JP2006299978A - 熱機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】超臨界水を作動媒体とする強力かつ高効率でコンパクトな熱機関の提供。
【解決手段】熱機関1は、シリンダ2と、これに往復動自在に内装されたピストン3と、この往復運動を動力として取り出すクランク4及びクランクシャフト33と、シリンダ2の内室21に爆発的に膨張する超臨界水uを注入するため開閉する噴出弁23及び開いた際に内室内に噴出させるための噴出ノズル22と、膨張して蒸気となった作動媒体vをシリンダ2の内室21から排気する排気口24と、排気口24から受け取った蒸気を凝縮し液化する復水器6と、復水器6から受け取った水を超臨界状態まで加熱するためのボイラ5と、ボイラ5から受け取った超臨界水uを噴出弁23及び噴出ノズル22に供給するための供給弁53及びタンク54とで構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】熱機関1は、シリンダ2と、これに往復動自在に内装されたピストン3と、この往復運動を動力として取り出すクランク4及びクランクシャフト33と、シリンダ2の内室21に爆発的に膨張する超臨界水uを注入するため開閉する噴出弁23及び開いた際に内室内に噴出させるための噴出ノズル22と、膨張して蒸気となった作動媒体vをシリンダ2の内室21から排気する排気口24と、排気口24から受け取った蒸気を凝縮し液化する復水器6と、復水器6から受け取った水を超臨界状態まで加熱するためのボイラ5と、ボイラ5から受け取った超臨界水uを噴出弁23及び噴出ノズル22に供給するための供給弁53及びタンク54とで構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は熱機関に係り、特に有害な排気ガスが少なく、強力かつ高効率で、コンパクトな熱機関に関するものである。
熱エネルギーから機械的動力を取出すための熱機関には種々のものが提案されているが、外燃機関と内燃機関に大別できる。外燃機関は、蒸気機関車のエンジンや火力発電所のタービンのように、別途ボイラで作った蒸気を作動媒体とするため、燃焼は制御し易いが、装置が嵩むのが難点である。一方、内燃機関は、自動車のエンジンのように、燃料自体の燃焼・爆発により動力を取り出すため、コンパクト化が可能で、しかも強力な機械的動力を得ることができるが、完全燃焼が困難であったり、窒素酸化物等の有害物質を発生するなど、環境に高い負荷を負わせる可能性がある難点がある。
特許文献1の予混合強制点火ディーゼルエンジンでは、まず、メイン燃料弁から燃料を副室内へ噴射し、その後、電磁弁を開き蒸気噴射弁より蒸気を噴射する。蒸気は副室内の燃料を取り込み、絞り部からシリンダ内に噴出し、シリンダ内で拡散し、均一な希薄予混合気を形成する。また蒸気の存在により予混合気が早期に自己着火することなく、点火用燃料弁からの燃料噴射により着火し、予混合燃焼を行う。蒸気は、高圧水ポンプからの水を加熱管で排ガスにより加熱し、更にヒータで加熱して作られ、蒸気配管により供給される。こうして、予混合気に蒸気を混入することにより、均一な予混合気を形成し、かつ早期の自己着火を防止するものである。
特許文献1の予混合強制点火ディーゼルエンジンは、内燃機関の一種であるディーゼルエンジンの燃焼のタイミング等を改善し得るものではあるが、化石燃料を用いた内燃機関である以上、環境に高い負荷を負わせる懸念は拭い難い。また、蒸気を発生させるための加熱装置やポンプ等が必要となるなど、装置が大型化する虞もある。
本発明は、以上に述べた従来技術の問題点を解決し、作動媒体を排出せず、有害な排気ガスも少なく、強力かつ高効率で、コンパクトな熱機関を提供することを解決の課題とするものである。
本発明の1は、シリンダと、
前記シリンダにその軸方向に沿って往復動自在に内装されたピストンと、
前記ピストンの往復運動を動力として取出す動力取出手段と、
前記シリンダの一端、これに繋がる周側部及び前記ピストンによって形成される内室に注入して爆発的に膨張させる超臨界状態の作動媒体の注入手段と、
膨張後の作動媒体を排気する排気手段と、
前記排気手段から受け取った作動媒体を凝縮し液化する復水器と、
前記復水器から受け取った作動媒体を超臨界状態まで加熱するための加熱手段と、
前記加熱手段から受け取った超臨界状態の作動媒体を前記注入手段に供給する供給手段と、
で構成した熱機関である。
前記シリンダにその軸方向に沿って往復動自在に内装されたピストンと、
前記ピストンの往復運動を動力として取出す動力取出手段と、
前記シリンダの一端、これに繋がる周側部及び前記ピストンによって形成される内室に注入して爆発的に膨張させる超臨界状態の作動媒体の注入手段と、
膨張後の作動媒体を排気する排気手段と、
前記排気手段から受け取った作動媒体を凝縮し液化する復水器と、
前記復水器から受け取った作動媒体を超臨界状態まで加熱するための加熱手段と、
前記加熱手段から受け取った超臨界状態の作動媒体を前記注入手段に供給する供給手段と、
で構成した熱機関である。
本発明の2は、本発明の1の熱機関に於いて、前記復水器と前記加熱手段との間に、前者で凝縮し液化した作動媒体を後者に送り込むための作動媒体用配管を接続し、
他方、前記復水器及び前記シリンダに冷却媒体を通過させる冷却用配管を配し、前記作動媒体を予熱すべく、該冷却用配管の加熱状態の冷却媒体が通過する範囲の部位に前記作動媒体用配管を接触状態に配したものである。
他方、前記復水器及び前記シリンダに冷却媒体を通過させる冷却用配管を配し、前記作動媒体を予熱すべく、該冷却用配管の加熱状態の冷却媒体が通過する範囲の部位に前記作動媒体用配管を接触状態に配したものである。
本発明の1の熱機関によれば、作動媒体を循環させると共に加熱手段により超臨界状態で供給して利用するため、環境に掛ける負荷が少なく、しかも、強力かつ高効率でコンパクトな熱機関を実現することができる。
本発明の2の熱機関によれば、エネルギーの無駄を省き、一層高効率に動力を取出すことができる。
本発明の熱機関は、基本的に、シリンダと、これに内装されるピストンと、その往復運動を動力として取り出す動力取出手段と、該シリンダの内室に作動媒体を注入するための注入手段と、作動媒体の排気手段と、排気された作動媒体を凝縮し液化する復水器と、作動媒体の加熱手段と、加熱手段から超臨界状態の作動媒体を注入手段に供給する供給手段とで構成したものである。
更に、前記復水器と前記加熱手段との間に、前者で液化した作動媒体を後者に送り込むための作動媒体用配管を接続し、かつ、前記復水器及び前記シリンダに冷却媒体を通過させる冷却用配管を配し、前記作動媒体を予熱すべく、該冷却用配管の加熱状態の冷却媒体が通過する範囲の部位に前記作動媒体用配管を接触状態に配すことにより、一層の高効率化を図るものである。
本発明の熱機関は、前記したように、従来のレシプロ機関を基本とした構成であるが、高温・高圧の臨界状態とした作動媒体を供給し、該作動媒体を復水と加熱を交互に繰返しつつ循環させて使用することにより、エネルギー効率の向上と環境への負荷軽減、ならびに装置のコンパクト化を図るものである。
シリンダやピストンは、従来のレシプロ機関と同様に、1個だけでも2個以上配設した構成としても良い。また、シリンダ1個当りの内室及びこれに内装されるピストンも、1個に限定するものではなく、該シリンダの両端に相互に逆位相で動作するように2個配設しても良い。ピストンの往復運動を動力として取り出す動力取出手段も特定の構成に限定する必要はない。例えば、クランク等を介して回転運動として取り出す機構に構成し、その回転運動を弾み車を用いて平滑にする構成等でも良い。なお、前記シリンダやピストンのサイズは、同程度の出力のディーゼル機関に準ずるものとする。
前記シリンダの内室に作動媒体を注入するための注入手段は、噴出ノズルと噴出弁とで構成することができる。噴出弁と噴出ノズルの構成自体は限定しないが、噴出弁は前記ピストンの往復運動に同期して開閉するように構成する。該噴出ノズルから前記内室に注入された作動媒体は瞬時にかつ爆発的に膨張するようになっている。
作動媒体の排気手段の構成も特に限定する必要はないが、例えば、シリンダの一部にピストンの動作により開閉される排気口として構成することができる。このようなシリンダの排気口は、より大きな動力を取り出すべく、ピストンが上死点から下死点に向けて所定以上変位した後に作動するように、例えば、シリンダの内室の側面下方に開口しておく。なお、このような排気口は前記復水器に連通させ、この排気口を通過した作動媒体は急激に膨張して凝縮し液化されるようにする。復水器の構成も特定のそれに限定する必要はなく、一般的なそれを用いることができる。
復水器で液化された作動媒体の加熱手段の特定のそれに限定されない。作動媒体として水を用いる場合は、ボイラを用いる。ボイラの構成も特に限定しないが、例えば、従来から良く採用されているように、断熱された炉の内部にバーナや作動媒体が通過する作動媒体用配管を配設した貫流式ボイラを採用することができる。
作動媒体は、作動媒体用配管を通過する過程でバーナで加熱されて蒸気となった後、更に過熱されて超臨界状態となる。この超臨界状態の作動媒体を前記注入手段に供給する供給手段としては、種々の構成が採用可能であるが、例えば、超臨界状態の作動媒体を一時的な滞留用のタンクと該タンクへの流入を調整する供給弁とで構成することができる。作動媒体は超臨界状態で使用されるためエネルギー密度が高く微量で良く、該タンクの容量は小さくて良いが、高温・高圧の超臨界状態の作動媒体を収容するため、強度や保温性には十分配慮する。なお前記シリンダの内室への作動媒体注入と該タンクによる滞留及びバーナの燃焼による加熱と後記する作動媒体の循環は、負荷の変動に応じて相互に協調させて行う。
前記作動媒体用配管は、前記復水器で液化した作動媒体を前記加熱手段に送り込んで循環させ、該加熱手段が前記したような還流式ボイラの場合は、その内部に作動媒体を通過させる役割も担う。前記冷却用配管は、前記復水器及び前記シリンダに冷却媒体を通過させると共に、冷却に伴い加熱された冷却媒体が通過する範囲の部位に前記作動媒体用配管を接触状態に配すことにより、一方で作動媒体を予熱させる役割をも担うことができる。前記作動媒体用配管は、ポンプで加圧された作動媒体を通過させつつ、加熱のため前記ボイラ内も通過するため、高い熱伝導性と強度が要求される。
作動媒体は勿論水を採用することができるが、これに限定するものではなく、水と同様に、適度な密度を有し適切な温度と圧力で超臨界状態に変化する物質であれば良く、二酸化炭素等も使用できる。
該作動媒体は、ポンプで加圧しつつ加熱手段に送り込み、該加熱手段で加熱して気化させ、更に過熱することにより、高温・高圧の超臨界状態として、前記ピストンが上死点に達した時点で、前記シリンダの内室に、注入手段である噴出弁や噴出ノズル等を介して注入する。
ここで、作動媒体として水を採用した場合は、500℃〜700℃、300気圧前後の超臨界状態とするが、火力発電用のタービンの入口蒸気として既に実用されていて、バルブ等の関連機器やその利用技術は確立されている。しかも往復動の熱機関のため、タービンブレードの損傷といった問題はなく、該作動媒体も微量で良い。超臨界状態の作動媒体は、負荷の変動に応じてボイラ等の加熱手段で作られて供給されるが、前記したように、例えば、一旦、前記供給手段を構成するタンクに滞留させることとすれば、容易に負荷の変動に対応することができる。
前記冷却媒体は、循環させて使用しても良いし、海水を汲上げるなどして使用しても良い。該冷却媒体の役割は、前記シリンダ等の過熱を防止することと、前記復水器に於いて作動媒体の凝縮及び液化を促進することで、その結果、該冷却媒体は加熱されて温度が上昇するが、前記したように、逆に、この熱を作動媒体の予熱にも利用することができる。
冷却媒体を循環させる場合、例えば、復水器に導入する前に、ファンにより外気で空冷したり、海水等で冷却する必要がある。冷却媒体を循環させれば、外部から新たに取り込む必要がなく、この熱機関を自動車等の交通機関に適用することができる。循環させる場合、冷却媒体は、これに限定しないが、水を採用することができる。冷却媒体を冷却する場合、放熱による損失を抑制するため、空冷の場合は、吸気口と排気口等を除き、装置全体を断熱カバーで覆い、取り込み直後の外気は冷却に使用すると共に、加熱されたそれは作動媒体の予熱等に利用することとする。なお、該ボイラの燃料は、特定のそれに限定する理由はない。ガソリンやLNG等を自由に使用することができる。
以上で説明した本発明の熱機関は、以下のように動作する。
先ず、冷却用のファンやポンプを起動して外気或いは冷却水を取込むと共に、冷却用媒体を循環、或いは流通させる。続いて、作動媒体用配管に挿入されたポンプを起動して作動媒体を加圧すると共に、加熱手段、例えば、ボイラを起動して燃料を供給しバーナを点火する。作動媒体が加熱されて気化し、更に過熱されて超臨界状態となったところで、前記タンクがある場合はこれに一旦滞留させ、ピストンが上死点に達した時点で、注入手段の一部を構成する、例えば、噴出弁を開き、超臨界状態の作動媒体を注入手段の他の一部を構成する噴出ノズルからシリンダの内室に注入する。
シリンダの内室に注入された超臨界状態の作動媒体は、爆発的に膨張して、略等圧的にピストンを押し下げる。その際の爆発圧力は、1平方cm当り60〜100kgとなり、同程度のサイズのディーゼル機関に於けるそれを凌ぎ得るものである。更にピストンが下降すると、作動媒体は、排気手段、例えば、シリンダ側面の復水器に連通する排気口が開いて排気され、該作動媒体は急速かつ断熱的に膨張し、復水器により凝縮され液化される。ピストンが下死点に達すると、弾み車の慣性でピストンは上昇に転じ、作動媒体は排気されつつシリンダの内室は等圧的に収縮する。
その際、逆位相で動作するもう1つのピストンがシリンダの他端に配設されていれば、主に前記した作動媒体の爆発や膨張によりピストンを上昇させることができる。勿論、複数のシリンダを配設し、それらに相互に位相をずらして動作すると共にクランクを介して同一の弾み車と連動するピストンを内装することにより、より円滑かつ強力な機械的動力を取出すことができる。
ピストンが更に上昇すると、前記排気口が再び塞がり、シリンダの内室に残留の作動媒体は断熱的に圧縮される。ピストンが再び上死点に達すると、前記したように、超臨界状態の媒体が注入され、以上のサイクルが繰返される。
各サイクルで供給されるエネルギーは、作動媒体を超臨界状態に過熱する加熱手段、例えば、バーナの燃焼によるものが殆どで、燃料の持つエネルギーで効率的に作動媒体を加熱することができ、前記したように放熱等による損失を極力抑制することができる。また高圧で微量の作動媒体を大気圧近くにまで減圧し、かつその後のピストンによる圧縮は比較的低圧に留めるため、コンパクトな装置で大きな機械的動力を取り出すことができる。しかも作動媒体を加熱する加熱手段は、ボイラ等の外燃機関で作動媒体も排出しないため、燃焼を制御し易く環境に掛ける負荷も小さくて済む。
この実施例の熱機関1は、図1に示すように、シリンダ2と、これに内装されるピストン3と、その往復運動を動力として取出すクランク4やクランクシャフト33からなる動力取出手段と、該シリンダ2の内室21に作動媒体である超臨界水を注入するための注入手段と、作動媒体の排気手段と、排気された作動媒体を凝縮し液化する復水器6と、作動媒体である水の加熱手段であるボイラ5と、加熱手段と注入手段を結合する供給手段とを基本に構成した往復動の熱機関である。
前記注入手段は噴出ノズル22と噴出弁23とで構成し、該噴出弁23は前記ピストン3の往復運動に同期して開閉し、噴出ノズル22から注入された超臨界水uは前記内室21に瞬時に充満して爆発的に膨張する。前記排気手段として、シリンダ2の内室の側面下方に排気口24が開口され、ピストン3が上死点から下死点に向けて所定以上下降変位した後に開くようにしているため、大きな動力を取出すことができる。該排気口24は前記復水器6に連通していて、該復水器6に流入した作動媒体vは急激に膨張して凝縮し液化される。またピストンヘッド31の中央部には窪み32を設けているため、前記ピストン3が上死点に達した状態でも、シリンダ2の内室21に適度なスペースを確保して、適量の超臨界水が注入可能である。なおピストン3はストロークsで示す範囲を往復する。
この実施例の熱機関1は、前記したように、従来のレシプロ機関を基本とした構成であるが、作動媒体としてエネルギー密度の高い高温・高圧の超臨界水を用い、しかも復水と加熱を交互に繰返しつつ循環させて使用することにより、エネルギー効率の向上と環境への負荷軽減、並びに装置のコンパクト化を図っている。前記シリンダ2やピストン3のサイズは、同程度の出力のディーゼル機関に準じている。
また前記復水器6と前記ボイラ5との間に、前者で液化した作動媒体Wを後者に送り込むための作動媒体用の配管68を接続し、かつ前記復水器6及び前記シリンダ2に冷却媒体を通過させる冷却用の配管61、62を配し、前記作動媒体を予熱すべく、冷却の結果、加熱状態となった冷却媒体hが通過する範囲に配設された冷却用の配管64に前記作動媒体用の配管68を接触状態に配することにより、一層の高効率化を図っている。
更に作動媒体用の配管68は前記ボイラ5の断熱壁50中も通過するように配設していて、前記した予熱の効果を高めている。なお作動媒体用の該配管68は作動媒体wをポンプ67で加圧して前記ボイラ5内に配設した配管51に供給している。このためこれらの配管51、68は高い熱伝導性と強度とを備えるものとしている。
冷却媒体としては水を循環させて使用している。この冷却水の役割は、前記シリンダ2等の過熱を防止することと、前記復水器6に於いて作動媒体の凝縮及び液化を促進することであり、そのような役割を担った結果として、加熱されて温度が上昇するが、前記したように、逆に温度の上昇したこの冷却水を作動媒体wの予熱に利用することができる。
この実施例の熱機関1では、復水器6に導入する前にファン66により外気aでラジエータの配管65を通過する冷却水を空冷し循環させているため、外部から新たに取込む必要がなく、自動車等の交通機関に適用することもできる。
また放熱による損失を抑制するため、吸気口11と排気口12等を除き、装置全体を断熱カバー10で覆い、取り込み直後の外気aは冷却に使用すると共に、加熱されたそれは排気bとして放出する前に、前記した空冷の行われる領域と予熱の行われる領域との境界に配設された断熱性の仕切13により分離させつつ移動させ、作動媒体wの予熱にも利用する。なお、前記ボイラ5のバ−ナ52の燃料にはLNGを使用する。
前記したように、作動媒体には水を使用しているが、水の場合、臨界点の温度は374.15℃、圧力は22.12MPaとなる。作動媒体である水は、前記し、かつ、図1に示すように、ポンプ67で加圧されつつ、前記作動媒体用の配管68と連通したボイラ5内の配管51内を通過する過程でバーナ52により加熱され、気化して蒸気vとなり、更に過熱されて超臨界水uとなる。またこの超臨界水は、前記ピストン3が上死点に達した時点で、その微量(例えば、数cc)が前記シリンダ2の内室21に前記噴出弁23及び噴出ノズル22を介して注入される。
この実施例では、超臨界水は、前記臨界点よりも高温・高圧の約600℃、300気圧前後としている。該超臨界水uは、その入力側に配設された供給弁53を介して一旦タンク54に滞留された後に、前記注入手段及びシリンダの内室21に供給される。該供給弁53及び該タンク54が前記供給手段を構成するものである。該タンク54の容量は小さいが(例えば、百cc程度)、1回に注入される超臨界水は微量なため、負荷変動に十分対応することができる。なお高温・高圧の超臨界水を収容するため、強度や保温性には十分配慮している。
また前記シリンダ2の内室21への超臨界水注入と該タンク54による滞留及びバーナ52の燃焼による加熱と後記する作動媒体の循環は負荷の変動に応じて相互に協調させて行う。
以上に説明したこの実施例の熱機関1は、以下のように動作する。
先ず冷却水の冷却用のファン66や冷却水循環用のポンプ60を起動して外気aを取込むと共に冷却用水cを循環させる。続いて作動媒体圧送用のポンプ67を起動して該作動媒体である水wを加圧すると共に、前記ボイラ5を起動して燃料fと空気gを供給しバーナ52を点火する。その際、該バーナ52の燃焼ガスは排気eとして放出される。作動媒体である水wは、加熱されて蒸気vとなり、更に過熱されて超臨界水uとなったところで、供給弁53を介してタンク54に保管滞留され、シリンダ2のピストン3が上死点に達した時点で、該噴出弁23が開かれ該シリンダ2の内室21に注入される。
図2(a)に示すように、シリンダ2の内室21に噴出された超臨界水uは、爆発的に膨張して、略等圧的にピストン3をd方向に押し下げ、クランク4の軸を矢印R方向に回転させる。その際の爆発圧力は、1平方cm当り100kg近くに達し、ディーゼル機関に於けるそれを凌ぎ得るものである。この間の状態変化は、図3に示すグラフのA→Bに当り、臨界点Tよりも高圧で略等圧的に作動する。
更にピストン3が更にd方向に下降すると、図2(b)に示すように、シリンダ2の側面の排気口24が開き、超臨界水uは復水器6に排気されて水蒸気vとなり、断熱的に膨張し、復水器6により液化される。この間の状態変化は図3に示すグラフのB→Cに当る。
ピストン3が下死点に達すると、図示していない弾み車の慣性でクランク4の軸は継続してR方向に回転し、これに伴ってピストン3は上昇に転じ、図2(c)に示すように、水蒸気vはその一部が排気口24から排気されつつ、シリンダ2の内室21内は等圧的に収縮する。この間の状態変化は、図3に示すグラフのC→Dに当る。
ピストン3が更に上昇すると、排気口24が再び塞がり、図2(d)に示すように、シリンダ2の内室21に残留する水蒸気vは断熱的に圧縮される。この間の状態変化は、図3に示すグラフのD→Eに当る。
ピストン3が再び上死点に達すると、前記したように、該内室21に超臨界水uが注入されることになり、これは図3に示すグラフのE→Aに当り、以上のサイクルが繰返される。
各サイクルで供給されるエネルギーは、作動媒体である水を加熱し、更に超臨界水に過熱するバーナ52による燃焼によるものが殆どで、前記したように、放熱等による損失を極力抑制しているため、燃料の持つエネルギーを効率的に利用することができる。また図3のグラフA→B→C→D→E→Aで囲まれた面積で示されるように、微量で高圧の超臨界水を大気圧程度までに減圧し、かつその後のピストン3による圧縮は比較的低圧に留めているため、コンパクトな装置で大きな機械的動力を得ることができる。しかもボイラ5で水を加熱する外燃機関であるため、燃焼を制御し易く、環境に掛ける負荷も小さくて済むこととなる。
1 熱機関
10 断熱カバー
11 吸気口
12 断熱カバーの排気口
13 仕切
2 シリンダ
21 内室
22 噴出ノズル
23 噴出弁
24 シリンダの排気口
3 ピストン
31 ピストンヘッド
32 窪み
33 クランクシャフト
4 クランク
5 ボイラ
50 断熱壁
51、68 作動媒体用の配管
52 バーナ
53 供給弁
54 タンク
6 復水器
60 冷却水循環用のポンプ
67 作動媒体循環用のポンプ
61、62、64、65 冷却水用の配管
66 ファン
a 外気の吸入方向を示す矢印
b 排気の方向を示す矢印
g ボイラの吸気方向を示す矢印
e ボイラの排気の方向を示す矢印
c 冷却用水及びその移動方向
d ピストンの変位する方向を示す矢印
f 燃料の供給方向を示す矢印
h 加熱された冷却用水の移動方向を示す矢印
s ピストンのストローク
u 超臨界水の供給方向を示す矢印
v 蒸気の供給又は移動方向を示す矢印
w 作動媒体である水の移動方向を示す矢印
R 回転方向を示す矢印
W 復水された作動媒体の水
10 断熱カバー
11 吸気口
12 断熱カバーの排気口
13 仕切
2 シリンダ
21 内室
22 噴出ノズル
23 噴出弁
24 シリンダの排気口
3 ピストン
31 ピストンヘッド
32 窪み
33 クランクシャフト
4 クランク
5 ボイラ
50 断熱壁
51、68 作動媒体用の配管
52 バーナ
53 供給弁
54 タンク
6 復水器
60 冷却水循環用のポンプ
67 作動媒体循環用のポンプ
61、62、64、65 冷却水用の配管
66 ファン
a 外気の吸入方向を示す矢印
b 排気の方向を示す矢印
g ボイラの吸気方向を示す矢印
e ボイラの排気の方向を示す矢印
c 冷却用水及びその移動方向
d ピストンの変位する方向を示す矢印
f 燃料の供給方向を示す矢印
h 加熱された冷却用水の移動方向を示す矢印
s ピストンのストローク
u 超臨界水の供給方向を示す矢印
v 蒸気の供給又は移動方向を示す矢印
w 作動媒体である水の移動方向を示す矢印
R 回転方向を示す矢印
W 復水された作動媒体の水
Claims (2)
- シリンダと、
前記シリンダにその軸方向に沿って往復動自在に内装されたピストンと、
前記ピストンの往復運動を動力として取り出す動力取出手段と、
前記シリンダの一端、これに繋がる周側部及び前記ピストンによって形成される内室に注入して爆発的に膨張させる超臨界状態の作動媒体の注入手段と、
膨張後の作動媒体を排気する排気手段と、
前記排気手段から受け取った作動媒体を凝縮し液化する復水器と、
前記復水器から受け取った作動媒体を超臨界状態まで加熱するための加熱手段と、
前記加熱手段から受け取った超臨界状態の作動媒体を前記注入手段に供給する供給手段と、
で構成した熱機関。 - 前記復水器と前記加熱手段との間に、前者で凝縮し液化した作動媒体を後者に送り込むための作動媒体用配管を接続し、
他方、前記復水器及び前記シリンダに冷却媒体を通過させる冷却用配管を配し、前記作動媒体を予熱すべく、該冷却用配管の加熱状態の冷却媒体が通過する範囲の部位に前記作動媒体用配管を接触状態に配した請求項1の熱機関。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005124306A JP2006299978A (ja) | 2005-04-21 | 2005-04-21 | 熱機関 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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