JP2006297301A - 牡蠣殻を主組成とした粉末排水処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】大量に発生する牡蠣殻の利用法がないので、産業廃棄物等になる。
【解決手段】牡蠣殻を微粉砕したものをアルカリ源としたものを原料とした粉体凝集・吸着剤として排水処理剤として使用すること、及び活性汚泥処理設備での返送汚泥に人工ゼオライトと牡蠣殻とを添加した排水着色防止剤として利用すること。

Description

本発明は牡蠣殻の有効活用、及び水質汚濁防止に関するものである。
従来の技術では牡蠣殻は有効利用先が見当たらず、廃棄処分されていたものである。
牡蠣殻を排水処理剤として利用するという試みは決して新しくはない。下記のような特許として申請されたものが多々ある。しかし本発明のような牡蠣殻を微粉砕し、ゾル破壊効果のある硫酸礬土、或いは硫酸鉄等と組み合わせた排水処理剤は新しいもので、また脱色剤、或いはフミン酸溶出防止剤のような活用方法は全く新しいものである。
特開平5−32968 特開平11−138153 特開平11−323870 特開2002−224678 特開2003−039086 特開2003−190785 特開2003−200004 特開2004−066103
(1)牡蠣殻は炭酸カルシウムを主組成としたものであるが、その他にもりん等の栄養物をも含有したもので、これを粉末排水処理剤、或いは活性汚泥処理でのフミン酸等の副生の防止に利用しようとするものである。
(2)本発明者は既に硫酸礬土等の酸性化合物と消石灰からなるフロック生成促進剤とカチオン系、或いはアニオン系高分子凝集剤、吸着剤としての人工ゼオライトからなる粉末排水処理剤を開発し、製造及び販売をしているが、フロック生成剤の消石灰と硫酸礬土等の酸性物質が貯蔵中に反応したり、排水処理の添加時に即反応しあい、必ずしも安定的な排水処理能力を発揮できないという課題を有している。このような粉末排水処理剤の欠点を牡蠣殻が含有している炭酸カルシウム等を利用して是正しようとするものである。
(3)有機物を含有した排水処理法のひとつに活性汚泥処理があるが、この活性汚泥処理法では、そこで副生するフミン酸、フルボン酸系の低分子の有機物を処理できず、その結果、その活性汚泥処理設備での処理水のCOD等が高くなったり、処理水に黄色味の色がついたりして、活性汚泥処理装置の後処理にオゾン処理、活性炭吸着処理等を必要とし、排水処理コストの上昇に苦しんでいる。このような活性汚泥処理装置の欠点を牡蠣殻粉末を用いて解決しようとするものである。
本発明者が開発、製造、販売している粉末排水処理剤、凝集吸着剤(商品名:ゼオソーブ)は上記のように硫酸礬土、或いは塩化鉄、硫酸鉄と消石灰からなるフロック生成剤と人工ゼオライト、及びカチオン系、或いはアニオン系高分子凝集剤等のフロック成長促進剤からなるものであるが、排水中に含有される有機物の性状次第ではその機能が不充分となる場合がある。即ち排水中の有機物がゾル状態、或いはエマルジョン状態にあるときは、上記排水処理剤では充分な機能を発揮し得ない。それは上記のフロック生成剤中の硫酸礬土等はゾル破壊、エマルジョン破壊効果を有しているが、共存している消石灰と添加後、即反応し、これらのゾル破壊効果及びエマルジョン破壊効果を発揮できないままフロック生成が起こってしまう。排水中の有機物が固体状として存在する場合には問題ないが、有機物がゾル状態またはエマルジョン状態にある場合には、現状の凝集吸着剤では処理できない。しかし消石灰の代わりに牡蠣殻粉末を使用すると、牡蠣殻中の炭酸カルシウム、或いはりん酸カルシウムは硫酸礬土等の酸性物質と反応しあうのに時間がかかり、このために硫酸礬土等の有しているゾル破壊効果、エマルジョン破壊効果が発揮できるようになる。即ち消石灰の代替品として牡蠣殻粉末を用いた凝集吸着剤はゾル化した、或いはエマルジョン化した有機物をも処理できるようになることを本発明者等が発見し、それを実用化した。
また消石灰を使用した場合の凝集吸着剤は酸性物質である硫酸礬土等と消石灰が貯蔵中に互いに反応し、石膏となってしまい、フロック生成機能を喪失してしまう危険性があるのに対し、牡蠣殻粉末を消石灰の代替として使用する場合には硫酸礬土と牡蠣殻粉末は固体状ではほとんど反応せず、半永久的にフロック生成機能を保持し得るようになった。このように牡蠣殻粉末は粉体凝集吸着剤としての石灰源としては最適な性状を与えるものと言える。
次に活性汚泥処理でのフミン酸によるCOD上昇、着色(黄色、或いは茶色)問題については、従来の考えでは活性汚泥処理で、フミン酸等は処理されずに排水されるというものであったが、本発明者はそのように考えずに、活性汚泥処理での汚泥からフミン酸、フルボン酸等が発生すると考えている。即ち活性汚泥処理での汚泥等が曝気を通じて分解され、フミン酸等が発生する。処理水のCOD、着色成分がフミン酸等の由来のものであれば、牡蠣殻と人工ゼオライトの混合物を返送汚泥に添加することにより、汚泥から発生するフミン酸等が炭酸カルシウムと反応して不溶性のフミン酸カルシウムとなり、汚泥側(固体側)にとどまり、処理水のCOD上昇、着色等が防止できることを発見し、これを利用した排水処理剤の開発に成功した。
即ち、ゾル破壊等の効果は以下のように表現できる。
《従来剤でのゾル破壊等の効果が低い理由》
2FeCl3+ 3Ca(OH)2 → 3CaCl2 + 2Fe(OH)3 (1)
Ca(OH)2とFeCl3との反応が大きすぎるため、FeCl3等の有しているゾル破壊効果が発揮する暇がない。
《牡蠣殻を使用した場合のゾル破壊等の効果が高い理由》
2FeCl3 + 3CaCO3 → 3CaCl2 + Fe2(CO3)3 (2)
CaCO3とFeCl3との反応が小であるため、FeCl3等としての存在時間が長くなり、それだけゾル破壊効果が発揮する時間がとれる。
硫酸礬土、牡蠣殻粉末、人工ゼオライト、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤からなる凝集吸着剤を種々の排水処理に用いて水質浄化する。
消石灰をアルカリ源として用いた粉末凝集吸着剤(A)と牡蠣殻粉末をアルカリ源として用いた粉末凝集吸着剤(B)とをエマルジョン化した水溶性塗料を含んだ排水処理結果を比較する。
粉末凝集吸着剤(A)の配合割合
硫酸礬土:消石灰:人工ゼオライト:カチオン系高分子凝集剤
=50:25:20:5
粉末凝集吸着剤(B)の配合割合
硫酸礬土:牡蠣殻粉末:人工ゼオライト:カチオン系高分子凝集剤
=50:68:20:5
排水(エマルジョン化した水溶性塗料)の水質
COD=200ppm n−ヘキサン抽出物質含有量=130ppm
排水処理方法
対象排水を1000mlに対し、各凝集吸着剤を(A)で200ppm(B)で
290ppm添加し、20分間、混合・撹拌し、沈殿処理した後の上澄み水を分析した。
処理水の水質分析結果
粉末凝集吸着剤(A)の場合
処理水のCOD=58ppm n−ヘキサン抽出物質含有量=65ppm
粉末凝集吸着剤(B)の場合
処理水のCOD=10ppm n−ヘキサン抽出物質含有量=2ppm
着色防止剤(A)及び(B)の効果試験結果を示す。
着色防止剤(A)の配合割合
消石灰:人工ゼオライト=70:30
着色防止剤(B)の配合割合
牡蠣殻:人工ゼオライト=70:30
実験方法
食品加工工場の活性汚泥処理設備での返送汚泥スラリーに上記着色防止剤を各々
5000ppm、10000ppm添加し、そのスラリーを24時間空気曝気した。
それを沈殿処理した後の上澄み液の水質及び着色状態を調べ、比較した。
処理水の水質分析結果
無添加の場合の上澄み水 COD=53ppm PH=6.7
排水の色調:薄茶色
防止剤(A)の場合の上澄み水 COD=15ppm PH=9.8
排水の色調:無色
防止剤(B)の場合の上澄み水 COD=10ppm PH=7.1
排水の色調:無色
消石灰使用の場合も着色防止効果、COD低減効果ともに牡蠣殻使用の場合と同じ効果が見られるが、PHがアルカリ側に偏っているために、活性汚泥処理での微生物の生存に危険な状態となるため、消石灰は使用できない。その点、牡蠣殻はPH上昇も起こさず、CODの低減及び着色防止の効果があり、活性汚泥処理設備での使用には最も適したものと言える。

Claims (3)

  1. 牡蠣殻粉末に硫酸礬土、或いは塩化鉄、硫酸鉄からなるフロック生成促進剤。
  2. 上記フロック生成促進剤にカチオン系、或いはアニオン系高分子凝集剤を配合した粉末排水処理剤。
  3. 牡蠣殻粉末と人工ゼオライトからなる活性汚泥処理での処理水の着色防止、及びCOD低減剤。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009050752A (ja) * 2007-08-23 2009-03-12 Shoichi Yoshizumi 凝集剤
JP5492335B1 (ja) * 2013-08-08 2014-05-14 株式会社ケイ・アール・ジー 凝集剤の製造方法及び凝集剤
JP2015062901A (ja) * 2009-08-05 2015-04-09 三菱レイヨン株式会社 着色成分の除去方法

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