検出する。
また、特許文献5には、ベースに形成された凹部の内部に配置された電極と、当該電極上に間隔を隔ててヒンジにより支持される質量部とを備える衝撃センサが開示されている。当該衝撃センサでは、衝撃を受けるとヒンジの座屈により質量部の位置が変わり、当該質量部の位置の変化を電極と質量部との間の静電容量の変化により検出する。
また、特許文献6には、金属球と圧電体とを含む検出部と、放電記録紙を含む放電回路とを備える衝撃記録センサが開示されている。当該センサでは、おもりである金属球が衝撃により圧電体(圧電素子)を押し、その際発生する電圧を放電記録紙に記録することにより、衝撃の発生およびその強弱を記録する。
特開2000−193678号公報
特開2001−133472号公報
特開平10−170330号公報
特許第3139109号公報
特開2004−93274号公報
特開2004−163182号公報
しかし、上述した特許文献1および特許文献2に開示されたセンサは、一度衝撃が加えられるとその構造自体が部分的に破壊されるため、繰返し使用することができない。また、また、特許文献1〜特許文献4に開示されたセンサでは、基本的に衝撃の有無を検出することはできるが衝撃の大きさを検出・記録することはできない。また、特許文献5および特許文献6に開示されたセンサでは、その衝撃量の検出には外部からの電気の入力が必要であり、使用できる場所などに制限がある。また、上記特許文献1〜特許文献4および特許文献6に開示されたセンサは、基本的に機械加工部品を利用しており部品点数が多く、小型化が困難であると考えられる。また、上記特許文献3および特許文献4に開示されたセンサは、磁力を利用しているため、外部磁場の影響を受けて検出精度などが劣化する恐れもある。
このように、従来の衝撃センサは、衝撃量の検出を可能とすると同時に、小型化、繰返し利用可能化、外部磁場などの外乱に対する耐久性の向上、外部電源を必要としない自立的な衝撃量の検出、といった要求特性を満足させるものではなかった。
この発明は、上記のように課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、衝撃量の検出を可能とすると同時に、小型で、繰返し利用することが可能であり、外乱に対する耐久性も高く、外部電源を要しない衝撃センサ、当該衝撃センサを用いた衝撃量検出方法、および衝撃のモニタリング方法を提供することである。
この発明に従った衝撃センサは、容器部材と第1および第2の媒体とを備える。容器部材は、隔壁を介して隣接する少なくとも2つの部屋を構成する。第1の媒体は、少なくとも2つの部屋のうちの1つに充填される。第2の媒体は、少なくとも2つの部屋のうち、第1の媒体が充填された部屋に隣接する部屋に充填される。第2の媒体は第1の媒体と異なる媒体である。隔壁には1つ以上の流通孔が形成されている。
この発明に従った衝撃量検出方法は、上記衝撃センサを測定対象物に設置する工程と、試験工程と、測定工程とを備える。試験工程では、衝撃センサが設置された測定対象物に対して衝撃を加える。測定工程では、衝撃センサにおいて隔壁の流通孔を介して移動した第1または第2の媒体の量を光学的に検出することにより、測定対象物に加えられた衝撃量を測定する。
この発明に従った衝撃のモニタリング方法は、上記衝撃センサを輸送対象物に設置する工程と、測定工程とを備える。測定工程では、衝撃センサにおいて隔壁の流通孔を介して移動した第1または第2の媒体の量を検出することにより、輸送対象物を輸送しているときに輸送対象物が受ける衝撃量を測定する。この場合、輸送対象物の輸送中に、輸送対象物に対して加えられる衝撃量を、輸送対象物に設置された衝撃センサにより検出することができる。
本発明による衝撃センサは加えられた衝撃の大きさを移動した媒体の量として記録するので、衝撃センサに加えられた衝撃の大きさを事後的に測定でき、また、構造が簡単なため容易に小型化することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明による衝撃センサの実施の形態1を示す平面模式図である。図2は、図1の線分II−IIにおける断面模式図である。図1および図2を参照して、本発明による衝撃センサの実施の形態1を説明する。
図1は、本発明による衝撃センサの実施の形態1を示す平面模式図である。図2は、図1の線分II−IIにおける断面模式図である。図1および図2を参照して、本発明による衝撃センサの実施の形態1を説明する。
図1および図2に示すように、衝撃センサ1は下部容器3と蓋体5とからなる容器部材7と、この容器部材7内部に形成された部屋11a、11cの内部に充填された液状の媒体9と、部屋11bの内部に充填された気体状の媒体12とからなる。部屋11a〜11cは、下部容器3の内側に形成された2つの隔壁13を介して互いに隣接するように配置されている。この隔壁13には、幅Wのスリット状の流通孔15が複数個形成されている。部屋11a〜11cの高さH、隔壁13の厚さT、流通孔15の幅Wは、それぞれ任意の値に設定することができるが、たとえば部屋11a〜11cの高さHは100μm以上500μm以下とすることができる。また、隔壁13の幅Tは1μm以上100μm以下とすることができる。また、流通孔15の幅Wは1μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上50μm以下とすることができる。
蓋体5を透明または半透明の部材により構成してもよい。このようにすれば、蓋体5を介して後述するように容器部材の内部の状態を光学的に容易に確認することができる。また、下部容器3を構成する材料としては、金属、樹脂、半導体(たとえばシリコン)など任意の材料を用いることができる。また、液状の媒体9としては、水、シリコンオイル、その他任意の液体を用いることができる。また、気体状の媒体12としては、乾燥空気、窒素ガス、アルゴンガスおよびその他の任意の気体を用いることができる。
そして、液状の媒体9の粘度や比重、さらに流通孔15の幅Wや隔壁13の厚さT、さらには気体状の媒体12の種類や圧力などを適宜調整することにより、衝撃センサ1の検出感度や特性を任意に変更することができる。たとえば、液状の媒体9としてシリコンオイルを用いる場合には、シリコンオイルの粘度は0.01センチポアズ(cp)以上100センチポアズ(cp)以下とすることが好ましい。
次に、図3および図4を参照して、図1および図2に示した本発明による衝撃センサの動作を説明する。図3および図4は、図1および図2に示した本発明による衝撃センサの実施の形態1の動作を説明するための模式図である。
図3に示すように、衝撃センサ1に矢印17に示す方向から衝撃が加えられた場合には、その衝撃により部屋11cの内部から隔壁13の流通孔15を介して部屋11bの内部へと液状の媒体9(たとえばシリコンオイル)の液滴10が飛出す。また、このときこの液滴10が部屋11bの内部へと飛出すことに応じて、部屋11bの内部から気体状の媒体12の一部が部屋11cの内部へと引込まれる。この結果、図4に示すように、図3に示した矢印17に示した方向からの衝撃に応じて部屋11bの内部には液状の媒体からなる液滴10が、また部屋11cの内部には気体状の媒体からなるボイド19が配置されることになる。そして、この液滴10やボイド19の数や大きさ(すなわち衝撃による媒体の移動量)は、衝撃の大きさに比例する。したがって、図2に示した蓋体5を介して光学的に液滴10あるいはボイド19の量(具体的には液滴10やボイド19の数やサイズ)を測定することにより、衝撃の大きさを測定することができる。また、たとえば複数回の衝撃が衝撃センサ1に加えられる場合には、液滴10やボイド19の大きさにより、そのそれぞれの衝撃の大きさの積算値を測定することができる。
なお、図4のように液滴10が部屋11bの内部に配置された状態から、図1に示すような初期状態に衝撃センサ1を初期化する場合、図3において加えられた衝撃の方向と逆方向に衝撃または加速度を加えることにより、液滴10を部屋11cの内部へと引戻すことが考えられる。このようにすれば、容易に衝撃センサ1を初期化することができる。
次に、図1および図2に示した本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法を説明する。図5は、図1および図2に示した本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法を示すフローチャートである。図6〜図8は、本発明による衝撃センサの実施の形態1の図5に示した製造方法を説明するための模式図である。図5〜図8を参照して、本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法の一例を説明する。
図5に示すように、衝撃センサの製造方法としては、まず金型を準備する工程(S10)を実施する。この工程(S10)においては、具体的には図6に示した金型21を準備する。この金型21は図3に示した下部容器3を形成するためのものである。
次に、上述した金型を用いた樹脂成形により下部容器を形成する工程(S20)を実施する。具体的には、図6に示すように金型21に形成された下部容器の形状を規定する凹部22に樹脂を充填することにより下部容器3を樹脂成形する。
次に、金型から下部容器を取外す工程(S30)を実施する。この結果、図7に示すように、3つの部屋11a〜11cが形成された下部容器3を得ることができる。なお、このとき、部屋11a〜11cを区切る隔壁13には、流通孔15が所定個数(たとえば1つまたは2つ以上の複数)、スリット状に形成されている。つまり、流通孔15は隔壁13の上部表面から底部にまで延在するスリットとして形成されている。次に、下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40)を実施する。具体的には、図8に示すように、下部容器3の部屋11a、11cにそれぞれ液状の媒体9を充填する。さらに、下部容器3の部屋11bに気体状の媒体12を配置する。この気体状の媒体12を配置する工程としては、たとえば先に部屋11a、11cの内部に液状の媒体9を配置した後、その液状の媒体9が配置された下部容器3を気体状の媒体9を雰囲気としたチェンバ内に配置し、以下の工程(下部容器3に蓋体5を接続する工程)を実施するといったことにより容易に行なうことができる。
次に、下部容器の上部に蓋体を接続する工程(S50)を実施する。具体的には、図8に示すように、蓋体5を矢印23に示すように下部容器3の上部に配置することにより、下部容器3に形成された部屋11a〜11cの内部を衝撃センサの外部の雰囲気から隔離する。このとき、蓋体5と下部容器3との接続方法としては、接着剤などの接合用の部材を用いて蓋体5と下部容器3の上端を接着する、あるいは蓋体5と下部容器3とを加熱等することによって直接接合する、あるいは他の任意の接続方法を用いることができる。このようにして、図1に示した衝撃センサ1を得ることができる。
なお、図5に示した金型を準備する工程(S10)においては、任意の方法により金型21を製造してもよいが、たとえば図9に示すような工程を用いて金型21を製造してもよい。図9は、図5に示した金型を準備する工程(S10)の具体的な工程の一例を示すフローチャートである。図9を参照して、金型を準備する工程(S10)の一例を説明する。
金型を準備する工程(S10)においては、図9に示すように、まずレジスト膜形成工程(S11)を実施する。この工程(S11)では、所定の基板上にレジスト膜を形成する。そして、次にフォトリソグラフィを用いてレジスト膜において下部容器の形状を形成する工程(S12)を実施する。具体的には、所定のパターンが形成されたマスクを用いてレジスト膜に対して露光工程を行ない、その後現像処理を行なうことにより、下部容器3の形状をレジスト膜により形成する。
次に、めっき工程(S13)を実施する。このめっき工程(S13)においては、上述した下部容器の形状を有するレジスト膜を埋込むことができる程度にめっき層の厚みを厚く形成する。このめっき層が金型21となる。
次に、レジスト膜を除去する工程(S14)を実施する。この工程(S14)では、金型となるめっき層からレジスト膜を除去する。この結果、下部容器3の形状を有する凹部22が形成された金型21(図6参照)を得ることができる。
次に、図10〜図13を参照して、本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法の第1の変形例を説明する。図10は、図1および図2に示した本発明による衝撃センサの製造方法の第1の変形例を示すフローチャートである。図11〜図13は、図10に示した、本発明による衝撃センサの製造方法の第1の変形例を説明するための模式図である。
図10に示すように、本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法の第1の変形例では、まずベース板を準備する工程(S110)を実施する。具体的には、図11に示すようなベース板25を準備する。このベース板25としては、たとえばシリコン基板やその他の基板を用いることができる。次に、ベース板上にレジスト膜を形成する工程(S120)を実施する。この工程(S120)においては、ベース板25上にレジスト膜27を形成する。このレジスト膜27の形成方法としては任意の方法を用いることができる。
次に、フォトリソグラフィを用いて、下部容器の側壁をレジスト膜により形成する工程(S130)を実施する。具体的には、図11に示すように、メンブレン29上に吸収体31からなる所定のパターンが形成されたマスク33を用いて、矢印34に示すようにX線を露光光として用いる露光工程を実施する。その後、現像工程をレジスト膜27に対して実施することにより、図12に示すように露光された部分を除去する。この結果、図12に示すようにレジスト膜の残存した部分によって下部容器の側壁35および隔壁13を形成する。側壁35の平面形状は四角形状であり、側壁35は当該側壁35の対向する2つの辺をつなぐように(図3の紙面に垂直な方向に)延びている。また、隔壁13においては図2に示すように所定の幅Wの流通孔が形成されている。この結果、内部に部屋11a〜11cが形成された下部容器3を得ることができる。
次に、図10に示すように、図5に示した工程と同様に下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40)を実施する。その後、下部容器の上部に蓋体を接続する工程(S50)を実施することにより、図13に示すように部屋11a、11cの内部には液状の媒体9が配置され、また部屋11bの内部には気体状の媒体12が配置された衝撃センサ1を得ることができる。
次に、図14〜図18を参照して、本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法の第2の変形例を説明する。図14は、図1および図2に示した本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法の第2の変形例を示すフローチャートである。図15〜図18は、図14に示した本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法の第2の変形例を説明するための模式図である。
図14に示すように、本発明による衝撃センサの製造方法の第2の変形例においては、まずシリコン基板を準備する工程(S210)を実施する。この工程(S210)においては、図15に示すように形成されるべき下部容器の高さとほぼ同等の厚みを有するシリコン基板37を準備する。次に、シリコン基板表面にエッチング用のマスクを形成する工程(S220)を実施する。この工程(S220)においては、図15に示すようにシリコン基板37の表面上に所定のパターンを有するマスク39を形成する。このマスク39の材質としては、たとえばアルミニウムなどを用いることができる。また、このマスク39の形成方法としては、任意の方法を用いることができる。たとえば、マスク39の形成方法として、以下のような方法を用いることができる。まず、マスク39を構成する材料の膜をシリコン基板37の表面上に形成し、この膜上にレジスト膜を形成する。さらに、このレジスト膜に対して、マスク39において形成されるべきパターンと同様のパターンを有する露光用のマスクを用い、フォトリソグラフィ法によりパターニングを行なう。この結果、レジスト膜によるマスクを形成する。このレジスト膜によるマスクをエッチング用のマスクとして、アルミニウムなどにより構成される膜をエッチングにより部分的に除去することにより、マスク39を形成する。この後レジスト膜を除去する。この結果、図15に示すような構造を得ることができる。
次に、マスクを用いてシリコン基板を部分的にエッチングすることにより下部容器を形成する工程(S230)を実施する。この結果、図16に示すように、下部容器3を構成するベース部41、側壁35および隔壁13をシリコン基板により形成することができる。なお、側壁35の平面形状は四角形状であり、隔壁13は図16の紙面に垂直な方向に延び、対向する2つの側壁35をつなぐように形成されている。また、隔壁13にはスリット状の流通孔15(図1参照)が形成されている。
次に、マスクを除去する工程(S240)を実施する。この結果、図17に示すように下部容器3を得ることができる。そして、下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40)および下部容器の上部に蓋体を接続する工程(S50)を図5に示した製造方法の場合と同様に実施する。この結果、図18に示すように部屋11aおよび11cの内部に液状の媒体9が充填され、部屋11bの内部に気体状の媒体12が充填された衝撃センサ1を得ることができる。
図19は、図1および図2に示した本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法の第3の変形例を示すフローチャートである。図19を参照して、本発明による衝撃センサの実施の形態1の製造方法の第3の変形例を説明する。
図19に示した製造方法の第3の変形例では、まずレジスト膜形成工程(S310)を実施する。このレジスト膜形成工程(S310)においては、たとえば所定の基板上に従来用いられている任意の方法によりレジスト膜を形成する。次に、フォトリソグラフィを用いて下部容器の反転型を形成する工程(S320)を実施する。この工程では、所定の吸収体によるパターンが形成されたマスクを用いて露光工程および現像工程を行なうことにより、得られるべき下部容器の外形に沿った凹部をレジスト膜により形成する。この下部容器の外形に沿った凹部が形成されたレジスト膜を反転型としている。次に、反転型表面にめっき膜を形成することにより下部容器を形成する工程(S330)を実施する。具体的には、レジスト膜からなる反転型の凹部を充填するように、反転型表面にめっき膜を形成する。めっき膜を構成する材料としては任意の金属を用いることができる。
次に、下部容器を反転型から取出す工程(S340)を実施する。ここでは、めっき膜によって形成された下部容器をレジスト膜によって形成された反転型から機械的に取外してもよいし、レジスト膜からなる反転型を溶解することにより下部容器からレジスト膜を除去するといった工程を用いてもよい。
次に、下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40)および下部容器の上部に蓋体を接続する工程(S50)を実施する。この結果、図1および図2に示した本発明による衝撃センサ1を得ることができる。
次に、図1および図2に示した本発明による衝撃センサの実施の形態1を用いた衝撃量の検出方法を説明する。図20は、本発明による衝撃センサを用いた衝撃量の測定方法を説明するためのフローチャートである。
図20に示した測定方法では、まず測定対象物にセンサを設置する工程(S410)を実施する。この測定対象物としては任意の物体を用いることができる。また、測定対象物に設置するセンサの数は1つでも複数個でもよい。また、複数個のセンサを設置する場合には、そのセンサの向き(部屋11a〜11cが並んだ方向の軸に沿った向き)を、設置されるそれぞれのセンサにおいて互いに交差する方向、より好ましくは互いに垂直な方向に設置する。
次に測定対象物に衝撃を加える工程(S420)を実施する。この工程(S420)においては、衝撃の加えられる方向に、センサの向き(部屋11a〜11cの並んだ方向の軸に沿った向き)が沿うように設置された衝撃センサにおいて、図3および図4に示したように媒体の移動が起こる。
次に、センサ確認工程(S430)を実施する。この工程においては、透明な蓋体5を介して衝撃センサ内部の各部屋11a〜11cでの液滴10またはボイド19の発生の有無、さらにこれらの液滴10およびボイド19の量(サイズ)を測定する。この液滴10またはボイド19のサイズや大きさにより加えられた衝撃量を検出することができる。
図21は、本発明による衝撃センサを用いた衝撃量の検出方法の変形例を示すフローチャートである。図21を参照して、本発明による衝撃センサを用いた衝撃量の検出方法の変形例を説明する。
図21に示した検出方法では、まず図20に示した検出方法と同様に測定対象物にセンサを設置する工程(S510)を実施する。そして、測定対象物に衝撃を加えるとともにセンサを確認する工程(S520)を実施する。この工程(S520)では、測定対象物に衝撃が加えられるときに、衝撃センサの内部の状況をたとえばカメラなどによって常時モニタリングする。この結果、衝撃が加えられたタイミングとその衝撃量を液滴10またはボイド19の発生の時間や発生の有無、およびそれらのサイズなどによりリアルタイムで測定することができる。
上述した衝撃量の検出方法は、たとえば輸送対象物における衝撃のモニタリング方法として利用することができる。たとえば、測定対象物として輸送される荷物など(輸送対象物)を用いて、図21に示した工程(S510)において当該荷物に衝撃センサ1を設置する。そして、図21に示した工程(S520)として、当該荷物を輸送しているときに、衝撃センサ1において隔壁13の流通孔15を介して移動した液状の媒体9または気体状の媒体12の量を検出することにより、荷物を輸送しているときに当該荷物が受ける衝撃量を測定することができる。
(実施の形態2)
図22は、本発明による衝撃センサの実施の形態2を示す平面模式図である。図23は、図22の線分XXIII−XXIIIにおける断面模式図である。図22および図23を参照して、本発明による衝撃センサの実施の形態2を説明する。
図22は、本発明による衝撃センサの実施の形態2を示す平面模式図である。図23は、図22の線分XXIII−XXIIIにおける断面模式図である。図22および図23を参照して、本発明による衝撃センサの実施の形態2を説明する。
図22および図23に示した衝撃センサは、基本的には図1および図2に示した衝撃センサと同様の構造を備えるが、その容器部材7の内部において形成されている部屋の数が異なる。すなわち、図1および図2に示した衝撃センサ1においては、容器部材7の内部に3つの部屋11a〜11cが形成されていたが、図22および図23に示した衝撃センサ1においては、容器部材7の内部において2つの部屋11a、11bが形成されている。そして、2つの部屋11a、11bのうち一方の部屋11aの内部には液状の媒体9が配置されている。また、他方の部屋11bの内部には、気体状の媒体12が充填されている。2つの部屋11a、11bは隔壁13により区切られている。この隔壁13には図1および図2に示した衝撃センサと同様に1つまたは複数個の流通孔15が形成されている。このような構造の衝撃センサにおいても、衝撃量を検出することができる。以下説明する。
図24および図25は、図22および図23に示した衝撃センサの動作を説明するための模式図である。図24に示すように、矢印17に示す方向から衝撃センサ1に衝撃が加えられた場合には、その衝撃により部屋11aの内部から隔壁13に形成された流通孔15を介して、液状の媒体9の一部がもう一方の部屋である部屋11bの内部へと飛出すことにより、部屋11bの内部に液状の媒体9からなる液滴10が形成される。そして、この液滴10が部屋11bの内部に飛出すことに伴って、部屋11aの内部には部屋11bの内部に充填されていた気体状の媒体12(空気)の一部が侵入し、気体状の媒体12からなるボイド19を形成する。
このように液滴10またはボイド19が衝撃により形成されるので、液滴10またはボイド19の大きさや量を測定することにより、衝撃量を容易に検出することができる。また、衝撃センサ1に対して、図24に示した矢印17に示した方向と逆方向に衝撃を加えることにより、液滴10を部屋11aの内部に戻すことが可能であるため、容易に衝撃センサ1を初期化することができる。
次に、上記の実施の形態と重複するものもあるが本発明の実施例を羅列的に挙げて説明する。この発明に従った衝撃センサ1は、図1、図2、図22および図23などに示すように、容器部材7と、第1の媒体としての液状の媒体9と、第2の媒体としての気体状の媒体12とを備える。容器部材7は、隔壁13を介して隣接する少なくとも2つの部屋11a、11b(または部屋11b、11c)を構成する。液状の媒体9は、少なくとも2つの部屋のうちの1つである部屋11aまたは部屋11cに充填される。気体状の媒体12は、少なくとも2つの部屋のうち、液状の媒体9が充填された部屋11a(または部屋11c)に隣接する部屋11bに充填される。気体状の媒体12は液状の媒体9と異なる材料から構成される媒体である。隔壁13には1つ以上の流通孔15が形成されている。
このようにすれば、本発明による衝撃センサ1に対して上記2つの部屋11a、11bの並んだ方向(図3の矢印17で示した方向)の成分を有する衝撃が加えられたとき、当該衝撃センサ1の2つの部屋11a、11b(または部屋11b、11c)の間で上記隔壁13の流通孔15を介して液状の媒体9および気体状の媒体12の部分的な移動が起こる。そして、この媒体9、12の移動量は衝撃センサ1に加えられた衝撃の大きさに比例する。また、媒体9、12の種類を適宜選択することで、衝撃が衝撃センサ1に加えられた後において移動した媒体(液滴10やボイド19)を容易に確認することができる。つまり、本発明による衝撃センサ1は加えられた衝撃の大きさを移動した媒体9、12の量(液滴10やボイド19の大きさや数)として記録するので、移動した媒体9、12の量(すなわち液滴10やボイド19の大きさや数)を確認することにより衝撃センサ1に加えられた衝撃の大きさを事後的に測定することができる。
また、本発明による衝撃センサ1では、媒体9、12の移動に寄与するのは部屋11a〜11cの並んだ方向の衝撃であるため、検出された衝撃の方向を特定することが容易である。
また、本発明による衝撃センサ1の構造はきわめて単純なため、容易に小型化することができる。たとえば、半導体装置の製造方法において用いるフォトリソグラフィなどを用いて、きわめて微細な容器部材7を形成することにより、本発明による小型の衝撃センサ1を実現できる。
また、第1の媒体(液状の媒体9)および第2の媒体(気体状の媒体12)として容易に分離するもの(たとえば、液状の媒体9と、当該媒体9に容易には溶け込まないような気体状の媒体12など)を用いれば、衝撃センサ1が衝撃を受けることにより隔壁13の流通孔15を介して部屋11a〜11cの間を移動した媒体9、12の一部を、それぞれもとの部屋11a〜11cへ戻すことができる。たとえば、受けた衝撃と逆方向の衝撃を衝撃センサ1に加えることにより、媒体9、12をもとの部屋11a〜11cに移動させることができる。その結果、衝撃センサ1を容易に初期状態に戻すことができるので、衝撃センサ1を繰返し使用することができる。
また、本発明による衝撃センサ1はその構成が単純であるため、外乱(たとえば、外部からの電界や磁界など)の影響を受ける可能性が低い。そのため、外乱に影響されることなく安定して衝撃の大きさを測定することができる。
また、本発明による衝撃センサ1はその構成が比較的単純であり、機械的な駆動部も無い。そのため、受ける衝撃によりその構造が破損する可能性も低いため、高い耐久性を有する。
また、本発明による衝撃センサ1は上述のように機械的な駆動部が無く、またその動作に外部電源も必要ない。したがって、電源の確保が困難な場所に設置しても当該場所での衝撃の大きさを検出することができる。
上記衝撃センサ1において、第1の媒体は液体(液状の媒体9)であり、第2の媒体は気体(気体状の媒体12)である。この場合、本発明による衝撃センサ1に衝撃が加えられた結果、隔壁13の流通孔15を介して移動した媒体9、12を容易に(たとえば目視により)検出することができる。
上記衝撃センサ1では、容器部材7において、部屋11a〜11cを構成する壁部の少なくとも一部に、部屋11a〜11cの内部を確認することが可能な窓部(透明部材または半透明部材からなる蓋体5により構成される上壁部)が形成されていてもよい。
この場合、当該蓋体5により構成される上壁部を介して部屋11a〜11cの内部を確認できるので、衝撃センサ1に衝撃が加えられたことに起因して隔壁13の流通孔15を介して移動した媒体9、12(つまり液滴10やボイド19)を、上記上壁部を通して衝撃センサ1の外部から容易に確認できる。
上記衝撃センサ1において、部屋11a〜11cの内部を確認するための窓部は、容器部材7の壁部において透明部材または半透明部材により構成された部分を含んでいてもよい。あるいは、上記窓部は、部屋11a〜11cを構成する容器部材7の壁部のうち透明部材または半透明部材により構成される1つの壁面全体であってもよい。このような透明部材または半透明部材を用いれば、部屋11a〜11cの内部と衝撃センサ1の外部との間を隔離したまま部屋11a〜11cの内部の媒体9、12の状態を確認することができる。また、上記窓部としては、容器部材7の壁部に形成された開口部を用いてもよい。
上記衝撃センサ1において、容器部材7は、図5〜図8に示すように金型21(図6参照)を用いた樹脂成形法により作成されていてもよい。この場合、金型21を用いて容器部材7を容易かつ大量に作成できるので、本発明による衝撃センサ1を低コストで製造することができる。
上記衝撃センサ1において、樹脂成形法にて用いられる金型21は、図9に示すようにフォトリソグラフィ法とめっき法とを用いて形成された金型であってもよい。この場合、上述した方法を用いて金型21を形成すれば極めて微細かつ高精度な金型21を製造できる。そのため、当該金型21を用いて微細かつ寸法精度の高い容器部材7を得ることができる。この結果、特性のばらつきが小さく、かつ小型の衝撃センサ1を大量生産することができる。
上記衝撃センサ1において、容器部材7は、図10〜図13に示すようにフォトリソグラフィ法を用いて形成されていてもよい。この場合、極めて微細かつ高精度な容器部材7を製造できる。この結果、特性のばらつきが小さく、かつ小型の衝撃センサ1を得ることができる。
上記衝撃センサ1において、容器部材7は、図19に示すようにフォトリソグラフィ法とめっき法とを用いて形成されていてもよい。この場合も、極めて微細かつ高精度な容器部材7を製造できる。この結果、特性のばらつきが小さく、かつ小型の衝撃センサを得ることができる。また、容器部材を構成する材料としてめっき法により形成された金属を用いるので、衝撃センサ1を使用する環境の温度範囲を、容器部材7が樹脂などにより構成されている場合の当該温度範囲より広くすることができる。
上記衝撃センサ1において、上記フォトリソグラフィ法では(具体的には図9の工程(S12)、図10の工程(S130)、図19の工程(S320)などにおけるフォトリソグラフィにおいて)、X線を露光光として用いてもよい。この場合、通常のフォトリソグラフィ法において用いる光より波長の短いX線を露光光として用いることで、より微細な加工が可能になる。このため、容器部材7をより微細化することができるので、衝撃センサ1の一層の小型化を図ることができる。
上記衝撃センサ1において、容器部材7は、図14〜図18に示すようにエッチング法を用いて形成されていてもよい。この場合、エッチング法を利用することで微細な容器部材7を容易に得ることができる。また、当該エッチング法によりエッチングされる材料はシリコンであってもよい(つまりエッチング対象としてシリコン基板37(図15参照)を用いてもよい)。また、エッチング法はドライエッチング法であってもよい。この場合、容器部材7をシリコンで形成できるので、耐熱性のある衝撃センサ1を得ることができる。
この発明に従った衝撃量検出方法は、図20に示すように上記衝撃センサを測定対象物に設置する工程(S410)と、試験工程としての測定対象物に衝撃を加える工程(S420)と、測定工程としてのセンサ確認工程(S430)とを備える。上記試験工程では、衝撃センサ1が設置された測定対象物に対して衝撃を加える。上記測定工程(センサ確認工程(S430))では、衝撃センサ1において隔壁13の流通孔15を介して移動した第1の媒体(液状の媒体9からなる液滴10)または第2の媒体(気体状の媒体12からなるボイド19)の量を検出することにより、測定対象物に加えられた衝撃量を測定する。センサ確認工程(S430)では、媒体の量を光学的に検出することが好ましい。
このようにすれば、本発明による衝撃センサ1において衝撃を受けることにより隔壁13の流通孔15を介して移動した媒体9、12の量や数を確認するという簡便な方法で、測定対象物に加えられた衝撃量を測定することができる。また、確認の方法としては、たとえば部屋11a〜11cの壁に形成された窓部(具体的には図2に示した透明部材または半透明部材からなる蓋体5)を通して、顕微鏡を介した目視により移動した媒体9、12(たとえば移動した液体の液滴10や気体の集まった気泡(ボイド19)など)の量や数を確認するといった方法を用いることができる。
上記衝撃量検出方法において、図20に示すように測定工程(センサ確認工程(S430))は試験工程(測定対象物に衝撃を加える工程(S420))が終了した後に実施されてもよい。本発明による衝撃センサ1は、上述のように受けた衝撃の大きさを移動した媒体9、12の量によって示すものであるため、衝撃を受けた時点から後のタイミングにおいても当該衝撃の大きさのデータを媒体9、12の移動した量(液滴10やボイド19の大きさや数)として記憶している。そのため、上述のように試験工程(工程(S420))の後で事後的に、移動した媒体9、12の量(すなわち衝撃センサ1に加えられた衝撃量)を検出することができる。
上記衝撃量検出方法において、図21に示す、測定対象物に衝撃を加えるとともにセンサを確認する工程(S520)のように、測定工程(図20の工程(S430))を試験工程(図20の工程(S420))と同時に行なってもよい。この場合、測定対象物に加えられた衝撃をほぼリアルタイムで検出することができる。
上記衝撃量検出方法において、試験工程(図20の工程(S420))は、測定対象物を落下させることにより測定対象物に衝撃を加えることを含んでいてもよい。この場合、落下した測定対象物に設置された衝撃センサ1をセンサ確認工程(S430)において後から確認することにより、測定対象物に落下により加えられた衝撃量を測定することができる。
この発明に従った衝撃のモニタリング方法は、図21に関連して説明したように、上記衝撃センサ1を輸送対象物としての荷物などに設置する工程(図21の測定対象物にセンサを設置する工程(S510))と、測定工程(測定対象物に衝撃を加えるとともにセンサを確認する工程(S520))とを備える。測定工程(図21の工程(S510))では、衝撃センサ1において隔壁13の流通孔15を介して移動した第1の媒体(液状の媒体9)または第2の媒体(気体状の媒体12)の量を検出することにより、荷物を輸送しているときに当該荷物が受ける衝撃量を測定する。この場合、荷物などの輸送中に、当該荷物に対して加えられる衝撃量を衝撃センサ1によりリアルタイムで検出することができる。
この発明に従った衝撃センサの製造方法は、型を準備する工程(図5の金型を準備する工程(S10))と、容器部材を構成する部材(下部容器3)を作成する工程(図5の金型を用いた樹脂成形法により下部容器を形成する工程(S30))と、第1の媒体を充填する工程(図5の下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40))と、第2の媒体を充填する工程(図5の下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40))と、蓋体を部材に接続する工程(図5の下部容器の上部に蓋体を接続する工程(S50))とを備える。容器部材7を構成する部材としての下部容器3を形成する工程(S20)では、型としての金型21(図6参照)を用いた樹脂成形法により上記下部容器3を作成する。上記下部容器3は、部屋11a〜11cの壁面の少なくとも一部が開口部(下部容器3の上部に形成された、蓋体5により塞がれるべき上部開口部)となっている。第1の媒体(液状の媒体9)を充填する工程(媒体を充填する工程(S40))では、下部容器3により構成される少なくとも2つの部屋11a〜11cのうちの1つ(部屋11aまたは部屋11c)に第1の媒体としての液状の媒体9を充填する。第2の媒体(気体状の媒体12)を充填する工程(媒体を充填する工程(S40))では、少なくとも2つの部屋のうち、液状の媒体9が充填された部屋11a、11cに隣接する部屋11bに、第2の媒体としての気体状の媒体12を充填する。なお、上記第1の媒体を充填する工程および第2の媒体を充填する工程は、同時に実施してもよいし別工程として実施してもよい。蓋体を部材に接続する工程(図5の工程(S50))では、下部容器3の開口部(上部開口部)を塞ぐように、容器部材7を構成する蓋体5を下部容器3に接続する。このようにすれば、本発明に折る衝撃センサ1を容易に得ることができる。また、樹脂成型法を用いて容器部材7を製造するので、高い寸法精度の容器部材7を容易かつ大量に作成できる。この結果、寸法精度の高い、特性の安定した衝撃センサ1を得ることができる。
上記衝撃センサ1の製造方法において、型を準備する工程(図5の工程(S10))は、図9に示すように、レジスト膜を準備する工程(図9のレジスト膜形成工程(S11))と、部材の形状を有するレジスト膜型を形成する工程(フォトリソグラフィを用いてレジスト膜において下部容器の形状を形成する工程(S12))と、めっき工程(S13)と、後処理工程(図9のレジスト膜を除去する工程(S14))とを含んでいてもよい。下部容器3の形状を有するレジスト膜型を形成する工程(S12)では、レジスト膜に対して露光処理および現像処理を行なうことにより、下部容器3の形状を有するレジスト膜型を形成する。めっき工程(S13)では、レジスト膜型表面上にめっき法により金属膜を堆積する。後処理工程(図9の工程(S14))では、レジスト膜型を除去することにより、金属膜からなる型(金型21)を得る。
この場合、上述した方法を用いて金型21を形成すれば極めて微細かつ高精度な金型21(金属膜からなる型)を製造できる。そのため、当該金型21を用いて微細かつ寸法精度の高い下部容器3を得ることができる。この結果、特性のばらつきが小さく、かつ小型の衝撃センサ1を大量生産することができる。
この発明に従った衝撃センサの製造方法は、上記衝撃センサ1の製造方法であって、図10に示すように、基板としてのベース板25を準備する工程(図10の工程(S110))と、ベース板25の表面上にレジスト膜を形成する工程(図10の工程(S120))と、容器部材を構成する部材(下部容器3)を作成する工程(図10の工程(S130))と、第1の媒体を充填する工程(図10の下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40))と、第2の媒体を充填する工程(図10の下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40))と、蓋体を部材に接続する工程(図10の下部容器の上部に蓋体を接続する工程(S50))とを備える。上記下部容器3を作成する工程(図10の工程(S130))では、図11に示すようにレジスト膜27に対して、露光処理および現像処理を実施することにより上記下部容器3(図12参照)を作成する。当該下部容器3は、部屋11a〜11cの壁面の少なくとも一部が開口部となっている(図12では、部屋11a〜11cの天井部分(上壁)が存在せず、下部容器3の上部に開口部が形成されている)。第1の媒体(液状の媒体9)を充填する工程(図10の媒体を充填する工程(S40))では、下部容器3により構成される少なくとも2つの部屋11a〜11cのうちの1つ(部屋11aまたは部屋11c)に第1の媒体としての液状の媒体9を充填する。第2の媒体(気体状の媒体12)を充填する工程(図10の媒体を充填する工程(S40))では、少なくとも2つの部屋のうち、液状の媒体9が充填された部屋11a、11cに隣接する部屋11bに、第2の媒体としての気体状の媒体12を充填する。なお、上記第1の媒体を充填する工程および第2の媒体を充填する工程は、同時に実施してもよいし別工程として実施してもよい。蓋体を部材に接続する工程(図10の工程(S50))では、下部容器3の開口部(上部開口部)を塞ぐように、容器部材7を構成する蓋体5を下部容器3に接続する。
このようにすれば、極めて微細かつ高精度な容器部材7を用いて衝撃センサ1を製造できる。この結果、特性のばらつきが小さく、かつ小型の衝撃センサを得ることができる。
この発明に従った衝撃センサの製造方法は、上記衝撃センサ1の製造方法であって、所定の基板の表面上にレジスト膜を形成する工程(図19のレジスト膜形成工程(S310))と、型成形工程(図19のフォトリソグラフィを用いて下部容器の反転型を形成する工程(S320))と、めっき工程(図19の反転型表面にめっき膜を形成することにより下部容器を形成する工程(S330))と、金属膜からなる部材を得る工程(図19の下部容器を反転型から取出す工程(S340))と、第1の媒体を充填する工程(図19の下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40))と、第2の媒体を充填する工程(図19の下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40))と、蓋体を部材に接続する工程(図19の下部容器の上部に蓋体を接続する工程(S50))とを備える。型成形工程(図19の工程(S320))では、レジスト膜に対して、露光処理および現像処理を実施することにより、部屋11a〜11cの壁面の少なくとも一部が開口部となっている、容器部材を構成する部材としての下部容器3の形状に沿った凹部をレジスト膜において形成する。めっき工程(図19の工程(S330))では、凹部を充填するようにめっき法により金属膜を堆積する。部材を得る工程(図19の工程(S340))では、金属膜からレジスト膜を除去することにより金属膜からなる下部容器3を得る。第1の媒体(液状の媒体9)を充填する工程(図19の媒体を充填する工程(S40))では、下部容器3により構成される少なくとも2つの部屋11a〜11cのうちの1つ(部屋11aまたは部屋11c)に液状の媒体9を充填する。第2の媒体(気体状の媒体12)を充填する工程(図19の媒体を充填する工程(S40))では、少なくとも2つの部屋のうち、液状の媒体9が充填された部屋11a、11cに隣接する部屋11bに、第2の媒体としての気体状の媒体12を充填する。蓋体を部材に接続する工程(図19の工程(S50))では、下部容器3の開口部(上部開口部)を塞ぐように、容器部材7を構成する蓋体5を下部容器3に接続する。
この場合、上述した方法を用いれば、きわめて微細かつ高精度な容器部材7を構成する下部容器3を安定して製造できる。この結果、特性のばらつきが小さく、かつ小型の衝撃センサ1を得ることができる。また、下部容器3を構成する材料としてめっき法により形成された金属を用いるので、衝撃センサ1を使用する環境の温度範囲を、下部容器3が樹脂などにより構成されている場合の当該温度範囲より広くすることができる。
上記露光処理では、X線を露光光として用いることが好ましい。この場合、通常のフォトリソグラフィ法において用いる光より波長の短いX線を露光光として用いることで、より微細な加工が可能になる。このため、下部容器3をより微細化することができるので、衝撃センサ1の一層の小型化を図ることができる。
本発明による衝撃センサの製造方法は、上記衝撃センサ1の製造方法であって、図14〜図18に示すように、基板を準備する工程(図14のシリコン基板を準備する工程(S210))と、図15に示すようにエッチングマスク体を形成する工程(図14のシリコン基板表面にエッチング用のマスクを形成する工程(S220))と、図16に示すような部材を作成する工程(図14のマスクを用いてシリコン基板を部分的にエッチングすることにより下部容器を形成する工程(S230))と、第1の媒体を充填する工程(図19の下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40))と、第2の媒体を充填する工程(図19の下部容器の部屋に媒体を充填する工程(S40))と、蓋体を部材に接続する工程(図19の下部容器の上部に蓋体を接続する工程(S50))とを備える。エッチングマスク体を形成する工程(図19の工程(S220))では、図15に示すように、基板としてのシリコン基板37の表面上に、部屋11a〜11c(図16参照)の壁面の少なくとも一部が開口部となっている、容器部材7を構成する部材としての下部容器3の形状を示すパターンを有するエッチングマスク体としてのマスク39を形成する。部材を作成する工程(図14の工程(S230))では、図16に示すように、マスク39をマスクとして用いて、シリコン基板37の一部をエッチングにより除去することにより、シリコン基板37からなる部材としての下部容器3を作成する。そして、マスクを除去する工程(図14の工程(S240))を実施した後、第1の媒体(液状の媒体9)を充填する工程(図14の媒体を充填する工程(S40))では、下部容器3により構成される少なくとも2つの部屋11a〜11cのうちの1つ(部屋11aまたは部屋11c)に第1の媒体としての液状の媒体9を充填する。第2の媒体(気体状の媒体12)を充填する工程(図14の媒体を充填する工程(S40))では、少なくとも2つの部屋のうち、液状の媒体9が充填された部屋11a、11cに隣接する部屋11bに、第2の媒体としての気体状の媒体12を充填する。蓋体を部材に接続する工程(図14の工程(S50))では、図18に示すように、下部容器3の開口部(上部開口部)を塞ぐように、容器部材7を構成する蓋体5を下部容器3に接続する。
このようにすれば、エッチング法を利用することで微細な容器部材7を容易に得ることができる。このため、衝撃センサ1の小型化を図ることができる。また、当該エッチング法によりエッチングされる材料は図14などに示したようにシリコン基板であってもよく、エッチングはドライエッチングであってもよい。この場合、容器部材7をシリコンで形成できるので、耐熱性のある衝撃センサ1を得ることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 衝撃センサ、3 下部容器、5 蓋体、7 容器部材、9 液状の媒体、10 液滴、11a〜11c 部屋、13 隔壁、15 流通孔、17,23,34 矢印、19 ボイド、21 金型、22 凹部、25 ベース板、27 レジスト膜、29 メンブレン、31 吸収体、33,39 マスク、35 側壁、37 シリコン基板、41 ベース部。
Claims (14)
- 隔壁を介して隣接する少なくとも2つの部屋を構成する容器部材と、
前記少なくとも2つの部屋のうちの1つに充填された第1の媒体と、
前記少なくとも2つの部屋のうち、前記第1の媒体が充填された部屋に隣接する部屋に充填された、前記第1の媒体と異なる第2の媒体とを備え、
前記隔壁には1つ以上の流通孔が形成されている、衝撃センサ。 - 前記第1の媒体は液体であり、
前記第2の媒体は気体である、請求項1に記載の衝撃センサ。 - 前記容器部材において、前記部屋を構成する壁部の少なくとも一部に、前記部屋の内部を確認することが可能な窓部が形成されている、請求項1または2に記載の衝撃センサ。
- 前記容器部材は、金型を用いた樹脂成形法により作成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃センサ。
- 前記金型は、フォトリソグラフィ法とめっき法とを用いて形成された金型である、請求項4に記載の衝撃センサ。
- 前記容器部材は、フォトリソグラフィ法を用いて形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃センサ。
- 前記容器部材は、フォトリソグラフィ法とめっき法とを用いて形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃センサ。
- 前記フォトリソグラフィ法では、X線を露光光として用いる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の衝撃センサ。
- 前記容器部材は、エッチング法を用いて形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の衝撃センサ。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の衝撃センサを測定対象物に設置する工程と、
前記衝撃センサが設置された前記測定対象物に対して衝撃を加える試験工程と、
前記衝撃センサにおいて前記隔壁の流通孔を介して移動した前記第1または第2の媒体の量を光学的に検出することにより、前記測定対象物に加えられた衝撃量を測定する測定工程とを備える、衝撃量検出方法。 - 前記測定工程は、前記試験工程が終了した後に実施される、請求項10に記載の衝撃量検出方法。
- 前記測定工程は、前記試験工程と同時に行われる、請求項10に記載の衝撃量検出方法。
- 前記試験工程は、前記測定対象物を落下させることにより前記測定対象物に衝撃を加えるものである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の衝撃量検出方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の衝撃センサを輸送対象物に設置する工程と、
前記衝撃センサにおいて前記隔壁の流通孔を介して移動した前記第1または第2の媒体の量を検出することにより、前記輸送対象物を輸送しているときに前記輸送対象物が受ける衝撃量を測定する測定工程とを備える、衝撃のモニタリング方法。
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