JP2006300062A - スプライスおよびスプライスを備えたライナアセンブリとファンケースアセンブリ - Google Patents

Abstract

【課題】音響的に有利な音響ライナ用スプライスを提供する。
【解決手段】ダクト用ライナアセンブリ１２は、表面シート２２によって覆われた騒音エネルギ吸収用の騒音減衰層１８を含む。表面シート２２は音響的に有利なスプライス３０によって覆われるシーム２６を含む。音響的に有利なスプライス３０は騒音減衰層１８へ音響エネルギを伝達させて音響的に不利な領域の発生を最小限にする複数の音響領域３２を含む。
【選択図】図１

Description

本願発明は一般にダクト用の音響ライナに関する。より詳細には、本願発明は音響ライナのシームを覆うスプライスに関する。

航空機用の通常のタービンエンジンやターボファンエンジンは、ファンケースとして一般に知られているダクトの内部で回転する複数のファンブレードを含む。ファンケースは、ファンブレードや航空機を保護するための保護カバーとして機能する。さらに、ファンケースはタービンエンジンへ空気流を導入する。ファンケースの内面は、ファンケースに衝突する物体からの衝撃に耐えられるように構成され、さらにエンジンから放射された騒音を低減するための音響的機能を含む。

騒音減衰構造の層と、複数の開口部を備えた表面シートと、をファンケースライナに設けることは公知である。この表面層は、典型的には、騒音減衰構造の上に取り付けられた金属もしくは複合材料の薄いシートである。騒音発生の原因となる圧力変動は、表面層内の開口部を通して騒音減衰構造に放射され、そこで圧力変動は消散し、騒音の合計量を低減する。

表面層は内部面を形成し、アセンブリ公差を吸収するとともに熱膨張により発生する負荷を吸収する少なくとも１つのシーム（継ぎ目）を一般に含む。表面シートの縁部や内在する騒音減衰構造を保護するためにシーム上にスプライスが接合される。スプライスは、典型的には、表面層の両側を部分的に重なり合う連続した帯状の材料（ｓｏｌｉｄ ｓｔｒｉｐ ｏｆ ｍａｔｅｒｉａｌ）である。スプライスは、接着剤でシーム両側の表面層へ接合される。接着剤およびスプライスは接合して、騒音減衰構造へ延びる表面層の開口部を遮断してしまう。これにより、不都合にも、ライナアセンブリ内に騒音を吸収しない音響的にデッドな（不利な）エリアを生じてしまう。この音響デッドエリアは音響ライナの騒音減衰構造の効果を低下させてしまう。

従って、ライナアセンブリの騒音減衰特性を改善する音響的に有利な音響ライナ用スプライスを開発することが望ましい。

本発明によるファンケースアセンブリの一例は、複数の開口部を備えた表面シートを有したライナアセンブリを含む。表面シート内のシームが音響的に有利なスプライスで覆われ、この音響スプライスはこれを通して騒音減衰層へ騒音エネルギを伝達させる複数の音響領域を含む。

ファンケースアセンブリはハウジングとライナアセンブリとを含む。ライナアセンブリは、保護表面シートによって覆われた騒音減衰層を含む。この表面シートは騒音エネルギを騒音減衰層へ伝達させる複数の開口部を含む。表面シートはライナアセンブリに衝突し得る物体や他の破片から騒音減衰層を保護する。

表面シートは一般に一枚のシートであり、このシートが騒音減衰層の上に取り付けられて軸方向のシームが形成される。音響的に有利なスプライスが、騒音減衰層を傷つける物体の侵入を防ぐために軸方向のシームを覆う。スプライスは表面シートに通じる複数の音響領域と、複数の開口部と、を含み、音響的に有利なスプライスを通して騒音エネルギを伝達させる。

本発明の上記特徴やその他の特徴は、以下の詳細な説明や添付図面から良く理解できるであろう。なお添付図面については以下に図面の簡単な説明が付されている。

図１および図２を参照すれば、エンジンアセンブリ用のダクトが示され、これは一般にファンケースアセンブリ１０と呼ばれる。ファンケースアセンブリ１０はファンケースアセンブリの内部面を画定する、外部ハウジング１７およびライナアセンブリ１２を含む。ライナアセンブリ１２は複数のセル２０を備えた騒音減衰構造１８を含む。騒音エネルギは表面シート２２を通過して複数のセル２０に入り、そこで熱として消散する。

表面シート２２はガスタービンエンジンによって放射された騒音エネルギを騒音減衰層１８へ伝達する複数の開口部２４を含む。表面シート２２はファンケースアセンブリ１０内に周方向に巻き付けられた金属または複合材料のシートである。表面シート２２は一枚のシート材料もしくは複数のシート材料から構成される。１つもしくは複数の表面シート２２のどちらが用いられても、表面シート２２の隣り合う縁部に沿ってシーム２６が形成される。シーム２６はアセンブリの累積公差により生じ、運転中の熱膨張を吸収する。本発明による音響的に有利なスプライス３０が、シーム２６を覆いかつ騒音減衰層１８への物体や他の材料の侵入を防止するように取り付けられる。

騒音減衰層１８は、ファンケースアセンブリ１０のカウリング１６から後方の表面シート２２の下部にわたる部分に延びている。騒音減衰層１８は、ファンブレード１４に隣接して設けられたさらに後方のアブレーダブルストリップ１５の下部へ延びている。アブレーダブルストリップ１５はライナアセンブリ１２との接触を吸収し、ファンブレード１４をライナアセンブリ１２との接触から保護する。騒音減衰層１８の別の部分は、アブレーダブルストリップからさらに後方のプレート２８の下部に延びる。プレート２８は表面シート２２より厚い材料からなり、ライナアセンブリ１２に衝撃保護機能を付与する。

音響的に有利なスプライス３０は表面シート２２のシーム２６を覆う。スプライス３０はシーム２６を覆い、かつ、複数の音響領域３２を含む。音響領域３２は、スプライス３０を通して表面シート２２内の複数の開口部２４へ騒音エネルギを伝達させる。スプライス３０を通した騒音エネルギの伝達により、騒音エネルギを吸収する音響的に有利なシームが得られ、このシームは騒音エネルギを反射させたり表面シート２２内の複数の開口部２４への騒音エネルギの進入を阻止したりして音響デッドゾーンを生ぜしめることはない。

図３を参照すれば、スプライス３０はシーム２６を覆う中央部分３４を含む。中央部分３４から外側に延びているのはウェブ構造３６である。ウェブ構造３６は音響領域３２の境界を画定する複数のウェブ部分３８を含む。音響領域３２は中央部分３４から延びてスプライス３０の全幅を画定する。全幅４４はシーム２６に沿った表面シート２２の隣り合う縁部に接合される接合面積を付与する。

図４および図５を参照すれば、スプライス３０は、音響領域３２という形で騒音エネルギを通過させる開口面積を付与する。しかしながら、スプライス３０はまた、表面シート２２へスプライス３０を接着・貼付する接合材料を付与するために、シーム２６の両側に十分な面積を含んでいなければならない。ウェブ部分３８は複数の開口部２４の局所的な遮断を最小限にする幅４２を含み、また、ウェブ部分が集まってスプライス３０を表面シート２２に固定する所望の接合面積を付与する。

さらに、中央部分３４は表面シート２２の縁部の間でのシームの被覆を保証できるような寸法であるのが好ましい幅３７を含む。中央部分３４の一部はシーム２６によって形成された空隙４０を覆うため、中央部分３４は完全には表面シート２２に接合されない。中央部分３４の幅３７は具体的な用途の累積公差条件の範囲でシーム２６を覆うように決定される。

スプライス３０はシーム２６の内部へ延びかつ騒音減衰層１８の隣接部分間の下方へ延びたテール部３５を含む。接着剤４６はシーム２６の両側に適用されて、シーム２６上にスプライス３０を接着する。

音響領域３２は、ウェブ構造３６によって画定される複数の反復的な三角形状の開口部として構成される。ウェブ構造３６は、中央部分３４の両側に設けられた交互に並ぶ一連の山形紋のような三角形状の開口部を付与する。交互に並んだ形状は内在する表面シート２２に所望の開放性を付与する一方、これらの形状が集まって表面シート２２との間に所望の接合を付与するに足る所望の表面積を付与する。音響スプライス３０が三角形状の音響領域３２としての実施態様において示されたが、他の形状の音響領域もまた使用され得ることも本発明の想定範囲内である。

図６を参照すれば、本発明による別の実施例のスプライス５０は、一連の矩形状の音響領域５２を含む。音響領域５２は中央部分５４から延びたウェブ構造５６によって画定されている。音響領域５２の開口により、内在する騒音減衰層への連通が確保され、ファンケースアセンブリ１０から放射された音を最小限にするように騒音エネルギを吸収する音響的に有利な領域が得られる。

従って、本発明の音響スプライスは、表面シートの縁部の間の音響的にデッドなシームをほぼ排除することで騒音減衰特性を大幅に改善するライナアセンブリを実現する。

本発明の最良の形態が開示されたけれども、当該分野の通常の知識を有する者であれば、本発明の範囲を逸脱せずにある程度の改良を認識するであろう。従って、本発明の真の範囲や内容を決定するには添付の特許請求の範囲を検討するべきである。

本発明によるファンケースアセンブリの部分切断図である。 本発明によるファンケースアセンブリの断面図である。 本発明による音響的に有利なスプライスの平面図である。 本発明による音響的に有利なスプライスの一部の拡大図である。 音響的に有利なスプライスの一例を示す断面図である。 本発明による別の実施例の音響的に有利なスプライスの一部を示す拡大図である。

符号の説明

１０…ファンケースアセンブリ
１２…ライナアセンブリ
１４…ファンブレード
１５…アブレーダブルストリップ
１６…カウリング
１７…外部ハウジング
１８…騒音低減層
２０…セル
２２…表面シート
２６…シーム
３０…スプライス
３２…音響領域

Claims (19)

1. 騒音減衰層と、
   上記騒音減衰層の上に設けられた表面シートであって、複数の開口部とシームとを含んだ表面シートと、
   上記シームを覆うスプライスであって、上記表面シート内の上記複数の開口部へ通じる音響領域を含んだスプライスと、
   を備えたダクト用ライナアセンブリ。
2. 上記音響領域は上記スプライスの境界部分によって画定された開口エリアを含んでいることを特徴とする請求項１に記載のダクト用ライナアセンブリ。
3. 上記スプライスは上記シームを覆う中央部分を含み、かつ、上記音響領域は上記中央部分の両側に設けられた複数の音響領域を含むことを特徴とする請求項２に記載のダクト用ライナアセンブリ。
4. 上記境界部分は上記中央部分から外側に延びたウェブ構造を含んでいることを特徴とする請求項３に記載のダクト用ライナアセンブリ。
5. 上記ウェブ構造は、上記表面シート内の上記複数の開口部の間の間隔よりも小さな幅を有した複数のウェブ部分を含んでいることを特徴とする請求項４に記載のダクト用ライナアセンブリ。
6. 上記音響領域はほぼ三角形状をなすことを特徴とする請求項１に記載のダクト用ライナアセンブリ。
7. 上記音響領域はほぼ矩形状をなすことを特徴とする請求項１に記載のダクト用ライナアセンブリ。
8. 上記騒音減衰層は複数の独立した室を含み、上記独立した室の各々は上記表面シート内の上記複数の開口部の少なくとも１つに連通していることを特徴とする請求項１に記載のダクト用ライナアセンブリ。
9. 上記スプライスを上記表面シートに接合する接着剤を含んだ請求項１に記載のダクト用ライナアセンブリ。
10. 上記接着剤は上記音響領域を取り囲む上記スプライスの部分に付与されることを特徴とする請求項９に記載のダクト用ライナアセンブリ。
11. ダクト用ライナアセンブリの表面シート内の複数の開口部に通じる音響領域を含んだ、ダクト用ライナアセンブリのシームを覆うスプライス。
12. 上記スプライスは上記シームを覆う中央部分を含み、かつ、上記音響領域は上記中央部分の両側に設けられた複数の音響領域を含んでいることを特徴とする請求項１１に記載のスプライス。
13. 上記音響領域はほぼ三角形状をなすことを特徴とする請求項１１に記載のスプライス。
14. 上記音響領域はほぼ矩形状をなすことを特徴とする請求項１１に記載のスプライス。
15. 上記音響領域は上記中央部分の両側に対して対称配置されかつオフセットされた反復的な幾何学的パターンを含んでいることを特徴とする請求項１１に記載のスプライス。
16. ファンケース本体と、
    ファンブレードとの接触を吸収するアブレーダブルストリップと、
    騒音低減層と、
    上記アブレーダブルストリップの前方に設けられた表面シートであって、上記騒音低減層へ音響エネルギを伝達させる複数の開口部と、シームと、を備えた表面シートと、
    上記シームを覆う音響スプライスであって、上記音響スプライスを通して上記騒音低減層へ音響エネルギを伝達させる音響領域を含んだ音響スプライスと、
    を備えたファンケースアセンブリ。
17. 上記音響スプライスは上記シームを覆う中央部分を含み、かつ、上記音響領域は上記音響領域の両側に設けられていることを特徴とする請求項１６に記載のファンケースアセンブリ。
18. 上記音響領域は上記中央部分の両側に対して対称配置されかつオフセットされた反復的な幾何学的パターンを含んでいることを特徴とする請求項１６に記載のファンケースアセンブリ。
19. 上記音響領域は上記中央部分の両側に設けられた複数の三角形状の開口部を含んでいることを特徴とする請求項１６に記載のファンケースアセンブリ。

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